区分
専門科目-成人・高齢者看護学-高齢者看護学
ディプロマ・ポリシーとの関係
実践能力
倫理観
専門性探求
地域社会貢献
グローバル性
カリキュラム・ポリシーとの関係
豊かな人間性
広い視野
知識・技術
判断力
探求心
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
専門科目「成人・高齢者看護学」の高齢者看護学に位置付け、高齢者看護学を実践するための基盤として、高齢者の定義、老年期の人々の特徴、高齢者に関わる保健医療福祉の動向、高齢者の倫理的課題、高齢者看護の役割等について学ぶ。
科目の目的
本科目は、高齢者看護を実践するうえで基盤となる科目である。老年期にある人々の身体的・心理的・社会的特徴、ならびに超高齢社会の現状や保健・医療・福祉制度について理解する。さらに、高齢者の尊厳や人権擁護の重要性を理解し、高齢者の生活機能の維持・向上を支える看護の基本的視点を学ぶ。
高齢者の身体的・心理的・社会的側面を統合し、その人の生活や価値観を踏まえて総合的に理解する力を養うとともに、自己の高齢者観について考える機会とする。
到達目標
①老年期にある人々の身体的・心理的・社会的特徴や発達課題を理解し、超高齢社会における高齢者の暮らしの特徴を説明できる。
②高齢社会の現状や保健・医療・福祉制度、社会資源を理解し、高齢者の生活機能の維持・向上を支える支援や看護の基本的視点を説明できる。
③高齢者の尊厳・人権・倫理的課題やエンドオブライフケアを踏まえ、「病気ではなく人をみる」視点で高齢者を全人的に理解し、看護の役割および自己の高齢者観について考察できる。
科目の概要
本科目では高齢者看護学の導入として、高齢者とその家族の暮らしや、高齢者を取り巻く社会的環境を理解する。
老年期にある人と家族を、発達段階、健康レベル、保健行動の視点から生活者として総合的にとらえ、高齢者を支える看護の基本的概念を学ぶ。
また、ウエルネスおよびQOLの視点から高齢者の強みや個別性について理解を深め、その人らしい生き方を支える援助のあり方、人権や権利擁護の重要性について考える。
科目のキーワード
① 老いるということ、② 老年期の発達と加齢変化、③ 生活者としての高齢者、④ ウエルネスとQOL、⑤ 超高齢社会とケアシステム、⑥ 権利擁護と倫理、⑦ 意思決定支援、⑧ エンドオブライフケア
授業の展開方法
本科目は全8回で構成する。
第1回は、高齢者の歩んできた時代背景や身体・心理・社会的変化、発達課題、スピリチュアリティについて講義し、高齢者理解の基盤を形成する。
第2回は、超高齢社会の現状を概観し、高齢者の暮らしの特徴について事例を用いながら学ぶ。
第3回は、高齢者を支える保健医療福祉制度の変遷や介護保険制度などのケアシステムについて理解する。
第4回は、高齢者の倫理的課題および権利擁護について、事例を通して考察する。
第5回~第8回は、高齢者看護の特徴や看護の役割について講義とグループワークを通して学び、高齢者を支える看護の視点を整理する。
病院で高齢者看護を実践してきた経験のある教員が担当する。
オフィス・アワー
研究室703:木曜4・5限
(メールはいつでも受け付けます)
Email:k-akamatsu@uhe.ac.jp
科目コード
ERM01
学年・期
2年・前期
科目名
高齢者看護学概論
単位数
1
授業形態
講義
必修・選択
必修
学習時間
【講義】16h
【予習・復習】29h
前提とする科目
看護学原論Ⅰ,Ⅱ、生活援助方法論、生活援助方法演習、解剖生理学Ⅰ,Ⅱ
展開科目
在宅高齢者看護学実習 高齢者看護援助論Ⅰ・Ⅱ 高齢者看護学実習 統合実習(高齢者) ヘルスアセスメントⅡ 看護研究
関連資格
看護師 保健師
担当教員名
赤松公子
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
ガイダンス、老いるということ・老いを生きるということ
科目の中での位置付け
老年看護の目標は、高齢者の健康および生活上のリスクを最小限に抑え、その人がもつ可能性を最大限に引き出す援助を通して、本人が望む自律的な生き方の実現と安らかな最期に寄与することである。
本科目は高齢者看護学の入門として、高齢者を中心に、家族、生活環境、医療・福祉制度、介護保険制度など高齢者を取り巻くケアシステムに着目し、「高齢者看護とは何か」を多角的に考察する。
第1回では高齢者の理解、第2回では高齢者の暮らし、第3回では高齢者を支えるケアシステム、第4回では倫理的課題と権利擁護について学ぶ。第5回から第8回では、意思決定支援、エンドオブライフケア、家族看護、介護予防、地域包括ケアおよび多職種連携について理解を深める。
これらを通して、高齢者を生活者として捉える視点を養い、自己の高齢者看護観について考える機会とする。
北川公子ほか:系統看護学講座 老年看護学、医学書院、2026.
コマ主題細目
① ガイダンス ② 歩んできた人生・時代から高齢者を理解する ③ 身体的・心理的・社会的側面から高齢者を理解する ④ 発達課題・生涯発達の視点から高齢者を理解する ⑤ スピリチュアリティの特徴から高齢者を理解する
細目レベル
① 科目の目的、到達目標、高齢者看護学の科目全体からみた高齢者看護学概論の位置づけ、8回の授業スケジュール、出席の取りかたを理解する。目の前にいる高齢者は老いに加え、その人の送ってきた人生もまた他者からは容易にうかがい知ることのできない固有の世界で生きている。看護学生や若手看護師と80歳の高齢者との間にある約半世紀の隔たりが、いっそう高齢者が歩んできた人生をとらえにくくしている。高齢者と同じ世代を生きていない若年者には、乏しい手がかりのなかで、その人の人生を思い描くことは容易ではないことを理解する。
② 目の前にいる高齢者のこれまでの人生とその時代、子供のころの遊びや働いていた当時の流行などを想像しながら、高齢者を理解することが大切であることを理解する。昭和16年生まれの高齢者は85歳、昭和20年生まれの高齢者は81歳であり、昭和16年~20年の第2次世界大戦、戦後の生活が困難であった時代を生き抜いた人々であることを、事例を通して理解する。高齢者の健康問題には、食事や運動などの長年の生活習慣や日課、飲酒・喫煙などの嗜好が深くかかわっている。健康問題に対する自己管理や日常でのセルフケアには、長い人生のなかでつちかわれた価値観や心情が深くかかわっている。そのため、高齢者を深く理解し、個別性の高い看護を提供するには、その人が生まれてから現在までの日常生活におけるできごとや体験の経過(人生史)をていねいに把握することが重要であることを理解する。
③ 身体的側面では、Shock, N. W. の生理機能の年齢による変化から、神経伝導速度、基礎代謝率、細胞内水分量、心係数、肺活量、糸球体濾過率、腎血漿流量、最大呼吸容量が加齢に伴い減少することを理解したうえで、高齢者では恒常性機能である防衛力・予備力・適応力・回復力の機能が低下することを理解する。また高齢者の疾患の特徴を理解する。心理的側面として、知能は生涯を通して発達する側面をもち、多方向性に変化する。その流動性知能と結晶性知能について理解する。社会的側面では、老年期は退職や役割からの引退から喪失を体験するが、新たな社会とのかかわりを模索し、自分の新たな目標に合った社会参加へと切り替える時期であることを理解する。
④ エリクソン、ペック、ハビガーストらによる、老年期の発達課題について理解する。エリクソンによる老年期の心理社会的葛藤は、「統合」対「絶望」である。この葛藤によって生み出される「英知」とは、死への恐怖と生への執着をライフサイクルの摂理として受け入れる心の持ち方であり、次世代への継承に対する希望のかけ橋でもある。老年看護の対象である高齢者1人ひとりが、発達課題の最後に、この困難な心理社会的葛藤に立ち向かっていることを理解する。合わせてジェネラティビティ(世代継承性)、老年的超越についても理解する。ペックの老年期の3つの段階、ハヴィガーストの6つの課題についても理解する。また、人は生まれてから死ぬまで生涯を通して発達しつづける存在であるとする生涯発達の考え方を理解する。
⑤ 老いを生きる高齢者は、みずからの死を近い将来に見据えながら、様々な喪失にどのように向き合い、老いを受け入れていくかという発達課題に直面している。
自分の人生を受け入れられるかどうかはスピリチュアルな課題であり、老年期のスピリチュアルペインはこの課題に向き合う時に生じるとされる。このような状況で、生きる意味を見いだし、生き抜くすべを獲得できるかというスピリチュアルな課題をもち、老年的超越に向かって成長することを理解する。看護師は高齢者のスピリチュアリティの状態に関心を向けることから始め、高齢者の生きていく上でのよりどころを手がかりに、高齢者にていねいに関わることが、高齢者の尊厳やQOLを保持した支援につながることを理解する。
キーワード
① 人生史 ② 身体・心理・社会的側面の特徴 ③ 発達課題と生涯発達 ④ スピリチュアルペイン ⑤ 高齢者理解
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
復習:「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において実施するため、授業当日に振り返りを行っておく。
予習:次回のコマシラバスを読み分からない語句の下調べを行う。
課題:1.身近にいる高齢者に大切にしている価値観・信念について確認してみよう
2.身近にいる高齢者の生活史を聞き取り、当時の暮らしぶりや世相、歴史的なできごと(老年看護過程のテキスト、インターネット
等参照)を加え、まとめてみよう
身近に高齢者がいない場合には、高齢者世代が生きてきた時代の暮らしぶりや世相、歴史的なできごとを調べてまとめたのでもよい
3.私が理解した高齢者
様式:A4用紙 1~2枚
学籍番号、氏名を記載。表紙不要
期限:5月7日(木)2限授業前に提出
2
高齢者の暮らし
科目の中での位置付け
老年看護の目標は、高齢者の健康および生活上のリスクを最小限に抑え、その人がもつ可能性を最大限に引き出す援助を通して、本人が望む自律的な生き方の実現と安らかな最期に寄与することである。
本科目は高齢者看護学の入門として、高齢者を中心に、家族、生活環境、医療・福祉制度、介護保険制度など高齢者を取り巻くケアシステムに着目し、「高齢者看護とは何か」を多角的に考察する。
第1回では高齢者の理解、第2回では高齢者の暮らし、第3回では高齢者を支えるケアシステム、第4回では倫理的課題と権利擁護について学ぶ。第5回から第8回では、意思決定支援、エンドオブライフケア、家族看護、介護予防、地域包括ケアおよび多職種連携について理解を深める。
これらを通して、高齢者を生活者として捉える視点を養い、自己の高齢者看護観について考える機会とする。
本コマでは高齢者の暮らしを理解するために、超高齢社会の統計的輪郭を概観する。
北川公子ほか:系統看護学講座 老年看護学、医学書院、2026.
コマ主題細目
① 老年期の健康 ② 老年期の生活 ③ 超高齢社会の現況 ④ 高齢者の健康状態 ⑤ 高齢者の暮らし
細目レベル
① WHOの健康の定義と健康寿命の定義を理解する。2022年に行われた高齢者の健康意識調査によれば、65歳以上の30.9%が現在の健康状態を「良い・まあ良い」、41.7%が「普通」と回答しており、70%以上が自分の健康状態を悪くないと評価している。また、9割が「健康について心がけている」と回答していることから、健康保持への意識が高く、その結果として「悪くない状態」を維持していることを理解する。平均寿命と健康寿命には大きな差があり、この差を縮めることが近年の高齢者保健医療政策の課題であることを理解する。
② 生活習慣病とは、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症や進行に関与する。大多数の高齢者はなんらかの生活習慣病を有している。一方で、高齢者は、その人の生活習慣とともに、その年齢まで生きられた人たちである。高齢者のつちかった生活習慣を尊重し、その人の生きがいや希望を継続するためには生活習慣のどの部分に工夫をこらしたらよいかを、高齢者とともに考えながら、生活機能やQOLの維持をすることの大切さを理解する。
③ 人口の高齢化と長寿についてテキストの図(p26~27)を確認しながら理解する。我が国の総人口の年齢別の構成割合の推移や高齢化率の上昇を読み取った上で、高齢化社会、高齢社会、超高齢社会、倍加年数、合計特殊出生率などの用語を理解する。
超高齢社会の課題である医療・社会保障の維持、健康寿命の延伸について理解する。
高齢者のいる世帯の状況から多様化する世帯構成や一人暮らし高齢者の増加についてテキストの図(p29)を確認しながら理解する。
④ 高齢者の健康状態について理解する。高齢者に多い自覚症状、受療の状況、要介護高齢者の割合、死因、死亡場所についてテキストの図表(p30~33)を読み取って理解する。
⑤ 高齢者の経済的な暮らし向き、同居者の有無と居住形態、働くこと、社会とのかかわりについてテキストの図表(p34~36)を読み取って理解する。
キーワード
① 健康寿命 ② 培った生活習慣 ③ 人口の高齢化と長寿 ④ 健康状態 ⑤ 暮らし
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
復習:小テストで間違えた問題をテキストと授業資料で確認する。
予習:次回のコマシラバスを読み分からない語句の下調べを行う。
3
高齢者を支える社会を理解する-保健医療福祉
科目の中での位置付け
老年看護の目標は、高齢者の健康および生活上のリスクを最小限に抑え、その人がもつ可能性を最大限に引き出す援助を通して、本人が望む自律的な生き方の実現と安らかな最期に寄与することである。
本科目は高齢者看護学の入門として、高齢者を中心に、家族、生活環境、医療・福祉制度、介護保険制度など高齢者を取り巻くケアシステムに着目し、「高齢者看護とは何か」を多角的に考察する。
第1回では高齢者の理解、第2回では高齢者の暮らし、第3回では高齢者を支えるケアシステム、第4回では倫理的課題と権利擁護について学ぶ。第5回から第8回では、意思決定支援、エンドオブライフケア、家族看護、介護予防、地域包括ケアおよび多職種連携について理解を深める。
これらを通して、高齢者を生活者として捉える視点を養い、自己の高齢者看護観について考える機会とする。
本コマでは高齢者を支えるケアシステムを理解するために、保健医療福祉制度の変遷、介護保険サービスについて理解する。
北川公子ほか:系統看護学講座 老年看護学、医学書院、2026.
コマ主題細目
① 保健医療福祉制度の変遷 ② 高齢者医療制度の変遷 ③ 介護保険制度の整備 ④ 介護保険施設 ⑤ 地域密着型サービス
細目レベル
① 高齢者保健医療福祉の変遷について理解できることを目標とする。老人福祉法の制定から始まった老人福祉施策を、時代の人口動態から理解する。1960年代の高齢者人口は、その他の世代100人に対して一人の割合であり、医療費や老後の生活費はその他の世代が負担することができていた。高齢者人口の増加とともに疾病者の増加、入院者の増加が顕著となり、少しずつ予防重視の施策へシフトした。また、介護が必要な人が増加したことにより、医療と介護を分けた保険制度に移行した。介護保険制度は介護の問題を社会で支えようとするもので、今の地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みにとって、重要な制度であることを理解する。
② 高齢者の医療制度は、高齢者の増加に伴い様々な施策が実施されているが、医療費の増加など将来的な課題も多いことを理解する。1970年に、わが国は高齢化社会へ突入した。高度経済成長に支えられ、1973年には老人医療支給制度によって老人医療費の無料化が実施された。1970年代後半になると、高齢者の社会的入院が問題視され、医療費の無料化が老人医療費の増大をまねいた。この課題を受け、高齢者の医療費を公平に負担することを目的として、1983年に老人保健法が施行されたが、若者と高齢者の費用負担の関係が不明確であったことから、費用負担のルールを明確にすることが求められた。その結果、2008年に高齢者医療確保法が施行された。このような高齢者医療制度の変遷を理解する。
③ 介護保険制度は2000年から施行され、5年おきの大幅改正が行われ、現在の地域包括ケアシステム実現に向けて、重要な役割を果たしている。介護保険制度は以前の措置制度ではなく、利用者主体の契約で実施される仕組みになっている。介護保険では、介護サービスを受けながら、可能な限り自立した生活を送ることを目ざす自立支援の考え方や、利用者が自分の意思でサービスを決定し、適切なサービスを受けることができる利用者本位が強調されている。介護保険制度においてサービスを提供し、制度を運営する主体は、市町村や特別区である。その理由は、地域ごとで介護の課題が異なるため、各地域の特徴を反映した仕組みを構築する必要があるからであるといった背景を理解したうえで、介護保険サービスと申請から利用までのプロセスや要介護認定の状態区分の特徴を理解する。介護保険法で定められたサービスのみを利用でき、大きく施設サービスと、居宅サービス、地域密着型サービスがあることを理解する。
④ 介護保険施設は要介護者のための生活施設として介護老人福祉施設、リハビリテーションの提供を主として在宅復帰を目指す介護老人保健施設、そして医療処置を必要とする要介護者に対して長期療養と介護を提供する介護医療院の3つがあることを理解する。これら3施設への入所要件となる対象者の要介護度や、3施設の職員配置などを理解する。
⑤ 地域密着型サービスは、2006年の介護保険法改正に伴い創設された。介護が必要な高齢者や認知症高齢者が、できる限り住み慣れた地域で尊厳をもって生活できるためのサービスであることを理解する。認知症対応型共同生活介護(グループホーム)や小規模多機能型居宅介護などのサービスを利用できる。それぞれのサービスの特徴を理解する。
高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正によって新設されたサービス付き高齢者向け住宅は、老人福祉施設や介護保険施設では対象外となっていた介護・経済状態にある高齢者が利用可能であることを理解する。この住宅への入居要件を理解する。さらに、この住宅は、自宅とともに、エイジングインプレイス(aging in place)を実現する、地域包括ケアシステムにおける住宅として役割が期待されていることを理解する。エイジングインプレイスとは「住み慣れた地域で、自分らしく、人生の最期まで暮し続ける」を意味している。
キーワード
① 介護保険制度 ② 介護保険3施設 ③ 地域密着型サービス ④ サービス付き高齢者向け住宅 ⑤ エイジングインプレイス
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
復習:小テストで間違えた問題をテキストと授業資料で確認する。
予習:次回のコマシラバスを読み分からない語句の下調べを行う。
4
高齢者差別と権利擁護
科目の中での位置付け
老年看護の目標は、高齢者の健康および生活上のリスクを最小限に抑え、その人がもつ可能性を最大限に引き出す援助を通して、本人が望む自律的な生き方の実現と安らかな最期に寄与することである。
本科目は高齢者看護学の入門として、高齢者を中心に、家族、生活環境、医療・福祉制度、介護保険制度など高齢者を取り巻くケアシステムに着目し、「高齢者看護とは何か」を多角的に考察する。
第1回では高齢者の理解、第2回では高齢者の暮らし、第3回では高齢者を支えるケアシステム、第4回では倫理的課題と権利擁護について学ぶ。第5回から第8回では、意思決定支援、エンドオブライフケア、家族看護、介護予防、地域包括ケアおよび多職種連携について理解を深める。
これらを通して、高齢者を生活者として捉える視点を養い、自己の高齢者看護観について考える機会とする。
本コマでは高齢者における倫理的課題と権利養護を理解する。
北川公子ほか:系統看護学講座 老年看護学、医学書院、 2026.
コマ主題細目
① 高齢者のための国連原則 ② 高齢者差別と権利擁護 ③ 高齢者虐待 ④ 身体拘束 ⑤ 権利擁護のための制度
細目レベル
① 1991年に国連は、高齢者の自立・参加・ケア・自己実現・尊厳をまもり、実現するために、各国が政策にその精神を取り入れることを期待して、高齢者の保証されるべき姿を高齢者のための国連原則として提示した。これらの原則は、年数は経ているものの、教育や職業、収入、政策への参加から介護まで、世界中で達成すべき目標である。老年看護に携わる者はみずからのケアの場で、自立・参加・ケア・自己実現・尊厳をキーワードに、高齢者が望む生活を送ること、あるいは高齢者が望むような死を迎えることに貢献できるよう自己研鑽をする責務がある。この5つの原則を理解する(テキストp81~83)
② 高齢者差別としてスティグマとエイジズムを、権利擁護としてアドボカシーとノーマライゼーションを理解する。スティグマとは、ある特定の人たちに対して偏見や差別が起こる現象である。高齢者にとっての問題は、高齢者は、身体機能の低下や認知症といった要介護状態のイメージをもたれやすい、本人の能力や希望に関係なく、画一的なイメージによって社会参加や役割を担う機会を奪われると、高齢者は社会的に孤立して自己の価値を見失い、介護や保護の対象で非生産的という偏見・差別に押し込められる。こうしたことが、高齢者の健康やセルフケアを低下させ、真に介護が必要な状態になることを助長しかねない。エイジズムとは年齢という属性で人や集団を差別することである。高齢者に対するエイジズムは、身体機能や認知機能の低下という老いの否定的側面に目を向けさせる。
アドボカシー(権利擁護)とは、社会的に弱い立場にある人の権利が守られるように行動したり、本人の意思を代弁したりすることである。ノーマライゼーションの理念は、障害のある人もない人も互いに支え合って地域でいきいきと明るく豊かに暮らしていける社会を目ざすことである。その実現に向けた取り組みが、バリアフリーやユニバーサルデザインである(テキストp54~55)
③ 高齢者虐待防止法(2006)の成立の背景である。高齢者のための国連原則から介護保険法施行(2000)にかけて、高齢者の尊厳、自立とケアに対する関心が高まるなか、家庭や施設での高齢者虐待が表面化してきた。この深刻な社会問題から高齢者の尊厳と権利を守るために、高齢者虐待防止法が施行された。高齢者虐待防止法では、養護者による高齢者虐待と要介護施設の従事者による高齢者虐待を定めている。この法律では、虐待行為を5つに種別(身体的虐待、介護・世話の放棄・放任、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待)している。高齢者虐待の発生件数は年々増加していることを図(テキストp57)より読み取る。擁護者による虐待と施設従事者の虐待の種別と被虐待者の特徴には相違があることを理解する。また、高齢者虐待の発生要因と求められる対応に関する講義を聴き、虐待を防止するためにどのような対策が考えられるか話し合う(テキストp55~59)
④ 身体拘束とは、ひも・ベルトなどを使って高齢者の体幹や四肢をベッドや椅子に固定して行動の自由を奪うことである。ミトンで手指の動きを制限することや、ベッドを柵で囲って移動を制限することも身体拘束となる、向精神薬などの薬剤を使用して患者の行動・身体運動を抑制することも身体拘束である。身体拘束の弊害として、身体拘束は、点滴などのチューブの自己抜去や転倒転落といった危険から患者を守るためという理由で行われてきた。しかし、身体拘束は人間としての誇りや尊厳を奪うことになり、身体的・精神的な弊害が非常に大きい。また、身体拘束を行う看護職からケアへの誇りや意欲を奪い、医療に対する社会的信頼を失いかねない。2000年の介護保険制度の施行に伴い、介護保険施設などでは身体拘束が禁止された。「身体拘束ゼロ作戦推進会議」は身体拘束ゼロへの手引きで禁止対象となる具体的行為を示した。ケアの工夫だけでは高齢者の生命や身体を保護できないような事態である緊急やむを得ない場合には例外3原則(切迫性・非代替性・一時性)を定め、身体拘束廃止委員会などのチームを設置して検討しなければならない。身体拘束を行う場合には、高齢者の心身の状況、緊急やむを得ない理由、身体拘束の方法・時間の詳細を記録することが義務付けられている。このような適正な手続きを経ていない身体拘束は、原則すべて高齢者虐待に該当する行為と考えられている。以上の身体拘束について理解する(テキストp59~62)
⑤ 権利擁護のための制度として、成年後見制度と日常生活自立支援事業を理解する。成年後見制度は、認知症などが原因で判断能力が低下した人の権利を法的に保護・支援するものである。介護保険制度は、利用者本人の主体的な選択によるサービス利用であるが、利用契約時に判断能力が低下している高齢者は少なくない。また、判断能力の低下した高齢者をねらった不利益な契約や悪徳商法から保護するためにも、成年後見制度の必要性は高まっている。成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があるが、高齢者本人や家族にとっての使いづらさや自治体での整備が進んでいないことなどの理由で、成年後見制度の利用は広がっていない。これに対応するため、成年後見制度利用促進法が策定された。日常生活支援事業は、軽度の認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分な人が、地域での自立した生活を安心して送れるように、福祉サービス利用の援助、日常生活の金銭管理、重要な書類の保管などを支援する。日常生活支援事業は次のような特徴がある。判断能力が不十分な人を対象としているが事業の契約内容を理解できる能力と本人の利用意志が必須であること、家庭裁判所が窓口である成年後見制度よりも身近な社会福祉協議会が窓口となっており、手続きや費用の面で負担が少ないことである。日常生活への不安が軽いうちは日常生活支援事業を利用し、判断能力の低下に応じて成年後見制度を利用できるような切れ目のない連携が模索されている(テキストp62~66)
キーワード
① スティグマとエイジズム ② アドボカシーとノーマライゼーション ③ 高齢者の尊厳と自立 ④ 高齢者虐待と身体拘束 ⑤ 成年後見制度と日常生活自立支援事業
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
習:小テストで間違えた問題をテキストと授業資料で確認する。
予習:次回のコマシラバスを読み分からない語句の下調べを行う。
5
高齢者看護の役割
科目の中での位置付け
老年看護の目標は、高齢者の健康および生活上のリスクを最小限に抑え、その人がもつ可能性を最大限に引き出す援助を通して、本人が望む自律的な生き方の実現と安らかな最期に寄与することである。
本科目は高齢者看護学の入門として、高齢者を中心に、家族、生活環境、医療・福祉制度、介護保険制度など高齢者を取り巻くケアシステムに着目し、「高齢者看護とは何か」を多角的に考察する。
第1回では高齢者の理解、第2回では高齢者の暮らし、第3回では高齢者を支えるケアシステム、第4回では倫理的課題と権利擁護について学ぶ。第5回から第8回では、意思決定支援、エンドオブライフケア、家族看護、介護予防、地域包括ケアおよび多職種連携について理解を深める。
これらを通して、高齢者を生活者として捉える視点を養い、自己の高齢者看護観について考える機会とする。
本コマでは高齢者看護の6つの役割について理解し、紙面事例やDVD事例を通して高齢者に対する意思決定支援について考える。。
北川公子ほか:系統看護学講座 老年看護学、医学書院、 2026.
コマ主題細目
① 高齢者看護の役割 ② 意思決定する力を信頼する
細目レベル
① 高齢者の多様で個別性の高いニーズを把握し、援助の方策を考えるためには、「高齢者」を中心に、「家族」、日々を営む「生活環境」、医療や福祉、介護保険制度など高齢者を取り巻く「ケアシステム」に注目し、いま有効なアプローチはなにかをアセスメントすることである。
老年看護の役割は、上記の4つの視点を組み込んだ6項目であることを理解する(テキストp71~76)。
<6項目>
1.高齢者の意思決定する力を信頼し、人生の統合に向けて支援すること
2.目ざしうる最大の生活機能の回復を促すこと
3.死にいたるプロセスを整えること
4.高齢者の安寧に向けて家族と協力すること
5.他職種チームを構成し、機能させること
6.「住み慣れた場所で最後まで」を実現する地域包括ケアの推進
② 本日の授業の目標は、高齢者の意思決定する力を信頼し、人生の統合に向けて支援することについて考えることができることである。老年期は、どこで、誰と暮らすか、要介護認定を受けるか、また入院に際しては治療方針や転院先の決定など、重要な選択を迫られることが多い時期である。しかし、難聴でよく聞こえない、老眼で文字がよく見えない、説明されたことを十分に理解できないなどの身体的な不具合や認知機能の低下によって自分の意思を形成することや表明すること、実行することに困難さを伴う高齢者は少なくない。紙面事例やDVD事例を通して高齢者に対する意思決定支援について考える。
キーワード
① 高齢者看護とは何か ② 意思決定支援
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
復習:小テストで間違えた問題をテキストと授業資料で確認する。
予習:次回のコマシラバスを読み分からない語句の下調べを行う。
6
エンドオブライフケア
科目の中での位置付け
老年看護の目標は、高齢者の健康および生活上のリスクを最小限に抑え、その人がもつ可能性を最大限に引き出す援助を通して、本人が望む自律的な生き方の実現と安らかな最期に寄与することである。
本科目は高齢者看護学の入門として、高齢者を中心に、家族、生活環境、医療・福祉制度、介護保険制度など高齢者を取り巻くケアシステムに着目し、「高齢者看護とは何か」を多角的に考察する。
第1回では高齢者の理解、第2回では高齢者の暮らし、第3回では高齢者を支えるケアシステム、第4回では倫理的課題と権利擁護について学ぶ。第5回から第8回では、意思決定支援、エンドオブライフケア、家族看護、介護予防、地域包括ケアおよび多職種連携について理解を深める。
これらを通して、高齢者を生活者として捉える視点を養い、自己の高齢者看護観について考える機会とする。
第6回は、高齢者と家族のエンドオブライフケアについて学ぶ。
北川公子ほか:系統看護学講座 老年看護学、医学書院、 2026.
コマ主題細目
① エンドオブライフケア ② 意思決定支援 ③ アドバンスケアプランニング ④ 緩和ケア ⑤ エンドオブライフケアの場
細目レベル
① エンドオブライフケアとは差し迫った死、あるいはいつかは来る死について考える人が、生が終わる時まで最善の生を生きることができるように支援することと定義されている。本人の意思が尊重され、最期まで自分らしく生ききるためには、エンドオブライフケアの始まりを死について考える時点とし、年齢、疾患、健康レベル、生活または療養の場に関係なく、その人が生ききるまでを支えるケアである。そのためには、その人がどのような人生を生き、どのような死生観をもっているのか、また家族は何を求めているのか、を十分に情報収集することが重要である。複雑で多様な死のプロセスをたどる高齢者の終末期のケアを考えることは、超高齢社会の日本では重要である。老年期の発達課題の最期は、自分の人生を満足のいくものだったと総括できること、そして、死を受容することにある。最期の時までその高齢者が最善の生を生きることができるように支えることが高齢者看護の責任であることを理解する(テキスト358~361)
② 人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドラインが2018年に改訂され、人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインに名称が変更された。高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドラインでは、人工的水分補給や栄養補給の導入を選択しなければならなくなった場合に、適切な意思決定プロセスをたどる助けとなる。意思決定を支えるために、医療ケアチームが高齢者自身とその家族の意思を確認しつつ、最大限その意思を尊重するよう活動していくことが求められている反面、高齢者の治療や療養生活の決定において、本人の意思を十分に確認せず、家族と医療職で決めてしまっていること、家族の意向が強く働くこと、本人が遠慮などで人任せであることなどにより、本人の望む生活とは異なる場合があることを、事例を通して理解する(テキスト361~365)
③ アドバンスケアプランニング(ACP)は、将来の意思決定能力の低下に備えて、今後の治療・ケア療養に関する意向、代理意思決定者などについて患者・家族、医療者があらかじめ話しあうプロセスと定義されている。アドバンスケアプランニングの定義とともに、アドバンスディレクティブ(AD:事前指示)、DNAR(心肺停止状態になったとき、心肺蘇生術を行わないとういう意向)、リビングウィル(医療行為への指示を文書で指示すること)の用語を理解する(テキストp365~366)
④ 死が迫っている身体徴候をとらえること、いつもと違うという看護職の感覚を大切に、小さな変化に気づく細心の観察とアセスメントを行い、高齢者の苦痛を最小限にすることが大切であることを事例を通して理解する。高齢者だけでなく家族もケアの対象であることを理解する(テキスト366~368)
⑤ 自宅、居住系施設、介護保険施設におけるエンドオブライフケアの相違を理解する(テキストp368~372)
エンドオブライフケアは、自宅、居住系施設、介護保険施設でそれぞれ異なる特徴を持つ。自宅では、住み慣れた環境で家族と過ごせる利点があるが、医療・介護は訪問サービスに依存し、家族の負担が大きい。急変時の対応が難しく、24時間の医療支援が受けにくい。居住系施設(サービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホーム・グループホームなど)は、介護スタッフが常駐し、訪問診療や訪問看護を組み合わせたケアが可能だが、医療支援は限定的で、施設により看取り対応が異なる。介護保険施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設など)は、医療職が配置され、24時間の介護体制が整い、比較的安心した看取りが可能だが、本人の自由度は低い。それぞれ、自宅は本人の希望を尊重しやすいが医療面で不安、居住系施設は介護と自由度のバランスが取れるが看取り対応は施設による、介護保険施設は医療・介護体制が整うが自由度が低い。本人や家族の希望、医療・介護の必要度を考慮し、適切な選択をすることが重要である。
キーワード
① エンドオブライフケア ② 意思決定支援 ③ アドバンスケアプランニング ④ 緩和ケア ⑤ 看取りの場
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
復習:小テストで間違えた問題をテキストと授業資料で確認する。
予習:次回のコマシラバスを読み分からない語句の下調べを行う。
7
地域における高齢者への看護
科目の中での位置付け
老年看護の目標は、高齢者の健康および生活上のリスクを最小限に抑え、その人がもつ可能性を最大限に引き出す援助を通して、本人が望む自律的な生き方の実現と安らかな最期に寄与することである。
本科目は高齢者看護学の入門として、高齢者を中心に、家族、生活環境、医療・福祉制度、介護保険制度など高齢者を取り巻くケアシステムに着目し、「高齢者看護とは何か」を多角的に考察する。
第1回では高齢者の理解、第2回では高齢者の暮らし、第3回では高齢者を支えるケアシステム、第4回では倫理的課題と権利擁護について学ぶ。第5回から第8回では、意思決定支援、エンドオブライフケア、家族看護、介護予防、地域包括ケアおよび多職種連携について理解を深める。
これらを通して、高齢者を生活者として捉える視点を養い、自己の高齢者看護観について考える機会とする。
第7回は、介護予防、地域包括ケアの推進・多職種連携における看護師の役割、介護家族看護について理解する。
北川公子ほか:系統看護学講座 老年看護学、医学書院、 2026.
コマ主題細目
① 介護予防 ② 地域包括ケアの推進・多職種連携における看護師の役割 ③ 介護家族の看護
細目レベル
① 超高齢社会において、高齢者が自立した生活を維持するためには、介護予防と高齢者の閉じこもり予防が重要である。介護予防とは、身体機能や認知機能の低下を防ぎ、健康寿命を延ばす取り組みであり、適切な運動・栄養管理・社会参加が必要とされる。一方、閉じこもり予防は、高齢者が自宅に引きこもることを防ぎ、地域とのつながりを維持することを目的とする。これは、地域の活動やボランティアの参加促進が鍵となることを理解する。
こうした取り組みを支えるのが、地域共生社会の考え方である。地域共生社会とは、高齢者を含むすべての人が支え合いながら生活できる社会のことであり、自助・共助・公助のバランスが不可欠である。自助は個人が自身の健康管理を行うこと、共助は地域や近隣住民、ボランティアによる支え合い、公助は行政による介護保険や福祉制度の提供を指す。これらの仕組みを組み合わせることで、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できる環境が整い、持続可能な社会の実現につながることを理解する。
② 自宅で暮らす高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を続けるためには、地域包括ケアの推進と多職種連携が不可欠である。地域包括ケアシステムは、高齢者の尊厳を守りながら、自立支援を目指し、医療・介護・生活支援・住まい・介護予防を一体的に提供する仕組みである。その実現には、医師、訪問看護師、ケアマネージャー、介護職、薬剤師、リハビリ専門職など、多職種が協力し合うことが求められることを理解する。
看護師の役割として、訪問看護により高齢者の健康状態を定期的に観察し、異常の早期発見や適切な医療の提供を行うことが挙げられる。また、家族への介護指導や精神的サポートも重要である。さらに、多職種間の連携を円滑にするために、情報共有を積極的に行い、カンファレンスなどで調整役を担う。看護師が中心となり、チーム医療の質を高めることで、高齢者が自宅で安全かつ快適に暮らせる支援体制を整えることを理解する。
③ 高齢者が自宅で安心して生活を続けるためには、介護家族に対する看護の視点を持ち、高齢者本人への援助と同時に介護家族への援助を行うことが重要である。高齢者本人には、適切な健康管理や生活支援、意思決定の支援を行い、自立を促すケアが求められる。一方で、介護を担う家族は、肉体的・精神的負担を抱えることが多く、支援が欠かせないことを理解する。
そのため、介護家族の介護肯定感を高めることが重要であり、看護師は家族の努力を認め、適切なアドバイスを行うことで、介護への自信と意欲を維持できるよう支援する。また、家族の負担を軽減するためにはレスパイトケア(一時的な介護負担の軽減)が有効であり、ショートステイやデイサービスの利用を促すことも看護師の役割である。さらに、多職種と連携しながら、介護家族が孤立せず、地域全体で支え合える環境を整えることが求められる。介護者と高齢者双方のQOLを向上させるために、看護師は包括的な支援を提供することが重要であることを理解する。
キーワード
① 介護予防 ② 地域共生社会 ③ 地域包括ケア ④ 多職種連携 ⑤ 介護家族支援
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
復習:小テストで間違えた問題をテキストと授業資料で確認する。
予習:次回のコマシラバスを読み分からない語句の下調べを行う。
8
高齢者看護とは何か
科目の中での位置付け
老年看護の目標は、高齢者の健康および生活上のリスクを最小限に抑え、その人がもつ可能性を最大限に引き出す援助を通して、本人が望む自律的な生き方の実現と安らかな最期に寄与することである。
本科目は高齢者看護学の入門として、高齢者を中心に、家族、生活環境、医療・福祉制度、介護保険制度など高齢者を取り巻くケアシステムに着目し、「高齢者看護とは何か」を多角的に考察する。
第1回では高齢者の理解、第2回では高齢者の暮らし、第3回では高齢者を支えるケアシステム、第4回では倫理的課題と権利擁護について学ぶ。第5回から第8回では、意思決定支援、エンドオブライフケア、家族看護、介護予防、地域包括ケアおよび多職種連携について理解を深める。
これらを通して、高齢者を生活者として捉える視点を養い、自己の高齢者看護観について考える機会とする。
第8回は、グループワークによる事例分析を通して高齢者看護の役割について考える。
北川公子ほか:系統看護学講座 老年看護学、医学書院、 2026.
コマ主題細目
① 高齢者看護とは何か ② 住み慣れた場所で最期までを実現するために ③ 看護観の深化 ④ 看護師の役割
細目レベル
① これまでの講義の内容を振り返り、実習、看取りの体験などで学んだことも含めて、グループで意見交換し、看護職の役割について知識とイメージを深める。高齢者看護の役割は、高齢者が持つ健康と生活上の可能性を最大限に発揮できるようにすることであり、また、その健康と生活上のリスクや危機を最小限にすることである。さらに、一人ひとりの生きてきた人生を統合し生きてきた時間的な流れと、これから生きていく人への思いを持ちながら自立した生を全うするように支えることにある。老年期を生きる人々の年代の特徴を理解し、若い世代には想像できない経験と時間を積み重ねてきた人の強さを理解し、学ぼうとする姿勢と態度を継続して持つことが、高齢者看護にとって重要であることを理解する。
② 「住み慣れた場所で最期まで」を実現するためには、地域包括ケアシステムの推進と多職種連携が不可欠である。地域包括ケアシステムは、高齢者が可能な限り住み慣れた自宅や地域で生活し続けられるよう、医療・介護・生活支援・住まい・介護予防を一体的に提供する仕組みである。特に、エンドオブライフケアにおいては、訪問診療や訪問看護、ケアマネジャー、薬剤師、理学療法士、介護職などの多職種が協力し、個別性の高いケアを提供することが求められる。円滑な連携のためには、定期的なカンファレンスや情報共有が重要であり、看護師は調整役としての役割を担う。また、家族の意思決定支援や精神的ケアも欠かせない。看護師は地域の資源を把握し、多職種と連携しながら、本人の意向を尊重した看取りを支援することが求められる。地域全体で支える仕組みを構築することで、誰もが住み慣れた場所で最期を迎えられる環境が実現する。
③ グループワークによる事例分析を通して、学生の世代がこれから先の老年期をどのように生きたいか、どのような支援を受けたいか、将来像を描きながら、今の自己の高齢者看護観を深め、広げていく。
④ 高齢者看護は、様々な患者のリスクを背負って日々業務に携わっている。背負うことを放棄したり、簡単、安易に背負うことも許されるものではないことを理解する。様々な身体的、心理的、環境的な状態から、多くのリスクが考えられるが、どちらか一方のみを考えると、何らかの別の危険な状態を招くことになる。患者にとって、何が安全なことで、何が安寧な状態と言えるのか、看護は、高齢者の自立・参加・ケア・自己実現・尊厳(高齢者のための国連原則)の5つの原則を常に念頭に置き、高齢者のリロケーションを支え、高齢者が何を望み、どのような死を迎えたいと考えているのかを考え抜くという責務がある。高齢者の中には、認知症や脳梗塞の後遺症のため、自己表現が難しい人とも出会う。その人の価値を高めるための方法を考えられるようになるため、知識技術、精神面において自己研鑽していくことが高齢者看護を担うものの責務であると認識する。
キーワード
① グループワーク ② 事例分析 ③ 地域包括ケアシステム ④ 高齢者の願い ⑤ 看護師の役割
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
復習:グループワークを振り返って自身の看護観を深める。
試験に向けて:判定指標を確認し、これまでの小テストや配布資料などを見直して試験に臨む。
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
高齢者とはどのようなひとか説明できる。
神経伝導速度、基礎代謝率、細胞内水分量、心係数、肺活量、糸球体濾過率、腎血漿流量、最大呼吸容量が年齢に伴って減少することを説明できる。また、一人で多くの疾患を有している、症状・症候に個人差が大きく、しばしば非定形であるなど、高齢者の疾患の特徴を説明できる。流動性知能、結晶性知能の変化について説明できる。エリクソン、ペック、ハビガーストらによる発達課題と生涯発達の考え方を説明できる。スピリチュアルペインについて説明できる。
高齢者の身体機能、恒常性の4つの力、流動性知能、結晶性知能、発達課題、生涯発達、スピリチュアルペイン
15
1、8
高齢者の暮らしを説明できる。
健康寿命、高齢化社会、高齢社会、超高齢社会、倍加年数、合計特殊出生率などの用語を述べることができる。超高齢社会の課題である医療・社会保障の維持、健康寿命の延伸について説明できる。高齢者に多い自覚症状、受療の状況、要介護高齢者の割合、死因、死亡場所について説明できる。住まい方(世帯、家族機能、一人暮らし、単独世帯)や暮らし(家計、就労、社会との関わり、余暇、希望など)の現状について説明できる。
人口動態、健康寿命、高齢化社会、高齢社会、超高齢社会、倍加年数、合計特殊出生率、受療状況、死因、要介護者、住まい方、暮らし
10
2、8
高齢者を支える保健医療福祉を説明できる。
高齢者を支える高齢者保健医療福祉に関する制度を説明できる。地域包括ケアシステムとは何かを説明できる。介護保険施設3施設の特徴を説明できる。地域密着型サービスで利用できる施設を説明できる。高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正によって新設されたサービス付き高齢者向け住宅の特徴を説明できる。エイジングインプレイスの意味を説明できる。
老人福祉法、老人保健法、ゴールドプラン、新ゴールドプラン、医療制度、介護保険制度、地域包括ケアシステム、地域共生社会、オレンジプラン、新オレンジプラン、認知症施策推進大網、認知症基本法、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、グループホーム、小規模多機能型居宅介護、サービス付き高齢者向け住宅、エイジングインプレイス
20
3、8
高齢者差別と権利擁護を説明できる。
国連の5つの原則(自立・参加・ケア・自己実現・尊厳)を説明できる。スティグマとエイジズム、アドボカシーとノーマライゼーションを説明できる。 高齢者虐待防止法が施行された背景を説明できる。虐待行為の5つの種別(身体的虐待、介護・世話の放棄・放任、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待)を説明できる。擁護者による虐待と施設従事者の虐待の種別と被虐待者の特徴の相違を説明できる。 身体拘束には、どのような行為があるか説明できる。身体拘束の弊害について説明できる。身体拘束例外3原則(切迫性・非代替性・一時性)を説明できる。成年後見制度と日常生活自立支援事業について説明できる。
国連の5つの原則、スティグマ、エイジズム、アドボカシー、ノーマライゼーション、 高齢者虐待防止法、虐待行為、 身体拘束、身体拘束例外3原則、成年後見制度、と日常生活自立支援事業
15
4、8
高齢者看護の役割を説明できる。
高齢者看護の役割を述べることができる。意思決定支援に大切なことを述べることができる。
看護の役割、意思決定支援
10
5、8
高齢者のエンドオブライフケアを説明できる。
エンドオブライフケア、緩和ケア、意思決定プロセスと支援、 アドバンスケアプランニング、アドバンスディレクティブ、DNAR、リビングウィルについて述べることができる。
自宅、居住系施設、介護保険施設におけるエンドオブライフケアの相違を説明できる。
エンドオブライフケア、緩和ケア、意思決定支援、アドバンスケアプランニング、看取り、 自宅・居住系施設・介護保険施設の相違
15
6、8
地域における高齢者看護について説明できる。
超高齢社会において、高齢者が自立した生活を維持するためには、介護予防と閉じこもり予防が重要である。地域共生社会の実現には自助・共助・公助のバランスが不可欠である。自宅で暮らす高齢者には、地域包括ケアの推進と多職種連携が求められる。介護家族への支援として介護肯定感を高める関わりやレスパイトケアの活用を促し、高齢者と介護者双方のQOL向上を目指すことが重要である。看護師は訪問看護や家族支援、調整役を担うなどの役割があることを述べることができる。
介護予防、閉じこもり予防、自助・共助・公助、地域包括ケア、多職種連携、介護肯定感、レスパイトケア
15
7、8
評価方法
期末試験:100%
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
北川公子ほか:系統看護学講座 老年看護学、医学書院、2026.
参考文献
山田律子ほか:生活機能からみた老年看護過程+病態・生活機能関連図、第5版、医学書院、2025.
実験・実習・教材費