区分
犯罪心理学発展科目 捜査・防犯領域
ディプロマ・ポリシーとの関係
専門的知識と実践的能力
分析力と理解力
地域貢献性
カリキュラム・ポリシーとの関係
課題分析力
課題解決力
課題対応力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。
科目の目的
捜査心理学とは,犯罪捜査に寄与するために心理学の原理を利用し,犯罪情報の管理,捜査,およびその後の法的プロセスを支援することを目的とする学問領域です。本講義では,犯罪の発生から起訴までの一連の捜査の過程のなかでも,プロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマについて,科学的方法に基づく研究成果を概観します。これらの学びを通して,犯罪捜査の取り組みにおいて心理学がどのような役割を果たしているのかを理解し,捜査実務を支える心理学的知見の意義について考えることを目指します。
到達目標
捜査心理学の基本的な知識を修得し,犯罪捜査の取り組みにおいて心理学がどのように貢献できるのかを理解したうえで,以下の4点について概説できることを到達目標とする。
(1) 犯罪者プロファイリングおよび地理的プロファイリングの目的や手続き
(2) 目撃証言に影響を及ぼす要因と,効果的な目撃証言を収集するための手法
(3) ポリグラフ検査の原理,手法,および測定される指標
(4) 効果的な取調べの手法と,取調べを取り巻く課題
科目の概要
この科目では,捜査心理学の基本的な知識を身につけ,犯罪捜査の取り組みにおいて,心理学がどのように貢献できるのかを理解することを目的とします。そのために,犯罪の発生から起訴までの一連の捜査の過程のなかでも,プロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマについて,科学的方法に基づく研究の成果を概観します。はじめに,近年の犯罪の動向や,捜査心理学の関心について解説します。続いて,最初のテーマであるプロファイリングについて,犯罪者プロファイリングと地理的プロファイリングの目的や手続きについて解説します。次に,2つめのテーマである目撃証言について,どのような要因が目撃証言に影響を及ぼすのか,また,効果的な目撃証言を収集するためにどのような方法が開発されているのかを学びます。そして,3つめのテーマとして,しばしばウソ発見器として知られているポリグラフ検査について,その原理や手法,測定される指標を解説します。さらに,4つめのテーマとして,効果的な取調べの手法や説得の技法について紹介します。以上の構成を通して,犯罪捜査の各段階において,心理学的知見がどのように活用されているのかを体系的に理解することを目指します。
科目のキーワード
プロファイリング クライム・マッピング 目撃証言 ポリグラフ検査 取調べ 交渉方略
授業の展開方法
授業は,重要事項や図表をスライドとしてスクリーンに映し,それらを解説する形式で行います。単に資料を閲覧するだけではなく,授業中に適宜,質問を投げかけたり,簡単な演習を取り入れたりしながら,内容の理解を深めていきます。また,授業内容や参考書籍をもとに,各自でレジュメを作成し,必要な情報を書き加えながら主体的に学習することを求めます。さらに,授業外の復習・予習においては,ChatGPT等の生成AIを活用して,用語や概念の整理,理解の確認,練習問題の作成などを行うことも有効です。ただし,生成AIは発展途上の技術であり,誤った情報を含む可能性があるため,授業内容やシラバスで指定した参考書,配布資料と照合しながら活用するよう指導します。
オフィス・アワー
【月曜日】4限(前期のみ)、【水曜日】3・4限(会議日は除く)、【木曜日】2限、【金曜日】4限(後期のみ)
科目コード
PSC660
学年・期
2年・前期
科目名
捜査心理学
単位数
2
授業形態
講義
必修・選択
必修
学習時間
【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
犯罪心理学概論(司法・犯罪心理学)
展開科目
捜査心理学演習 防犯科学
関連資格
なし
担当教員名
皿谷陽子
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
心理学と犯罪捜査のかかわり
科目の中での位置付け
この科目では,捜査心理学の基本的な知識を身につけ,犯罪捜査の取り組みにおいて心理学がどのように貢献できるのかを理解することを目的とする。犯罪の発生から起訴に至るまでの捜査過程の中でも,心理学的知見が強く関与する領域として,プロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマを扱い,それぞれについて科学的方法に基づく研究成果を概観する。はじめに,近年の犯罪の動向や,捜査心理学がどのような社会的関心のもとで発展してきたのかを整理する。続いて,プロファイリングについて,犯罪者プロファイリングおよび地理的プロファイリングの目的や基本的な手続きを解説する。次に,目撃証言をテーマとして,どのような要因が証言の正確性や信頼性に影響を及ぼすのか,また,効果的な目撃情報を収集するためにどのような方法が開発されているのかを学ぶ。さらに,ポリグラフ検査について,その原理や手法,測定される生理指標の意味を解説し,最後に,取調べを取り上げ,効果的な取調べの手法や説得の技法について紹介する。このような構成の中で,本回では,捜査心理学とはどのような学問であり,心理学が犯罪捜査にどのように関与し得るのかについて,科目全体の導入として基礎的な考え方を整理する。
① 配布資料
② 配布資料,参考書①: P2-6
③ 配布資料,参考書①: P2-6
コマ主題細目
① 犯罪の動向 ② 捜査心理学の定義 ③ 捜査心理学の領域
細目レベル
① 長年,日本は主要先進国の中でも治安水準の高い国であるといわれてきたが,一方で,凶悪犯罪や少年犯罪の増加など,治安の悪化に対する国民の不安感が指摘されることも多い。では,実際に凶悪犯罪や少年犯罪は増加しているのか,また,私たちはどのような情報に基づいて犯罪の動向を認識しているのかを検討する必要がある。本細目では,日本の犯罪の動向や近年の注目点を整理するために,犯罪白書や警察白書に掲載されている公式統計データを確認する。その際,「凶悪犯罪」とは何を指すのか,「少年」とは誰を指すのかといった定義を,刑法や白書に基づいて正確に理解することが重要となる。これらの定義を踏まえたうえで,認知件数のピークがいつであったのか,また,ここ10年程度における推移がどのようなものであったのかを把握し,犯罪に関する社会的イメージと実際の統計データとの差異についても考える。
② 次に,「犯罪」が人間の行為であることを改めて確認する。犯罪が人間の行動である以上,人を対象とする学問である心理学からのアプローチが可能であると考えられる。犯罪捜査は,情報の収集,捜査の推論,捜査活動の実行という3つの要素が相互に影響し合う循環的な過程として捉えられる。この捜査の循環過程には,心理学者が貢献し得る重要な領域が多く含まれている。捜査心理学とは,犯罪捜査に寄与することを目的として,心理学の原理や研究成果を活用し,犯罪情報の管理や捜査活動,さらにはその後の法的プロセスを支援する学問領域である。本細目では,捜査心理学の基本的な定義を理解するとともに,本科目がプロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマによって構成されていることを把握する。
③ 捜査心理学は,犯罪の発生から起訴に至るまでの捜査過程を支援するための手法を,心理学の先行研究から得られた知見を応用することによって確立しようとする分野である。そのため,捜査心理学は単一の心理学領域にとどまらず,多様な心理学分野にまたがっている。主な領域としては,捜査官の意思決定や捜査戦略,被疑者や目撃者に対する面接技法などに関わる「犯罪捜査および捜査の意思決定」,犯罪者の行動理論やプロファイリングに用いられる推定理論,犯罪者の地理的行動に関する研究を含む「犯罪者の行動」,情報の内容分析や数理心理学的手法を含む「研究の方法論とデータ分析」の3つに整理できる。本細目では,これらの各領域において,どのような研究や実践的取り組みが行われているのかを具体例とともに確認する。
キーワード
① 刑法 ② 犯罪白書 ③ 凶悪犯罪 ④ 少年犯罪 ⑤ 捜査心理学
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
今回の復習:この回では,捜査心理学とはどのような学問であり,心理学が犯罪捜査にどのように関わることができるのかについて,基礎的な考え方を整理しました。授業内容を振り返り,本授業で扱うプロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマについて,それぞれの概要を把握しておきましょう。その際,理解が不十分な点や用語については,ChatGPT等の生成AIを活用し,補足的な説明を確認したうえで内容を整理してください。ただし,生成AIは発展途上の技術であり,誤った情報を含む可能性があるため,授業内容やシラバスで指定した参考書,配布資料と照合しながら活用するようにしましょう。また,日本の犯罪の動向について,犯罪白書を実際に調べながら,自分でデータを読み解けるように復習しておきましょう。
次回の予習:次回から4回にわたってプロファイリングについて学んでいきます。そのうち,次回は「犯罪者プロファイリング」を扱います。参考書の該当ページを熟読し,内容の要点を整理しておきましょう。その際,専門用語や理解が難しい箇所については,ChatGPT等の生成AIを活用して基本的な意味や背景を確認し,授業での理解が深まるよう準備してください。ただし,生成AIの出力をそのまま用いるのではなく,シラバスで指定した参考書や配布資料と照らし合わせながら,適切に活用することが求められます。
2
プロファイリング①
科目の中での位置付け
この科目では,捜査心理学の基本的な知識を身につけ,犯罪捜査の取り組みにおいて,心理学がどのように貢献できるのかを理解することを目的とします。そのために,犯罪の発生から起訴までの一連の捜査の過程のなかでも,プロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマについて,科学的方法に基づく研究の成果を概観します。はじめに,近年の犯罪の動向や,捜査心理学の関心について解説します。そして,最初のテーマであるプロファイリングについて,犯罪者プロファイリングと地理的プロファイリングの目的や手続きについて解説します。次に,2つめのテーマである目撃証言について,どのような要因が目撃証言に影響を及ぼすのか,また,効果的な目撃証言を収集するためにどのような方法が開発されているかを学びます。そして,3つめのテーマとして,しばしばウソ発見器として知られているポリグラフ検査について,原理や手法,測定される指標を解説していきます。さらに,4つめのテーマとして,効果的な取調べの手法や説得の技法について紹介します。このような流れの中で,本回では犯罪者プロファイリングの目的と手法を解説します。
① 配布資料,参考書②: P2-52
② 配布資料,参考書①: P90-94
③ 配布資料,参考書①: P95-96
コマ主題細目
① 犯罪の種類それぞれにおける犯人の分類 ② 臨床的プロファイリング ③ 統計的プロファイリング
細目レベル
① 小説や映画などでは,犯罪捜査官がプロファイリングを行って犯人を突き止め,事件を解決する場面が描かれることがあります。このような描写から,プロファイリングに対して憧れや期待を抱く人も少なくないかもしれません。しかし,プロファイリングは犯人を直接発見する技術ではありません。綿密な情報収集によって犯罪の特徴やパターンを分析し,捜査の方向性を絞り込むための手がかりを提供するものです。では,犯罪の特徴やパターンにはどのようなものがあるのでしょうか。本細目では,殺人,放火,経済犯罪,性犯罪などの犯罪の種類ごとに,動機,対象,方法といった観点から犯罪の類型を整理します。そして,それらの類型が実際の事件のどのような事例に当てはまるのかを確認し,犯罪者プロファイリングの基礎となる考え方を理解します。
② 犯人像を推定するうえで,犯行の特徴やパターンを把握することは有用であると考えられます。そのような役割を担う方法が犯罪者プロファイリングです。犯罪者プロファイリングの手法は,大きく「臨床的プロファイリング」と「統計的プロファイリング」の2つに分けられます。臨床的プロファイリングは,臨床心理学や精神医学の知見を基盤として,犯行中の行動系列から犯人の行動特徴や性格特徴,精神病理的側面について推論を行う方法です。FBIによって提唱されたプロファイリングは,この臨床的プロファイリングに該当します。FBI方式では,犯罪者への面接調査や公式記録の分析結果から,「秩序型」と「無秩序型」という類型が示されています。本細目では,FBI方式プロファイリングの特徴と,その有効性および問題点について整理します。
③ 犯罪者プロファイリングのもう1つの手法である統計的プロファイリングについて解説します。統計的プロファイリングは,過去の類似事件に関する統計的分析結果を根拠として,犯人像に関する推論を行う方法であり,リヴァプール方式とも呼ばれています。日本では,主にこの統計的プロファイリングが採用されています。具体的には,過去の類似事件における被害者情報や犯行行動に関する情報と,犯人特徴との関連性を分析することで推定を行います。統計的手法による犯罪者推定には,目的に応じて異なるアプローチがあり,「犯行テーマベース・アプローチ」と「犯行行動ベース・アプローチ」に大別されます。本細目では,それぞれの特徴や限界を整理し,今後の犯罪者プロファイリングの課題についても考えます。
キーワード
① FBI方式 ② 秩序型と無秩序型 ③ リヴァプール方式 ④ 犯行テーマベース ⑤ 犯行行動ベース
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:この回では,犯罪捜査のテーマのなかでも犯罪者プロファイリングを取り上げました。授業内容を振り返り,犯罪者プロファイリングの目的を整理してください。また,臨床的プロファイリングであるFBI方式と,統計的プロファイリングであるリヴァプール方式について,それぞれの特徴をまとめてください。その際,ChatGPT等の生成AIを活用して用語や考え方を確認しても構いませんが,生成AIは発展途上の技術であり誤った情報を含む可能性があるため,授業内容やシラバスで指定した参考書,配布資料と照合しながら活用してください。いずれの手法にも長所と短所がある点に留意し,両者を比較しながら理解を深めましょう。
予習:次回は,4回にわたるプロファイリングの回のうち,「地理的プロファイリング」について学びます。参考書の該当ページを熟読し,内容の要点を整理しておきましょう。専門用語や理解が難しい箇所については,ChatGPT等の生成AIを活用して基本的な意味を確認しても構いませんが,必ずシラバスで指定した参考書や配布資料と照らし合わせながら,適切に活用してください。
3
プロファイリング②
科目の中での位置付け
この科目では,捜査心理学の基本的な知識を身につけ,犯罪捜査の取り組みにおいて,心理学がどのように貢献できるのかを理解することを目的とします。そのために,犯罪の発生から起訴までの一連の捜査の過程のなかでも,プロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマについて,科学的方法に基づく研究の成果を概観します。はじめに,近年の犯罪の動向や,捜査心理学の関心について解説します。そして,最初のテーマであるプロファイリングについて,犯罪者プロファイリングと地理的プロファイリングの目的や手続きについて解説します。次に,2つめのテーマである目撃証言について,どのような要因が目撃証言に影響を及ぼすのか,また,効果的な目撃証言を収集するためにどのような方法が開発されているかを学びます。そして,3つめのテーマとして,しばしばウソ発見器として知られているポリグラフ検査について,原理や手法,測定される指標を解説していきます。さらに,4つめのテーマとして,効果的な取調べの手法や説得の技法について紹介します。このような流れの中で,本回では地理的プロファイリングの目的と手法を解説します。
① 配布資料,参考書②: P338-341
② 配布資料,参考書②: P341-345
③ 配布資料,参考書②: P346-354
コマ主題細目
① 地理的プロファイリングとは ② 地理的プロファイリングの手法 ③ クライム・マッピング
細目レベル
① 地理的プロファイリングとは,「逮捕されていない同一の犯罪者による連続犯罪の犯行地点の地理的位置や,その場の物理的・社会的環境の特徴に基づき,犯罪者の居住地を推定する捜査支援のための手法の総称」です。居住地の推定だけでなく,次の犯行地点の予測に適用されることもあります。この方法を成り立たせるために,犯罪者の行動に関するいくつかの仮説が採用されています。例えば,犯罪行動にも合理性があるという考え方は合理的選択理論と呼ばれます。また,過去の経験によって形成された環境に関する知識はメンタルマップと呼ばれ,このメンタルマップが犯人の犯行拠点地点の選択に影響を与えると考えられています。本細目では,地理的プロファイリングが仮定する複数の理論的背景を理解し,犯罪者の行動範囲に関する基本的な法則を整理します。
② 地理的プロファイリングには,導き出される結果が異なる「空間分布法」と「確率距離法」という2つのアプローチがあります。空間分布法は,犯行地点の空間的分布を分析することで,犯罪者の居住地として可能性の高い領域や地点を推定するアプローチです。一方,確率距離法は,捜査・捜索範囲内の各地点について,犯罪者の居住地である確率を計算するアプローチです。これらの手法は,精度を高めるために発展してきました。紙の上に示された犯行地点に線を引くことで実施できる比較的単純な方法から,専用のソフトウエアを用いなければ実行できない複雑な方法までが存在します。本細目では,それぞれのアプローチによってどのような結果が導き出され,どのような情報が扱われるのか,また,それらがどのような理論的根拠に基づいているのかを整理します。
③ 地理的プロファイリングでは,犯罪の発生場所に基づいて,犯人と地理的空間との関連性を扱いますが,逆に空間の側から犯罪を予測できる可能性もあります。クライム・マッピングとは,犯罪が発生した場所に関する地図情報を可視化したものであり,犯罪が特定の地域に集中する傾向があることを示します。クライム・マッピングは,犯罪に注意すべき地域や場所に関する情報を提供するという点でも重要です。本細目では,クライム・マッピングの取り組みが始まった経緯と,現在用いられている技術について整理します。犯罪発生地点を地図上にプロットすると,分布が特定の場所に集中することがあり,このような場所はホットスポットと呼ばれます。犯罪のホットスポットに見られる特徴や背景について解説し,最後にクライム・マッピングに用いられる分析手法について説明します。
キーワード
① 円仮説 ② バッファゾーン ③ 通い型と襲撃型 ④ クライム・マッピング ⑤ 犯罪ホットスポット
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:この回では,犯罪捜査のテーマのなかでも地理的プロファイリングを取り上げました。授業内容を振り返り,地理的プロファイリングの目的を整理してください。また,地理的プロファイリングの手法として,空間分布法と確率距離法という2つのアプローチの特徴をまとめてください。さらに,クライム・マッピングについて,愛知県や岡崎市のデータを確認してください。その際,ChatGPT等の生成AIを活用して用語や考え方を確認しても構いませんが,生成AIは発展途上の技術であり誤った情報を含む可能性があるため,授業内容やシラバスで指定した参考書,配布資料と照合しながら活用してください。
予習:次回は,4回にわたるプロファイリングの回のうち,犯罪者プロファイリングと地理的プロファイリングの事例を紹介し,簡単な体験を行います。参考書の該当ページを熟読し,第2回および第3回で扱った具体的な手法について振り返っておきましょう。専門用語や理解が難しい箇所については,ChatGPT等の生成AIを活用して基本的な意味を確認しても構いませんが,必ずシラバスで指定した参考書や配布資料と照らし合わせながら,適切に活用してください。
4
プロファイリング③
科目の中での位置付け
この科目では,捜査心理学の基本的な知識を身につけ,犯罪捜査の取り組みにおいて,心理学がどのように貢献できるのかを理解することを目的とします。そのために,犯罪の発生から起訴までの一連の捜査の過程のなかでも,プロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマについて,科学的方法に基づく研究の成果を概観します。はじめに,近年の犯罪の動向や,捜査心理学の関心について解説します。そして,最初のテーマであるプロファイリングについて,犯罪者プロファイリングと地理的プロファイリングの目的や手続きについて解説します。次に,2つめのテーマである目撃証言について,どのような要因が目撃証言に影響を及ぼすのか,また,効果的な目撃証言を収集するためにどのような方法が開発されているかを学びます。そして,3つめのテーマとして,しばしばウソ発見器として知られているポリグラフ検査について,原理や手法,測定される指標を解説していきます。さらに,4つめのテーマとして,効果的な取調べの手法や説得の技法について紹介します。このような流れの中で,本回では,犯罪者プロファイリングおよび地理的プロファイリングについて,実際の事件を例として紹介し,簡易的なプロファイリングの体験を行います。
① 配布資料,参考書①: P101-114
② 配布資料,参考書①: P101-114
③ 配布資料
コマ主題細目
① 犯罪者プロファイリングの例 ② 地理的プロファイリングの例 ③ プロファイリングの体験
細目レベル
① プロファイリングの歴史をたどると,最初期の事例として「切り裂きジャック」事件を挙げることができます。本細目では,このような歴史的に有名な事件を例に,FBI方式の犯罪者プロファイリングを紹介します。次に,リヴァプール方式のプロファイリングを開発したイギリスの心理学者デビッド・カンターによる最初のプロファイリング事例として,ロンドンの鉄道レイプ犯事件を取り上げます。さらに,日本においては,科学警察研究所が殺人捜査本部事件の犯人像推定分析の基礎となる凶悪犯罪データベースを作成し,加害者要因,被害者要因,犯行状況要因に関する詳細なデータを蓄積しています。本細目では,現在どのようなデータに基づき,どのような分析が行われているのかについて,データベースを用いた分析結果の例を通して確認します。
② 地理的プロファイリングの具体例として,ワシントン・ベルトウェイ連続狙撃事件における犯人の居住地推定や,ヨークシャー・リッパー連続殺人事件における居住地推定の事例を取り上げます。これらの事例を通して,円仮説の観点から,犯人の居住地が円心付近に位置するのか,あるいは重心付近に位置するのかを検討します。また,次の犯行地点の予測に関しては,ベーカーによるイギリス南部の町で発生した窃盗事件32系列に関する分析結果のマッピングを紹介し,デビッド・カンターの予測がどの程度当てはまるのかを考えます。さらに,犯罪者プロファイリングと同様に,殺人捜査本部事件における地理的情報の分析結果についても紹介し,どのようなデータに対してどのような分析が行われているのかを確認します。
③ 最後に,これまでに扱ってきた犯罪者プロファイリングおよび地理的プロファイリングについて,簡易的な体験を行います。用意された複数の仮想事件の資料を読み,どのような犯人像が想定されるか,また,次の犯行地点がどのあたりになると予測されるかについて考えてみましょう。ここで行う体験は基礎的な内容にとどまりますが,より本格的なプロファイリングは演習授業で扱うため,本授業では基礎的な考え方を定着させることを目的とします。また,統計的プロファイリングについては,専用のソフトウエアを用いた分析は行いませんが,すでに分析結果が示されている複数の仮想事件データを用いて,そこからどのような情報が読み取れるのかを整理します。
キーワード
① 犯罪者プロファイリング ② 地理的プロファイリング ③ 事例 ④ データベース ⑤ プロファイリングの体験
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:この回では,犯罪者プロファイリングおよび地理的プロファイリングについて,実際の事件を例として紹介し,簡易的なプロファイリングの体験を行いました。授業内容を振り返り,犯罪者プロファイリングと地理的プロファイリングのそれぞれの特徴を整理してください。また,第1回の授業内容も参照しながら,データからどのようなことが読み取れるのかについて,自分なりに考えてみましょう。その際,ChatGPT等の生成AIを活用して用語や考え方を確認しても構いませんが,生成AIは発展途上の技術であり誤った情報を含む可能性があるため,授業内容やシラバスで指定した参考書,配布資料と照合しながら活用してください。
予習:次回は,4回にわたるプロファイリングの回の最終回として,犯罪捜査におけるプロファイリングの実際の運用や,今後のプロファイリングの展望について学びます。参考書の該当ページを熟読し,内容の要点を整理しておきましょう。分からない用語や理解が難しい箇所については,ChatGPT等の生成AIを活用して基本的な意味を確認しても構いませんが,必ずシラバスで指定した参考書や配布資料と照らし合わせながら,適切に活用してください。
5
プロファイリング④
科目の中での位置付け
この科目では,捜査心理学の基本的な知識を身につけ,犯罪捜査の取り組みにおいて,心理学がどのように貢献できるのかを理解することを目的とします。そのために,犯罪の発生から起訴までの一連の捜査の過程のなかでも,プロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマについて,科学的方法に基づく研究の成果を概観します。はじめに,近年の犯罪の動向や,捜査心理学の関心について解説します。そして,最初のテーマであるプロファイリングについて,犯罪者プロファイリングと地理的プロファイリングの目的や手続きについて解説します。次に,2つめのテーマである目撃証言について,どのような要因が目撃証言に影響を及ぼすのか,また,効果的な目撃証言を収集するためにどのような方法が開発されているかを学びます。そして,3つめのテーマとして,しばしばウソ発見器として知られているポリグラフ検査について,原理や手法,測定される指標を解説していきます。さらに,4つめのテーマとして,効果的な取調べの手法や説得の技法について紹介します。このような流れの中で,本回では,犯罪捜査においてプロファイリングがどのように運用されているのか,また,今後のプロファイリングの展望について整理します。
① 配布資料,参考書②: P316-327
② 配布資料,参考書②: P328-334
③ 配布資料,参考書①: P192-201
コマ主題細目
① 犯罪者プロファイリングの運用 ② ベイジアンアプローチ ③ 犯罪情報分析
細目レベル
① わが国の科学警察研究所において,犯罪者プロファイリングに関する研究が開始されたのは1994年とされています。当初は試行錯誤の段階にあった犯罪者プロファイリングも,次第に実際の捜査に導入されるようになり,警察白書を見ると,プロファイリング件数が年々増加していることが分かります。すでに第2回の授業で述べたように,日本で主に採用されている犯罪者プロファイリングの手法はリヴァプール方式です。本細目では,FBI方式とリヴァプール方式の特徴を改めて整理したうえで,なぜ日本ではリヴァプール方式が採用されるに至ったのかを確認します。そのうえで,現在,犯罪者プロファイリングが捜査の中でどのように位置づけられ,どのような形で運用されているのかについて説明します。
② 次に,従来のプロファイリング技術の限界を克服する可能性をもつアプローチとして,ベイジアンアプローチについて紹介します。ベイズ理論は,人工知能,医療診断,カーナビゲーションなど,多様な分野で応用されている理論です。統計学の考え方を整理すると,記述統計は標本の特徴を記述し,推測統計は標本から母集団を推測しますが,ベイズ統計では必ずしも標本を前提とせず,事前知識(事前確率)と新しい情報を結合して,事後知識(事後確率)を更新していきます。ベイジアンアプローチは,新たな情報が得られるたびに学習を更新できる点に特徴があり,連続事件への対応や,将来発生する事件への柔軟な適応が可能であるとされています。本細目では,このような考え方と,実際の分析例について整理します。
③ 犯罪捜査では,事件に関連する多様な情報が収集され,捜査活動の中で活用されます。これらの情報を有効に活用するためには,意味のある情報を抽出し,無関係あるいは誤った情報を除去する必要があります。この処理を迅速に行うことが,捜査の効率化につながります。そのためには,犯罪関連情報を戦略的に活用するという観点から,情報処理の枠組みを考える必要があります。犯罪情報分析とは,行動科学等の知見を応用し,犯罪に関連する情報を分析することで,犯罪捜査や犯罪予防などの警察活動に寄与する知見を得る技術と定義されます。プロファイリングもこの枠組みに含まれますが,本細目では,それ以外にどのような分析が犯罪情報分析に含まれるのかについても確認します。
キーワード
① プロファイリングの運用 ② ベイズ理論 ③ 事前確率 ④ 事後確率 ⑤ 犯罪情報分析
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:この回では,犯罪捜査においてプロファイリングがどのように運用されているのか,また,今後のプロファイリングの展望について整理しました。授業内容を振り返り,プロファイリングの限界点や,それを克服する潜在的な可能性をもつとされているベイジアンアプローチについてまとめてください。また,プロファイリング以外にも,犯罪に関連する情報を分析し,犯罪捜査や犯罪予防などの警察活動に寄与する知見を得る技術がどのように位置づけられていたかを確認しましょう。その際,ChatGPT等の生成AIを活用して用語や考え方を確認しても構いませんが,生成AIは発展途上の技術であり誤った情報を含む可能性があるため,授業内容やシラバスで指定した参考書,配布資料と照合しながら活用してください。
予習:次回から2回は目撃証言に関する回になります。次回は,目撃証言の性質を理解するための心理学的知見や理論を整理します。参考書の該当ページを熟読し,内容の要点を整理しておきましょう。分からない用語や理解が難しい箇所については,ChatGPT等の生成AIを活用して基本的な意味を確認しても構いませんが,必ずシラバスで指定した参考書や配布資料と照らし合わせながら,適切に活用してください。
6
目撃証言①
科目の中での位置付け
この科目では,捜査心理学の基本的な知識を身につけ,犯罪捜査の取り組みにおいて,心理学がどのように貢献できるのかを理解することを目的とします。そのために,犯罪の発生から起訴までの一連の捜査の過程のなかでも,プロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマについて,科学的方法に基づく研究の成果を概観します。はじめに,近年の犯罪の動向や,捜査心理学の関心について解説します。そして,最初のテーマであるプロファイリングについて,犯罪者プロファイリングと地理的プロファイリングの目的や手続きについて解説します。次に,2つめのテーマである目撃証言について,どのような要因が目撃証言に影響を及ぼすのか,また,効果的な目撃証言を収集するためにどのような方法が開発されているかを学びます。そして,3つめのテーマとして,しばしばウソ発見器として知られているポリグラフ検査について,原理や手法,測定される指標を解説していきます。さらに,4つめのテーマとして,効果的な取調べの手法や説得の技法について紹介します。このような流れの中で,本回では,犯罪捜査における目撃証言の重要性と,目撃証言の性質を理解するための心理学的知見や理論について解説します。
① 配布資料,参考書②: P406-411
② 配布資料,参考書②: P411-415
③ 配布資料,参考書②: P415-420
コマ主題細目
① 知覚・記銘段階に及ぼす影響 ② 保持段階に及ぼす影響 ③ 想起段階に及ぼす影響
細目レベル
① 目撃証言や自白などの供述証拠は,知覚や記憶の影響を受けやすく,客観性や確実性が必ずしも高いとはいえません。しかし,すべての事件に物証が存在するわけではなく,物証のみでは事件解決に至らない場合もあります。そのような場合,供述証拠が事件解決の重要な手がかりとなります。そのため,どのような要因が目撃証言に影響を及ぼすのかを正しく理解しておく必要があります。本細目では,情報の知覚から想起に至るプロセスのうち,知覚・記銘段階において目撃証言に影響を及ぼす要因を取り上げます。特に,夜間の目撃証言や目撃者の視力の信頼性について,事件の判決結果や具体的条件と照らし合わせながら解説します。また,情動喚起に伴う心身の変化が目撃証言に及ぼす影響として,注意集中効果や凶器注目効果について説明します。
② 次に,事件を目撃してから証言を行うまでの保持段階において,目撃者の記憶に影響を及ぼす主要な要因について解説します。一般に,ある出来事に関する記憶情報は,時間の経過とともに量や質が低下し,その情報へのアクセスも困難になります。そのため,保持期間が長くなるほど,記憶の再認成績や再生成績は低下する傾向があります。この傾向は,事件に関する記憶の正確性にも当てはまります。また,事件を目撃した後に接触した事件や事故に関する情報が,元の記憶内容を変容させることがあり,これを事後情報効果と呼びます。例えば,証言までの期間に事件に関するうわさ話やマスメディアの報道に触れることによって,記憶が影響を受ける場合があります。本細目では,実験を体験しながら,これらのメカニズムについて理解を深めます。
③ 最後に,目撃者から証言を聴収する段階において,記憶を変容させる要因について紹介します。例えば,事情聴衆に際しての捜査員の言葉遣いや,他意のない発言などにより,目撃者の記憶がゆがめられたり,捜査員の意図を組んだような証言が引き出されたりすることがあります。有名な研究として,ロフタスとパルマーの研究があります。この研究では,自動車2台の衝突事故を目撃したという状況を設定し,衝突時における自動車の速度を実験参加者に質問するといった内容です。衝突時の速度を尋ねる際に用いる単語を変えることで,回答が異なることが示されています。このように,質問時の言葉遣いをはじめとした取調べ方略が,目撃証言に影響を及ぼす可能性について理解します。
キーワード
① 記憶 ② 出来事要因と目撃者要因 ③ 凶器注目効果 ④ 事後情報効果 ⑤ 反復想起
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:この回では,犯罪捜査における目撃証言の重要性と,目撃証言の性質を理解するための心理学的知見や理論について整理しました。授業内容を振り返り,「知覚・記銘段階」「保持段階」「想起段階」において,目撃証言に影響を及ぼし得る要因についてまとめてください。また,目撃証言の正確性が低下することを説明するさまざまな現象について,具体的な実験と対応付けて整理しましょう。その際,ChatGPT等の生成AIを活用して用語や考え方を確認しても構いませんが,生成AIは発展途上の技術であり誤った情報を含む可能性があるため,授業内容やシラバスで指定した参考書,配布資料と照合しながら活用してください。
予習:次回も目撃証言に関する回になります。特に,子どもや高齢者からの目撃証言の特徴や,面割りについて学びます。参考書の該当ページを熟読し,内容の要点を整理しておきましょう。分からない用語や理解が難しい箇所については,ChatGPT等の生成AIを活用して基本的な意味を確認しても構いませんが,必ずシラバスで指定した参考書や配布資料と照らし合わせながら,適切に活用してください。
7
目撃証言②
科目の中での位置付け
この科目では,捜査心理学の基本的な知識を身につけ,犯罪捜査の取り組みにおいて,心理学がどのように貢献できるのかを理解することを目的とします。そのために,犯罪の発生から起訴までの一連の捜査の過程のなかでも,プロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマについて,科学的方法に基づく研究の成果を概観します。はじめに,近年の犯罪の動向や,捜査心理学の関心について解説します。そして,最初のテーマであるプロファイリングについて,犯罪者プロファイリングと地理的プロファイリングの目的や手続きについて解説します。次に,2つめのテーマである目撃証言について,どのような要因が目撃証言に影響を及ぼすのか,また,効果的な目撃証言を収集するためにどのような方法が開発されているかを学びます。そして,3つめのテーマとして,しばしばウソ発見器として知られているポリグラフ検査について,原理や手法,測定される指標を解説していきます。さらに,4つめのテーマとして,効果的な取調べの手法や説得の技法について紹介します。このような流れの中で,本回では,子どもや高齢者といった,証拠的価値の高い目撃証言を得るために配慮や工夫が必要な目撃者に対する証言について整理します。
① 配布資料,参考書②: P421-435
② 配布資料,参考書②: P435-449
③ 配布資料,参考書①: P20-29
コマ主題細目
① 子どもの目撃証言 ② 高齢者の目撃証言 ③ 面割り
細目レベル
① 第6回では,一般的な成人の目撃者を想定し,目撃証言の正確性を低下させるさまざまな要因について整理しました。本細目では,目撃供述の質や量が一般的な成人よりも劣りやすいとされる子どもから目撃証言を聴取する際に,どのような点に留意すべきかを検討します。子どもの認知発達の観点から,記憶,被暗示性,言語能力,社会的・対人的要因といった問題について順に取り上げ,子どもの目撃証言に特有の課題を整理します。そのうえで,これらの課題に配慮しながら,子どもの目撃者から証拠的価値の高い情報を得るためには,どのような質問の仕方や面接法が有効であるのかについて解説します。さらに,被害体験を繰り返し聴取することによって生じ得る心理的負担やトラウマの問題についても取り上げ,それらに対する配慮や対策について紹介します。
② 次に,高齢者の目撃証言について整理します。高齢化が進む現代社会において,高齢者は犯罪の被害者となることも目撃者となることも多い存在です。一方で,加齢に伴う認知機能の変化により,記憶のパフォーマンスが低下する場合があることが知られています。この点は,高齢者を対象とした目撃証言に関する実験的研究からも示されています。ただし,正再生や正再認,すなわち実際に経験した出来事を正しく報告する割合については,加齢の影響が比較的出にくいことも指摘されています。高齢者の目撃証言では,情報そのものよりも,情報源の記憶が想起しにくくなる傾向があり,例えば,見たことはあるが,どこで見たかを思い出せないといった現象が生じやすくなります。本細目では,これらの特徴がなぜ生じるのかを理解したうえで,どのように対処すべきかについて整理します。
③ 事件の目撃者が犯人の顔を目撃していた場合,その顔を何らかの形で再現することができれば,犯罪捜査において非常に有力な情報となります。このような記憶の想起を支援する方法として「似顔絵」「モンタージュ写真」「手配写真」などの手法が開発されてきました。また,有力な容疑者が明らかになった場合,目撃者にその人物を提示し,犯人であるかどうかを確認する方法として「面割り」が行われます。この面割りは,写真の呈示方式や教示の仕方によって,判断がゆがめられてしまう可能性があることも指摘されています。本細目では,これらの記憶の想起を支援する手法がどのように使用されるのかを整理し,それぞれの長所と短所について整理します。
キーワード
① 被暗示性 ② オープン質問とクローズド質問 ③ 情報源忘却現象 ④ 面割り ⑤ 同時呈示方式と継時呈示方式
コマの展開方法
社会人講師
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教科書
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小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:この回では,子どもや高齢者といった,証拠的価値の高い目撃証言を得るために配慮や工夫が必要な目撃者に対する証言について整理しました。授業内容を振り返り,どのような点に留意する必要があるのか,また,どのような工夫や対策が求められるのかについて説明できるようにしておきましょう。さらに,記憶の想起を支援する方法として,「似顔絵」「モンタージュ写真」「手配写真」「面割り」といった手法について,それぞれの特徴を整理してください。その際,ChatGPT等の生成AIを活用して用語や考え方を確認しても構いませんが,生成AIは発展途上の技術であり誤った情報を含む可能性があるため,授業内容やシラバスで指定した参考書,配布資料と照合しながら活用してください。
予習:次回は,本科目の講義内容の前半部分をまとめる回になります。犯罪者プロファイリングおよび地理的プロファイリングの目的と手法について,第2回から第5回までの資料を復習しておきましょう。また,目撃証言の正確性を低下させる要因や,それに対する対策について,第6回および第7回の資料を確認しておきましょう。理解が不十分な用語や概念については,ChatGPT等の生成AIを活用して整理しても構いませんが,必ずシラバスで指定した参考書や配布資料と照らし合わせながら,適切に活用してください。
8
まとめ①
科目の中での位置付け
この科目では,捜査心理学の基本的な知識を身につけ,犯罪捜査の取り組みにおいて,心理学がどのように貢献できるのかを理解することを目的とします。そのために,犯罪の発生から起訴までの一連の捜査の過程のなかでも,プロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマについて,科学的方法に基づく研究の成果を概観します。はじめに,近年の犯罪の動向や,捜査心理学の関心について解説します。そして,最初のテーマであるプロファイリングについて,犯罪者プロファイリングと地理的プロファイリングの目的や手続きについて解説します。次に,2つめのテーマである目撃証言について,どのような要因が目撃証言に影響を及ぼすのか,また,効果的な目撃証言を収集するためにどのような方法が開発されているかを学びます。そして,3つめのテーマとして,しばしばウソ発見器として知られているポリグラフ検査について,原理や手法,測定される指標を解説していきます。さらに,4つめのテーマとして,効果的な取調べの手法や説得の技法について紹介します。このような流れの中で,本回では,プロファイリングおよび目撃証言について,前半の講義内容のまとめを行います。
① 配布資料
② 配布資料
③ 配布資料
コマ主題細目
① 犯罪者プロファイリングの復習 ② 地理的プロファイリングの復習 ③ 目撃証言の復習
細目レベル
① まず,犯罪者プロファイリングの目的を確認します。犯罪者プロファイリングには,臨床的プロファイリングと統計的プロファイリングという2つの手法があることを学んできました。臨床的プロファイリングはFBI方式とも呼ばれ,「秩序型」と「無秩序型」の類型が示されています。一方,統計的プロファイリングはリヴァプール方式とも呼ばれ,「犯行テーマベース・アプローチ」と「犯行行動ベース・アプローチ」に大別されます。本細目では,これらのプロファイリング手法について,それぞれの目的や特徴を復習するとともに,FBI方式とリヴァプール方式の違いを比較します。さらに,犯罪者プロファイリングの課題や今後の展望についても再度整理します。
② 次に,地理的プロファイリングの目的を確認します。そして,地理的プロファイリングが仮定する複数の理論的背景を知り,犯罪者の行動範囲に関する法則を理解します。また,地理的プロファイリングの手法には,空間分布法と確率距離法という2つのアプローチがあることを学んできました。これらのアプローチにおいて,どのようなことが導き出され,どのような情報が扱われるのか,そして,それがどのような理由に基づいているのかということについて整理していきます。さらに,空間のほうから犯罪を予測するという考え方や,「クライム・マッピング」について,復習します。どのような場所に犯罪が集中しやすいのか,特徴や原因を再確認しましょう。
③ 最後に,どのような要因が目撃証言に影響を及ぼすと考えられるのか,また,どのような対策を講じることで目撃証言の正確性をできる限り損なわずに事件情報を聴取できるのかについて復習します。情報の知覚から想起までの過程のうち,「知覚・記銘段階」「保持段階」「想起段階」において,目撃証言に影響を及ぼし得る要因や,証言の正確性が低下することを説明する諸現象を整理します。さらに,子どもや高齢者といった,証拠的価値の高い目撃証言を得るために配慮や工夫が必要な目撃者への対応について確認します。また,記憶の想起を支援する方法として,「似顔絵」「モンタージュ写真」「手配写真」「面割り」といった手法についても,それぞれの特徴を復習します。
キーワード
① 犯罪者プロファイリング ② 地理的プロファイリング ③ クライム・マッピング ④ 目撃証言 ⑤ 面割り
コマの展開方法
社会人講師
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該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:この回では,本科目の前半部分にあたる講義内容のまとめを行いました。まず,犯罪者プロファイリングがFBI方式とリヴァプール方式に分けられること,それぞれの目的や手法について整理してください。次に,地理的プロファイリングについて,空間分布法と確率距離法という2つのアプローチの目的や特徴を整理してください。最後に,目撃証言に影響を及ぼし得る要因や,その正確性を維持するために必要な対策についてまとめてください。その際,ChatGPT等の生成AIを活用して用語や考え方を確認しても構いませんが,生成AIは発展途上の技術であり誤った情報を含む可能性があるため,授業内容やシラバスで指定した参考書,配布資料と照合しながら活用してください。
予習:次回から3回はポリグラフ検査に関する回になります。次回は,虚偽検出の歴史的な試みと,現在実務で用いられているポリグラフ検査について解説します。参考書の該当ページを熟読し,内容の要点を整理しておきましょう。分からない用語や理解が難しい箇所については,ChatGPT等の生成AIを活用して基本的な意味を確認しても構いませんが,必ずシラバスで指定した参考書や配布資料と照らし合わせながら,適切に活用してください。
9
ポリグラフ検査①
科目の中での位置付け
この科目では,捜査心理学の基本的な知識を身につけ,犯罪捜査の取り組みにおいて,心理学がどのように貢献できるのかを理解することを目的とします。そのために,犯罪の発生から起訴までの一連の捜査の過程のなかでも,プロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマについて,科学的方法に基づく研究の成果を概観します。はじめに,近年の犯罪の動向や,捜査心理学の関心について解説します。そして,最初のテーマであるプロファイリングについて,犯罪者プロファイリングと地理的プロファイリングの目的や手続きについて解説します。次に,2つめのテーマである目撃証言について,どのような要因が目撃証言に影響を及ぼすのか,また,効果的な目撃証言を収集するためにどのような方法が開発されているかを学びます。そして,3つめのテーマとして,しばしばウソ発見器として知られているポリグラフ検査について,原理や手法,測定される指標を解説していきます。さらに,4つめのテーマとして,効果的な取調べの手法や説得の技法について紹介します。このような流れの中で,本回では,歴史的な虚偽検出の試みと,現在実務で用いられているポリグラフ検査について整理します。
① 配布資料,参考書③: P121-124
② 配布資料,参考書②: P357-360
③ 配布資料,参考書②: P357-360
コマ主題細目
① 嘘を見破る試みの歴史 ② 対照質問法 ③ 隠匿情報検査
細目レベル
① 犯罪行為を行った人は,できれば刑罰を受けたくないと考え,自らが犯人であることを認めない場合があります。そのため,犯罪捜査に携わる人々は,古くから嘘をどのように見破るかという点に関心を持ち,さまざまな方法について研究を続けてきました。最も古典的な方法としては,容疑者が本来知るはずのない事実を誘導し,うっかり発言させるといった手法があり,推理小説やドラマなどにも描かれています。ほかにも,ノンバーバル行動からの虚偽検出,表情の偽装の見破り,連想検査を用いた虚偽検出など,さまざまな試みが行われてきました。本細目では,これらの歴史的な虚偽検出の方法を整理したうえで,ポリグラフ検査の基礎となった,嘘をつく際の生理学的変化を利用して虚偽を検出できないかというロンブローゾの試みについて解説します。
② 現在,ポリグラフ検査には,大きく分けて「嘘そのものを検出する方法」と「隠している情報を検出する方法」の2つがあります。前者の代表的な方法として,「対照質問法(Control Question Test:CQT)」があります。この方法は,1947年にリードによって考案されたもので,主に海外において限定的に用いられてきました。非検査者の返答が真実であるか虚偽であるかを推定することを目的とする検査で,無関係質問,関係質問,対照質問という3種類の質問から構成されます。一方で,質問構成や被検査者の心理状態に結果が左右されやすいことなどから,科学的妥当性や解釈の難しさが指摘されています。そのため,日本の犯罪捜査実務では採用されていません。本細目では,対照質問法の基本的な手続きとともに,その問題点や限界について理解します。
③ ポリグラフ検査のもう1つの手法として,隠している情報を検出する方法に「隠匿情報検査(Concealed Information Test:CIT)」があります。この方法は,有罪知識質問法とも呼ばれ,対照質問法の問題点を克服するために開発されました。現在,日本の犯罪捜査において実施されているポリグラフ検査は,この隠匿情報検査のみです。隠匿情報検査では,非検査者が事件に関する事実を認識しているかどうか,すなわち,記憶しているかどうかを調べます。犯人のみが知り得る事件内容に関する項目である裁決項目と,同じカテゴリーに属するが事件とは無関係な内容に関する非裁決項目を組み合わせた質問表を用いて検査が行われます。本細目では,隠匿情報検査がどのような手続きで実施されるのかについて,具体的な内容を通して解説します。
キーワード
① 虚偽検出 ② 対照質問法 ③ 隠匿情報検査 ④ 裁決項目 ⑤ 非裁決項目
コマの展開方法
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教科書
コマ用オリジナル配布資料
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小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:この回では,歴史的な虚偽検出の試みと,現在実務で用いられているポリグラフ検査について整理しました。授業内容を振り返り,現在のポリグラフ検査に至るまでに,どのような虚偽検出の試みが行われてきたのかを確認してください。また,犯罪捜査場面で用いられているポリグラフ検査の手法のうち,対照質問法と隠匿情報検査について,それぞれの目的と内容を具体的に説明できるようにしておきましょう。その際,ChatGPT等の生成AIを活用して用語や考え方を確認しても構いませんが,生成AIは発展途上の技術であり誤った情報を含む可能性があるため,授業内容やシラバスで指定した参考書,配布資料と照合しながら活用してください。
予習:次回は,3回にわたるポリグラフ検査の回のうち,ポリグラフ検査の原理や測定指標について解説します。参考書の該当ページを熟読し,内容の要点を整理しておきましょう。分からない用語や理解が難しい箇所については,ChatGPT等の生成AIを活用して基本的な意味を確認しても構いませんが,必ずシラバスで指定した参考書や配布資料と照らし合わせながら,適切に活用してください。
10
ポリグラフ検査②
科目の中での位置付け
この科目では,捜査心理学の基本的な知識を身につけ,犯罪捜査の取り組みにおいて,心理学がどのように貢献できるのかを理解することを目的とします。そのために,犯罪の発生から起訴までの一連の捜査の過程のなかでも,プロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマについて,科学的方法に基づく研究の成果を概観します。はじめに,近年の犯罪の動向や,捜査心理学の関心について解説します。そして,最初のテーマであるプロファイリングについて,犯罪者プロファイリングと地理的プロファイリングの目的や手続きについて解説します。次に,2つめのテーマである目撃証言について,どのような要因が目撃証言に影響を及ぼすのか,また,効果的な目撃証言を収集するためにどのような方法が開発されているかを学びます。そして,3つめのテーマとして,しばしばウソ発見器として知られているポリグラフ検査について,原理や手法,測定される指標を解説していきます。さらに,4つめのテーマとして,効果的な取調べの手法や説得の技法について紹介します。このような流れの中で,本回では,ポリグラフ検査の原理および測定指標について解説します。
① 配布資料,参考書②: P367-369
② 配布資料,参考書②: P367-376
③ 配布資料,参考書②: P367-402
コマ主題細目
① ポリグラフ検査の原理 ② 自律神経系のポリグラフ検査 ③ 中枢神経系のポリグラフ検査
細目レベル
① ポリグラフ検査の原理は弁別にあります。弁別とは,ある刺激や情報を,他のものとは異なるものとして認識することを指します。ポリグラフ検査において,検査者が「犯人が使ったのは〇〇ですか」と質問し,被検査者が「いいえ」と答えるという流れは広く知られていますが,この方法で直接調べているのは「嘘」そのものではありません。実際に検出されているのは,「犯人と捜査官しか知り得ない情報」を被検査者が認識しているかどうかです。本細目では,このような検査がどのような理屈に基づいて成り立っているのかを整理します。また,この方法で測定される皮膚電気活動などの自律神経系反応は,「定位反応」と呼ばれる反応であり,情報の新奇性や有意性と深く関係しています。隠匿情報検査において観察される定位反応が,これらのどの側面と関連しているのかについて,理論や研究成果を踏まえて理解します。
② 実務で行われているポリグラフ検査では,複数の自律神経系反応を指標として測定が行われます。自律神経系とは,血圧や心拍数,呼吸数など,体内の生理的プロセスを自動的に調節する神経系であり,意識的な制御が困難であるという特徴を持ちます。現在,日本でポリグラフ検査の測定に用いられている自律神経系の主な指標には,皮膚電気活動,心臓血管系反応,呼吸運動があります。本細目では,それぞれの指標について,どのような装置や手続きによって測定されるのか,また,どの程度の精度で判定が行われているのかを整理します。さらに,これらの自律神経系指標が,ポリグラフ検査の過程において,どのような時間的順序で生起し変化するのか,その生起メカニズムについても確認します。
③ これまでに述べてきたように,現在のポリグラフ検査は,主として末梢神経系の活動を指標としています。末梢神経系の反応は,心拍や脈拍,皮膚電気活動,呼吸などに代表され,反応の変化が比較的大きく測定しやすいという利点があります。そのため,これまでに多くの研究や検査結果が蓄積され,反応の解析方法や判定基準が整備されてきました。一方で,中枢神経系を指標とするポリグラフ検査は,知覚や再認から返答に至るまでの情報処理過程を対象とするため,記憶に基づく虚偽検出の指標として,末梢神経系よりも直接的かつ精緻に分析できる可能性があります。本細目では,ポリグラフ検査への応用が検討されてきた中枢神経系の指標として,脳波(事象関連電位),機能的磁気共鳴画像法(fMRI),脳磁図(MEG),ポジトロン断層撮影法(PET),機能的近赤外線分光法(fNIRS)を取り上げ,それぞれの特徴を整理します。
キーワード
① 弁別 ② 定位反応 ③ 有意性 ④ 末梢神経系 ⑤ 中枢神経系
コマの展開方法
社会人講師
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ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:この回では,ポリグラフ検査の原理や測定指標について解説しました。授業内容を振り返り,ポリグラフ検査の原理が何であるのか,特に,隠匿情報検査において観察される定位反応が,新奇性と有意性のどちらに関わっているのかを整理してください。また,ポリグラフ検査で測定されている指標が,末梢神経系と中枢神経系にどのように分類され,それぞれにどのような特徴があるのかをまとめてください。その際,ChatGPT等の生成AIを活用して用語や理論の理解を補っても構いませんが,生成AIは発展途上の技術であり誤った情報を含む可能性があるため,授業内容やシラバスで指定した参考書,配布資料と照合しながら活用してください。
予習:次回は,3回にわたるポリグラフ検査の回のうち,実務においてポリグラフ検査がどのように運用されているのかを解説し,簡単な体験を行います。参考書の該当ページを熟読し,内容の要点を整理しておきましょう。また,第9回で扱った対照質問法および隠匿情報検査についても振り返っておくとよいでしょう。分からない用語については,ChatGPT等の生成AIを活用して確認しても構いませんが,必ずシラバスで指定した参考書や配布資料と照らし合わせながら,適切に活用してください。
11
ポリグラフ検査③
科目の中での位置付け
この科目では,捜査心理学の基本的な知識を身につけ,犯罪捜査の取り組みにおいて,心理学がどのように貢献できるのかを理解することを目的とします。そのために,犯罪の発生から起訴までの一連の捜査の過程のなかでも,プロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマについて,科学的方法に基づく研究の成果を概観します。はじめに,近年の犯罪の動向や,捜査心理学の関心について解説します。そして,最初のテーマであるプロファイリングについて,犯罪者プロファイリングと地理的プロファイリングの目的や手続きについて解説します。次に,2つめのテーマである目撃証言について,どのような要因が目撃証言に影響を及ぼすのか,また,効果的な目撃証言を収集するためにどのような方法が開発されているかを学びます。そして,3つめのテーマとして,しばしばウソ発見器として知られているポリグラフ検査について,原理や手法,測定される指標を解説していきます。さらに,4つめのテーマとして,効果的な取調べの手法や説得の技法について紹介します。このような流れの中で,本回では,実務においてポリグラフ検査がどのように運用されているのかを解説し,簡単な質問表作成の体験を行います。
① 配布資料,参考書②: P360-363
② 配布資料,参考書②: P367-402
③ 教科書P98~P99
コマ主題細目
① 実務での運用 ② ポリグラフ検査に関する研究 ③ 質問表の作成体験
細目レベル
① これまでの内容で,隠匿情報検査が日本で用いられているポリグラフ検査の手法であることを学んできましたが,実務の場面ではどのように運用されているのでしょうか。大まかな流れとしては,まず事前打ち合わせと質問表の作成を行います。この段階では,事件に関わった者しか知り得ない内容に基づく質問項目を用意する必要があります。次に,ポリグラフ装置の装着と事前面接を行います。事前面接では,被検査者が事件について何をどこまで知っているのかを確認します。その後,模擬検査を実施します。この段階では,被検査者に検査手続きを理解してもらうこと,生理反応のパターンを把握すること,装置が適切に機能しているかを確認することを目的とします。最後に,本検査を実施し,得られた反応を評価するという手順になります。
② 第10回では,中枢神経系の指標として,ポリグラフ検査への適用可能性が高いものに脳波やfMRIがあることを解説しました。本細目では,オッドボール課題を用いて,これらの指標を測定した研究について紹介します。オッドボール課題とは,呈示頻度の低い刺激と高い刺激を無作為な順序で提示し,低頻度刺激をターゲットとして検出させる課題です。隠匿情報検査の質問構成に当てはめると,裁決質問が低頻度刺激に,非裁決質問が高頻度刺激に対応します。これらの研究結果から,実務への応用可能性について確認します。また,ポリグラフ検査は物事に動じにくい人には効果が薄く,神経質な人では反応が全体的に高くなるといった認識が見られることもありますが,このようなパーソナリティ特性が検査結果に影響を及ぼすかどうかを検討した研究についても紹介します。
③ 最後に,これまでに扱ってきた内容のうち,対照質問法と隠匿情報検査について,質問項目を作成する簡易的な体験を行います。用意された複数の仮想事件資料を読み,どのような質問項目を設定するのかを検討します。さらに,どの質問項目に対する自律神経系反応を,どの質問項目に対する反応と比較することで,各検査法において知りたい情報が得られるのかを考えます。あわせて,どのような反応が期待されるのかについても検討します。本授業では,自律神経系反応の測定そのものは行いませんが(自律神経系反応の測定については演習授業で体験します),どのような質問項目が適切であるのかを,理由とともに整理し,授業内で提出してもらう予定です。
キーワード
① ポリグラフ検査の運用 ② 事前面接 ③ 模擬検査 ④ 証拠価値 ⑤ ポリグラフ検査の体験
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:この回では,実務においてポリグラフ検査がどのように運用されているのかを解説し,簡単な体験を行いました。授業内容を振り返り,ポリグラフ検査がどのような手続きで実施されるのかを説明できるようにしてください。また,ポリグラフ検査の手法である対照質問法と隠匿情報検査について,それぞれの特徴や質問項目の構成を再確認し,理解を深めましょう。その際,ChatGPT等の生成AIを活用して用語や考え方を確認しても構いませんが,生成AIは発展途上の技術であり誤った情報を含む可能性があるため,授業内容やシラバスで指定した参考書,配布資料と照合しながら活用してください。
予習:次回は,取調べをテーマとして授業を進めます。特に,取調べに関わる面接技法や取調べの留意点について解説します。参考書の該当ページを熟読し,内容の要点を整理しておきましょう。分からない用語や理解が難しい箇所については,ChatGPT等の生成AIを活用して確認しても構いませんが,必ずシラバスで指定した参考書や配布資料と照らし合わせながら,適切に活用してください。
12
取調べ①
科目の中での位置付け
この科目では,捜査心理学の基本的な知識を身につけ,犯罪捜査の取り組みにおいて,心理学がどのように貢献できるのかを理解することを目的とします。そのために,犯罪の発生から起訴までの一連の捜査の過程のなかでも,プロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマについて,科学的方法に基づく研究の成果を概観します。はじめに,近年の犯罪の動向や,捜査心理学の関心について解説します。そして,最初のテーマであるプロファイリングについて,犯罪者プロファイリングと地理的プロファイリングの目的や手続きについて解説します。次に,2つめのテーマである目撃証言について,どのような要因が目撃証言に影響を及ぼすのか,また,効果的な目撃証言を収集するためにどのような方法が開発されているかを学びます。そして,3つめのテーマとして,しばしばウソ発見器として知られているポリグラフ検査について,原理や手法,測定される指標を解説していきます。さらに,4つめのテーマとして,効果的な取調べの手法や説得の技法について紹介します。このような流れの中で,本回では,取調べに関わる面接技法や具体的手法,および取調べにおける注意点について整理します。
① 配布資料,参考書②: P453-466
② 配布資料,参考書②: P477-490
③ 配布資料,参考書②: P466-469
コマ主題細目
① 犯罪捜査と面接 ② 取り調べ手法 ③ 取り調べを取り巻く課題
細目レベル
① 犯罪捜査に従事する捜査員にとって,面接(インタビュー)は非常に重要な技術です。捜査面接には,大きく分けて2つの目的があり,被害者や目撃者から事件に関する情報を収集する面接と,被疑者や容疑者を対象として,真犯人であれば適切な供述を得るための面接があります。前者については,第6回および第7回の授業でも扱った内容であり,正確な目撃証言を引き出すことを目的とした認知面接が代表的な手法です。本細目では,まず認知面接について,どのようなテクニックがどのような手続きで用いられるのかを整理します。さらに,認知面接を習得するための訓練方法についても紹介します。そのうえで,これらの認知面接の基本的な考え方が,取調べにおける面接にも応用されていることを確認します。
② 取調べの基本的な考え方は,協力的な関係を構築し,有効な捜査情報を引き出すことにあります。そのため,これまでに述べてきたように,認知面接の基盤となる記憶促進手法や,ラポールの形成といった心理学的知見が取調べにも取り入れられています。英米を中心とした海外の捜査機関では,心理学的研究に基づくさまざまな捜査面接手法が開発され,実際の捜査に導入されてきました。一方で,わが国では,取調べは長らく経験に基づく技能として継承されてきたと指摘されてきました。しかし近年では,科学的根拠に基づく取調べ手法への関心が高まり,2012年には教本としての「取調べ(基礎編)」が策定されています。本細目では,欧米で開発された代表的な取調べ手法であるリードテクニックとPEACEモデルを紹介し,日本における取調べの高度化の流れについて整理します。
③ 取調べは,対象者から真の供述を得ることを目的として行われますが,刑事司法においては,実際に犯罪を行った者から正確な自白を得ることと,同時に,無実の者から虚偽の自白を引き出さないことの両立が重要な課題となります。本細目では,取調べにおいて特に問題となり得る現象として,「虚偽自白」「被誘導性」「確証バイアス」を取り上げます。まず,虚偽自白とは,実際には犯罪を行っていない者が自白する現象であり,自発型,強制・追従型,強制・内面化型の3つのタイプがあることを理解します。次に,第6回で学んだ事後情報効果の内容を踏まえ,誘導の危険性を低減するための取調べ上の工夫について整理します。最後に,人間に一般的にみられる認知的偏りの1つである確証バイアスが,取調べに与える影響について解説します。
キーワード
① 認知面接 ② ラポール ③ リードテクニック ④ PEACEモデル ⑤ 虚偽自白
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
授業内容を振り返り,取調べにはどのような手法があるのかを確認しておきましょう。特に,第6回および第7回で扱った目撃証言の内容も参照し,認知面接の考え方が取調べにも応用されている点を理解してください。また,取調べにおいて重要な問題となり得る「虚偽自白」「被誘導性」「確証バイアス」について,それぞれの内容と,どのような対策が考えられるのかを整理しましょう。その際,ChatGPT等の生成AIを活用して用語や考え方を確認しても構いませんが,生成AIは発展途上の技術であり誤った情報を含む可能性があるため,授業内容やシラバスで指定した参考書,配布資料と照合しながら活用してください。
予習:次回も,引き続き取調べをテーマとして授業を進めます。参考書の該当ページを熟読し,内容の要点を整理しておきましょう。分からない用語や理解が難しい箇所については,ChatGPT等の生成AIを活用して確認しても構いませんが,必ずシラバスで指定した参考書や配布資料と照らし合わせながら,適切に活用してください。
13
取調べ②
科目の中での位置付け
この科目では,捜査心理学の基本的な知識を身につけ,犯罪捜査の取り組みにおいて,心理学がどのように貢献できるのかを理解することを目的とします。そのために,犯罪の発生から起訴までの一連の捜査の過程のなかでも,プロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマについて,科学的方法に基づく研究の成果を概観します。はじめに,近年の犯罪の動向や,捜査心理学の関心について解説します。そして,最初のテーマであるプロファイリングについて,犯罪者プロファイリングと地理的プロファイリングの目的や手続きについて解説します。次に,2つめのテーマである目撃証言について,どのような要因が目撃証言に影響を及ぼすのか,また,効果的な目撃証言を収集するためにどのような方法が開発されているかを学びます。そして,3つめのテーマとして,しばしばウソ発見器として知られているポリグラフ検査について,原理や手法,測定される指標を解説していきます。さらに,4つめのテーマとして,効果的な取調べの手法や説得の技法について紹介します。このような流れの中で,本回では,取調べにおける否認や自白に関する研究について概観します。
① 配布資料,参考書①: P52-60
② 配布資料,参考書①: P60-66
③ 配布資料,参考書②: P469-471
コマ主題細目
① 取調べと否認 ② 取調べの成功要因 ③ 自白のモデル
細目レベル
① 取調べの対象者が真犯人である場合,自身にとって不利な供述を行う必要があるため,そう容易に自供が得られないことが予想されます。前回の授業では,取調べの技術を洗練させるための方法論に着目してきましたが,本細目では,取調べにおいて被疑者が否認する態度に影響を及ぼす要因に着目します。まず,取調べにおいて比較的容易に自供する者と,そうでない者を分ける基準が存在するのかについて,被疑者の特性に注目した研究を解説します。次に,被疑者にとって不利な証拠の強さと否認との関連について確認します。最後に,被疑者の否認の背景を理解するうえで重要な手がかりとなると考えられる,否認中の被疑者の感情や心理について整理します。
② 取調べの目的は,被疑者に不当な圧力や過度な不自由を与えることなく,正確で関連性があり,かつ十分な情報を効率的に収集することにあります。しかし,被疑者にとって,取調べで話すことは自己の不利益につながる可能性があるため,常に抵抗感や不安を伴います。そのため,取調べでは,情報を収集する以前に,被疑者の人格を尊重し,信頼される態度で接することによってラポールを形成することが不可欠となります。前回の授業で紹介した取調べ技法の重要性を踏まえつつ,本細目では,どのような要因が意思疎通の流れを妨げたり促進したりするのか,また,どのような要因が被疑者の自供を促進するのかという観点から,取調べの成功要因について整理します。
③ 取調べにおいて犯罪を自らが行ったと自白することは,法的制裁や社会的制裁につながり,被疑者にとって不利益な結果をもたらします。それにもかかわらず,被疑者が自白に至るのはなぜなのでしょうか。本細目では,自白を説明する理論モデルと,被疑者の立場から見た自白の理由について整理します。グッドジョンソンは,警察の取調べにおいて被疑者がなぜ自白するのかを説明するモデルとして,リードの自白モデル,意思決定モデル,認知的・行動的モデル,精神分析モデル,相互作用的プロセスモデルという5つの理論を挙げています。これらの理論を概観し,被疑者側から見た自白の理由として,3つの主要な因子が導き出されることについて理解します。
キーワード
① 取調べ ② 否認の理由 ③ 否認中の感情 ④ 自白のモデル ⑤ 自白の理由
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:この回では,取調べにおける否認や自白に関する研究について整理しました。授業内容を振り返り,被疑者が否認する態度に影響を及ぼすさまざまな要因について理解しておきましょう。また,否認中の被疑者の感情や心理,および,そのような否認傾向を示す被疑者に対して取調べが成功する要因について確認してください。さらに,なぜ被疑者が自白に至るのかという観点から,自白の心理学的モデルについて説明できるようにしておきましょう。その際,ChatGPT等の生成AIを活用して用語や考え方を確認しても構いませんが,生成AIは発展途上の技術であり誤った情報を含む可能性があるため,授業内容やシラバスで指定した参考書,配布資料と照合しながら活用してください。
予習:次回は,人質立てこもり事件における説得や交渉をテーマとして授業を進めます。参考書の該当ページを熟読し,内容の要点を整理しておきましょう。分からない用語や理解が難しい箇所については,ChatGPT等の生成AIを活用して確認しても構いませんが,必ずシラバスで指定した参考書や配布資料と照らし合わせながら,適切に活用してください。
14
人質交渉
科目の中での位置付け
この科目では,捜査心理学の基本的な知識を身につけ,犯罪捜査の取り組みにおいて,心理学がどのように貢献できるのかを理解することを目的とします。そのために,犯罪の発生から起訴までの一連の捜査の過程のなかでも,プロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマについて,科学的方法に基づく研究の成果を概観します。はじめに,近年の犯罪の動向や,捜査心理学の関心について解説します。そして,最初のテーマであるプロファイリングについて,犯罪者プロファイリングと地理的プロファイリングの目的や手続きについて解説します。次に,2つめのテーマである目撃証言について,どのような要因が目撃証言に影響を及ぼすのか,また,効果的な目撃証言を収集するためにどのような方法が開発されているかを学びます。そして,3つめのテーマとして,しばしばウソ発見器として知られているポリグラフ検査について,原理や手法,測定される指標を解説していきます。さらに,4つめのテーマとして,効果的な取調べの手法や説得の技法について紹介します。このような流れの中で,本回では,人質交渉に関する心理学的な援助について整理します。
① 配布資料,参考書①: P74-87
② 配布資料,参考書②: P492-496
③ 配布資料,参考書②: P496-504
コマ主題細目
① 人質立てこもり事件とその特徴 ② 人質交渉のテクニック ③ 心理学的コミュニケーションから見る説得方略
細目レベル
① 人質立てこもり事件とは,犯人が人質をとって特定の場所に立てこもり,何らかの要求をする,あるいは膠着状態に陥る事件を指します。わが国では比較的まれな事件ですが,事件の系統的な分析や説得・交渉の方法などにおいて,他の犯罪類型と同様に心理学が援助できる領域は多く存在します。一方で,科学的なアプローチに基づいて十分に検討されてきたとは言い難い分野でもあります。本細目では,人質立てこもり事件をいくつかのタイプに分類し,それぞれの特徴を整理します。さらに,これまで学んできた考え方と同様に,データに基づいて人質立てこもり事件の特徴を把握し,人質を無事に解放できるかどうかに関するリスク評価研究などを取り上げます。そのうえで,今後さらに検討が必要とされる研究課題について考えます。
② 人質交渉は,主に言語的な対話を通じて,犯人の行動を交渉人が望む方向へ誘導するコミュニケーションの一形態です。その基本的な原則は,一般的な対人コミュニケーションと共通しています。本細目では,まず犯人や人質に事件の進行過程でどのような心理的変化が生じ,それによってどのような行動が引き起こされると考えられるのかを整理します。そのうえで,一般的なコミュニケーションの基本原則を確認し,人質交渉に特化した方略への応用を検討します。具体的には,マックマインとムリンが提唱した,7つの人質交渉に特化したコミュニケーション方略を取り上げ,どのような態度で犯人と関わり,どのような言動をどのようなタイミングで用いることが有効とされているのかを確認します。
③ 最後に,社会心理学の領域で多くの研究が行われてきた説得研究や要請研究の知見について学びます。これまでに明らかにされてきた心理学的法則を適切に用いることは,人質交渉においても交渉を有利に進めるうえで重要であると考えられます。本細目では,フット・イン・ザ・ドア・テクニックやドア・イン・ザ・フェイス・テクニックといった代表的な説得技法とその原理について理解します。さらに,これらの説得技法を人質交渉の場面にどのように応用できるのかを検討します。加えて,人質交渉における「提案」のテクニックにも着目し,交渉人が犯人に対して行動の指針を暗示し,誘導することで,「自発的な」行動変化を促す方略について解説します。
キーワード
① 人質交渉 ② 立てこもり事件 ③ ストックホルム症候群 ④ 説得方略 ⑤ 提案テクニック
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:この回では,人質立てこもり事件を取り上げ,人質交渉に関する心理学的な援助について整理しました。授業内容を振り返り,人質立てこもり事件のタイプや特徴,データに基づく分析結果について確認しておきましょう。また,犯人および人質の心理と行動について理解を深めてください。さらに,説得研究や要請研究によって明らかにされてきた心理学的法則を,人質交渉の方略にどのように取り入れることができるのかについて説明できるようにしておきましょう。その際,ChatGPT等の生成AIを活用して用語や考え方を確認しても構いませんが,生成AIは発展途上の技術であり誤った情報を含む可能性があるため,授業内容やシラバスで指定した参考書,配布資料と照合しながら活用してください。
予習:次回は,本科目の後半部分の講義内容をまとめる回になります。教科書は用いませんので,第9回から第14回までに作成したレジュメ等を用いて,ポリグラフ検査や取調べに関する内容を中心に復習しておいてください。理解が不十分な用語や概念については,ChatGPT等の生成AIを活用して確認しても構いませんが,必ずシラバスで指定した参考書や配布資料と照らし合わせながら,適切に活用してください。
15
まとめ②
科目の中での位置付け
この科目では,捜査心理学の基本的な知識を身につけ,犯罪捜査の取り組みにおいて,心理学がどのように貢献できるのかを理解することを目的とします。そのために,犯罪の発生から起訴までの一連の捜査の過程のなかでも,プロファイリング,目撃情報,ポリグラフ検査,取調べという4つの大きなテーマについて,科学的方法に基づく研究の成果を概観します。はじめに,近年の犯罪の動向や,捜査心理学の関心について解説します。そして,最初のテーマであるプロファイリングについて,犯罪者プロファイリングと地理的プロファイリングの目的や手続きについて解説します。次に,2つめのテーマである目撃証言について,どのような要因が目撃証言に影響を及ぼすのか,また,効果的な目撃証言を収集するためにどのような方法が開発されているかを学びます。そして,3つめのテーマとして,しばしばウソ発見器として知られているポリグラフ検査について,原理や手法,測定される指標を解説していきます。さらに,4つめのテーマとして,効果的な取調べの手法や説得の技法について紹介します。このような流れの中で,本回では,ポリグラフ検査と取調べについて後半の講義内容について総括します。
① 配布資料
② 配布資料
③ 配布資料
コマ主題細目
① ポリグラフ検査の復習 ② 取調べの復習 ③ 説得・交渉方略の復習
細目レベル
① まず,ポリグラフ検査の手法について復習します。犯罪捜査場面で用いられるポリグラフ検査には,大きく分けて2つの方法があり,対照質問法は被検査者の返答が真実であるか虚偽であるかを調べる手法であり,隠匿情報検査は,被検査者が事件事実を認識しているかどうかを調べる手法です。特に,日本で用いられている隠匿情報検査について,どのような利点があり,どのように運用されているのかを整理します。また,ポリグラフ検査の原理が弁別に基づくものであることや,測定される指標がどのような意味をもつのかについても復習します。さらに,ポリグラフ検査では自律神経系反応を主な指標として扱いますが,末梢神経系の指標だけでなく,中枢神経系の指標にも注目が集まっていることを,その利点とともに整理します。
② 次に,取調べについてまとめます。取調べの基本的な考え方は,被疑者や協力的な関係者から情報を引き出すことであり,その過程において認知面接の基本的手法が取り入れられていることを講義で扱いました。本細目では,欧米で開発された代表的な取調べ手法であるリードテクニックとPEACEモデルについて復習し,それぞれの特徴を整理します。また,無実の者から虚偽の自白を引き出してしまうことが,取調べにおける重要な問題である点についても確認します。どのような要因が虚偽自白につながるのかを振り返るとともに,被疑者の否認する態度に影響を及ぼす要因や,そのような被疑者から自白を得るための成功要因についても整理します。さらに,自白に至る心理的プロセスを説明する理論モデルについてもまとめます。
③ 最後に,人質立てこもり事件を取り上げ,人質交渉に関する心理学的援助について復習します。まず,人質立てこもり事件のタイプや特徴,および,それらに関するデータや分析結果を振り返ります。次に,犯人および人質の心理と行動について講義した内容を整理します。そのうえで,マックマインとムリンが提唱した,7つの人質交渉に特化したコミュニケーション方略を確認します。さらに,代表的な説得技法とその原理について復習し,説得研究や要請研究によって明らかにされてきた心理学的法則を,人質交渉の方略にどのように応用できるのかを整理します。これらの内容を踏まえ,科学的アプローチに基づく研究が比較的少ない説得・交渉方略の領域において,今後検討が必要とされる課題について考えます。
キーワード
① ポリグラフ検査 ② 対照質問法と隠匿情報検査 ③ 取調べ ④ 虚偽自白 ⑤ 人質交渉
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
復習:この回では,本科目の後半部分にあたる講義内容のまとめを行いました。まず,ポリグラフ検査について,手法,測定指標,原理など,講義で扱った内容を振り返り,どのように運用されているのかを整理してください。次に,取調べについて,被疑者や協力的な関係者から情報を引き出すために有効とされる技術や,被疑者の否認する態度や自白に影響を及ぼす要因について整理してください。さらに,人質交渉の場面において効果的な説得や交渉の方略として,説得研究や要請研究の知見をどのように応用できるのかを,具体的な方略とともにまとめてください。最後に,本授業の前半で扱ったプロファイリングや目撃証言についても再確認し,犯罪捜査において多様な観点から心理学的支援が可能であることを整理しましょう。
予習(期末試験対策):次回は期末試験を実施します。これまでの授業内容を振り返り,プロファイリング,目撃証言,ポリグラフ検査,取調べ,人質交渉といった各テーマについて,重要な概念や理論,研究知見を整理しておきましょう。その際,ChatGPT等の生成AIを活用して,試験範囲に基づいた練習問題を自ら作成し,それに取り組むことで理解を深めることも有効です。ただし,生成AIは発展途上の技術であり,誤った内容を含む可能性があるため,授業で配布した資料や参考書,自身のレジュメと照合しながら活用してください。自分で説明できるかどうかを確認しながら,期末試験に向けた準備を行いましょう。
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
犯罪者プロファイリング
犯罪者プロファイリングについて,犯罪捜査においてどのような目的で用いられる心理学的支援手法であるかを説明できることを履修判定の指標とする。具体的には,FBI方式に代表される臨床的プロファイリングと,リヴァプール方式に代表される統計的プロファイリングの特徴と相違点を理解し,それぞれがどのような情報に基づいて犯人像を推定する手法であるかを説明できる必要がある。また,犯罪者プロファイリングが犯人を直接特定する技術ではなく,捜査の方向性を絞り込むための支援的手法であることを理解し,その有効性と限界についても言及できることを求める。本指標および次の地理的プロファイリングに関する指標については,プロファイリング全体として集約的に評価し,合計25点として履修判定を行う。
FBI方式,リヴァプール方式,臨床的プロファイリング,統計的プロファイリング,捜査支援 など
15
1,2,3,4,5,8
地理的プロファイリング・クライム・マッピング
犯地理的プロファイリングについて,犯罪捜査においてどのような目的で用いられるかを理解し,その基本的な考え方を説明できることを履修判定の指標とする。具体的には,空間分布法および確率距離法がそれぞれどのような推定を行うアプローチであるかを説明できる必要がある。また,地理的プロファイリングが仮定する理論的背景として,合理的選択理論やメンタルマップの考え方を理解し,犯罪者の行動範囲に関する法則について説明できることを求める。さらに,クライム・マッピングの基本的概念を理解し,犯罪のホットスポットに見られる特徴や原因について説明できることを履修到達の水準とする。本指標および上の犯罪者プロファイリングに関する指標については,プロファイリング全体として集約的に評価し,合計25点として履修判定を行う。
地理的プロファイリング,空間分布法,確率距離法,メンタルマップ,クライム・マッピング,犯罪ホットスポット など
10
2,3,4,5,8
目撃証言
目撃証言に関する基礎的な心理学的知見を理解し,捜査における証拠としての特性を説明できることを履修判定の指標とする。具体的には,知覚・記銘段階,保持段階,想起段階のそれぞれにおいて,目撃証言の正確性に影響を及ぼす要因を説明できる必要がある。凶器注目効果や事後情報効果といった代表的な現象について理解し,それらがどのように証言の歪みにつながるかを説明できることを求める。また,子どもや高齢者といった配慮を要する目撃者の特徴を理解し,適切な聴取方法について説明できること,さらに,似顔絵,モンタージュ写真,手配写真,面割りなどの記憶想起支援手法の長所と短所を説明できることを履修水準とする。
目撃証言,凶器注目効果,事後情報効果,被暗示性,面割り,情報源忘却現象 など
25
1, 6,7,8
ポリグラフ検査
ポリグラフ検査について,犯罪捜査における位置づけと心理学的原理を理解し,その内容を説明できることを履修判定の指標とする。具体的には,対照質問法と隠匿情報検査の違いを理解し,特に日本の捜査実務で隠匿情報検査が用いられている理由を説明できる必要がある。また,ポリグラフ検査の原理が弁別に基づくものであることを理解し,定位反応や有意性といった概念について説明できることを求める。さらに,皮膚電気活動や心臓血管系反応などの末梢神経系指標の特徴,中枢神経系指標への応用可能性について理解し,それぞれの利点と限界を説明できることを履修水準とする。
対照質問法,隠匿情報検査,裁決項目,有意性,定位反応,自律神経系反応,中枢神経系,事象関連電位 など
25
1,9,10,11,15
取調べ・説得・交渉
取調べおよび説得・交渉に関する心理学的知見を理解し,捜査実務における意義を説明できることを履修判定の指標とする。具体的には,認知面接の基本的な考え方や,リードテクニック,PEACEモデルといった代表的な取調べ手法の特徴を理解し,それぞれの目的や留意点を説明できる必要がある。また,虚偽自白が生じる要因として,被誘導性や確証バイアスなどの心理的要因を理解し,その防止のための工夫について説明できることを求める。さらに,人質交渉において有効とされるコミュニケーション方略や説得技法について理解し,心理学的知見をどのように応用できるかを説明できることを履修到達の水準とする。
取調べ,認知面接,ラポール,虚偽自白,被誘導性,確証バイアス,人質交渉,ストックホルム症候群,フット・イン・ザ・ドアテクニック,提案テクニック など
25
1,12,13,14,15
評価方法
出席回数の基準をクリアしていることを前提として、定期試験の結果によって評価します。
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
なし
参考文献
①渡辺昭一(編)『捜査心理学』,北大路書房,2500円+税
②越智啓太・桐生正幸(編著)『テキスト司法・犯罪心理学』,北大路書房,5800円+税
③越智啓太(著)『ケースで学ぶ犯罪心理学』,北大路書房,1900円+税
実験・実習・教材費
なし