区分 (心)専門隣接科目 (犯)犯罪心理学発展科目 犯罪臨床領域
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門的知識と実践的能力 分析力と理解力 地域貢献性
カリキュラム・ポリシーとの関係
課題分析力 課題解決力 課題対応力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。
科目の目的
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。
到達目標
履修判定指標に基づいて,犯罪被害者・被災者に対する心理、心的外傷に関する基礎知識を理解し、トラウマや悲嘆に対する支援方法、心理的介入技法の理解を目指す。
科目の概要
本科目は,被害者心理学を基盤に、被害者の心理、心的外傷に関する基礎知識の理解と、トラウマや悲嘆に対する支援に関する実践的理解を目指す。
まず、犯罪被害に関する制度と枠組み、犯罪被害者が直面する心理的影響について学ぶ。また、トラウマに関する理解と、PTSDのアセスメント、治療方法について体験的に理解する。被害者のトラウマに接することにより支援者が受ける二次受傷についても取扱う。
次に、各論として、「虐待」、「性暴力被害」、「加害者家族」、「自然災害」を取り上げ、被害者・被災者の心理的影響について学ぶ。
最後に、被災者に対する支援の指針である、サイコロジカルファーストエイドを取り上げるとともに、悲嘆の回復過程と支援の在り方について、理解をしていく。

科目のキーワード
犯罪被害者、被災者、トラウマ、悲嘆、心理療法
授業の展開方法
本科目は,講義であるが,被害者の心理に関する理解には、受講者の体験的な理解が不可欠となることから、座学的講義のほか、グループワーク等演習を適宜織り交ぜながら進めていく。授業毎に授業レジュメを配布し,オンライン上でも共有する(ただし,SNS上などの転載は固く禁止する)。また,実践的演習においても,受講者の個人情報を扱う可能性があることから,演習において相手から知りえた情報の授業外での口外を固く禁ずる。

授業の前半には,座学をトップダウン的に実施し,知識や技術の輪郭を正確に理解する。
授業の後半には,グループワークやディスカッションを通じて、他者の考えに触れながら、知識や技術の汎用性および限界について理解する。
なお,授業の冒頭には復習を,授業の最後には小テストや体験を記述する時間を設けることにより,理解を定着させる。

オフィス・アワー
(岡崎キャンパス)【水曜日】3・4・5限(会議のある日は除く)、【金曜日】1・2限(前期のみ)、1限(後期のみ)
(大府キャンパス)講義前後、メール(y-akita@uhe.ac.jp)にて質問に対応する。なお、メールの場合は大学発行のアドレスからのみとする

科目コード PSC305
学年・期 4年・前期
科目名 被害者心理学
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 選択
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 (心)臨床心理学概論 (犯)犯罪心理学概論(司法・犯罪心理学)
展開科目 (心)なし (犯)総合演習Ⅳ
関連資格 なし
担当教員名 秋田悠希
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 オリエンテーション 科目の中での位置付け  第一回はオリエンテーションを実施する。それにより、本科目の全体像を理解することを目指す。
 本科目は、三部構成で展開する。第一部は,総論として、犯罪被害者の心理的影響を中心に、トラウマインフォームドケアの視点に触れながら、PTSDのアセスメント方法やPTSDの治療に関する理論を学ぶ。また、トラウマ臨床の中で直面する自殺・自傷の理解と対応方法や、被害者のトラウマに触れることで支援者が受ける二次受傷に関する知識を習得することを目指す。第二部では、各論として、「虐待」、「性暴力被害」、「加害者家族」といった複雑性トラウマを抱えた被害者に対するそれぞれの心理的影響や対応方法について、体験的な理解を獲得していく。第三部では、自然災害を取り上げ、被災者の心理の理解と、サイコロジカルファーストエイドに代表される被災者支援の基本原則や、悲嘆の回復過程に対する支援方法について学習する。
 なお,グループワークやディスカッションを通じて、自らの心を題材にしながら体験的に授業を行う。

オリジナル資料
コマ主題細目 ① 導入 ② 被害者支援制度の歴史 ③ 被害者支援制度の内容
細目レベル ① まず、本講座の全体像を示しながら、被害者心理学で取り扱うトピックについて説明を行う。また、本講座は、講義による知識の習得と併せて、ワークによる体験的理解も行うため、受講に当たっての留意事項についても説明を行う。
② 本講座は、犯罪心理学科の中に設置されている講座になる。そのため、犯罪心理学の中で被害者心理を扱うことの意義について、説明を行う。すなわち、これまでの大学での学びを通じて習得してきた犯罪・非行に至る要因を含めた犯罪者・非行少年に対するイメージを得てきた。本講義では、まず現段階回での加害者(犯罪者・非行少年)の自分が持っているイメージについて、明確にする。そして、「被害者の視点」に触れたのちに、加害者についてのイメージがどう変化するのか、そして、犯罪心理を学んできた者として、犯罪者・非行少年にどう向き合うのかを明確化していくこととする。

③ 犯罪者・非行少年に関する報道では、その犯行の手口だけでなく、犯行に至るまでの当人たちにライフストーリーが語られることがある。このように、犯罪者・非行少年が犯行に至る背景には、内的な要因が絡んでいる。本講義では、その要因について、「居場所」と「適応(内的適応と外的適応)」というキーワードを用いて、改めて、犯罪者・非行少年の内面に触れることとする。そこには、犯罪者・非行少年の被害性が存在し、その被害性を汲み取ることで、犯罪者・非行少年との関係を作りながら、再犯・再非行防止に向けた動きを作り出すことができる。

キーワード ① 加害者の被害性 ② 居場所 ③ 適応 ④ 内的適応 ⑤ 外的適応
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:
コマシラバスと配布資料を読み直しておくこと。特に,座学的な復習も重要であるが,被害者心理学の講義内で体験したことは、必ず詳細に記述しておくこと。

予習:
コマシラバスを参照にし,関連する内容について自分なりに十分に調べておくこと。参考文献の該当部分を読んでおくことも授業の良い予習となる。ただし,資料をただ購読するのではなく,被害者支援の支援者として活動することを仮定しながら、当事者意識を持って予習することを推奨する。

2 犯罪被害の心理的影響 科目の中での位置付け  第二回は「犯罪被害の心理的影響」を実施する。犯罪に遭ったその時だけでなく、その後の心理的変化であったり、二次被害の影響について理解することを目指す。
 本科目は、三部構成で展開する。第一部は,総論として、犯罪被害者の心理的影響を中心に、トラウマインフォームドケアの視点に触れながら、PTSDのアセスメント方法やPTSDの治療に関する理論を学ぶ。また、トラウマ臨床の中で直面する自殺・自傷の理解と対応方法や、被害者のトラウマに触れることで支援者が受ける二次受傷に関する知識を習得することを目指す。第二部では、各論として、「虐待」、「性暴力被害」、「加害者家族」といった複雑性トラウマを抱えた被害者に対するそれぞれの心理的影響や対応方法について、体験的な理解を獲得していく。第三部では、自然災害を取り上げ、被災者の心理の理解と、サイコロジカルファーストエイドに代表される被災者支援の基本原則や、悲嘆の回復過程に対する支援方法について学習する。
 なお,グループワークやディスカッションを通じて、自らの心を題材にしながら体験的に授業を行う。

オリジナル資料











コマ主題細目 ① 被害者の声 ② 二次被害 ③ 犯罪被害からの回復
細目レベル ① 犯罪被害者支援において重要な視点となるのが、①被害者の声、②二次被害、③犯罪被害からの回復という三つのキーワードである。これらは、被害者が事件後に直面する心理的・社会的課題を理解し、より適切な支援を実現するうえで欠かせない概念である。
まず、被害者の声とは、被害者自身の体験・感情・要望を意味する。かつて刑事司法の中で被害者は、証言を提供する「客体」として扱われ、事件の処理や刑罰の決定に関与する機会はほとんどなかった。しかし、近年は「被害者の声を聴く」ことの重要性が認識され、被害者の意見を裁判に反映させる制度や、捜査・公判における説明・意見聴取の機会が整備されてきた。被害者の声は、単に感情の表明にとどまらず、司法の公正さや社会の倫理観を支える役割を果たしている。

② 二次被害とは、犯罪被害そのものによる苦痛に加え、その後の対応過程で被害者が再び受ける心理的・社会的な傷つきを指す。警察や報道、周囲の人々による無理解な言動が、被害者に新たな苦痛を与えることがある。例えば、「なぜ抵抗しなかったのか」「あなたにも落ち度があるのでは」といった言葉は、被害者の自己責任感や罪悪感を強め、回復を妨げる。二次被害を防ぐためには、捜査機関や支援者が被害者の尊厳を守る態度を徹底し、社会全体が被害者を非難せず受け止める文化を育む必要がある。

③ 犯罪被害からの回復とは、被害によって損なわれた心身の健康、人間関係、生活基盤、社会的信頼などを再構築していく過程を指す。回復は単に「元の状態に戻る」ことではなく、新たな生活の意味を見出すプロセスでもある。心理的ケア、経済的支援、社会的理解の三つが揃うことで、被害者は再び社会の中で自分の人生を取り戻すことができる。支援者は、被害者の声を尊重し、二次被害を防ぎながら、その人らしい回復を長期的に支える姿勢が求められている。

キーワード ① 犯罪被害者の声 ② 犯罪被害者制度の歴史 ③ 犯罪被害者制度の運用 ④ 二次受傷の現状 ⑤ 心的外傷後成長
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:
コマシラバスと配布資料を読み直しておくこと。特に,座学的な復習も重要であるが,被害者心理学の講義内で体験したことは、必ず詳細に記述しておくこと。

予習:
コマシラバスを参照にし,関連する内容について自分なりに十分に調べておくこと。参考文献の該当部分を読んでおくことも授業の良い予習となる。ただし,資料をただ購読するのではなく,被害者支援の支援者として活動することを仮定しながら、当事者意識を持って予習することを推奨する。

3 トラウマ 科目の中での位置付け  第三回は「トラウマ」について解説を行う。通常のストレスとトラウマの違い、複雑性PTSDと単回性PTSDでの症状の違いにつちえ学習する。
 本科目は、三部構成で展開する。第一部は,総論として、犯罪被害者の心理的影響を中心に、トラウマインフォームドケアの視点に触れながら、PTSDのアセスメント方法やPTSDの治療に関する理論を学ぶ。また、トラウマ臨床の中で直面する自殺・自傷の理解と対応方法や、被害者のトラウマに触れることで支援者が受ける二次受傷に関する知識を習得することを目指す。第二部では、各論として、「虐待」、「性暴力被害」、「加害者家族」といった複雑性トラウマを抱えた被害者に対するそれぞれの心理的影響や対応方法について、体験的な理解を獲得していく。第三部では、自然災害を取り上げ、被災者の心理の理解と、サイコロジカルファーストエイドに代表される被災者支援の基本原則や、悲嘆の回復過程に対する支援方法について学習する。
 なお,グループワークやディスカッションを通じて、自らの心を題材にしながら体験的に授業を行う。

オリジナル資料











コマ主題細目 ① トラウマインフォームドケア ② 3つのF ③ 複雑性PTSD
細目レベル ① 被害者支援や心理臨床の現場では、①トラウマインフォームドケア、②3つのF、③複雑性PTSDという概念が重要な位置を占めている。これらは、トラウマ(心的外傷)を理解し、それに基づいた支援や治療を行うための基本的枠組みである。
まず、トラウマインフォームドケア(Trauma-Informed Care)とは、「トラウマを前提に支援する姿勢」を指す。これは、支援者が被害者の行動や感情を「問題行動」としてではなく、「トラウマ反応」として理解しようとする視点である。たとえば、被害者が支援を拒んだり、感情を爆発させたりする場合、それは支援を嫌がっているのではなく、過去のトラウマ体験に関連した防衛反応である可能性が高い。トラウマインフォームドケアでは、「この人に何が起きたのか?」という問いを立て、安心・信頼・選択・協働・エンパワメントの5原則に基づいて支援を行う。支援者が被害者の尊厳を尊重し、安全な環境をつくることが、回復の第一歩となる。

② 3つのF(Fight, Flight, Freeze)は、トラウマ体験時に起こる代表的な生理的反応を示す。危険を察知した際、人間は本能的に「戦う(Fight)」「逃げる(Flight)」「凍りつく(Freeze)」という反応をとる。たとえば、性暴力や暴力事件などで体が動かなくなる「凍りつき反応」は、防衛本能の一種であり、被害者が「抵抗できなかった」と自責する必要はない。この理解は、被害者支援の現場で二次被害を防ぐうえでも非常に重要である。

③ 複雑性PTSD(Complex PTSD)とは、長期的・反復的なトラウマ体験によって生じる深刻な心理的障害を指す。通常のPTSDが「単一の出来事」による反応であるのに対し、複雑性PTSDでは、慢性的な虐待や支配、暴力などが背景にあり、自己否定感、対人関係の困難、慢性的な空虚感などの症状が現れる。治療には時間を要し、安心できる人間関係の再構築と、自己理解の支援が欠かせない。
これら三つの概念は、被害者の行動や感情を「理解しようとするまなざし」を育て、被害の再現や孤立を防ぐための基礎となっている。

キーワード ① トラウマインフォームドケア ② Fight ③ Flight ④ Freeze ⑤ 複雑性PTSD
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:
コマシラバスと配布資料を読み直しておくこと。特に,座学的な復習も重要であるが,被害者心理学の講義内で体験したことは、必ず詳細に記述しておくこと。

予習:
コマシラバスを参照にし,関連する内容について自分なりに十分に調べておくこと。参考文献の該当部分を読んでおくことも授業の良い予習となる。ただし,資料をただ購読するのではなく,被害者支援の支援者として活動することを仮定しながら、当事者意識を持って予習することを推奨する。

4 PTSDのアセスメント 科目の中での位置付け  第四回は「PTSDのアセスメント」について解説を行う。PTSD症状の確認などを、臨床場面で使われている、TSCCやUCLA心的外傷後ストレス障害インデックスといった各種ツールに関する解説を行い、トラウマ症状を把握する方法について理解を深める。
 本科目は、三部構成で展開する。第一部は,総論として、犯罪被害者の心理的影響を中心に、トラウマインフォームドケアの視点に触れながら、PTSDのアセスメント方法やPTSDの治療に関する理論を学ぶ。また、トラウマ臨床の中で直面する自殺・自傷の理解と対応方法や、被害者のトラウマに触れることで支援者が受ける二次受傷に関する知識を習得することを目指す。第二部では、各論として、「虐待」、「性暴力被害」、「加害者家族」といった複雑性トラウマを抱えた被害者に対するそれぞれの心理的影響や対応方法について、体験的な理解を獲得していく。第三部では、自然災害を取り上げ、被災者の心理の理解と、サイコロジカルファーストエイドに代表される被災者支援の基本原則や、悲嘆の回復過程に対する支援方法について学習する。
 なお,グループワークやディスカッションを通じて、自らの心を題材にしながら体験的に授業を行う。

コマ主題細目 ① PTSDのアセスメント ② TSCC ③ UCLA PTSDインデックス
細目レベル ① 犯罪被害者や災害被災者など、トラウマ体験をもつ人々への心理支援においては、症状を適切に把握し、支援や治療の方向性を考えるための評価が欠かせない。その中心となるのが、①PTSDのアセスメントであり、その際に代表的に用いられる心理検査として②TSCC(Trauma Symptom Checklist for Children)と③UCLA PTSDインデックスがある。
まず、PTSDのアセスメントとは、心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic Stress Disorder)の症状の有無や程度を、面接や質問紙を通して評価するプロセスを指す。アセスメントの目的は、診断を下すだけでなく、トラウマ体験の影響を多面的に理解し、支援方針を立てることにある。評価の際には、侵入症状(フラッシュバックなど)、回避、過覚醒、否定的な認知・感情などの症状群を確認するほか、日常生活や対人関係への影響も検討する。とくに子どもや若者の場合、症状が言葉で表現されにくいため、行動の変化や身体反応、感情表出なども含めて丁寧に観察することが求められる。

② TSCC(Trauma Symptom Checklist for Children)は、米国のBriereによって開発された、子どものトラウマ反応を測定する自己記入式の質問紙である。対象年齢はおおむね8〜16歳で、侵入、回避、怒り、不安、抑うつ、性的懸念など6つの主要尺度と、解離や空想などの補助尺度を含む。子どもが自分で回答する形式のため、外見からはわかりにくい内面的苦痛を把握しやすい特徴がある。TSCCは、虐待、事故、災害などさまざまなトラウマ体験をもつ子どもの心理状態を包括的に捉えることができ、臨床・研究の両面で広く用いられている。

③ UCLA PTSDインデックスは、子どもや青年の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状を評価するための質問紙である。DSMの診断基準に基づき、トラウマ体験の有無や侵入症状、回避、過覚醒などの症状を測定する。自己記入式または面接形式で実施可能であり、臨床評価や研究、支援方針の検討に広く用いられている。信頼性・妥当性が高く、多言語版も作成され、国際的に活用されている。
キーワード ① PTSDのアセスメント ② アセスメントにおける留意事項 ③ TSCC ④ UCLA PTSDインデックス ⑤ 安全感の確保
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:
コマシラバスと配布資料を読み直しておくこと。特に,座学的な復習も重要であるが,被害者心理学の講義内で体験したことは、必ず詳細に記述しておくこと。

予習:
コマシラバスを参照にし,関連する内容について自分なりに十分に調べておくこと。参考文献の該当部分を読んでおくことも授業の良い予習となる。ただし,資料をただ購読するのではなく,被害者支援の支援者として活動することを仮定しながら、当事者意識を持って予習することを推奨する。

5 PTSDの治療 科目の中での位置付け  第五回は「PTSDの治療」について解説を行う。子どものPTSD治療としてエビデンスのあるTF-CBTについて、その手順と実施方法について、架空事例を通じて学習する。
PTSD症状の確認などを、臨床場面で使われている、TSCCやUCLA心的外傷後ストレス障害インデックスといった各種ツールに関する解説を行い、トラウマ症状を把握する方法について理解を深める。
 本科目は、三部構成で展開する。第一部は,総論として、犯罪被害者の心理的影響を中心に、トラウマインフォームドケアの視点に触れながら、PTSDのアセスメント方法やPTSDの治療に関する理論を学ぶ。また、トラウマ臨床の中で直面する自殺・自傷の理解と対応方法や、被害者のトラウマに触れることで支援者が受ける二次受傷に関する知識を習得することを目指す。第二部では、各論として、「虐待」、「性暴力被害」、「加害者家族」といった複雑性トラウマを抱えた被害者に対するそれぞれの心理的影響や対応方法について、体験的な理解を獲得していく。第三部では、自然災害を取り上げ、被災者の心理の理解と、サイコロジカルファーストエイドに代表される被災者支援の基本原則や、悲嘆の回復過程に対する支援方法について学習する。
 なお,グループワークやディスカッションを通じて、自らの心を題材にしながら体験的に授業を行う。

コマ主題細目 ① PTSDの治療方法 ② TFーCBT ③ トラウマナラティブ
細目レベル ① PTSD(心的外傷後ストレス障害)の支援・治療では、症状を軽減し、トラウマ体験を安全に整理していくための心理的アプローチが中心となる。ここでは、①PTSDの治療方法、②TF-CBT(Trauma-Focused Cognitive Behavioral Therapy)、③トラウマナラティブの三つの概念を説明する。
まず、PTSDの治療方法には、心理療法と薬物療法の両面がある。心理療法では、トラウマ記憶への安全な接近と、症状の緩和、日常生活の回復を目指す。代表的な方法には、認知行動療法(CBT)、持続エクスポージャー療法(PE)、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)などがあり、いずれも科学的な有効性が示されている。薬物療法では、抗うつ薬(SSRIなど)が不安や過覚醒の軽減に用いられることが多い。ただし、薬だけでトラウマを「消す」ことは難しく、心理的支援との併用が重要である。治療の根底には、「安全の確保」「信頼関係の形成」「感情調整」「トラウマ記憶の処理」「再接続(再び社会とつながる)」という段階的な支援モデルがある。

② TF-CBT(Trauma-Focused Cognitive Behavioral Therapy)は、トラウマに焦点を当てた認知行動療法で、特に子どもや青年のPTSD治療に効果的とされている。米国で開発され、トラウマ体験に伴う恐怖・罪悪感・恥などの感情を整理し、否定的な思考を修正していく方法である。TF-CBTでは、PRACTICEという8段階の構成があり、心理教育(Psychoeducation)、リラクセーション、感情調整、認知再構成、トラウマナラティブの作成、親子の共有、曝露的練習、将来へのスキル強化などが含まれる。セラピストは安全な環境で子どもがトラウマ記憶を少しずつ語れるよう支援し、保護者の理解と協力も重視する。

③ トラウマナラティブ(Trauma Narrative)とは、トラウマ体験を本人が言葉や物語の形で整理し直すプロセスである。被害体験は断片的な記憶として心に残ることが多く、そのままではフラッシュバックや過覚醒を引き起こしやすい。ナラティブ化することで、体験を「自分の過去の出来事」として位置づけ、意味づけを回復することができる。絵や作文、語りなど多様な方法で進められ、TF-CBTの核心的要素でもある。
このように、PTSDの治療は単に症状を抑えることではなく、トラウマを安全に語り、再び生きる力を取り戻すための心理的再構築の過程である。

キーワード ① 心理教育 ② TFーCBT ③ トラウマナラティブ ④ 不安階層表 ⑤ リラクゼーション法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:
コマシラバスと配布資料を読み直しておくこと。特に,座学的な復習も重要であるが,被害者心理学の講義内で体験したことは、必ず詳細に記述しておくこと。

予習:
コマシラバスを参照にし,関連する内容について自分なりに十分に調べておくこと。参考文献の該当部分を読んでおくことも授業の良い予習となる。ただし,資料をただ購読するのではなく,被害者支援の支援者として活動することを仮定しながら、当事者意識を持って予習することを推奨する。

6 自殺と自傷 科目の中での位置付け  第六回は「自殺と自傷」について解説を行う。自傷の自己治癒としての機能と、自傷と自殺の相違点、自殺・自傷に対する対応方法について学習する。
PTSD症状の確認などを、臨床場面で使われている、TSCCやUCLA心的外傷後ストレス障害インデックスといった各種ツールに関する解説を行い、トラウマ症状を把握する方法について理解を深める。
 本科目は、三部構成で展開する。第一部は,総論として、犯罪被害者の心理的影響を中心に、トラウマインフォームドケアの視点に触れながら、PTSDのアセスメント方法やPTSDの治療に関する理論を学ぶ。また、トラウマ臨床の中で直面する自殺・自傷の理解と対応方法や、被害者のトラウマに触れることで支援者が受ける二次受傷に関する知識を習得することを目指す。第二部では、各論として、「虐待」、「性暴力被害」、「加害者家族」といった複雑性トラウマを抱えた被害者に対するそれぞれの心理的影響や対応方法について、体験的な理解を獲得していく。第三部では、自然災害を取り上げ、被災者の心理の理解と、サイコロジカルファーストエイドに代表される被災者支援の基本原則や、悲嘆の回復過程に対する支援方法について学習する。
 なお,グループワークやディスカッションを通じて、自らの心を題材にしながら体験的に授業を行う。

コマ主題細目 ① 自傷の意味 ② 自殺と自傷の違い ③ 対応方法
細目レベル ① 自傷行為の理解と支援は、被害者支援や臨床現場で極めて重要なテーマである。ここでは、①自傷の意味、②自殺と自傷の違い、③対応方法について説明する。
まず、自傷の意味とは、「自分の身体を意図的に傷つける行為」を指す。代表的なものはリストカットや皮膚を傷つける行為だが、頭を打ちつける、過食・拒食など、身体に苦痛を与える行動全般を含むこともある。自傷はしばしば「死にたい」気持ちとは別の心理的背景をもっており、強い感情の高ぶり、孤独感、無力感などに対処するための「自己調整行動」として現れる。つまり、痛みを感じることで「生きている実感」を得たり、感情を一時的にコントロールしようとする行為でもある。自傷は非合理的に見えるが、本人にとっては切実な自己防衛の手段であることが多い。

② 自殺と自傷の違いは、行為の「目的」と「意図の強さ」にある。自殺は「死ぬこと」を目的として行われるが、自傷は「死にたくないが、苦しみをどうにかしたい」という生の延長線上の行動である。ただし、両者は明確に分かれているわけではなく、自傷を繰り返すうちに死の危険が高まる場合もある。したがって、自傷を「軽い行為」とみなすのではなく、背景にある苦痛やSOSのサインとして受け止めることが必要である。自傷の奥には、理解されない孤独感、自己否定、他者との断絶感が潜んでいることが多い。

③ 対応方法としては、まず「止める」ことよりも「理解する」姿勢が重要である。支援者や周囲の人は、「どうしてそんなことをしたの?」と責めるのではなく、「それほどつらかったんだね」と感情に寄り添うことが求められる。安全の確保を第一に、身体的な処置と心理的支援の両面から関わる必要がある。カウンセリングでは、感情の表現やストレス対処の方法を新たに学ぶ支援を行い、自傷に頼らずに苦痛を乗り越える力を育てていく。また、家族や学校などの環境調整も欠かせない。
自傷は「死への衝動」ではなく、「生きるための叫び」である。支援者がその意味を理解し、非難ではなく共感をもって関わることが、回復への第一歩となる。

キーワード ① 自殺 ② 自傷 ③ 自己治癒仮説 ④ 成人の自殺のリスク因子 ⑤ 青年の自殺のリスク因子
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:
コマシラバスと配布資料を読み直しておくこと。特に,座学的な復習も重要であるが,被害者心理学の講義内で体験したことは、必ず詳細に記述しておくこと。

予習:
コマシラバスを参照にし,関連する内容について自分なりに十分に調べておくこと。参考文献の該当部分を読んでおくことも授業の良い予習となる。ただし,資料をただ購読するのではなく,被害者支援の支援者として活動することを仮定しながら、当事者意識を持って予習することを推奨する。

7 二次受傷 科目の中での位置付け  第七回は「二次受傷」について解説を行う。トラウマを抱えた被害者と接することにより支援者に生じ得る二次障害と、それへの対応方法について学習する。
 本科目は、三部構成で展開する。第一部は,総論として、犯罪被害者の心理的影響を中心に、トラウマインフォームドケアの視点に触れながら、PTSDのアセスメント方法やPTSDの治療に関する理論を学ぶ。また、トラウマ臨床の中で直面する自殺・自傷の理解と対応方法や、被害者のトラウマに触れることで支援者が受ける二次受傷に関する知識を習得することを目指す。第二部では、各論として、「虐待」、「性暴力被害」、「加害者家族」といった複雑性トラウマを抱えた被害者に対するそれぞれの心理的影響や対応方法について、体験的な理解を獲得していく。第三部では、自然災害を取り上げ、被災者の心理の理解と、サイコロジカルファーストエイドに代表される被災者支援の基本原則や、悲嘆の回復過程に対する支援方法について学習する。
 なお,グループワークやディスカッションを通じて、自らの心を題材にしながら体験的に授業を行う。

コマ主題細目 ① 二次受傷 ② 孤立感 ③ 二次受傷からの回復
細目レベル ① 犯罪被害者やトラウマを経験した人を支援する際、支援者自身が心理的に影響を受けることがある。その理解とセルフケアのために重要なのが、①二次受傷、②無力感・孤立感、③回復のペース、④二次受傷の予防策、⑤リラクゼーション法といった視点である。
まず、二次受傷(secondary traumatic stress)とは、被害者やクライアントの壮絶な体験を聞いたり関わったりする中で、支援者自身が精神的に傷つくことを指す。被害者の苦痛や無力感に深く共感することで、支援者自身がフラッシュバックや睡眠障害、感情の不安定さを経験することもある。特に熱心で責任感の強い支援者ほど影響を受けやすく、「支援する側のトラウマ」とも呼ばれる。

② 無力感・孤立感は、二次受傷の中核的な感情である。被害者を助けたいのに現実的な限界があり、「自分には何もできない」という無力感に陥る。また、支援者が自分の苦しみを周囲に打ち明けにくく、「強くあらねば」と孤立してしまうことも多い。この状態が続くと、燃え尽き症候群(バーンアウト)や共感疲労につながるおそれがある。

③ 回復のペースは、被害者にも支援者にも必要な考え方である。トラウマからの回復は直線的ではなく、進んだり戻ったりを繰り返す。焦らず、「回復には時間がかかるもの」と受け止める姿勢が重要だ。支援者自身も、自分の心身の変化に気づき、無理をせず休息を取ることが、長期的に支援を続けるための鍵となる。
二次受傷の予防策としては、スーパービジョンやピアサポート(同僚間の支え合い)、定期的な振り返りの機会を持つことが効果的である。また、仕事と私生活の境界を明確にし、過剰な責任感を抱え込まないようにすることも大切だ。支援は「一人で抱え込まない」ことが原則である。
リラクゼーション法には、深呼吸、筋弛緩法、ストレッチ、マインドフルネス瞑想などがある。これらは自律神経を整え、緊張を和らげる効果がある。五感を意識して「今ここ」に集中することで、過去のつらい記憶にとらわれすぎず、自分をリセットする時間を持てる。
支援の現場で最も大切なのは、被害者だけでなく「支援者も守る」視点である。自分自身のケアを怠らず、支援を持続可能な形に整えていくことが、真の回復支援につながる。

キーワード ① 二次受傷 ② 無力感・孤立感 ③ 回復のペース ④ 二次受傷の予防策 ⑤ リラクゼーション法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:
コマシラバスと配布資料を読み直しておくこと。特に,座学的な復習も重要であるが,被害者心理学の講義内で体験したことは、必ず詳細に記述しておくこと。

予習:
コマシラバスを参照にし,関連する内容について自分なりに十分に調べておくこと。参考文献の該当部分を読んでおくことも授業の良い予習となる。ただし,資料をただ購読するのではなく,被害者支援の支援者として活動することを仮定しながら、当事者意識を持って予習することを推奨する。

8 振り返り① 科目の中での位置付け  第八回は「振り返り」で、これまでの講義を復習する。犯罪被害者の心理的影響、トラウマとPTSD、PTSDへの心理療法、二次受傷について、振り返る。
 本科目は、三部構成で展開する。第一部は,総論として、犯罪被害者の心理的影響を中心に、トラウマインフォームドケアの視点に触れながら、PTSDのアセスメント方法やPTSDの治療に関する理論を学ぶ。また、トラウマ臨床の中で直面する自殺・自傷の理解と対応方法や、被害者のトラウマに触れることで支援者が受ける二次受傷に関する知識を習得することを目指す。第二部では、各論として、「虐待」、「性暴力被害」、「加害者家族」といった複雑性トラウマを抱えた被害者に対するそれぞれの心理的影響や対応方法について、体験的な理解を獲得していく。第三部では、自然災害を取り上げ、被災者の心理の理解と、サイコロジカルファーストエイドに代表される被災者支援の基本原則や、悲嘆の回復過程に対する支援方法について学習する。
 なお,グループワークやディスカッションを通じて、自らの心を題材にしながら体験的に授業を行う。

コマ主題細目 ① トラウマとPTSD ② 二次受傷 ③ 質問
細目レベル ① 犯罪被害者制度とは、犯罪によって被害を受けた人やその家族の権利を保障し、支援を行うための公的な仕組みである。日本では1980年に「犯罪被害者等給付金制度」が創設され、2004年には「犯罪被害者等基本法」が制定された。これにより、被害者を権利の主体として位置づけ、国・自治体・関係機関が支援に責任をもつ体制が整った。現在は、心理的支援、経済的補償、司法参加、情報提供などが総合的に実施されている。

② トラウマとPTSD(心的外傷後ストレス障害)は、犯罪被害者支援において最も重要な心理的テーマである。トラウマとは、命や尊厳が脅かされるような体験によって心に強い衝撃を受け、その後も恐怖や無力感が続く状態を指す。PTSDはその結果生じる精神的障害であり、フラッシュバック、回避、過覚醒、感情の麻痺などが典型的な症状である。トラウマは「過去の出来事が今も続いているように感じる」体験であり、被害者の安全感や自己信頼を根本から揺るがす。
③PTSDのアセスメントは、こうした症状を適切に把握し、支援や治療の方向性を定めるための評価過程である。代表的なツールには、子ども向けのTSCC(トラウマ症状チェックリスト)やUCLA PTSDインデックスがあり、質問紙や面接を通して症状の程度や生活への影響を把握する。被害者の言葉だけでなく、表情・行動・身体反応にも注意を払うことが重要である。
④PTSDの治療では、心理療法が中心的役割を果たす。トラウマ焦点化認知行動療法(TF-CBT)やEMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)などが科学的に有効とされ、トラウマ記憶を安全な環境で整理し直す支援が行われる。治療は段階的に、「安全の確保」「感情調整」「記憶の再構築」「再接続」のプロセスを経ることが多い。

③ 二次受傷とは、被害者を支援する立場の人が、相手の苦痛に共感しすぎることで精神的に傷つく現象である。支援者自身の無力感や孤立感につながることがあり、セルフケアやスーパービジョン、同僚との支え合いが重要である。
このように、犯罪被害者支援は法制度と心理支援の両輪によって成り立ち、被害者だけでなく支援者も守る視点が求められている。

キーワード ① 犯罪被害者制度 ② トラウマとPTSD ③ PTSDのアセスメント ④ PTSDの治療 ⑤ 二次受傷
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:
コマシラバスと配布資料を読み直しておくこと。特に,座学的な復習も重要であるが,被害者心理学の講義内で体験したことは、必ず詳細に記述しておくこと。

予習:
コマシラバスを参照にし,関連する内容について自分なりに十分に調べておくこと。参考文献の該当部分を読んでおくことも授業の良い予習となる。ただし,資料をただ購読するのではなく,被害者支援の支援者として活動することを仮定しながら、当事者意識を持って予習することを推奨する。

9 虐待 科目の中での位置付け  第九回は「虐待」について解説を行う。身体的虐待、心理的虐待、ネグレクト、性的虐待について、子どものときに受けるトラウマの影響について学習する。
 本科目は、三部構成で展開する。第一部は,総論として、犯罪被害者の心理的影響を中心に、トラウマインフォームドケアの視点に触れながら、PTSDのアセスメント方法やPTSDの治療に関する理論を学ぶ。また、トラウマ臨床の中で直面する自殺・自傷の理解と対応方法や、被害者のトラウマに触れることで支援者が受ける二次受傷に関する知識を習得することを目指す。第二部では、各論として、「虐待」、「性暴力被害」、「加害者家族」といった複雑性トラウマを抱えた被害者に対するそれぞれの心理的影響や対応方法について、体験的な理解を獲得していく。第三部では、自然災害を取り上げ、被災者の心理の理解と、サイコロジカルファーストエイドに代表される被災者支援の基本原則や、悲嘆の回復過程に対する支援方法について学習する。
 なお,グループワークやディスカッションを通じて、自らの心を題材にしながら体験的に授業を行う。

コマ主題細目 ① 虐待の種類 ② 子どものトラウマ反応 ③ 児童相談所の対応
細目レベル ① 子どもの虐待問題は、発見・保護・心理支援のすべてにおいて社会全体の理解が求められる深刻な課題である。ここでは、①虐待の種類、②子どものトラウマ反応、③児童相談所の対応という三つの視点から説明する。
まず、虐待の種類は、厚生労働省の定義によると、主に「身体的虐待」「心理的虐待」「性的虐待」「ネグレクト(養育放棄・怠慢)」の4つに分類される。身体的虐待は殴る、蹴る、やけどを負わせるなど、身体に直接的な損傷を与える行為である。心理的虐待は暴言、脅迫、無視、兄弟間差別、DVの目撃など、子どもの心を傷つける行為を含む。性的虐待は、子どもへの性的行為の強要や性的接触、性的写真の撮影など、深刻な心身の被害を伴う。また、ネグレクトは食事・衣服・医療・教育など、基本的な養育を怠る行為であり、子どもの生存や発達を脅かす。これらは単独で起こることもあれば、複合的に存在することも多い。

② 子どものトラウマ反応について。虐待を受けた子どもは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状を示すことがある。代表的なものに、フラッシュバック(過去の恐怖体験がよみがえる)、過覚醒(常に緊張している)、回避(思い出すことを避ける)、感情麻痺(何も感じられない)などがある。また、トラウマは行動や発達にも影響を及ぼし、攻撃的・無気力・依存的な行動、睡眠障害、学習意欲の低下などが見られる。子どもは自分の体験を言葉にできないことが多く、遊びや絵、身体反応を通して心の傷が表れる場合もある。トラウマ反応は「問題行動」ではなく、「生き延びるための反応」であることを理解する姿勢が大切である。

③ 児童相談所の対応は、虐待対応の中核を担っている。通告や相談を受けると、まず緊急性を判断し、必要に応じて警察と連携して一時保護を行う。その後、家庭環境や親子関係を調査し、保護者への指導や心理支援、家庭復帰の可否を検討する。心理士や医師、福祉職などの多職種が連携し、子どもの安全確保を最優先に対応することが原則である。また、虐待を防止するための早期発見・地域ネットワークづくりも重要な役割となっている。
このように、虐待は子どもの生命と発達に深刻な影響を及ぼす問題であり、トラウマを理解した支援と社会的連携によって、子どもの回復と安心を支える体制が求められている。また、司法面接による事実確認の手続きも大切になっていくこともある。

キーワード ① 身体的虐待 ② 心理的虐待 ③ ネグレクト ④ 性的虐待 ⑤ 児童相談所の役割
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:
コマシラバスと配布資料を読み直しておくこと。特に,座学的な復習も重要であるが,被害者心理学の講義内で体験したことは、必ず詳細に記述しておくこと。

予習:
コマシラバスを参照にし,関連する内容について自分なりに十分に調べておくこと。参考文献の該当部分を読んでおくことも授業の良い予習となる。ただし,資料をただ購読するのではなく,被害者支援の支援者として活動することを仮定しながら、当事者意識を持って予習することを推奨する。

10 性暴力被害 科目の中での位置付け  第十回は「性暴力被害」について取り上げる。性暴力を受けた被害者の心理的影響や、男性の性被害の心理的影響について説明をする。
 本科目は、三部構成で展開する。第一部は,総論として、犯罪被害者の心理的影響を中心に、トラウマインフォームドケアの視点に触れながら、PTSDのアセスメント方法やPTSDの治療に関する理論を学ぶ。また、トラウマ臨床の中で直面する自殺・自傷の理解と対応方法や、被害者のトラウマに触れることで支援者が受ける二次受傷に関する知識を習得することを目指す。第二部では、各論として、「虐待」、「性暴力被害」、「加害者家族」といった複雑性トラウマを抱えた被害者に対するそれぞれの心理的影響や対応方法について、体験的な理解を獲得していく。第三部では、自然災害を取り上げ、被災者の心理の理解と、サイコロジカルファーストエイドに代表される被災者支援の基本原則や、悲嘆の回復過程に対する支援方法について学習する。
 なお,グループワークやディスカッションを通じて、自らの心を題材にしながら体験的に授業を行う。

コマ主題細目 ① 性暴力被害 ② 男性の性暴力被害 ③ 心理教育
細目レベル ① 性暴力被害は、被害者の身体だけでなく心や社会的生活にも深い影響を及ぼす深刻な問題である。ここでは、①性暴力被害、②男性の性暴力被害、③心理教育の三つの視点から説明する。
まず、性暴力被害とは、本人の同意のない性的行為や性的接触を強要されることを指す。暴行や脅迫を伴う強制性交等罪だけでなく、地位や信頼関係を利用した性的行為、同意のない撮影・拡散なども含まれる。性暴力は「性的欲求の問題」ではなく、被害者を支配し、屈服させようとする「暴力」である。被害者は恐怖や恥、罪悪感、自己否定などに苦しみ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)や抑うつ、不眠などの症状を呈することがある。また、加害者が知人や恋人、家族である場合も多く、被害を訴えること自体が困難になりやすい。支援にあたっては、被害者の「語る準備」を尊重し、安全と尊厳を守る姿勢が欠かせない。

② 男性の性暴力被害については、社会的偏見や沈黙の文化により、表面化しにくいという特徴がある。「男性が被害者になるはずがない」「弱みを見せるのは恥だ」といったジェンダー規範が、男性被害者の訴えを抑え込んでしまう。実際には、少年期の性的虐待、職場や学校での性的ハラスメント、同性間・異性間を問わない暴力など、男性被害は決して稀ではない。にもかかわらず、支援機関や相談窓口の多くが女性向けに設計されており、男性が安心して相談できる環境が十分とはいえない。近年は「男性被害者専用ダイヤル」や「性暴力ワンストップ支援センター」での対応が進みつつあり、支援体制の拡充が求められている。

③ 心理教育(psychoeducation)は、被害者や家族、支援者がトラウマ反応の仕組みや回復過程を理解するための教育的支援である。性暴力の被害者は、恐怖や混乱の中で「自分がおかしいのでは」「あのとき抵抗できなかった自分が悪い」と自責感を抱きやすい。心理教育では、「フラッシュバック」「身体の凍りつき(Freeze反応)」などが生理的な反応であることを説明し、被害者の自己理解と安心感を高める。さらに、呼吸法やリラクゼーションなどのセルフケアを学ぶことも回復を支える。
性暴力被害への支援では、性別にかかわらず「あなたのせいではない」というメッセージを一貫して伝えること、そして心理教育を通して自分の心身の反応を理解し直すことが、回復への重要な一歩となる。

キーワード ① 性暴力被害 ② 心理的影響 ③ 心理教育 ④ 身体的ケア ⑤ ワンストップ支援センター
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
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小テスト
復習・予習課題 復習:
コマシラバスと配布資料を読み直しておくこと。特に,座学的な復習も重要であるが,被害者心理学の講義内で体験したことは、必ず詳細に記述しておくこと。

予習:
コマシラバスを参照にし,関連する内容について自分なりに十分に調べておくこと。参考文献の該当部分を読んでおくことも授業の良い予習となる。ただし,資料をただ購読するのではなく,被害者支援の支援者として活動することを仮定しながら、当事者意識を持って予習することを推奨する。

11 加害者家族 科目の中での位置付け  第十一回は「加害者家族」について取り上げる。「隠れた被害者」といわれる加害者家族が置かれる立場と心理的影響について、学習する。
 本科目は、三部構成で展開する。第一部は,総論として、犯罪被害者の心理的影響を中心に、トラウマインフォームドケアの視点に触れながら、PTSDのアセスメント方法やPTSDの治療に関する理論を学ぶ。また、トラウマ臨床の中で直面する自殺・自傷の理解と対応方法や、被害者のトラウマに触れることで支援者が受ける二次受傷に関する知識を習得することを目指す。第二部では、各論として、「虐待」、「性暴力被害」、「加害者家族」といった複雑性トラウマを抱えた被害者に対するそれぞれの心理的影響や対応方法について、体験的な理解を獲得していく。第三部では、自然災害を取り上げ、被災者の心理の理解と、サイコロジカルファーストエイドに代表される被災者支援の基本原則や、悲嘆の回復過程に対する支援方法について学習する。
 なお,グループワークやディスカッションを通じて、自らの心を題材にしながら体験的に授業を行う。

コマ主題細目 ① 加害者家族 ② 社会的支援 ③ 心理的支援
細目レベル ① 犯罪の影響は被害者だけでなく、加害者の家族にも深く及ぶ。とくに、加害者家族は「自分が罪を犯したわけではないのに責められる」という特有の苦しみを抱える。ここでは、①加害者家族、②社会的支援、③心理的支援の三つの観点から説明する。
まず、加害者家族とは、犯罪を起こした本人の親、配偶者、子ども、きょうだいなど、加害者と生活的・心理的なつながりをもつ人々を指す。加害者が逮捕・収監されると、家族は突然社会的な非難や差別にさらされる。「育て方が悪い」「同罪だ」といった偏見により、地域から孤立したり、職場や学校に居づらくなったりすることも多い。また、報道によって名前や住所が知られることで、生活の基盤そのものを失うこともある。家族は、被害者への申し訳なさと加害者への複雑な感情の板挟みになり、自責感や恥の感情から、心身の不調をきたすことが少なくない。

② 社会的支援は、こうした加害者家族が孤立せずに生活を再建できるようにするための公的・民間の取り組みである。日本では、加害者家族を支援する民間団体(例:全国犯罪被害者の会の連携組織や「World Open Heart」など)が、相談や居場所づくりを行っている。また、自治体による生活支援や就労支援、子どもの進学支援も求められている。社会的支援の目的は、「家族を罰することではなく、再び社会の一員として生きることを支える」ことにある。偏見をなくし、家族が地域で安心して暮らせる環境を整えることが重要である。

③ 心理的支援は、加害者家族の心のケアを目的とした支援である。罪悪感や恥、怒り、悲しみなどが複雑に入り混じる中で、家族は自分の気持ちを整理することが難しい。そのため、カウンセリングやピアサポート(同じ立場の人どうしの支え合い)が大きな助けとなる。専門家は、家族の感情を「否定せずに受け止める」ことを重視し、安心して語れる場を提供する。また、必要に応じてトラウマやうつ状態への心理療法を行い、家族が自分自身の生活を取り戻せるよう支援する。
加害者家族への支援は、犯罪によって分断された人間関係を再びつなぐための社会的課題である。彼らが安心して支援を受けられることは、再犯防止や地域の回復にもつながる。

キーワード ① 加害者家族 ② 加害者家族支援 ③ 心理的支援 ④ 社会的支援 ⑤ グループアプローチ
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小テスト
復習・予習課題 復習:
コマシラバスと配布資料を読み直しておくこと。特に,座学的な復習も重要であるが,被害者心理学の講義内で体験したことは、必ず詳細に記述しておくこと。

予習:
コマシラバスを参照にし,関連する内容について自分なりに十分に調べておくこと。参考文献の該当部分を読んでおくことも授業の良い予習となる。ただし,資料をただ購読するのではなく,被害者支援の支援者として活動することを仮定しながら、当事者意識を持って予習することを推奨する。

12 自然災害 科目の中での位置付け  第十二回は「自然災害」について取り上げる。地震や津波、洪水といった自然災害に遭遇することで生じる心理的影響と変化について学習する。
 本科目は、三部構成で展開する。第一部は,総論として、犯罪被害者の心理的影響を中心に、トラウマインフォームドケアの視点に触れながら、PTSDのアセスメント方法やPTSDの治療に関する理論を学ぶ。また、トラウマ臨床の中で直面する自殺・自傷の理解と対応方法や、被害者のトラウマに触れることで支援者が受ける二次受傷に関する知識を習得することを目指す。第二部では、各論として、「虐待」、「性暴力被害」、「加害者家族」といった複雑性トラウマを抱えた被害者に対するそれぞれの心理的影響や対応方法について、体験的な理解を獲得していく。第三部では、自然災害を取り上げ、被災者の心理の理解と、サイコロジカルファーストエイドに代表される被災者支援の基本原則や、悲嘆の回復過程に対する支援方法について学習する。
 なお,グループワークやディスカッションを通じて、自らの心を題材にしながら体験的に授業を行う。

コマ主題細目 ① 被災者の心理 ② コミュニティの崩壊 ③ 心理職の役割
細目レベル ① 大規模災害や事故などの被災状況では、人々の生活基盤だけでなく心の安定も大きく揺らぐ。被災者支援においては、①被災者の心理、②コミュニティの崩壊、③心理職の役割を理解することが欠かせない。
まず、被災者の心理は、災害の発生直後から時間の経過とともに大きく変化していく。直後には「生き延びた安堵」と同時に、「なぜ自分が」「助けられなかった」という混乱や罪悪感、恐怖が入り混じる。その後、避難生活が長引くにつれて、疲労、焦燥、無力感、喪失感が強まり、抑うつ状態やPTSD(心的外傷後ストレス障害)に発展することもある。また、家族や地域の絆が分断され、孤独感や不信感が生じやすい。被災者の心の反応は多様であり、「正常な人が異常な状況に置かれた結果」であることを支援者が理解しておくことが重要である。

② コミュニティの崩壊は、被災後の心理的苦痛を長期化させる大きな要因となる。災害によって家屋や職場が失われると、日常のつながりが断たれ、地域社会の相互支援機能が低下する。避難所や仮設住宅では、これまでの人間関係が崩れ、新たな対立や孤立が生じることもある。特に高齢者や障がいのある人は、支援の網からこぼれやすく、社会的孤立が深刻化する。コミュニティが再生しない限り、物質的支援だけでは心の回復は難しい。地域のつながりを再構築し、「互いに支え合える環境」を取り戻すことが、心理的な安定につながる。

③ 心理職の役割は、こうした被災者と地域の回復過程を支えることである。心理職は、被災者の話を丁寧に聴き、悲嘆や恐怖を否定せず受け止める「傾聴者」として機能する。同時に、ストレス反応や睡眠障害などへの心理教育を行い、被災者が自分の反応を理解し安心できるよう支援する。また、被災地の支援者自身が燃え尽きないよう、ピアサポートやチームケアの促進も心理職の大切な役割である。さらに、地域復興の過程では、住民同士の交流を促すイベントや居場所づくりを通じて「心の復興支援」を担うことも多い。
このように、災害後の支援は「心のケア」と「地域の再生」を両輪として進めることが重要であり、心理職はその橋渡し役として大きな役割を果たしている。

キーワード ① 自然災害 ② 生活の再建 ③ 安心・安全のの確保 ④ 危機反応 ⑤ 心理的変化
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト
復習・予習課題 復習:
コマシラバスと配布資料を読み直しておくこと。特に,座学的な復習も重要であるが,被害者心理学の講義内で体験したことは、必ず詳細に記述しておくこと。

予習:
コマシラバスを参照にし,関連する内容について自分なりに十分に調べておくこと。参考文献の該当部分を読んでおくことも授業の良い予習となる。ただし,資料をただ購読するのではなく,被害者支援の支援者として活動することを仮定しながら、当事者意識を持って予習することを推奨する。

13 サイコロジカファーストエイド 科目の中での位置付け  第十三回は「サイコロジカルファーストエイド」について取り上げる。自然災害に遭遇した被災者への心理的支援の羅針盤であるサイコロジカルファーストエイドについて学習する。
 本科目は、三部構成で展開する。第一部は,総論として、犯罪被害者の心理的影響を中心に、トラウマインフォームドケアの視点に触れながら、PTSDのアセスメント方法やPTSDの治療に関する理論を学ぶ。また、トラウマ臨床の中で直面する自殺・自傷の理解と対応方法や、被害者のトラウマに触れることで支援者が受ける二次受傷に関する知識を習得することを目指す。第二部では、各論として、「虐待」、「性暴力被害」、「加害者家族」といった複雑性トラウマを抱えた被害者に対するそれぞれの心理的影響や対応方法について、体験的な理解を獲得していく。第三部では、自然災害を取り上げ、被災者の心理の理解と、サイコロジカルファーストエイドに代表される被災者支援の基本原則や、悲嘆の回復過程に対する支援方法について学習する。
 なお,グループワークやディスカッションを通じて、自らの心を題材にしながら体験的に授業を行う。

コマ主題細目 ① サイコロジカルファーストエイド ② 提供の準備 ③ 8つの活動内容
細目レベル ① 災害や事故、犯罪被害などの緊急時において、人々の心を守る初期支援として重視されているのがサイコロジカル・ファーストエイド(Psychological First Aid:PFA)である。これは、被災者や被害者が直後の混乱や不安の中で少しでも安心し、自分の力で立ち直ることを支える心理的応急処置の方法である。PFAは専門的な治療ではなく、「誰にでもできる心の支援」として世界保健機関(WHO)や日本の災害支援機関でも広く採用されている。

② 8つの活動内容として一般的に示されているのは、①安全の確保、②安心感の促進、③安定化、④傾聴と共感、⑤基本的ニーズの把握と支援、⑥社会的支援の促進、⑦対処法の支援、⑧紹介と引き継ぎ、の8項目である。これらは被災者を落ち着かせ、生活と心の安定を取り戻すための段階的な行動指針であり、支援者の態度や言葉が大きな影響を与える。
③安全と安心感は、PFAの出発点であり最も重要な要素である。災害や犯罪直後の人々は、身体的にも心理的にも「危険がまだ続いている」と感じている。まずは、避難場所の確保、周囲の安全確認、必要な物資の提供など、物理的な安全を整えることが第一歩となる。そのうえで、穏やかな声かけや落ち着いた態度で接し、「もう大丈夫」「ここは安全です」と伝えることで心理的安心感を回復させることができる。安心感は、トラウマ反応を和らげ、自発的な回復を促す基盤となる。

③ 関わりの促進とは、被災者が孤立しないように周囲とのつながりを取り戻す支援である。支援者は、相手が話したいことを自分のペースで語れるように傾聴し、非評価的な姿勢で寄り添う。また、家族や友人、地域の仲間など、信頼できる人との再会や連絡をサポートすることが重要である。人とのつながりは、ストレスを軽減し、安心と希望を取り戻す力になる。
最後に、⑤紹介と引き継ぎは、PFAの終盤にあたる重要なステップである。支援者が対応できる範囲を超える場合には、医療機関、カウンセリング、行政窓口など、適切な専門機関につなぐ必要がある。PFAの目的は「支援を完結させること」ではなく、「必要な支援につなぐ橋渡し」である。
このように、サイコロジカル・ファーストエイドは、被災者の尊厳と自立を尊重しながら、安全・安心・つながりを再構築するための実践的な心の支援の枠組みである。

キーワード ① サイコロジカルファーストエイド ② 8つの活動内容 ③ 安全と安心感 ④ 関わりの促進 ⑤ 紹介と引き継
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復習・予習課題 復習:
コマシラバスと配布資料を読み直しておくこと。特に,座学的な復習も重要であるが,被害者心理学の講義内で体験したことは、必ず詳細に記述しておくこと。

予習:
コマシラバスを参照にし,関連する内容について自分なりに十分に調べておくこと。参考文献の該当部分を読んでおくことも授業の良い予習となる。ただし,資料をただ購読するのではなく,被害者支援の支援者として活動することを仮定しながら、当事者意識を持って予習することを推奨する。

14 悲嘆 科目の中での位置付け  第十四回は「悲嘆」について取り上げる。悲嘆の感情の種類や喪の過程に関する理論モデルについて学習する。
 本科目は、三部構成で展開する。第一部は,総論として、犯罪被害者の心理的影響を中心に、トラウマインフォームドケアの視点に触れながら、PTSDのアセスメント方法やPTSDの治療に関する理論を学ぶ。また、トラウマ臨床の中で直面する自殺・自傷の理解と対応方法や、被害者のトラウマに触れることで支援者が受ける二次受傷に関する知識を習得することを目指す。第二部では、各論として、「虐待」、「性暴力被害」、「加害者家族」といった複雑性トラウマを抱えた被害者に対するそれぞれの心理的影響や対応方法について、体験的な理解を獲得していく。第三部では、自然災害を取り上げ、被災者の心理の理解と、サイコロジカルファーストエイドに代表される被災者支援の基本原則や、悲嘆の回復過程に対する支援方法について学習する。
 なお,グループワークやディスカッションを通じて、自らの心を題材にしながら体験的に授業を行う。

コマ主題細目 ① 悲嘆の感情 ② 喪の過程 ③ 悲嘆カウンセリング
細目レベル ① 大切な人やものを失ったとき、人は深い悲しみや混乱に直面する。その心の反応と支援を理解するために重要なのが、①悲嘆の感情、②喪の過程、③悲嘆カウンセリングという三つの概念である。
まず、悲嘆の感情(grief)とは、死別や離別、喪失体験によって生じる強い感情的反応を指す。悲しみ、怒り、罪悪感、孤独感、無力感など、さまざまな感情が入り混じり、時に涙が出ない、何も感じないといった「感情の麻痺」が起こることもある。悲嘆は自然な心理的反応であり、決して「弱さ」ではない。特に犯罪や災害など突然の死別の場合、心の準備がないまま喪失が訪れるため、現実を受け入れるまでに長い時間を要することが多い。また、遺族は「もっと何かできたのではないか」という自責感に苦しむこともあり、その感情に寄り添う支援が必要となる。

② 喪の過程(mourning process)とは、喪失の現実を受け入れ、失った対象への愛情を心の中に再統合していく心理的プロセスを指す。代表的なモデルとしてキューブラー=ロスの「死の受容の五段階」(否認→怒り→取引→抑うつ→受容)が知られているが、実際にはこの順序が一律に進むわけではなく、行きつ戻りつを繰り返しながら進展する。喪の過程は「悲しみを終わらせる」ことではなく、「喪失と共に生きる力を取り戻す」過程である。人によって必要な時間は異なり、焦らずその人のペースを尊重することが重要である。

③ 悲嘆カウンセリング(grief counseling)は、喪失による深い悲しみを抱える人に対し、悲嘆の感情を安全に表現し、少しずつ受け止めていくことを支援する心理的援助である。カウンセラーは、助言や慰めではなく、まず「聴く」ことを重視する。悲しみを語ることは、失った人との関係を新しい形で心に再構築する作業でもある。また、身体的反応(不眠・食欲不振など)や日常生活への支障が大きい場合は、医療的支援や社会的サポートと連携して支援を行う。
このように、悲嘆の感情は人として自然な反応であり、喪の過程と悲嘆カウンセリングを通して、人は喪失と向き合いながら新たな生き方を見出していくことができる。

キーワード ① 悲嘆の感情 ② 悲嘆の認知 ③ 喪の過程(4つの課題モデル) ④ 悲嘆カウンセリング ⑤ 悲嘆からの回復
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復習・予習課題 復習:
コマシラバスと配布資料を読み直しておくこと。特に,座学的な復習も重要であるが,被害者心理学の講義内で体験したことは、必ず詳細に記述しておくこと。

予習:
コマシラバスを参照にし,関連する内容について自分なりに十分に調べておくこと。参考文献の該当部分を読んでおくことも授業の良い予習となる。ただし,資料をただ購読するのではなく,被害者支援の支援者として活動することを仮定しながら、当事者意識を持って予習することを推奨する。

15 振り返り② 科目の中での位置付け  第十五回は振り返り②を実施する。これまでの被害者心理学において学んだことを振り返り,ボトムアップ・トップダウンでその理解を定着させる。
 本科目は、三部構成で展開する。第一部は,総論として、犯罪被害者の心理的影響を中心に、トラウマインフォームドケアの視点に触れながら、PTSDのアセスメント方法やPTSDの治療に関する理論を学ぶ。また、トラウマ臨床の中で直面する自殺・自傷の理解と対応方法や、被害者のトラウマに触れることで支援者が受ける二次受傷に関する知識を習得することを目指す。第二部では、各論として、「虐待」、「性暴力被害」、「加害者家族」といった複雑性トラウマを抱えた被害者に対するそれぞれの心理的影響や対応方法について、体験的な理解を獲得していく。第三部では、自然災害を取り上げ、被災者の心理の理解と、サイコロジカルファーストエイドに代表される被災者支援の基本原則や、悲嘆の回復過程に対する支援方法について学習する。
 なお,グループワークやディスカッションを通じて、自らの心を題材にしながら体験的に授業を行う。

コマ主題細目 ① 被害者に関する各論 ② 被災者 ③ 質問
細目レベル ① 犯罪被害者や災害被災者への支援を学ぶ際には、個別の状況や背景を理解する「各論的視点」が重要である。ここでは、①被害者に関する各論、②被災者、③質問という三つの観点から説明する。
まず、被害者に関する各論とは、犯罪や事故、災害などの種類ごとに被害者の特徴や支援の在り方を整理して理解する学問的枠組みを指す。被害者支援の「総論」が制度や理念を扱うのに対し、「各論」では性暴力被害、児童虐待、DV(ドメスティック・バイオレンス)、交通犯罪、殺人・強盗など、事例ごとの心理的影響や支援方法を掘り下げて学ぶ。たとえば、性暴力被害者には安全確保と尊厳の回復、児童虐待では保護と愛着形成の支援、高齢者被害では生活再建や社会的孤立への対応が求められる。被害者の背景・年齢・性別・社会的立場によって支援のニーズは異なり、一律の方法では対応できない。各論的理解は、支援者が被害者の個別性を尊重し、適切な支援を行うための基礎となる。

② 被災者とは、地震・豪雨・津波・火災などの自然災害、または事故や人為的災害などによって生命・財産・生活を失った人々を指す。被災者は物質的損失だけでなく、家族や地域、日常の安心感を失うことで深い心理的ダメージを受ける。災害直後はショックや混乱、恐怖などの急性ストレス反応が強く、その後、無力感、抑うつ、罪悪感、トラウマ反応(PTSD)へと発展することもある。また、避難生活が長期化すると、孤立や不安が増し、地域コミュニティの崩壊が心の回復を妨げる。したがって、被災者支援では「物の支援」とともに「心の支援」を並行して行う必要がある。

③ 最後に質疑応答を行う。

キーワード ① 虐待 ② 性暴力 ③ 加害者家族 ④ 被災者 ⑤ サイコロジカルファーストエイド
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小テスト
復習・予習課題 復習:
コマシラバスと配布資料を読み直しておくこと。特に,座学的な復習も重要であるが,被害者心理学の講義内で体験したことは、必ず詳細に記述しておくこと。

予習:
コマシラバスを参照にし,関連する内容について自分なりに十分に調べておくこと。参考文献の該当部分を読んでおくことも授業の良い予習となる。ただし,資料をただ購読するのではなく,被害者支援の支援者として活動することを仮定しながら、当事者意識を持って予習することを推奨する。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
犯罪被害の制度 犯罪被害者支援の歴史や支援に関する内容について理解してる。具体的には、被害者支援の発展の経緯について、1960年代から現在までの制度の整備状況について理解をしている。また、法整備によりもたらされた効果と課題について論じることができる。 20
トラウマとPTSD ストレスとトラウマの違い、複雑性PTSDと単回性PTSDの違いについて理解をしている。また、PTSDをアセスメントするための質問紙等の内容について理解している。さらに、PTSDの治療法の一つであるTF-CBTについて、実施方法や留意点について理解している。加えて、支援者の二次受傷に関して理解している。 20
被害者心理学各論 虐待、性暴力被害、加害者家族、それぞれの心理的影響や社会的支援の方法について、理解できている。 20
被災者 自然災害による心理的影響、コミュニティーの断絶がもたらす影響について論じることができる。また、被災地支援活動において、心理職が果たすべき役割につちえ理解できている。 20
悲嘆 悲嘆の状態について、①感情の特徴、②身体感覚の特徴、③認知の特徴、④行動の特徴から説明することができる。喪の回復過程における理論モデルについて、特に課題モデルにおける4つの課題を説明することができる。 20
評価方法 期末試験100%で評価する
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 なし
参考文献 犯罪被害者の心理と支援 長井進 ナカニシヤ出版、 悲嘆カウンセリング J.W.ウォーデン 山本力
実験・実習・教材費 なし