区分 フィールド生態科目 動物生態共通科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門性 理解力 実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
専門知識 教養知識 思考力
実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。
科目の目的
本科目は、動物行動学とは何かについて、動物行動学の歴史とともに、動物行動学が明らかにしようとしている視点について理解するとともに、動物が示す多様な行動について、進化的視点と発達的視点といった様々な視点から、理解するものである。動物行動学の理解を通じて、動物福祉の考えとの繋がりについても学ぶだけでなく、基本的な動物行動学的調査手法についても理解する。本科目では、野生動物だけではなく、家畜動物や伴侶動物の行動、また脊椎動物を主として、様々な動物の行動について動物行動学的視点から理解する。
到達目標
動物行動学の基礎的概念を理解するとともに、動物の行動の様式の違いやその進化的背景について理解する。具体的には、後に示す履修判定指標の5項目を参照のこと。
科目の概要
本講義においては、動物行動学における基本的な考え方について学習した上で、動物の様々な行動ごとに、その多様性やその行動が起きる”なぜ”について学習し、また、それらの動物行動学的知見がどのような解析によって得られたものであるのか理解する。第一回の講義では、動物行動学とは何かについて、その基本概念を理解する。第二回の講義では、動物の行動を進化的視点から、第三回の講義では、行動を発達的視点から理解する。第四回の講義では、行動の条件づけについて理解するとともに、情動系とは何かについて学習する。第五回から第十回の講義では、動物の行動別に、コミュニティケーション行動(第五回)、子の世話をする行動(第六回)、生殖行動(第七回)、社会行動(第八回)、維持行動(第九回)、学習行動(第十回)について、それぞれ行動の多様性・その行動が生じる理由について理解する。その上で、第十一回の講義では、アニマルウェルフェアの考え方と動物行動学との関係について学習する。第十二回および、第十三回の講義では、大学内の飼育設備を用いた研究について学び、動物行動学への理解を深める。第十四回および第十五回の講義では、動物行動学の基礎的手法について理解する。
科目のキーワード
①動物の行動のなぜ、②適応度、③包括的適応度、④学習、⑤基本的な研究手法
授業の展開方法
PowerPoint・Keynote, AL. 本科目においては、第一回から第四回の講義までは、動物行動学とは何かという点から、進化的視点、発達的視点について学習するとともに、行動の条件付け、情動系について学ぶ。第五回から第十回の講義では、動物の行動別に、それぞれの行動の多様性とそれらの多様性が生じる理由について学習する。第十一回から第十二回は、動物行動学とアニマルウェルフェア、保全との関りについて学習する。第十三回から第十五回は、動物行動研究の手法について理解する。なお、すべての講義では、授業の冒頭に印刷資料を配布した上で、パワーポイントによる講義形式にて授業を展開する。
オフィス・アワー
【月曜日】2・3・4時限目、【水曜日】3・4限目(会議日は除く)、【金曜日】2限目
科目コード ENS301
学年・期 2年・前期
科目名 動物行動学
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 選択
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 基礎生態学
展開科目 動物飼養管理学、野生動物管理学、陸生動物保全学
関連資格 なし
担当教員名 水谷友一
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 動物行動学の基本概念 科目の中での位置付け 本講義においては、動物行動学における基本的な考え方について学習した上で、動物の様々な行動ごとに、その多様性やその行動が起きる”なぜ”について学習し、また、それらの動物行動学的知見がどのような解析によって得られたものであるのかという流れにそって、展開する。第一回の講義では、動物行動学とは何かについて、その基本概念を理解する。第二回の講義では、動物の行動を進化的視点から学習する。第三回の講義では、行動を発達的視点から理解する。第四回の講義では、行動の条件づけについて理解するとともに、情動系とは何かについて学習する。第五回から第十回の講義では、動物の行動別に、コミュニティケーション行動(第五回)、子の世話をする行動(第六回)、生殖行動(第七回)、社会行動(第八回)、維持行動(第九回)、学習行動(第十回)について、それぞれ行動の多様性・その行動が生じる理由について理解する。その上で、第十一回の講義では、アニマルウェルフェアの考え方と動物行動学との関係について学習する。第十二回では、動物行動学と動物の保全との関わりを中心に学ぶ。第十三回および第十四回の講義では、動物行動学の基礎的手法について理解し、第15回では実際に大学で飼育されている動物(とくに魚類)をもちいた研究手法について理解する。上のような科目全体において、本コマ(第一回)では、導入として、動物行動学の基本概念を理解するとともに、なぜ動物行動学を学ぶべきであるのかについて理解する。
以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる。
①森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 6頁
②森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 2-5頁
③森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 4頁
コマ主題細目 ① Tinbergenの4つのなぜ ② 動物行動学の成り立ち ③ 行動の階層 ④ ー ⑤ ー
細目レベル ① 動物行動学とは、動物の行動に関する「なぜ」を明らかにする学問分野である。ニコ・ティンバーゲン(Nikolaas Tinbergen, 1907-1988)は、動物がある行動をどのようにして・なぜ行うのかに関する問いに対し、4つの異なる問いに分類した。それらには至近要因として①機構、②発達発生、また究極要因として③機能・生存価、④進化・系統が含まれる。機構とは、行動のメカニズムを明らかにする視点であり、発達・発生は、その行動が遺伝的基盤をもとにどう習得されるのかを明らかにする視点である。究極要因のうち、機能・生存価は、その行動にはどのような適応的意味があるのかを明らかにする視点であり、進化・系統は、その行動が祖先型の行動からどのように変化してきたのかを明らかにする視点である。本コマでは、これら4つの視点について、例を挙げてそれぞれの内容及び違いについて理解する。
② カール・フォン・フリッシュ(Karl Ritter von Frisch, 1886-1982)、コンラート・ローレンツ(Konrad Zacharias Lorenz, 1903-1989)、 ニコ・ティンバーゲンは共に、1973年にノーベル生理学・医学賞を受賞し、動物行動学の創始者と呼ばれる。カール・フォン・フリッシュは、ミツバチの色覚に関する研究やミツバチの8の字ダンス等の研究で有名である。コンラート・ローレンツは、ハイイロガンを対象に刷り込みに関する研究を行ったことや、動物の行動を観察し、その比較から動物の行動の進化を探るという手法を提唱したことで知られている。ニコ・ティンバーゲンは、前述の細目レベル②にて説明した通り、動物行動に関する4つのなぜの提唱で知られている。本コマでは、これら動物行動学の創始者と呼ばれる3人の研究者がそれぞれどのような研究を行なってきたのかについて理解する。
③ 走性、反射、本能、学習のそれぞれの違いについて説明する。走性(taxis)は、刺激によってある一定へ方向に移動する行動を指す。刺激に向かっていく、正の走性と、刺激から遠ざかる、負の走性とに分けられる。反射(reflex)は、刺激に対して無意識的に生じる反応で、膝蓋腱反射などがある。一方、走性やこの反射は生得的行動であるのに対し、条件反射(conditioned reflex)は、これまでの経験によって獲得される行動であり、獲得的行動である。本能行動は生得的行動であるのに対し、学習行動は経験に基づいて長期的に身につけた行動であり、獲得的行動である。ただし近年では、線虫を対象として、RNAを介した学習行動の遺伝に関する報告もあり、学習行動のメカニズムを明らかにする研究が進められている。本コマでは、これら行動の違いについて生得的行動と獲得的行動の観点から押さえる。


キーワード ① 4つのなぜ ② 究極要因 ③ 至近要因 ④ 適応 ⑤ 進化・系統
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時にヨリソル上において5問以上の当該コマの小テスト(難易度表示つき)を実施します。
復習・予習課題 復習:本コマでは、動物行動学が明らかにする「4つのなぜ」について説明を行った。動物のある行動の「なぜ」に対し、その4つの答え方の視点をそれぞれ100字程度で説明する。また、動物行動学の創始者と呼ばれる3人の研究者(フリッシュ、ローレンツ、ティンバーゲン)について、それぞれが行なった代表的な研究について、100字程度で説明できるようにしておく。
予習:次のコマでは、動物の行動がどのように進化してきたのかの視点に基づいて講義を行う。そのため、ダーウィンの唱えた自然選択理論について適宜復習を行い、その理論に基づいて、動物の行動に限らず、生物がどのように進化してきたのかについて200字程度で説明できるようにしておく。

2 行動の進化 科目の中での位置付け 本講義においては、動物行動学における基本的な考え方について学習した上で、動物の様々な行動ごとに、その多様性やその行動が起きる”なぜ”について学習し、また、それらの動物行動学的知見がどのような解析によって得られたものであるのかという流れにそって、展開する。第一回の講義では、動物行動学とは何かについて、その基本概念を理解する。第二回の講義では、動物の行動を進化的視点から学習する。第三回の講義では、行動を発達的視点から理解する。第四回の講義では、行動の条件づけについて理解するとともに、情動系とは何かについて学習する。第五回から第十回の講義では、動物の行動別に、コミュニティケーション行動(第五回)、子の世話をする行動(第六回)、生殖行動(第七回)、社会行動(第八回)、維持行動(第九回)、学習行動(第十回)について、それぞれ行動の多様性・その行動が生じる理由について理解する。その上で、第十一回の講義では、アニマルウェルフェアの考え方と動物行動学との関係について学習する。第十二回では、動物行動学と動物の保全との関わりを中心に学ぶ。第十三回および第十四回の講義では、動物行動学の基礎的手法について理解し、第15回では実際に大学で飼育されている動物(とくに魚類)をもちいた研究手法について理解する。上のような科目全体の中で、本講義(第二回)においては、進化的知見から動物行動について理解する。
以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる。
①森裕司ら(2012)「動物行動学」インターズー, 14頁
②森裕司ら(2012)「動物行動学」インターズー, 15頁
③森裕司ら(2012)「動物行動学」インターズー, 16頁
コマ主題細目 ① ダーウィンによる自然選択説 ② 自然選択による行動の進化 ③ 人為的選択 ④ ⑤
細目レベル ① 進化とは何かについて説明するとともに、ダーウィンの唱えた自然選択説の基本的な考え方について説明を行う。進化とは、集団あるいは種における世代を超えた遺伝的変化をさす。ダーウィン(1959)による自然選択理論においては、個体には変異があり、それによって個体の生存率や子の数において多い少ないの違いが生じ、またこの違いは、ある程度遺伝することによって、時間的にその頻度が変わっていくことで、生物の進化が起こると考えられた。このような考え方は、次の細目レベル②にて詳しく説明する通り、形態的多様性を説明するだけではく、行動という表現型にも当てはまることがある。そのため、ここでは、自然選択説の基本的な考え方について押さえる。
② ダーウィンの自然選択説・性選択説による考え方が形態学的な表現型だけでなく、行動という表現型にも当てはまる例について説明する。ショウジョウバエを用いた研究では、行動特性を集団で淘汰していった結果、様々な行動において、10世代程度で変化したと報告されている。このほか、行動の進化に関する例として、ハヌマンラングール(Semnopithecus entellus)の子殺し(Infanticide)について紹介する。この行動は、自然選択による説明では、一見説明することが難しい。なぜならば、子どもを殺す行動は、直接的に、そのオスがコドモを残す行動ではないためである。ここでは、様々な動物の行動を例にあげ、その多様性と進化的視点について理解する。
③ ここでは、自然選択によらない行動の進化の例について紹介するとともに、人為的選択である家畜化について、イヌおよびネコを例として挙げ、家畜化のプロセスと行動の変容について説明する。家畜化に伴う行動学的な変化として、完全な性成熟個体でありながら、幼体の形質が残る現象が知られており、本コマにおいては、特にイヌの場合を例としてあげ、犬ではどのような行動変容が見られるのかについて理解する。また、同種のイヌであっても品種によって、外見的な形質だけではなく、行動特性にも変異が大きいという点についてまで理解する。イヌにおいては、その犬種による行動的差異が明瞭であることから、行動遺伝学のモデル動物として研究が多くなされている。講義では、その例についても紹介する。


キーワード ① 自然選択説 ② 表現型 ③ 変異 ④ ネオテニー ⑤ 家畜化
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時にヨリソル上において5問以上の当該コマの小テスト(難易度表示つき)を実施します。
復習・予習課題 復習:本講義においては、進化的な視点から、動物の行動について扱ったため、まず復習として、ダーウィンの唱えた自然選択説が、どのように動物の表現型の進化が生じると説明しているのかについて、「変異」、「遺伝」といったキーワードを用いて、200字程度で説明できるようにしておく。また、人為的選択として、家畜化のプロセスにおいて、どのような行動学的変化が生じたのか、イヌあるいはネコを例として挙げて、300字程度で説明できるようにしておく。
予習:次回の講義においては、「行動の動機づけ」について講義を行うため、あらかじめ各自「動機づけ」とは何かについて意味を調べておくとともに、次回の講義(第三回)のコマシラバスをよく読んでおくこと。

3 行動の発達 科目の中での位置付け 本講義においては、動物行動学における基本的な考え方について学習した上で、動物の様々な行動ごとに、その多様性やその行動が起きる”なぜ”について学習し、また、それらの動物行動学的知見がどのような解析によって得られたものであるのかという流れにそって、展開する。第一回の講義では、動物行動学とは何かについて、その基本概念を理解する。第二回の講義では、動物の行動を進化的視点から学習する。第三回の講義では、行動を発達的視点から理解する。第四回の講義では、行動の条件づけについて理解するとともに、情動系とは何かについて学習する。第五回から第十回の講義では、動物の行動別に、コミュニティケーション行動(第五回)、子の世話をする行動(第六回)、生殖行動(第七回)、社会行動(第八回)、維持行動(第九回)、学習行動(第十回)について、それぞれ行動の多様性・その行動が生じる理由について理解する。その上で、第十一回の講義では、アニマルウェルフェアの考え方と動物行動学との関係について学習する。第十二回では、動物行動学と動物の保全との関わりを中心に学ぶ。第十三回および第十四回の講義では、動物行動学の基礎的手法について理解し、第15回では実際に大学で飼育されている動物(とくに魚類)をもちいた研究手法について理解する。上のような科目全体において、本講義(第三回)においては、発達の視点から動物の行動について理解する。
以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる。
①森裕司ら(2012)「動物行動学」インターズー, 26-27頁
②森裕司ら(2012)「動物行動学」インターズー, 28-32頁
③森裕司ら(2012)「動物行動学」インターズー, 33-36頁
コマ主題細目 ① 早成性動物と晩成性動物 ② 発達ステージ ③ 行動発達に与える影響 ④ ⑤
細目レベル ① 動物の中には、生まれた時から親とほとんど変わらない行動ができる動物もいれば、生まれて間もなくは、目も見えず、歩くことすらままならない動物もいる。このような生誕時の成熟度の違いによって、動物は早成性動物と晩成性動物に分けられる。ここでは主に哺乳類を例として挙げ、これら早成性動物と晩成性動物の違いについて説明する。また、早成性と晩成性の動物にはそれぞれどのような動物が見られるのかについて確認した上で、早成性と晩成性の両者の違いを左右する要因にはどのようなものが挙げられるかについて理解する。それぞれの要因が動物の生誕時の成熟度の違い(早成性と晩成性)にどのように関わっているのかというところまで押さえる。
② ここでは、”発達”という視点から、動物の行動について学習する。本講義の細目レベル①において、晩成性動物では、生まれて間もなくはまだ歩くことすら出来ないなど、動物の行動は年齢によって変化することを学習した。このように、動物が示す様々な行動は、生涯を通じて同じであるとは限らず、個体はそれぞれの発達ステージによって異なる行動を示す。本コマにおいては、主にイヌを例として挙げ、イヌの発達ステージの分類とそれぞれの発達ステージにおいて特徴的な行動学的変化について説明する。イヌの発達ステージはどのように分類され、またそれぞれの発達ステージにはどのような行動学的特徴や特性があるのかという点についてまで押さえる。
③ 動物の行動発達において、どのような要因が個体の行動に影響を与えるのかについて理解する。行動発達には、遺伝的要因と環境要因のどちらもが影響を与えうることについて、いくつかの動物の例を挙げて説明を行う。また、行動発達様式に遺伝的要因や環境要因がどのように影響するのかについては、その動物種の社会構造(例えば、単独性や群居性なのかなど)や配偶システム、食性(例えば、草食なのか、肉食なのか等)、生活様式(例えば、定住生活者なのか回遊を行うのか等)等も含めて考える必要があることを理解した上で、動物の行動は、遺伝的な制約の中で、環境からの影響を受け、それぞれの個体に特有の行動特性を発達させているという点についてまで押さえる。


キーワード ① 早成性 ② 晩成性 ③ 社会化期 ④ 行動発達 ⑤ 産子数
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時にヨリソル上において5問以上の当該コマの小テスト(難易度表示つき)を実施します。
復習・予習課題 復習:本コマにおけるポイントは、動物の行動を「発達」という視点から理解することである。動物は、生まれてから死ぬまでの間において、行動様式が変化することをおさらいし、その行動様式の変化において影響を与うえる要因には、どのような要因があるのかについて理解しておく必要がある。また、早成性動物と晩成性動物には、それぞれどのような動物が例として挙げられるか答えられるようにしておく。また、どのような要因が動物の早成性と晩成性に影響しているのかについて説明できるようにしておく。予習:次回のコマ(第4回)では、動物の行動の動機づけについて扱うため、動物行動学における「動機づけ」とは何を指すのかについて各自意味を調べておくこと。
4 行動の動機づけと情動系 科目の中での位置付け 本講義においては、動物行動学における基本的な考え方について学習した上で、動物の様々な行動ごとに、その多様性やその行動が起きる”なぜ”について学習し、また、それらの動物行動学的知見がどのような解析によって得られたものであるのかという流れにそって、展開する。第一回の講義では、動物行動学とは何かについて、その基本概念を理解する。第二回の講義では、動物の行動を進化的視点から学習する。第三回の講義では、行動を発達的視点から理解する。第四回の講義では、行動の条件づけについて理解するとともに、情動系とは何かについて学習する。第五回から第十回の講義では、動物の行動別に、コミュニティケーション行動(第五回)、子の世話をする行動(第六回)、生殖行動(第七回)、社会行動(第八回)、維持行動(第九回)、学習行動(第十回)について、それぞれ行動の多様性・その行動が生じる理由について理解する。その上で、第十一回の講義では、アニマルウェルフェアの考え方と動物行動学との関係について学習する。第十二回では、動物行動学と動物の保全との関わりを中心に学ぶ。第十三回および第十四回の講義では、動物行動学の基礎的手法について理解し、第15回では実際に大学で飼育されている動物(とくに魚類)をもちいた研究手法について理解する。上のような科目全体において、本コマ(第四回)では、行動の動機づけと情動系について理解する。
以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる。
①森裕司ら(2012)「動物行動学」インターズー, 50-52頁
②森裕司ら(2012)「動物行動学」インターズー, 54頁
③森裕司ら(2012)「動物行動学」インターズー, 53頁
コマ主題細目 ① 動機づけの種類 ② 欲求行動と完了行動 ③ 情動とは ④ ⑤
細目レベル ① 行動の動機づけとは何かについて説明する。行動は、刺激があればどんな時でも無条件に引く起こされるのではなく、まず動機付けが必要であると考えられる。動機付けとは、ある動物が状況に応じて異なる振る舞いを行う基盤となる内的状態の変化を指す。例えば、暑い環境下に何時間もいる中で、水をずっと飲んでいない状況であれば、水を飲む行動の動機は高い状態になり、水があれば水を飲む行動が生じる。一方、寒いあるいは湿った環境下において、直近で水を飲んだ状況であれば、水を飲む行動の動機は低い状態となり、たとえ水が周囲にあっても水を飲む行動は引き起こされないだろう。このように、例えば天気といった外的要因あるいは内的要因から、ある行動の動機が高まり、その上で動物が刺激を受けると、動物はある行動を起こす。動機付けを理解することは、例えば、家畜動物や飼育動物が示す異常行動や常同行動の原因を特定したり、それらの行動を抑制することやためにも役立つというところまで理解する。
② ここでは、動物の一連の行動において、欲求行動とは何か、完了行動とは何かについて説明するとともに、動物の行動を例に挙げて、それぞれの行動において、どの行動が欲求行動あるいは完了行動にあたるのかについて説明を行う。動物の欲求行動(Appetitive behavior)とは、ある生得的に動機付けられている動物が示す探索的行動を指し、完了行動(Consummatory behavior)とは、摂食や交尾といった最終目標を達成する行動を指す。例えば、性行動において、欲求行動は、縄張りの確保や求愛行動などがそれにあたり、完了行動は、交尾行動である。いくつかの動物種を例に挙げて、これらの行動について確認を行う。
③ 動物行動学における「情動」とは何かということについて説明を行う。情動(emotion)とは、行動や表情を通して、客観的に捉えることのできる喜怒哀楽に関する脳の活動を指す。快情動とは、生得的欲求が満たされたり安心感に包まれた時に起こる喜びや安らぎを示す脳の活動で、一方、欲求が満たされなかったり、身に危険が迫った時に引き起こされる怒りや恐怖・不安を示す脳の活動は、不快情動と呼ばれる。快情動や不快情動は、記憶と結びつくことで強化子(reinforcer)あるいは罰子(punisher)として意味付けられる。本講義においては、これら動物の情動が動物の行動において、どのように働いているのかという点についてまで押さえる。


キーワード ① 動機づけ ② 情動 ③ 鍵刺激 ④ 欲求行動 ⑤ 完了行動
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時にヨリソル上において5問以上の当該コマの小テスト(難易度表示つき)を実施します。
復習・予習課題 復習:本講義においては、「動機づけ」「欲求行動」「完了行動」「情動」といった用語について確認した。それぞれの語句がさす内容について自分の言葉で説明できるよう、200字程度にてまとめること。また、身近な動物を観察し(身近に動物を観察できない場合には動物の映像においてでも良い)、それらの動物の行動において、「欲求行動」「完了行動」がどの行動に当てはまるのかについて確認を行うこと。
予習:次回の講義においては、動物のコミュニケーション行動について扱う。コミュニケーション行動とは何を指すのか事前に調べ、身近な動物を観察し(身近に動物を観察できない場合には動物の映像においてでも良い)、どの行動がコミュニケーション行動と言えるのかについて予習を行うこと。

5 コミュニケーション行動 科目の中での位置付け 本講義においては、動物行動学における基本的な考え方について学習した上で、動物の様々な行動ごとに、その多様性やその行動が起きる”なぜ”について学習し、また、それらの動物行動学的知見がどのような解析によって得られたものであるのかという流れにそって、展開する。第一回の講義では、動物行動学とは何かについて、その基本概念を理解する。第二回の講義では、動物の行動を進化的視点から学習する。第三回の講義では、行動を発達的視点から理解する。第四回の講義では、行動の条件づけについて理解するとともに、情動系とは何かについて学習する。第五回から第十回の講義では、動物の行動別に、コミュニティケーション行動(第五回)、子の世話をする行動(第六回)、生殖行動(第七回)、社会行動(第八回)、維持行動(第九回)、学習行動(第十回)について、それぞれ行動の多様性・その行動が生じる理由について理解する。その上で、第十一回の講義では、アニマルウェルフェアの考え方と動物行動学との関係について学習する。第十二回では、動物行動学と動物の保全との関わりを中心に学ぶ。第十三回および第十四回の講義では、動物行動学の基礎的手法について理解し、第15回では実際に大学で飼育されている動物(とくに魚類)をもちいた研究手法について理解する。上のような本科目全体の中で、第五回から第九回の講義において扱う生殖行動や子の世話をする行動、社会行動など種々の行動の中でも、本コマ(第五回)においては、動物のコミュニケーション行動について扱う。
以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる。
①森裕司ら(2012)「動物行動学」インターズー, 74頁
②森裕司ら(2012)「動物行動学」インターズー, 74-84頁
③森裕司ら(2012)「動物行動学」インターズー, 76頁
コマ主題細目 ① コミュニケーションのタイプ ② 視覚・聴覚・嗅覚を用いたコミュニケーション行動 ③ 信号の信頼性 ④ ⑤
細目レベル ① 第一回の講義にてミツバチのダンスコミュニケーションについて紹介した通り、動物には、種々のコミュニケーション行動が見られる。発信者から受信者へと信号を介して情報が伝わることをコミュニケーションと呼び、動物観察において、発信者の信号を受けて受信者の行動の変化が生じる場合に、コミュニケーションが成立したという。発信者が発する信号には様々な種類がある。動物種によって、感覚世界は異なるため、コミュニケーションが成立するためには、受信者がその信号を感じ取れることが必要であることを理解する。本コマにおいては、コミュニケーションとは何を指すのか、コミュニケーションが成立したとはどういう状態を指すのかというところを押さえる。
② 本コマの細目レベル①にて復習したミツバチのダンスコミュニケーション(8の字ダンス)は、視覚を用いたコミュニケーションであるが、動物のコミュニケーション行動は、視覚のほか、聴覚や嗅覚など、さまざまな感覚を介して行われるものである。視覚・聴覚・嗅覚を用いたコミュニケーション行動について、それぞれ動物の行動の例を挙げて学習し、それぞれのコミュニケーション行動がどのような感覚刺激を通して行われているのかについて理解する。視覚・聴覚・嗅覚を用いたコミュニケーションの特徴や特性について理解するとともに、それぞれの感覚を通じたコミュニケーションの長所および短所にはどのようなものが考えれるのかについて押さえる。
③ まず、手掛かりと信号の2つのタイプの相互作用の違いについて理解する。両者は、ある特徴が他個体の行動変化を引き起こす生物の動作や構造を指す点においては同じであるが、手がかりは、発信者が受信者の行動変容を意図して発しているものではない点において異なることについて、手がかりと信号の具体例を挙げて説明する。信号は、受信者の行動を変化させることを意図して発せられていると理解できるが、偽ることのできない信号は、指標と呼ばれる。また、発信者にとってコストを伴う信号はハンディキャップと呼ばれる。これらの語句の意味についてその具体例とともに理解するとともに、信号の信頼性が保たれるのは、どのような場合においてかについてまで押さえる。


キーワード ① 信号 ② 示標 ③ ハンディキャップ ④ 手掛かり ⑤ コミュニケーションの成立
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時にヨリソル上において5問以上の当該コマの小テスト(難易度表示つき)を実施します。
復習・予習課題 復習:本講義のポイントは、第一に、コミュニケーション行動が成立する条件を理解することである。またその上で、信号の信頼性を保たれるのはどのような場合においてかについて、各自説明できるようにしておくこと。予習:次の講義(第六回)では、子の世話をする行動について学習するため、子を育てる行動には多様性があることについて予習しておくこと。具体的には、各自好きな動物で良いので、その動物について、その動物が子を育てる行動をするのか、また、子を育てる行動をする場合においては、その動物が子を育てる行動として、どのような行動を行うのか調べておくこと。調べた動物については、その動物がどのような行動をするのかについて説明できるようにしておくこと。
6 子の世話 科目の中での位置付け 本講義においては、動物行動学における基本的な考え方について学習した上で、動物の様々な行動ごとに、その多様性やその行動が起きる”なぜ”について学習し、また、それらの動物行動学的知見がどのような解析によって得られたものであるのかという流れにそって、展開する。第一回の講義では、動物行動学とは何かについて、その基本概念を理解する。第二回の講義では、動物の行動を進化的視点から学習する。第三回の講義では、行動を発達的視点から理解する。第四回の講義では、行動の条件づけについて理解するとともに、情動系とは何かについて学習する。第五回から第十回の講義では、動物の行動別に、コミュニティケーション行動(第五回)、子の世話をする行動(第六回)、生殖行動(第七回)、社会行動(第八回)、維持行動(第九回)、学習行動(第十回)について、それぞれ行動の多様性・その行動が生じる理由について理解する。その上で、第十一回の講義では、アニマルウェルフェアの考え方と動物行動学との関係について学習する。第十二回では、動物行動学と動物の保全との関わりを中心に学ぶ。第十三回および第十四回の講義では、動物行動学の基礎的手法について理解し、第15回では実際に大学で飼育されている動物(とくに魚類)をもちいた研究手法について理解する。上のような本科目全体の中で、本コマ(第六回)においては、子の世話をする行動(育子行動)について理解する。
以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる。
①森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 92-94頁
②デイビス・クレヴィス・ウェスト(2015) 行動生態学, 共立出版,248-253頁
③デイビス・クレヴィス・ウェスト(2015) 行動生態学, 共立出版,248-253頁
コマ主題細目 ① 子の世話をする行動の種類 ② 子の世話の様式 ③ 保育投資 ④ ⑤
細目レベル ① Clutton-Brock (1991)は、子の世話をする行動(parental care)には、巣の準備、卵への大きくて重い黄身の形成、卵や子の世話、子の出生前後の準備、独立して摂餌できるようになった後の子の世話等が含まれるとしている。子の世話をする行動には種々あるが、動物の分類群を見渡すと、子の世話をする行動には、様々な様式がみられる。本コマでは、無脊椎動物や魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類までを含む分類群それぞれにおいて、子の世話をする行動には、どのような様式がみられるのかについて紹介する。それぞれの分類群にどのような様式の子の世話をする行動が多くみられるのかというところまで押さえる。
② 本コマの細目レベル①にて学習する通り、子の世話をする行動には、様々な様式がみられる。このような、子の世話の様々な様式を説明する要因としては、生理的制約や生活史的制約、生態条件や配偶機会の違いが、子の世話をする行動のコストと利益に影響することによって生じると考えられる(子の世話をする行動の利益がコストを上回るとき、その様式の子の世話を行動が生じると考えられる)。子の世話をする行動のさまざまな様式を説明する要因は何かについて理解するとともに、それぞれの要因が子の世話をする行動にどのように影響を与えるのかについてまで理解することによって、子の世話をする行動様式の多様性がなぜ生じているのかについて押さえる。
③ 子に与えられる親の保育投資量には、どのような要因が影響しているのかについて説明を行う。親からみた1個体あたりの保育投資量の最適値には、2つのトレードオフが存在すると考えられている。その1つが、一腹子内の子の数と質との間のトレードオフであり、もう一つは、現在の一腹子と将来の一腹子との間のトレードオフである。これらのトレードオフについて、その証拠となる研究について、トカゲや魚類の例を挙げて説明する。また、理論的な保育投資量の最適値について、子1個体あたりの保育投資量の利益とコストの観点から考えることによって、その利益からコストを差し引いた値が最大になるところが理論的最適保育投資量であり、投資量と利益・コストの間にはどのような関係があるのかについて理解する。


キーワード ① 育子行動 ② 親子の相互認識 ③ トレードオフ ④ 保育投資量 ⑤ 利益とコスト
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時にヨリソル上において5問以上の当該コマの小テスト(難易度表示つき)を実施します。
復習・予習課題 復習:今回の講義では、子の世話をする行動について、大きく分けて2つの事項を扱った。一つは、子の世話をする行動の様式についてであり、もう一つは子の世話をする行動の投資量についてである。1点目については、子の世話をする行動には、どのような行動が含まれるのか例を挙げて説明できるようにしておくととともに、動物の分類群ごとに、子の世話をする行動の様式にはどのようなものが多いのか、またその理由について復習を行う。2点目については、親の保育投資量にはどのようなトレードオフの関係があるのか説明できるように復習を行うこと。
予習:次回のコマ(第7回)では、生殖行動および繁殖行動について扱う。これらの行動と関連が深い配偶システムについて各自調べ、どのような配偶システムがあるのかについて予習を行なっておくこと。

7 生殖行動 科目の中での位置付け 本講義においては、動物行動学における基本的な考え方について学習した上で、動物の様々な行動ごとに、その多様性やその行動が起きる”なぜ”について学習し、また、それらの動物行動学的知見がどのような解析によって得られたものであるのかという流れにそって、展開する。第一回の講義では、動物行動学とは何かについて、その基本概念を理解する。第二回の講義では、動物の行動を進化的視点から学習する。第三回の講義では、行動を発達的視点から理解する。第四回の講義では、行動の条件づけについて理解するとともに、情動系とは何かについて学習する。第五回から第十回の講義では、動物の行動別に、コミュニティケーション行動(第五回)、子の世話をする行動(第六回)、生殖行動(第七回)、社会行動(第八回)、維持行動(第九回)、学習行動(第十回)について、それぞれ行動の多様性・その行動が生じる理由について理解する。その上で、第十一回の講義では、アニマルウェルフェアの考え方と動物行動学との関係について学習する。第十二回では、動物行動学と動物の保全との関わりを中心に学ぶ。第十三回および第十四回の講義では、動物行動学の基礎的手法について理解し、第15回では実際に大学で飼育されている動物(とくに魚類)をもちいた研究手法について理解する。上のような科目全体において、本コマ(第七回)では、生殖行動や配偶システムについて理解する。
以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる。
①森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 88-90頁
②森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 86-94頁
③森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 87頁
コマ主題細目 ① 性行動の意味・発現のタイミング・種差 ② 配偶システム ③ 様々な配偶システムの2つの要因 ④ ⑤
細目レベル ① 性行動(交尾行動)とは、オスが精子をメスの生殖道内に送り込むことを目的とした一連の行動を指す。性行動には多様性がみられ、特にその多様な性行動を理解することは、動物行動学上の意義だけではなく、家畜における生産性の向上、あるいは野生動物の保護管理などといった実用的・応用的な意義も高いことを理解する。まず、様々な動物(魚類から鳥類までの主な脊椎動物)の性行動や関連する繁殖戦略を紹介し、性行動の多様性について理解する。その上で、ここでは特に、哺乳類における性行動の種差について紹介し、性行動を起こさせる神経内分泌的なメカニズムにおける種差は大きくないのに対し、行動には大きな種差が存在することまでを押さえる。
② まず、性行動について扱う前に、オスとメス、両性の基本的な違いについて理解する。有性生殖を行う動物において、配偶子の大きさの違いによって同型配偶子(配偶子が同じ大きさ)と異型配偶子(大きさの異なる配偶子)と分類される。異型配偶子において、大きな配偶子を少数作る性をメス、小さな配偶子を多数作る性をオスと呼ぶ。その上で、動物の主な配偶システムの分類について紹介する。配偶システムは、誰が誰と配偶するのかという視点から、(Monogamy)、一夫多妻(Polygyny)、一妻多夫(Polyandry)等に分けられている。これらそれぞれの配偶システムの様式の違いについて理解するとともに、それぞれの配偶システムをとる動物にはどのような動物が挙げられるのかという点についてまで押さえる。
③ 本講義の細目レベル①および細目レベル②において学習する通り、配偶システムは様々な様式に分類される(例えば、一夫一妻や一妻多夫等)。このように多様な配偶システムを生じさせる要因について説明する。 Emlen & Oring (1977)は、さまざまな配偶システムを生じさせる要因は、時空間におけるオスとメスの分布、および各性(オス、メス)による子の放棄の様式(子をどちらが先に放棄するか)であるとした。これらの要因と配偶システムとどのように関連して、種々の配偶システムが生じていると考えられているのかについて説明を行う。ここでは、様々な配偶システムを生じさせる要因を挙げて、それぞれについて説明できるところまで押さえる。


キーワード ① 一夫一妻制 ② 季節的繁殖性 ③ 交尾行動 ④ 子の放棄の様式 ⑤ 配偶システム
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時にヨリソル上において5問以上の当該コマの小テスト(難易度表示つき)を実施します。
復習・予習課題 復習:本講義のポイントの一つは、性行動や配偶システムの多様性を理解することである。具体的には、動物種の例を挙げて、その種がどのような性行動を行うことが知られているのかについて説明できるようにしておくこと。また、動物の配偶システムの多様性について、動物の分類群ごとにどのような配偶システムを取ることが一般的であるのかについて説明できるように復習を行うとともに、動物の配偶システムの多様性は、どのような要因によって説明されるのかについて説明できるようにしておく。
予習:次回の講義(第8回)においては、動物の社会行動について扱うため、社会行動とはどのような行動を指すのか事前に調べておき、説明できるようにしておくこと。

8 社会行動 科目の中での位置付け 本講義においては、動物行動学における基本的な考え方について学習した上で、動物の様々な行動ごとに、その多様性やその行動が起きる”なぜ”について学習し、また、それらの動物行動学的知見がどのような解析によって得られたものであるのかという流れにそって、展開する。第一回の講義では、動物行動学とは何かについて、その基本概念を理解する。第二回の講義では、動物の行動を進化的視点から学習する。第三回の講義では、行動を発達的視点から理解する。第四回の講義では、行動の条件づけについて理解するとともに、情動系とは何かについて学習する。第五回から第十回の講義では、動物の行動別に、コミュニティケーション行動(第五回)、子の世話をする行動(第六回)、生殖行動(第七回)、社会行動(第八回)、維持行動(第九回)、学習行動(第十回)について、それぞれ行動の多様性・その行動が生じる理由について理解する。その上で、第十一回の講義では、アニマルウェルフェアの考え方と動物行動学との関係について学習する。第十二回では、動物行動学と動物の保全との関わりを中心に学ぶ。第十三回および第十四回の講義では、動物行動学の基礎的手法について理解し、第15回では実際に大学で飼育されている動物(とくに魚類)をもちいた研究手法について理解する。上のような本科目全体の中で、第五回から第九回の講義において扱う生殖行動や子の世話をする行動、社会行動など種々の行動の中でも、本コマ(第八回)においては、 社会行動について理解する。
以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる。
①森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 96頁
②森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 99-103頁
③デイビス・クレヴィス・ウェスト(2015) 行動生態学, 共立出版,348-349頁
コマ主題細目 ① 動物の社会行動とは ② 敵対的行動と親和的行動 ③ ハミルトンの法則 ④ ⑤
細目レベル ① 社会行動とは何か説明する。社会行動とは、同種個体間の社会交渉の総称を指す(行動生物学辞典)。社会行動は、他個体との交渉であることから、群れ内で生じることも多い。動物の群れには様々なものが含まれるが、形成群れを形成する意義は、いくつか考えられ、警戒コストの削減や希釈効果を得るといった対捕食者戦略としての意義や、餌資源の獲得効率の向上、繁殖機会の増大、温度の維持、移動コスト減少などがある。一般に動物の集団は、groupと表現されるが、動物種によって呼び方や指す集団が異なるため、注意が必要である。例えば、草食獣の群れはハード(herd)、オオカミの群れはパック(pack)、ライオンの群れはプライド(pride)などと呼ばれる。本コマでは、社会行動とは何を指すのかという点、動物の群れには様々なものがあることを理解する。
② 敵対的行動と親和的行動について説明する。敵対的行動(agonistic behavior)は、餌や配偶相手、縄張りなどを巡って争う、動物が示す、広く闘争に関わる行動とされている(行動生物学辞典)。一方、親和的行動(affliative behavior)とは、他個体との親和性を高める行動であり、グルーミングなどが知られている。ハミルトン (1964)は、行動の行為者とその受け手の適応度効果に従って、社会行動を分類した。この分類において、受け手にとってプラスの効果があっても行為者にとってマイナスの効果がある行動、つまり自身に利益がないあるいは不利益にも関わらず、受け手にプラスの効果を与える行動は、利他的行動と呼ばれる。
③ ここでは、適応度および包括的適応度という重要語句について説明する。本コマの細目レベル②にて学習した利他的行動について、その行動がなぜ進化しえるのかについて、その個体が残した子を通した直接的適応度だけを考えていては、それを説明することが困難であることをまず押さえる。その上で、利他的行動が進化しうる理由について、包括的適応度の観点から理解する。包括的適応度が自身の残した子を通した「直接的適応度」と、「自身の行為による血縁者の適応度の増加分と血縁者間の血縁度の積(間接的適応度)」の和であることを理解した上で、包括的適応度と血縁度の視点から、血縁個体間で利他的行動が進化する可能性について説明できるところまで押さえる。


キーワード ① 群れ ② 社会構造 ③ 攻撃性 ④ ハミルトンの法則 ⑤ 血縁度
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時にヨリソル上において5問以上の当該コマの小テスト(難易度表示つき)を実施します。
復習・予習課題 復習:今回の講義においては、社会行動について扱ったが、ここでは大きく分けて2つのポイントがある。まず一点は、そもそも社会行動には、どのような行動が含まれるのか、どのように分類されているのかという点である。そしてもう一点は、特に利他的行動がなぜ進化し得るのかという点である。まずは、社会行動とはどのような行動を指すのか復習を行うこと。そのうえで、「包括的適応度」という語句を用いて、利他的行動が進化しうる理由について、説明できるように復習しておくこと。予習:次回(第九回)の講義においては、維持行動について扱うため、まず維持行動と呼ばれる動物の行動には、どのような行動があるのかについて、各自調べておくこと。
9 維持行動 科目の中での位置付け 本講義においては、動物行動学における基本的な考え方について学習した上で、動物の様々な行動ごとに、その多様性やその行動が起きる”なぜ”について学習し、また、それらの動物行動学的知見がどのような解析によって得られたものであるのかという流れにそって、展開する。第一回の講義では、動物行動学とは何かについて、その基本概念を理解する。第二回の講義では、動物の行動を進化的視点から学習する。第三回の講義では、行動を発達的視点から理解する。第四回の講義では、行動の条件づけについて理解するとともに、情動系とは何かについて学習する。第五回から第十回の講義では、動物の行動別に、コミュニティケーション行動(第五回)、子の世話をする行動(第六回)、生殖行動(第七回)、社会行動(第八回)、維持行動(第九回)、学習行動(第十回)について、それぞれ行動の多様性・その行動が生じる理由について理解する。その上で、第十一回の講義では、アニマルウェルフェアの考え方と動物行動学との関係について学習する。第十二回では、動物行動学と動物の保全との関わりを中心に学ぶ。第十三回および第十四回の講義では、動物行動学の基礎的手法について理解し、第15回では実際に大学で飼育されている動物(とくに魚類)をもちいた研究手法について理解する。上のような本科目全体の中で、本コマ(第九回)の講義においては、動物に見られる維持行動について理解する。
以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる。
①森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 108−112頁
②森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー,113-114頁
③森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 114-117頁
コマ主題細目 ① 摂食行動 ② 排泄行動 ③ 身づくろい行動 ④ ⑤
細目レベル ① 動物の維持行動(maintenance behavior)には、摂食行動、排泄、身づくろい、休息などの行動が含まれるが、そのうち、摂食行動(feeding behavior)について説明を行う。摂食行動は、排泄行動と同様に、従属栄養性の動物にとっては必要不可欠な行動であり、食物を獲得するという重要な機能を持っている。動物がどのようなものをどうやって食べるのか(例えば、草食性あるいは肉食性なのか等)、その摂食様式の違いについては、様々な行動様式の違いと深く関連していることが知られている。ここでは、いくつかの動物を例として挙げて、それらの動物の摂食行動の様式の多様性と機能についてまで押さえる。
② 動物の維持行動には、摂食行動、排泄、身づくろい、休息などの行動が含まれるが、そのうち、排泄行動について説明を行う。排泄行動(eliminating behavior)は、排糞(defecation)や排尿(urination)といった動物にとって不可欠な行動であるが、排泄のパターン(回数や排泄場所の傾向等)は、動物による種差が見られる。排泄行動は、単に”排泄”という、体内から不要なものを排出するという機能だけではなく、マーキングといった、他個体にその個体の情報を知らせる、社会的な機能もある場合がある。ここでは、いくつかの動物を例として挙げて、それらの動物の排泄行動の様式と機能についてまで押さえる。
③ 動物の維持行動には、摂食行動、排泄、身づくろい、休息などの行動が含まれるが、そのうち、身づくろい(grooming)行動について説明を行う。身づくろい行動とは、その個体自身あるいは、他個体の被毛や皮膚を手入れする行動とされる。身づくろい行動は、体表面のゴミや寄生虫の除去、被毛の防水維持など、様々な機能をもつことが知られている。また、動物種によって、他個体に対して行う身づくろい行動は、親和的行動としての機能を持ち、身づくろいをする個体と身づくろいをされる個体との関係を良好に保つ役割を果たしていることが報告されている。ここでは、いくつかの動物を例として挙げて、それらの動物の身づくろい行動の様式と機能についてまで押さえる。


キーワード ① 維持行動 ② 摂食行動 ③ 身づくろい行動 ④ 排泄 ⑤ 機能
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時にヨリソル上において5問以上の当該コマの小テスト(難易度表示つき)を実施します。
復習・予習課題 復習:本講義では、維持行動に関するいくつかの重要語句について説明した。講義中に説明したこれらの重要語句について、それぞれの意味を説明できるようにしておくこと。また、学習行動における反応形成が実社会において、どのように応用されているのか、その実例について各自調べること。各自実例を調べることを通して、動物行動学上の知見がハズバンダリートレーニングにどのように応用されているのか、またハズバンダリートレーニングの必要性・重要性について正しい理解を深めること。
予習:次回の講義(第十回)では、刺激と反応の関係について理解した上で、古典的条件付けやオペラント条件づけといった条件づけ(動物に特的の行動や反応を引き起こさせること)について扱うため、まずは各自で馴化、感作、刺激般化といった語句の意味を調べておくこと。

10 学習 科目の中での位置付け 本講義においては、動物行動学における基本的な考え方について学習した上で、動物の様々な行動ごとに、その多様性やその行動が起きる”なぜ”について学習し、また、それらの動物行動学的知見がどのような解析によって得られたものであるのかという流れにそって、展開する。第一回の講義では、動物行動学とは何かについて、その基本概念を理解する。第二回の講義では、動物の行動を進化的視点から学習する。第三回の講義では、行動を発達的視点から理解する。第四回の講義では、行動の条件づけについて理解するとともに、情動系とは何かについて学習する。第五回から第十回の講義では、動物の行動別に、コミュニティケーション行動(第五回)、子の世話をする行動(第六回)、生殖行動(第七回)、社会行動(第八回)、維持行動(第九回)、学習行動(第十回)について、それぞれ行動の多様性・その行動が生じる理由について理解する。その上で、第十一回の講義では、アニマルウェルフェアの考え方と動物行動学との関係について学習する。第十二回では、動物行動学と動物の保全との関わりを中心に学ぶ。第十三回および第十四回の講義では、動物行動学の基礎的手法について理解し、第15回では実際に大学で飼育されている動物(とくに魚類)をもちいた研究手法について理解する。上のような本科目全体の中で、第五回から第十回の講義において扱う生殖行動や子の世話をする行動、社会行動など種々の行動の中でも、本コマ(第十回)においては、 学習行動について理解する。
以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる。
①森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 120-121頁
②森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 122-124頁
③森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 126-127頁
コマ主題細目 ① 刺激と反応の関係 ② 古典的条件付けとオペラント条件付け ③ 学習理論を応用した高度な学習行動 ④ ⑤
細目レベル ① 馴化、感作、刺激般化など、刺激と反応の関係について説明する。まず馴化とは、生得的反応を誘発する刺激に繰り返し暴露されることによって、起こる反応が次第に弱まることを指す。一方で、生得的反応をほとんど誘発しない刺激に対し、大きな反応を示すようになることは、感作(あるいは鋭敏化・敏感化)と呼ばれる。恐怖刺激などは、感作を生じやすい刺激として知られている。刺激般化とは、ある刺激に類似した刺激や、同時に掲示されていたほかの刺激に対し、そのある刺激と同じように反応が生じることを指す。刺激によって動物の行動がどのように変化するのかについて理解し、関連する重要語句についてはその内容を説明できるところまで押さえる。
② 古典的条件付けとオペラント条件付けとは何か説明する前に、まずこれらに関する用語について確認する。まず無条件反応とは、動物が生得的に持っている反応のことを指し、その無条件反応を誘発する刺激は、無条件刺激と呼ばれる。本来は、その反応を誘発しない刺激は、中性刺激と呼ばれる。古典的条件付けは、中性刺激を無条件刺激と合わせて掲示することにより、矢が得て中性刺激のみで無条件反応が誘発されるようになることをさす。つまり、中性刺激が、無条件刺激と同じ反応をさせる条件刺激に置き換わることを古典的条件付けと呼ぶ。オペラント条件づけは、自発行動(=オペラント行動)に対して、強化子あるいは罰子が提示されることにより、自発行動の頻度が変わることを指す。
③ 学習理論を応用した高度な学習行動として、主に高次条件付け、分化条件付け、反応形成について説明する。古典的条件付けが成立した後、すなわち中性刺激が条件刺激となったあとで、さらにこの条件刺激に対して別の条件刺激を古典的条件付けることは、二次条件付けと呼ばれ、また古典的条件付けにおいて無条件刺激と一緒に与えられた条件刺激に対してのみ条件反応が生じることは分化条件付けと呼ばれる。応用的側面として、特に、動物園や水族館等の飼育の現場では、動物を安全に健康的に飼育するため、ハズバンダリートレーニング(受診動作訓練)が必要とされる。このハズバンダリートレーニングについて、実際に動物園や水族館等の飼育施設において、学習理論を応用した行動形成がどのように用いられているのか、またその必要性についてまで押さえる。


キーワード ① 学習行動 ② 馴化 ③ 感作 ④ 高次条件付け ⑤ オペラント条件付け
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時にヨリソル上において5問以上の当該コマの小テスト(難易度表示つき)を実施します。
復習・予習課題 復習:本講義では、学習行動に関するいくつかの重要語句について説明した。講義中に説明したこれらの重要語句について、それぞれの意味を説明できるようにしておくこと。また、学習行動における反応形成が実社会において、どのように応用されているのか、その実例について各自調べること。各自実例を調べることを通して、動物行動学上の知見がハズバンダリートレーニングにどのように応用されているのか、またハズバンダリートレーニングの必要性・重要性について正しい理解を深めること。
予習:次回の講義(第十一回)では、アニマルウェルフェアと動物愛護の違いについて扱う。それぞれの意味を事前に調べ、両者の違いについて400字程度で説明できるようにしておくこと。

11 アニマルウェルフェアと動物行動学 科目の中での位置付け 本講義においては、動物行動学における基本的な考え方について学習した上で、動物の様々な行動ごとに、その多様性やその行動が起きる”なぜ”について学習し、また、それらの動物行動学的知見がどのような解析によって得られたものであるのかという流れにそって、展開する。第一回の講義では、動物行動学とは何かについて、その基本概念を理解する。第二回の講義では、動物の行動を進化的視点から学習する。第三回の講義では、行動を発達的視点から理解する。第四回の講義では、行動の条件づけについて理解するとともに、情動系とは何かについて学習する。第五回から第十回の講義では、動物の行動別に、コミュニティケーション行動(第五回)、子の世話をする行動(第六回)、生殖行動(第七回)、社会行動(第八回)、維持行動(第九回)、学習行動(第十回)について、それぞれ行動の多様性・その行動が生じる理由について理解する。その上で、第十一回の講義では、アニマルウェルフェアの考え方と動物行動学との関係について学習する。第十二回では、動物行動学と動物の保全との関わりを中心に学ぶ。第十三回および第十四回の講義では、動物行動学の基礎的手法について理解し、第15回では実際に大学で飼育されている動物(とくに魚類)をもちいた研究手法について理解する。上のような本科目全体の中で、本コマ(第十一回)においては、アニマルウェルフェアについて動物行動学的知見から理解する。
以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる。
①森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 144-145頁
②森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 146頁
③森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 149-152頁
コマ主題細目 ① アニマルウェルフェアと動物愛護の違い ② アニマルウェルフェアにおける5つの自由 ③ 行動学的指標による アニマルウェルフェアの評価 ④ ⑤
細目レベル ① アニマルウェルフェア(animal welfare)とは、「動物への配慮の科学」であることを理解する。動物愛護については、動物の愛護および管理に関する法律第一条において定められ、「動物の虐待の防止、動物の適正な取り扱いその他動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止することを目的とする」とされている。一方、アニマルウェルフェアは、動物の生活レベルが高い状態にあることを指す言葉である。国際獣疫事務局によって、「アニマルウェルフェアとは、動物が生活及び死亡する環境と関連する動物の身体的及び心理的状態をいう」と定義されている。本コマでは、アニマルウェルフェアと動物愛護の両者が指すもの、またその違いについてまで押さえる。
② アニマルウェルフェアにおける5つの自由について説明する。この5つの自由は、イギリスにおいて家畜の動物福祉を確保させるために定められたものである。これらの5つの自由には、第一に飢えと渇きからの自由、第二に不快からの自由、第三に痛み・怪我・病気からの自由、第四に恐怖や苦悩からの自由、第五に正常な行動を表出する自由が含まれる。家畜のみならず、ペットや実験動物などを含む飼育動物において、これら5つの自由を確保することがアニマルウェルフェアを確保するうえで基本となる。本コマにおいては、ペットや家畜、展示動物等において、これら5つの自由を確保するためには、具体的にどのような取り組みが必要であるのかいう点まで理解する。
③ アニマルウェルフェアを評価する際に用いられる代表的な行動学的指標について紹介・説明する。転移行動(あるいは転位行動)は、葛藤や欲求不満な状態において、その状況とは関係のない場違いな行動が出現することを指す。この転位行動は、ストレスサインの一種とも考えられている。転嫁行動とは、葛藤・欲求不満の状態において、その原因となる行動の一つが出現するものの、向ける対象が異なる場合をいう。真空行動とは、欲求行動の向かう対象の存在がない状態での行動を指す。転嫁性攻撃行動とは、いわゆる八つ当たりに相当し、本来攻撃愛的に攻撃ができず、物や順位の低い個体などを攻撃する行動を指す。常同行動とは、もともと動物に備わる維持行動が、明白な目的も機能も持たずに、反発的に示される行動をさす。本コマでは、アニマルウェルフェアほ評価する際に用いられる行動的指標について、それぞれの行動の違いについて押さえる。


キーワード ① アニマルウェルフェア ② 動物愛護 ③ 5つの自由 ④ 転移行動 ⑤ 転嫁行動
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時にヨリソル上において5問以上の当該コマの小テスト(難易度表示つき)を実施します。
復習・予習課題 復習:本コマのポイントの一つは、アニマルウェルフェアと動物愛護の考え方の違いを理解することである。それぞれの言葉が指すこと、及び両者の違いについて、400字程度で説明できるように復習を行うこと。また、本コマのポイントの2つ目として、動物行動学の観点から、アニマルウェルフェアを評価するために用いられる代表的な行動指標およびそれらの具体的な行動の例について説明できるように復習を行うこと。
予習:第十二回のコマにおいては、より応用的側面として、行動研究と保全の関りについて学ぶ回となる。そのため、コマシラバスの該当回を熟読し、分からない語句等があれば意味を調べておくとともに、これまで学んできた内容を復習しておくことがのぞましい。

12 動物行動学と保全 科目の中での位置付け 本講義においては、動物行動学における基本的な考え方について学習した上で、動物の様々な行動ごとに、その多様性やその行動が起きる”なぜ”について学習し、また、それらの動物行動学的知見がどのような解析によって得られたものであるのかという流れにそって、展開する。第一回の講義では、動物行動学とは何かについて、その基本概念を理解する。第二回の講義では、動物の行動を進化的視点から学習する。第三回の講義では、行動を発達的視点から理解する。第四回の講義では、行動の条件づけについて理解するとともに、情動系とは何かについて学習する。第五回から第十回の講義では、動物の行動別に、コミュニティケーション行動(第五回)、子の世話をする行動(第六回)、生殖行動(第七回)、社会行動(第八回)、維持行動(第九回)、学習行動(第十回)について、それぞれ行動の多様性・その行動が生じる理由について理解する。その上で、第十一回の講義では、アニマルウェルフェアの考え方と動物行動学との関係について学習する。第十二回では、動物行動学と動物の保全との関わりを中心に学ぶ。第十三回および第十四回の講義では、動物行動学の基礎的手法について理解し、第15回では実際に大学で飼育されている動物(とくに魚類)をもちいた研究手法について理解する。上のような本科目全体の中で、本コマ(第十二回)の講義においては、動物行動学と動物の保全との関わりを中心に理解する。
①配布資料
②配布資料
③配布資料
コマ主題細目 ① 野生動物の保全 ② 捕獲・管理 ③ 飼育下の動物 ④ ⑤
細目レベル ① 本細目レベルにおいては、行動学的な知見と野生動物保全とのつながりについて扱うものとする。現在、生物多様性を維持・保全するという取り組みにおいて、野生動物の保全は、日本国内外において大きな課題となっている。ここでは、まず、野生動物の行動データが、実際に、野生動物保全にどのように役立てられてきたのか、また、役立てられようとしているのかについて概説することとする。その後、ニホンジカなど、具体的な野生の動物種を例として挙げて、それらの行動学的な知見が保全に活用されている事例について紹介を行う。これにより、より具体的に、行動学的な知見が保全にどのように役立てられているのかについてまでを理解することとする。
② 本細目レベルにおいては、生物多様性の維持・保全の取り組みの中で行われる、個体数管理において、動物の行動特性の知見がどのように活用されているのかについて理解するものとする。希少種や固有種等は、適切な保全が求められる一方で、外来生物などについては、駆除・個体数管理が行われている。外来種を効果的に捕獲するため、その動物種の行動特性をうまく利用した捕獲方法が様々な動物種について検討され、中には実際に活用されているものもある。ここでは、具体的な動物種を例として挙げ、その動物の行動学的知見がどのように効果的な捕獲や管理に役立てられているのかについて紹介し、動物行動学と保全管理についての関わりについて理解する。
③ 第十五回のコマにおいては、飼育下で行われている行動学的な研究について扱う。また次回以降のコマにおいては、研究の手法について学ぶこととなる。したがって本コマにおいては、実際に飼育下においてはどのような行動学的な研究が可能であるのか、また、実際にこれまでどのような研究が行われてきたのかについて理解する。具体的には、ここでは特に、陸上哺乳類や海棲哺乳類などの動物を対象とした研究を例として挙げて、実際の研究論文等についても合わせて紹介しながら説明を行うことで具体的にどのように行動研究をおこなうのかについて理解を深める。飼育下だからこそ可能であった行動学的な研究や、飼育下だからこそ検討が難しいことについても理解することとする。


キーワード ① 保全 ② 行動学的知見 ③ 生息地利用 ④ ニホンジカ ⑤ 外来生物
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時にヨリソル上において5問以上の当該コマの小テスト(難易度表示つき)を実施します。
復習・予習課題 復習課題:本コマで学んだ、動物行動学と保全の繋がりについての復習として、本科目本コマの「科目の中での位置付け」・「コマ主題細目」・「細目レベル」、および、コマシラバス末尾の「履修判定指標」の内容を確認し、実際に本コマの90分の内容を振り返りながら、どのコマ主題細目の内容がどのように扱われていたのか、授業の実際とコマシラバスとの対応を振り返り復習を行うこと。
予習課題:次回以降のコマにおいては、より具体的に動物の行動研究を行う手法について理解する回となる。そのため、行動の単位とはどのようなものがあるのか等について、コマシラバスをよく読んでおくなどし、知らない語句をあらかじめ調べておくことがのぞましい。

13 動物行動学研究の基礎的手法① 科目の中での位置付け 本講義においては、動物行動学における基本的な考え方について学習した上で、動物の様々な行動ごとに、その多様性やその行動が起きる”なぜ”について学習し、また、それらの動物行動学的知見がどのような解析によって得られたものであるのかという流れにそって、展開する。第一回の講義では、動物行動学とは何かについて、その基本概念を理解する。第二回の講義では、動物の行動を進化的視点から学習する。第三回の講義では、行動を発達的視点から理解する。第四回の講義では、行動の条件づけについて理解するとともに、情動系とは何かについて学習する。第五回から第十回の講義では、動物の行動別に、コミュニティケーション行動(第五回)、子の世話をする行動(第六回)、生殖行動(第七回)、社会行動(第八回)、維持行動(第九回)、学習行動(第十回)について、それぞれ行動の多様性・その行動が生じる理由について理解する。その上で、第十一回の講義では、アニマルウェルフェアの考え方と動物行動学との関係について学習する。第十二回では、動物行動学と動物の保全との関わりを中心に学ぶ。第十三回および第十四回の講義では、動物行動学の基礎的手法について理解し、第15回では実際に大学で飼育されている動物(とくに魚類)をもちいた研究手法について理解する。上のような上記全体において、本コマ(第十三回)の講義においては、動物行動研究の基本的な手法について理解する。
以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる。
①森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 154-155頁
②森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 155頁
③森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 155-157頁
コマ主題細目 ① 研究計画 ② 行動を表す単位となる用語 ③ 行動を記録する ④ ⑤
細目レベル ① これまで学習してきた動物行動学の内容は、その多くが動物を直接観察するという手法によって得られた研究成果から積み上げられてきたものである。動物の行動の直接的観察は、認知機能の理解や行動の発達過程や機能、進化の解明など、多岐にわたる研究目的のもと実施され、目的に応じて様々な手法が提唱され、実際に用いられてきた。動物の行動の研究を始めるためには、対象となる動物種やその行動、またどの水準で研究を行う必要があるのかを明確にしておくことが必要である。本コマにおいては、動物の行動研究を立案するにあったて明確にしなければならない点ついて理解する(教材(1)を参照する)とともに、その上で、どのような点に留意して研究計画を立てる必要があるのかについて押さえる。
② 動物の行動を調査・記録するためには、まず行動を示す単位には様々なものがあることを理解する必要がある。それら行動を表現する単位には、行動状態(behavioral state)、行動事象(behavioral event)、行動活動(behavioral action)、行動分節(behavioral segment)、行動型(behavioral pattern)などが含まれる。本コマにおいては、まず、これら行動事象を表す単位が何を指すのかという点を押さえる(教材(1)を参照する)。その上で、これまでの講義にて紹介した、いくつかの動物の行動を例に挙げて、ある行動事象がどの単位で表されるものに該当するのかというところまで押さえる。
③ 定量的に行動を正しく記録するためには、観察対象となるそれぞれの行動を定義することが必要である。何をどのようにすることを「ある行動」とするのかによって、記録される行動に差が生じるためである。特に、定量的に行動を評価する際には、あらかじめ記録対象となる行動を定義し、その定義に基づいて、定量的に記録を行う必要がある。また、「ある行動」が見られた時に、その行動の何をどこまで記録するのかについても事前に調査計画の際に決定しておくと、後の解析で困ることが少ない。講義では、実際に行動をどのように定義して、調査研究が行われているのかについて、野外や飼育下での研究例を示し、行動定義の方法、重要性についてまで理解する。


キーワード ① 適切な問いの立て方 ② 個体追跡サンプリング ③ 行動事象 ④ 行動文節 ⑤ 行動目録
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時にヨリソル上において5問以上の当該コマの小テスト(難易度表示つき)を実施します。
復習・予習課題 復習:本コマおよび次回のコマ(第十二回)を通して、行動学研究における手法について学習するため、本コマの学習内容は次回との関連が強い。本コマは、その中で動物行動研究の基礎的な研究手法を学ぶ導入として位置づけられるため、特に、行動記録の方法についてはよく復習を行なっておくことがふさわしい。具体的には、行動を定義することや、あらかじめ観察対象となる行動の何をどこまで記録するのかを決めておくことの必要性について説明できるようにしておくこと。
予習:次回(第十四回)においては、得られたデータをどのように統計処理を行うのかについての理解を深める。統計の講義を履修していない学生に配慮して講義を行うが、データの性質と尺度水準について、名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比率尺度の意味を事前に調べておくこと。

14 動物行動学研究の基礎的手法② 科目の中での位置付け 本講義においては、動物行動学における基本的な考え方について学習した上で、動物の様々な行動ごとに、その多様性やその行動が起きる”なぜ”について学習し、また、それらの動物行動学的知見がどのような解析によって得られたものであるのかという流れにそって、展開する。第一回の講義では、動物行動学とは何かについて、その基本概念を理解する。第二回の講義では、動物の行動を進化的視点から学習する。第三回の講義では、行動を発達的視点から理解する。第四回の講義では、行動の条件づけについて理解するとともに、情動系とは何かについて学習する。第五回から第十回の講義では、動物の行動別に、コミュニティケーション行動(第五回)、子の世話をする行動(第六回)、生殖行動(第七回)、社会行動(第八回)、維持行動(第九回)、学習行動(第十回)について、それぞれ行動の多様性・その行動が生じる理由について理解する。その上で、第十一回の講義では、アニマルウェルフェアの考え方と動物行動学との関係について学習する。第十二回では、動物行動学と動物の保全との関わりを中心に学ぶ。第十三回および第十四回の講義では、動物行動学の基礎的手法について理解し、第15回では実際に大学で飼育されている動物(とくに魚類)をもちいた研究手法について理解する。上のような本科目全体の中で、本コマ(第十四回)の講義においては、動物の行動を研究するための基礎的手法のなかでも特に解析手法について理解する。
以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる。
①森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 155-157頁
②森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 158頁
③森裕司ら(2012) 「動物行動学」インターズー, 159頁
コマ主題細目 ① 行動の記録方法 ② 行動解析の手法 ③ 統計手法 ④ ⑤
細目レベル ① 行動を記録する際に用いられる記録方法について主なものを紹介する。行動観察・記録を始めるためには、まず行動記録の対象を定める必要がある。観察対象は、特定の個体であるのか、あるいは群れ全体など、複数の個体を対象とするのかである。調査目的に応じて、観察対象を決める必要がある。観察対象の他にも、記録の方法にもいくつかの方法がある。本コマにおいては、連続記録法、瞬間サンプリング法、1/0サンプリング法について、その手法、及びそれぞれの長所・短所を理解するとともに、全く同じ条件で行動観察した場合にも、観察対象となる行動の種類等によって、これらのサンプリング法で記録されるデータには違いが生じることを理解する。
② 第十三回の講義や本講義の細目レベル①では行動観察をどのように観察・記録すれば良いのかについて扱ったが、次に、本細目レベル②では、得られたデータをどのように統計解析に利用すれば良いのか、解析時の注意点について説明を行う。行動データではない他のデータについて統計検定を行う際と同様に、まずは、観察対象となる行動がどの尺度で計測されるものであるのかを理解しておく必要がある。行動データは、質的データと量的データとに分けられる。質的データには、名義尺度、順位尺度が含まれ、量的データには、間隔尺度、比尺度が含まれる。本講義においては、いくつかのデータを例として挙げ、それぞれがどの尺度水準に当てはまるのかについて押さえる。
③ 得られたデータに統計的な意味があるのかという点は、押さえておくべき点の一つである。代表的な統計手法について紹介し、それぞれの統計検定は、どのような基準をもとに選択されているのかについて説明を行う。実際に、動物の行動に関する論文を紹介し、その論文ではどのように観察あるいは実験が行われ、何のデータをどのように収集し、そのデータについてどの統計検定が用いられているのかについてまで説明を行う。本講義においては、前回の講義(第十三回)および本講義の細目レベル①②での学習内容を踏まえた上で、データはどのように得るのがふさわしいのかという点、また、得られた行動データについて、どの統計検定を行うのが良いのか判断する基準はどこかという点についてまで押さえる。


キーワード ① ノンパラメトリック ② 統計検定 ③ 連続サンプリング ④ 瞬間サンプリング ⑤ 1/0サンプリング
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時にヨリソル上において5問以上の当該コマの小テスト(難易度表示つき)を実施します。
復習・予習課題 復習:行動記録の方法、観察対象、サンプリング手法によって、得られる行動データには違い生じることを説明できるようにしておくこと。本コマの講義中において紹介した統計学的処理について、各自、自分の手で計算および証明ができるように復習を行うこと。最終試験に備えて、これまでの講義内容の復習を行うこと。コマシラバスの「履修指標の水準」およびそれぞれのキーワード、配点をよく確認し、それぞれの項目について、十分に理解ができているかどうか確認を行うとともに、理解が不十分な点について最終試験までに復習を行うこと。
予習:次回(第十五回)のコマでは、実際に大学内の施設で動物を飼育しての研究がどのように行われているのかについて理解を深める。そのため、コマシラバスを熟読し、あらかじめ分からない語句については調べておくことが望ましい。該当するコマのコマシラバスを読んでおくこと。身近な動物で良いので、動物の行動を観察しておくと、予めその調査手法について興味・関心を高めた上で、理解を進められる。

15 飼育下における行動研究・まとめ 科目の中での位置付け 本講義においては、動物行動学における基本的な考え方について学習した上で、動物の様々な行動ごとに、その多様性やその行動が起きる”なぜ”について学習し、また、それらの動物行動学的知見がどのような解析によって得られたものであるのかという流れにそって、展開する。第一回の講義では、動物行動学とは何かについて、その基本概念を理解する。第二回の講義では、動物の行動を進化的視点から学習する。第三回の講義では、行動を発達的視点から理解する。第四回の講義では、行動の条件づけについて理解するとともに、情動系とは何かについて学習する。第五回から第十回の講義では、動物の行動別に、コミュニティケーション行動(第五回)、子の世話をする行動(第六回)、生殖行動(第七回)、社会行動(第八回)、維持行動(第九回)、学習行動(第十回)について、それぞれ行動の多様性・その行動が生じる理由について理解する。その上で、第十一回の講義では、アニマルウェルフェアの考え方と動物行動学との関係について学習する。第十二回では、動物行動学と動物の保全との関わりを中心に学ぶ。第十三回および第十四回の講義では、動物行動学の基礎的手法について理解し、第15回では実際に大学で飼育されている動物(とくに魚類)をもちいた研究手法について理解する。上のような本科目全体の中で、本コマ(第十五回)の講義においては、動物の行動を研究するための基礎的手法の中でも、特に飼育下の動物に扱うとともに、これまでの学びの繋がりを理解する。
①配布資料
②配布資料
③配布資料
コマ主題細目 ① 大学での飼育研究 ② 飼育研究うの強み ③ これまでの学習のつながり ④ ⑤
細目レベル ① ここでは、4年生にて卒業研究を行うにあたり、動物の行動研究を実際に行う場合を想定して、研究計画の立案から、実際のデータ収集、データ解析をどのように行っていくのかについて、理解することとする。具体的には、本学において過去に行われた卒業研究を例として挙げ、実際にどのような手順を踏み、どのような困難があったのかなどについて説明をおこなう。特に計画の立案においては、過去の研究をよく調べておく必要があるため、行動研究の学術論文についても紹介し、4年生の卒業研究に向けて、今から何を理解し、準備する必要があるのかを知り、また飼育での行動研究においてはどのような制限があるのかという点について押さえることとする。
② 飼育環境での研究は、閉鎖環境であるなど、制約もあるが、飼育研究であるからこその強みも多くある。例えば、特に水族館などでの飼育施設においては、多種類の水生生物を毎日観察できる。とくに水生生物では、野生化での行動観察においては継続的・連続的な観察が困難である点も多くあるが、水族館などの飼育施設ではそれがかのうであったりする。飼育下のみの研究では、動物の行動を理解することも難しいが、野生下における研究とも組み合わせて知見を得ることで、より動物の行動を理解することができる。これは行動学的な研究だけではなく、生理学や動物心理学等の研究においても同様で、どちらかだけではなく、両輪で知見を合わせることが必要であることを理解する。
③ 本コマにおいて扱った行動研究について、それぞれが動物行動学における4つのなぜ(至近要因である①機構、②発達発生、究極要因である③機能・生存価、④進化・系統)のどれを明らかにする問いであるのかという点について、これまで学習してきたことを振り返りながら理解する。また、第12回のいて学んだ、動物行動学と保全とのつながりについて、本コマにおいて扱った行動研究がどのように寄与しうるのかについて考えることで、保全とのつながりを理解する。あわせて第五回から第十一回において学んだ書く行動の多様性と、それが生じる理由について振り返ることとする。以上のように15回までの講義の内容を振り返ることで、理解の程度をあらためて確認することとする。


キーワード ① 魚類 ② 行動 ③ 飼育下 ④ 野生 ⑤ 行動学
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時にヨリソル上において5問以上の当該コマの小テスト(難易度表示つき)を実施します。
復習・予習課題 復習:今回の講義でのポイントは、実際に飼育下において動物(ここでは大学内で飼育している魚類を主な対象として)の行動観察を行う場合に留意しなければならないことは何かを理解し、適切に行動データを集めるためにはどのような工夫が必要であるのかについて理解することである。最終試験に備えて、これまでの講義内容の復習を行うこと。コマシラバスの「履修指標の水準」およびそれぞれのキーワード、配点をよく確認し、それぞれの項目について、十分に理解ができているかどうか確認を行うとともに、理解が不十分な点について最終試験までに復習を行うこと。
予習:本コマは、最後の講義であるため、予習内容は指定しないが、その分復習を十分に行い、最終試験に備えること。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
動物行動学のなぜ 動物行動学における4つのなぜの視点について、それぞれの内容と違いを具体的に理解できているのかについて、解答欄に記載された回答をもとに採点し、評価する。具体的には、至近要因として①機構、②発達発生、また究極要因として③機能・生存価、④進化・系統のこれら4つのなぜの視点について説明できているのかどうかという点について評価を行う。動物行動学における4つのなぜの視点を提唱したニコ・ティンバーゲンを含む動物行動学の創始者と言われるノーベル賞受賞者3名の研究内容について説明できるかどうかという点についても評価を行う。 ティンバーゲンの4つのなぜ、進化、適応、機構、発達 20 1-12, 15
動物の行動の進化 動物のさまざまな行動がどのように進化してきたのかについて理解できているのかという点について、解答欄に記載された回答をもとに採点し、評価する。具体的には、「適応度」「包括的適応度」「血縁度」といった用語を適切に用いて、利他行動など、動物の様々な行動がどうして・どのように進化してきたのか説明できているのかという点について評価を行う。「包括的適応度」「血縁度」といった用語については、それぞれの意味を理解しているのかという点についても評価する。 表現型、適応度、ダーウィンの自然選択説、血縁淘汰 20 2, 4-12, 15
動物の行動の発達 動物のさまざまな行動の様式の発達について理解し、その行動様式の違いに影響する要因について理解できているのかについて、解答欄に記載された回答をもとに採点し、評価する。発達の視点から、動物の行動は、生涯を通して同じではなく、生活史ステージによって異なる行動を示すことが理解できているのか、また、イヌを例にその発達ステージの分類やそれぞれの発達ステージの特徴について説明できているのかという点について評価を行う。 生殖行動、社会行動、コミュニケーション行動、育子行動 20 1, 3-12, 15
動物の行動の多様性 動物の行動の多様性について理解し、その様式に影響する要因について理解できているのかについて、解答欄に記載された回答をもとに採点し、評価する。具体的には、講義にて扱った様々な行動(社会行動、生殖行動、学習行動、コミュニケーション行動、育子行動など)や関連事項について、それらの行動の多様性が説明できるかどうかという点、また、多様性をもたらす要因との関係を説明できているのかという点に基づいて評価を行う。 発達ステージ、早成性、晩成性、行動発達 20 2-12, 15
動物行動研究手法 動物の行動を記録する基本的な手法を理解するとともに、代表的な統計解析の手法について理解できているのかについて、解答欄に記載された回答をもとに採点し、評価する。具体的には、動物の行動をどのように定義し、何をどうやって観察し、どのように記録するのか、また得られたデータをどのように解析するのかという点について、それぞれどのような手法があるのか、またその手法の長所や欠点が理解できているのかについて評価を行う。 サンプリング手法、統計解析 20 11,12-15
評価方法 最終試験により評価(100%)
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 適宜、資料を配布するため、教科書は指定しない。
参考文献 デイビス・クレヴィス・ウェスト(2015)行動生態学,共立出版,9,504円森裕司ら(2012) 動物行動学, インターズー, 3,240円日本生態学会(2012)行動生態学,共立出版,3,672円
実験・実習・教材費 なし