区分 専門科目-基盤看護学-基盤看護学
ディプロマ・ポリシーとの関係
実践能力 倫理観 専門性探求
地域社会貢献 グローバル性
カリキュラム・ポリシーとの関係
豊かな人間性 広い視野 知識・技術
判断力 探求心
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
専門科目の中の「基盤看護学」に位置づけ、看護者として必要な倫理的感性を養う
科目の目的
看護倫理およびその基盤となる概念・原則について理解を深め、臨床における看護実践と倫理の関係を具体的な事例を通して学習することで、専門職として求められる倫理的価値観を省察する力を養う。さらに、患者の尊厳や権利を尊重し、多様な価値観や生活背景、家族との関係、医療チームとの協働にも配慮しながら、看護職として直面する倫理的課題に対して適切に判断し、責任ある行動を選択できる倫理的判断力と実践力を総合的に身につけることを目的とする。
到達目標
1.看護倫理の基盤となる主要概念を理解できる。
2.倫理的意思決定モデルを用いた事例検討ができる。
3.自身の倫理的価値観を省察できる。

科目の概要
看護を実践するうえで看護倫理が基盤となることを理解し、基礎的な知識として倫理の原理・原則や看護職の倫理綱領について、具体的な事例を用いながら段階的に学習する。続いて、倫理的感受性を高めるためのセクションを通して、看護場面に潜む倫理的課題や問題に気づく力を養う。さらに、倫理的問題を解決するための思考過程や方法について理解を深め、事例をもとに展開・検討を行い、その成果を発表会において学生間で共有する。この一連の過程において、他者の多様な価値観に触れながら自己の倫理的価値観を振り返り、省察を深めるとともに、専門職としての責任ある判断と行動のあり方について主体的に考察できる力を育成する力を養う。
科目のキーワード
①看護倫理 ②倫理綱領 ③倫理原則 ④倫理的問題 ⑤解決技法 ⑥倫理観
授業の展開方法
具体的な事例を分析しながら自身の倫理的価値観を省察していく科目であり、考えながら学習を進めていく必要があるため主体的な姿勢が求められる。授業では、必要最低銀の知識を享受した後、事例展開やグループでの討議を通して理解を深めるとともに、生成AIを活用し、考えを再検討し、思考を深める。毎回の課題レポートや事例展開に対して教員が具体的なフィードバックを行い、学生が自らの考えを振り返りながら学習を積み重ね、倫理的判断力を高めていくことを目指す。
オフィス・アワー
(準備中)
科目コード BH09
学年・期 4年・後期
科目名 看護倫理
単位数 1
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】15h 【予習・復習】30h
前提とする科目 統合科目となるためすべての科目が前提となる
展開科目 統合科目であるため該当しない
関連資格 看護師,保健師,養護教諭
担当教員名 伊藤千晴
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 看護倫理の意義と目的 科目の中での位置付け 看護師は国家資格を要する専門的職業であり、看護実践には科学的な知識と根拠に基づく技術、そして実践家としての態度が求められる。実践家としての態度において重要なのは、知識・技術をどのように使い、看護の実践をどのように使うべきかという「看護の倫理」である。本科目では、倫理学の基本的な考え方にはじまり、看護倫理の基礎、今日的な臨床における倫理的問題を取り上げ、さまざまな観点から倫理的問題への実践的なアプローチ方法を学び、事例分析と、「看護倫理」を体系的に学習できるよう8コマで構築している。本コマ(第1回)は、その後の授業を進めていくうえで基盤となるものである。具体的には、感性と倫理・道徳について考え、看護倫理の意義・目的について考察する。さらに看護倫理教育の歴史的変遷について理解し、看護倫理の重要性について理解を深める。また現代医療における倫理的問題について事例を提示し、倫理的感性を養うことを目的とする。
・講義資料PP
・医学書院「看護倫理」p96-115
コマ主題細目 ① 倫理と道徳 ② 看護倫理 ③ 看護倫理教育の歴史
細目レベル ① 倫理とは、地域や時代によって違いがある.また倫理というのはあらかじめ決まった答えが用意されているものではない.結果だけに着目するのではなく,プロセスが重要である。そこに倫理のむずかしさ、面白さがある.同じ医学的事実を共有したとしても、それをとらえる価値観が異なれば、医療従事者や患者・家族の間で治療上の判断が分かれる事態も起こり得る。臨床における倫理問題とは、こうした価値観の対立から生じる治療決定上の問題の事であることを、トロッコ問題や羅生門、また実際の事例から理解していく。臨床倫理問題の増加とその原因についても、医療技術の進歩、患者の家族形態の変化や高齢化、医療政策の転換という側面から考察する。
② 今の臨床現場では、看護を取り巻く環境が日々変化している。新しい技術の発展、患者・家族の権利意識の高揚、看護師の役割の拡大など、日常的に多くの倫理問題に遭遇し、様々な倫理的意思決定に関わるようになってきている。そのため、倫理的な判断ができる看護師の育成が必要になってきた。その結果、看護の質の向上・よりよい看護を提供することにつながる。看護はチームで患者に関わるため、個々の価値観を基盤に1つの方向性を導く必要があることを押さえる.身体拘束・延命治療中止にかかわる問題など、具体的な事例を紹介しながら看護倫理の意義や目的について理解を深める。
③ 看護倫理教育の歴史は、昭和26年から42年まで連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の指導の下、専門職業教育としての教育内容の充実、看護従事者の質的向上、看護業務の重要性を認識し看護の主体的独立を目指すことなど、看護全般の改革方針が示され、日本の新しい看護教育が始まった時であったにもかかわらず、依然として、従来通りの医学診療モデル構成が保たれ、美徳中心の職業倫理教育であった。その後、今までの看護倫理教育は、民主主義の普及と看護教育の発展のなかで敬遠されるようになり、生命倫理学の普及により1980年代後半から、臨床現場で遭遇する倫理的問題(ジレンマ)を解決するための知識、つまり倫理的意思決定能力が看護基礎教育で求められるようになったことを押さえる。
キーワード ① 倫理 ② 看護倫理 ③ 看護倫理教育
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習として生命倫理を1年時に選択で修得した学生は生命倫理で学んだ内容を本講義前に再度確認をしておく。高校で倫理を選択した学生は、倫理で学んだ内容を本講義前に再度確認をしておく。特に「倫理」「道徳」「法」の定義について説明ができることが望ましい。またすべての学生に共通として、医学書院「看護倫理」第6章を熟読して授業に臨む。
復習として、「倫理」「臨床倫理」「看護倫理」について共通点と違いについて説明ができることが必要である。また看護実践と倫理性について看護の専門性と技術の観点から考えることが必要である。歴史的に重要な出来事や事件と関連付けて看護師の意識や倫理観の変化についてを復習をする。復習としては授業で配布した資料を中心に教科書、医学書院「看護倫理」第6章を中心に行う。

2 看護職の倫理綱領 科目の中での位置付け 看護師は国家資格を要する専門的職業であり、看護実践には科学的な知識と根拠に基づく技術、そして実践家としての態度が求められる。実践家としての態度において重要なのは、知識・技術をどのように使い、看護の実践をどのように使うべきかという「看護の倫理」である。本科目では、倫理学の基本的な考え方にはじまり、看護倫理の基礎、今日的な臨床における倫理的問題を取り上げ、さまざまな観点から倫理的問題への実践的なアプローチ方法を学び、事例分析と、「看護倫理」を体系的に学習できるよう8コマで構築している。本コマ(第2回)は、倫理的な意思決定や倫理的行動を導くための基礎的知識として、日本看護協会から出された「看護職の倫理綱領」について具体的な事例を基に押さえる。特に「患者の権利とインフォームドコンセント」については詳しく説明を加えていく。
・看護職の基本的責務/日本看護協会出版会
コマ主題細目 ① 看護職の倫理綱領 ② 患者の権利とインフォームドコンセント
細目レベル ① 人々は、人間としての尊厳を維持し、健康で幸福であることを願っている。看護は、このような人間の普遍的なニーズに応え、 人々の健康な生活の実現に貢献することを使命としている。看護は、あらゆる年代の個人、家族、集団、地域社会を対象とし、健康の保持増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和を行い、 生涯を通してその最期まで、その人らしく生を全うできるように援助を行うことを目的としている。看護者は、看護職の免許によって看護を実践する権限を与えられた者であり、その社会的な責務を果たすため、 看護の実践にあたっては、人々の生きる権利、尊厳を保つ権利、敬意のこもった看護を受ける権利、平等な看護を 受ける権利などの人権を尊重することが求められることを押さえる。倫理綱領1条~16条について事例を用いながら説明する。
② 看護者の倫理綱領第4条「看護者は、人々の知る権利及び自己決定の権利を尊重し、その権利を擁護する」つまり、患者の権利の重要性についてであり、基盤に告知やインフォームドコンセントのことが含まれる。患者の権利については、「ニュルンベルク綱領」「ヘルシンキ宣言」といったわが国における負の歴史についても触れる。また、患者本人が自らのもつ価値観に基づいて下す決断の基盤となるものがインフォームドコンセントであることを理解する。インフォームドコンセントとは、医療者から十分な説明を聞き、患者が理解・納得・同意して自分の治療法を選択することである。ただし、患者の年齢や判断能力に十分留意し、看護師は患者の望ましい自己決定を支援することが重要であることを押さえる。
キーワード ① 患者の権利 ② インフォームドコンセント ③ 看護職の倫理綱領
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習として、日本看護協会会出版会の「看護職の倫理綱領」前文および条文1~16条を熟読する。また1年時に習った「看護学概論」の中の2回分「看護倫理」に関する講義資料を読み返して授業に臨むこと。
復習として、「看護職の倫理綱領」1~16条の内容についてそれらの定義と看護における意味について理解する。なかでも「守秘義務」「個人情報保護」「患者の権利とインフォームドコンセント」については大変重要な概念であるため、十分理解し説明ができるようにしておくこと。生成AIを活用して、倫理綱領に関するテスト問題を作成し、理解を深める。

3 終末期における倫理問題 科目の中での位置付け 看護師は国家資格を要する専門的職業であり、看護実践には科学的な知識と根拠に基づく技術、そして実践家としての態度が求められる。実践家としての態度において重要なのは、知識・技術をどのように使い、看護の実践をどのように使うべきかという「看護の倫理」である。本科目では、倫理学の基本的な考え方にはじまり、看護倫理の基礎、今日的な臨床における倫理的問題を取り上げ、さまざまな観点から倫理的問題への実践的なアプローチ方法を学び、事例分析と、「看護倫理」を体系的に学習できるよう8コマで構築している。本コマ(第3回)は、人間の死に焦点を当てて、「安楽死」「脳死」「尊厳死」など人間の死に関する定義や課題などを具体的な事例を用いながら探求する。
・森鴎外「高瀬舟」
・『系統看護学講座 別巻 看護倫理』松葉祥一他
p70-71
・講義資料PP
コマ主題細目 ① 安楽死 ② 尊厳死
細目レベル ① 東海大学病院安楽死事件を紹介し、この事件においてくだされた判決、医師は殺人罪で起訴、裁判所は殺人罪の成立を肯定し、被告人を懲役2年、執行猶予2年の刑に処した.この判決は控訴されず、そのまま確定した判決についてディスカッションを行い、自分の考えを深める.またフレッチャーによる安楽死の分類を紹介し、①積極的安楽死;患者の命を終わらせる目的で「何かをすること」 ②消極的安楽死;患者の命を終わらせる目的で「何かをしないこと」について違いを押さえる。なかでも尊厳死とは過剰な治療による必要以上の延命を患者本人の意思によって拒否し,疼痛から解放され,人格を持った人間としての尊厳を保持しながら自然な死を迎えるという事であり、看護師の責務は、患者が死に逝くプロセスに手を貸すのではなく,死へのプロセスにある患者の苦痛を軽減させ,心身ともに安楽な状態を維持できるように環境を整える事であることを押さえる。
② 現在の救急医療現場の倫理的問題として、一旦治療が開始になると途中で中止にすることはできない?はじめから治療はしない?といった課題を、和歌山県立医大病院紀北分院でおきた事例、人工呼吸器を外された患者が死亡し、県警が殺人容疑で当時助教授だった50代の男性医師を書類送検した事件を紹介し考えを深めていく。さらに、リビングーウィルとは、 自分が不治の病や末期になった時のために,無意味な延命処置を断り,自然死を迎えるために,あらかじめ書いておく宣言書・またはそれを記録した遺言書.であり、事前指示(アドバンス‐ディレクティブ)とは、ある患者あるいは健常人が,将来自らが判断能力を失った際に,自分に行われる医療行為に対する意向を前もって意思表示することである。この二つの概念について押さえていく。
キーワード ① 安楽死 ② 尊厳死
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習として、医学書院「看護倫理」第4章について熟読しておく。また最近の新聞等のニュースから「安楽死」「尊厳死」に関する記事を1つ切り抜き、自分の考えをまとめておく。
復習として、「安楽死」「尊厳死」「脳死」それぞれの定義について説明ができるようにしておく。また自分は「安楽死」に対して「死ぬ権利」を認めるべきかどうかについて、考察を深める。生成AIに事例を入力させ、「倫理的観点から賛成か反対か双方の立場を整理してください」と指示、自分の考えと照らし合わせて省察する

4 認知症高齢者の意思決定支援 科目の中での位置付け 看護師は国家資格を要する専門的職業であり、看護実践には科学的な知識と根拠に基づく技術、そして実践家としての態度が求められる。実践家としての態度において重要なのは、知識・技術をどのように使い、看護の実践をどのように使うべきかという「看護の倫理」である。本科目では、倫理学の基本的な考え方にはじまり、看護倫理の基礎、今日的な臨床における倫理的問題を取り上げ、さまざまな観点から倫理的問題への実践的なアプローチ方法を学び、事例分析と、「看護倫理」を体系的に学習できるよう8コマで構築している。本コマ(第4回)は、2回目で習得した患者の権利・インフォームドコンセントの知識を基盤に、判断能力が低下している認知症患者に対する意思決定支援について理解を深めていく。
・講義資料PP
コマ主題細目 ① 意思決定支援ガイドライン ② 老々介護
細目レベル ① ① 認知症の人であっても、その能力を最大限活かして、日常生活や社会生活に関して自らの意思に基づいた生活を送ることができるようにするために行う、意思決定支援者による本人支援をいうこと。厚生労働省【認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン】でいう意思決定支援とは、認知症の人の意思決定をプロセスとして支援するもので、通常、そのプロセスは、本人が意思を形成することの支援と、本人が意思を表明することの支援を中心とし、本人が意思を実現するための支援を含むことを押さえる。さらに、終末期医療及びケアの在り方として終末期医療における医療行為の開始・不開始、医療内容の変更、医療行為の中止等は、多専門職種の医療従事者から構成される医療・ケアチームによって、医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断すべきであることを理解する。
② ② 老老介護、あるいは老老看護とは、家庭の事情などにより65歳以上の高齢者が、高齢者の介護をせざるをえない状況のことである。認知症のAさんが電車にはねられ死亡する事故が起きた。JR東海はAさんの家族に損害賠償を請求。 一審の名古屋地裁が全額の支払いを命じた。その後最高裁ではJR側が敗訴したのをきっかけに、「責任をすべて家族に押しつけるのはおかしい」という世論があがった。この事例を題目に、認知症高齢者を抱える家族に対して監督義務がどこまであるのかをディスカッションする。その結果、①客観的分析が身につく、②論理的思考が身につく、③発表能力が身につく、④より良い聞き手になれる、⑤情報収集力が身につく、⑥主体的学習態度を養うことができる、⑦知識の統合ができる、⑧共感的態度が身につくことを期待する。
キーワード ① 意思決定支援 ② 意思決定支援ガイドライン ③ 老々介護
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習として、「老々介護」について、関連する資料や文献を探し、自分の考えを整理しておく。
復習として。本日取り上げた事例を振り返り、老々介護の難しさ、高齢者が高齢者を介護している場合、肉体的・精神的な限界が来て、介護者本人も第三者のサポートがないと生活できない、いわゆる「共倒れ」状態になることも考えられる。同じ事件が繰り返されないためにはどうしたらいいのか、自分の考え整理しておく。生成AIに事例を入力させ、「倫理的観点から賛成か反対か双方の立場を整理してください」と指示、自分の考えと照らし合わせて省察する

5 脳死と臓器移植 科目の中での位置付け 看護師は国家資格を要する専門的職業であり、看護実践には科学的な知識と根拠に基づく技術、そして実践家としての態度が求められる。実践家としての態度において重要なのは、知識・技術をどのように使い、看護の実践をどのように使うべきかという「看護の倫理」である。本科目では、倫理学の基本的な考え方にはじまり、看護倫理の基礎、今日的な臨床における倫理的問題を取り上げ、さまざまな観点から倫理的問題への実践的なアプローチ方法を学び、事例分析と、「看護倫理」を体系的に学習できるよう8コマで構築している。本コマ(第5回)は、2回目で習得した患者の権利・インフォームドコンセントの知識を基盤に、脳死を人の死として認めるか・臓器移植問題の利点と課題について事例を用いながら理解を深めていく。
・講義資料PP
コマ主題細目 ① 脳死 ② 臓器移植
細目レベル ① 脳は、その構造と役割(機能)から大きく3つに分けられる。知覚、記憶、判断、運動の命令、感情などの高度な心の働きを司る大脳と、運動や姿勢の調節をする小脳、そして呼吸・循環機能の調節や意識の伝達など、生きていくために必要な働きを司る脳幹である。大脳、小脳のある程度の損傷は、回復の可能性もありますが、脳幹は、その機能を消失すると生命を維持することができなくなる。脳死とは、脳幹を含む、脳全体の機能が失われた状態である。回復する可能性はなく元に戻ることはないとされている。
薬剤や人工呼吸器等によってしばらくは心臓を動かし続けることはできるが、やがて心臓も停止する。
脳死について理解し、脳死を人の死として認めるかどうか自分の考えを深めることを目的とする。

② 日本では、脳死での臓器提供を前提とした場合に限り、脳死は人の死とされる。臓器移植は、善意による臓器の提供により、成り立つ社会性の高い医療である。誰もが選択することのできる4つの権利が担保されている。これは、自分の死後に臓器を「提供する権利」「提供しない権利」、あるいは移植が必要なほど重い臓器の機能不全となったときに、移植を「受ける権利」「受けない権利」という権利であり、どの考え方も自由に選択でき尊重されるべきものである。そもそも「脳死」を人の死として認めていいのか、視聴覚教材をもとに賛否両論ある中で自分の考えを深めていくことをねらいとする。
キーワード ① 脳死 ② 脳死判定基準 ③ 臓器移植
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習として、「脳死」と「植物状態(人間)」の違いについて調べてまとめてくること。
復習として、授業で視聴した「終わりない生命の物語 ぬくもりの境界線」10歳の駿は突然の事故に遭い脳死を宣言された。 医師から臓器提供の意思を確認され動揺する家 族。将来人を助ける仕事をしたいという駿の言葉を 思い出す父健一だが・・・このドラマを思い出し、脳死・臓器移植に関する自分の考えをまとめておくこと。生成AIに事例を入力させ、「倫理的観点から賛成か反対か双方の立場を整理してください」と指示、自分の考えと照らし合わせて省察する

6 生殖補助医療に関する倫理的課題 科目の中での位置付け 看護師は国家資格を要する専門的職業であり、看護実践には科学的な知識と根拠に基づく技術、そして実践家としての態度が求められる。実践家としての態度において重要なのは、知識・技術をどのように使い、看護の実践をどのように使うべきかという「看護の倫理」である。本科目では、倫理学の基本的な考え方にはじまり、看護倫理の基礎、今日的な臨床における倫理的問題を取り上げ、さまざまな観点から倫理的問題への実践的なアプローチ方法を学び、事例分析と、「看護倫理」を体系的に学習できるよう8コマで構築している。本コマ(第6回)は、生殖に対する医療的介入の倫理的課題について、代理出産や出生前診断などの事例を用いてディベートを導入し、考えを深める。
・講義資料PP
コマ主題細目 ① 代理母出産 ② 生殖補助医療 ③ ディベート
細目レベル ① 代理出産については、国内で行っている医療機関はなく、アメリカのほか、タイや台湾などでの代理出産をあっせんする業者があり、実際にそれによって子供を得た人が増えている。その多くが金銭的な報酬を介したものであることによる倫理的課題について探求する。さらに、我が国の民法では「産んだ女性」が母親とみなされるため、代理出産で産まれた子供を自分の子供として認めてもらえず、養子縁組などによって法律上の親子関係が作られることを理解したうえで、倫理的問題について考える。
② あなたの遺伝子の半分がどこからきたのかわからないとしたら?いま、精子提供によって生まれてきた子どもたちが、生物学上の父が分からないことによる不安感や欠落感に悩み、その声を上げ始めている。そもそもAID(非配偶者間人工授精)や体外受精、代理母出産など生殖補助医療は、不妊カップルのどうしても子どもがほしいという願いをかなえるために生まれた技術である。そのため生殖補助医療では、不妊に悩むカップルの救済にのみ焦点があてられ、生まれてくる人たちの権利や福祉(幸福)を考えることがずっと置き去りにされてきた経緯がある。そのような生殖補助医療を考える上での倫理的問題について考えを深めていく。
③ ディベートとは「ある論題について2つの派が肯定側・否定側に分かれて、聞き手が納得できるような客観的資料に基づき一定のルールで議論する討議法である。メリットとして、①客観的分析が身につく、②論理的思考が身につく、③発表能力が身につく、④より良い聞き手になれる、⑤情報収集力が身につく、⑥主体的学習態度を養うことができる、⑦知識の統合ができる、⑧共感的態度が身につく、等がある。これら8点は看護師になるために必要な力であることを認識する。しかし、反面、こぎつけや論理の飛躍に陥る可能性や限られた学生だけが発言しないよう進行に配慮が必要であることを理解する。ディベートは正答を目的としているのではない。答えが正しいか誤っているのかを決めるのではなく、討論する過程で学ぶということを理解する。
キーワード ① 代理母出産 ② 生殖補助医療 ③ ディベート
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習として、医学書院 別巻「看護倫理」(教科書指定)第3章をよく読み、性の生命倫理・生殖の生命倫理・生殖補助医療・生殖に対する医療的介入の課題について整理しておく。
復習として。本日取り上げた事例を振り返り、代理出産の法規制は以下にあるべきかについて振り返り、自分の考えを整理しておく。生成AIに事例を入力させ、「倫理的観点から賛成か反対か双方の立場を整理してください」と指示、自分の考えと照らし合わせて省察する

7 臨床倫理の4分割法 科目の中での位置付け 看護師は国家資格を要する専門的職業であり、看護実践には科学的な知識と根拠に基づく技術、そして実践家としての態度が求められる。実践家としての態度において重要なのは、知識・技術をどのように使い、看護の実践をどのように使うべきかという「看護の倫理」である。本科目では、倫理学の基本的な考え方にはじまり、看護倫理の基礎、今日的な臨床における倫理的問題を取り上げ、さまざまな観点から倫理的問題への実践的なアプローチ方法を学び、事例分析と、「看護倫理」を体系的に学習できるよう8コマで構築している。本コマ(第7回)は、問題解決技法の1つとして「臨床倫理の4分割法」を紹介し、事例を基に展開の仕方を習得する
・『系統看護学講座 別巻 看護倫理』松葉祥一他
p152-157
・講義資料PP
コマ主題細目 ① 問題解決技法 ② 倫理原則 ③ 臨床倫理の4分割法
細目レベル ① 問題解決技法を使うことにより、文字を書くことで思考が整理される.今「ある」問題というより,今後の医療・看護に向けての事例検討を行うことで、看護の質の向上や看護師の感性を養うことにつながることを理解する。また事例提供者は,提供した事例の討議をするとき,心情的に苦しい立場に立つ.例えば他のメンバーが正論で攻めてくると,事例提供者は,理解していながら現状打破ができずに苦しんでいるので,ますます追い込まれてしまう.進行は様々な意見を許容しながらオープンに進めていくことが求められる.相手を非難するのではなく,前向きな話し合いが大切であることを押さえる.ファシリテーターの役割についても考える。
② 看護の実践にあたっては、人々の生きる権利、尊厳を保つ権利、敬意のこもった看護を受ける権利、平等な看護を 受ける権利などの人権を尊重することが求められることを押さえる。サラ・フライS.T.Fryらによって示された「看護の倫理原則」、善行と無害、正義、自律、忠誠、誠実について、それらの定義と看護における意味について理解しておく。なかでも「守秘義務」「個人情報保護」「患者の権利とインフォームドコンセント」については大変重要な概念であるため、十分理解し説明ができるようにしておくこと。
③ 「臨床倫理4分割法」とは,Jonsenらが1992年,著書『Clinical Ethics』にて示した倫理的な症例検討の考え方であり、ある症例の倫理的課題を検討するためのツールとして4つの枠に情報を整理し、4つのステップを通して事例を解決に導く。この4ステップについて押さえる。step1:倫理的な問題で判断に困っているその症例について,できるかぎり情報を収集する.Step2:4つの枠で情報を整理する.情報の視点は提示する。この時それぞれの専門家が入り情報を整理する.(多職種カンファレンス)Step3:倫理的問題となる情報を特定する。Step4:具体的な対応策を立案する.【55歳男性Aさん.食堂経営.高血圧を指摘されていたが放置していた.ある日,広範な左視床出血による右片麻痺でB病院に入院.すべての行為に対して攻撃的である】この事例を用いて進め方を押さえる。
キーワード ① 臨床倫理の4分割法 ② 善行と無害 ③ 自律尊重 ④ 公正正義 ⑤ 誠実忠誠
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習として、4分割法の進め方について確認をしておく。特に「医学的適応」「患者の意向」「QOL」「周囲の状況」それぞれの情報整理の視点と、第2回目に講義をした倫理原則について確認をしておく。次回も引き続き4分割法を用いて事例展開する。
復習として、自分が抽出した事例について、実習記録を振り返り、事例を展開するにあたり情報を追記・またわからない内容について調べてくる。「看護者の倫理綱領」1~15条の内容とサラ・フライS.T.Fryらによって示された「看護の倫理原則」、善行と無害、正義、自律、忠誠、誠実についてそれらの定義と看護における意味について復習をしておく。なかでも「守秘義務」「個人情報保護」「患者の権利とインフォームドコンセント」についてはキーワードになるため、2回目講義資料を熟読しておく。生成AIに事例を入力させ、「倫理的観点から賛成か反対か双方の立場を整理してください」と指示、自分の考えと照らし合わせて省察する

8 看護倫理まとめ 科目の中での位置付け 看護師は国家資格を要する専門的職業であり、看護実践には科学的な知識と根拠に基づく技術、そして実践家としての態度が求められる。実践家としての態度において重要なのは、知識・技術をどのように使い、看護の実践をどのように使うべきかという「看護の倫理」である。本科目では、倫理学の基本的な考え方にはじまり、看護倫理の基礎、今日的な臨床における倫理的問題を取り上げ、さまざまな観点から倫理的問題への実践的なアプローチ方法を学び、事例分析と、「看護倫理」を体系的に学習できるよう8コマで構築している。本コマ(第8回)は、最後のコマとして看護倫理に必要な知識について、過去5年間の看護倫理に関する国家試験問題を中心に確認をしていく。
・『系統看護学講座 別巻 看護倫理』松葉祥一他
コマ主題細目 ① 看護倫理に関する看護師国家試験傾向 ② 過去問題
細目レベル ① 近年、「患者等の生命を直接脅かす行為」「触法行為」「非倫理的な行為」についての出題が強化され、国試の段階で看護師として不適格な人をしっかり選別しようという意図が明確に打ち出されている。それに伴って検討されたことがあるのが、いわゆる禁忌肢の導入。試験問題中に潜む禁忌肢(その数や、どの選択肢が禁忌肢に当たるかは試験後も公表されない)を選んで一定の回数以上誤答すると、その時点で不合格になるものである。医療安全や倫理に対する意識の高まりを受け、今後導入される可能性があることをここでは押さえておく。また看護倫理に関する国家試験の過去問題の特徴として、分野を問わず入れ込まれる傾向にあり、倫理原則や守秘義務、個人情報、インフォームドコンセントなどは必須であることを押さえる。
② 看護倫理に関しては、時代のニーズに伴い、医療安全や倫理、法律の遵守など強化されているテーマがある。臨地的な問題がより重視されるようになり、短文事例問題や優先度を判断する問題などが増えてきた。これらの問題についても対策を立てておく必要があることを押さえる。さらに、国試では臨地的な判断力や対処能力を問う問題が重視されている。看護倫理についても毎年、一般問題で短い事例問題が出題されるようになってきた。臨地的な判断力を磨くためには、知識を増やすだけでなく、日ごろの授業や実習などを通じて、能動的に考えるクセを付けておくことが重要です。特に、複数の看護問題がある場合の優先度を考える練習をしておく必要があることを強調する。
キーワード ① 看護師国家試験問題の動向 ② 看護倫理過去問題 ③ 倫理原則 ④ 看護者の倫理綱領 ⑤ インフォムドコンセント
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習として、看護師国家試験から看護倫理に関する問題を解いておく。またわからない事項については調べて知識を確実にしておく。
復習として、本コマで看護倫理に関する問題を50問用意する。間違えた問題だけではなく、正しい問題についても細かく調べ、第3者に説明ができるまで知識を確実なものにしておく。特に正答率80%以下のものに対しては、振り返りノートを作成し提出することで、看護倫理に関する問題をパーフェクトにしていく。生成AIを活用し、過去に出題された看護倫理に関する国家試験問題を検索し、理解を深める。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
★倫理綱領 日本看護協会が示した「看護者の倫理綱領」は、前文、条文、各条文の解説からなっている.ここでは、看護の使命と目的が明記され、ついで免許により実践する権限を与えられている看護者が社会的責任を果たすために、人権の尊重が求められていることが確認されている1~15条を理解すること。なかでも守秘義務と個人情報、患者の権利に関する条文は説明ができるようにしておく 倫理綱領、守秘義務、個人情報、患者の権利 20 2~4
★倫理原則 看護の実践にあたっては、人々の生きる権利、尊厳を保つ権利、敬意のこもった看護を受ける権利、平等な看護を 受ける権利などの人権を尊重することが求められることを押さえる。サラ・フライS.T.Fryらによって示された「看護の倫理原則」、善行と無害、正義、自律、忠誠、誠実について、それらの定義と看護における意味について理解しておく。なかでも「守秘義務」「個人情報保護」「患者の権利とインフォームドコンセント」については大変重要な概念であるため、十分理解し説明ができるようにしておくこと。 善行と無害、正義、自律、忠誠と誠実 20 2~4
★★★問題解決技法 倫理的問題に対する問題解決技法として、Jonsenらの『Clinical Ethics』にて示した倫理的な症例検討の考え方で,臨床倫理の4分割法、「医学的適応」「患者の意向」「QOL」「周囲の状況」という4つの項目について情報の視点と進め方を理解する。またJohnstoneの4ステップ倫理的意思決定モデルについても理解しておく。さらにジレンマを解決するための1つの方向性を示してくれる「ケア/ケアリングの倫理」についても、看護師の個人に焦点を当てるのではなく、看護師―患者、患者の家族との関係性に焦点をあてることの重要性について理解しておく 医学的適応、患者の意向、QOL、周囲の状況4ステップ倫理的意思決定モデル 20 5~7
★★患者の権利 患者の権利については、「ニュルンベルク綱領」「ヘルシンキ宣言」といったわが国における負の歴史について理解する。また、患者本人が自らのもつ価値観に基づいて下す決断の基盤となるものがインフォームドコンセントであることを理解する。インフォームドコンセントとは、医療者から十分な説明を聞き、患者が理解・納得・同意して自分の治療法を選択することである。インフォームドコンセントとは、医療者から十分な説明を聞き、患者が理解・納得・同意して自分の治療法を選択することである。ただし、患者の年齢や判断能力に十分留意し、看護師は患者の望ましい自己決定を支援することが重要であることを押さえておく。 ニュルンベルク綱領、ヘルシンキ宣言、インフォームドコンセント 20 3~5
★守秘義務 守秘義務とは、患者の情報を管理する主体は患者にある.診療上知り得た情報は,患者の個人情報であるためむやみに口外することは禁じることである。患者の死後や退職後に漏らしても罰せられる。ただし、守秘義務の解除として、1.法令に基づく場合(国の統計調査,感染症,届け出疾患,犯罪捜査照会等)2.本人の同意を得ることが困難な場合、3.患者が重大な危害にさらされている可能性が高い場合、以上3点について押さえ、職業倫理について考察を深める。 患者情報、個人情報、保助看法 20 6~8
評価方法 筆記試験100%
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 ・系統看護学講座 別巻 看護倫理』松葉祥一他 医学書院(電子テキスト) ・看護職の基本的責務/日本看護協会出版会
参考文献 臨床倫理学 赤林朗、蔵田伸雄、児玉聡、新興医学出版社 
実験・実習・教材費