区分 犯罪心理学発展科目 法心理学領域
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門的知識と実践的能力 分析力と理解力 地域貢献性
カリキュラム・ポリシーとの関係
課題分析力 課題解決力 課題対応力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。
科目の目的
供述とは、刑事訴訟法上は刑事裁判に関わる被告人、被疑者、証人等の訴訟関係者が自身の体験した出来事について、事実として述べることを言う。この供述は当然のことながら供述人の記憶に基づいてなされる。この供述はある意味で、供述人の体験における事象の知覚やその時の感情、思考等、様々な心理学的要因が関与する。そのために、供述の内容が事実を反映するとは限らない。また、供述人は意図的に事実と反することを供述する可能性もある。本授業ではそのような供述人によってなされた供述の心理学的研究成果を学び、供述心理学の概要を理解することを目的とする。
到達目標
刑事裁判における供述の基本概念を理解することが第一の目標である。次に供述心理学の発展について理解すること、つまり供述の過程に影響する様々な心理学的要因に関する科学的理解を促進するとともに、この供述が誤らないように聴取する方法についても理解することを目標とする。
科目の概要
供述とは訴訟手続き上の概念で、被疑者・被告人、目撃者、被害者あるいは他の事件の関係者が、自分の体験した過去の出来事を事実として述べることをいう。また法廷で述べられて証拠となる場合には証言と言われ、法務条は区別される。我が国では第三者(多くの場合捜査関係者)が文書化して証拠とされることが多い。この供述には様々な心理過程が介在し、またその過程で供述の正確さを損なう多くの要因が介在する。そのような過程と過程に影響する諸要因が供述心理学の対象となる。この科目では、供述心理学について概説する。
科目のキーワード
刑事裁判、供述、供述心理学、虚偽自白、目撃供述、影響要因、要因の分類法、司法面接・認知面接法、イギリスの法律と実務
授業の展開方法
基本的には講義が中心の授業である。OHPを使用する。供述心理学は法的世界との関わりの中で成立する心理学である。実際の事件における供述の閲覧や、裁判での証言等についての資料も閲覧して、この心理学を理解するようにしたい。さらに、映像の記録を鑑賞し、実際に諸君が参加者になって目撃供述がどのような内容を持つのか、シミュレーション実験も取り入れながら授業を展開する。また学生諸君の理解を促進するために前回授業の内容に関するクイズを行う。
オフィス・アワー
【月曜日】4時限目(後期のみ)、【火曜日】3時限目(前期のみ)・4時限目(後期のみ)、【水曜日】2・3時限目(前期のみ)
科目コード PSC602
学年・期 2年・後期
科目名 供述心理学
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 選択
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 知覚・認知心理学
展開科目 供述心理学特論(目撃証言の心理学)
関連資格 なし
担当教員名 厳島行雄
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 オリエンテーション(供述心理学への誘い) 科目の中での位置付け まずは供述心理学で半年間行う授業の内容を概観する。また、成績評価に関する情報を提供する。第1回授業は供述理学の入り口にあたる授業であり、供述という概念一般を学生諸君に紹介する必要がある。そこで、まず刑事裁判における供述の概念について理解する。
コマ主題細目①②③
厳島行雄・仲真紀子・原聰(著)『目撃証言の心理学』北大路書房2003、第1章「目撃証言の心理学とは何か」1〜11頁.
浜田寿美男・脇中洋・村山満明(2011)『日本の供述心理学の今』法と心理、11巻、1号、93〜98頁。
コマ主題細目 ① 刑事裁判 ② 供述証拠 ③ 供述心理学 ④ ⑤
細目レベル ① 刑事裁判:刑事裁判とは検察官が起訴した事件について、被告人が有罪か無罪か、そして有罪の場合にはどのような刑罰を課すかを判断する手続きのことである。検察官の起訴の前には、その犯罪の捜査が行われ、犯罪に関わる証拠が収取され、容疑者が逮捕される。検察官はそれらから起訴すれば、裁判が行われる。裁判で有罪となれば、量刑判断が下される。裁判も扱う事件によっては随分様相が異なってくる。容疑者が罪を認めれば、情状酌量が大きなテーマになり、犯罪性を争うような事件では(つまり、やった、やらないというように検察側の主張と弁護側の主張が対立するような事案では)、相応のやりとりが展開されることになる。この裁判で証拠として、目撃者が存在するような場合は、捜査当局が事情聴取し、その供述が相応に詳細で、犯人を正しく記憶して、識別も行われるような場合には、供述調書も採られ、法廷に出廷し、証人になる。目撃供述の心理学はそのような目撃者の供述の正確さを明らかにすることを目的としている。
② 供述証拠:すでに述べたように、事件に関わる重要な人たちは捜査の段階で、自分の体験を語ることになる。そこでは供述調書と呼ばれるものが作成される(警察官の作る調書は司法警察員面前調書と呼ばれ、検察官の作る長所は検察官面前調書と呼ばれる)。これらの調書には捜査関係者が作成するために、様々なバイアスがかかることが知られている。捜査員である警察官は、操作に関われば事件現場についての知識を持っているし、何らかの犯人像を持つかもしれない。そういう知識が調書作成に影響する。
③ 供述心理学:供述心理学は供述証拠に関わる様々な心理学的要因について研究し、その要因の働きや、供述への関与の有無について科学的に解明することを目指している。さらに、それらの供述が正しく録取される方法等についても研究を進め、新しい面接法を開発してきている。供述心理学はまさにそのような供述の形成に関わる心理学過程を取り上げ、その形成に影響する諸要因を明らかにすることを目的としている。その範囲は広く、現在まで様々な要因が明らかになってきている。そのような心理学的過程と影響要因を学んでいく。


キーワード ① 刑事裁判 ② 供述心理学 ③ 供述調書 ④ ⑤
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:配布資料を読んで供述心理学がどのような心理学かのアウトラインを理解しましょう。特に、供述心理学は現実の犯罪に関わる人たちの供述を扱う心理学であるので、そういう特異な点を知っておく必要がある。さらに、心理学としての方法を採用して、実証的な実験法によって得られる多くの知識も蓄積されています。みなさんは、今まで習った心理学の研究法についても復習しておくと良いでしょう。
予習:次回は諸外国における供述心理学というテーマで、フランスでの最初期の供述心理学について学びます。みなさんにはビネーがどのような仕事をした人か、調べておくと良いでしょう。

2 諸外国における供述心理学の展開(1)フランス 科目の中での位置付け 供述心理学の歴史は心理学の誕生からほとんど遅れることなく、始められた。では、初期の供述心理学研究はどのように行われてきたのだろうか。第2回目授業では、西欧、特にフランスの供述心理学で極めて重要な役割を演じたアルフレッド・ビネーの研究を取り上げよう。ビネーの名前は、世界で最初の知能権を作成したことで知られている。これは心理学を学んだ多くの学生が知っているところである。しかし、彼が供述心理学においても極めて重要な研究を残していることを知るものは少ない。たとえば彼は、1896年には個人心理学のプログラムの文脈で目撃者の行動に関する新しい実験を行なっている。そして感覚能力よりもより高次の精神活動である想起において個人差が大きいことを示している。また、1900年には”La Suggestibilite”(非暗示性について、とでも訳せるであろう)が出版され、その第6章では「尋問について」という章立てで、供述の心理学に言及している。
 第2回授業ではフランスの供述心理学の創生について、ビネーの心理学への寄与を中心に学ぶ。

コマ主題細目①③
厳島行雄・横田正夫(編)(2014)『心理学概説』啓明出版、第6章「言語・思考・知能」

コマ主題細目②
厳島行雄・横田正夫(編)(2014)『心理学概説』啓明出版、第5章「記憶」

コマ主題細目④
厳島行雄・横田正夫(編)(2014)『心理学概説』啓明出版、第1章「言語・思考・知能」
コマ主題細目 ① 知能検査 ② 非暗示性 ③ 記憶テスト ④ 実験的アプローチ ⑤
細目レベル ① 知能検査:ビネーのこの世界最初の知能検査は子どもの(シモンとの共同研究)教育上の特別なトリートメントの必要性が必要な生徒を見出すために作られた。これは国民皆教育のための当時の国(文科省に相当)からの、要請で行われたのである。ビネーは発達心理学や教育心理学にも興味を持っていて、この研究を通して子どもの知的能力に関して、ビネーは広い知識を得たに違いない。そして子どもたちが誘導質問(つまり暗示)によって、その回答を歪めてしまうことも知ったであろう。ただ、この知能検査は、国策で教育の義務化が行われたために出てきた問題で、何か障碍のあるために学習が促進できないのか、それともただの怠慢によるのかを識別するための検査として計画された。
② 被暗示性:この概念は供述研究において、今日でも極めて重要な概念である。例えば、イギリスのグッドジョンソンの非暗示性尺度は、個人における非暗示性の程度を測定することを目的に開発されている。この日本語版に関して仲真紀子先生が日本語版の作成を試みているし、この尺度における被暗示性に二つ成分があることは、厳島行雄が共同研究者とともに検討している。この非暗示性の記憶への影響について、ビネーは研究を重ねたのである。そして、このビネーの被暗示性研究はその後、ドイツのシュテルンにも影響を及ぼし、彼の研究を刺激したことが知られている。
③ 記憶テスト:供述はすでに示したように記憶に基づいて行われる。そこではいわゆる自由再生テストという心理学が開発した記憶テストが含まれる。実際、供述者は何らかの体験を述べるように求められるが、その際の教示の方法が記憶を歪める。今日では尋問方法と呼んでいるが、まずは記憶テストによってどのような反応が生まれるのかをビネーの研究から見ていくことにする。
④ 実験的アプローチ:ビネーが非暗示性研究で使用したのは、実験的方法の採用である。心理学を学んだものなら、すでに心理学の研究方法の重要な一つにこの方法があることを知っているはずである。ビネーは7歳児と14歳児のグループに、複雑さの異なる対象物の、6種類の刺激図形を提示し、参加者のグループを分けて、想起の異なった手続き(自然に行うもの、質問をするもの等)を実施して、暗示の効果を検討した。授業ではこの実験の詳細を学ぶ。

キーワード ① 知能検査 ② 非暗示性 ③ 記憶テスト ④ 実験的アプローチ ⑤
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:ビネーがフランスでの供述心理学の先駆けの仕事をしました。彼の仕事は現在でもそのテーマが研究されるほど、本質的な研究をしました。授業で配布した資料をもとに、彼の仕事の内容を理解しておきましょう。特に彼の使用した方法論とその結果としての事実について、まとめておきましょう。
予習:次回はドイツにおける供述心理学の展開を学習します。ドイツは供述心理学について独自の展開をします。みなさんには馴染みのない学者が続きますが、先人の仕事に学ぶということはどの領域の心理学でも大切なことです。配布資料を読んでおいてください。

3 諸外国における供述心理学の展開(2)ドイツ 科目の中での位置付け 心理学の誕生と言われるのは、ドイツのブントがライプチヒ大学に心理学研究室を創設した1879年である。実は1875年にはすでに実験室を持っていたブントであるが、大学から公式に予算がついたのが1879年ということである。さて、このドイツでも、供述心理学の萌芽が認められる。それはシュテルン(W)という学者によってなされた。シュテルンもビネー同様に、研究の守備範囲が広く、性格学、児童心理学についての研究も有名である。今回の授業では、シュテルンの研究をはじめとして、日本の裁判にも大きな影響を及ぼしたウンドイッチ教授の「証言の心理」やその後の新しい証言の信用性評価法であるC B C A(Criteria Based Content Analysis)の概要について学ぶ。
ウンドイッチ・U『証言の心理学』東京大学出版会(1973)(訳:植村秀三)

Roland Grassberger(1957). Pioneers in criminology III: Hans Gross(1847-1915)
Jouranal of Criminal Law and Criminology, 47, 397-405.

William Stern(1910).Abstracts of Lectures on the Psychology of Testimony and on the Study of Individuality The American Journal of Psychology , Apr., 1910, Vol. 21, No. 2 (Apr., 1910), pp. 270-282.

Barbara Amado et al.(2016). Criteria-Based Content Analysis (CBCA) reality criteria in adults: A meta-analytic review. International Journal of Clinical and Health Psychology, 16, 201-210.
コマ主題細目 ① ドイツにおける供述心理学 ② 法学者ハンス・グロース ③ ウイリアム・シュテルン(スターンとも)の供述心理学 ④ C B C A:現代の供述評価の手法 ⑤
細目レベル ① ドイツにおいて、ブントは基礎心理学を中心に心理学を展開し、応用心理学には興味を示さなかったと言われている。彼の弟子で、のちにウイリアム・ジェームズによってハーバード大学の心理学科の教授として召喚されたヒューゴ・ミュンスターバーグは、師匠のブントと異なり、のちに応用心理学の父と呼ばれるようになるが、映画や法心理学の世界に対して、大きな貢献をした。特に彼の著書、「証言台にて」は心理学が法的諸問題の解決に役立つことを示した。
② 法学者ハンス・グロース:オーストリアの法学者であるが、彼の法律実務の犯罪捜査の経験から45000件を超える供述の検証を行なったと述べている(Gross, 1904)。そして、彼は独自に、距離の推定テスト、コインの数の推定、人物の年齢推定、人の認識などのテストなどを行なっていた。さらに興味深いことに、心理学者が行うような、知覚、判断、再認のような心理学機能についても調べていた。
③ ウイリアム・シュテルン(スターンとも)の供述心理学:ドイツで最も体系的に供述の心理学を展開したのがシュテルンである。特に供述に関する条件統制のとれた一連の実験研究(1902)を行ない、その研究の法的世界との関係の重要性を強調した。ただこのシュテルンの研究パラダイムはビネーから拝借したものであった。シュテルンは1901年に研究プログラムを導入したが、特に理論的に興味深いのは想起の実験である。得られた結果から、シュテルンは「誤りのない想起はルールではなく、例外である。たとえ宣誓しても、記憶の誤りは防げないのである」との有名なことばを残している。そして、今日でも研究されている証言を歪める要因である、保持時間の長さ、質問方法、伝聞などの要因を指摘している。


④ C B C A:ドイツのキール大学の心理学教授で司法心理学において重要な貢献をしたのが、コーンケン教授であろう。彼は、証言の信用性評価の新しい方法としてCBCA(Criteria Based Content Analysis:基準に基づく内容分析とでも訳せようか)を開発した。これは教授の信用性の特徴を基準として設定し、評価対象となる教授の量的評価を行うという方法である。授業では具体的な方法についても伝える。

キーワード ① ミュンスターバーグの心理学 ② シュテルン ③ グロス ④ CBCA ⑤
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:ドイツはさすが心理学の誕生の地である。供述心理学も独自の発展を遂げます。シュテルン、グロス(彼はオーストリア人)が先駆者です。その後も現在に至るまで、基準に基づく内容分析のような、供述の信用性を判断する新しい手法も開発されています。これらを理解してください。
予習:次回はアメリカの供述心理学の展開を見ていきます。キャテルの実験は詳細に展開しますから、みなさんも資料をみて、彼がどんなことを考えて実験をしたのか、その結果はどうであったのか、見ておいて下さい。

4 諸外国における供述心理学の展開(3)アメリカ合衆国(1) 科目の中での位置付け 供述心理学そのものがヨーロッパにおける心理学の誕生に則して発展してきた経緯があるが、心理学の開祖とされるブントの元にはドイツのみならず、世界各国から彼の元に心理学を学ぶ学徒が集まった。フランス、ドイツに続き、アメリカ合衆国においても、供述心理学の萌芽が見込められる。その中には米国のマッキン・キャテルも居た。アメリカ合衆国ではハーバード大学にジェームズが心理学研究室を開くが、これはブントがライプチヒ大学に研究室を開いた年と同じく、1875年であった。当時のアメリカにおける哲学的背景として、プラグマティズムの発展を認めることができるが、ジェームズもその影響下にあった。彼の心理学はブントのものと異なり、機能主義と呼ばれるが、その背景には進化論的な影響も窺われる。そのジェームズはドイツからヒューゴ・ミュンスターバーグをハーバードに招き、応用心理学の発展がなされるようになる。ミュンスターバーグは法心理学に深く関係するモノグラフ、「証言台にて」(On the Witness Stand)を1904年に発表する。ここの書籍で彼は、日常で起こる様々な事件や事故を取り上げ、供述の歪みや誤りが心理学の現象として捉えられること、そしてそれが法的世界の問題解決に役立つことを示唆したのである。その後、アメリカ心理学はJ Bワトソンの主張する行動主義の台頭によって、帰国研究や精神的な概念を無視するような心理学としていわゆる、刺激–反応の関係の法則を求める心理学に転向するようになり、記憶研究や証言研究は低迷した。
しかし、いわゆる学習心理学の名称のもと、行動の変容に関する多くの知見が得られ、行動変容に関する理論的展開も盛んに行われるようになった。

コマ主題細目①
ウイリアム・ジェームズ『プラグマティズム』、岩波文庫(1957)(訳:桝田啓三郎)第2講「プラグマティズムの意味」
ウイリアム・ジェームズの『心理学原理』について:
スタンフォード・エンサイクロペディア・オブ・サイコロジー

コマ主題細目②
McKeen Cattell (1895). Measurements of the accuracy of recollection. Sience, 2, 761-766.

コマ主題細目③
厳島行雄・横田正夫(編)(2014)『心理学概説』啓明出版、第1章「心理学とは何か」.
コマ主題細目 ① ウイリアム・ジェームズの心理学 ② マッキン・キャッテルの実験 ③ 行動主義の勃興 ④ ⑤
細目レベル ① ジェームズの心理学:ジェームズは機能主義の心理学を唱えたとされる。それはプラグマティズムの思潮が強い米国の背景があり、進化論の影響もあった。ジェームズも多彩な才能の持ち主であり、生理学の素養もあり、画家を目指したこともあり、単に心理学者に留まらない能力を示している。また心理学原論の執筆や宗教心理学の研究など、心理学においても幅広い活躍が目立つ。
② マッキン・キャッテルの実験:キャテルも多彩な能力の持ち主であったが、供述心理学に関連した論文としてはサイエンス誌に1985年、「想起の正確さの測定」(Measurements of the accuracy of recollection)を発表している。この研究は1893年にコロンビア大学の学生を相手に実験したものであり、56人が参加していた。参加者にはいくつかの質問がなされ、それぞれに30秒間の回答時間が与えられた。また自分の回答に対する自信の程度を報告するようにも求められた。例えば、最初に問われた問いは「一週間目の天候はどのようなものであったか」というものであった。回答は、3月の初旬にありがちな全ての種類の天候が等しく散らばって報告されるという結果であった。詳細な研究結果は授業にて報告する。


③ 行動主義の勃興:心理学の勃興からそれほど時間の経過もないような時点で、供述心理学の邦画とも言えるような研究が行われたにもかかわらず、その後の展開は極めて乏しいものであった。その大きな理由は1900年台初頭のアメリカ心理学ワールドにおける行動主義の勃興とその影響である。心理学を厳密な科学にするというワトソンの主張は、科学が対象にするのは観察可能なものであり、心理学的な多くの精神的概念が排除されることになった。そのために、人間の心的昨日として極めて重要な「注意」、「記憶」、「思考」などの諸概念が扱われなくなるということが起こった。もちろん、その代わりと言っては語弊があるが、行動の変容に関する多くの研究が行われ、学習心理学という研究領域が多いに栄えた。




キーワード ① ウイリアム・ジェームズ ② マッキン・キャテル ③ 行動主義 ④ ワトソン ⑤
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:アメリカ合衆国の心理学の展開ですが、初期にはドイツの心理学の影響が強かったのですが、その後はアメリカ独自の発展をしました。ただ、みなさんはすでに習ったと思うのですが、行動主義の影響が強くなり、アメリカは「心のない心理学」Psychology without mindといわれる心理学が発展しました。心理学も主義主張で変わり得るのです。ただミュンスターバーグのように応用心理学の発展に大きく寄与した先人もいます(彼はドイツ人ですが)。そのあたりの心理学の展開を抑えておきましょう。
予習:次週からいよいよ本格的な供述心理学の展開について見ていきます。配布資料をよく読んで、認知心理学の勃興、それに伴う供述心理学の発展を理解しておいて下さい。


5 諸外国における供述心理学の展開(4)アメリカ合衆国(2) 科目の中での位置付け 1950年代になると、アメリカ心理学界においては行動主義による人間行動の説明の限界が指摘されるようになり、いわゆる認知心理学の基礎が構築され始める。この認知心理学の発展に伴って、1970年代から供述心理学も新しい展開がなされるようになった。


コマ主題細目①②
ハワード・ガードナー『認知革命–知の科学の誕生と展開』産業図書出版.(1987).(佐伯胖、海保博之 監訳)

コマ主題細目③④
厳島行雄・仲真紀子・原聰(著)『目撃証言の心理学』北大路書房2003、第1章「目撃証言の心理学とは何か」1〜11頁.
コマ主題細目 ① 認知心理学の勃興 ② 認知心理学の発展 ③ 目撃供述心理学の台頭 ④ 目撃供述心理学の発展 ⑤
細目レベル ① 認知心理学の勃興:行動主義の旗のもと、多くの研究が行われたにもかかわらず、人間の複雑な行動を十分に説明できないという限界も見えてきた。そしてそのような批判が行われ、隣接諸科学(言語学、コンピュータ科学、発生認識論など)からの影響もあり、人間の複雑な能力を新しい視点から捉える認知心理学が台頭するようになった。この心理学の台頭により、人間の知覚や記憶に関する詳細な機能や現象が明らかになり、さらにそれらを説明する理論的展開も行われるようになった。
② 認知心理学の発展:初期の認知心理学はその説明の枠組みとして計算機科学やコンピュータのアナロジーを用いて検討することが行われた。符号化、貯蔵、検索などの概念である。そして人間の心の解明は、外界から情報を取り込み、処理し、貯蔵し、利用するという一連の流れの中で行われると仮定された。そして心を解明するとは、まさにこの情報処理の手順を解明することに他ならなかった。しかし、人間の心をコンピュータに擬えて解明することの問題点も明らかになってきた。認知への感情の影響や人間の並列処理の特性など、解明されるべきことが残ったのである。1970年代になるとさらに、研究における生態学的妥当性の問題の解決や日常認知の解明への期待が高まり、認知心理学も新たな段階に入る。そこでは記憶の新しい理論的展開(エピソード記憶と意味記憶、手続き記憶と宣言的記憶など)が行われ、人間の記憶現象の解明が一段と進んでいった。1980年代にはさらに日常認知心理学研究が進み、認知面接法等の面接技法や司法面接に関する進展が見られるようになっていった。さらに、記憶研究の進展に伴って、記憶変容に関する理論的展開が90年代以降、盛んに行われるようになった。


③ 目撃供述心理学の台頭:認知心理学の台頭は、目撃供述が人間の知覚や記憶に基づいて行われるために、その背景の知識が充実してきたために、私たちの記憶がどのような要因によって誤るのかが、解明されるようになってきた。そうなると、さらに日常の認知に関する興味も(認知心理学研究の生態学的妥当性問題の解決の試みとともに)、増して行った。そういう中で、バックハウトやロフタスの研究が展開されるようになった。そこでは、記憶が誤る様々な要因のあること、そして記憶は記録ではなく、再構成されるいわば作られる情報であることが明らかになってきた。
④ 目撃供述心理学の発展:1970年代に始まった目撃供述研究は大きな関心を呼び、日常記憶の研究の流れの中で、新たな展開を示すようになった。そこでは、記憶と感情の関係、凶器の存在と記憶、催眠と記憶、・・・など、多様なテーマのもとに研究が推進されていった。そして、記憶の変容や歪みに関する理論的考察(混合仮説、併存仮説、ソースモニタリングエラー説、検索誘導性忘却、変化盲仮説など)も新たに行われるようになった。



キーワード ① ロフタス ② 生態学的妥当性 ③ 認知心理学 ④ 記憶理論 ⑤ 事後情報効果
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:供述心理学に関しては、この授業で新しい発展を紹介しました。その心理学で明らかになったことが多いのですが、授業ではそれらの明らかになった事実や法則に関する表を配布したはずです。みなさんはそれらにリスト化された項目について、その項目とともに示された説明を理解して下さい。とても重要な事実や法則です。
予習:次回は日本の供述心理学の展開について学びます。日本においても植松正の供述心理学はさきがけ的な存在でした。実は、植松先生と一度電話で話したことがあります。残念ながらその頃は厳島がその領域の研究をしていなかったので、供述心理学の話はできませんでした。日本の展開を理解して下さい。

6 日本の供述心理学の発展 科目の中での位置付け 日本における供述心理学の展開は明確ではない。それは、最初は法学者や心理学と法学を学んだ学者(実務家)によって、細々と行われてきたという経緯があるためである。もちろん、裁判では当然のことながら供述や証言を扱うことになるので、その信用性は大きな関心時であった。しかし、そこに心理学が入り込む余地は極めて少なかったのである。例外的な人物が植松正である。彼は日本大学の心理学科に夜間で学び、その後東北大学で法学を学んだ。彼の供述心理学における功績は「供述の心理」を1964年に出版したことであろう。他にも「裁判心理学の諸相」(1959)、「証言の信頼度」(1960)などを著している。植松は法学者であり、また検察官、裁判官をも経験した人物であった。彼は、心理学を学んだことが意味を持ったのであろう、著作の中で多くの心理学実験を行なった結果を紹介している。そこでは暗示の問題、目撃の問題に関する研究や、時間経過に伴う記憶の問題等も扱われた。また時を前後して、日本では植村秀三によるドイツの学者インドイッチの証言の心理学が翻訳されている。その後の展開はほとんどなく、1980年代になってようやく浜田寿美雄の自白の研究に端を発した諸研究が出始める。浜田は精力的に冤罪が主張されている虚偽自白を、彼独自の方法やトランケルの手法を用いて、日本における自白の心理学のパイオニアになった。1980年代も終わりかけたころ、目撃供述でも心理学に新しい展開が行われるようになった。自民党本部放火事件における目撃者の問題に関する弁護人からの提起で、厳島はフィールド実験を用いて、目撃者供述の信用性の検討を行うようになった。厳島はその後、皇居迫撃砲事件、布川事件、東電O L殺人事件、三崎事件など、冤罪が主張される事件にもフィールド実験による検証を行い、その結果を論文や鑑定書にまとめてきている。この授業では日本の供述心理学の発展を理解することが目的となる。
コマ主題細目①
植松正(1975)『新版・供述の心理』誠文堂.

コマ主題細目②
浜田寿美雄(2001)『自白の心理学』岩波新書
コマ主題細目 ① 植松正の供述心理学 ② 浜田寿美雄の供述心理学 ③ 厳島行雄の供述評価方法 ④ ⑤
細目レベル ① 植松正の供述心理学:植松正は供述心理学が自分の研究主題の一つであると明確に述べている(新版・新供述心理学,1975)そして、「真実を語ろうとする心構えの人が供述する場合でも、避け難い供述の誤謬というものがある。それは人間心理自然の現象なのである」と述べ、その誤謬をあたうかぎり避けための手段がないわけではないと主張している。そして彼の20余年の研究成果から、供述証拠の採用の指針となるべきところを、ある程度は要約して示すことができるとしている。
その内容は、1)問いの形式に関する件、2)供述者の属性に関する件、3)供述事項に関する件の3項目に分類され、それぞれ項目に対する具体的な指針が示されている。さらにこれらの指針が得られた、彼の実験的研究の例が紹介されている。例えば、問いの形式に関しては、昭和32年に11月20日に、簡易裁判所の裁判官34名に対して、当時判決が行われた八海事件に関する設問を、誘導あり、誘導なしの質問を行って、この誘導の効果を検討する実験を行っている。今日の実験の諸条件の設定の厳密性の水準から見ると、なんともゆるい条件設定ではあるものの、植松が探ろうとするそのテーマに関しては、まさに今日においても問題となるような、普遍的テーマを扱っている点が興味深い。彼の研究の詳細は授業において、いくつかの例を見ることとしよう。

② 自白という供述が内包する心理学的問題を鋭く指摘し、その問題をいかにして説明するかを問い続けているのが浜田寿美雄である。氏は特に自白の心理学研究を展開し、虚偽自白の持つ心理学的特徴、その生成に関わる諸要因の分析において、極めて有用な理論を提供している。浜田は、彼の供述心理学研究の出発が甲山事件にあったと述べている。甲山事件とは、兵庫県にある知的障害者施設の学園で、園児2名が死亡するという事が起きた。この出来が果たして、事件性のものかどうかが問われた事件である。この事件では知的障害のある園児たちの供述の信用性が問われ、浜田は障碍を抱えた園児の供述が捜査側の誘導によって出来上がったことを指摘する。つまり、捜査側が持つ事件に関する先入観的なイメージなり、物語が園児に投影され、その投影されたイメージが語られたのである。浜田の徹底的な供述の分析が現れた著作「証言台の子どもたち」は一読に値する。
③ 厳島が刑事事件における供述と出会ったのは、1989年の夏のことである。自民党本部放火事件を担当していた弁護団長から、事件に使用された逃走車両の助手席に同乗していた人物が、警察官によって目撃され、その後その目撃者の識別によって逮捕されたという事件である。逮捕された事件当夜は東京におらず、埼玉県にいたと主張し、事件性そのものが裁判で争われた事例である。
厳島は目撃者の供述評価を依頼され、それまでに行われたことのない、目撃者の目撃をシミュレーション実験によって評価するという試みを行った。その結果をもとに東京地方裁判所にて、その鑑定結果の証言をすることとなった。このシミュレーション実験は、実際の目撃者の記憶の状態を再現できるので、その事実と目撃者の供述の内容を比較検討できるというメリットがある。その後、厳島は数多くの事件における目撃者供述の評価にこの方法を採用してきている。



キーワード ① 植松正 ② 浜田寿美男 ③ 甲山事件 ④ 厳島行雄 ⑤ 自民党本部放火事件
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:植松の供述心理学の他にも、浜田寿美雄の供述心理学はとても重要な仕事です。氏は裁判にも多く関わっています。そういう点ではアプローチ方法は違いますが、厳島も裁判の仕事と多く関わってきました。心理学が現実の問題解決に寄与できること示す、良い例だと思います。それぞれのアプローチの方法を理解して下さい。
予習:供述に含まれる複雑な心理過程や心理学要因について見ておいて下さい。特に様々な認知バイアスと呼ばれる偏向が関与しやすいのです。みなさんの日常生活から何か例を考えてみることをお勧めします。

7 供述評価の心理学 科目の中での位置付け 供述評価の心理学的方法は何らかの理論体系のもとにきちんと細則など用意されて、確立されているかというとそうなっているわけではない。もちろん、CBCAのように、何らかの基準をもうけて、供述の評価を試みることは行われてきた。しかし、その評価もどの程度成功しているのかどうか、また、評価されなくてはならない。この問題は、供述そのものの持つ複雑さに起因数が、単純なアプローチによって解決するような類の問題ではない。ただし、現在までの信用性評価研究の発展を見ておくことは重要な意味を持つ。
コマ主題細目①②③
浜田寿美雄(2001)『自白の心理学』岩波新書(岩波新書)
コマ主題細目 ① 供述過程 ② 供述までの歪曲要因 ③ 供述聴取過程での歪曲要因 ④ ⑤
細目レベル ① 供述過程:従来から、日本における供述場面は、もちろん捜査側と供述人が質問と回答とをやりとりしながら進行するというものである。しかし、捜査側が提出するのは、捜査側が供述内容をまとめ、それを文章にして一人称として語られる供述調書が作成される。つまり、事情聴取の側と答える供述人の側のやりとりが、見えない形になっている。諸外国では供述場面の録画化が行われているが、日本でもようやくその導入が試みられているものの、まだまだ不十分なレベルである。そのために、供述人が何を述べたことから、どのような誘導や歪曲が起こったのかを、供述そのものから分析するという仕事が必要になった。前回の授業で言及した、浜田の供述分析はまさにそのような供述調書を分析するという作業から生まれた方法論ということもできる。
② 供述までの歪曲要因:供述に至る以前には知覚的過程に及ぼす歪曲要因が供述人に影響する。今日に至る知覚心理学研究は、そのことの多くを教えてくれる。例えば、私たちが知覚する対象に関しては、注意や動機が関わり、私たちは視覚世界の全てを均等に処理していないこともわかっている。また、実際には存在しない対象を、記憶にある情報によって、見たと判断してしまうことも起こる。スキーマの影響によって、そういう事態が起こることも知られている。また感情の影響によって、例えば恐怖の感情に襲われると、枯れ小花さえ幽霊に知覚されてしまう。
③ 供述聴取過程での歪曲要因:さらに記憶の段階になれば、当然のことながら、保持の段階で様々な情報に晒される。例えば、供述人には知らず知らずの間に、知人からの情報やマスコミからの情報が与えられるかもしれない。そういう情報は極めて無自覚的に記憶形成に影響し、実際には体験のない出来事までをも体験したと記憶されることが知られている。また、自ら体験したエピソード記憶が消えて、推論によって、そうだったに違いないという思考によって、そうだったという記憶が形成されてしまうことも認められる。さらに感情的体験が記憶を歪めることも知られている。そして、この供述過程には、質問者の側の要因と供述者側の要因がそれぞれ問題となることが知られている。
(1)質問者の側の要因:事件や出来事についての知識が、質問以前に入っていると、その知識から推論されたものが、質問者の仮説となり、その仮説を支持するような情報の聴取が行われやすくなる。さらに供述者からの情報も、自身の仮説を指示する情報のみを取り出しやすくなる(確証バイアス)。
(2)供述者の側の要因:曖昧な記憶が尋ねられる場合には、質問者からの情報を無批判的に受け入れて、相手の期待する情報を返してしまう。迎合の要因が作用する。また、質問者のちょっとした仕草や表情も供述人の発する情報に影響する。供述人には捜査側に受け入れてもらいたいとの思惑が働きやすい。さらに、被疑者のように、質問者との力関係が圧倒的に弱い場合には、特に、虚偽の自白が行われやすいことも知られている。




キーワード ① 録画化 ② スキーマ ③ エピソード記憶 ④ 確証バイアス ⑤
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:供述のプロセスに様々な歪曲に関わる要因が関与することを学びました。それらの要因を知覚・記憶などの過程と対応させて、知識の整理をしてみてください。実際に供述は警察の内部や検察庁の内部で行われることが多いのです。そういう場で供述をすると、どのような心理になると思われますか。みなさんがそういう立場に立ったらどういう印象を抱くでしょうか。ぜひ想像してみてください。
予習:次回は裁判が誤る!という、ちょっと信じられないような話になります。しかし、実際に、裁判が誤るということが起こってきたし、また起こっています。ではなぜ裁判が誤ってしまうのでしょうか?そういうなぜを心に、資料を読んできてください。

8 目撃供述の心理学(1)誤判研究が示すもの 科目の中での位置付け 供述の中でも、特に心理学的検討が進んできたのが、目撃供述の心理学研究である。応用認知心理学に位置付けられる目撃供述心理学は、応用認知心理学の中でも最も成功した領域と言われている。その研究の量も多く、質的にも優れたものが多い。今回の授業では、この目撃供述が誤ったがために、裁判が誤るという悲劇について、誤判研究と呼ばれる研究領域からの成果を中心に授業を進める。授業の前半は従来型の、古典的手法による誤判研究を紹介し、後半では1990年代にアメリカ合衆国で始められた、イノセンス・プロジェクトという全米の訴訟組織が行っている冤罪救済から明らかになった事例を紹介し、誤判がなぜ起こるのかを考え、次の授業につなげたい。
コマ主題細目①②
厳島行雄・仲真紀子・原聰(著)『目撃証言の心理学』北大路書房2003、第1章「目撃証言の心理学とは何か」1〜11頁.

Rattner, A. (1988). Convicted but Innocent: Wrongful Conviction and the Criminal Justice System. Law and Human Behavior, 12, 283-293.
コマ主題細目 ① 誤判研究とは ② 誤判原因の新しい究明法 ③ ④ ⑤
細目レベル ① 誤判研究とは:過去、少なからず裁判が誤ったという報告が存在する。なぜ誤判とわかるのか、それは新しい証拠の出現や真犯人の検挙、新たな事件の犯人の過去の事件等に関する情報から明らかになったのである。誤判研究で私たちが目にしやすいその研究の多くは米国からの報告であった。特に注目に値するのが、ラトナー(1986)によって報告された研究である。彼はオハイオ大学の法学部の教員で、1900年代中庸までの米国における冤罪の情報を収集した。それらは、法学者や心理学者が収集したもので、それらの情報に基づいて冤罪の内容が分析されたのである。収集された事例は300件を超えたものの、分析の対象となる情報が欠損していたために、実際に分析されたのは205件であった。このラトナーの報告では、205件の罪状、釈放されるまでの期間などの分析も行われているが、ここでは誤判原因のみを示すと、最も多い誤判原因は目撃者の誤りで100 件、続いて証人による偽証で、これが21件と続く。次に多いのが刑事裁判当局者の怠慢で、これが19件であった。このことから、誤判原因は圧倒的に目撃者による誤りにあることが明らかになった。その後、誤判研究に画期的な方法が現れた。それが次のテーマでる。
② 誤判原因の新しい究明法:イノセンス・プロジェクトの存在が示したことが、誤判原因の究明に画期的な方法となった。それはDNA分析から明らかになった事実に基づいている。1992年、アメリカにはイノセンス・プロジェクトという全米の訴訟組織が立ち上がった。どの時代にも、自分たちが誤った有罪判決を受け、収監させられていると主張する人々の存在があった。このプロジェクトでは、そのような主張をする人たちの生態情報である血液や髪などの部分からDNAを抽出し、犯罪現場等に慰留されていた犯人の生体情報であるDNAの型のマッチングが行った。もし冤罪を主張する人物が犯人であれば、DNAの型が一致するはずである。然るに、一致しなければ、収監されていて冤罪を主張する人物は犯人でないということになる。この手法を用いて、イノセンス・プロジェクトは冤罪救済を行ってきているのである。
彼らの活動の結果、現在までに冤罪が明らかになった375件のうち、約70%で目撃供述が関わっていたことが明らかになったのである。ラットナーの分析結果よりも20%も多い割合である。では、なぜ目撃者は誤るのであろうか?そのテーマは次回の授業でお話ししよう。




キーワード ① 誤判研究 ② 目撃記憶の誤り ③ イノセンス・プロジェクト ④ DNA分析 ⑤ 冤罪
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小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:みなさんはD N A鑑定とか分析というのを耳にしたことがあるでしょう。ぜひ、その内容を調べておいてください。隣接諸科学の発展で、心理学も変わっていきます。現在では脳科学で働く心理学者も増えています。常に、新しい事実や科学の進展に興味を抱くようにしておきましょう。
予習:次回は目撃供述心理学の方法論について学びます。みなさんは心理学研究法を勉強してきたはずですから、それらの教科書や資料を見て、心理学の方法について、見ておいてください。

9 目撃供述の心理学(2)目撃供述心理学の研究法について 科目の中での位置付け 前回授業で、裁判が誤る主要な原因が目撃者の供述や識別によるものであることがわかった。ではなぜ目撃者は誤ってしまうのであろうか。1970年代以降、目撃者の心理学研究が盛んになり、その目撃者の記憶が誤る原因が大きく解明されてきた。それらの研究で目撃者を誤らせる多くの原因が存在することが示されてきた。今回の授業はその目撃供述の心理学が採用している研究法について、実験方法、調査法、質問紙法、面接法、アーカイブ法について説明し、それぞれの研究法によって得られる事実の例を見ていこう。そして、目撃者が誤る諸要因について話を進めよう。目撃供述心理学を理解するためには、その研究法について正しい理解を持つことが極めて重要である。
Rosenfeld, B., & Penrod, S. Eds. (2011). Research methods in forensic psychology. Wiley.Part1 General issues in forensic research.pp3-105.
コマ主題細目 ① 目撃証言心理学で採用される研究法 ② 実験研究法の特徴 ③ 実験法に基づく研究例 ④ ⑤
細目レベル ① 目撃証言心理学の研究法:目撃証言心理学における研究法は、心理学が採用してきた基本的方法と大きく異なることはない。実験法、調査法、面接法、質問紙法が一般的な研究法である。ただ、幾分ともこの領域の研究が他の心理学と異なる方法論を採用するものとしてはアーカイブ法もしくはアーカイブ研究法という方法を採用する点であろう。実際の事件に関係した調書類を使用して、目撃供述の正確さに影響する要因を分析・検討するというところがこの方法を他の方法とは大きく異なる点である。
② それぞれの研究法の特徴:(1)実験法とは。いわゆる独立変数と従属変数の因果関係を捉えようとする観察法であるが、独立変数に関しては実験者の研究目的に応じたいわゆる刺激が統制され、いくつかの条件が変数として用意されるのが一般的である。研究者はその独立変数に対応した従属変数(行動的指標、生理的指標、意識的指標等)を観察し、記録する。そして、用意された独立変数に応じた従属変数の変化について検討する。心理学の多くの知識はこの方法によって、科学的知識を蓄積してきた。(2)調査法は、基本的には質問紙形式による、私たちの意識や態度につて調べようとする方法である。(3)面接法は、面接者があらかじめ被面接者に対して質問を用意しておき(多くの場合)、対面によって、その質問に対する回答を被面接者より得る方法である。目撃供述心理学関係では、司法面接法や認知面接法という、独自の方法論が展開されてきている。
③ それぞれの研究法に基づく研究例:実験法を用いた研究は多く存在する。その中でも学生諸君が理解しやすく、しかも現在でも英語圏での標準的なテキストにしばしば引用される研究がある。それはLoftus & Palmer(1974)年に発表された論文である。この研究では誘導質問が記憶の形成に影響し、実験参加者は同じ現象を観察しているにもかかわらず、その誘導質問の内容に応じて、記憶を変容させてしまう(車が衝突した時の速度を、衝突の程度を表現する言葉(独立変数)を変化させて、質問するという手法を採用)。この研究によって、私たちの記憶が微妙な言葉遣いによって影響を受け、異なった記憶が形成されることが明らかになったのである。


キーワード ① 調査法 ② 実験法 ③ 面接法 ④ 誘導質問 ⑤
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小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:やはりなんといっても強力な知識は実験によって得られた方法です。世界の供述心理学研究者や法心理学者、認知心理学者が裁判に関わる実験的研究を推進しています。授業では、実験の例を配布したので、具体的な実験的事実を理解しておきましょう。また方法にも様々な工夫がなされています。仮説と仮説検証の方法との関係を理解することが大切です。卒論の作成にも繋がりますよ。ためになります。
予習:目撃供述の心理学で興味深い方法論はやはりアーカイブ法です。そこでは裁判に関わるリアルな資料を見ることができます。配布資料を見ておいてください。

10 調査法・質問紙法・アーカイブ方による研究について 科目の中での位置付け 目撃供述心理学を理解するためには、その心理学が科学的知識を蓄積するためにどのような方法を採用しているのかを理解することが重要である。前回授業では、実験法による知識の獲得について学んだ。今回授業では、調査法、質問紙法、面接法、アーカイブ法による方法について、その具体的研究例とともに学ぶことにする。
Smith, A., Toglia, M., & Lampinen, J.(2021). Methods, measures, and thories in eyewitness identification tasks. Routledge.
Rosenfeld, B., & Penrod, S. Eds. (2011). Research methods in forensic psychology. Wiley.Part1 General issues in forensic research.pp3-105.
コマ主題細目 ① 調査法 ② 質問紙法 ③ 面接法 ④ アーカイブ法 ⑤
細目レベル ① 調査法:この研究法を使用した研究は、例えば、一般市民や学生、司法関係従事者に目撃者の記憶が、どのような要因によって影響を受けるかなどの知識が、どの程度知られているのかという調査研究がある。このタイプの研究では、例えば、事後情報効果のような、「出来事を経験したのちに、その出来事に関して誤った情報を事後に目撃者に与えると、その目撃の記憶を変容させる」というような説明を与えて、それをどれほど支持するかについて、5段階評価で尋ねるなどの方法が採用されている。その他にも、実際の事件の目撃者に事件当時の記憶を尋ねるというような調査も行われてきている。しかし、調査研究は、実験研究に比較すれば、圧倒的に数が少ない。
② 質問紙法:例えば、私たちがどれほど誘導質問によって影響を受けやすいかということを明にしようとすると、つまり個人差の問題を扱おうとすると、誘導に対する耐性もしくは非暗示性のようなメンタルな能力を測定することになる。このような場合には、信用性と妥当性を兼ね備えた、非暗示性尺度のような質問によって測定できる質問紙が有用である。グッジョンソンによる非暗示性尺度はまさにそのような尺度であり、実際に日本語版の開発も行われている。
③ 面接法:この方法を使用した研究は数少ない。ただ、面接の有効性に関する研究などでは、例えば、半構造化面接と認知面接の効果を比較検討するというような研究がある。しかし、いわゆる面接によって被面接者の内面を探るという研究はほとんどないと言って良い。
④ アーカイブ法:この研究法は、実際の事件に関わる目撃者の供述調書や被害者の供述調書、実況見分調書など、いわゆる事件に関わる記録から、それらの目撃に関与した要因を抽出して、目撃者の記憶にどのような要因がどのように影響するのかを検討するものがある。実際の事件での目撃者の実態が明らかになるので重要な情報が含まれるものの、実験研究のような条件の統制がなされていないために、因果関係を探るのは難しい。もともとこの方法による研究は数が少ないが、しかし、最近は徐々に報告されるようになってきている。目撃供述に影響する可能性のある要因の検出には有用な方法であるが、因果的知識にはなれないという欠点を持つ方法である。

キーワード ① 被暗示性尺度 ② 半構造化面接 ③ アーカイブ法 ④ 因果的知識 ⑤
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小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:今回の授業では、供述心理学が研究法として採用する、調査法、面接法、アーカイブ法について学習しました。いずれの方法も一長一短があります。つまり、得られる事実の性質が異なります。調査法は私たちの意識や態度を調べるのに適しています。面接法は個人の内部の詳細を見出すのに適しています。アーカイブ法は供述心理学にかなりユニークな方法で、これは供述調書類や現場検証、識別の写真、その他の資料を扱う、ある意味で特殊な方法です。それぞれの方法について理解を深めてください。
予習:次回の授業は数多くある、目撃供述の正確さに影響する諸要因について学びます。前回に配布した、項目リストをみて、各要因について理解しておいてください。そしてそれらの要因をうまく分類する方法が工夫されていることを知ってください。

11 目撃者の記憶の正確さに影響する要因と分類法 科目の中での位置付け 目撃者の心理学では、目撃者の記憶の正確さに影響する要因に関する実験研究が多く行われて、報告されてきている。それらの研究から多くの事実が明らかになってきた。カシンら(Kassin, et al, 2001)が2001年に報告した調査研究では、目撃者の記憶に影響する30の要因についての、専門家の意見が検討されている。この研究では、ストレスの影響、凶器の存在の影響、単独面通しの影響、ラインアップの公正さ、ラインナップ実施時の教示の影響、知覚時間の影響、忘却曲線など、現在でもその影響の科学的研究が続いている要因に関する、専門家の知識が検討されている。このような目撃供述に影響する要因について、そしてそれらを整理して部類する方法について学ぶ。
コマ主題細目①②③
Wells, G. L. (1978). Applied eyewitness-testimony research: System variables and estimator variables. Journal of Personality and Social Psychology, 36(12), 1546–1557.
コマ主題細目 ① 関与要因の分類法 ② 推定変数 ③ システム変数 ④ ⑤
細目レベル ① 関与要因の分類法:目撃者の記憶に影響する多くの要因があり、それらが積極的に研究されていることはすでに述べた。そして、そのような要因が数多く存在することも、述べた通りである。そのような多くの要因をうまく整理する方法としての分類法が提案されてきている。一つは、ウエルズ(Wells, 1978)が提案した、推定変数とシステム変数の区分である。推定変数とは目撃時に関わる変数で、事後にその関与や関与の程度を推定する以外に方法がないものである。例えば、知覚時間に関して(つまり目撃をどれほどの時間的長さ行っていたかということ)は、事後にどの程度の長さであったかを推定する以外にない。実際に時計を見て、目撃時間を報告するなどということはあり得ないであろう。また関与したストレス(例えば目撃によって怖い思いをするということもあるだろう)の強さも、この程度であると測定することができない。関与は認められるが、程度は主観的にしか報告されない。
システム変数とは、司法制度がコントロールすることが可能な変数である。つまり、多くの場合、目撃者は警察による事情聴取を受け、犯人識別を実施される。この時の質問方法や、犯人の識別に使用される写真、そのような言葉で識別が行われたかなどがシステム変数になる。このような要因は警察の方でコントロールすることが可能であり、それが適切に行われれば、誤りの少ない情報になるが、誤った使用方法が採用されると、問題の多い情報が出来上がってしまう。

② 推定変数:上に示した目撃者供述に影響する諸要因のうち、事後にその関与が推定されるような変数を推定変数と呼ぶことはすでに述べた。ではどのような変数がここに分類されるかというと、ストレスの影響、凶器の存在の影響、知覚時間、忘却曲線、正確さ-確信度、事後情報、色彩知覚、無意識的転移、出来事の凶暴性などである。推定変数研究は、どのような要因が記憶の正確さに影響するのかに関する潜在的要因を明らかにするのに有効な研究である。
③ システム変数:システム変数には、単独面通し、ラインナップの公平さ、ラインアップ実施時の教示、マグショットバイアス、説明に合致したラインナップなどがあげられる。これらの要因や方法の研究は、その研究成果が直接司法に還元できる点で、極めて有効なものであり、実際に米国の捜査などでは、犯人識別の方法として同時提示法(一度ラインナップの成員を全て見せる方法)ではなく、継時的提示法(一人ずつ成員を見せる方法)が採用されてきている。これは、両提示法が識別の正確さにはそれほど差異がないものの、エラー率が継時的提示法で少ないという諸研究の結果から、採用されている。つまり、犯人以外の人間を誤って識別してしまう確率を低くできるということである。


キーワード ① 推定変数 ② システム変数 ③ ラインナップの公平さ ④ 単独面通し ⑤ ストレスの影響
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小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:皆さんはウエルズによる目撃供述に影響する要因の分類方法を学びました。これはなかなかシンプルで、しかも意味ある分類でした。システム変数研究がすぐに実務に役立つというのも良い話です。それともう一つ興味深い方法が提案されています。記憶の段階に応じた方法です。符号化段階、貯蔵段階、検索段階です。それぞれの段階にどの要因が対応するのか考えてみるのは良い思考の訓練になります。
予習:次回は裁判員の心理学です。裁判員は供述を聞いて、その真偽や信用性を判断しなくてはなりません。ではどんな要因がその判断に影響するでしょうか?資料を読んで、内容を理解しておいてください。感情の理論等、学習したことあがればそれも復習しておいてください。

12 裁判員の意思決定の心理学:供述評価に影響する要因 科目の中での位置付け 裁判員は、事件の被告人の有罪・無罪を裁判官とともに決定する重要な役割を演じる。この裁判員が、彼らの有罪・無罪を決定するのにどのような意思決定が行われるのであろうか。またそのような意思決定にどのような要因が影響するのであろうか。この授業では、裁判員の意思決定に影響する要因を中心に講義を展開する。ただ、残念ながら、日本では裁判員には重い守秘義務が課せられ、そのために彼らに対して意見を聴取したり、研究材料を得ることはできない。そこで、模擬裁判によるデータの取得や、海外の陪審員研究からの知識から、授業を行うこととする。つまり、個々の裁判員がどのように証拠を知覚し、解釈し、記憶するのか、そして合議においける集団過程が関係する。
藤田政博(2020)『裁判員制度についての日本国内における心理学研究展望』関西大学社会学部紀要, 52, 119-151.
コマ主題細目 ① 動機付け要因 ② 感情要因 ③ 認知的要因 ④ 社会的要因 ⑤
細目レベル ① 動機づけ要因:裁判員は法廷において、検察側の主張と弁護側の主張を聞いて、また証拠物を見ることもある。もともと、当然のことながら刑事事件は犯罪に関わるものであるから、過酷なものが多い。そのような事件に付き合うという覚悟が必要である。実際、裁判員制度が開始されてから(導入は2009年5月21日)だいぶ月日が経った。その間の10年間の動向を見ると、裁判員裁判の件数は12000件を超え、参加した裁判員は補充員も含め、91000人に達している。しかし、残念ながら、裁判員の候補辞退者は導入時で53.1%であったが、18年には67%に達し、候補者を裁判所に呼び出して選任する手続きへの出席率は09年で83.%あったが、それが18年には60%台に減少した。このことは国民の参加への動機づけが低下していることを示している。
② 感情要因:裁判員の候補辞退の原因はもちろん多様であろう。仕事の影響などあろうが、裁判員に関する法律(第16条)は、辞退の申し立てができる条件をあげている。それを見ると、年齢70歳以上、地方公共団体の議員、学校の生徒、過去5年以内に裁判員または補充裁判員であった者、・・・と、やむを得ない事由として、重い病気や障害、介護、重要な仕事、葬儀への」主席等、などが規定されている。しかし、これらの規定には感情的要因、例えば事件の持つ独特のストレス等が理由で断ることができない。しかし、潜在的な理由として、裁判で扱われる事件の性質等が及ぼす心理的負担も十分に拒絶の理由になり得るだろう。ただ、事前に裁判の内容は知りえないので、この問題は極めて解決しにくいことなろう。
③ 認知的要因:裁判員の果たすべき仕事は極めて複雑な認知処理が要求されるということがあろう。つまり、犯罪そのものももちろんのこと、検察側からの証拠の理解、弁護側の反論の理解、それらの正当性などの評価、裁判員はそういう認知負荷を処理しなくてはならない。そういう事態では、当然のことながら判断や記憶の誤りが発生する。しかも、短時間で処理しなくてはならず、当然そこには様々な認知バイアスが介在する可能性がある。
④ さらに評議になれば、複数人の意見を聞いたり、自分の意見を述べるということが起こる。当然、そういう場では押しの強い人物の意見もあるだろうし、自身の判断の正確さに迷いも出るであろう。そういう場のダイナミクスが裁判員の判断に影響する。つまり本来の証拠評価に基づく自己決定的な要因が損なわれて、他者の意見によってとって代わったり、折衷的な判断になる可能性がある。

キーワード ① 裁判員 ② 陪審員 ③ 意思決定 ④ ストレス ⑤ 社会的影響
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小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:裁判員の判断過程には多くの認知的能力が使用されていることが知られています。裁判所という慣れない環境で、犯罪の話をきき、さらに検察側からの証拠や弁護側からの反対意見を聞いたり、複雑な事態を理解しなくてはなりません。そういう時の判断にはさまざまな要因が関与することを理解したと思います。それらの要因の働きを理解しておきましょう。
予習:次回はどのような方法を使えば、私たちの記憶から誤らずに情報を聞き出せるのかに関する方法を学びます。そこには記憶の原理が応用されています。その原理等を理解しておきましょう。認知心理学を学習していたら、復習になりますね。

13 誤らずに供述者から情報を引き出す方法 科目の中での位置付け 供述心理学における重要なテーマの一つが、いかにして供述者から誤らずに、多くの情報を引き出すかということである。つまり、すでに学んだ目撃者の記憶の正確さに影響する要因によって汚染されにくい方法について考える必要がある。もちろん、推定変数のように、目撃時や経験した出来事に関する尋問を受ける間に晒される要因の影響は防ぎようがないが、システム変数による影響は、捜査側がそれらの妨害要因の関与を防ぐ工夫ができれば、尋問方法や識別手続きで起こり得る汚染を回避できる。ここでは、特に後者のシステム変数における記憶への汚染を防ぐ方法に関して、心理学原理に基づいて開発された方法で、イギリスなどで積極的に実務に導入されている考え方、手法について学ぶ。
コマ主題細目①②
フィッシャー&ガイセルマン(2012)『認知面接:目撃者の記憶想起を促す心理学的テクニック』関西学院大学出版会(訳:宮田洋ら).
コマ主題細目 ① 記憶の原理 ② 認知面接法 ③ ④ ⑤
細目レベル ① 正確な記憶回復に関係する心理学原理:人間はギリシア時代から、人々の間で伝わってきた伝承の記憶をどのようにして確保するのかに知恵を使ってきた。いわゆる記憶を効率的に構築する方法である。いわゆる記憶術である。この術には、視覚イメージを使用して、劇場の椅子などに覚えるべき情報を置いていく、場所法などが知られている。心理学の用語で言えば、符号化の工夫によって、記憶をより長く保持できる(つまり長期記憶に留める)方法を探っていたといえよう。心理学においては1970年代以降、認知心理学の領域で記憶の働きが積極的に研究されるようになり、記憶における様々な現象や理論的説明が行われるようになった。その理論の一つに「符号化特定性原理」と呼ばれる原理が提案された。カナダの心理学者タルビングらによって提唱されたものである。この原理は、学習時に学習材料とともにその周囲の情報も符号化される。そのために、記憶を再生する場合には学習時の状況と同じ条項で再生した方が、そうでない場合よりも優れるという原理である。またバウアーらによる多重符号化説なども、記憶が多重に符号化されていて、複数のパスからアクセスできるという説も、有力な考え方であった。記憶には類似した効果として状況依存検索なども知られている。これなども、符号化特定性原理と類似した概念である。この原理を利用してインタビューに生かす方法が、認知面接法である。
② 認知面接法:心理学の原理を面接法に取り入れて、正しい記憶を引き出す面接法である。この方法は5段階からなる。まず導入で、ここではラポールを形成する(つまり、相手との心的距離を少なくし、リラックスしてもらう。詳しく、たくさん話してくれるように依頼する。第2段階は、自由報告の段階で、どんな些細無事でも良いから話してもらう。自由ナラティブの段階である。本人が些細と思っても、捜査側にとっては重要な情報である場合もあるので、ここで詳細を語ってもらうことが極めて重要になる。第3段階はフォローアップの質問で、更なる情報を得る。第4段階は面接者が得られた情報で重要な情報の確認を行う段階である。第5段階では、事務的な被面接者の情報が収集され、のちにさらに思い出したことがあれば、連絡して欲しいと伝える。



キーワード ① 記憶術 ② 符号化特定性原理 ③ 多重符号化説 ④ 認知面接法 ⑤ タルビング
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:供述を誤らずに導く方法について学習しました。もちろん、その方法を使えば絶対ということではありません。他の方法を使用するよりも、より良いということなのです。皆さんだったら、どのような方法が良いと思うでしょうね。実際に考えてみましょう。


14 供述者の属性の違いによる問題:子どもの供述を例に 科目の中での位置付け 供述者には子どももいれば、高齢者もいる。知的能力の低い人物でも供述者になり得る。過去にも甲山事件では、知的障害者の施設の子どもの供述が信用され、冤罪が発生したことが知られている。その他にも、例えば仲氏が研究テーマとしている子どもの司法面接では、児童虐待の被害者が供述を求められるというケースも多く報告されている。また、厳島が扱った児童への性的虐待が主張されているケースのように、子どもが事件に巻き込まれて、その供述の信用性が問われるケースも増えている。また、高齢者も事件に巻き込まれることで、目撃者になったり、被害者になるケースが報告されている。最近のニュースでは、高齢者の自動車運転による事故で、怪我人が出たり、最悪の場合には死者が出たりするケースも報告されているのは周知の事実であろう。では一体、彼らの供述の特徴はどのようなものであるのだろうか。今回は児童と高齢者の供述の心理学的特徴について見ていくことにする。
コマ主題細目①②
仲真紀子・上宮愛(2005)『子どもの証言能力と証言を支える要因』心理学評論, 48, 343-361.
コマ主題細目 ① 子どもの供述の特徴 ② 司法面接による方法 ③ ④ ⑤
細目レベル ① 子どもの供述の特徴:司法面接が関わるのは、決して司法の場だけではない。子どもに関わる現場である教育の場面、つまり学校における様々な問題の事情聴取においても、この司法面接が有効な手段になっている。司法面接が行われる以前は、心理学の知識の乏しい捜査関係者が子どもを相手に、事情を聴取していた。その折には何度も重要なポイントと思われるところを聞いてしまったがために、捜査関係者の抱くイメージに近いものが引き出されてしまうというようなことが起こっていた。子どもの場合には非暗示性が高く、質問者が望むような内容の回答をしやすいことが知られている。また、成人と比較して言語的能力の発達が十分でなく、その能力の制限があらわれてしまうということもある(認知発達のレベルの問題)。さらに、性的な虐待などの場合には、被害を再体験するような形になり、トラウマになるようなことさえある。イギリスなどでは、かつては、宣誓(Under oath)の意味がわからない子どもは証言できないという規定さえあったが、もちろん現在ではそういう問題もクリアされてきている。以上のことから考えると、子どもの供述調書はその面接のやりとりが記録化されていないと、どこまでが子どもの記憶で、どういうところに誘導があってそれが働いたために供述が歪んでいるのか等、極めてわかりにくい。そういう意味でも面接時の録音録画が必要不可欠である。
② 司法面接による方法:では司法面接とは具体的にどのような方法なのか、見ていくことにしよう。まず目的は、事実確認ということにある。つまり、状況の情報を正確に得ることが目的になる。実施はできる限り初期に行われる必要がある。また面接室も簡素で暖かい雰囲気が重要で、子どもの気を逸らすようなグッズは配置しない。面接者は、認知面接法でもそうであるが、司法面接の訓練を受けた人が行う。さらに面接者には認知心理学、発達心理学(記憶、言語、知覚など)、福祉、法の背景知識が要求される。被面接者との関係は、暖かいが中立を保ち、淡々と実施する。実際の質問に際しては、面接者が情報を与えない、誘導しない、オープン質問を中心にして、プロトコルに決められた質問を用いる。事実に焦点化する。面接は原則として1回のみ。さらに面接を録画することも重要である。実際の実施にはさらに詳細な手続きが必要となる。北大司法面接ガイドライン(仲真紀子)2010.10が参考になる。



キーワード ① 宣誓 ② 司法面接 ③ 虐待 ④ 発達心理学 ⑤ 仲真紀子
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:司法面接という、子どもから供述を誤らないように聞き出す面接法について学習しました。私たちと同様、子ども犯罪に巻き込まれる可能性があります。子どもが被害者や目撃者になり得ます。そういう被暗示性が高かったり、知的能力の発達が十分でなかったりする者からの事情聴取に有力な方法です。どのような手続きがとられているのか、しっかり学習しておきましょう。
予習:次回はイギリスで取り組まれている、現実の実務がわかるDVDを鑑賞して、認知面接法を実践しているグレーターマンチェスター警察の取り組みを見ていきます。イギリスは、記憶聴取や人物識別の画期的な法律を制定してもいます。その内容の要約を渡しますので、読んで理解するように。

15 正確な記憶回復や人物識別の方法について:イギリスの取り組み 科目の中での位置付け では実際に目撃者から正確な情報を引き出すためにはどのような政策が採用されているのであろうか。最も優れたシステムを独自に発展させてきたのが、イギリスである。イギリスでは、1984年にPACE(Police and Criminal evidence Act)が制定された。これはイギリス内務省(home office)が制定したもので、犯人の逮捕、拘束、家宅捜査、犯人識別等において警察官が従うべき法律を示している。このPACEのコードDが識別関する手続きを規則したものである。
このマニュアルは内務省からダウンロードできるので、誰でも参照可能である。
https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/903812/pace-code-d-2017.pdf
興味ある学生諸君はぜひ、ダウンロードしてこのマニュアルと読まれることをお勧めする。また、この法律が実践される様子をBBCがオープン・ユニバーシティと共同で、3巻のDVDにしているので、この授業ではそれを鑑賞し、イギリスでの警察(グレーターマンチェスター警察が全面的に協力している)の捜査の実態を目の当たりにすることができる。


コマ主題細目①②③④
DVD教材
BBC作成・協力Open University
Martin Conway, Becky Milne, Graham pike
Eyewitness第1巻・丸善出版
コマ主題細目 ① シミュレーションの実験で警察の活動を実際に見る ② レストランでの模擬の暴行殺人事件 ③ 現金輸送車を襲う ④ 現実の事件で役立つ認知面接法 ⑤
細目レベル ① シミュレーションの実験で警察の活動を実際に見る:物語は記憶のさまざまな調査という名目のもとに募集され、その中の選ばれた10名が、製作側が設定した事件の目撃者になるというストーリーで、彼らが目撃者になることは知らされていない。事件は昼休みに食事のために出かけたレストランで起こる。
② レストランでの模擬の暴行殺人事件:些細なことで、客同士の喧嘩が起こり、それを目撃するというシナリオであった。事件の直後にグレーター・マンチェスターの刑事が、目撃者に簡単なインタビューをして、お互いに見たことを話し合わないように伝え、その後、警察署で認知面接の専門家による面接が、行われた。そして、警察では事件の概要が組み立てられ、逃亡した犯人像が明確になっていった。DVDでは、グレーターマンチェスター警察の面接専門官が二人組になって(一人は直接面接を行い、もう一人は別室でモニターを見ながら質問内容を確認し、漏れていることがあればそれを面接者に伝える)実施していく。イギリスでは、警察官になると認知面接の最初の訓練を受ける。これは義務付けられている。その後は、上級の面接官になる訓練を受けるものが、より複雑な事件の面接を担当するようになる。
③ 現金輸送車を襲う:DVD第2巻では、目撃者の多くに眼球運動の測定装置を装着し、視線解析が可能な状態で、市場調査と称して移動を行うのだが、その到着した場所で現金輸送車が強盗に襲われ、目撃者の仲間が一人、人質として連れ去られるといストーリが展開される。目撃者はその強盗の様子に関するインタビューを受ける。目撃者記憶への情動喚起の影響が検討されるが、ここでもDVDでは、グレーターマンチェスター警察の面接専門官が二人組になって面接が実施されていく。
④ 現実の事件で役立つ認知面接法:認知面接法に関してはすでに第13回授業で説明したが、このDVDでは、現実の警察署で認知面接がどのように行われているのかを見ることができる。第3巻ではさらに、イギリスで起こったリアルな事件における認知面接の成果も紹介され、目撃供述の心理学に極めて有用な教材を提供してくれる。

キーワード ① シミュレーション実験 ② グレーターマンチェスター警察 ③ PACE ④ 認知面接法 ⑤ 情動喚起
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業終了時において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:みなさんが鑑賞できるのは1巻だけですが、それでもイギリスでの取り組みを見ることができます。2巻以降の内容については資料をつけておきますので、そちらの方を読んで理解を深めてください。
履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
供述心理学の黎明期について 刑事裁判における供述証拠とはどのような証拠か説明できること。そのような供述の信用性を扱う心理学である供述心理学について簡潔に説明できること。フランスにおける供述心理学の創始者とも言えるビネーが被暗示性研究で行った内容をきちんと説明できること。ドイツではシュテルンが供述心理学の研究を行った。彼の供述心理学では何が主張されたのかを理解していること。新しい供述分析の方法としてのCBCAについて説明できること。 供述 供述証拠 供述心理学 ドイツ ウイリアム・シュテルン ハンス・グロス フランス アルフレッド・ビネー CBCA 15 1,2,3
アメリカにおける初期の供述心理学の展開と日本における展開 供述心理学に関してアメリカで重要な初期の貢献をしたのは、マッキン・キャテルである。彼の研究の内容を理解していること。そしてその後の行動主義の台頭について、その内容を説明できること。行動主義ののちに現れた認知心理学の勃興と発展、そしてその延長として現れた目撃供述心理学について理解していること。日本における供述心理学がどのように発展したのかを植松、浜田、厳島の行った研究を理解して、その内容を表現できること。 マッキン・キャテル 実験的アプローチ 行動主義 ウイリアム・ジェームズ ヒューゴー・ミュンスターバーグ 植松正 浜田寿美雄 厳島行雄 20 4,5,6
供述過程とは何か 供述に関わる歪曲要因 目撃供述の心理学 誤判研究 目撃供述心理学の研究法 供述過程とは何か、簡潔に説明できること。その供述には、供述前及び供述中にさまざまな歪曲要因が関与し、供述を歪めてしまう。この供述過程に関与する要因を説明できるようになっていること。誤判とは何か説明できること、そしてどのような誤判研究があるのかを具体的に説明できること。目撃供述の誤りに関与する要因の心理学研究法にはどのような研究法があるのか、具体的な例−例えば実験法−を伴って説明できるようにしておくこと。 確証バイアス 誤判研究 イノセンス・プロジェクト DNA分析 目撃証言心理学の研究法 20 7,8,9
目撃供述心理学の研究法 実験 調査法 質問紙法 面接法 アーカイブ法 目撃供述の正確さに影響する要因 要因の分類法 裁判員の意思決定の心理学  目撃供述心理学の研究法には、実験 調査法 質問紙法 面接法 アーカイブ法がある。この中で特徴的な方法はアーカイブ研究法である。各種の方法の長所と短所を理解しておくこと。目撃供述の正確さに影響する諸要因の種類とそれぞれの意味、そしてそれらの要因を整理して、分類する方法を説明できるようにすること。また裁判員の意思決定に影響する心理学的要因について理解し、それらがどのように判断に影響するのかを理解しておくこと。 研究法 実験 調査法 質問紙法 面接法 アーカイブ法 影響要因 要因の分類法 裁判員 意思決定 25 10,11,12
記憶の歪曲・誤りを導くにくい面接法 子どもの司法面接 イギリスでの実務に見る方法論 司法心理学で重要なテーマは、被疑者や目撃者、また関連の供述者からいかにして誤らずに、しかも多くの情報を聞き取ることである。この情報の聴取に関する方法の発展に寄与した心理学原理である符号化特定性原理、そしてその原理から発展した認知面接法について、説明できるように理解をしておくこと。また子どもの供述者からどのように面接をすれば記憶が誤りにくいのか、子どもの供述の特徴とともに面接法の詳細について理解すること。 符号化特定性原理 認知面接法の5段階 子どもの供述 司法面接 グレーターマンチェスターの認知面接 20 13,14,15
評価方法 学期末試験の結果で評価する。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書
参考文献 目撃証言の心理学 厳島・仲・原 北大路書房 2003
実験・実習・教材費