区分
専門科目-基盤看護学-基礎看護学
ディプロマ・ポリシーとの関係
実践能力
倫理観
専門性探求
地域社会貢献
グローバル性
カリキュラム・ポリシーとの関係
豊かな人間性
広い視野
知識・技術
判断力
探求心
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
科目の目的
看護はつねに人々の生活とともにあり、看護という実践そのものが、人々が尊厳を持って生きることを手助けする ものである。そのため、看護は生命・人間の尊厳や基本的人権を基盤に展開しなければならない。医療における患者の人権について認識するとともに、対象者主体の医療について、倫理について学ぶ。生命倫理の学修を踏まえ、医療の倫理原則、看護の倫理原則、基本的人権の尊重や尊厳について、看護者の倫理綱領などを事例を用いながら理解するとともに、看護専門職として、また、これから看護学を学修する上で必要な倫理的感受性および倫理的視点の基盤を培う。
到達目標
⒈生命・人間の尊厳や個人の尊重について説明できる。
⒉医療における患者の権利の確立が説明できる。
⒊看護倫理の原則とその内容を説明できる。
4.看護者の倫理綱領における倫理的責務を理解できる。
5.看護専門職を目指す学生として,必要な態度・姿勢を理解できる。
6.看護専門職を目指す者として,必要な倫理的視点を持つことができる。
科目の概要
看護はつねに人々の生活とともにあり、看護という実践そのものが、人々が尊厳を持って生きることを手だすけするものである。そのため、看護は生命・人間の尊厳や基本的人権を基盤に展開しなければならない。医療における患者の人権について認識するとともに、患者主体の医療について、倫理について学ぶ。患者の権利をめぐる歴史的変遷や権利擁護の重要性、生命倫理の原則と看護倫理の原則について理解し、看護専門職として国際看護協会(ICN)の看護師の倫理綱領、日本看護協会に「看護者の倫理綱領」を学修し倫理的責務があることを理解する。また、医療事故とヒューマンエラーとして、医療事故における責任について概説する。さらに看護実践や、広く社会的あるいは医療上問題となる倫理的課題に対して事例をもとに検討し、看護専門職として、また、これから看護学を学修する上で必要な倫理的感受性および倫理的視点の基盤を培う。
科目担当教員は、精神科の看護師として勤務し臨床経験を有している。本科目は、看護実践の基盤となる医療倫理・看護倫理について教授する科目である。
科目のキーワード
①倫理、②看護の倫理原則、③倫理的問題 ④インフォームドコンセント ⑤自己決定権 ⑥守秘義務 ⑦アドボカシー ⑧看護職の倫理綱領 ⑨医療事故
授業の展開方法
書き込み式の資料を配布し、講義資料と合わせ活用しながら、患者の権利やインフォームド・コンセント、看護の倫理原則、看護師の責務等を学ぶ。授業は講義形式を主体とするが、さまざまな事例を用い実践的理解を深める。また、すべての回で、その回ごとのリアクションペーパーを配布し、各回での学生自身の倫理的価値観や考え方、思考を培う。第7回のグループワークとプレゼンテーションでは、ワークシートを用いた倫理的問題の検討を行い、価値観の相違を学生自身が体験するとともに、倫理的価値観の多様性と自身の倫理的感受性を理解する。
オフィス・アワー
研究室710:月曜~金曜お昼休み
E-mail:n-bekku@uhe.ac.jp
(実習中など不在となるため、事前連絡が望ましい)
科目コード
ERG10
学年・期
1年・前期
科目名
看護倫理
単位数
1
授業形態
講義
必修・選択
必修
学習時間
【講義】16h
【予習・復習】29h
前提とする科目
本科目は生命倫理を前提とし、医学における生命倫理から看護における倫理の基礎を学ぶものである。これから看護学を学修する者として、個人の尊重・生命の尊厳を意識した認識・行動が求められる。
展開科目
看護の専門科目及び臨地実習科目
関連資格
看護師 保健師
担当教員名
別宮直子・松山キャンパス教務課
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
対象者主体の医療
科目の中での位置付け
本科目は、1学年前期に開講される生命倫理のあとの科目であり、看護学教育を受ける初学者に専門職としての倫理を意識づける科目となる。本科目は、「医療は誰のものであるのか」の究極的な問いに応えるものであり、看護職を目ざす中で倫理とは何か、なぜ倫理を学ぶ必要があるのかを理解し、看護実践の根底にあるものはすべて倫理的思考であること、医療・看護倫理に関する知識・感性を修得することを目指す。第1回目は、対象者主体の医療について論述し、第2回目はインフォームド・コンセントについて、第3回目は看護実践において重要な看護倫理について論述する。第4回目には看護における法的責任と倫理的責任について、第5回目は医療事故とヒューマンエラーを学修し、第6回目には安楽死や尊厳死といった死生観から生命倫理に関する諸問題を考える。第7回目に倫理的問題に対するアプローチから倫理的思考プロセスを事例を検討しながら考察する。第8回目は、事例や動画により、これから実習に臨む看護学生としての必要な倫理的態度や姿勢を理解する。このような流れの中で、第1回目は、本科目の導入ともなる対象者主体の医療の考え方、その中に、対象者の尊厳や権利があり、倫理が存在することを概説する。
①独自作成の講義資料
小西恵美子編集、看護倫理改訂第3版P80~83
②独自作成の講義資料、小西恵美子編集、看護倫理改訂第3版P2~10
③独自作成の講義資料、小西恵美子編集、看護倫理改訂第3版P84~87
コマ主題細目
① 対象者中心の看護 ② 倫理・道徳・法 ③ 患者の権利
細目レベル
① 現在の超高齢化社会の中、病気を持ちながらも社会で生きたい、生活したいという人は増加しており、病院以外でも医療を提供していくニーズが高まっている。そのため、看護は、何らかの疾患をもつ「患者」ではなく、「一人の人間」「一人の生活者」としてとらえ、理解すること、病院・診療所で呼ばれている「患者」は医学モデルに由来する言葉であること、対象者の問題を当人の個人的な病理としてとらえるのではなく,周りの人や、物、場所、組織、情報、価値といった生態系の要素の中の相互作用の結果としてとらえ、医学モデルだけでなく、生活モデルのバランスのとれた支援、患者中心の看護から対象者中心の看護が求められていることを学修する。
② 倫理ethicsとは、人として根源的に大事なものを念頭に、人としのあり方や態度、行為について、「よいか.よくないか.その理由は何か.どうするのがよいことか」を考える活動であること、根源的に大事なものとは、命、健康、安らかな死、安全、人間関係、人としての尊厳、正直、安楽、公平などであり、これらは「道徳的な価値」であり、どれに重みをおくかは、状況、人によって異なる。そのため、関係者と語り合うことが重要であり、状況をよく吟味することが大切となることを理解する。身近にある事例①「あなたレポートみせてくれない?」等を講義の中で検討することで、道徳的思考や道徳的推論、倫理的判断とは何かを学修し、そこには、個々の価値観が大きく影響することを理解する。
③ 対象者主体の医療を考えるときには、対象者の尊厳や権利を重視する必要がある。世界人権宣言の第1条では、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」と示されるように、最も重要な人間の権利の一つであり、国際看護師協会(ICN)の「看護師の倫理綱領」の序文においても、「看護には、文化的権利、生存と選択の権利、尊厳を保つ権利、そして敬意のこもった対応を受ける権利などの人権を尊重することが、その本質として備わっている」と示されている。これらの宣言や条文からも尊厳や権利の重要性が伺えること、さらに「尊厳とは」「権利とは」を考えることで、これらの言葉の持つ意味深さを理解する。
キーワード
① 対象者主体 ② 倫理・道徳・法 ③ 患者の尊厳 ④ 患者の権利 ⑤ 医学モデル
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習、事後学習では、看護は、何らかの疾患をもつ「患者」ではなく、「一人の人間」「一人の生活者」としてとらえ理解すること、、倫理ethicsとは、何か、道徳や道徳的な価値、さらに倫理・道徳・法の関係を復習する。さらに、患者主体の医療を考えるときには、患者の尊厳や権利を重視する必要があり、世界人権宣言の第1条で示されるように、最も重要な人間の権利の一つであること、国際看護師協会(ICN)の「看護師の倫理綱領」の序文における患者の尊厳と権利について復習する。予習課題では、提示した教科書のページを熟読するとともに、既習の「ニュルンベルク綱領」「ヘルシンキ宣言」「患者の権利章典に関する宣言」を熟読してくること。
2
インフォームド・コンセント
科目の中での位置付け
本科目は、1学年前期に開講される生命倫理のあとの科目であり、看護学教育を受ける初学者に専門職としての倫理を意識づける科目となる。本科目は、「医療は誰のものであるのか」の究極的な問いに応えるものであり、看護職を目ざす中で倫理とは何か、なぜ倫理を学ぶ必要があるのかを理解し、看護実践の根底にあるものはすべて倫理的思考であること、医療・看護倫理に関する知識・感性を修得することを目指す。第1回目は、対象者主体の医療について論述し、第2回目はインフォームド・コンセントについて、第3回目は看護実践において重要な看護倫理について論述する。第4回目には看護における法的責任と倫理的責任について、第5回目は医療事故とヒューマンエラーを学修し、第6回目には安楽死や尊厳死といった死生観から生命倫理に関する諸問題を考える。第7回目に倫理的問題に対するアプローチから倫理的思考プロセスを事例を検討しながら考察する。第8回目は、事例や動画により、これから実習に臨む看護学生としての必要な倫理的態度や姿勢を理解する。このような流れの中で、第2回目は、今日、インフォームド・コンセントのこれまでの変遷を踏まえ、現在の日本におけるICの考え方を理解する。
①独自作成の講義資料P.2~11系統看護学講座 看護倫理、医学書院P24~28、医療倫理に関する宣言・綱領p215~224
②独自作成の講義資料P.12~20、系統看護学講座 看護倫理、医学書院P34~37、宮脇美保子著、身近な事例で学ぶ看護倫理、中央法規、P.44.
③独自作成の講義資料P.21~27、看護倫理 よい看護・よい看護師への道しるべ 改訂第3版 小西恵美子、南江堂
P.88~91.サラT.フライ 看護実践の倫理【第3版】 p.50
コマ主題細目
① 患者の人権、権利確立の変遷 ② 日本におけるインフォームド・コンセント ③ 患者の権利擁護
細目レベル
① 患者の人権、権利確立の変遷は、インフォームド・コンセントの生まれた背景である。そのため、生命倫理の歴史を踏まえながら、インフォームド・コンセントが生まれ広がった背景を、「ニュルンベルク綱領」や「ヘルシンキ宣言」、「患者の権利章典に関する宣言」、「患者の権利に関するリスボン宣言」を採択、さらに、ベルモントレポートについて理解し、患者の権利やインフォームド・コンセントがどのように考えられていったか理解できる。これらの綱領や宣言は、生命倫理学で既習したことである。そのため、ニュルンベルク綱領において、ICの理念が広がり、ベルモントレポートでもその理念が明記されていること等、本講義では、インフォームド・コンセントとの関連を中心に概説する。
② 患者の権利確立の主な歩みを、日本、世界において比較し、日本の医療における患者の権利においても、20世紀の「負の遺産」は存在していたこと、さらに、インフォームドコンセント(IC)を直接規定した法律はなく、医師法には,「医師は,診療をしたときは,本人又はその保護者に対し,療養の方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければならない」(第23条)と記載されているが、同意については触れられていないこと、そのような中、エホバの証人の輸血拒否事件(2000年)が起こり、最高裁判所は,患者が輸血を拒否する明確な意思をもっている場合,意思決定をする権利は人格権として尊重されなければならないと述べ、患者にとって重要な情報が提供され,患者がみずから意思決定を行う権利をもつことが認められるようになった.これらの日本における背景を理解する。
③ インフォームドコンセントの実践上の課題として、判断能力をまったくもたない人には、ICを行うことは難しく、本人の最善利益を代弁してくれる家族や近親者などの代理人から代諾を得るほかないこと、また、判断能力の低い人については、その人の状態に合わせてできる限りわかりやすい説明を行い,治療・ケアについて一定の同意を得ることが望ましい.これをインフォームドアセントということを押さえる。その上で、ICにおける看護職の役割は,医師による説明を十分に理解できるような情報の提供をみずからも積極的に行うことや,不明だったり不安に感じたりすることを患者がたずねたり感情を表出できるように支援することなど,患者の権利の擁護者,すなわちアドボケートとしてかかわることにある.患者の権利擁護とは、「個人が自分らしく、人間らしく生きるための権利とその支援」ということであり、看護師は患者の権利を擁護することが重要であることを認識できる。また権利擁護(アドボカシー)は、看護実践の道徳的概念でもあることを理解できる。
キーワード
① ニュールンベルグ綱領 ② ヘルシンキ宣言 ③ リスボン宣言 ④ インフォームドコンセント・インフォームドアセント ⑤ アドボケイト
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習、事後学習では、20世紀医療の「負の遺産」とは何か、「ニュルンベルク綱領」が採択され、医学実験の被験者の自己決定権の確立が行われたこと、それは、「ヘルシンキ宣言」に受け継がれ、医療従事者の職業倫理を大きく転換させるきっかけとなったこと、その後、アメリカ病院協会「患者の権利章典に関する宣言」、「患者の権利に関するリスボン宣言」を採択と患者の権利の変遷を押さえる。また、インフォームドコンセントやインフォームドアセント、患者の権利擁護について復習する。予習課題としては、提示した教科書のページを熟読するとともに、既習の知識である徳の倫理、倫理原則の自律尊重の原則、善行の原則 、無害の原則、正義の原則について事前学習をしておくこと。
3
看護実践と倫理
科目の中での位置付け
本科目は、1学年前期に開講される生命倫理のあとの科目であり、看護学教育を受ける初学者に専門職としての倫理を意識づける科目となる。本科目は、「医療は誰のものであるのか」の究極的な問いに応えるものであり、看護職を目ざす中で倫理とは何か、なぜ倫理を学ぶ必要があるのかを理解し、看護実践の根底にあるものはすべて倫理的思考であること、医療・看護倫理に関する知識・感性を修得することを目指す。第1回目は、対象者主体の医療について論述し、第2回目はインフォームド・コンセントについて、第3回目は看護実践において重要な看護倫理について論述する。第4回目には看護における法的責任と倫理的責任について、第5回目は医療事故とヒューマンエラーを学修し、第6回目には安楽死や尊厳死といった死生観から生命倫理に関する諸問題を考える。第7回目に倫理的問題に対するアプローチから倫理的思考プロセスを事例を検討しながら考察する。第8回目は、事例や動画により、これから実習に臨む看護学生としての必要な倫理的態度や姿勢を理解する。このような流れの中で、第3回目は、看護師と倫理、看護の倫理原則等について理解する。
①独自作成の講義資料、系統看護学講座 看護倫理、医学書院P28~33、96~102.
②独自作成の講義資料、小西恵美子編集、看護倫理改訂第3版P17~19、統看護学講座 看護倫理、医学書院P102~106.
③独自作成の講義資料、系統看護学講座 看護倫理、医学書院P16~17.
コマ主題細目
① 看護師と倫理 ② 徳の倫理から原則の倫理へ ③ 看護の倫理原則とその理解
細目レベル
① 看護倫理(nursing ethics)は、よい看護師、よい看護を目指す看護の道しるべである。看護倫理は、医療や福祉・産業などの場で実践する看護師の思考と行動を支える根幹である。医療では、治療やケアに対する関係者の意見の相違など、さまざまな問題が生じる、看護倫理は、それらを倫理の眼で見る学問であり、看護を行う過程で出会う問題の検討、広く社会の倫理問題の検討を行うことである。看護倫理という言葉から、難しくとらえられやすいが、具体的には、実習で出会った看護師の様になりたいと思ったり、逆になりたくないと思うことも、倫理を感じたり考えたりしていることであり、看護実践を行うことが倫理でもあることを認識する。
② 徳の倫理から原則の倫理へ(1970年代~2000年ごろまで)の変遷として、徳の倫理は「私はどのような人であるべきか」「よい人とはどのような人か」という問いに答えていこうとするものであり、専門職としての役割を担う際、徳の倫理だけでは限界があることに気づく、さらに、医学の発展に伴う新しい倫理的問題の出現により、アメリカの生命倫理学者であるビーチャムT.L.とチルドレスJ.F.が提唱した生命倫理が台頭し、原則の倫理へと変遷したことを学修する。さらに、看護の倫理原則は(1)善行と無害,(2)正義,(3)自律,(4)忠誠,(5)誠実の5つの原則がある。すでに学修している医療における生命倫理の4原則を(1)無害、(2)善行、(3)自律の尊重、および(4)公平(正義)の4つを押さえながら、看護の倫理原則を学修する。
③ 細目レベル③では、これまでに学修した生命倫理の4原則、自律尊重、善行、無害、正義を事例を用いて整理する。倫理的な事柄には、関係する人々の価値観が関連するように一つの側面や視点から倫理的な判断をすることはできない。そのため、選択肢が二つ存在する場合、4つの倫理原則はどのような状況になるのか、多角的に整理することが肝要となる。臨地実習経験のない1年生には難しい課題であるが、まずは事例(余命宣告について、緊急手術の是非について)を用い検討する。事例を用い検討することで、医療の倫理原則である4原則の意味理解を深め、倫理的思考のヒントを得る。さらに、看護の倫理原則である誠実の原則と忠誠の原則を学修する。
キーワード
① 看護実践 ② 看護の倫理原則 ③ 徳の倫理 ④ 生命倫理 ⑤ 誠実・忠誠
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習、事後学習では、看護倫理(nursing ethics)とは何かを理解し、看護倫理は、医療や福祉・産業などの場で実践する看護師の思考と行動を支える根幹であり、看護実践を行うことが倫理でもあること、看護の倫理原則は1)善行と無害,(2)正義,(3)自律,(4)忠誠,(5)誠実の5つの原則があり、それぞれの原則の考え方をしっかりと復習する。予習課題としては、提示した教科書のページを熟読するとともに、看護の倫理原則の他に、重要な倫理的概念に、アドボカシー、責任・責務、協力、ケアリングについても、ICN看護師の倫理綱領を熟読し、看護師の4つの責任には、(1)健康の増進、(2)疾病の予防、(3)健康の回復、(4)苦痛の緩和があることを理解しておく。
4
看護における法的責任と倫理的責任
科目の中での位置付け
本科目は、1学年前期に開講される生命倫理のあとの科目であり、看護学教育を受ける初学者に専門職としての倫理を意識づける科目となる。本科目は、「医療は誰のものであるのか」の究極的な問いに応えるものであり、看護職を目ざす中で倫理とは何か、なぜ倫理を学ぶ必要があるのかを理解し、看護実践の根底にあるものはすべて倫理的思考であること、医療・看護倫理に関する知識・感性を修得することを目指す。第1回目は、対象者主体の医療について論述し、第2回目はインフォームド・コンセントについて、第3回目は看護実践において重要な看護倫理について論述する。第4回目には看護における法的責任と倫理的責任について、第5回目は医療事故とヒューマンエラーを学修し、第6回目には安楽死や尊厳死といった死生観から生命倫理に関する諸問題を考える。第7回目に倫理的問題に対するアプローチから倫理的思考プロセスを事例を検討しながら考察する。第8回目は、事例や動画により、これから実習に臨む看護学生としての必要な倫理的態度や姿勢を理解する。このような流れの中で、第4回目は、看護における法的責任および倫理的責任を理解する。
①独自作成の講義資料、系統看護学講座 看護倫理、医学書院P106~114.
②独自作成の講義資料、系統看護学講座 看護倫理、医学書院P109、ナーシング・グラフィカ基礎看護学①看護学概論P.170~184.
③独自作成の講義資料、系統看護学講座 看護倫理、医学書院P123~131.
コマ主題細目
① 看護実践上の倫理的概念 ② 看護師と法的責任 ③ 看護師の倫理的責任
細目レベル
① 看護の倫理原則の他に看護実践上の重要な倫理的概念には、アドボカシー、責任・責務、協力、ケアリングがある.アドボカシーadvocacyは権利擁護のことであり、看護においては,患者の権利がなんらかのかたちでそこなわれたとき,看護師はアドボケート(権利擁護者,代弁者)としてその責任を果たさなければならない.看護師の責任とは、看護を必要とする人々に対して存在し、看護師の4つの責任には、①健康の増進、②疾病の予防、③健康の回復、④苦痛の緩和があること、他、協力による倫理的問題の解決には、倫理カンファレンスの開催や倫理コンサルテーションなどがあること、ケアやケアリングの意味や「ケアの倫理」について理解する。
② 看護専門職の倫理的判断の構造には、葛藤や倫理(観)、倫理原則に基づく視点、専門職としての知識・技術・信念、そして、法律、指針がある。倫理判断に関連するおもな法律には、日本国憲法、保健師助産師看護師法、医療法、医師法、健康増進法、地域保健法、母子保健法、個人情報の保護に関する法律などがあり、指針には看護者の倫理綱領、ICN看護師の倫理綱領,看護の業務基準などあることを学修する。看護師の法的な責任として医療法(医療法におけるサービス提供の理念)、保健師助産師看護師法(看護師の定義;第5条、及び第42条の2等)で定められていることを理解できる。さらに専門職として法的責任と倫理的責任について概説し、ハインツのジレンマを例にあげ、道徳的発達段階における法律遵守の位置づけを理解する。
③ 看護師の倫理の追求には、看護がなにを「善い」結果と考えて行為するのか、誰にとって善いことを行うのか、良い結果をもたらすにはなにを備えるべきなのかという、倫理的な問いを切り離すことはできない。看護の専門性を追求することは、看護の倫理を追求することでもあるといえる。「誰にとって善いことを行うのか」の問いでは、看護理論化のヘンダーソンが、「看護の基本となるもの」の中で、「看護とは、病気ではなくそれに出会っている人間をみることをつねに優先させる」という看護の独自性を示している。こういった社会における専門職の存在証明となる土台として倫理綱領が必要であることを概説し、専門職集団としての国際看護協会(ICN)「看護師の倫理綱領」の内容を理解できる。
キーワード
① 責任・責務、協力 ② ケアの倫理 ③ 医療法 ④ 保助看法 ⑤ ICN;看護師の倫理綱領
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習、事後学修では、本回で学修した内容は大変重要である。日本国憲法や看護師の法的な責任として医療法(医療法におけるサービス提供の理念)、保健師助産師看護師法(看護師の定義;第5条、及び第42条の2等)を復習すると共に、看護師の指針となる、国際看護師協会(ICN)の「看護師の倫理綱領」の概要および日本看護協会の「看護者の倫理綱領」の前文と15の条文の内容をしっかりと復習することが重要である。特に、講義で扱った条項やICNの看護師の倫理綱領における看護師の4つの責任をしっかり復習しておくこと。予習課題では、提示した教科書のページを熟読するとともに、医療事故をキーワードに、各自がネット検索し、事例を調べおくこと。
5
医療事故とヒューマンエラー
科目の中での位置付け
本科目は、1学年前期に開講される生命倫理のあとの科目であり、看護学教育を受ける初学者に専門職としての倫理を意識づける科目となる。本科目は、「医療は誰のものであるのか」の究極的な問いに応えるものであり、看護職を目ざす中で倫理とは何か、なぜ倫理を学ぶ必要があるのかを理解し、看護実践の根底にあるものはすべて倫理的思考であること、医療・看護倫理に関する知識・感性を修得することを目指す。第1回目は、対象者主体の医療について論述し、第2回目はインフォームド・コンセントについて、第3回目は看護実践において重要な看護倫理について論述する。第4回目には看護における法的責任と倫理的責任について、第5回目は医療事故とヒューマンエラーを学修し、第6回目には安楽死や尊厳死といった死生観から生命倫理に関する諸問題を考える。第7回目に倫理的問題に対するアプローチから倫理的思考プロセスを事例を検討しながら考察する。第8回目は、事例や動画により、これから実習に臨む看護学生としての必要な倫理的態度や姿勢を理解する。このような流れの中で第5回目は、医療事故・医療過誤について認識し、看護実践の場で起こりうるリスクの把握と医療事故防止のための対応につい理解する。
①独自作成の講義資料、ナーシング・グラフィカ 基礎看護学(1)看護学概論 メディカ出版,P240.ヒューマンエラー第3版、小松原明哲、丸善出版、P2、ヒューマンエラー防止対策、尾崎裕,幻冬舎、2020
②独自作成の講義資料、尾崎裕著、ヒューマンエラー防止対策 ヒヤリハットの検証と精査、幻冬舎、2020.P14~54. 医療現場のヒューマンエラー対策ブック,河野龍太郎,日本能率協会マネジメントセンターP.18~24.
③独自作成の講義資料、ナーシング・グラフィカ 基礎看護学(1)看護学概論 メディカ出版,2017.P.187,240~243.系統看護学講座 看護学概論、基礎看護学(1)、P.293~303.
コマ主題細目
① ヒューマンエラー ② ヒューマンエラーの防止 ③ 医療事故・医療過誤
細目レベル
① これまで,看護職の法的責任や倫理的責任について論じてきた.しかし,人は間違いを避けられない,間違いを起こすのも人である.とくに,看護師は,処置にせよ与薬にせよ,患者に対する医療サービスの最終行為者となるケースが多く,事故を起こす危険性は医療従事者の中でも高いと考えられている.このことを一人ひとりの看護師がしっかりと自覚した上で,日々の事故防止とセーフティマネジメントに努めていく必要があることを理解する。ハインリッヒ(Heinrich. H.W.)は労働災害事故の研究を通じて,1件の重大な傷害事故(死亡など)の背景には,同種の軽い傷害事故(負傷生存)29件,その背景には傷害には至らなかった同種の事故(ニアミス)が300件あると述べているハインリッヒの法則がること、他、スイスチーズモデルといった考え方があることを理解できる。
② ヒューマンエラー分析の専門家,リーズン(Reason. J.)は,エラーを2種類に分け、計画どおりに正しい行動をとらなかったことによる実行のエラーと当初の行動計画に間違いがあったことによる計画のエラーがあること、ヒューマンエラーの原因、人の起こすヒューマンエラーにおいて、行動を理解するには人の特性を理解しなければならない。そのため、人間の情報処理モデルを概観し、その他、医療現場で生じるヒューマンエラーについて、取り違いのエラー等を具体的な事例を用い概説する。
ヒューマンエラーの原因、人の特性からヒューマンエラーをみることで、そのリスクを理解するとともに、自らもエラーを起こしうることの自覚につなげる。
③ 医療において生じた事故すべての事象を医療事故ということを把握できる。患者・医療従事者すべてを含めた人身事故のことで、結果的に医療事故に至らなかったものを「ヒヤリ・ハット」ということを認識できる。さらに、医療事故における法的責任を刑事責任と民事責任を理解し、通常,医療裁判というときには後者の民事裁判を指すことを理解できる。
ヒヤリハット報告書は、人のエラーの発生要因を分析し,次なる事故の防止に生かそうという目的で多くの病院で実施されている.報告書の記載は,記入者の体験を同僚が共有し,自分の事故防止対策に生かすことができる.また、ヒヤリハットを記載することで,管理者に対して情報提供をする機会にもなることを理解する。事故防止に役立つチェックシステムとしては、セルフチェック、チームによるチェック、医療機器の安全システムの整備等があることを理解できる。
キーワード
① 医療事故 ② 医療過誤 ③ ハインリッヒの法則 ④ 看護業務の特性 と事故 ⑤ 医療事故防止
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
おく。ヒューマンエラーの二つの分類やヒヤリハット報告書を記載する重要性、事故防止に役立つチェックシステム、セルフチェック、チームによるチェック、医療機器の安全システムの整備について復習することが重要である。予習課題としては、提示した教科書のページを熟読するととともに、今回事前配布した資料を熟読し、資料のトピックスにおける生命倫理上の課題が何であるかを、これまで学修した倫理原則等と照らし合わせ、整理しておくことが望ましい。
6
生命倫理上の諸課題
科目の中での位置付け
本科目は、1学年前期に開講される生命倫理のあとの科目であり、看護学教育を受ける初学者に専門職としての倫理を意識づける科目となる。本科目は、「医療は誰のものであるのか」の究極的な問いに応えるものであり、看護職を目ざす中で倫理とは何か、なぜ倫理を学ぶ必要があるのかを理解し、看護実践の根底にあるものはすべて倫理的思考であること、医療・看護倫理に関する知識・感性を修得することを目指す。第1回目は、対象者主体の医療について論述し、第2回目はインフォームド・コンセントについて、第3回目は看護実践において重要な看護倫理について論述する。第4回目には看護における法的責任と倫理的責任について、第5回目は医療事故とヒューマンエラーを学修し、第6回目には安楽死や尊厳死といった死生観から生命倫理に関する諸問題を考える。第7回目に倫理的問題に対するアプローチから倫理的思考プロセスを事例を検討しながら考察する。第8回目は、事例や動画により、これから実習に臨む看護学生としての必要な倫理的態度や姿勢を理解する。このような流れの中で、第6回目は、安楽死や尊厳死といった死生観から生命倫理に関する諸問題を考える。
①独自作成の講義資料、系統看護学講座 看護倫理,医学書院 P.60~72
②独自作成の講義資料、生命倫理と医療倫理 第4版 金芳堂、安楽死と尊厳死、大谷いづみ,2020
③独自作成の講義資料、日本臓器移植ネットワークhttps://www.jotnw.or.jp/explanation/07/06/
コマ主題細目
① 死の生命倫理 ② 安楽死 ③ 脳死・臓器移植
細目レベル
① 医療技術は、多くの疾患治療に貢献すると同時に治癒・回復の見こみのない患者であっても、治療方法が見つかる可能性がある限り延命させることの是非の中で、尊厳死・安楽死の概念がクローズアップされていることを理解できる。多くに人々が病院という医療従事者や医療機器に囲まれた環境で亡くなり、日本の制度では、医師が死を確認し、死亡診断書または死体検案書を発行することにより、法的な意味での死が確定する、このように医療が人間の死を法的・社会的に確定させる役割をもっていることを理解する。また、延命と生命の質(QOL)との関係が問われていることを把握する。また、尊厳死の定義を理解できる。患者の自発的な意思・同意を必要とすることを認識できる。
② 安楽死の定義を理解でき、安楽死についての歴史的変遷を理解し、安楽死の論理的区分、苦痛緩和のために意図的直接的に死を引き起こすことを「積極的安楽死」、苦痛緩和措置の副作用による死を「間接的安楽死」、生命維持装置の不開始によるものを「消極的安楽死」と分類し、オランダ・スイス・アメリカ等の安楽死に対する考え方と日本の考え方を認識できる。また、日本における1995年の東海大学安楽死事件に対する横浜地裁の判決について論述し、四つの要件を満たせば、「積極的安楽死」は刑法的に許容されるとされていることなどを理解する。また、安楽死が議論されている昨今の事件や新聞記事の事例から、その倫理的問題の難しさが理解できる。
③ フランスの哲学者ジャンケレヴィッチの死の人称性、第一人称、第二人称、第三人称に分けてとらえ、それぞれの死はまったく異なる時間性をもっているといった死の意味を考えることができる。また、日本人の死生観の特徴を把握する。その上で、 移植医療の歴史背景を押さえ、移植医療の中でも脳死移植に関しては、脳死の定義とその判定基準、日本における脳死をめぐる論争から、臓器提供者(ドナー)の意思確認と脳死判定が問題になることを理解する。また、日本における脳死・臓器移植に関する法律「臓器移植法」について、オプトイン方式とオプトアウト方式について把握する。移植医療をめぐる生命倫理の課題である資源配分の課題、移植医療への心理的抵抗感、生体移植の課題について理解する。
キーワード
① 尊厳死の定義 ② 自発的意思・同意 ③ 安楽死の定義 ④ 臓器移植法 ⑤ 臓器提供者 (ドナー)
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習、事後学修は、尊厳死および安楽死の定義を区別でき、安楽死についての歴史的変遷を理解し、安楽死の論理的区分である「積極的安楽死」「間接的安楽死」「消極的安楽死」について復習する。死の人称性、第一人称、第二人称、第三人称に分けてとらえ、それぞれの死はまったく異なる時間性をもっているといった死の意味について復習をすること、また、脳死の定義とその判定基準、日本における脳死をめぐる論争から日本における脳死・臓器移植に関する法律「臓器移植法」について、オプトイン方式とオプトアウト方式について復習することが重要である。予習課題としては、提示した教科書のページを熟読し、自分なりに要約しまとめておくことが望ましい。
7
倫理的問題へのアプローチ
科目の中での位置付け
本科目は、1学年前期に開講される生命倫理のあとの科目であり、看護学教育を受ける初学者に専門職としての倫理を意識づける科目となる。本科目は、「医療は誰のものであるのか」の究極的な問いに応えるものであり、看護職を目ざす中で倫理とは何か、なぜ倫理を学ぶ必要があるのかを理解し、看護実践の根底にあるものはすべて倫理的思考であること、医療・看護倫理に関する知識・感性を修得することを目指す。第1回目は、対象者主体の医療について論述し、第2回目はインフォームド・コンセントについて、第3回目は看護実践において重要な看護倫理について論述する。第4回目には看護における法的責任と倫理的責任について、第5回目は医療事故とヒューマンエラーを学修し、第6回目には安楽死や尊厳死といった死生観から生命倫理に関する諸問題を考える。第7回目に倫理的問題に対するアプローチから倫理的思考プロセスを事例を検討しながら考察する。第8回目は、事例や動画により、これから実習に臨む看護学生としての必要な倫理的態度や姿勢を理解する。このような流れの中で、第7回目は本講義で学習した医療の4倫理原則を踏まえ、倫理的問題へのアプローチの方法から実際に事例検討を行う。
①②③独自作成した講義資料、系統看護学講座 看護倫理、医学書院P138~161、サラ.T.フライ、看護実践の倫理【第3版】倫理的意思決定のためのガイド、日本看護協会出版会、P.75~83.
コマ主題細目
① 倫理的問題へのアプローチ法 ② グループワーク ③ 討議
細目レベル
① 倫理的問題へのアプローチについて概説する。看護実践における倫理的問題の特徴は、日常に深く入り込んだ倫理であり、「いま、ここで」の行為が伴う実践があること、その時、その場での違和感が大切となる。そういった中での倫理的問題を、サラ・フライの看護実践における倫理的分析と意思決定のためのモデルやJonsenらの4分割表を用いて、医学的適応、患者の意向、生活の質(QOL)、周囲の状況の4側面について検討し、網羅的に状況を記述し、問題点をあげていくことについて、事例を用い理解する。また、レストによる道徳的行動の4要素モデルから導き出されたケース分析質問票について、概要を理解できる。これらは倫理的問題への代表的なアプローチ法であり、それぞれの特徴を踏まえ用いることが重要であることを理解する。
② グループワークでは、まず、グループで行う前に各自で提示した事例についてJonsenらの症例検討シートを用い、情報を整理する。さらに、その後4つの意思決定モデルを用い、(1)価値の対立の背景、(2)状況に含まれている価値の重要性、(3)関係する人それぞれにとって対立の意味するもの、(4)何をなすべきかについて整理を行う。その後、グループ内で、他の学生の整理した内容や考えの意見交換を行い、自身の考えも表明する。
Jonsenらの症例検討シートと4つの意思決定モデルの二つを使用するのは、初学者にとって情報の整理と意思決定モデルの流れでの考えを踏まえることで、複雑な倫理的情報を整理し、倫理的意思決定のプロセスを理解する助けとなる。
③ ②のグループでの検討シートから、倫理的問題へのアプローチ方法、倫理的思考決定のプロセスを発表してもらう。各グループの発表を聞き、 (1)価値の対立の背景、(2)状況に含まれている価値の重要性、(3)関係する人それぞれにとって対立の意味するもの、(4)何をなすべきかについて、多様な意見があることを理解する。各グループの発表を聞くことで、異なる価値観への気づきや、異なる価値観による対立を解消する方法、なすべきことの計画を具体的に、個々の学生が考えることになる。個々での違い、グループでの違いが現れ、倫理的意思決定のプロセスの実際の一部を学修する。ここで重要なことは、ディベートにより結論を出すことではなく、他者の意見を聞くことで、倫理的視点を培うことである。
キーワード
① 倫理的問題 ② 倫理的思考 ③ 意見表明 ④ 価値観の相違 ⑤ 倫理的視点
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習、事後学修は、、サラ・フライの看護実践における倫理的分析と意思決定のためのモデルの4つのステップやJonsenらの4分割表『医学的適応、患者の意向、生活の質(QOL)、周囲の状況』の4側面について、網羅的に状況を記述し、問題点をあげていくことについて、また、レストによる道徳的行動の4要素モデルから導き出されたケース分析質問票について、それぞれのモデルの概要を押さえておく。内容を十分に理解するのは難しいが、モデルの提唱者とモデル名は一致させられるように復習する。予習課題としては、提示した教科書のページを熟読するとともに、配布した日本看護協会から出されている『看護職の倫理綱領』を熟読しておくこと。
8
臨地実習における倫理的態度や姿勢
科目の中での位置付け
本科目は、1学年前期に開講される生命倫理のあとの科目であり、看護学教育を受ける初学者に専門職としての倫理を意識づける科目となる。本科目は、「医療は誰のものであるのか」の究極的な問いに応えるものであり、看護職を目ざす中で倫理とは何か、なぜ倫理を学ぶ必要があるのかを理解し、看護実践の根底にあるものはすべて倫理的思考であること、医療・看護倫理に関する知識・感性を修得することを目指す。第1回目は、対象者主体の医療について論述し、第2回目はインフォームド・コンセントについて、第3回目は看護実践において重要な看護倫理について論述する。第4回目には看護における法的責任と倫理的責任について、第5回目は医療事故とヒューマンエラーを学修し、第6回目には安楽死や尊厳死といった死生観から生命倫理に関する諸問題を考える。第7回目に倫理的問題に対するアプローチから倫理的思考プロセスを事例を検討しながら考察する。第8回目は、事例や動画により、これから実習に臨む看護学生としての必要な倫理的態度や姿勢を理解する。このような流れの中で、第8回目は、これまで学修したことを踏まえ臨地実習に向けた倫理的態度や姿勢を理解する。
①別途配布資料、日本看護協会「看護職の倫理綱領」
②作成した授業資料、系統看護学講座 看護倫理、医学書院、P.38~40.
③ナーシングチャネル、看護倫理、『臨地実習に必要な看護倫理』
コマ主題細目
① 看護職の倫理綱領 ② 看護職の倫理綱領に関連する制度等 ③ 臨地実習に必要な看護倫理
細目レベル
① ICN看護師の倫理綱領をもとに策定された日本看護協会の「看護職の倫理綱領」について概説する。前文と16の条文からなり、その一つ一つが重要となる。例えば、「1.看護職は、人間の生命、人間としての尊厳及び権利を尊重する。」は、これまで、本科目で学修したことの基礎となる考えであることなど、看護専門職を目指す学生として、理解しておくことが求められる。そのため前文と各条文について、これまでの学修や実習を踏まえ、学生自身が捉えている自身の看護師像や看護観を再度認識できるように、事例を交え考察する。それにより、あらゆる場で、あらゆる人々に看護を実践する際の行動指針であり、自分自身の実践をふり返る際に基盤を提供するものとして、具体的に活用することが重要であることを理解する。
② 細目レベル②では、条文の「5.看護職は、対象となる人々の秘密を保持し、取得した個人情報は適正に取り扱う。」に関連する保健師助産師看護師法第42条2や個人情報保護法について、関連する法制度を学修する。さらに、現代社会と関連する個人情報の漏洩を事例を用い理解する。
また、「13.看護職は、常に品位を保持し、看護職に対する社会の人々の信頼を高めるよう努める。」では、保健師助産師看護師法第14条で、品位という言葉が用いられていること、他「7.看護職は、自己の責任と能力を的確に把握し、実施した看護について個人としての責任をもつ。」、「12.看護職は、より質の高い看護を行うため、看護職自身のウェルビーイングの向上に努める。」、等に関連する制度等を学修する。
③ 「看護職の倫理綱領」を、これまでの看護倫理での学修内容を踏まえ、看護職を目指す者としての倫理的感受性や倫理的思考の必要性を再度理解する。
さらに、1年次に実施される基礎看護学実習Ⅰや地域・在宅看護学実習Ⅰに向けた臨地実習に必要な看護倫理を動画を視聴することで学修する。
実習に臨むために大切な要点につて、 1)報告・連絡・相談の3原則や2)臨地実習記録の記載にあたって、3)看護学生の姿勢と態度、4)倫理カンファレンスの概要と実際、5)看護の質の保証と学生の権利擁護について、おさえる。特に、報告・連絡・相談や実習記録の記載について、姿勢と態度については、動画による学習により、臨地実習に向かうイメージから要点を理解でき、実習に臨む看護学生としての倫理的態度を培う。
キーワード
① 看護職の倫理綱領 ② 臨地実習 ③ 品位 ④ 守秘 ⑤ 倫理的姿勢・態度
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、manaba上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習、事後学修では、看護職の倫理綱領の前文および16条を復習し理解を深める。さらに、ヒポクラテスの誓いやナイチンゲールの誓いにも記されている「守秘」について保健師助産師看護師法第42条2や個人情報保護法に記されていること、品位を損なうような行為として、保健師助産師看護師法第14条といった16条と関連する法制度をしっかり復習すること。さらに、条文で出てくるウェルビーイング等の用語の意味を理解する。本科目は卒業要件に必要な必修科目である。期末試験に向け、これまでの全8回の内容を復習すること、また、これから臨地実習に臨む看護学生として、自身の倫理的視点、倫理観がどのようなものであるかを認識しておくことが望ましい。
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
対象者主体の医療
看護は、何らかの疾患をもつ「患者」ではなく、「一人の人間」「一人の生活者」として対象をとらえ理解することが必要である。また、倫理ethicsとは何かについて、道徳や道徳的な価値について、さらに倫理・道徳・法、こららの関係について説明できる。患者主体の医療を考えるときには、患者の尊厳や患者の権利を重視する必要があり、世界人権宣言の第1条で示されるように、最も重要な人間の権利の一つであることが説明できる。また、医療において、医学モデルにおけるパターナリズムから生活モデルへの転換の違いを説明できる。
尊厳、医学モデル、生活モデル、パターナリズム
10
1
看護実践と倫理/臨地実習における倫理的態度や姿勢
徳の倫理について、また、徳の倫理から生命倫理への変遷について、医療の倫理原則、自律尊重、善行、無害、正義について、定義を具体的に説明でき、リスボン宣言との関連を説明できる。また、看護の倫理原則の5つである(1)善行と無害、(2)自律、(3)正義、(4)忠誠、(5)誠実について、理解し説明できる。日本看護協会の倫理規程である「看護職の倫理綱領」について、前文の概要を理解でき、16の条文についても説明できること。
徳の倫理、生命倫理、看護の倫理原則、看護職の倫理綱領
20
3,8
インフォームド・コンセント/生命倫理上の諸課題
インフォームドコンセント確立に至る変遷「ニュルンベルク綱領」、その後、引き継がれた「ヘルシンキ宣言」、アメリカ病院協会の「患者の権利章典に関する宣言」、「患者の権利に関するリスボン宣言」における患者の権利を説明できる。また、インフォームドコンセントやインフォームドアセント、患者の権利擁護、ベルモントレポートについて、国民の権利意識について説明できる。安楽死と尊厳死の定義について、さらに安楽死の論理的区分について、死の人称性について、また、脳死の定義とその判定基準について、「臓器移植法」やオプトイン方式とオプトアウト方式について説明できる。
患者の権利、ニュールンベルグ綱領、ヘルシンキ宣言、リスボン宣言、ベルモントレポート、国民の権利意識安楽死、死の人称性、移植医療法
30
2,5
看護における法的責任と倫理的責任/倫理的問題へのアプローチ
看護師の基本的な責任(健康の増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和)があり、責任には倫理的責任と法的責任があること、また、倫理的責任と法的責任の違い、看護専門職では、保健師助産師看護師法があり、倫理に関連深い看護師の看護行為に関連する法律を理解し、その主な内容を説明できる。また、看護行為に関連する法制度を説明できる。その他、倫理的アプローチの提唱者と倫理的問題を解決するためのモデルを説明できる。サラ・フライの倫理的意思決定モデルについて説明できる。
看護の倫理原則、保健師助産師看護師法、看護者の倫理綱領、倫理的問題、倫理的意思決定
30
4,7
医療事故とヒューマンエラー
医療安全と医療の質保証について、医療事故の増加、医療事故の発生要因と事故防止対策の観点から、医療安全と医療の質保証について説明・記述できること。ハインリッヒの法則を勘案した場合、1件の重傷以上の事故があった場合には、その陰には29倍の軽傷を伴う事故と、300倍の傷害には至らない事故が存在し、その他には危険な行為や状況が存在していることを理解すること。また、事故防止に役立つチェックシステム、セルフチェック、チームによるチェック、医療機器の安全システムの整備について説明できる。
医療事故、医療過誤、医療事故増加の背景、アクシデント、インシデント、
10
6
評価方法
試験100%
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
茂野香おる他著、系統看護学講座 専門分野Ⅰ 看護学概論 基礎看護学① 、医学書院、2400円
参考文献
参考文献は授業時にその都度提示します。
実験・実習・教材費