区分 専門基礎科目-健康と生活支援
ディプロマ・ポリシーとの関係
コミュニケーション能力 アセスメント能力 判断力
創造力 実践力 自己研鑽力
カリキュラム・ポリシーとの関係
豊かな人間性 広い視野 知識・技術
判断力 応用力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
保健医療福祉の現場に関連する行政、関係法規等を学ぶ
科目の目的
本科目の目的は,看護師の資格および業務を規定する保健師助産師看護師法をはじめとする関連法規の理解を基盤として,看護職を志す者が保健医療福祉分野における法制度の全体像を体系的に把握することである。さらに,看護職が医療チームの一員として果たす役割を理解し,多職種の法的定義や業務範囲,免許制度の意義(業務独占・名称独占)を踏まえ,専門職間の連携と協働の在り方について理解を深めることを目的とする。
また,本科目では,法律,政令,省令,通知といった制度構造を踏まえ,看護実践における法的根拠を説明できる能力を養うとともに,医療法,医療安全,薬機法,各医療職種に関する資格法などの理解を通して,患者の権利擁護と安全で質の高い医療提供に資する基礎的知識の修得を目指す。さらに,地域包括ケアシステムや医療介護総合確保推進法,介護保険制度を通して,地域における医療・介護連携の仕組みと看護職の役割を理解する。
加えて,労働基準法や労働安全衛生法等に代表される労働関連法規の理解を通して,看護職自身の労働環境や権利についても認識を深め,安全で持続可能な医療提供体制を支える視点を養う。これらの学修を通して,看護職が法的枠組みに基づき専門職としての責務を自覚し,倫理的視点を踏まえて判断・行動できる力を養うとともに,チーム医療の一員として主体的に貢献し,患者中心の医療を実現するための基盤を形成することを目的とする。

到達目標
1.保健医療福祉分野における法制度を知り、保健師助産師看護師法を理解する。
2.医療チームを構成する各職種の法律を理解する。
3.法律、政令、省令、通知など合わせてみることで制度全体を理解する。
4.看護師として、看護業務との関係において法律の理解を深める。
5.看護職としての責務を果たすために、法制度を理解する。

科目の概要
本講義では,看護職を志す者が保健医療福祉分野における法制度の全体像を理解し,看護職が医療チームの一員として果たす役割を認識することを目的とする。看護職としての立場を踏まえ,医療チームを構成する多職種の法的定義や業務範囲を理解し,保健医療福祉と法律の関わりについて体系的に学修する。具体的には,保健師助産師看護師法をはじめとする資格法や医療法,各医療職種に関する法律の理解を通して,看護の役割や業務内容を明確にする。さらに,看護とは何をする職業であるのかを法的視点から捉え,看護実践と関連する法制度についての理解を深める。法律,政令,省令,通知といった制度構造を踏まえ,制度全体を把握する力を養うとともに,看護・医療・介護に関わる法律について,実践に必要な基礎知識の習得を目指す。また,医療安全や患者の権利擁護,薬剤・医療機器の適正管理,地域包括ケアシステムや医療介護連携の視点も含め,実践に即した法的理解を深める。加えて,労働関連法規の理解を通して,看護職自身の労働環境や権利についても認識を深め,安全で持続可能な医療提供体制を支える視点を養う。これらの学修を通して,看護職が法的枠組みに基づき専門職としての責務を果たし,倫理的判断を伴いながら実践できる力を養うとともに,患者の権利を尊重し,質の高いケアを提供できる看護職としての基盤形成を目指す。
科目のキーワード
保健師 看護行政 関係法規 社会福祉
授業の展開方法
本授業では,各回テキストおよびパワーポイントを用いて講義を行い,保健医療福祉行政に関する基礎から実践的理解までを体系的に学修する。学習内容については,講師が作成した講義ノートを活用し,重要事項を整理しながら理解を深める。学生には事前学習を求め,主体的に授業へ参加することを重視する。必要に応じてグループワークを取り入れ,学生同士の意見交換を通して多角的な視点の獲得を促す。疑問点や意見については授業中に確認し,必要に応じて次回以降にフィードバックを行う。講義では,看護管理実践の経験を踏まえ,法制度の理解が看護実践にどのように結びつくかを具体例を用いて解説し,実践に即した学修を展開する。さらに,多職種連携や医療安全,地域包括ケアの視点も踏まえ,現場で活用可能な知識の定着を図る。加えて,事例検討や振り返りを通して,制度と実践の関連性を主体的に考察する力を養い,現代の医療・福祉環境に適応できる思考力の形成を目指す。
オフィス・アワー
(準備中)
科目コード BG15
学年・期 3年・前期
科目名 保健医療福祉行政論Ⅰ
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】30h【予習・復習】60h
前提とする科目 看護学概論Ⅰ、社会保障論、保健医療福祉行政論が前提となる
展開科目 各看護学へ展開する
関連資格 看護師,保健師,養護教諭
担当教員名 加藤由美
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 看護をめぐる法と制度 科目の中での位置付け 看護職を志す者が保健医療福祉分野における法制度の全体像を理解し、看護職者も医療チームの一員であるという自分たちの立場を認識した上で、医療チームのメンバーを知り、保健医療福祉と法律の関わりを深く理解することが重要である。具体的には、保健師助産師看護師法や、医療チームを構成する各職種の法律についての理解に進むことが求められる。看護とは何をする職業なのかを明確にし、看護実践に関わる法制度についての認知を深める。また、法律、政令、省令、通知といった情報を併せて学ぶことで、法制度全体を把握することにつながる。看護・医療・介護に関する法律について、実践する上で必要な基本知識を理解することも不可欠である。看護師として、看護業務との関連において法律の理解を深めることは、職務を効果的に遂行するだけでなく、患者の権利を守り、安全で質の高いケアを提供するためにも重要である。法制度の理解は、看護職としての責務を果たすための基盤となる。法律に基づく看護を実践することで、専門性を高めるとともに、信頼される看護職を目指す姿勢を育むことが期待される。また、法制度を理解することは、医療現場で直面するさまざまな課題に適切に対処できる能力を養うことにもつながる。このような知識をもとに、看護職者はより良い医療サービスを提供し、患者やその家族と信頼関係を築くことができる。
ナーシンググラフィカ
健康支援と社会保障④
看護をめぐる法と制度
11㌻~26㌻
コマ主題細目 ① 看護実践と看護をめぐる法制度 ② 制度を構成するもの ③ 看護業務の自主性と社会のしくみ ④ 政策と制度 ⑤ 看護業務と法のつながり
細目レベル ① 看護実践と看護をめぐる法制度を理解するためには、看護制度の基本的な枠組みを把握することが不可欠である。そもそも、看護制度の大本(おおもと)は保健師助産師看護師法であり、これは法律の木の幹にあたる。政令や省令は枝に相当し、通知は葉に例えられる。これらすべてを把握しなければ、制度全体の姿をきちんと捉えることはできない。したがって、看護者は看護業務を実施する者として、法制度を読み込む必要がある。保助看法だけでなく、省令や通知も併せて確認しなければ、つまり、幹だけでなく、枝葉を一緒に見て結びつけることで、制度全体を理解することができる。また、看護実践とつなげて理解することも極めて重要である。法制度がつくられる経緯や改正の背景をまとめた報告書なども理解し、法の解釈や取り扱いについても十分に把握する必要がある。さらに、実際の看護現場において法制度がどのように適用されるのかという具体的な事例を通じて、法的な枠組みが看護業務にどのように影響を与えるかを考えることが求められる。こうした視点をもって法制度を学ぶことで、看護職者としての責務を果たし、より良いケアを提供するための基盤を築くことができる。法制度を深く理解する姿勢は、専門職としての自信と誇りを育むことにもつながる。
② 法の形式という観点から、法は成文法と不文法に分けて考えることができる。成文法(制定法あるいは法規)に位置づけられる法には、憲法、法律、命令(政令、府令、省令)などがある。憲法は国のあり方について基本的な事項を定めている基本法であり、形式上、法の上位に位置づけられる。法律は国会の所定の手続きに基づいて議決されることにより成立した法規のことである。行政機関が制定するものは命令と呼ばれ、そのうち内閣が憲法または法律の規定を実施するために制定するものを「政令」とし、内閣総理大臣が発するものを「府令」と、各省の大臣が法律または政令を実施するために制定するものを「省令」という。また、法令の解釈や行政上の取り扱い、運用の方針などについて統一的な見解を示したものが「通知」である。一方、不文法は社会の法規範として機能し、具体的な法文として記載されていないが、習慣や慣行、社会的合意に基づく法的価値観を反映している。これにより、法は社会の実情や文化的背景にも影響を受けており、成文法と不文法は相互に関連しあいながら、社会の法的枠組みを形成している。したがって、両者を理解することは、法制度の全体像を把握する上で重要であり、看護職としても法律の理解に役立つ。看護現場において、成文法だけでなく、不文法の持つ社会的な意味を意識することで、より適切な判断や行動ができるようになる。このような視点を持つことは、患者に対する誠実なケア提供にもつながる。
③ 看護師自らが、看護の専門職としてこれまで培ってきた知識や経験を活かしつつ、自分で考えて仕事をしなければならない。看護業務は、医師の判断や指示が必要な場合もあるが、看護業務はどんなケアであっても看護師自身がプロフェッショナルとして、ケアを必要としている人に対して、まずは自分で考え、提供しなければならない。しかし、看護師が何でもかんでも勝手に看護業務を行えるわけではない。医療スタッフが患者に対して行う行為の多くは、かけがえのない誰かの生命・身体・健康を損なったり、奪ったりする危険を伴う行為でもある。私たちの社会は、これらかけがえのない生命・身体・健康を大切にし、守り、育むために、看護師の業務を制度的に枠にはめたり、裏付けたり、支えるものとして機能している。このような視点から、看護師や看護業務の立ち位置を再確認し、各業務における看護師の役割をイメージできるように考えることが重要である。目指すべきは、医療現場での総合的な判断力を持ちながら、エビデンスに基づいた看護を提供し、患者の権利を尊重することである。看護師は自らの専門性を高め、市民に対して責任を持ち、信頼できるケアを行う存在であることを意識することで、看護職としての自覚と誇りを持ち続ける必要がある。これにより、より質の高い看護実践が実現され、患者とその家族に満足をもたらすことができる。
④ 看護師が社会から求められている役割を適切に果たすためには、政策や制度、法律に関する知識を学ぶ必要がある。政策とは「特定の価値観に基づき、あるべき方向(目標)を目指し、現状の問題点を改善するための手段・方法」と定義されるものであり、通常、報告書の形で公表されることが多い。保健、医療、福祉に関する具体的な政策は、厚生労働省を中心に、さまざまな行政機関によって立案・展開されることが一般的である。また、政策がきちんと社会に反映されるようにするための仕組みが「制度」と呼ばれる。制度は、法律を基点に「一定のまとまりをもったルールの集合体」として形成される。看護をめぐる法と制度について深い理解を得るためには、看護に関する法体系を検討することが重要である。具体的には、看護をめぐる法体系がどのように構成されているのか、法律、政令、省令などの関係を明らかにし、看護職の職務にどのように適用されるかを理解することが求められる。このプロセスを通じて、看護に関する法律を概観し、現行の法制度が看護業務や患者へのケアにどのように影響を与えるかを把握することである。さらに、法制度の変遷や改正の背景についても考察することは、今後の看護師としての職務遂行において不可欠である。看護師が法律に基づいた行動をとることが求められる一方で、その法律がどのように社会に実装されているかを理解することは、専門職としての自覚を高め、信頼される看護を提供するための基盤となる。
⑤ 法律は、看護師の業務をあるときには枠にはめ、また別のときには裏付けたり支えたり、看護師に対して実施を求める仕組みである。看護業務とまったく次元の異なるところで関係なく存在しているのではなく、看護の現場で実際に行う業務と密接に関連している。しかし、看護の現場で活動していると、法律で規定されていることや通達されていることとは異なる状況に遭遇することが少なくない。この現象は法と現場実務との乖離を示しており、法と現実とのギャップがどのように生じるかを理解することが、看護職にとって非常に重要な課題となる。看護師は、法との関係を意識しながら業務を実施することが求められ、その際に現実的な判断が必要となる。法の枠組みは看護業務の中で、適切な行動を導く参考にもなり、倫理的な判断を支える基盤ともなるため、常に意識しておく必要がある。また、看護をめぐる法と制度をより身近なものとして理解し、それを実際の業務に活かすためには、定期的な学習や研修を通じて知識を深めることも大切である。このようにして、法制度を理解し、有効に活用することで、より質の高い看護を提供することが可能となる。看護師としての専門性を高め、患者に対して信頼と安心を提供するために、法律や制度を積極的に学ぶ姿勢を持つことが不可欠である。


キーワード ① 憲法、法律、命令,省令、通知
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 テキスト『看護をめぐる法と制度』16~21頁「看護をめぐる法制度」ナビゲーションを読み、看護実践と看護をめぐる法制度の関係について理解する。看護職が日常的に行う実践が、どのような法制度の枠組みの中で成り立っているのかを意識しながら学習を進める。さらに,生成AI(ChatGPT等)を活用し,「看護に関連する主な法律」「法制度が看護実践に与える影響」について調べ,自分の理解と比較しながら整理する。その際,AIの情報をそのまま用いるのではなく,テキスト内容と照らし合わせて妥当性を確認し,自分の言葉で再構成することを意識する。これらを通して,看護と法制度の関係について説明できるよう準備する。(1時間)
復習:18頁「制度を構成するもの」をもとに,制度を形づくっている要素について整理する。法の形式という観点から,成文法と不文法に分けて説明できるようにし,成文法に含まれる憲法,法律,命令(政令・府令・省令)について理解する。また,不文法が社会の法規範として機能していることや,判例の役割についても説明できるようにする。さらに,生成AIを活用して「成文法と不文法の違い」「判例の意義」「政策と制度の関係」について調べ,自分の理解と比較・整理する。そのうえで,政治・社会・制度・政策の関係性を整理し,看護実践がこれらとどのように関わっているのかを具体的に考察する。また,制度理解が実践の安全性や適切性にどのように影響するかについても,自分の言葉でまとめる。(1時間)

2 保健医療福祉と法の関わり方 チーム医療と法の構造 科目の中での位置付け 健康問題を抱える人の療養の場が多様化する中で、複数の医療職が関わるチーム医療、さらには医療職以外の専門職が参加する多職種連携が進んでいる。このような連携体制を構築するためには、それぞれの専門知識や技術を効果的に活かし、スムーズに連携していくことが重要である。そのためには、他職種がどのような役割を担っているのかを理解しておく必要がある。特に、チーム医療に関わる医療スタッフの補完的枠組みを理解することが不可欠である。具体的には、医療スタッフに対する法的規制や免許の意義(業務独占と名称独占)、免許取得の要件、行政処分、再教育研修などを学ぶことが求められる。医療スタッフの業務分担と連携に関する法的枠組みでは、医師が頂点に立つタテ型の分担協力関係と、診療の補助業務に関する業務分担についての理解が必要である。この分担の中で、看護師は重要な役割を果たし、医療チームの一員として患者のケアを行う際の具体的な業務内容や法的定義についても理解することが求められる。看護師の役割は、チームの一員として医療の質を向上させる上で不可欠であり、そのためには全体の連携を円滑に進めるためのコミュニケーション力や自己管理能力も重要視される。このような能力は、チーム内での情報共有や意見交換を円滑に行うために必須であり、看護師が他職種との効果的な連携を図る上でも役立つ。最終的には、各職種が協力し合い、患者にとって最適な医療サービスを提供するための土台を築くことが目的であり、患者中心のケアを実現するためには、専門職間の信頼関係と協働が欠かせない。この協力体制を強化することで、患者さんの健康と生活の質を向上させることができる。
ナーシンググラフィカ
健康支援と社会保障④
看護をめぐる法と制度
保健医療福祉と法の関わり方
チーム医療と法の構造
27㌻~38㌻
コマ主題細目 ① 法的規制のありかた ② 免許 ③ 医療スタッフの業務分担と現行法の構造 ④ タテ型の分担関係 ⑤ 診療の補助業務の分担関係
細目レベル ① 医療スタッフの法的規制は、資格法、業務法、責任法の三つに分けて考えることができる。資格法は、医療を提供できる人を一定の学識・技量を有する者に限定する事前の法的規制であり、医療行為を行う上での基本的な条件を定めている。業務法は、実際に提供される医療そのものに関連した法的な規制であり、これには①医療や看護の内容そのものについての規制と②医療行為や看護行為を実際に行うことに付随する規制が含まれる。①の法は基本的に事前の規制を行わないというのが原則であるが、②の業務を行う際には、医療スタッフが守るべき付随的義務が定められており、これは各医療スタッフを規制するそれぞれの法律や刑法などに明示されている。責任法は、すでに行われた医師や看護師の行為に対する事後的な法的規制であり、患者への影響や医療提供の結果に基づいてその行為の適切さが問われることとなる。これにより、医療ミスや過失が発生した際の責任の所在が明確化され、患者の権利が守られることにつながる。したがって、看護職は法律を遵守し、自らの行為がどのように法的な責任に結びつくかを理解することが求められる。また、医療に関わるスタッフは、法律に基づく行動が求められるだけではなく、患者との信頼関係を築くためにも規範意識を持つことが重要である。自らの行為が法律的責任にどのように作用するかを意識することで、倫理的な判断力や専門職としての自覚を高め、より質の高い医療を提供するための基盤を築くことができる。これにより、看護師としての責任を果たし、患者にとって安全で質の高いケアを実現することができる。
② 免許の法的性質は、医師の免許を念頭に「許可」とされ、「法令による一般的禁止(不作為義務)を特定の場合に解除し、適法に特定の行為をなすことを可能にする行為」と定義される。特定の教育と訓練を受け、一定の知識と技能を有していると認められた者(すなわち、免許を持っている者)だけに、「業として(反復継続の意思をもって)」行うことを認める。免許の中には、業務独占と名称独占があり、資格を得ようとする者は、厚生労働省または都道府県知事(免許付与者)の免許を受けなければならない。免許を受けるには、一定の要件を満たす必要があり、これには積極的要件と消極的要件が存在する。消極的要件は欠格事由であり、これに該当する場合は免許を取得できない。さらに、免許の付与と個人の身分を公証するための公籍制度や、行政処分、再免許、再教育研修についても理解が必要である。こうした制度の理解により、医療従事者としての職業倫理や責任の認識が促進され、質の高い医療サービスを提供するための基盤が築かれる。看護職を含む医療専門職は、これらの制度を十分に理解し、免許の意義を身に付けることが求められている。特に、免許の重要性を認識することで、自身の役割に対する自覚を持ち、法律遵守の意識を高めることが重要である。看護師は、自らの免許に伴う責任を果たすことが期待されており、そのために必要な専門知識や技術を保持し続ける姿勢が求められる。最終的には、これらの理解が質の高い患者ケアの実現に寄与し、医療現場での信頼構築に繋がることである。
③ 医療スタッフの免許には、それぞれの「名称」、「資格法名」、「免許付与者(試験実施者)」、「免許」が含まれている。積極的要件とは、免許を取得するために必要な条件を指し、絶対的欠格事由と相対的欠格事由は、免許を取得できない場合の要件として区別される。行政処分には、戒告、業務停止、名称使用停止、免許取消があり、相対的欠格事由に該当した場合や医師・歯科医師・薬剤師・看護師などが「品位を損するような行為」を行った際には、免許付与者は裁量によって行政処分を実施することができる。医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師などの処分内容や手続きは異なり、それぞれに応じた基準が設けられている。免許取消処分を受けた者については、再免許を受けることも可能であり、これは免許付与者によって行われる。再教育の内容には、倫理研修や技術研修が含まれ、これにより専門職としての倫理観の向上や技能の維持・向上が期待される。また、資格を取得した者は、職務における守秘義務を理解し、患者のプライバシーを尊重することが求められる。これにより、医療従事者としての信頼を築き、質の高いサービスの提供につながることが重要である。医療の現場では、この信頼が患者との関係をより良好にし、安心して治療を受ける環境を作り出すことに不可欠である。また、看護職としての責任感を持ち、法律や倫理に基づいた行動を実践することにより、患者中心のケアを提供し、全体の医療サービスの質の向上に寄与することが期待される。医療スタッフがこのような意識を持つことで、より良い医療環境を整え、患者の健康と福祉を守る役割を果たすことができる。
④ 医行為をめぐる医療スタッフの業務分担に関する現行法の構造について、タテ型分担協力関係を法的に理解することが重要である。まず、第1列に位置する「医師・歯科医師」は、「医療及び保健指導を掌する」(医師法第1条)との規定のもと、医業を独占することが明記されている。その上で1.5列に位置する「薬剤師」は、医行為の一部である「販売および授与目的の調剤」の業務を独占している。「看護師」には、「療養上の世話」と「診療の補助」が業務独占として認められており、「助産師」には「助産」および「妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導」が業務独占として規定されている。一方、「准看護師」は、「医師、歯科医師または看護師の指示を受けて」という条件のもとで業務を独占している。「保健師」は「保健指導」に関して名称独占とされている。第2列の「診療放射技師」は、「放射線の人体に対する照射」に関する業務が独占されており、これによりその職能が法律的に保護されている。さらに、医療スタッフ間の業務分担を明確化することによって、患者へのサービス向上と安全性の確保が期待されている。こうした法的枠組みを理解することは、看護職をはじめとする医療従事者が自身の役割を明確に認識し、チーム医療の一員として機能するために不可欠である。また、法律を理解することで、医療現場における責任の所在を把握し、患者に対して質の高いケアを提供する基盤を築くことができる。これにより、医療チーム全体が一丸となって、患者の健康と福祉を守る役割を果たすことが期待される。医療従事者は、法的な枠組みを意識することで自らの専門性を高め、より信頼される存在となることが求められている。


⑤ 診療の補助業務については、まず看護師と准看護師が業務独占している。第3列に位置する医療スタッフは、各医療スタッフの資格法で個別に定められている医行為のみを、例外的に診療の補助として行うことが認められている。言い換えれば、看護師と准看護師に業務独占されている診療の補助の一部が、各医療スタッフに個別に解除されているということになる。このため、看護師と准看護師に認められている業務独占の傘の下で、間接的に業務独占していると解釈することができる(間接的業務独占)。各医療スタッフの定義を規定している条文で認められている業務と、診療の補助として行うことができる業務が必ずしも同じとは限らない。医行為として評価されるものが、診療の補助として行うことができる業務とされるのが基本である。医療におけるタスクシフトおよびタスクシェアの観点から考えると、特定行為が看護師にシフトされることにより、より高度な専門性を看護職が発揮することが期待される。タスクシェアでは、看護職だけでなく、他の医療職が役割を分担し、協力して患者へのケアを提供することが重要である。このタスクシフトとタスクシェアの適切な理解と実施によって、医療チームは効率的に機能し、患者の安全と質の高い医療提供に貢献できる。例えば、看護師が点滴の実施や医師の指示に基づく服薬管理を行うことで、医療チーム全体の対応が迅速かつ的確になり、患者の満足度も向上するという結果が得られる。このように、看護師は重要な役割を果たし、患者の安全を守り、健康を支えるために欠かせない存在となる。また、看護師が専門知識を生かして多職種との連携を強化することで、チーム全体の医療サービスの質が向上し、患者にとって最適なケアが提供されるようになる。
キーワード ① 医療スタッフに関する法の枠組み ② 免許 ③ 医療スタッフの業務分担  ④ タスクシフト・タスクシェア ⑤ 多職種連携における看護師の役割
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:医療スタッフの多くは,免許を受けるために一定の要件を満たし,免許を取得しなければならない。その理由について考えながら予習して臨む。また,保健医療に関する職種の資格や業務について規定する法律(人に関する法律)について理解する。さらに,生成AI(ChatGPT等)を活用し,「なぜ医療職に免許制度が必要なのか」「医療職に関する法律の役割」について調べ,自分の考えと比較しながら整理する。その際,AIの情報をそのまま受け入れるのではなく,テキスト内容と照らし合わせて妥当性を確認し,自分の言葉で再構成することを意識する。これらを通して,医療職における免許制度の意義について説明できるよう準備する。(1時間)
復習:医療スタッフに対する法的規則である資格法,業務法,責任法について整理し,それぞれの特徴と役割を説明できるようにする。また,免許の意義について,業務独占と名称独占の目的から説明できるようにする。さらに,生成AIを活用して「資格法・業務法・責任法の違い」「業務独占と名称独占の具体例」について調べ,自分の理解と比較・整理する。そのうえで,医療職に免許制度が存在することで,患者の安全や医療の質がどのように保障されているのかを考察する。また,万が一責任問題が生じた場合にどのように判断されるのかについても含めて理解し,法制度と看護実践の関係について自分の言葉でまとめる。(1時間)

3 医療専門職と法律①保健師助産師看護師法 科目の中での位置付け 保健師助産師看護師法(昭和23年7月30日法律203号)は、資格法であり、医療が国民の健康に直結する極めて重要なものであるとの認識に基づいて制定された。この法律により、定められた教育課程を修了し、免許を取得した者が医療に従事することができる。具体的には、保健師、助産師、看護師、准看護師の定義、試験、免許、業務、違反時の罰則などが明記されている。医療スタッフの資格法については、「医療が国民の健康に直結するとの考え方から、定められた教育課程を修了し、免許を取得した者が医療に従事すること」(医道審議会保健師助産師看護師分科会看護倫理部会平成14年11月26日)と述べられており、保健師、助産師、看護師、准看護師はこの法律に基づき業務を遂行する義務を負う。免許取得には厳格な要件が設けられており、医療の質を確保するための重要な基盤となる。また、医療行為には法律的な規制が伴うため、医療従事者は自らの職務を理解し、法律を遵守する責任がある。法律に基づく行動が求められることで、患者の安全が保証され、質の高い医療サービスを提供するための基盤が形成される。さらに、資格法は看護職の精神的な責任をも強調しており、倫理的な行動指針を持つことが求められる。つまり、看護職は法的な規制を理解するだけでなく、倫理観にも基づき行動することが重要である。これにより、患者との信頼関係を築き、看護職の専門性を高めることができる。

ナーシンググラフィカ
健康支援と社会保障④
看護をめぐる法と制度
第1部3章
医療専門職法 保健師助産師看護師法
50㌻~75㌻
看護の専門性の発揮に資するタスクシフト/タスクシェアに関するガイドライン及び活用ガイド 日本看護協会
コマ主題細目 ① 保健師・助産師・看護師に係る規定の変遷 ② 保健時助産師看護師法 ③ 看護師の業務等 ④ 保健師・助産師の業務等 ⑤ 特定行為研修制度
細目レベル ① 保健婦助産婦看護婦法制定の経緯について、かつて看護師等は、各職種ごとに産婆規則(明治32年)、看護婦規則(大正4年)、保健婦規則(昭和16年)によってそれぞれ規制されていた。医療制度を再編するために国民医療法が制定され、「医療関係者」として規定されることになった。その後、戦後GHQの指揮の下で医療保健改革が進められ、3職種の職能団体が統合された結果、保健婦助産婦看護婦法(昭和23年)が制定された。法律の制定後、平成30年6月までに27回に及ぶ改正を経て、現在の形になっている。特に、平成13年6月には守秘義務が新たに制定され、同年12月には保助看法の改題が行われた。さらに、平成18年6月には名称独占に関する規定が追加され、平成26年6月には特定行為に係る看護師の研修制度に関する規定が導入された。これにより、看護職の専門性や責任が明確化され、質の高い医療サービスの提供が促進される基盤が整ったことが重要である。法改正を通じて、医療従事者としての倫理観や責任をさらに高めることが期待される。今後も、医療の進展に伴って、法制度が柔軟に対応し、看護職の役割が適切に評価されることが求められる。看護師は、その法的枠組みの中で、患者に対して安全で質の高いケアを提供するため、不断の努力が必要となる。
② 保助看法条文を読んで、この法律の目的を理解することが重要である。第1条の目的は、看護師の資質向上を図ることにより医療の質を高め、疾病の予防を促進し、さらに看護職の地位向上を目指す意図が含まれている。第2条では保健師の業務、第3条では助産師の業務、第5条では看護師の業務、第6条では准看護師の業務がそれぞれ規定されており、それぞれの役割と責任を明確にしている。また、「保健師」「助産師」「看護師」の免許を受けて行う業務独占及び名称独占についても理解する必要がある。保助看法の目的に基づく免許制度では、免許取得に際しての積極的要件や免許の付与、免許証の交付、消極的要件としての欠格事由、行政処分の種類や手続きについても明確な基準が設けられている。さらに、業務に対する行政処分の内容や再教育研修の類型についても理解を深める必要がある。免許の維持や更新に際しては、籍への登録事項や交通違反などの準用についても説明があり、再教育研修の位置づけは、医療従事者としての倫理観の向上や技能の維持・向上を図るために重要である。このように、法に基づく理解を深めることで、看護職は自らの役割と責任を自覚し、医療の質向上に貢献するための適切な行動が促される。また、これによって患者に対してより良いケアを提供するための基盤を築くことができる。法的な枠組みを理解することは、看護職としての誇りを持ちながら、患者との信頼関係を深めるために不可欠である。
③ 看護師の業務は、「傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話」と「診療の補助」と定義されている。これに基づく保助看法における看護師の業務と准看護師の業務、業務独占、医療行為の制限を理解することが求められる。特に、看護師の業務範囲に関する法律の考え方を整理し理解する必要がある。具体的には、医師法第17条、保助看法第5条、第37条をしっかりと把握することが重要である。また、静脈注射や特定行為に関する法律上の整理についても説明することが求められる。看護師が実施する診療の補助における医師の指示のあり方について、医事法制上の考え方、医師の指示成立の条件、包括的指示と具体的指示についても明確にする必要がある。さらに、医療従事者に関する名称独占や業務従事者届の義務、看護師等の資質の向上、守秘義務について、国家試験の受験資格、試験科目、受験手続き、そして罰則規定についても理解を深める必要がある。これにより、看護職が法律を遵守しながら、求められる専門性と責任を持って業務を遂行することが可能となる。また、法的な枠組みを理解することは、患者に対して質の高いケアを提供し、信頼関係を築くための基盤にもなる。このように、看護師が自身の業務を法的に理解することは、職業倫理の観点からも重要であり、自己の成長と専門職としての自覚を促進するために不可欠である。最終的には、患者の安全を守り、健康を支えるための重要な役割を果たす看護師として、医療チームの一員としての責任を自覚し、積極的な姿勢で業務にあたることが求められる。
④ 特定行為研修制度とは、2025年に向けて更なる在宅医療の推進を図るためには、個々の看護師の熟練した能力に頼るだけでは不十分であると認識した上で、医師または歯科医師の判断を待たずに手順書に従って一定の診療の補助を行う看護師を養成し、確保する必要がある。この目的を実現するために、特定行為を明確にし、その実施に必要な研修制度を設けた。研修内容を標準化することにより、今後の在宅医療を支える看護師を計画的に育成していくことが期待される。また、急性期における医療現場で医師の働き方改革が進む中、タスクシフティングやタスクシェアの考え方に基づいた診療の補助としての特定行為研修は重要な役割を果たすことになる。特に、日本看護協会が出したタスクシフト/タスクシェアに関するガイドライン及び活用ガイドでは、医療の質の向上や患者の満足度を高めるための看護職の役割が強調されており、看護職がチーム医療においてどのようにその能力を発揮できるかを具体的に示している。これにより、看護師が業務を効率的に分担し、連携を深めることが求められる。これらの新たな実践により、看護職は医療現場で重要な役割を担い、より質の高いケアを提供するための基盤が整えられる。今後の展望を見据えつつ、看護師はこれらの制度を積極的に活用し、専門性を高め、患者中心の医療を実現するために尽力することが求められている。これにより、在宅医療を含むさまざまな医療現場で、看護の質が向上し、国民の健康的な生活を支えることにつながる。
⑤ 保健師の歴史を振り返り、各国の保健師制度に触れながら、保健師の業務を理解することは重要である。保助看法における保健師の位置づけや、業務、名称独占、免許、籍、行政処分、教育機関、学校養成所の役割についても触れる必要がある。特に、主治医の指示や保健所長の指示に基づく業務の実施や、保健師免許を基礎とした衛生管理者、さらに養護教諭の資格についても理解を深めることが求められる。
助産師については、その歴史的背景や定義、免許制度、免許と籍、行政処分、業務独占と名称独占、助産師の業務に関する規定、異常妊娠などの処置の禁止についても詳しく学ぶ必要がある。また、助産師が持つ守秘義務や届出の義務、助産師固有の義務である開業権、応召の義務、証明書類交付の義務、異常死産児の届け出義務、助産録の記載と保存の義務についても理解することが重要である。助産師の養成制度や各資格の受験資格も確認し、保健師や助産師それぞれの役割と責任を正確に把握することで、医療従事者としての基礎的な知識を身につける。これにより、保健医療分野で必要とされる専門職の重要な位置づけを理解し、患者に対して質の高いケアを提供するための準備を整えることができる。さらに、これらの知識は、実際の業務を遂行する際に必要な法的理解や職業倫理に基づいた行動を促進する。最終的には、保健師や助産師として、患者の健康と福祉を支えるための貢献を果たすことが期待される。

キーワード ① 業務独占 ② 名称独占 ③ 診療の補助 ④ 特定行為研修制度 ⑤ 国家試験受験資格
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:保健師助産師看護師法の条文第1条から第6条を読み,その内容を理解して臨む。特に,第1条の目的,第2条「保健師」の名称独占と業務独占,第3条「助産師」の業務独占,第5条「看護師」,第6条「准看護師」における業務独占および名称独占について確認する。さらに,生成AI(ChatGPT等)を活用し,「名称独占と業務独占の違い」「各職種にそれぞれの規定が設けられている理由」について調べ,自分の理解と比較しながら整理する。その際,条文の内容と照らし合わせて正確性を確認し,自分の言葉で説明できるようにまとめる。これらを通して,看護職に関する法的規定の基本構造を理解する。(1時間)
復習:テキスト59頁をもとに,看護師国家試験の受験資格(第21条第1号~第5号)について確認し,それぞれの内容を説明できるようにする。受験資格は免許取得のための積極的要件として定められており,教育課程の修了や必要な能力の担保を目的としている点について理解する。さらに,生成AIを活用して「国家試験制度の意義」「なぜ受験資格が細かく規定されているのか」について調べ,自分の理解と比較・整理する。そのうえで,医療職としての専門性や責任を担保するために,どのような制度設計が必要であるかを考察する。また,資格制度が患者の安全や医療の質の確保にどのように寄与しているかについても,自分の言葉でまとめる。(1時間)

4 人に関する法律 看護師等の人材確保の促進に関する法律 科目の中での位置付け 看護師等の人材確保の促進に関する法律(人確法)は、病院等や看護を受ける者の居宅など、看護が提供される場所に高度な専門知識と技能を有する看護師などを確保することで、国民の保健医療の向上を図ることを目的としている。この法律に基づく「看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」等により、看護師養成所の運営に対する支援を通じて養成数の確保や新人看護職員研修の充実を図り、離職防止および離職者の復職支援を行っている。人確法はこれまでに数回改正を重ねており、2014年の改正では、看護師などの資格を持ちながら結婚や出産などで退職した看護師等の復職支援を推進する取り組みが規定された。
2024年には基本指針が修正され、新たに看護職におけるキャリアパスの多様化と支援が強調された。この修正により、看護師が多様なキャリアを歩むことができるよう、専門分野別の研修や教育プログラムの充実が求められ、特に在宅医療や地域医療における看護の役割が強調されている。また、職場環境の整備や、ストレス軽減に向けた取り組みが新たに加わり、看護職の持続可能な働き方を支える方針が打ち出された。
これに基づいて、ナースセンターはさまざまな支援プログラムを展開し、復職を希望する看護師への研修や相談体制を整えることで、職場復帰をスムーズに行えるようサポートしている。さらに、復職支援の一環として職場環境の改善に向けた取り組みも進められており、看護師が働きやすい職場を提供することで長期的な定着を促進することが期待されている。これらの施策により、看護人材の質が向上し、患者に対する看護の質も向上する。看護師の確保と定着を図ることは、日本の医療提供体制の維持に不可欠であり、すべての関係者が一丸となって取り組む必要がある。

ナーシンググラフィカ
健康支援と社会保障④
看護をめぐる法と制度
第1部3章
医療専門職法 保健師助産師看護師法
76㌻~78㌻
コマ主題細目 ① 人確法の背景と改正 ② 法律の目的 ③ 第七次看護職員需給見通し ④ 新人看護職員研修 ⑤ 都道府県ナースセンター
細目レベル ① 看護職員とは、保健師・助産師・看護師・准看護師を指し、税・社会保障一体改革における推計では、団塊の世代が後期高齢者となる平成37年には、看護職員は196万人~206万人が必要であるとされている。就業者数は年間平均3万人程度の増加が見込まれているものの、3万人~13万人が不足すると考えられている。今後、必要となる看護職員を着実に確保するためには、「養成促進」「復職支援」「離職防止・定着促進」に取り組むことが不可欠である。21世紀の本格的な高齢社会における社会のニーズに応えるためには、医療・福祉の担い手であるマンパワーの充実を図ることが急務であった。厚生省(現厚生労働省)は、1990年に「保健医療・福祉マンパワー対策本部」を設立し、具体的な施策を検討した結果、1992年には看護職員の確保を目的とする法律が施行された。急速な高齢化の進展や、保険医療を取り巻く環境の変化に伴い、看護師等の確保の重要性が著しく増大していくことを考慮している。
2023年10月26日には、基本指針が改定され、看護職員の資質向上や働き方改革が新たに盛り込まれた。この改定の意義は、高齢化社会に適応するために、看護職の役割を再評価し、専門職としての地位を向上させることにある。看護職員が多様なキャリアパスを持てるよう、継続的な教育や専門研修の充実が求められ、これにより患者のニーズに応える柔軟な看護体制が構築されることが期待される。また、復職促進や離職防止策も強化され、看護職としての継続的な成長と安定した人材供給が図られることで、質の高い医療サービスを提供する基盤が整備されることが目指されている。このような取り組みは、看護職が社会において持続可能な形で貢献できる環境を作り上げる大きな一歩となる。

② 急速な高齢化の進展と保健医療を取り巻く環境の変化に伴い、看護職の確保の重要性が著しく増大していることに考慮し、看護師等の確保を推進するための措置に関する基本指針が定められている。この目的は、高度な専門知識と技能を有する看護師などを確保し、病院や居宅などの看護を受ける場所において国民の保健医療の向上に資することである(第1条)。基本指針には、看護師等の就業の動向に関する事項、養成に関する事項、病院等に勤務する看護師等の処遇の改善に関する事項、研修等による看護師等の資質の向上に関する事項、看護師等の就業の促進に関する事項、そして新興感染症や災害等への対応に係る看護師等の確保に関する事項が盛り込まれている。
これらの指針は、看護職の役割を明確にし、質の高い医療サービスを提供するための基盤を築くことを目指している。また、看護職の養成や就業環境の整備を進めることで、看護職員の確保のみならず、医療全体の質の向上も図られている。特に、タスクシフトやタスクシェアの考え方が導入されることで、看護師が在宅医療や地域医療において専門性を発揮することが期待されている。これにより、看護職は医療チームの一員として重要な役割を果たし、患者の健康と福祉を守る存在となることが目的である。このように、基本指針の実行は、持続可能な医療システムの構築に貢献し、より良い医療環境を実現するための重要な取り組みである。

③ 急激な少子高齢化や高度医療の進展に伴い、看護職員の需給バランスは不均衡になっている。平成22(2010)年には、平成23年から27年までの5年間の第七次看護職員需給見通しが策定され、この見通しによれば、平成27年の需給予測は約150万1000人であり、供給見通しは約148万6000人であった。平成30(2018)年末の看護師・准看護師の就業者数は152万3085人であり、看護師の約70%が病院に、約13%が診療所に勤務している。
近年のデータでは、2021年の看護職員の総数は約157万人に達しており、特に在宅医療や地域医療への重要性が増している。2025年に向けた需給見通しでは、看護職員の必要数は約165万人と見込まれており、高齢者ケアに特化した看護師の育成が引き続き求められている。さらに、2040年に向けては、生産年齢人口の減少が深刻な問題となることが予測されている。このため、医療従事者の確保が難しくなり、看護職に対する需要は高まる一方で、人材不足の問題も深刻化することが懸念される。最新の医療従事者の需給に関する検討会の情報を受けて、看護職員の確保に向けた具体的な施策が強化されている。この包括的な取り組みでは、養成制度の充実や新人看護職員研修の拡充、復職支援が重要視されており、看護職の質の向上と定着を図ることが期待されている。こうした背景を考慮すると、看護職員の確保は国全体の医療提供体制の維持に不可欠であり、看護職の育成や職場環境の整備を一体的に進める必要がある。看護職が持続的に活躍できる環境を整えることで、国民の健康と福祉を守るための医療サービスの質が向上し、より良い医療システムを支えることにつながる。

④ 平成21年7月の保健師助産師看護師法及び看護師等の人材確保の促進に関する法律の改正により、同22年4月1日より、新たに業務に従事する看護職員、すなわち新人看護職員の臨床研修等について、病院等の開設者に対し努力義務が課せられることになった。ここでいう「病院等」には、新人看護職員のいるすべての施設が含まれ、病院、診療所、助産所、介護老人保健施設および指定訪問看護事業所がその対象となっている。
これら2つの法改正の背景には、医療の高度化や在院日数の短縮化、医療安全に対する意識の高まりといった国民のニーズの変化があり、臨床現場で求められる「臨床実践能力」と看護基礎教育で修得する「看護実践能力」との間に生じてきたギャップが、新人看護職員の離職の一因と指摘されている。
新人看護職員研修の理念は2つであり、①看護は人間の生命に深く関わる職業であり、患者の生命、人格及び人権を尊重することを基本とし、生涯にわたって研鑽されるべきものである。新人看護職員研修は、看護実践の基礎を形成するものとして重要な意義を有する。②新人看護職員を支えるためには、周囲のスタッフだけでなく、全職員が新人看護職員に関心を持ち、皆で育てるという組織文化の醸成が重要である。
この新人看護職員研修ガイドラインでは、新人看護職員を支援し、周囲の全職員が共に支え合い、成長することを目指すことが強調されている。この取り組みによって、看護職員が職務において自信を持って実践できる環境を整え、患者に対する質の高い医療を提供するための基盤を築くことが目的である。

⑤ 2014年6月の医療介護総合確保推進法成立に伴い、「看護師等の人材確保の促進に関する法律(人確法)」の改正が2015年10月に施行された。施行後、看護職は離職時などに住所、氏名、免許番号などの事項を都道府県ナースセンターへ届け出ることが努力義務化された。都道府県知事は都道府県ナースセンターを1か所指定することができる。都道府県ナースセンターは、看護師の就業の促進その他の看護師等の確保を図るための活動を行うセンターである。厚生労働大臣は、中央ナースセンターを1か所指定することができる。中央ナースセンターは、各都道府県センター業務に関する連絡および援助を行うセンターである。平成27(2015)年10月より、看護職は離職時などに住所、氏名、免許番号などの事項を都道府県ナースセンターへ届けることになった。届け出の方法については個人で届け出るだけでなく、離職時の勤務先(病院、介護施設など)が離職者の同意を得て代行し届け出ることもでき、離職時などに届け出た看護職の方へ都道府県ナースセンターが離職等の状況に合わせた支援を行うことで、看護職としての切れ目のないキャリアを積むことができるよう支援を行っていく。


キーワード ① 看護師等の人材確保の促進に関する法率 ② 看護職員需給見通し ③ 新人看護職員研修 ④ 都道府県ナースセンター(とどけるん) ⑤ 中央ナースセンター
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:看護師等の人材確保の促進に関する法律(人確法)は,病院等や在宅など看護が提供されるあらゆる場において,高度な専門知識と技能を有する看護師等を確保することにより,国民の保健医療の向上を図ることを目的としている。これまでの学習内容を踏まえ,なぜ人材確保が法制度として位置づけられているのか,その意義について考えて臨む。さらに,生成AI(ChatGPT等)を活用し,「人確法が制定された背景」「看護職不足が医療に与える影響」について調べ,自分の理解と比較しながら整理する。その際,AIの情報をそのまま用いるのではなく,制度の目的と照らし合わせて再構成することを意識する。これらを通して,人材確保の重要性について説明できるよう準備する。(1時間)
復習:2014年の人確法改正は,看護師等の資格を有しながら離職している看護職の復職支援を推進することを主な目的としている。この改正により,都道府県ナースセンター事業として「とどけるん」による届出制度が整備され,看護職の把握と再就業支援が強化された点について理解する。さらに,生成AIを活用して「人確法改正の背景」「潜在看護師の現状」「ナースセンターの役割」について調べ,自分の理解と比較・整理する。そのうえで,「とどけるん」による登録がどのように復職支援につながるのか,また医療提供体制にどのような影響を与えるのかを具体的に考察する。さらに,人材確保と医療の質との関係についても含めて,自分の言葉で説明できるようまとめる。(1時間)

5 医療法 科目の中での位置付け 医療法は1948年に制定され、2021年には第8次改正が行われた。急速な高齢化の進展や医療ニーズの多様化に伴い、医療制度の整備を目指したこの改正は、看護職をはじめとしたすべての医療従事者にとって重要な内容を含んでいる。医療法改正の流れを知ることは、看護・医療現場における法的枠組みを理解する上で不可欠である。
現在の医療法は、医療を受ける者がその選択をするのに必要な情報の提供を義務付けており、これにより患者が自らの健康に関する権利を行使できるよう支援している。患者の安全を確保し、医療の質を向上させるための基盤を整備することが、医療法の主要な目的である。また、医療施設の開設手続きや要件に関する規定も存在し、これにより医療提供体制の透明性と信頼性が向上する。
2021年の第8次改正では、特に急速な高齢化や新興感染症への対応が強調され、医療従事者の役割や研修の充実が求められた。具体的な内容は厚生労働省の公式ウェブサイトや関連資料で確認することができ、医療職としての役割を果たすためにも、この改正内容を理解しておくことが重要である。看護職に限らず、すべての医療従事者にとって必要な知識となる。
医療法の改正は医療の質を高めるための重要な基盤を構築するものである。特に看護職においては、法的枠組みを理解することで、倫理的な判断を促進し、患者に質の高いケアを提供するための土台が築かれる。このような法制度を踏まえた知識は、看護職が専門性を発揮し、患者中心の医療を実現するために必要不可欠である。
さらに、看護職が法的な枠組みを理解し、責任を持って業務を遂行することで、患者との信頼関係を築くことが可能となる。医療法の改正を受けて、看護職は医療チームの一員として、持続可能な医療提供体制を支える役割を果たすことが期待されている。今後も、法制度の動向に注視しながら、患者の健康と福祉を守るための具体的な活動を展開していくことが求められる。

ナーシンググラフィカ
健康支援と社会保障④
看護をめぐる法と制度
第1部2章
医療提供の理念と医療安全:医療法での扱い
40㌻~48㌻
182㌻~192㌻
コマ主題細目 ① 医療法改正の歴史 ② 医療法 理念と医療施設 ③ 医療の機能  ④ 医療計画① ⑤ 医療計画
細目レベル ① 医療法の改正の歴史は、医療提供体制の整備とその質の向上を目指した重要なステップを示している。1985年に実施された第1次改正では、医療計画の策定が義務化され、病床数の規制が導入された。この改正により、医療資源の適正な配分が促進されることが目的とされている。
1992年の第2次改正では、医療提供の理念が定められ、特定機能病院制度の導入と、療養型病床群の制度化が行われた。これにより、高度な医療を提供する医療機関と、地域密着型の療養型病床の整備が進められている。
1997年の第3次改正では、地域医療支援病院制度が設けられ、医療計画の必要的事項が拡充され、地域医療の充実が図られることとなった。この改正により、病院が果たすべき役割が明確にされ、地域全体の医療提供体制の強化が進められている。
2000年の第4次改正では、住民への情報提供が強化され、医療の透明性が高められた。これによって、患者が自らの健康に関する選択を適切に行えるための基盤が整備されている。
2012年の第5次改正では、医療提供の理念がさらに追加され、医療安全対策が強化されるとともに、4疾病5事業への対応が進められ、患者への情報提供が拡大されている。この改正により、患者の安全がより一層重視されるようになった。
2014年の第6次改正では、医療死亡事故への対応の義務化や、病床機能報告、地域医療構想、臨床研究中核病院制度が追加され、医療の質を向上させるための法的枠組みが強化されている。
2015年の第7次改正では、地域医療連携推進法人制度が新たに追加され、医療機関同士の連携強化を図ることが目的となっている。これにより、医療チームがより効果的に機能し、患者に質の高い医療サービスを提供できるようになっている。
2021年の第8次改正では、急速な高齢化や医療ニーズの多様化に対応するため、医療提供体制のさらなる強化が目指されている。特に、看護職の専門性の発揮や在宅医療、地域医療への対応が重視され、看護職がより大きな役割を果たすことが期待されている。また、感染症への対応に対する施策も含まれ、柔軟で効果的な医療提供体制が求められている。
このように、医療法の改正を通じて、患者中心の医療提供を実現するための基盤が築かれている。今後も医療の質を向上させるための法的枠組みを整備することが期待されている。

② 現在の医療法は、医療を受ける者が医療に関する選択をするために必要な情報の提供や医療安全、病院等の開設と管理に関する事柄を定めることにより、患者の利益の保護と良質かつ適切な医療を提供する体制を確保し、国民の健康の保持に寄与することを目的としている。医療法第1条では、その目的が明記されており、条文には「必要な事項」と「推進するために必要な事項」が構造的に規定されている。また、第1条の2には、医療提供の理念が示されており、ここでは医療は生命尊重や個人の尊厳に基づくべきであることが強調されている。
医療が持つべき要件としては、予防およびリハビリテーションを含む包括的な医療の中身が求められており、医療を担う者の責務としては、医療を受ける者の意向を尊重することが示されている。また、国民に対しては健康保持の努力が求められ、これに基づいて国と地方自治体の責務、医療の担い手の責務、さらには国民の責務が定められている。これらの理念を受けて、医療の質を向上させる努力が政府や自治体、医療従事者によって進められ、国民全体が健康を維持し、より良い医療サービスを享受できるような体制作りが目指されている。このように、医療法の条文は、医療の基本的な理念と具体的な実施責任を明確にし、国民の健康を守るための法的な枠組みを提供している。

③ 医療法は、医療提供体制を整備し、国民の健康を守るために不可欠な法律である。本法律の下では、医療施設や病床の種類が定められ、入院患者に対する医療の質や安全性を確保するための基準が設けられている。医療施設には一般病院や診療所、助産所などが含まれ、それぞれが提供する医療サービスに応じて、その機能や役割が異なる。
特定機能病院は、高度な医療を提供するための施設として位置づけられ、大学病院などが該当する。これらの病院は、先進的な医療技術や専門的な医療サービスを提供する役割を果たしている。一方、地域医療支援病院は、地域の医療機関と連携し、医療過疎地域における医療サービスを支えるために設立されており、地域全体の医療提供体制を強化する役割を担っている。
病床機能報告制度は、病院の各病床の機能についてのデータを報告する仕組みであり、これにより医療の質や効率を向上させるための情報が提供される。また、外来機能報告は、病院が外来患者に対してどのような医療サービスを提供しているかを明らかにし、適切な医療サービスの提供を促進するものである。
医療法では、広告に関する制限も設けられており、医療機関が提供するサービスについての誇大広告を禁じることで、患者の誤解を防ぎ、信頼性の高い医療環境を維持することが目的となっている。このように、医療法は医療機関の機能や役割を明確にし、患者に対する安全で質の高い医療の提供を実現するための法的枠組みを提供している。これにより、全体としての医療提供体制の充実が図られている。

④ 医療法に基づく医療計画は、地域における医療の提供体制を整備し、国民の健康を守るための重要な仕組みである。医療計画は地域の実情に応じて医療提供体制を整備するために都道府県が策定し、原則として6年ごとに見直しが行われる。この計画により、地域の特性やニーズに応じた医療体制を構築することが可能となる。
医療計画の記載事項は、以下のように定められている(30条の4)。まず、5疾病としては、がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患が挙げられる。次に、6事業には救急医療、災害時における医療、新興感染症発生・まん延時における医療、へき地の医療、周産期医療、小児医療(小児救急医療を含む)が含まれる。
これに加え、医療計画には以下の事項が盛り込まれる。まず、5疾病の治療または予防にかかわる事業及び6事業の医療の確保に必要な事業が含まれる。次に、5疾病6事業に関する目標や医療連携体制(施設間の機能分担・業務連携の確保)、情報提供の推進が明記されている。
さらに、居宅等における医療の確保、地域医療構想に関する事項、地域医療構想の達成に向けた病床の機能の分化および連携の推進、病床の機能に関する情報の提供の推進、外来医療の確保、医師の確保、医療従事者の確保、医療の安全の確保、医療圏の設定(二次・三次医療圏を定める)、基準病床数(一般病床、療養病床、精神病床、感染症病床、結核病床)、地域医療支援病院等の整備目標、その他医療提供体制の確保に関する必要事項が含まれている。
これらの要素を通じて、医療計画は地域住民の健康を支えるための具体的な施策を提示し、質の高い医療サービスを実現することを目指している。これにより、地域医療の質が向上し、患者が安心して医療を受けられる環境が整えられる。

⑤ 日本の救急医療体制は、都道府県が作成する医療計画に基づき整備されており、地域において適切かつ迅速な医療提供を主目的としている。この制度は、医療法第30条の4に記載され、地域の実情に応じた救急医療体制の柔軟な構築が求められている。
救急医療体制は、初期救急、二次救急、三次救急の3つの段階に分類されており、それぞれに特定の機能や対象、具体的な医療機関が設定されている。初期救急においては、地域のクリニックや診療所が軽度の症状や急病に対する初期対応を提供し、患者の状態を評価する役割を担っている。主に軽傷者や急性の軽い症状を訴える患者に対する救急処置が行われる。
次の二次救急では、地域病院や専門病院が中等度の症状を持つ患者や緊急の診断・治療を必要とする症例に対して、より専門的な医療を提供している。この段階では、入院治療が必要となる場合もあり、医療の質の向上が図られている。
三次救急では、大きな役割を果たす大学病院や特定機能病院が、重篤な症状を持つ患者や緊急手術が必要な患者に対して、高度な医療技術を提供している。専門医が集まることで、複雑な医療処置や治療が可能となる。
これらの救急医療体制は、医療機関や救急救命士の連携によって機能し、患者に最適な医療サービスを迅速に提供することを目的としている。最新の医療ニーズに応じて機能分化が進められ、医療の質が向上するとともに、国民の健康が守られる体制が整備されている。看護職が中心となり、患者中心の医療提供が実現されることが期待されている。

キーワード ① 医療法 医療提供の理念 ② 医療施設と病床の種類 ③ 特定機能病院と地域医療支援病院 ④ 医療計画(5疾病、6事業) ⑤ 医療計画 救急医療体制
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:医療法改正の歴史についてテキスト40頁を確認し,第7次改正までの流れを把握して臨む。また,医療法が必要とされる理由についても考えてくる。医療提供体制がどのように変化してきたのかを理解し,その背景にある社会的要因についても意識する。さらに,生成AI(ChatGPT等)を活用し,「医療法改正の目的」「各改正の特徴」「なぜ医療制度の見直しが必要とされるのか」について調べ,自分の理解と比較しながら整理する。その際,AIの情報をそのまま受け入れるのではなく,テキスト内容と照らし合わせて妥当性を確認し,自分の言葉で再構成することを意識する。これらを通して,医療法の意義について説明できるよう準備する。(1時間)
復習:医療法の目的は,患者の利益の保護と,良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を確保し,国民の健康の保持に寄与することである。また,医療提供の理念を踏まえ,看護師としてどのように行動すべきかについて考える。さらに,生成AIを活用して「医療法の基本理念」「医療提供体制のあり方」「患者中心の医療とは何か」について調べ,自分の理解と比較・整理する。そのうえで,医療法の理念が実際の看護実践にどのように反映されるのかを具体的に考察する。また,患者の権利を尊重しながら安全で質の高い医療を提供するために,看護職としてどのような行動が求められるのかについて,自分の言葉でまとめる。(1時間)

6 医療法(医療安全) 科目の中での位置付け 医療法は1948年に制定され、2021年には第8次改正が行われた。急速な高齢化の進展や医療ニーズの多様化に伴い、医療制度の整備を目指したこの改正は、看護職をはじめとしたすべての医療従事者にとって重要な内容を含んでいる。医療法改正の流れを知ることは、看護・医療現場における法的枠組みを理解する上で不可欠である。
現在の医療法は、医療を受ける者がその選択をするために必要な情報の提供を義務付けており、これにより患者が自らの健康に関する権利を行使できるよう支援している。患者の安全を確保し、医療の質を向上させるための基盤を整備することが、医療法の主要な目的である。具体的には、医療安全を確保するための体制の構築や、病院の開設手続き、要件に関する規定が設けられており、これにより医療提供体制の透明性と信頼性が向上する。
2021年の第8次改正では、特に急速な高齢化や新興感染症への対応が強調され、医療従事者の役割や研修の充実が求められている。医療安全に関する新たな取り組みにより、医療ミスの予防やインシデントへの対応策が強化され、患者が安心して医療を受けられる環境の整備が目指されている。
このように、医療法の改正は医療の質を高めるための重要な基盤を構築するものであり、看護職は法的枠組みを理解することで、倫理的な判断を促進し、質の高いケアを提供するための土台を築くことができる。また、法制度を踏まえた知識は、看護職が専門性を発揮し、患者中心の医療を実現するために不可欠である。信頼関係を築くことで、看護職は医療チームの一員として、持続可能な医療提供体制を支える役割を果たすことが期待され、今後も法制度の動向に注視しつつ、患者の健康と福祉を守る具体的な活動を展開していくことが求められる。

ナーシンググラフィカ
健康支援と社会保障④
看護をめぐる法と制度
第1部2章
医療提供の理念と医療安全:医療法での扱い
40㌻~48㌻
182㌻~192㌻
コマ主題細目 ① 医療事故情報収集制度 ② 医療安全への取り組み① ③ 医療安全への取り組み② ④ 医療安全への取り組み③ ⑤ 病院における医療安全管理体制
細目レベル ① 医療法は、国民に対して安全で質の高い医療を提供するための法制度であり、特に医療事故情報収集制度はその中核を成す重要な取り組みである。この制度は、医療事故に関する報告義務を設定した施行規則(厚生労働省令)によって強化されている。そもそも、1999年の横浜市立大学病院事件(患者取り違えによる手術)やその後の都立広尾病院事件、2000年の京都大学病院事件や東海大学病院事件、さらには2001年の東京女子医大病院事件など、高度な医療機能を持つ病院での事故が相次いだことが、この制度の設立を促した。
これらの医療事故は患者の安全に対する深刻な脅威であり、医療界全体に警鐘を鳴らす結果となった。この背景から、医療安全支援センターが設置され、医療に関する苦情や相談に対する対応を行うとともに、医療機関や患者に対して医療安全に関する助言や情報提供が行われている。
2014年には医療事故調査制度が設けられ、予期せぬ死亡事例を報告する義務が規定された。これにより、医療現場での事故原因の究明と再発防止策が強化されることとなり、医療安全が一層重視されるようになった。
さらに、医療法には医療安全の確保に関する規定があり、医療機関は患者の安全を最優先として、適切な安全対策を講じることが義務付けられている。このように、医療法と医療事故情報収集制度は相互に関連し合い、医療提供の質と安全性を向上させるための基盤を形成している。
医療事故情報の透明性を高め、医療従事者が法的枠組みを理解して責任を持って行動することで、患者との信頼関係を築くことが期待されている。最終的には、これらの取組が国民の健康を守り、持続可能な医療システムの構築へと繋がるのである。

② 国としての医療安全への取り組みは、医療提供の質を高め、患者の安全を確保するために重要な施策を講じている。医療関係者の共同行動は、患者を守るための責任を共有し、医療業界全体で協力して安全な医療を実現することを目指している。また、患者を守るための10か条が策定されており、これには、患者の権利の尊重、医療行為における透明性の確保、医療の質向上のための教育などが含まれている。
さらに、医療安全推進総合対策と方針は、国全体での医療安全の強化を図る方向で策定され、多くの取り組む課題も存在する。具体的には、2002年の医療法施行規則において医療安全管理体制の整備が義務化され、医療機関は患者の安全を確保するために、適切な手続きを設けることが求められている。
また、厚生労働大臣による医療事項対策緊急アピールも行われており、これにより医療の現場での安全管理の徹底が促されています。さらに、質の高い医療を提供するための医療法等の一部改正が行われ、医療安全に関する法的基盤が強化されている。このような一連の取り組みは、医療従事者が法律を遵守し、患者に対して信頼の置ける医療を提供するための土台を築くことを目的としている。最終的には、これらすべての取り組みが病院や診療所における医療安全の確保につながり、国民の健康を守る重要な役割を果たすのである。

③ 2006年の医療法第5次改正では、医療安全の確保が重要なポイントとして盛り込まれた。この改正により、医療機関が医療安全対策を講じる義務が強化され、患者が安全に医療を受けられる環境が整備されることを目指すものである。具体的には、施行規則第1章の2において、医療安全の確保に関連する5つの内容が規定されている。それは、医療安全管理体制の整備、事故発生時の情報収集と分析、医療従事者への教育や研修、患者や市民への情報提供、さらには医療事故の報告制度の確立である。
さらに、医療安全支援センターが設置され、このセンターは医療安全対策に関する情報提供や支援を行う役割を果たしている。医療機関が直面する課題や事故防止策についてのアドバイスを提供し、全国的な医療安全の向上を目指す取り組みが進んでいる。
2014年の第6次改正では、医療事故に関する調査の仕組みが整備された。医療事故調査制度は、医療法第6条の10において規定されており、医療現場で発生した事故を調査し、その原因を究明することを目的としている。この制度により、医療事故が発生した際の迅速かつ客観的な調査が義務付けられ、再発防止のための具体的な対策が講じられることが期待されている。
これらの改正と制度の整備は、医療現場における安全文化の醸成を促進し、医療の質を向上させて国民の信頼を勝ち取るための重要な基盤となるものである。医療安全を確保する取り組みは、今後の医療制度の在り方に大きな影響を与えることが予想される。

④ 診療報酬における医療安全の対策の評価は、医療機関が提供する医療サービスの質を向上させるための重要な要素である。具体的には、医療安全対策に取り組む医療機関に対して経済的インセンティブが与えられることで、患者の安全が優先される医療体制の構築が促進される。この評価基準は、医療機関が持つ医療安全に対する責任感を高め、全体の医療品質を向上させることを目指している。
日本看護協会は、看護職能団体として医療安全対策に積極的に取り組んでおり、その背景には近年の医療事故や安全問題が増加したことがある。看護職の専門性を踏まえた具体的な支援内容として、さまざまな研修やセミナーを実施し、看護師の医療安全意識の向上を図っている。また、医療安全に関するガイドラインを策定し、看護職が安全な医療を実践するための手助けを行っている。
さらに、組織的な医療安全管理体制への取り組みは、国、都道府県、医療機関、個人の各レベルで進められている。国レベルでは、医療安全に関する政策や法規制が整備され、医療機関に安全管理体制の義務が課せられている。都道府県は地域の医療機関と連携し、医療安全対策を推進する役割を担っており、医療機関はその実行の場となっている。個人レベルでは、医療従事者が日常業務の中で医療安全を確保するための意識を持ち、行動することが求められている。このような組織的な取り組みにより、医療の質が向上し、患者の安全確保が実現されることが期待されている。

⑤ 病院における医療安全管理体制は、患者の安全を確保し、質の高い医療を提供するための重要な組織的枠組みである。この体制の中核をなすのが医療安全管理者であり、彼らは医療機関における安全対策の推進と、患者の安全確保を責任を持って担っている。具体的には、医療安全管理者は医療現場で発生するリスクの評価や事故防止策の立案、職員への教育・研修を行う役割を果たす。
重大事故が発生した際には、医療安全管理者は速やかに報告を受け、初期対応にあたることが求められる。この初期対応には、患者の安全を確保するための迅速な行動や事故の内容に関する詳細な情報収集が含まれ、適切な対応を迅速に行うことでさらなる悪影響を防ぐことが目的である。
また、医療安全文化の構成要素には、職員間のコミュニケーション、リーダーシップの質、学習する組織の形成、スタッフの積極性が含まれ、これらはジェームスリーズンの理論に基づく。効果的な医療安全文化が根付くことで、医療事故の予防と迅速な対応が可能になる。
さらに、医療機関ではインシデント・アクシデントレポートが活用されており、これにより医療の現場での事故やヒヤリハットを記録し、分析することで、再発防止につなげる体制が整えている。院内報告制度は、これらの情報を集約し、全職員に対する教育や改善策の実施に活かす仕組みを提供している。このような取り組みを通じて、病院における医療安全管理体制は患者の安全を高め、信頼される医療サービスを提供するための基盤を築く役割を果たすのである。

キーワード ① 医療法 医療提供の理念 ② 医療事故情報収集制度 ③ 医療安全管理体制 ④ 医療安全管理者 ⑤ 院内報告制度(インシデント・アクシデントレポート)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:医療法改正の流れや医療安全に関する制度(医療事故情報収集制度,医療事故調査制度)について整理し,医療安全の基本的な考え方を理解して臨む。特に,1999年以降の医療事故を契機として制度が整備されてきた背景について確認する。さらに,生成AI(ChatGPT等)を活用し,「医療事故が制度改正につながった理由」「医療安全対策の目的」「医療安全支援センターの役割」について調べ,自分の理解と比較しながら整理する。その際,AIの情報をそのまま受け入れるのではなく,テキスト内容と照らし合わせて妥当性を確認し,自分の言葉で再構成することを意識する。これらを通して,医療安全が制度としてどのように位置づけられているかを説明できるよう準備する。(1時間)
復習:講義内容を踏まえ,医療安全に関する制度や取り組み(医療事故情報収集制度,医療事故調査制度,医療安全管理体制)について整理する。また,ハインリッヒの法則やスイスチーズモデルの考え方をもとに,医療事故の発生要因と予防の仕組みについて理解する。さらに,生成AIを活用して「医療安全文化の特徴」「タスクシフト・タスクシェアの意義」「医療安全に関する分析手法(4M5E,p-mSHELL,RCA,HFMEAなど)」について調べ,自分の理解と比較・整理する。そのうえで,これらの手法が医療事故の予防や再発防止にどのように活用されるのかを具体的に考察する。また,医療安全管理者の役割や院内報告制度の意義を踏まえ,看護職としてどのような行動が求められるかについて,自分の言葉でまとめる。(2時間)

7 人に関する法律 医療専門職①  科目の中での位置付け 保健医療に関する法律は、医療提供の質を確保し、国民の健康を守るための重要な枠組みを提供している。その背景には、医療技術の進歩や社会の変化に伴う医療ニーズの多様化が存在し、各職種に対する適切な法的整備が求められるようになった。医療に従事する職種には、医師、歯科医師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などがあり、それぞれに関する法律が存在する。これらの資格法では、各医療スタッフの業務範囲が明確に規定されており、医療スタッフが行える診療の補助や独占業務も特定されている。看護師や准看護師に業務独占されている診療の補助の一部が、他の医療職に特定の条件のもとで解除されることもある。そのため、看護職の業務範囲を理解する際には、各医療専門職との役割分担や協力体制が不可欠である。法律には、免許取得の要件や欠格事由、行政処分、再免許の手続き、業務と義務、業務独占及び名称独占、守秘義務などの規定が詳述されており、医療職が高い倫理観と専門性を持って業務を遂行することが求められる。看護職は、患者との信頼関係を築き、質の高いケアを提供するために、法律に基づきその業務範囲を常に見直し、適切に遂行する必要がある。これにより、医療提供の安全性が向上し、国民の健康と福祉の確保に貢献することが期待されている。
ナーシンググラフィカ
健康支援と社会保障④
看護をめぐる法と制度
第1部3章
医療専門職法 保健師助産師看護師法
79㌻~113㌻
コマ主題細目 ① 医師法、歯科医師法 ② 薬剤師法 ③ 診療放射線技師法 ④ 臨床検査技師などに関する法律 ⑤ 理学療法士及び作業療法士法、言語聴覚士法
細目レベル ① 法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務などを理解することは、医療職に従事する者にとって重要である。医師法は、医療を担当する立場にある医師(歯科医師)の資質をできるだけ高い水準に置くことを目的としている。また、資格を取得した医師(歯科医師)に対しては、国民保健の見地から最小限度の規制にとどめ、医師が自由に技能を発揮できる環境を整えることも重視している。これらの考え方が相まって、国民に適正な医療を提供することが目指されている。医師法の規定は、免許に関する2章、試験、臨床研修の仕組みを含む3章が、医師の資質を高める方向に対応している。免許の権限を有する厚生労働大臣は、この制度を適切に運営し、権限の行使が図られる必要がある。また、医療行為の内容自体は4章の医師の業務に詳述されており、医師が行うべき具体的な業務内容や義務が定められている。これにより、医師は国民の健康を守る重要な役割を担い、職務を遂行する上で高い倫理観と専門性が求められる。医師法は、医療の質と安全を確保するための基本的な枠組みを提供しており、医師と歯科医師の責任ある医療が実現されることを目指している。これにより、国民が安心して医療を受けることができる基盤が整備されていると言える。
② 法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務などを理解することは、医療職に従事する者にとって重要である。薬剤師法は、調剤、医薬品の供給、その他の薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上および増進に寄与し、国民の健康な生活を確保することを任務としている。条文中の「医薬品の供給」は、薬剤師に特有の行為であり、国民への医薬品の供給を技術的な面から支えるのがこの法律の主旨である。「その他薬事衛生」には、調剤や医薬品の患者への交付、医薬品に関する研究や鑑定、保存に至るまで、薬剤師の重要な任務が含まれている。医薬分業制度では、治療上、薬剤を調剤して投与する必要があると認めた医師が患者に処方箋を交付し、薬剤師はその処方箋に基づいて調剤を行う。このシステムにおいて、薬を処方する行為は「医行為」と定義されており、医師がその権限を独占している。一方、薬剤師はその処方箋に基づく調剤業務を独占的に行うことが求められており、医薬分業の仕組みは、医師と薬剤師のそれぞれの専門性を活かし、より安全で適切な医療提供を実現するための重要な制度である。薬剤師は、患者の健康を守るために医薬品の適正使用を促進し、医療チームの一員として重要な役割を果たすことが期待されている。このように、薬剤師法は公衆衛生の向上に寄与するための重要な枠組みを提供している。
③ 法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務などを理解することは、医療職に従事する者にとって重要である。診療放射線技師は、MRI、CT、X線撮影など、今日の医療現場で検査等のために放射線や磁波を利用した診療機器を扱う医療専門職である。診療放射線技師法は、診療放射線技師の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規律することで、医療・公衆衛生の普及や向上に寄与することを目的としている。
放射線を人体に照射する行為は、医師、歯科医師または診療放射線技師に業務独占されており、看護師が行うことはできない。一方で、画像診断装置を用いた検査等の所定の行為は、診療の補助行為の一部とされているため、看護師も特定の条件下で実施することが求められる。診療放射線技師は、放射線に関する専門的な知識と技術を持ち、患者の安全を確保する責任がある。これにより、適切な医療サービスを提供し、患者の健康管理に貢献することが期待されている。診療放射線技師法は、医療提供の質を高めるために不可欠なものであり、技術者としての倫理や守秘義務も厳守することが求められる。これにより、医療チームの一員として、放射線技師は医師と協力しながら、安全で効果的な画像診断を提供していく役割を果たすことが期待されている。資格取得後も、技術の向上や法令に対する理解を深めるための継続的な教育が重要であり、医療現場の進化に応じて知識と技術を磨くことが求められている。

④ 律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務、保健師助産師看護師法との関係などを理解することは、医療職に従事する者にとって重要である。臨床検査技師とは、医師または歯科医師の指示の下、人体から排出または採取された検体の検査として厚生労働省令で定める「検体検査」や「生物学的検査」を行う者を指す。臨床検査技師に関する制度は、1958年に衛生検査技師制度としてスタートし、1970年に臨床検査技師制度が創設された。生理学的検査や採血・検体採取は、いずれも医行為として扱われており、この業務は医師及び歯科医師に独占されている。診療の補助行為が行えるのは看護師のみであるが、臨床検査技師は医師または歯科医師の具体的な指示を受けて、採血や検体採取、さらには生理学的検査を行うことができるように法的な整備が進められている。保健師助産師看護師法第31条1項および32条の規定に関連して、看護師が独占している診療の補助業務を臨床検査技師に解除する必要性が高まっている。臨床検査技師の業務が適正に運用されることで、医療の質の向上が目指され、国民の健康を守るための人材としての役割が期待されている。臨床検査技師は、医療現場において重要な役割を果たすため、法律や制度に対する理解を深め、技術の向上に努めることが求められる。また、臨床検査技師と看護職との連携を強化することで、患者に対する包括的な医療サービスの提供が可能となり、より安全で質の高い医療実践につながることが重要である。

⑤ 法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務、保健師助産師看護師法との関係などを理解することは、医療職に従事する者にとって重要である。医学的リハビリテーションの本格的な普及・発展を目指して、これらの職種の資格を定め、資質の向上や業務の適正化を図るためにこの法律が制定された。理学療法士は、身体機能の低下に対して主に治療体操(運動療法)を用い、筋力増強や神経麻痺にアプローチすることで、起きる、歩くなどの基本的動作や活動の向上を目指す。
一方、作業療法士は、動作や活動に障害がある患者に対して、作業療法を通じて身体機能の獲得はもちろん、精神・心理機能や認知機能を重視したアプローチを行い、応用的な身体活動の獲得を目指す。さらに、言語聴覚士は音声機能、言語機能、聴覚に障害を持つ患者に対し、その機能の維持・向上を図るため、言語訓練やその他の訓練、検査、助言、指導などの援助を行うことが業務である。これらの専門職は、リハビリテーションにおいて重要な役割を果たし、患者のQOL(生活の質)の向上に貢献する。この法律の枠組みの中で、各専門職はその資格を取得し、業務を遂行することで、国民の福祉に寄与することが期待されている。例えば、理学療法士や作業療法士は、医療チームの一員として連携し、疾病や障害を持つ人々が社会復帰を果たすための支援を行う。これにより、医療の質の向上と患者中心の医療が実現され、全体的な公衆衛生の向上にも寄与することが期待されている。そのため、専門職として法律や倫理に基づいた活動を継続的に行うことが重要である。

キーワード ① 定義 ② 免許 ③ 業務独占 ④ 守秘義務
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:医療専門職に関わる法(各職種の資格法や関連法規)を一読し,それぞれの職種にどのような役割や業務が定められているかを把握して臨む。医療現場では多職種が連携して患者ケアを行うため,各専門職の法的な位置づけを理解することが重要である。さらに,生成AI(ChatGPT等)を活用し,「医療専門職の種類と役割」「各職種の業務範囲の違い」について調べ,自分の理解と比較しながら整理する。その際,AIの情報をそのまま用いるのではなく,法の内容と照らし合わせて妥当性を確認し,自分の言葉で再構成することを意識する。これらを通して,多職種連携に必要な基礎的理解を深める。(1時間) 
復習:臨床検査技師,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士など各医療スタッフの資格法は,それぞれが診療の補助として実施できる行為の範囲を定めている。もともと看護師および准看護師に業務独占されている診療の補助の一部が,各医療専門職に対して個別に解除されている点について理解する。さらに,生成AIを活用して「各医療職の業務範囲」「看護師との違い」「業務分担の意義」について調べ,自分の理解と比較・整理する。そのうえで,各医療専門職の役割を踏まえながら,看護職として担うべき業務範囲について再考察する。また,多職種連携の中で看護師が果たす役割や責任についても具体的に考え,自分の言葉で説明できるようまとめる。(1時間)

8 人に関する法律 医療専門職② 科目の中での位置付け 保健医療に関する法律の背景として、日本の医療制度は社会のニーズに応じて発展してきた歴史がある。これらの法律は、医療従事者の資格や業務を明確に定義しており、臨床工学技士、視能訓練士、義肢装具士、救命救急士、歯科衛生士、歯科技工士といった専門職の役割を規定している。この法律の目的は、患者の安全を守り、質の高い医療サービスを提供することである。
具体的な免許の要件や欠格事由、行政処分、再免許の制度は、医療の質を維持するための重要な理由であり、業務と義務を果たすうえで不可欠な要素である。また、業務独占と名称独占の観点から、看護師や准看護師に業務独占される診療行為の一部は、特定の医療スタッフにも解除され、より多様な医療支援が可能となっている。これは、医療現場での協力と効率的な業務遂行を促進するために重要である。さらに、守秘義務は患者の信頼を確保するための基本であり、医療従事者はこれを守る責任がある。各医療専門職と看護職の法から、看護の業務範囲を考察することは、今後の医療の質向上や職種間の連携を深めるために意義深い。これらの法律を理解することは、医療従事者の役割を再認識し、患者に対してより良いケアを提供する基盤となると言えよう。

ナーシンググラフィカ
健康支援と社会保障④
看護をめぐる法と制度
第1部3章
118㌻~136㌻
コマ主題細目 ① 臨床工学技士法 ② 視能訓練士法 ③ 義肢装具士法 ④ 救命救急士法 ⑤ 歯科衛生士法、歯科技工士法
細目レベル ① 法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務、保健師助産師看護師法との関係などを理解することは、医療制度の全体像を把握する上で重要である。臨床工学技士は、医師の指示の下で生命維持管理装置の操作および保守点検を行う専門技術者であり、臨床工学士の資格が定められている。生命維持管理装置とは、「人の呼吸、循環又は代謝の機能の一部を代替し、又は補助することが目的とされている装置」と定義されている。診療の補助としての生命維持管理装置の操作は、特定の条件下で認められている。具体的には、臨床工学技士が行うことができる生命維持管理装置の操作には、①身体への血液、気体または薬剤の注入、②採血を含む身体からの血液または気体の抜き取り、③身体への電気的刺激の負荷の三つがあり、これらは医師からの具体的な指示を受ける必要がある。医療現場における連携と安全性を確保するため、これらの法的枠組みと実務の理解は不可欠である。臨床工学技士は、医療チームの一員として、より良い医療サービス提供に寄与することが求められている。
② 法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務、保健師助産師看護師法との関係などを理解することは、医療制度の全体像を把握する上で重要である。視能訓練士は、1971年に矯正訓練および検査の業務に従事する専門技術者の養成が強く望まれ、成立した資格である。医師の指示の下に、斜視や弱視など両眼視機能に障害のある者に対し、その両眼視機能を回復させるための斜視訓練や弱視訓練などの矯正訓練を実施し、これに必要な両眼視機能検査や眼筋機能検査、さらには精密屈折検査などを行う。
視能訓練士の専門性を活かしつつ、効率的かつ適正に業務の役割分担をすることが求められた結果として、業務が拡大され、一般的に行われている眼科検査も行うことができるようになった。このように、視能訓練士は医療チームの一員として、患者に対し質の高い視覚機能回復を目指す役割を担っている。視能訓練士の業務は、患者の生活の質向上にも寄与し、その重要性はますます高まっている。

③ 法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務、保健師助産師看護師法との関係などを理解することは、医療制度の全体像を把握する上で重要である。
リハビリテーション医療の分野では、患者に手術直後の段階から義手やギプスなどの義肢装具を装着し、早期訓練を行うことで円滑な社会復帰を促進することが可能となる。リハビリテーションが普及し、定着するに伴い、義肢装具を製作し、身体に適合させる業務に携わる専門技術者が臨床の場で重要な役割を果たすようになってきている。さらに、高度かつ複雑化する義肢装具を必要とする者に対しては、その者の状況に合った製作・適合が求められるため、高度の専門的技術が必要である。
義肢装具士法は、義肢装具の製作・適合等の業務に従事する専門技術者を資格として定めている。義肢装具士は、患者に最適な義肢や装具を提供するため、医療チームの一員として他の専門職と連携しながら働くことが求められる。この専門職の活動は患者の生活の質を向上させるだけでなく、社会とのつながりを強化し、より良い医療サービスの提供につながるのである。

④ 法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務、保健師助産師看護師法との関係などを理解することは、医療制度の全体像を把握する上で重要である。
救命救急士は、1985年前後から救急医療の現場で、来院時死亡の患者に対する救命医療のあり方が課題として浮上した。病院前段階である救急自動車による搬送時に、救急隊員が除細動、輸液、薬剤投与、高度な器具を用いた気道確保などの行為を含まない応急処置のみを行うことができたが、救命するための環境は十分ではなかった。医行為は医師法や保助看法によって業務独占されていたため、救急医療の現場において適切な対応が難しい状況であった。
この状況を改善するために、救命処置の業務に特化した新たな医療スタッフの創設が検討され、制度化された。救急救命士としての資格を有する者は、救命処置の範囲として33項目を行うことが認められている。さらに、法改正により優先的に病院の初療に関わることができるようになり、救命救急士の役割はより重要性を増している。これにより、救急医療の質が向上し、患者の早期治療と社会復帰が可能となることが期待されている。127㌻コラム参照。

⑤ 法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務、保健師助産師看護師法との関係などを理解することは、医療制度の全体像を把握するうえで重要である。
歯科衛生士は、戦後のGHQによる制度改革のひとつとして、保健所法が大幅に改正され、保健所の新しい業務に歯科衛生が導入された際に誕生した。これにより、歯科衛生士には予防処置が含まれることとなった。歯科医師(歯科医業を行う医師を含む)の指導の下、歯牙及び口腔の疾患の予防のために、次のような業務を行うことが求められる。具体的には、歯牙露出面および正常な歯茎の遊離縁下に付着した物を機械的操作によって除去すること、歯牙及び口腔へ薬物を塗布する行為が含まれる。
一方、歯科技工とは、患者ごとの歯科医療に用いる補綴物、充填物、矯正装置を作成・修理・加工することであり、歯科技工士はこれらの業務を専門的に行う者として位置付けられている。これにより、歯科医療における治療効果を高め、患者の口腔健康を維持することが期待される。このような役割の理解は、医療チーム全体の協力と患者に対する質の高いケアの提供に寄与することとなる。

キーワード ① 定義 ② 免許 ③ 業務独占 ④ 守秘義務
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:医療専門職に関わる法(各職種の資格法や関連法規)を一読し,各医療専門職にどのような業務や役割が法的に定められているかを把握して臨む。医療現場では多職種が連携して患者ケアを行うため,各職種の業務範囲や責任の違いを理解することが重要である。さらに,生成AI(ChatGPT等)を活用し,「医療専門職の種類と特徴」「各職種の業務範囲の違い」について調べ,自分の理解と比較しながら整理する。その際,AIの情報をそのまま用いるのではなく,法の条文やテキスト内容と照らし合わせて妥当性を確認し,自分の言葉で再構成することを意識する。これらを通して,多職種連携に必要な基礎的理解を深める。(1時間)
復習:臨床工学技士,視能訓練士,救命救急士,歯科衛生士など各医療スタッフの資格法は,それぞれが診療の補助として実施できる行為の範囲を定めている。もともと看護師および准看護師に業務独占されている診療の補助の一部が,各医療専門職に対して個別に解除されている点について理解する。さらに,生成AIを活用して「各医療職の業務範囲」「看護職との違い」「業務分担の意義」について調べ,自分の理解と比較・整理する。そのうえで,各医療専門職の役割を踏まえながら,看護職として担うべき業務範囲について再考察する。また,多職種連携の中で看護師が果たす役割や責任についても具体的に考え,安全で質の高い医療を提供するための行動について自分の言葉でまとめる。(1時間)

9 人に関する法律 医療専門職③ 福祉専門職 科目の中での位置付け 保健医療に関する法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務などを理解することは、医療制度全体の構造を把握するために重要である。また、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士といった職種は、それぞれ特定の資格や業務を持ち、法律に基づいて規定されている。
各医療スタッフの資格法は、各職種が診療の補助として行える業務の範囲を特定しており、医療の質の確保と患者の安全を重視している。特に、看護師と准看護師に業務独占されている診療の補助の一部が、これらの専門職に個別に解除されていることで、より多様な医療サービスの提供が可能となる。これは、医療チームにおける役割分担の明確化によるものであり、患者に対する質の高いケアの実現に寄与している。さらに、各医療専門職と看護職の法律を考察することで、看護業務の範囲や、診療補助における役割を再評価することができる。このように、法律的な枠組みを理解することは、医療従事者がそれぞれの専門性を活かし、患者に対してより良い医療を提供するための基盤となる。医療現場における連携と協力は、患者の健康と福祉に直結する重要な要素である。

ナーシンググラフィカ
健康支援と社会保障④
看護をめぐる法と制度
第1部3章
137㌻~143㌻
コマ主題細目 ① あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師などに関する法律 ② 柔道整復師法 ③ 精神保健福祉法 ④ 社会福祉法 ⑤ 介護福祉士法
細目レベル ① 法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務、保健師助産師看護師法との関係などを理解することは、医療制度の全体像を把握する上で重要である。
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律は、これらの職種が国家資格であることを定めている。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の免許や業務については、法定4業務として、ほぼ同じ内容で規制されている。これらの業種が行う医業類似行為は、医師などの医療スタッフが担う医療周辺・隣接する領域に位置し、医師法17条の医行為には該当しないが、一定の危険性を有する行為として規制の対象とされる。法定4業務以外の医業類似行為は禁止されており、規制対象外とされる行為の範囲と、協議の上での医業類似行為の範囲との違いは、現実には明確でない場合が多い。このため、各職種の参入や業務範囲については、さらなる明確化が求められている。こうした法律的な理解は、各専門職が役割を果たす際の基盤となり、患者に対する質の高いサービス提供に寄与するものである。また、医療チーム内での業務の連携や協力も、より効果的な医療行為の実現に不可欠である。

② 法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務、保健師助産師看護師法との関係などを理解することは、医療制度の全体像を把握する上で重要である。
接骨院や整骨院では、柔道整復師が骨・関節・筋・腱・靭帯などに対する急性・亜急性の損傷、具体的には骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷などに対して、手術を用いない非観血的療法である整復や固定を行っている。柔道整復師に関する法律は、国家資格として定められており、柔道整復師の免許と業務は法定4業務として、ほぼ同様の内容で規制されている。これらの業種で行われる医業類似行為は、医師などの医療スタッフが担う医療周辺や隣接する領域にあたり、医師法17条の医行為には該当しないが、一方で一定の危険性を有する行為として規制の対象となっている。法定4業務以外の医業類似行為は禁止されており、規制対象外とされる行為と協議の上での医業類似行為の範囲の違いは、現実には明確でないことが多い。このため、適切な規制と理解が求められており、法的枠組みの明確化が急務である。これにより、柔道整復師の役割が一層強化され、患者に対する質の高い医療サービスの提供が実現されることが期待される。

③ 法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務、保健師助産師看護師法との関係などを理解することは、医療制度全体の把握において不可欠である。
精神保健医療および福祉政策の見直しに伴い、長期入院精神障碍者の地域移行が促進されている。この動きにより、医療職と福祉職との連携は、従来の精神科医療機関にとどまらず、地域精神保健福祉に関わる機関や施設にも拡大している。精神科医療では、患者の治療だけでなく、再発予防、社会復帰、自立に向けた福祉的要素を含んだ包括的なケアが必要とされる。
精神科病院における精神保健福祉は、医師や看護師と協力しながら、患者の生活状況や受診・入院に至る経緯、成育歴などを把握することが重要である。また、入院や通院に伴う医療費についての経済的な相談や、日常生活に関する相談に応じることも大切な役割である。生活環境の調整を含む支援を通じて、患者が地域社会で自立して生活できるよう支援することが求められている。こうした取り組みは、精神疾患を持つ人々の生活の質を向上させ、地域社会の一員としての役割を果たすために不可欠な要素である。

④ 法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務、保健師助産師看護師法との関係などを理解することは、医療制度全体を把握する上で重要である。
社会福祉士とは、社会福祉士の名称を用いて専門的知識と技術を用い、身体的または精神的な障害や環境的な理由により日常生活に支障がある者に対して、福祉に関する相談に応じ、助言、指導、および福祉サービスの提供を行う者を指す。また、医師やその他の保健医療サービスを提供する者との連携、調整、さらには関係者への援助を行うこと(相談援助)が業務に含まれる。この「援助」の内容には、医療従事者との連携が不可欠であり、利用者のサービス選択を支援することや成年後見、権利擁護といった社会福祉の相談援助も含まれている。社会福祉士は多様なニーズに応えるために、その業務範囲を拡大しており、特に複雑な課題を抱える人々に対して、包括的な支援を行う役割を果たしている。こうした活動は、地域社会における福祉の向上や、個々の生活の質の向上に大きく寄与するものであり、社会福祉士の重要性はますます高まっている。

⑤ 法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務、保健師助産師看護師法との関係などを理解することは、医療制度全体を把握する上で重要である。
介護福祉士とは、介護福祉士の名称を用いて専門的知識と技術を活かし、身体上または精神上の障害により日常生活を営むのに支障がある者に対して、心身の状況に応じた介護を行う者を指す。具体的には、喀痰吸引やその他の日常生活を営むのに必要な行為を医師の指示の下で行うことが業務に含まれる。平成19年の法改正では、従来の「入浴、排せつ、食事その他の介護」から、「心身の状況に応じた介護」に改められた。平成23年には、喀痰吸引及び経管栄養などの医行為が介護福祉士の業務として行えるように明記され、その後、実施が求められるようになった。これにより、介護福祉士はより多様なニーズに応えることが可能となり、患者や利用者に対して質の高い介護を提供できるようになった。また、介護福祉士は利用者やその家族に対して介護に関する指導を行う役割も担っており、全体的な介護サービスの質を向上させるための重要な存在となっている。このように、介護福祉士は医療と福祉の接点で、より包括的な支援を行う役割を果たすことが期待されている。

キーワード ① 定義 ② 免許 ③ 業務独占 ④ 守秘義務
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:医療専門職に関わる法を一読して臨む (1時間)
復習:介護福祉士の業務と看護師の業務の「療養上の世話」を完全に区別することは不可能である。両者の業務の重なりについて考え、重なっている部分があるからこその連携・協働が必要になる。その考えについてまとめる。(1時間)

10 人に関する法律 非医療 非福祉専門職 科目の中での位置付け 保健医療に関する法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務を理解することは、医療制度全体を把握する上で不可欠である。管理栄養士や公認心理士の資格や業務に関する法律を理解することも重要であり、これにより彼らが提供するサービスの質や範囲が明確になる。
各医療スタッフの資格法は、それぞれの医療スタッフが診療の補助として行える業務範囲を特定しており、特に看護師と准看護師に業務独占されている診療の補助の一部が、他の専門職にも個別に解除されている。これにより、多職種間の連携が進み、患者に対するより包括的なケアが実現される。
地域包括ケアシステムにおいては、看護師と社会福祉士、介護福祉士が連携・協働することが求められており、医療提供施設と地域をつなぐ役割が重要である。この連携によって、地域での医療、介護、介護予防が効果的に行われ、患者の生活の質が向上する。看護小規模多機能型居宅介護においては、看護師と介護職員が密接に連携し、個々の利用者に対して適切な支援を行うことで、より良いサービスを提供することができる。したがって、各専門職の役割を理解し、互いに助け合う体制を築くことが、地域医療の質を高めることにつながると言える。

ナーシンググラフィカ
健康支援と社会保障④
看護をめぐる法と制度
第1部3章
153㌻~154㌻
コマ主題細目 ① 栄養士法および管理栄養士 ② 公認心理師法 ③ 地域包括ケアシステムにおける看護師と多職種との連携
細目レベル ① 法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務、保健師助産師看護師法との関係などを理解することは、医療制度全体を把握するために重要である。
栄養士とは、都道府県知事の免許を受けて栄養士の名称を用い、主に健康な人を対象に栄養指導に従事する者を指す。彼らは、栄養に関する一般的な知識をもとに、健康な生活を送るための助言や指導を行う。一方、管理栄養士は、厚生労働大臣の免許を受けて管理栄養士の名称を用い、傷病者に対して療養のために必要な栄養の指導を行う。これには個人の身体の状況や栄養状態に応じた高度な専門的知識と技術が要求される。また、管理栄養士は特定の多数人に対して継続的に食事を供給する施設において、利用者の身体の状況や栄養状態、利用の状況に応じた特別な配慮を必要とする給食管理も担当する。さらに、これらの施設に対して栄養改善に必要な指導を行うことも業務に含まれている。このように、栄養士と管理栄養士は異なる役割と専門性を持ち、それぞれの資格に基づいて多様なニーズに応える重要な存在である。医療や福祉の現場において、両者は協力し、患者や利用者の健康と生活の質を向上させるために貢献することが期待されている。

② 法律の背景、沿革と理念、法の目的、定義、免許、要件、欠格事由、行政処分、再免許、業務と義務、業務独占と名称独占、守秘義務、保健師助産師看護師法との関係などを理解することは、医療制度全体を把握する上で重要である。公認心理士は、心理職として初の国家資格であり、その業務は業務独占ではないため、学会が認定する臨床心理士との業務が重複する。一方で、公認心理士は名称独占が認められているため、その名称を使用する権利は特定の資格を持つ者に限定されている。公認心理士の業務は、保健医療、福祉、教育など多様な分野において、心理学に関する専門的知識および技術を活かし、心理に関する支援を要する者に対し、心理状態の観察やその結果の分析、相談や助言、指導などの援助を行うことにより、心理的な問題の解決を目指す。また、心理に関する支援を要する者の関係者に対しても、相談や助言、指導を行うことが求められている。
さらに、公認心理士は心の健康に関する知識の普及を目的とした教育や情報提供を通じて、地域社会やさまざまな場面でのメンタルヘルスの向上に寄与する役割を担っている。このように、公認心理士の活動は、個々の心理的健康を支えるだけでなく、社会全体の心理的環境の改善にも貢献していくことが期待されている。

③ 看護師は、地域包括ケアシステムにおける多職種連携・協働の要となる医療の専門職である。地域包括ケアシステムとは、すべての人が住み慣れた地域(生活圏域)で自立した日常生活を継続できるように、医療、介護、介護予防、生活支援、住まいが包括的に確保される仕組みとして推進されている政策である。このような中で、医療と介護の連携強化や地域づくりにおいて、看護師と社会福祉士、介護福祉士の連携・協働の重要性は今後ますます増してくる。地域包括ケアシステムにおける看護師と社会福祉士・介護福祉士の連携・協働は、医療提供施設と地域をつなぐ重要な役割を果たす。看護師は、医療的な視点から患者や利用者の健康状態を把握し、必要な医療を提供する一方、社会福祉士や介護福祉士は、生活支援や介護サービスを通じて、患者の生活全般を支える役割を担っている。そのため、情報共有や相互の専門性を活かした協力が不可欠である。具体的には、看護小規模多機能型居宅介護において、看護師と介護職員は密接に連携し、利用者の健康管理や生活支援を行い、より良いサービスを提供できるよう努める必要がある。地域での医療、介護、介護予防といった多職種間における連携は、地域包括ケアシステムの実現に向けた鍵であり、看護師が中心となってこの連携を推進することで、地域社会全体の健康を向上させることが期待される。したがって、看護師は単なる医療提供者にとどまらず、地域の健康づくりのリーダーとしての役割を果たすことが求められている。
キーワード ① 定義 ② 免許 ③ 業務独占 ④ 守秘義務
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:医療専門職に関わる法(各職種の資格法や関連法規)を一読し,各専門職にどのような役割や業務が法的に定められているかを理解して臨む。医療・福祉の現場では多職種が連携して支援を行うため,各職種の業務範囲や責任の違いを把握することが重要である。さらに,生成AI(ChatGPT等)を活用し,「医療専門職と福祉職の違い」「各職種の役割」「多職種連携の必要性」について調べ,自分の理解と比較しながら整理する。その際,AIの情報をそのまま用いるのではなく,テキスト内容と照らし合わせて妥当性を確認し,自分の言葉で再構成することを意識する。これらを通して,多職種連携の基礎となる法的理解を深める。(1時間)
復習:介護士,社会福祉士,介護福祉士との連携・協働の重要性について,地域包括ケアシステムの視点から整理する。特に,看護師と社会福祉士・介護福祉士との連携は,医療提供施設と地域をつなぐ段階や,在宅における医療・介護・介護予防の実践において重要な役割を担う。また,多職種間の連携は,利用者の生活を支える上で中心的な機能を果たす。さらに,生成AIを活用して「地域包括ケアにおける多職種連携」「看護小規模多機能型居宅介護の特徴」「職種間の役割分担」について調べ,自分の理解と比較・整理する。そのうえで,看護師が多職種の中でどのような調整役を果たすのかを具体的に考察し,自分の言葉でまとめる。また,地域での継続的な支援において,連携の質がケアの質にどのように影響するかについても理解を深める。(1時間)

11 物に関する法律 医薬品等に関する法律 科目の中での位置付け 医薬品等(医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品)は、人体に直接影響を及ぼすため、安全性が最優先されなければならない。これらの製品は、国民の健康を守るために、製造、販売、保存方法をはじめ、関係書類の記載や保管、展示方法、情報提供、広告、副作用報告に至るまで薬機法により厳しく規制されている。医薬品の中には習慣性が高く、中毒性の恐れがあるものも存在するため、これらは使用目的や効果、副作用の強さ、精神への影響に基づいて分類される。特に、毒薬や劇薬としての指定と管理方法に加え、医療で用いる麻薬および向精神薬についても十分な理解が必要である。薬剤と医療機器に関する法律には、医薬品医療機器等法(薬機法)、麻薬および向精神薬取締法、あへん法、大麻取締法、覚醒剤取締法などがあり、これらはすべて製品の適正使用と安全性確保のために制定されている。関係者は、これらの法律を理解ししっかりと把握し、遵守することが求められ、医療現場において患者の安全を守るための責任を持つべきである。これにより、医薬品や医療機器の適切な取り扱いが促進され、国民の健康と安全がさらに向上することが期待される。
ナーシンググラフィカ
健康支援と社会保障④
看護をめぐる法と制度
第2部4章
156㌻~164㌻
コマ主題細目 ① 医薬品等に関する法律の背景 ② 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保などに関する法律 ③ 毒薬・劇薬の保管方法と根拠法 ④ 麻薬及び向精神薬取締法
細目レベル ① 日本の医薬品に関する規制は、享保の改革から始まったとされる。その後、明治政府は売薬取締規則を制定し、日本の医薬制度の根幹を築く医制を導入した。続いて、薬品取扱規則や薬品営業並薬品取扱規則が整備され、大正時代には売薬法が制定された。昭和23年に戦後、新薬事法へと改正され、その後、2013年には「医薬品、医療機器などの品質、有効性および安全性の確保などに関する法律」が大幅に改正された。この法律の背景には、医薬品の品質保証や安全管理の必要性が増大し、国民の健康を守るための枠組みが求められたことがある。特に、医療機器や化粧品も含めた様々な製品が規制の対象となり、包括的な医薬品管理が強化された。これにより、信頼性の高い医薬品供給体制が整備され、患者の安全がより確保されることが目指された。
② 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保などに関する法律(略称:医薬品医療機器等法、以下、薬機法)は、医薬品等(医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品)の品質・有効性・安全性を確保するために必要な規制を行うことを目的としている。また、医薬品等の使用による保健衛生上の危害の発生・拡大を防ぐための規制も重要である。さらに、指定薬物の規制に関する措置を講じ、医療上特に必要性が高い医薬品・医療機器・再生医療等製品の研究開発を促進することによって、保健衛生の向上を図ることが求められる。この法律には、国や都道府県、医薬品等関連事業者の責務に加え、医療関係者の役割も明確に定められており、国民が適切に医薬品に関する情報を理解し、安全に使用するための指針となる。医薬品の取り扱いや医療品等の安全対策、さらに指定薬物の取扱いについて、関係者はこれらの規制を遵守し、国民の健康を守る責任を果たす必要がある。
③ 毒薬、劇薬とは、毒性の強いものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて指定する医薬品である。これらは、薬理作用や蓄積作用が強く、副作用が発生しやすく、重大な影響を与える可能性があるため、内服や注射による急性毒性の指定基準が設けられている。毒薬や劇薬は、容器に決められた表示をしなければならず、貯蔵や陳列の方法についても規制がある。また、毒薬・劇薬は14歳未満の者や、安全な取り扱いが不安な者に交付してはいけないなど、販売・授与、譲渡の記録の作成・保存についての厳格な規制が設けられている。看護師などの医療従事者は、特にこれらの具体的な規制を理解し、適切に行動する必要がある。毒薬・劇薬のラベル表示を把握し、その管理や保管の方法を遵守することは、患者の安全を確保するために非常に重要である。医療従事者は、これらの規制を常に意識し、適切な取り扱いを行うことで、安全な医療環境を維持する責任がある。
④ 麻薬は強力な鎮静作用を持ち、医療において欠かせない医薬品であるが、習慣性があるため犯罪に結びつく危険性があり、規制対象となっている。幻覚剤、覚醒剤、催眠剤などの向精神薬の乱用も社会的問題となっているため、これらを規制するための条約が策定され、1990年に大幅改定された麻薬取締法も名称を変更して「麻薬及び向精神薬取締法」となった。この法律は、麻薬及び向精神薬の濫用による健康や安全への危害を防止し、公共の福祉の増進を図ることを目的としている。麻薬を取り扱うことが認められている麻薬取扱者は、麻薬営業者、麻薬施用者、麻薬管理者に限定されており、その定義や免許を与える者、要件を理解する必要がある。看護師は、医師の指示に基づいて麻薬を扱う機会が多いため、適切な保管方法や取り扱いについても十分に理解しておくことが重要である。さらに、向精神薬や覚醒剤、覚醒剤原料の保管方法及び、それに関する根拠法についてもしっかりと学んでおくことで、安全な医療行為を提供し、患者の健康を守ることが求められる。これらの知識は、医療現場においての責任ある行動を促進するために不可欠である。
キーワード ① 医薬品の分類と取扱い ② 毒薬と劇薬  ③ 医療用麻薬施用ルール ④ 向精神薬施用のルール ⑤ 薬剤の保管方法と根拠法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:薬剤の管理について,基礎看護学や薬理学で既習した内容を振り返り,安全な薬剤管理の基本について確認して臨む。医療現場では,薬剤の取り扱いが患者の安全に直結するため,適切な管理方法や注意点を理解しておくことが重要である。さらに,生成AI(ChatGPT等)を活用し,「薬剤管理の基本原則」「誤薬事故の原因」「安全な投薬のための工夫」について調べ,自分の理解と比較しながら整理する。その際,AIの情報をそのまま用いるのではなく,既習内容と照らし合わせて妥当性を確認し,自分の言葉で再構成することを意識する。これらを通して,薬剤管理の重要性について理解を深める。(1時間)
復習:テキスト165頁の表4「薬剤の保管方法と根拠となる法」をもとに,麻薬,向精神薬,毒薬,劇薬,覚醒剤の保管方法とそれぞれの根拠法について整理する。これらの薬剤は管理方法が厳格に定められており,不適切な管理は重大な事故や法的責任につながる可能性がある。さらに,生成AIを活用して「各薬剤の特徴」「管理方法が厳格である理由」「関連法規の目的」について調べ,自分の理解と比較・整理する。そのうえで,看護師が業務上これらの薬剤に接する際に求められる責任や倫理について考察する。また,不適切な使用や興味本位での使用がなぜ許されないのかを,医療安全および社会的責任の観点から自分の言葉でまとめる。(1時間)

12 地域包括ケアシステム① 科目の中での位置付け 地域包括ケアシステムの背景には、急速な高齢化や医療ニーズの多様化がある。高齢者や障害者が重度の要介護状態であっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるように、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される街づくりが求められている。このシステムは、保険者である市町村や都道府県が地域の自主性に基づき、地域特性に応じて構築していくことが必要であり、自立した生活ができる支援体制を整えることが目的である。
全国の市区町村では、地域に合った「地域包括ケアシステム」の構築が進められている。具体的には、「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とし、生活上の安全・安心・健康を確保するために医療や介護のみならず、福祉サービスも含めた様々な生活サービスが日常生活圏域で適切に提供できるような地域体制」の形成が目指されている。看護職はこのシステムの中で重要な役割を果たし、医療や介護の提供だけでなく、地域住民との連携や支援を通じて、総合的なサポートを行う必要がある。また、地域包括ケアシステムにおける看護職の関与は、患者の健康状態や生活環境に応じた個別的なケアを提供することにとどまらず、予防活動や健康教育にも積極的に関与することが重要である。これは、地域全体の健康を向上させ、患者やその家族の生活の質を高めるために欠かせない要素となる。今後も、地域包括ケアシステムの中で看護職の存在意義はますます高まると考えられている。

2025年に向けた看護の挑戦 看護の将来ビジョン(日本看護協会)
https://www.nurse.or.jp/home/about/vision/pdf/vision-4C.pdf
ナーシンググラフィカ
健康支援と社会保障④
看護をめぐる法と制度
第2部6章
政策に関わる基本法等の関連法令
271㌻~273㌻
コマ主題細目 ① 地域包括ケアシステム ② 医療介護総合確保推進法 ③ 地域医療構想(ビジョン) ④ 医療機能の分化と病床機能報告 ⑤ 地域包括ケアシステムにおける看護職の役割
細目レベル ① 地域包括ケアシステムは、加齢や障害等で重度の要介護状態でも、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される街づくり。保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要。自立した生活ができる支援体制を構築することである。全国の市区町村では現在、それぞれの地域に合った「地域包括ケアシステム」の構築を進めています。地域包括ケアシステムとは、「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するために医療や介護のみならず、福祉サービスも含めた様々な生活サービスが日常生活の場(日常生活圏域)で適切に提供できるような地域での体制」とされています。つまり、これから構築しようとする地域包括ケアシステムとは、前述のようにできる限り住み慣れた自宅や地域で暮らし続けながら、必要に応じて医療や介護等のサービスを使い、最期を迎えられるような体制と言うことができ、下図に示すように「本人・家族の選択と心構え」を基盤に「すまいとすまい方」がまずあり、その上でしっかりとした「生活支援・福祉サービス」に基づいて「医療・看護」、「介護・リハビリテーション」、「保健・予防」が提供されるといった姿が想定されている。
② 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する19の法律が制定されている。これは、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築する目的がある。さらに、地域包括ケアシステムを構築することを通じて、地域における医療及び介護の確保を推進している。具体的には、まず新たな基金の創設や医療・介護の連携強化に関する法律(地域介護施設整備促進法など)が挙げられる。また、地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保に向けて、医療法に基づく改正が行われた。地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化を目指し、介護保険法に関する整備も進められている。さらに、看護師の特定行為研修制度の新設や医療事故調査制度の導入、医療法人社団と医療法人財団の合併持分なし医療法人への移行促進策が講じられている。
このような取り組みは、介護人材確保対策の検討も含めて、地域医療の質を向上させるために重要であり、医療と介護の円滑な連携を促進することが期待されている。ここにより、外部の変化に迅速に対応できる地域の医療体系が構築され、患者に対する一貫したケアが提供されるようになる。最終的には、これらの整備を通じて地域住民の健康と福祉の向上を図ることが目指されている。

③ 都道府県は、地域の医療需要の将来推計や報告された情報を活用し、二次医療圏等ごとの各医療機能の将来の必要量を含め、その地域にふさわしいバランスの取れた医療機能の分化と連携を適切に推進するための地域医療のビジョンを策定し、医療計画に新たに盛り込むことで、さらなる機能分化を推進している。このビジョンの策定にあたっては、国が提供するガイドラインが重要な役割を果たし、特に平成27年3月に策定されたガイドラインは、都道府県における地域医療構想の実現に向けての指針となる。
今後、都道府県が策定する地域医療構想の実現に向けて、いくつかの重要な対応が必要とされている。具体的には、回復期医療の充実策として、急性期からの病床転換が進められ、地域における医療機能の最適化が図られる。また、医療従事者の需給見通しや養成数の検討も重要であり、将来の医療ニーズに対応するために適切な人材の確保が求められる。さらに、慢性期の医療ニーズに対応するための医療や介護サービスの確保も進められ、地域住民が必要とする医療サービスが確実に提供されるようにする。このような取り組みは、医療提供体制の質を向上させ、地域住民の健康を支える重要な基盤となることが期待されている。最終的には、これらの施策を通じて、国民が安心して医療を受けられる環境を整えることが目指される。

④ 厚生労働省は、「超高齢社会における医療政策の基本方向」「地域包括ケアシステムと効率的で質の高い医療提供体制の構築」「経済・財政との調和」という基本認識を提示している。さらに、基本的視点として、「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」「安心・安全で納得できる効率的で質の高い医療の実現」「重点的対応が求められる医療分野の充実化」「効率化・適正化」の4点が挙げられ、それぞれに具体的方向性の例が列挙されている。特に「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」は重点課題に位置付けられており、これにより医療の機能に見合った資源の効果的かつ効率的な配置を促すことが求められている。急性期から回復期、慢性期にわたって、患者がその状態に応じた病床でより良質な医療サービスを受けられる体制を構築する必要がある。
病床機能報告制度(平成26年10月施行)は、各医療機関(有床診療所を含む)が、その有する病床において担っている医療機能の現状と今後の方向を選択し、病棟単位で都道府県に報告する制度である。医療機関は定性的基準を参考にして医療機能を選択し、高度急性期機能、急性期機能、回復期機能、慢性期機能といった報告結果が出される。この情報をもとに、都道府県は地域の医療需要の将来推計や報告された情報を活用し、構想区域ごとの各医療機能の将来必要量を含めた地域医療構想を策定し、医療計画に新たに盛り込むことで、医療機関のさらなる機能分化を推進することになる。加えて、慢性期機能が包括期機能へと変わることが検討されており、これにより患者の継続的なケアがより一層充実したものとなることが期待されている。これらの取り組みは、地域包括ケアシステムの強化に寄与し、国民の健康に対する保健医療サービスの向上を図るための重要な基盤となる。

⑤ 日本看護協会の示す「将来ビジョン」を熟読し、臨む。特に以下の内容につき、自分の見解をまとめる。地域包括ケアシステムにおいては、患者・住民に質の高い医療・介護などのサービスが必要な時に切れ目なく提供されることが重要である。特に、患者のいのちをまもるための医療は欠かせない。看護職は、医師との連携の下、患者の疾病や治療内容を理解し、身体的状態などを的確に観察、アセスメントする。そして患者の病態の変化を予測するとともに、その兆候を察知し、医必要性を判断する。それに基づき看護職自身が包括的な指示に即して医療的介入を行うか、または、医師につないで適時適切な医療を提供し、いのちをまもる。そして、看護は、人々が疾病や障がいとともに暮らすことになってもできるだけ自立して、「生活の質」 を維持し、尊厳を持ってその人らしく生活できるように支える。疾病などによる生活機能障害の程度を評価し、改善の可能性も想定しながら、セルフケア能力を高めることを支援する。病状や障がいの悪化予防と「生活の質」の観点から、支援の内容や程度を具体的に提案し、本人または家族の意思を尊重しながら、サービス事業者やボランティアと連携・調整して暮らしを支えることである。更に2040年の日本においては、少子高齢化に伴う若年世代の減少が進行し、社会や経済はそれに適応した変化を余儀なくされる。デジタル・トランスフォーメーション(DX)などの技術革新は、人々の生活を一変させ、医療・看護の形態にも大きな影響を与えることが予想される。後期高齢者の増加は、医療・介護の複合的なニーズを有する人々の増加につながり、治療や療養、看取りの場は医療機関に限らず在宅や地域に拡大していく。このような変化を捉え、既成概念にとらわれず発想を転換し、看護職の活躍の場を広げる契機とすることが重要である。
看護職は、予防・療養・看取りの過程を通じて多様な生き方や働き方に応じたアプローチを行い、人々の健康を支える重要な役割を果たす。看護実践にやりがいを実感し、心身ともに充実した働き方を実現することが求められ、社会の変化に対応して看護の力を十分に発揮するために、今後の方向性を明確に示すことが望まれる。


キーワード ① 地域包括ケアシステム ② 地域医療構想  ③ 病床機能報告制度 ④ 医療機能の分化 ⑤ 将来ビジョン
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:2025年を見据えた社会保障制度改革の動きが進んでいる。少子・超高齢・多死社会における保健・医療・福祉体制の再構築は,看護職が立ち向かうべき重要な課題である。変革の時となるこれからの10年において,看護および看護職がどのような役割を果たすべきかを考えるため,日本看護協会が示した「いのち・暮らし・尊厳をまもり支える看護」という将来ビジョンを熟読して臨む。さらに,生成AI(ChatGPT等)を活用し,「地域包括ケアにおける看護職の役割」「今後の医療・福祉の変化」「看護の専門性の変化」について調べ,自分の理解と比較しながら整理する。その際,AIの情報をそのまま用いるのではなく,将来ビジョンの内容と照らし合わせて再構成することを意識する。これらを通して,将来に求められる看護のあり方について考察する。(2時間)
復習:地域包括ケアシステムにおける看護職の役割について整理する。地域包括ケアでは,住み慣れた地域で生活を継続できるよう,医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるため,看護職には多様な役割が求められる。特に,患者や家族の生活を支える視点,多職種との連携,在宅医療への関与などが重要である。さらに,生成AIを活用して「地域包括ケアにおける看護職の具体的役割」「多職種連携の実際」「在宅支援における看護の機能」について調べ,自分の理解と比較・整理する。そのうえで,将来の医療環境を踏まえ,看護職がどのように専門性を発揮すべきかを自分の言葉でまとめる。(1時間)

13 地域包括ケアシステム② 病院機能 科目の中での位置付け 2025年には、団塊の世代が75歳以上になることで、高齢化が一層進展し、慢性疾患や複数の疾患を抱える患者が増加することが予測されている。また、手術を経た後にリハビリテーションを必要とする患者も増えると見込まれ、自宅で暮らしながら医療を受ける患者の数も増加する。これに伴い、医療提供体制の改革が急務となる。
医療介護総合確保推進法による改革の主な内容は、地域における質の高い医療の確保と、その基盤の整備である。具体的には、地域における医療と介護の連携を強化し、患者が必要とする医療サービスを円滑に提供できるような体制を構築することが目指されている。例えば、地域包括ケアシステムの推進や、在宅医療の充実、さらには医療従事者の養成や確保に向けた施策が含まれる。また、医療機関との連携を強化し、患者が地域の医療機関を容易に利用できるようにする取り組みが進められている。
この改革の方向性は、高齢者が健康で自立した生活を維持できるよう、医療と介護が地域レベルで一体的に機能することを重視している。質の高い医療を地域住民に提供し、地域の健康づくりを支えるために、今後も不断の努力が求められる。これにより、国民が安心して医療を受けられる基盤を整えることができ、より良い生活環境が実現される。

医療介護総合確保推進法に関する全国会議 資料
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000052610_1.pdf
ナーシンググラフィカ
健康支援と社会保障④
看護をめぐる法と制度
第2部6章
政策に関わる基本法等の関連法令
271㌻~273㌻
事例を通じて、我がまちの地域包括ケアを考えよう「地域包括ケアシステム」事例集成
~できること探しの素材集~平成26(2014)年3月 株式会社 日本総合研究所
医療介護総合確保推進法等について 厚生労働省 全国会議(平成26年7月28日)資料
コマ主題細目 ① 地域完結型医療と施設完結型医療 ② 病床機能 ③ 地域包括ケア病棟 ④ 医療圏 ⑤ この地域の医療計画
細目レベル ① 「地域完結型医療」とは、患者さんの身近な地域の中で、それぞれの病院や診療所・クリニック等が、その特長を活かしながら役割を分担し、病気の診断や治療、検査、健康相談等を行うことを指す。地域の医療機関全体で1つの病院のような機能を持ち、切れ目のない医療を提供することを目指している。患者さん中心に地域の医療機関同士が情報交換を行い、疾患別の標準的な診療計画に従って、急性期から回復期、維持期にわたるまで、患者さんに最善の連携医療を提供する地域完結型医療を目指した仕組み作りが重要である。
地域完結型医療に転換することにより、患者は医療施設、介護施設、在宅へと移動を求められるため、提供側が移動先への紹介を準備するシステムの確立が求められる。このため、医療機関間での円滑な連携が不可欠であり、情報共有や役割分担が重要な要素となる。特に、地域包括ケアシステムの枠組みの中で、医療、介護、福祉が協力し、患者の生活全般を支える取り組みが強調されている。また、地域の特性に応じた柔軟なサービスの提供が求められ、各医療機関が連携することにより、患者が必要とする医療が時間をずらさず、途切れなく提供されることが期待されている。
さらに、医療従事者には、患者の状況に応じた適切な支援を提供するための専門的な知識やコミュニケーション能力の向上が求められる。このように、地域完結型医療の実現は、国民の健康を守るだけでなく、質の高い医療サービスを提供するために不可欠な仕組みとなっている。

② 各医療機関(有床診療所を含む。)は病棟単位で医療機能について、「現状」と「今後の方向」を、都道府県に報告する。 高度急性期機能 とは、急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能。急性期機能 とは、急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能。回復期機能とは、急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能。特に、急性期を経過した脳血管疾患や大腿骨頚部骨折等の患者に対し、ADLの向上や在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に提供する機能(回復期リハビリテーション機能)。慢性期機能とは、長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能、長期にわたり療養が必要な重度の障害者(重度の意識障害者を含む)、筋ジストロフィー患者又は難病患者等を入院させる機能のことである。
③ 「地域包括ケア病棟」とは、急性期治療を経過し、病状が安定した患者さんに対して在宅や介護施設への復帰支援に向けた医療や支援を行う病棟。入院費は定額で、リハビリテーション・投薬料・注射料・処置料・検査料・入院基本料・画像診断料等のほとんどの費用が含まれる「地域包括ケア病棟入院料」を算定する。施設基準、要件について理解する。地域包括ケア病棟の役割は、①急性期治療を経過した患者の受け入れ、②在宅で療養を行っている患者の受け入れ、③在宅復帰支援である。令和2年度の診療報酬改定では、実績要件の見直し、施設基準の見直し、転棟に係る算定方法の見直し、届出に係る見直しがなされた。地域包括ケア病棟における看護の役割は、在宅復帰支援である。退院後の自宅・介護施設などでの生活に戻るまでをゴールに据えたケアを行うことである。高齢化に伴う疾病構造の変化により、「治らない病気」が増加している。「患者が病気と共存しながら生活の質を上げる医療」が求められている。そこで病院・病床の機能分化を進めるためには「入退院支援の充実」が鍵の1つである。診療報酬の入退院支援加算を算定している医療機関とは、退院支援部門を窓口として連携を行うことが有効性について考える。高齢者世帯の増加に伴い、自分が介護認定を受けているのか、サービスを利用しているのかどうか、担当ケアマネが誰なのか分からない方も増えてきている。病院の退院支援部門では、現状の病状を踏まえ患者の今後の生活についてどのように考えているのか院内院外と共有することが大切である。 入院患者だけではなく、外来通院患者から、その支援を行うことが望ましい。退院カンファレンスについても考える。
④ 医療圏には、大きく一次医療圏、二次医療圏、三次医療圏の3種類がある。一次医療圏は、日常生活に密着した保健医療を提供する区域で、概ね市町村単位となっている。三次医療圏は、先進的な技術を必要とする特殊な医療1に対応する区域で、都道府県単位(北海道のみ、6つ)となっている。二次医療圏は、健康増進・疾病予防から入院治療まで一般的な保健医療を提供する区域で、一般に複数の市区町村で構成されている。医療計画は、この二次医療圏を中心に立案される。具体的には、二次医療圏ごとに、医療体制(病床数、医師・看護師等の数、診療所施設数など)が計画される。二次医療圏単位での医療状況を把握する必要がある。日本における医療計画(いりょうけいかく)とは、日常生活圏で通常必要とされる医療の確保のため、都道府県が作成する整備計画。二次医療機関を単位とし、地域医療の効率化・体系化をはかるもの。医療法第30条で定められている。愛知県地域保健医療計画を概観する。愛知県地域保健医療計画は、愛知県の保健医療対策の今後の基本方針を示すもので、さまざまな保健医療サービスを適正に提供することができる体制づくりを目的とした計画です。
⑤ 二次医療圏 (医療法第30条の4第2項第10号)とは、特殊な医療を除く一般的な医療サービスを提供する医療圏で、「地理的条件等の自然的条件及び日常生活の需要の充足状況、交通事情等の社会的条件を考慮して、一体の区域として病院における入院に係る医療(前条に規定する特殊な医療並びに療養病床及び一般病床以外の病床に係る医療を除く。)を提供する体制の確保を図ることが相当であると認められるものを単位として設定すること」(医療法施行規則第30条の29第1項)と規定されている。複数の市町村を一つの単位として認定される。二次医療圏は一般的な保健医療を提供する区域である。ここでは、大学が立地する二次医療圏である「知多半島医療圏保健医療計画」より、地域の概況、機能を考慮した医療提供施設の整備、救急医療対策、災害医療対策、周産期医療対策、小児医療対策、へき地保健医療対策、在宅医療対策、病診連携等推進対策、高齢者保健医療福祉対策、薬局の機能推進対策、医薬分業の推進対策、健康危機管理対策を見る。二次医療圏における病床機能報告結果から、病床の動向を知る。
市町村である「大府市」の医療提供体制および地域包括ケアシステムの概要を知る。大府市では、市の最上位の計画である第6次大府市総合計画及び上位概念と位置づけている「大府市地域包括ケア推進ビジョン」の策定に併せて、地域福祉の推進を図るため、「第2次大府市地域福祉計画」(令和2年度(2020)~12年度(2030))を策定しました。大府市の将来推計人口、高齢化率の推移、医療介護需要予測指数、医療資源、病床種類別の病床数、大府市における医療従事者数、第5次総合計画による「みんな輝き 幸せを感じる 健康都市」の実現に向けた計画を概観する。他、大府市国民健康保険データヘルス計画、新健康おおぶプラン、大府市地域福祉計画、第7期大府市高齢者福祉計画、在宅医療・福祉統合ネットワーク@おぶちゃん連絡帳による在宅医療・介護のネットワークと連携を知る。

キーワード ① 地域完結型医療 ② 病床機能、ケアミックス ③ ポストアキュート、サブアキュート、在宅・生活復帰支援機能 ④ 地域包括ケア病棟の役割  ⑤ 退院支援と退院調整
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:講義資料「医療介護総合確保推進法の概要」に関する全国会議資料(厚生労働省)を読み,制度の目的や背景について理解したうえで授業に臨む。特に,地域包括ケアシステムの構築がなぜ必要とされているのかを意識して学習する。さらに,生成AI(ChatGPT等)を活用し,「医療介護総合確保推進法の目的」「地域包括ケアとの関係」「今後の医療提供体制の変化」について調べ,自分の理解と比較しながら整理する。その際,AIの情報をそのまま用いるのではなく,資料内容と照らし合わせて妥当性を確認し,自分の言葉で再構成することを意識する。これらを通して,制度の意義を説明できるよう準備する。(1時間)
復習:地域包括ケアシステムとは,加齢や障がい等で重度の要介護状態になっても,住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう,住まい,医療,介護,予防,生活支援が一体的に提供される体制である。この視点を踏まえ,病院で働く看護職として在宅医療に貢献し,在宅移行を支援するためにできることを考える。さらに,生成AIを活用して「退院支援の具体的方法」「在宅医療における看護師の役割」「多職種連携の実際」について調べ,自分の理解と比較・整理する。そのうえで,患者が地域で生活を継続するために看護職が果たす役割を具体的に考察し,自分の言葉でまとめる。また,病院と地域をつなぐ看護の重要性についても理解を深める。(1時間)

14 地域包括ケアシステム③ 在宅医療 訪問看護ステーションの機能と介護施設と在宅介護 科目の中での位置付け 介護保険の目的は、加齢に伴う心身の変化により要介護状態となった者に対し、入浴、排せつ、食事等の介護や機能訓練、看護及び療養上の管理など必要な医療を提供し、その人々が尊厳を保持しつつ自立した日常生活を送れるようにすることである。これに基づき、介護保険制度が設けられ、国民の共同連帯の理念の下で保健医療サービスや福祉サービスに係る給付が行われる。地域包括ケアシステムにおける訪問看護の役割は、特に在院日数の短縮が進む中で、医療依存度の高い患者に対して在宅医療を提供する機会が増加しているため、ますます重要になる。在宅医療を推進するためには、訪問看護の充実が不可欠である。また、地域包括ケアシステムを実現するには、「病院と在宅」「医療と介護」をつなぐ包括的・継続的なサービスの提供が求められ、そのマネジメントを担う看護職への期待も高まっている。訪問看護は、「地域包括ケアシステムの根幹をなすサービス」であり、中・重度の要介護者や医療ニーズが高い方々の在宅療養をしっかりと支える事が期待される。看護職は、患者中心のケアを実践し、地域の健康を支える重要な役割を果たすために、多職種との連携を強化することが求められている。

ナーシンググラフィカ
健康支援と社会保障④
看護をめぐる法と制度
第2部5章
お金とサービスに関する法律
216㌻~226㌻
コマ主題細目 ① 入退院支援と地域連携 ② 地域連携クリティカルパス ③ 介護保険法の目的 ④ 介護保険のしくみ ⑤ 訪問看護ステーション
細目レベル ① 地域連携とは、患者が暮らす地域の医療圏や診療圏内の医療機関が、それぞれの機能や特性を活かして患者の紹介などを行い、さらに福祉や介護職とも連携して、地域全体でより適切なサービスを提供する体制を指す。このような連携は、患者にとっての利便性を高め、必要な医療や介護を円滑に受けられる環境を整えるために重要である。特に、高齢者の移住先が多様化する今、居宅系介護施設(サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホーム、認知症対応型共同生活介護事業―グループホームなど)が増加しており、地域包括ケアシステムの実現には「病院と在宅」「医療と介護」をつなぐことが欠かせない。こうした包括的・継続的なサービスを提供するためには、看護職が中心となり、さまざまな職種と連携することが求められる。訪問看護は「地域包括ケアシステムの根幹をなすサービス」であり、中・重度以上の要介護者や医療ニーズの高い患者の在宅療養を支える重要な役割を果たす。意識的な情報共有と連携の強化を通じて、患者が安心して生活できる地域の実現を図ることが期待されている。これにより、多様な療養場所が存在する中で、より個々に合ったケアを提供することが可能となる。

② 地域連携クリティカルパスとは、急性期病院から回復期病院を経て早期に自宅に帰れるような診療計画を作成し、治療を受ける全ての医療機関で共有して用いるものである。このパスは、複数の医療機関が役割分担を含め、あらかじめ診療内容を患者に提示・説明することを通じて、患者が安心して医療を受けられるようにするためのものである。具体的には、施設ごとの診療内容や治療経過、最終ゴールなどが明示される。この仕組みにより、回復期病院では、患者がどのような状態で転院してくるかを把握し、手続きが円滑に進む。転院早々からリハビリを開始できるため、治療のスムーズな流れが実現される。また、医療連携体制に基づく地域完結型医療を具体的に推進するための手段として開発されたものである。地域連携クリティカルパスには、主に脳卒中や大腿骨頸部骨折のパスがあり、診療報酬で算定可能である。これらは急性期病院と回復期リハビリテーション病院などで共有され、がん診療連携拠点病院と診療所との連携に用いるものも存在する。患者の状態に応じた適切な医療を提供するため、地域医療の連携がますます重要となっている。これにより、患者中心の医療が実現され、地域の健康がより向上することが期待される。
③ 介護保険とは、介護が必要な方(要支援者・要介護者)に介護費用の一部を給付する制度である。給付を受けるには、介護がどの程度必要か判定してもらい、各市町村や専門機関に対する一定の手続きを行う必要がある。介護保険は、全国の市区町村が保険者となり、その地域に住む40歳以上の方が被保険者(加入者)として納めている介護保険料と税金で運営されている。また、サービスを受ける際には1割の自己負担が必要であるが、年収によっては自己負担率が2割または3割になる場合もある。この介護保険の目的は、加齢に伴う心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となった方々が、入浴、排せつ、食事等の介護や機能訓練、看護及び療養上の管理などを受けて、尊厳を保持しつつ自立した日常生活を営むことを支援することである。そのために、必要な保健医療サービスや福祉サービスに関する給付を行う制度が設けられている。国民の共同連帯の理念に基づき、介護保険制度は国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目指している。高齢化社会が進む中、介護保険制度の効果的な運用が、地域社会全体の福祉の向上に寄与することが期待されている。

④ 介護保険制度は、介護が必要となった高齢者とその家族を社会全体で支える仕組みであり、その主な特徴は以下の通りである。第一に、介護保険の利用者の自立支援を目指すこと、第二に、利用者本位のサービス利用が可能であること(自ら選択してサービスを受けられる)、第三に、給付と負担の関係が明確である「社会保険方式」を採用していることである。この制度に関わる人々は、まず「保険者」とは、制度を直接運営している市町村および特別区を指し、「被保険者」とは、介護保険料を支払っている人(現行制度では40歳以上全員が負担義務を持つ)を指す。また、「サービス提供事業者」とは、介護サービスを提供する人や組織のことである。介護保険の保険者は各市町村および特別区(東京23区)であり、地域の実情に即した運営が可能である。さらに、国や都道府県、健康保険組合などの医療保険者、年金保険者がさまざまな面で支え合っている。40歳以上の全ての人が介護保険に加入し、被保険者となる。これは、40歳を過ぎると老化に伴う病気の発生が考えられる年齢となるためであり、また親などの介護が必要となる可能性が高くなることから、介護が身近なものになるからである。このうち、65歳以上の人を第1号被保険者、40歳以上65歳未満の医療保険に加入している人を第2号被保険者と区分する。さらに、健康保険の被扶養者も介護保険においては被保険者となる。
⑤ 地域包括ケアシステムにおける訪問看護の役割は、在院日数の短縮化が進む中で、医療依存度の高い患者に対して在宅医療を提供する機会がますます増加している。在宅医療を推進するためには、訪問看護の充実が不可欠である。地域包括ケアシステムを実現するには、「病院と在宅」「医療と介護」をつなぎ、包括的・継続的なサービスを提供することが必要であり、そのマネジメントを行う看護職への期待が高まっている。訪問看護は、「地域包括ケアシステムの根幹をなすサービス」であり、中・重度以上の要介護者で医療ニーズの高い方々の在宅療養を支えている。市町村の在宅医療体制の構築においては、訪問看護ステーションには24時間体制、小児訪問看護の実施体制、ターミナルケアの実施体制が求められている。訪問看護の質向上や機能拡大を図ることで、健康維持・悪化防止から在宅移行支援、在宅療養生活支援、緊急対応、看取りまで広がり、地域包括ケアの担い手としての役割がますます期待されている。これにより、地域コミュニティ全体の福祉が向上し、利用者が安心して生活できる環境が整うことが重要である。そのためには、医療・福祉関係者が連携し、訪問看護の質を向上させるための教育や支援を積極的に行う必要がある。地域における訪問看護の重要性を認識し、より良いケアを提供するための取り組みが求められている。

キーワード ① 入退院支援と地域連携 ② 介護保険制度 ③ 介護認定 ④ 訪問看護ステーション
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:地域包括ケアシステムの概要を確認し,その目的や構成要素について理解して臨む。地域包括ケアシステムは,高齢者が住み慣れた地域で生活を継続できるよう,医療・介護・予防・生活支援などが一体的に提供される仕組みである。さらに,生成AI(ChatGPT等)を活用し,「地域包括ケアシステムの5つの要素」「地域で支える仕組み」「看護職の関わり」について調べ,自分の理解と比較しながら整理する。その際,AIの情報をそのまま用いるのではなく,資料内容と照らし合わせて妥当性を確認し,自分の言葉で再構成することを意識する。これらを通して,地域包括ケアの基本構造を説明できるよう準備する。(1時間)
復習:介護保険サービスの概要について整理し,サービスの種類や特徴を理解する。介護保険サービスには,在宅サービス,施設サービス,地域密着型サービスなどがあり,利用者の状態や生活環境に応じて提供される。また,これらのサービスが地域包括ケアシステムの中でどのように位置づけられているかを意識して整理する。さらに,生成AIを活用して「介護保険サービスの分類」「各サービスの具体例」「看護職との関係」について調べ,自分の理解と比較・整理する。そのうえで,利用者の生活を支えるためにどのようにサービスが組み合わされるのかを考察し,自分の言葉でまとめる。(1時間)

15 労働政策に関する法律 科目の中での位置付け 日本の労働政策に関する法律(以下、労働法)の大きな特色の一つは、基本原則(ないし権利)が労働基本権として、日本国憲法27条(1項:勤労の権利・義務、2項:勤労条件の法定、3項:児童の酷使の禁止)および28条(労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)の保障)に明記されていることである。これらの規定は、日本国憲法25条が定める生存権の保障という要請を労働に関して具体的に定めたものであり、労働者の健康で文化的な生存を実質的に保障するために設けられた。生存権に関連する基本権の一種として、国家に対して国民が一定の行為を請求できるという社会権を位置づけている。働く人と雇い主との関係は、労働契約に基づくことが多く、様々な法律によって規制されている。労働基準法、労働安全衛生法、男女雇用機会均等法、育児介護休業法などが含まれる。看護師などの医療従事者は、働く者の健康を守る医療スタッフとしての役割と、医療などを提供する立場の両方を持つことから、これらの法律に関する基礎的知識を身につけておくことが必要である。これにより、自らの権利を理解し、適切な労働条件のもとで働くことができるため、医療環境の向上にも寄与する。また、労働法に基づく権利を知ることで、労働環境の改善や職場の安全確保に貢献することも可能である。医療従事者がその知識を活かして、患者への質の高いケアを提供するためにも、法律の理解は欠かせないものである。
ナーシンググラフィカ
健康支援と社会保障④
看護をめぐる法と制度
第2部6章
政策に関わる基本法等の関連法令
労働政策に関する法律
304㌻~316㌻
コマ主題細目 ① 労働基準法 ② 労働安全衛生法 ③ 労働災害補償保険法、過労死等防止対策推進法、雇用保険法 ④ 男女雇用機会均等法 ⑤ 育児・介護休業法
細目レベル ① 労働基準法(以下、労基法)は、労働法の中で最も代表的な法律の一つであり、広く労働条件に関する規制を定めている。基本理念、労働契約、賃金、労働時間、休憩、休日および年次有給休暇、年少者や女性などの特別規定、監督、罰則について理解することが重要である。労基法には、労働条件に関する基本理念の規定があり、具体的には労働者保護のために、労働条件が労働者が人間らしい生活を営むために必要な要件を満たすことを保障し、この法律で定める労働条件は最低基準であることを明示している。また、労働条件は労働者と使用者が対等な立場で決定すべきものであり、両者は労働協約、就業規則、労働契約を守り、誠実にそれぞれの義務を遂行しなければならないこと(2条)が定められている。さらに、労働者の国籍、信条または社会的身分を理由とする差別的取り扱いの禁止(3条)、男女同一賃金の原則(4条)も規定されている。このほか、強制労働の禁止(5条)や中間搾取の排除(6条)、選挙権その他の公民権を行使する時間や公の職務を執行するための時間の保障(7条)に関する規定も存在する。労基法は、労働者の権利を擁護し、職場環境を改善するための基本的な枠組みを提供しており、医療従事者を含むすべての労働者が適正な労働条件を享受することができるようにすることを目的としている。したがって、労基法への理解は、労働者自身の権利を知り、安心して働ける環境を整える上で不可欠であるといえる。
② 労働者の安全や健康を確保するためには、労働者のけがや病気の発生を事前に防止する労働安全衛生が重要である。1972年に、労働基準法とは別個の独立した法律として労働安全衛生法が制定された。この法律の目的は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することである。国は労働災害防止計画を策定する義務があり、またその実施のために勧告や指導を行う権限を持っている。事業者に対しては、安全衛生管理体制の整備が求められており、各事業場には総括安全衛生管理者、安全に関する技術的事項を管理する安全管理者、衛生に関する技術的事項を管理する衛生管理者の選任が必要である。また、安全委員会や衛生委員会の設置が義務付けられ、労働者の安全衛生に関する情報共有や改善策の検討が行われる。さらに、事業者は定期的に安全衛生教育を実施し、全従業員がリスクを理解し適切に対応できるようにする必要がある。労働安全衛生法に基づく取り組みは、労働環境の改善だけでなく、労働者の生産性向上にも寄与する。結果として、健康で安全な職場は、労働者の心身の健康を支え、ひいては企業の持続可能な成長にも繋がる。従って、労働安全衛生に関する知識を深め、積極的に取り組むことが、労働者自身および組織全体にとって重要である。
③ 労働災害補償保険法(以下、労災保険法)に基づく労災保険制度は、労働災害を被った労働者やその遺族に対して、使用者の無過失責任に基づいて一定の補償を提供するものである。この制度は、労働基準法(労基法)に基づく災害補償制度と共に存在し、その補償を社会保険の形式で行うことで、使用者の災害補償責任の履行を確保することを目的としている。また、過労死等防止対策推進法は、過労死に関する調査研究や防止対策の推進を定めており、労働者の健康を守るための重要な法律である。現在、労災保険法による給付内容は労基法の補償内容を相当程度カバーしているため、労災補償の主要部分は労災保険制度が担い、労基法の機能は限定的になっている。さらに、雇用保険法では、失業者の生活を支えるために、雇用保険制度の一環として一定の給付を支給する制度が設けられており、労働者が就業できなくなった際の生活保障に寄与している。雇用保険制度は、失業手当のほか、技能習得のための教育訓練給付や、育児休業中の給付など多様な支援を提供することにより、労働者が職を失った後も安定した生活を維持できるように支援している。これらの制度は、労働者の権利を保障し、安心して働ける環境を整備するために不可欠であり、労働市場全体の健全な成長にもつながる。従って、労働者自身や企業は、これらの制度の理解を深め、適切に活用することが重要である。
④ 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保に関する法律(略称:男女雇用機会均等法、以下、均等法)は、2006年の改正により、男性・女性の双方を保護対象とし、性別を理由とする差別を禁止する法律となっている。施行当初、各種差別禁止の項目の多くは努力規定であったが、1999年の改正により禁止規定に変更された。2007年の改正では、出産・育児に伴う不利益取扱の禁止や、1999年の改正で規制されていなかった男性に対する差別、さらにはセクシャルハラスメントの禁止が規定された。2017年の改正では、マタニティハラスメントに対する禁止規定も制定されている。2020年6月1日から施行された改正法では、職場でのパワーハラスメント防止措置が義務づけられた(ただし、中小企業では2022年4月1日以前は努力義務)。さらに、セクシャルハラスメントやマタニティハラスメント等の防止指針も改正され、企業にはこれに対する具体的な対応が求められるようになった。これらの取り組みは、男女が共に働きやすい環境を整え、職場内の多様性を尊重するために重要である。法律に基づく措置を講じることで、企業は労働者の権利を守り、健全な労働環境を実現することが期待されている。また、従業員自身も職場内での権利意識を高め、適切な対応を受けられるよう努めることが重要である。このように、均等法は男女の雇用機会を平等にするための重要な枠組みを提供しており、今後もその適用と遵守が求められる。
⑤ 働くことと家庭生活との調和を図る社会的な要請を受けて成立したのが、育児休業、介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(通称:育児・介護休業法、以下、育介法)である。この法律に基づき、事業主は労働者から育児休業の申し出があった場合、原則として拒否できない。ただし、休業を拒むことができる条件として、業務の運営に著しい支障を及ぼす場合など、客観的な理由が必要とされている。介護休業は、要介護状態にある家族を介護するための休業を指し、要介護状態に至るごとに、労働者(男女を問わず)が介護休業を取得できる制度となっている。さらに、子の看護休暇については、小学校就学前の子を養育する労働者が、病気やけがをした子の看護や予防接種、健康診断を受けさせるために、年間5日(対象となる子が2人以上の場合は10日)までの看護休暇を取得できる。これにより、育児や介護に関わる労働者は、家庭の事情に配慮しながら仕事と生活を両立させることが可能となっている。育介法は、労働者の福祉向上に貢献し、企業の生産性向上にも寄与することが期待されている。企業は、育介法の趣旨を理解し、適切な制度運用を行うことで、より良い労働環境を整備し、従業員のモチベーション向上や定着率の向上を図ることが望まれる。この法律が有効に機能することで、社会全体として育児や介護に対する理解が深まり、より働きやすい社会が実現されていくことが目指されている。
キーワード ① 労働基準法 ② 労働安全衛生法 ③ 育児・介護休業法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:コラム321頁を読み,働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律について理解して臨む。平成30年に成立したこの法律は,労働施策を総合的に講じることで,労働者の多様な事情に応じた雇用の安定および職業生活の充実,労働生産性の向上を図り,労働者がその能力を有効に発揮できるようにすることを目的としている。内容の全体像を把握し,どのような社会的背景のもとで制定されたのかを意識して学習する。さらに,生成AI(ChatGPT等)を活用し,「働き方改革の主な内容」「医療現場への影響」「看護職の働き方の変化」について調べ,自分の理解と比較しながら整理する。その際,AIの情報をそのまま用いるのではなく,資料内容と照らし合わせて妥当性を確認し,自分の言葉で再構成することを意識する。(1時間)
復習:今後の働き方改革について,医療・看護の現場における視点から見解を整理する。長時間労働の是正や多様な働き方の推進は,看護職の負担軽減や人材確保に大きく関わる重要な課題である。さらに,生成AIを活用して「働き方改革の今後の課題」「医療現場における課題と対応策」「看護職のキャリア継続との関係」について調べ,自分の理解と比較・整理する。そのうえで,看護職としてどのような働き方が望ましいのか,また医療の質と労働環境の両立をどのように実現すべきかについて具体的に考察し,自分の言葉でまとめる。(1時間)

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
看護業務と法制度
筆記試験
看護とは何をする職業であるかを説明できるとともに,看護実践とそれを取り巻く法制度(保健師助産師看護師法を含む関連法規)について体系的に理解している。法律,政令,省令,通知の区別と関係性を具体的に説明できる。また,看護・医療・介護に関係する主要な法律について,実践場面に即してその内容を説明できる。さらに,看護業務と法制度との関連を踏まえ,法的根拠に基づいた看護実践の重要性について具体例を用いて説明できることを到達基準とする。 法律、政令、省令、通知 5 1回
保健師助産師看護師法
筆記試験
保健師助産師看護師法に基づき,保健師,助産師,看護師,准看護師が法的根拠のもとで業務を遂行していることを理解している。各職種の定義(第2条〜第6条)について条文に基づいて説明できるとともに,業務範囲および役割の相違を具体的に説明できる。また,免許制度の仕組み(免許付与者,資格要件,欠格事由等)を理解し,業務独占と名称独占の違いを明確に説明できる。さらに,「診療の補助」の範囲について法的根拠を踏まえて説明できるとともに,特定行為研修制度の目的・内容・位置づけを理解し,看護師の役割拡大との関連について具体的に説明できる。これらを踏まえ,看護職の法的位置づけと専門性について論理的に説明できることを到達基準とする。 業務独占と名称独占、業務範囲と免許付与者
診療の補助の範囲
特定行為研修制度
35 2回、4回
看護師等の人材確保の促進に関する法律
筆記試験
看護師等の人材確保の促進に関する法律(人確法)の目的および概要を理解し,同法に基づく「看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」の内容について説明できる。具体的には,看護師養成所の支援による養成数確保,新人看護職員研修の制度とその目的,離職防止および復職支援の仕組みについて説明できる。また,都道府県ナースセンターの役割と事業内容(就業支援,復職支援,研修等)について理解し,看護職の確保・定着に果たす機能を具体的に説明できる。これらを踏まえ,看護人材確保施策が医療提供体制の維持・質向上に果たす意義について説明できることを到達基準とする。 新人看護職員研修、都道府県ナースセンターの事業 10 5回
医療法,医療専門職、非医療専門職に関する法律
筆記試験
医療法における医療提供体制の基本構造(医療機関の区分,機能分化・連携,地域医療構想等)について説明できる。また,保健医療に関する主な職種(医師,歯科医師,薬剤師,臨床検査技師,理学療法士,作業療法士等)の資格および業務を規定する法律について理解し,各職種の職務内容を具体的に説明できる。さらに,これらの法制度と保健師助産師看護師法との関係性を踏まえ,看護師の業務である「療養上の世話」および「診療の補助」(保助看法第31条第1項,第32条)について法的根拠に基づいて説明できるとともに,他職種との役割分担と連携の在り方について説明できることを到達基準とする。 保助看法第31条1項、32条の規定
主な医療職種の職務内容
20 6~9回
地域包括ケアシステム
政策と看護
筆記試験
地域包括ケアシステムの概念および構成要素(住まい,医療,介護,予防,生活支援)について説明できるとともに,その中での看護師の役割(在宅療養支援,多職種連携,地域住民への支援等)について具体的に説明できる。また,在宅医療および訪問看護の提供体制としくみについて理解し,介護保険制度における給付(予防給付,介護給付等)および介護サービスの種類(居宅サービス,地域密着型サービス,施設サービス)の区分を説明できる。さらに,医療介護総合確保推進法の目的と概要,地域医療構想および病床機能報告制度の意義について説明できるとともに,地域における医療・介護連携の仕組みと看護職の役割を関連づけて説明できることを到達基準とする。 地域包括ケアシステム
医療介護総合確保推進法
地域医療構想、病床機能報告制度
介護施設と訪問看護
自助,公助,共助,互助
10 11~14回
薬事法
筆記試験
医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)および麻薬及び向精神薬取締法の目的と概要を理解し,各種薬剤の管理に関する法的根拠を説明できる。具体的には,毒薬・劇薬の区分および表示方法,保管方法について説明できるとともに,麻薬および向精神薬の管理(施錠管理,帳簿記載,廃棄手続き等)の基本事項について説明できる。また,医療現場における適正使用と安全管理の重要性を理解し,看護実践における薬剤管理の責任について具体的に説明できることを到達基準とする。 毒薬、劇薬
麻薬、向精神薬
10 10回
労働環境の管理
筆記試験
労働基準法,労働安全衛生法,男女雇用機会均等法,育児・介護休業法の目的と基本的内容について理解し,労働条件の基準,労働者の安全確保,雇用における均等な機会の保障,育児・介護と就業の両立支援の仕組みについて説明できる。特に,労働基準法に関する規定について具体的に説明できる。また,看護職が「働く者」と「医療を提供する者」の双方の立場を有することを踏まえ,これらの法制度が自身の労働環境や職務遂行にどのように関係するかを説明できる。さらに,ワーク・ライフ・バランスの重要性を理解し,安全で持続可能な医療提供体制の構築との関連について説明できることを到達基準とする。 労働基準法、女性労働者条項、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、ワークライフバランス 10 15回
評価方法 履修指標
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 ナーシンググラフィカ 健康支援と社会保障④ 看護をめぐる法と制度
参考文献
実験・実習・教材費