区分 環境データサイエンス科目 環境情報科目 環境情報基本科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門性 理解力 実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
専門知識 教養知識 思考力
実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
多様化する環境問題や地域社会の諸問題に関心を持ち、環境・情報・社会に関連する幅広い基礎知識と専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。グローバルな視野と研究調査力を持ち、昨今の情報社会に貢献できる力を有する。企業・地域社会などのあらゆるコミュニティに寄与する組織的な活動能力を有する。
科目の目的
GPSをはじめとするセンシング技術の発達により、さまざまなデータが位置情報とともに取得される今日、日々膨大な時空間データが蓄積されている。また、社会環境問題の高度化・複雑化が進む現代においては、人や動物の移動、地理・気候条件の分布、各種社会制度の区域区分など、多様な時空間データから課題解決に資する有用な情報を導出することの重要性が増している。このような背景から、地理空間情報の特性を理解し、その特性を踏まえてデータを適切に管理・解析・可視化できる専門人材への需要は高い。本科目では、地理情報システム(GIS)に関する基礎知識および操作技能を習得することにより、地理空間情報に基づいて諸問題を分析・評価する能力を養い、卒業研究はもとより、就職先や進学先においてもGISを適切に利活用し、合理的な意思決定に貢献できる実践力を涵養することを目的とする。
到達目標
地理空間情報の基本概念とGISの役割を理解し、空間データを扱うための基礎知識と実践的技能を体系的に身につける。具体的には、GISデータの構造や表現方法を踏まえてデータを適切に選択・整理し、必要な前処理を行ったうえで、属性や空間的条件に基づく分析と可視化を実行できる状態を目指す。さらに、座標参照系など分析の前提条件を意識し、オープンデータ等の外部データを安全かつ適切に活用できる判断力を養う。最終的には、空間分析で得られた結果を基に、表現したい主題を地図として適切に表現して成果物としてまとめられること、そして、その地図の解釈や限界を自分の言葉で言語化できることを到達目標とする。
科目の概要
ルート検索や店舗検索など、今日、私たちの生活は地理空間情報やGISと切り離すことはできない。本科目では、地理空間情報学における専門用語や概念体系、そして地理情報システム(GIS)を用いた空間情報の取り扱いを理論と実践の両面から学び、空間データを適切に扱う能力を身につける。授業は基礎編・展開編・総合編の三段階で構成し、前半ではGISの概念、GISデータの構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)、データモデル(ベクタ/ラスタ)、属性検索、シンボロジ、ジオメトリとトポロジ、地図作成の基本を段階的に学ぶ。後半では座標参照系(CRS)の理論を踏まえ、空間解析(バッファ、オーバーレイ、ラスタ解析等)を通じて課題解決の方法を習得し、オープンデータ活用やジオコーディングなど実務的手法も扱う。最後に、データ選択から解析・可視化・発表までを一貫して行うミニプロジェクトに取り組み、成果物としての地図を評価・改善する。毎回、講義と実践を組み合わせ、小テストにより理解度を確認しながら、卒業研究や就職・進学後にGISを利活用できる知識と実践力を養う。
科目のキーワード
①地理空間情報(Geospatial Information), ②地理情報システム(GIS: Geographic Information System), ③ベクタデータ(Vector Data), ④ラスタデータ(Raster Data), ⑤座標参照系(CRS: Coordinate , Reference System), ⑥属性(Attribute), ⑦ジオメトリ(Geometry), ⑧トポロジ(Topology), ⑨オーバーレイ(Overlay), ⑩空間解析(Spatial Analysis)
授業の展開方法
本科目は、基礎編・展開編・総合編の三段階で構成される。基礎編(第1回〜第7回)では、まず第1回で概念整理と学習の見通しを確認し、第2回でGISデータの基本構造とデータモデルを把握する。続いて第3回で属性テーブル操作、第4回でシンボロジによる表現、第5回でジオメトリとトポロジの基礎、第6回で地図作成の基本要素とレイアウトを学び、第7回で前半内容を一連の作業として統合して復習する。展開編(第8回〜第13回)では、第8回で座標参照系(CRS)の理論を理解し、第9回で空間解析の基礎を扱う。その後、第10回でオーバーレイ解析、第11回でラスタ解析を学び、解析対象となるデータの扱いを拡張する。さらに第12回ではGISオープンデータの入手・確認・活用、第13回ではジオコーディングを通して、実務的なデータ整備と分析の入口を身につける。総合編(第14回〜第15回)では、これまでの知識と技能を統合し、第14回で空間分析プロジェクトを設計・実践して成果物を作成し、第15回で地図の評価とプレゼンテーションを行うことで、分析や表現をし、学習内容を総括する。
毎回の授業では、まず前回内容の要点を短く復習したうえで、その回のコマ主題細目に沿って講義を行い、概念・理論・用語・操作の狙いや学習の意義を整理する。続いて、講義で扱った内容をQGISを用いて一連の作業として実践する。最後に小テストを行い、当該回の重要用語や基本概念、操作の要点について理解度を確認する。
 受講者には、毎回、1)本授業のCustom GPTや授業教材を用いて予習・復習をして授業に臨むこと、2)各自のノートPCを前日までに十分に充電しておくこと、3)インターネットにアクセス可能なノートPCを必ず持参することが求められる。
全15回の内容は以下のとおりである。
[基礎編]
 第1回 イントロダクション
 第2回 GISの概念とGISデータ
 第3回 属性テーブル
 第4回 シンボロジ
 第5回 ジオメトリとトポロジ
 第6回 地図作成の基礎
 第7回 前半の総復習
[展開編]
 第8回 座標参照系(CRS)
 第9回 空間解析の基礎
 第10回 オーバーレイ解析(空間演算)
 第11回 ラスタ解析の基礎
 第12回 GISオープンデータの活用
 第13回 ジオコーディング
[総合編]
 第14回 空間分析プロジェクトのデザインと実践
 第15回 空間分析プロジェクトの評価

オフィス・アワー
【火曜日】4時限目(前期のみ)・5時限目、【木曜日】4・5時限目、【金曜日】4・5時限目
科目コード ENS506
学年・期 3年・前期
科目名 地理空間情報学
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 選択
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 データサイエンス概論
展開科目 なし
関連資格 なし
担当教員名 蛭田有希
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 イントロダクション 科目の中での位置付け 本科目は、基礎編・展開編・総合編の三段階で構成される。第1回から第7回の基礎編では、GISの概念、GISデータの構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)、データモデル(ベクタ/ラスタ)、属性検索、シンボロジ、ジオメトリとトポロジ、地図作成の基本を段階的に学ぶ。第8回から第13回の展開編では、座標参照系(CRS)の理論を踏まえ、空間解析(バッファ、オーバーレイ、ラスタ解析等)を通じて課題解決の方法を習得し、オープンデータ活用やジオコーディングなど実務的手法も扱う。第14回・第15回の総合編では、データ選択から解析・可視化・発表までを一貫して行うミニプロジェクトに取り組み、成果物としての地図を評価・改善する。
初回にあたる第1回では、科目の目的・到達目標・授業の進め方を確認し、以後の学習を進めるための共通の前提を整える。あわせて、位置情報・空間情報・地理空間情報の違いを整理し、本科目で扱う対象の概念を理解する。さらに、地理情報システム(GIS)の概要と活用事例を通して、地理空間情報が社会の課題解決や意思決定にどのように関わるかを概観する。実践ではQGISのインストール等の環境設定を行い、タイル地図の表示を通じて、地理空間情報がGIS上でどのように可視化されるかを体験する。第2回以降の授業は、今回得た地理空間情報学の用語や概要、作業環境を前提として進める。

【コマ主題細目①~⑤】
· コマ用オリジナル資料
(必要に応じてプリントを配付する)
· オリジナル教材
(サンプルデータやファイルなど)
コマ主題細目 ① ガイダンス ② 位置情報・空間情報・地理空間情報 ③ 地理情報システム(GIS) ④ GISの有用性 ⑤ 【実践】環境設定とタイル地図の表示
細目レベル ガイダンス
本科目のガイダンスとして、科目の目的、到達目標、授業の進め方などについて説明する。本科目は、地理空間情報を理論と実践の両面から体系的に理解し、地理情報システム(GIS)を用いて空間データを適切に扱う能力を身につけることを目的とする。単にソフトウェアの操作方法を習得するのではなく、空間データの構造、座標参照系、属性情報、解析手法、可視化の原理を理解し、課題に応じて適切な手法を選択できる力を養成することを到達目標とする。最終的には、自ら問いを設定し、必要なデータを収集・整理し、空間解析を行い、その結果を地図として論理的に表現できる能力を獲得することを目指す。毎回、最初の約60分で前回の復習と細目ごとの講義を行い、その後約25分をかけて簡単な実践に取り組む。最後に5分程度の小テストを行い、授業内容の理解度を確認する。

位置情報・空間情報・地理空間情報
位置情報(Location Information)とは、ある対象が「どこにあるか」を示す情報であり、緯度・経度や座標値、住所などがこれに該当する。空間情報(Spatial Information)は、位置情報に加え、距離や方向、隣接関係などの空間的関係性を含む、より広い概念である。一方、地理空間情報(Geospatial Information)は、地球上の位置に参照づけられた空間情報を指し、地理座標や投影座標を基盤とするデータを意味する。したがって、位置情報は最も狭義の概念であり、空間情報はその上位概念、地理空間情報は地球参照を条件とする専門的概念である。本細目では、これら三つの用語をはじめ、地理空間情報学で用いられるデータや情報の名称とその定義を明確にする。

地理情報システム(GIS)
地理情報システム(GIS: Geographic Information System)とは、地理空間情報を取得、管理、解析、可視化するための統合的なシステムである。GISの特徴は、位置情報を共通の基盤として、異なる種類のデータを重ね合わせられる点にある。人口統計、道路網、土地利用、気象データなど、性質の異なるデータも、位置という共通軸によって統合され、新たな知見を生み出すことが可能となる。位置情報をもつデータは、単独では見えにくい関係性を明らかにし、現象の空間的分布や相互作用を可視化できる。本細目では、GISを単なる地図作成ツールとしてではなく、空間的思考を促し、実在空間におけるさまざまな課題の意思決定を支援する分析基盤として理解する。

GISの有用性
GISは多様な分野で活用されている。地形や気候の分析では、標高や降水量の分布を可視化し、環境条件の把握に役立つ。防災分野では、ハザードマップの作成や避難経路の検討に利用される。都市計画では、人口分布や土地利用の状況を踏まえた施設配置の検討が行われる。感染症分析では、発生地点の分布や拡大傾向を把握することで対策立案に貢献する。また、PLATEAUのような3D都市モデルは、都市の立体的構造や構成要素を全国で統一的に整備することにより、多様な研究領域におけるシミュレーションや計画立案に活用されるだけでなく、映像制作やゲーム開発など、さまざまな分野への応用可能性をもつ。本細目では、これらの活用事例を通じて、GISが社会課題の解決や新たな価値創出に資する重要な基盤技術であることを具体的に理解する。

【実践】環境設定とタイル地図の表示
第1回の実践では、まずGISソフトウェアの環境設定を行い、基本的な操作方法を確認する。そのうえで、QGISを用いてさまざまなタイル地図を表示し、地図データがどのように視覚化されるかを体験する。タイル地図は、インターネット上で配信される地図画像を分割した形式であり、背景地図として広く利用されている。異なるスタイルのタイル地図を切り替えながら表示することで、地図表現の違いが情報の受け取り方に与える影響を理解する。また、地図を拡大・縮小しながらスケールの概念を体感し、空間データを扱う基礎的な操作に慣れることを目指す。

キーワード ① 地理情報システム(GIS: Geographic Information System) ② 地理空間情報(Geospatial Information) ③ 位置情報(Location Information) ④ 空間データ(Spatial Data) ⑤ タイル地図(Tiled Map)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 授業の理解度を図る目的で、授業の後半に小テストを行う。小テストは、その日の内容に関する問題を5問(難易度:1~3)出題し、ヨリソル上で回答する。
復習・予習課題 【復習】
当該回のコマシラバスおよび配付資料をあらためて読み直し、講義内容の要点を整理するとともに、小テストの問題を見直して誤答や理解が不十分であった箇所を確認する。実践作業が完了していない場合は、次回までに必ず仕上げること。さらに、操作手順のみを追うのではなく、なぜその作業が必要であったのかという観点から振り返ること、また、授業で扱った手法を用いて身近なデータを対象に自ら応用課題を設定して取り組むことが望ましい。調べても理解できない点があれば、そのままにせず積極的に教員へ質問すること。
【予習】
シラバスの各細目レベルの内容を事前に確認し、専門用語や概念のうち理解が難しそうな箇所を把握しておく。関連するキーワードをインターネットや専門サイトで調べ、基本的な意味を理解したうえで授業に臨むことが望ましい。さらに、関連する地図や事例を閲覧し、授業内容が実際にどのような場面で活用されているのかを把握しておくことで、より明確な目的意識をもって授業に臨むことが期待される。

2 GISの概念とGISデータ 科目の中での位置付け 本科目は、基礎編・展開編・総合編の三段階で構成される。第1回から第7回の基礎編では、GISの概念、GISデータの構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)、データモデル(ベクタ/ラスタ)、属性検索、シンボロジ、ジオメトリとトポロジ、地図作成の基本を段階的に学ぶ。第8回から第13回の展開編では、座標参照系(CRS)の理論を踏まえ、空間解析(バッファ、オーバーレイ、ラスタ解析等)を通じて課題解決の方法を習得し、オープンデータ活用やジオコーディングなど実務的手法も扱う。第14回・第15回の総合編では、データ選択から解析・可視化・発表までを一貫して行うミニプロジェクトに取り組み、成果物としての地図を評価・改善する。
第1回で導入として概念整理と学習動機づけを行ったのに対し、第2回では、その後の学習全体の土台となる「GISデータとは何か」を体系的に整理する。具体的には、GISがデータ・ハードウェア・ソフトウェア・人によって成立する統合的な情報基盤であることを確認し、GISデータの基本構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)を押さえる。さらに、空間を表現するデータモデルとしてベクタ/ラスタの違いを整理し、目的に応じてデータを選ぶ見通しを得る。実践ではタイル地図上にベクタとラスタを表示し、見え方や属性の扱いの差を確認する。次回(第3回)では属性テーブルの操作を学ぶため、第2回でデータの構造を俯瞰しておくことが重要となる。

【コマ主題細目①~④】
· コマ用オリジナル資料
(必要に応じてプリントを配付する)
· オリジナル教材
(サンプルデータやファイルなど)
コマ主題細目 ① GISの構成要素 ② GISデータの基本構造 ③ データモデル ④ GISデータのファイル形式 ⑤ 【実践】ベクタデータとラスタデータの表示と確認
細目レベル GISの構成要素(データ・ハード・ソフト・人)
地理情報システム(GIS: Geographic Information System)は、空間データ(Spatial Data)、ハードウェア、ソフトウェア、そしてそれらを活用する人によって構成される統合的な情報基盤である。現在では、高度な専用機器を用いなくとも一般的な個人用PCで十分にGISを運用できる環境が整っている。また、行政機関や研究機関によるGISデータのオープンデータ化が進展し、多様な空間データを誰もが入手可能となっている。さらに、QGISに代表されるオープンソースGISの普及により、高価な商用ソフトに依存せず高度な解析が可能となったことは、地理空間情報の民主化という点で大きな意義をもつ。一方で、これらの技術を適切に活用できる人材は依然として不足しており、空間データを読み解き、分析し、意思決定に結び付ける能力をもつ専門人材の育成が重要な課題となっている。本細目では、GISを構造的に理解するとともに、その社会的背景と意義を把握する。

GISデータの基本構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)
GISデータは、地図の見た目だけでなく、空間解析や集計を可能にするための構造をもって管理される。本細目では、GISデータの基本構造として、レイヤ(Layer)、属性テーブル(Attribute Table)、ジオメトリ(Geometry)の三点を整理する。レイヤとは、地物や現象を種類ごとに分けて重ね合わせるための単位であり、道路、行政区域、標高などが別々のレイヤとして扱われる。属性テーブルは、各地物の性質(名称、人口、分類など)を行と列で整理した表であり、検索や集計、分類表示の基盤となる。ジオメトリは、ポイント/ライン/ポリゴンといった形で地物の形状を表す情報で、表示だけでなく計測や空間条件判定の前提となる。GISでは、属性テーブルとジオメトリが一対となってレイヤを構成し、複数レイヤを重ねることで分析や可視化が成立する。本細目では、この対応関係を理解し、後続の属性操作やシンボロジ、空間解析へ接続する基礎を固める。

データモデル:ベクタ/ラスタの違い
ベクタデータとラスタデータは、空間を表現する二つの基本的なデータモデル(Data Model)であり、それぞれ異なる利点と制約をもつ。ベクタは境界が明確な離散的対象の表現に優れ、属性管理やトポロジ(Topology)を扱う分析に適している。例えば、行政界や道路網のように明確な形状をもつ対象の管理や、隣接関係・接続関係の解析に適している。一方、ラスタは連続量の表現やセル単位の演算に適しており、空間的な変化を数値的に処理することが可能である。標高や降水量の分布のように、空間的に滑らかに変化する現象の解析ではラスタが有効である。また、データ容量や解析手法、精度の考え方も両者で異なる。本細目では、こうした構造的差異を整理し、分析目的に応じて適切なデータモデルを選択する判断力を身につける。

GISデータのファイル形式(主な形式と選択の考え方)
GISデータは、レイヤや属性テーブル、ジオメトリといった内部構造をもつだけでなく、実際には一定のファイル形式として保存・配布・共有される。本細目では、GISデータの代表的なファイル形式と、その選択が作業の効率や再現性に影響することを整理する。ベクタデータでは、GeoPackage(.gpkg)やShapefile(.shp)などが広く用いられ、ラスタデータではGeoTIFF(.tif)などが代表的である。ファイル形式には、属性の表現力、文字コードの扱い、複数レイヤの格納可否、ファイルの分割の有無、他ソフトとの互換性といった違いがある。例えば、複数レイヤを一つにまとめて管理したい場合や、属性項目を安定して扱いたい場合には、単一ファイルに統合できる形式が有利になる。一方で、配布元が古い形式で提供している場合もあるため、形式変換が必要になることもある。本細目では、形式名を暗記するのではなく、授業内で扱うデータ管理の観点(共有・保存・変換)から、形式の違いを理解する。

【実践】ベクタデータとラスタデータの表示と確認
実践では、レイヤ(Layer)の概念を通して、ベクタデータとラスタデータを同一画面上に表示し、その違いを具体的に確認する。タイル地図(Tiled Map)を背景に、行政区域ポリゴンや道路データなどのベクタデータ、標高データなどのラスタデータを読み込み、表示方法や重なり方の違いを観察する。表示順序や透過度を調整することで、ラスタが面として連続的に広がるのに対し、ベクタが明確な境界をもつ地物として表示されることを体験的に理解する。また、属性テーブルの有無や値の扱い方の違いにも注目し、両者のデータ構造を比較する。これにより、GISが複数の空間データを統合し、位置情報を基盤として分析を可能にしている仕組みを具体的に理解する。

キーワード ① GISデータ(GIS Data) ② ベクタデータ(Vector Data) ③ ラスタデータ(Raster Data) ④ レイヤ(Layer) ⑤ データモデル(Data Model)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 授業の理解度を図る目的で、授業の後半に小テストを行う。小テストは、その日の内容に関する問題を5問(難易度:1~3)出題し、ヨリソル上で回答する。
復習・予習課題 【復習】
当該回のコマシラバスおよび配付資料をあらためて読み直し、講義内容の要点を整理するとともに、小テストの問題を見直して誤答や理解が不十分であった箇所を確認する。実践作業が完了していない場合は、次回までに必ず仕上げること。さらに、操作手順のみを追うのではなく、なぜその作業が必要であったのかという観点から振り返ること、また、授業で扱った手法を用いて身近なデータを対象に自ら応用課題を設定して取り組むことが望ましい。調べても理解できない点があれば、そのままにせず積極的に教員へ質問すること。
【予習】
シラバスの各細目レベルの内容を事前に確認し、専門用語や概念のうち理解が難しそうな箇所を把握しておく。関連するキーワードをインターネットや専門サイトで調べ、基本的な意味を理解したうえで授業に臨むことが望ましい。さらに、関連する地図や事例を閲覧し、授業内容が実際にどのような場面で活用されているのかを把握しておくことで、より明確な目的意識をもって授業に臨むことが期待される。

3 属性テーブル 科目の中での位置付け 本科目は、基礎編・展開編・総合編の三段階で構成される。第1回から第7回の基礎編では、GISの概念、GISデータの構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)、データモデル(ベクタ/ラスタ)、属性検索、シンボロジ、ジオメトリとトポロジ、地図作成の基本を段階的に学ぶ。第8回から第13回の展開編では、座標参照系(CRS)の理論を踏まえ、空間解析(バッファ、オーバーレイ、ラスタ解析等)を通じて課題解決の方法を習得し、オープンデータ活用やジオコーディングなど実務的手法も扱う。第14回・第15回の総合編では、データ選択から解析・可視化・発表までを一貫して行うミニプロジェクトに取り組み、成果物としての地図を評価・改善する。
授業の後半でGIS上で分類表示や集計、空間解析を行うためには、空間に存在する地物と、各地物が保持する属性との関係を理解し、条件を言語化できることが必要である。第2回ではGISデータの基本構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)とデータモデル(ベクタ/ラスタ)を整理したが、第3回ではそのうち属性テーブルに焦点を当て、データを意味づけし、選択・整理するための操作を学ぶ。具体的には、属性とは何か、属性の型、属性テーブルの構造を確認し、条件式やSQL等を用いた属性検索の基礎を扱う。また、実践では具体的な条件を設定して地物を抽出し、結果を地図上で確認する。次回(第4回)では抽出した属性値を地図表現に変換するため、第3回では属性の概念を理解し、取り扱いに慣れることが求められる。

【コマ主題細目①~⑤】
· コマ用オリジナル資料
(必要に応じてプリントを配付する)
· オリジナル教材
(サンプルデータやファイルなど)
コマ主題細目 ① 属性とは ② 属性の型 ③ 属性テーブルの構造 ④ 条件式と属性検索 ⑤ 【実践】属性に基づく抽出
細目レベル 属性とは
属性(Attribute)とは、空間オブジェクトがもつ性質や内容を記述する情報であり、GISにおいてはジオメトリ(Geometry)と結び付いて管理される。例えば、市町村ポリゴンには名称、人口、世帯数、面積、財政指標などの属性が付与され、道路データには路線名、道路種別、幅員、交通量などの情報が含まれる。これらの属性が存在することで、単なる形状データは意味をもつ情報へと転換される。空間データは「形状」と「属性」の二層構造によって構成され、属性があることで検索、集計、分類、可視化、さらには空間解析へと展開できる。本細目では、属性が地理空間情報に意味を与える中核要素であることを具体例を通して理解する。

属性の型
属性にはデータ型(Data Type)があり、主に整数型(Whole number)、小数型(Decimal number)、テキスト型(Text)、日付型(Date)、日時型(Date & Time)、真偽値型(Boolean)などが用いられる。例えば、市町村名や住所はテキスト型、人口や件数は整数型、面積や割合は小数型として管理され、調査日や更新日は日付型または日時型で記録される。また、真偽値型は「該当する/しない」「有/無」といった二値的な条件を表す場合に有効である。データ型は単なる形式上の違いではなく、演算や検索の可否、並び替えの結果、統計処理の正確性に直接影響する。例えば、人口がテキスト型であれば合計や平均を算出できず並び替えも文字列順となったり、小数型であっても桁数や単位が統一されていなければ誤った解析結果が出力されたりする。本細目では、データ型の選択が解析精度、再現性、可視化の妥当性を左右することを理解し、適切な属性設計の基礎を身につける。

属性テーブルの構造
属性は属性テーブル(Attribute Table)として整理され、属性テーブルは行(Record)と列(Field)から構成される。各行は一つの地物に対応し、各列は属性項目を示す。例えば、47都道府県のポリゴンデータであれば、47行のレコードが存在し、それぞれに名称、人口、面積、人口密度などのフィールドが設定される。属性テーブルはリレーショナルデータベース(Relational Database)の基本構造に基づいており、主キー(Primary Key)によって各レコードが一意に識別される仕組みをもつ。この構造により、空間レイヤと属性情報が正確に対応付けられ、検索や集計、並び替えといった操作が可能となる。本細目では、フィールド名の設計やデータ型の選択、データ整合性の確保、重複データの回避といった観点も含めて整理し、空間レイヤと属性テーブルの対応関係を構造的に理解する。

条件式と属性検索
GISでは、属性値に基づいて特定の地物を抽出する操作を行うことができる。この操作は条件式(Expression)やSQL(Structured Query Language)を用いて実行される。例えば、「人口が100,000以上」「面積が50平方キロメートル未満」「用途区分が商業地域」といった条件を設定することで、該当する地物のみを選択できる。また、「人口が100,000以上かつ面積が500平方キロメートル未満」のように、複数の条件を組み合わせることも可能である。比較演算子(=、>、<など)や論理演算子(AND、OR、NOT)の使い方を理解することで、より精密な抽出が行える。属性検索は単なる表示操作ではなく、分析の第一段階として重要な役割を果たす。本細目では、具体的な条件式の作成を通して、属性に基づく選択が空間解析へと発展する基礎操作であることを理解する。

【実践】属性に基づく抽出
実践では、属性テーブルを用いて条件式を作成し、特定の属性値をもつ地物を抽出する操作を行う。例えば、「人口が100,000以上の市町村を選択する」「用途区分が商業地域であるポリゴンのみを抽出する」といった具体的な条件を設定し、選択結果が地図上でどのように表示されるかを確認する。また、抽出した地物を新しいレイヤとして保存する操作も実施し、データ処理の基本的な流れを理解する。さらに、条件を変更した場合に抽出結果がどのように変化するかを比較し、条件設定の違いが分析結果に与える影響を体験的に把握する。本実践を通して、属性が分析の出発点となる重要な要素であることを具体的に理解する。

キーワード ① 属性(Attribute) ② 属性テーブル(Attribute Table) ③ フィールド(Field) ④ レコード(Record) ⑤ SQL(Structured Query Language)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 授業の理解度を図る目的で、授業の後半に小テストを行う。小テストは、その日の内容に関する問題を5問(難易度:1~3)出題し、ヨリソル上で回答する。
復習・予習課題 【復習】
当該回のコマシラバスおよび配付資料をあらためて読み直し、講義内容の要点を整理するとともに、小テストの問題を見直して誤答や理解が不十分であった箇所を確認する。実践作業が完了していない場合は、次回までに必ず仕上げること。さらに、操作手順のみを追うのではなく、なぜその作業が必要であったのかという観点から振り返ること、また、授業で扱った手法を用いて身近なデータを対象に自ら応用課題を設定して取り組むことが望ましい。調べても理解できない点があれば、そのままにせず積極的に教員へ質問すること。
【予習】
シラバスの各細目レベルの内容を事前に確認し、専門用語や概念のうち理解が難しそうな箇所を把握しておく。関連するキーワードをインターネットや専門サイトで調べ、基本的な意味を理解したうえで授業に臨むことが望ましい。さらに、関連する地図や事例を閲覧し、授業内容が実際にどのような場面で活用されているのかを把握しておくことで、より明確な目的意識をもって授業に臨むことが期待される。

4 シンボロジ 科目の中での位置付け 本科目は、基礎編・展開編・総合編の三段階で構成される。第1回から第7回の基礎編では、GISの概念、GISデータの構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)、データモデル(ベクタ/ラスタ)、属性検索、シンボロジ、ジオメトリとトポロジ、地図作成の基本を段階的に学ぶ。第8回から第13回の展開編では、座標参照系(CRS)の理論を踏まえ、空間解析(バッファ、オーバーレイ、ラスタ解析等)を通じて課題解決の方法を習得し、オープンデータ活用やジオコーディングなど実務的手法も扱う。第14回・第15回の総合編では、データ選択から解析・可視化・発表までを一貫して行うミニプロジェクトに取り組み、成果物としての地図を評価・改善する。
第3回では属性テーブルの読み取りと条件抽出を学んだが、第4回では属性値を地図上の表現に変換する方法としてシンボロジを扱う。GISでは同じデータでも表現の設計によって読み取りやすさや解釈が変わり得るため、連続値の段階的な表示、カテゴリ値の分類表示、比例シンボルなどを用いて、目的に合った表現を選ぶ。例えば、密度の差を示す場合と、絶対量の大小を示す場合とでは適切な表現が異なるため、表現方法と主題の対応関係を整理する。実践では同一データに複数の表現を適用し、凡例を含めて比較する。次回(第5回)では解析の前提となるジオメトリとトポロジを扱い、第6回では地図作成へ進むため、本回では「伝えたい内容を表現として設計する」視点を養う。

【コマ主題細目①~⑤】
· コマ用オリジナル資料
(必要に応じてプリントを配付する)
· オリジナル教材
コマ主題細目 ① シンボロジとは ② 連続値によるシンボロジ ③ カテゴリ値によるシンボロジ ④ 比例シンボル ⑤ 【実践】属性に基づくシンボロジ設定
細目レベル シンボロジとは
シンボロジ(Symbology)とは、空間データを地図上でどのように視覚的に表現するかを定める規則や設定の総称である。GISでは同一のデータであっても、色、線幅、塗り分け、記号形状、透明度などの設定によって、読み手が受け取る情報量や解釈が大きく変化する。例えば、行政区域を単色で表示するだけでは差は読み取れないが、人口や高齢化率などの属性に応じて表現を変えることで、地域差の傾向が直感的に把握できる。シンボロジは装飾ではなく、データを「読める情報」に変換する工程であり、分析結果の伝達や意思決定に直結する。本細目では、属性値と視覚表現の対応関係、読みやすさ(可読性)や誤解を生まない表現(適切性)といった観点を押さえ、目的に合った地図表現を設計する考え方を学ぶ。

連続値によるシンボロジ(Graduated symbology)
連続値によるシンボロジ(Graduated)は、数値型属性を複数の階級に区分し、階級ごとに色や濃淡、線の太さなどを割り当てて表現する方法である。例えば、人口密度、平均所得、災害リスク指標などを段階的に色分けすることで、地域間の差や空間的な偏りが把握しやすくなる。一方で、階級数を増やしすぎると凡例が複雑になり、読み取りが難しくなる場合がある。また、階級区分の方法(等間隔、分位数など)の違いは地図の見え方を大きく左右し、同じデータでも「差が強調される/されにくい」といった印象の違いが生じる。さらに、外れ値が存在する場合、階級設定によって多くの地域が同一階級に集中してしまうこともある。本細目では、階級設定が解釈に与える影響を具体例で確認し、目的に応じて階級数や区分方法を選ぶ判断力を身につける。

カテゴリ値によるシンボロジ(Categorized symbology)
カテゴリ値によるシンボロジ(Categorized)は、土地利用区分、用途地域、施設種別などの分類属性に基づいて色や記号を割り当てる表現方法である。この手法の目的は数値の大小を示すことではなく、「種類の違い」を明確に区別して示すことにある。例えば、公共施設を学校・病院・避難所で色分けすれば、地域の機能配置を把握しやすくなる。また、用途地域を分類ごとに塗り分けすれば、都市の土地利用構造が視覚化される。一方で、分類数が多すぎると色の識別が困難になり、地図の可読性が低下するため、目的に応じて分類の粒度を調整する必要がある。たとえば細分類を上位分類にまとめる、表示対象を主要カテゴリに限定する、といった工夫が有効である。本細目では、分類数と可読性の関係、凡例設計の考え方、解釈を誤らないための表現上の注意点を学ぶ。

比例シンボル(Proportional symbol)
比例シンボルは、属性値の大きさに応じて記号のサイズを変化させる表現方法であり、人口、件数、売上高などの「絶対量」を直感的に示すのに適している。例えば、駅別の乗降客数を円の大きさで表せば、主要拠点と周辺拠点の差が一目で分かる。塗り分け(Graduated)と異なり、値の連続性を保ったまま大小を示せる点が利点である。一方で、記号が重なりやすい地域では見づらくなり、比較が困難になることがある。また、絶対量を示す比例シンボルと、面積当たりの密度を示す塗り分けとでは解釈が異なるため、何を伝えたいのかを明確にして手法を選択する必要がある。さらに、最小・最大サイズの設定によって印象が変わるため、見やすさと誤解のない表現の両立が重要となる。本細目では、比例シンボルが適する場面と注意点、凡例の設計を含めて理解する。

【実践】属性に基づくシンボロジ設定
実践では、同一のベクタデータに対して、連続値(Graduated)、カテゴリ値(Categorized)、比例シンボルの各手法を適用し、表現の違いと読み取りやすさを比較する。例えば、自治体データを用い、人口密度はGraduatedで段階表示し、用途区分はCategorizedで種類を区別し、人口(総数)は比例シンボルで絶対量として表す、といったように目的に応じて表現方法を使い分ける。さらに、階級数や区分方法を変更した場合に地図の印象がどのように変化するか、凡例の並びや表記を調整すると理解しやすさがどう変わるかを確認する。加えて、透明度やアウトラインの調整によって重なりを読みやすくするなど、実務的な調整も体験する。本実践を通して、シンボロジが分析結果の伝達品質を左右する重要工程であることを具体的に理解する。

キーワード ① シンボロジ(Symbology) ② 連続値(Continuous values) ③ カテゴリ値(Categorical values) ④ 比例シンボル ⑤ 凡例(Legend)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 授業の理解度を図る目的で、授業の後半に小テストを行う。小テストは、その日の内容に関する問題を5問(難易度:1~3)出題し、ヨリソル上で回答する。
復習・予習課題 【復習】
当該回のコマシラバスおよび配付資料をあらためて読み直し、講義内容の要点を整理するとともに、小テストの問題を見直して誤答や理解が不十分であった箇所を確認する。実践作業が完了していない場合は、次回までに必ず仕上げること。さらに、操作手順のみを追うのではなく、なぜその作業が必要であったのかという観点から振り返ること、また、授業で扱った手法を用いて身近なデータを対象に自ら応用課題を設定して取り組むことが望ましい。調べても理解できない点があれば、そのままにせず積極的に教員へ質問すること。
【予習】
シラバスの各細目レベルの内容を事前に確認し、専門用語や概念のうち理解が難しそうな箇所を把握しておく。関連するキーワードをインターネットや専門サイトで調べ、基本的な意味を理解したうえで授業に臨むことが望ましい。さらに、関連する地図や事例を閲覧し、授業内容が実際にどのような場面で活用されているのかを把握しておくことで、より明確な目的意識をもって授業に臨むことが期待される。

5 ジオメトリとトポロジ 科目の中での位置付け 本科目は、基礎編・展開編・総合編の三段階で構成される。第1回から第7回の基礎編では、GISの概念、GISデータの構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)、データモデル(ベクタ/ラスタ)、属性検索、シンボロジ、ジオメトリとトポロジ、地図作成の基本を段階的に学ぶ。第8回から第13回の展開編では、座標参照系(CRS)の理論を踏まえ、空間解析(バッファ、オーバーレイ、ラスタ解析等)を通じて課題解決の方法を習得し、オープンデータ活用やジオコーディングなど実務的手法も扱う。第14回・第15回の総合編では、データ選択から解析・可視化・発表までを一貫して行うミニプロジェクトに取り組み、成果物としての地図を評価・改善する。
第4回までに属性操作とシンボロジによる表現を学んだ。第5回では空間解析の前提となるジオメトリとトポロジが何かを理解し、計測や関係性の判定が成立する条件について整理する。ジオメトリは表示のためだけでなく、距離・面積の計測や包含・交差などの判定に必要な情報であり、ポイント/ライン/ポリゴンのどれを選択するかは、実施できる分析手法を規定する。また、トポロジの観点から、隣接・接続・包含・交差といった関係が解析結果に影響すること、ギャップや重複、自己交差などの不整合が集計値やオーバーレイ結果を不自然にすることを理解する。実践ではトポロジチェックと簡単な修正、面積・周囲長の計測を通して、整合性確認が分析の信頼性に関わることを体験する。第5回の学習内容は、次回(第6回)の地図作成や、第8回以降の空間解析の前提となる。

【コマ主題細目①~④】
· コマ用オリジナル資料
(必要に応じてプリントを配付する)
· オリジナル教材
(サンプルデータやファイルなど)
コマ主題細目 ① ジオメトリの役割 ② ジオメトリ型:ポイント/ライン/ポリゴン ③ トポロジとデータ品質 ④ 【実践】トポロジチェック+計測(面積・周囲長)
細目レベル ジオメトリの役割
第2回では、GISデータがレイヤ、属性テーブル、ジオメトリから構成されることを学んだ。本細目では「ジオメトリがあると何ができるのか」という観点から、ジオメトリの役割を整理する。ジオメトリは地図表示のためだけでなく、距離・面積などの計測、位置関係(含まれる・交差する・接する等)の判定、空間解析の入力として機能する。つまり、属性テーブルが「何であるか(性質)」を扱うのに対し、ジオメトリは「どのように存在するか(形と位置)」を扱い、両者がそろってはじめて分析が成立する。後半で扱うバッファやオーバーレイでは、計測や関係判定が連鎖的に用いられるため、ジオメトリを「解析の前提条件」として理解しておくことが重要である。

ジオメトリ型:ポイント/ライン/ポリゴン
ポイント/ライン/ポリゴンはジオメトリの代表的な型であるが、本細目では「どの型で表すべきか」という観点からジオメトリを理解する。ポイントは位置の把握や分布の傾向把握に適し、ラインは連続する経路や接続構造の表現に適する。ポリゴンは領域の扱いに適し、面積集計や区域内判定、重なりの解析の基礎になる。同じ対象でも尺度や目的によって適切な型は変わる。例えば、店舗は都市スケールの分布把握ではポイントで十分だが、敷地境界や用途区分を扱うならポリゴンが必要になる。型の選択は可視化だけでなく、実行可能な計測(距離か面積か)や解析(包含か接続か)を規定するため、本細目では「何を問うか」に応じたジオメトリ型の選択を整理する。

トポロジとデータ品質
トポロジ(Topology)は、地物同士の「関係」を扱う概念である。ここでいう関係とは、隣接、接続、包含、交差といった空間関係であり、後半で扱う空間解析において頻出する判定の基盤となる。重要なのは、トポロジが座標値そのものの精密さよりも、「関係が成立しているか」に着目する点である。例えば、行政区域ポリゴンが隙間なく面を埋めていること、道路ラインが交差点で正しく接続していること、区域Aが区域Bに包含されることは、地図の見た目の問題にとどまらず、オーバーレイや条件抽出、集計結果の正しさを左右する前提条件である。言い換えれば、ジオメトリが地物に「形」を与えるのに対し、トポロジは地物間に「関係」を与え、空間解析はこの関係判定の積み重ねとして成立している。したがって、トポロジを意識することは、分析の意味や限界を理解し、結果を適切に解釈するための基礎となる。一方、トポロジエラーは、想定すべき関係が成立していない状態であり、解析結果の誤差や不自然な出力を引き起こす。代表例として、ポリゴン間のギャップ(隙間)やオーバーラップ(重複)、境界のずれ、自己交差、極端に細いスリバーの発生などがある。ラインでは、交差点で接続していない、途切れ、不要なぶら下がりなどが典型である。これらは見た目では気づきにくい場合もあるが、面積集計の過小・過大、オーバーレイ結果の細片化、抽出漏れ、計測値の不自然さとして顕在化する。本細目では、エラーの種類と影響を整理し、解析前に整合性を確認するという原則を押さえたうえで、トポロジの不整合がベクタ解析結果に直結することを理解する。

【実践】トポロジチェックと簡単な修正+計測(面積・周囲長)
実践では、まずポリゴンデータを対象にトポロジチェックを行い、ギャップ、重複、自己交差などのエラーを検出して可視化する。次に、可能な範囲で簡単な修正(修復機能、スナップ、境界調整など)を実施し、修正前後で面積・周囲長を計測して違いを確認する。ここで重要なのは、トポロジの整合性が「見た目」だけでなく、計測値や集計結果に影響することを体験的に理解する点である。最後に、計測結果を属性テーブルに保存し、面積上位の抽出などを行うことで、第3回で扱った属性に関する要点を復習する。以上より、トポロジは抽象概念ではなく、分析の信頼性を支える前処理であることを理解する。

キーワード ① ジオメトリ(Geometry) ② ポイント(Point) ③ ライン(LineString) ④ ポリゴン(Polygon) ⑤ トポロジ(Topology)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 授業の理解度を図る目的で、授業の後半に小テストを行う。小テストは、その日の内容に関する問題を5問(難易度:1~3)出題し、ヨリソル上で回答する。
復習・予習課題 【復習】
当該回のコマシラバスおよび配付資料をあらためて読み直し、講義内容の要点を整理するとともに、小テストの問題を見直して誤答や理解が不十分であった箇所を確認する。実践作業が完了していない場合は、次回までに必ず仕上げること。さらに、操作手順のみを追うのではなく、なぜその作業が必要であったのかという観点から振り返ること、また、授業で扱った手法を用いて身近なデータを対象に自ら応用課題を設定して取り組むことが望ましい。調べても理解できない点があれば、そのままにせず積極的に教員へ質問すること。
【予習】
シラバスの各細目レベルの内容を事前に確認し、専門用語や概念のうち理解が難しそうな箇所を把握しておく。関連するキーワードをインターネットや専門サイトで調べ、基本的な意味を理解したうえで授業に臨むことが望ましい。さらに、関連する地図や事例を閲覧し、授業内容が実際にどのような場面で活用されているのかを把握しておくことで、より明確な目的意識をもって授業に臨むことが期待される。

6 GISによる地図作成 科目の中での位置付け 本科目は、基礎編・展開編・総合編の三段階で構成される。第1回から第7回の基礎編では、GISの概念、GISデータの構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)、データモデル(ベクタ/ラスタ)、属性検索、シンボロジ、ジオメトリとトポロジ、地図作成の基本を段階的に学ぶ。第8回から第13回の展開編では、座標参照系(CRS)の理論を踏まえ、空間解析(バッファ、オーバーレイ、ラスタ解析等)を通じて課題解決の方法を習得し、オープンデータ活用やジオコーディングなど実務的手法も扱う。第14回・第15回の総合編では、データ選択から解析・可視化・発表までを一貫して行うミニプロジェクトに取り組み、成果物としての地図を評価・改善する。
第6回では、これまでに扱った属性操作(第3回)とシンボロジ(第4回)を、レイアウトと出力へ統合し、成果物としての地図を作成する手順を整理する。地図は空間情報を伝える媒体であり、タイトル、凡例、方位、縮尺、出典といった要素が欠けると解釈が不安定になるため、基本構成要素と配置の考え方を学ぶことは重要である。また、出典の記載方法を確認し、使用データの由来を追跡できる形で示すことで再現性を確保することの重要性も理解する。さらに、縮尺の概念を押さえ、表示範囲や情報量との関係を意識して地図を設計する。実践では提供データを用いてレイアウトを作成し、画像やPDFとして出力する。次回(第7回)は前半の総復習としてオリジナル地図作成に取り組むため、第6回では地図作成の基本枠組みを身に着けて置く。

【コマ主題細目①~⑤】
· コマ用オリジナル資料
(必要に応じてプリントを配付する)
· オリジナル教材
(サンプルデータやファイルなど)
コマ主題細目 ① 地図とは ② 地図の基本構成要素とレイアウト ③ 地図の出典の記載方法 ④ 縮尺の概念 ⑤ タイトル・凡例・方位・縮尺を含む地図作成
細目レベル 地図とは
地図は、空間情報を視覚的に整理し、読み手に特定の主題やメッセージを伝えるための表現媒体である。GISでは、単に背景地図にデータを重ねるだけでなく、目的に応じて情報を選択し、強調すべき内容を明確にしたうえで表現を設計することが求められる。例えば、人口分布を示したいのか、施設の立地を示したいのかによって、必要なレイヤやシンボロジは異なる。地図は分析結果の最終成果物となることが多く、読み手が誤解なく解釈できる構成であることが重要である。本細目では、地図を「画像」ではなく「情報伝達のための成果物」として捉え、主題設定、情報の取捨選択、表現の一貫性といった観点から地図作成の基本姿勢を整理する。

地図の基本構成要素とレイアウト
地図には、内容を正確に伝えるための基本構成要素がある。最低限として、タイトル、凡例、方位、縮尺は不可欠であり、必要に応じて注記、出典、作成年月日、作成者などを付す。これらは地図の信頼性と解釈可能性を支える要素である。レイアウトでは、要素を単に配置するのではなく、視線の流れや情報の優先順位を意識し、読み手が主題を把握しやすい構成にする必要がある。例えば、タイトルは主題を一読で理解できる表現とし、凡例は使用したシンボロジと対応していること、縮尺は距離感を誤らせない位置に置くことが重要である。本細目では、レイアウトの基本原則(余白、整列、情報の階層)を整理し、読みやすい地図を構成するための設計上の注意点を学ぶ。

地図の出典の記載方法
地図に用いたデータの出典は、地図の信頼性を担保するために明記する必要がある。出典には、データ提供主体、データ名、取得日(または参照日)、必要に応じて利用条件(ライセンス)を含めるのが基本である。複数データを組み合わせた場合には、主要なデータについて出典を列挙し、背景地図(タイル地図)を使用した場合も同様に扱う。出典が不明確な地図は、正しい内容であっても根拠が示せず、再現性や検証可能性が低下する。本細目では、最低限守るべき出典表記の要点を整理し、誰が見てもデータの由来が追跡できる書き方を学ぶ。あわせて、授業内で扱う地図成果物における出典表記の統一ルールを確認する。

縮尺の概念
縮尺は、地図上の距離と実距離の対応関係を示すものであり、地図の解釈に直結する重要概念である。縮尺には数値縮尺とスケールバーがあり、GISで地図を作成する場合には表示範囲や用紙サイズに応じて適切に設定する必要がある。縮尺が適切でないと、地図上の情報密度が過不足となり、主題が伝わりにくくなる。例えば、地域の施設配置を示す地図で縮尺が大きすぎれば全体像が把握できず、逆に小さすぎれば詳細が読み取れない。本細目では、縮尺が地図の読み取りやすさに与える影響を整理し、目的に応じた縮尺の選択、縮尺表示の方法、縮尺と情報量の関係を理解する。後半で扱う計測や解析との関係も意識し、地図表現の前提としての縮尺を押さえる。

【実践】タイトル・凡例・方位・縮尺を含む地図作成
実践では、提供されたデータを用いて、タイトル、凡例、方位、縮尺を備えた地図を作成する。まず主題を明確にし、表示すべきレイヤを選択したうえで、適切なシンボロジを設定する。その後、レイアウト機能を用いて各要素を配置し、読み手が主題を理解しやすい構成になっているかを確認する。さらに、出典表記を追加し、地図としての信頼性を確保する。最終的に画像またはPDFとして出力し、作成した地図が「何を示す地図か」「必要な要素が揃っているか」「見やすいか」という観点から自己点検を行う。本実践を通して、GISで作成した分析・可視化結果を、解釈可能な成果物としてまとめる一連の手順を習得する。

キーワード ① 凡例(Legend) ② 方位(North Arrow) ③ 数値縮尺 ④ スケールバー ⑤ 地図の出典
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 授業の理解度を図る目的で、授業の後半に小テストを行う。小テストは、その日の内容に関する問題を5問(難易度:1~3)出題し、ヨリソル上で回答する。
復習・予習課題 【復習】
当該回のコマシラバスおよび配付資料をあらためて読み直し、講義内容の要点を整理するとともに、小テストの問題を見直して誤答や理解が不十分であった箇所を確認する。実践作業が完了していない場合は、次回までに必ず仕上げること。さらに、操作手順のみを追うのではなく、なぜその作業が必要であったのかという観点から振り返ること、また、授業で扱った手法を用いて身近なデータを対象に自ら応用課題を設定して取り組むことが望ましい。調べても理解できない点があれば、そのままにせず積極的に教員へ質問すること。
【予習】
シラバスの各細目レベルの内容を事前に確認し、専門用語や概念のうち理解が難しそうな箇所を把握しておく。関連するキーワードをインターネットや専門サイトで調べ、基本的な意味を理解したうえで授業に臨むことが望ましい。さらに、関連する地図や事例を閲覧し、授業内容が実際にどのような場面で活用されているのかを把握しておくことで、より明確な目的意識をもって授業に臨むことが期待される。

7 前半の総復習 科目の中での位置付け 本科目は、基礎編・展開編・総合編の三段階で構成される。第1回から第7回の基礎編では、GISの概念、GISデータの構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)、データモデル(ベクタ/ラスタ)、属性検索、シンボロジ、ジオメトリとトポロジ、地図作成の基本を段階的に学ぶ。第8回から第13回の展開編では、座標参照系(CRS)の理論を踏まえ、空間解析(バッファ、オーバーレイ、ラスタ解析等)を通じて課題解決の方法を習得し、オープンデータ活用やジオコーディングなど実務的手法も扱う。第14回・第15回の総合編では、データ選択から解析・可視化・発表までを一貫して行うミニプロジェクトに取り組み、成果物としての地図を評価・改善する。
第7回では前半(第1回〜第6回)で学んだ内容を一連の作業として統合し、後半へ進む前に基礎技能が成果物として再現できるようにする。ここまでに、GISの概要と概念整理(第1回)、GISデータの構造とデータモデル(第2回)、属性テーブル操作(第3回)、シンボロジ(第4回)、ジオメトリとトポロジの基礎(第5回)、地図作成の基本要素とレイアウト(第6回)を扱ってきた。第7回では、データを読み込んで内容を把握し、必要に応じて属性で抽出し、適切に可視化し、地図要素を備えて出力する作業を一連の流れとして理解する。教員のデモでは主題設定や情報の取捨選択、凡例の整合、出典の明示などの判断のポイントを再確認する。実践では、与えられたGISデータから必要なデータを選択してオリジナル地図を作成し、後半のCRSや空間解析に進むための準備として現状の到達度を確認する。

【コマ主題細目①~③】
· コマ用オリジナル資料
(必要に応じてプリントを配付する)
· オリジナル教材
(サンプルデータやファイルなど)
コマ主題細目 ① 学習内容の整理 ② 地図作成の実際 ③ 【実践】オリジナル地図の作成
細目レベル 学習内容の整理(GIS、GISデータ、ジオメトリ、属性、シンボロジ)
ここまでに、GISの役割と活用文脈、GISデータの基本構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)、データモデル(ベクタ/ラスタ)、属性に基づく検索・抽出、シンボロジによる表現、地図作成の基本要素とレイアウトを学んできた。本細目では、これらを個別の知識としてではなく、①データを読み込み内容を把握する、②目的に応じてレイヤや対象を選択し必要に応じて抽出する、③適切なシンボロジで可視化する、④タイトル・凡例・方位・縮尺・出典を備えたレイアウトとして出力する、という一連の流れとして整理する。あわせて、後半で扱う空間解析では座標参照系(CRS)やトポロジといった前提条件が結果に影響することを意識し、前半段階では「設定と根拠を明示する」姿勢(使用データ、抽出条件、表現設定、出典の記載)を徹底する。これにより、後半の発展内容に進む前に、基礎操作の到達度を自己点検し、再現性のある作業手順として定着させることを目指す。

地図作成の実際(教員によるデモンストレーション)
本細目では、教員がGISデータを用いて地図を作成し、出力するまでの一連の流れをデモンストレーションとして示す。重要なのは個々の操作手順を暗記することではなく、作業の意思決定のポイントを把握することである。例えば、主題をどう定めるか、どのレイヤを採用し何を捨てるか、属性のどの項目を根拠に分類や抽出を行うか、シンボロジをどの程度単純化するか、凡例や出典をどの位置に置くかといった判断は、地図の解釈可能性に直結する。デモでは、途中で生じやすい問題(表示順序の誤り、凡例の不整合、情報過多による読みにくさ等)も取り上げ、修正の考え方を示す。これにより、学生自身が実践課題に取り組む際に、迷いやすい箇所を事前に把握し、作業を自律的に進められる状態を目指す。

【実践】オリジナル地図の作成
実践では、与えられたGISデータを用いて、主題を明確にしたオリジナル地図を作成する。まずデータ内容(レイヤ構成、属性項目、ジオメトリ型)を確認し、地図で伝える主題に応じて表示対象を選択する。必要に応じて属性条件による抽出や簡単な集計を行い、根拠のある表現へつなげる。次に、目的に合ったシンボロジ(連続値、カテゴリ値、比例シンボル等)を適用し、凡例が解釈可能な形になっているかを確認する。最後に、タイトル、凡例、方位、縮尺、出典を含むレイアウトにまとめ、画像またはPDFとして出力する。完成後は、主題の明確性、表現の適切性、地図要素の不足の有無、見やすさの観点から自己点検し、後半の発展内容へ進む前の到達度を確認する。

キーワード ① 再現性 ② 出力(Export) ③ GeoTIFF ④ PDF ⑤ 地図画像(map image)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 授業の理解度を図る目的で、授業の後半に小テストを行う。小テストは、その日の内容に関する問題を5問(難易度:1~3)出題し、ヨリソル上で回答する。
復習・予習課題 【復習】
当該回のコマシラバスおよび配付資料をあらためて読み直し、講義内容の要点を整理するとともに、小テストの問題を見直して誤答や理解が不十分であった箇所を確認する。実践作業が完了していない場合は、次回までに必ず仕上げること。さらに、操作手順のみを追うのではなく、なぜその作業が必要であったのかという観点から振り返ること、また、授業で扱った手法を用いて身近なデータを対象に自ら応用課題を設定して取り組むことが望ましい。調べても理解できない点があれば、そのままにせず積極的に教員へ質問すること。
【予習】
シラバスの各細目レベルの内容を事前に確認し、専門用語や概念のうち理解が難しそうな箇所を把握しておく。関連するキーワードをインターネットや専門サイトで調べ、基本的な意味を理解したうえで授業に臨むことが望ましい。さらに、関連する地図や事例を閲覧し、授業内容が実際にどのような場面で活用されているのかを把握しておくことで、より明確な目的意識をもって授業に臨むことが期待される。

8 座標参照系(CRS) 科目の中での位置付け 本科目は、基礎編・展開編・総合編の三段階で構成される。第1回から第7回の基礎編では、GISの概念、GISデータの構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)、データモデル(ベクタ/ラスタ)、属性検索、シンボロジ、ジオメトリとトポロジ、地図作成の基本を段階的に学ぶ。第8回から第13回の展開編では、座標参照系(CRS)の理論を踏まえ、空間解析(バッファ、オーバーレイ、ラスタ解析等)を通じて課題解決の方法を習得し、オープンデータ活用やジオコーディングなど実務的手法も扱う。第14回・第15回の総合編では、データ選択から解析・可視化・発表までを一貫して行うミニプロジェクトに取り組み、成果物としての地図を評価・改善する。
第8回では、これまで「重ね合わせられること」を前提に扱ってきたGISデータについて、なぜ正確に重ね合わせが可能なのかを理論面から整理する。具体的には、測地系(Datum)、投影法(Projection)、座標参照系(CRS)の関係を理解し、GISでデータを扱う際にCRSの違いが分析結果や計測値に影響し得ることを確認する。第9回以降の空間解析では距離や面積、近接や包含といった判定を扱うため、第8回でCRSに関する前提を明確にし、設定や変換を根拠をもって判断できるようになることが重要である。

【コマ主題細目①~⑤】
· コマ用オリジナル資料
(必要に応じてプリントを配付する)
· オリジナル教材
(サンプルデータやファイルなど)
コマ主題細目 ① レイヤはなぜ正確に重なるのか ② 測地系(Datum) ③ 投影法(Projection) ④ 座標参照系(CRS) ⑤ 【実践】異なる座標参照系をもつGISデータの重ね合わせ
細目レベル レイヤはなぜ正確に重なるのか
GISでは、異なる種類のデータをレイヤとして同一画面上に重ね合わせ、比較や解析を行うことができる。このためには、各データが同じ地球上の位置を共通の基準で参照している必要がある。データによって採用している座標の基準や表現方法が異なると、同じ場所を示しているつもりでも位置がずれたり、距離や面積が直感的な単位で解釈できなかったりする。本細目では、重ね合わせが「偶然うまくいっている」のではなく、測地系と投影法を含む座標参照系(CRS)の枠組みによって保証されていることを理解する。また、GISソフトウェアが座標変換を自動的に行う場合があり表示に支障が見られない場合でも、分析や計測では適切なCRS選択が必要になることを常に意識し、後半の空間解析に向けて「CRSを確認する」という作業習慣を整える。

測地系(Datum)
測地系(Datum)は、地球上の位置を定義するための基準であり、地球の形状をどのように楕円体に近似するか、その楕円体を地球にどのように合わせるかといった約束事を含む。測地系が異なると、同じ地点でも座標値がわずかに異なることがあり、データの組合せによっては地図上のずれが生じてしまう。本細目では、測地系を「地球をどう見立て、どこを基準に位置を決めるか」という概念として捉え、測地系の違いが重ね合わせや精度に影響する理由を理解する。また、実務ではデータ提供元が測地系を明示している場合とそうでない場合があるため、メタデータやレイヤのプロパティから測地系情報を確認することの必要性も確認する。

投影法(Projection)
投影法(Projection)は、球面に近い地球表面を平面(地図)に表現するための変換方法であり、地図上で扱う座標の性質を決めるものである。立体を平面に落とすので、投影には必ず歪みが伴い、距離、面積、角度、方位などのどれを優先するかによって選ぶべき投影法が異なる。GISで距離や面積を扱う場合、投影法の違いが計測される値に影響し得るため、単に「表示できる」だけでなく「計測や解析に適した投影か」を考える必要がある。本細目では、投影法が地図の解釈と分析結果に関係することを整理し、後半のバッファや面積集計などで正確な演算が可能となるように、一つの投影法を選択した際に生じるトレードオフや目的に合った投影法の選択について学習する。

座標参照系(CRS)
座標参照系(CRS: Coordinate Reference System)は、測地系と投影法を含み、座標がどの基準・どの単位で表されているかを定義する枠組みである。GISでは、レイヤごとにCRSが設定され、プロジェクト(QGISの.qgzファイル)にも表示や演算の基準となるCRSが存在する。CRSを誤って解釈したり、未定義のデータに誤ったCRSを割り当てたりすると、位置のずれや計測値の不整合につながるため注意が必要である。本細目では、CRSの重要性や日本付近で用いられる主なCRSの種類について学習する。そして、レイヤCRSとプロジェクトCRSの関係、座標変換が表示と分析で意味が異なる点、CRS情報を確認すべき箇所(レイヤの情報、メタデータ、データ提供元の記載)を理解する。これにより、第9回以降の空間解析で距離・面積を扱う演算において、CRSを根拠をもって選択できる力を身につける。

【実践】異なる座標参照系をもつGISデータの重ね合わせ
実践では、異なるCRSをもつ複数のGISデータをQGISに読み込み、重ね合わせの挙動を確認する。まず各レイヤのCRSを確認し、プロジェクトCRSとの関係を把握したうえで、表示上は重なって見える場合でも、設定の誤りや未定義があると位置ずれが生じることを体験する。次に、レイヤに対してCRSを「定義」する場合と、別のCRSへ「変換」する場合の違いを確認し、作業の意図(メタデータの補完か、座標系の変更か)を区別する。最後に、簡単な距離または面積の計測を行い、CRSが計測単位や値の解釈に影響することを確認する。これにより、後半の空間解析に入る前に、データ読み込み時にCRSを点検し、根拠をもって扱う姿勢を身につける。

キーワード ① 座標参照系(CRS: Coordinate Reference System) ② 測地系(Datum) ③ 楕円体(Ellipsoid) ④ 投影法(Projection) ⑤ 座標変換(Coordinate Transformation)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 授業の理解度を図る目的で、授業の後半に小テストを行う。小テストは、その日の内容に関する問題を5問(難易度:1~3)出題し、ヨリソル上で回答する。
復習・予習課題 【復習】
当該回のコマシラバスおよび配付資料をあらためて読み直し、講義内容の要点を整理するとともに、小テストの問題を見直して誤答や理解が不十分であった箇所を確認する。実践作業が完了していない場合は、次回までに必ず仕上げること。さらに、操作手順のみを追うのではなく、なぜその作業が必要であったのかという観点から振り返ること、また、授業で扱った手法を用いて身近なデータを対象に自ら応用課題を設定して取り組むことが望ましい。調べても理解できない点があれば、そのままにせず積極的に教員へ質問すること。
【予習】
シラバスの各細目レベルの内容を事前に確認し、専門用語や概念のうち理解が難しそうな箇所を把握しておく。関連するキーワードをインターネットや専門サイトで調べ、基本的な意味を理解したうえで授業に臨むことが望ましい。さらに、関連する地図や事例を閲覧し、授業内容が実際にどのような場面で活用されているのかを把握しておくことで、より明確な目的意識をもって授業に臨むことが期待される。

9 空間解析の基礎 科目の中での位置付け 本科目は、基礎編・展開編・総合編の三段階で構成される。第1回から第7回の基礎編では、GISの概念、GISデータの構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)、データモデル(ベクタ/ラスタ)、属性検索、シンボロジ、ジオメトリとトポロジ、地図作成の基本を段階的に学ぶ。第8回から第13回の展開編では、座標参照系(CRS)の理論を踏まえ、空間解析(バッファ、オーバーレイ、ラスタ解析等)を通じて課題解決の方法を習得し、オープンデータ活用やジオコーディングなど実務的手法も扱う。第14回・第15回の総合編では、データ選択から解析・可視化・発表までを一貫して行うミニプロジェクトに取り組み、成果物としての地図を評価・改善する。
第9回では、空間解析の出発として「空間的な関係を手掛かりに問いを立て、条件に基づいて対象を抽出する」考え方と基本操作を整理する。第8回で座標参照系の考え方を前提として、近接・包含・接続といった空間関係の意味、距離に基づくバッファの作成、空間条件による地物の選択・抽出を扱い、以降のオーバーレイ解析やラスタ解析を行うための基礎を固める。

【コマ主題細目①~⑤】
· コマ用オリジナル資料
(必要に応じてプリントを配付する)
· オリジナル教材
(サンプルデータやファイルなど)
コマ主題細目 ① トブラーの第一法則 ② 空間関係(近接・包含・接続など) ③ バッファと距離 ④ 空間条件に基づく地物の抽出(空間検索) ⑤ 【実践】距離条件に基づく地物の抽出
細目レベル トブラーの第一法則
トブラーの第一法則は、地理学の第一法則とも呼ばれ、「近いものほど互いに関係しやすい」という空間現象の基本的性質を端的に表す考え方である。空間にある地物がこのような性質をもつことは、各種空間解析手法の考え方の基盤となっている。本細目では、この法則を単なる標語として覚えるのではなく、なぜ空間解析が必要になるのかを考える上で重要であることを理解する。例えば、店舗の売上、感染症の発生、災害リスク、土地利用などは空間的に偏って現れやすく、位置の近さが相関や影響の手掛かりになる場合が多い。一方で、近いから必ず同じとは限らず、境界や障壁、制度的区分によって関係が弱まる場合もある。本細目では、空間解析が「近さ」を手掛かりに仮説を立て、データで確かめるための方法であることを学び、以降の距離や関係性の空間的判定(バッファ、空間条件抽出)の理解に役立てる。

空間関係(近接・包含・接続など)
空間解析では、属性値だけでなく、地物同士の空間関係を条件として扱う。本細目では、近接(近い/遠い)、包含(内側にある/ない)、交差(交わる/交わらない)、接続(つながる/途切れる)など、空間的思考の基本となる空間関係について整理する。例えば、「避難所の周辺に人口が集中しているか」という問いは近接、「浸水想定区域に何件の家屋が含まれるか」という問いは包含、「河川と道路が交差している地点はどこか」という問いは交差、「道路がネットワークとして連結しているか」という問いは接続というように、問いを地物同士の空間関係に落とし込んで捉えることができる。本細目では、これらの関係が後続の処理(抽出、集計、オーバーレイ)に直結することを確認し、問いを空間条件に翻訳するために、空間関係の種類と意味を明確にする。あわせて、空間関係の判定はジオメトリとトポロジの正確さに依存することも再確認する。

バッファと距離
バッファは、ある地物から一定距離の範囲を領域として作成する基本的な空間解析手法である。本細目では、バッファを距離条件の可視化や対象の抽出・評価に用いるために、その意味と活用方法を理解する。例えば、「学校から半径○○m以内」「駅から○○m以内」「河川から一定距離内」など、距離に基づく条件は多くの政策・計画・環境評価で用いられる。バッファは直感的である一方、距離の単位や計測の前提(CRS)に依存し、設定を誤ると範囲が過大・過小になり得る。本細目では、距離の意味(直線距離なのか、ネットワーク距離なのか)を区別し、作成したバッファが何を表しているのかを説明できる状態を目指す。また、バッファ生成が次の空間条件抽出の入力になることを踏まえ、解析手順の流れの中でバッファをどのように位置づけて用いるかを整理する。

空間条件に基づく地物の抽出(空間検索)
空間条件抽出は、空間関係に基づいて対象を選択し、必要に応じて新しいレイヤとして取り出す操作である。本細目では、属性検索が属性値(名称、人口、分類など)という観点から地物を検索するのに対し、空間検索では「どこにあるか」または「どこと関係するか」という観点から地物を検索する。例えば、「バッファ内に含まれる施設」「行政区域内にある避難所」「河川と交差する道路」といった抽出は、近接・包含・交差などの空間関係として表現できる。空間検索は、対象を絞り込むことで解析の効率性や結果の分かりやすさを高めるために用いられ、後続のオーバーレイ解析や集計の前処理としても頻繁に用いられる。本細目では、抽出条件を言語化し、抽出結果を検証する(地図上で確認する、件数を見る、代表例を点検する)という基本手順も整理し、再現性のある作業として定着させる。

【実践】距離条件に基づく地物の抽出
実践では、距離条件を用いた一連の解析手順として、1)対象となるレイヤを読み込み、2)距離条件に基づくバッファを作成し、3)バッファ内に含まれる地物を空間検索し、④結果を新しいレイヤとして抽出・保存する流れを行う。具体例として、「○○(例:駅・避難所・学校など)から○○m以内に含まれる○○(例:人口メッシュ・施設・建物等)を抽出する」といった課題設定を用いる。本細目では、抽出結果が妥当かどうかを実際に地図表示として可視化し、条件値(距離など)を変更した場合に結果がどう変化するかを確認する。最後に、抽出結果の件数や簡単な集計を行い、距離条件が意思決定に使える情報へ変換されることを体験する。

キーワード ① 空間解析(Spatial Analysis) ② トブラーの第一法則 ③ 空間関係(Spatial Relationship) ④ 空間検索/抽出(Spatial Query) ⑤ バッファ(Buffer)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 授業の理解度を図る目的で、授業の後半に小テストを行う。小テストは、その日の内容に関する問題を5問(難易度:1~3)出題し、ヨリソル上で回答する。
復習・予習課題 【復習】
当該回のコマシラバスおよび配付資料をあらためて読み直し、講義内容の要点を整理するとともに、小テストの問題を見直して誤答や理解が不十分であった箇所を確認する。実践作業が完了していない場合は、次回までに必ず仕上げること。さらに、操作手順のみを追うのではなく、なぜその作業が必要であったのかという観点から振り返ること、また、授業で扱った手法を用いて身近なデータを対象に自ら応用課題を設定して取り組むことが望ましい。調べても理解できない点があれば、そのままにせず積極的に教員へ質問すること。
【予習】
シラバスの各細目レベルの内容を事前に確認し、専門用語や概念のうち理解が難しそうな箇所を把握しておく。関連するキーワードをインターネットや専門サイトで調べ、基本的な意味を理解したうえで授業に臨むことが望ましい。さらに、関連する地図や事例を閲覧し、授業内容が実際にどのような場面で活用されているのかを把握しておくことで、より明確な目的意識をもって授業に臨むことが期待される。

10 オーバーレイ解析(空間演算) 科目の中での位置付け 本科目は、基礎編・展開編・総合編の三段階で構成される。第1回から第7回の基礎編では、GISの概念、GISデータの構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)、データモデル(ベクタ/ラスタ)、属性検索、シンボロジ、ジオメトリとトポロジ、地図作成の基本を段階的に学ぶ。第8回から第13回の展開編では、座標参照系(CRS)の理論を踏まえ、空間解析(バッファ、オーバーレイ、ラスタ解析等)を通じて課題解決の方法を習得し、オープンデータ活用やジオコーディングなど実務的手法も扱う。第14回・第15回の総合編では、データ選択から解析・可視化・発表までを一貫して行うミニプロジェクトに取り組み、成果物としての地図を評価・改善する。
第10回では、複数のレイヤを重ね合わせて新しい地物や属性を生成する代表的手法として、オーバーレイ解析を整理する。第9回で扱った空間関係(包含・交差など)に基づく空間検索/抽出を踏まえ、「空間条件で選ぶ」段階から一歩進んで、「地物を切り出し、組み合わせ、結果レイヤを生成する」演算であるオーバーレイ解析の考え方と方法を理解する。また、以降のラスタ解析やオープンデータ活用、プロジェクト実践に向けて、分析結果を再利用可能なデータとして出力する一連の流れを身につける。

【コマ主題細目①~⑤】
· コマ用オリジナル資料
(必要に応じてプリントを配付する)
· オリジナル教材
(サンプルデータやファイルなど)
コマ主題細目 ① オーバーレイ解析(空間演算) ② クリップ(Clip) ③ 交差(Intersect) ④ 差分(Difference)/和集合(Union) ⑤ 【実践】オーバーレイ解析手法
細目レベル オーバーレイ解析(空間演算)
オーバーレイ解析は、複数のベクタレイヤを重ね合わせ、地物の形状を切り出したり結合したりして、新しいレイヤを生成する空間演算である。本細目では、オーバーレイを「表示上の重ね合わせ」ではなく、「解析結果として新しいジオメトリと属性を作る操作」として整理する。例えば、洪水想定区域と建物データを重ねて「浸水想定区域内の建物」を抽出する場合、単に選択するだけでなく、区域境界で切り出された結果を新しいレイヤとして保存し、件数集計や地図化に利用できる。オーバーレイでは、入力レイヤのジオメトリの整合性やトポロジ、CRSの前提が結果に影響し得るため、演算前にデータの前提条件を点検する姿勢も重要になる。本細目では、代表的なオーバーレイの種類(Clip、Intersect、Difference、Union)と、結果として何が残り、何が生成されるかを図式的に理解する。

クリップ(Clip)
クリップ(Clip)は、あるレイヤを「切り抜き範囲(マスク)」として用い、クッキーの型のように対象レイヤを切り出す演算である。本細目では、クリップが「範囲を指定して対象を切り出す」基本操作であることを理解する。例えば、行政区域ポリゴンをマスクとして道路データを切り出し、「特定自治体内の道路」だけを取り出す、あるいは保全区域をマスクとして土地利用データを切り出し、保全区域内の土地利用割合を把握するといった用途が典型である。結果レイヤでは、対象レイヤの属性は原則として保持され、ジオメトリはマスク境界で切断される。抽出(選択)と異なり、境界で切り出されたジオメトリが新たに生成される点が、オーバーレイ解析としてのクリップの特徴である。

交差(Intersect)
交差(Intersect)は、複数レイヤの重なり(共通部分)を抽出し、その部分のジオメトリを新しいレイヤとして生成する演算である。本細目では、Intersectが「重なっている領域/区間/地点だけを残す」操作であることを整理する。例えば、用途地域と浸水想定区域をIntersectすれば、「浸水リスクのある用途地域の部分」が切り出され、都市計画上の検討に利用できる。また、Intersectは属性面でも特徴があり、入力レイヤ両方の属性が結果に引き継がれる(結合される)ため、「どの区域に属し、どの条件に該当するか」を同時に扱える。オーバーレイ結果の属性が増えることは利点である一方、項目の重複や解釈の混乱を生むことがあるため、結果レイヤの属性を点検し、必要な項目を整理することも重要である。

差分(Difference)/和集合(Union)
差分(Difference)は、基準となるレイヤから、別レイヤと重なる部分を除いた残りを生成する演算である。本細目では、Differenceが「除外する範囲を指定して残りを得る」操作であることを整理する。例えば、開発可能区域から保全区域を差し引き、「制約を除いた候補地」を作るといった用途がある。和集合(Union)は、複数レイヤの領域を統合し、重なりの有無にかかわらず全域を分割して結果を生成する演算である。Unionは結果が細片化しやすい一方で、両レイヤの属性を一体として扱い、条件の組合せごとに領域を整理できる。DifferenceとUnionはいずれも結果の解釈に注意が必要であり、何を残し、何を区別したいのかという目的に応じて使い分けることが重要になる。

【実践】オーバーレイ解析手法の実践
実践では、同一の入力データを用いてClip、Intersect、Difference、Unionを順に実行し、結果レイヤのジオメトリと属性がどのように変化するかを比較する。まず、各演算が「何を残すか/何を切り出すか」を事前に言語化し、実行後に結果を地図上で確認する。次に、結果レイヤの属性テーブルを点検し、どの属性が引き継がれ、どのように結合されたかを確認する。最後に、結果を新しいレイヤとして保存し、件数や面積などの簡単な集計、または地図化を行い、オーバーレイの結果が次の分析工程に利用できるデータとして出力されることを体験する。これにより、空間演算を単なる「手順」ではなく「結果の意味」として理解し、目的に応じて手法を選択できるようになることを目指す。

キーワード ① オーバーレイ(Overlay) ② クリップ(Clip) ③ 交差(Intersect) ④ 差分(Difference) ⑤ 和集合(Union)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 授業の理解度を図る目的で、授業の後半に小テストを行う。小テストは、その日の内容に関する問題を5問(難易度:1~3)出題し、ヨリソル上で回答する。
復習・予習課題 【復習】
当該回のコマシラバスおよび配付資料をあらためて読み直し、講義内容の要点を整理するとともに、小テストの問題を見直して誤答や理解が不十分であった箇所を確認する。実践作業が完了していない場合は、次回までに必ず仕上げること。さらに、操作手順のみを追うのではなく、なぜその作業が必要であったのかという観点から振り返ること、また、授業で扱った手法を用いて身近なデータを対象に自ら応用課題を設定して取り組むことが望ましい。調べても理解できない点があれば、そのままにせず積極的に教員へ質問すること。
【予習】
シラバスの各細目レベルの内容を事前に確認し、専門用語や概念のうち理解が難しそうな箇所を把握しておく。関連するキーワードをインターネットや専門サイトで調べ、基本的な意味を理解したうえで授業に臨むことが望ましい。さらに、関連する地図や事例を閲覧し、授業内容が実際にどのような場面で活用されているのかを把握しておくことで、より明確な目的意識をもって授業に臨むことが期待される。

11 ラスタ解析の基礎 科目の中での位置付け 本科目は、基礎編・展開編・総合編の三段階で構成される。第1回から第7回の基礎編では、GISの概念、GISデータの構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)、データモデル(ベクタ/ラスタ)、属性検索、シンボロジ、ジオメトリとトポロジ、地図作成の基本を段階的に学ぶ。第8回から第13回の展開編では、座標参照系(CRS)の理論を踏まえ、空間解析(バッファ、オーバーレイ、ラスタ解析等)を通じて課題解決の方法を習得し、オープンデータ活用やジオコーディングなど実務的手法も扱う。第14回・第15回の総合編では、データ選択から解析・可視化・発表までを一貫して行うミニプロジェクトに取り組み、成果物としての地図を評価・改善する。
第11回では、連続的な空間現象を数値として扱うラスタデータを対象に、値の意味(セル値・分解能・NoData)と、セル単位の演算にもとづく分析の考え方を理解する。実践では、第10回のベクタのオーバーレイ解析と対比しながら、ラスタ演算によって条件を設定し、閾値にもとづいて領域を抽出・可視化する手順を整理する。また、以降のオープンデータ活用やプロジェクト実践に向けて、ラスタを「背景表示」ではなく「解析対象」として扱い、条件設定によって結果がどのように変化するかを説明できることを目指す。

【コマ主題細目①~⑤】
· コマ用オリジナル資料
(必要に応じてプリントを配付する)
· オリジナル教材
(サンプルデータやファイルなど)
コマ主題細目 ① ラスタとは ② ラスタの値の意味 ③ ラスタ演算の基礎 ④ ラスタ解析 ⑤ 【実践】ラスタデータを用いた適地分析
細目レベル ラスタとは(データ構造と特徴)
ラスタデータは、空間を規則的な格子(グリッド)に分割し、各セルに数値を割り当てて空間現象を表現するデータ形式である。本細目では、ラスタが「面として連続的に分布する現象」を扱うのに適している点を整理する。例えば、標高、傾斜、気温、降水量、植生指数などは空間的に連続して変化し、セル値として表現することで比較や演算が可能になる。一方で、ラスタは分解能(セルサイズ)によって表現の精度とデータ容量が変わり、粗すぎると地形や分布の細部が失われ、細かすぎると計算量が増える。本細目では、ラスタとベクタとの違い(境界が明確な地物ではなく、場として扱う)を整理することで、ラスタとは何かを知り、ラスタ解析へ進む前提としてラスタ解析の長所や制約を理解する。

ラスタの値の意味(セル値、分解能、NoData)
ラスタ解析では、セル値が何を意味しているかを理解することが前提となる。本細目では、セル値が連続値(標高など)なのか、カテゴリ値(土地被覆など)なのかを区別し、適切な演算方法が異なることを整理する。また、分解能は距離や面積の解釈にも関わり、同じ範囲でもセルサイズが異なると結果の滑らかさや境界の表現が変わる。さらに、NoDataは「値が存在しない」ことを表す特別な状態であり、演算や統計の結果に影響する。NoDataを0として扱ってしまうと平均値が不自然になったり、条件判定で誤った領域が抽出されたりする。本細目では、セル値・分解能・NoDataを意識しながら、ラスタデータの特性を学び、ラスタの数値が「何を表し、どこまで信頼できるか」を判断する力を養う。

ラスタ演算の基礎(マップ代数)
ラスタ演算は、セルごとの数値に対して四則演算や条件分岐を適用し、新しいラスタを生成する分析方法である。本細目では、マップ代数(Map Algebra)の基本として、(1) 単一ラスタの演算(例:標高から傾斜を計算する、閾値で二値化する)、(2) 複数ラスタの演算(例:標高と降水量を組み合わせて指数を作る)を整理する。ラスタ演算の利点は、空間全域に対して一括で同じ計算を適用できる点にあり、評価指標や危険度のスコア化などに便利である。一方で、異なるラスタを組み合わせる場合には、分解能や範囲、CRSが一致している必要がある。本細目では、演算の考え方を理解するとともに、前処理として整合性(アラインメント)を確保することの重要性を理解する。

ラスタ解析(条件の重ね合わせと評価)
ラスタ解析は、複数条件をセル単位で重ね合わせ、評価や分類を行う方法として用いられる。本細目では、条件の与え方として、閾値による除外(例:傾斜が急すぎる場所を除く)、重み付けによる加点(例:道路に近いほど高評価)などを整理し、目的に応じた評価モデルを設計するための考え方を扱う。例えば、避難所の候補地選定では、浸水リスクが低い、一定の人口圏をカバーできる、アクセスが良いといった条件を組み合わせ、総合スコアの高いセルを抽出する。このような指標作成で重要なのは、作った指標が「何を良いと定義したか」を反映している点であり、条件と重みの選択は解析手法そのものではなく有識者やステークホルダーの意思決定が担うことになるという点である。本細目では、結果を地図化するだけでなく、条件設定の根拠を言語化し、解釈可能な形で示す姿勢の重要性を理解する。

【実践】ラスタデータを用いた適地分析
実践では、単一のラスタデータを用いて、条件に基づく領域抽出を行う。手順は、(1) ラスタの分解能・範囲・NoDataを確認する、(2) セル値の意味(例:標高、傾斜、危険度など)と単位を確認する、(3) 閾値条件を設定して二値化し(例:標高○○m以上、傾斜○○度未満など)、条件を満たすセルのみを抽出したマスクラスタを作成する、(4) 結果を分類表示して抽出範囲を視覚的に確認する、(5) 抽出されたセル数や面積(セル数×セル面積)を簡単に確認する、流れとする。本細目では、閾値を少し変更した場合に抽出範囲がどのように変化するかを比較し、条件設定が結果に与える影響を体験的に理解する。最後に、作成したマスクが「どの条件で、どの範囲を抽出したのか」を短く説明し、ラスタ解析が条件の言語化と可視化によって成立していることを理解する。

キーワード ① ラスタデータ(Raster Data) ② セル値(Cell Value) ③ 分解能(Spatial Resolution) ④ NoData ⑤ ラスタ演算/マップ代数(Map Algebra)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 授業の理解度を図る目的で、授業の後半に小テストを行う。小テストは、その日の内容に関する問題を5問(難易度:1~3)出題し、ヨリソル上で回答する。
復習・予習課題 【復習】
当該回のコマシラバスおよび配付資料をあらためて読み直し、講義内容の要点を整理するとともに、小テストの問題を見直して誤答や理解が不十分であった箇所を確認する。実践作業が完了していない場合は、次回までに必ず仕上げること。さらに、操作手順のみを追うのではなく、なぜその作業が必要であったのかという観点から振り返ること、また、授業で扱った手法を用いて身近なデータを対象に自ら応用課題を設定して取り組むことが望ましい。調べても理解できない点があれば、そのままにせず積極的に教員へ質問すること。
【予習】
シラバスの各細目レベルの内容を事前に確認し、専門用語や概念のうち理解が難しそうな箇所を把握しておく。関連するキーワードをインターネットや専門サイトで調べ、基本的な意味を理解したうえで授業に臨むことが望ましい。さらに、関連する地図や事例を閲覧し、授業内容が実際にどのような場面で活用されているのかを把握しておくことで、より明確な目的意識をもって授業に臨むことが期待される。

12 GISオープンデータの活用 科目の中での位置付け 本科目は、基礎編・展開編・総合編の三段階で構成される。第1回から第7回の基礎編では、GISの概念、GISデータの構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)、データモデル(ベクタ/ラスタ)、属性検索、シンボロジ、ジオメトリとトポロジ、地図作成の基本を段階的に学ぶ。第8回から第13回の展開編では、座標参照系(CRS)の理論を踏まえ、空間解析(バッファ、オーバーレイ、ラスタ解析等)を通じて課題解決の方法を習得し、オープンデータ活用やジオコーディングなど実務的手法も扱う。第14回・第15回の総合編では、データ選択から解析・可視化・発表までを一貫して行うミニプロジェクトに取り組み、成果物としての地図を評価・改善する。
第12回では、分析に用いるデータを自ら入手し、内容を点検し、GISで扱える形に整理するという実務的な空間分析の入口を扱う。オープンデータは入手が容易である一方、CRS、属性の意味、データの範囲・更新状況、利用条件(ライセンス)が統一されていない場合もあるため、取得後のメタデータ等の確認や加工が分析の成否を左右するカギとなる。さらに、複数データを組み合わせて扱う際には、形式変換や一元管理の工夫が必要になる。これらを踏まえ、オープンデータを「見つけて終わり」ではなく、「根拠を確認し、再現性のある形で整理して使う」ための基本手順を身に着ける。

【コマ主題細目①~⑤】
· コマ用オリジナル資料
(必要に応じてプリントを配付する)
· オリジナル教材
(サンプルデータやファイルなど)
コマ主題細目 ① さまざまなGISオープンデータ ② オープンデータの活用事例 ③ オープンデータの確認事項 ④ GISデータの形式と形式変換 ⑤ 【実践】オープンデータの収集と分析データの整備
細目レベル さまざまなGISオープンデータ
オープンデータは、行政機関、研究機関、国際機関、民間プロジェクトなどが、一定の条件のもとでデータを利用できる形で公開・提供するものである。本細目では、GISで扱うことのできる代表的なオープンデータの種類を整理する。代表例として、行政区域、道路・鉄道、公共施設、防災関連の区域データ、統計メッシュ、土地利用、標高や土地被覆などが挙げられる。オープンデータはベクタ/ラスタの両方で提供されており、同じ主題でも提供主体によって精度、更新頻度、属性項目、整備範囲が異なる。本細目では、オープンデータの代表的な提供サイトを紹介するとともに、データの「内容」と「提供のされ方(配布形式、メタデータ、利用条件)」に注目し、次の確認作業へつなげるための視点を養う。

オープンデータの活用事例
オープンデータは、可視化だけでなく、分析や意思決定支援に広く用いられる。本細目では、教員が多様な活用事例を紹介し、オープンデータで何ができるのかを具体的にイメージできるようにする。例えば、防災ではハザード区域と人口・施設を重ねて影響範囲を把握する、都市計画では用途地域と施設分布から機能配置の特徴を読み取る、環境評価では土地利用と地形条件を組み合わせて保全上の検討材料を得る、といった活用がある。さらに、通学・通勤の利便性評価、観光動態の把握、商圏分析、感染症や事故の発生分布の可視化など、身近なテーマにも応用できる。本細目で受講者は、事例ごとに「どのデータを使い、どのように組み合わせると、どんな見え方や気づきが得られるか」把握することで、自分の関心に近い題材を見つけるためのイメージの形成を行う。

オープンデータの確認事項(信頼性、更新、範囲、CRS、属性、ライセンス)
オープンデータは公開されていること自体が有益である一方、分析にそのまま投入すると誤解や誤差につながる場合がためので、注意が必要である。本細目では、利用前に確認すべき点を体系的に整理する。具体的には、(1) 提供主体と信頼性、(2) 最終更新日や整備時点、(3) 対象範囲と欠損の有無、(4) 座標参照系(CRS)と単位、(5) 属性項目の意味と定義(コード表の有無)、(6) 利用条件(ライセンス、出典表記の要否)である。これらを確認することで、データの制約を理解し、結果の解釈や出典表記に根拠を持たせることができる。このことは、卒業論文などの成果物の信頼性にも大きく影響する。本細目では、メタデータや配布ページの記載を根拠として、データの前提条件を読み取る姿勢を身につける。

GISデータの形式と形式変換
オープンデータは、配布の都合により多様なファイル形式で提供される。本細目では、形式が異なること自体は問題ではなく、「目的に合った形に変換し、管理できること」が重要である点を理解する。例えば、同じベクタデータでも、複数ファイルに分かれる形式や単一ファイルで管理できる形式があり、文字コードや属性の表現力、互換性に差がある。ラスタでも、解析向けの形式や配布向けの形式がある。本細目では、第2回の細目④で学習したGISデータのファイル形式に関する基礎知識を踏まえ、形式変換の目的(統一、軽量化、共有、解析準備)を明確にする。あわせて、変換後にCRSや属性が保持されているかを点検する手順を身につけ、形式変換を「作業」ではなく「再現性のあるデータ整備」として理解する。

【実践】オープンデータの収集と分析データの整備
実践では、教員が指定するサイトから複数のオープンデータを入手し、GISで扱える形に整理する。手順は、(1) 配布ページの記載からデータの範囲・更新・CRS・ライセンスを確認する、(2) データをダウンロードしQGISに読み込む、(3) レイヤ名や属性項目を確認し、不要な項目の整理や簡単な欠損確認を行う、(4) 必要に応じて形式変換を行い、(5) 複数レイヤを一つのGeoPackageファイルにまとめて保存する、の流れとする。本細目では、保存後に再読み込みして内容が保持されていること(CRS、属性、ジオメトリ)を点検し、出典表記に必要な情報(提供主体、データ名、取得日)を記録する。これにより、後続の解析回やプロジェクト実践で再利用可能なデータセットを自ら準備するためのコツと技術を身につける。

キーワード ① オープンデータ(Open Data) ② メタデータ(Metadata) ③ ライセンス(License) ④ 形式変換(Format Conversion) ⑤ GeoPackage(.gpkg)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 授業の理解度を図る目的で、授業の後半に小テストを行う。小テストは、その日の内容に関する問題を5問(難易度:1~3)出題し、ヨリソル上で回答する。
復習・予習課題 【復習】
当該回のコマシラバスおよび配付資料をあらためて読み直し、講義内容の要点を整理するとともに、小テストの問題を見直して誤答や理解が不十分であった箇所を確認する。実践作業が完了していない場合は、次回までに必ず仕上げること。さらに、操作手順のみを追うのではなく、なぜその作業が必要であったのかという観点から振り返ること、また、授業で扱った手法を用いて身近なデータを対象に自ら応用課題を設定して取り組むことが望ましい。調べても理解できない点があれば、そのままにせず積極的に教員へ質問すること。
【予習】
シラバスの各細目レベルの内容を事前に確認し、専門用語や概念のうち理解が難しそうな箇所を把握しておく。関連するキーワードをインターネットや専門サイトで調べ、基本的な意味を理解したうえで授業に臨むことが望ましい。さらに、関連する地図や事例を閲覧し、授業内容が実際にどのような場面で活用されているのかを把握しておくことで、より明確な目的意識をもって授業に臨むことが期待される。

13 ジオコーディング 科目の中での位置付け 本科目は、基礎編・展開編・総合編の三段階で構成される。第1回から第7回の基礎編では、GISの概念、GISデータの構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)、データモデル(ベクタ/ラスタ)、属性検索、シンボロジ、ジオメトリとトポロジ、地図作成の基本を段階的に学ぶ。第8回から第13回の展開編では、座標参照系(CRS)の理論を踏まえ、空間解析(バッファ、オーバーレイ、ラスタ解析等)を通じて課題解決の方法を習得し、オープンデータ活用やジオコーディングなど実務的手法も扱う。第14回・第15回の総合編では、データ選択から解析・可視化・発表までを一貫して行うミニプロジェクトに取り組み、成果物としての地図を評価・改善する。
第13回では、住所や施設名などの文字情報を位置(座標)に変換し、GISで扱える空間データへ変換する入口としてジオコーディングを扱う。オープンデータは最初から座標を持つとは限らず、得られたデータを地図上で扱うために位置の付与が必要になる場合がある。ここでは、ジオコーディングの概念、結果の精度や失敗要因、個人情報や利用規約への配慮といった実務上の注意点を確認し、プロジェクトで扱うデータを自ら整備できるようになることを目指す。

【コマ主題細目①~⑤】
· コマ用オリジナル資料
(必要に応じてプリントを配付する)
· オリジナル教材
(サンプルデータやファイルなど)
コマ主題細目 ① ジオコーディングの概念と有用性 ② ジオコーディングの仕組み ③ ジオコーディングの実行(Web/API/GIS/結合/代表点) ④ 結果の品質(精度・ヒット率・曖昧性)と注意点 ⑤ 【実践】ジオコーディングと結果確認
細目レベル ジオコーディングの概念と有用性
ジオコーディング(Geocoding)とは、住所、地名、施設名などの文字情報を手掛かりに、対応する位置(緯度・経度などの座標)を付与する処理である。本細目では、ジオコーディングが「表形式データを空間データへ変換するための前処理」であることを理解する。例えば、店舗一覧、事故記録、アンケート回答、観測地点リストなどは表形式で提供されることが多いが、これに座標が付与されることで分布の可視化、近接分析、区域集計などの空間解析が可能となる。具体的には、1)店舗の住所を座標化して売上や評価の地域差を地図で確認する、2)事故地点を地図化して「交差点付近に集中していないか」「通学路沿いに偏っていないか」を点検する、3)アンケート回答の居住地を座標化して「回答傾向が特定地区に偏っていないか」を確認する、4)観測地点を座標化して「標高や土地利用と測定値の関係」を重ね合わせて考察する、といった展開ができる。さらに、座標が付与されることで「最寄り施設までの距離」や「特定区域内の件数」といった問いを直接扱えるようになり、表のままでは気づきにくい偏りや集積を可視化できる点がジオコーディングの魅力である。本細目では、ジオコーディングとは何かを理解し、活用事例を知ることでその有用性を理解する。

ジオコーディングの基本メカニズム(参照データとマッチング)
ジオコーディングは、入力文字列(住所、地名、施設名など)を参照データ(住所録、地名辞書、POIデータベース、行政区域の代表点など)と照合し、最も適切な候補に位置(座標)を付与するマッチング処理として実現される。本細目では、照合が「入力」と「参照データ」と「照合ルール」の組合せで成立していることを理解する。照合方法は完全一致だけでなく、部分一致、正規化(表記の統一)、類似度に基づく照合などが用いられる。また、住所入力では階層(都道府県→市区町村→町丁目→番地)のどこまで一致させるかによって得られる位置の粒度が変わり、施設名入力では同名施設や略称によって候補が複数生じる場合がある。本細目では、基本メカニズムとして「照合の仕組み」と「位置の粒度が決まる考え方」を把握する。

ジオコーディングの実行(Web/API/GIS/結合/代表点)
ジオコーディングには複数の実行方法があり、利用目的や利用環境に応じて使い分けられる。本細目では、代表的な方法として、1)Webジオコーダや地図サービスの検索機能を利用して座標を取得する方法、2)APIを用いてプログラム的に一括処理する方法、3)QGIS等のGISソフトウェア上でプラグインや処理ツールを用いて実行する方法、4)住所コードや施設IDなどのキーで参照データと結合し座標を付与する方法(参照テーブル結合)、5)既存の代表点(町丁目代表点、メッシュ中心点等)に割り当てて近似的に位置付ける方法を整理する。これらは、処理の自動化のしやすさ、必要な準備、得られる位置の粒度、再利用のしやすさが異なる。本細目では、可視化、集計、近接分析などの目的に応じて、どの方法を採用するのが適切かを選択できることを理解する。

結果の品質(精度・ヒット率・曖昧性)と注意点
ジオコーディングの結果には必ず不確実性が含まれ、付与された座標は正確に見えても誤りや粗さを内包し得る。本細目では、結果品質を評価する基本指標として、(1) 精度(どの粒度で位置が付いたか:番地、街区、町丁目、市区町村など)、(2) ヒット率(何件中何件が座標付与できたか)、(3) 曖昧性(候補が複数ある、類似候補に吸い寄せられる)について理解する。例えば、町丁目までしか一致しないデータを点として扱うと、分布が過度に精密に見え、距離計測や近接分析の解釈を誤ることがある。また、未ヒットが特定地域や特定カテゴリに偏ると、可視化や集計結果に系統的な偏りが生じる。本細目では、結果を機械的に採用せず、検証と修正を前提に扱うための基本手順を確認する。さらに、ジオコーディングは住所や施設情報など個人情報・機微情報を含むデータを扱う可能性があるため、データの匿名化や集計単位の工夫、共有範囲の制限、利用規約・ライセンスの確認といった倫理・法的配慮が不可欠である。本細目では、結果品質の評価とデータ取り扱い上の注意点を一体として整理し、分析結果を正しく解釈できるようにする。

【実践】ジオコーディングと結果確認
実践では、住所を含む表形式データ(CSV)に対してWebジオコーダを用いて座標を付与し、その結果をQGISに取り込んで点検する。手順は、(1) 教員が配付するCSV(公共施設や避難所など、個人情報を含まない住所データ)を開き、住所列の表記(都道府県・市区町村の有無、空白やハイフン)を確認する、(2) Webジオコーダに住所列を貼り付けて一括ジオコーディングを実行し、緯度・経度付きのCSVを取得する、(3) QGISでCSVを「区切りテキストレイヤ」として読み込み、X=経度、Y=緯度でポイントレイヤを作成する、(4) 背景地図上で分布を確認し、明らかに不自然な点(海上、極端に離れた地点、同一点への過度な集中)や未ヒット行を抽出して原因を推定する、(5) 住所表記を最小限修正(都道府県の補完、不要語の除去、空白の整理など)して再実行し、ヒット率や分布がどの程度改善するかを比較する、の流れとする。本細目では、ジオコーディングの結果は検証と改善を前提に扱う必要があること、また、座標が付与されることで以降の空間検索/抽出や集計に接続できることを体験的に理解する。

キーワード ① ジオコーディング(Geocoding) ② 参照データ(Reference Data) ③ アドレスマッチング(Address Matching) ④ ヒット率(Match Rate) ⑤ 位置精度(Positional Accuracy)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 授業の理解度を図る目的で、授業の後半に小テストを行う。小テストは、その日の内容に関する問題を5問(難易度:1~3)出題し、ヨリソル上で回答する。
復習・予習課題 【復習】
当該回のコマシラバスおよび配付資料をあらためて読み直し、講義内容の要点を整理するとともに、小テストの問題を見直して誤答や理解が不十分であった箇所を確認する。実践作業が完了していない場合は、次回までに必ず仕上げること。さらに、操作手順のみを追うのではなく、なぜその作業が必要であったのかという観点から振り返ること、また、授業で扱った手法を用いて身近なデータを対象に自ら応用課題を設定して取り組むことが望ましい。調べても理解できない点があれば、そのままにせず積極的に教員へ質問すること。
【予習】
シラバスの各細目レベルの内容を事前に確認し、専門用語や概念のうち理解が難しそうな箇所を把握しておく。関連するキーワードをインターネットや専門サイトで調べ、基本的な意味を理解したうえで授業に臨むことが望ましい。さらに、関連する地図や事例を閲覧し、授業内容が実際にどのような場面で活用されているのかを把握しておくことで、より明確な目的意識をもって授業に臨むことが期待される。

14 空間分析プロジェクトのデザインと実践 科目の中での位置付け 本科目は、基礎編・展開編・総合編の三段階で構成される。第1回から第7回の基礎編では、GISの概念、GISデータの構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)、データモデル(ベクタ/ラスタ)、属性検索、シンボロジ、ジオメトリとトポロジ、地図作成の基本を段階的に学ぶ。第8回から第13回の展開編では、座標参照系(CRS)の理論を踏まえ、空間解析(バッファ、オーバーレイ、ラスタ解析等)を通じて課題解決の方法を習得し、オープンデータ活用やジオコーディングなど実務的手法も扱う。第14回・第15回の総合編では、データ選択から解析・可視化・発表までを一貫して行うミニプロジェクトに取り組み、成果物としての地図を評価・改善する。
第14回では、これまでに学んだ概念と操作技能を統合し、空間分析のミニプロジェクトとして「課題設定→データ準備→解析→可視化→成果物作成」を一連の作業として実行する。特定の手法を増やすよりも、目的に応じて手法を選び、条件や設定を明示し、結果を説明できる形にまとめることに重点を置く。第15回の評価・プレゼンテーションに向けて、地図として出力可能な成果物と、その根拠(使用データ、抽出条件、解析手法、表現設定)を揃えた状態にすることを目指す。

【コマ主題細目①~⑤】
· コマ用オリジナル資料
(必要に応じてプリントを配付する)
· オリジナル教材
(サンプルデータやファイルなど)
コマ主題細目 ① 空間分析プロジェクトの流れ ② 課題・目的の明確化と指標設計 ③ データ選択と前処理 ④ 解析手法の選択と実行 ⑤ 【実践】空間分析ミニプロジェクト
細目レベル 空間分析プロジェクトの流れ(課題設定→データ準備→解析→可視化)
空間分析は、単発の操作の集合ではなく、目的に沿って作業を連結した一連の工程からなるミニプロジェクトと捉えることができる。本細目では、①扱う課題や問いを定める、②必要なデータを選び入手する、③データの前提条件を確認して整備する、④解析を実行して結果を得る、⑤結果を地図として表現し説明可能な形にまとめる、という流れを整理する。例えば、防災、都市計画、環境評価、動植物の分布などテーマが異なっても、「問い→データ→処理→可視化」という骨格は共通する。空間分析において、最終成果物(地図)をアウトプットするためには、作業の各段階で何を行う必要があるかを考えるプロジェクト思考が重要であることを理解する。

課題・目的の明確化と指標設計(何を示す地図か)
分析の成否は、最初に「何を知りたいか」「何を示したいか」を明確にできるかに大きく依存する。本細目では、問いを地図として表現可能な形に落とし込むために、対象(誰・何・どこ)、尺度(市区町村単位か、メッシュか、地点か)、条件(距離、区域、交差など)、評価軸(件数、密度、割合、リスク等)を整理する。例えば、「公共施設の到達圏の偏りを示す」なら距離条件と対象施設が必要になり、「浸水想定区域内の重要施設を整理する」なら包含条件と施設属性が必要になる。本細目では、最終成果物(地図)が一文で説明できる状態(例:「○○を示す地図」)を目標に、指標や抽出条件を設計する。

データ選択と前処理(CRS・属性・欠損・整合性)
分析に用いるデータを選択した時点で、既に結果の方向性が決まってくる。本細目では、利用可能な複数データの中から、目的に合うデータ(範囲・更新・属性内容・精度)を選択する観点を理解する。あわせて、前処理として、CRSの確認と統一、属性項目の理解、欠損や異常値の点検、ジオメトリやトポロジの整合性確認など、解析に入る前の最低限の準備を確認する。本細目では、完全なデータ整備を目指すことではなく、解析に必要な前提条件を満たすデータを選択し、作業を再現できるように、使用データ名・取得日・主要な前処理内容を簡潔に記録し、設定した課題や目的に見合ったデータの前処理を行うためのポイントを押さえることである。

解析手法の選択と実行(空間検索/バッファ/オーバーレイ等)
解析手法は多様であるが、目的に対して最小限で説明可能な手法を選ぶことが重要である。本細目では、問いに対して「どの空間関係を判定したいか」「どの結果を新しいレイヤとして残したいか」を基準に、空間検索/抽出、バッファ、オーバーレイなどを組み合わせる考え方を整理する。例えば、「○○から○○m以内」はバッファと包含判定、「区域内の対象件数」は包含判定と集計、「条件の組合せで領域を切り分ける」はオーバーレイが中心となる。本細目では、解析の各ステップで入力・出力を明確にし、途中結果を保存して追跡できる形にすることで、最終成果物の根拠を説明できるようにする。

【実践】空間分析ミニプロジェクト
実践では、教員が用意した複数のデータセット(例:行政区域、施設、人口、ハザード区域、道路等)から題材を選び、空間分析プロジェクトを実行して地図成果物を作成する。手順は、(1) 主題を一文で定める、(2) 必要なレイヤと属性項目を選択する、(3) CRSや欠損を確認し必要最小限の前処理を行う、(4) 解析(空間検索/バッファ/オーバーレイ等)を実行し結果レイヤを作成する、(5) シンボロジとレイアウトを整え、タイトル・凡例・方位・縮尺・出典を含む地図として出力する、の流れとする。本細目では、作業ログ(使用データ、条件、手法、出力ファイル)を簡潔に残し、次回の評価・発表で説明できる状態にする。

キーワード ① 空間分析プロジェクト(Spatial Analysis Project) ② 課題設定 ③ データ前処理(Preprocessing) ④ 手法選択 ⑤ 作業ログ(Workflow Log)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 授業の理解度を図る目的で、授業の後半に小テストを行う。小テストは、その日の内容に関する問題を5問(難易度:1~3)出題し、ヨリソル上で回答する。
復習・予習課題 【復習】
当該回のコマシラバスおよび配付資料をあらためて読み直し、講義内容の要点を整理するとともに、小テストの問題を見直して誤答や理解が不十分であった箇所を確認する。実践作業が完了していない場合は、次回までに必ず仕上げること。さらに、操作手順のみを追うのではなく、なぜその作業が必要であったのかという観点から振り返ること、また、授業で扱った手法を用いて身近なデータを対象に自ら応用課題を設定して取り組むことが望ましい。調べても理解できない点があれば、そのままにせず積極的に教員へ質問すること。
【予習】
シラバスの各細目レベルの内容を事前に確認し、専門用語や概念のうち理解が難しそうな箇所を把握しておく。関連するキーワードをインターネットや専門サイトで調べ、基本的な意味を理解したうえで授業に臨むことが望ましい。さらに、関連する地図や事例を閲覧し、授業内容が実際にどのような場面で活用されているのかを把握しておくことで、より明確な目的意識をもって授業に臨むことが期待される。

15 空間分析プロジェクトの評価 科目の中での位置付け 本科目は、基礎編・展開編・総合編の三段階で構成される。第1回から第7回の基礎編では、GISの概念、GISデータの構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)、データモデル(ベクタ/ラスタ)、属性検索、シンボロジ、ジオメトリとトポロジ、地図作成の基本を段階的に学ぶ。第8回から第13回の展開編では、座標参照系(CRS)の理論を踏まえ、空間解析(バッファ、オーバーレイ、ラスタ解析等)を通じて課題解決の方法を習得し、オープンデータ活用やジオコーディングなど実務的手法も扱う。第14回・第15回の総合編では、データ選択から解析・可視化・発表までを一貫して行うミニプロジェクトに取り組み、成果物としての地図を評価・改善する。
第15回では、第14回で作成した地図成果物を対象に、地図としての妥当性と分析としての妥当性を互いに評価し、改善点を明確にする。評価は個人の印象に依存しやすいため、主題の明確性、データ選択、分析手順、表現(シンボロジ)、地図要素、視認性といった観点に基づく共通の評価枠組みを用いて行う。また、選考を勝ち抜いた代表者は、地図を用いて主題と根拠を短く説明するプレゼンテーションを行う。最終的に、他者評価と自己評価の両方を通して、地理空間情報を用いた意思決定支援としての表現力を客観的に確認することで、成果物の改善と学習内容の総括につなげる。

【コマ主題細目①~⑤】
· コマ用オリジナル資料
(必要に応じてプリントを配付する)
· オリジナル教材
(サンプルデータやファイルなど)
コマ主題細目 ① 地図成果物の評価観点 ② 地図を用いたプレゼンテーション ③ 相互評価と改善提案 ④ 優秀作品からの学び ⑤ 【実践】ショートプレゼンと評価
細目レベル 地図成果物の評価観点(主題・データ・分析・表現・地図要素)
地図成果物は、分析結果を伝達する媒体であると同時に、分析の前提や判断を反映したアウトプットである。本細目では、評価を恣意的な印象に寄せないために、共通の観点に基づいて点検する枠組みを整理する。具体的には、(1) 主題は一読で明確か、(2) データ選択は目的に合い、出典が明示されているか、(3) 分析手順は問いに対応し、過不足がないか、(4) シンボロジは主題を支え、誤解を生まないか、(5) タイトル・凡例・方位・縮尺・出典など必要な地図要素が揃っているか、(6) 視認性(配色、文字サイズ、情報量、余白)が確保されているか、の観点である。本細目では、良い地図を「きれい」だけで判断せず、主題と根拠が伝わるか、再現可能な説明ができるかという観点で評価する姿勢を整える。

地図を用いたプレゼンテーション(主題と根拠の説明)
地図は見せるだけでは十分ではなく、読み手がどのように解釈すべきかを短く説明できることが重要である。本細目では、地図を用いた説明の基本構成として、①主題(何を示す地図か)、②使用データ(何を使ったか)、③分析の要点(どんな条件・手法で作ったか)、④読み取り(地図から何が言えるか)、⑤限界(どこまで言えるか)を整理する。説明は長くするほど良いのではなく、根拠に沿って要点を絞り、聞き手が地図の読み方を理解できる構成にすることが求められる。本細目では、地図が主張している内容と、データ・解析が支えている内容が一致しているかを点検し、説明と成果物の整合を確認する。

相互評価と改善提案
相互評価は、他者の視点で成果物の長所と改善点を把握するための有効な方法である。本細目では、評価シートを用いて観点別に点検し、単なる好みではなく根拠あるフィードバックとして改善提案を行う。例えば、「凡例と表示が対応していない」「階級数が多く読み取りにくい」「縮尺が主題に対して不適切」「出典が不足している」「分析手順の説明が地図から読み取れない」といった指摘は、改善可能な具体的提案となる。本細目では、指摘に終わらせず、修正案(何をどう変えるか)まで示すことを重視し、改善の観点を共有する。

優秀作品のからの学び
評価を通じて得られた知見を共有するため、複数段階の選出と全体講評を行う。本細目では、優秀作品を選ぶこと自体が目的ではなく、評価観点に照らして「どこが優れていたのか」を言語化し、学習内容の総括につなげる。例えば、主題の明確さ、データと分析の整合、表現の簡潔さ、出典と手順の明示、読みやすいレイアウトなど、優れた点は具体的に共有することで再現可能な学びになる。本細目では、講評を通じて、成果物としての地図に求められる水準と、改善の典型パターンを整理する。

【実践】ショートプレゼンと評価
実践では、作成した地図成果物について、評価シートに基づく相互評価とショートプレゼンテーションを行う。流れは、(1) 指定されたペアで地図を相互評価し、優れている方を選ぶ、(2) 選出された地図を持って別ペアと比較し、段階的に候補を絞る、(3) 最終候補の作成者がプレゼンを行い、全体投票で優秀作品を決定する、の手順とする。本細目では、評価の根拠を評価観点に沿って言語化し、改善点を具体的に提案できること、また、短時間で主題と根拠を説明できることを目標とする。最後に、自己評価を行い、次に作る地図にどう反映するかを整理する。

キーワード ① 相互評価(Peer Review) ② 地図評価の観点(Map Evaluation Criteria) ③ 地図要素(Map Elements) ④ 視認性(Readability) ⑤ プレゼンテーション(Presentation)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 授業の理解度を図る目的で、授業の後半に小テストを行う。小テストは、その日の内容に関する問題を5問(難易度:1~3)出題し、ヨリソル上で回答する。
復習・予習課題 【復習】
当該回のコマシラバスおよび配付資料をあらためて読み直し、講義内容の要点を整理するとともに、小テストの問題を見直して誤答や理解が不十分であった箇所を確認する。実践作業が完了していない場合は、次回までに必ず仕上げること。さらに、操作手順のみを追うのではなく、なぜその作業が必要であったのかという観点から振り返ること、また、授業で扱った手法を用いて身近なデータを対象に自ら応用課題を設定して取り組むことが望ましい。調べても理解できない点があれば、そのままにせず積極的に教員へ質問すること。
【予習】
シラバスの各細目レベルの内容を事前に確認し、専門用語や概念のうち理解が難しそうな箇所を把握しておく。関連するキーワードをインターネットや専門サイトで調べ、基本的な意味を理解したうえで授業に臨むことが望ましい。さらに、関連する地図や事例を閲覧し、授業内容が実際にどのような場面で活用されているのかを把握しておくことで、より明確な目的意識をもって授業に臨むことが期待される。


履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
1. 地理空間情報とGISの基礎概念 地理空間情報・GISの基本概念を説明でき、位置情報・空間情報・地理空間情報の違い、GISの構成要素(データ・ハード・ソフト・人)を理解している。GISが意思決定に資する理由を、具体例を交えて説明できる。 地理空間情報、GIS、空間データ、レイヤ 10 1、2
2. GISデータの基本構造 GISデータの基本構造(レイヤ、属性テーブル、ジオメトリ)を説明でき、ジオメトリ型(ポイント/ライン/ポリゴン)と属性の対応関係を理解している。ベクタ/ラスタの違いと用途の整理ができる。 属性テーブル、ジオメトリ、ベクタデータ、ラスタデータ 10 2
3. GISデータのファイル形式と形式変換 代表的なGISファイル形式の特徴(複数レイヤ格納、互換性、属性制約、文字コード等)を理解している。目的(統一、軽量化、共有、解析準備)に応じた形式選択・形式変換の考え方を説明できる。 GeoPackage、Shapefile、GeoTIFF、形式変換 10 2、12
4. 属性と条件式(選択・抽出・集計の基礎) 属性の役割、データ型、属性テーブルの構造(フィールド/レコード)を理解している。条件式(Expression)やSQLの基本(比較・論理演算)により、目的に応じた選択・抽出・簡単な集計の考え方を説明できる。 属性、データ型、条件式、SQL 10 3
5. 可視化(シンボロジ)と地図成果物 数値・カテゴリに応じた表現(Graduated/Categorized、必要に応じ比例表現)を選択でき、凡例との整合や読み取りやすさに配慮した表現設計を説明できる。地図成果物として必要な要素(タイトル、凡例、方位、縮尺、出典)とレイアウトの基本を理解している。 シンボロジ、Graduated、Categorized、凡例、縮尺 10 4、6
6. ジオメトリ・トポロジと計測 ジオメトリ型の選択が分析手法を規定することを理解している。距離・面積など計測の前提条件を説明できる。トポロジ(隣接・接続・包含・交差)と代表的な不整合(ギャップ、重複、自己交差等)が解析・集計結果に与える影響を説明できる。 トポロジ、ギャップ、重複、自己交差、面積、周囲長 10 5
7. CRSと空間解析・データ整備(オープンデータ/ジオコーディングを含む) 測地系(Datum)・投影法(Projection)・座標参照系(CRS)の関係を理解している。空間解析の基本(空間関係、バッファ、空間検索/抽出、オーバーレイ、ラスタ演算)の考え方と適用場面を説明できる。オープンデータの確認事項(更新、範囲、CRS、属性、ライセンス等)とジオコーディングの品質指標(精度/ヒット率/曖昧性)を理解している。 CRS、バッファ、空間検索(Spatial Query)、オーバーレイ、ラスタ演算、オープンデータ、ジオコーディング 20 8、9、10、11、12、13
8. GISプロジェクト思考 最終成果物(地図)の「主題」「売り(伝えたいポイント)」「使用データと解析の要点(根拠)」「限界・改善点」を数行で簡潔に説明できる。あわせて、作業手順の再現性(使用データ、条件、出力)を意識した自己評価と次の課題を述べられる。 主題、根拠、再現性、自己評価、改善点 20 4、15
評価方法 期末試験(100%)により評価する。なお、期末試験を受験するためには、指定した課題(ミニプロジェクトで作成した地図)を第15回授業までに提出する必要がある。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 なし
参考文献 [初級レベル参考書]
 矢野桂司, GIS地理情報システム. やさしく知りたい先端科学シリーズ. 創元社, 2021.
[中級レベル参考書]
 桐村喬, 上杉昌也, 米島万有子, 相尚寿と鈴木重雄, 基礎から学ぶGIS・地理空間情報. 古今書院, 2024.
[応用レベル参考書]
 貞広幸雄, 山田育穂と石井儀光, 空間解析入門 : 都市を測る・都市がわかる. 朝倉書店, 2018.
[QGISの使い方]
 GIS Open Educational Resources WG, 「GIS実習オープン教材」. [オンライン]. 入手先: https://gis-oer.github.io/gitbook/book/
実験・実習・教材費 なし