区分 フィールド生態科目 フィールド生態共通科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門性 理解力 実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
専門知識 教養知識 思考力
実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。
科目の目的
生態系サービスとしての各サービスの内容とその類型化を学び,生物多様性の評価尺度としてのレッドリストインデックス,リビングプラネットインデクス,平均栄養段階について学び,それらの評価基準による生物多様性の現状を学び,保全のイデオロギーについての理解を深め,各種の指標種の定義,意義と限界について学ぶことで,これからの共生的・持続的な社会構築を科学的な根拠に基づいて論理的に考える能力を身につけるとともに,卒業研究への取り組みの基盤を形成する.
到達目標
生物多様性の定義と具体例について理解している.各種の生態系サービスの具体例とその価値について具体例を挙げて紹介することができる.過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことを理解している.生物多様性を評価する各種の指標とその特性を理解している.レッドリストインデックス,リビングプラネットインデックス,平均栄養段階の定義を説明でき,それに基づいた分類群別のリスクを理解している.生息環境の消失について,温帯域と熱帯域における消失年代の違いを理解している.日本における生物多様性の劣化原因である第一の危機,第二の危機,第三の危機,第四の危機のそれぞれの内容と具体例に関する知識を有している.保全において指標となる生態的指標種,キーストーン種,アンブレラ種,絶滅危惧種,希少種,象徴種のそれぞれについて,各種の定義についての知識を有している.これら指標種のそれぞれの利点と欠点および限界について理解している.
科目の概要
共生的・持続的な人類活動を行っていく上でのグローバルスタンダードとしての生物多様性に関する基礎知識について解説する.生態系サービスとしての各サービスの内容とその類型化について解説する.生物多様性の評価尺度としてのレッドリストインデックス,リビングプラネットインデクス,平均栄養段階,生息地面積の変化などについて紹介し,さらにそれらの評価基準による生物多様性の現状を示す.保全のイデオロギーについての理解を深めるとともに,各種の指標種の定義,意義と限界について紹介することで,これからの共生的・持続的な社会構築を科学的な根拠に基づいて論理的に考える.生態系サービスとしての生物多様性の概念とその価値観、生物多様性の現状、人類活動の活発化と生物多様性の劣化,指標種の種類と特徴、保全における課題について,具体例を挙げて解説する。
科目のキーワード
①生物多様性,②生態系サービス,③遺伝子資源,④レッドリストインデックス,⑤リビングプラネットインデックス,⑥平均栄養段階,⑦指標種,⑧ビオトープ
授業の展開方法
1回は,生物多様性の概念とその類型化について紹介する.2回は,生態系サービスの類型化について紹介する.3-6回は,各種の生態系サービスの具体例とその価値について詳しく紹介する.とくに過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことなどを紹介する.7回は生物多様性条約について解説する.8-9回は,生態系サービスの現状を評価するための様々な尺度について紹介し,それぞれの尺度による生物多様性の現状を明らかにするとともに,これらの尺度の利点と欠点についても解説する.10-11回は,生態系サービスの劣化要因について,日本国内の具体例を用いて解説する.12回は,これまでの解説を元に保全のイデオロギーについて考える.13-15回は,様々な指標種の概念を解説するとともに,それらの利点と欠点,さらに指標としての限界について論じる.
オフィス・アワー
【月曜日】2限目(後期のみ)・昼休み,【火曜日】1限目・昼休み(前期のみ),【水曜日】昼休み・3限目(会議日は除く),【金曜日】1限目(後期のみ)・昼休み
科目コード ENS219
学年・期 3年・前期
科目名 生物多様性
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 基礎生物学
展開科目 フィールド生態学演習Ⅱ、フィールド生態学演習Ⅲ、フィールド生態学演習Ⅳ
関連資格 鳥獣管理士
担当教員名 藤井伸二
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 生物多様性 科目の中での位置付け 共生的・持続的人類活動のグローバルスタンダードとしての生物多様性に関する基礎知識を身につける.そのための最初のコマとして,生物多様性の概念とその定義および生物多様性の要素について学ぶ.1回は,生物多様性の概念とその類型化について紹介する.2回は,生態系サービスの類型化について紹介する.3−6回は,各種の生態系サービスの具体例とその価値について詳しく紹介する.とくに過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことなどを紹介する.7回は生物多様性条約について解説する.8−9回は,生態系サービスの現状を評価するための様々な尺度について紹介し,それぞれの尺度による生物多様性の現状を明らかにするとともに,これらの尺度の利点と欠点についても解説する.10-11回は,生態系サービスの劣化要因について,日本国内の具体例を用いて解説する.12回は,これまでの解説を元に保全のイデオロギーについて考える.13-15回は,様々な指標種の概念を解説するとともに,それらの利点と欠点,さらに指標としての限界について論じる.
①鷲谷いづみ・矢原徹一『保全生態学入門』文一総合出版,37-42pp.

②横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会『国連ミレニアムエコシステム評価生態系サービスと人類の将来』オーム社,2007年発行,65-74pp.

③横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会『国連ミレニアムエコシステム評価生態系サービスと人類の将来』オーム社,2007年発行,75-82pp.
コマ主題細目 ① 生物多様性 ② 生態系サービス ③ 生態系サービスの事例 ④ ⑤
細目レベル ① 種多様性に生物多様性biodiversityの構成要素について解説する.生物多様性をどのような構成要素で捉えるかは簡単なようでじつは困難であることを解説する.そもそも多様なものを一元的に認識して評価できるというのは,多様性の概念とは相矛盾することを解説する.しかしながら,多様なものを認知するためには,何らかの要素として抽出することが不可欠であることを解説する.こうした多様性の認識と評価における矛盾を抱えていることを解説する.その上で,多様性の主要な構成要素をについて具体例を挙げて説明する.生物多様性を構成する要素には様々な段階の階層性が存在する.例えば個体とその集まりについて見ただけでも,個体,個体群,個体の集団,集団の集合体としてのメタ集団,という階層性がある.また,複数の生物種を含む場合では,地域群集,機能群集といった認識がなされる.
② 生物多様性の世界標準としての生態系サービスについて解説する.生物多様性の持続的利用が重要視されるのは,生態系サービスという概念が形成されたからであること,その出発点は1992年のリオデジャネイロの「環境と開発に関するリオ宣言」が出発点であることを解説する.生態系サービスという概念は従来から様々な形でその重要性が指摘され足り議論されてきたが,上述の宣言を契機に包括的な概念が整理・定義された.生態系サービスの概念を明確化することで,人類がどのような恩恵を生物多様性から受けているかを明示することが可能になった.そのことは,生物多様性そのものの内容への理解を深めるとともに,生物多様性がどのような形で生態系サービスに寄与しているかを明らかにすることを可能にした.
③ 生態系サービスについて,人類はどのような恩恵を生物多様性から得ているかを概観する.我々人類は,米,コムギ,トウモロコシをはじめとする各種の穀物,様々種類の野菜や果物,家禽,魚介類などのすべての食料資源はもとより,コショウ,唐辛子,シナモンのような香辛料,各種のハーブ,茶,コーヒー,タバコなどの嗜好品,生糸や綿などの繊維原料,各種の天然色素,天然ゴム,石灰岩,リン鉱石などの様々な工業原料,石油・石炭・天然ガスなどのすべての化石燃料を生態系サービスに依存していることを紹介する.また,水質浄化,洪水抑制,土壌浸食抑制,野菜や果樹の花粉媒介などが生態系サービスに大きく依存していることを解説する.また,大気形成や土壌形成,さらには二酸化炭素の吸収とその蓄積も生態系サービスの一部であることを解説する.


キーワード ① 生物多様性 ② 種 ③ 生態 ④ 遺伝子 ⑤ 生態系サービス
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 生物多様性biodiversityの構成要素について復習する.生物多様性をどのような構成要素で捉えるかは簡単なようでじつは困難であることを復習する.そもそも多様なものを一元的に評価できるというのは,多様性の概念とは相矛盾することを復習する.しかしながら,多様なものを認知するためには,何らかの要素として抽出することが不可欠であることを復習する.こうした多様性の認識と評価における矛盾を抱え低ることを復習する.その上で,多様性の主要な構成要素を復習する.復習に際しては,横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会「生態系サービスと人類の将来―国連ミレニアムエコシステム評価」(オーム社,2,800円),宮下直・矢原徹一 (編)「エコロジー講座3 なぜ地球の生き物を守るのか」(文一総合出版,1,600円),なぜ生態系を守るのか?(NTT出版,1,900円)を利用してもよい試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
2 生態系サービスの類型化 科目の中での位置付け 本コマでは,生態系サービスという概念について学ぶとともにその内容と具体例および類型化について紹介する.1回は,生物多様性の概念とその類型化について紹介する.2回は,生態系サービスの類型化について紹介する.3−6回は,各種の生態系サービスの具体例とその価値について詳しく紹介する.とくに過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことなどを紹介する.7回は生物多様性条約について解説する.8−9回は,生態系サービスの現状を評価するための様々な尺度について紹介し,それぞれの尺度による生物多様性の現状を明らかにするとともに,これらの尺度の利点と欠点についても解説する.10-11回は,生態系サービスの劣化要因について,日本国内の具体例を用いて解説する.12回は,これまでの解説を元に保全のイデオロギーについて考える.13-15回は,様々な指標種の概念を解説するとともに,それらの利点と欠点,さらに指標としての限界について論じる.
①横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会『国連ミレニアムエコシステム評価生態系サービスと人類の将来』オーム社,2007年発行,65-74pp.

②横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会『国連ミレニアムエコシステム評価生態系サービスと人類の将来』オーム社,2007年発行,緒言Ⅷ.

③横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会『国連ミレニアムエコシステム評価生態系サービスと人類の将来』オーム社,2007年発行,75-82pp.
コマ主題細目 ① 生態系サービス ② 類型化 ③ 化石燃料 ④ ⑤
細目レベル ① 生物多様性の世界標準としての生態系サービスについて引き続いて解説する.生物多様性の持続的利用が重要視されるのは,生態系サービスという概念が形成されたからであること,その出発点は1992年のリオデジャネイロの「環境と開発に関するリオ宣言」が出発点であることを解説する.この宣言を契機に包括的な概念が整理・定義された.生態系サービスの概念を明確化することで,人類がどのような恩恵を生物多様性から受けているかを明示することが可能になった.そのことは,生物多様性そのものの内容への理解を深めるとともに,生物多様性がどのような形で生態系サービスに寄与しているかを明らかにしたことを解説する.我々人類は,各種の穀物,野菜や果物,家禽,魚介類などのすべての食料資源はもとより,コショウ,唐辛子,シナモンのような香辛料,各種のハーブ,茶,コーヒー,タバコなどの嗜好品,生糸や綿などの繊維原料,各種の天然色素,天然ゴム,石灰岩,リン鉱石などの様々な工業原料,石油・石炭・天然ガスなどのすべての化石燃料を生態系サービスに依存していることを紹介する.また,水質浄化,洪水抑制,土壌浸食抑制,野菜や果樹の花粉媒介などが生態系サービスに大きく依存していることを解説する.また,大気形成や土壌形成,さらには二酸化炭素の吸収とその蓄積も生態系サービスの一部であることを解説する.
② 生態系サービスについて,人類はどのような恩恵を生物多様性から得ているかを概観し,その類型化を引き続いて行う.生物多様性がどのような形で生態系サービスに寄与しているかを明らかにしたことを解説する.我々人類は,各種の穀物,野菜や果物,家禽,魚介類などのすべての食料資源はもとより,コショウ,唐辛子,シナモンのような香辛料,各種のハーブ,茶,コーヒー,タバコなどの嗜好品,生糸や綿などの繊維原料,各種の天然色素,天然ゴム,石灰岩,リン鉱石などの様々な工業原料,石油・石炭・天然ガスなどのすべての化石燃料を生態系サービスに依存していることを紹介する.また,水質浄化,洪水抑制,土壌浸食抑制,野菜や果樹の花粉媒介などが生態系サービスに大きく依存していることを解説する.また,大気形成や土壌形成,さらには二酸化炭素の吸収とその蓄積も生態系サービスの一部であることを解説する.そしてこれらの生態ケーサービスが大きく4つに類型化されることを解説するする.すなわち,供給サービス,調整サービス,文化的サービス,基盤サービスの4サービスである.
③ 化石燃料である,石油,石炭,天然ガスはすべて生態系サービスの一部であることを解説する.石油,石炭,天然ガスはいずれも生物に起源する燃料資源である.生物の死体が地層中に取り込まれて,長い年月の間に変化して生成したものが化石燃料である.最も重要な化石エネルギーであり,くわえて石油化学工業の重要な原料である石油は,太古の海で繁茂した海洋性プランクトンが海底の地層中に堆積し,長い年月の変成によって生成したものである.燃料として様々な用途に利用される天然ガスは,石油と同様に生成した気体成分であり,石油と共産する重要な生物由来のエネルギー資源である.燃料として重要な石炭は,太古の森林が地層中で化石化し,長い年月の変成によって生成したものである.ソーダ化学工業の重要な原料石灰岩は,浅海域に発達する珊瑚礁が化石となったものである.化学肥料の重要な原料であるリン鉱石は,海鳥の糞(グアノ)が化石となったものである.


キーワード ① 生態系サービス ② 類型化 ③ 恩恵 ④ 生物多様性保全 ⑤ 持続性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 生物多様性の世界標準としての生態系サービスについて復習する.生物多様性の持続的利用が重要視されるのは,生態系サービスという概念が形成されたからであること,その出発点は1992年のリオデジャネイロの「環境と開発に関するリオ宣言」が出発点であることを復習する.生態系サービスについて,人類はどのような恩恵を生物多様性から得ているかを概観し,その類型化を復習する.我々人類は,食料はもとより,様々な工業原料,石油・石炭・天然ガスなどのすべての化石燃料を生態系サービスに依存していることを復習する.水質浄化,洪水抑制,土壌浸食抑制,花粉媒介などが生態系サービスであることを復習する.大気形成や土壌形成も生態系サービスであることを復習する.復習に際しては,横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会「生態系サービスと人類の将来―国連ミレニアムエコシステム評価」(オーム社,2,800円),宮下直・矢原徹一 (編)「エコロジー講座3 なぜ地球の生き物を守るのか」(文一総合出版,1,600円),なぜ生態系を守るのか?(NTT出版,1,900円)を利用してもよい.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
3 生態系サービスの価値:世界史の中での生物多様性 科目の中での位置付け 本コマでは,人類の過去の歴史において,生物資源の一つである作物からどのような恩恵を受け,それがその後の経済や世界史をどのように変革する原動力となったかを学ぶ.その一つの例である有用作物のジャガイモについて紹介する.1回は,生物多様性の概念とその類型化について紹介する.2回は,生態系サービスの類型化について紹介する.3−6回は,各種の生態系サービスの具体例とその価値について詳しく紹介する.とくに過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことなどを紹介する.7回は生物多様性条約について解説する.8−9回は,生態系サービスの現状を評価するための様々な尺度について紹介し,それぞれの尺度による生物多様性の現状を明らかにするとともに,これらの尺度の利点と欠点についても解説する.10-11回は,生態系サービスの劣化要因について,日本国内の具体例を用いて解説する.12回は,これまでの解説を元に保全のイデオロギーについて考える.13-15回は,様々な指標種の概念を解説するとともに,それらの利点と欠点,さらに指標としての限界について論じる.
①シルヴィア・ジョンソン『世界を変えた野菜読本トマト,ジャガイモ,トウモロコシ,トウガラシ』晶文社,1999年発行,11-18pp.

②ニコラス・マネー『チョコレートを滅ぼしたカビ・キノコの話植物病理学入門』築地書館,2008年発行,184-209pp.シルヴィア・ジョンソン『世界を変えた野菜読本トマト,ジャガイモ,トウモロコシ,トウガラシ』晶文社,1999年発行,45-70pp.

③堀田満『世界有用植物事典』平凡社,940-941pp.角川栄『茶の世界史緑茶の分化と紅茶の社会』中央公論社,1980年発行,89-100pp.
コマ主題細目 ① 新大陸 ② ジャガイモ ③ サトウキビ ④ ⑤
細目レベル ① 新大陸の発見とともに,旧世界の人類は多くの食料を手に入れたことを解説する.今では考えられないことかも知れないが,ジャガイモ,トウモロコシ,カボチャ,ピーマン,トマト,サツマイモ,ヒマワリなどの作物は,かつてのヨーロッパに存在しなかったことを解説する.現在,トウモロコシは稲や小麦と並んで3大穀物の一つの地位を持っている.ヨーロッパの各種の料理において,炭水化物の供給源としてのジャガイモの存在は麦と並んで非常に重要なものである.トマトはサラダ料理,スープの具,ケチャップ原料として欠かせない存在である.また,ピーマンやトマトはピザのトッピングに重要なメニューでもある.こうした作物は新大陸発見以前のヨーロッパには存在しなかったことを解説する.日本にはこれらの作物は新大陸からヨーロッパ経由でもたらされている.例えば,ジャガイモは当時オランダの植民地であったインドネシアの地名に由来する.このように,新大陸の作物の発見と導入が現在の私たちの食生活を大きく支えていることを解説する.
② 新大陸の発見によって旧世界にもたらされた作物を紹介する. ジャガイモはアンデスの高地原産で,地下茎が球状に膨らんだ塊茎を形成し,その塊茎には多量のデンプンを含むことが特徴である.ヨーロッパへの導入当初は観賞用植物として庭園などで栽培されていた.しかし,三十年戦争による荒廃と飢饉の際に,プロイセン国王がジャガイモ栽培を奨励したことが契機となって食用としての利用が広まる.ジャガイモの栽培が急速に拡大したのは,

低温に強く小麦栽培の困難な寒冷地でもよく育つ,栽培が容易で痩せた土地でもよく育つ,デンプンが豊富で主食としての価値が高い,ビタミンC, K,Ca等を豊富に含み栄養価型海,美味などがその理由である.つまり非常に優秀な作物であった.このため,ヨーロッパ全土にジャガイモ栽培が広まり,ヨーロッパの食糧事情が大きく改善される食糧革命を引き起こした.その結果,中世ヨーロッパの人口爆発を支え,ひいては産業革命の労働力人口の供給に大きく貢献した.


③ 生物資源が持つ価値について,生物資源が莫大な富みをもたらした例を紹介する.代表的な例はサトウキビである.サトウキビ栽培は,帝国主義植民地時代の大英帝国の経済基盤を支えたことを解説する.富国論のアダムスミスが「サトウキビ栽培は他のどのような作物のそれよりも利益が大きい」と記していることを紹介する.そして,サトウキビのプランテーションは,人類史上最も悪名高い貿易である三角貿易の一つの基幹産業であったことを解説する. 帝国主義時代の大英帝国は強大な軍事力によって「7つの海を支配」していたが,その大英帝国の経済基盤を支えた砂糖貿易が支えた.砂糖貿易は輸出額の9割を占めることもあったサトウキビ栽培の歴史はポルトガルによるブラジルでのサトウキビ栽培にはじまり, 17世紀後半に大英帝国による西インド諸島でのサトウキビ栽培が行われるようになり,三角貿易の一角を担う産業に発展した.


キーワード ① 新大陸 ② 歴史 ③ ヨーロッパ ④ 世界を変えた作物 ⑤ 人口爆発
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 新大陸の発見とともに,旧世界の人類は多くの食料を手に入れたことを復習する.今では考えられないことかも知れないが,ジャガイモ,トウモロコシ,カボチャ,ピーマン,トマト,サツマイモ,ヒマワリなどの作物は,かつてのヨーロッパに存在しなかったことを復習する.新大陸の発見によって旧世界にもたらされた作物を復習する.その一つであるジャガイモがヨーロッパの人口爆発の要因となったこと,産業革命の担い手を産み出したこと,ジャガイモの不作が200万人とも言われる餓死者を出すグレートハンガーの原因となったことを紹介し,「世界を変えた作物」と呼ばれるジャガイモの光と影について復習する.復習に際しては,A.G.オドリクール・L.エダン著/小林真紀子訳「文明を支えた植物」(八坂書房),酒井伸雄(著)「文明を変えた植物たち コロンブスが遺した種子」(NHKブックス)を利用してもよい.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
4 生態系サービスの価値:国家経済を支えた生物多様性 科目の中での位置付け 本コマでは,人類の過去の歴史において,生物資源の一つである作物からどのような恩恵を受け,それがその後の経済や世界史をどのように変革する原動力となったかを学ぶ.その例であるサトウキビと生糸について紹介する.1回は,生物多様性の概念とその類型化について紹介する.2回は,生態系サービスの類型化について紹介する.3−6回は,各種の生態系サービスの具体例とその価値について詳しく紹介する.とくに過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことなどを紹介する.7回は生物多様性条約について解説する.8−9回は,生態系サービスの現状を評価するための様々な尺度について紹介し,それぞれの尺度による生物多様性の現状を明らかにするとともに,これらの尺度の利点と欠点についても解説する.10-11回は,生態系サービスの劣化要因について,日本国内の具体例を用いて解説する.12回は,これまでの解説を元に保全のイデオロギーについて考える.13-15回は,様々な指標種の概念を解説するとともに,それらの利点と欠点,さらに指標としての限界について論じる.
①角川栄『茶の世界史緑茶の分化と紅茶の社会』中央公論社,1980年発行,101-115pp.



②金子晋右『戦前期アジア間競争と日本の工業化インド・中国.日本の蚕糸絹業』論創社,2010年発行,47-50,238-244pp.

③鈴木孝仁監修『視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録三訂版』数研出版,2017年発行,100-101pp.
コマ主題細目 ① 紅茶 ② 生糸 ③ 遺伝子資源 ④ ⑤
細目レベル ① 紅茶を例に,生態系サービスがいかに莫大な利益を生み出したか,そして歴史を紡いできたかを紹介する.カフェインを含有する嗜好飲料には,茶,コーヒー,マテ茶(南米で飲用)の3種類が代表的なものである.チャを原料にして製造される引用の茶には,3種類がある.茶葉を発酵させて製造する紅茶,茶葉を発酵させない緑茶,半発酵茶のウーロン茶である.当時の紅茶は現在の紅茶とは異なるボヘミアンと呼ばれるもので,その産地は中国に限られている.英国は,すべての紅茶の輸入を中国に頼っていた.英国において産業革命による中産階級の勃興と高い購買意欲によって紅茶の消費が激増し,中国貿易における輸入超過を招くことになった,その結果,英国経済が悪化した.この貿易収支と英国経済の立て直しのために,英国は第3国(インド)を利用したアヘン密売を行った英国の貿易収支は改善したが,その一方で中国の貿易収支の悪化とアヘン患者による政情不安を招いた.そして,中国と英国の間でアヘン戦争が勃発した.この歴史は,紅茶の利益をめぐる貿易摩擦に源を発している.
② 日本の生糸産業について紹介する.300年近い鎖国政策の結果として,日本には輸出産業がほとんど無く,工業原料として重要な鉄すらもすべて輸入に頼っていたことを解説する.国家経済の破綻を防ぐには輸出産業の育成が必須で有り,そのための施策が殖産興業であり,生糸生産であったことを解説する.生糸輸出によって日本の経済は発展し,その後の綿工業への移行,そして機械工業への移行が進んだことを解説する.生糸産業は開国直後からの殖産興業と富国強兵をささえた最も重要な産業である.殖産興業の主要輸出品目として生糸を生産・輸出して外貨獲得し,獲得した資金による兵器購入によって富国強兵を行って日清・日露戦争に進んでいった歴史が存在する.実際,日露戦争の海軍船舶は戦艦&巡洋艦あわせて14隻であるがすべてが欧州から購入したものである.日本の生糸産業が獲得した外貨は,兵器の購入だけではなく,その後の日本の国内産業の発展の資金となった.日本の産業は,生糸・茶 →生糸・綿織物 →<第二次世界大戦>→綿織物→機械・鉄鋼・造船→機械・自動車・鉄鋼→機械・自動車(電子→化学)のように変化してきた.生糸産業から綿織物工業にスムーズに移行できたのは,生糸輸出によって獲得した外貨を用いて自動織機をヨーロッパから購入することができたからである.また,その後に自動織機を国内で開発生産することに成功し,その技術は自動車産業を育成することにつながった.


③ これまで述べてきた様々な生物資源は,それを得ることのできる場所は限られている.ジャガイモのように,原産地は南米のアンデスだが栽培は全世界で行われているものもあるが,先に紹介した紅茶の産地は限られており,そのことが貿易摩擦を産み出し,アヘン戦争の発端となった.日本国内ではコーヒーやバナナの栽培が困難で,それらをほぼすべて輸入に頼っている現実を見れば理解できるだろう.サトウキビや紅茶で見てきたように生態系サービスは巨万の富をもたらすが,その存在場所に大きな偏りがある.一方,視点を変えれば,生態系サービスはすべて遺伝子という生命の設計図によって創り出されている.遺伝子を直接利用できれば,これまで述べてきた偏在性を解決できるかも知れない.例えば,医薬品を例に考えてみよう.放線菌からはペニシリン,ヒルからはヒルジン,ディオスコレアからは副腎皮質ホルモン,セイヨウイチイからは抗がん物質,イチョウからは血管障害用剤などの薬剤を得ることができる.しかし,そうした薬剤を得るには,これらの生物を大量に増殖する必要がある.遺伝子という設計図があれば,もしかしたらその必要がないかも知れない.ここに,遺伝子資源と王新しい概念が登場することになる.


キーワード ① 紅茶 ② 生糸 ③ 遺伝子資源 ④ 利益 ⑤ 国際紛争
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 生物資源が持つ価値について,生物資源が莫大な富みをもたらした例を復習する.代表的な例はサトウキビである.サトウキビ栽培は,帝国主義植民地時代の大英帝国の経済基盤を支えたことを復習する.富国論のアダムスミスが「サトウキビ栽培は他の鈍さ作物のそれよりも利益が大きい」と記していることを復習する.そして,サトウキビのプランテーションは,人類史上最も悪名高い貿易である三角貿易の一つの機関産業であったことを復習する.二つ目の例として,日本の生糸産業について復習する.300年近い鎖国政策の結果として,日本には輸出産業がほとんど無く,工業原料として重要な鉄すらもすべて輸入に頼っていたことを復習する.国家経済の破綻を防ぐには輸出産業の育成が必須で有り,そのための施策が殖産興業であり,生糸生産であったことを復習する.生糸輸出によって日本の経済は発展し,その後の綿工業への移行,そして機械工業への移行が進んだことを復習する.復習に際しては,角山栄(著)「中公新書 茶の世界史 改版 - 緑茶の文化と紅茶の世界 」(中央公論社)を利用してもよい.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
5 生態系サービスの価値:遺伝子資源 科目の中での位置付け 本コマでは,生態系サービスがいかに人類の歴史に影響を与えてきたかという視点から,新たなパラダイムである遺伝子資源の意義と価値について解説するとともに,遺伝子資源がこれからの人類にどのような利益をもたらすかについての展望を行う.1回は,生物多様性の概念とその類型化について紹介する.2回は,生態系サービスの類型化について紹介する.3−6回は,各種の生態系サービスの具体例とその価値について詳しく紹介する.とくに過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことなどを紹介する.7回は生物多様性条約について解説する.8−9回は,生態系サービスの現状を評価するための様々な尺度について紹介し,それぞれの尺度による生物多様性の現状を明らかにするとともに,これらの尺度の利点と欠点についても解説する.10-11回は,生態系サービスの劣化要因について,日本国内の具体例を用いて解説する.12回は,これまでの解説を元に保全のイデオロギーについて考える.13-15回は,様々な指標種の概念を解説するとともに,それらの利点と欠点,さらに指標としての限界について論じる.
①横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会『国連ミレニアムエコシステム評価生態系サービスと人類の将来』オーム社,2007年発行,188-189pp.

②鈴木孝仁監修『視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録三訂版』数研出版,2017年発行,100-101pp.

③横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会『国連ミレニアムエコシステム評価生態系サービスと人類の将来』オーム社,2007年発行,194-207pp.
コマ主題細目 ① 遺伝子資源の意義と価値 ② 新たなパラダイム ③ 間接的価値 ④ ⑤
細目レベル ① 生態系サービスは巨万の富をもたらすが,その存在場所に大きな偏りがある.一方,視点を変えれば,生態系サービスはすべて遺伝子という生命の設計図によって創り出されている.遺伝子を直接利用できれば,これまで述べてきた偏在性を解決できるかも知れない.例えば,医薬品を例に考えてみよう.放線菌からはペニシリン,ヒルからはヒルジン,ディオスコレアからは副腎皮質ホルモン,セイヨウイチイからは抗がん物質,イチョウからは血管障害用剤などの薬剤を得ることができる.しかし,そうした薬剤を得るには,これらの生物を大量に増殖する必要がある.遺伝子という設計図があれば,もしかしたらその必要がないかも知れない.ここに,遺伝子資源と王新しい概念が登場することになる.
② バイオテクノロジーによって,様々な生物からさまざまな遺伝子を取り出すことが可能になり,それを別の生物に導入することが可能になったことを解説する.その結果,これまで役に立たないと考えられていた雑草や害虫ですら,特定の有用遺伝子を取り出して利用することができるようになったことを解説する.それらの結果として,すべての生物の遺伝子を潜在的な有用資源として捕らえる時代になったことを解説する.近年のバイオテクノロジーの進歩により,野生生物の持つ様々な有用遺伝子を遺伝子組み換え技術によって作物・家畜・その他の生物への導入が可能になりつつある.つまり,今までは価値がないと考えられていた野生生物が品種改良の資源(多収性,耐病性,耐寒性,耐乾性)となりうるのである
③ 生態系サービスにはこれまで述べてきたような直接的な価値にとどまらず,間接的な価値も大きいことを解説する.なかでも,光合成物が数十億年の歳月をかけて酸素を生成した結果つくり出された現在の窒素・酸素型の大気やその副産物であるオゾン層の形成は,人類を含めた陸上生物の発展をもたらしたことを解説する.また,微生物や懸濁食生物による水質浄化作用,森林による保水・洪水抑制作用などについて解説する. 基盤サービスと調整サービスは生態系サービスの間接的価値に含まれるものであり,地球環境の維持に寄与することでひいては人類の安定な生存に貢献すると考えられる.例えば,光合成生物による大気の生成,森林の気候調節機能(緩和),森林の蒸散作用,森林の洪水抑制,森林の土壌浸食抑制,環境干潟やヨシ原の水質浄化機能,有害物質の希釈・分解機能などを挙げることができる.


キーワード ① 遺伝子 ② バイオテクノロジー ③ 遺伝子組み換え ④ ゲノム編集 ⑤ パラダイム
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 遺伝子資源の価値と意義について復習する.人類は生物多様性から様々な恩恵を得てきたが,その基盤を形成するのは遺伝子であることを復習する.これまでは,遺伝子そのものを利用することもできず,どのように利用したら良いかさえもわからなかったが,近年のバイオテクノロジー(遺伝子組み換え技術やゲノム編集技術)の進歩によって,新たなパラダイムが形成されたことを復習する.バイオテクノロジーによって,様々な生物からさまざまな遺伝子を取り出すことが可能になり,それを別の生物に導入することが可能になったことを復習する.その結果,これまで役に立たないと考えられていた雑草や害虫ですら,特定の有用遺伝子を取り出して利用することができるようになったことを復習する.それらの結果として,すべての生物の遺伝子を潜在的な有用資源として捕らえる時代になったことを復習する.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
6 生態系サービスの価値:調整サービスと基盤サービス 科目の中での位置付け 生態系サービスの間接的価値である基盤サービスと調整サービスについて具体的事例とともに解説し,これまでは無償であると思い込まれていた生態系サービスの価値について論考するとともに,それらを持続的に享受するために 生物多様性の保全が重要であることを論じる.1回は,生物多様性の概念とその類型化について紹介する.2回は,生態系サービスの類型化について紹介する.3−6回は,各種の生態系サービスの具体例とその価値について詳しく紹介する.とくに過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことなどを紹介する.7回は生物多様性条約について解説する.8−9回は,生態系サービスの現状を評価するための様々な尺度について紹介し,それぞれの尺度による生物多様性の現状を明らかにするとともに,これらの尺度の利点と欠点についても解説する.10-11回は,生態系サービスの劣化要因について,日本国内の具体例を用いて解説する.12回は,これまでの解説を元に保全のイデオロギーについて考える.13-15回は,様々な指標種の概念を解説するとともに,それらの利点と欠点,さらに指標としての限界について論じる.
①横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会『国連ミレニアムエコシステム評価生態系サービスと人類の将来』オーム社,2007年発行,194-207pp.

②横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会『国連ミレニアムエコシステム評価生態系サービスと人類の将来』オーム社,2007年発行,194-207pp.井上健・湯本貴和『昆虫を誘い寄せる戦略』平凡社,1992年発行,61-102pp.井上民二・加藤真『花に引き寄せられる動物 花と送粉者の共進化』平凡社,1993年発行,33-78pp.

③横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会『国連ミレニアムエコシステム評価生態系サービスと人類の将来』オーム社,2007年発行,194-207pp.
コマ主題細目 ① 間接的価値 ② 送粉サービス ③ 干潟の機能 ④ ⑤
細目レベル ① 生態系サービスの間接的な価値について引き続いて解説する.光合成物が数十億年の歳月をかけて酸素を生成した結果つくり出された現在の窒素・酸素型の大気やその副産物であるオゾン層の形成は,人類を含めた陸上生物の発展をもたらしたことを解説する.また,微生物や懸濁食生物による水質浄化作用,森林による保水・洪水抑制作用などについて解説する. 基盤サービスと調整サービスは生態系サービスの間接的価値に含まれるものであり,地球環境の維持に寄与することでひいては人類の安定な生存に貢献すると考えられる.例えば,光合成生物による大気の生成,森林の気候調節機能(緩和),森林の蒸散作用,森林の洪水抑制,森林の土壌浸食抑制,環境干潟やヨシ原の水質浄化機能,有害物質の希釈・分解機能などを挙げることができる.
② 間接的な生態系サービスのなかでも,農業における送粉サービスは非常に重要なものであることを解説する.日本における送粉サービスの価値が3000億円にのぼるという近年の研究成果を紹介する.こうした送粉サービスがなければ,我々は果樹や果物を得ることができないことを解説する.果樹や野菜では,その果実を収穫するためには雄しべの葯の中にある花粉をめしべまで運んでやってめしべの柱頭に受粉してやらねばならない.通常は,この作業を担っているのが野に無数にいる昆虫たちである.しかし,ハウス栽培においては,それらの昆虫は不在である.このため,何らかの手段で雄しべの花粉をめしべに受粉させる作業が必要になる.この作業は2種類あり,人間が一つ一つの花から雄しべの葯の花粉を取り出し,それを一つひとつの花のめしべに受粉させるというもの.もう一つは人工的に飼育したミツバチをハウスの中に放虫して,彼女らに受粉をしてもらうというものである.どちらの方法を採用するにしても,人件費またはミツバチの購入費・飼育費などのコストがかかってしまう.このような事象が生じたときに,はじめて生態系サービスの間接的な価値の重要性を気づくことになる.
③ 干潟の水質浄化機能が生態系サービス4類型のうちの調整サービスの典型例であることを解説する.私たちが水の汚れと認識しているものの実体は水中に存在する微小な有機物であり,それらは懸濁物と呼ばれる.この微少な有機物は窒素やリンなどの栄養分を豊富に含んでいる.そのため,プランクトンを増殖させる.懸濁有機物は水圏生態系の生産者である植物プランクトンの増殖を支える重要な栄養源であるが,これが多量に存在するとプランクトンの大量発生を招く.大量に発生したプランクトンは水底に沈殿し,それがヘドロとなって貧酸素や悪臭の原因となり,他の水生物に悪影響を与えることになる. 干潟に生息する懸濁物食者はこの懸濁物を食物と摂取することで水質浄化に寄与していることを解説する.干潟の表面は生物に乏しいように見えるかも知れないが,泥中には無数の二枚貝やゴカイ類が生息しており,これらの生物が大量の懸濁有機物を取り込んで食べている.干潟の浄化機能の担い手は,泥中に潜っているこれらの生物であることを解説する.


キーワード ① 間接的価値 ② 調整サービス ③ 基盤サービス ④ 送粉サービス ⑤ 金銭的価値
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 生態系サービスにはこれまで述べてきたような直接的な価値にとどまらず,間接的な価値も大きいことを復習する.なかでも,光合成物が数十億年の歳月をかけて酸素を生成した結果つくり出された現在の窒素・酸素型の大気やその副産物であるオゾン層の形成は,人類を含めた陸上生物の発展をもたらしたことを復習する.また,微生物や懸濁食生物による水質浄化作用,森林による保水・洪水抑制作用などについて復習する.間接的な生態系サービスのなかでも,農業における送粉サービスは非常に重要なものであることを復習する.日本における送粉サービスの価値が3000億円にのぼるという近年の研究成果を復習する.こうした送粉サービスがなければ,我々は果樹や果物を得ることができないことを復習する.復習に際しては,横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会「生態系サービスと人類の将来―国連ミレニアムエコシステム評価」(オーム社,2,800円),なぜ生態系を守るのか?(NTT出版,1,900円)を利用してもよい.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
7 生物多様性条約 科目の中での位置付け 本コマでは,生物多様性条約について解説する.生物多様性条約が国際条約であること,経済条約の側面を持っていることを解説する.生物多様性条約には5点の重要な柱があることを解説する.1回は,生物多様性の概念とその類型化について紹介する.2回は,生態系サービスの類型化について紹介する.3−6回は,各種の生態系サービスの具体例とその価値について詳しく紹介する.とくに過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことなどを紹介する.7回は生物多様性条約について解説する.8−9回は,生態系サービスの現状を評価するための様々な尺度について紹介し,それぞれの尺度による生物多様性の現状を明らかにするとともに,これらの尺度の利点と欠点についても解説する.10-11回は,生態系サービスの劣化要因について,日本国内の具体例を用いて解説する.12回は,これまでの解説を元に保全のイデオロギーについて考える.13-15回は,様々な指標種の概念を解説するとともに,それらの利点と欠点,さらに指標としての限界について論じる.
①生物多様性条約の環境省版和訳(http://www.biodic.go.jp/biolaw/jo_hon.html)

②愛知ターゲットの環境省版和訳(https://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/aichi_targets/index_03.html)

③遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分の環境省版和訳(http://abs.env.go.jp)

④昆明モントリオール枠組みの参照資料(https://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/treaty/gbf/kmgbf.html, https://www.env.go.jp/nature/biodiversity/kmgbf.html, https://www.iucn.jp/news_and_topics/2024/03/07/1394/, https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20240607-1.html)

コマ主題細目 ① 生物多様性条約 ② 愛知ターゲット ③ ABS ④ 昆明・モントリオール枠組み
細目レベル ① 生物多様性条約について解説する.生物多様性条約が国際条約であることを解説する.生物多様性条約が経済条約の側面を持っていることを解説する.2002年の第6回生物多様性会議(ハーグ)で採択された2010年目標「2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」について, GBO3(地球規模生物多様性概況第3版)による評価を紹介する.ここでは,合計21の個別目標の達成評価の結果が示されており,それによると目標達成0,大きな前進4,一定の前進14,達成されなかった3であった.日本では2010年10月に名古屋で生物多様性の保全と遺伝子資源利用の国際的な枠組み構築をめざし,生物多様性条約第10回締約国会議CBD COP10(10th meeting of the Conference of the parties to the Convention on Biological Diversity)が開催されたことを解説する.2010年10月に名古屋で開催.次の5点が最重要課生物多様性条約には次の5点の重要な柱があることを解説する. 1)利益の公正かつ衡平な配分: ABS (access and benefit sharing),2)生物資源の利用促進,3)生物資源の持続的利用,4)生物多様性の保全,5)国際戦略の構築.
② 名古屋における生物多様性条約第10回締約国会議において採択された2020年目標(愛知ターゲット)について解説する.生物多様性の損失に歯止めをかけるために第10回生物多様性条約締約国会議(CBD COP10,2010年10月に名古屋で開催)において合意された目標。2011年以降の戦略計画で、人類が自然と共生する世界を2050年までに実現することを目指す。第6回締約国会議(2002年)で設定された「2010年目標」に代わるもの(2010年目標は達成できずに失敗したとの評価がなされている).戦略目標A根本原因への対処には4つの目標が立てられている. 戦略目標B直接的圧力の低減と持続可能な利用には6つの目標が立てられている.戦略目標C生態系・種・遺伝子の多様性保全。には3つの目標が立てられている.戦略目標D生物多様性及び生態系サービスからの恩恵の強化には3つの目標が立てられている.戦略目標E.参加型計画立案、知識管理と能力開発を通じての実施強化には4つの目標が立てられている.これらの目標について紹介する.
③ 生物多様性条約におけるABS (access and benefit sharing)の概念について解説する.名古屋議定書において採択された生物資源の原産国の主権について解説する.名古屋議定書とボン・ガイドラインについて解説する.ボン・ガイドラインでは,生物資源の国際的な移動についてPIC政府(行政所轄部局)許可とMAT当事者(所有者・権利者)間契約の二つを求めている. PIC政府(行政所轄部局)許可には,行政法規に基づく許認可,同意,承認,了承,生物資料の採取および持ち出しに関する許認可が含まれている.MAT当事者(所有者・権利者)間の契約には,利益配分についての合意,貸借・預託契約,取引契約,労働契約が含まれている.これらの二つの書類によって,生物資源の国際的な移動が許可されることになる.そして,生物資源の提供国の法令遵守(許認可)の確認とそのための国内(利用国)措置のしくみが求められている.
④ 生物多様性条約の「昆明・モントリオール枠組(GBF)」について解説する.昆明・モントリオール枠組が4つの2050年ゴールと23の2030年ターゲットから成り立っていること及びその概要を解説する.2030年ターゲットの主要な要素である陸域・海域の少なくとも30%を保全する「30by30」,そのためのOECM(保護地域以外での効果的な保全措置,劣化した生態系の30%を回復,さらに遺伝資源のデジタル配列情報(DSI)に関する利益配分について解説する.OECM(Other Effective area-based Conservation Measures:保護地域以外での効果的な保全措置)とは国立公園や自然保護区のように主目的が自然保護ではないものの、結果として生物多様性の長期的保全に貢献している地域を指す概念であり,「地理的に明確に定められ、適切に管理され、長期的に生物多様性の保全成果をもたらす区域」のことであることを解説する.
⑤ 昆明・モントリオール枠組(GBF)を推進するための新たな目標と考え方である「ネイチャーポジティブ」について解説する.また,このネイチャーポジティブを実施するための政策として環境省が推進する「自然共生サイト」について解説する.昆明・モントリオール枠組の中ではネイチャーポジティブの表現は使用されていなかったが,「劣化した生態系の大規模な回復目標として,少なくとも劣化した生態系の30%を回復することが掲げられ」ており,後にこの内容がネイチャーポジティブの言葉を用いて広く流布されるようになった.国内においてネイチャーポジティブを進めるために環境省が行っている政策の一つが「自然共生サイト」である.自然共生サイトは2023年にスタートし,2025年に地域生物多様性増進法の施行によってさらに積極的に進められている.国立公園などの既存の保護地域に加え,OECMなどを中心とした保護区の新たな設定が期待されている.
キーワード ① 生物多様性条約 ② 経済条約 ③ 昆明・モントリオール枠組み ④ ABSとDSI ⑤ 30 by 30 とOECM
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 生物多様性条約について復習する.生物多様性条約が国際条約であることを復習する.生物多様性条約が経済条約の側面を持っていることを復習する.生物多様性条約には3点の重要な柱があることを復習する.生物多様性条約におけるABS (access and benefit sharing)の概念について復習する.名古屋議定書において採択された生物資源の原産国の主権について復習する.ABSについては,環境省HP<http://abs.env.go.jp>,農林水産省HP<https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/GR/attach/pdf/s_win_abs-26.pdf>,文部科学省HP<https://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/abs.html>,NITE HP<https://www.nite.go.jp/data/000094291.pdf>を利用してもよい.生物多様性条約第15回締約国会議において昆明・モントリオール枠組みが採択されたことを復習する.昆明・モントリオール枠組みの30by30,OECM,DSIについてしっかりと理解するように.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
8 生物多様性の現状:様々な評価尺度 科目の中での位置付け 本コマでは,生物多様性の現状に関する様々な評価尺度についての知識を身につける例として,レッドリストインデックスとリビングプラネットインデックスを紹介する.これらの尺度によって,劣化が著しい分類群とバイオームを紹介し,解説する.1回は,生物多様性の概念とその類型化について紹介する.2回は,生態系サービスの類型化について紹介する.3−6回は,各種の生態系サービスの具体例とその価値について詳しく紹介する.とくに過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことなどを紹介する.7回は生物多様性条約について解説する.8−9回は,生態系サービスの現状を評価するための様々な尺度について紹介し,それぞれの尺度による生物多様性の現状を明らかにするとともに,これらの尺度の利点と欠点についても解説する.10-11回は,生態系サービスの劣化要因について,日本国内の具体例を用いて解説する.12回は,これまでの解説を元に保全のイデオロギーについて考える.13-15回は,様々な指標種の概念を解説するとともに,それらの利点と欠点,さらに指標としての限界について論じる.
①地球規模生物多様性概況第4版和訳(https://www.cbd.int/gbo/gbo4/publication/gbo4-jp-hr.pdf)

②Red List Index(https://www.iucnredlist.org/assessment/red-list-index).地球規模生物多様性概況第4版和訳(https://www.cbd.int/gbo/gbo4/publication/gbo4-jp-hr.pdf)

③生きている地球レポート2018より高い目標をめざして 要約版(https://www.wwf.or.jp/activities/data/201810lpr2018_jpn_sum.pdf).地球規模生物多様性概況第4版和訳(https://www.cbd.int/gbo/gbo4/publication/gbo4-jp-hr.pdf)
コマ主題細目 ① 評価尺度 ② レッドリストインデックス ③ リビングプラネットインデクス ④ ⑤
細目レベル ① 生物多様性の現状について知るための様々な評価尺度を紹介する.冒頭でも解説したように,多様性を特定の価値尺度で評価する行為そのものが,多様性を充分に評価しきれないという自己矛盾をはらんでいることを解説する.そのうえで,複数の尺度を紹介し,それぞれの利点と欠点についても解説する.また,それぞれの尺度の実用性についても考察を加える.ここでは,絶滅危惧種を用いたレッドリストインデックス,世界各地の各種の環境の生物集団の定点調査を用いたリビングプラネットインデックス,漁獲量の統計を用いた資源枯渇状況,森林環境などの減少を用いた生息環境の消失などについて,それぞれのデータの特性とそこから読み取られた評価結果の内容について紹介し,考察を進める.
② 絶滅危惧種を評価するひとつの評価尺度であるレッドリストインデックスについて解説する.レッドリストインデックスから読み取れる分類群ごとの生物多様性劣化状況の違いについて紹介し,インデックスによる危機的な分類群と急激インデックスの変化を示す分類群について考察する.国際自然保護連合IUCNは,世界の生物の絶滅危惧生物の評価とリストアップを行っており,そこでは5つのカテゴリーが設けられている.EX絶滅,EW野生絶滅,CR (Critically Endangered)絶滅危惧ⅠA,EN (Endangered)絶滅危惧ⅠB,VU (Vulnerable)絶滅危惧Ⅱ.絶滅危惧種としてレッドリストに掲載されることで,一定の配慮がなされているはずの生物群においてすら,減少の歯止めがかかっているとは言えない.生物多様性の危機がいかに深刻であるかをうかがうことができる.
③ 世界各地の各種の環境の生物集団の定点調査を用いたリビングプラネットインデックスLiving planet Indexを解説する.リビングプラネットインデックスは,世界の様々な地域と環境における1,686種4,642個体群の継続調査を元に,1970年を基準としてその後の変化を指標化したもの.次のような様々な形の集計が行われている.気候帯別:温帯(1,235種3,309個体群),熱帯(585種1,333個体群),生態系別:陸上(887種2,007個体群),海(341種1,175個体群),陸水(458種1,463個体群),植生別:熱帯林(186種503個体群),乾燥地(149種476個体群),草原(309種703個体群),地理バイオーム別:北米大陸(588種1,117個体群),中南米熱帯(144種202個体群),アフリカ熱帯(201種552個体群),インドー太平洋(155種441個体群),分類群別:鳥類(2,185個体群),哺乳類(1,161個体群).


キーワード ① レッドリストインデックス ② リビングプラネットインデックス ③ 価値尺度 ④ 絶滅危惧種 ⑤ IUCN
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 生物多様性の現状についての様々な評価尺度を復習する.多様性を特定の尺度で評価する行為そのものがじつは自己矛盾をはらんでいることを復習する.複数の尺度のそれぞれの利点と欠点について復習する.絶滅危惧種を評価するひとつの評価尺度であるレッドリストインデックスについて復習する.レッドリストインデックスから読み取れる分類群ごとの生物多様性劣化状況の違いについて復習する.インデックスによる危機的な分類群と急激インデックスの変化を示す分類群について復習する.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
9 生物多様性の現状:環境劣化と資源枯渇 科目の中での位置付け 本コマでは,生物多様性の現状に関する様々な評価尺度についての知識を身につける例として,平均栄養段階と生息環境の焼失面積について紹介する.この尺度によって,劣化が著しい海域と気候帯を紹介し,解説する.1回は,生物多様性の概念とその類型化について紹介する.2回は,生態系サービスの類型化について紹介する.3−6回は,各種の生態系サービスの具体例とその価値について詳しく紹介する.とくに過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことなどを紹介する.7回は生物多様性条約について解説する.8−9回は,生態系サービスの現状を評価するための様々な尺度について紹介し,それぞれの尺度による生物多様性の現状を明らかにするとともに,これらの尺度の利点と欠点についても解説する.10-11回は,生態系サービスの劣化要因について,日本国内の具体例を用いて解説する.12回は,これまでの解説を元に保全のイデオロギーについて考える.13-15回は,様々な指標種の概念を解説するとともに,それらの利点と欠点,さらに指標としての限界について論じる.
①横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会『国連ミレニアムエコシステム評価生態系サービスと人類の将来』オーム社,2007年発行,19pp.

②地球規模生物多様性概況第4版和訳(https://www.cbd.int/gbo/gbo4/publication/gbo4-jp-hr.pdf).横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会『国連ミレニアムエコシステム評価生態系サービスと人類の将来』オーム社,2007年発行,55pp.

③地球規模生物多様性概況第4版和訳(https://www.cbd.int/gbo/gbo4/publication/gbo4-jp-hr.pdf)
コマ主題細目 ① 資源枯渇 ② 生息環境 ③ 多様な価値観 ④ ⑤
細目レベル ① 海海洋生態系における資源枯渇の現状を平均栄養段階と漁獲量の統計値を用いて解説する.栄養段階とは,食物連鎖網の基底段階(生産者)を第一段階(1)とし,それを利用する補食者を第二段階(2),さらに高次の利用者に第三段階(3),第四段階(4)の各数値を割り当てたもの.平均栄養段階とは,ある生態系における栄養段階の平均値のことで,各生物種の栄養段階とその個体数データから計算される.複数の段階にまたがる生物の場合は,小数点でその段階値を割り当てる.これらの推計には,漁業資源の周期的変動,漁獲量を元に推計していることに注意することを説明する.海洋全体としては明瞭な傾向は見られないが,北大西洋と中国で著しい資源枯渇が進行している解説する.なお,平均栄養段階の考えは斬新で過去からの変化を知る上での計算が簡便なことから一時期よく用いられたが,生態系の実態を反映しないとの指摘があり,現在は用いられていない.概念は有益なので紹介する.
② 生物の生息環境の消失を指標するものとして,森林環境の減少量を示したデータを紹介する.ここでは,地中海地域の森林,温帯草原と灌木林,温帯広葉樹林,季節熱帯林,熱帯草原,熱帯針葉樹林,熱帯雨林の7タイプの森林環境の過去の消失量が示されている.それによれば,温帯林では人類活動によって6〜7割がすでに失われている.熱帯林では人類活動によって2〜6割が失われている.という二つの点が見て取れる.熱帯林での消失量は温帯林のそれと比べて小さいが,地球上のバイオマスの約1/4が熱帯林に集中していることを考えれば,割合の問題よりも実際に消失したバイオマス量が温帯林のそれを上回っていることが推測される.また,この資料に寄れば,今後の消失予測は温帯気候下の森林よりも熱帯気候下の森林で顕著になるとされていることを紹介する.
③ これまで生物多様性の現状について知るための様々な評価尺度を紹介してきた.冒頭でも解説したように,多様性を特定の価値尺度で評価する行為そのものが,多様性を充分に評価しきれないという自己矛盾をはらんでいることをここであらためて振り返りたい.ここまでに,絶滅危惧種を用いたレッドリストインデックス,世界各地の各種の環境の生物集団の定点調査を用いたリビングプラネットインデックス,漁獲量の統計を用いた資源枯渇状況,森林環境などの減少を用いた生息環境の消失などについて,それぞれのデータの特性とそこから読み取られた評価結果の内容について紹介してきた.これらの評価には,それぞれの利点と欠点が存在する.例えば,レッドリストインデックスは絶滅危惧種についての情報をもたらすが,絶滅に瀕していないごく普通の生物種についての情報は何も与えてくれない.森林環境の減少は,その場に生息している生物の消失を間接的に意味していると考えられるが,具体的に森林とともに消えた生物の内実を伝えてはくれない.そのような価値尺度の有用性と限界について考察する.


キーワード ① 資源枯渇 ② 生息環境 ③ 多様な価値観 ④ 漁業 ⑤ 森林の減少
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 海洋生態系における資源枯渇の現状を漁獲量の統計値を用いて復習する.これらの水系には,漁業資源の周期的変動,漁獲量を元に推計していることに注意することを説明する.海洋全体としては明瞭な傾向は見られないが,北大西洋と中国で著しい資源枯渇が進行している復習する.生態系を評価するひとつの評価尺度である生息環境の消失について復習する.北方林,温帯林,熱帯林などのそれぞれの植生環境における森林の消失面積について復習する.1950年以前の生息地消失とそれ以降の生息地消失を対比させて復習することで,我々人類が過去の歴史の中で生物多様性とどのように係わってきたかを復習する.復習に際しては,横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会「生態系サービスと人類の将来―国連ミレニアムエコシステム評価」(オーム社,2,800円),宮下直・矢原徹一 (編)「エコロジー講座3 なぜ地球の生き物を守るのか」(文一総合出版,1,600円),なぜ生態系を守るのか?(NTT出版,1,900円),Global Biodiversity Out Look 3 <https://www.cbd.int/doc/publications/gbo/gbo3-final-en.pdf>を利用してもよい.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
10 生物多様性の劣化要因:国内の場合 科目の中での位置付け 本コマでは,日本国内の生物多様性の劣化要因について解説するとともに,この半世紀の間に顕著になってきた生物多様性劣化の要因である第二の危機について,里山の生物多様性の現状とその問題点をとりあげて紹介する.1回は,生物多様性の概念とその類型化について紹介する.2回は,生態系サービスの類型化について紹介する.3−6回は,各種の生態系サービスの具体例とその価値について詳しく紹介する.とくに過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことなどを紹介する.7回は生物多様性条約について解説する.8−9回は,生態系サービスの現状を評価するための様々な尺度について紹介し,それぞれの尺度による生物多様性の現状を明らかにするとともに,これらの尺度の利点と欠点についても解説する.10-11回は,生態系サービスの劣化要因について,日本国内の具体例を用いて解説する.12回は,これまでの解説を元に保全のイデオロギーについて考える.13-15回は,様々な指標種の概念を解説するとともに,それらの利点と欠点,さらに指標としての限界について論じる.
①地球規模生物多様性概況第5版GBO5(https://www.env.go.jp/press/108447.html)

②地球規模生物多様性概況第5版GBO5(https://www.env.go.jp/press/108447.html)

③地球規模生物多様性概況第5版GBO5(https://www.env.go.jp/press/108447.html)
コマ主題細目 ① 日本の絶滅危惧生物の減少要因 ② 第1の危機,第2の危機 ③ 第3の危機,第4の危機 ④ ⑤
細目レベル ① 日本における生物多様性の劣化要因とその現状について解説する.環境省が2010年に発行した生物多様性総合評価報告書の内容について紹介する.生物多様性総合評価報告書の中で示された日本の絶滅危惧生物の各分類群ごとの絶滅要因の結果について解説する.日本の絶滅危惧生物の減少要因には,開発,捕獲・採取,水質汚濁,遷移,外来生物などの諸要因のあることを解説する.これらの減少要因の圧力は,哺乳類,爬虫類,両生類,汽水・淡水魚類,維管束植物のそれぞれで大きく異なっている.開発による減少圧はどの分類群においても共通して第一位を占めるが,第2位以下は様々である.両生類と汽水・淡水魚類では,第二位の減少圧が水質汚濁である点が共通している.
② 日本における生物多様性の劣化要因について,環境省が発行した生物多様性総合評価報告書(2010)に紹介された第1の危機,第2の危機,第3の危機,第4の危機の4類型に従って解説を行う.ここでは,第1の危機と第二の危機について解説する.第1の危機とは,人間活動および開発が直接的にもたらす生物種の減少・絶滅および生態系の破壊・劣化を通じた生息・生育空間の縮小,消失であることを解説する.第2の危機とは,生活様式・産業構造の変化や過疎などの社会変化にともない,自然に対する人間の働きかけが縮小・撤退することによる生物種の減少ないし生息・生育空間の縮小・消失.里山の自然環境の質の低下・崩壊などのことである.この第二の危機については,次回以降の講義で詳しく解説する.
③ 日本における生物多様性の劣化要因について,環境省が発行した生物多様性総合評価報告書(2010)に紹介された第1の危機,第2の危機,第3の危機,第4の危機の4類型に従って解説を行う.ここでは,第3の危機と第4の危機について解説する.第3の危機とは,人為的に持ち込まれたものによる生態系の攪乱や質の低下.外来種による攪乱,化学物質による汚染などおことである.外来種問題については,植物生態学において解説した.第4の危機とは,地球温暖化にともなう生態系の規模の縮小・質の低下・生物種の個体数や分布域の減少・縮小のことである.地球温暖化の影響はゆっくりと生物に影響を与えるために,顕在化しにくいという問題がある.しかし,サンゴ礁の白化現象は海水温の高温化に起因すると考えられており,南西諸島のサンゴ礁では1970年代以降に大規模な珊瑚の白化現象が何度も観測されるようになってきている.また,高山性のライチョウの生息域である山地草原が森林化しつつあることや本来は低山域にいた補食者が高山域にあがってきて雷鳥を補食する例が報告されている.


キーワード ① 絶滅危惧生物の減少要因 ② 第一の危機 ③ 第二の危機 ④ 第三の危機 ⑤ 第4の危機
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 日本における生物多様性の劣化要因とその現状について復習する.環境省が2010年に発行した生物多様性総合評価報告書の内容について復習する.生物多様性総合評価報告書の中で示された日本の絶滅危惧生物の各分類群ごとの絶滅要因の結果について復習する.日本の絶滅危惧生物の減少要因には,開発,捕獲・採取,水質汚濁,遷移,外来生物などの諸要因のあることを復習する.日本における生物多様性の劣化要因について,生物多様性総合評価報告書(2010)に紹介された第1の危機,第12の危機,第3の危機,第4の危機に類型化して復習する.第1の危機とは,人間活動および開発が直接的にもたらす生物種の減少・絶滅および生態系の破壊・劣化を通じた生息・生育空間の縮小,消失であることを復習する.復習にあたっては,環境省生物多様性総合評価報告書<https://www.biodic.go.jp/biodiversity/activity/policy/jbo/jbo/files/allin.pdf>を参照してもよい.里草地や茅(カヤ)草地に依存する植物の減少要因について復習する.カヤ草地や里草地の植物であるオグラセンノウ,ヒキノカサ,ノカラマツ,ミシマサイコ,フナバラソウ,ゴマノハグサ,ホソバヒメトラノオ,キキョウ,タカサゴソウ,ヒメヒゴタイ,ハバヤマボクチ,ヒメユリ,コキンバイザサ等を紹介し,それらの危機的な状況を復習する.温暖で多雨な日本の気候条件下では,草地は遷移によって森林化する宿命を持つことを復習する.それゆえ,極相としての草原の成立は稀であり,草地性植物の多くが人為的に維持される半自然草地に生育してきたことを復習する.戦前までは,カヤ草地で採取されるススキは家畜飼料や屋根葺き資材として不可欠であったため,全国にススキ育成のための茅場が存在したことを復習する.しかし,ススキの利用がされなくなったことにより,茅場は放置されて森林化していったことを復習する.復習にあたっては,須賀丈・丑丸敦史・岡本透(著)「草地と日本人―日本列島草原1万年の旅」(築地書館)を利用してもよい.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
11 生物多様性の劣化要因:新たな課題 科目の中での位置付け 本コマでは,日本国内においてこの半世紀の間に顕著になってきた生物多様性劣化の要因である第二の危機とシカ食害について,里山の生物多様性の現状とその問題点をとりあげて紹介する.1回は,生物多様性の概念とその類型化について紹介する.2回は,生態系サービスの類型化について紹介する.3−6回は,各種の生態系サービスの具体例とその価値について詳しく紹介する.とくに過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことなどを紹介する.7回は生物多様性条約について解説する.8−9回は,生態系サービスの現状を評価するための様々な尺度について紹介し,それぞれの尺度による生物多様性の現状を明らかにするとともに,これらの尺度の利点と欠点についても解説する.10-11回は,生態系サービスの劣化要因について,日本国内の具体例を用いて解説する.12回は,これまでの解説を元に保全のイデオロギーについて考える.13-15回は,様々な指標種の概念を解説するとともに,それらの利点と欠点,さらに指標としての限界について論じる.
①須賀丈ほか『日本列島草原1万年の旅草地と日本人』築地書館,2012年発行,56-62pp.レッドデータブック近畿研究会『改訂・近畿地方の保護状重要な植物ーレッドデータブック近畿2001ー』平岡環境科学研究所,2001年発行,26-27pp.

②田端英雄『エコロジーガイド里山の自然』保育社,1997年発行,101-117.レッドデータブック近畿研究会『改訂・近畿地方の保護状重要な植物ーレッドデータブック近畿2001ー』平岡環境科学研究所,2001年発行,29-30pp.

③前迫ゆり・高槻成紀『シカの脅威と森の未来シカ柵による植生保全の有効性と限界』文一総合出版,2015年発行,9-58pp.
コマ主題細目 ① 遷移と半自然草地 ② 里山 ③ シカ害 ④ ⑤
細目レベル ① 里草地や茅(カヤ)草地に依存する植物の減少要因について解説する.カヤ草地や里草地の植物であるオグラセンノウ,ヒキノカサ,ノカラマツ,ミシマサイコ,フナバラソウ,ゴマノハグサ,ホソバヒメトラノオ,キキョウ,タカサゴソウ,ヒメヒゴタイ,ハバヤマボクチ,ヒメユリ,コキンバイザサ等を紹介し,それらの危機的な状況を解説する.温暖で多雨な日本の気候条件下では,草地は遷移によって森林化する宿命を持つことを解説する.それゆえ,極相としての草原の成立は稀であり,草地性植物の多くが人為的に維持される半自然草地に生育してきたことを解説する.戦前までは,カヤ草地で採取されるススキは家畜飼料や屋根葺き資材として不可欠であったため,全国にススキ育成のための茅場が存在したことを解説する.しかし,ススキの利用がされなくなったことにより,茅場は放置されて森林化していったことを解説する.
② 日本の里山では,様々な生物資源が採取・利用されてきたがそのなかからマツタケを例に取り上げて,里山の生物多様性の現状について解説する.マツタケとアカマツはすでに植物生態学で学んできたように,菌根と呼ばれる共生体を形成することを復習する.アカマツにとってはマツタケとの共生は必須ではないが,マツタケが生育するにはアカマツと共生して菌根を形成することが必須であることを解説する.このような関係を持つマツタケの終了がこの半世紀で激減したことを解説する.植鵜物生態学で学習したようにアカマツは陽樹としての生活史特性を持つ先駆性樹種のひとつである.このため,西日本ではアカマツが極相として成立することはない.アカマツ林が西日本で卓越していたのは,薪採取などの強度の収奪が原因である.第二次大戦戦後のアカマツの衰退は,アカマツ林における薪採取がされなくなったことと深く関係している.アカマツ林の利用の変化とマツタケの減少原因について考察する.
③ シカ害と生物多様性の現状について解説する.日本のシカは1979〜2002年の約20年間で分布域が7割増加し,地域によっては個体群が20倍に増加したことを解説する.北海道では,1998〜2007年に毎年6〜8億円の被害が出ていること,そして3〜4万頭の狩猟&駆除によって被害額をこの水準に維持していることを解説する.現在,シカの食害によって,植生の衰退・構造変化,植物相の貧困化,生態系の変質を招きつつあることを紹介する.シカの過剰な採食圧は,植生の衰退や構造変化,植物相の貧困化,そして生態系の変質を招きつつある.シカ自身も生物多様性の構成要素であるが,その個体数が過剰に増加した現状では,生態系や生物多様性の劣化を招く恐れがある.持続的な生態系を保全するには適正な個体数の管理が必要と考えられる.


キーワード ① 人為草地 ② 里山 ③ 遷移 ④ 薪炭利用 ⑤ シカ害
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 日本の里山では,様々な生物資源が採取・利用されてきたがそのなかからマツタケを例に取り上げて,里山の生物多様性の現状について復習する.マツタケとアカマツはすでに植物生態学で学んできたように,菌根と呼ばれる共生体を形成することを復習する.アカマツにとってはマツタケとの共生は必須ではないが,マツタケが生育するにはアカマツと共生して菌根を形成することが必須であることを復習する.このような関係を持つマツタケの終了がこの半世紀で激減したことを復習する.マツタケの現象原因について復習する.シカ害と生物多様性の現状について復習する.日本のシカは1979〜2002年の約20年間で分布域が7割増加し,地域によっては個体群が20倍に増加したことを復習する.北海道では,1998〜2007年に毎年6〜8億円の被害が出ていること,そして3〜4万頭の狩猟&駆除によって被害額をこの水準に維持していることを復習する.現在,シカの食害によって,植生の衰退・構造変化,植物相の貧困化,生態系の変質を招きつつあることを復習する.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
12 保全のイデオロギー 科目の中での位置付け 本コマでは,生物多様性保全のなかでも絶滅危惧種をなぜ保護・保全しなければならないのかというシンプルかつ根源的な問いかけに対して,保全のイデオロギーを紹介することで,共生的・持続的な人類活動への指針を構築する.1回は,生物多様性の概念とその類型化について紹介する.2回は,生態系サービスの類型化について紹介する.3−6回は,各種の生態系サービスの具体例とその価値について詳しく紹介する.とくに過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことなどを紹介する.7回は生物多様性条約について解説する.8−9回は,生態系サービスの現状を評価するための様々な尺度について紹介し,それぞれの尺度による生物多様性の現状を明らかにするとともに,これらの尺度の利点と欠点についても解説する.10-11回は,生態系サービスの劣化要因について,日本国内の具体例を用いて解説する.12回は,これまでの解説を元に保全のイデオロギーについて考える.13-15回は,様々な指標種の概念を解説するとともに,それらの利点と欠点,さらに指標としての限界について論じる.
①加藤辰巳・太田英利『エコロジーガイド日本の絶滅危惧生物』保育社,1993年発行,163-179.

②加藤辰巳・太田英利『エコロジーガイド日本の絶滅危惧生物』保育社,1993年発行,163-179.

③レッドデータブック近畿研究会『改訂・近畿地方の保護状重要な植物ーレッドデータブック近畿2001ー』平岡環境科学研究所,2001年発行,3-4pp.加藤辰巳・太田英利『エコロジーガイド日本の絶滅危惧生物』保育社,1993年発行,163-179.
コマ主題細目 ① 生物資源主義 ② 生態系安定主義 ③ 生命倫理主義 ④ ⑤
細目レベル ① ここでは,なぜ生物種の絶滅を回避するのか,あるいは絶滅を回避しなければならないのかという問題について,考えて行きたい.従来の生物種の絶滅は自然のプロセスであった.それは過去の進化や地球史が示している.しかし,今日の生物種の絶滅はそれらとは異なり、さまざまな人間活動の影響によってかつてない速さと規模で進んでいる.それゆえ,絶滅の防止は地球環境保全上の重要な課題となっている点を指摘する.また,生態系サービスにおいて,有用資源を生み出す基盤としての遺伝子資源の重要性を指摘した.それは,近年のバイオテクノロジーの進歩によって野生生物の持つ様々な有用遺伝子を遺伝子組み換え技術によって作物・家畜・その他の生物への導入が可能になりつつあり,今までは価値がないと考えられていた野生生物が品種改良の資源(多収性,耐病性,耐寒性,耐乾性)となる可能性を秘めていた.このような観点に基づいた有用生物を重視した資源主義の考え方を紹介する.
② なぜ生物種の絶滅を回避するのか,あるいは絶滅を回避しなければならないのかという問題について,二つ目の考えを紹介する.先にも述べたように,従来の生物種の絶滅は自然のプロセスであった.それは過去の進化や地球史が示している.しかし,今日の生物種の絶滅はそれらとは異なり、さまざまな人間活動の影響によってかつてない速さと規模で進んでいる.それゆえ,絶滅の防止は地球環境保全上の重要な課題となっている点を指摘する.生態系サービスにおいて,調整サービスと基盤サービスの重要性を指摘した.それは,生態系サービスが地球環境の維持に寄与することで人類の生存の安定に大きく貢献していることを示していた.森林の気候調節機能(緩和),森林の蒸散作用,森林の洪水抑制,森林の土壌浸食抑制各種の環境(大気・水・土壌)浄化機能,有害物質の希釈・分解などである.このような間接的な価値を重視した生態系安定主義の考え方を紹介する.
③ なぜ生物種の絶滅を回避するのか,あるいは絶滅を回避しなければならないのかという問題について,三つ目の考えを紹介する.繰り返しになるが,従来の生物種の絶滅は自然のプロセスであった.それは過去の進化や地球史が示している.しかし,今日の生物種の絶滅はそれらとは異なり、さまざまな人間活動の影響によってかつてない速さと規模で進んでいる.それゆえ,絶滅の防止は地球環境保全上の重要な課題となっている点を指摘する.ここでは,次のような考え方を紹介する.すべての生物は等しく生きる権利を持ち,それぞれの生命はそれぞれの進化史を背負っている尊い存在である.そして,それらを人間の勝手なエゴによって奪う権利はない.逆に,人類はこうした生物種の存続に十分な配慮を払う義務があると考えるものである.生命の尊厳を重視した生命倫理主義と呼ばれる価値観である.


キーワード ① 生物資源主義 ② 生態系安定主義 ③ 生命倫理主義 ④ エゴイズム ⑤ イデオロギー
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 生物の遺伝子資源には,まだまだ未発見・未開拓の有用性が隠れている.今後の技術や科学の進歩によって人類にとって新たな価値をもたらす高い潜在性を持つことを復習するし,生物の絶滅によってこうした将来の利用開発の道が閉ざされるのは人類にとって大きな損失であることをイデオロギーとした生物種保全の考え方を復習する.地球環境の維持・生態系の安定が調整サービス・基盤サービスの持続的享受をもたらし,ひいては人類の生存の安定を支えているという考えを紹介し,種の絶滅を回避することで生態系の崩壊を避けるべきであるというイデオロギーを復習する.すべての生物は等しく生きる権利を持ち,それぞれの生命は,それぞれの進化史を背負っている尊い存在であり,それらを人間の勝手なエゴによって奪うことはできないとする考えを復習する.人類はこうした生物種の存続に十分な配慮を払う義務があるとする保全のイデオロギーを復習する.復習に際しては,加藤辰己・太田英利(著)「日本の絶滅危惧生物―エコロジーガイド」(保育社),宮下直・矢原徹一 (編)「エコロジー講座3 なぜ地球の生き物を守るのか」(文一総合出版,1,600円),なぜ生態系を守るのか?(NTT出版,1,900円)を利用してもよい.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
13 生態的指標種 科目の中での位置付け 本コマでは,生物多様性の現状を評価しそれを保全する上で有用な指標種の種類とそれぞれの指標種の意義や概念とその特徴について紹介する.生態的指標種とキーストーン種について紹介する.1回は,生物多様性の概念とその類型化について紹介する.2回は,生態系サービスの類型化について紹介する.3−6回は,各種の生態系サービスの具体例とその価値について詳しく紹介する.とくに過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことなどを紹介する.7回は生物多様性条約について解説する.8−9回は,生態系サービスの現状を評価するための様々な尺度について紹介し,それぞれの尺度による生物多様性の現状を明らかにするとともに,これらの尺度の利点と欠点についても解説する.10-11回は,生態系サービスの劣化要因について,日本国内の具体例を用いて解説する.12回は,これまでの解説を元に保全のイデオロギーについて考える.13-15回は,様々な指標種の概念を解説するとともに,それらの利点と欠点,さらに指標としての限界について論じる.
①矢野悟道ほか『日本の植生図間Ⅱ人里・草原』,保育社,1983年発行,125-145pp.鷲谷いづみ・矢原徹一『保全生態学入門』文一総合出版,69pp.

②中西哲ほか『日本の植生図鑑Ⅰ森林』,保育社,1983年発行,71-108pp.鷲谷いづみ・矢原徹一『保全生態学入門』文一総合出版,69pp.

③角野康郎・遊磨正秀『エコロジーガイドウェットランドの自然』保育社,1995年発行,72-93pp.鷲谷いづみ・矢原徹一『保全生態学入門』文一総合出版,69pp.
コマ主題細目 ① 生態的指標種1 ② 生態的指標種2 ③ 生態的指標種3 ④ ⑤
細目レベル ① 生態的指標種とは,同じような生息(生育)環境条件への要求性を持つ種群,あるいは同じような生態的な要求性をもつ種群のうち,それらを代表する種のことである.最初の例として,海浜環境を指標する植物種について解説する.海浜環境では,塩分の存在,強い日照&高温と乾燥,波浪・風による砂の移動などの厳しい環境条件があり,それらに適応した耐塩性,耐紫外線,耐乾燥,耐高温,破壊や埋積への耐性能力を持った植物が生育する.そのような植物には,イソギク,シオギク,ハマゴウ,ハマボウ,ツルナ,オカヒジキ,ハママツナ,ハマハタザオ,ハマアザミ,ハマボッス,ハマナデシコ,ハマトラノオ,ハマボウフウ,コウボウムギ,ハマニンニク,オニシバ,ハマヒルガオ,ハマニガナ,ネコノシタ,ハイネズ,ケカモノハシ,ハマエンドウ,オニシバなどの多数の植物種が存在するが,これらのなかでも普遍的で優占する植物種としては,ハマヒルガオ,ハマエンドウ,ツルナなどを選ぶことができる.
② 生態的指標種の二つ目の例について紹介する.生態的指標種とは,同じような生息(生育)環境条件への要求性を持つ種群,あるいは同じような生態的な要求性をもつ種群のうち,それらを代表する種のことである.二つ目の例として,冷温帯林を指標する植物種について解説する.冷温帯では,夏季冷涼・冬季寒冷という条件であるために,夏緑性の樹木が生育する.樹種としては,ブナ,ミズナラ,コナラ,アカイタヤ,ハウチワカエデ,コハウチワカエデ,オオイタヤメイゲツ,ウリハダカエデ,カラコギカエデ,オガラバナ,ウダイカンバ,シラカバ,アカシデ,ミズメ,ヤチダモ,シオジ,カツラ,サワグルミ,トチノキなど多数の樹種が存在するが,これらのなかでもとくに冷温帯気候に依存しなおかつ普遍的な樹種としてブナ,ミズナラ,アカイタヤを挙げることができる.
③ 生態的指標種の三つ目の例について紹介する.生態的指標種とは,同じような生息(生育)環境条件への要求性を持つ種群,あるいは同じような生態的な要求性をもつ種群のうち,それらを代表する種のことである.三つ目の例として,農耕地の水湿地環境である水田,水路,溜め池を指標する植物種について解説する.水田,水路,溜め池では,多量の水の存在がある一方で,水位の変動が大きくて水が干上がってしまうこともある変動的な不安定な環境である.このような環境では,水中生活に適応しつつも一時的な水の枯渇に耐える能力も必要になる.そのような環境では,メダカ,ドジョウ,カブトエビ,ホウネンエビ,アキアカネ,シオカラトンボ,ゲンジボタル,ヘイケボタル,アメリカザリガニ,タナゴ類,アマガエル,ツチガエル,ヌマガエル,トノサマガエル,オモダカ,アメリカセンダングサ,クログワイ,イヌホタルイ,マツバイ,ハリイ,メアゼテンツキ,ヒナガヤツリ,タマガヤツリ,コナギ,ホシクサ,サワトウガラシ,アゼトウガラシ,ムツオレグサ,サンショウモ,アカウキクサ,ヒルムシロ,キクモなどの生物が生息あるいは生育している.これらのなかでもとくに水田環境に依存する普遍的な生物種としてヘイケボタル,カブトエビ,アキアカネ,こなぎ,オモダカ,ホシクサを挙げることができる.


キーワード ① 生態的指標種 ② 海浜環境 ③ 冷温帯環境 ④ 農耕水湿地環境 ⑤ 要求性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 生態的指標種の概念とその特徴について復習する.生態的指標種の具体例をそれぞれの環境について復習する.生態的指標種の生存を保証することは,生態的指標種の生息域全体と生態的指標種を支える多くの生物種の生存およびそれらの住処としての生息環境を保証することになることを復習する.キーストーン種の概念その特徴について復習する.キーストーン種の具体例を復習する.キーストーン種の生存を保証することは,キーストーン種の生息域全体とキーストーン種を支える多くの生物種の生存およびそれらの住処としての生息環境を保証することになることを復習する.概念としてのキーストーン種は生態系の保全において非常に強力だが,具体例を明らかにすることに問題があることを復習する.復習にあたっては,鷲谷いづみ・矢原 徹一(著)「保全生態学入門―遺伝子から景観まで」(文一総合出版)を参照してもよい.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
14 指標種:キーストーン種,アンブレラ種,絶滅危惧種 科目の中での位置付け 本コマでは,生物多様性の現状を評価しそれを保全する上で有用な指標種の種類とそれぞれの指標種の意義や概念とその特徴について紹介する.生態的指標種とキーストーン種について紹介する.1回は,生物多様性の概念とその類型化について紹介する.2回は,生態系サービスの類型化について紹介する.3−6回は,各種の生態系サービスの具体例とその価値について詳しく紹介する.とくに過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことなどを紹介する.7回は生物多様性条約について解説する.8−9回は,生態系サービスの現状を評価するための様々な尺度について紹介し,それぞれの尺度による生物多様性の現状を明らかにするとともに,これらの尺度の利点と欠点についても解説する.10-12回は,生態系サービスの劣化要因について,日本国内の具体例を用いて解説する.13回は,これまでの解説を元に保全のイデオロギーについて考える.14-15回は,様々な指標種の概念を解説するとともに,それらの利点と欠点,さらに指標としての限界について論じる.
①日本生態学会編『生態学入門第2版』東京化学同人,2012年発行,236pp.鷲谷いづみ・矢原徹一『保全生態学入門』文一総合出版,69pp.

②鷲谷いづみ・矢原徹一『保全生態学入門』文一総合出版,69pp.日本生態学会編『生態学入門第2版』東京化学同人,2012年発行,236pp.

③加藤辰巳・太田英利『エコロジーガイド日本の絶滅危惧生物』保育社,1993年発行,1-12.鷲谷いづみ・矢原徹一『保全生態学入門』文一総合出版,69pp.
コマ主題細目 ① キーストーン種 ② アンブレラ種 ③ 絶滅危惧種 ④ ⑤
細目レベル ① キーストーン種の概念その特徴について解説する.キーストーン種の具体例を紹介する.キーストーン種の生存を保証することは,キーストーン種の生息域全体とキーストーン種を支える多くの生物種の生存およびそれらの住処としての生息環境を保証することになることを解説する.概念としてのキーストーン種は生態系の保全において非常に強力だが,具体例を明らかにすることに問題があることを解説する.キーストーン種の理解においては,生態系の生物間相互作用に理解が不可欠である.いくつかのキーストーン種の実例が知られているが,そのことが明らかになった背景にはキーストーン種の個体数が大幅に減少することで生態系が変化あるいは崩壊しかけたという事実があるからである.キーストーン種を実験的に明らかにすることは当該生態系の崩壊実験を行うようなものであるから,キーストーン種の探索と特定の研究は現実的ではない.
② アンブレラ種の概念とその特徴について解説する.アンブレラ種の具体例を紹介する.アンブレラ種の生存を保証することは,アンブレラ種の生息域全体とアンブレラ種を支える多くの生物種の生存およびそれらの住処としての生息環境を保証することになることを解説する.猛禽類のオオタカは本来はアンブレラ種であるが,近年はアンブレラ種の地位とは異なったニッチを持つようになった個体群も存在することを紹介する.一部のオオタカは,都市域のも進出し,ビル屋上の給水施設や看板などの構造物で営巣することが知られるようになった.そして,彼らの主な獲物は都会で大量に繁殖する外来生物のドバトであるという.このように一部のオオタカは,これまでの在来生態系における森林環境ではなく,都会環境に適応してそこでの新しいニッチを占めることに成功している.この場合には,オオタカはアンブレラ種とはみなされないことに注意する必要がある.
③ 絶滅危惧種の概念とその特徴について解説する.絶滅危惧種とは,さまざまな要因により個体数が減少し,絶滅の危機に瀕している生物種のことである.レッドデータブックでCRとEN(I類)、VU(II類)に位置づけられたものが絶滅のおそれのある種=絶滅危惧(Endangered Species)である.しかし,社会的には,レッドデータブックに記載されている動植物種(準絶滅危惧種なども含む)全般に対して使われることも多いので,注意が必要である.進化や地球史の過程では絶滅することも自然のプロセスだが、今日の絶滅はそれらとは異なり、さまざまな人間活動の影響によってかつてない速さと規模で進んでいる.それゆえ,絶滅の防止は地球環境保全上の重要な課題となっている.絶滅危惧種の具体例を紹介する.絶滅危惧種の生存を保証することは,絶滅危惧種の生息域全体と絶滅危惧種を支える多くの生物種の生存およびそれらの住処としての生息環境を保証することになることを解説する


キーワード ① キーストーン種 ② アンブレラ種 ③ 絶滅危惧種 ④ 生息環境 ⑤ 具体例
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 キーストーン種,アンブレラ種,絶滅危惧種の概念とその特徴について復習する.アンブレラ種の具体例を復習する.アンブレラ種の生存を保証することは,キーストーン種,アンブレラ種,絶滅危惧種の生息域全体とそれぞれの種を支える多くの生物種の生存およびそれらの住処としての生息環境を保証することになることを復習する.絶滅危惧種の概念とその特徴について復習する.絶滅危惧種の具体例を復習する.絶滅危惧種の生存を保証することは,絶滅危惧種の生息域全体と絶滅危惧種を支える多くの生物種の生存およびそれらの住処としての生息環境を保証することになることを復習する.希少種の概念とその特徴について復習する.希少危惧種の具体例を復習する.希少危惧種の生存を保証することは,希少危惧種の生息域全体と希少危惧種を支える多くの生物種の生存およびそれらの住処としての生息環境を保証することになることを復習する.復習にあたっては,鷲谷いづみ・矢原 徹一(著)「保全生態学入門―遺伝子から景観まで」(文一総合出版)を参照してもよい.試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.配布プリントについて,シラバスの細目レベルの内容をよく参照しながら予習する.
15 指標種の意義と課題 科目の中での位置付け 本コマでは,生物多様性の現状を評価しそれを保全する上で有用な指標種の種類とそれぞれの指標種の意義や概念とその特徴について紹介する.アンブレラ種,絶滅危惧種,象徴種について紹介する.1回は,生物多様性の概念とその類型化について紹介する.2回は,生態系サービスの類型化について紹介する.3−6回は,各種の生態系サービスの具体例とその価値について詳しく紹介する.とくに過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことなどを紹介する.7回は生物多様性条約について解説する.8−9回は,生態系サービスの現状を評価するための様々な尺度について紹介し,それぞれの尺度による生物多様性の現状を明らかにするとともに,これらの尺度の利点と欠点についても解説する.10-12回は,生態系サービスの劣化要因について,日本国内の具体例を用いて解説する.13回は,これまでの解説を元に保全のイデオロギーについて考える.14-15回は,様々な指標種の概念を解説するとともに,それらの利点と欠点,さらに指標としての限界について論じる.
①佐竹義輔ほか『日本の野生植物草本Ⅰ』平凡社,1982年発行,187-235pp.

②レッドデータブック近畿研究会『改訂・近畿地方の保護状重要な植物ーレッドデータブック近畿2001ー』平岡環境科学研究所,2001年発行,4pp.鷲谷いづみ・矢原徹一『保全生態学入門』文一総合出版,69pp.

③資料は準備しない.これまでの解説を基に考察を行う.
コマ主題細目 ① 希少種 ② 象徴種 ③ 指標種の問題点 ④ ⑤
細目レベル ① 希少種の概念とその特徴について解説する.希少種の具体例を紹介する.希少種の生存を保証することは,希少種の生息域全体と絶滅危惧種を支える多くの生物種の生存およびそれらの住処としての生息環境を保証することになることを解説する.ここでは,九州大学のキャンパス移転予定地で調査結果を基に,出現頻度の低い希少種の実情について紹介する.九州大学のキャンパス移転予定地における374ブロックの調査の結果,合計で241種が出現したが,半数の種は1〜5ブロックにしか出現しない希少種であった.次に,希少種の代表例であるラン科植物について紹介する.無葉ラン(腐性ラン)は菌類に寄生する従属栄養生物である.無葉ランの生育を保証するためには,どのような条件が必要かを考察する.
② ここでは,象徴種の概念とその特徴について解説する.象徴種のの生存を保証することは,象徴種の生息域全体と絶滅危惧種を支える多くの生物種の生存およびそれらの住処としての生息環境を保証することになることを解説する.象徴種の具体例について解説する.鳥類では,タンチョウヅル,ライチョウ,イヌワシ,トキなどがよく例に挙げられる.水路や水田の保全においては,ホタルやメダカが象徴種として取り上げられることが多い.ただし,メダカは環境省の絶滅危惧種であるが,ゲンジボタルやヘイケボタルは環境省の絶滅危惧種でないことに注意する必要がある.また,環境相の絶滅危惧種でないにもかかわらず,ブナやヨシあるいはササユリなどの植物種が象徴種として取り上げられる.ゲンジボタル,ブナ,ヨシ,ササユリなどが象徴種として取り上げられる理由はそれらの知名度が高く,景観的あるいは個々の種の見栄えがよくて社会的にアピールするからである.タンチョウヅル,ライチョウ,イヌワシ,トキなどのように象徴種が絶滅危惧種に該当する場合もあるが,そうでない場合も多いことに注意すべきである.
③ マスコミ報道や一過性のイベントではしばしば特定の象徴種にのみ関心が払われるが,象徴種はその種に象徴される生息/生育環境の保護のためのアピール手段である.本来の目的を見失わないためにも,このことは十分認識する必要がある.例えば,「ブナ林(日本の代表的な冷温帯落葉広葉樹林)の保護」と「ブナという種の保護」は,まったく意味が異なる. ある指標種の保護は,とりもなおさずその種を含む生態系の保全に強く関係している.しかしながら,指標種の保護のみによって生態系の保全が達成されると考えることはあまりにも近視眼的であり,生態系の複雑さと多様性を認識していないとの批判を受けることになるだろう.それぞれの指標種の持つ「指標としての意義とその限界」を十分に理解することが肝要である.


キーワード ① 希少種 ② 象徴種 ③ 問題点 ④ 生息環境の保全 ⑤ 本来の目的
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 希少種と象徴種の概念とその特徴について復習する.希少種と象徴種の具体例を復習する.希少種と象徴種の生存を保証することは,希少種と象徴種の生息域全体と希少種と象徴種を支える多くの生物種の生存およびそれらの住処としての生息環境を保証することになることを復習する.絶滅危惧種の概念とその特徴について復習する.絶滅危惧種の具体例を復習する.絶滅危惧種の生存を保証することは,絶滅危惧種の生息域全体と絶滅危惧種を支える多くの生物種の生存およびそれらの住処としての生息環境を保証することになることを復習する.希少種の概念とその特徴について復習する.希少危惧種の具体例を復習する.希少危惧種の生存を保証することは,希少危惧種の生息域全体と希少危惧種を支える多くの生物種の生存およびそれらの住処としての生息環境を保証することになることを復習する.復習にあたっては,鷲谷いづみ・矢原 徹一(著)「保全生態学入門―遺伝子から景観まで」(文一総合出版)を参照してもよい. 試験時の参照物持ち込みは不可なので,普段からの復習をしっかりしておくこと.
履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
①生物多様性と生態系サービス 生物多様性の定義と具体例について説明することができる.生態系サービスについて,具体例を挙げながら解説することができる.それらの具体例を類型化することができる.各種の生態系サービスの具体例とその価値について具体例を挙げて紹介することができる.過去の人類の歴史が,生態系サービスの上に成り立ってきたこと,生態系サービスが巨万の富をもたらすこと,その一方で争いの原因となってきたことを実例を用いて解説することができる. 生物多様性,生態系サービス,直接的価値,間接的価値 20 1-5
②生物多様性の指標と生物多様性の劣化要因 生物多様性を評価する各種の指標とその特性を説明できる.レッドリストインデックスの定義を説明でき,それに基づいた分類群別のリスクを解説できる.リビングプラネットインデックスの定義を説明でき,それに基づいた環境別のリスクを解説できる.平均栄養段階の定義を説明でき,それに基づいた分類群別のリスクを解説できる.生息環境の消失について,温帯域と熱帯域における消失年代の違いを説明できる.これら各種の尺度のそれぞれの利点と欠点を解説できる.日本における生物多様性の劣化原因である第一の危機,第二の危機,第三の危機,第四の危機のそれぞれの内容と具体例を解説できる. レッドリストインデックス,リビングプラネットインデクス,平均栄養段階,生息地面積の変化,第一の危機,第二の危機,第三の危機,第四の危機 20 8–11
③保全のイデオロギーと

指標種
保全において指標となる生態的指標種,キーストーン種,アンブレラ種,絶滅危惧種,希少種,象徴種のそれぞれについて,各種の定義について説明できる.生態的指標種の具体例を挙げることができる.キーストーン種の具体例を挙げることができる.アンブレラ種の具体例を挙げることができる.絶滅危惧種の具体例を挙げることができる.希少種の具体例を挙げることができる.象徴種の具体例を挙げることができる.これら指標種のそれぞれの利点と欠点および限界について解説できる. キーストーン種,アンブレラ種,絶滅危惧種,希少種,象徴種 20 12–15
④日本の生物多様性劣化要因 環境省が2010年に発行した生物多様性総合評価報告書の中で示された日本の絶滅危惧生物の各分類群ごとの絶滅要因の結果について理解している.すべての分類群に共通する減少要因と,分類ごとに異なる減少要因について理解している.日本における生物多様性の劣化要因について,環境省が発行した生物多様性総合評価報告書(2010)に紹介された第1の危機,第2の危機,第3の危機,第4の危機の4類型を理解している.第1の危機と第2の危機の内容の違いを具体例を挙げて解説することができる. 第1の危機,第2の危機,第3の危機,第4の危機,絶滅危惧種 20 10-11
⑤生物多様性条約 生物多様性の,目的とその意義を解説することができる.生物多様性条約におけるABS (access and benefit sharing)の概念について解説できる.名古屋議定書において採択された生物資源の原産国の主権について理解している.名古屋議定書とボン・ガイドラインについて解説する.ボン・ガイドラインにおける生物資源の国際的な移動についてPIC政府(行政所轄部局)許可とMAT当事者(所有者・権利者)間契約の二つを求めていることを「理解している. 生物多様性条約,ABS,名古屋議定書

20 1-7
評価方法 試験による。試験時の参照物の持ち込みは不可。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 使用しない.適宜配布プリントを使用.以下の参考書を強く薦める.
参考文献 生態系サービスと人類の将来(オーム社,2,800円),エコロジー講座3 なぜ地球の生き物を守るのか(文一総合出版,1,600円),なぜ生態系を守るのか?(NTT出版,1,900円),日本の生物多様性(平凡社,3,500円),保全生物学のすすめ 改訂版(文一総合出版,3,800円)
実験・実習・教材費 不要