区分 基盤教養科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力 科学コミュニケーション力 研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養 応用力 実践力
科目間連携 総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
この科目は「基盤教養科目」に位置づけられる必修科目である。

科目の目的
本科目の目的は、人間の心を科学によって研究し、説明するとはどういうことかを、心理学が科学として発展してきた過程から理解することである。人間の心は、哲学、宗教、文学、医学などさまざまな領域で語られてきたが、近代心理学は観察、実験、測定を用いて、その一部を科学の研究対象として切り出してきた。本科目では、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンを取り上げる。ジェームズが意識や習慣を自然科学の中でどのように扱おうとしたのか、パヴロフが見えない生体内部の働きを外から観察可能な反応へ変えたのか、ワトソンがなぜ意識を心理学の中心から外し行動を研究対象としたのかをたどる。そのうえで、科学化によって人間について何が明らかになり、どのような経験や意味がなお捉えにくいのかを考える。科学の力と限界の双方を理解し、人間を科学的に語るときに何を証拠とし、どこまでを説明とみなすのかを考える力を養う。
到達目標
全授業終了後には、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンの研究と考え方を関連づけ、心理学が人間の心を科学的に扱うために研究対象と方法をどのように変えてきたのかを説明できることを目標とする。ジェームズの意識の流れ・習慣、パヴロフの消化研究・条件反射、ワトソンの行動主義・恐怖条件づけについて、それぞれ何を観察し、何を証拠とし、何を科学的説明と考えたのかを説明できるようになる。また、観察された事実とそこからの解釈を区別し、科学的な方法によって明らかになることと、その方法だけでは直接扱いにくい問題の双方を、自分の言葉で整理できることを到達目標とする。

科目の概要
本科目は15回で、心理学が人間を科学的に研究する方法をどのように作ってきたのかをたどる。第1回から第6回ではジェームズを取り上げ、自然科学としての心理学、意識の流れ、反応、習慣、興味、注意、記憶、意志、さらに他者の生活の価値までを扱う。第7回から第10回ではパヴロフの生理学、消化研究、見せかけの給餌、条件反射を通して、見えない生体内部へ外から近づく実験的方法を学ぶ。第11回から第14回では、アメリカ心理学が行動へ向かった背景とワトソンの行動主義を取り上げ、恐怖、習慣、思考、パーソナリティーまでを行動から説明しようとした試みを学ぶ。第15回では三者を比較し、科学によって人間の心を語ることの成果と限界を総括する。
科目のキーワード
心理学、科学、ジェームズ、パヴロフ、ワトソン
授業の展開方法
まずは、このシラバスを読み講義を受ける準備をしていただく。そして、講義は、教材を一緒に読みながら展開される。教材をしっかりと読むので、ページ番号、行番号を手がかりに、受講して欲しい。講義後には、小テストを10問実施するので、内容確認に活用すること。帰宅後には、小テストで曖昧だった箇所を見直した上で、教材を再度、読んで欲しい。その後、次の講義に出席する前に、再度、教材を読み、流れを理解するようにする。

オフィス・アワー
高野裕治:前期:火曜1~5限
後期:火曜1~5限
伊藤義徳:※できるだけアポイントを取ってください
前期:火曜3限・4限
木曜1限・2限
後期:火曜3限・4限
木曜1限・2限
武田知也:前期:火曜1限
後期:火曜1限
横光健吾:前期:金曜4限
後期:金曜4限

科目コード RB3050
学年・期 2年・後期
科目名 科学と人間(科学の可能性と限界)
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
展開科目
関連資格
担当教員名 高野裕治・伊藤義徳・武田知也・横光健吾
回主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 アメリカで科学化する心理学:ヴントからジェームズへ 科目の中での位置付け 本科目「科学と人間」では、人間の心を科学によってどのように語ろうとしてきたのかを、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンの順にたどる。ジェームズでは意識や習慣を自然科学の中に残す試みを、パヴロフでは刺激と反応を操作して見えない生体内部へ近づく方法を、ワトソンでは観察可能な行動を心理学の中心に置く徹底した科学化を学ぶ。最終回には、この三つの流れを結び、科学によって人間について何が明らかになり、どのような問いがなお残るのかを考える。本コマは15回の出発点として、科学的心理学がドイツからアメリカへ広がり、ジェームズが心理学を自然科学として位置づける場面を扱う。実験と測定を受け継ぎながら、意識や生活を研究対象として残そうとした点を確認する。このあと、意識の流れ、反応、習慣、興味、注意、記憶、意志へ進み、ジェームズが心を科学の中にどのように残したのかを見たうえで、パヴロフの生理学へ移る。この全体の地図の中で、今回がどの地点にあるのかを意識しながら学ぶ。前後の内容だけでなく、15回全体の中での現在地を確認することが重要である。
ジェームズ「心理学について」
コマ主題細目 ① ヨーロッパからアメリカへ:科学的心理学が渡っていく ② アメリカの心理学へ:輸入から独自の学問へ ③ 自然科学としての心理学:ジェームズは何を切り出したのか
細目レベル ① 19世紀後半、心理学はドイツを中心に、実験室と測定装置を備えた新しい科学として形を整え始めた。とくにヴントのライプチヒ大学の研究室には、ヨーロッパだけでなくアメリカからも多くの若い研究者が集まり、反応時間や感覚の測定、実験装置の扱い方、研究結果のまとめ方などを学んだ。彼らは単にヴントの学説を覚えたのではなく、実験を計画し、学生を訓練し、研究成果を公表するという新しい学問の営みそのものを持ち帰った。帰国後には各地の大学に心理学の研究室が設けられ、専門的な教育や学位取得、学会や雑誌を通じた研究交流も整えられていく。ここでは、科学的心理学が一人の思想としてではなく、実験室、器具、教育制度、研究者のネットワークを伴う仕組みとして大西洋を渡り、アメリカで独立した学問として根を下ろしていく過程を理解する。その広がりが、心理学を特定の国の思想から国際的な研究分野へ変えていった点にも注目する。
② アメリカに渡った科学的心理学は、まず大学の実験室と教育の仕組みとして定着していった。ティチェナーは実験心理学の詳細な手引き書を作り、学生と教師が一定の手続きに従って感覚や知覚を研究できるようにした。こうしてヨーロッパで発達した実験法は、アメリカの大学で教えることのできる標準的な研究方法として広がっていった。しかし、心理学の研究者が増えるにつれて、科学として心理学を研究するという点を共有しながらも、「心理学は心の何を明らかにする学問なのか」という問いには異なる答えが現れた。ジェームズは、心が何からできているかだけでなく、それが生活の中でどのように働き、行動や環境との関係でどのような役割を果たすのかを重視した。輸入された実験心理学が制度として定着するとともに、研究対象や目的について多様な考え方が生まれ、アメリカ独自の心理学へ展開していくその中心にいたジェームズの心理学を学ぶ。

③ アメリカで科学的心理学の形成に関わったジェームズは、自らの『心理学』の序章で、本書では心理学を「自然科学として取り扱う」と明言している。ただし、それは心や人間についてのすべてを自然科学だけで説明できるという宣言ではなかった。ジェームズは、本来すべての知識は一つの真理の体系へ統合されるかもしれないが、そのような完全な体系はまだ実現していないため、現状では知識をいくつもの科学へ分け、それぞれが限られた対象を研究していると考えていた。心理学もその一つとして、意識状態とその原因・条件・直接の結果を切り出して研究する。これまでにエビングハウスが記憶を測るために問いと条件を限定したのと同じように、ここでは心理学という学問自体も心という全体から一部の心的機能を切り出すことで科学になっていたことを確認し、科学による限定と、なお残される全体への問いとの関係の理解を目指す。同時に、切り出された心理学だけが人間についての最終的な真理ではないことにも注意する。

キーワード ① ヴント ② ドイツ ③ ジェームズ ④ アメリカ ⑤ 科学的心理学
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:小テストで間違えた問題、なんとなく正答した問題などを必ず確認する。授業で使用した教材を最低でも3回は読み直す。特に、科学的心理学がドイツからアメリカへどのように広がったのか、またジェームズが心理学を「自然科学」としてどのように位置づけたのかを整理し、自分の言葉で説明できるようにする。さらに、「科目の中での位置付け」を読み直し、今回の内容が本科目全体の流れのどこにあるのかを確認する。人物名や用語だけでなく、前回までに何を学び、今回何が加わったのかを、自分の言葉で説明できるようにする。
予習:次回のシラバスを読み、次の授業で扱う人物・テーマと授業内容を確認しておく。

2 意識から行動へ:ジェームズの心理学 科目の中での位置付け 本科目「科学と人間」では、人間の心を科学によってどのように語ろうとしてきたのかを、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンの順にたどる。ジェームズでは意識や習慣を自然科学の中に残す試みを、パヴロフでは刺激と反応を操作して見えない生体内部へ近づく方法を、ワトソンでは観察可能な行動を心理学の中心に置く徹底した科学化を学ぶ。最終回には、この三つの流れを結び、科学によって人間について何が明らかになり、どのような問いがなお残るのかを考える。本コマはジェームズの心理学へ本格的に入る回である。心理学を自然科学としながら、意識を固定した要素ではなく絶えず変化する「流れ」として捉え、しかも心を反応や行動へ結びつけて考えた広い構想を学ぶ。このあと、反応の反復から習慣へ、さらに興味と注意、記憶と意志へ進み、科学としての心理学が人間の内面をどこまで扱えるのかを具体的に確かめる。この全体の地図の中で、今回がどの地点にあるのかを意識しながら学ぶ。前後の内容だけでなく、15回全体の中での現在地を確認することが重要である。

ジェームズ「心理学について」
コマ主題細目 ① 『心理学について』:教師と学生に向けて語られた心理学より ② 意識は流れている:科学は心をどう捉えるのか ③ 心は行動へ向かう:意識だけでは終わらない心理学
細目レベル ① 大著『心理学』を書き上げたジェームズは、その後、学校の教師や学生に向けて、心理学とはどのような学問であり、教育や人間理解に何をもたらすことができるのかを語った。その講演をもとにしたのが『心理学について―教師と学生に語る―』である。専門家だけに向けた体系書とは異なり、この本では、意識、行動、反応、習慣、興味、注意、記憶、意志などが、教室や日常生活の具体例と結びつけながら説明されていく。一方でジェームズは、心理学を学べば優れた教育方法がそのまま導き出せるとは考えておらず、心理学という科学と、教師が実際に行う教育との間には距離があることも強調している。ここでは、この本をこれから読み進めるための導入として、その成立の背景と章立てを確認し、ジェームズが科学としての心理学を語りながら、人間の生活や教育まで視野に入れていたことを理解する。
② 心理学を自然科学として扱うと宣言したジェームズは、心について語り始めると、意識を固定された要素の寄せ集めとしてではなく、絶えず移り変わる「流れ」として捉えるという考えをまず説明する。私たちの一瞬の意識には、身体感覚、記憶、思考、感情、欲求、意志などが同時に含まれ、その中で何が中心となるかも刻々と変化する。ジェームズは、意識には焦点と周辺があり、いま焦点にあるものが周辺へ退き、別のものが焦点へ移るように、意識全体が連続しながら変化していると考えていた。ここでは、第1回で確認した「自然科学としての心理学」と、捉えにくく流動的な「意識の流れ」とがなぜ同じ心理学の中にあるのかを考える。科学的に研究することは、必ずしも対象を細かな部分に分けて固定することではなく、変化する現象をその特徴を失わない形で捉えようとすることでもあることを理解する。
③ ジェームズの心理学は、流れる意識を内側から眺めるだけのものではない。人が外界から受けた印象は、心の中にとどまるのではなく、何らかの活動や反応となって外へ現れ、その行動によって生じた感覚が再び経験の一部として戻ってくると考えられる。したがって、知覚し、考え、感じることは、行為から切り離された過程ではない。教育においても、知識を聞き、覚え、言葉で答えるだけではなく、書く、測る、作る、実験するなど、学んだことを具体的な行動へ結びつけることが重視される。ここでは、「意識の流れ」を論じたジェームズが、同時に人間を環境から働きかけを受け、自らも環境へ働きかける「行動する有機体」として捉えていたことを確認する。意識か行動かという二者択一ではなく、その両方を一つの心理学の中で扱っていたジェームズの広い構想を理解する。

キーワード ① アメリカ ② ジェームズ ③ 心理学 ④ 科学 ⑤ 意識の流れ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:小テストで間違えた問題、なんとなく正答した問題などを必ず確認する。授業で使用した教材を最低でも3回は読み直す。特に、ジェームズの「意識の流れ」とは何か、また意識が反応や行動へどのようにつながると考えられたのかを整理し、自分の言葉で説明できるようにする。さらに、「科目の中での位置付け」を読み直し、今回の内容が本科目全体の流れのどこにあるのかを確認する。人物名や用語だけでなく、前回までに何を学び、今回何が加わったのかを、自分の言葉で説明できるようにする。
予習:次回のシラバスを読み、次の授業で扱う人物・テーマと授業内容を確認しておく。


3 反応から習慣へ:行動はどのように形づくられるのか 科目の中での位置付け 本科目「科学と人間」では、人間の心を科学によってどのように語ろうとしてきたのかを、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンの順にたどる。ジェームズでは意識や習慣を自然科学の中に残す試みを、パヴロフでは刺激と反応を操作して見えない生体内部へ近づく方法を、ワトソンでは観察可能な行動を心理学の中心に置く徹底した科学化を学ぶ。最終回には、この三つの流れを結び、科学によって人間について何が明らかになり、どのような問いがなお残るのかを考える。本コマは、ジェームズの意識の記述から、行動が経験によってどのように形づくられるのかへ焦点を移す回である。生まれながらの反応が教育や経験によって組み替えられ、反復によって習慣として安定していく過程を学ぶ。このあと、習慣だけでは捉えきれない興味と注意へ進み、記憶と意志までをつないで、ジェームズの人間観を一つのまとまりとして理解していく。この全体の地図の中で、今回がどの地点にあるのかを意識しながら学ぶ。前後の内容だけでなく、15回全体の中での現在地を確認することが重要である。

ジェームズ「心理学について」
コマ主題細目 ① 生まれながらの反応:行動の出発点はどこにあるのか ② 経験によって反応は変わる:生得から習得へ ③ 繰り返された反応は習慣になる:行動が自動化されるまで
細目レベル ① ジェームズは、人間の行動を考えるとき、教育や経験によって身につけた反応だけでなく、生まれながらに備わっている多くの反応から出発する。乳児が物をつかむ、動くものへ注意を向ける、危険を感じて身を避けるといった反応だけでなく、好奇心や模倣など、その後の行動の土台になるさまざまな傾向が人間にはある。人間は何もない状態から学習を始めるのではなく、すでに環境へ働きかける仕組みを備えて生まれてくるのである。ここでは、ジェームズが人間を受動的に刺激を受け取る存在ではなく、生得的な反応をもって環境とかかわる有機体として捉えていることを確認し、教育や経験による変化を考えるためにも、まず生まれながらの行動の特徴を理解する。

② 人間には生得的な反応がある一方で、成長するにつれて、そのままでは見られなかった新しい反応も獲得されていく。ジェームズはこの変化を、「未教育時」と「教育された後」の脳の過程を表す二つの模式図を用いて説明している。はじめは印象が生得的な反応へ直接結びついていたものが、経験や教育を重ねることで、記憶などを介して元の反応を抑えたり、別の反応へ向かったりするようになる。ただし、この図は実際の神経回路を示したものではなく、心理的な過程を空間的に表した模式図である。ここでは、生まれながらの反応と経験によって習得される反応とを区別するとともに、教育によって既存の反応が組み替えられ、新しい行動が形成されていくというジェームズの考えを理解する。


③ 経験によって獲得された反応も、最初から容易に行えるわけではない。しかし同じ行動を繰り返すと、次第に少ない注意や努力で行えるようになり、やがて習慣として生活の一部に組み込まれていく。ジェームズは、人間の生活の大部分がこのような習慣によって支えられていることを重視した。着替えや日常の作業のように、最初は一つ一つ意識して行っていた行動も、習慣化されればほとんど自動的に進めることができる。その一方で、一度形成された習慣は行動を一定の方向へ導く力ももつ。ここでは、反応の反復によって行動が安定し、自動化される過程を確認し、習慣が人間の行動を効率よく支えると同時に、その後の生活のあり方を形づくる重要な仕組みであることを理解する。
キーワード ① アメリカ ② ジェームズ ③ 反応 ④ 生得的行動 ⑤ 習慣
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:小テストで間違えた問題、なんとなく正答した問題などを必ず確認する。授業で使用した教材を最低でも3回は読み直す。特に、生まれながらの反応が経験によって組み替えられ、反復によって習慣として自動化されていく過程を整理し、自分の言葉で説明できるようにする。さらに、「科目の中での位置付け」を読み直し、今回の内容が本科目全体の流れのどこにあるのかを確認する。人物名や用語だけでなく、前回までに何を学び、今回何が加わったのかを、自分の言葉で説明できるようにする。
予習:次回のシラバスを読み、次の授業で扱う人物・テーマと授業内容を確認しておく。


4 興味から注意へ:心は何を選び取るのか 科目の中での位置付け 本科目「科学と人間」では、人間の心を科学によってどのように語ろうとしてきたのかを、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンの順にたどる。ジェームズでは意識や習慣を自然科学の中に残す試みを、パヴロフでは刺激と反応を操作して見えない生体内部へ近づく方法を、ワトソンでは観察可能な行動を心理学の中心に置く徹底した科学化を学ぶ。最終回には、この三つの流れを結び、科学によって人間について何が明らかになり、どのような問いがなお残るのかを考える。本コマは、反応や習慣の形成から、「人は何に心を向けるのか」という選択の問題へ進む回である。興味によって自然に注意が向く場合と、努力して注意を引き戻す場合を区別し、意識の焦点がどのように保たれるのかを考える。このあと、注意の議論を記憶と意志へつなげ、さらに他者の生活の価値や人生の意味へ進むことで、科学としての心理学とその外側に残る問いを見ていく。この全体の地図の中で、今回がどの地点にあるのかを意識しながら学ぶ。前後の内容だけでなく、15回全体の中での現在地を確認することが重要である。
ジェームズ「心理学について」
コマ主題細目 ① 習慣から興味へ:人は何に心を向けるのか ② 興味は新しい世界を開く:知っているものから知らないものへ ③ 注意は何を選び続けるのか:興味から意志への入口
細目レベル ① 習慣によって多くの行動が自動的に進むようになっても、人間は周囲にあるすべてのものへ同じように反応するわけではない。あるものには自然に目を向け、別のものにはほとんど関心を示さないように、私たちの心には対象を選び取る偏りがある。ジェームズは、この違いを考えるために「興味」という問題を取り上げる。すでに興味をもっているものは注意を引きやすく、そこからさらに新しい知識や経験へ心が向かうこともある。ここでは、反応や習慣によって行動が形づくられるだけでなく、人間自身が何を重要なものとして受け取り、どの対象へ心を向けるかという選択の側面があることを確認し、行動の形成から興味や注意の問題へジェームズの議論が進んでいくことを理解する。
② 人は、最初からあらゆる対象に興味をもっているわけではない。しかしジェームズは、もともと興味のなかった対象でも、すでに興味をもっているものと結びつけることによって、新しい興味を生み出せると考える。未知の事柄を、これまでの経験や知識、関心のある対象と関連づければ、それまで意味をもたなかったものが、自分にとって意味のあるものとして見え始める。教育においても、新しい知識をただ提示するだけではなく、生徒がすでにもっている興味と結びつけることが重要になる。ここでは、興味が固定された好みではなく、経験によって広げていくことのできる心の働きであることを確認し、既知の世界を手がかりとして未知の世界へ関心を広げるというジェームズの教育観を理解する。
③ 興味をもった対象には自然に注意が向きやすい。しかし、いつも興味を引くものだけに注意していればよいわけではなく、ときには退屈なことや困難なことへ意識を向け続けなければならない。ジェームズは、注意には対象に自然に引きつけられる場合だけでなく、努力して注意を保つ場合があることを論じる。ここで、第2回で扱った「意識の焦点と周辺」という問題が再び現れる。何を意識の中心に置き、何を周辺へ退けるかによって、その後の思考や行動も変わっていくのである。ここでは、興味と注意が深く結びつきながらも同じものではないことを確認し、注意を一定の対象へ保ち続ける「努力」という問題が、意志の議論へつながっていくことを理解する。
キーワード ① アメリカ ② ジェームズ ③ 習慣 ④ 興味 ⑤ 注意
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:小テストで間違えた問題、なんとなく正答した問題などを必ず確認する。授業で使用した教材を最低でも3回は読み直す。特に、興味と注意がどのように結びつくのか、また自然に向く注意と努力して引き戻す注意がどのように異なるのかを整理し、自分の言葉で説明できるようにする。さらに、「科目の中での位置付け」を読み直し、今回の内容が本科目全体の流れのどこにあるのかを確認する。人物名や用語だけでなく、前回までに何を学び、今回何が加わったのかを、自分の言葉で説明できるようにする。
予習:次回のシラバスを読み、次の授業で扱う人物・テーマと授業内容を確認しておく。

5 記憶から意志へ:心は自分をどこまで導けるのか 科目の中での位置付け 本科目「科学と人間」では、人間の心を科学によってどのように語ろうとしてきたのかを、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンの順にたどる。ジェームズでは意識や習慣を自然科学の中に残す試みを、パヴロフでは刺激と反応を操作して見えない生体内部へ近づく方法を、ワトソンでは観察可能な行動を心理学の中心に置く徹底した科学化を学ぶ。最終回には、この三つの流れを結び、科学によって人間について何が明らかになり、どのような問いがなお残るのかを考える。本コマは、ジェームズの心理学を記憶と意志まで進める回である。記憶を既有の知識や経験との結びつきから捉え、意志を、ある観念を意識の焦点に保ち続ける注意の努力として考える。ここで主要な心理機能が一つにつながる。このあと、他者の生活の価値や人生の意味を扱ってジェームズを締めくくり、次のまとまりでは、パヴロフの生理学によって心へ外側から近づく方法へ大きく転換する。この全体の地図の中で、今回がどの地点にあるのかを意識しながら学ぶ。前後の内容だけでなく、15回全体の中での現在地を確認することが重要である。
ジェームズ「心理学について」
コマ主題細目 ① 記憶は一つの能力なのか:覚える力を分解して考える ② 記憶は結びつきによって豊かになる:経験と連合 ③ 意志とは注意を保つ努力である:行動を選ぶ心
細目レベル ① これまでの学習でエビングハウスを通して、記憶を測定可能な現象として扱う方法を学んだ。ジェームズは『心理学について』で、今度は教育の立場から「記憶力」という考えを問い直す。ある人が何でも同じようによく覚えられるような、一つの独立した記憶能力があるわけではなく、何を覚えられるかは、その内容がすでにもっている知識や経験とどのように結びつくかによって変わる。したがって、記憶をよくするとは、単に記憶力そのものを鍛えることではない。ここでは、記憶を一枚岩の能力として考えるのではなく、保持や再生、既有の知識との連合など複数の過程から捉えようとするジェームズの考えを確認し、エビングハウスとは異なる角度から、記憶を科学的に考える方法を理解する。
② 新しいことを覚えやすくするためには、その内容を孤立させるのではなく、すでに知っている多くの事柄と結びつけることが重要になる。ジェームズは、豊かな知識をもつ人ほど、新しい経験を既存の知識の網の目の中に位置づけ、多くの手がかりから思い出すことができると考える。この見方は、第4回で扱った「興味」ともつながる。人は無差別にすべてを記憶するのではなく、自分にとって意味をもち、すでにある経験や関心と結びついたものを記憶しやすい。ここでは、記憶が過去をそのまま保存する容器ではなく、現在の知識や経験との関係の中で成り立つことを確認し、学ぶことが新しい知識を既存の世界へ結びつけ、その後の学習をさらに豊かにする過程でもあることを理解する。
③ 興味のある対象には自然に注意が向くが、学習や生活では、気の進まないことや困難なことにも注意を向け続けなければならない。ジェームズは、複数の観念や行動の可能性が競い合う場面で、ある観念を意識の中に保ち、それが行動を導くまで注意を向け続ける努力を、意志を考えるうえで重要なものとした。意志は、心の中に独立して存在する謎の能力ではなく、注意と行動の関係の中で考えられているのである。ここでは、第4回で扱った「注意を引き戻す努力」が意志の問題へつながることを確認し、反応や習慣によって行動が形づくられる一方で、人間がどの観念を保ち、どの行動を選ぶのかという問題をジェームズがどのように考えたのかを理解する。その努力が選択と行動を方向づける。
キーワード ① アメリカ ② ジェームズ ③ 記憶 ④ 連合 ⑤ 意志
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:小テストで間違えた問題、なんとなく正答した問題などを必ず確認する。授業で使用した教材を最低でも3回は読み直す。特に、記憶が既有の知識や経験との結びつきによって成り立つこと、また意志が注意を保つ努力として捉えられていることを整理し、自分の言葉で説明できるようにする。さらに、「科目の中での位置付け」を読み直し、今回の内容が本科目全体の流れのどこにあるのかを確認する。人物名や用語だけでなく、前回までに何を学び、今回何が加わったのかを、自分の言葉で説明できるようにする。
予習:次回のシラバスを読み、次の授業で扱う人物・テーマと授業内容を確認しておく。

6 他者の生から人生の意味へ:心理学は人間をどこまで理解できるのか 科目の中での位置付け 本科目「科学と人間」では、人間の心を科学によってどのように語ろうとしてきたのかを、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンの順にたどる。ジェームズでは意識や習慣を自然科学の中に残す試みを、パヴロフでは刺激と反応を操作して見えない生体内部へ近づく方法を、ワトソンでは観察可能な行動を心理学の中心に置く徹底した科学化を学ぶ。最終回には、この三つの流れを結び、科学によって人間について何が明らかになり、どのような問いがなお残るのかを考える。本コマはジェームズを扱う最後の回として、自然科学としての心理学だけでは尽くしにくい他者の価値や人生の意味を扱う。「或る盲目性」と文学や詩を手がかりに、外から見える生活と本人が感じる意味が一致しない可能性を考える。このあと、パヴロフへ移り、刺激・神経・反応を操作して原因を絞り込む生理学を学ぶ。科学が人間を理解する方法が、内側の記述から外側の測定へ移る転換点となる。この全体の地図の中で、今回がどの地点にあるのかを意識しながら学ぶ。前後の内容だけでなく、15回全体の中での現在地を確認することが重要である。
ジェームズ「心理学について」
コマ主題細目 ① 他人の人生は外から見えるのか:「或る盲目性」という問題 ② 文学は他者の世界を見せられるか:心理学と文学 ③ 生活を意義あるものにするものは何か:心理学から再び哲学へ
細目レベル ① 人の行動や生活は外から観察することができる。しかし、その人が何に価値を感じ、何を喜びとし、何を支えとして生きているのかまで、外から見ただけで理解できるとは限らない。ジェームズは「人間における或る盲目性について」で、私たちが自分自身の感情や価値を基準にして他人の生活を判断し、その人にとっての意味を見落としてしまうことを「盲目性」として論じる。一見すると単調で価値の乏しい生活に見えても、そこには本人だけが感じている世界があるかもしれない。ここでは、観察可能な行動を知ることと、その人が生きている経験の意味を理解することとは同じではないことを確認し、他者を理解するときに自分の尺度だけで判断することの限界について考える。
② 他者の生活の内側にある価値を、私たちはどのように知ることができるのだろうか。ジェームズはこの問題を論じる中で、旅行記や随筆だけでなく、スティーヴンソンやホイットマンなどの文学や詩を繰り返し引用する。そこでは文学は、心理学の議論を飾るための例ではなく、自分とは異なる人がどのような世界を生き、何に意味を感じているのかを想像するための手がかりとして用いられている。ここでは、自然科学として心理学を構想したジェームズ自身が、人間を理解するために文学の言葉を用いていることに注目する。これまでに『ハムレット』や『フランケンシュタイン』を通して心を考えたこととも結びつけ、科学的な説明と文学による経験の表現が、それぞれ人間理解にどのような役割をもつのかを考える。
③ ジェームズの問いは、最後には「何が人間の生活を意義あるものにするのか」という問題へ進んでいく。快適で成功した生活だけが価値ある生活なのではなく、本人が追い求める理想や、そのために払う努力によって、外からは理解しにくい生活にも意味が生まれることがある。第1回では、ジェームズが心理学を自然科学として扱うため、人間についての問い全体から限られた対象を切り出したことを確認した。それから意識、反応、習慣、興味、注意、記憶、意志をたどってきたが、人が何を価値あるものとして生きるかという問いはなお残る。ここでは、科学として心理学を築きながら、その科学だけで人間についてのすべてを尽くそうとはしなかったジェームズの姿勢を振り返り、心理学と哲学、科学と生活との関係を考える。
キーワード ① アメリカ ② ジェームズ ③ 科学 ④ 文学 ⑤ 哲学
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:小テストで間違えた問題、なんとなく正答した問題などを必ず確認する。授業で使用した教材を最低でも3回は読み直す。特に、他者の生活の価値を外からだけでは判断しきれないというジェームズの考えと、心理学・文学・人生の意味の関係を整理し、自分の言葉で説明できるようにする。さらに、「科目の中での位置付け」を読み直し、今回の内容が本科目全体の流れのどこにあるのかを確認する。人物名や用語だけでなく、前回までに何を学び、今回何が加わったのかを、自分の言葉で説明できるようにする。
予習:次回のシラバスを読み、次の授業で扱う人物・テーマと授業内容を確認しておく。

7 原因を実験で探す:パヴロフと生理学 科目の中での位置付け 本科目「科学と人間」では、人間の心を科学によってどのように語ろうとしてきたのかを、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンの順にたどる。ジェームズでは意識や習慣を自然科学の中に残す試みを、パヴロフでは刺激と反応を操作して見えない生体内部へ近づく方法を、ワトソンでは観察可能な行動を心理学の中心に置く徹底した科学化を学ぶ。最終回には、この三つの流れを結び、科学によって人間について何が明らかになり、どのような問いがなお残るのかを考える。本コマは、ジェームズからロシアのパヴロフへ移る最初の回である。意識経験を記述する方法から、生体に刺激を与え、反応を観察し、条件を一つずつ操作して原因を絞り込む生理学へと、科学の問いの立て方が変わる。このあと、消化研究と「見せかけの給餌」、条件反射、「外から見られる頭脳」へ進み、見えない生体内部を外から測る方法がどのように心理学へ接続するのかをたどる。
「パヴロフの生涯」
コマ主題細目 ① ロシアの自然科学へ:生命を原因から説明する ② またカエルが出てくる:反射を実験する ③ 何を変え、何を観察するのか:原因を絞り込む実験
細目レベル ① 19世紀後半、ドイツだけでなくロシアでも、生物の身体を観察と実験によって明らかにしようとする生理学が発展していた。若いパヴロフも、生命現象を超自然的な力や抽象的な説明に求めるのではなく、実験によって原因を明らかにする自然科学へと関心を移していく。この講義では、パヴロフの弟子によって執筆された『パヴロフの生涯』を読むことで、パヴロフが、「生物体」と「無生物体」を神秘的な力によって区別するという考えから離れ、外界からの刺激に対して生体がどのように応答するかを調べる生理学に取り組む姿をたどる。まずは、神学校から自然科学へ進んだパヴロフが、生命の働きを原因と結果の関係として解明しようとする生理学を自らの専門として選んでいった背景を理解する。 
② これまでに扱ったカエルの実験が、ここでもう一度登場する。『フランケンシュタイン』の背景として学んだガルヴァーニの動物電気や、ヘルムホルツがカエルの神経と筋肉を用いて神経伝導の時間を測定した研究では、身体の運動や神経の働きを外から観察し、測定する方法が重要であった。パヴロフが生理学を学んだ時代にも、カエルを用いた反射実験は、生体の働きを実験的に調べる基本的な方法の一つであった。頭部を除いたカエルでも脚への刺激によって一定の反応が生じ、刺激する場所や強さを変えると反応も変化する。ここでは、こうした実験を通して、意識的な判断を仮定しなくても刺激と反応の関係を研究できること、さらに条件を操作しながら反応の変化を調べる方法が、後のパヴロフの研究へつながっていくことを理解する。
③ 反射を研究するためには、動物が「そうしたかったから動いた」と説明するだけでは足りない。刺激する場所を変える、刺激の強さを変える、神経の一部を切断するなど、条件を一つずつ操作し、それによって反応がどのように変化するかを確かめる必要がある。若いパヴロフが学んでいったのは、すでに知られている答えを確認することではなく、現象を生じさせる条件を実験によって切り分け、原因を絞り込んでいく方法であった。エビングハウスで学んだ「条件を限定して関係を見えるようにする」という実験の考え方である。パヴロフもさまざまな生命現象の原因を探るために、生理学の実験に取り組んだことを確認し、後の消化研究や条件反射研究を支えるパヴロフの研究の出発点を理解する。 
キーワード ① ロシア ② パヴロフ ③ 生理学 ④ 反射 ⑤ カエル
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:小テストで間違えた問題、なんとなく正答した問題などを必ず確認する。授業で使用した教材を最低でも3回は読み直す。特に、パヴロフが刺激や神経の条件を操作し、反応の変化を観察することで原因を切り分けようとした実験的方法を整理し、自分の言葉で説明できるようにする。さらに、「科目の中での位置付け」を読み直し、今回の内容が本科目全体の流れのどこにあるのかを確認する。人物名や用語だけでなく、前回までに何を学び、今回何が加わったのかを、自分の言葉で説明できるようにする。
予習:次回のシラバスを読み、次の授業で扱う人物・テーマと授業内容を確認しておく。

8 見えない生体を測る:消化研究と「見せかけの給餌」 科目の中での位置付け 本科目「科学と人間」では、人間の心を科学によってどのように語ろうとしてきたのかを、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンの順にたどる。ジェームズでは意識や習慣を自然科学の中に残す試みを、パヴロフでは刺激と反応を操作して見えない生体内部へ近づく方法を、ワトソンでは観察可能な行動を心理学の中心に置く徹底した科学化を学ぶ。最終回には、この三つの流れを結び、科学によって人間について何が明らかになり、どのような問いがなお残るのかを考える。本コマは、パヴロフの生理学が具体的な実験方法として形になっていく回である。胃液や膵液のように外から見えない現象を、動物をできるだけ正常な状態に保ちながら観察し、「見せかけの給餌」で原因を切り分ける。このあと、唾液の研究から条件反射の発見へ進み、それが「外から見られる頭脳」「内界への窓」と呼ばれる意味を考え、心理学的説明との境界へ進む。
パヴロフの生涯
コマ主題細目 ① 生きた動物の中をどう見るか:実験方法そのものを作る ② 胃液はなぜ出るのか:神経作用をめぐる問い ③ 「見せかけの給餌」:胃に届かなくても胃液が出る
細目レベル ① 胃液や膵液の分泌を調べるには、身体を開いてその場で観察するだけでは十分ではない。手術や麻酔そのものが生理状態を大きく変えてしまえば、そこで見ているのは通常の消化ではなく、手術によって乱された状態だからである。パヴロフはこの問題に対して、あらかじめ手術によって胃や消化腺につながる開口部を作り、動物が手術から回復した後に、覚醒した状態で消化液を繰り返し採取する「慢性実験」の方法を発展させた。これにより、一頭の動物について、食物を与える前後や食物の種類を変えたときの分泌を継続して観察できるようになった。ここでは、見えない体内現象を測るには、単に身体の中を見るのではなく、できるだけ正常な状態を保ちながら、同じ現象を繰り返し観察できる実験方法そのものを作る必要があったことを理解する。 
② 食物が胃に入ると胃液が分泌される。しかし、それだけでは胃液がなぜ出たのかは分からない。食物が胃壁に直接触れたことによって分泌されたのか、それとも口や咽頭への刺激が神経を介して胃へ伝わったのか。当時、この点について研究者の説明は一致していなかった。パヴロフが求めたのは、どちらの説明がもっともらしいかを論じることではなく、二つの可能性を実験によって切り分けることであった。そのためには、食物を口には入れるが胃には入れない条件、あるいは神経のつながりを保つ場合と断つ場合を作り、胃液の分泌がどう変わるかを比較すればよい。ここでは、「胃液が出た」という観察から原因を推測するだけでなく、原因と考えられる条件を実際に操作し、その結果の変化によって説明を選ぶというパヴロフの実験的な考え方を理解する。
③ そこで用いられたのが「見せかけの給餌」である。犬には、胃液を外へ取り出せるよう胃に開口部を設け、さらに飲み込んだ食物が胃へ届かず途中で体外へ出るよう、食道にも手術が行われていた。犬は食物を見て、口に入れ、噛み、飲み込むが、食物そのものは胃には一切到達しない。それでも胃からは大量の胃液が分泌された。つまり、胃液分泌は食物が胃壁へ直接触れることだけでは説明できない。さらに迷走神経を切断すると、犬は同じように食べても胃液が分泌されなくなる。食物が胃へ入る経路と、神経を介して胃へ信号が伝わる経路を別々に操作することで、食べるという行為が神経を通して胃液分泌を引き起こすことが示された。ここでは、一見奇妙な実験が、原因を一つずつ切り分けるために設計されたものであることを理解する。
キーワード ① ロシア ② パヴロフ ③ 生理学 ④ 消化 ⑤ 胃液
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:小テストで間違えた問題、なんとなく正答した問題などを必ず確認する。授業で使用した教材を最低でも3回は読み直す。特に、「見せかけの給餌」がどのように原因を切り分ける実験になっているのか、また見えない生理現象を測定可能にする方法を整理し、自分の言葉で説明できるようにする。さらに、「科目の中での位置付け」を読み直し、今回の内容が本科目全体の流れのどこにあるのかを確認する。人物名や用語だけでなく、前回までに何を学び、今回何が加わったのかを、自分の言葉で説明できるようにする。
予習:次回のシラバスを読み、次の授業で扱う人物・テーマと授業内容を確認しておく。
 

9 条件反射の発見:内側の世界への窓 科目の中での位置付け 本科目「科学と人間」では、人間の心を科学によってどのように語ろうとしてきたのかを、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンの順にたどる。ジェームズでは意識や習慣を自然科学の中に残す試みを、パヴロフでは刺激と反応を操作して見えない生体内部へ近づく方法を、ワトソンでは観察可能な行動を心理学の中心に置く徹底した科学化を学ぶ。最終回には、この三つの流れを結び、科学によって人間について何が明らかになり、どのような問いがなお残るのかを考える。本コマは、パヴロフの消化研究が心理学の問題へ近づく中心的な回である。生得的な反射を基準に、もともとは反応と無関係だった色や音が経験によって新しい刺激になる過程を学び、条件反射を内側の世界へ近づく窓として捉える。このあと、「心理学は抵抗する」の場面で、知覚や欲求を心理学的な語で説明することと、刺激と反応を実験で説明することの違いを検討し、パヴロフを締めくくる。
パブロフの生涯
コマ主題細目 ① 唾液は何に反応するのか ② 無条件反射から条件反射へ ③ 「外から見られる頭脳」:条件反射は内界への窓になる
細目レベル ① 第8回では、食物が胃に届かなくても胃液が分泌され、神経を切断するとその反応が失われることから、消化の働きに神経が関わることを学んだ。次にパヴロフたちが注目したのは唾液である。共同研究者たち自身も、なぜそれほど唾液腺を研究するのか疑問に思ったと『パヴロフの生涯』には記されている。食物が口に入れば唾液が出る。また酸のような刺激が口に入ったときにも唾液が分泌される。これらは学習しなくても生じる反射であり、現在では無条件反射と呼ばれる。ところが研究を続けると、もともとは唾液を出させなかった刺激でも、食物や酸と繰り返し結びつくことで唾液を生じさせるようになる。ここでは、無条件刺激・無条件反応と、経験によって成立する条件刺激・条件反応を区別し、条件反射が生まれつきの反射を土台として成立することを理解する。 
② 『パヴロフの生涯』では、犬の口に墨で色をつけた酸を流し込む実験が紹介される。酸が口に入れば、犬は生まれつき唾液を分泌する。しかし、酸に色がついていても、最初からその色だけで唾液が出るわけではない。ところが、同じ色のついた酸を繰り返し口に入れる経験を重ねると、やがて酸そのものが口に入らなくても、その色を見るだけで唾液が分泌されるようになる。もともと反射を起こさなかった「色」が、酸と結びつく経験によって、新しく反射を引き起こす刺激になったのである。しかも唾液は外から観察し、量として記録することができるため、この変化を実験の結果として確かめることができる。ここでは、条件反射を完成した用語として覚えるのではなく、変化しないと思われていた反射に、経験によって新しい入口が作られていく発見として捉える。 
③ この結果は、単に「色を見たら唾液が出る」という新しい反射が見つかったというだけではない。『パヴロフの生涯』p.184では、このような条件反射を通して、これまで外から直接見ることのできなかった動物の内側へ近づく可能性が語られる。内側から経験すれば知覚、思想、欲求などとして現れるものも、外側からは、どの刺激に反応し、どのような経験によってその反応が変化したかを調べることができる。そこで条件反射は、「外から見られる頭脳」であり、動物の「内界への窓」として位置づけられる。これは、心を自由に推測する代わりに、外から観察できる反応を手がかりとして内側へ近づこうとする方法である。ここでは、パヴロフが心や内面を否定したのではなく、直接には見えないものへ、観察と実験によって近づこうとしたことを理解する。この考えが、次回の「心理学は抵抗する」という問題につながる。
キーワード ① ロシア ② パヴロフ ③ 無条件反射 ④ 条件反射 ⑤ レスポンデント条件づけ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:小テストで間違えた問題、なんとなく正答した問題などを必ず確認する。授業で使用した教材を最低でも3回は読み直す。特に、無条件刺激・無条件反応・条件刺激・条件反応の関係と、条件反射を「外から見られる頭脳」「内界への窓」と捉えた意味を整理し、自分の言葉で説明できるようにする。さらに、「科目の中での位置付け」を読み直し、今回の内容が本科目全体の流れのどこにあるのかを確認する。人物名や用語だけでなく、前回までに何を学び、今回何が加わったのかを、自分の言葉で説明できるようにする。
予習:次回のシラバスを読み、次の授業で扱う人物・テーマと授業内容を確認しておく。

10 心理学は抵抗する:心を外から研究するとは何か 科目の中での位置付け 本科目「科学と人間」では、人間の心を科学によってどのように語ろうとしてきたのかを、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンの順にたどる。ジェームズでは意識や習慣を自然科学の中に残す試みを、パヴロフでは刺激と反応を操作して見えない生体内部へ近づく方法を、ワトソンでは観察可能な行動を心理学の中心に置く徹底した科学化を学ぶ。最終回には、この三つの流れを結び、科学によって人間について何が明らかになり、どのような問いがなお残るのかを考える。本コマは、パヴロフを扱うまとまりの最後に位置する。条件反射が感覚や学習へ研究対象を広げる一方、心理学独自の説明を重視する立場と、刺激と反応を客観的に確かめるパヴロフの立場が衝突したことを学ぶ。このあと、舞台をアメリカへ戻し、機能主義、デューイ、ソーンダイクを経てワトソンへ進む。心へ近づく手がかりとしての反応から、行動そのものを心理学の中心に置く転換を学ぶ。
パヴロフの生涯
コマ主題細目 ① 条件反射はどこまで広がるのか:経験が新しい反射をつくる ② 「心理学は抵抗する」:心について何を証拠とするのか ③ 内界への窓から行動主義へ:パヴロフは何を残したのか
細目レベル ① 第9回では、酸そのものではなく、酸と結びついた色を見るだけで唾液が出るようになることから、経験によって新しい反射が形成されることを学んだ。条件反射の研究を進めると、色だけでなく、音や光など、もともとは反応と無関係だったさまざまな刺激が、新しい反射を引き起こす信号になりうることが分かってくる。しかも、その結びつきは生まれつき固定されたものではなく、経験によって作られ、条件が変われば弱くなったり消えたりする。パヴロフはこのような結びつきを「一時的結合」として捉え、環境の変化に応じて生物の反応がどのように組み替えられるのかを実験的に調べようとした。ここでは、条件反射が単なる唾液の研究ではなく、感覚や脳の働き、さらに学習による行動変化へ研究対象を広げる方法となったことを理解する。
② 条件反射の研究が進むと、問題は消化や反射の生理学だけには収まらなくなる。犬がある刺激を見分け、過去の経験によって反応を変えるなら、それは知覚、期待、欲求といった、これまで心理学が扱ってきた現象にも近づいていく。『パヴロフの生涯』の「心理学は抵抗する」では、こうした現象には心理学独自の法則があり、生理学だけでは説明できないと考える立場と、まず刺激と反応を客観的に記録し、実験によって確かめられる関係から説明すべきだとするパヴロフの立場との対立が描かれる。パヴロフは心理現象の存在そのものを否定するのではなく、観察できない心的状態をそのまま原因として説明することに慎重だった。ここでは、何を証拠とし、どこまでを科学的説明と認めるのかをめぐって、心理学と生理学の境界が争われていたことを理解する。
③ パヴロフは、知覚や欲求のような内側の現象を自由に推測することを避け、外から操作できる刺激と観察できる反応を出発点とした。しかし第9回で見たように、その目的は心を研究から追放することではなかった。条件反射を「外から見られる頭脳」「内界への窓」と捉えたのは、直接には見ることのできない内側の働きへ、外から観察できる反応を通して近づこうとしたからである。つまりパヴロフは、心について語ることをやめたのではなく、心について何を証拠として語れるのかを厳しく限定したのである。この方法は、心理学をより客観的な科学へ向かわせる重要な道を開いた。次にアメリカのワトソンは、この考えをさらに押し進め、内界へ近づくための手がかりとして行動を見るのではなく、観察可能な行動そのものを心理学の中心に置こうとする。ここでは、その違いを確認し、パヴロフから行動主義への接続を理解する。
キーワード ① ロシア ② パヴロフ ③ 条件反射 ④ レスポンデント条件づけ ⑤ 古典的条件づけ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:小テストで間違えた問題、なんとなく正答した問題などを必ず確認する。授業で使用した教材を最低でも3回は読み直す。特に、心理学的説明と生理学的説明の違い、およびパヴロフが内面を否定したのではなく、心へ近づくための証拠と方法を限定したことを整理し、自分の言葉で説明できるようにする。さらに、「科目の中での位置付け」を読み直し、今回の内容が本科目全体の流れのどこにあるのかを確認する。人物名や用語だけでなく、前回までに何を学び、今回何が加わったのかを、自分の言葉で説明できるようにする。
予習:次回のシラバスを読み、次の授業で扱う人物・テーマと授業内容を確認しておく。

11 行動主義の下地:アメリカ心理学はなぜ行動へ向かったのか 科目の中での位置付け 本科目「科学と人間」では、人間の心を科学によってどのように語ろうとしてきたのかを、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンの順にたどる。ジェームズでは意識や習慣を自然科学の中に残す試みを、パヴロフでは刺激と反応を操作して見えない生体内部へ近づく方法を、ワトソンでは観察可能な行動を心理学の中心に置く徹底した科学化を学ぶ。最終回には、この三つの流れを結び、科学によって人間について何が明らかになり、どのような問いがなお残るのかを考える。本コマは、ワトソンの行動主義が成立する直前のアメリカ心理学を扱う回である。ジェームズ以後の機能主義、デューイの反射弧批判、ソーンダイクの動物学習研究をたどり、生物が環境の中で何をするかへ関心が移った背景を確認する。このあと、ワトソン自身の宣言へ進み、心理学を客観的な行動の科学として再定義した意味を学ぶ。さらに人間の情動、習慣、思考、人格まで行動から説明する試みへ進む。 
ワトソン「行動主義の心理学」
コマ主題細目 ① シカゴ大学と機能主義 ② 刺激と反応を切り離してよいのか:デューイの反射弧批判 ③ 行動を測る:ソーンダイクからワトソンへ
細目レベル ① ジェームズは、意識の流れを重視しながらも、反応、習慣、行動、環境への適応を心理学の重要な問題として扱った。その後のアメリカでは、心を構成する要素を分析するだけでなく、生物が環境の中でどのように行動し、適応するのかを重視する心理学が発展していく。シカゴ大学ではデューイやエンジェルらがこうした問題に取り組み、ワトソンもエンジェルのもとで心理学を学び、デューイの哲学に接しながら、白ネズミを用いた動物研究へ進んだ。ここでは、ワトソンが突然「行動」を発見したのではなく、ジェームズ以後のアメリカ心理学ですでに、心をその働きや行動から考えようとする流れが生まれていたことを確認し、行動主義が成立する知的背景を理解する。 
② デューイは1896年の「心理学における反射弧の概念」で、刺激が生じ、それに反応が続くという単純な分解に疑問を投げかけた。ジェームズが用いた、子どもがロウソクを見て手を伸ばし、火傷する例を取り上げ、「見る」「手を伸ばす」「火傷する」を別々の出来事としてではなく、一つの連続した感覚―運動の協調として捉えようとする。刺激と反応は、それぞれ独立して存在する部品ではなく、行為全体の中で一時的に区別される働きなのである。ここでは、身体と魂という古い二元論が「刺激と反応」という新しい二元論として残るというデューイの批判を読み、行動を科学することが、必ずしも人間を単純な刺激―反応の連鎖へ分解することを意味しなかったことを理解する。
③ ソーンダイクは動物をパズルボックスに入れ、試行を重ねるにつれて脱出までの時間がどのように変化するかを測定した。そこから、ある状況で生じた反応が満足を伴えば、その状況との結びつきが強くなるという「効果の法則」を示した。心の内容を直接尋ねるのではなく、行動の変化を数量的に追うという点で、心理学はさらに客観的な研究へ進んでいた。しかしワトソンは後に、『満足』『不満足』という語を用いる点に、なお主観的な説明が残っていると批判した。ここでは、意識を扱うジェームズ、反射弧を再考するデューイ、動物の学習を測るソーンダイクという流れの先で、1913年にワトソンが心理学そのものを行動の科学として再定義しようとしたことを理解する。 
キーワード ① アメリカ ② ジェームズ ③ ソーンダイク ④ デューイ ⑤ ワトソン
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:小テストで間違えた問題、なんとなく正答した問題などを必ず確認する。授業で使用した教材を最低でも3回は読み直す。特に、ジェームズ以後の機能主義、デューイの反射弧批判、ソーンダイクの学習研究が、ワトソンの行動主義へどのようにつながったのかを整理し、自分の言葉で説明できるようにする。さらに、「科目の中での位置付け」を読み直し、今回の内容が本科目全体の流れのどこにあるのかを確認する。人物名や用語だけでなく、前回までに何を学び、今回何が加わったのかを、自分の言葉で説明できるようにする。
予習:次回のシラバスを読み、次の授業で扱う人物・テーマと授業内容を確認しておく。

12 行動主義とは何か:心理学から意識を外す 科目の中での位置付け 本科目「科学と人間」では、人間の心を科学によってどのように語ろうとしてきたのかを、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンの順にたどる。ジェームズでは意識や習慣を自然科学の中に残す試みを、パヴロフでは刺激と反応を操作して見えない生体内部へ近づく方法を、ワトソンでは観察可能な行動を心理学の中心に置く徹底した科学化を学ぶ。最終回には、この三つの流れを結び、科学によって人間について何が明らかになり、どのような問いがなお残るのかを考える。本コマは、15回の中でも大きな転換点であり、ワトソンが心理学の定義そのものを変えようとした回である。意識と内観を中心から外し、心理学を客観的な自然科学の一部門とし、行動の予測と統制を目標に据えたことを学ぶ。このあと、アルバートの恐怖条件づけを通して行動主義を人間の情動へ適用し、さらに習慣、言語、思考、パーソナリティーまで、その射程を広げていく。 
ワトソン「行動主義の心理学」
コマ主題細目 ① 意識を研究する心理学への批判 ② 心理学を客観的な自然科学にする:予測と統制 ③ 人間と動物を同じ科学で研究する:行動主義の射程
細目レベル ① ワトソンは『行動主義』第1章で、それまでの心理学が意識を研究対象としてきたことを批判する。その際、ジェームズが心理学を「意識状態そのものの記述と説明」と定義したことも取り上げられる。ジェームズは意識を固定した要素ではなく「流れ」として捉え、行動や習慣まで広く扱っていたが、ワトソンから見れば、なお心理学の中心に「意識」を残している。さらに内観によって自分の意識状態を報告する方法では、観察者によって結果が異なり、他者が同じ現象を直接確認することも難しい。ここでは、第1~6回で学んだジェームズが、今度は乗り越えるべき心理学の代表として登場することに注目し、ワトソンが何を心理学から取り除こうとしたのかを理解する。 
② 1913年の「行動主義者の立場から見た心理学」で、ワトソンは心理学を「純粋に客観的な自然科学の一部門」と位置づけ、その理論的目標を行動の予測と統制に置いた。内観は不可欠な方法ではなく、刺激と反応、習慣形成など、複数の観察者が確認できる出来事から心理学を組み立てようとする。この考えは、その後の『行動主義』でさらに体系的に説明される。ここでは、科学的であることを単に実験装置を用いることと考えるのではなく、どのような言葉を説明に用いるかまで限定しようとしたワトソンの徹底性に注目する。心理学の対象を「心」から「行動」へ変更することが、研究方法だけでなく、心理学とは何かという学問そのものの定義を変える試みだったことを理解する。
③ ワトソンの行動主義では、人間の行動と動物の行動との間に、心理学の方法を分ける決定的な境界は置かれない。言葉によって自分の心を説明できる人間だけを特別な研究対象とするのではなく、動物研究で用いられてきた観察と実験の方法を、人間にも適用できると考える。これは、動物の行動を研究しても、人間の意識について語れなければ心理学として不十分だと考える従来の立場を逆転させるものであった。ここでは、動物心理学を人間心理学より低い段階に置くのではなく、両者を一つの行動科学の中へ入れようとするワトソンの構想を確認する。そのうえで、意識を用いずに情動、習慣、思考、人格まで説明することが本当に可能なのかという、以後の講義の問いへ進む。 
キーワード ① アメリカ ② ワトソン ③ 行動主義 ④ 科学的心理学 ⑤ 予測と制御
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:小テストで間違えた問題、なんとなく正答した問題などを必ず確認する。授業で使用した教材を最低でも3回は読み直す。特に、ワトソンが心理学を客観的な自然科学として再定義し、行動の予測と統制、人間と動物を同じ方法で研究することを掲げた意味を整理し、自分の言葉で説明できるようにする。さらに、「科目の中での位置付け」を読み直し、今回の内容が本科目全体の流れのどこにあるのかを確認する。人物名や用語だけでなく、前回までに何を学び、今回何が加わったのかを、自分の言葉で説明できるようにする。
予習:次回のシラバスを読み、次の授業で扱う人物・テーマと授業内容を確認しておく。
 

13 恐怖を条件づける:子どもの情動発達 科目の中での位置付け 本科目「科学と人間」では、人間の心を科学によってどのように語ろうとしてきたのかを、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンの順にたどる。ジェームズでは意識や習慣を自然科学の中に残す試みを、パヴロフでは刺激と反応を操作して見えない生体内部へ近づく方法を、ワトソンでは観察可能な行動を心理学の中心に置く徹底した科学化を学ぶ。最終回には、この三つの流れを結び、科学によって人間について何が明らかになり、どのような問いがなお残るのかを考える。本コマは、ワトソンの行動主義が宣言から人間の情動研究へ進む回である。白ネズミと大きな音を組み合わせたアルバートの実験を通して、恐怖が経験によって形成され、似た対象へ転移・拡大していく過程を具体的に追う。このあと、行動主義を習慣、言語、思考、パーソナリティーへ広げ、心という語を用いずに人間をどこまで説明できるのかを考えたうえで、総括へと進む。
ワトソン「行動主義の心理学」
コマ主題細目 ① 条件反射を人間へ:パヴロフを行動主義に取り込む ② 恐怖は作ることができるのか:アルバートの実験 ③ 一つの恐怖はどこまで広がるのか:般化と情動の学習
細目レベル ① ワトソンは、幼児の情動反応そのものを観察するところから、成人の複雑な情動生活がどのように作られるのかを考えようとした。『行動主義の心理学』第7章では、乳児の恐れ反応は、突然の大きな音や身体の支えを失うことなど、比較的限られた刺激によって生じると整理されている。それにもかかわらず、成長した人間は、特定の動物、場所、物、人、状況など非常に多くの対象を恐れる。そこでワトソンは、もともと恐れを起こさなかった刺激が、恐れを起こす刺激と結びつくことで新しい恐れの対象になるのではないかと考えた。ここでは、パヴロフの条件反射をそのまま人間へ当てはめたと見るのではなく、情動の発達という問題を、刺激と反応の結びつきが経験によって変化する過程として実験的に調べようとした点を理解する。
② 『行動主義の心理学』第7章では、11か月のアルバートを用いた実験の手順が具体的に記録されている。最初、アルバートは白ネズミを恐れず、手を伸ばして触ろうとした。そこで白ネズミに触れようとする瞬間に、背後で鋼鉄の棒をハンマーで打って大きな音を生じさせる試行を行った。大きな音に対しては泣き、身体を引く反応が生じるが、試行を重ねると、やがて音を伴わない白ネズミだけでも泣いたり、身体を引いたり、離れようとする反応が現れるようになった。一方、比較のために提示された積木には同じ反応はみられなかった。ここでは、後世の教科書に図式化された「恐怖条件づけ」を、実際の観察記録に戻ってたどり、ワトソンが何を変化として記録し、それを何の証拠と考えたのかを理解する。
③ 形成された恐れ反応は、白ネズミだけに限定されなかった。『行動主義の心理学』第7章では、その後にウサギ、犬、毛皮などを提示すると、アルバートが泣く、身体を引く、逃げようとするといった反応を示す場面が記録され、ワトソンはこれを条件情動反応の「転移」あるいは「拡大」として扱っている。つまり、一つの対象との経験によって形成された反応が、似た特徴をもつ別の対象にも広がったのである。続く第8章では、こうして獲得された恐れをどのように弱めたり失わせたりできるかが問題となり、別の子どもたちを用いた恐れ反応の除去法が検討される。ここでは、条件づけを一つの刺激と反応の結合だけで終わる現象としてではなく、反応が別の対象へ広がり、また経験によって変化しうる情動学習として捉える。
キーワード ① アメリカ ② ワトソン ③ 行動主義 ④ 恐怖条件づけ ⑤ 般化
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:小テストで間違えた問題、なんとなく正答した問題などを必ず確認する。授業で使用した教材を最低でも3回は読み直す。特に、パヴロフの条件反射がアルバートの恐怖条件づけへどのように応用され、形成された恐怖が別の対象へ般化したのかを整理し、自分の言葉で説明できるようにする。さらに、「科目の中での位置付け」を読み直し、今回の内容が本科目全体の流れのどこにあるのかを確認する。人物名や用語だけでなく、前回までに何を学び、今回何が加わったのかを、自分の言葉で説明できるようにする。
予習:次回のシラバスを読み、次の授業で扱う人物・テーマと授業内容を確認しておく。

14 心のすべてを行動で語れるか:習慣・思考・パーソナリティー 科目の中での位置付け 本科目「科学と人間」では、人間の心を科学によってどのように語ろうとしてきたのかを、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンの順にたどる。ジェームズでは意識や習慣を自然科学の中に残す試みを、パヴロフでは刺激と反応を操作して見えない生体内部へ近づく方法を、ワトソンでは観察可能な行動を心理学の中心に置く徹底した科学化を学ぶ。最終回には、この三つの流れを結び、科学によって人間について何が明らかになり、どのような問いがなお残るのかを考える。本コマは、ワトソンの行動主義が一つの条件づけ実験を越え、人間の生活全体へ広がる回である。手を使う習慣、言語と思考、パーソナリティーまでを行動の形成と履歴から説明しようとした徹底性を、原著に即して学ぶ。このあと最終回では、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンの三者を並べ、科学が心を扱うために何を選び、何を測り、何を説明から外したのかを比較して本科目を総括する。 
ワトソン「行動主義の心理学」
コマ主題細目 ① 人間は習慣によって作られる:行動を組み立てる ② 考えることも行動なのか:言語と内言 ③ パーソナリティーまで行動で捉える:心という語は必要なのか
細目レベル ① 『行動主義の心理学』第9章「手を使う習慣」では、人間の習慣を、完成した行動が最初から備わっているものとしてではなく、多数の反応が組み合わされ、環境とのやり取りの中で形成されるものとして説明している。ワトソンは、人間の習慣を大きく、内臓の習慣、喉頭を用いる言語の習慣、手を使う習慣に分け、とくに手を使う行動がどのように組み立てられるかを詳しく扱う。幼児が物へ手を伸ばし、つかみ、口へ運ぶような運動も、はじめから完全に組織された技能ではなく、反復される運動とその結果によって次第にまとまった習慣になる。さらにワトソンは、環境が変われば、それまで有効だった一連の反応も組み替えられることを示す。ここでは、習慣を単なる反復ではなく、条件づけられた反応が連鎖し、複雑な日常行動へ発達していく過程として理解する。
② 『行動主義の心理学』第10章は「しゃべることと考えること」と題され、発声と言語習慣がどのように形成されるかを、手を使う習慣と同じく学習された行動として扱っている。乳児の発声は最初から意味のある言葉ではなく、周囲の人の発音や状況との結びつきの中で、特定の音や語が繰り返し用いられるようになる。さらにワトソンは、言葉を対象や状況に対して働く反応として捉え、外に声を出して話す場合だけでなく、声に出さずに生じる言語的な反応も思考を考える手がかりとした。第11章では、いつも言葉だけで考えているのかという問題をさらに検討し、手を使う反応や内臓的な反応も含む可能性を論じている。ここでは、思考を行動主義の外へ追い出したのではなく、最も内面的に見える現象を、言語を中心とした身体的な習慣の組み合わせとして分析しようとしたことを理解する。 
③ 『行動主義の心理学』第12章では、パーソナリティーを、身体の内側にある一つの実体や性格の核としてではなく、一人の人間がこれまでに獲得してきた行動のまとまりとして捉えようとする。ワトソンは、人のパーソナリティーを調べるには、その人が日常場面で何をするか、どのような技能や言語習慣、情動反応を示すか、仕事や他者との関係でどのように行動するかを観察する必要があると考える。また、同じ人でも環境や状況が変われば行動の現れ方が変化しうるため、固定した「内側の性格」を原因として置くのではなく、その人が形成してきた習慣の体系を調べる方向へ進む。ここでは、情動、手を使う習慣、言語と思考を経て、ついに一人の人間全体まで行動の側から記述しようとしたワトソンの徹底性を確認し、「心」という語を使わずにどこまで人間を説明できるのかを考える。
キーワード ① アメリカ ② ワトソン ③ 行動主義 ④ 行動 ⑤ 心
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:小テストで間違えた問題、なんとなく正答した問題などを必ず確認する。授業で使用した教材を最低でも3回は読み直す。特に、ワトソンが習慣だけでなく、思考やパーソナリティーまで行動の言葉でどのように説明しようとしたのかを整理し、自分の言葉で説明できるようにする。さらに、「科目の中での位置付け」を読み直し、今回の内容が本科目全体の流れのどこにあるのかを確認する。人物名や用語だけでなく、前回までに何を学び、今回何が加わったのかを、自分の言葉で説明できるようにする。
予習:次回のシラバスを読み、次の授業で扱う人物・テーマと授業内容を確認しておく。

15 科学によって人間をどこまで語れるか:三つの科学化を総括する 科目の中での位置付け 本科目「科学と人間」では、人間の心を科学によってどのように語ろうとしてきたのかを、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンの順にたどる。ジェームズでは意識や習慣を自然科学の中に残す試みを、パヴロフでは刺激と反応を操作して見えない生体内部へ近づく方法を、ワトソンでは観察可能な行動を心理学の中心に置く徹底した科学化を学ぶ。最終回には、この三つの流れを結び、科学によって人間について何が明らかになり、どのような問いがなお残るのかを考える。本コマは「科学と人間」の最終回であり、ここまでの14回を一つの流れとして結び直す。ジェームズが意識を残して科学を構想したこと、パヴロフが見えない生体内部を反応として測ったこと、ワトソンが行動そのものへ対象を限定したことを比較する。最後に、科学化によって人間の心について確かに語れる範囲が広がった一方、本人の経験や意味をどのように扱うかという問いが残ることを確認し、「科学によって人間を語る」とは何かを考えて科目を閉じる。
コマ主題細目 ① 意識を残して科学する:ジェームズ ② 見えない働きを外から測る:パヴロフ ③ 心を行動へ置き換える:ワトソンと科学の限界
細目レベル ① 本科目の出発点となったジェームズを振り返る。ジェームズは心理学を自然科学として位置づけながら、研究対象から意識を外さなかった。意識を固定した要素ではなく絶えず変化する流れとして捉え、反応、習慣、興味、注意、記憶、意志までを一つの心理学の中で扱った。また、人間の生活の価値や他者の経験については、科学的心理学だけで尽くせない問いが残ることも示していた。ここでは、科学であるために心を捨てるのではなく、複雑な心的現象をどのような単位で記述し、どこまでを自然科学の対象として扱うかを限定するという科学化のあり方を確認する。ジェームズの心理学は、科学の出発点に立ちながら、人間について語る範囲を最初から狭く閉じなかった点に特徴がある。
② 次にパヴロフを振り返る。パヴロフは、胃液や唾液のように身体の内部で起きる現象を、手術法や測定法を工夫して外から観察可能なものへ変えた。「見せかけの給餌」では、食物が胃へ入ることと神経を介した反応とを切り分け、条件反射では、経験によって新しい刺激と反応の結びつきが形成されることを実験的に示した。重要なのは、パヴロフが心や内面を単純に否定したのではなく、条件反射を「外から見られる頭脳」「内界への窓」と捉え、直接には見えない働きへ外側から近づこうとしたことである。ここでは、科学が見えない対象を扱うために、観察できる指標を作り、条件を操作し、対立する説明を実験で比較するという方法を確認する。測定法そのものが理論を支える点にも注目する。
③ 最後にワトソンの行動主義を振り返る。ワトソンは、観察者によって確かめにくい意識や内観を心理学の中心から外し、心理学を観察可能な行動を対象とする客観的な自然科学として再定義した。恐怖の条件づけ、習慣、言語、思考、パーソナリティーまでを行動の形成と履歴から説明しようとしたことは、心理学の科学化を強く押し進めた試みであった。一方で、観察可能な行動だけから、本人が経験している意味や他者の内側までどこまで語れるのかという問いも残る。ジェームズ、パヴロフ、ワトソンを並べることで、科学化とは単に正確になることではなく、何を証拠として採用し、何を一度説明の外へ置くかを選ぶことでもあると理解する。科学の力と限界は、その選択と表裏一体である。
キーワード ① ジェームズ ② パヴロフ ③ ワトソン ④ 心理学と生理学 ⑤ 行動主義
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 復習:小テストで間違えた問題、なんとなく正答した問題などを必ず確認する。授業で使用した教材を最低でも3回は読み直す。特に、ジェームズ、パヴロフ、ワトソンを、何を研究対象とし、何を観察し、何を証拠として科学的説明を組み立てたのかという共通の軸で整理し、自分の言葉で説明できるようにする。さらに、「科目の中での位置付け」を読み直し、15回全体の流れを確認する。科学化によって人間について何が明らかになり、どのような問いが残ったのかを説明できるようにする。  
履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
ウィリアム・ジェームズ① 自然科学としての心理学と意識 ジェームズが心理学を自然科学として位置づけながら、意識を固定した要素の集合ではなく、絶えず変化する「意識の流れ」として捉えたことを説明できる。意識にはその時々で中心となる焦点と周辺があり、その内容が移り変わりながら連続しているという考えを理解する。また、心理学を科学として研究するためには対象を限定する必要がある一方、限定された心理学だけで人間についてのすべてを説明できるわけではないというジェームズの立場を説明できることを求める。
 
自然科学としての心理学/意識の流れ/焦点と周辺/科学的心理学 20 1,2
ウィリアム・ジェームズ② 反応・習慣から意志と人間理解へ ジェームズが、意識だけでなく、外から受けた印象が反応へ結びつくこと、反応の反復によって習慣が形成されること、興味によって注意が向けられ、努力によって注意を保つことが意志につながると考えたことを説明できる。また、人間を環境から働きかけを受けるだけでなく、自ら行動し環境へ働きかける存在として捉えていたことを理解する。さらに、他者の生活の価値や人生の意味は外からの観察だけでは十分に捉えられないという問題まで含めて、ジェームズの人間理解を説明できることを求める。 反応/習慣/興味/注意/意志 20 3,4,5,6
イワン・パヴロフ① 生理学と原因を切り分ける実験 パヴロフの研究を、条件反射だけからではなく、生理学における反射研究や消化研究から続く一連の研究として説明できる。刺激する場所や強さ、神経の状態などの条件を操作し、その結果として反応がどのように変化するかを観察することで、原因を実験的に切り分けようとした方法を理解する。また、「見せかけの給餌」などを通して、身体内部の直接には見えない働きを、外から観察し測定できる現象へ変える実験方法の意味を説明できることを求める。 反射/生理学/実験/見せかけの給餌/原因の切り分け 10 7,8
イワン・パヴロフ② 条件反射と「外から見られる頭脳」 食物や酸などによって生じる無条件反射を基礎として、もともとは反応と無関係だった刺激が、経験によって反応を引き起こす条件刺激になる過程を説明できる。無条件刺激・無条件反応、条件刺激・条件反応の関係を理解するとともに、パヴロフが条件反射を「外から見られる頭脳」「内界への窓」と捉えた意味を説明できることを求める。さらに、心理的な現象そのものを否定するのではなく、主観的な説明に頼らず、外から観察できる反応を手がかりとして内面へ近づこうとした立場を理解する。 無条件反射/条件反射/条件刺激/条件反応/外から見られる頭脳 20 9,10
ジョン・B・ワトソン① 心理学を行動の科学へ変える ワトソンが、それまで意識や内観を中心としていた心理学を批判し、心理学を観察可能な行動を対象とする客観的な自然科学として再定義したことを説明できる。心理学の目標を行動の「予測と統制」に置き、人間と動物を異なる方法で研究するのではなく、観察と実験という共通の方法によって研究しようとしたことを理解する。また、心理学の対象を心から行動へ移すことが、研究方法だけでなく、心理学という学問そのものの定義を変える試みであったことを説明できることを求める。 行動主義/客観的自然科学/予測と統制/行動/人間と動物 10 11,12
ジョン・B・ワトソン② 条件づけ・環境と人間の形成 ワトソンが条件づけの考えを人間の情動へ適用し、リトル・アルバートの実験を通して、恐怖反応が経験によって形成され、別の対象へ広がる可能性を研究したことを説明できる。また、習慣、言語、思考、パーソナリティーまでを環境との関係から説明しようとしたこと、「一ダースの赤ん坊」に代表される環境を重視した人間観を理解する。その際、ワトソンの強い主張だけでなく、本人が「事実より先走っている」と認めていたことなど、実証上の限界も含めて説明できることを求める。 条件づけ/リトル・アルバート/環境/習慣/一ダースの赤ん坊 20 13,14
評価方法 期末テストによって評価する(100点)。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書
参考文献
実験・実習・教材費