区分
(環)環境データサイエンス科目 社会環境科目 社会環境基本科目 (生)環境データサイエンス科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門性
理解力
実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
専門知識
教養知識
思考力
実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
多様化する環境問題や地域社会の諸問題に関心を持ち、環境・情報・社会に関連する幅広い基礎知識と専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。グローバルな視野と研究調査力を持ち、昨今の情報社会に貢献できる力を有する。企業・地域社会などのあらゆるコミュニティに寄与する組織的な活動能力を有する。
科目の目的
本科目は、国際協力の史的発展をグローバルな視点から理解すると共に、援助の現場である地域の視点から実態に即した国際協力の姿を考えることを目的としている。またグローバル化が進み、地球温暖化や世界規模での感染症の拡大など地球規模課題が深刻さを強める昨今、国際協力という枠組みから特に開発途上国の置かれる現状を適切に認識する力を培うことも重要である。それは、国際協力が南北問題や貧困、治安問題、教育、保健衛生など開発途上国が直面する様々な問題と切っても切れない関係にあるためである。
到達目標
現在の国際協力の形態はなぜ多様化しているのか、国際開発政策の史的変遷を踏まえて説明することができる。開発人類学の視点から、裨益国の実態に即した国際協力のあり方を検討することができる。ロジカル・フレームワークを使った国際協力プロジェクトの企画・立案を行うことができる。
科目の概要
「国際協力」は、良くも悪くも政治的に利用されてきた歴史を有する。開発途上国で暮らす人々の生活を向上させたいという理念と、国際政治の間で試行錯誤を続けてきた国際協力の発展を、国際開発政策の文脈から理解する。一方で、このようなグローバルな政策に対して、実際の援助の現場では何が起こっているのか、開発人類学の視点から事例検討を行う。科目の終盤には、日本の国際協力として保健衛生分野や教育開発分野、農業開発分野における国際協力の活動事例を取り上げる。これらの事例から、日本の国際協力にみられる特徴をみつめ、開発援助政策から日本の国際協力の特徴に潜む歴史的背景を考える。また日本国内でできる国際協力を学ぶ。これにより、講義と実践を通じて現場に即した知識を養う。
科目のキーワード
①国際協力、②援助、③開発途上国、④社会開発、⑤開発人類学、⑥現場の視点
授業の展開方法
各回の講義では、Power Pointやビデオなどの映像を用いたり、ワークショップを行うことで、五感をフルに活用した講義を展開する。本科目では、ミクロな視点とマクロな視点を交差し、特に開発途上国で行われることが多い国際協力に焦点を絞り事例を検証する。そのため、貧困問題一つをとっても非常に複雑な視点からアプローチするため、各講義で取り上げるテーマの初めの取りかかりとして、まず五感をフル活用した入り方をする。その後、座学の講義を展開し、十分に理解を深めていく。また、国際開発政策の理論と実践について、科目担当教員のJICAでの実務経験をもとに具体的な事例を交えて学ぶ。特に、国際連合がどのような経済開発、社会開発、人間開発を行ってきたのか、国際社会の動向や国連の条約、多国間・二国間援助の枠組みの中から学ぶ。
オフィス・アワー
【月曜日】3時限目(前期のみ)、【水曜日】1時限目・昼休み、【金曜日】昼休み、3時限目(前期のみ)
科目コード
ENS623
学年・期
2年・前期
科目名
国際協力論
単位数
2
授業形態
講義
必修・選択
選択
学習時間
【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
三河に学ぶ
展開科目
環境と多文化共生
関連資格
なし
担当教員名
小谷博光
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
イントロダクション—「現場の視点」から考えるとは?
科目の中での位置付け
本科目では、国際協力を国際開発政策の歴史的な変遷から考察するグローバルな視点で捉える一方、開発援助が実践されているローカルな視点からも考察する。それにより、グローバルとローカルな両視点を持ち合わせ、国際協力の実態に迫る。
歴史的にみると、開発援助は超大国の覇権を示す道具として利用され、各国の思惑を反映してきた。それは、国際開発政策の変遷を振り返ると、よく理解できる。一方で、ローカルないしミクロな視点とも言える開発援助の現場からの視点には、開発の現場で日々生活する受益者を通して開発援助を考察することができる。日々、人々は食や宗教、言語、ジェンダー規律、風習などの影響を受けながら生活を営んでいる。そこで、実際の開発援助の現場では、何が起こっているのかを明らかにするため、開発人類学の視点から事例検討を行う。加えて、日本の特色を活かした国際協力や日本国内での国際協力についての知識も培う。
本コマ(第一回)は、本科目の学問領域である開発人類学の基本的なアプローチとして、「現場から考える」とは何かを理解する。
(1)ノラン・リオール「人類学を役立てる」『開発人類学: 基本と実践』、古今書院、2007年、59-80項。
(2)草野孝久編「住民の目線で考える農村開発」『農村開発と国際協力』、古今書院、2002年、165-176項。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① オリジナル配布資料「国際協力の実践とキャリアプランニング」、国際協力論のシラバス
主題細目② 教材(1)『開発人類学: 基本と実践』、第一回講義レジュメ
主題細目③ 教材(2)『農村開発と国際協力』、第一回講義レジュメ
コマ主題細目
① 仕事としての「国際協力」 ② 文化人類学(開発人類学)とは何か ③ 「現場の視点で考える」とはどういうことか ④ ⑤
細目レベル
① 「国際協力の実践とキャリアプランニング」と題した配布資料を用いて、開発途上国で行われている国際協力の現場を紹介する。担当教員は国際協力の現場経験が豊富であるため、国際協力を仕事として教員が行ってきた活動内容を概観する。その後、国際協力の現場で活動するには、どの様なキャリア構成を経る必要があるのかなど、教員の経験を基に授業を進めていく。配布資料には、写真を多く取り入れ、履修学生にとってあまり渡航経験がないと思われる開発途上国のイメージを膨らませる。加えて、ミャンマーやパラグアイ、エクアドルにおける日々の生活や現地の人々とのやり取り、渡航したことがなければ想像がつかない現地の習慣など、メディアを通して形成された開発途上国に対して抱くイメージを現実に則したものへと導く。
② 文化人類学は、伝統的には開発途上国の文化研究を行ってきた学問であり、「現場の視点」から世界の事象を考察する学問であることを理解する。その応用である開発人類学は、開発援助を受けている地域の人々の視点から国際協力を分析する学問であることを理解する。
また文化人類学ならびに開発人類学は、ローカルまたミクロな視点から現地の国際協力の受益者や関係者などに対して調査を行う。その際、主にインタビューなどを用いる質的調査法を採用し調査が行われる。質的調査法は、前期講義「社会調査法Ⅰ」で取り上げている。文化人類学や開発人類学などの数字では表しきれない事象を調査したいと考えている学生は、社会調査法Ⅰも併せて履修するとよい。
③ 現場の視点で考えるとはどういうことか。この問いについて、まず履修学生が抱いている意見を聞きつつ、現場の視点について説明を加える。すでに文化人類学や開発人類学の話を出し、現場の視点から事例を分析することについて説明した。
次に、今まで「現場」と言いつつも現場に住んでいない我々の立場から、現場の視点を考えたい。国際協力の現場という文脈から考えると、そこにおいて開発援助の受益者もしくは関係者でなければ、ほぼ現場に居住していない。ましてや我々日本人からすると、現場の視点は全くの異文化との遭遇であるとも言える。言葉や肌の色、食事、風習、家族観、宗教観、物品への価値観なども異なると考えた方がよいだろう。その様に、一見すると我々日本人と共通点を見つけることが難しいであろう現場に住む人々の視点を、我々が共有することは容易ではない。しかし、現場の視点を共有することができなければ、開発援助の現場で日々生活する人々のニーズや困っていることなど、彼ら彼女らが心から求めていることが理解できない。その点においても、現場の視点とは非常に重要であることを理解する。
④
⑤
キーワード
① 共同と協働 ② 現場からの視点 ③ 多様性 ④ 開発人類学 ⑤ 価値観
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料およびノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また国際協力論では、国際政治や国際経済、気候変動、国際法などの話をすることも多い。これは国際協力に与える影響が非常に大きいからであるが、授業では専門用語を使う場合もある。授業内の説明では、予習をしていないと十分理解できないこともあるかも知れない。そこで、授業中、理解が難しかった説明や用語をノートにメモしておくことが重要である。質問シートに理解できなかった説明や用語を書くと、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、国際開発政策ならびに様々な国際協力の事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名から、その国の主要産業や貧困、就学率について調べたり、世界地図で位置を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
2
国際協力とは何か
科目の中での位置付け
本科目では、国際協力を国際開発政策の歴史的な変遷から考察するグローバルな視点で捉える一方、開発援助が実践されているローカルな視点からも考察する。それにより、グローバルとローカルな両視点を持ち合わせ、国際協力の実態に迫る。
歴史的にみると、開発援助は超大国の覇権を示す道具として利用され、各国の思惑を反映してきた。それは、国際開発政策の変遷を振り返ると、よく理解できる。一方で、ローカルないしミクロな視点とも言える開発援助の現場からの視点には、開発の現場で日々生活する受益者を通して開発援助を考察することができる。日々、人々は食や宗教、言語、ジェンダー規律、風習などの影響を受けながら生活を営んでいる。そこで、実際の開発援助の現場では、何が起こっているのかを明らかにするため、開発人類学の視点から事例検討を行う。加えて、日本の特色を活かした国際協力や日本国内での国際協力についての知識も培う。
本コマ(第二回)は、先進国と開発途上国の定義を理解する。
(1)『ブラッド・ダイヤモンド(Blood Diamond)』DVD、E・ズウイツク監督、143分、アメリカ映画、2006年。
(2)大野泉ほか編「紛争鉱物」「紛争の要因」『国際協力用語集【第4版】』、国際開発ジャーナル社、2014年、260-261項。
(3)下村恭民・辻一人・稲田十一・深川由紀子「国際協力ということ」『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、有斐閣選書、2016年、3-22項。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『ブラッド・ダイヤモンド(Blood Diamond)』、オリジナル配布資料「映画「ブラッド・ダイヤモンド(Blood Diamond)」から読み取れること」
主題細目② 教材(2)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、第二回講義レジュメ
主題細目③ 教材(3)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、第二回講義レジュメ
コマ主題細目
① アフリカの複雑性 ② 復興の国際協力 ③ 国際協力の定義 ④ ⑤
細目レベル
① 映画「ブラッド・ダイヤモンド(Blood Diamond)」の一部を鑑賞する。この映画は、1991年から2002年まで続いたシオラレオネの内戦に焦点を当てており、この紛争により約7万5000人が命を落とし、総人口450万の半数以上が難民となった。1990年代以降、アフリカ諸国の紛争件数は増加したが、シオラレオネは紛争が複雑化した代表的な事例である。その理由は、天然資源が豊かでダイヤモンドの産出が内戦を長期化また複雑化させた。この映画の一部を見せることで、アフリカ諸国が抱える天然資源の利権や貧困、経済格差、民族対立などの複雑な問題の一端を感じる。国際協力を学ぶには、政治や経済、資源、気候、民族、文化、ジェンダーなど多くの分野の基本的な理解が求められる。本コマでは、映像を通じて、アフリカの現代社会が抱える複雑性を感じることができる。
② ブラッド・ダイヤモンドを見ながら、履修学生は以下の質問にメモをしていく。
①どのような登場人物がいるか。
②内戦で争った結果、どのような惨劇をもたらしたか。
③映画で示される問題は、何によって引き起こされたか。また、それはシオラレオネ一国だけの事情か、世界経済との関わりがあるのか。
④内戦終結後、どのような国際協力が可能でしょうか。
これらの質問を頭の片隅に置きつつビデオを見終わると、5~6名のグループを形成し、各履修学生がメモした情報を共有し合う。その後、グループ毎に各質問への回答を発表する。これにより、悲惨な映像が流れる映画を履修各学生はどの様に受け止め、感じているのかを確認する。シオラレオネで起きた紛争の背景にある複雑な問題の相互関係を正確に理解することで、そこから復興するための国際協力にもイメージを湧きやすくなる。
③ 「国際協力」の定義を明確に定めたものはないが、国際貢献は時に軍事的貢献を含むのに対し、国際協力は非軍事的貢献に限定されることが多い。国連平和維持活動は、文民を守るための自衛措置として武器を使用することは許可されているが、基本的には紛争当事者間に駐屯し、停戦監視などを行う。また草の根レベルで活動する青年海外協力隊は、戦争ないし内戦状態の地域へは派遣されない。国際協力の定義については、改めて別のコマで取り上げるが、映画「ブラッド・ダイアモンド(Blood Diamond)」と関連して、紛争中は国際協力を行うことは難しく、内戦終結後から国際協力が開始されることを覚えておいてもらいたい。これは、第二次世界大戦後の国際協力が、ヨーロッパの戦後復興から始まったこととも関連している。
④
⑤
キーワード
① 内戦 ② 戦後復興 ③ 停戦監視団などの国連平和維持活動 ④ 天然資源 ⑤ シオラレオネ
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料およびノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また国際協力論では、国際政治や国際経済、気候変動、国際法などの話をすることも多い。これは国際協力に与える影響が非常に大きいからであるが、授業では専門用語を使う場合もある。授業内の説明では、予習をしていないと十分理解できないこともあるかも知れない。そこで、授業中、理解が難しかった説明や用語をノートにメモしておくことが重要である。質問シートに理解できなかった説明や用語を書くと、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、国際開発政策ならびに様々な国際協力の事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名から、その国の主要産業や貧困、就学率について調べたり、世界地図で位置を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
3
国際協力に関わる様々な団体
科目の中での位置付け
本科目では、国際協力を国際開発政策の歴史的な変遷から考察するグローバルな視点で捉える一方、開発援助が実践されているローカルな視点からも考察する。それにより、グローバルとローカルな両視点を持ち合わせ、国際協力の実態に迫る。
歴史的にみると、開発援助は超大国の覇権を示す道具として利用され、各国の思惑を反映してきた。それは、国際開発政策の変遷を振り返ると、よく理解できる。一方で、ローカルないしミクロな視点とも言える開発援助の現場からの視点には、開発の現場で日々生活する受益者を通して開発援助を考察することができる。日々、人々は食や宗教、言語、ジェンダー規律、風習などの影響を受けながら生活を営んでいる。そこで、実際の開発援助の現場では、何が起こっているのかを明らかにするため、開発人類学の視点から事例検討を行う。加えて、日本の特色を活かした国際協力や日本国内での国際協力についての知識も培う。
本コマ(第三回)は、国際協力分野の専門用語の定義を把握し、多様な団体が国際協力を行うようになった背景を理解する。
(1)下村恭民・辻一人・稲田十一・深川由紀子「国際協力ということ」『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、有斐閣選書、2016年、3-22項。
(2)佐藤寛「はじめに」『開発援助の社会学』、世界思想社、2009年、1-7項(「「助ける」という行為と開発援助」と「異文化間資源移転(贈与)としての開発援助」、「善意は善行を保証しない」の部分)。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(2)『開発援助の社会学』、オリジナル配布資料「国際協力とは何か」
主題細目② 教材(1)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(2)『開発援助の社会学』、オリジナル配布資料「国際協力とは何か」
主題細目③ 教材(1)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(2)『開発援助の社会学』、オリジナル配布資料「国際協力とは何か」
コマ主題細目
① 国際協力分野の専門用語を整理 ② 開発を巡る言葉の定義 ③ 国際協力の裾野が拡大 ④ ⑤
細目レベル
① 本コマでは、まず「国際協力」という言葉が持つ意味を理解する。開発途上国の人々が「より良いと思う状態になりたいとする努力」が、開発(Development)に結びつき、それをサポートする行為を国際協力という。
また類似する専門用語を整理する。政府開発援助(ODA: Official Development Assistance)や経済協力開発機構(OECD: Organization for Economic Co-operation and Development)、開発援助委員会(DAC: Development Assistance Commitee)、グラント・エレメント(GE: Grant Element)などである。
加えて、ODAとして認められる支援の条件について学ぶ。ODAとは、資金の出し手が政府もしくは政府関連機関であり、資金の使用目的が途上国の経済開発もしくは福祉の向上であること、途上国に有利な条件で資金が流れることを条件としている。つまり、これに該当しない開発行為を政府開発援助とは呼ばない訳であるが、これらに当たらない国際協力も多々あるため、後程、詳しく説明する。
② 次に、国際協力分野で使われる言葉の定義を細かく理解する。まず経済開発であるが、ODAを含むOECDによる開発途上国への資金・技術の流入のことを指している。
また国際協力とは、ODAや経済開発を含む行為ではあるが、非軍事的な貢献に限定されていることが特徴である。日本では、活動領域をODA、国際文化交流(人的交流・文化の紹介・文化財の保全・日本研究など)、平和のための協力に限定した。
最後に、国際貢献であるが、非軍事的貢献に加え、軍事的貢献も含んだ行為のことを指す。例えば、日本では「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」(PKO協力法)に基づき、自衛隊を海外に派遣し国連平和維持活動(PKO:Peace Keeping Operations)に従事させた。事例などと共に、上記の言葉の理解を深める。
③ 国際協力には、多様な団体が関わっていることを理解する。よく知られたJICA(国際協力機構)やUSAID(米国国際開発庁)などのドナー国政府機関、またUNESCO(国連教育科学文化機関)WHO(世界保健機関)などの国際機関、非政府組織(NGO: Non Govermental Organization)や非営利団体(NPO: Non Profitable Organization)、個人、地域住民組織などの草の根レベルでの様々な活動が展開されている。
多様な団体が関わるようになった背景として、気候変動や自然災害などグローバルな問題が頻発し始め、それと関連して人権や環境保全、難民など多様かつ解決が急がれるテーマが急増していることがある。また国際機関やドナー国政府機関では、問題に対応しきれていない現状から、多様な団体が国際協力を行うようになってきた。
④
⑤
キーワード
① ODA ② PKO協力法 ③ 草の根 ④ OECD ⑤ DAC
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料およびノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また国際協力論では、国際政治や国際経済、気候変動、国際法などの話をすることも多い。これは国際協力に与える影響が非常に大きいからであるが、授業では専門用語を使う場合もある。授業内の説明では、予習をしていないと十分理解できないこともあるかも知れない。そこで、授業中、理解が難しかった説明や用語をノートにメモしておくことが重要である。質問シートに理解できなかった説明や用語を書くと、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、国際開発政策ならびに様々な国際協力の事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名から、その国の主要産業や貧困、就学率について調べたり、世界地図で位置を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
4
「開発途上国」とは何か
科目の中での位置付け
本科目では、国際協力を国際開発政策の歴史的な変遷から考察するグローバルな視点で捉える一方、開発援助が実践されているローカルな視点からも考察する。それにより、グローバルとローカルな両視点を持ち合わせ、国際協力の実態に迫る。
歴史的にみると、開発援助は超大国の覇権を示す道具として利用され、各国の思惑を反映してきた。それは、国際開発政策の変遷を振り返ると、よく理解できる。一方で、ローカルないしミクロな視点とも言える開発援助の現場からの視点には、開発の現場で日々生活する受益者を通して開発援助を考察することができる。日々、人々は食や宗教、言語、ジェンダー規律、風習などの影響を受けながら生活を営んでいる。そこで、実際の開発援助の現場では、何が起こっているのかを明らかにするため、開発人類学の視点から事例検討を行う。加えて、日本の特色を活かした国際協力や日本国内での国際協力についての知識も培う。
本コマ(第四回)は、世界中に根強く残る貧困と格差について体感できるワークショップを行う。また開発援助を受け取りつつも、貧困が解消されない現状を認識し、どの様なカラクリがあるのかを理解する。
(1)開発教育協会・かながわ国際交流財団『新・貿易ゲーム:経済のグローバル化を考える』、開発教育協会、2009年、1-31項。
(2)内海成治編「貧困問題」『国際協力論を学ぶ人のために』、世界思想社、2005年、152-173項。
(3)斎藤文彦「国際開発論とは何か」『国際開発論:ミレニアム開発目標による貧困削減』、日本評価社、2005年、9-13項(「貧困とは何か」の部分)。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『新・貿易ゲーム:経済のグローバル化を考える』、オリジナル配布資料「貧困と格差を体感しよう」
主題細目② 教材(2)『国際協力論を学ぶ人のために』、教材(3)『国際開発論:ミレニアム開発目標による貧困削減』、オリジナル配布資料「貧困と格差を体感しよう」
主題細目③ 教材(2)『国際協力論を学ぶ人のために』、教材(3)『国際開発論:ミレニアム開発目標による貧困削減』、オリジナル配布資料「貧困と格差を体感しよう」
コマ主題細目
① 国民総所得により、「開発途上国」と先進国を区別可能 ② 開発途上国内での細分化 ③ 開発途上国内の格差 ④ ⑤
細目レベル
① 本コマでは、初めに世界中で根強く残る貧困と経済格差について、体感できる貿易ゲームというワークショップを行う。まず5~6名毎にグループに分け、分かれて座ってもらうため席移動をする。それぞれのグループを国に見立て、各国に加工できるものを渡す。各国では、紙を切り製品を作り世界銀行役の学生に販売する。また国同士で、自由に貿易を行うことも許している。
現実社会と同様に、各国は得意な産業と不得意な産業が徐々にみえ始め、経済格差が色濃く浮き出てくる。ワークショップ終了後は、なぜ富める国ないし貧しい国になったのかを当事者の目線として意見を出し合い、世界経済の仕組みについて討論をする。また貧富の差が出た国々の間で、他の国に対して、どの様な感情を抱きどの様なことをしてあげたいと感じたのかについて、考える時間を持ちたい。
② DACは、一人当たりの国民総所得を基準に開発途上国を4つのカテゴリー(高中所得国、低中所得国、低所得国、後発途上国)に区分している。また先進国と開発途上国を分ける要因は、どの様なものかについても理解する。さらに、実際の国名をいくつか提示し、どの国が先進国ないし開発途上国の高中所得国、低中所得国、低所得国、後発途上国に当たるのかを考え、実際の国と上記のカテゴリーとのイメージのすり合わせを行う。
加えて後発途上国は、アフリカのサハラ以南に多く集中している。これらの国では、栄養不足や乳児死亡率の高さ、就学率の低さなどが課題となっている。写真や映像を見ながら、実際のサハラ以南で起こっている問題の理解に努める。
③ すでに後発発展途上国はサハラ以南に集中していることを紹介した。また貧困線と呼ばれる等価可処分所得(収入から税金・社会 保険料等を引いた額で、ほぼ手取り収入と同額)を基にした貧困度を示す基準がある。この貧困線以下で暮らす人々の割合が多いのも、アフリカのサハラ以南に集中しており、開発援助の受取額が多いのも同様である。つまり、収入が極端に低いことから極度な貧困状態にあり、他にも様々な問題を抱えているため、多額の開発援助が行われているが、未だその状態を解消できていないことが分かる。
上記は、国単位での状況を表しているが、それほど問題は簡単ではない。開発途上国内においても、都市部と農村部での経済格差が広がっている。それにより、国内における富の再分配が課題であることを理解する。
④
⑤
キーワード
① 貧困銓 ② 乳児死亡率 ③ 国内の所得格差を明らかにする相対的貧困 ④ サハラ以南 ⑤ 天然資源
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料およびノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また国際協力論では、国際政治や国際経済、気候変動、国際法などの話をすることも多い。これは国際協力に与える影響が非常に大きいからであるが、授業では専門用語を使う場合もある。授業内の説明では、予習をしていないと十分理解できないこともあるかも知れない。そこで、授業中、理解が難しかった説明や用語をノートにメモしておくことが重要である。質問シートに理解できなかった説明や用語を書くと、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、国際開発政策ならびに様々な国際協力の事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名から、その国の主要産業や貧困、就学率について調べたり、世界地図で位置を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
5
国際協力の萌芽
科目の中での位置付け
本科目では、国際協力を国際開発政策の歴史的な変遷から考察するグローバルな視点で捉える一方、開発援助が実践されているローカルな視点からも考察する。それにより、グローバルとローカルな両視点を持ち合わせ、国際協力の実態に迫る。
歴史的にみると、開発援助は超大国の覇権を示す道具として利用され、各国の思惑を反映してきた。それは、国際開発政策の変遷を振り返ると、よく理解できる。一方で、ローカルないしミクロな視点とも言える開発援助の現場からの視点には、開発の現場で日々生活する受益者を通して開発援助を考察することができる。日々、人々は食や宗教、言語、ジェンダー規律、風習などの影響を受けながら生活を営んでいる。そこで、実際の開発援助の現場では、何が起こっているのかを明らかにするため、開発人類学の視点から事例検討を行う。加えて、日本の特色を活かした国際協力や日本国内での国際協力についての知識も培う。
本コマ(第五回)は、より具体的に専門用語を解説した後、第二次世界大戦後の1940年代、50年代、60年代までの国際協力の黎明期を当時の国際情勢から理解する。
(1)大野泉ほか編『国際協力用語集【第4版】』、国際開発ジャーナル社、2014年、1-349項。
(2)下村恭民・辻一人・稲田十一・深川由紀子「国際協力ということ」『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、有斐閣選書、2016年、3-22項。
(3)佐藤寛「はじめに」『開発援助の社会学』、世界思想社、2009年、1-7項(「「助ける」という行為と開発援助」と「異文化間資源移転(贈与)としての開発援助」、「善意は善行を保証しない」の部分)。
(4)国際協力機構 国際協力総合研究所「経済開発における援助戦略・アプローチの動向とその特徴」『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、国際協力出版会、2007年、31-37項。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、オリジナル配布資料「開発援助の潮流-1」
主題細目② 教材(2)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(3)『開発援助の社会学』、教材(4)『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、オリジナル配布資料「開発援助の潮流-1」
主題細目③ 教材(2)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(3)『開発援助の社会学』、教材(4)『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、オリジナル配布資料「開発援助の潮流-1」
コマ主題細目
① 専門用語の整理 ② 国際通貨体制に影響に大きな与えたブレトンウッズ会議 ③ トリクルダウン理論 ④ ⑤
細目レベル
① 本コマでは、国際協力分野の専門用語について、意味や定義を整理する。開発援助というキーワードはこれまで頻出してきたが、正確に意味を理解するため、「開発」と「援助」という様に切り離して意味を確認する。その後、開発援助とは、異文化間でみられる一方的な資源(有形・無形)の移転ではあるが、原則的には返礼や対価を求めず即時的ではない贈与の一形態であることを理解する。併せて、社会の発展を目的として、外部から資金、人材、技術、知識などの資源が、投入されることで生活が良くなることを意味している。これは、開発途上国においては、開発援助は近代化を目指すことともとれるだろう。
いずれにせよ、これまで紹介してきた類似した専門用語をよく理解し、正確に用いることができるようになることが求められる。
② 国際協力は、東西冷戦下における米ソの覇権争いの一環として始まった。1944年に連合国44か国によって締結されたブレトンウッズ協定によって、国際通貨基金(IMF)と世界銀行が設立された。また1948年から1952年にかけて、米国のマーシャル・プラン(欧州復興計画)が実施された。国際協力は、第一次産品輸出に依存した経済構造から、資本蓄積による工業化へ(構造派アプローチ)移行し、発電や灌漑、運輸部門などの大規模インフラへの投資することが目指された。
日本も終戦後に開発援助を受け、食糧・医療支援(米国のNGO連合体LARAのララ物資/米国の占領地救済基金であるガリオア基金で食糧・医薬品を購入/工業原料などに活用されたエロア基金)を活用し、国際協力の恩恵を受けた。その後、開発援助として東海道新幹線や黒部ダムなどのインフラ基盤を充実させた。
③ 急激な経済成長を遂げた日本の成功事例から、開発途上国において欠乏した経済資源の充実を図り、経済の活性化を計画された。その一つに、国全体が経済的に成長すれば、その恩恵が貧しい者にも行き渡り貧困が削減すると考えられたトリクルダウン理論がある。
また援助機関は、大規模なマクロな経済発展を支援するビッグプッシュ戦略を採用した。しかし、そのほとんど失敗に終わり、先進国と開発途上国間、また開発途上国内でも経済格差が増大するという悲惨な結果となった。この様に、開発援助は必ずしも成功してきたばかりではない。
一方、日本は戦後復興期に国際機関からの援助を受けてきたことから、日本も他国の援助を行う道義的責任を負っていることを理解する。
④
⑤
キーワード
① 開発援助 ② ヨーロッパの経済復興を支えたマーシャルプラン ③ ビッグプッシュ戦略 ④ マーシャル・プラン ⑤ ブレトンウッズ協定
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料およびノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また国際協力論では、国際政治や国際経済、気候変動、国際法などの話をすることも多い。これは国際協力に与える影響が非常に大きいからであるが、授業では専門用語を使う場合もある。授業内の説明では、予習をしていないと十分理解できないこともあるかも知れない。そこで、授業中、理解が難しかった説明や用語をノートにメモしておくことが重要である。質問シートに理解できなかった説明や用語を書くと、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、国際開発政策ならびに様々な国際協力の事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名から、その国の主要産業や貧困、就学率について調べたり、世界地図で位置を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
6
南北問題の顕在化と構造調整政策の功罪
科目の中での位置付け
本科目では、国際協力を国際開発政策の歴史的な変遷から考察するグローバルな視点で捉える一方、開発援助が実践されているローカルな視点からも考察する。それにより、グローバルとローカルな両視点を持ち合わせ、国際協力の実態に迫る。
歴史的にみると、開発援助は超大国の覇権を示す道具として利用され、各国の思惑を反映してきた。それは、国際開発政策の変遷を振り返ると、よく理解できる。一方で、ローカルないしミクロな視点とも言える開発援助の現場からの視点には、開発の現場で日々生活する受益者を通して開発援助を考察することができる。日々、人々は食や宗教、言語、ジェンダー規律、風習などの影響を受けながら生活を営んでいる。そこで、実際の開発援助の現場では、何が起こっているのかを明らかにするため、開発人類学の視点から事例検討を行う。加えて、日本の特色を活かした国際協力や日本国内での国際協力についての知識も培う。
本コマ(第六回)は、1970年代にみられたBHN(Basic Human Needs)戦略、また石油ショックを背景とした資源ナショナリズムの台頭がもたらした南北問題をキーワードに理解する。また1982年のメキシコの債務危機を発端として中南米諸国で起きた債務危機に対処した構造調整政策の功罪について説明する。
(1)下村恭民・辻一人・稲田十一・深川由紀子「国際協力ということ」『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、有斐閣選書、2016年、3-22項。
(2)佐藤寛「はじめに」『開発援助の社会学』、世界思想社、2009年、1-7項(「「助ける」という行為と開発援助」と「異文化間資源移転(贈与)としての開発援助」、「善意は善行を保証しない」の部分)。
(3)国際協力機構 国際協力総合研究所「経済開発における援助戦略・アプローチの動向とその特徴」『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、国際協力出版会、2007年、31-37項。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(2)『開発援助の社会学』、教材(3)『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、オリジナル配布資料「開発援助の潮流-2」
主題細目② 教材(1)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(2)『開発援助の社会学』、教材(3)『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、オリジナル配布資料「開発援助の潮流-2」
主題細目③ 教材(1)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(2)『開発援助の社会学』、教材(3)『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、オリジナル配布資料「開発援助の潮流-2」
コマ主題細目
① 直接的な支援を行うBHN戦略 ② 南北対立の激化 ③ 構造調整政策の功罪 ④ ⑤
細目レベル
① 1970年代に現れた新たな援助戦略について、理解を深める。
1960年代までの援助国の開発戦略が、大規模なインフラ整備を整備したり経済発展を支援する方針であったが、経済格差を増大させたり、膨大なコストの割りに成果が見えづらく、失敗に終わった。そこで、1970年代になると、人が生きていく上で最低限必要な、安全な水や住居、教育などの基本的な分野が直接的に支援されるようになった。これはBHN(Basic Human Needs)戦略と呼ばれ、それまでの大規模なインフラ投資などの経済開発、また国同士の関係性では間接的で十分に近代化が進まないという反省から、直接的に受益者を支援する援助方針へと切り替えられた。これにより、目にみえて開発援助の成果が表れるようになった。しかし、オイルショックなど世界経済は混迷を極め、新たな対立が生まれてきた。
② 1960年代から70年代にかけての南北対立に至る経緯を理解する。
1964年の第一回国連貿易開発会議では、途上国が結集して77ヶ国グループが設置され、その後、グループ内で統一した要求をまとめ先進国に突き付けるようになった。
1974年の国連資源特別総会では、開発途上国間で新国際経済秩序(NIEO: New International Economic Order)が採択された。そこでは、現状の交易システムでは、先進国に有利に働き開発途上国との格差が縮まらないと考えがあり、開発途上国に有利な経済秩序の構築を主張した。また豊かな北側の国々に対して、貧しい南側の国々が、歴史的な支配・被支配の関係性の改善を求めた。
また1973年と1979年の石油ショックを背景として資源ナショナリズム(関連する外資系企業の国有化や生産国カルテルによる価格引き上げなど)の台頭が目立つようになった。これにより、先進国と開発途上国との対立、つまり南北対立が明確化するようになった。
③ 主に1980年代に行われた構造調整政策について、経済的・社会的な情勢も併せて理解する。
まず1982年にメキシコが債務危機となり、その後、中南米各国が次々と債務危機に陥った。だが、それまでのBHN戦略では全ての貧困者を助けることはできないことに加え、そもそも開発途上国自身が自国の経済構造を強化して債務危機を乗り越えるべきであるとする考えが持ち上がった。そこで、債務危機に陥った国々に対して、国際通貨基金や世界銀行が金融支援を行う一方で、それを実施する前提条件として、様々な改革の実行を求められた。
対象となった国々は金融支援を受けるため、市場機能の整備、金融自由化と規制緩和、国営企業の民営化、補助金の削減などを行った。実際に行われたのは社会構造の改革よりも、経済再建策に比重が置かれた政策であった。構造調整政策には、不平等の拡大を阻止する仕組みがなく、貧困層に配慮した社会サービスが拡充しなかった。これにより、結果として、開発途上国の輸出は停滞しただけでなく、開発途上国への資本流入はマイナスとなり、さらに貧困と経済格差の増大を招いた。
④
⑤
キーワード
① 直接的な支援 ② オイルショック ③ 債務危機 ④ 資源ナショナリズム ⑤ BHN戦略
コマの展開方法
社会人講師
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該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料およびノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また国際協力論では、国際政治や国際経済、気候変動、国際法などの話をすることも多い。これは国際協力に与える影響が非常に大きいからであるが、授業では専門用語を使う場合もある。授業内の説明では、予習をしていないと十分理解できないこともあるかも知れない。そこで、授業中、理解が難しかった説明や用語をノートにメモしておくことが重要である。質問シートに理解できなかった説明や用語を書くと、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、国際開発政策ならびに様々な国際協力の事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名から、その国の主要産業や貧困、就学率について調べたり、世界地図で位置を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
7
人間開発や国連ミレニアム宣言などの新たな開発概念の登場
科目の中での位置付け
本科目では、国際協力を国際開発政策の歴史的な変遷から考察するグローバルな視点で捉える一方、開発援助が実践されているローカルな視点からも考察する。それにより、グローバルとローカルな両視点を持ち合わせ、国際協力の実態に迫る。
歴史的にみると、開発援助は超大国の覇権を示す道具として利用され、各国の思惑を反映してきた。それは、国際開発政策の変遷を振り返ると、よく理解できる。一方で、ローカルないしミクロな視点とも言える開発援助の現場からの視点には、開発の現場で日々生活する受益者を通して開発援助を考察することができる。日々、人々は食や宗教、言語、ジェンダー規律、風習などの影響を受けながら生活を営んでいる。そこで、実際の開発援助の現場では、何が起こっているのかを明らかにするため、開発人類学の視点から事例検討を行う。加えて、日本の特色を活かした国際協力や日本国内での国際協力についての知識も培う。
本コマ(第七回)は、開発援助の潮流に大きな転換点をもたらした1990年代の国際開発政策について理解を深める。様々な国際開発政策や開発概念が生み出され、それまでの経済開発だけでなく社会開発への注目が高まったことが特徴である。
(1)下村恭民・辻一人・稲田十一・深川由紀子「国際協力ということ」『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、有斐閣選書、2016年、3-22項。
(2)佐藤寛「はじめに」『開発援助の社会学』、世界思想社、2009年、1-7項(「「助ける」という行為と開発援助」と「異文化間資源移転(贈与)としての開発援助」、「善意は善行を保証しない」の部分)。
(3)国際協力機構 国際協力総合研究所「経済開発における援助戦略・アプローチの動向とその特徴」『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、国際協力出版会、2007年、31-37項。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(2)『開発援助の社会学』、教材(3)『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、オリジナル配布資料「開発援助の潮流-3」
主題細目② 教材(1)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(2)『開発援助の社会学』、教材(3)『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、オリジナル配布資料「開発援助の潮流-3」
主題細目③ 教材(1)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(2)『開発援助の社会学』、教材(3)『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、オリジナル配布資料「開発援助の潮流-3」
コマ主題細目
① 人間開発という新しい開発概念 ② ジェンダーと開発、参加型開発、グッドガバナンスなどの援助方針 ③ 国連ミレニアム開発目標などの理解 ④ ⑤
細目レベル
① 本コマでは、まず人間開発という開発概念について理解する。
国連開発計画(UNDP)は、1990年より人間開発報告を発行し、経済成長ではカバーしきれない「人間開発」に着目するようになった。目新しい点として、一人当たりの国内総生産(GDP: Gross Domestic Product)や平均寿命、就学率などを人間開発指数として指数化したことである。さらに、2010年にはジェンダー不平等指数なども加えた。
この人間開発という開発概念や人間開発指標には、ノーベル賞を受賞したアマルティア・センの影響が大きい。センは、人の幸福は所得だけでは説明できず、機会を選択できることや現実的に達成可能な自由はあるかどうかなどであるとするケイパビリティ(潜在能力)・アプローチを提唱した。
② 次に、人間開発以外にも多くの国際開発政策や開発アプローチが現れたので、紹介したい。
まず、ジェンダー平等やジェンダー主流化といった当時の潮流から、男女の固定的役割分担やジェンダー格差を生む制度や社会規範を変えようとする、ジェンダーと開発(GAD: Gender and Development)というアプローチが新たに生み出された。
また80年代の構造調整政策の反省から、開発途上国がよい政策を行うことを促すため、ガバナンス(民主化、国民への説明責任や政策決定プロセスの透明性の確保、公的部門の能力強化など)が求められるようになった。この開発概念を、グッド・ガバナンスという。
さらに、性別を問わず、できるだけ多くの受益者が開発の意思決定に参加することで、貧困からの脱却を図ることが大切であるため、意思決定の機会に参加し、能力強化を図る参加型開発という開発概念も生まれた。
③ 1996年のDAC上級会合において、2015年までに絶対的貧困層を半減させるというDAC新開発戦略を採択し、国際的な開発目標(IDG: International Development Goals)が設けられた。これにより、社会インフラへの注力、オーナーシップとパートナーシップの強化、包括的な取り組みの強化などが確認された。
さらに、2000年に開催された国連ミレニアム・サミットにおいて、国連ミレニアム宣言と国連ミレニアム開発目標(MDGs: Millennium Development Goals)を採択されたことも画期的である。これは、極度の貧困と飢餓の撲滅や初等教育の完全普及などの他に、保健衛生や環境保全、ジェンダー平等などの分野から、2015年までに達成すべき8つの開発目標を掲げた。これにより、貧困削減が主要な開発課題となり、直接的に貧困者や社会的弱者に利益をもたらす農村開発や教育・保健医療分野などの社会開発プロジェクトに対して、世界中で取り組もうという合意形成を達成した。
④
⑤
キーワード
① 国連開発計画 ② グッドガバナンス ③ 国連ミレニアム宣言 ④ 人間開発 ⑤ 社会開発
コマの展開方法
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小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料およびノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また国際協力論では、国際政治や国際経済、気候変動、国際法などの話をすることも多い。これは国際協力に与える影響が非常に大きいからであるが、授業では専門用語を使う場合もある。授業内の説明では、予習をしていないと十分理解できないこともあるかも知れない。そこで、授業中、理解が難しかった説明や用語をノートにメモしておくことが重要である。質問シートに理解できなかった説明や用語を書くと、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、国際開発政策ならびに様々な国際協力の事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名から、その国の主要産業や貧困、就学率について調べたり、世界地図で位置を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
8
2000年代以降の国際開発政策
科目の中での位置付け
本科目では、国際協力を国際開発政策の歴史的な変遷から考察するグローバルな視点で捉える一方、開発援助が実践されているローカルな視点からも考察する。それにより、グローバルとローカルな両視点を持ち合わせ、国際協力の実態に迫る。
歴史的にみると、開発援助は超大国の覇権を示す道具として利用され、各国の思惑を反映してきた。それは、国際開発政策の変遷を振り返ると、よく理解できる。一方で、ローカルないしミクロな視点とも言える開発援助の現場からの視点には、開発の現場で日々生活する受益者を通して開発援助を考察することができる。日々、人々は食や宗教、言語、ジェンダー規律、風習などの影響を受けながら生活を営んでいる。そこで、実際の開発援助の現場では、何が起こっているのかを明らかにするため、開発人類学の視点から事例検討を行う。加えて、日本の特色を活かした国際協力や日本国内での国際協力についての知識も培う。
本コマ(第八回)は、2000年以降の国際開発政策に焦点を絞り、特に人間の安全保障やアフリカ開発会議、太平洋・島サミット、援助協調アプローチ、持続可能な開発目標などについて理解を深める。
(1)下村恭民・辻一人・稲田十一・深川由紀子「国際協力ということ」『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、有斐閣選書、2016年、3-22項。
(2)佐藤寛「はじめに」『開発援助の社会学』、世界思想社、2009年、1-7項(「「助ける」という行為と開発援助」と「異文化間資源移転(贈与)としての開発援助」、「善意は善行を保証しない」の部分)。
(3)国際協力機構 国際協力総合研究所「経済開発における援助戦略・アプローチの動向とその特徴」『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、国際協力出版会、2007年、31-37項。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(2)『開発援助の社会学』、教材(3)『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、オリジナル配布資料「開発援助の潮流-4」
主題細目② 教材(1)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(2)『開発援助の社会学』、教材(3)『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、オリジナル配布資料「開発援助の潮流-4」
主題細目③ 教材(1)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(2)『開発援助の社会学』、教材(3)『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、オリジナル配布資料「開発援助の潮流-4」
コマ主題細目
① 人間の安全保障とアフリカ開発会議、太平洋・島サミット ② 援助協調アプローチと気候変動枠組条約 ③ 持続可能な開発目標 ④ ⑤
細目レベル
① 本コマでは、まず国際社会において日本が主導する国際開発政策や国際会議について理解する。1990年代に公表された人間の安全保障という開発概念と、ほぼ時を同じくして開始された特定地域の開発を支援・議論するアフリカ開発会議と太平洋・島サミットは、これまで日本政府が強く推進してきた経緯がある。
例えば、人間の安全保障では、当時、紛争やテロへの懸念が強まり、紛争からの早期復興や紛争の予防・再発防止などが必要とされていた。この開発概念は、人間の生存・生活・尊厳を脅かす紛争と貧困の脅威を低減させ、人々の保護と能力強化を求める安全保障の枠組みである。2012年9月には、国連総会で「人間の安全保障の共通理解に関する総会決議」が採択された。
② 次に、近年、重要度が増している援助協調アプローチと気候変動枠組み条約について概観する。まず援助協調アプローチであるが、国際機関やドナー国政府機関が援助資金を効率的に利用するため、各ドナー国などでプロジェクトやプログラムなどの開発援助を調整するアプローチである。2005年には、「援助効果にかかるパリ宣言」が表明され、より一層の推進が求められている。
また地球温暖化は、洪水や猛暑など異常気象を引き起こし、海水面の上昇、蚊による伝染病の拡大、動植物の生息地域の縮小などにも影響を与えているとされる。そこで、気候変動枠組条約が締結され、国際社会全体で対応し始めた。1997年には、先進国に対して2008年から2012年の温室効果ガスの具体的な排出削減目標等を定めた京都議定書が採択された。その後、2016年に発効したパリ協定では、途上国を含む全ての主要排出国が対象となり、各国は自主的に削減・抑制目標は策定することが認められた。
③ 最後に、ミレニアム開発目標(MDGs)の後継となる「持続可能な開発目標」(SDGs: Sustainable Development Goals)について説明する。MDGsの8目標の内、乳幼児や妊産婦の死亡率削減などの一部が未達成であったことから、SDGsは「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包括性のある社会を目指した開発目標である。SDGsは2015年採択に採択され、2030年までに達成すべき17の目標を掲げた。開発目標のキーワードは、貧困、飢餓、健康と福祉、質の高い教育、ジェンダー平等、安全な水、エネルギー、労働環境、技術革新、人と国の不平等、住みやすさ、使用責任、気候変動、海洋環境、自然環境、平和と公正、パートナーシップなどである。MDGsやそれ以前の開発目標や概念、アプローチを含んでおり、包括的な開発目標であるといえる。
④
⑤
キーワード
① 人々の保護と能力強化 ② パリ宣言 ③ サスティナビリティ ④ 援助協調アプローチ ⑤ TICAD
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
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教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料およびノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また国際協力論では、国際政治や国際経済、気候変動、国際法などの話をすることも多い。これは国際協力に与える影響が非常に大きいからであるが、授業では専門用語を使う場合もある。授業内の説明では、予習をしていないと十分理解できないこともあるかも知れない。そこで、授業中、理解が難しかった説明や用語をノートにメモしておくことが重要である。質問シートに理解できなかった説明や用語を書くと、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、国際開発政策ならびに様々な国際協力の事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名から、その国の主要産業や貧困、就学率について調べたり、世界地図で位置を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
9
NPOやNGOなどの草根ので活動する国際協力団体の台頭
科目の中での位置付け
本科目では、国際協力を国際開発政策の歴史的な変遷から考察するグローバルな視点で捉える一方、開発援助が実践されているローカルな視点からも考察する。それにより、グローバルとローカルな両視点を持ち合わせ、国際協力の実態に迫る。
歴史的にみると、開発援助は超大国の覇権を示す道具として利用され、各国の思惑を反映してきた。それは、国際開発政策の変遷を振り返ると、よく理解できる。一方で、ローカルないしミクロな視点とも言える開発援助の現場からの視点には、開発の現場で日々生活する受益者を通して開発援助を考察することができる。日々、人々は食や宗教、言語、ジェンダー規律、風習などの影響を受けながら生活を営んでいる。そこで、実際の開発援助の現場では、何が起こっているのかを明らかにするため、開発人類学の視点から事例検討を行う。加えて、日本の特色を活かした国際協力や日本国内での国際協力についての知識も培う。
本コマ(第九回)は、国際機関に代わりNGOやNPO台頭し、草の根レベルで効果的な活動を展開し始めた。それに至る歴史的な背景と活動内容について理解する。
(1)内海成治編「NGOの役割と動向」『国際協力論を学ぶ人のために』、世界思想社、2005年、130-151項。
(2)下村恭民・辻一人・稲田十一・深川由紀子「国際協力ということ」『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、有斐閣選書、2016年、3-22項。
(3)佐藤寛「はじめに」『開発援助の社会学』、世界思想社、2009年、1-7項(「「助ける」という行為と開発援助」と「異文化間資源移転(贈与)としての開発援助」、「善意は善行を保証しない」の部分)。
(4)国際協力機構 国際協力総合研究所「経済開発における援助戦略・アプローチの動向とその特徴」『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、国際協力出版会、2007年、31-37項。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『国際協力論を学ぶ人のために』、オリジナル配布資料「国際協力におけるNGO/NPOの役割」
主題細目② 教材(2)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(3)『開発援助の社会学』、教材(4)『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、オリジナル配布資料「国際協力におけるNGO/NPOの役割」
主題細目③ 教材(2)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(3)『開発援助の社会学』、教材(4)『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、オリジナル配布資料「国際協力におけるNGO/NPOの役割」
コマ主題細目
① 専門用語の整理 ② NGO/NPOの台頭 ③ NGO/NPOによる効果的な支援 ④ ⑤
細目レベル
① 本コマでは、まず専門用語の整理を行う。草の根のレベルの国際協力にでは、NGO (Non Governmental Organization)やNPO (Non Profitable Organization)、CBO (Community Based Organization) とPO (People''''''''s Organization)といった団体が活動している。
国際協力分野において、先進国のNGOは開発途上国との関わりを持ち、活動を行う市民団体のことを指す。またNPOとは、営利を目的としない非営利組織として扱われる。1998年、自由な社会貢献活動を増進させるため、特定非営利活動法人促進法(NPO法)が策定された。同法では、社会教育や保健衛生、国際協力などの特定分野の活動を行い、一定の資格要件を満たす団体をNPO法人として認める。
CBOは地域住民組織であり、POは民衆組織と訳される。開発途上国の地域住民が組織し、その該当地域のために活動し、水利組合や村の青年団などが該当する。
② 構造調整政策を含む長年の開発援助の失敗に伴い、国際機関は開発援助の予算が縮小された。また19世紀以降、資本主義が本格化する中で、人々の生活が市場原理の影響を強く受けるようになった。しかし、参加や自治、市民の組織化や社会運動を通して、そこから抜け出そうという動きがみられるようになった。
またミレニアム開発目標では、目標8において「開発のためのグローバル・パートナーシップの促進」が掲げられ、NGOや市民社会などの民間部門と協力することが明記されている。この様な背景も相まって、国際機関に代わり、NGOや企業による国際協力が台頭するようになった。そうなると、バラバラに国際協力を行っても効果は薄いので、国際協力を担う市民と国際機関の連携が重要視されるようになった。
③ 本コマでは、最後にNGOが抱えるメリットとデメリットを概観する。
まずNGOのメリットであるが、開発途上国の受益者に対して直接的に支援することができ、その効果や支援のプロセスが明確であることが大きい。必ず相手国政府を通した支援でなければいけないことはないので、柔軟かつ受益者のニーズに沿った活動を展開することが可能となる。
またデメリットは、財政面が不安定なことである。国際NGOを除き一般的なNGOは、会員会費や寄付、政府からの金銭的支援などに頼るため、財政面が不安定になりやすい。また活動資金に限りがあるため、活動は小規模となりやすく、受益者に与える経済社会的なインパクトに限界があることがNGOのデメリットである。国際NGOは、政府によるODA以上の資金力や人的資源を持つ場合があり、影響力が大きい。
④
⑤
キーワード
① NGO・NPO・CBO・PO ② 協力 ③ 協働 ④ 構造調整政策 ⑤ 国際NGO
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料およびノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また国際協力論では、国際政治や国際経済、気候変動、国際法などの話をすることも多い。これは国際協力に与える影響が非常に大きいからであるが、授業では専門用語を使う場合もある。授業内の説明では、予習をしていないと十分理解できないこともあるかも知れない。そこで、授業中、理解が難しかった説明や用語をノートにメモしておくことが重要である。質問シートに理解できなかった説明や用語を書くと、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、国際開発政策ならびに様々な国際協力の事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名から、その国の主要産業や貧困、就学率について調べたり、世界地図で位置を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
10
ドナー国政府機関と国際機関の活動内容
科目の中での位置付け
本科目では、国際協力を国際開発政策の歴史的な変遷から考察するグローバルな視点で捉える一方、開発援助が実践されているローカルな視点からも考察する。それにより、グローバルとローカルな両視点を持ち合わせ、国際協力の実態に迫る。
歴史的にみると、開発援助は超大国の覇権を示す道具として利用され、各国の思惑を反映してきた。それは、国際開発政策の変遷を振り返ると、よく理解できる。一方で、ローカルないしミクロな視点とも言える開発援助の現場からの視点には、開発の現場で日々生活する受益者を通して開発援助を考察することができる。日々、人々は食や宗教、言語、ジェンダー規律、風習などの影響を受けながら生活を営んでいる。そこで、実際の開発援助の現場では、何が起こっているのかを明らかにするため、開発人類学の視点から事例検討を行う。加えて、日本の特色を活かした国際協力や日本国内での国際協力についての知識も培う。
本コマ(第十回)は、主要各国にあるドナー国政府機関と国際機関の名称や活動内容などを概観する。その上で、主要な国際機関である世界銀行の活動に焦点を当て、年代と共に移り変わる活動の変遷を追う。
(1)下村恭民・辻一人。稲田十一・深川由紀子「グローバル・ガバナンスと開発」『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、有斐閣選書、2016年、205-238項。
(2)内海成治編「国際機関の役割と動向(一)-世界銀行」『国際協力論を学ぶ人のために』、世界思想社、2005年、101-114項。
(3)内海成治編「国際機関の役割と動向(二)-アジア開発銀行」『国際協力論を学ぶ人のために』、世界思想社、2005年、115-129項。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、オリジナル配布資料「開発援助部門で活動するドナー国政府機関と国際機関」
主題細目② 教材(2)『国際協力論を学ぶ人のために』、教材(3)『国際協力論を学ぶ人のために』、オリジナル配布資料「開発援助部門で活動するドナー国政府機関と国際機関」
主題細目③ 教材(2)『国際協力論を学ぶ人のために』、教材(3)『国際協力論を学ぶ人のために』、オリジナル配布資料「開発援助部門で活動するドナー国政府機関と国際機関」
コマ主題細目
① ドナー国政府機関の活動の特色 ② 国際機関の活動の特色 ③ 代表的な国際機関の活動と役割 ④ ⑤
細目レベル
① 本コマでは、まず主な政府ドナー機関の名称や活動の特色について理解する。主要なドナー国は、自国の政府機関もしくは政府系機関に、国際協力を実施する機能を持たせている。日本には国際協力機構があり、米国は米国国際開発庁、ドイツはドイツ国際協力公社、カナダはカナダ国際開発庁、スペインはスペイン国際開発協力機構、イギリスはイギリス国際開発省、フランスはフランス開発庁である。また他の国々も国際協力を行っている。
ODAの地域配分をみると、日本はアジア各国向けが約47%、フランスは旧植民地があるサブサハラ・アフリカ諸国向けが約54%となっている。スペインはラテンアメリカ諸国に対して、大規模な支援を行っている。
また日本政府による政府開発援助は、無償資金協力、技術協力、有償資金協力がある。
② 次に、国際社会との関わりが深い国際機関について説明する。
まず国連関係の機関の成立は、1945年に国際連合が設立され国連憲章が発効されるまで遡る。国連憲章は国連の主要機関として総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所、事務局の6つの機関を設置し、15の専門機関、基金などを置く。
日本に事務所を置く国連機関は、30近くに上る。以下が、その主要な機関である。
国連開発計画、国連ボランティア計画、国連食糧農業機関、国連原子力機関、国際労働機関、国際通貨基金、国際移住基金、国連人道問題調整事務所、国連アジア太平洋統計研究所、国連アジア極東犯罪防止研究所、国連地域開発センター、国連環境計画国際環境技術センター、国連環境計画 北西太平洋地域海行動計画、国連人口基金、国連人間居住計画、国連難民高等弁務官事務所、国連広報センター、国連児童基金、国連工業開発機関、国連国際防災戦略事務所、国連訓練調査研究所、国連プロジェクト・サービス機関、国連大学、国連世界観光機関、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関、国際復興開発銀行/国際開発協会(世界銀行グループ)、国連世界食料計画、世界保健機関、世界知的所有権機関
③ 最後に、主要な国際機関である世界銀行の活動の歴史的変遷を追い、国際機関に対する理解を深める。
まず世界銀行は、豊富な資金と研究力を背景に、国際的な開発援助の潮流と開発政策をリードしてきた機関である。1945年に世界銀行は設立された。世界銀行という国際市場において信用力の高い銀行を設立し、金利条件の良好な資金を調達することで、金利負担の低い資金を復興国・開発途上国へ導入するという意図がみられた。
日本に対しては、1953年には関西電力に資金援助が行われ、電力や鉄鋼、自動車、造船などの基幹産業を中心に、1966年まで融資が行われた。返済は1990年まで継続した。東名高速道路、東海道新幹線などが建設された。
1970年代には、BHN戦略を主導し、1980年代になると、構造調整融資を、1990年代にはグットガバナンスを主導した。2000年代以降は、教育のためのグローバル・パートナーシップという多国間パートナーシップ機関を通じて、8億7000万人の子どもの中でも、とりわけ貧しく紛争の被害を受けた子どもを対象に質の高い教育を提供している。
④
⑤
キーワード
① 国際協力機構 ② 国際連合 ③ 世界銀行 ④ 無償資金協力 ⑤ ドナー国政府機関
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料およびノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また国際協力論では、国際政治や国際経済、気候変動、国際法などの話をすることも多い。これは国際協力に与える影響が非常に大きいからであるが、授業では専門用語を使う場合もある。授業内の説明では、予習をしていないと十分理解できないこともあるかも知れない。そこで、授業中、理解が難しかった説明や用語をノートにメモしておくことが重要である。質問シートに理解できなかった説明や用語を書くと、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、国際開発政策ならびに様々な国際協力の事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名から、その国の主要産業や貧困、就学率について調べたり、世界地図で位置を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
11
草の根レベルの国際協力
科目の中での位置付け
本科目では、国際協力を国際開発政策の歴史的な変遷から考察するグローバルな視点で捉える一方、開発援助が実践されているローカルな視点からも考察する。それにより、グローバルとローカルな両視点を持ち合わせ、国際協力の実態に迫る。
歴史的にみると、開発援助は超大国の覇権を示す道具として利用され、各国の思惑を反映してきた。それは、国際開発政策の変遷を振り返ると、よく理解できる。一方で、ローカルないしミクロな視点とも言える開発援助の現場からの視点には、開発の現場で日々生活する受益者を通して開発援助を考察することができる。日々、人々は食や宗教、言語、ジェンダー規律、風習などの影響を受けながら生活を営んでいる。そこで、実際の開発援助の現場では、何が起こっているのかを明らかにするため、開発人類学の視点から事例検討を行う。加えて、日本の特色を活かした国際協力や日本国内での国際協力についての知識も培う。
本コマ(第十一回)は、草の根レベルで受益者に対して直接支援する青年海外協力隊とNGO活動に焦点を当て、農村開発を実践する際の難しさや成功例・失敗例などの事例を検証する。
(1)内海成治編「青年海外協力隊」『国際協力論を学ぶ人のために』、世界思想社、2005年、70-100項。
(2)鈴木紀・滝村卓司編著「ブラジルアマゾン地域保健プロジェクトにおける国際NGOの役割」『国際開発と協働:NGOの役割とジェンダーの視点』、明石書店、2013年、81-94項。
(3)下村恭民・辻一人・稲田十一・深川由紀子「市民社会に期待される役割国際機関の役割」『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、有斐閣選書、2016年、263-288。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『国際協力論を学ぶ人のために』、オリジナル配布資料「草の根レベルの国際協力」
主題細目② 教材(1)『国際協力論を学ぶ人のために』、オリジナル配布資料「草の根レベルの国際協力」
主題細目③ 教材(2)『国際開発と協働:NGOの役割とジェンダーの視点』、教材(3)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、オリジナル配布資料「草の根レベルの国際協力」
コマ主題細目
① 草の根レベルでの国際協力 ② 国際協力なのか国際交流なのか ③ NGOによる効果的な支援 ④ ⑤
細目レベル
① 本コマでは、青年海外協力隊を事例に取り、それぞれの専門から指導する地域密着型の支援について考える。青年海外協力隊は、戦争や紛争が行われていない非武装地帯あり、またニーズが存在する要請に対して、国際協力機構を通じて派遣されます。青年海外協力隊の主な目的は、「(1)開発途上国の経済・社会の発展、復興への寄与、(2)異文化社会における相互理解の深化と共生、(3)ボランティア経験の社会還元」と言われています。2年という長いようで短い期間で、派遣先の言語や文化、習慣、風習、宗教などを直に感じながら、自分の専門領域を活かして活動します。長期間に渡り外国で生活し、外国人として現地の人たちから接される体験は非常に貴重な体験です。また外国に住むことで、日本ないし日本人の自分自身を見つめる良い機会でもあります。
② 次に、国際交流や異文化理解にも重きを置く青年海外協力隊が生まれた時代背景を振り返る。青年海外協力隊は1965年に発足した。現在は、海外旅行や研修などとして気軽に海外へ行けるが、当時は、海外に行くことやそこで居住することは非常にハードルが高かった。
また青年海外協力隊は活動理念として、「参加者一人一人が高い志と世界に貢献する気概を持ち、現地の人々と共にある中で信頼を育み、活動を通じて日本と世界を理解する」を掲げている。これを読み換えると、現地の人々と共に生活し、同じ目線で話し合うことで信頼を育み、それを基盤として技術指導などの活動を実践することで、相互に異文化理解を成し遂げるともいえる。この様な活動理念と海外渡航が難しかった当時の状況から、技術指導だけではない、国際交流や異文化理解を通じて見聞を広める青年海外協力隊の枠組みが出来上がったと考えられる。
③ 最後に、JICAなどのドナー国政府機関とは異なる、小規模な国際協力NGO活動を理解する。NGOの定義についてはすでに説明したので、次に具体的な活動内容について事例を紹介する。
まずフィリピンのスラム街で活動する日本のNGOを取り上げる。写真や映像を用いながら、長年、現地で活動してきたNGOの担当者から、活動上のやりがいや困難な点、現地の風習やしきたりなどから影響を受けたこと、言語の習得、食生活の適応などについて説明を受ける。また長期間に及ぶ現地生活において、現地に住む人々との付き合い方や、カウンターパートの信頼を勝ち得るために心掛けていること、安全対策、海外駐在時のNGOの財政面の安定化などについても、時間があれば言及する。
④
⑤
キーワード
① 地域密着 ② 国際交流 ③ 草の根 ④ 農村開発 ⑤ フィリピン
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料およびノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また国際協力論では、国際政治や国際経済、気候変動、国際法などの話をすることも多い。これは国際協力に与える影響が非常に大きいからであるが、授業では専門用語を使う場合もある。授業内の説明では、予習をしていないと十分理解できないこともあるかも知れない。そこで、授業中、理解が難しかった説明や用語をノートにメモしておくことが重要である。質問シートに理解できなかった説明や用語を書くと、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、国際開発政策ならびに様々な国際協力の事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名から、その国の主要産業や貧困、就学率について調べたり、世界地図で位置を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
12
日本の国際協力①(保健医療分野)
科目の中での位置付け
本科目では、国際協力を国際開発政策の歴史的な変遷から考察するグローバルな視点で捉える一方、開発援助が実践されているローカルな視点からも考察する。それにより、グローバルとローカルな両視点を持ち合わせ、国際協力の実態に迫る。
歴史的にみると、開発援助は超大国の覇権を示す道具として利用され、各国の思惑を反映してきた。それは、国際開発政策の変遷を振り返ると、よく理解できる。一方で、ローカルないしミクロな視点とも言える開発援助の現場からの視点には、開発の現場で日々生活する受益者を通して開発援助を考察することができる。日々、人々は食や宗教、言語、ジェンダー規律、風習などの影響を受けながら生活を営んでいる。そこで、実際の開発援助の現場では、何が起こっているのかを明らかにするため、開発人類学の視点から事例検討を行う。加えて、日本の特色を活かした国際協力や日本国内での国際協力についての知識も培う。
本コマ(第十二回)は、プライマリーヘルスを巡る世界的な潮流を通時的に概観する。その後、保健医療分野における日本の国際協力について事例を紹介し、国際協力の現場に対するイメージを膨らませる。
(1)内海成治編「保健医療」『国際協力論を学ぶ人のために』、世界思想社、2005年、223-240項。
(2)内海成治編「人口問題とリプロダクティブ・ヘルス」『国際協力論を学ぶ人のために』、世界思想社、2005年、241-255項。
(3)鈴木紀・滝村卓司編著「ことば・人・場所をつなぐ:「若年妊娠予防」を巡るニカラグアでの経験より」『国際開発と協働:NGOの役割とジェンダーの視点』、明石書店、2013年、227-244項。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『国際協力論を学ぶ人のために』、オリジナル配布資料「保健医療分野の国際協力」
主題細目② 教材(2)『国際協力論を学ぶ人のために』、教材(3)『国際開発と協働:NGOの役割とジェンダーの視点』、オリジナル配布資料「保健医療分野の国際協力」
主題細目③ 教材(2)『国際協力論を学ぶ人のために』、教材(3)『国際開発と協働:NGOの役割とジェンダーの視点』、オリジナル配布資料「保健医療分野の国際協力」
コマ主題細目
① プライマリー・ヘルスケアの実情 ② ミレニアム開発目標と保健医療 ③ 保健医療分野の国際協力 ④ ⑤
細目レベル
① 本コマでは、プライマリー・ヘルスケアについて知識を深める。
保健医療分野の問題は、医療や保健衛生のみに対応するだけでは解決することはできず、国際経済や政治など社会的な問題にも取り組まないことには解決にはつながらないと言われている。それは、開発途上国では、乳幼児死亡率と感染症が主要な死亡原因となっており、貧困や急激な人口増加、農村や都市部の環境の悪化が相互に作用して、人々の健康に悪影響を及ぼすことから、社会経済的要因も健康問題と関わりが深い。
1960年代後半から1970年代にかけて、地域格差を縮小させる取り組みが行われたが、保険予算が病院に集中し、農村部の医師不足が顕在化した。保健医療の不公平と農村地域では基本的な保健医療サービスが受けれない状況がみられた。
1978年には、全ての人が健康な状態になることをうたったアルマアタ宣言が採択され、「プライマリー・ヘルスケア(PHC: Primary Health Care)の基本活動項目」が明記された。
PHCは、保健医療サービスを地域の中で実践していく際の理念と原則を明確化した。
② 次に、国際的な開発目標と保健医療との関係について説明する。
2001年から開始されたミレニアム開発目標には、8つある開発目標の中で、保健医療に関連するものは3つ含まれていた。目標4「小児死亡の減少」と目標5「妊産婦の健康の向上」、目標6「エイズ、マラリア、その他の疾病との戦い」である。
2015年のミレニアム開発目標の達成期限までに、保健医療分野の目標である5歳未満児や妊産婦の死亡率削減が目標値に達しなかった。それを受け、持続可能な開発目標(SDGs)では、17ある開発目標の内、保健医療分野として目標3「全ての人に健康と福祉を」が設けられた。具体的な保健医療分野の国際協力は、多岐にわたる。保健医療システムや感染症対策、母子保健などである。
③ 最後に、保健医療分野における日本の国際協力について、実際の事例をみていきたい。
以下のビデオを見ながら、母子手帳や医療現場、出産、感染症対策、シャーガス病対策などの実際に国際協力の活動現場での苦労や工夫、やりがいなどを理解する。ビデオはJICAの「母子手帳を世界に~途上国における導入と普及~」や「What is KAIZEN? あなたが変える医療の質」、「安全で幸せな出産のために~JICAの人間的なお産の取り組み~」、「JICAの保健協力 -世界の人々に健やかな暮らしを- 感染症対策」、「人を変える技術協力 〜 中米シャーガス病対策の歩みから〜」である。上記のタイトルのビデオをみるが、全てをみることは難しいため、授業では履修学生の興味・関心を確かめながら進める。
④
⑤
キーワード
① プライマリーヘルス ② 保健医療 ③ 母子保健 ④ ミレニアム開発目標 ⑤ シャーガス病
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料およびノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また国際協力論では、国際政治や国際経済、気候変動、国際法などの話をすることも多い。これは国際協力に与える影響が非常に大きいからであるが、授業では専門用語を使う場合もある。授業内の説明では、予習をしていないと十分理解できないこともあるかも知れない。そこで、授業中、理解が難しかった説明や用語をノートにメモしておくことが重要である。質問シートに理解できなかった説明や用語を書くと、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、国際開発政策ならびに様々な国際協力の事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名から、その国の主要産業や貧困、就学率について調べたり、世界地図で位置を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
13
日本の国際協力②(教育開発分野)
科目の中での位置付け
本科目では、国際協力を国際開発政策の歴史的な変遷から考察するグローバルな視点で捉える一方、開発援助が実践されているローカルな視点からも考察する。それにより、グローバルとローカルな両視点を持ち合わせ、国際協力の実態に迫る。
歴史的にみると、開発援助は超大国の覇権を示す道具として利用され、各国の思惑を反映してきた。それは、国際開発政策の変遷を振り返ると、よく理解できる。一方で、ローカルないしミクロな視点とも言える開発援助の現場からの視点には、開発の現場で日々生活する受益者を通して開発援助を考察することができる。日々、人々は食や宗教、言語、ジェンダー規律、風習などの影響を受けながら生活を営んでいる。そこで、実際の開発援助の現場では、何が起こっているのかを明らかにするため、開発人類学の視点から事例検討を行う。加えて、日本の特色を活かした国際協力や日本国内での国際協力についての知識も培う。
本コマ(第十三回)は、教育開発分野における開発目標や教育現場の問題点、日本の教育開発分野の国際協力について理解する。
(1)田中由美子・大沢真理・伊藤るり編「教育とジェンダー:新しい戦略」『開発とジェンダー:エンパワーメントの国際協力』、国際協力出版会、2002年、74-101項。
(2)斎藤文彦「社会開発2:教育」『国際開発論:ミレニアム開発目標による貧困削減』、日本評価社、2005年、125-150項。
(3)国際協力機構『学ぶ機会をすべての人に~JICAの基礎教育協力~』、JICA-Netライブラリー、2011年。
(4)国際協力機構『アフリカ発!理数科授業改善の試み~教師中心から生徒中心の授業法へ~』、JICA-Netライブラリー、2005年。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『開発とジェンダー:エンパワーメントの国際協力』、教材(2)『国際開発論:ミレニアム開発目標による貧困削減』、オリジナル配布資料「教育開発分野の国際協力」
主題細目② 教材(1)『開発とジェンダー:エンパワーメントの国際協力』、教材(2)『国際開発論:ミレニアム開発目標による貧困削減』、オリジナル配布資料「教育開発分野の国際協力」
主題細目③ 教材(3)『学ぶ機会をすべての人に~JICAの基礎教育協力~』、教材(4)『アフリカ発!理数科授業改善の試み~教師中心から生徒中心の授業法へ~』、オリジナル配布資料「教育開発分野の国際協力」
コマ主題細目
① 教育開発部門の開発目標 ② 教育現場の問題点 ③ 日本の教育開発支援 ④ ⑤
細目レベル
① 本コマでは、教育開発に関する開発目標の変遷と政策の内容を理解する。
1996年に開発援助委員会(DAC)が示した新開発戦略(正式名称は「二一世紀に向けてー開発協力を通じた貢献」)では、7項目の国際開発目標が掲げられた。その内、2つが教育関連であり、「2015年までにすべての国で初等教育を普及」と「2005年までに初等・中等教育における男女間格差を解消」である。これらはミレニアム開発目標の目標2「普遍的初等教育の達成」につながってくる。
またミレニアム開発目標の2015年終了時成果では、教育開発分野には課題も示された。それが、2015年の持続可能な開発目標(SDGs)につながり、17の開発目標の内、目標4の「質の高い教育をみんなに」が設けられた。
② 国際協力における教育現場の問題点について、理解する。
開発途上国で行われる教育では、主に以下の8つの問題が指摘されている。
①教師が教科内容を正確に教えることができない、②カリキュラムや教育方法が不十分であるだけでなく、授業時間が極端に短い、③学校施設の老朽化、④教師の職は、給料が安く社会的な地位が低いことから、モチベーションが高くない、⑤社会的・文化的に描かれる性差(ジェンダー)による教育格差がある、⑥農村―都市間の地域間格差、民族間や所得間の教育格差も生まれる、⑦学校に子どもを行かせると、子どもが働いて得る収入が無くなる(減る)ことになる、⑧開発途上国の政府は教師の給与を負担するが、教材費や施設の修理建設費用をPTAが負担し、さらに制服や文房具も学生の親が負担することが多いという問題である。
③ 日本の教育開発支援には、国際協力機構以外にも、文部科学省の留学生交流事業、外務省による学校建設事業(無償資金協力)などがある。また草の根の活動として、NGO、NPOの国際協力もみられる。
日本の政府系国際協力機関は、1960年代からアフリカでの職業訓練を開始し、アジアやアフリカに理科教育の専門家を派遣するなどの活動を行ってきた。その後、青年海外協力隊の理数科教員の派遣や小学校建設、初等・中等教育行政の支援など、政策支援や知的協力にシフトしてきている。
また以下のビデオをみることで、教育開発分野における日本の国際協力活動について理解を深める。ビデオのタイトルは「学ぶ機会をすべての人に~JICAの基礎教育協力~」と「アフリカ発!理数科授業改善の試み~教師中心から生徒中心の授業法へ~」である。
④
⑤
キーワード
① 開発援助委員会 ② モチベーションの低下 ③ 政府開発援助 ④ 新開発戦略 ⑤ 職業訓練
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料およびノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また国際協力論では、国際政治や国際経済、気候変動、国際法などの話をすることも多い。これは国際協力に与える影響が非常に大きいからであるが、授業では専門用語を使う場合もある。授業内の説明では、予習をしていないと十分理解できないこともあるかも知れない。そこで、授業中、理解が難しかった説明や用語をノートにメモしておくことが重要である。質問シートに理解できなかった説明や用語を書くと、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、国際開発政策ならびに様々な国際協力の事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名から、その国の主要産業や貧困、就学率について調べたり、世界地図で位置を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
14
日本の国際協力③(農業開発分野)
科目の中での位置付け
本科目では、国際協力を国際開発政策の歴史的な変遷から考察するグローバルな視点で捉える一方、開発援助が実践されているローカルな視点からも考察する。それにより、グローバルとローカルな両視点を持ち合わせ、国際協力の実態に迫る。
歴史的にみると、開発援助は超大国の覇権を示す道具として利用され、各国の思惑を反映してきた。それは、国際開発政策の変遷を振り返ると、よく理解できる。一方で、ローカルないしミクロな視点とも言える開発援助の現場からの視点には、開発の現場で日々生活する受益者を通して開発援助を考察することができる。日々、人々は食や宗教、言語、ジェンダー規律、風習などの影響を受けながら生活を営んでいる。そこで、実際の開発援助の現場では、何が起こっているのかを明らかにするため、開発人類学の視点から事例検討を行う。加えて、日本の特色を活かした国際協力や日本国内での国際協力についての知識も培う。
本コマ(第十四回)は、農業開発分野における日本の国際協力について理解する。まず専門用語の確認から始まり、農業開発の歴史的変遷と開発政策、最後に農業開発の事例から、より良い国際協力に向けた改善点を考える。
(1)田中由美子・大沢真理・伊藤るり編「労働とジェンダー:様式化された事実」『開発とジェンダー:エンパワーメントの国際協力』、国際協力出版会、2002年、160-205項。
(2)斎藤文彦「経済開発1:農業・農村開発」『国際開発論:ミレニアム開発目標による貧困削減』、日本評価社、2005年、49-72項。
(3)国際協力機構『アフリカ熱帯サバンナ農業開発協力事業~ブラジルの成功事例をアフリカへ~』、JICA-Netライブラリー、2010年。
(4)国際協力機構『SHEPアプローチ~動機づけ理論に基づく「市場志向型農業振興」~』、JICA-Netライブラリー、2018年。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『開発とジェンダー:エンパワーメントの国際協力』、教材(2)『国際開発論:ミレニアム開発目標による貧困削減』、オリジナル配布資料「国際協力における農業開発」
主題細目② 教材(1)『開発とジェンダー:エンパワーメントの国際協力』、教材(2)『国際開発論:ミレニアム開発目標による貧困削減』、オリジナル配布資料「国際協力における農業開発」
主題細目③ 教材(3)『学ぶ機会をすべての人に~JICAの基礎教育協力~』、教材(4)『アフリカ発!理数科授業改善の試み~教師中心から生徒中心の授業法へ~』、オリジナル配布資料「国際協力における農業開発」
コマ主題細目
① 専門用語の確認 ② 農業開発の歴史的変遷と開発政策 ③ 農業開発の事例から改善点を考察 ④ ⑤
細目レベル
① 本コマでは、まず国際協力における農業開発に関する専門用語の定義を確認する。
まず農業開発とはどの様な定義を持ち、農村開発との共通点を整理する。また小規模家族農家、小規模農家、人間の安全保障などの専門用語の説明を行う。加えて、ミレニアム開発目標で取り上げられた目標1「極度の貧困と飢餓の撲滅」や、2030年末までに達成することを掲げた「持続可能な開発に向けた2030アジェンダ」においても、目標1「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困の解消」と目標2「飢餓の終焉、食料安全保障と栄養の改善、持続可能な農林水産業の促進」を指摘された。よって、貧困、飢餓、食料安全保障、栄養改善、農林水産業の持続可能性の相互関係について解説する。
② 次に、農業開発事業の潮流と関連する開発政策の変遷について、説明する。
近年では、2009年のラクイラ・サミットにおいて、持続可能な農業開発のための資金調達が表明された。また、2012年のキャンプデービッド・サミットでは、民間投資の増大と農業分野の技術革新をアフリカ農業で促進させることが明らかにされた。加えて、2015年には、2030年までに開発途上国における5億人を飢餓と栄養不良から救い出すことを目指した「食料安全保障及び栄養に関するより広範な開発アプローチ」が表明された。そのアプローチは、投資や農業の持続可能性、栄養改善、食料安全保障などのキーワードを中心に据えたものであった。また農業開発は貧困削減効果が高いことも報告されており、世界人口が増加する中、農業開発への期待は高い。
③ 最後に、実際に国際協力の現場で行われている日本の農業開発の事例をみて、国際協力の理解を深める。
ビデオは、国家レベルでの大規模な農業開発協力の一例である「アフリカ熱帯サバンナ農業開発協力事業~ブラジルの成功事例をアフリカへ~」と、近年注目されている「SHEPアプローチ~動機づけ理論に基づく「市場志向型農業振興」~」である。これらのビデオをみた後、より良い国際協力を実現するため課題を探る。履修学生は5~6名のグループに分かれ、国際協力の実践者や受益者などの立場から、問題点と改善点、改善した場合の具体的な効果をまとめ発表する。同じビデオをみたとしても、他のグループは異なった視点で受けとめている可能性があるので、他の人の発表に気づかされることは多い。
④
⑤
キーワード
① 食料安全保障 ② サミット ③ 市場志向型農業振興 ④ 持続可能な開発に向けた2030アジェンダ ⑤ 小規模農家
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料およびノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また国際協力論では、国際政治や国際経済、気候変動、国際法などの話をすることも多い。これは国際協力に与える影響が非常に大きいからであるが、授業では専門用語を使う場合もある。授業内の説明では、予習をしていないと十分理解できないこともあるかも知れない。そこで、授業中、理解が難しかった説明や用語をノートにメモしておくことが重要である。質問シートに理解できなかった説明や用語を書くと、次回の授業では教員から改めて詳しく説明する。
予習:シラバスに目を通し、気になった単語や事柄を各自で調べる。本科目では、国際開発政策ならびに様々な国際協力の事例を取り上げる。そのため、例えば、シラバスに書いてある国名から、その国の主要産業や貧困、就学率について調べたり、世界地図で位置を調べたりしておくとよい。一方的に聞くだけでなく、興味・関心を持って予習すると、授業内容の理解が進む。
15
日本国内でできる国際協力
科目の中での位置付け
本科目では、国際協力を国際開発政策の歴史的な変遷から考察するグローバルな視点で捉える一方、開発援助が実践されているローカルな視点からも考察する。それにより、グローバルとローカルな両視点を持ち合わせ、国際協力の実態に迫る。
歴史的にみると、開発援助は超大国の覇権を示す道具として利用され、各国の思惑を反映してきた。それは、国際開発政策の変遷を振り返ると、よく理解できる。一方で、ローカルないしミクロな視点とも言える開発援助の現場からの視点には、開発の現場で日々生活する受益者を通して開発援助を考察することができる。日々、人々は食や宗教、言語、ジェンダー規律、風習などの影響を受けながら生活を営んでいる。そこで、実際の開発援助の現場では、何が起こっているのかを明らかにするため、開発人類学の視点から事例検討を行う。加えて、日本の特色を活かした国際協力や日本国内での国際協力についての知識も培う。
本コマ(第十五回)は、日本国内で身近にできる国際協力として、国際協力イベントへの参加やフェアトレード商品の購入、クラウドファンディングの実践などを紹介し、取り組みやすい国際協力について理解を深める。
(1)田中由美子・大沢真理・伊藤るり編「労働とジェンダー:様式化された事実」『開発とジェンダー:エンパワーメントの国際協力』、国際協力出版会、2002年、160-205項。
(2)下村恭民・辻一人・稲田十一・深川由紀子「市民社会に期待される役割国際機関の役割」『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、有斐閣選書、2016年、263-288。
(3)佐藤寛「よそもののパワー」『開発援助の社会学』、世界思想社、2009年、237-248項。
【教材・講義レジュメとコマ主題細目との対応】
主題細目① 教材(1)『開発とジェンダー:エンパワーメントの国際協力』、オリジナル配布資料「日本国内でできる国際協力」
主題細目② 教材(2)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(3)『開発援助の社会学』、オリジナル配布資料「日本国内でできる国際協力」
主題細目③ 教材(2)『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、教材(3)『開発援助の社会学』、オリジナル配布資料「日本国内でできる国際協力」
コマ主題細目
① 国際協力イベント ② フェア・トレード商品の台頭 ③ クラウドファンディングの仕組み ④ ⑤
細目レベル
① 本コマでは、まず日本各地で行われている国際協力や異文化理解のイベントの目的について説明する。国際機関、ドナー国政府機関、企業、NGO、NPOなど国際協力を実施している団体は、国民への活動内容の理解促進や知名度向上、会員やインターンの募集などの様々な理由から、イベントに参加している。特に、日本最大規模の「グローバルフェスタJAPAN」や「アースデイ」などは有名である。名古屋では「ワールド・コラボ・フェスタ」の知名度が高く、国際協力や異文化理解、多文化共生を理解する場となっている。開催目的は、「持続可能な社会の実現のため、中部地域の国際交流・国際協力・多文化共生の活動を広げ、市民、NGO・NPO、企業が協力して「学び、考え、行動する場」をつくりあげるイベント」である。
② 大企業から搾取されやすい小規模生産者は、これまでの販売先ではなく新しい販売の形としてフェア・トレード(Fair Trade)を導入する動きが活発である。これは、フェア・トレード商品の原材料となる生産物ないし製品を、生産者から適正な価格で購入者が継続的に買い取る仕組みである。これにより、生産者の元に適正な対価が支払われ、生活向上につながる。また購入者の立場からすると、生産者とつながり直接支援する新たな国際協力の形といえる。さらに、国際フェアトレードラベル機構は、フェア・トレード商品の統一した基準を作成している。そのため、同機構の審査をパスした製品のみがフェアトレードラベルをつけることでき、購入者からすると目印となるのでフェア・トレード商品を選んで購入することが容易となっている。
③ 個人もしくは団体が希望する企画を実現させるため、インターネットを介して資金集めを可能とするクラウドファンディングが注目されおり、不特定多数の支援者から主に小額の資金が持ち寄られる仕組みである。
支援者へのリターンにより、以下の6つの形態に分類できる。①寄付行為を通して企画を支援(寄付型)、②購入額に応じて、物やサービスなどの特典を受け取る(購入型)、③投資家から小口の資金を集めて大口化し、資金援助を受けたい企業に融資(融資型)、④資金援助を受けたい非上場の企業が企画し、投資家が投資することでその会社の未公開公株を取得(株式型)、⑤売上や出資額に応じた金銭的なリターンを受け取る(ファンド型)、⑥ふるさと納税で支払った税金が、自治体が抱える課題の解決型企画に使用(ふるさと納税型)がある。
④
⑤
キーワード
① 身近な国際協力 ② フェアトレードラベル ③ ふるさと納税 ④ クラウドファンディング ⑤ 寄付
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:配布資料およびノートを確認し、質問を質問シートにまとめる。また国際協力論では、国際政治や国際経済、気候変動、国際法などの話をすることも多い。これは国際協力に与える影響が非常に大きいからであるが、授業では専門用語を使う場合もある。授業内の説明では、予習をしていないと十分理解できないこともあるかも知れない。そこで、授業中、理解が難しかった説明や用語をノートにメモしておくことが重要である。今回の授業が本科目の最終回である。そのため、理解できなかった説明や用語は基本的には各自で調べることになる。しかし、担当教員が研究室にいる場合、質問に来てくれれば詳細に説明することが可能であるため、必要に応じて研究室訪問をしてもらいたい。
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
専門用語の整理
国際協力分野の専門用語について、意味や定義を整理し正確な理解ができる。例えば、授業で説明した、国際協力、国連平和維持活動(PKO)、政府開発援助(ODA)、経済協力開発機構(OECD)、開発援助委員会(DAC)、グラント・エレメント(GE)、貧困線、開発、援助、NGO、NPO、CBO、PO、小規模家族農家、小規模農家、人間の安全保障などの用語である。これらの専門用語は、非常に似通った意味で使われていることもある。よって、意味の違いや名称なども理解することが求められる。
国連平和維持活動、政府開発援助、経済協力開発機構、小規模家族農家、小規模農家
20
1,2,3,4,5,9,14
国際開発政策や概念、アプローチを理解
国際協力や開発援助では、様々な国際開発政策や開発概念、アプローチが登場した。それらの内容と相違点をよく理解することができる。例えば、マーシャル・プラン(欧州復興計画)、トリクルダウン理論、ビッグプッシュ戦略、BHN戦略、構造調整政策、人間開発、ケイパビリティ(潜在能力)アプローチ、ジェンダー平等、ジェンダーと開発、グッド・ガバナンス、DAC新開発戦略、オーナーシップ、パートナーシップ、人間の安全保障など挙げればきりがない。
マーシャル・プラン、トリクルダウン理論、BHN戦略、構造調整政策、DAC新開発戦略、オーナーシップ、パートナーシップ
20
2,3,5,6,7,8
社会開発の重要性
社会開発の必要性を経済開発との対比で論じることができる。経済開発中心の国際協力と開発援助が長年続けられ、多額の資金と人的資源、時間を投入してきたが、失敗続きであった。その後、人間開発という開発概念やジェンダー平等、ジェンダー主流化など社会開発にも援助の目が向くようになった。同時期には、著名な学者が唱える開発概念も注目された。どの様な必要性があり、またどの様な経緯で社会開発が求められるようになったのかを理解し、経済開発と比較しながら説明することができる。
人間開発、ジェンダー平等、ジェンダー主流化、セーフティネット、アマルティア・セン
20
4,6,7,15
多様な国際協力の実施団体
国際協力や開発援助は、様々な実施団体によって支えられている。NGOやNPO、POといった草の根レベルで活動する団体から、主要なドナー国は、自国の政府機関もしくは政府系機関に国際協力の実施機能を持たせている。日本では国際協力機構が有名である。さらに、国際機関として、代表的な団体だと国連開発計画、国連食糧農業機関、国際通貨基金、国連児童基金などがある。これら多様な実施団体がそれぞれの役割を担いながら、国際協力が実施されていることを理解する。
NGO、NPO、国際協力機構、国連開発計画、国連食糧農業機関、世界銀行
20
3,9,10,11
日本の国際協力
日本の国際協力の実態について、事例を上げ必要性や効果、意義などについて紹介した。特に授業で取り上げた、青年海外協力隊やNGOなどの草の根活動、保健医療分野、教育開発分野、農業開発分野、人間の安全保障などの日本の国際協力について十分理解し、その活動内容や経緯、効果、必要性などを説明することができる。また今後の国際協力や開発援助は、どうあるべきかについて根拠と具体策を明示して自身の意見を述べることができる。
人を介した国際協力、青年海外協力隊、保健医療、教育開発、農業開発
20
11,12,13,14
評価方法
筆記試験(100%)で評価する。
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
なし
参考文献
・田中由美子・大沢真理・伊藤るり編『開発とジェンダー:エンパワーメントの国際協力』、国際協力出版会、2002年。・下村恭民・辻一人・稲田十一・深川由紀子『国際協力:その新しい潮流(第3版)』、有斐閣選書、2016年。・佐藤寛『開発援助の社会学』、世界思想社、2009年。・内海成治編『国際協力論を学ぶ人のために』、世界思想社、2005年。・鈴木紀・滝村卓司編著『国際開発と協働:NGOの役割とジェンダーの視点』、明石書店、2013年。・国際協力機構 国際協力総合研究所『援助の潮流がわかる本:今、援助で何が焦点となっているのか』、国際協力出版会、2007年。・斎藤文彦『国際開発論:ミレニアム開発目標による貧困削減』、日本評価社、2005年。・大野泉ほか編『国際協力用語集【第4版】』、国際開発ジャーナル社、2014年。・草野孝久編『農村開発と国際協力』、古今書院、2002年。・ノラン・リオール『開発人類学: 基本と実践』、古今書院、2007年。
実験・実習・教材費
なし