区分 専門科目-広域看護学-国際看護学
ディプロマ・ポリシーとの関係
実践能力 倫理観 専門性探求
地域社会貢献 グローバル性 自己研鑽力
カリキュラム・ポリシーとの関係
豊かな人間性 広い視野 知識・技術
判断力 探求心
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
グローバル化に伴う、医療人類学と合わせた異文化看護を学ぶ。
科目の目的
経済的・政治的・文化的なグローバル化が進む中で、移住や旅行など人的移動が増加している。本科目では、多文化共生社会に向けて、在日外国人や在外日本人の健康問題と看護について学ぶ。将来、医療施設における文化的背景の異なる人々へ最適な多文化看護を提供する担い手、さらにリーダー的役割を発揮するための基礎を日本の現状を踏まえて理解する。また、国際社会で活躍できる看護師になるための基礎として、諸外国における保健医療および看護の事情や看護師の役割と機能、文化の異なる外国人を対象とした看護方法について理解する。
到達目標
海外や日本において行われている異文化に対する医療や看護の実際が理解できる。また、アイデンティティや多様性、異文化共生について、日本や世界における現状を踏まえて自己の考えを深め、 実際に異文化看護を行う具体的な方法が理解できる。
科目の概要
本科目では、国際看護学の視点から、グローバル化が進展する現代社会における人々の健康課題と看護の役割について学修する。講義および演習を通して、国際協力活動、災害支援、難民・避難民支援など国境を越えた看護活動の実際を理解するとともに、世界の人々の健康が社会的・文化的背景とどのように関連しているのかを考察する。
また、アイデンティティ、多様性、多文化共生といった基本概念を学び、文化的・社会的背景の異なる人々に対して倫理に基づいた看護を実践するための基礎的能力を養う。さらに、世界の医療の歴史的背景や伝統医療を取り上げ、医療および看護の多様性への理解を深める。
加えて、日本における在日外国人の現状と必要とされる医療・看護、看護実践上の留意点について学修するとともに、海外に渡航・滞在する日本人が直面する健康問題や安全対策、日本で働く外国人看護師の社会的背景および現状を取り上げる。これらを通して、異なる文化的背景をもつ看護職者との協働のあり方について考察する。
さらに、SDGs(持続可能な開発目標)を手がかりに、世界の健康課題や社会的格差への理解を深め、看護職者としてどのように貢献できるのかを主体的に考える力を養う。

科目のキーワード
国際協力活動 災害看護 難民支援 多文化共生 医療人類学 伝統医療 外国人看護師 SDGs プレゼンテーション
授業の展開方法
本授業は、国際看護学Ⅰで修得した基礎的知識を踏まえ、より発展的な内容として、世界の健康課題の動向、国際看護活動の実際、国境を越えて移動する人々への看護、ならびに文化的背景の異なる人々へのケアの方法について、講義と演習を組み合わせて展開する。
また、将来、国際的な場で活躍できる看護職者となるための基盤形成を目的として、日本の看護職者としてのアイデンティティや、日本の医療・看護の特徴について多角的に理解を深める。
さらに、授業の一部ではグループワークやプレゼンテーションを取り入れ、日本の医療・看護の特性を国際社会に向けて発信する視点を養うとともに、異文化環境において協働するための基礎的能力を培う。

オフィス・アワー
月曜日・火曜日13:00-14:00
科目コード BK42
学年・期 2年・前期
科目名 国際看護学Ⅱ
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】30h 【予習・復習】60h
前提とする科目 当科目は、国際看護学における基礎をなすもので、国際看護学Ⅰからの積み上げである。
展開科目 当科目は、国際看護学における基礎をなすもので、国際看護学Ⅲ、国際看護学海外研修、国際看護学実習への橋渡しでもある。
関連資格 看護師,保健師,養護教諭
担当教員名 山田尚美・正司孝太郎
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 世界の健康課題 海外における技術協力  国際協力活動の実際 科目の中での位置付け 本科目は、国際看護学Ⅰで修得した基礎的内容をさらに発展させたアドバンス科目として位置づけられる。
第一部(第1〜5回)では、開発途上国、災害被災国、難民を含む社会的に支援を必要とする国・地域および人々に対する国際看護の実際と具体的方法について学修する。あわせて、文化的・社会的背景の異なる対象への看護実践の基盤として、アイデンティティ、多様性、多文化共生の概念を取り上げ、対象を尊重した適切な看護を実践するための理解を深める。
第二部(第6〜10回)では、移民、留学生、外国人労働者、外国人旅行者など、日本に在留・滞在する外国人の現状と健康課題について学修する。さらに、日本における外国人支援の実際や制度的・社会的課題について演習を通して検討する。また、旅行・就労・移住等で海外に渡航する日本人の安全対策や健康課題についても扱う。
第三部(第11〜15回)では、海外で活躍する看護職者に求められる役割や機能、海外で働くための方法や準備について学修する。また、日本で働く外国人看護師および医療従事者の現状と課題を取り上げ、異文化背景をもつ看護職者との協働のあり方について考察する。
本コマでは、本科目全体の構成および学修内容の概要を示すとともに、海外における技術協力や国際協力活動の実際について、具体的な活動事例をもとに学修し、本科目の学びの全体像を理解する。

教科書「国際看護学入門 第2版」p142-168
コマ主題細目 ① 地域技術協力 ② 病院技術協力 ③ 看護教育技術協力 ④ 政策技術協力
細目レベル ① 技術協力を実施するにあたり、派遣先国および保健省等の行政機関が掲げる保健医療政策や医療の現状について、保健省や国連児童基金(UNICEF)等のWebサイトや刊行物を活用して情報を収集・分析し、基礎的理解を深める。また、人々に保健医療サービスを提供する仕組みである保健医療システムの構造と機能について学修し、人的・物的資源、組織体制、財政、管理体制などの要素の関連性を理解する。さらに、地域看護活動の展開過程(概況把握、信頼関係構築、課題の発見・分析、計画策定、実施・評価)を整理するとともに、学校保健における保健教育や教員との連携、関係機関との協働の重要性について学ぶ。
② 病院において看護師が活動する領域は、大きく看護管理部門と臨床部門に分けられる。看護管理部門では、患者に質の高い看護を提供するために、「ヒト・モノ・カネ」の管理や看護ケアの評価を行う。一方、臨床部門は、病棟や外来において患者に直接看護サービスを提供する場である。国際協力における看護活動では、主として看護管理部門への支援が中心となることが多い。活動開始にあたっては、病院組織の構造、各部門の機能と連携、役職者の責任と権限、指示命令系統を把握することが重要である。また、現地施設の中心者であるカウンターパートと協働し、その育成を図ることで、任期終了後も活動が継続される体制づくりにつなげる。さらに、相手国の医療・看護・教育制度の理解に加え、生活習慣や文化、気候・環境、インフラ基盤などの社会的背景を踏まえ、多角的に課題を捉える視点を養う。
③ 看護職は世界の保健医療従事者の半数以上を占める専門職であり、その質の高い人材育成は国民の健康水準の向上に直結する。このため、看護教育に対する国際協力の意義は極めて大きい。とりわけ途上国において看護職は女性が従事する代表的な専門職の一つであり、教育機会の限られた女性に高等教育の機会を提供することは、女性の社会的地位向上やエンパワメントにも寄与する。看護教育分野での協力を行う際には、当該国の看護制度や教育制度、看護職の役割、看護の概念や実践内容について十分に把握することが不可欠である。具体的な活動としては、①看護教育を管轄する行政機関への助言、②教育機関における学生への直接指導、③看護教員への技術指導を通した教育の質向上が挙げられる。近年は行政レベルへの支援が増加し、国全体の看護の質向上を目指す取り組みが重視されている。
④ 政策に関わる国際協力とは、相手国の保健省や地方自治体などの行政機関において、保健医療政策や整備計画の立案・実施・評価に対して技術的支援を行う活動を指す。地域や病院での協力活動が、行政レベルの政策支援へと発展する場合もある。実際には、JICAの技術協力プロジェクトや保健政策アドバイザー等の専門家が中心となり支援を行うことが多い。活動にあたっては、当該国の保健・医療・衛生行政の組織体制や現状を十分に理解することが不可欠である。また、自身の活動が保健医療計画の中でどのように位置づけられているのか、目標や評価指標は何かを把握する必要がある。さらに、乳児死亡率などの健康指標、予防接種率、主要疾患や感染症の状況、医療施設や保健医療従事者数、教育制度など、多角的な保健医療統計を踏まえて活動を展開する視点を養う。
キーワード ① 技術協力 ② 国際協力活動 ③ ボランティア ④ ODA ⑤ JICA
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 【復習(所要時間:約1時間)】
確認テストに取り組み、不正解であった設問については関連知識も含めて整理し、理解を深めること。ChatGPTを活用して、本日のキーワードに関するテスト問題を作成し、理解を深める。テキストpp.142−168を熟読し、海外における地域(学校保健)、病院、看護教育、政策分野での技術協力の実際について体系的に理解する。また、授業中のノートを見直し、重要概念や活動の特徴を整理する。あわせて、ODAおよびJICAの目的や仕組みについて説明できるようにしておくこと。
【予習(所要時間:約30分)】
テキストpp.168−175を熟読し、国際的な災害支援の流れや具体的活動、活動上の留意点について理解する。さらに、難民支援の実際とその課題についても基礎的事項を把握し、次回授業に備えること。

2 災害支援 難民支援 科目の中での位置付け 本科目は、国際看護学Ⅰで修得した基礎的内容をさらに発展させたアドバンス科目として位置づけられる。
第一部(第1〜5回)では、開発途上国、災害被災国、難民を含む社会的に支援を必要とする国・地域および人々に対する国際看護の実際と具体的方法について学修する。あわせて、文化的・社会的背景の異なる対象への看護実践の基盤として、アイデンティティ、多様性、多文化共生の概念を取り上げ、対象を尊重した適切な看護を実践するための理解を深める。
第二部(第6〜10回)では、移民、留学生、外国人労働者、外国人旅行者など、日本に在留・滞在する外国人の現状と健康課題について学修する。さらに、日本における外国人支援の実際や制度的・社会的課題について演習を通して検討する。また、旅行・就労・移住等で海外に渡航する日本人の安全対策や健康課題についても扱う。
第三部(第11〜15回)では、海外で活躍する看護職者に求められる役割や機能、海外で働くための方法や準備について学修する。また、日本で働く外国人看護師および医療従事者の現状と課題を取り上げ、異文化背景をもつ看護職者との協働のあり方について考察する。
本コマでは、緊急援助として災害支援・難民支援の実際について事例に基づいて学ぶ。

教科書「国際看護学入門 第2版」p168-175
コマ主題細目 ① 災害支援 ② 災害支援活動の展開と留意点 ③ 難民支援
細目レベル ① 海外で大規模災害が発生した場合、日本政府は被災国または国際機関からの要請に基づき、国際緊急援助隊(Japan Disaster Relief:JDR)を派遣する。派遣に関する実務はJICA国際緊急援助隊事務局が担っている。医療活動は、国際緊急援助隊を構成する医療チーム、救助チーム、専門家チーム、自衛隊部隊、感染症対策チームのうち、主に医療チームが担当する。医療チームは医師、看護師、薬剤師、医療調整員等で編成され、一定期間(概ね約2週間)派遣される。状況に応じて二次隊、三次隊が継続して派遣される場合もある。さらに、災害支援には赤十字社をはじめとする多くのNGOも関与しており、NGOは被災国の要請を待たずに活動を開始できる場合があるため、発災直後から迅速な支援を展開できるという特徴がある。
② 国際災害支援においては、日本出発直前に被災地の状況や活動内容に関するブリーフィングが実施される。要請受理から隊員招集、現地到着までには数十時間から数日を要するため、活動開始時には救命率が急速に低下するとされる発災後72時間を経過している場合もある。そのため、救命救急期以降を見据えた看護活動が求められる。看護師の主な業務には、診療所の設営・運営、医療資器材や医薬品の管理、感染症予防対策、排泄物・医療廃棄物の処理、記録および報告書作成、現地スタッフへの技術指導等が含まれる。活動にあたっては英語による意思疎通能力が不可欠であり、支援対象国の医療水準や資源状況を踏まえた対応が求められる。WHO必須医薬品モデルの理解や簡易的な滅菌法の知識、風土病への備えも重要である。さらに、現地文化の尊重とともに、支援者自身の健康管理やストレス対策も重要な視点となる。
③ 難民の約8割は女性と子どもであるとされる。戦争や紛争、迫害により生命の危機に直面した人々は、安全な場所を求めて避難を余儀なくされる。また、貧困や飢餓から逃れるため、非自発的に移動せざるを得ない人々も存在する。難民は、過酷な移動による身体的疲労に加え、自由を奪われる恐怖や祖国・財産を失う喪失体験により、強い無力感や不安を抱え、精神的にも深刻な影響を受けている。そのような人々を庇護する場として難民キャンプが設置される。支援にあたっては「人間の安全保障」の理念に基づき、スフィア・スタンダード(『人道憲章と人道対応に関する最低基準』)を指針として、多職種・多機関と連携しながら活動を行う。また、国連機関や受入国政府が主催する定期会議に参加し、キャンプ運営の方針確認や情報共有を行うことも重要である。
キーワード ① 緊急援助 ② 災害支援 ③ 難民支援 ④ JDR ⑤ NGO
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 【復習(所要時間:約30分)】
確認テストに取り組み、不正解であった設問については関連知識も含めて整理し理解を深めること。ChatGPTを活用して、本日のキーワードに関するテスト問題を作成し、理解を深める。テキストpp.168−175を熟読し、災害支援および難民支援の目的、活動内容、展開プロセスや留意点について体系的に整理する。また、授業中に作成したノートを見直し、国際緊急援助隊(JDR)やスフィア・スタンダードなどの重要概念を説明できるようにしておく。
【予習(所要時間:約1時間)】
自らの文化的背景について振り返り、日本文化および他国の文化との共通点や相違点を調べる。あわせて、多様性および多文化共生社会の概念について理解を深めるとともに、アイデンティティとは何かを文献等を用いて整理し、自分の考えをまとめておくこと。

3 アイデンティティ・多様性・異文化理解について① 科目の中での位置付け 本科目は、国際看護学Ⅰで修得した基礎的内容をさらに発展させたアドバンス科目として位置づけられる。
第一部(第1〜5回)では、開発途上国、災害被災国、難民を含む社会的に支援を必要とする国・地域および人々に対する国際看護の実際と具体的方法について学修する。あわせて、文化的・社会的背景の異なる対象への看護実践の基盤として、アイデンティティ、多様性、多文化共生の概念を取り上げ、対象を尊重した適切な看護を実践するための理解を深める。
第二部(第6〜10回)では、移民、留学生、外国人労働者、外国人旅行者など、日本に在留・滞在する外国人の現状と健康課題について学修する。さらに、日本における外国人支援の実際や制度的・社会的課題について演習を通して検討する。また、旅行・就労・移住等で海外に渡航する日本人の安全対策や健康課題についても扱う。
第三部(第11〜15回)では、海外で活躍する看護職者に求められる役割や機能、海外で働くための方法や準備について学修する。また、日本で働く外国人看護師および医療従事者の現状と課題を取り上げ、異文化背景をもつ看護職者との協働のあり方について考察する。
本コマでは、アイデンティティや多様性について教材を通して自己の考えを深める。

DVD「グリーンブック」2018年 アメリカ
コマ主題細目 ① 差別 ② アイデンティティ ③ 異文化理解、多文化共生
細目レベル ① 本回では、映画『グリーンブック』の鑑賞を通して、差別の歴史的背景と現代社会における課題について考察する。差別とは、特定の集団や属性(人種、民族、性別等)を理由として不利益な取り扱いを行うことであり、国際連合は差別を排除や拒否を伴う行為であると定義している。人種差別や民族差別は古くから存在し、自民族中心主義や植民地主義、奴隷制、ナチズムなどと結びつきながら制度化されてきた。近年においても、移民や難民の増加を背景とした排外主義や極端な民族主義が問題となっている。また、性別を理由とする性差別(セクシズム)や、LGBTQを含む性的マイノリティへの差別も深刻な人権課題である。さらに、障害、文化、身分などを理由とする差別も存在する。本回では、これらの差別構造を理解し、人権の視点から看護職としての姿勢を考える。
② 「個人」とは、他者と明確に区別され、分割や代替が不可能な独立した存在として定義される。この個人を理解する際に用いられる概念が「アイデンティティ」である。アイデンティティは学術的概念であると同時に日常的にも用いられるが、その意味は抽象的かつ多義的である。「自己」「ジェンダー」「家族」「共同体」「職業」「宗教」「文化」「言語」「ナショナル」など、さまざまな属性と結びついて語られる。

アイデンティティの一側面は、その人が他の誰でもない固有の存在であることを示す「自己アイデンティティ(自我同一性)」である。エリック・エリクソンは、アイデンティティの感覚を、自分が独自の存在であるという「斉一性」と、過去から現在に至る自己の「連続性」が自他に承認されている状態と説明した。自己アイデンティティは、個人の属性や経験のみならず、集団内での位置づけや他者からの評価とも関連し、複合的に形成される概念である。

③ 文化とは、それを共有する人々にとって固有の価値をもつ生活様式であり、思考や行動の枠組みを形成するものである。文化を共有することは、人々が不安や混乱から自らを守り、生き方に意味を見いだす基盤となる。文化は世代を超えて継承される一方で、社会の変化とともに変容する動的な概念である。また、個人は言語、国籍、地域、宗教、職業、価値観などを共有する多様なサブカルチャーに属しており、文化は必ずしも意識的に表出されるとは限らない。
異文化理解のためには、こうした多様なサブカルチャーの存在を認識し、相互の違いを学び理解しようとする姿勢が重要である。多文化共生とは、多様な文化的背景をもつ人々が互いを尊重し、対等な関係を築きながら共に生きる社会のあり方を指す。看護実践においては、対象者が大切にしている伝統や習慣、価値観、信条、歴史的背景を尊重するとともに、多様な対象に適切に対応できる文化的能力(カルチュラル・コンピテンス)を身につけることが求められる。

キーワード ① 差別 ② アイデンティティ ③ 異文化理解 ④ サブカルチャー ⑤ 多文化共生
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 【復習(所要時間:約30分)】
小テストを実施し、理解が不十分であった内容について確認する。ChatGPTを活用して、本日のキーワードに関するテスト問題を作成し、理解を深める。テキストpp.9~15を熟読し、異文化看護の基本概念や看護実践における文化的配慮の重要性について復習する。また、映画『グリーンブック』の内容を振り返り、鑑賞を通して感じたことや学び、多文化共生社会の実現に向けて必要と考える視点について、自らの考えを整理する。
【予習(所要時間:約1時間)】
アメリカにおける黒人差別の歴史(奴隷制度、ジム・クロウ法による人種隔離政策、公民権運動など)について調べ、その概要を理解しておく。あわせて、日本における人種・民族差別の事例(アイヌ民族の人権問題、外国人の人権課題等)を調べ、人権三法(障害者差別解消法、ヘイトスピーチ解消法、部落差別解消法)の内容と意義についても把握する。

4 アイデンティティ・多様性・異文化理解について② 科目の中での位置付け 本科目は、国際看護学Ⅰで修得した基礎的内容をさらに発展させたアドバンス科目として位置づけられる。
第一部(第1〜5回)では、開発途上国、災害被災国、難民を含む社会的に支援を必要とする国・地域および人々に対する国際看護の実際と具体的方法について学修する。あわせて、文化的・社会的背景の異なる対象への看護実践の基盤として、アイデンティティ、多様性、多文化共生の概念を取り上げ、対象を尊重した適切な看護を実践するための理解を深める。
第二部(第6〜10回)では、移民、留学生、外国人労働者、外国人旅行者など、日本に在留・滞在する外国人の現状と健康課題について学修する。さらに、日本における外国人支援の実際や制度的・社会的課題について演習を通して検討する。また、旅行・就労・移住等で海外に渡航する日本人の安全対策や健康課題についても扱う。
第三部(第11〜15回)では、海外で活躍する看護職者に求められる役割や機能、海外で働くための方法や準備について学修する。また、日本で働く外国人看護師および医療従事者の現状と課題を取り上げ、異文化背景をもつ看護職者との協働のあり方について考察する。
本コマでは、異文化の理解を深め、多文化共生社会に向けた活動や知識について学ぶ。

DVD「グリーンブック」2018年 アメリカ
看護の統合と実践③ 国際看護学 メジカルフレンド社 p108~139
コマ主題細目 ① グリーンブック ② 文化の尊重、人権保護 ③ 日本における多文化共生
細目レベル ① 映画「グリーンブック」は、2018年に公開されたアメリカのドラマ映画である。1960年代のアメリカ南部を舞台に、黒人ピアニストのドン・シャーリーと、イタリア系アメリカ人の用心棒トニー・リップ(運転手)が、コンサートツアーの旅に出る物語で、二人は「グリーンブック」と呼ばれる黒人専用の旅行ガイドを頼りに、人種差別、文化的差別、性的差別など様々な差別的な状況に立ち向かいながら、友情を深めていく。差別、友情、共感、文化の違い、社会的偏見などが描かれている映画であり、異なる文化や人種の理解についても考えさせられる作品であるため、この映画をみることで、異文化理解と異文化適応について考え、さらに、ディスカッションを行い、文化的背景を考慮した看護の意味を探求する。
② 文化には、人類に共通する普遍的側面と、個人・集団・社会ごとに形成される固有の側面がある。文化の主要な構成要素として、宗教、言語、医療、食などが挙げられる。宗教はキリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教など多様であり、同一国内であっても信仰や宗派の違いにより生活様式は大きく異なる。言語は集団形成と意思疎通の基盤である一方、相違はコミュニケーションの障壁ともなり得る。医療においては、アーユルヴェーダ医学、中国医学などの伝統医療と近代医学が世界各地で共存・融合している。食文化も宗教や伝統と密接に関連しており、看護実践においてはこれらの文化的背景を理解し尊重する姿勢が求められる。
人権とは、人が人間らしく生きるために保障される基本的権利である。文化や慣習、権力構造が差別や人権侵害を生み出す場合があることを理解し、看護職として人権擁護の視点をもって行動することが重要である。

③ 多文化共生とは、国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的差異を認め合い、対等な関係を築きながら地域社会の構成員として共に生きていくことを指す。国境を越えた人の移動が増加する中、日本においても異なる文化的背景をもつ人々との共生が重要な課題となっている。そのため、民族や文化の多様性を尊重し、共存を推進するための政策や実践が進められている。
具体的な取り組みとして、多言語による行政・生活情報の提供や相談体制の整備、日本語教育の推進、新規来日者への生活オリエンテーションの実施、外国人児童生徒への教育機会の確保、技能実習生や外国人労働者に対する適正な労働環境の整備などが挙げられる。看護職においても、多文化共生社会の現状を理解し、言語や文化的背景に配慮した支援を実践することが求められる。

キーワード ① 異文化 ② 尊重 ③ 異文化理解 ④ 人権 ⑤ 多文化共生
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 【復習(所要時間:約1時間)】
小テストを実施し、誤答であった内容についてはテキスト、参考書、授業資料を用いて再確認し理解を深める。ChatGPTを活用して、本日のキーワードに関するテスト問題を作成し、理解を深める。映画『グリーンブック』に描かれた文化的葛藤や差別の問題を振り返り、多文化共生社会の実現に向けて必要な視点や行動について自己の考えをまとめる。また、黒人差別や性差別の歴史的背景を調べ、自分の言葉で説明できるよう整理する。さらに、多文化共生の概念とその課題についても説明できるようにする。
【予習(所要時間:約30分)】
医療人類学の基本的視点および世界の伝統医療について調べる。あわせて、テキスト『国際看護学入門第2版』pp.47〜50を読み、伝統医療や民間医療の概要を理解し、次回授業に備える。

5 医療人類学・伝統医療 科目の中での位置付け 本科目は、国際看護学Ⅰで修得した基礎的内容をさらに発展させたアドバンス科目として位置づけられる。
第一部(第1〜5回)では、開発途上国、災害被災国、難民を含む社会的に支援を必要とする国・地域および人々に対する国際看護の実際と具体的方法について学修する。あわせて、文化的・社会的背景の異なる対象への看護実践の基盤として、アイデンティティ、多様性、多文化共生の概念を取り上げ、対象を尊重した適切な看護を実践するための理解を深める。
第二部(第6〜10回)では、移民、留学生、外国人労働者、外国人旅行者など、日本に在留・滞在する外国人の現状と健康課題について学修する。さらに、日本における外国人支援の実際や制度的・社会的課題について演習を通して検討する。また、旅行・就労・移住等で海外に渡航する日本人の安全対策や健康課題についても扱う。
第三部(第11〜15回)では、海外で活躍する看護職者に求められる役割や機能、海外で働くための方法や準備について学修する。また、日本で働く外国人看護師および医療従事者の現状と課題を取り上げ、異文化背景をもつ看護職者との協働のあり方について考察する。
本コマでは、医療人類学の概念や、世界で行われている伝統医療について理解する。

看護の統合と実践③ 国際看護学 メジカルフレンド社 p134~140
コマ主題細目 ① 医療人類学 ② 伝統医療 ③ メディカル・プルーラリズム
細目レベル ① 医療人類学は、健康や病気を対象とする人類学の研究分野であり、人々が生涯にわたり身体や健康をどのように捉え、対処しているのかを、文化的・社会的・政治的・経済的・歴史的文脈から明らかにする学問である。文化的視点では、民族や文化による健康観・疾病観の相違を比較し、文化背景が健康行動に与える影響を考察する。社会的視点では、医療制度や保健政策などの社会構造が健康に及ぼす影響を分析する。歴史的視点では、過去の医療実践や健康観を踏まえ、現代医療との連続性や変化を検討する。また、異文化間比較を通して西洋近代医療を相対化することも重要な課題である。
医療人類学は宗教や信仰とも深く関係しており、人々の日常的な祈りや慣習も健康観と結びついている。とりわけプライマリーヘルスケアにおいては、対象者の価値観や文化的背景を理解し、その社会に受け入れられやすい支援方法を検討する視点が不可欠である。

② 伝統医療は、近代西洋医学が確立される以前から世界各地で発展してきた医療体系であり、健康に関する実践、知識、信条を含む総合的概念である。植物・動物・鉱物を用いた薬物療法、霊的療法、用手療法、運動療法などを単独または組み合わせて、治療・診断・予防・健康維持に活用する。近年は科学的検証も進み、費用対効果や天然資源の有効活用、文化復興への貢献など、社会的意義が再評価されている。伝統医療は医療分野にとどまらず、経済、政治、法律、文化、さらには少数民族のアイデンティティや知的財産とも深く関わる。
世界人口のうち近代西洋医学の恩恵を十分に受けているのは一部に限られ、WHOは多くの地域で保健医療の相当部分が伝統医療や相補・代替医療(CAM)に依存していると報告している。1970年代以降、プライマリーヘルスケアの一環として伝統医療を活用する動きが進み、WHOやASEAN諸国では制度化や人材育成が進められている。日本においても漢方や鍼灸が活用されている。

③ メディカル・プルーラリズム(医学的多元論)とは、単一の医療体系のみを正統とみなすのではなく、複数の医療体系が社会の中で共存している現実を認識し、その多様性を理解する立場を指す。現代社会においては、西洋近代医学に加え、伝統医療や相補・代替医療(CAM)など、多様な医療実践が併存している。これらの医療体系は、それぞれ固有の文化的・歴史的背景や価値観、信念体系のもとで発展してきたものであり、患者の健康観や治療選択にも大きく影響を与える。
医学的多元論は、異なる医療体系がそれぞれの文脈において意味をもつことを認識し、医療者、患者、家族など多様な立場の視点を踏まえて医療を捉えることの重要性を示している。医療の多様性を尊重し、患者のニーズや価値観に応じた選択肢を提示することは、より包括的で適切な看護実践につながる。

キーワード ① 医療人類学 ② プライマリーヘルスケア ③ 伝統医療 ④ 民間療法 ⑤ メディカル・プルーラリズム
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 【復習(所要時間:約1時間)】
小テストを実施し、誤答であった内容についてはテキスト、参考書、授業資料等を用いて再確認し理解を深める。さらに、ChatGPTを活用して、本日のキーワードに関するテスト問題を作成し、理解を深める。伝統医療や民間療法と近代西洋医学のそれぞれの特徴、役割、必要性について整理し、自分の言葉で説明できるようにする。また、ユナニ医学、アーユルヴェーダ、中国医学、和漢薬、鍼灸など代表的な伝統医療の概要と特徴について復習し、それぞれの共通点と相違点を理解する。
【予習(所要時間:約30分)】
テキスト『国際看護学入門第2版』pp.175~181を熟読し、日本に在留する外国人の現状や在日外国人が抱える健康問題の概要について理解する。あわせて、医療アクセスや言語の課題など、看護実践に関連する論点を整理しておく。

6 在日外国人の医療と看護① 科目の中での位置付け 本科目は、国際看護学Ⅰで修得した基礎的内容をさらに発展させたアドバンス科目として位置づけられる。
第一部(第1〜5回)では、開発途上国、災害被災国、難民を含む社会的に支援を必要とする国・地域および人々に対する国際看護の実際と具体的方法について学修する。あわせて、文化的・社会的背景の異なる対象への看護実践の基盤として、アイデンティティ、多様性、多文化共生の概念を取り上げ、対象を尊重した適切な看護を実践するための理解を深める。
第二部(第6〜10回)では、移民、留学生、外国人労働者、外国人旅行者など、日本に在留・滞在する外国人の現状と健康課題について学修する。さらに、日本における外国人支援の実際や制度的・社会的課題について演習を通して検討する。また、旅行・就労・移住等で海外に渡航する日本人の安全対策や健康課題についても扱う。
第三部(第11〜15回)では、海外で活躍する看護職者に求められる役割や機能、海外で働くための方法や準備について学修する。また、日本で働く外国人看護師および医療従事者の現状と課題を取り上げ、異文化背景をもつ看護職者との協働のあり方について考察する。
本コマでは、在日外国人の現状や健康問題等についての基礎的な部分を学修する。

教科書「国際看護学入門 第2版」p175~181
コマ主題細目 ① 在留外国人 ② 訪日外国人 ③ 在日外国人の健康問題
細目レベル ① 在留外国人とは、特別永住者および「出入国管理及び難民認定法」に基づく在留資格を有し、日本に中長期間在留する外国人を指す。一般的には、日本に暮らす外国人の総称として「在日外国人」とも呼ばれ、短期滞在者を含めた場合は総在留外国人とされる。近年、日本における在留外国人数は増加傾向にあり、出身国・地域は約200か国に及ぶなど、多様化が進んでいる。在留資格別では、永住者が最も多く、留学生、技能実習生、特別永住者が続く。とくに技能実習生の増加が顕著である。戦前から居住する特別永住者は「オールドカマー」、1980年代以降に来日した人々は「ニューカマー」と呼ばれ、在留外国人の構成は時代とともに変化している。
② 訪日外国人とは、観光、短期ビジネス、医療等を目的として一時的に日本を訪れる外国人を指し、在留資格をもたない短期滞在者である。訪日外国人数は1990年代以降増加傾向にあり、2010年代には急増し、年間2,000万人を超える水準に達した。近年は観光目的に加え、2011年に創設された医療滞在ビザの活用により、治療を目的として来日する医療ツーリズムも注目されている。医療ツーリズムはシンガポールやタイなどでも推進されており、地域経済の活性化や医療需要の拡大といった利点がある。一方で、医療資源の偏在や自国民の受診機会への影響などの課題も指摘されている。看護職においても、言語や文化の違いを踏まえた対応が求められる。
③ 在日外国人および訪日外国人が医療機関を受診する主な理由として、感冒や上気道炎などの呼吸器疾患、捻挫や骨折などの外傷、消化器系疾患が多く報告されている。さらに、妊娠・分娩に関する受診や精神疾患も一定数みられる。訪日外国人では、急病や事故による救急診療の利用が多いことが特徴であり、出身国と日本との気候や生活習慣、社会環境の違いが影響している可能性がある。また、在留外国人においては、結核などの感染症、精神保健上の課題、労働環境に起因する健康問題、母子保健に関する課題など、背景となる社会的要因と関連した健康問題が指摘されている。看護職には、こうした健康課題の多様性を理解し、文化的背景や生活状況を踏まえた支援が求められる。
キーワード ① 特別永住者 ② 中長期在留者 ③ 技能実習性 ④ オールドカマ― ⑤ ニューカマー
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 【復習(所要時間:約1時間)】
テキスト『国際看護学入門第2版』pp.175〜181および授業ノートを読み返し、在留外国人および訪日外国人の現状や特徴について理解を深める。小テストで誤答であった問題については関連内容も含めて復習し、在留外国人の最近の動向や在留資格の種類、オールドカマー・ニューカマーといったキーワードについて、自分の言葉で説明できるように整理する。さらに、ChatGPTを活用して、本日のキーワードに関するテスト問題を作成し、理解を深める。
【予習(所要時間:約30分)】
テキストpp.181〜187を熟読し、在留外国人の健康問題の概要を把握する。その上で、医療アクセスや言語の課題などを踏まえ、看護職者としてどのような具体的対応や支援が求められるかについて自己の考えをまとめ、次回授業に備える。

7 在日外国人の医療と看護② 科目の中での位置付け 本科目は、国際看護学Ⅰで修得した基礎的内容をさらに発展させたアドバンス科目として位置づけられる。
第一部(第1〜5回)では、開発途上国、災害被災国、難民を含む社会的に支援を必要とする国・地域および人々に対する国際看護の実際と具体的方法について学修する。あわせて、文化的・社会的背景の異なる対象への看護実践の基盤として、アイデンティティ、多様性、多文化共生の概念を取り上げ、対象を尊重した適切な看護を実践するための理解を深める。
第二部(第6〜10回)では、移民、留学生、外国人労働者、外国人旅行者など、日本に在留・滞在する外国人の現状と健康課題について学修する。さらに、日本における外国人支援の実際や制度的・社会的課題について演習を通して検討する。また、旅行・就労・移住等で海外に渡航する日本人の安全対策や健康課題についても扱う。
第三部(第11〜15回)では、海外で活躍する看護職者に求められる役割や機能、海外で働くための方法や準備について学修する。また、日本で働く外国人看護師および医療従事者の現状と課題を取り上げ、異文化背景をもつ看護職者との協働のあり方について考察する。
本コマでは、在日外国人の健康問題と対応について実践的な内容を学修する。

教科書「国際看護学入門 第2版」p180~187
コマ主題細目 ① 在日外国人の健康問題の影響要因 ② 在日外国人と災害 ③ 外国人への具体的対応
細目レベル ① 在日外国人にみられる健康問題には、疾病そのものに加え、社会的・制度的要因が複雑に関与している。主な影響要因として、言語によるコミュニケーションの困難性、保健医療福祉制度への理解不足、文化・宗教の相違、心理的距離や偏見などが挙げられる。とりわけ言語の壁は大きな課題であり、病状説明や治療方針の理解、生活指導、精神的支援の提供を困難にする要因となる。そのため、医療通訳の活用や多言語対応体制の整備が重要である。
また、日本の医療は国民皆保険制度を基盤としており、加入状況や保険料の未納、不法滞在等の事情により医療費が全額自己負担となる場合もある。さらに、宗教的禁忌や生活習慣の違いへの配慮も不可欠である。一方で、医療機関における通訳体制の不十分さや医療従事者の異文化理解の不足、「外国人」への偏見や特別視も支援の障壁となり得る。看護職には、公平性を保ちながら文化的背景を踏まえた支援を行う姿勢が求められる。

② 在日外国人は、言語の壁や情報入手の困難さから、災害時に必要な情報を適切に理解・活用できず、「情報弱者」となりやすい状況にある。そのため、災害弱者・要支援者として位置づけられることが多い。加えて、経済的困窮や地域社会とのつながりの希薄さ、日本人住民との協力関係の築きにくさなどが、被災後の生活再建を遅らせる要因となる。また、母国との連絡困難や帰国をめぐる葛藤など、外国人特有の心理的・社会的課題も生じ得る。
災害時の看護においては、身体的健康のみならず、精神的・社会的側面を含めた包括的支援が求められる。多言語による情報提供や支援制度の案内を行い、必要なサービスにつなげることが重要である。さらに、平時から外国人住民を対象とした防災教育を実施し、多文化の視点を取り入れた備えを推進することが必要である。

③ 2006年、総務省は多文化共生社会の構築を提唱し、国籍や民族の異なる住民が互いの文化的差異を認め合い、対等な関係のもと地域社会の一員として共に生きる社会の実現を目指す方針を示した。これを受け、国や地方自治体では、健康保険加入の促進、医療通訳者の育成・派遣体制の整備、保健医療従事者への研修、多言語による問診票や案内文書の作成などの取り組みが進められている。
看護職においては、異なる文化や言語をもつ人々も看護の対象であることを十分に認識し、差別や偏見なく地域住民の一員として捉える姿勢が求められる。在日外国人への看護は特別なものではなく、基本的には日本人への看護と同様に尊厳を重視した実践である。そのうえで、日本の価値観を一方的に基準とせず、文化や宗教、生活習慣を尊重する態度が重要である。また、利用可能な保健医療福祉制度を理解し、必要に応じて医療通訳や遠隔通訳を活用するなど、実践的対応力を備えることが求められる。

キーワード ① 多文化共生 ② 医療保険制度 ③ 他機関との連携・協働 ④ 言葉の壁 ⑤ 医療通訳
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 【復習(所要時間:約1時間)】
テキスト『国際看護学入門第2版』pp.180~187および第7回の授業資料を読み返し、在留外国人の健康問題の要因や具体的対応、災害時における課題について理解を深める。在留外国人の健康問題とその支援方法について、自分の言葉で説明できるよう整理する。また、外国人向け医療情報提供サービスについて実際にインターネットで検索し、内容や特徴を確認する。小テストを実施し、誤答であった問題に関連する部分を復習し、解答の根拠を説明できるようにする。さらに、ChatGPTを活用して、本日のキーワードに関するテスト問題を作成し、理解を深める。
【予習(所要時間:約30分)】
第6回および第7回の講義内容を踏まえ、外国人に対して看護を行う上で重要な視点や、適切な支援を行うための具体的方法について自らの考えを整理しておく。次回のディスカッションに備え、具体例を挙げながら説明できるよう準備する。

8 在日外国人の医療と看護③外国人患者への対応 科目の中での位置付け 本科目は、国際看護学Ⅰで修得した基礎的内容をさらに発展させたアドバンス科目として位置づけられる。
第一部(第1〜5回)では、開発途上国、災害被災国、難民を含む社会的に支援を必要とする国・地域および人々に対する国際看護の実際と具体的方法について学修する。あわせて、文化的・社会的背景の異なる対象への看護実践の基盤として、アイデンティティ、多様性、多文化共生の概念を取り上げ、対象を尊重した適切な看護を実践するための理解を深める。
第二部(第6〜10回)では、移民、留学生、外国人労働者、外国人旅行者など、日本に在留・滞在する外国人の現状と健康課題について学修する。さらに、日本における外国人支援の実際や制度的・社会的課題について演習を通して検討する。また、旅行・就労・移住等で海外に渡航する日本人の安全対策や健康課題についても扱う。
第三部(第11〜15回)では、海外で活躍する看護職者に求められる役割や機能、海外で働くための方法や準備について学修する。また、日本で働く外国人看護師および医療従事者の現状と課題を取り上げ、異文化背景をもつ看護職者との協働のあり方について考察する。
本コマでは、外国人への看護の具体的方法について、演習を交えて学び、外国人への看護の課題と留意点についての理解を深める。

配布資料、DVD「病院での通訳の基礎知識 医療通訳って何だろう?(英語版)」多文化共生センターきょうと
コマ主題細目 ① 言語・非言語コミュニケーション ② ハイコンテキスト文化とローコンテキスト文化 ③ ダイレクトネガティブフィードバックとインダイレクトネガティブフィードバック ④ 医療通訳 ⑤ 演習(ポラポラゲーム、インタープロパーゲーム)
細目レベル ① 異文化コミュニケーションにおいて、言語的および非言語的コミュニケーションは、相互理解を図るための重要な手段である。言語コミュニケーションとは、会話や文字など言葉を用いて情報を伝達する方法であり、内容を明確に示すことができる。一方で、言語は文化や地域によって意味やニュアンスが異なり、同じ表現であっても受け取り方が異なる場合があるため注意が必要である。
非言語コミュニケーションとは、表情、視線、身振り、姿勢、声の調子、対人距離など、言葉以外の手段を通して感情や意図を伝える方法である。非言語的表現は人間関係の形成に大きく影響し、言語では伝えにくい感情や雰囲気を補完する役割をもつ。しかし、非言語的行動も文化的背景によって解釈が異なるため、誤解を生む可能性がある。異文化間では、両者の特性を理解し適切に組み合わせることが、円滑なコミュニケーションにつながる。

② ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化は、コミュニケーション様式の違いを示す概念である。ハイコンテクスト文化では、言語そのものよりも文脈や状況、相手との関係性といった背景情報に依拠して意思疎通が行われる。暗黙の了解や「空気を読む」ことが重視され、日本はその代表例とされる。一方、ローコンテクスト文化では、意図や情報を言葉で明確に表現することが重視され、文脈への依存度は比較的低い。多くの欧米諸国はローコンテクスト文化に分類されることが多い。
異文化間での交流においては、これらの違いを理解せずに接すると誤解が生じやすい。とくに国際的な場面や外国人との関わりにおいては、自身のコミュニケーション様式を相対化し、状況に応じて伝達方法を調整する姿勢が求められる。看護実践においても、文化的背景を踏まえた適切な意思疎通が重要である。

③ ダイレクトネガティブフィードバックとインダイレクトネガティブフィードバックは、否定的内容をどのように伝えるかというコミュニケーション様式の違いを示す概念である。ダイレクトネガティブフィードバックは、問題点や改善点を明確かつ直接的に伝える方法であり、目標達成や成長促進を目的として用いられる。一方で、伝え方への配慮が不足すると、相手の自尊感情や動機づけを損なう可能性がある。
これに対し、インダイレクトネガティブフィードバックは、遠回しな表現や肯定的内容を交えながら間接的に改善点を示す方法である。対人関係の調和を重視する文化では一般的であるが、意図が十分に伝わらない場合には誤解を生むこともある。どちらの方法も一長一短があり、組織文化や人間関係、状況や目的に応じて適切に使い分けることが重要である。看護現場においても、文化的背景を踏まえたフィードバックの工夫が求められる。

④ 日本で生活する外国人にとって、言語の壁は医療機関受診時の大きな障壁となる。症状を正確に伝えることや、医師からの診断・治療説明、日本の医療制度の理解が困難な場合、適切な医療を受けられない可能性がある。医療通訳は、患者と医療者をつなぐ媒介者として、言語の橋渡しを行うとともに、文化的背景を踏まえた調整役を担う重要な存在である。医療通訳者には、基本的な医療知識や倫理観、守秘義務への理解が求められる。
本回では、医療通訳に関する映像教材を活用し、医療通訳の具体的な流れや役割、通訳者のスタンス、留意点について学修する。あわせて、看護職が医療通訳を活用する際の姿勢や協働のあり方についても考察する。

⑤ 本回では、異文化コミュニケーションの理解を深めるために、ポラポラゲームおよびインタープロパーゲームを実施する。これらの演習は、参加者が異なる文化的ルールや価値観をもつ集団に属する状況を疑似体験するものであり、言語的・非言語的コミュニケーションの困難さや、ハイコンテクスト・ローコンテクストの違い、暗黙のルールの存在を体感的に理解することを目的とする。
演習後には振り返りを行い、誤解や葛藤がどのように生じたのか、どのような態度や工夫が相互理解を促進したのかを整理する。さらに、医療・看護の現場において文化的背景の異なる対象者と関わる際に、どのような姿勢や配慮が必要となるかについて考察する。

キーワード ① 非言語コミュニケーション ② ハイコンテキスト文化 ③ ローコンテキスト文化 ④ ダイレクトネガティブフィードバック ⑤ インダイレクトネガティブフィードバック
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 【復習(所要時間:約1時間)】
小テストを実施し、誤答であった問題に関連する内容をテキスト、授業資料、関連資料を用いて再確認し、解答の根拠を説明できるようにする。ChatGPTを活用して、本日のキーワードに関するテスト問題を作成し、理解を深める。また、医療現場において医療通訳がある場合とない場合の看護師の対応の違いについて整理し、留意点や重要な視点を自分の言葉で説明できるよう復習する。さらに、本回で扱ったシラバス上のキーワードについても概念を整理し、理解を確実なものとする。
【予習(所要時間:約30分)】
日本における健康課題、医療制度の特徴、看護の役割や看護教育の特徴について、図書館資料やインターネットを活用して調べ、概要を把握する。次回授業に向けて、日本の医療・看護の特性を説明できるよう整理しておく。

9 グループワーク、調査、発表準備 科目の中での位置付け 本科目は、国際看護学Ⅰで修得した基礎的内容をさらに発展させたアドバンス科目として位置づけられる。
第一部(第1〜5回)では、開発途上国、災害被災国、難民を含む社会的に支援を必要とする国・地域および人々に対する国際看護の実際と具体的方法について学修する。あわせて、文化的・社会的背景の異なる対象への看護実践の基盤として、アイデンティティ、多様性、多文化共生の概念を取り上げ、対象を尊重した適切な看護を実践するための理解を深める。
第二部(第6〜10回)では、移民、留学生、外国人労働者、外国人旅行者など、日本に在留・滞在する外国人の現状と健康課題について学修する。さらに、日本における外国人支援の実際や制度的・社会的課題について演習を通して検討する。また、旅行・就労・移住等で海外に渡航する日本人の安全対策や健康課題についても扱う。
第三部(第11〜15回)では、海外で活躍する看護職者に求められる役割や機能、海外で働くための方法や準備について学修する。また、日本で働く外国人看護師および医療従事者の現状と課題を取り上げ、異文化背景をもつ看護職者との協働のあり方について考察する。
本コマでは、日本の医療や看護の特徴について理解を深め、海外で発信するための方法について学ぶ。

教科書「国際看護学入門 第2版」p196−201
コマ主題細目 ① 日本の健康課題 ② 日本の医療の特徴 ③ 日本の看護の特徴、看護教育
細目レベル ① 日本の健康課題として代表的なものは以下の通りである。
1)高齢化社会
日本は世界でも有数の高齢化が進んでいる国である。総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が増加しており、2025年には高齢者が人口の30%以上を占めると予測されている。高齢化が進む中で、医療費の増大、介護問題、認知症の増加等が問題となっている。
2)生活習慣病の増加
日本では、肥満や運動不足が原因となる生活習慣病(高血圧、糖尿病、心疾患、がんなど)の患者が増えている。これには、食生活の欧米化やストレス社会の影響、運動不足が関連しているとされている。
3)精神的な健康問題
精神的な健康問題も増加している。特に、ストレス社会や孤独感、過労などが背景にあり、うつ病患者の増加や世界的に高い自殺率(特に若年層や高齢者の自殺)が問題となっている。
4)医療資源の不足
特に地方において、医療機関や医師が不足している。都市部に集中している医療リソースは地方に行き届いておらず、地方に住む人々が十分な医療を受けるのが難しくなっている。
5)感染症対策
日本は感染症の予防や対策に強い体制を整えているが、近年は新興感染症(例:COVID-19)の流行や、既存の感染症の拡大が問題となった。
6)食の安全と栄養管理
食品に含まれる添加物や農薬の問題、また食品業界の品質管理が問われる場面が増加している。さらに、過剰な加工食品摂取や栄養バランスの悪い食生活が健康リスクを高めている。
7)予防医療と健康教育の重要性
日本では病気を治療するだけでなく、病気を予防することに力を入れるべきという意識が高まっている。予防医療のための健康教育や啓発活動が強化され、健康診断の普及が進められている。

② 日本の医療は長年にわたる歴史と文化的背景に基づき、独自のシステムと強みを持っている。
1)医療制度
日本の医療制度は、国民皆保険制度が特徴で、すべての国民が何らかの形で健康保険に加入し、医療費の負担を軽減している。しかし、高齢化社会によって医療費が増加し、財政的な負担が問題となっている。
2)高度な医療技術と設備
日本は医療技術が非常に進んでおり、特に、最先端の医療機器、治療法の発展により、がんや心疾患などの治療法が進歩しており、先進的な治療が提供されている。
3)予防医療と健康診断
予防医療が重要視されており、定期的な健康診断やがん検診が普及している。企業や学校、自治体で積極的に健康診断が実施され、早期の病気発見が推進されている。
4)地域医療と診療所
日本の医療は、都市部の大病院だけでなく、地域医療が重要な役割を果たしている。診療所や個人の開業医が各地域に密接に関わり、日常的な健康管理や小規模な治療を提供している。

③ 日本の看護の特徴については以下の通りである。
1)高度な専門性:日本の看護師は、医療チームの一員として患者ケアを提供し、高い専門知識と技術を駆使して治療支援を行う。医師と密に連携し、患者の健康状態の観察や日常的なケアを担当している。
2)患者中心のケア:患者の状態を総合的に把握し、個別のニーズに基づいたケアを提供する。看護師は、患者や家族との信頼関係を築き、心理的・社会的支援も行っている。
3)多様な分野での活躍:看護師は病院だけでなく、訪問看護、介護施設、保健所、企業など、さまざまな場所で働いており、地域医療の重要な担い手である。また、専門看護師と認定看護師など、特定の領域で高度な専門知識を持つ看護師が増えており、がん看護、重症看護、精神看護などで専門的なケアを提供している。
日本の看護教育の特徴は以下の通りである。
1)看護師資格取得のための教育:日本で看護師になるためには、専門学校(3年制)や大学(4年制)で学び、国家試験に合格することが求められる。大学ではより深い理論と研究を学ぶ。さらに、看護教育では、病院や診療所での実習を通して、学生は実際の医療現場で患者ケアを体験し、理論を実践に生かすことが求められる。
2)継続的な学習:看護師は、資格取得後も専門性を高めるために、院内外の研修やセミナーへの参加、大学院進学などを通じて継続的に学ぶ必要がある。さらに、専門看護師や認定看護師の資格を取得することで、さらに専門的なキャリアを築くことも可能である。

キーワード ① 超高齢社会 ② 高度医療 ③ 予防医療 ④ 地域医療 ⑤ チーム医療
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 【復習(所要時間:約1時間)】
授業時間内に十分取り組めなかった調査や発表準備について、個人またはグループで計画的に進める。小テストを受験し、誤答であった問題については教科書や参考図書等を用いて復習し、解答の根拠を自分の言葉で説明できるようにする。なお、第9・12・14・15回の小テストでは国家試験過去問題を出題する。国際看護学ⅠおよびⅡで学修した全内容を踏まえ、体系的に振り返りを行うこと。
【予習(所要時間:約30分)】
テキスト『国際看護学入門第2版』pp.187~191を熟読し、在外日本人の医療および看護の概要を理解する。また、外務省海外安全ホームページを閲覧し、海外で発生しやすいトラブルや留意事項を把握するとともに、必要な安全対策について考察しておく。

10 在外日本人の医療と看護、海外における安全対策 科目の中での位置付け 本科目は、国際看護学Ⅰで修得した基礎的内容をさらに発展させたアドバンス科目として位置づけられる。
第一部(第1〜5回)では、開発途上国、災害被災国、難民を含む社会的に支援を必要とする国・地域および人々に対する国際看護の実際と具体的方法について学修する。あわせて、文化的・社会的背景の異なる対象への看護実践の基盤として、アイデンティティ、多様性、多文化共生の概念を取り上げ、対象を尊重した適切な看護を実践するための理解を深める。
第二部(第6〜10回)では、移民、留学生、外国人労働者、外国人旅行者など、日本に在留・滞在する外国人の現状と健康課題について学修する。さらに、日本における外国人支援の実際や制度的・社会的課題について演習を通して検討する。また、旅行・就労・移住等で海外に渡航する日本人の安全対策や健康課題についても扱う。
第三部(第11〜15回)では、海外で活躍する看護職者に求められる役割や機能、海外で働くための方法や準備について学修する。また、日本で働く外国人看護師および医療従事者の現状と課題を取り上げ、異文化背景をもつ看護職者との協働のあり方について考察する。
本コマでは、海外に渡航または移住した日本人が直面する健康問題や必要な看護、海外における安全対策等について学修する。

教科書「国際看護学入門 第2版」p187~191
コマ主題細目 ① 在外日本人の現状 ② 在外日本人の健康問題と看護 ③ 海外における安全対策
細目レベル ① 海外在留邦人数は増加傾向にあり、令和5年(2023年)10月1日現在、日本国外に在留する邦人の総数は1,293,565人と推計されている。そのうち、企業派遣者やその家族などの「長期滞在者」は718,838人で全体の55.6%を占め、「永住者」は574,727人となっている。
地域別では、北米が全体の37.9%(489,732人)と最も多く、昭和60年以降首位を維持している。次いで、アジア27.5%(355,543人)、西欧16.4%(212,301人)の順である。国別では、米国が32.1%(414,615人)で最多、中国が7.9%(101,786人)と続き、両国で全体の約4割を占めている。その他、オーストラリア、カナダ、タイ、英国、ブラジル、韓国、ドイツ、フランスなどにも多くの邦人が在留している。

② 在外日本人に対する健康支援は、渡航前・滞在中・帰国後の各段階に応じた対応が求められる。渡航前には、医療保険への加入、健康診断の受診、破傷風・狂犬病・A型肝炎・黄熱病等の予防接種、マラリアなどの熱帯病に関する知識の習得、慢性疾患の自己管理方法についての情報提供が重要である。
滞在中は、各国の医療制度や文化的背景の違い、言語の問題により受診をためらい、受診遅延や重症化につながる場合がある。一部の国では日本語対応可能な医療機関も存在するが、予防医療や健康教育を十分に受けられない状況も懸念される。そのため、日本人会やコミュニティ、SNS等を活用した健康情報の提供、感染症対策、異文化不適応による精神的問題への支援が重要となる。
帰国後は、感染症の発症や健康状態の変化に留意し、必要に応じて速やかに医療機関を受診するよう促すことが求められる。

③ 海外では、衛生環境や医療体制、治安状況が日本と大きく異なる場合があり、日本と同様の感覚で生活することで予期せぬ危険に直面する可能性がある。そのため、渡航前および滞在中には、現地の社会状況や文化、法律、生活習慣を理解し、安全対策に関する正確な情報を収集することが重要である。外務省海外安全ホームページでは、各国の危険情報や感染症情報、テロ・犯罪発生状況などが提供されており、渡航前に確認することが推奨される。
特に、感染症や精神的ストレスといった健康問題に加え、交通事故、テロ、窃盗、薬物関連犯罪などに日本人が巻き込まれる事例も報告されている。これらのリスクを理解し、事前に予防策を講じるとともに、万一被害に遭遇した場合の対応方法や連絡先を把握しておくことが、安全な海外生活を送るうえで不可欠である。

キーワード ① 在留邦人 ② 医療保険 ③ 外務省 ④ 感染症 ⑤ 異文化不適応
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 【復習(所要時間:約30分)】
テキスト『国際看護学入門第2版』pp.187~191および授業資料を確認し、在外日本人の現状、健康問題、健康に影響を及ぼす要因、ならびに実際に提供されている医療支援の内容について理解を深める。あわせて小テストを実施し、誤答であった問題については関連箇所を復習し、解答の根拠を自分の言葉で説明できるように整理する。また、ChatGPTを活用して、本日のキーワードに関するテスト問題を作成し、理解を深める。
【予習(所要時間:約1時間)】
自分の関心のある国(例:アメリカ、オーストラリア、イギリス等)を一つ選び、その国で看護師になる方法、看護師の役割、医療制度や看護の特徴について文献や公的資料を用いて調べる。次回授業で共有できるよう、概要をまとめておくこと。

11 海外における医療・看護の実際 科目の中での位置付け 本科目は、国際看護学Ⅰで修得した基礎的内容をさらに発展させたアドバンス科目として位置づけられる。
第一部(第1〜5回)では、開発途上国、災害被災国、難民を含む社会的に支援を必要とする国・地域および人々に対する国際看護の実際と具体的方法について学修する。あわせて、文化的・社会的背景の異なる対象への看護実践の基盤として、アイデンティティ、多様性、多文化共生の概念を取り上げ、対象を尊重した適切な看護を実践するための理解を深める。
第二部(第6〜10回)では、移民、留学生、外国人労働者、外国人旅行者など、日本に在留・滞在する外国人の現状と健康課題について学修する。さらに、日本における外国人支援の実際や制度的・社会的課題について演習を通して検討する。また、旅行・就労・移住等で海外に渡航する日本人の安全対策や健康課題についても扱う。
第三部(第11〜15回)では、海外で活躍する看護職者に求められる役割や機能、海外で働くための方法や準備について学修する。また、日本で働く外国人看護師および医療従事者の現状と課題を取り上げ、異文化背景をもつ看護職者との協働のあり方について考察する。
本コマでは、諸外国における医療や看護、看護教育の特徴について理解をする。

看護学テキスト 国際看護p113~116
コマ主題細目 ① アメリカの医療・看護事情、看護教育 ② オーストラリアの医療・看護事情、看護教育 ③ タイの医療・看護事情、看護教育 ④ イギリスの医療・看護事情、看護教育 ⑤ 海外と日本の看護業務の違い、海外で日本人看護師が働く上での課題
細目レベル ① アメリカの医療制度の特徴の一つに、医療費抑制を目的としたマネージド・ケア(Managed Care)がある。必要以上の医療行為を制限し、効率的な医療提供を図る仕組みであるが、診療報酬が一律に定められていないため医療費は高額である。医療保険は民間保険が中心であり、加入する保険の種類によって受診可能な医療機関が異なる。近年は在院日数の短縮化に伴い、在宅医療や訪問看護の需要が高まっている。看護職の役割は多様であり、ナース・プラクティショナー(NP)は高度実践看護師として診断や処方を行い、州によっては開業も可能である。
看護教育では、専門職としての自律性を重視した学士課程教育が主流であり、早期からフィジカルアセスメント教育が重視されている。看護師免許取得には国家試験(NCLEX-RN)への合格が必要であり、州ごとに免許登録を行う制度となっている。

② オーストラリアの医療制度は、公的部門と民間部門が併存する仕組みであり、連邦政府の保健省が国家健康政策を策定し、各州政府がその実施を担っている。1984年以降、一般税収を財源とする公的医療保険制度「メディケア」によりユニバーサルヘルスケアが実現している。一方で、民間医療保険や私立医療機関も広く利用されている。
オーストラリアでは看護職の社会的評価は高く、役割分担の明確化により効率的な業務体制が整えられている。看護師として就業するためには、一定水準の英語能力(例:IELTS Academic 7.0以上)が求められ、看護師登録機関への登録が必要である。日本で学士課程を修了し看護師資格を取得している場合は、追加研修を経て登録が可能とされる場合がある。看護教育は1970~80年代に大学教育へ移行し、現在は大学における学士課程教育が主流となっている。

③ タイの医療制度は、公的医療を基盤としつつ民間医療が併存する仕組みである。タイ国民は原則として公的医療機関で低額または無料で医療を受けることができ、公的医療保険には①国民医療保障制度(UC:通称30バーツ保険)、②公務員医療給付制度(CSMBS)、③社会保険制度(SSS)の三制度がある。加入制度や社会的立場により受診可能な医療機関が異なり、富裕層は私立病院を利用する傾向がある。近年はメディカルツーリズムが推進され、都市部の私立病院では高度医療が提供されているが、経済格差や地域格差による医療アクセスの差もみられる。
看護教育は王室の庇護のもと発展し、比較的早期に4年制大学教育へ移行した。看護師の多くは公務員として公的医療機関に勤務し、特に農村部の地域医療を担う重要な人材とされている。一方で、都市部ではメディカルツーリズムの拡大に伴い就業機会が増加し、国内移動がみられるなど、社会経済的背景が看護職の配置にも影響を与えている。

④ イギリスの医療制度は、1948年に創設された国民保健サービス(NHS:National Health Service)を基盤とする公的医療制度である。NHSは税金を財源とし、原則として医療サービスを無償で提供するユニバーサルヘルスケアを実現している。家庭医(GP:General Practitioner)制度が特徴的であり、住民はまず登録したGPを受診し、必要に応じて専門医や病院へ紹介される仕組みとなっている。一方で、待機期間の長さなどが課題として指摘されている。
イギリスの看護職は専門性が明確に区分されており、成人看護、児童看護、精神看護、学習障害看護などの分野別教育が行われている。看護師として就業するためには、大学での看護教育を修了し、看護・助産評議会(NMC:Nursing and Midwifery Council)への登録が必要である。近年は高度実践看護師の役割も拡大しており、地域医療や慢性疾患管理において重要な役割を担っている。

⑤ 日本と海外では、看護師配置基準、看護師の役割範囲、医療制度や提供内容、チーム医療の在り方、さらに人生観・生命観・倫理観などに違いがみられる。また、労働条件や勤務形態、専門職としての裁量権の程度も国によって大きく異なる。特に欧米諸国では看護師の自律性が高く、診療補助にとどまらない役割を担う場合も多い。
海外で日本人看護師が働く際の課題としては、まず高度な語学力の習得が挙げられる。加えて、人種問題や宗教観、ジェンダー観など、日本社会では十分に意識されにくい価値観や社会問題への理解が求められる。日本社会は同質性が高く、暗黙の了解や協調性を重視する傾向があるが、異文化環境では自らの意見や立場を明確に伝えるアサーティブなコミュニケーション能力が不可欠である。互いの文化的背景を尊重しつつ、冷静に意見を表明し、交渉や意思表示を行う姿勢が、国際的な看護実践において重要となる。

キーワード ① マネージド・ケア ② ユニバーサルヘルスケア ③ NP ④ 国際看護師 ⑤ アサーティブなコミュニケーション
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 【復習(所要時間:約1時間)】
小テストを実施し、誤答であった問題については参考書や関連資料を用いて復習し、解答の根拠を自分の言葉で説明できるようにする。また、シラバスで扱った主要キーワード(マネージドケア、ユニバーサルヘルスケア、ナース・プラクティショナー(NP)、アサーティブなコミュニケーション等)について概念を整理し、説明できるようにする。ChatGPTを活用して、本日のキーワードに関するテスト問題を作成し、理解を深める。さらに、将来海外で看護職として働くために必要な能力について考察するとともに、関心のある国における外国人看護師の受け入れ状況、日本人看護師の就労状況、看護業務の特徴や日本との相違点について調べ、理解を深める。
【予習(所要時間:約30分)】
英語によるプレゼンテーションに向けて発表練習を行い、想定される質問とその回答を準備する。

12 英語プレゼンテーション 科目の中での位置付け 本科目は、国際看護学Ⅰで修得した基礎的内容をさらに発展させたアドバンス科目として位置づけられる。
第一部(第1〜5回)では、開発途上国、災害被災国、難民を含む社会的に支援を必要とする国・地域および人々に対する国際看護の実際と具体的方法について学修する。あわせて、文化的・社会的背景の異なる対象への看護実践の基盤として、アイデンティティ、多様性、多文化共生の概念を取り上げ、対象を尊重した適切な看護を実践するための理解を深める。
第二部(第6〜10回)では、移民、留学生、外国人労働者、外国人旅行者など、日本に在留・滞在する外国人の現状と健康課題について学修する。さらに、日本における外国人支援の実際や制度的・社会的課題について演習を通して検討する。また、旅行・就労・移住等で海外に渡航する日本人の安全対策や健康課題についても扱う。
第三部(第11〜15回)では、海外で活躍する看護職者に求められる役割や機能、海外で働くための方法や準備について学修する。また、日本で働く外国人看護師および医療従事者の現状と課題を取り上げ、異文化背景をもつ看護職者との協働のあり方について考察する。
本コマでは、第9回のコマ以降、調査した内容について、英語でプレゼンテーションを行う。

英語プレゼン最強の教科書、TED「"Your Body Language Shapes Who You Are" by Amy Cuddy」
コマ主題細目 ① 発表資料 ② 導入(自己紹介) ③ プレゼンテーションのポイント
細目レベル ① 発表資料(パワーポイント)を作成する際に、ビジュアル・メッセージについて考える必要がある。ビジュアルメッセージとは、視覚的な要素(画像、色、形、図形、レイアウト、アイコンなど)を使用して伝達する情報やメッセージのことで、言葉やテキストを使わずに視覚的な表現を通じて意味を伝える手法であり、言葉やテキストでは伝えきれない印象や感情、情報を強力に伝えることができる。
1)即時性と直感性:視覚的な要素は瞬時に理解できるため、視覚的メッセージは言葉よりも早く伝わる。例えば、広告やポスターでは、短い時間で強い印象を与えるためにビジュアルメッセージが活用される。
2)感情への影響:色や形、画像などは、視覚的に感情を引き起こす力を持っている。例えば、赤は興奮や情熱を、青は落ち着きや信頼を象徴することがよくある。
3)言語の壁を越える:ビジュアルメッセージは、異なる言語や文化的背景を持つ人々にも伝わりやすいという特徴がある。例えば、絵やアイコン、シンボルなどは、言語に依存せずに共通の意味を伝えることができる。
4)簡潔さと要点の強調:ビジュアルメッセージは、視覚的に強調したい要素を際立たせることで、情報を簡潔に伝える手段となる。ビジュアルを効果的に活用することで、言葉で説明するよりも迅速にその特徴を伝えることができる。

② 導入では、まず初めに挨拶を行い、プロットを紹介する。挨拶では、簡単な自己紹介を行う。自己紹介の後に、聴衆に感謝を伝えるとよい。次に、プレゼンテーションの目的を明確化するために、プレゼンテーションの目的やテーマを簡潔に伝え、プロット(プレゼンテーションの流れや主要なポイント)を簡単に紹介する。プレゼンテーションの導入では自信を持って話すことが重要。声のトーンやペースを意識し、明確に発音することで、聴衆に信頼感を与えることができる。
③ 発表の際は、フィジカル・メッセージを活用することが重要である。フィジカル・メッセージとは、非言語的なコミュニケーションの一部であり、物理的な行動、ジェスチャー、姿勢、衣服、空間の配置など、身体的な要素を通じて伝えられるメッセージのことである。言葉や視覚的な表現を使わずに、身体的な存在や動作を通じてメッセージを伝える方法を指す。言葉だけでは伝わりにくい感情や意図を効果的に表現できる。フィジカル・メッセージには以下のようなものがある。
1)ジェスチャーや動作:身振りや手振りなど、体の動きや表現がメッセージを伝える。例えば、手を振る、指差す、腕を組むといった動作は、言葉を使わなくても特定の感情や意図を伝えることができる。
2)姿勢やボディランゲージ:立ち方、座り方、歩き方などの姿勢。オープンな姿勢は親しみやすさや自信を示し、縮こまった姿勢は不安や緊張を示す。
3)目線や視線の使い方:目を見て話すことは、信頼感や興味を示す一方、視線を避けることは、緊張や回避的な態度を示す。
4)衣服や外見:服装や外見もメッセージの一部として重要。
5)空間や環境の配置:部屋のレイアウトや座席の配置もフィジカル・メッセージとして伝わる。
6)物理的な距離:人との距離感も重要なメッセージを伝える。近づきすぎると不快感を与えることがあり、逆に遠くにいると冷たさを感じさせることがある。

キーワード ① 挨拶 ② スクリプト ③ プロット ④ ビジュアル・メッセージ ⑤ フィジカル・メッセージ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 【復習(所要時間:約1時間)】
小テストを受験する。なお、第9・12・14・15回の小テストでは国家試験過去問題を出題する。誤答であった問題については、教科書や参考図書等を用いて復習し、解答の根拠を自分の言葉で説明できるようにする。あわせて、国際看護学ⅠおよびⅡで学修した内容全体を振り返り、各回の学びを関連づけながら体系的に復習を行う。
【予習(所要時間:約30分)】
テキスト『国際看護学入門第2版』pp.191~196を熟読し、外国人看護師の動向や現状、直面している課題について理解する。そのうえで、外国人看護師と協働する際に必要な視点や留意点について自己の考えをまとめる。また、ミレニアム開発目標(MDGs)および持続可能な開発目標(SDGs)の概要を調べ、国際保健との関連を整理しておく。

13 外国人看護師との協働 SDGsへの取り組み 科目の中での位置付け 本科目は、国際看護学Ⅰで修得した基礎的内容をさらに発展させたアドバンス科目として位置づけられる。
第一部(第1〜5回)では、開発途上国、災害被災国、難民を含む社会的に支援を必要とする国・地域および人々に対する国際看護の実際と具体的方法について学修する。あわせて、文化的・社会的背景の異なる対象への看護実践の基盤として、アイデンティティ、多様性、多文化共生の概念を取り上げ、対象を尊重した適切な看護を実践するための理解を深める。
第二部(第6〜10回)では、移民、留学生、外国人労働者、外国人旅行者など、日本に在留・滞在する外国人の現状と健康課題について学修する。さらに、日本における外国人支援の実際や制度的・社会的課題について演習を通して検討する。また、旅行・就労・移住等で海外に渡航する日本人の安全対策や健康課題についても扱う。
第三部(第11〜15回)では、海外で活躍する看護職者に求められる役割や機能、海外で働くための方法や準備について学修する。また、日本で働く外国人看護師および医療従事者の現状と課題を取り上げ、異文化背景をもつ看護職者との協働のあり方について考察する。
本コマでは、日本で働く看護師や医療職者の現状や、抱える問題、協働するうえでの留意点等について学ぶ。さらに、グローバルヘルスとMDGs、SDGsの関連についても理解する。

教科書「国際看護学入門 第2版」p191~196、系統看護学講座 専門分野 災害看護学・国際看護学 第4版p256~259
コマ主題細目 ① 看護師の国際的移動 ② 外国人看護師との協働のための配慮と調整 ③ グローバルヘルスとMGDs・SDGs
細目レベル ① 看護師の国際的移動とは、出身国を離れ他国で就労する現象を指し、近年世界的に拡大している。高齢化や医療需要の増加により看護師不足に直面する国々が国外から人材を受け入れる一方、看護師自身もキャリア開発や待遇改善を求めて移動している。しかし、送り出し国、とりわけ途上国では看護師不足が深刻化し、医療サービスの質の低下や保健医療体制の混乱を招く場合がある。
国際看護師協会(ICN)は、看護師の移動が多文化的学習や専門性向上につながる可能性を認めつつ、倫理的な採用や安全確保の重要性を強調している。日本では2008年より経済連携協定(EPA)に基づき主に東南アジア諸国から看護師候補者を受け入れているが、日本語能力や国家試験合格率が課題となっている。持続可能な看護人材確保の観点から、国際的移動を公平かつ持続可能に管理することが求められる。

② 異なる国で看護基礎教育を受け、異なる文化的背景をもつ看護師と協働するためには、「日本のやり方」や「従来の慣習」に固執するのではなく、相互理解の姿勢をもつことが重要である。WHOは看護基礎教育の国際的基準を提示し、一定水準の看護基礎能力の確保を目指している。しかし、国によって看護の概念、役割や責任範囲、法制度、業務内容、医療資源の状況などには違いがある。そのため、外国人看護師は自国では経験しなかった看護技術や医療処置、文化・習慣の相違に戸惑うことがある。
協働を円滑に進めるためには、外国人看護師が直面しやすい困難を理解することが重要である。主な課題として、「日本語能力」「看護・医療制度の違い」「文化・習慣の相違」が挙げられる。日本語では方言や早口、漢字表記などが障壁となり得る。医療面では業務範囲や責任の違いが混乱を生む場合がある。さらに、コミュニケーション様式や仕事観の違いも影響する。互いの違いを確認し合い、対話を重ねながら調整していく姿勢が、持続可能な協働につながる。

③ グローバルヘルスとは、国境を越えて人々の健康課題に取り組む概念であり、国際社会が協働して健康格差の是正や健康水準の向上を目指すものである。2000年に採択されたミレニアム開発目標(MDGs)は、2000年から2015年までの国際目標として、極度の貧困削減、初等教育の普及、ジェンダー平等の推進、乳幼児死亡率の削減、HIV/AIDS対策など8つの目標を掲げた。
2015年以降は、その後継として持続可能な開発目標(SDGs)が設定され、2030年までに達成すべき17の目標が示された。SDGsでは、非感染性疾患の予防、交通事故による死傷者の削減、有害物質による健康被害の減少、医薬品やワクチンの研究開発支援など、すべての国が参加する包括的な課題が掲げられている。
その中核概念の一つがユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)であり、「すべての人が、必要な保健医療サービスを、経済的困難なく受けられる状態」を指す。UHCは健康の公平性を実現するための重要な指標であり、看護職もその達成に貢献する専門職として位置づけられている

キーワード ① 外国人看護師 ② 協働 ③ MDGs ④ SDGs ⑤ ユニバーサルヘルスカバレッジ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 【復習(所要時間:約1時間)】
テキスト『国際看護学入門第2版』pp.191〜196および授業ノートを読み返し、外国人看護師との協働やグローバルヘルスの概念について理解を深める。小テストを実施し、誤答であった問題についてはテキストや関連資料を用いて復習し、解答の根拠を自分の言葉で説明できるようにする。また、シラバスで扱った主要キーワード(外国人看護師との協働において必要な視点、MDGs、SDGs、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)等)について整理し、説明できるようにする。さらに、ChatGPTを活用して、本日のキーワードに関するテスト問題を作成し、理解を深める。
【予習(所要時間:約30分)】
グローバルヘルス、国際的な看護師の移動、在外日本人の医療・看護、在日外国人の医療・看護などの中から関心のあるテーマを一つ選び、図書館資料やインターネット等を活用して情報を収集する。次回の学修に向けて、問題意識を明確にしておくこと。

14 グループワーク、調査、発表準備 科目の中での位置付け 本科目は、国際看護学Ⅰで修得した基礎的内容をさらに発展させたアドバンス科目として位置づけられる。
第一部(第1〜5回)では、開発途上国、災害被災国、難民を含む社会的に支援を必要とする国・地域および人々に対する国際看護の実際と具体的方法について学修する。あわせて、文化的・社会的背景の異なる対象への看護実践の基盤として、アイデンティティ、多様性、多文化共生の概念を取り上げ、対象を尊重した適切な看護を実践するための理解を深める。
第二部(第6〜10回)では、移民、留学生、外国人労働者、外国人旅行者など、日本に在留・滞在する外国人の現状と健康課題について学修する。さらに、日本における外国人支援の実際や制度的・社会的課題について演習を通して検討する。また、旅行・就労・移住等で海外に渡航する日本人の安全対策や健康課題についても扱う。
第三部(第11〜15回)では、海外で活躍する看護職者に求められる役割や機能、海外で働くための方法や準備について学修する。また、日本で働く外国人看護師および医療従事者の現状と課題を取り上げ、異文化背景をもつ看護職者との協働のあり方について考察する。
本コマでは、国際看護学ⅠおよびⅡの今までに学習してきた内容をもとに、自分の興味のある内容について調べてまとめる。

教科書「国際看護学入門 第2版」p196−201
コマ主題細目 ① グローバルヘルス ② 国際看護 ③ 在外日本人・在日外国人
細目レベル ① グローバルヘルスに関する多岐にわたるトピックから自分の興味のあるものを見つけて、本や文献、インターネット、インタビュー等を用いて調査を行う。トピックの例は以下の通りである。
・感染症対策と予防:新型コロナウイルスやエボラ出血熱などの感染症について
・ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ (UHC)
・非感染性疾患 (NCDs):心臓病、がん、糖尿病などの非感染性疾患に対する対策
・健康格差や健康格差の是正:経済状況や地域による健康格差等
・気候変動と健康:気候変動が健康に与える影響(熱中症や感染症の広がりなど)
・公衆衛生:母子保健、栄養不足問題など
・難民の保健問題
・災害支援・災害看護
・国際協力
・国際組織
上記のもの以外でも、自分の興味のある内容について調べてまとめる。

② 国際看護に関する多様なトピックから自分の興味のあるものを見つけて、本や文献、インターネット、インタビュー等の方法を用いて調査を行う。トピックの例は以下の通りである。
・看護留学と国際看護資格:海外での看護資格の取得方法について
・国際看護師:活動場所、活動内容、活動方法など
・異文化対応と看護ケア:異なる文化や背景を持つ患者に対する看護ケアについて
・国際看護倫理:異なる国や文化での看護倫理について
・グローバルヘルスと看護:グローバルヘルスの課題に対する看護の役割や貢献について、感染症対策や保健対策、健康格差の是正について
・外国人看護師の現状や課題
上記のもの以外でも、自分の興味のある内容について調べてまとめる。

③ 在外日本人・在日外国人に関する多様なトピックから自分の興味のあるものを見つけて、本や文献、インターネット、インタビュー等を用いて調査を行う。トピックの例は以下の通りである。
・海外に居住経験の人に、海外生活で困ったことや健康上の問題などをインタビューする
・海外で医療を受けた経験がある人に、その体験についてインタビューする
・日本に住む外国人に、日本での生活で困っていることや健康上の問題などについてインタビューする
・日本に住む外国人で、日本で医療機関を受診した経験がある人に、その体験についてインタビューする
・外国人患者への対応をしたことのある看護職者に、その経験についてインタビューする
上記のもの以外でも、自分の興味のある内容について調べてまとめる。

キーワード ① グローバルヘルス ② 国際看護師 ③ 外国人看護師 ④ 在日外国人 ⑤ 在外日本人
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 【復習(所要時間:約30分)】
小テストを受験する。なお、第9・12・14・15回の小テストでは国家試験過去問題を出題する。誤答であった問題については、教科書や参考図書等を用いて復習し、解答の根拠を自分の言葉で説明できるようにする。また、国際看護学ⅠおよびⅡで学修した全内容を関連づけながら振り返り、体系的な理解を深める。
【予習(所要時間:約1時間)】
授業時間内に十分取り組めなかった、自身で設定したトピックに関する調査および資料作成を進め、発表準備を完了させる。インタビューを実施する場合は、相手への配慮と倫理的配慮を徹底し、負担が過度にならないよう留意する。

15 発表、まとめ 科目の中での位置付け 本科目は、国際看護学Ⅰで修得した基礎的内容をさらに発展させたアドバンス科目として位置づけられる。
第一部(第1〜5回)では、開発途上国、災害被災国、難民を含む社会的に支援を必要とする国・地域および人々に対する国際看護の実際と具体的方法について学修する。あわせて、文化的・社会的背景の異なる対象への看護実践の基盤として、アイデンティティ、多様性、多文化共生の概念を取り上げ、対象を尊重した適切な看護を実践するための理解を深める。
第二部(第6〜10回)では、移民、留学生、外国人労働者、外国人旅行者など、日本に在留・滞在する外国人の現状と健康課題について学修する。さらに、日本における外国人支援の実際や制度的・社会的課題について演習を通して検討する。また、旅行・就労・移住等で海外に渡航する日本人の安全対策や健康課題についても扱う。
第三部(第11〜15回)では、海外で活躍する看護職者に求められる役割や機能、海外で働くための方法や準備について学修する。また、日本で働く外国人看護師および医療従事者の現状と課題を取り上げ、異文化背景をもつ看護職者との協働のあり方について考察する。
本コマでは、第14回で調べてまとめた内容を発表し、質疑応答等を通して理解を深め、他のメンバーの発表を聞いて新たな知見を得る。

配布資料、教科書「国際看護学入門 第2版」p196−201
コマ主題細目 ① 発表(プレゼンテーション) ② 質疑応答、学びの共有 ③ まとめ
細目レベル ① 本回では、各自が関心をもった国際看護に関連するテーマについて調査・整理した内容を発表する。発表では、①テーマを選択した理由、②調査を通して明らかになった事実や課題、③そこから得た学びや考察を含め、論理的かつ分かりやすく構成することを求める。発表にはPowerPointを使用し、時間は1人10分程度とする。
単なる情報の紹介にとどまらず、国際看護学ⅠおよびⅡで学修した内容との関連を意識し、自らの視点や意見を明確に示すことが重要である。また、他者の発表を通して多様な視点に触れ、国際看護に対する理解をさらに深める機会とする。

② 各発表後に質疑応答の時間を設ける。受講者は、発表内容を踏まえて積極的に質問や意見を述べ、活発な意見交換を行うことを求める。単に発表を聴講するのではなく、自らの学びや疑問を言語化し、対話を通して理解を深める姿勢を重視する。
質疑応答や他者の意見を通して、多様な視点や考え方に触れることで、国際看護に対する理解を一層深化させる。また、他グループの発表を聴くことで、自身が扱わなかったテーマについても知見を広げ、科目全体の学びを統合する機会とする。

③ 本回では、近年の国際看護の動向や看護師国家試験の出題傾向を踏まえつつ、国際看護学Ⅱ第1回から第15回までの学修内容を総復習する。各回で扱った理論や事例、キーワードを相互に関連づけながら整理し、体系的理解を深める。
国際看護においては、対象者の文化的背景や価値観を尊重する姿勢が不可欠である。看護師として、自らの価値観を前提とするのではなく、まず相手の考えや思いに耳を傾けることの重要性を再確認する。本科目の学びを今後の看護実践へどのように活かすかを考察する機会とする。

キーワード ① グローバルヘルス ② 国際看護師 ③ 外国人看護師 ④ 在日外国人 ⑤ 在外日本人
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 【復習課題(所要時間:約90分)】
小テストを受験する。なお、第9・12・14・15回の小テストでは国家試験過去問題を出題する。誤答であった問題については、教科書や参考図書等を用いて復習し、解答の根拠を自分の言葉で説明できるようにする。
また、自身が調査・発表した内容について、質疑応答や他の受講者の発表から得た視点を踏まえて再整理し、要点をまとめる。国際看護学ⅠおよびⅡで学修した内容全体を関連づけながら体系的に振り返り、定期試験に向けた総復習を行う。
さらに、異文化看護において求められる姿勢や実践上の留意点について、これまでの講義内容を踏まえ、具体例を挙げながら自分の言葉で説明できるように整理する。ChatGPTを活用して、今までの講義のキーワードのうち理解が不足しているキーワードについて確認問題を作成し、理解を深める。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
技術協力・緊急援助★★ 開発途上国や災害被災国、難民等、社会的支援を必要とする人々に対する国際看護の実際と具体的方法について理解し、説明できる。地域・病院・看護教育・政策における技術協力の特徴と方法を区別して説明できる。また、災害支援および難民支援の展開過程や留意点について理解し、具体例を挙げて説明できる。 技術援助、災害援助、難民援助 20 第1、2、15回
多文化共生・多文化看護★★★ アイデンティティ、多様性、多文化共生の概念を理解し、文化的・社会的背景の異なる対象を尊重した看護実践の課題と方法について説明できる。世界における差別の歴史や現状を踏まえ、異文化を尊重した関わりのあり方について自己の考えを論理的に述べることができる。また、近代医療に加え、伝統医療や民間医療の意義を理解し説明できる。 多文化共生、異文化理解、伝統医療 25 第3、4、5、12、15回
在日外国人の医療と看護★★ 移民、留学生、外国人労働者、外国人旅行者などの現状と健康問題について理解し、日本における外国人支援の制度や課題を説明できる。在留外国人の動向や医療アクセスの問題、言語・文化的背景に起因する看護上の課題を理解し説明できる。また、外国人患者への具体的ケア方法や留意点について整理し、説明できる。 医療通訳、コミュニケーション方法、医療保険制度 25 第6、7、8、15回
在外日本人の医療と看護★ 旅行、就労、移住等で海外に滞在する日本人の現状と、直面しやすい健康問題や安全上の課題について理解できる。在外日本人に必要な医療・看護の概要を説明できるとともに、渡航前および滞在中に求められる感染症対策や危機管理などの具体的な安全対策について理解し、説明できる。 安全管理、異文化不適応、医療保険 10 第10、15回
外国人看護師との協働・国際看護活動★★ 海外における看護師の役割や機能、日本で働く外国人看護師・医療従事者の現状と課題について理解し説明できる。外国人看護師との協働に必要な配慮や調整の視点を整理し、説明できる。また、日本と海外の医療・保健・看護制度の相違を理解し、日本人看護師が海外で働く方法や求められる役割について説明できる。 協働、SDGs、国際看護師 20 第11、13、15回
評価方法 期末試験100%(出席、授業への参加)
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 日本国際看護学会編集「国際看護学入門 第2版」医学書院 3,080円(電子テキスト)
参考文献 森淑江 他「看護学テキスト 国際看護」南江堂 2,600円、樋口まち子 他「看護の統合と実践③ 国際看護学」メジカルフレンド社 2,420円、竹下喜久子 他「系統看護学講座 専門分野 災害看護学・国際看護学 第4版」医学書院 2,640円、大橋一友 他「ナーシンググラフィカ 国際化と看護」メディカ出版、DVD「グリーンブック」、DVD「病院での通訳の基礎知識 医療通訳って何だろう?」、「英語プレゼン最強の教科書」コスモピア
実験・実習・教材費 演習時の資料は別途配布予定