区分 専門科目-成人・高齢者看護学-成人看護学
ディプロマ・ポリシーとの関係
実践能力 倫理観 専門性探求
地域社会貢献 グローバル性
カリキュラム・ポリシーとの関係
豊かな人間性 広い視野 知識・技術
判断力 探求心
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
専門科目の「成人・高齢者看護学ー成人看護学」に位置づけ、がん看護選択強化プログラムの必修科目として、専門基礎科目や基盤看護学の知識を踏まえて、がん患者の看護を学ぶ。
科目の目的
 わが国において、がんは1981(昭和56)年から死因の第1位であり、2017(平成29)年には約37万人(男性約22万人、女性約15万人)ががんで亡くなっている。そして、生涯のうち2人に1人ががんにかかると推測されている。それは、近年、がん疾患が生活習慣病、あるいは国民病とまでいわれるようになり、また、高齢になればなるほど発病しやすいことから、超高齢社会における一つの特徴的な様相といえ、がん患者が減ることは無いと予測される。一方で、診断・治療の著しい進歩により、がんに罹患もがんと共に生きている長期生存者(がんサバイバー)が増加している現実もある。がん看護の基本的目標は、がんと共に生きる人とその家族のQOLの向上やWell-bring(安寧)を目指した看護を提供することである。そのために、全人的な視点からの患者理解と、がんに罹患し治療を受ける患者の看護実践に必要な知識を得られるよう学修する。
到達目標
1. がん医療の特殊性とがん患者の健康問題について理解でき、説明できる。
2. がん治療(手術療法、化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植など)を受ける患者の特徴と看護を理解し、具体的に説明できる。
3. がん医療において生じる倫理的な課題を理解し、課題解決の視点から考察できる。
4. がん患者にとってのリハビリテーションの重要性を理解し、患者支援の視点から説明できる。
5. がん患者とその家族の特徴と看護について理解し、必要な看護について説明できる。
6. がん患者への包括的なケアへのアプローチについて理解し、看護実践に結びつけて考察できる。

科目の概要
 2007年の「がん対策基本法」の施行により、がん患者に対する全人的ケアが重視されたこと、また臨床実習で受け持つ患者ががん患者であることから、系統的に「がん看護」を学ぶ必要性が高まっている。この科目では、がんの早期発見とその予防についての重要性、がんサバイバーシップの概念、がんリハビリテーションの支援、集学治療の理解を深めるために、がんのに代表的な治療法である手術療法・放射線療法・化学療法とその看護についての知識について、そして、がん治療に伴う副作用や機能障害に対する治療と看護について学修し理解する。また、緩和ケア・終末期のケアについてとがん患者の療養の場(外来、在宅、緩和ケア病棟)における看護について理解する。知識を応用して思考力や臨床判断力を養えるように、がんを取りあげ事例として提示し考察する。がんは1981年以来日本人の死因第1位を占め、今や日本人の2人に1人ががんに罹患する時代となっている。一方、過去40年の内にがん医療はめざましい進歩を遂げ、がんは不治の病から長期生存が可能な病気となり、5年生存率も60%以上と飛躍的に上昇している。そこで、がんサバイバーシップの概念やがん患者の発達段階や治療過程における様々な問題を学び、治療や療養場所の選択などにおける意思決定支援や看護援助方法を学ぶことが看護師に求められている。がん医療は日々進化し、がんの病態、診断治療は遺伝子診断や分子標的治療薬などの開発によって、患者を中心とした個別化医療が進んでいる。そのため看護学生にも細心のがん治療・診断・検査に関する知識が重要になってきている。また、がん治療やがんの進行によって患者さんが体験する苦痛のメカニズムを適切に理解しておくことも必要になる。そして、できるだけ、個々の患者の様々な背景や人生について知ることによって、患者の悩みや不安に近づくことができる。こうした授業内容によってがん患者の臨床経過を概観でき、実践に活かすことができる。

 大学病院においてがん看護の経験がある教員が、がんと共に生きる人とその家族のQOLの向上を目指した看護を提供するために、全人的な視点からの患者理解と、がんに罹患し治療を受ける患者の看護援助に必要な知識を教授する科目である。

科目のキーワード
①生活習慣病とがん、②がん医療、③がん看護、④全人的苦痛の理解と緩和ケア、⑤症状マネジメント、⑥集学的治療、⑦がんサバイバーシップ、⑧倫理的課題、⑨エビデンスに基づく看護実践、⑩包括的なケアへのアプローチ
授業の展開方法
 第1回目から第8回目まで、コマシラバスに沿って講義を中心に授業展開する。第1回目は、授業のオリエンテーションとがんという疾患、がんおよびがん治療が人々に及ぼす影響について学修する。そして、全コマの授業で取り上げるがん医療やがん看護に関する資料は配布し、資料を通して学びを深める。必要に応じて、がん医療、がん看護に関する課題を提出し、課題内容を学生と共に考察しながら、思考力や臨床判断能力を養えるように授業展開をする。授業終了後は、リアクションペーパーで授業内容について確認し、次の授業で前回の授業の振り返りを行い内容の充実を図る。
 「がん看護援助論」の授業では、「がんサバイバー」および「がんサバイバーシップ」を学ぶ際に、実際にがんを経験された方をゲストスピーカーとして招く予定である。サバイバーの方の体験を直接聴くことは、学生にとって“患者の声に触れる”貴重な学びの機会となる。それは、教科書や理論、技術の学習だけでは得られない、『生きたがん看護の意味』や『患者の本音』、『看護に期待されること』を、実感をもって理解することにつながるからである。

オフィス・アワー
研究室719:水曜日終日
E-mail:s-murakami@uhe.ac.jp(メールはいつでも受け付けます)

科目コード ERL05
学年・期 3年・後期
科目名 がん看護援助論
単位数 1
授業形態 講義
必修・選択 選択
学習時間 【演習】16h
【予習・復習】29h
前提とする科目 疾病・治療論Ⅰ、成人看護学概論、成人急性期看護援助論Ⅰ,Ⅱ、成人慢性期看護援助論Ⅰ,Ⅱ、成人看護学実習
展開科目 統合実習、がん看護援助論、がん看護演習、がん看護演習
関連資格 看護師、保健師
担当教員名 村上早苗
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 授業のオリエンテーション、「がん看護を学ぶ意義」 科目の中での位置付け  がんという疾患は、1981(昭和56)年に死因の第1位となり、以後継続して1位を独占している。2025年に高齢者人口のピークを迎える時期まで、がん患者が増加し続けることが想定されており、それと関連してがんで死亡する人も増加することになる。国立がん研究センターのがん登録・統計によると、生涯のうちに男性・女性とも2人に1人ががん疾患に罹患し男性の4人に1人、女性の6人に1人が、がん疾患で死亡するということから、がんは現在の国民病と言われている。
 本科目の第1回目は、授業のオリエンテーション、がんのメカニズムと予防のための対策、がん診断と集学治療、そして治療に対する看護の基礎知識について学修する。第2回目はがん対策推進基本計画のもと、がん対策に取り組んでいる状況や増加するがんサバイバーへの支援体制を学修する。第3回目は、手術療法と手術療法における看護について学修する。第4回目は、薬物療法(化学療法:抗がん治療)と副作用(有害反応)の管理・対策、そして薬物療法における看護について学修する。第5回目は、放射線療法と放射線治療による有害事象の管理・対策、そして放射線療法における看護について学修する。第6回目は、がんリハビリテーション診療の目的を理解し、チームでアプローチしながら進められるなかで、看護師の役割を学修する。第7回目は、緩和ケアを受ける患者への看護、多職種チームにおける看護師の役割について理解する。第8回目は、外来・在宅・緩和ケア/ホスピス病棟のそれぞれの場における看護の実際を学修する。がん患者の療養の場の移行とは何か、がん患者の療養の場の移行支援について学修する。
 第1回目では、がんの疫学(罹患・死亡動向)とがん対策、がんの病態と予防のための対策、がん診断と集学治療などの基礎知識について学修する。また、わが国のがん対策のあゆみ及びがんを取り巻く状況についても学修する。

・授業の展開は、コマ用の独自作成の資料を配布して行う。

・系統看護学講座 別巻 がん看護学 P1~18(第1章)、  P19~52(第2章)
・DVD(看護教育シリーズ) 看護実践のためのがん看護「がん看護概論」
コマ主題細目 ① 人々にとってのがんという病気の意味 ② がん治療および臨床経過 ③ 発達段階におけるがんおよびがん治療の影響
細目レベル ① がんはかつて不治の病として認識されていたが、診断・治療技術の進展とともに治るがんも多く、がん生存率は約60%まで向上し、がん体験者であるサバイバーが増加している。しかし、2016年に3,000人(うち回収率60.5%)を対象に行われた「がん対策に関する世論調査」では、がんに対する印象として「こわいと思う」者が72.3%、その理由として「がんで死に至る場合があるから」72.1%、「がんの治療や療養には、家族や親しい友人などに負担をかける場合があるから」55.2%、「がんそのものや治療により、痛みなどの症状が出る場合があるから」50%があげられ、多くの人々はがんに対して脅威を抱き、負の感情をもっていることが分かった。このような背景から、多くの人はがんと診断されると大きな衝撃を受け、死への恐怖に直面し、混乱や絶望、否認、不安、抑うつなどのさまざまな精神的苦痛を体験している。そして、がんの診断以降も再発の不安を抱えながら生活している患者が多い。したがって、人々にとってのがんという病気の意味をよく理解したうえで、一般の人やがん患者および家族に関わることが重要であり、がんは心のケアが欠かせない病気であることを理解する。
② がん治療は診断結果に基づき、手術療法、がん薬物療法、放射線療法などを組合せた集学的治療が肝要とされている。最近の治療では、病理診断や遺伝子診断の結果をもとに最大限の治療結果を目指し、最小限の身体侵襲になるように配慮されている。しかし、手術療法は身体欠損や機能障害が避けられないため、患者は日常生活の変更を余儀なくされ、外見の変化に伴う心理的葛藤を抱えやすい。化学療法や内分泌療法は、倦怠感、悪心・嘔吐などの消化器症状、末梢神経障害、皮膚障害、更年期症状などの副作用が生じるため、患者は苦痛を伴う症状を体験する。これらの治療は、化学療法であれば約半年、内分泌療法では約5年間と長い期間を要する。そのため、患者は治療と社会的役割の変更を余儀なくされることもある。特に若年でがんに罹患した場合は、治療の晩期障害により子どもを産み育てる妊孕能が障害され、人生設計までも変えなければならないこともある。がん治療が患者に及ぼす影響は多種多様であることから、それぞれの治療の特徴を理解したうえで看護を展開する必要があることを理解する。
③ がんはどの年代にも発症する病気であり、それぞれの年代で発症しやすいがんの種類が異なるため治療法や治療によって受ける影響もさまざまである。また、各年代において発達課題を有しているが、がん治療の影響によりその達成が妨げられやすい。小児期では、白血病や脳腫瘍の罹患が多いため、化学療法や放射線療法などの副作用や有害事象により漢字の心身の成長・発達、社会化が阻害されやすい。思春期・青年期では白血病や性腺腫瘍、子宮頸がんなどの罹患が多く、化学療法や手術療法により生殖器機能障害が生じ、妊娠・出産という妊孕能の問題を抱えやすい。また、壮年期ではがんになった場合は、手術療法に伴う身体の形態・機能の喪失によって生活の再構築や再調整を迫られたり、就労や子育て、介護の問題が生じやすい。老年期では身体機能や認知機能も低下にがん治療の副作用が上乗せされるため、症状マナジメントが難しく、活動範囲や社会的役割が縮小しやすい。したがって、どの年代でがんに罹患したのかといことを理解したうえで、がんやその治療が及ぼす影響、発達課題も踏まえてがん患者や家族に関わることが求められることを理解する。
キーワード ① 生活習慣病とがん ② 罹患の動向・死亡の動向・生存率 ③ がんサバイバーシップ ④ がん患者の病の軌跡 ⑤ エビデンスに基づく看護実践
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 事前課題:
「がん看護学」のテキストで、特に第1章、第2章を読んで、がんの特徴、がんの診断、治療について等を確認して授業に臨む。また、第1回目のコマにあるキーワード①がんの罹患の動向、死亡の動向、がん疾患の生存率、②がんサバイバシップ、③エンド・オブ・ライフについて学習して、授業に参加する(提出)。
<復習>
今回配布したレジメ(資料)や小テスト、講義した内容に該当する教科書のページを熟読し、重要な個所には赤ペンで線を引き、理解が難しかった箇所は講義ノートを作成して、定期試験までには「理解できた」と思えるように学習しておく(提出)。特に生活習慣病とがんの関係性は、理解しておくこと。
<予習>
「がん看護学」のテキストで、特に第1章、第2章を読んで、がんの特徴、がんの診断、治療について等を確認して授業に臨む。また、第2回目のコマにあるキーワード①がん対策基本法、②がん対策推進基本計画、③がん登録の必要性、④がんを防ぐための12ヵ条、⑤ピアサポートサークルとは、を調べて授業に参加する(提出)。

2 がんの基礎知識とがん医療の理解(制度・チーム医療を含む) 科目の中での位置付け  がんという疾患は、1981(昭和56)年に死因の第1位となり、以後継続して1位を独占している。2025年に高齢者人口のピークを迎える時期まで、がん患者が増加し続けることが想定されており、それと関連してがんで死亡する人も増加することになる。国立がん研究センターのがん登録・統計によると、生涯のうちに男性・女性とも2人に1人ががん疾患に罹患し、男性の4人に1人、女性の6人に1人ががん疾患で死亡するということから、がんは現在の国民病と言われている。
 本科目の第1回目は、授業のオリエンテーション、がんのメカニズムと予防のための対策、がん診断と集学治療、そして治療に対する看護の基礎知識について学修する。第2回目は、がん対策推進基本計画のもと、がん対策に取り組んでいる状況や増加するがんサバイバーへの支援体制を学修する。第3回目は、手術療法と手術療法における看護について学修する。第4回目は、薬物療法(化学療法:抗がん治療)と副作用(有害反応)の管理・対策、そして薬物療法における看護について学修する。第5回目は、放射線療法と放射線治療による有害事象の管理・対策、そして放射線療法における看護について学修する。第6回目は、がんリハビリテーション診療の目的を理解し、チームでアプローチしながら進められるなかで、看護師の役割を学修する。第7回目は、緩和ケアを受ける患者への看護、多職種チームにおける看護師の役割について理解する。第8回目は、外来・在宅・緩和ケア/ホスピス病棟のそれぞれの場における看護の実際を学修する。がん患者の療養の場の移行とは何か、がん患者の療養の場の移行支援について学修する。
 第2回目では、がん対策推進基本計画のもと、がん対策に取り組んでいる状況や増加するがんサバイバーへの支援体制について学修する。また、日常生活行動においてのがん危険因子、その予防法についても学修する。

・授業の展開は、コマ用の独自作成の資料を配布して行う。
・系統看護学講座 別巻 「がん看護学」 P1~18(第1章)、 P19~52(第2章)
コマ主題細目 ① がん対策のあゆみ ② がん予防・がん検診 ③ がんサバイバーとソーシャルサポート
細目レベル ① 1981年以降30年以上にわたり、がんは日本の死因第1位を占めている。いまや国民の誰もが罹患しうる疾患であるがんに対して、政府はがん対策としてこれまでさまざまな施策を講じてきた。1984年に対がん10か年総合戦略が策定されて以来、10年ごとに新たな戦略が施行されている。2005年に厚生労働省にがん対策推進本部が設置され、翌年に4章20条からなるがん対策基本法が成立、2007年に同法が施行されると、この法律に基づきがん対策推進基本計画に関するさまざまな審議を行う機関として、がん対策推進協議会が厚生労働省に設置された。この協議会は、医療専門職や学識経験者のみならず、がん患者とその家族を委員に構成され、日本のがん対策について定期的に審議している。2001年以降、国内どの地域においても等しく質の高いがん医療を受けられる体制確保を目的に地域がん診療拠点病院が整備され、さらに患者・家族等への相談支援機能を強化するため2006年にはがん診療連携拠点病院の整備に関する指針が通知された。これにより都道府県がん診療連携拠点病院と地域がん診療連携拠点病院へと整備されることとなり、2014年の同指針の改正に伴い、地域がん診療病院、特定領域がん診療連携拠点病院が設けられ施設間の連携協力体制を図っている。がん診療連携拠点病院には、がん相談支援センターを設置することが義務づけられており、各拠点病院への受診の有無にかかわらず、がん患者とその家族等の相談を受け支援する体制がとられている,、政策の流れを理解する。
② がんの予防(発生予防:一次予防)は、そのリスクを増加させる要因を除いたり、リスクを減少させる要因を取り入れることによって行われる。がんのリスクに関連する主な要因としては、喫煙、受動喫煙、感染性要因、飲酒、食事、身体活動などが挙げられる。このうち日本人におけるがんの発生は喫煙と感染性要因が多くかかわっており、それぞれがん全体の20%程度の発生に寄与し、特に男性では喫煙が原因であるものが約3割を占めると推定されている。喫煙は上気道や呼吸器だけでなく、さまざまな部位におけるがん発生リスクの上昇に関与する。また、受動喫煙によって肺がんのリスクが上昇することは因果関係を推定する十分な科学的根拠があるとされている。感染性要因では、日本における主要ながんである胃がん、肝細胞がん、子宮頸がんは、それぞれヘリコバクター・ピロリ、B型およびC型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が大半の原因である。また、成人T細胞白血病(ATL)はヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)の感染が原因であり、九州・沖縄地方を中心に年間1,000人程度の新規患者がある。そして、飲酒、食事、肥満、身体活動といった生活習慣病と発がんとの関連についても示し、国が「21世紀における第二次国民健康健康づくり運動」(健康日本21【第二次】)において多量飲酒者の減少、食塩接種量の減少、野菜と果物の摂取量の増加、適正体重維持者の増加について具体的な目標を設定したうえで達成に向けた取り組み内容も踏まえて理解する。
③ がんサバイバーとは、“survivor”の意味にあるように、がんを克服し生き残った人、生存者であることのみを示しているのではなく、がんが治癒した人、再発した人などと区別する用語でもない。がんはいったん治癒したとしても再発リスクは消えることはない。がん患者にとってがんは克服するものではなく、がんがどのような状態であっても、がんという病と共にいかに自分らしく生きていくかが課題となる。すなわち、がんサバイバーとは、がんと診断された人すべてであり、生涯、がんサバイバーであり続ける。
がんサバイバーは、がん診断による脅威や不安に対処しながらがん治療を受ける。その後、手術によりがんに侵された臓器の一部あるいはすべて喪失することで生じた機能障害や、化学療法の副作用、放射線療法の有害反応に対処するため新たなセルフケアを再獲得し、生活を再調整・再構築していくことが求められる。また、がん治療が終了し、がんが治癒(寛解)となっても、再発のリスクは生涯あることから、再発の不安や抑うつが強くなったり、がん治療後の機能障害や体力の低下などにより、学校や仕事の変更を余儀なくされることもある。人間関係の変化も伴い、長期にわたりさまざまなストレスを受けながら生きている。若年者の場合は、就職、恋愛、結婚、出産、子育てなどのライフイベントへの影響も大きい。しかし一方で、がんをきっかけに自分自身や自分の人生に向き合い、周囲の人々からの支援も受けながら、次第にしなやかに強靭に困難に対処し、回復していく力(レジリエンス)を獲得して成長することも多くあり、がんサバイバーの特徴を理解する。
ソーシャルサポートとは、周囲の人々から与えられた物質的・心理的支援の総称であり、ハウス(House JS)は、ソーシャルサポートを、①手段的サポート、②情報的サポート、③情緒的サポート、④評価的サポートの4つに分類している。この分類の内容を一つひとつ確認し、がんサバイバーが自分の力を取り戻せるようにサポートしている現状を理解する。

キーワード ① がん対策基本法 ② がん対策推進基本計画 ③ がん診療連携拠点病院の役割 ④ チーム医療 ⑤ ピアサポートグループ/患者会
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 <復習>
今回配布したレジメ(資料)や小テスト、講義した内容に該当する教科書のページを熟読し、重要な個所には赤ペンで線を引き、理解が難しかった箇所は講義ノートを作成して、定期試験までには「理解できた」と思えるように学習しておく(提出)。特に、第3期がん対策推進基本計画の全体目標や内容は、理解しておくこと。
<予習>
第1・2回目の授業内容を確認したうえで、授業に臨む。また、第3回目のコマにあるキーワード①手術療法おける周術期管理、②意思決定への支援、③術後合併症への対応、④機能障害・機能喪失とセルフケア支援、⑤集学治療とは、を学習して授業に参加する(提出)。

3 手術療法と看護(合併症予防と術後アセスメント) 科目の中での位置付け  がん治療は、日々進展している。かつては、手術療法が主流で、どこまで摘出できるかという拡大手術が主に行われていた。しかし、現在では、副作用の少ない化学療法や放射線療法なども、各疾患の病態に応じて積極的に行われ、また、夫々の治療法を組み合わせた集学的治療の治療成績も向上している。それでも、固形がんでは、早期がんにおいて根治可能な治療法の1つである。がんに対する手術療法の進歩は、手術手技、手術機械、周術期管理の進歩によるものであり、科学的根拠に基づいた標準治療を、画一的ではなく、患者の病態から、個々の患者に最も適した術式を選択する個別化の時代が訪れている。
 本科目の第1回目は、授業のオリエンテーション、がんのメカニズムと予防のための対策、がん診断と集学治療、そして治療に対する看護の基礎知識について学修する。第2回目はがん対策推進基本計画のもと、がん対策に取り組んでいる状況や増加するがんサバイバーへの支援体制を学修する。第3回目は、手術療法と手術療法における看護について学修する。第4回目は、薬物療法(化学療法:抗がん治療)と副作用(有害反応)の管理・対策、そして薬物療法における看護について学修する。第5回目は、放射線療法と放射線治療による有害事象の管理・対策、そして放射線療法における看護について学修する。第6回目は、がんリハビリテーション診療の目的を理解し、チームでアプローチしながら進められるなかで、看護師の役割を学修する。 第7回目は、緩和ケアを受ける患者への看護、多職種チームにおける看護師の役割について理解する。第8回目は、外来・在宅・緩和ケア/ホスピス病棟のそれぞれの場における看護の実際を学修する。がん患者の療養の場の移行とは何か、がん患者の療養の場の移行支援について学修する。
 第3回では、がんに対する手術療法の目的と特徴を理解し、術後に生じやすい合併症を予防するための看護について学修する。また、術前・術後における患者の状態把握とアセスメントの視点を踏まえ、看護師の役割を考える。

・授業の展開は、コマ用の独自作成の資料を配布して行う。
・系統看護学講座 別巻「がん看護学」P64(第2章)、P92(第3章)、P136~153(第4章)、P215~232(第5章)
コマ主題細目 ① 手術療法(目的と種類) ② 手術療法の流れ ③ 手術療法を受ける患者の看護
細目レベル ① 手術は状況や内容、目的などに応じさまざまな呼称がある。手術というと通常、外科的治療を指すが、内視鏡による切除術(胃の粘膜など)は一般的に内科的治療に位置づけられている。
1. 緊急度に準じた呼称:待機手術:予定手術、数週間前から予定された手術、緊急手術:生命の危険があり、いますぐに行う手術、準緊急手術:いますぐでないが、数日内に行う手術の種類がある。
2. 根治度に準じた呼称:根治手術:がんの治療を目的とした手術、
非治癒手術(姑息手術):症状緩和を目的とした手術の種類がある。
3. 切除範囲に準じた呼称:標準手術:ガイドライン等で決定された一般的な手術、拡大手術:標準手術を超えた広範囲を切除する手術、縮小手術:標準手術より少ない範囲を切除する手術の種類がある。
4. 到達法に準じた呼称:開胸・開腹手術:皮膚や筋肉の切開による手術、鏡視下手術:腹腔鏡や胸腔鏡を用いた手術(内視鏡による手術は含まれない)の種類がある。
 がんがある一定の範囲内にとどまっている状態であれば、がんの原発巣(がんが発生した部分)および転移巣を含め、同時にひとかたまりとして切り取ってしまうのが最も望ましく、そのような治療ができるのは手術療法以外にない。しかし、がんは発生した局所にとどまらず、リンパ節や遠隔臓器などに転移し、増大すると患者の生命をおびやかずことになる。したがって、がんに対する治療は、そのがんがどのような状態(病期:ステージ)にあるかを見きわめたうえで、それに応じた治療が計画されることを理解する。

② がんの治療法にはある決まったかたちがあるのではなく、患者の状態やがんの種類・存在部位・進行度によって進め方はかわってくる。まずは、がんの状態を把握して、根治するために最もよいと思われる治療戦略を考える。それと並行して患者の状態(年齢、合併症の有無、ADLなど)を把握し、理想的な治療を行うことができる状態かどうか調べる。もし問題があるならば、その問題をどのように縮小すればよいかを判断して、最終的な治療方針を立てることになる。どのような治療方針とするかは、がんを根治するために最もよいと思われる治療戦略の侵襲度と全身状態とを総合的に検討して決定する。医療者側において治療方針が決定したら、患者・家族への説明を行い、インフォームドコンセントを行う。単に病状を説明するだけでなく、十分な説明を聞いて納得したうえで同意したと思ってもらえるような説明が必要であることを理解する。
 どのような手術においても術後合併症の危険性はある。とくにがん手術療法において、リンパ節郭清を行うこと、再発によって同じ部位に複数回手術操作が加わること、がん状態にある患者の予備力低下や術前治療の影響が術後合併症のリスク要因になることを予測し、対応しなければいけないことを理解する。
 がん手術療法では、がん病巣だけでなく、周辺組織の切除やリンパ節郭清が行われるため、それぞれの術式に特有な機能障害・後遺症を残すことがある。手術による機能喪失に加えて機能障害や後遺症をかかえることは、患者のその後のQOLに重大な影響を及ぼしてしまう。それぞれの機序を理解して、機能障害を予防し、後遺症による生活への影響を最小にできるよう、エビデンスに基づく最良のケアを提供しなければならないことを理解する。

③ がんの手術は、患者のQOLを追及して機能温存手術や低侵襲手術が行われるようになってきている。しかし、がんの手術は、がん組織の取りこぼしがないように正常組織を含めて原発巣を摘出し、さらにリンパ節郭清を行うことが原則である。このため、良性疾患の手術と比べると、手術侵襲はより大きくなり、また、身体機能の変化や形態の変化もより大きくなりやすい。さらに、がん治療は集学的治療で行われるため、手術の前後に薬物療法や放射線療法といった治療が加わることも多い。手術療法を受けるがん患者の看護は、このようながんおよびがんの手術の特徴を考慮して実施する必要があることを理解する。
 術前期の看護目標は、手術に向けて心身をできるだけ最良の状態に整える、ことにある。
 術後期の看護目標は、麻酔や手術からの順調な回復が得られるように援助し、社会復帰を促す、ことにある。
 退院後は、退院前に準備した対応策がうまく機能しているかどうかアセスメントし、まだ解決できていない問題や新たに生じた問題への対応策を患者とともに検討する。手術により身体の形態・機能が変化した患者は、日常生活や社会生活に復帰する過程で喪失感を強くしたり、以前の自分ではないことを痛感したりして自己価値の低下を体験することが多い。外来看護師は患者が手術後の自分を受け入れることができるよう継続して支援する必要があることを理解する。

キーワード ① 集学的治療 ② 周術期管理 ③ 意思決定への支援 ④ 術後合併症への対応 ⑤ 機能障害・機能喪失とセルフケア支援
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 <復習>
今回配布したレジメ(資料)や小テスト、講義した内容に該当する教科書のページを熟読し、重要な個所には赤ペンで線を引き、理解が難しかった箇所は講義ノートを作成して、定期試験までには「理解できた」と思えるように学習しておく(提出)。がんの手術に伴う形態・機能の変化は、治療後の患者に長期間にわたる影響を及ぼすため、いずれの時期の看護においても手術療法を受けた患者の特徴を理解しておくこと。
<予習>
第2・3回目の授業内容を確認したうえで、授業に出席する。第4回目のコマにあるキーワードの薬物療法における①ダウンステージング、②薬物療法の治療計画(レジメン)、③化学療法(抗がん剤)と副作用、④化学療法(抗がん剤)中の援助、⑤抗がん薬曝露対策について、学習して授業に参加する(提出)。

4 薬物療法と看護(副作用予防・セルフケア支援・アセスメント) 科目の中での位置付け  がん治療は、日々進展している。かつては、手術療法が主流で、どこまで摘出できるかという拡大手術が主に行われていた。しかし、現在では、副作用の少ない化学療法や放射線療法なども、各疾患の病態に応じて積極的に行われ、また、夫々の治療法を組み合わせた集学的治療の治療成績も向上している。
 本科目の第1回目は、授業のオリエンテーション、がんのメカニズムと予防のための対策、がん診断と集学治療、そして治療に対する看護の基礎知識について学修する。第2回目はがん対策推進基本計画のもと、がん対策に取り組んでいる状況や増加するがんサバイバーへの支援体制を学修する。第3回目は、手術療法と手術療法における看護について学修する。第4回目は、薬物療法(化学療法:抗がん治療)と副作用(有害反応)の管理・対策、そして薬物療法における看護について学修する。第5回目は、放射線療法と放射線治療による有害事象の管理・対策、そして放射線療法における看護について学修する。第6回目は、がんリハビリテーション診療の目的を理解し、チームでアプローチしながら進められるなかで、看護師の役割を学修する。 第7回目は、緩和ケアを受ける患者への看護、多職種チームにおける看護師の役割について理解する。第8回目は、外来・在宅・緩和ケア/ホスピス病棟のそれぞれの場における看護の実際を学修する。がん患者の療養の場の移行とは何か、がん患者の療養の場の移行支援について学修する。
 第4回では、薬物療法(化学療法:抗がん治療)の目的と特徴を理解し、副作用(有害反応)の予防・管理、さらに薬物療法における看護について学修する。

・授業の展開は、コマ用の独自作成の資料を配布して行う。
・系統看護学講座 別巻「がん看護学」P64(第2章)、P92(第3章)、P153~180(第4章)、232~248(第5章)
コマ主題細目 ① 薬物療法の目的 ② 薬物療法の流れ ③ 化学療法を受ける患者の看護
細目レベル ① がん薬物療法の治療目標は、病期で異なるので注意が必要である。看護師が担当患者の治療目標は何なのかを認識しておくことが非常に重要で、医師との円滑なコミュニケーションにも有用である。分子標的治療薬やがん免疫療法の臨床導入に伴い、がん薬物療法の治療効果は急激に向上し、その治療目標設定も複雑となっており、医療者間でのよりよい情報共有が求められる。治療目標はそれぞれ、転移を有するような進行期の患者の場合は延命や症状緩和であり、局所進行期での患者では集学的治療を行うことによって治療を目指す。また、より早期の患者には術前または術後に化学療法(抗がん薬治療)加えることで治療を目指していくことになる。
 術前化学療法は、全身状態の良好な時期に少しでも早く全身療法を行うことにより微小転移を根絶することを目的とし、切除不能な局所進行がんを切除可能な大きさにする(ダウンステージング)ことで機能温存を果たすことを目標とする。
 術後化学療法は、局所進行がんに対し原発病巣やすべての既知の病巣が、外科的切除や放射線照射により根治的にコントロールされた後、再発高リスクと判断される患者群に対して実施され、残存していると予想される全身の微小転移の根絶による再発防止、治療率向上が目標とされている目的を理解する。

② がん薬物療法は、診断、治療方針の決定、抗がん薬の投与、積極的抗がん薬の中止、緩和療法への移行など、多岐のプロセスを経る。まずは、がんの確定診断を得るために上部内視鏡や下部内視鏡、気管支鏡検査をはじめとした生検を行う。がんの確定診断を生検で進めると並行して、病期の広がりを調べるための画像検査を行うことで病期診断を行う。その結果を基に、手術療法、放射線療法、薬物療法、それらを併用する集学的治療を行うが、治療方針決定の際には患者の意向を尊重し、意思決定を支援していく看護師の役割がきわめて重要である。治療法が決定すれば、治療の目的や効果と副作用、その他の治療法などの説明を行い、がん薬物療法の開始となるプロセルを理解する。
③ 化学療法前の看護目標は、使用する抗がん薬や患者の心身の状況により、起こりうる副作用を予測する、ことにある。そして、患者が必要なセルフケア行動が習得できるように支援する、ことにある。化学療法は、がん細胞だけでなく正常細胞にも影響を与える治療法である。身体の状態によっては化学療法の実施が難しくなることもある。心・肺・肝・腎・造血器等の機能、栄養状態、パフォーマンスステータス(performance starus : PS)、ADLなどから身体状態をアセスメントしておく、過去に治療を受けている場合はその副作用の影響や、疼痛などのがんによる症状、がん以外の併存疾患に伴う症状などもアセスメントする必要性を理解する。また、患者の心理・社会的アセスメントでは、患者や家族が疾患や治療についてどのように理解して治療をうけることを決定したのか、どのような気持ちで治療に取り組もうとしているか、副作用や対処法についてどのように理解しているか、気持ちの落ち込みはないかを確認する。化学療法を受けることにより、費用負担は大きい、仕事を休まなければならない。家事や育児を行うのが大変になるなど、生活や仕事、経済面、家庭における役割など社会生活への影響や、患者の支援になりうる家族員や社会資源についてもアセスメントが必要であることを理解する。
 化学療法中、患者は感染予防などさまざまなセルフケアを行う必要がある。実施予定の化学療法ではどのようなセルフケアが必要なのかを予測し、現時点での患者のセルフケア能力で必要な行動がとれるのか、セルフケアを補う働きをする家族員や社会資源の有無についても理解する。
 化学療法終了後も、臓器毒性、末梢神経障害、味覚障害、ケモブレイン(化学療法が原因で生じる認知障害で、記憶力・集中力・作業能力などが一時的に低下する症状)、間質性肺炎などが発生および継続することがある。不可逆的なものであるため、治療終了後も継続したセルフケアが行われるよう患者教育を行う。また、間質性肺炎などは発現時の徴候を伝えておき、症状が出現したら受診するように説明する。以上のような援助・支援のプロセスを理解する。

キーワード ① ダウンステージング ② 薬物療法の治療計画(レジメン) ③ 化学療法と副作用(有害反応) ④ 化学療法中の援助 ⑤ 抗がん薬曝露対策
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 <復習>
今回配布したレジメ(資料)や小テスト、講義した内容に該当する教科書のページを熟読し、重要な個所には赤ペンで線を引き、理解が難しかった箇所は講義ノートを作成して、定期試験までには「理解できた」と思えるように学習しておく(提出)。特に、がん化学療法は、手術療法や放射線療法と併用する集学的治療として行われることが多い。患者の診断時からの一連の治療を理解すること(手術療法前・後に化学療法を併用、化学放射線療法:放射線療法と組み合わせて治療計画が立てられる)。
<予習>
第3・4回の授業内容を確認したうえで、授業に出席する。第5回目のコマにあるキーワード①根治照射、②緩和照射、③放射線療法の治療計画、④有害事象(急性期・晩期)、⑤抗放射線防護対策について、学習して授業に参加する(提出)。

5 放射線療法と看護(有害事象予防・セルフケア支援・アセスメント) 科目の中での位置付け  がん治療は、日々進展している。かつては、手術療法が主流で、どこまで摘出できるかという拡大手術が主に行われていた。しかし、現在では、副作用の少ない化学療法や放射線療法なども、各疾患の病態に応じて積極的に行われ、また、夫々の治療法を組み合わせた集学的治療の治療成績も向上している。
 本科目の第1回目は、授業のオリエンテーション、がんのメカニズムと予防のための対策、がん診断と集学治療、そして治療に対する看護の基礎知識について学修する。第2回目はがん対策推進基本計画のもと、がん対策に取り組んでいる状況や増加するがんサバイバーへの支援体制を学修する。第3回目は、手術療法と手術療法における看護について学修する。第4回目は、薬物療法(化学療法:抗がん治療)と副作用(有害反応)の管理・対策、そして薬物療法における看護について学修する。第5回目は、放射線療法と放射線治療による有害事象の管理・対策、そして放射線療法における看護について学修する。第6回目は、がんリハビリテーション診療の目的を理解し、チームでアプローチしながら進められるなかで、看護師の役割を学修する。 第7回目は、緩和ケアを受ける患者への看護、多職種チームにおける看護師の役割について理解する。第8回目は、外来・在宅・緩和ケア/ホスピス病棟のそれぞれの場における看護の実際を学修する。がん患者の療養の場の移行とは何か、がん患者の療養の場の移行支援について学修する。
 第5回目では、放射線療法についてと、放射線治療による有害事象の管理・対策、そして放射線療法における看護について学修する。放射線療法は、がん患者に対する局所治療であり、がんの治療を目指す治療として手術療法や薬物療法と併用したり、進行がん患者の症状緩和の治療として行われる。また、人体にメスを入れないという特性があることから、その形態温存、機能温存という患者のQOL(quality of life;生命の質、生活の質)の面で注目されるようになってきている。

・授業の展開は、コマ用の独自作成の資料を配布して行う。
・系統看護学講座 別巻「がん看護学」P64(第2章)、P92(第3章)、P180~200(第4章)、P248~261(第5章)
コマ主題細目 ① 放射線療法の目的 ② 放射線療法の流れ ③ 放射線療法を受ける患者の看護
細目レベル ① 放射線療法には、根治照射と緩和照射がある。根治照射とは、原発巣や所属リンパ節に対して、根治目的に行う放射線治療のことで。手術や化学療法と併用した集学治療の一部として行われる。緩和照射は、症状緩和のために行う放射線治療のことで、骨・脳・リンパ節転移による痛みや神経症状を緩和したり、消化管に露出した腫瘍からの出血を止めたりするために行われる。とくに椎体転移による脊髄麻痺の進行時には、緊急で照射が行われる。
治療で使う放射線は、光の仲間であるエックス線、ガンマ線と、非常に小さな粒子の流れである電子線、陽子線、重粒子線、中性子線に大別される。細胞に対する放射線の影響には、間接作用と直接作用がある。
照射方法には、外部照射と内部照射がある。外部照射は、体の外から放射線を照射する治療法で、エックス線、ガンマ線、電子線、陽子線、重粒子線、熱中性子線などが用いられる。
内部照射は、数mmの小さな放射性物質(線源)を体内に挿入し、体の中から照射する治療法で、線源から主にガンマ線が放出される。内部照射では、線源の近くの腫瘍に多くの放射線を照射し、周辺の正常臓器への放射線を少なくすることができる。

② 治療方針の決定のために、診察が行われる。放射線治療の必要性、効果、副作用、スケジュールなどを説明する。CT、MRIなどの画像検査や視診、触診をもとに照射範囲を考え、治療寝台上で30分程度動かずに体位が保持できるか評価する。体内が保持できない場合は鎮静薬等で調整する。次に、治療計画用のCTの撮影を行う。治療時に臓器の位置や大きさを一定にするために、CT撮影前に数時間絶食したり、蓄尿することがある。治療計画用CTは、平らな硬い寝台に横になること、皮膚に位置合わせ用の線を描くことが、通常のCTとは異なる点である。
 外部照射の治療計画は、はじめに計画用CT上に腫瘍の輪郭を入力する(肉眼的腫瘍体積)(gross tumor volume : GTV)。腫瘍の広がり、呼吸による腫瘍の移動、毎回の治療時の姿勢の違いなどを考慮してGTVの周辺に5~10mm拡張し、計画標的体積(planning target volume : PTV)を入力する。同様に正常臓器の輪郭も入力する。次に、治療計画装置上でGTV、PTVと正常臓器を立体的に表示して適切なビームを配置する。内部照射の治療計画は、高線量率小線源治療では、腔内照射用のアプリケータ挿入後、あるいは組織内照射用の針を刺入した後に、治療計画用CTを撮影し、線量分布と線源の移動時間を決める。

③ 放射線療法の実施にあたっては、十分な放射線の線量を均一に照射し、かつ、周囲の臓器への影響を最小限にするため、画像診断などの多様な検査を行った後、治療計画を立案する。
放射線療法前の看護目標は、・患者が放射線治療について十分理解したうえで、納得して治療に臨むことができること。・治療体位が保持できるよう身体症状がコントロールされ、起こりうる有害事象や生活上の注意点について理解して治療に臨むことができる、ことである。治療開始後は、計画どおりに照射を行うこと、有害事象へのケアが重要となってくる。有害事象には、治療中あるいは治療後数か月以内に発生する急性期有害事象と、治療後数か月以降に発症する晩期有害事象がある。晩期有害事象は治りにくいものが多い。重篤な有害事象が5%程度発生する線量を耐容線量といい、放射線治療を行う際にはこの線量を越えないように計画を行う。放射線療法中の看護目標は、・有害事象の出現や日常生活の制約(QOLの低下)、不安や苦痛に対し、適切な時期の介入とセルフケア支援により、症状が重篤化することなく治療を完遂できる、ことである。放射線治療の有害事象は、通常は放射線があったる範囲内に生じるため、どこに放射線があたっているか、線量分布図を見て理解することが重要である。身体的アセスメントだけでなく、がんと診断されたことによる不安や抑うつ状態、治療内容に関する不安(とくに放射線に対する漠然とした不安や恐怖)、有害事象に対する不安などをアセスメントすることが重要であることを理解する。
放射線療法(終了)後の看護目標は、・治療終了時の急性有害事象に対して、正しく理解し、セルフモニタリングができ、症状改善に向けたセルフケアを行うことができること。・放射線治療による晩期有害事象のリスクを理解し、症状が出現した際には早期に受診行動をとることができる、ことである。前・中・後(終了)の援助は目標を踏まえて理解する。

キーワード ① 根治照射 ② 緩和照射 ③ 放射線療法の治療計画 ④ 有害事象(急性期・晩期) ⑤ 放射線防護対策
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 <復習>
今回配布したレジメ(資料)や小テスト、講義した内容に該当する教科書のページを熟読し、重要な個所には赤ペンで線を引き、理解が難しかった箇所は講義ノートを作成して、定期試験までには「理解できた」と思えるように学習しておく。(提出)放射線療法はがん患者に対する局所的治療であり、がんの治療を目指す治療として手術療法や薬物療法と併用したり、進行がん患者の症状緩和の治療として行われることを理解しておくこと。
<予習>
第3・4・5回の授業内容を確認したうえで、授業に臨む。また、第6回目のコマにあるキーワード①がんリハビリテーション診療について、②がんリハビリテーションの病期別分類、③病期に応じた実践、④就労支援、⑤社会復帰について学習して、授業に参加する(提出)。

6 がんリハビリテーションの支援(社会復帰・就労支援を含む) 科目の中での位置付け  近年のがん医療の発展による診断・治療技術の向上は、がん患者に生存率の向上や生存期間の延長をもたらした。依然として罹患率・死亡率が高い一方で、長期生存のがんサバイバーが増加している。2015年12月に厚生労働省より公表された「がん対策加速化プラン」でも、プランの柱の一つとして「がんとの共生」(就労支援や緩和ケア等を含む包括的な支援により「がんと共に生きる」ことを可能にする社会の構築)が示されているように、がん患者にとっては、疾患の経過や治療の影響といかに上手く付き合っていくか、どれだけ従前の生活を維持し、自分らしく生きていけるかが重要になってくる。
 本科目の第1回目は、授業のオリエンテーション、がんのメカニズムと予防のための対策、がん診断と集学治療、そして治療に対する看護の基礎知識について学修する。第2回目はがん対策推進基本計画のもと、がん対策に取り組んでいる状況や増加するがんサバイバーへの支援体制を学修する。第3回目は、手術療法と手術療法における看護について学修する。第4回目は、薬物療法(化学療法:抗がん治療)と副作用(有害反応)の管理・対策、そして薬物療法における看護について学修する。第5回目は、放射線療法と放射線治療による有害事象の管理・対策、そして放射線療法における看護について学修する。第6回目は、がんリハビリテーション診療の目的を理解し、チームでアプローチしながら進められるなかで、看護師の役割を学修する。第7回目は、緩和ケアを受ける患者への看護、多職種チームにおける看護師の役割について理解する。第8回目は、外来・在宅・緩和ケア/ホスピス病棟のそれぞれの場における看護の実際を学修する。がん患者の療養の場の移行とは何か、がん患者の療養の場の移行支援について学修する。
 第6回では、がんリハビリテーションの目的を理解し、チームアプローチの中で果たす看護師の役割について学修する。

・授業の展開は、コマ用の独自作成の資料を配布して行う。
・系統看護学講座 別巻「がん看護学」P210~215(第5章)
コマ主題細目 ① がんリハビリテーションの概要 ② リハビリテーション診療の進め方 ③ がんリハビリテーションの実際
細目レベル ① WHOによれば、「障害をもつ人々のリハビリテーションは、身体的、感覚的、知的、心理的および社会的機能の最適なレベルへの到達とその維持を目的としたプロセスである。リハビリテーションは障害をもつ人々に自立と自己決定を実現するために必要なツールを提供する」とある。また、がんリハビリテーション医療とは、「がんの治療の一環としてリハビリテーション科医、リハビリテーション専門職により提供される医学的ケアであり、がん患者の身体的、認知的、心理的な障害を診断・治療することで自立度を高め、QOLを向上させるものである」と定義されている。日本においても多様化・複雑化するがん治療をはじめ、病状や治療にともなう影響や副作用への対応等、患者自身が自立し、がんと共存し続けることが求められるなかで、がんのリハビリテーションは、がんサバイバーへの支援の一つとなりうることを理解する。
② がんのリハビリテーションの目的は、“がんとその統合的な治療課程において受けた身体的および心理的な種々の制約に対して、個々の患者が属するそれぞれの家庭や社会へ、可能な限り早く復帰することができるように導いていくこと”にある。リハビリテーションの対象となる障害は、骨転移や脳腫瘍、骨髄・脊椎腫瘍、腫瘍の直接浸潤、疼痛等のがんそのものによる障害と、手術や化学療法、放射線療法などの治療過程によって生じる障害に分類される。がんのリハビリテーションは、①予防的、②回復的、③維持的、④緩和的、などの病期別に分類される。患者が受ける集学的治療や病状の進行にともないリハビリテーションも患者個々の状況を踏まえたアプローチを行うことが重要である。
リハビリテーションチームの中で看護師は、がん患者の日々の生活に接するなかで、疼痛、倦怠感、呼吸困難などの症状、嚥下障害や筋力低下・拘縮などの機能異常、起居動作や移動能力、日常生活動作(activities of daily living:ADL)上の問題に早い段階で気づき、リハビリテーションスタッフと協働し、適切な対策をとることが重要であることを理解する。

③ a. 周術期リハビリテーション診療
術前および術後早期からの対応により、術後の合併症を予防し、後遺症を最小限にして、スムーズな術後の回復を図るのが目的である。
b. 放射線や化学療法中の・後のリハビリテーション
放射線や化学療法中・後のがん患者では、体力(全身の筋力や心肺機能)の低下が多くみられる。その原因としては、悪液質(腫瘍細胞や腫瘍に関する炎症性サイトカインによる代謝の亢進、組織の異化亢進などによる消耗状態)や、治療によるさまざまな有害事象や疼痛、睡眠障害や精神心理的要因により引き起こされるがん関連倦怠感(cancer-related fatigue : CRF)により、身体活動が減少し二次的に体力低下が生じてしまう。治療中から運動療法を定期的に行うことで、CRFが軽減、体力が改善し、ADLが向上することで、活動範囲が拡大、社会的交流が増え、精神心理的にもよい効果をもたらし、QOLの向上に繋がることを理解する。
c. 終末期(緩和ケアが主体となる時期)
緩和ケア主体の時期のリハビリテーション診療の目的は、「生命の長さにかかわらず、患者とその家族の希望(hope)・要望(demands)を十分に把握したうえで、身体に負担が少ない日常生活動作の習得とその時期におけるできる限り質の高い生活を実現すること」に集約される。生命予後が月単位と推定される場合は、自立的な生活支援を、生命予後が週・日単位と推定される場合は、自律的な生活支援が重要であることを理解する。

キーワード ① がんリハビリテーション診療のエビデンス ② がんリハビリテーションの病期別分類 ③ 病期に応じた実践 ④ 就労支援 ⑤ 社会復帰支援
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 <復習>
今回配布したレジメ(資料)や小テスト、講義した内容に該当する教科書のページを熟読し、重要な個所には赤ペンで線を引き、理解が難しかった箇所は講義ノートを作成して、定期試験までには「理解できた」と思えるように学習しておく(提出)。
<予習>
第3・4・5・6回の授業内容を確認したうえで、授業に臨む。また、第7回目のコマにあるキーワード①緩和ケア病棟、②スピリチュアルケア、③緩和ケアチームアプローチ、④アドバンス・ディレクティブ(医療における事前指示)、⑤アドバンス・ケア・プランニング(advance care planning :ACP)について学習して授業に参加する(提出)。

7 緩和ケア・終末期のケア(倫理的課題・意思決定支援・家族支援) 科目の中での位置付け  従来、緩和ケアは治癒を目指した治療が有効でなくなった患者に対するケアとされてきた。そのため、ターミナルケア、終末期ケアと同意語として用いられてきた。しかし、現在の緩和ケアは、がんと診断されたときから適応されるものとなっている。WHO(世界保健機関)は、緩和ケアの定義を2002年に改訂し、緩和ケアとは「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者およびその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、適切なアセスメントと治療によって、苦痛を予防、緩和することで、クオリティ・オブ・ライフを改善するアプローチである」と、述べている。がん対策推進基本計画の治療における課題としては、「がんと診断されたときからの緩和ケアの実施」が挙げられ、治療の初期段階から、診断、治療、在宅医療といった様々な場面において、緩和ケアが切れ目なく実施される必要がある。
 本科目の第1回目は、授業のオリエンテーション、がんのメカニズムと予防のための対策、がん診断と集学治療、そして治療に対する看護の基礎知識について学修する。第2回目はがん対策推進基本計画のもと、がん対策に取り組んでいる状況や増加するがんサバイバーへの支援体制を学修する。第3回目は、手術療法と手術療法における看護について学修する。第4回目は、薬物療法(化学療法:抗がん治療)と副作用(有害反応)の管理・対策、そして薬物療法における看護について学修する。第5回目は、放射線療法と放射線治療による有害事象の管理・対策、そして放射線療法における看護について学修する。第6回目は、がんリハビリテーション診療の目的を理解し、チームでアプローチしながら進められるなかで、看護師の役割を学修する。第7回目は、緩和ケアを受ける患者への看護、多職種チームにおける看護師の役割について理解する。第8回目は、外来・在宅・緩和ケア/ホスピス病棟のそれぞれの場における看護の実際を学修する。がん患者の療養の場の移行とは何か、がん患者の療養の場の移行支援について学修する。
 第7回目では、緩和ケアを受ける患者への看護と多職種チームにおける看護師の役割を学修する。さらに、DVD教材を用いてがん看護専門看護師の実践を理解し、終末期ケアの実際(症状緩和、意思決定支援〔ACP〕、家族支援、倫理的課題)を学修する。

・授業の展開は、コマ用の独自作成の資料を配布して行う。
・系統看護学講座 別巻「がん看護学」P6~9(序章)、 P75~88(第2章)、P214(第5章)、P290~306(第6章)
・DVD プロフェッショナル 仕事の流儀「がん看護専門看護師 田村恵子の仕事 希望は、必ず見つかる」
コマ主題細目 ① 緩和ケアとは ② 緩和ケアを受ける対象者の全人的な理解 ③ がん医療における看護師による倫理調整の実際
細目レベル ① 緩和ケアとは、あらゆる疾患の治療・ケアを行う際に、患者がかかえるさまざまな苦痛に配慮を行って、できる限り早期からの対策を提供することである。WHO(世界保健機関)は、緩和ケアの定義を2002年に改訂した。改訂では、緩和ケアの適応時期を病の早い時期から明言し、さらに、患者と死別後の家族、すなわち遺族のケアについても言及した。日本において、WHOの緩和ケアの定義はさまざまに翻訳されて用いられていたため、緩和ケアに対する捉え方もさまざまであった。そこで、日本緩和医療学会が中心となって緩和ケアに関係する複数の団体と協議を重ね、緩和ケアの定義の定訳を作成した。定訳を普及することにより、緩和ケアに関係する人々の共通した理解が促進するものと考えられている。また、緩和ケアの専門性の分類には、基本的緩和ケア、専門的緩和ケアがある。基本的緩和ケアは、がんを診療するすべての医療者が患者と家族の苦痛を和らげるために提供すべきものとされている。専門的緩和ケアとは、身体的緩和ケアを用いて通常の治療・ケアを行っても患者の苦痛を緩和することが困難である場合に、緩和ケアの専門家が対応して提供する緩和ケアのことをいう。緩和ケアの定義や考え方を理解する。
② 緩和ケアを受ける対象を理解する際に、全人的苦痛(トータルペイン)という概念が用いられる。終末期にある患者の苦痛には、身体的苦痛という側面だけでなく、精神的な苦痛、社会的な苦痛、そいてスピリチュアルな苦痛(スピリチュアルペイン)があり、これらは密接に互いに影響し合って患者の苦痛を形成しているといわれている。身体的な痛みがあり、日常生活が制限されると、それまで行っていた役割が担えなくなり、迷惑をかけているという気持ちも生じ、自分の生きている意味は何なのか、といったような問いとなることもある。緩和ケアにおける対象理解にトータルペインの考え方は不可欠であることを理解する。トータルペインの中でも、スピリチュアルな苦痛はその把握が難しい。終末期になるにつれて、患者は「私の死」との対を余儀なくされ、「死」は、この世界における通常の困難や苦しみとは異なる苦しみ、人生の意味、苦しみの意味などのスピリチュアルな苦痛への援助については、まず看護師がその存在に気づくことから始まるといわれている。そのためには、患者と看護師の信頼関係を構築し、日常生活の援助を通して、患者の語る言葉に耳を傾けること、そして、看護師自身が患者のスピリチュアルな苦痛に関心を寄せることが重要であることを理解する。
③ 医療においては無危害の原理に基づき、治療を受ける患者の安全・安楽が擁護されるべき重要な課題とされている。これに加えてがん医療では、患者の意思決定の場面において特に患者擁護が必要とされる。患者は、がんの疑いの時期から、受療行動、病院選択、治療決定、セカンドオピニオンを受けるか、治療を続けるか、症状緩和治療や緩和ケアを受けるか、家族や上司、関係者に病気を打ち明けるかなど、さまざまな意思決定が迫られる。つまり、がん治療を受ける患者と家族は、選択を繰り返し体験する。その際、患者の自己決定の権利や、患者の価値観、意向が守られているかが患者擁護の視点から評価されなければならないことを理解する。がん医療の意思決定場面には、自律尊重の原則が脅かされやすい要因が多く存在する。自律尊重の原則に従えば、悪い結果も含め事実をすべて患者が知ることが前提となる。このようにがん医療の倫理的課題について考察し、解決においても看護師は調整役としての力を発揮する必要がある。看護師が倫理的調整を行うということはどういうことか、倫理的行動の4つの要素を踏まえて実行しなければいけないことを理解する。
キーワード ① 緩和ケア病棟 ② スピリチュアルケア ③ 緩和ケアにおけるチームアプローチ ④ アドバンス・ケア・プランニング(advance care planning :ACP) ⑤ 家族への支援
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 <復習>
今回配布したレジメ(資料)や小テスト、講義した内容に該当する教科書のページを熟読し、重要な個所には赤ペンで線を引き、理解が難しかった箇所は講義ノートを作成して、定期試験までには「理解できた」と思えるように学習しておく(提出)。特に、WHOによる緩和ケアの定義や、緩和ケアの適応時期を病気の早い段階としたこと、患者と死別後の患者(遺族ケア)についても言及していることを理解する。
<予習>
第3・4・5・6回の授業内容を確認したうえで、授業に臨む。また、第8回目のコマにあるキーワード①外来におけるがん看護、②在宅におけるがん看護、③地域包括ケア、④地域連携クリティカルパス、⑤がん患者の社会資源について学習し、授業に参加する(提出)。

8 がん患者の療養の場の移行支援(継続看護・地域連携) 科目の中での位置付け  近年、がん患者の療養は、診断期、治療期、終末期のいずれの局面でも、入院から外来に大きくシフトチェンジしてきた。要因は、がん化学療法や放射線治療の進歩、入院期間の短縮の政策によるところが大きい。また、病院の機能分化により、複数の医療機関のサービスを組み合わせて療養することが多くなったことも特徴である。
 本科目の第1回目は、授業のオリエンテーション、がんのメカニズムと予防のための対策、がん診断と集学治療、そして治療に対する看護の基礎知識について学修する。第2回目はがん対策推進基本計画のもと、がん対策に取り組んでいる状況や増加するがんサバイバーへの支援体制を学修する。第3回目は、手術療法と手術療法における看護について学修する。第4回目は、薬物療法(化学療法:抗がん治療)と副作用(有害反応)の管理・対策、そして薬物療法における看護について学修する。第5回目は、放射線療法と放射線治療による有害事象の管理・対策、そして放射線療法における看護について学修する。第6回目は、がんリハビリテーション診療の目的を理解し、チームでアプローチしながら進められるなかで、看護師の役割を学修する。 第7回目は、緩和ケアを受ける患者への看護、多職種チームにおける看護師の役割について理解する。第8回目は、外来・在宅・緩和ケア/ホスピス病棟のそれぞれの場における看護の実際を学修する。がん患者の療養の場の移行とは何か、がん患者の療養の場の移行支援について学修する。
 第8回では、外来、在宅、緩和ケア(ホスピス病棟)それぞれの場における看護の実際を学修する。さらに、がん患者の療養の場の移行の概念を理解し、移行支援における看護師の役割について学修する。

・授業の展開は、コマ用の独自作成の資料を配布して行う。
・系統看護学講座 別巻「がん看護学」P6~9(序章)、P75~88(第2章)、P214(第5章)、 P290~306(第6章)
コマ主題細目 ① がん患者の療養の場の移行とは ② がん患者の療養の場の移行の特徴 ③ がん医療における看護師による倫理調整の実際
細目レベル ① 療養の場の移行とは、療養生活が大きく変化する。治療や生活の拠点の変更を考える時期のことである。がんの進行によりADLが低下し、一人暮らしに不安を感じて有料老人ホームに入るとき、緩和ケア病棟で最期を迎えようとするとき等、生活ひいては人生の節目になる。住み慣れた場を離れ、新たな療養の場に移行する場合、その療養の場でスムーズに生活が再開できるよう支援が必要であることを理解する。1990年頃、療養の場の選択は、ターミナル期の患者が対象であった。現在は、内服薬を含めがん治療の選択肢が増え、患者の価値観も多様化する中、慢性疾患を抱えた高齢者が手術や化学療法、放射線療法を受ける時代になった。日常生活がすべて自立していなくとも、家族の援助の下、介護保険サービス等のサポートで通院する患者や、有料老人ホームに転居し化学療法や放射線療法に介護タクシーで通院する患者もいるようになった。どんな病期にあっても、療養の場の選択を考える患者は支援の対象者となることを理解する。
② 療養の場の選択肢には、在宅療養を支えるサービスのほか、転院や施設など生活拠点を変更する場合もある。拠点を変える理由が「医療の問題か、介護の問題か」で、転院か施設かの選択になることが多い。
a.転院の場合
転移先には、リハビリテーションを継続し自宅退院を目標とする回復期機能をもつ病院(回復期リハビリテーション病棟・一部地域包括ケア病棟)と、長期療養を目的とする療養病棟、そして緩和ケア病棟があり、夫々て適応疾病や状態に要件があることを理解する。
b.施設の場合
介護老人保健施設や介護老人福祉施設などの施設の場合、ADL低下など介護度の変化には対応できるが、酸素療法や吸引・経管栄養法などの医療的処置の対応は限定、もしくは困難なこともある。病院への通院が難しい場合もあり、転院同様に治療方針の見直しが必要になる。また、緩和ケアに特化した有料老人ホームや、ホームホスピタルなど、新たな「家」としての取り組みもあり、選択肢はますます多様がしている現状を理解する。

③ がん治療は外来通院が中心であり、療養の場の移行支援は外来から始まることが多い。患者本人や家族が生活の不便さを自覚した時や、医師や看護師、在宅を支えるケアマネジャーら他者の気づきから支援を開始することもある。療養の場の選択肢の情報は複雑で流動的なため、病院であればがん相談支援センター等の相談支援部門、地域であれば地域包括支援センターやケアマネジャーらを窓口に、専門の相談員の協力を得て行われる。外来や病棟の看護師は、患者の自覚しているニーズに加え、潜在的な支援ニーズを病状から予測し、療養の場の検討が必要な患者に気づき、考える必要性を患者と共有し、しかるべき窓口に繋げることが重要であることを理解する。病院の相談支援部門では、社会福祉士と退院支援看護師(入退院支援看護師、退院調整看護師、在宅コーディネーターなど、名称が病院によって異なる)が協働して入退院支援を実施している実際を、事例を挙げて理解する。
キーワード ① 外来・在宅における看護 ② 地域包括ケア(地域連携) ③ 地域連携クリティカルパス ④ 継続看護 ⑤ 社会資源の調整
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 <復習>
今回配布したレジメ(資料)や小テスト、講義した内容に該当する教科書のページを熟読し、、重要な個所には赤ペンで線を引き、理解が難しかった箇所は講義ノートを作成して、定期試験までには「理解できた」と思えるように学習しておく。また、8コマの授業は、履修判定指標の内容を確認しながら学んだ「がん看護援助論」についてまとめる(提出)。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
がん看護を学ぶ意義、がん治療および臨床経過、発達段階におけるがんおよびがん治療の影響 がん疫学の用語を理解する。そして、わが国の主要ながんという病気について理解する。がんの罹患率、死亡率、生存率などの疫学データーの動向を把握する。また、がんの発生、発がん要因をふまえた予防法について理解できる。そして、遺伝するがんの特徴を理解する。がん患者の苦痛・合併症に対する症状マネジメントを理解する。がん対策推進基本計画のもと、がん対策に取り組んでいる状況や増加するがんサバイバーへの支援体制について理解する。また、日常生活行動においてのがん危険因子、その予防法について理解する 生活習慣病、がん予防期、早期発見、がん患者・その家族の特徴、遺伝するがん、全人的苦痛、がん予防法(がん対策基本法、がん対策推進基本計画) 15 1,2,7
がん治療①(局所療法:手術療法および放射線療法)と看護の理解 集学的治療を深めるために、がん患者に対して行われる主要ながん治療法(手術療法、薬物療法、放射線療法)とそれぞれの看護について理解する。局所療法には、手術療法(内視鏡治療も含む)・放射線療法がある。a.手術療法は、最新の考え方と合併症対策、術後の経過観察について理解する。b.放射線療法は、治療の内容と放射線療法による有害事象、その対策について理解する。そして、放射線防護についても理解する。 セカンドオピニオン、手術療法、周手術期管理、ボディイメージの変化、機能障害、機能喪失、セルフケア、症状マネジメント、放射線療法、有害事象(急性、晩期)、放射線防護 20 1,3,5
がん治療(全身療法:薬物療法)と看護の理解 集学的治療を深めるために、がん患者に対して行われる主要ながん治療法(手術療法、薬物療法、放射線療法)とそれぞれの看護について理解する。全身療法(薬物療法)は、薬物療法の治療目的や副作用(薬物有害反応)とそのケアについて理解する。また、薬物療法は、曝露対策についても理解する。 セカンドオピニオン、セルフケア、化学療法、薬物有害反応、症状マネジメント、抗がん薬の曝露対策 15 1,4
臨床における倫理的課題、看護師による倫理調整の支援について理解 医療倫理の四原則、“自律尊重”、“無危害”、“恩恵(善行)”、“正義を”を理解する。倫理的に問題となりやすい場面を理解できる。また、治療における倫理的課題をがん患者の事例を通して考察して理解できる。更に、療養における倫理的課題、終末期における倫理的課題も考察する。インフォームドコンセントのあり方が理解できる。アドボケーターとしての看護師の役割が理解できる。 がん医療、がん看護、倫理的課題、倫理原則、看護職者の倫理綱領、意思決定、インフォームドコンセント、アドボケーター 15 1,7
がんリハビリテーションの支援の理解 2015年12月、厚生労働省が公表した「がん対策加速化プラン」の内容から、がん患者が疾患の経過や治療の影響といかにうまく付き合っていくか等、がんサバイバーを支える社会について理解する。また、がん患者にとってのリハビリテーション、リハビリテーションの進め方について理解する。がん患者にとっては、疾患の経過や治療の影響といかに上手く付き合っていくか、どれだけ従前の生活を維持し、自分らしく生きていけるかが重要になってくるため、がんリハビリテーション診療の目的を理解し、チームでアプローチしながら進められるなかで、看護師の役割を理解する。 がん対策加速化プラン、がんリハビリテーション(予防的・回復的・維持的・緩和的)、がんサバイバーへの支援、患者個々への支援、緩和ケア、チームアプローチ、QOLの向上、看護師の役割 15 2,6,7
がん終末期看護の理解 終末期、臨死期(看取り期)の定義を理解する。各ターミナルステージにおける患者と家族のケアのポイントが理解できる。死が迫っていることを示す徴候を理解する。看取り期のケアのアルゴリズムを理解できる。看取り期の家族ケア、遺族ケアについてのポイントが理解できる。ストレングス理論について理解する。ターミナルステージの前期の患者と家族ケアについて理解できる。理論とターミナルステージ前期を理解したうえで、事例「余命わずかで人生を立て直した患者」を、ストレングス理論を用いて看護実践を考察し、人生の統合に向けた援助、終末期看護について理解できる。 終末期(ターミナル期)、臨死期(看取り期)、看護ケア、がん患者の家族、遺族ケア事例、ストレングス理論、看護過程の展開、ターミナル前期のステージにおける援助 10 7,8
がん患者の療養の場の移行支援 がん患者の療養は、診断期、治療期、終末期のいずれの局面でも、入院から外来に大きくシフトチェンジしてきた。要因は、がん化学療法や放射線治療の進歩、入院期間の短縮の政策によるところが大きい。また、病院の機能分化により、複数の医療機関のサービスを組み合わせて療養することが多くなったことも特徴である。外来・在宅・緩和ケア/ホスピス病棟のそれぞれの場における看護の実際を理解できる。そして、がん患者の療養の場の移行のプロセスとその際の支援について理解できる。 がんサバイバーシップ、外来における看護、在宅における看護、緩和ケア病棟/ホスピタル病棟における看護、療養の場の移行の支援、多職種連携、ピアサポート、社会資源 10 7,8
評価方法 原則、期末試験100%とします。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 小松浩子 著『系統看護学講座 別巻 がん看護学』:医学書院 ISBN978-4-260-02763-2 2,420円(税込み)
参考文献 1. 大西和子他 編『がん看護学 臨床に活かすがん看護の基礎と実践』:ヌーヴェルヒロカワ ISBN978-4-86174-070-1 3,300円(税込み)  2. 鈴木久美 他 編『がん看護 様々な発達段階・治療経過にあるがん患者を支える』:南江堂 ISBN978-4-524-24812-4 2,600円(税込み)  3. 高橋未都 他 監訳/マイケル ファイヤーステイン・ラリサ ネフリュードフ著 『がんサバイバーシップ学 』:メディカル・サイエンス・インターナショナル ISBN978-4-8157-3037-6 6,820円(税込み)                                       4. 古瀬純司 編著 『これだけは押さえておきたい がん化学療法の薬 はや調べノート』:メディカ出版 ISBN978-4-8404-7511-2 4,400円(税込み)  *参考文献等は、講義時にその都度提示する。
実験・実習・教材費 無し