区分 フィールド生態科目 生態系機能評価科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門性 理解力 実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
専門知識 教養知識 思考力
実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。

科目の目的
自然環境や生物に配慮した人間活動を行なうためには、環境や生物内での物質のふるまいに関する知識を習得することが必要である。山間部と沿岸部と完全に独立させて環境保全や管理を考えることは、相互に水の循環によってつながっていることから難しい。そのために、水循環を中心とした流域圏の考え方を軸に、全体を俯瞰したうえで空間スケールの階層ごとや特定の部分での環境保全や管理の在り方について生態系を結びつけて理解する。これらの学ぶ知識を基にして自然環境と生物に配慮した人間活動について理解を深めることを目指す。
到達目標
水循環を中心とした流域圏の考え方を軸に、空間スケールの階層ごとの環境保全や管理の在り方を理解する。
科目の概要
⽔循環を中⼼とした流域圏の考え⽅を軸に、空間スケールの階層ごとの環境保全や管理の在り⽅を理解する。科⽬の概要今⽇の社会では⾃然環境や⽣物に配慮した⼈間活動を行う必要がある。そのためには、環境や⽣物内での物質のふるまいに関する知識を習得することが必要である。森林⽣態系や⼟壌⽣態系を含めた⽣態系は、⽔循環とそれに担われている物質循環によって強く結びついており、それぞれの系のみを考えた環境保全や管理をすることは実際には難しい。また、⼈間の経済活動も⽔循環を介して密接に繋がっており、⼭間部と沿岸部と完全に独⽴させて環境保全や管理を考えることは難しい側⾯がある。そのためには、全体を俯瞰したうえで空間スケールの階層ごとや特定の部分での環境保全や管理の在り⽅を理解する必要がある。具体的には、第1回から第5回までは導⼊として時代による流域と⼈間の活動を説明する。第6回から第10回は第2部として⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響、第11回から第14回では⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響について説明する。第15回は全体をまとめることで知識の定着を図る。
科目のキーワード
流域圏、表層水・地下水、栄養塩、下水道、人間の生産活動
授業の展開方法
本科目は配布プリントとスライドを用いて授業をおこなう。配布プリントは、スライドに基づいた資料であり、手元とスライドを相互に確認をしながら授業を受講する。忘れている単語などがあると、理解を妨げるために事前にコマシラバスを参照し、忘れている単語などを確認しておく必要がある。担当教員の解説を聞きながら配布プリントへ書き込みを行うことで配布資料が自分だけの教科書となるようにする。計算が必要な部分では途中の式も記載するスペースを設け、見直した時にも自分が注意すべき部分がわかるようにすることで講義後の復習を行う。
オフィス・アワー
【火曜日】2時限目、【水曜日】1時限目(前期のみ)、【金曜日】2時限目(後期のみ)
科目コード ENS383
学年・期 3年・前期
科目名 流域環境学
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 選択
学習時間 【授業】90分×15 【予習】30分以上×15 【復習】30分以上×15
前提とする科目 生態系における物質循環
展開科目 生態系機能評価学、フィールド生態学演習Ⅱ、フィールド生態学演習Ⅲ、フィールド生態学演習Ⅳ
関連資格 甲種危険物取扱者
担当教員名 神本祐樹
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 流域とは 科目の中での位置付け 流域とは科⽬の中での位置付け今⽇の社会では⾃然環境や⽣物に配慮した⼈間活動を行う必要がある。そのためには、環境や⽣物内での物質のふるまいに関する知識を習得することが必要である。森林⽣態系や⼟壌⽣態系を含めた⽣態系は、⽔循環とそれに担われている物質循環によって強く結びついており、それぞれの系のみを考えた環境保全や管理をすることは実際には難しい。また、⼈間の経済活動も⽔循環を介して密接に繋がっており、⼭間部と沿岸部と完全に独⽴させて環境保全や管理を考えることは難しい側⾯がある。そのためには、全体を俯瞰したうえで空間スケールの階層ごとや特定の部分での環境保全や管理の在り⽅を理解する必要がある。具体的には、第1回から第5回までは導⼊として時代による流域と⼈間の活動を説明する。第6回から第10回は第2部として⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響、第11回から第14回では⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響について説明する。第15回は全体をまとめることで知識の定着を図る。第1回⽬では、流域と⼈間の活動を理解するために流域の定義を取り扱う。
各細目レベルに対応する資料は以下のものである。
①環境省、令和5年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書、p.193(2023)
②環境省、令和5年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書、p.193(2023)
③環境省、令和5年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書、p.193(2023)
コマ主題細目 ① 流域の定義 ② 流域圏の定義 ③ 流域圏の機能
細目レベル ① 流域とは、降水に由来する表流水が特定の水域へと集まる領域のことである。ある流域と他の流域との境界線を分水嶺と呼ぶ。分水嶺は一般的に尾根を結んだ稜線上に形成されることが多い。淡水域に生息する水生生物は、分水嶺を越えて他の流域へ自然に移動することはほぼ不可能であり、河川の氾濫や人為的な移動を除けば、生息域は特定の流域内に限定される。そのため、淡水生物は流域内で独自の進化を遂げてきたとされ、河川の生態系を考える上で流域の概念は重要である。また、陸上で生活する動物にとっても流域は影響を及ぼし、陸生動物の分布や移動を考える際には流域の特性を考慮することが求められる。一方で、飛翔能力を持つ鳥類は、尾根や稜線による地形的な制約を受けにくいため、分水嶺が生息域に大きな影響を与えることは少ない。
② 流域圏とは、流域に関連する水利用地域や氾濫原を含む、水循環に関する地域的なまとまりを指す。流域圏の定義は、平成10年度の環境白書では「地形、水、生物などの自然環境と人間活動を調整するための適切な単位」であり、同年の全国総合開発計画では「自然の系である水系と、これに関連する森林、農用地、都市等により構成される」としている。そのため、流域圏は、森林や河川、湖沼、海洋、土壌、生態系などの要素が相互に関係し合う空間として捉えられることができる。そのため、流域圏を単位として環境保全や資源管理を行うことで、自然環境と人間活動の調和を図ることが可能となる。また、洪水や渇水などの水に関する自然災害は、流域圏を単位として発生するため、防災や水資源管理の観点からも流域圏の概念を理解することは重要である。
③ 流域圏では、森林や河畔林などから供給される栄養塩類や土砂が河川を通じて輸送され、水生生物の生息環境を形成している。森林は多様な生態系を維持する場であり、水や土壌などの環境資源を保全・涵養する役割を担う。そのため、水や土壌は森林の維持にとっても不可欠な要素である。水は、海面から蒸発した水蒸気が降水となり、森林土壌などに一時的に貯留された後、地下水や表流水として流域を流下し、最終的に海へと至る。表流水や地下水は、生活用水や工業・農業用水として人間活動にも利用される。土壌は、多様な生態系が営まれる基盤であるとともに、森林の形成や水循環の維持にも寄与する。森林や水の働きによって形成された土壌は、流域内を移動し、山間部から沿岸部へと運ばれることで、海岸の形成にも関与している。
キーワード ① 流域圏 ② 分水嶺 ③ 稜線 ④ 保全・涵養 ⑤ 表流水・表層水・地下水
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:今回は本科目の導入として流域と流域圏の定義、その機能について取り上げた。キーワードであげた流域圏、分水嶺、稜線、保全・涵養、表流水・表層水・地下水について例をあげて説明できる様にしておくとよい。また、小テストによって理解状況を把握し、理解が不足している部分については改めて進捗確認のための課題を課す場合もある。講義の内容には化学と生物の内容を含むため、各回のシラバスを確認して高校・中学の教科書や参考書を事前に復習しておくとよい。
予習:次回は流域をどのようにして維持・活用するかに関する流域マネジメントについての講義を行うため、その内容について化学や生物の教科書やインターネットなどで確認することとする。

2 流域マネジメント 科目の中での位置付け 流域マネジメント科⽬の中での位置付け今⽇の社会では⾃然環境や⽣物に配慮した⼈間活動を行う必要がある。そのためには、環境や⽣物内での物質のふるまいに関する知識を習得することが必要である。森林⽣態系や⼟壌⽣態系を含めた⽣態系は、⽔循環とそれに担われている物質循環によって強く結びついており、それぞれの系のみを考えた環境保全や管理をすることは実際には難しい。また、⼈間の経済活動も⽔循環を介して密接に繋がっており、⼭間部と沿岸部と完全に独⽴させて環境保全や管理を考えることは難しい側⾯がある。そのためには、全体を俯瞰したうえで空間スケールの階層ごとや特定の部分での環境保全や管理の在り⽅を理解する必要がある。具体的には、第1回から第5回までは導⼊として時代による流域と⼈間の活動を説明する。第6回から第10回は第2部として⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響、第11回から第14回では⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響について説明する。第15回は全体をまとめることで知識の定着を図る。第2回⽬では、流域と⼈間の活動を理解するために流域マネジメントを取り扱う。
各細目レベルに対応する資料は以下のものである。
①内閣官房水循環政策本部事務局、流域マネジメントの手引き 改定版、p.6(2024)
②公益財団法人リバーフロント研究所、RIVER FRONT、81巻、pp.2-5(2015)
③公益財団法人リバーフロント研究所、RIVER FRONT、89巻、pp.2-5(2019)
コマ主題細目 ① 流域マネジメント ② ウォータープロジェクト ③ 水の循環に関する項目
細目レベル ① 流域マネジメントとは、森林、河川、農地、都市、湖沼、沿岸域などにおいて、人の営みと水量や水質、水環境を良好に保ち、または改善するため、流域全体を総合的かつ一体的に管理する取り組みを指す。ただし、一人の管理者が流域全体を統括するのではなく、行政機関、事業者、団体、住民などがそれぞれの役割を担い、連携して活動することが求められている。水循環基本計画では、流域マネジメントを推進するために、流域ごとに「流域水循環協議会」を設置し、関係者が協力して水量、水質、水利用、地下水の状況などの情報を共有することが求められている。さらに、各流域の特性や既存の関連計画を踏まえた「流域水循環計画」を策定し、具体的な目標や方針を定めることが推奨されている。このような取り組みにより、流域の持続可能な管理と環境保全が図られている。
② 水循環基本法の施行を受け、人と水との関わりを考え、産官学民等の多様な主体の連携による良好な水環境の活用・保全を通じて、持続可能な社会の実現を目指す取組として発足したのがウォータープロジェクトである。このプロジェクトは、官民が連携して実施する取り組みであり、年を追うごとに参加団体が増加している。2025年1月時点では、406の民間企業と49の団体、50の自治体が参加している。参加自治体には愛知県や岡崎市、奈良県川上村などが含まれ、市役所や各部局単位での参加も行われている。岡崎市では、乙川を中心とした水循環について、水量、水質、災害(洪水・渇水)、水辺環境、水との関わりの5つの項目で計画を策定し、2031年までの目標を設定している。これにより、流域全体の水環境を良好に保つことを目指している。
③ 岡崎市のウォータープロジェクトでは、水量、水質、災害(洪水・渇水)、水辺環境、水との関わりの5つの項目に関する方針と目標を策定している。水辺環境の基本方針として、岡崎在来の豊かな自然と触れ合えるまちづくりを目指し、自然にホタルが飛び、在来種が繁殖する親しみやすい水辺の創出を計画目標としている。この目標は、SDGs(持続可能な開発目標)とも関連しており、在来種の保全は目標15のターゲット8「外来種による影響の軽減」と関係している。また、ホタルの生息環境の構築は目標6のターゲット6「すべての人に安全な水と衛生へのアクセスを確保する」と関連する。このように、一つの目標を達成するためには複数の行動が必要であり、各分野の専門家や住民が協力することで、効果的な流域マネジメントが実現される。
キーワード ① 流域マネジメント ② 水循環基本計画 ③ ウォータープロジェクト ④ 産学連携 ⑤ SDGs
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:今回は流域マネジメントと流域マネジメントの背景となる水循環基本法、水循環基本法を基にした取り組みであるウォータープロジェクトとその例について取り上げた。キーワードであげた流域マネジメント、水循環基本計画、ウォータープロジェクト、産学連携、SDGsについて例をあげて説明できる様にしておくとよい。また、小テストによって理解状況を把握し、理解が不足している部分については改めて進捗確認のための課題を課す場合もある。講義の内容には化学と生物の内容を含むため、各回のシラバスを確認して高校・中学の教科書や参考書を事前に復習しておくとよい。
予習:次回は人間の生活と流域の関係について、時代を分けて講義を行うため、その内容について化学や生物の教科書やインターネットなどで確認することとする。

3 人間の生活と流域の関係 科目の中での位置付け ⼈間の⽣活と流域の関係科⽬の中での位置付け今⽇の社会では⾃然環境や⽣物に配慮した⼈間活動を行う必要がある。そのためには、環境や⽣物内での物質のふるまいに関する知識を習得することが必要である。森林⽣態系や⼟壌⽣態系を含めた⽣態系は、⽔循環とそれに担われている物質循環によって強く結びついており、それぞれの系のみを考えた環境保全や管理をすることは実際には難しい。また、⼈間の経済活動も⽔循環を介して密接に繋がっており、⼭間部と沿岸部と完全に独⽴させて環境保全や管理を考えることは難しい側⾯がある。そのためには、全体を俯瞰したうえで空間スケールの階層ごとや特定の部分での環境保全や管理の在り⽅を理解する必要がある。具体的には、第1回から第5回までは導⼊として時代による流域と⼈間の活動を説明する。第6回から第10回は第2部として⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響、第11回から第14回では⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響について説明する。第15回は全体をまとめることで知識の定着を図る。第3回⽬では、流域と⼈間の活動を理解するために⼈間の⽣活と流域の関係を取り扱う。
各細目レベルに対応する資料は以下のものである。
①環境省、令和5年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書、p.193(2023)
②松浦茂樹、石井翔太郎、足尾山地における鉱毒問題、水利科学、No.515、pp.59-78(2010)
③環境省、令和5年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書、p.193(2023)
コマ主題細目 ① 明治以前の流域利用 ② 産業革命期の流域の変化 ③ 第二次世界大戦後の流域管理の変化
細目レベル ① 明治以前の日本では、河川を中心とした流域圏が生活や経済活動の基盤となっていた。農業は水田を中心に発展し、林業は川沿いに展開され、物流も河川や沿岸の舟運を利用していた。これらの産業は、地域資源である森林、水資源、土壌を適切に利用・保全しながら営まれており、流域の自然環境と人間活動は基本的に調和が保たれていた。しかし、日本の流域は急峻な地形や厳しい気候条件を持つ地域が多く、洪水などの水害は頻繁に発生していた。また、江戸時代には産業の発展に伴い舟運が盛んになり、窯業の発展による燃料材の需要増加が森林減少を引き起こした。これにより土砂の流出や洪水の発生が増加し、人間活動が流域環境に与える影響が顕著になった。こうした変化は、流域資源の適切な管理の重要性を示す事例といえる。
② 日本の産業革命に伴い、流域環境は大きく変化した。産業革命より前は、林業で生産された木材は河川を利用した水運によって都市部へと運搬されていたが、鉄道の発達により木材の搬出経路が河川に限定されなくなった。この変化により森林伐採が河川の近隣から急速に範囲が拡大し、一部の地域では水害の頻発など深刻な環境問題を引き起こした。また、鉱山開発も流域環境に大きな影響を与えた。特に、足尾銅山からの排水に含まれる重金属は渡良瀬川の水生生物に甚大な影響を及ぼし、さらに銅山周辺では燃料用木材の大量伐採や煙害による森林枯死が進んだ。その結果、流域の生態系は大きく変化し、人間の生産活動が水環境や森林資源に深刻な影響を及ぼしたことが明らかとなった。
③ 第二次世界大戦後、高度経済成長に伴い、流域を基盤とした地域資源管理システムは急速に変化した。農山村地域では人口流出が進み、従来の第一次産業(農業・林業・漁業)から、第二次産業(工業)や第三次産業(サービス業)への産業構造の転換が加速した。これにより、食料や建材などの自然素材は国内資源から海外輸入品へと依存を移し、流域資源への依存度が低下した。また、ダム建設や用水路の整備、上下水道の発展により、水利用の形態が変化し、人々が直接水環境と関わる機会が減少した。さらに、燃料も流域の雑木林から得られる薪炭から、火力発電や水力発電による電力へと転換され、流域資源と人々の生活の関係が希薄になっていった。このような変化は、流域の持続可能な管理の必要性を再認識させる契機となった。
キーワード ① 物流 ② 鉱山 ③ 公害 ④ 流域資源 ⑤ エネルギーの転換
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:今回は明治時代以前と明治時代と大正時代、昭和初期の日本の産業革命期、第二次世界大戦後の高度成長期に分けて人間の生活と流域の関係について取り上げた。キーワードであげた物流、鉱山、公害、流域資源、エネルギーの転換について例をあげて説明できる様にしておくとよい。また、小テストによって理解状況を把握し、理解が不足している部分については改めて進捗確認のための課題を課す場合もある。講義の内容には化学と生物の内容を含むため、各回のシラバスを確認して高校・中学の教科書や参考書を事前に復習しておくとよい。
予習:次回は第1部の流域に関する基礎知識のまとめを行うため、その内容について第一部の資料を確認することとする。

4 水環境と河川構造物 科目の中での位置付け ⽔環境と河川構造物科⽬の中での位置付け今⽇の社会では⾃然環境や⽣物に配慮した⼈間活動を行う必要がある。そのためには、環境や⽣物内での物質のふるまいに関する知識を習得することが必要である。森林⽣態系や⼟壌⽣態系を含めた⽣態系は、⽔循環とそれに担われている物質循環によって強く結びついており、それぞれの系のみを考えた環境保全や管理をすることは実際には難しい。また、⼈間の経済活動も⽔循環を介して密接に繋がっており、⼭間部と沿岸部と完全に独⽴させて環境保全や管理を考えることは難しい側⾯がある。そのためには、全体を俯瞰したうえで空間スケールの階層ごとや特定の部分での環境保全や管理の在り⽅を理解する必要がある。具体的には、第1回から第5回までは導⼊として時代による流域と⼈間の活動を説明する。第6回から第10回は第2部として⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響、第11回から第14回では⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響について説明する。第15回は全体をまとめることで知識の定着を図る。第4回⽬では、⽔環境と河川構造物を取り扱う。
各細目レベルに対応する資料は以下のものである。
①風間聡、峠嘉哉、渡辺一也、小森大輔、横尾善之、糠澤桂、河川工学、理工図書、pp.63-100、160-165(2020)
②風間聡、峠嘉哉、渡辺一也、小森大輔、横尾善之、糠澤桂、河川工学、理工図書、pp.125-133(2020)
③風間聡、峠嘉哉、渡辺一也、小森大輔、横尾善之、糠澤桂、河川工学、理工図書、pp.105-108(2020)
コマ主題細目 ① 堤防 ② ダムと堰 ③ 魚道
細目レベル ① 日本の河川は、地形や気候の影響により、大雨時に洪水が発生しやすい。洪水は生命や住居、農作物に甚大な影響を及ぼすため、治水対策は流域管理において重要な要素である。そのため、古くから堤防が建設され、洪水による被害を抑制してきた。1997年の河川法改正により、従来の治水・利水を中心とした河川整備に加え、環境保全の概念が取り入れられた。これにより、河川を直線化し、樹林などの障害物を排除する整備手法から、地域の自然環境を生かした「多自然型川づくり」へと転換が進んでいる。しかし、「多自然型川づくり」では、従来の治水・利水を中心とした河川整備と比べ、成果を定量的に評価することが難しいため、生物多様性などの指標を活用した環境評価が行われている。近年では、魚類や水生昆虫の生息状況を把握するために、環境DNA分析などの新しい調査手法も用いられている。
② 堤防が河川の流れに沿って設置されるのに対し、ダムや堰は河川を横断し、流れを制御するための構造物である。これらは農業用水や工業用水、水道用水の供給や、水力発電、洪水調節のために建設され、人間の生活や経済活動を支えている。しかし、ダムや堰は河川環境に大きな影響を与える。主な影響として、水生生物の回遊阻害や流量の平滑化、有機物や栄養塩の供給量の変化、河床の粒径の変化などが挙げられる。特に、ダムや堰が土砂を堆積させることで、本来下流に供給されるはずの土砂の量が減少し、河床環境の変化を引き起こす。これにより、底生生物の生息環境が変化し、生態系に影響を及ぼす可能性がある。また、下流への土砂供給の減少は、河口や沿岸部の砂浜の浸食を引き起こし、海岸線の後退を招くことが指摘されている。
③ ダムや堰は、魚類などの水生生物の移動を阻害するため、生態系の分断を引き起こす。これを解決するために、魚がダムや堰を通過できるように設置される水路が魚道である。魚道には、プール式やストリーム式などの種類があり、魚が遡上しやすいように設計されている。また、閘門やリフトなどの機械を利用した魚道も存在する。しかし、魚道には土砂が堆積しやすく、適切な維持管理が行われなければ機能を果たせなくなる。このため、魚道の維持管理費用を考慮する必要がある。また、魚道はすべての水生生物に対応できるわけではなく、特定の種にとっては利用が困難な場合もある。なお、現在設置されている魚道の多くは、水産資源の維持管理を目的としている。さらに、魚道が鳥類の餌場となることで、遡上する魚類が捕食されるリスクが高まるなどの問題も指摘されている。
キーワード ① 治水・利水 ② 環境影響 ③ ダム ④ 砂丘浸食 ⑤ 遡上
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:今回は堤防やダム、堰、魚道などの河川構造物と水環境の関係について取り上げた。これらの河川構造物の設置目的と背景にある法律や市民の環境意識の変化を含め、キーワードであげた治水・利水や環境影響、ダム、砂丘浸食、遡上物流について例をあげて説明できる様にしておくとよい。また、小テストによって理解状況を把握し、理解が不足している部分については改めて進捗確認のための課題を課す場合もある。講義の内容には化学と生物の内容を含むため、各回のシラバスを確認して高校・中学の教科書や参考書を事前に復習しておくとよい。
予習:次回は第1部の流域に関する基礎知識のまとめを行うため、その内容について第一部の資料を確認することとする。

5 流域と人間の活動 科目の中での位置付け 流域と⼈間の活動科⽬の中での位置付け今⽇の社会では⾃然環境や⽣物に配慮した⼈間活動を行う必要がある。そのためには、環境や⽣物内での物質のふるまいに関する知識を習得することが必要である。森林⽣態系や⼟壌⽣態系を含めた⽣態系は、⽔循環とそれに担われている物質循環によって強く結びついており、それぞれの系のみを考えた環境保全や管理をすることは実際には難しい。また、⼈間の経済活動も⽔循環を介して密接に繋がっており、⼭間部と沿岸部と完全に独⽴させて環境保全や管理を考えることは難しい側⾯がある。そのためには、全体を俯瞰したうえで空間スケールの階層ごとや特定の部分での環境保全や管理の在り⽅を理解する必要がある。具体的には、第1回から第5回までは導⼊として時代による流域と⼈間の活動を説明する。第6回から第10回は第2部として⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響、第11回から第14回では⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響について説明する。第15回は全体をまとめることで知識の定着を図る。第5回⽬では、流域と⼈間の活動を理解するためをまとめる。
各細目レベルに対応する資料は以下のものである。
①環境省、令和5年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書、p.193(2023)
②内閣官房水循環政策本部事務局、流域マネジメントの手引き 改定版、p.6(2024)
公益財団法人リバーフロント研究所、RIVER FRONT、81巻、pp.2-5(2015)
③環境省、令和5年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書、p.193(2023)
松浦茂樹、石井翔太郎、足尾山地における鉱毒問題、水利科学、No.515、pp.59-78(2010)
④風間聡、峠嘉哉、渡辺一也、小森大輔、横尾善之、糠澤桂、河川工学、理工図書、pp.63-100、105-108、125-133、160-165(2020)
コマ主題細目 ① 流域とは ② 流域マネジメント ③ 人間の生活と流域の関係 ④ 水環境と河川構造物
細目レベル ① 流域とは、降水に由来する表流水が一つの水域に集まってくる領域のことをさし、水中や地上に生活する生物は流域の中からの移動は制限されていた。流域と関連する水利用地域や氾濫原よりなる水循環に関する一定の地域的なまとまりとして流域圏の考え方があり、地形や水、生物等にかかる自然のメカニズムと人間活動との調整を行うために適当だと考えられるまとまりといえる。流域圏では、森林や河畔林等から供給される栄養塩類や土砂を運び、水生生物等の生態系が営まれる場を提供している。水は、海面等から蒸発した水蒸気が降水となり、森林土壌等に一時貯留され、地下水や表流水として流域を流下して海へ至る。この流れを水循環といい、河川や湖沼、海洋の表流水と水田や溜め池等の表面水、地下水を含む循環系を形成している。表流水や表面水、地下水は、生活用水や工業・農業用水として人為的にも利用されている。土は、様々な生態系が営まれる場であるとともに、森林や水循環を健全に保つ基盤である。森林や水によって豊かな土壌が形成され、水の循環とともに山腹から海域に土砂として移動することで海岸を形成している。
② 流域マネジメントとは、流域の総合的かつ一体的な管理は、一つの管理者が存在して、流域全体を管理するというものではなく、森林、河川、農地、都市、湖沼、沿岸域等において、人の営みと水量、水質、水と関わる自然環境を良好な状態に保つ、又は改善するため、様々な取組を通じ、流域において関係する行政などの公的機関、事業者、団体、住民等がそれぞれ連携して活動することをと水循環基本計画で定義されている。水循環基本法の施行を受け、人と水との関わりを考え、産官学民等の多様な主体の連携による良好な水環境の活用・保全を通じた持続可能な地域社会の実現を目指す取組として官民が連携して実施するプロジェクトとしてウォータープロジェクトが発足した。岡崎市のウォータープロジェクトでは、水量、水質、災害(洪水・渇水)、水辺環境、水との関わりの5つの項目について方針と目標を策定している。
③ 明治以前の日本では生活経済圏が河川を中心とする流域圏で構成され、明治時代以前は流域を構成する自然的要素と人間の経済社会活動の調和が基本的には図られていた。産業革命に伴って流域の環境も大きく変化し、鉄道輸送が可能となると木材の搬出ルートが河川に限定されることはなくなったことから、森林の荒廃による水害などが頻発した。また、鉱山開発などによって流域の環境は大きく影響を受けた。第二次世界大戦後の高度経済成長以後は、流域を中心とした地域資源管理システムが急激に変容し、農山村地域からの人口の流出や産業構造が変化した。海外からの輸入品の増加によって、流域資源に依存しない産業形態が進展し、流域資源から人々の生活が離れていった。
④ 日本の河川は大雨時に洪水が発生しやすく、堤防の建設によって被害を抑制してきた。1997年の河川法改正により、治水・利水に加え、環境保全を考慮した「多自然型川づくり」へと転換が進んでいる。しかし、その効果を定量的に評価することが難しく、生物多様性などの指標を用いた環境評価が行われている。ダムや堰は農業用水や工業用水の供給、洪水調節などに貢献する一方で、水生生物の回遊阻害や河床環境の変化、沿岸部の砂浜浸食などの問題を引き起こす。これを解決するために魚道が設置されているが、土砂の堆積による機能低下や維持管理の課題も指摘されている。
キーワード ① 流域圏 ② 表流水・表層水・地下水 ③ 流域マネジメント ④ 流域資源 ⑤ 多自然型川づくり
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:今回は第1部の流域に関する基礎知識のまとめとして、流域と流域マネジメント、人間の生活と流域の関係、水環境と河川構造物に関するまとめを行った。キーワードであげた流域圏、表流水・表層水・地下水、流域マネジメント、流域資源、多自然型川づくりについて例をあげて説明できる様にしておくとよい。また、小テストによって理解状況を把握し、理解が不足している部分については改めて進捗確認のための課題を課す場合もある。講義の内容には化学と生物の内容を含むため、各回のシラバスを確認して高校・中学の教科書や参考書を事前に復習しておくとよい。
予習:次回は水循環による物質の移動についての講義を行うため、その内容について化学や生物の教科書やインターネットなどで確認することとする。

6 水循環による物質の移動 科目の中での位置付け ⽔循環による物質の移動科⽬の中での位置付け今⽇の社会では⾃然環境や⽣物に配慮した⼈間活動を行う必要がある。そのためには、環境や⽣物内での物質のふるまいに関する知識を習得することが必要である。森林⽣態系や⼟壌⽣態系を含めた⽣態系は、⽔循環とそれに担われている物質循環によって強く結びついており、それぞれの系のみを考えた環境保全や管理をすることは実際には難しい。また、⼈間の経済活動も⽔循環を介して密接に繋がっており、⼭間部と沿岸部と完全に独⽴させて環境保全や管理を考えることは難しい側⾯がある。そのためには、全体を俯瞰したうえで空間スケールの階層ごとや特定の部分での環境保全や管理の在り⽅を理解する必要がある。具体的には、第1回から第5回までは導⼊として時代による流域と⼈間の活動を説明する。第6回から第10回は第2部として⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響、第11回から第14回では⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響について説明する。第15回は全体をまとめることで知識の定着を図る。第6回⽬では、⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響を理解するために流域での⽔循環による物質の移動を取り扱う。
各細目レベルに対応する資料は以下のものである。
①馬籠純、竹内邦良、金丸茂男、石平博、ダム貯水池による河川水の流域内滞留時間の変化に関する検討、水工学論文集、46巻、pp.295-300(2002)
②馬籠純、竹内邦良、金丸茂男、石平博、ダム貯水池による河川水の流域内滞留時間の変化に関する検討、水工学論文集、46巻、pp.295-300(2002)
③内閣官房水循環政策本部事務局、地下水マネジメントの手順書、pp.72-76(2018)
コマ主題細目 ① 平均滞留時間 ② 表流水と表面水 ③ 地下水
細目レベル ① 流域内のある地点に降った降⽔が、流域の別の地点に到達するまでにかかる時間の平均値を「平均滞留時間」といい、この指標は流域の⽔⽂特性を理解するうえで重要である。平均滞留時間は、⽔の流れを予測するだけでなく、地下⽔の流出経路の推定や貯留機能の把握にも活⽤される。また、滞留時間が⻑いほど、⽔が⼟壌や鉱物、⽣物と接触する時間が⻑くなる。そのため、滞留時間は⽔質の変化にも影響を与える。平均滞留時間は、T=V/Q の式で定義され、Tは平均滞留時間(d)、Vは流域内の特定区域の⽔の体積(m³)、Qはその区域を流れる⽔の流量(m³/d)である。平均滞留時間は、定常状態(水の流れが一定の状態)では入れかえ時間や通過時間と同義として扱われる。
② 表流水と表面水は、いずれも地表に存在する水を指し、まとめて地表水と呼ばれることもある。一般に、地表水の流速は1 cm/sから数10 cm/s(1 km/dから数10 km/d)の範囲とされる。流域内のある地点に降った降水が、流域の別の地点に到達するまでにかかる時間の平均値を「平均滞留時間」といい、この指標は流域の水文特性を理解するうえで重要である。平均滞留時間は、水の流れを予測するだけでなく、地下水の流出経路の推定や貯留機能の把握にも活用される。また、滞留時間が長いほど、水が土壌や鉱物、生物と接触する時間が長くなるため、水質の変化にも影響を与える。平均滞留時間は、T=V/Q の式で定義され、Tは平均滞留時間(d)、Vは流域内の特定区域の水の体積(m³)、Qはその区域を流れる水の流量(m³/d)である。

③ 地下水は降水が地表から土壌に浸透することで形成される。地下水となるまでには一定の時間が必要であり、その移動速度は表流水の約100分の1程度とされる。そのため、例えば水田から浸透した水が地下水として崖下に湧出するまでには、数ヶ月から数年かかることがある。さらに、山に降った雨が浅い地下水となって近隣の沢に湧出するには数年、低地に達するには数年から数十年、上流域の山で深く浸透した地下水が海岸付近に到達するまでには最低でも20年以上かかるとされている。このように、地下水の流れは極めてゆっくりであるため、一度汚染が発生すると、その影響が長期にわたって持続する。また、汚染物質が地下水中を移動する速度も遅いため、浄化には長い時間を要する。したがって、地下水の適切な管理と保全が重要であり、汚染防止の対策を事前に講じることが不可欠である。

キーワード ① 表流水 ② 表面水 ③ 地下水 ④ 地表水 ⑤ 滞留時間
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:今回は物質の移動に関連する⽔の循環の中での平均滞留時間、表流⽔と地表⽔、地下⽔の関係に観点を絞って取り上げた。キーワードであげた表流⽔、表⾯⽔、地下⽔、地表⽔、滞留時間について例をあげて説明できる様にしておくとよい。また、⼩テストによって理解状況を把握し、理解が不⾜している部分については改めて進捗確認のための課題を課す場合もある。講義の内容には化学と⽣物の内容を含むため、各回のシラバスを確認して⾼校・中学の教科書や参考書を事前に復習しておくとよい。
予習:次回は物質の移動に関連する森林の水循環への影響についての講義を⾏うため、その内容について化学や⽣物の教科書やインターネットなどで確認することとする。

7 森林の水循環への影響 科目の中での位置付け ⽔循環による物質の移動科⽬の中での位置付け今⽇の社会では⾃然環境や⽣物に配慮した⼈間活動を⾏なう必要がある。そのためには、環境や⽣物内での物質のふるまいに関する知識を習得することが必要である。森林⽣態系や⼟壌⽣態系を含めた⽣態系は、⽔循環とそれに担われている物質循環によって強く結びついており、それぞれの系のみを考えた環境保全や管理をすることは実際には難しい。また、⼈間の経済活動も⽔循環を介して密接に繋がっており、⼭間部と沿岸部と完全に独⽴させて環境保全や管理を考えることは難しい側⾯がある。そのためには、全体を俯瞰したうえで空間スケールの階層ごとや特定の部分での環境保全や管理の在り⽅を理解する必要がある。具体的には、第1回から第5回までは導⼊として時代による流域と⼈間の活動を説明する。第6回から第10回は第2部として⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響、第11回から第14回では⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響について説明する。第15回は全体のまとめを⾏うことで知識の定着を図る。第7回⽬では、⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響を理解するために水循環についてを取り扱う。
各細⽬レベルに対応する資料は以下のものである。
①江崎保男、エコロジカル・ユニットとしての流域生態系、野⽣復帰、Vol.4、pp.21-27(2016)
②林野庁森林整理部、森林の水源涵養機能の発揮に向けて、pp.1-2(2023)
③林野庁森林整理部、森林の水源涵養機能の発揮に向けて、pp.3-4(2023)
コマ主題細目 ① 蒸発による水の移動 ② 樹木による水循環への影響 ③ 森林管理と水循環
細目レベル ① 流域を流れる河川は、⽔の循環の⼀部として機能している。⽔は、河川や湖沼、海洋の表流⽔および⽔⽥や溜め池などの表⾯⽔が太陽の熱エネルギーによって蒸発し、上空で雲となり、降⽔(⾬や雪)として地表⾯に戻ることで循環する。降水となって地表面に戻る際に、樹木を経由して地表に戻ることもある。海⽔が蒸発する際には塩分が取り除かれて降⽔するため、降水には塩分を含まない淡水となり、降水は飲料水や農業用水などの淡⽔資源の供給源となっている。降⽔は重⼒の影響を受けて地中へ浸透し、地下⽔としてゆっくりと移動しながら地表に湧出することがある。地下⽔が流出すると、河川や湖沼、海洋の表流⽔および⽔⽥や溜め池などの表⾯⽔と合流し、再び⽔の循環に組み込まれる。
② 蒸発によって海水から水蒸気となった後に森林に降り注ぐ降水は、樹木の枝葉が密集する樹冠や幹に捕捉されるものと、それらに捕捉されず直接地表に到達する樹冠通過雨に分けられる。樹冠や幹に捕捉された降水は、そのまま大気中へ蒸発する樹冠遮断蒸発と幹を伝って林床に流下する樹幹流、樹冠から滴下して林床に落下する樹冠滴下雨に区分される。また、樹冠通過雨と樹冠滴下雨を合わせて林内雨と呼び、林床に達した水は地表流出するものと土壌へ浸透するものに区分される。森林が健全であれば、降水の大部分は土壌に浸透し地下水涵養に寄与する。一方、樹木の太径化が進むと樹冠による降水の捕捉量が増加し、樹冠遮断蒸発の割合が高まるため、地表へ到達する降水量は相対的に減少する。
③ 森林土壌へしみ込んだ降水の一部は、樹木や下草の根から吸収され、植物の成長に利用される。また、一部はさらに深部へ浸透し、岩盤付近まで達して長期間地下に貯留される。こうした水の循環過程を支えているのが森林土壌である。森林内の土壌は、落ち葉などが分解・堆積して形成された腐葉土を多く含み、スポンジ状の構造をもつため、高い浸透性と保水性を備えている。その結果、森林地では裸地に比べて降水の浸透量が大きいとされる。さらに、樹冠や枝葉は降水の落下エネルギーを弱め、地表の落ち葉や下草は雨滴の衝撃を緩和する。これにより地表流出が抑制され、土壌侵食が防がれるとともに、洪水の緩和や河川流量の安定、水質の維持に寄与する。これらの働きを総称して森林の水源涵養機能と呼ぶ。


キーワード ① 樹冠通過雨 ② 樹冠遮断蒸発 ③ 樹冠滴下雨 ④ 林内雨 ⑤ 水源涵養機能
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:今回は物質の移動に関連し、森林全体だけでなく、樹木を含めた森林の水循環への影響に観点を絞って取り上げた。キーワードであげた樹冠通過雨、樹冠遮断蒸発、樹冠滴下雨、林内雨、水源涵養機能について例をあげて説明できる様にしておくとよい。また、⼩テストによって理解状況を把握し、理解が不⾜している部分については改めて進捗確認のための課題を課す場合もある。講義の内容には化学と⽣物の内容を含むため、各回のシラバスを確認して⾼校・中学の教科書や参考書を事前に復習しておくとよい。
予習:次回は栄養塩による流域圏への影響についての講義を⾏うため、その内容について化学や⽣物の教科書やインターネットなどで確認することとする。

8 栄養塩による流域圏への影響 科目の中での位置付け 栄養塩による流域圏への影響科⽬の中での位置付け今⽇の社会では⾃然環境や⽣物に配慮した⼈間活動を行う必要がある。そのためには、環境や⽣物内での物質のふるまいに関する知識を習得することが必要である。森林⽣態系や⼟壌⽣態系を含めた⽣態系は、⽔循環とそれに担われている物質循環によって強く結びついており、それぞれの系のみを考えた環境保全や管理をすることは実際には難しい。また、⼈間の経済活動も⽔循環を介して密接に繋がっており、⼭間部と沿岸部と完全に独⽴させて環境保全や管理を考えることは難しい側⾯がある。そのためには、全体を俯瞰したうえで空間スケールの階層ごとや特定の部分での環境保全や管理の在り⽅を理解する必要がある。具体的には、第1回から第5回までは導⼊として時代による流域と⼈間の活動を説明する。第6回から第10回は第2部として⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響、第11回から第14回では⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響について説明する。第15回は全体をまとめることで知識の定着を図る。第8回⽬では、⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響を理解するために栄養塩による流域圏への影響を取り扱う。
各細⽬レベルに対応する資料は以下のものである。
①北尾⾼嶺、浄化槽の基礎知識、⽇本環境整備教育センター、pp.318-322、348(1996)
②公害防⽌の技術と法規 編集委員会、公害防⽌の技術と法規2020⽔質編、9000円+税、pp.346-360(2020)
③松尾友矩他、⽔環境⼯学、2800円+税、pp.59-61(2004
コマ主題細目 ① 栄養塩の問題 ② 地下⽔への浸透 ③ 地表⽔への流出
細目レベル ① ハーバー・ボッシュ法により、窒素肥料の⽣産が可能となり、窒素の循環量が⼤幅に増加した。施肥による窒素の増加は、河川や湖沼、沿岸域における富栄養化や地下⽔の硝酸汚染を引き起こし、環境問題となっている。近年、家庭や⼯場からの排⽔は下⽔処理施設で処理されるようになり、河川や沿岸域への栄養塩の流⼊量は減少している。⼀⽅で、栄養塩の過剰な除去により、海域では貧栄養化が進⾏し、⽔産資源への影響が懸念される。排⽔処理施設では、窒素は硝化・脱窒反応、リンは微⽣物の同化によって除去されるが、増殖した微⽣物は焼却されることが多く、リンの資源循環が進んでいないという課題がある。今後、持続可能な資源管理のため、リンの回収技術や適切な排⽔処理のあり⽅を検討することが求められる。
② ⼟壌や⽔環境では、窒素化合物は微⽣物の働きによって変化する。窒素化合物はそれぞれ異なる特性を有していることから、微⽣物の働きによる窒素化合物の変化は、窒素の環境中での循環に影響を与える。化学肥料としてアンモニア態窒素は⼟壌に供給され、堆肥中の有機体窒素は微⽣物の分解によってアンモニア態窒素となって⼟壌に供給される。アンモニア態窒素は硝化反応によって硝酸態窒素へと酸化される。硝酸態窒素が⼗分に脱窒されずに残ると、地下⽔へと浸透して⽔質汚染の原因となる。特に農地周辺では、地下⽔中の硝酸態窒素濃度が⾼くなる傾向があり、飲⽤⽔源として利⽤される場合には健康リスクが懸念される。令和4年度では、硝酸態窒素の地下⽔の環境基準超過率は最⼤となっている。地下⽔の浄化には数⼗年以上の時間がかかるため、適切な施肥管理や⽔質監視が重要である。
③ 富栄養化とは、窒素やリンが湖沼や内湾などの閉鎖性⽔域に過剰に流⼊し、藻類が異常増殖して⽔質が悪化する現象である。特に閉鎖性⽔域では、⽔の滞留時間が⻑く、富栄養化の影響を受けやすい。藻類は光合成を⾏うが、夜間は呼吸によって酸素を消費するため、⼤量発⽣すると⽔中の酸素濃度が低下し、⿂介類の⼤量死を引き起こす可能性がある。また、藻類の死骸が分解される過程でも酸素が消費され、低酸素状態が持続することで、底⽣⽣物にも悪影響を及ぼす。富栄養化の抑制には、農地や都市部からの栄養塩の適切な管理が求められ、流域全体での対策が重要となる。適切な排⽔管理等の導⼊によって、窒素やリンの流出を抑制し、⽔域の健全な⽣態系を維持することが必要である。
キーワード ① 施肥 ② 硝化・脱窒 ③ ⼟壌 ④ 富栄養化 ⑤ 閉鎖性⽔域
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:今回は栄養塩の流域への影響について栄養塩の問題点から地下⽔への硝酸態窒素の移動、地表⽔への栄養塩の流出を取り上げた。キーワードであげた施肥、硝化・脱窒、⼟壌、富栄養化、閉鎖性⽔域について例をあげて説明できる様にしておくとよい。また、⼩テストによって理解状況を把握し、理解が不⾜している部分については改めて進捗確認のための課題を課す場合もある。講義の内容には化学と⽣物の内容を含むため、各回のシラバスを確認して⾼校・中学の教科書や参考書を事前に復習しておくとよい。
予習:次回は流域圏の⼈⼯的な⽔の流出経路である下⽔道に関する講義を⾏うため、その内容について化学や⽣物の教科書やインターネットなどで確認することとする。

9 流域圏と下水道の関係 科目の中での位置付け 流域圏と下⽔道の関係科⽬の中での位置付け今⽇の社会では⾃然環境や⽣物に配慮した⼈間活動を行う必要がある。そのためには、環境や⽣物内での物質のふるまいに関する知識を習得することが必要である。森林⽣態系や⼟壌⽣態系を含めた⽣態系は、⽔循環とそれに担われている物質循環によって強く結びついており、それぞれの系のみを考えた環境保全や管理をすることは実際には難しい。また、⼈間の経済活動も⽔循環を介して密接に繋がっており、⼭間部と沿岸部と完全に独⽴させて環境保全や管理を考えることは難しい側⾯がある。そのためには、全体を俯瞰したうえで空間スケールの階層ごとや特定の部分での環境保全や管理の在り⽅を理解する必要がある。具体的には、第1回から第5回までは導⼊として時代による流域と⼈間の活動を説明する。第6回から第10回は第2部として⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響、第11回から第14回では⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響について説明する。第15回は全体をまとめることで知識の定着を図る。第9回⽬では、⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響を理解するために流域圏と下⽔道の関係を取り扱う。
各細⽬レベルに対応する資料は以下のものである。
①国⼟交通省⽔管理・国⼟保全局下⽔道部、下⽔道技術ビジョン、pp.8-10(2015)
②⼀般財団法⼈産業環境管理協会、新・公害防⽌の技術と法規2020⽔質編、9000円+税pp.281-289(2020)
③国⼟交通省⽔管理・国⼟保全局下⽔道部、下⽔道技術ビジョン、pp.24-25(2015)
コマ主題細目 ① 下⽔道の機能 ② 下⽔道の処理⽅法 ③ 下⽔道の課題
細目レベル ① 下⽔道は、⽣活排⽔や産業排⽔を処理する施設だけでなく、家庭や⼯場などの産業施設から下⽔処理施設までの配管も含んでいる。また、下⽔道の配管は⾬⽔の排⽔機能も担い、都市部での浸⽔防⽌に重要な役割を果たしている。都市部では、降⾬の⼤部分が地表を流れず、下⽔道を通じて河川や海域に放流される。そのため、下⽔道は⼈⼯的に設置された地下河川ともいえる。流域における⽔循環を理解する際には、下⽔道を含めた流れを考慮することが必要である。国⼟交通省が2014年に策定した新下⽔道ビジョンでは、「循環のみち下⽔道」というコンセプトが提唱されており、汚濁物質の除去だけでなく、健全な⽔環境の創造を⽬的とした下⽔道の整備が進められている。
② 下⽔道に流⼊した⽣活排⽔や産業排⽔は、主に⽣物学的処理によって浄化される。⽣物学的処理とは、微⽣物の異化と同化作⽤によって有機物を除去するプロセスである。下⽔道では、主に酸素が存在する環境下で処理が⾏われる好気性処理が⼀般的である。処理⽅法には、⽣物膜法と活性汚泥法があり、⽣物膜法はプラスチック等の担体の表⾯に微⽣物が⽣物膜を形成して固定された状態で処理を⾏う⽅式で、⼩規模な施設でよく⽤いられる。⼀⽅、活性汚泥法は、微⽣物がフロックと呼ばれる凝集体を形成し、⽔中の汚濁物質を分解する⽅式で、⼤規模な処理施設に採⽤されることが多い。流⼊する⽔質や⽔量の変化が⼤きい場合には、⽣物膜法の⽅が安定しやすいとされる。処理の効率には、微⽣物の濃度や汚濁物質の量とのバランスが重要な要素となる。
③ 下⽔処理には⼤量のエネルギーが必要であり、1⽴⽅メートル(m³)の排⽔を処理するために約0.3キロワット時(kWh)の電⼒が消費される。現在の⽇本のエネルギー供給の多くは化⽯燃料に依存しているため、下⽔処理による⼆酸化炭素(CO₂)の排出が問題となる。また、下⽔処理施設では窒素除去のために硝化・脱窒反応が⾏われているが、この過程で温室効果ガスである亜酸化窒素(N₂O)が発⽣することが課題となっている。さらに、処理の過程で微⽣物が増殖し、これらの処理も必要となる。微⽣物は堆肥化されることがあるが、下⽔道には重⾦属が含まれる排⽔が流⼊するため、堆肥中に重⾦属が混⼊するリスクがある。そのため、下⽔道で製造された堆肥の安全性の確保や利活⽤の促進が今後の課題となる。
キーワード ① 下⽔管 ② ⽣物膜法 ③ 活性汚泥法 ④ 硝化・脱窒 ⑤ 堆肥
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:今回は流域圏の⼈⼯的な⽔の流出経路であり、降⾬のかなりの部分を移動させる下⽔道について、下⽔道の機能と処理⽅法、課題を取り上げた。キーワードであげた下⽔管、⽣物膜法、活性汚泥法、硝化・脱窒、堆肥について例をあげて説明できる様にしておくとよい。また、⼩テストによって理解状況を把握し、理解が不⾜している部分については改めて進捗確認のための課題を課す場合もある。講義の内容には化学と⽣物の内容を含むため、各回のシラバスを確認して⾼校・中学の教科書や参考書を事前に復習しておくとよい。
予習:次回は第⼆部でとりあげた⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響についてまとめを⾏うため、その内容について第2部で使⽤した資料を確認することとする。

10 人間の生活が流域に及ぼす影響(まとめ) 科目の中での位置付け ⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響科⽬の中での位置付け今⽇の社会では⾃然環境や⽣物に配慮した⼈間活動を行う必要がある。そのためには、環境や⽣物内での物質のふるまいに関する知識を習得することが必要である。森林⽣態系や⼟壌⽣態系を含めた⽣態系は、⽔循環とそれに担われている物質循環によって強く結びついており、それぞれの系のみを考えた環境保全や管理をすることは実際には難しい。また、⼈間の経済活動も⽔循環を介して密接に繋がっており、⼭間部と沿岸部と完全に独⽴させて環境保全や管理を考えることは難しい側⾯がある。そのためには、全体を俯瞰したうえで空間スケールの階層ごとや特定の部分での環境保全や管理の在り⽅を理解する必要がある。具体的には、第1回から第5回までは導⼊として時代による流域と⼈間の活動を説明する。第6回から第10回は第2部として⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響、第11回から第14回では⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響について説明する。第15回は全体をまとめることで知識の定着を図る。第10回⽬では、⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響のまとめをおこなう。
各細⽬レベルに対応する資料は以下のものである。
①⾺籠純、⽵内邦良、⾦丸茂男、⽯平博、ダム貯⽔池による河川⽔の流域内滞留時間の変化に関する検討、⽔⼯学論⽂集、46巻、pp.295-300(2002)内閣官房⽔循環政策本部事務局、地下⽔マネジメントの⼿順書、pp.72-76(2018)
②江崎保男、エコロジカル・ユニットとしての流域生態系、野⽣復帰、Vol.4、pp.21-27(2016)、林野庁森林整理部、森林の水源涵養機能の発揮に向けて、pp.1-4(2023)
③北尾⾼嶺、浄化槽の基礎知識、⽇本環境整備教育センター、pp.318-322、348(1996)、⼀般財団法⼈産業環境管理協会、新・公害防⽌の技術と法規2020⽔質編、9000円+税pp. 281-289(2020)、松尾友矩他、⽔環境⼯学、2800円+税、pp.59-61(2004)
④⼀般財団法⼈産業環境管理協会、新・公害防⽌の技術と法規2020⽔質編、9000円+税pp.281-289(2020)
コマ主題細目 ① ⽔循環による物質の移動 ② 森林の水循環への影響 ③ 栄養塩による流域圏への影響 ④ 流域圏と下⽔道の関係
細目レベル ① 流域の河川は⽔循環の⼀部として機能し、蒸発・降⽔・浸透を経て地下⽔や地表⽔として循環する。地下⽔は降⽔が地中に浸透して形成され、ゆっくりと移動しながら地表に湧出し、再び⽔循環に組み込まれる。表流⽔と表⾯⽔の流速は1 cm/sから数10 cm/sの範囲である。降⽔が流域内を移動する時間の平均値は「平均滞留時間」と呼ばれ、流域の⽔⽂特性を理解するための重要な指標とされる。滞留時間が⻑いほど⽔の流れが遅く、⼟壌や鉱物、⽣物との接触時間が増えるため、⽔質に影響を与える。地下⽔の流速は表流⽔の約100分の1とされるため、地下⽔となった⽔が崖下や沢に湧出するまでに数ヶ⽉から数⼗年かかることがある。特に、上流域で浸透した地下⽔が海岸に達するまでには最低でも20年以上を要するため、⼀度地下⽔が汚染されると影響が⻑期間持続する。
② 流域の河川は水循環の一部として機能しており、水は河川や海洋などから蒸発して雲となり、降水として地表に戻る。海水は蒸発時に塩分が除かれるため、降水は淡水となって飲料水や農業用水の供給源となる。降水は地中へ浸透して地下水となり、湧出して再び河川などに合流する。森林に降る雨は樹冠や幹に捕捉されて蒸発・滴下・樹幹流となるものと、直接地表に届くものに分かれ、林床に達した水は地表流出または土壌へ浸透する。健全な森林では多くが地下水涵養に寄与するが、樹木の太径化が進むと樹冠遮断蒸発が増え、地表に届く降水量は減少する。森林土壌は腐葉土を多く含み浸透性・保水性が高いため、降水の浸透を促進し、地表流出や土壌侵食を抑制して洪水緩和や流量の安定、水質維持に貢献する。これらの働きを森林の水源涵養機能という。
③ ハーバー・ボッシュ法によって空気中の窒素から窒素肥料の⽣産が可能となり、窒素の循環量が増加した。これに伴い、河川や湖沼での富栄養化や地下⽔の硝酸汚染が問題となっている。近年、排⽔処理施設の整備で栄養塩の流⼊量は減少したが、海域の貧栄養化が⽔産資源に影響を与える懸念がある。リンは排⽔処理で微⽣物により除去されるが、多くが焼却されるため、資源循環が進んでいない。窒素化合物は微⽣物によって変化し、地下⽔へ浸透すると汚染を引き起こす。特に農地周辺では硝酸態窒素濃度が⾼く、飲⽤⽔源への影響が懸念される。富栄養化は、湖沼や内湾に栄養塩が過剰流⼊し、藻類が増殖することで⽔質を悪化させる。栄養塩の適切な管理と排⽔対策が必要である。
④ 下⽔道は⽣活排⽔や産業排⽔を処理する施設だけでなく、発⽣源である家庭や⼯場などの産業施設から下⽔処理施設までの配管も含む。下⽔道の配管は、都市から⾬⽔を排⽔する役割も担っている。そのため、都市部に降った⾬は河川に直接流⼊することなく、下⽔処理施設に運ばれた後に河川や海域に放流される。そのため、下⽔道は⼈⼯的に設置した地下にある河川ともいえる。下⽔道に流⼊した⽣活排⽔や産業排⽔の汚濁物質は、好気条件下で微⽣物を⽤いた⽣物学的処理によって除去される。プラスチックなどの担体表⾯に微⽣物が⽣物膜を形成して固定された状態で処理が⾏われるものを⽣物膜法といい、微⽣物同⼠がフロックと呼ばれる塊を形成して処理を⾏うものを活性汚泥法という。下⽔道で消費されるエネルギーが極めて⼤きいことが問題となっている。
キーワード ① 地下⽔ ② 滞留時間 ③ 硝化・脱窒 ④ 富栄養化・貧栄養化 ⑤ ⽣物学的処理
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:今回は第2部でとりあげた⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響についてまとめとして、⽔循環による物質の移動と栄養塩による流域圏への影響、下⽔道による浄化を取り上げた。キーワードであげた地下⽔、滞留時間、硝化・脱窒、富栄養化・貧栄養化、⽣物学的処理について例をあげて説明できる様にしておくとよい。また、⼩テストによって理解状況を把握し、理解が不⾜している部分については改めて進捗確認のための課題を課す場合もある。講義の内容には化学と⽣物の内容を含むため、各回のシラバスを確認して⾼校・中学の教科書や参考書を事前に復習しておくとよい。
予習:次回は有機化学物質による地下⽔汚染についての講義を⾏うため、その内容について化学や⽣物の教科書やインターネットなどで確認することとする。

11 有機化学物質による地下水汚染 科目の中での位置付け 有機化学物質による地下⽔汚染科⽬の中での位置付け今⽇の社会では⾃然環境や⽣物に配慮した⼈間活動を行う必要がある。そのためには、環境や⽣物内での物質のふるまいに関する知識を習得することが必要である。森林⽣態系や⼟壌⽣態系を含めた⽣態系は、⽔循環とそれに担われている物質循環によって強く結びついており、それぞれの系のみを考えた環境保全や管理をすることは実際には難しい。また、⼈間の経済活動も⽔循環を介して密接に繋がっており、⼭間部と沿岸部と完全に独⽴させて環境保全や管理を考えることは難しい側⾯がある。そのためには、全体を俯瞰したうえで空間スケールの階層ごとや特定の部分での環境保全や管理の在り⽅を理解する必要がある。具体的には、第1回から第5回までは導⼊として時代による流域と⼈間の活動を説明する。第6回から第10回は第2部として⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響、第11回から第14回では⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響について説明する。第15回は全体をまとめることで知識の定着を図る。第11回⽬では、⽣産活動が流域に及ぼす影響を理解するために有機化学物質による地下⽔汚染を取り扱う。
各細⽬レベルに対応する資料は以下のものである。
①松尾知矩他、⽔環境⼯学、2800円+税、pp.50-51(2004)
②森⼭登、寺尾通徳、川⽥邦明、植村達夫、⽩井⽂雄、トリクロロエチレンの⼟壌微⽣物による分解、衛⽣化学、34巻、4号、p. 366-370(1988)
③⼀般財団法⼈産業環境管理協会、新・公害防⽌の技術と法規2020⽔質編、9000円+税pp.281-289(2020)
コマ主題細目 ① 地下⽔汚染を引き起こす有機化学物質 ② 地下⽔や⼟壌中での有機化学物質の⽣物による変化 ③ 有機化学物質の除去
細目レベル ① 地下⽔の汚染源には、重⾦属や硝酸態窒素に加えて、有機化学物質が含まれる。地下⽔を汚染する有機化学物質の多くは⼟壌に吸着されにくく、地下へ浸透しやすい特徴を持つ。また、それらは揮発性が⾼く、粘性が低く、微⽣物によって分解されにくい性質がある。代表的な物質として、ドライクリーニングや半導体の脱脂剤として使⽤されてきたトリクロロエチレンが挙げられる。トリクロロエチレンは揮発性有機化合物(VOC)に分類され、河川などの地表⽔では揮発によって濃度が低下しやすいが、地下⽔では蓄積しやすい。また、フッ素を含む有機化学物質であるPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)やPFOA(ペルフルオロオクタン酸)も地下⽔汚染の要因となり、⼈体や⽣態系への影響が懸念されている。
② ⼟壌には⽷状菌や細菌、放線菌、原⽣⽣物、藻類などの多様な微⽣物が存在している。⼟壌に⽣息する微⽣物の作⽤によって有機化学物質の分解や構造変化が⽣じる。例えば、トリクロロエチレンは塩素原⼦を含む揮発性有機化合物であり、特定の微⽣物によって塩素が⽔素に置換される脱塩素反応を受け、ジクロロエチレンや塩化ビニルを経て、最終的に毒性の低いエチレンへと変化する。脱塩素反応は、ダイオキシンなどの毒性の⾼い有機化学物質を低毒性化する⼿法としても注⽬されている。これらの反応は主に酸素が存在しない嫌気的な環境で進⾏し、酸素は脱塩素を⾏う微⽣物にとって有害となる。そのため、脱塩素反応を活性化させるためには、適切な環境条件を整える必要がある。
③ トリクロロエチレンなどの揮発性有機化合物は、⼤気中への揮発を促すことで除去が可能である。ばっ気などによって⽔や⼟壌を⼤気に曝露させると、揮発性有機化合物は放出される。⼤気中ではOHラジカルとの反応により、約3〜7⽇で半減するとされる。また、トリクロロエチレンは⽔に溶けにくい疎⽔性物質であるため、活性炭を⽤いた吸着除去が有効であり、⽔道⽔質基準である0.01 mg/L以下に濃度を低下させることができる。さらに、過マンガン酸塩を⽤いた酸化分解によって、トリクロロエチレンは⼆酸化炭素と塩化物イオンへと分解される。その他、光触媒である⼆酸化チタン(酸化チタン)や、⾦属鉄の酸化還元反応を利⽤した分解技術も有効な処理⽅法として研究が進められている。
キーワード ① 揮発性有機化合物 ② 揮散 ③ 脱塩素 ④ 吸着 ⑤ 酸化
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:今回は有機化学物質による地下⽔汚染として地下⽔汚染を引き起こす有機化学物質や地下⽔や⼟壌中での有機化学物質の変化、有機化学物質の除去⽅法を取り上げた。キーワードであげた揮発性有機化合物、揮散、脱塩素、吸着、酸化について例をあげて説明できる様にしておくとよい。また、⼩テストによって理解状況を把握し、理解が不⾜している部分については改めて進捗確認のための課題を課す場合もある。講義の内容には化学と⽣物の内容を含むため、各回のシラバスを確認して⾼校・中学の教科書や参考書を事前に復習しておくとよい。
予習:次回は流域を移動するごみとしてマイクロプラスチックに焦点をあてた講義を⾏うため、その内容について化学や⽣物の教科書やインターネットなどで確認することとする。

12 流域を移動するごみ 科目の中での位置付け 流域を移動するごみ科⽬の中での位置付け今⽇の社会では⾃然環境や⽣物に配慮した⼈間活動を行う必要がある。そのためには、環境や⽣物内での物質のふるまいに関する知識を習得することが必要である。森林⽣態系や⼟壌⽣態系を含めた⽣態系は、⽔循環とそれに担われている物質循環によって強く結びついており、それぞれの系のみを考えた環境保全や管理をすることは実際には難しい。また、⼈間の経済活動も⽔循環を介して密接に繋がっており、⼭間部と沿岸部と完全に独⽴させて環境保全や管理を考えることは難しい側⾯がある。そのためには、全体を俯瞰したうえで空間スケールの階層ごとや特定の部分での環境保全や管理の在り⽅を理解する必要がある。具体的には、第1回から第5回までは導⼊として時代による流域と⼈間の活動を説明する。第6回から第10回は第2部として⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響、第11回から第14回では⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響について説明する。第15回は全体をまとめることで知識の定着を図る。第12回⽬では、⽣産活動が流域に及ぼす影響を理解するために流域を移動するごみを取り扱う。
各細⽬レベルに対応する資料は以下のものである。
①原⽥禎夫、河川のごみ問題からみる容器包装リサイクル制度の課題、環境経済・政策研究、8巻、1号、pp. 95-99(2014)
②⼤塚佳⾂、⾼⽥秀重、⼆瓶泰雄、⻲⽥豊、⻄川可穂⼦、マイクロプラスチック汚染研究の現状と課題、⽔環境学会誌、44巻、2号、pp.35-42(2021)
③⼤塚佳⾂、⾼⽥秀重、⼆瓶泰雄、⻲⽥豊、⻄川可穂⼦、マイクロプラスチック汚染研究の現状と課題、⽔環境学会誌、44巻、2号、pp.35-42(2021)
コマ主題細目 ① プラスチックごみの発⽣と移動 ② プラスチックごみの汚染状況 ③ マイクロプラスチックへの微量汚染物質の吸着
細目レベル ① プラスチックは⽯油を原料とし、軽量かつ安価であり、耐⽔性に優れる。そのため、包装や容器として広く利⽤されている。さらに、プラスチックは腐⾷しないことから、漁網やブイなどの⽤途にも使⽤される。しかし、多くのプラスチックは⽣分解性が低く、環境中に⻑期間残留する。海岸の漂着ごみのうち約95%は陸域から流出したものであり、河川を通じて海に運ばれている。河川で回収されるプラスチックごみの多くは、⾷品包装、ペットボトル、プラスチック袋、容器のフタなどである。これらのごみは流域で発⽣し、降⾬による流出や⾵の影響を受けて移動する。流域内の適切なごみ管理が、海洋汚染の抑制につながるため、プラスチックごみの発⽣源対策が重要となる。
② プラスチックは密度が低く⽔⾯を漂いやすく、紫外線によって劣化しやすい。そのため、プラスチックごみは時間とともに紫外線によって劣化する。劣化したプラスチックは強度が低下するため、波や摩擦の影響で破砕され、5mm以下のマイクロプラスチックとなる。マイクロプラスチックは、動物プランクトンなどの⼩型⽣物から⿂類や⾙類、甲殻類に移動し、⾷物連鎖を通じて海⿃や⼤型⿂類、哺乳類に移動する。2016年時点で165種の海⿃、2020年時点で427種の⿂類からプラスチック摂取が確認されている。また、⼈間の体内からもマイクロプラスチックが検出されている。流域を流れた河川の到達点である海洋におけるマイクロプラスチックの調査研究は進んでいるが、河川などの陸域での汚染状況は⼗分に解明されていない。
③ プラスチックは海⽔より⽐重が⼩さいが、微⽣物が付着することで形成される⽣物膜によって⽐重が増し、沈降して海底に移動する。東京湾などの都市沿岸部の堆積物には、過去に使⽤禁⽌となったポリ塩化ビフェニル(PCB)などの有機汚染物質が蓄積しており、マイクロプラスチックがそれらを吸着することが確認されている。さらに、⽣物膜が剥離することでマイクロプラスチックは再浮上し、吸着した汚染物質を広範囲に移動させる可能性がある。これにより、⽔⽣⽣物が汚染物質を摂取しやすくなり、⾷物連鎖を通じた⽣物濃縮が進む懸念がある。マイクロプラスチックの特性と汚染物質の相互作⽤を解明することが、汚染リスクの評価や対策の検討において重要となる。
キーワード ① プラスチック ② 紫外線 ③ 吸着 ④ 疎⽔性 ⑤ ⽐重
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:今回は流域を移動するごみとしてプラスチックに焦点をあて、プラスチックごみの発⽣と移動、それによる汚染状況とマイクロプラスチックへの変化、マイクロプラスチックへの微量汚染物質の吸着を取り上げた。キーワードであげたプラスチック、紫外線、吸着、疎⽔性、⽐重について例をあげて説明できる様にしておくとよい。また、⼩テストによって理解状況を把握し、理解が不⾜している部分については改めて進捗確認のための課題を課す場合もある。講義の内容には化学と⽣物の内容を含むため、各回のシラバスを確認して⾼校・中学の教科書や参考書を事前に復習しておくとよい。
予習:次回はすでに⽣産活動が終了している休廃⽌鉱⼭から排出される汚染された排⽔の処理についての講義を⾏うため、その内容について化学や⽣物の教科書やインターネットなどで確認することとする。

13 休廃止鉱山での汚染浄化 科目の中での位置付け 休廃⽌鉱⼭での汚染浄化科⽬の中での位置付け今⽇の社会では⾃然環境や⽣物に配慮した⼈間活動を行う必要がある。そのためには、環境や⽣物内での物質のふるまいに関する知識を習得することが必要である。森林⽣態系や⼟壌⽣態系を含めた⽣態系は、⽔循環とそれに担われている物質循環によって強く結びついており、それぞれの系のみを考えた環境保全や管理をすることは実際には難しい。また、⼈間の経済活動も⽔循環を介して密接に繋がっており、⼭間部と沿岸部と完全に独⽴させて環境保全や管理を考えることは難しい側⾯がある。そのためには、全体を俯瞰したうえで空間スケールの階層ごとや特定の部分での環境保全や管理の在り⽅を理解する必要がある。具体的には、第1回から第5回までは導⼊として時代による流域と⼈間の活動を説明する。第6回から第10回は第2部として⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響、第11回から第14回では⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響について説明する。第15回は全体をまとめることで知識の定着を図る。第13回⽬では、⽣産活動が流域に及ぼす影響を理解するために休廃⽌鉱⼭での汚染浄化を取り扱う。
各細⽬レベルに対応する資料は以下のものである。
①独⽴⾏政法⼈⽯油天然ガス・⾦属鉱物資源機構、⽶ぬかともみがらの活⽤で⽇本の鉱害防⽌事業が変わる︕坑廃⽔処理の新常識、JOGMEC News、Vol.67、pp.2-7(2022)
②所千晴、加藤達也、坑廃⽔処理における⽔酸化物への共沈機構、地球化学、第54巻き、pp.5-14(2020)
③濱井昂弥、堀内健吾、古川創、休廃⽌鉱⼭坑廃⽔処理へのパッシブトリートメントの適⽤可能性に関する検討。環境資源⼯学、第69巻、pp.71–79(2022)
コマ主題細目 ① 休廃⽌廃鉱⼭ ② 鉱⼭廃⽔の⼀般的な処理⽅法 ③ ⽣物反応を利⽤した省コスト型の処理⽅法
細目レベル ① ⽇本は明治時代に多くの鉱⼭を開発し、世界有数の銅や銀の⽣産国であった。しかし、開発途上国での鉱⼭開発の進展により、⼩規模鉱⼭が⼤半を占めていた⽇本の鉱⼭の多くは休⽌または閉⼭している。休⽌もしくは閉⼭した鉱⼭は休廃⽌鉱⼭と呼ばれ、⽇本国内には約5,000カ所存在する。79カ所の休廃⽌鉱⼭では、現在も重⾦属を含む鉱⼭廃⽔が排出されている。これらの休廃⽌鉱⼭から発⽣する鉱⼭廃⽔は適切に処理されているが、処理を担う企業や⾃治体は年間数億円規模のコストを負担している。鉱⼭廃⽔の発⽣は降⽔や地下⽔に由来するため、半永久的に続くと考えられる。そのため、休廃⽌鉱⼭から発⽣する鉱⼭廃⽔の処理は、処理を担う企業や⾃治体にとって⼤きな課題である。
② 鉱⼭廃⽔には、その鉱⼭で産出された⾦属元素が含まれることが多い。多くの鉱⽯は硫化鉱であり、酸素を含む降⾬などと接触することで酸化し、硫酸を含む酸性廃⽔を⽣成する。そのため、鉱⼭廃⽔の処理は、主に中和によって⾦属を低溶解度の化合物として析出させた後に沈殿除去する⽅法が⽤いられる。そのときの中和には、⽔酸化カルシウムや炭酸カルシウムが使⽤される。pHメーターや薬剤投⼊装置を備えた処理システムによって⾃動で処理が⾏われ、薬剤はpHをモニタリングしながら添加される。しかし、必要な機器や薬剤のコストは⼩さくない。コストの問題はあるが、流⼊⽔量の変動に対応ができるため、休廃⽌鉱⼭から発⽣する鉱⼭廃⽔の処理で使⽤されている。
③ 休廃⽌鉱⼭における鉱⼭廃⽔の処理では、⾃然現象や⾃然作⽤などを積極的に利⽤して浄化する「パッシブトリートメント」の導⼊が検討されている。この⼿法は欧⽶で50年以上前から実地試験が⾏われ、実際の鉱⼭廃⽔に使⽤されている。パッシブトリートメントは、低コストで環境負荷を抑えた処理が可能とされる。パッシブトリートメントでは、植物や微⽣物、腐葉⼟などを組み合わせて処理システムが構築される。主に、微⽣物を⽤いた処理では、酸化細菌と還元細菌が使⽤され、微⽣物のエネルギー源となる⽶ぬかと微⽣物の担体として機能するもみ殻を添加剤として利⽤する⽅法が研究されている。しかし、パッシブトリートメントの短所として⽔量変化への対応が難しいことがある。
キーワード ① 休廃⽌鉱⼭ ② 鉱⼭廃⽔ ③ 中和 ④ 酸化還元反応 ⑤ 未利⽤資源
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:今回は⽣産活動が終了している休廃⽌鉱⼭から排出される汚染された排⽔の処理について、休廃⽌鉱⼭と鉱⼭廃⽔の処理⽅法について⽣物反応を利⽤した新しい処理⽅法を取り上げた。キーワードであげた休廃⽌鉱⼭、鉱⼭廃⽔、中和、酸化還元反応、未利⽤資源について例をあげて説明できる様にしておくとよい。また、⼩テストによって理解状況を把握し、理解が不⾜している部分については改めて進捗確認のための課題を課す場合もある。講義の内容には化学と⽣物の内容を含むため、各回のシラバスを確認して⾼校・中学の教科書や参考書を事前に復習しておくとよい。
予習:次回はイタイイタイ病の原因元素として知られるカドミウムの汚染に関する講義を⾏うため、その内容について化学や⽣物の教科書やインターネットなどで確認することとする。

14 人間の生産活動が流域に及ぼす影響 科目の中での位置付け ⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響科⽬の中での位置付け今⽇の社会では⾃然環境や⽣物に配慮した⼈間活動を行う必要がある。そのためには、環境や⽣物内での物質のふるまいに関する知識を習得することが必要である。森林⽣態系や⼟壌⽣態系を含めた⽣態系は、⽔循環とそれに担われている物質循環によって強く結びついており、それぞれの系のみを考えた環境保全や管理をすることは実際には難しい。また、⼈間の経済活動も⽔循環を介して密接に繋がっており、⼭間部と沿岸部と完全に独⽴させて環境保全や管理を考えることは難しい側⾯がある。そのためには、全体を俯瞰したうえで空間スケールの階層ごとや特定の部分での環境保全や管理の在り⽅を理解する必要がある。具体的には、第1回から第5回までは導⼊として時代による流域と⼈間の活動を説明する。第6回から第10回は第2部として⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響、第11回から第14回では⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響について説明する。第15回は全体をまとめることで知識の定着を図る。第14回⽬では、⽣産活動が流域に及ぼす影響のまとめをおこなう。
各細目レベルに対応する資料は以下のものである。
①松尾知矩他、水環境工学、2800円+税、pp.50-51(2004)
森山登、寺尾通徳、川田邦明、植村達夫、白井文雄、トリクロロエチレンの土壌微生物による分解、衛生化学、34巻、4号、p. 366-370(1988)
一般財団法人産業環境管理協会、新・公害防止の技術と法規2020水質編、9000円+税pp. 281-289(2020)
②原田禎夫、河川のごみ問題からみる容器包装リサイクル制度の課題、環境経済・政策研究、8巻、1号、pp. 95-99(2014)
大塚佳臣、高田秀重、二瓶泰雄、亀田豊、西川可穂子、マイクロプラスチック汚染研究の現状と課題、水環境学会誌、44巻、2号、pp.35-42(2021)
③独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、米ぬかともみがらの活用で日本の鉱害防止事業が変わる!坑廃水処理の新常識、JOGMEC News、Vol.67、pp.2-7(2022)
所千晴、加藤達也、坑廃水処理における水酸化物への共沈機構、地球化学、第54巻き、pp.5‒14(2020)
濱井昂弥、堀内健吾、古川創、休廃止鉱山坑廃水処理へのパッシブトリートメントの適用可能性に関する検討。環境資源工学、第69巻、pp.71–79(2022)
④環境省(2022)、環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書、p.257
公害防止の技術と法規 編集委員会、公害防止の技術と法規2020水質編、9000円+税、pp.389-407(2020)
コマ主題細目 ① 有機化学物質による地下水汚染 ② 流域を移動するごみ ③ 休廃止鉱山での汚染浄化
細目レベル ① 地下水の汚染源の一つに、有機化学物質がある。これらは土壌に吸着されにくく、浸透して地下水に到達しやすい。それらの有機化学物質は、揮発性が高く、粘性が低く、微生物による分解を受けにくいものが多い。代表的なものに、ドライクリーニングや金属洗浄に使用されるトリクロロエチレンがあり、これは揮発性有機化合物(VOC)に分類される。地下水を汚染する有機化学物質としては、フッ素を含むPFOSやPFOAも挙げられ、これらは生態系や人体への悪影響が指摘されている。揮発性有機化合物は水に溶けにくく、疎水性が高いため、地下水からの除去には活性炭などの吸着材が有効である。また、トリクロロエチレンは微生物による脱塩素反応によって、毒性の低いエチレンに変化することが可能であり、バイオレメディエーションによる分解処理が研究されている。
② 海岸に漂着するごみのうち、約95%は陸地から発生し、河川を通じて海へ流出している。特に多いのは食品の包装・容器、ペットボトル、プラスチック袋、容器のフタなどである。これらのプラスチックごみは、流域で発生し、河川を経由して海域に運ばれている。プラスチックは密度が低く、水面を漂うため、紫外線によって劣化しやすい。劣化したプラスチックは、波の衝撃などの物理的な力によって破砕され、微細化することでマイクロプラスチックとなる。マイクロプラスチックは動物プランクトンや貝類、魚類、海鳥などによって摂食され、食物連鎖を通じて生態系に影響を与える可能性がある。また、疎水性の有機化学物質がマイクロプラスチック表面に吸着することで、汚染物質の拡散や生物への蓄積が促進されることも懸念されている。
③ 日本では明治以降、多くの鉱山が開発されたが、現在ではそのほとんどが休止または閉山している。休廃止鉱山は全国に約5,000カ所あり、そのうち79カ所では現在も重金属を含む鉱山廃水が排出されている。これらの鉱山廃水の処理には多大なコストがかかり、民間企業や地方自治体は年間数億円規模の維持費を負担している。鉱石の多くは硫化鉱であり、降雨などによって酸化し、硫酸を含む酸性鉱山廃水を生じる。通常の処理方法としては、中和剤を用いた処理が行われるが、近年では、自然の力を利用する「パッシブトリートメント」が注目されている。これは、微生物や植物の浄化作用を活用し、エネルギー消費を抑えつつ鉱山廃水の浄化を行う技術であり、欧米では実用化が進んでいる。
キーワード ① 揮発性有機化合物 ② マイクロプラスチック ③ 休廃止鉱山 ④ 水酸化物 ⑤ 吸着
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:今回は第3部の⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響のまとめとして、有機化学物質による地下⽔洗、流域を移動するごみであるプラスチック、休廃⽌鉱⼭からの排⽔を取り上げた。キーワードであげた揮発性有機化合物、マイクロプラスチック、休廃⽌鉱⼭、⽔酸化物、吸着について例をあげて説明できる様にしておくとよい。また、⼩テストによって理解状況を把握し、理解が不⾜している部分については改めて進捗確認のための課題を課す場合もある。講義の内容には化学と⽣物の内容を含むため、各回のシラバスを確認して⾼校・中学の教科書や参考書を事前に復習しておくとよい。
予習:次回は全体をまとめるためこれまでの講義資料を確認することとする。

15 まとめ 科目の中での位置付け まとめ科⽬の中での位置付け今⽇の社会では⾃然環境や⽣物に配慮した⼈間活動を行う必要がある。そのためには、環境や⽣物内での物質のふるまいに関する知識を習得することが必要である。森林⽣態系や⼟壌⽣態系を含めた⽣態系は、⽔循環とそれに担われている物質循環によって強く結びついており、それぞれの系のみを考えた環境保全や管理をすることは実際には難しい。また、⼈間の経済活動も⽔循環を介して密接に繋がっており、⼭間部と沿岸部と完全に独⽴させて環境保全や管理を考えることは難しい側⾯がある。そのためには、全体を俯瞰したうえで空間スケールの階層ごとや特定の部分での環境保全や管理の在り⽅を理解する必要がある。具体的には、第1回から第5回までは導⼊として時代による流域と⼈間の活動を説明する。第6回から第10回は第2部として⼈間の⽣活が流域に及ぼす影響、第11回から第14回では⼈間の⽣産活動が流域に及ぼす影響について説明する。第15回は全体をまとめることで知識の定着を図る。第15回⽬では、全体のまとめをおこなう。
各細目レベルに対応する資料は以下のものである。
①環境省、令和5年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書、p.193(2023)
内閣官房水循環政策本部事務局、流域マネジメントの手引き 改定版、p.6(2024)
公益財団法人リバーフロント研究所、RIVER FRONT、81巻、pp.2-5(2015)
松浦茂樹、石井翔太郎、足尾山地における鉱毒問題、水利科学、No.515、pp.59-78(2010)
風間聡、峠嘉哉、渡辺一也、小森大輔、横尾善之、糠澤桂、河川工学、理工図書、pp.63-100、105-108、125-133、160-165(2020)
②馬籠純、竹内邦良、金丸茂男、石平博、ダム貯水池による河川水の流域内滞留時間の変化に関する検討、水工学論文集、46巻、pp.295-300(2002)
内閣官房水循環政策本部事務局、地下水マネジメントの手順書、pp.72-76(2018)
北尾高嶺、浄化槽の基礎知識、日本環境整備教育センター、pp.318-322、348(1996)
松尾友矩他、水環境工学、2800円+税、pp.59-61(2004)
一般財団法人産業環境管理協会、新・公害防止の技術と法規2020水質編、9000円+税pp. 281-289(2020)
③松尾知矩他、水環境工学、2800円+税、pp.50-51(2004)
森山登、寺尾通徳、川田邦明、植村達夫、白井文雄、トリクロロエチレンの土壌微生物による分解、衛生化学、34巻、4号、p. 366-370(1988)
一般財団法人産業環境管理協会、新・公害防止の技術と法規2020水質編、9000円+税pp. 281-289、389-407(2020)
原田禎夫、河川のごみ問題からみる容器包装リサイクル制度の課題、環境経済・政策研究、8巻、1号、pp. 95-99(2014)
大塚佳臣、高田秀重、二瓶泰雄、亀田豊、西川可穂子、マイクロプラスチック汚染研究の現状と課題、水環境学会誌、44巻、2号、pp.35-42(2021)
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、米ぬかともみがらの活用で日本の鉱害防止事業が変わる!坑廃水処理の新常識、JOGMEC News、Vol.67、pp.2-7(2022)
所千晴、加藤達也、坑廃水処理における水酸化物への共沈機構、地球化学、第54巻き、pp.5‒14(2020)
濱井昂弥、堀内健吾、古川創、休廃止鉱山坑廃水処理へのパッシブトリートメントの適用可能性に関する検討。環境資源工学、第69巻、pp.71–79(2022)
環境省(2022)、環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書、p.257
畑明郎、非鉄金属鉱業の公害、まてりあ、第45巻、第4号、pp.252-255(2006)
コマ主題細目 ① 流域と人間の活動 ② 人間の生活が流域に及ぼす影響 ③ 人間の生産活動が流域に及ぼす影響
細目レベル ① 流域とは、降水が集まる領域を指し、水循環や生態系と密接に関係する。流域圏は、水資源や生態系の保全と人間活動の調整を行うための地域的なまとまりであり、流域マネジメントが求められる。水循環基本法に基づき、官民連携のウォータープロジェクトが進められている。日本では、明治以前は流域圏を基盤に生活が営まれていたが、産業革命や高度経済成長により、森林の荒廃や鉱山開発が進み、環境が変化した。近年、洪水対策として堤防の建設が進められ、1997年の河川法改正により「多自然型川づくり」への転換が図られている。しかし、ダムや堰によって沿岸の砂浜浸食や水生生物の回遊阻害が問題となり、水生生物の回遊阻害の影響を低減するために魚道の設置などの対策が行われている。
② 流域の河川は水循環の一部として機能し、降水は地下水や地表水として循環する。地下水は浸透後に長期間移動し、湧出までに数ヶ月から数十年かかる。特に上流域で浸透した水が海岸に達するには20年以上を要し、一度汚染されると影響が持続する。ハーバー・ボッシュ法により窒素肥料の生産が増え、富栄養化や地下水の硝酸汚染が問題となった。排水処理施設の整備で栄養塩流入は減少したが、海域の貧栄養化が水産資源に影響を与えている。下水道は生活排水を処理するだけでなく、雨水を都市から迅速に排出する地下の河川としての機能を有している。排水の処理には生物膜法や活性汚泥法が用いられ、微生物による汚濁物質の除去が行われる。しかし、下水処理には大量のエネルギーが必要であり、環境負荷の低減が課題となっている。
③ 流域では多くの⼈間が⽣活をし、それによって⽣じた廃棄物や副産物が流域に影響を及ぼしている。地下⽔汚染の原因の⼀つに、有機化学物質がある。トリクロロエチレンやPFOS、PFOAは⼟壌を通過しやすく、微⽣物分解を受けにくい。これらは活性炭吸着や微⽣物による脱塩素反応で除去が可能とされている。また、プラスチックごみの多くは河川を経由して海へ流出し、紫外線や物理的作⽤でマイクロプラスチックとなる。これらは⽣物に摂取され、⾷物連鎖を通じて影響を与えるほか、汚染物質の吸着・拡散を助⻑する可能性がある。休廃⽌鉱⼭では重⾦属を含む鉱⼭廃⽔が排出される。中和処理が⼀般的だが、微⽣物や植物を活⽤する「パッシブトリートメント」が注⽬されている。引き起こした。現在では浄化処理が進み、定期的なモニタリングが実施されている。
キーワード ① 流域圏 ② 流域資源 ③ 下水道 ④ 難生物分解性物質 ⑤ 鉱山
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:今回は第1部の流域と人間の活動と第2部の人間の生活が流域に及ぼす影響、第3部の間の生産活動が流域に及ぼす影響を含めた全体のまとめをおこなった。流域がどのように生態系と結びついており、どのように環境保全や管理を行うべきかを説明した。そのためには、キーワードであげた流域圏、流域資源、下水道、難生物分解性物質、鉱山について例をあげて説明できる様にしておくとよい。また、小テストによって理解状況を把握し、理解が不足している部分については改めて進捗確認のための課題を課す場合もある。講義の内容には化学と生物の内容を含むため、各回のシラバスと配付資料を確認して高校・中学の教科書や参考書を事前に復習しておくとよい。
履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
流域圏の概念理解 流域の境界線を示し、その境界線によって生じる生態系での特徴を説明することができる。流域圏の定義を説明し、流域圏が構成される土壌を含めた要素を水の循環の説明と併せて具体的な事例を示して説明することができる。流域の管理を行うための方法の指針を示す水循環基本計画と連携して活動することが求められるステークホルダーを示し、表有されるべき水量や水質などの情報によって取り組むべきプロジェクトとSDGsの関係について説明できる。 流域圏、水循環基本計画、ウォータープロジェクト 20 1-3、5、15
流域圏での物質の移動 流域圏を流れる表層⽔と地下⽔の流速がどれだけ異なるかを数値で⽰すことができる。森林の水循環に対する影響について、水の動きを中心として説明できる。表層⽔と地下⽔が様々な要因で汚染物質が混⼊した場合にどのような影響が⽣じ、⾃然の浄化機能でどれだけの時間を必要とするかを説明できる。産業⾰命以前と以後について、⽣産活動が流域資源から離れていく理由について、流域圏での河川の役割に着⽬して説明することができる。また、河川に設置する構造物の機能と⽣態系に及ぼす影響について説明できる。 表層水、地下水、流域資源 20 3-8、15
人間の活動が地下水に与える影響 施肥によって流域に投入されたアンモニア態窒素は、土壌中の微生物による硝化・脱窒反応によって、アンモニア態窒素から硝酸態窒素に酸化され、硝酸態窒素は地下水に蓄積される。窒素循環の観点から説明するとともに、土壌の物理化学的性質とアンモニア態窒素と硝酸態窒素の物理化学的特性から硝酸態窒素が地下水を汚染する理由を説明できる。施肥されたリンの地下水に対する影響が、窒素と比較して小さい理由をリンの化学的な特性から説明できる。 栄養塩、硝化・脱窒、リン 20 8-10、15
人間の活動が表層水に与える影響 下水処理施設での窒素とリン除去のメカニズムを含めて説明することができ、下水道によって生じた海域の貧栄養化についてその理由と貧栄養とともに生じる世界規模での環境問題の関係について説明することができる。海域で回収されるごみの大部分がプラスチックであり、そのプラスチックは流域から生じている。プラスチックがマイクロプラスチックに変化するメカニズムと、マイクロプラスチックによる生態系への影響について、プラスチックと微量汚染物質の物理化学的特性から説明できる。 生物学的処理、富栄養化・貧栄養化、マイクロプラスチック 20 9-12、14-15
人間の生産活動が流域圏に及ぼす影響 産業革命にともなって鉱山が開発されてきた。海外からの鉱物資源の輸入によって日本の鉱山のほとんどが休止もしくは閉山しているが、重金属を含む排水が現在も排出されている。このような鉱山廃水を処理するために用いられる方法について説明し、その化学反応とその処理に必要なコストについて算出することができる。また、省コスト型の処理方法としてパッシブトリートメントがあるが、パッシブトリートメントと従来型の処理方法の違いについて、お互いを比較した場合の利点と欠点を示して説明することができる。
生産活動によって排出された有機化学物質の土壌や地下水での変化について、脱塩素反応を用いて説明することができる。
鉱山廃水、中和反応、脱塩素反応 20 13-15
評価方法 期末試験(100%)により行う。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 なし
参考文献 一般財団法人産業環境管理協会、新・公害防止の技術と法規2020水質編、9000円+税(2020)、松尾友矩他、水環境工学、2800円+税(2004)、北尾高嶺、浄化槽の基礎知識、日本環境整備教育センター(1996)、環境省、令和5年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書、内閣官房水循環政策本部事務局、流域マネジメントの手引き 改定版(2024)、内閣官房水循環政策本部事務局、地下水マネジメントの手順書、(2018)、石油天然ガス鉱物資源機構鉱物資源マテリアルフロー2011 ヒ素(As)(2012)、公益財団法人リバーフロント研究所、RIVER FRONT、81巻(2015)、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、米ぬかともみがらの活用で日本の鉱害防止事業が変わる!坑廃水処理の新常識、JOGMEC News、Vol.67(2022)、松浦茂樹、石井翔太郎、足尾山地における鉱毒問題、水利科学、No.515、pp.59-78(2010)、馬籠純、竹内邦良、金丸茂男、石平博、ダム貯水池による河川水の流域内滞留時間の変化に関する検討、水工学論文集、46巻、pp.295-300(2002)、森山登、寺尾通徳、川田邦明、植村達夫、白井文雄、トリクロロエチレンの土壌微生物による分解、衛生化学、34巻、4号、p. 366-370(1988)、原田禎夫、河川のごみ問題からみる容器包装リサイクル制度の課題、環境経済・政策研究、8巻、1号、pp. 95-99(2014)、大塚佳臣、高田秀重、二瓶泰雄、亀田豊、西川可穂子、マイクロプラスチック汚染研究の現状と課題、水環境学会誌、44巻、2号、pp.35-42(2021)、所千晴、加藤達也、坑廃水処理における水酸化物への共沈機構、地球化学、第54巻き、pp.5‒14(2020)、濱井昂弥、堀内健吾、古川創、休廃止鉱山坑廃水処理へのパッシブトリートメントの適用可能性に関する検討、環境資源工学、第69巻、pp.71–79(2022)、畑明郎、非鉄金属鉱業の公害、まてりあ、第45巻、第4号、pp.252-255(2006)
実験・実習・教材費 なし