区分 (心)心理学専門領域科目 子ども・発達領域 (犯)犯罪心理学基盤科目 (生・環)学部共通科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
(心)専門的知識と実践的能力 (心)分析力と理解力 (心)地域貢献性
(環)専門性 (環)理解力 (環)実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
(心)課題分析力 (心)課題解決力 (心)課題対応力
(環)専門知識 (環)教養知識 (環)思考力 (環)実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。
科目の目的
われわれの生活における反応や行動には,さまざまな意味が介在している。そのため,日常生活においても,なぜあのような反応をしてしまったのか,なぜあの人はいつもあのような行動をしたのかと推測することも多い。ヒトの行動の多くは,生得的なものではなく,経験を通じて学習されたものである。特に,言語を通してコミュニケーションを行うことのできるヒトの行動には,さまざまな学習過程が介在している。これらの学習過程は,動物を中心に研究が行われてきたが,ヒトにも同様のことが言える。そのため,学習研究は,反応や行動を導いたものは何かを考える手がかりにもなる。そこで,われわれの行動を理解するために,学習過程や言語習得の理論および研究知見を通して,われわれの行動を理解する。
到達目標
われわれの行動について,生得的な行動だけではなく,古典的条件づけおよびオペラント条件づけを基本とした行動メカニズムを心理学的知見から幅広く得ており,順を追って説明することができる。また,これらの条件づけを発展させた日常生活特有の行動(観察や技能)が生起する過程について,実験的知見だけではなく,理論的知見を把握している。そして,言語がどのように獲得し,理解し,産出しているかについても,理論的知見を通して理解している。
科目の概要
本科目では,動物の学習といった古典的な学習から,ヒトの言語習得についてまで,「学習」と「言語」について幅広く学ぶ。そのため,「学習心理学」および「言語心理学」に関する心理学的知見を取り上げ,それらについての代表的な理論や研究知見を解説する。「学ぶ」ことは,人間を含めた生物にとった重要なことであり,多くの研究が行われている。それら先行研究の知見について知識を得ることで,「学習」について理解することで,問題点を探し,そこを改善し,さらに促進に寄与することも可能である。また,「言語」は成長とともに学ぶものであり,「学習」と関りが深い。この授業で扱う内容は,(1)本質的な学習(第1回から第2回),(2)古典的条件づけとオペラント条件づけ(第3回から第8回),(3)日常における学習(第9回から第11回),(4)言語の習得(第12回から第15回)の4部構成となる。
科目のキーワード
①学習 ②言語 ③生得的行動 ④古典的条件づけ ⑤オペラント条件づけ ⑥記憶 ⑦動機づけ
授業の展開方法
この授業は,教科書 (中島 定彦 (著) 「学習と言語の心理学」,昭和堂,2,750円 (税込)) を用いて行われる。各章の内容に応じて,プレゼンテーション資料を呈示して内容を補足することがある。また,理解度に合わせて適宜,映像資料も使用する。教科書や資料をみただけでは授業内容を理解することは難しいため,受講者は,適宜,ノートを取ったり,配付資料に書き込みをしたりする必要がある。また,毎回の復習課題および授業の感想等はWeb,または,コメントシートにより提出を求め,次回の授業開始時にフィードバックを行う。授業の配布資料(PDFファイル)は,Webから各自,ダウンロードすることが可能である。なお,配布資料のダウンロードに必要な情報(ダウンロード先URL,パスワード等)は,授業内に通知する。
オフィス・アワー
【火曜日】昼休み、【水曜日】昼休み(会議日は除く)
科目コード PSC222
学年・期 2年・前期
科目名 学習・言語心理学
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 選択
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 発達心理学 教育・学校心理学
展開科目 (心)コミュニケーション論
(犯)総合演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ
関連資格 公認心理師、認定心理士
担当教員名 鑓水秀和
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 学習とは 科目の中での位置付け 本科目では,動物の学習といった古典的な学習から,ヒトの言語習得についてまで,「学習」と「言語」について幅広く学ぶ。そのため,「学習心理学」および「言語心理学」に関する心理学的知見を取り上げ,それらについての代表的な理論や研究知見を解説する。「学ぶ」ことは,人間を含めた生物にとった重要なことであり,多くの研究が行われている。それら先行研究の知見について知識を得ることで,「学習」について理解することで,問題点を探し,そこを改善し,さらに促進に寄与することも可能である。また,「言語」は成長とともに学ぶものであり,「学習」と関りが深い。この授業で扱う内容は,(1)本質的な学習(第1回から第2回),(2)古典的条件づけとオペラント条件づけ(第3回から第8回),(3)日常における学習(第9回から第11回),(4)言語の習得(第12回から第15回)の4部構成となる。第1回では,授業のガイダンスおよびルールについて提示した後,(1)本質的な学習から,「学習」の研究方法および「学習」以前の「生得的行動」について解説する。この講義を通して,「学習」に関する基礎知識を身につける。
【主題細目①:授業の進め方】
●第1回授業スライド

【主題細目②:学習とは】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第1章 学習と言語の心理学,p. 1,昭和堂.

【主題細目③:学習の研究法】
●第1回授業スライド
コマ主題細目 ① 授業の進め方 ② 学習とは ③ 学習の研究法 ④ ⑤
細目レベル ① 授業の形式を説明する。この授業は講義形式である。この授業の目的は,動物の学習といった古典的な学習から,ヒトの言語習得についてまで,「学習」と「言語」について幅広く学ぶことである。単なる用語の説明ではなく,それらの研究背景および実験方法や症例について解説する。その際,教科書のほか,適宜,パワーポイントと配布プリント,視聴覚教材などを用いる。概ね教科書 (中島 定彦,学習と言語の心理学,昭和堂 2,750円 (税込)) の章立てに沿って,授業は進行する。Webを介した出席確認,小テスト,課題,感想の提出を課すことがあるので,PCは毎回持参することを推奨する。授業時間外で質問がある場合の連絡先や,オフィスアワー時の訪問先も確認しておくようにする。
② 心理学では一般に,「経験によって生じる比較的永続的な行動の変化」を学習という (中島,2020; Powell et al., 2002)。教科書 (中島,2020) では,この定義で重要な点は,「経験」,「比較的永続的」,「行動」の3点であるとしている。第1に,経験によらない行動変化は学習ではないこと,第2に,一時的な行動変化も学習ではないこと,第3に,経験は行動変化として観察されねばならないことを理解する。そのために,「学習」と「学習とはいえないもの」の例を挙げながら理解を深める。例えば,練習を繰り返すことで,バスケットボールのシュートの精度が向上したら,それは学習の効果であると考えられる。知識の習得のような目に見えない変化も「学習」に含まれる。
③ 「学習」の研究方法として,「観察法」と「実験法」が挙げられる。「観察法」は,特定の経験をしたことによって,そのヒトや動物の行動がどのように変化するかを観察する方法である。研究者が介入しなくても,日常生活による経験によって変化した行動を観察することができる。しかし,「観察法」には欠点が多く,本当にその経験が原因で行動の変化が生じているのかを確認しにくい。例えば,子どもの食事風景を観察しているときに,魚だけを残したとする。そのため,その子どもは魚が嫌いという行動はわかったとしても,どのような経験によって,魚が嫌いになったのかはわからない。一方,「実験法」であれば,その原因を特定することができる。「実験法」は,学習の一般的な法則性を明らかにするために,経験させる内容を原因としてあらかじめ決定しておき,その結果どのように行動が変化するのかを測定することができる方法である。そのため,「学習」を研究するために最も多く用いられる方法は「実験法」となる。


キーワード ① 学習 ② 経験 ③ 行動 ④ 実験法 ⑤ 観察法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【今回の復習課題】『学習』の定義については,暗記しておくこと。また,その際に,学習にあてはまるものとあてはまらないものの例を自分なりに考えて,その理由とともに説明できるようにしておくこと。これらの例や説明については,Webを通じて(授業内で開示)回答すること。その他,小テストで出題された内容を中心に,授業スライドを復習し,わからないことは教員に質問したり,受講生どうしで確認したりするなどして,不明点がないようにしておくこと。
【次回のための予習課題】次回の教科書該当頁(中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第2章 生得的行動・初期学習・馴化,p. 12⁻15,20⁻23,昭和堂)をよく読み,シラバスのコマ主題細目とキーワードが意味するものを調べてまとめておくこと。

2 生得的行動,馴化と鋭敏化 科目の中での位置付け 本科目では,動物の学習といった古典的な学習から,ヒトの言語習得についてまで,「学習」と「言語」について幅広く学ぶ。そのため,「学習心理学」および「言語心理学」に関する心理学的知見を取り上げ,それらについての代表的な理論や研究知見を解説する。「学ぶ」ことは,人間を含めた生物にとった重要なことであり,多くの研究が行われている。それら先行研究の知見について知識を得ることで,「学習」について理解することで,問題点を探し,そこを改善し,さらに促進に寄与することも可能である。また,「言語」は成長とともに学ぶものであり,「学習」と関りが深い。この授業で扱う内容は,(1)本質的な学習(第1回から第2回),(2)古典的条件づけとオペラント条件づけ(第3回から第8回),(3)日常における学習(第9回から第11回),(4)言語の習得(第12回から第15回)の4部構成となる。第2回では,(1)本質的な学習から,繰り返し同じ刺激を経験することで,その刺激に対する反応が減少する「馴化」と,反対に同じ刺激を繰り返し経験することによって,その刺激に対する反応が増加する「鋭敏化」について解説する。この講義を通して,「学習」における「馴化」と「鋭敏化」の反応特性を理解する。
【主題細目①:馴化】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第2章 生得的行動・初期学習・馴化,p. 12⁻15,昭和堂.

【主題細目②:馴化の特徴】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第2章 生得的行動・初期学習・馴化,p. 20⁻21,昭和堂.

【主題細目③:鋭敏化】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第2章 生得的行動・初期学習・馴化,p. 22⁻23,昭和堂.
コマ主題細目 ① 生得的行動 ② 馴化 ③ 鋭敏化 ④ ⑤
細目レベル ① 『生得的行動とはどのような行動のことか』を理解する。「生得的行動」とは生まれつき生体に備わっており,遺伝子により決定された行動のことである。「生得的行動」には,「向性」と「無条件反射」と呼ばれるものがある。「向性」とは,比較的単純な神経系をもつ動物に見られる生得的反応であり,刺激に対する方向性のある「走性」と,その方向性のない「動性」がある。例えば,昆虫が光りに集まったり,ゴキブリが光を避けたりする行動は方向性があり「走性」と呼ばれる。一方,ワラジムシは湿度の低いところで活動的になるにも関わらず,湿度の高いところへ移動する。このように刺激に対して方向性がないことは「動性」と呼ばれる。また,刺激に対して,生得的に身体部位が反応する「無条件反射」は,突然の大きい音に対する驚愕反射や,ほこりや冷気によってくしゃみが出るくしゃみ反射などがある。特に,ヒトの場合は生後初期にしか見られない「原始反射(新生児反射)」がある。以上のことから,「生得的行動」について,動物を対象とした研究を通して理解する。
② 『馴化とはどのような現象のことであるのか』を理解する。「馴化」とは同じ刺激を繰り返し与えられることで,最初にみられていたその刺激に対する反応が減少することである。この現象は,脊椎動物だけではなく,無脊椎動物でも見られる。例えば,振動に対して,体を曲げたり,頭を引っ込めたりする反応を示すミミズに対して,繰り返し振動刺激を与えると,繰り返しに応じて,体を曲げたり,頭を引っ込めたりする反応が減少する。また,われわれを含み動物は,未知の刺激に対して生得的に恐怖を示す。しかし,その刺激を繰り返し呈示すると,次第に馴化していき,恐怖反応は減少する。それだけではなく,ヒトの場合は同じ刺激を繰り返し経験するだけで,その刺激に対して恐怖の減少だけではなく好感度が増す「単純接触効果」も見られる。
③ 『鋭敏化とはどのような現象であり,馴化と鋭敏化の差異はどのように説明されるか』を理解する。「鋭敏化」は,刺激を繰り返し呈示することによって,その後の刺激に対する反応が増大することである。つまり,「鋭敏化」と「馴化」は,刺激に対する反応が増大するのか,減少するのかの違いがある。一般的に,呈示される刺激が強いときには「鋭敏化」が生じ,呈示される刺激が弱いときには「馴化」が生じる。「鋭敏化」の最大の特徴は,馴化とは異なり刺激特定性を示さない点である。具体的には,大地震のような強い刺激を経験すると,余震だけではなく,救急車のサイレンに対しても恐怖の反応をするといったことである。また,「馴化」と「鋭敏化」の差異については,興奮過程と反応抑制過程が合成されたものが観察される反応とする「二重過程説」(Groves & Thompson, 1970)によっても説明することができる。以上のことから,「馴化」と「鋭敏化」の各現象について,「二重過程説」を通して理解する。


キーワード ① 生得的行動 ② 向性 ③ 無条件反射 ④ 馴化 ⑤ 鋭敏化
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【今回の復習課題】「生得的行動」,「馴化」,「鋭敏化」について理解しておくこと。また,その際に,生得的行動と考えられる例を自分なりに考えて,その理由とともに説明できるようにしておくこと。これらの例や説明については,Webを通じて(授業内で開示)回答すること。その他,小テストで出題された内容を中心に,授業スライドを復習し,わからないことは教員に質問したり,受講生どうしで確認したりするなどして,不明点がないようにしておくこと。
【次回のための予習課題】次回の教科書該当頁(中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第3章 古典的条件づけ1,p. 25⁻31,昭和堂)をよく読み,シラバスのコマ主題細目とキーワードが意味するものを調べてまとめておくこと。

3 古典的条件づけ(1) 科目の中での位置付け 本科目では,動物の学習といった古典的な学習から,ヒトの言語習得についてまで,「学習」と「言語」について幅広く学ぶ。そのため,「学習心理学」および「言語心理学」に関する心理学的知見を取り上げ,それらについての代表的な理論や研究知見を解説する。「学ぶ」ことは,人間を含めた生物にとった重要なことであり,多くの研究が行われている。それら先行研究の知見について知識を得ることで,「学習」について理解することで,問題点を探し,そこを改善し,さらに促進に寄与することも可能である。また,「言語」は成長とともに学ぶものであり,「学習」と関りが深い。この授業で扱う内容は,(1)本質的な学習(第1回から第2回),(2)古典的条件づけとオペラント条件づけ(第3回から第8回),(3)日常における学習(第9回から第11回),(4)言語の習得(第12回から第15回)の4部構成となる。第3回では,(2)古典的条件づけとオペラント条件づけの中から,「古典的条件づけ」とはどのようなことか,そしてどのような特徴があるのかについて解説する。この講義を通して,「古典的条件づけ」の基礎知識を身につける。
【主題細目①:古典的条件づけ】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第3章 古典的条件づけ1,p. 25⁻27,昭和堂.

【主題細目②:古典的条件づけによる行動変容】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第3章 古典的条件づけ1,p. 28⁻29,昭和堂.

【主題細目③:古典的条件づけの特徴】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第3章 古典的条件づけ1,p. 30⁻31,昭和堂.
コマ主題細目 ① 古典的条件づけ ② 古典的条件づけによる行動変容 ③ 古典的条件づけの特徴 ④ ― ⑤ ―
細目レベル ① 『古典的条件づけとはどのような手続きのことか』を理解する。「古典的条件づけ」とは, はじめに反応を引き起こさなかった刺激(「中立刺激(neutral stimulus: US)」)が,「無条件刺激(unconditioned stimulus: US)」との対呈示によって,反応を引き起こす「条件刺激(conditioned stimulus: CS)」になることである。これは,パブロフのイヌの条件づけ実験が有名である。条件づけを行う前には,「無条件刺激」であるエサを呈示することによって,イヌは唾液を出すという「無条件反応(unconditioned response: UR)」が見られる。そして,条件づけを行う際に,「中立刺激」となるベルの音と,「無条件刺激」となるエサを対呈示する。この条件づけ後,「中立刺激」であるベルの音を単独呈示すると,イヌは唾液を出す反応となる。言い換えると,ベルの音は「中立刺激」から「条件刺激」となり,唾液を出すという行為は,その「条件刺激」より誘発された反応ということで「条件反応(conditioned response: CR)」と呼ばれる。以上のことから,「古典的条件づけ」の手続きを「無条件刺激」,「無条件反応」,「中立刺激」,「条件刺激」,「条件反応」の用語を用いて,説明することができるレベルまで理解する。また,今後,これらの用語は,略語(USやURなど)で用いられることが一般的であることから,それぞれの用語がどのように略されるのかを理解する。
② 唾液分泌反射以外にも,瞬目反射や接近反応など,さまざまな生得的行動を条件づけできる。Watson (1923) は,ヒトの情動反応 (感情) も条件づけできることをアルバート坊やの実験で示した。実験では,中立刺激であるネズミと恐怖を引き起こすUSである大きな音を対呈示した。対呈示を繰り返したところ,ネズミに対して徐々に怖がるようになっていった。ネズミがCSとして,恐怖反応を喚起するようになったのである。このことは,条件性情動反応と呼ばれる (Watson & Rayner, 1920)。一方,恐怖や不安,嫌悪をいった負の情動だけではなく,快情動も条件づけできる。例えば,テレビCMには,心弾む音楽や美しい風景,美形のタレントなどが登場する。これらがUSとして,CSである商品の印象をアップさせると考えられる (中島,2020)。
③ 『古典的条件づけにはどのような特性があるのか』を理解する。「古典的条件づけ」では,「馴化」でもみられた「刺激般化」が見られる。これは,「条件刺激」と類似する刺激を呈示することによって,その刺激に対しても「条件反応」が見られることである。また,「古典的条件づけ」は長期間にわたって保持されるだけではなく,情動反応についても,条件づけられることがある。それゆえ,条件づけられた反応(「条件反応」)を消失させたり減弱させたりする必要があるときには,「消去手続き」が用いられる。これは,「条件刺激」を呈示し,「無条件刺激」を呈示しない手続きのことである。これにより,「条件反応」が次第に「消去」される。この「消去手続き」は,学習が解消されたわけではないため,「自発的回復」が見られる場合もある。


キーワード ① 古典的条件づけ ② 条件刺激(CS) ③ 条件反応(CR) ④ 恐怖条件づけ ⑤ 般化
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【今回の復習課題】「古典的条件づけ」について理解しておくこと。また,その際に,ヒトにおける古典的条件づけと考えられる例を自分なりに考えて,その理由とともに説明できるようにしておくこと。これらの例や説明については,Webを通じて(授業内で開示)回答すること。その他,小テストで出題された内容を中心に,授業スライドを復習し,わからないことは教員に質問したり,受講生どうしで確認したりするなどして,不明点がないようにしておくこと。
【次回のための予習課題】次回の教科書該当頁(中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第3章 古典的条件づけ1,p. 34⁻37,昭和堂)をよく読み,シラバスのコマ主題細目とキーワードが意味するものを調べてまとめておくこと。

4 古典的条件づけ(2) 科目の中での位置付け 本科目では,動物の学習といった古典的な学習から,ヒトの言語習得についてまで,「学習」と「言語」について幅広く学ぶ。そのため,「学習心理学」および「言語心理学」に関する心理学的知見を取り上げ,それらについての代表的な理論や研究知見を解説する。「学ぶ」ことは,人間を含めた生物にとった重要なことであり,多くの研究が行われている。それら先行研究の知見について知識を得ることで,「学習」について理解することで,問題点を探し,そこを改善し,さらに促進に寄与することも可能である。また,「言語」は成長とともに学ぶものであり,「学習」と関りが深い。この授業で扱う内容は,(1)本質的な学習(第1回から第2回),(2)古典的条件づけとオペラント条件づけ(第3回から第8回),(3)日常における学習(第9回から第11回),(4)言語の習得(第12回から第15回)の4部構成となる。第4回では,第3回に引き続き,(2)古典的条件づけとオペラント条件づけの中から,「古典的条件づけ」とはどのようなことか,そしてどのような特徴があるのかについて解説する。この講義を通して,「古典的条件づけ」の基礎知識を身につける。
【主題細目①:条件刺激と無条件刺激の時間的関係】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第3章 古典的条件づけ1,p. 34⁻35,昭和堂.

【主題細目②:連合選択性】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第3章 古典的条件づけ1,p. 36⁻37,昭和堂.

【主題細目③:古典的条件づけの復習】
●第3回,第4回授業スライド
コマ主題細目 ① 条件刺激と無条件刺激の時間的関係 ② 連合選択性 ③ 古典的条件づけの復習 ④ ⑤
細目レベル ① 「古典的条件づけ」の速さや大きさは,さまざまな要因によって変動する。例えば,「条件刺激」と「無条件刺激」の呈示方法によって,「条件反応」の獲得速度や大きさが異なる。古典的条件づけでは,まず条件刺激を,次に無条件刺激を呈示するのが標準的である。こうした呈示方法を順行条件づけという (中島,2020)。一般的に,順行条件づけの中でも,「条件刺激」を呈示した直後に「無条件刺激」を呈示する「遅延条件づけ」,「刺激条件」呈示後,しばらくしてから「無条件刺激」を呈示する「痕跡条件づけ」の順に反応が小さくなる。また,「条件刺激」と「無条件刺激」を同時に呈示する「同時条件づけ」ではさらに反応が小さくなる。ただし,最適な条件刺激―無条件刺激の間の時間間隔は,条件づける反応によっても異なることが知られている。
② 条件刺激と無条件刺激の「相性」も条件づけの大きさに影響する。例えば,条件刺激と無条件刺激が似ていると,条件づけは容易になる。Testa (1975) の実験では,条件刺激と無条件刺激が実験装置の同じ場所から与えられた場合には,異なった場所から与えられた場合よりも条件づけが早く大きかった。また,嫌悪条件づけの実験は,条件刺激と無条件刺激の組み合わせによっては,学習が成立しない場合があることを示している。これらの実験結果は,条件刺激と無条件刺激が選択的に連合を形成することを意味している。つまり,どのような条件刺激もどのような無条件刺激と連合できるという前提は誤りであり,学習には生物的制約があることを意味する (中島,2020)。
③ まず,『古典的条件づけとはどのような手続きのことか』を復習する。「古典的条件づけ」とは, はじめに反応を引き起こさなかった刺激(「中立刺激(neutral stimulus: US)」)が,「無条件刺激(unconditioned stimulus: US)」との対呈示によって,反応を引き起こす「条件刺激(conditioned stimulus: CS)」になることである。次に,古典的条件づけは,唾液分泌反射以外にも,瞬目反射や接近反応などさまざまな生得的行動を条件づけすることができ,ヒトの情動反応 (感情) も条件づけできることを復習する。さらに,古典的条件づけでは,「刺激般化」が見られること,「消去手続き」によって,条件づけられた反応(「条件反応」)を消失させたり減弱させたりすることもできることを復習する。復習にあたっては,用語を暗記するだけでなく,例を挙げて説明できるようになることを目標とする。


キーワード ① 順行条件づけ ② 味覚嫌悪学習 ③ 古典的条件づけ ④ 強化 ⑤ 消去
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【今回の復習課題】「古典的条件づけ」に影響を与える諸要因について理解しておくこと。また,その際に,ヒトにおける古典的条件づけの諸要因の例を自分なりに考えて,その理由とともに説明できるようにしておくこと。これらの例や説明については,Webを通じて(授業内で開示)回答すること。その他,小テストで出題された内容を中心に,授業スライドを復習し,わからないことは教員に質問したり,受講生どうしで確認したりするなどして,不明点がないようにしておくこと。
【次回のための予習課題】次回の教科書該当頁(中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第5章 オペラント条件づけ1,p. 55⁻61,昭和堂)をよく読み,シラバスのコマ主題細目とキーワードが意味するものを調べてまとめておくこと。

5 オペラント条件づけ(1) 科目の中での位置付け 本科目では,動物の学習といった古典的な学習から,ヒトの言語習得についてまで,「学習」と「言語」について幅広く学ぶ。そのため,「学習心理学」および「言語心理学」に関する心理学的知見を取り上げ,それらについての代表的な理論や研究知見を解説する。「学ぶ」ことは,人間を含めた生物にとった重要なことであり,多くの研究が行われている。それら先行研究の知見について知識を得ることで,「学習」について理解することで,問題点を探し,そこを改善し,さらに促進に寄与することも可能である。また,「言語」は成長とともに学ぶものであり,「学習」と関りが深い。この授業で扱う内容は,(1)本質的な学習(第1回から第2回),(2)古典的条件づけとオペラント条件づけ(第3回から第8回),(3)日常における学習(第9回から第11回),(4)言語の習得(第12回から第15回)の4部構成となる。第5回では,(2)古典的条件づけとオペラント条件づけの中から,「オペラント条件づけ」とはどのようなことか,そしてどのような特徴があるのかについて解説する。この講義を通して,「オペラント条件づけ」の基礎知識を身につける。
【主題細目①:オペラント条件づけ】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第5章 オペラント条件づけ1,p. 55⁻57,昭和堂.

【主題細目②:強化と罰】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第5章 オペラント条件づけ1,p. 58⁻59,昭和堂.

【主題細目③:三項随伴性と反応形成】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第5章 オペラント条件づけ1,p. 60⁻61,昭和堂.
コマ主題細目 ① 歴史的背景 ② 強化と罰 ③ 三項随伴性と反応形成 ④ ⑤
細目レベル ① 『オペラント条件づけの研究はどのような歴史を歩んできたのか』を理解する。古典的条件づけ」は刺激と刺激の連合学習であった。一方,「オペラント条件づけ」は,反応と結果の連合学習である。オペラントの語源は,もともとは操作(operation)であり,何らかの結果を得るために操作をするということである。この「オペラント条件づけ」の研究が確立するのに,多くの研究知見が影響を及ぼしている。1つはソーンダイク (Thorndike) による「問題箱」実験である。これは,様々な仕掛けのある問題箱にネコやイヌを入れ,箱から脱出するまでの時間を測定したものである。問題箱に入れられた動物は,試行を重ねると,徐々に脱出時間が減少していく「試行錯誤学習」が見られた。この結果からソーンダイクは,状況と反応の欠動が,その状況での反応しやすさを決定するとする「効果の法則」を見出した。この研究に対して,スキナー(Skinner)は「スキナー箱(オペラント箱)」 を用いた研究を行った。これは,レバーやキーを押すとエサが呈示され,非連続的にしか記録できない問題箱とは異なり,連続的に記録できる特徴がある。この箱から,反応をもたらす後続事象(結果)によって,その反応が生じやすくなる「強化」と,その反応が生じにくくなる「罰」を見出した。つまり,「オペラント条件づけ」は反応(操作)することによって,後続事象が変わる条件づけのことである。以上のことから,「オペラント条件づけ」の歴史的背景を代表的な研究手法から理解する。
② 『オペラント条件づけにおける強化がどのようなことか』を理解する。「オペラント条件づけ」は,反応と後続事象(結果)の随伴性が重要となる。このとき,反応によって生じる後続事象が,反応増加を導くことを「強化」と呼び,反対に,反応減少を導くことを「罰」と呼ぶ。特に,「強化」を導く後続事象を「強化子」,「罰」を導く後続刺激を「罰子」と呼ぶ。この「強化子」と「罰子」は,反応直後に与えると作用が大きくなる(即時強化)。例えば,「オペラント箱」を用いたラットの実験では,ラットがレバーを押してすぐにエサが出るときと,レバーを押してからしばらくしてからエサが出るときとでは,前者の即時にエサが出るときの方が,反応が「強化」される。
③ オペラント条件づけでは反応と後続事象の随伴関係だけでなく,弁別刺激と反応の随伴関係も重要である。弁別刺激,反応,後続事象の3つが関わるので,三項随伴性 (three-term contingency) という。弁別刺激は反応に先立つ事象であり,反応と行動はほぼ同義であるので,三項随伴性は「先行事象 (antecedent) - 行動 (behavior) - 後続事象 (consequence)」とも表現できる。こうすると,三項随伴性の分析は英語の頭文字で ABC分析となって憶えやすい。行動的問題の解決を目指す応用行動分析学では,ABC分析という表現がよく用いられる。オペラント条件づけの3項のうち最も重要なのは,反応である。古典的条件づけでは,条件刺激と無条件刺激を適切に随伴呈示すれば,条件反応が出現するようになる。つまり,条件刺激が反応を誘発する。いっぽう,オペラント条件づけでは,まず反応が自発され,それに後続事象が随伴する。訓練前の反応頻度をオペラント水準というが,この水準が低すぎると強化子を与える機会がないため,反応頻度を高めることができない。このため反応形成 (shaping) が行われる。反応形成には色々な方法があるが,最も一般的なものは逐次接近法で形成しようとする反応に向けて段階的に訓練する (中島,2020)。


キーワード ① オペラント条件づけ ② 強化 ③ 罰 ④ 三項随伴性 ⑤ 反応形成
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【今回の復習課題】「オペラント条件づけ」とは何か理解しておくこと。また,その際に,オペラント条件づけと古典的条件づけの差異を自分なりに考えて,その理由とともに説明できるようにしておくこと。これらの例や説明については,Webを通じて(授業内で開示)回答すること。その他,小テストで出題された内容を中心に,授業スライドを復習し,わからないことは教員に質問したり,受講生どうしで確認したりするなどして,不明点がないようにしておくこと。
【次回のための予習課題】次回の教科書該当頁(中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第5章 オペラント条件づけ1,p. 62⁻70,第6章 オペラント条件づけ2,p. 71, 昭和堂)をよく読み,シラバスのコマ主題細目とキーワードが意味するものを調べてまとめておくこと。

6 オペラント条件づけ(2) 科目の中での位置付け 本科目では,動物の学習といった古典的な学習から,ヒトの言語習得についてまで,「学習」と「言語」について幅広く学ぶ。そのため,「学習心理学」および「言語心理学」に関する心理学的知見を取り上げ,それらについての代表的な理論や研究知見を解説する。「学ぶ」ことは,人間を含めた生物にとった重要なことであり,多くの研究が行われている。それら先行研究の知見について知識を得ることで,「学習」について理解することで,問題点を探し,そこを改善し,さらに促進に寄与することも可能である。また,「言語」は成長とともに学ぶものであり,「学習」と関りが深い。この授業で扱う内容は,(1)本質的な学習(第1回から第2回),(2)古典的条件づけとオペラント条件づけ(第3回から第8回),(3)日常における学習(第9回から第11回),(4)言語の習得(第12回から第15回)の4部構成となる。第6回では,5回に引き続き(2)古典的条件づけとオペラント条件づけの中から,「オペラント条件づけ」とはどのようなことか,そしてどのような特徴があるのかについて解説する。この講義を通して,「オペラント条件づけ」の基礎知識を身につける。
【主題細目①:動機づけ】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第5章 オペラント条件づけ1,p. 62⁻63,昭和堂.

【主題細目②:強化と強化子】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第5章 オペラント条件づけ1,p. 64⁻70,昭和堂.

【主題細目③:三項随伴性】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第6章 オペラント条件づけ2,p.72-73,昭和堂.
コマ主題細目 ① 動機づけ ② 消去 ③ 強化スケジュール ④ ⑤
細目レベル ① 餌が強化子として作用するのは,動物が空腹のときである。しかし,空腹でもまずい餌だと強化力は低い。つまり,動機づけ(motivation)は,行動を自発する動物の体内に想定される動因(drive)と,その状況において報酬として存在する誘因(incentive)の両者の働きからなる。このため,餌を用いてオペラント条件づけ訓練を実施する前には,しばらく絶食状態にしたり,魅力的な餌を用いたりする必要がある。このように動機づけを変える手続きを動機づけ操作という。ハルは,動機づけが学習とその遂行の両方に必須だと考えたが,トールマンは,動機づけは遂行にのみ関与し,学習には不要だとした。迷路学習の実験では,訓練期後半に餌を与えられた「餌なし→餌あり」群のラットは,訓練期を通して餌を与えられた「餌あり群」に勝るとも劣らない遂行成績を示すようになった。これは,成績に反映されない潜在学習 (latent learning) が訓練期前半に生じていたことを意味しており,餌という動機づけが学習に必ない根拠とされている。しかし,潜在学習の実験では,目標箱に餌がなくても緩やかな成績改善が見られている。目標箱に達し,迷路から飼育室に戻ることが強化子として作用していたのだろう。また,回転カゴでひたすら走るハムスターのように,行動すること自体が行動の強化子としてはたらく場合もある。こうした行動内在的強化子も,迷路内を正しく進む行動を強めていたのかもしれない。つまり,潜在学習も強化学習が行われており,その後,目標箱を餌で魅力的にする動機づけ操作によって,遂行に大きく影響するようになったと思われる (中島,2020)。
② 『消去とはどのような現象なのか』を理解する。「消去」とは,これまで「強化」されてきた反応に対して,「強化子」の呈示を中止すると,その反応が次第に減少し,最後には条件づけ前の水準(オペラント水準)にまで戻る現象のことである。したがって,「消去」の手続きは,「強化子」を与えた後,それを与えない手続きとなる。「消去」の手続き後に,反応が直ちに「消去」されるわけではなく,手続きを開始した直後に一時的に反応が増える「消去バースト」と呼ばれる現象が生じた後,自発的反応が減少していく。また,「消去」の手続きは,反応の変動性も高める。例えば,ラットにレバー押しを求める「オペラント条件づけ」において,「消去」の手続きをすると,レバーを押す強さが消去期に強化される。さらに,「消去」の手続きによって,完全に反応が減少するわけではなく,他の場面でその反応が増加することもある。これは「行動対比」と呼ばれ,例えば,家の中でいたずらすることが多い子どもに対して,その反応の「消去」を行っても,外でいたずらが増えることである。ここで考える必要があるものが,「消去抵抗」である。「消去」によって,「オペラント条件づけ」前のレベルまで比較的早く減少する場合は「消去抵抗」が低い。この「消去」に抵抗する「消去抵抗」は,消去経験や消去前の手続きなど,さまざまな影響を受ける。以上のことを通して,「消去」がどのような現象かについて,それを取り巻く諸現象を理解する。
③ 『強化スケジュールにはどのような種類があり,それらの行動にはどのような特徴があるのか』を理解する。「オペラント条件づけ」には,問題箱のように,反応機会が1回につき1回の反応しか見ることのできない「離散試行型オペラント」と,いつでも何回でも反応を測定できる「自由オペラント」がある。「自由オペラント」は,いつでも反応できるため,行動の時々刻々の変化を観察することができる。この反応の測定には,「累積記録器」が用いられ,反応率を曲線の傾きでとらえられる。特に,「部分強化」を観察するためには有用なツールとなる。「部分強化」をするためのスケジュールのうち,代表的なものには「固定比率スケジュール(fixed ration: FR)」,「変動比率スケジュール(variable ratio: VR)」,「固定間隔スケジュール(fixed interval: FI)」,「変動間隔スケジュール(variable interval: VI)」の4つがあげられる。


キーワード ① 動機づけ ② 消去 ③ 逃避 ④ 回避 ⑤ 強化スケジュール
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【今回の復習課題】予習で作成したノートを用いて,『消去とはどのような現象なのか』,『強化スケジュールにはどのような種類があり,それらの行動にはどのような特徴があるのか』の各問いについて,授業内容および授業資料をもとに,自分の言葉で要約する。そして,予習課題で回答した内容と異なる部分,不足している部分はどこなのかを明示しておくこと。これらの内容はWebを通じて(授業内で開示)回答すること。

【次回のための予習課題】第7回のシラバスを熟読し,それぞれの細目主題の問い(各細目主題の第1文)をピックアップしたノートを作成する。そして,自分の言葉で,その問いに対する回答をまとめておく。その際,キーワードとなる語(「固定比率スケジュール」,「変動比率スケジュール」,「固定間隔スケジュール」,「変動間隔スケジュール)の意味を書籍やインターネットを用いて調べておくこと。

7 オペラント条件づけ(3) 科目の中での位置付け 本科目では,動物の学習といった古典的な学習から,ヒトの言語習得についてまで,「学習」と「言語」について幅広く学ぶ。そのため,「学習心理学」および「言語心理学」に関する心理学的知見を取り上げ,それらについての代表的な理論や研究知見を解説する。「学ぶ」ことは,人間を含めた生物にとった重要なことであり,多くの研究が行われている。それら先行研究の知見について知識を得ることで,「学習」について理解することで,問題点を探し,そこを改善し,さらに促進に寄与することも可能である。また,「言語」は成長とともに学ぶものであり,「学習」と関りが深い。この授業で扱う内容は,(1)本質的な学習(第1回から第2回),(2)古典的条件づけとオペラント条件づけ(第3回から第8回),(3)日常における学習(第9回から第11回),(4)言語の習得(第12回から第15回)の4部構成となる。第7回では,(2)古典的条件づけとオペラント条件づけの中から,「オペラント条件づけ」の複雑な手続きである「強化スケジュール」とその反応特性,刺激によって変化する反応特性について解説する。この講義を通して,効果的な「オペラント条件づけ」とその特性を理解する。
【主題細目①:部分強化】
●実森 正子・中島 定彦(2000). 第7章 オペラント条件づけ2:強化・消去と罰・強化スケジュール,「学習の心理-行動のメカニズムを探る-」,pp.130-131. サイエンス社

【主題細目②:刺激性制御(1)】
●実森 正子・中島 定彦(2000). 第7章 オペラント条件づけ2:強化・消去と罰・強化スケジュール,「学習の心理-行動のメカニズムを探る-」,p.121. サイエンス社

【主題細目③:刺激性制御(2)】
●実森 正子・中島 定彦(2000). 第7章 オペラント条件づけ2:強化・消去と罰・強化スケジュール,「学習の心理-行動のメカニズムを探る-」,pp.132-139. サイエンス社
コマ主題細目 ① 部分強化 ② 刺激性制御(1):弁別学習 ③ 刺激性制御(2):刺激般化 ④ ⑤
細目レベル ① 「部分強化」をするためのスケジュールのうち,代表的なものには「固定比率スケジュール(fixed ration: FR)」,「変動比率スケジュール(variable ratio: VR)」,「固定間隔スケジュール(fixed interval: FI)」,「変動間隔スケジュール(variable interval: VI)」の4つがあげられる。「固定比率スケジュール(FR)」は,強化子の呈示1回あたりの反応数が毎回同じスケジュールである。例えば,FR50条件であれば,反応50回ごとに強化子が与えられる。反応の特徴としては,強化子が与えられたあとには反応しない時期が出現する(強化後反応休止)。「変動比率スケジュール(VR)」は,強化子の1回あたりの反応数が毎回異なるスケジュールである。例えば,VR50条件であれば,平均して反応50回ごとに1回の割合で強化子が与えられる。反応の特徴としては,強化後反応休止が見られず,休みなく反応が得られる。「固定間隔スケジュール(FI)」は,強化子をもたらす反応までの経過時間が毎回同じスケジュールである。例えば,FI60条件であれば,計測開始から1分経過後の反応に強化子が与えられる。反応の特徴としては,強化後反応休止の後,徐々に反応率が高くなる。「変動間隔スケジュール(VI)」は,強化子をもたらす反応までの経過時間が毎回異なるスケジュールである。例えば,VI60条件であれば,計測開始から平均1分経過後の反応に強化子が与えられる。反応の特徴としては,安定して反応が生じる。以上のことから,それぞれの強化スケジュールの手法とその反応特徴を理解する。
② 『弁別学習とはどのような学習なのか』を理解する。日常的な反応には1択のものではなく,複数の行動から選択する「選択行動」もある。「選択行動」を検討する上で,「弁別学習」が用いられる。これは,刺激Aに反応すると強化子が得られるが,刺激Bに反応しても強化子が得られない状況において,刺激の種類が行動を制御して,刺激Aのときだけ反応するようになることである。したがって,刺激によって反応が変化する事態となる。この「弁別学習」には,複数ある刺激を1回ずつ順番に呈示する「経時弁別」と複数の弁別刺激を同時に呈示する「同時弁別」がある。また,反応した直後に小さな強化が得られる場合を選ぶ「衝動性」と,反応してもすぐに強化されないが,後に大きな強化が得られる場合を選択する「自己制御」がある。このとき,すぐに選択しなければならないときには「衝動性」,選択を実際に求められるまでに時間があるときには「自己制御」にもとづいた反応がされやすい。以上のことから,「弁別学習」の特性と研究手法を理解する。

③ 『刺激般化とはどのような現象か』を理解する。「刺激般化」とは,「オペラント条件づけ」に用いられた強化子以外の類似した要素を持つ刺激に対しても,反応が強化されることである。この「刺激般化」は生体が環境に適応するためには重要であると考えられている。「刺激般化」の反応特性として,横軸に刺激次元,縦軸に反応数や反応率をとると,「般化勾配」が得られる。これは,「刺激般化」が見られているときには,「オペラント条件づけ」に用いられた強化子を頂点として,両側に反応が減少する勾配が見られる。例えば,「オペラント条件づけ」の強化子として,550 nmを色光として用いて,テスト時に,555 nm,560 nm,570 nm,590 nmと色光を呈示すると,550 nmに近い色光では反応率が高くなり,遠くなるほどその反応率が低くなる。この「般化勾配」は,ハトやウマだけではなく,ヒトでも見られる現象である。以上のことから,「オペラント条件づけ」における「刺激般化」の特性を理解する。


キーワード ① 固定比率スケジュール ② 変動比率スケジュール ③ 固定間隔スケジュール ④ 変動間隔スケジュール ⑤ 刺激般化
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【今回の復習課題】予習で作成したノートを用いて,『消去とはどのような現象なのか』,『オペラント条件づけにおける逃避や回避とはどのような現象なのか』,『オペラント条件づけにおいて効果の大きい罰は,何に注意すべきか』の各問いについて,授業内容および授業資料をもとに,自分の言葉で要約する。そして,予習課題で回答した内容と異なる部分,不足している部分はどこなのかを明示しておくこと。これらの内容はWebを通じて(授業内で開示)回答すること。

【次回のための予習課題】第8回のシラバスを熟読し,それぞれの細目主題の問い(各細目主題の第1文)をピックアップしたノートを作成する。そして,自分の言葉で,その問いに対する回答をまとめておく。その際,キーワードとなる語(強化スケジュール,弁別学習,衝動性・自己制御,刺激般化,般化勾配)の意味を書籍やインターネットを用いて調べておくこと。

8 古典的条件づけとオペラント条件づけのまとめ 科目の中での位置付け 本科目では,動物の学習といった古典的な学習から,ヒトの言語習得についてまで,「学習」と「言語」について幅広く学ぶ。そのため,「学習心理学」および「言語心理学」に関する心理学的知見を取り上げ,それらについての代表的な理論や研究知見を解説する。「学ぶ」ことは,人間を含めた生物にとった重要なことであり,多くの研究が行われている。それら先行研究の知見について知識を得ることで,「学習」について理解することで,問題点を探し,そこを改善し,さらに促進に寄与することも可能である。また,「言語」は成長とともに学ぶものであり,「学習」と関りが深い。この授業で扱う内容は,(1)本質的な学習(第1回から第2回),(2)古典的条件づけとオペラント条件づけ(第3回から第8回),(3)日常における学習(第9回から第11回),(4)言語の習得(第12回から第15回)の4部構成となる。第8回では,(2)古典的条件づけとオペラント条件づけの中から,第3回から第8回までの内容をもとに,「古典的条件づけ」と「オペラント条件づけ」の総まとめをする。この講義を通して,「古典的条件づけ」と「オペラント条件づけ」を俯瞰し,それらの差異と特徴について見直す。
【主題細目①:生得的行動と馴化・鋭敏化】
●実森 正子・中島 定彦(2000). 第1章 「学習」について学ぶ,「学習の心理-行動のメカニズムを探る-」,pp.1-16. サイエンス社
●実森 正子・中島 定彦(2000). 第2章 馴化と鋭敏化,「学習の心理-行動のメカニズムを探る-」,pp.17-30. サイエンス社

【主題細目②:古典的条件づけ】
●実森 正子・中島 定彦(2000). 第3章 古典的条件づけ1:基本的特徴,「学習の心理-行動のメカニズムを探る-」,pp.31-50. サイエンス社
●実森 正子・中島 定彦(2000). 第4章 古典的条件づけ2:信号機能,「学習の心理-行動のメカニズムを探る-」,pp.51-66. サイエンス社
●実森 正子・中島 定彦(2000). 第5章 古典的条件づけ3:学習の内容と発現システム,「学習の心理-行動のメカニズムを探る-」,pp.67-77. サイエンス社

【主題細目③:オペラント条件づけ】
●実森 正子・中島 定彦(2000). 第6章 オペラント条件づけ1:基礎,「学習の心理-行動のメカニズムを探る-」,pp.83-107. サイエンス社
●実森 正子・中島 定彦(2000). 第7章 オペラント条件づけ2:強化・消去と罰・強化スケジュール,「学習の心理-行動のメカニズムを探る-」,pp.118-145. サイエンス社
●実森 正子・中島 定彦(2000). 第8章 オペラント条件づけ3:刺激性制御-弁別と般化,「学習の心理-行動のメカニズムを探る-」,pp.151-174. サイエンス社
コマ主題細目 ① 生得的行動と順化・鋭敏化 ② 古典的条件づけ ③ オペラント条件づけ ④ ⑤
細目レベル ① 条件づけられる以前の反応である生得的行動を俯瞰し,「馴化」と「鋭敏化」について俯瞰し,まとめる。第1回では,「生得的行動」を扱った。「生得的行動」は大きく,「向性」と「無条件反射」に分けることができる。「向性」ではさらに「走性」と「動性」に区分される。一方,「無条件反射」は,一般的には言われる「反射」と呼ばれるもので,数多くの種類がある。特にヒトの場合,「原始反射」が見られ,成長にともなって,その反射が見られなくなるといった特徴がある(第1回参照)。第2回では「馴化・鋭敏化」を扱った。「馴化」は,呈示される刺激が弱いときに生得的反応が増大する。「馴化」した後の特性として,「刺激般化」,「脱馴化」,「自発的回復」があり,その「馴化」の大きさとしては,刺激の強さや試行間間隔によって変化する。また,「鋭敏化」は呈示される刺激が強いときに,生得的反応が増加する。そして,「馴化」と「鋭敏化」の差異については,興奮過程と反応抑制過程が合成されたものが観察される反応とする「二重過程説」によっても説明することができる(第2回参照)。以上のことを通して,「生得的行動」と「馴化・鋭敏化」の全体像を俯瞰し,まとめる。
② 「古典的条件づけ」の全体像を俯瞰し,まとめる。第3回から第4回では「古典的条件づけ」を取り上げた。「古典的条件づけ」に用いられる用語としては,生得的な反応のように無条件で反応を導く「無条件刺激(US)」,「無条件刺激(US)」によって誘発された反応である「無条件反応(UR)」,条件づける刺激である「条件刺激(CS)」,「条件刺激(CS)」によって誘発された反応である「条件反応(CR)」がある。そして,特性としては,「刺激般化」すること,長期間保持されること,反応は「消去」することができるが,「自発的回復」があること,新奇刺激と条件刺激との対呈示によって生じる「外抑止」,「脱抑止」などがあげられる(第3回参照)。その他に,複雑な「古典的条件づけ」があり,「古典的条件づけ」の諸現象を包括的に説明することができる「レスコーラ=ワグナー・モデル」がある(第4回参照)。そして,「古典的条件づけ」に用いられる刺激特性によっても,反応が変化する(第4回参照)。以上のことを通して,「古典的条件づけ」の全体像を俯瞰し,まとめる。
③ 「オペラント条件づけ」の全体像を俯瞰し,まとめる。第5回から第7回では「オペラント条件づけ」を取り上げた。「オペラント条件づけ」に用いられる用語としては,反応の増加を表す「強化」,「強化」させるための事象や刺激を「強化子」,反対に反応の減少を表す「罰」,「罰」させるための事象や刺激を「罰子」がある。また,「強化子」(あるいは罰子)には,「1次強化子」,「2次強化子」などがある。さらに,「オペラント条件づけ」を説明する上で重要となる「三項随伴性」もある(第6回参照)。「オペラント条件づけ」は,「古典的条件づけ」と同様に,反応を減少させる「消去」が見られる他,反応そのものの抑制を導く「罰」がある。ただし,「罰」は留意点が複数存在する(第7回参照)。また,「強化」スケジュールである部分強化スケジュールには,大きく4つの手法があり,それぞれの特性が異なり,さらに刺激によって反応が変わる「刺激性制御」も存在する(第7回参照)。以上のことを通して,「オペラント条件づけ」の全体像を俯瞰し,まとめる。


キーワード ① 生得的行動 ② 古典的条件づけ ③ レスコーラ=ワグナー・モデル ④ オペラント条件づけ ⑤ 三項随伴性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【今回の復習課題】授業内でもちいたまとめ資料をもとに,「生得的行動」と「順化・鋭敏化」について,「古典的条件づけ」について,「オペラント条件づけ」について,それぞれ設問を作成する。自分で問題を作成することにより,記憶の定着に効果的な,生成効果を狙う。これらの内容はWebを通じて(授業内で開示)回答すること。

【次回の予習課題】第9回のシラバスを熟読し,それぞれの細目主題の問い(各細目主題の第1文)をピックアップしたノートを作成する。そして,自分の言葉で,その問いに対する回答をまとめておく。その際,キーワードとなる語(概念の獲得,観察学習,模範学習,問題解決,洞察)の意味を書籍やインターネットを用いて調べておくこと。

9 概念・観察学習 科目の中での位置付け 本科目では,動物の学習といった古典的な学習から,ヒトの言語習得についてまで,「学習」と「言語」について幅広く学ぶ。そのため,「学習心理学」および「言語心理学」に関する心理学的知見を取り上げ,それらについての代表的な理論や研究知見を解説する。「学ぶ」ことは,人間を含めた生物にとった重要なことであり,多くの研究が行われている。それら先行研究の知見について知識を得ることで,「学習」について理解することで,問題点を探し,そこを改善し,さらに促進に寄与することも可能である。また,「言語」は成長とともに学ぶものであり,「学習」と関りが深い。この授業で扱う内容は,(1)本質的な学習(第1回から第2回),(2)古典的条件づけとオペラント条件づけ(第3回から第8回),(3)日常における学習(第9回から第11回),(4)言語の習得(第12回から第15回)の4部構成となる。第9回では,(3)日常における学習の中から,「概念・観察学習・問題解決」およびその理論について解説する。この講義を通して,「概念・観察学習・問題解決」のメカニズムとその特性を理解する。
【主題細目①:概念学習】
●実森 正子・中島 定彦(2000). 第9章 概念学習・観察学習・問題解決,「学習の心理-行動のメカニズムを探る-」,pp.187-197. サイエンス社

【主題細目②:観察による学習】
●実森 正子・中島 定彦(2000). 第9章 概念学習・観察学習・問題解決,「学習の心理-行動のメカニズムを探る-」,pp. 206-209. サイエンス社

【主題細目③:問題解決】
●実森 正子・中島 定彦(2000). 第9章 概念学習・観察学習・問題解決,「学習の心理-行動のメカニズムを探る-」,pp. 210-212. サイエンス社
コマ主題細目 ① 概念学習 ② 観察による学習 ③ 問題解決 ④ ⑤
細目レベル ① 『概念はどのように獲得されるのか』を理解する。われわれの生活において,物事を詳細に見ていくと,全く同じものはなく,さらには時間と共に変化することもある。しかし,これらの変化を常に認識しながら生活しているわけではない。そこで,われわれは,認知的負荷を極力抑えるために,共通性や類似性にもとづいて,いくつかの事例を1つのものとして周囲の世界を理解している。このように,周辺世界をまとめることを「カテゴリー化」と呼ぶ。そして,「カテゴリー化」された1つのまとまりのことを「概念」と呼ぶ。この「概念」は,より包括的な上位概念から,具体的な下位概念へと階層性があることもわかっている。ヒトにおいて,「概念」の獲得には発達的特徴がある。6歳から12歳にかけては,形にもとづいた「知覚的属性」から機能にもとづいた「機能的属性」に概念が獲得される。さらに,5歳から9歳にかけては,典型的事例を獲得するようになり,例えば,果物と言えば何かという質問に対して,5歳児よりも9歳児の方がより多くの例を挙げることができる。以上のことを通して,「概念」の獲得には発達的特徴があることを理解する。
② 『観察学習とはどのような学習なのか』を理解する。「観察学習」とは,その名の通り,観察することによって学習することである。「模範学習」における前半の過程である「模範の学習」によって成立する。この「観察学習」には,「古典的条件づけ」の観察や,「オペラント条件づけ」の観察でも見られる。「古典的条件づけ」に対する観察では,「代理的古典的条件づけ」と呼ばれる現象がある。例えば,条件刺激(CS)である音と,無条件刺激(US)の電気ショックを対呈示している様子を見ているだけで,観察者は一度も条件づけられていないにも関わらず,条件刺激(CS)に対して皮膚電位反応や生理反応が見られる。「オペラント条件づけ」に対する観察では,「代理強化」と呼ばれる現象がある。これは,モデルの行動に対して「強化」が与えられることによって,観察者の行動も「強化」される。以上のことから,「観察学習」は観察するだけで成立する学習であり,「古典的条件づけ」および「オペラント条件づけ」に対する観察でも見られる学習であることを理解する。
③ 『問題解決の成否がどのようにして決まるのか』を理解する。われわれは日々多くの問題に直面し,その解決を求められる。ケーラーのチンパンジーを対象とした研究では,木箱を積み重ねて高いところの餌をとるという目的のために使用できる手段の関係を,チンパンジーが洞察によって見抜いたと主張される。ケーラーの研究以降の多くの研究からは,問題場面に直面する以前の経験が問題解決の成否を決定することが示された。洞察として説明される現象は突然無から生じるわけではなく,それ以前に獲得されていた行動の組み合わせや相互作用の結果として自発されるのである (実森・中島,2019)。動物による研究の結果から,ヒトの日々の問題解決行動や思考のメカニズムまでを類推して理解する。


キーワード ① 概念の獲得 ② 観察学習 ③ 模範学習 ④ 問題解決 ⑤ 洞察
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【今回の復習課題】予習で作成したノートを用いて,『概念はどのように獲得されるのか』,『観察学習とはどのような学習なのか』,『問題解決の成否がどのようにして決まるのか』の各問いについて,授業内容および授業資料をもとに,自分の言葉で要約する。そして,予習課題で回答した内容と異なる部分,不足している部分はどこなのかを明示しておくこと。これらの内容はWebを通じて(授業内で開示)回答すること。

【次回の予習課題】第10回のシラバスを熟読し,それぞれの細目主題の問い(各細目主題の第1文)をピックアップしたノートを作成する。そして,自分の言葉で,その問いに対する回答をまとめておく。その際,キーワードとなる語(短期記憶,長期記憶,技能学習,練習,転移)の意味を書籍やインターネットを用いて調べておくこと。

10 記憶と学習 科目の中での位置付け 本科目では,動物の学習といった古典的な学習から,ヒトの言語習得についてまで,「学習」と「言語」について幅広く学ぶ。そのため,「学習心理学」および「言語心理学」に関する心理学的知見を取り上げ,それらについての代表的な理論や研究知見を解説する。「学ぶ」ことは,人間を含めた生物にとった重要なことであり,多くの研究が行われている。それら先行研究の知見について知識を得ることで,「学習」について理解することで,問題点を探し,そこを改善し,さらに促進に寄与することも可能である。また,「言語」は成長とともに学ぶものであり,「学習」と関りが深い。この授業で扱う内容は,(1)本質的な学習(第1回から第2回),(2)古典的条件づけとオペラント条件づけ(第3回から第8回),(3)日常における学習(第9回から第11回),(4)言語の習得(第12回から第15回)の4部構成となる。第10回では,(3)日常における学習の中から,「技能学習」と「記憶」について解説する。この講義を通して,「技能学習」のメカニズムと,「学習」における「記憶」の役割について理解する。
【主題細目①:短期記憶】
●プレゼンテーション資料(オリジナル)

【主題細目②:長期記憶】
●プレゼンテーション資料(オリジナル)

【主題細目③:技能の記憶と転移】
●プレゼンテーション資料(オリジナル)
コマ主題細目 ① 短期記憶 ② 長期記憶 ③ 技能の記憶と転移 ④ ⑤
細目レベル ① 『短期記憶と学習の関係』を理解する。学習とは「経験による行動の永続的な変化である」と定義されることが多い。永続的というのは,成熟や疲労や薬物などによる一時的あるいは過渡的な変化と区別するためで,全ての学習が文字通り永久に残るというわけではない。経験によって行動が変化するためには,経験によって得た情報を取り込み,記憶情報として保存し,そして必要な情報を検索して取り出し,行動に利用していく記憶過程を必要とする (実森・中島,2019)。心理学領域において,記憶はその保持時間の長さにもとづいて,感覚記憶,短期記憶,長期記憶などに区分されている。動物実験生理学の領域では,記憶の固定化の有無により,短期記憶と長期記憶に分類される。記憶の分類を理解した上で,記憶の短期的な側面と学習の関連を理解する。
② 『長期記憶と学習の関係』を理解する。学習とは「経験による行動の永続的な変化である」と定義されることが多い。永続的というのは,成熟や疲労や薬物などによる一時的あるいは過渡的な変化と区別するためで,全ての学習が文字通り永久に残るというわけではない。経験によって行動が変化するためには,経験によって得た情報を取り込み,記憶情報として保存し,そして必要な情報を検索して取り出し,行動に利用していく記憶過程を必要とする (実森・中島,2019)。心理学領域において,記憶はその保持時間の長さにもとづいて,感覚記憶,短期記憶,長期記憶などに区分されている。動物実験生理学の領域では,記憶の固定化の有無により,短期記憶と長期記憶に分類される。記憶の分類を理解した上で,記憶の長期的な側面と学習の関連を理解する。
③ 『技能は記憶にどの程度保持され,他の技能にも援用されるのか』を理解する。「技能」は一度学習すると長い間保持される。例えば,「技能学習」と「言語学習」を比較すると,「技能」の方が言語よりも,長く保持されることがこれまでの研究からも示されている。このように,「技能」は長く記憶にとどめられることから,他の場面に応用することもできる。そのため,ある程度,「技能」を習得している場合には,別の新しい「技能」の習得も有利になることがある。例えば,ギターの弾けるヒトは,ベースギターの習得も容易であることがある。このように,学習の効果が類似の学習に波及することは「転移」と呼ばれる。「転移」にも2種類あり,類似した別の技能を促進させる効果のある「正の転移」と,類似した別の技能に妨害的な効果のある「負の転移」がある。これら正か負かは,課題の類似度によって異なる。また,課題間だけではなく,反応間の転移として,鏡に映った像を見ながら,右手で図形をなぞった後,左手で同様の「練習」を行い,再度右手でテストをすると成績が良くなる「両側性転移」や,言語訓練をして,技能訓練をすると「転移」が生じる「メンタル・リハーサル」もある。以上のことを通して,「技能」の習得には,「転移」があることを理解する。


キーワード ① 短期記憶 ② 長期記憶 ③ 技能学習 ④ 練習 ⑤ 転移
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【今回の復習課題】予習で作成したノートを用いて,『短期記憶と学習はどのような関係であるか』,『長期記憶と学習はどのような関係であるか』,『技能は記憶にどの程度保持され,他の技能にも援用されるのか』の各問いについて,授業内容および授業資料をもとに,自分の言葉で要約する。そして,予習課題で回答した内容と異なる部分,不足している部分はどこなのかを明示しておくこと。これらの内容はWebを通じて(授業内で開示)回答すること。

【次回の予習課題】第11回のシラバスを熟読し,それぞれの細目主題の問い(各細目主題の第1文)をピックアップしたノートを作成する。そして,自分の言葉で,その問いに対する回答をまとめておく。その際,キーワードとなる語(エピソード記憶,メタ記憶,接近動機づけ,回避動機づけ,欲求)の意味を書籍やインターネットを用いて調べておくこと。

11 長期記憶,動機づけ 科目の中での位置付け 本科目では,動物の学習といった古典的な学習から,ヒトの言語習得についてまで,「学習」と「言語」について幅広く学ぶ。そのため,「学習心理学」および「言語心理学」に関する心理学的知見を取り上げ,それらについての代表的な理論や研究知見を解説する。「学ぶ」ことは,人間を含めた生物にとった重要なことであり,多くの研究が行われている。それら先行研究の知見について知識を得ることで,「学習」について理解することで,問題点を探し,そこを改善し,さらに促進に寄与することも可能である。また,「言語」は成長とともに学ぶものであり,「学習」と関りが深い。この授業で扱う内容は,(1)本質的な学習(第1回から第2回),(2)古典的条件づけとオペラント条件づけ(第3回から第8回),(3)日常における学習(第9回から第11回),(4)言語の習得(第12回から第15回)の4部構成となる。第11回では,(3)日常における学習の中から,学習との関わりがある「エピソード記憶」,「メタ記憶」,「動機づけ」について解説する。この講義を通して,「エピソード記憶」,「メタ記憶」と学習の関係や「動機づけ」のメカニズムとそれによって生じる行動メカニズムについて理解する
【主題細目①:エピソード記憶】
●実森 正子・中島 定彦(2000). 第11章 エピソード記憶とメタ記憶,「学習の心理-行動のメカニズムを探る-」,pp. 241-255. サイエンス社

【主題細目②:メタ記憶】
●実森 正子・中島 定彦(2000). 第9章 概念学習・観察学習・問題解決,「学習の心理-行動のメカニズムを探る-」,p. 256. サイエンス社

【主題細目③:動機づけと欲求】
●プレゼンテーション資料(オリジナル)
コマ主題細目 ① エピソード記憶 ② メタ記憶 ③ 動機づけと欲求 ④ ⑤
細目レベル ① 『エピソード記憶の働き』を理解する。わたしたちは,自分に起きた過去の出来事に関して,「いつ」「どこで」「なに」があったか (エピソード) を想起することができる。過去においてそのエピソードを体験している自分とは別の今の自分がそのエピソードを想起する。これをエピソード記憶という (実森・中島,2019)。動物はヒトのような言葉を持たないので,エピソード記憶はヒトに特異的なものと考えられた。しかし,動物にとっても,さまざまな事柄がいつどこで自分に起きたかを想起し,それを手がかりとして適応的な行動をとることは,自然界における生存に大きな価値があるはずである。動物がエピソード“的”記憶を持つことを示す研究の方法や研究の内容を理解する。
② 『メタ記憶』とはどのような記憶かを理解する。私たちは自分が何を記憶していたのか,そしてその記憶はどの程度確実なのかを査定することができる。自分の記憶を認識する別の自分がいるので,これをメタ記憶という。メタ記憶は,自分自身の思考や知識に関する認知,すなわちメタ認知の一種である (実森・中島,2019)。例えば,電話をかけるとき相手の番号を覚えているかどうか自分の記憶をチェックし,記憶が確かでなければ番号をしらべなおすであろう。また,ある事柄の細部までは具体的に思い出せないが,自分がその事柄を知っていたと感じる人は多い。ヒトは自分の記憶の内容や有無をモニターできる。このようなメタ記憶の働きについて理解する。
③ 『動機づけとはどのようなことであり,それを形成するものは何か』を理解する。「動機づけ」とは,行動や思考を喚起し,方向づけ,持続させ,完了へと導くこころの働きであると言われる。学習心理学において,報酬がない状況でも学習が生じることから,報酬には,「強化」だけではなく,行動を促す目標としての働きがあることが示されている。ここから,学習との関係の中での「動機づけ」は,学習される行動の目標達成のための行動や,新たな行動の学習を促す働きがあると考えられている。この「動機づけ」の形成のもととしてとらえられているものに「欲求」がある。「欲求」には,飢えや渇きなどの生存に関わるような身体的,生理的な不均衡によって喚起される「生理的欲求」と,必ずしも生理的な不均衡とは結びついていない「心理的欲求」がある。「生理的欲求」は,飢えに対しては摂食によって満たされるように,不均衡な状態が達成されると行動が完了する。ハルの「動因低減理論」は,「生理的欲求」について,行動が生じる理由を「動因×習慣」のような式で表している。一方で,「心理的欲求」は,不均衡の解消が必ずしも必要としない。ライアンら(Ryan et al., 2000)の「自己決定理論」は,自らの行動の原因に対しての自律性の欲求,環境との関わりであるコンピテンスの欲求,他者や社会との好ましい関わりである関係性の欲求の3つを「心理的欲求」としている。さらに,「自己決定理論」では,自律性の高低に応じて,賞賛といった外的な報酬によって動機づけられる「外発的動機づけ」を4段階想定し,さらに最も自律性が高い事態を楽しいから行動するといった内的に動機づけられる「内発的動機づけ」とした。以上の理論を通して,「動機づけ」を形成する「欲求」の概念を理解する。


キーワード ① エピソード記憶 ② メタ記憶 ③ 接近動機づけ ④ 回避動機づけ ⑤ 欲求
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【今回の復習課題】予習で作成したノートを用いて,『エピソード記憶はどのように働いているか』,『メタ記憶とはどのような記憶か』『接近動機づけ,回避動機づけは,それぞれどのような動機づけなのか』,『動機づけられた行動は,どのような過程を歩むのか』の各問いについて,授業内容および授業資料をもとに,自分の言葉で要約する。そして,予習課題で回答した内容と異なる部分,不足している部分はどこなのかを明示しておくこと。これらの内容はWebを通じて(授業内で開示)回答すること。

【次回の予習課題】第12回のシラバスを熟読し,それぞれの細目主題の問い(各細目主題の第1文)をピックアップしたノートを作成する。そして,自分の言葉で,その問いに対する回答をまとめておく。その際,キーワードとなる語(言語習得,言語獲得,クーイング,喃語,生得的言語獲得装置)の意味を書籍やインターネットを用いて調べておくこと。

12 言語の諸相 科目の中での位置付け 本科目では,動物の学習といった古典的な学習から,ヒトの言語習得についてまで,「学習」と「言語」について幅広く学ぶ。そのため,「学習心理学」および「言語心理学」に関する心理学的知見を取り上げ,それらについての代表的な理論や研究知見を解説する。「学ぶ」ことは,人間を含めた生物にとった重要なことであり,多くの研究が行われている。それら先行研究の知見について知識を得ることで,「学習」について理解することで,問題点を探し,そこを改善し,さらに促進に寄与することも可能である。また,「言語」は成長とともに学ぶものであり,「学習」と関りが深い。この授業で扱う内容は,(1)本質的な学習(第1回から第2回),(2)古典的条件づけとオペラント条件づけ(第3回から第8回),(3)日常における学習(第9回から第11回),(4)言語の習得(第12回から第15回)の4部構成となる。第12回では,言語を理解し,生み出す過程を概観する。
【主題細目①:ことばの聴き取り】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第8章 言語の諸相,p. 104,昭和堂.

【主題細目②:言語理解】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第8章 言語の諸相,p. 106⁻7,昭和堂.

【主題細目③:言語産出】
●第12回スライド
コマ主題細目 ① 言葉の聴き取り ② 言語理解 ③ 言語産出 ④ ⑤
細目レベル ① 音の感覚器は,耳である。まず,音を感知するための耳の構造を理解する。耳介で集められた音は,外耳道を通って鼓膜を震わせる。鼓膜に続く耳小骨は,てこの原理で,鼓膜の振動を増幅して伝える。内耳は聴覚器である蝸牛と,平衡感覚器である前庭や三半規官からなる。耳小骨の振動は蝸牛内部のリンパ液を揺らし,その揺れを蝸牛内部にあるコルチ器の有毛細胞でとらえて電気信号に変える。電気信号が,蝸牛神経,脳幹,中脳下丘,内側膝状体を経て,大脳の聴覚野に達することで,初めて「音が聞こえた」と認識される (中島,2020)。ただし,音の知覚は,感知した音の性質だけではなく,聞き手の知識や状況によって異なることも知られている。また,聴覚以外の感覚の影響もうける。聴覚的錯覚の1つであるマガーク効果を例としてこのことを体感する。
② 『文や文章を理解するとは心理学的にはどのようなことなのか』を理解する。耳から入る言葉を理解することは,日常生活において困ることはほとんどない。しかしながら,文字で書かれた「文」や「文章」(複数の文で構成されたもの)の内容を理解することは,困難を感じることがある。「文」を理解するためには,単語の知識,文法的地域,代名詞が何を指すのか,常識的な知識などさまざまな心理プロセスが働いている。このプロセスを意識させるものは,「ガーデンパス文」と呼ばれる。これは,呼んでいった際に,行き止まりがあれば戻りつつ読む文のことである。例えば,(1)“先生がわからないところがある学生Aにその方法を教えた学生Bを褒めた”といった文章と,(2)“わからないところがある学生Aにその方法を教えた学生Bを先生が褒めた”といった文章があるとする。二つとも意味は同じであるけれども,(1)では文の構造を理解しかけたときに,戸惑いが生じ,その後解釈が起こって,内容を理解する。一方で(2)では,(1)のようなプロセスは働かない。このように,(1)のような「ガーデンパス文」を読むのに時間がかかることは「ガーデンパス現象」と呼ばれる。これは,われわれが文章を理解するために解釈を急ぐ性質があることを示している。また,「文章」を理解するためには,複数の文で示される表象を統合した上で,1つのまとまりとして表象をまとめる心理プロセスが働いている。この際,文章理解に関わる表象,知識,推論が関わると考えられている。以上のことを通して,文や文章を理解する心理プロセスを理解する。
③ 『言語を産出するとは心理学的にはどのようなことか』を理解する。言語を産出することは,文章を作成するだけではなく,口頭で発話することも含まれる。「発話」に関わる心理プロセスは,レヴェルトのモデル(Levelt, 1989)によって説明することができる。このモデルによれば,「概念化部門」,「組み立て部門」,「調和部門」をとして,「発話」される。「概念化部門」では,「何かをしゃべる」といった言語化する前の内容の生成をする。その後,その情報を受け取る「組み立て部門」では,文法的・音韻的な組み立てを語彙とのやりとりを行う。「組み立て部門」で生成された内容は内的発話として,次の「調和部門」に送られる。ここでは,発声運動が促され,最終的に音声として排出される。ただし,これで終わるわけではなく,音声として排出された情報は,「言語理解系」で受け取り,そこを通して,内容理解として再び「概念化部門」へと送られる。以上のことを通して,言語を産出する心理的プロセスを理解する。


キーワード ① 感覚器 ② 聴覚野 ③ マガーク効果 ④ 言語理解 ⑤ 言語産出
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【今回の復習課題】予習で作成したノートを用いて,『文や文章を理解するとは心理学的にはどのようなことなのか』,『言語を産出するとは心理学的にはどのようなことか』,の各問いについて,授業内容および授業資料をもとに,自分の言葉で要約する。そして,予習課題で回答した内容と異なる部分,不足している部分はどこなのかを明示しておくこと。これらの内容はWebを通じて(授業内で開示)回答すること。

【次回の予習課題】第13回のシラバスを熟読し,それぞれの細目主題の問い(各細目主題の第1文)をピックアップしたノートを作成する。そして,自分の言葉で,その問いに対する回答をまとめておく。その際,キーワードとなる語(ブローカ野,ウェルニッケ野)の意味を書籍やインターネットを用いて調べておくこと。

13 言語の障害 科目の中での位置付け 本科目では,動物の学習といった古典的な学習から,ヒトの言語習得についてまで,「学習」と「言語」について幅広く学ぶ。そのため,「学習心理学」および「言語心理学」に関する心理学的知見を取り上げ,それらについての代表的な理論や研究知見を解説する。「学ぶ」ことは,人間を含めた生物にとった重要なことであり,多くの研究が行われている。それら先行研究の知見について知識を得ることで,「学習」について理解することで,問題点を探し,そこを改善し,さらに促進に寄与することも可能である。また,「言語」は成長とともに学ぶものであり,「学習」と関りが深い。この授業で扱う内容は,(1)本質的な学習(第1回から第2回),(2)古典的条件づけとオペラント条件づけ(第3回から第8回),(3)日常における学習(第9回から第11回),(4)言語の習得(第12回から第15回)の4部構成となる。第13回では,言語理解と発話に関係すると考えられる脳の部位について学ぶ。また,その脳の部位に障害を受けるとどのような症状が現れるか映像を見て確認する。
【主題細目①:言語に関わる脳部位】
●第13回授業スライド
●久野 雅樹(2019). 第9章 言語使用と知識,楠見 孝(編)「学習・言語心理学」,pp.142-144. 遠見書房

【主題細目②:失語症】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第8章 言語の諸相,p. 127,昭和堂.

【主題細目③:失語症の症例】
●中島 定彦 (2020). 「学習と言語の心理学」,第8章 言語の諸相,p. 127,昭和堂.

コマ主題細目 ① 言語に関わる脳機能 ② 失語症 ③ 失語症の症例 ④ ⑤
細目レベル ① 『言語に関わる脳部位はどこにあり,どのような機能を担っているのか』を理解する。脳には領域によって様々な役割がある。その中でも,言語に関わる脳領域には大きく2領域ある。一つは,運動性言語野とも呼ばれ発話に関わる「ブローカ野」,もう一つは受動性言語野と呼ばれ理解に関わる「ウェルニッケ野」である。「ブローカ野」は,前頭前野にあり,言語を組み立てて表出する機能を担っている。それに対して,「ウェルニッケ野」は,側頭葉の上部に位置し,言語の意味理解において重要な役割を担っている。この「ブローカ野」と「ウェルニッケ野」は,右手利きの場合,基本的には左半球(脳の左側)優位となり,これらの部位を総称して,「言語野」がと呼ばれている。「言語野」が損傷すると,失語症が生じる。「失語症」の症状には,流暢性の問題,聴覚的な理解の障害,復唱の障害,文字の障害などがある。また,「失語症」はその症状によって分類されており,ブローカ野が損傷し,発語失行する「ブローカ失語」,ウェルニッケ野が損傷し,聴力理解の著しい障害がみられる「ウェルニッケ失語」,シルビウス溝深部が損傷し,音韻性錯誤のみられる「伝導失語」,すべての言語様式が重度に障害される「全失語」などのタイプがある。以上のことを通して,言語に関わる脳部位の位置を同定し,それらの機能について理解する。
② 脳損傷 (おもに脳出血や脳梗塞などの脳血管障害) により,後天的に生じた言語機能の障害を失語症という (中島,2020)。失語症は,高次脳機能障害の一種であり,発声器官の異常により正しく発音できない構音障害やストレスなどによって声が出なくなる失声などとは異なる。「失語症」の症状にはさまざまな種類があり,流暢性の問題,聴覚的な理解の障害,復唱の障害,文字の障害などがある。また,「失語症」はその症状によって分類されており,ブローカ野が損傷し,発語失行する「ブローカ失語」,ウェルニッケ野が損傷し,聴力理解の著しい障害がみられる「ウェルニッケ失語」,シルビウス溝深部が損傷し,音韻性錯誤のみられる「伝導失語」,すべての言語様式が重度に障害される「全失語」などのタイプがある。
③ 脳損傷 (おもに脳出血や脳梗塞などの脳血管障害) により,後天的に生じた言語機能の障害を失語症という (中島,2020)。失語症は,高次脳機能障害の一種であり,発声器官の異常により正しく発音できない構音障害やストレスなどによって声が出なくなる失声などとは異なる。「失語症」の症状にはさまざまな種類があり,流暢性の問題,聴覚的な理解の障害,復唱の障害,文字の障害などがある。また,「失語症」はその症状によって分類されており,ブローカ野が損傷し,発語失行する「ブローカ失語」,ウェルニッケ野が損傷し,聴力理解の著しい障害がみられる「ウェルニッケ失語」,シルビウス溝深部が損傷し,音韻性錯誤のみられる「伝導失語」,すべての言語様式が重度に障害される「全失語」などのタイプがある。実際の症例の様子を映像によって確認し,理解を深める。


キーワード ① ブローカ野 ② ウェルニッケ野 ③ 失語症 ④ ブローカ失語 ⑤ ウェルニッケ失語
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【今回の復習課題】予習で作成したノートを用いて,『言語に関わる脳部位はどこにあり,どのような機能を担っているのか』の問いについて,授業内容および授業資料をもとに,自分の言葉で要約する。そして,予習課題で回答した内容と異なる部分,不足している部分はどこなのかを明示しておくこと。これらの内容はWebを通じて(授業内で開示)回答すること。

【次回の予習課題】第14回のシラバスを熟読し,それぞれの細目主題の問い(各細目主題の第1文)をピックアップしたノートを作成する。そして,自分の言葉で,その問いに対する回答をまとめておく。その際,キーワードとなる語(言語獲得,言語習得)の意味を書籍やインターネットを用いて調べておくこと。

14 言語の獲得 科目の中での位置付け 本科目では,動物の学習といった古典的な学習から,ヒトの言語習得についてまで,「学習」と「言語」について幅広く学ぶ。そのため,「学習心理学」および「言語心理学」に関する心理学的知見を取り上げ,それらについての代表的な理論や研究知見を解説する。「学ぶ」ことは,人間を含めた生物にとった重要なことであり,多くの研究が行われている。それら先行研究の知見について知識を得ることで,「学習」について理解することで,問題点を探し,そこを改善し,さらに促進に寄与することも可能である。また,「言語」は成長とともに学ぶものであり,「学習」と関りが深い。この授業で扱う内容は,(1)本質的な学習(第1回から第2回),(2)古典的条件づけとオペラント条件づけ(第3回から第8回),(3)日常における学習(第9回から第11回),(4)言語の習得(第12回から第15回)の4部構成となる。第14回では,「言語の獲得」において,子どもが言語を習得する能力として,音声,語彙,文法,語用論の4つの領域からなることを説明する。また,言語そのものを獲得できるメカニズムについても触れる。
【主題細目①:言語の発達】
●小林 春美(2019). 第7章 言語の習得,楠見 孝(編)「学習・言語心理学」,pp.101-112. 遠見書房

【主題細目②:生後1年間の言語獲得】
●第14回授業スライド

【主題細目③:言語獲得の理論】
●小林 春美(2019). 第7章 言語の習得,楠見 孝(編)「学習・言語心理学」,pp.113-117. 遠見書房


コマ主題細目 ① 言語の発達 ② 生後1年間の言語獲得 ③ 言語獲得の理論
細目レベル ① 『子どもは,言語をどのようにして習得していくのか』を理解する。言語を理解し使用する能力は,子どもの発達においてきわめて重要な能力である。子どもは言語を理解することにより,的確に大人などから重要なさまざまな知識・情報を得,自分の思考を深めることができる。また,言語を使用することにより,自分の意思を伝え,他者と共有し,社会の一員として成長できるようになる (小林,2019)。子どもがもつ言語能力の問題について考えるとき,言語のどのような分野の能力について考えているのか,明確にすることが大切である。言語は,音声,語彙,文法,語用論の4つの領域からなる。それぞれの分野の能力の発達の過程と,これらの発達のメカニズムに関する理論を理解する。
② 『ヒトは生後1年で,どのような過程で言語を習得していくのか』を理解する。ヒトは1歳前後から言葉を話し始めるが,この言葉を習得するまでに言語習得は始まっている。赤ちゃんは生まれた直後に反射的な発生として産声をあげたり,生後1ヶ月ぐらいは反射的に発声する。そして生後2,3ヶ月は「クーイング期」と呼ばれるように,のどをくうくうならす「クーイング」が見られる。生後4から6ヶ月は,「拡張期」として,うなり声や,キンキン声や唇を震わせる音などの音遊びが見られる。生後7から10ヶ月は,「基準喃語期」として,「喃語」の重複が見られる。「喃語」は,子音と母音の組み合わせたものであり,「bababababa」と言った形の発話が見られる。生後11から12ヶ月は「非重複喃語期」として,「喃語」を組み合わせた音(例えば,「アバブー」)や「ジャーゴン」と呼ばれるその子どもだけがわかる「ことば」を発したりする。そして,1歳前後になると,「マンマ」や「パパ」といった初めて有意味な語を話し始める。この頃は,1語使うことができることから「一語文期」と呼ばれる。その後,生後18から30ヶ月には,「ママ,どこ」,「お茶,飲む」,「これ,なーに」といった形で,2語使えるようになり,この時期のことを「二語文期」と呼ばれる。この時期の最大の特徴は,話せる単語が急激に増加する,「語彙爆発」が起こる。この「語彙爆発」の特徴としては,個人差はあるものの50語あたりから急激に増加するようになる。そして生後30ヶ月以降になると,3から8語を使って話せるようになり,成人と同様に会話ができるようになる。 以上を通して,ヒトが言語を発してから会話できるまでの過程を理解する。
③ 『言語はどのように獲得されるのか』を理解する。何らかの内容を他者に伝えるのはヒトが限ったことではなく,ミツバチにも見られる。ミツバチは,特有のダンスをし,そのダンスの方向や速度によって,エサがある方向や距離を伝達している。また,チンパンジーはある程度の言語表現と理解の能力を持つと言われている。しかし,チンパンジーとヒトの子どもを比較すると,ヒトは成長とともに,発話の長さが長くなるが,チンパンジーにはそういった点は見られず,チンパンジーは反復的で模倣的な言語であることから,ヒトとは異なる言語学習をしている。
それでは,ヒトがどのように言語を獲得しているのかというと,「オペラント条件づけ」によって主張したスキナーと「生得的言語獲得装置」によって主張したチョムスキーがいる。スキナーの考えでは,言語は自発的な言語反応に対して,「強化」が与えられることによって,言語を獲得するといったものである。そこには,「模倣」も重要であり,周囲の大人の発話を模倣し,使用することでその言語が「強化」されると考えた。一方,チョムスキーは,個々の文ではなく,規則を学習しているからこそ,今まで聞いたことない文を理解したり,新しい文を作成したりすることができると考えた。具体的には,言語の学習を促進する生得的な神経系メカニズム(「生得的言語獲得装置」)を仮定し,これによって言語を受け取り,処理をして,そこから規則を抽出して言語知識を生み出しているとした。以上のことを通して,スキナーおよびチョムスキーの考え方から,言語がどのように獲得されているのかを理解する。

キーワード ① 言語習得 ② 言語獲得 ③ クーイング ④ 喃語 ⑤ 生得的言語獲得装置
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【今回の復習課題】予習で作成したノートを用いて,『子どもは言語をどのようにして習得していくのか』,『ヒトは生後1年間で,どのような過程で言語を習得していくのか』,『言語はどのようにして獲得されるのか』の各問いについて,授業内容および授業資料をもとに,自分の言葉で要約する。そして,予習課題で回答した内容と異なる部分,不足している部分はどこなのかを明示しておくこと。これらの内容はWebを通じて(授業内で開示)回答すること。

【次回の予習課題】第15回のシラバスを熟読し,それぞれの細目主題の問い(各細目主題の第1文)をピックアップしたノートを作成する。そして,自分の言葉で,その問いに対する回答をまとめておく。その際,キーワードとなる語(言語相対説)の意味を書籍やインターネットを用いて調べておくこと。

15 言語と思考・文化,まとめ 科目の中での位置付け 本科目では,動物の学習といった古典的な学習から,ヒトの言語習得についてまで,「学習」と「言語」について幅広く学ぶ。そのため,「学習心理学」および「言語心理学」に関する心理学的知見を取り上げ,それらについての代表的な理論や研究知見を解説する。「学ぶ」ことは,人間を含めた生物にとった重要なことであり,多くの研究が行われている。それら先行研究の知見について知識を得ることで,「学習」について理解することで,問題点を探し,そこを改善し,さらに促進に寄与することも可能である。また,「言語」は成長とともに学ぶものであり,「学習」と関りが深い。この授業で扱う内容は,(1)本質的な学習(第1回から第2回),(2)古典的条件づけとオペラント条件づけ(第3回から第8回),(3)日常における学習(第9回から第11回),(4)言語の習得(第12回から第15回)の4部構成となる。第15回では,言語と思考・文化の関係において,習得された言語が思考にどのような影響を与える(または,与えない)と考えられているか解説する。また,言語心理学部分および全体のまとめを行う。
【主題細目①:言語相対説】
●今井 むつみ(2019). 第12章 言語,思考,文化,楠見 孝(編)「学習・言語心理学」,pp.179-186. 遠見書房

【主題細目②:言語と思考】
●今井 むつみ(2019). 第12章 言語,思考,文化,楠見 孝(編)「学習・言語心理学」,pp.186-192. 遠見書房

【主題細目③:まとめ】
●第15回授業スライド
コマ主題細目 ① 言語相対説 ② 言語と思考 ③ まとめ ④ ⑤
細目レベル ① 『言語相対説とはどのような説であるか』,『言語相対説はどのようにして提案され,どのように議論されてきたのか』を理解する。言語相対説は「サピア・ウォーフ仮説」とも呼ばれ,言語学者サピア(Sapir, E.)の考えを踏襲したウォーフ(Whorf, B. L.)によるアメリカ先住民の言語の研究をまとめたものにもとづく。サピアは,社会の現実を言語が反映しており,異なる言語において表現される概念は異なるものであり,同じ現実世界における同じ概念を異なるラベルで名付けているわけではないと考えた。ウォーフは,アメリカ先住民の言語の研究から,行動,習慣,考え方は,その言語を反映したものであると主張した。言語相対説は,さまざまな反響をもたらしたが,近年までは支持よりも批判が大半であった。言語相対説を中心に,言語と思考の関係の研究史の背景も理解する。
② 『現在では,言語と思考の関係がどのように考えられているか』を理解する。言語と思考の関係は,言語相対説,つまり異なる言語の話者の思考は異なるのか,それとも人類の思考は普遍的なのかという二項対立的な問いを肯定する立場と否定する立場の対立で長らく議論されてきた。しかし,色の認知や空間関係の領域をはじめ,物体の概念認識や人の動きの認識の分野などにおける諸研究を俯瞰的にみると,ヒトの認識や思考は普遍的か,言語・文化相対的かという二項対立の図式では,とても捉えることができないことが明らかになってきている (今井,2019)。現在,世界で用いられる言語の分類を例にとり,言語の普遍性と多様性が共存している状態であることを理解する。
③ 第12回から第15回までの内容において,言語の習得との関連で学んだ項目を俯瞰し,まとめる。第12回で言語を理解し,生み出す過程を概観し,第13回では,言語理解と発話に関係すると考えられる脳の部位について学んだ。また,その脳の部位に障害を受けるとどのような症状が現れるか映像を見て学んだ。第14回では,「言語の獲得」において,子どもが言語を習得する能力として,音声,語彙,文法,語用論の4つの領域からなることを説明した。また,言語そのものを獲得できるメカニズムについても触れた。第15回では,言語と思考・文化の関係について習得された言語が思考にどのような影響を与える(または,与えない)と考えられているか解説した。最後に,学習心理学で学んだ項目についても復習を行い,全15回のまとめとする。


キーワード ① 言語相対説 ② 言語と思考 ③ 普遍性と多様性 ④ 言語の障害 ⑤ 言語の獲得
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【今回の復習課題】予習で作成したノートを用いて,『言語相対説とはどのような説であるか』,『現在では,言語と思考の関係がどのように考えられているか』の各問いについて,授業内容および授業資料をもとに,自分の言葉で要約する。そして,予習課題で回答した内容と異なる部分,不足している部分はどこなのかを明示しておくこと。また,授業内でもちいたまとめ資料をもとに,言語心理学について,それぞれ設問を作成する。自分で問題を作成することにより,記憶の定着に効果的な,生成効果を狙う。これらの内容はWebを通じて(授業内で開示)回答すること。

【次回の予習課題】履修判定指標を熟読し,定期試験に向けて,これまでの予習で用いてきた問いと,それに対する回答をまとめておくこと。また,第1回~第15回までの配付資料をまとめ直し,自分なりにカテゴライズしておくこと。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
生得的行動・馴化・鋭敏化 「生得的行動」には,「向性」と「無条件反射」があり,「向性」はさらに「走性」と「動性」に分けられていることを理解している。その上で,「向性」と「動性」について,ヒト以外の研究例から説明することができる。また,ヒトの「無条件反射」について例示することができる。
「馴化」とは,同じ刺激を繰り返し与えられることで,最初にみられていたその刺激に対する反応が減少することを説明することができ,順化された行動には,「刺激般化」,「脱馴化」,「自発的回復」があることを理解しおり,それぞれがどのような現象であるのかを研究例を交えながら説明することができる。反対に,「鋭敏化」とは,刺激を繰り返し呈示することによって,その後の刺激に対する反応が増大することであることを説明でき,「馴化」との差異が刺激特定性であることを説明することができる。また,「馴化」と「鋭敏化」の差異を「二重過程説」から説明することができる。
生得的行動,向性,走性,動性,無条件反射,馴化,般化,自発的回復,鋭敏化,刺激特定性,二重過程説 10 1-2
古典的条件づけ 「古典的条件づけ」の基本的特徴(第3回)として,「古典的条件づけ」の手続きを,「条件刺激」,「条件反応」,「無条件刺激」,「無条件反応」をそれぞれ例示した上で,説明することができる。また,「古典的条件づけ」の「刺激般化」,「消去」,「外抑止」,「脱抑止」とはどのような現象なのかを先行研究をもとに,説明することができる。そして,「古典的条件づけ」の速さや大きさに及ぼす要因として,「連続強化」と「部分強化」にはどのような差異があるのか説明することができる。
「古典的条件づけ」の複雑な条件づけ(第4回)として,「感性予備条件づけ」の具体的な方法について研究例をもとに説明することができる。また,「古典的条件づけ」の刺激性制御を調べる方法である「分化条件づけ」と「複合条件づけ」の具体的な手続きと,その条件づけによって得られる効果を説明することができる。そして,「複合条件づけ」に見られる「隠蔽」と「阻止」について,「条件刺激」を例示した上で,説明することができ,これらの現象を包括的に説明することのできる「レスコーラ=ワグナー・モデル」の概要を理解している。
「古典的条件づけ」の反応遂行(第5回)として,「古典的条件づけ」は何を学習しているのかについて,研究例をもとに説明することができる。そして,「補償反応」とはどのような反応なのかについて「刺激置換理論」にもとづいて説明することができる。
古典的条件づけ,条件刺激(CS),条件反応(CR),無条件刺激(US),無条件反応(UR),刺激般化,消去,感性予備条件づけ 20 3, 4, 8
オペラント条件づけ 「オペラント条件づけ」の基本的特徴(第6回)として,「スキナー箱」によって見出された「強化」と「消去」がどのような現象なのかを研究例を用いて説明することができる。また,「強化子」をすべて把握した上で,1次強化子,2次強化子,般化強化子,トークン強化子は何を指すのかについて,研究例を挙げて説明することができる。そして,「オペラント条件づけ」の特徴を「三項随伴性」の視点から論じることができる。
「オペラント条件づけ」の「消去」と「罰」(第7回)として,「消去」とはどのような現象かを説明することができる。特に,「消去」をするための手続きを踏まえた上で,「消去抵抗」についても説明することができる。また,「消去」後に見られる反応として「負の強化」があり,この中でも「逃避」と「回避」があることを理解し,「逃避」と「回避」について,説明することができる。そして,「オペラント条件づけ」に「罰」を用いるには注意が必要であることを,研究例にもとづいて説明することができる。
「オペラント条件づけ」の「強化スケジュール」と「刺激性制御」(第8回)として,「強化スケジュール」の種類をすべて把握し,それぞれのスケジュールによって得られる効果を説明することができる。特に,それぞれの効果については,具体的な研究例を把握していること。また,「弁別学習」の手続きとその典型的結果,「刺激勾配」が生じる実験手続きについて,説明することができる。
オペラント条件づけ,スキナー箱(オペラント箱),強化,消去,強化子,三項随伴性,罰,逃避,回避,強化スケジュール,刺激性制御,弁別学習,刺激勾配 20 5, 6, 7, 8
社会的学習 「社会的学習」には,観察する段階と,それを実行する段階があることを把握した上で,前者に重点を置いた「観察学習」と,後者に重点を置いた「模倣学習」がどのようなものかを説明することができる。特に,「観察学習」ではバンデューラの手続きを説明することができ,「代理強化」とはどのような現象なのかを,バンデューラの研究結果から説明することができる。「模倣学習」については,どのような学習のことを指すのかを説明することができる。そして,社会的学習を包括的に説明した「社会的学習理論」を模式的に説明することができる。 観察学習,模倣学習,社会的学習理論,代理強化 10 9
記憶と学習 「技能学習」において,重要な「フィードバック」の役割について説明することができる。また,技能を上達させるための「練習」について,「全習」と「分習」との差異を理解した上で,メタ認知との兼ね合いを説明することができる。具体的には,メタ認知と実際の成績の差異があることを集中学習および分散学習の視点から,研究を示しながら説明することができる。そして,技能は類似した別の技能に「転移」について,研究例を提示しながらどのような現象か説明することができる。 技能学習,フィードバック,全習,分習,集中学習,分散学習,転移 10 10
動機づけ 「動機づけ」とはどのようなことなのかを日常例を交えながら説明することができ,「動機づけ」を形成する「欲求」について,「生理的欲求」と「心理的欲求」の違いを例示しながら区別することができる。「動機づけ」に大枠として,「自己決定理論」にもとづいて,「外発的動機づけ」の段階および「内発的動機づけ」とは何かを説明することができる。また,根源的な動機として。「接近動機づけ」と「回避動機づけ」とはどのような「動機づけ」のことかを具体例を交えながら説明することができ,それぞれの動機づけに誘引する言葉遣いや個人差の研究結果を理解している。そして,動機づけられた行動には,「自己制御」の過程があり,近年の研究知見から典型的にどのような行動が導かれているのかを説明することができる。 動機づけ,欲求,生理的欲求,心理的欲求 10 11
言語の習得と理解 「概念」と「言語」(第13回)として,「概念」とは心理学においてどのように考えられているのかを説明することができる。また,「概念」の象徴でもある「言語」について,動物とヒトの言葉の典型的な差異を挙げられる。その際,動物の「ことば」とはどういったものなのかをチンパンジーを対象とした研究から説明することができる。
「言語」の獲得(第14回)として,「言語」はどのように獲得できるのかについて,スキナーの「強化」の考えと,チョムスキーの「生得的言語獲得装置」による考えから説明することができる。また,ヒトが生まれて1年で,どのように「言語」を獲得していくのかについて,順を追って説明することができ,それぞれの時期の名前を示すことができる。そして,言語に関わる脳部位として,「ブローカ野」と「ウェルニッケ野」の脳部位を同定でき,それぞれの領域の役割を説明することができる。
「言語」理解(第15回)として,「言語」を理解しにくくなる「ガーデンパス文」とはどのような文かを例示することができる。また,言語を産出する心理的プロセスをレヴェルトのモデルから説明することができる。
言語,概念,強化,生得的言語獲得装置,ブローカ野,ウェルニッケ野 20 12,13,14,15
評価方法 期末試験の結果によって評価する。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 中島 定彦 (著) 「学習と言語の心理学」,昭和堂,2,750円 (税込)
参考文献 楠見 孝(編著)『第8巻 学習・言語心理学 (公認心理師の基礎と実践)』、遠見書房、2,860円 (税込)実森 正子・中島 定彦(著)『学習の心理 第2版 行動のメカニズムを探る』、サイエンス社、2,530円 (税込)
実験・実習・教材費 なし