区分 (生)フィールド生態科目 フィールド生態共通科目 (環)フィールド生態科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門性 理解力 実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
専門知識 教養知識 思考力
実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ

科目の目的
 地球の陸地面積の約27%が森林である。森林は多様な生物に食物や生息場所を提供しており、陸上生物種の約2/3が生息する生物多様性の宝庫である。さらに森林は、大気や水などの物理環境と相互作用する生態系であり、地球規模の気象プロセスにも多大な影響を与えている。また、中山間地においては、林業という面で地域経済を支えている。
 本講義では、このように様々な役割を果たす森林生態系の特徴と、適切な森林管理方法を理解するとともに、森林が抱える諸問題の解決に向けて何をすべきか考えられるようになることを目的とする。本講義は2つのパートに分けて実施することとし、まずは前半部分では、森林全体を知るためのベースになる森林生態学の基礎について学ぶ。後半部分では、これまで学んだ基礎的なことを一歩進め、森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか、森林施業の現場をシミュレーションする形をとりながら、理解を深めていく。

到達目標
 森林生態系が成り立つしくみを理解するとともに、森林を保全管理していくための知識を身につけ、森林が抱える諸問題の解決に向けて何をすべきか考えることができる。
科目の概要
 本科目では、森林生態学の基礎的な理論から現場で活用するための実践的な理論までを体系的に学ぶ。全体二部構成とし、第一部(1回目から6回目まで)の講義では森林生態系を理解するための基礎的な理論を、第二部(7回目から14回目まで)は森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか実践的な理論を学ぶ。15回目の講義は、知識の定着を図るための復習回とする。
 第一部の構成は次のとおりである。1回目では森林と立地環境との関係について、2回目では森林の縦方向、横方向の構造と森林動態について、3回目では森林の生存戦略の一環である生活史戦略について、4回目では森林の生存戦略の一環である資源獲得戦略について、5回目では森林と水循環について、6回目では国内の森林の成立要素と森林の機能について、これらを段階的に学ぶ。
 第二部の構成は次のとおりである。7回目では森林の調査方法について、8回目では既存の森林をどのように整備するべきか施業計画について、9回目では森林整備によって将来森林がどのように変化するかその予想や管理方法について、10回目では森林管理のための伐採について、11回目では伐採の再造林に関する方法について、12回目では伐採跡地の森林の更新について、13回目では生理的な視点から健全に森林に育成について、14回目では病虫獣害など森林被害と被害防除方法について、これらを段階的に学ぶ。


科目のキーワード
①森林生態系  ②生存戦略  ③水循環  ④森林の保全  ⑤森林の育成
授業の展開方法
 本講義の展開は、講義をメインとする。しかし、講義のみの一方通行なものだけでは、「考える力」をつけることができないため、練習問題を通じて応用力を養うこととする。そのため、講義内の流れは以下のとおりとする。
(1) 前回の講義の最後に復習課題として出した練習問題を解説する。
(2) その回の講義を行う。
(3) 講義内容を定着するために、復習課題としてその回の講義に関する練習問題を出す。
 このような、「講義→練習問題→(次のコマで)練習問題の解説」 という形を繰り返すことで、自ら調べて考える意識を身につける。

オフィス・アワー
【月曜日】1時限目・昼休み(後期のみ)、【火曜日】2時限目・昼休み(前期のみ)、【水曜日】1時限目・昼休み
科目コード ENS235
学年・期 2年・後期
科目名 森林生態学
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 選択
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 基礎生態学
展開科目 緑地・森林管理学、野生動物管理学
関連資格 なし
担当教員名 江口則和
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 基礎編:森林と環境 科目の中での位置付け  本科目では、森林生態学の基礎的な理論から現場で活用するための実践的な理論までを体系的に学ぶ。全体二部構成とし、第一部(1回目から6回目まで)の講義では森林生態系を理解するための基礎的な理論を、第二部(7回目から14回目まで)は森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか実践的な理論を学ぶ。第一部に関して、1回目では森林と立地環境との関係について、2回目では森林の縦方向、横方向の構造と森林動態について、3回目では森林の生存戦略の一環である生活史戦略について、4回目では森林の生存戦略の一環である資源獲得戦略について、5回目では森林と水循環について、6回目では国内の森林の成立要素と森林の機能について、これらを段階的に学ぶ。第二部に関して、7回目では森林の調査方法について、8回目では既存の森林をどのように整備するべきか施業計画について、9回目では森林整備によって将来森林がどのように変化するかその予想や管理方法について、10回目では森林管理のための伐採について、11回目では伐採の再造林に関する方法について、12回目では伐採跡地の森林の更新について、13回目では生理的な視点から健全に森林に育成について、14回目では病虫獣害など森林被害と被害防除方法について、これらを段階的に学ぶ。15回目の講義は、知識の定着を図るための復習回とする。
 1回目は、基礎編「森林と環境」として、最初に授業全体の実施方法について、次に森林植生を決める各種要因について、最後に気候帯と森林との関係について学ぶ。


①授業配布資料
 石井ら(2019)森林生態学, ppi-ii, 朝倉書店, 3200円+税

②石井ら(2019)森林生態学, pp1-3, 朝倉書店, 3200円+税

③石井ら(2019)森林生態学, pp4-6, 朝倉書店, 3200円+税

コマ主題細目 ① ガイダンス ② 森林植生を決める要因 ③ 気候帯と森林
細目レベル ① 本授業の目的と授業構成について理解する。
 地球の陸地面積の約27%が森林である。森林は多様な生物に食物や生息場所を提供しており、陸上生物種の約2/3が生息する生物多様性の宝庫である。さらに森林は、大気や水などの物理環境と相互作用する生態系であり、地球規模の気象プロセスにも多大な影響を与えている。また、中山間地においては、林業という面で地域経済を支えている。
 本講義では、このように様々な役割を果たす森林生態系の特徴と、適切な森林管理方法を理解するとともに、森林が抱える諸問題の解決に向けて何をすべきか考えられるようになることを目的とする。本講義は2つのパートに分けて実施することとし、まずは前半部分では、森林全体を知るためのベースになる森林生態学の基礎について学ぶ。後半部分では、これまで学んだ基礎的なことを一歩進め、森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか、森林施業の現場をシミュレーションする形をとりながら、理解を深めていく。


② 森林を決定づける環境について理解する。
 地球上の植生分布は、主に気温や降水量といった「気候」によって決定される。その一方で、そのほかにも様々な要因がはたらいて、ある地域の植生が決まっていく。気候以外の要因としては、標高や斜面方位などの「地形」、母岩や地層などの「地質」など様々な要因が挙げられる。
 まず気候について。森林を含む世界の植生帯は、気温と降水量で大まかに分類できる。平均気温は緯度の変化に伴い、赤道から極地に向かって低下する。降水量は、沿岸部から内陸に向かって少なくなる傾向がある。気温が低すぎる極域や降水量が少なすぎる内陸部では森林は成立しない。特に、年降水量がおおよそ1000mmを下回ると森林は成立しない。
 次に地形について。同じ緯度や気候帯であっても、標高が高いほど平均気温は低くなる。このため、低地帯から亜高山帯、高山隊へと標高が高くなるにつれて、低緯度から高緯度への変異と類似した植生変異が見られる。また、日本のように起伏の多い地形では、斜面の方位や斜面上の位置など、微地形の違いによって植生が変わる。例えば北半球では、南向き斜面は北向き斜面と比べて日射量や気温が高くなる。尾根などの凸型地形では水や養分物質が流出することで、凹型地形と植生が異なる。
 続いて地質について。土壌の地質的材料である母材や、そのもととなる母岩の物理性や科学性も、植生に影響する。例えば世界各地でみられる蛇紋岩地帯では、土壌のマグネシウム含量が多く、植物にとって重要な養分物質であるリンの含量が少ない。そのため、より一般的な花崗岩地帯や堆積岩地帯とは異なる植生が成立する。


③ 気候帯と森林との関係について理解する。
 前述のとおり、森林の植生は主に気候帯によって区分される。つまり、気候帯の変化に伴って、その地域に最も個体数や被覆率の高い優占種が変化する。大まかには、平均気温が低くなるにつれて、常緑広葉樹林から落葉広葉樹林へ、さらには針葉樹林へと変異し、降水量が少なくなるにつれて常緑樹林から落葉樹林、さらには低木林へと変異する。これ以上森林が成立できない地点を森林限界という。
 森林が成立できるのは亜寒帯よりも温かい地域である。亜寒帯に成立森林は北方林と呼ばれ、冬季の多雪や短い生育期間に適応した針葉樹林が優占する北方針葉樹林(タイガ林)が代表である。亜寒帯から冷温帯に入ってくると、落葉広葉樹も入り混じる針広混交林が分布する。
 冷温帯から温帯にかけては、温帯林と呼ばれる森林が成立する。冷温帯から中間温帯にかけて、冬にすべての葉が落葉して休眠する落葉針葉樹林、落葉広葉樹林(夏緑樹林)が成立する。また、中間温帯から暖温帯にかけては、冬でも葉をつけている常緑広葉樹林が優占してくる。降水の多い地域では照葉樹林が、夏に雨の少ない地域では硬葉樹林が成立する。一方、広葉樹の生育できない過酷な環境では、マツ属などの常緑針葉樹が分布する。
 さらに温かく、暖温帯から亜熱帯にかけては、木生シダなどの亜熱帯常緑樹林が分布する。内陸などの乾燥区域では乾期に落葉する亜熱帯季節林も成立する。
 熱帯地帯になると、巨大な常緑広葉樹が優占する熱帯多雨林が分布する。乾季のある地域では熱帯季節林(雨緑樹林)が分布する。海水と汽水が混じる区域には、地中から立ち上がった気根によって浸水による酸素不足に適応したマングローブ林も成立する。



キーワード ① 授業の目的 ② 授業構成 ③ 気候 ④ 地形 ⑤ 森林植生
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】今回のコマシラバスの細目レベルをあらためて熟読し、知識を深める。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。また、講義の中で配布された資料についても見直しておく。コマシラバスや授業資料の一連の見直しが終わった段階で、授業中に配布された課題プリントに取り組む。課題プリントは今回の講義で学んだ内容に関する、基礎から応用にわたる練習問題である。最初は何も参考にせずに課題プリントに取組み、分からない部分があったらコマシラバスや授業資料を参考して解けるようにしてほしい。なお、課題プリントの答え合わせ及び解説は、次回の授業の中で行う。

【予習】次回のコマシラバスを熟読し、次回の授業で実施する項目について準備をしておく。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。

2 基礎編:森林の構造 科目の中での位置付け  本科目では、森林生態学の基礎的な理論から現場で活用するための実践的な理論までを体系的に学ぶ。全体二部構成とし、第一部(1回目から6回目まで)の講義では森林生態系を理解するための基礎的な理論を、第二部(7回目から14回目まで)は森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか実践的な理論を学ぶ。第一部に関して、1回目では森林と立地環境との関係について、2回目では森林の縦方向、横方向の構造と森林動態について、3回目では森林の生存戦略の一環である生活史戦略について、4回目では森林の生存戦略の一環である資源獲得戦略について、5回目では森林と水循環について、6回目では国内の森林の成立要素と森林の機能について、これらを段階的に学ぶ。第二部に関して、7回目では森林の調査方法について、8回目では既存の森林をどのように整備するべきか施業計画について、9回目では森林整備によって将来森林がどのように変化するかその予想や管理方法について、10回目では森林管理のための伐採について、11回目では伐採の再造林に関する方法について、12回目では伐採跡地の森林の更新について、13回目では生理的な視点から健全に森林に育成について、14回目では病虫獣害など森林被害と被害防除方法について、これらを段階的に学ぶ。15回目の講義は、知識の定着を図るための復習回とする。
 2回目は、基礎編「森林の構造」として、最初に森林の垂直方向の構造について、次に森林の横方向の構造について、最後に森林の時間的な移り変わりについて学ぶ。

①石井ら(2019)森林生態学, pp11-14, 朝倉書店, 3200円+税

②石井ら(2019)森林生態学, pp14-16, 朝倉書店, 3200円+税

③石井ら(2019)森林生態学, pp19-22, 朝倉書店, 3200円+税
コマ主題細目 ① 垂直構造 ② 水平構造 ③ 森林の動態
細目レベル ① 森林の縦方向の構造について理解する。
 森林には陸上生物の約60%が生育している。このように多種の生物が生息可能なのは、樹木が作り出す様々な構造物が、多様なハビタットを提供しているためである。
 同じ種類の樹木ばかりが一斉に植えられた人工林よりも、大きさの異なる様々な個体や樹種の混在する天然林のほうが、動物たちに様々なハビタットを提供する。森林群集を構成する樹木は、最大樹高に達したときに樹冠(枝葉部分)が占める高さによって、低木種、亜高木種、高木種に大別される。天然林では、生育段階や最大樹高の異なる様々な樹種や個体が混在している。すなわち、垂直構造が発達し、梢から林床まで広い範囲に葉が分布するようになる。
 森林の垂直構造は、群集全体の光エネルギーの利用効率を規定する。太陽光は上方から供給されるため、林冠の上部の葉(陽葉)は直射光を最大限利用して光合成を行うことができる。樹冠下層の葉(陰葉)は、木漏れ日や散乱光を利用して光合成を行う。樹木の葉が最も多く分布するのは、樹冠最上部ではなく、上から1/3あたりである。すなわち、樹木は、直射光から散乱光まで、様々な強度の光を利用して光合成を行う多様な葉(陽葉、陰葉)を樹冠内に適切に配置し、樹冠全体で光エネルギーを効率的に利用している。


② 森林の横方向の構造について理解する。
 樹木は、発芽してから枯死するまで、同じ場所で生活する固着生物である。そのため、森林における樹木個体の位置は、どこに種子が散布されたか、散布された場所で発芽できたか、発芽した場所で定着成長できたか、など、様々な生態過程によって決定される。
 動物によって散布される種子は、貯食や排せつなど、動物の行動によって依存するため、まとまって散布されることが多い。風によって散布される種子は、ランダムに散布されるのだが、倒木上の限られた場所でしか発芽、定着できないものもある(倒木更新 倒木の上は病原菌が少なく光条件もいいため、実生の成長に適している)。
 散布以外でも、森林内では、例えば地形や土壌条件、光条件が均一でないため、立地条件や生育条件が樹木の分布パターンに影響をもたらす。森林における樹木の分布を図で表したのが樹木位置図である。地形及び樹木の根元位置を記すことで、尾根あるいは谷に多い樹種か、互いに近い場所あるいは離れた場所に分布する樹種か、など、樹木の分布パターンからその背景にある生態的特徴が推測できる。また、樹木位置図に、森林を真上から見たときの樹冠の範囲を表す樹冠投影図を書き加えることで、各個体が占有する水平面積を図示できる。より大きな空間を占有する優占木と、競争に負けた劣勢木を判別できる。
 このように、本来何もチカラが働かなければ、樹木の水平分布はランダム分布となるはずだが、様々な生態的な要因によってランダム分布とは異なるパターンが生じる。動物散布や生育適地などによってまとまった個体が分布する集中分布、競争などによって被圧個体が枯死し生き残った個体同士の間隔の拡がった一様分布、などが挙げられ」る。


③ 森林のダイナミクス(動態)の意味を理解する。
 森林のダイナミクス(動態)とは、時間経過に伴う森林構造の変化(遷移)のことを指す。森林の構造が出来上がった理由を探り、森林の未来を予測するためには、動態の把握が必要である。
 遷移とは、生態系の種構成や構造が時間の経過とともに安定な状態に向かって変化することをいう。遷移は、始まるときの状態によって、基質に生物の全くいない状態から始まる一次遷移と、生物体が存在する状態から始まる二次遷移に分けられる。一次遷移は火山の噴火に伴う島形成をスタートとしたもの、二次遷移は伐採などに伴う上層木の欠損をスタートとしたもの、と考えると分かりやすい。
 遷移が進むと、最終的に長期間暗転を続けるような植生が成立する。この最終段階を極相という。日本のように温暖かつ湿潤な地域では、極相として森林が成立し、極相林と呼ばれる。
極相に達した生態系や、極相に向かいつつある生態系でも、台風や山火事、土砂崩れ、森林伐採など、何らかの要因によって生態系が破壊される場合がある。この遷移とは不連続で時折生じる破壊的なできごとを攪乱と呼ぶ。攪乱には、自然現象である自然攪乱と、人間が生態系に手を入れることよって引きこされる人為攪乱がある。
攪乱を受けた場所では林冠相に空隙が生じるため、光量が増え、地温が上がる。この空隙をギャップ(林冠ギャップ)と呼ぶ。ギャップの形成をきっかけに始まる二次遷移をギャップダイナミクスという。安定した極相林であっても、あちらこちらでギャップの形成とその修復が起きており、ギャップから成熟した林冠まで、様々な発達段階がモザイク状に混在している。


キーワード ① ハビタット ② 樹冠 ③ 集中分布 ④ 遷移 ⑤ ギャップ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】今回のコマシラバスの細目レベルをあらためて熟読し、知識を深める。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。また、講義の中で配布された資料についても見直しておく。コマシラバスや授業資料の一連の見直しが終わった段階で、授業中に配布された課題プリントに取り組む。課題プリントは今回の講義で学んだ内容に関する、基礎から応用にわたる練習問題である。最初は何も参考にせずに課題プリントに取組み、分からない部分があったらコマシラバスや授業資料を参考して解けるようにしてほしい。なお、課題プリントの答え合わせ及び解説は、次回の授業の中で行う。

【予習】次回のコマシラバスを熟読し、次回の授業で実施する項目について準備をしておく。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。

3 基礎編:生活史戦略 科目の中での位置付け  本科目では、森林生態学の基礎的な理論から現場で活用するための実践的な理論までを体系的に学ぶ。全体二部構成とし、第一部(1回目から6回目まで)の講義では森林生態系を理解するための基礎的な理論を、第二部(7回目から14回目まで)は森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか実践的な理論を学ぶ。第一部に関して、1回目では森林と立地環境との関係について、2回目では森林の縦方向、横方向の構造と森林動態について、3回目では森林の生存戦略の一環である生活史戦略について、4回目では森林の生存戦略の一環である資源獲得戦略について、5回目では森林と水循環について、6回目では国内の森林の成立要素と森林の機能について、これらを段階的に学ぶ。第二部に関して、7回目では森林の調査方法について、8回目では既存の森林をどのように整備するべきか施業計画について、9回目では森林整備によって将来森林がどのように変化するかその予想や管理方法について、10回目では森林管理のための伐採について、11回目では伐採の再造林に関する方法について、12回目では伐採跡地の森林の更新について、13回目では生理的な視点から健全に森林に育成について、14回目では病虫獣害など森林被害と被害防除方法について、これらを段階的に学ぶ。15回目の講義は、知識の定着を図るための復習回とする。
 3回目は、基礎編「生活史戦略」として、最初に森林が更新する際の生存戦略について、次に繁殖や送粉を行うときの生存戦略について、最後に種子散布時における生存戦略について学ぶ。

①石井ら(2019)森林生態学, pp22-26, 朝倉書店, 3200円+税

②石井ら(2019)森林生態学, pp30-34, 朝倉書店, 3200円+税

③石井ら(2019)森林生態学, pp34-36, 朝倉書店, 3200円+税
コマ主題細目 ① 更新における戦略 ② 繁殖・送粉における戦略 ③ 種子散布における戦略
細目レベル ① 更新に向けた戦略を理解する。
 森林の回復過程で入りこむ樹木の戦略は、個体数や現存量の観点で考えると、大きく2種類に分けられる。一つは、個体数や現存量を急速に増殖させる戦略(r選択者)であり、もう一つは個体数や現存量をゆっくりと、ただし最大化できる形質をもつ戦略(K選択者)である。なお、rは内的自然増加率、Kは環境収容力に由来する記号である。
 また、森林の回復過程で入りこむ樹木の戦略は、出現する遷移段階で2つに類型化することもできる。まずは、樹木が込み合っておらず資源の奪い合いが激しくない場所で優占する先駆種(遷移初期種)である。これらは陽樹であることが多い。前区分でいうと、先駆種はr選択者の特徴を持つ。種子は軽く、寿命が短く、成長が速く、繁殖開始齢も若齢であることが多い。一方、樹木が密集した遷移後期段階から優占してくる極相種(遷移後期種)もある。これらは陰樹であることが多い。前区分でいうと、極相種はK選択者の特徴を持つ。種子は重く、寿命が長く、成長が遅く、繁殖開始齢も遅いことが多い。
 さらに、森林の回復過程で入りこむ樹木の戦略を、ストレスを含めて検討する方法もある。ストレスとは、若光、貧栄養、乾燥、低温などのことで、光合成速度を低下させるものである。この場合、競争に強いか(Competitive)、ストレス耐性があるか(Stress-tolerant)、攪乱を利用しやすいか(Ruderal)の三要因で生存戦略を考える。ストレスや攪乱がほとんどなく、他種との競争のみが激しい環境で生き残る種をC戦略種という。攪乱も競争も少ないがストレスの大きな環境で生き残る種をS戦略種という。攪乱の程度が大きい環境で生き残る種をR戦略種という。通常植物は、種ごとにC-S-Rのバランスを違えて環境に適応し生存している。この3つのバランスから生存戦略を考えるモデルをC-S-Rモデルという。前区分でいうと、R戦略種はr選択者、S戦略種はK選択者であることが多く、C戦略種は、r選択者とK選択者の中間であることが多い。


② 繁殖や送粉における樹木の生存戦略を理解する。
 樹木の生存を考えるうえで、どのように個体数を増やすか、すなわち繁殖戦略を考えることも重要である。森林植物には、様々な栄養器官から増える栄養繁殖を行うものと、花を咲かせて種子を形成する種子繁殖を行うものがいる。
 栄養繁殖とは、根、地下茎、葉などからクローンを形成して増えることを指す。成長が早く、個体数を短期間に増やすことができる特徴を持つ。しかしながら、遺伝的に全く同一個体を増やすことから、環境の変化や病虫害の発生によって全滅してしまうリスクも持っている。
 被子植物の多くは種子繁殖を行う。種子繁殖には、同一個体の花粉で種子繁殖できる自家受粉、他個体の花粉で種子繁殖できる他家受粉のいずれか、もしくは両方を行う。自家受粉には、一個体で種子生産を行う利点がある。そのため、多くの植物種は同一花粉でも受粉できる自家和合性を持つ。一方、自家受粉では、有害遺伝子が蓄積しやすく、繰り返し行われることで表現形質の劣化が起こる。これを近交弱勢という。近交弱勢によって、次世代の生存率、繁殖率などが低下することがある。そのため、自家受粉によって種子ができない自家不和合性という機構を備える植物もある。
 森林植物の花粉は、主に風か動物によって運ばれる。スギやヒノキは風によって花粉を媒介する風媒の種である。一方、被子植物の88%は動物によって花粉を媒介してもらう。花粉を媒介する動物を送粉者と呼び、昆虫、鳥類、哺乳類など、たような送粉種が知られている。植物は、花の色、形態、開花の時刻や季節など、送粉者のグループに対応した特徴を進化させている。特に開花の季節変化は開花フェノロジーと呼ばれている。
 多くの植物種は、送粉を多様な昆虫類に頼っている。特に、特定の動物種ではなく多種の動物に頼るものをジェネラリストという。一方で、特定の動物種に送粉を依存するスペシャリストも存在する。ただし、その送粉者が地域から絶滅してしまうと、繁殖することができずともに絶滅してしまう恐れもある。そのため、1種類のみの昆虫に送粉を依存する植物種は少ない。


③ 種子散布における樹木の生存戦略を理解する。
 植物にとって、種子散布は分布域を拡大する手段として極めて重要である。森林植物の種子や果実は、主に風や動物によって運ばれ、それぞれ風散布、動物散布と呼ばれる。また、風や動物に散布されず地面に落下するものもあり、それは重力散布と呼ばれる。
 風で運ばれる果実や趣旨には、しばしば翼をもつ種がある。樹高が高いほど風にのって遠くへ運ばれるため、風散布を行う樹種は高木であることが多い。
 動物によって果実や種子が運ばれる動物散布には、動物の体毛や毛に付着して運ばれる付着散布と、食べられて運ばれる被食散布に分けられる。森林植物では被食散布が多い。被食散布される果実は、水分や栄養が豊かな被食部(果皮、果実、花など)で動物を誘引する。動物の体内を通り種子が排出されると、発芽抑制が解除される場合もある。また、種子食動物によって接触されると種子の発芽能力は失われるが、貯食によって放置された種子が生き残ることがある。このような種子散布は貯食散布とも呼ばれる。
 種子散布を担う動物には、鳥類、哺乳類、爬虫類、昆虫類がみられる。鳥類のうち、ヤマガラやカケスは貯食散布を行う。昆虫類では、アリ類による種子散布(アリ散布)が有名である。
 植物と動物との、送粉関係、種子散布関係は、対応植物と対応動物との関係がお互い複数入り組んでおり、それぞれ送粉ネットワーク、種子散布ネットワークと呼ばれている。これらは、食う―食われるの関係とは異なり、互いに利益のある相利共生の関係がある。


キーワード ① r選択者 ② K選択者 ③ C-S-Rモデル ④ 自家不和合性 ⑤ 相利共生
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】今回のコマシラバスの細目レベルをあらためて熟読し、知識を深める。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。また、講義の中で配布された資料についても見直しておく。コマシラバスや授業資料の一連の見直しが終わった段階で、授業中に配布された課題プリントに取り組む。課題プリントは今回の講義で学んだ内容に関する、基礎から応用にわたる練習問題である。最初は何も参考にせずに課題プリントに取組み、分からない部分があったらコマシラバスや授業資料を参考して解けるようにしてほしい。なお、課題プリントの答え合わせ及び解説は、次回の授業の中で行う。

【予習】次回のコマシラバスを熟読し、次回の授業で実施する項目について準備をしておく。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。

4 基礎編:資源獲得戦略 科目の中での位置付け  本科目では、森林生態学の基礎的な理論から現場で活用するための実践的な理論までを体系的に学ぶ。全体二部構成とし、第一部(1回目から6回目まで)の講義では森林生態系を理解するための基礎的な理論を、第二部(7回目から14回目まで)は森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか実践的な理論を学ぶ。第一部に関して、1回目では森林と立地環境との関係について、2回目では森林の縦方向、横方向の構造と森林動態について、3回目では森林の生存戦略の一環である生活史戦略について、4回目では森林の生存戦略の一環である資源獲得戦略について、5回目では森林と水循環について、6回目では国内の森林の成立要素と森林の機能について、これらを段階的に学ぶ。第二部に関して、7回目では森林の調査方法について、8回目では既存の森林をどのように整備するべきか施業計画について、9回目では森林整備によって将来森林がどのように変化するかその予想や管理方法について、10回目では      森林管理のための伐採について、11回目では伐採の再造林に関する方法について、12回目では伐採跡地の森林の更新について、13回目では生理的な視点から健全に森林に育成について、14回目では病虫獣害など森林被害と被害防除方法について、これらを段階的に学ぶ。15回目の講義は、知識の定着を図るための復習回とする。
 4回目は、基礎編「資源獲得戦略」として、最初に葉における時間的な資源獲得戦略について、次に樹木の成長と資源獲得戦略との関係について、最後に資源獲得競争で生じる不都合について学ぶ。

①石井ら(2019)森林生態学, pp57-61, 朝倉書店, 3200円+税

②石井ら(2019)森林生態学, pp61-65, 朝倉書店, 3200円+税

③石井ら(2019)森林生態学, pp69-71, 朝倉書店, 3200円+税
コマ主題細目 ① 葉のフェノロジー ② 樹冠の形成 ③ 資源獲得戦略におけるトレードオフ
細目レベル ① 葉における時間的な資源獲得戦略について理解する。
 季節的な気象条件への生物の様々な応答をフェノロジー(生物季節学)と呼ぶ。例えば日本においては、気温の変化に伴い、一般的には春になると冬芽を開き、夏のもっとも光合成のできる時期に向かって展葉する。秋になると紅葉し、落葉して、厳しい冬季を冬芽の形で乗り越える。
 しかしながら、樹種によって開芽の時期は異なる。例えば、同一地域では常緑樹よりも落葉樹の方で開芽時期が早い。すでに葉の存在している常緑樹と異なり、落葉樹は開芽しなければ光合成を行うことができないため、光合成できる期間を長く確保するように進化したと考えられる。
 展葉のパターンも樹種によって異なる。まず、春先に葉を一斉に開き、その後葉を増やさない植物がある(一斉展葉型)。一方、春先に春葉を開き、さらに夏にかけて夏葉をを開き続ける植物もある(順次展葉型)。一斉展葉型の戦略は、前年の光合成産物を使って春先に素早く当年枝や葉を形成し、春から秋までの長い期間光合成を行うことができる。順次展葉型は、少ない投資で数枚の葉を展葉したのち、生育条件が良ければ当年の光合成産物を使ってさらに成長することができる。前者は極相種に、後者は先駆種に多く見られる。
 生育段階でもフェノロジーが異なる。成木よりも稚樹の方で開芽時期が早く、展葉期間が長い傾向がある。稚樹は、林冠木が展葉する前の光条件のよい春先に展葉し、秋には遅くまで葉を保持することによって、光合成できる期間を長く確保していると考えられる。
 葉の成熟についても樹種によって戦略が異なる。多くの落葉樹では展葉と光合成系組織の発達が同調しており、展葉がほぼ完了した時に葉が成熟して光合成速度が最大になる。この様式では、新葉がすばやく光合成を始めるのに有利である。一方、多くの常緑樹では展葉時に葉面積の拡大と光合成系組織の発達が同調せず、葉面積が最大になったのちに徐々に葉が丈夫になり、光合成速度が高くなる。これを遅延緑化という。展葉中の葉は柔らかく被食されやすい。このため、素早く光合成を始めるよりも、展葉が完了してから光合成系組織を発達させることによって、展葉時の被食によるロスを少なくしていると考えられる。ただし、この様式をとると光獲得競争には不利である。そのため、このタイプは極相種に多い。


② 樹木の成長と資源獲得戦略について理解する。
 樹木は固着性であるため、生育環境に合わせて葉の形態や配置を変えて受光量や光合成量を調節し、根の形態や配置を変えて水や腰部の吸収量を調節している。
 樹木は、葉と枝の1単位を1つのモジュール(階層性をもつ繰り返し単位)とみなして、その繰り返しで構成されている生物とみなすことができる。つまり、樹木はモジュール性生物であるといえる。樹木における枝葉のモジュールは、シュートと呼ばれる。樹木は、光など資源の多い方向にモジュールを増やし、環境条件の悪い場所のモジュールを枯らしながら成長することで資源を獲得する。このような成長様式をとることで、森林内の時空間的に不均一な環境に適応することができる。
 枝の伸び方にも樹種特性がある。通常、樹木の先端分裂組織には、枝軸の先端に位置する頂芽と、側方に位置する側芽がある。頂芽が幹や枝の主軸としてまっすぐ成長するものを単軸成長、側芽が主軸にとって代わって成長をするものを仮軸成長という。植物には中枢神経がないため、どのように枝を延ばすと光を獲得できるか、個体全体で能動的に成長を統制することはできない。個々のモジュールが、光強度などの局所的な環境条件に対して自律的に反応する結果、樹形が形成されていく。


③ 資源獲得競争で生じるトレードオフについて理解する。
 植物が光合成で獲得する有機物の量は有限であり、例えば地上部(幹、枝、葉)の成長に光合成産物を配分すると、その分、地下部(根)に配分できる量が減ってしまう。このように、成長にはトレードオフの制約がある。
 光を獲得するためのトレードオフについてみてみる。森林では、樹木は他個体と競争しながら成長するため、個体の資源獲得だけでなく、他個体と競争しながら資源獲得する能力も重要になる。光は上方から入射するため、受光能力を高めるためには水平方向へ樹冠を発達させて幅広な樹形をつくるほうがいい。しかし、他個体よりも高い位置に葉を配置し、光獲得競争を有利に進めるためには、樹高成長にも投資しなければならない。このように、樹形の上方への成長と側方への成長には、受光能力と競争能力とのトレードオフ関係が存在する。
 次に成長と貯蔵のトレードオフについてみてみる。樹木は、光合成産物をすぐに成長に回さず、地下部や幹にデンプンなどの貯蔵物質として蓄積することがある。貯蔵物質への配分は、成長への配分とトレードオフ関係にあるため、貯蔵物質を作ることは競争能力の面で不利である。しかし、このような貯蔵物質は、昆虫などに摂食されたり、台風などで損傷を受けたりした際に、樹木体を再生するエネルギー源となる。斜面地形など、攪乱が頻発に起こるような環境に生育する樹木や、食植昆虫の多い環境に生育する樹木は、貯蔵物質に配分する戦略をとっている。


キーワード ① 順次展葉型 ② 一斉展葉型 ③ モジュール ④ シュート ⑤ トレードオフ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】今回のコマシラバスの細目レベルをあらためて熟読し、知識を深める。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。また、講義の中で配布された資料についても見直しておく。コマシラバスや授業資料の一連の見直しが終わった段階で、授業中に配布された課題プリントに取り組む。課題プリントは今回の講義で学んだ内容に関する、基礎から応用にわたる練習問題である。最初は何も参考にせずに課題プリントに取組み、分からない部分があったらコマシラバスや授業資料を参考して解けるようにしてほしい。なお、課題プリントの答え合わせ及び解説は、次回の授業の中で行う。

【予習】次回のコマシラバスを熟読し、次回の授業で実施する項目について準備をしておく。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。

5 基礎編:森林と水循環 科目の中での位置付け  本科目では、森林生態学の基礎的な理論から現場で活用するための実践的な理論までを体系的に学ぶ。全体二部構成とし、第一部(1回目から6回目まで)の講義では森林生態系を理解するための基礎的な理論を、第二部(7回目から14回目まで)は森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか実践的な理論を学ぶ。第一部に関して、1回目では森林と立地環境との関係について、2回目では森林の縦方向、横方向の構造と森林動態について、3回目では森林の生存戦略の一環である生活史戦略について、4回目では森林の生存戦略の一環である資源獲得戦略について、5回目では森林と水循環について、6回目では国内の森林の成立要素と森林の機能について、これらを段階的に学ぶ。第二部に関して、7回目では森林の調査方法について、8回目では既存の森林をどのように整備するべきか施業計画について、9回目では森林整備によって将来森林がどのように変化するかその予想や管理方法について、10回目では      森林管理のための伐採について、11回目では伐採の再造林に関する方法について、12回目では伐採跡地の森林の更新について、13回目では生理的な視点から健全に森林に育成について、14回目では病虫獣害など森林被害と被害防除方法について、これらを段階的に学ぶ。15回目の講義は、知識の定着を図るための復習回とする。
 5回目は、基礎編「森林と水循環」として、水循環を引き起こす光エネルギーについて、次に森林への水の流入について、最後に森林からの水の流出について学ぶ。

①塚本(1998)森林水文学、pp1-10, 文栄堂出版, 4,300円+税
 石井ら(2019)森林生態学, pp101-111, 朝倉書店, 3200円+税

②塚本(1998)森林水文学、pp41-101, 文栄堂出版, 4,300円+税
 石井ら(2019)森林生態学, pp101-111, 朝倉書店, 3200円+税

③塚本(1998)森林水文学、pp37-41, 文栄堂出版, 4,300円+税
 石井ら(2019)森林生態学, pp101-111, 朝倉書店, 3200円+税
コマ主題細目 ① 水循環を引き起こすエネルギー ② 森林に降り注ぐ水 ③ 森林から流れ出す水
細目レベル ① 水循環機能を担うエネルギーについて理解する。
 水循環機能の根源は、太陽エネルギーによる蒸発と蒸散である。森林は太陽熱エネルギーを使って蒸散を行い、水循環を引き起こす。森林の蒸散作用により、地表面の熱環境が緩和する。森林の大規模な消失は地表の熱環境を局所的に変化させるだけでなく、大量の蒸散量の減少を通して広域の水循環を変化させる恐れもある。まずは、その太陽エネルギーについて考える。
 太陽からの放射エネルギーは短波放射で構成される。短波放射は地表面でその一部が反射する。この反射率のことをアルベドと呼ぶ。短波放射を受けた地表は、地表面から長波長で上向きの放射エネルギーを出す。森林ではアルベドの小さいことが、森林地帯での熱環境と水循環を考えるうえで重要である。
 森林が受け取る正味の放射エネルギー量(純放射量)は、各種の熱に分かれて利用される。主なものは、空気を温めるための顕熱フラックス、蒸発・蒸散に使われる顕熱フラックス、植生や地面の温度上昇に使われる貯熱変化量、光合成に使われるエネルギーである。なお、フラックスとは単位面積あたりの輸送量(この場合はエネルギーの移動量)のことを指す。森林では純放射量の64%を潜熱に、30%を顕熱に使用する。植被をもたない裸地では、地中への貯熱が大きく、潜熱や顕熱が著しく小さくなる。草地では、森林と裸地との中間となる。顕熱フラックスと潜熱フラックスの比をボーエン比と呼び、湿潤気候では1/3程度の値になる。土壌水分が不足し、蒸発散が制限されると、顕熱量が増大してボーエン比は大きくなる。


② 森林に到達した雨について理解する。
 森林に降雨があると、降雨の一部は樹冠を通過せずに直接林床に到達するが、多くは樹冠に入り込む。降雨の量は樹冠通過雨量、樹幹流下量、樹冠遮断量の3つに再分配される。
 樹冠通過雨について、枝葉に接触しまとまることで、地表面に到達する雨滴径の最大値が大きくなる。この雨滴の衝撃によって表層土壌の透水性に影響がでる。
 樹幹流下について、発生個所は樹幹の位置に固定されるので、樹木の影響のない場合に比べると空間的に集中して地表面に到達することになる。
 樹冠遮断される降雨について、その量は降雨の20%と高い値を示し、多くはそのまま蒸発する。遮断率は、我が国において、一般に針葉樹よりも広葉樹のほうが小さい。


③ 地表に降り注がれた水の行方を理解する
 林床に届いた降水の動きについて解説する。地表の浸透能力が降雨強度よりも大きい時、雨水はすべて浸透し、地中流となる。浸透能が降雨強度より小さいときは、その差が地表流となる。このタイプの地表流をホートン型地表流と呼ぶ。森林土壌は孔隙に富むため、地表流の発生はない。地表流は表層土のない都市域の斜面で多くみられる。
 地中流には、不飽和流と飽和流がある。不飽和流は土壌粒子表面を空気と接しながら流れるため、速度は小さく、降雨時にはほとんど鉛直に降下する。また、蒸発散が盛んな場所では上方など様々な方向に動く。一方、地中に難透水層があると、水が飽和状態になり、飽和流が発生する。飽和流のうち、斜面方向に流れるものを飽和側方流と呼ぶ。大雨時、森林土壌の表層で発生する飽和側方流は速度が大きい。飽和側方流が地表面に現れたとき、それを復帰流と呼び、その地表での流れを飽和地表流と呼ぶ。これはホートン地表流と区分され、中・小洪水の原因になることが多い。



キーワード ① 顕熱フラックス ② 潜熱フラックス ③ 樹冠遮断 ④ 飽和流 ⑤ ホートン型地表流
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】今回のコマシラバスの細目レベルをあらためて熟読し、知識を深める。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。また、講義の中で配布された資料についても見直しておく。コマシラバスや授業資料の一連の見直しが終わった段階で、授業中に配布された課題プリントに取り組む。課題プリントは今回の講義で学んだ内容に関する、基礎から応用にわたる練習問題である。最初は何も参考にせずに課題プリントに取組み、分からない部分があったらコマシラバスや授業資料を参考して解けるようにしてほしい。なお、課題プリントの答え合わせ及び解説は、次回の授業の中で行う。

【予習】次回のコマシラバスを熟読し、次回の授業で実施する項目について準備をしておく。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。

6 基礎編:国内森林の成立要素と森林機能 科目の中での位置付け  本科目では、森林生態学の基礎的な理論から現場で活用するための実践的な理論までを体系的に学ぶ。全体二部構成とし、第一部(1回目から6回目まで)の講義では森林生態系を理解するための基礎的な理論を、第二部(7回目から14回目まで)は森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか実践的な理論を学ぶ。第一部に関して、1回目では森林と立地環境との関係について、2回目では森林の縦方向、横方向の構造と森林動態について、3回目では森林の生存戦略の一環である生活史戦略について、4回目では森林の生存戦略の一環である資源獲得戦略について、5回目では森林と水循環について、6回目では国内の森林の成立要素と森林の機能について、これらを段階的に学ぶ。第二部に関して、7回目では森林の調査方法について、8回目では既存の森林をどのように整備するべきか施業計画について、9回目では森林整備によって将来森林がどのように変化するかその予想や管理方法について、10回目では      森林管理のための伐採について、11回目では伐採の再造林に関する方法について、12回目では伐採跡地の森林の更新について、13回目では生理的な視点から健全に森林に育成について、14回目では病虫獣害など森林被害と被害防除方法について、これらを段階的に学ぶ。15回目の講義は、知識の定着を図るための復習回とする。
 6回目は、基礎編「国内森林の成立要素と森林機能」として、最初に森林と地理的要素について、次に森林の提供する生態系サービスについて、最後に森林の公益的機能を支える生物多様性について学ぶ。

①石井ら(2019)森林生態学, pp1-4, 朝倉書店, 3200円+税

②石井ら(2019)森林生態学, pp140-149, 朝倉書店, 3200円+税

③鷲谷、矢原(1996)保全生態学入門.pp117-128, 文一総合出版, 3,000円+税
コマ主題細目 ① 地理的特徴 ② 森林の提供する生態系サービス ③ 生物多様性
細目レベル ① 国内の森林生態系の成り立たさせる地理的要素を理解する
 1回目の講義で学んだ通り世界の植生は、気温と降水量で大まかに説明できる(ケッペンの気候区分)。気温が低すぎる極域や、降水量が少なすぎる内陸部では、森林は成立しない。日本を含む東アジア地域の森林植生の分布は、植物の生育期間の指標である暖かさの指数の地理的変異によく対応している。暖かさの指数は月平均気温5度以上の期間を植物の生育期とみなし、5度以上の月平均気温から5度を引いて1年分合計した積算温度である。また、同じ緯度や気候帯であっても、標高が高いほど平均気温は低くなる。このため、低地帯から亜高山帯、高山帯へと標高が高くになるにつれて高緯度への変異と類似した植生変異がみられる。高山帯以上の標高では、ある場所から森林が成立しない森林限界がある。
 暖かさの指数は日本の植生を区分する指標となるものであるが、特に生物地理学の分野において、多くの生物の分布の境界になっている境界線も存在する。その線を分布境界線という。国内における代表的な分布境界線としては、ブラキストン線、八田線、三宅線、渡瀬線が挙げられる。ブラキストン線とは、本州と北海道の間の津軽海峡に引かれた動物の分布の境界線のことを指す。特に哺乳類によく合致する。八田線(はったせん)とは、両生類、爬虫類などの分布の違いから宗谷境界(樺太-北海道間)に引かれた分布の境界線を指す。多くの動物の北限が北海道にあり、ブラキストン線よりも重要との見方もある。三宅線とは、屋久島、種子島の北・九州との間にある境界線である。南方系の蝶類はこの線を北限としているものが多い。渡瀬線とは、トカラ列島南部の悪石島と小宝島の間に引かれた動物の分布の境界線である。この線を南限とするものにはニホンザル、ムササビ、ニホンカモシカなどがある。


② 森林の持つ生態系サービスについて知る。
 森林はその多様な生態系機能を通じて、私たちの生活や社会経済をさせる様々な恩恵を生み出している。この様々な働きを森林の多面的機能と呼び、生み出される恩恵は森林が持つ生態系サービスと呼ばれる。一般的な用語としては、森林の公益的機能としても知られている。森林が気候条件によって異なるものとなるが、森林が提供する生態系サービスは国内の森林で共通のものが多い。
 代表的な生態系サービスとして、①生物多様性保全機能、②地球環境保全機能、③水源涵養機能、④土砂災害防止機能などがある。①について、日本の高等植物の約7割、哺乳類の約8割が主に森林に生息するほか、昆虫や菌類も森林を主要なハビタットとする種が多い。②について、森林は炭素循環や熱エネルギーの循環を通して、地球温暖化防止のため重要な機能を果たしている。③について、森林は緑のダムとも呼ばれ、大雨のときには洪水を緩和し、渇水の時には水量を確保する働きを持つ。④について、植生の存在によって直接的、間接的に表面浸食の防止と樹木の根系による表層崩壊の防止機能を持っている。


③ 森林の公益的機能を支える生物多様性について理解する。
 森林機能を支えているのは、その森林内に生息する生物種である。つまり、森林の機能を評価するためには、森林内の種多様性を考えることが大切である。
 一般的に、ある区域で種数調査を行った時、調査面積が大きくなればなるほど、発見種数も多くなる。しかし、その箇所が均質な環境であったとすると、この「種数-面積」の関係は頭打ちの曲線となる。一方、環境が不均質であったとすると、調査面積を増やすたびに環境が異なるため、発見種数も階段状に増加する。このように、ある地域とある地域の種多様性を比較しようしたとき、両者を同一に考えると正しく評価することが難しい。そこで、均質な一つの場所における多様性を「生育場所内多様性(α多様性)」、不均質な場所に由来する多様性を「生育場所間多様性(β多様性)」と区分して考える。α多様性は単純にその場所での種の豊かさを表し、β多様性は場所の違いに伴う種組成の違いを表すものである。このことから考えると、大きすぎず小さすぎない、中程度の規模の攪乱が、環境の不均一性を生み、高い種多様性をもたらすと予想される。このことは「中程度攪乱仮説」として知られている。なお、α多様性、β多様性と似た言葉に、γ多様性というものがある。これは進化的な意味での多様性を表すものであり、系統分類学的にどれほど離れているかということを示す。
 このように、異なる地域での種多様性の比較は単純ではない。しかし、異なる地域での種多様性を、同じ尺度で比較するための手法が考えられた。これは多様度指数と呼ばれる。シャノン指数やシンプソン指数が有名である。これらの指数は、種の豊かさと均等度の両方を考慮して算出される。


キーワード ① 暖かさの指数 ② 分布境界線 ③ 生態系サービス ④ 生物多様性 ⑤ 多様度指数
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】今回のコマシラバスの細目レベルをあらためて熟読し、知識を深める。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。また、講義の中で配布された資料についても見直しておく。コマシラバスや授業資料の一連の見直しが終わった段階で、授業中に配布された課題プリントに取り組む。課題プリントは今回の講義で学んだ内容に関する、基礎から応用にわたる練習問題である。最初は何も参考にせずに課題プリントに取組み、分からない部分があったらコマシラバスや授業資料を参考して解けるようにしてほしい。なお、課題プリントの答え合わせ及び解説は、次回の授業の中で行う。

【予習】次回のコマシラバスを熟読し、次回の授業で実施する項目について準備をしておく。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。

7 実践編:森林の現状を知る 科目の中での位置付け  本科目では、森林生態学の基礎的な理論から現場で活用するための実践的な理論までを体系的に学ぶ。全体二部構成とし、第一部(1回目から6回目まで)の講義では森林生態系を理解するための基礎的な理論を、第二部(7回目から14回目まで)は森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか実践的な理論を学ぶ。第一部に関して、1回目では森林と立地環境との関係について、2回目では森林の縦方向、横方向の構造と森林動態について、3回目では森林の生存戦略の一環である生活史戦略について、4回目では森林の生存戦略の一環である資源獲得戦略について、5回目では森林と水循環について、6回目では国内の森林の成立要素と森林の機能について、これらを段階的に学ぶ。第二部に関して、7回目では森林の調査方法について、8回目では既存の森林をどのように整備するべきか施業計画について、9回目では森林整備によって将来森林がどのように変化するかその予想や管理方法について、10回目では      森林管理のための伐採について、11回目では伐採の再造林に関する方法について、12回目では伐採跡地の森林の更新について、13回目では生理的な視点から健全に森林に育成について、14回目では病虫獣害など森林被害と被害防除方法について、これらを段階的に学ぶ。15回目の講義は、知識の定着を図るための復習回とする。
 7回目は、実践編「森林の現状を知る」として、最初に森林がの調査方法について、次に木材の量の調査方法について、最後に新たな森林調査手法について学ぶ。

①関東森林管理局 主な林業用語の解説 https://www.rinya.maff.go.jp/kanto/gijyutu/yougo.html
石井ら(2019)森林生態学.pp16-18, 朝倉書店, 3,200円+税
東京農工大農学部(2007)森林・林業実務必携, pp256-263, 朝倉書店, 8,800円+税
東京農工大農学部(2021)森林・林業実務必携, pp279-283, 朝倉書店, 8,000円+税

②半田(2004)林業経済学の回顧-1950年代の理論研究を中心に-林業経済57:1-18

③岡山県農林水産部(1999)立木評価の手引き http://www.foresternet.jp/app/srch3/get_file/10110
東京農工大農学部(2007)森林・林業実務必携, pp264-268, 朝倉書店, 8,800円+税
東京農工大農学部(2021)森林・林業実務必携, pp283-292, 朝倉書店, 8,000円+税
コマ主題細目 ① 林分調査 ② 材積調査 ③ リモートセンシング
細目レベル ① 林分調査の方法を理解する。
 森林内にどのような種類・サイズの樹木がどれだけあるか毎木調査することは、その森林の機能を評価するうえで必須といえる。しかし、広大な森林内のすべての樹木を調査することは現実的でない。そのため、標本調査という手法によって森林全体を評価する。
 標本調査とは、森林全体の中からプロットをいくつか抽出して、そのプロット内の調査結果から母集団の傾向を推測する方法である。標本調査を実施する際には、対象林分の1%(例えば森林1haあたり100m2プロットを1つ)以上を無作為に設けることが一般的である。プロットの形状は、方形や円形のものなどがある。
 一方、無作為抽出という点が困難であることから、調査者が対象林分の中から標準的と考える地点でプロットを設けて、調査することもある。この方法を標準地調査という。標準地調査では、調査結果の正確度は調査者の経験や主観に左右されるという欠点がある。しかし、実行が容易であることから、現在でも広く用いられる方法である。
 また、標準地を設定する必要のない調査方法で、林分面積を求めておけば毎木調査と同等の結果を得ることができるものもある。これはビッターリッヒ法と呼ばれる。この方法により、1haあたりの胸高断面積合計を測定し、成立本数や林分材積などを求めることができる。シュピーゲルレラスコープという道具を用いて樹木をカウントする調査である。


② 材積を推定する方法を理解する。
 樹木のサイズは樹高と胸高直径で評価することが一般的であるが、丸太として考えるときは材積を評価する必要もある。樹木の材積は、幹を区分してそれぞれ材積を計算し、それを足し合わせることで全体を評価することとなる(区分求積法)。では小さく区分した材積はどのように測定するのか。丸太は円柱でも円錐でもないため、材積を単純に計算することができない。そこで、末口自乗(末口二乗)法、フーベル法、スマリアン法といった代表的な方法がある。
 国内でもっとも広く用いられる方法は末口自乗法である。末口とは丸太における梢側(直径の小さい側)の断面を指す(根元側(直径の大きい側)の断面は元口という)。末口自乗法による材積計算方法は、末口直径^2×材長で算出する。
 ドイツやオーストリアで開発された方法に、フーベル式やスマリアン式がある。フーベル式は、丸太の中央部分の断面積と材長の積として算出する。スマリアン式は元口断面積と末口断面積の平均値と材長との積になる。
 その他、元口、末口、中央の断面積をすべて利用して計算するリーケ式というものもある。
 

③ 新たなを森林調査手法について理解する。
 近年はドローン(UAV)の普及により、ドローンを用いた森林調査も急速に発展している。プログラム操縦により、一定の高さ、一定のオーバーラップ率(ドローンの進行方向に対して連続する写真の重なり率。通常は60%以上)、一定のサイドラップ率(隣接する写真の重なり率、通常は30%以上)で空中写真を撮影する。これらの写真から、SfM(Structure from Motion)という複数のオーバーラップした画像を元にカメラ位置(傾き)と撮影物の三次元的な関係と形状を復元する手法と、MVS(Multi View Stereo)という得られたカメラ位置などのパラメータから高密度の点群を生成する手法により、森林の3次元モデルが可能となる。さらにオルソ画像(写真上の像の位置ズレをなくし、空中写真を地図と同じく、真上から見たような傾きのない、正しい大きさと位置に表示される画像)も作成することができる。作成したモデルから、表層高モデル(DSM, Digital Surface Model、森林表面の高さを示すモデル)を作成し、既知のレーザーデータである地盤高モデル(DTM, Digital Terrain Model)と組み合わせることで、表層樹冠高モデル(DCHM, Digital Crown Height Model)を作成することが可能である。これにより、樹高を求めることが可能になり、現地調査結果との関係式から資源量の推定を行うことができる。
 ドローンはだれでも利用できるものであるが、国や都道府県などは航空機からレーザーを照射する航空機レーザー測量(LiDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)調査も行っている。LiDARとは対象物までの距離はもちろん、位置や形状まで正確に検知できるレーザー光を用いたセンサの一種である。この航空機LiDARによって高精度のDSMやDTMを作成することができる。これらのデータから、赤色立体図やCS立体図など、高精度に地形を表現する画像の作成が可能となった。この赤色立体図、CS立体図から災害に脆弱な地形に立地を検討することができる。


キーワード ① 毎木調査 ② 標準地法 ③ 末口 ④ 元口 ⑤ ドローン
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】今回のコマシラバスの細目レベルをあらためて熟読し、知識を深める。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。また、講義の中で配布された資料についても見直しておく。コマシラバスや授業資料の一連の見直しが終わった段階で、授業中に配布された課題プリントに取り組む。課題プリントは今回の講義で学んだ内容に関する、基礎から応用にわたる練習問題である。最初は何も参考にせずに課題プリントに取組み、分からない部分があったらコマシラバスや授業資料を参考して解けるようにしてほしい。なお、課題プリントの答え合わせ及び解説は、次回の授業の中で行う。

【予習】次回のコマシラバスを熟読し、次回の授業で実施する項目について準備をしておく。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。

8 実践編:森林整備のための計画を立てる 科目の中での位置付け  本科目では、森林生態学の基礎的な理論から現場で活用するための実践的な理論までを体系的に学ぶ。全体二部構成とし、第一部(1回目から6回目まで)の講義では森林生態系を理解するための基礎的な理論を、第二部(7回目から14回目まで)は森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか実践的な理論を学ぶ。第一部に関して、1回目では森林と立地環境との関係について、2回目では森林の縦方向、横方向の構造と森林動態について、3回目では森林の生存戦略の一環である生活史戦略について、4回目では森林の生存戦略の一環である資源獲得戦略について、5回目では森林と水循環について、6回目では国内の森林の成立要素と森林の機能について、これらを段階的に学ぶ。第二部に関して、7回目では森林の調査方法について、8回目では既存の森林をどのように整備するべきか施業計画について、9回目では森林整備によって将来森林がどのように変化するかその予想や管理方法について、10回目では      森林管理のための伐採について、11回目では伐採の再造林に関する方法について、12回目では伐採跡地の森林の更新について、13回目では生理的な視点から健全に森林に育成について、14回目では病虫獣害など森林被害と被害防除方法について、これらを段階的に学ぶ。15回目の講義は、知識の定着を図るための復習回とする。
 8回目は、実践編「森林整備のための計画を立てる」として、最初に樹木の伐採の種類と方法について、次に森林を伐採する樹齢について、最後に森林価格を評価するための手法について学ぶ。

①関東森林管理局 主な林業用語の解説 https://www.rinya.maff.go.jp/kanto/gijyutu/yougo.html
石井ら(2019)森林生態学.pp16-18, 朝倉書店, 3,200円+税
東京農工大農学部(2007)森林・林業実務必携, pp256-263, 朝倉書店, 8,800円+税
東京農工大農学部(2021)森林・林業実務必携, pp279-283, 朝倉書店, 8,000円+税

②半田(2004)林業経済学の回顧-1950年代の理論研究を中心に-林業経済57:1-18

③岡山県農林水産部(1999)立木評価の手引き http://www.foresternet.jp/app/srch3/get_file/10110
東京農工大農学部(2007)森林・林業実務必携, pp264-268, 朝倉書店, 8,800円+税
東京農工大農学部(2021)森林・林業実務必携, pp283-292, 朝倉書店, 8,000円+税"











コマ主題細目 ① 伐採方法 ② 伐期齢 ③ 森林の価値評価
細目レベル ① 樹木の伐採の種類と方法について理解する
 森林整備に樹木の伐採は欠かせない。伐採の種類は、収穫を目的とする主伐と、森林の育成を目的とする間伐に分けられる。主伐とは更新または更新準備のために行う伐採、もしくは上層木の全面的な伐採のことである。主伐には、森林を構成する林木の一定のまとまりを一度の全部伐採する「皆伐」や、木材として利用できる大きさになった樹木をおおむね30%以内の伐採率で部分的に伐採する「択伐」に分けられる。
 間伐とは、育てようとする樹木同士の競争を軽減するため、混み具合に応じて、一部の樹木を伐採することである。通常伐採率は本数率で30%以内であるが、近年は40%程度伐採する強度間伐も行われている。本数率でなく、胸高断面積率で伐採率を決める方法、材積率で伐採率を決める方法などがある。間伐は、調査者が間伐木を選木する「定性間伐」と、あらかじめ想定した間伐量に従い一定のルールで無作為に間伐木が決定される「定量間伐」に分けられる。定性間伐には、成長量のよい樹木を主に選木する「上層間伐」と、成長の悪い樹木を主に選木する「下層間伐」がある。上層間伐の場合は、搬出して間伐木を販売できる可能性があるが、下層間伐の場合は、搬出しても利益が得られないため、伐採木を林内に放置する切捨間伐が行われることが多い。定量間伐には、作業の低コスト化等を目的に、伐採や搬出の都合のよいように一定の間隔で列状に間伐を行う「列状間伐」が挙げられる。間伐によって林内の光環境が改善され、下層植生の発達や森林構造の発達を促すことができる。一方、強度の間伐は、風害や雪害が発生しやすくなるリスクもある。
 また、主伐を行うときには、全体のうち何%をいつ伐るか、ということを考える必要がある。適切な量や適切な時期に伐採と植栽を繰り返すことで、永続的に収穫を維持できることも考えらえる。このことを目指した森林を「法正林」という。このように森林経営の永続性を目指すため、面積を基準に伐採量を決める方法を「区画輪伐法」、材積を基準に伐採量を決める方法を「材積配分法」という。


② いつ森林を伐採すべきか、その齢について理解する。
 森林が成熟して伐採時期に達した林齢を「伐期齢」という。林業事業体は、市町村森林整備計画で定められる「標準伐期齢」を参考に伐採時期を決める。標準伐期齢とは、主要な樹種ごとに、平均成長量が最大となる年齢を基準として、森林の有する公益的機能、既往の平均伐採齢及び森林の構成を勘案して定められるものである。なお、平均成長量とは総成長量を樹齢で割った値である。各年毎の成長量は連年成長量という。
 伐期齢には様々な種類がある。「生理的伐期齢」とは林木が自然に枯死する林齢のこと、「工芸的伐期齢」とは一定の用途に向いた大きさや性質に達した林齢のこと、「収穫量最多の伐期齢」とは材積平均成長量が最大を示す林齢のこと、「森林純収益最高の伐期齢」とは立木価が最大となる林齢のこと、などである。なお、25~35年で伐採するものを「短伐期施業」、50~60年で伐採するものを「中伐期施業」、100年以上伐採しないものを「長伐期施業」という。通常は中伐期施業を用いることが多いが、近年は林業収益の低下に伴い、長伐期施業を選択することも増えている。


③ 森林経理の視点から、森林の価値の評価方法を理解する。
 健全な森林を維持するためには、持続可能な林業経営が必要となる。そのためには、森林の評価をできるだけ正確に行い、損益分岐点を明確にすることが必要といえる。森林の価値を求める鑑定評価には、不動産の価格を求める3つの手法が基本となる。①その者にどれほどの費用が投じられて作られたのか。②その物がどれほどの値段で市場で取引されているものなのか。③そのものを利用することによってどれほどの収益が得られるのか。①に基づき価値を評価する方法には「費用価法」、②に基づき価値を評価する方法には「期望価法」「グラーゼル法」、③に基づき価値を評価する方法には「市場化逆算法」というものが有名である。
 費用価法とは、10年生以下の幼齢林の評価に用いられる。林木を育成するのに要した費用(造林費、地代、管理費の合計)の後価合計(あとになってからいくらかかったか積算する方法)で評価する。
 期望価法とは、現在から伐期までに期待される総収穫(間伐収入、主伐収入)を現在価値で評価する手法である。遠い将来のことは不明であるため、伐期の近い壮齢林に当てはめるのがよい。
 グラーゼル法は、費用価と期望価を合わせた方法で、10年生以上の林分に適用できる。計算が簡便であることから、広く一般的に採用されている。
 市場価逆算法とは、最寄市場で取引される市場価格から伐採、搬出に要する事業費等を控除して立木価格を求める方法であり、市場価値のある立木にはこの手法が用いられることが一般的である。


キーワード ① 主伐 ② 間伐 ③ 成長量 ④ 費用価法 ⑤ グラーゼル法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】今回のコマシラバスの細目レベルをあらためて熟読し、知識を深める。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。また、講義の中で配布された資料についても見直しておく。コマシラバスや授業資料の一連の見直しが終わった段階で、授業中に配布された課題プリントに取り組む。課題プリントは今回の講義で学んだ内容に関する、基礎から応用にわたる練習問題である。最初は何も参考にせずに課題プリントに取組み、分からない部分があったらコマシラバスや授業資料を参考して解けるようにしてほしい。なお、課題プリントの答え合わせ及び解説は、次回の授業の中で行う。

【予習】次回のコマシラバスを熟読し、次回の授業で実施する項目について準備をしておく。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。

9 実践編:森林整備に伴う変化を考える 科目の中での位置付け  本科目では、森林生態学の基礎的な理論から現場で活用するための実践的な理論までを体系的に学ぶ。全体二部構成とし、第一部(1回目から6回目まで)の講義では森林生態系を理解するための基礎的な理論を、第二部(7回目から14回目まで)は森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか実践的な理論を学ぶ。第一部に関して、1回目では森林と立地環境との関係について、2回目では森林の縦方向、横方向の構造と森林動態について、3回目では森林の生存戦略の一環である生活史戦略について、4回目では森林の生存戦略の一環である資源獲得戦略について、5回目では森林と水循環について、6回目では国内の森林の成立要素と森林の機能について、これらを段階的に学ぶ。第二部に関して、7回目では森林の調査方法について、8回目では既存の森林をどのように整備するべきか施業計画について、9回目では森林整備によって将来森林がどのように変化するかその予想や管理方法について、10回目では      森林管理のための伐採について、11回目では伐採の再造林に関する方法について、12回目では伐採跡地の森林の更新について、13回目では生理的な視点から健全に森林に育成について、14回目では病虫獣害など森林被害と被害防除方法について、これらを段階的に学ぶ。15回目の講義は、知識の定着を図るための復習回とする。
 9回目は、実践編「森林整備に伴う変化を考える」として、最初に森林の成長特性について、次に樹木の成長指標について、最後に間伐の効果について学ぶ。

①東京農工大農学部(2007)森林・林業実務必携, pp6-8, 朝倉書店, 8,800円+税
東京農工大農学部(2021)森林・林業実務必携, pp4-8, 朝倉書店, 8,000円+税
丹下・小池(2016)造林学第四版,pp33-35, 朝倉書店, 3,400円+税
Monsi und Saeki (1953)Jap J Bot,14,22-52

②正木(2018)森づくりの原理・原則, pp128-130, 全国林業改良普及協会, 2,300円+税

③丹下・小池(2016)造林学第四版,pp144-147, 朝倉書店, 3,400円+税












コマ主題細目 ① 森林の生産性 ② 樹木の成長指標 ③ 林分密度管理
細目レベル ① 森林の成長特性を知る
 前回の授業で伐期齢を考える際に、平均成長量や連年成長量のことを学んだ。これは見た目の成長量(樹体増加量)であり、実際は様々な指標が積み重なって成長量が決まることになる。樹体増加量は、樹木の光合成活動(収入:総生産量)から様々な消費部分(支出)を除いた残り部分となっている。支出には、呼吸量、リターフォール(落葉落枝)量、植食量が挙げられる。このことを数式で示すと、「総生産量=呼吸量+リターフォール量+植食量+樹体増加量」ということになる。また、総生産量から呼吸量を引いたものを「純生産量」という。
 安定した温帯での森林生態系では、利用可能光量の1%が総生産量として利用される。総生産量のうち50%が呼吸量として消費される。リターフォール量は純生産量のうち50%に相当し、昆虫などによる植食量は純生産量の10%以下となる。以上から、樹体増加として蓄積される光エネルギーは、利用可能光量の0.1~0.2%と非常に少ない。
 生態系の生産量を高めるためには、生態系内で効率よく光を利用することが重要となる。植物群落内での光環境と生産性の関係は門司・佐伯によって解明され、現在でも生態学の基礎となっている。この関係式は群落の光合成モデルである。単位面積当たりの葉面積(葉面積指数 Leaf Area Index LAI)と群落上層から下層にわたっての光の減衰との関係が、このモデルのカギとなっている。


② 樹木の成長指標について理解する
 前項より、森林の生産性については、着葉量を増やすことが大切ということが分かったと思う。葉が多く存在すれば、光合成量も増え、根の成長も促進され、森林全体が健全になる。着葉量は森林内にどれだけ樹木が混み合っているか、によって決定される。このことは樹木の肥大成長に影響する。葉量や混み合いの評価によく使われるのは「樹冠長率」、「相対幹距比」、「収量比数」である。まず樹冠長率とは、「樹冠の長さ/樹高」で示される。直接葉量の指標となり、40%~60%が理想である。次に相対幹距比とは、個体の混み具合の指標であり、「樹木間の距離/樹高」で示される。場所や樹種にもよるが、20%前後が理想である。収量比数も混み合いの程度の指標であるが、「材積量/その場所での最大材積量」で示される。収量比数は現場で判断することができず、算出するためには密度管理図が必要であるが、0.6~0.8が理想である。
 樹木の肥大成長には混み合いが重要な指標となっているが、通常の森林において、混み合いの程度は樹高成長に影響しない。すなわち、間伐によって樹高は大きくならないということである。樹高成長に影響をするのは、土壌生産性と言われ、それは「地位」という指標で表される。これは、ある定められた林齢(一般的に40年生時)における林分の上層木平均樹高のことで、林地の生産力を分類、評価する場合によく用いられる。



③ 間伐の効果について理解する。
 混み合いを解消する方法は間伐である。間伐によって、立木密度、林分材積、平均胸高直径など様々な指標が変化する。この間伐の効果を統合的に組み込み、森林がどのように成長するのか予想する図を「林分密度管理図」という。林分密度管理図では、本数密度に対する幹材積等の関係が、両対数グラフで表されている。その中に樹高や直径等と立木密度との関係が曲線で表示されている(それぞれ、等平均樹高曲線、等平均直径という)。図の右下から左上にに伸びているもっとも外側の直線が「最多密度線」である。この最多密度線が、収量比数=1となるものである。自然状態ではこれ以上の高密度に混んだ森林は理論的に存在しないため、これ以上の樹木が存在すると自然枯死することになり、材積も減少する。このように、森林内で樹木が互いに競争し、その結果、成長の低下した個体が枯れることで本数が自然に減少し、残った樹木が成長を続けていく現象を「自己間引き」という。なお、立木密度と林分材積との関係を調べたとき、前者を対数x軸、後者を対数y軸にプロットしてみると、ほとんどすべての人工林で傾きが-3/2となる。そこで、この関係を「自己間引きの3/2乗則」と言う。
 この林分密度管理図を用いれば、間伐によって森林がどのように成長するのかシミュレーションできる。すなわち、最適な整備方針を検討することも容易となる。このシミュレーションをパソコン等で実行するソフトを「システム収穫表」という。


キーワード ① 光環境 ② LAI ③ 地位 ④ 間伐 ⑤ 最多密度線
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】今回のコマシラバスの細目レベルをあらためて熟読し、知識を深める。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。また、講義の中で配布された資料についても見直しておく。コマシラバスや授業資料の一連の見直しが終わった段階で、授業中に配布された課題プリントに取り組む。課題プリントは今回の講義で学んだ内容に関する、基礎から応用にわたる練習問題である。最初は何も参考にせずに課題プリントに取組み、分からない部分があったらコマシラバスや授業資料を参考して解けるようにしてほしい。なお、課題プリントの答え合わせ及び解説は、次回の授業の中で行う。

【予習】次回のコマシラバスを熟読し、次回の授業で実施する項目について準備をしておく。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。

10 実践編:森林を整備する 科目の中での位置付け  本科目では、森林生態学の基礎的な理論から現場で活用するための実践的な理論までを体系的に学ぶ。全体二部構成とし、第一部(1回目から6回目まで)の講義では森林生態系を理解するための基礎的な理論を、第二部(7回目から14回目まで)は森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか実践的な理論を学ぶ。第一部に関して、1回目では森林と立地環境との関係について、2回目では森林の縦方向、横方向の構造と森林動態について、3回目では森林の生存戦略の一環である生活史戦略について、4回目では森林の生存戦略の一環である資源獲得戦略について、5回目では森林と水循環について、6回目では国内の森林の成立要素と森林の機能について、これらを段階的に学ぶ。第二部に関して、7回目では森林の調査方法について、8回目では既存の森林をどのように整備するべきか施業計画について、9回目では森林整備によって将来森林がどのように変化するかその予想や管理方法について、10回目では      森林管理のための伐採について、11回目では伐採の再造林に関する方法について、12回目では伐採跡地の森林の更新について、13回目では生理的な視点から健全に森林に育成について、14回目では病虫獣害など森林被害と被害防除方法について、これらを段階的に学ぶ。15回目の講義は、知識の定着を図るための復習回とする。
 10回目は、実践編「森林整備を整備する」として、最初に森林管理の基盤となる路網について、次に森林整備に欠かせない林業機械について、最後に架線による集材の方法について学ぶ。

①東京農工大農学部(2007)森林・林業実務必携, pp201-214, 朝倉書店, 8,800円+税
東京農工大農学部(2021)森林・林業実務必携, pp222-244, 朝倉書店, 8,000円+税

②東京農工大農学部(2007)森林・林業実務必携, pp220-226, 朝倉書店, 8,800円+税
東京農工大農学部(2021)森林・林業実務必携, pp245-252, 朝倉書店, 8,000円+税

③東京農工大農学部(2007)森林・林業実務必携, pp226-231, 朝倉書店, 8,800円+税
東京農工大農学部(2021)森林・林業実務必携, pp252-257, 朝倉書店, 8,000円+税













コマ主題細目 ① 路網 ② 林業機械 ③ 集材と索張り
細目レベル ① 森林管理の基盤となる路網について理解する。
 持続可能な森林経営を実現するためには森林内にアクセスするための道(路網)が欠かせない。国内での路網密度は約20m/haであり、林業の盛んなドイツやオーストリア(約100m/ha)と比較しても不十分な状態である。林内環境に配慮しながら適切に設置していくことが求められる。
 路網には、「林道」「林業専用道」「森林作業道」の3種類に区分される。林道は、効率的な森林の整備や地域振興を図る目的で、一般の車両の走行を想定した道である。森林作業道は、森林整備の促進を図る目的で、林業機械の走行を想定した一時的な道である。林業専用道は、林道と森林作業道をつなぎ、大型トラックによる木材の搬出を想定した必要最小限の規格構造の道とされる。路網は林道規程において自動車道(1級、2級、3級)、軽車道(全幅員1.8~3.0m)、単線軌道(モノレール用)に区分される。林道の設計速度は20~40km/h、林業専用道は15km/hと一般道に比べて低速である。
 運転手から見通し可能な距離を視距という。林道規程では、「車道の中心線上1.2mの高さから当該車道の中心線上にある高さ10cmの物の頂点を見通すことができる距離で、その車道の中心線に沿った長さ」と定義される。交通安全上から必要とされる視距を安全視距といい、逃走視距など4種類がある。逃走視距とは、前報に対向車を認めてハンドル操作により車体を回避させることのできる距離である。
 林道開設を行う場合、どの部分で土を切取り、どの部分で土を盛り、幅員はどれくらいとし、法面の勾配はどうするのか等の施工基準を組み立てる。その施工基準を示した図を「土工定規図」という。その際、切取りとった土(切土)と盛る土(盛土)の均衡、配分が重要となってくる。切土と盛土を過不足なく累積するために作成する計算シートを「土量計算表」といい、この累積土量を図化したものを「土積図」という。


② 森林整備に欠かせない林業機械について理解する。
 林業機械は、大きく分けて、手持ち機械、車両系機械、架線系機械に分類される。森林での作業には、木を切る「伐木」、切った木の枝を落とす「枝払い」、適当なサイズの丸太をつくる「玉切り」、切った近くの木を集める「木寄せ」、切った遠くの木を集める「集材」などがある。機械を用いることで、これらの作業が安全に効率化できる。
 手持ち機械は、急傾斜の林地においても1人で携行して容易に作業できるものであり、チェンソーや刈払い機が代表である。チェンソーがあれば、伐木、枝払い、玉切り、を行うことができる。安全に作業を行うため、伐木を行う際には、受け口、追い口を設けて作業を行うこと必須である。また、チェンソー、刈払い機ともに、作業者に向けて刃が急激に跳ね上がる「キックバック」に注意する必要がある。
 車両系機械は、装軌式(クローラタイプ)または装輪式(ホイールタイプ)の足回りを持つ車両をベースマシンに持つ装置である。機械毎にできる作業は異なっており、「フェラーバンチャ」では伐木が、「プロセッサ」では枝払い・玉切が、「ハーベスタ」では伐木・枝払い・玉切が、「グラップル」では木寄せが、「スキッダ」、「フォワーダ」では集材ができる。
 架線系機械は、ワイヤーロープを架線することで、地形の傾斜や起伏を克服して集材するものである。「集材機」、「自走式搬器」、「タワーヤーダ」、「スイングヤーダ」などがある。伐った木をそのまま集めることを「全木集材」、枝払いして集めることを「全幹集材」という。
 作業の効率化のためには、どの機械を組み合わせて行うかということが重要となる。大型の林業機械を車両系で実施できる場合では、伐木をチェンソー、木寄せをグラップル、造材(枝払い・玉切り)をプロセッサ、林業専用道に止めたトラックまでの集材をフォワーダというパターンが考えられる。架線系で実施する場合は、伐木をチェンソー、トラックまでの集材をタワーヤーダ、トラック近辺での造材をプロセッサ、というパターンがある。
 なお、従来のチェーンソーや刈払い機等の機械に比べて、作業の効率化、身体への負担の軽減等、性能が著しく高い林業機械を「高性能林業機械」という。高性能林業機械として、フェラーバンチャ、ハーベスタ、プロセッサ、スキッダ、フォワーダ、タワーヤーダ、スイングヤーダなどがある。


③ 架線による集材の方法について理解する。
 通常、森林の整備は道から離れていることが多いため、集材には架線を利用することが多い。架線利用する機械は、前述のとおり「集材機」、「自走式搬器」、「タワーヤーダ」、「スイングヤーダ」などがある。これらの機械を利用するためには、伐採現場から機械までワイヤーロープを張らなければならない。このワイヤーロープの張り方を索張りという。
 索張り方式には様々な種類がある。もっとも一般的な索張り方式に「エンドレスタイラー式」がある。索張り方式を大きく分けると、固定された主索(スカイライン)をもつものと、もたないものに大別できるが、エンドレスタイラーは前者である。なお「主索」とは、木材を搬出させる機械(搬器)を載せるワイヤロープを指す。エンドレスタイラーの場合、主索は集材機近くの樹木等(元柱)から、伐採現場に残した樹木等(先柱)まで張られる。これだけでは搬器が動かないので、搬器を動かすために、集材機から先柱に索を張る。この索を「エンドレスライン」という。エンドレスラインは、集材機-搬器-先柱を一周する形で設置する。また、この状態では搬器が空中にあり、丸太を運ぶことができないため、丸太を吊り上げるための索と荷滑車を設ける。この索を「荷上索(リフチングライン)」という。ただ、このままでは、索の真下にある丸太しか運ぶことができないため、荷滑車を丸太のあるところまで引っ張る索も必要となる。この索を「ホールバックライン」という。このように主索真下以外の丸太を運ぶことを「横取り」という。一連の方式により、林内から丸太を搬出することができる。
 索張り方式には、エンドレスタイラーのほかにも、「タイラー式」、「ダブルエンドレス式」などがある。方式の違いによって使う索も異なる。地形や林分の状態、作業仕組、搬出の形状などに応じて最適なものを選択することが必要である。


キーワード ① 幅員 ② 土積図 ③ チェンソー ④ プロセッサ ⑤ エンドレスタイラー
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】今回のコマシラバスの細目レベルをあらためて熟読し、知識を深める。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。また、講義の中で配布された資料についても見直しておく。コマシラバスや授業資料の一連の見直しが終わった段階で、授業中に配布された課題プリントに取り組む。課題プリントは今回の講義で学んだ内容に関する、基礎から応用にわたる練習問題である。最初は何も参考にせずに課題プリントに取組み、分からない部分があったらコマシラバスや授業資料を参考して解けるようにしてほしい。なお、課題プリントの答え合わせ及び解説は、次回の授業の中で行う。

【予習】次回のコマシラバスを熟読し、次回の授業で実施する項目について準備をしておく。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。

11 実践編:森林の世代交代を行う 科目の中での位置付け  本科目では、森林生態学の基礎的な理論から現場で活用するための実践的な理論までを体系的に学ぶ。全体二部構成とし、第一部(1回目から6回目まで)の講義では森林生態系を理解するための基礎的な理論を、第二部(7回目から14回目まで)は森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか実践的な理論を学ぶ。第一部に関して、1回目では森林と立地環境との関係について、2回目では森林の縦方向、横方向の構造と森林動態について、3回目では森林の生存戦略の一環である生活史戦略について、4回目では森林の生存戦略の一環である資源獲得戦略について、5回目では森林と水循環について、6回目では国内の森林の成立要素と森林の機能について、これらを段階的に学ぶ。第二部に関して、7回目では森林の調査方法について、8回目では既存の森林をどのように整備するべきか施業計画について、9回目では森林整備によって将来森林がどのように変化するかその予想や管理方法について、10回目では      森林管理のための伐採について、11回目では伐採の再造林に関する方法について、12回目では伐採跡地の森林の更新について、13回目では生理的な視点から健全に森林に育成について、14回目では病虫獣害など森林被害と被害防除方法について、これらを段階的に学ぶ。15回目の講義は、知識の定着を図るための復習回とする。
 11回目は、実践編「森林の世代交代を行う」として、最初に繁殖や発芽について、次に人工林における林木育種について、最後に苗木の生産について学ぶ。

①石井ら(2019)森林生態学.pp26-27, 36-38, 朝倉書店, 3,200円+税

②東京農工大農学部(2007)森林・林業実務必携, p25-32, 朝倉書店, 8,800円+税
東京農工大農学部(2021)森林・林業実務必携, p28-37, 朝倉書店, 8,000円+税

③丹下・小池(2016)造林学第四版,pp119-120, 朝倉書店, 3,400円+税
東京農工大農学部(2007)森林・林業実務必携, pp44-45, 朝倉書店, 8,800円+税
東京農工大農学部(2021)森林・林業実務必携, pp44-48, 朝倉書店, 8,000円+税












コマ主題細目 ① 繁殖 ② 育種 ③ 苗木生産
細目レベル ① 森林の世代交代のための繁殖、発芽について理解する
 ブナやミズナラなどの樹木には、結実が多い年と少ない年がある。このような種子生産の豊凶現象は「マスティング」と呼ばれる。さらに、同種内だけでなく、他種間で豊凶が同調することがある。東南アジア熱帯林では、数年に一度だけ多種が同時に開花し、結実する一斉開花が見られる。マスティングを引き起こす要因は、気温など気象条件の年変動であるという「気象シグナル仮説」、植物体内の貯蔵物質の蓄積に数年かかるという「資源収支仮説」がある。マスティングの結果、送粉の効率化、送粉者(ポリネータ)の誘引、種子食害者の飽食、種子散布者の誘因など、樹木にとってプラスの影響がある。
 種子が発芽し、定着するためには、照度、温度、湿度、pHなどといった立地環境が良好だけでなく、病原菌や植食者の影響が小さいことも必要である。発芽や定着に必要な条件は樹種によって異なるため、森林内に多様な環境が混在していることが種の多様性を支える。病原菌や植食者など天敵と種の定着については、ジャンセン―コネルモデル「親木の直下には多くの種子が散布されるが、天敵が多いため種子や実生の生存率は低い。逆に、親木から離れた場所では、ほとんど種子は散布されないものの、天敵が少ないため子の生存率は高い。したがって、親木から少し離れた場所で子が生き残る。」という仮説がある。このモデルは、熱帯多雨林の樹木の種多様性を説明するものであるが、温帯でも支持する結果が得られている。


② 人工林における林木育種について理解する
 人工林を育成する際、成長、材質、病虫害、気象害に対する抵抗性が優れた品種が求められる。近年は、花粉の少ない品種の需要も高い。このように、繁殖管理による森林全体の遺伝的な向上を目指す技術を林木育種という。
 育種の基本は、①変異の創出、②選抜と検定、③増殖と普及である。通常、接ぎ木や挿し木によって、形質の優れた個体である「精英樹」の採種園や採穂園を造成する。。採種園では、着花結実促進のためにジベレリンによる薬剤処理などが行われる。採穂園では、優良クローン個体を大量増殖するために挿し木用穂木が生産される。ここで生産された苗木について、遺伝的、形質的に優れたものであるかどうか評価する必要がある。そこで、生産された一部の苗木で次代検定林を設置し、定期的に成長量や材質等の評価が行われる。
 このようにして、マツノザイセンチュウに対する抵抗性品種、少花粉品種、無花粉品種、CO2固定促進品種などが開発されている。


③ 苗木の生産ついて理解する
 採取した種子は、しいななどの不良種子を風選、水選などにより取り除き苗畑等に播種する。播種は通常春に行う。種子を撒くまで期間がある場合、針葉樹などの小粒種子は常温・冷温での乾燥貯蔵、ブナ科の堅果などは土中または低温での保湿貯蔵を行う。種子から発芽した苗を実生苗という。挿し木の場合、発根性は樹種により差があり、スギ、ヤナギ、ポプラなどは容易だが、マツ、ブナ、ナラなどは難しい。挿し穂の発根には、インドール酢酸などの発根剤が利用される。
 定量的な基準として、苗高H/根元直径Dの値(比較苗高 H/D)が50以下のもの、地上部生重T/地下部生重R(T/R率)が冷地で4・暖地で6以下、のものが優良苗木とされている。苗畑で2~3年生育したのち、山出し(造林地へ植栽)される。
 山出しでは、針葉樹の場合は裸苗、広葉樹の場合はポット苗が用いられることが多かった。近年では、苗木の活着と幼齢期の早い成長を目的として、コンテナ苗を利用した造林が行われるようになってきた。コンテナ苗とは、多孔質の硬室プラスチック製の栽培容器(マルチキャビティコンテナ)を用いて生産される苗木であり、肥料を含む適切な培地を用いることにより初期成長に優れる特性がある。植栽も裸苗より簡単であり、今後の普及が期待されている。


キーワード ① 開花 ② マスティング ③ 次代検定 ④ しいな ⑤ コンテナ苗
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】今回のコマシラバスの細目レベルをあらためて熟読し、知識を深める。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。また、講義の中で配布された資料についても見直しておく。コマシラバスや授業資料の一連の見直しが終わった段階で、授業中に配布された課題プリントに取り組む。課題プリントは今回の講義で学んだ内容に関する、基礎から応用にわたる練習問題である。最初は何も参考にせずに課題プリントに取組み、分からない部分があったらコマシラバスや授業資料を参考して解けるようにしてほしい。なお、課題プリントの答え合わせ及び解説は、次回の授業の中で行う。

【予習】次回のコマシラバスを熟読し、次回の授業で実施する項目について準備をしておく。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。

12 実践編:次世代の森林を育てる 科目の中での位置付け  本科目では、森林生態学の基礎的な理論から現場で活用するための実践的な理論までを体系的に学ぶ。全体二部構成とし、第一部(1回目から6回目まで)の講義では森林生態系を理解するための基礎的な理論を、第二部(7回目から14回目まで)は森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか実践的な理論を学ぶ。第一部に関して、1回目では森林と立地環境との関係について、2回目では森林の縦方向、横方向の構造と森林動態について、3回目では森林の生存戦略の一環である生活史戦略について、4回目では森林の生存戦略の一環である資源獲得戦略について、5回目では森林と水循環について、6回目では国内の森林の成立要素と森林の機能について、これらを段階的に学ぶ。第二部に関して、7回目では森林の調査方法について、8回目では既存の森林をどのように整備するべきか施業計画について、9回目では森林整備によって将来森林がどのように変化するかその予想や管理方法について、10回目では      森林管理のための伐採について、11回目では伐採の再造林に関する方法について、12回目では伐採跡地の森林の更新について、13回目では生理的な視点から健全に森林に育成について、14回目では病虫獣害など森林被害と被害防除方法について、これらを段階的に学ぶ。15回目の講義は、知識の定着を図るための復習回とする。
 12回目は、実践編「次世代の森林を育てる」として、最初に更新の基盤となる森林土壌について、次に森林を更新させる方法について、最後に森林の保育方法について学ぶ。

①石井ら(2019)森林生態学.pp134-136, 朝倉書店, 3,200円+税
丹下・小池(2016)造林学第四版,pp48-59, 朝倉書店, 3,400円+税

②丹下・小池(2016)造林学第四版,pp115-118, 121-124, 朝倉書店, 3,400円+税

③丹下・小池(2016)造林学第四版,pp84-85, 118-120, 朝倉書店, 3,400円+税












コマ主題細目 ① 森林土壌 ② 森林の更新 ③ 森林の保育
細目レベル ① 更新の基盤となる森林土壌について理解する。
 日本の森林土壌には、①ポドゾル群、②褐色森林土群、③赤黄色土群、④黒ボク土群などがある。①のポドゾル群はポドゾル化作用によって生成された土壌で、微生物の活性が低くA0層が厚く堆積する。②の褐色森林土はもっとも分布の広い土壌群であり、酸性~弱酸性の土壌で(A0)-A-B-Cから構成される。6つの土壌型と1つの土壌亜型(乾燥←BA,BB,BC,BD,BD(d),BE,BF→湿潤)に分類され、それぞれ特徴的な断面構造や土壌構造が発達する。③の赤黄色土群は、ラテライト化作用によって生成された古土壌で酸性が強い。④の黒ボク土群は火山灰由来のものが一般的で、リンが吸収できず軽く柔らかい特徴を持つ。
 土壌の評価は、水分状態や栄養状態から行われる。土壌の水分状態は、従来は水柱の高さを対数表示したpF価で、現在は水を保持する力を示す水ポテンシャルで表される。含水率が高い状態から低い状態にかけて、土壌が飽水状態にあるときを飽和容水量、重力水の下方への移動が終わったときを圃場容水量、植物がしおれ始める時を萎れ点、再び給水しても回復しない萎凋状態に達するときを永久萎れ点という。
 土壌の栄養状態は主に窒素から評価されることが多い。植物は、アンモニア態窒素や硝酸態窒素等の無機態窒素を吸収利用する。土壌に供給されるリターは有機体窒素であるが、様々な微生物の反応により、無機態のアンモニア態窒素→亜硝酸態窒素→硝酸態窒素へと変化する。土壌は負に帯電しているため、陰イオンの硝酸態窒素は流亡しやすい。マメ科植物は、共生する根粒菌等の窒素固定細菌により、大気中の窒素を窒素固定して利用することができる。また、土壌窒素濃度に対する土壌炭素濃度(C/N比)は、土壌有機物の分解の程度を表す指標として知られている。植物への窒素供給としては、降雨などによる森林外部からの窒素供給(外部循環)と森林生態系内部での窒素供給(内部循環)がある。遷移初期は土壌が未発達のため外部循環依存系であるが、遷移が進むと土壌が発達するため、徐々に後者のほうが卓越してくる。最終的には、内部循環のほうが10倍以上大きい。


② 森林の更新方法について理解する。
 更新作業は新たな稚樹を林地に再生する作業であり、基本的な分類として人工更新と天然更新の区別がある。人工更新は、苗木等を人為的に施工地に根付かせる作業のことをいう。一方、天然更新は、数編からの主旨の自然散布、あるいは対象地内に残る埋土種子や前生稚樹により森林の再生を図る作業を指す。
 人工更新は、皆伐施業と合わせて実施されることがほとんどである。植栽樹種には、スギ、ヒノキ、冷温帯地域ではカラマツが主要な樹種である。北海道ではトドマツやエゾマツも用いられる。広葉樹の利用も近年多くなっている。樹種の選択にあたっては、適地適木というように、気候や土壌条件へ適合していることが基本となる。ほとんどの場合、施業のしやすさから単一樹種から成る同齢の森林を育成することが多い。このような森林では、林冠の高さがそろう単層林となる。しかし、気象害、病虫害の発生、生物多様性保全の観点から懸念されることも多く、その欠点を補うため、皆伐の小面積化(小面積皆伐)、皆伐林齢の大幅な引き上げ(長伐期化)、広葉樹の混交(広葉樹林化)、林冠下で植栽による新たな林冠階層の導入(複層林化)などが試みられている。
 天然更新には、自然の種子散布に依存する天然下種更新と、切株や根株からの自然発生に依存する萌芽(ぼうが)更新がある。天然下種更新には、母樹の樹冠の直下で更新を図る上方天然下種、近くの森林からの種子散布を期待する側方天然下種がある。
 天然下種更新では、更新地の森林をすべて伐採しないような作業(残伐、傘伐(=漸伐)、択伐)と組み合わせることが多い。残伐は、最初の伐採時に少数の母樹木を残す方法である。傘伐(さんばつ)もしくは漸伐(ぜんばつ)は、3段階の伐採(更新伐)で更新を進める方法である。最初の伐採では母樹として適さない樹木を伐採する(予備伐)。母樹の結実を待ったのち、2回目には母樹を残して通常の伐採を行う(下種伐)。最後に、稚樹の成長促進のために、残存していた母樹を数回に分けて伐採する(後伐)。択伐は、これらの伐採と異なり、材積の10~30%ずつ複数回に分けて抜き切りを繰り返す方法である。伐採によって生じる空所が天然更新の対象地となる。
 萌芽更新は、作業が容易かつ低コストで、確実性も高い方法である。コナラなど対象樹種が限られるが、里山における薪炭生産、キノコ栽培の原木生産にとって重要な方法となっている。


③ 森林の保育方法について理解する。
 人工更新地では、苗木等を持ち込む前に、落葉落枝、林床植生、伐採木の林地残材等を取り除く。ササが繁茂している場合は、ササの刈払いを行う。天然更新地の場合は、容易に発芽や活着ができるようにするために、地表をブルドーザなどによって取り除いて畑のようにするためかき起こしを行う。この一連の作業を地拵えという。その目的は、植栽作業を容易にするとともに、光や土壌養分をめぐる競争相手となる林床植生を除去して苗木の活着を成長を促すことにある。
 植栽本数は、スギやヒノキは2500~3500本/ha程度が標準となっている。カラマツは疎植の影響が小さいので、スギやヒノキより少し少なく2000~3000本/haが標準である。アカマツや広葉樹はは曲がりを防ぐため、少し密度が高めの3000~6000本/haが標準である。
 植栽後は、雑草木の成長を制御する必要がある。この時に行うのが下刈り、除伐やつる切である。
 下刈りは造林木が雑草木よりも十分に高く成長するまで、年に1~2回、刈払いを行う。通常6月~8月に行う。下刈りは労力が経費がかかることから、林業において大きな負担となっている。林冠が閉鎖し始めると下刈りは不要となる。
 林冠が閉鎖するころに行う、造林木の生育を妨げる可能性のある他樹種、成長の悪い造林木を除去する作業を、除伐という。造林木に巻き付いて成長や形状に影響を与えるつる植物(フジやクズなど)を取り除くつる切りもおこなわれる。
 また、近年はあまり行われないが、木材に節を発生させないようにして良材を得るため、木に登り枝を落とす作業を枝打ちという。樹皮の剥げやすい成長期と厳冬期には行わない。
 除伐後、造林木同士の種内競争が目立つようになると、間伐を行う。上層間伐や下層間伐、強度間伐、列状間伐など、目的に即した方法を選択する。間伐によって、望ましい成長を達成できる森林へと育てる。


キーワード ① 褐色森林土 ② 人工更新 ③ 天然更新 ④ 植栽密度 ⑤ 下刈り
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】今回のコマシラバスの細目レベルをあらためて熟読し、知識を深める。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。また、講義の中で配布された資料についても見直しておく。コマシラバスや授業資料の一連の見直しが終わった段階で、授業中に配布された課題プリントに取り組む。課題プリントは今回の講義で学んだ内容に関する、基礎から応用にわたる練習問題である。最初は何も参考にせずに課題プリントに取組み、分からない部分があったらコマシラバスや授業資料を参考して解けるようにしてほしい。なお、課題プリントの答え合わせ及び解説は、次回の授業の中で行う。

【予習】次回のコマシラバスを熟読し、次回の授業で実施する項目について準備をしておく。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。

13 実践編:木の生き方を知る 科目の中での位置付け  本科目では、森林生態学の基礎的な理論から現場で活用するための実践的な理論までを体系的に学ぶ。全体二部構成とし、第一部(1回目から6回目まで)の講義では森林生態系を理解するための基礎的な理論を、第二部(7回目から14回目まで)は森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか実践的な理論を学ぶ。第一部に関して、1回目では森林と立地環境との関係について、2回目では森林の縦方向、横方向の構造と森林動態について、3回目では森林の生存戦略の一環である生活史戦略について、4回目では森林の生存戦略の一環である資源獲得戦略について、5回目では森林と水循環について、6回目では国内の森林の成立要素と森林の機能について、これらを段階的に学ぶ。第二部に関して、7回目では森林の調査方法について、8回目では既存の森林をどのように整備するべきか施業計画について、9回目では森林整備によって将来森林がどのように変化するかその予想や管理方法について、10回目では      森林管理のための伐採について、11回目では伐採の再造林に関する方法について、12回目では伐採跡地の森林の更新について、13回目では生理的な視点から健全に森林に育成について、14回目では病虫獣害など森林被害と被害防除方法について、これらを段階的に学ぶ。15回目の講義は、知識の定着を図るための復習回とする。
 13回目は、実践編「木の生き方を知る」として、最初に樹木の生産活動の基盤となる光合成について、次に樹木の生命の維持に欠かせない水利用特性について、最後に光合成や水分生理を支える幹の構造について学ぶ。

①小池ら(2021)木本植物の生理生態, pp26-52, 共立出版, 3,600円+税
彦坂・光合成の機作, http://www.biology.tohoku.ac.jp/lab-www/hikosaka_lab/hikosaka/Mechanism.html

②永田・佐々木(2002)樹木環境生理学, pp157-199, 文栄堂出版, 4,000円+税

③古野・澤辺(2004)組織と材質, pp27-88,139-142, 海青社, 1,845円+税












コマ主題細目 ① 光合成 ② 水分生理 ③ 幹の構造
細目レベル ① 樹木の生産活動の基盤となる光合成を理解する
 更新した樹木は、生存・成長・繁殖するために様々なエネルギーや資源を必要とする。樹木の資源の源は炭素であり、それは光エネルギーをもとにした光合成作用によって、二酸化炭素から得られるものである。光合成は、細胞内小器官の一つである葉緑体で行われる。葉緑体の内部はチラコイド膜による膜構造を持っており、膜構造の間の空間はストロマといわれる。チラコイド膜で光エネルギーが化学エネルギーに変換され、その化学エネルギーを使ってストロマで二酸化炭素から糖が生産される。
 チラコイド膜での反応にはクロロフィルという色素が大きな役割を持つ。この色素が光を吸収するとエネルギーが作られ、光化学系IIと呼ばれるところから電子を放出する。放出された電子は、様々な反応系を通過して、最終的には光化学系Iと呼ばれるところでNADP+に渡され、水素と合わさってNADPHとなる。NADPHは電子供与体としてストロマで利用されることになるが、ここまでの反応を、電子伝達系という。
 ストロマでは、気孔を通して葉の中へ入ってきた二酸化炭素が、カルビン-ベンソン回路と呼ばれるデンプン生産サイクルの中に取り込まれる。二酸化炭素を回路に取り組む働きを行う酵素をルビスコという。ルビスコの働きによって二酸化炭素とリブロース二リン酸が反応し、ホスホグリセリン酸となる。さらに、エネルギーの基であるATPと、電子伝達系で作られたNADPHによって、トリオ―スリン酸となる。トリオ―スリン酸は、カルビン-ベンソン回路を経由していく中で、デンプンを産出したのち、再びリブロース二リン酸となり、二酸化炭素と反応を繰り返す。
 弱光化では二酸化炭素を固定するエネルギーが足りないため、葉は呼吸によって二酸化炭素を排出することになる。光を強めていくと、光合成による二酸化炭素の吸収と、呼吸による排出の収支が等しくなる。この光強度を光補償点という。さらに光を強めていくと二酸化炭素の吸収が増えるが、ある光強度になると、それ以上二酸化炭素を吸収しなくなる。この時の光強度を光飽和点という。このように、光の強さと、二酸化炭素の吸収量(光合成速度)との関係を表したグラフを、光-光合成曲線という。光エネルギーの量が、二酸化炭素を固定するエネルギーを上回ると、葉が障害を起こすことがある。これを光阻害という。


② 樹木の生命の維持に欠かせない水利用特性について理解する
 光合成における二酸化炭素の吸収は気孔を通して行われるが、二酸化炭素吸収のために気孔を開くと、植物体内の水分が失われる。葉から水を放出する作用を蒸散という。植物は蒸散によって水を失うが、蒸散によって通水作用が生まれ、水と栄養塩を植物体内に行き渡らせることができる。植物にとって、光合成と蒸散のバランスをとり、孔辺細胞の作用で水利用効率(光合成速度/蒸散速度)を高めることが大切である。
 植物体内の水の移動は、水ポテンシャルの概念で説明されることが多い。水は、水ポテンシャルの高い部位から低い部位へと移動する。なお、水ポテンシャルの値の最大値は0であり、常に負の値をとる。水ポテンシャルは、細胞内に水が入ってくる力(浸透ポテンシャル)、膨張してきた細胞質を細胞壁が押し返す力(圧ポテンシャル)、表面張力や毛細管現象などによって生じる水の力(マトリックスポテンシャル)、重量に従って地表に移動しようとする水の力(重力ポテンシャル)の和で表される。常に気孔の開閉を調節し、生理活動に支障をきたさないように水分状態を維持することが重要である。この水分作用を浸透調節という。
 植物体内の水は、根から葉までの一本の水柱でつながっている。水分子同士がつながる凝集力により、樹木の高い位置まで水を行きわたらせることができる。水分通道速度は、道管や仮道管といった水分通道組織のサイズに依存する。この水柱に、病気や凍結融解などの外部刺激によって気泡が入り込み、空洞が形成されることがある。この現象をキャビテーションという。キャビテーションが生じると水分通道できなくなる。キャビテーションによって水分通道が失われる症状をエンボリズムという。植物はエンボリズムによる被害を最小限にするため、葉を落としたり、根を切り離したりという調整を行っている。


③ 光合成や水分生理を支える幹の構造について理解する。
 樹木において、水や栄養分を各器官に伝える部位は幹である。幹は、最外層に樹皮、その内側に木部、中心に髄がある。木部は、外側に生理機能を持っている色の薄い辺材、内側に生理機能を失った色の濃い心材に区分される。心材のほとんどは死細胞である。樹皮と木部の間には形成層と呼ばれる分裂組織があり、肥大成長することができる。この肥大成長が樹木の特徴である。
 日本における樹木の肥大成長には年周期がある。春先に旺盛な成長を行い、夏以降成長が低下し、秋には成長が止まる。分裂する細胞の大きさで、成長輪(日本においては年輪)が形成される。1成長輪内の初めに形成された部分を早材、成長期の後半に形成された部分を晩材という。
 針葉樹では、水分通道と支持機能を持つ仮道管(かどうかん)が主要な組織であり、整然と並んでいる。仮道管同士は、壁孔という孔でつながっており、水は壁孔を通して伝わる。養分の貯蔵や分配は生細胞である柔細胞が行っている。
 広葉樹では、水分通道を行う道管、機械的支持を行う木部繊維が主要な組織である。道管は樹種ごとに特徴があり、成長期初期に直径の大きい道管・後期に小さい道管を設ける環孔材、成長期全般にわたってほぼ同じ大きさの道管を設ける散孔材、放射方向に大きな道管を並べる放射孔材などがある。また、仮道管と同様、道管同士は壁孔でつながっている。さらに、養分の貯蔵や分配は生細胞である柔細胞が行っている。
 幹が傾くと、幹の成長方向を調整するため、あて材とよばれる組織が作られる。針葉樹の場合は傾斜の下側、すなわち圧縮側に作られるので圧縮あて材、広葉樹の場合は傾斜の上側、すなわち引っ張り側に作られるので引っ張りあて材と呼ばれる。この組織は、植物ホルモンであるオーキシン濃度の偏りによってできると言われている。


キーワード ① 光化学系 ② カルビン-ベンソン回路 ③ 水ポテンシャル ④ 道管 ⑤ 仮道管
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】今回のコマシラバスの細目レベルをあらためて熟読し、知識を深める。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。また、講義の中で配布された資料についても見直しておく。コマシラバスや授業資料の一連の見直しが終わった段階で、授業中に配布された課題プリントに取り組む。課題プリントは今回の講義で学んだ内容に関する、基礎から応用にわたる練習問題である。最初は何も参考にせずに課題プリントに取組み、分からない部分があったらコマシラバスや授業資料を参考して解けるようにしてほしい。なお、課題プリントの答え合わせ及び解説は、次回の授業の中で行う。

【予習】次回のコマシラバスを熟読し、次回の授業で実施する項目について準備をしておく。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。

14 実践編:森林、樹木を守る 科目の中での位置付け  本科目では、森林生態学の基礎的な理論から現場で活用するための実践的な理論までを体系的に学ぶ。全体二部構成とし、第一部(1回目から6回目まで)の講義では森林生態系を理解するための基礎的な理論を、第二部(7回目から14回目まで)は森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか実践的な理論を学ぶ。第一部に関して、1回目では森林と立地環境との関係について、2回目では森林の縦方向、横方向の構造と森林動態について、3回目では森林の生存戦略の一環である生活史戦略について、4回目では森林の生存戦略の一環である資源獲得戦略について、5回目では森林と水循環について、6回目では国内の森林の成立要素と森林の機能について、これらを段階的に学ぶ。第二部に関して、7回目では森林の調査方法について、8回目では既存の森林をどのように整備するべきか施業計画について、9回目では森林整備によって将来森林がどのように変化するかその予想や管理方法について、10回目では      森林管理のための伐採について、11回目では伐採の再造林に関する方法について、12回目では伐採跡地の森林の更新について、13回目では生理的な視点から健全に森林に育成について、14回目では病虫獣害など森林被害と被害防除方法について、これらを段階的に学ぶ。15回目の講義は、知識の定着を図るための復習回とする。
 14回目は、実践編「森林、樹木を守る」として、最初に森林を守るための病虫害の特性について、次に近年深刻な獣害について、最後に自然災害の影響について学ぶ。

①丹下・小池(2016)造林学第四版,pp76-80, 朝倉書店, 3,400円+税
東京農工大農学部(2007)森林・林業実務必携, p25-32, 朝倉書店, 8,800円+税
東京農工大農学部(2021)森林・林業実務必携, p77-90, 朝倉書店, 8,000円+税

②丹下・小池(2016)造林学第四版,pp76-80, 朝倉書店, 3,400円+税
東京農工大農学部(2021)森林・林業実務必携, pp90-95, 朝倉書店, 8,000円+税

③東京農工大農学部(2007)森林・林業実務必携, p86-88, 朝倉書店, 8,800円+税
東京農工大農学部(2021)森林・林業実務必携, pp95-97, 朝倉書店, 8,000円+税












コマ主題細目 ① 病虫害 ② 獣害 ③ 気象害
細目レベル ① 森林を守るため、病虫害について理解する。
 樹木や森林に関わる微生物の中には、樹木の病気を引き起こし、枯死に至らしめるものもある。病気の原因になる微生物を病原体と呼び、これが病気の主因となる。また、樹木の健康状態を損ねる環境要因を誘因という。さらに、樹木自体の体力や性質も感染に影響し、これを素因という。主因、誘因、素因がそろった時に樹病が発生する。世界的な樹木の流行病(樹木四大流行病)として、五葉マツ発疹サビ病、ニレ立枯病、クリ胴枯れ病、マツ材線虫病がある。いずれも他の地域から導入されて発症した病気である。国内では、スギ苗に発生するスギ赤枯病・溝腐病、針葉樹・広葉樹の苗木で各種菌により引き起こされる立枯病、カラマツ幼齢林に発生したカラマツ先枯れ病が有名である。
 虫が原因で被害が発生するものも多い。マツノザイセンチュウとマツノマダラミキリの相互作用により発生するマツ材線虫病は国内のアカマツやクロマツに大打撃をもたらした。スギカミキリはスギやヒノキなどの生立木を加害する一次性害虫であり、被害跡は、はちかみなどと俗称される。スギノアカネトラカミキリは、スギやヒノキの枯れ枝に産卵し、樹幹内に穿孔する。材が変色し、この状態はとびくされと呼ばれる。スギカミキリ、スギノアカネトラカミキリと、枯れることはないが材の品質を著しく低下させることが問題である。その他に、材の劣化を引き起こすスギザイノタマバエ、大量に発生して葉を食害するマツカレハやマイマイガ、葉を吸汁するスギノハダニなどが有名である。また、近年問題となっているのは、ナラ類に集団枯れ(ナラ枯れ)を引き起こすカシノナガキクイムシ、サクラなどバラ科を枯死させるクビアカツヤカミキリであり、被害は深刻さを増している。


② 森林を守るため、獣害について理解する。
 森林に被害を与える野生哺乳類として、ニホンジカ、ニホンカモシカ、クマ、ノネズミ・ノウサギが代表である。
 ニホンジカは、個体数密度の上昇と分布域の拡大により、林業地帯だけでなく、全国あちこちの森林に深刻な被害をもたらしている。ニホンジカは、アセビやヒサカキ等一部の不嗜好性植物を除いて、ほとんどの種類の植物を食べる。好物のササ類が豊富なところでも周辺の樹木の樹皮を剥いで食べる習性があり、この剥皮によって多くの樹木が枯死している。植林地ではスギやヒノキ等の枝葉の食害が、壮齢林になると剥皮害が顕著となる。防除の方法としては、林地への侵入を物理的に防ぐ防護柵がもっとも効果的であり、植林地への柵の設置は必須となっているが、経費や労力の点から制約も多い。個体数調整も有効である。地域によってはニホンカモシカによる被害も多いが、ニホンカモシカによる剥皮被害はなく、植栽木の枝葉の食害が深刻となっている。
 ツキノワグマやヒグマによる林業被害は、クマ剥ぎとして知られている。スギ、ヒノキ、カラマツの人工林やモミやトウヒ林の、主に大径木において、地際近くから上方に向かって樹皮が大きく引きはがされ、形成層周辺がかじりとられる。この被害をうけると、やがて巻き込み等の幹の変形や壊死が起こり、材の価値は著しく低下し、被害の大きいものは枯死する場合もある。近年しばしば報じられる人里での人とクマとの遭遇頻度は、主な餌であるブナやナラ類の堅果の豊凶と関係している。
 造林の初期段階では、ノネズミやノウサギに被害も多い。樹皮や根の食害や刈り取りにより、苗木や幼齢木を枯死させ、大きな林業被害をもたらすこともある。


③ 森林を守るため、気象害について理解する。
 森林は異常気象によっても被害を受けることがある。代表的な気象害として、風害、寒風害、凍害、干害、雪害、森林火災が挙げられる。
 風害は、広葉樹よりも針葉樹で発生しやすい。人工林の中でも、特に一斉林は弱く、天然林は強い。強度間伐を行うと発生しやすくなる。
 寒風害は、厳寒期に土壌が凍結して、水分補給がない時に、樹体内の水分が風により強制的に奪われて発生する。特に樹冠で枯れが多くなる。風当りの良い場所に植えられた老・壮齢林の上部の葉が春先に赤変する。冬季の乾燥害ともいわれる。
 凍害は、樹木が凍結に耐える限界を超えて冷却されると、細胞間げきの水分の凍結により発生する。特に、凍結した樹幹が急激に縦に割れる現象を凍裂という。
 干害は、50年に一度程度の干ばつ時や植栽後の散水不足時に発生しやすい。樹木の生理活性を弱め、病害虫などの先駆となる。
 森林火災の発火源の半数以上は、たばこやたき火の不始末といわれている。火災の発生月は2~4月の乾燥時期に多い。森林火災には地表火、樹冠火、樹幹火、地中火の4種類がある。湿度が30%以下になると、延焼速度は生豆て大きくなり、消防が困難となる。


キーワード ① マツノマダラカミキリ ② カシノナガキクイムシ ③ シカ ④ クマ ⑤ 森林火災
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】今回のコマシラバスの細目レベルをあらためて熟読し、知識を深める。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。また、講義の中で配布された資料についても見直しておく。コマシラバスや授業資料の一連の見直しが終わった段階で、授業中に配布された課題プリントに取り組む。課題プリントは今回の講義で学んだ内容に関する、基礎から応用にわたる練習問題である。最初は何も参考にせずに課題プリントに取組み、分からない部分があったらコマシラバスや授業資料を参考して解けるようにしてほしい。なお、課題プリントの答え合わせ及び解説は、次回の授業の中で行う。

【予習】次回のコマシラバスを熟読し、次回の授業で実施する項目について準備をしておく。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。

15 全体まとめ 科目の中での位置付け  本科目では、森林生態学の基礎的な理論から現場で活用するための実践的な理論までを体系的に学ぶ。全体二部構成とし、第一部(1回目から6回目まで)の講義では森林生態系を理解するための基礎的な理論を、第二部(7回目から14回目まで)は森林生態学の知識がどのようにして実際の森林保全管理に活かされるのか実践的な理論を学ぶ。第一部に関して、1回目では森林と立地環境との関係について、2回目では森林の縦方向、横方向の構造と森林動態について、3回目では森林の生存戦略の一環である生活史戦略について、4回目では森林の生存戦略の一環である資源獲得戦略について、5回目では森林と水循環について、6回目では国内の森林の成立要素と森林の機能について、これらを段階的に学ぶ。第二部に関して、7回目では森林の調査方法について、8回目では既存の森林をどのように整備するべきか施業計画について、9回目では森林整備によって将来森林がどのように変化するかその予想や管理方法について、10回目では      森林管理のための伐採について、11回目では伐採の再造林に関する方法について、12回目では伐採跡地の森林の更新について、13回目では生理的な視点から健全に森林に育成について、14回目では病虫獣害など森林被害と被害防除方法について、これらを段階的に学ぶ。15回目の講義は、知識の定着を図るための復習回とする。
 15回目は、復習編「全体まとめ」として、最初に森林生態系について学んできた内容を振り返る。次に、森林の保全や管理について学んできた内容を振り返る。最後に、全体のまとめを行う。

①これまで配布した課題解答(1回~6回)

②これまで配布した課題解答(7回~14回)

③練習問題プリント










コマ主題細目 ① 森林生態系 ② 森林保全管理 ③ 全体まとめ
細目レベル ① 森林生態系について学んできた内容を振り返る
 練習問題の復習を通じて、知識を定着していく。森林生態系について学んだ1回目~6回目において、講義の1回目では森林と立地環境との関係について、2回目では森林の縦方向、横方向の構造と森林動態について、3回目では森林の生存戦略の一環である生活史戦略について、4回目では森林の生存戦略の一環である資源獲得戦略について、5回目では森林と水循環について、6回目では国内の森林の成立要素と森林の機能について学んできた。そして、それぞれの内容に練習問題を5問ずつ、課題学習としておのおの習得してきたと思う。
 可能な限り練習問題をすべて振り返りながら、知識のあやふやなところを補足・解説していく。特に誤りやすい問題について注意点を述べていく。時間に余裕があれば、新たな問題を解くことにも挑戦する。これら一連の流れの中で、森林生態系に関する全般的な知識の充実化に努める。


② 森林の保全や管理について学んできた内容を振り返る
 練習問題の復習を通じて、知識を定着していく。森林の保全と管理について学んだ7回目~14回目において、講義の7回目では森林の調査方法について、8回目では既存の森林をどのように整備するべきか施業計画について、9回目では森林整備によって将来森林がどのように変化するかその予想や管理方法について、10回目では森林管理のための伐採について、11回目では伐採の再造林に関する方法について、12回目では伐採跡地の森林の更新について、13回目では生理的な視点から健全に森林に育成について、14回目では病虫獣害など森林被害と被害防除方法について学んできた。そして、それぞれの内容に練習問題を5問ずつ、課題学習としておのおの習得してきたと思う。
 可能な限り練習問題をすべて振り返りながら、知識のあやふやなところを補足・解説していく。特に誤りやすい問題について注意点を述べていく。時間に余裕があれば、新たな問題を解くことにも挑戦する。これら一連の流れの中で、森林の保全に関する全般的な知識の充実化に努める。



③ 森林生態系ついて、自分の考えをまとめる
 これまで本講義では、森林生態系とは何か、どうして森林を保全する必要があるか、どのように森林を管理することが大切か、などを一方方向で伝えてきた。基礎知識を習得するためにこのような方法も必要ではあるが、社会に出て森林の保全管理に取り組んで場合には、やはり自分で問題や解決方法を考える、というトレーニングが必要であると考えられる。
 そこで本項では、森林生態系についての自分の考えをまとめるという練習問題を解く。ここで大切なことは、相手に自分の意図を伝えるために、主張をコンパクトにまとめることである。これまで分量が多いことが重要という先入観があるかもしれないが、長々とした主張は相手に読んでもらえない。主張内容を絞ってまとめてもらいたい。


キーワード ① 構造と動態 ② 生存戦略 ③ 水循環 ④ 森林の保全 ⑤ 森林の育成
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】今回のコマシラバスの細目レベルをあらためて熟読し、知識を深める。その際、参考資料の中の当該項目も参照しながら理解を深めておくことが望ましい。また、講義の中で配布された資料についても見直しておく。コマシラバスや授業資料の一連の見直しが終わった段階で、授業中に配布された課題プリントに取り組む。課題プリントは今回の講義で学んだ内容に関する、基礎から応用にわたる練習問題である。最初は何も参考にせずに課題プリントに取組み、分からない部分があったらコマシラバスや授業資料を参考して解けるようにしてほしい。なお、課題プリントの答え合わせ及び解説は、次回の授業の中で行う。

【予習】試験対策として、コマシラバス全体を熟読するとともに、これまでの課題プリントを確実に解けることのできるようにしておく。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
森林環境と生態系サービス  本項目について講義内容を習得できているかどうか、試験問題により評価する。試験形式は、択一形式もしくは記述式の問題(ただし主に択一形式)とする。評価項目は以下のとおりである。
 森林の種類を決定づける環境要因について理解していること。さまざまな気候帯と各種森林の特徴との関係について理解していること。国内において、森林生態系の成り立たたせる地理的要素について理解していること。森林生態系が私たちに提供する生態系サービスとは何か理解していること。森林の公益的機能を支える生物多様性について、生物多様性の意味や種類について理解していること。
気候、地形、森林植生、暖かさの指数、分布境界線、生態系サービス、生物多様性、多様度指数 16 1,6,15
森林構造と水循環  本項目について講義内容を習得できているかどうか、試験問題により評価する。試験形式は、択一形式もしくは記述式の問題(ただし主に択一形式)とする。評価項目は以下のとおりである。
 森林の縦方向の構造(すなわち森林の垂直構造)の特徴について理解していること。森林の横方向の構造(すなわち森林の水平構造)の特徴について理解していること。森林の動態の意味と特徴について理解していること。水循環機能を担う光エネルギーについて理解していること。森林に流入する降水の特徴について理解していること。森林から流出する水の特徴について理解していること。
ハビタット、樹冠、集中分布、遷移、ギャップ、顕熱フラックス、潜熱フラックス、樹冠遮断、飽和流、ホートン型地表流 16 2,5,15
樹木の生存戦略  本項目について講義内容を習得できているかどうか、試験問題により評価する。試験形式は、択一形式もしくは記述式の問題(ただし主に択一形式)とする。評価項目は以下のとおりである。
 森林の更新に向けて各樹木がどのような戦略を立てるのか理解していること。繁殖や送粉における樹木の生存戦略を理解していること。種子散布における樹木の生存戦略を理解していること。葉における時間的な資源獲得戦略について理解していること。樹木の成長と資源獲得戦略について理解していること。資源獲得競争で生じるトレードオフについて理解していること。
r選択者、K選択者、C-S-Rモデル、自家不和合性、相利共生、順次展葉型、一斉展葉型、モジュール、シュート、トレードオフ 16 3,4,15
森林調査と森林施業計画  本項目について講義内容を習得できているかどうか、試験問題により評価する。試験形式は、択一形式もしくは記述式の問題(ただし主に択一形式)とする。評価項目は以下のとおりである。
 林分調査の方法を理解していること。材積を推定する方法を理解していること。ドローンなど新たなを森林調査手法について理解していること。樹木の伐採の種類と方法について理解していること。いつ森林を伐採すべきか、その齢について理解していること。森林経理の視点から、森林の価値の評価方法を理解していること。森林の成長特性について理解していること。樹木の成長指標について理解していること。間伐の効果について理解していること。
毎木調査、標準地法、末口、元口、ドローン、主伐、間伐、成長量、費用価法、グラーゼル法、光環境、LAI、地位、間伐、最多密度線 17 7,8,9,15
森林整備と森林育成  本項目について講義内容を習得できているかどうか、試験問題により評価する。試験形式は、択一形式もしくは記述式の問題(ただし主に択一形式)とする。評価項目は以下のとおりである。
 森林管理の基盤となる路網について理解していること。森林整備に欠かせない林業機械について理解していること。架線による集材の方法について理解していること。森林の世代交代のための繁殖、発芽について理解していること。人工林における林木育種について理解していること。苗木の生産ついて理解していること。更新の基盤となる森林土壌について理解していること。森林の更新方法について理解していること。森林の保育方法について理解していること。
幅員、土積図、チェンソー、プロセッサ、エンドレスタイラー、開花、マスティング、次代検定、しいな、コンテナ苗、褐色森林土、人工更新、天然更新、 植栽密度、下刈り 17 10,11,12,15
樹木生理と森林保護  本項目について講義内容を習得できているかどうか、試験問題により評価する。試験形式は、択一形式もしくは記述式の問題(ただし主に択一形式)とする。評価項目は以下のとおりである。
 樹木の生産活動の基盤となる光合成を理解していること。樹木の生命の維持に欠かせない水利用特性について理解していること。光合成や水分生理を支える幹の構造について理解していること。森林を守るため、病虫害について理解していること。森林を守るため、獣害について理解していること。森林を守るため、気象害について理解していること。
光化学系、カルビン-ベンソン回路、水ポテンシャル、道管、仮道管、マツノマダラカミキリ、カシノナガキクイムシ、シカ、クマ、森林火災 18 13,14,15
評価方法 最終試験(100%)により評価する。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 指定しない
参考文献 文字数過多のため、参考文献は各コマの「教材・教具」欄を参照してください。
実験・実習・教材費 なし