| 回 | 主題 | コマシラバス項目 | 内容 | 教材・教具 |
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1
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生態系機能とは
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科目の中での位置付け
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本科目では,生態系機能を評価する意義を理解した上で,その具体的な評価方法について対象とする代表的な環境要素ごと(土壌圏,水圏,森林圏)に示す.第1回から第4回では生態系機能及びその評価について,その必要性の観点を含めて学ぶ.第5回から第9回では土壌圏について,土壌生態系機能の概要からそれを支える事項,さらには汚染や劣化までを含めて生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第10回と第11回では水圏について,河川,氾濫原,沿岸域,海洋という区分において生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第12回と第13回では森林圏について,樹木,森林土壌を対象として生態系機能の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第14回では水圏及び森林圏の生態系機能評価について総括し,それらの関連性について確認する.第15回では,改めて生態系機能とは何かを踏まえ,その評価の必要性と具体的な方法,環境要素を跨いだ関連性について確認する. このような授業展開において,第1回は『生態系の機能と社会』でも学んだ,生態系機能とは何か,について確認を行う.
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以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる. ① 鷲谷いづみ(2018)『新版 絵でわかる生態系のしくみ』講談社, 32-33頁. D. サダヴァ他, 石田泰樹・斎藤成也 監訳(2014)『大学生物学の教科書 第5巻生態学』講談社, 13-21頁. A. Mackenzie, A.S. Ball, S.R. Virdee, 岩城英夫訳(2001)『生態学キーノート』シュプリンガー・フェアラーク東京, 1-2頁, 173-177頁. ② 宮下直・瀧本岳・鈴木牧・佐野光彦(2017)『生物多様性概論』朝倉書店,19-22頁. 鷲谷いづみ(2018)『新版 絵でわかる生態系のしくみ』講談社, 26-27頁. 森章(2018)『生物多様性の多様性』共立出版, 123-164頁. 東北大学生態適応グローバルCOE 編(2013)『生態適応科学』, 16-54頁. J.ロックストローム(著)武内和彦(監修)谷淳也・津高政志・蓑輪智子・北村恵以子・高橋愛・眞鍋由実・吉田哲郎・森秀行(訳)(2018)『小さな地球の大きな世界 プラネタリ―・バウンダリーと持続可能な開発』丸善出版,59-81頁. ③ 環境省(2020)令和元年度第2回生物多様性及び生態系サービスの総合評価に関する検討会.配布資料参考-1「生態系サービスとNCPの関係」
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コマ主題細目
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① 生態系とは ② 生態系機能と生態系サービス ③ NCP(自然がもたらすもの:Nature Contributions to People)
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細目レベル
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① 「生態系」という言葉については1年次配当科目の「生態系の機能と社会」でも学んでいるが,ここで改めて確認をする.生態系の定義は,教科書によって様々な表現があるが,「ある空間におけるすべての動物,植物および物理的相互作用を含むもの」「生物とその生物が相互作用する外部環境をまとめたもの」「生物とそれを取り巻く非生物的な環境からなるシステム」などとされる.その構成要素は,生産者,消費者,分解者などと区分される生物的要素と,光,水,温度,空気,土壌などの非生物的要素がある.それらの要素がお互いに関わりを持って(相互作用によって)秩序を保っており,その結果,物質の移動や形態の変化,つまり物質循環が形成される.
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② 生態系内の生物間や,生物的要素と非生物的要素(非生物的環境)間の相互作用による物質の生産,分解,循環などのプロセスを生態系機能と呼び,それは,人間が生態系から得ている様々な生態系サービス(公益的機能)を支えている.つまり,生態系機能を通じて,我々は様々な生態系サービスを享受している.世界中の全ての人々は,地球上の生態系と,その恵みである生態系サービスに完全に依存していることから,生態系機能の維持は非常に重要である.その生態系機能によってまた,生物的要素や非生物的要素に影響が及び,それらに変化が生じる.この生態系機能や生態系サービスと,生物多様性との関係性については,機能の安定性,機能的多様性(多機能性)や機能的冗長性の観点を中心に明らかにされつつあるが,依然として益々の調査・研究の進展が待たれるところである.
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③ IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム:Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services)では,人間生活に寄与する自然の価値を評価するにあたって,これまで用いられてきた生態系サービスに代わる概念として,「自然がもたらすもの(自然の寄与)(NCP: Nature Contributions to People)」が提唱されている.NCP では自然と生活の質(QOL)が結び付けられているほか,それぞれの価値を一般的観点と文化的背景に基づく観点の 2 つの観点から捉えられている.文化的背景に基づく観点の中では,自然は「非道具的な価値」として本質的に QOL と結びついている一方で,一般的観点の中では,自然は「道具的な価値」を通じて QOL と結びついている.これら 2 つの観点は明確に区分されておらず,それぞれの価値は両者を端点とする勾配の中に位置づけられている. NCP は下位分類として,物的寄与「Material Contribution(Material NCP)」,調節的寄与「Regulating Contribution(Regulating NCP)」,文化的サービスを含む QOL への非物的寄与「Non-material Contribution(Non-material NCP)」を設定し,さらに細分化した区分として,18項目が設定されている.NCP と生態系サービスの違いの中で,「文化的背景に基づく観点」「多様な世界観」「相対価値」「ファジーかつ流動的なレポーティング・カテゴリ」「包括的な用語・枠組み」は,MA 以降の生態系サービス研究でも大きく取り扱われてこなかった要素である.
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キーワード
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① 生態系 ② 物質循環 ③ 生態系機能 ④ 生態系サービス ⑤ NCP
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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復習・予習課題
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復習課題:本科目名に付されている「生態系機能評価」を理解するために,今回はまず「生態系」及び「生態系機能」,また「生態系サービス」を含めた概念であるNCP(自然がもたらすもの)について確認をした.「生態系」「生態系機能」は既に他科目において学んだ用語であり,改めて当該科目の内容について復習を行うこと.NCPは新たな概念なので今回学んだ事項をよく復習をして理解に努めること.
予習課題:次回は,今回確認をした「生態系機能」を“評価”するとはどういうことか,また“評価”を行う必要性や意義はどのようなことかについて確認を行う.これらの概要について,コマシラバスの細目レベルの記載事項をよく読んでおくこと.
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2
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生態系機能評価とは
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科目の中での位置付け
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本科目では,生態系機能を評価する意義を理解した上で,その具体的な評価方法について対象とする代表的な環境要素ごと(土壌圏,水圏,森林圏)に示す.第1回から第4回では生態系機能及びその評価について,その必要性の観点を含めて学ぶ.第5回から第9回では土壌圏について,土壌生態系機能の概要からそれを支える事項,さらには汚染や劣化までを含めて生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第10回と第11回では水圏について,河川,氾濫原,沿岸域,海洋という区分において生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第12回と第13回では森林圏について,樹木,森林土壌を対象として生態系機能の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第14回では水圏及び森林圏の生態系機能評価について総括し,それらの関連性について確認する.第15回では,改めて生態系機能とは何かを踏まえ,その評価の必要性と具体的な方法,環境要素を跨いだ関連性について確認する. このような授業展開において,第2回は第1回で確認をした“生態系機能”を評価する必要性について学ぶ.
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以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる. ①② 宮下直・瀧本岳・鈴木牧・佐野光彦(2017)『生物多様性概論』朝倉書店,19-22頁. 鷲谷いづみ(2018)『新版 絵でわかる生態系のしくみ』講談社, 26-27頁. 森章(2018)『生物多様性の多様性』共立出版, 123-164頁. 東北大学生態適応グローバルCOE 編(2013)『生態適応科学』, 16-54頁. J.ロックストローム(著)武内和彦(監修)谷淳也・津高政志・蓑輪智子・北村恵以子・高橋愛・眞鍋由実・吉田哲郎・森秀行(訳)(2018)『小さな地球の大きな世界 プラネタリ―・バウンダリーと持続可能な開発』丸善出版,59-81頁. ③ F. Stuart Chapin Ⅲ, Pamela A. Marson, Peter M. Vitousek 原著,榎木勉 訳 (2018) 生態系の概念.加藤知道 監訳「生態系生態学第2版」森北出版,3-26頁.
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コマ主題細目
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① 生態系機能を“評価”する ② 生態系機能評価の必要性 ③ 生態系機能評価の概要
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細目レベル
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① 我々が豊かな生活を送るための自然の恵みとして,自然環境中から受け取る生態系サービスを持続可能な形で維持していくためには,生態系機能を持続可能な形で充分に発揮させることが重要である.この生態系機能を維持していくためには,非生物的要素をしっかり守っていく,及びこの生物多様性,つまり生物的要素をしっかり維持していくことが重要である.さらに,これらの間の相互作用が滞りなく活発に進行することで,多くの生態系機能が発揮されていることから,その相互作用の在り方を把握することは,生態系機能を捉えることとほぼ同義である.「非生物的要素」と「生物的要素」との相互作用を把握する代表的な手段は,物質の移動や形態変化を捉えることであり,その測定値や値の変化から生態系機能の状態について“評価”を行う.
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② 細目①の通り生態系機能の多くは,「非生物的要素」と「生物的要素」との相互作用によって発揮されるものである.「非生物的要素」と「生物的要素」が健全であれば,その間の相互作用は滞りなく進行するはずであることから,相互作用の進み具合,程度,メカニズムなどについて,物質の移動や形態変化に基づく生態系機能評価によって理解することは,その地,その生態系における生態系機能の健全度を理解することと言える.「非生物的要素」と「生物的要素」との相互作用の結果生じる物質の移動や形態変化を測定によって把握することは,謂わばその生態系の血液検査とも言え,生態系機能評価はその生態系の健康診断とも捉えることができる.
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③ 生態系機能としては,一次生産(炭素蓄積),有機物分解,水循環,土壌形成,物質循環などが認識され,これらはそれぞれ物質の留まりと移動として解釈することができる.生態系モデルは一般に,生態系の主要なプール(生物など,物質やエネルギーが留まる場,その量),フラックス(物質やエネルギーの流れ,その量),その流れを制御する要因を表現することから,各形態における物質の存在量や移動量について測定値を得て,物質の移動を制御する要因を把握し,それらを統合的に評価することが,生態系機能評価と言える.物質の存在を把握するためには,化学分析技術が必須であるが,本科目ではどのように分析をするのかには重きを置かず,どのようなところの何を分析すると何が分かるのか,について主眼に置く.
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キーワード
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① 生態系機能評価 ② 相互作用 ③ プール ④ フラックス ⑤ 物質フロー
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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復習・予習課題
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復習課題:本科目名に付されている「生態系機能評価」とは,どのようなことを指すのか,そのことを実施する必要性や意義について確認をした.「生態系機能」とはどのようなものか,それを「評価」するとは,どのようなことを行うことを指すのかについて復習を行うとともに,授業時に扱った評価法以外にどのような事象に対してどのような評価が可能かについていくつか考えておくこと.
予習課題:人間は「生態系機能」の発揮によって生じる様々な事象を,「生態系サービス」として得て,利用することで生きている.そのような自然や生態系の機能や仕組みを,より効果的に様々な課題解決に活用しようとする考え方が様々な分野で提案されてきている.次回はそのような考え方について取り上げるが,その概要をコマシラバスの細目レベルの記載事項をよく読んで確認しておくこと.
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3
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自然・生態系の活用の考え方
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科目の中での位置付け
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本科目では,生態系機能を評価する意義を理解した上で,その具体的な評価方法について対象とする代表的な環境要素ごと(土壌圏,水圏,森林圏)に示す.第1回から第4回では生態系機能及びその評価について,その必要性の観点を含めて学ぶ.第5回から第9回では土壌圏について,土壌生態系機能の概要からそれを支える事項,さらには汚染や劣化までを含めて生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第10回と第11回では水圏について,河川,氾濫原,沿岸域,海洋という区分において生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第12回と第13回では森林圏について,樹木,森林土壌を対象として生態系機能の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第14回では水圏及び森林圏の生態系機能評価について総括し,それらの関連性について確認する.第15回では,改めて生態系機能とは何かを踏まえ,その評価の必要性と具体的な方法,環境要素を跨いだ関連性について確認する. このような授業展開において,第3回は近年注目が集まっている生態系や自然の仕組み・機能を活かした環境関連課題の解決・適応・影響緩和策について学ぶ.
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以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる. ① 中村太士・菊沢喜八郎 編(2018)『森林と災害』共立出版, 1-23頁. 環境省自然保護局(2016)『生態系を活用した防災・減災に関する考え方』1-64頁. ② 環境省自然保護局(2022)生態系を活かした気候変動適応(EbA)計画と実施の手引き.pp.41. ③ IUCN(2021)自然に根ざした解決策に関するIUCN世界標準の利用ガイダンス.総合地球環境学研究所Eco-DRRプロジェクト・日本生態学会生態系管理委員会 日本語翻訳校正.pp.58.
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コマ主題細目
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① Eco-DRR(生態系を活用した防災・減災) ② EbA(生態系を活用した気候変動適応策) ③ NbS(自然を基盤とした解決策)
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細目レベル
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① 近年,地域づくりや経済活動に関連した様々な課題について「自然や生態系を活用した取り組み」への注目が急速に高まっている.その中で,生態系を活用した災害リスク軽減(Ecosystem-based Disaster Risk Reduction: Eco-DRR)の考え方が広まってきており,これは,様々な生態系には防災・減災の機能が備わっていることを認識し,ダムや堤防などのハードな構造物による防災のみに依存するのではなく,生態系の公益的機能を生かした社会基盤の整備をすべきだとの考え方に基づくものである.防災・減災に係る生態系サービスとしては,調整サービスにおける“局所災害の緩和”“水量の調節”“土壌浸食の抑制”などを位置付けることができる.Eco-DRRは,現存する生態系を活かすことを前提とするため,事業費や維持費が安価で済むというだけでなく,伝統的な地域特有の知識や文化的価値を維持し,二酸化炭素の吸収にも貢献できる.さらに,生物多様性の保全に寄与し,持続的な利用が可能であり,災害後のレジリエンスが高いと考えられている.
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② 気候変動への対策として,温室効果ガスの排出を抑制して気候変動の進行を抑制する「緩和策」と,気候変動に対応した社会を構築する「適応策」があるが,特に近年は,気候変動適応法の施行に示されるように,適応策に注目が集まっている.気候変動適応策には,様々なアプローチがあるが,細目①と関連して,生態系を持続的に活用し,気候変動に適応するアプローチである「生態系を活用した気候変動適応策」,EbA(Ecosystembased Adaptation もしくは Ecosystem-based Approaches to Climate Change Adaptation ; イービーエー)もその一つであり,地域の特性を生かし,多方面にメリットを発揮する適応策として注目されている.生態系の活用であるため,樹木による日射の遮蔽や蒸発散機能による暑熱リスク緩和といった生物そのものの利用のみならず,地形や水循環を活用した取り組みも含み,農地と河川の間に湿地を造成したり,都市内に樹林を配置したり,ため池を管理・維持するといったものも含まれる.
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③ 社会課題解決に向けた取り組みを,地形,地質,水循環,動植物など,その場所の自然の特性を踏まえたやり方で進めるアプローチは,Nature-based Solutions(NbS:自然を活用した解決策)と呼ばれる.これは,細目①と②を内包するものである.NbSは先進国・途上国の別を問わず,世界的に重視されている.NbSはIUCN(国際自然保護連合,International Union for Conservation of Nature)によって2009年に提唱された用語であり,「社会課題に効果的かつ順応的に対処する方法で,自然および改変された生態系を保護し,持続可能に管理し,回復させることで,人間の福利と生物多様性の両方に利益をもたらす行動」として定義される.
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キーワード
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① 自然の活用 ② Eco-DRR ③ EbA ④ NbS ⑤ 解決策
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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復習・予習課題
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復習課題:近年,様々な分野において示されつつある,生態系や自然の仕組み・機能を活かした課題の解決・適応・影響緩和策の考え方について,その概要を確認した.大きな括りとしてはNbSとして説明が可能であるが,対象を絞ったEco-DRRやEbAについても,その考え方について説明ができるようにしておくこと.
予習課題:次回は,第1回から第3回にかけて学んできた生態系機能,生態系機能評価といった用語や,評価を実施する意義について理解できているかについて確認を行う.また,生態系機能を活かした課題解決の考え方について,どのようなものが挙げられているかについての理解の確認を行う.そのため,これまでの内容についてよく復習を行い,それぞれ説明ができるようにしておくこと.
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4
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生態系機能とその評価の必要性 ―まとめ―
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科目の中での位置付け
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本科目では,生態系機能を評価する意義を理解した上で,その具体的な評価方法について対象とする代表的な環境要素ごと(土壌圏,水圏,森林圏)に示す.第1回から第4回では生態系機能及びその評価について,その必要性の観点を含めて学ぶ.第5回から第9回では土壌圏について,土壌生態系機能の概要からそれを支える事項,さらには汚染や劣化までを含めて生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第10回と第11回では水圏について,河川,氾濫原,沿岸域,海洋という区分において生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第12回と第13回では森林圏について,樹木,森林土壌を対象として生態系機能の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第14回では水圏及び森林圏の生態系機能評価について総括し,それらの関連性について確認する.第15回では,改めて生態系機能とは何かを踏まえ,その評価の必要性と具体的な方法,環境要素を跨いだ関連性について確認する. このような授業展開において,第4回は第1回から第3回で学んだ,生態系機能,及びその評価や活用方法についての総括を行う.特に,これまでの事項の理解度の把握の観点から,各回で扱った事項や回を跨ぐ関連性について演習を中心として確認を行う.
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第1回から第3回までに用いた資料や参考文献を基に,再構成した資料を用いる.
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コマ主題細目
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① 生態系機能とは ② 生態系機能を評価する意義 ③ 自然(生態系機能)の活用の考え方
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細目レベル
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① 生態系内の生物間や,生物的要素と非生物的要素(非生物的環境)間の相互作用による物質の生産,分解,循環などのプロセスを生態系機能と呼び,それは,人間が生態系から得ている様々な生態系サービス(公益的機能)を支えている.つまり,生態系機能を通じて,我々は様々な生態系サービスを享受している.世界中の全ての人々は,地球上の生態系と,その恵みである生態系サービスに完全に依存していることから,生態系機能の維持は非常に重要である.その生態系機能によってまた,生物的要素や非生物的要素に影響が及び,それらに変化が生じる.IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム) では、人間生活に寄与する自然の価値を評価するにあたって、これまで用いられてきた生態系サービスに代わる概念として、「自然がもたらすもの(自然の寄与)(NCP)」が提唱された.
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② 生態系機能の多くは,「非生物的要素」と「生物的要素」との相互作用によって発揮される.つまり,「非生物的要素」と「生物的要素」が健全であれば,その間の相互作用は滞りなく進行し,その相互作用の進み具合,程度,メカニズムを物質の移動や形態変化として評価することは,生態系の健全度を理解することと言える.生態系機能は,一次生産(炭素蓄積),有機物分解,水循環,土壌形成,物質循環などとして認識され,これらはそれぞれ物質のプールとフラックスとして解釈することができ,それらを分析によって測定値として得て,その制御要因とともに総合的に評価することが生態系機能評価である.生態系におけるやり取りの活発さを視る生態系機能評価は,謂わば当該生態系に対する健康診断ともいえる.
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③ 生態系には防災・減災の機能が備わっていることを認識し,ダムや堤防などのハードな構造物による防災のみに依存するのではなく,生態系の公益的機能を生かした社会基盤の整備をすべきだとの考え方を,生態系を活用した災害リスク軽減(Eco-DRR)と呼ぶ. 樹木による日射の遮蔽や蒸発散機能による暑熱リスクの緩和,湿地の造成や,都市内に樹林を配置するなど,生態系を持続的に活用し,気候変動に適応するアプローチである「生態系を活用した気候変動適応策(EbA)」は,地域の特性を生かし,多方面にメリットを発揮する適応策として注目されている. 社会課題解決に向けた取り組みを,地形,地質,水循環,動植物など,その場所の自然の特性を踏まえたやり方で進めるアプローチを,自然を活用した解決策(NbS)と呼び,「社会課題に効果的かつ順応的に対処する方法で,自然および改変された生態系を保護し,持続可能に管理し,回復させることで,人間の福利と生物多様性の両方に利益をもたらす行動」として定義される.
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キーワード
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① 生態系機能 ② NCP ③ 評価 ④ 物質 ⑤ 自然の活用
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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復習・予習課題
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復習課題:第1回から第3回にかけて学んできた事項について,それぞれの回の関連性について確認をした.加えて,改めて各回の重要な用語,考え方等について確認をした.複数回の内容の繋がりについて扱っているため,学習内容の要点の整理としても重要な回である.全ての事項を理解するよう,十分に復習を行うこと.
予習課題:次回(第5回)から第9回にかけて,自然環境中の要素として最も重要なものの一つである土壌の機能評価について扱う.第5回は,土壌とはどのようなものかについて,その組成や生成過程,主要な土壌生態系機能について確認を行う.コマシラバスの細目レベルの記載事項をよく読んで,その概要の確認をしておくこと.
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土壌圏の生態系機能評価① ―土壌の機能―
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科目の中での位置付け
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本科目では,生態系機能を評価する意義を理解した上で,その具体的な評価方法について対象とする代表的な環境要素ごと(土壌圏,水圏,森林圏)に示す.第1回から第4回では生態系機能及びその評価について,その必要性の観点を含めて学ぶ.第5回から第9回では土壌圏について,土壌生態系機能の概要からそれを支える事項,さらには汚染や劣化までを含めて生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第10回と第11回では水圏について,河川,氾濫原,沿岸域,海洋という区分において生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第12回と第13回では森林圏について,樹木,森林土壌を対象として生態系機能の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第14回では水圏及び森林圏の生態系機能評価について総括し,それらの関連性について確認する.第15回では,改めて生態系機能とは何かを踏まえ,その評価の必要性と具体的な方法,環境要素を跨いだ関連性について確認する. このような授業展開において,第5回は土壌圏における生態系機能評価を学ぶにあたり,土壌とは何か,土壌の機能とはどのようなものがあるのか,について学ぶ.
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以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる. ① 松中照夫(2018)『新版 土壌学の基礎』農文協,45-64頁. 藤原俊六郎(2013)『新版 図解 土壌の基礎知識』農文協,42-52頁. 加藤哲郎(監修)(2017)『図解でわかる土壌・肥料の基本とつくり方・使い方』ナツメ社,52-53頁. 日本土壌協会(監修)(2014)『図解でよくわかる土・肥料のきほん』誠文堂新光社,10-11頁. ② 柴田英昭編(2018)『森林と土壌』共立出版,29-50頁.岡崎正規・木村園子ドロテア・波多野隆介・豊田剛己・林健太郎(2010)『図説 日本の土壌』朝倉書店,32-46頁. 加藤哲郎(監修)(2017)『図解でわかる土壌・肥料の基本とつくり方・使い方』ナツメ社,38-41頁. 日本土壌協会(監修)(2014)『図解でよくわかる土・肥料のきほん』誠文堂新光社,8-9頁. ③ 松中照夫(2018)『新版 土壌学の基礎』農文協,7-11頁. 森章 編(2012)『エコシステムマネジメント―包括的な生態系の保全と管理へ―』共立出版,204-206頁.
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コマ主題細目
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① 土壌の組成 ② 土壌の生成 ③ 主要な土壌生態系機能
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細目レベル
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① 環境構成要素の中で最も重要とされる土壌は,固相,液相,気相の三相で構成されており,それらを容積の割合で示した三相分布によって大まかな土壌の性状を把握することができる.作物栽培や土壌生物にとっては,三相分布の適度なバランスが重要となる.固相は,主に土壌粒子を指し,どんな割合で大きさの異なる土壌粒子が土壌を構成するのかによって,土壌の持つ様々な性質に影響を与える.どの程度の大きさの粒子がどの程度の割合で土壌に存在しているのかを示すものを,粒径組成(もしくは土性)という.さらに固相は粗大有機物やその分解物も含まれる.液相は,土壌溶液(土壌水)を指し,土壌の保水と排水のバランスの元に保たれており,土壌が水を引き付ける力,及び植物の吸水利用の観点から分類(重力水,全有効水分,非有効水分など)が成されている.気相は,土壌空気(土壌ガス)を指し,土壌生物や植物根の呼吸によって酸素が消費され二酸化炭素が生成するため,土壌中の二酸化炭素濃度は大気中のそれよりも高い.ある程度の気相率がないとガス交換が十分に行われず,植物の生育を抑制してしまう可能性がある.固相以外の空間は孔隙と呼ばれる隙間であり,液相(土壌溶液)と気相(土壌空気)がこれを満たしている.
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② 風化作用によって生成された母材に生物が住みつき,母材に有機物が蓄積したり,さらに風化が進むなどして徐々に表層土壌が形成されていく.この,風化作用に生物の働きが加わり,土壌が形成されていく作用を土壌生成作用という.土壌生成に影響する因子は,母材(岩石),気候,生物,地形,時間の5つである.これに人為を加えて6大土壌生成因子と呼ばれることもある.時間の経過に伴って,これらの因子が影響を及ぼし合い,土壌を形成していくことから,様々な種類の土壌が存在する.土壌の定義としては様々な表現が可能であるが,5つの土壌生成因子を踏まえ,「岩石が外界の影響によって物理的あるいは化学的な風化作用を受け,それに動物や植物の遺体が加わり,さらにその遺体が土壌生物の作用を受けて互いに混じり合い,一体となり,その与えられた環境で安定した状態(平衡状態)に移りつつあるか,平衡状態に達した自然物」と言える.
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③ 土壌の主な機能としては,生産機能,保水機能,分解浄化機能が挙げられる.その他,大気組成の維持に寄与する大気圏とのガス交換機能,動物の生息環境提供機能,道路や鉄道,建物等の基盤となる機能,建築資材や窯業原料としての機能,景観構成機能なども挙げることができる.さらに,土壌生物の関わりの強い生態系機能としては,土壌肥沃度・養分循環と土壌生成,水循環の調節,炭素フラックスと気候の制御,汚染物質浄化とバイオレメディエーション,病害虫防除等が挙げられる.これらを通じて,土壌生態系は他の生態系を支える基盤となっている.土壌生物としては,土壌微生物と土壌動物に大きく区分されるが,土壌生態系機能はこの両者が存在してこそ十分に発揮される.土壌には狭い空間に極めて多様な生物が生息し,土壌表層10 cmまでに9割以上が生息しており,土壌深層にいくにつれて生物の種数は少なく,密度も低くなる.地殻の表層数cmのところでこの生態系機能の大部分が担われている.
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キーワード
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① 三相分布 ② 土壌生成因子 ③ 生産機能 ④ 保水機能 ⑤ 分解浄化機能
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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復習・予習課題
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復習課題:第5回から第9回にかけて土壌の生態系機能について扱うにあたり,土壌とは何か,について確認をした.特に,その組成や土壌の生成過程,土壌の主な生態系機能について扱った.第9回にかけて土壌の生態系機能について扱っていくことから,今回の事項が学びの土台となり,積み上げ式の知識となっていく.今後の授業のためにも,土壌とはどのようなものかについて,他者に説明ができるようによく理解を深めておくこと.
予習課題:次回は,土壌の生態系機能の中でも,人間にとって最も身近で理解がしやすい生産機能について扱う.また,生産機能を発揮するための典型的な場である圃場において問題視されている土壌劣化,及びその鍵となる土壌有機物についても学ぶ.土壌劣化については第7回においても扱うが,特に土壌有機物に対する理解が重要であることから,コマシラバスの細目レベル③を中心に記載事項をよく読んでその内容を理解しておくこと.
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6
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土壌圏の生態系機能評価② ―生産機能と土壌有機物―
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科目の中での位置付け
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本科目では,生態系機能を評価する意義を理解した上で,その具体的な評価方法について対象とする代表的な環境要素ごと(土壌圏,水圏,森林圏)に示す.第1回から第4回では生態系機能及びその評価について,その必要性の観点を含めて学ぶ.第5回から第9回では土壌圏について,土壌生態系機能の概要からそれを支える事項,さらには汚染や劣化までを含めて生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第10回と第11回では水圏について,河川,氾濫原,沿岸域,海洋という区分において生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第12回と第13回では森林圏について,樹木,森林土壌を対象として生態系機能の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第14回では水圏及び森林圏の生態系機能評価について総括し,それらの関連性について確認する.第15回では,改めて生態系機能とは何かを踏まえ,その評価の必要性と具体的な方法,環境要素を跨いだ関連性について確認する. このような授業展開において,第6回は,土壌の主要な機能の一つである生産機能の発揮の仕組みとともに,土壌の質の指標となる土壌有機物について学ぶ.
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以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる. ① 鷲谷いづみ(2018)『新版 絵でわかる生態系のしくみ』講談社, 104-119頁.湯本貴和編,松田裕之・矢原徹一 責任編集(2011)『シリーズ日本列島の三万五千年―人と自然の環境史 第1巻 環境史とは何か』文一総合出版, 75-104頁.中静透・菊沢喜八郎編(2018)『森林の変化と人類』,共立出版,17-29頁. ② 日本土壌肥料学会編(2015)『世界の土・日本の土は今』農文協,14-16頁.岡崎正規・木村園子ドロテア・波多野隆介・豊田剛己・林健太郎(2010)『図説 日本の土壌』朝倉書店,58-63頁. 松中照夫(2018)『新版 土壌学の基礎』農文協,194-205頁. ③ 柴田英昭編(2018)『森林と土壌』共立出版,202-236頁.松中照夫(2018)『新版 土壌学の基礎』農文協,30-35頁.藤原俊六郎(2013)『新版 図解 土壌の基礎知識』農文協,80-91頁. ④ 日本土壌肥料学会編(2015)『世界の土・日本の土は今』農文協,13-14, 39-45頁.
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コマ主題細目
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① 環境変化要因としての農耕 ② 農業と土壌劣化 ③ 土壌有機物のはたらき ④ 耕作地における土壌有機物の減耗
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細目レベル
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① 人類による環境の大きな変化要因として農耕の開始は切り離して考えることができない.植物は移動しないことから,そこに作物があるからと言って一定量以上に採集をしてしまうと,採り尽くしによって,その地からその作物を採集することができなくなりうる.このような略奪的な利⽤は⻑期的持続性を欠くことを人間は学び,栽培という技術を開発し,多様な植物を隣接する地で育てる⾏為(初期の農耕)が開始された.このように考えると,農耕の初期はむしろ,⼈間による⾃然保護(資源の保全)の始まりであったとも⾔える.収穫量を増やすために,農地を拡大すべく森林伐採を進めることで耕地化したり,化学肥料,農薬,農業機械を開発,利用したりことで,生産量を増大させてきた.農業による作物生産は生態系機能である一次生産そのものであり,処理を施した圃場環境を含めたその地での作物の生長速度や生産量の評価は,生態系機能評価でもある.関連して,化学肥料や農薬の過剰散布によって,地下水を介した水圏の富栄養化や汚染による,水圏の一次生産量の低下(水圏生物へのダメージ)の評価も,生態系機能評価である.
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② 世界の農地面積はほぼ14億ha(地球の陸域面積の10%)であり,そのうち約10億haの農地土壌が,侵食,踏圧,塩類化,アルカリ化の影響を受け,その割合は,水食が45%,風食が42%と大きく,塩類化,アルカリ化が10%,踏圧が3%となっている.地域的には,アフリカ,アジアといった開発途上国で全体の70%を占めている.日本の農地土壌については縄文時代より,元々森林だった場所を草原植生として維持する状態が続けられ,結果的に土壌が養分の乏しい状態に変化した結果,独特の生物多様性が形成されたと言われている.一方で,第二次大戦以降は,化学肥料や土壌改良資材の過剰な投入により,農地土壌を富栄養な環境に変化させており,作物生産性は上がったものの,前述の独特の生物多様性の喪失に繋がってしまっている.このような農地土壌の,化学肥料や土壌改良資材の投入を止めた際の生産力について生態系機能の観点から評価を行うと,持続可能性の低さが明らかとなる.
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③ 土壌有機物は,土壌鉱物と並んで土壌の主要な構成要素であり,土壌が果たす多様な機能に関わり,特に植物の生長度と高める重要な役割を担っている.また,土壌有機物は様々な有機物を含んでおり,起源,組成,含有成分などが非常に多岐に亘る.それ故に,土壌有機物という語が意味する範囲は非常に幅広く,例えば「腐植」の意味との境界など,分類や整理は一筋縄ではいかない.この土壌有機物の機能として具体的には,植物への養分供給源,養分の保持と土壌の緩衝力増大,養分の有効性や有害物の調節,植物の生育促進,団粒の形成と土壌構造の安定化,吸熱効果と保温効果,土壌微生物への栄養源など,農業生産性の向上・安定化のみならず,土壌が有する環境保全機能の維持・向上にとっても不可欠といえる.また,有機物の存在が,岩石の風化物にすぎない無機的な母材を“土壌”として完成させる.この土壌有機物の存在量の把握や,その地の土壌有機物の存在による生態系機能の発揮のされ方の解明は,土壌生態系機能の持続的な利用について理解をするための一助となる.
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④ 農地からは有機物を作物として持ち出しており,また,土壌は耕転すると有機物分解が促進するため,炭素が消耗する.さらに,土壌生態系の観点からは,耕転される土壌には土壌動物が棲むことができないため,土壌劣化する可能性が高まる.これらのことから,耕転は最小限にすべきであり,実施する際は,細かく耕起せずに粗くすべきである,という議論が盛んに行われている.また,日本の気候からすると,慣行栽培で土壌がむき出しになって作物が植わっている状態は本来異常であり,何かしらの植物が生え,土壌が覆われていることが自然である.その土壌を覆う植物から土壌に有機物が供給される形が本来の物質循環の姿であり,その様な農法の模索が各地で行われつつある.さらに,例えば乾燥地における農地では,雑草が生えることによって蒸散が進み,必要以上に水不足に陥るリスクがあることから除草が必要であり,また,除草した雑草は分解して農地の養分供給にも貢献するため,耕起による除草がよく行われている.しかし,この耕起によって,除草した雑草が分解されるのみならず,土壌中に存在していた有機物の分解も進むため,土壌有機物の減耗が進み地球温暖化を促進させてしまう.カザフスタンやカナダ,アメリカにおける半乾燥地農法として耕起による除草を伴う夏季休閑が行われてきたが,特にカナダでは,その代替技術として不耕起栽培や省耕起栽培の導入が進められてきている.このように細目③で確認した土壌有機物の存在が,土壌劣化を防ぎ,土壌生態系機能を十分に発揮するためには重要である.
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キーワード
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① 一次生産 ② 土壌 ③ 持続可能性 ④ 有機物 ⑤ 耕作地
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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復習・予習課題
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復習課題:土壌の生産機能の利用と,それがもたらす負の影響について,主に土壌有機物の増減の観点から学んだ.生産機能はどのような要件によって高められるか,生産機能はどのように評価され得るのかについて説明ができるようにしておくこと.人間による生産機能の利用の拡大は農業を介してであるが,その歴史的経緯について説明ができるようにしておくこと.土壌有機物は土壌の中でどのような働きをするのかについて説明ができるようにしておくこと.
予習課題:次回は,第6回で学んだ土壌からの土壌有機物の減少とも関連して,土壌劣化について学び,有害物質の存在による土壌劣化として土壌汚染についても扱う.土壌劣化の程度による名称区分や土壌汚染を招く有害汚染物質の種類,人間に至る経路などについて,コマシラバスの細目レベルの記載事項をよく読んで,その概要の確認をしておくこと.
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7
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土壌圏の生態系機能評価③ ―土壌劣化と土壌汚染―
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科目の中での位置付け
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本科目では,生態系機能を評価する意義を理解した上で,その具体的な評価方法について対象とする代表的な環境要素ごと(土壌圏,水圏,森林圏)に示す.第1回から第4回では生態系機能及びその評価について,その必要性の観点を含めて学ぶ.第5回から第9回では土壌圏について,土壌生態系機能の概要からそれを支える事項,さらには汚染や劣化までを含めて生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第10回と第11回では水圏について,河川,氾濫原,沿岸域,海洋という区分において生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第12回と第13回では森林圏について,樹木,森林土壌を対象として生態系機能の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第14回では水圏及び森林圏の生態系機能評価について総括し,それらの関連性について確認する.第15回では,改めて生態系機能とは何かを踏まえ,その評価の必要性と具体的な方法,環境要素を跨いだ関連性について確認する. このような授業展開において,第7回は,土壌の生態系機能が低下する要因として土壌劣化と土壌汚染について,それらの代表例と土壌生態系機能への影響について学ぶ.
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以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる. ① 日本土壌肥料学会編(2015)『世界の土・日本の土は今』農文協,46-47頁.岡崎正規編(2020)『土壌環境学』朝倉書店,136-137頁.松中照夫(2018)『新版 土壌学の基礎』農文協,227-229頁.岡崎正規・木村園子ドロテア・波多野隆介・豊田剛己・林健太郎(2010)『図説 日本の土壌』朝倉書店,112頁. ② 岡崎正規・木村園子ドロテア・波多野隆介・豊田剛己・林健太郎(2010)『図説 日本の土壌』朝倉書店,98-100, 164-170頁.
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コマ主題細目
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① 土壌劣化 ② 土壌汚染が人間へ至る経路 ③ 土壌汚染の土壌生態系機能への影響
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細目レベル
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① 第6回細目②でも触れたが,土壌劣化とは,農地の不適切な管理により,土壌が本来持つ生産力が発揮できなくなった状態をいう.そのため,食料の安全保障を不安定にする.さらに,不適切な土壌管理は生産過程の健全性を損なわせ環境負荷を増大させる.つまり,土壌劣化は,周囲の環境にも悪影響を及ぼすといえる.似た言葉に“土地劣化”がある.土地劣化は,生態系が本来持っている機能が失われることをいう.つまり,自然を開墾して作物生産を行なう農業は,土地劣化の原因そのものということになる.焼き畑などの移動耕作は土地劣化を一時的に起こすが,土壌劣化を起こす前に耕作をやめて別の土地に移動することで決定的な土地劣化を避けてきたと言える.現在,地球の陸地の33%が土地劣化状態にあり,26億人がその影響を被っているといわれる.その中で土壌劣化によって飢餓状態にある人は約9億人いるといわれる.また,気候変動の影響などによる異常気象によって植物や土壌が失われるなどし,その土地で半永久的に生活できなくなる,土地が退化してしまうような大規模な災害が頻発しているが,これは“土地退化”と呼ばれる.つまり,土壌劣化が土地劣化を決定的にし,さらに気候変動が土地退化を起こしている.このサイクルを打ち消すためには,多くの人が土壌劣化を認識し,生産のプロセスに目を向ける姿勢が重要である.
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② 土壌が有害物質で汚染されると,Ⅰ. 直接人間(またはその他の生物)が汚染土壌を摂取してしまうリスク,Ⅱ. 土壌から地下水へと有害物質が溶出してその地下水を人間(またはその他の生物)が飲用してしまうことによるリスク,Ⅲ. 汚染土壌で栽培した農作物(または汚染土壌で生育した植物)を人間(またはその他の生物)が摂取あるいは,Ⅳ.汚染土壌で栽培した飼料を用いた酪農製品を人間(またはその他の生物)が摂取してしまうリスク,など,様々な経路を経て,人間の健康にまで悪影響を及ぼすリスクが存在することになる.なお,土壌汚染にはこのような有害物質による汚染の他,養分過剰によっても汚染が生じる.それらの要因は様々であり,人間の無関心や不注意,経済効率優先の姿勢などが挙げられる.有害物質としては,農薬,重金属,放射性物質など様々であり,対象物質によって様々な特徴があり,対応も異なる.
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③ 土壌中の有害物質の存在によって,土壌中に生息する土壌生物(土壌動物及び土壌微生物)に直接的に影響を及ぼし,土壌生態系機能の発揮を阻害する.物質によってその発現程度は異なるが,多くの場合,まず土壌動物に毒性影響が確認されるようになり,自ら忌避行動を取れることもあり特に大型の土壌動物が汚染地からいなくなる.また,生物蓄積性が高い物質は大型土壌動物の体内に蓄積し,さらにそれを捕食する陸上の高次消費者へと生物濃縮してその影響が拡大する可能性がある.このように,土壌中に有害物質が存在することによって,有機物分解速度の低下や土壌動物体内への物質の蓄積といった物質の流れの滞りが生じることについて,調査や実験で確認・把握することも,生態系機能評価の一つである.
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キーワード
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① 劣化 ② 有害物質 ③ 汚染 ④ 土壌生態系機能 ⑤ 生物蓄積
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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復習・予習課題
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復習課題:土壌劣化,土地劣化,土地退化といった区分と土壌生態系機能との関係,土壌汚染を発生させる有害汚染物質の種類と土壌に存在する有害物質が人間に至る経路について学んだ.土壌劣化の程度の区分についてそれぞれの名称及び状態について説明ができるようにしておくこと.土壌汚染を招く有害物質の主な4種類について,それぞれの特徴について説明ができるようにしておくこと.土壌汚染物質が人間に至る4つの主な経路について説明ができるようにしておくこと.
予習課題:土壌生態系機能評価はどのような観点で何を評価するかによっても様々な手法があるが,次回はそのうちのいくつかの例を示す.特に代表的なものとして,土壌有機物分解試験があるが,これも多くの評価手法がある.また,土壌汚染によって生態系機能が低下するため,その評価法として毒性試験を機能評価の観点で実施する方法もある.これらについて,コマシラバスの細目レベルの記載事項をよく読んで,その概要の確認をしておくこと.
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8
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土壌圏の生態系機能評価④ ―土壌生態系機能評価手法―
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科目の中での位置付け
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本科目では,生態系機能を評価する意義を理解した上で,その具体的な評価方法について対象とする代表的な環境要素ごと(土壌圏,水圏,森林圏)に示す.第1回から第4回では生態系機能及びその評価について,その必要性の観点を含めて学ぶ.第5回から第9回では土壌圏について,土壌生態系機能の概要からそれを支える事項,さらには汚染や劣化までを含めて生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第10回と第11回では水圏について,河川,氾濫原,沿岸域,海洋という区分において生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第12回と第13回では森林圏について,樹木,森林土壌を対象として生態系機能の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第14回では水圏及び森林圏の生態系機能評価について総括し,それらの関連性について確認する.第15回では,改めて生態系機能とは何かを踏まえ,その評価の必要性と具体的な方法,環境要素を跨いだ関連性について確認する. このような授業展開において,第8回は第5回から第7回で学んだ,土壌の生態系機能の発揮メカニズムとその低下要因を踏まえ,具体的な土壌生態系機能の評価方法について学ぶ.
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以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる. ① 金子信博・金田哲・豊田鮎(2020)『土壌動物の多様性と機能解析』共立出版,108-119頁.金子信博(2007)『土壌生態学入門』東海大学出版会,153-174頁. ② 金子信博・金田哲・豊田鮎(2020)『土壌動物の多様性と機能解析』共立出版,108-112頁. 日本土壌動物学会(編)『土壌動物学への招待』東海大学出版会,91-99頁.
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コマ主題細目
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① 生産機能評価 ② 有機物分解速度 ③ 毒性試験
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細目レベル
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① 農業による作物の生産は,生態系サービスとしての一次生産そのものであり,土壌生態系機能における生産機能を利用した自然からの恵みの享受である.土壌生態系は,有機物分解による物質循環の変化(可給態養分の提供),土壌物理性の改変,代謝産物による植物生長の促進,根などの直接の摂食による食害などを通して植物の生長を左右する.生産機能が十分に発揮されているかどうかを評価するには,対象とする土壌を用いて現場で作物等を生産してみることが分かりやすいが,土壌には多様な生物が生息しており,その食物網は非常に複雑である上に,土壌構造や土壌物理化学性も複雑であり,一様な評価は難しい.このことから,土壌系ではよく操作実験が行われる.様々な条件を制御して室内・野外を問わず実施されるが,その結果について実環境への適用を考える際には,実験条件や実験期間,空間スケールについてよく考慮した上で解釈をする必要がある.
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② 樹木や作物等の葉や枝などの枯死物を総称してリターと呼ぶ.リターが脱落して地表に降下する量のことをリターフォールと呼ぶ.リターフォールによって土壌に還元されたリターには,有機物や養分が多く含まれており,土壌微生物や土壌動物によって分解されることで森林や農地生態系内を再循環する.リターフォールやリターの分解特性は,植生の種類だけではなく,気候,地質,土壌を含む様々な環境要因を受けて形成されている.土壌の機能のうちでも,分解浄化機能によって地球上の物質循環が形成される訳だが,その機能の活性や状態を知るには,その地の有機物の質や量の把握をした上で,実際に有機物の分解速度を測定してみるとよい.有機物分解速度の測定法としては,リターをメッシュバックに詰めて土壌中に一定期間埋設し,リターの分解量を重量で測定するリターバック法や,地表面にチャンバーを設置し,土壌中から発生する二酸化炭素量(土壌呼吸量)を測定することで土壌中の有機物分解量(速度)を測定するチャンバー法などが代表的である.
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③ 第7回の細目③で確認したように,土壌中に有害物質が一定濃度以上存在すると,その土壌中に生息する土壌生物に悪影響が生じ,土壌生態系機能の発揮にもその影響が表れてくることがある.土壌生物への悪影響は,特に観察がしやすい土壌動物においては成長や行動,繁殖の阻害,さらには致死として確認することができる.土壌微生物は土壌動物に比べて有害物質による悪影響は生じにくいが,土壌動物への影響と合わせて,土壌呼吸量や窒素無機化速度の低下といった,生態系機能評価の側面から毒性影響評価が行われることが多い.また,ある有害物質がどれほどの毒性を発現しうるかを判断するためには,定められた試験条件下における毒性試験を実施する必要があるが,OECDやISOなどにおいて,土壌動物に対する国際標準毒性試験法が定められている.
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キーワード
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① 生態系機能評価法 ② 操作実験 ③ リター ④ 有機物分解速度 ⑤ 毒性試験
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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復習・予習課題
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復習課題:土壌生態系機能評価方法について,生産機能は様々な土壌生態系機能の総体として発揮されることや,操作実験の目的や自然環境への適用の際の注意点等について学んだ.土壌有機物分解試験のうち,リターバック法,チャンバー法等について学び,土壌毒性試験法の国際的標準法(OECD法,ISO法)や機能低下評価実験の方法について確認を行った.これらについて,それぞれどのような事項であるか,説明ができるようにしておくこと.
予習課題:次回は,第5回から第8回までに学んだ土壌生態系機能評価について,総括を行う.特に,より高度な土壌生態系機能の発揮には,土壌の組成や生成過程における特性に基づいた事情を踏まえて,どのような管理が必要と考えられるか,土壌の劣化や汚染はどのようなプロセスで土壌生態系機能の低下を招いてしまうのか,といった事項について,これまでの学びの内容を踏まえて確認を行うことから,第5回から第8回までの学びの内容について復習をした上で考えを巡らせておくこと.
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9
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土壌圏の生態系機能評価⑤ ―まとめ―
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科目の中での位置付け
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本科目では,生態系機能を評価する意義を理解した上で,その具体的な評価方法について対象とする代表的な環境要素ごと(土壌圏,水圏,森林圏)に示す.第1回から第4回では生態系機能及びその評価について,その必要性の観点を含めて学ぶ.第5回から第9回では土壌圏について,土壌生態系機能の概要からそれを支える事項,さらには汚染や劣化までを含めて生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第10回と第11回では水圏について,河川,氾濫原,沿岸域,海洋という区分において生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第12回と第13回では森林圏について,樹木,森林土壌を対象として生態系機能の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第14回では水圏及び森林圏の生態系機能評価について総括し,それらの関連性について確認する.第15回では,改めて生態系機能とは何かを踏まえ,その評価の必要性と具体的な方法,環境要素を跨いだ関連性について確認する. このような授業展開において,第9回は第5回から第8回で学んだ,土壌の生態系機能評価に係る総括を行う特に,土壌の生態系機能の内容やそのメカニズム,評価方法,及び生態系機能の抑制要因について演習を中心として確認を行う.
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第5回から第8回までに用いた資料や参考文献を基に,再構成した資料を用いる.
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コマ主題細目
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① 土壌の生態系機能とは ② 土壌劣化と土壌汚染 ③ 土壌生態系機能評価手法
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細目レベル
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① 土壌は,風化作用と土壌生成作用により生成する.土壌生成に影響する因子は,母材(岩石),気候,生物,地形,時間の5つに,近年では人為を加えて6大土壌生成因子と呼ばれることもある.土壌は,「岩石が外界の影響によって物理的あるいは化学的な風化作用を受け,それに動物や植物の遺体が加わり,さらにその遺体が土壌生物の作用を受けて互いに混じり合い,一体となり,その与えられた環境で安定した状態(平衡状態)に移りつつあるか,平衡状態に達した自然物」と定義できる. 三相分布で大まかな土壌の性状を把握することができ,作物栽培や土壌生物にとっては,このバランスが重要である.特に固相を構成する土壌粒子の粒径組成は,土壌の持つ様々な性質に影響を与える. 土壌の主な機能としては,生産機能,保水機能,分解浄化機能が挙げられ,特に生産機能は,農産物の生産として人間の生活に直結する.農地は,土壌有機物の減少により土壌劣化を招きやすい.土壌有機物は土壌中で様々な働きを有し,土壌劣化を防ぐために様々な農地管理法が提案・実践されている.
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② 細目①が示すように,土壌有機物の減少は土壌劣化の大きな要因となる.程度が過ぎると土地退化いう,植物や土壌が失われるなどして,その土地で半永久的に生活できなくなる災害状態にも至る.土壌劣化は有害物質の過剰流入による土壌汚染によっても生じる.都市部に住む者には土壌汚染など遠い地での話と考えるだろうが,主に4つの経路によって人間にも土壌に流入した有害物質は到達し得る.また,生態系機能の低下を介して間接的にも人間にその影響が及びうる.有害物質としては,農薬,重金属類,放射性物質などが代表的であり,栄養塩までをも含めて特定物質の過剰な存在によってどのような物質も汚染の要因となり得る.
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③ 土壌生態系機能として最もよく知られている生産機能は,有機物分解による物質循環の変化(可給態養分の提供),土壌物理性の改変,代謝産物による植物生長の促進,根などの直接の摂食による食害などの様々な作用の結果として発揮される.土壌生態系機能の評価の際の特徴として,現場で観察される状態は様々な要因によって生じた結果であることから,主な要因を把握するためには操作実験により制御を施した試験系による評価がよく行われる.そのため,実験結果について実環境への適用を考える際には,実験条件や実験期間,空間スケール等についてよく考慮した上で解釈をする必要がある.これは,分解浄化機能の評価を目的とした有機物分解実験や,土壌汚染に伴う土壌生態系機能の低下についての評価を目的とした土壌生態毒性試験においても同様である.
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キーワード
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① 土壌生態系機能 ② 土壌有機物 ③ 土壌劣化 ④ 土壌汚染 ⑤ 操作実験
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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復習・予習課題
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復習課題:第5回から第8回にかけて学んできた事項について,それぞれの回の関連性を踏まえて確認をした.加えて,改めて各回の重要な用語,事象の仕組み,評価手法等について確認をした.複数回の内容の繋がりについて扱っているため,学習内容の要点の整理としても重要な回である.全ての事項を理解するよう,十分に復習を行うこと.
予習課題:次回(第10回)から第11回にかけて,河川や海などの水圏における生態系機能評価について扱う.次回は河川及び氾濫原を対象とする.水の流れが様々な微地形を生み,それが多様な生物の生息を可能としている点では河川も氾濫原も同様であることについて,コマシラバスの細目レベルの記載事項をよく読んで,その概要の確認をしておくこと.
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10
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水圏の生態系機能評価① ―河川・氾濫原―
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科目の中での位置付け
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本科目では,生態系機能を評価する意義を理解した上で,その具体的な評価方法について対象とする代表的な環境要素ごと(土壌圏,水圏,森林圏)に示す.第1回から第4回では生態系機能及びその評価について,その必要性の観点を含めて学ぶ.第5回から第9回では土壌圏について,土壌生態系機能の概要からそれを支える事項,さらには汚染や劣化までを含めて生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第10回と第11回では水圏について,河川,氾濫原,沿岸域,海洋という区分において生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第12回と第13回では森林圏について,樹木,森林土壌を対象として生態系機能の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第14回では水圏及び森林圏の生態系機能評価について総括し,それらの関連性について確認する.第15回では,改めて生態系機能とは何かを踏まえ,その評価の必要性と具体的な方法,環境要素を跨いだ関連性について確認する. このような授業展開において,第10回は水圏の中でも河川や氾濫原について,その場における生態系機能及びその評価方法について概観する.
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以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる. ① 平林公男(2024)河川生態系における連続性と物質循環.平林公男・東城幸治(編著)河川生態学入門.共立出版, 95-99頁. ② 井上幹生・中村太士(編)(2019)河川生態系の調査・分析方法.講談社,pp.437. ③ 永山滋也(2019)氾濫原の定義と生態的機能.応用生態工学会(編)河道内氾濫原の保全と再生.技報堂出版,1-22頁.
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コマ主題細目
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① 河川生態系における機能 ② 河川生態系の調査 ③ 氾濫原の生態系機能
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細目レベル
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① 河川生態系における機能としては,川の流れそのものである流水機能が特徴的であるが,これが河川とその他の生態系の在り方を区分する大きな要素といえる.この水の流れとともに,土砂輸送機能や有機物輸送機能が発揮される.水が流れ,土砂が削られ,大小様々な形の空間が河床に生じ,水の流れも急な箇所と緩やかな箇所が存在することで,環境モザイクが形成される.このことが生物生息場提供機能の発揮に繋がり,様々な物理的環境の下で様々な生物が生息することで,盛んに物質循環が行われ,生物による有機物の利用は水質浄化機能を担う側面もある.生態系機能の発揮には,生物の存在が不可欠であるが,河川生態系における生息場としての特徴としては,上述の通り河床形態の多様性の存在の他,洪水や渇水などの大きな撹乱及びそれが生じる頻度の高さ,上流から下流への水の流れに伴う大きな方向性の存在,多量な溶存物質の存在などが挙げられる.これを踏まえると,河川の三面護岸化やダムの設置などは,河川生態系を大きく改変する要因となることは容易に想像できる.
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② 河川生態系の調査は,河川の特性を知るために,流域面積,地質,土地利用形態,景観要素,地形,水深,流速,流量,河床材料と粒径区分,水質の各種項目などが基本的項目として実施されることが多い.定量的な測定が求められるが,現在では多くの測定機器や手法が開発されており,比較的容易に精度の高い測定が可能である.しかし,その原理や使用方法を十分に理解していないと,不正確な測定結果を導くこととなる.続いて,生物の生息場特性の様々なスケールでの類型化や,水辺林の状態調査,有機物流入量や存在量,藻類,底生生物,魚類の調査などが行われる.河川生態系において,陸上からの粒状有機物の流入は重要な餌資源である一方で,その有機物が沿岸域に到達した際に過剰な堆積が生じると底層における貧酸素化を招き,底層生物に深刻な悪影響が生じる.このように,河川を通じて陸から海までの土砂を含んだ物質の輸送が行われており,河川生態系の状態の理解や汚染等の問題の解決には,より俯瞰的に広い視点から捉える必要がある.
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③ 日本は急峻な地形故に,氾濫原が多く存在し,それに伴い微地形が多数存在することで,生物多様性の維持が成されてきた.また,氾濫原には上流から運ばれてきた栄養塩や有機物が貯留し,急激な下流への流出を抑える効果もあり,その一方で貯留した栄養塩や有機物を利用して一次生産が増大するなど,氾濫原は生態系内での様々な要素の変動が大きい場でもある. 現在では多くの河川において堤防が整備され,昔ながらの氾濫原の維持は難しくなった.堤防より河川側の土地を堤外地と呼び,堤外地内で中小規模の洪水時に流水が集中的に流れる場所を低水路という.堤外地のうち,低水路を除いた場所を河道内氾濫原と呼び,昔の氾濫原とは大きくその様相は異なるが,細々と氾濫原依存種の維持に寄与している場である.この意味で,堤防の整備が低水路に沿ったものとなっている,もしくはそのように計画されている場合は,生物多様性を大きく損なっている,もしくは損なう可能性があり,生態系機能も十分に発揮できる状態とは言い難いものである場合が多い.
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キーワード
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① 河川生態系 ② 流水機能 ③ 環境モザイク ④ 調査 ⑤ 氾濫原
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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復習・予習課題
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復習課題:河川における生態系機能は,どのようなものがあるかについて説明ができるようにしておくこと.河川生態系の調査における基本的項目を挙げて,その実施意義の説明ができるようにしておくこと.氾濫原の存在意義について説明ができるようにしておくこと.
予習課題:次回は第10回に続き,水圏の生態系機能評価のうち,沿岸域と外洋を対象として扱う.沿岸域は生態系機能が海洋で最も高い海域であり,里海としてその機能の維持に向けた取り組みが各所で行われている.その他,沿岸域と外洋との物質の巡り方の違いなどについて,コマシラバスの細目レベルの記載事項をよく読み,その概要の確認をしておくこと.
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11
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水圏の生態系機能評価② ―沿岸域・海洋―
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科目の中での位置付け
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本科目では,生態系機能を評価する意義を理解した上で,その具体的な評価方法について対象とする代表的な環境要素ごと(土壌圏,水圏,森林圏)に示す.第1回から第4回では生態系機能及びその評価について,その必要性の観点を含めて学ぶ.第5回から第9回では土壌圏について,土壌生態系機能の概要からそれを支える事項,さらには汚染や劣化までを含めて生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第10回と第11回では水圏について,河川,氾濫原,沿岸域,海洋という区分において生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第12回と第13回では森林圏について,樹木,森林土壌を対象として生態系機能の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第14回では水圏及び森林圏の生態系機能評価について総括し,それらの関連性について確認する.第15回では,改めて生態系機能とは何かを踏まえ,その評価の必要性と具体的な方法,環境要素を跨いだ関連性について確認する. このような授業展開において,第11回は水圏の中でも沿岸域や海洋(外洋)について,その場における生態系機能及びその評価方法について概観する.
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以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる. ① 吾妻行雄(2023)磯焼けと気候変動.東北大学出版会,1-9頁.堀正和(2011)浅海域の生態系サービス:生物生産と生物多様性の役割.小路淳・堀正和・山下洋(編)浅海域の生態系サービス.恒星社厚生閣,11-25頁.堀之内正博(2011)アマモ場―シェルター機能の再検討.小路淳・堀正和・山下洋(編)浅海域の生態系サービス.恒星社厚生閣,53-66頁. ② 環境省(2011)里海づくりの手引書.pp.102. ③ 望月賢二(2020)生態系の劣化と資源減少―原因と対処法.小松正之・望月賢二・寳多康弘・有薗眞琴(編著)世界の水産資源管理.雄山閣,168-236頁.古谷研(2009)海洋の生態系サービス.特別シンポジウム記録 生態系サービスと水産.日本水産学会誌 75(1),90-92頁.
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コマ主題細目
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① 沿岸域の生態系機能 ② 里海とは ③ 海洋の生態系機能
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細目レベル
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① 沿岸域は単位面積あたりの生物多様性と生態系機能が海洋で最も高い海域であり,海洋面積に占める沿岸域の割合は9%であるのに対し,海洋の総一次生産量の約1/4を担っている.生態系サービスの価値見積もりでは,単位面積当たり外洋域の16倍であり,全面積では外洋域の1.5倍である.さらにその対象を藻場と干潟に絞ると,単位面積当たりの生態系サービスは地球上で最も高い場と言え,熱帯雨林の10倍にもなる. アマモなどの海草やコンブ目などの大型海藻による藻場は,生産力が高く,特にコンブ目海中林の生産力は極めて高い.それは,炭素固定機能としても注目される一方で,生食連鎖及び腐食連鎖の起点となって,沿岸生態系を支える.アマモ場も同様に炭素固定場として注目される他,基質の安定化や水産資源の供給機能などの点においても注目される.
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② 細目①の通り沿岸域は,生産力が高く,里山と同様に古くから人が自然から資源を得てきた場である.しかしながら,人為的影響を主として沿岸生態系の劣化が進んでいることを踏まえ,「21世紀環境立国戦略」(2007年6月閣議決定)では,藻場,干潟等の保全・再生・創出,水質汚濁対策,持続的な資源管理などの総合的な取組を推進することにより,多様な魚介類等が生息し,人々がその恵沢を将来にわたり享受できる自然の恵み豊かな「里海」の創生を図ることを,重点を置くべき戦略の内容の1つとして挙げている.環境省が発行している「里海づくりの手引書」によると,里海づくりは「物質循環」,「生態系」,「ふれあい」という活動により保全・再生される3つの要素と,活動を実践する「場」と「主体」の2つの活動要素によって構成される.特に,藻場,干潟の保全とともに,栄養塩の挙動に注目し,森から川,里地や海洋までの物質循環を重視した取り組みが進められている.
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③ 細目①の沿岸域などの海藻や海草が発達したそれらが一次生産者を担っている海域に比べ,外洋などでは植物プランクトンが主要な一次生産者を担っており,単位時間当たりの生物量の入れ替わりの回数は,外洋の方が20倍程度多く,物質の移動が顕著であると言える.つまり物質循環の観点からは,陸域や沿岸域は物質ストック(貯留)の傾向があることに対し,外洋などでは物質が滞ることなく絶えず動き続ける中で生物量が維持されているといえる.このことは,外洋において一次生産者の生物量が減少すると,高次消費者の生物量の減少に即座に直結することを意味しており,裏を返せば一次生産者の生物量の維持ができれば高次消費者の資源量も維持できるものと考えることができる.海洋生態系における生態系機能としては,ほぼ資源供給に目が向けられるところであるが,海洋の水産資源に影響を及ぼすのは,人為的乱獲,地球温暖化(水温上昇,海水中の二酸化炭素濃度の上昇,海水面上昇など),陸域環境の改変(管理放棄人工林からの土砂流出,河川・湖沼の水循環人工化,淡水の過剰利用と排水,干潟の埋め立て,ごみの不適切処理,栄養塩の過剰流出など),海域環境の改変(海岸の人工化,海域のごみ問題,養殖業など)などが挙げられる.
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キーワード
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① 沿岸域 ② 生産力 ③ 里海 ④ 海洋 ⑤ 資源
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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復習・予習課題
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復習課題:沿岸域が単位面積あたりの生物多様性と生態系機能が最も高い海域である理由について,説明ができるようにしておくこと.里海とは何か,及び里海づくりがなぜ必要かについて,説明ができるようにしておくこと.沿岸域と外洋における生態系機能の違いについて説明ができるようにしておくこと.海洋生態系機能の主なものについて,資源供給機能以外にも複数挙げられるようにしておくこと.
予習課題:次回(第12回)から第13回にかけて,森林生態系における機能評価について扱う.次回は,樹木等の地上部で主に発揮される生態系機能に注目する.主な森林生態系機能の種類と,木材生産と炭素固定との関係,野生動物保護機能などについて,コマシラバスの細目レベルの記載事項をよく読み,その概要の確認をしておくこと.
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12
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森林の生態系機能評価① ―地上部―
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科目の中での位置付け
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本科目では,生態系機能を評価する意義を理解した上で,その具体的な評価方法について対象とする代表的な環境要素ごと(土壌圏,水圏,森林圏)に示す.第1回から第4回では生態系機能及びその評価について,その必要性の観点を含めて学ぶ.第5回から第9回では土壌圏について,土壌生態系機能の概要からそれを支える事項,さらには汚染や劣化までを含めて生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第10回と第11回では水圏について,河川,氾濫原,沿岸域,海洋という区分において生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第12回と第13回では森林圏について,樹木,森林土壌を対象として生態系機能の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第14回では水圏及び森林圏の生態系機能評価について総括し,それらの関連性について確認する.第15回では,改めて生態系機能とは何かを踏まえ,その評価の必要性と具体的な方法,環境要素を跨いだ関連性について確認する. このような授業展開において,第12回は森林圏における樹木などの主に地上部の生態系機能及びその評価方法について概観する.
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以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる. ① 木平勇吉(編著)(2005)森林の機能と評価.日本林業調査会,17-100頁.滝久智,山浦悠一,田中浩(2011)森林景観と生態系サービス.日本生態学会(編)森林生態学.共立出版,245-257頁.日本学術会議(2001)地球環境・人間生活にかかわる農業及び森林の多面的な機能の評価について(答申).pp.112. ② 国立環境研究所地球環境研究センター(2023)日本国温室効果ガスインベントリ報告書 2023年.山田健四(2002)森林の炭素吸収量はどのように評価される?.光珠内季報205,1-5頁. ③ 木平勇吉(編著)(2005)森林の機能と評価.日本林業調査会,17-100頁.島田卓哉(2011)森林と動物との相互作用.日本生態学会(編)森林生態学.共立出版,189-205頁.
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コマ主題細目
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① 森林の生態系機能・生態系サービス ② 木材生産と炭素固定能 ③ 野生動物保護機能
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細目レベル
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① 森林が有する機能として,日本学術会議(2001)による答申「地球環境・人間生活にかかわる農業及び森林の多面的な機能の評価について」によると,①生物多様性保全機能,②地球環境保全機能,③土砂災害防止機能/土壌保全機能,④水源涵養機能,⑤快適環境形成機能,⑥保健・レクリエーション機能,⑦文化機能,⑧物質生産機能が挙げられている.これらはいずれにせよ,森林生態系における生態系機能として解釈することができ,我々人間に自然の恵みとして享受される生態系サービスとしても,供給サービス,調整サービス,文化的サービス,基盤サービスのそれぞれに区分することができる.森林生態系は,他の生態系と比較して,現存量が大きくより複雑な構造を持ち,巨大な三次元構造の中で生物と非生物間との相互作用によって生態系サービスが生み出される.
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② 森林生態系機能を評価する際,木材として利用する供給サービスとしての価値評価は,市場価格が存在することからも盛んに行われてきた.細目①における機能の区分としては,⑧物質生産機能の一部として木材の利用が挙げられるが,②地球環境保全機能として二酸化炭素の吸収の面で炭素循環に地球規模で関わってもいる.木材の生長には,光合成による大気からの二酸化炭素を吸収するプロセスが必須であるが,気候変動(地球温暖化)問題からしても,この森林の炭素固定機能は重要な役割を担っている.森林の炭素固定能の評価は様々な手法が提案されているが,例えば,日本国温室効果ガスインベントリ報告書2023では,ある林分における生体バイオマスに含まれる炭素量(t-C)は,林分材積(m3)×容積密度(t-d.m./m3)×バイオマス拡大係数×(1+地上部・地下部比)×炭素含有率(%)で求められる.森林の生体による炭素固定量を増加させるには,森林面積を増やす,伐採量を減らす,森林の生長速度を速めるなどがあるが,管理放棄の問題もある針葉樹人工林の管理の在り方と合わせて,適切な森林管理の下で炭素固定量の増加(≒生産性の増加)を目指す必要がある.
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③ 細目①の①生物多様性保全機能の評価としては,鳥獣保護や野生動植物保護の観点での評価は進められているが,生物多様性保全機能の全体像を俯瞰する評価には至っておらず,研究の進展が待たれるところである.比較的評価事例の多い動物の生息に係る観点で森林と見ると,森林には餌と生息環境という動物がある場所に恒久的に生息するために必要とする条件が整っており,多様な動物の生息地となっている.この餌と生息環境の提供は,森林の高い現存量と発達した垂直構造,多様な食物資源の存在,気象の緩和機能を有することなどに支えられているものである.熱帯多雨林は,陸地面積の7%に過ぎないが全生物種の約50%,鳥類で30%,昆虫では90%が生息するとされる.日本においても哺乳類の約50%が森林に生息するとされ,陸上哺乳類においては85%が森林に生息している.動物は主に採餌行動を通して,植物の生長や繁殖,個体群動態,群集構造に様々な影響をもたらしている.
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キーワード
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① 森林 ② 木材生産 ③ 炭素固定 ④ 餌 ⑤ 生息環境
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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復習・予習課題
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復習課題:森林における生態系機能は,どのようなものがあるかについて説明ができるようにしておくこと.木材生産量の増加や炭素固定量の増加を目指して,気候変動や日本における管理放棄人工林の問題などを踏まえた解決・改善策について,説明ができるようにしておくこと.森林の野生動物保護機能について,どのような面で野生動物の生息に森林は関わっているのかについて説明ができるようにしておくこと.
予習課題:次回は第12回に引き続き,森林生態系の機能のうち,森林土壌を対象として扱う.さらに,管理放棄などで注目される針葉樹人工林について,現在,針広混交林化が進められてきていることについても扱う.コマシラバスの細目レベルの記載事項をよく読み,その概要の確認をしておくこと.
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13
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森林の生態系機能評価② ―森林土壌と針広混交林化―
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科目の中での位置付け
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本科目では,生態系機能を評価する意義を理解した上で,その具体的な評価方法について対象とする代表的な環境要素ごと(土壌圏,水圏,森林圏)に示す.第1回から第4回では生態系機能及びその評価について,その必要性の観点を含めて学ぶ.第5回から第9回では土壌圏について,土壌生態系機能の概要からそれを支える事項,さらには汚染や劣化までを含めて生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第10回と第11回では水圏について,河川,氾濫原,沿岸域,海洋という区分において生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第12回と第13回では森林圏について,樹木,森林土壌を対象として生態系機能の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第14回では水圏及び森林圏の生態系機能評価について総括し,それらの関連性について確認する.第15回では,改めて生態系機能とは何かを踏まえ,その評価の必要性と具体的な方法,環境要素を跨いだ関連性について確認する. このような授業展開において,第13回は森林圏における森林土壌が持つ生態系機能及びその評価方法について概観する.
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以下の文献情報を中心として作成した配布資料を用いる. ① 内閣府(2024)「森林と生活に関する世論調査(令和5年10月調査)」https://survey.gov-online.go.jp/r05/r05-sinrin/2.html#midashi6(2024年9月5日参照).五味高志(2022)生態系の構造・機能と保全のあり方・森林.皆川朋子(編集幹事)社会基盤と生態系保全の基礎と手法.朝倉書店,97-103頁.木平勇吉(編著)(2005)森林の機能と評価.日本林業調査会,17-100頁. ② 木平勇吉(編著)(2005)森林の機能と評価.日本林業調査会,17-100頁.蔵治光一郎(2012)森の「恵み」は幻想か.化学同人,31-54頁.五味高志(2022)生態系の構造・機能と保全のあり方・森林.皆川朋子(編集幹事)社会基盤と生態系保全の基礎と手法.朝倉書店,97-103頁. ③ 清和研二(2022)スギと広葉樹の混交林.農文協,pp.203.佐藤保(2021)針広混交林を目指す市町村森林経営管理の施業.林業改良普及双書,pp.173.
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コマ主題細目
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① 国土保全機能 ② 水源涵養機能 ③ 針広混交林はよいのか
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細目レベル
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① 第12回の細目②で扱った木材の利用に代表されるような直接的利用価値(供給サービス)以外の,土砂崩れ防止や水源涵養機能などの間接的利用価値(調整サービス)も古くから認識されており,経済的評価を中心とする環境評価が実施されている.森林と生活に関する世論調査(内閣府,2023年10月実施)にて,森林にどのような働きを期待するかとの問いには,第12回で扱った「二酸化炭素を吸収することにより,地球温暖化防止に貢献する働き(67.6%)」が最も高く,上述の間接的利用価値である「山崩れや洪水などの災害を防止する働き(63.2%)」,「水資源を蓄える働き(55.4%)」が続く. 山崩れや土砂流出防止の観点では,林床植生及び樹木の存在が重要である.土壌浸食は,表面流によるものが8割から9割を占めているとする報告もあり,林床植生の存在が重要である.1 m深程度までは樹木の根による杭効果とネット効果により森林土壌の斜面崩壊を抑える効果がある.この森林による森林土壌の表土流出防止効果は,有機物に富む土壌層の流出を防ぎ,森林土壌生態系の維持に重要な機能である.なお,1 m以上の深さの土壌層での崩壊や岩盤から崩壊する深層崩壊には,これらの効果は発揮されない.
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② 細目①で出てきた「水資源を蓄える働き」は様々な呼称があるが,ここでは水源涵養機能とする.これは,しばらく雨が降らない日が続いても森林(もしくはその流域)から水が供給され川の水が枯れない,という「渇水緩和機能」を指すことが多いが,降水を森林土壌中等に浸透させ,水の流出速度を緩やかにし,大雨時のピーク流量を低減する「洪水緩和機能」も,森林の機能として重要である.これらの森林の機能は,森林の持つ「平準化作用」「蒸散作用」「樹冠遮断作用」によって,保水力が発揮される.森林の管理状態や植生によって,これらの作用の増減が生じ,十分に水源涵養機能が発揮できない状態となることもある.2つの機能の発揮に共通して重要な作用は「平準化作用」であり,土壌層やさらに深部の土層,岩盤において保水力を発揮する.これらの場に保水するためには,土壌からの浸透能も重要であり,土壌の状態によって大きく異なる.
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③ 第12回,第13回で見てきた森林の多様な機能が,特に管理放棄された針葉樹人工林において低下することについて注目されている.管理放棄は様々な要因によって生じるが,林業経営に適さない地に針葉樹人工林が存在することもその一つであり,今後木材生産を見込めない針葉樹人工林は,育成複層林として管理コストの低い針広混交林等へ誘導していくことが,「森林・林業基本計画」(2016)の中で示されている.ただし,針広混交林への誘導は,決して容易な作業ではなくコストも一定程度要することに注意が必要である. この針広混交林化は,木材生産を主な目的とした場を,多様な森林生態系機能の発揮の場として転換することを目的としている.この転換が実際に多様な生態系機能の発揮に結びつくのかどうかは,未だ研究の途上であり報告も少ないが,混交林化後には,植生細根総量が増加,生産力(特に葉)が増加し,窒素の供給・吸収量が増加したという報告がある.また,細目②の水源涵養機能に関連して,混交林化後には表土の浸透能が上昇したことから,水源涵養機能が高まったとする報告がある.その一方で,針葉樹林も広葉樹林も森林の保水能に差はない,とする報告もあり,議論が分かれるところである.
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キーワード
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① 土砂流出防止 ② 土壌浸食 ③ 水源涵養機能 ④ 平準化作用 ⑤ 針広混交林
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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復習・予習課題
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復習課題:山崩れや土壌浸食防止も含めた土砂流出防止機能について,森林生態系機能としてはどのような効果があるのかについて説明ができるようにしておくこと.水源涵養機能の種類や関わる作用等の仕組みについて説明ができるようにしておくこと.針広混交林化はどのような目的で実施され,どのような効果が期待されるものであるのかについて説明ができるようにしておくこと.
予習課題:次回は,第10回から第13回までに学んだ水圏の生態系機能や森林の生態系機能の評価について,総括を行う.河川から沿岸域,外洋までの物の流れや,沿岸域や外洋の一次生産や資源供給機能に森林からの物質供給が重要であることなどについても扱う.これまでの学びの内容を踏まえてこれらの確認を行うことから,第10回から第13回までの学びの内容についてよく復習をしておくこと.
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14
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水圏・森林における生態系機能評価 ―まとめ―
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科目の中での位置付け
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本科目では,生態系機能を評価する意義を理解した上で,その具体的な評価方法について対象とする代表的な環境要素ごと(土壌圏,水圏,森林圏)に示す.第1回から第4回では生態系機能及びその評価について,その必要性の観点を含めて学ぶ.第5回から第9回では土壌圏について,土壌生態系機能の概要からそれを支える事項,さらには汚染や劣化までを含めて生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第10回と第11回では水圏について,河川,氾濫原,沿岸域,海洋という区分において生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第12回と第13回では森林圏について,樹木,森林土壌を対象として生態系機能の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第14回では水圏及び森林圏の生態系機能評価について総括し,それらの関連性について確認する.第15回では,改めて生態系機能とは何かを踏まえ,その評価の必要性と具体的な方法,環境要素を跨いだ関連性について確認する. このような授業展開において,第14回は第10回から第13回で学んだ,水圏及び森林圏における生態系機能の内容やそのメカニズム,評価方法,及び水圏・森林圏の生態系機能の関連性について演習を中心として確認を行う.
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第10回から第13回までに用いた資料や参考文献を基に,再構成した資料を用いる.
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コマ主題細目
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① 河川や氾濫原における生態系機能と調査項目 ② 沿岸域と外洋の生態系機能 ③ 森林の主に地上部で発揮される生態系機能 ④ 森林土壌で主に発揮される生態系機能
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細目レベル
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① 河川では,流水機能により,土砂輸送機能や有機物輸送機能が発揮される.さらにその結果として,生物生息場提供機能の発揮に繋がり,生物によって水質浄化機能を担う側面もある.河川の三面護岸化やダムの設置などは,河川生態系を大きく改変する要因となることは容易に想像できる上に,氾濫原の存在は微地形が多数存在することから,生物多様性の維持の点で非常に重要である.氾濫原には上流から運ばれてきた栄養塩や有機物が貯留し,急激な下流への流出を抑える効果もあり,その一方で貯留した栄養塩や有機物を利用して一次生産が増大するなど,氾濫原は生態系内での様々な要素の変動が大きい場でもある. 河川の特性を知るためには,流域面積,地質,土地利用形態,景観要素,地形,水深,流速,流量,河床材料と粒径区分,水質の各種項目などが基本的項目として実施されることが多い.生物の生息場特性の様々なスケールでの類型化や,水辺林の状態調査,有機物流入量や存在量,藻類,底生生物,魚類の調査なども行われる.
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② 沿岸域は単位面積あたりの生物多様性と生態系機能が海洋で最も高い海域であり,アマモなどの海草やコンブ目などの大型海藻による藻場は,生産力が高く,特にコンブ目海中林の生産力は極めて高い.それは,炭素固定機能としても注目される一方で,生食連鎖及び腐食連鎖の起点となって,沿岸生態系を支える.沿岸域は,生産力が高く,里山と同様に古くから人が自然から資源を得てきた場であるものの,人為的影響を主として沿岸生態系の劣化が進んでいる.そのため,多様な魚介類等が生息し,人々がその恵沢を将来にわたり享受できる自然の恵み豊かな「里海」を創生する活動が進められており,特に,藻場,干潟の保全とともに,栄養塩の挙動に注目し,森から川,里地や海洋までの物質循環を重視した取り組みが行われている. 陸域や沿岸域は物質ストック(貯留)の傾向があることに対し,外洋などでは物質が滞ることなく絶えず動き続ける中で生物量が維持されている.つまり,外洋において一次生産者の生物量が減少すると,高次消費者の生物量の減少に即座に直結することを意味している.海洋生態系における生態系機能としては,ほぼ資源供給に目が向けられるが,海洋の水産資源には多様な要素が影響を与え,その維持・管理は一筋縄ではいかない.
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③ 森林が有する機能は,様々なものが挙げられているが,例えば①生物多様性保全機能,②地球環境保全機能,③土砂災害防止機能/土壌保全機能,④水源涵養機能,⑤快適環境形成機能,⑥保健・レクリエーション機能,⑦文化機能,⑧物質生産機能,などが主なものとして挙げられる. 木材の生長には,光合成による大気からの二酸化炭素を吸収するプロセスが必須であるが,気候変動(地球温暖化)問題からしても,この森林の炭素固定機能は重要な役割を担っている.森林の生体による炭素固定量を増加させるには,森林面積を増やす,伐採量を減らす,森林の生長速度を速めるなどがあるが,管理放棄の問題もある針葉樹人工林の管理の在り方と合わせて,適切な森林管理の下で炭素固定量の増加(≒生産性の増加)を目指す必要がある. 森林には,餌と生息環境という動物がある場所に恒久的に生息するために必要とする条件が整っており,多様な動物の生息地となっている.この餌と生息環境の提供は,森林の高い現存量と発達した垂直構造,多様な食物資源の存在,気象の緩和機能を有することなどに支えられている.また,動物は主に採餌行動を通して,植物の生長や繁殖,個体群動態,群集構造に様々な影響をもたらしている.
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④ 山崩れや土砂流出防止には,林床植生及び樹木の存在が重要である.土壌浸食は,表面流によるものが8割から9割を占めているとする報告もあり,林床植生の存在が重要である.1 m深程度までは樹木の根による杭効果とネット効果により森林土壌の斜面崩壊を抑える効果がある.この森林による森林土壌の表土流出防止効果は,有機物に富む土壌層の流出を防ぎ,森林土壌生態系の維持に重要な機能である.なお,1 m以上の深さの土壌層での崩壊や岩盤から崩壊する深層崩壊には,これらの効果は発揮されない. 「水源涵養機能」は,「渇水緩和機能」を指すことが多いが,降水を森林土壌中等に浸透させ,水の流出速度を緩やかにし,大雨時のピーク流量を低減する「洪水緩和機能」も,森林の機能として重要である.この2つの機能の発揮に共通して重要な作用は「平準化作用」であり,土壌層やさらに深部の土層,岩盤において保水力を発揮する. 針葉樹人工林を対象として針広混交林化は,木材生産を主な目的とした場を,多様な森林生態系機能の発揮の場として転換することを目的としている.この転換が実際に多様な生態系機能の発揮に結びつくのかどうかは,報告も少なく研究の進展が待たれる.
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キーワード
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① 河川 ② 沿岸域 ③ 海洋 ④ 森林 ⑤ 土壌
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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復習・予習課題
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復習課題:第10回から第13回にかけて学んできた事項について,それぞれの回の関連性を踏まえて確認をした.加えて,改めて各回の重要な用語,事象の仕組み,評価手法等について確認をした.複数回の内容の繋がりについて扱っているため,学習内容の要点の整理としても重要な回である.全ての事項を理解するよう,十分に復習を行うこと.
予習課題:次回は,第1回から第14回までの総括として,生態系機能を評価する意義やその方法について改めて確認を行う.これまで扱ってきた個々の場を対象として小さな単位での生態系ではなく,繋がりをもった大きな対象としての生態系の,人間との関係性を踏まえ,どのように関わっていくべきなのかについても考える.これまでの総復習を行った上で,生態系機能を理解する意義とは,生態系機能を評価する意義とは何かについて考えを巡らせておくこと.
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15
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生態系機能評価学とは ―総括―
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科目の中での位置付け
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本科目では,生態系機能を評価する意義を理解した上で,その具体的な評価方法について対象とする代表的な環境要素ごと(土壌圏,水圏,森林圏)に示す.第1回から第4回では生態系機能及びその評価について,その必要性の観点を含めて学ぶ.第5回から第9回では土壌圏について,土壌生態系機能の概要からそれを支える事項,さらには汚染や劣化までを含めて生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第10回と第11回では水圏について,沿岸域,底質,河川,海洋という区分において生態系機能評価の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第12回と第13回では森林圏について,樹木,森林土壌を対象として生態系機能の考え方,及び具体的な方法を学ぶ.第14回では水圏及び森林圏の生態系機能評価について総括し,それらの関連性について確認する.第15回では,改めて生態系機能とは何かを踏まえ,その評価の必要性と具体的な方法,環境要素を跨いだ関連性について確認する. このような授業展開において,第15回は第1回から第14回までで学んだ知識の確認,及び生態系機能評価の必要性やその方法について他者に説明ができる程度に理解が及んでいるかについて確認をすることで,現場で使える知識の定着を図る.
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第1回から第14回までの授業内容と配布資料に基づき再構成した資料を用いる.
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コマ主題細目
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① 改めて生態系機能を評価する意義 ② 各フィールドにおける生態系機能の評価 ③ 生態系機能を持続的に活用するために
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細目レベル
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① 生態系内の生物間や,生物的要素と非生物的要素(非生物的環境)間の相互作用による物質の生産,分解,循環などのプロセスを生態系機能と呼び,それは,人間が生態系から得ている様々な生態系サービス(公益的機能)を支えている.つまり,生態系機能を通じて,我々は様々な生態系サービスを享受している.世界中の全ての人々は,地球上の生態系と,その恵みである生態系サービスに完全に依存していることから,生態系機能の維持は非常に重要である.その生態系機能によってまた,生物的要素や非生物的要素に影響が及び,それらに変化が生じる.「非生物的要素」と「生物的要素」が健全であれば,その間の相互作用は滞りなく進行するものと考えられ,相互作用の進み具合,程度,メカニズムなどについて,物質の移動や形態変化に基づく生態系機能評価によって理解することは,その地,その生態系における生態系機能の健全度を理解すること,謂わばその生態系の血液検査や健康診断とも捉えることができる.
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② 土壌生態系機能として最もよく知られている生産機能は,様々な作用の結果として発揮される.土壌生態系機能の評価の際の特徴として,現場で観察される状態は様々な要因によって生じた結果であることから,主な要因を把握するためには操作実験により制御を施した試験系による評価がよく行われる.そのため,実験結果について実環境への適用を考える際には,実験条件や実験期間,空間スケール等についてよく考慮した上で解釈をする必要がある. 河川生態系は,流水機能が特徴的であり,水が流れ,土砂が削られ,大小様々な形の空間が河床に生じ,水の流れも急な箇所と緩やかな箇所が存在することで,環境モザイクが形成され,これが生物生息場提供機能の発揮に繋がる.氾濫原においては,さらに大小様々な微地形が形成される.生態系機能の発揮には生物の存在が重要であるが,様々な物理的環境の下で様々な生物が生息することで,盛んに物質循環が行われる. 里海づくりは特に,藻場,干潟の保全とともに,栄養塩の挙動に注目し,森から川,里地や海洋までの物質循環を重視した取り組みが進められている.海洋生態系における生態系機能としては,ほぼ資源供給に目が向けられるところであるが,海洋の水産資源には様々な要素が影響を及ぼす. 森林の機能は,①生物多様性保全機能,②地球環境保全機能,③土砂災害防止機能/土壌保全機能,④水源涵養機能,⑤快適環境形成機能,⑥保健・レクリエーション機能,⑦文化機能,⑧物質生産機能,などが主なものとして挙げられる.地上部の機能としては,木材生産機能とともに炭素固定機能,さらには野生動物の生息地としての野生動物保護機能などが注目されることが多い.森林土壌が関わる機能としては,土砂流出防止や水源涵養機能についてよく取り上げられる.多様な生態系機能の回復を目的として,針葉樹人工林を針広混交林化する動きが増えつつある.
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③ 細目①の通り,生態系機能を通じて,我々は様々な生態系サービスを享受している.IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム)は,人間生活に寄与する自然の価値を評価するにあたって,これまで用いられてきた生態系サービスに代わる概念として「NCP(自然がもたらすもの(自然の寄与))」を提唱した.NCP では自然と生活の質(QOL)が結び付けられているほか,それぞれの価値を一般的観点と文化的背景に基づく観点の 2 つの観点から捉えられている.「文化的背景に基づく観点」「多様な世界観」「相対価値」「ファジーかつ流動的なレポーティング・カテゴリ」「包括的な用語・枠組み」は、MA 以降の生態系サービス研究で大きく取り扱われてこなかった要素である. 社会課題解決に向けた取り組みを,地形,地質,水循環,動植物など,その場所の自然の特性を踏まえたやり方で進めるアプローチは, NbS(自然を活用した解決策)と呼ばれる. NbSはIUCN(国際自然保護連合,International Union for Conservation of Nature)によって2009年に提唱された用語であり,先進国・途上国の別を問わず,世界的に重視されている.
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キーワード
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① 生態系機能 ② 土壌 ③ 水圏 ④ 森林 ⑤ NbS
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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復習・予習課題
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復習課題:全ての授業回において,授業時に理解が追い付かなかった事項や小テストで正答が得られなかった設問について,改めて第1回から第15回までの学習内容の確認を行うこと.その上で,やはり理解のできない事項がある際には,担当教員に質問し,確実な理解を得ておくこと.各項目について,それぞれ単独に用語を覚えているだけでは,役に立たない知識である.それぞれ何を意味する用語であり,それらを理解することがなぜ必要なのか,また,それぞれの事項の関係性についてを把握し,理解することが重要であり,それらについて考えながら復習を進めることで,知識が知恵として定着する.
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