区分
基盤スキル科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力
科学コミュニケーション力
研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養
応用力
実践力
科目間連携
総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
この科目は「基盤スキル科目」に位置づけられる選択科目である。
科目の目的
本科目の目的は、受講者が研究テーマおよび研究目的に適した心理学実験を具体的に計画できるようになることである。具体的には、誤差や剰余変数の影響を考慮しながら、実験装置、刺激、試行、測定環境、実験手続きなどを適切に設定し、研究上の問いを検証可能な実験計画として具体化するための知識と考え方を身につけることを目指す。
心理学では、直接観察することが難しい心のはたらきを、行動や反応などの測定可能な指標を通して検討する。1年次の『心理学研究法』では心理学を研究するための研究方法として、実験法、調査法、観察法、面接法の基本を学び、そのうち実験法に関して2年次の『心理学実験Ⅰ』と3年次の『心理学実験Ⅱ』にて、知覚・認知心理学分野の基礎実験を実施し、データの分析、レポートの作成に取り組んだ。そうした研究活動においては、研究で得られた測定値が何を表しているのかを理解するとともに、測定に伴う誤差や変動を適切に扱うことが必要となる。そこで本科目では、まず一般的な測定における誤差の性質を理解し、心理学的測定における信頼性や妥当性について学ぶ。そのうえで、研究目的に応じて独立変数と従属変数を設定し、複数の実験条件をどのように構成し比較するのかという実験計画の基本的な考え方を扱う。また、実験に参加する人の選定や条件への配置、測定指標の設定、刺激や装置の選択、試行や実験手続きの構成など、実験を実施するために必要となる具体的な事項について検討する。さらに、独立変数以外に測定結果へ影響する可能性のある要因を把握し、その影響をできるだけ統制する方法について考える。これらを通して、単に実験計画法に関する用語や統計的方法を理解するだけではなく、研究上の問いや仮説から必要な変数、条件、測定方法、参加者、手続きを論理的に導き、一貫性のある心理学実験として組み立てるための基礎的能力を身につける。本科目で学んだ方法論についての知識は『総合演習Ⅲ、Ⅳ』および『卒業論文』において研究を計画し実施する際に活かされる。
到達目標
1. 測定に伴う誤差と心理学的測定の特徴を理解する
測定に含まれる誤差の種類や性質を理解し、心理学における測定の信頼性・妥当性との関係について説明できる。
2. 心理学実験における変数と実験計画の基本構造を理解する
独立変数、従属変数、要因、水準などの基本概念を理解し、1要因計画や2要因計画における条件設定、主効果、交互作用について説明できる。
3. 適切な測定と参加者配置の方法を理解する
研究目的に応じた従属変数や測定指標を設定するとともに、参加者間計画・参加者内計画、無作為抽出・無作為配分などの特徴と使い分けを説明できる。
4. 受講者自身の研究テーマおよび研究目的に適した心理学実験を具体的に計画できる
誤差や剰余変数の影響を考慮しながら、実験装置、刺激、試行、測定環境、実験手続きなどを適切に設定し、研究上の問いを検証可能な実験計画として具体化できる。
科目の概要
本科目では、心理学において実験を計画し、得られたデータから適切な結論を導くために必要となる実験計画法の基本的な考え方について学ぶ。実験によって得られる測定値には、研究対象そのものの影響だけでなく、さまざまな要因による変動や誤差が含まれる。そのため、まず測定に伴う誤差の性質を理解し、できるだけ正確で安定した測定を行うためには、どのような点に注意する必要があるのかを考える。さらに、心理学では直接観察することが難しい心のはたらきを、行動や反応などの測定可能な指標から捉える必要があることから、心理学に特有の測定上の問題についても取り上げる。そのうえで、研究で明らかにしたい現象を実験として検討するために、どのような条件を設定し、それらをどのように比較すればよいのかという実験計画の基本を学ぶ。また、研究目的に対応した変数の設定や測定方法、実験に参加する人の選定や条件への配置など、実験結果の解釈に関係するさまざまな要素について検討する。最後に、実験で使用する刺激や装置、測定環境、実施手順などを具体化し、不要な影響をできるだけ抑えながら研究目的に適したデータを収集するための方法を考える。これらを通して、研究上の問いを検証可能な実験へと具体化し、心理学実験を論理的かつ適切に設計するための基礎的な考え方を身につける。
科目のキーワード
実験計画法、独立変数、従属変数、剰余変数、操作、測定、統制、誤差、要因、水準、偶然誤差、系統誤差、信頼性、妥当性、操作的定義、要因計画、主効果、交互作用、1要因計画、2要因計画、t検定、分散分析、参加者間計画、参加者内計画、無作為化、無作為配分、無作為抽出、反復測定、装置、刺激、試行、手続き
授業の展開方法
本科目の講義内ではPowerPointによるスライド資料をメインで使用し、テキスト教材を適宜参照する。受講者に授業内課題を課すことで講義内容の理解を深める。
オフィス・アワー
前期:水曜昼、木曜昼
後期:水曜昼、木曜昼
科目コード
RC6090
学年・期
3年・後期
科目名
心理学実験計画法
単位数
2
授業形態
講義
必修・選択
選択
学習時間
【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
展開科目
関連資格
担当教員名
金谷英俊
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
心理学研究における実験法の位置づけ
科目の中での位置付け
本科目では、心理学において実験を計画し、得られたデータから適切な結論を導くために必要となる実験計画法の基本的な考え方について学ぶ。実験によって得られる測定値には、研究対象そのものの影響だけでなく、さまざまな要因による変動や誤差が含まれる。そのため、まず測定に伴う誤差の性質を理解し、できるだけ正確で安定した測定を行うためには、どのような点に注意する必要があるのかを考える。さらに、心理学では直接観察することが難しい心のはたらきを、行動や反応などの測定可能な指標から捉える必要があることから、心理学に特有の測定上の問題についても取り上げる。そのうえで、研究で明らかにしたい現象を実験として検討するために、どのような条件を設定し、それらをどのように比較すればよいのかという実験計画の基本を学ぶ。また、研究目的に対応した変数の設定や測定方法、実験に参加する人の選定や条件への配置など、実験結果の解釈に関係するさまざまな要素について検討する。最後に、実験で使用する刺激や装置、測定環境、実施手順などを具体化し、不要な影響をできるだけ抑えながら研究目的に適したデータを収集するための方法を考える。これらを通して、研究上の問いを検証可能な実験へと具体化し、心理学実験を論理的かつ適切に設計するための基礎的な考え方を身につける。
この第01回では、第科目全体の導入として、心理学における実験法、調査法、観察法、面接法の特徴と違いについて学ぶ。特に、相関関係と因果関係の違いを理解したうえで、独立変数を操作し、従属変数の変化を測定する実験法の基本的な考え方を学ぶ。また、因果関係を適切に検討するためには、結果に影響する剰余変数を統制する必要があることや、実験法には現実場面や倫理上の制約による限界があることを理解し、研究目的に応じて適切な研究法を選択するための基礎を身につける。
高野 陽太郎・岡 隆(編) (2017). 心理学研究法―心を見つめる科学のまなざし― 補訂版 有斐閣アルマ
コマ主題細目
① 心理学における研究法の選択 ② 相関関係と因果関係の区別 ③ 実験法による因果関係の検討とその限界
細目レベル
① 心理学では、明らかにしたい問題に応じて適切な研究法を選択する必要があり、代表的なものとして実験法、調査法、観察法、面接法がある。実験法と調査法は、実験室で行うか、質問紙を用いるかによって区別されるわけではない。最も重要な違いは、研究者が原因と考える変数を意図的に操作するかどうかにある。実験法では、原因と考える独立変数を操作し、結果と考える従属変数がどのように変化するかを測定する。一方、調査法では基本的に変数を操作せず、複数の変数を測定して、それらの間にどのような関係があるかを検討する。さらに、観察法では対象者の行動そのものを記録し、面接法では対象者の経験や考えを言葉によって引き出す。このため、研究目的や研究対象の特徴に応じて研究法を使い分けることが重要となる。
② 調査法では、複数の変数を測定し、それらの間に規則的な関係が存在するかを調べることができる。たとえば、暴力番組を見る回数が多い子どもほど暴力行為の経験も多い場合、両者には正の相関がある。しかし、相関が認められても、一方が他方の原因であるとは限らない。「暴力番組を見るから暴力的になる」のではなく、もともと暴力的な行動をする子どもほど暴力番組を好むという「逆の因果関係」も考えられる。また、暴力に接しやすい生活環境などの「第三の原因」が、暴力番組の視聴と暴力行為の両方を増加させている可能性もある。このように、相関関係は二つの変数がどのように関連しているかを示すものであり、相関があるという事実だけから、原因と結果の方向や因果関係を特定することはできない。
③ 因果関係を検討するために有効なのが実験法である。実験では、研究者が独立変数を意図的に操作し、その条件の違いによって従属変数が変化するかを比較する。ボボドールを用いた例では、大人の攻撃行動を見る条件と見ない条件を設定し、その後の子どもの攻撃行動を比較する。ただし、実験群と統制群で実施時間や空腹状態などが異なれば、こうした剰余変数が結果に影響する可能性があるため、独立変数以外の条件を統制する必要がある。また、現実の心理現象には多数の要因が関与しており、すべてを単純な実験状況に置き換えられるわけではない。倫理上、人為的に操作できない問題も存在する。そのため、因果関係の検討には実験法が有効である一方、研究目的に応じて調査法、観察法、面接法などを選択し、必要に応じて複数の方法を組み合わせることが重要である。
キーワード
① 心理学研究法 ② 実験法 ③ 相関関係 ④ 因果関係 ⑤ 実験法の限界
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
【復習】
テキスト教材と配布資料を再度読み返し、理解しておく。講義内の説明で十分に理解できなかった点や用語は、図書館での書籍やインターネットで改めて調べ、知識を確実なものにしておく。
【次回までの予習】
次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、わからない箇所をメモしておく。
2
測定における誤差
科目の中での位置付け
本科目では、心理学において実験を計画し、得られたデータから適切な結論を導くために必要となる実験計画法の基本的な考え方について学ぶ。実験によって得られる測定値には、研究対象そのものの影響だけでなく、さまざまな要因による変動や誤差が含まれる。そのため、まず測定に伴う誤差の性質を理解し、できるだけ正確で安定した測定を行うためには、どのような点に注意する必要があるのかを考える。さらに、心理学では直接観察することが難しい心のはたらきを、行動や反応などの測定可能な指標から捉える必要があることから、心理学に特有の測定上の問題についても取り上げる。そのうえで、研究で明らかにしたい現象を実験として検討するために、どのような条件を設定し、それらをどのように比較すればよいのかという実験計画の基本を学ぶ。また、研究目的に対応した変数の設定や測定方法、実験に参加する人の選定や条件への配置など、実験結果の解釈に関係するさまざまな要素について検討する。最後に、実験で使用する刺激や装置、測定環境、実施手順などを具体化し、不要な影響をできるだけ抑えながら研究目的に適したデータを収集するための方法を考える。これらを通して、研究上の問いを検証可能な実験へと具体化し、心理学実験を論理的かつ適切に設計するための基礎的な考え方を身につける。
第02回では、心理学における実験計画を考える前提として、実験や観察によって得られる測定値には誤差が含まれることを学ぶ。測定値と真の値との関係を確認したうえで、偶然誤差と系統誤差の違いや、それぞれの誤差が測定結果に及ぼす影響について理解する。さらに、反復測定や測定条件の統制など、誤差の影響をできるだけ抑えるための基本的な考え方と測定不確かさについて学び、正確で安定したデータを得るための基礎を身につける。そして、第03回での心理学における測定での誤差の説明へとつなげる。
コマ主題細目
① 測定値と誤差の基本的な考え方 ② 偶然誤差と系統誤差 ③ 誤差への対処と測定不確かさ
細目レベル
① 実験や観察によって得られる測定値は、測定しようとしている対象の真の値と完全に一致するとは限らない。たとえば、同じ物体の長さを同じ測定器で繰り返し測っても、目盛りの細かさ、測定者の読み取り方、温度や振動などの環境条件、測定器の状態などによって、結果がわずかに異なることがある。このような測定値と真の値との差を「誤差」と呼び、単純化すれば「測定値=真の値+誤差」と表すことができる。ただし、実際には真の値そのものを完全に知ることができない場合も多いため、測定では一つの数値を絶対的に正しい値とみなすのではなく、その値がどの程度の精度や不確かさを伴って得られたのかを考える必要がある。また、誤差は測定者の失敗や入力ミスを意味する「間違い」とは異なり、適切に測定を行った場合にも生じ得るものである。
② 測定に伴う誤差は、大きく偶然誤差(ランダム誤差)と系統誤差に分けて考えることができる。偶然誤差とは、同じ対象を繰り返し測定したときに、測定値が真の値に対して大きくなったり小さくなったりするような偶然的な変動である。たとえば、100 gの物体を何度も測定したときに99.98 g、100.03 g、100.01 gなどと変動する場合がこれに当たる。このような誤差は、反復測定を行って平均することで影響を小さくできる。一方、系統誤差とは、測定値を一定方向へ偏らせる誤差である。たとえば、ゼロ点が0.2 gずれた天秤では、測定値が一貫して約0.2 g大きくなる。このような誤差は測定回数を増やして平均しても消えないため、測定器の校正や補正、測定方法の改善などによって原因そのものに対処する必要がある。
③ 科学的な測定では、誤差を完全になくすことよりも、誤差がどこから生じるのかを明らかにし、その性質に応じて影響を小さくすることが重要である。ランダム誤差に対しては反復測定や平均化、より精密な測定器の使用などが有効であり、系統誤差に対しては測定器の校正、既知のずれの補正、測定手続きや環境条件の統制などが必要となる。また、研究では測定そのものの誤差だけでなく、測定対象の個体差、環境の変動、観測者の違い、標本抽出による変動なども結果に影響する。そのため現代の測定科学では、得られた数値だけではなく、その測定結果にどの程度の「測定不確かさ」が伴うのかを評価することが重視される。つまり科学的測定では、測定値を絶対的な値として扱うのではなく、その値がどの程度確からしいのかまで含めて結果を解釈する必要がある。
キーワード
① 測定値 ② 真の値 ③ 誤差 ④ 偶然誤差 ⑤ 系統誤差
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
【復習】
テキスト教材と配布資料を再度読み返し、理解しておく。講義内の説明で十分に理解できなかった点や用語は、図書館での書籍やインターネットで改めて調べ、知識を確実なものにしておく。
【次回までの予習】
次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、わからない箇所をメモしておく。
3
心理学における測定と誤差
科目の中での位置付け
本科目では、心理学において実験を計画し、得られたデータから適切な結論を導くために必要となる実験計画法の基本的な考え方について学ぶ。実験によって得られる測定値には、研究対象そのものの影響だけでなく、さまざまな要因による変動や誤差が含まれる。そのため、まず測定に伴う誤差の性質を理解し、できるだけ正確で安定した測定を行うためには、どのような点に注意する必要があるのかを考える。さらに、心理学では直接観察することが難しい心のはたらきを、行動や反応などの測定可能な指標から捉える必要があることから、心理学に特有の測定上の問題についても取り上げる。そのうえで、研究で明らかにしたい現象を実験として検討するために、どのような条件を設定し、それらをどのように比較すればよいのかという実験計画の基本を学ぶ。また、研究目的に対応した変数の設定や測定方法、実験に参加する人の選定や条件への配置など、実験結果の解釈に関係するさまざまな要素について検討する。最後に、実験で使用する刺激や装置、測定環境、実施手順などを具体化し、不要な影響をできるだけ抑えながら研究目的に適したデータを収集するための方法を考える。これらを通して、研究上の問いを検証可能な実験へと具体化し、心理学実験を論理的かつ適切に設計するための基礎的な考え方を身につける。
この第03回では、第02回で学んだ一般的な測定における誤差の考え方を踏まえ、心理学では心のはたらきをどのように測定するのかについて学ぶ。直接観察することが難しい心理的な特性や状態を、行動や反応などの観測可能な指標からとらえる心理学的測定の特徴を理解し、観測値と真値との関係について考える。さらに、古典的テスト理論における「観測値=真値+誤差」という考え方を通して、心理学の測定値に含まれる誤差をどのようにとらえるのかを学ぶ。この考え方をふまえ、第04回での測定の信頼性と妥当性の説明へとつなげる。
コマ主題細目
① 心理学における測定の特徴 ② 心理学における真値と観測値 ③ 古典的テスト理論における「真値+誤差」
細目レベル
① 一般的な測定と同様に、心理学で得られる測定値にもさまざまな誤差が含まれる。さらに心理学では、知能、不安、性格、注意、記憶能力など、直接目で見たり物理的な尺度で測ったりすることが難しい心理的構成概念を研究対象とすることが多い。そのため、質問紙への回答、心理課題の正答率、反応時間、行動の頻度など、観察可能な指標を用いて心理的特性や状態を間接的に測定する。たとえば、記憶能力を調べるために単語記憶課題の正答数を測定しても、その得点には記憶能力だけでなく、そのときの注意、疲労、動機づけ、課題への慣れなども影響する可能性がある。したがって心理学では、得られた測定値を心理的特性そのものと考えるのではなく、測定値に目的とする心理的特性以外の要因も含まれることを前提として考える必要がある。
② 心理学では、実際の測定によって得られた観測値が、測定対象の真の状態を完全に表しているとは考えない。たとえば、ある知能検査で100点を取った人が、別の日には103点や97点になることがある。この違いには、本人の心理的特性が短期間に大きく変化したという可能性だけでなく、体調、集中力、測定環境、そのときに偶然生じた反応の変動などが影響している可能性もある。したがって、ある1回の観測値には、研究者が本来測定したい比較的安定した成分と、その測定時に生じた偶然的な変動とが含まれていると考える。このように、直接観察できない心理的特性を観測可能な得点から推定する心理学では、「得られた値」と「測定しようとしている値」を区別することが特に重要になる。
③ 心理学における観測値と真値の関係について体系的に扱う代表的な考え方が、古典的テスト理論である。古典的テスト理論では、観測得点をX、真得点をT、誤差をEとして、「X=T+E」と表す。ここでいう真得点とは、単純に「本人が本当に持っている絶対的な能力値」を意味するのではなく、同じ人に同等の測定を独立に無数回繰り返したと仮定した場合に得られる観測得点の期待値として定義される。一方、誤差は、それぞれの測定において観測得点を真得点から偶然に変動させる成分であり、その期待値は0と仮定される。この考え方によれば、1回の検査得点をその人の真の心理特性そのものとみなすのではなく、真得点に測定誤差が加わった値として解釈する必要がある。
キーワード
① 心理測定 ② 心理的構成概念 ③ 真値 ④ 観測値 ⑤ 古典的テスト理論
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
【復習】
テキスト教材と配布資料を再度読み返し、理解しておく。講義内の説明で十分に理解できなかった点や用語は、図書館での書籍やインターネットで改めて調べ、知識を確実なものにしておく。
【次回までの予習】
次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、わからない箇所をメモしておく。
4
心理学の測定における信頼性と妥当性
科目の中での位置付け
本科目では、心理学において実験を計画し、得られたデータから適切な結論を導くために必要となる実験計画法の基本的な考え方について学ぶ。実験によって得られる測定値には、研究対象そのものの影響だけでなく、さまざまな要因による変動や誤差が含まれる。そのため、まず測定に伴う誤差の性質を理解し、できるだけ正確で安定した測定を行うためには、どのような点に注意する必要があるのかを考える。さらに、心理学では直接観察することが難しい心のはたらきを、行動や反応などの測定可能な指標から捉える必要があることから、心理学に特有の測定上の問題についても取り上げる。そのうえで、研究で明らかにしたい現象を実験として検討するために、どのような条件を設定し、それらをどのように比較すればよいのかという実験計画の基本を学ぶ。また、研究目的に対応した変数の設定や測定方法、実験に参加する人の選定や条件への配置など、実験結果の解釈に関係するさまざまな要素について検討する。最後に、実験で使用する刺激や装置、測定環境、実施手順などを具体化し、不要な影響をできるだけ抑えながら研究目的に適したデータを収集するための方法を考える。これらを通して、研究上の問いを検証可能な実験へと具体化し、心理学実験を論理的かつ適切に設計するための基礎的な考え方を身につける。
この第04回では、心理学において適切な測定を行うために重要となる信頼性と妥当性について学ぶ。測定結果がどの程度安定し、一貫しているのかという信頼性の考え方と、得られた測定結果を目的とする心理的特性の指標として適切に解釈できるかという妥当性の考え方を理解する。さらに、信頼性と妥当性の違いと両者の関係を整理し、心理学研究において測定方法の適切さをどのように考える必要があるのかを学ぶ。この第04回の学びをふまえ、第05回での実験研究全体における誤差の扱いの説明につなげる。
コマ主題細目
① 心理学の測定における信頼性 ② 心理学の測定における妥当性 ③ 信頼性と妥当性の関係
細目レベル
① 心理学における信頼性とは、同じ対象を同じような条件で測定したときに、どの程度一貫した結果が得られるかという測定の安定性や一貫性に関する性質である。たとえば、比較的安定した性格特性を測定する質問紙を短い期間をおいて同じ人に実施した際、得点が毎回大きく変化するのであれば、安定した測定ができているとは言いにくい。信頼性を検討する代表的な方法には、異なる時点での得点の一致を調べる再検査信頼性、複数の評定者による判断の一致を調べる評定者間信頼性、尺度を構成する複数の項目がどの程度一貫した反応を引き出しているかを検討する内的一貫性などがある。心理学では測定結果に偶然的な変動が入り得るため、得られた数値を解釈する前提として、まず測定が十分な信頼性を備えているかを確認する必要がある。
② 心理学では、測定結果が安定しているだけでなく、その結果を研究者が測定しようとしている心理的構成概念の指標として適切に解釈できるかを検討する必要があり、この問題が妥当性に関係する。たとえば「不安」を測定する質問紙の得点が毎回ほぼ同じであっても、実際には不安よりも抑うつや身体的疲労を強く反映しているなら、不安の指標としての解釈には問題がある。妥当性の検討には、測定内容が対象領域を適切に代表しているか、関連する他の測定結果や外的基準と理論的に予想される関係を示すか、得点を目的とする構成概念の指標として解釈することを理論やデータが支持するかなど、複数の証拠が用いられる。そのため妥当性は、単一の統計量だけで決定するものではなく、測定結果の解釈をさまざまな証拠から総合的に検証する問題である。
③ 信頼性と妥当性は密接に関係するが、同じ概念ではない。たとえば、体重計が実際の体重より常に5 kg重い値を示していても、毎回ほぼ同じ値を示すなら測定結果の一貫性は高い。しかし、その値を実際の体重として解釈することには問題がある。同様に心理学でも、ある質問紙が非常に安定した得点を示したとしても、それだけでは目的とする心理的構成概念を適切に捉えているとは判断できない。一方、測定値が測定のたびに大きく変動するなど信頼性が著しく低ければ、目的とする構成概念について安定した情報を得ること自体が難しくなり、その得点の解釈にも制約が生じる。したがって心理学の測定では、「一貫して測定できるか」という信頼性を確保するとともに、「その得点を目的とするものの指標として解釈できるか」という妥当性を証拠に基づいて検討することが重要となる。
キーワード
① 心理測定 ② 信頼性 ③ 妥当性
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
【復習】
テキスト教材と配布資料を再度読み返し、理解しておく。講義内の説明で十分に理解できなかった点や用語は、図書館での書籍やインターネットで改めて調べ、知識を確実なものにしておく。
【次回までの予習】
次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、わからない箇所をメモしておく。
5
実験研究全体における誤差の扱い
科目の中での位置付け
本科目では、心理学において実験を計画し、得られたデータから適切な結論を導くために必要となる実験計画法の基本的な考え方について学ぶ。実験によって得られる測定値には、研究対象そのものの影響だけでなく、さまざまな要因による変動や誤差が含まれる。そのため、まず測定に伴う誤差の性質を理解し、できるだけ正確で安定した測定を行うためには、どのような点に注意する必要があるのかを考える。さらに、心理学では直接観察することが難しい心のはたらきを、行動や反応などの測定可能な指標から捉える必要があることから、心理学に特有の測定上の問題についても取り上げる。そのうえで、研究で明らかにしたい現象を実験として検討するために、どのような条件を設定し、それらをどのように比較すればよいのかという実験計画の基本を学ぶ。また、研究目的に対応した変数の設定や測定方法、実験に参加する人の選定や条件への配置など、実験結果の解釈に関係するさまざまな要素について検討する。最後に、実験で使用する刺激や装置、測定環境、実施手順などを具体化し、不要な影響をできるだけ抑えながら研究目的に適したデータを収集するための方法を考える。これらを通して、研究上の問いを検証可能な実験へと具体化し、心理学実験を論理的かつ適切に設計するための基礎的な考え方を身につける。
この第05回では、個々の測定における誤差から視点を広げ、実験研究全体に含まれるさまざまな変動をどのように扱うのかについて学ぶ。実験結果には、研究対象となる効果だけでなく、個人差や測定条件などによる変動も含まれることを理解し、統制や無作為化によって不要な影響を抑える基本的な考え方を学ぶ。さらに、実験条件による効果と残された誤差変動を統計的に比較することで、観察された結果をどのように評価するのかを理解する。第05回での変動の取り扱いの説明を受け、次の第06回で、実験における測定において誤差の変動をできるだけ抑えるためにどうしたらよいかを考える。
コマ主題細目
① 実験結果に含まれるさまざまな変動 ② 統制と無作為化による誤差変動への対処 ③ 実験効果と誤差変動の統計的な比較
細目レベル
① 心理学の実験で得られる測定値は、研究者が操作した独立変数だけによって決まるわけではなく、さまざまな要因による変動を含んでいる。たとえば、睡眠時間が注意課題の成績に及ぼす影響を調べても、課題成績には睡眠時間だけでなく、参加者にもともと存在する注意能力の個人差、疲労、動機づけ、課題への慣れ、刺激の難易度、測定環境なども影響する。そのため、実験で観察された条件間の差を、そのまま独立変数の効果とみなすことはできない。研究者が知りたいのは独立変数によって生じた系統的な変動であるため、それ以外の要因によって生じる変動をできるだけ分離する必要がある。このように、実験では「何を変化させたいのか」だけでなく、「それ以外に測定値を変化させるものは何か」を考えることが重要となる。
② 独立変数以外の要因が実験結果に影響することを防ぐため、心理学実験では統制や無作為化などの方法が用いられる。統制とは、実験環境、刺激、測定手続き、教示などを条件間でできるだけ同一にし、目的とする独立変数以外の要因が系統的に異ならないようにすることである。また、参加者を複数の条件へ無作為に割り付けることで、能力、性格、経験などの個人差が特定の条件だけに偏る可能性を低減できる。さらに、条件の実施順序による練習や疲労の影響にはカウンターバランスを用いるなど、予想される変動要因に応じた対処が必要となる。ただし、すべての変動要因を完全に除去することは困難である。そのため実験計画では、不要な変動を減らすと同時に、除去できない要因が特定の条件と系統的に結びつかないように設計することが重要である。
③ 実験計画によって不要な変動をできるだけ統制しても、個人差や試行ごとの変動などを完全になくすことはできない。そのため統計分析では、独立変数の操作によって生じたと考えられる系統的な変動が、残された誤差変動と比較してどの程度大きいのかを評価する。たとえば分散分析では、条件間の違いに対応する変動と、条件の違いでは説明できない誤差変動を分け、両者の比をF値として評価する。条件間の変動が誤差変動に比べて十分に大きければ、観察された差を偶然的な変動だけで説明することは難しくなる。ただし、統計的に有意な結果が得られたことだけで仮説の正しさや効果の重要性が証明されるわけではないため、効果量や信頼区間、研究計画の妥当性なども併せて検討する必要がある。
キーワード
① 測定値 ② 変動 ③ 統制 ④ 無作為化 ⑤ 心理統計
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
【復習】
テキスト教材と配布資料を再度読み返し、理解しておく。講義内の説明で十分に理解できなかった点や用語は、図書館での書籍やインターネットで改めて調べ、知識を確実なものにしておく。
【次回までの予習】
次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、わからない箇所をメモしておく。
6
実験における誤差変動を抑える方法
科目の中での位置付け
本科目では、心理学において実験を計画し、得られたデータから適切な結論を導くために必要となる実験計画法の基本的な考え方について学ぶ。実験によって得られる測定値には、研究対象そのものの影響だけでなく、さまざまな要因による変動や誤差が含まれる。そのため、まず測定に伴う誤差の性質を理解し、できるだけ正確で安定した測定を行うためには、どのような点に注意する必要があるのかを考える。さらに、心理学では直接観察することが難しい心のはたらきを、行動や反応などの測定可能な指標から捉える必要があることから、心理学に特有の測定上の問題についても取り上げる。そのうえで、研究で明らかにしたい現象を実験として検討するために、どのような条件を設定し、それらをどのように比較すればよいのかという実験計画の基本を学ぶ。また、研究目的に対応した変数の設定や測定方法、実験に参加する人の選定や条件への配置など、実験結果の解釈に関係するさまざまな要素について検討する。最後に、実験で使用する刺激や装置、測定環境、実施手順などを具体化し、不要な影響をできるだけ抑えながら研究目的に適したデータを収集するための方法を考える。これらを通して、研究上の問いを検証可能な実験へと具体化し、心理学実験を論理的かつ適切に設計するための基礎的な考え方を身につける。
この第06回では、実験に含まれる誤差変動の影響をできるだけ抑え、より安定した測定結果を得るための具体的な方法について学ぶ。実験条件や刺激の提示順序をランダム化することの意味を理解するとともに、測定回数を増やして平均化することによってランダムな変動の影響を小さくする考え方を学ぶ。さらに、同じ条件で測定を反復することが、誤差の大きさを把握し、実験結果の精度を高めるうえでどのような役割をもつのかを理解する。この第06回でのより安定した測定結果を得るための具体的な方法についての学びと併せ、次の第07回で統計的手法により差を評価するための考え方について学ぶ。
コマ主題細目
① 実験順序のランダム化 ② 測定回数を増やすことと平均化 ③ 反復測定による誤差の把握と実験結果の精度向上
細目レベル
① 実験では、条件や刺激を一定の順序で提示すると、時間経過に伴う疲労、練習、慣れ、測定装置のドリフト、室温などの環境変化が、特定の条件と系統的に結びつく危険がある。たとえば、条件Aを常に前半、条件Bを常に後半に実施すると、AとBの成績差が実験条件によるものなのか、疲労や練習によるものなのかを区別しにくい。そこで、条件や試行の実施順序をランダム化し、こうした外的要因の影響が特定の条件だけに偏らないようにする。ランダム化は外的要因そのものを消去する方法ではなく、その影響を複数の条件へ分散させ、条件との系統的な交絡を防ぐ方法である。したがって、実験では可能な範囲で試行順序や条件への割り付けを無作為化することが、偏りを防ぎ、適切に誤差を評価するために重要となる。
② 一回の測定値には、測定装置のノイズや測定対象の一時的な変動など、さまざまなランダム誤差が含まれる可能性がある。そのため、一回だけの測定によって対象の値を判断するよりも、同じ条件で複数回測定し、その平均値を代表値とすることで、ランダムな変動の影響を小さくできる。互いに独立した測定で誤差の期待値が0であり、分散が一定である場合、平均値の標準誤差は測定回数nの平方根に反比例して小さくなるため、測定回数を増やすほど平均値を精度よく推定できる。ただし、測定値が時間的に強く相関している場合には、この改善を単純には期待できない。また、装置が常に一定方向へずれるような系統誤差は、何回測定して平均しても除去できないため、測定回数の増加だけであらゆる誤差を解決できるわけではない。
③ 実験では、同じ条件について複数の独立した測定や実験単位を設ける「反復」も重要である。反復を行うと、同じ条件でも測定値がどの程度ばらつくのかを実際のデータから把握でき、実験誤差や測定精度を推定するための情報が得られる。たとえば、条件Aと条件Bを一回ずつ測定して差が生じても、その差が条件操作によるものか偶然の変動なのか判断することは難しいが、それぞれを独立に反復すれば、条件内のばらつきと条件間の差を比較できる。また、反復ごとに実験順序を独立にランダム化すれば、統制できない要因の影響が特定条件へ偏る可能性も低減できる。このように反復には、単にデータ数を増やすだけでなく、実験誤差の大きさを推定し、その誤差と比較して実験条件の効果を評価できるようにするという重要な役割がある。
キーワード
① 実験誤差 ② 精度 ③ ランダム化 ④ 平均化 ⑤ 反復測定
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
【復習】
テキスト教材と配布資料を再度読み返し、理解しておく。講義内の説明で十分に理解できなかった点や用語は、図書館での書籍やインターネットで改めて調べ、知識を確実なものにしておく。
【次回までの予習】
次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、わからない箇所をメモしておく。
7
統計的手法による差の評価
科目の中での位置付け
本科目では、心理学において実験を計画し、得られたデータから適切な結論を導くために必要となる実験計画法の基本的な考え方について学ぶ。実験によって得られる測定値には、研究対象そのものの影響だけでなく、さまざまな要因による変動や誤差が含まれる。そのため、まず測定に伴う誤差の性質を理解し、できるだけ正確で安定した測定を行うためには、どのような点に注意する必要があるのかを考える。さらに、心理学では直接観察することが難しい心のはたらきを、行動や反応などの測定可能な指標から捉える必要があることから、心理学に特有の測定上の問題についても取り上げる。そのうえで、研究で明らかにしたい現象を実験として検討するために、どのような条件を設定し、それらをどのように比較すればよいのかという実験計画の基本を学ぶ。また、研究目的に対応した変数の設定や測定方法、実験に参加する人の選定や条件への配置など、実験結果の解釈に関係するさまざまな要素について検討する。最後に、実験で使用する刺激や装置、測定環境、実施手順などを具体化し、不要な影響をできるだけ抑えながら研究目的に適したデータを収集するための方法を考える。これらを通して、研究上の問いを検証可能な実験へと具体化し、心理学実験を論理的かつ適切に設計するための基礎的な考え方を身につける。
この第07回では、実験に残された誤差変動を踏まえながら、観察された条件間の差をどのように統計的に評価するのかについて学ぶ。まず、実験条件による差と偶然的な変動とを比較する統計的検定の基本的な考え方を理解する。そのうえで、t検定と分散分析を取り上げ、条件間の差や条件による変動が誤差変動に対してどの程度大きいのかを評価し、実験結果を適切に解釈するための基礎を学ぶ。この第07回での学びは、第09-11回での1要因と2要因の実験計画について考える学びへとつながる。
コマ主題細目
① 条件による差と誤差変動を比較する考え方 ② t検定による2条件の平均値の比較 ③ 分散分析による条件間変動と条件内変動の比較
細目レベル
① 実験では、異なる条件の平均値に差が認められても、その差が独立変数の操作によって生じたものなのか、個人差や測定誤差などの偶然的な変動によって生じたものなのかを、平均値の差だけから判断することはできない。そこで統計的検定では、観察された条件間の差の大きさを、その実験で生じている誤差変動の大きさと関連づけて評価する。条件間の差が小さく、個々の測定値のばらつきが大きければ、観察された差は偶然でも生じやすい。一方、条件間の差が誤差変動に比べて十分に大きければ、偶然の変動だけでは説明しにくくなる。t検定や分散分析は計算方法こそ異なるものの、条件による系統的な差をデータに含まれる変動と比較し、その差を帰無仮説のもとで評価するという基本的な考え方を共有している。
② t検定は、主として二つの条件や群の平均値の差を統計的に評価する方法である。たとえば、睡眠あり条件と睡眠不足条件で注意課題の平均成績に差が認められた場合、平均値の差だけでなく、参加者間のばらつきや標本数などを考慮してt値を求める。概念的には、観察された平均値の差を、その差に関する標準誤差で割ることで、平均値の差が偶然的な変動に対してどの程度大きいかを評価している。平均値の差が同じでも、データのばらつきが大きければt値は小さくなり、ばらつきが小さければt値は大きくなりやすい。得られたt値から、母平均に差がないという帰無仮説のもとで、その値以上に極端な結果が生じる確率をp値として求めることで、観察された条件差を偶然の標本変動だけで説明できるかを検討する。
③ 分散分析は、三つ以上を含む複数の条件や群の平均値を比較する際に広く用いられ、観測されたデータの変動を異なる要因に分けて評価する方法である。たとえば三つの学習方法を比較する場合、データ全体の変動には、学習方法の違いによって生じる条件間の変動と、同じ条件内でも参加者によって成績が異なる条件内の変動が含まれる。分散分析では、条件間の変動を条件内の誤差変動と比較し、その比をF値として評価する。条件間の変動が誤差変動に比べて大きいほどF値は大きくなり、すべての母平均が等しいという帰無仮説のもとでは説明しにくい結果となる。このように分散分析では、実験操作によって説明できる変動が、実験操作では説明できない変動と比較してどの程度大きいかを統計的に検討する。
キーワード
① 統計的検定 ② t検定 ③ 分散分析 ④ 条件間変動 ⑤ 条件内変動
コマの展開方法
社会人講師
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小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
【復習】
テキスト教材と配布資料を再度読み返し、理解しておく。講義内の説明で十分に理解できなかった点や用語は、図書館での書籍やインターネットで改めて調べ、知識を確実なものにしておく。
【次回までの予習】
次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、わからない箇所をメモしておく。
8
独立変数の操作
科目の中での位置付け
本科目では、心理学において実験を計画し、得られたデータから適切な結論を導くために必要となる実験計画法の基本的な考え方について学ぶ。実験によって得られる測定値には、研究対象そのものの影響だけでなく、さまざまな要因による変動や誤差が含まれる。そのため、まず測定に伴う誤差の性質を理解し、できるだけ正確で安定した測定を行うためには、どのような点に注意する必要があるのかを考える。さらに、心理学では直接観察することが難しい心のはたらきを、行動や反応などの測定可能な指標から捉える必要があることから、心理学に特有の測定上の問題についても取り上げる。そのうえで、研究で明らかにしたい現象を実験として検討するために、どのような条件を設定し、それらをどのように比較すればよいのかという実験計画の基本を学ぶ。また、研究目的に対応した変数の設定や測定方法、実験に参加する人の選定や条件への配置など、実験結果の解釈に関係するさまざまな要素について検討する。最後に、実験で使用する刺激や装置、測定環境、実施手順などを具体化し、不要な影響をできるだけ抑えながら研究目的に適したデータを収集するための方法を考える。これらを通して、研究上の問いを検証可能な実験へと具体化し、心理学実験を論理的かつ適切に設計するための基礎的な考え方を身につける。
この第08回では、前回第07回までの学びをふまえ、研究で検討したい要因を独立変数としてどのように具体化し、適切に操作するかについて学ぶ。直接的独立変数と概念的独立変数の違いを理解したうえで、余計な要因を取り除く「純化」や、同じ概念を複数の方法で操作する「多重操作」について学ぶ。さらに、独立変数の操作の適切さと、内的妥当性・外的妥当性・構成概念妥当性との関係を理解し、研究目的に対応した実験条件を設定するための基本的な考え方を身につける。これら一般的な独立変数の操作についての考え方の学びに続き、第09-11回にて1要因と2要因の実験計画の構成について考える。
高野 陽太郎・岡 隆(編) (2017). 心理学研究法―心を見つめる科学のまなざし― 補訂版 有斐閣アルマ
コマ主題細目
① 直接的独立変数と概念的独立変数 ② 独立変数の純化と多重操作 ③ 適切な独立変数の操作と実験の妥当性
細目レベル
① 心理学実験の独立変数は、直接的独立変数と概念的独立変数に大別でき、後者には諸変数の代表や心理変数が含まれる。直接的独立変数とは、明るさや重さ、アイコンタクトなど、研究者が直接操作できる物理的刺激である。一方、怒り表情のような概念は物理的実体そのものではなく、複数の具体的刺激をそのカテゴリーの代表として用いる。また、不安や自尊心などの心理状態も概念的独立変数として扱うことができる。たとえば暗闇と顔記憶の研究では、照明の有無が直接的独立変数,表情や不安が概念的独立変数に相当する。このように心理学では、物理的環境そのものだけでなく、それによって生じる心理状態が行動や認知に及ぼす影響も検討対象となる。
② 概念的独立変数を実験で扱う場合、具体的な操作が意図した概念を適切に表しているかが重要となる。そのための方法が「純化」と「多重操作」である。純化とは、具体的な操作から剰余変数や余計な意味をできるだけ取り除き、操作を概念的独立変数そのものに近づけることである。たとえば表情の効果を比較するなら、人物の性別、服装、背景などを条件間で統制する必要がある。また、社会的排斥の操作は、自尊心の低下だけでなく怒りや悲しみも生じさせる可能性があるため、多重意味にも注意が必要となる。一方、多重操作では、同一の概念を異なる複数の方法で操作し、いずれの方法でも同様の結果が得られるかを検証する。これにより、結果が特定の操作方法に固有の要因によって生じた可能性を小さくできる。
③ 独立変数を適切に操作するには、条件間に十分な差を設け、操作のインパクトを確保すると同時に、操作対象以外の要素を可能な限り同質にする必要がある。また、同一条件では手続きを一定にする「手続きの一定化」も求められるが、同じ操作を与えても参加者によって心理的影響の程度が異なる点には注意が必要である。こうした操作の適切さは実験の妥当性に直結する。内的妥当性とは、従属変数の変化を独立変数の効果として説明できる程度、外的妥当性とは、得られた結果を異なる参加者や手続きへ一般化できる程度を指す。さらに構成概念妥当性とは、具体的な手続きが研究者の意図した心理学的概念をどの程度適切に代表しているかを意味する。純化や多重操作は、特にこの構成概念妥当性を高める重要な方法となる。
キーワード
① 直接的独立変数 ② 概念的独立変数 ③ 純化 ④ 多重操作 ⑤ 構成概念妥当性
コマの展開方法
社会人講師
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教科書
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該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
【復習】
テキスト教材と配布資料を再度読み返し、理解しておく。講義内の説明で十分に理解できなかった点や用語は、図書館での書籍やインターネットで改めて調べ、知識を確実なものにしておく。
【次回までの予習】
次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、わからない箇所をメモしておく。
9
実験計画1 ―1要因計画―
科目の中での位置付け
本科目では、心理学において実験を計画し、得られたデータから適切な結論を導くために必要となる実験計画法の基本的な考え方について学ぶ。実験によって得られる測定値には、研究対象そのものの影響だけでなく、さまざまな要因による変動や誤差が含まれる。そのため、まず測定に伴う誤差の性質を理解し、できるだけ正確で安定した測定を行うためには、どのような点に注意する必要があるのかを考える。さらに、心理学では直接観察することが難しい心のはたらきを、行動や反応などの測定可能な指標から捉える必要があることから、心理学に特有の測定上の問題についても取り上げる。そのうえで、研究で明らかにしたい現象を実験として検討するために、どのような条件を設定し、それらをどのように比較すればよいのかという実験計画の基本を学ぶ。また、研究目的に対応した変数の設定や測定方法、実験に参加する人の選定や条件への配置など、実験結果の解釈に関係するさまざまな要素について検討する。最後に、実験で使用する刺激や装置、測定環境、実施手順などを具体化し、不要な影響をできるだけ抑えながら研究目的に適したデータを収集するための方法を考える。これらを通して、研究上の問いを検証可能な実験へと具体化し、心理学実験を論理的かつ適切に設計するための基礎的な考え方を身につける。
この第09回では、研究で検討したい独立変数を実際の実験条件としてどのように設定するのかについて、要因計画の基本的な考え方を学ぶ。まず、実験計画における要因と水準の意味を理解し、一つの要因について複数の水準を設定する1要因計画の基本構造を確認する。さらに、各水準で得られた測定結果を比較することで、設定した要因が従属変数にどのような影響を及ぼしているのかを検討する考え方を学ぶ。この第09回で学んだ内容は、続く第10-11回の2要因計画の学びへとつながるものである。
後藤 宗理・大野木 裕明・中澤 潤 (2000). 心理学マニュアル 要因計画法 北大路書房
コマ主題細目
① 要因と水準 ② 1要因計画の基本構造 ③ 1要因計画における条件間の比較
細目レベル
① 実験計画における「要因」とは、従属変数にどのような影響を与えるかを検討するために設定される変数であり、その要因の具体的な条件や値を「水準」と呼ぶ。たとえば、学習時間が記憶成績に及ぼす影響を調べるため、「学習時間」という要因について「10分」「20分」「30分」という3つの条件を設定した場合、学習時間が要因であり、10分、20分、30分がそれぞれの水準となる。また、提示刺激の種類を要因として、文字、写真、イラストの3条件を設定することもできる。このように、要因は研究者が効果を検討したい変数を表し、水準はその要因について実際に比較される具体的な条件を表す。実験では、要因と水準を明確に設定することで、どの条件間を比較し、何が従属変数の変化に関係しているのかを体系的に検討できる。
② 一つの要因だけを取り上げ、その要因に設定された複数の水準によって従属変数がどのように変化するかを検討する実験計画を「1要因計画」と呼ぶ。たとえば、学習方法が記憶成績に及ぼす影響を調べるため、「学習方法」という一つの要因について、「反復学習」「意味的学習」「イメージ学習」という3つの水準を設定した場合、これは1要因3水準の実験計画となる。実験では、それぞれの学習方法を経験した後の記憶テスト得点などを従属変数として測定し、3つの条件で得られた結果を比較する。このように1要因計画では、研究者が関心をもつ一つの独立変数だけに焦点を当て、その条件を体系的に変化させることで、その要因と従属変数との関係を比較的単純な形で検討することができる。
③ 1要因計画では、設定した水準間で従属変数にどのような違いが生じるかを比較する。たとえば、学習方法を3水準に設定した場合、それぞれの条件における記憶成績の平均値を比較することで、学習方法によって成績が異なるかを検討できる。ただし、条件間に平均値の違いが観察されても、それだけで要因の効果が存在すると判断することはできない。測定値には個人差や偶然的な変動なども含まれるため、観察された条件差がこうした変動に対してどの程度大きいかを統計的に評価する必要がある。2つの水準の比較にはt検定を用いることができ、3つ以上の水準を同時に比較する場合には1要因分散分析が代表的な方法となる。このように1要因計画では、一つの要因について複数の条件を設定し、その水準間の違いから要因の効果を検討する。
キーワード
① 要因 ② 水準 ③ 1要因計画 ④ t検定 ⑤ 1要因分散分析
コマの展開方法
社会人講師
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教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
【復習】
テキスト教材と配布資料を再度読み返し、理解しておく。講義内の説明で十分に理解できなかった点や用語は、図書館での書籍やインターネットで改めて調べ、知識を確実なものにしておく。
【次回までの予習】
次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、わからない箇所をメモしておく。
10
実験計画2 ―2要因計画・その1―
科目の中での位置付け
本科目では、心理学において実験を計画し、得られたデータから適切な結論を導くために必要となる実験計画法の基本的な考え方について学ぶ。実験によって得られる測定値には、研究対象そのものの影響だけでなく、さまざまな要因による変動や誤差が含まれる。そのため、まず測定に伴う誤差の性質を理解し、できるだけ正確で安定した測定を行うためには、どのような点に注意する必要があるのかを考える。さらに、心理学では直接観察することが難しい心のはたらきを、行動や反応などの測定可能な指標から捉える必要があることから、心理学に特有の測定上の問題についても取り上げる。そのうえで、研究で明らかにしたい現象を実験として検討するために、どのような条件を設定し、それらをどのように比較すればよいのかという実験計画の基本を学ぶ。また、研究目的に対応した変数の設定や測定方法、実験に参加する人の選定や条件への配置など、実験結果の解釈に関係するさまざまな要素について検討する。最後に、実験で使用する刺激や装置、測定環境、実施手順などを具体化し、不要な影響をできるだけ抑えながら研究目的に適したデータを収集するための方法を考える。これらを通して、研究上の問いを検証可能な実験へと具体化し、心理学実験を論理的かつ適切に設計するための基礎的な考え方を身につける。
この第10回では、第09回で学んだ一つの要因によって実験条件を構成する1要因計画を発展させ、複数の要因を同時に扱う実験計画について学ぶ。実際の心理現象には複数の要因が関係することを踏まえ、二つの要因を一つの実験に組み込み、それぞれの水準を組み合わせて条件を設定する2要因計画の基本的な考え方を理解する。さらに、2×2要因計画を具体例として、複数の要因から実験条件を体系的に構成する方法を学ぶ。
後藤 宗理・大野木 裕明・中澤 潤 (2000). 心理学マニュアル 要因計画法 北大路書房
コマ主題細目
① 心理現象に影響する複数の要因 ② 複数の要因を扱う要因計画 ③ 2×2要因計画と実験条件
細目レベル
① 1要因計画では、一つの要因について複数の水準を設定し、その違いによって従属変数がどのように変化するかを検討する。しかし、実際の心理現象や行動は、一つの要因だけによって決まるとは限らず、複数の要因から同時に影響を受けていることが多い。例えば、学習方法が記憶成績に及ぼす影響を調べる場合でも、記憶成績は学習方法だけでなく、学習時間によっても変化すると考えられる。また、学習方法の効果そのものが、学習時間によって変化する可能性もある。そのため、心理現象をより詳しく理解するためには、一つの要因を単独で検討するだけでなく、複数の要因を一つの実験に組み込み、それぞれが従属変数にどのような影響を及ぼすのか、さらに要因同士がどのように関係するのかを検討する必要がある。
② 二つ以上の要因を一つの実験に組み込み、それぞれの要因の水準を組み合わせて条件を設定する実験計画を要因計画と呼ぶ。たとえば、記憶成績に影響する要因として「学習方法」と「学習時間」を取り上げれば、二つの要因を同時に扱う2要因計画となる。さらに、刺激の種類など第三の要因を加えれば3要因計画となる。複数の要因を別々の実験で調べるのではなく、一つの実験の中で組み合わせることによって、それぞれの要因が従属変数に及ぼす効果を検討するとともに、ある要因の効果が別の要因の条件によって変化するかについても調べることができる。このように要因計画は、複数の要因が関係して生じる心理現象を、要因同士の関係を含めて体系的に検討するための重要な実験計画である。
③ 2要因計画の最も基本的な例が、二つの要因についてそれぞれ二つの水準を設定する「2×2要因計画」である。たとえば、要因Aを学習方法として「反復学習」と「意味的学習」の2水準、要因Bを学習時間として「短時間」と「長時間」の2水準にすると、両者を組み合わせて四つの実験条件が作られる。具体的には、「反復学習・短時間」「反復学習・長時間」「意味的学習・短時間」「意味的学習・長時間」の4条件である。このように要因計画では、それぞれの要因の各水準を原則として組み合わせることで実験条件を構成する。2×2という表記は「二つの条件を比較する」という意味ではなく、「第1要因が2水準、第2要因も2水準である」ことを表しており、その組合せによって4条件が設定される。
キーワード
① 複数の要因 ② 要因計画 ③ 2×2要因計画 ④ 水準 ⑤ 条件
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
【復習】
テキスト教材と配布資料を再度読み返し、理解しておく。講義内の説明で十分に理解できなかった点や用語は、図書館での書籍やインターネットで改めて調べ、知識を確実なものにしておく。
【次回までの予習】
次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、わからない箇所をメモしておく。
11
実験計画3 ―2要因計画・その2―
科目の中での位置付け
本科目では、心理学において実験を計画し、得られたデータから適切な結論を導くために必要となる実験計画法の基本的な考え方について学ぶ。実験によって得られる測定値には、研究対象そのものの影響だけでなく、さまざまな要因による変動や誤差が含まれる。そのため、まず測定に伴う誤差の性質を理解し、できるだけ正確で安定した測定を行うためには、どのような点に注意する必要があるのかを考える。さらに、心理学では直接観察することが難しい心のはたらきを、行動や反応などの測定可能な指標から捉える必要があることから、心理学に特有の測定上の問題についても取り上げる。そのうえで、研究で明らかにしたい現象を実験として検討するために、どのような条件を設定し、それらをどのように比較すればよいのかという実験計画の基本を学ぶ。また、研究目的に対応した変数の設定や測定方法、実験に参加する人の選定や条件への配置など、実験結果の解釈に関係するさまざまな要素について検討する。最後に、実験で使用する刺激や装置、測定環境、実施手順などを具体化し、不要な影響をできるだけ抑えながら研究目的に適したデータを収集するための方法を考える。これらを通して、研究上の問いを検証可能な実験へと具体化し、心理学実験を論理的かつ適切に設計するための基礎的な考え方を身につける。
この第11回では、第10回で学んだ2要因計画をもとに、二つの要因が従属変数に及ぼす効果をどのように捉え、評価するのかについて学ぶ。まず、それぞれの要因がもつ全体的な効果である主効果と、一方の要因の効果がもう一方の要因によって変化する交互作用について理解する。さらに、2要因分散分析によって二つの主効果と交互作用を統計的に検定し、2要因計画から得られた結果を適切に解釈するための基本的な考え方を学ぶ。
後藤 宗理・大野木 裕明・中澤 潤 (2000). 心理学マニュアル 要因計画法 北大路書房
コマ主題細目
① 要因計画における主効果 ② 要因間の交互作用 ③ 2要因分散分析による主効果と交互作用の検定
細目レベル
① 2要因計画では、それぞれの要因が従属変数に及ぼす全体的な効果を検討することができ、この効果を「主効果」と呼ぶ。たとえば、学習方法と学習時間の2×2要因計画では、学習時間の二つの水準をまとめて考えたときに、反復学習と意味的学習の平均成績が異なるかを調べることで、学習方法の主効果を検討できる。同様に、学習方法の二つの水準をまとめたときに、短時間条件と長時間条件の平均成績が異なるかを調べれば、学習時間の主効果を検討できる。このように主効果とは、もう一方の要因の各水準にわたって平均したときに認められる、その要因の水準間の違いを意味する。2要因計画では二つの要因を設定するため、要因Aの主効果と要因Bの主効果をそれぞれ検討することができる。
② 要因計画の重要な特徴は、それぞれの要因の主効果だけでなく、要因間の「交互作用」を検討できることである。交互作用とは、一方の要因が従属変数に及ぼす効果が、もう一方の要因の水準によって異なることを意味する。たとえば、短時間条件では反復学習と意味的学習の記憶成績にほとんど差がないのに対し、長時間条件では意味的学習の方が反復学習より高い成績を示したとする。この場合、学習方法による成績の違いが学習時間によって変化しているため、学習方法と学習時間の交互作用が考えられる。交互作用を検討することで、単に「どの要因に効果があるか」だけでなく、「ある要因の効果が、どのような条件のときに強く、あるいは弱く現れるのか」を明らかにすることができる。
③ 2要因計画で得られたデータを分析する代表的な方法が2要因分散分析である。2要因分散分析では、従属変数にみられる変動を、要因Aによって説明される変動、要因Bによって説明される変動、AとBの交互作用によって説明される変動、そしてそれらでは説明されない誤差変動などに分けて考える。それぞれの効果について、その効果に対応する変動を適切な誤差変動と比較してF値を求め、帰無仮説のもとで観察された結果を評価する。したがって、2要因分散分析を行うことで、要因Aの主効果、要因Bの主効果、A×Bの交互作用をそれぞれ統計的に検定できる。特に交互作用が認められた場合には、主効果だけで結論づけず、各条件における要因の効果をさらに詳しく検討することが重要となる。
キーワード
① 2要因計画 ② 主効果 ③ 交互作用 ④ 2要因分散分析 ⑤ 変動
コマの展開方法
社会人講師
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ICT
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教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
【復習】
テキスト教材と配布資料を再度読み返し、理解しておく。講義内の説明で十分に理解できなかった点や用語は、図書館での書籍やインターネットで改めて調べ、知識を確実なものにしておく。
【次回までの予習】
次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、わからない箇所をメモしておく。
12
従属変数の測定
科目の中での位置付け
本科目では、心理学において実験を計画し、得られたデータから適切な結論を導くために必要となる実験計画法の基本的な考え方について学ぶ。実験によって得られる測定値には、研究対象そのものの影響だけでなく、さまざまな要因による変動や誤差が含まれる。そのため、まず測定に伴う誤差の性質を理解し、できるだけ正確で安定した測定を行うためには、どのような点に注意する必要があるのかを考える。さらに、心理学では直接観察することが難しい心のはたらきを、行動や反応などの測定可能な指標から捉える必要があることから、心理学に特有の測定上の問題についても取り上げる。そのうえで、研究で明らかにしたい現象を実験として検討するために、どのような条件を設定し、それらをどのように比較すればよいのかという実験計画の基本を学ぶ。また、研究目的に対応した変数の設定や測定方法、実験に参加する人の選定や条件への配置など、実験結果の解釈に関係するさまざまな要素について検討する。最後に、実験で使用する刺激や装置、測定環境、実施手順などを具体化し、不要な影響をできるだけ抑えながら研究目的に適したデータを収集するための方法を考える。これらを通して、研究上の問いを検証可能な実験へと具体化し、心理学実験を論理的かつ適切に設計するための基礎的な考え方を身につける。
この第12回では、これまで学んだ実験条件の設定とその比較を踏まえ、独立変数の操作によって生じる変化を何によって捉えるのかという従属変数について学ぶ。心理学では直接観察することが難しい心理的構成概念を扱うことから、それらを測定可能な指標として具体化する操作的定義の考え方を理解する。さらに、研究目的に対応した従属変数を選択する際の注意点を学び、実験によって検討したい心理現象を適切に測定するための基本的な考え方を身につける。
コマ主題細目
① 従属変数とは何か ② 心理的構成概念の操作的定義と測定指標 ③ 適切な従属変数を選択するための注意点
細目レベル
① 実験では、研究者が操作する独立変数によって、研究対象となる現象にどのような変化が生じるのかを測定する必要がある。このとき、独立変数の操作に伴って変化すると予測され、実際に測定される変数を「従属変数」と呼ぶ。たとえば、学習方法によって記憶成績が変化するかを調べる実験では、学習方法が独立変数となり、記憶テストの成績が従属変数となる。実験では、独立変数の各条件において得られた従属変数の値を比較することで、独立変数の効果を検討する。ただし、従属変数は独立変数だけによって決まるわけではなく、参加者の個人差や測定時の状態、環境、測定誤差などの影響も受ける。そのため、独立変数の効果を適切に捉えるには、何を従属変数として測定するのかを研究目的に即して明確に定める必要がある。
② 心理学では、記憶、注意、不安、感情など、直接観察することのできない心理的構成概念を研究対象とすることが多いため、それを観察・測定可能な指標として具体化する必要がある。研究対象となる概念を、実際の研究でどのような操作や測定によって扱うのかを具体的に定めることを「操作的定義」という。たとえば「記憶能力」を研究する場合には、学習した単語の再生数や再認課題の正答率を測定指標とすることができ、「注意」を研究する場合には、刺激に対する反応時間や正答率などを用いることができる。同じ心理的構成概念であっても複数の測定方法が考えられるため、どの指標を従属変数とするかによって、実験結果から導くことのできる結論も変わる。そのため、研究目的と理論に対応した測定指標を選択することが重要となる。
③ 従属変数を選択する際には、測定しようとする心理現象を適切に反映するとともに、独立変数による変化を十分に捉えられる指標であることが重要である。たとえば、非常に簡単な課題でほとんどの参加者が満点になると、条件による成績向上があっても測定値に表れない「天井効果」が生じることがある。反対に、課題が難しすぎて得点が最低付近に集中すると「床効果」が生じ、やはり条件差を捉えにくくなる。また、反応時間を測定する場合には装置の時間精度、質問紙を用いる場合には尺度の信頼性や妥当性など、測定方法そのものの性質も検討する必要がある。したがって従属変数は、単に数値として取得できればよいのではなく、研究対象を適切に表し、予想される変化を捉えられ、十分な測定精度をもつ指標として設計する必要がある。
キーワード
① 従属変数 ② 操作的定義 ③ 測定指標 ④ 天井効果・床効果 ⑤ 測定精度
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
【復習】
テキスト教材と配布資料を再度読み返し、理解しておく。講義内の説明で十分に理解できなかった点や用語は、図書館での書籍やインターネットで改めて調べ、知識を確実なものにしておく。
【次回までの予習】
次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、わからない箇所をメモしておく。
13
実験参加者の検討
科目の中での位置付け
本科目では、心理学において実験を計画し、得られたデータから適切な結論を導くために必要となる実験計画法の基本的な考え方について学ぶ。実験によって得られる測定値には、研究対象そのものの影響だけでなく、さまざまな要因による変動や誤差が含まれる。そのため、まず測定に伴う誤差の性質を理解し、できるだけ正確で安定した測定を行うためには、どのような点に注意する必要があるのかを考える。さらに、心理学では直接観察することが難しい心のはたらきを、行動や反応などの測定可能な指標から捉える必要があることから、心理学に特有の測定上の問題についても取り上げる。そのうえで、研究で明らかにしたい現象を実験として検討するために、どのような条件を設定し、それらをどのように比較すればよいのかという実験計画の基本を学ぶ。また、研究目的に対応した変数の設定や測定方法、実験に参加する人の選定や条件への配置など、実験結果の解釈に関係するさまざまな要素について検討する。最後に、実験で使用する刺激や装置、測定環境、実施手順などを具体化し、不要な影響をできるだけ抑えながら研究目的に適したデータを収集するための方法を考える。これらを通して、研究上の問いを検証可能な実験へと具体化し、心理学実験を論理的かつ適切に設計するための基礎的な考え方を身につける。
この第13回では、第12回で学んだ従属変数と測定方法の設定を踏まえ、実験に参加する対象者をどのように選び、実験条件に配置するのかについて学ぶ。まず、効果量や検定力との関係から適切な参加者数を設定する考え方を理解する。さらに、参加者間計画と参加者内計画の特徴や違いを整理するとともに、無作為抽出と無作為配分の目的を区別し、研究目的に適した参加者の選定と条件配置を行うための基本的な考え方を学ぶ。この第13回の学びに続き、第14-15回にて具体的な実験手続きについて考えていく。
コマ主題細目
① 参加者数・効果量・検定力 ② 参加者間計画と参加者内計画 ③ 参加者の無作為抽出と無作為配分
細目レベル
① 心理学実験では、何人の参加者からデータを収集するかを研究開始前に検討することが重要である。参加者数が少なすぎると、実際には条件間に差が存在していても統計的に検出できない可能性が高くなる。必要な参加者数を考える際には、検出しようとする効果の大きさを表す「効果量」、実際に効果が存在するときに統計的検定によってそれを正しく検出できる確率である「検定力」、有意水準などを考慮する。一般に、検出したい効果が小さいほど、その効果を偶然的な変動から区別するために多くの参加者が必要となる。そのため、先行研究や予備実験などから想定される効果量を参考に検定力分析を行い、研究目的に対して十分な参加者数を実験前に計画することが望ましい。
② 実験条件を参加者にどのように経験させるかによって、実験計画は参加者間計画と参加者内計画に分けられる。参加者間計画では、異なる参加者をそれぞれの条件に配置し、各参加者は基本的に一つの条件だけを経験する。この方法では、一つの条件を経験したことが別の条件の成績に影響する持ち越し効果を避けやすい一方、能力や性格などの個人差が条件間の比較に影響する可能性がある。これに対して参加者内計画では、同じ参加者が複数の条件を経験するため、参加者自身を統制として条件間を比較でき、個人差による変動を抑えやすい。ただし、先に経験した条件による練習、疲労、慣れなどの順序効果が後の条件に影響する可能性があるため、条件順序のランダム化やカウンターバランスなどの対策が必要となる。
③ 参加者に関する「無作為化」では、無作為抽出と無作為配分を区別する必要がある。無作為抽出とは、研究対象とする母集団から参加者を確率的な方法によって抽出することであり、適切に実施されれば、標本から母集団への一般化を考えるうえで重要な役割をもつ。一方、無作為配分とは、研究に参加することになった人を実験条件へランダムに割り当てることである。例えば100人の参加者を実験条件と統制条件へ無作為に配分することで、年齢、能力、経験などの既知・未知の参加者特性が特定の条件だけに系統的に偏る危険を確率的に低減できる。したがって、無作為抽出は主として「誰を研究対象として選ぶか」、無作為配分は「選ばれた参加者をどの条件に置くか」に関する手続きであり、両者は目的が異なる。
キーワード
① 参加者 ② 参加者間計画 ③ 参加者内計画 ④ 無作為抽出 ⑤ 無作為配分
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
【復習】
テキスト教材と配布資料を再度読み返し、理解しておく。講義内の説明で十分に理解できなかった点や用語は、図書館での書籍やインターネットで改めて調べ、知識を確実なものにしておく。
【次回までの予習】
次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、わからない箇所をメモしておく。
14
実験手続きの検討1 ―装置・刺激・試行―
科目の中での位置付け
本科目では、心理学において実験を計画し、得られたデータから適切な結論を導くために必要となる実験計画法の基本的な考え方について学ぶ。実験によって得られる測定値には、研究対象そのものの影響だけでなく、さまざまな要因による変動や誤差が含まれる。そのため、まず測定に伴う誤差の性質を理解し、できるだけ正確で安定した測定を行うためには、どのような点に注意する必要があるのかを考える。さらに、心理学では直接観察することが難しい心のはたらきを、行動や反応などの測定可能な指標から捉える必要があることから、心理学に特有の測定上の問題についても取り上げる。そのうえで、研究で明らかにしたい現象を実験として検討するために、どのような条件を設定し、それらをどのように比較すればよいのかという実験計画の基本を学ぶ。また、研究目的に対応した変数の設定や測定方法、実験に参加する人の選定や条件への配置など、実験結果の解釈に関係するさまざまな要素について検討する。最後に、実験で使用する刺激や装置、測定環境、実施手順などを具体化し、不要な影響をできるだけ抑えながら研究目的に適したデータを収集するための方法を考える。これらを通して、研究上の問いを検証可能な実験へと具体化し、心理学実験を論理的かつ適切に設計するための基礎的な考え方を身につける。
この第14回では、次の第15回と併せて、これまでに検討してきた変数や実験条件、参加者に関する計画を、実際に実施可能な心理学実験として具体化するための方法について学ぶ。まず、研究目的に適した実験装置や測定環境を整える際の基本的な考え方を理解し、実験で使用する刺激をどのように選択・設定するのかを検討する。さらに、試行数や提示順序などを含む実験手続きを組み立て、不要な変動を抑えながら適切なデータを収集するための実験設計について学ぶ。
コマ主題細目
① 実験装置と測定環境の設定 ② 実験刺激の選択と設定 ③ 試行数・提示順序と実験手続き
細目レベル
① 心理学実験では、独立変数と従属変数を決定した後、それらをどのような装置や環境で操作・測定するかを具体的に定める必要がある。たとえば視覚実験では、刺激を提示するディスプレイ、参加者との観察距離、画面の輝度や解像度、室内照明などを設定し、反応時間を測定する場合には、刺激提示や反応取得に十分な時間精度をもつ装置を使用する必要がある。また、参加者や条件によって使用する装置や測定環境が異なると、それ自体が測定値に影響する可能性があるため、原則として同一の装置、実験室、観察条件、測定方法を用いることが望ましい。実験前には装置が意図した刺激を正確に提示し、反応を適切に記録できるかを確認し、必要に応じて校正や動作確認を行うことも重要である。
② 実験刺激とは、参加者に提示して知覚や判断、行動などの反応を引き出すために用いる対象であり、文字、図形、写真、音、映像などさまざまなものが利用される。刺激を設定する際には、独立変数として意図的に操作する特徴を明確にするとともに、それ以外の特徴が条件間で不必要に異ならないようにする必要がある。たとえば、文字色の効果を調べるのであれば、文字の大きさ、書体、提示位置、提示時間などをできるだけ統一する。また、一つの刺激だけを用いると、その刺激固有の特徴によって結果が左右される可能性があるため、研究目的に応じて複数の刺激を用意することも重要である。刺激の選択、作成、提示条件を事前に明確化することによって、研究対象となる操作と参加者の反応との関係をより適切に検討できる。
③ 心理学実験では、一つの刺激に対する一回の反応だけで判断するのではなく、刺激提示と反応測定からなる「試行」を複数回繰り返してデータを収集することが多い。複数の試行を実施することで、一回の反応に含まれる偶然的な変動の影響を抑え、各条件における参加者の反応をより安定して測定できる。ただし、試行数を増やしすぎると疲労や集中力低下が生じるため、測定精度と参加者の負担の両方を考慮する必要がある。また、刺激や条件を常に同じ順序で提示すると、練習や疲労、順序効果が特定条件と結びつく可能性があるため、提示順序のランダム化などを行う。さらに、教示、練習試行、本試行、刺激提示時間、反応方法、試行間間隔、休憩などをあらかじめ定め、参加者間で手続きを統一することが重要である。
キーワード
① 装置 ② 刺激 ③ 試行 ④ 反復測定 ⑤ 順序効果
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
【復習】
テキスト教材と配布資料を再度読み返し、理解しておく。講義内の説明で十分に理解できなかった点や用語は、図書館での書籍やインターネットで改めて調べ、知識を確実なものにしておく。
【次回までの予習】
次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、わからない箇所をメモしておく。
15
実験手続きの検討2 ―実験の流れ―
科目の中での位置付け
本科目では、心理学において実験を計画し、得られたデータから適切な結論を導くために必要となる実験計画法の基本的な考え方について学ぶ。実験によって得られる測定値には、研究対象そのものの影響だけでなく、さまざまな要因による変動や誤差が含まれる。そのため、まず測定に伴う誤差の性質を理解し、できるだけ正確で安定した測定を行うためには、どのような点に注意する必要があるのかを考える。さらに、心理学では直接観察することが難しい心のはたらきを、行動や反応などの測定可能な指標から捉える必要があることから、心理学に特有の測定上の問題についても取り上げる。そのうえで、研究で明らかにしたい現象を実験として検討するために、どのような条件を設定し、それらをどのように比較すればよいのかという実験計画の基本を学ぶ。また、研究目的に対応した変数の設定や測定方法、実験に参加する人の選定や条件への配置など、実験結果の解釈に関係するさまざまな要素について検討する。最後に、実験で使用する刺激や装置、測定環境、実施手順などを具体化し、不要な影響をできるだけ抑えながら研究目的に適したデータを収集するための方法を考える。これらを通して、研究上の問いを検証可能な実験へと具体化し、心理学実験を論理的かつ適切に設計するための基礎的な考え方を身につける。
この第15回では、第14回で学んだ実験装置、刺激、試行などの設定を踏まえ、それらを時間的な流れに沿った具体的な実験手続きとして組み立てる方法について学ぶ。教示や練習試行によって参加者が課題を適切に理解するための方法を確認し、本試行における刺激提示から反応測定までの流れを検討する。さらに、試行間間隔や休憩などを含めて実験全体を構成し、参加者間で統一された手続きによって安定したデータを収集するための基本的な考え方を学ぶ。
コマ主題細目
① 教示と練習試行 ② 本試行における刺激提示と反応取得 ③ 試行間間隔・休憩と実験全体の時間構成
細目レベル
① 実験を開始する前には、参加者に実験で行う課題や反応方法を理解してもらうための「教示」を行う。教示では、刺激の見方、判断すべき内容、キー押しなどの反応方法、できるだけ速く正確に反応するなどの課題上の注意事項を明確に伝える必要がある。また、参加者によって説明内容が異なると実験結果に影響する可能性があるため、あらかじめ教示文を作成し、同一の内容と手順で説明することが望ましい。本試行の前には練習試行を実施し、参加者が課題内容や操作方法を正しく理解しているかを確認する。練習試行は本試行で生じる初期の学習効果を小さくする役割ももつが、過度な練習は本試行の成績に影響するため、研究目的に応じて回数や内容を適切に設定する必要がある。
② 本試行では、研究目的に基づいて設定された刺激を参加者に提示し、それに対する反応を測定する。一つの試行は、たとえば注視点の提示、刺激の提示、参加者による判断や反応、という一連の時間的な流れによって構成される。刺激については、提示位置、提示時間、大きさ、音量などの条件をあらかじめ定め、参加者や試行によって意図せず変化しないようにする。また、キー押し、発声、評定など、どのような反応を求めるのかを明確にし、正答率や反応時間など必要なデータを正確に記録する。特に反応時間を測定する実験では、刺激提示開始時点から反応取得までの時間を正確に記録できるよう、刺激提示装置や入力装置の時間精度にも注意する必要がある。
③ 一つの試行が終了した後、次の試行を開始するまでの時間を「試行間間隔」と呼び、実験の目的に応じて適切な長さを設定する必要がある。間隔が短すぎると、直前の刺激や反応の影響が次の試行に残る可能性があり、長すぎると実験時間が延び、参加者の集中力が低下する可能性がある。また、多数の試行を連続して行う場合には、試行を複数のブロックに分け、ブロック間に休憩を設けることで疲労や注意低下を抑えることができる。実験全体としては、教示、練習試行、本試行、休憩などの順序と所要時間をあらかじめ定め、すべての参加者にできるだけ同じ手続きで実施する。このように実験の時間構造を標準化することは、参加者間で測定条件を揃え、不要な変動を抑えるうえでも重要である。
キーワード
① 教示 ② 練習試行 ③ 本試行 ④ 休憩 ⑤ 実験時間
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
【復習】
テキスト教材と配布資料を再度読み返し、理解しておく。講義内の説明で十分に理解できなかった点や用語は、図書館での書籍やインターネットで改めて調べ、知識を確実なものにしておく。
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
心理学研究における基礎知識と実験法の位置づけ
心理学の研究法として実験法、調査法、観察法などの手法の特徴や、長所と短所について理解している。変数の関係性として、相関と因果関係の違いについてしっかり区別して理解している。研究における信頼性と妥当性の意味について理解し、区別できている。
心理学研究法、実験法、調査法、相関と因果、信頼性と妥当性
10
1, 4
実験法の基礎知識
独立変数の種類(直接的独立変数、概念的独立変数)を区別でき、純化や多重操作など独立変数の具体的な手続き化の手法について理解している。従属変数のうち、言語測度と行動測度の長所と短所について理解しており、変数の種類(直接的従属変数、概念的従属変数)を区別できる。剰余変数の統制方法の種類(直接的統制、個体差変数の統制、個体内変動の統制)について区別でき、各手法の長所と短所について理解している。
独立変数、直接的独立変数、概念的独立変数、操作、従属変数の測定、心理的構成概念、操作的定義、測定指標、剰余変数、統制
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1, 5, 6, 8, 12
心理学における測定と誤差
測定に含まれる誤差の種類や性質を理解し、心理学における測定の信頼性・妥当性との関係について説明できる。できるだけ正確で安定した測定を行うためには、どのような点に注意する必要があるのかを理解している。
心理測定、真の値、観測値、誤差、偶然誤差、系統誤差、信頼性、妥当性、変動、統制、無作為化
25
2, 3, 4, 5, 6
実験計画法と統計的検定
実験計画における要因と水準の違いについて理解している。t検定や分散分析の基本的な考え方(全体平均からの偏差、条件差、誤差)について理解している。一要因分散分析の仕組みについて理解しており、実施の手順と、その後に行う多重比較について理解している。二要因分散分析の仕組みと実施の手順について理解している。主効果と交互作用の違いについて区別でき理解している。独立変数、従属変数、要因、水準などの基本概念を十分に理解し、1要因計画や2要因計画における条件設定、主効果、交互作用について説明できる。
要因、水準、1要因計画、2要因計画、統計的検定、t検定、分散分析の基本的な考え方、一要因分散分析、多重比較、二要因分散分析、主効果、交互作用
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7, 9, 10, 11
実験の手法の理解
適切な測定と参加者配置の方法を理解している。研究目的に応じた従属変数や測定指標を設定するとともに、参加者間計画・参加者内計画、無作為抽出・無作為配分などの特徴と使い分けを説明できる。誤差や剰余変数の影響を考慮しながら、実験装置、刺激、試行、測定環境、実験手続きなどを適切に設定する方法について理解し説明できる。
測定指標、測定精度、参加者数、サンプルサイズ、効果量、検定力、参加者間計画、参加者内計画、無作為抽出、無作為配分、無作為化、ランダマイズ、装置、刺激、試行、反復測定、順序効果、疲労効果、練習効果、カウンターバランス、教示、練習試行、本試行
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12, 13, 14, 15
評価方法
期末試験(100%)によって評価する。
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
指定しない。
参考文献
森田 浩 (2019). よくわかる最新実験計画法の基本と仕組み<第2版> 秀和システム 高野 陽太郎・岡 隆(編) (2017). 心理学研究法―心を見つめる科学のまなざし― 補訂版 有斐閣アルマ 後藤 宗理・大野木 裕明・中澤 潤 (2000). 心理学マニュアル 要因計画法 北大路書房
実験・実習・教材費
指定しない。