区分 専門科目-発達看護学-母性看護学
ディプロマ・ポリシーとの関係
実践能力 倫理観 専門性探求
地域社会貢献 グローバル性
カリキュラム・ポリシーとの関係
豊かな人間性 広い視野 知識・技術
判断力 探求心
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ

科目の目的
妊娠・分娩・産褥および新生児期の正常および正常からの逸脱(異常)についても学修する。妊婦、産婦、褥婦および新生児期におこる問題を理解し、健康状態のアセスメントと看護について学ぶ。妊娠・分娩・産褥経過中の正常と異常の知識を得ることは、社会的にも重要である。将来的に女性であれば自分自身に起こる問題であること、男性であればパートナーに起こり得る問題として常に考えておかないといけないことである。妊娠期について、ハイリスク妊娠、妊娠期に注目すべき感染症、妊娠高血圧症候群などの疾患、異所性妊娠、流・早産等の起こりやすい異常について、その予防や日常生活の援助について考えることができる。分娩期では、分娩期の看護、分娩3要素にみられる異常、胎児付属物の異常、分娩期の損傷、産科処置、手術に伴う問題を学ぶ。産褥期では、主に退行性変化、進行性変化を学修する。また、正常から逸脱した子宮復古不全、発熱、産褥期の精神異常など産褥期の問題とその看護について学ぶ。新生児期では、成熟新生児について学修し、新生児仮死、分娩外傷、低出生体重児、高ビリルビン血症など、新生児の異常とその診断アセスメント、医学的管理と看護について学ぶ。
到達目標
1.正常な妊娠期および正常から逸脱した妊娠期の看護について説明できる。
2.正常な分娩期および正常から逸脱した分娩期の看護について説明できる。
3.正常産褥期および正常から逸脱した産褥期の看護について説明できる。
4.正常新生児および正常から逸脱した新生児の看護について説明できる。

科目の概要
妊娠・分娩・産褥・新生児期を学修する。また経過中にみられる異常、妊婦、産婦、褥婦および新生児におこる問題について理解し、健康状態のアセスメントと看護について学修する。第1回目は、妊娠の生理、妊娠期の身体的心理的特徴、妊娠期の看護について、第2回目は、ハイリスク妊娠、合併症を有する妊婦の看護(糖尿病 、妊娠高血圧症候群 )、妊娠持続期間の異常、特定妊婦の看護、不妊治療時の看護、第3回目は、分娩の生理、分娩の3要素、分娩の経過や分娩の母児に及ぼす影響、分娩期の看護について、第4回目は、分娩の3要素にみられる異常、胎児付属物の異常、分娩時損傷、産科処置・手術について学修する。第5回目は産褥期における退行性変化、進行性変化、産褥における看護について、第6回目は、正常から逸脱した産褥期、子宮復古不全 、産褥熱、泌尿器感染症 、精神障害、乳房トラブル、 児の健康状態に問題がある褥婦の看護について学修する。第7回目は、新生児の生理・機能新生児の健康状態とアセスメントについて、第8回目は、新生児仮死 、分娩外傷、 低出生体重児、生理的黄疸、高ビリルビン血症、病的黄疸、ビタミンK欠乏出血症などのアセスメント、医学管理と看護について理解し学修する。
科目のキーワード
妊娠期の看護 分娩期の看護 産褥期の看護 新生児期の看護
授業の展開方法
母性看護学概論や疾病治療論Ⅲ(母性)の学びと合わせて、正常の妊娠、分娩、産褥、新生児期を学修する。正常な妊娠、分娩、産褥、新生児の看護についての知識を確認した後、正常から逸脱した妊婦、産婦、褥婦および新生児の各期のアセスメントと看護について学修する。また、知識の確認のために、各コマの授業後の復習確認テストを実施し、知識の定着を積み重ねていくように展開する。正常の妊娠、分娩、産褥新生児の状況の理解がないと何が正常から逸脱しているのか判断がつかない。周産期に関する新しく学ぶ言葉や定義が多くみられるために、確認する知識も多くなることを理解して授業に臨むことが必要になる。
オフィス・アワー
717研究室
(前期):水曜日2限と昼休み、木曜日5限
(後期):木曜日5限、金曜日5限(実習により不在のこともあります)
Email:m-nagae@uhe.ac.jp
(メールはいつでも受け付けます)

科目コード ERK02
学年・期 2年・後期
科目名 母性看護援助論Ⅰ
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【講義】16h
【予習・復習】29h
前提とする科目 解剖生理学Ⅰ・Ⅱ、 疾病・治療論Ⅲ、看護学原論Ⅰ、看護学原論Ⅱ
展開科目 母性看護援助論Ⅱ、母性看護学実習
関連資格 看護師国家試験受験資格
担当教員名 永江真弓
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 妊娠期の看護 科目の中での位置付け  妊娠・分娩・産褥・新生児期の看護を学修する。また経過中にみられる異常、妊婦、産婦、褥婦および新生児におこる問題について理解し、健康状態のアセスメントと看護について学修する。第1回は、妊娠の生理、妊娠期の身体的・心理的特徴、妊婦と胎児の健康状態のアセスメント方法、妊娠期の看護について、第2回は、ハイリスク妊娠、合併症を有する妊婦の看護(糖尿病 、妊娠高血圧症候群 )、妊娠持続期間の異常、異所性妊娠、不妊治療後の妊婦およびハイリスク妊娠の看護、第3回目は、分娩の生理、分娩の3要素、分娩の経過や分娩の母児に及ぼす影響、分娩期の看護について、第4回目は、分娩の3要素にみられる異常、胎児付属物の異常、分娩時損傷、産科処置・手術について学修する。第5回目は産褥期における退行性変化、進行性変化、産褥期における看護について学修する。第6回目は、正常から逸脱した産褥期、子宮復古不全 、産褥熱、泌尿器感染症 、精神障害、乳房トラブル、 児の健康状態に問題がある褥婦について学修する。第7回は、新生児の生理・機能、新生児の健康状態とアセスメントと看護について、第8回目は、新生児仮死 、分娩外傷、 低出生体重児、生理的黄疸、高ビリルビン血症、病的黄疸、ビタミンK欠乏出血症などのアセスメント、医学管理と看護について理解し学修する。
 第1回目は、妊娠の生理、妊娠期の身体的心理的特徴、妊婦と胎児の健康状態のアセスメント方法、妊娠期の看護について学修する。

森恵美他:系統看護学講座 専門分野 母性看護学2 母性看護学各論、医学書院、2026 
①妊娠期の身体的特徴p65-84
②妊娠期の心理・社会的特徴p84-94
③妊婦と胎児の健康状態のアセスメントp94-133
④妊婦と家族の看護p133‐180
コマ主題細目 ① 妊娠期の身体的特性 ② 妊娠期の心理・社会的特性 ③ 妊婦と胎児の健康状態のアセスメント ④ 妊婦と家族への看護
細目レベル ① 妊娠期の身体的特性:妊娠期の妊婦の身体的特性について、また、特に妊娠の生理について学修する。まず、妊娠の定義を明らかにし、妊婦と産婦の違い、妊娠期間の定義を理解する。妊娠の成立について、排卵から受精、着床までを確認する。着床から胎盤の形成、その後の胎盤と羊水の生理について学修する。胎児の妊娠週数による名称の違い、胎児の発育について学ぶ。また、妊娠に伴い母体に現れる身体の変化、様々な不快症状であるマイナートラブルとその原因について学ぶ。胎児の生理については、循環器系、呼吸器系、消化器系、腎臓系を学修する。また、薬剤の胎児への影響、放射線の胎児への影響、そして、環境汚染物質による胎児への影響についても学修する。
② 妊娠期の心理・社会的特性:母体の身体的変化とともに、胎児との愛着を形成し、出産・育児に向けた準備をしていく段階であり、妊婦と家族の新しい役割獲得の課題について、妊娠期の心理社会的特性を学修する。妊娠は、多くの女性にとって、新たな命を授かりはぐくんでいく喜びのプロセスである一方、妊娠・出産は、最も大きな発達危機のひとつであることを認識する。妊娠は、胎児の成長に伴う腹部の増大だけでなく、ホルモンバランスの変化によって、心理的にも影響を受けたり、マイナートラブルの出現によって、日常生活や就労に影響を及ぼす。さらに、母親役割を獲得するための準備も妊娠週数とともに進んでいくことから、妊娠が経過していく中で、その心理にも様々な変化が起こることを学修する。
③ 妊婦と胎児の健康状態のアセスメント:妊婦と胎児の健康状態のアセスメントについて、妊娠とその診断を学修する。妊娠の診断は、妊娠診断薬と超音波検査であることを理解する。診断上重要ではなくなっているが、月経の停止や基礎体温の高温期の持続、子宮の増大など、妊娠による変化を含めた項目についても、正しい妊娠の診断であることを理解し知識とする。胎児ドップラーによる胎児心拍の聴取について学修する。妊娠反応により妊娠の確定診断が容易になったが、妊娠反応が陽性であるが、正常妊娠でない疾患もある。超音波検査等で、鑑別することが重要である。妊娠時期の診断については、最終月経からの分娩予定日の算出方法としてネーゲレ概算法を各学生が実施する。最終月経から算出した分娩予定日は、月経周期により妊娠週数と胎齢との間に差を生じることを理解する。分娩予定日は算出方法だけでなく、超音波検査やつわり胎動初覚時期など考慮に入れて注意深く行う必要がある。胎児の発育状態は、胎児の遺伝的素因、母体の栄養状態や胎盤機能に左右されることを理解する。胎児発育の評価は、超音波検査、胎児心拍数陣痛図(CTG)、母体計測などで評価することを学修する。胎児の健康状態は、超音波検査、CTGで確認できることを理解する。
④ 妊婦と家族の看護:妊娠は自然で生理的な現象であるが、正常から逸脱しやすい。そのため、妊婦健康診査の項目とその目的や方法を学修する。妊婦健康診査の目的は、健康的な妊娠期を送り、安全な分娩を迎えるための準備期である妊娠期の援助を行うことである。妊婦健康診査では、問診、視診、触診、聴診、計測診、内診、臨床検査などが行われることを理解する。妊婦の基本的情報は、妊娠中だけでなく分娩の経過の予測や産後のケアにも活用されるが、そしてこれらの基本的情報は妊娠中に変化することもあるため必要に応じて確認することを理解する。基本的情報には、個人の生活状況やセクシュアリティにかかわる内容、妊婦や家族の思い、価値観や信条も含まれる。したがって、情報収集をするときには、妊婦の訴えを傾聴し、共感的に理解すること、また、プライバシーを保護することや、なぜこの情報が必要なのかを妊婦および家族に説明する必要があることを理解する。
妊婦と家族の看護について、妊婦と胎児の健康の保持・増進と新しい子どもを迎える準備を整えることは、それに続く出産・産褥期の母子の健康にとって重要であることを理解する。妊婦は基本的に健康であり、健康診査を受ける以外は、医療を必要とせず、社会生活や家庭生活を送っている。したがって、今回の出産・産褥期において、母子ともに健康であるためには、食事をはじめとする日常生活において妊娠以前と全く同じ行動様式を維持するわけにはいかない。そこで、妊娠期を、多少の行動制限を受け入れて実践しながら、より健康で快適な生活を送ることができなければいけない。妊婦と胎児の健康の保持・増進のために、健康診査をふまえて妊婦のセルフケア能力を高めていくことが、妊娠期の第一の看護目標であることを理解する。妊婦が受ける母子保健サービスや妊婦の保健相談の実際(食事をはじめとする日常生活)や親になるための準備教育について実際にどのように行われているのかを学修する。

キーワード ① 妊娠の生理 ② マイナートラブル ③ 胎児の発育 ④ 妊婦健康診査 ⑤ 妊婦と家族の保健相談
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:母性看護学概論で学んだ妊娠の成立について復習し、母性看護学各論p62からよく読んでおく。妊娠期の食生活では、どのようなことを留意すべきかを調べ、考えておく。妊娠経過にともなってどのような症状が出てくるのか、またどのように対処するのかなど妊娠経験のある人に聞いたり、インターネットで調べてみる。妊婦健康診査の週数による受診回数を確認し、その際に利用できるサービスについて確認しておく。
復習:1.教科書や配布資料を見直し、繰り返して学習する。2.特に妊娠の成立、妊婦健康診査の受診時期、妊婦と家族への保健相談のうち、食事など日常生活やマイナートラブルへの対処については近年の国家試験の出題率が高いため、確実に知識とする。3.正常な妊娠経過が十分に理解できていないと、妊娠期の異常についてさらに理解が難しくなるために、正常経過について確実な知識とする。

2 正常から逸脱した妊娠期の看護 科目の中での位置付け  妊娠・分娩・産褥・新生児期の看護を学修する。また経過中にみられる異常、妊婦、産婦、褥婦および新生児におこる問題について理解し、健康状態のアセスメントと看護について学修する。第1回は、妊娠の生理、妊娠期の身体的・心理的特徴、妊婦と胎児の健康状態のアセスメント方法、妊娠期の看護について、第2回は、ハイリスク妊娠、合併症を有する妊婦の看護(糖尿病 、妊娠高血圧症候群 )、妊娠持続期間の異常、異所性妊娠、不妊治療後の妊婦およびハイリスク妊娠の看護、第3回目は、分娩の生理、分娩の3要素、分娩の経過や分娩の母児に及ぼす影響、分娩期の看護について、第4回目は、分娩の3要素にみられる異常、胎児付属物の異常、分娩時損傷、産科処置・手術について学修する。第5回目は産褥期における退行性変化、進行性変化、産褥期における看護について学修する。第6回目は、正常から逸脱した産褥期、子宮復古不全 、産褥熱、泌尿器感染症 、精神障害、乳房トラブル、 児の健康状態に問題がある褥婦について学修する。第7回は、新生児の生理・機能、新生児の健康状態とアセスメントと看護について、第8回目は、新生児仮死 、分娩外傷、 低出生体重児、生理的黄疸、高ビリルビン血症、病的黄疸、ビタミンK欠乏出血症などのアセスメント、医学管理と看護について理解し学修する。
 第2回目は、ハイリスク妊娠、合併症を有する妊婦の看護(糖尿病 、妊娠高血圧症候群 )、妊娠持続期間の異常、異所性妊娠、不妊治療後の妊婦およびハイリスク妊娠の看護を学修する。

系統看護学講座 専門分野 母性看護学2 母性看護学各論、医学書院、2026
①ハイリスク妊娠p380-389、高年妊婦p412-413  若年妊婦p413-414  妊娠期の感染症p389-401
②糖尿病合併妊婦p384-385、416-417,妊娠貧血p388、精神疾患p386、妊娠悪阻p401-402、妊娠高血圧症候群p402-404,p418
③(切迫)流産、早産p407-409,419
④特定妊婦p420
⑤不妊治療後の妊婦p27-61
コマ主題細目 ① ハイリスク妊娠 ② 合併症を有する妊婦の看護 ③ 妊娠持続期間の異常と看護 ④ 特定妊婦の看護 ⑤ 不妊治療
細目レベル ① ハイリスク妊娠とは:母性看護学概論や疾病・治療論Ⅲ、前回の講義で学習した正常妊娠と看護を想起し復習のために知識の確認を行う。正常妊娠を理解した上で、ハイリスク妊娠とは何か説明できるようにする。ハイリスク妊娠の発見には、生活習慣、心理的・社会的因子、体格による影響の項目を1つひとつ各妊婦に確認することが重要であるということを理解する。ハイリスク妊婦の管理で重要なことは、妊娠による母体の変化が基礎疾患に与える影響を十分に理解したうえで妊娠中から産褥期の対応を考えることである。同時に、これら基礎疾患が逆に胎児にいかなる影響をもたらすかも考慮して、胎児の健康状態を評価していく必要がある。時には基礎疾患を有する女性が、妊娠・出産を希望する場合には、妊娠前から積極的に患者と相談を行い、最適な条件下で妊娠・分娩を行えるような環境を作ることも重要となる。ハイリスク妊娠に対しては、妊娠早期からの、健康管理に努め、より健康な状態で出産を迎えられるよう援助することが重要である。
ハイリスク妊婦の中で、特に近年増加している高年妊婦の看護、若年妊婦の看護について学修する。高年妊婦とは、35歳以上で出産を迎える妊婦をさし、45歳以上の場合は超高齢産婦とよばれる。近年は35歳以上の出産が3割を占め、今後も増加することが推測される。高年妊婦においては卵子の遺伝子異常や染色体異常が生じる確率が高まり、加齢に伴い生殖機能が低下することから、妊娠の異常や様々な合併症を有することが多い。初産婦の場合は子宮筋や骨盤底筋群の伸展がわるいというリスクや、不妊治療後の妊娠、勤労妊婦である等はハイリスク要因を抱えている。具体的には流産、早産、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、前置胎盤、常位胎盤早期剥離のリスクが高く、分娩に関しても微弱陣痛や分娩遷延、胎児機能不全、帝王切開率の上昇があり、産褥期の血栓症のリスクも高い。妊娠初期より合併症予防と生活習慣の調整に努め、体力づくりに留意して出産準備を進められるよう支援する。また、若い世代との育児仲間を作る支援、労働における妊婦保護の情報提供も重要である。
若年妊婦は、15歳以下であれば軟産道をはじめとする生殖器の発達が未成熟であり、妊娠経過や分娩経過に異常をきたしやすく、15歳以上であれば身体的にはリスクが低いが、心理・社会的因子のリスクが高くなるため、妊娠継続の意思決定の支援、継続する場合は家族も含めた支援が必要である。
また、妊娠期の感染症について、母体への影響、胎児・新生児への影響とスクリーニング、診断、治療、次回妊娠への予防策を学修する。母子垂直感染の特徴として、妊娠初期の器官形成期における風疹胎内感染の際に見られる胎児への催奇形性や、胎児の免疫学的未熟性が原因である分娩中のB型肝炎ウイルスの産道感染によるキャリア化などが挙げられる。その他、主な病原体と感染経路について学ぶ。

② 合併症を有する妊婦の看護、妊娠疾患を持つ妊婦の看護:糖尿病の合併を有する妊婦の看護では、胎児・新生児の状態を左右するには、妊娠中の血糖コントロールが重要となる。血糖コントロールのためには、血糖自己測定が必要になる。血糖コントロールを含めたセルフケアについて妊婦とともに検討し、その看護を学修する。妊娠高血圧症候群妊婦の看護では、高血圧は、母児ともに生命の危機を招く可能性があること、セルフケアが重症化や疾患の予防に大切であること正しく理解する。また、精神疾患の内統合失調症やパニック障害を起こしやすい年齢であること、妊娠・出産を期に精神疾患を発症することもあることを理解する。また、鉄欠乏性貧血の妊婦の看護について学修する。妊娠すると生理的血漿量の増加により、水血症の状態である。妊娠初期では悪阻による食事内容が偏りやすく、必要な鉄分、たんぱく質などの栄養素が不足することも重なって貧血が増悪する可能性もある。軽度の貧血では自覚症状が乏しく、適切な対応をせず、放置されることも多い。貧血に対する知識の有無、理解の程度を確認し、指導を取り入れ予防を図る。
妊娠疾患として、妊娠悪阻、妊娠高血圧症候群の原因、診断、治療、看護について学修する。妊娠悪阻は、妊婦の半数以上に吐き気、嘔吐がみられるが、これらの症状が増悪して食物摂取が障害され、脱水、栄養障害、電解質異常を起こして治療が必要となった状態である。消化器症状の他、尿中のケトン体が見られる。入院により心身の安静を図り、脱水に対しては補液を行い、電解質異常に対しては電解質液の補液を行う。ビタミンB1欠乏によるウェルニッケ脳症のリスクがある。妊娠高血圧症候群は、血管内皮障害による血管攣縮と凝固更新に関連しておこる。高血圧が主体の症状で、蛋白尿や浮腫が付随的な症状である。収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上を高血圧とする。根本的治療は妊娠の終了であるが、早期から発症した場合は胎児が子宮外生存が可能な時期まで対症的治療を継続することがあり、原則は安静と食事療法(塩分制限)である。重症例では降圧剤を使用する。

③ 妊娠持続期間の異常:流産は、妊娠22週未満の時期に、妊娠が終了したものを指す。母体の加齢とともに、流産率は上昇する。流産分類を学び、特に切迫流産の看護について学修する。妊娠継続がある切迫流産は、安静が第一選択の治療であることを理解し安静の指導を介入することが必要である。習慣性流産には、その原因が多岐にわたるので、それぞれの原因に応した治療に応じて援助を行う。早産は、妊娠22週以降から36週6日までの期間内に分娩に至った場合をいう。その原因は感染の関与が重要視されている。治療として、子宮収縮抑制薬が治療薬として用いられる。看護は、早産の兆候および子宮収縮抑制薬の副作用の有無を観察しつつ、安静度の範囲内で、できるだけ快適に過ごせるように、日常生活の援助を行うことの重要性を学修する。
④ 特定妊婦の看護:特定妊婦は、児童福祉法第6条の3において「出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる」と定義された妊婦であり、児童虐待予防のために妊娠期からの支援が必要とされている。特定妊婦の妊娠期からの切れ目のない育児支援の1つとして、保健・医療・福祉・教育の連携・協働が求められており、とくにこども家庭センターによる包括的な支援が重要である。2024年には「妊産婦等生活援助事業ガイドライン」が定められ、家庭生活に支障が生じている特定妊婦や出産後の母子などへの支援の強化がはかられている。
特定妊婦の看護においては、まずその存在の把握が重要であり、病院などでは初診の問診時にアセスメントシートなどを利用して特定妊婦を抽出する。妊婦の状況を把握した後は、妊娠中から育児期まで長期間にわたり、多職種が協働して、継続的・包括的な支援を行うための支援計画を立案し、実施することが求められる。

⑤ 不妊治療:妊娠の成立の過程に問題があり、体内での受精が困難になった患者に対して、配偶子である卵子や精子を体外に取り出し、体外で受精させる技術をART(生殖補助医療技術、Assisted Reproductive Technology)と言う。近年ARTによる妊婦や出産が急増している。不妊治療を受けて妊娠した女性が、自然流産や・死産を恐れていることや、その恐れが出産後に影響し、母親になることの困難性が予測されている。不妊治療の特徴は、自己決定が迫られる、不妊女性の体験の特徴は、不妊の気づきの段階、不妊の受け止めの段階がみられる。治療方針における決定の場面で、患者が偏りや誤りのある情報をもとに決定することがないよう、治療内容とその成績、副作用、費用などについて患者が理解できるように説明を行う必要がある。治療効果に対する現実的な期待と認知が持てるよう、患者には情報の解釈の仕方を含めた説明を行う必要がある。治療が始まる前に、説明された事柄が正しく理解され、納得して治療を受けられる状態にあるか確認する必要がある。一般不妊治療においては、性周期に合わせた夫婦生活への医療の介入や精液提出に伴う患者の羞恥心と精神的プレッシャーに対する配慮を行う必要がある。ARTにおいては、治療に伴って起こる負担が一般不妊治療に比べ多くなることを考慮し、患者に身体的、精神的、社会的な予期的ガイダンスを行う必要がある。今後の治療の見通しとゴールについて、カップルが十分に考え、相談できるように支援して行くことが必要である。治療を重ねても挙児を得ることのできないカップルへは、悲嘆のプロセスを支援する特別な配慮が必要とされる。治療に際しカップルが心身ともに自立できるためのセルフケア支援には、有効なリソースの活用と副作用の自己管理も含めた健康教育、精神的サポートが必要であることを学修する。
キーワード ① ハイリスク妊娠 ② 合併症を有する妊婦 ③ 流産・早産 ④ 特定妊婦 ⑤ 不妊治療
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習課題:教科書の該当箇所をよく読んでおく。第1回目の授業の復習を行い、もう一度正常妊娠の生理を十分に復習し、正常妊娠を理解したうえで授業に臨む。
復習課題:授業で学んだことを繰り返し見返し、資料や教科書を整理して、わからないところや疑問点については、質問等を行い、解決しておく。合併症(特に糖尿病)を持つ妊娠、妊娠高血圧症候群、流産、早産、切迫早産、異所性妊娠、不妊治療については、疾病・治療論Ⅲの授業の中での病態生理も理解したうえで、その看護を学修する。国家試験においても妊娠期の異常についてはその病態から看護までと出題率が高い。永江のオフィスアワーに質問に来たり、メールで質問するなどして理解に努める。

3 分娩期の看護 科目の中での位置付け  妊娠・分娩・産褥・新生児期の看護を学修する。また経過中にみられる異常、妊婦、産婦、褥婦および新生児におこる問題について理解し、健康状態のアセスメントと看護について学修する。第1回は、妊娠の生理、妊娠期の身体的・心理的特徴、妊婦と胎児の健康状態のアセスメント方法、妊娠期の看護について、第2回は、ハイリスク妊娠、合併症を有する妊婦の看護(糖尿病 、妊娠高血圧症候群 )、妊娠持続期間の異常、異所性妊娠、不妊治療後の妊婦およびハイリスク妊娠の看護、第3回目は、分娩の生理、分娩の3要素、分娩の経過や分娩の母児に及ぼす影響、分娩期の看護について、第4回目は、分娩の3要素にみられる異常、胎児付属物の異常、分娩時損傷、産科処置・手術について学修する。第5回目は産褥期における退行性変化、進行性変化、産褥期における看護について学修する。第6回目は、正常から逸脱した産褥期、子宮復古不全 、産褥熱、泌尿器感染症 、精神障害、乳房トラブル、 児の健康状態に問題がある褥婦について学修する。第7回は、新生児の生理・機能、新生児の健康状態とアセスメントと看護について、第8回目は、新生児仮死 、分娩外傷、 低出生体重児、生理的黄疸、高ビリルビン血症、病的黄疸、ビタミンK欠乏出血症などのアセスメント、医学管理と看護について理解し学修する。
 第3回目は、分娩の生理、分娩の3要素、分娩の経過や分娩の母児に及ぼす影響、分娩期の看護について学修する。 

森恵美他:系統看護学講座 専門分野 母性看護学2 母性看護学各論、医学書院、2026 
①分娩の定義p183-184、分娩の3要素p184-190、分娩の機序p190-193
②分娩の経過p194-209
③産婦・胎児、家族のアセスメントp209-223
④産婦・胎児、家族の看護p223-242
⑤分娩の進行に沿った看護p242-261
コマ主題細目 ① 分娩の定義・分娩の3要素(娩出力、産道、娩出物) ② 分娩の経過 ③ 産婦・胎児、家族のアセスメント ④ 産婦・胎児、家族の看護上の課題 ⑤ 分娩の進行に沿ったアセスメント
細目レベル ① 分娩の定義、分娩の3要素:分娩の定義を理解できる。分娩はその時期や、経過、様式、胎児数、胎児の生死によって分類されることを理解する。分娩の3要素(娩出力、産道、娩出物)のそれぞれの分娩にどう影響するかを学修する。分娩の進行は分娩の3要素の相互関係により規定されることを学修する。これらの因子が分娩の難易を決定する基本因子として考えられている。妊娠中ならびに分娩中の、分娩の胎児と母体の位置関係の分類(胎位・胎向・胎勢)について学修する。分娩の機序では、陣痛発来の機序について学修する。また、子宮体の収縮により、子宮下部は伸展して薄くなり、結果、頸管の短縮と軟化ならびに子宮口の開大が起こり、分娩が開始する。胎児の産道通過の機序について、第1回旋から第4回旋について理解する。分娩開始から胎盤剥離までの機序)について学修する。
② 分娩の経過:分娩の経過では、まず分娩の前兆がどのようなものであるか理解する。子宮頸管の熟化の指標として、ビショップスコアがどのようなものかを理解する。分娩第1期は、分娩の開始から、子宮口が全開大するまでである。フリードマン曲線は、微弱陣痛や分娩遷延などの分娩の経過の異常を診断する場合に活用できる方法である。分娩第2期は、子宮口の全開大から胎児が産道を通過し娩出するまでのことを言い、破水、排臨、発露を説明できる。分娩第3期は、胎児娩出から胎盤ならびに卵膜の娩出が完了するまでを言う。分娩は胎盤の娩出をもって終了とするが、その後の2時間は、産道の裂傷や子宮の弛緩による異常出血がみられるために観察することが重要となることから、この時期を分娩第4期と呼ぶ。分娩の進行に伴う身体的変化と産婦の反応や心理的変化を学修する。
③ 産婦・胎児、家族のアセスメント:産婦・胎児、家族のアセスメントでは、分娩は正常な現象であるが、個人差が大きく、産婦と胎児の状態に様々な影響を及ぼす。したがって、分娩の経過を理解し、分娩経過の診断に基づき進行、経時的に産婦と胎児の健康状態について、情報を収集し、判別・解釈・分析・関連付けを行い、産婦と家族の看護上の問題を判断することは、分娩によるストレス増強や異常の予防、早期発見、早期対処につながり、安全かつ産婦・家族中心の分娩を保障することになる。新たな家族の誕生は、産婦や家族にとって人生上意味があることであり、新たな関係を築いていく出発点であり、父親となる男性との関係や家族との関係性についての情報を得て、家族発達などをアセスメントすることは、出産体験や出産後の家庭生活に関連した看護につながっていくことを理解する。また産婦や家族の心理・社会的な問題に焦点を合わせたアセスメントを学修する。
④ 産婦・胎児、家族の看護:産婦や胎児、家族のアセスメントにより明確化された看護上の課題を明確にする必要があることを理解する。産婦ならびに家族が、何らかの理由により自らの能力で充足できないために援助をすることや、母性看護学の立場から、充足されていないと判断されるために援助すべきことを理解できる。また、分娩の健全な過程の促進や母子の健康状態の維持・増進、疾病の予防を阻害する因子や、親となる過程を阻害する現象であり、看護によって解決・緩和・予防ができるものであることを理解する。正常な分娩経過から逸脱あるいはその危険性、母子の生命維持にかかわる問題、分娩経過に対する身体的・心理社会的反応の増悪、分娩による基本的ニードの充足が不十分、分娩経過とそれを体験している産婦の認識との矛盾から引きおこされる反応、分娩を体験している産婦と家族の認識のずれによる問題などがあることを理解する。
⑤ 分娩の進行に沿った看護:入院する時期は産婦によってさまざまであることを理解する。分娩第1期の産婦の身体的、心理・社会的特徴を理解して、分娩経過に関する情報や母子の健康状態に関する情報を、観察・診察結果、CTGによる胎児評価を得て、パルトグラムを整理し、分娩経過の把握と予測を行うことが必要になる。分娩経過に沿って、安全分娩への看護として定期的かつ継続的な観察を行い、異常の早期発見と対応を行い、適切な説明を実施して産婦の思いを傾聴する。また、安楽な分娩のために、環境の調整や基本的ニードを満たす看護、環境の調整、産痛緩和のための身体ケアなどを行う。分娩第2期の看護は、胎児娩出まであと30分から1時間以内と予測されると、分娩室へ移送される。また、LDRについて説明を行う。分娩第3・4期は、分娩室で正期産児を対象に出生直後に早期母子接触行うことの意味について考える。また、分娩前から産褥期を通して、出産体験が肯定的になるための看護も重要であることを理解する。
キーワード ① 分娩の3要素 ② 分娩の経過 ③ 分娩の進行 ④ 産婦・胎児・家族のアセスメント ⑤ 産婦・胎児・家族の看護
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習:1.教科書の該当箇所をよく読んで授業に臨む。2.分娩の経過とは、第1期から第4期に分けて、どのようなものであるか確認して理解しておく。3.自分の生まれた時のことを、両親または知り合いに聞いたことをアセスメントしてみて、どのような分娩の経過であったかを、理解しておく。4.自分が生まれた時の家族の状況がどうだったかについても情報を確認しておく。
復習:教科書と配布資料を確認して整理しまとめる。2.分娩の3要素は何か具体的に説明できる。分娩の経過は、分娩第1期から4期に分類され、進行に伴う産婦の心身の変化について説明できるようにしておく。

4 正常から逸脱した分娩期の看護 科目の中での位置付け  妊娠・分娩・産褥・新生児期の看護を学修する。また経過中にみられる異常、妊婦、産婦、褥婦および新生児におこる問題について理解し、健康状態のアセスメントと看護について学修する。第1回は、妊娠の生理、妊娠期の身体的・心理的特徴、妊婦と胎児の健康状態のアセスメント方法、妊娠期の看護について、第2回は、ハイリスク妊娠、合併症を有する妊婦の看護(糖尿病 、妊娠高血圧症候群 )、妊娠持続期間の異常、異所性妊娠、不妊治療後の妊婦およびハイリスク妊娠の看護、第3回目は、分娩の生理、分娩の3要素、分娩の経過や分娩の母児に及ぼす影響、分娩期の看護について、第4回目は、分娩の3要素にみられる異常、胎児付属物の異常、分娩時損傷、産科処置・手術について学修する。第5回目は産褥期における退行性変化、進行性変化、産褥期における看護について学修する。第6回目は、正常から逸脱した産褥期、子宮復古不全 、産褥熱、泌尿器感染症 、精神障害、乳房トラブル、 児の健康状態に問題がある褥婦について学修する。第7回は、新生児の生理・機能、新生児の健康状態とアセスメントと看護について、第8回目は、新生児仮死 、分娩外傷、 低出生体重児、生理的黄疸、高ビリルビン血症、病的黄疸、ビタミンK欠乏出血症などのアセスメント、医学管理と看護について理解し学修する。
 第4回目は、分娩の3要素にみられる異常、胎児付属物の異常、分娩時損傷、産科処置・手術について学修する。

森恵美他:系統看護学講座 専門分野 母性看護学2 母性看護学各論、医学書院、2026
①分娩の3要素の異常p422-445 破水時の看護p461-463
②分娩誘発、陣痛促進p453-455
③会陰切開p455-456、p482-483
④帝王切開の看護p458-461、470-477
⑤分娩時異常出血p477-482
コマ主題細目 ① 分娩3要素の異常 ② 産科処置 ③ 産科手術 ④ 帝王切開の看護 ⑤ 分娩時異常出血
細目レベル ① 分娩3要素の異常:産道、娩出力、娩出物の異常について学修する。児頭の骨盤通過が可能であるかは、児頭と骨盤の相互関係により診断される。児頭と骨盤の両方を比較して、児頭の骨盤通過の可否を判定するが、診断には、産科的真結合線の長さと児頭大横径差が用いられる場合が多い。娩出力の異常は、子宮収縮の強さ、頻度、持続時間ならびに間歇時間の関係は胎児心拍陣痛図を用いることから、比較的容易に評価できる。しかし、陣痛の強さを客観的に評価することは難しい。産婦の強い痛みを感じるにもかかわらず、分娩は進行しない、分娩開始から陣痛の弱い原発性微弱陣痛、または順調であった分娩の途中から陣痛の弱い続発性微弱陣痛という。娩出物の異常は、胎児の発育および形態の異常は、巨大児、低出生体重児、形態の異常、胎位の異常は、骨盤位は、レオポルド触診法で確認する。頭位分娩において、胎勢と胎向の回旋方向に、不合理なものがみられるものを、広義の回旋異常とみなす。第1回旋の異常と考えられる反屈胎勢、第2回旋の異常と考えられる後方後頭位、低在横定位などが含まれる。胎盤の異常では、常位胎盤早期剝離や前置胎盤を学修する。
② 産科処置のうち、分娩誘発と陣痛促進について学修する。分娩誘発とは、経腟分娩が可能で陣痛がない場合に、人工的に陣痛を起こして分娩を促すことである。まず、子宮収縮薬使用による利益と危険性について口頭による説明と文書で同意をとる。子宮収縮薬開始前から分娩監視装置を装着、連続的にモニターする。子宮収縮薬静脈投与時、精密持続点滴装置を利用する。血圧と脈拍は定期的にチェックする。5~15分毎に胎児心拍数陣痛図(CTG)を評価する。オキシトシンまたはPGF2αの増量は30分以上経過してから行い、最大投与量を超えない。子宮収縮回数が10分間に5回以上、CTGの波形に異常が出現した場合、妊婦が強い痛みを訴える場合、減量や中止を検討する。陣痛促進とは、陣痛が弱い場合に、人工的に陣痛を起こして分娩を促すこと。陣痛抑制とは、妊娠を継続した方が好ましい場合、陣痛を抑制することである。
③ 産科手術:会陰切開は、会陰の伸展性が乏しい場合に行い、吸引分娩・鉗子分娩・骨盤位検出術など必要な時のみに必要性を産婦に説明して行う。妊娠中から分娩中に説明を受け、理解できるように説明することが大事である。産婦には、事前に会陰切開を受けることへの要望や考えを確認しておくと、比較的落ち着いて受けることができる場合が多い。分娩後は、褥婦のセルフケアが必要になる。外陰部には創傷があり、悪露が流出しナプキンを当てているため体温が保たれることにより細菌がが繁殖しやすく、感染の機会は増大する。清潔保持が必要で、褥婦が自身でできるように援助する。吸引分娩や鉗子分娩の看護は、呼吸法の援助や体位の調整を行う。分娩中から説明し、現状や処置の必要性を理解できるようにする。また、児の頭部や顔面の損傷を起こしやすい。産婦や家族はこのような状態を見て驚きや戸惑いを覚えることが少なくない。分娩の失敗体験とならないように援助する。
④ 帝王切開の看護:帝王切開は基本的に経腟分娩が不可能と判断されるか、母体または胎児に、急いで分娩を終了させる必要が生じた場合に選択される。また緊急度によって予定帝王切開と緊急帝王切開に分類される。帝王切開率:徐々に増加傾向である。平均しても20%以上で、愛媛県内でもハイリスク分娩が多い病院では、40%に近くなっている病院もある。帝王切開を受ける産婦の看護は、緊急帝王切開の場合は、迅速なケアが求められる。経腟分娩に比べて感染リスクが高まる。術後の感染徴候を早期に発見し、早期介入ができるように援助する。術後は、手術創の疼痛や子宮収縮痛、体動が制限されることによる腰痛などの疼痛・苦痛が生じるためその緩和に向けた援助を行う。また、術後の身体的苦痛から育児行動の習得が遅れる場合がある。セルフケア不足を援助し、育児習得が遅れないようにする。母児の生命にかかわるような状況の場合も多い。また経腟分娩できなかったこと、新生児の健康状態が低下している場合は自尊感情が低下する場合がある。そのため心理状況を把握して、バースレビューを行うなどの援助を行う。
⑤ 分娩後出血:子宮弛緩症(弛緩出血)分娩第3期または胎盤娩出後に凝血を含む暗赤色の出血が見られ、外診および内診で、子宮底が高い位置にやわらかく触知される状態を弛緩出血といい、分娩時異常出血は500ml以上と定義されていた。しかし、多くの例で500mlを超える出血がみられること、多胎、帝王切開など分娩状況の違いがあることから、現在では、出血量だけではなく、バイタルサインSI=心拍数/収縮期血圧の異常を考慮して異常を判断することとされている。弛緩出血を生じた産婦の看護では、弛緩出血の発症やその原因となる胎盤や卵膜の遺残が疑われたら、報告し、処置に備えた準備を行う。子宮収縮の阻害要因を除去しながら、冷罨法を行うことにより、子宮収縮を促進する。産婦は、医師や看護師の行動・発言に非常に敏感であり、その内容によっては、不安感が大きくなる。家族も同様なので不安の軽減を図る。日常生活行動が制限される場合には、十分に説明し、理解と協力を得る。貧血によって、疲労からの回復が遅れ、易感染状態になるため、感染予防を行う。
キーワード ① 分娩の3要素 ② 産科手術 ③ 産科処置 ④ 帝王切開の看護 ⑤ 分娩時異常出血
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習課題:コマシラバスをよく読んで授業に臨む。正常な分娩について、前回の講義での正常な分娩について見直し準備して授業に臨む。分娩期の異常については、教科書をよく読んで授業に臨む。内容のわからないことについては、調べて理解しておく。
復習課題:授業で学んだことを繰り返し見返し、資料や教科書を整理して、わからないところや疑問点については、質問等を行い、解決しておく。特に、正常な分娩について復習したうえで、また、疾病・治療論Ⅲの授業を振り返って、産道の異常、娩出力の異常、胎児の異常、胎児付属物の異常について理解したうえで分娩期の異常の看護について繰り返して学修する。永江のオフィスアワーに質問に来て、理解に努める。

5 産褥期の看護 科目の中での位置付け  妊娠・分娩・産褥・新生児期の看護を学修する。また経過中にみられる異常、妊婦、産婦、褥婦および新生児におこる問題について理解し、健康状態のアセスメントと看護について学修する。第1回は、妊娠の生理、妊娠期の身体的・心理的特徴、妊婦と胎児の健康状態のアセスメント方法、妊娠期の看護について、第2回は、ハイリスク妊娠、合併症を有する妊婦の看護(糖尿病 、妊娠高血圧症候群 )、妊娠持続期間の異常、異所性妊娠、不妊治療後の妊婦およびハイリスク妊娠の看護、第3回目は、分娩の生理、分娩の3要素、分娩の経過や分娩の母児に及ぼす影響、分娩期の看護について、第4回目は、分娩の3要素にみられる異常、胎児付属物の異常、分娩時損傷、産科処置・手術について学修する。第5回目は産褥期における退行性変化、進行性変化、産褥期における看護について学修する。第6回目は、正常から逸脱した産褥期、子宮復古不全 、産褥熱、泌尿器感染症 、精神障害、乳房トラブル、 児の健康状態に問題がある褥婦について学修する。第7回は、新生児の生理・機能、新生児の健康状態とアセスメントと看護について、第8回目は、新生児仮死 、分娩外傷、 低出生体重児、生理的黄疸、高ビリルビン血症、病的黄疸、ビタミンK欠乏出血症などのアセスメント、医学管理と看護について理解し学修する。
 第5回目は、産褥期における退行性変化、進行性変化、産褥における看護について、また新生児と母親・家族関係の看護について学修する。

森恵美他:系統看護学講座 専門分野 母性看護学2 母性看護学各論、医学書院、2026 
①褥婦の身体的変化p325-328、心理・社会的変化p328-336
②褥婦のアセスメントp334-346
③褥婦の退行性変化および進行性変化への看護p346-354
④褥婦と家族の心理・社会面の看護p354-378
コマ主題細目 ① 褥婦の身体的変化、心理・社会的変化 ② 褥婦のアセスメント ③ 褥婦の退行性変化および進行性変化への看護 ④ 褥婦と家族の心理・社会面の看護
細目レベル ① 褥婦の身体的変化:産褥期の身体的変化について学修する。身体的変化には、妊娠中に拡大した子宮が妊娠前の状態に回復したり、妊娠中に40―59%増加した心拍出量が減少し、そのため腎血漿流量と糸球体濾過値も減少するような退行性変化と、乳腺が肥大して乳汁分泌が始まるという進行性変化があることを学修する。まず、産褥期の定義を理解し、産褥の経過と産褥期の子宮底の高さの推移や悪露について理解する。母乳は新生児にとって理想的な食物であり、バランスのとれた栄養素を含むばかりでなく、様々な免疫物質や細胞の増殖・分化を促進する多くの成長因子を含んでいることを理解し、また授乳女性では、乳がんの発症リスクが低いことや、母乳哺育を受けた児の方が成長が良い傾向にあることなど、母児双方にとって長期にわたる利益があるというエビデンスを紹介するとともに、母乳育児を進めるべきであるころを学習する。乳汁分泌の仕組みを学修し、産褥経過に伴う乳汁の特徴を理解し学修する。また、月経の発来の時期と授乳との関係についても学修する。
親になる準備は、妊娠期から開始されるが、子どもの誕生に伴って、父親・母親になる準備を引き受けていく。それは、今までのとは異なる状況に移行し、その新たな状況に合うように行動を変えたり、人との関係性をつくりなおすことが求められる移行のプロセスであることを理解する。そして、子どもの誕生によって、だれでもが生活や行動に影響を受けることを理解していく。褥婦の心理的変化については、母親への適応過程についてルービンの理論と関連して学修する。愛着については、ボウルビーの理論と関連させ、また、クラウスとケネルの理論において、絆について考えて、母子相互作用について学修する。家族の心理的変化について、父親、きょうだいそして祖父母の心理的変化について学修する。また、ソーシャルサポートについても考察する。

② 褥婦のアセスメント:産褥の経過の診断、褥婦の健康状態のアセスメントおよび褥婦・家族の心理・社会的状態のアセスメントについて学修する。産褥の経過診断では、退行性変化、進行性変化のアセスメントと診断に必要な視点について学修する。褥婦のアセスメントでは、ウェルネスに必要な項目や産褥経過の診断、看護に必要なアセスメントの視点について学修する。褥婦に生じている心身の変化や日常生活活動の内容を把握し、さらに褥婦が身体的変化にどのように対処しているか、生まれた子どもにどのように対応しているか、また、家族に生じる関係性の変化とそれが褥婦にどのように対応しているかを把握する。褥婦に生じている心身の変化の把握だけでなく、非妊時の健康状態や妊娠・分娩経過が褥婦の健康状態に影響するため、これらについての情報を収集しておくことが求められる。非妊時や妊娠・分娩の経過の情報は、現在の褥婦のどこに注目して査定する必要があるのかの手がかりとなることが理解できる。
心理・社会的側面:子どもが誕生することで、家庭内のだれもが生活や行動に影響を受けることを理解する。また、母親役割の獲得や家族構築の再構築など、子どもを迎えた褥婦・家族の倫理・社会的な変化とそのアセスメントを学修する。褥婦が母親への適応過程のどのような段階にあるのかを、褥婦の言動から把握する。ルービンの理論で明らかにされた段階は、母親として適応される段階でもあり、また、分娩の回復過程でもあるため、褥婦がどのような段階にあるのかを把握することは、看護を行う上で重要であることを理解する。マタニティブルーズの症状がみられないか把握する。産後の早期発見・早期治療が看護であり、症状の出現や時期・期間を把握することが必要であることを理解する。愛着や絆の形成を示す場面として、褥婦あるいはその夫と新生児が対面していることがあげられる。したがってその時の言動を把握することは、関係性を知る手掛かりになること理解する。母親および父親としての役割遂行のための準備状態学習の動機を把握することも必要となる。褥婦を取り囲むサポート資源を把握することを学修する。

③ 褥婦の退行性変化および進行性変化への看護:産褥期の看護では、身体面では褥婦の身体機能の回復(退行性変化)および進行性変化への看護を行う。褥婦のセルフケア不足に対する看護として、休息と活動、栄養、排泄、清潔の保持、乳房のケア、産後経験する疼痛への対処について状況を把握し、適切な状況が保てるように必要な支援を行う。また、褥婦自身が健康を管理できるようにセルフケア能力を上げるための支援も大切であり、褥婦自身の持っている知識・理解力・判断力などを査定し、退院後の生活の中で自分自身の健康管理が可能となるような方法や情報について分かりやすく説明する必要がある。特に、産褥一カ月に生じやすい異常について説明し、受診をする必要がある症状が理解できるようにすること、退院後に利用可能な保健医療サービスと活用方法を理解できるようにすることが大切である。
④ 褥婦と家族の心理・社会面の看護:児との関係確立への看護では、親となる褥婦とその夫またはパートナーが、新生児との間で相互作用しやすい環境を整えることが、関係性確立への看護援助となる。また、愛着形成を促すことも重要である。愛着の形成は、相互の満足した体験を通して、親と子の間のポジティブフィードバックによって促進される。そのため、児にとって不快なものを取り除くように親が児に授乳したり、抱いたり、あやしたりして、相互の体験を満足させ、児の泣く、親の指を握る、親の顔を目や頭を動かし追う、乳房を探して吸うなどの行動に親が応じることも互いの満足の体験につながる。したがって、親が新生児のニーズを満たす行為は、愛着を促進する行為となり、そのような機会を設けることが関係性確立の援助となる。
育児に関わる看護では、新生児の特徴や育児に関わる知識を提供し、育児技術に関しては看護職者がその行為を示しながら、褥婦・家族が実際に児に対して行うことを援助する。ぎこちない動作であっても、看護職者がそれを保証して援助することが、親の自信や、育児することの喜びにつながる。具体的には、児の栄養としての母乳育児支援、児の清潔を保つ方法、児の健康管理などについての具体的支援方法を学修する。子どもを迎えた家族の再構築への看護として、上の子どもへの対応や夫またはパートナーへの対応について学修する。関係性の再構築だけでなく、家族計画と避妊について学ぶ。
施設退院後の看護として、退院後の褥婦と家族の生活調整、マイナートラブルへの対処方法の知識の提供を行う。また、育児不安や母乳育児について、退院後もフォローアップを行う。産後2週間、1カ月で外来で健康診査を行う他、電話相談や母乳育児支援外来などで支援を行っている。褥婦が持ちやすい不安と、サポート資源としてどのようなものを必要としているかを把握する。また褥婦が利用できるサポート資源として、実父母・義父母や近所の人々のほか、保健センター、医療機関、保育施設などの社会的な資源や制度をどのように利用しているか、またどのように利用しているのかを把握することについて学修する。特に女性が就労している場合は、いつ職場に復帰し、就労中の児の保育をどのようにしていくのかを把握する必要があることを理解する。

キーワード ① 褥婦 ② 退行性変化 ③ 進行性変化 ④ 産褥期のアセスメント ⑤ 母親役割獲得
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習課題:コマシラバスをよく読んで授業に臨む。1.褥婦がどういう人かイメージ化をしておく。教科書母性看護学各論の該当部分をよく読んで授業に臨む。3.育児をするということがどのようなことかを考えてみる。4.自分の住んでいる地域における育児資源にどのようなものがあるかインターネット等で調べる。
復習課題:1.教科書と配布資料をよく読んでまとめる。2.褥婦の退行性変化と進行性変化についてそれぞれにまとめる。3.子宮復古の経過についてまとめる。4.母乳に含まれる成分及び免疫因子を説明できるようにする。5.授乳方法にはどのようなものがあるか理解し学修しておく。分からないことがあれば永江のオフィスアワーに質問に来たり、メールで質問するなどして理解に努める。

6 正常から逸脱した産褥期の看護 科目の中での位置付け  妊娠・分娩・産褥・新生児期の看護を学修する。また経過中にみられる異常、妊婦、産婦、褥婦および新生児におこる問題について理解し、健康状態のアセスメントと看護について学修する。第1回は、妊娠の生理、妊娠期の身体的・心理的特徴、妊婦と胎児の健康状態のアセスメント方法、妊娠期の看護について、第2回は、ハイリスク妊娠、合併症を有する妊婦の看護(糖尿病 、妊娠高血圧症候群 )、妊娠持続期間の異常、異所性妊娠、不妊治療後の妊婦およびハイリスク妊娠の看護、第3回目は、分娩の生理、分娩の3要素、分娩の経過や分娩の母児に及ぼす影響、分娩期の看護について、第4回目は、分娩の3要素にみられる異常、胎児付属物の異常、分娩時損傷、産科処置・手術について学修する。第5回目は産褥期における退行性変化、進行性変化、産褥期における看護について学修する。第6回目は、正常から逸脱した産褥期、子宮復古不全 、産褥熱、泌尿器感染症 、精神障害、乳房トラブル、 児の健康状態に問題がある褥婦について学修する。第7回は、新生児の生理・機能、新生児の健康状態とアセスメントと看護について、第8回目は、新生児仮死 、分娩外傷、 低出生体重児、生理的黄疸、高ビリルビン血症、病的黄疸、ビタミンK欠乏出血症などのアセスメント、医学管理と看護について理解し学修する。
 第6回目は、正常から逸脱した産褥期(子宮復古不全 、産褥熱、泌尿器感染症) 、精神障害、乳房トラブル、児の健康状態に問題がある褥婦について学修する。

森恵美他:系統看護学講座 専門分野 母性看護学2 母性看護学各論、医学書院、2026 
①退行性変化の異常:子宮復古不全p507、産褥期の発熱507-508
②乳房トラブルp515-518
③メンタルヘルスの問題を抱える母親の支援p533-542
④児の健康状態に問題がある褥婦の看護p526-529
コマ主題細目 ① 退行性変化の異常 ② 乳房トラブル ③ メンタルヘルスに問題を抱える母親の支援 ④ 児の健康状態に問題がある褥婦の看護
細目レベル ① 退行性変化の異常:子宮筋の収縮が悪く(子宮収縮不全)、子宮復古が遅れた状態で、胎盤片、卵膜片の子宮内残存が原因であることが多い。外診で子宮が大きく、やわらかい、内診での子宮口の開大や子宮口付近の凝血塊、卵膜・胎盤組織が認められる。超音波検査にて、子宮内遺残物を確認される。治療は、子宮収縮剤(麦角アルカロイドなど)投与、感染兆候を認める場合は抗生物質の投与、子宮内遺残物がある場合、可能であれば子宮内容除去術を行われる。看護は、子宮底の輪状マッサージを行う。膀胱充満があれば排尿を促し、排尿ができなければ導尿して膀胱充満をさける。基本的に、3~4時間毎に排尿を促す。また、授乳を促し、乳頭刺激によるオキシトシン(子宮収縮ホルモン)の分泌を促す。感染予防のため、シャワー浴や外陰部の清潔のセルフケアを促すことを学修する。
産褥期の発熱には、主に産褥熱、創部感染、泌尿器感染症、乳腺炎などがある。このうち、特に産褥熱、泌尿器感染症について理解することが大切である。産褥熱は、分娩後24時間以降、産褥10日目以内に2日間以上にわたり38.0℃以上の発熱をきたす場合と定義されている。分娩時の前期破水や頻回の内診、産科的処置、胎盤や卵膜の残存や悪露の滞留など、感染の原因は数多く、ほとんどの症例では子宮内に感染源をみとめる。治療としては子宮内容除去術と、抗菌薬の投与が行われる。看護としては、褥婦のセルフケア不足に対する支援、退行性変化を促進する看護を行う。母乳育児や育児行動については身体回復状況に合わせて行えるよう援助する。

② 乳房トラブル:乳房の形、乳輪部の状態(形・大きさ・柔らかさ・長さ、伸展性)、乳頭の状態(形・大きさ・水泡・亀裂・出血)。乳房の腫脹において、褥婦は、出産後、乳汁分泌の機能が開始され、乳房への血流の増加・乳腺内圧の上昇・リンパ液のうっ滞から生じる浮腫による乳房緊満を体験する。乳腺炎は、うっ滞性乳腺炎の原因は、母乳の通り道である乳管が十分に開いていない、乳児が母乳を飲む力がまだ弱いなどが原因で、乳汁が乳房に溜まることで起こる。乳歯で乳頭を噛んでしまったりなど、乳頭が傷つくことで起こる場合が多い。自覚症状がはっきりしているのが特徴。しこりなどがあっても、痛みを伴わない段階で適切な処置を受ければ早期に改善するが、対処が遅れて悪化すると、乳房の痛み、発熱、頭痛や関節痛、全身の倦怠感などの症状が現れることもある。うっ滞性乳腺炎は、乳房マッサージ、頻回に授乳をして乳児に飲んでもらうことが大切である。乳首のトラブル:授乳時の乳首・乳頭の3大トラブルは、裂傷、白斑、水泡である。 産後6ヶ月までの授乳時に多い乳首や乳頭トラブルは、主に乳頭亀裂または裂傷、白斑(乳口炎)、水疱、血疱。それ以外に、乳管炎、乳輪部の浮腫、擦過傷などがある。最新の傷を治す方法はメデラ社のハイドロジェルパッドを乳頭にかぶせる方法が一番治りが早い。ヒリヒリする時は、早めにその時から人工のふたを作ってくれるし、深い傷の時にも冷蔵庫で冷やしてシートを乳頭全体にかぶせると冷却効果でとても楽になることを学修する。
③ メンタルヘルスの問題を抱える母親の支援:産褥期マタニティブルーズは、分娩後の内分泌環境の大きな変化に加え、新生児の育児技術を含めた母親役割獲得過程にあり、身体的にも精神的にも不安定になりやすい。日本では、約25~30%で初産婦に多い傾向があり、一過性に涙もろさ、抑うつ、不安感、感情コントロールが難しい、疲れやすい、頭痛、食欲不振などの症状が現れる。ほとんどの場合産褥10日以内に発症する。多くは産褥3~5日目に発症し、2週間以内に軽快する。休息を十分とれるように環境を調整し、リラクゼーションを促して援助すること、回復のためのサポートと共感が重要となる。産後うつ病への移行に注意する。産後うつ病は、マタニティブルーズの症状が著しい、本人のコーピングがうまくいかない場合に起こりやすい。産後1年未満の妊産婦死亡原因第1位は自殺であり、産後うつが関与している。産褥1か月以内に急激に発症し、強い抑うつ感がある。産後うつを早期に診断するために、エジンバラ産後うつ病質問票で9点以上で疑う。看護は、重症例は精神科医による精神療法、薬物療法。軽症例は助産師による育児相談で軽快。褥婦を理解、共感し、産後うつ病に関する情報提供と教育、カウンセリングを行う。育児支援やソーシャルサポートの調整、社会資源の活用の調整などの支援を行う。
④ 児の健康状態に問題がある褥婦の看護:出生前診断により先天異常が明らかになった場合、生まれてくる、または生まれてきた自分の子どもが何らかの異常を持っているということは、親にとって予期しない出来事である。予期しないことに出会った親は、自分たちがどうなるだろうかという強い不安を持ったり、ショックを受けたり、混乱状態になったり、心の動きが麻痺したような状況になったりと様々な反応を示す。このような状況から、いくつかの心理過程を経て、自分に生じたことを受け入れ、親として前に進んでいけるように援助することが看護に求められていることを理解し学修する。
キーワード ① 子宮復古不全 ② 乳腺炎 ③ マタニティブルーズ   ④ 産後うつ病 ⑤ 児の健康状態に問題がある褥婦
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習課題:コマシラバスをよく読んで授業に臨む。正常な産褥について、第5回の正常な産褥について見直し、理解したうえで授業に臨む。産褥期の異常については、教科書の該当部分をよく読んでおく。
復習課題:授業で学んだことを繰り返し見返し、資料や教科書を整理して、わからないところや疑問点については質問等を行い、解決しておく。第5回目の授業の産褥期と関連させることができるように復習しておく。特に、疾病・治療論Ⅲで学習した内容と関連させて病態生理、治療を理解したうえで、子宮復古不全、産褥熱、乳房トラブル(乳房の腫脹、乳腺炎)、産褥期精神障害、児の健康状態に問題がある褥婦についても繰り返し学習する。永江のオフィスアワーに質問に来たり、メールで質問するなどして理解に努める。

7 新生児期の看護 科目の中での位置付け  妊娠・分娩・産褥・新生児期の看護を学修する。また経過中にみられる異常、妊婦、産婦、褥婦および新生児におこる問題について理解し、健康状態のアセスメントと看護について学修する。第1回は、妊娠の生理、妊娠期の身体的・心理的特徴、妊婦と胎児の健康状態のアセスメント方法、妊娠期の看護について、第2回は、ハイリスク妊娠、合併症を有する妊婦の看護(糖尿病 、妊娠高血圧症候群 )、妊娠持続期間の異常、異所性妊娠、不妊治療後の妊婦およびハイリスク妊娠の看護、第3回目は、分娩の生理、分娩の3要素、分娩の経過や分娩の母児に及ぼす影響、分娩期の看護について、第4回目は、分娩の3要素にみられる異常、胎児付属物の異常、分娩時損傷、産科処置・手術について学修する。第5回目は産褥期における退行性変化、進行性変化、産褥期における看護について学修する。第6回目は、正常から逸脱した産褥期、子宮復古不全 、産褥熱、泌尿器感染症 、精神障害、乳房トラブル、 児の健康状態に問題がある褥婦について学修する。第7回は、新生児の生理・機能、新生児の健康状態とアセスメントと看護について、第8回目は、新生児仮死 、分娩外傷、 低出生体重児、生理的黄疸、高ビリルビン血症、病的黄疸、ビタミンK欠乏出血症などのアセスメント、医学管理と看護について理解し学修する。
第7回目は、新生児の生理・機能、新生児の健康状態とアセスメントおよび看護について学修する。

森恵美他:系統看護学講座 専門分野 母性看護学2 母性看護学各論、医学書院、2026 
①新生児の生理p265-283
②新生児のアセスメントp284-307
③新生児の看護p307-322
コマ主題細目 ① 新生児の生理 ② 新生児のアセスメント ③ 新生児の看護
細目レベル ① 新生児の生理:新生児の定義を理解し、出生体重を基準とした呼び方、出生時在胎週数を基準とした呼び方、在胎週数別標準体重との比較を反映した呼び方について学修する。新生児の体格や姿勢を理解する。新生児の機能では、出生の時点で胎児は新生児と呼ばれる。最も大きな変化は、胎盤に依存した生活から胎盤なしの生活に代わることである。子宮外適応現象では、児の呼吸器系と循環器系は、出生を境に劇的な変化を遂げる。出生後新生児はすぐに泣き始め、呼吸運動が確立し、肺胞は空気で満たされ、ガス交換が始まることを理解する。循環器系は、胎児循環から新生児循環に移行する。代謝では、新生児自身の体内で、経胎盤的に蓄えられていた糖が動員され、血糖値が上昇する。正期産児では、この間外からの糖の補給がなくても低血糖になることはないことを学修する。排便は消化管の動きとともにみられるようになることを理解する。また胎児ヘモグロビンについても学修する。その他、新生児の体温、ビリルビン代謝と生理的黄疸、腎機能、免疫、皮膚、反射等について理解する。
② 新生児のアセスメント:新生児のアセスメントでは、新生児の診断、発育の評価について学修する。新生児の診断・評価に基づき、新生児のアセスメントのために、アセスメントに必要な情報収集技術、アセスメントや診断に必要な視点を学修する。出生直後の評価は、生後1分と5分にアプガースコア、臍帯動脈血pHを確認する。また、発育の評価は、身体計測の評価と成熟度の評価(デュボヴィッツスコア)があることを理解する。身体計測のうち、出生体重が重要であることを学修する。その他、外表奇形、黄疸の評価、新生児マススクリーニングや新生児行動の評価についても学修する。新生児の母子相互作用と児の意識レベルや新生児の刺激に対する反応性を母親が理解することが重要であることを学修する。新生児の健康状態のアセスメントに必要な基本的情報の収集は、リスク因子の評価からはじまる。健康状態のアセスメントに必要な情報は、バイタルサインの測定、身体計測、健康診査による全身状態の観察、体重測定、哺乳量の測定、黄疸の測定、各種検査結果から収集することを学修する。
③ 新生児の看護:現代の親子を取り巻く環境の変化により、新生児の看護は、異常の早期発見や育児指導を中心とした看護だけでなく、家族に対する育児支援として新たな視点を持つことが重要になっている。新生児に対する親の応答性、家族や母親に対する育児支援という視点をふまえ、小さな命を守り、新しい家族の誕生を支援し、出生後早期から親子の関係形成が始められるように看護を展開することが重要である。
まず、出生直後の新生児に対する分娩室での一般的な看護と注意点について学修する。臍帯の処置、体温喪失の予防、個人標識の装着、点眼の処置は出生後2時間以内にインファントウォーマー上で実施することを理解する。また、新生児の全身観察方法や、母子の身体的・心理的発達につながるアプローチについても学ぶ。主な看護としては、新生児の生理的機能が子宮外生活に適応し順調に経過しているか、経過中に異常がないか観察し、出生直後から退院まで、新生児のニーズを把握して看護を行うことである。具体的には、身体の清潔としてドライテクニックや沐浴、臍・臍帯の処置を適切に行うとともに褥婦とその家族がそれらの技術を習得できるよう支援する。また、新生児の栄養として母乳育児支援、母乳育児が困難である場合は混合栄養や人工栄養とするなど、生理的体重減少の他全身状態に合わせて適切な量と回数の栄養が摂取できるように支援する。また、ビタミンKが欠乏すると新生児メレナや頭蓋内出血のリスクが上がるため、予防的にビタミンK2シロップ剤を与える。

キーワード ① 新生児の生理 ② 子宮外適応現象 ③ アプガースコア ④ 新生児のニーズ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習課題:コマシラバスをよく読んで授業に臨む。正常な新生児の生理的特徴や新生児看護の原則について学修する。また、教科書の該当部分についてよく読んでおく。新生児をイメージし、育児するということがどのようなことかを考える。
復習課題:1.教科書と配布資料をまとめる。2.新生児の定義や体重を基準とした呼び方、在胎週数を基準とした呼び方、在胎週数別標準体重の比較による呼び方が説明できるようにする。
3.新生児の子宮外適応現象にはどのようなものがあるかまとめる。特に、生理的体重減少率の計算と判断ができるようにしておく。生理的黄疸についても実習で遭遇するので学修して深めておく。
4.新生児の哺乳状態をアセスメントする際に観察するポイントをまとめる。

8 正常から逸脱した新生児の看護2 科目の中での位置付け 妊娠・分娩・産褥・新生児期の看護を学修する。また経過中にみられる異常、妊婦、産婦、褥婦および新生児におこる問題について理解し、健康状態のアセスメントと看護について学修する。第1回は、妊娠の生理、妊娠期の身体的・心理的特徴、妊婦と胎児の健康状態のアセスメント方法、妊娠期の看護について、第2回は、ハイリスク妊娠、合併症を有する妊婦の看護(糖尿病 、妊娠高血圧症候群 )、妊娠持続期間の異常、異所性妊娠、不妊治療後の妊婦およびハイリスク妊娠の看護、第3回目は、分娩の生理、分娩の3要素、分娩の経過や分娩の母児に及ぼす影響、分娩期の看護について、第4回目は、分娩の3要素にみられる異常、胎児付属物の異常、分娩時損傷、産科処置・手術について学修する。第5回目は産褥期における退行性変化、進行性変化、産褥期における看護について学修する。第6回目は、正常から逸脱した産褥期、子宮復古不全 、産褥熱、泌尿器感染症 、精神障害、乳房トラブル、 児の健康状態に問題がある褥婦について学修する。第7回は、新生児の生理・機能、新生児の健康状態とアセスメントと看護について、第8回目は、新生児仮死 、分娩外傷、 低出生体重児、生理的黄疸、高ビリルビン血症、病的黄疸、ビタミンK欠乏出血症などのアセスメント、医学管理と看護について理解し学修する。
 第8回目は、新生児仮死 、分娩外傷、低出生体重児、高ビリルビン血症、病的黄疸、ビタミンK欠乏出血症などのアセスメント、医学管理と看護について理解し学修する。 

森恵美他:系統看護学講座 専門分野 母性看護学2 母性看護学各論、医学書院、2026 
①新生児仮死p483-487
②分娩外傷p487-490
③低出生体重児p490-498
④高ビリルビン血症p499-505
⑤新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症p505-506
コマ主題細目 ① 新生児仮死 ② 分娩外傷 ③ 低出生体重児 ④ 高ビリルビン血症 ⑤ 新生児・乳児ビタミンK欠乏出血症
細目レベル ① 新生児仮死:新生児仮死は出生時の呼吸循環不全を主徴とする症候群である。 生後1分、5分のアプガースコア4~6点を第1度新生児仮死、3点以下を第2度新生児仮死という。 新生児の蘇生はJRC蘇生ガイドラインに基づいて行う。出生直後は早産児でないか、弱い呼吸でないか、筋緊張が弱くないかの3点がチェックポイントとなる。アプガースコアは新生児の状態や蘇生に対する反応性を見るのに簡便な方法であるが、成熟児の神経学的予後の予測に用いるのは不適切である。新生児の治療では、保温、気道の確保、換気の補助、循環の補助が必要になる。看護では、1)出生前より仮死が予測されている場合、あたたかい環境の準備をする。2)蘇生道具の点検と準備3)出生後はバイタルサインを確認しながら、早期の状態の安定化、重症の場合、触れただけでもSPO2や血圧が低下する。児への処置は最小限にとどめるように努力するなどを学修する。
② 分娩外傷:頭部軟部組織の損傷では、頭血腫と産瘤の違い、また、帽状腱膜下血腫を理解する。頭血腫および産瘤に関しては、看護上特に留意することはないが、褥婦の心理面のケアなど、基本的な看護を学修する。帽状腱膜下血腫が疑われる場合は、ショック症状の出現も予測する必要がある。全身状態やバイタルサイン、時間尿量の変化などに十分の注意を払う必要がある。腕神経叢麻痺、顔面神経麻痺については、麻痺の程度に変化がないか細心の注意を払うことが大切であることを理解する。分娩時に起こる骨折は、ほとんどが鎖骨骨折である。看護は、骨折のある側の上枝はなるべく動きを少なくなるように工夫していく。頭蓋内出血は、分娩外傷として出現する場合と胎児機能不全・新生児仮死に伴う無酸素血症の2つがあることを理解する。看護は、しばしば無呼吸発作が見られることがるため、呼吸状態の確認やバイタルのチェックは念入りに行う。
③ 低出生体重児:低出生体重児とは、出生体重が2500g未満の新生児であり、その生理的特徴では、皮下脂肪の蓄積が少ない。新生児は頭が大きく体重当たりの表面積が成人に比べて大きいため熱喪失しやすい。肺のサーファクタントが十分に分泌するのは在胎に33週-35週になってからであるため、早産の低出生体重児の場合呼吸障害を起こしやすい。特に、呼吸窮迫症候群〈RDS〉について学修する。併せて、新生児一過性多呼吸〈TTN〉、胎盤吸引症候群〈MAS〉についても学ぶ。また、グリコーゲンの貯蔵が少ないため低血糖になりやすい。低血糖を早期に補正しなければ、その後神経学的後遺症を残す危険が高い。胎盤機能が低下し、胎児が低酸素血症になると赤血球数が増え多血症となりやすい。
低出生体重児に起こりうる問題として、無呼吸発作、低血糖、低体温、黄疸の増強、不十分な哺乳力とそれに伴う体重増加不良などがある。ケアでは、それらの状態を把握するための観察と早期介入が必要になる。ディベロップメンタルケアとは、早産で出生した低出生体重児や疾患をもって出生した新生児の成長発達を促すケアである。光や音による刺激を緩和し、静かで暗くて温かい子宮内に近づけた環境に調整し、子宮内にいた時の姿勢に近づけたポジショニング(良肢位保持)を行う。児の睡眠覚醒リズムに合わせたケアを行い、体位変換やおむつ交換などでストレスがかからないよう優しい手技でケアを行う。また、家族の協力を得て、肌との触れ合いによる情緒的ケアも行う。

④ 高ビリルビン血症:血清ビリルビン値が正常域の上限を超えた状態(出生体重、生後日数により値が異なる)。出生後から退院までの間、黄疸計による検査を毎日受ける。黄疸計の値が高い場合は採血を行う。高ビルルビン血症時の看護の基本的な考え方は、黄疸の程度が、生理的範囲内かあるいは治療の対象になるかを評価するための観察を行う。黄疸の症状の観察および経皮ビリルビン濃度の測定により早期に発見を行うとともに、児がビリルビン代謝をする能力を最大限発揮できるように至適環境を整える。治療が開始された場合は、効果的に行われるように支援をし、治療の効果も観察する。新生児の黄疸による治療に対する母親や家族の不安の緩和を行う。治療による光線療法は、核黄疸の予防を目的で行われる。予防は、胎便の排泄を促す。母乳の早期頻回の授乳は胃腸反射を促し胎便の排泄を促進する。光線療法の際には、性腺保護のためにおむつの着用と網膜保護のためアイマスクを装着する。また、輻射熱が発生するため、体温管理に注意する。照射は連続して行い、全身に照射できるように体位変換を行う。1クール24時間。24時間後のリバウンドを確認する。母親に対してわかりやすく説明を行う。照射中でも母乳の中断はしないという看護を理解し学修する。
⑤ ビタミンK欠乏性出血症:早期新生児は、凝固因子および線溶系のバランスから、易出血傾向となる。臨床において問題となるのはビタミンK依存性の凝固因子(Ⅱ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹ因子)である。ビタミンKは成人では、腸内細菌が発生すること、緑黄色野菜など食事で補われるためみられないが、新生児は腸内細菌叢が確立していないため、しばらくは経口的にとれない。母乳中のビタミンKも少ない。そのため、母体由来のビタミンKが消費されてしまう日齢4-5日ごろに欠乏状態となり、新生児メレナが発生する可能性がある。予防として、3回の経口投与で、ビタミンKの経口投与(出生1日目 退院時 1か月健診時)が実施されるようになり激減したが、3回投与でも10例以上の発症例がみられたため、生後3か月まで週に1回の、ビタミンKの経口投与が実施されることが日本小児科学会のガイドラインで提唱された。2019年に日本小児科学会や日本産婦人科学会など16の学会・団体から共同で「新生児と乳児のビタミンK欠乏性出血症発症予防に関する提言」が公表され、生後3か月まで週1回投与する方法が広まっている。
キーワード ① 新生児仮死 ② 低出生体重児 ③ 高ビリルビン血症  血清ビリルビン値 ④ 光線療法 ⑤ 新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習課題:コマシラバスをよく読んで授業に臨む。正常な新生児の生理的特徴や新生児看護の原則について、前回講義での正常な新生児について見直し、準備して理解したうえで授業に臨む。新生児期の異常については、生児の異常について理解したうえで、新生児期の異常については、生理的黄疸、高ビリルビン血症、病的黄疸、新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症については、教科書の該当部分や疾病治療論Ⅲの資料をよく読んでおく。
復習課題:授業で学んだことを繰り返し見返し、資料や教科書を整理して、わからないところや疑問点についてはは、質問等を行い、解決しておく。特に、疾病・治療論Ⅲで学習した内容と関連させて病態、生理、治療を理解したうえで、生理的黄疸、高ビリルビン血症、病的黄疸、低出生体重児(低血糖症や呼吸障害含む)、新生児・乳児ビタミンK欠乏出血症の診断・治療・看護を理解して、繰り返し学習する。永江のオフィスアワーに質問に来たり、メールにて質問して理解に努める。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
妊娠期における看護が理解できる。 妊娠期の身体的・心理的・社会的特徴について理解し説明できる。妊娠の生理や、胎児とその発育の生理的変化を理解し説明できる。また、アセスメントから妊婦と家族への看護について説明できる。特に食生活をはじめとした日常生活の過ごし方等の保健指導について理解し説明できる。また、親になる準備教育や妊娠中に活用できる母子保健サービスについても説明できる。 妊娠の生理 妊娠期の身体的特徴 心理・社会的特徴 妊婦 マイナートラブル 胎児および胎児付属物 妊婦健康診査 10 第1回
正常から逸脱した妊娠期の看護が理解できる。 正常妊娠を理解した上で、ハイリスク妊娠とは何か説明することができる。また、高年妊婦および若年妊婦の定義と看護について説明できる。妊娠期の経過中の異常として、糖尿病の合併症を有する妊婦の看護、妊娠貧血を有する妊婦の看護を説明することができる。また、妊娠期の感染症のうち代表的なものについて、感染経路やその後の経過、胎児への影響、治療と看護を説明できる。妊娠疾患(妊娠悪阻、妊娠高血圧症候群)、(切迫)流産・早産に起きやすい状況と看護について説明することができる。心理・社会的リスクのある特定妊婦の看護について説明することができる。 ハイリスク妊娠 高年妊婦 若年妊婦 感染症 妊娠貧血
妊娠悪阻 妊娠高血圧症候群 妊娠糖尿病 切迫流早産 特定妊婦
10 第2回
分娩期における看護が理解できる。 分娩とは何か定義を説明できる。分娩の3要素について説明できる。胎児と子宮および骨盤との関係と回旋について理解し説明できる。分娩の発来機序を理解し分娩第1期から4期の分娩経過や進行の状態について説明できる。分娩各期の産婦の身体・心理・社会的変化について理解し説明できる。産婦の基本的ニードについて説明できる。産婦と家族の看護、特に産痛の緩和について説明することができる。 分娩第1期~4期 分娩の3要素 分娩機転 産婦の基本的ニード 産痛緩和 10 第3回
正常から逸脱した分娩期の看護が理解できる。 正常分娩を理解した上で、分娩の経過における産道の異常・看護上の問題、分娩の経過における娩出力の異常(微弱陣痛、過強陣痛)・看護上の問題、分娩の経過における娩出物の異常・看護上の問題について説明できる。胎児機能不全について説明できる。胎児心拍数陣痛図(CTG)について説明できる。分娩3要素にみられる異常、胎児付属物の異常として、前期破水時の看護について説明できる。また、分娩期の損傷、分娩時の異常出血、産科処置や手術に伴う問題、特に帝王切開の看護を説明することができる。 陣痛異常(微弱陣痛、過強陣痛) 破水、前期破水
分娩時異常出血 胎児機能不全 胎児心拍数陣痛図(CTG) 帝王切開
10 第4回
産褥期における看護が理解できる。 産褥期の定義を説明できる。産褥期の身体的変化特に退行性変化と進行性変化について説明できる。産褥期の心理的・社会的変化について理解し説明できる。また、褥婦のアセスメントでは退行性変化による全身および生殖器の復古状態の診断および褥婦の健康状態のアセスメントが理解できる。褥婦と家族の看護では、特に新生児の状態が褥婦に影響を及ぼすために母子一体としてとらえることが重要であることを理解し、退行性変化および進行性変化を促進するための看護を理解し説明できる。 産褥期 退行性変化 進行性変化 母乳育児支援 母親役割獲得  20 第5回
正常から逸脱した産褥期の看護が理解できる。 特に退行性変化が正常から逸脱した褥婦の看護において、子宮復古不全および産褥熱と看護を理解し、説明することができる。また、精神障害(マタニティ―ブルーズ、産後うつ病)・乳房トラブル(乳腺炎、乳頭亀裂)を理解し、その看護を説明できる。産褥期の精神障害(マタニティブルーズ、産後うつ)では、早期発見のためにエジンバラ産後うつ病調査票を用いたスクリーニングと看護について説明できる。児の健康状態に問題がある褥婦の看護を説明できる。 子宮復古不全 産褥熱 乳房トラブル(乳腺炎、乳頭亀裂) マタニティブルーズ 産後うつ病 児の健康状態に問題がある褥婦の看護 20 第6回
新生児期における看護を理解し説明できる。 新生児の定義を説明できる。そして、新生児の生理を理解したうえで。新生児の機能を理解し説明できる。特に子宮外適応現象を説明できることが重要である。また、新生児のアセスメントに必要なアプガースコアや、その他の観察項目についても説明できる。また、新生児の出生直後から退院までの時期に必要な看護の概要を説明できる。 新生児 子宮外適応現象 新生児の生理・機能 生理的黄疸 アプガースコア 10 第7回
正常から逸脱した新生児期の看護が理解できる。 正常な新生児の経過を理解したうえで、正常から逸脱した新生児の看護を考えることができる。新生児仮死を理解し、新生児蘇生や看護を説明することができる。低出生体重児の特徴と起こりやすい状況(呼吸障害、低血糖症)の病態生理、看護においてどのようなことが必要か説明できる。高ビリルビン血症の機序、病態、生理を理解して、高ビリルビン血症の児の看護のポイントが説明できる。ビタミンK欠乏出血症の機序、病態、治療を理解したうえで、ビタミンK欠乏性出血症の児の予防と看護を説明できる。 新生児仮死 新生児蘇生 早産児 低出生体重児 呼吸障害 低血糖症 高ビリルビン血症 新生児ビタミンK欠乏出血症 10 第8回
評価方法 期末試験100%で評価する。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 ・森恵美他、系統看護学講座 専門分野 母性看護学② 母性看護学各論、医学書院、2026、3,410円(税込み)  
参考文献 ・井上裕美他、病気がみえる⑩ 第4版、メディくメディア、3,960円  ・ウェルネスからみた母性看護過程+病態関連図 第3版、医学書院、4,180円
実験・実習・教材費