区分 (環)環境データサイエンス科目 環境データサイエンス共通科目 (生)環境データサイエンス科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門性 理解力 実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
専門知識 教養知識 思考力
実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。
企業・地域社会などのあらゆるコミュニティに寄与する組織的な活動能力を有する。

科目の目的
社会調査法Ⅱでは、社会調査の中でも質問紙調査(アンケート調査)を中心に学び、質問紙の作成や配布にかかわる基礎的なスキルを身につけることを目的としている。実践をまじえながら調査の企画段階から実施、そして分析にいたるまでの一連の作業を学習する。卒業論文で質問紙調査の実施を考えている学生は受講することがのぞましい。また、この科目は社会調査士資格のカリキュラム科目ではないが、質問紙調査の作成は社会調査における基本的なスキルとなるため、社会調査士資格の取得を希望している者には受講を推奨する。
到達目標
社会調査の量的調査に関する方法論・技法を修得し、卒業論文で質問紙を使った調査を実施できる力を身につける。
科目の概要
社会調査法Ⅰで扱った質的調査では、「狭く深く」一次データをとる手法を学習した。いっぽう社会調査法Ⅱでは、「広く」そして「統計的に」調査対象の傾向を把握するための技法を学ぶ。おもに量的調査の代表的な手法である質問紙調査(アンケート調査)を取り上げ、講義と実習形式の双方をまじえながら授業を進める。第1回から第3回では、社会科学的な問いの立て方を学び、問いを明らかにするための調査対象の選び方を学ぶ。第4回から第6回では質問紙の作り方を学ぶ。第7回では予備調査を実施し、第8回では近年利用件数が増加しているオンライン調査の一例としてGoogleフォームもしくはMicrosoftフォームを用いた実習をおこなう。第9回では質問紙の配布法を学び、続く第10回では本調査を実施する。第11回から第15回は本調査の結果を分析する(※本調査の結果のみでは不十分と判断した場合には別のデータを使用することもありえる)。
科目のキーワード
①量的調査、②社会科学的実践、③調査票、④仮説構築、⑤質問項目と回答項目、⑥統計分析
授業の展開方法
この授業では、パワーポイントと配布資料(パワーポイントの印刷物とは異なる)の双方を用いた説明をおこなう。また、適宜板書もおこなうため、メモを取れるように筆記用具もしくはパソコンやタブレット端末を必携すること。授業の進行具合に応じて少人数グループをつくり、受講生同士で議論し、フィードバックをおこなうこともある。この授業は実習形式で、復習課題および予習課題が完遂されていることを前提に授業が進むため、かならずどちらも終わらせてくること。
オフィス・アワー
【月曜日】4限(後期のみ)、【木曜日】3限(前期のみ)、【金曜日】3限(前・後期共通)
科目コード ENS407
学年・期 2年・後期
科目名 社会環境調査法Ⅱ
単位数 1
授業形態 講義
必修・選択 選択
学習時間 【授業】90分×15 【予習】30分以上×15 【復習】30分以上×15
前提とする科目 環境リサーチ&プランニング
展開科目 環境社会学
関連資格 なし
担当教員名 谷川彩月
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 イントロダクション―量的調査とは何か 科目の中での位置付け 社会環境調査法Ⅱでは、社会調査のなかでも量的調査(アンケート調査)について学ぶ。第1回の授業では、「社会調査とはなにか」「社会調査を実施する前に」「社会調査実施上のプロセス」の3つの細目について説明する。本科目で重点的に扱うのは量的調査についての知識であるが、量的調査について学ぶ前に量的調査を含む社会調査とはそもそもどんなものであるのかを知っていなければならない。また、社会調査を実施する前の留意点についてもあらかじめ知っておかなければ、調査設計者(アンケートを作成し実施する者)だけでなく、調査対象者(アンケート調査に答えてくれる方々)にも過度の負担あるいは不必要な負担をかけしてしまう。そういったことを防ぐために、第1回にて社会調査を実施する前に知っておくべき留意点を説明する。留意点を理解したうえで、社会調査はどんな作業工程を経て実施されるものなのかを説明する。全体の工程を知っておくことで、次回以降の授業内容が全体の工程のどの部分であるかを把握することができる。
以下、コマ主題細目ごとに表記する。①大谷信介他編著(2005)『社会調査へのアプローチ: 論理と方法』ミネルヴァ書房, pp5.②同著, pp22.③轟亮, 杉野勇編(2010)『入門・社会調査法 : 2ステップで基礎から学ぶ』第2版. 法律文化社.pp33-45.
コマ主題細目 ① 社会調査とはなにか ② 社会調査を実施する前に ③ 社会調査実施上のプロセス
細目レベル ① 本講義で扱う「量的調査」とはなにか。それを理解するためにはまず、社会調査とは何なのかを知らなければならない。世間一般に、「調査」と名がつくものが広く普及しているが、その中のどれは社会調査にあたり、どれは社会調査とはいえないのか。社会学者の福武直は、「いかに社会事象の調査とはいえ、単に工場や設備などを漫然と調査したり、交通機関の性能を調べたり、一地域の人口や建造物などを何とはなしに数え上げたりするのでは、社会調査とは言えない」と断じる。重要なのは、「それが社会との関連を求めて調査され」ているかどうかだ。「社会事象を人間の社会生活関連における意味に即して調査すれば、それがどのような目的をもち、またいかなる主体によって行われようとも、すべて社会調査」である。
② 量的調査を含む社会調査は、調査対象者のライフスタイルや価値観を問うばかりでなく、明らかにしたい社会的事実の内容によっては、年齢・性別・職業・年収といった個人情報にも踏み込む必要が生じる。社会調査を試みる者は、社会調査が調査対象者のプライバシーや人権を侵害しかねない危うさを孕んでいることを強く意識すべきである。こうした問題意識をふまえ、「それでもなお社会調査を行いたい」場合に、しかるべき調査研究として、どのようなプロセスを追って社会調査は実施されるべきかを説明する。とくに、(1)研究の着想、(2)先行研究のフォローと課題と鮮明化、(3)既存の統計データの加工・分析、(4)過去の調査のフォローと結果の検討の4点がポイントとなる。
③ 社会調査を実施する前に必要なプロセスを理解したうえで、実際の調査はどのような作業工程を経て進行していくのかを確認する。大きく分けて、調査目的の決定、調査対象の決定、質問項目の操作化、調査票の作成(ワーディングのチェック)、調査協力の依頼、調査の実施(調査票の配布・回収もしくはオンライン調査)、データの入力、データの分析、結果報告書まとめの順で作業は進行する。なかでも、質問項目の操作化とワーディングは調査の精度を大きく左右する。これらの作業は、調査の核である調査目的や仮説を設定するのと同じくらい重要で、多くの時間や労力が費やされる。なお、これらは今後の講義のなかで独立した細目としても扱う予定である。
キーワード ① 社会調査 ② 社会との関連性 ③ 量的調査 ④ アンケート ⑤ 調査票
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】社会調査とはどんな目的をもって、どのように行われる調査のことを指すのか説明できるようにしておく。また、「どんな調査は社会調査ではない」のかも合わせて説明できるようにしておく。社会調査を実施する前には、いくつか留意しなければならない点と前もって調査すべき項目がある。それらについても自分で説明できるほどに理解を深めておく。
【予習】次回のコマシラバスをよく読み、今もっている知識では理解しきれない部分がどこなのか整理する。ペンやマーカーを用いて印をつけておくと、授業中や授業後に確認しやすい。そのうち、専門用語は授業内でキーワードとして重点的に扱うため、参考文献等を用いて事前に用語の意味をおおまかに把握しておく。インターネット上の情報は十分に注意して扱うべきだが、あくまでも予習の一環として、多くの情報を広く概観するといった利用のしかたであれば認める。

2 調査目的の明確化と調査項目の検討 科目の中での位置付け 第2回の授業では、「調査の必要性の確認①」「調査の必要性の確認②」「調査可能性の確認と実践」の3つの細目について説明および実習形式でのアンケートの作成を始める。ここでは、「自分が実施しようとしている社会調査は本当に必要なのだろうか?」という自問自答の作業の必要性を説明する。社会調査ひいては調査研究の多くは、こうした自問自答のうえに初めて成り立つ。十分な検討・確認がなされていない社会調査(調査研究)は未熟な調査にとどまってしまう。前回授業でもふれたように、未熟な調査では期待した成果が得られないばかりでなく、調査協力者の負担も大きくなる。十分な検討のうえで自分が実施しようとしている社会調査には社会的意義があると判断できたら、つぎに自分が実施しようとしている社会調査の実現可能性を検討する。実現可能性を考慮しないままアンケート調査を作ってしまうと、十分なデータが得られなかったり、得られたデータを誤読してしまう危険性があるため、アンケート調査の項目を作成する前に調査そのものの実現可能性を問わなければならない。
以下、コマ主題細目ごとに表記する。①大谷信介他編著(2005)『社会調査へのアプローチ: 論理と方法』ミネルヴァ書房, pp1-17.②同著, pp20-53.③鈴木淳子著(2011)『質問紙デザインの技法』ナカニシヤ出版, pp11-36.
コマ主題細目 ① 調査の必要性の確認(1) ② 調査の必要性の確認(2) ③ 調査可能性の確認と実践
細目レベル ① 社会調査は調査者本人が多大な労力を要するだけでなく、調査対象者の協力が得られて初めて遂行できる。このように、社会調査は調査者と調査対象者の双方に負担を強いる作業であるため、調査の実施に先立ち、「はたしてこの調査が本当に必要であるのか」を再度確認しなければならない。確認項目は次のとおりである。まず、「なぜ量的調査を実施しようと考えるに至ったのか」という問題意識の再確認をする。つぎに、「どのような問題にアプローチするため、どのような情報を得たいのか」という調査目的の明確化をおこなう。つぎに、「調査目的を達成するためには、具体的に何を調べればよいのだろうか、仮説を立てて、調査項目を列挙していく」という調査可能性の確認をする。
② また、「調査項目として設けたテーマは大きすぎはしないか、また、調査項目を調べることによって、調査目的を達成できるだろうか」といった調査可能性の確認も重要である。さらに、「調査目的に関連する既存資料を収集し、利用可能な情報を明らかにする、全く同じ調査項目の調査がすでに行われているかもしれない」といった既存の調査資料の活用も忘れてはならない。これらにくわえて、「調査結果や調査報告書はいつまで出さなければならないか」といった調査期限の明確化や、「調査に費やすことのできる予算の大枠はいくらか、調査から引き出される情報は、調査予算に見合うだけの価値を持つものか」といった調査費用の制約の明確化も調査を実施する前におこなうことが望ましい。
③ 以上の講義細目をふまえ、実際にアンケート調査を設計し始める。まずはシラバスにもとづき、授業内で作成・実施するアンケート調査のおおまかなスケジュールを確認する(「授業内」と記したが、ここにはもちろん予習課題および復習課題も含まれる)。つぎに、アンケート調査にもとづいて自分が明らかにしたいと思う仮説を作ってみる。このとき、自分が明らかにしたい社会的事実を解明するためにアクセスすべき母集団と、自分のもつ資源によって実際にアクセス可能である母集団とのズレを意識することが重要となる(母集団の概念については、次回講義で詳しく説明する)。私たちがパッと思いつくような疑問は、たとえば「日本人は、」「最近の若者は、」といったように、自分だけの資源ではアクセスできないような巨大な母集団であることが多く、社会調査に抱く理想と現実とのギャップを自覚しなければならない。
キーワード ① 先行研究 ② 調査の必要性 ③ 調査可能性 ④ 予算 ⑤ アクセス可能性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】調査の必要性はなぜ確認されるべきかを改めて理解しておく。調査目的の明確化を再度おこなったうえで、調査目的のために具体的に調べるべき疑問点や、仮説についても再度自己点検をおこなう。これらは今後の調査票作成において指針となる項目であるため、ノートやワード、エクセルにまとめて見返せるような状態で保存しておくことがのぞましい。
【予習】次回のコマシラバスをよく読み、今もっている知識では理解しきれない部分がどこなのか整理する。その際の工夫点および注意点については第1回コマシラバスを参照。とくに、社会調査における仮説の立て方や、悉皆調査・標本調査・サンプリングといった専門用語について自分なりに理解し、整理しておく。

3 仮説と調査対象の決定 科目の中での位置付け 第3回の授業では、「仮説の決定」「悉皆調査と標本調査」「サンプリングの種類」の3つの細目について説明および実習形式でのアンケートの作成を始める。仮説の検討・決定は、社会調査を実施する作業工程のなかでもっとも重要な位置を占める。仮説が成り立っていない、あるいは仮説そのものがないような社会調査(量的調査)は、実施する意味がないといえる。前回授業で学んだ調査の必要性や調査可能性の有無は仮説を立てる際に意識しておくべき点であり、第2回講義で学んだ内容を十分に理解したうえで第3回に臨んでほしい。また、授業後半でふれる「悉皆調査と標本調査」および「サンプリングの種類」は、どちらも量的調査を実施するうえで必須の知識である。調査対象者がどんな母集団に含まれているかを想定し、悉皆調査と標本調査のどちらが適切か、あるいはどちらが可能かを判断する。標本調査の場合、サンプリングをおこなう。学科内あるいは講義内で実施する程度の比較的小規模な量的調査であれば悉皆調査が可能だが、母集団の規模が大きくなればサンプリングのもとに選出した対象者のみに調査を実施する。
以下、コマ主題細目ごとに表記する。①大谷信介他編著(2005)『社会調査へのアプローチ: 論理と方法』ミネルヴァ書房, pp54-74.②同著, pp57-58.③鈴木淳子著(2011)『質問紙デザインの技法』ナカニシヤ出版, pp59-66.
コマ主題細目 ① 仮説の決定 ② 悉皆調査と標本調査 ③ サンプリングの種類
細目レベル ① 前回の復習課題および予習課題は、自分が明らかにしたい社会的事実の内容をさらに深く追究するものであった。量的調査を含む社会調査とは、第1回で確認したように、「それが社会との関連を求めて調査され」たものである。そのため、たとえば、「なぜ私は貧乏なのか」「今の政治はおかしい」といった悩みや怒りは社会調査とはならない。しかし、そうした一見すると個人的な悩みや怒りあるいは愚痴のように思える内容であっても、「社会との関連を求め」るならば立派な社会調査となりえる。社会調査を実施する前には、まず調査によって証明したい自分なりの仮説を見つける。仮説ができればその仮説を証明するためにアクセスすべき調査対象が決まってくる。
② 質問紙を用いた調査の対象者は個人、世帯、企業、教育機関、事務所などである。調査者は、調査テーマと目的、予算、データ収集方、調査機関、今日中場所、職業などの属性を考慮して対象者を選ぶ。調査すべき対象者全体を母集団という。母集団に属する全員を対象に調査を行うのが悉皆調査である。または全数調査ともいう。悉皆調査の結果は母集団の結果であるから、標本誤差がなく統計的検定や推定をする必要がない。しかし、悉皆調査の実施には費用と時間と人手がかかる。いっぽう、標本調査は母集団の規模が大きいときに、母集団から一部の調査対象者、すなわち標本を選び出して調査をおこない、標本誤差を考慮しつつ、その標本から得られた結果をもとに母集団全体の真の値について推計する方法である。
③ 標本調査において標本を抽出することをサンプリングという。調査対象者を母集団から抽出、選定する技法のことである。サンプリングは、確率的に標本を抽出する確率標本抽出法と非確率的に標本を抽出する非確率標本抽出法の大きく2つに分けることができる。確率標本抽出法は、母集団に含まれるすべての人が標本に選ばれる確率が等しくなるように抽出する方法である。ランダム・サンプリングともいう。主な確率標本抽出法には、単純無作為抽出方法、系統抽出法、多段抽出方法、層化抽出法がある。つぎに、非確率標本抽出法には、便宜的抽出法(偶然法)、応募法、有為抽出法、機縁法・雪だるま法(スノーボール・サンプリング)、クオータ法がある。
キーワード ① 基本仮説 ② 作業仮説 ③ 母集団 ④ 標本誤差 ⑤ サンプリング
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】自分の仮説を再検討する。その際、さいしょの仮説からどこをどんなふうに変更したのか、なぜ変更するに至ったかの理由を書きまとめておくこと。また、サンプリングの種類についても自分でまとめ直す。これらは今後の調査票作成において指針となる項目であるため、ノートやワード、エクセルにまとめて見返せるような状態で保存しておくこと。
【予習】次回のコマシラバスをよく読み、今もっている知識では理解しきれない部分がどこなのか整理する。その際の工夫点および注意点については第1回コマシラバスを参照。とくに、オープン・クエスチョン、サブ・クエスチョン、フィルター・クエスチョン、デモグラフィック特性・項目といった専門用語について自分なりに理解し、整理しておく。

4 質問項目の作り方 科目の中での位置付け 第4回の授業では、「質問の種類」「質問の目的による分類」「デモグラフィック項目について」の3つの細目について説明および実習形式でのアンケートの作成を始める。第4回からは、いよいよ調査票(アンケート用紙)の作成に取りかかる。第3回の授業までの内容を前提知識として、実際に質問項目や回答項目を作成していく段階に入る。とくにこの講義では、質問項目を作成するにあたって必要な知識や留意点について理解を深めることを目的とする。細目レベルの1項目にあるように、質問の種類はおおきく分けて5種類ある。質問の種類について知っておくことで、実際に自分が質問項目を作成するときにもっとも適切な尋ね方を選ぶことができるようになる。同様に、質問の目的による分類についても知っておくと、どんな質問を、どのように配置すべきかを選ぶことができるようになる。こうした知識は、次回の授業の細目レベル3「質問の順序」とも大きくかかわっているため、この授業について深く理解してうえで次回授業に臨んでほしい。
以下、コマ主題細目ごとに表記する。①鈴木淳子著(2011)『質問紙デザインの技法』ナカニシヤ出版, pp59-66.②同著, pp57-58.③同著, pp59-66.
コマ主題細目 ① 質問の種類 ② 質問の目的による分類 ③ デモグラフィック項目について
細目レベル ① アンケートで用いる質問にはどのような種類があるのか。大きく分類すると、(1)経験・行動に関する質問、(2)心理面に関する質問、(3)知識に関する質問、(4)記憶に関する質問、(5)デモグラフィック特性に関する質問の5種類がある。このうち、デモグラフィック特性とは、年齢・性・人種・教育レベル・婚姻状況などの項目を指し、社会調査のなかで特に重要視される質問である。また、質問の内容に基づいた分類によれば、意見、意図、目標、判断、信念などの「意見・価値に関する質問」や、経験したことや周囲で起こっていることへの感情および感情的反応といった「感情に関する質問」、あるいは視覚、嗅覚、触覚、聴覚、味覚など「感覚に関する質問」などもあげることができる。
② 質問項目はその目的に応じて分類することもできる。オープン・クエスチョンは自由に回答してもらう質問であるため、とくに複雑な事実を全体的に捉えるのに適している。理由のクエスチョンはある意見や行動の理由や判断、動機を追求するための質問である。選択のクエスチョンは、事実や態度、意見、知識などの内容、程度、頻度を明らかにするための質問で、回答選択肢の中からもっともふさわしいものを選択してもらう。フィルター・クエスチョンは回答者を分類するための質問であり、いいかげんな回答を防ぎ、正確なデータを得るために必要な質問である。サブ・クエスチョンはフィルター・クエスチョンの直後に続けて用いる関連質問である。全員ではなく該当者だけに尋ねるための質問である。
③ デモグラフィック項目は多くの場合独立変数として扱われ、分析にはきわめて重要である。しかし、プライバシーや個人情報にかかわるデリケートな内容の項目が多く、慎重に扱わなければならない。もちろん、使用にあたっては倫理的な面からの検討も必要である。またたとえ分析に必須の変数であっても、回答するかどうかを決めるのは回答者であり、無理に回答を求めることができない。無理に求めれば、調査への協力拒否やクレームが発生する恐れがある。ここでは、おもなデモグラフィック項目を説明したのちに、デモグラフィック項目を質問として使用する際に必要な工夫や配慮を確認する。特に、職業や年齢、収入といった細心の注意が必要なデモグラフィック項目に関しては具体例をあげたうえで丁寧に説明していく。
キーワード ① 経験・行動・意識 ② オープン/クローズドな質問 ③ デモグラフィック特性 ④ 匿名性 ⑤ 回答拒否
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】どのような質問の種類があり、それらはどのように分類できるのかについて再度検討する。その際、コマシラバスをもう一度よく読み、予習時にはわからなかったが講義を通して理解できた点、講義を聞いてもなお完全には理解しきれていない部分を整理する。これら復習課題はノートやワード、エクセルにまとめて見返せるような状態で保存しておくこと。
【予習】次回のコマシラバスをよく読み、今もっている知識では理解しきれない部分がどこなのか整理する。その際の工夫点および注意点については第1回コマシラバスを参照。とくに、ワーディング、ダブルバーレル質問、黙従傾向、キャリー・オーバー効果といった専門用語について自分なりに理解し、整理しておく。

5 質問紙作成の注意点 科目の中での位置付け 第5回の授業では、「質問紙の構成と体裁」「ワーディングの注意点」「質問の順序」の3つの細目について説明し、ひきつづき実習形式でのアンケートの作成を進めていく。第3回講義までの内容を前提知識として、実際に質問項目や回答項目を作成していく段階に入る。とくにこの講義では、質問項目を作成するにあたって必要な知識や留意点について理解を深めることを目的としている。前回授業では質問の種類や目的について概観したが、今回の授業では、質問紙はどのような構成と体裁からなるのかを具体的に確認する。また、質問項目を作成する際に必要な知識についても、ワーディングのような具体的で実際的な重要項目について説明する。とくに、ワーディングについては「ダブルバーレル質問」や「黙従傾向」といった、量的調査を作成するうえで頻出する専門用語が出てくるので、しっかり理解してほしい。こうしたワーディングの留意点を知っていないと、適切なデータを得ることができない。正しくワーディングの知識を身につけることで、はじめて「質問の順序」を検討する意義がうまれる。
以下、コマ主題細目ごとに表記する。

①鈴木淳子著(2011)『質問紙デザインの技法』ナカニシヤ出版, pp59-66.

②同著, pp147-171, 轟亮, 杉野勇編(2010)『入門・社会調査法 : 2ステップで基礎から学ぶ』第2版. 法律文化社.pp83-86.

③鈴木淳子著(2011)『質問紙デザインの技法』ナカニシヤ出版, pp141-143.
コマ主題細目 ① 質問紙の構成と体裁 ② ワーディングの注意点 ③ 質問の順序
細目レベル ① 質問紙(調査票)を作る前に、質問紙とはどのようなものかを把握しなければならない。質問紙の構成は大きくわけて(1)表紙、(2)質問本体、(3)デモグラフィック項目群、(4)その他(最終項目群)の4つの部分から構成されている。表紙には、調査のタイトルや調査実施年月、調査に関する説明や回答記入にあたっての注意事項、整理番号記入欄などが含まれる。質問本体には、質問文と回答選択肢が対となっている質問や自由回答項目がある。また、回答の流れや質問項目順序などについて説明をする教示文も質問本体に含まれる。その他(最終項目群)には、調査への意見や感想の記述依頼、調査結果の報告希望の有無および連絡先・氏名の記入依頼、後日の面接調査への協力依頼、調査協力への回答後の謝辞・回答についての最終チェック依頼などが含まれる。
② 具体的な質問文、選択肢に用いられる文章、表現、語句を総称してワーディングとよぶ。ワーディングは、調査票設計者が回答者に何をどんなふうに尋ねるかということにかかわっており、ワーディングの検討作業は調査票作成で多くの時間をかけるべき部分である(轟・杉野編 2019: 83-84)。ワーディングの留意点は数多くあるが、基本的には、(1)あいまいな表現を使わない、(2)ダブルバーレル質問をしない、(3)難しい用語を使わない、(4)誘導的な表現を使わない、(5)黙従傾向に注意する、などがある。とくに、「ダブルバーレル質問」や「黙従傾向」といった専門用語の理解は適切な調査票作成において必須であるため、具体的をあげながら詳しく説明する。
③ 質問の順序を決める際には、(1)簡単な質問からむずかしい質問へと並べる、(2)事実に関する質問から意見・常識・意識・感情に関する質問へと並べる、(3)過去に関する質問から現在の質問へと並べる、(5)知識に関する質問は後半に配置する、(6)重要な質問は中間あたりに配置する、(7)プライバシーにかかわる質問はできるだけ最後のほうに配置する、(8)デモグラフィック特性に関する質問は最後に配置する、(9)総合評価と個別評価の並べ方に注意する、(10)キャリー・オーバー効果に注意するなどの配置のルールが役に立つ。なかでも、「キャリー・オーバー効果」といった専門用語の理解は適切な調査票作成において必須であるため、具体的をあげながら詳しく説明する。
キーワード ① 質問紙の構成 ② ワーディング ③ ダブルバーレル質問 ④ 黙従傾向 ⑤ キャリー・オーバー効果
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】ワーディングの留意点や質問の適切な順序について再度確認する。その際、コマシラバスをもう一度よく読み、予習時にはわからなかったが講義を通して理解できた点、講義を聞いてもなお完全には理解しきれていない部分を整理する。これら復習課題はノートやワード、エクセルにまとめて見返せるような状態で保存しておくこと。
【予習】次回のコマシラバスをよく読み、今もっている知識では理解しきれない部分がどこなのか整理する。その際の工夫点および注意点については第1回コマシラバスを参照。とくに、プリコード回答法と自由回答法、名義尺度、順序尺度、離散型の数値、といった専門用語について自分なりに理解し、整理しておく。また、回答項目の作り方によって回収率が左右される点について、具体例を調べておく。

6 回答項目の作り方 科目の中での位置付け 第6回の授業では、「アンケートの回答形式」「選択回答法」「自由回答法」の3つの細目について説明し、ひきつづき実習形式でのアンケートの作成を進めていく。第3回までの内容を前提知識として、実際に質問項目や回答項目を作成していく段階である。とくにこの講義では、回答項目を作成するにあたって必要な知識や留意点について理解を深めることを目的としている。第4回および第5回の授業では質問の種類や目的、ワーディングや質問の順序の留意点について確認してきた。今回の授業では、アンケートにはどんな回答形式があり、それらの回答形式はどのような集計や分析をする際に有効であるかを説明する。質問項目を作る際の留意点と回答項目を作る際の留意点の双方を理解していると、より分析に強いデータを得られる。とくに、選択回答法と自由回答法のどちらを用いるかによって可能な分析手法が大きく異なってくるので、それらの相違点についてしっかり理解してほしい。
以下、コマ主題細目ごとに表記する。

①轟亮, 杉野勇編(2010)『入門・社会調査法 : 2ステップで基礎から学ぶ』第2版. 法律文化社.pp81-83.

②鈴木淳子著(2011)『質問紙デザインの技法』ナカニシヤ出版, pp173-198.

③同著, pp199-205.
コマ主題細目 ① アンケートの回答形式 ② プリコード回答法 ③ 自由回答法
細目レベル ① アンケートの回答形式には、あらかじめ設計者の方で作成した選択肢を選んでもらうプリコード回答法と、選択肢がなく回答者が自由に回答する自由回答法の2種類が存在する。プリコード回答法には、単一回答形式と複数回答形式と順位回答形式がある。単一回答形式のなかには、二項選択回答形式と多項選択回答形式がある。このうち二項選択回答形式は、「はい・いいえ型」と「一対比較型」に分かれる。いっぽう、多項選択回答形式は、回答の選択肢が名義尺度である場合、客観的な順序尺度である場合、主観的な順序尺度である場合の3種類となる。また、順位回答形式のなかには完全順位回答形式と一部順位回答形式がある。自由回答法のなかには、数値記入を求めるものと文字記入を求めるものがある。数値記入型では、離散型の数値を得ることができる。文字記入型では、単語や文章の記入による情報を得ることができる。
② プリコード回答法は、質問文に対して調査者があらかじめ予想して作成したいくつかの回答選択肢のなかから、該当するものや実態に最も近いものを回答者に選んでもらう回答法で、選択回答法ともいう。統計的分析がおこないやすいなどの利点があるが、(1)調査票作成時における回答選択肢の選択がむずかしい、(2)回答選択肢が多いと、両極選択バイアス(最初と最後の選択肢が選ばれる可能性が高くなること)が発生する恐れがある、といった課題もある。選択解答法によるおもな回答形式は、(1)二項選択法、(2)多項選択法、(3)順位法、(4)一対比較法、(5)数値分配法、(6)評定法である。このうち評定法は、態度や頻度の程度の差をあきらかにするためによく用いられるという理由から、とくに詳しく説明する。
③ 自由回答法は、回答の内容や表現を回答者の自由記述に委ねる方法で、オープン・クエスチョンの一種である。自由回答法が選択回答法と最も異なる点は、調査者の見解を回答者に押し付けないことである。そのため、記述を自由に展開し内容を深く掘り下げた回答を求めるのに適している。回答者が自由に回答できる、調査票作成者が予想していなかったような回答を得ることがあるなどの利点があるが、無回答や回答拒否が増加するので、回収率が低くなる、調査者の期待や意図とは無関係な回答あるいはズレた回答が多くなるなどの課題もある。自由回答法の回答形式は、(1)限定的記述質問、(2)具体的質問、(3)文章完成法質問、(4)短文回答質問がある。
キーワード ① プリコード回答法 ② 尺度 ③ 評定法 ④ 両極選択バイアス ⑤ 自由回答法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】まずは講義内容を自分自身の言葉で今いちど整理しておく。回答法の形式の多様さを理解しておくことで自分の作る調査票における回答項目も適切な形式を選ぶことができる。とくに、選択回答法と自由回答法では得られるデータの質が大きく変わるため、その後の分析もある程度見越した上で回答法を選ぶ。次回の予備調査に間に合うよう、どの回答法を用いた回答項目が適切であるかを質問項目ごとに検討し、質問紙ドラフトを作成する。
【予習】次回のコマシラバスをよく読み、今もっている知識では理解しきれない部分がどこなのか整理する。その際の工夫点および注意点については第1回コマシラバスを参照。とくに、予備調査、単純集計といった専門用語について自分なりに理解し、整理しておく。

7 予備調査の実施 科目の中での位置付け 第7回の授業では、「予備調査の実施」「調査票の回収と集計」「調査票の改善」の3つの細目について、講義をおこなうとともに実習形式で理解を深めていく。第6回までの実習内容を前提として、予備調査として実際にアンケート用紙を配布し、本調査にむけてフィードバックを得る段階である。調査のデザイン段階において、質問紙ドラフトなどに問題がないか検討し確認するため予備的におこなう調査を予備調査(プリテスト)という。この講義では、予備調査を実施し、質問紙ドラフトの不備をあぶり出すことを目的としている。また、質問紙の配布、回収、単純集計の作成といった本調査と同様の作業工程を実践することで、本調査の作業がより円滑となることも副次的な目的としている。予備調査後には受講生同士でお互いの質問紙の弱点や不明瞭だった点をフィードバックする作業をおこなう。フィードバックされた意見にもとづき質問紙を再構成するため、積極的な意見交換をおこなってほしい。
以下、コマ主題細目ごとに表記する。

①鈴木淳子著(2011)『質問紙デザインの技法』ナカニシヤ出版, pp207-220.

②鈴木淳子著(2011)『質問紙デザインの技法』ナカニシヤ出版, pp207-220.

③鈴木淳子著(2011)『質問紙デザインの技法』ナカニシヤ出版, pp207-220.
コマ主題細目 ① 予備調査の実施 ② 調査票の回収と集計 ③ 調査票の改善
細目レベル ① 調査のデザイン段階において、質問紙ドラフト、サンプリングおよびデータ収集の作業に関する計画、調査費用の見積もりなどに問題がないか検討し確認するため予備的に行う調査を予備調査(プリテスト)という。しかし、大規模な調査でないかぎり、実際には質問紙ドラフトの確認を主たる目的に行われることが多い。予備調査では、(1)調査目的にかなったデータを収集できるかどうかの確認、(2)質問が意図したとおりの意味に解釈されるかどうかの確認、(3)回答しやすいかどうかの確認、(4)質問が社会的妥当性・心理的妥当性を備えているかどうかの確認、(5)ワーディングの選択および回答選択肢の順序が適切化どうかの確認、(6)どのような回答が返ってくるかの確認、(7)ミスプリントおよびエラーの有無の確認、をおこなう。
② 予備調査は授業内に受講生同士でおこなう。前項で説明したように、大規模な調査でないかぎり予備調査のおもな目的は質問紙ドラフトの確認である。そのため、受講生同士のように本番の調査対象にあたる人でなくとも確認することは可能である。また、受講生を調査対象と設定した者は、実際の調査対象者を相手に予備調査を実施することができる。予備調査はあくまでも予備の調査であるため、実際の配布予定枚数よりも少なめの配布数で実施されることがほとんどである。受講生同士でおこなう今回の予備調査でも、受講生全員に配布するのではなく数を絞って配布する。配布した予備調査は授業内で即時に回収し、そのまま集計作業へうつる。なお、今回は予備調査であるため単純集計のみおこなう。
③ 予備調査を回収したあと、まずは調査対象者となった人から調査票設計者へのフィードバックを記入してもらう。調査票設計者は自分がつくった仮説をもとに自分で質問項目と回答項目を用意しているため、回答しにくい箇所や誤解を招きやすい箇所などを自己点検することがむずかしい。調査対象者となった人は、「問◯の選択肢のなかに自分の回答したい項目がなかった」「問◯は△と□のどちらを選べばよいのか迷ってしまった」「問◯の質問事項がなぜ設定されているのはわからなかった」など調査対象者としての正直な感想を調査設計者へ伝える。つぎに、調査設計者は集計後に自分の作った質問項目と回答項目の適切さを再度検討してもらう。たとえば、ひとつの回答項目に回答が集中した場合、並列されている回答項目を見直すべきである。
キーワード ① 予備調査 ② 質問紙ドラフト ③ 適切/不適切なワーディング ④ 単純集計 ⑤ フィードバック
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】講義内で得られたフィードバックをもとに調査票の改善作業を続ける。その際、コマシラバスをもう一度よく読み、自分の調査票の修正すべき箇所を整理する。これら復習課題はノートやワード、エクセルにまとめて見返せるような状態で保存しておくこと。
【予習】次回のコマシラバスをよく読み、今もっている知識では理解しきれない部分がどこなのか整理する。その際の工夫点および注意点については第1回コマシラバスを参照。とくに、各データ収集法の名称と内容について自分なりに理解し、整理しておく。また、社会調査関連の文献で依頼状の具体例をチェックしておくことがのぞましい。優良なウェブサイトであれば依頼状の具体例を掲載している可能性もあるのでそちらを検索してもよい。

8 オンラインフォームを用いた調査 科目の中での位置付け 第7回では、第6回までの実習内容を前提として作成したアンケート用紙を配布して予備調査を実施し、本調査にむけてフィードバックを得た。つまり、質問紙の内容については第7回まででおおよそ検討が済んだといえる。そこで第8回の授業ではオンライン調査の一例として近年利用が増加しているGoogleフォームもしくはMicrosoftフォームの使い方を学び、オンラインアンケート調査のスキルを身につける。Google(Microsoft)フォームは学内や社内アンケートのように、メールアドレスを共有しているグループ内で簡単なアンケート調査を実施したいときに役に立つ。本格的な質問紙を用いた調査にくらべると分析できる範囲は限られるが、回答者が入力したデータはGoogle(Microsoft)フォーム内で自動的に集計され、さらにグラフ化もおこなわれるため、単純集計を目的とする調査であれば労力が少なくて済む利点がある。郵送費用なども不要であるためコスト面でも有利だ。知人間でのごく簡単な調査であればこうしたオンラインフォームのみで完結できる場合もある。
以下、コマ主題細目ごとに参考文献を表記する。①丹羽国彦著(2015)『仕事で使える!Googleフォーム:Webフォーム&アンケート活用術』株式会社インプレス R&D pp1-15, ②同著, pp16-31.③同著, pp32-55.
コマ主題細目 ① オンラインフォームとは ② オンラインフォームによるアンケートの作成方法 ③ オンラインフォームの実践手法 ④ ⑤
細目レベル ① オンラインフォームとはGoogle社やMicrosoft社などが提供するWebサービスのひとつで、パソコンやスマートフォンを用いてWeb上でアンケートを作成することができる。また、回答もWeb上でできる。このため、これまでの質問用紙を用いたアンケート調査で難点とされていた印刷料や郵送料などの金銭的問題を解決してくれる。また、これまでのアンケート調査では、質問用紙を配布するのに手間取るだけでなく、回答の集計もまた時間と労力のかかる作業であった。しかし、オンラインフォームは回答を自動的に集計してくれる。このようにGoogleフォームはこれまでのアンケート調査の弱点を克服した魅力的な媒体である。だが、オンラインフォームのようなインターネット上でおこなうアンケート調査には弱点も存在する。ここでは、こうしたオンラインフォームの概要および利点と欠点について学ぶ。
② 本コマでは、実際にオンラインフォームを用いてアンケートを作ってみる。先述のようにオンラインフォームはインターネットにさえ繋がっていればパソコン、スマートフォン、タブレットなど、どの端末からでも利用することができるが、前提として使用したいサービスのアカウントを有していなければならない。なお、本学の学生であればメールアドレスがGmail形式であること、またMicrosoftアカウントとしても利用できるようになっていることから、Google社とMicrosoft社のどちらのオンラインフォームも利用可能である。オンラインフォームでは基本的な「はい・いいえ型」の質問だけでなく、複数選択や順序尺度による回答といった基本的な回答形式が幅広くカバーされている。自由回答項目も設置することができ、テキストの長さは短文回答と長文回答の2つから選べるようになっている。
③ オンラインフォームにはテキストだけでなく、画像や動画も追加できるため、画像を見た印象といった内容を問うこともできる。また、従来のアンケート調査では困難だった、動画や音声を用いたアンケートも気軽におこなえるため、オンラインフォームの特性を活かした質問項目を設定することもできる。作成したアンケートはメールアドレスを通じた配信のほか、フェイスブックやツイッターといったSNSサービスを通じた配信も可能である。しかし、これらの媒体を通じた配信によって、社会調査の基本である調査対象者の代表性の問題が揺らぐ可能性があることに留意すべきである。インターネットを通じた調査は非常に便利であるが、自分がおこないたい社会調査の母集団と実際にアンケートに答えてくれる協力者との間に乖離がみられないかを入念に確認する必要がある。



キーワード ① オンラインフォーム ② オンライン調査 ③ 母集団 ④ 代表性 ⑤ 質問紙調査との違い
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】調査票にて使用した質問項目および回答項目をオンラインフォームに入力し、オンラインフォーム版の調査票を作る。また、コマシラバスをもう一度よく読み、予習時にはわからなかったが講義を通して理解できた点、講義を聞いてもなお完全には理解しきれていない部分を整理する。これら復習課題はノートやワード、エクセルにまとめて見返せるような状態で保存しておくこと。
【予習】次回のコマシラバスをよく読み、今もっている知識では理解しきれない部分がどこなのか整理する。その際の工夫点および注意点については第1回コマシラバスを参照。とくに、集合調査法や街頭調査法といった専門用語について自分なりに理解し、整理しておく。

9 調査票の配布方法と協力依頼 科目の中での位置付け 第9回の授業では、「データ収集の技法」「依頼状の作成と周知の手法」「倫理的ガイドライン」の3つの細目について、講義をおこなうとともに実習形式で理解を深めていく。第7回では、第6回までの実習内容を前提として作成したアンケート用紙を配布して予備調査を実施し、本調査にむけてフィードバックを得た。つまり、質問紙の内容については第7回まででおおよそ検討が済んだといえる。そこでこの講義では、きたる本調査にむけておさえておくべき項目を説明する。授業内でおこなう本調査では当該科目の受講生がおもな調査対象者となるが、実際の量的調査では外部の人や機関、住民を対象とする場合が多い。その際には、まずデータを収集する手法を知っていなければならない。また、失礼のない調査となるように、依頼状を作成したり、近々調査があることを周知したりする必要もある。さらに、昨今は個人情報保護の風潮が高まっており、また人権保護の観点からも、本調査前に調査にかんする倫理的ガイドラインを知っておくべきである。
以下、コマ主題細目ごとに表記する。①鈴木淳子著(2011)『質問紙デザインの技法』ナカニシヤ出版, pp37-55, 大谷信介他編著(2005)『社会調査へのアプローチ: 論理と方法』ミネルヴァ書房, pp160-179.②鈴木淳子著(2011)『質問紙デザインの技法』ナカニシヤ出版, pp77-76③同著, pp77-87.
コマ主題細目 ① データ収集の技法 ② 依頼状の作成と周知の方法 ③ 倫理的ガイドライン ④ ⑤
細目レベル ① 質問紙を用いたデータ収集法は、集合調査法、郵送調査法、留置調査法、インターネット調査法、電話調査法、構造化面接法などに分類される。授業内ではおもに集合調査法を用いることになるが、卒業論文の執筆や就職後に社会調査を担当する可能性を鑑み、すべてのデータ収集方法について説明する。データ収集法の種類に応じて利点と課題が存在する。集合調査法は比較的低コストで実施することができるデータ収集法であるが、課題点も多い。また、多くの社会調査で用いられる郵送調査法はもっともポピュラーであるが、高コストであるため資金的基盤の乏しい学生による社会調査ではあまり使用されないのが現状である。また、前回授業でも取り上げたように、近年ではインターネット調査法が広く普及しつつあり、こちらはその他の調査法とは異なった利点・欠点をそれぞれ有する。
② 依頼状、添え状(cover letter)とも呼ばれる挨拶状は、調査の概要を説明し協力を依頼する手紙である。挨拶状は、調査者および調査に関する情報を開示することで、調査対象者の調査への抵抗感や警戒心を和らげる目的をもつ。集合調査法では調査開始前に会場で挨拶状を配布する。郵送調査法の場合には、調査票と一緒に送る場合や、調査の1週間から3日ほど前に予告の意味で挨拶状をあらかじめ送付し、後日調査票を送ることもある。挨拶状はあまり長くても読んでもらえないため、1ページに収まるように心がける。本講義では、時候の挨拶から始まる具体的な挨拶状を作成する。実際の調査対象者に送付しても不備がないほどの完成度の挨拶状を作ることが目標である。
③ アンケート調査において調査者が心がけるべき倫理的配慮について説明する。アンケート調査は、回答者の自発的な協力に基づいて実施されるという基本原則にしたがい、(1)インフォームド・コンセント、(2)匿名性の保障とプライバシー・個人情報・人権の保護、(3)回答者の権利という3つの視点から配慮内容をまとめる。具体的には、インフォームド・コンセントが成立するための要件や、匿名性を保障するために調査者が配慮すべき点について説明する。また、質問文において、偏見のある(ように受け取られる)、差別的とみなされうる表現を無意識のうちに使用しているかもしれない。そうした表現が含まれていると、回答者の人権が侵害されるだけでなく調査者と回答者との間の信頼関係が著しく損なわれ、回収率が下がるといった不利益も生じうる。


キーワード ① データ収集 ② 依頼状 ③ 倫理的配慮 ④ 人権保護 ⑤ 回答者の権利
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】データ収集の技法について、自分でノートにまとめ直す。その際、コマシラバスをもう一度よく読み、予習時にはわからなかったが講義を通して理解できた点、講義を聞いてもなお完全には理解しきれていない部分を整理する。また、講義内で作成した添え状について、フォントの種類、フォントサイズ、各パーツの配置を見直し、より美しいフォーマットに仕立て直す。これら復習課題はノートやワード、エクセルにまとめて見返せるような状態で保存しておくこと。
【予習】次週はいよいよ本調査を実施する。そのため、次週までの予習として調査票を完成させてくる。なお、調査票は印刷してホッチキス止めまで終えてくるようにする。そうしなければ、次週の授業内で配布し、受講者に回答を依頼することができないからだ。本調査の実施は最終提出物である調査報告書の進捗にダイレクトに関わってくるため、必ず完成したものを各自持ち寄ることとする。

10 調査の実施と調査票の回収 科目の中での位置付け 第10回の授業では本調査を実施する。第7回では、第6回までの実習内容を前提として作成したアンケート用紙を配布し、予備調査を実施した。また、第9回では、本調査を迎える前に知っておくべき知識や、準備しておくべき書類について説明した。つづく第10回では、本調査用のアンケート用紙を配布・回収し、単純集計の作業までを実践する。実際にアンケート調査をおこなってみると、質問項目と回答項目の十分な検討がいかに重要であるかが痛感できる。また、調査対象者となって他の受講生が作成したアンケート調査に回答すると、どんな質問項目・回答項目が回答しやすく、またどんなものは回答しにくいかを実感することができる。回答が終わると即時に回収作業に入る。回収作業やその後のエディティング、コード割り当て、データ入力と整理(3つとも次回授業で扱う予定)には、明確な決まった手順が存在するため、一連の作業プロセスのなかでもとくに「作業」の要素が強い。その分、適切で合理的なやり方をおさえられているかどうかで正確さが大きく左右される。
これまでの授業および復習課題で受講生各自が作成した質問紙を用いる。
コマ主題細目 ① 調査の実施と調査票の回収 ② 実施の手順 ③ 調査票回収後の手順 ④ 調査実施プロセスの復習 ⑤
細目レベル ① 第10回では授業内で本調査を実施する。本調査は受講者数に応じて悉皆調査もしくは標本調査のどちらかで実施する。各受講生の調査目的によっては受講生以外も調査対象者に含まれる場合がある。その際には、第9回前後の日程で集合調査法や街頭調査法などを併用して実施し、自分が想定した母集団に近い調査対象者からなるべく多くの回答を得ることがのぞましい。なお、本年度はオンライン授業であるため、教員が用意したアンケート用紙をもとに擬似的な本調査を行う。調査実施者としては、倫理的ガイドラインにおける個人情報保護の観点から回答者が特定されないように配慮した手法によって調査票を回収することに留意する。いっぽう、調査対象者としては回答ミスを自己点検するだけでなく、答えにくい質問項目や選択を迷う回答項目があった場合にはその旨を余白に書き込んでおくといったフィードバックもおこなってほしい。
② 実施の手順は次のとおりである。まずは調査実施者として調査票を配布する。このとき、悉皆調査であるならば全員に漏れなく行き渡っているかを確認する。また標本調査であるならば、標本として選んだ調査対象者へ確実に質問紙をわたす。標本調査であるならば無作為抽出法のいずれかを用いてサンプリングをしているはずであり、サンプリングしたとおりに正しく質問紙を配布することが重要である。次に、調査対象者として調査に回答する。このとき、個人情報保護の観点から席の近い者同士で回答が見えてしまわないように配慮すること。基本的に質問紙には匿名性を担保しながら回答するが、今後のインタビュー調査への回答意思を尋ねる質問項目に対して「意思あり」の回答をする場合には、氏名や所属、連絡先等を記入すること。
③ 質問紙は即時に回収し、集計作業へうつる。このとき、回収手法には十分に留意すること。受講生同士であっても、質問紙の匿名性はできるかぎり保持されることがのぞましい(ただし調査対象者本人の意思にもとづく個人情報の開示は認められる)。回収作業が終わったら、質問紙の表紙にあらかじめ再生しておいたID確認欄に通し番号をふる。通し番号がふってあると正確な回収枚数が把握できるだけでなく、特定の調査票を再度見返したいときにも便利である。たとえば、自由回答項目に特徴的な回答が記されている質問紙や、個別のインタビュー調査に応じてくれる旨が記されている質問紙などを見返したいときに役立つ。通し番号をふり終えたら単純集計に用いるエクセル集計表の作成に取りかかる。
④ 第10回をもって、アンケート調査の作成・配布に関連する作業プロセスをすべて履修し終えたこととなる。そのため、第10回では本調査終了後に、時間の許す範囲でこれまでに学んできたことの復習を行う(※本年度の受講者人数および本調査にかかる時間によっては復習を実施できない場合がある)。まず、仮説と調査対象の決定手法について、どんな仮説や調査対象の決定が適切もしくは適切でないのかということを復習する。次に、アンケートの質問項目の作り方やその注意点、作成手法に関連する専門用語を復習する。これらは社会調査法のなかでも重要な履修項目であるため、詳細な復習を行うものとする。また、質問項目の作り方と対をなす回答項目の作り方についても入念な復習を行う。これらの復習は、講義のみならず、いくつかの設問を解いてもらう小テスト形式で実施する可能性がある。なお、この小テストは授業の理解度を確かめるために実施するものであり、最終的な成績評価には影響しない。

キーワード ① 本調査 ② 悉皆調査 ③ 標本調査 ④ 匿名性 ⑤ 自由回答項目
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】どのような質問の種類があり、それらはどのように分類できるのかについて再度検討する。その際、コマシラバスをもう一度よく読み、予習時にはわからなかったが講義を通して理解できた点、講義を聞いてもなお完全には理解しきれていない部分を整理する。これら復習課題はノートやワード、エクセルにまとめて見返せるような状態で保存しておくこと。
【予習】次回のコマシラバスをよく読み、今もっている知識では理解しきれない部分がどこなのか整理する。その際の工夫点および注意点については第1回コマシラバスを参照。とくに、エディティング、コード、イエス・テンデンシ―、無回答(NA)と不明・わからない(DK)の相違点といった専門用語の意味について自分なりに理解し、整理しておく。

11 データの入力と整理 科目の中での位置付け 第11回の授業では、質問紙を回収した後におこなう作業である「データの整理とチェック」「コードの割り当て」「データの入力と整備」について、それらをおこなうべき理由と実際の手順について説明する。第9回の授業では、本調査用のアンケート用紙を配布・回収し、単純集計の作業までを実践した。第10回で得たデータをもとに、第11回以降エクセルを用いたデータ分析の手法を学ぶ。第11回の授業では、データ分析の前段階として、アンケート用紙に記入してあるアナログデータを表計算ソフトでの分析が可能なデジタルデータに変換する手法を学ぶ。この作業はおおまかな手順が決まっており、人によっては退屈な作業に感じられるかもしれないが、正確さが要求されるきわめて重要な作業である。あいまいなコード割り当てやデータ入力上のミスはその後の分析作業の正確性や妥当性を左右し、最終的な成果物である調査結果報告書のクオリティにも影響を与える。
以下、コマ主題細目ごとに表記する。①森岡清志編著(2007)『ガイドブック社会調査』第2版, 日本評論社, pp167-168.②同著, pp168-174.③同著, pp174-175.
コマ主題細目 ① データの整理とチェック ② コードの割り当て ③ データの入力と整備 ④ ⑤
細目レベル ① 調査票が回収されたら、ただちに調査票を1票ずつ点検し、記入漏れや不完全・不明な回答項目のチェック、誤記の訂正などをおこなう。こうした作業をエディティングとよぶ。また、論理的に関連する項目や論理的に成立がむずかしい回答についてはとくにこの段階でチェックしておいたほうがよい。たとえば、世帯年収が個人年収より少ないとか、初職が「公務員の管理職」であるとかは、よほどのことがないかぎり成立しない。このように、論理的にエラーである可能性が高い回答をチェックする作業もエディティングに含まれる。このように、エディティングの最大の目的は入力すべきデータを整備することである。しかし、エディティングによって、調査全体の概要を直感的に把握できるという副次的な効果も得られる。
② 調査票を配布する際に、協力者に対して行う趣旨および段取り説明の文章(ブリーフィングシート)を作成する。シートには、①に特定の回答カテゴリーについて定められた入力値のことをコードとよぶ。たとえば、回答に①「非常にそう思う」、②「どちらかといえばそう思う」、③「あまりそう思わない」、④「まったくそう思わない」の4段階の選択肢が設けられている場合に、①②③④を順に1,2,3,4の数値で入力する。注意しなければならないのは、もしイエス・テンデンシーを考慮して逆転質問を配置した場合には、その質問のコードも逆転させなければ他の質問との整合性が取れなくなる。また、「無回答(NA:No Answer)」や「わからない(DK:Don''t Know)」および非該当などをさす欠損値のコードもこの段階で割り当てる。こうした項目ごとのコードを示した一覧表をコード表、冊子になっている場合にはこれをコードブックとよぶ。加えて回答の手順を書き込む。
③ コード表の作成およびコーディングが終了したら、データの入力をおこなう。授業ではエクセルを用いたデータ解析の手法を説明するので、データ入力もエクセルを想定して説明する。エクセルデータはエクセルに限らずSPSSなどさまざまな統計ソフトで使用可能であるため、量的調査のデータ入力にはエクセルを用いることがのぞましい。データは、行(横の並び)ごとに調査対象者を入力し、列(縦の並び)ごとに質問項目の番号や質問項目から作成した変数を並べるフォーマットが一般的である。このとき、1番上の行には質問項目や変数のラベルを入力する。また、第1列目には整理番号など調査対象者を識別できるID番号(ケース番号)を入力する。入力にあたってはエクセルの機能を用いて先頭行と第1列をそれぞれ固定しておくと便利である。


キーワード ① エディティング ② コーディング ③ データクリーニング ④ 論理エラー ⑤ スクリーニング
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】授業時間内で終わらなかったエディティング、コーディング、データ入力とデータクリーニングについて復習課題とする。次回授業までにすべて終わらせておくこと。また、コマシラバスをもう一度よく読み、予習時にはわからなかったが講義を通して理解できた点、講義を聞いてもなお完全には理解しきれていない部分を整理する。これら復習課題はノートやワード、エクセルにまとめて見返せるような状態で保存しておくこと。
【予習】次回のコマシラバスをよく読み、今もっている知識では理解しきれない部分がどこなのか整理する。その際の工夫点および注意点については第1回コマシラバスを参照。とくに、基礎統計量、平均値、中央値、標準偏差、最小値、最大値、データ数といった専門用語について自分なりに理解し、整理しておく。また、エクセルで関数を用いる作業をあらかじめ自分で実践しておくと、授業の理解度が高まる。その際には、まずは比較的容易な足し算・引き算・かけ算・割り算から始めてみる。

12 エクセルを使ったデータ解析①:基礎統計量の集計 科目の中での位置付け 第12回の授業では、基礎統計量の基本的な考え方について学んだのち、エクセルの関数機能を使い、実際に基礎統計量を算出する手法を学ぶ。第9回の授業では、本調査用のアンケート用紙の配布・回収と単純集計の作業までを実践し、第10回ではデータの整理とチェック、コードの割り当て、データの入力と整備といったデータ分析の準備をおこなった。この入力データをもとに第12回以降ではエクセル関数を用いたデータ分析をおこなっていく。この授業では、エクセルでの計算をおこなう前に、「算出しようとしている数字にはどんな意味があるのか」を学習する。授業内では基本的な基礎統計量である平均値、中央値、標準偏差、最小値、最大値、データ数を扱う。これらはどんな統計調査においてもさいしょに算出される基本中の基本の数値である。アンケート調査の分析にはSPSSという非常に優れた計算ソフトが存在するが、SPSSは高価なため学生が個人で購入することは難しい。そのため、この授業ではより安価で汎用性が高く、多くのパソコンに搭載されているエクセルを用いる。
以下、コマ主題細目ごとに表記する。①辻義人著(2014)『Excelによるアンケート調査の第一歩』ナカニシヤ出版, pp19-22.②同著, pp19-22.③同著, pp25-38.
コマ主題細目 ① 基礎統計量の考え方 ② 基礎統計量の計算方法 ③ 表の作成と集計 ④ ⑤
細目レベル ① 量的調査によって得られたデータ全体を見通すために、さいしょに基礎統計量の計算をおこなう。基礎統計量には、平均値、中央値、標準偏差、最小値、最大値、データ数などがある。基礎統計量のなかでも、もっとも注目されるのが平均値である。ただし、平均値には極端な値に左右されやすいという弱点がある。いっぽう、平均値と比較されることが多い中央値は、すべてのデータを大きさ順に並べたときにちょうど真ん中にくる数値のことをいう。また、標準偏差とは得られたデータ間のばらつきを示す数値である。多くの人が同じ得点や同じ年収帯であれば標準偏差はすくなくなり、得点や年収に差があるときには標準偏差は大きくなる。これらに最小値、最大値、データ数を加えた基礎統計量は、分析結果をまとめる際にさいしょに提示すべきデータである。
② エクセルで関数を使用したいときは、数値を入力したいセルに、たとえば「=AVERAGE(B2:B6)」のように関数をすべて半角英数字で打ち込む。イコール、カッコ、英数字、コロンのすべてを半角英数字で打ち込まないと関数として認識してもらえない。関数を用いるときは入力がすべて半角となるように設定しておくことがのぞましい。AVERAGE関数は平均値の算出に使用する関数であり、AVERAGEの後ろにつづく「(B2:B6)」は対象範囲を示している。B2はB列2行目、B6はB列6行目を表しており、コロンは「B2からB6まで」がすべて対象範囲であることを表している。中央値はMEDIAN関数、標準偏差はSTDEV(もしくはSTDEV.S)関数、最小値はMIN関数、最大値はMAX関数を用いる。また、得られたデータの個数(度数)を示す数値であるデータ数はCOUNT関数を利用する。
③ すべての基礎統計料がそろうと、データ全体を見通すことができるようになってくる。たとえば、平均値と中央値が離れている場合、極端に大きい数値や小さい数値(外れ値という)が紛れ込んでおり、平均値を左右している可能性がある。このように、基礎統計量だけでも重要な分析結果を得ることができる。こうした量的データの分析は文章による表現よりも表やグラフによる可視化によって容易となる。ここでは、基礎統計量を図表化する技法を身につける。また、エクセルに搭載されているピボットテーブルという機能を用いると、簡単に表を作ることができるだけでなく、ピボットテーブルを用いた集計をおこなうことができる。とくに、質的な尺度のデータの場合、ピボットテーブルによるクロス表集計が役に立つ。


キーワード ① 基礎統計量 ② 平均値 ③ 中央値 ④ 標準偏差 ⑤ 外れ値
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】授業内で説明したエクセル関数の入力作業を実践してみる。また、コマシラバスをもう一度よく読み、予習時にはわからなかったが講義を通して理解できた点、講義を聞いてもなお完全には理解しきれていない部分を整理する。これら復習課題はノートやワード、エクセルにまとめて見返せるような状態で保存しておくこと。
【予習】次回のコマシラバスをよく読み、今もっている知識では理解しきれない部分がどこなのか整理する。その際の工夫点および注意点については第1回コマシラバスを参照。とくに、相関関係と因果関係、相関係数、t検定、帰無仮説と対立仮説といった専門用語について自分なりに理解し、整理しておく。とくに、t検定は難解であるため一度の講義のみで完全に理解することはむずかしい。予習によって事前知識を得ておき、くわえて講義後に何度も復習することで初めて身についた知識となる。

13 エクセルを使ったデータ解析②:t検定を用いた量的データの比較 科目の中での位置付け 第13回の授業では、「相関関係とはなにか」「因果関係とはなにか」「相関関係と因果関係はどのように異なるのか」を学んだのち、統計的検定のひとつであるt検定について学ぶ。また、エクセルを用いてt検定を実践する。第9回の授業では、本調査用のアンケート用紙の配布・回収と単純集計の作業までを実践し、第10回ではデータの整理とチェック、コードの割り当て、データの入力と整備といったデータ分析の準備をおこなった。つづく第12回では基礎統計量について学び、エクセルを用いた基礎統計量の算出と表の作成をおこなった。今回学ぶt検定は、量的調査から得られた2つのグループの平均値を統計的に比較したいときに利用する分析手法である。t検定を含む統計的検定を使えるようになるためには、帰無仮説と対立仮説という独特の考え方を理解しなければならない。この授業では、こうした統計的な確からしさを立証するための理論を学び、理解したうえで実習作業に入る。
以下、コマ主題細目ごとに表記する。①辻義人著(2014)『Excelによるアンケート調査の第一歩』ナカニシヤ出版, pp75-84.②同著, pp39-41.③同著, pp42-57.
コマ主題細目 ① 相関関係と因果関係 ② 統計的検定の考え方 ③ t検定による平均値の差の比較 ④ ⑤
細目レベル ① 相関関係とは、2つの変数において、一方が増えるともう一方が増える/減るといった関係性である。基礎統計量のように、1つの質問項目について平均値や中央値、標準偏差を算出するといった作業は、一変量のデータに注目しているといえる。それに対して、相関関係に注目する相関分析は、2つの質問項目や調査項目同士の関連性を明らかにしようとしており、同時に二変量に注目するための分析手法である。相関関係には、正の相関、負の相関、無相関の3種類がある。相関分析は、二変量の関係を調べるための強力な分析方法である。しかし、①相関関係と因果関係は異なる、②見かけの相関(疑似相関)の問題については、十分に注意しなければならない。
② 量的調査から得られた2つのグループの平均値を統計的に比較することができるのが、t検定という手法である。t検定を用いると、たとえば、「大都市と地方都市で、ビジネスマンの通勤時間は異なるのか」といった比較ができる。グループ間での平均値の比較はグラフを用いて視覚的におこなうこともできるが、標本調査の場合、それが得られたサンプル間での偶然の結果なのか、母集団においても有意味な差であるのかといった判断がつかない。そのため、検定による比較が必要となってくる。検定では、自分が期待する内容と逆の仮説を立て、その仮説が誤りであることを証明することで、得られたデータの統計的な差を主張する。ここでさいしょに立てる仮説は、「できれば無に帰したい仮説」という意味で帰無仮説とよばれる。つまり、帰無仮説を棄却する(帰無仮説を誤りだと認めること)ことができれば統計的な差が担保される。
③ 2つのグループの平均値の差を統計的に明らかにするための方法には、対応のあるt検定、対応なしのt検定、等分散でない場合の平均値の検定の3種類がある。この講義では、これら3種類の検定が対象とする標本の違いを説明する。なお、授業内で実践するのはこのうち対応なしのt検定のみである。データの対応の有無とは、同じ対象から何度もデータを測定したかどうかという意味である。たとえば、同じクラスでボール投げの飛距離の平均を特訓前と特訓後で比較するという場合は「対応あり」となる。つぎに、対応のないデータでは、データの散らばり方(分散性)に違いがあるかどうかで検定の種類が分かれる。等分散性が保証された場合はt検定を用い、等分散でない場合はウェルチの検定を用いる。


キーワード ① 相関関係 ② 因果関係 ③ 疑似相関 ④ t検定 ⑤ 対応あり/なし
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】t検定について、講義内容をもう一度自分でノートにまとめ直す。ノートや講義資料をもとに自分だけでt検定を実践してみる。また、コマシラバスをもう一度よく読み、予習時にはわからなかったが講義を通して理解できた点、講義を聞いてもなお完全には理解しきれていない部分を整理する。これら復習課題はノートやワード、エクセルにまとめて見返せるような状態で保存しておくこと。
【予習】次回のコマシラバスをよく読み、今もっている知識では理解しきれない部分がどこなのか整理する。その際の工夫点および注意点については第1回コマシラバスを参照。とくに、クロス表、カイ二乗検定、期待値と観測値、自由度といった専門用語について自分なりに理解し、整理しておく。とくに、カイ二乗検定は難解であるため一度の講義のみで完全に理解することはむずかしい。予習によって事前知識を得ておき、くわえて講義後に何度も復習することで初めて身についた知識となる。

14 エクセルを使ったデータ解析③ 科目の中での位置付け 第14回の授業では、質的変数のまとめ方のひとつであるクロス表について学んだのち、質的変数の統計的検定のひとつであるカイ二乗検定の理論を学び、エクセルを用いてカイ二乗検定をおこなう。第9回の授業では、本調査用のアンケート用紙の配布・回収と単純集計の作業までを実践し、第10回ではデータの整理とチェック、コードの割り当て、データの入力と整備といったデータ分析の準備をおこなった。つづく第12回では基礎統計量について学び、エクセルを用いた基礎統計量の算出と表の作成をおこない、第13回では量的変数の統計的検定であるt検定について学んだ。今回学ぶカイ二乗検定においても、前回と同様に帰無仮説と対立仮説を用いた立証の考え方を用いるので、復習課題を通して前回の内容への理解を深めておくこと。t検定とくらべてカイ二乗検定の方が理論的にはさらに複雑となってくる。カイ二乗検定を実践するには、期待値と観測値、自由度といった専門用語についても理解しておかなければならない。
以下、コマ主題細目ごとに表記する。①轟亮, 杉野勇編(2010)『入門・社会調査法 : 2ステップで基礎から学ぶ』第2版. 法律する。①辻義人著(2014)『Excelによるアンケート調査の第一歩』ナカニシヤ出版, pp63-69.③同著, pp69-73.
コマ主題細目 ① クロス表を用いた比較 ② カイ二乗検定の分析方法 ③ カイ二乗検定の実践例 ④ ⑤
細目レベル ① 関連があるかどうかを判断したい2つの変数がどちらも質的変数である場合にはクロス表を作成し連関の指標を算出するという分析を行うことが多い。本来は量的変数である変数をカテゴリーに区分することで質的変数のように扱い、クロス表分析を行うこともある。多くのクロス表は2×2の表であるが、カテゴリーが3つ以上の場合には、3×2や3×4のクロス表もありえる。クロス表には度数(人数)をそのまま掲載する場合もあるが、それでは「どちらの方が多いのか?」といった疑問を直感的に判断しにくくなるので、パーセンテージで表記するのが普通である。また、パーセンテージと並列して度数を記すタイプのクロス表もある。このとき、度数は「◯人(名)」とは表記せず、「n=◯」と表記するのが通例である。
② t検定と同様にカイ二乗検定も、「標本調査によって得られたデータ間の差は単なる偶然ではなく母集団においても当てはまるのか?」を確かめる分析手法である。しかし、t検定と異なり、カイ二乗検定は質的データ間の差を証明する。そこで、カイ二乗検定では、「観測値(実測値)」と「期待値」という概念を用い、観測値と期待値のズレを調べる。観測値とは、その名の通り、実際に観測された数値のことである。期待値とは、「比較する対象に差がなかった場合の比率」のことであり、比較対象が2つであれば50対50となる。エクセルを用いたカイ二乗検定では、まずクロス表から期待値を計算し、そのあとでCHITEST関数(観測値と期待値の範囲を指定することで、有意水準を計算)とCHINV関数(カイ二乗値)を用いる。
③ ここでは、愛飲する飲料の種類によって、快眠する比率の差があるのかどうかを検討する。このとき、アンケート調査で①愛飲している飲料の種類、②睡眠の質に満足しているかどうかという2点について質問する必要がある。ピボットテーブル機能を使ってこれらのデータをクロス表のかたちで集計し、この表をもとにカイ二乗検定をおこなっていく。カイ二乗検定による比率の差の検定に際しては、t検定と同様に、まず帰無仮説を考える必要がある。この場合の帰無仮説は、「愛飲している飲料の種類によって、睡眠の質の比率に差はない」となる。なお、対立仮説は「愛飲している飲料の種類によって、睡眠の質の比率に差がある」となる。この帰無仮説・対立仮説を念頭に置きながら観測値を集計し、期待値を算出する。


キーワード ① クロス表 ② 帰無仮説と対立仮説 ③ 観測値と期待値 ④ カイ二乗検定 ⑤ ピボットテーブル
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】カイ二乗検定について、講義内容をもう一度自分でノートにまとめ直す。ノートや講義資料をもとに自分だけで再度カイ二乗検定を実践してみる。また、コマシラバスをもう一度よく読み、予習時にはわからなかったが講義を通して理解できた点、講義を聞いてもなお完全には理解しきれていない部分を整理する。これら復習課題はノートやワード、エクセルにまとめて見返せるような状態で保存しておくこと。
【予習】次回のコマシラバスをよく読み、今もっている知識では理解しきれない部分がどこなのか整理する。その際の工夫点および注意点については第1回コマシラバスを参照。また、次回は分析結果をまとめた報告書の作成に着手するが、90分間の授業だけで完成させることはできないため、予習課題としてあらかじめドラフトを作っておく。とくに、文章を書く作業はひとりで黙々と作業した方がはかどるので、図表よりも文章を優先してドラフトの作成をしておく。

15 分析結果のまとめ方(報告書の書き方) 科目の中での位置付け 第15 回の授業では、これまでの授業の総括として調査報告書を作成する。たいていの場合アンケート調査の報告書は、文章でのまとめ(結果の記述と結果から得られた考察、知見の整理など)と図表でのまとめの双方を作成し、文章内で図表に言及するといった組み合わせで調査結果の内容を説明していく。第12回で学んだ基礎統計量が正しく集計・記載できるか、第13回で学んだt検定や第14回で学んだカイ二乗検定を正しく用いた分析ができているかといった観点から、この授業をどれほど理解できているか、実践的知識を身につけることができているかを自分自身でも判断してほしい。また、アンケート調査の出来・不出来は第4回から第6回のあいだに学んだ質問項目や回答項目の作り方によっても大きく左右される。調査報告書の巻末には、付録として第12回で作成した単純集計結果(すべての質問についての度数分布表)や第8回で作成した依頼状も添付する。完成した調査報告書が第2回や第3回で学んだ内容と最終的にどれほど合致しているかも確認する。
以下、コマ主題細目ごとに表記する。①大谷信介他編著(2005)『社会調査へのアプローチ: 論理と方法』ミネルヴァ書房, pp212-213.②轟亮, 杉野勇編(2010)『入門・社会調査法 : 2ステップで基礎から学ぶ』第2版. 法律文化社.pp193.③同著, pp189-195.
コマ主題細目 ① 分析結果のまとめ方(文章編) ② 分析結果のまとめ方(図表編) ③ 実際の作業 ④ ⑤
細目レベル ① 調査報告書には最低限、次の3種類の内容を盛り込むようにする。(1)調査実施の概要について記した部分。一読してどのような調査が実施されたのかわかるように、仮説と方法を明らかにする。(2)調査結果と知見および今後の課題を記した部分。この部分で論じられる内容が報告書の中心部分となる。ここで統計的検定結果などの根拠を示して仮説の検証を行う。次に、本調査で得られた知見を整理し、今後の課題を提示する。(3)資料、付録。さいごに、資料や付録として添付しておきたいものを巻末に整理しておく。ここには、単純集計結果(すべての質問についての度数分布表)、挨拶状・依頼状、調査員のマニュアル、調査スケジュール、調査チーム構成などが含まれる。
② 調査報告書では、図表を用いることが有効である。適切な図表を示すことで執筆者の意図を明らかにすることができる。まず、図表番号とタイトルをつけることになっている。図表を問わず番号とタイトルは図表の上部に示されていることもあるが、基本的には、表の番号とタイトルは表の上部に、図の場合は図の下部に明記する。また、本文中で図表について言及する場合は、その文末に「…(表1−1)。」というように図表番号を記しておくと読者は参照しやすい。また、調査報告書ではクロス表を用いることが多い。クロス表を作成する際の注意点として、数値の単位は表の右上に明記する、度数と比率の記載はすべてのセルに両者を記入するのではなく、合計の100%の横にのみ度数を記入するなどがある。
③ 上記の細目で学んだ内容をふまえて実際に調査報告書の作成をはじめる。調査実施の概要、調査結果と知見および今後の課題について記し、図表を説明している文の末尾には図表番号を記しておく。単純集計や度数分布表はすべての項目の分を作成し、分析に用いた集計結果は報告書内に掲載する。また、分析には用いなかった集計結果であっても社会調査によって得られた重要な知見であることにはかわりなく、また調査協力者に対する情報開示の意味合いもあるため、調査報告書のさいごの部分に資料および付録として添付することがのぞましい。図表として各グラフを用いることも視覚的に有効だが、棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ・帯グラフなどグラフごとの特徴に見合った集計において用いることがのぞましい。


キーワード ① 報告書の意義 ② 図表タイトル ③ 各種グラフの利点・欠点 ④ 調査報告書 ⑤ 付録
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【復習】すべてのコマシラバスをもう一度よく読み、完全に理解した部分とそうでない部分を洗い出す。その際の工夫点および注意点については第1回コマシラバスを参照。とくに理解が不十分であると思われる箇所については、授業内で配布した資料を自分でまとめ直したり、参考文献をもう一度よく読んだりして完全に理解するまで努める。量的調査とはどんな目的をもって、どのように行われるのか説明できるようにしておく。量的調査を実施するプロセスや依頼状、調査票の作り方、質問項目、回答項目を作成する際の注意点についても自分で説明できるほどに理解を深めておく。また、調査報告書の作成については、引き続き作業をおこない完成させること。完成物は提出してもらう。
履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
調査の目的 具体的で明確な調査目的を立てることができるか。調査目的の調査可能性は考慮されているか。調査可能性はどのような観点から確認するべきか理解しているか。実施しようとする社会調査の必要性は吟味されているか。調査目的の設定を含めた全体的な調査の作業工程は理解しているか。量的調査とはどのような特徴をもった調査手法であり、どのような利点と欠点があるか把握しているか。調査可能性に適った仮説を用意できているか。仮説は基本仮説と作業仮説のどちらも吟味されているか。 研究上の問い、調査の必要性、調査可能性、仮説、質問項目の操作化 20 1,2,3,7,10,15
調査対象の選定と調査上の留意点 悉皆調査と標本調査の違いを理解しているか。標本調査ではどのような理論的枠組みをもちいて統計的な確からしさを保証しているのか理解しているか。サンプリングの種類について、確率標本抽出法と非確率標本抽出法のそれぞれにどのような技法があるか、名称だけでなくサンプリングの技法の違いにまでふみこんで理解しているか。依頼状に書くべき内容を理解しているか。倫理的ガイドラインはどのような内容であったか理解しているか。データ収集法の種類について理解しているか。 標本調査、サンプリング、依頼状、倫理的ガイドライン、データ収集法 20 4,5,7,8,10,15
質問項目 アンケートで用いる質問にはどのような種類があるのか理解しているか。オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョンはどのような違いをもった質問項目か説明できるか。どのような内容の質問を尋ねる質問が存在するのか理解しているか。デモグラフィック項目の具体例を複数個あげることができるか。デモグラフィック項目を尋ねる際の留意点について理解しているか。ワーディングの注意点および間違ったワーディングの例を提示することができるか。 質問の種類、ワーディング、デモグラフィック項目、ダブルバーレル質問 25 4,5,7,10,15
回答項目 プリコード回答法と選択回答法との違いを説明できるか。プリコード回答法および選択回答法のなかにはどんな種類の回答法があるか具体例をあげて説明できるか。評定法について、とくに尺度という用語を用いて説明できるか。それぞれの回答法にはどんな利点と欠点があるか説明できるか。各種回答法と回収率の関係性について説明できるか。予備調査および本調査において分析に適当な回答を得ることができたか。得られた回答の集計方法を理解しているか。 プリコード回答法、選択回答法、自由回答法、尺度 10 6,7,10,15
データの分析 基礎統計量について具体例をあげながら説明できるか。相関関係と因果関係とはそれぞれどういった関係性のことを指すのかを理解したうえで、両者の違いを説明できるか。エディティング、コーディング、データクリーニングといった用語の意味を説明できるか。統計的検定を用いて統計的な確からしさを立証しようとする場合の基本的な考え方を把握しているか。帰無仮説と対立仮説といった用語の意味を正しく理解しているか。t検定とカイ二乗検定が何を分析する手法なのか理解しているか。 相関関係、帰無仮説、基礎統計量、t検定、カイ二乗検定、クロス表 25 11,12,13,14,15
評価方法 期末試験(100%)※ただし、調査報告書を期限内に提出できなかった者は期末試験の受験資格を得られないものとする。また、事前の指示を無視した著しく質の低い報告書が提出された場合、たとえ提出期限内であっても受理しない。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 なし
参考文献 大谷信介他編著(2005)『社会調査へのアプローチ: 論理と方法』ミネルヴァ書房, 轟亮, 杉野勇編(2010)『入門・社会調査法 : 2ステップで基礎から学ぶ』第2版. 法律文化社, 辻義人著(2014)『Excelによるアンケート調査の第一歩』ナカニシヤ出版, 丹羽国彦著(2015)『仕事で使える!Googleフォーム:Webフォーム&アンケート活用術』株式会社インプレス R&D, 森岡清志編著(2007)『ガイドブック社会調査』第2版, 日本評論社.
実験・実習・教材費 なし