区分
(心)心理学専門領域科目 臨床・障害領域 (犯)犯罪心理学基盤科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門的知識と実践的能力
分析力と理解力
地域貢献性
カリキュラム・ポリシーとの関係
課題分析力
課題解決力
課題対応力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。企業・地域社会などのあらゆるコミュニティに寄与する組織的な活動能力を有する。
科目の目的
「健康」は多くの人が興味・関心を抱き,それを望む場合がほとんどである。この領域での心理的支援のひとつは,個人や集団に働きかけ,健康を阻害するリスク要因を取り除き,健康を獲得・維持する要因を増進することである。それに資するため,「健康・医療心理学」についての基本的な知識を学び,そこから自分自身で「健康・医療心理学」について感じたり,考えたりしながら,心理的支援を実践する力を形成することを目的とする。
到達目標
健康・医療心理学についての基本的な知識を習得する。特に,「健康」の概念や,それを支えるわが国の医療モデルについて理解している。また,健康を阻害する要因であるストレスについて,その定義や種類,発生プロセスなどを認識し,コーピングを駆使してマネジメントする方法を理解できている。また,健康を獲得・維持するために,保健活動や医療現場における心理的支援について把握し,自分でも具体的な支援の方法を考えられる。これまで習得した知識を応用し,災害時の緊急場面においても心の専門家として,被災者に対し,どのような心理ケアが必要か理解している。
科目の概要
本科目は,公認心理師を目指す上で必須となる健康・医療に関する基本的な知識や,保健・医療領域におけるさまざまな実践的課題や問題への理解を深める。「健康・医療心理学」は「健康」を維持・獲得するために,心理職としてどのように支援できるのかといった視点を重視する学問である。その土台として,健康を阻害する要因であるストレスや,さまざまな疾患についての知識のほか,医療現場の現状などについても把握しておく必要がある。具体的には,第1回に授業の概観を説明し,健康・医療心理学とはどのような学問なのかを考える。第2回から第4回までは,健康心理学について学び,健康を脅かすストレスと,ストレスの対処法について扱う。第5回から第8回は保健活動における心理的支援,第10回から第14回は医療現場での心理支援について学修する。また,第9回,第15回は授業全体を振り返る復習の回とする予定である。
科目のキーワード
健康,ウェルビーイング,保健,医療,疾病予防,健康行動変容,ストレス,心身医学,災害心理,多職種協働
授業の展開方法
本講義では,パワーポイントを使用して講義を進める。講義毎に授業レジュメを配布するため,学生は,授業レジュメの空欄箇所にパワーポイントの内容を記入し,講義ノートを作成する。授業に関する資料がある場合は適宜配布する。授業の内容によっては,事例を検討する。検討後は,検討事項を共有する。
オフィス・アワー
【月曜日】昼休み【水曜日】昼休み・3・4時限目(会議日は除く)【金曜日】1・2時限目
科目コード
PSC201
学年・期
2年・前期
科目名
健康・医療心理学
単位数
2
授業形態
講義
必修・選択
必須
学習時間
【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
心理学概論 臨床心理学概論
展開科目
精神疾患とその治療
関連資格
公認心理師
担当教員名
米澤由実子
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
オリエンテーション
(健康・医療心理学とは)
科目の中での位置付け
本科目は,公認心理師を目指す上で必須となる健康・医療に関する基本的な知識や,保健・医療領域におけるさまざまな実践的課題や問題への理解を深める。「健康・医療心理学」は「健康」を維持・獲得するために,心理職としてどのように支援できるのかといった視点を重視する学問である。その土台として,健康を阻害する要因であるストレスや,さまざまな疾患についての知識のほか,医療現場の現状などについても把握しておく必要がある。具体的には,第1回に授業の概観を説明し,健康・医療心理学とはどのような学問なのかを考える。第2回から第4回までは,健康心理学について学び,健康を脅かすストレスについて,ストレスの対処法について扱う。第5回から第8回は保健活動による心理支援について,第10回から第14回は医療現場での心理支援について学修する。また,第9回,第15回は授業全体を振り返る復習の回とする予定である。上記のような本科目全体の中で,本コマ(第1回)はオリエンテーションとして健康・医療心理学の意義と基本的事項,科目全体の内容について概観する。
【コマ主題細目①】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.10-19
【コマ主題細目②】
・森和代・石川利江・茂木俊彦(編著)『よくわかる健康心理学』,ミネルヴァ書房,2012年,pp.2-3
【コマ主題細目③】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.10-19
コマ主題細目
① 健康とは ② 健康・医療心理学 ③ 心理職に求められるもの ④ ⑤
細目レベル
① 「健康」とは単に病気を患っていない,ケガをしていない状態を意味するのだろうか。もちろん,病気を患っていないこと,けがをしていないということは「健康」と捉えることは可能である。健康・医療心理学では「健康」を身体面,心理面など様々な側面から考える。そして,「健康」とはどのようなもの(状態)かについて考える。「健康心理学」の目的は,「心理学を健康づくりに応用すること」であり,心理学を基礎に捉え,健康づくりという厚生労働省所轄の行政分野で,医師や看護師・保健師らとともに健康増進法や労働案園衛生法などの法律・省令にアクションプランの実践に関わっている。実践領域として,医療であれば,死因文責から特定疾病などを効果的に予防し,早期に診断・治療する仕組みや実施担当者への実践プログラムの立案や評価。また,当該疾患のステージに応じた療養行動を支援する健康心理プログラムの策定。教育であれば,疾病予防を目的とした健康教育プログラムの開発や,学校内のいじめや不登校を予防するためのストレスマネジメント教育。福祉であれば,種々の発達障害児(者)および家族への健康心理学的支援,地震や災害,事故によるストレスに対する健康心理ケア。産業では労働安全衛生法に従ったストレスに対する対応。司法では,薬物・タバコ・アルコールなどによる犯罪の再犯防止など,それぞれにある。様々な領域の中で「健康」がどのように捉えられているかをしっかりと学ぶ。
② 健康という問題に対して,2つのモデルがある。一つは,病気は生物学的変化だと捉えられ個人のコントロールが不可能と考える生物医学モデル,もうひとつは,病気は生物的,社会的,心理的な複数の要因の交互作用によっておこると考える生物心理社会モデルである。いずれのモデルに基づくかによって病気の予防方法も治療も変わってくる。例えば,うつ病のアセスメントや介入では,まず,生物的側面からは,神経伝達物質がうまく機能していないと考えられ,抗うつ薬などの薬物療法が検討される。一方,心理的側面からは,うつ病の引き金になりやすいとされる否定的な認知や信念が影響している可能性も考えられる。 そのため,治療において認知行動療法などの心理療法を行うことも検討する。また,社会的側面としては,家族や職場など対人関係におけるストレスが高いことや,周囲にサポートとなる存在が乏しいことなどが考えられる。モデルの違いによる予防方法や治療のとらえ方について学ぶ。
③ 「健康・医療心理学」は,もともとは「健康心理学」と「医療心理学」に分かれていたものであり,新たに合体された新しい分野である。この分野で中心となる「健康」について考えていく。世界保健機関(WHO)によると「健康とは,肉体的,精神的及び社会的に完全に良好な状態であり,単に疾病又は病弱の存在しないことではない(ウェルビーイング)」と定義している。例えば,うつ病などの精神疾患で,休職している患者の相談を受けることになったとする。患者の訴え(主訴)としては,職場復帰である。治療や介入によって,職場に復帰することが出来た。しかし,患者は職場復帰ができたことは良かったが,休日の際は患者の好きなことができなかったり,気分が落ち込むことがあるといった場合に「健康」という風に言うことはできるだろうか。患者にとって,ウェルビーイングの状態とはどのような状態なのか,患者自身にとって良い状態にするために,心理学はどのような寄与ができるのかについて考える。
④
⑤
キーワード
① 健康・医療心理学 ② 保健医療 ③ ウェルビーイング ④ 心理職 ⑤ 支援
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習課題:健康心理学に関する理論について復習する。シラバス「第1回」の内容をよく読み,配布された資料や講義内で示された内容を理解する。特にシラバス内に示されているキーワードの5つについて、ある程度簡潔に説明できるよう100字~200字程度にまとめておけるとよい。
予習課題:第1回から第4回までは「健康」について考えていく。予習としては次回のシラバスに書かれているキーワードを調べ、知識として入れておけると理解しやすくなるだろう。また、100歳時代といわれるような長い時間を生きていく。日々の中で、心身の健康を維持することの大切さや、その一方で健康を害するものや気づかずに体調を崩してしまうなど、私たちが取り巻く環境や影響についても考えておけるとよい。
2
健康心理学①
健康のアセスメント
科目の中での位置付け
本科目は,公認心理師を目指す上で必須となる健康・医療に関する基本的な知識や,保健・医療領域におけるさまざまな実践的課題や問題への理解を深める。「健康・医療心理学」は「健康」を維持・獲得するために,心理職としてどのように支援できるのかといった視点を重視する学問である。その土台として,健康を阻害する要因であるストレスや,さまざまな疾患についての知識のほか,医療現場の現状などについても把握しておく必要がある。具体的には,第1回に授業の概観を説明し,健康・医療心理学とはどのような学問なのかを考える。第2回から第4回までは,健康心理学について学び,健康を脅かすストレスについて,ストレスの対処法について扱う。第5回から第8回は保健活動による心理支援について,第10回から第14回は医療現場での心理支援について学修する。また,第9回,第15回は授業全体を振り返る復習の回とする予定である。上記のような本科目全体の中で,本コマ(第2回)は健康に関するアセスメントと支援について学修する。
【コマ主題細目①】一般的心理アセスメント
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.20⁻21
【コマ主題細目②】健康行動アセスメント
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.21⁻26
【コマ主題細目③】行動変容
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.26-37
・森和代・石川利江・茂木俊彦(編著)『よくわかる健康心理学』,ミネルヴァ書房,2012年,pp.26⁻34
コマ主題細目
① 心理アセスメントとは ② 健康行動のアセスメント ③ 健康行動変容と支援 ④ ⑤
細目レベル
① 健康心理学における支援の対象は,心に悩みや問題を抱えた人たちとは限らないのが特徴である。つまり,アセスメントにおいては,病気の治療のためだけでなく,健康の追求など,心身ともに幅広いテーマへの対応が求められる。この分野のアセスメントは大別すると,「健康心理アセスメント」と「健康行動アセスメント」に分けられる。健康心理に対するヒトの認識,ヒトが健康のために行動を起こすことについてアセスメントを行う必要がある。健康の維持や健康増進を目指すのであれば,現状の健康行動の見直し,要は健康行動変容を行う必要がある。健康行動変容に有効となる,計画行動理論と社会的認知理論がある。計画行動理論(Theory of Planned Behavior;TPB)は「人がある行動をとろうとするには意図を必要とする」という理論である。その意図は,行動に対する態度,主観的規範,行動のコントロール感の3つの変数によって説明される。他にも様々な理論がある。「健康心理アセスメント」と「健康行動アセスメント」というはそれぞれ,具体的な内容について学修する。
② 健康の維持増進、疾病予防、QOLやウェルビーイングの向上、ストレス、抑うつなどの心理的問題、不健康なライフスタイル、アルコール依存やギャンブル依存などの行動的問題、生活習慣病などの身体的問題などと多岐にわたる。問題に発展する前に予防することは、健康心理学においてとても重要なテーマとなる。健康維持と増進を目指した一次予防、病気の早期発見および早期治療の二次予防、治療へのアドヒアランスやリハビリテーション活動の維持などにより、後戻りや再発(リラプス)を防ぐ三次予防がある。支援者としてケースに関わる場合、行動をより健康的なものに変え、その行動を維持することによって期待されるアウトカムを得ることが目的となる。だが、様々な要因が複合的に重なっている健康問題に対処するには、より精度の高いアセスメントを行う必要がある。健康行動変容の実践において社会的認知理論、自己効力感などを取り上げ、アセスメントから心理的支援へのプロセスについて学ぶ。
③ 健康心理学における心理的な支援として,健康を獲得・維持するための「健康行動変容」がある。健康行動は,個人の日常生活の中で,さまざまな経験をとおして形成される。たとえ,不健康な行動だとわかっていても(例:食べ過ぎ,運動不足),長年にわたって続けてきた生活習慣を急に変えるのは難しいことである。それが,何かのきっかけで,健康に向けて望ましい方向に変わっていく(行動変容)が起きると,その個人はやる気に満ち,自信にあふれてくると言われている。すなわち,心身ともに健康につながっていることがわかっている。行動変容の心理的枠組みとして,トランスセオレティカルモデル(Transtheoretical Model: TMM)がある。トランスセオレティカルモデルとは,対象者の変化の必要性への気づきのない段階からアプローチし,セルフケア行動獲得へと導くための行動変容法であり,前熟考期:変化の必要性を感じていない段階,熟考期:変化は必要と感じても行動は起こしていない段階,準備期:変わるための準備を始めた段階,実行期:実際に行動を始めた段階,維持期:行動が継続される段階で捉えていく。本授業ではこの「健康行動変容」について学修する。
④
⑤
キーワード
① 健康心理アセスメント ② 健康行動 ③ 自己効力感 ④ 予防 ⑤ 心理的支援
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習課題:健康心理学に関する理論について復習する。シラバス「第2回」の内容をよく読み,配布された資料や講義内で示された内容を理解する。特にシラバス内に示されているキーワードの5つについて、ある程度簡潔に説明できるよう100字~200字程度にまとめておけるとよい。
予習課題:第1回から第4回までは「健康」について考えていく。予習としては次回のシラバスに書かれているキーワードを調べ、知識として入れておけると理解しやすくなるだろう。また、100歳時代といわれるような長い時間を生きていく。日々の中で、心身の健康を維持することの大切さや、その一方で健康を害するものや気づかずに体調を崩してしまうなど、私たちが取り巻く環境や影響についても考えておけるとよい。
3
健康心理学②
ストレスとストレスマネジメント
科目の中での位置付け
本科目は,公認心理師を目指す上で必須となる健康・医療に関する基本的な知識や,保健・医療領域におけるさまざまな実践的課題や問題への理解を深める。「健康・医療心理学」は「健康」を維持・獲得するために,心理職としてどのように支援できるのかといった視点を重視する学問である。その土台として,健康を阻害する要因であるストレスや,さまざまな疾患についての知識のほか,医療現場の現状などについても把握しておく必要がある。具体的には,第1回に授業の概観を説明し,健康・医療心理学とはどのような学問なのかを考える。第2回から第4回までは,健康心理学について学び,健康を脅かすストレスについて,ストレスの対処法について扱う。第5回から第8回は保健活動による心理支援について,第10回から第14回は医療現場での心理支援について学修する。また,第9回,第15回は授業全体を振り返る復習の回とする予定である。上記のような本科目全体の中で,本コマ(第3回)はストレスについて学修する。
【コマ主題細目①】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.38
【コマ主題細目②】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.39ー41
・森和代・石川利江・茂木俊彦(編著)『よくわかる健康心理学』,ミネルヴァ書房,2012年,pp.58-59
【コマ主題細目③】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.41⁻47
コマ主題細目
① ストレスとは ② ストレスのプロセス ③ ストレスマネジメントとは ④ ⑤
細目レベル
① ヒトは特別なイベントがあったり,重要な試験の前にお腹が痛くなったり,頭痛がしたり,体調が悪くなることがあり,その際に「ストレス」を感じていると実感することがある。「ストレス」と聞いてどのようなことをイメージしたり,感じたりするか。自身が普段からストレスを感じる方か,それとも,あまり感じない方か。ストレスとは,外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことである。それでは,具体的に「ストレス」とは何なのだろうか。ストレスに関して,さまざまな概念があるが,生理学者のセリエ(Selye, H.)によれば,「ストレスとは,どのような要求に対しても起こる生体の非特異的反応」と定義している。ストレスを生じさせる刺激を「ストレッサー」,ストレッサーによって生じた心身の影響を「ストレス反応」と言って,区別されている。「ストレッサー」と「ストレス反応」の両方を合わせて「ストレス」と呼ぶ。本授業では,まず,ストレスの基本概念について,学修していく。
② ストレスはどのようにして発生するのだろうか。ストレスは,「ストレッサー」によって生じる。「ストレッサー」とはストレスを感じる原因となるもの/事柄である。しかし,同じ事柄であっても,ストレッサーになる人(ストレスを感じる人)もいれば,ならない人(ストレスを感じない人)もいる。ストレッサーには,(1)物理的ストレッサー(騒音,寒暑,身体への直接的打撃など),(2)化学的ストレッサー(化学物質,薬品,一酸化炭素など),(3)心理社会的ストレッサー(対人関係の軋轢や差し迫った困難など)等がある。さらに,(3)には,①トラウマティック・イベント(災害や犯罪被害など重大な心理的トラウマをもたらす),②ライフ・イベント(身近な人の死,転居,就職,結婚,出産など),③日常苛立ち事(デイリーハッスル;家事,満員電車,家族との関係性など日常的・慢性的・頻繁に生じる),がある。このようなストレスの種類やどのような要因でストレスを感じているのかについて理解する。
③ ストレスは,ストレッサー(事柄)によって生じる。しかし,同じ事柄であっても,ストレッサーになる人(ストレスを感じる人)もいれば,ならない人(ストレスを感じない人)もいる。ストレスの発生プロセスには,個人が事柄に対して何かしらの意味づけを行う認知作業によって刺激はストレッサーとなり,ストレス反応となる。このような認知作用を重視したストレス発生について,ラザルスとフォルクマンは「トランスアクショナル・モデル」を提唱した。ストレスはヒトの認知的作用が影響し,良くも悪くも影響していることが分かっている。心理職として,ストレスがヒトに悪影響を及ぼす場合,そのストレスへどのように対処・支援すればいいのか考えていくことが必要である。もちろん,ストレスは心身の状態に非常に大きな影響を与えるので,ストレスと心と体と,相互的に考えることが重要である。本授業ではストレスへの対処について心と体の相互的に考える視点を学修する。
④
⑤
キーワード
① ストレス ② ストレッサー ③ コーピング ④ ストレスマネジメント ⑤ リラクゼーション
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習課題:健康心理学に関する理論について復習する。シラバス「第3回」の内容をよく読み,配布された資料や講義内で示された内容を理解する。特にシラバス内に示されているキーワードの5つについて、ある程度簡潔に説明できるよう100字~200字程度にまとめておけるとよい。
予習課題:第1回から第4回までは「健康」について考えていく。予習としては次回のシラバスに書かれているキーワードを調べ、知識として入れておけると理解しやすくなるだろう。また、100歳時代といわれるような長い時間を生きていく。日々の中で、心身の健康を維持することの大切さや、その一方で健康を害するものや気づかずに体調を崩してしまうなど、私たちが取り巻く環境や影響についても考えておけるとよい。
4
健康心理学③
ストレスと心身の疾病
科目の中での位置付け
本科目は,公認心理師を目指す上で必須となる健康・医療に関する基本的な知識や,保健・医療領域におけるさまざまな実践的課題や問題への理解を深める。「健康・医療心理学」は「健康」を維持・獲得するために,心理職としてどのように支援できるのかといった視点を重視する学問である。その土台として,健康を阻害する要因であるストレスや,さまざまな疾患についての知識のほか,医療現場の現状などについても把握しておく必要がある。具体的には,第1回に授業の概観を説明し,健康・医療心理学とはどのような学問なのかを考える。第2回から第4回までは,健康心理学について学び,健康を脅かすストレスについて,ストレスの対処法について扱う。第5回から第8回は保健活動による心理支援について,第10回から第14回は医療現場での心理支援について学修する。また,第9回,第15回は授業全体を振り返る復習の回とする予定である。上記のような本科目全体の中で,本コマ(第4回)はストレスから波及する心身の疾病ついて学修する。
【コマ主題細目①】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.38
・金沢吉展(編著)『健康・医療心理学』講談社,2021,pp31⁻34
【コマ主題細目②】
・金沢吉展(編著)『健康・医療心理学』講談社,2021,pp34⁻37
【コマ主題細目③】
・金沢吉展(編著)『健康・医療心理学』講談社,2021,pp37ー46
コマ主題細目
① ストレスと疾病の関係 ② 心身症 ③ ストレスと精神面の不調と疾病 ④ ⑤
細目レベル
① 日常生活でストレッサーが経験され、引き起こされる心身の変化を「ストレス反応」という。ストレス反応は、生体が環境からの脅威に適応するために生理学的にプログラムされてきたものと考えられている。ストレス反応を引き起こす状態が短期間で解消されれば、心身の健康への影響はほとんどないとされている。しかし、ストレッサーが個人の「対処能力」を上回ったり、ストレッサーに対して不適切なコーピングが繰り返されたりすると、ストレス状態は解消されずに長期間継続することになる。このようなストレス状態の長期間の継続は「ストレス反応の慢性化」を招くこととなる。このストレス反応の慢性化が「心理面」や「行動面」、「身体面(心身症)」の不調や疾患(障害)を引き起こす。心身相関の観点から、ストレスと疾病の関係を検討している代表的な研究(Holmes&Raha(1967),Lazarus&Folkman(1984))をとおして、ライフイベントや個人のもつ心理・行動特性や個人が取り巻く環境との相互作用の過程について考える。
② 「首や肩の凝り」や「軽い倦怠感」といった軽度な身体的な症状は、いわゆるストレス状態の初期段階からみられる。しかし、ストレス状態が長期間し、ストレス反応が慢性化すると身体に機能的・器質的変化が生じるとされ、深刻な場合、身体的疾病の発症に至る場合がある。このように、発症と経過に心理的ストレスが関連する身体的疾病は「心身症」と総称される。日本心身医学会(1991)では、心身症を「身体疾患の中で、その発症や経緯に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する」と定義されている。この心身症の定義は、心身症という特別な疾患があるのではないこと、身体疾患においては心身相関が想定されることを意味している。元々の体質やパーソナリティ、取り巻く環境によってストレッサーの個人への影響の強さ、ストレス反応の表出の方法が異なるため、心身症の発症には個人差がみられることについても考える。
③ ストレス状態が長期化し「ストレス反応の慢性化」がみられるようになると、「うつ病」や「バーンアウト」などさまざまな精神面の不調が生じてくる。また、不適切なストレスコーピングの繰り返しは、身体面だけでなく、精神面や行動面に影響し、心身の健康を損なう要因となる。うつ病は、ストレス反応の精神面の不調として現れる代表的な疾患が「うつ病」である。うつ病においても身体症状(頭痛、首や肩の凝り、胃痛、動悸など)は発現するが、心身症とは異なり、精神症状が基本となる。バーンアウト(burnout;燃え尽き症候群)は、過度で持続的なストレスに対処できずに生じた慢性的なストレス反応が要因となっている。バーンアウトに陥ると、慢性的な情緒的疲労感や身体的疲労感、強度なイライラ感などがみられ、仕事が手につかなくなったり、対人関係に回避的になるとされる。最後に、その他のストレス障害(精神面の不調)についても概説し、ストレスが与える影響についての理解と支援を学ぶ。
④
⑤
キーワード
① ストレス ② ライフイベント ③ 心身症 ④ うつ病 ⑤ バーンアウト
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習課題:健康心理学に関する理論について復習する。シラバス「第4回」の内容をよく読み,配布された資料や講義内で示された内容を理解する。特にシラバス内に示されているキーワードの5つについて、ある程度簡潔に説明できるよう100字~200字程度にまとめておけるとよい。
予習課題:第1回から第4回までは「健康」について考えていく。予習としては次回のシラバスに書かれているキーワードを調べ、知識として入れておけると理解しやすくなるだろう。また、100歳時代といわれるような長い時間を生きていく。日々の中で、心身の健康を維持することの大切さや、その一方で健康を害するものや気づかずに体調を崩してしまうなど、私たちが取り巻く環境や影響についても考えておけるとよい。
5
保健活動における心理的支援①
ひきこもり支援と自殺対策
科目の中での位置付け
本科目は,公認心理師を目指す上で必須となる健康・医療に関する基本的な知識や,保健・医療領域におけるさまざまな実践的課題や問題への理解を深める。「健康・医療心理学」は「健康」を維持・獲得するために,心理職としてどのように支援できるのかといった視点を重視する学問である。その土台として,健康を阻害する要因であるストレスや,さまざまな疾患についての知識のほか,医療現場の現状などについても把握しておく必要がある。具体的には,第1回に授業の概観を説明し,健康・医療心理学とはどのような学問なのかを考える。第2回から第4回までは,健康心理学について学び,健康を脅かすストレスについて,ストレスの対処法について扱う。第5回から第8回は保健活動による心理支援について,第10回から第14回は医療現場での心理支援について学修する。また,第9回,第15回は授業全体を振り返る復習の回とする予定である。上記のような本科目全体の中で,本コマ(第5回)はひきこもりや自殺対策について学修する。
【コマ主題細目①】
・古賀恵理子・今井たよか(編者)『健康・医療心理学』ミネルヴァ書房,2022,pp165ー167
【コマ主題細目②】
・古賀恵理子・今井たよか(編者)『健康・医療心理学』ミネルヴァ書房,2022,pp173⁻180
【コマ主題細目③】
・古賀恵理子・今井たよか(編者)『健康・医療心理学』ミネルヴァ書房,2022,pp207ー212
コマ主題細目
① ひきこもり ② ひきこもり支援と多職種連携 ③ 自殺対策とその支援 ④ ⑤
細目レベル
① はじめに「ひきこもり」ついて概観する。ひきこもりとは、「様々な要因の結果として社会的参加を回避し、原則的には6カ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念」(厚生労働省,2010)と定義しており、原則として統合失調症の陽性あるいは陰性症状にもとづく精神病性ひきこもり状態は含まれない。内閣府(2019)の調査結果では、満15歳~39歳の広義のひきこもりの数は約53万人を超えている。また、小・中学校時代でのひきこもりのきっかけは「不登校」「職場になじめなかった」という体験をしていることがわかっている。ひきこもりの長期化と高齢化、そして当事者家族の高齢化も大きな課題となっている。いつか回復するだろうと見守るだけでは、ひきこもりが解消されることは難しく、専門的な支援が必要なケースも多い。そして、ひきこもりが長期化することで、家族との関係悪化、さらに社会参加へのハードルが高くなってしまう等を理解していく必要がある。
② ひきこもり相談のはじまりは、家族からの相談依頼の場合がほとんどである。家族は、本人のひきこもりに対して困り感や将来への不安を感じていることが多い。一方では、終わりのみえないひきこもり状態に、焦りや苛立ちを感じていることもある。また、親も子育てに対する自身を失い、誰にも相談できずに家庭内で抱えてしまい、周囲から孤立しているケースもある。そのような場合には、まずは親や家族の不安を受けとめることが、本人の支援につなげるためにも重要な関わりとなる。
次にひきこもり支援では「来るのを待つ」という姿勢では限界があり、アウトリーチ(訪問支援)やグループワークも重要な役割を果たす。ひきこもりが長期化し、精神疾患や発達障害が疑われる場合や、本人の強迫行為に家族が巻き込まれて身動きできなくなってしまっている場合、激しい家庭内暴力が生じている場合などは、間接的な支援だけでは不十分であり、多職種が連携してその支援にあたる必要があることを学ぶ。
③ 公認心理師は、普段から自殺に関する知識と対応の仕方を身につけ、日常生活・臨床場面を問わず、生死について話をする準備を整えておく必要がある。自殺を防ぐということは、自殺をさせない支援ではなく「生きるという選択」をできるようにする支援である。公認心理師には、生きづらさを軽減しながら、可能な範囲で本人が望む充実した生活を送れるように支援することが望まれる。SOSをキャッチすることがむずかしいケースも多いため、言語的・非言語的な情報に加えて、客観的状況と本人の発言・態度とのギャップにも注意していく必要がある。一方、支援者は「私が何とかしかねれば」と抱え込みやすくなる傾向がある。また、長く支援に関われば関わるほど、支援者側も疲弊するため、支援者もまた支援を受けて、潰れてしまわないようにする必要がある。そして、当事者の周囲にいる家族や支援者なども、当事者にどのように対応して良いのか困っていることも少なくないため、多様な支援について学ぶ。
④
⑤
キーワード
① ひきこもり ② 家族支援 ③ 当事者支援 ④ アウトリーチ ⑤ 自殺対策
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習課題:健康心理学に関する理論について復習する。シラバス「第5回」の内容をよく読み,配布された資料や講義内で示された内容を理解する。特にシラバス内に示されているキーワードの5つについて、ある程度簡潔に説明できるよう100字~200字程度にまとめておけるとよい。
予習課題:第5回~第8回までは「保健」について考えていく。予習としては次回のシラバスに書かれているキーワードを調べ、知識として入れておけると理解しやすくなるだろう。また、人々の健康に直接かかわる「保健」やその後に「医療」について学びを深めていく予定である。人の誕生(妊娠・出産)から成長し、老いていく過程での心身の変化、健康的に生きていくことへの心理支援について日々の中でも考えておけるとよい。
6
保健活動における心理的支援②
依存症、摂食障害
科目の中での位置付け
本科目は,公認心理師を目指す上で必須となる健康・医療に関する基本的な知識や,保健・医療領域におけるさまざまな実践的課題や問題への理解を深める。「健康・医療心理学」は「健康」を維持・獲得するために,心理職としてどのように支援できるのかといった視点を重視する学問である。その土台として,健康を阻害する要因であるストレスや,さまざまな疾患についての知識のほか,医療現場の現状などについても把握しておく必要がある。具体的には,第1回に授業の概観を説明し,健康・医療心理学とはどのような学問なのかを考える。第2回から第4回までは,健康心理学について学び,健康を脅かすストレスについて,ストレスの対処法について扱う。第5回から第8回は保健活動による心理支援について,第10回から第14回は医療現場での心理支援について学修する。また,第9回,第15回は授業全体を振り返る復習の回とする予定である。上記のような本科目全体の中で,本コマ(第6回)は依存症や摂食障害について学修する。
【コマ主題細目①】
・下山晴彦・中嶋義文編集,鈴木伸一・花村温子・滝沢龍編集協力『公認心理師必携 精神医療・臨床心理の知識と技法』,医学書院,2016年,pp.295-304
・福島哲夫(編集責任),尾久裕紀・山蔦圭輔・望月聡・本田周二編集『公認心理師必携テキスト 改訂第2版』,学研メディカル秀潤社,2020年,pp.482
【コマ主題細目②】
・下山晴彦・中嶋義文編集,鈴木伸一・花村温子・滝沢龍編集協力『公認心理師必携 精神医療・臨床心理の知識と技法』,医学書院,2016年,pp.295-304
・福島哲夫(編集責任),尾久裕紀・山蔦圭輔・望月聡・本田周二編集『公認心理師必携テキスト 改訂第2版』,学研メディカル秀潤社,2020年,pp.482
【コマ主題細目③】
・下山晴彦・中嶋義文編集,鈴木伸一・花村温子・滝沢龍編集協力『公認心理師必携 精神医療・臨床心理の知識と技法』,医学書院,2016年,pp.88-92
・福島哲夫(編集責任),尾久裕紀・山蔦圭輔・望月聡・本田周二編集『公認心理師必携テキスト 改訂第2版』,学研メディカル秀潤社,2020年,pp.580-581
コマ主題細目
① 依存とは ② 薬物依存とその支援 ③ 摂食障害とその支援 ④ ⑤
細目レベル
① 保健活動における心理支援として「依存」について学修する。「依存」という健康を阻害するリスク行動に,どのような心理的な支援をしたらよいのか考えていく。「依存」と聞いてどのようなことをイメージするだろうか。「わかっちゃいるけど,やめられない」というのが何かに依存する人たちの心性だと言える。依存には「物質への依存:アルコールや薬物といった精神に依存する物質を原因とする依存症状のこと」,「プロセスへの依存:物質ではなく特定の行為や過程に必要以上に熱中し,のめりこんでしまう症状のこと」,「関係性への依存:夫婦・親子,恋人や愛着等」がある。「物質への依存」と「 プロセスへの依存」,どちらにも共通していることは,繰り返す,より強い刺激を求める,やめようとしてもやめられない,いつも頭から離れないなどの特徴がだんだんと出てくる。本講義にて主に薬物やアルコールに関する「物質への依存」,「プロセスの依存」について学修する。
② 次に依存の中でも「薬物依存」という健康リスク要因について,どのような心理的支援ができるかについて考えていく。あなたは「薬物依存」と聞いて,どのようなことをイメージするだろうか。あるいは,「違法薬物」についてどのようなイメージを持っているだろうか。精神機能に影響する物質(薬物,アルコールなど)は、精神作用物質という。精神作用物質に使用による精神および行動の障害には、精神依存(精神作用物質を自分の意志でやめることができなくなること),身体依存(精神作用物質を中断あるいは減量することで離脱症状が生じること),使用していくことで耐性(通常量でそれまでの効果が得られなくなった状態)がつく。精神作用物質の中止や減量すると様々な身体的精神的症状(離脱症状)が生じる。このように,「薬物依存」に対するイメージや印象を共有し,「薬物依存」について学修し、その支援について考えていく。
③ 保健活動における心理的支援②として「摂食障害」について学修する。「摂食障害」は思春期から青年期(10代~20代)にかけて陥りやすい疾患のひとつと言われている。しかし,年令,性別,社会的,文化的背景を問わず誰でもかかりうる障害である。「摂食障害」とは,厚生労働省によると「食事の量や食べ方など,食事に関連した行動の異常が続き,体重や体型のとらえ方などを中心に,心と体の両方に影響が及ぶ病気をまとめて摂食障害と呼ぶ。」とされている。そして,「器質的あるいは精神的疾患に起因せず,精神的な原因によって,食行動の異常をきたす疾患。体重や体型に対する強いこだわりを認め,体重が増加することを防ぐために食事量の制限,自己嘔吐や不適切な下剤の使用といった行動を認める疾患」と言える。本講義で「摂食障害」についての基本的な理解を深める。
④
⑤
キーワード
① 依存 ② 薬物依存 ③ ダルク ④ 摂食障害 ⑤ 多職種協働
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習課題:健康心理学に関する理論について復習する。シラバス「第6回」の内容をよく読み,配布された資料や講義内で示された内容を理解する。特にシラバス内に示されているキーワードの5つについて、ある程度簡潔に説明できるよう100字~200字程度にまとめておけるとよい。
予習課題:第5回~第8回までは「保健」について考えていく。予習としては次回のシラバスに書かれているキーワードを調べ、知識として入れておけると理解しやすくなるだろう。また、人々の健康に直接かかわる「保健」やその後に「医療」について学びを深めていく予定である。人の誕生(妊娠・出産)から成長し、老いていく過程での心身の変化、健康的に生きていくことへの心理支援について日々の中でも考えておけるとよい。
7
保健活動における心理的支援③
認知症と高齢者支援
科目の中での位置付け
本科目は,公認心理師を目指す上で必須となる健康・医療に関する基本的な知識や,保健・医療領域におけるさまざまな実践的課題や問題への理解を深める。「健康・医療心理学」は「健康」を維持・獲得するために,心理職としてどのように支援できるのかといった視点を重視する学問である。その土台として,健康を阻害する要因であるストレスや,さまざまな疾患についての知識のほか,医療現場の現状などについても把握しておく必要がある。具体的には,第1回に授業の概観を説明し,健康・医療心理学とはどのような学問なのかを考える。第2回から第4回までは,健康心理学について学び,健康を脅かすストレスについて,ストレスの対処法について扱う。第5回から第8回は保健活動による心理支援について,第10回から第14回は医療現場での心理支援について学修する。また,第9回,第15回は授業全体を振り返る復習の回とする予定である。上記のような本科目全体の中で,本コマ(第7回)は認知症と高齢者への支援ついて学修する。
【コマ主題細目①】
・古賀恵理子・今井たよか(編者)『健康・医療心理学』ミネルヴァ書房,2022,pp181⁻184
【コマ主題細目②】
・古賀恵理子・今井たよか(編者)『健康・医療心理学』ミネルヴァ書房,2022,pp185⁻192
【コマ主題細目③】
・古賀恵理子・今井たよか(編者)『健康・医療心理学』ミネルヴァ書房,2022,pp193⁻196
コマ主題細目
① 高齢者とは ② 認知症とは ③ 高齢者と認知症患者への支援について ④ ⑤
細目レベル
① 高齢者にかかわる際に、まず気をつけなければならないのは、身体機能の変化である。私たちは、生まれてから絶えず成長し、変わり続けている。高齢期に至ると髪が白くなり、背中が曲がるなどの外的な変化と、手元が見えにくくなる、耳が遠くなる、物忘れが出てくるなどの機能的な変化が生じてくる。このように感覚機能・運動機能など、自分の体であるとわかっていても思うように動かない、動けない、気づかないなどが生じてくる。このような高齢者の体の変化を捉えて理解していくことから始める。
また、若い時にはできたことが次第に難しくなっていき、誰かの手を借りるということも生じてくる。高齢者の心理的特徴としては、いつの間にかできなくなっているという衝撃の日々にさらされるようになり、人としての尊厳や自信が少しずつ削られる体験が増えていくとされる。これまでの生きてきた時間を振り返るようになり、残る時間をどう自分らしく生きていくのかがとても大切なこととなる。
② 認知機能とは、注意機能・遂行機能・視空間認知機能、判断、記憶、学習、言語など、情報収集および処理能力を指す。高齢期には身体的機能の低下が進むのと同じように、脳機能の低下が生じる。よく知られているのは、言いたい言葉が浮かばすに「あれ、あれ」と言ったり、新しい物(家電など)を買ったはよいが使い方がわからない、覚えても忘れやすいなどの「物忘れ」である。
認知症のアセスメントには「認知機能のスクリーニング検査」が活用されることが多い。代表的なものは「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」「MMSE(Mental State Examination)」などがある。
認知症の種類には「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭葉変性症」「血管性認知症」がある。また、65歳未満で発症した場合は「若年性認知症」とされる。大切なことは、認知症は高齢者だけの疾患ではないことも覚えておく必要がある。症状の特徴やアセスメントなどを整理しながら学んでいく。
③ 私たちはどのように年を重ね、老いていくとよいのだろうか。この100年で高齢者の置かれた立場もその像も大きく変化している。平均寿命は約20年弱ほど伸びた一方で、核家族も増えている。子どもたちと同居する家族は少なくなり、高齢者の一人暮らし世帯が増加している。①高齢者について学んだように、体の変化や認知機能の低下などが生じていく。介護が必要となった場合、自宅で家族が介護をするか、病院や老人ホームを利用することになる。2000年に介護保険制度が施行され、高齢者が要介護状態になってもその人らしく地域で暮らせることを目的に「地域包括支援センター」が設置された。ここでは「地域住民が住み慣れた地域で安心して尊厳あるその人らしい生活を継続することができるように、介護保険制度による公的サービスのみならず、その他のフォーマルやインフォーマルな多様な社会資源を本人が活用できるように、包括的および継続的に支援する」ための地域包括ケアについても考える。
④
⑤
キーワード
① 高齢者 ② アルツハイマー型認知症 ③ 若年性認知症 ④ HDS-R ⑤ 地域包括ケアシステム
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習課題:健康心理学に関する理論について復習する。シラバス「第7回」の内容をよく読み,配布された資料や講義内で示された内容を理解する。特にシラバス内に示されているキーワードの5つについて、ある程度簡潔に説明できるよう100字~200字程度にまとめておけるとよい。
予習課題:第5回~第8回までは「保健」について考えていく。予習としては次回のシラバスに書かれているキーワードを調べ、知識として入れておけると理解しやすくなるだろう。また、人々の健康に直接かかわる「保健」やその後に「医療」について学びを深めていく予定である。人の誕生(妊娠・出産)から成長し、老いていく過程での心身の変化、健康的に生きていくことへの心理支援について日々の中でも考えておけるとよい。
8
保健活動における心理的支援④
災害支援
科目の中での位置付け
本科目は,公認心理師を目指す上で必須となる健康・医療に関する基本的な知識や,保健・医療領域におけるさまざまな実践的課題や問題への理解を深める。「健康・医療心理学」は「健康」を維持・獲得するために,心理職としてどのように支援できるのかといった視点を重視する学問である。その土台として,健康を阻害する要因であるストレスや,さまざまな疾患についての知識のほか,医療現場の現状などについても把握しておく必要がある。具体的には,第1回に授業の概観を説明し,健康・医療心理学とはどのような学問なのかを考える。第2回から第4回までは,健康心理学について学び,健康を脅かすストレスについて,ストレスの対処法について扱う。第5回から第8回は保健活動による心理支援について,第10回から第14回は医療現場での心理支援について学修する。また,第9回,第15回は授業全体を振り返る復習の回とする予定である。上記のような本科目全体の中で,本コマ(第8回)は災害支援について学修する。
【コマ主題細目①】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2018年,pp.188-189
【コマ主題細目②】
・福島哲夫(編集責任),尾久裕紀・山蔦圭輔・望月聡・本田周二編集『公認心理師必携テキスト 改訂第2版』,学研メディカル秀潤社,2020年,pp.384-392
【コマ主題細目③】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2018年,pp.192-198
コマ主題細目
① 災害時の心理 ② 災害時の心理的ケア ③ 災害時支援の具体例 ④ ⑤
細目レベル
① 災害時における心理的支援について学修する。わが国は災害大国と言われ,地震などは頻発している。災害は突然発生するものであるゆえ,人々に与える心理的な影響はさまざまである。特に,被災者にとっては恐怖体験や喪失体験なども重なり,非常に大きく深く心に影響を与える。負傷者は死の恐怖を乗り越えて生き延びた後も,余震(地震の場合)を恐れて過覚醒状態が続く。この経験によって,種々の精神症状を生みやすい。さらに,慣れない避難所での生活によるストレス症状や疲労感なども加わる。こうした災害時の心理状態は,(1)急性ストレス障害(ASD;acute stress disorder)~災害などによって恐怖や喪失など,トラウマになるような圧倒的な出来事(外傷体験;traumatic experience)を経験してまもなく始まり,1カ月未満で消失する日常生活に支障をきたす強く不快な反応(例;過覚醒,不安,混乱,悲嘆感,憂うつなど),(2)心的外傷後ストレス障害(PTSD;post traumatic stress disorder)~外傷体験を経験して1カ月以上持続する場合(例;フラッシュバック~心的外傷的出来事が再び起こっているように感じる,パニック症状~強い不安状態の表れ),などがある。こうし災害をた基本的な事柄について理解を深める。
② 事故や災害など心に大きな衝撃を与える出来事を経験した人をケアするために構成された,心理的支援法の1つ。被災直後の急性期心理的応急処置(サイコロジカル・ファーストエイドPsychological First Aid; PFA)や中期的な支援など様々な対応が必要である。WHOによると心理的応急処置は「苦しんでいる人,助けが必要かもしれない人に,同じ人間として行う,人道的,支持的な対応のこと」と定義されている。災害時の救急集団外傷への対応として,過去の災害(阪神淡路大震災や東日本大震災)を経験し,医師,看護師,業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成された,専門的な訓練を受けた医療チーム,害派遣医療チーム(DMAT:disaster medical assistance team,ディーマット),各地域において大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場で,急性期(おおむね48時間以内)の身体的な問題に対して活動している。自然災害や航空機・列車事故,犯罪事件などの集団災害の後,被災地域に入り,精神科医療および精神保健活動の支援を行う専門的なチーム,災害派遣精神医療リーム(DPAT:disaster psychiatric assistance team,デーパット)が設置されている。これらの対応や活動内容についても知っておく。
③ 災害時に必要な心理的なケアについて説明する。災害時,被災者は,恐怖体験や喪失体験などによって強いストレス状態である。災害後72時間は生命の危機管理が優先されるが,その後は,生活復旧支援と,メンタルヘルスのためのストレス・マネジメントに重点が置かれる。災害後72時間が過ぎると,生き残った人々が緊急避難所などでの生活に慣れ,余震や避難生活への不満,復旧・復興への不安など新たなストレスが生まれやすい。中長期の心理支援では,発災前から精神疾患を有する患者の医療機関への受診困難による症状の増悪,ストレス関連障害への対応,アルコールの問題,自殺の問題,支援者支援の問題などがある。この流れについて,詳しく学ぶ。最後に,こうした極限の状態にある被災者に対し,心理職としてどのような支援ができるのだろうか。事例をもとに,被災者の心のケアについて考えていく。被災者の心理はとても敏感になっている。被災者のさまざまな状況をきちんと把握した上で,どのような配慮が必要であり,心理的な支援ができるのか,話し合う。
④
⑤
キーワード
① 急性ストレス障害 ② 外傷後ストレス障害 ③ フラッシュバック ④ ストレスマネジメント ⑤ 心理的応急措置
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習課題:健康心理学に関する理論について復習する。シラバス「第8回」の内容をよく読み,配布された資料や講義内で示された内容を理解する。特にシラバス内に示されているキーワードの5つについて、ある程度簡潔に説明できるよう100字~200字程度にまとめておけるとよい。
予習課題:次回は「前半のまとめ」を行う予定である。この機会に第1回~第4回までの「健康」、第5回~第8回までの「保健」についての学びを振り返っておけると良いだろう。後半にあたる第9回~14回は「医療心理学」について学んでいく。日々の生活の中でも、周産期医療、児童精神、精神科医療等についても関心を持っておけると、学んだときに実感しやすくなるだろう。
9
前半のまとめ
科目の中での位置付け
本科目は,公認心理師を目指す上で必須となる健康・医療に関する基本的な知識や,保健・医療領域におけるさまざまな実践的課題や問題への理解を深める。「健康・医療心理学」は「健康」を維持・獲得するために,心理職としてどのように支援できるのかといった視点を重視する学問である。その土台として,健康を阻害する要因であるストレスや,さまざまな疾患についての知識のほか,医療現場の現状などについても把握しておく必要がある。具体的には,第1回に授業の概観を説明し,健康・医療心理学とはどのような学問なのかを考える。第2回から第4回までは,健康心理学について学び,健康を脅かすストレスについて,ストレスの対処法について扱う。第5回から第8回は保健活動による心理支援について,第10回から第14回は医療現場での心理支援について学修する。また,第9回,第15回は授業全体を振り返る復習の回とする予定である。上記のような本科目全体の中で,本コマ(第9回)はこれまでの第1回~第8回までの講義の復習とまとめを行う。
【コマ主題細目①】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.10⁻19
【コマ主題細目②】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.38ー47
【コマ主題細目③】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.2-9,146ー195
コマ主題細目
① 健康とは ② ストレスについて ③ 保健活動のおける支援について ④ ⑤
細目レベル
① これまでの第1回~第8回までの講義の復習とまとめを行う。まず「健康・医療心理学」の大きなテーマである「健康」と「保健」をもう一度振り返る。「健康」は,基本的には「ウェルビーイング(well-being)」の状態であるが,それを獲得したり,維持したりするのは大変難しいことである。わが国における健康問題がどのような変遷をたどり,疾病構造がどのように変化したのか,復習する。また,健康心理学におけるアセスメントと支援は,どういった目的で行われているのであろうか。それは通常のアセスメントとはどう異なったのかを振り返る。健康心理学におけるアセスメントとは,治療のためだけでなく,健康の追求など,心身ともに幅広いテーマへの対応が求められる。したがって,対象者も疾患を抱えた人たちだけではなく,健康な人の場合もある。こうした点について,復習を行う。
② 健康を阻害する要因である「ストレス」の定義や種類,発生プロセスなどについて,理解を深める。ストレスとは,「どのような要求に対しても起こる生体の非特異的反応」と定義され,ストレッサーとストレス反応に分かれることを学修している。また,ストレスは,パーソナリティとも大きく関わりを持って,心身への悪影響(たとえば,病気)を引き起こす点,ストレッサーを処理するために意識的に行われる行動および思考とするストレス・コーピングがあり,これは,「問題焦点型コーピング」と「情動焦点型コーピング」に大別される。前者の「問題焦点型コーピング」は,問題解決に特化しており,目前の課題に対し,有効な手段を考え,問題となるストレッサーに対して直接的な働きかけを行うとされている。など「ストレスと心身との関係」について,包括的に復習を行う。
③ 保健活動における心理的支援では、健康をサポートする支援活動としての視点と予防という観点から①では「ひきこもり」と「自殺対策」、②では「依存症」「摂食障害」、③では「認知症」「高齢者支援」、④では「災害支援」について学んできた。当事者やその家族の支援について振り返り、これまでの学びが深まるように整理していく。また、当事者やその家族を支援していくには、公認心理師一人では限界がある。他職種との連携は欠かせない。他職種の専門性を理解し、当事者やその家族のニーズを理解し、アセスメントによるしっかりとした見立がとても重要となる。
次の回からは医療心理学について学びはじめるため、ここで前半を総括して振り返ることで、さらに医療機関やその関連機関との連携についても学びやすくなることが期待できる。一次予防、二次予防、三次予防の視点と、生活習慣やストレスの影響などもこの機会に振り返っていく。
④
⑤
キーワード
① 予防 ② ストレス ③ 依存 ④ 高齢者 ⑤ 災害支援
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習課題:健康心理学に関する理論について復習する。シラバス「第9回」の内容をよく読み,配布された資料や講義内で示された内容を理解する。特にシラバス内に示されているキーワードの5つについて、ある程度簡潔に説明できるよう100字~200字程度にまとめておけるとよい。
予習課題:第10回~第14回までは「医療」について考えていく。予習としては次回のシラバスに書かれているキーワードを調べ、知識として入れておけると理解しやすくなるだろう。また、「医療」についての学びを終えると、「健康・医療心理学」のすべての学びを終えることになる。定期試験に向けて、配布プリントやシラバスの内容やキーワードを振り返っておけるとよいだろう。
10
医療現場における心理的支援①母子の支援と周産期医療
科目の中での位置付け
本科目は,公認心理師を目指す上で必須となる健康・医療に関する基本的な知識や,保健・医療領域におけるさまざまな実践的課題や問題への理解を深める。「健康・医療心理学」は「健康」を維持・獲得するために,心理職としてどのように支援できるのかといった視点を重視する学問である。その土台として,健康を阻害する要因であるストレスや,さまざまな疾患についての知識のほか,医療現場の現状などについても把握しておく必要がある。具体的には,第1回に授業の概観を説明し,健康・医療心理学とはどのような学問なのかを考える。第2回から第4回までは,健康心理学について学び,健康を脅かすストレスについて,ストレスの対処法について扱う。第5回から第8回は保健活動による心理支援について,第10回から第14回は医療現場での心理支援について学修する。また,第9回,第15回は授業全体を振り返る復習の回とする予定である。上記のような本科目全体の中で,本コマ(第10回)は母子の支援と周産期医療ついて学修する。
【コマ主題細目①】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.48⁻50
【コマ主題細目②】
・古賀恵里子・今井たよか(編者)『健康・医療心理学』,ミネルヴァ書房,2022年,pp67⁻71
【コマ主題細目③】
・古賀恵里子・今井たよか(編者)『健康・医療心理学』,ミネルヴァ書房,2022年,pp67⁻71
コマ主題細目
① 医療心理学とは ② 妊娠・出産・育児の支援 ③ 周産期医療について
細目レベル
① 「医療心理学とは何か」について学修する。これまでの「健康心理学」とはどういった点が異なるのか,医療心理学の歴史や,「臨床心理学」との関連などをふまえて考えていく。医療心理学とは,医療における人の行動の全人的理解を目的としており,心理学,行動科学や行動医学の領域を含んだ包括的な学問である。具体的には,患者のみならず,患者を支える家族,遺族,更には医療従事者がその対象となる。医療領域における心理臨床では,メンタルヘルスケアを中心とした貢献,単に,精神症状やストレスのみではなく,情緒的な問題・ストレス,日常生活の問題,社会適応上の問題,病気や治療に伴う様々な生活上の問題への支援も担う。身体疾患(悪生新生物(がん),難病,糖尿病など),精神疾患(発達障害,双極性障害,統合失調症など)は,経過が一時的もしくは慢性化するものがあり,継続的な支援を行う必要がある。医療機関における心理職の役割ではどのような役割があるのか,または求められているのかについても考えていく。
② 成人すれば結婚し、出産(子どもを持つ)ことが当たり前と思われてきた時代がある。現在は、自分の生き方に応じて結婚するか、子どもをもつかを選択し、その家族としての在り方も様々にある。その一方で、日本では晩婚化が進み、初産の平均年齢は30歳を超えている。核家族が増える中で、子育ては夫婦中心となってきている。また子どもを求めても「不妊」のため不妊治療を受けるカップルも少なくない。妊娠したとしても、経過が順調とは限らない。「出生前診断」の結果によって中絶を選択することもある。無事に生まれても2500g未満で生まれてくる低出生体重児で、何らかのリスクを伴う場合は「新生児集中治療室(NICU)」に入院となる。出生にまつわる医療とその支援について学んでいく。
③ 不妊治療は、昔と比べて一般的なものとなってきたが、経済的・身体的な負担も大きい。子どものいる生活・子どものいない生活をどう受け止めて、家族なりの物語を紡いでいくことを支えるために、生殖補助医療技術の知識をもったうえで心のケアを担う、生殖心理カウンセラーが増えてきている。新生児医療の場では、医師、看護師、公認心理師をはじめとした心理専門職、社会福祉士、理学・作業療法士、保育士、保健師など多様な職種がかかわり、チームとして赤ちゃんや家族を支えるような支援が行われている。心理専門職は、日常的にNICUの中にいて、赤ちゃんの面会に来ている家族にベットサイドで声をかけ、親の想いや赤ちゃんからのメッセージを読み取る支援をしていく。
キーワード
① 医療心理学 ② 周産期医療 ③ 低出生体重児 ④ NICU ⑤ 多職種連携
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習課題:医療心理学に関する理論について復習する。シラバス「第10回」の内容をよく読み,配布された資料や講義内で示された内容を理解する。特にシラバス内に示されているキーワードの5つについて、ある程度簡潔に説明できるよう100字~200字程度にまとめておけるとよい。
予習課題:第10回~第14回までは「医療」について考えていく。予習としては次回のシラバスに書かれているキーワードを調べ、知識として入れておけると理解しやすくなるだろう。また、「医療」についての学びを終えると、「健康・医療心理学」のすべての学びを終えることになる。定期試験に向けて、配布プリントやシラバスの内容やキーワードを振り返っておけるとよいだろう。
11
医療現場における心理的支援②小児科・児童精神科
科目の中での位置付け
本科目は,公認心理師を目指す上で必須となる健康・医療に関する基本的な知識や,保健・医療領域におけるさまざまな実践的課題や問題への理解を深める。「健康・医療心理学」は「健康」を維持・獲得するために,心理職としてどのように支援できるのかといった視点を重視する学問である。その土台として,健康を阻害する要因であるストレスや,さまざまな疾患についての知識のほか,医療現場の現状などについても把握しておく必要がある。具体的には,第1回に授業の概観を説明し,健康・医療心理学とはどのような学問なのかを考える。第2回から第4回までは,健康心理学について学び,健康を脅かすストレスについて,ストレスの対処法について扱う。第5回から第8回は保健活動による心理支援について,第10回から第14回は医療現場での心理支援について学修する。また,第9回,第15回は授業全体を振り返る復習の回とする予定である。上記のような本科目全体の中で,本コマ(第11回)は小児科・児童精神科について学修する。
【コマ主題細目①】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.118ー123
・古賀恵里子・今井たよか(編者)『健康・医療心理学』,ミネルヴァ書房,2022年,pp85ー95
【コマ主題細目②】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.118ー123
【コマ主題細目③】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.77ー81
コマ主題細目
① 子どもと家族のアセスメント ② 小児科領域での支援 ③ 児童精神科での支援
細目レベル
① 子ども時代は、心身の変化が急激に起こり、人との関わりの影響を受けやすい時期でもある。子どもの権利や子どもの心身の発達に関する基礎知識を持つことが、より良い支援を組み立てるためにも必要となる。まだ十分に言葉で自分の想いや考えを伝えることが難しい子どもの非言語的なメッセージを理解することも大切である。子どもの心理発達のアセスメントでは、主なものに検査法・観察法・面接法がある。子どもとその家族(保護者)のアセスメントでは、リスクマネジメントの視点として、子どもの心身の発達を阻害する危険性はないか、家庭内暴力(DV)やいじめの問題がないかなど、場合によってはその解決のために他職種や他機関と連携し、その手立てを検討する必要がある。
② 小児科病院は、1802年にフランスのパリで孤児院の一部として15歳までの子どもを診療した小児患者病院が最初であるといわれている。近年は小児科の中でも神経、血液・腫瘍、循環器などの専門班や小児外科、小児歯科などの分類がある。このような病の相談・治療の他にも、2500g未満の子どもの発達経過をみていく低出生体重児フォローアップや、言語発達の遅れ、てんかん、起立性調節障害などの身体疾患、不登校、適応障害などの治療にあたっている。小児医療では多くの場合、保護者が子どもの訴えを代弁することから始まるが、最初の訴えは多種多様である。だが、この主訴が保護者に子どもにとっての困り感や現状が不適切であることに気づかせてくれることもある。子どもと保護者の支援、外来に通院している子どもだけではなく小児病棟に入院している子どもへの支援も学ぶ。
③ 児童精神領域では,乳幼児期から18歳未満の思春期・青年期までの子どもの精神的な疾患や発達障害を扱う。日本での時代的背景としては,1950年代に入り,日本で初めて「幼児自閉症」の報告が注目を浴びるようになった。同時に「学校恐怖症(当時の名称。対人恐怖の一つ)の病理が理解されるようになり,児童青年精神医学への関心が高まる。一般的には,1995年阪神淡路大震災による災害を受けた子どもの精神保健に対する関心が広がった。2008年に厚生労働省より「児童精神科」が標榜科目にとして認められた。背景には,発達障害の認識の広がりのため,2005年に発達障害者支援法の施行が考えられる。また,家庭環境や養育状況の時代的な変化,子どもの虐待の問題のクローズアップされるようになった。まずは,対象年齢や法的背景など基本的な内容から学修する。
キーワード
① 心理検査 ② 発達障害 ③ 児童精神科 ④ 保護者支援 ⑤ 入院治療
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習課題:医療心理学に関する理論について復習する。シラバス「第11回」の内容をよく読み,配布された資料や講義内で示された内容を理解する。特にシラバス内に示されているキーワードの5つについて、ある程度簡潔に説明できるよう100字~200字程度にまとめておけるとよい。
予習課題:第10回~第14回までは「医療」について考えていく。予習としては次回のシラバスに書かれているキーワードを調べ、知識として入れておけると理解しやすくなるだろう。また、「医療」についての学びを終えると、「健康・医療心理学」のすべての学びを終えることになる。定期試験に向けて、配布プリントやシラバスの内容やキーワードを振り返っておけるとよいだろう。
12
医療現場における心理的支援③
心療内科・精神科
科目の中での位置付け
本科目は,公認心理師を目指す上で必須となる健康・医療に関する基本的な知識や,保健・医療領域におけるさまざまな実践的課題や問題への理解を深める。「健康・医療心理学」は「健康」を維持・獲得するために,心理職としてどのように支援できるのかといった視点を重視する学問である。その土台として,健康を阻害する要因であるストレスや,さまざまな疾患についての知識のほか,医療現場の現状などについても把握しておく必要がある。具体的には,第1回に授業の概観を説明し,健康・医療心理学とはどのような学問なのかを考える。第2回から第4回までは,健康心理学について学び,健康を脅かすストレスについて,ストレスの対処法について扱う。第5回から第8回は保健活動による心理支援について,第10回から第14回は医療現場での心理支援について学修する。また,第9回,第15回は授業全体を振り返る復習の回とする予定である。上記のような本科目全体の中で,本コマ(第12回)は心療内科、精神科、入院治療について学修する。
【コマ主題細目①】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.106ー110
【コマ主題細目②】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.72ー76
【コマ主題細目③】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.82ー87,111ー115
コマ主題細目
① 心療内科とは ② 精神科とは ③ コンサルテーション・リエゾン ④ ⑤
細目レベル
① 心療内科医療とは一体何なのか。「心療内科」の語源は,一般的な内科治療に心理療法を加え治療を進める診療科という意味である。つまり,身体面+心理社会的側面などを含めて全人的に治療しようとすることである。日本の心身医学の特徴として,心身医学の第一人者で張った池見医師が消火器を専門とする内科医であったために,内科医を中心としたチーム医療であり,心身医学は心理職のとの親和性が強い。この領域は,「心身相関」の視点に立った「心身医学」の知識が必須となる。身体疾患と心理社会的因子との関連性のことを「心身相関」という。心身医学的な捉え方として,(1)ストレスにより身体疾患が発症,再燃,悪化,持続する群(狭義の心身症),(2)身体疾患に起因する不適応を引き起こしている群,(3)身体疾患の治療・管理への不適応を起こしている群,の3群に分けられる。
② 精神科病床とは「精神疾患を有する者を入院させるため」の病床(医療法第7条)のことである。精神科病院は精神科医療の中核を担う施設であり,外来診療も提供している。2017年3月末には,全国に病院8,439施設存在し,うち精神科病棟は1,061施設,病床数は33万3550床ある。開業者別にみると,約90%が医療法人など民間立となっている。精神疾患は目に見えにくく,直接理解しにくい。偏見,スティグマ(社会的烙印)を持たれやすい。1987年に患者の人権を中心に据えた「精神保健法」が制定され,1995年に現行法「精神保健及び精神障害福祉に関する法律(精神保健福祉法)」が制定された。そして, 精神科医療は,入院治療から地域生活中心へ変遷している。まずは,法令や歴史的経緯をふまえて理解していく。特に,精神保健福祉法については重要であるため,しっかりと学修する。
③ 精神の病から入院での治療をすることもあるが、それ以外での入院しながらの治療を必要とするケースがある。例えば身体疾患で入院した場合、通常の生活や家族・仕事などから離れて病院環境に適応していかなければならない。その際に精神的問題が生じ、神経疾患が併発する場合がある。そのため入院治療における精神科の果たす役割は大きい。コンサルテーション(consultation)とは、ある領域の専門的知識や技能を有している専門家がそれ以外の者から相談に応じることである。リエゾン(liaison)は「橋渡し」や「連携」の意味があり、身体疾患の患者の精神的問題に対して、身体科スタッフと連携して精神科専門職が発生予防を含めた精神医療を提供することである。心理職がその中で果たす役割について学ぶ。
④
⑤
キーワード
① 心療内科 ② 精神科 ③ 入院治療 ④ コンサルテーション ⑤ リエゾン
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習課題:医療心理学に関する理論について復習する。シラバス「第12回」の内容をよく読み,配布された資料や講義内で示された内容を理解する。特にシラバス内に示されているキーワードの5つについて、ある程度簡潔に説明できるよう100字~200字程度にまとめておけるとよい。
予習課題:第10回~第14回までは「医療」について考えていく。予習としては次回のシラバスに書かれているキーワードを調べ、知識として入れておけると理解しやすくなるだろう。また、「医療」についての学びを終えると、「健康・医療心理学」のすべての学びを終えることになる。定期試験に向けて、配布プリントやシラバスの内容やキーワードを振り返っておけるとよいだろう。
13
医療現場における心理的支援④
がん・難病・緩和医療
科目の中での位置付け
本科目は,公認心理師を目指す上で必須となる健康・医療に関する基本的な知識や,保健・医療領域におけるさまざまな実践的課題や問題への理解を深める。「健康・医療心理学」は「健康」を維持・獲得するために,心理職としてどのように支援できるのかといった視点を重視する学問である。その土台として,健康を阻害する要因であるストレスや,さまざまな疾患についての知識のほか,医療現場の現状などについても把握しておく必要がある。具体的には,第1回に授業の概観を説明し,健康・医療心理学とはどのような学問なのかを考える。第2回から第4回までは,健康心理学について学び,健康を脅かすストレスについて,ストレスの対処法について扱う。第5回から第8回は保健活動による心理支援について,第10回から第14回は医療現場での心理支援について学修する。また,第9回,第15回は授業全体を振り返る復習の回とする予定である。上記のような本科目全体の中で,本コマ(第13回)は,がん・難病、緩和医療について学修する。
【コマ主題細目①】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.130-133
【コマ主題細目②】
・古賀恵里子・今井たよか(編者)『健康・医療心理学』,ミネルヴァ書房,2022年,pp101⁻104
・金沢吉展(編著)『健康・医療心理学』講談社,2021,pp157ー159
【コマ主題細目③】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.134⁻136
コマ主題細目
① がんとは ② 難病とは ③ 緩和医療とその支援 ④ ⑤
細目レベル
① 日本において、がんは1981年から死因の1位を占めるようになり、最新のがん統計では、2人に1人は一生のうちにがんと診断されるとされ、国民の生命と健康にとって重大な問題となっている。このような現状を受けて、がん対策を推進するための環境整備を目的として2006年に「がん対策基本法」が成立し、数年ごとに改定しながら国のがん対策が順次進められてきた。その中で、精神科医、精神腫瘍医、心療内科医に加えて公認心理師を配置することが記され、QOLに配慮した全人的医療、心のケアの充実を図ることが目標として掲げられた。第4期となる目標では「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」とされ、個別目標は「がん予防」、「がん医療」、「がんとの共生」を掲げている。
② 難病とは、(1)原因不明、治療方針未確定であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病、(2)経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に等しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病と定義されている(難病対策要綱)。難病の疾病の要因には、遺伝子の変化によるもの(遺伝性)と、遺伝子の変化でないもの(孤発性)がある。遺伝性の疾患は家族で遺伝子を共有するため、患者本人だけではなく、家族への影響も考える必要がある。孤発性であれば、次の世代には影響しないと考えられる。難病には、筋委縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、ハンチントン病等があり、これらのことについて学ぶ。
③ 従来は、がんと診断されると積極的な治療を行い、治療効果が望めなくなった時点で緩和医療が始まるという考え方が一般的であったため、緩和医療は終末期医療という印象を与えることが多かった。しかし、近年ではがんの疑いが生じたときからすべての患者と家族を対象として、身体的・精神心理的・社会的・スピリチュアルな苦痛を取り除く医療を提供することが緩和医療の本質であるという考え方がひろまりつつあり、さらには患者が亡くなった後の遺族のメンタルケアまで含む医療へと発展している。緩和医療における心理支援の目標は、精神・心理的苦痛を和らげることにより、辛い治療に耐える力を確保すること、病と向き合いながらも自分らしい生活を送ることができるように支えていくことにある。
④
⑤
キーワード
① がん ② 難病 ③ 緩和医療 ④ QOL ⑤ 家族のケア
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習課題:医療心理学に関する理論について復習する。シラバス「第13回」の内容をよく読み,配布された資料や講義内で示された内容を理解する。特にシラバス内に示されているキーワードの5つについて、ある程度簡潔に説明できるよう100字~200字程度にまとめておけるとよい。
予習課題:第10回~第14回までは「医療」について考えていく。予習としては次回のシラバスに書かれているキーワードを調べ、知識として入れておけると理解しやすくなるだろう。また、「医療」についての学びを終えると、「健康・医療心理学」のすべての学びを終えることになる。定期試験に向けて、配布プリントやシラバスの内容やキーワードを振り返っておけるとよいだろう。
14
医療現場における心理的支援⑤
チーム医療と多職種協働
科目の中での位置付け
本科目は,公認心理師を目指す上で必須となる健康・医療に関する基本的な知識や,保健・医療領域におけるさまざまな実践的課題や問題への理解を深める。「健康・医療心理学」は「健康」を維持・獲得するために,心理職としてどのように支援できるのかといった視点を重視する学問である。その土台として,健康を阻害する要因であるストレスや,さまざまな疾患についての知識のほか,医療現場の現状などについても把握しておく必要がある。具体的には,第1回に授業の概観を説明し,健康・医療心理学とはどのような学問なのかを考える。第2回から第4回までは,健康心理学について学び,健康を脅かすストレスについて,ストレスの対処法について扱う。第5回から第8回は保健活動による心理支援について,第10回から第14回は医療現場での心理支援について学修する。また,第9回,第15回は授業全体を振り返る復習の回とする予定である。上記のような本科目全体の中で,本コマ(第14回)はチームと他職種連携について学修する。
【コマ主題細目①】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.2⁻4
【コマ主題細目②】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.4⁻6
【コマ主題細目③】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.6⁻9
コマ主題細目
① チーム医療とは ② 多職種協働の構造とは ③ 患者中心の連携とは ④ ⑤
細目レベル
① 患者は病気や治療に伴う身体的苦痛に加えて経済的・社会的な課題や心理的・精神的諸問題に向き合わなければならず、医療専門職にはそうした患者・家族の状況に寄り添った支援が求められている。それには医師・看護師のみならず、様々な医療の専門職が協力し、チームとなって取り組むことが必要となる。このような専門性をもつ者があつまり、共感的に、丁寧できめ細かい治療を行い、患者を支援することを「チーム医療」と呼ぶ。チーム医療では、専門職種を活用し、多職種協働を図りながら、患者の治療の質の向上だけではなく、患者の権利を擁護する医療サービスを提供し、患者の生活の質を維持し、高めていくかを目的としている。ここでは「チーム医療」の定義を学び、その理解を深めていく。
② 多職種には、医師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、公認心理師などの専門職種に加え、必要に応じて栄養士、薬剤師、保健師、教師、家族などの多くの職種や関係者の協力を得て、有効かつ力動的に機能する必要がある。チーム医療の充実には、各専門職種が互いに専門性を発揮し、患者の病理や障害の身を治療的にとらえてかかわるのではなく、患者の生活全般にかかわる包括的な治療と支援が求められる。そのためには、患者に残されている能力や健康な側面を理解しなければならない。そして、チームとしての機能を発揮するために、各職種の専門的知識や情報を共有する開かれた連携システムが必要となる。ここでは、どのような専門職種と協力するのか、より良い支援のための協働について考える。
③ チーム医療のあるべき姿は、患者の主体的な参加のもとに多職種協働システムが展開されるようになることである。疾病や障害を経験した患者が、ピア・ヘルパーとしてチームに参加することも望まれる。患者とのより関係性を築くためには、患者への「インフォームドコンセント(充分な情報を伝えたうえで同意を得ること)」が大切である。そして、より積極的な「アドボカシー(権利擁護:権利を守り、ニースの充足を図ること)」に基づく「アドヒアランス(患者自身がチームの一員として主体的に参加して決定した治療方針に従って治療を受けること)」を通して、患者の「レジリエンス(人が生まれつきもっている精神的な復元力)」を高めていけるように支援することを学ぶ。
④
⑤
キーワード
① チーム医療 ② 多職種 ③ インフォームドコンセント ④ アドボカシー ⑤ レジリエンス
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習課題:医療心理学に関する理論について復習する。シラバス「第11回」の内容をよく読み,配布された資料や講義内で示された内容を理解する。特にシラバス内に示されているキーワードの5つについて、ある程度簡潔に説明できるよう100字~200字程度にまとめておけるとよい。
予習課題:第10回~第14回までは「医療」について考えていく。予習としては次回のシラバスに書かれているキーワードを調べ、知識として入れておけると理解しやすくなるだろう。また、「医療」についての学びを終えると、「健康・医療心理学」のすべての学びを終えることになる。定期試験に向けて、配布プリントやシラバスの内容やキーワードを振り返っておけるとよいだろう。
15
全体のまとめ
科目の中での位置付け
本科目は,公認心理師を目指す上で必須となる健康・医療に関する基本的な知識や,保健・医療領域におけるさまざまな実践的課題や問題への理解を深める。「健康・医療心理学」は「健康」を維持・獲得するために,心理職としてどのように支援できるのかといった視点を重視する学問である。その土台として,健康を阻害する要因であるストレスや,さまざまな疾患についての知識のほか,医療現場の現状などについても把握しておく必要がある。具体的には,第1回に授業の概観を説明し,健康・医療心理学とはどのような学問なのかを考える。第2回から第4回までは,健康心理学について学び,健康を脅かすストレスについて,ストレスの対処法について扱う。第5回から第8回は保健活動による心理支援について,第10回から第14回は医療現場での心理支援について学修する。また,第9回,第15回は授業全体を振り返る復習の回とする予定である。上記のような本科目全体の中で,本コマ(第15回)は全体のまとめとして,本科目を振り返る。
【コマ主題細目①】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.48ー59
【コマ主題細目②】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.72-93,106ー115,118⁻129
【コマ主題細目③】
・宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』,医歯薬出版,2025年,pp.2ー9
コマ主題細目
① 医療心理学とは ② 医療心理学の実際 ③ チーム医療と多職種協働 ④ ⑤
細目レベル
① 後半部分にあたる第10回~第14回までの講義の復習とまとめを行っていく。第10回で学んだように、「医療心理学」とは,医療における人の行動の全人的理解を目的としており,心理学,行動科学や行動医学の領域を含んだ包括的な学問である。患者のみならず,患者を支える家族,遺族,更には医療従事者がその対象となる。医療領域における心理臨床では,メンタルヘルスケアを中心とした貢献,単に,精神症状やストレスのみではなく,情緒的な問題・ストレス,日常生活の問題,社会適応上の問題,病気や治療に伴う様々な生活上の問題への支援も担う。身体疾患(悪生新生物(がん),難病,糖尿病など),精神疾患(発達障害,双極性障害,統合失調症など)は,経過が一時的もしくは慢性化するものがあり,継続的な支援を行う必要があることを振り返る。
② 医療における支援の実際として、第10回から第14回までの細目を振り返る。人は産まれて、成長し、老いて、亡くなるまでの間、医療と全く無関係である者はいないだろう。産まれる前からその後に関わる「周産期医療」からはじまり、特に子どものときに関わる「小児科」や「児童精神科」について学んできた。続いて、心の病とその支援では「心療内科」「精神科」で学んできた。また、がんや難病とその支援をとおして「緩和医療」についても学んできた。これらの学びの中で「ストレス」の影響や「心身症」、アセスメント、発達障害、入院治療、リエゾン等の用語に触れてきた。特に覚えておくとよい箇所についても振り返り、キーワードも改めて確認する。
③ 医療における支援の実際として、第10回から第14回までの最後に「チーム医療」と「多職種協働」について振り返る。第14回でも学んだように、多職種には、医師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、公認心理師などの専門職種に加え、必要に応じて栄養士、薬剤師、保健師、教師、家族などの多くの職種や関係者の協力を得て、有効かつ力動的に機能する必要がある。チーム医療の充実には、各専門職種が互いに専門性を発揮し、患者の病理や障害の身を治療的にとらえてかかわるのではなく、患者の生活全般にかかわる包括的な治療と支援が求められる。患者とのより関係性を築くためには、患者への「インフォームドコンセント(充分な情報を伝えたうえで同意を得ること)」が大切である。医療の中での心理職がどのような役割を担うことができるのか振り返る。
④
⑤
キーワード
① 医療心理学 ② 周産期医療 ③ 精神科 ④ 難病 ⑤ チーム医療
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、ヨリソル上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習課題:医療心理学に関する理論について全体を復習する。シラバス「第10回~第14回」までの内容(周産期医療、児童精神科、精神科、心療内科、がん・難病など)やキーワード,授業内で配布された資料や講義内で示された内容をよく理解すること。そして、用語と内容が一致できるようにしておくこと。そして、心理職が携わることの意味、多職種と連携することの大切さを考えておけるとよい。
予習課題:次回は「定期試験」となる。そのため第1回~第4回「健康心理学」について、第5回~第8回「保健活動における心理的支援」、第10回~第14回「医療心理学」、第9回と第15回の「まとめ」で示された内容やキーワード、授業内で配布されたプリントを基に振り返っておけるとよい。
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
健康(心理学)についての知識の習得
「健康(心理学)」についての基本的理論など知識を習得している。特に,「健康」の概念や,「生活習慣病」,疾病予防のアプローチとしての「予防」,療養行動の支援についても理解している。また,この分野における心理アセスメントの目的,方法や手順(「健康心理アセスメント」や「健康行動アセスメント」)などを理解している。健康を獲得・維持するために必要な心理的支援(たとえば,「健康行動変容」)を理解していること。
健康,ウェルビーイング,予防
15
1~4,9
ストレスに関する知識の習得
この領域におけるストレスと心身の関係性について十分認識している。ストレスは,健康を阻害する大きな要因のひとつであり,ストレスとうまく付き合っていくことの重要性(「ストレスマネジメント」)を理解している。ストレスの種類やその発生モデル(「トランスアクショナル・モデル」)など,基本的知識を習得している,また,ストレスとパーソナリティの相互作用が疾病につながり,そのマネジメントとしてストレス・コーピングを理解していること。
ストレス,コーピング,ストレスマネジメント
15
3~4,9
保健活動における心理的支援への理解
健康心理学の目的のひとつは,個人や集団に働きかけ,健康を阻害するリスク要因を取り除き,健康を獲得・維持する要因を増進させることを認識した上で,健康を阻害するリスク行動に対する心理的支援について理解していること。保健活動にける心理的支援①~③で学んだ「ひきこもり」,「自殺対策」,「依存」,「認知症」,「高齢者支援」等の基本的知識を理解し、簡潔に説明できること。また、関連回でのキーワードにおいても理解していること。
保健活動,ひきこもり,自殺対策,依存,認知症
20
5~7,9
災害時における心理的支援への理解
保健活動にける心理的支援④「災害支援」で学んだ、症状などの基本的知識、災害時に必要な心理的ケアの内容や関連回のキーワードを理解し、簡潔に説明できること。被災者の心理は,恐怖体験と喪失体験を契機とした強いストレス状態にあることから,特別な配慮を要することに留意している。生命の危機管理が優先された後の生活復旧支援とメンタルヘルスのためのストレスマネジメントについて,基本的知識を習得していること。
災害心理,ストレスマネジメント,心理的応急措置
10
8~9
医療現場における心理的支援への理解
近年における医療現場は「チーム医療」が主流となり,「医療安全」が必須であることを認識し,「チーム医療」の一員として心理職がどのように活動しているのか,また,どのようなことを役割として期待されているのについて理解している。加えて,医療現場の中でも,周産期医療,児童精神科,心療内科,精神科,緩和医療を例として,心理職がどのような活動をし,心理的支援を実践できるかについて,基本的知識を習得していること。
レジリエンス,チーム医療,多職種協働
40
10~15
評価方法
出席回数の基準をクリアしていることを前提とし、定期試験の結果によって評価する。
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
配布資料
参考文献
金沢吉展(編著)『健康・医療心理学』講談社(\2600+税),古賀恵理子・今井たよか(編著)『健康・医療心理学』ミネルヴァ書房(\2200+税),宮脇稔・大野太郎・藤本豊・松野俊夫(編著)『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学』医歯薬出版株式会社(\3000+税),森和代・石川利江・茂木俊彦(編著)『よくわかる健康心理学』ミネルヴァ書房(\2400+税),福島哲夫(編著),尾久裕紀・山蔦圭輔・望月聡・本田周二(編著)『公認心理師必携テキスト改訂第2版』学研メディカル秀潤社(\4800+税),下山晴彦・中嶋義文(編著),鈴木伸一・花村温子・滝沢龍(編著)『公認心理師必携 精神医療・臨床心理の知識と技法』医学書院(\3200+税)
実験・実習・教材費
なし