区分 専門科目-基盤看護学-看護教育・管理学
ディプロマ・ポリシーとの関係
実践能力 倫理観 専門性探求
地域社会貢献 グローバル性
カリキュラム・ポリシーとの関係
豊かな人間性 広い視野 知識・技術
判断力 探求心
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
専門科目の「基盤看護学ー管理学」に位置づけ、効果的かつ効率的に最良の看護を提供するための基礎知識と実践のプロセスを学ぶ。
科目の目的
 これまでの看護管理は、主に看護師長などの管理職に就く人が学ぶものという理解が一般的であった。しかし現在の看護管理学は、新しいヘルスケアシステムを創造し、チームや組織、システムを効果的に動かしていく活動として広く捉えられている。
 看護は、対象者への直接的な援助活動であり、質の高い看護サービスを提供するためには、看護職同士の協働や多職種との連携、そして対象者や家族との協力が不可欠である。さらに、人的資源(看護職員など)、物的資源(医療機器や環境)、財的資源(費用・資金)といったあらゆる資源を有効に活用することが求められる。こうした多様な資源を組み合わせて運用し、看護の質を高め、持続可能なしくみとして機能させることこそが、看護管理(マネジメント)の役割である。このように、チームや組織を動かすことは管理職だけの仕事ではなく、臨床で日々ケアを提供するすべての看護職に関わる実践的な活動であるという理解を深めることが、この科目の目的である。
 看護管理は、他職種と連携しながら、人々の健康の回復と増進という共通の目標を達成するための、看護サービス全体のマネジメント活動である。したがって、「看護管理学」を学ぶ意義は、管理者のみならず、あらゆる場面で看護を実践する看護師が、最善のケアを提供するために必要な知識・技術・態度を身につけることである。
 さらに現在、看護管理の活動の場は病院にとどまらず、地域の保健・医療・福祉の現場へと広がっている。そのため、看護管理学の学びは、社会に対する貢献と責任を果たす力を養う基盤となるものでもある。

到達目標
1. 看護を取り巻く現状および看護管理の歴史的背景について理解し、説明できる。
2. 看護組織の構造と看護ケア提供システムの種類および特徴について理解し、概略を説明できる。
3. 安全で質の高い看護サービスを効率的に提供するために、多職種連携・協働の重要性を理解し、チーム医療における看護職の役割を説明できる。
4. 組織における看護職のキャリア開発およびそれを支える体制や支援について理解できる。
5. 医療・看護の質を改善するための取り組み(クリニカルパス、ラウンド、PDCAサイクルなど)について理解できる。
6. 看護管理に求められる基本的な能力(マネジメント機能、リーダーシップ、課題解決力など)を理解し、自らの実践に関連づけて考察できる。

科目の概要
 看護管理とは、人材・物品・予算・情報・時間などの資源を適切にマネジメントすることであり、質の高い看護サービスの提供を支える重要な機能とされている。しかし、マネジメントのスキルは管理者だけが身につけるものではなく、すべての看護職が自分自身やチームをマネジメントする視点を持つことが求められている。また、看護管理は単に業務を調整するだけではなく、看護という実践を“しくみ”として捉え、現状の構造を理解し、課題を見つけ、改善策を考えるというプロセスを通じて、より良い看護を提供するための基盤となる。それは複数の人々が協働して働く環境の中で機能するための「技(わざ)」でもある。
 本科目では、チーム医療や多職種連携の中で看護を提供するうえで必要な看護管理の基本概念を理解し、良質な看護の実現に向けて看護職一人ひとりが担うべき役割を明確にする。特に、看護職全体の中での看護管理者の役割・機能と、組織における看護職の位置づけを理解することを重視する。さらに、実習施設や臨床現場における看護部門のマネジメントの実際に触れながら、看護管理の重要性や実践とのつながりを学修する。

 本科目は、国立大学病院において副看護部長として管理経験を有する教員が担当し、実践的な視点から看護管理の基本概念を教授するものである。チーム医療や多職種との協働の中で、看護職が良質な看護を提供するために必要な看護管理の概要や基本的枠組みについて学ぶ。また、組織の中における看護職の役割を理解するとともに、看護管理者として求められる役割と機能についても教授し、学生が将来、組織の一員として主体的に行動できる視点を養うことを目的とする。

科目のキーワード
① 看護の質、② 看護サービス、③ マネジメント、④マネジメントプロセス、➄PDCAサイクル、⑥組織文化、⑦看護提供方式、⑧チーム医療、⑨人的資源管理、⑩リーダーシップとフォロワーシップ、⑪キャリア開発、⑫看護と経営(予算管理)、⑬医療安全、⑭情報管理、⑮諸制度・政策
授業の展開方法
 この授業では、座席指定制をとる。教室前に掲示されている座席表を確認し、必ず自分の指定席に着席すること。授業は第1回から第8回まで、コマシラバスに沿って進行する。各回ともに、PowerPointを使用した講義を中心に展開し、配布資料および教科書をもとに授業を展開する。また、講義内容に関連したDVD教材も取り入れ、実際の臨床現場における看護管理の様子を映像で学ぶ機会を設ける。
 視聴予定の教材は以下の通りである。
•『組織のなかの看護 第1巻:病院組織における看護サービス』
•『組織のなかの看護 第2巻:看護サービス提供の実際』
•『組織のなかの看護 第3巻:看護専門職としてのキャリア開発・能力育成』
映像を通じて、講義で学んだ概念を実際の看護現場に結びつけて理解できるように進めていく。さらに、授業での学びを振り返る機会として、リアクションペーパーや課題レポートの提出を行い、理解の定着と学びの深化を図る。

オフィス・アワー
研究室719:水曜日終日
E-mail:s-murakami@uhe.ac.jp(メールはいつでも受け付けます)

科目コード ERI01
学年・期 3年・前期
科目名 看護管理学
単位数 1
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【講義】16h
【予習・復習】29h
前提とする科目 基礎看護学
展開科目 医療リスクマネジメント論、組織とリーダーシップ論、保健看護情報学、臨地実習
関連資格 看護師資格 保健師資格
担当教員名 村上早苗
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 看護管理学とは(看護におけるマネジメントの基本的考え方) 科目の中での位置付け  看護管理とは、患者や家族にとって必要な看護を効果的かつ効率的に提供するために、体制や過程を整え、組織全体としての成果を高めていく活動を指す。この活動は決して管理者だけのものではなく、ケアを提供しているすべての看護職が担う重要な役割である。
 看護管理を学ぶためには、日々の看護実践におけるさまざまな活動と、それを支える人的・物的・情報的資源を系統的・組織的・継続的に活用していくプロセスを理解することが求められる。この科目では、第1回目は看護管理の概念と機能、第2〜4回目は病院・看護部門におけるマネジメント(看護ケアのマネジメント)、第5〜7回目は看護サービスのマネジメント(資源・人材・業務・安全)、第8回目は医療・看護の質保証と評価、看護政策という内容の構成で看護管理の基本から応用までを段階的に学修します。また、実習施設における看護部門のマネジメントの実際にも触れながら、理論と現場のつながりを意識した学びを展開していく。
 第1回目では、看護管理の定義を踏まえ、「看護管理は、看護職が看護サービスの対象者によりよい看護を提供するために行う一連の活動」と捉えます。さらに、看護管理学の基本的要素や概念構成を理解するとともに、看護におけるマネジメントの考え方の変遷や、管理の機能・展開・サイクルなどについて学修し、本科目の導入としての土台を築く。

・看護の統合と実践① 看護管理 ナーシング・グラフィカ 第1章 P16~33, 第3章 P75~95, 第4章 P97~157、第10章 P285~318  
・DVD「組織のなかの看護 第1巻 病院組織における看護サービス、第2巻 看護サービス提供の実際」閲覧
コマ主題細目 ① 看護管理の変遷 ② 看護管理の定義 ③ 看護管理学の概念構成 ④ リーダーシップとフォロワーシップの基礎
細目レベル ① 日本の医療は医師の「家」から発生し、患者の看護はほとんど欠けていたと言わざるを得ない時代があった。戦後の病院改革により、看護の独立と、部門としての位置づけが行われることで、新たな看護管理の時代を迎えている。看護管理の概念が体系化されてきた歴史的背景を理解する。2020年以降は、病院完結型から地域への連携の時代へと入り、保健・医療・福祉の統合とさらなる連携が求められている。看護職として、保健施設においては施設長、医療機関においては副病院長としての立場となる管理職も増え、病院全体における経営参画と運営管理の柱として活躍する役割を与えられるようになった。また、専門性の強みを活かし、リーダーシップを発揮していくことを求められている状況を理解する。
② 「nursing management」は、一般的に「看護管理」と訳されている。“管理”という語には、「監視する」「規則を守らせる」などの硬直的なイメージがあるが、マネジメント(management)の概念は、それ以上に広く柔軟な意味を持っている。その創始者といわれるピーター・ドラッカーは、マネジメントの役割として以下の3点を挙げている。
1. 自らの組織に特有の使命を果たすこと
2. 仕事を通じて、働く人々の力を引き出すこと
3. 社会の課題に対して貢献することこのようなマネジメントの本質は、看護管理(nursing management)にも当てはまる。すなわち、看護管理とは、質の高い看護サービスの提供を通じて社会に貢献する機能であり、柔軟性・創造性・実行力を兼ね備えた動的な活動である。
 看護管理の定義については、以下のような複数の文献や機関により示されている.
•WHO西太平洋地区看護管理ゼミナール(1961年)
•ジリーズ(Gillies, 1982年)による定義
•日本看護協会 看護婦機能委員会による定義(1995年)
•『看護大辞典』(2002年)
これらの定義を比較・確認することで、看護管理における考え方の変遷や、本質的な目的について理解を深めることができる。

③ 看護管理学は応用科学であり、看護学を基盤としながら、組織論・組織行動論などの経営学の知識を応用・適応する学問分野である。同時に、看護管理に関わる独自の理論的知識や実践知の探求も目的とする。
看護管理学における知識探求のレベルは、以下のように階層的に構成されている。
1. 組織のなかの個人(看護職の役割・行動・動機づけ)
2. 集団(チーム内での協働・コミュニケーション・リーダーシップ)
3. 組織(看護部門・医療機関・施設の構造と運営)
4. 制度・政策(看護を取り巻く制度的背景や保健医療政策)
 看護管理の中心的概念は、患者と看護師の関係性であり、そこにおけるケアの質と提供プロセスをマネジメントすることが核となる。このようなケアのマネジメントは、個別ケアだけにとどまらず、組織としての看護サービス全体をマネジメントする活動へと広がっている。さらに、看護サービスは社会の一部として制度・政策とも関連しており、看護管理は社会的視点を含む活動でもあることを理解する。なお、看護マネジメントとは、患者や利用者に対して良質な看護を効果的かつ効率的に提供するための支援的・調整的活動である。それは、看護そのもの(1対1のケアの実践)ではなく、ケアが円滑に実施できるよう環境や体制を整えることを目的とするものであることを理解する。

④ 医療・看護の現場では、組織あるいはチームでサービスを提供することが基本となっている。チームや組織のメンバーは、共通の目標を共有しながら、それぞれの役割を理解し、個々の力を発揮して成果を上げることが求められる。このような協働的な活動を円滑に進め、チームとしての目標を達成するためには、組織や集団をリードし、方向づける「リーダーシップ」の力が重要である。
 リーダーシップとは、「集団に目標達成を促すような影響を与える能力」、あるいは「集団目標の達成に向けてなされる、集団の諸活動に影響を与える過程」と定義されている。このようなリーダーシップは、特定の職位にある者だけでなく、看護職一人ひとりがそれぞれの立場で発揮することができる能力である。リーダーがその力を発揮するためには、メンバーによる自律的な支援や、組織への積極的な貢献が不可欠であり、これを「フォロワーシップ」と呼ぶ。 フォロワーの役割や行動は、リーダーシップの発揮とそのプロセスにおいて極めて重要であることを理解する。
 現在のリーダーシップ理論では、リーダーとフォロワーの心理的な相互作用が重視され、すべてのメンバーが自分なりのリーダーシップを発揮することが組織全体の成果に繋がると考えられるようになってきている。そこで、さまざまなリーダーシップ理論を学ぶことを通じて、リーダーシップとフォロワーシップがともに組織やチームの機能向上に不可欠な“両輪”であることを理解する。

キーワード ① 看護管理(Nursing Management) ② 概念構成(個人、集団、組織、制度・政策) ③ リーダーシップ(Leadership) ④ フォロワーシップ(Followership) ⑤ マネジメント資源(人的・物的・財的・時間・情報などの資源)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:シラバスを参照し、テキストの該当ページを読んだうえで、授業に参加する。また、1回目のコマにあるキーワード①看護管理とは、②概念構成、③リーダーシップ、④フォローアップシップ、⑤マネジメント資源について調べ授業に参加する(提出)。
復習:今回配布したレジメ(資料)、講義した内容に該当する教科書のページを熟読し、重要な個所には赤ペンで線を引き、理解が難しかった箇所は講義ノートを作成して、定期試験までには「理解できた」と思えるように学習しておく(提出)。特に、看護管理学の基本的要素や看護マネジメントのプロセス、看護ケア・看護サービスマネジメントについては理解しておくこと。。また、今回の小テストおよびマネジメントに関連する国家試験を学習し、知識の定着を図る。

2 看護ケアのマネジメント Ⅰ: 看護倫理と患者の権利の尊重 科目の中での位置付け  看護管理とは、患者や家族にとって必要な看護を効果的かつ効率的に提供するために、体制や過程を整え、組織全体としての成果を高めていく活動を指す。この活動は決して管理者だけのものではなく、ケアを提供しているすべての看護職が担う重要な役割である。
 看護管理を学ぶためには、日々の看護実践におけるさまざまな活動と、それを支える人的・物的・情報的資源を系統的・組織的・継続的に活用していくプロセスを理解することが求められる。この科目では、第1回目は看護管理の概念と機能、第2〜4回目は病院・看護部門におけるマネジメント(看護ケアのマネジメント)、第5〜7回目は看護サービスのマネジメント(資源・人材・業務・安全)、第8回目は医療・看護の質保証と評価、看護政策という内容の構成で看護管理の基本から応用までを段階的に学修します。また、実習施設における看護部門のマネジメントの実際にも触れながら、理論と現場のつながりを意識した学びを展開していく。
 第2回では、看護ケアのマネジメントについて理解する。看護ケアのマネジメントとは、患者の状態を望ましい目標に近づけるために、看護職のみならず医師や他職種が提供するサービスを含め、全体を把握・評価・調整する一連の活動である。看護職はこの過程において、患者の状況を把握し、必要な支援を検討するとともに、チーム全体が一貫したケアを提供できるよう働きかける役割を担う。そのためには、人・物・情報などの資源を適切に活用する能力や、多職種との連携・調整のスキルが求められる。また、看護ケアのマネジメントにおいては、看護職の機能を理解するだけでなく、看護の対象である患者一人ひとりの権利を尊重する視点が不可欠である。
 本授業では、具体的な場面を想定しながら、「誰のために」「どのように」看護ケアをマネジメントするのかについて多面的に考察する。

・看護の統合と実践① 看護管理 ナーシング・グラフィカ 第3章 P75~95, 第5章 P159~203、第10章 P285~318  
・DVD「組織のなかの看護 第2巻 看護サービス提供の実際」閲覧
コマ主題細目 ① 看護ケアのマネジメントプロセス ② 看護ケアの提供者としての機能とケアをマネジメントする機能 ③ 患者の権利の尊重
細目レベル ① 看護ケアのマネジメントとは、看護職が対象者に責任をもって適切なケアを提供するために必要なマネジメント活動である。看護職が提供するケアとは、対象者の健康上の問題に対して行う援助のことを指す。すなわち、ケアとは対象者の現実の状態を、望ましい目標に近づけようとする問題解決の援助である。
この看護ケアの提供過程は、「情報収集・アセスメント」「問題の明確化」「計画立案」「実施」「評価」「改善」という流れで進められ、看護過程の展開と同様の構造を持つ。
看護ケアのマネジメントにおいて、看護職は次の2つの機能を担う。
1. 対象者に直接ケアを提供する実践者としての機能
2. 提供されるケア全体を調整・管理するマネジメント機能
これらの機能は、看護職として自立して業務を遂行するために不可欠であり、日常的に活用されるべき基本的な看護技術であることを理解する。

② 看護職は、看護ケアの実施者として対象者に直接関わると同時に、医療や看護の提供を調整・管理するマネジメントの機能も担っている。ケアの提供者として、対象者の健康問題に対して医療チームと共に対応することは不可欠であり、多職種との連携の中で自身の役割を果たすことが求められている。
 看護職は、対象者やその家族が医療者の説明や方針を理解しやすくなるように支援する役割を担う。そのため、医療用語や説明をわかりやすい言葉に置き換えて伝える**「翻訳者」や「解説者」として、また、必要な知識を提供する「情報提供者」「教育者」**としての機能を持つ。さらに、対象者が医療従事者の提案や治療方針をそのまま受け入れることが難しい場合には、対象者の価値観や生活背景を尊重し、妥協点を探る支援者(アドボケーター)としての立場も求められる。
このように、看護職には以下のような多面的な役割があることを理解する必要がある。
• アドボケーター(擁護者)
• コーディネーター(調整者)
• コンサルタント(助言者)
• イノベーター(改革推進者)
• マネジャー(管理者)
これらの役割を通じて、看護職は単なるケアの実践者を超えて、ケアが円滑に提供されるための調整者・支援者としても機能することを理解する。

③ 患者の権利とは、「医療提供のあらゆるプロセスにおいて、患者が有する基本的な権利」を指す。代表的な権利には、治療に関する自らの情報を知る権利、治療法を選択する権利、自己決定権などが含まれる。看護ケアの主体はあくまで対象者(患者)であり、看護職は医療提供者として、患者の権利を尊重し、その人の意思や希望に基づいたケアを提供する責任を有している。また、患者がこれらの権利を主体的に行使するためには、インフォームドコンセント(十分な説明と同意)が不可欠である。
 医療法においても、努力義務として「医療の担い手は、医療を提供するにあたり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない」と定められている。さらに、患者が自ら意思決定を行えるよう支援することも、看護職の重要な役割である。単に説明するだけでなく、患者の不安や疑問に寄り添いながら、その人のペースに応じた情報提供と支援を行うことが求められる。

キーワード ① 自己決定権 ② リスボン宣言 ③ 個人情報保護関連法令 ④ インフォームドコンセント ⑤ 意思決定の支援
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:シラバスを参照し、テキストの該当ページを読んだうえで、授業に参加する。また、第2回目のコマにあるキーワード①自己決定権、②リスボン宣言、③個人情報保護に関する法令、④インフォームドコンセント、⑤看護マネジメントにおける意思決定について学習し、授業に参加する(提出)。さらに、P88「事例」を熟読してくる。
復習:今回配布したレジメ(資料)、講義した内容に該当する教科書のページを熟読し、重要な個所には赤ペンで線を引き、理解が難しかった箇所は講義ノートを作成して、定期試験までには「理解できた」と思えるように学習しておく(提出)。また、今回の小テストおよび「看護ケアのマネジメント」に関連する国家試験を学習し、知識の定着を図る。

3 看護ケアのマネジメントⅡ: 安全管理と組織的取り組み 科目の中での位置付け  看護管理とは、患者や家族にとって必要な看護を効果的かつ効率的に提供するために、体制や過程を整え、組織全体としての成果を高めていく活動を指す。この活動は決して管理者だけのものではなく、ケアを提供しているすべての看護職が担う重要な役割である。
 看護管理を学ぶためには、日々の看護実践におけるさまざまな活動と、それを支える人的・物的・情報的資源を系統的・組織的・継続的に活用していくプロセスを理解することが求められる。この科目では、第1回目は看護管理の概念と機能、第2〜4回目は病院・看護部門におけるマネジメント(看護ケアのマネジメント)、第5〜7回目は看護サービスのマネジメント(資源・人材・業務・安全)、第8回目は医療・看護の質保証と評価、看護政策という内容の構成で看護管理の基本から応用までを段階的に学修します。また、実習施設における看護部門のマネジメントの実際にも触れながら、理論と現場のつながりを意識した学びを展開していく。
 第3回では、看護ケアのマネジメントにおいて、安全管理がすべての看護職にとって重要な責務であることを理解することを目的とする。看護職に求められる安全管理には、医療事故対策、感染予防対策、災害の予防および対応が含まれる。また、患者ケアの質を向上させるためには、各医療従事者が専門性を発揮し、対等な立場で意見を共有することが重要である。そのためには、患者および家族を中心としたチーム医療の実践が不可欠である。さらに、本講義では、チーム医療における看護職の役割、とくに多職種との連携・調整を担う機能について理解を深める。

・看護の統合と実践① 看護管理 ナーシング・グラフィカ 第5章 P159~203、第10章 P285~318  
・DVD「組織のなかの看護 第2巻 看護サービス提供の実際」閲覧
コマ主題細目 ① 安全管理のしくみ ② チーム医療の概念 ③ チーム医療に必要な要素と看護職の役割 ④ チーム医療における組織行動
細目レベル ① 安全管理(セーフティマネジメント:safety management)とは、看護ケアを提供する際に、対象者の安全を確保するために実施されるマネジメントである。看護ケアの目的は、対象者によりよい療養生活を提供することであり、安全の確保はその実現に向けた前提条件である。したがって、対象者の安全確保に向けた安全管理を行うことは、看護職の職務として重要である。看護における「安全」とは、療養生活において対象者が直面する危険を認識し、これを回避した上で、適切な医療を提供することを意味する。そのためには、安全管理のプロセス、システム、そして安全文化の醸成について理解する必要がある。また、看護業務上の事故には、「療養に関するもの」「診療に関するもの」「情報の入手・伝達に関するもの」などがあり、それぞれの原因や要因、そして対策と対応方法を理解する。
② チーム医療とは、「医師、薬剤師、看護師などの各医療職が、それぞれの専門性を最大限に発揮し、連携・協働して提供する医療」のことである。保健医療福祉の現場には、看護職のほかにも多様な専門職が関与しており、対象者に適切なケアを提供するためには、これら多職種との連携・協働が不可欠である。そのためには、各職種の業務内容や責任範囲、看護職との関係性について正確に理解しておく必要がある。
また、チーム医療の効果を高めるためには、以下の4つの視点が重要である。
1. 患者志向:患者を中心とした視点で医療を提供すること
2. 専門性志向:医療の高度化・細分化に対応するために、各職種が高い専門性を提供すること
3. 職種構成志向:多職種が集結し、それぞれの専門性を直接的に患者や家族に発揮すること
4. 協働志向:多職種が業務を分担するだけでなく、対等な立場で尊重し合い、協力して業務を行うこと
これらの視点を理解することは、効果的なチーム医療を実践するうえで重要であることを理解する。

③ チーム医療に不可欠な要素として、連携・協働およびコミュニケーションがある。連携・協働とは、同じ目的・目標をもった複数の専門職が連絡を取り合い、役割分担と協力を行いながら活動することである。対象者に必要なケアを提供するには、各職種との連携・協働が重要である。
 近年では、ケアの提供の場は医療機関だけでなく、福祉施設や在宅へと広がっている。それに伴い、看護職は病棟間、病院間、さらには病院から在宅といった異なる場を越えて、他職種と連携し、協働することが求められている。
 コミュニケーションは、連携・協働を実現するために不可欠な手段である。チーム医療を効果的に行うためには、ケアの目的、必要な情報、各職種の専門的知識や判断、実施したケアの内容とその結果を相互に共有することが重要である。そのためには、公式(フォーマル)および非公式(インフォーマル)なコミュニケーションを適切に活用し、チーム内の情報共有と意思疎通を円滑に行う必要がある。看護職は、その中で患者に最も近い立場として、情報の橋渡しや調整役を果たす役割を担っていることを理解する。

④ チーム医療を効果的に機能させるためには、医療従事者一人ひとりの行動や相互関係を理解することが重要である。本項目では、組織行動の視点から、個人・集団・組織における人の行動特性や相互作用について理解する。特に、多職種間のコミュニケーション、役割認識、意思決定の過程、リーダーシップおよびフォロワーシップの在り方がチームの機能に与える影響について考察する。これらを踏まえ、看護職がチーム医療の中で果たすべき役割と、協働を促進するための行動について理解を深める。
キーワード ① 医療安全・感染対策 ② 災害対策(災害看護) ③ 多職種連携(多職種協働) ④ 看護職の調整機能(コーディネーター機能) ⑤ 組織行動
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:授業内容はコマシラバスで確認し、課題を学習して授業に出席する。また、第3回目のコマにあるキーワード①医療安全、②感染対策、③災害対策(災害看護)、④インシデント、⑤看護職の調整機能(コーディネータ―)調べ学習をして授業に参加する(提出)。
復習:今回配布したレジメ(資料)、講義した内容に該当する教科書のページを熟読し、重要な個所には赤ペンで線を引き、理解が難しかった箇所は講義ノートを作成して、定期試験までには「理解できた」と思えるように学習しておく(提出)。特に、安全管理のための予防対策については、整理し、理解しておくこと。また、チーム医療について理解し、他職種との連携についても理解しておくこと。そして、今回の小テストおよび安全管理に関連する国家試験を学習し、知識の定着を図る。

4 看護ケアのマネジメント Ⅲ:看護業務の実践と日常業務のマネジメント 科目の中での位置付け  看護管理とは、患者や家族にとって必要な看護を効果的かつ効率的に提供するために、体制や過程を整え、組織全体としての成果を高めていく活動を指す。この活動は決して管理者だけのものではなく、ケアを提供しているすべての看護職が担う重要な役割である。
 看護管理を学ぶためには、日々の看護実践におけるさまざまな活動と、それを支える人的・物的・情報的資源を系統的・組織的・継続的に活用していくプロセスを理解することが求められる。この科目では、第1回目は看護管理の概念と機能、第2〜4回目は病院・看護部門におけるマネジメント(看護ケアのマネジメント)、第5〜7回目は看護サービスのマネジメント(資源・人材・業務・安全)、第8回目は医療・看護の質保証と評価、看護政策という内容の構成で看護管理の基本から応用までを段階的に学修します。また、実習施設における看護部門のマネジメントの実際にも触れながら、理論と現場のつながりを意識した学びを展開していく。
 第4回では、日常的な看護業務を遂行するために必要となる「業務管理」について学修する。看護業務とは、法的規定および看護倫理に基づき、看護職が実践する一連のケアおよび関連業務を指す。看護倫理においては、自律尊重、無危害、善行、正義、公正といった基本原則が重要であり、これらの倫理的枠組みと法的規定を踏まえた上で、安全かつ円滑に業務を遂行することが求められる。
 本講義では、看護業務の基準や診療情報の活用、情報共有の重要性を理解するとともに、タイムマネジメントを含む日常業務のマネジメントについて学ぶ。

・看護の統合と実践① 看護管理 ナーシング・グラフィカ 第3章 P75~95、第5章 P159~203、第7章 P215~234、第10章 P285~318                                  
・DVD「組織のなかの看護 第1巻 病院組織における看護サービス、第2巻 看護サービス提供の実際」閲覧
コマ主題細目 ① 看護業務とその基準の理解 ② 診療情報の活用と情報共有 ③ 日常業務のマネジメント(タイムマネジメントを含む)
細目レベル ① 看護師が行う業務は、「保健師助産師看護師法」に定められた「傷病者もしくはじょく婦に対する療養上の世話」と「診療の補助」の2つに大別される。日本看護協会は、看護業務を、「看護の提供者が主体で、『何を』『どのように』するべきかを提示することをいい、『看護ケア』や『看護実践』と比較すると『看護』を管理的な視点から捉えた様式や方法を示すものである」と定義している。看護業務の実際は、対象や状況などにより、つねに変化し、複雑で、「ここからここまでが看護業務であり、これ以外は看護業務でない」などと明確な区別をすることは困難である。そこで、日本看護協会では、看護業務基準、米国看護師協会(American Nurses Association(ANA))では、組織的看護サービスの基準などを作成し、看護実践のための行動指針や実践の評価のための枠組みを提示している。日本看護協会では、看護実践と看護実践の組織化を合わせて看護業務としている。「業務管理」について理解する。
② 看護職がケア提供に際して取り扱う情報には、対象者にかかわる情報、研究成果など最新の看護に関する情報、医薬品、医療技術などに関する情報、医療制度・施策に関する情報などがある。このうち対象者にかかわる情報は、対象者の診療・療養環境において入手された身体状況・病状・治療などに関する、医師・看護職などの医療従事者が知り得た主観的・客観的情報であり、診療情報・看護情報などと呼ばれる。
 質の高い医療の実践を目指すためには、患者・家族を中心にして、医師や看護師をはじめとする多くの専門職者の協働が必要である。そのためには、それぞれが保有する診療情報を共有することが重要である。チーム医療を円滑に遂行するための情報共有の手段として、記録が重要な役割を果たす。
 記録には、医師法第24条で定められた医師による所定の記録である「診療録」をはじめ、「看護記録」、「麻酔記録」、「手術記録」、「助産録」、「X線写真」、「各種検査記録」など、診療過程における患者の状況に関する文書・画像などの記録があり、総じて「診療記録」と呼ばれる。診療記録は、医療の安全性や継続性を確保し、法的根拠としての役割を果たすほか、医療事故防止や質の向上にも資するものである。
 近年では、情報の迅速な共有や利便性、保管の効率性を高めるために、診療記録の電子化が進められており、その意義を理解することが求められる。電子カルテなどICTを活用した情報共有は、チーム医療の連携強化においても看護職にとって欠かせない手段であることを理解する。

③ 看護職としての日常的な業務には、対象者への直接的な看護ケアの提供のほかにも、記録、環境整備、他職種との連携、物品管理など多岐にわたる業務が含まれる。これらの日常業務を適切かつ効率的に遂行するためには、1人ひとりの看護職が割り当てられた業務を的確にマネジメントすることが求められる。
 ある勤務帯における業務は、①当該部署における定型業務、②受け持ち患者の処置やケアに関するスケジュール、③その日の自身の勤務計画などを調整しながら実施するものである。しかし、これらの業務の中には1人では対応できないものや、他の看護職員との連携・調整が必要なものも多く、業務の重複や予期せぬ変更が生じることも少なくない。そのため、他の看護師に協力を求めたり、役割を分担したりしながら、柔軟に業務を組み立てる必要がある。
 業務を円滑に行うためには、タイムマネジメントを意識し、スケジュールの作成や業務の優先順位の設定、突発的な出来事への対応などを含めて、時間を効果的に活用することが重要である。タイムマネジメントの実践は、看護の質の向上やストレスの軽減にもつながるため、限られた時間の中で「何を」「いつ」「どのように」行うかという視点で、日々の業務を主体的に調整する力が求められる。時間の使い方における優先順位を理解し、計画的に業務を遂行する姿勢が看護職には必要である。

キーワード ① 看護業務 ② 情報共有 ③ 記録管理 ④ 連携(チーム連携) ⑤ タイムマネジメント
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:授業内容はコマシラバスで確認し、課題を学習して授業に出席する。また、第4回目のコマにあるキーワード①看護業務について調べ学習をして授業に参加する(提出)しておくこと。
復習:今回配布したレジメ(資料)、講義した内容に該当する教科書のページを熟読し、重要な個所には赤ペンで線を引き、理解が難しかった箇所は講義ノートを作成して、定期試験までには「理解できた」と思えるように学習しておく(提出)。特に、看護業務の実践のために必要なマネジメントについて理解しておくこと。そして、今回の小テストおよび看護業務・診療情報に関連する国家試験を学習し、知識の定着を図る。

5 看護サービスのマネジメントⅠ:組織における看護活動とマネジメント 科目の中での位置付け  看護管理とは、患者や家族にとって必要な看護を効果的かつ効率的に提供するために、体制や過程を整え、組織全体としての成果を高めていく活動を指す。この活動は決して管理者だけのものではなく、ケアを提供しているすべての看護職が担う重要な役割である。
 看護管理を学ぶためには、日々の看護実践におけるさまざまな活動と、それを支える人的・物的・情報的資源を系統的・組織的・継続的に活用していくプロセスを理解することが求められる。この科目では、第1回目は看護管理の概念と機能、第2〜4回目は病院・看護部門におけるマネジメント(看護ケアのマネジメント)、第5〜7回目は看護サービスのマネジメント(資源・人材・業務・安全)、第8回目は医療・看護の質保証と評価、看護政策という内容の構成で看護管理の基本から応用までを段階的に学修します。また、実習施設における看護部門のマネジメントの実際にも触れながら、理論と現場のつながりを意識した学びを展開していく。
 第5回では、看護サービスのマネジメントについて学ぶ。看護サービスのマネジメントとは、個々の患者に提供される看護ケアを、組織全体としての看護サービスとして計画的に管理する一連の活動である。
 看護サービスのマネジメントの基本的機能には、計画(planning)、組織化(organizing)、指揮(directing)、統制(controlling)の4つがあり、これらを通して質の高い看護サービスの提供を目指す。また、看護職が組織目標の達成に向けてどのように看護サービスをマネジメントするのかを理解するとともに、医療機関における看護ケア提供システム(看護提供方式)についても学ぶ。

・看護の統合と実践① 看護管理 ナーシング・グラフィカ 第4章 P97~157、第5章 P159~203、第10章 P285~318         
・DVD「組織のなかの看護 第1巻 病院組織における看護サービス」閲覧
コマ主題細目 ① 看護サービスのマネジメント ② 理念の形成と浸透 ③ 看護サービス提供のしくみ(提供体制)の構築
細目レベル ① 看護サービスとは、看護職が提供する一連の看護行為であり、その特性として、①無形性(形がない)、②同時性(提供と同時に消費される)、③変動性(対象者の状態により内容が変化する)、④非貯蔵性(蓄えておくことができない)が挙げられる。看護技術の基本は存在するが、実際の看護サービスは対象者一人ひとりの状態や状況に応じて変化し、日々連続的に提供される。看護サービスは、一回限りの行為が結果に直結するのではなく、その過程自体も重要な結果の一部であり、ケアの質を評価する際に欠かせない視点である。また、看護サービスは、対象者に直接接している時間だけでなく、準備や記録、情報共有などの間接的な活動によっても成り立っている。しかし、こうした無形のサービスは目に見えないために評価の対象となりにくく、良好な状態が維持されていると、しばしば「あたりまえ」と誤解されることがある。ゆえに、質の高い看護サービスを継続的に提供するためには、対象者への直接的な影響だけでなく、ケアの過程を含む全体を俯瞰し、計画的に管理・調整するマネジメントが不可欠であることを理解する。
② マネジメントの課題のひとつに、組織の目的達成のために理念を形成し、それを職員に浸透させることがある。理念の形成と浸透を図るには、いつ・どこで・誰が・何を・どのように行うかといった視点から、具体的な計画を立て、組織的に取り組む必要がある。理念は、しばしば使命(mission)・信条(value)・展望(vision)という3つの側面から表現される。使命は、他組織との差別化を図り、その組織の存在意義を示すものであり、信条は、組織が重視する価値観を表す。展望は、将来に向けた組織の方向性を示すものである。
 看護部門における理念や、看護サービス提供における理念は、「対象者に対してどのような看護サービスを、どのような姿勢で提供するか」という看護の本質を反映するものである。これらの理念は、看護職一人ひとりが日々の業務の中で意識し、実践することによってはじめて意味を持つ。職員が自身の職務に理念を重ねて行動することは、組織全体の一体感を生み、結果として、質の高い看護サービスの提供という組織目標の達成につながる。理念を浸透させるためには、日々の業務の中でのリーダーの言動、研修やミーティングの活用、評価制度との連動など、多角的な手段によって、職員全体に理念を共有する努力が求められる。

③ 看護サービスのマネジメントにおいて、看護単位の区分や看護ケア提供システムの選択は、組織の理念や目標を実現するための手段である。これらは、看護の理念、対象者の特性、看護職の構成や経験年数などの要素を考慮して選択される。看護単位とは、看護組織の区分の一つであり、特定の場所において特定の機能を果たす看護職の集団を指す。その考え方は組織によって異なるが、一般的には病棟の区分と深く関連し、「一病棟=一看護単位」とすることが多い。
 看護ケア提供システムは、①看護サービスを提供する看護職の構成、②対象者とのかかわり方、③看護ケアに対する責任や業務の割り当て方、といった点において、それぞれ特徴がある。機能別看護方式、チームナーシング、プライマリーナーシングなどがその代表例である。
 組織として質の高い看護サービスを提供するためには、看護職一人ひとりがチームの構成員として自らの役割と責任を明確に理解することが重要である。看護職は、自身がどのような看護ケア提供システムの中で働いているのか、そしてその中で自分がどのような位置づけにあるのかを認識し、その役割を果たすことで、組織全体の看護の質向上に寄与することが求められる。

キーワード ① 看護単位 ② 看護ケア提供システム ③ 組織理念との整合 ④ 看護職の役割認識 ⑤ チーム医療(チームによるサービス提供)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:授業内容はコマシラバスで確認し、課題を学習して授業に出席する。第5回目のコマにあるキーワード①看護単位、②看護ケア提供システムについて調べ学習をして授業に参加する(提出)。
復習:今回配布したレジメ(資料)、講義した内容に該当する教科書のページを熟読し、重要な個所には赤ペンで線を引き、理解が難しかった箇所は講義ノートを作成して、定期試験までには「理解できた」と思えるように学習しておく(提出)。特に、看護組織の構造について理解しておくこと。また、看護ケア提供システムについては、看護職1人ひとりが、どのような看護ケア提供システムのなかで機能しているか、システムとその特徴について理解すること。そして、今回の小テストおよび看護サービス・看護提供システムに関連する国家試験を学習し、知識の定着を図る。

6 看護サービスのマネジメントⅡ:看護職のキャリアマネジメントと人材育成 科目の中での位置付け  看護管理とは、患者や家族にとって必要な看護を効果的かつ効率的に提供するために、体制や過程を整え、組織全体としての成果を高めていく活動を指す。この活動は決して管理者だけのものではなく、ケアを提供しているすべての看護職が担う重要な役割である。
 看護管理を学ぶためには、日々の看護実践におけるさまざまな活動と、それを支える人的・物的・情報的資源を系統的・組織的・継続的に活用していくプロセスを理解することが求められる。この科目では、第1回目は看護管理の概念と機能、第2〜4回目は病院・看護部門におけるマネジメント(看護ケアのマネジメント)、第5〜7回目は看護サービスのマネジメント(資源・人材・業務・安全)、第8回目は医療・看護の質保証と評価、看護政策という内容の構成で看護管理の基本から応用までを段階的に学修します。また、実習施設における看護部門のマネジメントの実際にも触れながら、理論と現場のつながりを意識した学びを展開していく。
 第6回では、第5回に引き続き看護サービスのマネジメント機能について学び、その中でも特に人的資源のマネジメントに焦点を当てる。看護サービスのマネジメントは、質の高い看護サービスの提供を目的とし、計画化・組織化・人事化・指揮・統制の機能から成り立つ。なかでも、看護サービスの提供主体が「人」であることから、人的資源のマネジメントは重要な要素である。
 本授業では、人材育成をテーマに、「なぜ人材育成が必要か」「どのような人材を誰が育成するのか」「どのような方法で育成するのか」「成果をどのように評価するのか」といった観点から考察を深める。これらを通して、看護職のキャリア形成や専門職としての成長支援を含む人的資源マネジメントの在り方について理解を深める。

・看護の統合と実践① 看護管理 ナーシング・グラフィカ 第9章 P255~283、第10章 P285~318     
・DVD「組織のなかの看護 第1巻 病院組織における看護サービス、第3巻 看護専門職としてのキャリア開発・能力育成」閲覧
コマ主題細目 ① キャリア開発(キャリアディベロップメント) ② 人材フローのマネジメント ③ 労働環境と職場環境
細目レベル ① キャリアディベロップメント(career development)とは、組織において職員の職務に基づく能力開発を行うことである。これは、個人が主体的にキャリアを形成していく「キャリア発達」と、組織や人事部門の視点から人材を計画的に育成する「キャリア開発」の両面を含む概念である。看護職は、免許取得後に臨床実践を積み重ねることで経験を深め、専門性を高めていく。したがって、看護組織においてキャリアディベロップメントは、質の高い看護サービスを提供するために不可欠である。
 組織には、理念や方針に基づき、「どのような看護サービスを提供するのか」「そのために必要な人材はどのような人材か」「どのように人材を育成するか」を明確にし、それを具現化していくことが求められる。キャリアディベロップメントのためには、システムを整備し、職員一人ひとりの能力やニーズを把握し、動機づけを行い、適切な支援や評価を繰り返すことが重要である。これらを継続的に行うことが、人的資源マネジメントの基本であることを理解する。

② 組織における人材マネジメントは、職員の採用・配置・異動・昇進・退職などに代表される、人的資源の流れ(人材フロー)とその計画的運用を中心に構成されている。看護職は、病院において総職員数の過半数を占める重要な職種であり、その人材管理は組織運営において極めて重要である。かつては、看護職の量的な確保が最優先されており、職員数を満たすことが組織の第一の目標であった。しかし、現代の医療現場では、提供する看護サービスの質を重視し、どのような能力や特性を持った人材が必要なのかを考慮した上での人材フローの設計が求められている。
 人材フローは個人の視点から見ると、「応募・合格・就職・退職」という一連のプロセスであるが、組織の視点ではこれらは、インフロー(流入)・内部フロー(組織内移動)・アウトフロー(流出)に相当する。組織は、内部フローやアウトフローの状況に応じて、必要なインフローの規模やタイミングを調整している。たとえば、多くの医療機関では年度末に退職予定者を把握し、現状の職員構成と照らし合わせながら、翌年度の必要人員数を算出し、新規採用計画を立てている。このように、人材フローの構造とその運用を理解し、戦略的にマネジメントすることが、看護職の質的向上と組織の安定運営に直結することを理解する。

③ 看護職が安全かつ継続的に専門性を発揮できるためには、適切な労働環境と職場環境の整備が重要である。本項目では、労働条件(勤務体制、労働時間、休暇など)や安全管理(職業感染対策、労働災害防止など)、メンタルヘルス対策といった観点から、看護職の就業環境について理解する。また、職場における人間関係やコミュニケーション、組織風土が職員のモチベーションや職務継続に与える影響についても考察する。これらを踏まえ、看護管理の視点から、より良い職場環境の構築に向けた課題と方策について理解する。
キーワード ① キャリア開発(キャリアディベロップメント) ② 継続教育 ③ 人材フロー(インフロー・内部フロー・アウトフロー) ④ OJT・Off-JT ⑤ 労働環境(労働条件・安全管理・メンタルヘルス)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:授業内容はコマシラバスで確認し、課題を学習して授業に出席する。また、第6回目のコマにあるキーワード②継続教育、③OJTとOff-JTについて調べ学習をして授業に参加する(提出)。
復習:今回配布したレジメ(資料)、講義した内容に該当する教科書のページを熟読し、重要な個所には赤ペンで線を引き、理解が難しかった箇所は講義ノートを作成して、定期試験までには「理解できた」と思えるように学習しておく(提出)。特に、管理者がマネジメントする要素には、大きく「人、もの、金、情報」の4つの要素がある。人材育成は人的資源管理のなかに含まれる1つの機能である。そこで、看護における人材育成マネジメントや組織のキャリア開発とその体制について理解すること。そして、今回の小テストおよび人材育成に関連する国家試験を学習し、知識の定着を図る。

7 看護サービスのマネジメントⅢ:施設・物品・情報資源のマネジメント 科目の中での位置付け  看護管理とは、患者や家族にとって必要な看護を効果的かつ効率的に提供するために、体制や過程を整え、組織全体としての成果を高めていく活動を指す。この活動は決して管理者だけのものではなく、ケアを提供しているすべての看護職が担う重要な役割である。看護管理を学ぶためには、日々の看護実践におけるさまざまな活動と、それを支える人的・物的・情報的資源を系統的・組織的・継続的に活用していくプロセスを理解することが求められる。この科目では、第1回目は看護管理の概念と機能、第2〜4回目は病院・看護部門におけるマネジメント(看護ケアのマネジメント)、第5〜7回目は看護サービスのマネジメント(資源・人材・業務・安全)、第8回目は医療・看護の質保証と評価、看護政策という内容の構成で看護管理の基本から応用までを段階的に学修します。また、実習施設における看護部門のマネジメントの実際にも触れながら、理論と現場のつながりを意識した学びを展開していく。
 第7回では、「看護サービスのマネジメントⅢ:施設・物品・情報資源のマネジメント」を主題とし、看護ケアの提供において重要な役割を担う物的資源および情報資源の管理について学ぶ。質の高い看護サービスを継続的に提供するためには、人的資源に加え、施設・設備・物品といった物的資源の適切なマネジメントが不可欠である。物的資源のマネジメントでは、対象者を中心とした療養環境の整備と、医療従事者が安全かつ効率的に業務を遂行できる作業環境の整備の両面が求められる。さらに、電子カルテや看護記録、マニュアル、ガイドラインなどの情報資源について、その正確性・機密性・共有性を踏まえた管理と活用の在り方を理解し、適切なマネジメントについて考察する。

・看護の統合と実践① 看護管理 ナーシング・グラフィカ 第4章 P97~157、第10章 P285~318  
・DVD「組織のなかの看護 第1巻 病院組織における看護サービス、第2巻 看護サービス提供の実際」閲覧
コマ主題細目 ① 療養環境の整備 ② 作業環境の整備 ③ 物品のマネジメント ④ 情報資源の管理と活用
細目レベル ① マネジメントにおける基本的な資源は、「ヒト」「モノ」「カネ」の3つである。このうち物的資源の管理とは、「ヒト」や「カネ」以外の有形の資源を対象とし、病院組織においては、施設・設備、医療機器、看護用具、診療材料、医療消耗品、医薬品などがこれに含まれる。
 病棟の施設設備としては、「病室」「トイレ」「洗面室」「浴室」「食堂」「配膳室」「面会室」など、入院患者が日常生活を送るための空間が整備されている必要がある。こうした療養環境は、「採光」「照明」「音環境」「臭い」「温度・湿度」「プライバシーの保護」などの観点から快適性が保たれ、入院生活が安全かつ安楽に送れるよう配慮されなければならない。
 特に近年では、入院患者の高齢化が進む一方で、平均在院日数の短縮により、より重症度の高い患者の受け入れが増加しており、療養環境に対する配慮の重要性はますます高まっている。このような状況を踏まえ、対象者の視点に立った療養環境をどのように整備・維持し、マネジメントしていくのかについて理解を深めることが求められる。

② マネジメントにおいて、「ヒト」「モノ」「カネ」は基本となる三大資源である。物的資源管理とは、「ヒト」「カネ」以外の有形の資源を計画的に整備・維持・運用することを指し、病院組織では、施設・設備、医療機器、看護用具、診療材料、医療消耗品、医薬品などがこれに含まれる。
 作業環境の整備は、看護職や他の医療従事者が安全かつ効率的に業務を遂行するために不可欠である。病棟内の作業空間には、「ナースステーション」「処置室」「リネン室」「器材室」「汚物処理室」「カンファレンス室」「休憩室」「集積室」などの設備が含まれる。これらの施設は、業務の流れに沿って配置され、作業動線が最適化されるよう設計されていることが求められる。たとえば、作業のしやすさを考慮した処置台の高さや、必要物品がすぐに取り出せるような収納やレイアウトの工夫は、作業効率の向上に寄与する。また、作業環境の安全性を確保するためには、感染対策、転倒・転落防止、機器の電源や配線の安全管理など、多様な対策が必要である。
 これらの観点から、作業環境を整備するためのマネジメントを理解し、安全で効率的な看護実践を支える環境づくりの視点を身につけることが重要である。

③ マネジメントにおいて、「ヒト」「モノ」「カネ」は基本となる三大資源である。物的資源管理とは、「ヒト」や「カネ」以外の有形資源を計画的に整備・維持・運用することであり、病院組織においては、施設・設備、医療機器、看護用具、診療材料、医療消耗品、医薬品などに分類される。
 看護ケアの提供には、さまざまな種類と数量の物品が必要であり、その管理は業務の効率と安全性を左右する。物品管理の基本は、「必要なときに、必要なものが、適切に使用できる状態でそこにある」ことである。そのためには、在庫量の適正管理による過不足の防止と、使用期限や衛生状態、動作確認などを含めた品質管理が重要である。これらを実現するためには、物品の選定・購入、適切な保管方法の確立、定期的な点検、必要物品の迅速な搬送体制など、実際の運用体制の整備が求められる。現場での物品管理の実際を踏まえ、物品のマネジメントが安全かつ効率的な看護サービスの提供に直結することを理解する。

④ 看護サービスの質と安全を支えるためには、情報資源の適切な管理と活用が不可欠である。本項目では、電子カルテや看護記録、マニュアル、ガイドラインなどの情報資源について、その役割と特徴を理解する。あわせて、情報の正確性・機密性・共有性の確保といった観点から、適切な情報管理の方法について学ぶ。さらに、医療チームにおける情報共有の重要性を踏まえ、必要な情報を適切に収集・整理・伝達し、看護ケアの質向上につなげるための情報活用について考察する。
キーワード ① SPDシステム ② 5S活動 ③ 作業動線 ④ 情報資源管理 ⑤ 感染対策
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:授業内容はコマシラバスで確認し、課題を学習して授業に出席する。また、第7回目のコマにあるキーワード①SPDシステム、②5S活動について調べ学習をして、授業に参加する(提出)。
復習:今回配布したレジメ(資料)、講義した内容に該当する教科書のページを熟読し、重要な個所には赤ペンで線を引き、理解が難しかった箇所は講義ノートを作成して、定期試験までには「理解できた」と思えるように学習しておく(提出)。そして、今回の小テストおよび物品管理、病院の環境に関連する国家試験を学習し、知識の定着を図る。

8 看護サービスのマネジメントⅣ: 看護サービスの評価と看護を取り巻く諸制度 科目の中での位置付け  看護管理とは、患者や家族にとって必要な看護を効果的かつ効率的に提供するために、体制や過程を整え、組織全体としての成果を高めていく活動を指す。この活動は決して管理者だけのものではなく、ケアを提供しているすべての看護職が担う重要な役割である。
 看護管理を学ぶためには、日々の看護実践におけるさまざまな活動と、それを支える人的・物的・情報的資源を系統的・組織的・継続的に活用していくプロセスを理解することが求められる。この科目では、第1回目は看護管理の概念と機能、第2〜4回目は病院・看護部門におけるマネジメント(看護ケアのマネジメント)、第5〜7回目は看護サービスのマネジメント(資源・人材・業務・安全)、第8回目は医療・看護の質保証と評価、看護政策という内容の構成で看護管理の基本から応用までを段階的に学修します。また、実習施設における看護部門のマネジメントの実際にも触れながら、理論と現場のつながりを意識した学びを展開していく。
 第8回では、看護サービスの評価とその制度的背景について学修する。看護サービスのマネジメントは、質の高いサービスを円滑に提供することを目的としており、計画化・組織化・人事化・指揮・統制の機能から構成される。その中でも、サービスの評価は、提供されている看護の質を見直し、改善につなげる重要な役割を担う。
 本授業では、何を、誰が、どのような視点で評価するのかを明確にし、評価の目的や方法、質指標を通して、看護サービス評価の基本的な考え方を理解する。また、看護サービスを「しくみ(システム)」として捉え、看護が組織や社会の中でどのように機能しているのかを体系的に考察する。さらに、医療制度、介護保険制度、診療報酬制度、地域包括ケアシステムなど、看護を取り巻く制度との関連について理解を深める。

・看護の統合と実践① 看護管理 ナーシング・グラフィカ 第5章 P159~203、第10章 P285~318  
・DVD「組織のなかの看護 第1巻 病院組織における看護サービス、第2巻 看護サービス提供の実際」閲覧
コマ主題細目 ① 医療の質の概念 ② 質指標 ③ 医療の質評価 ④ 看護の質改善
細目レベル ① 質(品質)とは、「本来備わっている特性の集まりが、要求事項(通常、暗黙のうちに了解されている、または義務として要求されているニーズや期待)を満たす程度」と定義されている。この定義を医療に当てはめると、医療の質とは、医療提供者および利用者が暗黙のうちに了解している、あるいは義務として要求されているニーズや期待を満たす程度を意味するものである。
 近年、相次ぐ医療事故の報道などを背景に、医療の質に対する国民の関心は高まっている。どの医療機関で、どのような治療を受けるかを決定するのは患者自身であり、患者はその意思決定を行うために、医療に関する多様な情報を必要としている。その中でも、医療の質に関する情報は、特に重要な判断材料の一つである。現在では、多くの医療機関が医療の質の評価に取り組み、サービスの改善を進めている。さらに、医療の質の測定結果を一般に公開する病院も増えており、情報開示の流れが広がっている。このような背景を踏まえ、医療の質という考え方を理解する。

② 医療の質は、「ストラクチャー(構造)」、「プロセス(過程)」、「アウトカム(結果・成果)」の3つの側面から評価されるものである。これらの側面を定量的に評価するために用いられるのが、「クオリティインディケータ(quality indicator)」「クリニカルインディケータ(clinical indicator:臨床指標)」「パフォーマンスインディケータ(performance indicator)」などである。これらの質指標は、医療の質を表す「ものさし」として機能し、医療提供体制の構造、診療の実施過程、または治療の成果といった各段階を具体的に数値化して評価するための基準である。
 臨床指標によって評価された医療の質の結果は、患者が病院を選択する際の有用な情報の一つとなりうる。また、医療機関に対しては、医療の質を改善するためのインセンティブ(動機づけ)としても作用する。このように、質指標は医療の質評価を客観的に行うための基本的な手段であり、その理解は質の高い看護サービスの提供とマネジメントに不可欠であることを理解する。

③ 医療の質における評価の対象には、診療・看護などの提供サービスの質、サービス提供者の知識・技術・接遇を含む職員の質、医療機器・設備などの資源の質、さらに事業運営や組織運営といった経営の質が含まれる。また、医療の質評価は、評価者の立場によって分類される。主な分類には、サービスの利用者(患者)による評価、サービス提供者による自己評価、専門機関による第三者評価、保険者など保健支払組織からの評価がある。
 日本における代表的な医療機能評価制度としては、財団法人日本医療機能評価機構が1997年(平成9年)より実施している病院機能評価が挙げられる。その他の第三者評価としては、国際標準化機構(ISO)によるISO9001認証、日本科学技術連盟による医療の質奨励賞(※2008年度以降は応募休止)、JCI(Joint Commission International)による国際的な病院認証制度などがある。これらの制度は、医療機関に対し継続的な質の改善を促し、利用者にとっての信頼性や安全性の確保に寄与するものである。医療の質評価の重要性と、それを推進する仕組みについて理解する。

④ わが国においては、平成24年度より、公益社団法人日本看護協会が「労働と看護の質向上のためのデータベース事業」を開始している。当該事業は、①看護の質の向上、②看護師が働き続けられる環境の整備、③ニーズに応える看護領域の開発・展開の実現を目的とした、マネジメントの手段の一つとして位置づけられている。この事業では、「労働と看護の質評価指標」がストラクチャー(構造)・プロセス(過程)・アウトカム(結果)の3側面で構成されている。「ストラクチャー」には、看護組織に関する情報が該当し、人員配置、労働時間、看護職や患者の背景などの労働環境に関する要素が含まれる。「プロセス」は、どのような看護を提供したかという実践内容を示し、たとえば褥瘡のリスクアセスメントや、医療関連感染防止のための患者教育などが該当する。「アウトカム」には、看護実践の結果としての転倒・転落、褥瘡、感染、誤薬の発生率などが含まれる。これらの指標を活用してベンチマーク評価が行われ、その結果は参加施設にフィードバックされる。看護管理者は、その結果をもとに、同規模・同機能を備える他施設との違いを把握し、自施設における看護実践の改善に役立てることができる。
 医療および看護の質を継続的に改善していくためには、PDCAサイクルを実践的に回していくことが不可欠である。これらの取り組みを通じて、看護の質を組織的に高めるための考え方と手法を理解することが求められる。

キーワード ① 医療の質モデル ② 第三者評価 ③ 患者満足度 ④ 診療報酬制度 ⑤ PDCAサイクル
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:授業内容はコマシラバスで確認し、課題を学習して授業に出席する。また、8回目のコマにあるキーワード①医療の質モデル、②第三者評価の意義、③患者満足度、④診療報酬制度について調べ学習をし、授業に参加する(提出)。
復習:今回配布したレジメ(資料)、講義した内容に該当する教科書のページを熟読し、重要な個所には赤ペンで線を引き、理解が難しかった箇所は講義ノートを作成して、定期試験までには「理解できた」と思えるように学習しておく。8コマの授業は、履修判定指標の内容を確認しながら、授業内容の定着を図るために学んだ「看護管理学」についてまとめる(定期試験当日の朝提出)。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
看護管理学とは “nursing management”、「看護管理=看護マネジメント」とは何か。看護管理は、他職種とともに、人々の疾病からの回復や健康のさらなる増進という目的を達成するための、看護サービス活動である。そこで、看護管理の対象、プロセス、管理のサイクルについて説明するができること。また、看護管理の基本的要素(ヒト、モノ、カネ、情報、時間)を獲得し、整備することが重要であることを理解しておくこと。更に、看護管理は管理者だけが実施するものではなく、看護を提供する看護職、そして他職種のすべてが取り組むことで患者に質のよいサービスを提供できることを理解し説明できること。
医療・看護は、組織あるいはチームでサービスを提供している。組織やチームのメンバーは目標を共有し、一人ひとりが役割を理解し力を発揮しながら成果を上げ、組織やチームの目標を達成するよう活動しなければならない。そのためには組織や集団をリードあるいはマネジメントする力、リーダーシップをとる人の影響力が重要となる。リーダーや管理者がリーダーシップを発揮するためには、リーダーへの自立的支援や組織への主体的貢献をフォロワーシップといい、フォロワーの役割や行動がリーダーシップ発揮のプロセスにおいて、より重要であることを理解して説明できること。
看護管理の定義、看護管理の変遷、概念構成(個人・集団・組織・制度と政策)、リーダーシップとフォロワーシップ、看護サービス、看護マネジメント、マネジメントプロセス、PDCAサイクル、 15 1~8
看護ケアのマネジメントⅠ:看護職の機能、患者の権利の尊重 看護ケアの主体は対象者であり、看護職は医療提供者として、患者(医療を受ける対象者)の権利を尊重し、対象者の欲求を満たすケアを提供する必要がある。患者がその権利を主体的に行使するためには、インフォームドコンセントが必須であり、患者が自分自身で意思決定ができるよう支援することの重要性を説明できること。そして、看護職は看護ケアの実施者であり、看護ケアの提供の過程は、問題の明確化、計画立案、実施、評価、改善という、看護過程の展開と同様である。それは、対象者に提供される様々なケアについて、PDCAサイクルを繰り返すことでよりよい状態とし、よい状態を保持するための活動であることを説明できること。このことから看護職は、対象者への看護ケアの提供者としての役割と、対象者に提供される様々な看護ケアをマネジメントする役割があることを説明できること。 自己決定権、リスボン宣言、患者の権利の尊重、個人情報保護に関する法令、インフォームドコンセント、意思決定の支援、アドボケーター、コーディネーター、コンサルタント、イノベーター、マネジャー役割 15 2.3,4,5,8
看護ケアのマネジメント
Ⅱ:安全管理、チーム医療
安全管理(セーフティマネジメント)とは、看護ケアの提供に際して、安全を確保するために行うマネジメントである。安全管理はすべての看護職にとって重要な責務である。看護ケアの目的は、対象者によりよい療養生活を提供することであり、必然的に、対象者の安全確保のための安全管理を行うことは、看護職のケアの提供における職務となる。そこで看護職としての安全管理は、医療事故対策、感染予防対策、災害の予防と対応が基本であり、それぞれの安全管理のための予防対策を整理し、その内容を説明することができること。
看護ケアはひとりで提供することができない。看護チームの連携・協働および他職種との連携・協働が必要である。チーム医療における看護職の役割と責任について説明できること。
医療安全、医療過誤、感染予防対策、災害の予防と対応、多職種連携(多職種協働)、チーム医療におけるコミュニケーション、看護師の役割 組織行動 15 1~8
看護ケアのマネジメント
Ⅲ:看護業務の実践
看護業務とは何か。看護師が行う業務は、保健師助産師看護師法に定められた「傷病者もしくはじょく婦に対する療養上の世話」と「診療の補助」の2つに大別されるが、具体的な内容は、各施設(医療機関等)が定めている。日本看護協会は、看護業務を「看護の提供者が主体で、『何を』『どのように』すべきかを提示することをいい、『看護ケア』や『看護実践』と比較すると『看護』を管理的な視点から捉えた様式や方法を示すものである」と定義している。看護基準・看護手順は、医療や看護の発展により変化するもので、定期的に見直して修正していくことが必要である。また、個々の看護師は、その内容を確認したうえで看護を実践することが責務である。看護基準とは何か、看護手順とは何か、どうして遵守する必要性があるのかを説明できること。クリティカルパスは、標準的な治療方法などを定めたもので、入院から退院までの間の治療やケアを明確に示した予定表として提示される。クリティカルパスが活用される意義について説明できること。看護職は、同時に複数のことに対応しなければならない状況(多重課題)において、優先順位を決定するためにタイムマネジメントの考え方が不可欠となる。看護管理におけるタイムマネジメントの必要性について説明できること。 看護業務、看護基準・看護手順、クリティカルパス、多重課題への対応、タイムマネジメント、優先順位の決定 10 2,3,4,5,8
看護サービスのマネジメントⅠ:組織目的達成のマネジメント 第一に看護管理は、病院に求められる役割や機能を踏まえた理念に基づいて行われる。理念は、医療機関を利用する人々にとってどうあるべきかについて表現される。看護管理者(看護部長)は、所属する医療機関の役割や機能を踏まえ、理念と目標を明確にして、目標を達成のために、看護部組織を構築(組織化)する。組織目標達成のために理念の形成や浸透の必要性、組織化の必要性を説明できること。また、看護部門は、部門管理者(看護部長)が置かれ、その下に部署管理者(看護師長)をトップとした階層組織をもつ看護単位が置かれる。そして、看護単位における看護体制、看護ケア提供システムとその特徴についても説明できること。 理念、組織化、組織文化、看護部門、職位と職務規程、看護単位の機能と特徴、看護サービス、看護ケア提供システム、チームとしてのサービスの提供 15 5,6,7,8
看護サービスのマネジメントⅡ:看護職のキャリアマネジメントと人材のマネジメント 組織におけるキャリアディベロップメントcareer developmentは、職員の職務に基づく能力開発をいう。キャリアディベロップメントは、キャリア発達やキャリア開発と訳されることも多い。キャリア発達は、個人の視点から、自らのキャリアの発達を述べるものであり、キャリア開発は、組織、経営、人事の立場から、組織の人々のキャリアを論じることである。看護組織にとって、キャリアディベロップメントは、質の高いサービスの提供のために不可欠である。看護職のキャリア形成と人材マネジメントにおけるキャリアディベロップメント、人材フローのマネジメント、労働環境について説明できること。 キャリア発達、キャリア開発(キャリアディベロップメント)、継続教育、人材資源管理、OJTとOff-JT、自己啓発、労働環境と職場環境 10 5,6,8
看護サービスのマネジメントⅢ:施設・物品・情報のマネジメント
看護を提供する場となる施設・設備・環境を整え、物品管理を行って、効率よく看護が提供できる場を構築する。物品管理は、物流システムを活用することなどによって、病院内の業務改善や効率化を図り、無駄のない場を提供する。対象者や労働者に配慮した医療施設・設備環境、療養環境(安全性の確保、快適性の確保)と作業環境(機能性の確保、安全性の確保)について説明できること。また、物品資源管理、医薬品の取り扱い、医療廃棄物の取り扱いについても説明できること。更に、患者情報を中心とした共有の場が拡大しているなかで、個人情報の保護を念頭におき、実習などにおいて体験した個人情報に関する注意事項を整理して説明できること。 医療施設・設備環境、療養環境、作業環境、物品資源管理、SPDシステム、医薬品の取り扱い、看護と経営(予算管理)、医療廃棄物、情報資源管理、個人情報保護、情報セキュリティ、5S活動 10 5,6,7,8
看護サービスのマネジメントⅣ: サービスの評価
Ⅴ:看護を取り巻く諸制度
医療の質とは何か。現在では、医療の質は、患者の立場と病院経営の立場から考えるようになった。患者の立場から考える質は、「専門技術の質」と「患者サービスの質」の2つに分けられることができる。サービスの評価は、「ストラクチャー(構造)」、「プロセス(過程)」、「アウトカム(結果・成果)」の側面から評価される。看護の質評価を行うことは、「看護介入が患者や家族にどのようなアウトカムをもたらすことができたのか」という視点から、実施した看護サービスを評価し可視化することになる。「医療の質」、「看護の質」という考え方を説明できること。評価は組織づくりのために活用されていることを理解しておくこと。
医療や看護の提供体制の整備、サービスの量と質の担保は、関係する法規(医療関係法規)によって規定され国が計画的に行っている。看護管理者は、これらの法律の規定を理解し、自病院の看護サービスの提供や質の向上をマナジメントすることが重要となる。看護や看護職の定義や、授業で取り扱う看護管理者にとって必要最小限の関係法規について整理し説明できること。更に、看護実践の場における医療保険制度や医療費支払いシステム、看護ケアの対価や看護政策などについても説明できること。
医療の質の評価、看護サービスの質、評価の視点、診療報酬、DPC制度(DPC/PDPS)、看護の定義、看護職の定義、日本国憲法、保健師助産師看護師法、看護師のための人材確保に関する法律、医療法、介護保険法、労働法規、公的医療保険制度 10 1~8
評価方法 原則、期末試験100%とします。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 吉田千文 他著『看護の統合と実践 ① 看護管理】:ナーシンググ・ラフィカ ISBN: 978-4-8404-7845-8 C3347 2,800円(税込み)
参考文献 ①上泉和子 他著『系統看護学講座 統合分野 看護の統合と実践[1]看護管理】:医学書院 ISBN: 978-4-260-05304-4 2,750円(税込み)②小林美亜 編『Basic & Practice看護学テキスト統合と実践―看護管理 』:学研メディカル秀潤社 ISBN: 978-4-7809-1102-2 2,200円(税込み)、③小池智子 他編『看護サービス管理』:医学書院 ISBN978-4-260-03661-0 3,300円(税込み)④原玲子 著『学習課題とクイズで学ぶ 看護マネジメント入門 第2版』:日本看護協会出版会 ISBN978-4-8180-2276-8 3,300円(税込み)参考文献等は、講義時にその都度提示する。 
実験・実習・教材費 無し