区分 (生)フィールド生態科目 フィールド生態共通科目 (環)フィールド生態科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門性 理解力 実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
専門知識 教養知識 思考力
実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ

科目の目的
本科目では、海洋生態学の基礎的知識を学ぶことで、海洋環境および海洋生物に関する機能と構造について理解を深めることにある。海洋生態学は、いわゆる生態学、海洋学、水産学、そして気象学など幅広い裾野を持った広大な学問であるため、多角的な視点からの知識の理解が必要とされる。そのため、本科目では非生物的環境および生物的環境の両面から理解を深める。さらに、海洋生態学の理解を深めることにより、自然環境保全および水産資源管理を行う上での基礎的知見を得るものとなる。
到達目標
海洋生態学を理解する上で必要となる、海洋生物の多様性、海洋生態系、海洋生態系の食物網、海洋生物の特性や移動、海洋生態系の長期変動や人間活動との関りに関する基礎的知見を学び理解することが目標である。この学びの中では、海洋生態学に関する基礎的な用語やその内容に関しても正しく理解することが必要である。
科目の概要
本科目では、海洋環境および海洋生物からなる海洋生態系の構造と機能についての基礎的知識を非生物的環境と生物的環境の両方の視点から学ぶ。具体的には、第1回では、海洋生態学の学問としての位置づけ紹介し、生態学の対象テーマの広がりを概観する。第2回では生物多様性の基礎的知識を学び、海洋生態系における多様性について学ぶ。第3回では、海洋生態学の理解に必要な基礎生産について学ぶ。第4回から第6回では海洋生態系について海中と海底の区分に分け、それぞれの生態系の海洋環境と生物の特徴について学ぶ。第7回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態系の中に区分される各生態系の基礎的知見を理解を深める。第8回では、海洋生態系における捕食ー被食といった食物関係を学ぶ。第9回から第11回では、海洋生物の生活史として産卵から成熟に至る過程、個体群の特性を学ぶ。第12回では、海洋生物の回遊や鉛直移動について学ぶ。第13回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。第14回では、海洋生態系に及ぼす人間活動の影響に関して学ぶ。第15回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態学全体を概観する。
科目のキーワード
①海洋生態学 ②非生物的環境 ③生物的環境 ④多様性 ⑤基礎生産 ⑥海洋生態系 ⑦生活史 ⑧食物関係 ⑨移動 ⑩変動
授業の展開方法
主たる教材として、教科書指定した「海洋生態学」の内容についての解説をパワーポイントのスライドやその他資料を用いて行う。配布プリントには、適宜空欄を設けておくため、講義で説明した内容に関する用語や説明をスライドをもとに配布プリントに記載する形式とする。適宜資料として画像や映像を提示し、海洋生態学に関する興味・関心を養うとともに、基礎的な知識を習得する。また講義中にわからないことがあれば、コメントシートにコメントをしてもらい、次回の講義内でその内容に関してフィードバックを適宜行っていく。
オフィス・アワー
【火曜日】昼休み・1・2時限目、【水曜日】昼休み・3・4時限目(会議日は除く)、【木曜日】昼休み
科目コード ENS221
学年・期 2年・前期
科目名 海洋生態学
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 選択
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 基礎生態学
展開科目 水生動物生態実習
関連資格 なし
担当教員名 中束明佳
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 海洋生態学とは 科目の中での位置付け 本科目では、海洋環境および海洋生物からなる海洋生態系の構造と機能についての基礎的知識を非生物的環境と生物的環境の両方の視点から学ぶ。具体的には、第1回では、海洋生態学の学問としての位置づけ紹介し、生態学の対象テーマの広がりを概観する。第2回では生物多様性の基礎的知識を学び、海洋生態系における多様性について学ぶ。第3回では、海洋生態学の理解に必要な基礎生産について学ぶ。第4回から第6回では海洋生態系について海中と海底の区分に分け、それぞれの生態系の海洋環境と生物の特徴について学ぶ。第7回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態系の中に区分される各生態系の基礎的知見を理解を深める。第8回では、海洋生態系における捕食ー被食といった食物関係を学ぶ。第9回から第11回では、海洋生物の生活史として産卵から成熟に至る過程、個体群の特性を学ぶ。第12回では、海洋生物の回遊や鉛直移動について学ぶ。第13回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。第14回では、海洋生態系に及ぼす人間活動の影響に関して学ぶ。第15回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態学全体を概観する。第1回では、海洋生態学の学問としての位置づけ紹介し、生態学の対象テーマの広がりを概観する。
【コマ主題細目①】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp. 1-6

【コマ主題細目②】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp. 1-6

【コマ主題細目③】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp. 1-6
コマ主題細目 ① 海洋生態学とは ② 表層海流と深層循環 ③ 漂泳生態系と底生生態系
細目レベル ① "生態学"とは”生物の生活の法則をその環境との関係で解き明かす科学”であるとされており、”海洋生態学”は生態学、海洋学、水産学、そして気象学など幅広い裾野をもった広大な学問分野である。地球の地表面の70%は海洋であり、海洋生態学が対象とする面積は膨大で、対象は多岐にわたる。海洋生態系には、サンゴ礁、マングローブ、干潟、砂浜域、藻場、潮間帯、漂泳区、深海、海溝部超深海、熱水生態系など個性豊かな数々の生態系が含まれている。また、海洋は地球上に生息する、ほぼ全ての動物門が生息している生命の源でもある。海洋生態系を特徴づける最も大きな環境因子の1つは、海水の持つ物理化学的な性質がある。海水は空気に比べ、比熱が高く、密度が大きく粘土が高いため、温度変化が少なく、重力の影響を受けつらく移動する場合の抵抗はより大きくなる。
② 海洋の特徴としては、海がつながっており、循環している点がある。海洋の表層には、一般的に言われる海流が存在する。北半球(南半球)では中高緯度に反時計回り(時計回り)の亜寒帯循環、中緯度に時計回り(反時計回り)の亜熱帯循環が存在する。これらの循環系は風により駆動され、海洋の西側、大陸の東側で強い流れとなり、日本近海では良く知られた黒潮(亜熱帯循環)や親潮(亜寒帯循環)である。このような表層の流れとは別に熱塩循環(深層大循環)と呼ばれ、全休を巡るゆっくりとした大きな流れがある。海水の比重は、水温が低く塩分が高いほど重たくなる。重たい海水はより深くまで沈み、高塩分な海水が強く冷却された場合に深層水が形成される。深層循環は、およそ1000~2000年で地球を一周すると推定されている。
③ 海洋生態系は大きく漂泳生態系と底生生態系に分けられる。漂泳生態系とは海水中に浮いているまたは泳いでいる生物によって構成される生態系である。漂泳生態系は、表層(0~200m)、中深層(200~1000m)、深層(1000m以深)など深度帯によって、沿岸と沖合、気候帯や海流区によって区分できる。漂泳生態系では、植物プランクトンを一次生産者とし、それを動物プランクトンが捕食し、魚類、鯨類など遊泳生物(ネクトン)を高次捕食者とする構成には大きな変化はない。それに対し、底生生態系は、海の底に棲んでいる生物により構成される生態系である。底生生態系は非常に多様で、サンゴ礁、干潟、海草藻場、岩礁、海洋底、熱水生態系など、基質(泥、砂、岩など)、潮汐、水深、栄養塩・有機物供給などによって特徴的な生態系が構成される。さらに、これらの個生態系は独立して存在するのではなく、お互いに作用を及ぼしながら存在していると考えられる。
キーワード ① 海洋生態学 ② 海流 ③ 深層循環 ④ 漂泳生態系 ⑤ 底生生態系
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【予習課題】シラバスの科目の目的、到達目標、科目の概要、科目のキーワード、授業の展開方法を読み、この科目では何を学んでいくのかを把握する。さらに、コマシラバスの主題、コマ主題細目、細目レベル、キーワード等に一通り目を通し、本科目がどのような流れで進んでいくのかを確認する。また、第1回のコマシラバスを読み、内容を理解できない箇所、わからない用語などに印をつけておく。さらにコマシラバスの右欄の教材・教具に記載されている参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)の該当ページを読んだり、図書館やインターネットを用いて関連事項を調べてみたりする。この際にも、不明な用語や内容に関しては印をつけるもしくはノートに書き出す等をしておく。この予習課題に取り組むことで、授業の理解が深まる。
2 海洋生物の多様性 科目の中での位置付け 本科目では、海洋環境および海洋生物からなる海洋生態系の構造と機能についての基礎的知識を非生物的環境と生物的環境の両方の視点から学ぶ。具体的には、第1回では、海洋生態学の学問としての位置づけ紹介し、生態学の対象テーマの広がりを概観する。第2回では生物多様性の基礎的知識を学び、海洋生態系における多様性について学ぶ。第3回では、海洋生態学の理解に必要な基礎生産について学ぶ。第4回から第6回では海洋生態系について海中と海底の区分に分け、それぞれの生態系の海洋環境と生物の特徴について学ぶ。第7回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態系の中に区分される各生態系の基礎的知見を理解を深める。第8回では、海洋生態系における捕食ー被食といった食物関係を学ぶ。第9回から第11回では、海洋生物の生活史として産卵から成熟に至る過程、個体群の特性を学ぶ。第12回では、海洋生物の回遊や鉛直移動について学ぶ。第13回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。第14回では、海洋生態系に及ぼす人間活動の影響に関して学ぶ。第15回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態学全体を概観する。第2回では生物多様性の基礎的知識を学び、海洋生態系における多様性について学ぶ。
【コマ主題細目①】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、 pp.7-9

【コマ主題細目②】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.7-15

【コマ主題細目③】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.15-20
コマ主題細目 ① 遺伝的多様性 ② 種多様性 ③ 景観の多様性
細目レベル ① 生物多様性(biodiversity)とは、個体群から生物圏全体にいたるさまざまな階層レベルで見られる生物の多様性を称したものを指す言葉である。具体的には、個体群レベルでは遺伝的多様性、群集レベルでは種多様性、生態系レベルでは群集や景観の多様性を示す。遺伝的多様性とは、ある1種、あるいは1個体群を形成する個体の間に見られる遺伝子の多様性を意味する。遺伝的多様性の研究は、生物に見られるさまざまな形質の進化的な基盤を解明するという進化生物学の目的の達成に不可欠なばかりでなく、地域的に離散して生息している野外集団の間の交流の頻度を推定したり、全滅が危惧される希少種の健全性や存続性を評価したりする応用的な目的にも有効である。遺伝的多様性の研究では、分子マーカーを用いた集団遺伝学的な解析などがある。
② 種多様性とは、いろいろな動物・植物や菌、バクテリアなどが生息・生育していることをいう。海洋生物の種多様性は場所により大きく変異する。地球全体スケールで比較すると、多くの分類群で熱帯の方が温帯や寒帯よりも種多様性が高い。海洋の種多様性は、水深によっても大きく変わり、水深に伴って変化する環境勾配は多様であり、それぞれの海域や対象分類群の特性に応じてさまざまなパターンが生じる。種多様性はより小さいスケールで作用する環境要因に応じても変化する。例えば、台風などに伴う強い波浪や、大雨による河川から沿岸域への土砂流入、寒帯域での流氷の接岸などは、主要な物理的撹乱として、特に底生生態系の生物群集に影響を与える。撹乱が激しい場所、あるいは撹乱の頻度が高い場所では、多くの生物が生息できず種多様性は低い。また、撹乱が弱く穏やかな環境が安定して継続する場合は、競争に強い種類が弱い種類を排除するため、種多様性下がる。中程度の撹乱が適度な頻度で生ずるところが最も種多様性が高くなる。
③ 海洋生態系における景観の多様性とは、干潟、岩礁、藻場、サンゴ礁といった様々な景観があり、このような景観の違いやその組み合わせを総称するものである。これらの景観は多様な生物に生息場所を提供している。また、海洋では、サンゴ礁、藻場、マングローブのように景観自体が生物である場合が多く、その動態はその景観を生息場所として利用するほかの生物に大きな影響を与える。熱帯域の沿岸域ではマングローブ、海草藻場、サンゴ礁が、陸側から沖側にかけて連続して分布する。一方、温帯域では、塩性湿地や干潟からアマモ場、あるいは岩礁潮間帯から階層藻場へと景観が水深とともに連続的に移行する。景観の多様性の研究では、リモートセンシングや理知情報システム、テレメトリー法、遺伝的解析法など多岐にわたる。
キーワード ① 生物多様性 ② 群集 ③ 遺伝的多様性 ④ 種多様性 ⑤ 景観の多様性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】コマシラバス、授業中に配布された資料を再度確認し、参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)、用語、キーワード、内容に関して不明な点がないかを確認する。意味がつかめていない、もしくは自分では説明できない内容については、図書館などにある他の海洋生態学に関連する書籍・文献、インターネットなどを参照して、意味を理解しておく。この際、用語やキーワードから、その意味や内容を説明でき、意味や内容から用語やキーワードを言えるかを確認することで、用語やキーワードを覚えたことをチェックすることができる。
【予習課題】コマシラバスを読み、内容を理解できない箇所、わからない用語などに印をつけておく。さらにコマシラバスの右欄の教材・教具に記載されている参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)の該当ページを読んだり、図書館やインターネットを用いて関連事項を調べてみたりする。この際にも、不明な用語や内容に関しては印をつけるもしくはノートに書き出す等をしておく。この予習課題に取り組むことで、授業の理解が深まる。

3 基礎生産過程 科目の中での位置付け 本科目では、海洋環境および海洋生物からなる海洋生態系の構造と機能についての基礎的知識を非生物的環境と生物的環境の両方の視点から学ぶ。具体的には、第1回では、海洋生態学の学問としての位置づけ紹介し、生態学の対象テーマの広がりを概観する。第2回では生物多様性の基礎的知識を学び、海洋生態系における多様性について学ぶ。第3回では、海洋生態学の理解に必要な基礎生産について学ぶ。第4回から第6回では海洋生態系について海中と海底の区分に分け、それぞれの生態系の海洋環境と生物の特徴について学ぶ。第7回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態系の中に区分される各生態系の基礎的知見を理解を深める。第8回では、海洋生態系における捕食ー被食といった食物関係を学ぶ。第9回から第11回では、海洋生物の生活史として産卵から成熟に至る過程、個体群の特性を学ぶ。第12回では、海洋生物の回遊や鉛直移動について学ぶ。第13回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。第14回では、海洋生態系に及ぼす人間活動の影響に関して学ぶ。第15回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態学全体を概観する。第3回では、海洋生態学の理解に必要な基礎生産について学ぶ。
【コマ主題細目①】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.122-126

【コマ主題細目②】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.122-126

【コマ主題細目③】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.126-139
コマ主題細目 ① 海洋での光合成 ② 海洋植物プランクトンと光合成 ③ 光と光合成
細目レベル ① 海洋における光合成生物は、海洋生態系の根源となる生物群であることから、基礎生産者(一次生産者)と呼ばれる。海洋の光合成生物は、ワカメやコンブなどの大型藻類、アマモなどの海草類、そして植物プランクトンおよび微細真核藻類、酸素日発生型光合成細菌などにより構成される。海洋の基礎生産の大部分は酸素発生型の光合成物が担っている。近年、海色衛星リモートセンシングにより、地球規模での純基礎生産の時系列データの取得が可能となった。植物プランクトンの年間の単位面積当たりの純基礎生産は大型藻類や海草と比較すると低い値であるが、外洋域では植物プランクトンが主要な基礎生産者となる。年間の海洋純基礎生産のうち、海洋に生息する大型藻類と海草が占める割合は全体の7%程度であり、90%程度は海洋植物プランクトンが占める。
② 海洋植物プランクトンによる基礎生産力を制御する因子は、植物プランクトンの光合成を制御する因子(例えば、光、水温、栄養物質)と植物プランクトンの現存量を支配する要因(例えば、水柱の安定性、二次生産者による捕食、沈降)に大別される。また、緯度の違いにより表層の基礎生産力の季節変動は異なり、低緯度の熱帯および亜熱帯外洋域(湧昇域を除く)では、年間を通して生産力の変動は小さい。中緯度の温帯域では、基礎生産力の季節変化が明瞭であり、冬季において活発な水柱の鉛直混合により大量の栄養塩が表層にもたらされる。この中緯度域においては、春季ブルームと呼ばれる、植物プランクトンの大繁殖が起こり、基礎生産力が年間を通してもっとも高くなる。高緯度の表層では、日射量が増加する夏季を除き、水中の成層化が発達しないことから、光不足による基礎生産力が制限される。
③ 光合成に利用できる可視光線(400~700nm)は、光合成有効放射と呼ばれ、水深とともに指数関数的に減少する。光合成により光エネルギーを科学柄寝るg-に変換する最初の過程は、光合成色素による光吸収である。光合成色素は、細胞内の色素体に含まれている。植物プランクトンを含む藻類が持つ光合成色素はクロロフィル、カロテノイド、フィコビリンに大別され、それぞれ複数の種種が存在する。最も代表的な光合成色素であるクロロフィルでは最大光吸収波長領域が青色域(430nm)と赤色域(約675nm)にあり、カロテノイドでは青緑色域(450~500nm)、フィコビリンでは黄赤色域(500~650nm)である。陸上植物は、フィコビリンを持たず、クロロフィルa、bと限られたカロテノイドしか持たないのに対し、海水中の藻類は極めて多様な光合成色素を持つことが知られている。
キーワード ① 光合成 ② 基礎生産者 ③ 植物プランクトン ④ 春季ブルーム ⑤ 光合成色素
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】コマシラバス、授業中に配布された資料を再度確認し、参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)、用語、キーワード、内容に関して不明な点がないかを確認する。意味がつかめていない、もしくは自分では説明できない内容については、図書館などにある他の海洋生態学に関連する書籍・文献、インターネットなどを参照して、意味を理解しておく。この際、用語やキーワードから、その意味や内容を説明でき、意味や内容から用語やキーワードを言えるかを確認することで、用語やキーワードを覚えたことをチェックすることができる。
【予習課題】コマシラバスを読み、内容を理解できない箇所、わからない用語などに印をつけておく。さらにコマシラバスの右欄の教材・教具に記載されている参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)の該当ページを読んだり、図書館やインターネットを用いて関連事項を調べてみたりする。この際にも、不明な用語や内容に関しては印をつけるもしくはノートに書き出す等をしておく。この予習課題に取り組むことで、授業の理解が深まる。

4 海中生態系 科目の中での位置付け 本科目では、海洋環境および海洋生物からなる海洋生態系の構造と機能についての基礎的知識を非生物的環境と生物的環境の両方の視点から学ぶ。具体的には、第1回では、海洋生態学の学問としての位置づけ紹介し、生態学の対象テーマの広がりを概観する。第2回では生物多様性の基礎的知識を学び、海洋生態系における多様性について学ぶ。第3回では、海洋生態学の理解に必要な基礎生産について学ぶ。第4回から第6回では海洋生態系について海中と海底の区分に分け、それぞれの生態系の海洋環境と生物の特徴について学ぶ。第7回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態系の中に区分される各生態系の基礎的知見を理解を深める。第8回では、海洋生態系における捕食ー被食といった食物関係を学ぶ。第9回から第11回では、海洋生物の生活史として産卵から成熟に至る過程、個体群の特性を学ぶ。第12回では、海洋生物の回遊や鉛直移動について学ぶ。第13回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。第14回では、海洋生態系に及ぼす人間活動の影響に関して学ぶ。第15回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態学全体を概観する。第4回では海洋生態系の中でも、海中生態系に関して、海洋環境と生物の特徴について学ぶ。
【コマ主題細目①】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.21-47

【コマ主題細目②】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.47-61

【コマ主題細目③】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.61-67
コマ主題細目 ① 外洋域 ② 沿岸域 ③ 海氷域
細目レベル ① 外洋域において、水分子以外に光を吸収する主要な要素は植物プランクトンである。植物プランクトンが光合成によって呼吸量を保証するだけの光量の達する深さを補償深度といい、それ以浅を有光層という。この補償深度は栄養塩が少なく植物プランクトンの少ない亜熱帯海域で100~150m、植物プランクトンの多い亜寒帯域では10~70m程度である。有光層以深においても光合成がわずかながら行われるが、呼吸量を上回ることはなく、水柱当たりの積算光合成量が積算呼吸量と一致する深度を臨界深度といい、表層混合層がこの深度を超えると、水中の植物プランクトンの内的増加率もふとなる。表層混合層が臨界深度を超えることは、鉛直混合の盛んな温帯域から極域において冬季にみられる。
② 沿岸域とは、大陸棚以浅の海域を示す。大陸棚はおおむね200mよりも浅く、海洋面積の7.4%を占める。沿岸域では、河川や地下水からの淡水供給により、外洋域より塩分が低く、表層では塩分20以下となることも少なくない。また、外洋域とは異なり、沿岸域の生物と生態系は、陸域や海底から様々な物理的、科学的影響を受ける。潮汐の作用は海洋全体に及ぶが、特に沿岸生態系において顕著に表れる。満潮時には海面下に、干潮時には陸地となる潮間帯には、その特殊な環境を反映した生態系が構成される。また、海岸では、沖合から波が次々と打ち寄せるため、砕波帯付近に蓄積した海水が海岸に平行な流れを形成し、並岸流(沿岸流)となる。並岸流が強くなり、打ち寄せる波が海流を沿岸に押し込むエネルギーを超えると、海水は急に沖向きに流れ、離岸流となる。これらの流れはベントスや魚類仔稚魚の分散・移動に大きな影響を与える。また、河川水は海洋に淡水と陸起源物質を供給する。淡水と海水の混合過程および塩分躍層の強さ構造が、沿岸域生態系の栄養塩循環や生態系に大きな影響を及ぼす。また沿岸域には沿岸湧昇が起こり、中層から栄養塩が供給され生産性の高い海域になる。
③ 海水は塩分33では-1.8℃で結氷する。結氷域の面積は冬季に最大となり、北極海では1600万㎢、南極海では1900万㎢であり、結氷する海域は10%弱である。海面が海氷で覆われることにより、海氷に覆われない開放水面とは大きく異なる特徴的な環境が形成される。それは、海氷の形成時に海水へ及ぼす影響に加え、海氷が存在することによる海氷中の環境への影響、および生物の生息基盤として海氷内部の空間と海氷下面の存在である。海氷下の海水中では、低照度のため、基礎生産は極めて低く、純生産は負となる。また、海氷形成時に排出されるブラインが深層まで沈み込むため、海氷融解期を除けば表層に密度躍層が形成されず、植物プランクトンが表層にとどまることが困難である。しかし、植物プランクトンが海氷下面やブラインチャンネル内部に分布すれば、海氷は安定した光環境を植物に提供する基盤の役割を持っている。
キーワード ① 補償深度・臨界深度 ② 有光層 ③ 表層混合層 ④ 鉛直混合 ⑤ 密度躍層
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】コマシラバス、授業中に配布された資料を再度確認し、参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)、用語、キーワード、内容に関して不明な点がないかを確認する。意味がつかめていない、もしくは自分では説明できない内容については、図書館などにある他の海洋生態学に関連する書籍・文献、インターネットなどを参照して、意味を理解しておく。この際、用語やキーワードから、その意味や内容を説明でき、意味や内容から用語やキーワードを言えるかを確認することで、用語やキーワードを覚えたことをチェックすることができる。
【予習課題】コマシラバスを読み、内容を理解できない箇所、わからない用語などに印をつけておく。さらにコマシラバスの右欄の教材・教具に記載されている参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)の該当ページを読んだり、図書館やインターネットを用いて関連事項を調べてみたりする。この際にも、不明な用語や内容に関しては印をつけるもしくはノートに書き出す等をしておく。この予習課題に取り組むことで、授業の理解が深まる。

5 海底生態系① 科目の中での位置付け 本科目では、海洋環境および海洋生物からなる海洋生態系の構造と機能についての基礎的知識を非生物的環境と生物的環境の両方の視点から学ぶ。具体的には、第1回では、海洋生態学の学問としての位置づけ紹介し、生態学の対象テーマの広がりを概観する。第2回では生物多様性の基礎的知識を学び、海洋生態系における多様性について学ぶ。第3回では、海洋生態学の理解に必要な基礎生産について学ぶ。第4回から第6回では海洋生態系について海中と海底の区分に分け、それぞれの生態系の海洋環境と生物の特徴について学ぶ。第7回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態系の中に区分される各生態系の基礎的知見を理解を深める。第8回では、海洋生態系における捕食ー被食といった食物関係を学ぶ。第9回から第11回では、海洋生物の生活史として産卵から成熟に至る過程、個体群の特性を学ぶ。第12回では、海洋生物の回遊や鉛直移動について学ぶ。第13回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。第14回では、海洋生態系に及ぼす人間活動の影響に関して学ぶ。第15回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態学全体を概観する。第5回では海洋生態系の中でも、海底生態系の区分や、岩礁海岸、河口・内湾域に関する海洋環境と生物の特徴について学ぶ。
【コマ主題細目①】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.68-70

【コマ主題細目②】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.70-82

【コマ主題細目③】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.82-100
コマ主題細目 ① 海底生態系の区分 ② 岩礁海岸 ③ 河口・内湾域
細目レベル ① 海底には基準の異なるいくつかの区分方法があるが、水深に伴う光環境の変化によって、光合成生物の補償深度以浅の有光層内にある浅海底とそれ以深の海底に区分される。浅海底の中で、陸域との境界を海岸と呼び、海岸は、波浪に対する露出度により外海性海岸と内湾性海岸に分けられ、さらに主な底質の違いにより岩礁海岸と砂浜海岸などに区分される。また河川が海に流入する河口周辺を河口域と呼び、淡水と海水とが混ざりあう場所を汽水域と呼ぶ。波浪の影響を受けにくく、海底勾配の緩やかな内湾域などの潮間帯が広範囲に広がる場所を干潟と呼ぶ。さらに熱帯から亜熱帯の沿岸や河口域の潮間帯では、塩水に耐性をを持つ樹木がマングローブを形成する。熱帯および亜熱帯の一部では、外洋に面した海岸にサンゴ礁が発達する。波の穏やかで水深が浅い場所には、海草藻場や砂浜が形成される。一方、有光層以深の深海底には、熱帯噴出域、冷水湧水域などがある。
② 岩礁海岸は、岩盤や大型の岩石が主要な底質となっている。岩石は安定した基質であることから、大型海藻が群落を形成可能であり、固着動物が生息できる。比較的波あたりの強い岩礁には、生物が帯状に分布する帯状分布がみられる。岩礁海岸の鉛直方向の区分については、いくつか異なる考えが提唱されているが、生物の帯状分布様式を基準にした一つの考えでは、潮上帯、潮上帯下縁部、真潮間帯、潮間帯上縁部、潮下体の5の区分に分けられる。フジツボ類の分布上限からタマキビ類の分布上限までの区域を潮上帯下縁部と呼び、これより上方を潮上帯と呼び陸生生活に適応した動植物が生息する。フジツボ類の分布上限より下部でコンブ類などの大型褐藻類の分布上限までの幅広い区域を真潮間帯(中潮間帯)とよび、フジツボ類、イガイ類、カキ類などが分布する。大潮最低低潮線より上部で大型褐藻類の分布上限より下の狭い区域を潮下帯上縁部とよび、コンブ類やホンダワラ類などの大型褐藻類も多く、カイメン類、コケムシ類、ホヤ類などの固着性の懸濁物職者も多く分布する。大潮の最干潮時にも干出することのない区分は、潮下帯(漸深帯)と呼ばれ、アラメ、カジメ、コンブ類などの褐藻類の種類も多く分布している。
③ 河口・内湾域の海底生態系は、塩分、水深、地形や波浪の強さなどの非生物学的要因、および主要優先生物の違いなどといった様々な基準により分類可能である。河川から河口域にかけての堆積物底に形成されているが、土壌が塩分を含む部分は塩性湿地と呼ばれる。熱帯から亜寒帯にかけての塩性湿地では、マングローブが発達する。塩性湿地より海側の波あたりの潮間帯で泥や細かな砂が堆積して平坦な場所を干潟、波あたりの強い場所で粗めの砂が堆積している環境を砂浜と呼ぶ。干潟は、地形により前浜干潟、河口干潟、潟湖干潟などに分類される。またアマモが優先する温帯域の海草藻場はアマモ場と呼ばれる。また、堆積物底の環境勾配では、塩分勾配、温度・干出ストレス、底質組成と撹乱、富栄養化と貧酸素化などがあげられる。このような環境における生物群集に関して、塩性湿地においては植物は草本類が主体となり、動物類も昆虫などの陸上動物に加え、乾燥や低塩分条件に適応した軟体動物や多毛類、甲殻類などの解散無脊椎動物が生息している。干潟においては、干潟の表面にはコアマモなどの海草類、アオサ類などの海藻類、ホソウミニナなどの巻貝、カニ類などみられ、干潟の内側には多毛類、二枚貝類、甲殻類などのほかに、ホシムシ類、ユムシ類などさまざまな動物門にわたる底生動物が生息している。海草藻場においては、海草類が分布し、多様な無脊椎動物、巻貝、多毛類など多く分布する。その中のアマモ場では、ウミガメ類、鳥類、哺乳類も餌場として利用しており、熱帯の海草藻場ではジュゴンやマナティなども分布する。
キーワード ① 汽水域 ② 潮間帯 ③ 環境勾配 ④ 富栄養化 ⑤ 貧酸素
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】コマシラバス、授業中に配布された資料を再度確認し、参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)、用語、キーワード、内容に関して不明な点がないかを確認する。意味がつかめていない、もしくは自分では説明できない内容については、図書館などにある他の海洋生態学に関連する書籍・文献、インターネットなどを参照して、意味を理解しておく。この際、用語やキーワードから、その意味や内容を説明でき、意味や内容から用語やキーワードを言えるかを確認することで、用語やキーワードを覚えたことをチェックすることができる。
【予習課題】コマシラバスを読み、内容を理解できない箇所、わからない用語などに印をつけておく。さらにコマシラバスの右欄の教材・教具に記載されている参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)の該当ページを読んだり、図書館やインターネットを用いて関連事項を調べてみたりする。この際にも、不明な用語や内容に関しては印をつけるもしくはノートに書き出す等をしておく。この予習課題に取り組むことで、授業の理解が深まる。

6 海底生態系② 科目の中での位置付け 本科目では、海洋環境および海洋生物からなる海洋生態系の構造と機能についての基礎的知識を非生物的環境と生物的環境の両方の視点から学ぶ。具体的には、第1回では、海洋生態学の学問としての位置づけ紹介し、生態学の対象テーマの広がりを概観する。第2回では生物多様性の基礎的知識を学び、海洋生態系における多様性について学ぶ。第3回では、海洋生態学の理解に必要な基礎生産について学ぶ。第4回から第6回では海洋生態系について海中と海底の区分に分け、それぞれの生態系の海洋環境と生物の特徴について学ぶ。第7回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態系の中に区分される各生態系の基礎的知見を理解を深める。第8回では、海洋生態系における捕食ー被食といった食物関係を学ぶ。第9回から第11回では、海洋生物の生活史として産卵から成熟に至る過程、個体群の特性を学ぶ。第12回では、海洋生物の回遊や鉛直移動について学ぶ。第13回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。第14回では、海洋生態系に及ぼす人間活動の影響に関して学ぶ。第15回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態学全体を概観する。第6回では海洋生態系の中でも、海底生態系のマングローブ、サンゴ礁、深海底に焦点をあて海洋環境と生物の特徴について学ぶ。
【コマ主題細目①】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.101-106

【コマ主題細目②】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.106-114

【コマ主題細目③】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.114-121
コマ主題細目 ① マングローブ域 ② サンゴ礁域 ③ 深海底
細目レベル ① 熱帯や亜寒帯においてマングローブが発達する潮間帯を、特にマングローブ域と呼ぶ。マングローブとは耐塩性の被子植物による林のことであり60~70種類ほどの植物種が知られている。マングローブ域には、マングローブが形成する鉛直的な空間の中に、海洋生物からなる生態系と陸上生物からなる生態系の両者が存在する。満潮時においても冠水することのないマングローブの樹幹や樹枝上、林冠部は、鳥類や爬虫類、昆虫などさまざまな陸上生物に利用され、満潮時に海水に没する林床部には、底生の無脊椎動物を主とする海洋生物群集が常時存在する。冠水時には、遊泳性の魚類や甲殻類なども流入する。マングローブ内に生息する鳥類や爬虫類は、マングローブの樹木上に分布する昆虫のみならず、林床に生息する海洋無脊椎動物や魚類も餌とする。
② サンゴ礁とは、造礁サンゴなどの動物の石灰質組織の集積によって形成される地形のことである、サンゴ礁の発達した沿岸域をサンゴ礁を称する。サンゴは、刺胞動物門花虫鋼に属する動物群のうち硬い骨格を持つものであり、造礁サンゴはそのうち、大きな石灰質の硬い骨格をつくることにより特有な地形を形成する。サンゴ礁は、その地形的な特徴に基づき3つの基本形に区分され、海岸に沿って帯状に形成されている裾礁、海岸から距離をおいて並走するように形成される堡礁、陸地を伴わずサンゴ礁のみが環状に存在する環礁である。サンゴ礁は海岸に沿って形成されるため、深度や場所による波あたりの違いによって特徴的な地形が帯状に形成され、海岸側から礁原、礁斜面に大別され、礁原はさらに内側の礁池と外側の礁嶺に区分される。サンゴ礁域は、海底生態系の中でもっとも生物群集が多様で複雑な生態系の1つである。理由として、サンゴ礁は複雑な地形を形成している動物、造礁サンゴそのものの多様性が高いとこにある。造礁サンゴ類は寿命が長く、硬い石灰質の骨格を持つため、他の生物によって多様かつ安定したマイクロハビタットを継続的に提供している。このマイクロハビタットに、サンゴの骨格を付着基質とするカイメン類、コケムシ類、二枚貝類などの固着動物、底生微細藻類や小型の海藻類などが付着増殖し、新たなマイクロハビタットを形成し、それらを棲み場や索餌場とする巻貝類、甲殻類、棘皮動物などが集まり、さらにそれらを捕食する大型の魚類や甲殻類が集まってくる。
③ 深海は、水深が200mより深い海域を指し、この定義に従えば、深海域は面積では世界の海の90%、体積では実に98%を占めることになる。水深200m程度になると、十分な光が届かなくなり、植物による一次生産は行われない。多くの海域においては、150~200m程度で大陸棚の縁から傾斜が急な大陸斜面に移行し、これらに伴い、底生生物の種構成も水深200m前後で大きく変わることが多い。大陸斜面はやがて傾斜がゆるくなり、大洋底と呼ばれる太平洋においては水深5,000m前後の平坦な海底に移行する。太平底は各地に複雑な地形もあり、海山、海溝、中央海嶺などが存在する。さらに、熱水噴出域、冷水湧水域などもある。深海域では光がほとんど届かないため、光合成を行う植物、すなわち陸上や浅海でみられる主要な一次生産者がいない。1,000m以深では光が全く届かないため、自ら発光して暗黒環境での生活にうまく適応している生物もいる。深海の水温は非常に低く2~4℃程度で、大きな特徴としては環境が極めて安定していることである。深海生物の特徴の1つは、浅海にいる近縁種より巨大化したものが多く、例としてダイオウイカやダイオウグソクムシなどが有名である。また水深に伴い底生生物の個体数は生物量は減少する。熱水噴出孔には、地球から湧き出す化学物質を食物網の出発点とする特殊な化学物質を食物網の出発点とする特異な化学合成生態系が形成されている。
キーワード ① マングローブ ② サンゴ礁 ③ 深海域 ④ 熱水噴出域 ⑤ 冷水湧水域
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】コマシラバス、授業中に配布された資料を再度確認し、参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)、用語、キーワード、内容に関して不明な点がないかを確認する。意味がつかめていない、もしくは自分では説明できない内容については、図書館などにある他の海洋生態学に関連する書籍・文献、インターネットなどを参照して、意味を理解しておく。この際、用語やキーワードから、その意味や内容を説明でき、意味や内容から用語やキーワードを言えるかを確認することで、用語やキーワードを覚えたことをチェックすることができる。
【予習課題】コマシラバスを読み、内容を理解できない箇所、わからない用語などに印をつけておく。さらにコマシラバスの右欄の教材・教具に記載されている参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)の該当ページを読んだり、図書館やインターネットを用いて関連事項を調べてみたりする。この際にも、不明な用語や内容に関しては印をつけるもしくはノートに書き出す等をしておく。この予習課題に取り組むことで、授業の理解が深まる。

7 まとめ① 科目の中での位置付け 本科目では、海洋環境および海洋生物からなる海洋生態系の構造と機能についての基礎的知識を非生物的環境と生物的環境の両方の視点から学ぶ。具体的には、第1回では、海洋生態学の学問としての位置づけ紹介し、生態学の対象テーマの広がりを概観する。第2回では生物多様性の基礎的知識を学び、海洋生態系における多様性について学ぶ。第3回では、海洋生態学の理解に必要な基礎生産について学ぶ。第4回から第6回では海洋生態系について海中と海底の区分に分け、それぞれの生態系の海洋環境と生物の特徴について学ぶ。第7回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態系の中に区分される各生態系の基礎的知見を理解を深める。第8回では、海洋生態系における捕食ー被食といった食物関係を学ぶ。第9回から第11回では、海洋生物の生活史として産卵から成熟に至る過程、個体群の特性を学ぶ。第12回では、海洋生物の回遊や鉛直移動について学ぶ。第13回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。第14回では、海洋生態系に及ぼす人間活動の影響に関して学ぶ。第15回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態学全体を概観する。第7回では第1回から第6回の内容をまとめ、海洋生態系について、多様性、生態系区分とった観点から構造や機能について理解を深める。
【コマ主題細目①】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.1-20

【コマ主題細目②】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.122-139

【コマ主題細目③】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.19-121
コマ主題細目 ① 海洋生態学と海洋生物の多様性 ② 基礎生産過程 ③ 海洋生態系
細目レベル ① 第1回では、海洋生態学の位置づけや、海洋生態学が対象とするものに関して全体像を示した。さらに、海洋生態系の非生物的環境として、海洋環境や地理的内容、生物的環境として生態系を構成する生物種に関して概要を示した。海洋環境では、表層にみられる海流から、地球規模で循環として亜寒帯循環や亜熱帯循環などについても学んだ。第2回では、生物多様性に関しての基礎的事項を理解した後、海洋生物の多様性に関して、個体群レベルでは遺伝的多様性、群集レベルでは種多様性、生態系レベルでは景観の多様性といった観点からそれぞれの特徴について学んだ。これら多様性を理解する上では、それに関連する環境要因やそれに関連する生物の特性や違いについても合わせて学んだ。
② 第3回では、海洋生態系における基礎生産過程を学んだ。基礎生産の基本となるものは、海洋における光合成であり、光合成物を行う様々な生物種が存在し、ワカメやコンブなどの大型藻類、アマモなどの海草類、植物プランクトン、微細真核藻類、光合成細菌が存在することを理解し、それらが海洋の純生産にどのように寄与しているかについて学んだ。さらに植物プランクトンに関して、光合成を制御する因子、季節変化、栄養塩、鉛直混合、湧昇域、春季ブルームといった関連する事柄について学んだ。さらに光合成を行う上で必要となる、光合成色素であるクロロフィル、カロテノイド、フィコビリンについて、それぞれの光吸収波長領域についても学んだ。
③ 第4回では、海中生態系について外洋域、沿岸域、海氷域の区分からそれぞれの特徴について学んだ。外洋域では、生産者である植物プランクトンの光合成に関する内容や、有光層、補償深度、臨界深度といった内容について学んだ。沿岸域においては、大陸棚の特徴と、それに関連する海洋環境や生物の特性について学んだ。第5~6回では、海底生態系について、岩礁海岸、河口域・内湾域、マングローブ域、サンゴ礁域、海底域の区分を示し、それらの特徴について学んだ。岩礁海岸では、それを形成する地形や生物種の特徴を、地形区分とともに学んだ。河口域・内湾域においては、塩分、水深、地形、波浪といった非生物学的要因が大きく影響するため、その特性について示した後、干潟やアマモ場などについて学んだ。さらに、マングローブ、サンゴ礁域についてはそれらの構造と機能について、深海域については深海の定義、深海域の地理的区分や特性、そこに生息する生物について学んだ。
キーワード ① 多様性 ② 基礎生産 ③ 光合成 ④ 海中生態系 ⑤ 海底生態系
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】コマシラバス、授業中に配布された資料を再度確認し、参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)、用語、キーワード、内容に関して不明な点がないかを確認する。意味がつかめていない、もしくは自分では説明できない内容については、図書館などにある他の海洋生態学に関連する書籍・文献、インターネットなどを参照して、意味を理解しておく。この際、用語やキーワードから、その意味や内容を説明でき、意味や内容から用語やキーワードを言えるかを確認することで、用語やキーワードを覚えたことをチェックすることができる。
【予習課題】コマシラバスを読み、内容を理解できない箇所、わからない用語などに印をつけておく。さらにコマシラバスの右欄の教材・教具に記載されている参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)の該当ページを読んだり、図書館やインターネットを用いて関連事項を調べてみたりする。この際にも、不明な用語や内容に関しては印をつけるもしくはノートに書き出す等をしておく。この予習課題に取り組むことで、授業の理解が深まる。

8 海洋生態系の食物関係 科目の中での位置付け 本科目では、海洋環境および海洋生物からなる海洋生態系の構造と機能についての基礎的知識を非生物的環境と生物的環境の両方の視点から学ぶ。具体的には、第1回では、海洋生態学の学問としての位置づけ紹介し、生態学の対象テーマの広がりを概観する。第2回では生物多様性の基礎的知識を学び、海洋生態系における多様性について学ぶ。第3回では、海洋生態学の理解に必要な基礎生産について学ぶ。第4回から第6回では海洋生態系について海中と海底の区分に分け、それぞれの生態系の海洋環境と生物の特徴について学ぶ。第7回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態系の中に区分される各生態系の基礎的知見を理解を深める。第8回では、海洋生態系における捕食ー被食といった食物関係を学ぶ。第9回から第11回では、海洋生物の生活史として産卵から成熟に至る過程、個体群の特性を学ぶ。第12回では、海洋生物の回遊や鉛直移動について学ぶ。第13回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。第14回では、海洋生態系に及ぼす人間活動の影響に関して学ぶ。第15回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態学全体を概観する。第8回では、海洋生態系における捕食ー被食といった食物関係を学ぶ。
【コマ主題細目①】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.140-147

【コマ主題細目②】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.147-152

【コマ主題細目③】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.152-156
コマ主題細目 ① 生物量とサイズ ② 摂餌の多様性 ③ 生態系調整
細目レベル ① 生物群集において捕食ー被食関係に注目した場合、基礎生産(一次生産)を食物として利用する植食者を1次消費者と呼び、植食者を餌とする動物は2次消費者、そして、さらに上位の動物を順次、3次、4次消費者と称する。この連なりを生態系ピラミッドと呼び、個々の階層を栄養段階という。マグロ類や海棲哺乳類などの大型捕食者は、サバ類、イカ類などの中型遊泳動物を餌とし、中型魚がイワシ類などの小型魚を、イワシ類はオキアミやカイアシ類などの動物プランクトンを、動物プランクトンは珪藻類などの基礎生産者に加えて繊毛虫などの微小動物プランクトンを微小動物プランクトンは、2~20μm以下のピコ植物プランクトンや細菌を主な餌としている。海洋域における生態系ピラミッドでは、高次生物ほど生産量が小さくなるピラミッド型を示す海域もあれば、基礎生産者の生物量より1次消費者の生物量が大きいまたは同等であるクリスマスツリー型の構造も海洋ではよく観察される。また捕食ー被食関係は食物網と呼ばれる複雑なネットワークとなっている。前述の基礎生産者から高次捕食者につながる連鎖は生食(植食)食物連鎖とも呼ばれている。
② 海洋生物の食性は、摂餌対象から以下のように分類される。「食物食」は、海藻(草)類、植物プランクトン、または基質に付着した藻類を主要な餌とする。「動物食」は、生きた餌を捕える捕食者と動物の死骸を利用する屍肉食者が含まれる。「デトリタス食性」は、動植物の死骸や排泄物を期限とする不定型物質をデトリタスと呼び、底生生物をはじめ様々な動物がこれを主要な餌として利用する。また食性における多様性は、主に遊泳力、口器や消火器の形状などの摂餌に関わる形態学的特徴と、摂餌現場における餌生物相を反映している。海洋の捕食者が特定の餌種を専食することは稀で、形態的制限の範囲内で幅広く摂取し、このような修正を機会的摂餌と呼ぶ。機械的捕食者の食性を決定する要因としては、摂餌器官形態、成長と分布変化、季節、時間帯などがあげられる。
③ 動物は採った餌をどうかすることによって、成長や栄養蓄積をしている。そのため、食物連鎖で下位に位置する餌生物の量によって、成長量や個体数に制限をうける場合があり、こうした調整機構をボトムアップ調整と呼ぶ。一方、捕食の影響により個体数や生物量が調整されることをトップダウン調整と呼ぶ。両調整の作用の方向が逆でありばかりでなく、後述のように作用に要する時間スケールも異なる。ボトムアップ調整の考え方は直感的に理解しやすいが、沖合や外洋といった開放水域において、低次生産から高次動物に至る調節機構が作用していることを立証するのは意外に難しい。トップダウン調節では、捕食者による餌生物の枯渇が比較的短期間に生じることが多く、この枯渇は通常の野外観察や採集によって検知されやすい。また捕食による影響が3段階以上の栄養段階を通じて順次負の方向におよぶとき、これを栄養カスケードと呼ぶ。
キーワード ① 生態系ピラミッド ② 食物連鎖 ③ 食物網 ④ ボトムアップ調節 ⑤ トップダウン調節
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】コマシラバス、授業中に配布された資料を再度確認し、参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)、用語、キーワード、内容に関して不明な点がないかを確認する。意味がつかめていない、もしくは自分では説明できない内容については、図書館などにある他の海洋生態学に関連する書籍・文献、インターネットなどを参照して、意味を理解しておく。この際、用語やキーワードから、その意味や内容を説明でき、意味や内容から用語やキーワードを言えるかを確認することで、用語やキーワードを覚えたことをチェックすることができる。
【予習課題】コマシラバスを読み、内容を理解できない箇所、わからない用語などに印をつけておく。さらにコマシラバスの右欄の教材・教具に記載されている参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)の該当ページを読んだり、図書館やインターネットを用いて関連事項を調べてみたりする。この際にも、不明な用語や内容に関しては印をつけるもしくはノートに書き出す等をしておく。この予習課題に取り組むことで、授業の理解が深まる。

9 海洋生物の生活史特性① 科目の中での位置付け 本科目では、海洋環境および海洋生物からなる海洋生態系の構造と機能についての基礎的知識を非生物的環境と生物的環境の両方の視点から学ぶ。具体的には、第1回では、海洋生態学の学問としての位置づけ紹介し、生態学の対象テーマの広がりを概観する。第2回では生物多様性の基礎的知識を学び、海洋生態系における多様性について学ぶ。第3回では、海洋生態学の理解に必要な基礎生産について学ぶ。第4回から第6回では海洋生態系について海中と海底の区分に分け、それぞれの生態系の海洋環境と生物の特徴について学ぶ。第7回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態系の中に区分される各生態系の基礎的知見を理解を深める。第8回では、海洋生態系における捕食ー被食といった食物関係を学ぶ。第9回から第11回では、海洋生物の生活史として産卵から成熟に至る過程、個体群の特性を学ぶ。第12回では、海洋生物の回遊や鉛直移動について学ぶ。第13回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。第14回では、海洋生態系に及ぼす人間活動の影響に関して学ぶ。第15回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態学全体を概観する。第9回では、海洋生物の生活史特性の中でも、卵・産卵、初期生活史、性転換に焦点をあて、それらの特性を学ぶ。
【コマ主題細目①】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.171-175

【コマ主題細目②】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.175-177

【コマ主題細目③】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.186-187
コマ主題細目 ① 卵・産卵 ② 初期生活史 ③ 性転換と環境性決定
細目レベル ① 生物が出生してから死亡するまでにたどる過程のことを生活史という。成熟年齢、成熟サイズ、産卵数・卵サイズ、各発育段階や年齢ごとの成長率・生存率などの量的形成は生活史パラメーターと呼ばれる。これらの生活史パラメーターは次世代に残す子孫の数、つまり適応度に影響することから、生活史の特性は生息環境の特性と関連して進化してきたと考えられる。適応度と関連した生活史は特性は、生活史戦略と呼ばれる。ほとんどの水産動物は卵から生まれる。卵には大別すると2つのタイプがあり、水に浮くう浮性卵、沈む卵の沈性卵があり、一般に、水産動物は非常に小さい卵を多く生む傾向にあり、魚類では直径0.7~2.0㎜の欄を産む種類が多い。卵サイズと卵数はトレードオフの関係にあり、適応度を最大化する最適卵サイズが一義的に決まる。一部の魚類では、卵だけでなく仔稚魚を生む胎生または卵胎生が見られる。特に軟骨魚類は、胎生種のほうが多く、卵を産む種であっても、大卵少産タイプが多く、これらはカイアシ類などの餌が豊富ではなかった2憶年前に進化を遂げてきたからと指摘されている。
② 卵から孵化したばかりの水産動物は、発達が不十分で、幼生期には親と全くことなる形態を示すものが多い。魚類では、親とは形態が異なる幼生を仔魚と呼び、親と同じ形態になってから稚魚と呼ぶ。独特な形態を示す幼生としては、ウナギやアナゴのレプトセファルス幼生(葉型幼生)、イワシのニシンのシラス幼生などがある。またマグロ類やカジキ類の仔魚に特徴とされるように、仔魚期に顎が顕著に大きい形態を示す魚類がいる。これは餌が乏しい沖合域で初期生活史を送るために共食いが進化したためであると指摘されている。幼生期から成体になる過程を変態と呼ぶ。この頃に浮遊生活から、着底(海底に張り付く付着生活に生息場所を変化)する種も多い。また初期生活期における重要な生態学的転換点として、初めて餌を食べる摂餌開始期がある。孵化後しばらくは卵黄エネルギーを利用できるので、餌を食べ場くても死ぬことはない。魚類ではこの時期の仔魚を特に卵黄期仔魚と呼び、自分で餌を食べる外部栄養の仔魚とは区別される。水産動物における初期生活期の重要な転換点は孵化、摂餌開始期、変態、着底の4つとなる。
③ 水産動物の中には、生活史の途中で性が変わるものや、生活史初期の環境条件によって性が決まるものもいる。生活史の途中で性が変わることを性転換といい、クマノミやクロダイなどにみられる雄から雌に変わる場合を雄性先熟、ベラ科、ハタ科、ブダイ科などにみられる雌から雄に変わる場合を雌性先熟と呼ぶ。一方、肺発生の過程で経験した水温やphなどの環境条件によって性が決まることを環境性決定と呼び、トウゴロウイワシなどがこれにあたる。多くの水産動物では、雌の産卵数は体長に対して指数関数的に増加するのに対し、雄は体サイズが大きいからといって受精の機会が必ずしも増えるとは限らない。そのような傾向が顕著な種では、ある年齢まで雄として成熟し、ある年齢以降は雌として成熟する雄性成熟により適応度が最大化される。
キーワード ① 卵 ② 初期生活史 ③ 仔稚魚期 ④ 変態 ⑤ 性転換
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】コマシラバス、授業中に配布された資料を再度確認し、参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)、用語、キーワード、内容に関して不明な点がないかを確認する。意味がつかめていない、もしくは自分では説明できない内容については、図書館などにある他の海洋生態学に関連する書籍・文献、インターネットなどを参照して、意味を理解しておく。この際、用語やキーワードから、その意味や内容を説明でき、意味や内容から用語やキーワードを言えるかを確認することで、用語やキーワードを覚えたことをチェックすることができる。
【予習課題】コマシラバスを読み、内容を理解できない箇所、わからない用語などに印をつけておく。さらにコマシラバスの右欄の教材・教具に記載されている参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)の該当ページを読んだり、図書館やインターネットを用いて関連事項を調べてみたりする。この際にも、不明な用語や内容に関しては印をつけるもしくはノートに書き出す等をしておく。この予習課題に取り組むことで、授業の理解が深まる。

10 海洋生物の生活史特性② 科目の中での位置付け 本科目では、海洋環境および海洋生物からなる海洋生態系の構造と機能についての基礎的知識を非生物的環境と生物的環境の両方の視点から学ぶ。具体的には、第1回では、海洋生態学の学問としての位置づけ紹介し、生態学の対象テーマの広がりを概観する。第2回では生物多様性の基礎的知識を学び、海洋生態系における多様性について学ぶ。第3回では、海洋生態学の理解に必要な基礎生産について学ぶ。第4回から第6回では海洋生態系について海中と海底の区分に分け、それぞれの生態系の海洋環境と生物の特徴について学ぶ。第7回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態系の中に区分される各生態系の基礎的知見を理解を深める。第8回では、海洋生態系における捕食ー被食といった食物関係を学ぶ。第9回から第11回では、海洋生物の生活史として産卵から成熟に至る過程、個体群の特性を学ぶ。第12回では、海洋生物の回遊や鉛直移動について学ぶ。第13回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。第14回では、海洋生態系に及ぼす人間活動の影響に関して学ぶ。第15回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態学全体を概観する。第10回では、海洋生物の生活史特性の中でも、成長と成熟に焦点をあて、それらの特性を学ぶ。
【コマ主題細目①】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.177-186

【コマ主題細目②】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.1177-186

【コマ主題細目③】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.187-190
コマ主題細目 ① 成長のパターンと性差 ② 成長に影響する要因 ③ 成熟年齢と成熟体長
細目レベル ① 水生動物は、成熟した後も、成長し続ける非限定成長という成長パターンを示す。非限定成長の戦略は、様々な体サイズでの繁殖機会の増加によるリスク分散効果があり、子供の生存率の年変動が大きいという海洋環境への適応とも考えられている。非限定成長といっても、年齢を経るに従い、成長は緩やかになり、次第に頭打ちになる。このような成長パターンを記述するモデルととして、ベルタ卵フィーの成長式がある。陸上動物では、概ね雄の方が雌より大きくなるが、魚類では雌の方が雄より大きく成長する種類も多い。成長の性差は、体サイズと繁殖成功度の関係で違いが生じる。魚類では、雌の繁殖成功度は産卵数で決まり、繁殖成功度は体長に対して指数関数的に増加する。
② 水産動物の多くは変温動物であり、生息水温に応じて体温が受動的に決まるので、水温の水産動物の成長を大きく左右する。成長率を最大にする差異的水温は、餌量や体サイズによっても変化し、一般的には、餌が乏しかったり、体サイズが大きくなったりすると最適水温は低くなる。水温の影響は、水温が直接的に成長に及ぼす効果効果であるが、海洋においては餌生物量にも影響するので、水温が間接的な成長に及ぼす効果も大きい。餌の量に限りがある場合、個体数密度が増加すれば、1個体あたりの餌の量は減少し、これは消費型競争と呼ばれる。個体密度が低いときほど、密度依存的な成長が観測されやすいと指摘されている。野外データにおいては、個体数密度と体サイズに負の相関関係が見られることは少ないが、それが密度依存的な成長によるものか、体サイズ依存的なものかの判断は難しい。
③ 一生で一度だけ繁殖することを一回繁殖、何度も繁殖を行うことを多数回繁殖という。一回繁殖の場合は、繁殖後にエネルギーを残す必要がないが、多数回繁殖では繁殖後にもエネルギーを残す必要がある。成熟を開始する年齢は雌雄で異なることが多く、魚類では雄の方が雌よりも早く成熟する。どのくらいの体サイズになってから成熟し、繁殖を開始するかは、残すことができる子孫の数を大きく左右する。十分に大きく成長してから成熟すれば、産卵数は多くすることができるが、成熟までに死亡のリスクがある。逆に早く成熟すれば、繁殖までに生き残る確率は高まるが、体サイズが小さいため産卵数は少ない。つまり、成長と死亡のトレードオフがあり、成長式、死亡率、体サイズと繁殖成功率の関係式が決まれば、適応度を最大化する最適成熟年齢が計算できる。
キーワード ① 体サイズ ② 繁殖成功度 ③ 最適水温 ④ 密度依存 ⑤ 一回繁殖・多回繁殖
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】コマシラバス、授業中に配布された資料を再度確認し、参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)、用語、キーワード、内容に関して不明な点がないかを確認する。意味がつかめていない、もしくは自分では説明できない内容については、図書館などにある他の海洋生態学に関連する書籍・文献、インターネットなどを参照して、意味を理解しておく。この際、用語やキーワードから、その意味や内容を説明でき、意味や内容から用語やキーワードを言えるかを確認することで、用語やキーワードを覚えたことをチェックすることができる。
【予習課題】コマシラバスを読み、内容を理解できない箇所、わからない用語などに印をつけておく。さらにコマシラバスの右欄の教材・教具に記載されている参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)の該当ページを読んだり、図書館やインターネットを用いて関連事項を調べてみたりする。この際にも、不明な用語や内容に関しては印をつけるもしくはノートに書き出す等をしておく。この予習課題に取り組むことで、授業の理解が深まる。

11 海洋生物の個体群特性 科目の中での位置付け 本科目では、海洋環境および海洋生物からなる海洋生態系の構造と機能についての基礎的知識を非生物的環境と生物的環境の両方の視点から学ぶ。具体的には、第1回では、海洋生態学の学問としての位置づけ紹介し、生態学の対象テーマの広がりを概観する。第2回では生物多様性の基礎的知識を学び、海洋生態系における多様性について学ぶ。第3回では、海洋生態学の理解に必要な基礎生産について学ぶ。第4回から第6回では海洋生態系について海中と海底の区分に分け、それぞれの生態系の海洋環境と生物の特徴について学ぶ。第7回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態系の中に区分される各生態系の基礎的知見を理解を深める。第8回では、海洋生態系における捕食ー被食といった食物関係を学ぶ。第9回から第11回では、海洋生物の生活史として産卵から成熟に至る過程、個体群の特性を学ぶ。第12回では、海洋生物の回遊や鉛直移動について学ぶ。第13回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。第14回では、海洋生態系に及ぼす人間活動の影響に関して学ぶ。第15回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態学全体を概観する。第11回では、海洋生物の生活史特性の中でも、個体群特性について学ぶ。
【コマ主題細目①】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.191-193

【コマ主題細目②】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.193-196

【コマ主題細目③】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.196-208
コマ主題細目 ① 個体群構造 ② 生存過程 ③ 加入量変動
細目レベル ① ある空間内に生息する同一種の個体の全体のことを個体群という。水産学では系群という。複数の個体群の集まりのことを、メタ個体群と呼び、個体群の最小の単位を局所個体群と呼ぶ。海洋は空間的に連続しており、海洋生物は海流や潮流に流される浮遊生活期を持つ種が多いため、海洋生物は広範囲に移動分散することができる。そのため、海洋生物は、淡水魚類や陸上動物と比べると地理的に大規模なスケールで遺伝的な交流が観察される。海洋における生物の移動分散パターンを規定する大きな要因は海流である。距離が近くても、水塊や海洋前線などの海洋フロントをまたぐ移動分散が少ない。一方、距離的に遠くても強い海流があれば移動分散は頻繁にあると考えられる。海洋生物においては、陸域や淡水域の生物と比べて移動分散が大きいため、一般的には個体群構造が不明瞭になる傾向にある。
② ある空間内に生息する同一種の個体の全体のことを個体群という。水産学では系群という。複数の個体群の集まりのことを、メタ個体群と呼び、個体群の最小の単位を局所個体群と呼ぶ。海洋は空間的に連続しており、海洋生物は海流や潮流に流される浮遊生活期を持つ種が多いため、海洋生物は広範囲に移動分散することができる。そのため、海洋生物は、淡水魚類や陸上動物と比べると地理的に大規模なスケールで遺伝的な交流が観察される。海洋における生物の移動分散パターンを規定する大きな要因は海流である。距離が近くても、水塊や海洋前線などの海洋フロントをまたぐ移動分散が少ない。一方、距離的に遠くても強い海流があれば移動分散は頻繁にあると考えられる。海洋生物においては、陸域や淡水域の生物と比べて移動分散が大きいため、一般的には個体群構造が不明瞭になる傾向にある。
③ 加入とは、初期減耗を免れてある生活史段階まで生き残り資源に加わること、あるいは、漁獲開始齢に達して漁獲の対象に加わることをいう。一般的には、親の量が多いと、子どものの量も多くなると考えられるが、水産動物では明瞭な親子関係が認められないことが多い。一方で、多くの水産動物では著しく大きな加入量変動が見られる。卓越年級群(同じ年生まれ)が出現し、その年休が数年にわかって資源水準を高めることがある。加入料の多寡を左右するのは死亡率が著しく高い初期生活期の生き残りであると考えられ、主な死亡要因には、飢餓と被食がある。加入料変動の気候は、海洋生態学において重要な研究トピックであり、これまで複数の仮説が提唱されてきた。これらの諸仮説の検証は多く行われてきており、イワシ類の資源変動に関する研究などある。
キーワード ① 個体群 ② 系群 ③ 初期減耗 ④ 加入量 ⑤ 卓越年級群
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】コマシラバス、授業中に配布された資料を再度確認し、参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)、用語、キーワード、内容に関して不明な点がないかを確認する。意味がつかめていない、もしくは自分では説明できない内容については、図書館などにある他の海洋生態学に関連する書籍・文献、インターネットなどを参照して、意味を理解しておく。この際、用語やキーワードから、その意味や内容を説明でき、意味や内容から用語やキーワードを言えるかを確認することで、用語やキーワードを覚えたことをチェックすることができる。
【予習課題】コマシラバスを読み、内容を理解できない箇所、わからない用語などに印をつけておく。さらにコマシラバスの右欄の教材・教具に記載されている参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)の該当ページを読んだり、図書館やインターネットを用いて関連事項を調べてみたりする。この際にも、不明な用語や内容に関しては印をつけるもしくはノートに書き出す等をしておく。この予習課題に取り組むことで、授業の理解が深まる。

12 海洋生物の行動ー回遊・鉛直移動ー 科目の中での位置付け 本科目では、海洋環境および海洋生物からなる海洋生態系の構造と機能についての基礎的知識を非生物的環境と生物的環境の両方の視点から学ぶ。具体的には、第1回では、海洋生態学の学問としての位置づけ紹介し、生態学の対象テーマの広がりを概観する。第2回では生物多様性の基礎的知識を学び、海洋生態系における多様性について学ぶ。第3回では、海洋生態学の理解に必要な基礎生産について学ぶ。第4回から第6回では海洋生態系について海中と海底の区分に分け、それぞれの生態系の海洋環境と生物の特徴について学ぶ。第7回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態系の中に区分される各生態系の基礎的知見を理解を深める。第8回では、海洋生態系における捕食ー被食といった食物関係を学ぶ。第9回から第11回では、海洋生物の生活史として産卵から成熟に至る過程、個体群の特性を学ぶ。第12回では、海洋生物の回遊や鉛直移動について学ぶ。第13回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。第14回では、海洋生態系に及ぼす人間活動の影響に関して学ぶ。第15回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態学全体を概観する。第12回では、海洋生物の生活史特性の中でも、個体群特性について学ぶ。
【コマ主題細目①】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.207-222

【コマ主題細目②】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.222-224

【コマ主題細目③】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.224-230
コマ主題細目 ① 日周鉛直移動 ② 鉛直移動行動と物質循環 ③ 回遊
細目レベル ① 海洋生物の分布様式は、大陸配置や海底・海峡の存在といった地理的要因に加え、水温や光量など物理環境、溶存酸素や栄養塩濃度などの化学環境、餌生物、競合種、捕食者の分布といった生物学的環境によって決定される。日周鉛直移動は、動物プランクトンやネクトンが日没前後の時間帯に上昇移動し、日出前後の時間帯に下降移動することにより、分布深度を昼夜で変える行動様式である。プランクトンとは水の流れに逆らって泳げない生物であり、その水平分布は海流など海水の流れによって規定される。しかし、動物プランクトンの多くが魚類と同様に郵政することまたは沈降を選択することによって、昼夜それぞれの分布深度を能動的に決めている。日周鉛直移動の上昇下降のタイミング、浅層滞在時間、鉛直移動距離(深度)といった行動様式は、種、発育段階および環境要因によって変化する。
② 海洋生物の鉛直移動行動は、高い繁殖成功度を得るための行動であり、海洋生態系における食物網動態を考える上で重要であるが、近年の研究によって物質循環においても重要な役割を果たしている。動物プランクトンやネクトンは、表層で糞粒を排泄し、脱皮するなど、沈降粒子を形成することによって生元素を深層に輸送する生物ポンプを駆動している。このような、重力によって受動的に沈降する粒子生産による生物ポンプ機能と呼ぶ。一方、生物自身が日周および個体発生的鉛直移動で中深層に移動し、呼吸、排泄、および死亡(被捕食を含む)することによって表層から中深層に窒素や炭素を含む有機物を輸送する。この鉛直移動する生元素の輸送は、生物の能動的な行動による。
③ 海洋生態系においては生物の水平的で一定の周期を持つ生息域移動行動を回遊と呼ぶ。多くの場合、再生産(産卵・出産、保育または初期成長)と成長に適した場所が異なるために行われ、摂餌のための移動であれば摂餌回遊、魚類の繁殖のための回遊であれば産卵回遊と目的によって区別した用語が用いられることもある。海洋生物の回遊行動で最もよく見られる移動様式は南北移動である。海洋生態系では小さい生物ほど被捕食による死亡率が高いため、孵化後の初期生活期をいかに早く通り抜けるか否かによって生存率に大きな違いが生じる。魚類や頭足類等の変温動物の最大成長率は水温に依存するため、減耗リスクの高い初期生活史は水温の高い海域で送ることが有利である。一方、暖水域に比べ、冷水域では栄養塩が特に暖水域で産卵し、冷水域に摂餌回遊する種が多くみられる。また、河川と海洋の間を行き来する回遊を通し回遊という。またサケ類で見られる母川回遊がある。
キーワード ① 日周鉛直移動 ② 物質循環 ③ 生物ポンプ機能 ④ 摂餌回遊 ⑤ 産卵回遊
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】コマシラバス、授業中に配布された資料を再度確認し、参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)、用語、キーワード、内容に関して不明な点がないかを確認する。意味がつかめていない、もしくは自分では説明できない内容については、図書館などにある他の海洋生態学に関連する書籍・文献、インターネットなどを参照して、意味を理解しておく。この際、用語やキーワードから、その意味や内容を説明でき、意味や内容から用語やキーワードを言えるかを確認することで、用語やキーワードを覚えたことをチェックすることができる。
【予習課題】コマシラバスを読み、内容を理解できない箇所、わからない用語などに印をつけておく。さらにコマシラバスの右欄の教材・教具に記載されている参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)の該当ページを読んだり、図書館やインターネットを用いて関連事項を調べてみたりする。この際にも、不明な用語や内容に関しては印をつけるもしくはノートに書き出す等をしておく。この予習課題に取り組むことで、授業の理解が深まる。

13 海洋生態系の長期変動 科目の中での位置付け 本科目では、海洋環境および海洋生物からなる海洋生態系の構造と機能についての基礎的知識を非生物的環境と生物的環境の両方の視点から学ぶ。具体的には、第1回では、海洋生態学の学問としての位置づけ紹介し、生態学の対象テーマの広がりを概観する。第2回では生物多様性の基礎的知識を学び、海洋生態系における多様性について学ぶ。第3回では、海洋生態学の理解に必要な基礎生産について学ぶ。第4回から第6回では海洋生態系について海中と海底の区分に分け、それぞれの生態系の海洋環境と生物の特徴について学ぶ。第7回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態系の中に区分される各生態系の基礎的知見を理解を深める。第8回では、海洋生態系における捕食ー被食といった食物関係を学ぶ。第9回から第11回では、海洋生物の生活史として産卵から成熟に至る過程、個体群の特性を学ぶ。第12回では、海洋生物の回遊や鉛直移動について学ぶ。第13回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。第14回では、海洋生態系に及ぼす人間活動の影響に関して学ぶ。第15回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態学全体を概観する。第13回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。
【コマ主題細目①】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.231-235

【コマ主題細目②】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.235-240

【コマ主題細目③】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.240-243
コマ主題細目 ① 海洋環境の長期変動 ② 水産資源の変動要因 ③ 群集や高次捕食者への影響
細目レベル ① 海洋環境は様々な時空間スケールで変動する。例えば、潮汐は約半日周期で干潮を繰り返し、世界の海水温には数十~百年間以上継続する上昇トレンドが認められている。その中で、数十年スケールで生じる変動は、不連続で生じる大規模な生態系の構造改革(レジームシフト)の要因となる。レジームシフトは、全球スケールでテレコネクションが原因となり、大洋あるいは海盆といった広大な空間スケールで起こる現象である。このレジームシフトでは、北太平洋においてもみられ、その影響により、海流や塩分、栄養塩、プランクトン豊度にまで及んでいる。このように、海洋環境の10年スケール変動をもたらす要因は複雑であり、それらの相対的な重要性は年代により変化している。
② 多獲性浮魚類の資源量は大変動することが知られている。日本沿岸では、マイワシの漁獲量が1980年代をピークに急速に減少し、その後低水準となっている。一方、ペルー沿岸でのマイワシ漁獲量も日本沿岸ときわめて似通った傾向を示している。このように流れた地域での同期または逆位相の現象をテレコネクションと呼び、地球規模の長期的な気候変動の関与を示唆している。一方、カタクチイワシの漁獲量も両海域で同調する傾向がみられるが、その変動はマイワシと逆位相であり、このような現象を魚種交替と呼ばれている。これらの資源変動や魚種交替は、海洋環境との関連を示唆されながらもこれらを引き起こす機構(メカニズム)の解明は不明のままであったが、気候変動と仔稚魚の生き残りとの関連からメカニズムを明らかにする研究などが行われている。
③ 生物群集は気候変動に対してどのような応答をするのか各地の事例をみる。事例では、アラスカ湾沿岸の甲殻類と魚類の漁獲量の変化や、北米大西洋岸ロードアイランド沿岸における魚類の魚種交替と、気候変動とがどのように関係していたのかを見ていく。また、海洋生態系において高次栄養段階に属する海棲哺乳類や海鳥類の多くは寿命が長く、個体群の年齢構成が多様でありため、気候変動に対して急激な数量変化を示すことは稀である。しかし、長寿命のため生存中に最低一回は十年規模変動に遭遇する確立が高く、さらに新生子や雛の生存率は、授乳や育雛を行っている親の採餌効率に強く依存する。そのため、高次捕食者の数量動態は多獲性魚類に比べて緩やかでありながらも、採餌海域の生産力の影響、つまりボトムアップ調整を受けやすい。
キーワード ① レジームシフト ② 浮魚類・多捕性浮魚類 ③ 資源量変動 ④ 魚種交替 ⑤ ボトムアップ調整
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】コマシラバス、授業中に配布された資料を再度確認し、参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)、用語、キーワード、内容に関して不明な点がないかを確認する。意味がつかめていない、もしくは自分では説明できない内容については、図書館などにある他の海洋生態学に関連する書籍・文献、インターネットなどを参照して、意味を理解しておく。この際、用語やキーワードから、その意味や内容を説明でき、意味や内容から用語やキーワードを言えるかを確認することで、用語やキーワードを覚えたことをチェックすることができる。
【予習課題】コマシラバスを読み、内容を理解できない箇所、わからない用語などに印をつけておく。さらにコマシラバスの右欄の教材・教具に記載されている参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)の該当ページを読んだり、図書館やインターネットを用いて関連事項を調べてみたりする。この際にも、不明な用語や内容に関しては印をつけるもしくはノートに書き出す等をしておく。この予習課題に取り組むことで、授業の理解が深まる。

14 海洋生態系と人間活動 科目の中での位置付け 本科目では、海洋環境および海洋生物からなる海洋生態系の構造と機能についての基礎的知識を非生物的環境と生物的環境の両方の視点から学ぶ。具体的には、第1回では、海洋生態学の学問としての位置づけ紹介し、生態学の対象テーマの広がりを概観する。第2回では生物多様性の基礎的知識を学び、海洋生態系における多様性について学ぶ。第3回では、海洋生態学の理解に必要な基礎生産について学ぶ。第4回から第6回では海洋生態系について海中と海底の区分に分け、それぞれの生態系の海洋環境と生物の特徴について学ぶ。第7回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態系の中に区分される各生態系の基礎的知見を理解を深める。第8回では、海洋生態系における捕食ー被食といった食物関係を学ぶ。第9回から第11回では、海洋生物の生活史として産卵から成熟に至る過程、個体群の特性を学ぶ。第12回では、海洋生物の回遊や鉛直移動について学ぶ。第13回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。第14回では、海洋生態系に及ぼす人間活動の影響に関して学ぶ。第15回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態学全体を概観する。第14回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。
【コマ主題細目①】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.244-260

【コマ主題細目②】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.260-275

【コマ主題細目③】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.260-275
コマ主題細目 ① 海洋へのインパクト ② 乱獲 ③ 漁業が及ぼす影響
細目レベル ① 人口増加と共に大きな影響を及ぼす人間活動は温暖化ガスの排出として、化石燃料の消費による二酸化炭素の排出や、メタンや肥料などを発生源とする一酸化窒素の排出が挙げられる。人口と人間活動の増加が生態系に及ぼす影響としては、陸上におけるダムの建設や化学肥料の使用により栄養塩供給が変化し、海岸の建設物や養殖施設により沿岸域の形状および生態系を改変した。漁業はほとんどの有用魚類を生産性の限界まで使用し、その多くは乱獲状態にある。人間社会は、大気の生成、漁業生産、汚染物質の浄化など、様々な恩恵を生態系から受けており、これらを総称して生態系サービスという。このサービスの不安定化は経済活動ばかりでなく、社会全体の不安定化にもつながるため、人間活動が生態系にあたる影響を注意深く監視する必要がある。人間活動による海洋生態系への影響として、外洋域および沿岸域での事例を紹介する。外洋生態系へのインパクトとしては、地球温暖化による氷河・氷床融解による地形変化や海面上昇、水温上昇による生物への影響などがある。沿岸域へのインパクトとしては、富栄養化による赤潮の発生、貧酸素水の形成などがある。
② 先史時代の狩猟採集あるいは前近代の伝統的手法による漁撈活動は小規模であったため、資源と生態系への影響は限られていた。しかしながら、19世紀後半以降に機船トロールが導入され、漁獲効率が大幅に高まり、各地の水産資源が過剰漁獲に陥った。このような過剰漁獲状態を乱獲と呼ぶ。水産資源の特徴のひとつに自己更新性がある。ある資源から年々の漁獲量を、再生産される量より少なくとどめることができれば、その資源を持続的に利用できる。しかし、資源の生産力を上回る漁獲を続ければ徐々に減り、漁業の生存が不可能となる。水産資源のもう一つの特徴として、無主物であることが挙げられる。そのため、持続的利用を目的に水産資源を獲り残したとしても、次回以降の出漁時にその資源を利用できる保証はなく、この特性により、水産資源に対して持続性を考慮しない漁業が横行しがちである。タイセイヨウサバなどの海外の事例、北海道のキチジやメヌケ類の事例を紹介する。
③ 漁獲対象資源が大幅に減少すると、可能な限り漁獲圧を軽減を試みるが、資源回復につながらないこともある。これらの問題の解決には、漁獲自身の問題と漁獲が個体群へ及ぼす直接の影響を考える必要がある。漁獲活動は対象となる個体群のみならず、それを取り巻く環境にも何らかの影響を与える場合が多く、底曳網漁業による海底への物理的撹乱などがある。混獲による群集構造の変化や栄養カスケードが各地で報告されている。事例として、底曳網漁業による海底地形の撹乱による海底生物の生息場所を破壊、海面養殖によるマングローブ林やアマモ場の減少、漁獲圧増加に伴う群集構造の変化などがある。また、漁業の影響として、混獲や投棄といった問題もある。
キーワード ① 生態系サービス ② 持続的利用 ③ 乱獲 ④ 混獲 ⑤ 投棄
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】コマシラバス、授業中に配布された資料を再度確認し、参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)、用語、キーワード、内容に関して不明な点がないかを確認する。意味がつかめていない、もしくは自分では説明できない内容については、図書館などにある他の海洋生態学に関連する書籍・文献、インターネットなどを参照して、意味を理解しておく。この際、用語やキーワードから、その意味や内容を説明でき、意味や内容から用語やキーワードを言えるかを確認することで、用語やキーワードを覚えたことをチェックすることができる。
【予習課題】コマシラバスを読み、内容を理解できない箇所、わからない用語などに印をつけておく。さらにコマシラバスの右欄の教材・教具に記載されている参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)の該当ページを読んだり、図書館やインターネットを用いて関連事項を調べてみたりする。この際にも、不明な用語や内容に関しては印をつけるもしくはノートに書き出す等をしておく。この予習課題に取り組むことで、授業の理解が深まる。

15 まとめ② 科目の中での位置付け 本科目では、海洋環境および海洋生物からなる海洋生態系の構造と機能についての基礎的知識を非生物的環境と生物的環境の両方の視点から学ぶ。具体的には、第1回では、海洋生態学の学問としての位置づけ紹介し、生態学の対象テーマの広がりを概観する。第2回では生物多様性の基礎的知識を学び、海洋生態系における多様性について学ぶ。第3回では、海洋生態学の理解に必要な基礎生産について学ぶ。第4回から第6回では海洋生態系について海中と海底の区分に分け、それぞれの生態系の海洋環境と生物の特徴について学ぶ。第7回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態系の中に区分される各生態系の基礎的知見を理解を深める。第8回では、海洋生態系における捕食ー被食といった食物関係を学ぶ。第9回から第11回では、海洋生物の生活史として産卵から成熟に至る過程、個体群の特性を学ぶ。第12回では、海洋生物の回遊や鉛直移動について学ぶ。第13回では、海洋生態系で確認されている環境および生物群集の長期変動に関して実例を通して学ぶ。第14回では、海洋生態系に及ぼす人間活動の影響に関して学ぶ。第15回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態学全体を概観する。第15回では、これまでの回の復習を通して、海洋生態学全体を概観する。
【コマ主題細目①】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.1-139

【コマ主題細目②】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.140-230

【コマ主題細目③】
日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社、pp.231-275
コマ主題細目 ① 基礎生産と海洋生態系 ② 食物関係と海洋生物の特性 ③ 海洋生態系の変動と人間活動
細目レベル ① 第1~2回では、海洋生態学の位置づけや、海洋生態学が対象とするものに関して全体像を示し、海洋生物の多様性に関して、遺伝的多様性、種多様性、景観の多様性といった観点からそれぞれの特徴について学んだ。第3回では、海洋生態系における基礎生産過程を学んだ。基礎生産の基本となるものは、海洋における光合成であり、光合成物を行う様々な生物種である大型藻類、海草類、植物プランクトン、微細真核藻類、光合成細菌について理解し、それらが海洋の純生産にどのように寄与しているかについて学んだ。さらに光合成を行う上で必要となる、光合成色素であるクロロフィル、カロテノイド、フィコビリンについて、それぞれの光吸収波長領域についても学んだ。第4回では、海中生態系について外洋域、沿岸域、海氷域の区分からそれぞれの特徴について、第5~6回では、海底生態系について、岩礁海岸、河口域・内湾域、マングローブ域、サンゴ礁域、海底域の区分を示し、それらの特徴について学んだ。
② 第8回では、生物群集における捕食―被食関係について、生態系ピラミッド、食物連鎖、食物網に関して、それぞれの特徴とそこに関わる生物について学んだ。また、海洋生物の食性について、食物食、動物食、デトリタス食等に区分があることを理解し、食物連鎖の中で起こるボトムアップ調節やトップダウン調節、栄養カスケードといった用語とその内容について学んだ。第9~10回では、海洋生物の生活史特性として卵・産卵、初期生活史、性転換、成長、成熟に関して学んだ。ここでは卵や産卵に関する内容として、卵サイズ、卵数、卵の特徴(浮性卵、沈性卵)、胎生、卵から孵化、そして仔稚魚期へ至る初期生活史について学んだ。第11回では、個体群特性に関する内容として、生存過程や加入量変動といった事柄に対して、初期減耗、加入量、卓越年級群などの内容を踏まえて学んだ。さらに第12回では、海洋生物の回遊や鉛直移動といった特徴的な移動に関して学んだ。
③ 第13回では、生態系の構造改革であるレジームシフトといった大規模な変動と、海洋環境との関連、そしてそれらが生物に及ぼす影響について、具体的事例をもとに学んだ。これらの海洋環境変動について、レジームシフト、エルニーニョ南方振動、長期変動指数、貿易風、アリューシャン低気圧、表面水温などが関連していることも理解してきた。さらに、水産資源の変動について、多獲性浮魚類などの事例をもとに、物理環境、餌料、成長速度が関連していることも示した。第14回では、海洋生態系に及ぼす人間活動に関して、具体的事例を基に学んだ。ここでは、人間活動により、温暖化、富栄養化、乱獲、群集構造の変化、混獲、投棄といった事柄が起き、それらが海洋生態系にどのような影響を及ぼしているかを学んだ。
キーワード ① 多様性 ② 海洋生態系 ③ 海洋生物 ④ 変動 ⑤ 人間活動
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習課題】コマシラバス、授業中に配布された資料を再度確認し、参考文献(日本生態学会編「海洋生態学」共立出版)、用語、キーワード、内容に関して不明な点がないかを確認する。意味がつかめていない、もしくは自分では説明できない内容については、図書館などにある他の海洋生態学に関連する書籍・文献、インターネットなどを参照して、意味を理解しておく。それでも理解できない場合には、担当教員に内容を確認して最終試験までには不明な点がないようにしておく。本授業の理解および最終試験に備えるためにも、用語やキーワードから、その意味や内容を説明でき、意味や内容から用語やキーワードを言えるかを確認することで、用語やキーワードを覚えたことをチェックすることができる。
履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
海洋生態学の理解と海洋生物の多様性 海洋生態学で対象とする海洋生態系は、様々な区分があり、それらの区分を理解している。海洋の特徴としては、循環している点があるが、「亜寒帯循環」「亜熱帯循環」「黒潮」「親潮」「熱塩循環」といった代表的な海流を理解している。海洋生態系を特徴づける大きな因子である海水の基本的な物理化学的は性質を説明できる。海洋生態系で、「漂泳生態系」「底生生態系」はどのように区分されるかを理解できている。「生物多様性」、「遺伝的多様性」、「種多様性」、「景観の多様性」に関して、用語とそれぞれの特徴を理解している。以上の理解している内容について正しい用語、説明を記述できるかを評価する。 海流、漂泳生態系、底生生態系、遺伝的多様性、種多様性、景観の多様性 20 1、2、7
海洋生態系の理解 海洋生態系における基礎生産過程として、海洋における光合成の特徴、植物プランクトンによる基礎生産の特徴と季節や場所での生産力の違い、春季ブルーム、光合成色素の種類と特徴について正しく理解している。海中生態系であれば、外洋域、沿岸域、海氷域があり、海底生態系であれば、岩礁海岸、河口・内湾域、マングローブ域、サンゴ礁域、深海底域があり、それぞれの海域において地理的構造が違い、それに伴い海流や海洋環境も異なり、生息する生物種やそれらの生物の特徴なども異なる。これらの特徴や違いについて、適切な用語で、正しく理解している。以上の理解している内容について正しい用語、説明を記述できるかを評価する。 基礎生産、植物プランクトン、光合成、春季ブルーム、海中生態系、岩礁海岸、河口・内湾域、マングローブ域、サンゴ礁域、深海底域 20 3、4、5、6、7
海洋生態系の食物網 生物群集における捕食―被食関係について理解している。生態系ピラミッドでは、海洋における基礎生産、消費者の関係について、それらに関連する生物情報を踏まえ適切な用語で正しく説明できる。また、捕食―被食関係の食物連鎖や食物網といった用語についても、用語を覚え、内容を正確に理解する。海洋生物の食性は、「食物食」、「動物食」、「デトリタス食」等に区分されるが、これらの用語とその内容について理解している。また、食物連鎖の中で起こるボトムアップ調節やトップダウン調節、栄養カスケードといった用語とその内容について理解している。以上の理解している内容について正しい用語、説明を記述できるかを評価する。 捕食、被食、生態系ピラミッド、食物連鎖、食物網、食性、ボトムアップ調節、トップダウン調節、栄養カスケード 15 8、15
海洋生物の特性 海洋生物の生活史特性として卵・産卵、初期生活史、性転換、成長、成熟を、個体群特性として個体群構造、生存過程、加入量変動に関する事柄を理解しているか評価する。生活史特性の具体的事項では、卵や産卵に関する内容として、卵サイズ、卵数、卵の特徴(浮性卵、沈性卵)、胎生などについて用語とそれらの関係性について理解している。卵から孵化後の初期生活史について、どのような過程を経るのかを理解している。特に魚類に関する初期生活史の過程や成長段階毎の特徴を正しい用語と内容で理解している。さらに種により異なる性転換のきっかけや傾向にはどのようなものがあるかを理解している。成長に関しては、生物種による成長パターンとその特徴、成長に影響する要因、成熟年齢と成熟体長にはどのような傾向があり、その傾向はどのような理由から起因するものなのかについて理解している。また、個体群特性に関する内容の具体的事項として、海洋生物における個体群や系群の特徴について正しい用語と内容を理解している。生存過程や加入量変動に関する内容として、初期減耗、自然死亡、漁獲死亡、加入、卓越年級群などの用語を理解するとともに、生存過程・加入量変動にどのような影響を及ぼすかについて理解している。以上の理解している内容について正しい用語、説明を記述できるかを評価する。 卵、産卵、初期生活史、性転換、成長、成熟、加入量、初期減耗、自然死亡、漁獲死亡、卓越年級群 20 9、10、11、15
海洋生物の回遊と鉛直移動 海洋生物は、鉛直的な生息環境選択戦略として鉛直移動、水平的な環境選択戦略である回遊を行うが、その種類と適応意義について理解しているかを評価する。具体的には、日周鉛直移動とはどのようなものであるのか、生物種による異なる日周鉛直移動の特徴、適応意義、制限要因に関して理解しているか、さらに回遊とはどのようなものであるか、回遊の種類、生物種による異なる回遊とその特徴について、正しい用語と内容を理解しているかを評価する。 生息環境選択戦略、環境選択戦略、鉛直移動、回遊 15 12、15
海洋生態系の長期変動と人間活動 海洋環境は様々な時空間スケールで変動し、レジームシフトといった大規模な生態系の構造改変が起こる。この変動に関して、どのような要因があるのか、そして、その影響はどのようなものかについて理解しているかを評価する。具体的には、海洋環境変動について、レジームシフト、エルニーニョ南方振動、長期変動指数、貿易風、アリューシャン低気圧、表面水温などの用語と内容を理解している。また、水産資源の変動について、物理環境、餌料、成長速度の観点から正しい用語とその内容を理解している。また、海洋生態系と人間活動の関連について、温暖化、富栄養化、乱獲、群集構造の変化、混獲、投棄などの内容について理解しているかを評価する。 レジームシフト、海洋環境変動、表面水温、温暖化、富栄養化、乱獲、混獲、投棄 10 13、14、15
評価方法 最終試験による評価(100%)
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 なし
参考文献 日本生態学会編/担当編集委員 津田敦, 森田健太郎(2016)『海洋生態学 シリーズ現代の生態学 10』共立出版株式会社, 3,740円. 關 文威 (著), 長沼 毅 (翻訳)(2005)『生物海洋学入門第二版』講談社サイエンティフィック,4,290円. 竹内俊郎ら(2016)『水産海洋ハンドブック 第3版』生物研究社, 8,250円. 矢部衛ら(2017)『魚類学』恒星社恒星閣, 4,950円. 水産海洋学会編(2014)『水産海洋学入門 』講談社, 4,290円.
実験・実習・教材費 なし