区分
専門科目-基盤看護学-基盤看護学
ディプロマ・ポリシーとの関係
実践能力
倫理観
専門性探求
地域社会貢献
グローバル性
カリキュラム・ポリシーとの関係
豊かな人間性
広い視野
知識・技術
判断力
探求心
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
専門科目の中の「基盤看護学」に位置付け、看護に必要なコミュニケーションの基礎的な知識と技術を学ぶ
科目の目的
看護学部の教育目標である「豊かな人間性を培い、ヒューマンケアの実践能力を養う」「専門職業人として自立した意志と、高い倫理観を養う」「専門分野に関心を持ち、それにふさわしい能力を養う」「他職種と連携して地域環境に根ざした社会貢献できる力を養う」を達成するために、「豊かな人間性」「知識・技術」「判断力」「探究心」の能力の育成を目的とした科目である。
具体的には、患者と関わる中で基本となるコミュニケーションの知識と技術を身につけ、実践に結びつけることを目的とする。そして、その過程において、患者の解釈モデルを聞くことの重要性を理解し、生物心理社会的モデルとして捉えることで患者の理解を深め、看護師に求められる基本的な態度を培うことを目的とする。また、コミュニケーションの対象が患者だけでなく家族や医療者であることを学び、家族や医療者とのコミュニケーションの基本について理解することを目的とする。
到達目標
看護の専門家としてなぜコミュニケーションが求められるのかを理解し、コミュニケーションをするための基本的知識として、コミュニケーションの種類や成立過程、言語的・非言語的コミュニケーション、コミュニケーションに影響する因子を理解する。その上で、看護面接ではどのように環境を整え場面を設定するか理解し、ロールプレイや模擬患者とのセッションで実践することが出来る。さらに、看護面接において、患者とコミュニケーションをしていくための技法(開かれた質問、閉ざされた質問、沈黙、非言語的促進、中立的発言・立場、反映・繰り返し、開かれた促し、要約)について理解し、模擬患者とのセッションで技法を用いてコミュニケーションを取ることが出来る。またコミュニケーションを進める際には、患者を理解するためには、患者を生物心理社会滴モデルで捉え、解釈モデルを聴くために統合された看護面接が必要であることを理解し、“統合された面接の流れSTEP13”を理解し、コミュニケーションをとることができる。さらに、患者と信頼関係を構築するために、患者の感情に言及し、対応をしていくための技法として感情探索の技法、表出された感情に対応する技法(NURS)について理解し、実践することが出来る。
また、高度なコミュニケーションとして、コミュニケーションが困難な事例、強化が必要な事例について理解し、対応する方法について理解することが出来る。
コミュニケーションの対象は患者だけでなく家族が含まれていることや、患者家族の役割を理解し、家族とのコミュニケーションを取る方法について理解することが出来る。そして、コミュニケーションの対象として他職種を含めた医療者が含まれ、アサーティブにコミュニケーションを取る方法について理解することが出来る。
上記学習を通して、コミュニケーションの対象の理解を深め、看護師に求められる基本的な態度を培う。
科目の概要
看護専門家としてコミュニケーションの必要性、および患者を生物心理社会的モデルで捉え、患者が何を不安に感じ、重要に感じているかという解釈モデルを聴くことの重要性を理解する。また、対人関係を築くために必要な基本的な面接技法とコミュニケーション技法を知識として学ぶ。基本的な知識を一通り学んだら、学生同士でロールプレイを行い、看護面接を展開しながらコミュニケーション技法を実践することで、自身の看護面接の展開方法とコミュニケーション技術を振り返り、技術として身につける。ロールプレイで看護面接の展開について理解したところで、さらに患者と良好な関係を構築するための技法を知識として学び、患者を生物心理社会的モデルで捉えるための統合された面接の展開方法について学ぶ。以上を学んだ後、模擬患者とのセッションを行い、コミュニケーションの知識を技術として実践し、技術を振り返ることで、コミュニケーション技術を習得することを目指す。また、これらを理解、習得することを通して、看護師に求められる基本的な態度を培う。
科目のキーワード
看護面接、解釈モデル、生物心理社会モデル、患者中心の面接、医療者中心の面接、質問技法、関係構築技法、積極的傾聴、共感、良好な患者-看護師関係
授業の展開方法
第1回では、看護専門家としてコミュニケーションの必要性について学ぶ。第2~5回では、患者を生物心理社会モデルとして捉えることと解釈モデルを聴くことの必要性を理解し、そのために必要な対人関係を築くために必要なコミュニケーション技法を知識として学ぶ。ここでは、看護師として経験した患者とのコミュニケーションの事例を活用し、患者に具体的にどうコミュニケーションを取るのが良いか考え、コミュニケーションの必要性や知識について具体的にイメージをしながら学ぶ。
第6回では、ロールプレイを行い、第5回までに学んだ知識を使って実際に学生同士で看護面接を展開する。第7回では、さらに患者と良好な関係を構築するための技法を知識として学び、第8回では看護面接のオープニングからクロージングまでをどのように展開したらよいか13のSTEPの展開方法を知識として学ぶ。第6~8回では、いくつかの事例を活用しながら、看護面接の展開のバリエーションも学ぶ。
第9回では、代表学生3~4名が模擬患者とセッションする。この回では、代表学生の看護面接を評価することを通して、自身の看護面接をどのように組み立てたら良いか学習し、第10~13回の事前の学習に繋げる。第10~13回では、全員の学生が模擬患者とのセッションを行い、コミュニケーションの知識を用いて実践し、自身の技術を振り返ることで、コミュニケーション技術を習得することを目指す。第14回では、模擬患者とのセッションを通して知識と技術の向上に向けた改善点の整理を行うとともに、病院で看護師が遭遇した信頼関係が構築できた事例をもとに、患者と信頼関係を構築するためにはどのようなコミュニケーションが必要か考える。第15回では、患者家族や他職種とのコミュニケーション、情報の取り扱いについて学ぶ。
上記のように、第1~15回を通して、医療の現場で実際に起こったコミュニケーションの事例について考えながらコミュニケーションの知識と技術を習得し、看護師に求められる基本的な態度を培う。
オフィス・アワー
篠崎惠美子:(準備中)
服部美穂:(準備中)
山口貴子:(準備中)
栗田愛:(準備中)
榎本明子:(準備中)
科目コード
BH08
学年・期
1年・後期
科目名
看護コミュニケーション論
単位数
1
授業形態
講義
必修・選択
必修
学習時間
【授業】15h 【予習・復習】30h
前提とする科目
看護学概論Ⅰ、看護学概論Ⅱ、基礎看護学実習Ⅰ
展開科目
生活援助方法演習、診療援助方法演習、ヘルスアセスメントⅠ、基礎看護学実習Ⅱ、今後履修する全ての実習、専門科目に必要となる。
関連資格
看護師,保健師,養護教諭
担当教員名
篠崎惠美子・服部美穂・山口貴子・栗田愛・原好恵・榎本明子
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
看護コミュニケーションと必要性
科目の中での位置付け
看護コミュニケーションを学ぶにあたり、コミュニケーションとは何か、コミュニケーションが重要視さるようになった社会的背景を理解することにより、看護師を目指すものとしてコミュニケーションを学ぶ必要性を理解する。また、看護におけるコミュニケーションの特性として患者が感情的に負の状態にあることや人が直接ふれあう人中心の現場であることを学ぶことにより、医療のコミュニケーションと一般のコミュニケーションとが異なることを理解する。そしてコミュニケーションが必要な4つの場面(患者と初めて出会う場面、患者に必要な看護を提供するための情報収集の場面、患者に必要なケアを提供する場面、より良いケアを提供するためにチームで協働する場面)を学ぶことにより、どのような場面で用いるコミュニケーションを強化する必要があるか理解する。これらを学んだ上で、看護師を目指すものとして自身に必要なコミュニケーションについて考え、最終的に目指す目標を明確化し、第2回以降の学習の動機付けとなる。
【テキスト】序章(p.1-19)
【オリジナル配付ノート】第1回(p.1-2)
コマ主題細目
① コミュニケーションとコミュニケーションが注目される背景 ② 一般のコミュニケーションと医療者のコミュニケーションの違い ③ コミュニケーションが必要な場面
細目レベル
① コミュニケーションとは「個人と個人、個人と集団の間での感情や思考などを、ことば・身ぶり・文字などを介して伝達すること」であることを理解し、述べることができる。また、医療者のコミュニケーションが注目される背景として、患者と医療者の信頼関係が崩壊したことにより医療訴訟が増加したという歴史があることや、人口の高齢化、疾病構造の変化、診断・治療の多様化・高度化から、限られた医療資源で患者に満足度の高い医療を提供する必要性があることを理解する。これらの状況から、患者が満足できる質の高い安全な医療を提供するためには、医療者は患者と信頼関係を構築し、患者が何を不安に思い、関心を向けているかという解釈モデルを理解することが重要である。このことから、看護面接においてもコミュニケーションが必要であると説明することが出来る。
② 医療のコミュニケーションと一般のコミュニケーションの違いは4点ある。まず1点目は、人間の「生命」に直接関わっているという点であり、看護の対象にとって最も重要な価値観や自身の存在の根本となる。2点目は、患者が医療現場では感情的に負の状態にあり、医療者にとっては日常の場であっても患者にとっては非日常であり、不安や恐れを抱えた状態である。3点目は、医療は人が直接ふれあう人中心の現場であり、患者も医療者も無感情ではいられない。4点目は、コミュニケーションのギャップを生みやすいことであり、患者にとって医療の行為や仕組みが見えづらく患者が医療に参加しづらいことや、医療者の働きが対象に認められにくい状況にある点である。
③ 看護におけるコミュニケーションが必要な場面として、「患者と初めて出会う場面」、「患者に必要な看護を提供するための情報収集の場面」、「患者に必要なケアを提供する場面」、「より良いケアを提供するためにチーム内の共同の場面」があることを列挙できる。また、これらの場面や患者にかかわる中で、患者の安全を守る際や、患者の意思決定をささえる際にも看護におけるコミュニケーションが必要であることが理解できる。また、より良い看護を提供するために、看護過程を展開することを述べることができる。
なお、コミュニケーションスキルは、トレーニングしなければうまくならないことを理解し、コミュニケーションの知識と技術を学ぶ過程で、トレーニングを行う必要性を理解し、実際にトレーニングを積むことができる。
キーワード
① コミュニケーション ② 解釈モデル ③ 医療と一般のコミュニケーションの違い ④ コミュニケーションが必要な場面 ⑤ 看護過程
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【事前学習】テキストを熟読し(ページ数は「教材・教具」欄参照)、コミュニケーションとは何か、コミュニケーションが重要視さるようになった社会的背景、看護にコミュニケーションが必要な背景、看護におけるコミュニケーションの特性と医療のコミュニケーションと一般のコミュニケーションとが異なることについて考える。そしてコミュニケーションが必要な4つの場面(患者と初めて出会う場面、患者に必要な看護を提供するための情報収集の場面、患者に必要なケアを提供する場面、より良いケアを提供するためにチームで協働する場面)を読み、どのような場面でコミュニケーションを強化する必要があるか考える。
【事後学習】講義終了後、テキストと合わせて配付ノートで授業内容を復習する(ページ数は「教材・教具」欄参照)。また、国家試験との関連の問題を解き、理解できない点があればテキストと配布冊子に戻り、理解できるまで学習を繰り返す。
講義内容から看護師を目指すものとして自身に必要なコミュニケーションについて考え、レポートにまとめ、提出する。これにより、最終的に目指す目標を明確化し、第2回以降の学習の動機付けとする。
【予習学習時間目安:1h/復習学習時間目安:1h】
2
コミュニケーションの種類
科目の中での位置付け
コミュニケーションの実践をするために必要な基礎的知識を身につける。
第1回で学んだコミュニケーションとは何かに加え、コミュニケーションが感情や思考をことば、身振り文字を介して伝達することや、人間対人間を確立し、看護の目的を実現するプロセスであること、2人以上の間でメッセージが送られ、受け取られるという双方向(インタラクティブな)の過程(プロセス)であることを理解する。また、コミュニケーションが治療的な関係を促すこともあるが、障害を作り出すことがあることも理解する。その上で、コミュニケーションの構成要素が、①情報を発信するもの、②情報を受信するもの、③内容、④チャンネル、⑤文脈であることを学び、コミュニケーションを成立させる過程には、伝える側が伝えたい内容をメッセージとして送り、伝えられる側が意味の解釈をしてフィードバックをするまでが含まれることを学ぶ。そしてこのことから、コミュニケーションには、伝える内容、伝える前後の文脈や過程、相手の心の内面によって、とらえ方が大きく異なることについても学ぶ。さらにコミュニケーションには、言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションがあることを学ぶ。感情は非言語的メッセージに表れやすく、言語的メッセージと一致しないときには相手の感情や考えと言動が一致していないことを学ぶ。これらを理解することで、コミュニケーションの実践をするために必要な基礎的知識を身につける。
【テキスト】序章・第1~2章(p.12-28)
【オリジナル配付ノート】第2回(p.3-5)
コマ主題細目
① コミュニケーションの構成要素と成立過程 ② コミュニケーションの特徴 ③ コミュニケーションの種類
細目レベル
① コミュニケーションとは「看護者が人間対人間を確立し、看護の目的を実現させるプロセスである(トラベルベルビー)」や、「2人以上の間でメッセージが送られ、受け取られるという双方向の過程である(Stuart&Laraia)」ことから、コミュニケーションは伝える側と伝えられる側のインタラクティブなプロセスであることを説明できる。そして、インタラクティブなコミュニケーションの構成要素として、情報を発信するもの、情報を受信するもの、内容、チャンネル、文脈の5つを列挙できる。また、コミュニケーションは、伝える側が伝えたい内容をメッセージとして伝え、伝えられる側が意味を解釈し、フィードバックすることで成立することにつて述べることが出来る。
② コミュニケーションは、過程(プロセス)であり、インタラクティブ(双方向)の交流であり、多面的であるという特徴がある。そして、コミュニケーションで伝えられたメッセージは、その人の経験や教育背景などによって、どのように解釈されるかが異なるという特徴もある。メッセージの解釈の仕方が異なる原因には、何を聴いて何を伝えるのかという「Content(内容)」、どう聞いてどう伝えるのか、前後の経験や文脈などの「Process(過程)」、相手に対する感情やバイアス、態度という「Perception(心の内面)」が関連している。したがって、コミュニケーションをとる際には、コミュニケーションをとる自分と、コミュニケーションの相手がどのようにメッセージを受け取る可能性があるか背景を意識しながらコミュニケーションをとる必要があると理解できる。
③ コミュニケーションの種類には、関与する人数による分け方(1対1、1対多数、マスコミュニケーション、対人コミュニケーション、セルフコミュニケーション)と、主に視覚と聴覚が使われる手段による分け方がある。手段による分け方には、話し言葉や書き言葉など共通する言語によるVerbal Communication(言語的コミュニケーション)と、言葉を用いず表情、身振り、手振りなどによるNon Verbal Communication(非言語的コミュニケーション)を区別することができる。また、メラビアンの「7-38-55のルール」を学ぶことで、言語によるメッセージは35%であり、声や表情という非言語によるメッセージは65%を占めることや、感情は非言語的メッセージに現れやすく、言葉と感情が一致していない時は言語的メッセージと非言語的メッセージが一致しないことを説明することができる。
キーワード
① インタラクティブなプロセス ② コミュニケーションの構成要素と成立過程 ③ 言語的コミュニケーション(メッセージ) ④ 非言語的コミュニケーション(メッセージ) ⑤ メラビアン「7-38-55のルール」
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【事前学習】テキストを熟読し(ページ数は「教材・教具」欄参照)、コミュニケーションとはなにか、コミュニケーションの構成要素、コミュニケーションの成立過程、コミュニケーションの特徴、種類について考えてくる。
【事後学習】講義終了後、テキストと合わせて配付ノートで授業内容を復習する(ページ数は「教材・教具」欄参照)。各理論家が述べているコミュニケーションについて理解し、コミュニケーションがインタラクティブなプロセスであることを説明できるように学習する。また、コミュニケーションの構成要素、成立過程、特徴を理解し、列挙及び説明できるように学習する。また、言語的・非言語的コミュニケーションについて整理し、区別ができるよう学習する。
国家試験との関連の問題を解き、理解できない点があればテキストと配布冊子に戻り、理解できるまで学習を繰り返す。
【予習学習時間目安:1h/復習学習時間目安:1h】
3
コミュニケーションに影響するものと生物心理社会モデル
科目の中での位置付け
第2回に続き、コミュニケーションの実践をするために必要な基礎的知識を身につける。
具体的には、コミュニケーションをするにあたり、コミュニケーションでは事実、感情、理解、関係の交流がなされていることを学び、コミュニケーションを行うにあたりどのような交流がされるか考え、コミュニケーションに影響する因子を意識的に調整する必要があることを学ぶ。また、コミュニケーションに影響する因子として、環境因子(相手の安らぎとプラーバシーの配慮、コミュニケーションの中断に影響する)、人的因子(相手に対する感情に影響する)、機能障害(相手とのやりとりを困難にするのに影響する)、位置と距離(緊張感や親密感に影響する)があることと、具体的に看護面接でどのように因子を調整したら良いかを学ぶ。また、看護面接を行う意義には、情報を収集し問題を同定する診断的意義、ケアをするための良好な関係構築のためのケア的意義、患者に様々な情報を提供する教育的意義があることを学ぶ。また、患者を生物心理社会モデルとして捉え、患者中心の面接を行うことで、患者が自身の病気や現在の状況をどのように捉え、何を問題としているかを示す解釈モデルを聴き出すことができることを学ぶ。
【テキスト】第3~4章(p.29-49)
【オリジナル配付ノート】第3回(p.6-9)
コマ主題細目
① コミュニケーションの4つの交流と影響因子 ② 看護面接と生物心理社会モデル ③ 患者中心の面接と医療者中心の面接/統合された面接の必要性
細目レベル
① 良好なコミュニケーションにおける4つの交流として、事実の交流、感情の交流、理解の交流、関係の交流があることと、コミュニケーションに影響する因子として環境因子、人的因子、機能障害、位置と距離を列挙することができる。また、看護面接を行う際には、4つの交流とコミュニケーションに影響する因子を意識して看護面接の場面を整えることが重要性であること、そして具体的な場面の整え方を説明し、意識して実践することが出来る。
具体的に環境要因に関する場面設定では、相手の安らぎとプライバシーに配慮できる部屋の選択、照明や温度の調整、TVや携帯電話の電源を切る、自分と相手の時間があるときに看護面接を設定するなどに配慮する。人的要因では、相手に対する自身の感情や先入観を確認し、相手に与える印象として清潔に整えた外見や、相手を配慮した態度がとれるよう配慮する。機能障害では、聴覚障害、言語障害、視覚障害など、コミュニケーションの障壁を取り除くよう配慮する。位置と距離では、相手と自身の関係によって適切な距離を考え、面接時の椅子の配置は90度ハの字を意識して設置するなどである。
② 看護面接とは、「看護の対象となる人の話に耳を傾け、良好なコミュニケーションを図りながら、対象と一緒に問題を考えていくこと」であり、看護面接の意義には、情報の収集と同定を行う「診断的意義」、良好な看護師-患者関係の構築という「ケア的意義」、患者に対して様々な情報を提供する「教育的意義」があることを列挙し、説明することができる。
そして、そのためには、患者を疾患で捉える生物医学モデルではなく、生物的・心理的・社会的要素の統合された混合物として捉えた「生物心理社会モデル」で患者を捉えることが重要であり、患者を生物心理社会モデルとして捉える看護面接を行うことにより、患者中心の看護面接ができることを説明できる。
③ 患者にとって良い医療を提供するためには、患者が自分にとって何が最も重要かという「解釈モデル」を聴くことが重要であるが、「医療者中心の面接」では解釈モデルを聴き出すことが難い。患者の解釈モデルを聴き出すためには、患者を尊敬・尊重し、患者の自立性に配慮して協働し、患者の人間的側面に言及しながら、患者と信頼関係を構築する「患者中心の面接」が重要であることを説明できる。
また、看護面接では患者中心の面接が重要であるが、患者中心の面接に医療者中心の面接を統合することも必要である。統合された面接により、情報を収集し、患者を理解し、理解した情報を共有し、問題点や今後について合意を得ることができ、良好な患者-看護師の関係を築くことが出来ると説明できる。
キーワード
① 影響因子(環境要因、人的要因、機能障害、位置と距離) ② 看護面接 ③ 生物心理社会モデル ④ 良好な患者-看護師関係 ⑤ 統合された面接(患者中心の面接・医療者中心の面接)
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【事前学習】テキストを熟読し(ページ数は「教材・教具」欄参照)、コミュニケーションにおける4つの交流、影響因子、看護面接の意義について考え、生物心理社会モデルと解釈モデルの重要性、統合された面接の必要性について考えてくる。
【事後学習】講義終了後、テキストと合わせて配付ノートで授業内容を復習する(ページ数は「教材・教具」欄参照)。良好なコミュニケーションにおける4つの交流、影響因子、看護面接の意義について、また生物医学モデルと生物心理社会モデルの違いを整理し、生物心理社会的モデルで患者を捉える必要性とは何かを整理して述べられるよう学習する。患者中心の面接、解釈モデルの必要性、統合された面接の必要性を理解し、述べられるよう学習する。
国家試験との関連の問題を解き、理解できない点があればテキストと配布冊子に戻り、理解できるまで学習を繰り返す。
【予習学習時間目安:1h/復習学習時間目安:1h】
4
コミュニケーション技法
科目の中での位置付け
第3回に続き、コミュニケーションの実践をするために必要な基礎的知識を身につける。
看護面接を行うにあたり、どのように場面を設定したら良いか学ぶ。そして、オープニングにおいて、自分の名前や立場を告げること、患者の名前をフルネームで確認すること、目的や時間を告げて了解を得ること、患者の安楽を配慮してコミュニケーションの障壁を取り除くことが必要であることを学ぶ。さらに、コミュニケーションに必要な技法として、質問技法と関係構築技法があることについて学ぶ。質問技法として、開かれた質問と閉ざされた質問があること、焦点を絞らない技法として沈黙、非言語的促進、中立的発言・立場があり、焦点を絞る技法として反映、開かれた促し、要約について学ぶ。関係構築技法は、第7回で学ぶ。これらコミュニケーションに必要な聴くための質問技法や場面設定を行うことについて理解することで、コミュニケーションの実践をするために必要な基礎的知識を身につける。
【テキスト】第5章(p.50-58)
【オリジナル配付ノート】第4回(p.10-12)
コマ主題細目
① コミュニケーションの場面の設定 ② 良好なコミュニケーションに必要な技法(質問技法、関係構築技法) ③ コミュニケーションの技法(質問技法、焦点を絞らない技法、焦点を絞った技法)
細目レベル
① これまでの講義で良好なコミュニケーションには、コミュニケーションにおける4つの交流を行い、コミュニケーションに影響する因子として、環境因子、人的因子、機能障害、位置と距離があることを学んできた。これらをふまえて、コミュニケーションの場面の設定では、コミュニ池-ションに影響する要因への配慮として、患者の安らぎとプライバシーに配慮し、面接の中断や気が散る状況を最小限に抑え、自分自身の個人的な問題・価値観・先入観を排除することが必要であると説明が出来る。また、患者との面接前には、患者の基礎情報(年齢、性別、主訴)を確認することが必要であると説明できる。看護面接の開始であるオープニングでは、患者と対面し、①自分の名前と立場を述べる、②患者の名前を確認する(フルネーム)、③目的と時間を告げて了承を得る、④必要時にはプライバシーを守ることを告げる、⑤コミュニケーションの障壁を取り除く、⑥患者の安楽に配慮することが必要であると説明できる。
また、最終的には、以上の知識を技術として実践できる。
② 良好なコミュニケーションに必要な技法には、質問技法と関係構築技法があることが列挙できる。さらに質問技法には、開かれた質問(Open ended question)と閉ざされた質問(Closed question)があり、開かれた質問とは患者がある程度自由に回答が出来る質問であり、閉ざされた質問とは「はい/いいえ」で答える質問であり、患者が自由な言葉で語ることが出来ず、患者の回答内容が限定された質問であることが説明できる。また、質問を区別し、看護面接を実施する際に、開かれた質問と閉ざされた質問を区別して用いることが出来る。
関係構築技法として、感情探索の技法と表出された感情に対応する技法を列挙することが出来る。
③ コミュニケーションの基本的な技法として、質問技法、焦点を絞らない技法、焦点を絞った技法を列挙することが出来る。
質問技法には「開かれた質問」と「閉ざされた質問」があり、「開かれた質問」は、患者が個人の関心事などを自由な言葉で答えることが出来き、面接のはじめに用いることで患者の解決すべき課題の方向性が見えるため、患者中心で効率的な情報収集ができると説明できる。「閉ざされた質問」は、「はい/いいえ」で答えを求める質問であり、患者は受け身となり医療者が主体となるため得られる情報の幅が限定されるが、正確な情報を得ることが出来ると説明できる。
焦点を絞らない技法には、沈黙、非言語的促進、中立的発言(立場)があり、焦点を絞った技法には、反映、開かれた促し、要約があることを列挙できる。また、それぞれの技法の内容について説明することが出来き、質問がどの技法に当たるか区別したり、看護面接で技法を意識して使用することが出来る。
キーワード
① コミュニケーションの場面の設定 ② 質問技法(開かれた質問、閉ざされた質問) ③ 関係構築技法 ④ 焦点を絞らない技法(沈黙、非言語的促進、中立的発言、中立的立場) ⑤ 焦点を絞った技法(反映・繰り返し、開かれた促し、要約・まとめ)
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【事前学習】テキストを熟読し(ページ数は「教材・教具」欄参照)、コミュニケーションの場面設定の内容と必要性、オープニングとはどのように実施するのかを考えてくる。質問技法として開かれた質問、閉ざされた質問、焦点を絞らない技法、焦点を絞った技法の種類とその目的について考えてくる。
【事後学習】講義終了後、テキストと合わせて配付ノートで授業内容を復習する(ページ数は「教材・教具」欄参照)。コミュニケーションの場面をどのように設定するか、オープニングでは何を行うか整理し、自身がコミュニケーションを実施する際に行う手順、言葉のシナリオを考える。また、質問技法について整理し、質問技法を列挙できるよう、開かれた質問と閉ざされた質問を区別できるよう学習する。国家試験との関連の問題を解き、理解できない点があればテキストと配布冊子に戻り、理解できるまで学習を繰り返す。
【予習学習時間目安:1h/復習学習時間目安:1h】
5
積極的傾聴と共感
科目の中での位置付け
第4回に続き、コミュニケーションの実践をするために必要な基礎的知識を身につける。
第4回で患者から話を聞くための質問技法について学んだが、第5回では、さらに患者の話を良く聴くために必要となる「積極的傾聴(人間尊重の態度に基づき、相手の話を徹底的に聴く聴き方)」について学ぶ。積極的傾聴に合わせて、客観性を保ちながら他者が感じることを自分のこととして感じようとする「共感」をすることで、問題の本質について理解が深まり、ケアリングを養うことが可能となることを学ぶ。そして、共感をするための6ステップとして、①注意を集中するために個人的な問題を排除し、②相手の話を聴くことに集中し、③言語のみならず非言語的メッセージに注意し、④相手が伝えたいことは何かを考え、⑤共感の言葉を相手に伝え、⑥共感の結果相手がどのように反応したか受け取ったかを確認することを学ぶ。また、良好なコミュニケーションをするために身だしなみや丁寧な言葉や態度、適切な姿勢やアイコンタクトなどが必要なことを学ぶことを通し、看護職としての基本的態度についても学ぶ。
【テキスト】第5~6章(p.50-66)
【オリジナル配付ノート】第5回(p.13-14)
コマ主題細目
① 積極的傾聴 ② 共感と同情 ③ 共感を相手に伝えるための6ステップ
細目レベル
① 「積極的傾聴」とは、「人間尊重に基づき、相手の話を徹底的に聴こうとする聴き方(カール・ロジャース Carl R. Rogers)」であり、互いを尊重する建設的な人間関係には、「共感」「無条件の肯定的関心」「自己一致」が働いていることを説明することができる。また、看護介入分類(Nursing Interventions Classification; NIC)という看護師が患者に用いる介入の分類では、介入の1つに“患者の言語的メッセージと言語的メッセージに注意を払い、意味を持たせて聞くこと”と積極的傾聴について述べられており、積極的傾聴とは看護であり、意識して患者に積極的傾聴をする必要性について理解できる。
② 「共感」とは、「客観性を保ちながら他人が感じることを自分のこととして感じようとすること」であり、「自分が患者の立場だったらどうであろうかと考えながら対応する態度」であり、相手を理解するために必要不可欠でコミュニケーションを成立させるために重要な要素であり、言葉だけでなく態度でも示すことが重要であることを説明することができる。
また、共感とは、積極的傾聴をしていることが前提となり、共感的に傾聴することにより、問題の本質について理解が深まり、人間の反応に対するケアリングを養うことが可能となる。そして、相手の気持ちや苦悩を自分のことのように感じ、憐れみをもつ「同情」とは異なることが説明でき、共感と同情について区別することができる。
③ 「共感」とは、最も重要で複雑な要因であり、効果的なコミュニケーションにおいて重要な役割をする。共感がなければ、個人間のコミュニケーションの本質的な理解が困難となり、共感を相手に伝えるためには必要な手順がある。具体的な共感を相手に伝えるためには6ステップあり、①注意を集中するために個人的な問題を排除する、②相手の話を聞くことに集中する、③言語のみならず非言語的メッセージに注意する、④相手が伝えたいことを考える、⑤共感の言葉を相手に伝える、⑥共感の結果、相手の反応を確認する、という手順を踏んで相手に共感を示すことが説明でき、看護面接で実践することができる。
また、良好なコミュニケーションの基盤として、身だしなみを整え、丁寧な言葉でわかりやすい言葉を使用し、適切なアイコンタクト・姿勢・態度で看護面接をおこない、適切な声の大きさやスピードを意識することが必要であると説明できる。
キーワード
① 積極的傾聴 ② ケアリング ③ 共感 ④ 同情 ⑤ 共感を相手に伝える6ステップ
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【事前学習】テキストを熟読し(ページ数は「教材・教具」欄参照)、積極的傾聴と共感のとはなにか、必要性がなぜかるかを考えてくる。また、共感と同情の違いと、同情ではなくなぜ共感が看護面接に必要であるか考えてくる。
【事後学習】講義終了後、テキストと合わせて配付ノートで授業内容を復習する(ページ数は「教材・教具」欄参照)。積極的傾聴とは何か、共感と同情の違いとは何か整理し、説明できるように学習する。また、共感を相手に伝えるための6ステップを実践するには具体的にはどのようにしたらよいか考える。国家試験との関連の問題を解き、理解できない点があればテキストと配布冊子に戻り、理解できるまで学習を繰り返す。
また、第1回~第4回で学習してきたコミュニケーション場面の設定やオープニング、クロージング、コミュニケーション技法を用いてどのように看護面接を展開したら良いか流れをイメージし、学生同士で患者役、看護師役になって看護面接の練習をする。
【予習学習時間目安:1h/復習学習時間目安:1h】
6
ロールプレイでの看護面接の実践
科目の中での位置付け
第6回では、第1回~5回に学んだ知識を使ってロールプレイで看護面接を行い、学習してきたコミュニケーションに必要な場面設定、質問技法をロールプレイで実践することで、自身のコミュニケーションの問題点と解決法を探ることで学習を促進させる。
まず、ロールプレイの特性や学習方法を学ぶことで、効果的にロールプレイを実施する準備と、今後セルフトレーニングとしてロールプレイをするための知識を身につける。次に、3名1組になり、3つの事例を使って、学生同士で看護師役、患者役、評価者役とローテーションをして看護面接のロールプレイを行う。自身の看護面接の実施、患者役の体験、他者の看護面接の評価を通して、どのように看護面接を展開したら良いかを学ぶとともに、第1回~5回に学んだコミュニケーション技法やコミュニケーションの展開方法についてまとめた評価表(大きく、A.オープニング、B.クロージング、C.良好なコミュニケーション、D.全体を通して流れ・円滑さ)に沿って自身と他者を評価することで、自身の看護技術を振り返り、看護面接をどのように展開したら良いかという概要を学ぶ。第6回で看護面接の概要を実践して学んだ後に、第7回以降で患者と関係を構築する技法や医療職として必要な情報を得るための面接の展開方法を学び肉付けしていく。
【テキスト】第9章(p.89-98)
【オリジナル配付ノート】第6回(p.15-19)
コマ主題細目
① ロールプレイとは ② フィードバックの原則 ③ コミュニケーションの評価の視点
細目レベル
① 「ロールプレイ(role play)」とは、「ある問題状況を設定して、そのなかで一定の役割を論じて討論させ、そこから問題点と解決法を探りだすことを目的とした問題解決法」であり、通常2人以上の参加者に役割と場面を与えて、グループの前で実演することで進めることであると理解でき、実際にロールプレイを実践できる。また、ロールプレイには、対人関係を体験的に学習でき、自己反省ができることや、他者の立場を理解できるようになるなどの利点があるが、参加者の照れや緊張が出るなどの欠点があることを知ることができる。これらの特徴を理解し、講義でロールプレイを実施でき、さらに今後の講義が進む中で、セルフトレーニングとしてロールプレイを用いてトレーニングすることが効果的であることを理解できる。
② フィードバックとは、「目標達成に向けた活動について、軌道修正をしたり動機付けをしたりするために、口頭や文章を用いて行われる教育や評価」を指すことであり、今回の授業ではロールプレイを行うごとに、コミュニケーションの評価の視点に沿って患者役の看護面接を評価し、参加者と患者役からフィードバックを行う。フィードバックの方法は、まず相手の良かった点を述べ、次に改善する点を述べる、そして最後にもう一度相手の良かった点を述べる方法で行うことを理解できる。また、ロールプレイにおいて、患者役、看護師役、観察者役を経験し、患者役と観察者役の立場において患者役に対して適切にフィードバックをすることができる。
③ コミュニケーション評価表には、コミュニケーションをどのように行うと良いかが示されている。具体的には、オープニングでは同じ目の高さであいさつし、自己紹介し、相手の名前をフルネームで確認し、コミュニケーションの目的を告げて了承を得て、冒頭で患者役の訴えを十分に聴くことができる。コミュニケーション中には、適切な位置と距離を整え、身だしなみや話の状況に合った顔の表情ができ、相手の状態に合った声の大きさ、スピードなどができ、丁寧な言葉でわかりやすい言葉づかいができる。そして、開放型質問を用いた積極的な傾聴を行い、患者に合わせてコミュニケーションを促進させる言葉がけ、うなづき、あいづちをとり、話を聴いていることを言葉や態度で相手に伝え、適宜共感の言葉がけや態度を示し、要約し、全体を通して円滑に流れに沿って適切なコミュニケーションをとることができる。そして、クロージングで、聞き洩らしや質問がないか尋ね、お礼を述べて終了する、ことである。これらコミュニケーション評価表の内容を理解して、看護面接を実践でき、さらに自身の実践および他者の実践を評価することができる。
キーワード
① ロールプレイ ② フィードバック ③ 場面設定・コミュニケーション技法 ④ 積極的傾聴・共感 ⑤ 解釈モデル
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【事前学習】テキストおよび配布ノートを使用しながら(ページ数は「教材・教具」欄参照)、今までに学んだ内容を復習する。第1回~第4回で学習してきたコミュニケーション場面の設定やオープニング、クロージング、コミュニケーション技法を用いてどのように看護面接を展開したら良いか流れをイメージし、学生同士で患者役、看護師役になって看護面接の練習をするなど、看護面接の事前準備をした上で授業に参加する。
【事後学習】講義終了後、授業内で受けたフィードバックやコミュニケーション評価表に沿って自身の振り返りを行い、自身のコミュニケーションの問題点と解決法を考え、レポートにまとめて提出する。さらに、改善点を意識して学生同士でロールプレイを行い、セルフトレーニングをしてコミュニケーション技術を上達する。
国家試験との関連の問題を解き、理解できない点があればテキストと配布冊子に戻り、理解できるまで学習を繰り返す。
【予習学習時間目安:1h/復習学習時間目安:1h】
7
良好なコミュニケーションをするために必要な感情探索と表出された感情に対応する技法
科目の中での位置付け
これまでに基本的なコミュニケーションの開始時点で必要な場面設定や、質問をするための技法、話を聴く姿勢である積極的傾聴や共感について学んできた。第6回では学生同士でロールプレイをすることにより、場面の設定やオープニングやクロージングを実践し、患者を生物心理社会モデルでとらえて解釈モデルを聴くことを意識して看護面接を実践した。また、解釈モデルを聴くために、面接はじめに開かれた質問を意識して用いて患者に話をしてもらうことを実践した。このロールプレイを通して、1回の看護面接をどのように展開したら良いかをイメージ化し、看護面接の基本的な枠組みを学んだ。
第7回では、質問技法を用いて質問するだけでなく、患者がどのような不安や思いをかかえているか表出してもらえるような信頼関係を構築するための高度なコミュニケーション技法を知識として学ぶ。人間対人間で信頼関係を構築するためには、感情のやりとりを適切に行う必要がある。看護師として患者と信頼関係を構築するためには、関係構築技法である①患者の感情を探索し、②感情が出てきたときには表出された感情に対応する(NURS)ことが必要である。この必要性と具体的な技法について学ぶ。
【テキスト】第7章(p.67-75)
【オリジナル配付ノート】第7回(p.20-21)
コマ主題細目
① 質問技法と関係構築技法 ② 関係構築技法-感情探索の技法と表出された感情に対応する技法 ③ 統合された面接
細目レベル
① 良好なコミュニケーションに必要な技法には、質問技法(開かれた質問、閉ざされた質問)と関係構築技法がある。そして、人間のコミュニケーションの基本形が相手の感情に言及することであることから、感情に言及することは最も強力な患者―医療者関係の構築につながり、効果的なコミュニケーションを生み出すことができるため、信頼関係の構築には質問技法だけで無く関係構築技法が必要であることを説明できる。また、患者の基本的感情には、怒り、悲しみ、喜び、恐れがあることを列挙できる。そして、患者が怒り、悲しみ、喜び、恐れという基本的感情を行動、非言語的表現、言語的表現として表現したところに言及するのが関係構築技法であると説明できる。
② 感情探索の技法では、感情を積極的に探し出すことを目的とした技法であり、直接相手の感情を訪ねて感情を引き出す「直接的な探索」と、直接的な探索で感情が引き出せなかったときに行う「間接的探索」があることを説明できる。間接的探索では、自己開示や、疾患や状況が患者や他者にどのような影響を及ぼしているかを問うことで、間接的に感情を引き出していく技法であると説明できる。
表出された感情に対応する技法は、Naming(命名)、Understanding(理解)、Respecting(尊敬)、Supporting(支持)を態度と言葉で患者に示すことであり、Naming(命名)は表出された感情に名前を付けることであり、Understanding(理解)は患者の感情を正当化し、理解し受け入れていることを示すことであり、Respecting(尊敬)は患者の努力を認めることであり、Supporting(支持)はいつでも患者を支援することができることを示すことであると説明できる。また、看護面接の実践では、感情探索の技法と表出された感情に対応する技法を用いて、患者と信頼関係を構築することができる。
③ 良好なコミュニケーションには、患者中心の面接と医療者中心の面接が統合された面接が必要である。特に、良好なコミュニケーションをするためには、コミュニケーション技法を単独で使うのではなく、看護面接の冒頭において患者中心の面接をおこなうことが重要であり、具体的には開かれた質問をしながら感情を探索し、感情が表出されたらそれに対応(N:命名、U:理解、R:尊敬、S:支持を示す)することで信頼関係を構築し、面接を進めていくというダイナミックな技法の活用が重要であることを説明できる。これにより、患者の物語を聴きだすことが可能となり、結果として患者を生物心理社会モデルで捉え、解釈モデルを明らかにすることができると説明できる。
キーワード
① 関係構築技法 ② 感情探索 ③ 表出された感情に対応する技法 ④ NURS(Naming、Understanding、Respecting、Supporting) ⑤ 統合された面接
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【事前学習】テキストを熟読し(ページ数は「教材・教具」欄参照)、関係構築技法の感情探索、表出された感情に対応する技法について考えてくる。
【事後学習】講義終了後、テキストと合わせて配付ノートで授業内容を復習する(ページ数は「教材・教具」欄参照)。関係構築技法である感情探索、表出された感情に対応する技法として命名、理解、尊敬、支持・協力について列挙し、説明できるよう学習する。学生同士でロールプレイを行い、看護面接の中で感情探索を行い、感情が表出されたら、コミュニケーション評価表に加え、表出された感情に対応する技法である命名、理解、尊敬、支持・協力を行えるようセルフトレーニングする。ロールプレイで患者にかける言葉が出てこない場合は、あらかじめ命名、理解、尊敬、支持・協力の言葉を書き出した状態でロールプレイを繰り返し、言葉が出てくるようセルフトレーニングをする。
また、国家試験との関連の問題を解き、理解できない点があればテキストと配布冊子に戻り、理解できるまで学習を繰り返す。
【予習学習時間目安:1h/復習学習時間目安:1h】
8
良好なコミュニケーションの流れ:STEP13
科目の中での位置付け
これまでに、基本的な看護面接に必要なコミュニケーション技法の基本(場面の設定、オープニング、クロージング、質問技法、積極的傾聴と共感)や、患者と信頼関係を構築する感情探索と表出された感情に対応する技法について学んできた。看護職として看護面接をする際には、身体的な視点や心理的な視点に偏らず、患者を生物心理社会モデルで全人的に捉え、患者の問題点や重要な点を捉える必要がある。したがって、初対面の患者から患者が重要に思っている解釈モデルを聴くだけでなく、その他全般的に必要な情報として、現病歴、症状と疾病歴、健康に問題を与える問題、既往歴、社会歴、家族歴を聴き、問題を整理するシステムレビューをすることが必要となる。面接でこれらの情報をどのような順序で得て、技法を使用していくことにより、信頼関係を構築しながら、患者と看護面接を展開していくことができるか面接の流れに沿ってSTEP13に整理することで、次回の模擬患者とのセッションの準備を行う。
【テキスト】第8章(p.76-88)
【オリジナル配付ノート】第8回(p.22-27)
コマ主題細目
① STEP1:面接準備・オープニング ② STEP2~5:患者中心の面接 ③ STEP6~11:医療者中心の面接・情報収集 ④ STEP12~13:システムレビュー・面接の要約・クロージング ⑤ 統合された面接の必要性
細目レベル
① STEP1(面接準備・オープニング):4つの因子に配慮した「面接の準備」と「オープニング」について説明が出来る。具体的に面接の準備とは、①面接の環境因子に配慮して、患者の安らぎとプライバシーに配慮し、面接の中断や気が散るものを最小限にした環境を設定する、②自分自身の個人的な問題・価値観・先入観を排除する、③患者情報の見直しをする、④自分自身の準備(手洗い、身だしなみ、感情の準備)である。具体的にオープニングとは、患者と対面し、患者の名前をフルネームで確認し、目線を合わせて自分の名前・立場を告げ、話すことの目的・時間を告げて了解を得て、プライバシーの障壁を取り除き、患者の安楽について確認することである。
② STEP2~5(患者中心の面接(面接開始~情報収集)):STEP2では、「解決すべき課題を聞く」ために、開かれた質問で患者中心の面接を行い、積極的に傾聴しながら、患者の感情には、共感、反復、繰り返しなどの技法で対応して患者-医療者の良好な関係を構築しつつ、患者の解釈モデルを聴いてくことを説明できる。ある程度患者が自分の思っていることを話せたら、次のSTEPに移る。STEP3・4では、「現病歴」について、受診理由となった症状とその経時的変化(身体症状の物語、個人的な物語、感情の物語、発展した物語)を聴いていくことが説明できる。この時、患者が話せるような雰囲気をつくり、傾聴し、開かれた質問できっかけを作りながら、沈黙・あいづち・非言語的しぐさで患者の話を促進ししながら面接を進めることや、言葉以外の情報にも注意をする必要性について説明することができる。STEP5では、それまでの内容を簡単に要約し、それが正しいか確認し、身体症状に関する情報から、「医療者中心の面接への移行」をすることが説明できる。
③ STEP6~11(医療者中心の面接と情報収集):STEP6では、「医療者中心の面接」を開始し、現病歴の続きと他に現在困っている問題について、閉ざされた質問を用いて、システマティックに訊いていくことが説明できる。STEP7では、「症状と疾病歴にポイントを置いた二次的なデータの掘り起こし」を行っていき、患者により示された情報、患者からは示されていない関連する症状や一般的な健康症状、症状が意味している可能性のある問題についての検証、症状の部位、性質、度合、時間的経過、症状が起きる状況、調節因子(増悪因子・寛解因子)、随伴症状について聞いていくことを説明できる。また、STEP5~7を訊くときのポイントとして、身体症状については技法を用いて明確に聴きだすこと、すべての症状を一般的な言葉に置き換えること、症状と紛らわしい情報を区別すること、個々の症状を正確に把握することが重要であることも説明できる。STEP8では、「健康に問題を与える問題」を、STEP9では、「既往歴」を、STEP10では「社会歴」を、STEP11では「家族歴」を訊いていくことと、具体的な訊く内容について説明できる。
④ STEP12~13(システムレビュー・クロージング):STEP12では、過去から現在までの既往歴や生活歴を訊き、身体的状況について系統的に観察を行い、問題を整理していく「システムレビュー」を行うことを説明できる。このステップでは、インタビューの後半に他に問題がないかを確認する意味でも行い、また入院患者の場合には、身体面として視力、聴力、認知の状況や、主な面会者、キーパーソン、病気の受け止め方や心配事についても確認することが説明できる。STEP13では、「クロージング」を行い、面接での内容を要約し、「ドアノブクエスチョン」によって聞き洩らしや質問がないかを尋ね、お礼を述べて締めくくりのあいさつをすることを説明できる。
⑤ STEP13を俯瞰し、統合された面接の構造を理解し、説明できる。具体的には、STEP1~5の「主訴」「現病歴」の聴取においては、患者主体の面接を行い、心理社会的と身体症状の情報および解釈モデルを聴いていく中で、患者の感情や状況に共感を示しながら信頼関係も構築していく。そして、STEP6以降では、要約のあと医療者中心の面接に切り替え、「困っている問題」「症状・疾病歴」「健康問題」「既往歴」「社会歴」「家族歴」についてシステマティックに正確な情報を訊いていき、医療に必要な身体症状と心理社会的データを得たうえで、「システムレビューで」問題がないか確認していく。そして、最後のSTEP13で「クロージング」をして面接を閉じる。前半の患者主体の面接と、後半の医療者主体の面接の情報を合わせて、患者を生物心理社会的モデルとして物語を明らかにする面接の構造となっている。
キーワード
① 患者中心の面接 ② 医療者中心の面接 ③ 生物心理社会モデル・物語 ④ 解釈モデル ⑤ 統合された面接
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【事前学習】テキストを熟読し(ページ数は「教材・教具」欄参照)、STEP13の面接の流れについて考え、順番を覚えてくる
【事後学習】講義終了後、テキストと合わせて配付ノートで授業内容を復習する(ページ数は「教材・教具」欄参照)。STEP13(面接の準備、オープニング、面接、クロージング)を整理し、どのように面接を行ったらよいか説明できるように学習する。また解釈モデルを明らかにする方法を説明できるよう学習し、患者中心の面接と医療者中心の面接の統合の重要性について考える。ある程度頭で理解できたところで、学生同士でロールプレイのセルフトレーニングを行う。セルフトレーニングの看護面接では、STEP13に沿って、冒頭で患者中心の面接を展開し、開かれた質問をしながら積極的傾聴をし、患者の感情が出てきたところで共感やNURS(命名、理解、尊敬、支持・協力)で対応し、さらに患者がある程度話せたところで医療者中心の面接に切り替え、STEP13に沿って、患者の現病歴から近い情報から順に訊いていき、クロージングをする流れができるまで行う。
国家試験との関連の問題を解き、理解できない点があればテキストと配布冊子に戻り、理解できるまで学習を繰り返す。
【予習学習時間目安:1h/復習学習時間目安:1h】
9
代表学生による模擬患者とのセッションを通したコミュニケーションの振り返り
科目の中での位置付け
第7回までに、看護面接に必要なコミュニケーションに関する基本的知識として、看護面接に必要な場面の設定、オープニング、クロージングの方法、コミュニケーション技法として質問技法や積極的傾聴や共感を学んできた。また、患者と信頼関係を構築するために感情探索技法と、表出された感情に対応する技法を学び、第8回ではSTEP13の流れに沿って、どのように看護面接を展開したら良いか整理した。第9回では、模擬患者に対して代表学生3名が看護面接を実践する。代表学生は自身の面接を振り返り、他者からのフィードバックを受け、また他者のフィードバックを受けることでコミュニケーション技術を向上させる。代表学生以外の観察学生は、自身で看護面接をする際にはどのように展開するか考えた上で、代表学生の看護面接を評価し、フィードバックし、他者のフィードバックを聴くことで、自身の看護面接の展開を見直すことで、コミュニケーション技術を向上する。その上で、第10回以降の模擬患者とのセッションを行う。
【テキスト】第5~9章(p.50-107)
【オリジナル配付ノート】第9回(p.28)
コマ主題細目
① コミュニケーション評価表に沿った看護面接の評価 ② 統合された面接の評価 ③ 生物心理社会的モデル(物語)と解釈モデル
細目レベル
① 「コミュニケーション評価表」に沿って、代表者の面接を評価する。また、代表者の面接評価を通して、自身の考えてきた看護面接の良かった点、改善点を明らかにする。
コミュニケーション評価表の評価項目は、具体的に、オープニングでは同じ目の高さであいさつし、自己紹介し、相手の名前をフルネームで確認し、コミュニケーションの目的を告げて了承を得て、冒頭で患者役の訴えを十分に聴くことができる。コミュニケーション中には、適切な位置と距離を整え、身だしなみや話の状況に合った顔の表情ができ、相手の状態に合った声の大きさ、スピードなどができ、丁寧な言葉でわかりやすい言葉づかいができる。そして、開放型質問を用いた積極的な傾聴を行い、患者に合わせてコミュニケーションを促進させる言葉がけ、うなづき、あいづちをとり、話を聴いていることを言葉や態度で相手に伝え、適宜共感の言葉がけや態度を示し、要約し、全体を通して円滑に流れに沿って適切なコミュニケーションをとることができる。そして、クロージングでじゃ、聞き洩らしや質問がないか尋ね、お礼を述べて終了する、ことである。これらコミュニケーション評価表の内容を理解して、看護面接を実践でき、さらに自身の実践および他者の実践を評価することができる。
② 「コミュニケーション評価表」に加え、統合された面接の方法に沿って、代表者の面接を評価する。また、代表者の面接評価を通して、自身の考えてきた看護面接の良かった点、改善点を明らかにする。
具体的な面接の評価の視点として、看護面接では、4つの影響因子に注意して面接準備を行い、オープニングができる。次に、開かれた質問をして患者の関心がある内容を話せるよう促しながら、積極的に傾聴し、患者の解釈モデルや生物心理社会的物語について聴いてく。傾聴する中で、患者が自身の状況や感情について話したら、共感、反映、繰り返しで対応しながら会話を促し、しっかりと感情が表出されたところで表出された感情に対応する技法(N;命名、U;理解、R;尊敬、S;支持)で対応し、良好な関係を構築していく。患者がある程度思っていることを話せたら、現病歴をさらに訊き、患者中心の面接に移行する。医療者中心の面接になったら、現在困っている問題、症状と疾病歴、健康に問題を与える問題、既往歴、社会歴、家族歴を閉ざされた質問を使いながら正確に訊いていき、他に問題がないかシステムレビューをする。最後に、患者に面接内容を要約し、理解した内容を伝え、ドアノブクエスチョンを行い、お礼と締めくくりの挨拶をすることができる。
以上のように、STEP13に沿って、患者中心の面接と医療者中心の面接が統合された面接を行う事ができているか評価する。
③ 看護面接を実施し、代表者が患者の「生物心理社会物語」と、患者が自身の病状や状況をどのように理解・解釈し、どのような見通しを持っているか、関心事はなにかという「解釈モデル」について聴くことができたか評価することが出来る。
そして、患者を「生物心理社会モデル」で捉え、「解釈モデル」を聴くためには、病状や症状だけでなく、心理的社会的な物語に関してまで患者の関心があることについて聞く必要がある。そのためには、患者中心の面接で開かれた質問で患者に関心があることから聞き始め、共感、反復、繰り返しをしながら患者の状況や感情に対応し、良好な関係を構築していくことや、感情を探索し、感情が表出されたところで表出された感情に対応する技法で患者に寄り添いながら話を促していく必要がある。
また、患者を「生物心理社会モデル」で捉えるためには、患者中心の面接だけでなく、医療者中心の面接でシステマティックに生物(身体)的、心理的、社会的な物語についても正確に訊いていく必要がある。そのためには、閉ざされた質問を用いながら、正確に患者の状況を把握し、患者中心の面接で得られた情報を統合して患者を理解する必要がある。
これらの点について、代表者の看護面接でできていたか、改善する場合には、どこをどう改善したらよいか評価し、自身の看護面接に反映することができる。
キーワード
① 模擬患者 ② 統合された面接 ③ コミュニケーション評価表 ④ 解釈モデル ⑤ 生物心理社会的物語・モデル
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【事前学習】テキストと配布ノートを振り返り(ページ数は「教材・教具」欄参照)、提示された事例について看護面接の展開や具体的な方法を考え、模擬患者とのセッションの準備をしてくる。特に、オープニングでの言葉(セリフ)は具体的に考え、配布冊子に記載してくる。STEP13に沿って展開しながら、積極的傾聴や共感、表出された感情に対応する技法を用い、統合された面接を展開するためにはどうしたらよいか考え、学生同士でロールプレイのセルフトレーニングをした上で授業に参加する。
【事後学習】代表学生は受けたフィードバックやコミュニケーション評価表に沿って自身の振り返りを行い、自身のコミュニケーションの問題点と解決法を考える。代表学生以外の学生は、代表学生を評価することを通して自身が考えてきた看護面接の良かった点、改善点、解決法を分析する。技術を分析する際には、テキストと配付ノートを用いて今まで学んだ内容を振り返りながら行う(ページ数は「教材・教具」欄参照)。そして、改善点や解決法を意識して、さらにコミュニケーション技術が上達するようロールプレイなどでセルフトレーニングをする。
【予習学習時間目安:1h/復習学習時間目安:1h】
10
模擬患者とのセッション<第10~13回の4コマ通して実施>
科目の中での位置付け
第9回までに、これまでに学んだ看護面接に必要なコミュニケーションに関する基本的知識として、看護面接に必要な場面の設定、オープニング、クロージングの方法、コミュニケーション技法として質問技法や積極的傾聴や共感、患者と信頼関係を構築するために感情探索技法と、表出された感情に対応する技法をSTEP13の流れに沿って、どのように看護面接を展開したら良いか学習してきた。そして、代表学生3名が看護面接を実践し、それを観察し、評価することで自身の看護面接の展開やコミュニケーション技法の使い方の見直しを行ってきた。
第10回~第13回では、学生全員が模擬患者に対して看護面接を実践し、他学生、教員、模擬患者からフィードバックを受け、自身のコミュニケーション技術を振り返り向上する(レポート課題あり)。学生は7グループ程度に分かれ、各グループ4~5つのシナリオの模擬患者を体験する。シナリオ4~5つのうち1つを実際に実践し、残り3~4つは他学生の実践を評価することで経験する。
【テキスト】第1~9章(p.11-107)
【オリジナル配付ノート】第10-13回(p.29-30)
コマ主題細目
① コミュニケーション評価表に沿った看護面接の評価 ② 統合された面接の評価 ③ 生物心理社会的モデル(物語)と解釈モデルと良好な患者-看護師関係に必要なコミュニケーション
細目レベル
① 模擬患者とのセッションを行う準備をしたうえで参加し、「コミュニケーション評価表」の各項目が達成できる看護面接を実施することができる。看護面接を実施した後には、自身の看護面接の良かった点、改善点を明らかにし、自身の振り返りで発表し、レポート課題に反映することが出来る。他者が行うセッションでは、「コミュニケーション評価表」に沿って良かった点、改善点を評価し、実施者に向けてフィードバックを発表することが出来る。また、他者の看護面接を評価することを通して、自身の技術を改善できる。
「コミュニケーション評価表」の評価項目は、具体的に、オープニングでは同じ目の高さであいさつし、自己紹介し、相手の名前をフルネームで確認し、コミュニケーションの目的を告げて了承を得て、冒頭で患者役の訴えを十分に聴くことができる。コミュニケーション中には、適切な位置と距離を整え、身だしなみや話の状況に合った顔の表情ができ、相手の状態に合った声の大きさ、スピードなどができ、丁寧な言葉でわかりやすい言葉づかいができる。そして、開放型質問を用いた積極的な傾聴を行い、患者に合わせてコミュニケーションを促進させる言葉がけ、うなづき、あいづちをとり、話を聴いていることを言葉や態度で相手に伝え、適宜共感の言葉がけや態度を示し、要約し、全体を通して円滑に流れに沿って適切なコミュニケーションをとることができる。そして、クロージングでじゃ、聞き洩らしや質問がないか尋ね、お礼を述べて終了する、ことである。これらコミュニケーション評価表の内容を理解して、看護面接を実践でき、さらに自身の実践および他者の実践を評価することができる。
② 模擬患者とのセッションを行う準備をしたうえで参加し、統合された面接を実施することができる。看護面接を実施した後には、自身の看護面接の良かった点、改善点を明らかにし、自身の振り返りで発表し、レポート課題に反映することが出来る。他者が行うセッションでは、「コミュニケーション評価表」に沿って良かった点、改善点を評価し、実施者に向けてフィードバックを発表することが出来る。また、他者の看護面接を評価することを通して、自身の技術を改善できる。
具体的な面接の評価の視点として、看護面接では、4つの影響因子に注意して面接準備を行い、オープニングができる。次に、開かれた質問をして患者の関心がある内容を話せるよう促しながら、積極的に傾聴し、患者の解釈モデルや生物心理社会的物語について聴いてく。傾聴する中で、患者が自身の状況や感情について話したら、共感、反映、繰り返しで対応しながら会話を促し、しっかりと感情が表出されたところで表出された感情に対応する技法(N;命名、U;理解、R;尊敬、S;支持)で対応し、良好な関係を構築していく。患者がある程度思っていることを話せたら、現病歴をさらに訊き、患者中心の面接に移行する。医療者中心の面接になったら、現在困っている問題、症状と疾病歴、健康に問題を与える問題、既往歴、社会歴、家族歴を閉ざされた質問を使いながら正確に訊いていき、他に問題がないかシステムレビューをする。最後に、患者に面接内容を要約し、理解した内容を伝え、ドアノブクエスチョンを行い、お礼と締めくくりの挨拶をすることができる。
以上のように、STEP13に沿って、患者中心の面接と医療者中心の面接が統合された面接を行う事ができているか評価する。
③ 模擬患者とのセッションを行う準備をしたうえで参加し、自身の看護面接で患者の「生物心理社会物語」と、患者が自身の病状や状況をどのように理解・解釈し、どのような見通しを持っているか、関心事はなにかという「解釈モデル」について聞くことが出来たか評価し、聴くためにはどのような点を改善するとよいか分析することが出来る。
患者を「生物心理社会モデル」で捉え、「解釈モデル」を聴くためには、病状や症状だけでなく、心理的社会的な物語に関してまで患者の関心があることについて聞く必要がある。そのためには、患者中心の面接で開かれた質問で患者に関心があることから聞き始め、共感、反復、繰り返しをしながら患者の状況や感情に対応し、良好な関係を構築していくことや、感情を探索し、感情が表出されたところで表出された感情に対応する技法で患者に寄り添いながら話を促していく必要がある。また、患者を「生物心理社会モデル」で捉えるためには、患者中心の面接だけでなく、医療者中心の面接でシステマティックに生物(身体)的、心理的、社会的な物語についても正確に訊いていく必要がある。そのためには、閉ざされた質問を用いながら、正確に患者の状況を把握し、患者中心の面接で得られた情報を統合して患者を理解する必要がある。これらの点について、代表者の看護面接でできていたか、改善する場合には、どこをどう改善したらよいか考え、自身の振り返りで発表し、レポート課題に反映することが出来る。
また、上記内容から、良好な患者-看護師関係に必要なコミュニケーションについて考えを深め、レポート課題に書くことが出来る。
キーワード
① 模擬患者 ② 解釈モデル ③ 生物心理社会物語 ④ 適切な評価とフィードバック ⑤ 良好な患者-看護師関係
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【事前学習】代表学生との模擬患者とのセッションを通して自身の看護面接の改善点、解決点を分析し、提示された事例をもとに、ロールプレイなどでセルフトレーニングと模擬患者とのセッションの準備をしたうえでセッションに参加する。
【事後学習】セッション終了後、自身の面接の振り返りフィードバック、他者のセッションを評価して学んだことを踏まえ、自身の看護面接の良かった点、改善点、解決法を分析する。そして、改善点や解決法を意識して、さらにコミュニケーション技術が上達するようロールプレイなどでセルフトレーニングをする。
また、模擬患者とのセッションを通して、良好な患者-看護師関係を構築するために必要なコミュニケーションについて学んだこと、考えたことをレポートにまとめ、提出する。
【予習学習時間目安:4h/復習学習時間目安:4h】
11
第10回を参照
科目の中での位置付け
第10回を参照
コマ主題細目
細目レベル
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
12
第10回を参照
科目の中での位置付け
第10回を参照
コマ主題細目
細目レベル
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
13
第10回を参照
科目の中での位置付け
第10回を参照
コマ主題細目
細目レベル
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
14
看護コミュニケーション技法の振り返り:良好な患者-看護師関係を構築するための看護コミュニケーション
科目の中での位置付け
第10回~第13回での模擬患者とのセッションの実践と他学生の実践の評価から、自身の看護面接の展開やコミュニケーション技術の問題点や解決点、実践を通して良好な患者―看護師関係の構築に何が必要かを考えたうえで授業に参加する(レポート課題あり、コピーを持参する)。今までに学んだ看護面接の展開(STEP13をベースに、患者中心の面接から医療者中心の面接に移行して生物心理社会モデルで患者を捉えながら面接を展開すること)やコミュニケーション技法(場面の設定、質問技法、積極的傾聴、共感、関係構築技法など)の使い方について振り返り、また模擬患者の解釈モデルが聴けたかどうか、聴くためにはどうしたらよかったか考え、知識から実践に結びつけてコミュニケーション技術の問題点と解決点を考えることに繋げる。また、シナリオの異なる模擬患者への対応について他グループでどのような対応があったか知ることで、どのように対応することが必要であったか、配慮する必要があったか考える。これにより、良好な患者―看護師関係の構築には何が必要であるか考えを深め、看護師に求められる基本的な態度を培うことにも繋げる。
【テキスト】序章~第9章(p.1-107)
【オリジナル配付ノート】第14回(p.31)
コマ主題細目
① コミュニケーション評価表に沿った看護面接の評価 ② 統合された面接の評価 ③ 生物心理社会的モデル(物語)と解釈モデル ④ 良好な患者-看護師関係に必要なコミュニケーション
細目レベル
① 教員からのフィードバックを受け、「コミュニケーション評価表」の各項目について、自身が行った評価(良かった点、悪かった点、改善点)が妥当であったかどうか確認することが出来る。評価が妥当でなかった場合には、具体的にどう改善するとよかったか述べることが出来る。
「コミュニケーション評価表」の評価項目は、具体的に、オープニングでは同じ目の高さであいさつし、自己紹介し、相手の名前をフルネームで確認し、コミュニケーションの目的を告げて了承を得て、冒頭で患者役の訴えを十分に聴くことができる。コミュニケーション中には、適切な位置と距離を整え、身だしなみや話の状況に合った顔の表情ができ、相手の状態に合った声の大きさ、スピードなどができ、丁寧な言葉でわかりやすい言葉づかいができる。そして、開放型質問を用いた積極的な傾聴を行い、患者に合わせてコミュニケーションを促進させる言葉がけ、うなづき、あいづちをとり、話を聴いていることを言葉や態度で相手に伝え、適宜共感の言葉がけや態度を示し、要約し、全体を通して円滑に流れに沿って適切なコミュニケーションをとることができる。そして、クロージングでじゃ、聞き洩らしや質問がないか尋ね、お礼を述べて終了する、ことである。これらコミュニケーション評価表の内容を理解して、看護面接を実践でき、さらに自身の実践および他者の実践を評価することができる。
② 教員からのフィードバックを受け、統合された面接について、自身が行った評価(良かった点、悪かった点、改善点)が妥当であったかどうか確認することが出来る。評価が妥当でなかった場合には、具体的にどう改善するとよかったか述べることが出来る。
具体的な面接の評価の視点として、看護面接では、4つの影響因子に注意して面接準備を行い、オープニングができる。次に、開かれた質問をして患者の関心がある内容を話せるよう促しながら、積極的に傾聴し、患者の解釈モデルや生物心理社会的物語について聴いてく。傾聴する中で、患者が自身の状況や感情について話したら、共感、反映、繰り返しで対応しながら会話を促し、しっかりと感情が表出されたところで表出された感情に対応する技法(N;命名、U;理解、R;尊敬、S;支持)で対応し、良好な関係を構築していく。患者がある程度思っていることを話せたら、現病歴をさらに訊き、患者中心の面接に移行する。医療者中心の面接になったら、現在困っている問題、症状と疾病歴、健康に問題を与える問題、既往歴、社会歴、家族歴を閉ざされた質問を使いながら正確に訊いていき、他に問題がないかシステムレビューをする。最後に、患者に面接内容を要約し、理解した内容を伝え、ドアノブクエスチョンを行い、お礼と締めくくりの挨拶をすることができる。
以上のように、STEP13に沿って、患者中心の面接と医療者中心の面接が統合された面接を行う事ができているか評価する。
③ 教員からのフィードバックを受け、患者の「生物心理社会物語」と「解釈モデル」を聴きだすことが出来たかどうか確認することができる。聴きだすことが出来なかった場合には、聴くためにはどのような点を改善するとよいか具体的に分析し、述べることが出来る。
患者を「生物心理社会モデル」で捉え、「解釈モデル」を聴くためには、病状や症状だけでなく、心理的社会的な物語に関してまで患者の関心があることについて聞く必要がある。そのためには、患者中心の面接で開かれた質問で患者に関心があることから聞き始め、共感、反復、繰り返しをしながら患者の状況や感情に対応し、良好な関係を構築していくことや、感情を探索し、感情が表出されたところで表出された感情に対応する技法で患者に寄り添いながら話を促していく必要がある。また、患者を「生物心理社会モデル」で捉えるためには、患者中心の面接だけでなく、医療者中心の面接でシステマティックに生物(身体)的、心理的、社会的な物語についても正確に訊いていく必要がある。そのためには、閉ざされた質問を用いながら、正確に患者の状況を把握し、患者中心の面接で得られた情報を統合して患者を理解する必要がある。これらの点について、代表者の看護面接でできていたか、改善する場合には、どこをどう改善したらよいか考え、自身の振り返りで発表し、レポート課題に反映することが出来る。
④ 模擬患者とのセッションとセッションの振り返りを通して、良好な患者-看護師関係を構築するために必要なコミュニケーションについて、レポート課題を提出した内容から考えを深めることが出来る。
具体的には、良好な関係構築に必要なこととして、日本看護科学学会は、「看護職者は、看護の対象である人を理解しようとする気持ちをもち、その人に関心を寄せ、独自の人間として尊重するともに、両者が共通の目標に向かって進めるよう専門知識・技術を活用することが必要である」と述べている。また、理論家トラベルビーは、「ラポール(信頼関係)」とは、初期の出会い(互いをステレオタイプで捉える)、同一性出現(他者の独自性を認め一人の人間として認識)、共感(相手の体験を推論し受け入れる)、同感(相手の苦悩を和らげたいという救済願望をもつ)を経て構築できると述べている。このことから、看護面接では、患者を尊重し理解したいという気持ちや関心を持ちながら行い、その姿勢を患者に伝えていくことが重要となることが説明できる。また、患者と看護面接を進める中で、患者の体験を推論して受け入れ、共感や表出された感情に対応する技法(NURS)を用いながら、患者を受け入れているということを伝えていくことも必要である。さらに、情報収集をしながら、全体像から問題を見つけ出し、患者と共通の目標を見出し共有し、その問題に対してサポートしたいという意思を、NURSを活用しながら伝えていくという統合された面接そのものが良好な患者-看護師関係を構築するために必要なコミュニケーションであることを理解することができる。
キーワード
① 解釈モデル ② 生物心理社会的物語 ③ コミュニケーション技法、積極的傾聴、共感 ④ 関係構築技法(感情探索、表出された感情に対応する技法) ⑤ 良好な患者-看護師関係
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【事前学習】今までに学んだ範囲のテキストおよび配布ノートを復習し(ページ数は「教材・教具」欄参照)、自身の面接の振り返りフィードバック、他者のセッションを評価して学んだことを踏まえ、自身の看護面接の良かった点、改善点、解決法を分析し、まとめてくる。自分が看護面接を行った模擬患者の生物心理社会物語と解釈モデルが何であったと聴けたかもまとめてくる。また、模擬患者とのセッションを通して、良好な患者-看護師関係を構築するために必要なコミュニケーションについて学んだこと、考えたことをまとめる(前回のレポート)。
【事後学習】患者の解釈モデルや生物心理社会物語を話してもらうためには何を改善したら良いか、また統合された看護面接になっていたか、自身の看護面接を振り返り、改善点と解決法をまとめる。セルフトレーニングも行う。また、良好な患者―看護師関係を構築するために必要なコミュニケーションについて考えていたことに、学んだこと、新たに考えたことを追記する。
国家試験との関連の問題を解き、理解できない点があればテキストと配布冊子に戻り、理解できるまで学習を繰り返す。
【予習学習時間目安:1h/復習学習時間目安:1h】
15
高度なコミュニケーションと患者以外(患者家族・医療者)とのコミュニケーション
科目の中での位置付け
患者とコミュニケーションをとる場合に遭遇するコミュニケーションが困難な状況や、コミュニケーションに関わる各種障害がある患者に対して、どのように対応をしながらコミュニケーションをしたら良いか学ぶ。また、コミュニケーションの対象は、患者だけではなく患者の家族や医療者が含まれることを学び、患者家族とのコミュニケーションでは、家族の役割から、家族からの情報収集や情報の提供の基本を学ぶ。医療者間でのコミュニケーションには、看護師間でのコミュニケーションや他職種間でのコミュニケーションがあり、看護師間のチームワークを発揮する場面や他職種連携の場面で重要となり、患者へ適切な医療を提供することに繋がることを学ぶ。特に医療者間で対等の立場で協力するためには、「アサーティブ」な関わりが必要であり、アサーティブとは互いの権利を守り、互いを尊重し、前向きな態度で接することが重要であることや、提示された事例で具体的にどのようにアサーティブな態度や言葉を示すか考える。
家族や他職種にもコミュニケーション亜G必要であることを理解することで、コミュニケーションの視点を広げることが出来る。
【テキスト】第10~13章(p.110-136)
【オリジナル配付ノート】第15回(p.32-34)
コマ主題細目
① 患者との高度なコミュニケーション ② 患者家族とのコミュニケーション ③ 医療者間でのコミュニケーション
細目レベル
① 実習で遭遇するコミュニケーション困難な状況として、患者のネガティブな発言、見てはいけないものを見てしまった、患者からの申し出を断る、患者のペースに引き込まれてしまうなどがあり、これらの対応策とは、患者の感情を受け止め、共感やNURSを活用しながら積極的傾聴で思いを語ってもらうことであると説明ができる。
患者のコミュニケーションの強化が必要な状況には、言語障害、視覚障害、聴覚障害、認知障害がある。言語障害の中でも失語症に対しては、わかりやすくゆっくり短く、繰り返して話す、イラストの使用やや具体的な伝え方、理解ができたかの確認する、相手が間違えても言い直さない対応が必要であり、構音障害に対しては、閉ざされた質問や活字を活用し、短くゆっくり話してもらう対応が必要であると説明できる。視覚障害に対しては、コミュニケーションの要望を初めに確認し、具体的な言葉を使用し、説明時に嗅覚、触覚、聴覚を活用する対応が必要であり、聴覚障害に対しては、話始める前に患者の視界に入る、大きくゆっくりと口の動きが見えるように話す、短い文章・文節で区切る、身振り手振りを用いる、手話など患者に合わせて用いることが必要であると説明できる。認知障害に対しては、患者の人間性を尊重して決して否定せず、リラックスできる環境を整え、目線を合わせてゆっくり優しく話しかけることや、簡潔明瞭な言葉を使って話し、患者の非言語的メッセージに注意して、理解できているか確認しながらコミュニケーションを進めるという対応が必要であると説明できる。
② コミュニケーションの対象が患者だけでなく、家族を含むことについて説明できる。家族の役割には、患者の心理面のサポート、入院中・通院中のサポート、自宅で生活するためのサポート、患者についての情報源があり、家族間でのコミュニケーションの中断や低下は、患者の孤独感に繋がることを説明できる。
また、家族とのコミュニケーションでは、患者が誰を家族と認めているのか、キーパーソンが誰であるか確認し、家族から情報を入手する際には事前に患者に了承を得ておくことが必要であることや、家族に情報を提供する際には、患者に誰にどの範囲まで情報を共有してよいか同意を得たうえで情報を提供する必要があることを悦明出来る。家族とコミュニケーションをとる際には、患者同様にあいさつや自己紹介を行い、家族と信頼感家を構築しながらコミュニケーションをとっていく必要があることを説明できる。
③ コミュニケーションの対象が患者やその家族だけでなく、他職種も含めた医療者を含むことについて説明できる。看護師間での良好なコミュニケーションは、安全で良質なケアや、事故やインシデントの防止につながることや、多職種間でのコミュニケーションでは、多様な専門職がチームとなり、おのおのの高い専門性をいかし、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合うことで、患者に的確に対応した医療を提供できることが説明できる。そのためには、他職種の専門性を理解し、得ている情報をチーム内で共有し、共通する目的を確認しあうことや、多職種で話し合う場を調整するなどが必要であると説明できる。
このように、医療を提供する際には他職種連携が必要であるが、医療者間でかかわる際には、自分の要求や意見を他者の権利を尊重したうえで誠実に、率直に対等に表現する「アサーティブ」な関りが重要であると説明ができる。アサーティブなコミュニケーションをとるには、互いの権利を守る、互いを尊重する、感情をコントロールして前向きな態度で接することが重要であり、これらのスキルを習得していることが必要であると説明できる。
キーワード
① 高度なコミュニケーション ② 家族とのコミュニケーション ③ 他職種とのコミュニケーション ④ 多職種連携 ⑤ アサーティブな関り
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【事前学習】テキストを熟読し(ページ数は「教材・教具」欄参照)、高度なコミュニケーションが必要となる状況とはどのような状況か、対応策は何か考えてくる。基礎看護学実習Ⅰで遭遇した事例がなかったか、合った場合にはどのように看護師が実際に対応していたか考える。また、コミュニケーションの対象には家族や他職種がいることや、コミュニケーションをとる際の注意点や取り方について何が重要であるか考えてくる。
【事後学習】テキストと合わせて配付ノートで授業内容を復習する(ページ数は「教材・教具」欄参照)。アサーティブな関わりをするためには具体的にどのようにしたら良いか、コミュニケーションの困難な状況、強化が必要な状況に対してどのように対応したら良いか考える。また、家族や他職種とコミュニケーションする場面についてテキストを再読し、学習する。国家試験との関連の問題を解き、理解できない点があればテキストと配布冊子に戻り、理解できるまで学習を繰り返す。
【予習学習時間目安:1h/復習学習時間目安:1h】
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
コミュニケーションの必要性
コミュニケーションを学ぶ必要性を理解し、コミュニケーションの定義(個人と個人、個人と集団の間での感情や思考などを、ことば・身ぶり・文字などを介して伝達すること)について説明できる。★
コミュニケーションの必要性とその背景(患者と医療者の信頼関係が崩壊したことにより医療訴訟が増加したという歴史や、人口の高齢化、疾病構造の変化、診断・治療の多様化・高度化から、限られた医療資源で患者に満足度の高い医療を提供する必要性があること)について説明できる。★
患者が満足できる質の高い安全な医療を提供するためには、医療者は患者と信頼関係を構築し、患者の解釈モデルを理解することが重要であることを説明できる。★★
医療におけるコミュニケーションが一般のコミュニケーションと異なる点(人間の「生命」に直接関わっていること、感情的に負の状態にあること、人中心の現場であること)、看護におけるコミュニケーションの場面(患者と初めて出会う場面、情報を収集する場面、必要なケアを提供する場面、チーム内の協働の場面)を列挙することが出来る。★★★
コミュニケーション、コミュニケーションの必要性・特徴、医療におけるコミュニケーション、看護におけるコミュニケーションの場面
8
1~2
コミュニケーションの種類
コミュニケーションとは伝える側と伝えられる側のインタラクティブなプロセスであり、コミュニケーションの構成要素には、情報を発信するもの、情報を受診するもの、内容、チャンネル文脈があることを説明できる。★
コミュニケーションの成立過程は、「伝える側」が「伝えたい内容」を「メッセージ」として伝え、「伝えられる側」が「意味を解釈」し、「フィードバック」することであると説明できる。★
コミュニケーションを手段によって種類に分けると、「言語的コミュニケーション」と「非言語的コミュニケーション」があり、それぞれの特徴について説明ができ、コミュニケーションをどちらのものか分類することが出来る。★★
非言語的メッセージと言語的メッセージは、一致しないことがあり、注意深く観察することで患者の言葉と感情のずれに気づくことが出来ると説明できる。★★★
インタラクティブなプロセス、言語的コミュニケーション、非言語的コミュニケーション、コミュニケーションの成立過程
12
1~2
コミュニケーションの基本的知識と影響するもの
コミュニケーションにおける4つの交流には、理解の交流、関係の交流、感情の交流、事実の交流があることを説明できる。★
コミュニケーションに影響する因子には、環境要因、人的要因機能障害、位置と距離があり、それぞれの要因に対してどのように環境を整えるか具体的に説明することが出来る。★★
看護面接の定義や、看護面接の意義には、診断的意義、ケア的意義、教育的意義があることを列挙でき、その内容についても説明することが出来る。★★
看護面接では、患者を「生物心理社会的モデル」の統合されたものとして捉え、患者中心の看護面接をすること、それにより「解釈モデル」を聴き出すことの必要性と具体的な方法について説明することが出来る。★★★
コミュニケーションに影響する因子、看護面接、看護面接の意義、生物心理社会モデル、解釈モデル、患者中心の看護面接、医療者中心の看護面接
16
3、4、6~14
コミュニケーション技法
コミュニケーションに必要な技法には、質問技法と関係構築技法があることを列挙できる。★
質問技法には、Open ended question(開かれた質問)とClosed question(閉ざされた質問)があり、関係構築技法には感情探索の技法と表出された感情に対応する技法があることを説明できる。★
質問技法であるOpen ended question(開かれた質問)とClosed question(閉ざされた質問)、焦点を絞らない技法である沈黙、非言語的促進、中立的発言・立場、焦点を絞った技法である反映、開かれた促し、要約について、各技法を区別することが出来、またどのような目的でどう使用するか説明することが出来る。★★
積極的傾聴と共感について説明することが出来き、共感と同情を区別することが出来る。★★
開かれた質問、閉ざされた質問、沈黙、非言語的促進、中立的発言・立場、反映・繰り返し、開かれた促し、要約・まとめ、積極的傾聴、共感、同情
24
7、9~14
関係構築技法:感情探索技法と表出された感情に対応する技法
感情探索技法とは、感情を積極的に探し出す技法であり、直接的探索と間接的探索があることを説明できる。★
直接的探索は感情に直接言及し、間接的探索は直接的探索で感情が表出しない場合に用い、自己開示や間接的に生活や他者にどのような影響を与えたか問いながら患者が感情を表出できるよう勧める技法であることを説明できる。★
感情が表出されたら、表出された感情に対応する技法であるNaming(命名)、Understanding(理解)、Respecting(尊敬)、Supporting(支持)を用いることを説明できる。★★
それぞれ患者に実際にどのような言葉がけが必要であるか具体的に述べることが出来る。★★★
関係構築技法、感情探索技法、表出された感情に対応する技法(命名、理解、尊敬、指示)
16
7、9~14
統合された看護面接の流れ
統合された看護面接の流れ(STEP13)と、各STEPで具体的に何を行うか説明することが出来る。
具体的には、STEP1では、「面接の準備」「オープニング」を行う。★
STEP2では、「解決すべき課題を聞く」ために、開かれた質問で患者中心の面接を行い、積極的に傾聴しながら、患者-医療者の良好な関係を構築しつつ、患者の解釈モデルを聴いてく。★★★
ある程度患者が自分の思っていることを話せたら、STEP3・4では、「現病歴」について聴く。★
STEP5では、それまでの内容を簡単に要約し、それが正しいか確認し、身体症状に関する情報から、「医療者中心の面接への移行」する。★★
STEP6では「医療者中心の面接」を開始し、現病歴の続きと他に現在困っている問題について、閉ざされた質問を用いて、システマティックに訊いていく。★★
STEP7では、「症状と疾病歴にポイントを置いた二次的なデータの掘り起こし」をする。患者の身体症状を訊きだす際には、症状の部位、性質、度合、時間的経過、症状が起きる状況、調節因子(増悪因子・寛解因子)、随伴症状について訊く。また、身体症状については技法を用いて明確に聴きだし、すべての症状を一般的な言葉に置き換えること、症状と紛らわしい情報を区別すること、個々の症状を正確に把握することが重要である。★★★
STEP8~11では、「健康に問題を与える問題」「既往歴」「社会歴」「家族歴」を訊いていく。★
STEP12では「システムレビュー」を行い、STEP13では、「クロージング」において、面接での内容を要約し、「ドアノブクエスチョン」によって聞き洩らしや質問がないかを尋ね、お礼を述べて締めくくりのあいさつをすることを説明できる。★
良好な患者-看護師関係の構築について説明することが出来る。★★★
統合された看護面接、STEP13、オープニング、患者主体の面接、医療者主体の面接、クロージング、ラポール
16
8~14
高度なコミュニケーション
コミュニケーションが困難な事例、強化が必要な事例について、どのような場面があるか列挙できる。★
上記のそれぞれの事例に対してどのように対応すると良いか述べることができる。★
コミュニケーションの対象は、患者だけでなく家族や他職種が含まれており、家族の役割や患者家族間のコミュニケーションの中断でサポートが低下することにより患者が孤独感を味わうこと、家族とのコミュニケーションの基本と注意する点について述べることができる。★
医療者間でのコミュニケーションの基本、アサーティブな関わりについて説明することができる。★★
積極的傾聴、共感、表出された感情に対応する技法(命名、理解、尊敬、支持・協力)、家族、キーパーソン、個人情報の取り扱い、他職種、多職種連携、アサーティブ
8
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評価方法
筆記試験100% ※筆記試験の受験は、第6回ロールプレイ、第9~13回模擬患者とのセッションに全て出席し、レポート課題を全て提出していることが条件である。またレポート課題、ロールプレイ、模擬患者とのセッションにおいて、学習の不足や、コミュニケーション技術が最低水準に達していない場合には、筆記試験の評価点数から減点する。
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
【テキスト】篠崎惠美子,藤井徹也,看護コミュニケーション 基礎から学ぶスキルとトレーニング(第2版),医学書院,2022.【オリジナル配付ノート】看護コミュニケーション論
参考文献
篠崎惠美子,藤井徹也,事例から学ぶ地域・在宅看護論 訪問時のお作法から実習のポイントまで(第1版),医学書院、2021.
実験・実習・教材費