区分
基盤専門科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力
科学コミュニケーション力
研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養
応用力
実践力
科目間連携
総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
基礎科目として位置づけられる。
科目の目的
本講義は、人間の発達を乳幼児期から高齢期まで続く生涯にわたる変化として理解し、身体、認知、言語、自己、他者との関係がどのように形成され、変化していくのかを発達心理学の理論と研究知見に基づいて学ぶことを目的とする。前半では、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動、認知、言語、愛着、自己と他者の理解を扱い、人間の心の基本的な機能がどのように形づくられるのかを学ぶ。後半では、仲間関係、共感、道徳性、学校生活における自己理解、思春期、アイデンティティ、成人期・高齢期を取り上げ、社会の中で自己や他者との関係がどのように発達するのかを学ぶ。最終的には、発達を単なる年齢に伴う成長としてではなく、身体、認知、他者、文化、環境との相互作用の中で、生涯にわたって変化する過程として説明できることを目指す。
到達目標
本講義では、発達心理学の基本的な概念と代表的な理論を理解し、乳幼児期から高齢期までの発達を一連の過程として説明できることを目標とする。また、発達には一般的な傾向がある一方で、遺伝、環境、経験、文化などの違いによる個人差が存在することを理解する。さらに、身体・運動、認知、言語、愛着、自己理解、仲間関係、道徳性、アイデンティティなどの発達が互いに独立しているのではなく、相互に関連しながら変化することを具体例を用いて説明できる力を養う。
① 発達、成長、成熟、学習、生涯発達、個人差などの基本概念を説明できる。
② 新生児期・乳幼児期の知覚、運動、認知、言語の発達について、代表的な研究法や理論とともに説明できる。
③ 気質、愛着、共同注意、心の理論、共感、仲間関係、道徳性などを用いて、社会性の発達を説明できる。
④ 児童期から青年期にかけて、自己概念、自己効力感、自己意識、心理的自立、アイデンティティがどのように発達するかを説明できる。
⑤ 成人期・中年期・高齢期における親密性、世代性、認知加齢、社会関係、適応などの特徴を説明できる。
⑥ 発達を遺伝か環境かの二者択一で捉えるのではなく、それらの相互作用として説明できる。
⑦ 発達の一般的傾向と個人差の両方を踏まえ、人間の多様な発達について考察できる。
科目の概要
本講義では、人間が生涯にわたってどのように変化するのかを、発達心理学の理論と研究知見から体系的に学ぶ。第1回では、発達、成長、成熟、学習、生涯発達、遺伝と環境、個人差といった発達心理学の基本的な考え方を学ぶ。第2~7回では、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動、ピアジェの認知発達理論、言語発達、ヴィゴツキー、気質と愛着、自己認識、共同注意、心の理論を取り上げ、乳幼児が世界を理解し、他者と関係を築くまでの発達を学ぶ。第8回では前半の内容を統合する。第9~10回では、遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動、規則理解、意図と結果、道徳判断を学ぶ。第11~13回では、学校生活における学習と自己理解、社会的比較、自己概念、自己効力感、思春期の身体像と自己意識、心理的自立、青年期のアイデンティティを扱う。第14回では成人期、中年期、高齢期の発達を取り上げ、親密性、世代性、認知加齢、社会関係、適応、幸福について学ぶ。第15回では全体を振り返り、発達を身体、認知、他者、文化、環境との相互作用の中で生じる生涯にわたる変化として統合的に理解する。
科目のキーワード
発達、生涯発達、成長、成熟、学習、遺伝、環境、個人差、相互作用、乳幼児期、新生児、反射、知覚、選好注視法、馴化、身体発達、運動発達、探索行動、アフォーダンス、ピアジェ、シェマ、対象の永続性、自己中心性、保存、喃語、語彙、言語発達、共同注意、ヴィゴツキー、発達の最近接領域、気質、愛着、ボウルビィ、エインズワース、内的作業モデル、自己認識、鏡映自己認知、社会的参照、心の理論、遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動、道徳性、規則、意図、責任判断、コールバーグ、児童期、メタ認知、社会的比較、自己概念、自己効力感、思春期、第二次性徴、身体像、自己意識、心理的自立、青年期、アイデンティティ、エリクソン、マルシア、自立、成人期、親密性、世代性、高齢期、認知加齢、社会関係、適応、幸福感、可塑性
授業の展開方法
この科目は、各回で文字教材を準備し、その文字教材を使用しながら講義を進める。講義内で用いるその他の参考書や論文等を予習や復習に使用する場合には、その都度、講義内でその旨をアナウンスする。主に各回の文字教材を、教員が読み上げることで講義を進める。
オフィス・アワー
前期:月曜1限・4限
火曜1限・2限・3限
水曜1限~3限
木曜1限~4限
後期:月曜1限・2限
火曜1限・2限
木曜1限~昼
金曜1限・2限
科目コード
RD1010
学年・期
1年・後期
科目名
発達心理学
単位数
2
授業形態
講義
必修・選択
必修
学習時間
【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
なし
展開科目
関連資格
公認心理師
担当教員名
野内類
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
発達心理学とは何か ――人は何を「発達」させながら生きていくのか
科目の中での位置付け
本講義は、心理学の基礎科目の一つとして、人間のこころと行動が生涯にわたってどのように形成され、変化していくのかを理解するための基盤を形成するものである。発達心理学は、認知心理学、社会心理学、教育心理学、臨床心理学など多くの心理学領域と関係しており、人間を一時点の特徴だけでなく、時間の経過に伴う変化として理解する視点を提供する点に特徴がある。
本講義では、第1回に発達、成長、成熟、学習、生涯発達、遺伝と環境、個人差といった発達心理学の基本的な考え方を学ぶ。続く第2回から第7回では、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動発達、ピアジェの認知発達理論、言語発達、ヴィゴツキー、気質と愛着、自己認識、共同注意、心の理論を取り上げる。これにより、乳幼児が周囲の世界を感じ、身体を使って探索し、他者と関わりながら認知や言語、自己・他者理解を発達させていく過程を学ぶ。第8回では、中間テストと前半内容の統合を行い、身体、認知、言語、人間関係の発達が相互に関連していることを確認する。
後半の第9回から第14回では、子どもがより広い社会の中でどのように発達していくかを学ぶ。第9回・第10回では、遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動、規則理解、意図と結果、道徳判断を取り上げる。第11回から第13回では、学校生活における学習と自己理解、社会的比較、自己概念、自己効力感、思春期の身体像や自己意識、心理的自立、青年期のアイデンティティ形成を扱う。第14回では、成人期、中年期、高齢期へ視野を広げ、親密性、世代性、認知加齢、社会関係、適応、幸福感などを通して、大人になってからも発達が続くことを学ぶ。
最終回である第15回では、講義全体の内容について最終テストと総括を行い、乳幼児期から高齢期までの発達を一つの時間軸の中で統合する。最終的には、発達を単なる年齢に伴う成長や能力の増加としてではなく、身体、認知、他者、文化、環境との相互作用の中で生涯にわたって変化する過程として捉え、心理学の他領域における人間理解にもつなげられる視点を身につけることを目指す。
コマ主題細目
① 人は「発達する」とはどういうことか ② 人は生まれつきか、育ちか ③ みんな同じように発達するのか
細目レベル
① 私たちは日常生活の中で、「子どもが成長した」「ことばが発達した」「運動能力が成熟した」「練習して上達した」といった表現を使う。しかし、発達心理学では、発達、成長、成熟、学習を必ずしも同じ意味では用いない。身長や体重の増加のような量的変化、身体や神経系が生物学的に一定の状態へ近づく成熟、経験や練習によって行動が変化する学習などを区別しながら、人間の変化をより広い「発達」という視点から考える。本Partでは、発達を子どもが大人になるまでの能力獲得だけに限定せず、乳幼児期から児童期、青年期、成人期、高齢期まで続く生涯にわたる変化として捉える生涯発達の考え方を学ぶ。能力が増えることだけでなく、失うこと、別の方法へ変化すること、新しい環境へ適応することも発達研究の対象になる。第14回で扱う成人期・高齢期まで見通しながら、「発達=子どもの成長」という日常的な理解を広げ、本講義全体を貫く時間軸を形成する。
② 性格、知能、運動能力、ことばの得意不得意などを見ると、「これは遺伝だから仕方がない」「育て方によって決まる」と説明したくなることがある。しかし、人間の発達を遺伝だけ、あるいは環境だけで説明することは難しい。遺伝的な特徴は発達の可能性や個人差に関係する一方、その特徴が実際にどのように現れるかは、栄養、教育、家族、友人、文化、経験などの環境とも関係する。また、同じ環境に置かれた人がまったく同じように発達するわけでもない。本Partでは、「遺伝か環境か」という二者択一ではなく、遺伝と環境が互いに関係しながら発達を形づくるという考え方を学ぶ。この考え方は、第3回の運動発達、第5回の言語発達、第6回の気質と愛着、第11回の学校経験など、その後のほぼすべての回に関係する。人の特徴を一つの原因へ還元せず、複数の要因の相互作用として捉える姿勢を身につける。
③ 発達心理学では、「何歳ごろに歩く」「何歳ごろに最初のことばを話す」といった一般的な発達の傾向が研究されてきた。このような知識は、人間の発達を理解するうえで重要である。しかし、平均的な発達時期が分かったからといって、すべての子どもが同じ順序や速度で変化するわけではない。歩き始める時期、ことばの増え方、人との関わり方、得意なことや苦手なことには大きな個人差がある。また、子どもが育つ家庭、学校、地域、文化によって、求められる行動や経験する活動も異なる。本Partでは、発達には人間に共通して見られやすい一般的傾向がある一方、その現れ方には多様性があることを理解する。この視点は、第3回の運動発達、第6回の気質、第12回の思春期の成熟時期、第14回の認知加齢にも共通する。「平均から外れている=問題」と判断するのではなく、一般傾向と個人差を同時に見ることを発達心理学の基本姿勢として身につける。
キーワード
① 発達 ② 生涯発達 ③ 遺伝 ④ 環境 ⑤ 個人差
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
予習
関連回:第1回→第2・3回への導入
自分が小学生のころと現在を比べ、「変わったこと」を三つ挙げる。それぞれについて、成長、成熟、学習、環境のどれが関係していそうかを考える。また、性格、知能、運動能力、身長から一つを選び、「生まれつき」と「経験」のどちらが関係するかを考える。第2回以降では乳児の能力、第3回では運動発達を扱うため、「生まれた時点で備わっているもの」と「経験によって変化するもの」を区別できるようにしておく。
復習
関連回:第1回→第2・3・6・14回へ接続
発達、成長、成熟、学習の違いを具体例で説明する。また、遺伝と環境を二者択一にできない理由と、一般的な発達傾向があっても個人差が生じる理由を整理する。第2回の新生児、第3回の運動発達、第6回の気質、第14回の高齢期でも、「遺伝と環境」「一般傾向と個人差」という考えを利用することを意識する。
2
赤ちゃんはどんな世界を見ているのか ――まだ話せない乳児の能力を科学的に捉える
科目の中での位置付け
本講義は、心理学の基礎科目の一つとして、人間のこころと行動が生涯にわたってどのように形成され、変化していくのかを理解するための基盤を形成するものである。発達心理学は、認知心理学、社会心理学、教育心理学、臨床心理学など多くの心理学領域と関係しており、人間を一時点の特徴だけでなく、時間の経過に伴う変化として理解する視点を提供する点に特徴がある。
本講義では、第1回に発達、成長、成熟、学習、生涯発達、遺伝と環境、個人差といった発達心理学の基本的な考え方を学ぶ。続く第2回から第7回では、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動発達、ピアジェの認知発達理論、言語発達、ヴィゴツキー、気質と愛着、自己認識、共同注意、心の理論を取り上げる。これにより、乳幼児が周囲の世界を感じ、身体を使って探索し、他者と関わりながら認知や言語、自己・他者理解を発達させていく過程を学ぶ。第8回では、中間テストと前半内容の統合を行い、身体、認知、言語、人間関係の発達が相互に関連していることを確認する。
後半の第9回から第14回では、子どもがより広い社会の中でどのように発達していくかを学ぶ。第9回・第10回では、遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動、規則理解、意図と結果、道徳判断を取り上げる。第11回から第13回では、学校生活における学習と自己理解、社会的比較、自己概念、自己効力感、思春期の身体像や自己意識、心理的自立、青年期のアイデンティティ形成を扱う。第14回では、成人期、中年期、高齢期へ視野を広げ、親密性、世代性、認知加齢、社会関係、適応、幸福感などを通して、大人になってからも発達が続くことを学ぶ。
最終回である第15回では、講義全体の内容について最終テストと総括を行い、乳幼児期から高齢期までの発達を一つの時間軸の中で統合する。最終的には、発達を単なる年齢に伴う成長や能力の増加としてではなく、身体、認知、他者、文化、環境との相互作用の中で生涯にわたって変化する過程として捉え、心理学の他領域における人間理解にもつなげられる視点を身につけることを目指す。
コマ主題細目
① 生まれたばかりの赤ちゃんには何ができる ② 赤ちゃんには世界がどう見えている? ③ 話せない赤ちゃんの心をどう調べる?
細目レベル
① 生まれたばかりの赤ちゃんを見ると、自分では何もできず、大人から世話をしてもらうだけの存在のように見えるかもしれない。しかし、新生児はまったく何もできない状態で生まれてくるわけではない。胎児期から感覚系や神経系の発達は進んでおり、出生直後から光や音などの刺激に反応する。また、口の周囲に触れるとその方向へ顔を向ける探索反射、口に入ったものを吸う吸啜反射、急な刺激に対して手足を広げるモロー反射など、新生児に特徴的な反射も見られる。本Partでは、これらを「赤ちゃんの面白い動き」として覚えるのではなく、生存や周囲との関係を支える行動として理解する。また、第1回で扱った成熟と経験の区別を用い、新生児の能力のどの部分が出生時点ですでに存在し、どの部分がその後の経験によって変化するのかを考える。発達を出生後から始まるものとせず、胎児期から出生、新生児期へ連続する過程として捉える。
② ことばを話せない乳児にも、視覚や聴覚を通して周囲の世界を捉える能力がある。ただし、大人とまったく同じように見えたり聞こえたりしているわけではない。出生後の視力はまだ十分に発達していないが、乳児は明暗や大きな形の違いに反応し、人の顔のような刺激を比較的長く見ることがある。また、音の方向へ注意を向けたり、人の声や聞き慣れた声に反応したりすることも知られている。本Partでは、乳児の感覚・知覚が未完成だから「何も分からない」のではなく、その発達段階に応じた形で世界から情報を得ていることを学ぶ。ここで扱う人の顔や声への反応は、第5回の音声知覚や言語発達、第6回の愛着、第7回の共同注意へつながっていく。後の高度な社会性や言語が突然生まれるのではなく、初期の知覚能力を基盤として徐々に形成されることを理解する。
③ 大人を研究する場合には、「何が見えましたか」「どちらが好きですか」と質問することができる。しかし、ことばを話せない乳児には同じ方法を使えない。それでは、乳児が何を見分け、何を覚え、何に興味を示しているかを心理学者はどのように調べるのだろうか。本Partでは、二つの刺激を提示してどちらを長く見るかを測定する選好注視法や、同じ刺激を繰り返し提示すると注視時間が短くなる馴化を利用した研究法を扱う。乳児が直接「分かる」と答えなくても、見る時間や反応の変化という観察可能な行動を利用することで、乳児の知覚や記憶について推測できることを理解する。この研究法は第4回の対象の永続性などでも再び重要になる。課題に失敗したから能力が存在しないと即断せず、「どの行動を指標にしたか」を確認する必要があることも学ぶ。
キーワード
① 新生児 ② 反射 ③ 知覚 ④ 選好注視法 ⑤ 馴化
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
予習
関連回:第1回
第1回の「成熟と学習」「遺伝と環境」を振り返り、生まれたばかりの赤ちゃんにできそうなことを三つ、まだ難しそうなことを三つ挙げる。そのうえで、それらを「生まれた時点ですでに備わる可能性が高いもの」と「出生後の経験が特に重要そうなもの」に分ける。また、話せない赤ちゃんが二つの刺激を区別しているかを、言葉を使わず調べる方法を考える。
復習
関連回:第1・2回→第4・5・6回へ接続
第1回の成熟・学習という区別を使い、新生児反射とその後の経験との関係を説明する。さらに、選好注視法と馴化法について、「実際に測っている行動」と「そこから推測している心」を区別する。第4回の認知発達、第5回の音声知覚、第6回の愛着でも乳児の行動から心を推測するため、第2回の研究法が後の内容を理解する基礎になることを整理する。
3
からだを動かすことで世界が広がる ――身体・運動・環境の相互作用から発達を考える
科目の中での位置付け
本講義は、心理学の基礎科目の一つとして、人間のこころと行動が生涯にわたってどのように形成され、変化していくのかを理解するための基盤を形成するものである。発達心理学は、認知心理学、社会心理学、教育心理学、臨床心理学など多くの心理学領域と関係しており、人間を一時点の特徴だけでなく、時間の経過に伴う変化として理解する視点を提供する点に特徴がある。
本講義では、第1回に発達、成長、成熟、学習、生涯発達、遺伝と環境、個人差といった発達心理学の基本的な考え方を学ぶ。続く第2回から第7回では、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動発達、ピアジェの認知発達理論、言語発達、ヴィゴツキー、気質と愛着、自己認識、共同注意、心の理論を取り上げる。これにより、乳幼児が周囲の世界を感じ、身体を使って探索し、他者と関わりながら認知や言語、自己・他者理解を発達させていく過程を学ぶ。第8回では、中間テストと前半内容の統合を行い、身体、認知、言語、人間関係の発達が相互に関連していることを確認する。
後半の第9回から第14回では、子どもがより広い社会の中でどのように発達していくかを学ぶ。第9回・第10回では、遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動、規則理解、意図と結果、道徳判断を取り上げる。第11回から第13回では、学校生活における学習と自己理解、社会的比較、自己概念、自己効力感、思春期の身体像や自己意識、心理的自立、青年期のアイデンティティ形成を扱う。第14回では、成人期、中年期、高齢期へ視野を広げ、親密性、世代性、認知加齢、社会関係、適応、幸福感などを通して、大人になってからも発達が続くことを学ぶ。
最終回である第15回では、講義全体の内容について最終テストと総括を行い、乳幼児期から高齢期までの発達を一つの時間軸の中で統合する。最終的には、発達を単なる年齢に伴う成長や能力の増加としてではなく、身体、認知、他者、文化、環境との相互作用の中で生涯にわたって変化する過程として捉え、心理学の他領域における人間理解にもつなげられる視点を身につけることを目指す。
コマ主題細目
① 身体はどのように成長するのか ② 赤ちゃんはどうやって動けるようになるのか ③ 動けるようになると心はどう変わるのか
細目レベル
① 乳幼児期には、身長や体重が増加するだけでなく、脳や神経系、筋肉、骨格などにも大きな変化が生じる。しかし、身体発達を単なる「大きくなること」として捉えるだけでは十分ではない。首がすわる、姿勢を保つ、手を伸ばして物をつかむといった行動が可能になる背景には、身体各部の成長と神経系の成熟がある一方、それらを実際に使う経験も関係している。本Partでは、第1回で区別した成長、成熟、学習を具体的な身体発達へ当てはめる。身体が成熟すれば自動的にすべての運動が成立するわけでも、練習だけで成熟を自由に早められるわけでもない。子どもは完成した身体を使って世界を学ぶのではなく、身体そのものが変化する過程で、可能な行動と経験を広げていく。この身体と経験の循環は、第12回の思春期の身体像や、第14回の加齢による身体・認知変化を理解する際にも再び重要になる。
② 乳児の運動発達では、寝返り、座る、はいはい、つかまり立ち、歩行など、目に見える大きな変化が次々と生じる。そのため、何か月でどの運動ができるようになるかという「発達の順番」に目が向きやすい。しかし、実際の運動発達には大きな個人差があり、すべての乳児がまったく同じ経路をたどるわけではない。はいはいをほとんど経験せずに歩き始める子どももいる。本Partでは、第1回の「一般傾向と個人差」を運動発達に適用し、平均的な到達時期を知ることと、一人ひとりを平均へ当てはめることを区別する。また、運動発達を身体の成熟だけでなく、姿勢、筋力、意欲、経験、床や家具などの環境条件が相互に関係して成立する過程として捉える。新しい運動技能を獲得することは、単に一つの能力が追加されることではなく、自分から世界へ働きかけられる範囲が拡大することである。
③ 自分で移動できない乳児にとって、世界は主として大人が運んできてくれるものによって構成されている。しかし、はいはいや歩行が可能になると、自分から興味のある場所へ近づき、物を触り、別の角度から見て、失敗しながら環境を探索できるようになる。つまり運動発達は、身体能力だけでなく、子どもが経験できる世界そのものを変化させる。本Partでは、探索行動と知覚・運動の関係を学び、環境が特定の身体をもつ人にどのような行動を可能にするかというアフォーダンスの考えにも触れる。同じ段差でも、はいはいを始めたばかりの乳児と歩行経験を積んだ子どもでは意味が異なりうる。この身体―知覚―行為―環境の関係は、第4回の認知発達だけでなく、第14回の高齢期にも通じる。発達を子どもの頭の内部だけで起こる変化として捉えない視点を形成する。
キーワード
① 身体発達 ② 運動発達 ③ 成熟 ④ 探索行動 ⑤ アフォーダンス
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
予習
関連回:第1・2回
第1回の「成熟と経験」「一般傾向と個人差」、第2回の乳児の知覚能力を振り返る。そのうえで、乳児が歩けるようになると、①見るもの、②触れられるもの、③大人との関わりがどのように変わるかを考える。「はいはいをしないで歩き始めたら発達に問題がある」と即断してよいかについても、第1回の個人差を使って予想する。
復習
関連回:第1~3回→第4回へ接続
第1回の成熟・学習、第2回の知覚、第3回の運動をつなぎ、「身体が変化する→行動範囲が広がる→経験が変わる」という流れを説明する。また、アフォーダンスを用いて、同じ環境でも身体能力によって意味が異なる例を考える。次の第4回では、このような経験の広がりが物体や世界の理解へどうつながるかを意識する。
4
子どもは世界をどう理解するのか ――ピアジェから認知発達の仕組みを考える
科目の中での位置付け
本講義は、心理学の基礎科目の一つとして、人間のこころと行動が生涯にわたってどのように形成され、変化していくのかを理解するための基盤を形成するものである。発達心理学は、認知心理学、社会心理学、教育心理学、臨床心理学など多くの心理学領域と関係しており、人間を一時点の特徴だけでなく、時間の経過に伴う変化として理解する視点を提供する点に特徴がある。
本講義では、第1回に発達、成長、成熟、学習、生涯発達、遺伝と環境、個人差といった発達心理学の基本的な考え方を学ぶ。続く第2回から第7回では、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動発達、ピアジェの認知発達理論、言語発達、ヴィゴツキー、気質と愛着、自己認識、共同注意、心の理論を取り上げる。これにより、乳幼児が周囲の世界を感じ、身体を使って探索し、他者と関わりながら認知や言語、自己・他者理解を発達させていく過程を学ぶ。第8回では、中間テストと前半内容の統合を行い、身体、認知、言語、人間関係の発達が相互に関連していることを確認する。
後半の第9回から第14回では、子どもがより広い社会の中でどのように発達していくかを学ぶ。第9回・第10回では、遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動、規則理解、意図と結果、道徳判断を取り上げる。第11回から第13回では、学校生活における学習と自己理解、社会的比較、自己概念、自己効力感、思春期の身体像や自己意識、心理的自立、青年期のアイデンティティ形成を扱う。第14回では、成人期、中年期、高齢期へ視野を広げ、親密性、世代性、認知加齢、社会関係、適応、幸福感などを通して、大人になってからも発達が続くことを学ぶ。
最終回である第15回では、講義全体の内容について最終テストと総括を行い、乳幼児期から高齢期までの発達を一つの時間軸の中で統合する。最終的には、発達を単なる年齢に伴う成長や能力の増加としてではなく、身体、認知、他者、文化、環境との相互作用の中で生涯にわたって変化する過程として捉え、心理学の他領域における人間理解にもつなげられる視点を身につけることを目指す。
コマ主題細目
① ピアジェは子どもの思考をどう考えたか ② 赤ちゃんは物の世界をどう理解するのか ③ 幼児の考え方は大人と何が違うのか
細目レベル
① 幼い子どもが大人とは異なる答えをするとき、単に知識が少ないから間違えたと考えてよいのだろうか。ピアジェは、子どもを「知識の足りない小さな大人」としてではなく、その時点で利用できる考え方を使って世界を理解している存在として捉えた。本Partでは、子どもが経験を整理する認知的な枠組みであるシェマ、新しい経験を既存のシェマに取り込む同化、経験に合わせてシェマそのものを変える調節を中心に、認知発達の基本的な考え方を学ぶ。また、発達段階という考えを通して、子どもの思考が単に量的に増加するだけではなく、世界を捉える方法そのものが変化すると考えられたことを理解する。第3回では、身体が変化することで経験できる環境が変わることを学んだが、今回はその経験を子どもがどのように理解へ組み込むのかを考える。正答・誤答だけでなく、答えに至った思考過程を見る視点を身につける。
② 目の前にあったおもちゃを布で隠したとき、赤ちゃんはそのおもちゃがまだ存在していると理解しているのだろうか。ピアジェは、このような問題を通して、直接見えていない物も存在し続けるという対象の永続性の発達を検討した。初期の理論では、乳児が隠された物を探すようになる行動を、物体についての理解が成立する重要な指標として捉えた。しかし、その後の乳児研究では、選好注視法や馴化法など別の方法によって、ピアジェが想定したより早い時期から物体に関する知識を示す可能性も報告されてきた。本Partでは、第2回で学んだ乳児研究法を再利用し、同じ心理能力でもどの行動を測るかによって結論が異なる可能性を考える。課題に失敗したことを「理解していない」と直結させず、乳児の運動能力や課題要求も含めて結果を解釈する必要があることを学ぶ。
③ 同じ量のジュースを幅の広いコップから細長いコップへ移すと、幼児は細長いコップの方が「多い」と答えることがある。ピアジェは、このような保存課題を用いて、見た目が変化しても量そのものは変わらないという理解の発達を検討した。また、自分とは異なる視点から物を見ることの難しさを自己中心性として捉えた。本Partでは、幼児の判断を「論理的に考えられない」と一括りにするのではなく、どの情報へ注意を向け、何を手がかりに判断しているのかを考える。さらに、課題の質問方法や状況を変えると幼児の成績が向上する研究もあることから、課題に失敗したことと能力そのものが存在しないことを区別する。この考え方は、第7回の誤信念課題や第10回の道徳判断でも重要になる。古典的理論を暗記するだけでなく、「課題成績から心をどう推測するか」という研究上の問いとして認知発達を理解する。
キーワード
① ピアジェ ② シェマ ③ 対象の永続性 ④ 自己中心性 ⑤ 保存
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
予習
関連回:第2・3回
第2回の選好注視法・馴化法、第3回の探索行動を振り返る。隠したおもちゃを乳児が探さなかった場合、「おもちゃが存在することを理解していない」以外にどのような説明がありうるかを二つ考える。また、同じ量の飲み物を細長い容器へ移したとき、幼児がどう答えるか予想する。
復習
関連回:第2~4回→第7・10回へ接続
第2回の「行動から心を推測する」という研究法と、第4回の対象の永続性・保存課題を結びつける。また、第3回の運動能力が課題成績へ影響しうる理由も考える。「課題に失敗した=能力がない」とはいえないという原則を整理し、第7回の心の理論、第10回の道徳判断でも同じ視点を利用できるようにする。
5
ことばと人との関わりは、思考をどう育てるのか ――言語発達を個人の能力だけでなく社会的相互作用から考える
科目の中での位置付け
本講義は、心理学の基礎科目の一つとして、人間のこころと行動が生涯にわたってどのように形成され、変化していくのかを理解するための基盤を形成するものである。発達心理学は、認知心理学、社会心理学、教育心理学、臨床心理学など多くの心理学領域と関係しており、人間を一時点の特徴だけでなく、時間の経過に伴う変化として理解する視点を提供する点に特徴がある。
本講義では、第1回に発達、成長、成熟、学習、生涯発達、遺伝と環境、個人差といった発達心理学の基本的な考え方を学ぶ。続く第2回から第7回では、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動発達、ピアジェの認知発達理論、言語発達、ヴィゴツキー、気質と愛着、自己認識、共同注意、心の理論を取り上げる。これにより、乳幼児が周囲の世界を感じ、身体を使って探索し、他者と関わりながら認知や言語、自己・他者理解を発達させていく過程を学ぶ。第8回では、中間テストと前半内容の統合を行い、身体、認知、言語、人間関係の発達が相互に関連していることを確認する。
後半の第9回から第14回では、子どもがより広い社会の中でどのように発達していくかを学ぶ。第9回・第10回では、遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動、規則理解、意図と結果、道徳判断を取り上げる。第11回から第13回では、学校生活における学習と自己理解、社会的比較、自己概念、自己効力感、思春期の身体像や自己意識、心理的自立、青年期のアイデンティティ形成を扱う。第14回では、成人期、中年期、高齢期へ視野を広げ、親密性、世代性、認知加齢、社会関係、適応、幸福感などを通して、大人になってからも発達が続くことを学ぶ。
最終回である第15回では、講義全体の内容について最終テストと総括を行い、乳幼児期から高齢期までの発達を一つの時間軸の中で統合する。最終的には、発達を単なる年齢に伴う成長や能力の増加としてではなく、身体、認知、他者、文化、環境との相互作用の中で生涯にわたって変化する過程として捉え、心理学の他領域における人間理解にもつなげられる視点を身につけることを目指す。
コマ主題細目
① ことばを話す前から言語発達は始まっている ② 子どもはどうやって語彙や文法を身につけるのか ③ 人との関わりは、ことばと思考をどう育てるのか
細目レベル
① 赤ちゃんが最初の単語を話す以前にも、言語発達は長い時間をかけて進んでいる。乳児は周囲の音をただ受動的に聞いているのではなく、人の声へ注意を向け、音のリズムやパターンを経験しながら、次第に自分の周囲で使われる言語へ感受性を調整していく。また、「あー」「うー」といった発声から、子音と母音を組み合わせた喃語へと変化し、発声そのものも周囲とのやり取りの中で発達する。本Partでは、第2回で扱った乳児の聴覚や人の声への反応が、言語発達の出発点にもなっていることを確認する。初語を話す瞬間だけを言語発達の始まりと考えず、胎児期・乳児期の聴覚経験から喃語、初語へ連続する変化として捉える。また、第1回の成熟と学習の考えを用い、言語能力を生得か経験かの二者択一にせず、乳児がもつ能力と周囲の言語経験との相互作用として理解する。
② 最初の単語を話し始めた子どもは、やがて多くの語を使うようになり、複数の語を組み合わせて文を作るようになる。しかし、大人が一語ずつ意味と文法規則を教え込んでいるわけではない。子どもは、日常的なやり取りの中で、ある音がどの人や物、出来事を指しているのかを推測し、語彙を増やしていく。また、一語発話から二語文、さらに複雑な文へと移行する中で、語の並べ方や文法的規則も身につけていく。本Partでは、初語、語彙の増加、二語文、文法発達という言語発達の流れを学ぶとともに、子どもがことばを単純に丸暗記するのではなく、日常生活の中で繰り返しことばを聞き、使いながら意味や規則を学んでいく過程を理解する。語彙数や発達の速度には大きな個人差があるため、第1回で扱った一般的傾向と個人差も再確認する。ことばの獲得によって、目の前にない出来事、過去や未来、自分の気持ちなどを他者と共有できるようになり、子どもの世界そのものが広がっていく。
③ 発達の流れを学ぶとともに、子どもがことばを単純に丸暗記するのではなく、日常生活の中で繰り返しことばを聞き、使いながら意味や規則を学んでいく過程を理解する。語彙数や発達の速度には大きな個人差があるため、第1回で扱った一般的傾向と個人差も再確認する。ことばの獲得によって、目の前にない出来事、過去や未来、自分の気持ちなどを他者と共有できるようになり、子どもの世界そのものが広がっていく。
Part 3 人との関わりは、ことばと思考をどう育てるのか
子どもは一人でことばを学んでいるわけではない。大人と子どもが同じ物へ注意を向ける共同注意では、「同じものを見ている」という状態を共有しながら、対象とことばを結びつけることができる。また、大人が子どもの現在の能力に合わせて手助けすることで、一人では難しい課題にも取り組める。本Partでは、共同注意と社会的相互作用を言語発達の重要な基盤として扱い、さらにヴィゴツキーの考え方を通して、認知発達そのものが他者や文化との関わりの中で進む可能性を考える。特に、一人では達成できないが援助があれば達成できる範囲を発達の最近接領域として捉え、「現在一人でできること」だけを能力とみなす見方を問い直す。この視点は第11回の学校学習で再び利用する。第1~4回で主として個人の身体や認知を見てきた流れに、「他者とともに発達する」という新しい軸を加える。
キーワード
① 喃語 ② 語彙 ③ 共同注意 ④ ヴィゴツキー ⑤ 発達の最近接領域
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
予習
関連回:第2・4回
第2回の「乳児は人の声へ反応する」、第4回の「子どもは経験を通して世界を理解する」という内容を振り返る。まだことばを話せない乳児が、ある音とある物を結びつけるために何が手がかりになりそうか考える。また、自分が一人ではできなかったが、誰かのヒントによってできるようになった経験を一つ挙げる。
復習
関連回:第2・4・5回→第7・11回へ接続
第2回の音声知覚から喃語・語彙へ至る流れを整理し、第4回までの認知発達と、ことばによって可能になる新しい理解との関係を考える。さらに、共同注意と発達の最近接領域を使って「他者との関わりが発達を支える」とはどういうことか説明する。共同注意は第7回、ヴィゴツキーは第11回でも再び扱うため、それぞれの役割を区別してまとめる。
6
人とのつながりはどう生まれるのか ――気質と愛着から乳幼児の人間関係を考える
科目の中での位置付け
本講義は、心理学の基礎科目の一つとして、人間のこころと行動が生涯にわたってどのように形成され、変化していくのかを理解するための基盤を形成するものである。発達心理学は、認知心理学、社会心理学、教育心理学、臨床心理学など多くの心理学領域と関係しており、人間を一時点の特徴だけでなく、時間の経過に伴う変化として理解する視点を提供する点に特徴がある。
本講義では、第1回に発達、成長、成熟、学習、生涯発達、遺伝と環境、個人差といった発達心理学の基本的な考え方を学ぶ。続く第2回から第7回では、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動発達、ピアジェの認知発達理論、言語発達、ヴィゴツキー、気質と愛着、自己認識、共同注意、心の理論を取り上げる。これにより、乳幼児が周囲の世界を感じ、身体を使って探索し、他者と関わりながら認知や言語、自己・他者理解を発達させていく過程を学ぶ。第8回では、中間テストと前半内容の統合を行い、身体、認知、言語、人間関係の発達が相互に関連していることを確認する。
後半の第9回から第14回では、子どもがより広い社会の中でどのように発達していくかを学ぶ。第9回・第10回では、遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動、規則理解、意図と結果、道徳判断を取り上げる。第11回から第13回では、学校生活における学習と自己理解、社会的比較、自己概念、自己効力感、思春期の身体像や自己意識、心理的自立、青年期のアイデンティティ形成を扱う。第14回では、成人期、中年期、高齢期へ視野を広げ、親密性、世代性、認知加齢、社会関係、適応、幸福感などを通して、大人になってからも発達が続くことを学ぶ。
最終回である第15回では、講義全体の内容について最終テストと総括を行い、乳幼児期から高齢期までの発達を一つの時間軸の中で統合する。最終的には、発達を単なる年齢に伴う成長や能力の増加としてではなく、身体、認知、他者、文化、環境との相互作用の中で生涯にわたって変化する過程として捉え、心理学の他領域における人間理解にもつなげられる視点を身につけることを目指す。
コマ主題細目
① 赤ちゃんには生まれつきの個性があるのか ② なぜ赤ちゃんは特定の人を求めるのか ③ 安心できる関係にはどのような違いがあるのか
細目レベル
① 同じ月齢の赤ちゃんでも、新しい場所ですぐに活動を始める子、慎重に周囲を見る子、よく泣く子、比較的落ち着いている子など、行動や感情反応には違いが見られる。こうした乳幼児期から見られる比較的安定した反応傾向を気質という。本Partでは、気質を「生まれつき決まった性格」と単純に考えるのではなく、感情の強さ、活動性、新しい刺激への反応などに見られる初期の個人差として理解する。また、第1回の遺伝と環境、第1・3回で扱った個人差の問題をここで再び取り上げる。同じ気質的特徴であっても、それがどのように現れるかは養育者の関わり方や生活環境との組み合わせによって異なる可能性がある。「育て方が同じなら同じ子どもになる」わけでも、「生まれつきなら変化しない」わけでもない。乳児をすでに個人差をもった存在として捉え、その子どもと周囲との相互作用から人間関係の発達を考える。
② 乳児は成長するにつれて、誰に対しても同じように反応するのではなく、特定の養育者へ近づき、その人と離れると不安を示し、再会すると安心するようになる。このような特定の他者との情緒的な結びつきを愛着という。本Partでは、ボウルビィの愛着理論を中心に、愛着を単に「母親が好き」という感情ではなく、危険や不安を感じたときに安心できる相手へ接近し、その人を安全基地として周囲を探索する仕組みとして理解する。第3回で学んだ探索行動と結びつければ、安心できる養育者の存在は探索を妨げるものではなく、むしろ探索を可能にする基盤と考えられる。また、第5回で見た他者との相互作用を、今度は情緒的な関係から考える。特定の養育者との経験を通して、自分や他者との関係についての予測が形成されるという内的作業モデルにも触れ、その後の人間関係へつながる基礎を学ぶ。
③ 愛着関係は「ある・ない」だけではなく、子どもが養育者との分離や再会にどのように反応するかにも違いがある。エインズワースらはストレンジ・シチュエーション法を用い、養育者が部屋から離れ、再び戻ってくる場面などで乳児の行動を観察した。本Partでは、再会時に養育者へ近づき比較的落ち着いた後に探索へ戻る行動などを手がかりとして、愛着の個人差がどのように研究されてきたかを学ぶ。ただし、愛着の分類を子どもの「性格診断」のような固定的ラベルとして扱わないことが重要である。第1回の個人差、第2回の「行動から心を推測する」、第6回Part 1の気質を組み合わせ、観察された行動には複数の要因が関係することを考える。人間関係という見えにくい現象を、具体的な場面での行動を用いて研究する発達心理学の方法として理解する。
キーワード
① 気質 ② 愛着 ③ ボウルビィ ④ エインズワース ⑤ 内的作業モデル
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
予習
関連回:第1・3・5回
第1回の個人差と遺伝・環境、第3回の探索行動、第5回の他者との相互作用を振り返る。同じ月齢でも新しい場所ですぐ遊ぶ子と慎重な子がいる理由を考える。また、「安心できる養育者がいると、子どもはその人から離れなくなるのか、それとも探索しやすくなるのか」を第3回の内容から予想する。
復習
関連回:第1・3・5・6回→第7・9回へ接続
気質と愛着を区別し、第1回の個人差、第3回の探索、第5回の社会的相互作用と結びつけて説明する。安全基地と内的作業モデルの意味も整理する。第7回では他者の視線や感情、第9回では仲間関係を扱うため、「特定の人との関係」がその後のより広い社会的世界へどうつながるかを考える。
7
自分と他人の心がわかるまで ――自己認識から心の理論へ
科目の中での位置付け
本講義は、心理学の基礎科目の一つとして、人間のこころと行動が生涯にわたってどのように形成され、変化していくのかを理解するための基盤を形成するものである。発達心理学は、認知心理学、社会心理学、教育心理学、臨床心理学など多くの心理学領域と関係しており、人間を一時点の特徴だけでなく、時間の経過に伴う変化として理解する視点を提供する点に特徴がある。
本講義では、第1回に発達、成長、成熟、学習、生涯発達、遺伝と環境、個人差といった発達心理学の基本的な考え方を学ぶ。続く第2回から第7回では、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動発達、ピアジェの認知発達理論、言語発達、ヴィゴツキー、気質と愛着、自己認識、共同注意、心の理論を取り上げる。これにより、乳幼児が周囲の世界を感じ、身体を使って探索し、他者と関わりながら認知や言語、自己・他者理解を発達させていく過程を学ぶ。第8回では、中間テストと前半内容の統合を行い、身体、認知、言語、人間関係の発達が相互に関連していることを確認する。
後半の第9回から第14回では、子どもがより広い社会の中でどのように発達していくかを学ぶ。第9回・第10回では、遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動、規則理解、意図と結果、道徳判断を取り上げる。第11回から第13回では、学校生活における学習と自己理解、社会的比較、自己概念、自己効力感、思春期の身体像や自己意識、心理的自立、青年期のアイデンティティ形成を扱う。第14回では、成人期、中年期、高齢期へ視野を広げ、親密性、世代性、認知加齢、社会関係、適応、幸福感などを通して、大人になってからも発達が続くことを学ぶ。
最終回である第15回では、講義全体の内容について最終テストと総括を行い、乳幼児期から高齢期までの発達を一つの時間軸の中で統合する。最終的には、発達を単なる年齢に伴う成長や能力の増加としてではなく、身体、認知、他者、文化、環境との相互作用の中で生涯にわたって変化する過程として捉え、心理学の他領域における人間理解にもつなげられる視点を身につけることを目指す。
コマ主題細目
① 「自分」はいつ生まれるのか ② 他者と同じ世界を共有するとはどういうことか ③ 他人にも自分とは違う心があるといつ気づくのか
細目レベル
① 大人にとって、自分の顔や身体が「自分のもの」であることは当たり前に感じられる。しかし、乳幼児の自己理解は最初から完成しているわけではない。本Partでは、とくに鏡に映った像を自分自身の姿として理解する鏡映自己認知を手がかりとして、自己認識の発達を考える。鏡に映った顔へ印をつけた状態で、自分自身の顔へ手を伸ばす行動などは、鏡像と自分との対応関係を理解している証拠の一つとして研究されてきた。ただし、鏡の中の自分が分かることと、「自分はどのような人間か」を理解することは同じではない。成長すると、名前、性別、好き嫌い、得意不得意などを用いて自分を説明するようになり、より複雑な自己概念が形成される。第2回と同様、実際に観察できる行動から自己理解を推測していることにも注意する。ここで扱う自己認識は、第11回の自己概念、第12回の自己意識、第13回のアイデンティティへ長くつながる自己発達の出発点となる。
② 自分と他者を区別できるようになるだけでは、人と一緒に生活するには十分ではない。相手が何を見ているのか、何に注意を向けているのかを捉え、自分も同じ対象へ注意を向けることが必要になる。本Partでは、他者の視線を追う行動や共同注意を取り上げ、「自分―他者―対象」という三者関係が成立することの意味を学ぶ。共同注意は第5回ですでに言語発達を支える仕組みとして学んだが、今回は他者と世界を共有する社会的能力として捉え直す。また、未知の物や状況に出会ったとき、養育者の表情や反応を手がかりとして行動を決める社会的参照も扱う。第6回で形成された養育者との関係が、安心を与えるだけでなく、「この状況をどう理解するか」を知る情報源にもなることを理解する。過去の概念を別の役割から再利用することで、社会的発達のつながりを捉える。
③ 人と関わるためには、他者が自分とは異なる欲求、知識、信念をもっていることを理解する必要がある。自分がチョコレートを好きでも、相手は別の食べ物を欲しがるかもしれない。また、自分は箱の中身を知っていても、見ていなかった相手は知らないことがある。本Partでは、このような他者の心的状態を理解する能力を心の理論として学び、特に誤信念課題を取り上げる。サリーとアンの課題では、実際の物の位置ではなく、登場人物が誤って信じている位置を答える必要がある。第4回で学んだ「課題成績と能力そのものを区別する」という視点も重要であり、誤答したから他者理解がまったく存在しないと単純には結論できない。欲求理解、共同注意、言語など複数の能力が積み重なり、他者の心についてより複雑な理解が形成される。この能力は第9回の共感や第10回の意図理解へつながる。
キーワード
① 自己認識 ② 鏡映自己認知 ③ 共同注意 ④ 社会的参照 ⑤ 心の理論
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
予習
関連回:第4~6回
第4回の「課題から心を推測する」、第5回の共同注意、第6回の養育者との関係を振り返る。「自分は知っているが相手は知らない」という状況を一つ考える。また、第5回で共同注意を言語発達との関係から学んだが、同じ能力が人間関係の発達にどのような役割をもちそうか予想する。
復習
関連回:第4~7回→第9・10・11~13回へ接続
鏡映自己認知、共同注意、社会的参照、心の理論を発達の流れとして整理する。第4回の認知発達、第5回のことば、第6回の愛着が第7回の自己・他者理解をどのように支えるか説明する。また、第9回の共感、第10回の意図判断、第11~13回のより複雑な自己理解へつながる基盤として、第7回を位置づける。
8
中間テスト+前半の統合 ――乳幼児はどのように「社会的な人間」へ発達するのか
科目の中での位置付け
本講義は、心理学の基礎科目の一つとして、人間のこころと行動が生涯にわたってどのように形成され、変化していくのかを理解するための基盤を形成するものである。発達心理学は、認知心理学、社会心理学、教育心理学、臨床心理学など多くの心理学領域と関係しており、人間を一時点の特徴だけでなく、時間の経過に伴う変化として理解する視点を提供する点に特徴がある。
本講義では、第1回に発達、成長、成熟、学習、生涯発達、遺伝と環境、個人差といった発達心理学の基本的な考え方を学ぶ。続く第2回から第7回では、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動発達、ピアジェの認知発達理論、言語発達、ヴィゴツキー、気質と愛着、自己認識、共同注意、心の理論を取り上げる。これにより、乳幼児が周囲の世界を感じ、身体を使って探索し、他者と関わりながら認知や言語、自己・他者理解を発達させていく過程を学ぶ。第8回では、中間テストと前半内容の統合を行い、身体、認知、言語、人間関係の発達が相互に関連していることを確認する。
後半の第9回から第14回では、子どもがより広い社会の中でどのように発達していくかを学ぶ。第9回・第10回では、遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動、規則理解、意図と結果、道徳判断を取り上げる。第11回から第13回では、学校生活における学習と自己理解、社会的比較、自己概念、自己効力感、思春期の身体像や自己意識、心理的自立、青年期のアイデンティティ形成を扱う。第14回では、成人期、中年期、高齢期へ視野を広げ、親密性、世代性、認知加齢、社会関係、適応、幸福感などを通して、大人になってからも発達が続くことを学ぶ。
最終回である第15回では、講義全体の内容について最終テストと総括を行い、乳幼児期から高齢期までの発達を一つの時間軸の中で統合する。最終的には、発達を単なる年齢に伴う成長や能力の増加としてではなく、身体、認知、他者、文化、環境との相互作用の中で生涯にわたって変化する過程として捉え、心理学の他領域における人間理解にもつなげられる視点を身につけることを目指す。
コマ主題細目
① 身体と認知の発達はどうつながるか ② ことばと人間関係はどう発達を支えるか ③ 赤ちゃんはどのように社会的な人間になるのか
細目レベル
① 第1~4回では、発達を生涯にわたる変化として捉える基本的な視点から始め、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動発達、認知発達へと学習を進めてきた。本Partでは、それらを別々の単元として復習するのではなく、「身体が変化することで経験できる世界が変わり、その経験を通して世界についての理解も変化する」という一つの流れとして整理する。たとえば、視覚能力をもつだけでは、部屋の隅にある物へ自分から近づくことはできない。はいはいや歩行を獲得すると、自分から探索できる範囲が広がり、物の位置、奥行き、因果関係などについて新しい経験を得ることができる。さらに、ピアジェの認知発達理論や対象の永続性を振り返り、乳児・幼児の認知能力について何をどのような行動から推測しているかも整理する。第1~4回を「身体→経験→認知」という関係で結び直し、個別用語の暗記を越えて説明できることを前半の到達点とする。
② 第5・6回では、言語発達と愛着を通して、子どもの発達に他者がどのような役割をもつかを学んだ。本Partでは、ことばを子どもの頭の中だけで獲得される能力として考えるのではなく、大人と視線や注意を共有し、声を聞き、応答してもらい、必要に応じて援助を受けるという社会的な経験の中で発達するものとして整理する。共同注意によって他者と同じ対象を共有できることは、語彙獲得にもつながる。また、ヴィゴツキーの発達の最近接領域からは、現在一人でできることだけでなく、他者の援助を利用して何ができるかという視点が得られる。さらに、第6回の愛着関係によって安心できる相手が存在することは、第3回で扱った探索を広げる基盤にもなる。言語、認知、愛着を別々に復習するのではなく、「他者との関係が新しい経験を可能にし、その経験がさらに発達を支える」という共通構造として理解する。
③ 第7回までの学習を振り返ると、出生直後の乳児は周囲から切り離された存在として始まり、ある時点で突然「社会性」を獲得するわけではないことが分かる。人の声や顔へ注意を向けること、身体を使って世界を探索すること、ことばを獲得すること、特定の養育者との愛着を形成すること、他者と注意を共有すること、自分と他者を区別すること、相手にも異なる心があると理解することが少しずつ積み重なる。本Partでは、第1~7回を「生まれる→感じる→動く→理解する→ことばと他者から学ぶ→人とつながる→自分と他人の心を理解する」という発達のストーリーとして再構成する。身体、認知、言語、人間関係を独立した能力一覧としてではなく、相互に支え合いながら一人の人間の世界を広げる過程として捉える。第9回以降では、この基盤をもつ子どもが仲間や社会の中でどう発達するかへ進む。
キーワード
① 乳幼児期 ② 認知発達 ③ 言語発達 ④ 社会性 ⑤ 相互作用
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
予習
関連回:第1~7回
第1~7回を順番に暗記するのではなく、①身体、②知覚・認知、③ことば、④愛着・人間関係、⑤自己・他者理解に分類し直す。各領域について、どの回の内容が別の回の発達を支えているか矢印で結ぶ。特に「第2回の知覚→第5回の言語」「第3回の探索→第6回の愛着」「第5回の共同注意→第7回の他者理解」という接続を説明できるようにする。
復習
関連回:第1~8回→第9回へ接続
中間テストで誤答した内容について、正答だけでなく関連する授業回を記録する。一つの問題に複数回の知識を利用できないか検討し、「生まれたばかりの乳児が、自分と他者の心を理解するまで」を第2~7回から少なくとも四つの概念を使って説明する。第9回では、こうして発達した社会的能力を実際の仲間関係でどのように使うかへ進むことを確認する。
9
友達と一緒に生きる力はどう育つのか ――遊び・共感・葛藤から仲間関係の発達を考える
科目の中での位置付け
本講義は、心理学の基礎科目の一つとして、人間のこころと行動が生涯にわたってどのように形成され、変化していくのかを理解するための基盤を形成するものである。発達心理学は、認知心理学、社会心理学、教育心理学、臨床心理学など多くの心理学領域と関係しており、人間を一時点の特徴だけでなく、時間の経過に伴う変化として理解する視点を提供する点に特徴がある。
本講義では、第1回に発達、成長、成熟、学習、生涯発達、遺伝と環境、個人差といった発達心理学の基本的な考え方を学ぶ。続く第2回から第7回では、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動発達、ピアジェの認知発達理論、言語発達、ヴィゴツキー、気質と愛着、自己認識、共同注意、心の理論を取り上げる。これにより、乳幼児が周囲の世界を感じ、身体を使って探索し、他者と関わりながら認知や言語、自己・他者理解を発達させていく過程を学ぶ。第8回では、中間テストと前半内容の統合を行い、身体、認知、言語、人間関係の発達が相互に関連していることを確認する。
後半の第9回から第14回では、子どもがより広い社会の中でどのように発達していくかを学ぶ。第9回・第10回では、遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動、規則理解、意図と結果、道徳判断を取り上げる。第11回から第13回では、学校生活における学習と自己理解、社会的比較、自己概念、自己効力感、思春期の身体像や自己意識、心理的自立、青年期のアイデンティティ形成を扱う。第14回では、成人期、中年期、高齢期へ視野を広げ、親密性、世代性、認知加齢、社会関係、適応、幸福感などを通して、大人になってからも発達が続くことを学ぶ。
最終回である第15回では、講義全体の内容について最終テストと総括を行い、乳幼児期から高齢期までの発達を一つの時間軸の中で統合する。最終的には、発達を単なる年齢に伴う成長や能力の増加としてではなく、身体、認知、他者、文化、環境との相互作用の中で生涯にわたって変化する過程として捉え、心理学の他領域における人間理解にもつなげられる視点を身につけることを目指す。
コマ主題細目
① 遊びはどのように発達するのか ② 人を思いやる心はどう育つのか ③ なぜ子ども同士でケンカするのか
細目レベル
① 子どもの遊びを見ると、一人で集中して遊んでいる場合もあれば、近くにいる子どもと同じような遊びをしたり、役割を決めて一緒に遊んだりする場合もある。一人で遊んでいるからといって、必ずしも他者に関心がないわけではない。子どもは遊びを通して、物の使い方を試すだけでなく、他者の行動を観察し、まねをし、自分のやり方を変える経験を重ねる。本Partでは、一人遊びから、他者を意識した並行的な遊び、さらに目標や役割を共有する協同的な遊びへと、仲間との関わり方がどのように変化するかを学ぶ。第7回までに、他者の視線や心について理解する力を学んできたが、それらが存在するだけですぐに仲間とうまく協力できるわけではない。他者理解を実際の相互作用で使い、自分の希望と相手の希望を調整する経験が必要になる。遊びを、社会性を実際に練習する発達の場として捉える。
② 友達が転んで泣いている場面で、幼い子どもが相手を見つめたり、自分まで不安そうな表情を示したりすることがある。年齢が上がると、声をかける、先生を呼ぶ、物を渡すなど、相手の状態に合わせた援助行動も増えていく。本Partでは、他者の感情に反応する共感と、相手を助ける、分け与える、慰めるといった向社会的行動の発達を扱う。第7回の心の理論によって、相手には自分とは異なる心があると理解できるようになっても、それが自動的に援助行動へつながるわけではない。他者の感情に気づくこと、自分と相手の感情を区別すること、状況を理解すること、実際に適切な行動を選択することが必要になる。第6回までの養育者との関係から、第9回では仲間への関心へ社会的世界が広がることにも注目し、共感と行動を区別して理解する。
③ 子どもの攻撃行動を見ると、大人と同じ意味で「相手を傷つけようとしている」と考えたくなることがある。しかし、幼い子どもの対人葛藤では、おもちゃが欲しい、自分の順番だと思っている、気持ちをうまくことばで伝えられない、相手の立場を十分に理解できないなど、さまざまな要因が関係する。本Partでは、叩く、押すなどの行動だけを見るのではなく、その前後にどのような出来事があり、子どもが何をしようとしていたのかを考える。第5回の言語、第7回の他者理解、第9回Part 2の共感が発達すると、欲求をことばで伝えたり、相手の意図を考えたり、自分の感情を調整したりできるようになる。仲間とのケンカをすべて「社会性が低い証拠」として排除するのではなく、互いの希望が一致しない状況で折り合いをつけることを学ぶ機会にもなりうると捉える。
キーワード
① 遊び ② 仲間関係 ③ 共感 ④ 向社会的行動 ⑤ 攻撃行動
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
予習
関連回:第5~7回
第5回のことば、第6回の愛着、第7回の心の理論を振り返る。幼児同士がおもちゃを取り合い、一人が相手を押した場面について、ことばの発達、相手の意図理解、感情調整という三つの観点から理由を考える。また、「友達が泣いているとき、3歳児と8歳児ではどう行動が違いそうか」を予想する。
復習
関連回:第5~9回→第10・11回へ接続
遊び、共感、向社会的行動、攻撃行動を、第7回までに学んだことば・他者理解と関連づけて整理する。「ケンカがない子どもほど必ず社会性が高い」とはいえない理由も考える。第10回では対人場面における善悪や意図、第11回では学校での仲間との比較を扱うため、仲間との相互作用が次の社会的発達の基盤になることを確認する。
10
善いこと・悪いことはどう学ぶのか ――ルール・意図・道徳判断の発達
科目の中での位置付け
本講義は、心理学の基礎科目の一つとして、人間のこころと行動が生涯にわたってどのように形成され、変化していくのかを理解するための基盤を形成するものである。発達心理学は、認知心理学、社会心理学、教育心理学、臨床心理学など多くの心理学領域と関係しており、人間を一時点の特徴だけでなく、時間の経過に伴う変化として理解する視点を提供する点に特徴がある。
本講義では、第1回に発達、成長、成熟、学習、生涯発達、遺伝と環境、個人差といった発達心理学の基本的な考え方を学ぶ。続く第2回から第7回では、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動発達、ピアジェの認知発達理論、言語発達、ヴィゴツキー、気質と愛着、自己認識、共同注意、心の理論を取り上げる。これにより、乳幼児が周囲の世界を感じ、身体を使って探索し、他者と関わりながら認知や言語、自己・他者理解を発達させていく過程を学ぶ。第8回では、中間テストと前半内容の統合を行い、身体、認知、言語、人間関係の発達が相互に関連していることを確認する。
後半の第9回から第14回では、子どもがより広い社会の中でどのように発達していくかを学ぶ。第9回・第10回では、遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動、規則理解、意図と結果、道徳判断を取り上げる。第11回から第13回では、学校生活における学習と自己理解、社会的比較、自己概念、自己効力感、思春期の身体像や自己意識、心理的自立、青年期のアイデンティティ形成を扱う。第14回では、成人期、中年期、高齢期へ視野を広げ、親密性、世代性、認知加齢、社会関係、適応、幸福感などを通して、大人になってからも発達が続くことを学ぶ。
最終回である第15回では、講義全体の内容について最終テストと総括を行い、乳幼児期から高齢期までの発達を一つの時間軸の中で統合する。最終的には、発達を単なる年齢に伴う成長や能力の増加としてではなく、身体、認知、他者、文化、環境との相互作用の中で生涯にわたって変化する過程として捉え、心理学の他領域における人間理解にもつなげられる視点を身につけることを目指す。
コマ主題細目
① 子どもはルールをどう理解するのか ② 「わざと」と「うっかり」をいつ区別できるのか ③ 正しさの基準はどのように変化するのか
細目レベル
① 「人を叩いてはいけない」という決まりと、「かばんは決められた棚に置く」という決まりは、どちらも子どもに守るよう求められる。しかし、この二つは同じ種類のルールだろうか。前者は人の安全や幸福、権利に直接関係するのに対し、後者は集団生活を円滑にするために決められた約束である。本Partでは、人を傷つけることや不公平などに関わる道徳的ルールと、服装、挨拶、物の置き場所など集団によって設定される社会的慣習を区別して考える。第9回では子ども同士の葛藤を扱ったが、今回は「なぜその行動をしてはいけないのか」を子どもがどのように理解するかへ進む。子どもは大人の命令をそのまま記憶するだけでなく、ルールの目的や変更可能性についても考えるようになる。社会的ルールの理解を、単なる服従から、他者の安全や権利を含むより複雑な判断へ発達する過程として捉える。
② 大きな被害が起きた行動と、小さな被害しか起きなかった行動を比べると、幼い子どもは結果の大きさを強く手がかりとして「どちらが悪いか」を判断することがある。しかし、大人は通常、起きた結果だけでなく、その人が何をしようとしていたのかという意図も考慮する。本Partでは、善意で手伝おうとして皿を何枚も割った場合と、怒ってわざと一枚だけ割った場合などを用い、意図、結果、責任判断の関係を考える。第7回で学んだ心の理論や、第9回で扱った仲間との葛藤を利用すれば、行動だけではなく、その人の意図を理解することが社会的判断に重要であることが分かる。ただし、意図が善ければ結果は無視してよいという意味ではない。発達とともに、目に見える結果だけでなく、その背後にある心的状態も組み合わせて責任を判断するようになることを理解する。
③ 道徳性の発達を考えるとき、「正しい答えを知っているか」だけでは十分ではない。同じ結論を選んだ人でも、なぜそう考えたかという理由は異なることがある。本Partでは、ピアジェによる子どもの規則理解の研究に加え、コールバーグの道徳判断の発達理論を扱う。特にハインツのジレンマのような道徳的葛藤を通して、何を選ぶかではなく、その判断をどのような基準で説明するかに注目する。第4回では、ピアジェを子どもの認知発達という文脈で学んだが、ここでは社会的・道徳的判断へ同じ発達的視点を広げる。また、第7回の他者理解、第9回の共感も、他者の立場や利益を考えるための基盤となる。道徳発達を「年齢が上がれば善人になる」と考えず、判断の理由や社会的問題を捉える枠組みが変化する過程として理解する。
キーワード
① 道徳性 ② 規則 ③ 意図 ④ 責任判断 ⑤ コールバーグ
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
予習
関連回:第4・7・9回
第4回のピアジェ、第7回の心の理論、第9回の対人葛藤を振り返る。「善意で皿を5枚割った子」と「怒ってわざと皿を1枚割った子」のどちらに大きな責任があると思うか、その理由を書く。また、学校の規則を一つ選び、大人が「今日は守らなくてもよい」と決めれば変更できる規則かどうか考える。
復習
関連回:第4・7・9・10回→第11回へ接続
道徳的ルールと社会的慣習、意図と結果、コールバーグの判断理由を整理する。第4回の認知発達、第7回の他者の心、第9回の仲間との葛藤が、第10回の道徳判断へどうつながるか説明する。次の第11回では、学校という社会環境で他者との比較や自己評価が発達するため、学校が単に知識だけでなく社会的判断を学ぶ場でもあることを意識する。
11
学校生活の中で「自分」が作られる ――学ぶ力、他者との比較、自己評価の発達
科目の中での位置付け
本講義は、心理学の基礎科目の一つとして、人間のこころと行動が生涯にわたってどのように形成され、変化していくのかを理解するための基盤を形成するものである。発達心理学は、認知心理学、社会心理学、教育心理学、臨床心理学など多くの心理学領域と関係しており、人間を一時点の特徴だけでなく、時間の経過に伴う変化として理解する視点を提供する点に特徴がある。
本講義では、第1回に発達、成長、成熟、学習、生涯発達、遺伝と環境、個人差といった発達心理学の基本的な考え方を学ぶ。続く第2回から第7回では、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動発達、ピアジェの認知発達理論、言語発達、ヴィゴツキー、気質と愛着、自己認識、共同注意、心の理論を取り上げる。これにより、乳幼児が周囲の世界を感じ、身体を使って探索し、他者と関わりながら認知や言語、自己・他者理解を発達させていく過程を学ぶ。第8回では、中間テストと前半内容の統合を行い、身体、認知、言語、人間関係の発達が相互に関連していることを確認する。
後半の第9回から第14回では、子どもがより広い社会の中でどのように発達していくかを学ぶ。第9回・第10回では、遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動、規則理解、意図と結果、道徳判断を取り上げる。第11回から第13回では、学校生活における学習と自己理解、社会的比較、自己概念、自己効力感、思春期の身体像や自己意識、心理的自立、青年期のアイデンティティ形成を扱う。第14回では、成人期、中年期、高齢期へ視野を広げ、親密性、世代性、認知加齢、社会関係、適応、幸福感などを通して、大人になってからも発達が続くことを学ぶ。
最終回である第15回では、講義全体の内容について最終テストと総括を行い、乳幼児期から高齢期までの発達を一つの時間軸の中で統合する。最終的には、発達を単なる年齢に伴う成長や能力の増加としてではなく、身体、認知、他者、文化、環境との相互作用の中で生涯にわたって変化する過程として捉え、心理学の他領域における人間理解にもつなげられる視点を身につけることを目指す。
コマ主題細目
① 子どもは一人で学ぶのか、人と一緒に学ぶのか ② なぜ他人と自分を比べるようになるのか ③ 「自分はできる」という感覚はどう作られるのか
細目レベル
① 学校で学習するためには、授業へ注意を向け、必要な情報を記憶し、問題を解くために行動や考えを調整する必要がある。児童期には、注意、記憶、実行機能などが発達するとともに、自分自身がどの程度理解できているかを振り返るメタ認知も重要になる。「読めば分かった気がする」ことと「自分で説明したり問題を解いたりできる」ことを区別し、必要に応じて勉強方法を変える力である。本Partでは、こうした個人の認知発達だけでなく、第5回で扱ったヴィゴツキーと発達の最近接領域を再利用し、教員や友人からのヒント、説明、共同作業が学習をどのように支えるかを考える。第4回で学んだ認知発達が、児童期には自分自身の認知を振り返る段階へ広がることにも注目する。学校を知識を教わるだけの場所ではなく、自分の考え方を調整し、他者の支援を利用しながら学習する力が発達する環境として捉える。
② 幼い時期には、「昨日より速く走れた」「前より上手に描けた」といった自分自身の変化が能力評価の重要な手がかりになる。しかし、学校生活では、テストの点数、順位、運動、発表、友人関係など、他者との比較が生じる場面が増える。本Partでは、社会的比較の考え方を用い、人が自分の能力や特徴をどのように評価するようになるかを考える。同じ80点でもクラスで最も高い得点だった場合と、周囲の多くが100点だった場合では、自分の能力について感じることが異なる可能性がある。第9回では仲間と協力・葛藤する側面を学んだが、ここでは他者が「自分を評価する基準」にもなることを見る。また、第7回で発達し始めた自己理解が、他者との比較によってより複雑になる。自己評価は自分自身の絶対的な能力だけではなく、所属する集団や比較対象との関係によって形成されることを理解する。
③ 成長するにつれて、子どもは「私は算数が得意」「人前で話すのは苦手」「友達とはうまくやれる」といった形で、自分の特徴について比較的まとまった理解をもつようになる。このような自己についての認識を自己概念という。また、自分自身をどの程度肯定的に評価するかという自尊感情や、「この課題なら自分にもできる」と考える自己効力感も、学校生活に大きく関わる。本Partでは、これらを同じ「自信」という言葉でまとめず、それぞれの違いを理解する。第7回の初期の自己認識から、児童期には能力や性格を含むより複雑な自己概念へ発展することにも注目する。また、第11回Part 2の社会的比較によって得られる情報も、自分についての理解へ組み込まれる。成功経験、他者のモデル、周囲からの励ましなどによって自己効力感が変化しうることを学び、第12・13回の自己意識やアイデンティティへつなげる。
キーワード
① 児童期 ② メタ認知 ③ 社会的比較 ④ 自己概念 ⑤ 自己効力感
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
予習
関連回:第5・7・9回
第5回の発達の最近接領域、第7回の自己認識、第9回の仲間関係を振り返る。同じ80点でも「クラスで1位」と「クラスで最下位」では自分への評価がどう変わるか考える。また、自分が誰かから教えてもらってできるようになった経験を一つ挙げ、第5回のヴィゴツキーと学校学習を結びつけておく。
復習
関連回:第5・7・9・11回→第12・13回へ接続
メタ認知、社会的比較、自己概念、自己効力感を整理し、第7回の「自分だと分かる」段階から、第11回の「自分はどんな人間かを評価する」段階へ自己理解がどう発展したか説明する。第12回の自己意識、第13回のアイデンティティはこの自己理解をさらに複雑化したものとして学ぶため、第7→11→12→13回の流れを意識する。
12
思春期になると、なぜ心が揺れるのか ――身体の変化、自己意識、心理的自立
科目の中での位置付け
本講義は、心理学の基礎科目の一つとして、人間のこころと行動が生涯にわたってどのように形成され、変化していくのかを理解するための基盤を形成するものである。発達心理学は、認知心理学、社会心理学、教育心理学、臨床心理学など多くの心理学領域と関係しており、人間を一時点の特徴だけでなく、時間の経過に伴う変化として理解する視点を提供する点に特徴がある。
本講義では、第1回に発達、成長、成熟、学習、生涯発達、遺伝と環境、個人差といった発達心理学の基本的な考え方を学ぶ。続く第2回から第7回では、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動発達、ピアジェの認知発達理論、言語発達、ヴィゴツキー、気質と愛着、自己認識、共同注意、心の理論を取り上げる。これにより、乳幼児が周囲の世界を感じ、身体を使って探索し、他者と関わりながら認知や言語、自己・他者理解を発達させていく過程を学ぶ。第8回では、中間テストと前半内容の統合を行い、身体、認知、言語、人間関係の発達が相互に関連していることを確認する。
後半の第9回から第14回では、子どもがより広い社会の中でどのように発達していくかを学ぶ。第9回・第10回では、遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動、規則理解、意図と結果、道徳判断を取り上げる。第11回から第13回では、学校生活における学習と自己理解、社会的比較、自己概念、自己効力感、思春期の身体像や自己意識、心理的自立、青年期のアイデンティティ形成を扱う。第14回では、成人期、中年期、高齢期へ視野を広げ、親密性、世代性、認知加齢、社会関係、適応、幸福感などを通して、大人になってからも発達が続くことを学ぶ。
最終回である第15回では、講義全体の内容について最終テストと総括を行い、乳幼児期から高齢期までの発達を一つの時間軸の中で統合する。最終的には、発達を単なる年齢に伴う成長や能力の増加としてではなく、身体、認知、他者、文化、環境との相互作用の中で生涯にわたって変化する過程として捉え、心理学の他領域における人間理解にもつなげられる視点を身につけることを目指す。
コマ主題細目
① 身体の変化は心に何をもたらすのか ② なぜ人の目が気になるようになるのか ③ 親や友達との関係はどう変わるのか
細目レベル
① 思春期には第二次性徴を中心として、身体に急激な変化が生じる。身長や体格だけでなく、性に関係する身体的特徴も変化し、自分の身体をそれまでとは異なるものとして意識する機会が増える。本Partでは、第二次性徴そのものを生物学的知識として覚えるだけでなく、その変化を本人がどのように経験するかという身体像の問題を扱う。同じ身体的変化でも、本人が肯定的に受け止める場合もあれば、周囲との比較を通して不安や違和感を感じる場合もある。また、成熟が早いか遅いかというタイミングの個人差も、本人の心理や周囲からの扱われ方に影響する可能性がある。第1回の個人差、第3回の身体発達、第11回の社会的比較をここで結びつける。身体発達そのものと、それを本人や周囲がどう意味づけるかを区別し、身体と自己理解が相互に関係する思春期特有の発達を理解する。
② 思春期になると、「周りの人が自分を見ている気がする」「失敗したらみんなに笑われるのではないか」といった形で、他者からどう評価されているかを強く意識することがある。本Partでは、自己意識の高まりと、実際以上に周囲の人が自分へ注目しているように感じる想像上の観衆などの考えを扱う。これは単なる「思春期は自意識過剰」という評価ではない。第7回で他者にも自分とは違う心があることを理解し、第11回では他者との比較を通して自己評価を形成することを学んだ。これらの能力がさらに発達することで、自分自身を「他者の目から見た自分」として考えることも可能になる。一方、その能力がまだ調整される途中では、周囲の注目や評価を実際以上に強く感じることもある。思春期の心の揺れを未熟さだけでなく、高度な自己理解が成立する過程として捉える。
③ 思春期には、親から完全に離れるわけではないが、幼児期のように親の判断へ全面的に依存する関係から、自分自身で考え、選択する関係へと変化していく。この変化を心理的自立という。本Partでは、「親に反抗すること=自立」と単純化せず、親との情緒的なつながりを保ちながら、自分の価値観や判断を形成していく過程として理解する。第6回では養育者を安全基地とする愛着、第9回では仲間関係を学んだが、思春期にはそれらの関係の重みや機能が再編される。友人や仲間集団が悩みや価値観を共有する相手として重要になる一方、親との関係が不要になるわけではない。また、誰もが激しい「反抗期」を経験するわけではなく、第1回で学んだ個人差をここでも確認する。心理的自立を、人間関係を切ることではなく、関係を組み替える発達として理解する。
キーワード
① 思春期 ② 第二次性徴 ③ 身体像 ④ 自己意識 ⑤ 心理的自立
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
予習
関連回:第1・3・6・11回
第1回の個人差、第3回の身体発達、第6回の愛着、第11回の社会的比較と自己概念を振り返る。「身体そのものが変わること」と「自分の身体をどう評価するか」は同じか考える。また、「親に反抗すること」と「心理的に自立すること」が同じかどうか、第6回の愛着関係も使って予想する。
復習
関連回:第3・6・7・11・12回→第13回へ接続
第二次性徴、身体像、自己意識、心理的自立を、第3回の身体、第6回の愛着、第7回の他者理解、第11回の自己概念と結びつけて説明する。第13回では「自分は何者か」というアイデンティティを扱うため、思春期の身体・他者の目・親子関係の変化が、なぜ青年期の自己探索につながるのかを考える。
13
「自分は何者か」をどう作るのか ――青年期のアイデンティティと人生選択
科目の中での位置付け
本講義は、心理学の基礎科目の一つとして、人間のこころと行動が生涯にわたってどのように形成され、変化していくのかを理解するための基盤を形成するものである。発達心理学は、認知心理学、社会心理学、教育心理学、臨床心理学など多くの心理学領域と関係しており、人間を一時点の特徴だけでなく、時間の経過に伴う変化として理解する視点を提供する点に特徴がある。
本講義では、第1回に発達、成長、成熟、学習、生涯発達、遺伝と環境、個人差といった発達心理学の基本的な考え方を学ぶ。続く第2回から第7回では、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動発達、ピアジェの認知発達理論、言語発達、ヴィゴツキー、気質と愛着、自己認識、共同注意、心の理論を取り上げる。これにより、乳幼児が周囲の世界を感じ、身体を使って探索し、他者と関わりながら認知や言語、自己・他者理解を発達させていく過程を学ぶ。第8回では、中間テストと前半内容の統合を行い、身体、認知、言語、人間関係の発達が相互に関連していることを確認する。
後半の第9回から第14回では、子どもがより広い社会の中でどのように発達していくかを学ぶ。第9回・第10回では、遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動、規則理解、意図と結果、道徳判断を取り上げる。第11回から第13回では、学校生活における学習と自己理解、社会的比較、自己概念、自己効力感、思春期の身体像や自己意識、心理的自立、青年期のアイデンティティ形成を扱う。第14回では、成人期、中年期、高齢期へ視野を広げ、親密性、世代性、認知加齢、社会関係、適応、幸福感などを通して、大人になってからも発達が続くことを学ぶ。
最終回である第15回では、講義全体の内容について最終テストと総括を行い、乳幼児期から高齢期までの発達を一つの時間軸の中で統合する。最終的には、発達を単なる年齢に伴う成長や能力の増加としてではなく、身体、認知、他者、文化、環境との相互作用の中で生涯にわたって変化する過程として捉え、心理学の他領域における人間理解にもつなげられる視点を身につけることを目指す。
コマ主題細目
① 青年期になぜ「自分らしさ」を考えるのか ② 迷うことにはどんな意味があるのか ③ 他者との関係や人生の選択は自分をどう作るのか
細目レベル
① 青年期になると、「自分はどんな人間なのか」「将来何をしたいのか」「どのような価値観を大切にしたいのか」といった問いが重要になる。エリクソンは、生涯にわたる心理社会的発達の中で青年期をアイデンティティの形成が重要な課題となる時期として位置づけた。本Partでは、アイデンティティを単に「自分らしさ」や「個性」と同じ意味で使うのではなく、これまでの自分とこれからの自分をある程度一貫した存在として理解し、社会の中で自分の位置を見いだしていく問題として考える。第7回の自己認識、第11回の自己概念、第12回の身体像や自己意識を振り返ると、「自分」は一度に完成するのではなく、長期間をかけて複雑化していることが分かる。青年期では、そこへ進路、職業、価値観など将来の時間軸が加わる。「自分が分からない」という迷いも、自己を再構成する発達過程として捉える。
② 進学先や職業、価値観について迷っている人を見ると、「早く決めた方がよい」と考えたくなることがある。しかし、青年期の発達では、複数の可能性を検討すること自体が重要な意味をもつ。本Partでは、マルシアのアイデンティティ・ステイタスを手がかりに、選択肢を検討する探索と、特定の価値観や進路へ関与するコミットメントという二つの視点からアイデンティティ形成を考える。十分に探索せず周囲から与えられた進路をそのまま選ぶ場合、まだ探索も決定もしていない場合、迷いながら複数の可能性を検討している場合など、青年の状態は一様ではない。第12回の心理的自立と結びつければ、親や周囲の価値観をそのまま受け入れることと、自分で検討したうえで同じ選択をすることは心理的には異なる。また、一度選択すれば永久に完成するわけではなく、成人期にも再探索が生じうることを理解する。
③ アイデンティティは一人で部屋の中に座って考えるだけで形成されるものではない。友人との会話、恋愛関係、家族との関係、学校での経験、アルバイト、進学や就職の選択などを通して、人は自分が何を大切にし、何が得意で、どのような生活を望むのかを知っていく。本Partでは、青年期の友人、恋愛、進路、職業選択、自立を、別々の課題として並べるのではなく、社会の中で自分の位置を形成していく経験として統合する。第9回の仲間関係、第11回の社会的比較、第12回の心理的自立が、青年期にはより長期的な人生選択へ広がる。他者から認められることも自己理解に影響する一方、周囲の期待だけに合わせれば本人の選択とはいえない場合もある。「他者と関係をもつこと」と「自分自身になること」を対立させず、関係の中で自己が形成されることを理解する。
キーワード
① 青年期 ② アイデンティティ ③ エリクソン ④ マルシア ⑤ 自立
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
予習
関連回:第7・11・12回
第7回の自己認識、第11回の自己概念、第12回の自己意識・心理的自立を振り返る。「私は___である」を五つ完成させ、自分を何によって説明しているか分類する。また、「進路について迷わない人」と「自分について十分考えている人」は同じかを考え、第12回の自立との関係も整理する。
復習
関連回:第7・9・11~13回→第14回へ接続
第7回から第13回までの「自己」の発達を、鏡映自己認知→自己概念→自己意識→アイデンティティという流れでまとめる。エリクソンとマルシアの違い、探索とコミットメントの意味も整理する。第14回では成人期の仕事、家族、親密性を扱うため、青年期に形成したアイデンティティが成人期で完成して固定されるのか、それともさらに変化するのかを考える。
14
人は大人になってからも発達する ――成人期・中年期・高齢期を生涯発達から捉える
科目の中での位置付け
本講義は、心理学の基礎科目の一つとして、人間のこころと行動が生涯にわたってどのように形成され、変化していくのかを理解するための基盤を形成するものである。発達心理学は、認知心理学、社会心理学、教育心理学、臨床心理学など多くの心理学領域と関係しており、人間を一時点の特徴だけでなく、時間の経過に伴う変化として理解する視点を提供する点に特徴がある。
本講義では、第1回に発達、成長、成熟、学習、生涯発達、遺伝と環境、個人差といった発達心理学の基本的な考え方を学ぶ。続く第2回から第7回では、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動発達、ピアジェの認知発達理論、言語発達、ヴィゴツキー、気質と愛着、自己認識、共同注意、心の理論を取り上げる。これにより、乳幼児が周囲の世界を感じ、身体を使って探索し、他者と関わりながら認知や言語、自己・他者理解を発達させていく過程を学ぶ。第8回では、中間テストと前半内容の統合を行い、身体、認知、言語、人間関係の発達が相互に関連していることを確認する。
後半の第9回から第14回では、子どもがより広い社会の中でどのように発達していくかを学ぶ。第9回・第10回では、遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動、規則理解、意図と結果、道徳判断を取り上げる。第11回から第13回では、学校生活における学習と自己理解、社会的比較、自己概念、自己効力感、思春期の身体像や自己意識、心理的自立、青年期のアイデンティティ形成を扱う。第14回では、成人期、中年期、高齢期へ視野を広げ、親密性、世代性、認知加齢、社会関係、適応、幸福感などを通して、大人になってからも発達が続くことを学ぶ。
最終回である第15回では、講義全体の内容について最終テストと総括を行い、乳幼児期から高齢期までの発達を一つの時間軸の中で統合する。最終的には、発達を単なる年齢に伴う成長や能力の増加としてではなく、身体、認知、他者、文化、環境との相互作用の中で生涯にわたって変化する過程として捉え、心理学の他領域における人間理解にもつなげられる視点を身につけることを目指す。
コマ主題細目
① 成人になるとはどういうことか ② 中年期には何が変わるのか ③ 老いることは「失うこと」だけなのか
細目レベル
① 成人になることを、単に法律上の年齢に達することとして考えるだけでは、心理学的な発達を十分に捉えられない。青年期以降には、進学や就職、親元からの自立、友人・恋愛関係の変化、結婚や家族形成など、人によって異なる多くの出来事が経験される。本Partでは、成人期への移行を、一つの決まった出来事によって完了するものではなく、社会的役割や人間関係が変化していく過程として考える。また、エリクソンが成人期の重要な課題として位置づけた親密性にも触れ、他者との深い関係を形成することと、自分自身のアイデンティティを保つことの関係を学ぶ。第13回で形成を学んだアイデンティティは、成人になった瞬間に固定されるわけではない。仕事や家族、新しい人間関係を経験することで、自分の価値観や人生の方向を見直すこともある。成人期も発達の続く時期であることを明確に理解する。
② 中年期は、若者でも高齢者でもない「変化の少ない時期」と見なされることがある。しかし実際には、仕事上の責任の増加、子どもの成長、親の高齢化、家庭内役割の変化など、複数の変化が同時に生じやすい。本Partでは、中年期を単なる身体的な衰えの始まりとしてではなく、仕事や家庭を通して次の世代とどのように関わるかが重要になる時期として考える。エリクソンの世代性の考えを手がかりに、子どもを育てることだけでなく、後輩を支援する、知識や技能を次世代へ伝える、地域や社会へ貢献することなども含めて理解する。第13回では自分自身の進路や職業選択が中心だったが、中年期になると「自分が何を得るか」だけでなく「次の世代へ何を残すか」という時間軸も重要になる。一方、「中年期には必ず危機が起こる」といった固定観念を避け、個人差を重視する。
③ 高齢期には、処理速度や記憶の一部、身体機能など、若年期より低下しやすい能力が存在する。そのため、高齢期はしばしば「できなくなる時期」として表現される。しかし、加齢による変化はすべての能力に同じように現れるわけではなく、長年蓄積した知識や経験が保たれたり、それを活用して生活上の課題へ対応したりすることもできる。本Partでは、第1回で提示した生涯発達へ戻り、発達を単なる増加ではなく、獲得と喪失、維持、適応を含む変化として捉える。また、高齢期には社会関係の数や形が変化することがあるが、関係が少なくなることがそのまま孤独や不幸を意味するわけではない。自分にとって重要な人との関係や活動を選び、変化した身体や認知能力に合わせて生活を調整しながら幸福感を保つことも、高齢期の重要な発達的適応である。第3回の身体と環境、第6回以降の社会関係も振り返り、「老いること=失うこと」という単純な見方を超えて高齢期を理解する。
キーワード
① 成人期 ② 親密性 ③ 世代性 ④ 高齢期 ⑤ 認知加齢
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
予習
関連回:第1・3・12・13回
第1回の生涯発達、第3回の身体と環境、第12回の心理的自立、第13回のアイデンティティを振り返る。20歳、40歳、70歳について、「最も能力が高いのはいつか」を考える。ただし記憶、知識、身体能力、人間関係の理解など、能力の種類を変えた場合に答えがどう変化するかも考える。
復習
関連回:第1・3・6・11~14回→第15回へ接続
成人期、中年期、高齢期について、獲得するもの、失われやすいもの、適応によって補えるものを整理する。第1回の「発達=生涯にわたる変化」が、第14回まで学ぶとどのような意味になるか説明する。また、高齢期の幸福を「若いころの能力を保つこと」だけで説明できない理由を考える。第15回に向け、乳幼児から高齢期まで共通して「個人と環境の相互作用」が見られた例を三つ以上探す。
15
最終テスト+発達心理学の統合 ――人は生涯にわたってどのように変化するのか
科目の中での位置付け
本講義は、心理学の基礎科目の一つとして、人間のこころと行動が生涯にわたってどのように形成され、変化していくのかを理解するための基盤を形成するものである。発達心理学は、認知心理学、社会心理学、教育心理学、臨床心理学など多くの心理学領域と関係しており、人間を一時点の特徴だけでなく、時間の経過に伴う変化として理解する視点を提供する点に特徴がある。
本講義では、第1回に発達、成長、成熟、学習、生涯発達、遺伝と環境、個人差といった発達心理学の基本的な考え方を学ぶ。続く第2回から第7回では、新生児の能力、感覚・知覚、身体・運動発達、ピアジェの認知発達理論、言語発達、ヴィゴツキー、気質と愛着、自己認識、共同注意、心の理論を取り上げる。これにより、乳幼児が周囲の世界を感じ、身体を使って探索し、他者と関わりながら認知や言語、自己・他者理解を発達させていく過程を学ぶ。第8回では、中間テストと前半内容の統合を行い、身体、認知、言語、人間関係の発達が相互に関連していることを確認する。
後半の第9回から第14回では、子どもがより広い社会の中でどのように発達していくかを学ぶ。第9回・第10回では、遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動、規則理解、意図と結果、道徳判断を取り上げる。第11回から第13回では、学校生活における学習と自己理解、社会的比較、自己概念、自己効力感、思春期の身体像や自己意識、心理的自立、青年期のアイデンティティ形成を扱う。第14回では、成人期、中年期、高齢期へ視野を広げ、親密性、世代性、認知加齢、社会関係、適応、幸福感などを通して、大人になってからも発達が続くことを学ぶ。
最終回である第15回では、講義全体の内容について最終テストと総括を行い、乳幼児期から高齢期までの発達を一つの時間軸の中で統合する。最終的には、発達を単なる年齢に伴う成長や能力の増加としてではなく、身体、認知、他者、文化、環境との相互作用の中で生涯にわたって変化する過程として捉え、心理学の他領域における人間理解にもつなげられる視点を身につけることを目指す。
コマ主題細目
① 人の発達を生涯という時間から捉える ② 人は一人で発達するのではない ③ 発達心理学は心理学全体とどうつながるのか
細目レベル
① 第1回から第14回まで、人間の発達を乳幼児期、児童期、思春期、青年期、成人期、高齢期へと追ってきた。しかし、最後に重要なのは、それぞれの時期の特徴を別々に暗記することではない。本Partでは、第1回で提示した生涯発達の考えへ戻り、身体、知覚、運動、認知、言語、愛着、自己理解、仲間関係、道徳性、アイデンティティなどが、一生の時間軸の中でどのように形成され、変化するかを整理する。乳幼児期に形成されたものがその後を完全に決定するわけでも、ある段階に到達すれば発達が終了するわけでもない。第12~14回で見たように、新しい身体、新しい環境、新しい役割や人間関係に応じて、人はその後も変化する。発達には能力の獲得だけでなく、失うこと、維持すること、別の方法へ適応することも含まれる。15回の知識を出生から老年まで続く一本の発達過程として再構成する。
② 本講義では、発達を一人の人間の内部だけで起こる変化として説明してこなかった。第1回では遺伝と環境、第3回では身体と環境、第5回ではことばと他者、第6回では愛着、第9回以降では仲間、学校、家族、社会的役割などを扱った。本Partでは、これらを「相互作用」という共通の視点からまとめる。人には生物学的な特徴や気質があるが、それらは環境と無関係に発現するわけではない。子どもは他者からことばを一方的に受け取るだけでなく、自分から周囲へ働きかけ、その反応によってさらに経験を変える。青年や成人も、家庭、学校、職場、文化の中で新しい役割を経験しながら変化する。したがって発達とは、「年齢が上がれば自動的に起こる変化」ではなく、人が身体をもち、他者や文化、環境と関わりながら生涯にわたって変化する過程であることを、複数回の具体例から確認する。
③ 発達心理学で扱ってきたテーマは、発達心理学だけに閉じたものではない。記憶や注意、言語は認知心理学と、愛着や仲間関係、社会的比較は社会心理学と、学校での学習や自己効力感は教育心理学と、思春期や高齢期の適応は臨床心理学や健康心理学とも関係する。発達心理学がこれらの領域に加える独自の視点は、「その心理機能はいつ、どのように形づくられ、その後どのように変化するのか」という時間軸である。本Partでは、15回で学んだ知識を心理学の他領域と結びつけ、人間の心をある一時点だけで理解することの限界を考える。第1回の「発達とは何か」という問いに対し、第2~14回の具体的な発達過程を根拠として回答できることが最終的な到達点となる。発達心理学を、心理学の各領域へ時間軸を与える基礎領域として位置づける。
キーワード
① 生涯発達 ② 個人差 ③ 可塑性 ④ 相互作用 ⑤ 心理学
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
習
関連回:第1~14回
第1~14回を年齢順に暗記するのではなく、「身体」「認知」「ことば」「人間関係」「自己」という五つの軸で再整理する。各軸について、どの回で初めて扱い、その後どの回で発展したかを記入する。特に、①第1→3→12→14回の身体、②第4→7→11→13回の認知・自己、③第5→7→9→12回の他者関係、という縦のつながりを説明できるようにする。
復習
関連回:第1~15回全体
最終テストの解説をもとに、誤答した項目について関連する授業回を複数記録する。そのうえで、第1回の「発達心理学とは何か」という問いへ戻り、「発達とは、人が一人で年齢とともに変化することではない」という文章の意味を、遺伝・環境、身体、認知、他者、文化、生涯発達のうち三つ以上と、少なくとも四つの授業回を用いて説明する。最後に、自分なりの「発達心理学とは何を研究する学問か」をまとめる。
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
発達心理学の基本概念を説明できる
発達、成長、成熟、学習、生涯発達などの基本概念を区別し、人間の発達を生涯にわたる変化として捉えることができる。また、遺伝と環境の相互作用、発達の一般的傾向と個人差という発達心理学の基本的な見方を説明できる。
発達/生涯発達/成長/成熟/学習/遺伝/環境/相互作用/個人差/一般的傾向
8
1回
乳幼児期の知覚・身体・運動発達を説明できる
新生児がもつ基本的な能力や反射、乳児の知覚について理解し、選好注視法や馴化法などの研究法を説明できる。また、身体・運動発達を成熟だけでなく経験や環境との関係から捉え、探索行動やアフォーダンスを用いて説明できる。
新生児/反射/知覚/選好注視法/馴化/身体発達/運動発達/成熟/探索行動/アフォーダンス
14
第2回、第3回
乳幼児期の認知・言語発達を説明できる
ピアジェの認知発達理論、シェマ、対象の永続性、自己中心性、保存などを理解し、子どもの認知がどのように変化するかを説明できる。また、喃語、語彙、共同注意、ヴィゴツキー、発達の最近接領域などを用いて、言語や思考が他者との関わりの中で発達する過程を説明できる。
ピアジェ/シェマ/対象の永続性/自己中心性/保存/喃語/語彙/共同注意/ヴィゴツキー/発達の最近接領域
16
第4回、第5回
愛着と自己・他者理解の発達を説明できる
気質の個人差、ボウルビィの愛着理論、エインズワースによる愛着研究を理解し、人との情緒的なつながりがどのように形成されるかを説明できる。また、自己認識、共同注意、社会的参照、心の理論などを用いて、自分と他者の心を理解する能力がどのように発達するかを説明できる。
気質/愛着/ボウルビィ/エインズワース/内的作業モデル/自己認識/鏡映自己認知/共同注意/社会的参照/心の理論
14
第6回、第7回
仲間関係と道徳性の発達を説明できる
遊び、仲間関係、共感、向社会的行動、攻撃行動について理解し、子どもが他者との関わりの中で社会的な行動を身につけていく過程を説明できる。また、規則、意図、結果、責任判断、コールバーグの理論などを用いて、道徳的判断がどのように発達するかを説明できる。
遊び/仲間関係/共感/向社会的行動/攻撃行動/道徳性/規則/意図/責任判断/コールバーグ
16
第9回、第10回
児童期から青年期の自己発達を説明できる
児童期のメタ認知、社会的比較、自己概念、自己効力感について理解し、学校生活の中で自己理解が形成される過程を説明できる。また、思春期の身体像、自己意識、心理的自立、青年期のアイデンティティについて理解し、児童期から青年期にかけて「自分」の理解がどのように複雑化するかを説明できる。
メタ認知/社会的比較/自己概念/自己効力感/思春期/身体像/自己意識/心理的自立/アイデンティティ/エリクソン
20
第11回、第12回、第13回
成人期・高齢期を含め、人の発達を生涯発達として統合できる
成人期の親密性、中年期の世代性、高齢期の認知加齢、社会関係、適応、幸福感などを理解し、成人後も発達が続くことを説明できる。また、乳幼児期から高齢期までの発達を、身体、認知、他者、環境との相互作用という視点から統合し、生涯発達として捉えることができる。
成人期/親密性/世代性/高齢期/認知加齢/社会関係/適応/幸福感/生涯発達/相互作用
12
第8回、第14回、第15回
評価方法
期末試験(100%)によって評価する。
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
指定なし
参考文献
指定なし
実験・実習・教材費
なし