区分 (心)心理学専門領域科目 対人・社会領域 (犯)犯罪心理学基盤科目 (生・環)学部共通科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
(心)専門的知識と実践的能力 (心)分析力と理解力 (心)地域貢献性
(環)専門性 (環)理解力 (環)実践力
カリキュラム・ポリシーとの関係
(心)課題分析力 (心)課題解決力 (心)課題対応力
(環)専門知識 (環)教養知識 (環)思考力 (環)実行力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。
科目の目的
私たちは,多くの人やモノに囲まれた生活を日々送っています。その生活の中で,私たち自身が周りの環境や人々に影響を与えていること,周囲によって私たちが影響を受けることがあります。これらの両方について意識し考えることは簡単なことではありません。一般的には,自分は周囲から影響を受ける側であると考えがちです。しかし,個々人は周囲に影響を与える側でもあるのです。これらについて考え,社会心理学の視点から日常的な現象を見る力を獲得することを目的とします。
到達目標
社会心理学の基本的用語や概念及び理論やモデルを理解し,先行研究の内容について把握し,それらの観点から日常の対人関係や社会的な行動について考察できる。
科目の概要
社会・集団・家族心理学の授業では,個人,個人と集団,集団と集団,家族や文化などに関わる社会心理学のトピックについて取り上げ,それらについて代表的な知見を学びます。社会心理学は,「個人の思想,感情,行動が他の人間の存在,あるいは想像や暗黙のうちに仮定される存在によって,どのように影響されるかを理解し,説明することを企画する科学」とオールポートによって定義されています。この定義からもわかるように,社会心理学では,我々人間のさまざまな面について,多くの研究が行われています。それら先行研究の知見を知ることで,いま現在,社会で起きている事柄を理解したり,考えをより深めたりすることできます。また,自分の中で気持ちややる気といわれる情動,感情といったものが周囲からどのような影響を受けているのか,考えることができます。この授業ではさまざまさ研究を概観することで知識を深めます。
科目のキーワード
認知的不協和理論,態度,集団意思決定,家族関係,文化比較,社会的公正,社会的影響,well-being,グループワーク
授業の展開方法
この授業はパワーポイントを用いて行われます。毎回の授業では,資料を配布します。この配布資料は,ノートを取るときの補助的なものとする位置づけで作成しています。そのため,受講者は,適宜,ノートを取る必要があります。また,授業内で15分程度の映像資料を3回視聴します。このほか,授業内にグループワークを1度実施します。その場でグループ分けし,話し合い意見を出してもらうといったワークを行うことから,討議への積極的な参加が求められます。
オフィス・アワー
【火曜日】2限目(後期のみ)・昼休み、【金曜日】1・2時限目・昼休み
科目コード PSC240
学年・期 2年・前期
科目名 社会・集団・家族心理学
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 (心)心理学概論 対人関係論(犯)心理学概論
展開科目 産業・組織心理学
関連資格 公認心理師、認定心理士
担当教員名 吉武久美
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 ガイダンス 社会心理学とは 科目の中での位置付け 社会・集団・家族心理学の授業では,個人,個人と集団,集団と集団,家族や文化などに関わる社会心理学のトピックについて取り上げ,それらについて代表的な知見を学びます。社会心理学は,「個人の思想,感情,行動が他の人間の存在,あるいは想像や暗黙のうちに仮定される存在によって,どのように影響されるかを理解し,説明することを企画する科学」とオールポートによって定義されています。この定義からもわかるように,社会心理学では,我々人間のさまざまな面について,多くの研究が行われています。それら先行研究の知見について知識を得ることで,社会で起きている問題について考えを深めます。また,情動や感情といったものが周囲からどのような影響を受けているかを考えます。このような科目全体の流れの中で,第1回目は,ガイダンスを行い,この授業のルールを提示します。この授業のルールや評価方法,グループワークについての説明をおこないます。また,社会心理学の視点,研究方法などを説明します。
コマ主題細目①参考文献
(1)『社会心理学』2ページから10ページ
コマ主題細目②参考文献
(1)『社会心理学』13ページから15ページ
コマ主題細目③参考文献
(2)『心理学』12ページから16ページ
コマ主題細目 ① 社会心理学とは ② 社会性と社会的認知 ③ 研究方法
細目レベル ① ここでは他の心理学との違いと関連について解説します。心理学にはさまざまな領域があります。たとえば,社会心理学,臨床心理学,認知心理学,教育心理学などあります。心理学と関連する学会について調べると日本心理学諸学会連合という団体には50を超える心理学関連の学会が加盟しています。それだけ多くの領域があるということです。その中で,特に社会と関連している心理学といえば,産業組織心理学,教育心理学,学習心理学,パーソナリティ心理学,発達心理学などがあげられます。これらの領域は個々に別のものではなく,多くが重なっています。たとえば,社会心理学の代表的な研究トピックとして,コミュニケーション(言語・非言語)や対人魅力,組織,文化差などといったものがあります。


② 心の社会性について発達的観点も含め,考えます。我々は「自分ひとりで考え,自分で判断している」,「自分は自分,他人は他人」と考えがちです。しかし,そうでない側面も多く存在し,社会との関りは重要です。そのため,人の社会性を考える必要があります。社会性を考えるには,内面的な過程を重視したり,社会から影響を受ける社会的存在である人間を考えたりします。発達的に知られていることは,人間には社会性を育む生得的な行動がプログラムされていることです。たとえば,生理的微笑や新生児微笑といわれている現象があります。これらのほほえみは,周囲からの働きかけにより,徐々に社会的微笑へと変化し,社会性が獲得されることになります。このような発達的視点や社会的認知から社会というものの大切さを考えることができます。このほか,情報処理アプローチを用いる以前の人間観(一貫性を求める人間,素朴な科学者,認知的倹約家,動機を持つ戦術家)についても考えます。


③ 心理学で用いられる研究方法には,観察法や実験法,面接法,調査法といったものがあります。ここでは社会心理学で用いられる研究方法について学びます。社会心理学で用いられる代表的なものには,実験室実験と質問紙調査があります。多くの研究が行われている社会心理学では,このほかにもコンピュータ・シミュレーションや観察法なども使われることがあります。実験室実験とは,原因と考えられる要因を実験者がコントロールする方法です。静かで落ち着いた実験室などが使われ,実験者がさまざまな働かけをします。質問紙調査は,アンケート用紙を配布し,多くの人々から調査データを集める方法です。これにより,質問紙による調査結果は一般化できるとされています。ただし,因果関係についてデメリットが指摘されています。実験室実験と質問紙調査,それぞれのメリット・デメリットを考えます。


キーワード ① 社会心理学 ② 社会性 ③ 社会的認知 ④ 実験研究 ⑤ 人間観
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語を調べます。この授業では教科書を指定していませんが,社会心理学の書籍は多くあります。その中で,自分の読みやすいものを選んでください。社会心理学では多くのトピックを扱っているため,書籍によって内容が大きく異なります。そのため,図書館で書籍を探すことをお勧めします。つぎの「一貫性を求める人間」,「素朴な科学者」,「認知的倹約家」,「動機を持つ戦術家」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,自己のノートと配布資料を用いて,「社会心理学とはどのようなものか」,「社会性」について,2つの研究方法について確認します。
予習として,次回は「情動二要因論」について学ぶため,この言葉を聞いただけで思い浮かぶ理論について考えます。

2 情動二要因論 科目の中での位置付け 社会・集団・家族心理学の授業では,個人,個人と集団,集団と集団,家族や文化などに関わる社会心理学のトピックについて取り上げ,それらについて代表的な知見を学びます。社会心理学は,「個人の思想,感情,行動が他の人間の存在,あるいは想像や暗黙のうちに仮定される存在によって,どのように影響されるかを理解し,説明することを企画する科学」とオールポートによって定義されています。この定義からもわかるように,社会心理学では,我々人間のさまざまな面について,多くの研究が行われています。それら先行研究の知見について知識を得ることで,社会で起きている問題について考えを深めます。また,情動や感情といったものが周囲からどのような影響を受けているかを考えます。このような科目全体の流れの中で,第2回目は,シャクターの情動二要因論に関連する研究について学びます。情動二要因論では「人は自分の生理的喚起を引き起こした原因を状況の中に求め,原因とみなした要因に応じた情動が経験される」としています。これはどのようなことか,研究から考えます。
コマ主題細目①参考文献
(1)『社会心理学』49ページ
コマ主題細目②参考文献
(1)『社会心理学』49ページ,
(3)『社会心理学ショート・ショート』121ページから126ページ
コマ主題細目③参考文献
(3)『社会心理学ショート・ショート』127ページから136ページ,144ページから150ページ
コマ主題細目 ① 情動二要因論の概説 ② 生理的喚起について考える ③ 情動認知について考える
細目レベル ① ここでは,情動二要因論について概説します。従来の研究者たちは,情動に特有の生理的反応があると考えていました。そのため,ある情動を人が感じるとき,その生理的な興奮状態によって情動を識別できると考えました。一方,シャクターは「人は自分の生理的喚起を引き起こした原因を状況の中に求め,原因とみなした要因に応じた情動が経験される」と考え,情動二要因論を提唱しました。シャクターらの実験(1962)では「ビタミン剤が視覚に与える影響を検討します」として実験を行いました。ダットンとアロンの有名な吊り橋実験(1974)では吊り橋を渡るドキドキと魅力的な人を見て感じるドキドキの2つの情動を用いて実験を行いました。また,ヴァリンズの「嘘の心音実験(1966)」では心臓の音を聞かせ実験を行いました。ディーンストビアとムンターは「罪悪感の減少(1971)」について実験しました。これらの実験の知見を通して,情動二要因論を考えます。


② 生理的喚起の認知が情動認知に与える影響について考えます。シャクターの情動二要因論では「人は自分の生理的喚起を引き起こした原因を状況の中に求め,原因とみなした要因に応じた情動が経験される」と考えます。シャクターらの実験(1962)では,薬の副作用を説明されていなかった実験協力者は心拍数の増加を周囲の人々の様子(怒っている・喜んでいる)に合わせて解釈しました。また,ダットンとアロンの吊り橋実験(1974)でも吊り橋を渡るドキドキを高恐怖条件と低恐怖条件の2つの条件を設定し,高恐怖条件の人たちが魅力的な人を見て感じるドキドキをより認知することを示しました。このような実験を通して,自分の生理的喚起(ドキドキ)を引き起こした原因を状況(目の前の魅力的な人)の中に求め,原因とみなした要因に応じた情動(ときめきのドキドキ)と解釈することを理解します。


③ 生理的喚起,その認知だけが情動認知に影響するわけではないことについて考えます。ヴァリンズ(1966)では,シャクターの考えをさらに進めて,生理的喚起すること自体よりも,解釈されることが重要と考え実験しました。つまり,実際には,ドキドキしていなくても,本人がドキドキしている「興奮している」と解釈すればよいのではないかと考えました。 実験では,人工的な心臓音を自分の心臓音だと説明された実験協力者が心臓音を強く認識するとその音を性的興奮の情動と結びつけ,強い魅力を感じることを示しました。また,ディーンストビアとムンター(1971)は罪悪感の軽重が生理的喚起の強弱に対応していることをカンニングの実験を行い明らかにしました。これらの実験を通して,生理的喚起,その認知が状況に影響を受け,情動認知が変わることを理解します。


キーワード ① 情動二要因論 ② 生理的喚起 ③ 情動認知 ④ 吊り橋実験 ⑤ 実験
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語を調べます。この授業では教科書を指定していませんが,社会心理学の書籍は多くあります。その中で,自分の読みやすいものを選んでください。社会心理学では多くのトピックを扱っているため,書籍によって内容が大きく異なります。そのため,図書館で書籍を探すことをお勧めします。つぎの「情動二要因論」,「ダットンとアロンの吊り橋実験(1974)」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,自己のノートと配布資料を用いて,「生理的喚起と情動認知はどのようなものであるか」,概説した4つの実験についてどのような実験を行い,どのような結果となったかを確認します。
予習として,次回は「認知的不協和」について学ぶため,「不協和」とはどのようなことを指すのかについて考えます。

3 認知的不協和理論① 科目の中での位置付け 社会・集団・家族心理学の授業では,個人,個人と集団,集団と集団,家族や文化などに関わる社会心理学のトピックについて取り上げ,それらについて代表的な知見を学びます。社会心理学は,「個人の思想,感情,行動が他の人間の存在,あるいは想像や暗黙のうちに仮定される存在によって,どのように影響されるかを理解し,説明することを企画する科学」とオールポートによって定義されています。この定義からもわかるように,社会心理学では,我々人間のさまざまな面について,多くの研究が行われています。それら先行研究の知見について知識を得ることで,社会で起きている問題について考えを深めます。また,情動や感情といったものが周囲からどのような影響を受けているかを考えます。このような科目全体の流れの中で,第3回目は,認知的不協和理論について概説します。認知的不協和の規定因や認知的不協和理論と関連する理論について考えます。また前回の情動二要因論の映像資料を視聴します。
コマ主題細目①参考文献
(1)『社会心理学』142ページ
コマ主題細目②参考文献
(4)『社会心理学-個人と集団の理解-』89ページ,90ページ
コマ主題細目③参考文献
(1)『社会心理学』144ページ
コマ主題細目 ① 認知的不協和理論の概説 ② 不協和を低減する方法 ③ 認知的不協和理論の規定因
細目レベル ① ここでは,フェスティンガーの提唱した認知的不協和理論とその関連する理論について学びます。自分の意見と矛盾する情報が明らかになったり,自分で言ったことと自分の行動に不一致が生じたりしたときに,困惑し,その矛盾を解消しようとする現象を説明するために,フェスティンガー(1957)が認知的不協和理論を提唱しました。我々は矛盾する状況に陥った場合,不協和な状態と認知します。この不協和な状態は我々にとって心理的に不快な状態となります。不協和が生じると,それを低減しよう動機づけられたり,不協和を増大させる状況や情報を回避しようとしたりすることがあります。このような現象を認知的不協和理論が説明してくれます。この認知的不協和理論は,認知的整合性(斉合性)理論群の代表的な理論です。認知的整合性理論では,ハイダーの認知的バランス理論なども知られています。


② 不協和を低減する方法について考えます。不協和低減方法の1つ目として,「行動に関する認知要素を変化させる」ことがあげられます。他の認知と矛盾しないように行動を変えます。つまり,タバコが有害だと認知すれば禁煙します。2つ目として,「環境に関する認知要素を変化させる」ことがあげられます。喫煙は健康に無害であると信じることも環境に関する認知となります。かたくなに信じ,聞く耳をもたないようなときは,環境に関する認知要素を変化させていることになります。3つ目として,「新しい認知要素を付加する」ことがあげられます。甘いものを食べすぎるのはよくないと考えていた場合には,甘いものの効用をいくつも考えます。「糖分は脳の栄養になる」「リラックス効果がある」などといったことを理由にたくさん甘いものを食べたりする場合には新しい認知要素を付けていることになります。これらの不協和低減方法を自分の普段の生活に置き換えて考えます。


③ 認知的不協和の効果を規定する要因について考えます。認知的不協和の効果を規定する重要な要因として,「態度と行動の不一致度」,「行動の公然性」,「行動への投資量」,「認知要素の重要性」の4つがあげられます。まず,態度と行動の不一致度は,実際の行動と態度が同じではない場合に正当化することをいいます。つまり,言っていることとやっていることが違うようなことを指します。つぎに行動の公然性は,多くの聴衆の前で取った行動かどうかが不協和を生じさせることに影響することをいいます。また,行動への投資量では,行動すること自体が難しいような場合であるほど,その行動を正当化する態度が強くなることいいます。最後に,認知要素の重要性とは,その人にとって重要なことであればあるほど,不協和は生じやすくなることを指します。このような認知的不協和の効果を規定する要因について,身近な事柄で考えます。


キーワード ① 合理化 ② 正当化 ③ 認知的不協和 ④ 認知的バランス理論 ⑤ 不一致度
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語を調べます。この授業では教科書を指定していませんが,社会心理学の書籍は多くあります。その中で,自分の読みやすいものを選んでください。社会心理学では多くのトピックを扱っているため,書籍によって内容が大きく異なります。そのため,図書館で書籍を探すことをお勧めします。つぎの「認知的整合性理論」,「バランス理論」について調べ,授業で得た認知的不協和に関する知識をより深めます。また,自己のノートと配布資料を用いて,「認知的不協和における正当化,合理化」について考えます。これまでの経験の中で,正当化や合理化だったと考えられることを探し,書き留めます。
予習として,次回は「認知的不協和理論」に関して,これまで研究されてきた知見を学びます。その一つである「フット・イン・ザ・ドア」について調べます。どのような内容を言うのかを調べ,書き留めます。

4 認知的不協和理論② 科目の中での位置付け 社会・集団・家族心理学の授業では,個人,個人と集団,集団と集団,家族や文化などに関わる社会心理学のトピックについて取り上げ,それらについて代表的な知見を学びます。社会心理学は,「個人の思想,感情,行動が他の人間の存在,あるいは想像や暗黙のうちに仮定される存在によって,どのように影響されるかを理解し,説明することを企画する科学」とオールポートによって定義されています。この定義からもわかるように,社会心理学では,我々人間のさまざまな面について,多くの研究が行われています。それら先行研究の知見について知識を得ることで,社会で起きている問題について考えを深めます。また,情動や感情といったものが周囲からどのような影響を受けているかを考えます。このような科目全体の流れの中で,第4回目は,認知的不協和の現象について検討した先行研究を学びます。これら先行研究の知見をもとに,認知的不協和状況の解消について考えます。
コマ主題細目①参考文献
(3)『社会心理学ショート・ショート』68ページから72ページ
コマ主題細目②参考文献
(3)『社会心理学ショート・ショート』73ページから80ページ
コマ主題細目③参考文献
(3)『社会心理学ショート・ショート』81ページから87ページ
コマ主題細目 ① アロンソンとカールスミスの知見 ② フェスティンガーとカールスミスの知見 ③ 認知的不協和理論の応用
細目レベル ① アロンソンとカールスミスの実証研究を示し,認知的不協和について考えます。アロンソンとカールスミス(1963)は子どもへのしつけに,強い罰や脅し文句を使うことは有効かどうかを実証的に研究し,認知的不協和理論で説明しました。まず,どのような手続きで研究を行ったかを把握します。アロンソンらは,4歳児の子どもたちを対象に実験を行いました。子どもたちにとって魅力的な行為を禁止します。するとそれに従っている子どもたちは,「その行為は魅力的だ」という認知と,「その行為を自分はしていない」という認知を持つことになります。アロンソンらはそこに不協和が生じると考えました。大人の言いつけに従っている子どもたちにとって禁止を解除することは難しいことです。もし,子どもにとって不協和が大きい場合には行為の魅力を低減し,不協和を低減させると考えました。実験の結果,強い罰や脅し文句をしつけに使うことは有効ではないことを明らかにしました。実験手続きやその結果から,どのような解釈がされているかを理解します。


② フェスティンガーとカールスミスの実証研究を示し,認知的不協和について考えます。フェスティンガーとカールスミス(1959)は,人は自分の意に添わない行動や発言に対して報酬を受けたとき,その報酬の程度がその行為は強く内面化させるかを実証的に研究しました。フェスティンガーらは,大学生に退屈な作業を行わせ,その作業を「面白い作業である」と実験に参加している人に説明させました。その説明をすることに対してもらえる報酬として1ドル条件,20ドル条件の2つ設定しました。さまざまな手続きを踏んで,最終的に大学生らが最初に行った退屈な作業をどのように評価するかを測定しました。フェスティンガーらの予測は,認知的不協和理論から,1ドル条件の方が不協和を大きく認知するため,1ドル条件の方が,20ドル条件よりも作業の評価が高いことを明らかにした。実験手続きやその結果から,どのような解釈がされているかを理解します。


③ 認知的不協和理論を用いた態度変化のテクニックに関する先行研究を説し,認知的不協和について考えます。不協和を低減させるように動く働きを応用したテクニックはさまざま知られています。その中で,ここでは,セールスマンの技として知られている「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」について学びます。これは,「セールスに家を訪問したとき,家人は訪問者がセールスマンだとわかると,すぐにドアを閉めようとする。このとき,ドアの隙間に足を入れ込み,何とか話だけでも聞いてもらうようにする。話を聞いてもらえ,玄関までは入れれば,何か買う気にさせることができる。」というものです。フリードマンとフレーザ(1966)は主婦たちを対象として実験を行いました。実験の結果,不協和を低減しようとし,事前に小さな依頼を実行した主婦は,後から依頼されたとても面倒な調査を引き受ける割合が高くなることを示しました。実験手続きやその結果から,どのような解釈がされているかを理解します。


キーワード ① 合理化 ② 正当化 ③ 認知的不協和 ④ 態度のアクセスビリティ ⑤ 実験手続き
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語を調べます。この授業では教科書を指定していませんが,社会心理学の書籍は多くあります。その中で,自分の読みやすいものを選んでください。社会心理学では多くのトピックを扱っているため,書籍によって内容が大きく異なります。そのため,図書館で書籍を探すことをお勧めします。つぎの「内面化」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,自己のノートと配布資料を用いて,4つの実験の実験条件にについて確認します。それぞれ,複数の実験条件や統制条件が設定されています。それらを理解することで,4つの実験でどのようなことが行われたかを理解できます。
予習として,次回は「態度と態度変化」について学ぶため,態度とはどのようなものであるかについて考えます。態度という言葉はよく使われる言葉ですが,社会心理学では日常的に用いる態度とは異なる用い方をします。まずは辞書で「態度」を確認します。

5 態度と態度変化① 科目の中での位置付け 社会・集団・家族心理学の授業では,個人,個人と集団,集団と集団,家族や文化などに関わる社会心理学のトピックについて取り上げ,それらについて代表的な知見を学びます。社会心理学は,「個人の思想,感情,行動が他の人間の存在,あるいは想像や暗黙のうちに仮定される存在によって,どのように影響されるかを理解し,説明することを企画する科学」とオールポートによって定義されています。この定義からもわかるように,社会心理学では,我々人間のさまざまな面について,多くの研究が行われています。それら先行研究の知見について知識を得ることで,社会で起きている問題について考えを深めます。また,情動や感情といったものが周囲からどのような影響を受けているかを考えます。このような科目全体の流れの中で,第5回目は,態度とは何か,態度と行動の関係について説明します。ラピエール(1934)の行った実験から得られた知見から態度と態度変化について考えます。
コマ主題細目①参考文献
(1)『社会心理学』137ページから139ページ
コマ主題細目②参考文献
(1)『社会心理学』140ページ
コマ主題細目③参考文献
(1)『社会心理学』140ページ,
(5)『心理学を変えた40の研究』364ページから374ページ
コマ主題細目 ① 態度の定義 ② 態度の機能 ③ 態度形成と行動
細目レベル ① ここでは,社会心理学における「態度」とはどのようなものであるか,態度の定義について考えます。「態度」を辞書で引くと「ある物事に対したときの人の様子」や「ある物事に対応する身構え」といった説明がされています。心理学では,「態度とは,人間が何かを選択したり決定したりする際に,その根拠として働いていると考えられる知識や好き嫌いなどの心理的状態の総称」とされ,「対象に関する好みや評価的な判断に基づいた心理的な傾向」と定義されています。ローゼンバーグとホヴランドは,態度の3つの成分としてつぎのものをあげています。一つに,感情的成分です。二つに,認知的成分です。三つに,行動的成分です。これら3つの成分を用いて態度を理解します。


② 態度の構造,態度のはたす機能について考えます。態度の機能面についてKatz(1960)は,4つ指摘しています。まず,適応機能です。つぎに自我防衛機能,そして価値表出機能,最後に知識機能です。このほか,Eagly & Chaikin(1998)は情報的機能と対人関係的機能の2つを指摘しています。態度にはこのような機能面だけでなく,態度の強度も考えなければいけません。ファチオ(1989)は態度-非態度連続体という考えを提唱しています。その対象への評価が態度としての性質を示すかどうかは,態度の程度問題であるとし,態度強度が重要な働きをするとしています。態度強度が強いと,態度のアクセスビリティが高くなり,反応がよくなることを指摘しています。


③ 態度を形成する過程に関する理論を理解し,ラピエール(1934)の実験を通して,態度と行動の関係について考えます。ラピエールは態度と行動は一貫しないことを明らかにしました。たとえば,旧ソ連に対する差別や偏見の色濃く残る時代に,アメリカ人男性に「電車の中で旧ソ連の女性に席を譲りますか?」と質問し回答してもらった後に電車内で実際に席を譲るかどうか観察した。しかし,質問の回答と譲る行動の間には関連が見られませんでした。また,ラピエール(1934)では,中国人留学生とその妻と一緒に各地を旅行して,観察を行っています。当時は東洋系の人々に対して差別的態度を示す社会的背景がありました。実際に訪問したホテルやレストランでの接客態度,後日東洋系の客を受け入れるかどうかの調査などを通して,態度と行動が一貫しないことを示しました。ラピエール(1934)では,どのような手続きを取り,その結果から,どのような解釈がされているかを理解します。


キーワード ① 態度 ② 態度の機能 ③ 適応機能 ④ 一貫性 ⑤ 予測理論
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語を調べます。この授業では教科書を指定していませんが,社会心理学の書籍は多くあります。その中で,自分の読みやすいものを選んでください。社会心理学では多くのトピックを扱っているため,書籍によって内容が大きく異なります。そのため,図書館で書籍を探すことをお勧めします。つぎの「態度の定義」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,自己のノートと配布資料を用いて,Katz(1960)の4つ機能「適応機能」,「自我防衛機能」,「価値表出機能」,「知識機能」とはどのようなものか,Eagly & Chaikin(1998)の2つの機能「情報的機能」,「対人関係的機能」とはどのようなものか,「態度のアクセスビリティ」とはどのようなものか,について確認します。
予習として,次回は「態度と態度変化」について説得と態度変化の関連などを学ぶため,説得を受けて態度変化した経験がないか考えます。ある場合はどのようなときだったか詳細に書き留めます。

6 態度と態度変化② 科目の中での位置付け 社会・集団・家族心理学の授業では,個人,個人と集団,集団と集団,家族や文化などに関わる社会心理学のトピックについて取り上げ,それらについて代表的な知見を学びます。社会心理学は,「個人の思想,感情,行動が他の人間の存在,あるいは想像や暗黙のうちに仮定される存在によって,どのように影響されるかを理解し,説明することを企画する科学」とオールポートによって定義されています。この定義からもわかるように,社会心理学では,我々人間のさまざまな面について,多くの研究が行われています。それら先行研究の知見について知識を得ることで,社会で起きている問題について考えを深めます。また,情動や感情といったものが周囲からどのような影響を受けているかを考えます。このような科目全体の流れの中で,第6回目は,態度の変化について,環境の変化や新しい情報,説得といった側面から考えます。態度の一貫性を前提としながら,態度が変化する場合についても考えます。
コマ主題細目①参考文献
(1)『社会心理学』141ページ,142ページ
コマ主題細目②参考文献
(1)『社会心理学』145ページから151ページ
コマ主題細目③参考文献
(3)『社会心理学ショート・ショート』192ページから195ページ
コマ主題細目 ① 認知的理論と態度変化 ② 説得と態度変化 ③ 考えることと態度変化
細目レベル ① ここでは,認知的理論の考えを通して,態度変化について考えます。態度と行動は同じであるという「態度の一貫性」を前提としながら,態度が変化する場合(親しい人と意見が異なる,自分の態度と異なる情報に接するなど)について考えます。ハイダー(1958)の認知的不均衡理論(バランス理論)では,知覚者と対象の関係に加えて,第三者の存在を考慮しました。三角形で三者間の関係性をとらえることができます。フェスティンガーの認知的不協和理論でも,ハイダーの認知的不均衡理論でも,「人はつじつまが合うことを望み,そのために態度を変化させる」ことが指摘されています。これまで見てきたように,認知を変え,「正当化」し,「一貫性」を保とうとすることを考えます。


② 説得が態度変化に与える影響を精緻化見込みモデルを中心に考えます。説得研究の古典的アプローチではメッセージ学習理論というものがあります。このメッセージ学習理論では,説得の決め手となるのは,説得性をもった情報であり,その情報が学習過程で受け手に残ることで説得されるとします。この理論は直感的にも理解しやすいものでしたが,さまざまな研究の結果が違うものになりました。Petty & Cacioppoの精緻化見込みモデル(1986)では説得内容を吟味する動機づけと能力によって「中心的ルート(論拠の質に影響された態度変化)」と「周辺的ルート(周辺的手がかりに影響された態度変化)」のどちらを通るかが異なることを示しました。「中心的ルート」は精緻な情報処理がされ,「周辺的ルート」では,送り手の魅力や情報の表面的特徴が影響することを指摘しました。このほか,Chaikenら(1989)のヒューリスティック・システマティック・モデルについても考えます。


③ テッサーらの知見を理解し,よく考えることが態度変化に与える影響について考えます。テッサーの「態度の自然発生的極化」という考えがあります。「あるものや他者への評価的意見(態度)は,その人がそのことを考えれば考えるほど,最初の意見よりも極端なものになっていく」というものです。そして,最初の意見よりも態度が極端なものにと変化していくことを「態度の極化」といいます。この極化は自分がそのことについて熟知している場合に起こると考えています。つまり,よく考えることで,思考内容の一貫性を高めたいと動機づけられ,最初の評価と合致する内容を重視したり,合致する情報を追加したりします。それにより,最初の評価を極端にした態度を形成することになります。


キーワード ① 態度変化 ② 認知的理論 ③ 説得 ④ 精緻化見込みモデル ⑤ 態度の一貫性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語を調べます。この授業では教科書を指定していませんが,社会心理学の書籍は多くあります。その中で,自分の読みやすいものを選んでください。社会心理学では多くのトピックを扱っているため,書籍によって内容が大きく異なります。そのため,図書館で書籍を探すことをお勧めします。つぎの「認知的不均衡理論」,「ヒューリスティック・システマティック・モデル」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,自己のノートと配布資料を用いて,「精緻化見込みモデルの中心ルートと周辺的ルートとはどのようなものか,その違い」,「説得への抵抗としての接種効果」について認します。
予習として,次回は「社会的公正」について学ぶため,「公正」とはどのようなものかについて考えます。具体的には,何が公正といえるのか,どのようなときに公正を考えるのかといったことについて考えます。

7 社会的公正 科目の中での位置付け 社会・集団・家族心理学の授業では,個人,個人と集団,集団と集団,家族や文化などに関わる社会心理学のトピックについて取り上げ,それらについて代表的な知見を学びます。社会心理学は,「個人の思想,感情,行動が他の人間の存在,あるいは想像や暗黙のうちに仮定される存在によって,どのように影響されるかを理解し,説明することを企画する科学」とオールポートによって定義されています。この定義からもわかるように,社会心理学では,我々人間のさまざまな面について,多くの研究が行われています。それら先行研究の知見について知識を得ることで,社会で起きている問題について考えを深めます。また,情動や感情といったものが周囲からどのような影響を受けているかを考えます。このような科目全体の流れの中で,第7回目は,社会心理学における公正について考えます。社会的公正として,分配的公正,手続き的公正,対人的公正といったものが考えられています。このような公正を考え,社会的公正を理解します。
コマ主題細目①参考文献
(4)『社会心理学-個人と集団の理解-』59ページから63ページ
コマ主題細目②参考文献
(4)『社会心理学-個人と集団の理解-』67ページから71ページ
コマ主題細目③参考文献
(4)『社会心理学-個人と集団の理解-』72ページから75ページ
コマ主題細目 ① 分配的公正の理解 ② 手続的分配の理解 ③ 対人的公正の理解
細目レベル ① ここでは,分配的公正について学びます。アダムス(1956)は衡平理論(公平理論)を提唱しています。この衡平理論では,自分の仕事や職務に投じた「インプット」とその結果として自分が得た「アウトカム」の2つの間に一定の関係を期待すると考えています。この関係が釣り合っていないと,人は不衡平と思い,不快に感じると考えます。アダムスの衡平理論に刺激を受け,多くの研究者から,さまざまな分配原理が提唱されています。報酬獲得への貢献度に応じて分配する「衡平原理」,成員全員に均等に分配する「平等原理」,個々の成員がその報酬を必要としている程度に応じて分配する「必要原理」,最も高い業績をあげた者にすべてを与える「独占原理」といったものがあります。


② 手続き的公正では,結果が導かれるまでの過程に関する正しさに対する知覚を考えます。この手続き的分配に関する研究は「法廷闘争などの紛争解決における公正」への関心からはじまりました。手続き的公正の理論では,人々が物事を公正であると認知できるのは,結果までの意思決定過程(手続き)が正当であると認められる場合であると考えます。その手続きの中で,2つの要因が検討されています。1つ目は過程コントロールで,2つ目は決定コントロールです。さらに紛争解決だけでなく,レーベンサール(1980)の報酬分配の決定過程における手続き的公正などもあります。この手続き的公正では,誰がどのような理由で報酬決定者になるかを決める手続き,報酬の性質とそれを得るために何をすべきかを知らせる手続き,報酬を得る人に関する情報収集の手続きなどが必要とされています。


③ 対人的公正について考えます。対人的公正はピースとモーグ(1986)が提唱しました。「意思決定者と決定を受容する者との相互作用(コミュニケーション)の性質によって決定の公正さ」といった公正さのことを対人的公正といいます。いわゆる対人的コミュニケーションに関する公正さのことです。日常生活の対人的公正として,約束を破った,侮辱されたなどがあげられます。この日常生活の対人的公正については,「日常生活の中で他人から不当な扱いを受けたと感じた状況や場面」を具体的に記述させる方法で調査が行われています。その結果,280場面を22カテゴリーに分類され,対人関係での相手の対処・処遇を問題にするものが多かったことが明らかにされています。対人的公正については,紛争解決場面の公正が検討されています。このほか,正当世界の信念など公正研究はさまざまな観点で行われています。


キーワード ① 分配的公正 ② 衡平理論 ③ 手続的公正 ④ 対人的公正 ⑤ 正当世界の信念
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語を調べます。この授業では教科書を指定していませんが,社会心理学の書籍は多くあります。その中で,自分の読みやすいものを選んでください。社会心理学では多くのトピックを扱っているため,書籍によって内容が大きく異なります。そのため,図書館で書籍を探すことをお勧めします。つぎの「衡平原理」,「平等原理」,「必要原理」,「独占原理」といった分配原理について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,自己のノートと配布資料を用いて,「正当世界の信念」ついて確認します。このようなことは実際の社会で起きているかを考えます。
予習として,次回は「社会的影響」について学ぶため,社会的促進や社会的抑制について調べ,書き留めます。調べたことをもとに,日常でこのような現象を体験したことがあるか考えます。

8 社会的影響① 科目の中での位置付け 社会・集団・家族心理学の授業では,個人,個人と集団,集団と集団,家族や文化などに関わる社会心理学のトピックについて取り上げ,それらについて代表的な知見を学びます。社会心理学は,「個人の思想,感情,行動が他の人間の存在,あるいは想像や暗黙のうちに仮定される存在によって,どのように影響されるかを理解し,説明することを企画する科学」とオールポートによって定義されています。この定義からもわかるように,社会心理学では,我々人間のさまざまな面について,多くの研究が行われています。それら先行研究の知見について知識を得ることで,社会で起きている問題について考えを深めます。また,情動や感情といったものが周囲からどのような影響を受けているかを考えます。このような科目全体の流れの中で,第8回目は,社会的促進,社会的抑制の現象を取り上げ,学びます。周囲の人々や状況が我々に与える影響について考えます。また,社会的手抜きに関する映像資料を視聴します。
コマ主題細目①参考文献
(1)『社会心理学』188ページ,189ページ
コマ主題細目②参考文献
(1)『社会心理学』189ページから191ページ
コマ主題細目③参考文献
(1)『社会心理学』190ページ,191ページ
コマ主題細目 ① 社会的促進と社会的抑制 ② 社会的促進(抑制)を説明する理論 ③ 社会的手抜き
細目レベル ① 社会的促進・抑制現象を説明する理論について学びます。たとえば,人が集まって作業をするとき,個人で作業するよりも協力することで優れた成績をあげることがあります。一方,人が集まって作業をすることで,怠けてしまって個人で作業するより悪い成績になることがあります。このように,周囲の他者が個人のパフォーマンスに影響を与えることがあり,パフォーマンスが上昇する現象を「社会的促進」,パフォーマンスが低下する現象を「社会的抑制」といいます。トリプレット(1898)は釣りのリール巻きをするといったシンプルな実験を行いました。その結果,一人で釣り糸のリール巻きを行うよりも,かたわらで同じリールを巻いている人がいる方ことで作業成績が上がることを示しました。身近な現象といえる社会的促進と社会的抑制の体験談を考えます。


② 社会的促進(抑制)を説明する3つの理論について理解します。まず,動因理論(動因説)があります。動因仮説とは,ザイアンス(1965)が提唱した理論です。他者の存在そのものが,我々の覚醒水準と活動への動因を高めると考えます。この説では,単純作業や習熟した課題を行うときには,正しい反応が優勢反応となり,作業効率があがると考えます。一方,複雑な作業や未習熟な課題を行うときには,正しい反応と誤った反応が優勢反応となり,誤った反応も起こるため作業効率が下がると考えます。つぎに,自己客体視説があります。この説では,理想の水準と現実の水準とのズレを認識すると,パフォーマンス増大させ,葛藤を低減させようとすると考えます。最後に自己呈示説があります。この説では,自分の印象を最大限に良く見せるため,周囲に他人がいることで,パフォーマンス向上すると考えます。このような3つの理論から社会的促進(抑制)を理解します。


③ 社会的手抜きに先行研究を説明し,この現象に与える周囲の影響について考えます。社会的手抜きとは,周囲に人がいることで手抜きをしてしまい,個人のパフォーマンスより集団でのパフォーマンスのほうが悪いという現象をいいます。ラタネら(1979)は実験協力者に目隠しと消音ヘッドホンを着用した状態(周囲がわからない状況)で,大声で叫ぶという実験を行いました。この実験には2つの条件が設定されました。実際に周囲に人がいる条件(集団条件)と,実際は1人で叫んでいるけど実験協力者はみんなで叫んでいると思っている条件(疑似集団条件)の2つの条件です。その結果,社会的手抜きが生じていることを明らかにしました。ラタネらは他の実験も行い,集団になると個人の貢献度があいまいになり,個人が評価されないと社会的手抜きが生じると指摘しました。社会的手抜きに関する映像資料を視聴し,理解を深めます。


キーワード ① 促進 ② 抑制 ③ あいまい ④ 責任の明確化 ⑤ 社会的手抜き
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語を調べます。この授業では教科書を指定していませんが,社会心理学の書籍は多くあります。その中で,自分の読みやすいものを選んでください。社会心理学では多くのトピックを扱っているため,書籍によって内容が大きく異なります。そのため,図書館で書籍を探すことをお勧めします。つぎの「社会的インパクト理論について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,自己のノートと配布資料を用いて,「社会的抑制・社会的促進とはとはどのようなものか」,「ザイアンスの動因仮説」,「自己客体視説」,「自己呈示説」の相違点について確認します。
予習として,次回は「社会的影響」として,同調,支配・服従行動について学ぶため,日常で「同調」することはないかを考えます。また歴史的に同調,支配・服従行動が問題になったことはなかったか考えます。

9 社会的影響② 科目の中での位置付け 社会・集団・家族心理学の授業では,個人,個人と集団,集団と集団,家族や文化などに関わる社会心理学のトピックについて取り上げ,それらについて代表的な知見を学びます。社会心理学は,「個人の思想,感情,行動が他の人間の存在,あるいは想像や暗黙のうちに仮定される存在によって,どのように影響されるかを理解し,説明することを企画する科学」とオールポートによって定義されています。この定義からもわかるように,社会心理学では,我々人間のさまざまな面について,多くの研究が行われています。それら先行研究の知見について知識を得ることで,社会で起きている問題について考えを深めます。また,情動や感情といったものが周囲からどのような影響を受けているかを考えます。このような科目全体の流れの中で,第9回目は,同調,支配・服従行動を取り上げ,学びます。周囲の人々や状況が我々に与える影響を考えます。同調に関する映像資料を視聴します。
コマ主題細目①参考文献
(1)『社会心理学』184ページから188
コマ主題細目②参考文献
(1)『社会心理学』193ページから196ページ
コマ主題細目③参考文献
(1)『社会心理学』362ページ,363ページ,197ページから200ページ
コマ主題細目 ① 集団規範の概説 ② 集団への同調 ③ 支配・服従行動
細目レベル ① ここでは,人が集まること,集団であることが我々に与える影響を考えます。特に,集団圧力の影響について考えます。まず,集団が形成されることで生まれるルールについて理解します。集団規範として,最初に思いつくのは明文化された規範です。代表的なものは法律です。しかし,集団規範はそれだけではありません。集団の成員間で暗黙のうちに共有されている規範も含まれます。たとえば,家族の中では,それぞれ家族内ルールがあります。朝ごはんは誰がつくるとか,ゴミ出しは誰の役目だとか,こういうときには家族ならこう行動するといった小さな決まりのようなものは,なんとなく存在するものです。このようなものが「暗黙のうちに共有されている規範」です。これは,会社や学校,国といった大きな集団にも存在します。具体的にどのようなものが「暗黙のうちに共有されている規範」か,考えます。


② 同調現象について解説し,生起しやすさ・大きさを規定する要因について考えます。同調現象に関する代表的な研究としては,アッシュ(1951)の実験があります。アッシュはシンプルな実験を用いて,我々が周囲の状況に影響を受け,自分の判断(回答)を変えることを明らかにしました。この実験は,グループ実験で,実験協力者は順番に線分の長さを尋ねられるという簡単な課題を行います。非常に簡単な課題にも関わらず,他の回答者が自分とは異なる回答(どうみても間違っていると考えられる回答)をしたときに,他の回答者たちと同じ間違った回答を多くの人がしました。さらに,ここでは,アッシュ(1951)の実験の再現などの映像資料を視聴し,理解を深めます。


③ 実験で明らかになった支配・服従行動を概説し,権威や役割の影響について考えます。まず,Milgram(1963)の実験を解説します。この実験は通称,アイヒマン実験と言われ,我々が状況によって,命令に対し容易に従うことを明らかにしました。この実験では,さまざまな手続き的な工夫がなされ,実験協力者は実際に実験に参加している人が痛みを感じているように思い込まされています。実験協力者自身が他者に痛みを感じさせている,加害行為を行っているように見える演出がされています。それにも関わらず,実験協力者たちは言われるままに加害行為を続けました。この実験によって,「状況の力」というものが注目されました。身の回りで感じられる「状況の力」について考えます。


キーワード ① 集団規範 ② 同調行動 ③ 集団圧力 ④ 権威 ⑤ 役割
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語を調べます。この授業では教科書を指定していませんが,社会心理学の書籍は多くあります。その中で,自分の読みやすいものを選んでください。社会心理学では多くのトピックを扱っているため,書籍によって内容が大きく異なります。そのため,図書館で書籍を探すことをお勧めします。つぎの「集団規範」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,自己のノートと配布資料を用いて,「同調はどのような状況でおきるのか」,「権威」の影響について,「役割」について確認し,考えます。
予習として,次回は「集団意思決定」について学ぶため,この言葉を聞いただけで思い浮かぶ場面について考えます。日常生活の中で,グループで考え,話し合い,意思決定する場面にはどのようなものがあるかを考えます。

10 集団意思決定 科目の中での位置付け 社会・集団・家族心理学の授業では,個人,個人と集団,集団と集団,家族や文化などに関わる社会心理学のトピックについて取り上げ,それらについて代表的な知見を学びます。社会心理学は,「個人の思想,感情,行動が他の人間の存在,あるいは想像や暗黙のうちに仮定される存在によって,どのように影響されるかを理解し,説明することを企画する科学」とオールポートによって定義されています。この定義からもわかるように,社会心理学では,我々人間のさまざまな面について,多くの研究が行われています。それら先行研究の知見について知識を得ることで,社会で起きている問題について考えを深めます。また,情動や感情といったものが周囲からどのような影響を受けているかを考えます。このような科目全体の流れの中で,第10回目は,自分の考えや判断を決めるときに影響を与えている集団の力や人の思い込みについて考えます。また,グループワークを行い,その経験を通して集団の力の理解を深めます。
コマ主題細目①参考文献
(1)『社会心理学』352ページ
(2)『心理学』394ページ,395ページ
コマ主題細目②参考文献
(1)『社会心理学』355ページから359ページ
(2)『心理学』395ページから398ページ
コマ主題細目③参考文献
(1)『社会心理学』327ページから330ページ,当日配布のワーク課題
コマ主題細目 ① 集団意思決定の理解 ② 集団思考(集団浅慮)の理解 ③ グループワークの手続き理解と実施
細目レベル ① 集団が意見の決定を行うプロセスや限界について考え,集団意思決定を理解します。人が集まり活動をするときには,活動の内容を決めたり,ルールを決めたり,役割を決めたりと,さまざまな事柄を話し合い決定します。複数の人々が合議により共通の決定をくだす事態を集団意思決定といいます(亀田,1994)。集団意思決定のプロセスとして,オリエンテーション,議論,意思決定,執行の4つの過程が示されています。このようなプロセスを経て,集団意思決定を行われています。一般的に,一人で考えるよりも複数人で意見を出し合い考えた方がよいアイデアが浮かび,より良い判断ができる,より良い意思決定ができると考えられます。しかし,このような一般的な考えは必ずしも正確なものではないことがわかっています。集団意思決定のメリットとデメリットの両方を考えます。


② 先行研究の知見から,集団思考,集団浅慮,リスキーシフト・コーシャスシフトについて考えます。ジェニス(1982)は,集団の決定が失敗したケースを集め,分析しました。その結果から,歪んだスタイルの思考過程を通って誤りが生じている,成功すると考えられる合理的な決定を妨げていると考えて,集団思考(集団浅慮)と命名しました。このほか,集団意思決定には,リスキーシフト・コーシャスシフトというものが知られています。これは集団極化とも呼ばれるもので,集団の決定が個人の決定よりも極端になることをいいます。リスキーシフトは集団で討論することによって,意思決定がより危険な方向に,コーシャスシフトは安全な方向に変容することをいいます。集団極化が生起するのは責任の分散やリーダーシップなどによると指摘されています。このようなことは歴史を振り返るとより理解できるため,歴史から理解を深めます。


③ グループワークを通して周囲の人と自分の意見・判断の関係をどのように認知しているのかについて考えます。 NASA問題といわれる課題(コンセンサスゲーム)を行います。その場で数人のグループに分かれ,与えられた課題について話し合います。「月旅行宇宙船のメンバーとして,月面上で母船と合流することになっていました。ところが,故障により,母船から遠く離れた所に着陸してしまいました。機械の多くは破損してしまい,生き残るには,自力で母船との合流地点にたどり着かなければいけません。月面上を旅行するために必要な品物を選択しなければなりません。手元に残る物品は15個で,リストになっています。このリストに必要度(重要度)に応じて物品に順位をつけます。」という課題について,まずは一人で考えて順位をつけます。その後,グループで話し合い再度順位づけを行います。一人で順位をつけた場合と,グループの話し合いで順位をつけた場合で結果はどのように変わるかを考えます。


キーワード ① 集団決定 ② 集団思考 ③ リスキーシフト ④ コーシャスシフト ⑤ グループワーク
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語を調べます。この授業では教科書を指定していませんが,社会心理学の書籍は多くあります。その中で,自分の読みやすいものを選んでください。社会心理学では多くのトピックを扱っているため,書籍によって内容が大きく異なります。そのため,図書館で書籍を探すことをお勧めします。つぎの「集団意思決定」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,自己のノートと配布資料を用いて,「集団思考とはどのようなものか」,「集団浅慮とはどのようなものか」,「リスキーシフト・コーシャスシフトの相違点」について確認します。普段の生活の中で,このようなことが起きていないか考えます。
予習として,次回は「集団間の関係」について学ぶため,身の回りにある集団を考えます。自分の身の回りには,「集団」といえるものがあるか,どのような「集団」があるかを考え,書き留めます。

11 集団間の関係 科目の中での位置付け 社会・集団・家族心理学の授業では,個人,個人と集団,集団と集団,家族や文化などに関わる社会心理学のトピックについて取り上げ,それらについて代表的な知見を学びます。社会心理学は,「個人の思想,感情,行動が他の人間の存在,あるいは想像や暗黙のうちに仮定される存在によって,どのように影響されるかを理解し,説明することを企画する科学」とオールポートによって定義されています。この定義からもわかるように,社会心理学では,我々人間のさまざまな面について,多くの研究が行われています。それら先行研究の知見について知識を得ることで,社会で起きている問題について考えを深めます。また,情動や感情といったものが周囲からどのような影響を受けているかを考えます。このような科目全体の流れの中で,第11回目は,我々は,日常的に様々な集団に属し,行動しています。その集団が人の考えや行動に与える影響について考えます。あまり普段は意識していないであろう周囲の存在が我々の行動や判断に与える影響を理解します。
コマ主題細目①参考文献
(4)『社会心理学-個人と集団の理解-』322ページから324ページ
コマ主題細目②参考文献
(1)『社会心理学』202ページから206ページ
コマ主題細目③参考文献
(1)『社会心理学』208ページから214ページ
コマ主題細目 ① 家族間の関係 ② 集団とステレオタイプ ③ 社会的アイデンティティ理論の理解
細目レベル ① ここでは,集団として最も身近である「家族」について考えます。家族は,我々が最も幼いときから関わりをもつ人々の集まりです。家族の関係の中には,親子関係,夫婦関係などさまざまな関係が考えられます。その中でも,家族間の関係として,きょうだいの関係を考えます。きょうだいの関係については,親子関係や友人関係とは異なる関係であり,その影響も異なると考えられています。シャクター(1959)は,女子大生を対象として,「一人っ子や第1子」と「次子以降」の心理的特徴について,実験から検討しています。この実験では,実験中の待ち時間に「一人で待つか」,「誰かと待つか」を尋ねました。その結果,「一人っ子や第1子」は心理的不安が高く,親和性が高いことが示されました。きょうだい関係は身近な関係です。先行研究の知見と自分や周囲のきょうだい関係について考えます。


② 自分が所属していると考える集団を「内集団」といい,それ以外の集団を「外集団」といいます。内集団と外集団は,どこを内集団と考えるかにより外集団も変わることから,頻繁に変化します。たとえば,「家族」を内集団と思っているとき,それ以外の人々は友人も知人も外集団となります。「自分の通う大学」を内集団と考えているとき,他大学は外集団となり,同じ大学の友人は内集団となり,別の大学に通う友人は外集団となります。この集団に関して,我々は固定したイメージを持つことがあります。たとえば,「女性は優しい」,「男性は強い」などです。個人個人を考えれば優しい女性も意地悪な女性も強い男性も弱い男性もいることを知っていますが,女性や男性に対する固定したイメージを持っています。このような固定観念のことをステレオタイプといいます。ステレオタイプは偏見や差別につながることもあります。普段,自分が持つステレオタイプにどのようなものがあるか考えます。


③ ある集団に属しているという「意識」が我々の判断や行動に与える影響について,社会的アイデンティティ理論から考えます。社会的アイデンティティ理論は,タジフェルとターナー(1979)が提唱したものです。タジフェルとターナーは,自分のことを集団の一部として自覚し,集団における成員性を自己の属性の1つとして認識する過程に着目しました。集団と自己を同一視する認知と,集団への誇りや愛着といった感情的意味合いが加わったものを「社会的アイデンティティ」と呼びました。そして,この社会的アイデンティティを良いものになるように考え,それを維持しようとすることを指摘しています。自分にとって重要な集団とは何か,自分の社会的アイデンティティについて考えます。


キーワード ① 内集団 ② 外集団 ③ ステレオタイプ ④ 社会的アイデンティティ ⑤ きょうだい関係
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語を調べます。この授業では教科書を指定していませんが,社会心理学の書籍は多くあります。その中で,自分の読みやすいものを選んでください。社会心理学では多くのトピックを扱っているため,書籍によって内容が大きく異なります。そのため,図書館で書籍を探すことをお勧めします。つぎの「社会的アイデンティティ理論」,「自己カテゴリー化理論」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,自己のノートと配布資料を用いて,「きょうだいの数が減り,家族のあり方も変化している現代のきょうだい関係はどのようなものか,変わっているのか,変わっていないのか」,「ステレオタイプの働き」について考えます。
予習として,次回は「反社会的行動」について学ぶため,この言葉を聞いただけで思い浮かぶ反社会行動について考えます。どのような行動が社会に反すると考えられるか検討します。

12 反社会的行動 科目の中での位置付け 社会・集団・家族心理学の授業では,個人,個人と集団,集団と集団,家族や文化などに関わる社会心理学のトピックについて取り上げ,それらについて代表的な知見を学びます。社会心理学は,「個人の思想,感情,行動が他の人間の存在,あるいは想像や暗黙のうちに仮定される存在によって,どのように影響されるかを理解し,説明することを企画する科学」とオールポートによって定義されています。この定義からもわかるように,社会心理学では,我々人間のさまざまな面について,多くの研究が行われています。それら先行研究の知見について知識を得ることで,社会で起きている問題について考えを深めます。また,情動や感情といったものが周囲からどのような影響を受けているかを考えます。このような科目全体の流れの中で,第12回目は,反社会的行動について学びます。反社会的行動の中でも,迷惑行為といった社会のルールから逸脱した行動・行為について考えます。
コマ主題細目①参考文献
(7)『社会的迷惑の心理学』152ページ,153ページ
コマ主題細目②参考文献
(7)『社会的迷惑の心理学』153ページ,154ページ
コマ主題細目③参考文献
(7)『社会的迷惑の心理学』1ページから8ページ
コマ主題細目 ① 社会規範の理解 ② ルールを逸脱する行為 ③ 社会的迷惑行為の理解
細目レベル ① 反社会的行動について学ぶために,まずは,社会に存在するルール・規範について考えます。人が社会生活を円滑に営むうえで,共有されているルールや基準のことを社会規範といいます。社会規範には明文化されたものと明文化されていないものがあります。我々の社会には,共有されているルールや基準がさまざま存在しています。それは,多様な価値観・志向性をもつ人々が集団で生活するからこそ必要なものです。そのため,社会心理学の研究には定義が複数あります。外在化する基準や期待,内在化された信念,両方を含む定義などがあげられます。外在化する基準や期待とは,社会の構成員に共有され,法などの強制力が伴うルールや基準などをいいます。また,内在化された信念とは,個人が内在化している価値観をもとに形成された考えのことをいいます。身の回りの社会規範について考えます。


② 社会規範であるルール・規範を逸脱する行為に影響する要因や抑制させる要因について考えます。この社会はさまざまな価値観を持ち,さまざまな志向性を持つ人々によって構成されています。多くの人々がいる社会の中で,その社会のルール・規範(社会規範)から逸脱する行為は,人々の予測(推定)外の行動となり,それぞれに対応するには大変なコストがかかることになります。そのため,ルールから逸脱する行為は周囲の人々から嫌がられます。ルールを逸脱する行動を考える上で,有名な理論があります。チャルディーニら(1991)の規範的行為の焦点化理論です。チャルディーニらは,命令的規範や記述的規範という2つの社会規範を示し,実験を行っています。実験結果から,記述的規範の重要性が明らかとなっています。この記述的規範を利用し,ルールを逸脱する行動を抑制させる試みも行われています。


③ 反社会的行動として,迷惑行為について取り上げ,日常生活における迷惑行為について考えます。「迷惑行為」という言葉は一般的に使われています。社会心理学では,「迷惑行為」を対象とした研究が行われています。社会的迷惑行為とは,「行為者本人が意図するしないにかかわらず,その行為が周りの他者や集団,社会に対して影響を及ぼし,多くの人が不快に感じる行為」と定義されています。身近な社会的迷惑行為としてどのようなものがあるか考えます。さまざまな行為が思いつくはずです。社会的迷惑行為の研究では,吉田ら(1999)によって,3つの観点が指摘されています。まずは,認知者側の観点,つぎに,行為者側の観点,最後に,状況要因からの観点です。これらの観点から,社会的迷惑行為について考えます。


キーワード ① 社会規範 ② 反社会的行動 ③ 命令的規範 ④ 記述的規範 ⑤ 社会的迷惑行為
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語を調べます。この授業では教科書を指定していませんが,社会心理学の書籍は多くあります。その中で,自分の読みやすいものを選んでください。社会心理学では多くのトピックを扱っているため,書籍によって内容が大きく異なります。そのため,図書館で書籍を探すことをお勧めします。つぎの「社会的迷惑行為」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,自己のノートと配布資料を用いて,「命令的規範と記述的規範の相違点はどのようなものか」,「チャルディーニら(1990)の実験」の手続きや結果について,「社会的迷惑行為」について確認します。身近な社会的迷惑行為にどのようなものがあるか考えます。
予習として,次回は「コミュニケーション」について学ぶため,「コミュニケーション」能力といえば,どのようなものがあるのか,また,「コミュニケーション」が重要となる状況にはどのようなものがあるのかについて考えます。

13 コミュニケーション 科目の中での位置付け 社会・集団・家族心理学の授業では,個人,個人と集団,集団と集団,家族や文化などに関わる社会心理学のトピックについて取り上げ,それらについて代表的な知見を学びます。社会心理学は,「個人の思想,感情,行動が他の人間の存在,あるいは想像や暗黙のうちに仮定される存在によって,どのように影響されるかを理解し,説明することを企画する科学」とオールポートによって定義されています。この定義からもわかるように,社会心理学では,我々人間のさまざまな面について,多くの研究が行われています。それら先行研究の知見について知識を得ることで,社会で起きている問題について考えを深めます。また,情動や感情といったものが周囲からどのような影響を受けているかを考えます。このような科目全体の流れの中で,第13回目は,コミュニケーションに関わる研究知見を学びます。人と人の間で行われるコミュニケーションにどのようなものがあり,どのような研究がされているのかを学び,自分のコミュニケーションについて考えます。
コマ主題細目①参考文献
(6)『対人関係の社会心理学』1ページ,2ページ
コマ主題細目②参考文献
(8)『社会心理学-人と社会との相互作用の探求-』94ページから102ページ
(1)『対人関係の社会心理学』2ページから6ページ
コマ主題細目③参考文献
(8)『社会心理学-人と社会との相互作用の探求-』102ページから104ページ
コマ主題細目 ① 対人コミュニケーション ② コミュニケーションの構成要素 ③ 2者間,それ以上のコミュニケーション
細目レベル ① 日頃から,「コミュニケーション」という言葉を耳にすることは多いと思います。コミュニケーションが上手にできない,困難を感じることをコミュ障などと言い,注目されたこともありました。「コミュニケーション」を辞書で引くと,伝達,意思疎通(ジーニアス英和辞典 第3版)とあります。また,小まめに接触や会話の機会を設ける・増やすことを「積極的にコミュニケーションをとる」と表現したり,会話や接触の機会が少ないさまを「コミュニケーションがとれていない」と表現したり(実用日本語表現辞典),辞書で示されているよりも大きな概念として捉えられています。研究では,対人コミュニケーションという言葉がよく用いられています。しかし,決まった定義は存在せず,そのプロセスに着目することの有益性が指摘されています。ここでは,身近なコミュニケーションにはどのようなものがあり,どのようなコミュニケーションが求められているかを考えます。


② コミュニケーションの構成要素として,送り手,メッセ―ジ,チャネル,受け手の4つが示されています。送り手は情報を伝える主体(人など),受け手は情報を受け取る側(人など)を指します。メッセージは伝えられる情報,チャネルはそのメッセージを運ぶ経路を指します。コミュニケーションは,このような4つ要素から成り立っていると考えます。これにより,それぞれの要素ごとで検討することが可能になります。たとえば,メッセージを運ぶ経路であるチャネルには,視覚的なもの,聴覚的なものが考えられます。視覚的なものであれば,文字による経路,つまり,手紙や新聞などです。どの構成要素がコミュニケーションのプロセスの中で,重要な働きをしているか考えます。


③ Argyle & Dean (1965)は,2者間の会話では,相手との親密さを維持するために,言語的・非言語的コミュニケーションを相補的に行うと考え,親密性平衡モデルを提唱しています。誰かと仲良くなりたい,仲良くいたいと思えば,自然と微笑む量が増えたり,アイコンタクトが増えたりすることを考えれば,このモデルは理解できます。バーニエリ(1988)の実験では,シンクロニー(姿勢反響)が明らかにされています。シンクロニーとは,しぐさや話し方が似てくる現象のことをいいます。さらに,普段の生活では,2者間のコミュニケーションだけでなく,同時に3人もしくはそれ以上の人々とのコミュニケーションも行われることがあります。このほか,コミュニケーションが認知に与える影響なども検討されています。スナイダーらの実験(1977)やワードらの実験(1974)を通して,コミュニケーションについて考えます。


キーワード ① 対人コミュニケーション ② チャネル ③ 受け手 ④ 非言語的コミュニケーション ⑤ 言語的コミュニケーション
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語を調べます。この授業では教科書を指定していませんが,社会心理学の書籍は多くあります。その中で,自分の読みやすいものを選んでください。社会心理学では多くのトピックを扱っているため,書籍によって内容が大きく異なります。そのため,図書館で書籍を探すことをお勧めします。つぎの「言語的コミュニケーション・非言語的コミュニケーション」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,自己のノートと配布資料を用いて,「コミュニケーション構成要素」について確認し,普段行っているコミュニケーションの「送り手」,「メッセージ」,「チャネル」,「受け手」としてどのようなものがあるかを考えます。
予習として,次回は「援助要請」について学ぶため,普段の生活の中で,誰かに助けを求めることについて考えます。どのような場合に助けを求めるのか,どのような人には助けを求めやすいかについて考え,書き留めます。

14 援助要請 科目の中での位置付け 社会・集団・家族心理学の授業では,個人,個人と集団,集団と集団,家族や文化などに関わる社会心理学のトピックについて取り上げ,それらについて代表的な知見を学びます。社会心理学は,「個人の思想,感情,行動が他の人間の存在,あるいは想像や暗黙のうちに仮定される存在によって,どのように影響されるかを理解し,説明することを企画する科学」とオールポートによって定義されています。この定義からもわかるように,社会心理学では,我々人間のさまざまな面について,多くの研究が行われています。それら先行研究の知見について知識を得ることで,社会で起きている問題について考えを深めます。また,情動や感情といったものが周囲からどのような影響を受けているかを考えます。このような科目全体の流れの中で,第14回目は,援助要請の定義や生起過程のモデルについて学びます。誰かに助けを求めることが容易な人もいれば,難しく感じる人もいます。自分のことや周囲の人のことを思い出しながら,援助を要請することについて考えます。
コマ主題細目①参考文献
(6)『対人関係の社会心理学』145ページから150ページ
コマ主題細目②参考文献
(6)『対人関係の社会心理学』150ページから155ページ
コマ主題細目③参考文献
(6)『対人関係の社会心理学』155ページから158ページ,161ページ,162ページ
コマ主題細目 ① 援助要請の定義 ② 援助要請の規定因 ③ 援助要請と関連する社会
細目レベル ① ここでは,援助要請の定義とその生起過程モデルについて概説し,援助を要請することを考えます。援助要請の典型例として,「個人が問題やニーズを抱えており,他者が時間,労力,資源を費やしてくれることによってその問題が解決もしくは軽減されうるものであり,ニーズを抱えた個人が他者に対して直接的に援助を要請する行動のこと」をデパウロ(1983)が指摘しています。これは典型的な例であり,定義として解されています。しかし,この典型例と完全に同じでなくても援助要請として扱います。援助要請については,多くの研究もされており,援助要請を「援助を求めようとする心理的傾向を被援助志向性」や「援助を求める行動を援助要請行動」として捉えています。その生起過程モデルとして,高木(1998)の援助要請のプロセス・モデルを取り上げ,その利得とコストについて考えます。


② 援助要請の規定因を分類し,様々な規定因について考えます。つまり,人に助けを求めたり,求めなかったりするのはなぜなのか,それを決めるのはどのようなことなのかを考えます。援助要請をためらうとき,援助の要請や援助を受けることをネガティブにみなす心のはたらきがあると考えられます。太田(2005)では,援助を要請できない心理的理由として,「自尊心が傷つく」や「援助をされることを重荷に感じる」といったことが明らかにされています。また,性差も指摘されており,西川(1998)や永井ら(2009)において検討されています。フィッシャー(1982)は援助を要請することは自身の能力の低さを示すことになり,自尊心を脅かすことを指摘しています。このほかにも,援助要請と自尊心の関わりについて検討されています。これらの研究知見を自分に置き換えて,援助要請について考えます。


③ 援助要請について,社会・文化の側面から考えます。援助要請(サポート要請)は社会や文化の影響を受けていると考えられます。誰かに助けを求めたときに,相手がどのように受け取るかを気にする程度や,相手への配慮をどの程度するかなどは,その人が暮らす社会や文化によって異なります。そのため,援助要請は社会や文化の影響を受けるのです。実際に文化比較をした研究では,ヨーロッパ系や北米と東アジアやアジア系アメリカ人ではサポート要請に違いが見られています。水野ら(1999)は東アジアではサポート要請は抑制される傾向が高いことを明らかとしました。また,テイラーら(2004)は人間関係の維持や面子が影響し,アジア系アメリカ人はサポート要請に消極的であると指摘しています。このような先行研究の知見から,社会や文化の影響を考え,特に日本文化が援助要請に与える影響について考えます。


キーワード ① 援助要請 ② 援助要請回避 ③ 生起過程モデル ④ 援助要請の規定因 ⑤ 自尊心
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語を調べます。この授業では教科書を指定していませんが,社会心理学の書籍は多くあります。その中で,自分の読みやすいものを選んでください。社会心理学では多くのトピックを扱っているため,書籍によって内容が大きく異なります。そのため,図書館で書籍を探すことをお勧めします。つぎの「文化的自己観」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,自己のノートと配布資料を用いて,「援助要請の利得とコストにはどのようなものがあるか」,「援助要請の規定因」について,確認します。援助要請をしやすくするにはどのようにすれば良いのかを考えます。
予習として,次回は「well-being」について学ぶため,幸福について考えます。何が自分にとって幸福なことであるか,また同じことを他の人は幸福と感じるのかどうかを考え,書き留めます。

15 well-being 科目の中での位置付け 社会・集団・家族心理学の授業では,個人,個人と集団,集団と集団,家族や文化などに関わる社会心理学のトピックについて取り上げ,それらについて代表的な知見を学びます。社会心理学は,「個人の思想,感情,行動が他の人間の存在,あるいは想像や暗黙のうちに仮定される存在によって,どのように影響されるかを理解し,説明することを企画する科学」とオールポートによって定義されています。この定義からもわかるように,社会心理学では,我々人間のさまざまな面について,多くの研究が行われています。それら先行研究の知見について知識を得ることで,社会で起きている問題について考えを深めます。また,情動や感情といったものが周囲からどのような影響を受けているかを考えます。このような科目全体の流れの中で,第15回目は,幸福であることを考えます。とらえにくい幸福について考えます。well-beingの概念について概説し,ポジティブ心理学とはどのようなものであるかを学びます。
コマ主題細目①参考文献
(9)『幸福を目指す対人社会心理学』3ページから6ページ
コマ主題細目②参考文献
(9)『幸福を目指す対人社会心理学』7ページから11ページ
コマ主題細目③参考文献
(9)『幸福を目指す対人社会心理学』13ページから21ページ
コマ主題細目 ① well-beingの概説 ② ミクロ・マクロのwell-being ③ さまざまな幸福感
細目レベル ① ここでは,主観的な感覚である幸福を科学すること,well-beingの概念について考えます。大石(2009)が幸福は当事者が感じることであり,容易に客観的に示し難い概念であると指摘しています。実際,あるモノを見たときに,自分が幸福に感じる程度と他の人が幸福に感じる程度がほぼ同じであると思うことは少ないと思います。たとえば,道端に咲いている小さな花を見て,とても幸せだと感じる人もいますが,小さな花を見ても何も感じない人もいます。そのため,幸福を科学的に研究することは難しいことになります。何を幸福と考えるかは研究によって異なっています。その中で,共通認識として,主観的であることがあげられ,「満足できる」,「すばらしい」,「重要である」といった言葉で表現され,これらの程度を幸福感の程度としています。well-beingは精神的健康や主観的幸福感,人生満足度など,多様な適応を統合するような概念として考えられ,幸福感と厳密に分けることのできない,相互に関連する概念として考えます。


② 個人レベル,集団レベルのwell-beingについて考えます。well-beingには,個人の(ミクロ)レベルと社会的な(マクロ)レベルがあると考えられています。人には個々のニーズがあり,コミュニケーションを介して人々と結びついています。その中で,自分自身の情報を相手と比較・照合し,自分のことを確認し,満足を得ようとします。このような個人に関わる対人関係のwell-beingをミクロレベルとしています。一方,個人同士の関係から社会は形成され,形成された社会は,個人やその関係を超え,規範・制度を構築します。そのことが個人だけでなく集団をも満足させるとします。このような個人と社会の関係つながりのwell-beingをマクロレベルとしています。個人の(ミクロ)レベルと社会的な(マクロ)レベルは別々に考えるものではありません。2つのwell-beingは関連していますが異なるレベルにあります。


③ 様々な側面の幸福感について,視点を変えて考えます。well-beingの指標として,「人生満足度」,「健康状態(精神的・身体的)」,「主観的幸福感」が考えられています。しかし,well-beingを十分に測定できる指標が確立できていません。そのため,測定の方法も研究によってさまざまです。たとえば,実験参加者に日記のようなものを1週間程度つけてもらうことでwell-beingが測定できると考えている研究もあります。Kahneman & Krueger(2006)は,幸福感と関連する要因として複数の事柄を指摘しています。笑顔の頻度といった「対人関係に関する事柄」や,収入の多さや収入の増加といった「お金に関する事柄」を指摘しています。自分にとって幸福感と関連する事柄は何かを考えます。


キーワード ① well-being ② 幸福感 ③ 主観的幸福感 ④ ミクロ・マクロレベル ⑤ 測定方法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習として,用語を調べます。この授業では教科書を指定していませんが,社会心理学の書籍は多くあります。その中で,自分の読みやすいものを選んでください。社会心理学では多くのトピックを扱っているため,書籍によって内容が大きく異なります。そのため,図書館で書籍を探すことをお勧めします。つぎの「主観的幸福感」について調べ,授業で得た知識をより深めます。また,自己のノートと配布資料を用いて,「well-beingとはどのようなものか」,「well-beingを測定するためにどのような方法がとられているのか」,「幸福感」とはどのようなものかについて確認し,自分のwell-being,幸福感を考えます。また,授業内で紹介したwell-beingの測定方法を実際に行い,well-beingの測定を考えます。
履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
先行研究の研究方法,実験,調査の理解 授業では,複数の先行研究を示しています。それら取り上げた先行研究の実験の内容,実験の方法,結果および結果の解釈について理解し,図表から結果を読み取り,説明することができる。それぞれの研究内容は,何を目的としてその実験を行っているのか,対象とされているのは子どもか大人か,子どもでも幼児なのか,小学生くらいなのかなどを押さえます。実験の方法として,質問紙調査なのか,実験室実験なのか,実験方法として工夫されている点はあるのかを理解します。結果について,研究者がどのように考え,どのような理由を解しているか,その解釈について理解し,その解釈について自分ならどのように考えるか説明できる。 先行研究,研究方法,対象者,考察 20 第1回~第15回
情動,態度の理解 社会心理学の研究で古くから注目されている情動や態度について理解し,説明できる。たとえば,情動については,シャクターの情動二要因理論を理解し,生理的喚起や情動認知といった基本用語,概念を説明でき,用語を理解している。態度については,認知的不協和理論と態度に関する諸理論を理解し,その規定要因や態度変化をもたらす要因,その応用について説明でき,用語を理解している。認知,態度に関する理論,モデルを理解している。 情動二要因論,生理的喚起,情動認知,精緻化見込みモデル 20 第2回~第6回
社会に影響を与える理論の理解 社会に影響を与えている理論として,社会的公正や社会的促進・抑制,同調,支配について理解し,説明できる。公正理論であれば,社会的公正の考えを理解し,分配的公正,手続的公正や対人的公正といった公正理論について説明でき,用語を理解している。また,授業で取り上げた社会的影響に関する現象を理解し,社会的促進・抑制や同調といった周囲や状況が与える影響について説明でき,用語を理解している。社会的影響に関する理論について,自分の考えを説明できる。 社会的公正,社会的促進・抑制,社会的手抜き,同調現象,支配・服従 20 第7回~第9回
集団に関する理論の理解 集団に関する理論として,集団意思決定理論や,ステレオタイプ,社会的アイデンティティ理論といった理論を理解し,説明できる。集団意思決定の理論を理解し,集団で意見を決める際に考慮すべき点,問題点について説明でき,用語を理解している。集団間に関する理論を理解し,ステレオタイプのメリット・デメリットや集団間に生じる問題について説明でき,用語を理解し,集団間の関係について考えることができる。社会を集団として考え,反社会的行動に関する理論を理解し,社会規範(ルール),反社会的行動,社会的迷惑行為について説明でき,用語を理解している。 集団浅慮,内集団・外集団,集団アイデンティティ,社会規範,逸脱行為 20 第10回~第12回
対人関係に関わる理論の理解 人と人が相互に関係する中で考えられる事柄について理解し,説明できる。援助要請について理解し,その規定因やその生じる過程(プロセスモデル)について説明でき,用語を理解している。援助要請のプロセスモデルでは注目されている点や援助要請と自尊心の関わりを理解している。コミュニケーションについて理解し,その構成要素やプロセスについて説明でき,用語を理解している。言語的・非言語的コミュニケーションや視線,表情の働きなどを理解している。well-beingの概念や幸福感について説明でき,用語を理解している。well-beingの研究の中で指摘されているミクロレベル・マクロレベルについて理解し,それらの相違するところや関わりがどのように考えられているのか理解している。 共感性,自尊心,コミュニケーションの構成要素,対人コミュニケーション 20 第13回~第15回
評価方法 出席回数の基準をクリアしていることを前提とし,定期試験の結果によって評価する。 
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 なし
参考文献 (1)『社会心理学』有斐閣3,200円+税,(2)『心理学』有斐閣3,700円+税,(3)『社会心理学ショート・ショート』新曜社1,400円+税,(4)『社会心理学-個人と集団の理解-』ナカニシヤ出版2,000円+税 ,(5)『心理学を変えた40の研究』桐原書店,(6)『対人関係の社会心理学』ナカニシヤ出版2,500円+税,(7)『社会的迷惑の心理学』ナカニシヤ出版2,800円+税,(8)『社会心理学-人と社会との相互作用の探求-』培風館2,400円+税,(9)『幸福を目指す対人社会心理学』ナカニシヤ出版3,000円+税,(10)『社会心理学キーワード』有斐閣双書1,900円+税
実験・実習・教材費 なし