区分 フィールド生態科目 植物生態科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門性 理解力 実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
専門知識 教養知識 思考力
実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。

科目の目的
人類は、20世紀以降、食糧生産量を飛躍的に増加させた。一方で農薬や化学肥料の大量投入による環境汚染や、土壌の劣化を招いていることも事実である。持続可能な開発目標の実現のためには、これまでのような農業は変わっていかなければならない。これからの農業はその場所の特性を活かした、効率的で、環境への負荷も少ない農業であると考えられ、そのような農業の実現のためには、生態学や地理学など学際的な視点からの分析が必要である。本科目は、新しい農業がどう変わっていくべきなのかを考えるとともに、そのような農業の実現のための技術や情報の利用について学ぶことを目的とする。
到達目標
農業の気候資源に対する依存性や植物の気候応答性について理解するとともにそれをふまえ、効率的で環境負荷の少ない持続可能な農業の実現のためには、現在の農業の方策をどのように変えていくべきなのかについて、現実的かつ論理的に意見を述べることができる。
科目の概要
作物の生産は気温や日射、降水など様々な気候資源に依存する。近年の高温傾向や局地的な豪雨の増加など、地球温暖化と呼ばれるグローバルな気候変化が将来的にも予測される中で、これらの変動が作物生産におよぼす影響を軽減させ適応策を検討することが喫緊の課題となっている。加えて、持続可能な農業の実現という長期的な視野に立てば、我々が目指すべき農業のあり方はさらに違った形になってゆくのではないだろうか。本科目では主に農業の気候資源への依存という点に着目し、農業のあり方について考える。まず、前半では世界、日本における農業がどのように成り立ち、どのように分布するのかを、地理学あるいは生態学的な視点から解説する。続いて後半では農業の環境への適応という観点から農業気象情報の利用など農業効率を高める新しい技術や環境負荷を軽減するための方策について解説する。
科目のキーワード
気候資源、日射量、水収支、降水効率、ソーンスウェイト、純一次生産力、農業気象情報、硝酸態窒素、地下水汚染、農薬の選択性 
授業の展開方法
本授業では、農業の気候依存性および気候資源の分布や農業地域の分布の理解から始め、効率的かつ環境負荷の少ない農業のあり方について、現実的な施策と技術、情報の利用方法について学ぶ。第1回~第6回では、これまでの『自然地理学』や『環境気象学』などの授業科目において学んできた事項を踏まえ、生態学や地理学の視点から、農業地域や植生、気候資源の分布から農業生産が気候資源に依存していることを再認識する。第7~第10回までは植物の気候応答性と農業災害について、第11回~第12回までは農業災害の防止と生産の最適化のための農業気象情報の利用について学ぶ。第13回~第15回では、農業の環境負荷について取り上げ、どのような対策が行われようとしているかを解説する。
オフィス・アワー
【木曜日】昼休み・3・4・5時限目(前期のみ)、【火曜日】昼休み・3・4・5時限目(後期のみ)
科目コード ENS364
学年・期 3年・後期
科目名 環境適応型農業
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 選択
学習時間 【授業】90分×15 【予習】30分以上×15 【復習】30分以上×15
前提とする科目 基礎数学、自然地理学
展開科目 フィールド生態学演習Ⅲ、フィールド生態学演習Ⅳ
関連資格 なし
担当教員名 横家将納
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 農業と気候資源① 農業の気候依存性 科目の中での位置付け 本授業では、農業の気候依存性および気候資源の分布や農業地域の分布の理解から始め、効率的かつ環境負荷の少ない農業のあり方について、現実的な施策と技術、情報の利用方法について学ぶ。第1回~第6回では、これまでの『自然地理学』や『環境気象学』などの授業科目において学んできた事項を踏まえ、生態学や地理学の視点から、農業地域や植生、気候資源の分布から農業生産が気候資源に依存していることを再認識する。第7~第10回までは植物の気候応答性と農業災害について、第11回~第12回までは農業災害の防止と生産の最適化のための農業気象情報の利用について学ぶ。第13回~第15回では、農業の環境負荷について取り上げ、どのような対策が行われようとしているかを解説する。第1回目の授業では、本授業におけるガイダンスと環境適応型農業の概念について解説するとともに、生態学あるいは地理学といった学際的立場から農業の気候依存性を理解するために、世界および日本の気候分布や、植生、農業地帯の分布を把握することが重要であることを説明する。
①仁科淳司「やさしい気候学」第1章気候とはP.1-2
②仁科淳司「やさしい気候学」第1章気候とはP.2-3
③仁科淳司「やさしい気候学」第1章気候とはP.3-6
④青山孝義他「日本の気候景観」第1章気候景観とはP.6-7
コマ主題細目 ① 環境適応型農業の概念 ② 気候とは ③ 気候の表現 ④ 農業気候景観
細目レベル ① 環境適応型農業とはこれまで言われてきた環境保全型農業からさらに進んだ農業と言えよう。これまでの農業は、いわば人類の英知をつぎ込み、問題の解決にアクティブに取り組む農業であったのに対し、環境適応型農業とは多分にパッシブな側面を持っている。持続可能な農業の実現という長期的な視野に立った時、いずれは現在の農業は成り立たなくなることが予想される。そうなる前に農業のあり方を変えていく必要があるわけだが、果たしてどのように変わっていくべきなのであろうか。これには必ずしも正解があるわけではないが、1つの考え方として自然環境の中で無理なく、効率的に行われる農業であると考えられる。環境適応型農業とはこれからの農業のあり方に一つの方向性を考えるものであるが、必ずしも古い伝統的な農業に戻ることを意味しているわけではない。確かに、長い年月をかけて成立してきた伝統的農法や農業地域は環境に適応して発展してきたという側面を持っているが、それそのものを目指すわけにはいかない。環境適応型農業とはこういった人類の過去の歴史をふりかえりつつも、最新の知見をもって未来の農業のあり方について考えるものである。
② 作物の生産は気温や日射、降水など様々な気候資源に依存する。したがって、作物の生産や農業地域の成立を考えるには気候の知識が不可欠である。「気候」はclimateという単語で表現され、ある程度の幅を持ちつつ、1年を周期として最も高い確率で出現する大気の総合的状態を言い、通常は30年以上の観測値を平均した気候要素もしくはそのようにみなせるもので表現される。「気象」はもともと「大自然」のような意味を持つ言葉だったが、明治時代に大気現象の意味で使われるようになったことから、いわば「大気の物理的現象」の略語であるとみなすことができる。気候は対象とする空間スケールごとに微気候~大気候に分けられる。気象でもそうだが、一般に現象の空間スケールが大きいほど時間スケールも長くなる。
③ 気候の表現の方法には様々あるが、まず第1に気候要素を用いる方法がある。観測によって得られる大気の性質・状態を示したものは気象要素といい、これらの30年以上の平均を取るなどの統計処理をしたものを気候要素という。気候要素には気温、風(風向・風速)、降水量、相対湿度、日射量、蒸発量、雲量、日照時間などがある。またそれぞれの気候要素に気候要素の成分がある。気候要素の成分とは例えば気温で言えば、日最高気温や日較差、年較差などで、それぞれの気候要素を構成する特徴的あるいは代表的な値である。気候要素の中で、気温、降水量などは測定も容易でなじみ深いが、蒸発量の測定は容易ではない。しかしながら、作物栽培においては蒸発量が水収支を考える上で極めて重要な気候要素となる。
④ その場所の気候の影響が地表・植物・人間社会などに表れているものを気候景観と呼ぶ。気候景観は自然景観と文化的景観に大別されるが、例えば自然景観には、風による樹木の扁形(扁形樹)や低温によって成された周氷河地形、文化的景観には屋敷林(防風林)や雪囲いなどがある。古くからある農地は特徴的な分布を示し、独特な農業景観を形成していることがある。例えば茶畑や果樹園はもともと水はけのよいところに立地するものであるが、山間地などでは谷底ではなく山の斜面に分布していることが多い。これは春先の霜害を免れるための工夫であり、長い年月をかけて行われた農業の適応であると考えることができる。古い景観はその景観が成立するまでに様々な自然的、文化的影響を受けているわけであり、それを分析することは適応の歴史を紐解く作業でもある。
キーワード ① 環境適応型農業 ② 気候依存性 ③ 気候 ④ 平年値 ⑤ 気候景観
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習課題:「気候」および「気象」という言葉にどのような違いがあるか説明できるようにすること。気温、風(風向・風速)、降水量、相対湿度、日射量、蒸発量、雲量、日照時間などの気象要素がそれぞれどのようなものなのか説明できるようにすること。気候景観とはどのようなもので、これを分析することでどのようなことがわかるのか、あるいは美しい農業気候景観がなぜ環境に調和しているのか、環境に適応していると言えるのか説明できるようにすること。ヨリソルで行った小テストについて、正答できなかった問題に対し、その関連個所を授業資料で確認し、正答に至るよう見直しを行うこと。
予習課題:自然地理学で学習した、地球規模での日射量の分布や気温の分布とそれらの季節変化についての内容を確認しておくと理解がしやすい。

2 農業と気候資源② 世界の日射・気温分布 科目の中での位置付け 本授業では、農業の気候依存性および気候資源の分布や農業地域の分布の理解から始め、効率的かつ環境負荷の少ない農業のあり方について、現実的な施策と技術、情報の利用方法について学ぶ。第1回~第6回では、これまでの『自然地理学』や『環境気象学』などの授業科目において学んできた事項を踏まえ、生態学や地理学の視点から、農業地域や植生、気候資源の分布から農業生産が気候資源に依存していることを再認識する。第7~第10回までは植物の気候応答性と農業災害について、第11回~第12回までは農業災害の防止と生産の最適化のための農業気象情報の利用について学ぶ。第13回~第15回では、農業の環境負荷について取り上げ、どのような対策が行われようとしているかを解説する。第2回目の授業では、農業の気候依存性を理解するために、世界の日射量分布や気温の分布気およびその季節変化について学ぶ。これらの要因が植生や農業の分布、発達をどのように制限する要因になるのかを解説する。
①仁科淳司「やさしい気候学」第2章世界の気温P.12-16
②仁科淳司「やさしい気候学」第2章世界の気温P.16-20
③仁科淳司「やさしい気候学」第2章世界の気温P.21-25
④ルーラル電子図書館NAROPEDIA「短日植物」https://lib.ruralnet.or.jp/nrpd/#koumoku=13269 
コマ主題細目 ① 太陽エネルギーの分布 ② 放射収支 ③ 世界の気温分布 ④ 作物の原産地と日長環境
細目レベル ① 光合成を行う植物にとって太陽光は不可欠である。しかし、太陽から降り注ぐエネルギーは常に変動している。単位面積当たりの太陽放射は太陽高度がっとも高い時に最大になる。一方で日照時間は夏至に最も長く、冬至に最も短くなる。北緯23.4°の北回帰線上では、夏至の正午、太陽が南中した時に、太陽光が垂直に差し込む。北回帰線~南回帰線の低緯度は太陽高度はいつも高く日照時間の季節変化は小さい。大気上端での太陽放射は年間を通じて多く、季節変化は小さいため年中高温である。回帰線より高緯度側では、太陽高度・日照時間とも季節変化が大きい。ゆえに、太陽放射の季節変化は大きく、気温の季節変化も大きい。
② 地表付近で受容する太陽放射量の年間における緯度別の分布をみると、北半球と南半球の緯度30°付近に極大があり赤道付近はそれよりわずかに少なくなっている。これは6月および12月に北半球と南半球の緯度30°付近で太陽放射が最大となるのに加え、この付近に砂漠が多く雲量が少ないことが関係している。赤道付近は雲量が多くわずかに太陽放射が少なくなる。太陽放射と地球放射を緯度別に示すと、地球全体では年間では太陽放射と地球放射は等しくなるものの、赤道では太陽放射の方が、極では地球放射の方が多くなる。この収支のアンバランスを解消するため赤道から極地方へ熱輸送が行われる。
③ 世界の平均気温はサハラ砂漠で特に高温になり、大山脈や寒流の流れる位置で気温が低くなる傾向にあるが、それらを除けば概ね、年平均気温の同じ地域は緯線と並行し、年間の放射収支と整合的である。さらに具体的には①赤道と極の間の等温線の数は夏よりも冬の方が多い。②中緯度では同じ緯度なら夏は大陸の方が海洋よりも高温に、冬は海洋の方が大陸よりも温暖となる。③冬の気温が極小になる地点は、両半球とも大陸の内陸部である。④ある経線上で気温が最も高くなる地点を結んだ熱赤道は、年間のものは北半球側にシフトしている。⑤中緯度の場合、同緯度で比べると夏は北半球の方が高温、冬は南半球の方が温暖である。などの特徴がみられる。
④ 日長が短くなると花成が促進される植物を短日植物という。このうち、ある一定時間以下の日長(限界日長)でないといつまでも開花しないものを質的短日植物という。これに対し、短日下でも長日下でも開花するが、短日の方が早く開花するものを量的短日植物という。短日植物の限界日長は植物や品種によって異なり、12時間以上の日長で開花する短日植物もある。ただし、明期が限界日長時間より短くても、暗期が一定の長さより短い場合は花成に至らず、短日植物の花成に必要な条件は短い明期よりも連続した長い暗期である。短日植物の多くは熱帯や亜熱帯起源である。それは、熱帯では気温の季節変化が乏しいためである。
キーワード ① 日射量 ② 放射収支 ③ 気温 ④ 大気大循環 ⑤ 短日植物
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習課題:世界における日射量および気温の分布について、なぜそのような分布になっているのか説明できるようにすること。またどのような季節変化をするのかを説明できるようにすること。日射量の分布に対して、気温の分布が局地的になるいくつかの要因について説明できるようにすること。また、熱帯原産の作物に短日植物が多い理由について説明できるようにすること。ヨリソルで行った小テストについて、正答できなかった問題に対し、その関連個所を授業資料で確認し、正答に至るよう見直しを行うこと。
予習課題:自然地理学で学習した、地球規模での降水量の分布や気温の分布とそれらの季節変化について、大気の大循環の内容と併せて確認しておくと理解がしやすい。

3 農業と気候資源③ 世界の降水量分布 科目の中での位置付け 本授業では、農業の気候依存性および気候資源の分布や農業地域の分布の理解から始め、効率的かつ環境負荷の少ない農業のあり方について、現実的な施策と技術、情報の利用方法について学ぶ。第1回~第6回では、これまでの『自然地理学』や『環境気象学』などの授業科目において学んできた事項を踏まえ、生態学や地理学の視点から、農業地域や植生、気候資源の分布から農業生産が気候資源に依存していることを再認識する。第7~第10回までは植物の気候応答性と農業災害について、第11回~第12回までは農業災害の防止と生産の最適化のための農業気象情報の利用について学ぶ。第13回~第15回では、農業の環境負荷について取り上げ、どのような対策が行われようとしているかを解説する。第3回目の授業では、農業の気候依存性を理解するために、世界の降水量の分布およびその季節変化について学ぶ。これらの要因が植生や農業の分布、発達をどのように制限する要因になるのかを解説する。
①仁科淳司「やさしい気候学」第4章世界の降水量P.46-53
②仁科淳司「やさしい気候学」第4章世界の降水量P.54-60
③ダウエント・ホイットルセー https://ja.wikipedia.org/wiki/ダウエント・ホイットルセー
コマ主題細目 ① 雨の降り方 ② 世界の降水分布 ③ ホイットルセーの農業地域区分
細目レベル ① 降水は高温の湿った空気が凝結することにより生じる。凝結するためには冷却される必要があるが、冷却は上昇気流に起こる。つまり、降水は上昇気流が起こる場所で生じる。大気中の水蒸気は84%が海上からの蒸発、残りの16%が陸上からの蒸発と蒸散によりもたらされる。世界の年間平均降水量は700~1000mm程度であると推定されている。温度と水蒸気量の緯度分布は酷似しており高温大気ほど多くの水蒸気を含む。これらの水蒸気を含む大気は冷却されれば降水となる可能性がある。降水となるためには①高緯度側へ運ばれる ②強制的に山を越えさせる ③加熱されて上昇するなどの作用が必要となる。降水量を緯度別に分析すると赤道低圧帯や亜寒帯低圧帯、およびそこに低緯度側から吹き込む偏西風帯の位置で降水量が多い。
② 年間降水量が1000mmを超えるような多雨地帯は ①赤道付近 ②緯度40~60°の中緯度、特に山脈の西側 ③貿易風に対して山地の風上側:マダガスカル島の東部、ハワイ島など ④低緯度側の海洋から高温多湿の風が侵入しやすいところ:東~東南アジアの一帯(日本~インドの夏季) などに集中して存在している。年間降水量が250mmに満たない少雨地帯は ①極地方:南極、北極 ②中緯度の大陸内部:中央アジア、タクラマカン砂漠、ゴビ砂漠 ③回帰線付近の、おもに大陸の西側:サハラ砂漠、オーストラリアのグレートサンディー砂漠 ④卓越風に対して大山脈・山地の風下側:アンデス山脈の東側 パタゴニア ⑤低緯度の大陸西岸:チリ北部アタカマ砂漠、ナミブ砂漠 などにみられる。
③ 農業の形態は、その土地の地理的条件に大きく依存する。作物の生育環境は気候の影響を大きく受ける。さらに、栽培した作物を出荷・販売する際には、その土地の立地条件が重要になる。そのため、世界各地ではその土地の気候や立地条件に応じた形態の農業が発展してきた。1936年にホイットルセー(Derwent Stainthorpe Whittlesey)は、世界各地の多様な農業を13の地域区分に分類した。ホイットルセーの農業地域区分では、農作物の種類や経営規模、土地の利用方法の違いなどに基づいて分類されている。ホイットルセーの区分は今も世界的によく知られ、修正版が地図帳に掲載されている。それはこの区分が、諸指標を機械的に組み合わせて作られたものではなく、予め世界の農業の地域性について経験的な認識があり、それを考慮しながら区分の基準と手順を案出したためである。
キーワード ① 降水量 ② 蒸発 ③ 貿易風 ④ 季節風 ⑤ ホイットルセー
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習課題:世界における降水量の分布について、なぜそのような分布になっているのか、大気暖循環と関連させて説明できるようにすること。また、気温の分布に対して、降水量の分布が局地的になるいくつかの要因について説明できるようにすること。特に、地形や海流の影響で降水量が変化する理由について説明できるようにすること。ヨリソルで行った小テストについて、正答できなかった問題に対し、その関連個所を授業資料で確認し、正答に至るよう見直しを行うこと。
予習課題:自然地理学で学習した、ケッペンの気候区分やアリソフの気候区分について、バイオームの分布や、前回および今回学習した気温や日射、降水量の分布と関連付けて見直しておくと理解がしやすい。

4 農業と気候資源④ 世界の気候区分 科目の中での位置付け 本授業では、農業の気候依存性および気候資源の分布や農業地域の分布の理解から始め、効率的かつ環境負荷の少ない農業のあり方について、現実的な施策と技術、情報の利用方法について学ぶ。第1回~第6回では、これまでの『自然地理学』や『環境気象学』などの授業科目において学んできた事項を踏まえ、生態学や地理学の視点から、農業地域や植生、気候資源の分布から農業生産が気候資源に依存していることを再認識する。第7~第10回までは植物の気候応答性と農業災害について、第11回~第12回までは農業災害の防止と生産の最適化のための農業気象情報の利用について学ぶ。第13回~第15回では、農業の環境負荷について取り上げ、どのような対策が行われようとしているかを解説する。第4回目の授業では、世界の気候区分について学ぶ。気候区分とはある空間において同じような特徴を持つ場所をグルーピングし、意味を持った1つの地域にまとめる手法であるが、その背景には気候区分を可能とする根拠があり、植生や農業地域が成立する理由について考察することができる。
①仁科淳司「やさしい気候学」第5章世界の気候区分P.61
②仁科淳司「やさしい気候学」第5章世界の気候区分P.61-66
③仁科淳司「やさしい気候学」第5章世界の気候区分P.66-76
コマ主題細目 ① 気候区分とは ② 成因的気候区分 ③ 結果的気候区分
細目レベル ① 世界各地の気候を俯瞰してみると、場所が変われば気候も変わることがわかるが、実際には空間的に離れていても似たような気候の特徴を持つ場所というものが存在する。このような場所をグルーピングし、意味を持った1つの地域にまとめるのが気候区分である。これによって、気候の場所による違いをより明らかにすることが気候区分の目的の1つである。さらに区分することによって、食生活・住居・衣服などの文化の背景や、農業をはじめとする産業の基盤として、自然環境がどうかかわっているかを論じるときの基礎的データを提供することも目的の1つである。気候区分には世界全体を対象としたものから、ローカルなものまで様々ある。また、農業地域や、作物の生産量の地域差などに着目した気候区分もある。
② 気候区分は成因的気候区分と、結果的気候区分に大別される。気候を特徴づける原因となるものが同じならば、結果としての気候は似たものになるという仮定に基づき、気候を形成する原因に着目して行ったものが成因的気候区分であり、近代的気候区分・演繹的気候区分と呼ぶこともある。しかしながら、この方法は成因としての気候値が同じ場所を示しているのにもかかわらず、これらの結果が必ずしも現実とあわない(例えば自然植生分布と一致しない)などの欠点がある。成因的気候区分の例には、世界の風系の分布に着目したフローン・クプファーの気候区分や、気団(赤道気団、寒帯気団など)の分布に着目したアリソフの気候区分などがある。アリソフの気候区分では東京とローマは同じ気候区分となる。
③ 結果的気候区分は、植生や農業地域の分布などに一致するように成因となる気候値(気温や降水量)の閾値を定めて行った気候区分である。経験的気候区分・帰納的気候区分と呼ばれることもある。植生・農業地域の分布と結果的によく一致している。ただしこの場合は成因(本来の原因)が違っていても同じ気候区分にされるという欠点がある。結果的気候区分にはケッペンの気候区分、クロイツブルクの気候区分、ソーンスウェイトの気候区分などが知られている。ソーンスウェイトの気候区分は降水量と、可能蒸発量に基づいて行われる気候区分であるが、当初は農業にどれだけの水が必要かを明らかにする目的で行われたものである。可能蒸発量という概念は、地面が十分湿っている場合起こりうる最大の蒸発量で、可能蒸発量自体、熱量の指標であるし、降水量と蒸発量の収支で土壌水分状態が評価できる。ソーンスウェイトの気候区分は合理的気候区分とも呼ばれる。
キーワード ① 成因的気候区分 ② 結果的気候区分 ③ ケッペン ④ アリソフ ⑤ ソーンスウェイト
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習課題:ケッペンや、クロイツブルクの気候区分、ソーンスウェイトの気候区分などについて、それぞれの分類がよりどころとしている原理の違いについて説明できること。特にソーンスウェイトの気候区分については、可能蒸発量(蒸発散位、最大可能蒸発量)という考え方、定義、それから派生する水収支についての考え方を説明できるようにすること。ヨリソルで行った小テストについて、正答できなかった問題に対し、その関連個所を授業資料で確認し、正答に至るよう見直しを行うこと。
予習課題:自然地理学で学習した日本における植生の分布および、それらを説明する温量指数の分布、およびその計算方法(暖かさの指数の計算の方法)など、今回の学習内容と関連付けて見直しておくと理解がしやすい。

5 農業と気候資源⑤ 日本の気候区分と農業地域の分布 科目の中での位置付け 本授業では、農業の気候依存性および気候資源の分布や農業地域の分布の理解から始め、効率的かつ環境負荷の少ない農業のあり方について、現実的な施策と技術、情報の利用方法について学ぶ。第1回~第6回では、これまでの『自然地理学』や『環境気象学』などの授業科目において学んできた事項を踏まえ、生態学や地理学の視点から、農業地域や植生、気候資源の分布から農業生産が気候資源に依存していることを再認識する。第7~第10回までは植物の気候応答性と農業災害について、第11回~第12回までは農業災害の防止と生産の最適化のための農業気象情報の利用について学ぶ。第13回~第15回では、農業の環境負荷について取り上げ、どのような対策が行われようとしているかを解説する。第5回目の授業では、日本の気候区分について学ぶ。前回学んだ世界の気候区分からから考えると空間スケールが小さくなった日本の気候区分ではそれを区分する根拠が世界の気候区分とは違ってくる。さらに特定の季節あるいはさらに空間スケールの小さな地域では地域差を生み出す要因も異なる。
①仁科淳司「やさしい気候学」第6章日本の気候区分P.77-80
②仁科淳司「やさしい気候学」第6章日本の気候区分P.81-93
③仁科淳司「やさしい気候学」第6章日本の気候区分P.94-97
④Climatic water balance and climatic division of rice producing districts in the Chubu region, Japan. https://www.jstage.jst.go.jp/article/agrmet/65/4/65_65.4.5/_article
コマ主題細目 ① 日本の気候 ② 日本の気候を特徴づける要因 ③ 日本の気候区分 ④ 農業気候区分
細目レベル ① ケッペンやクロイツブルクの気候区分によると日本は一部を除きほぼ温帯気候に属する。また東京の年平均気温はほぼ世界の平均気温と同じである。ただし同緯度の地点と比べると冬の気温は大陸西岸より低い。日本の年降水量はおよそ1000~4000mmであり、これは世界平均の2倍に相当する。日本では降水をもたらす天気図型(気圧配置型)が常に1年を通してある程度の確立で出現する。6~7月には前線が停滞、8~9月は台風の襲来が多く、4~5月・9~11月は移動性高気圧と低気圧が通過する。冬季には西高東低型の気圧配置となるが、この期間でも気圧の谷が通過し、降水をもたらす天気図型の出現頻度は低いわけではない。このように日本は1年を通して定期的に降水があり、農業をする上では降水効率のよい地域であると言える。
② 日本の気候を特徴づける要因には様々ある。まず中緯度に位置することで、年平均気温は全世界の平均に近い。夏と冬で熱帯気団と寒帯気団の両方の影響を受ける。日本列島は上空のジェット気流に対してヒマラヤ・チベットの風下に位置し、このことが日本が多雨となる一因となっている。さらに大陸の東岸に位置することでモンスーンの影響を強く受け、冬は大陸からの寒気の吹き出し、夏は南海上からの高温多湿な空気の流入が起こる。温帯的圧以外の降水要因としては、台風、梅雨、秋霖などがある。さらに冬季にはシベリア高気圧からの寒気の吹き出しが日本海上で雪雲を形成し、日本海側を中心に降雪をもたらす。このように季節によって違った理由で降水がおこる。
③ 日本の気候区分にも成因的気候区分および結果的気候区分のそれぞれが存在する。前島の気候区分は成因的気候区分の例で、降水要因と降水の多くなる時期に着目した気候区分である。年間のうちその場所の日降水量を最も多くする要因に着目し①梅雨により最も降水が多い地域 ②秋霖・台風で最も降水が多い地域 ③シベリア高気圧による降水が最も多い地域に分類し、さらにそれを細分化している。関口の気候区分は結果的気候区分の例で、気温、降水量、日照率、水分過剰量に着目したものである。降水量や気温の総量もしくは平均値を階級区分し季節変化パターンが不連続となるところに境界線を加え、それぞれの季節のものを重ね合わせることで気候区分を行っている。 
④ ソーンスウェイトの気候区分を農業地域の区分に当てはめた例について解説する。ソーンスウェイトの気候区分は可能蒸発量の推定および水収支の計算より成り立っているが、この考え方自体は世界中のあらゆる地域に適用できる。可能蒸発量は気温から推定されるが、蒸発量自体は気温の上昇や日射量の増加によって増加することから、可能蒸発量は気温や日射量などの気候要素を総合しうるような指標であると考えられる。また、可能蒸発量と降水量の収支で土壌水分量が推定され、これが乾湿の程度を示す。こうした気候区分の取り組みは作物の生産量が地域の気候資源によって違ってくることを説明する上で重要な資料となる。
キーワード ① モンスーン ② 季節変化 ③ 可能蒸発量 ④ 水収支 ⑤ 関口の気候区分
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習課題:日本の気候を特徴づける要因にはどのようなものがあるか説明できるようにすること。特に、多くの農作物が生産される暖候期の気温、日射量、降水量の分布の特徴について説明できるようにすること。ソーンスウェイトの気候区分に関連して、彼による指標(可能蒸発量および水収支算出による乾湿の推定)が、農業生産の地域差を説明できる理由について(なぜ、可能蒸発量と土壌水分量だけで植物の生育と関連づけることができるのか)説明できるようにすること。ヨリソルで行った小テストについて、正答できなかった問題に対し、その関連個所を授業資料で確認し、正答に至るよう見直しを行うこと。
予習課題:シラスをよく読み、「純一次生産力」や「水稲の気候生産力」という指標について、あらかじめ知っていると理解がしやすい。

6 農業と気候資源⑥ 日本の純一次生産力と水稲の気候生産力の分布 科目の中での位置付け 本授業では、農業の気候依存性および気候資源の分布や農業地域の分布の理解から始め、効率的かつ環境負荷の少ない農業のあり方について、現実的な施策と技術、情報の利用方法について学ぶ。第1回~第6回では、これまでの『自然地理学』や『環境気象学』などの授業科目において学んできた事項を踏まえ、生態学や地理学の視点から、農業地域や植生、気候資源の分布から農業生産が気候資源に依存していることを再認識する。第7~第10回までは植物の気候応答性と農業災害について、第11回~第12回までは農業災害の防止と生産の最適化のための農業気象情報の利用について学ぶ。第13回~第15回では、農業の環境負荷について取り上げ、どのような対策が行われようとしているかを解説する。第6回目の授業では、前回学んだ日本の気候区分に関連して、日本の純一次生産力の分布について学ぶ。またこれに関連して、水稲の気候生産力について解説する。水稲は全国で栽培されるがその単位面積当たりの生産量は場所によって異なる。これは気候によって生産可能な収量がある程度制限されるためである。
①清野豁 自然植生の純一次生産力と農業気候資源の分布図 https://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/topics/g7/clmres.html
②杉原保幸 水稲の気候生産力の評価に関する研究 I https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010214990.pdf
③羽生寿郎 杉原保幸 水稲の気候生産力の評価に関する研究 II https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010224135.pdf
コマ主題細目 ① 純一次生産力 ② 水稲の気候生産力 ③ 収量と品質の地域差
細目レベル ① 単位時間内に、単位面積内の植物の光合成によって生産される有機物量を、総一次生産力といい、これから植物の呼吸によって消費される有機物量を引いたものを純一次生産力という。純一次生産力は、自然植生の潜在的な生産能力を表わしている。また、農業上の純一次生産力は、人が利用可能な有機物量を表わしており、農地の潜在的生産力を評価するうえで重要な指標となる。純一次生産力を推定するために、筑後モデルやマイアミモデルといったモデルが提案されている。いずれのモデルも、植物の生育と関わりの深い気温、降水量、純放射量(日射を含んだ地上に入射する放射エネルギーと天空へ出て行く放射エネルギーとの差をいい、地表面で受け取る放射エネルギーを表わす)を用いて推定している。つまり、純一次生産力の分布は気候値の分布で、それは作物などの生産量の分布ではない。
② 稲は熱帯原産であるが、日本における水稲の単位面積あたりの収穫量は、植物の純一次生産量の分布のように、単純に南方ほど大きいわけではない。水稲については水稲の気候生産力(ある気候条件と技術水準で生産可能な最大収量)というものが研究されており、この値は東北地方や長野県の盆地で高値となっている。このことはすなわち、日本で水稲を栽培する場合、気候的な制限があり、どこの地域でも同じような収量を得ることは不可能であることを示している。気候生産力の地域差は、実際の反収の分布とよく一致している。気候生産力は簡単に言えば登熟期の気温が最適気温からどれくらい離れているか、日照時間、日射量にどれくら恵まれるかに規定される。つまり反収の多い地域は気温が最適で暑くも寒くもなく、なおかつ日射しが豊富な地域である。一般に日射しが多ければ気温も高くなってしまうので、気温が最適で日射しが多いという地域は南の地域ということにはならない。
③ 水稲に気候生産力の地域差があるように、水稲に関しては気候的な制限を受けるためどこの地域でも高収量をあげるということはできない。かといって、高収量の地域ほど高品質の米が獲れるかというと、必ずしもそうとは限らない。水稲に関しては最適気温よりやや気温の高い地域で食味のよい米が生産される傾向にある。これは少し暑いところで作った米の方がアミロース含量が少なく(アミロペクチン含量が多く)なるためだと考えられる。デンプンはアミロースとアミロペクチンに大別されるが、一般にアミロース含量が低くアミロペクチン含量が多い米は、低アミロース米と呼ばれ、冷めても食味が悪くならないとされている。現在は様々な地域でその地域に適した低アミロース米が栽培されるようになっており、東北地方以外でも食味の良い米が生産されるようになっている。
キーワード ① 純一次生産力 ② 日射量 ③ 水稲の気候生産力 ④ 純放射量 ⑤ アミロース
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習課題:日本の気候資源という観点から、「純一次生産力」や「水稲の気候生産力」の分布が説明できるようにすること。特に、水稲の気候生産力についてどのような基準からそれが定められ、これが、実際の生産量の分布をどの程度説明できるのかを理解すること。水稲の生育ステージごとに、気候要因がどのように影響するのかを説明できること。ヨリソルで行った小テストについて、正答できなかった問題に対し、その関連個所を授業資料で確認し、正答に至るよう見直しを行うこと。
予習課題:シラスをよく読み、植物による光合成や呼吸に関連して、「光飽和点・補償点」「気孔開度」「C3植物とC4植物」などのキーワードについて、あらかじめ知っていると理解がしやすい。

7 作物の気象反応① 光合成と呼吸 科目の中での位置付け 本授業では、農業の気候依存性および気候資源の分布や農業地域の分布の理解から始め、効率的かつ環境負荷の少ない農業のあり方について、現実的な施策と技術、情報の利用方法について学ぶ。第1回~第6回では、これまでの『自然地理学』や『環境気象学』などの授業科目において学んできた事項を踏まえ、生態学や地理学の視点から、農業地域や植生、気候資源の分布から農業生産が気候資源に依存していることを再認識する。第7~第10回までは植物の気候応答性と農業災害について、第11回~第12回までは農業災害の防止と生産の最適化のための農業気象情報の利用について学ぶ。第13回~第15回では、農業の環境負荷について取り上げ、どのような対策が行われようとしているかを解説する。第7回目の授業では、植物の気候応答性に関して、光合成と呼吸の観点から学ぶ。作物には光合成の能力に関してそれぞれ特徴があり、その特徴に応じた栽培が行われることで最大の収量をあげることができる。
①大政譲次他「農業気象・環境学第版」第4章 作物の気象反応 P.66-77
②大政譲次他「農業気象・環境学第版」第4章 作物の気象反応 P.67-68
③大政譲次他「農業気象・環境学第版」第4章 作物の気象反応 P.72-73
④大政譲次他「農業気象・環境学第版」第4章 作物の気象反応 P.73-75
コマ主題細目 ① 光合成速度と呼吸 ② C3植物とC4植物 ③ 環境要因の光合成への影響(光) ④ 環境要因の光合成への影響(ガス)
細目レベル ① 植物の光合成は、光エネルギーを利用して、二酸化炭素から炭水化物を生成する生理作用である。一方、呼吸は、酸素を利用して、炭水化物からエネルギーを得る生理作用であり、呼吸で生成されたエネルギーは植物の生命活動に使われる。一般に光合成速度は植物(葉)による二酸化炭素吸収速度として測定される。この時、光合成と呼吸は同時に起きているので測定される葉に吸収されたCO2量は、光合成で固定されたCO2量と、呼吸によって放出されたCO2量との差である。この点を明確にするために葉に吸収されたCO2量として測定された光合成速度を純光合成速度(みかけの光合成速度)とよび、これに呼吸によるCO2放出分を上乗せした光合成速度を総光合成速度と呼ぶ。単位はどちらも単位葉面積、単位時間あたりのCO2吸収量を示すmol/m2/Sとなる。
② 光合成は大別すると光エネルギーを化学エネルギーに変換し還元力を得る過程(光化学反応)と、固定されたエネルギーと還元力(NADPH)を用いて有機化合物(炭水化物)を合成する過程(炭素固定反応)に分けられる。C4型の光合成は葉肉細胞と維管束鞘細胞の分業で行われる。二酸化炭素(CO2)は、葉肉細胞の酵素の働きでリンゴ酸やアスパラギン酸などの有機酸の形で固定される。この有機酸は維管束鞘細胞に輸送されてから脱炭酸されCO2となりこのCO2はC3植物の光合成の場合と同様な仕組みでカルビン-ベンソン回路に組み込まれる。この過程の最初の段階を触媒する酵素(RuBPカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(Rubisco))は、CO2以外にO2と反応する。CO2が基質として使われた場合に光合成が進行するが、O2が使われた場合には「光呼吸」と呼ばれる反応になる。この際、CO2とO2の反応は競争的であり、このため、Rubiscoが機能する部位でのCO2とO2の濃度の比率が光合成の速度を決める要因となる。CO2を別の組織で固定し、濃縮してRubiscoに供給できるC4植物は強い光が利用できる。
③ 光は光合成に直接的な影響を与える。光の強度をあらわす単位にはエネルギーベースの(W/m2)、光量子数ベースの光量子束密度(µmol/m2/s)、人間の視覚感度に基づいた照度(lx)などがある。植物の光合成に有効である400~700nmの範囲の放射を光合成有効放射(PAR)とよびPARを光量子束密度で計算したものが光合成有効光量子束密度(PPFD)でこれは400~700nmの光量子が光合成に均等に作用するとの仮定のもと、単位時間、単位面積当たりの光量子数をあらわす。個葉における光強度と光合成速度の関係は光合成曲線で表現される。一般に光合成曲線は上に凸の右上がりの曲線となり、光補償点、光飽和点、最大光合成速度などで、曲線は特徴づけられている。光質、すなわち光の分光スペクトルも光合成に影響を与える。
④ CO2は光合成反応の基質であるので、一般に葉が置かれている空間におけるCO2濃度が高くなると光合成速度は増加する。しかしながらCO2濃度と光合成の関係はCO2の最初の固定酵素が異なるC3植物と、C4植物で異なる。C4植物では低CO2濃度域における光合成の効率が高く、早く飽和に達する。なお一般に、CO2濃度の上昇により気孔の閉鎖すなわち気候コンダクタンスの低下(気孔抵抗の増加)が起こるが、駆動力も大きくなるので光合成速度は低下しない。また、空気中のO2濃度の低下はRubiscoによる酸素固定に起因する光呼吸を低下させるため、純光合成速度の増加をもたらす可能性がある。しかし通常の栽培においては栽培空間の葉付近のO2濃度はほぼ一定であり、人工的に濃度制御しない限り光合成への影響は小さい。
キーワード ① 光合成 ② 光飽和点 ③ C4植物 ④ 二酸化炭素 ⑤ 光量子束密度
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習課題:光飽和点・補償点・見かけの光合成量などの意味、気孔開度と光合成の関係、C3植物とC4植物の違いについて説明できること。光強度の増加に対し、植物がどのような反応を示すのか、光合成において効率の良い日射条件はどのようなものなのか、気温やCO2濃度が上昇すると、光合成の効率や呼吸量は基本的にどのように変化するのか説明できるようにすること。ヨリソルで行った小テストについて、正答できなかった問題に対し、その関連個所を授業資料で確認し、正答に至るよう見直しを行うこと。
予習課題:シラスをよく読み、植物の水分代謝に関連して、「水ポテンシャル」「蒸散」「水ストレス」などのキーワードについて、あらかじめ知っていると理解がしやすい。

8 作物の気象反応② 水分代謝 科目の中での位置付け 本授業では、農業の気候依存性および気候資源の分布や農業地域の分布の理解から始め、効率的かつ環境負荷の少ない農業のあり方について、現実的な施策と技術、情報の利用方法について学ぶ。第1回~第6回では、これまでの『自然地理学』や『環境気象学』などの授業科目において学んできた事項を踏まえ、生態学や地理学の視点から、農業地域や植生、気候資源の分布から農業生産が気候資源に依存していることを再認識する。第7~第10回までは植物の気候応答性と農業災害について、第11回~第12回までは農業災害の防止と生産の最適化のための農業気象情報の利用について学ぶ。第13回~第15回では、農業の環境負荷について取り上げ、どのような対策が行われようとしているかを解説する。第8回目の授業では、植物の気候応答性に関して、水分代謝の観点から学ぶ。作物には常に水ストレスがかかっている。それをいかに低減するかが、収量を上げる上で重要である。そのためには耐乾性のある作目の栽培の他、露地栽培であれば降水効率が重要な要素となってくる。
①大政譲次他「農業気象・環境学第版」第4章 作物の気象反応 P.75-77
①大政譲次他「農業気象・環境学第版」第4章 作物の気象反応 P.77-81
①大政譲次他「農業気象・環境学第版」第4章 作物の気象反応 P.81-84
コマ主題細目 ① 水ポテンシャル ② 蒸散 ③ 水ストレス
細目レベル ① 植物の体の90%以上は水分でありその水の量と状態が植物における様々な生理代謝反応を通して成長に密接な影響を与える。植物の生命現象において極めて重要となる植物の水分状態は植物‐環境系の水分移動をはじめ、それに伴う物質輸送や植物の代謝反応の結果が反映されたものであると同時にそれらの現象(水分移動)を引き起こす要因にもなりうる。このような水分状態の指標として導入されたものが水ポテンシャルである。これは水が持つエネルギー状態を物理化学的な概念で表したものであり、純水を基準(0)として圧力の単位(Pa)であらわす。例えば、水が物質に溶けたり固体と接触して吸着されるとエネルギー状態が低下する。自然界において任意の対象物の水ポテンシャルは低くなり、負の値を示す。水ポテンシャルは水が持つエネルギー状態なので水ポテンシャルの分布を把握することができれば水の移動の理解につながる。
② 植物体内の水分移動は、主に葉における蒸散の駆動によって促される。すなわち蒸散によって葉内の水分が大気へと放出されることで、前述の水ポテンシャルが葉において低下し、より高い水ポテンシャルと有する部位(根など)から葉まで水ポテンシャル差に従って水が植物体内を流れる。植物器官をまたがる長距離の水移動は道管を通してマスフローによって行われる。葉において最も重要な水移動は蒸散である。蒸散は気孔経由のものとクチクラ経由のものがあるが、気孔経由が大半であるため気孔の開度が蒸散速度に大きな影響を及ぼす。気孔は、光強度、気温、湿度、CO2濃度、風速など様々な環境要素に反応することが知られている。これらの環境要素が気孔開度に及ぼす影響の仕組みはそれぞれ異なっているが、孔辺細胞の膨圧と形態の変化を促す点で共通している。
③ 植物はその生育過程において、成長・収量に対して不利に作用する外的要因の影響を頻繁に受けている。この外的要因は非生物的要因と生物的要因に分類することができ、特に前者は環境ストレスと呼ばれ、高温ストレス、低温ストレス、水ストレスなどが知られている。現状の栽培において、主要作物に影響を与えている環境ストレスのうち最も割合が多いのが水ストレスであると考えられている。植物の水ストレスを引き起こす目安として土壌の水ポテンシャルがあり-0.6MPa程度で水ストレスの初期反応である葉のしおれがはじまる。植物の水ポテンシャルの低下に応じて植物体内では様々な生理代謝現象が進む。気孔が閉じ、光合成が抑制されることに加え、細胞内にアミノ酸や糖類を高濃度に集積させ、自身の水ポテンシャルを低下させることで、吸水の駆動力を維持しようとする。
キーワード ① 水ポテンシャル ② 蒸散 ③ 水ストレス ④ 気孔 ⑤ 気孔抵抗
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習課題:水ポテンシャルとはどのようなものなのか説明できること。土壌の水ポテンシャルが低下するに従って、植物にはどのような変化が起こっていくのか説明できること(気孔開度や光合成量がどのように変化するか説明できること)。土壌の水ポテンシャルはどのようにして低下していくのか、どのような条件で水ポテンシャルが低下していきやすいのか説明できること。ヨリソルで行った小テストについて、正答できなかった問題に対し、その関連個所を授業資料で確認し、正答に至るよう見直しを行うこと。
予習課題:シラスをよく読み、植物の冷害、特に水稲の栽培に関連して、「遅延型冷害」「障害型冷害」の違いや茶畑などでの防霜ファンの役割について、あらかじめ知っていると理解がしやすい。

9 作物の気象反応③ 農業災害とその対策:温度による被害 科目の中での位置付け 本授業では、農業の気候依存性および気候資源の分布や農業地域の分布の理解から始め、効率的かつ環境負荷の少ない農業のあり方について、現実的な施策と技術、情報の利用方法について学ぶ。第1回~第6回では、これまでの『自然地理学』や『環境気象学』などの授業科目において学んできた事項を踏まえ、生態学や地理学の視点から、農業地域や植生、気候資源の分布から農業生産が気候資源に依存していることを再認識する。第7~第10回までは植物の気候応答性と農業災害について、第11回~第12回までは農業災害の防止と生産の最適化のための農業気象情報の利用について学ぶ。第13回~第15回では、農業の環境負荷について取り上げ、どのような対策が行われようとしているかを解説する。第9回目の授業では、農業災害のうち温度による被害について解説する。自然環境下で行われてきた農業はたびたび冷害などに見舞われてきたが、こうした農業気象災害はどのような条件で発生するのか、あるいはこれらの災害をどのように克服、対策できるのかを学ぶ。
①大政譲次他「農業気象・環境学第版」第5章 農業災害とその対策 P.91-93
①大政譲次他「農業気象・環境学第版」第5章 農業災害とその対策 P.93-95
①大政譲次他「農業気象・環境学第版」第5章 農業災害とその対策 P.95-97
コマ主題細目 ① 冷害 ② 水稲の冷害対策技術 ③ 霜害 ④ 霜害の対策
細目レベル ① 冷害とは、主に夏季の冷温によって起こる作物の被害である。水稲以外にダイズ、トウモロコシ、果樹、野菜、牧草でも発生するが、水稲伝来以降、コメを主食としてきた日本人にとっては、飢饉につながる水稲の冷害が最も大きな問題で、近代以降対策が急がれた。水稲冷害は生育期間の冷温によって発生するが、冷温が度の生育期間に遭遇するかによって、障害の様相、被害の様相が違ってくる。遅延型冷害は生育の前半(栄養成長期)に低温に遭遇し、生育不良で出穂期が平年より遅延し、登熟期間が秋の低温期になっておこる。障害型冷害は水稲の生殖成長期に一時的な冷温の襲来により花器が障害を受け、受粉、受精が妨げられることで発生する。遅延型冷害と障害型冷害が併発したものを混合型冷害と呼び、江戸時代の大飢饉を起こした冷害などは混合型と考えられている。
② 1934年の大凶作が近代科学による冷害克服の契機となった。これ以降、国策として冷害対策が研究された。開発された対策技術としては①保温折衷苗代:保温のために発熱資材や電熱などを用いないで保温紙、ビニールなどを使って、日射を取り入れて保温育苗する方法で、播種、田植えを早められる。②耐冷性品種の育種:ひとめぼれなどは耐冷性が強い品種である。③深水管理法の開発:深水とし、昼間止水、夜間灌漑することが水温上昇のための基本技術として確立 ④安全な作期の策定技術の確立:どのような品種をどのようなタイミングで作付けするのが最も安全であるかといった、気象統計に基づく技術が発達 ⑤冷害早期警戒システムの運用:冷害回避のために気象、水稲の生育、対策技術に関する情報をリアルタイムに生産関係者に提供。などがある。
③ 霜害は、作物体が霜で凍結して起こる被害である。霜害には秋冬季に発生する初霜害(はつしも)と春夏期に発生する晩霜害(おそじも)がある。野菜や果樹で発生が多い。霜が付くと作物体が凍結し、寒さに弱い部分が凍死したり、生理障害を起こしたりする。大陸起源の移動性高気圧は上空に寒気を伴うことが多く、5000m上空で-20℃以下であると地上では霜の可能性が出てくる。耕地の冷却には気象側の条件に加え、地形、土壌の物理性、土壌水分土地の被覆の状況と、その断熱特性、風の特性など多くの要素が関与する。霜害は、夜間に放射冷却の大きい盆地底部や窪地、土手、防風林などによる冷気の停滞地で顕著となり、霜穴、霜道などと呼ばれる。
④ 霜害の対策としては ①防霜ファンの設置:夜間の放射冷却の大気の特徴ともいえる接地逆転層を気象資源として利用する方法で、上空の高温空気をファンで作物体に直接吹き付ける、あるいは逆転層を攪拌して壊すことにより、地表に近くの気温を上げる。 ②燃焼法:バーナー、固形燃料などを使用するヒーターで、対流を促進し上空の暖かい空気を循環させるあるいは作物体を直接温める作用を持つ。 ③散水氷結法 氷点以下に達した植物体に散水すると水はその上で凍り潜熱を放出するため、氷結時には植物体は0℃近くの温度に保たれる。 ④被覆法 植物体や地面からの長波放射・放熱を遮ると同時に、植物体への結霜を防ぐことにより植物の保護をする。などがある。
キーワード ① 水稲 ② 遅延型冷害 ③ 障害型冷害 ④ 霜害 ⑤ 放射冷却
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習課題:植物の冷害、特に水稲に対する冷害に関して、冷害発生の機序や、これまでに行われてきた冷害克服のための取り組みについて説明できること。遅延型冷害、障害型冷害の違いについて説明できること。霜害が発生しやすい気象条件や、それに対する具体的な対策について説明できること。ヨリソルで行った小テストについて、正答できなかった問題に対し、その関連個所を授業資料で確認し、正答に至るよう見直しを行うこと。
予習課題:農業はしばしば豪雨、洪水などの被害にあう。過去の農業災害について被害が甚大であったものについて調べておくとよい。植物の湿害対策などに関しては、地形によって土地利用の方法(作目)を変えるなどの対策がなされていることを知っていると理解がしやすい。

10 作物の気象反応④ 農業災害とその対策:降水・風による被害 科目の中での位置付け 本授業では、農業の気候依存性および気候資源の分布や農業地域の分布の理解から始め、効率的かつ環境負荷の少ない農業のあり方について、現実的な施策と技術、情報の利用方法について学ぶ。第1回~第6回では、これまでの『自然地理学』や『環境気象学』などの授業科目において学んできた事項を踏まえ、生態学や地理学の視点から、農業地域や植生、気候資源の分布から農業生産が気候資源に依存していることを再認識する。第7~第10回までは植物の気候応答性と農業災害について、第11回~第12回までは農業災害の防止と生産の最適化のための農業気象情報の利用について学ぶ。第13回~第15回では、農業の環境負荷について取り上げ、どのような対策が行われようとしているかを解説する。第10回目の授業では、農業災害のうち風水害による被害について解説する。自然環境下で行われてきた農業はたびたび台風や豪雨、洪水などに見舞われてきたが、こうした農業気象災害はどのような条件で発生するのか、あるいはこれらの災害をどのように対策、軽減できるのかを学ぶ。
①大政譲次他「農業気象・環境学第版」第5章 農業災害とその対策 P.100
②大政譲次他「農業気象・環境学第版」第5章 農業災害とその対策 P.101-103
③大政譲次他「農業気象・環境学第版」第5章 農業災害とその対策 P.104-105
コマ主題細目 ① 降水にかかわる被害 ② 大雨・洪水・湿害 ③ 干ばつ・干害と対策
細目レベル ① 農業では水は必要不可欠である。そして、農地への水の供給源は雨や雪などの降水である。農地に水が不足でも過剰でも問題が生じる。大雨によって農地の水が過剰となり、過剰である期間が長くなると作物に被害を及ぼす。同じ水の過剰でも大雨により多量の水が農地に浸水する洪水害のように降水が主要因のものと、農地の排水性不良が主要因で作物に被害を及ぼす湿害がある。逆に水が不足して土壌が乾燥する期間が長くなると正常な生理活動がされず、作物は生育不良となり、極端な場合は枯死する。これを乾燥害あるいは干害と呼ぶ。地上の気温が2~4℃以下では降水は雨ではなく雪となる。この雪の積もる量や期間によっても越冬作物や農地に大きな影響を与え、被害を及ぼす。これを雪害という。
② 短期間での集中豪雨、あるいは長期間の大雨で作物は大きな影響を受ける。近年は梅雨前線や秋雨前線の停滞、台風などによる豪雨災害が多い。特に大雨による被害は河川近くの低地で生じやすい。河川が氾濫すると農地は浸水する。浸水被害が著しい場合には土壌が侵食されるばかりでなく、農地そのものが失われる。同じ冠水でも、土壌流入を伴う場合や濁流と比べると真水が流れている場合には被害が軽くなる。水稲は出穂2週間前~出穂期以降の冠水が2~3日以上になると、穂や子実に直接影響するため、被害が大きくなる。畑作物や野菜では滞水が1~2日以上続くと被害が拡大する。浸水、湿害の対策はインフラ整備によるところが大きい。農地の排水対策としては、明渠、暗渠などの溝を掘ることで排水を促すなどといったことも行われるが、もともとの地形(微地形)に適した作付けを行うことが肝要で、例えば水田は低平湿地、果樹栽培は傾斜地を選ぶ。
③ 干ばつは雨が降らないことで、ある地域に起こる長期間の水不足の状態である。干害は干ばつの状態で生じる作物の被害である。畑地灌漑の計画では、日雨量が5mm未満の場合、蒸発散により1日内で損失し、土壌水分の増加に寄与しないため有効な雨量として扱わない。そのため日雨量5mm未満の日を干天日と呼ぶ。連続干天日数が長くなると作物生育に必要な土壌水分が減少し、1週間から10日以上になると、作物が吸収できる水分は減少して、光合成などの活動が低下する。作物の成長が阻害され始めるのは、目安として土壌水分のポテンシャルが-100kPa(pF3.0)程度であり永久しおれ点の-1.5MPa(pF4.2)以下となると、水ストレスを強く受けた作物のしおれ現象が回復しなくなる。一般に作物は生育初期から中期にかけて土壌水分が少ない場合、作物の根系が発達して、地下層から水分が吸収できるようになり、干害に対する抵抗性が増す。対策として、マルチなどの被覆は地面からの蒸発を抑制するが、雨水の浸透を妨げるという側面もあり、作物が特に水分を要求するという時期には注意を要する。
キーワード ① 湿害 ② 干害 ③ 集中豪雨 ④ 洪水 ⑤ 水不足
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習課題:日本において豪雨、大雨、洪水などによる農業被害が起きやすい条件(季節や場所)と、過去の農業被害について説明できること。地球温暖化に伴い、これらの頻度や程度はどのようになっていくと考えられているか説明できること。これらの被害を軽減することの対策について説明できること。特に、地形によって土地利用を変えることの意味について説明できること。ヨリソルで行った小テストについて、正答できなかった問題に対し、その関連個所を授業資料で確認し、正答に至るよう見直しを行うこと。
予習課題:農業気象情報の利用に関連して、メッシュ気候値などの作成の方法などを記した、シラバスに記載の参考文献を事前に読んでおけば理解が深まる。

11 農業気象情報の利用① 科目の中での位置付け 本授業では、農業の気候依存性および気候資源の分布や農業地域の分布の理解から始め、効率的かつ環境負荷の少ない農業のあり方について、現実的な施策と技術、情報の利用方法について学ぶ。第1回~第6回では、これまでの『自然地理学』や『環境気象学』などの授業科目において学んできた事項を踏まえ、生態学や地理学の視点から、農業地域や植生、気候資源の分布から農業生産が気候資源に依存していることを再認識する。第7~第10回までは植物の気候応答性と農業災害について、第11回~第12回までは農業災害の防止と生産の最適化のための農業気象情報の利用について学ぶ。第13回~第15回では、農業の環境負荷について取り上げ、どのような対策が行われようとしているかを解説する。第11回目の授業では、農業気象災害の防止及び生産の最適化のために構築されたメッシュ農業データシステムについて解説する。局地的な気温や日射量が推定できる原理や、これを実際の農業にどのように役立てるのかを説明する。
①広田知良他「北海道の最新農業気象 気候変動に対する営農技術最前線」 第3章 最新の農業気象情報P.74-76
②広田知良他「北海道の最新農業気象 気候変動に対する営農技術最前線」 第3章 最新の農業気象情報P.76-78
③広田知良他「北海道の最新農業気象 気候変動に対する営農技術最前線」 第3章 最新の農業気象情報P.78-84
コマ主題細目 ① メッシュ気候値 ② アメダスデータのメッシュ化 ③ 農業気象データシステム
細目レベル ① 農業の現場にとって日々の気象情報が重要なことは言うまでもないが、自前で気象観測をしている生産者はまれで、多くの場合は最寄りのアメダスなどの既設の観測点のデータを参照している。全国には1300ものアメダス観測点があるが、これは水平距離にしておよそ20kmほどの間隔になり、これでは実際の圃場の気象状況と合わない領域ができてしまう。そのため、独自の観測網を農協や自治体などで導入している地域もあるが、これにはコストもかかるため際限なく増やせるわけではない。そこで、気象観測が行われていない場所の気象を周囲の観測データから推定する(空間補間する)という発想が出てくる。例えば標高が高ければ気温が低くなることは誰もが経験的に知っている。このような経験則を物理法則や統計量に基づいて一般化し気象観測データから格子上の各接点の値を推定したものが、メッシュ気象情報である。
② メッシュ気候値は平年値をメッシュ化したものである。10年ごとの平年値の更新に合わせて作成されており、補間方法にも改良が加えられているが、基本的には重回帰分析を用いた統計的な推定法で作られている。現在のメッシュ気候値には日最高気温、日最低気温、日平均気温のそれぞれの月平均値、降水量の月積算値、積雪深の月最大値、日照時間の月積算値、日射量の月積算値の7要素が含まれている。全国156か所の気象台・測候所と約1100地点のアメダスそれぞれで求めた平年値と、標高や勾配などの地形因子との間に重回帰式を作成しメッシュごとの平年値を推定している。地形因子の例としては、標高、起伏量、最大傾斜量とその方位、谷密度、海岸からの距離などがある。メッシュ気候値は平年値なので、それだけではある特定の年次における気象の経過を知ることはできないが、アメダスのリアルタイムデータと気温の実況値を推定することができる。これをアメダスデータのメッシュ化と呼ぶ。
③ 近年では農研機構が運用する、メッシュ農業気象データシステムにより、日別の気象データが1kmメッシュ単位で入手できるようになっている。つまり、気温の日別値が、日本全国1kmメッシュ間隔で推定されている。例えばこうした情報を利用して開花日や出穂日、刈取り適期などの予測が行われている。作物にとって開花期、出穂期は非常に重要でこの時期に適切な管理ができるかどうかで収量が大きく増減する。開花日や出穂日の予測の方法には様々あるが、積算気温などを用いるのが一般的である。近年では気象の情報に併せて栽培の情報も提供されるようになっており、こうした情報に従って栽培を行うことで、これまで経験的に行われてきた栽培よりも確度の高い栽培が行えるようになっている。
キーワード ① メッシュ気候値 ② 平年値 ③ アメダス ④ 重回帰 ⑤ 農業気象データシステム
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習課題:メッシュ気候値がどのようにして作成されているか説明できること。また、アメダスデータのメッシュ化がどのように行われているか説明できること。気温や日射量などを局所的に予想することで、どのようなメリットが得られるか、またそのような情報をリアルタイムで生産者に伝えることの意義について理解していること。ヨリソルで行った小テストについて、正答できなかった問題に対し、その関連個所を授業資料で確認し、正答に至るよう見直しを行うこと。
予習課題:農業気象情報の利用に関連して、それらを利用して作物モデルを構築することで、より生産者に的確な判断を促すことができる。シラバスに記載の参考文献を事前に読んでおけば理解が深まる。

12 農業気象情報の利用② 科目の中での位置付け 本授業では、農業の気候依存性および気候資源の分布や農業地域の分布の理解から始め、効率的かつ環境負荷の少ない農業のあり方について、現実的な施策と技術、情報の利用方法について学ぶ。第1回~第6回では、これまでの『自然地理学』や『環境気象学』などの授業科目において学んできた事項を踏まえ、生態学や地理学の視点から、農業地域や植生、気候資源の分布から農業生産が気候資源に依存していることを再認識する。第7~第10回までは植物の気候応答性と農業災害について、第11回~第12回までは農業災害の防止と生産の最適化のための農業気象情報の利用について学ぶ。第13回~第15回では、農業の環境負荷について取り上げ、どのような対策が行われようとしているかを解説する。第12回目の授業では、前回解説したメッシュ農業データシステムに関連して、これを利用した発育モデルの構築と利用について説明する。端的に言って発育モデルに従って栽培する方が、従来の経験と勘を頼りにした栽培を行うより収量は増加し、リスクも低減される。
①広田知良他「北海道の最新農業気象 気候変動に対する営農技術最前線」 第3章 最新の農業気象情報 P.85
②広田知良他「北海道の最新農業気象 気候変動に対する営農技術最前線」 第3章 最新の農業気象情報 P.85-87
③広田知良他「北海道の最新農業気象 気候変動に対する営農技術最前線」 第3章 最新の農業気象情報 P.87-90
コマ主題細目 ① 作物モデル ② 栽培管理支援システム ③ 発育予測
細目レベル ① 農作物の生産では、刻々と変わる気象条件や作物の生育状況、病害虫の発生状況などに応じて、適切な栽培管理を行うことが不可欠である。「栽培暦」などのようにおよその栽培管理スケジュールが示されている農作物もあるが、気象経過は年ごとに異なる。加えて近年は気象環境の変動が大きく、これまで経験がない気象経過をたどることが増えている。従来の経験のみに基づく判断では最適な栽培管理を行うことが困難になってきている。また、近年の急速な経営規模拡大に伴い、栽培条件の異なる多数の圃場の生育状況を把握、予測し、栽培管理について気象データなどに基づき迅速に判断しなければならない場面が増えている。こうした背景の中、政府主導で作物の栽培管理判断の支援情報を提供する栽培管理支援システムが開発された。
② 栽培管理支援システムは日本全国を対象とし、水稲、小麦、大豆の3つの作目について気象情報に基づき、低温や高温による農業気象災害や病害虫の発生の可能性などに関する情報(早期警戒情報)と、栽培管理に関する生産者の判断を支援する情報(意思決定支援情報)を提供する。このシステムでは、例えば、水稲冷害リスクと追肥の可否についての情報が提供される。近年、水稲冷害の発生リスクは減少しているものの、ひとたび発生すると被害は大きいだけに、寒冷地での冷害対策は不可欠である。障害型冷害対策としては深水(ふかみず)管理が有効な技術であるが、近年は温暖化の影響もあり、冷害危険期(穂ばらみ期)が前倒しになるなど、深水管理を実施するタイミングが難しい。また、寒冷地ではこの時期追肥を行うことがあるが、追肥の可否は冷害の有無により変わってくる。
③ 発育予測には出穂期までは日平均気温を用いた発育指数モデルを使い、幼穂形成期、出穂期、冷害危険期、開花期などを予測する。成熟期(登熟期)については日平均気温を用いた積算温度で予測を行う。このように発育モデルは、作物の生育を予測する上で、非常に重要である。現在の発育モデルによる移植~幼穂形成期と、出穂期の推定誤差は3日程度である。水稲の低温不稔は、冷害危険期(穂ばらみ期)および開花期の低温で生じ、前歴期に一定以上の温度が確保されると冷害危険期の低温による不燃の発生が抑制される。栽培管理支援システムでは低温による不稔率なども予測される。場合にもよるが、基本的には、これまでの経験と勘に頼る栽培に比べ、栽培管理支援システムの情報に従って栽培を行う方がリスク回避につながる。
キーワード ① 作物モデル ② 栽培管理支援システム ③ 発育予測 ④ 出穂日 ⑤ 深水管理
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習課題:メッシュ化アメダスデータの気温、日射量などのデータを用い、作物モデルを運用する意義について説明できること。作物モデルがどのような理論に基づき構築されているのか説明できること。作物モデルを運用して、水稲の出穂日など生育ステージを予想することによって、作物生産上どのようなメリットが得られるか説明できること。ヨリソルで行った小テストについて、正答できなかった問題に対し、その関連個所を授業資料で確認し、正答に至るよう見直しを行うこと。
予習課題:農業の環境負荷に関連して、日本で起こっている硝酸性窒素の地下水汚染の実態について、シラバスに記載の参考文献を事前に読んでおけば理解が深まる。

13 農業による環境負荷とその対策① 科目の中での位置付け 本授業では、農業の気候依存性および気候資源の分布や農業地域の分布の理解から始め、効率的かつ環境負荷の少ない農業のあり方について、現実的な施策と技術、情報の利用方法について学ぶ。第1回~第6回では、これまでの『自然地理学』や『環境気象学』などの授業科目において学んできた事項を踏まえ、生態学や地理学の視点から、農業地域や植生、気候資源の分布から農業生産が気候資源に依存していることを再認識する。第7~第10回までは植物の気候応答性と農業災害について、第11回~第12回までは農業災害の防止と生産の最適化のための農業気象情報の利用について学ぶ。第13回~第15回では、農業の環境負荷について取り上げ、どのような対策が行われようとしているかを解説する。第13回目の授業では、現在問題にされている農業の環境負荷に関連して、土壌の劣化と侵食について取り上げる。土壌侵食は海外の大規模農地での例がクローズアップされる傾向にあるが、日本でも確実に進行している。特に日本では降水量が多いという理由から水食による土壌侵食が問題となる。
①宮﨑毅 土壌問題 ─健康な土壌が社会の持続性を支える 学術の動向 2018.3 https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits/23/3/23_3_74/_pdf/-char/ja
②大塚紘雄 土壌劣化 我が国における土壌劣化現象 環境科学会誌8(1):103-110(1995) https://www.jstage.jst.go.jp/article/sesj1988/8/1/8_1_103/_pdf
③茨城県 土壌の浸食軽減対策の実施 https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/sansin/eco/tokusai-files/documents/kihan-13.pdf
コマ主題細目 ① 日本における農地土壌の劣化 ② 土壌侵食(水食)の実態 ③ 土壌侵食(風食)の実態
細目レベル ① 日本各地の傾斜畑における土壌浸食の形態および量が、土壌型・造成法別に明らかにされ、流出水・流出土壌中の養分および侵食後における圃場の土壌特性変化についても調査が行われている。例えば北海道東部の普通畑にはおよそ80年間の耕作で稜線部や中腹の凸型斜面では少なくとも60cmの表土が失われ、未風化な土壌が露出したり、作土の有機物含量が著しく減少するといった事例が報告されている。また栃木県の火山灰土野菜畑では30年間で最大50cmの表土が失われたという報告があり、この場合には表土の化学性が著しく劣化していた。場所による違いはあるものの、日本は多雨で侵食量が多い地域であることは世界的にも明らかである。日本全土では1年間に900万トン、1平方メートル当たり42gほどの土が失われていると見積もられている。特に土壌侵食が多く見られるのは、西南日本の雨が多い地域の、傾斜した、黄色土や赤色土の畑であることが報告されている。
② 日本各地の傾斜畑における土壌浸食の形態および量が、土壌型・造成法別に明らかにされ、流出水・流出土壌中の養分および侵食後における圃場の土壌特性変化についても調査が行われている。例えば北海道東部の普通畑にはおよそ80年間の耕作で稜線部や中腹の凸型斜面では少なくとも60cmの表土が失われ、未風化な土壌が露出したり、作土の有機物含量が著しく減少するといった事例が報告されている。また栃木県の火山灰土野菜畑では30年間で最大50cmの表土が失われたという報告があり、この場合には表土の化学性が著しく劣化していた。場所による違いはあるものの、日本は多雨で侵食量が多い地域であることは世界的にも明らかである。日本全土では1年間に900万トン、1平方メートル当たり42gほどの土が失われていると見積もられている。特に土壌侵食が多く見られるのは、西南日本の雨が多い地域の、傾斜した、黄色土や赤色土の畑であることが報告されている。
③ 冬の季節風の吹き付けが厳しい北日本や、普段から風の強い海岸地域では風食による土壌侵食も大きな問題である。また雪の多い地域では雪食による土壌侵食も起こる。普段から風の強い地域ではその対策として防風林や防風垣が植栽されている。これは土壌の飛散防止の他にも海岸からの飛砂防止、農作物を強風から守る。風食は軽い土壌が乾燥していて、圃場が作物に被覆されずに裸地状態のときに強風が吹くと起こりやすい。このため風食は湿った水田よりも畑で起きやすい。日本の露地畑の多くでは春から秋に野菜が栽培されるが、冬から春ないし初夏まで栽培される冬作物(ムギ類,ナタネ,イタリアンライグラスなど)の作付面積が昔に比べて減少し、冬野菜収穫後は裸地状態のケースが増えている。そのため風食が問題となるのは降水量が少なく、かつ風が強い春先という場合が多い。
キーワード ① 土壌劣化 ② 土壌侵食 ③ 水食 ④ 風食 ⑤ カバークロップ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習課題:日本で起こっている土壌の劣化、土壌の侵食(水食)に関連して、どのようなケースでそれが深刻化するか説明することができる。特に土壌の条件と気象の条件からそれが起こりやすい場所や季節などの条件について説明することができる。風食についても、日本においてそれが問題となる地域や時期について説明することができる。またこれら土壌侵食の対策について説明することができる。ヨリソルで行った小テストについて、正答できなかった問題に対し、その関連個所を授業資料で確認し、正答に至るよう見直しを行うこと。
予習課題:農業の環境負荷に関連して、日本で起こっている硝酸性窒素の地下水汚染の実態について、シラバスに記載の参考文献を事前に読んでおけば理解が深まる。

14 農業による環境負荷とその対策② 科目の中での位置付け 本授業では、農業の気候依存性および気候資源の分布や農業地域の分布の理解から始め、効率的かつ環境負荷の少ない農業のあり方について、現実的な施策と技術、情報の利用方法について学ぶ。第1回~第6回では、これまでの『自然地理学』や『環境気象学』などの授業科目において学んできた事項を踏まえ、生態学や地理学の視点から、農業地域や植生、気候資源の分布から農業生産が気候資源に依存していることを再認識する。第7~第10回までは植物の気候応答性と農業災害について、第11回~第12回までは農業災害の防止と生産の最適化のための農業気象情報の利用について学ぶ。第13回~第15回では、農業の環境負荷について取り上げ、どのような対策が行われようとしているかを解説する。第14回目の授業では、現在問題にされている農業の環境負荷に関連して、硝酸態態窒素の地下水汚染を取り上げる。地下水汚染は端的に言えば肥料の過剰投入によって起こされるが、これを減らし、作物による吸収の効率を上げる施策について解説する。
①農林水産技術会議事務局 環境保残型農業技術 農林水産研究文献解題No.21 P.28-48
②環境省 水・大気環境局 未来へつなごう私たちの地下水 https://www.env.go.jp/water/chikasui_jiban/pamph2009.pdf
③田瀬則雄 環境中の窒素の流れと地下水の硝酸性窒素汚染 畜産環境情報54 https://www.leio.or.jp/pub_train/publication/tkj/tkj54/tkj54-1.pdf
④国際農研 世界初!少ない窒素肥料で高い生産性を示すコムギの開発に成功 https://www.jircas.go.jp/ja/release/2021/press202107
コマ主題細目 ① 農業による地下水汚染 ② 硝酸態窒素の健康被害 ③ 主な汚染源
細目レベル ① 農業用水の水質汚染問題が全国的に研究対象にされたのは高度成長期以降のことであり、それ以前は鉱山廃水、酸性水などの流入による局所的に存在する問題に過ぎなかった。しかし、近年においても酸性水、休廃止鉱山によって農林水産業や住民の健康に時として重大な影響を与えることがある。工場排水などの特定汚染源については排水規制の強化により水質保全対策が進んだが、生活排水等の不特定汚染源対策が重要な課題として残った。現在でも農業地域においては有機質、窒素およびリンが主要な汚染物質となっている。とりわけ畜産による膨大な排出物は、現在でも環境への窒素等の流れを過大なものにしていると考えられている。
② 硝酸態窒素は土壌や水、植物中のあらゆる場所に存在する。飲み水に含まれても無味無臭、無色であり、気づくことはない。水に溶けやすく土壌に保持されにくいため地下水や河川水に溶けだしやすい。硝酸性窒素は乳児の胃などでは一部が還元されて亜硝酸態窒素となる。亜硝酸態窒素は赤血球のヘモグロビンを酸化してメトヘモグロビンに変化させる。このメトヘモグロビンは酸素と結合できず血液中の酸素が欠乏してチアノーゼ、メトヘモグロビン血症を発症する。海外では死亡例が報告されているが日本では奨励事例が1例報告されている。また、体内でアミンやアミドと反応して発がん性が疑われているニトロソアミンを生成することも報告されている。
③ 端的に言えば窒素源を断てば地下水汚染を改善できるのであるが現在でも多くの課題が残っている。まず第一にこれまでの施肥により土壌中にすでに大量の硝酸態窒素が蓄積してしまっている場合がある。多くの調査研究では作土層など表層1mほどの窒素量しか調査されないが、関東地方の茶畑で深さ12mまでのローム層に含まれる窒素量を測定した結果、溶脱するのに単純計算で30年もかかる量の窒素がすでに蓄積されていることが報告されている。また家畜排せつ物の野積み、雨ざらし、素掘り投棄(穴を掘って埋める)などは禁じられるようになったが、埋没後20年が経過しても大きな汚染源になっている。また単独浄化槽(窒素やリンの処理を想定していない)は2001年以降は新設が禁止されているが合併浄化槽への転換が進んでいないことも課題である。
④ 硝化は、土壌の硝化菌が窒素肥料を構成するアンモニア態窒素を、硝酸態窒素へと酸化する反応経路で、地球の窒素循環にとって、非常に重要な過程である。しかし、畑地作物の生産性向上のために過剰な施肥が行われると、過度な硝化によって、余分な硝酸態窒素が生み出される。ある作物は、作物自身が根から物質を分泌し硝化を抑制する「BNI: Biological Nitrification Inhibition」能力を持ち、この能力により他の微生物に邪魔されずに効率的に肥料成分を吸収することができる。近年、このBNI能力の高い小麦の新品種などが属間交配などの育種技術で作出されている。これらの新品種の中では従来の半分程度の施肥量で同等の生産量を上げることができるとされている。
キーワード ① 地下水 ② 硝酸性窒素 ③ 硝化 ④ 脱窒 ⑤ 野積み
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習課題:農業活動による地下水の汚染に関して、硝酸性窒素の主な汚染源について説明できるようにしておくこと。特に肥料成分が硝化され汚染源となる過程について説明できるようにしておくこと。硝酸態窒素による健康被害の可能性について説明できるようにすること。硝酸態窒素の排出を抑制する対策について説明できること。ヨリソルで行った小テストについて、正答できなかった問題に対し、その関連個所を授業資料で確認し、正答に至るよう見直しを行うこと。
予習課題:農業の環境負荷に関連して、現在使用されている様々な種類の農薬についてその種類や作用機序、および選択性を示す仕組みについて、シラバスに記載の参考文献を事前に読んでおけば理解が深まる。

15 農業による環境負荷とその対策③ 科目の中での位置付け 本授業では、農業の気候依存性および気候資源の分布や農業地域の分布の理解から始め、効率的かつ環境負荷の少ない農業のあり方について、現実的な施策と技術、情報の利用方法について学ぶ。第1回~第6回では、これまでの『自然地理学』や『環境気象学』などの授業科目において学んできた事項を踏まえ、生態学や地理学の視点から、農業地域や植生、気候資源の分布から農業生産が気候資源に依存していることを再認識する。第7~第10回までは植物の気候応答性と農業災害について、第11回~第12回までは農業災害の防止と生産の最適化のための農業気象情報の利用について学ぶ。第13回~第15回では、農業の環境負荷について取り上げ、どのような対策が行われようとしているかを解説する。第15回目の授業では、現在問題にされている農業の環境負荷に関連して、農薬の使用について取り上げる。かつては分解しにくい毒性の高い農薬が大量に使われてきたが、現在はそのような農薬は少なくなり、より選択性の高い農薬が開発されている。
①農林水産技術会議事務局 環境保残型農業技術 農林水産研究文献解題No.21 P.68-89
②鳥取県 農薬の適正使用について 農薬基礎編 https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1013940/5%20(267kb).pdf
③株式会社サカエグリーン 除草剤の選択性 SAKAE GREEN NEWS https://www.sakaegreen.com/news/news0903.pdf
④JCPA農薬工業会 教えて!農薬Q&A 農薬の種類や成分、製造方法、農薬が効く科学的な仕組みなどについて https://www.jcpa.or.jp/qa/a4_13.html#:~:text=生物農薬とは、「有害,製品化したものです。
コマ主題細目 ① 農薬の変遷 ② 農薬の種類 ③ 農薬の選択性 ④ 生物農薬
細目レベル ① 農薬は本質的に環境中に放出されるものである。作物体に付着した農薬は、作物体表面で太陽光により分解されまたは、作物体に吸収され分解される。農薬の土壌中の挙動は、農薬の持つ物理化学性(化学構造、分子量、と土壌そのものが持つ特性、および気象条件などの影響を受ける。かつて日本でも使用されたことのある難分解性、有機塩素系農薬は、今なお地球環境中に広く分布しており人間は食物連鎖を通してこれらを摂取している。農薬については毒性の低い薬剤の開発が進み毒性および残留性の高いものは使用されなくなったことなどから農薬による環境汚染の問題は少なくなっている。しかし本来農薬の使用は、生理活性を有する物質を環境中に放出するものである。
② 例えば農薬使用による環境毒性環境負荷の低減のためには選択性の高い農薬を開発する必要がある。現在使用されている殺虫剤の中でヒトと害虫との間で選択性活減のメカニズムで知られているものには次のようなものがある。①[有機リン剤]一般的に有機リン剤は、昆虫に対しては哺乳類に比べて数百倍から数千倍も強く作用するものが殆ど。②[合成ピレスロイド剤]哺乳類では成分が神経系に盗撮するまでの過程で速やかに代謝・分解を受けて解毒される。③[BT剤]BT剤は、枯草菌の一種、バチルス・チューリンゲンシスが作る殺虫性タンパク質を利用している。ヨトウムシやアメリカシロヒトリなどのアルカリ性消化液を持つ害虫が、BT剤の付着した葉を食べると、消化管のなかのアルカリ条件と分解酵素が働いて殺虫性タンパク質が活性化する。しかし、酸性の消化液を持つミツバチや哺乳類では毒性は現れない。[IGR剤:Insect Growth Regulator (昆虫成長制御剤)]昆虫に特有の脱皮や変態を妨げ、最終的に殺虫効果を現す薬剤。昆虫の表皮(殻)はタンパク質とキチンを主成分としていますが、ヒトにはこのキチンの生合成機能がないため、キチンの生合成を妨げる薬剤は動物やヒトには毒性を現さない。除草剤でも、植物の光合成を阻害するタイプの除草剤は、光合成を行わないヒトや動物にはほとんど作用しない。植物の病気の主な原因となる糸状菌(カビ)の細胞膜は、微生物に特有なエルゴステロールが主な成分。このエルゴステロールの生合成を阻害するタイプの殺菌剤はエルゴステロールを持たないヒトや家畜に対して、ほとんど作用しない。なお除草剤の場合、作物と雑草とは同じ高等植物だけに、その間の選択性発現のメカニズムはより複雑になる。
③ 例えば選択性のある除草剤は、作物生育期に全面に散布可能が可能というメリットがある。また、除草剤それ自体が選択性を示すものと、本来は非選択的だが物理的差異を利用するものとがある。物理的差異を利用した選択性除草剤とは、土壌表層0~1cmに除草剤の層(薬剤処理層)をつくり、種子の小さい雑草の大部分が土壌表面の浅い部分から出芽することを利用して、幼芽などが処理層に触れて枯死させるというものである。現在水稲栽培で最も使用されているタイプがこれである。一方、非選択性除草剤は散布地の植物全てを枯らすので、工業用地やグランドなどの非農耕地での使用ということになる。家庭などで使用される除草剤ラウンドアップは非選択性である。
④ 生物農薬とは、「有害生物の防除に利用される、拮抗微生物、植物病原微生物、昆虫病原微生物、昆虫寄生性線虫、寄生虫あるいは捕食性昆虫などの生物的防除資材」と定められている。農薬の有効成分として、微生物や昆虫などを生きた状態で製品化したものである。利用される生物を分類すると、天敵昆虫(捕食性昆虫、寄生性昆虫などで、捕食性ダニ類も含む)、天敵線虫(昆虫寄生性線虫、微生物捕食性線虫など)、微生物(細菌、糸状菌、ウイルス、原生動物など)となっている。天敵昆虫や天敵線虫を有効成分とするものを天敵農薬、微生物を有効成分とするものを微生物農薬と呼ぶ場合もある。日本では95品目(2020年10月1日現在)が農薬登録されている。
キーワード ① 除草剤 ② 残留農薬 ③ 選択性 ④ 生物農薬 ⑤ 微生物農薬
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習課題:現在地用されている農薬はどのように環境毒性が低いものに改良されてきたか説明できること。除草剤、殺虫剤、殺菌剤などの農薬の種類について、それらの農薬が主にどのような仕組みで効果を生み出すことができるのか、その主な作用機序について説明できること。農薬の選択性が高まることで、なぜ環境負荷を減らすことができるのかを説明できること。選択性の農薬がどのようにして特定の標的だけに作用するようになるのか説明できるようにすること。生物農薬にはどのようなものがあるか説明できること。農薬の使用量を減じるための対策について説明できること。ヨリソルで行った小テストについて、正答できなかった問題に対し、その関連個所を授業資料で確認し、正答に至るよう見直しを行うこと。
履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
農業の気候依存性 気候および気象という言葉にどのような違いがあるか説明できるようにすること。気温、風(風向・風速)、降水量、相対湿度、日射量、蒸発量、雲量、日照時間などの気象要素がそれぞれどのようなものなのか説明できるようにすること。気候景観とはどのようなもので、これを分析することでどのようなことがわかるのか、あるいは美しい農業気候景観がなぜ環境に調和しているのか、環境に適応していると言えるのか説明できるようにすること。 環境適応型農業、農業の気候依存性、気候景観 5 1
世界の気温、日射量、降水量分布 世界における日射量および気温の分布について、なぜそのような分布になっているのか説明できるようにすること。またどのような季節変化をするのかを説明できるようにすること。日射量の分布に対して、気温の分布が局地的になるいくつかの要因について説明できるようにすること。世界における降水量の分布について、なぜそのような分布になっているのか、大気暖循環と関連させて説明できるようにすること。また、気温の分布に対して、降水量の分布が局地的になるいくつかの要因について説明できるようにすること。特に、地形や海流の影響で降水量が変化する理由について説明できるようにすること。 気温、日射量、降水量、大気大循環、海流 15 2,3
気候区分の手法および気候資源の分布 ケッペンや、クロイツブルク、ソーンスウェイトの気候区分などについて、それぞれの分類がよりどころとしている原理の違いについて説明できること。特にソーンスウェイトの気候区分については、可能蒸発量という概念や、定義、それから派生する水収支についての考え方を説明できるようにすること。日本の気候を特徴づける要因にはどのようなものがあるか説明できるようにすること。特に、多くの農作物が生産される暖候期の気温、日射量、降水量の分布の特徴について説明できるようにすること。ソーンスウェイトの気候システムに関連して、可能蒸発量と土壌水分量だけで植物の生育と関連づけることができる理由について説明できるようにすること。日本の気候資源という観点から、純一次生産力や水稲の気候生産力の分布を説明できるようにすること。水稲の生育ステージごとに、気候要因がどのように影響するのかを説明できること。 ケッペン、ソーンスウェイト、可能蒸発量、純一次生産力、気候生産力 20 4,5,6
植物の気候応答性 光飽和点・補償点・見かけの光合成量などの意味、気孔開度と光合成の関係、C3植物とC4植物の違いについて説明できること。光強度の増加に対し、植物がどのような反応を示すのか、光合成において効率の良い日射条件はどのようなものなのか、気温やCO2濃度が上昇すると、光合成の効率や呼吸量は基本的にどのように変化するのか説明できること。水ポテンシャルとはどのようなものなのか説明できること。土壌の水ポテンシャルが低下するに従って、植物にはどのような変化が起こっていくのか説明できること。土壌の水ポテンシャルはどのようにして低下していくのか、どのような条件で水ポテンシャルが低下していきやすいのか説明できること。 光合成、C4植物、水ポテンシャル、気孔抵抗、ストレス 10 7,8
農業気象災害 植物の冷害、特に水稲に対する冷害に関して、冷害発生の機序や、これまでに行われてきた冷害克服のための取り組みについて説明できること。霜害が発生しやすい気象条件や、それに対する具体的な対策について説明できること。日本において豪雨、大雨、洪水などによる農業被害が起きやすい条件(季節や場所)と、過去の農業被害について説明できること。地球温暖化に伴い、これらの頻度や程度はどのようになっていくと考えられているか説明できること。これらの被害を軽減することの対策について説明できること。特に、地形によって土地利用を変えることの意味について説明できること。 遅延型冷害、障害型冷害、深水管理、霜害、放射冷却 15 9,10
農業気象情報の利用 メッシュ気候値がどのようにして作成されているか説明できること。また、アメダスデータのメッシュ化がどのように行われているか説明できること。気温や日射量などを局所的に予想することで、どのようなメリットが得られるか、またそのような情報をリアルタイムで生産者に伝えることの意義について理解していること。メッシュ化アメダスデータの気温、日射量などのデータを用い、作物モデルを運用する意義について説明できること。作物モデルがどのような理論に基づき構築されているのか説明できること。作物モデルを運用して、水稲の出穂日など生育ステージを予想することによって、作物生産上どのようなメリットが得られるか説明できること。 農業気象情報、メッシュ気候値、アメダス、作物モデル、出穂期 15 11,12
農業の環境負荷 日本で起こっている土壌の劣化、土壌の侵食(水食)に関連して、どのようなケースでそれが深刻化するか説明することができること。風食についても、日本においてそれが問題となる地域や時期について説明することができる。農業活動による地下水の汚染に関して、硝酸性窒素の主な汚染源について説明できること。肥料成分が硝化され汚染源となる過程について説明できること。現在地用されている農薬はどのように環境毒性が低いものに改良されてきたか説明できること。除草剤、殺虫剤、殺菌剤などの農薬の種類について、それらの農薬が主にどのような仕組みで効果を生み出すことができるのか、その主な作用機序について説明できること。農薬がどのようにして特定の標的だけに作用するようになるのか説明できるようにすること。 土壌侵食、地下水汚染、硝酸性窒素、選択性農薬、生物農薬 20 13,14,15
評価方法 筆記試験(100%)で評価する。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 なし
参考文献 仁科淳司「やさしい気候学」第4版 気候から理解する世界の自然環境 古今書院    青山孝義・小川肇・岡秀一・梅本亨「日本の気候景観 風と樹 風と集落」増補版 古今書院    大政謙次・北野雅治・平野高司・ 荊木康臣・広田知良・嶋津光鑑「農業気象・環境学第版」第3版 朝倉書店    広田知良・中辻敏朗・小南靖弘「北海道の最新農業気象 気候変動に対する営農技術最前線」北海道共同組合通信社・ニューカントリー編集部
実験・実習・教材費 なし