区分 (生)フィールド生態科目 フィールド生態共通科目 (環)フィールド生態科目 (心・犯)学部共通科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
(心)専門的知識と実践的能力 (心)分析力と理解力 (心)地域貢献性
(環)専門性 (環)理解力 (環)実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
(心)課題分析力 (心)課題解決力 (心)課題対応力
(環)専門知識 (環)教養知識 (環)思考力 (環)実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して、専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。
科目の目的
地球表面の約7割は海洋で覆われており、また、陸地環境と海洋環境は、物理的にも条件が著しく異なることから、水圏環境および水圏環境に生息する生物について理解することは、地球全体の環境および生物について理解する上で、重要である。本科目は、入門科目として、海や河川を含む水圏に生息する生物、またそれらの生態環境について、生物多様性と基本的な生態学的事象について、興味関心を深め、広く理解することを目的とする。
到達目標

到達目標
水圏生態系における様々な生物の生態学的役割を理解し、説明することができる。
海洋生物の多様な生息環境について、関連する事象や用語を正しく理解している。

科目の概要
海洋や河川に生息する代表的な生物を紹介しながら、水圏に生息する様々な生物に関する基礎知識を習得することで、水圏に生息する生物の多様性に対する理解を深める。さらに、それらの水生生物の生息環境に関する知識も同時に習得することで、包括的に水圏生態系を理解するための基礎知識を習得する。具体的には、第一回では、導入として、水圏環境について、広く基礎的な知識を習得する。第二回から第十回にかけては、生物の大きな分類群ごとに、主にネクトン(遊泳生物)やプランクトン(浮遊生物)を対象として、それらの生物学的知見について学習するとともに、生態系におけるそれらの生物の位置付け、人との関わりについて基礎知識を習得する。第十一から第十三回にかけては、底生環境をメインとして、それらの環境の特徴および、そのような環境に生息する底生生物について学習する。第十四回は、淡水環境として主に河川生態系をメインとして学習を行う。第十五回は、これまで学習してきた内容について、各コマの関連等を含め、おさらいする。
科目のキーワード
①海と川の生物、②海洋・河川環境、③生物多様性、④生態学的役割
授業の展開方法
本科目は、パワーポイントを用いた講義形式で講義を実施する。講義にて投影するパワーポイントのスライドについては、配布プリントとして、毎回の講義のはじめに配布する。配布プリントには、適宜、空欄を設けておくため、講義内で投影したスライドをもとに、キーワードとなる語句を埋める形式とする。講義中には、適宜資料映像等を視聴することで、水圏環境に生息する生物また、それらの生息環境に対する興味・関心を養うとともに、水圏環境に生息する生物の基本的な知識を習得する。
オフィス・アワー
【火曜日】昼休み、3・4時限目(前期のみ)、5時限目、【水曜日】昼休み、【木曜日】1・2時限目、【金曜日】2時限目・昼休み
科目コード ENS204
学年・期 1年・前期
科目名 海と川の生物学
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 選択
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 なし
展開科目 動物分類学、水生動物生態実習
関連資格 なし
担当教員名 西田美紀
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 水圏環境とは 科目の中での位置付け 本科目は、海や川といった水圏環境に生息する生き物の生物学について扱うものである。本科目は大きく、5つのパートからなり、まず、1)水圏環境全体について扱い、その後、2)浮遊生物・漂泳生物、3)底生生物、4)陸水環境に生息する生き物について分類群ごとに特徴をおさえる。最終的に5)まとめの回として、これまでに学んできた知識について概観し、それぞれの繋がりについてまで学習する。具体的には、第一回においては、導入として、水圏環境について、生物学的な知識だけにとどまらず、広く基礎的な知識を習得する。第二回から第十回にかけては、生物の大きな分類群ごとに、主にネクトン(遊泳生物)やプランクトン(浮遊生物)を対象として、それらの生物学的知見について学習するとともに、生態系におけるそれらの生物の位置付け、人との関わりについて基礎知識を習得する。第十一から第十三回にかけては、底生環境をメインとして、それらの環境の特徴および、そのような環境に生息する底生生物について学習する。第十四回は、淡水環境として主に河川生態系をメインとして学習を行う。第十五回は、これまで学習してきた内容について、各コマの関連等を含め、おさらいする。このような科目全体の中で、本コマ(第一回)は、これから水圏環境の生物を学習していくにあたり、その生物の生息場所である環境について学ぶ部分として位置付けられる。本コマでは、基本的な海洋や河川の環境について、それらの環境を特徴付ける要因とは何かについて学習する。
【コマ主題細目①】關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 1-2頁
【コマ主題細目②】關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 13-27頁
【コマ主題細目③】沖野外輝夫「河川の生態学」共立出版、2002年、2-25頁
コマ主題細目 ① 海とは・海洋の生態区分 ② 海の環境を特徴付ける要因 ③ 淡水環境
細目レベル ① 海洋は、地球の総面積の71%を占め、付属海を含む3つの大洋から構成される。3つの大洋とは、太平洋・大西洋・インド洋を指し、付属海には地中海と縁海から構成される。海洋は、いくつかの環境に区分することができ、基本的な区分としては、漂泳環境と底生環境の2つに区分される。漂泳環境は、海水面から最大水深までの水柱の環境であり、底生環境は海底環境をさす。もうひとつの基本的な環境区分としては、大陸棚縁までの水深約200mまでの海域を境に、沿岸域と外洋域に区分される。特に沿岸域は、陸域からの栄養塩供給や、波浪や湧昇流による堆積物のかく乱などにより、一次生産が盛んな場所である。ここでは、以降の講義にて紹介する生物の営みに関連する、非生物学的環境について理解を深めるため、海洋の一般的な区分方法や、それぞれの環境特性について押さえる。
② 海の環境を特徴付ける要因として、温度・塩分・水圧・栄養塩・溶存気体・流れ・光などがある。ここでは、水の性質の特徴を押さえるとともに、水の密度と温度、塩分といった要因の関係について押さえる。また、水の循環と関連の深い、密度流や吹送流とは何かについて押さえるとともに、ブローカーの唱えた海洋大循環についても説明を行う。(これらの事項と生物との関連については次回以降の講義において、それぞれの関連生物とともににて概説する。)また、これらの海洋を観測する機器には代表的なものとして、塩分や海水温等を観測するCTDや、プランクトン類を採取するプランクトンネットなどがあるが、これらの観測機器について、写真とともに説明を行う。
③ 海洋のほか、水圏環境には、湖沼、湿地、河川、貯水池など淡水域も存在する。これら淡水環境に成立する生態系を淡水生態系と呼ぶ。淡水は、地球上に存在する水全体の1%にも満たない。しかも、その多くは地下水として存在し、湖沼や河川のように地上にあり利用しやすい淡水資源は限られている。 河川の形態は、重要な環境要素である。河川は上流・中流・下流に分けられ、それぞれの川底の様子や流れの速さなどが異なる。河川形態の特徴によって、生息する生物の種類が異なる。ここでは、細目レベル①②で学習する水の特性などを含む環境特性を踏まえた上で、以降で紹介する生物と関連する、淡水生態系の特徴・非生物学的特性について、押さえる。
キーワード ① 海洋環境 ② 大陸棚 ③ 環境要因 ④ CTD ⑤ セッキー板
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】
本講義においては、次回以降の講義において学習する生物の内容と関連する、いくつかの考え方や基本的語句を習得しておくための回として位置付けられるため、特に水の性質といった非生物学的環境要因について復習を行なっておくべきである。具体的には、海洋の環境区分を説明することとともに、水の密度と塩分・温度の関係はどのようになっているのか説明をすること。さらに講義中に説明した事柄の中で、特に興味を持った点については、各自調べ、学びをさらに深めること。
【予習課題】
次回の講義においては、主に植物プランクトンについて扱うため、植物プランクトンにはどのような生物がいるのか予めいくつかの種類について調べておくとともに、光合成に必要な条件とは何かについて調べておくこと。

2 海の生物の分類・植物プランクトン 科目の中での位置付け 本科目は、海や川といった水圏環境に生息する生き物の生物学について扱うものである。本科目は大きく、5つのパートからなり、まず、1)水圏環境全体について扱い、その後、2)浮遊生物・漂泳生物、3)底生生物、4)陸水環境に生息する生き物について分類群ごとに特徴をおさえる。最終的に5)まとめの回として、これまでに学んできた知識について概観し、それぞれの繋がりについてまで学習する。具体的には、第一回においては、導入として、水圏環境について、生物学的な知識だけにとどまらず、広く基礎的な知識を習得する。第二回から第十回にかけては、生物の大きな分類群ごとに、主にネクトン(遊泳生物)やプランクトン(浮遊生物)を対象として、それらの生物学的知見について学習するとともに、生態系におけるそれらの生物の位置付け、人との関わりについて基礎知識を習得する。第十一から第十三回にかけては、底生環境をメインとして、それらの環境の特徴および、そのような環境に生息する底生生物について学習する。第十四回は、淡水環境として主に河川生態系をメインとして学習を行う。第十五回は、これまで学習してきた内容について、各コマの関連等を含め、おさらいする。このような科目全体の中で、本コマ(第二回)は、生物について学ぶ全体の中でも、特に主な植物プランクトンに関する知識の習得に位置付けられる。主な植物プランクトン の種類および植物プランクトンの海洋における役割を理解する。
【コマ主題細目①】關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年  2-3頁
【コマ主題細目②】關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年  29-33, 39頁
【コマ主題細目③】關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 35-38頁
コマ主題細目 ① 海洋生物の分類 ② 一次生産・ブルーム ③ 植物プランクトン現存量
細目レベル ① 漂泳環境に生息する生物にはプランクトン(plankton)とネクトン(nekton)が挙げられる。両者は遊泳能力の有無によって区分される。底生環境に生息する生物は、ベントス(底生生物, benthos)と呼ばれる。プランクトンの中には、植物プランクトン、動物プランクトンともに含まれる。ここでは特に植物プランクトンについて扱う。植物プランクトンには、様々な分類群の生物が含まれる。本授業では代表的な珪藻類・渦鞭毛藻類について取り上げる。珪藻類は、珪酸質の殻をもつ単細胞性の真核藻類である。珪藻の次に多く出現するのが渦鞭毛藻類であり、珪藻と異なり2本の鞭毛をもつ。渦鞭毛藻類には、光合成を行う独立栄養のもの、葉緑体を持たず光合成を行わない従属栄養のもの、混合栄養のものとが存在する(従属栄養の渦鞭毛藻類は、動物プランクトンとみなされる)。講義では、多様な形態を持つ植物プランクトンの写真も紹介し、植物プランクトンに関する関心を深める。
② 植物プランクトンは、光合成により無機物から有機物を合成し、海洋生態系において生産者としての大きな役割を担っている。光合成と逆の反応が呼吸であり、すべての動植物が呼吸をする。1日の水柱内の植物の全光合成生産量と全呼吸量とが一致する深さのことを臨界深度という。また1日の植物プランクトンの総光合成速度と呼吸速度が等しく、純光合成速度がゼロになる深度を日補償深度という。ここでは、光合成に不可欠な光は、水中環境では水深によって異なる点を押さえる。植物プランクトンのある種が、好適な条件で個体数を突発的に増やすことを植物プランクトンのブルームという。ここでは、特に春に生じる春季ブルームがどのようなメカニズムで発生するのかという点についてまで理解する。
③ 植物プランクトンの光合成による生物生産は、海洋生態系の一次生産のほとんどを担っていることから、植物プランクトンの現存量を把握することは、海洋生態系における基礎生産量を把握する指標として重要である。植物プランクトンの現存量を推定する方法にはいくつもあるが、クロロフィル濃度の測定によるものが一般的である。植物プランクトンは、光合成色素を持ち、中でもクロロフィルaは、全ての植物プランクトンが保有している。したがって、このクロロフィルa濃度を測定することによって、植物プランクトンの現存量を把握している。講義では、人口衛星「しきさい」が捉えた三河湾のクロロフィルa量の分布図などを紹介し、海洋の一次生産を担う植物プランクトンを把握する方法についてまで押さえる。
キーワード ① プランクトン・ネクトン・ベントス ② 珪藻・渦鞭毛藻 ③ 光合成 ④ 補償深度 ⑤ 春季ブルーム
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】
本講義では、第一に、海洋に生息する生物の生活様式による区分(プランクトン、ネクトン、ベントス)について押さえ、その上で、植物プランクトンについて主に扱った。海洋に生息する生物の分類方法については、以降の講義においても使用する基本的な知識であるため、その名称と分類の仕方まで説明できるように復習を行う。この講義でのポイントは、植物プランクトンが生態系において担う役割、植物プランクトンが増殖するメカニズムあるいはその制限要因、そしてその上で、植物プランクトンの分布・量が海洋においてどのように把握されているのかを理解することである。講義中に説明した事柄の中で、特に興味を持った点については、各自調べ、学びをさらに深めること。
【予習課題】
次回の講義では、植物プランクトンに続き、同じく浮遊生活者である動物プランクトンについて扱うため、復習で行う通り、プランクトンを指すのか説明できるようにしておくこと。

3 動物プランクトン 科目の中での位置付け 本科目は、海や川といった水圏環境に生息する生き物の生物学について扱うものである。本科目は大きく、5つのパートからなり、まず、1)水圏環境全体について扱い、その後、2)浮遊生物・漂泳生物、3)底生生物、4)陸水環境に生息する生き物について分類群ごとに特徴をおさえる。最終的に5)まとめの回として、これまでに学んできた知識について概観し、それぞれの繋がりについてまで学習する。具体的には、第一回においては、導入として、水圏環境について、生物学的な知識だけにとどまらず、広く基礎的な知識を習得する。第二回から第十回にかけては、生物の大きな分類群ごとに、主にネクトン(遊泳生物)やプランクトン(浮遊生物)を対象として、それらの生物学的知見について学習するとともに、生態系におけるそれらの生物の位置付け、人との関わりについて基礎知識を習得する。第十一から第十三回にかけては、底生環境をメインとして、それらの環境の特徴および、そのような環境に生息する底生生物について学習する。第十四回は、淡水環境として主に河川生態系をメインとして学習を行う。第十五回は、これまで学習してきた内容について、各コマの関連等を含め、おさらいする。このような科目全体の中で、本コマ(第三回)は、生物について学ぶ全体の中でも、特に、動物プランクトンについて扱う回として位置付けられる。主な動物プランクトンに関する知識を習得するとともに、動物プランクトンの海洋における役割を理解する。
【コマ主題細目①】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 54-56頁

【コマ主題細目②】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 56-78頁

【コマ主題細目③】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年29-49頁
竹内俊朗ら編「水産海洋ハンドブック第3版」生物研究者、2017年43−47頁
コマ主題細目 ① 動物プランクトンとは ② 様々な種類の終生プランクトンと一時プランクトン ③ 赤潮
細目レベル ① 第2回の講義の細目レベル①において学習した通り、プランクトン生活者には、動物プランクトンと植物プランクトンが含まれる。動物プランクトンとは、遊泳力をもつが流れに逆らって動くことができない従属栄養性のプランクトンの総称である。食性により、植物食性、動物食性、デトリタス食、雑食性のものに分類される。動物プランクトンの中には、生活史の全ての期間でプランクトン生活を送るものもいれば、特定の時期だけプランクトン生活を送るものがいる。前者は終生プランクトンと呼ばれ、後者は一時プランクトンと呼ばれる。それぞれについて詳しくは、細目レベル②にて紹介するが、ここでは、動物プランクトンの様々な区分についてまで押さえる。
② 終生プランクトンとして生活する動物プランクトンには、多様な分類の生物が含まれる。原生生物である、渦鞭毛藻類・渦鞭毛虫類・有孔虫類・放散虫類・繊毛虫類や、刺胞動物であるクラゲ類、環形動物である多毛類、節足動物であるカイアシ類やオキアミ類、脊索動物であるサルパ類等、代表的な生物だけでも多くの生物が含まれる。一方、底生生物の約7割は、幼生期をプランクトンとして過ごす。このように生活史の初期をプランクトンとして過ごす生物は一時プランクトンと呼ばれる。代表的なものとして、二枚貝や巻貝の幼生であるベリージャ幼生などがある。ここでは、動物プランクトンには、様々な分類群の生物が含まれることを理解し、その代表的な生物をあげることができるようにまで押さえる。
③ 赤潮とは、「プランクトンの異常増殖により海水が赤色等に着色する現象」を指す。一般に、赤色に着色して見えることから、「赤潮」と呼ばれるが、増殖したプランクトンの種によって色は異なる。講義では、赤潮として異常増殖が確認されているプランクトン種について、写真とともにいくつかの種を紹介するが、原因種としては例えば、珪藻類のほか、ギムノディニウムといった渦鞭毛藻類や、ヘテロシグマといったラフィド藻などがある。ここでは、代表種にはどのような種があるのかまで押さえるとともに、赤潮がなぜ生じるのか、赤潮による被害はどのように生じるのか、赤潮の発生状況の推移や、行われている対策についてまで紹介し、赤潮に対する正しい知識を習得する。
キーワード ① 従属栄養 ② 終生プランクトン ③ 幼生 ④ 赤潮 ⑤ 夜光虫
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】
本講義のポイントは、動物プランクトンには、様々な分類群の生物が含まれることを理解し、その代表的な生物まで押さえることである。また、海洋環境において観察される赤潮については、その発生原因と原因種については復習を行なっておくこと。特に赤潮と呼ばれる現象は、具体的にどのように定義されているのか、200字程度で説明できるようにすること。赤潮という言葉に引きづられて、赤く着色する現象と理解するのではなく、「赤色等」に着色する現象として理解すること。さらに講義中に説明した事柄の中で、特に興味を持った点については、各自調べ、学びをさらに深めること。
【予習課題】
次回の講義においては、遊泳性の動物として、甲殻類・頭足類、海産爬虫類について扱うため、これらの動物にはどのようなものがいるのか事前に調べておくこと。

4 遊泳性甲殻類・遊泳性頭足類・海産爬虫類 科目の中での位置付け 本科目は、海や川といった水圏環境に生息する生き物の生物学について扱うものである。本科目は大きく、5つのパートからなり、まず、1)水圏環境全体について扱い、その後、2)浮遊生物・漂泳生物、3)底生生物、4)陸水環境に生息する生き物について分類群ごとに特徴をおさえる。最終的に5)まとめの回として、これまでに学んできた知識について概観し、それぞれの繋がりについてまで学習する。具体的には、第一回においては、導入として、水圏環境について、生物学的な知識だけにとどまらず、広く基礎的な知識を習得する。第二回から第十回にかけては、生物の大きな分類群ごとに、主にネクトン(遊泳生物)やプランクトン(浮遊生物)を対象として、それらの生物学的知見について学習するとともに、生態系におけるそれらの生物の位置付け、人との関わりについて基礎知識を習得する。第十一から第十三回にかけては、底生環境をメインとして、それらの環境の特徴および、そのような環境に生息する底生生物について学習する。第十四回は、淡水環境として主に河川生態系をメインとして学習を行う。第十五回は、これまで学習してきた内容について、各コマの関連等を含め、おさらいする。このような科目全体の中で、本コマ(第四回)は、生物について学ぶ全体の中でも、特に、甲殻類・頭足類・海産爬虫類について扱う回として位置付けられる。主な遊泳性甲殻類・遊泳性頭足類・海産爬虫類について、これらの生物の特徴など、基本的な生物学的知識を習得する。
【コマ主題細目①】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 113頁

【コマ主題細目②】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 113-114頁

【コマ主題細目③】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年114-115頁
コマ主題細目 ① 遊泳性甲殻類 ② 遊泳性頭足類 ③ 海産爬虫類
細目レベル ① 甲殻類(Crustaceans)は、食料資源として重要である一方、剪定や海中建築物に付着する汚損生物としての有害性をあわせもつ。汚損生物としては固着性の甲殻類が問題視されており、これについては詳しくは、第12回の講義(ベントス)にて紹介する。甲殻類の特徴としては、体を包む外部骨格がキチン質を大量に含んでおり、成長とともに脱皮が行われることや、関節のある付属肢が腹側に対になって並んでいることなどが挙げられる。遊泳性甲殻類のうち、人との関わりのなかで重要といえるものにオキアミ類がある。南極海食物網の中心であり、養殖魚の飼料として漁獲されている。講義では、代表種を紹介しながら、甲殻類の特徴および分類について押さえる。
② 軟体動物であるイカ類やタコ類は頭足類は呼ばれており、表層域から深海に至るまで広く分布している。イカ類とタコ類の形態的特徴としては、体は外套膜につつまれた胴部と頭部に分かれ、頭部にある口の周辺には腕がならんでいる。頭部にはよく発達した眼が一対ある。イカ類とタコ類の形態的な違いは、イカ類の腕は10本、4列の吸盤があり、5対の腕のうち1対の2本は触腕で捕食時に機能する。さらに吸盤には角質化した吸盤角質環が付いている。これに対しタコ類の腕は8本でイボ状の吸盤が付いている。

② 軟体動物であるイカ類やタコ類は頭足類は呼ばれており、表層域から深海に至るまで広く分布している。イカ類とタコ類の形態的特徴としては、体は外套膜につつまれた胴部と頭部に分かれ、頭部にある口の周辺には腕がならんでいる。頭部にはよく発達した眼が一対ある。イカ類とタコ類の形態的な違いは、イカ類の腕は10本、4列の吸盤があり、5対の腕のうち1対の2本は触腕で捕食時に機能する。さらに吸盤には角質化した吸盤角質環が付いている。これに対しタコ類の腕は8本でイボ状の吸盤が付いている。
③ 海洋環境に適応した爬虫類(脊椎動物門爬虫綱に属する生物の総称, Reptilia)にはウミガメやウミヘビ、イグアナがいる。ウミガメの全種は、絶滅危惧種あるいは絶滅危機種と考えられており、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約, CITES: Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)にて国際取引が禁止されている。ウミガメは、リクガメと異なり、遊泳力と潜水能力に優れ、形態においても違いが見られる。講義では、形態的違いを含め説明を行う。ウミヘビ類は、ウミヘビ亜科のヘビ類では、完全に海洋生活に適応しており、陸上には上がらないのに対し、エラブウミヘビ属に属するウミヘビ類は、産卵時に上陸することがある。ウミイグアナは、イグアナ類では唯一海水で活動し、海で海藻を採食する。これら海洋環境に適応した爬虫類について、基本的な知識を得るとともに、人間活動との関わりについてまで押さえる。
キーワード ① オキアミ ② イカ類 ③ ウミガメ類 ④ ワシントン条約 ⑤ ウミヘビ類
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】
関連語句については、意味を整理しておくこと。特には以下の3つを復習課題とする。①本講義にて紹介した、遊泳性甲殻類、遊泳性頭足類、解散爬虫類の分類や代表種について復習を行うこと。②ウミガメ類が海洋適応した結果、リクガメ類とは異なる形態を身につけたことについて講義にて説明を行ったが、リクガメ類と比較してウミガメ類の形態的特徴について2つ以上説明できるようにしておくこと。③講義にて説明する、それらの動物と人間活動との関わりの例について、400字程度で説明できるようにしておくこと。さらに講義中に説明した事柄の中で、特に興味を持った点については、各自調べ、学びをさらに深めること。
【予習課題】
次回以降の講義では、海産哺乳類について扱うため、海産哺乳類には、どのような動物が含まれるのかについて事前に調べておくこと。

5 海産哺乳類1 科目の中での位置付け 本科目は、海や川といった水圏環境に生息する生き物の生物学について扱うものである。本科目は大きく、5つのパートからなり、まず、1)水圏環境全体について扱い、その後、2)浮遊生物・漂泳生物、3)底生生物、4)陸水環境に生息する生き物について分類群ごとに特徴をおさえる。最終的に5)まとめの回として、これまでに学んできた知識について概観し、それぞれの繋がりについてまで学習する。具体的には、第一回においては、導入として、水圏環境について、生物学的な知識だけにとどまらず、広く基礎的な知識を習得する。第二回から第十回にかけては、生物の大きな分類群ごとに、主にネクトン(遊泳生物)やプランクトン(浮遊生物)を対象として、それらの生物学的知見について学習するとともに、生態系におけるそれらの生物の位置付け、人との関わりについて基礎知識を習得する。第十一から第十三回にかけては、底生環境をメインとして、それらの環境の特徴および、そのような環境に生息する底生生物について学習する。第十四回は、淡水環境として主に河川生態系をメインとして学習を行う。第十五回は、これまで学習してきた内容について、各コマの関連等を含め、おさらいする。このような科目全体の中で、本コマ(第五回)は、生物について学ぶ全体の中でも、特に、海産哺乳類について扱う回として位置付けられる。主な海産哺乳類に関する知識を習得する。
【コマ主題細目①】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 115-118頁

【コマ主題細目②】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 115頁

【コマ主題細目③】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 115頁
コマ主題細目 ① 海産哺乳類とは ② 鯨類とは・鯨類の水中適応 ③ 鯨類と人間活動
細目レベル ① 海洋環境に適応した哺乳類には、イルカ・クジラなどの鯨類・アシカやアザラシなどの鰭脚類、マナティやジュゴンなど海牛類のほか、イタチ科のラッコ、クマ科のホッキョクグマがある。哺乳類の一般的な特徴は,胎生で授乳を行うこと,3つの耳小骨(鼓膜の振動を内耳に伝える機能を持つ)と顎関節を持ち,犬歯や前臼歯,臼歯など様々な形の歯を持つ異型歯性であること,体温を一定に保ち(恒温性),毛があることである.そのため,哺乳類のメスには胎盤・乳腺があり,子供を産み育てる.細目レベル②や次回の講義(第6回、第7回)においては、それぞれの動物種における海洋適応について扱うため、まずは哺乳類の基本的な特徴にはどのようなものがあるのか押さえる。
② 現生の鯨類は、ヒゲクジラ亜目とハクジラ亜目に分類されている。ハクジラは口内に歯を有するのに対し、ヒゲクジラはヒゲ板を有するなどの違いがある。先述の通り(細目レベル①参照),哺乳類の特徴の一つは,異型歯性であることであったが,現生のハクジラ類の歯には,同型歯性がみとめられる.また、鯨類は、水中生活に完全に適応した哺乳類である。その水中適応の例としては、水の抵抗を軽減させる流線型の体の形態や、水面で効率良く呼吸するため頭頂部へ移動した鼻孔などがある。哺乳類の体は毛に覆われて,体温の維持等の役割を果たしているが,完全水中生活者である鯨類および海牛類(第7回にて説明)では,皮下に厚い脂肪を蓄えて,体温を維持している.まず現生の鯨類について、その分類を理解した上で、鯨類の水中適応についてまで押さえる。
③ 鯨類と人間活動の関わりについて、いくつかの鯨類の例を挙げて説明する。中国揚子江に生息していたヨウスコウカワイルカでは,2006年に大規模な調査が実施されたが発見がなく,本種は事実上絶滅した。その原因として、混獲(漁獲対象以外の生物を付随的に漁獲してしまうこと)や、ダム建設による環境の異変,航行船舶の増加などが考えられている.このほか、現在絶滅に瀕している鯨類としては、例えば、コガシラネズミイルカなどがいる。本種は、カリフォルニア湾北部に生息する。本種と同じ海域に生息するトトアバを対象とした刺し網漁による混獲の結果、数を大幅に減少させた。混獲の問題は、日本の沿岸性鯨類等においても問題視されている。
キーワード ① 海産哺乳類 ② 鯨類 ③ 水中適応 ④ 異型歯性 ⑤ ヨウスコウカワイルカ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】
今回の講義のポイントは、まず、海の哺乳類とはどのような動物であるのかについて理解することである。そのため、まず哺乳類とはどのような動物であるのか、その特徴について説明できるようになっておくこと。その上で、哺乳類が海洋環境に適応するにあたりどのような形態となったのか等、水中適応について、具体例とともに説明できるようになること。また、人間と海棲哺乳類の関係を理解するため、どのような人為的影響が海棲哺乳類の生存を脅かしているのかについて説明できるようになること。さらに講義中に説明した事柄の中で、特に興味を持った点については、各自調べ、学びをさらに深めること。
【予習課題】
次回(第6回)の講義では、鯨類および鰭脚類を主に扱う。鯨類あるいは鰭脚類の中から1種知っている種あるいは好きな種を選び、その動物種について特徴を調べておくこと

6 海産哺乳類2 科目の中での位置付け 本科目は、海や川といった水圏環境に生息する生き物の生物学について扱うものである。本科目は大きく、5つのパートからなり、まず、1)水圏環境全体について扱い、その後、2)浮遊生物・漂泳生物、3)底生生物、4)陸水環境に生息する生き物について分類群ごとに特徴をおさえる。最終的に5)まとめの回として、これまでに学んできた知識について概観し、それぞれの繋がりについてまで学習する。具体的には、第一回においては、導入として、水圏環境について、生物学的な知識だけにとどまらず、広く基礎的な知識を習得する。第二回から第十回にかけては、生物の大きな分類群ごとに、主にネクトン(遊泳生物)やプランクトン(浮遊生物)を対象として、それらの生物学的知見について学習するとともに、生態系におけるそれらの生物の位置付け、人との関わりについて基礎知識を習得する。第十一から第十三回にかけては、底生環境をメインとして、それらの環境の特徴および、そのような環境に生息する底生生物について学習する。第十四回は、淡水環境として主に河川生態系をメインとして学習を行う。第十五回は、これまで学習してきた内容について、各コマの関連等を含め、おさらいする。このような科目全体の中で、本コマ(第六回)は、生物について学ぶ全体の中でも、主な海産哺乳類、特に鰭脚類や海牛類について扱う回として位置付けられる。鰭脚類や海牛類の分類や海洋適応、人との関わりに関する知識を習得する。
【コマ主題細目①】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 115-118頁

【コマ主題細目②】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 115-118頁

【コマ主題細目③】關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 115-118頁
コマ主題細目 ① 鯨類の種多様性 ② 鰭脚類とは ③ 海牛類とは
細目レベル ① 第5回の講義の細目レベル②においても紹介した通り、鯨類には様々な種がおり、現在のところ、約90種が知られている。鯨類は河川から外洋まで広く世界中の海に分布し、大きさにおいては、1m程度のものから約30mのもの(史上最大の生物であるシロナガスクジラ;Balaenoptera musculus)まで多様性が見られる。また、群れのサイズや構成も種によって様々である。本講義においては、我々にとって身近な鯨類(三河湾に生息するスナメリや日本近海で見られる鯨類等)について紹介するとともに、特徴的ないくつかの種を例として紹介しながら、形態や食性、分布域、潜水能力、群れ構成などの観点から、鯨類の多様性の高さについて理解する。
② 鰭脚類には、アザラシ・アシカ・セイウチなどが含まれる食肉目の哺乳類であり、現在のところ、およそ35種が知られている。鰭脚類の特徴には、ひれ状の前後肢をもち、一回の出産で1頭の子を出産すること、水陸両用生活を営んでいること、他の哺乳類と同様に、全身が毛で覆われていることなどが挙げられる。アザラシ科には、耳介がないのに対し、アシカ科には耳介がある。講義では、鰭脚類と人間活動の関わりについて、アザラシやアシカは毛皮や油、セイウチは牙を利用するために乱獲された歴史があること等、いくつかの生物種を例に挙げて説明を行う。ここでは、鰭脚類の基本的な分類とそれぞれの形態的特徴、人間活動との関わりについてまで押さえる、
③ マナティやジュゴンが含まれるのが海牛類(Sirenia)である。現生の海牛類は、ジュゴン科のジュゴンとマナティ科のアメリカマナティ、アマゾンマナティ、アフリカマナティの2科からなる。第5回の講義にて紹介した通り、海産の哺乳類である鯨類は、魚食性のものや、肉食性のものが見られたのに対し、海産の哺乳類のなかでは、海牛類のみが草食性である。また、その分布は沿岸浅海域から河口、河川に限られる。海牛類には、すでに絶滅してしまったジュゴン科のステラーカイギュウ(Hydrodamalis gigas)も含まれる。本講義では、海牛類の分類や特徴を押さえるとともに、海牛類と人間活動との関わりについてまで押さえる。
キーワード ① 種多様性 ② アザラシ ③ アシカ ④ 乱獲 ⑤ ハーレム
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】
本講義のポイントは、第5回第6回にて扱った海産哺乳類のうち、特に、鰭脚類と海牛類について、それらの代表種や分類、それらの特徴についてまで押さえることである。アシカとアザラシの違いを200字程度で説明し、復習を行うこと。具体的には、マナティとジュゴンの違いについて200字程度で説明し、復習を行うこと。さらに講義中に説明した事柄の中で、特に興味を持った点については、各自調べ、学びをさらに深めること。
【予習課題】
次回の講義では、海鳥について扱うため、身近な海鳥や興味のある海鳥類について一つ選び、事前にその標準和名や分類、基本的な生態(分布や食性)について調べることで、海鳥に対する興味・関心を高めておくことが望ましい。

7 海鳥類 科目の中での位置付け 本科目は、海や川といった水圏環境に生息する生き物の生物学について扱うものである。本科目は大きく、5つのパートからなり、まず、1)水圏環境全体について扱い、その後、2)浮遊生物・漂泳生物、3)底生生物、4)陸水環境に生息する生き物について分類群ごとに特徴をおさえる。最終的に5)まとめの回として、これまでに学んできた知識について概観し、それぞれの繋がりについてまで学習する。具体的には、第一回においては、導入として、水圏環境について、生物学的な知識だけにとどまらず、広く基礎的な知識を習得する。第二回から第十回にかけては、生物の大きな分類群ごとに、主にネクトン(遊泳生物)やプランクトン(浮遊生物)を対象として、それらの生物学的知見について学習するとともに、生態系におけるそれらの生物の位置付け、人との関わりについて基礎知識を習得する。第十一から第十三回にかけては、底生環境をメインとして、それらの環境の特徴および、そのような環境に生息する底生生物について学習する。第十四回は、淡水環境として主に河川生態系をメインとして学習を行う。第十五回は、これまで学習してきた内容について、各コマの関連等を含め、おさらいする。このような科目全体の中で、本コマ(第七回)においては、主な海鳥類について、分類(代表種)や摂餌生態や行動生態に関する基本的な知識を習得する。
【コマ主題細目①】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 118-120頁

【コマ主題細目②】
綿貫豊「海鳥の行動と生態」生物研究社、 2010年 5-11頁、14-35頁、43-64頁

【コマ主題細目③】
綿貫豊「海鳥の行動と生態」生物研究社、 2010年 5-11頁、14-35頁、43-64頁
コマ主題細目 ① 海鳥の種類・分類 ② 海鳥の摂餌・飛翔行動 ③ 海鳥類の生態系における役割・人間によるインパクト
細目レベル ① 海鳥は、ペンギン目、ミズナギドリ目、ペリカン目、チドリ目の4つからなる。ペンギン目はペンギン科の1つからなり、飛行能力を失っており、フリッパー(ヒレ)状になった翼で羽ばたき潜水する。1科17種で、そのうち8種は南極・亜南極で繁殖する。ミズナギドリ目は、アホウドリ科21種、ミズナギドリ科79種、モグリウミツバメ科4種、ウミツバメ科21種といった、幅広いサイズにまたがる多様な4つの科を含み、大部分の種が南半球で繁殖する。ペリカン目は、ペリカン科7種、ウ科36種、カツオドリ科10種、ネッタイチョウ科3種、グンカンドリ科5種を含む多様なグループである。チドリ目は、トウゾクカモメ科、カモメ科、ハサミアジサシ科、ウミスズメ科である。
② 海鳥の餌は多様であり、魚類、頭足類、動物プランクトン(カイアシ類、オキアミ類など)、魚卵、貝類、ヒトデなど多岐にわたる。さらに、海鳥はさまざまな採食方法をとっている。カモメ・アジサシ類は全く潜水しない。アホウドリ類はほとんど潜水せず、海面に浮いている魚やイカ類、漁船などから投棄された魚などをついばむ。ミズナギドリ科は数十メートル潜水する種もいれば、10m程度の潜水しかしないものまでいる。ペリカン科・カツオドリ科は能動的な潜水をほとんどしない。飛行できないペンギン科の多くは、沿岸域で深く潜水して採食する。また海鳥は、ほかの海鳥種や魚類高次捕食者や海棲哺乳類などの採食活動の際に、魚群を追い上げてきたものをうまく利用することもある。また、海鳥は、空中では羽ばたき飛行と滑空飛行、水中では羽ばたき潜水と足こぎ潜水によって移動する。ほとんど潜水しないものとしては、羽ばたきを主に滑空飛行もするグループ(カモメ科)と主に滑空するグループ(ミズナギドリ目)の二つが挙げられる。次に、潜水をするものでは、羽ばたき飛行・羽ばたき潜水(ウミスズメ科)、羽ばたき飛行・足こぎ潜水(ウ科)および羽ばたき潜水(ペンギン科)といった三つのグループがある。このような運動モードが直面する物理的制約にそれぞれ適した形態をもっている。これらのうち相対的に代謝速度がもっとも高いのが羽ばたき飛行であり、もっとも低いのが滑空飛行である。羽ばたき潜水は、意外と酸素消費速度が小さい。
③ 海鳥類は、海洋生態系における重要な高次捕食者としての位置を占める。世界の海鳥による年間餌消費量は、人間の年間漁獲量に匹敵することが知られている。海鳥は離れ島等で集団繁殖を行うことから、海鳥の排泄物や死体が繁殖地の陸上生態系に局所的に大きな影響を与える。特に、排泄物に含まれる窒素やリンは重要な物質である。
人間との関わりでみると、海鳥類は古くから食料として利用されてきた他、羽毛などは、布団などの素材として利用されてきた。人間による直接的な利用によって、絶滅した種や、絶滅の危機に瀕した種も多く存在する。近代では、漁業に伴う混獲も問題となっている他、DDTなどの汚染物質の蓄積も問題となっている。本コマ主題細目では、このような問題の背景、現状、対策について学ぶ。

キーワード ① ペンギン ② ミズナギドリ ③ アホウドリ ④ 採食 ⑤ 飛行
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コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】
本講義においては、海鳥類の分類から摂餌、飛翔行動についてまで説明を行なったため、まず海鳥類の分類について4つの目とそれぞれの代表種を述べられるように、復習を行うこと。この分類を踏まえ、各海鳥の摂餌生態や飛翔行動がどれに当てはまるのか、説明できるようにしておくこと。また、関連語句については、意味を整理しておくこと。さらに講義中に説明した事柄の中で、特に興味を持った点については、各自調べ、学びをさらに深めること。
【予習課題】
次回以降の講義においては魚類について扱い、特に次のコマでは、無顎類・軟骨魚類について扱うため、魚類の基本的な分類と、無顎類・軟骨魚類の特徴について、予め予習として各自調べておくことが望ましい。

8 魚類1 科目の中での位置付け 本科目は、海や川といった水圏環境に生息する生き物の生物学について扱うものである。本科目は大きく、5つのパートからなり、まず、1)水圏環境全体について扱い、その後、2)浮遊生物・漂泳生物、3)底生生物、4)陸水環境に生息する生き物について分類群ごとに特徴をおさえる。最終的に5)まとめの回として、これまでに学んできた知識について概観し、それぞれの繋がりについてまで学習する。具体的には、第一回においては、導入として、水圏環境について、生物学的な知識だけにとどまらず、広く基礎的な知識を習得する。第二回から第十回にかけては、生物の大きな分類群ごとに、主にネクトン(遊泳生物)やプランクトン(浮遊生物)を対象として、それらの生物学的知見について学習するとともに、生態系におけるそれらの生物の位置付け、人との関わりについて基礎知識を習得する。第十一から第十三回にかけては、底生環境をメインとして、それらの環境の特徴および、そのような環境に生息する底生生物について学習する。第十四回は、淡水環境として主に河川生態系をメインとして学習を行う。第十五回は、これまで学習してきた内容について、各コマの関連等を含め、おさらいする。このような科目全体の中で、本コマ第八回においては、魚類の基本的な分類・特徴について学習した上で、特に無顎類・軟骨魚類について基礎的な知識を習得する。
【コマ主題細目①】
矢部衛ら「魚類学」 恒星社恒星閣 2017年 103頁.

【コマ主題細目②】
矢部衛ら「魚類学」 恒星社恒星閣 2017年, 311頁.

【コマ主題細目③】矢部衛ら「魚類学」 恒星社恒星閣 2017年 314頁. .
コマ主題細目 ① 魚類とは ② 無顎類とは ③ 軟骨魚類とは
細目レベル ① 魚類には、一般に軟骨魚類と硬骨魚類が含まれるが、広義では、無顎類も魚類に含まれる場合がある。魚類は、最初に出現した脊椎動物と考えられており、脊椎動物の基本的な形態を顕示する動物である。魚類の基本的な特徴としては、鰭があり、一生を鰓を用いて呼吸を行うことなどが挙げられる。魚類は、海産の脊椎動物の中でも最も多様性に富んだグループとされている。種数は、新種の記載や同物異名(synonym, シノニム)として消される種名もあり、正確な種数を知ることは困難であるが、合計で約二万五千種と推計される報告がある。ここでは、魚類の分類と、脊椎動物の進化における魚類の位置付け、また魚類の種多様性についてまで理解する。
② 無顎類は円口上目に属するホソヌタウナギの仲間やヤツメウナギの仲間だけで、いずれも体はウナギ型で体表に鱗がない。顎がなく、口は裂口状または吸盤状である。内部骨格は軟骨で不完全であり、脊椎も不完全で、脊索の背側に軟骨片が不連続に並ぶ。胸鰭や腹鰭はなく、呼吸器は嚢状の鰓で、流出管を通して体表に開いている。鰓孔は円形で、外鼻孔は1個で対をなさない。雌雄異体で卵生である。円口類はヌタウナギ目とヤツメウナギ目に分類される。両者は体型は似ているが、内部形態や個体発生ではかなりの相違がある。ヌタウナギ類は最も原始的で、早い時期にヤツメウナギ類や他の魚類の系統と分かれたもので独立した綱として扱うべきだという見解もある。
③ 現生の軟骨魚類には、板鰓亜綱(サメ・エイ類)と全頭亜綱(ギンザメ類)が含まれる。サメ類の頭部には、ロレンチーニ器官と呼ばれる、微弱な電流を感じ取る器官がある。またオスにはクラスパーとよばれる交尾器がついており、これで交尾を行う。板鰓亜綱は、脊椎骨の椎体は発達し、脊柱は明瞭である。鰓孔は通常5対、種によっては6対あるいは7対ある。歯の構造は、内部から歯髄、歯質、エナメル層の順に並ぶ3層からなるが、外形は種によって異なり、食性を反映していると考えられる。歯の交換様式には特徴があり、作用歯の後方に数列の補充歯が並び、作用歯が欠損すると補充歯が順に前へ送り出される。また胎生には、卵胎生とよばれる非胎盤性と、胎盤状構造が形成される卵黄嚢胎盤性がある。全頭亜綱では、脊椎骨は発達せず、体の中軸は硬い脊索によって支えられている。鰓の外側は鰓蓋状の皮膜によって保護され、各鰓裂は共通の1鰓孔を通して体表に開く。体内受精し、卵生である。
キーワード ① ヤツメウナギ ② ヌタウナギ ③ サメ ④ 板鰓類 ⑤ ロレンチーニ器官
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】
本講義においては、魚類について扱ったが、人によっては、「無顎類」「ヤツメウナギ」など、聞き慣れない分類群名や種名も多くあったかもしれない。ポイントは、まず大分類として、魚類の中には、軟骨魚類・硬骨魚類、また広義では、無顎類が含まれることについて復習を行う。その上で、無顎類や軟骨魚類の特徴および代表種1つについて説明できるようにしておくこと。また、関連語句については、意味を整理しておくこと。さらに講義中に説明した事柄の中で、特に興味を持った点については、各自調べ、学びをさらに深めること。
【予習課題】
次回の講義においては、魚類の中でも硬骨魚類について扱う。硬骨魚類の特徴と分類について予め各自調べておくこと。

9 魚類2 科目の中での位置付け 本科目は、海や川といった水圏環境に生息する生き物の生物学について扱うものである。本科目は大きく、5つのパートからなり、まず、1)水圏環境全体について扱い、その後、2)浮遊生物・漂泳生物、3)底生生物、4)陸水環境に生息する生き物について分類群ごとに特徴をおさえる。最終的に5)まとめの回として、これまでに学んできた知識について概観し、それぞれの繋がりについてまで学習する。具体的には、第一回においては、導入として、水圏環境について、生物学的な知識だけにとどまらず、広く基礎的な知識を習得する。第二回から第十回にかけては、生物の大きな分類群ごとに、主にネクトン(遊泳生物)やプランクトン(浮遊生物)を対象として、それらの生物学的知見について学習するとともに、生態系におけるそれらの生物の位置付け、人との関わりについて基礎知識を習得する。第十一から第十三回にかけては、底生環境をメインとして、それらの環境の特徴および、そのような環境に生息する底生生物について学習する。第十四回は、淡水環境として主に河川生態系をメインとして学習を行う。第十五回は、これまで学習してきた内容について、各コマの関連等を含め、おさらいする。このような科目全体の中で、本コマ第九回においては、主な硬骨魚類に関する基礎知識を習得する。
【コマ主題細目①】
矢部衛ら「魚類学」 恒星社恒星閣 2017年 314-324頁.
【コマ主題細目②】
矢部衛ら「魚類学」 恒星社恒星閣 2017年, 99-109頁.

【コマ主題細目③】
矢部衛ら「魚類学」 恒星社恒星閣 2017年  16-21頁

【コマ主題細目④】
矢部衛ら「魚類学」 恒星社恒星閣 2017年 155-170頁
コマ主題細目 ① 硬骨魚類 ② 真骨魚類の塩類調整 ③ 魚類の体表 ④ 魚類の生殖様式と卵
細目レベル ① 硬骨魚類綱(osteichthyes)には、硬骨の骨格をもつ真骨魚類(teleosts)が分類される。現生魚類のなかでもっとも繁栄しているグループである。現生種は、肉鰭亜綱と条鰭亜綱に分類される。肉鰭亜綱の魚類の多くはすでに絶滅しているが、現生種ではシーラカンス類と肺魚類が現生種として見られる。一方、条鰭亜綱においては、現生のものでは、腕鰭類、軟質類、全骨類、真骨類がおり、種の多様性が高い。腕鰭類では、ナイル川等に生息する肉食性のポリプテルス類、軟質類では、チョウザメ類が現生種として知られている。真骨類は、現生魚類のおよそ96%を占める。ここでは、硬骨魚類の分類およびそれらの代表種を押さえ、硬骨魚類の種多様性について理解する。
② 生物においては、外部環境が変動するのに対し、内部環境をある一定の範囲内に維持しようとする働きが見られ、この生理的な働きは、ホメオスタシス(恒常性)と呼ばれる。本講義では、魚類のホメオスタシス機構の中でも、特に浸透圧調整について説明を行う。真骨魚類では、鰓、腎臓、腸が浸透圧調整で重要な役割を果たす。海産の真骨魚類は、海水を飲み腸から吸収し、余分な塩類を鰓の塩類細胞から外界に捨て、また腎臓が体液とほぼ等張な尿を作り、外へ排泄する。一方、淡水の真骨魚類では、腎臓で多量の薄い尿を作り、過剰な水分を排出する。ここでは、真骨魚類がどのように浸透圧調整を行なっているのかについて、関連する体のメカニズムとともに押さえる。
③ 多くの魚類は、体表の保護のために鱗を備えており、その形態・配列は分類群によって定まっているため、多くの分類群で分類形質として用いられる。鱗は、構造によって、①楯鱗②コズミン鱗③硬鱗④円鱗⑤櫛鱗に分類される。楯鱗は、軟骨魚類に特有の鱗であり、その内部構造は、歯と同じである。コズミン鱗は、古代魚のシーラカンス類や肺魚などの化石分類群に見られる鱗である。硬鱗は、ポリプテルス類、チョウザメ類、ガー類に見られる。円鱗と櫛鱗は、基本構造が同じであり、まとめて葉状鱗と呼ばれることもある。円鱗は、ニシン類・サケ類・コイ類・メダカ類に、櫛鱗は、スズキ類で見られる。カレイ類では、有眼側に櫛鱗・無眼側に円鱗を持ち、また、ウナギ類では鱗が退化的である。
 円鱗や櫛鱗の表面には、鱗の中心から縁辺まで多数の環状の隆起線が形成され、鱗の隆起線の間隔は、魚体の成長に影響される。成長が早い時期には、間隔が広い成長帯、遅い時期には間隔が狭い休止帯が形成される。休止帯は多くの種で年周期を持って形成されるため、年齢査定に用いられる場合がある。
 魚類の体色や斑紋もまた多様であり、分類形質として有効である。代表的な体の模様には、縦縞(体軸と並行に走る縞)と横縞(体の背腹方向に走る縞)がある。

④ 魚類のほとんどは両性生殖を行う。ギンブナのように単為生殖を行い、卵由来の遺伝子のみで次世代が作られるものもいる(この場合も、精子の侵入による刺激は必要である。)両性生殖を行う魚類の多くは、雌雄異体であるが、中には雌雄同体のものも見られる。卵巣と精巣を1つの個体がもつ雌雄同体の場合、卵巣をもつ期間と精巣をもつ期間が分かれている隣接的雌雄同体のものもいれば、同時的に精巣と卵巣をあわせもつ同時的雌雄同体のものもいる。
 真骨魚類の卵は、沈性卵と浮性卵に大きく分けられる。沈性卵としては、①不付着卵(サケ科魚類など)、②粘着卵(卵の表面に粘着物質を持つもの。ニシン・コイなど)、③付着卵(卵の表面に付着膜を持つもの。アユ、シシャモなど)、④纏絡糸(纏絡糸をもち、水草などに絡みつく卵、メダカ類など)がある。浮性卵には、①凝集性浮性卵(アンコウなど)、②分離性浮性卵(ウナギ類、ヒラメ、マダイなど)がある。
 ここでは、魚類の生殖様式の多様性と、魚類によって生産される卵の種類について押さえる。

キーワード ① 硬骨魚類 ② ホメオスタシス ③ 円鱗 ④ コズミン鱗 ⑤ 雌雄同体
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】
本講義では、魚類の生理的な部分や形態、生殖様式についても扱った。淡水魚と海水魚、それぞれの塩類調整機構について説明できるようにしておくこと。また、生殖様式については、生殖様式の種類についてまで説明できるように復習を行うこと。関連語句については、意味を整理しておくこと。さらに講義中に説明した事柄の中で、特に興味を持った点については、各自調べ、学びをさらに深めること。
【予習課題】
次回の講義(第十回)においては、引き続き魚類について学習を進めるが、その生態や資源量といった見方から魚類について学習するため、該当する回のコマシラバスをよく読み、新しく学習する語句については予め意味を各自調べておくこと。特に、「降下回遊」や「遡河回遊」といったキーワードについては、それが何を指す言葉であるのか調べておくこと。

10 魚類3 科目の中での位置付け 本科目は、海や川といった水圏環境に生息する生き物の生物学について扱うものである。本科目は大きく、5つのパートからなり、まず、1)水圏環境全体について扱い、その後、2)浮遊生物・漂泳生物、3)底生生物、4)陸水環境に生息する生き物について分類群ごとに特徴をおさえる。最終的に5)まとめの回として、これまでに学んできた知識について概観し、それぞれの繋がりについてまで学習する。具体的には、第一回においては、導入として、水圏環境について、生物学的な知識だけにとどまらず、広く基礎的な知識を習得する。第二回から第十回にかけては、生物の大きな分類群ごとに、主にネクトン(遊泳生物)やプランクトン(浮遊生物)を対象として、それらの生物学的知見について学習するとともに、生態系におけるそれらの生物の位置付け、人との関わりについて基礎知識を習得する。第十一から第十三回にかけては、底生環境をメインとして、それらの環境の特徴および、そのような環境に生息する底生生物について学習する。第十四回は、淡水環境として主に河川生態系をメインとして学習を行う。第十五回は、これまで学習してきた内容について、各コマの関連等を含め、おさらいする。このような科目全体の中で、本コマ第十回においては、水産資源生物学において代表的な小型浮魚類などについて学習し、理解を深める。
【コマ主題細目①】
矢部衛ら「魚類学」 恒星社恒星閣 2017年80-85

【コマ主題細目②】
矢部衛ら「魚類学」 恒星社恒星閣 2017年 63-69頁

【コマ主題細目③】
矢部衛ら「魚類学」 恒星社恒星閣 2017年 213-219頁
コマ主題細目 ① 魚類の呼吸器 ② 魚類の摂食・消化 ③ 魚類の回遊の種類
細目レベル ① ほとんどの魚が、 水を呼吸媒質とする水呼吸を行う。空気呼吸と水呼吸を比較すると、 水のO2容量は空気の1/30であること、水中のO2拡散速度は空気中の約1/8,000と非常に遅いことから、水中では、酸素不足に陥りやすい。 また、水の密度は空気の約800倍であり、粘性も空気の約60倍あるため、水を呼吸器に送り込む換水には大きなエネルギーが必要となる。水呼吸を行う魚類の主要な呼吸器は、鰓である。アミア類やガー類では浮き袋を使って空気呼吸を行うものもいる。鰓は、鰓弓に鰓弁が並び、各鰓弁の両面に葉状の二次鰓弁が並ぶ構造をしている。ここでは、魚の主要な呼吸器として、鰓の構造および名称についてまで押さえる。
② 魚類の胃は、噴門部・盲嚢部・幽門部の3部に区分される。これらの各部の発達状態の差異により次の5型に分けられている。① I型(各部の分化が不明瞭で、直線状の胃、例としてはシラウオ、ヤガラなど)、② U型(盲嚢部は未発達で、噴門部と幽門部が緩やかにU字状に連結している。例としては、軟骨魚類・コノシロなど)、③ V型(盲嚢部がわずかに分化。噴門部と幽門部の境界はとがってV字状に連結している。例としては、サケ・マダイなど)、④ Y型(盲嚢部は発達し、噴門部と幽門部の境界から後方へ突出している。例としては、マイワシ・カタクチイワシ・ニホンウナギ など)⑤ ト型(盲嚢部は著しく大きい。例としては、マエソ、マダラ、マサバ、カツオなど)。また、ヤツメウナギ類、コイ類、ダツ、サンマ、トビウオなどには、胃がなく、これらの魚類は、無胃魚と呼ばれる。
③ 魚類の中には、回遊を行うものがあり、発達段階や環境変化に応じて、生息域を移動する行動が見られる。回遊と呼ばれる移動行動には、いくつかの様式が見られる。アユのように海と淡水を往復する回遊形態を両側回遊という。また、サケのように海で成長し、産卵時に淡水に入る回遊形態を遡河回遊という。ウナギのように海で生まれ、河にのぼり、また海へ戻り産卵する回遊形態を降下回遊という。本講義においては、このような移動行動が可能になる条件や、魚類の回遊がどのように明らかにされてきたのか(調査研究手法)についてまで説明を行う。魚類の回遊様式の分類や、なぜ回遊を行うのかについて理解し、それぞれの回遊を行う代表種についてまで押さえる。
キーワード ① ホメオスタシス ② 塩類細胞 ③ 遡河回遊 ④ 両側回遊 ⑤ 遡河回遊
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】
本講義では、魚類の呼吸器、摂食・消化、回遊について学習を行った。鰓や胃の構造・形態について説明できるようにしておくこと。各部の名称についてまで復習を行うこと。胃の形態については、その形態の分類と、その形態の胃をもつ代表的な魚種をあげて、説明できるように復習を行うこと。回遊については、回遊の様式やそれぞれの代表種についてまで説明できるように復習を行うこと。また、関連語句についても、意味を整理しておくこと。さらに講義中に説明した事柄の中で、特に興味を持った点については、各自調べ、学びをさらに深めること。
【予習課題】
次回の講義(第十一回)においては、底生環境について主に扱う。次回のコマシラバスをよく読んでおくこと。

11 底生環境と植物 科目の中での位置付け 本科目は、海や川といった水圏環境に生息する生き物の生物学について扱うものである。本科目は大きく、5つのパートからなり、まず、1)水圏環境全体について扱い、その後、2)浮遊生物・漂泳生物、3)底生生物、4)陸水環境に生息する生き物について分類群ごとに特徴をおさえる。最終的に5)まとめの回として、これまでに学んできた知識について概観し、それぞれの繋がりについてまで学習する。具体的には、第一回においては、導入として、水圏環境について、生物学的な知識だけにとどまらず、広く基礎的な知識を習得する。第二回から第十回にかけては、生物の大きな分類群ごとに、主にネクトン(遊泳生物)やプランクトン(浮遊生物)を対象として、それらの生物学的知見について学習するとともに、生態系におけるそれらの生物の位置付け、人との関わりについて基礎知識を習得する。第十一から第十三回にかけては、底生環境をメインとして、それらの環境の特徴および、そのような環境に生息する底生生物について学習する。第十四回は、淡水環境として主に河川生態系をメインとして学習を行う。第十五回は、これまで学習してきた内容について、各コマの関連等を含め、おさらいする。このような科目全体の中で、本コマ第十一回においては、底生生物の生息環境に関する基礎知識とともに、海藻や海草に関する基本的知識を習得する。
【コマ主題細目①】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年  138頁

【コマ主題細目②】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 139-140頁

【コマ主題細目③】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年139-140頁
竹内俊朗ら編「水産海洋ハンドブック第3版」生物研究者、2017年76-78頁
コマ主題細目 ① 底生区 ② 海草と海藻、藻場 ③ 磯焼け
細目レベル ① 底生区は、垂直方向に浅い方から、「潮間帯」、「亜沿岸帯」、「漸深海底帯」、「深海底帯」、「超深海底帯」に分けられる。とりわけ潮間帯では、潮汐の変化の影響を受け、周期的に環境が変動する場所である。潮汐とは、月と太陽の作用が海に影響し生じる海面の昇降現象である。高潮時の海岸線と低潮時の海岸線の間は、潮間帯とよばれる。通常1日に2回、潮の干満により環境が激変する場所で、多様な生物が生息する。潮間帯に生息する生物を観察すると、海面からの高さによって、出現する生物相に違いが見られ、このような分布様式は帯状構造と呼ばれる。ここでは、それぞれの底生区の分類と各底生区の特徴、生物との関わりについてまで理解する。
② 海草は、海中に生息する顕花植物の総称である。代表的なものにアマモなどがある。一方、海藻とは、海中に生息する隠花植物の総称である。沿岸の浅海域においては、海藻や海草が繁茂する場所があり、藻場と呼ばれている。藻場は、海域や水深によって構成種が異なる。藻場は主な植物種によって、アマモ類の多いアマモ場、ホンダワラ類の多いガラモ場等とよばれる。生物の幼生や稚魚などにとって好適な環境であることなどから、沿岸生態系の中で重要な位置を占める。藻場は、①基礎生産、②栄養塩吸収、③食物供給、④環境創生、⑤環境緩和、⑥生物選択 、⑦環境輸出といった生態学的に重要な機能をもつばかりではなく(藤田2001)、レクリエーションや環境学習の場所としても利用されている。
③ 磯焼けとは、「浅海の岩礁・転石域において、海藻の群落(藻場)が季節的消長や多少 の経年変化の範囲を越えて著しく衰退または消失して貧植生状態となる現象」(藤田2002)と定義されている。細目レベル②において学習した通り、藻場は重要な機能を持っているため、磯焼けの原因究明や磯焼け対策が講じられている。磯焼けの原因は様々で、講義では、海況の変化や、ウニによる食害等、これまで考えられてきた原因について説明するとともに、実際に磯焼けが生じてしまった海域の写真を参照しながら、磯焼けとは、どのような状況を指し、どのような問題が生じるのか、全国的に磯焼けの発生件数がどのように推移しているのかについてまで、理解する。磯焼け対策として、藻場造成や、藻食動物の物理・化学的除去などが行われている。ここでは、それぞれの対策の方法がどのようなものであるのかについて理解する。
キーワード ① 潮間帯 ② 潮の満ち引き ③ 海草 ④ アマモ・ガラモ場 ⑤ 磯焼け
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】
本講義で重要な事項の一つは、「磯焼け」について正しく理解することである。復習として具体的には、磯焼けの定義を確認するとともに、磯焼けがどのような問題を生じさせるのか、あるいは、原因について知られていること、対策として取り組まれていることについて説明できるように復習を行うこと。また、講義内で扱った関連語句については、意味を整理しておくこと。さらに講義中に説明した事柄の中で、特に興味を持った点については、各自調べ、学びをさらに深めること。
【予習課題】
次回の講義においては、ベントス(底生生物)について扱うため、今一度、プランクトン、ネクトン、ベントスの分類の違いについて説明できるようにしておくことが望ましい。

12 ベントス1 科目の中での位置付け 本科目は、海や川といった水圏環境に生息する生き物の生物学について扱うものである。本科目は大きく、5つのパートからなり、まず、1)水圏環境全体について扱い、その後、2)浮遊生物・漂泳生物、3)底生生物、4)陸水環境に生息する生き物について分類群ごとに特徴をおさえる。最終的に5)まとめの回として、これまでに学んできた知識について概観し、それぞれの繋がりについてまで学習する。具体的には、第一回においては、導入として、水圏環境について、生物学的な知識だけにとどまらず、広く基礎的な知識を習得する。第二回から第十回にかけては、生物の大きな分類群ごとに、主にネクトン(遊泳生物)やプランクトン(浮遊生物)を対象として、それらの生物学的知見について学習するとともに、生態系におけるそれらの生物の位置付け、人との関わりについて基礎知識を習得する。第十一から第十三回にかけては、底生環境をメインとして、それらの環境の特徴および、そのような環境に生息する底生生物について学習する。第十四回は、淡水環境として主に河川生態系をメインとして学習を行う。第十五回は、これまで学習してきた内容について、各コマの関連等を含め、おさらいする。このような科目全体の中で、本コマ第十二回においては、底生生物の分類について、また底生生物群集を構成する生物種について分類群ごとに学習を行う。
【コマ主題細目①】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 140-141頁

【コマ主題細目②】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 142-145頁

【コマ主題細目③】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年145-146頁
コマ主題細目 ① ベントスの分類 ② 原生動物, 海綿動物, 刺胞動物 ③ 扁形動物, 線形動物, 紐型動物, 環形動物, 軟体動物
細目レベル ① 生活様式や体サイズなどによる様々なベントス(底生生物)の分類について説明を行う。ベントスは、基底での生活様式によって、表面に生息する表在性ベントスと砂中や泥中など基質の内部にすむ埋在性ベントスに大別される。海底に限らず、人工構造物や他の生物に固着あるいは付着する付着生物も底生生物の一部とみなされる。また、ヒラメなど海底上を遊泳する動物は、近底生生物と呼ばれる。底生生物もまた、第三回の授業において学習した通り、プランクトンと同様に、体サイズによって類別される。小さい方から、ピコベントス、ナノベントス、メイオベントス、マクロベントス、メガベントスに分けられ、用いるふるいの目合いを変えることで、これら大きさの異なるベントスを分類することができる。
② 底生生物にはどのような動物が含まれるのかについて理解する。本細目レベルにおいては、原生動物(Protozoa), 海綿動物(Porifera), 刺胞動物(Cnidaria)等の海産底生生物群集の主要な分類グループについて、その生物学的特徴について説明を行う。原生動物としては、底生性の有孔虫類、海綿動物としては、カイメン類、刺胞動物としては、クラゲ類やサンゴ類など、代表的な生物種を例として挙げ、その生物種の写真とともに、それぞれの分類グループの特徴について理解を深める。本細目レベルにおいては、これらの主要な海産ベントスについて、それらの分類群が分かるようにまで、各分類群の生物の特徴を押さえる。
③ 底生生物にはどのような動物が含まれるのかについて理解するため、ここでは扁形動物(Platyhelminthes), 線形動物(Nematoda), 紐型動物(Nemertea), 環形動物(Annelida), 軟体動物(Mollusca)等の海産底生生物群集の主要な分類グループについて、それらの生物学的特徴について説明を行う。扁形動物であるウズムシ類やヒモムシ類、線形動物である線虫類、環形動物である多毛類等、軟体動物である二枚貝類など、代表種を例として挙げ、写真とともに、それぞれの分類群の特徴の説明を行う。本細目レベルにおいては、主要な海産ベントスについて、それらの分類群が分かるようにまで、各分類群の生物の特徴を押さえる。
キーワード ① 埋在動物 ② 表在動物 ③ マクロベントス ④ 有孔虫 ⑤ 海綿動物
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】
関連語句については、意味を整理しておくこと。さらに講義中に説明した事柄の中で、特に興味を持った点については、各自調べ、学びをさらに深めること。授業において例としてあげた動物(有孔虫類やカイメン類、サンゴ類、クラゲ類、ウズムシ類、ヒモムシ類、多毛類、二枚貝類など)については、どの動物門に分類される動物であるのか分かるようにまで復習を行うこと。
【予習課題】
次回第十三回の講義においては、本コマに引き続き、底生生物について扱う。次回のコマシラバスに挙げた動物門の動物(棘皮動物・節足動物・脊索動物)について、どのような動物種がいるのか、それぞれの特徴とは何か、あらかじめ各自調べ、興味関心を高めておくこと。

13 ベントス2・深海生物 科目の中での位置付け 本科目は、海や川といった水圏環境に生息する生き物の生物学について扱うものである。本科目は大きく、5つのパートからなり、まず、1)水圏環境全体について扱い、その後、2)浮遊生物・漂泳生物、3)底生生物、4)陸水環境に生息する生き物について分類群ごとに特徴をおさえる。最終的に5)まとめの回として、これまでに学んできた知識について概観し、それぞれの繋がりについてまで学習する。具体的には、第一回においては、導入として、水圏環境について、生物学的な知識だけにとどまらず、広く基礎的な知識を習得する。第二回から第十回にかけては、生物の大きな分類群ごとに、主にネクトン(遊泳生物)やプランクトン(浮遊生物)を対象として、それらの生物学的知見について学習するとともに、生態系におけるそれらの生物の位置付け、人との関わりについて基礎知識を習得する。第十一から第十三回にかけては、底生環境をメインとして、それらの環境の特徴および、そのような環境に生息する底生生物について学習する。第十四回は、淡水環境として主に河川生態系をメインとして学習を行う。第十五回は、これまで学習してきた内容について、各コマの関連等を含め、おさらいする。このような科目全体の中で、第十三回においては、第十二回で扱わなかった底生生物(棘皮動物・節足動物・脊索動物)について学習するとともに、底生環境の中でも深海環境について、深海生物や熱水噴出域に生息する生物について学習を行う。
【コマ主題細目①】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 146-148頁

【コマ主題細目②】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年188-189頁

【コマ主題細目③】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 178-181頁
コマ主題細目 ① 棘皮動物・節足動物・脊索動物 ② 熱水噴出孔の生物 ③ 深海生物
細目レベル ① 底生生物にはどのような動物が含まれるのかについて理解するため、本細目レベルにおいては 棘皮動物(Echinodermata), 節足動物(Arthopoda), 脊索動物(Chordata)等の海産底生生物群集の主要な分類グループについて、それらの生物学的特徴について説明を行う。棘皮動物であるウニ類やヒトデ類、節足動物であるフジツボ類、脊索動物であるホヤ類など、代表的な生物種について写真とともに、分類学上の分類を確認するとともに、それぞれの分類群の生物の特徴について理解を深める。本細目レベルにおいては、主要な海産ベントスについて、それらの分類群が分かるようにまで、各分類群の生物の特徴を押さえる。
② 海底の割れ目から高温熱水が湧出する場所は、熱水噴出域と呼ばれる。熱水が噴出する熱水噴出孔付近の水は、低濃度でも有毒な硫化水素の濃度が高い。ここでは、光合成に依存しない生態系が形成され、主に化学合成細菌が生態系にエネルギーを供給している。熱水噴出孔付近には、ハオリムシなど独特の生物が生息、生態系を構成している。授業では、このような場所がどのように発見されたのかについてなど、発見の歴史についてまで紹介する。本細目レベルにおいては、熱水噴出域とはどのような場所であるのか、そこに形成される独特の生態系の特徴について理解するとと主に、ハオリムシなどの熱水噴出域に生息する生物の代表種についてまで押さえる。
③ 深海魚とは、およそ200m以深の外洋に棲む魚をさし、約100科以上にみられる。深海魚の中で、一次性深海魚または外洋性深海魚と呼ばれる魚類は、深海に適応して、摂餌、感覚、運動、繁殖などに特異な器官を発達させ、また一方では退化消失させている。一方、大陸棚に生息しており、著しい形態変化をしないで少しずつ深海に生活の場を移動していた一群は二次性深海魚または陸棚性深海魚と呼ばれる。これらはの中には、夜になると餌を求めて浮上し、日中には深海に戻る日周鉛直移動を行うものもいる。また、深海魚の一部も含まれるが、マイクロネクトンと呼ばれる生物もいる。これには、小型魚類、小型イカ類、大型オキアミ類、遊泳性エビ類、アミ類などが含まれる。マイクロネクトンとは、移動力の点においてプランクトンとネクトンの中間にあるような生き物を指す。生物量も多く代表的なものとして、ハダカイワシ類、ヨコエソ類などがあり、これらは中深層に広く分布している。
キーワード ① ウニ ② ハオリムシ ③ 熱水噴出孔 ④ 深海魚 ⑤ マイクロネクトン
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】
関連語句については、意味を整理しておくこと。さらに講義中に説明した事柄の中で、特に興味を持った点については、各自調べ、学びをさらに深めること。
【予習課題】
次回のコマでは、河川生態系について扱うため、授業では河川に生息する水生昆虫の種名が多く出てくる。そのため、河川生物に馴染みのない学生においては、環境省(2017)河川生物の絵解き検索(https://www.env.go.jp/water/mizukankyo/nazotokikensaku.pdf)に目を通し、河川に生息する生物(主に水生昆虫)にはどのようなものがいるのか、科レベルで確認しておくこと(なお、種名や科の名前を全て覚える必要はない)。

14 淡水生態系の生物 科目の中での位置付け 本科目は、海や川といった水圏環境に生息する生き物の生物学について扱うものである。本科目は大きく、5つのパートからなり、まず、1)水圏環境全体について扱い、その後、2)浮遊生物・漂泳生物、3)底生生物、4)陸水環境に生息する生き物について分類群ごとに特徴をおさえる。最終的に5)まとめの回として、これまでに学んできた知識について概観し、それぞれの繋がりについてまで学習する。具体的には、第一回においては、導入として、水圏環境について、生物学的な知識だけにとどまらず、広く基礎的な知識を習得する。第二回から第十回にかけては、生物の大きな分類群ごとに、主にネクトン(遊泳生物)やプランクトン(浮遊生物)を対象として、それらの生物学的知見について学習するとともに、生態系におけるそれらの生物の位置付け、人との関わりについて基礎知識を習得する。第十一から第十三回にかけては、底生環境をメインとして、それらの環境の特徴および、そのような環境に生息する底生生物について学習する。第十四回は、淡水環境として主に河川生態系をメインとして学習を行う。第十五回は、これまで学習してきた内容について、各コマの関連等を含め、おさらいする。このような科目全体の中で、本コマ第十四回においては、淡水生態系に生息する生物について、主に河川の動物を対象として、それらの動物の生態や分類、これらの生物に与える人為的な影響関にする基礎的知識を習得する。
【コマ主題細目①】
中村太士編「河川生態学」 講談社 2013年 37-39頁

【コマ主題細目②】
中村太士編「河川生態学」 講談社 2013年 88-89頁

【コマ主題細目③】
中村太士編「河川生態学」 講談社 2013年254-262頁
コマ主題細目 ① 河川生態系 ② 河川の生物 ③ 河川生態系と人間活動
細目レベル ① 河川に生息する代表的な生物として、食物連鎖の起点となる付着藻類や浮遊藻類、それらを消費するコイなどの淡水魚や、藻食水生昆虫、またそれらを餌とする肉食魚類や肉食水生昆虫などがおり、これらの生物の死骸等を分解する細菌類等もまた淡水生態系において重要な役割を果たしている。河川生態系も他の生態系と同様に、生産者・消費者・分解者から構成されるが、流れがあるため、その場所において生産された有機物がそこで消費・分解されるとは限らず、上流での生産が下流の生態系において消費・分解される。講義においては、河川生態系を構成する生物群集について、生物の写真とともに、説明を行う。河川生態系の特徴とそこに生息する生物の相互関係についてまで理解を深める。

② 第一回の講義において学習した通り、河川の基本単位は、流れの速い「瀬」と比較的流れが遅く、水が淀むような「淵」からなり、それぞれにおいて生物にとっての環境が異なる。そのため、瀬において優先される種と縁において優先される種は異なる。瀬においては、シマトビケラ科の水生昆虫といった捕獲網を作る生物や、ブユ科の生物のように、吸着器官をもち、岩などに固着するもの等が優先種となる。一方、淵においては、ヤマトトビケラ科のように筒巣(筒型の巣)を持ち、ほふく移動する生物や、チラカゲロウ科の生物のように遊泳して移動する生物等が優先種となる。ここでは、河川における生息環境と、そこでの優先種の違いについてまで理解する。
③ 河川生態系における人為的影響について理解する。ダム建設や河道改修によって、日本の河川生態系は、大きく変わってきた。河川生態系あるいはその流域部の生態系にどのような影響が生じているのかについて、主に底生生物や魚類への影響に着目して説明を行う。細目レベル②にて学習する通り、環境が変われば、そこに生息する生き物にも違いが見られる。ダムの建設や河道の改修は、その場所の環境を大きく変えるものであり、その環境変化の影響を受け、その場所の生物群集構造は大きな変化を受ける。本細目においては、ダムの建設や河道改修が河川生態系に与える影響にはどのようなものがあるのか、また、それによってどのような問題が生じているのかについて理解する。

キーワード ① 淡水 ② 河川形態 ③ 河川連続帯仮説 ④ 優占種 ⑤ 河道改修
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】
本授業では、河川生態系を中心として、そこに生息する生物について学習を行った。同じ河でも、場所によって環境が異なること、それぞれの環境には優占する生物が異なることを理解し、どのような環境に、どんな生物がいるのか代表種まで確認を行うこと。また、講義内で紹介した関連語句については、意味を整理し、自分の言葉で説明できるようにまで復習を行うこと。さらに講義中に説明した事柄の中で、特に興味を持った点については、各自調べ、学びをさらに深めること。
【予習課題】
次回、第十五回は、最終講義であり、最終試験までの期間も限られていることから、これまでの全ての学習内容についてあらかじめ、配布プリントを読み、復習を行なっておくこと。

15 まとめ 科目の中での位置付け 本科目は、海や川といった水圏環境に生息する生き物の生物学について扱うものである。本科目は大きく、5つのパートからなり、まず、1)水圏環境全体について扱い、その後、2)浮遊生物・漂泳生物、3)底生生物、4)陸水環境に生息する生き物について分類群ごとに特徴をおさえる。最終的に5)まとめの回として、これまでに学んできた知識について概観し、それぞれの繋がりについてまで学習する。具体的には、第一回においては、導入として、水圏環境について、生物学的な知識だけにとどまらず、広く基礎的な知識を習得する。第二回から第十回にかけては、生物の大きな分類群ごとに、主にネクトン(遊泳生物)やプランクトン(浮遊生物)を対象として、それらの生物学的知見について学習するとともに、生態系におけるそれらの生物の位置付け、人との関わりについて基礎知識を習得する。第十一から第十三回にかけては、底生環境をメインとして、それらの環境の特徴および、そのような環境に生息する底生生物について学習する。第十四回は、淡水環境として主に河川生態系をメインとして学習を行う。第十五回は、これまで学習してきた内容について、各コマの関連等を含め、おさらいする。このような科目全体の中で、本コマ(第十五回)においては、これまでに学習してきた事柄について概観し、大きく全体を見渡すことで、水圏生態系における生物の多様性・生態系における役割について理解を深める。
【コマ主題細目①】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年1-28頁

【コマ主題細目②】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年29-84, 113-193頁

【コマ主題細目③】
關 文威「生物海洋学入門第二版」講談社サイエンティフィック、2005年 195-207頁
コマ主題細目 ① 水圏環境 ② 生態系における生物の役割 ③ 人との関わり
細目レベル ① これまで本科目においては、水圏環境として海洋環境や河川環境をメインとして学習を進めてきたが、本細目レベルにおいては、包括的に水圏環境を理解する。海洋と河川は、繋がっていることから、どちらかを理解するのではなく、どちらの環境も理解しておくことが望ましい。したがって、海洋と河川とそれぞれの環境特性の違いについておさらいを行った上で、海と河の繋がりの観点から、水圏環境について整理する。その上で、河川と海がつながっていることを意識した環境問題に対する取り組みについて紹介を行う。また特に、海洋環境については、沿岸域から深海まで、それぞれのつながりおよび、環境の違いについて、生物の生息を考える上で重要な要因を主として整理し、理解する。
② これまで紹介してきた海洋や河川等の生物が、どういった場所・環境に生息し、どのような生態学的役割を持っているのか、また、これまでに学習した生物の分類について、総復習を行う。河川、汽水域、干潟、外洋、深海など、細目レベル①において復習を行なったそれぞれの環境において、どのような動物がどのように生息しているのか、その環境において優占する動物は何かについて、動物種の代表例をいくつか挙げて説明できるように整理する。各動物門の動物の特徴についても整理し、また、分類学上の分類だけでなく、動物の分け方・区分の方法について、生息地や体サイズ、生活様式などといった違いによる分類の方法についても、整理して理解する。
③ これまで紹介してきた海や河の生物が、どのような人為的影響を受けているのか、その結果、どのような問題が生じているのかについて総復習を行う。本講義までに学習してきた海洋・河川における問題について、漁業活動による影響(混獲や乱獲など)、汚染による害、生物の移入・移動の問題など、関連するキーワードをまとめ、整理して理解する。また、これらの問題によって受ける影響の大きさ・深刻さは、繁殖率などの違いから、動物種によって異なる(繁殖率の低い動物においては混獲の影響が大きい等)。本細目レベルにおいては、人為的影響を受けている動物の例を挙げて、その動物の特性を理解した上で、諸問題の原因、状況、取られている対策についてまで整理して理解する。
キーワード ① 生物多様性 ② 環境問題 ③ 乱獲 ④ 混獲 ⑤ 絶滅
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】
最終回である本授業(第十五回)においては、各授業回の関連性および、これまで学習してきた内容の全体像について把握できるよう説明・復習を行った。すでに学習してきた語句の中で、意味を押さえられていなかった語句については、特に復習を徹底して行い、それぞれの語句について説明ができるようにしておくこと。さらに講義中に説明した事柄の中で、特に興味を持った点については、各自調べ、さらに学びを深めることが望ましい。
【予習課題】
本コマは最終講義であることから、予習内容については指定を行わないが、最終試験に向けて、コマシラバスに記載された「履修指標の水準」をよく参照の上、各自復習を行い、試験に向けて勉強すること。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
海洋・河川構造 海洋や河川構造における基本的な用語の意味を理解しているとともに、海洋や河川構造における特徴を説明できる。海洋や河川環境を決定づける要因には、どのようなものがあるのか、またそれらの要因同士の関係について説明できる。河川の基本単位や構造の分類、河川環境の特徴について説明できる。海洋区分について正しく説明できる。海洋や河川環境を調査する際に使用する調査機器の名称と機能について説明できる。これらの履修指標の水準について、最終試験の解答に基づいて評価を行う。 海洋区分・河川形態・水の性質 20 1, 14, 15
植物・動物プランクトンの生態における役割 主な植物プランクトン・動物プランクトンの生物種をいくつか挙げ、植物プランクトン・動物プランクトンの生態学的役割について説明できる。プランクトンの増殖がどのように生じるのかについて理解している(具体的には、春季ブルーム・秋季ブルームがどのように生じるのか説明できる)。赤潮とはどのような現象であるのか、代表的な赤潮原因種を例に挙げて説明できる。これらの履修指標の水準について、最終試験の解答に基づいて評価を行う。 プランクトン・赤潮・富栄養化 20 2, 3, 15
様々な生物の分類 海洋や河川に生息する生物種が、どの生物学的分類に属するのかを理解している。ベントスやネクトン、プランクトンの違いを説明することができる。海洋や河川に生息する代表的な動物種を、複数挙げることができる。また、これらの動物種の大きな分類(例えば門レベルの分類群等)を正しく理解している。それぞれの動物分類群の生物学的な特徴について理解している。これらの履修指標の水準に基づいて、最終試験の解答に基づいて評価を行う。 分類・生物種・ベントス・ネクトン 20 2-15
様々な生物の生息環境 海洋や河川に生息する生物が、どのような生息環境に生息しているのかを説明できる。深海の特徴、生物の生存・増殖を制限する深海環境における要因を説明することができる。潮間帯における環境の特徴を説明することができる。熱水噴出域に形成される独特の生態系について、熱水噴出域の環境の特徴を踏まえて説明することができる。瀬や淵において優占する水生昆虫の代表例を挙げることができる。これらの履修指標の水準について、最終試験の解答に基づいて評価を行う。 生息環境・潮汐・補償深度・栄養塩 20 10, 15
生物と人間活動 海や川の様々な生物と人間との関係において、どのような問題が生じているのかについて説明することができる。具体的には、乱獲や混獲、磯焼け、赤潮、化学汚染、生息地改変など、人間活動により生じている水圏環境における諸問題について、それらに関係するキーワード用いて、適切に説明することができるかどうか、人為的な影響により絶滅した海や川の動物種を挙げることができるか等について、最終試験の解答に基づいて評価を行う。 乱獲・混獲・海洋汚染・絶滅危惧種・磯焼け 20 2-15
評価方法 最終試験により評価(100%)  *成績発表後、教務課にて試験・レポートに関する総評が閲覧できます。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 配布しない
参考文献 關 文威(2005) 生物海洋学入門第二版(講談社サイエンティフィック) 3,900円+税、日本生態学会(2016)海洋生態学,共立出版,3,400円+税、竹内俊郎ら(2016)水産海洋ハンドブック,生物研究社, 8,500円+税、矢部衛ら(2017)魚類学, 恒星社恒星閣, 4,500円+税、中村太士編(2013)河川生態学, 講談社, 5,800円+税,水産海洋学会編(2014)水産海洋学入門 、講談社、3,900円+税 、綿貫豊 (2010) 海鳥の行動と生態、生物研究社、3,500円+税
実験・実習・教材費 不要