区分 基盤教養科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力 科学コミュニケーション力 研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養 応用力 実践力
科目間連携 総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ

科目の目的
本授業は、総合心理学科において専門科目を学び、さらにスキル科目を通して自ら研究を行うための基礎を築くことを目的とする。本授業では、人間の「心」がどのように比較され、観察され、測定され、実験の対象として扱われるようになっていったのかをたどることを通して、心理学という学問がいかにして科学として成立してきたのかを理解することを目指す。心はもともと、哲学や文学の中で、内面、主体、思考、生命といった観点から論じられてきたが、近代以降、それはしだいに身体や感覚との関係の中で捉え直され、自然科学的に接近される対象となっていく。本授業では、カントにおける経験の条件の分析、『フランケンシュタイン』に示される生命と人間理解の揺らぎ、ダーウィンによる感情表現の比較、生理学による感覚と神経の研究、フェヒナーの精神物理学、ヴントの実験心理学を手がかりとして、心がどのようにして数値化・法則化・制度化の対象となっていったのかを学ぶ。これにより、心理学とは単に心について語る学問ではなく、心をどのように捉え、どのような方法で研究しうるかを問い続ける中で形成されてきた学問であることを理解し、現代心理学の方法的基盤を学ぶための土台を形成する。
到達目標
① 近代における経験・生命・人間理解の再編を理解し、カントを手がかりとして、心が経験の条件としてどのように捉え直されたのかを把握し、後半の心理学成立史へ接続する問題設定を理解できる。また、『フランケンシュタイン』のような文学作品において、生命と人間がどのような問題として描かれ、その中で心がどのような存在として表現されたのかを識別できる。
② 心が比較・観察・測定・数値化の対象として捉えられていく過程を理解し、ダーウィン、生理学、フェヒナーの議論を通して、科学的心理学成立のための方法的条件とその意義を把握できる。
③ ヴントを中心とする実験心理学の成立とその制度化・拡張を理解し、実験室、内観法、研究所、民族心理学などの観点から、心理学が独自の学問として形成されていく過程を把握できる。

科目の概要
本授業では、人間の「心」がどのように比較され、観察され、測定され、実験の対象として扱われるようになっていったのかを、近代以降の代表的な思想・文学・科学研究を通して学ぶ。授業の中心となるのは、「心は数値化できるのか」という問いである。心は、感情、感覚、思考、主体、経験といった多面的なはたらきを含むものであり、直接に目に見える対象ではない。そのため、心を科学的に扱うことは容易ではない。しかし近代以降、この問題は、心をそのまま捉えようとするのではなく、経験の条件、身体のはたらき、感覚差、行動の比較、実験的観察といった観点から少しずつ捉え直されるようになる。
本授業では、まずカントを通して、心が世界をそのまま映すものではなく、経験そのものを成り立たせる条件として考えられたことを学ぶ。続いて『フランケンシュタイン』を通して、生命や人間が作りうるものとして想像される時代において、身体と心の関係がどのように揺らいだのかを考察する。さらにダーウィンにおいては、感情表現が人間だけに固有のものではなく、動物との比較の中で身体的行動として捉え直される。十九世紀生理学では、感覚が神経や刺激との関係の中で研究され、ヴェーバーやフェヒナーにおいては、感覚差や刺激との対応を通して、心的現象に数量的に接近する道が開かれる。最後にヴントにおいて、心は実験室、内観法、研究所、学問共同体の中で継続的に研究される対象となり、心理学は独自の方法と制度を備えた学問として成立していく。
このように本授業では、心を単に内面の問題としてではなく、身体、比較、測定、実験、文化の問題として捉え、その変化をたどることによって、心理学がどのように科学として成立したのかを理解する。これにより、心理学とは、心を単に語る学問ではなく、心をどのような方法で研究しうるかを問い続けながら形づくられてきた学問であることを理解する。

科目のキーワード
心、心身関係、内面、記憶、主体、経験、生命、感情表現、生理学、精神物理学、実験心理学、民族心理学
授業の展開方法
本授業は、各回で指定する原典教材を受講者が読み、それをもとに講義によって内容の理解を深める方法で展開する。教材は、心理学成立以前の心の哲学と科学の歴史をたどるための重要な原典を中心とする。講義では、各テキストの背景、主要概念、歴史的意義を整理し、心理学という学問の成立へどのようにつながるかを明らかにする。また、本授業は、講義で扱った箇所をさらに深く読解する「心理学講読」と連動しているため、原典に直接触れながら学ぶことを重視する。各コマの最後には10問の小テストを実施し、7問を必ず理解し記憶すべき基本事項、2問を中程度の応用問題、1問を高度な理解を前提とする難問として構成する。
オフィス・アワー
高野裕治:前期:火曜1~5限
後期:火曜1~5限
伊藤義徳:※できるだけアポイントを取ってください
前期:火曜3限・4限
木曜1限・2限
後期:火曜3限・4限
木曜1限・2限
武田知也:前期:火曜1限
後期:火曜1限
横光健吾:前期:金曜4限
後期:金曜4限

科目コード RB1030
学年・期 1年・前期
科目名 こころは数値化できるか
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目 なし
展開科目
関連資格
担当教員名 高野裕治・伊藤義徳・武田知也・横光健吾
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 感性とは何か――私たちはどう世界を受け取るのか(カント1) 科目の中での位置付け 本科目は、前半において「心とは何か」という問いが古代から近代にかけてどのように立てられ、変化してきたのかをたどり、後半においてその問いが「心は数値化できるか」という問いへと展開し、心理学という学問が成立していく過程を学ぶ構成をとる。本コマは、その後半の出発点として位置づけられる。第15回までに、心は生命の原理、内面、葛藤する主体、思考の確実性として多様に捉えられてきた。本コマでは、その流れを受けて、カントにおいて心が世界をそのまま受け取るものではなく、経験そのものを成り立たせる条件としてどのように考えられるのかを学ぶ。とくに、感性が対象によって触発される受容能力であると同時に、経験を可能にする形式を備えていることに注目する。これにより、心は単なる内面や主体としてだけでなく、世界が経験として成立するための条件として理解されるようになる。本コマは、本科目全体の中で、「心とは何か」という問いが「私たちはどのように世界を受け取っているのか」という認識条件の問いへ移り、後半の科学的展開へ入るための理論的導入として位置づけられる。
コマ主題細目 ① 認識はどこから始まるのか ② 感覚されるものと、その形式 ③ 空間――外的なものはどのように現れるのか
細目レベル ① 本細目では、カントにおいて認識がどのように始まるのかを考察する。カントは、認識が経験から始まることを認める。私たちは、何の経験もなしに世界について知ることはできない。しかし同時に、認識のすべてが経験から生じるわけではないとも述べる。外から何かが与えられただけでは、それはまだ認識とは言えず、それが経験として成り立つためには、受け取る側にも一定の条件がなければならない。ここで重要になるのが「感性」である。感性とは、対象によって触発され、それを受け取る能力である。したがって私たちは、最初から世界そのものをそのまま手にしているのではなく、まず感性によって何かを受け取るのである。本細目では、認識が単に外界から与えられるものではなく、与えられたものと受け取る側の条件との両方によって成立していることを理解することを目標とする。
② 次に、感性において何が与えられ、何があらかじめ備わっているのかを考える。カントはここで、感覚の「素材」と「形式」を区別する。感覚の素材とは、色や音や手触りのように外から与えられる内容である。しかし、それらがただばらばらに与えられているだけでは、まだ経験にはならない。経験となるためには、それらが一定の仕方で秩序づけられていなければならず、その秩序づけに関わるのが感性の形式である。ここで重要なのは、その形式が経験のあとで作られるのではなく、経験に先立って働いているという点である。私たちは対象を無秩序な刺激の集まりとして受け取るのではなく、最初から一定の枠組みの中でしか受け取ることができないのである。本細目では、経験が外界の単純な写しではなく、感性の形式のもとで構成された現象であることを理解することを目標とする。
③ 最後に、感性の形式としての「空間」を考察する。カントによれば、空間は外界を見たあとでそこから取り出される概念ではない。そうではなく、私たちが外的対象を経験するために最初から必要になっている形式である。物が外にあり、並び、広がり、位置を持つものとして現れるためには、空間という枠組みがすでに働いていなければならない。したがって空間は、物そのものにそのまま属する性質ではなく、私たちが外界を受け取るための感性の形式である。この点で私たちは、物自体そのものを知るのではなく、空間の形式のもとで現れた対象を知っていることになる。本細目では、空間を世界そのものの属性としてではなく、人間が外界を経験するためのアプリオリな形式として理解することを目標とする。
キーワード
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習においては、各回のコマシラバスを通読し、当該回の主題、細目、キーワードを確認しておく。授業前の段階では、細部の完全な理解よりも、その回で何について、どのような用語で語られ、何が論点となるのかを把握しておくことが重要である。復習においては、授業後に教材の該当箇所を読み返し、授業で扱った時代、概念、人物、議論の要点を整理するとともに、関心を持った原典については周辺箇所も参照して理解を深めることが望ましい。加えて、小テストで誤答した問題を確認し、理解が不十分であった箇所を補い直すことが必要である。さらに、Google NotebookLM などを活用して教材解説を聴取したり、ChatGPT などを用いて小テストの類題を作成し反復練習したりすることで、知識の定着を図ることができる。
2 時間と空間のもとで共有される世界(カント2) 科目の中での位置付け 本科目は、前半において「心とは何か」という問いが古代から近代にかけてどのように立てられ、変化してきたのかをたどり、後半においてその問いが「心は数値化できるか」という問いへと展開し、心理学という学問が成立していく過程を学ぶ構成をとる。本コマは、その後半の導入部において、第16回で扱ったカントの感性論をさらに進め、私たちが経験している世界がどのような条件のもとで共有されているのかを考察する回に位置づけられる。前回は、感性が経験を受け取る能力であり、空間が外的対象の経験を可能にする形式であることを学んだ。本コマでは、それを受けて、時間があらゆる経験に共通する形式であること、私たちが知るのは物自体ではなく現象であること、さらにそれにもかかわらず人間どうしが世界を共有し理解し合えるのはなぜかを考察する。これにより、心は単なる個人的内面ではなく、人間に共通する経験条件を備えたものとして理解されるようになる。本コマは、本科目全体の中で、後に感覚、比較、測定の問題へ進む前提として、「経験される世界」がどのように成り立っているのかを明らかにする回として位置づけられる。
コマ主題細目 ① 時間――あらゆる経験に共通する形式 ② 物自体は認識できない――私たちが知るのは現象である ③ それでも、なぜ私たちは理解し合えるのか
細目レベル ① 本細目では、感性のもう一つの形式である「時間」を考察する。カントにとって時間もまた、経験から取り出される概念ではなく、私たちが何かを経験するときに必ずすでに働いている条件である。時間は、空間のように外的対象だけに関わるのではなく、感じること、思い出すこと、考えることといった内的状態のすべてに関わっている。また、外的対象を経験する場合にも、それはつねに時間の中で経験されている。したがって時間は、内的感覚の形式であると同時に、経験一般に関わる形式でもある。ここで重要なのは、時間が私たちの外に独立して流れている「もの」としてではなく、経験を可能にする感性の形式として理解されている点である。本細目では、時間を出来事の属性としてではなく、経験一般の成立条件として理解することを目標とする。
② 次に、空間と時間が感性の形式であることから導かれる結論を考える。もし私たちが対象をつねに空間と時間のもとでしか経験できないのであれば、私たちが知っているのは物自体そのものではなく、それらの形式のもとで私たちに現れたものである。カントはこれを「現象」と呼ぶ。ここで重要なのは、世界が存在しないとか、すべてが幻であるという意味ではないという点である。そうではなく、私たちの認識にはつねに人間の感性の条件が入り込んでおり、私たちが知りうるのは「人間にとっての世界」であるということである。したがって、認識の限界とは、単なる不足ではなく、認識される世界そのものの成り立ちを示している。本細目では、「物自体は認識できない」という命題を、私たちの認識の限界としてだけでなく、知りうる世界の構造を示す考え方として理解することを目標とする。
③ 最後に、物自体そのものを知ることはできないにもかかわらず、なぜ私たちがなお同じ世界について語り合うことができるのかを考える。ここで重要なのは、主観性がただちに各人ばらばらの世界を意味するわけではないという点である。私たちは実際には、同じリンゴを見て「赤い」と言い合い、同じ机を見て「そこにある」と確認し合うことができる。これは、人間がみな空間と時間という共通の感性の形式のもとで世界を経験しているからである。見えの細部に違いがありうるとしても、経験の基本的な枠組みは共有されている。そのため、私たちは世界をまったく孤立して経験しているのではなく、共通の形式のもとで理解し合うことができるのである。本細目では、カントにおける主観性を、孤立した個人の感じ方ではなく、人間どうしが世界を共有する条件として理解することを目標とする。
キーワード
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習においては、各回のコマシラバスを通読し、当該回の主題、細目、キーワードを確認しておく。授業前の段階では、細部の完全な理解よりも、その回で何について、どのような用語で語られ、何が論点となるのかを把握しておくことが重要である。復習においては、授業後に教材の該当箇所を読み返し、授業で扱った時代、概念、人物、議論の要点を整理するとともに、関心を持った原典については周辺箇所も参照して理解を深めることが望ましい。加えて、小テストで誤答した問題を確認し、理解が不十分であった箇所を補い直すことが必要である。さらに、Google NotebookLM などを活用して教材解説を聴取したり、ChatGPT などを用いて小テストの類題を作成し反復練習したりすることで、知識の定着を図ることができる。
3 作られた生命――『フランケンシュタイン』を読む1 科目の中での位置付け 本科目は、前半において「心とは何か」という問いが古代から近代にかけてどのように立てられ、変化してきたのかをたどり、後半においてその問いが「心は数値化できるか」という問いへと展開し、心理学という学問が成立していく過程を学ぶ構成をとる。本コマは、その後半の中で、カントによって経験の条件として捉えられた心の問題を受けつつ、近代において生命そのものが作りうるものとして想像されはじめた時代の人間観と生命観の揺らぎを文学作品を通して学ぶ回に位置づけられる。『フランケンシュタイン』は、科学の進展によって生命を自然法則のもとで捉えようとする時代に書かれた作品であり、生命を作り出すことへの希望と不安とを同時に描いている。本コマでは、ヴィクター・フランケンシュタインによる創造の企てを通して、生命を知ること、作ること、そして作られた生命を引き受けることのあいだにどのような緊張があるのかを考察する。これにより、心や生命の機械論的な理解が進む中で、近代科学の進展とともに新たなかたちで問題化されていくことが理解される。本コマは、本科目全体の中で、心が身体と生命の問題の中でどう扱われうるかを文学的に照らし出し、ダーウィンや生理学へ進む前の重要な橋渡しとして位置づけられる。
コマ主題細目 ① 1831年という時代――なぜこの物語が書かれたのか ② 創造の場面――生命が入った瞬間、何が起きたのか ③ 作った者が逃げる――なぜ耐えられなかったのか
細目レベル ① 本細目では、『フランケンシュタイン』がどのような時代背景のもとで書かれたのかを考察する。十八世紀から十九世紀にかけて、ヨーロッパでは自然科学が大きく発展し、生命や身体もまた神秘ではなく法則として理解されるべきものと考えられ始めていた。電気、生理学、生命の起源をめぐる議論は、生命とは何か、死とは何か、生命を人工的に生み出すことはできるのかという問いに現実味を与えることになる。ここで重要なのは、人間が単に自然を観察するだけでなく、それを操作し、再現し、作り出そうとし始めていたという点である。したがってこの作品は、単なる怪奇小説ではなく、近代科学の希望と不安とを引き受ける文学として読む必要がある。本細目では、『フランケンシュタイン』を生命観と人間観の揺らぎを映し出す近代の物語として理解することを目標とする。
② 次に、ヴィクター・フランケンシュタインが死んだ身体の断片から一つの生命を作り出す場面を考える。彼は長い研究の末に、死んだ身体の断片から一つの存在を作り上げる。ここで重要なのは、彼が死を越え、朽ちるはずのものに生命を与えようとする点において、破壊ではなく創造を目指していることである。しかし、決定的なのは、その願いが実現した瞬間に達成感ではなく強い嫌悪と恐怖が訪れることである。目が開き、胸が動き、四肢が動き始めたとき、彼は成功を喜ぶのではなく、自分の前に現れた存在に耐えられなくなる。つまり、頭の中で思い描いていた「生命を作る」という理想と、現実に目の前に立ち現れた生きた身体とのあいだに、大きな落差があったのである。本細目では、この創造の場面を科学的成功の場面としてではなく、作ることと、その存在を引き受けることとの違いが露わになる瞬間として理解することを目標とする。
③ 最後に、生命を与えた直後にヴィクターが自分の創造物から逃げ出す場面を考える。ここで重要なのは、その存在がすぐに攻撃してきたからではなく、まだ何もしていないにもかかわらず、彼がその現実性そのものに耐えられなくなるという点である。ヴィクターは、死体を部品として扱い、身体を仕組みとして理解し、生命を与えることには成功した。しかし、そうして出来上がったものを前にすると、それはもはや部品の集合ではなく、一つの生きた全体として立ち現れている。その全体性を彼は引き受けることができないのである。ここには、部分を操作することと、全体としての生命を受け止めることとの決定的な違いがある。したがって悲劇は、怪物が復讐を始める以前に、すでに創造者が創造物を引き受けないところから始まっている。本細目では、この場面を単なる恐怖の場面ではなく、責任の放棄の場面として理解することを目標とする。
キーワード
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習においては、各回のコマシラバスを通読し、当該回の主題、細目、キーワードを確認しておく。授業前の段階では、細部の完全な理解よりも、その回で何について、どのような用語で語られ、何が論点となるのかを把握しておくことが重要である。復習においては、授業後に教材の該当箇所を読み返し、授業で扱った時代、概念、人物、議論の要点を整理するとともに、関心を持った原典については周辺箇所も参照して理解を深めることが望ましい。加えて、小テストで誤答した問題を確認し、理解が不十分であった箇所を補い直すことが必要である。さらに、Google NotebookLM などを活用して教材解説を聴取したり、ChatGPT などを用いて小テストの類題を作成し反復練習したりすることで、知識の定着を図ることができる。
4 怪物の心――『フランケンシュタイン』を読む2 科目の中での位置付け 本科目は、前半において「心とは何か」という問いが古代から近代にかけてどのように立てられ、変化してきたのかをたどり、後半においてその問いが「心は数値化できるか」という問いへと展開し、心理学という学問が成立していく過程を学ぶ構成をとる。本コマは、その後半の中で、第18回で扱った創造の問題をさらに進め、作られた生命がどのように世界を経験し、他者との関係の中でどのように変化していくのかを考察する回に位置づけられる。前回は、生命を作り出す企てと、それを引き受けることの困難をヴィクターの側から見た。本コマでは、それに対して怪物の側から物語を読み直し、心が最初から完成したものとしてあるのではなく、感覚、学習、他者との関係、そして拒絶の経験の中で形成され、歪められていくことに注目する。これにより、心は作られた身体の中にただ宿るものではなく、世界との関わりの中で生成し、変形していくものとして理解される。本コマは、本科目全体の中で、心を身体・承認・関係性の問題として捉え直し、心や身体の機械論的な理解からダーウィン以降の比較的・自然科学的視点へ接続する回として位置づけられる。
コマ主題細目 ① 怪物はどのように世界を知るのか ② 拒絶と復讐――怪物はなぜ怪物になるのか ③ 機械論と二元論――この物語は何を問い直しているのか
細目レベル ① 本細目では、怪物がどのように世界を経験し始めるのかを考察する。ここで重要なのは、怪物が最初から悪意ある存在として現れるのではなく、まず感覚する存在として現れるという点である。彼は光や闇、寒さや飢え、音や手触りといったものを受け取りながら、少しずつ世界を知っていく。やがて人間たちを観察し、ことばを覚え、関係の仕方を学ぶようになる。この過程が示しているのは、心があらかじめ完成したものとしてあるのではなく、経験の中で形成されるということである。しかもその形成は、孤立した内面の中で起こるのではなく、他者を見、他者を通して自分を知るという関係性の中で進む。本細目では、怪物を恐怖の対象としてではなく、まず世界に入っていこうとする経験主体として理解することを目標とする。
② 次に、怪物がどのようにして復讐へ向かうのかを考える。ここで重要なのは、彼が最初から悪であったのではなく、人間に近づこうとし、理解されたいと願いながら、その願いがことごとく拒まれるという点である。彼は外見の醜さゆえに恐れられ、追い払われ、敵意を向けられる。その結果、彼は自分の姿が他者にとって耐えがたいものであることを知り、自分自身をもまたそのように見るようになる。ここで問われているのは、怪物性が身体そのものにあるのか、それとも他者のまなざしと拒絶の経験の中で形成されるのかという問題である。この意味で、怪物は作られた瞬間に怪物だったのではなく、世界の中で拒絶され続けることによって怪物になっていくのである。本細目では、怪物の復讐を単なる悪意としてではなく、承認されない心が変形していく過程として理解することを目標とする。
③ 最後に、『フランケンシュタイン』が思想史の中で何を問い直しているのかを整理する。デカルト以来、身体は機械のように考えることができるものとされ、その働きは自然法則のもとで分析可能なものと見なされてきた。ヴィクターの企ては、この身体機械論の延長にある。死体を部品として集め、組み立て、そこに生命を与えるという発想は、身体を操作可能なものとして扱う態度に立っている。しかし他方で、この物語は、身体だけではまだ人間にならず、そこに生命や心の原理が加わることで初めて人間になるのではないかという二元論的発想の上にも立っている。さらに、人間を機械とみなす立場に進めば、作られた身体がそのまま人間であってもよいはずなのに、作品はまさにその地点で強い不安を生み出している。したがってこの物語が問い直しているのは、身体が作れるかどうかではなく、身体が作れたとき、それで人間は成り立つのかという問題である。本細目では、『フランケンシュタイン』を、作られた生命の怪奇譚としてではなく、人間の条件そのものを問い直す文学として理解することを目標とする。
キーワード
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習においては、各回のコマシラバスを通読し、当該回の主題、細目、キーワードを確認しておく。授業前の段階では、細部の完全な理解よりも、その回で何について、どのような用語で語られ、何が論点となるのかを把握しておくことが重要である。復習においては、授業後に教材の該当箇所を読み返し、授業で扱った時代、概念、人物、議論の要点を整理するとともに、関心を持った原典については周辺箇所も参照して理解を深めることが望ましい。加えて、小テストで誤答した問題を確認し、理解が不十分であった箇所を補い直すことが必要である。さらに、Google NotebookLM などを活用して教材解説を聴取したり、ChatGPT などを用いて小テストの類題を作成し反復練習したりすることで、知識の定着を図ることができる。
5 ダーウィンと感情表現1 科目の中での位置付け 本科目は、前半において「心とは何か」という問いが古代から近代にかけてどのように立てられ、変化してきたのかをたどり、後半においてその問いが「心は数値化できるか」という問いへと展開し、心理学という学問が成立していく過程を学ぶ構成をとる。本コマは、その後半の中で、カントによる認識条件の分析と、『フランケンシュタイン』が描いた生命観・人間観の揺らぎを受けて、人間を自然の連続の中に置き直すダーウィンの視点を導入する回に位置づけられる。ダーウィンにおいて重要なのは、人間を自然の外にある特別な存在としてではなく、生物全体の連続の中で捉えることであり、それにより感情や表情もまた人間だけに孤立したものではなくなる。本コマでは、進化論を背景に、人間の感情表現がどのように観察され、身体的行動として捉え直されるのか、またそれが動物との比較によってどのような意味を持つのかを考察する。これにより、心は純粋な内面としてではなく、身体的・行動的・比較可能なものとして現れ始める。本コマは、本科目全体の中で、心が自然科学と比較研究の対象として本格的に捉えられていく入り口として位置づけられる。
コマ主題細目 ① 進化論――人間を自然の連続の中で見る ② 表情は何を表しているのか ③ 人間と動物の表情はつながっているのか
細目レベル ① 本細目では、ダーウィンの感情研究の背景にある進化論的視点を考察する。進化論の重要な点は、生物が最初から完成した形で与えられていたのではなく、長い時間の中で変化しながら現在の姿に至ったと考えるところにある。この考え方によって、人間もまた自然の歴史の中に位置づけられることになる。ここで重要なのは、人間の身体が動物の身体と連続しているならば、感情や表情や行動もまた、まったく断絶した別のものとしてではなく、連続の中で考えられるはずだという点である。したがって、ダーウィンの感情表現研究は、人間を自然の外に置かず、生物一般の連続の中で理解する視点の上に成り立っている。本細目では、ダーウィンの研究を、進化論そのものの講義としてではなく、人間の心を比較可能な自然の現象として捉えるための前提として理解することを目標とする。
② 次に、ダーウィンが感情表現をどのように扱っているのかを考える。私たちはふつう、表情を見れば相手が何を感じているか分かるように思っている。しかしダーウィンが問うのは、そうした表情がなぜそのような形をとるのかということである。ここで重要なのは、表情を単なる内面のしるしとしてではなく、身体の行動として見ることである。怒ったときに歯をむき出しにすること、恐れたときに身を引くこと、驚いたときに目を見開くことなどは、心の中の状態が外へにじみ出たものというだけでなく、身体の一定の働きとして現れている。したがって感情は、純粋に内面的なものではなく、身体の動きと切り離せないかたちで現れるのである。本細目では、感情表現を内面の記号としてだけでなく、観察可能な身体的行動として理解することを目標とする。
③ 最後に、ダーウィンが人間の感情表現を動物との比較の中でどのように捉えたのかを考察する。ここで重要なのは、人間の表情を人間だけに固有のものとして見ないという点である。怒りや恐怖のときの顔つきや姿勢には、人間だけでなく動物にも似た形が見られる。威嚇するときに身体を大きく見せること、恐れるときに後ずさること、緊張したときに目や口の周囲の筋肉が変化することなどは、人間と動物とにまたがって観察される。もちろん人間には言語や複雑な社会生活があるが、その違いもまた、共通する土台の上で考えられて初めて見えてくる。したがって、感情表現は人間精神の特別な徴候としてではなく、生きもの一般の行動の連続の中に置かれることになる。本細目では、人間と動物の比較が、人間の心をより広い自然の連続の中で理解することを可能にした点を理解することを目標とする。
キーワード
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習においては、各回のコマシラバスを通読し、当該回の主題、細目、キーワードを確認しておく。授業前の段階では、細部の完全な理解よりも、その回で何について、どのような用語で語られ、何が論点となるのかを把握しておくことが重要である。復習においては、授業後に教材の該当箇所を読み返し、授業で扱った時代、概念、人物、議論の要点を整理するとともに、関心を持った原典については周辺箇所も参照して理解を深めることが望ましい。加えて、小テストで誤答した問題を確認し、理解が不十分であった箇所を補い直すことが必要である。さらに、Google NotebookLM などを活用して教材解説を聴取したり、ChatGPT などを用いて小テストの類題を作成し反復練習したりすることで、知識の定着を図ることができる。
6 ダーウィンと感情表現2 科目の中での位置付け 本科目は、前半において「心とは何か」という問いが古代から近代にかけてどのように立てられ、変化してきたのかをたどり、後半においてその問いが「心は数値化できるか」という問いへと展開し、心理学という学問が成立していく過程を学ぶ構成をとる。本コマは、その後半の中で、カントによる認識条件の分析と、『フランケンシュタイン』が描いた生命観・人間観の揺らぎを受けて、第20回で導入したダーウィンの感情表現研究をさらに深める回に位置づけられる。前回は、人間を自然の連続の中に置く進化論的視点のもとで、感情表現が人間だけに孤立したものではなく、動物との比較の中で理解されるべきことを学んだ。本コマでは、それを受けて、感情表現がどのように生じ、なぜ一定の形をとり、またその比較が人間の心をどのように自然科学的に捉え直すことを可能にしたのかを考察する。これにより、心は純粋な内面ではなく、行動と身体の歴史の中で形づくられたものとして理解されるようになる。本コマは、本科目全体の中で、感情を身体的・比較的・進化論的に捉える視点を確立し、次回以降の生理学的研究と測定の問題へ進むための足場を与える回として位置づけられる。
コマ主題細目 ① 感情表現はどのように生じたのか ② 感情は内面だけではなく、行動でもある ③ 動物との比較は何を可能にしたのか
細目レベル ① 本細目では、ダーウィンが感情表現の起源をどのように説明しようとしたのかを考察する。ダーウィンの中心的な考えは、感情表現が最初から感情を示す記号として存在していたのではなく、もともとは何らかの実際的な役割を持っていた行動が繰り返されるうちに定着し、やがて特定の感情と結びついて現れるようになったというものである。したがって、怒りや恐れや驚きの表情は、その瞬間の心の中身だけから説明されるのではなく、生物の行動の歴史の中で形づくられてきた身体反応でもある。ここで重要なのは、感情表現を単なる主観の外化としてではなく、身体行動の継続と変形として捉えることである。本細目では、感情表現が瞬間的な内面のしるしではなく、生物の歴史の中で形成されてきた行動様式であることを理解することを目標とする。
② 次に、感情がどのように身体的行動として現れるのかを考える。ダーウィンの議論から見えてくるのは、感情を理解するには内面だけを考えていては足りないということである。怒り、恐れ、悲しみ、喜びといった感情は、顔、姿勢、声、動きの変化として他者にも分かる形で現れる。ここで重要なのは、感情が身体から切り離された純粋な内面ではないという点である。感情は、身体の反応を通して観察可能な行動となり、その現れ方には一定の傾向が見られる。したがって、心はここで、内側に閉じた経験としてだけでなく、身体の運動の中に現れるものとして捉え直される。本細目では、感情を主観的な気分としてだけでなく、身体的行動として観察されるものとして理解することを目標とする。
③ 最後に、ダーウィンが人間の感情表現を動物との比較の中で扱ったことの意義を考察する。ここで重要なのは、人間の感情を人間だけを見て理解しようとしないという点である。表情やしぐさや姿勢のうちには、人間と動物にまたがって共通する傾向があり、その共通性を見ることによって、人間の感情もまたより広い自然の連続の中で理解されるようになる。もちろん、人間には言語や複雑な社会生活があり、その点で動物とは異なっている。しかし、その違いもまた、共通する土台の上で考えられることによって初めて意味を持つ。したがって、感情は単に人間精神の特別な徴候ではなく、生物一般の行動の延長として見られるようになる。本細目では、人間と動物の比較が、人間の心を自然科学的かつ一般的に考えるための視野を開いたことを理解することを目標とする。
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コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習においては、各回のコマシラバスを通読し、当該回の主題、細目、キーワードを確認しておく。授業前の段階では、細部の完全な理解よりも、その回で何について、どのような用語で語られ、何が論点となるのかを把握しておくことが重要である。復習においては、授業後に教材の該当箇所を読み返し、授業で扱った時代、概念、人物、議論の要点を整理するとともに、関心を持った原典については周辺箇所も参照して理解を深めることが望ましい。加えて、小テストで誤答した問題を確認し、理解が不十分であった箇所を補い直すことが必要である。さらに、Google NotebookLM などを活用して教材解説を聴取したり、ChatGPT などを用いて小テストの類題を作成し反復練習したりすることで、知識の定着を図ることができる。
7 生理学の発展 科目の中での位置付け 本科目は、前半において「心とは何か」という問いが古代から近代にかけてどのように立てられ、変化してきたのかをたどり、後半においてその問いが「心は数値化できるか」という問いへと展開し、心理学という学問が成立していく過程を学ぶ構成をとる。本コマは、その後半の中で、カントによる認識条件の分析、『フランケンシュタイン』が描いた生命観・人間観の揺らぎ、さらにダーウィンによる感情表現の比較研究を受けて、心の問題が身体の側からどのように捉え直されていったのかを学ぶ回に位置づけられる。前回までに、人間の感情や表情は自然の連続の中に置かれ、内面だけでなく身体的行動として比較可能なものとなった。本コマでは、それを受けて、十九世紀前半の生理学が、感覚、神経、刺激、反応といった身体的過程を通して心の問題にどのような接近を行ったのかを考察する。とくに、ミュラー、ヘルムホルツ、ヴェーバーを通して、感覚が外界の単純な写しではなく、身体の構造と神経の働きによって成立し、さらに感覚差には一定の規則性があることを学ぶ。これにより、心は身体から切り離されたものではなく、比較・測定・法則化の可能性を持つ現象として理解されるようになる。本コマは、本科目全体の中で、精神物理学と実験心理学の成立を準備する科学的前提を整える回として位置づけられる。
コマ主題細目 ① 19世紀前半という時代――心は身体から考えられるのか ② ミュラー――感覚は刺激そのものではなく、神経の働きである ③ ヘルムホルツとヴェーバー――身体を測ることから感覚を考える
細目レベル ① 本細目では、十九世紀前半という時代に、心の問題がどのように身体の側から捉え直され始めたのかを考察する。この時代には、生命や感覚や思考をできるだけ自然法則の中で説明しようとする方向が強まる。他方で、精神は脳や身体の働きにすぎないのではないかという唯物論的な主張も現れ、それに対する反発もまた強く存在していた。したがってこの時代は、心の問題が消えた時代ではなく、自然科学の進展によってかえって鋭く問い直された時代である。また、骨相学のように、今日から見れば疑わしい試みであっても、心の働きに身体的基盤があるのではないかという発想を広げる役割を果たした。本細目では、十九世紀前半を、心を身体から切り離さずに捉えようとする諸潮流が交錯した時代として理解することを目標とする。
② 次に、ミュラーの感覚研究を考察する。ミュラーの重要な点は、感覚が外界をそのまま写したものではないと考えたことである。同じような刺激であっても、それが視神経を通れば光として、聴神経を通れば音として感じられる。ここで問題になるのは、外から何が来たかだけではなく、身体のどの神経系がそれをどう受け取るかということである。したがって感覚は、外界の単純な反映ではなく、身体の構造、とりわけ神経の働きによって成立していることになる。ここで重要なのは、感覚の違いそのものが神経の違いと結びついているという点である。本細目では、ミュラーによって、感覚が外界の写しではなく、身体の神経的条件に支えられた現象として理解されるようになったことを理解することを目標とする。
③ 最後に、ヘルムホルツとヴェーバーによって生理学的研究がどのように進展したのかを考える。ヘルムホルツは、感覚器官や神経の働きを物理学的・測定可能なものとして扱い、神経の伝導や視覚・聴覚の仕組みを身体過程として解明しようとした。他方でヴェーバーは、感覚そのものをいきなり捉えようとするのではなく、どれだけ違えば違いとして感じられるかという「感覚差」に注目した。ここで重要なのは、感覚が気まぐれな主観ではなく、比較によって一定の規則性を示すものとして扱われるようになった点である。こうして、身体過程を測る方向と、感覚差の規則を見いだす方向とが結びつくことで、心を数量的に扱う条件が整っていく。本細目では、生理学の発展が、感覚を身体と測定の問題として扱い、後の精神物理学への道を開いたことを理解することを目標とする。
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コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習においては、各回のコマシラバスを通読し、当該回の主題、細目、キーワードを確認しておく。授業前の段階では、細部の完全な理解よりも、その回で何について、どのような用語で語られ、何が論点となるのかを把握しておくことが重要である。復習においては、授業後に教材の該当箇所を読み返し、授業で扱った時代、概念、人物、議論の要点を整理するとともに、関心を持った原典については周辺箇所も参照して理解を深めることが望ましい。加えて、小テストで誤答した問題を確認し、理解が不十分であった箇所を補い直すことが必要である。さらに、Google NotebookLM などを活用して教材解説を聴取したり、ChatGPT などを用いて小テストの類題を作成し反復練習したりすることで、知識の定着を図ることができる。
8 精神物理学とは何か――フェヒナーの課題 科目の中での位置付け 本科目は、前半において「心とは何か」という問いが古代から近代にかけてどのように立てられ、変化してきたのかをたどり、後半においてその問いが「心は数値化できるか」という問いへと展開し、心理学という学問が成立していく過程を学ぶ構成をとる。本コマは、その後半の中で、カントによる認識条件の分析、『フランケンシュタイン』が描いた生命観・人間観の揺らぎ、ダーウィンによる比較研究、さらに生理学によって整えられた感覚研究の成果を受けて、心と身体との関係を数量的かつ法則的に捉えようとするフェヒナーの精神物理学を導入する回に位置づけられる。前回は、生理学の発展の中で、感覚が身体と神経の働きに支えられ、比較と測定の対象になりうることを学んだ。本コマでは、それを受けて、精神物理学とは何か、なぜ心は直接には測れないのか、そしてなぜフェヒナーが感覚差から出発したのかを考察する。これにより、心は単なる主観的経験ではなく、物理的条件との関係を通して数量的に扱いうる対象として現れ始める。本コマは、本科目全体の中で、「心は数値化できるか」という後半の中心問題に正面から入る重要な転換点として位置づけられる。
コマ主題細目 ① 精神物理学とは何か ② 心は直接には測れない ③ 感覚差から出発する
細目レベル ① 本細目では、フェヒナーが「精神物理学」と呼んだ学問が何を目指しているのかを考察する。ここで言われているのは、単に心と身体の両方を扱うということではない。そうではなく、物理的世界と心理的世界とのあいだにどのような一定の機能的・依存的関係が成り立つのかを正確に扱う学である。ここで重要なのは、フェヒナーが心の本質や魂の実体を論じようとしているのではなく、心と身体のあいだにどのような法則的対応があるかを明らかにしようとしている点である。したがって精神物理学は、形而上学的議論ではなく、心と身体の関係を科学的に扱う新しい構想として現れる。本細目では、精神物理学を、心身関係の一般論としてではなく、心と身体の対応を法則として捉えようとする新しい学問の出発点として理解することを目標とする。
② 次に、フェヒナーがなぜ刺激の側から出発したのかを考える。フェヒナーがまず認めるのは、心的なものはそのままでは直接に量として扱えないということである。私たちは「どれほど明るく感じるか」「どれほど重く感じるか」を、そのまま物差しで測ることはできない。したがって、精神物理学は心そのものから直接出発することができない。そこで出発点とされるのが、まず物理的・身体的な側、すなわち刺激である。ここで重要なのは、心が直接に測れないからといって、心を学問の外に置くのではなく、測れる刺激との関係を通して、間接的に心へ近づこうとする点である。フェヒナーにとって精神物理学とは、心を捨てる学ではなく、心を数量的に扱うための新しい方法を見いだす学なのである。本細目では、心が直接には測れないからこそ、刺激との関係を通して間接的に尺度を構成しようとするフェヒナーの課題を理解することを目標とする。
③ 最後に、フェヒナーが感覚全体ではなく感覚差に注目した理由を考える。彼は「どれだけ感じるか」をいきなり測ろうとするのではなく、「どれだけ違いとして感じられるか」を問題にする。ここで重要なのは、感覚そのものの全体量は曖昧であっても、差であれば比較しうるという点である。二つの重さが違って感じられるか、二つの明るさが区別できるかという問いなら、実験的に扱うことができる。このようにして感覚は、比較可能な差の系列として捉えられるようになる。さらにフェヒナーは、感覚全体を小さな等しい感覚増分の積み重ねとして考えようとする。したがって感覚は、直接に与えられる量ではなく、差と増分の系列から構成される量として現れるのである。本細目では、フェヒナーの独創性が、感覚を直接測るのではなく、差異と増分から感覚尺度を構成しようとしたところにあることを理解することを目標とする。
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コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習においては、各回のコマシラバスを通読し、当該回の主題、細目、キーワードを確認しておく。授業前の段階では、細部の完全な理解よりも、その回で何について、どのような用語で語られ、何が論点となるのかを把握しておくことが重要である。復習においては、授業後に教材の該当箇所を読み返し、授業で扱った時代、概念、人物、議論の要点を整理するとともに、関心を持った原典については周辺箇所も参照して理解を深めることが望ましい。加えて、小テストで誤答した問題を確認し、理解が不十分であった箇所を補い直すことが必要である。さらに、Google NotebookLM などを活用して教材解説を聴取したり、ChatGPT などを用いて小テストの類題を作成し反復練習したりすることで、知識の定着を図ることができる。
9 感覚を数式で捉える――フェヒナーの成功 科目の中での位置付け 本科目は、前半において「心とは何か」という問いが古代から近代にかけてどのように立てられ、変化してきたのかをたどり、後半においてその問いが「心は数値化できるか」という問いへと展開し、心理学という学問が成立していく過程を学ぶ構成をとる。本コマは、その後半の中で、カントによる認識条件の分析、『フランケンシュタイン』が描いた生命観・人間観の揺らぎ、ダーウィンによる比較研究、生理学による感覚研究を受けて、第23回で導入したフェヒナーの精神物理学をさらに進め、刺激と感覚の関係をどのように数式で表すことが可能になったのかを考察する回に位置づけられる。前回は、フェヒナーが心を直接には測れないことを認めつつ、刺激と感覚差との対応から心的現象へ数量的に近づこうとしたことを学んだ。本コマでは、それを受けて、ヴェーバーの法則がどのように土台となったのか、感覚の増分をどのように積み上げるのか、そしてその数式化が心の研究にどのような意味を持つのかを考察する。これにより、心は完全に見える対象にはならなくとも、法則と数量のもとで扱いうる現象として明確に姿を現し始める。本コマは、本科目全体の中で、「心は数値化できるか」という問いに対する最初の本格的成功として位置づけられる。
コマ主題細目 ① ヴェーバーの法則 ② 感覚の増分を積み上げる ③ 数式化に成功したことの意味
細目レベル ① 本細目では、フェヒナーの数式化の土台となったヴェーバーの法則を考察する。ヴェーバーの法則が示すのは、同じだけの感覚差に対応するのは刺激の同じ絶対差ではなく、同じ比率的増加であるということである。たとえば軽い重さでは小さな差でも感じられるが、重い重さではより大きな差がなければ同じ違いとして感じられない。ここで重要なのは、感覚差が刺激差と偶然に結びついているのではなく、一定の規則を示しているという点である。もし感覚差に法則性がなければ、感覚を数量的に扱うことはできない。しかしヴェーバーの法則によって、感覚差には秩序があることが示される。フェヒナーは、この規則性を出発点として、感覚全体の尺度へ進もうとするのである。本細目では、フェヒナーの仕事がヴェーバーの差異研究に基礎を持っており、その基礎が感覚差の規則性であったことを理解することを目標とする。
② 次に、フェヒナーが感覚全体をどのように構成しようとしたのかを考える。彼の発想の核心は、感覚全体を一挙に測るのではなく、等しい感覚差を順に積み重ねていくところにある。感覚が少しずつ増えるとき、その一つ一つの増分を等しいものと見なし、それに対応する刺激の増加を追えば、感覚全体の尺度へ近づくことができる。ここで重要なのは、「感じの大きさ」そのものは直接には見えなくても、その感じがどれだけ増していくかは刺激の側から間接的にたどることができるという点である。こうして、感覚は漠然とした主観ではなく、増分の系列として構成される量になる。本細目では、フェヒナーの数式化の核心が、感覚を差と増分の積み重ねとして考えたところにあることを理解することを目標とする。
③ 最後に、フェヒナーの数式化の成功が何を意味したのかを考察する。ここで重要なのは、フェヒナーがただ数式を持ち込んだのではなく、直接には見えない心的現象にも、条件を整えれば数量的関係を見いだすことができると示した点である。この意味で彼の達成は、単なる技術的成功ではない。感覚は、哲学的に語られるだけのものではなく、測定、比較、法則の対象となりうることが示されたのである。ここで心は、完全に見えるものにはならないが、それでも科学的接近の対象として新しい姿をとる。本細目では、フェヒナーの数式化を、一つの公式の発見としてではなく、心を数量的に扱う道を開いた出来事として理解することを目標とする。
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小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習においては、各回のコマシラバスを通読し、当該回の主題、細目、キーワードを確認しておく。授業前の段階では、細部の完全な理解よりも、その回で何について、どのような用語で語られ、何が論点となるのかを把握しておくことが重要である。復習においては、授業後に教材の該当箇所を読み返し、授業で扱った時代、概念、人物、議論の要点を整理するとともに、関心を持った原典については周辺箇所も参照して理解を深めることが望ましい。加えて、小テストで誤答した問題を確認し、理解が不十分であった箇所を補い直すことが必要である。さらに、Google NotebookLM などを活用して教材解説を聴取したり、ChatGPT などを用いて小テストの類題を作成し反復練習したりすることで、知識の定着を図ることができる。
10 フェヒナーのインパクト――心を科学にするということ 科目の中での位置付け 本科目は、前半において「心とは何か」という問いが古代から近代にかけてどのように立てられ、変化してきたのかをたどり、後半においてその問いが「心は数値化できるか」という問いへと展開し、心理学という学問が成立していく過程を学ぶ構成をとる。本コマは、その後半の中で、カントによる認識条件の分析、『フランケンシュタイン』が描いた生命観・人間観の揺らぎ、ダーウィンによる比較研究、生理学による感覚研究、さらにフェヒナーの精神物理学の展開を受けて、心を科学の対象にするとはどういうことかを総括的に考察する回に位置づけられる。前回は、刺激と感覚の関係が数式で表されうることによって、心的現象にも数量的接近が可能になったことを学んだ。本コマでは、それを受けて、心を数値化するとは何を意味するのか、精神物理学がどのような研究形式を開いたのか、そしてそれが現代心理学へどのような下地を与えたのかを考察する。これにより、心は哲学的に語られるだけのものから、測定、比較、実験、法則化の対象へと本格的に移り変わっていくことが理解される。本コマは、本科目全体の中で、実験心理学成立直前の重要な総括回として位置づけられ、次回以降に扱うヴントの心理学へ接続する役割を担う。
コマ主題細目 ① 心を数値化するとはどういうことか ② 精神物理学が開いたもの ③ その後への広がり――現代心理学への下地
細目レベル ① 本細目では、心を数値化するとは何を意味するのかを考察する。ここで重要なのは、フェヒナーの達成が心そのものを直接数字に変えたことではないという点である。そうではなく、刺激と感覚との関係を通して、心的現象にも数量的な取り扱いが可能であることを示したところにある。心は依然として直接にはつかめない。しかし、差と増分と尺度の関係を立てることで、感覚について法則的かつ数量的に語ることができるようになる。ここで心は、完全に見える対象ではないが、数量的接近を許す対象として現れる。本細目では、心を数値化するとは、心を完全に透明なものにすることではなく、心的現象に対して数量的に近づく形式を確立することであると理解することを目標とする。
② 次に、精神物理学が心の研究のあり方そのものをどのように変えたのかを考える。フェヒナーの仕事によって変わったのは、感覚理論の内容だけではない。心を扱う学そのものが、条件を整え、差を測り、反復し、比較し、法則を探る形式を持つようになったのである。ここで重要なのは、心の研究が単なる内面記述ではなく、実験と測定を通して進められるものになったという点である。精神物理学は、感覚の公式を与えただけでなく、心的現象を独自の装置と方法によって研究する道を開いた。本細目では、精神物理学の意義を、一つの特殊な感覚研究にとどまらない、心を実験・測定・比較の対象として立てた点に見出すことを目標とする。
③ 最後に、フェヒナーの影響がその後どのように広がっていったのかを考察する。ここで重要なのは、フェヒナーが感覚研究の範囲を超えて、心的現象にも法則があり、量があり、科学的に扱いうるという見方を与えたことである。この見方によって、心を身体や刺激との関係の中で捉え、そこに秩序や規則を見いだそうとする方向が強くなる。感覚、判断、差異の知覚、誤差、比較、反復といったものが、ばらばらの主観的経験ではなく、一定の方法のもとで整理される対象となるのである。こうして、心は自然の中で考えられ、しかも数量的に接近されるべきものとして定着していく。本細目では、フェヒナーを単なる「数式の人」としてではなく、心を科学の対象にするための形式を作った人物として理解することを目標とする。これにより、次回以降に扱うヴントの実験心理学がどのような条件の上に成立したのかが見えてくる。
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小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習においては、各回のコマシラバスを通読し、当該回の主題、細目、キーワードを確認しておく。授業前の段階では、細部の完全な理解よりも、その回で何について、どのような用語で語られ、何が論点となるのかを把握しておくことが重要である。復習においては、授業後に教材の該当箇所を読み返し、授業で扱った時代、概念、人物、議論の要点を整理するとともに、関心を持った原典については周辺箇所も参照して理解を深めることが望ましい。加えて、小テストで誤答した問題を確認し、理解が不十分であった箇所を補い直すことが必要である。さらに、Google NotebookLM などを活用して教材解説を聴取したり、ChatGPT などを用いて小テストの類題を作成し反復練習したりすることで、知識の定着を図ることができる。
11 生理学から心理学へ(ヴント1) 科目の中での位置付け 本科目は、前半において「心とは何か」という問いが古代から近代にかけてどのように立てられ、変化してきたのかをたどり、後半においてその問いが「心は数値化できるか」という問いへと展開し、心理学という学問が成立していく過程を学ぶ構成をとる。本コマは、その後半の中で、カントによる認識条件の分析、『フランケンシュタイン』が描いた生命観・人間観の揺らぎ、ダーウィンによる比較研究、生理学による感覚研究、さらにフェヒナーの精神物理学の展開を受けて、心の研究がどのようにして独自の学問として立ち上がり始めるのかを、ヴントを通して学ぶ回に位置づけられる。前回までは、心が刺激や感覚との関係の中で数量的に扱いうる対象となり、測定・比較・法則化の可能性を持つものとして現れてきた。本コマでは、それを受けて、ヴントが生理学の内部から出発しながら、なぜ心そのものを対象とする新しい心理学を構想するに至ったのかを考察する。これにより、心は単なる哲学的概念でも、身体の単純な付属物でもなく、直接経験に現れる心的過程として独自に研究されるべき対象となる。本コマは、本科目全体の中で、実験心理学成立への第一歩として位置づけられる。
コマ主題細目 ① 生理学の中から心を考える ② 生理学的心理学とは何か ③ 心理学は何を対象にするのか
細目レベル ① 本細目では、ヴントが最初から心理学者として出発したのではなく、生理学の訓練の中から心の問題へ進んでいったことを考察する。ここで重要なのは、心の研究が身体の研究と切り離されていないという点である。デカルト以後、身体は機械として研究されうるものと見なされ、フェヒナーに至って感覚と刺激との関係が数量的に扱われるようになった。その流れの上でヴントは、感覚、知覚、反応、注意といった心のはたらきもまた、身体的条件と結びついた現象として研究しうるのではないかと考えるようになる。したがってヴントの出発点は、哲学の延長というよりも、生理学の成熟が心の研究を新しいかたちで要請したところにある。本細目では、ヴントの心理学が生理学の発展の中から生まれてきたことを理解することを目標とする。
② 次に、ヴントが構想した「生理学的心理学」とは何かを考える。ここで重要なのは、それが心理学を生理学へ還元する立場ではないという点である。そうではなく、生理学で発達した実験的方法を用いながら、感覚、知覚、注意、判断といった心的過程そのものの法則を明らかにしようとする新しい学問構想である。問題にされるのは、神経や筋肉それ自体ではなく、刺激が与えられたときに何が感じられ、どのように知覚され、どう判断されるのかという経験の過程である。したがって、対象はあくまで心的過程であるが、その心的過程は曖昧な自己観察ではなく、条件を整えた実験のもとで研究されようとする。本細目では、生理学的心理学を、生理学への従属としてではなく、実験的方法によって心的過程を研究する新しい心理学として理解することを目標とする。
③ 最後に、ヴントにとって心理学が何を対象とする学であったのかを考察する。ヴントにおいて心理学の対象は、魂の実体ではなく、直接経験の中に現れる心的過程である。感覚、知覚、感情、注意、意志などがその中心となる。ここで重要なのは、これらが単なる受動的な印象の集まりではなく、まとまりを形成し、統一を作り出すはたらきを含んでいるという点である。知覚は刺激をそのまま映すだけではなく、注意の集中や統合のはたらきを伴い、感覚がそのまま知覚になるわけではない。したがって心は、与えられたものをただ受け取るだけでなく、それをまとめ、構成し、一定のまとまりを作る過程として現れる。本細目では、ヴント心理学の対象が、直接経験に現れる心的過程であり、それが受動的ではなく能動的な構成のはたらきを含むものであることを理解することを目標とする。
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コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習においては、各回のコマシラバスを通読し、当該回の主題、細目、キーワードを確認しておく。授業前の段階では、細部の完全な理解よりも、その回で何について、どのような用語で語られ、何が論点となるのかを把握しておくことが重要である。復習においては、授業後に教材の該当箇所を読み返し、授業で扱った時代、概念、人物、議論の要点を整理するとともに、関心を持った原典については周辺箇所も参照して理解を深めることが望ましい。加えて、小テストで誤答した問題を確認し、理解が不十分であった箇所を補い直すことが必要である。さらに、Google NotebookLM などを活用して教材解説を聴取したり、ChatGPT などを用いて小テストの類題を作成し反復練習したりすることで、知識の定着を図ることができる。
12 実験室の成立と内観法(ヴント2) 科目の中での位置付け 本科目は、前半において「心とは何か」という問いが古代から近代にかけてどのように立てられ、変化してきたのかをたどり、後半においてその問いが「心は数値化できるか」という問いへと展開し、心理学という学問が成立していく過程を学ぶ構成をとる。本コマは、その後半の中で、カントによる認識条件の分析、『フランケンシュタイン』が描いた生命観・人間観の揺らぎ、ダーウィンによる比較研究、生理学による感覚研究、フェヒナーの精神物理学、さらに第26回で導入したヴントの生理学的心理学を受けて、心の研究がどのようにして実験室の中で制度的・方法的に行われるようになったのかを学ぶ回に位置づけられる。前回は、ヴントが心を直接経験に現れる心的過程として捉え、それを新しい心理学の対象にしたことを確認した。本コマでは、それを受けて、心理学研究所の成立、内観法の再編成、反応時間や注意や意志の実験的研究を通して、心がどのように継続的・共同的な研究対象へと変わっていったのかを考察する。これにより、心理学は個人の思索ではなく、装置、訓練、記録、比較を備えた学問として姿を整えていくことが理解される。本コマは、本科目全体の中で、心理学が制度として成立する決定的段階として位置づけられる。
コマ主題細目 ① 心理学研究所――心を研究する場所が生まれる ② 内観法――ただ自分を眺めることではない ③ 反応時間・注意・意志――実験では何が見えるのか
細目レベル ① 本細目では、ライプツィヒにおける心理学研究所の成立が何を意味したのかを考察する。ここで重要なのは、単に部屋や施設ができたということではなく、心の研究が個人の思索や一時的試みではなく、持続的で共同的な営みになったという点である。実験には装置、手続き、記録、訓練された観察、そして結果を比較し検証する仕組みが必要である。研究所の成立によって、心の研究は繰り返し可能であり、他者に伝達でき、共同で進められるものになっていく。したがって心理学研究所の成立は、心を学問的に扱う制度的条件が整ったことを意味している。本細目では、研究所の成立を、心理学が個人の思想から学問制度へ移行した出来事として理解することを目標とする。
② 次に、ヴントの内観法がどのようなものであったのかを考える。ここで重要なのは、内観法が日常的に自分の心をぼんやり眺めることとは異なるという点である。ヴントが重視したのは、実験によって条件を整え、その場で生じる経験をできるだけ厳密にとらえる訓練された観察である。刺激のタイミングや強さ、反応時間の測定などが統制されていなければ、観察された内容は比較できない。したがって内観は、自由な自己反省ではなく、実験の枠組みの中で初めて学問的意味を持つ方法として再編成されている。本細目では、ヴントの内観法を、古い主観的方法としてではなく、実験と結びついた訓練された観察として理解することを目標とする。
③ 最後に、ヴントの実験心理学が具体的に何を対象としていたのかを考察する。ここで重要なのは、実験が単に刺激と感覚の対応だけを扱うのではなく、注意の向け方、知覚のまとまり方、反応の速さ、意志の関与といった過程までを問題にしている点である。同じ刺激であっても、注意の向け方によって経験は変わり、反応時間を測ることによって、刺激の受容から判断、意志、運動への移行にいくつかの段階があることが示される。したがって心は、曖昧な全体ではなく、分析可能な過程として姿を現す。本細目では、ヴントの実験心理学が、心を単なる要素の集まりではなく、注意・統合・意志を含む過程として研究しようとしたことを理解することを目標とする。
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コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習においては、各回のコマシラバスを通読し、当該回の主題、細目、キーワードを確認しておく。授業前の段階では、細部の完全な理解よりも、その回で何について、どのような用語で語られ、何が論点となるのかを把握しておくことが重要である。復習においては、授業後に教材の該当箇所を読み返し、授業で扱った時代、概念、人物、議論の要点を整理するとともに、関心を持った原典については周辺箇所も参照して理解を深めることが望ましい。加えて、小テストで誤答した問題を確認し、理解が不十分であった箇所を補い直すことが必要である。さらに、Google NotebookLM などを活用して教材解説を聴取したり、ChatGPT などを用いて小テストの類題を作成し反復練習したりすることで、知識の定着を図ることができる。
13 心理学の制度化と広がり(ヴント3) 科目の中での位置付け 本科目は、前半において「心とは何か」という問いが古代から近代にかけてどのように立てられ、変化してきたのかをたどり、後半においてその問いが「心は数値化できるか」という問いへと展開し、心理学という学問が成立していく過程を学ぶ構成をとる。本コマは、その後半の中で、カントによる認識条件の分析、『フランケンシュタイン』が描いた生命観・人間観の揺らぎ、ダーウィンによる比較研究、生理学による感覚研究、フェヒナーの精神物理学、そしてヴントによる実験心理学の成立を受けて、心理学がどのように制度として広がり、学問共同体の中で定着していったのかを学ぶ回に位置づけられる。前回は、研究所、実験、内観法を通して、心の研究が継続的かつ共同的な営みとして成立する条件を確認した。本コマでは、それを受けて、ライプツィヒがどのように心理学の中心地となったのか、留学生たちを通して心理学がどのように各地へ広がったのか、そして制度化によって何が可能になり、また何が制限されるのかを考察する。これにより、心理学は理論や方法の集まりであるだけでなく、教育・研究・発表・継承の仕組みを備えた学問として理解されるようになる。本コマは、本科目全体の中で、心理学が制度として成立し世界へ広がっていく局面を示す回として位置づけられる。
コマ主題細目 ① ライプツィヒ――心理学の中心地になる ② 留学生たち――心理学が世界へ広がる ③ 制度になったことで何が変わるのか
細目レベル ① 本細目では、ライプツィヒがどのようにして心理学研究の中心地となったのかを考察する。ここで重要なのは、心理学が哲学から単純に独立したというよりも、哲学、生理学、医学、教育といった複数の領域との関係の中で、自らの方法と対象を明確にしていったという点である。研究所の整備、講義と研究との連動、論文発表の場の形成によって、心理学は継続的に蓄積される学問となる。したがってライプツィヒは、単に有名な大学都市ではなく、心理学が研究・教育・発表を結びつけながら制度として根を下ろした場として理解されるべきである。本細目では、ライプツィヒを、心理学が制度化された中心地として理解することを目標とする。
② 次に、ライプツィヒから心理学がどのように世界へ広がったのかを考える。ここで重要なのは、ヴントの影響が著作だけによって広がったのではなく、研究所に集まった多くの留学生や研究者を通して広がったという点である。彼らはここで訓練を受け、それぞれの国へ戻って研究や教育を担うことになる。したがってライプツィヒの研究所は、一大学の施設であるだけでなく、心理学を国際的に広める結節点でもあった。ここでは、学問は一国の内部で完結するのではなく、人の移動と教育の連鎖の中で広がっていくものとして現れる。本細目では、ヴントの研究所を、心理学が国際的に展開していく中心的拠点として理解することを目標とする。
③ 最後に、心理学が制度として成立したことによって何が変わったのかを考察する。ここで重要なのは、制度化によって、心の研究が継続的に蓄積され、方法の訓練が可能になり、個人の思索ではなく他者との比較・批判・検証が行えるようになったという点である。研究所、講義、論文、弟子、学会といった仕組みがそろうことで、心理学は一時的な試みではなく安定した学問になる。他方で、制度化は、何が研究に値するか、どの方法が正当とされるかをある程度固定することにもなる。そのため、心理学は成立すると同時に、その限界も自覚し始める。本細目では、制度化を単なる成功としてではなく、心理学を可能にするとともに、その限界をも明らかにする出来事として理解することを目標とする。
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コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習においては、各回のコマシラバスを通読し、当該回の主題、細目、キーワードを確認しておく。授業前の段階では、細部の完全な理解よりも、その回で何について、どのような用語で語られ、何が論点となるのかを把握しておくことが重要である。復習においては、授業後に教材の該当箇所を読み返し、授業で扱った時代、概念、人物、議論の要点を整理するとともに、関心を持った原典については周辺箇所も参照して理解を深めることが望ましい。加えて、小テストで誤答した問題を確認し、理解が不十分であった箇所を補い直すことが必要である。さらに、Google NotebookLM などを活用して教材解説を聴取したり、ChatGPT などを用いて小テストの類題を作成し反復練習したりすることで、知識の定着を図ることができる。
14 民族心理学――実験室の外にある心(ヴント4) 科目の中での位置付け 本科目は、前半において「心とは何か」という問いが古代から近代にかけてどのように立てられ、変化してきたのかをたどり、後半においてその問いが「心は数値化できるか」という問いへと展開し、心理学という学問が成立していく過程を学ぶ構成をとる。本コマは、その後半の中で、カントによる認識条件の分析、『フランケンシュタイン』が描いた生命観・人間観の揺らぎ、ダーウィンによる比較研究、生理学による感覚研究、フェヒナーの精神物理学、さらにヴントによる実験心理学とその制度化を受けて、実験室の中だけでは扱いきれない心の領域がどのように捉え直されたのかを学ぶ回に位置づけられる。前回は、心理学が研究所、弟子、発表の場を通して制度として定着していく過程を確認した。本コマでは、それを受けて、言語、神話、宗教、習俗といった現象がなぜ実験心理学だけでは十分に扱えないのか、そしてヴントが民族心理学によってどのように心の社会的・歴史的次元を捉えようとしたのかを考察する。これにより、心は個人の一瞬の経験としてだけでなく、共同体と文化の中で形づくられるものとして理解されるようになる。本コマは、本科目全体の中で、実験心理学の限界を越えて、心を文化的・歴史的現実として捉える視点を導入する回として位置づけられる。
コマ主題細目 ① 実験で扱えないものは何か ② 言語・神話・習俗――共同体の中の心 ③ ヴントにとって「心」とは何だったのか
細目レベル ① 本細目では、ヴントがなぜ民族心理学を必要としたのかを考察する。ここで重要なのは、ヴントが実験心理学を捨てたのではなく、実験が有効な対象とそうでない対象とを区別したという点である。感覚や単純な知覚や反応は、条件を統制した実験によって扱うことができる。しかし、言語、神話、宗教、習俗、共同生活のような現象は、長い歴史の中で形成され、集団の中で共有されるものであり、実験室の中でそのまま再現することはできない。したがって、こうした現象には別の方法が必要になる。本細目では、民族心理学を、実験心理学への後退としてではなく、心の研究対象をより広く捉え直した結果として理解することを目標とする。
② 次に、民族心理学がどのような心を扱おうとしているのかを考える。ここで重要なのは、心がつねに個人の内部だけにあるわけではないという点である。言語は一人で作り一人で使うものではなく、神話や宗教や習俗もまた共同体の中で形成され、受け継がれていく。したがってそこには、個人心理だけでは説明できない、共有された表象や意味の世界がある。ヴントは、こうした共同生活の中に現れる心のかたちを捉えようとした。ここで心は、個人の感じ方であると同時に、共同体の中で形づくられ、維持される文化的現実として現れる。本細目では、心を個人の内面に閉じ込めず、言語・神話・習俗を通して形づくられる共同的な次元として理解することを目標とする。
③ 最後に、ヴントにとって心がどのようなものとして理解されていたのかを総括する。ここで重要なのは、ヴントが心を一方では実験によって分析できる直接経験の過程と見なし、他方では言語や文化の中で歴史的に形成される共同生活の産物とも見ていたという点である。感覚、知覚、注意、反応は実験室で研究されるが、それだけでは人間の心の全体には届かない。そこに民族心理学が必要になる。したがってヴントは、心を身体と切り離さず、しかも身体に還元せず、さらに個人の瞬間的経験だけにも閉じ込めなかった。本細目では、ヴントを単なる実験心理学の創始者としてではなく、個人の経験と共同体の文化の両方を視野に入れて心を考えた人物として理解することを目標とする。
キーワード
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習においては、各回のコマシラバスを通読し、当該回の主題、細目、キーワードを確認しておく。授業前の段階では、細部の完全な理解よりも、その回で何について、どのような用語で語られ、何が論点となるのかを把握しておくことが重要である。復習においては、授業後に教材の該当箇所を読み返し、授業で扱った時代、概念、人物、議論の要点を整理するとともに、関心を持った原典については周辺箇所も参照して理解を深めることが望ましい。加えて、小テストで誤答した問題を確認し、理解が不十分であった箇所を補い直すことが必要である。さらに、Google NotebookLM などを活用して教材解説を聴取したり、ChatGPT などを用いて小テストの類題を作成し反復練習したりすることで、知識の定着を図ることができる。
15 心はどのように科学になったのか 科目の中での位置付け 本科目は、前半において「心とは何か」という問いが古代から近代にかけてどのように立てられ、変化してきたのかをたどり、後半においてその問いが「心は数値化できるか」という問いへと展開し、心理学という学問が成立していく過程を学ぶ構成をとる。本コマは、その後半全体を総括するまとめの回として位置づけられる。第16回・第17回では、カントを通して、心が世界をそのまま映すものではなく、経験そのものを成り立たせる条件として捉えられることを学んだ。第18回・第19回では、『フランケンシュタイン』を通して、生命と人間の機械論的理解がもたらす揺らぎを考察した。第20回・第21回では、ダーウィンを通して、感情表現が人間だけに孤立したものではなく、生物の連続の中にある身体的行動として捉えられることを学んだ。さらに第22回から第25回までは、生理学とフェヒナーの精神物理学を通して、心が刺激・感覚・差異・測定の関係の中で数量的に扱いうる対象となることを学び、第26回から第29回までは、ヴントを通して、心が実験室の中で研究される学問的対象となるとともに、文化と共同体の中で形成されるものとしても捉えられることを学んだ。本コマでは、こうした流れを単に復習するのではなく、心がどのように自然の中に置かれ、研究の対象となり、さらに個人の内面を超えたものとして理解されていったのかを整理する。これにより、心理学とは、心を単純に科学化した学問ではなく、経験条件、自然、身体、比較、測定、文化という多様な視点の交差の中で成立してきた学問であることを理解する。本コマは、本科目全体の構造を受講者があらためて把握し直し、「心とは何か」と「心は数値化できるか」という二つの問いがどのようにつながっていたのかを見通すための最終的な節目として位置づけられる。
コマ主題細目 ① 心はどのように自然の中に置かれたのか ② 心はどのように研究の対象になったのか ③ 心はなぜ個人の内面だけではないのか
細目レベル ① 本細目では、後半の講義全体を通して、心がどのように自然の中に置き直されていったのかを整理する。カントにおいて心は、世界をそのまま受け取るものではなく、経験の条件として現れた。ダーウィンにおいて人間は自然の外にある特別な存在ではなく、生物全体の連続の中に置かれ、感情や表情や行動もまたその連続の中で考えられるようになった。さらにフェヒナーにおいては、この自然の中に置かれた心に対して、刺激と感覚の関係を通した数量的接近の道が開かれた。ここで重要なのは、心が超越的な何かとしてではなく、経験の条件であり、自然の連続の中にあり、しかも法則と数量のもとで扱いうるものとして現れたという点である。本細目では、後半の流れを通して、心が自然の中に位置づけ直されていったことを理解することを目標とする。
② 次に、心がどのように研究の対象となっていったのかを考える。十九世紀前半の生理学の発展の中で、感覚は外界の刺激と身体の働きとを結ぶ問題として強く意識されるようになった。ミュラーによって感覚は神経の働きと結びつけられ、ヘルムホルツによって感覚器官や神経過程は測定可能な身体現象として扱われ、ヴェーバーによって感覚差の規則性が示された。フェヒナーはこの流れの上で、心的現象にも数量的に接近する形式を与えた。さらにヴントに至ると、心は研究所、実験、訓練された内観法、論文発表、教育の制度の中で継続的に研究される対象となる。ここで重要なのは、心が完全に見えるものになったのではなく、比較し、記録し、反復し、検証しうるものになったという点である。本細目では、後半の講義全体を通して、心が語られる対象から研究される対象へと変化していったことを理解することを目標とする。
③ 最後に、心がなぜ個人の内面だけでは尽くせないのかを考察する。カントにおいてすでに、私たちの経験は空間と時間という共通の形式のもとで成り立っており、主観性は孤立した感じ方ではなく、世界を共有する条件として理解されていた。ダーウィンにおいては、感情や表情は身体的行動として、人間と動物の連続の中で捉えられた。さらにヴントに至ると、言語、神話、宗教、習俗といった共同生活の現象が問題となり、心は個人の内部だけで完結せず、共同体の文化と歴史の中で形成されるものとされた。したがって心は、個人の経験であると同時に、自然との関係、生物の連続、共同体の文化の中で成り立つ多面的な現実でもある。本細目では、後半全体を通して、心が内面、自然、身体、文化を横断する多面的なものとして現れてきたことを理解することを目標とする。
キーワード
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 予習においては、各回のコマシラバスを通読し、当該回の主題、細目、キーワードを確認しておく。授業前の段階では、細部の完全な理解よりも、その回で何について、どのような用語で語られ、何が論点となるのかを把握しておくことが重要である。復習においては、授業後に教材の該当箇所を読み返し、授業で扱った時代、概念、人物、議論の要点を整理するとともに、関心を持った原典については周辺箇所も参照して理解を深めることが望ましい。加えて、小テストで誤答した問題を確認し、理解が不十分であった箇所を補い直すことが必要である。さらに、Google NotebookLM などを活用して教材解説を聴取したり、ChatGPT などを用いて小テストの類題を作成し反復練習したりすることで、知識の定着を図ることができる。
履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
1.カントにおける経験条件としての心を正しく識別できる 受講者は、後半の出発点として、カントにおいて心がどのように経験の条件として捉えられたのかを正しく識別できなければならない。具体的には、感性、空間、時間、現象といった概念を通して、人間が世界をそのまま知るのではなく、一定の条件のもとで経験していることを理解している必要がある。また、私たちが知るのは物自体そのものではなく、空間と時間の形式のもとで現れた現象であること、そしてそのことが主観的な閉じこもりではなく、人間どうしが世界を共有し理解し合う条件でもあることを把握している必要がある。カントの議論を、単なる認識論としてではなく、後の比較・測定・実験の問題へつながる心の再定位として理解し、正しい記述を選択できることを到達水準とする。 感性、空間、時間、現象、経験条件 20点 16〜17回
2.『フランケンシュタイン』における生命・身体・心の問題を正しく識別できる 受講者は、『フランケンシュタイン』において、生命、身体、心がどのような問題として描かれているのかを正しく識別できなければならない。具体的には、生命を作ることと作られた生命を引き受けることとの違い、怪物の心が感覚・学習・他者との関係の中で形成されること、さらに拒絶と承認の欠如の中でその心が変形していくことを理解している必要がある。また、この作品が単なる怪奇小説ではなく、身体機械論や心身関係の問題を背景に、人間とは何か、生命とは何かを問い直す文学作品であることを把握している必要がある。ヴィクターの創造の企てと怪物の経験とを区別しつつ、生命・身体・心の関係をめぐる正しい記述を選択できることを到達水準とする。 生命創造、身体、怪物、承認、心身関係 20点 18〜19回
ダーウィンと生理学において、心が比較・身体・測定の対象になる過程を正しく判別できる 受講者は、ダーウィンと十九世紀生理学を通して、心がどのように自然科学的に扱われる対象へ変わったのかを正しく判別できなければならない。具体的には、感情表現が動物との連続の中で身体的行動として観察されること、さらに感覚が神経、刺激、感覚差に支えられた現象として捉えられることを理解している必要がある。ダーウィン、ミュラー、ヘルムホルツ、ヴェーバーの位置づけを混同せず、心が比較・観察・測定の対象へ移っていく過程を、人物・概念・研究内容の正しい対応として識別できることを到達水準とする。 進化論、感情表現、比較研究、神経、感覚差 20点 20〜22回
4.フェヒナーにおける精神物理学と心の数値化の意義を正しく対応づけられる 受講者は、フェヒナーの精神物理学が何を目指し、どのような意味で心の数値化を可能にしたのかを正しく対応づけられなければならない。具体的には、心は直接には測れないが、刺激と感覚差との対応から間接的に数量化しうること、ヴェーバーの法則を基礎として感覚増分を積み上げることで感覚尺度が構成されること、そしてそのことが心を測定・比較・法則化の対象へ変えたことを理解している必要がある。人物、概念、方法、学問的意義の正しい結びつきを選択肢の中で識別できることを到達水準とする。 精神物理学、ヴェーバーの法則、感覚差、刺激、数値化 20点 23〜25回
5.ヴントにおける実験心理学の成立、制度化、文化的拡張を正しく対応づけられる 受講者は、ヴントを通して、心理学がどのように独自の学問として成立し、実験室の中で制度化され、さらに民族心理学へと拡張されたのかを正しく対応づけられなければならない。具体的には、生理学的心理学、実験室、内観法、研究所、反応時間研究、学問共同体としての広がり、さらに言語・神話・習俗を扱う民族心理学の位置づけを理解している必要がある。ヴントを単なる「心理学の父」としてではなく、方法・制度・文化の三つの次元から心理学を形づくった人物として捉え、正しい記述を選択できることを到達水準とする。 実験心理学、内観法、研究所、制度化、民族心理学 20点 26〜29回
評価方法 期末試験(100%)によって評価する。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 使用しない
参考文献 各回の「教材・教具」欄を参照のこと。一覧としては以下のものとなる。1. Allport, G. W. (1935). Attitude. A Handbook of Social Psychology, Worcester: Clark University Press. 2. 浅井 邦二 (編) (1994). こころの測定法—心理学における測定の方法と課題— 実務教育出版. 3. 綾部 早穂・伊関 龍太・熊田 孝恒 (編) (2019). 心理学,認知・行動科学のための反応時間ハンドブック 勁草書房. 4. 馬場 真哉 (2021). 意思決定分析と予測の活用—基礎理論から Python 実装まで— 講談社. 5. Borsboom, D. (2005). Measuring the Mind: Conceptual Issues in Contemporary Psychometrics. [Kindle] Cambridge University Press: New York. 6. Chalmers, A. F. (1982). What is this thing called science? (2nd ed.). University of Queensland Press. (チャルマース A. F. 高田 紀代志・佐野 正博 (訳) (1985). 新版科学論 の展開–科学と呼ばれているものは何なのか? – 恒星社厚生閣) 7. 南風原 朝和・市川 伸一・下山 晴彦 (編) (2001). 心理学研究法—調査・実験から実践まで— 東京大学出版. 8. Holland, P. W. (1986). Statistics and causal inference. Journal of the American Statistical Association, 81, 945-960. 9. 堀 忠雄・尾﨑 久記 (2017). 生理心理学と精神生理学第 I 巻基礎 北大路書房. 10. 市川 伸一 (編) (1991). 心理測定法への招待—測定からみた心理学入門—, サイエンス社. 11. 嘉田 勝 (2008). 論理と集合から始める数学の基礎, 日本評論社. 12. 片平 健太郎 (2018). 行動データの計算論モデリング オーム社. 13. 川越 敏司 (2020). 「意思決定」の科学—なぜ,それを選ぶのか— 講談社. 14. Linn, R. L. Educational measurement (3rd ed.). National Council on Measurement in Education American Council on Education. (リン, R. L. 池田 央・藤田 恵璽・柳井 晴 夫・繁桝 算男 (監訳) (1992). 教育測定学第 3 版 CSL 学習評価研究所) 15. 宮川 雅巳 (2004). 統計的因果推論—回帰分析の新しい枠組み— 朝倉書店. 16. 森正 義彦 (2004). 科学としての心理学 理論とは何か? なぜ必要か? どう構築するか? 培 風館. 17. 中野 靖久 (1995). 心理物理測定法 Vision, 7, 17–27. 18. ルネ・デカルト 山田 弘明 (訳) (2010). 方法論序説 ちくま学芸文庫. 19. Porter, T. M. (1995). Trust in numbers: The persuit of objectivity in science and public life. Princeton University Press: New Jersey. (ポーター, P. M. 藤垣 裕子 (訳) (2013). 数値と客観性–科学と社会における信頼の獲得– みすず書房) 20. Searle, J. R. (2004). Mind: A brief introduction. Oxford University Press. (サール, J. R. 山本 貴光・吉川 浩満 (訳) (2018). MiND 心の哲学 ちくま学芸文庫) 21. 繁桝 算男 (編) (1998). 新版心理学測定法 放送大学教育振興会. 22. 田中 良久 (1977). 心理学的測定法 (第 2 版) 東京大学出版. 23. 戸田山 和久 (2000). 論理学をつくる 名古屋大学出版. 24. 若林 俊輔・根岸 雅史 (1993). 無責任なテストが「落ちこぼれ」を作る—正しい問題作成への英語授業的アプローチ— 大修館書店. 25. Woodworth, R. S. (1899). Accuracy of voluntary movement. The Psychological Review: Monograph Supplements, 3, 1-114. 26. 安井 翔太 (2020). 効果検証入門—正しい比較のための因果推論/計量経済学の基礎— 技術評論社.
実験・実習・教材費