区分 専門科目-統合看護
ディプロマ・ポリシーとの関係
実践能力 倫理観 専門性探求
地域社会貢献 グローバル性
カリキュラム・ポリシーとの関係
豊かな人間性 広い視野 知識・技術
判断力 探求心
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
看護学の「統合科目」として位置づけ、症状・徴候から対象をアセスメントする知識・技術を習得する
科目の目的
基礎看護学・在宅看護学にはじまり発達段階にあわせた看護などを学習した内容についてそれぞれの領域で大切なことを改めて学習する。また、この科目は、これまで学んできた専門基礎科目および専門科目の必修科目について、学生の理解の到達度の低い科目に焦点をあてる。1年次に学んだ解剖生理学に関する学修の総復習、2年次に学んだ病態に関する学修の総復習、3年次に学んだ専門科目に関する学修と領域別実習で得た経験知の総復習を行い、4年後期に統合させる。それにより理解の到達度を上げる。
到達目標
本科目を履修することで、学生は看護実践に必要な解剖生理・病態生理・診断・アセスメント・看護ケアを統合的に理解し、臨床に応用できる能力を身につけることを目指す。
①解剖生理と病態の理解②診断・アセスメント能力の向上③看護ケアの実践力④臨床応用力と多職種連携の理解 
本到達目標を達成することで、学生が臨床現場で即戦力として活躍し、看護師国家試験に対応できる能力を身につけることを目指す。

科目の概要
解剖生理では神経系と内分泌系を重点的に復習する。からだ全体の調節と統合は神経系と内分泌系で行われている。このしくみについて総復習する。さらに、「統合看護学」としてこれまで学んだ各看護学の知識を統合することにより、からだの正常から異常を理解し、看護に至る大きな流れをつかむことができるようにする。基礎看護学、在宅看護学、母性看護学、小児看護学、成人看護学急性期、成人看護学慢性期、老年看護学別に再度学習する。
また、この科目は国家試験の内容を意識しながら、さらには関連させ知識の定着を図る。
国家試験の問題を通して、知識の定着度を確認する科目でもある。同時に、単に知識を定着させるだけではなく、視点を変えても確実に活用できる知識を修得させる。

科目のキーワード
解剖生理 病態 基礎看護 在宅 母性 小児 急性期 慢性期 老年
授業の展開方法
この科目はオムニバス形式で講義をすすめるため、講義時には領域毎に対応したテキスト、ノート、資料を持参する。解剖生理学3コマ、基礎看護学2コマ、在宅看護学2コマ、母性看護学2コマ、小児看護学2コマ、成人看護学急性期2コマ、成人看護学慢性期2コマ、老年看護学2コマのオムニバス形式で講義を行う。講義時には、国家試験に関する過去の問題や予想問題等を提示しながら、その解説も含めて、講義を進める。また、講義終了時にはLMS小テストやコミュニケーションペーパーの記載を求め、質問事項については次回の冒頭で回答する。またこの授業においては教員の実務経験を踏まえて、事例などを提示しながら説明する。
オフィス・アワー
(準備中)
科目コード BL12
学年・期 4年・後期
科目名 統合看護
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】30h【予習・復習】60h
前提とする科目
展開科目
関連資格 看護師,保健師,養護教諭
担当教員名 加藤由美
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 解剖生理・神経系(西) 科目の中での位置付け 神経系の振り返りを行う。神経系は、生体が全体として調和のとれた働きができるように、各器官の働きを素早く調節する役割を担う。
神経系は神経細胞が多秒数集まって作られている。個々の神経細胞は、秒速数十m程度の速さで電気信号を伝える、化学物質を放出して次の細胞に情報を伝える、などの仕組みを備えている。これによって神経細胞は情報を非常に速く伝え、神経細胞同士連絡し合い、情報を統合することができる。
大脳では、大脳皮質の働きについて位置(前頭葉、後頭葉など)と機能(運動野、感覚野など)を押さえる。間脳は脳の中心部、大脳と脳幹の間に位置し、視床と視床下部などがある。小脳は大脳皮質にある後頭葉の下に位置している。2つの小脳半球からなり、虫部でつながっている。
神経系はその機能の中心をなす中枢神経系と、中枢と身体各部を連絡する末梢神経系に分類される。末梢神経系は、機能の上で身体の運動や感覚を司る体性神経系と、循環・呼吸・消化などの各種自律機能を司る自律神経系に分類される。体性神経系と自律神経系のいずれにも、求心性神経と遠心性神経が含まれる。
この回では、中枢神経系と末梢神経系それぞれの構造と機能の復習をする。

①、②:『系統看護学講座 専門基礎 解剖生理学 人体の構造と機能1』医学書院 第6章「内臓機能の調節」A自律神経による調節、第8章「情報の受容と処理」
③:『系統看護学講座 専門基礎 病態生理学 疾病のなりたちと回復の促進2』医学書院 第12章「脳・神経、筋のはたらきと病態生理」
コマ主題細目 ① 中枢神経系の構造と機能 ② 末梢神経系の構造と機能 ③ 臨床への応用
細目レベル ① 脳の主要部位(大脳・間脳・脳幹・小脳)とその機能を整理し、特に大脳皮質の各領域(前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉)の役割を明確に理解する。次に、脳幹(中脳・橋・延髄)と生命維持機能(呼吸・循環・意識レベルの調節)を重点的に復習する。また、脊髄の白質と灰白質の構造、上行路・下行路の神経伝導を把握し、運動・感覚障害の発生機序を理解することで臨床に結びつける。さらに、視床・視床下部の機能(感覚情報の中継、ホルモン調節)や、大脳基底核・小脳の運動調節機能を学ぶことで、疾患との関連が明確になる。血液脳関門や脳脊髄液の循環機構も確認し、中枢神経の保護機構を理解する。
② 末梢神経系の復習では、体性神経と自律神経の機能と経路を明確に理解する。脳神経(12対)と脊髄神経(31対)の機能と支配領域を整理し、特に運動・感覚神経の経路と反射弓を復習ことで、臨床での神経診察の基礎とつなげる。次に、自律神経系では交感神経と副交感神経の作用と支配臓器の違いを理解し、ノルアドレナリン・アセチルコリンなどの神経伝達物質の役割を把握する。さらに、ニューロパチー(糖尿病性神経障害、ギラン・バレー症候群)や脊髄損傷による神経障害の特徴を学ぶことで、病態の理解が深まる。加えて、神経再生の限界やシュワン細胞の役割を知ることで、治療やリハビリの視点も養われる。最後に、デルマトーム(皮膚分節)と筋節の支配領域を覚えることで、臨床での評価に役立つ知識が身につく。
③ 神経疾患ごとの特徴的な症状(脳卒中による片麻痺、パーキンソン病の振戦、多発性硬化症の視力障害など)を整理し、障害部位と症状の関係を明確に理解する。図や模式図を活用して構造・機能を視覚的に整理する。脳や脊髄の解剖図を描いたり、神経経路をフローチャート化したりすることで、構造と機能の関連を明確にする。ケーススタディを通じて、実際の患者の経過を追いながら病態生理とケアの関連を考察することで、知識を臨床応用できる力を養う。例えば、「脳梗塞で右片麻痺の患者はどの神経経路が障害されているか?」といった臨床場面を考えながら学ぶことで、知識の応用力を高める。看護師国家試験対策も兼ねた学習として、過去問を活用し、解剖生理の知識がどのように問われるかを把握する。
「なぜこの答えになるのか」を説明できるようにすることで、単なる暗記ではなく理解を深める。

キーワード ① 中枢神経 ② 末梢神経 ③ 神経伝達物質 ④ 片麻痺 ⑤ パーキンソン病
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 中枢神経系(脳・脊髄)の構造、頭蓋のどこに何が位置しているのかをテキストで再確認する。大脳皮質の機能局在について図を用いて見直す。脳幹、間脳、小脳それぞれの機能について各自でまとめておく。大脳基底核とパーキンソン病の関係について理解する。体性神経系や自律神経系には中枢神経系からの指令を末梢の効果器に伝える遠心性神経と、末梢の情報を中枢へ伝える求心性神経がある。それぞれの作用についてまとめておく。脳神経(12対)と脊髄神経(31対)の機能と支配領域を再度、整理する。
次回は内分泌系なので、ホルモンを列挙し、その作用、産生場所についてまとめておくこと。内分泌腺である下垂体(前葉・後葉)、甲状腺、副甲状腺、膵島、副腎(皮質・髄質)はしっかりと押さえておくこと。
【予習学習時間目安:1時間/復習学習時間目安:2時間】

2 解剖生理・内分泌(西) 科目の中での位置付け 内分泌系の振り返りを行う。体内の各種の器官の機能を協調的に調節する機構には、神経系のほかに内分泌系がある。神経系が主に迅速な調節を行うのに対し、内分泌系は主として緩慢であるが、長期にわたるような調節を行う。
ホルモンとは、一般に内分泌腺にある内分泌細胞から直接血液中に分泌され、血行を介してホルモンに対する受容体を持つ特定の器官に達し、微量で特異的な効果を及ぼす物質をいう。内分泌腺には、下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵臓の膵島、副腎、卵巣、精巣、松果体などがある。消化管や腎臓は、特定の内分泌腺を持たないが、内分泌細胞を有し、ホルモンを分泌する。さらに視床下部のある種の神経細胞もホルモンを分泌する。内分泌腺がホルモンを血液中に放出するのに対し、外分泌腺は汗や消化液などの分泌物を消化管腔や体外に放出する。ホルモンの産生場所、作用を理解した上で、分泌亢進あるいは分泌減少の場合、どのような症状が出るのかも併せて復習する。

①、②:『系統看護学講座 専門基礎 解剖生理学 人体の構造と機能1』医学書院 第6章「内臓機能の調節」
③:『系統看護学講座 専門基礎 病態生理学 疾病のなりたちと回復の促進2』医学書院 第10章「内分泌・代謝のしくみと病態生理」
コマ主題細目 ① ホルモンのフィードバック機構(恒常性維持の理解) ② 主要なホルモンとその作用(インスリン・副腎皮質ホルモン・甲状腺ホルモン) ③ 内分泌疾患のスクリーニングと診断(臨床応用)
細目レベル ① 内分泌系のホルモン分泌は、視床下部・下垂体・標的臓器が連携し、主に負のフィードバック機構で調節される。たとえば、視床下部が甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)を分泌すると、下垂体が甲状腺刺激ホルモン(TSH)を放出し、甲状腺がT3・T4を分泌する。血中のT3・T4濃度が上昇すると、視床下部と下垂体が抑制され、過剰な分泌を防ぐ。これにより、ホルモンの恒常性が維持される。この調節機構の異常が疾患につながる。たとえば、クッシング症候群では副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が過剰に分泌され、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の過剰産生を引き起こす。逆にアジソン病では、副腎機能低下によりコルチゾールが不足し、低血圧や低血糖を引き起こす。ホルモンのフィードバック機構を理解することは、内分泌疾患の診断や治療方針を考える上で重要である。
② 内分泌系の理解には、主要なホルモンの作用とその異常による疾患の特徴を把握することが重要である。まず、インスリンは血糖を下げる作用を持ち、糖尿病の病態理解に不可欠である。1型糖尿病はインスリン分泌が欠乏し、2型糖尿病はインスリン抵抗性が原因となる。また、副腎皮質ホルモンのコルチゾールはストレス応答に関与し、血糖・血圧を上昇させる。クッシング症候群ではコルチゾール過剰により中心性肥満や高血糖がみられ、アジソン病ではコルチゾール不足で低血圧や疲労感が生じる。さらに、甲状腺ホルモン(T3・T4)は代謝調節に関与し、甲状腺機能低下症(橋本病)では倦怠感や浮腫、機能亢進症(バセドウ病)では頻脈や体重減少がみられる。これらのホルモンの作用を整理することで、疾患の病態と症状の関連を理解し、臨床判断の基盤を築くことができる。
③ 内分泌疾患の診断には、ホルモン分泌の異常を特定し、臨床症状と関連づけることが重要である。例えば、甲状腺機能異常のスクリーニングでは、甲状腺刺激ホルモン(TSH)と甲状腺ホルモン(T3・T4)の測定が基本となる。TSHが高くT3・T4が低い場合は甲状腺機能低下症(橋本病)、TSHが低くT3・T4が高い場合は甲状腺機能亢進症(バセドウ病)が疑われる。また、糖尿病の診断には空腹時血糖値・HbA1cの測定が有効であり、HbA1c6.5%以上で糖尿病と診断される。さらに、副腎機能の評価にはACTH刺激試験が用いられ、低値の場合はアジソン病、高値の場合はクッシング症候群が示唆される。内分泌疾患の診断指標を学ぶことで、血液検査結果から疾患を予測し、早期対応につなげる力を養うことができる。
キーワード ① 内分泌腺 ② フィードバック機構 ③ 視床下部 ④ 糖尿病 ⑤ クッシング症候群
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 ホルモンのフィードバック機構はフローチャートや模式図を活用して整理し、視床下部・下垂体・標的臓器の関係を理解する。次に、主要ホルモンの作用と疾患を表にまとめ、特徴的な症状や診断基準を関連付ける。これらの復習には1年次生、2年次生で使用したテキストを中心にまとめる。国家試験対策としては、過去問を解き、問題ごとに「なぜこの答えになるのか」を説明できるようにすることで、知識を定着させる。過去問の状況設定問題を解くことで、基礎的な知識が身に付くだけでなく、優先すべき看護ケアを考える力が養われる、病態をアセスメントし、適切な判断を行う力がつく、患者への説明・教育スキルが向上し、実践的な看護力が身につくなど、実際の臨床現場で即戦力となる力をつけるのに非常に有効である。
【予習学習時間目安:1時間/復習学習時間目安:2時間】

3 解剖生理・循環器と呼吸器(西) 科目の中での位置付け 循環器と呼吸器の振り返りを行う。
循環器は、血液循環の仕組みと疾患の病態生理を関連付けることが重要である。まず、心臓の構造と血流の経路を明確に整理し、心房・心室、弁(僧帽弁・三尖弁・大動脈弁・肺動脈弁)の機能を理解する。次に、心拍出量(CO)=心拍数(HR)×1回拍出量(SV)の関係や、前負荷・後負荷・心筋収縮力の概念を把握し、心不全の病態と関連づけることが重要である。さらに、冠状動脈の血流と心筋の酸素供給を理解し、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の発症機序を整理する。臨床応用として、心電図(ECG)の基本波形と不整脈の特徴を学ぶことで、臨床判断力を養う。また、高血圧・心不全・不整脈の薬物療法(降圧薬・抗不整脈薬・強心薬など)を理解し、看護ケアに活かせるようにすることが重要である。
呼吸器の学習では、ガス交換のメカニズムと換気の調節機構を理解することが必要である。まず、肺の構造(気管・気管支・肺胞)と呼吸の生理を整理し、酸素と二酸化炭素のガス交換が肺胞・毛細血管レベルでどのように行われるかを明確にする。また、換気量=呼吸回数×1回換気量の計算を学び、呼吸不全の病態と結びつける。さらに、酸素解離曲線(ヘモグロビンの酸素親和性)を理解し、低酸素血症や高炭酸ガス血症のメカニズムを把握することが重要である。臨床応用として、動脈血ガス分析(ABG)の読み方や、酸塩基平衡の異常(呼吸性アシドーシス・アルカローシス)を学ぶと、呼吸不全の管理が理解しやすくなる。また、COPDや喘息、肺炎、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)などの主要疾患の特徴と治療・看護についても学ぶと、臨床での対応力が向上する。

①、②:『系統看護学講座 専門基礎 解剖生理学 人体の構造と機能1』医学書院 第4章「血液の循環とその調節」、『系統看護学講座 専門基礎 病態生理学 疾病のなりたちと回復の促進2』医学書院 第6章「循環のしくみと病態生理」
③、④:『系統看護学講座 専門基礎 解剖生理学 人体の構造と機能1』医学書院 第3章「呼吸と血液のはたらき」、『系統看護学講座 専門基礎 病態生理学 疾病のなりたちと回復の促進2』医学書院 第7章「呼吸のしくみと病態生理」
コマ主題細目 ① 循環器の基本構造と血流のメカニズム ② 循環器疾患の診断・管理と看護 ③ 呼吸器の基本構造とガス交換のメカニズム ④ 呼吸器疾患の診断・管理と看護
細目レベル ① 循環器を学ぶ上で、まず心臓の構造と血液の流れを明確に理解することが重要である。心臓は右心房・右心室・左心房・左心室の4つの部屋からなり、血液は静脈を通って右心房に戻り、右心室から肺へ送り出される(肺循環)。肺で酸素化された血液は左心房・左心室を経て大動脈から全身へと送り出される(体循環)。この流れを調整するのが4つの弁(僧帽弁・三尖弁・大動脈弁・肺動脈弁)であり、弁膜症の理解にもつながる。
また、心機能を評価する指標として、心拍出量(CO)=心拍数(HR)×1回拍出量(SV)の関係が重要であり、心不全ではこれらが低下する。さらに、心臓の血流供給を担う冠動脈の解剖と狭心症・心筋梗塞の病態を理解することで、循環器疾患の基礎が固まる。

② 循環器の復習では、心電図(ECG)の波形を理解し、不整脈や心筋梗塞の診断につなげることが重要である。心電図はP波(心房収縮)、QRS波(心室収縮)、T波(心室の回復)からなり、例えば心房細動ではP波が消失し、心筋梗塞ではST上昇が特徴的となる。心電図の読み方を学ぶことで、臨床での異常の早期発見が可能となる。
また、循環器疾患の管理には降圧薬(カルシウム拮抗薬・β遮断薬)、抗不整脈薬、強心薬(ジギタリス)などの薬物療法が不可欠であり、薬理作用と看護ケアを整理しておくとよい。さらに、高血圧・心不全・虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の症状と対応を学ぶことで、循環器患者のアセスメント力が向上する。循環器の疾患管理では、血圧・脈拍・心電図・心音の評価が看護の重要な役割となるため、実践的な学習を意識する。

③ 呼吸器の理解には、まず肺の構造と呼吸の生理を整理することが重要である。空気は鼻腔→咽頭→喉頭→気管→気管支→肺胞の順に流れ、肺胞で酸素と二酸化炭素のガス交換が行われる。肺胞の周囲には肺毛細血管が存在し、酸素は血液中のヘモグロビンと結合して全身に運ばれ、二酸化炭素は呼気として排出される。このとき、酸素とヘモグロビンの結合には酸素解離曲線が関与し、低酸素血症の理解に重要となる。また、呼吸運動は延髄の呼吸中枢によって調節され、血中の二酸化炭素濃度が増加すると呼吸が促進される。さらに、換気量(1回換気量×呼吸回数)の計算を学ぶことで、人工呼吸管理や呼吸不全の評価がしやすくなる。これらの知識を整理することで、呼吸器疾患の病態を理解しやすくなる。
④ 呼吸器疾患を学ぶ際には、動脈血ガス分析(ABG)の理解と、疾患ごとの特徴を整理することが重要である。ABGではpH・PaO₂・PaCO₂・HCO₃⁻を評価し、呼吸性アシドーシス(PaCO₂上昇)や呼吸性アルカローシス(PaCO₂低下)を判断できる。また、COPD(慢性閉塞性肺疾患)では換気障害による高炭酸ガス血症がみられ、喘息では気道の炎症と気管支攣縮が主な病態となる。さらに、肺炎やARDS(急性呼吸窮迫症候群)では、低酸素血症が問題となるため、酸素療法の適応を理解することが重要である。呼吸管理の看護では、SpO₂(経皮的酸素飽和度)の評価、酸素投与の方法(カニューラ・マスク・人工呼吸器)の選択を学び、呼吸困難時の対応を身につけることが求められる。
キーワード ① 心拍出量 ② 心電図 ③ 高血圧 ④ ガス交換 ⑤ 呼吸不全
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 解剖生理の理解を基盤とし、病態・診断・看護ケアを関連付けて復習する。まず、心臓・肺の構造と機能を正しく理解し、それがどのように疾患の病態に影響するのかを整理する。心不全では心拍出量の低下、COPDでは換気障害とガス交換の問題が生じることをまとめる。次に、心電図・血圧測定・動脈血ガス分析(ABG)などの診断技術が、臨床判断にどう活かされるのかを意識する。また、単に疾患の症状や治療を暗記するのではなく、病態の進行に応じた患者の状態を想像し、適切な看護ケアを選択できることを目指す。例えば、循環器系の「浮腫」に対する看護ケアを考える場合、
病態の理解:浮腫は心不全による静脈うっ滞やナトリウム・水分貯留が原因であることを把握する。
観察すべきポイント:足背や脛骨前面の圧痕性浮腫の有無、体重増加、尿量減少などを評価する。
具体的なケア:塩分・水分管理(摂取制限の指導)、利尿薬の投与管理と効果の観察(尿量・電解質異常のチェック)、下肢挙上や弾性ストッキングによる血流改善、というようにまとめるようにする。
【復習学習時間目安:3時間】

4 基礎・呼吸器系に関するアセスメント1(服部美穂) 科目の中での位置付け 統合看護では「統合看護学」として各看護学の学習を終えた時点での、これまで学んだ看護学の知識を統合させることがこの科目の目的である。このコマにおいては、基礎看護学・フィジカルアセスメントで学んだ呼吸器系のフィジカルアセスメントを中心に復習をする。呼吸器系は循環器系と同様に、生命に直結するアセスメントであり、これは、どのような対象にも、またどのような状況においても、最も優先されるアセスメントである。まずは看護過程とヘルスアセスメントの関わりを再度確認する。次に国家試験の過去の問題等より、よく出題される問題を中心に基本的な呼吸器系の構造と機能を復習する。また、アセスメント内容やフィジカルイグザミネーションについて復習する。また呼吸と循環は切り離して考えることは困難であるため、呼吸のアセスメントに伴って必要となる循環系のフィジカルアセスメントについても復習していく。この第4コマ目の講義においては、構造と機能の復習、イグザミネーション内容とアセスメントの復習に関する個人ワーク、国家試験対策用問題での知識の定着確認を繰り返して学ぶ。
2年次に使用した教科書 医療情報科学研究所:「看護がみえるvol3.フィジカルアセスメント第1版」メディックメディア、2019、p100~137、138~169.
2年次に使用した講義ノート(フィジカルアセスメント)呼吸・循環
コマ主題細目 ① 看護過程とヘルスアセスメントの関係 ② 呼吸器系の構造と機能 ③ 事例「呼吸が苦しい」
細目レベル ① 看護におけるヘルスアセスメントは、看護過程の一環としてケアを前提に行う。特にフィジカルアセスメントは、身体の異常状態の原因や問題に着目したり、また症状の緩和・安楽なケアの根拠や裏づけとなる。臨床推論の過程には以下のステップがある。①異常所見を見分ける、②所見を解剖学的に分類する、③起こりうるプロセスという観点から所見を解釈する、④患者の問題について仮説を立てる、⑤仮説を検証する、⑥暫定的な(仮の)診断をつける、⑦ケア計画を立案する。そして、臨床推論においては、①目的を忘れない、②優先度を意識する、③状況を考慮する、④ポジティブシンキング、⑤ルールアウト(除外)診断的なすすめかた、⑥100%はありえない、⑦とらわれない考え方がある。
② 呼吸器および循環器に関する国家試験出題基準、頻出出題項目に基づいて復習を行う。
看護師国家試験出題基準では、「目標Ⅲ 看護に必要な人体の構造と機能および健康障害と回復について基本的な知識を問う 10.人体の構造と機能 A.人体の基本的な構造と正常な機能」および「目標Ⅳ.看護技術に関する基本的な知識を問う 13.看護における基本技術C.フィジカルアセスメント」について、この第4コマ目では知識の定着の確認をする。そして、全体的に不足している内容について解説する。呼吸器を中心に説明するが、呼吸器と循環器は切り離して考えることはできない。また、ケアという視点では、示した内容にとどまらず、生活の視点なども含むことが必要となる。

③ 「呼吸が苦しい」と患者に訴えられたときのフィジカルアセスメントを確認する。基本は呼吸数の観察である。必ず1分間の観察をする。呼吸数をカウントしながら、異常な呼吸パターンの観察を行う。また、パルスオキシメーターは、メリット・デメリットを理解して使用する。パルスオキシメーターは、SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)が示す、ヘモグロビンの酸素飽和度をあらわす。SpO2低下は、呼吸状態悪化のサインであるが、酸素供給量の低下、高酸素血症、高炭酸ガス血症は検出できない。心房細動などの不整脈があると低く表示される、ばち状指がある場合は信頼できない酸素飽和度を示すので、貧血の状態は反映しない、COPDの患者などは、呼吸状態とSpO2は比例しない、また周囲が明るすぎると精度が妨害し、低酸素患者の場合、酸素飽和度を過大評価してしまうなどのデメリットがある。
キーワード ① 看護過程 ② 臨床判断 ③ フィジカルアセスメント ④ 呼吸器官 ⑤ 呼吸困難
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 呼吸器に関する構造と機能について再度学習してから講義にのぞむこと。特に、フィジカルアセスメントの講義ノートやテキストでの確認、解剖生理学の講義ノートやテキストを確認すること。呼吸器系の疾患についても、慢性閉塞性肺疾患など成人看護学・高齢者看護学で学んだ主たる疾患もまとめておく。呼吸器について観察するためのフィジカルイグザミネーションについても列挙しておくこと。また、今までに実施した国家試験模擬試験でのヘルスアセスメントや呼吸器に関する試験問題を再度解答し、疑問点や間違えた点を明確にしてから講義にのぞむこと。各自が計画を立てて行なっている国家試験対策用の問題集を解答し、確認することもしておくと良い。
【予習学習時間目安:1h/復習学習時間目安:1h】

5 基礎・呼吸器系に関するアセスメント2(服部美穂) 科目の中での位置付け 統合看護では「統合看護学」として各看護学の学習を終えた時点での、これまで学んだ看護学の知識を統合させることがこの科目の目的である。このコマにおいては、基礎看護学・フィジカルアセスメントで学んだ呼吸器系のフィジカルアセスメントを中心に復習をする。呼吸器系は循環器系と同様に、生命に直結するアセスメントであり、これは、どのような対象にも、またどのような状況においても、最も優先されるアセスメントである。第4コマ目で確認した看護過程とヘルスアセスメントの関わり、よく出題される国家試験問題の基本的な呼吸器系の構造と機能、アセスメント内容やフィジカルイグザミネーションを踏まえて行う。また呼吸と循環は切り離して考えることは困難であるため、呼吸のアセスメントに伴って必要となる循環系のフィジカルアセスメントについても確認する。この第5コマ目の講義においては、第4コマ目で行った個人ワークをもとに、グループワークをしてアセスメントに必要なフィジカルイグザミネーションおよびアセスメントについて確認する。
2年次に使用した教科書 医療情報科学研究所:「看護がみえるvol3.フィジカルアセスメント第1版」メディックメディア、2019、p100~137、138~169.
2年次に使用した講義ノート(フィジカルアセスメント)呼吸・循環
その他自分で必要だと思う呼吸困難に関するテキスト・成人看護学で使用したテキスト・資料
コマ主題細目 ① 事例「咳止めがほしい」 ② 呼吸系のフィジカルイグザミネーション ③ 呼吸系のフィジカルアセスメント
細目レベル ① 事例「咳止めがほしい」では、療養者が訴えている主観的情報および現病歴や既往歴等の客観的情報を提示し、療養者の状態をアセスメントするために必要なフィジカルアセスメント、フィジカルイグザミネーションについて学ぶ。フィジカルイグザミネーションについては、2年次に学修したフィジカルイグザミネーション「問診」、「視診」、「触診」、「聴診」、「打診」および第4コマ目で復習した学習内容を確認する。それらを基に、まずは個人ワークで取り組み、その後グループワークで療養者の状態をアセスメントするために必要なフィジカルイグザミネーションを共有し、精選する。
② 呼吸器の問診では、自覚症状や発現時期などを確認する。また、既往歴も呼吸器系に影響を及ぼすことが多いため確認する。視診では呼吸状態である呼吸数やリズム・パターン等を観察し、換気運動が上手くいっていない徴候についても観察する。触診では胸郭の可動性や声音振盪について観察する。聴診では気管・気管支、肺の聴取する部位と順序について復習し、正常な呼吸音、異常な呼吸音について確認する。打診では胸部全体の打診から胸郭の含気状態を推測する。事例の療養者の既往歴に関する復習も行い、療養者の状態のアセスメントに必要なフィジカルイグザミネーションについても確認する。
③ 療養者の訴え「咳止めがほしい」から、必要な呼吸器系のフィジカルイグザミネーション「問診」、「視診」、「触診」、「打診」、「聴診」の結果を踏まえ、療養者の状態をアセスメントする。提示した療養者のフィジカルイグザミネーションの結果より、気道クリアランスが保たれているか、ガス交換が効果的に行われているか、効果的に行われていなければ、その原因は何であるのかを考えていく。既往歴に関するフィジカルイグザミネーションの結果も統合し、療養者の状態をアセスメントする。どんな原因により呼吸機能障害が起きているのか、またこのままの状態が続くとどうなる可能性があるのか。現在の呼吸機能障害が対象者の生活にどのような影響をもたらしているのかを解釈する。
キーワード ① 呼吸器系の問診 ② 呼吸器系の視診 ③ 呼吸器系の触診 ④ 呼吸器系の打診 ⑤ 呼吸器系の聴診
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 事例「咳止めがほしい」の療養者の呼吸器について観察するためのフィジカルイグザミネーションについても列挙しておくこと。呼吸器に関する構造と機能について再度学習してから講義にのぞむこと。特に、フィジカルアセスメントの講義ノートやテキストでの確認、解剖生理学の講義ノートやテキストを確認すること。また、今までに実施した国家試験模擬試験でのヘルスアセスメントや呼吸器に関する試験問題を再度解答し、疑問点や間違えた点を明確にしてから講義にのぞむこと。各自が計画を立てて行なっている国家試験対策用の問題集を解答し、確認することもしておくと良い。
【予習学習時間目安:1h/復習学習時間目安:1h】

6 【地域・在宅】訪問看護に関する法・制度と療養者を支援する地域のサービス・施設(為永) 科目の中での位置付け 統合看護では、これまで学んできた基礎看護学・在宅看護学をはじめ、小児・母性・成人・老年など各発達段階に応じた看護を総合的に振り返り、それぞれの領域で特に重要な事項を再確認することを目的とする。さらに、これまで履修した専門基礎科目および専門科目のうち、理解の到達度が低い科目に焦点を当て、学びを深める。具体的には、1年次に学んだ解剖生理学の総復習、2年次の病態学の総復習、3年次の専門科目に関する学修の振り返り、および領域別実習で得た経験知の整理を行い、4年次後期に統合することを目指す。
本科目の第6回・第7回では、地域・在宅看護学における重要な知識の統合を図る。第6回では、訪問看護ステーションの開設・運営、介護保険と医療保険の違いを含む訪問看護の制度的枠組みを再確認する。また、デイサービスや介護老人保健施設など、介護保険を活用した地域のサービス・施設について復習する。国家試験の過去問題を活用し、これらの知識と実習での経験を関連付けながら理解を深める。

1.地域・在宅看護論①地域療養を支えるケア(メディカ出版)1章 地域・在宅看護の概念③地域・在宅看護の背景:p.21~33、3章 地域包括ケアシステムと多様な生活の場における看護:p.94~121、5章 在宅療養を支える訪問看護:p.198~211、4章 地域療養を支える制度:p.145~p.161
2.地域・在宅看護援助論、地域・在宅看護演習 授業資料
コマ主題細目 ① 訪問看護制度の仕組み(介護保険と医療保険) ② 地域包括ケアシステム ③ 在宅療養を支える地域のサービス
細目レベル ① 地域包括ケアの構築において、療養者宅へ伺う訪問看護が担う役割は大きい。訪問看護ステーションの開設基準として、管理者は保健師、看護師、助産師と定められており(介護保険のみの事業所の場合は保健師もしくは看護師)、常勤換算2.5名の看護職員数が必要となる。従事できる職種は、保健師、看護師、准看護師、助産師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士と看護職に加え、リハビリテーション職が従事できる。訪問看護の主な対象者は、医療保険・後期高齢者医療、介護保険を利用する者であり、小児から高齢者まで幅広い。医療保険、介護保険により、関わる職種やサービス開始までの流れ、訪問回数等が異なるため、それらを復習し、理解を深める。
② 地域包括ケアシステムとは、「地域の実情に合わせて、住まいを中心に医療・介護・予防・生活支援といったサービスを一体的に提供するシステムのことである。地域で生活するために必要なこれらのサービス提供システムを構築することで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい生活を送り続けられるようにすることを目指している」とされる(地域・在宅看護論①地域療養を支えるケア:p.94)。地域包括ケアを進める上で重要とされるのが、自助・互助・共助・公助の四つの“助け”である。地域で働く看護職は、地域住民の自助の力を高める自立支援を常に意識して関わっていくことが重要である。また、地域診断などを通して地域の互助の実情を把握するとともに、必要であれば人と人とをつなげて互助の仕組みをつくることが必要である。
③ 訪問看護は、在宅療養者を支える在宅系サービスの一つに過ぎず、療養者の生活は多様なサービスの組み合わせによって成り立っている。たとえば、デイサービスやショートステイをはじめ、訪問介護、通所リハビリ、福祉用具の貸与など、個々のニーズに応じた支援が提供されている。地域・在宅看護学実習では、訪問看護ステーションに加え、居宅介護支援事業所、通所介護施設、通所リハビリ施設、介護老人保健施設、グループホーム、有料老人ホームなど、様々な事業所で実習を行ってきた。これらの経験を振り返りながら、各サービスの特徴や役割、相互の関係性について理解を深めることが重要である。また、介護・医療・福祉に関する制度やサービスは、数年ごとに改定され、より複雑化・多様化している。したがって、各施設の利用条件、提供されるサービス内容、対象となる利用者の特徴について整理し、現在の制度の枠組みの中でどのように連携が求められるのかを学ぶ。

キーワード ① 訪問看護ステーションの開設・運営 ② 介護保険の訪問看護 ③ 医療保険の訪問看護 ④ 地域包括ケアシステム ⑤ 多職種連携
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 予習(1.5時間):本授業に臨む前に、「地域・在宅看護演習」の「訪問看護に関する社会的背景と制度の理解」「在宅療養を支える地域のサービス」の回の授業内容を復習する。訪問看護ステーションの開設・運営、医療保険と介護保険の訪問看護の違い、地域包括ケアシステムの概要を再確認し、理解を深めた上で参加する。
復習(1.5時間):授業で使用した資料を中心に内容を振り返り、不明な語句や理解が不十分な点については教科書や関連資料を活用して調べる。また、授業内で扱った国家試験の過去問題や小テストの問題について、間違えた問題や理解が不十分であった問題を重点的に復習し、確実に理解できるようにする。
予習・復習には合計3時間の学習時間が必要である。効率的に学習を進めるために、計画的に時間を確保し、主体的に取り組むことが求められる。

7 【地域・在宅】在宅療養を支援する訪問看護(在宅酸素療法、難病)(為永) 科目の中での位置付け 統合看護では、これまで学んできた基礎看護学・在宅看護学をはじめ、小児・母性・成人・老年など各発達段階に応じた看護を総合的に振り返り、それぞれの領域で特に重要な事項を再確認することを目的とする。さらに、これまで履修した専門基礎科目および専門科目のうち、理解の到達度が低い科目に焦点を当て、学びを深める。具体的には、1年次に学んだ解剖生理学の総復習、2年次の病態学の総復習、3年次の専門科目に関する学修の振り返り、および領域別実習で得た経験知の整理を行い、4年次後期に統合することを目指す。
本科目の第6回・第7回では、地域・在宅看護学における重要な知識の統合を図る。第7回では、在宅療養を支援する訪問看護の特徴を再確認する。また、看護師国家試験の地域・在宅看護論で頻出している「在宅酸素療法(HOT)・慢性閉塞性肺疾患(COPD)」や「難病」の在宅療養者に対する看護を中心に、第6回の内容と関連させながら理解を深める。

1.地域・在宅看護論②在宅療養を支える技術(メディカ出版)5章 症状等に応じた看護技術・療養を支える看護技術(医療ケア)8.在宅酸素:p.180~185、7章 事例で学ぶ在宅看護の技術 6.在宅での生活に不安を抱きつつ退院するALS療養者:p.267~271
2.地域・在宅看護援助論、地域・在宅看護演習 授業資料
コマ主題細目 ① 訪問看護の特徴 ② 在宅酸素療法を利用する療養者への支援 ③ ALS療養者への支援
細目レベル ① 訪問看護は、療養者の自宅で、療養者・家族の生活環境や家庭の状況に即したケアを提供する点が大きな特徴である。在宅療養者が抱える疾患や障害の状態、家族の介護力、生活習慣を考慮し、日常生活を支える看護を行う。訪問看護師の役割として、利用者の意思を尊重しながら健康状態を観察し、病状の変化に応じた適切なケアを提供するだけでなく、療養者・家族の思いを汲み取る意思決定支援も重要な役割となる。家族支援では、介護を行う家族に対し、適切な介護方法を指導し、身体的・精神的な負担を軽減できるようサポートする。また、福祉用具の活用や他サービスの調整などの提案を行う。
訪問看護では多職種との連携が不可欠であり、医師、薬剤師、ケアマネジャー、リハビリ職、介護職、行政機関などと協力しながら、療養者・家族を総合的に支援する。訪問看護師は、利用者の状態を的確に把握し、多職種と情報を共有することで、より適切なケアを提供できるよう努める。こうした連携のもと、利用者が安心して在宅療養を継続できる環境づくりを目指す。

② 在宅酸素療法(HOT)における自己管理の重要性と具体的な方法を学ぶ。在宅酸素療法は慢性呼吸不全患者の呼吸困難を軽減し、日常生活や社会活動の維持を可能にするが、適切な管理が必要である。HOTの目的として、呼吸困難感の軽減、日常生活動作(ADL)の向上、生活の質(QOL)の維持・向上が挙げられるが、安全な使用が前提となる。特に、酸素流量の自己調整はCO2ナルコーシスを引き起こすリスクがあり、患者・家族への適切な指導が求められる。
また、呼吸リハビリテーションの一環として、腹式呼吸や口すぼめ呼吸の実践が重要である。HOT使用中の合併症やその予防策を理解し、適切なケアを提供できるようにする。
在宅酸素療法の管理も重要となる。酸素供給装置の設置場所や使用方法を理解し、転倒防止策や排泄時のチューブ管理など日常生活における留意点を指導する。特に、酸素は火を燃えやすくするため、喫煙、ドライヤー、線香の使用には厳重な注意が必要である。また、停電や機械故障時の対応について、業者や多職種との連携を含め、具体的な対処法を患者・家族が理解できるよう支援する。
このように生活の中でのリスクを考慮した自己管理の支援を行う。

③ ALS(筋萎縮性側索硬化症)は進行性の神経難病であり、筋力低下、呼吸機能障害、嚥下障害などが生じる。訪問看護では、疾患の進行に応じた医療的ケアと生活支援を行い、利用者が在宅で安心して生活できるよう支援する。また、人工呼吸器導入の選択などに関する意思決定支援が必要となる。医療的ケアとして、在宅人工呼吸療法、気管切開部のケア、喀痰吸引、経管栄養の管理が求められ、これらの処置について家族への指導も重要である。また、患者が自身の意思を伝えられるよう、視線入力装置や意思伝達装置の活用を支援する。訪問看護では、誤嚥性肺炎、褥瘡、関節拘縮の予防のために、適切な体位調整やリハビリを行い、合併症を防ぐ。また、人工呼吸器使用者に対しては、停電時の対応や急変時の対策を家族と共有し、適切な対応ができるよう支援する。ALSは厚生労働省の指定難病であり、医療費助成制度や障害福祉サービスの利用が可能である。疾患の進行に伴い身体障害者手帳が交付されることが多く、訪問看護ではこれらの制度を適切に活用できるよう情報提供や申請窓口への橋渡しを行うことが求められる。
キーワード ① 生活環境 ② 家族支援 ③ 意思決定支援 ④ HOTの管理 ⑤ 障害者総合支援法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 予習(1.5時間):本授業に臨む前に、「地域・在宅看護援助論」の「在宅酸素療法における自己管理が必要な利用者・家族のアセスメントと援助技術」の回の授業内容を復習する。特に、慢性呼吸不全の診断、HOT(在宅酸素療法)の適応条件・合併症・管理方法について再確認し、理解を深めた上で参加する。また、ALSの病態・症状の進行過程と一般的な看護について、自己学習しておく。
復習(1.5時間):授業で使用した資料を中心に内容を振り返り、不明な語句や理解が不十分な点については教科書や関連資料を活用して調べる。また、授業内で扱った国家試験の過去問題や小テストの問題について、間違えた問題や理解が不十分であった問題を重点的に復習し、確実に理解できるようにする。
予習・復習には合計3時間の学習時間が必要である。効率的に学習を進めるために、計画的に時間を確保し、主体的に取り組むことが求められる。

8 【母性】妊娠期・分娩期のヘルスアセスメント(星) 科目の中での位置付け 統合看護では「統合看護学」として各看護学の学習を終えた時点での、これまで学んだ看護学の知識を統合させることがこの科目の目的である。このコマにおいては、母性看護学概論・母性看護援助論Ⅰ・母性看護援助論Ⅱで学んだ妊娠期の母体と胎児に関するヘルスアセスメントおよび看護を中心に復習する。そして、3年次の母性看護学実習を通して経験した事を振り返ることで、今まで獲得した知識と経験を統合していく。妊娠の経過や胎児の発育、妊娠期の異常等について基本的知識の復習を行い、母性看護学実習で見学・実施した妊婦健康診査および妊婦への保健指導の内容や方法について復習する。国家試験の過去問題より、よく出題される問題を確認テストの形式で実施し、妊娠期の母体や妊婦および胎児、分娩期の産婦に関する知識を確認する。
1、系統看護学講座-専門分野専門分野 母性看護学[2]母性看護学各論、医学書院、第14版 第3 刷、2023、P.62-320、380-488
2、看護実践のための根拠がわかる母性看護技術、メヂカルフレンド社、第3版 第2刷、2022、P3-159、講義配布資料、国試対策のテキスト
コマ主題細目 ① 妊娠期のヘルスアセスメント ② 妊婦のアセスメントと看護 ③ 妊娠期の胎児のアセスメントと看護 ④ 分娩期のアセスメントと看護 ⑤ 分娩期の胎児・新生児のアセスメントと看護
細目レベル ① 妊娠期の基本的なアセスメント項目を確認する。妊娠期の妊娠経過や胎児の発育(妊娠週数に伴い、胎児心音が聴取可能になる時期や胎盤の完成時期、器官形成期、胎児循環など)、妊娠による母体の生理的変化(物質代謝や心血管系の変化、呼吸器や泌尿器、消化器系の変化など)、妊娠の経過に伴う不快症状(マイナートラブルの種類や原因、予防や対処方法等の保健指導)、妊娠期の異常(HDPやGDM、貧血など)等、妊娠期のヘルスアセスメントおよび対象の看護を考えるうえで、必要な知識について確認する。また、3年次の母性看護学実習で見学・実施した妊婦健診(子宮底長や腹囲計測、レオポルド触診法、胎児心音聴取、NST装脱着と胎児の健康状態の評価)に関する知識、妊婦の身体的、心理的、社会的側面から経過をアセスメントし、必要な看護について考えることができる。
② 妊娠は自然で生理的な現象であるが、正常から逸脱しやすい時期であり、正常な妊娠経過からの逸脱によって、その後の分娩・産褥期の経過に大きく影響する。そのため、妊娠が正常に経過し妊婦の健康が維持増進できているか、正常から逸脱するリスク因子はないか、胎児の発育は順調であるか、妊娠に伴う様々な不快症状はないか、母子の健康増進のためのセルフケア行動をとることができているかをアセスメントすることが必要である。そこで、妊娠期(妊婦)のアセスメントに必要な情報を整理し、事例の健康状態および健康課題を明確にする。3年次母性看護学実習では、基本的には褥婦を受け持つため、妊娠経過を振り返り、産後の経過への影響をアセスメントした上で、褥婦の看護を実施した。本コマでは、妊娠期にある妊婦を対象とし、マイナートラブルや妊娠期の異常に対する看護についても考える。
③ 妊娠は自然で生理的な現象であるが、正常から逸脱しやすい時期であり、胎児の発育は母体の健康状態に大きく影響を受ける。そのため、妊娠が正常に経過し妊婦の健康が維持増進できているか、正常から逸脱するリスク因子はないか、胎児の発育は順調であるか、胎児の健康状態は良好であるかをアセスメントすることが必要である。そこで、妊娠期(胎児)の事例から、必要な情報を整理し、胎児のアセスメントをする上で、母体のアセスメントは切っても切り離せず、母子を一緒にアセスメントすることを理解する。対象事例の健康状態および発育状態について明確にしたのちに、事例に対する必要な看護についても考える。
④ 分娩(出産)は生理的な現象であるが、個人差や変化が大きく、産婦と胎児の健康状態に様々な影響を及ぼす。したがって、分娩の経過を理解し、分娩経過の診断に基づき、経時的に産婦と胎児の健康状態について情報収集をし、判別・解釈・分析・関連づけを行い、看護上の問題を判断することで安全かつ産婦・家族中心の分娩へとつながる。ここでは、分娩において重要となる分娩の3要素(娩出力・産道・娩出物)を理解し、分娩期の事例のアセスメントをするために必要な情報を整理し、事例の情報整理から分娩経過中の母子(家族を含む)をアセスメント(分析・解釈・統合)をする。事例の健康状態および健康課題について明確にした上で、事例に対する看護を考える。さらに分娩を促進する看護や分娩期において起こりやすい異常と看護について理解する。
⑤ 分娩(出産)は生理的な現象であるが、個人差や変化が大きく、産婦と胎児の健康状態に様々な影響を及ぼす。したがって、分娩の経過を理解し、分娩経過の診断に基づき、経時的に産婦と胎児の健康状態について情報収集をし、判別・解釈・分析・関連づけを行い、看護上の問題を判断することで安全かつ産婦・家族中心の分娩へとつながる。分娩期の胎児は、母体と合わせて考えていく必要があるが、分娩進行中の胎児の健康状態をアセスメントするために必要な情報(母体の基礎情報や妊娠経過、胎児心拍数モニタリング波形など)を整理し、事例の情報整理から分娩経過中の胎児(出生した新生児の子宮外適応現象の予測を含める)をアセスメント(分析・解釈・統合)する。事例の健康状態および健康課題について明確にした上で、事例に対する看護を考える。
キーワード ① 妊婦健康診査 ② マイナートラブル ③ 分娩予定日の算出 ④ 分娩期の看護 ⑤ 新生児の看護
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 予習(60分):妊娠中の母体の身体的・精神的・社会的な変化やマイナートラブル、妊娠期の異常について復習をしておくこと。胎児に関しては、成長の過程や健康状態の評価方法(特にNSTに関してはモニター波形を判読できるように学習しておくこと)について復習をしてから講義に臨むこと。また、母性看護学実習で見学・実施した妊婦健診や保健指導を振り返っておくと、知識の定着につながると考える。分娩期に向けて変化する妊婦の身体的・精神的特徴を踏まえ、分娩の第1期〜第4期の正常な分娩経過について復習をしておくこと。また、分娩期の産婦や夫(家族)への看護および分娩期の異常に対する看護についてテキストや講義資料、母性看護学実習を振り返り、復習をしておくこと。胎児および新生児に関しては、分娩経過中の胎児の健康状態評価として、CTGはモニター波形を判読できるように学習し、出生直後の新生児の評価およびケアについて復習をしてから講義に臨むこと。母性看護援助論Ⅰ・Ⅱで使用したテキストを熟読し、講義資料(妊娠期)を見直しておく必要がある。
復習(60分):今までに実施した国家試験模擬試験の母性看護学に関する問題を、再度解答し見直すことや、各自が計画を立てて実施している国家試験対策用の問題集を解答し、確認しておくと良い。

9 【母性】産褥・新生児期のヘルスアセスメント(星貴江) 科目の中での位置付け 統合看護では「統合看護学」として各看護学の学習を終えた時点での、これまで学んだ看護学の知識を統合させることがこの科目の目的である。このコマにおいては、母性看護学概論・母性看護援助論Ⅰ・母性看護援助論Ⅱで学んだ分娩期の母体と胎児・出生直後の新生児に関するヘルスアセスメントおよび看護を中心に復習する。そして、3年次の母性看護学実習を通して経験した事を振り返り、今まで獲得した知識と経験を統合していく。褥婦の心身の変化や親役割の獲得過程、新生児の胎外生活への適応過程、産褥期・新生児期の異常等について基本的知識の復習を行い、母性看護学実習でも実施した看護過程の展開を振り返り、必要な看護について復習する。国家試験の過去問題より、よく出題される問題を確認テストの形式で実施し、褥婦や新生児に関する知識の確認を行い、理解を深める。
1、系統看護学講座-専門分野専門分野 母性看護学[2]母性看護学各論、医学書院、第14版 第3 刷、2023、P.322-378、P489-548
2、看護実践のための根拠がわかる母性看護技術、メヂカルフレンド社、第3版 第2刷、2022、P161-317、講義配布資料、国試対策のテキスト
コマ主題細目 ① 産褥・新生児期のヘルスアセスメント ② 褥婦のアセスメントと看護 ③ 新生児のアセスメントと看護
細目レベル ① 産褥期・新生児期に関する基本的知識の確認をする。正常な産褥経過(産褥日数に応じた心身の変化)や新生児の生理、母乳栄養や授乳(母乳の成分や授乳婦への指導内容など)に関する知識、正常新生児やハイリスク児への看護、褥婦・新生児の異常に対する看護(産褥熱や精神障害、低出生体重児など)は、産褥・新生児期に関する知識は看護師国家試験でよく出題されている。対象を理解するためにも必要不可欠な知識であるため確認を行う。また、3年次の母性看護学実習でも実施した産褥期の看護過程展開のように、アセスメント力を問う問題を参考にしながら、正しい知識の獲得を目指す。
② 産褥とは、分娩が終了し、妊娠分娩に伴う母体の生理的変化が非妊時の状態に復するまでの状態をいい、その期間は6~8週間である。分娩を機に母親(褥婦)は、身体的変化として退行性変化と進行性変化の2つの側面があり、出産体験が達成感をもたらす場合もあれば失望や不満足を抱く場合もある。また、出産を経て児を迎えたことで「母親になる」という役割変化が生じ、身体的な部分だけではなく心理・社会的にも大きく変化する。3年次の母性看護学実習を通して学習した褥婦の看護過程の展開を基に、褥婦の経過をアセスメントするために必要な情報を整理し、退行性変化および進行性変化、心理・社会的変化についてアセスメントする。そして、事例の健康状態および健康課題について明確にし、事例に対する看護を考える。
③ 新生児期とは、生後28日間をさし、そのうち生後7日未満を早期新生児期として区別する。この時期は、胎外生活に移行するために生理的適応が行われる特別な時期である。新生児ケアの重要な側面は、新生児が子宮外生活に適応していくのを助けることであり、適応過程で生じる変化が生理的範囲を逸脱しないよう予防的に働きかけることが重要である。新生児の適応生理を理解したうえで、3年次の母性看護学実習を通して学習した新生児の看護過程の展開を基に、新生児の経過をアセスメントするために必要な情報を整理し、胎外生活への適応および生理的変化についてアセスメントする。さらに、事例の健康状態および健康課題について明確にし、新生児の経過から必要な看護を考える。
キーワード ① 退行性変化 ② 進行性変化 ③ 母乳育児 ④ メンタルヘルス ⑤ 胎外生活への適応過程
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 予習(60分):産褥期における母親の、身体的・精神的・社会的側面の特徴を復習をしておくこと。分娩期の情報を踏まえて、褥婦は産褥日数に応じてどのような経過を辿るのか、新生児は生後日数に応じてどのように変化するのかという基本的な知識は必要不可欠である。また、産褥期や新生児期に必要な看護についてテキストや講義資料、母性看護学実習を振り返り、復習をしておくこと。母性看護援助論Ⅰ・Ⅱで使用したテキストを熟読し、講義資料(産褥期・新生児期)を見直しておく必要がある。
復習(60分):小テストを見直す。今までに実施した国家試験模擬試験の母性看護学に関する問題を、再度解答し見直すことや、各自が計画を立てて実施している国家試験対策用の問題集を解答し、確認しておく。

10 科目の中での位置付け
コマ主題細目 ① ② ③ ④ ⑤
細目レベル




キーワード ① ② ③ ④ ⑤
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題
11 科目の中での位置付け
コマ主題細目 ① ② ③ ④ ⑤
細目レベル




キーワード ① ② ③ ④ ⑤
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題
12 【成人・急性】急性期・周手術期にある消化器疾患患者への支援(中神) 科目の中での位置付け 統合看護では「統合看護学」として各看護学の学習を終えた時点での、これまで学んだ看護学の知識を統合させることがこの科目の目的である。本時においては、成人看護学概論、成人看護援助論、成人看護演習学習した内容を基に、成人急性期や周手術期にある患者の特徴を踏まえて、特に重要な疾患や症状に焦点をあてて統合的に理解する。本項では、急性期にある患者の消化器系の観察やアセスメント、支援方法を理解する。腹部には、消化器や腎臓、子宮といった多くの臓器が含まれておりそれが出血や炎症を伴うと全身状態が悪化し、ショックや生命に危険を及ぼす可能性がある。そのため、短時間で腹部を中心とした観察や検査を行い緊急手術の適応も含め的確な判断と処置が必要である。急性腹症として急性虫垂炎でみられる徴候、イレウスの分類(機械的イレウス・機能的イレウス、単純性(閉塞性)イレウス・複雑性(絞扼性)イレウス)と症状、所見について理解する。消化器疾患としては、食道癌、胃癌について、疫学的特徴、症状、術後合併症、合併症に対する看護について理解を深める。消化器疾患術後管理としてストーマ管理についても理解する。
系統看護学講座 別冊 救急看護学P118-126、181-187、疾患別看護過程の展開第6版P438-483  オリジナル配布資料
コマ主題細目 ① 急性腹症の観察と特徴 ② 食道癌患者への看護 ③ 胃癌患者への看護
細目レベル ① 本時では、消化器系疾患の観察とアセスメント、症状や検査所見などについて理解する。急性腹症として急性虫垂炎とイレウスの観察について理解する。急性虫垂炎の観察として、マックバーニー点、ランツ点、ブルンベルグ徴候、ロブシング現象、ローゼンシュタイン徴候、腸骨筋徴候を理解する。イレウスについて、分類:機械的イレウス・機能的イレウス、単純性(閉塞性)イレウス・複雑性(絞扼性)イレウスと機械的イレウスの症状(悪心・嘔吐、腹痛、圧痛、腸雑音、腸管拡張、細菌増殖、排便・排ガス停止、血便・粘血便)、複雑性イレウスの原因、単純性イレウスと複雑性イレウスの腹部所見や検査所見、画像所見、治療といった違いについて理解する。
② 消化器の疾患の中でも食道癌について学修する。既習の食道の解剖生理を想起し、食道癌の疫学的特徴として組織型、好発年齢・性別・部位、誘因、転移様式について理解する。特に、扁平上皮癌が非常に多いことから放射線感受性が高く、喫煙やアルコールなどの嗜好品との関連が高く、リンパ性転移が多いという特徴を理解しておく。食道癌の症状、浸潤や転移の影響(嗄声、誤嚥、食道気管支瘻、肺炎、胸背部痛)、食道癌切除術後の主な合併症(呼吸器合併症:無気肺・肺炎、反回神経麻痺:嗄声・呼吸困難、縫合不全)とその看護を理解する。呼吸器合併症に対しては、禁煙、術前の口腔ケア、呼吸器訓練を行い、反回神経麻痺には嚥下リハビリテーション、縫合不全に対しては減圧チューブの留置、ドレナージ、経管栄養などを行うことなど具体的な支援を理解する。
③ 消化器疾患術後の看護として、胃癌術後の合併症予防、ストーマの観察、管理について再学修する。胃癌の病態、術後合併症と合併症に対する看護について理解する。疫学的特徴として、腺癌が非常に多く、50歳以上、男性に多く、危険因子に食塩の過剰摂取やヘリコバクター・ピロリの感染があげられることを理解する。胃切除後に生じる術式特有の合併症(イレウス、早期ダンピング症候群、後期ダンピング症候群、輸入脚症候群、膵液漏、貧血、骨粗鬆症、栄養障害)とその発生機序について理解する。早期ダンピング症候群に対しては、食事をよく噛んでゆっくり摂取し、分食にするなどを本人に説明する。後期ダンピング症候群に対しても食事はゆっくりよく噛み、食後に安静にし、食後2時間程度で間食をとるようにすることなどが予防法であることなど具体的な支援を理解する。
キーワード ① 腹膜刺激症状 ② イレウス ③ 食道癌 ④ ダンピング症候群 ⑤ ストーマケア
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習として、「成人看護援助論」「成人看護演習」の講義資料、教科書「系統看護学講座別巻 救急看護学」第4章D・第5章B、「疾患別看護過程の展開第5版」第6章を熟読し、意味の分からない語句については調べておく。                         復習として、講義資料を見直し、講義中に書き留められなかった重要語句については教科書「系統看護学講座別巻 救急看護学」第4D・第5章B、「疾患別看護過程の展開第5版」第6章を読み返し、記載しておく。必要時解説を追加記載する。教科書の重要な部分にラインを引く等、内容をまとめる。講義中に出題した看護師国家試験過去問題を解き直した上で解説を熟読し、正解できなかった問題については関連する講義資料の確認を行う。予習復習時間:1時間程度
13 【成人・慢性】慢性疾患患者のセルフケア支援(天野) 科目の中での位置付け 「統合看護学」として慢性看護学の知識を統合させることを目的とする。このコマにおいては、成人看護援助論、成人看護演習、エンドオブライフケア看護学において教授した、慢性疾患と共に生きる人へのセルフケアに焦点を当てた支援(治療期およびエンドオブライフ期のセルフケア支援)を中心に復習をする。治療期のセルフケアに焦点を当てた支援については、がん性疾患を取り上げ、慢性・不可逆的健康課題を有する患者と家族が抱える健康問題について再確認し、成人学習理論、自己効力理論、セルフケア不足理論の視点を踏まえながら、患者と家族が主体的に療養生活を送れるようにするための看護援助方法を再度確認する。エンドオブライフを生きる人のセルフケア支援については、疼痛や呼吸困難等、病状の進行により生じやすい症状への対処とセルフケアに焦点を当てる意味について再確認する。国家試験の過去の問題等より、よく出題される問題を中心に慢性疾患看護学領域の問題を復習する。
『成人看護学 成人看護学概論 第3版』第Ⅱ章pp.85-89、第Ⅴ章pp.273—280、pp.303—311、第Ⅵ章pp.257-272、pp.281-295
『成人看護学 慢性期看護 改訂第4版』pp.197-220
『エンドオブライフケア看護学』第Ⅴ章①② 
成人看護援助論、成人看護演習授業資料
コマ主題細目 ① 慢性疾患 ② 主体的な療養 ③ 治療期のセルフケア支援 ④ エンドオブライフ期のセルフケア支援 ⑤ 症状コントロール
細目レベル ① 学習理論であるアンドラゴジー(andragogy)について理解する。アンドラゴジーとは、成人教育学のことをいう。成人期の学習者の特性についてのアンドラゴジーは、成人期における対象理解を助けてくれる。成人期にある人々への教育では、ただ知識と技能を伝えるという方法では、必ずしも患者と家族のニーズに応えることは難しい。成人期にある人々に対する教育では、対象者の特性に関する4つの重要な考え方;1.学習者は自己決定的である、2.経験が学習の資源となる、3.発達課題の移行期が教育の適時期である、4.問題解決的な学習を志向する、に沿って行わなければ教育効果が期待できない。これらの4つの考え方の具体的な内容を学び、成人期にある人々に対する教育において重要なことについて理解する。
② 自己効力理論の枠組みについて理解する。健康管理の学習を促す成人教育では、現実的な課題に対して主体的な取り組みを促すことが学習効果を上げやすいという特徴がある。自己効力理論は、動機づけや考え方、行為の遂行にかかわる理論であり、学習の成果をめざしたり、その効果を予測する指標として用いられている。自己効力とは何か、個人が特定の行動に取り組むことに関わる効力予期と結果予期、自己効力を高める主要な4つの情報源;1.遂行行動の達成、2.代理的経験、3.言語的説得、4.情動的喚起と、それぞれの情報源に対する誘導様式について理解する。また、自己効力理論を、成人期にある慢性疾患を持つ患者への看護にどのように活用できるか理解する。
③ セルフケア不足理論の枠組みについて理解する。成人看護では、対象は本来高いセルフケア能力をもっている存在であることを十分に意識して関わる必要があり、セルフケアの概念を用いてアプローチすると、成人の健康問題の所在が明らかになり、個人を尊重した対処の方法が見出しやすい。オレムが提唱したセルフケアの定義を学び、セルフケアとは何かについて理解する。また、普遍的セルフケア要件、発達的セルフケア要件、健康逸脱に対するセルフケア要件について理解する。また、セルフケア不足理論や看護システム理論を用いて、患者が本来持っている能力を活かしながらセルフケアを行うために、どのように看護を提供していくことが重要であるか理解する。
④ 治療期にある人のセルフケア支援として、がん性疾患を取り上げ、がん薬物療法を受ける人の自己管理について取り上げる。自己管理に必要なアセスメントの視点、細胞傷害性抗がん剤によるがん薬物療法によって生じる副作用に対するアプローチ方法について理解する。がん薬物療法では、レジメンや薬剤の種類により生じやすい副作用の種類や副作用発症のメカニズム等について理解する。また、副作用のアセスメント方法やツール、症状マネジメントにおける症状緩和方法、ケアの方法について理解する。
⑤ エンドオブライフにある人のセルフケア支援として、がん性疼痛や呼吸困難への症状マネージメントについて取り上げ、症状マネージメントに必要なアセスメントの視点、薬物療法などを中心とするアプローチ方法について理解する。がん性疼痛では、疼痛の特性や侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、突出痛など疼痛の種類やメカニズム等について理解する。また、疼痛のアセスメント方法やツール、疼痛マネジメントにおける治療の目標や、鎮痛薬の適切な使用方法、オピオイドの種類や副作用、多くのがん患者が体験する全身倦怠感や呼吸困難感の原因、治療、ケアの方法について理解する。痛みについてはがん以外の疾患においても生じやすいことを理解する。さらにエンドオブライフ期において、セルフケアに焦点を当てることの意味について再確認する。
キーワード ① 慢性疾患 ② セルフケア ③ 看護理論 ④ エンドオブライフ ⑤ 薬物療法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 成人看護援助論、成人看護演習、エンドオブライフケア看護学の授業の内容について復習を行い、成人学習理論、自己効力理論、セルフケア不足理論、がん薬物療法、がん性疼痛や呼吸困難に対する症状緩和について整理し、まとめておく。復習;授業資料を中心に振り返りを行い、下記の内容についてまとめておく。慢性疾患と共に生きる人へのセルフケアに焦点を当てた支援については、慢性・不可逆的健康課題を有する患者と家族が抱える健康問題について再確認し、成人学習理論、自己効力理論、セルフケア不足理論の視点を踏まえながら、患者と家族が主体的に療養生活を送れるようにするための看護援助方法を確認する。エンドオブライフを生きる人の症状コントロールについては、がん性疼痛や呼吸困難等、病状の進行により生じやすい症状とそのコントロール方法について考察をする。授業で教授した主題に関連した内容について、自分なりの言葉で表現できることが重要になります。授業終了時の国家試験の問題については、不明なところは調べるなどして理解をしておく。予習に1時間45分、復習に2時間必要です。
14 【老年】加齢による身体機能の変化と高齢者に起こりやすい主な疾患・症候(山根) 科目の中での位置付け 統合看護では、基礎看護学・在宅看護学にはじまり各発達段階にあわせた看護などを学習した後に、それぞれの領域で大切なことを改めて学修する。また、この科目は、これまで学んできた専門基礎科目および専門科目の必修科目について、学生の理解の到達度の低い科目に焦点をあて、1年次に学んだ解剖生理学に関する学修の総復習、2年次に学んだ病態に関する学修の総復習、3年次に学んだ専門科目に関する学修と領域別実習で得た経験知の総復習を行い、4年後期に統合させることを目的としている。
第14回、15回では、老年看護学において重要な内容を改めて学修し、実習での経験を踏まえて知識の統合を図る。第14回は、加齢に伴う身体機能の変化と、高齢者に起こりやすい疾患・症候について再学修する。実習での受け持ち患者を想起し、実習で得た経験知と結び付けて理解を深める。この内容は国家試験でも多く出題されている内容であるため、国家試験の過去問等を用いて知識の定着を確認しながら学修を進める。

①テキスト:老年看護学 概論と看護の実践 第2章 老年期を生きる人の理解「Ⅲ身体的・生理的側面」p35-50
②テキスト:老年看護学 概論と看護の実践 第6章 老年看護の対象とのかかわり「Ⅳ薬物療法を受ける高齢者の看護」p173-177
③テキスト:老年看護学 概論と看護の実践 第7章 老年期に特有な健康障害と看護「Ⅱ高齢者に特徴的な症状・メカニズムと看護」p263-268(脱水症)
コマ主題細目 ① 加齢に伴う身体機能の変化 ② 老年症候群 ③ 高齢者の脱水
細目レベル ① 加齢(aging)は「生物体が年齢をとる過程で自然に起こるすべての変化の総体である」として定義され、老化(senescence)は「年をとるにつれて生理機能が衰えること」と定義される。老化には生理的老化である一次的老化と、病的老化である二次的老化があるため、その違いを理解する。高齢者は身体の各器官において、加齢に伴う変化が生じるが、特に重要な循環器系、腎・泌尿器系、運動器系、感覚器系等を取り上げ、各器官で起こる加齢変化について再学修する。加齢による変化を理解するためには、それぞれの器官の正常な生理機能を理解していることが必須であるため、解剖生理学の学修内容を想起したうえで、加齢によってその機能がどのように変化するのかを学修する。
② 老年症候群とは、高齢者に多くみられ、医療だけでなく介護・看護が必要な症状や徴候の総称である。加齢に伴う機能低下や、疾患・治療による影響、生活の不活発化などが影響して起こりやすい。老年症候群に共通する特徴として、原因が多岐にわたること、慢性的な経過をたどること、高齢者の自立を著しく阻害すること、簡単には治療や対処法が見いだせないなどがあることを理解する。また、薬物有害事象が老年症候群の症状として現れる薬剤起因性老年症候群がある。薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄)に関連する加齢変化を理解したうえで、高齢者の薬物動態がどのように変化するのか、また高齢者に薬物有害事象が起こりやすい理由、高齢者に注意が必要な薬剤について学修する。
③ 老年症候群に含まれる症候として脱水がある。「脱水」は水分や電解質の失われ方により3つに分類されるため、分類とその症状を理解する。高齢者は、加齢に伴う細胞数の減少や筋肉量の減少により体内水分量が減少する事に加え、渇中枢機能の低下により口渇感を感じにくくなるため、水分摂取量が低下するため脱水を起こしやすい。加齢変化や高齢者の特徴を踏まえて、高齢者に脱水が起こりやすい要因について理解する。さらに、高齢者の疾患の特徴として、定型的な症状が現れにくいということがある。そのため、脱水を起こしていても特徴的な症状が出にくく、発見が遅れやすい。高齢者の脱水予防の重要性を理解し、予防するための看護について再学修する。
キーワード ① 加齢変化 ② 老年症候群 ③ 薬物動態 ④ 薬剤起因性老年症候群 ⑤ 脱水
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 予習(2時間):老年看護学 概論と看護の実践 第2章 老年期を生きる人の理解「Ⅲ身体的・生理的側面」p35-50、第6章 老年看護の対象とのかかわり「Ⅳ薬物療法を受ける高齢者の看護」p173-177、第7章 老年期に特有な健康障害と看護「Ⅱ高齢者に特徴的な症状・メカニズムと看護」p263-268(脱水症)を熟読してから授業に参加する。
復習(2時間):講義中に配布した資料の復習のポイントに基づいて講義内容を自分自身の言葉でまとめ整理しておく。授業終了時に行う小テストについて、理解が不十分であった問題を復習し、確実に理解できるようにする。関連する国家試験の過去問を解いてみる。
予習復習には4時間の学習時間が必要であることを理解して学習に臨むこと。

15 【老年】認知症高齢者への支援と高齢者の権利擁護(山根) 科目の中での位置付け 統合看護では、基礎看護学・在宅看護学にはじまり各発達段階にあわせた看護などを学習した後に、それぞれの領域で大切なことを改めて学修する。また、この科目は、これまで学んできた専門基礎科目および専門科目の必修科目について、学生の理解の到達度の低い科目に焦点をあて、1年次に学んだ解剖生理学に関する学修の総復習、2年次に学んだ病態に関する学修の総復習、3年次に学んだ専門科目に関する学修と領域別実習で得た経験知の総復習を行い、4年後期に統合させることを目的としている。
第14回、15回では、老年看護学において重要な内容を改めて学修し、実習での経験を踏まえて知識の統合を図る。第15回は、認知症高齢者への支援と高齢者の権利擁護にについて再学修する。認知症高齢者は増加しているものの、認知症高齢者の権利は護られにくい現状がある。認知症高齢者の支援について、権利擁護と関連づけて学修する。この内容は、国家試験の状況設定問題で多く問われているため、国家試験の過去問等を用いて知識の定着を確認しながら学修を進める。

①テキスト:老年看護学 概論と看護の実践 第7章 老年期に特有な健康障害と看護「Ⅲ高齢者の主な疾患と看護」p303-317(認知症)
②テキスト:老年看護学 概論と看護の実践 第7章 老年期に特有な健康障害と看護「Ⅲ高齢者の主な疾患と看護」p303-317(認知症)
③テキスト:老年看護学 概論と看護の実践 第4章 高齢者と家族への看護:家族形態と社会問題「Ⅲ家族による高齢者虐待」p108-112
コマ主題細目 ① 認知症とは ② 認知症高齢者への支援 ③ 高齢者の権利擁護
細目レベル ① 認知症は、一度正常に発達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、社会生活や日常生活が営めなくなった状態をいう。認知症の症状は、認知機能障害(中核症状)と行動・心理症状(BPSD)に大きく分けられるが、それぞれにみられる具体的な症状について理解する。さらに、認知機能障害が軽度あるが、日常生活には支障がない状態である軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)についても学ぶ。また、認知症の原因疾患は120種類以上あると言われており、代表的な疾患として、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症、脳血管性認知症がある。それぞれの疾患の原因や特徴的な症状について学修する。
② 認知症の代表的なスクリーニング尺度である改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、ミニメンタルステート検査(MMSE:Mini-Mental State Examination)および、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準について学修する。認知症ケアメソッドとして、さまざまな方法が提唱されているが、ユマニチュード、パーソン・センタード・ケア、パーソン・センタード・ケアの実践のための認知症ケアマッピング(DCM:Dementia Care Mapping)の考え方を踏まえて、認知症高齢者との対応の原則、コミュニケーションの際の基本的態度を学修する。事例を用いて、認知症高齢者との関わりについて理解を深める。
③ 高齢者を年齢によって差別することを高齢者差別(エイジズム)という。高齢者は弱い立場とみなされやすく、特に認知症高齢者は差別の対象となりやすい。高齢者虐待は社会問題となっており、高齢者虐待の防止と、高齢者の養護者の支援のため、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)」が施行された。この法律における高齢者虐待の種類を理解する。さらに、調査データから養護者(家族等)、養介護施設従事者等による虐待の現状(件数や虐待の種別、施設の種別等)について把握し、その特徴を理解する。被虐待者には認知症高齢者が多いが、家庭内の虐待は潜在化しやすい。虐待を発見した時の対応についても理解する。
キーワード ① 認知症 ② 認知機能障害 ③ BPSD ④ コミュニケーション ⑤ 高齢者虐待
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 予習(2時間):テキスト 老年看護学 概論と看護の実践 第7章 老年期に特有な健康障害と看護「Ⅲ高齢者の主な疾患と看護」p303-317(認知症)、第4章 高齢者と家族への看護:家族形態と社会問題「Ⅲ家族による高齢者虐待」p108-112を熟読してから授業に参加する。
復習(2時間):講義中に配布した資料の復習のポイントに基づいて講義内容を自分自身の言葉でまとめ整理しておく。授業終了時に行う小テストについて、理解が不十分であった問題を復習し、確実に理解できるようにする。関連する国家試験の過去問を解いてみる。
予習復習には4時間の学習時間が必要であることを理解して学習に臨むこと。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
解剖生理★★~★★★
解剖生理の理解を基盤に、病態を把握し、看護ケアへと結びつけることができる
① 神経系
中枢神経(脳・脊髄)と末梢神経の構造と機能について説明できる。
神経伝達の仕組み(シナプス伝達・神経伝達物質の役割)について述べることができる。
大脳皮質・脳幹・小脳の機能と、それぞれが司る運動・感覚・自律神経調節について説明できる。錐体路・錐体外路・感覚路の神経経路について述べることができる。
脳卒中・パーキンソン病・ギラン・バレー症候群の病態と神経系への影響について説明できる。
自律神経系(交感神経・副交感神経)の働きと支配領域について述べることができる。
② 内分泌系
視床下部-下垂体-標的臓器の関係とホルモンのフィードバック機構について説明できる。
甲状腺ホルモン(T3・T4)の作用と甲状腺機能異常(バセドウ病・橋本病)の病態について述べることができる。
インスリン・グルカゴン・コルチゾールの役割と血糖調節機構について説明できる。
糖尿病(1型・2型)の病態と血糖コントロールの重要性について述べることができる。
副腎皮質ホルモン(コルチゾール・アルドステロン)の作用と、副腎機能異常(クッシング症候群・アジソン病)の病態について説明できる。
③ 循環器
血液循環の流れ(体循環・肺循環)と、心臓の構造・機能について説明できる。
心拍出量(CO)、前負荷・後負荷の概念と心不全の病態について述べることができる。
冠状動脈の血流供給と虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の病態について説明できる。
高血圧の分類(本態性・二次性)と、長期的な循環器系への影響について述べることができる。
心電図(P波・QRS波・T波)の基本的な波形と、不整脈(心房細動・心室細動)の病態について説明できる。
④ 呼吸器
肺の構造(気管・気管支・肺胞)と、ガス交換の仕組みについて説明できる。
酸素解離曲線と、低酸素血症・高炭酸ガス血症のメカニズムについて述べることができる。
動脈血ガス分析(ABG)の評価基準と、呼吸性アシドーシス・アルカローシスの病態について説明できる。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)の病態と、換気障害の特徴について述べることができる。
喘息・肺炎・ARDS(急性呼吸窮迫症候群)の病態と、呼吸不全の進行について説明できる。
人体の構造と機能、病態生理、神経系、内分泌系、循環器、呼吸器 21 1-3
基礎★★ 呼吸器系の構造(気道、肺、気管、縦隔など)を正しく説明できる。また、呼吸器の機能について説明できる。特に呼吸の仕組み(関与する神経、調節機能など)に関する問題を正しく解答できる。また呼吸の評価として、換気能力の評価項目を正しく説明できる。呼吸に関するイグザミネーション項目、視診・聴診・打診についてその方法とアセスメントができる。さらに呼吸のアセスメントの結果からの呼吸困難時などの看護介入について述べることができる。 呼吸器の構造、呼吸器の機能、
呼吸困難、換気能力の評価、呼吸困難時の看護
13 4.5
在宅★★ 訪問看護ステーションの人員配置、管理者・従事できる職種を説明できる。
医療保険と介護保険の訪問看護の違いを説明できる。
地域包括ケアシステムの構成要素と構築される範囲を説明できる。
在宅酸素療法の管理方法・注意点を説明できる。
難病(ALS)で活用できる制度や支援の方向性を説明できる。
訪問看護ステーションの開設基準、医療保険と介護保険の訪問看護、地域包括ケアシステム、在宅酸素療法、難病 13 6、7
母性★★ 妊娠・分娩・産褥期のヘルスアセスメントが理解できる。妊娠期のヘルスアセスメントについては、妊婦の身体的・精神的・社会的特徴を理解し、妊婦健康診査の時期、妊娠週数に応じて必要な保健指導を理解できる。分娩期のヘルスアセスメントについては、分娩所要時間、破水の時期から正常な分娩経過であるか理解できる。母体・胎児の健康状態および分娩進行に影響を及ぼす因子、各時期に必要とされる看護を考えることができる。産褥期について、褥婦および新生児の特徴を理解したうえで経過をアセスメントし、必要な看護ケアについて述べることができる。 妊娠期、分娩期、産褥期、新生児期 13 8、9
小児
急性★★ 成人期にある患者の急性期的治療における介入の優先順位判断のための観察やアセスメントが説明できる。特に消化器系疾患に焦点を当て、症状や治療に応じた観察、援助を説明できる。消化器系疾患としては、急性腹症、イレウス、食道癌、胃癌の病態や症状、疫学的特徴として組織型、好発年齢・性別・部位、誘因、転移様式治療、術後の合併症とその看護について説明できる。大腸癌におけるストーマ増設時の術前看護やストーマケアについて説明できる。 急性腹症、イレウス、食道癌、胃癌、術後合併症、ストーマケア 13 12
慢性★★ 慢性疾患と共に生きる人へのセルフケアに焦点を当てた支援(治療期およびエンドオブライフ期のセルフケア支援)を説明できる。治療期のセルフケアに焦点を当てた支援については、慢性・不可逆的健康課題を有する患者と家族が抱える健康問題について理解し、成人学習理論、自己効力理論、セルフケア不足理論の視点を踏まえながら、患者と家族が主体的に療養生活を送れるようにするための看護援助方法を説明できる。エンドオブライフを生きる人のセルフケア支援については、疼痛や呼吸困難等、病状の進行により生じやすい症状への対処とセルフケアに焦点を当てる意味について説明できる。 慢性疾患、エンドオブライフケア、セルフケア、成人学習理論、自己効力理論、症状コントロール 13 13
老年★★
加齢変化と、高齢者に起こりやすい疾患・症候および看護について述べることができる
一次的老化と二次的老化の違いについて説明できる。
各器官における主な加齢変化と、それによって起こる症状を説明できる。
老年症候群の定義と特徴を述べることができる。
薬物動態に関連する加齢変化と、高齢者の薬物動態の特徴を説明できる。
加齢変化を踏まえた高齢者の脱水の要因と予防するための看護について説明できる。
認知機能障害(中核症状)と行動・心理症状(BPSD)の具体的な症状を述べることができる。
認知症をきたす代表的な疾患の病態を説明できる。
HDS-R、MMSE、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準の評価方法を説明できる。
認知症高齢者との基本的な対応方法を述べることができる。
加齢変化、老年症候群、薬物動態、脱水、認知症 13 14、15
評価方法 期末試験100%
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 その都度指定する。
参考文献
実験・実習・教材費