区分
(環)環境データサイエンス科目 社会環境科目 社会環境基本科目 (生)環境データサイエンス科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門性
理解力
実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
専門知識
教養知識
思考力
実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
多様化する環境問題や地域社会の諸問題に関心を持ち、環境・情報・社会に関連する幅広い基礎知識と専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。グローバルな視野と研究調査力を持ち、昨今の情報社会に貢献できる力を有する。企業・地域社会などのあらゆるコミュニティに寄与する組織的な活動能力を有する。
科目の目的
ミクロ視点から人と自然の関わり合いを理解すると共に、事例に即して開発と環境を巡る成功と失敗の混在について理解する。その際、本科目では北米・南米・アフリカ・日本などの世界各地の事例を取り上げ、文化人類学的な視点から地域固有の文化的背景に着目し、自然を守る知恵や開発行為、自然環境が文化や地域社会に与えた影響などを考える。その上で、開発行為と環境保全という一見すると相反する行為が折り合いをつける妥協点を検討する。
到達目標
文化人類学的な当事者の視点から、環境問題を考察できるようになることが目標である。具体的には、文化に宿る自然環境を守るための知恵の再評価を行うことができること、開発行為の問題点を現地の視点から理解することができること、環境保全を巡る権力性を理解することができることを目標とする。
科目の概要
広く開発途上国の現状や国際協力の発展の歴史を扱ってきた国際協力論に対し、本科目では、環境に特化して掘り下げを行う。本科目の全十五回の授業では、特にキーワードを「自然環境」、「開発」、「文化」として、それらの相関関係や因果関係に着目する。またミクロな視点から、上記のキーワードを軸に世界各地の事例を紹介し、開発行為と自然破壊が地域の文化と社会に与えた影響と変化を理解し、それを受けて、自然環境の改善や企業の社会参加を目指した新たな動きを取り上げる。これまで企業が営利目的で開発・販売してきた水質改善技術や再生可能エネルギーなどに関する技術や知識は、現在、開発途上国において現地の状況に合わせて販売されていることから、その背景や意図、有効性などを検討する。
科目のキーワード
①文化生態学、②伝統的生態学知識、③生業様式、④互酬性、⑤開発、⑥先住民の権利、⑦環境保全、⑧リサイクル技術、⑨水質改善、⑩森林破壊
授業の展開方法
各回の講義では、写真やビデオなどの映像を用い、視覚に訴えかける講義を展開する。本科目では、文化人類学的なミクロな視点から、世界各地の環境と開発、文化の関係性をよく表した事例を取り上げ、各回の授業を展開する。そのため、受講生にとってあまり馴染みのない地域の事例を取り上げることもある。よって、各講義では、座学の講義の中に写真やビデオなどを活用し、視覚を刺激して受講生が十分に理解を深めることができるよう配慮する。
オフィス・アワー
【月曜日】3時限目(前期のみ)、【水曜日】1時限目・昼休み、【金曜日】昼休み、3時限目(前期のみ)
科目コード
ENS605
学年・期
2年・後期
科目名
環境と開発
単位数
2
授業形態
講義
必修・選択
選択
学習時間
【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
エコツーリズム入門
展開科目
食料安全保障と栄養、グローバル化と地域社会
関連資格
なし
担当教員名
小谷博光
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
イントロダクション、
人は自然を壊す存在か―コモンズ論と反発
科目の中での位置付け
本科目は、マクロな視点から人と自然の関わり合いを理解するだけでなく、事例に即して開発と環境を巡る成功と失敗の混在について理解することを目的としている。また当事者の視点から、環境問題を考察できるようになることを到達目標としている。そのため、本科目における各講義の位置付けを次の通りとする。
一回から七回目までは、人はどのように自然環境に関わりながら暮らしてきたのか、文化人類学の中でも文化生態学と呼ばれる視点から開発行為を論じていく。その作業を通じて、人々の生活文化の中に宿る「自然を守る知恵」や、開発行為と自然環境が与えた文化への影響について考える。
八回から十三回は、森林伐採や外来種の増加などの事例から、近年、開発途上国が直面した開発にスポットを当てる。自然環境が失われることや、「開発」という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討する。
十四回から十五回までは、先進国から開発途上国にもたらされた開発行為の中で、環境保全ないし環境改善に関する活動を取り上げる。そこでは、企業が提供する水質改善技術や再生可能エネルギーなどが、開発途上国に与えた影響について検討する。これにより、文化人類学的な視点から、自然環境と開発行為、またそれらが地域の文化に与えた影響を考える。
本コマ(第一回)では、本科目のねらいを理解すると共に、文化とはどのような概念であるのかを理解する。また伝統的生態学知識が近年再評価されている背景を、コモンズ論との対比から理解する。
(1)国際協力機構『生物多様性保全をベースにした国造り~ 開発と保全の調和に向けてコスタリカからのメッセージ~』、JICA-Netライブラリー、2012年。
(2)井村秀文・松岡俊二・下村恭民編著「地球環境問題と途上国」『環境と開発』(シリーズ国際開発第 2 巻)、日本評価社、2004年、7-26項。
(3)宮内泰介編「どうすれば環境保全はうまくいくのか:順応的なプロセスを動かし続ける」『どうすれば環境保全はうまくいくのか:現場から考える「順応的ガバナンス」の進め方』、新泉社、2017年、14-29項。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 環境と開発のシラバス
主題細目② 教材(1)『生物多様性保全をベースにした国造り~ 開発と保全の調和に向けてコスタリカからのメッセージ~』、教材(2)『環境と開発』
主題細目③ 教材(2)『環境と開発』、教材(3)『どうすれば環境保全はうまくいくのか:現場から考える「順応的ガバナンス」の進め方』
コマ主題細目
① 本科目のねらいと計画 ② 適応と進化 ③ 伝統的生態学知識 ④ ⑤
細目レベル
① 本科目は、人と自然のかかわりを文化人類学的視点から学ぶことを理解する。また、シラバスに沿って、今後の授業の流れを確認する。本科目は、大別すると3つの塊にわけることができる。まず、人はどのように自然環境に関わりながら暮らしてきたのかを取り掛かりとして、自然を守る知恵や、開発行為と自然環境が与えた文化への影響について考える。
次に、自然環境が失われることや、開発という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて考察する。最後に、開発行為の一つとして、ソーシャルビジネスや企業の社会的責任(CSR)を捉え、企業が提供する水質改善技術や再生可能エネルギーなどが、開発途上国に与えた影響について検討する。これらを通して、文化人類学的な当事者の視点から、環境問題を考察できるようになることを到達目標としている。
② 狩猟、採集、農耕、牧畜などの生業様式の分布図を見ながら、なぜ地域によって生活様式の違いが生まれるのかについて議論する。人間は、その土地の自然に適応する(例:毛皮を使って寒さをしのぐなど)という能力=文化があったからこそ、多様な気候のもとで繁栄することができた。
またユーラシア大陸から北アメリカ大陸に広がる北方地域では、厳しい自然環境により、すでに言及した自然に適応する能力が十分に発揮できない人々もみられたが、季節毎に住みかを移動することで結果的には自然に適応した。一方では、食料を保存することで定住が可能になったりと、多様な適応策をみせ先住民族の文化として継承されてきた。この様に自然と文化は密接に関係していることを理解する。
③ 自然の近くで生活する人々の暮らしの中には、「自然を守るための知恵」が内包されている場合が少なくない。このような知恵のことを、伝統的生態学知識と呼ぶ。
伝統的生態学知識が見直させる背景には、人間は自然を壊す存在だという前提に立つ『コモンズの悲劇』に対する反動があることを理解する。コモンズ論に対して、アジアやオセアニアなどの各地から、地域の人々が共有地をうまく利用することで自然環境を維持してきた例が報告されている。今や世界語となりつつあるSATOYAMA(里山)は、その代表例であることを理解する。日本には、古くから利用し管理してきた農地や二次林など、人間活動の影響を受けて形成・維持されている二次的自然環境がある。そこでは多様な動植物が生活しており種の保存の観点からも、二次的自然環境である里山を守ることが重要である。
④
⑤
キーワード
① 文明 ② 機能主義 ③ 自然と文化 ④ 狩猟・採集 ⑤ コモンズ
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料および各自でとったノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また授業中、理解が難しかった説明や用語は、適宜、ノートにメモしておくことが重要である。理解できなかった説明や用語を質問シートに記入すると、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、開発や環境保全、自然環境、文化などが相互に関わり合う事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名や企業名などから、興味・関心がある事柄や分からない用語を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
2
モアイは何のために建てられたのか―自然環境から文化を考える
科目の中での位置付け
本科目は、マクロな視点から人と自然の関わり合いを理解するだけでなく、事例に即して開発と環境を巡る成功と失敗の混在について理解することを目的としている。また当事者の視点から、環境問題を考察できるようになることを到達目標としている。そのため、本科目における各講義の位置付けを次の通りとする。
一回から七回目までは、人はどのように自然環境に関わりながら暮らしてきたのか、文化人類学の中でも文化生態学と呼ばれる視点から開発行為を論じていく。その作業を通じて、人々の生活文化の中に宿る「自然を守る知恵」や、開発行為と自然環境が与えた文化への影響について考える。
八回から十三回は、森林伐採や外来種の増加などの事例から、近年、開発途上国が直面した開発にスポットを当てる。自然環境が失われることや、「開発」という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討する。
十四回から十五回までは、先進国から開発途上国にもたらされた開発行為の中で、環境保全ないし環境改善に関する活動を取り上げる。そこでは、企業が提供する水質改善技術や再生可能エネルギーなどが、開発途上国に与えた影響について検討する。これにより、文化人類学的な視点から、自然環境と開発行為、またそれらが地域の文化に与えた影響を考える。
本コマ(第二回)では、文化は自然に大きく影響されるということを、イースター島を事例に考える。
(1)立本成文「海域世界」『地域研究の問題と方法(増補改訂):社会文化生態力学の試み』、京都大学学術出版会、2001年、189-214。
(2)鈴木篤夫「島の歴史」『イースター島の悲劇:倒された巨像の謎』、新評論、1999年、163-203項。
(3)鈴木篤夫「謎の未解読文字」『イースター島の悲劇:倒された巨像の謎』、新評論、1999年、144-162項。
(4)カテリーヌ・オルリアック、ミッシェル・オルリアック「古代イースター島民の生活」『イースター島の謎』、創元社、1996年、49-80項。
(5)野村哲也「歴史の島」『イースター島を行く:モアイの謎と未踏の聖地』、中公新書、2015年、51-66項。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『地域研究の問題と方法(増補改訂):社会文化生態力学の試み』、オリジナル配布資料「イースター島の歴史と先住民族の文化」
主題細目② 教材(2)『イースター島の悲劇:倒された巨像の謎』、教材(3)『イースター島の悲劇:倒された巨像の謎』、オリジナル配布資料「イースター島の歴史と先住民族の文化」
主題細目③ 教材(4)『イースター島の謎』、教材(5)『イースター島を行く:モアイの謎と未踏の聖地』、オリジナル配布資料「イースター島の歴史と先住民族の文化」
コマ主題細目
① 文化生態学と多系的進化 ② 南太平洋を移動する海の民 ③ イースター島に住む先住民 ④ ⑤
細目レベル
① 文化生態学は、ジュリアン・H・スチュワードによって提唱された概念で、「文化は周辺の自然環境に大きく影響される」という観点から文化と環境の関係を明らかにする方法であることを理解する。この文化生態学的な視点から、各地の事例を検討していく。
加えて、多型的進化についても理解を深める。文化生態学の支柱となる概念である「多系的進化」は、自然環境が類似し、資源開発の方法が似ていれば、似たような文化が並行して発展するという意味である。この様な概念を理解した上で、これから様々な地域をみていくが、自然環境と資源開発の方法が似通っていれば、各地域の固有の文化の内、どの点が特に似通ってくるのかに注目し、本コマで取り上げるイースター島の自然と文化についてみていきたい。
② 太平洋沿岸では、紀元前7000年ほどかなり古くから遠洋での冒険が行われてきた。現在、太平洋の島々には、共通の文化的背景を持つミクロネシア、ポリネシア、メラネシア系の人々が居住している。またタロイモやヤマノイモ、バナナなどは、海の民を受け入れた地域で広がった。さらに、豚などの家畜や犬、鶏、ネズミ、極彩色の小鳥などが、海の民と伴に島から島へと広がった。海の民が持ち帰った植物は、食料や薬、衣服を作るのには欠かせなかったとされる。
またポリネシアの島々に住む人々には、世界観、神々への崇拝や王の任命の仕方、死者の扱い方、家の建て方、身体の飾り方、食事にも共通性がみて取れる。さらに、ポリネシア人の持ち物や技術共通点が見出すことができる。彼らが道具にすることができたのは、動物性の素材や貝殻、歯、骨などに限られていたため、石器や釣針、入れ墨用の櫛など、ポリネシア人の道具箱はどこでも同じで地域的な特色はみられなかった。
③ イースター島に住む先住民には階級制度がみられ、魚以外に鶏とネズミ、海鳥が動物蛋白源であり、またサツマイモを主食として、海産物も口にした。イースター島には文字があり、木片に象形文字がびっしりと書き込まれた、コハウ・ロンゴ・ロンゴ(歌う杖)と呼ばれる文字盤がある。この記号は、島では知られていない動物の形をしており、島民たちは、それを尖った石で描いていたとされる。
1886年、宣教師たちがイースター島に住み初めた時には、アフの上にモアイ像は立っていなかった。たくさんの石像が地面に横倒しになっていたのは、イースター島で起きた戦争(18世紀末~19世紀初頭)において、他のポリネシアでもみられる戦勝者が敵を侮辱するため、その聖域を荒らす習慣が原因であったとされている。
④
⑤
キーワード
① モアイ像 ② 共通点 ③ コハウ・ロンゴ・ロンゴ ④ ポリネシア ⑤ サツマイモ
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料および各自でとったノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また授業中、理解が難しかった説明や用語は、適宜、ノートにメモしておくことが重要である。理解できなかった説明や用語を質問シートに記入すると、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、開発や環境保全、自然環境、文化などが相互に関わり合う事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名や企業名などから、興味・関心がある事柄や分からない用語を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
3
アイヌ民族の狩猟採集生活
科目の中での位置付け
本科目は、マクロな視点から人と自然の関わり合いを理解するだけでなく、事例に即して開発と環境を巡る成功と失敗の混在について理解することを目的としている。また当事者の視点から、環境問題を考察できるようになることを到達目標としている。そのため、本科目における各講義の位置付けを次の通りとする。
一回から七回目までは、人はどのように自然環境に関わりながら暮らしてきたのか、文化人類学の中でも文化生態学と呼ばれる視点から開発行為を論じていく。その作業を通じて、人々の生活文化の中に宿る「自然を守る知恵」や、開発行為と自然環境が与えた文化への影響について考える。
八回から十三回は、森林伐採や外来種の増加などの事例から、近年、開発途上国が直面した開発にスポットを当てる。自然環境が失われることや、「開発」という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討する。
十四回から十五回までは、先進国から開発途上国にもたらされた開発行為の中で、環境保全ないし環境改善に関する活動を取り上げる。そこでは、企業が提供する水質改善技術や再生可能エネルギーなどが、開発途上国に与えた影響について検討する。これにより、文化人類学的な視点から、自然環境と開発行為、またそれらが地域の文化に与えた影響を考える。
本コマ(第三回)では、文化生態学のものの見方を深めるために、狩猟を事例に自然環境を考える。
(1)岸上伸啓編「北海道の先住民族アイヌ」『世界の食文化20 極北』、農山漁村文化協会、2005年、79-120項。
(2)高倉浩樹編「アイヌ・エコシステムの舞台裏:民族誌に描かれたアイヌ社会像の再考」『寒冷アジアの文化生態史』、古今書院、2018年、25-47項。
(3)大雪山麓上川アイヌ日本遺産推進協議会HP「アイヌ文化の森・伝承のコタン」 https://www.daisetsu-kamikawa-ainu.jp/sightseeing/496/ 閲覧日:2020年10月4日
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『世界の食文化20 極北』、オリジナル配布資料「北方地域で暮らす先住民族-北海道のアイヌ民族-」
主題細目② 教材(2)『寒冷アジアの文化生態史』、教材(3)「アイヌ文化の森・伝承のコタン」、オリジナル配布資料「北方地域で暮らす先住民族-北海道のアイヌ民族-」
主題細目③ 教材(2)『寒冷アジアの文化生態史』、教材(3)「アイヌ文化の森・伝承のコタン」、オリジナル配布資料「北方地域で暮らす先住民族-北海道のアイヌ民族-」
コマ主題細目
① 世界の狩猟採集民 ② 外部からの影響を受けるアイヌの人々 ③ アイヌの生活様式と狩猟採集 ④ ⑤
細目レベル
① 狩猟採集民は、広く世界に分布していることを理解す狩猟採集民は、広く世界に分布していることを理解する。北方地域だけでも、スカンジナビア半島北部からロシアのコラ半島にはサーミ、ロシアの極北地域にはネネツ族が居住している。またアラスカの北西地域にはイヌピアック、カナダからグリーンランドにはイヌヴァイットやイヌイットが居住する。
一方で、北極圏と赤道付近また海岸部と内陸部では採捕活動の内容に大きな違いがあることを理解する。地域毎の地理的条件や食料へのアクセス、気温など様々な諸条件が異なることで、採捕活動に多様性がみられる。北極圏だけでみても、アメリカ大陸とグリーンランドの先住民族はトナカイの放牧は行わず、漁労と狩猟に基づいた生活を送っている一方、シベリアの先住民族の多くは、狩猟と漁労、トナカイ飼育をうまく組み合わせている。る。一方で、北極圏と赤道付近また海岸部と内陸部では採捕活動の内容に大きな違いがあることを理解する。
② 1192年に鎌倉幕府が成立すると、鉄製品や陶磁器などが北海道(当時は、蝦夷地)にもたらされるようになった。これがアイヌ民族の生活様式に大きな変化を加え、アイヌ文化の成立につながっていく。それは、住居の土器、住居内の調理場の変化などがある。またアイヌ民族は、アイヌ文化の成立当初から周辺の異民族集団の影響を強く受けてきたことが、他の北方に居住する先住民族と異なる点であるとされる。
江戸幕府が成立する遥か以前から、アイヌ民族と東北地方の和人との間では、蝦夷地の物産と米、鉄器、漆器などを自由に売買していた。しかし、アイヌ交易は松前藩の独占となり、また松前藩はアイヌ民族と松前藩の中で交易のできる者を限定するなど(商場地行制)、アイヌ側に不利な交易環境を作り上げた。和人の請負商人による漁場経営の下、多くのアイヌの人々は労働力として雇用されるようになった。
③ アイヌの人々の集落は、サケが多く遡上する河川の上流にあり、サケ漁の中心となる産卵場の近くに形成された。その集落では、男性は狩猟と漁労を担当し、成年男性は狩猟・漁労に加え、交易などの地域外での活動を担っていた。一方、女性は山菜採集や海岸の沿岸部での魚介や海草の採集などを行ってきた。
またアイヌ民族を含む、ほぼ全ての北方の先住民族は、極寒の地で生き延びるために、肉中心で脂身を大量に摂取する高タンパク質で高カロリーな食事を摂取してきた。それは、毛皮服の防寒に加え体内でエネルギーを燃焼するためである。だがしかし、アイヌの伝統的な食事は、地域の植物を食材として利用しており、他の北方民族とは異なる。また蝦夷地では、毎年、決まった時期と場所に大量に遡上するサケとマスの捕獲が可能であったため、食料の不足する冬に余剰生産物を充てることができたことから、定住が可能だった。
④
⑤
キーワード
① コタン ② 鮭 ③ アシリチェプノミ ④ 北海道旧土人保護法 ⑤ アイヌ施策推進法
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料および各自でとったノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また授業中、理解が難しかった説明や用語は、適宜、ノートにメモしておくことが重要である。理解できなかった説明や用語を質問シートに記入すると、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、開発や環境保全、自然環境、文化などが相互に関わり合う事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名や企業名などから、興味・関心がある事柄や分からない用語を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
4
「婚姻」の多様性と自然環境
科目の中での位置付け
本科目は、マクロな視点から人と自然の関わり合いを理解するだけでなく、事例に即して開発と環境を巡る成功と失敗の混在について理解することを目的としている。また当事者の視点から、環境問題を考察できるようになることを到達目標としている。そのため、本科目における各講義の位置付けを次の通りとする。
一回から七回目までは、人はどのように自然環境に関わりながら暮らしてきたのか、文化人類学の中でも文化生態学と呼ばれる視点から開発行為を論じていく。その作業を通じて、人々の生活文化の中に宿る「自然を守る知恵」や、開発行為と自然環境が与えた文化への影響について考える。
八回から十三回は、森林伐採や外来種の増加などの事例から、近年、開発途上国が直面した開発にスポットを当てる。自然環境が失われることや、「開発」という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討する。
十四回から十五回までは、先進国から開発途上国にもたらされた開発行為の中で、環境保全ないし環境改善に関する活動を取り上げる。そこでは、企業が提供する水質改善技術や再生可能エネルギーなどが、開発途上国に与えた影響について検討する。これにより、文化人類学的な視点から、自然環境と開発行為、またそれらが地域の文化に与えた影響を考える。
本コマ(第四回)では、人口問題と文化の関係を、文化生態学の観点から理解する。
(1)山本高樹「ラダックの人々の暮らし」『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々』ブルース・インターアクションズ、2009年、52項。
(2)山本高樹「ラダックの伝統的な職業」『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々』ブルース・インターアクションズ、2009年、194項。
(3)『ラダック 氷河の羊飼い』DVD、スタルジン・ドルジェ監督、74分、インド、2015年。
(4)『懐かしい未来:ラダックから学ぶ 短縮版』DVD、鎌田陽司監督、日本。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々』、教材(2)『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々』、オリジナル配布資料「自然と共に生きるラダック地方の人々と開発」
主題細目② 教材(1)『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々』、教材(2)『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々』、教材(3)『ラダック 氷河の羊飼い』、オリジナル配布資料「自然と共に生きるラダック地方の人々と開発」
主題細目③ 教材(1)『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々』、教材(2)『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々』、教材(4)『懐かしい未来:ラダックから学ぶ 短縮版』、オリジナル配布資料「自然と共に生きるラダック地方の人々と開発」
コマ主題細目
① 人口問題とラダック ② インド・ヒマラヤの一妻多夫婚 ③ 通過儀礼と人口調整 ④ ⑤
細目レベル
① 資源の枯渇は、人口問題の観点からも指摘されてきた。そこでは、しばしば「いかにして人口を一定数に保つのか」ということが議論されてきたことを理解する。
またヒマラヤ山脈とカラコルム山脈に囲まれ、陸路で入れるのは夏のみで冬の数ヶ月は雪で峠が閉ざされ、空路が唯一外界との交通手段となる自然環境の厳しいラダックを、本コマでは取り上げる。ラダックは、インド北部の山岳地帯にあり、標高は平均3,500メートルにもなる。チベット仏教を信仰する人々が暮らしており、伝統的なチベット文化や宗教、生活習慣などがいまだ残っている。1970年代に外国人に開放されてからは、主に商業目的の移住者が増えたり、また観光地化したことで、急速に伝統的なチベットの要素が薄まりつつある地域である。
② インド・ヒマラヤ地域では、一妻多夫婚の習慣が残る地域がある。インドが独立した1947年には一妻多夫婚は禁止されたが、中央政府の力が及ばないラダック地方の村落では、近年までみられたようである。夫の兄弟が一人の妻をめとる形式が多いようであるが、その背景には、兄弟のつながりが強いことが作用していると考えられている。厳しい自然環境下で生き延びなければいけないため、一妻多夫婚という習慣の機能的説明として人口調整があることを理解する。一年の約半分は雪に覆われ、それほど多くの食料を生産することができないことが影響していると思われる。それ以外にも、一妻多夫婚は財産の分散を避けることや、労働力としての男での確保という効果が期待できる。
③ 人口調節の機能を果たす習慣として、通過儀礼と婚姻の関係を取り上げる。婚期の決定に関わる通過儀礼が、コミュニティの人口数に影響与えることを事例から理解する。婚期の決定は、結婚後の出産時期や回数に影響を与える可能性が高い。この通過儀礼は、当該地域では避けることのできない催しとなっていることから、自然環境が非常に厳しい地域に居住する人々が生み出した伝統的生態学知識であるともいえる。通過儀礼が果たす人口調整の効果については、授業において詳細に説明する。
またチベットでは脈拍から病状を推察したり、薬草を用いて病を治療するアムチと呼ばれる伝統医がいる。人口調整ではないが、チベットの人々の生死に影響を与えるアムチについて授業で触れる。
④
⑤
キーワード
① 生産力 ② チベット ③ ラダック ④ 一妻多夫婚 ⑤ アムチ
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料および各自でとったノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また授業中、理解が難しかった説明や用語は、適宜、ノートにメモしておくことが重要である。理解できなかった説明や用語を質問シートに記入すると、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、開発や環境保全、自然環境、文化などが相互に関わり合う事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名や企業名などから、興味・関心がある事柄や分からない用語を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
5
自然が豊かなガラパゴス諸島における開発の経緯と政府の対応
科目の中での位置付け
本科目は、マクロな視点から人と自然の関わり合いを理解するだけでなく、事例に即して開発と環境を巡る成功と失敗の混在について理解することを目的としている。また当事者の視点から、環境問題を考察できるようになることを到達目標としている。そのため、本科目における各講義の位置付けを次の通りとする。
一回から七回目までは、人はどのように自然環境に関わりながら暮らしてきたのか、文化人類学の中でも文化生態学と呼ばれる視点から開発行為を論じていく。その作業を通じて、人々の生活文化の中に宿る「自然を守る知恵」や、開発行為と自然環境が与えた文化への影響について考える。
八回から十三回は、森林伐採や外来種の増加などの事例から、近年、開発途上国が直面した開発にスポットを当てる。自然環境が失われることや、「開発」という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討する。
十四回から十五回までは、先進国から開発途上国にもたらされた開発行為の中で、環境保全ないし環境改善に関する活動を取り上げる。そこでは、企業が提供する水質改善技術や再生可能エネルギーなどが、開発途上国に与えた影響について検討する。これにより、文化人類学的な視点から、自然環境と開発行為、またそれらが地域の文化に与えた影響を考える。
本コマ(第五回)では、自然が豊かで貴重な動植物が多いガラパゴス諸島を取り上げ、人間による開発行為により自然が破壊された結果、どの様な結果を招き、どう対応してきたのかを検討する。
(1)外務省「エクアドル共和国」2020年9月20日閲覧https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ecuador/data.html#section1
(2)長谷川俊介「危機にある世界遺産―ガラパゴス諸島の事例―」、レファレンス、59号3巻、2009年、5-28項。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)「エクアドル共和国」、教材(2)「危機にある世界遺産―ガラパゴス諸島の事例―」、オリジナル配布資料「ガラパゴス諸島の自然環境と開発」
主題細目② 教材(1)「エクアドル共和国」、教材(2)「危機にある世界遺産―ガラパゴス諸島の事例―」、オリジナル配布資料「ガラパゴス諸島の自然環境と開発」
主題細目③ 教材(1)「エクアドル共和国」、教材(2)「危機にある世界遺産―ガラパゴス諸島の事例―」、オリジナル配布資料「ガラパゴス諸島の自然環境と開発」
コマ主題細目
① ガラパゴス諸島の地理的情報 ② 人間の定住が貴重な動植物に与えた影響 ③ 急激な自然破壊の影響と対応策 ④ ⑤
細目レベル
① ガラパゴス諸島は、南アメリカ大陸にあるエクアドル共和国本土から西におよそ1,000km離れた赤道下に位置する。おおよそ東西300km、南北380kmに及ぶ広い洋上に、比較的面積のある主な19の島と100を超える小さな島や岩礁が点在している。有人島は4つしかなく、人口は約30,000人である。観光客が多く訪れ、島の産業は主に観光業が盛んである。またガラパゴス諸島では、豊富な自然と動植物が保護されている。
歴史的にみると、かつて南米北部を中心に栄えたインカ帝国があったが、1533年になるとスペイン軍に征服されて滅亡した。その後、スペインの伝道師が布教のため、現在のエクアドルを訪れたが船が難破し、ガラパゴス諸島に漂着した。1500年代後半には島の存在が知られる様になった。
② 18世紀後半には、クジラの漁場としてイギリスやアメリカの捕鯨船がガラパゴス諸島を訪れるようになった。これ以降、ガラパゴス諸島を訪れた人たちは、食料としてゾウガメを乱獲し、家畜や農作物を持ち込んだ。人間が訪れるまでは、大型の哺乳類はいなかったとされ、ゾウガメやイグアナのような大型の爬虫類が増えたガラパゴス諸島であったが、人が住むようになってからネズミやネコがみられるようなり、ゾウガメの卵が食べられるなど、島の動物に悪影響を与えてきた
ガラパゴス諸島に生息するゾウガメは、1種類だけではあるが、島毎に甲羅の形が異なるなど15種の亜種(4種は絶滅)が発見されている。ダーウィンはガラパゴス諸島を訪れ、1859年には生物の形態や種類は不変ではなく、生物は置かれた環境に適応して変化したり分岐したりして多様な種が生まれるとした『種の起源』を発表した。
③ 1934年、エクアドルはガラパゴス諸島の中の14の島を動物保護地区に指定し、保護動物の捕獲を禁止することを決めた。この保護策は生物個体の保護を対象としたが、生息域などの周辺環境の保護は対象としていなかったため、入植者は増え、農地と家畜が増加し続けた。その後、ガラパゴス全体を国立公園に指定して、生物を取り巻く環境全ての保護を行うことを決定し、チャールズ・ダーウィン研究所を設立し、生物の分布調査や絶滅の危機にある生物の増殖、移入動物の撲滅などを実施した。その甲斐もあり、1978年、世界自然遺産に登録されたが、2007年には、観光客の増加、島民の増加、外来種の増加、海洋資源(ナマコ)の乱獲などの開発ないし開発に類似した行為により、在来種が減少し世界遺産の価値を失うような重大な危機にさらされているとして、危機遺産のリストに登録された。
そこで、エクアドル政府は、観光客の入島数と滞在期間の制限、外来種の持ち込み防止策などを講じ、2010年7月、ガラパゴス諸島は危機遺産リストから外された。現在、ガラパゴス諸島の97パーセントは保護区域となっており、居住や農耕、牧畜などは残りの3パーセントで行うよう制限されている。
④
⑤
キーワード
① ゾウガメ ② 種の起源 ③ クジラの漁場 ④ 伝道師 ⑤ 世界自然遺産
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料および各自でとったノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また授業中、理解が難しかった説明や用語は、適宜、ノートにメモしておくことが重要である。理解できなかった説明や用語を質問シートに記入すると、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、開発や環境保全、自然環境、文化などが相互に関わり合う事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名や企業名などから、興味・関心がある事柄や分からない用語を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
6
砂漠化と遊牧民の生活文化、
植林とリサイクル技術の関係
科目の中での位置付け
本科目は、マクロな視点から人と自然の関わり合いを理解するだけでなく、事例に即して開発と環境を巡る成功と失敗の混在について理解することを目的としている。また当事者の視点から、環境問題を考察できるようになることを到達目標としている。そのため、本科目における各講義の位置付けを次の通りとする。
一回から七回目までは、人はどのように自然環境に関わりながら暮らしてきたのか、文化人類学の中でも文化生態学と呼ばれる視点から開発行為を論じていく。その作業を通じて、人々の生活文化の中に宿る「自然を守る知恵」や、開発行為と自然環境が与えた文化への影響について考える。
八回から十三回は、森林伐採や外来種の増加などの事例から、近年、開発途上国が直面した開発にスポットを当てる。自然環境が失われることや、「開発」という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討する。
十四回から十五回までは、先進国から開発途上国にもたらされた開発行為の中で、環境保全ないし環境改善に関する活動を取り上げる。そこでは、企業が提供する水質改善技術や再生可能エネルギーなどが、開発途上国に与えた影響について検討する。これにより、文化人類学的な視点から、自然環境と開発行為、またそれらが地域の文化に与えた影響を考える。
本コマ(第六回)では、砂漠化が起こる背景と遊牧民の暮らしの変容を理解する。砂漠化を防ぐために行われた植林で用いられたリサイクル技術について学ぶ。
(1)小長谷有紀・シンジルド・中尾正義編「「生態移民」に頼らない森の再生」『中国の環境政策 生態移民:緑の大地、内モンゴルの砂漠化を防げるか?』、昭和堂、2005年、 97-124項。
(2)小長谷有紀・シンジルド・中尾正義編「「生態移民」による地下水資源の危機」」『中国の環境政策 生態移民:緑の大地、内モンゴルの砂漠化を防げるか?』、昭和堂、2005年、56-76項。
(3)藤田昇・加藤聡史・草野栄一・幸田良介編著「牧畜・農業の土地利用」『モンゴル:草原生態系ネットワークの崩壊と再生』、京都大学学術出版会、2013年、315-414項。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『中国の環境政策 生態移民:緑の大地、内モンゴルの砂漠化を防げるか?』、教材(2)『中国の環境政策 生態移民:緑の大地、内モンゴルの砂漠化を防げるか?』、オリジナル配布資料「中国における砂漠化と植林活動を助けるリサイクル技術」
主題細目② 教材(2)『中国の環境政策 生態移民:緑の大地、内モンゴルの砂漠化を防げるか?』、教材(3)『モンゴル:草原生態系ネットワークの崩壊と再生』、オリジナル配布資料「中国における砂漠化と植林活動を助けるリサイクル技術」
主題細目③ 教材(1)『中国の環境政策 生態移民:緑の大地、内モンゴルの砂漠化を防げるか?』、教材(3)『モンゴル:草原生態系ネットワークの崩壊と再生』、オリジナル配布資料「中国における砂漠化と植林活動を助けるリサイクル技術」
コマ主題細目
① 草原の砂漠化 ② 環境保護政策と遊牧民の生活 ③ 中国での深刻な砂漠化と改善されるリサイクル技術 ④ ⑤
細目レベル
① 中国の内モンゴル自治区は、118万平方キロメートルと非常に広大な面積を持ち、年間を通し気温は低く乾燥している。また近年、草原の砂漠化が進んでいるという報告がある。その背景として、人口増加(流入)と気候変動が挙げられる。これらの要因は、制御することは難しく、社会構造や政策などのマクロな要素と日々の生活様式や移動などのミクロな要素が複雑絡まり合っている。特に人口増加は目覚ましく、近年では、モンゴル人(約17%)よりも漢民族の方が圧倒的に多いとされる。いずれにせよ、砂漠化を示す年代毎のデータとマクロ・ミクロな要素のデータを重ね合わせて検証しつつ、内モンゴル自治区の砂漠化のメカニズムと社会的な背景について理解を深める。
② 近年、内モンゴル自治区の生態系の悪化が深刻である。そのため、生態系の回復を目指し、中国政府は、耕地を林地や草地に戻す取り組みや大規模な砂漠化防止対策に取り組んだ。草原を回復するために行った、緑化および環境保全政策は、草原で暮らす人々に遊牧規制をかけたり、移住を求められるなどの理由から、遊牧民の暮らしを困難にさせていることを理解する。伝統的な遊牧民の生活の維持もしくは砂漠化を阻止するのが重要なのか、様々な立場から批判が出た中国政府の砂漠化防止対策であった。また問題解決へ向けて、現地の映像を見ながら、遊牧民の生活を維持しながら環境を保全するために、どのような解決策があるかについてディスカッションをする。
③ 2014年時点では、中国の国土面積の実に27%が砂漠化した土地であるとされる。特に中国の西北部の乾燥地帯において深刻な砂漠化が進んでおり、植林活動が行われていることを理解する。砂漠化が進むことで緑が失われ、健康被害が拡大する現状について考える。時折、日本まで届く黄砂は、その最たる例であると考えられる。黄砂により、呼吸器系疾患やアレルギー疾患への影響が発生しており、またPM2.5の悪影響もみられる。
そこで、植林活動で実践される様々なリサイクル技術について検討する。企業の持てる知識と技術を集結し、経済的・社会的・公衆衛生的にも多くの被害をもたらす砂漠化の影響を減少させるために取り組んでいる企業の活動を取り上げる。
④
⑤
キーワード
① 黄砂 ② PM2.5 ③ 討論 ④ 植林活動 ⑤ 砂漠化
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料および各自でとったノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また授業中、理解が難しかった説明や用語は、適宜、ノートにメモしておくことが重要である。理解できなかった説明や用語を質問シートに記入すると、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、開発や環境保全、自然環境、文化などが相互に関わり合う事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名や企業名などから、興味・関心がある事柄や分からない用語を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
7
イヌイットの気候変動をめぐる生活様式の変化とポリティカルエコロジー
科目の中での位置付け
本科目は、マクロな視点から人と自然の関わり合いを理解するだけでなく、事例に即して開発と環境を巡る成功と失敗の混在について理解することを目的としている。また当事者の視点から、環境問題を考察できるようになることを到達目標としている。そのため、本科目における各講義の位置付けを次の通りとする。
一回から七回目までは、人はどのように自然環境に関わりながら暮らしてきたのか、文化人類学の中でも文化生態学と呼ばれる視点から開発行為を論じていく。その作業を通じて、人々の生活文化の中に宿る「自然を守る知恵」や、開発行為と自然環境が与えた文化への影響について考える。
八回から十三回は、森林伐採や外来種の増加などの事例から、近年、開発途上国が直面した開発にスポットを当てる。自然環境が失われることや、「開発」という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討する。
十四回から十五回までは、先進国から開発途上国にもたらされた開発行為の中で、環境保全ないし環境改善に関する活動を取り上げる。そこでは、企業が提供する水質改善技術や再生可能エネルギーなどが、開発途上国に与えた影響について検討する。これにより、文化人類学的な視点から、自然環境と開発行為、またそれらが地域の文化に与えた影響を考える。
本コマ(第七回)では、気候変動が北極圏の狩猟生活に与えた影響を理解する。
(1)高倉浩樹編「北東ユーラシアにおける人類の最寒冷期への適応」『寒冷アジアの文化生態史』、古今書院、2018年、25-47項。
(2)岸上伸啓編著「カナダ極北の先住民族イヌイット」『世界の食文化20 極北』、農山漁村文化協会、2005年、121-160項。
(3)岸上伸啓編著「カナダにおける都市イヌイットの社会経済開発:ホームレス問題を中心に」『開発と先住民』、明石書店、2009年、331-354項。
(4)岸上伸啓「食物配分と社会変化についての研究史と研究課題・方法」『カナダ・イヌイットの食文化と社会変化』、世界思想社、2007年19-66項。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『寒冷アジアの文化生態史』、教材(2)『世界の食文化20 極北』、オリジナル配布資料「北方地域で暮らす先住民族-カナダ極北のイヌイット-」
主題細目② 教材(3)『開発と先住民』、教材(4)カナダ・イヌイットの食文化と社会変化』、(5)『カナダ・イヌイットの食文化と社会変化』オリジナル配布資料「北方地域で暮らす先住民族-カナダ極北のイヌイット-」
主題細目③ 教材(3)『開発と先住民』、教材(4)カナダ・イヌイットの食文化と社会変化』、(5)『カナダ・イヌイットの食文化と社会変化』オリジナル配布資料「北方地域で暮らす先住民族-カナダ極北のイヌイット-」
コマ主題細目
① イヌイットの人々の暮らし ② 互酬性、自然環境と生活文化 ③ 気候変動の影響 ④ ⑤
細目レベル
① イヌイットの人々が暮らすカナダの極北地域の年間降水量は、200~400ミリメートルしかなく、非常に乾燥している。また森林限界以北のツンドラ地帯が広がっており、極北地域の地面は1年中凍結していることから、土地も滋養に乏しく、低木ばかりで豊かな植生は生み出さない。また冬は氷雪に包まれ、夏の内陸部は岩場、湿地帯、湖沼が広がる非常に厳しい自然環境である。そこで暮らすイヌイットの人々は、雪を活用したドーム型住居や、カリブーの毛皮でつくった衣装など、寒冷地の自然を活かして環境適応してきたことを理解する。
冬は海氷の上でアザラシを仕留め、春は沿岸部に移動し、秋には河川でホッキョクイワナと内陸でトナカイを捕まえるなど、食料となる動植物が豊富に分布する地域へと季節毎に移動を繰り返す生活を送っている。
② イヌイット人々の食生活をみてみると、春から秋にかけて、海獣や陸獣、魚類、鳥類を生で食べるか、水で煮ることが多い。また煮て調理する場合、血を加える以外の味付けはしない。これは、植物食が極端に少ないので、ビタミン摂取が困難であったため、動物の血や脂身に 含まれるビタミン類やミネラル類を摂取することで、植物食の代替としている。
また伝統的な食事は、肉中心で脂身を大量に摂取するため、高タンパク質で高カロリーである。これは極寒で生き延びるためには、毛皮服の防寒に加えて体内でエネルギーを燃焼させる。
さらに、獲物を仕留めたハンターは、供に狩猟や漁労に従事した人達と獲物を分かち合い、キャンプ地に戻るとキャンプ地でも獲物を分かち合った。皆で獲物を分かち合うという道徳観が、厳しい自然環境で生き抜くことを助けてきた。多くの狩猟民に共通するのは、獲物を分け合う慣行(互酬性)があることである。こうした習慣は、狩猟圧を下げる機能を果たしていることを理解する。
③ 近年、温暖化の影響を受け北極圏の氷の量が減ってきている。その影響を受け、イヌイットの狩猟対象であるアザラシが減少したり、ソリでの道中に氷が割れるなどの減少が起きていることを理解する。またここまで学んだことを通じて、「文化は自然環境に依存する」という文化生態学的な視点は、逆説的には自然環境が変化すれば文化も変化せざるを得ないことを理解する。自然環境が変化した影響を受けて、先祖代々続けてきたイヌイット独自の暮らしを捨てて街に出て働く者も出てきている。一度、街の生活様式に組み込まれると、なかなか元のイヌイットの生活に戻ることはできなくなると考えられるため、イヌイットの文化や伝統を維持すること自体が危うくなってくる。
④
⑤
キーワード
① 長距離移動 ② 氷の融解 ③ 再適応 ④ 温暖化 ⑤ アザラシ
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料および各自でとったノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また授業中、理解が難しかった説明や用語は、適宜、ノートにメモしておくことが重要である。理解できなかった説明や用語を質問シートに記入すると、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、開発や環境保全、自然環境、文化などが相互に関わり合う事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名や企業名などから、興味・関心がある事柄や分からない用語を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
8
パラグアイの農牧畜産業と森林破壊
科目の中での位置付け
本科目は、マクロな視点から人と自然の関わり合いを理解するだけでなく、事例に即して開発と環境を巡る成功と失敗の混在について理解することを目的としている。また当事者の視点から、環境問題を考察できるようになることを到達目標としている。そのため、本科目における各講義の位置付けを次の通りとする。
一回から七回目までは、人はどのように自然環境に関わりながら暮らしてきたのか、文化人類学の中でも文化生態学と呼ばれる視点から開発行為を論じていく。その作業を通じて、人々の生活文化の中に宿る「自然を守る知恵」や、開発行為と自然環境が与えた文化への影響について考える。
八回から十三回は、森林伐採や外来種の増加などの事例から、近年、開発途上国が直面した開発にスポットを当てる。自然環境が失われることや、「開発」という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討する。
十四回から十五回までは、先進国から開発途上国にもたらされた開発行為の中で、環境保全ないし環境改善に関する活動を取り上げる。そこでは、企業が提供する水質改善技術や再生可能エネルギーなどが、開発途上国に与えた影響について検討する。これにより、文化人類学的な視点から、自然環境と開発行為、またそれらが地域の文化に与えた影響を考える。
本コマ(第八回)では、パラグアイでの開発行為といえる農牧畜産業の促進と森林破壊に焦点を当て、事例を検討する。
(1)黒田悦子・木村秀雄編著「(パラグアイ)グァラニー 先住民族女性が創りだす二一世紀」『中米・カリブ海・南米』明石書店、2007年、251-268項。
(2)あずさ監査法人「パラグアイ国別評価(第三者評価)報告書」、2017年。
(3)国際協力機構「パラグアイ共和国イグアス湖流域に関する基礎情報収集・確認調査 最終報告書」2013年。
(4)渡辺宏「パラグアイの林業開発と国際協力」『写真測量とリモートセンシング』、22(Special1)、1983年、21-25項。
(5)市川澄雄「パラグアイの農業 特に馬鈴薯栽培について」『熱帯農業』第28巻1号 、1984年、58-64項。
(6)国際協力機構「パラグアイ共和国イタプア県・カアサパ県におけるテリトリアル・アプローチ実施体制強化のための農村開発プロジェクト詳細計画策定調査報告書」2011年。
(7)三菱UFJリサーチ&コンサルティング「パラグアイ・ウルグアイにおける農業投資関連情報の調査・分析 最終報告書」、2012年。
(8)News Week「森林破壊が進むパラグアイ 先住⺠はGPS とスマホで祖先の森を守る」、News Week日本版(2019年5⽉31⽇配信)、2019年。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『中米・カリブ海・南米』、教材(2)「パラグアイ国別評価(第三者評価)報告書」、教材(3)「パラグアイ共和国イグアス湖流域に関する基礎情報収集・確認調査 最終報告書」、オリジナル配布資料「パラグアイの農業開発と環境破壊-パラグアイの農業開発が自然環境に与える影響-」
主題細目② 教材(1)『中米・カリブ海・南米』、教材(2)「パラグアイ国別評価(第三者評価)報告書」、教材(3)「パラグアイ共和国イグアス湖流域に関する基礎情報収集・確認調査 最終報告書」、オリジナル配布資料「パラグアイの農業開発と環境破壊-パラグアイの農業開発が自然環境に与える影響-」
主題細目③ 教材(4)『写真測量とリモートセンシング』、教材(5)『熱帯農業』、教材(6)「パラグアイ共和国イタプア県・カアサパ県におけるテリトリアル・アプローチ実施体制強化のための農村開発プロジェクト詳細計画策定調査報告書」、教材(7)「パラグアイ・ウルグアイにおける農業投資関連情報の調査・分析 最終報告書」、教材(8)「森林破壊が進むパラグアイ 先住⺠はGPS とスマホで祖先の森を守る」、オリジナル配布資料「パラグアイの農業開発と環境破壊-パラグアイの農業開発が自然環境に与える影響-」
コマ主題細目
① パラグアイの歴史的背景 ② パラグアイの文化的・経済的背景 ③ 農牧畜分野の開発が森林破壊を招く ④ ⑤
細目レベル
① パラグアイを含むラテンアメリカ諸国は、先住民による定住農耕社会を形成してきたが、16世紀になると主にスペインの植民地となった。ラテンアメリカ諸国で、銀やサトウキビなどの資源を搾取し、スペインならびにポルトガル本国へ輸出することが続けられてきたが、パラグアイは1811年に独立を果たした。
近年では、それまでの一次産品の輸出で得た外貨を用いて工業化を試みたが、1970年代になると工業化の失敗が明白になり、膨大な借金を背負うことになる。1982年以降、ほとんどのラテンアメリカ諸国では債務危機にみまわれた。そのため、各国とも国際通貨基金や世界銀行が求めた構造改革政策を受け入れ、債務削減や繰延べなどの対策が取られた。
また1980年代後半から90年代にかけて、南アメリカ諸国で独裁政権が崩壊し始め、1989年には、パラグアイの軍事独裁政権がクーデターに合い崩壊し、民主化が加速していった。
② パラグアイの総人口のほぼ全てが住む東部は、亜熱帯性気候で年間降雨量が多く肥沃な土地があることから農牧畜業や林業などに適している。またパラグアイの農村地域では、農牧畜業などの第一次産業には労働人口の53.12%が従事し、第二次産業には14.46%、第三次産業には32.38%が従事している。このことからも、農村地域では農牧畜産業が盛んである。
また農村地域に居住するパラグアイ人は、グアラニー族の混血文化の持つ文化的また地理的な側面から閉鎖的な特徴があり、それは戦争による成人男性の激減が影響を与えた、家父長主義的な関係の中で、グアラニー語のみを話し質素な生計を立てるコミュニティ固有のアイデンティティがみられる。
また三国同盟戦争によりパラグアイ人成人男性の9割近くが戦死し男女比率の極端な不均衡を招いたことが、家父長制やマチスモ、マリアニスモ思想が強く影響したパラグアイ農村地域のジェンダー規範を形成し、男女間のジェンダー格差を拡大してきたとされる。
③ 1963年に制定された農地法には、「一家族が経済的に過不足なく平穏に生活したいとするパラグアイ人の観念のなかにある「ボリアフ・ルバタ」(mboriajhú rybatá)の理想に適応するサイズとして」20~100ヘクタール規模の農地の分配が想定されていた。しかし、市場経済の影響を受けた輸出換金作物として大豆や綿花の増産が始まったことで、結果として、1970年代から特に大豆栽培が盛んな東部と南部では土地所有の不均衡が増大した。その影響は農牧センサス(2008年)に表れており、20ヘクタール未満の土地しか持たない小農が、全農家件数の約8割を占めるという、不平等な土地配分が目立つ現状となっている。つまり、少数の大規模土地所有者が多くの土地を所有し、元々あったジャングルを伐採して、ダイズ栽培や牛の牧畜業を行っている。森林伐採とそれに伴う動植物の減少は危惧され続けてきたが、依然としてこれまでの産業構造は維持されている。
④
⑤
キーワード
① 大豆栽培 ② マチスモ ③ マリアニスモ ④ 第1次産業 ⑤ 構造改革政策
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料および各自でとったノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また授業中、理解が難しかった説明や用語は、適宜、ノートにメモしておくことが重要である。理解できなかった説明や用語を質問シートに記入すると、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、開発や環境保全、自然環境、文化などが相互に関わり合う事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名や企業名などから、興味・関心がある事柄や分からない用語を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
9
アフリカのビクトリア湖でみられる外来種と貧困の関係
科目の中での位置付け
本科目は、マクロな視点から人と自然の関わり合いを理解するだけでなく、事例に即して開発と環境を巡る成功と失敗の混在について理解することを目的としている。また当事者の視点から、環境問題を考察できるようになることを到達目標としている。そのため、本科目における各講義の位置付けを次の通りとする。
一回から七回目までは、人はどのように自然環境に関わりながら暮らしてきたのか、文化人類学の中でも文化生態学と呼ばれる視点から開発行為を論じていく。その作業を通じて、人々の生活文化の中に宿る「自然を守る知恵」や、開発行為と自然環境が与えた文化への影響について考える。
八回から十三回は、森林伐採や外来種の増加などの事例から、近年、開発途上国が直面した開発にスポットを当てる。自然環境が失われることや、「開発」という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討する。
十四回から十五回までは、先進国から開発途上国にもたらされた開発行為の中で、環境保全ないし環境改善に関する活動を取り上げる。そこでは、企業が提供する水質改善技術や再生可能エネルギーなどが、開発途上国に与えた影響について検討する。これにより、文化人類学的な視点から、自然環境と開発行為、またそれらが地域の文化に与えた影響を考える。
本コマ(第九回)では、アフリカを事例に外来種と貧困のつながりを理解する。
(1)秋本徹「ビクトリア湖岸の水産業」『アフリカレポート』、アジア経済研究所、1994年。
(2)農林水産省「第Ⅲ章 タンザニア連合共和国」、2015年 2020年11月9日閲覧https://www.maff.go.jp/j/budget/yosan_kansi/h27itaku_seika_butu/attach/pdf/h27itaku_seika_ippan-231.pdf
(3)長崎大学「ビクトリア湖における包括的な生態系及び水環境研究開発プロジェクト」、2014年 2020年11月9日閲覧 http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/about/info/news/news1437_2
(4)朝日新聞デジタル「ビクトリア湖で船が転覆、31人死亡定員超えて乗船か」、2018年 2020年11月9日閲覧https://www.asahi.com/articles/ASLCV20P9LCVUHBI005.html
(5)『ダーウィンの悪魔』DVD、フーベルト・ザウバー監督、105分+32分、フランス・オーストリア・ベルギー映画、2006年。
(6)「『ダーウィンの悪魔』の背景」、フーベルト・ザウバー監督、105分+32分、フランス・オーストリア・ベルギー映画、2006年。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『アフリカレポート』、教材(2)「第Ⅲ章 タンザニア連合共和国」、教材(3)「ビクトリア湖における包括的な生態系及び水環境研究開発プロジェクト」、オリジナル配布資料「グローバル化と生物多様性」
主題細目② 教材(3)「ビクトリア湖における包括的な生態系及び水環境研究開発プロジェクト」、教材(4)ビクトリア湖で船が転覆、31人死亡定員超えて乗船か」、オリジナル配布資料「グローバル化と生物多様性」
主題細目③ 教材(5)『ダーウィンの悪魔』、教材(6)「『ダーウィンの悪魔』の背景」、オリジナル配布資料「グローバル化と生物多様性」
コマ主題細目
① ビクトリア湖の外来魚 ② 漁業資源 ③ 外来種と貧困 ④ ⑤
細目レベル
① ビクトリア湖に生息する淡水魚の乱獲によって漁獲量が激減したため、外来魚としてナイルパーチが放流された。ビクトリア湖には、在来種として沿岸の藻類などを食べる草食性の魚が生息しており、藻類を食べることで湖が酸欠状態になるのを防ぐ機能を果たしていた。しかし、2メートルにもなる巨大な肉食性であるナイルパーチが増えて、この草食性の魚を食い荒らしたため、湖は酸欠状態に陥り、湖の生態系は壊滅的な状態になった。一方、ナイルパーチはスズキに似た白身の魚で、お弁当の白身魚として日本にも多くが輸出され、多くの利益を生み出した。このナイルパーチは、湖の生態系に影響を与えた一方で、人々のあらたな食糧・経済資源となったことを理解する。
② またナイルパーチ産業の隆盛に伴って雇用が生まれたが、結果として相対的貧困を生み出したことを理解する。ビデオでは、ナイルパーチの加工産業と輸出はお金になることから、ナイルパーチに群がる資本家と外国人、そのお金を持った人々に近づく売春婦、またこれまで在来漁を獲って生活してきた地元の漁師はビクトリア湖の生態系が崩れて在来種の漁獲がなくなり貧困状態となった。さらに、元農民が稼ぎを求めてビクトリア湖に集まるがなかなか仕事に就くことができない。加えて、アフリカのサハラ砂漠以南に蔓延するエイズが絡まり合い、非常に混沌とした悲惨な状況を生み出していく。ナイルパーチという外来魚が、それまでの生活を良い意味でも悪い意味でも一変させ、結果的には貧困を生み出すこととなった。
③ ①と②に関する資料映像を批判的に考察しながら、外来種と貧困問題のリンケージを議論する。外来魚に関わらず、外来の動植物や病原体などにより、それまで在来種により安定を保っていた環境が一変することは散見される。しかし、今回のビデオでは、資源豊富な開発途上国の人々が先進国の人々に搾取されるというグローバル化の問題点と経済構造などを明らかにしている。
グループに分かれて、グローバル化した経済構造の光と影を整理しつつ、地域の文脈をよく理解してグループ毎に議論する。課題として、ビクトリア湖周辺に住む地元住民たちは、外来種を導入した時点で今回の結末は予想できなかったのか、外来種を導入しても貧困状態に陥らないという結果にはならなかったのか、またどの様な選択をどのタイミングですると良かったのかなど、議論を展開してもらいたい。
④
⑤
キーワード
① 国際湖沼 ② アオコ ③ 外資 ④ ダーウィンの悪夢 ⑤ ナイルパーチ
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料および各自でとったノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また授業中、理解が難しかった説明や用語は、適宜、ノートにメモしておくことが重要である。理解できなかった説明や用語を質問シートに記入すると、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、開発や環境保全、自然環境、文化などが相互に関わり合う事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名や企業名などから、興味・関心がある事柄や分からない用語を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
10
自然環境の保全などに関わる実務者の講話(JICA中部なごや地球ひろば訪問)
科目の中での位置付け
本科目は、マクロな視点から人と自然の関わり合いを理解するだけでなく、事例に即して開発と環境を巡る成功と失敗の混在について理解することを目的としている。また当事者の視点から、環境問題を考察できるようになることを到達目標としている。そのため、本科目における各講義の位置付けを次の通りとする。
一回から七回目までは、人はどのように自然環境に関わりながら暮らしてきたのか、文化人類学の中でも文化生態学と呼ばれる視点から開発行為を論じていく。その作業を通じて、人々の生活文化の中に宿る「自然を守る知恵」や、開発行為と自然環境が与えた文化への影響について考える。
八回から十三回は、森林伐採や外来種の増加などの事例から、近年、開発途上国が直面した開発にスポットを当てる。自然環境が失われることや、「開発」という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討する。
十四回から十五回までは、先進国から開発途上国にもたらされた開発行為の中で、環境保全ないし環境改善に関する活動を取り上げる。そこでは、企業が提供する水質改善技術や再生可能エネルギーなどが、開発途上国に与えた影響について検討する。これにより、文化人類学的な視点から、自然環境と開発行為、またそれらが地域の文化に与えた影響を考える。
本コマ(第十回)では、JICA中部なごや地球ひろばを訪問し、自然環境の改善などを実践する実務者から話を聞くことに加え、ソーシャルビジネスの製品をまじかでみて理解を深める。
訪問先が作成した配布資料を用意する。細目レベルで言及した指導レベルに合わせ、視覚的な説明も加えつつ、配布資料を準備し授業前に配布する。授業後は復習のため資料となるので、なくさないように気をつけること。
コマ主題細目
① 学外授業の意図 ② 実践者からの生の知見 ③ 海外で活動する日系企業 ④ ⑤
細目レベル
① 第5回から第9回の授業にかけて、森林破壊や地球温暖化、湖の生態系の破壊、動植物の減少による自然環境の劣化など、自然環境が失われることや開発という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討してきた。そこで、国際協力機構(JICA)中部のなごや地球ひろばを訪問し、開発行為により悪化した自然環境の改善を目指し活動する人々から、環境保全や環境教育などの活動内容や活動を継続される工夫などのお話を聞き、学びを深める。また現場のリアルな声から経験に裏打ちされた知識を吸収するだけでなく、日本の国際協力活動を担う国際協力機構は、国内外においてどの様な環境保全活動を行っているのかなどについて、理解を深める。
② 実際に、JICAなごや地球ひろばに自然環境分野で活動した方々に来てもらい、受講生の前で活動の概要や環境改善の仕事に取り組む熱意、極意、工夫などを語ってもらう。長年に渡り、海外で活動してきた人々から話を聞けるので、授業で得られる座学中心の知識に加えて、実際に現場での苦労や困難、撤退時の判断など業務を遂行する上で、なかなか聞けない話を聞くことができ、受講生にとっては社会人が仕事に取り組む際の大変さや面白さを体感することができる。
また前期の国際協力論や本科目でも言及したが、地域の文化や歴史、経済、宗教、伝統、規範など活動地毎に異なる環境で業務を行う際は、現地の文脈に合わせて活動を柔軟に対応させてることも重要であることを学ぶ。
③ なごや地球ひろばでは、展示コーナーが十分に設けられ、体験型の展示もある。そこには、海外の多様な民族の衣装や生活習慣を知ることのできる展示もあり、手に取って触れながら伝統工芸品などの知識と知恵が集結させた工芸品を、目の前でみることができる。そのため、今回のなごや地球ひろば訪問を通して、そこで取り扱われる工芸品や食品などは、①どの様な社会的背景や自然環境の下、長い年月をかけて生み出されてきたのか、また②限られた資源の中、どの様に現地の人々の生活を豊かにしたのか、③現地の人々の知恵がどの様に活かされた高原品であるのか、④地球ひろばで販売された場合の販売利益は、現地の人々にどの様に還元されるのかなどに注目し、考えてを巡らせてもらいたい。
④
⑤
キーワード
① 環境と開発のバランス ② 展示 ③ 環境保全 ④ 実務者 ⑤ 気候変動
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料および各自でとったノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また授業中、理解が難しかった説明や用語は、適宜、ノートにメモしておくことが重要である。理解できなかった説明や用語を質問シートに記入すると、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、開発や環境保全、自然環境、文化などが相互に関わり合う事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名や企業名などから、興味・関心がある事柄や分からない用語を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
11
自然環境の保全などに関わる実務者の講話(JICA中部なごや地球ひろば訪問)
科目の中での位置付け
本科目は、マクロな視点から人と自然の関わり合いを理解するだけでなく、事例に即して開発と環境を巡る成功と失敗の混在について理解することを目的としている。また当事者の視点から、環境問題を考察できるようになることを到達目標としている。そのため、本科目における各講義の位置付けを次の通りとする。
一回から七回目までは、人はどのように自然環境に関わりながら暮らしてきたのか、文化人類学の中でも文化生態学と呼ばれる視点から開発行為を論じていく。その作業を通じて、人々の生活文化の中に宿る「自然を守る知恵」や、開発行為と自然環境が与えた文化への影響について考える。
八回から十三回は、森林伐採や外来種の増加などの事例から、近年、開発途上国が直面した開発にスポットを当てる。自然環境が失われることや、「開発」という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討する。
十四回から十五回までは、先進国から開発途上国にもたらされた開発行為の中で、環境保全ないし環境改善に関する活動を取り上げる。そこでは、企業が提供する水質改善技術や再生可能エネルギーなどが、開発途上国に与えた影響について検討する。これにより、文化人類学的な視点から、自然環境と開発行為、またそれらが地域の文化に与えた影響を考える。
本コマ(第十一回)では、JICA中部なごや地球ひろばを訪問し、自然環境の改善などを実践する実務者から話を聞くことに加え、ソーシャルビジネスの製品をまじかでみて理解を深める。
訪問先が作成した配布資料を用意する。細目レベルで言及した指導レベルに合わせ、視覚的な説明も加えつつ、配布資料を準備し授業前に配布する。授業後は復習のため資料となるので、なくさないように気をつけること。
コマ主題細目
① 学外授業の意図 ② 実践者からの生の知見 ③ 海外で活動する日系企業 ④ ⑤
細目レベル
① 第5回から第9回の授業にかけて、森林破壊や地球温暖化、湖の生態系の破壊、動植物の減少による自然環境の劣化など、自然環境が失われることや開発という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討してきた。そこで、国際協力機構(JICA)中部のなごや地球ひろばを訪問し、開発行為により悪化した自然環境の改善を目指し活動する人々から、環境保全や環境教育などの活動内容や活動を継続される工夫などのお話を聞き、学びを深める。また現場のリアルな声から経験に裏打ちされた知識を吸収するだけでなく、日本の国際協力活動を担う国際協力機構は、国内外においてどの様な環境保全活動を行っているのかなどについて、理解を深める。
② 実際に、JICAなごや地球ひろばに自然環境分野で活動した方々に来てもらい、受講生の前で活動の概要や環境改善の仕事に取り組む熱意、極意、工夫などを語ってもらう。長年に渡り、海外で活動してきた人々から話を聞けるので、授業で得られる座学中心の知識に加えて、実際に現場での苦労や困難、撤退時の判断など業務を遂行する上で、なかなか聞けない話を聞くことができ、受講生にとっては社会人が仕事に取り組む際の大変さや面白さを体感することができる。
また前期の国際協力論や本科目でも言及したが、地域の文化や歴史、経済、宗教、伝統、規範など活動地毎に異なる環境で業務を行う際は、現地の文脈に合わせて活動を柔軟に対応させてることも重要であることを学ぶ。
③ なごや地球ひろばでは、展示コーナーが十分に設けられ、体験型の展示もある。そこには、海外の多様な民族の衣装や生活習慣を知ることのできる展示もあり、手に取って触れながら伝統工芸品などの知識と知恵が集結させた工芸品を、目の前でみることができる。そのため、今回のなごや地球ひろば訪問を通して、そこで取り扱われる工芸品や食品などは、①どの様な社会的背景や自然環境の下、長い年月をかけて生み出されてきたのか、また②限られた資源の中、どの様に現地の人々の生活を豊かにしたのか、③現地の人々の知恵がどの様に活かされた高原品であるのか、④地球ひろばで販売された場合の販売利益は、現地の人々にどの様に還元されるのかなどに注目し、考えてを巡らせてもらいたい。
④
⑤
キーワード
① 環境と開発のバランス ② 展示 ③ 環境保全 ④ 実務者 ⑤ 気候変動
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料および各自でとったノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また授業中、理解が難しかった説明や用語は、適宜、ノートにメモしておくことが重要である。理解できなかった説明や用語を質問シートに記入すると、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、開発や環境保全、自然環境、文化などが相互に関わり合う事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名や企業名などから、興味・関心がある事柄や分からない用語を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
12
どうしたら環境問題を解決できるのか➀
科目の中での位置付け
本科目は、マクロな視点から人と自然の関わり合いを理解するだけでなく、事例に即して開発と環境を巡る成功と失敗の混在について理解することを目的としている。また当事者の視点から、環境問題を考察できるようになることを到達目標としている。そのため、本科目における各講義の位置付けを次の通りとする。
一回から七回目までは、人はどのように自然環境に関わりながら暮らしてきたのか、文化人類学の中でも文化生態学と呼ばれる視点から開発行為を論じていく。その作業を通じて、人々の生活文化の中に宿る「自然を守る知恵」や、開発行為と自然環境が与えた文化への影響について考える。
八回から十三回は、森林伐採や外来種の増加などの事例から、近年、開発途上国が直面した開発にスポットを当てる。自然環境が失われることや、「開発」という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討する。
十四回から十五回までは、先進国から開発途上国にもたらされた開発行為の中で、環境保全ないし環境改善に関する活動を取り上げる。そこでは、企業が提供する水質改善技術や再生可能エネルギーなどが、開発途上国に与えた影響について検討する。これにより、文化人類学的な視点から、自然環境と開発行為、またそれらが地域の文化に与えた影響を考える。
本コマ(第十二回)では、各地で展開されてきた環境問題克服の実践事例を通して、環境問題の構造と解決へのプロセスを包括的に理解する。
(1)日本環境学会有志編著『次世代とつくる自然共生・資源循環 社会~21の実践~』、大学教育出版、2026年。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『次世代とつくる自然共生・資源循環 社会~21の実践~』、オリジナル配布資料「自然共生と資源循環に着目しつつ、社会・経済的また文化的背景から、環境問題を考える」
主題細目② 教材(1)『次世代とつくる自然共生・資源循環 社会~21の実践~』、オリジナル配布資料「自然共生と資源循環に着目しつつ、社会・経済的また文化的背景から、環境問題を考える」
主題細目③ 教材(1)『次世代とつくる自然共生・資源循環 社会~21の実践~』、オリジナル配布資料「自然共生と資源循環に着目しつつ、社会・経済的また文化的背景から、環境問題を考える」
コマ主題細目
① 環境問題解決に取り組んだ事例の理解と共有 ② グループによる発表の実践 ③ 全体共有と討議による理解の深化
細目レベル
① 本授業の導入部では、『次世代とつくる自然共生・資源循環社会~21の実践~』を教材に、国内外において展開されてきた環境問題の克服に向けた具体的実践事例を読み解く。本書は、資源循環型社会の構築、自然再生、地域主体の環境保全活動、再生可能エネルギー導入、企業・自治体・市民の協働など、多様な取り組みを紹介している。
学生は事前に担当事例を読み、自らの言葉で要約したレジュメを作成する。その際、どのような環境問題が存在したのか、問題の背景にある社会的・経済的構造は何か、どのような主体が関わったのか、どのようにして困難を乗り越えたのか、何が転換点となったのかなどを整理する。これにより、環境問題を単なる危機として捉えるのではなく、解決を見据えたプロセスならびに実践活動を通して、環境問題の解決に欠かせないポイントを理解する。
② 授業の中盤では、学生を4~5名のグループに分け、それぞれが作成したレジュメを持ち寄って、本書の内容を発表する。各グループには、異なる章やテーマ(資源循環型都市づくり、里山再生、再生可能エネルギーの地域導入、企業による環境配慮型経営、市民参加型環境政策など)を割り振り、発表を通して書籍の多層的な構造を把握させる。
発表では内容理解に加えて、自分たちの言葉でまとめる力、根拠を持った説明を行う力、視覚資料を用いた表現の工夫なども求める。教員はプレゼン技法についても指導し、発表の構成や役割分担、伝わりやすさを重視する。グループ発表後は、全体で意見を統合し、環境問題と私たちの身近な活動がどのように結びついているのかを議論する。
③ 発表後は、各グループの内容を全体で共有し、補足・比較・関連づけを通じて議論を行う。異なる視点からの報告を通じて、なぜこの事例は成功したのか、地域性はどのように影響したのか、市民・企業・行政の役割分担はどうだったのか、他地域に応用する際の課題は何かなどを中心に検討する。これにより、環境問題は単一の技術的課題ではなく、社会構造や価値観の転換を伴う複合的課題であることを理解する。
ディスカッションでは、学生からの質問や意見交換を促し、発表内容の相互批判的検討を行うことで、多様な観点からの理解を深める。また、次回の授業で行う「解決策の提案」へとつなげるため、どのような問いを持ち帰るべきかを提示し、個人の関心と問題意識を育てる。この授業は、次回の解決策検討に向けた土台作りとして位置付けられる。
キーワード
① 自然共生社会 ② 資源循環 ③ 地域主体 ④ 協働ガバナンス ⑤ 社会的イノベーション
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料および各自でとったノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また授業中、理解が難しかった説明や用語は、適宜、ノートにメモしておくことが重要である。理解できなかった説明や用語を質問シートに記入すると、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、開発や環境保全、自然環境、文化などが相互に関わり合う事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名や企業名などから、興味・関心がある事柄や分からない用語を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
『次世代とつくる自然共生・資源循環 社会~21の実践~』を通読し、必ずレジュメ(A4 1枚)を作成しておく。
13
どうしたら環境問題を解決できるのか②
科目の中での位置付け
本科目は、マクロな視点から人と自然の関わり合いを理解するだけでなく、事例に即して開発と環境を巡る成功と失敗の混在について理解することを目的としている。また当事者の視点から、環境問題を考察できるようになることを到達目標としている。そのため、本科目における各講義の位置付けを次の通りとする。
一回から七回目までは、人はどのように自然環境に関わりながら暮らしてきたのか、文化人類学の中でも文化生態学と呼ばれる視点から開発行為を論じていく。その作業を通じて、人々の生活文化の中に宿る「自然を守る知恵」や、開発行為と自然環境が与えた文化への影響について考える。
八回から十三回は、森林伐採や外来種の増加などの事例から、近年、開発途上国が直面した開発にスポットを当てる。自然環境が失われることや、「開発」という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討する。
十四回から十五回までは、先進国から開発途上国にもたらされた開発行為の中で、環境保全ないし環境改善に関する活動を取り上げる。そこでは、企業が提供する水質改善技術や再生可能エネルギーなどが、開発途上国に与えた影響について検討する。これにより、文化人類学的な視点から、自然環境と開発行為、またそれらが地域の文化に与えた影響を考える。
本コマ(第十三回)では、環境問題解決事例を踏まえ、地域特性を考慮した持続可能な社会構築の提案を行う。
(1)日本環境学会有志編著『次世代とつくる自然共生・資源循環 社会~21の実践~』、大学教育出版、2026年。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『次世代とつくる自然共生・資源循環 社会~21の実践~』、オリジナル配布資料「自然共生と資源循環に着目しつつ、社会・経済的また文化的背景から、環境問題を考える」
主題細目② 教材(1)『次世代とつくる自然共生・資源循環 社会~21の実践~』、オリジナル配布資料「自然共生と資源循環に着目しつつ、社会・経済的また文化的背景から、環境問題を考える」
主題細目③ 教材(1)『次世代とつくる自然共生・資源循環 社会~21の実践~』、オリジナル配布資料「自然共生と資源循環に着目しつつ、社会・経済的また文化的背景から、環境問題を考える」
コマ主題細目
① 地域別調査による課題分析の準備 ② 持続可能な解決策の検討と提案の準備 ③ プレゼンテーションと議論を通じた新たな解決策の検討
細目レベル
① 本授業では、前回の理解を踏まえ、実際に環境課題に直面している国や地域を具体的に取り上げ(国内外を問わず)、それぞれの立場からの課題を詳細に分析する。授業前に、学生は割り当てられた地域(資源循環型都市を目指す自治体、里山再生に取り組む地域、再生可能エネルギーを導入する地方都市、環境配慮型経営を進める地域社会など)について、自然環境の特性、産業構造、経済背景、社会制度を調査しておく。地域が抱える環境問題の現状や既存の取り組み、制度的・社会的制約を把握することで、単なる理想論に終わらない現実的な提案を生み出す。自然環境だけでなく、地域社会や多様な主体との関係性にも目を向けた「共生的」視点を持つことが重要である。
② グループワークでは、各地域が抱える環境課題に対して、現実的かつ持続可能な解決策を提案する。学生は事前調査を踏まえ、その地域の自然的条件、産業や資源利用の構造、経済状況、社会制度を把握したうえで、地域に適した資源循環の仕組みや自然再生の方策、多主体協働の在り方などを検討する。特に、行政・企業・市民の連携、次世代の参画、経済的持続可能性など、環境保全と社会的発展の両立を意識した多角的な提案を求める。学生は書籍や論文等から情報を収集・活用し、視覚的にも説得力のある発表を目指して準備を進める。提案は地域の制約や利害関係者の視点を考慮したものとし、各グループは地域の当事者として構想を組み立てる姿勢を持つことが求められる。
③ 授業後半では、各グループが提案をプレゼンテーション形式で発表し、他グループとの比較や質疑応答を通して理解を深める。提示された提案を通して、地域ごとの環境課題の違いや共通点が明らかになり、環境問題解決の多様性と複雑性を実感することができる。議論では、持続可能性とは何か、自然と経済・社会のバランスをどのように構築するかといった抽象的な問いも扱い、学びを構造化する。他グループとの比較や討議を通じて、多様な視点と可能性を学ぶとともに、地球規模の環境課題に対して個人や地域が果たし得る役割について振り返りを行い、学習内容の定着と発展を図る。
キーワード
① 地域主体の参画 ② 自然共生型地域づくり ③ 資源循環の仕組み構築 ④ 多主体協働(行政・企業・市民) ⑤ 持続可能な社会設計
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料および各自でとったノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また授業中、理解が難しかった説明や用語は、適宜、ノートにメモしておくことが重要である。理解できなかった説明や用語を質問シートに記入すると、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、開発や環境保全、自然環境、文化などが相互に関わり合う事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名や企業名などから、興味・関心がある事柄や分からない用語を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
『次世代とつくる自然共生・資源循環 社会~21の実践~』を通読し、必ずレジュメ(A4 1枚)を作成しておく。
14
環境保全とエネルギー自給率の向上
科目の中での位置付け
本科目は、マクロな視点から人と自然の関わり合いを理解するだけでなく、事例に即して開発と環境を巡る成功と失敗の混在について理解することを目的としている。また当事者の視点から、環境問題を考察できるようになることを到達目標としている。そのため、本科目における各講義の位置付けを次の通りとする。
一回から七回目までは、人はどのように自然環境に関わりながら暮らしてきたのか、文化人類学の中でも文化生態学と呼ばれる視点から開発行為を論じていく。その作業を通じて、人々の生活文化の中に宿る「自然を守る知恵」や、開発行為と自然環境が与えた文化への影響について考える。
八回から十三回は、森林伐採や外来種の増加などの事例から、近年、開発途上国が直面した開発にスポットを当てる。自然環境が失われることや、「開発」という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討する。
十四回から十五回までは、先進国から開発途上国にもたらされた開発行為の中で、環境保全ないし環境改善に関する活動を取り上げる。そこでは、企業が提供する水質改善技術や再生可能エネルギーなどが、開発途上国に与えた影響について検討する。これにより、文化人類学的な視点から、自然環境と開発行為、またそれらが地域の文化に与えた影響を考える。
本コマ(第十四回)では、開発途上国で見られる再生可能エネルギーの導入の効果について考える。
(1)外務省「パラオ共和国(Republic of Palau)基礎データ」、2020年 閲覧日2020年11月29日https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/palau/data.html
(2)日本財団「パラオ共和国におけるエコツーリズム促進と観光振興予備調査」、2015年。
(3)UN University “Plastic to Oil Fantastic” 映像、2010年 閲覧日2021年2月23日https://ourworld.unu.edu/en/plastic-to-oil-fantastic
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)「パラオ共和国(Republic of Palau)基礎データ」、オリジナル配布資料「パラオが直面する環境問題と文化」
主題細目② 教材(2)「パラオ共和国におけるエコツーリズム促進と観光振興予備調査」、オリジナル配布資料「パラオが直面する環境問題と文化」
主題細目③ 教材(3)“Plastic to Oil Fantastic”、 オリジナル配布資料「パラオが直面する環境問題と文化」
コマ主題細目
① パラオ共和国とは ② パラオが抱える社会問題 ③ 日本企業の取り組み ④ ⑤
細目レベル
① パラオ共和国は386の島(有人島は9島)で構成されており、面積は屋久島とほぼ同じ488平方キロメートルの大きさで、パラオ語と英語が公用語である。また人口は約 20,000 人弱で推移している。2006年には、コロールからマルキョクに遷都したが、人口の約7割は旧首都のコロール州に居住してる。近年、外国人労働者数や観光客数が増加している。主な産業は観光業であり、GDPの50%は観光業の関連産業が占める。島嶼14カ国を訪れる日本人観光客(2015年は約48,000人)の内、2/3はパラオを訪れるとされている。
日本との関係は深く、第二次世界大戦終了まで、30年近く日本が統治をした。当時の最大都市コロールには、ミクロネシア諸国を統治する南洋庁が置かれ多くの日本人が居住していた。
② パラオでは環境問題が顕在化している。その背景として、主に観光産業の急激な伸びに伴う、観光開発と観光客の増加により、ごみが大量に排出されるようになった。①ごみとなる廃棄物の増加と適切な処理が課題になっているが、増え続ける廃棄物に現状は全く対応し切れていない。また、コロール州の7割の地域では下水道が整備されているが、観光客や移民の流入により、②大量の汚泥が蓄積され下水処理能力が追いついていないことが指摘されている。さらに、化学肥料や農薬が過度に使用され、③化学物質が農地から海洋に流亡して、貴重な海洋の生態系に悪影響を与えている。他には、パラオでは、タイヤは中古が輸入されるため、すぐに使えなくなり廃タイヤが街中に山積みされている。そこに④雨水が溜まり、蚊の大量発生を招いている。⑤公共電力の少なくとも95%をディーゼル発電で賄っているため、化石燃料を輸入に頼っている。石油製品も輸入していることから、エネルギー自給率は低い。
③ 株式会社ブレストは、2001年に創業し、廃プラスチックを石油に戻す油化装置を開発・販売している。油化装置は、小型の持ち運び可能なものから大型のものまで取り扱い、石油を蒸留することも可能である。1キロの廃プラスチックが1リットルの混合油へとかわるとされる。
株式会社ブレストが、パラオやマーシャル諸島で販売事業を計画する利点として、以下の数点が考えられる。①油化装置が小型で安く使い方も簡単なので、特別な教育を必要としなくても使用可能、②廃棄物最終処分場で処理される廃プラスチックの量を削減、③観光業を基幹産業としていることから、廃プラスチックを減らすことは海辺の観光資源を魅力的にみせることにつながる、④島国という地理的条件から輸入に頼ってきたが、油化装置を有効利用することで、国内で石油を再利用することができ石油製品を含むエネルギー自給率が向上することなどが考えられる。
④
⑤
キーワード
① 南洋庁 ② パラオ ③ 廃プラスチック ④ 油化装置 ⑤ エネルギー自給率
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料および各自でとったノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また授業中、理解が難しかった説明や用語は、適宜、ノートにメモしておくことが重要である。理解できなかった説明や用語を質問シートに記入すると、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、開発や環境保全、自然環境、文化などが相互に関わり合う事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名や企業名などから、興味・関心がある事柄や分からない用語を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
15
アフリカの水不足と水質改善
科目の中での位置付け
本科目は、マクロな視点から人と自然の関わり合いを理解するだけでなく、事例に即して開発と環境を巡る成功と失敗の混在について理解することを目的としている。また当事者の視点から、環境問題を考察できるようになることを到達目標としている。そのため、本科目における各講義の位置付けを次の通りとする。
一回から七回目までは、人はどのように自然環境に関わりながら暮らしてきたのか、文化人類学の中でも文化生態学と呼ばれる視点から開発行為を論じていく。その作業を通じて、人々の生活文化の中に宿る「自然を守る知恵」や、開発行為と自然環境が与えた文化への影響について考える。
八回から十三回は、森林伐採や外来種の増加などの事例から、近年、開発途上国が直面した開発にスポットを当てる。自然環境が失われることや、「開発」という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討する。
十四回から十五回までは、先進国から開発途上国にもたらされた開発行為の中で、環境保全ないし環境改善に関する活動を取り上げる。そこでは、企業が提供する水質改善技術や再生可能エネルギーなどが、開発途上国に与えた影響について検討する。これにより、文化人類学的な視点から、自然環境と開発行為、またそれらが地域の文化に与えた影響を考える。
本コマ(第十一回)では、セネガルで行われているYAMAHAの水質改善技術から、社会貢献に寄与するビジネスモデルが成立しうるのかについて考える。
(1)ユニセフ「ユニセフの主な活動分野 水と衛生」2021年2月23日閲覧https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_act01_03.html
(2)TBS News「対話で紡ぐ世界の未来」2020年12月12日閲覧https://sdgs.tv/goal6/42.html
(3)ヤマハ発動機「Vol.1 アフリカの水を変えたい。暮らしを変えたい。」映像、2021年2月23日閲覧 https://global.yamaha-motor.com/jp/stories/movingyou/001/
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)「ユニセフの主な活動分野 水と衛生」、教材(2)「対話で紡ぐ世界の未来」、オリジナル配布資料「水を巡るアフリカの現状と開発」
主題細目② 教材(1)「ユニセフの主な活動分野 水と衛生」、教材(2)「対話で紡ぐ世界の未来」、オリジナル配布資料「水を巡るアフリカの現状と開発」
主題細目③ 教材(3)「Vol.1 アフリカの水を変えたい。暮らしを変えたい。」、 オリジナル配布資料「水を巡るアフリカの現状と開発」
コマ主題細目
① 水を巡る世界の現状 ② アフリカの水問題 ③ 民間企業による問題解決 ④ ⑤
細目レベル
① 2019年時点、世界の人口は77億人で、2030年には85億となり、2050年には97億人に急増することが予想されている(国連)。地域毎の人口増加率の差は顕著であり、2050年までにサハラ以南アフリカは約2倍となり、オセアニア(オーストラリアとニュージーランドを除く)は約1.5倍となることが予想されている。これと比例して、人口増加は水の使用量の増加につながることが考えられる。
水問題の弊害は、世界中でみられる。約70億人の世界の人口の内、21億人が安全な水を確保できず、さらに8億4,400万人は安全な飲み水が確保できていない(2017年時点)。また毎日4,000人の子どもが、下痢を理由に命を落としている。さらには、世界中で水を巡る紛争が頻発している一方、気候変動により、世界各地で洪水や干ばつが多発している。
② アフリカ全土でみられる深刻な水問題について、理解を深める。まず、水を起因とする様々な問題がある。例えば、不衛生なため下痢を引き起こし、毎日800人以上の5歳未満の子どもが死に至る。また汚染された水によりコレラ、赤痢、A型肝炎、腸チフスなどの感染症を引き起こすことがある。さらに、水汲みは、子どもや大人の女性の仕事である場合が多いことから、水汲みのために学校に行くことができない。1日8時間も水汲みに時間を使う子どももいるとされる。
他方、制度・政策面の不備からも問題を引き起こしている。例えば、アフリカ各国政府は、GDPの0.5%未満しか水と衛生分野に配分していないことや、すでに改善した国や、農村部より都市部のシステム整備に水・衛生分野の資金の多くが配分されがちである。
③ ビデオを通して、YAMAHAの水質改善技術を紹介する。小石や砂、藻など現地で調達できるものばかりを用いて、飲み水として使用できるように整備した活動である。YAMAHAはこの水質改善技術を国内中に行き渡らせるよう交渉している。それは、常時、安全な水を確保できるようになれば乳幼児の死亡率が減ったり、また水くみに充てていた時間を勉強に使うことができるからである。
この様に社会の課題を目指した活動の一端を民間間企業が担い、企業が提供した水質改善の技術により、村々ではどのような効果が表れたのか、また水問題に関するビジネスは成り立つのかについてグループに分かれて議論をする。公共益となる企業の取り組みをどの様に受け止めているかについて、各グループで意見や水問題の具体的解決策をまとめ、発表する。
④
⑤
キーワード
① 水問題 ② アフリカ ③ 水質改善 ④ ソーシャルビジネス ⑤ 内戦
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料および各自でとったノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また授業中、理解が難しかった説明や用語は、適宜、ノートにメモしておくことが重要である。
今回の授業が本科目の最終回である。そのため、理解できなかった説明や用語は基本的には各自で調べることになる。しかし、研究室に質問に来てくれれば詳細に説明することが可能であるため、必要に応じて研究室を訪問してもらいたい。できれば、事前に担当教員にメールで連絡を取り、所定の日時に在室していることを確認した上で、訪問してもらうとありがたい。またテストに向け、これまで配布した資料や各自のノートを振り返り、気になった単語や話題を各自で調べておくとよい。
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
専門用語の整理
授業で説明した専門用語について、意味や定義を整理し正確な理解ができる。例えば、狩猟・採集、ポリネシア、ミクロネシア、ポリネシア、世界自然遺産、外来種、マチスモ、マリアニスモ、アムチ、ラダック、ナイルパーチ、種の起源、アフリカ開発会議、砂漠化、黄砂、エネルギー自給率などの用語である。これらの専門用語は、非常に似通った意味で使われていることもある。よって、意味の違いや名称なども理解することが求められる。
外来種、世界自然遺産、ラダック、アフリカ開発会議、砂漠化
20
1~15
伝統的生態学知識
人はどのように自然環境に関わりながら暮らしてきたのか、文化人類学の中でも文化生態学と呼ばれる視点から開発行為を論じた。また授業では、人々の生活文化の中に宿る「自然を守る知恵」や、開発行為と自然環境が与えた文化への影響について考えてきた。事例地の自然環境を踏まえ、当該地域の文化の成り立ちを説明することができている。加えて、授業で取り上げた地域ないし民族は、具体的にどの様な文化を持っているのかについて詳細に説明できる。
文化生態学、コモンズ、里山、一妻多夫、コタン
25
1~7
開発と生活文化
森林伐採や気候変動などの事例を取り上げ、近年、開発途上国が直面した開発にスポットを当て授業を展開した。また自然環境が失われることや、「開発」という言説が途上国社会にどのような影響を与えたのかについて、各地の事例から検討してきた。そこで、開発行為に伴う自然破壊や気候変動、生態系の破壊などが、人々の生活にどのような影響を与えるのかについて、事例地の文脈から論じることができる。併せて、具体的な開発行為と地域の文脈に関して説明することができる。
生態系、大豆栽培、クジラの漁場、温暖化、ナイルパーチ
25
8~13
環境と開発の望ましい関係性
文化人類学的な視点から、自然環境と開発行為、またそれらが地域の文化に与えた影響を検討してきた。また人間は、その土地の自然に適応するという能力があったからこそ、多様な気候のもとで繁栄することができた。それらを踏まえ、自然環境の保護(保全)と開発行為のバランスが保たれ、また現地の住民の生活を発展させることを目指した、環境と開発の望ましい関係性について、環境破壊と開発に関する事例を挙げ、詳細に説明することができる。
バランス、住民の生活、発展、環境破壊、開発
10
1~15
環境保全に取り組む企業の動機
授業では、先進国から開発途上国にもたらされた開発行為の中で、環境保全ないし環境改善に関する活動を取り上げてきた。日系企業が環境保全や水質浄化、リサイクル技術、油化技術、公衆衛生などに関わる技術や知識を開発途上国において実践する動機について、事例地の文脈から論じることができる。また企業の動機には、組織を動かす以上、必ず企業には明確な理由があると思われる。授業で取り上げた企業を選択し、動機を詳細に説明することができる。
環境保全、水質浄化、リサイクル技術、油化技術、公衆衛生
20
14~15
評価方法
期末試験(100%)で評価する。
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
・日本環境学会有志編著『次世代とつくる自然共生・資源循環 社会~21の実践~』、大学教育出版、2026年。1,760円(税込)
参考文献
・宮内泰介編『どうすれば環境保全はうまくいくのか:現場から考える「順応的ガバナンス」の進め方』、新泉社、2017年。・井村秀文・松岡俊二・下村恭民編著『環境と開発』(シリーズ国際開発第 2 巻)、日本評価社、2004年。・高倉浩樹編『寒冷アジアの文化生態史』、古今書院、2018年。・岸上伸啓編著『開発と先住民』、明石書店、2009年。・藤田昇・加藤聡史・草野栄一・幸田良介編著『モンゴル:草原生態系ネットワークの崩壊と再生』、京都大学学術出版会、2013年。・M.R.オコトナー『絶滅できない動物たち:自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ』、ダイヤモンド社、2018年。
実験・実習・教材費
なし