区分 専門科目-基盤看護学-管理学
ディプロマ・ポリシーとの関係
実践能力 倫理観 専門性探求
地域社会貢献 グローバル性 自己研鑽力
カリキュラム・ポリシーとの関係
豊かな人間性 広い視野 知識・技術
判断力 探求心
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
専門科目の中の「基盤看護学-管理学」に位置づけ、保健医療提供システムの中で効果的・効率的に看護を行うための考え方,医療安全に関する知識や技術を学ぶ。
科目の目的
看護管理に関する教育内容は2008年度の指定規則の改正により、「統合分野」として、「看護の統合と実践」が授業科目と実習科目として設定された。「チーム医療及び他職種との協働の中で看護師としてメンバーシップ及びリーダーシップを理解すること」「看護をマネジメントできる基礎的能力を身につけること」「医療安全の基礎的知識を習得すること」明示された。看護系大学におけるモデルコアカリキュラムでは「Ⅳ群ケア環境とチーム体制整備に関する基本能力」「Ⅴ群専門職者として研鑽し続ける基本能力」として、看護管理が基礎教育で学ぶべき内容として整理された。本科目では、看護することを学ぶことと、より良い看護を提供するための看護管理を学び、看護職者として成長することを目的としている。看護学部の教育目的である「質の高い看護実践ができる」人材の育成として、医療安全の知識をもとに看護実践に結びつけられることを目指す。医療安全の面における医療事故を回避できる危険予知力と組織における安全文化の醸成の重要性とを学ぶ。また、国民の健康危機管理が喫緊の課題となっている中、医療機関の役割や事業継続の視点からみた危機管理にもふれる。
到達目標
看護管理学に含まれる要素についての概略がわかる。
看護職の提供する看護ケアマネジメントについて理解する。
看護サービスマネジメントの対象と範囲、マネジメントサイクルと関連して理解できる。
看護提供のためのしくみついて理解できる。
組織構造とマネジメントの関連について理解できる。
看護職として社会で仕事をしていくためのキャリアマネジメントについて理解する。

科目の概要
看護管理は、看護管理者だけのものではなく、看護学生を含めてすべての看護職が看護活動を効率的、効果的、創造的に行うために必要な能力であり、看護の目的を果たすための機能である。効果的かつ効率的に看護を提供する体制や過程を整え、組織の成果を高める活動が看護管理である。本科目では、看護管理学の概念構成に沿って展開する。まずは、看護の対象に提供されるケアを調整・統制することを意味する「看護ケアマネジメント」、看護職が提供するサービス全体を組織とそのマネジメントの視点からとらえる「看護サービスマネジメント」、マネジメントに必要な知識と技術、「看護職のキャリアマネジメント」を学修する。医療リスクマネジメント(リスク管理)は「医療の質」を支える重要な項目の一つである。かつては、医療機関におけるリスクマネジメントは、主に安全管理活動や医療事故・訴訟への対応をおこなう医療安全管理(狭義のリスクマネジメント)であったが、昨今の災害や健康危機に関して医療の質と安全性の向上など、医療サービス面における広義のリスクマネジメントが重視されるようになってきた。関連科目である保健看護情報学で、情報管理、医療・看護の質を含む「情報マネメント」を理解することとする。看護と看護管理を取り巻く法的基盤、諸制度については、「保健福祉行政論」で学修する。チーム医療については、4年次の「チームケア論」で多職種連携と協働とチームステップスの実践を学修することにする。さらに、組織における実践的なリーダーシップについては4年次の「組織とリーダーシップ」で、医療経営と看護経営の実際については、4年次の「医療経営論」で学習することとする。
この科目では、医療安全の概念の変遷を概観し、医療安全に対する知識を学ぶ。医療事故を回避できる危険予知力と組織における医療安全管理体制や安全文化の醸成の重要性を認識できることがねらいである。さらに健康危機管理における医療機関の役割や事業継続の視点からみた危機管理についても学ぶ。

科目のキーワード
看護管理、看護とマネジメント、看護ケアマネジメント、看護サービスマネジメント、看護職のキャリアマネジメント、看護管理のプロセス、看護管理システム、看護の質管理指標、看護管理能力
組織マネジメント、リーダーシップとマネジメント、組織文化、動機づけ、エンパワメント、変革
医療安全 医療法 医療事故調査制度 形事上・民法上・行政上の責任 医療事故 医療過誤 インシデント ヒューマンエラー ハインリッヒの法則 スイスチーズモデル エラーマネジメント クオリティマネジメント コンフリクトマネジメント インシデントレポートの意義 医療事故情報収集事業 医療事故の発生予防・再発防止 リスク 危険要因 危険予知 医療安全に関する分析方法 医療事故発生時初期対応 医療安全の基本 安全文化の醸成 安全教育 療養環境の整備 健康危機管理 危機管理 医療関連感染(HAI)予防対策

授業の展開方法
各回は原則としてパワーポイントを使用して授業をおこなう。授業中、必要に応じてグループで意見を交換する。授業は予習をして積極的に参加し、わからないところや意見などは授業中または出席・質問票に記し、次回以降に教員から回答をする。看護管理実践経験をもとに看護管理の基本、看護管理に必要な理論、マネジメント、人材育成などを教授していく。
オフィス・アワー
(準備中)
科目コード BH21
学年・期 3年・前期
科目名 看護管理学
単位数 1
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】15h 【予習・復習】30h
前提とする科目 基礎看護学
展開科目 医療リスクマネジメント論、組織とリーダーシップ論、保健看護情報学、臨地実習
関連資格 看護師,保健師,養護教諭
担当教員名 加藤由美
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 看護管理とマネジメント 科目の中での位置付け 看護管理とは、看護を管理することである。看護を管理するとは、看護の目的に向けた活動が、効率的に行われ、最終的に最大の成果を得られるようにすることである。看護管理の方法は、看護の対象者に直接働きかけるのではなく、看護職や関係する人々を活かし、物品やお金、情報などを有効に活用し、効率的に最大の効果が得られるようにする。看護職が看護サービスの対象者により良い看護を提供することを目指して行う一連の活動である。このように定義される「看護管理」は実践であり、実践に必要な知識を探求する学問領域として「看護管理学」が位置付けられる。ここでは、看護管理の基盤となる知識を学修する。
ナイチンゲールの「小管理」の考察から、看護管理の定義、看護管理の過程、看護管理システム、マネジメントプロセス、効率性と効果性、多職種連携における看護管理のあり方、学生に必要な看護管理実践能力であるマネジメントの基本と看護管理周辺の学修内容を整理する。管理とマネジメント、看護管理とマネジメントについて考える。看護管理者の役割と機能が示されている「看護実践の組織化の基準」を基に前回講義内容である看護管理の定義を復習する。看護のマネジメントの行われる場は、多様である。看護実践は対象者が存在するところすべてである。看護実践の場を「保健」「医療」「福祉」の3つの視点と地域包括ケアシステムの観点でとらえ、そこで行うマネジメントについて解説する。看護管理の概観を捉えたのち、「マネジメント」についてもう少し深く、考える時間とする。その定義、概要、意義を理解する。そのうえで看護におけるマネジメントの考え方の変遷に触れる。ここでは、ナイチンゲールの「小管理」、わが国最初の看護マネジメントの記述書である「看病婦長服務心得書」から読み解いていく。

系統看護学講座 統合分野 看護管理 看護の統合と実践① 医学書院
第1章2㌻~14㌻
221㌻:看護実践の組織化の基準
138㌻:マネジメントの概要
コマ主題細目 ① 看護管理の定義 ② マネジメントの定義 ③ 看護におけるマネジメント ④ 看護におけるマネジメントの変遷 ⑤ 看護実践業務基準
細目レベル ① 看護の定義について、Gilliesの定義である「看護管理とは、患者にケア、治療、そして安楽を与えるための看護スタッフメンバーによる仕事の過程である。看護管理者の仕事は最も有効で可能なケアを患者およびその家族の人々に与えるために、計画し、組織化し、支持を与え、そして入手できる財政的・物質的・人的資源を統制することである」。また日本看護協会の定義である「臨床における看護管理とは、患者や家族に看護ケア、治療への助力、安楽を与えるために看護職員が行う仕事の過程である。看護管理者は、最良の看護を患者や家族に提供するために、計画し、組織化し、指示し、調整し、統制を行う」について、看護実習の場面から想起し、その意味を考える。まずは、「管理」という言葉の意味、連想するものなどを考えてみる。ナイチンゲールの看護覚え書の「小管理」の章を紹介する。看護管理で重要なことは、管理実践によってもたらされた管理の質である。うまく管理するということは「結果を出す」ことと「関係者をその気にさせるようなプロセスを大事にする」ことの両方を実現できたものである。そこでは「効率性」と「効果性」が問われることになる。組織を発展させながら継続していくことであり、効率性と効果性のバランスをうまくとりながら管理することが求められる。では効率性とは何か、効果性とは何かを考えてみる。まず、効率性とは、時間やお金、労力を無駄にせず、ものごとを成し遂げることをいう。効果性とは、正しい、適切な実りある。目的にかなった結果がでたかどうかを問うことである。効率性は「成し遂げたことに対する使った資源」の割合に着目するが、効果性は「結果そのものの質」に着目する。
② マネジメントの定義と概要、意義について理解する。マネジメントは、組織にとっても、個人にとっても不可欠なものである。組織には原理や原則があり、組織と個人の関係においてこれらの原理・原則を学習することは、マネジメントを行う上で重要である。マネジメントは組織の目的を達成するために、資源(人、もの、金、時間、情報)の調整や配分を行うための一過程であり、「組織に成果をあげさせるもの」である。ある目的を達成するために、人々を動かしていくための活動であり、計画、組織化、指揮、統制の過程がある。また、マネジメントは組織にとっても、個人にとっても不可欠なもので、組織においては、その組織の目的、理念、目標、戦略、方針、計画に基づいて活動する。組織は効率的・効果的に活動し、目標を達成するために必要な活動がマネジメントである。
③ 看護のマネジメントが行われる場は多様である。看護実践の領域は、看護の対象者が存在するところすべてであり、マネジメントが必要とされる。保健、医療、福祉、地域包括ケアシステムとマネジメントについて解説する。保健の領域には、家庭、保健所、学校、企業などがある。地域社会に必要とされるケアの提供と健康管理を中心としたケアの提供を実施している。医療の領域では、病院、診療所、助産所などがある。医療提供を必要とする対象者を中心に提供を行う場であり、看護職の就業が最も多い。近年では、介護老人保健施設や訪問看護においてその提供の場が拡大している。福祉領域では、高齢者施設や自立支援施設などの社会福祉施設において看護が提供されている。そして地域包括ケアシステムの構築が推進されており、保健・医療・福祉が一体となったケアが求められている。
④ マネジメントの考え方の変遷を知り、現在の組織やマネジメントの機能を知ることにつなげる。マネジメントの考え方は、歴史的な流れのなかでおもに古典的組織論・人間関係論・近代組織論の3つの基本的な考え方に分類することができる。看護におけるマネジメントはナイチンゲールの小管理から始まっている。日本の「看病婦長服務心得書」の内容から、現代のマネジメントに反映されている点などを討議する。戦後GHQの指導を受けた「保健婦助産婦看護婦法」の制定や看護課の設置などに触れ、看護管理は医師ではなく、看護婦長が行うものであるという考えを知る。以後、経営の考えを含めて、看護を提供するうえでは、組織として効率的・効果的に機能することが求められるため経営管理の考え方が応用されるようになった。わが国における看護管理の歴史は、看護職を取り締まるための管理監督業務から始まったこともあり、看護職を取りしまり、正し、支配し、規則を守らせるといった役割が強かった。そのため看護管理者の教育は看護師長教育の意味合いが強く、個々の看護職にとっては、看護管理は身近なものにならなかった。しかし、看護管理には、看護職一人ひとりが行う対象者へのケアマネジメントと、看護職を統括し、組織として目的を達成する看護サービスのマネジメントがある。看護職は、専門職として自立・自律した存在をめざしており、そのため一人ひとりの看護職は看護管理を学ぶ必要がある。看護管理の方法を修得することが求められているのである。看護職それぞれが、対象者に提供するケアをマネジメントすること、看護職員を人財として統括し・管理し、組織としての看護サービスをマネジメントすることが重要である。
⑤ 日本看護協会は、保健師看護師助産師法で規定されたすべての看護職に共通の看護実践の要求レベルと看護職の責務を示す「看護業務基準」を作成した。その後、看護を取り巻く状況変化等に合わせて見直しがなされた。見直しを経て2016年度改訂版が示された。「看護業務基準」は、「働く場や年代、キャリア等にかかわらず保健師、助産師、看護師、准看護師の全てに共通する核となる部分を示す」と明記された。看護業務基準を解説する。看護職が大きな変化の中にあるからこそ、ゆるぎない看護実践のよりどころとなるものである。看護実践の基準(責務、内容、方法)、看護実践の組織化の基準の内容から、看護実践を考察する。さらに、看護実践の組織化の基準から、看護管理とは何かについて、考察し、看護管理の機能を確認する。
キーワード ① 看護ケアマネジメント ② 看護サービスマネジメント ③ 看護職のキャリアマネジメント ④ 諸制度・行政 ⑤ 効率性と効果性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:教科書6㌻コラム 「看護管理を知ることは、現場でぶつかる壁を突破するカギとなる」を読み、組織のなかでの看護師の仕事について、個人としての観点と全体を捉える観点から、看護管理の意義を考えて臨む。(1時間)
復習:看護管理は実践であり、看護管理の実践に必要な知識を探求する学問領域として位置付けられた「看護管理学」を学習する意義について考える。看護のマネジメントの場は多様である。看護実践領域は、看護の対象者が存在するところのすべてであり、看護実践のあるところすべてに看護のマネジメントが必要である。その理由について考える。(1時間)

2 看護マネジメントプロセス 科目の中での位置付け 看護職の提供するケアとは、対象者が健康上かかえている問題に対する援助である。看護職には2つの役割がある。対象への看護ケアの提供者としての役割があり、もう一つは対象者に提供されるさまざまなケアケアをマネジメントする役割である。看護管理をシステム論に基づいた「看護マネジメントプロセス」の要素を解説し、これからの看護職に求められるマネジメントのありかたまで考察する。基礎看護学実習Ⅱで展開した看護過程の経験から、看護ケアのマネジメントについて考えを深める。そして、看護管理過程と看護過程の共通点、相違点を見いだし、マネジメントの重要性を理解する。さらに看護管理学の研究者であるギリーズの看護管理システムを解説し、事例を用いて看護管理システムのインプット、プロセス、アウトプット、フィードバックをグループワークし、理解する。
系統看護学講座 統合分野 看護管理 看護の統合と実践① 医学書院
第1章
「事例1 入院した患者のADLレベルを低下させないための看護管理」
コマ主題細目 ① 看護ケアのマネジメントと看護過程 ② 看護管理システム(ギリーズ) ③ マネジメントプロセスとPDCAサイクル ④ 事例で考える看護管理システム ⑤ 事例にみる看護管理の要素
細目レベル ① 復習「これからの看護職に求められるマネジメント」の考えを確認し、看護ケアのマネジメントを深めていく。看護ケアとは、対象者が受けるすべてのケアをマネジメントすることである。すなわち、対象者の状態を目標に近づけるために、全ての資源を活用し、看護職のみならず医師や医療関係従事者などの提供するサービスを含めて確認・評価・調整することである。看護職が提供するケアであり、対象者は健康上かかえている問題に対する援助である。ケアとは、現実を目標に近づけようとする問題解決の援助である。看護ケアの提供過程は、問題の明確化(情報収集、アセスメント)、計画立案、実施、評価、改善である。予習での課題から、看護過程の展開における看護マネジメントの視点について考えを確認する。
② マネジメントの考え方には、古典的組織論・人間関係論・近代組織論の3つの基本的考え方に分類することができる。ここではその変遷も踏まえ、システム論にもとづいて、看護管理システムを考える。看護管理におけるマネジメントプロセスの考え方は、看護過程、看護管理過程にも応用できる。看護管理学の研究者であるGillies,D,Aは、看護管理者の仕事を「最も有効で可能なケアを患者およびその家族の人々に与えるために、計画し、組織化し、指示を与え、そして入手できる財政的・物質的・人的資源を統制することである」と定義している。看護管理過程は、看護過程と同じく、データの収集、計画、計画の実行、結果の評価を含んでいる。ギリーズのシステム論を基盤とした看護管理システムを理解する。
③ 看護管理が効果的かつ効率的に看護を提供できる体制や過程を整え、組織の成果を高める活動である。ここでは、システム論に基づく、看護管理のプロセスについて考える。「看護マネジメントプロセス」であるクーンツとオドンネルのマネジメントプロセスの5段階(計画化、組織化、人事課、指揮、統制)を繰り返し実施することを理解し、成果を得ることへとつなげるというプロセスを理解する。また、日常的経営手順であるマネジメントサイクル「PDCAサイクル」すなわち、Plan計画、Do実行、Check確認、Action処置、改善を繰り返すことを理解する。両者が類似していることからも分かるように、マネジメントの本質は、計画を立てて、実行し、評価して改善するという一連の流れであることを理解する。
④ 看護の場には、多様な健康状態、背景、価値観をもつ人々がいる。その個別の状況の中で、最善の行為は何なのかを考え、判断しながら行動することが求められる。看護管理とは、決められた業務を実施させることではなく、看護師一人ひとりが、それぞれの判断で、最善のケアをつくり出していけるような場を作ることである。看護管理システムを理解するために、事例「高齢者患者の入院」を読み、看護師長の立場で情報を整理する。看護管理システム(インプット、プロセス、アウトプット)にあてはめながら必要な情報を整理する。個人ワーク、グループワークで展開する。本事例は高齢者は肺炎や心不全で安静療法を受ける過程のなかで、ADLが低下し、退院後の日常生活に大きな影響を及ぼすことが課題でもある。看護管理者としてインプット(データ、人、設備)、プロセス(データ収集、計画立案、組織化、職員配置、指導、統制)、アウトプット(患者ケア、職員の能力向上)、フィードバック(システム監視・評価)にあてはめて考える。
⑤ 看護実践は、人々が生活を営むあらゆる場に広がっていく。看護があるところには、必ず看護管理がある。ヘルスケア全体のなかで、多様な生活背景や価値観をもつ人々への理解を深め、医療職以外の専門職や一般市民などと連携しながら看護の目的の達成を目指していくことがこれからの看護管理には一層求められる。事例から、以下の7点を考える。①看護の目的に向けた改善の必要性、②自分の課題を部署全体の課題としてとらえる、③組織をとらえて重要人物に働きかける、④組織的に取り組む、⑤資源を有効に活用する、⑥改善を繰りかえす、⑦職員を尊重し、共にケアを尊重する。この事例で看護管理者としてどうすべきなのか、最善の方法を考察する。
キーワード ① 看護管理システム ② マネジメントプロセス ③ PDCAサイクル
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:教科書17㌻のNOTE「看護ケアのマネジメントと看護過程」を読んで、基礎看護学実習Ⅱでの経験をふまえて、考えをまとめる。(1時間)
復習:事例での学びを整理する workで展開した学習を整理する。特に以下のフォーマットで内容をまとめる。インプット(データ、人、設備)、プロセス(データ収集、計画立案、組織化、職員配置、指導、統制)、アウトプット(患者ケア、職員の能力向上)、フィードバック(システム監視・評価)(2時間)

3 看護ケアのマネジメント 科目の中での位置付け 看護の対象者が受ける全てのケアをマネジメントすることであり、対象者の状態を目標に近づけるために、全ての資源を活用し、看護職のみならず医師や医療関係従事者などの提供するサービスも含めて確認・評価・調整することである。提供するケアがつねに適切であるか、またより良いものとなるように努めなければならない。看護ケアのマネジメントにおける看護職の機能と役割を理解する。看護職は看護ケアの提供を職務とするとともに、提供されるケアの質の調整、展開、評価などに対して責任をもつことも職務としている。責任をもったケアの提供には、看護ケアのマネジメントが必要になる。看護ケアのマネジメントにおいては、特にその基礎となる看護職としての機能を理解し、対象者の権利の尊重、安全管理、チーム医療を看護業務の実践にいかさなければならない。
系統看護学講座 統合分野 看護管理 看護の統合と実践① 医学書院
第2章
209~210㌻看護業務の基準
コマ主題細目 ① 看護職は専門職か ② 看護ケアのマネジメント ③ 看護ケア提供者としての機能 ④ 提供されるケアをマネジメントする者としての機能 ⑤ 日常業務のマネジメント
細目レベル ① 看護職が「専門職」であるかという議論が続けられてきた。職業的な自立と実質的な自律性の確保において、看護師は専門職としての要件を満たしていると考える。専門職=プロフェッションは、法律家、聖職者、医師の3つの仕事に起源を持ち、現在、労働基準保第14条の「専門的知識などを有する労働者」によると、公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士、弁理士であり、資格を有するものとされている。看護職は属していない。看護師の専門職性、プロフェッションの特徴を理解したうえで、私たちが提供するケア、サービスは、仕事への責任の大きさや公共性によって社会から信頼を得る必要性を理解する。
② 看護職の提供するケアとは、対象者が健康上かかえている問題に対する援助である。看護職には2つの役割がある。対象への看護ケアの提供者としての役割があり、もう一つは対象者に提供されるさまざまなケアケアをマネジメントする役割である。看護ケアのマネジメントにおける看護職の機能と役割を考える。まずは、対象者への看護ケア提供者としての役割と対象者に提供されるさまざまなケアをマネジメントする役割である。看護ケアのマネジメントとは、対象に提供されるべきケアを、対象ごとに個別にマネジメントすることである。対象者に提供されるべきケアは、看護職が提供するケアだけに限らず、医師はもちろん、医療関係職種や対象者の療養生活にかかわるすべての人々によって提供されるものである。
③ 看護職は、具体的な看護ケアの実施者として、対象者やその家族に直接接し、対象者のかかえる問題を個別に明らかにするために現状をアセスメントし、目標とする状態に近づけるためにケアの計画・実施・評価などを行う。しかし、ケアの提供が適切になされるためには、看護職によるケアの実施だけでは不十分であり、対象者自身が、みずからの健康状態について関心を持ち、ケアの提供者とともに健康問題に対応することが不可欠である。医療従事者が使用する言葉は、専門用語も多く、その理解のためには、医療の専門的な知識が必要な場合が多い。医療従事者は対象者や家族の求める情報をわかりやすく説明する義務を持っているが、対象者がすべてをすぐに情報を正しく理解することができるとは限らない。そこで、看護職が担う機能には、看護ケアの実施者、翻訳・解説者、情報提供者、教育者の4つがある。
④ 提供されるケアをマネジメントする機能には、アドボケーター、コーディネーター、コンサルタント、イノベーター、マネジャ―を担う。アドボケーター(代弁者)は、対象者が医療従事者からの指示のすべてを受け入れることが困難な場合に対象者の立場に立ち、医療従事者の提示する方針と対象者の受け入れ可能な範囲の妥協点をさぐる機能である。コーディネーターは、対象者に必要なケアが、適切に提供されるように、看護職や他職種のスタッフの提供するケアの調整を行う。コンサルタントは、対象者の相談役、および職種間の内外を問わず、ケアの提供者の相談役である。イノベーター(変革者)は、既存の方法、考え方などに固執せず、エビデンスを踏まえて、目標に応じた新しい方法・考え方の導入を促進し、そのための調整を行う。マネージャーは、ケアの提供を管理・監督し、財政的資源上でも効率的にケアの成果が表れるように調整を行う。
⑤ 日常業務のマネジメントは看護業務の実践である。看護業務とは、「保健師助産師看護師法」により規定されている範囲内において行う業務である。医業(医師法第17条)と保助看法第5条、37条で定められた診療の補助と療養上の世話について解説する。また、日本看護協会が示す「看護業務基準」を読み解く。看護業務基準は、看護職の職務を記述したものであり、看護実践の行動指針となり、かつ、職務の範囲を保証するとともに評価の枠組みを示すものである。看護職は常にその業務が職務として適切かどうかを判断することが必要であり、そのための指針として基準を活用することが重要である。
キーワード ① 専門職の規準 ② 看護業務の範囲 ③ 看護業務の責務、内容、方法 ④ 看護基準 ⑤ 看護手順
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:看護職は医療と生活の両面から人々を支援できる唯一の医療職であり、これからの社会で重要な役割を果たすことが期待されている。「看護者の倫理綱領」を確認し、看護職が専門職か。自分考えをまとめて臨む(1時間)
復習:「看護者の倫理綱領」と化学的根拠に基づく判断をもって、自信と勇気をもって他職種と関わり、実践すること、自らの職業に誇りをもって専門職集団に所属し社会的活動を行うとともに、常に学び続ける。看護専門職として、今後の行動のあり方を考察する。(1時間)

4 看護サービスマネジメント(組織として看護サービスをマネジメントする) 科目の中での位置付け 看護サービスマネジメントとは、看護管理者によって行われる一連の活動である。患者対看護師の一つひとつの「ケア」を、組織的な「看護サービス」としてマネジメントすることである。看護サービスマネジメントの機能は、よりよく、円滑な看護サービスの提供を目的とするものであり、その過程には、計画・組織化・指揮・統制が含まれる。また、看護サービスは、一人の看護職のみで完結するものではなく、多くの場合、複数の看護職がチームとしてあるいは交代制によって24時間、365日サービスを提供している。したがって、継続的で一貫性のある看護サービスを提供するためには、サービスの提供を担当する人々の組織が必要となる。多岐にわたる職種・職場・就業形態において、業務をよりよく円滑に行うためのしくみが、看護サービスマネジメントである。
系統看護学講座 統合分野 看護管理 看護の統合と実践① 医学書院
第4章
78~80㌻、86~95㌻
コマ主題細目 ① サービスとは ② 看護サービスの管理 ③ 看護サービスのマネジメントの対象と範囲 ④ 看護サービス提供のしくみ(看護単位) ⑤ 看護サービス提供のしくみ(看護提供システム、看護提供方式、看護方式)
細目レベル ① サービスとは、人間や組織体に何等かの効用をもたらす活動であり、市場で取引の対象となる活動である。サービスの特徴は無形性、生産と消費の同時性、顧客との共同生産性、結果と過程の等価的重要性の4つで、看護サービスの特徴も同じである。看護実践に照らし合わせ、このサービスの特徴を理解する。看護サービスは、形がなく、目に見えるものではないため、サービスを受ける前にはそれが満足いくものかどうかわからず、患者を不安にさせることもある。患者を中心としたサービスを提供する必要がある。質の高い看護サービスを常に提供するためには、サービスの特性をふまえた検討が必要である。サービスは活動であるため、看護サービスにおいては、サービスを生み出す看護師の知識、技術、態度が品質のカギを握っている。
② 看護サービスマネジメントは、「安全で質の高い看護サービスを提供するために運営すること」といえる。それは、看護部門における最優先事項でもある。看護を提供するためには、多くの人的・物的資源が必要であり、また情報も必要である。資源を効果的に活用し、管理する視点が求められる。いかに効率的に高い品質を維持し、サービスの受け手である患者および療養者、家族の満足度を高めるかが、マネジメントの主眼となる。サービスの品質の評価には、信頼性、対応の良さ、安心感、共感、有形物の5つが重要な指標である。良質なサービスの決定要素として信頼性は最も重要である。対応のよさは、質問への速やかな対応や状況の変化での柔軟な対応が含まれる。安心感は、豊富な知識、正確な技術、誠実な態度により、信用を得て、安心感を高める。患者は看護師かが自分に関心を抱いてくれたと感じる関り、ヒトとして大切に扱われたと感じる配慮で共感する。サービスは無形である。しかし、目に見える建物、椅子、掃除の行き届いた廊下、生き生きと働く人の姿などの目に入った品質で第一印象を抱く。
③ 看護サービスマネジメントの目的は、組織の理想とする看護サービスの提供であり、それを効果的・効率的に行うことである。看護サービスを提供する看護職が就業する場所は様々で、病院、診療所、助産所などの医療施設、高齢者施設などの福祉施設や訪問看護ステーション、さらに健康の保持増進を目的とした保年所、保健センターなどもある。多岐にわたる職種、職場、就業形態において業務を円滑に行うためのしくみが看護サービスマネジメントでもある。その目的は、組織の理想とする看護サービスの提供であり、それを効果的かつ効率的に行うことである。主な対象は人的資源、物的資源、剤的資源である。また時間管理も重要で時間はすべての活動において消費されるので有効で効率的にマネジメントする必要ある。
④ 看護のサービスマネジメントにおいて、看護単位の区分や看護ケア提供システムの選択は組織の理念や目標達成のための実現の方法である。看護単位とは、看護組織の区分のひとつである。特定の場において特定の機能を果たす看護職の集団である。看護単位の区分は、受療形態の違い、診療科による区分、PPC方式(対象が必要とするケアレベルに応じた区分)がある。看護単位の機能には患者の受療行動、診療科、疾病、発達段階、性別などによる特徴が生じる。看護単位のマネジメントには、その単位内の職員のマネジメントのみだけではなく、当該看護単位内対象者、および対象者に対するサービスマネジメントが含まれる。看護単位の機能を理解して、サービスを受ける対象者の集団の特徴を理解することが重要である。
⑤ 医療提供施設において取り入れられている看護ケア提供システム(看護提供方式、看護方式)には、チームナーシングシステム、プライマリーナーシングシステム、患者受け持ち方式、機能別看護方式などがある。看護サービスを提供する看護職の構成、対象とのかかわり方、看護ケアに対する責任や業務の割りあて方などにより特徴がある。看護チームの構成員としての看護職一人ひとりの役割が重要であり、一人だけでサービスを提供することができない。一人ひとりがどのような看護ケア提供システムの中で機能しているのか、さらにそのシステムの中で個人がどのような位置づけにあるかを理解したうえでサービスを提供する必要がある。看護ケア提供システム(看護提供方式)の種類について、開発の背景、概要、特徴(長所、短所)、組織構成図および指示の流れ図から理解する。看護提供方式の種類から、最新のものを含め、機能別看護方式、患者受け持ち方式、チームナーシング、プライマリーナーシング、固定チームナーシング、モジュール型継続受け持ち方式、パートナーシップナーシングシステム、セル方式までを理解する。ここでは、グループ学修を行う。
キーワード ① サービスの特徴 ② 看護単位 ③ 看護提供方式 ④ ⑤
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:サービスとは、人間や組織体に、なんらかの効用をもたらす活動であり、市場で取引の対象となる活動である。これまでの社会活動経験などを通して、「サービス」をうけた経験を考えて臨む。(1時間)
復習:医療提供施設において取り入れられている看護ケア提供システム(看護提供方式、看護方式)には、チームナーシング、プライマリーナーシングシステム、患者受け持ち方式、機能別看護方式などがある。①看護サービスの提供する校正、②対象とのかかわり方、③看護ケアに対する責任や業務の割り当て方などの特徴を整理する。(1時間)

5 組織目的達成のためのマネジメント 科目の中での位置付け 組織としての目的を達成するためのマネジメントについて考える。看護部門としての組織目的達成には、理念の形成・浸透のために、いつ、どこで、だれが、なにを、どのようにするのかを計画し、組織化することである。看護管理の対象のなかで、組織は大きな要素を占めている、看護を担う看護師たちが一人ひとりの持つ能力を発揮し、またそれらを総合してより良い看護の提供ができるかどうかは、小さくは看護チーム、大きくは看護部門や病院という組織の運営が効果をあげられるかどうかによる。組織についての知識を理解し、組織の効果的な運営の方法やさらに組織をどのように効果があげられるように変化させることができるかについて学ぶ。
系統看護学講座 統合分野 看護管理 看護の統合と実践① 医学書院
第4章80~86㌻、第5章137~144㌻
コマ主題細目 ① 組織とは ② 組織化、組織図 ③ 組織の理念 ④ 個人と組織のかかわり ⑤ 医療機関の組織構造
細目レベル ① 組織とは「2人以上の人々の意識的に調整された活動の諸力の体系」(バーナード)と定義されている。人は何らかの組織に所属し生活している。家族、学校、会社、そして市や町といった地域社会も組織の一つである。組織がうまく機能するためには、組織を構成する複数の人がともに活動する仕組みが必要である。組織理念によって構成員が共有すべき活動の意義や目的を明確に示すこと、組織化によって目標達成に必要な活動のまとまりを作り分担して行うこと、会議や委員会を設置して意思決定するしくみを作ること、また指示命令系統を明確にしてそれぞれの構成員の活動が調和のとれたものになるよう統制することが必要である。さらに目標を共有し、それぞれの思いや考えを伝え合うコミュニケーションのしくみが不可欠である。組織の成り立ちを決める要素(組織をけん引する役割、指示を全うする役割、職務、権限とマネジメントの階層)を理解する。
② 組織化とは、組織構造を設計し組織図に示すこと、組織図にある部門の業務を明確にすること、委員会やチームを編成すること、人員を配置することであり、理念や方針の実現のために、組織づくりをはじめとする人の配置やシステム構築などを行う機能である。組織化のなかに含まれる重要な要素の一つが、組織図を作ることである。組織図とは、仕事の指示命令系統(コミュニケーションルート)と責任や権限の所在と範囲を図式化して明示するものである。組織構造には、その基本となる組織原則がある。近年の組織構成では、意思決定を促進することを目ざして、職能別組織から事業部制組織へとなってきている。組織の目的達成に向けて、組織構造をデザインするようになってきている。
③ 組織の理念は組織のもつ価値観を表したものであり、理念には、①組織の存在目的や事業(ミッション)、②組織の願望・理想像、展望、あるべき姿(ビジョン)、③組織の価値(バリュー)が明示される。ミッションは私たち(の組織)は何のために存在しているのか、ビジョンは私たち(の組織)の目指すものは何か、そしてバリューは私たち(の組織)が大切にしていることは何かを示している。組織は理念を掲げることで、その存在を意味づけられる。組織の理念は、所属する人々や組織を利用する人々に示され、組織の目標や事業計画にも反映されている。また、すべての組織は社会の一機関であり、社会に対して貢献する責任がある。組織理念が公表され、社会の人々がそれぞれの組織の存在を認めていくことになる。
④ 個人と組織の関わりは、個人を組織の人材としてとらえる視点と、組織の中での活動を通して成長発達しながらも人生を歩む人としてとらえる視点の両面から考えることができる。組織は個人の能力を生かす役割や仕事を与え、組織にとって必要な能力を高めるように教育によって育てる。そして、健康を害することで労働力が低下することがないように労務管理を行うなど、個人を組織の目標達成のための人材としてとらえる。個人が組織の一員として自律して活動できるようになるには、組織の規範や価値観を学び、それを受け入れて組織に適応していく過程が必要である。看護職などの専門職業人は、職業固有の価値や態度、技能を内面化していく必要があり、その過程を職業社会科という。看護職の職業社会化の過程と組織社会化の過程を考える。
⑤ 医療機関の組織構造は、病院組織の特徴をふまえてその構成を理解する必要がある。病院に従事する職員の多くは、法律で定められた国家資格をもつ専門職であるという特徴がある。これら専門職は、専門領域を担当する集団として部門を形成している。病院の組織構成は、病院管理者をトップに、診療部門、看護部門、医療技術部門、事務部門がある。職能ごとにまとめて構成される職能別組織が多い。ほかに事業部制組織、マトリックス型組織もある。組織の目的達成に向けて組織構造をデザインする。日本では診療報酬上の一看護単位を一つの病棟として機能させることが多い。そこでの組織形成をライン型組織形態とスタッフ機能について理解する。委員会やプロジェクトチーム、ワーキンググループについても考える。
キーワード ① 組織理念(ミッション、ビジョン、バリュー) ② 職業社会化 ③ 組織社会化 ④ ライン型組織 ⑤ スタッフ機能
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:組織目的達成のためのマネジメントをすることは、マネジメントの課題でもある。看護部の組織化とそこで提供する看護ケアの質が病院の経営状況に影響するほどである。看護職員としてすべきことは何かを考えて臨む。(1時間)
復習:職能別組織と事業部制組織について、それぞれの特徴と具体例をまとめる。また、講義で提示した組織構造の例における報告のあり方を考える。(1時間)

6 看護職のキャリアマネジメントと人的資源管理 科目の中での位置付け 看護職としてのキャリアについて、自律した一人の看護職となるためには、免許を得る前の学生の時期から、そして働き始めたあとも、さまざまな学習をしたいり、経験をすることが必要となる。一人ひとりが専門職としてのキャリアを考え、自らをマネジメントする(キャリアマネジメント)することが求められる。自らが主体的に自分のキャリアを計画的し、組み立てていく「キャリアデザイン」と組織と個人のかかわりあいを通しで、組織が求める人材の育成と個人のキャリア目標の両方が実現できるよう、キャリアを形成していく「キャリア開発」について学修する。また、質の高い看護の提供において、「人(看護師)という資源を育み、組織として質の高い看護を実践できるようにマネジメントする」視点から学ぶ。
系統看護学講座 統合分野 看護管理 看護の統合と実践① 医学書院
第3章
第4章 96~110㌻
第6章 173~179㌻
コマ主題細目 ① 人材マネジメント ② 専門職とキャリア開発 ③ 継続教育と現任教育 ④ キャリアマネジメント ⑤ ワークライフバランスと労務管理
細目レベル ① 保健・医療・福祉組織は、対人的サービスを提供するヒューマンサービスの組織である。サービスの提供限はヒト(人的資源・人材)であり、重要な財産であり、資源である。組織にとって人材とは、業務を遂行するために必要な存在である。組織がよりよいサービスを提供するためにも、人材管理は最も重要である。人材を採用し、訓練し、やる気を与え、その能力を維持することに関連するマネジメント機能を人的資源管理という。人的資源管理のプロセスは、戦略的な採用計画を策定し、募集と選抜・採用、人材育成(オリエンテーション、研修、配置、異動)、評価管理、報酬・処遇の決定でその結果として組織の成果をもたらす。この一連のプロセスについて学修する。
② キャリアとは、仕事に就き、働き始めて以降の連続する経験の積み重ねをいう。個々人が自ら経験を積み重ね、仕事をする職業人として、知識や技能だけでなく成長していくことをキャリア発達という。看護師としての専門性を高め、看護の質が保証できるように、人的資源管理の一貫として看護師のキャリアを視野に入れたキャリア開発が必要であることが理解できる。看護職の多くは、常に学びたいという学びのニーズが高い集団でもある。人材育成のためには組織が目指す人材育成像を明確にすること、そこに向かって管理的戦略を立てて、継続教育の機会を創ることが優れた人材を育成することにつながっていく。保健師助産師看護師法、看護師等の人材確保の促進に関する法律、日本看護協会の倫理綱領から、学び続ける必要性を考える。
③ 看護職は、看護基礎教育を終え、免許を取得したのち、それぞれの就業場所において経験とともに技能を高めていく。そのために、看護職の技能形成には新採用時の教育・研修や経験が重要である。2010年厚生労働省から新人看護職員研修ガイドラインが出された。看護職が職業を継続していくために、新人教育・研修は重要な役割を果たすものである。看護継続教育とは、自己学習はもちろん、組織の目的を達成するために必要な人材の育成を目的とした職場内居郁を含めた様々な種類の現任教育を意味している。看護職の継続教育には、新人教育・研修のほかに、現職者を対象とした核技術教育研修、キャリアラダーなどのレベル別(段階別)教育、領域ごとの専門教育、主任や看護師長な度を対象とした管理者研修、職階別教育研修、組織の状況に応じたトピックス研修などがある。
④ 看護職としてのキャリアについて、自律した一人の看護職となるためには、免許を得る前の学生の時期から、そして働き始めたあとも、さまざまな学習をしたいり、経験をすることが必要となる。一人ひとりが専門職としてのキャリアを考え、自らをマネジメントする(キャリアマネジメント)することが求められる。キャリアとは、生涯を通した職業や仕事の経験とともに人の生き方そのものを意味するととらえ、働く人々の生活全般や人生、生涯にかかわるものとする。個人の側面から見たものをキャリア発達、組織がその構成員のキャリア発達を促進する行為をキャリア開発としている。キャリアデザインとは、目標達成に向けて段階的に自己目標を設定しながら自分自身のキャリアを計画することである。キャリア発達は試行期、確立期、維持期、衰退期の4つの段階で説明することができる。シャインのキャリアアンカー、キャリア発達に重要なメンタリング、キャリアラダー、クリニカルラダー、マネジメントラダーについても理解する。
⑤ 労働環境は組織の人材が労働するための条件(労働条件)を含む職場の環境をいう。労働条件は「労働基準法」による最低基準を踏まえ、就業規則などに明示されている。労働基準法については、保健福祉行政論で学習する。「仕事と生活の調和」を意味するワーク・ライフ・バランスという言葉をよく耳にするようになった。日本看護協会によると、ワーク・ライフ・バランスは、「個人それぞれのバランスで、仕事と生活の両立を無理なく実現できる状態」とされている。仕事と生活のバランスは、人によって異なる。また、同じ人でも人生の時期によって異なる。仕事を頑張りたい、仕事の時間を充実させたいと思う時期は、仕事の比重が多くなることもあれば、その逆もある。バランスとは仕事と生活が均等であるということではなく、その人にとって無理なく両立できるつり合いの状態である。人生の中で自分にとってのよいバランスを、自分自身がその時々で考え選択していくことが大切である。看護職とワーク・ライフ・バランスについて理解する。
キーワード ① 人材フロー ② 新人看護職員研修ガイドライン ③ 継続教育と現任教育 ④ キャリア ⑤ ワークライフバランス
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:予習:66㌻column「キャリアプランを考えよう」を読み、自分の将来設計であるキャリアプランを考えて臨む。一社会人として、一職業人として、どのような生活をおくっていくのか、どうなりたいのか、などを考えて臨む。(1時間)
復習:看護専門職者として成長しつづけることと、結婚や出産、育児、介護などのさまざまなライフイベントに遭遇しながら、働き続けるために必要な看護職のワーク・ライフ・バランスについて、自分の将来設計における生活の充実と仕事の充実を両側面から考える。(1時間)

7 医療安全と看護を取り巻く状況,医療安全に関する基礎知識 科目の中での位置付け 日本で医療の安全が社会問題として大きく取り上げられるようになったのは1999年に発生した手術患者の取り違え事件がきっかけである。医療安全を学ぶ意味とその重要性ついて,事例をもとに考えていく.安全とは「危険がない状態」であるが、医療においては、事故の発生がゼロということは現実的ではない。WHO患者安全カリキュラム多職種版2011では、安全(Safety)とは、「不必要な害のリスクを許容可能な最小限の水準まで減らす行為」としている。医療安全に関する歴史をとおして、医療安全の概念の定着と政策、関連法規を学び、過去の事例から専門職としての責務を理解する。人間はなぜ間違いをおかすのか,人間の行動モデル,看護職を選ぶことの重さと安全努力の責務について考えるそこで,医療安全で用いられる基本的な用語の用い方を理解することは、重要なことである。医療安全に関しては、類似した様々な用語がある。これは、医療安全は、海外(特にアメリカ)や航空業界から導入してきたところが多く、複数の訳語が用いられてきたことや、医療安全に関する視点(法的責任の視点、組織マネジメントとしてとらえる視点、現場で業務を行う人のヒューマン・エラーを防止する視点等)の違いによる。用語を正しく理解した上で適切に用いることが、誤解を招くことなく、質の高い医療や看護サービスにつながるものである。また,ICN看護師の倫理綱領,日本看護協会の看護職の倫理綱領を概観し,倫理的価値観,責任,職務上の責任について考える.

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第2章
コマ主題細目 ① 医療事故の定義と分類,医療安全管理者 ② インシデントレポート ③ 医療事故情報収集事業と収集された事医療事故情報やヒヤリ・ハット事例の使い方 ④ 安全文化の醸成 ⑤ 事故分析
細目レベル ① 医療安全に対する歴史的背景から医療安全の概念が定着した背景と政策を理解する。看護師が係わった主な歴史的医療事故から医療専門職としての責務を考える。医療安全は、医療や診療の過程で患者が不必要な傷害を受けないことであり、そのための予防や改善活動といえる。
看護師が専門職として責任をとわれた医療事故には、1951(昭和26)年のヌペルカイン事故をはじめとして、褥瘡裁判、患者取り違え事故、エタノール誤注事件などがある。授業では,1999年の横浜市立大学病院手術患者取り違え事故概要,判決事例から,教訓を得た医療安全の推進・対策を学ぶ。

② 医療安全に関連する法的規定を理解する。
医療法は、病院、診療所、助産所の開設、管理、整備の方法などを定める法律として1948年(昭和23年)に公布された。医療を受ける患者の利益の保護及び良質かつ適切な医療の効率的な提供体制の確保を図り、国民の健康の保持に寄与することを目的としている。医療の安全確保(医療の安全の確保のための措置、医療事故調査・支援センター)などが記されている。医療法は、社会環境の変化に応じて改定される。2002年に医療法施行規則において病院や有床診療所に安全管理体制を確保することが義務づけられた。2015年から医療の安全を確保するために医療事故の再発防止を行うことを目的として医療事故調査制度が施行された。また、医療安全対策の整備の促進のため、2006年から医療安全の取り組みが診療報酬上で加算評価された。

③ 看護の業務上の事故に伴い問われる法的責任を理解する。
看護の業務上の事故に伴い問われる法的責任には、❶刑事上の責任、❷民事上の責任、❸行政上の責任(行政処分)がある。❶は主に個人の責任で、業務上過失傷害罪、業務上過失致死罪(刑法211条)の罪責、❷は診療契約に基づく安全な医療・看護を提供する責任が果たせなかったとして、民法第415条(債務不履行責任)、第709条(不法行為責任)に基づき問われる責任、❸は看護者が医療事故等によって罰金以上の処罰を受けた場合に、保健師助産師看護師法第14条に基づき、免許の取り消し、業務の停止、戒告の処分が行われる。

④ 医療安全に関する用語として、特に医療事故、医療過誤、インシデントの使い方を正しく理解する。
。医療に関連して何らかの被害が発生した場合は、過失の有無により、①医療事故(過失の有無は問題としていない。アクシデント、有害事象と同義)と②医療過誤(行われた医療行為に明らかな過失や誤りがあった場合)に区分される。③医療紛争(医療行為に関連して医療関係者にクレームがついた状態)
間違った行為があったが、事前に修正され、患者には間違った行為が実施されていない場合には、④潜在的医療事故(インシデント、ヒヤリ・ハットと同義)という。
患者へのインシデント、アクシデントの影響度を分類したものも使われている。失敗の有無にかかわらず、患者への結果に着目した分類を⑤オカレンスといい、医療の質評価に有用である。


⑤ 事故発生のメカニズムについて,人間の特性の観点から、ヒューマンエラーによるミスの分類を理解する。
「エラー(失敗)」は、計画した行為が達成されないことをいう。エラーが起きやすく、そのための被害や損害の可能性が高いとき、危険性が高いという。人は誰でも間違える(To Err is Human、米国医療の質委員会)といわれている。エラーに結びつく人間の特性を、生理学的、心理学的、認知的から学ぶ。ヒューマンエラーとは人間の持つ特性が、人間を取り巻く環境とうまく合致していないために、結果として誘発されたものとされ、人間と環境の不整合から起こるものといわれている。ヒューマンエラーによるミスは、動作のミス(アクション・スリップ)、記憶のミス(ラプス)、確認ミス(ミステイク)の3つに分類される。


キーワード ① 医療安全 ② 形事上・民法上・行政上の責任 ③ インシデントレポート ④ ヒューマンエラー ⑤
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【予習(2時間)】1999年の医療事故の概要(手術患者取り違え事故,消毒薬誤点滴事故)を調べ授業に臨む
【復習(2時間)】https://www.nurse.or.jp/nursing/practice/rinri/pdf/tumecare.pdfを読み、看護行為(爪のケア)について2007年に看護師が「爪のケア」で傷害罪に問われ、刑事裁判にまで発展した掲示裁判事例について、日本看護協会、「爪のケア」に関する刑事裁判判決をうけてを読み,看護の責任について考察する
2007年に看護師が「爪のケア」で傷害罪に問われ、刑事裁判にまで発展したが、看護職能団体が本事例の爪のケアは、虐待ではなく看護ケアであるとの見解を公表して支援したケースをとりあげる。看護行為の正当業務行為性と、看護職能団体の働きかけについて考える。
ヨリソルに資料あり

8 組織的な医療安全管理体制の取り組み 科目の中での位置付け 国,医療法,看護職能団体,診療報酬における医療安全対策について知り,組織で取り組む医療安全推進の考え方、取り組みの姿勢を学ぶ。
事故のほとんどに,人間に間違いをおかしやすくさせた,あるいは間違いの発見を困難にした医療システムや組織上の問題が存在する.組織的な安全管理体制の整備について,国,医療法,看護職能団体,診療報酬における医療安全対策について考えていく.国および医療機関,医療関係団体の示している医療事故などの定義・分類を厚生労働省,国立病院機構,大学医学部附属病院,日本看護協会,日本医師会の分類,「患者影響レベル」の指標に基づく,分類を知る.そのうえで組織で取り組む体制である医療安全管理者の配置,位置づけと業務を学ぶ.医療事故への対応について,事故発生前と発生時に医療安全管理者の業務がある.医療事故への対応と医療事故の予防および再発防止のための安全文化の醸成について取り上げる.インシデントレポートは何のためにおこなうかを学ぶ。レポート内容から、事実の確認、再発防止策の立案などが実施されてはじめて、失敗から学ぶことができる。報告者は事象について要点を整理して記述するが、収集する側は、報告された事例の中から何が事故防止の観点から重要な情報かを判断しなければならない。さらに収集した情報をもとに事故分析の分析手法を学ぶ.

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第2章
コマ主題細目 ① ハインリッヒの法則 ② 看護業務の範囲と安全 ③ 医療法 ④ 医療安全管理者 ⑤ 事故分析
細目レベル ① ハインリッヒの法則からインシデントレポートの必要性が理解できる。医療現場の事例をスイスチーズモデルで説明できる。
重大事故が1件発生した背後には、中等度の事故29件があり、さらにその背後には300件のニアミスなどの軽微な事故があるという経験則(1:29:300の法則)を「ハインリッヒの法則」という。このことは、ニアミスなどの「インシデントレポート」が必要となることを示している。インシデントを報告する意義を理解する。
医療機関のインシデントレポートシステムでは、重大な事故の報告であっても、ヒヤリ・ハットの報告であってもすべての出来事を「インシデント」とよんでいる場合が多い。インシデントを報告する意義は、❶患者安全の確保、❷事象の共有、❸透明性の確保、❹組織的な支援、❺組織的な改善などである。これらの報告されたレポート内容から、事実の確認、再発防止策の立案などが実施されてはじめて、失敗から学ぶことができる。報告者は事象について要点を整理して記述するが、収集する側は、報告された事例の中から何が事故防止の観点から重要な情報かを判断しなければならない。「スイスチーズモデル」は、英国の心理学者ジェームズ・リーズンが提唱した事故モデルである。事故は単独で発生するのではなく、複数の防御壁をすり抜けて発生する状態をスイスチーズにたとえて説明したモデルである。スイスチーズモデルの「防護壁」は、当該危険に対して設けるすべての安全対策(物理的、知識、技術的、組織的等の安全への取り組みなど)を意味している。そしてその防護壁を重複することによって事故を何重にも防止して、安全を維持しようとしている。しかし、これらの防護壁の脆弱な部分や連鎖的なエラーの隙を通過して事故が発生してしまう。

② 医療における「してはならないこと」とは,患者の傷害につながる間違いや不適切な行為のことである.危険を伴う行為が日常的に行われ,使い方を誤ると生命にかかわる薬剤も多く,行為の間違いは重大な結果をもたらしやすい.「するべきこと」とは,間違いをおかさなくても事故は起こるということである.医療行為自体に伴う危険や患者自らが持つ危険による発生する事故もある.これらには,事前に患者ならびに医療行為の危険を予測して事故を防止しなければならない.法的には,「してはならないこと」や「するべきこと」の判断となる医療水準に照らして過失が判断される.看護業務において,患者に予期せぬ不幸な事態が生じないために,どのような「してはならないこと」「するべきこと」があるのかを学んでいく.
③ 医療法における医療安全対策について,2002年の医療法施行規則において,病院および患者を入院させるための設備を有する診療所は,医療安全管理体制の整備を行うことが法的に義務付けられた.第5次医療法改正時の医療法施行規則第1章の2「医療の安全の確保」を読み,医療現場での安全管理体制を学ぶ.また,2003年の医療安全支援センターが設置され,患者・家族等からの医療機関への苦情・相談への迅速な対応が可能となり,医療機関における医療安全への取り組みが地域住民に見えるようになった.さらに2014年第6次医療法改正において,医療事故調査制度が法制化された.すべての医療機関において,医療に起因し,または起因すると疑われる死亡・死産の事故調査の実施が義務付けられた.事故発生から,報告,遺族への説明に流れを学ぶ.また,医療事故の報告制度については,公益財団法人日本医療機能評価機構では、2004年度より医療法施行規則第12条に根拠をおく医療事故情報収集事業をおこなっている。本事業は、医療事故の発生予防・再発防止を目的とし、複数の医療機関などから幅広く事故などの事案に関する情報を収集し、これらを総合的に分析した上で、その結果を広く情報提供している。どこに対しても中立的第三者の立場をふまえ偏りのない分析をすることと、わが国で発生している医療事故の現状を広く社会に公表することが求められている。また、本事業で医療事故やヒヤリ・ハット事例情報が適切に活用され、医療提供のしくみやシステム、モノ」の改善が進み、医療機関に安全の文化が熟成され、さらに事例情報の報告の質が上がってくるという、医療安全の好循環が生じていることを目指している。
④ 日本看護協会は,看護専門職の職能団体として,国民に対してより質の高い看護サービスを提供するために,看護実践の質の改善,看護職の資質の向上と社会的地位の向上,国民の健康と福祉の向上を目指し活動している.中でも医療安全への取り組みについては,1999年の事項を契機にリスクマネジメント検討委員会の発足,医療・看護安全対策室の設置し,医療安全情報の発行と医療事項に関与した会員支援を始めた.その後,リスクマネージャ―養成研修(医療安全管理者養成研修)を開催し,医療安全の支援体制を構築している.現在行われている支援事業には,医療安全に関する情報提供,事故発生時の対応,医療安全管理者養成研修修了者の支援体制づくり,看護職賠償責任保険制度を創設し,医療事故が起こった場合に看護職に不当な賠償請求がされないようサポートしている.1999年の医療安全元年から,20年余りが経過し,医療の高度化に伴うさまざまなリスク対応とともに,患者中心の医療提供という観点から安全対策に取り組む体制は評価され,病院の報酬の対象となっている.2006年度の診療報酬改定では,医療安全対策の施設基準を満たし他施設への入院基本料における50点(入院初日)の加算が認められた.そこでは,「適切な研修を修了した専従の看護師,薬剤師等が医療安全管理者として配置されていること」が基準として求められた.2008年には,医療機器安全管理料,2012年には,病棟薬剤業務実施加算,感染防止対策地域連携加算,患者などからの相談体制を整備している医療機関の評価として患者サポート体制充実加算が加わった.2018年には医療安全対策地域連携加算が新設された.それぞれを見ていく.
⑤ 医療安全に関する分析手法として、「断面的な要因分析手法(①4M(要因)5E(対策立案)分析、②p-mSHELL分析、③KJ法など)」と「時系列分析手法(④根本原因分析(RCA)、⑤医療用不具合モード影響分析(HFMEA)、⑥危険予知トレーニング(KYT)」を理解する。
①4M5E法は、4つのM(Man;ヒト、Machine;設備、機器、Media;環境、Management;管理)の視点から要因を抽出し、これらの要因に対して5つ(Education;教育・訓練、Engineering;技術・工学、Enforcement;強化・徹底、Example;模範・事例、Environment;環境)の視点から対策を検討する要因対策対応式(マトリックス式)の分析手法。②SHELL分析は、システムの中心にL(当事者)を、その周辺にS(Software;ソフトウエア)、H(Hardware;ハードウエア)、E(Environment;環境、)L(Liveware;当事者以外の人々)の4つの要因を配置し、各要因間に問題がないかを分析する手法。このSHELLモデルに管理managementの“m”と患者patientの”p”を追加したものがp-mSHELLである。③KJ法、なぜなぜ分析、特性要因図など④根本原因分析(RCA;Root cause analysis)は、不具合や事故が発生した後に行うもので、背後に潜む原因を探る方法。⑤医療用不具合モード影響分析(HFMEA;Health Failure Mode and Effect Analysis)は不具合を工程に従ってその予測を立て、不具合の発生頻度や重大性により優先順位をつけ、不具合の発生前に対策を講じる。⑥KYT(危険予知トレーニング)は、ある場面を提示して、その場面にはどんな危険が潜んでいるか(危険のポイント)」を見いだし、「私たちはこうする(危険対策)」などと展開していき、個人・チームの安全行動を積み上げていく。KYTは危険性を感じ取る感性を養い、安全性を高める教材の一つとして役立っている。

キーワード ① ハインリッヒの法則 ② 医療安全対策 ③ 医療安全管理者 ④ 4M5E分析 ⑤ KYT
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
看護管理の概念
筆記試験
看護管理は、看護管理者だけのものではなく、看護学生を含めてすべての看護職が看護活動を効率的、効果的、創造的に行うために必要な能力であり、看護の目的を果たすための機能である。効果的かつ効率的に看護を提供する体制や過程を整え、組織の成果を高める活動が看護管理である。看護の目的に向けた活動が、効率的に行われ、最終的に最大の成果を得られるようにすることである。この内容について説明ができる。 看護管理の定義、効率性と効果性、組織と個人 10 第1回
看護管理とマネジメント
筆記試験
マネジメントの定義と概要、意義について理解する。マネジメントは組織の目的を達成するために、資源(人、もの、金、時間、情報)の調整や配分を行うための一過程であり、「組織に成果をあげさせるもの」である。ある目的を達成するために、人々を動かしていくための活動であり、計画、組織化、指揮、統制の過程がある。マネジメントは組織にとっても、個人にとっても不可欠なもので、組織においては、その組織の目的、理念、目標、戦略、方針、計画に基づいて活動する。組織は効率的・効果的に活動し、目標を達成するために必要な活動がマネジメントである。 看護管理プロセス、PDCAサイクル、看護管理システム 15 第2回、 第3回
看護ケアのマネジメント
筆記試験
対象者への看護ケア提供者としての役割と対象者に提供されるさまざまなケアをマネジメントする役割である。看護ケアのマネジメントとは、対象に提供されるべきケアを、対象ごとに個別にマネジメントすることである。対象者に提供されるべきケアは、看護職が提供するケアだけに限らず、医師はもちろん、医療関係職種や対象者の療養生活にかかわるすべての人々によって提供されるものである。日常業務のマネジメントは看護業務の実践である。看護業務とは、「保健師助産師看護師法」により規定されている範囲内において行う業務である。医業(医師法第17条)と保助看法第5条、37条で定められた診療の補助と療養上の世話について理解する。 看護ケアの実施者、翻訳・解説者、情報提供者、教育者、アドボケーター、コーディネーター、コンサルタント、イノベーター、マネジャーなどの機能、保健師助産師看護師法による業務の範囲 15 第4回
看護サービスマネジメント
筆記試験
看護サービスマネジメントとは、看護管理者によって行われる一連の活動である。患者対看護師の一つひとつの「ケア」を、組織的な「看護サービス」としてマネジメントすることである。看護サービスマネジメントの機能は、よりよく、円滑な看護サービスの提供を目的とするものであり、その過程には、計画・組織化・指揮・統制が含まれる。また、看護サービスは、一人の看護職のみで完結するものではなく、多くの場合、複数の看護職がチームとしてあるいは交代制によって24時間、365日サービスを提供している。したがって、継続的で一貫性のある看護サービスを提供するためには、サービスの提供を担当する人々の組織が必要となる。サービスとは、その品質、看護単位、看護提供方式について理解する。 サービスの特徴、サービスの品質、看護単位。看護提供方式 15 第5回
看護職のキャリアマネジメントと人的資源管理
筆記試験
看護職としてのキャリアについて、自律した一人の看護職となるためには、免許を得る前の学生の時期から、そして働き始めたあとも、さまざまな学習をしたいり、経験をすることが必要となる。一人ひとりが専門職としてのキャリアを考え、自らをマネジメントする(キャリアマネジメント)することが求められる。自らが主体的に自分のキャリアを計画的し、組み立てていく「キャリアデザイン」と組織と個人のかかわりあいを通しで、組織が求める人材の育成と個人のキャリア目標の両方が実現できるよう、キャリアを形成していく「キャリア開発」について学修する。また、質の高い看護の提供において、「人(看護師)という資源を育み、組織として質の高い看護を実践できるようにマネジメントする」視点から学ぶ。 人材フロー、キャリアマネジメント、キャリア開発、新人看護職員研修ガイドライン、、キャリアラダー、クリニカルラダー、マネジメントラダー 15 第6回
医療安全の概念と基礎知識 1. 医療安全に関連する法的規定が理解できる。
2. 看護の業務上の事故に伴い問われる法的責任が理解できる。
3. 医療安全に関する用語として、特に医療事故、医療過誤、インシデントの使い方を正しく理解できる。
4. 人間の特性の観点から、ヒューマンエラーによるミスの分類を説明できる。
5. ハインリッヒの法則からインシデントレポートの必要性を説明できる。
医療安全、医療法、医療事故調査制度、形事上・民法上・行政上の責任、医療事故/医療過誤/インシデント、ヒューマンエラー、ハインリッヒの法則、スイスチーズモデル 15 第7回
事故発生防止のための取り組み 1. インシデントを報告する意義について説明できる。
2. 公開されているヒヤリ・ハット事例を活用することができる。
3. 事故防止の観点から、「リスク(危険)」は事故が起きるかもしれないということ、「危険要因」は事故を発生させやすくする背景であることが理解できる。
4. 看護業務における危険要因について患者側の危険要因と発生状況の危険要因を説明することができる。
5. 医療サービスの特殊性をふまえ、医療の危険要因を患者側の要因、発生状況の要因、医療側の要因の側面から説明することができる。
6. ミスを防ぐための対策として、個人レベルで対応すべきことを説明できる。
7. ミスを防ぐための組織レベルでの対応として、院内報告制度と人間工学を活用したヒューマンエラー低減対策を理解することができる。
8. 医療安全に関する分析手法として、「断面的な要因分析手法(①4M(要因)5E(対策立案)分析、②p-mSHELL分析、③KJ法など)」と「時系列分析手法(④根本原因分析(RCA)、⑤医療用不具合モード影響分析(HFMEA)、⑥危険予知トレーニング(KYT)」があることを理解できる。

インシデントレポートの意義、医療事故情報収集事業、医療事故の発生予防・再発防止、医療事故の現状、リスク、危険要因、危険予知、看護業務におけるリスク、医療におけるリスク、個人レベル、組織レベル、インシデントレポートの分析、医療安全に関する分析方法、医療事故発生時初期対応 15 第8回
評価方法 期末試験(100%)によって評価する。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 系統看護学講座 統合分野 看護管理 看護の統合と実践① 医学書院      
参考文献 ナーシンググラフィカ 看護の統合と実践① 看護管理 メディカ出版、看護管理学 南江堂
実験・実習・教材費