| 回 | 主題 | コマシラバス項目 | 内容 | 教材・教具 |
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人格(パーソナリティ)と感情の心理学における位置づけ①
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科目の中での位置付け
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この科目では、これまでの心理学研究によって明らかにされてきた人格心理学(以下,パーソナリティ心理学と呼ぶ)および感情心理学の知見や、それぞれの心理学領域における基本的な考え方について理解することを目的とする。「科目の目的」にも記載したとおり、パーソナリティ心理学と感情心理学は、近接領域ではあるが、それぞれ異なる歴史的背景およびから生じた別々の学問領域である。従って、科目の前半(第2回~第16回)ではパーソナリティ心理学について、後半(第17回~第30回)では感情心理学についてそれぞれ講義を行う。 講義の前半では、この科目におけるガイダンスを行い、講義の進め方について説明を行うとともに、心理学の諸分野におけるパーソナリティ心理学と感情心理学のそれぞれの位置づけと研究の意義について説明を行う。特に、心理学の諸分野について大まかに把握し、それら諸分野の備えた性質・特徴と比較を行うことにより、パーソナリティ心理学および感情心理学のそれぞれが備えた性質・特徴や差異について理解する。 講義の後半では、心理学的な構成概念であるパーソナリティについて理解するために、パーソナリティに関連する用語の定義について説明を行うことを通じて、第2回以降の講義における考え方の基盤を形成する。
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細目② 兵藤 宗吉・緑川 晶(編)(2010). 心理学の主な分野と隣接科学, 10-11, 心の科学―理論から現実社会へ ナカニシヤ出版
細目③、④ 鈴木 公啓(編)(2012). 心理学における「性格」の位置づけ, 3, パーソナリティ心理学概論 ナカニシヤ出版
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コマ主題細目
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① ガイダンス ② 心理学の諸分野 ③ 心理学におけるパーソナリティ心理学の位置づけ ④ 構成概念としてのパーソナリティの定義
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細目レベル
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① 初回の講義であることから、講義を受ける際の諸注意、出欠の確認方法、成績評価の方法、および講義の進め方についてのガイダンスを行う。まず、講義を受ける際の諸注意(必ずPCを持参すること、講義中の私語の禁止等)、出席の確認方法や、授業後の毎回の小テストおよびアンケート(質問および感想)の実施方法、成績の評価方法について説明をする。出席は本学のルールに従って管理を行うこととする。また、他の講義科目同様、毎回の授業後にヨリソルを利用したオンラインでの小テストを行い、各学生の授業への理解度を把握する。加えて、本科目では、毎回、各学生からの疑問点や発見(気付き)を把握するために、Google Formを通じたオンラインでのアンケートを実施する。成績評価については、期末テストの成績(100%)により評価される。
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② 心理学におけるパーソナリティ心理学と感情心理学の心理学の位置づけについて学習するのに先立ち、心理学の諸分野について概観する。心理学概論(第8回、9回)において説明がなされたとおり、心理学は哲学の中から生じ、生物学や生理学、精神医学などの様々な分野からの影響を受けつつ徐々に独立した科学的な学問として発展してきた。そして現在、「心理学」の中には、多種多様な領域が存在する。そうした領域の違いは、「こころ」に対する考え方や、アプローチの違い、「こころ」の測定方法の違い、対象とする「こころ」の違いなどによって生じたものである。しかし、そうした多様な領域は大まかに「基礎心理学」と「応用心理学」に分けることができる。心理学におけるパーソナリティ心理学と感情心理学の位置づけについて理解するためには、基礎心理学と応用心理学の持つ性質と目的、および互いの関係性について知る必要がある。
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③ 心理学全体の中でのパーソナリティ心理学の位置づけについて学ぶ。心理学概論において説明がなされたように、これまでの歴史上、心理学の中心を担ってきたのは精神物理学(知覚心理学)、行動主義(学習心理学)、認知心理学などであった。これらの心理学領域における最終目標は、いずれも「こころ」の科学的な一般法則を見出すことである。一方で、パーソナリティ心理学は上記の心理学分野と同様、基礎心理学の中に含まれるものの、個人差を対象としていることから、上記の心理学領域とは異なる性質を持っている。ここでは、他の領域との比較を行いつつ、基礎心理学としてのパーソナリティ心理学が持つ特徴について把握すること、そして、心理学においてパーソナリティを研究することの意義について理解することを目的とする。
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④ ここでは、パーソナリティがどのように定義されているかを学ぶ。それに先立ち、パーソナリティを理解する上で重要な「構成概念」について説明する。直接的に観察することができないが、理論的背景や、これまでの研究から「ある」と仮定される概念を「構成概念」と呼ぶ。心理学の多くの分野においては、ごく少数の例外を除き、構成概念を扱う。構成概念は直接的に観察できないものであることから、研究者間で共通した定義が必要となる。個人差には、身長や体重など直接観察可能なものもあるが、不安、外向性、知能などを含むパーソナリティはいずれも心理的特性であり、構成概念である。パーソナリティは構成概念であり、直接観察不可能なものである。従って、用語の定義についてしっかり認識しておく必要がある。特にパーソナリティに関しては、英語(例:personality, character)でも日本語(例;人格、性格、気質)でも様々な類似した用語が存在するため、ここでは、それぞれの用語がどのような意味を持つのか、またどのような場面で用いられるのか、そのニュアンスの違いについて把握する。
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キーワード
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① オリエンテーション ② 心理学の諸分野 ③ パーソナリティ心理学 ④ パーソナリティの定義
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 基礎心理学で目指しているものが何であるのか、その中にあって人格心理学がどのような位置づけにあるのか、また、感情心理学がどのような位置づけにあるのか、について講義資料を読み返し、しっかり理解する。 【予習】 第2回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、「人格」、「性格」、「気質」とはどのようなものであるのか、またそれらの言葉の違いを心理学の書籍等で調べて、分からない部分についてメモをしておく。
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人格(パーソナリティ)と感情の心理学における位置づけ②
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科目の中での位置付け
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この科目では、これまでの心理学研究によって明らかにされてきた人格心理学(以下,パーソナリティ心理学と呼ぶ)および感情心理学の知見や、それぞれの心理学領域における基本的な考え方について理解することを目的とする。「科目の目的」にも記載したとおり、パーソナリティ心理学と感情心理学は、近接領域ではあるが、それぞれ異なる歴史的背景およびから生じた別々の学問領域である。従って、科目の前半(第2回~第16回)ではパーソナリティ心理学について、後半(第17回~第30回)では感情心理学についてそれぞれ講義を行う。 講義の前半では、この科目におけるガイダンスを行い、講義の進め方について説明を行うとともに、心理学の諸分野におけるパーソナリティ心理学と感情心理学のそれぞれの位置づけと研究の意義について説明を行う。特に、心理学の諸分野について大まかに把握し、それら諸分野の備えた性質・特徴と比較を行うことにより、パーソナリティ心理学および感情心理学のそれぞれが備えた性質・特徴や差異について理解する。 講義の後半では、心理学的な構成概念であるパーソナリティについて理解するために、構成概念とは何かを説明した上で、パーソナリティに関連する用語の定義について説明を行うことを通じて、第2回以降の講義における考え方の基盤を形成する。
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細目② 兵藤 宗吉・緑川 晶(編)(2010). 心理学の主な分野と隣接科学, 10-11, 心の科学―理論から現実社会へ ナカニシヤ出版
細目③ 鈴木 公啓(編)(2012). 心理学における「性格」の位置づけ, 3, パーソナリティ心理学概論 ナカニシヤ出版
細目④ 濱 治世・鈴木直人・濱 保久 (2001). 感情と情緒(情動), 2-3, 感情心理学への招待―感情・情緒へのアプローチ― サイエンス社
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コマ主題細目
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① ガイダンス ② 心理学の諸分野 ③ 心理学におけるパーソナリティ心理学の位置づけ ④ 心理学における感情心理学の位置づけ ⑤ 構成概念としてのパーソナリティの定義
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細目レベル
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① 初回の講義であることから、講義を受ける際の諸注意、出欠の確認方法、成績評価の方法、および講義の進め方についてのガイダンスを行う。まず、講義を受ける際の諸注意(必ずPCを持参すること、講義中の私語の禁止等)、出席の確認方法や、授業後の毎回の小テストおよびアンケート(質問および感想)の実施方法、成績の評価方法について説明をする。出席は本学のルールに従って管理を行うこととする。また、他の講義科目同様、毎回の授業後にヨリソルを利用したオンラインでの小テストを行い、各学生の授業への理解度を把握する。加えて、本科目では、毎回、各学生からの疑問点や発見(気付き)を把握するために、Google formを通じたオンラインでのアンケートを実施する。成績評価については、期末テストの成績(100%)により評価される。 次に、講義の進め方については、次のとおりである。まず、講義の最初に前回の講義についての復習を行うとともに、毎回のアンケートを通じて学生から示された質問や発見(気付き)について回答することを通じて、講義内容の理解の定着および深化を図る。次に、該当回の講義内容について説明を行う。講義内容の説明が終わった後、小テストを実施し、全員が回答を終えた後に小テストの問題についての解説を行い、学生が躓いている部分のあぶり出しを行う。最後にアンケートへの回答を求める。
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② 心理学におけるパーソナリティ心理学と感情心理学の心理学の位置づけについて学習するのに先立ち、心理学の諸分野について概観する。心理学概論(第8回、9回)において説明がなされたとおり、心理学は哲学の中から生じ、生物学や生理学、精神医学などの様々な分野からの影響を受けつつ徐々に独立した科学的な学問として発展してきた。そして現在、「心理学」の中には、多種多様な領域が存在する。そうした領域の違いは、「こころ」に対する考え方や、アプローチの違い、「こころ」の測定方法の違い、対象とする「こころ」の違いなどによって生じたものである。しかし、そうした多様な領域は大まかに「基礎心理学」と「応用心理学」に分けることができる。心理学におけるパーソナリティ心理学と感情心理学の位置づけについて理解するためには、基礎心理学と応用心理学の持つ性質と目的、および互いの関係性について知る必要がある。
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③ 心理学全体の中でのパーソナリティ心理学の位置づけについて学ぶ。心理学概論において説明がなされたように、これまでの歴史上、心理学の中心を担ってきたのは精神物理学(知覚心理学)、行動主義(学習心理学)、認知心理学などであった。これらの心理学領域における最終目標は、いずれも「こころ」の科学的な一般法則を見出すことである。一方で、パーソナリティ心理学は上記の心理学分野と同様、基礎心理学の中に含まれるものの、個人差を対象としていることから、上記の心理学領域とは異なる性質を持っている。ここでは、他の領域との比較を行いつつ、基礎心理学としてのパーソナリティ心理学が持つ特徴について把握すること、そして、心理学においてパーソナリティを研究することの意義について理解することを目的とする。
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④ 心理学全体の中での感情心理学の位置づけについて学ぶ。おそらく、一般的に「こころ」といってイメージされる心的機能は感情であろう。感情については、古代ギリシアから現代に至るまで多くの先人が思索してきた。しかし、感情心理学は、パーソナリティ心理学と同様、長い間、基礎心理学の中で周辺的な分野に過ぎなかった。感情心理学にもやはり、知覚心理学や学習心理学などとは異なる性質があり、様々な理由で発展が妨げられてきた現状がある。ここでは、パーソナリティ心理学を含む他の心理学領域との比較を行いつつ、基礎心理学としての感情心理学が持つ特徴について把握すること、そして心理学において感情心理学を研究することの意義について理解することを目的とする。
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⑤ ここでは、パーソナリティがどのように定義されているかを学ぶ。それに先立ち、パーソナリティを理解する上で重要な「構成概念」について説明する。直接的に観察することができないが、理論的背景や、これまでの研究から「ある」と仮定される概念を「構成概念」と呼ぶ。心理学の多くの分野においては、ごく少数の例外を除き、構成概念を扱う。構成概念は直接的に観察できないものであることから、研究者間で共通した定義が必要となる。個人差には、身長や体重など直接観察可能なものもあるが、不安、外向性、知能などを含むパーソナリティはいずれも心理的特性であり、構成概念である。パーソナリティは構成概念であり、直接観察不可能なものである。従って、用語の定義についてしっかり認識しておく必要がある。特にパーソナリティに関しては、英語(例:personality, character)でも日本語(例;人格、性格、気質)でも様々な類似した用語が存在するため、ここでは、それぞれの用語がどのような意味を持つのか、またどのような場面で用いられるのか、そのニュアンスの違いについて把握する。
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キーワード
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① オリエンテーション ② 心理学の諸分野 ③ パーソナリティ ④ 感情 ⑤ パーソナリティの定義
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 基礎心理学で目指しているものが何であるのか、その中にあって人格心理学がどのような位置づけにあるのか、また、感情心理学がどのような位置づけにあるのか、について講義資料を読み返し、しっかり理解する。 【予習】 第2回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、「人格」、「性格」、「感情」、「情動」とはどのようなものであるのか、またそれらの言葉の違いを心理学の書籍等で調べて、分からない部分についてメモをしておく。
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パーソナリティ研究の歴史―類型論―①
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科目の中での位置付け
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この科目の前半(第2回~第16回)では、心理学におけるパーソナリティの定義やパーソナリティの捉え方、研究手法の歴史的な変遷および現在に至るまでの発展の過程および、パーソナリティの異常とアセスメントおよび支援について学ぶ。第1、2回におけるパーソナリティの定義および捉え方についての講義を受けて、今回は、類型論の考え方を軸として、これまでのパーソナリティ研究の歴史について学ぶ。講義の前半では、特に、個々人のパーソナリティの違いについての記述や考え方(四体液説と四気質説)が最初に生まれた古代ギリシア、ローマの時代から、中世・近世(観相学、骨相学)に至るまでを概観する。また、四気質説の流れを受け継いでいるものとして、現代日本においても多くの人々にとっての興味・関心の的である血液型とパーソナリティの関係についての研究史についても説明する。講義の後半では、類型論の考え方を軸にして、近代におけるパーソナリティ研究の歴史(中盤)について学ぶ。特に、類型論の中でも有名なクレッチマーの体型類型論についての研究や、クレッチマーの体型類型論の抱えた問題点に取り組んだシェルドンの研究、およびユングの向性類型論などについて説明した後、これまで説明してきた類型論の考え方の問題点や限界について解説する。 これらの内容の講義を通じて、これまでのパーソナリティ研究の発展に重要な役割を果たしてきた理論的枠組みの一つである類型論について理解することを目的とする。
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細目①、③、④、⑤ 小塩 真司 (2010). はじめて学ぶパーソナリティ心理学―個性をめぐる冒険― ミネルヴァ書房
細目② アレクサンダー・トドロフ(著)中里京子(訳)(2019).第一印象の科学―なぜヒトは顔に惑わされてしまうのか?― みすず書房 浜本 隆志・柏木 治・森 貴史(編著)(2008)ヨーロッパ人相学―顔が語る西洋文化史― 白水社
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コマ主題細目
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① 四体液説と四気質説 ② 観相学 ③ 骨相学 ④ 体型類型論 ⑤ ユングの向性類型論
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細目レベル
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① 古代ギリシア・ローマ時代におけるパーソナリティについての理論である、四体液説および四気質説について学ぶ。まず、古代ギリシアの哲学者テオプラストスによる民衆のパーソナリティについての記述から、非常に古い時代から研究者が人のパーソナリティに興味・関心を抱いていたことについて説明する。次に、古代ギリシアにおいて世界を構成するとされた四大元素についての考え方を基にヒポクラテスによって提唱された四体液説について説明する。さらに、ローマ時代にこの四体液説を発展させ、体液とパーソナリティの関連について結びつけたガレノスの四気質説について説明する。また、この四気質説が現在日本における血液型による性格類型論に繋がる源流となっていることについていくつかの研究を取り上げて説明する。
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② 中世ヨーロッパにおいて人のパーソナリティの分類手法として興隆した観相学について学ぶ。観相学は、人のパーソナリティはその顔貌(人相)に表れるとする考え方であり、古代ギリシア時代のアリストテレスの文書にもその痕跡が見られる。ここでは、デッラ・ポルタ、ル・ブラン、ラバターなど主要な観相学者を取り上げ、「特定の動物に似ている人間はその動物のパーソナリティを備えている」という観相学の考え方とその問題点について説明する。この観相学の影響は現在の欧米においても残っており、偏見・ステレオタイプが生じる源泉となっている。観相学については、「顔認知とコミュニケーション」の講義においても解説される。
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③ 近世ヨーロッパにおけるパーソナリティの理論であるガルの骨相学について学ぶ。まず、骨相学という考え方が生まれてきた背景として、脳の全体論と機能局在論の違いについて説明する。近世以前は様々な身体・心理機能は脳全体の働きによって生じていると考えられていた(全体論)。一方で、ガルは、脳には部分によって異なる機能が備わっている(機能局在論)と考えていた。この機能局在論的な考え方をベースにして、頭蓋の大きさとパーソナリティの関連について結びつけたのが骨相学である。ここでは、骨相学が抱えていた問題点と、骨相学がベースにしていた機能局在の考え方が後世に与えた影響について学ぶ。
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④ 心理学史上において最も有名な類型論であるクレッチマーおよびシェルドンの体型類型論について学ぶ。ドイツの精神科医であったクレッチマーは精神病院での自身の臨床体験から精神病質と体型の関係に気付き、体型と精神疾患の種類およびパーソナリティの分類を行った。クレッチマーは人物の体格と関連するパーソナリティ(気質)について3つの類型(分裂気質、循環気質、粘着気質)を行っている。しかし、クレッチマーは精神科の患者のデータを基にして構築された彼の理論を一般の人々のパーソナリティにも当てはまるものであるとしていた。アメリカの心理学者シェルドンはこの点を批判し、体型類型論が健常者にも当てはまるものであるかを検討している。ここでは、クレッチマーおよびシェルドンの体型類型論の特徴と、その問題点について理解することを目指す。
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⑤ フロイトの弟子で、分析心理学の祖であるユングの類型論(向性論とタイプ論)について学ぶ。ユングは、人の心の無意識的な部分の役割を重視する精神力動的な考え方に基づいて独自の類型論を提唱している。彼は、無意識の中にある心的エネルギーが向かう方向性によってパーソナリティを外向型と内向型に分類している。加えて、パーソナリティを思考、感情、感覚、直観の4つのタイプに分類し、向性と4つのタイプを組み合わせた8つの分類によって人間のパーソナリティを捉えようとした。ここでは、ユングの向性論の特徴およびその問題点と、その後のパーソナリティ研究に与えた影響について理解することを目指す。
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キーワード
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① 四体液質と四気質説 ② 観相学 ③ 骨相学 ④ 体型類型論 ⑤ ユングの向性類型論
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 心理学において、個人差や感情がどのように扱われてきたかについて配布資料を再度読み返し、理解しておく。また、「人格」、「性格」、「気質」、「感情」、「情動」といった概念の示す意味(定義)の違いについて、英語での表記と対応付けつつ頭に入れておく。
【予習】 第3回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、「性格」、「人格」という言葉からイメージされる事物について、自分なりにまとめておく。
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パーソナリティ研究の歴史―類型論―②
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科目の中での位置付け
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この科目の前半(第2回~第16回)では、心理学におけるパーソナリティの定義やパーソナリティの捉え方、研究手法の歴史的な変遷および現在に至るまでの発展の過程および、パーソナリティの異常とアセスメントおよび支援について学ぶ。第1、2回におけるパーソナリティの定義および捉え方についての講義を受けて、今回は、類型論の考え方を軸として、これまでのパーソナリティ研究の歴史について学ぶ。講義の前半では、特に、個々人のパーソナリティの違いについての記述や考え方(四体液説と四気質説)が最初に生まれた古代ギリシア、ローマの時代から、中世・近世(観相学、骨相学)に至るまでを概観する。また、四気質説の流れを受け継いでいるものとして、現代日本においても多くの人々にとっての興味・関心の的である血液型とパーソナリティの関係についての研究史についても説明する。講義の後半では、類型論の考え方を軸にして、近代におけるパーソナリティ研究の歴史(中盤)について学ぶ。特に、類型論の中でも有名なクレッチマーの体型類型論についての研究や、クレッチマーの体型類型論の抱えた問題点に取り組んだシェルドンの研究、およびユングの向性類型論などについて説明した後、これまで説明してきた類型論の考え方の問題点や限界について解説する。 これらの内容の講義を通じて、これまでのパーソナリティ研究の発展に重要な役割を果たしてきた理論的枠組みの一つである類型論について理解することを目的とする。
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細目①、③、④、⑤ 小塩 真司 (2010). はじめて学ぶパーソナリティ心理学―個性をめぐる冒険― ミネルヴァ書房
細目② アレクサンダー・トドロフ(著)中里京子(訳)(2019).第一印象の科学―なぜヒトは顔に惑わされてしまうのか?― みすず書房 浜本 隆志・柏木 治・森 貴史(編著)(2008)ヨーロッパ人相学―顔が語る西洋文化史― 白水社
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コマ主題細目
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① 四体液説と四気質説 ② 観相学 ③ 骨相学 ④ 体型類型論 ⑤ ユングの向性類型論
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細目レベル
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① 古代ギリシア・ローマ時代におけるパーソナリティについての理論である、四体液説および四気質説について学ぶ。まず、古代ギリシアの哲学者テオプラストスによる民衆のパーソナリティについての記述から、非常に古い時代から研究者が人のパーソナリティに興味・関心を抱いていたことについて説明する。次に、古代ギリシアにおいて世界を構成するとされた四大元素についての考え方を基にヒポクラテスによって提唱された四体液説について説明する。さらに、ローマ時代にこの四体液説を発展させ、体液とパーソナリティの関連について結びつけたガレノスの四気質説について説明する。また、この四気質説が現在日本における血液型による性格類型論に繋がる源流となっていることについていくつかの研究を取り上げて説明する。
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② 中世ヨーロッパにおいて人のパーソナリティの分類手法として興隆した観相学について学ぶ。観相学は、人のパーソナリティはその顔貌(人相)に表れるとする考え方であり、古代ギリシア時代のアリストテレスの文書にもその痕跡が見られる。ここでは、デッラ・ポルタ、ル・ブラン、ラバターなど主要な観相学者を取り上げ、「特定の動物に似ている人間はその動物のパーソナリティを備えている」という観相学の考え方とその問題点について説明する。この観相学の影響は現在の欧米においても残っており、偏見・ステレオタイプが生じる源泉となっている。観相学については、「顔認知とコミュニケーション」の講義においても解説される。
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③ 近世ヨーロッパにおけるパーソナリティの理論であるガルの骨相学について学ぶ。まず、骨相学という考え方が生まれてきた背景として、脳の全体論と機能局在論の違いについて説明する。近世以前は様々な身体・心理機能は脳全体の働きによって生じていると考えられていた(全体論)。一方で、ガルは、脳には部分によって異なる機能が備わっている(機能局在論)と考えていた。この機能局在論的な考え方をベースにして、頭蓋の大きさとパーソナリティの関連について結びつけたのが骨相学である。ここでは、骨相学が抱えていた問題点と、骨相学がベースにしていた機能局在の考え方が後世に与えた影響について学ぶ。
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④ 心理学史上において最も有名な類型論であるクレッチマーおよびシェルドンの体型類型論について学ぶ。ドイツの精神科医であったクレッチマーは精神病院での自身の臨床体験から精神病質と体型の関係に気付き、体型と精神疾患の種類およびパーソナリティの分類を行った。クレッチマーは人物の体格と関連するパーソナリティ(気質)について3つの類型(分裂気質、循環気質、粘着気質)を行っている。しかし、クレッチマーは精神科の患者のデータを基にして構築された彼の理論を一般の人々のパーソナリティにも当てはまるものであるとしていた。アメリカの心理学者シェルドンはこの点を批判し、体型類型論が健常者にも当てはまるものであるかを検討している。ここでは、クレッチマーおよびシェルドンの体型類型論の特徴と、その問題点について理解することを目指す。
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⑤ フロイトの弟子で、分析心理学の祖であるユングの類型論(向性論とタイプ論)について学ぶ。ユングは、人の心の無意識的な部分の役割を重視する精神力動的な考え方に基づいて独自の類型論を提唱している。彼は、無意識の中にある心的エネルギーが向かう方向性によってパーソナリティを外向型と内向型に分類している。加えて、パーソナリティを思考、感情、感覚、直観の4つのタイプに分類し、向性と4つのタイプを組み合わせた8つの分類によって人間のパーソナリティを捉えようとした。ここでは、ユングの向性論の特徴およびその問題点と、その後のパーソナリティ研究に与えた影響について理解することを目指す。
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キーワード
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① 四体液質と四気質説 ② 観相学 ③ 骨相学 ④ 体型類型論 ⑤ ユングの向性類型論
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 心理学において、個人差や感情がどのように扱われてきたかについて配布資料を再度読み返し、理解しておく。また、「人格」、「性格」、「気質」、「感情」、「情動」といった概念の示す意味(定義)の違いについて、英語での表記と対応付けつつ頭に入れておく。
【予習】 第3回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、「性格」、「人格」という言葉からイメージされる事物について、自分なりにまとめておく。
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パーソナリティ研究の歴史―特性論―①
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科目の中での位置付け
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この科目の前半(第2回~第16回)では、心理学におけるパーソナリティの定義やパーソナリティの捉え方、研究手法の歴史的な変遷および現在に至るまでの発展の過程および、パーソナリティの異常とアセスメントおよび支援について学ぶ。第3、4回においては、古代ギリシア・ローマ時代におけるパーソナリティ研究の始まりから近代までの発展について説明を行った。これを受けて、第5、6回は、類型論の問題点から次第に心理学者のパーソナリティ研究の中心となった特性論の初期研究から現在までの発展について学ぶ。講義の前半では、次第に心理学者が類型論的アプローチから離れ、現在のパーソナリティ研究の理論的基盤となっている特性論的アプローチに向かっていった歴史的経緯について説明する。特に、特性論の創始者であるゴールトンおよびオールポートに着目し、特性論の最初期の手法である心理辞書的研究について取り上げて説明する。また、オールポートの心理辞書的研究が抱えていた問題点を踏まえ、キャッテルを中心として創始された、統計的手法を用いてパーソナリティをいくつかの次元で表現する因子分析的アプローチについて説明する。本講義は統計の講義ではないため、因子分析的アプローチについて概念的に把握することを目的とする。統計手法としての因子分析がどのような手法であるかについては、心理学統計法Ⅰ、Ⅱなどの講義で詳細な説明がなされる。 講義の後半では、因子分析的アプローチに、生物学的な知見を取り入れたハンス・アイゼンクによる3因子モデルについて説明する。最後に、現在でもパーソナリティ研究において中心的な役割を果たしている理論である5因子モデルについて説明する。 今回の講義を通じて、現在のパーソナリティ研究の理論的支柱となっている特性論について理解することを目指す。
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細目①、②、③、④、⑤ 小塩 真司 (2010). はじめて学ぶパーソナリティ心理学―個性をめぐる冒険― ミネルヴァ書房
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コマ主題細目
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① 心理辞書的研究 ② 因子分析的アプローチ ③ アイゼンクの3因子モデル ④ 5因子モデル
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細目レベル
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① 類型論が抱えていた問題から,パーソナリティ研究が特性論へと移っていったプロセスについて学ぶ。特に、「心理測定の父」と呼ばれ、パーソナリティの心理学的な測定方法について初めて考案したゴールトンおよび、パーソナリティ研究の主流を類型論から特性論へと転換させたオールポートの研究および考え方について説明する。進化論で有名なダーウィンの従兄にあたるゴールトンは歴史上、初めて遺伝について統計学的手法を用いて研究した人物である。彼はまた、直接観察できない「こころ」を扱う心理学において、様々な測定方法を考案した点で、最も重要な貢献をした人物の一人と言ってよい。特に、パーソナリティを測定する方法としては、類語辞典(シーソラス)を用いて、人々のパーソナリティを記述する用語を集計する心理辞書的研究を考案している。アメリカの心理学者オールポートは、この心理辞書的研究に着目し、人々のパーソナリティに関連する特性がどのくらいあるのかを体系的に研究した。ここでは、ゴールトンおよびオールポートの用いた心理辞書的研究の特徴と意義、およびその限界について理解することを目指す。
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② 客観的なパーソナリティ特性の分類法としての因子分析的アプローチについて学ぶ。オールポートはゴールトンの開発したパーソナリティ研究手法を受け継ぎ発展させる形で心理辞書的研究を行った。しかし、心理辞書的研究は、パーソナリティ特性の分類の際に研究者の主観的な評価に影響を受けやすいという問題があった。キャッテルは、こうした心理辞書的の問題を解消するために、統計学的な手法を取り入れた。具体的には、第8回においても説明するが、既に知能研究において用いられていた因子分析を導入することにより客観的な形でパーソナリティ特性を分類した。彼は、因子分析を用いることで、膨大な数にわたるパーソナリティ用語の背景となる12の根源特性と呼ばれる因子を見出した。さらに、その後の研究から、16個のパーソナリティから構成される「16PF人格検査」を開発している。ここでは、キャッテルによる根源特性についての研究を軸に、因子分析的アプローチの特徴について理解することを目的とする。
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③ 生物学的な視点を取り入れたパーソナリティ特性の理論であるアイゼンクによる3因子モデルについて学ぶ。イギリスの心理学者であるアイゼンクは、「外向性」、「神経症傾向」、「精神病傾向」の3因子により人間のパーソナリティが表現できると考えた。このアイゼンクの3因子モデルの特徴は、因子分析的アプローチを用いて抽出されたこれらの特性について、単に理論的・概念的なものとして存在するというだけでなく、生物学的な基盤が備わっていると考えた点にある。また、このモデルは、パーソナリティを階層構造で捉えた点でこれまでのパーソナリティ理論とは異なるものであった。ここでは、その後のパーソナリティ特性理論にも多くの影響を与えたアイゼンクの3因子モデルの特徴について理解することを目的とする。
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④ 現在のパーソナリティ研究において理論的支柱となっているパーソナリティの5因子モデルについて学ぶ。キャッテルやアイゼンクらによるパーソナリティ特性についての先駆的な研究を経て、多くのパーソナリティ心理学者により「人間のパーソナリティ特性がいくつあるか」についての膨大な研究が行われた。その結果、現在に至るまで支持されているのが、5つの主要なパーソナリティ特性によって人間を記述できるという5因子モデル(ビックファイブとも呼ばれる)である。この5因子は「神経症傾向」、「外向性」、「開放性」、「協調性」、「誠実性」で構成される。この5因子モデルに基づくパーソナリティ検査は複数の研究者によって開発されて現在でも用いられている。ここでは、パーソナリティの特性論における集大成ともいえる5因子モデルの特徴について理解することを目的とする。
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キーワード
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① 心理辞書的研究 ② 因子分析的アプローチ ③ キャッテルの根源特性 ④ アイゼンクの3因子モデル ⑤ 5因子モデル
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 ゴールトンが考案し、オールポートにより本格的に心理学的研究として開始され、キャッテルらによる因子分析的手法の導入により洗練されていき、現在の5因子モデルに至るまでの特性論の歴史的な経緯についてしっかりと理解すること。また、「心理辞書的研究」、「因子分析的アプローチ」、「根源特性」、「5因子モデル」などのキーワードの表す意味について自分なりにまとめておくこと。
【予習】 第4回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、「パーソナリティの一貫性」について書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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6
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パーソナリティ研究の歴史―特性論―②
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科目の中での位置付け
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この科目の前半(第2回~第16回)では、心理学におけるパーソナリティの定義やパーソナリティの捉え方、研究手法の歴史的な変遷および現在に至るまでの発展の過程および、パーソナリティの異常とアセスメントおよび支援について学ぶ。第3、4回においては、古代ギリシア・ローマ時代におけるパーソナリティ研究の始まりから近代までの発展について説明を行った。これを受けて、第5、6回は、類型論の問題点から次第に心理学者のパーソナリティ研究の中心となった特性論の初期研究から現在までの発展について学ぶ。講義の前半では、次第に心理学者が類型論的アプローチから離れ、現在のパーソナリティ研究の理論的基盤となっている特性論的アプローチに向かっていった歴史的経緯について説明する。特に、特性論の創始者であるゴールトンおよびオールポートに着目し、特性論の最初期の手法である心理辞書的研究について取り上げて説明する。また、オールポートの心理辞書的研究が抱えていた問題点を踏まえ、キャッテルを中心として創始された、統計的手法を用いてパーソナリティをいくつかの次元で表現する因子分析的アプローチについて説明する。本講義は統計の講義ではないため、因子分析的アプローチについて概念的に把握することを目的とする。統計手法としての因子分析がどのような手法であるかについては、心理学統計法Ⅰ、Ⅱなどの講義で詳細な説明がなされる。 講義の後半では、因子分析的アプローチに、生物学的な知見を取り入れたハンス・アイゼンクによる3因子モデルについて説明する。最後に、現在でもパーソナリティ研究において中心的な役割を果たしている理論である5因子モデルについて説明する。 今回の講義を通じて、現在のパーソナリティ研究の理論的支柱となっている特性論について理解することを目指す。
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細目①、②、③、④、⑤ 小塩 真司 (2010). はじめて学ぶパーソナリティ心理学―個性をめぐる冒険― ミネルヴァ書房
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コマ主題細目
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① 心理辞書的研究 ② 因子分析的アプローチ ③ アイゼンクの3因子モデル ④ 5因子モデル
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細目レベル
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① 類型論が抱えていた問題から,パーソナリティ研究が特性論へと移っていったプロセスについて学ぶ。特に、「心理測定の父」と呼ばれ、パーソナリティの心理学的な測定方法について初めて考案したゴールトンおよび、パーソナリティ研究の主流を類型論から特性論へと転換させたオールポートの研究および考え方について説明する。進化論で有名なダーウィンの従兄にあたるゴールトンは歴史上、初めて遺伝について統計学的手法を用いて研究した人物である。彼はまた、直接観察できない「こころ」を扱う心理学において、様々な測定方法を考案した点で、最も重要な貢献をした人物の一人と言ってよい。特に、パーソナリティを測定する方法としては、類語辞典(シーソラス)を用いて、人々のパーソナリティを記述する用語を集計する心理辞書的研究を考案している。アメリカの心理学者オールポートは、この心理辞書的研究に着目し、人々のパーソナリティに関連する特性がどのくらいあるのかを体系的に研究した。ここでは、ゴールトンおよびオールポートの用いた心理辞書的研究の特徴と意義、およびその限界について理解することを目指す。
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② 客観的なパーソナリティ特性の分類法としての因子分析的アプローチについて学ぶ。オールポートはゴールトンの開発したパーソナリティ研究手法を受け継ぎ発展させる形で心理辞書的研究を行った。しかし、心理辞書的研究は、パーソナリティ特性の分類の際に研究者の主観的な評価に影響を受けやすいという問題があった。キャッテルは、こうした心理辞書的の問題を解消するために、統計学的な手法を取り入れた。具体的には、第8回においても説明するが、既に知能研究において用いられていた因子分析を導入することにより客観的な形でパーソナリティ特性を分類した。彼は、因子分析を用いることで、膨大な数にわたるパーソナリティ用語の背景となる12の根源特性と呼ばれる因子を見出した。さらに、その後の研究から、16個のパーソナリティから構成される「16PF人格検査」を開発している。ここでは、キャッテルによる根源特性についての研究を軸に、因子分析的アプローチの特徴について理解することを目的とする。
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③ 生物学的な視点を取り入れたパーソナリティ特性の理論であるアイゼンクによる3因子モデルについて学ぶ。イギリスの心理学者であるアイゼンクは、「外向性」、「神経症傾向」、「精神病傾向」の3因子により人間のパーソナリティが表現できると考えた。このアイゼンクの3因子モデルの特徴は、因子分析的アプローチを用いて抽出されたこれらの特性について、単に理論的・概念的なものとして存在するというだけでなく、生物学的な基盤が備わっていると考えた点にある。また、このモデルは、パーソナリティを階層構造で捉えた点でこれまでのパーソナリティ理論とは異なるものであった。ここでは、その後のパーソナリティ特性理論にも多くの影響を与えたアイゼンクの3因子モデルの特徴について理解することを目的とする。
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④ 現在のパーソナリティ研究において理論的支柱となっているパーソナリティの5因子モデルについて学ぶ。キャッテルやアイゼンクらによるパーソナリティ特性についての先駆的な研究を経て、多くのパーソナリティ心理学者により「人間のパーソナリティ特性がいくつあるか」についての膨大な研究が行われた。その結果、現在に至るまで支持されているのが、5つの主要なパーソナリティ特性によって人間を記述できるという5因子モデル(ビックファイブとも呼ばれる)である。この5因子は「神経症傾向」、「外向性」、「開放性」、「協調性」、「誠実性」で構成される。この5因子モデルに基づくパーソナリティ検査は複数の研究者によって開発されて現在でも用いられている。ここでは、パーソナリティの特性論における集大成ともいえる5因子モデルの特徴について理解することを目的とする。
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キーワード
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① 心理辞書的研究 ② 因子分析的アプローチ ③ キャッテルの根源特性 ④ アイゼンクの3因子モデル ⑤ 5因子モデル
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 ゴールトンが考案し、オールポートにより本格的に心理学的研究として開始され、キャッテルらによる因子分析的手法の導入により洗練されていき、現在の5因子モデルに至るまでの特性論の歴史的な経緯についてしっかりと理解すること。また、「心理辞書的研究」、「因子分析的アプローチ」、「根源特性」、「5因子モデル」などのキーワードの表す意味について自分なりにまとめておくこと。
【予習】 第4回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、「パーソナリティの一貫性」について書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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7
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人のパーソナリティは変わるのか?(パーソナリティの一貫性)①
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科目の中での位置付け
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この科目の前半(第2回~第16回)では、心理学におけるパーソナリティの定義やパーソナリティの捉え方、研究手法の歴史的な変遷および現在に至るまでの発展の過程および、パーソナリティの異常とアセスメントおよび支援について学ぶ。第5、6回においては、類型論の問題点から次第に心理学者の研究の中心となった特性論について、ゴールトンやオールポートなどによる初期研究から現在のパーソナリティ研究の中心的な理論となっている5因子モデルまでの発展の歴史について説明した。第7、8回では、これまでの講義で説明してきた全てのパーソナリティに関わる理論が依って立つ前提である「個人のパーソナリティは一貫している」ということについて、批判的な観点も含めてどのように考えるべきかを学ぶ。 講義の前半では、私たちが思っているほど、「同じ人物は一貫した行動パターンを示すわけではなく、状況が重要である」とするミシェルの指摘を受けて生じた、人の行動の原因において、「行為者の内的性質」と「行為者の置かれた状況」のどちらがより重要であるかについての論争(人間ー状況論争)を踏まえて、「パーソナリティの一貫性」とは何かということを説明する。具体的には、「パーソナリティの一貫性」にも捉え方による違いがあることについて説明する。まず、時間軸による変化についての一貫性である「経時的安定性」と、状況による変化についての一貫性である「通状況的一貫性」の違いについて説明する。 講義の後半では、人間―状況論争においても問題となった一貫性の中でも重要な「通状況的一貫性」の考え方について、「絶対的一貫性」、「相対的一貫性」、「首尾一貫性」の3つの観点から説明する。最後に、これらの通状況的一貫性の中でも多くの研究者に指示されている「首尾一貫性」に基づき、パーソナリティを個人と状況の相互作用によって捉えようとする研究方法である相互作用論的アプローチについて説明する。 今回の講義を通して、パーソナリティの一貫性について、複数の視点があることについて知り、個人のパーソナリティと状況の相互作用について理解することを目指す。
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細目①、②、③、④ 鈴木 公啓(編)(2012). 心理学における「性格」の位置づけ, 3, パーソナリティ心理学概論 ナカニシヤ出版
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コマ主題細目
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① 人間-状況論争 ② 一貫性とは何か ③ 通状況的一貫性 ④ 相互作用論的アプローチ
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細目レベル
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① 人の行動の原因において、「行為者の内的性質」と「行為者の置かれた状況」のどちらがより重要であるかについての論争(人間―状況論争)を題材として、我々人間が、他者の行動をどのように帰属しがちなのかについて学ぶ。従来、パーソナリティ研究においては、「個人のパーソナリティはある程度変化せず一貫している」という前提の基に研究が行われてきた。これについて、ミシェル(1968)は、我々が思っているほど、同一人物が同じ一貫した行動を取るわけではなく、おかれた状況によって行動は変化すると批判した。一方で、人間には、他者の行動の原因を、その人の置かれた状況ではなく、その人の内的性質に求める(帰属する)傾向があることが知られている(基本的帰属のエラー)。これらの研究を基に、1960年代~1980年代には人の行動の原因として、「個人のパーソナリティ」が重要か、それとも「個人がおかれた状況」が重要かという人間―状況論争が生じた。ここでは、他者の行動の一貫性に対する我々の直感と、研究結果に食い違いがあることと、我々が他者の行動を個人の内的な性質に帰属しがちであることを学ぶ。
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② パーソナリティの「一貫性」とは何かについて学ぶ。我々は日常においてあまり意識することが無いが、「パーソナリティが一貫している」という言葉の中には複数の意味が含まれている。具体的には、「一貫性」は2つの異なる軸に分けることができる。1つは、ある時点で見られた行動が、その後のある時点でも同じように安定してみられるかという時間的な一貫性、すなわち「継時的安定性」である。もう1つは、ある場面で見られた行動が、別の場面においても安定してみられるかという空間的な一貫性、すなわち「通状況的一貫性」である。ここでは、パーソナリティの「一貫性」について理解する上でベースとなる「継時的安定性」と「通状況的一貫性」の2つの考え方について学ぶ。
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③ 「通状況的一貫性」を軸にしてパーソナリティの「一貫性」とは何かについてより深く学ぶ。「一貫性」についての視点のうち、時間的な一貫性である「継時的安定性」の存在については、多くの研究から支持されており、人間―状況論争においても主要な論点ではなかった。一方で、空間的な一貫性である「通状況的一貫性」はより多義的な概念であり、研究者によって捉え方が異なっている。ここでは、「通状況的一貫性」について、3つの概念に分けて整理する。具体的には、個人の状況によってパーソナリティは常に一貫しているとする「絶対的一貫性」、個人の行動はある程度変化するが、個人間での相対的位置づけは変わらないとする「相対的一貫性」、そして、ある状況と行動の間には安定したパターンが見られ、状況によって行動が変化しても全体としてパターンは一貫しているとする「首尾一貫性」についてそれぞれ説明する。これらの考え方を学ぶことを通じて、パーソナリティの一貫性とは何かについて多面的な視点から理解することを目指す。
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④ 「首尾一貫性」を基にした研究のアプローチである、「相互作用論的アプローチ」について学ぶ。首尾一貫性とは、「ある状況と行動の間には安定したパターンが見られ、状況の違いによって行動が異なるとしても全体的なパターンが安定しているならば、一貫性がある」とする考え方である。この首尾一貫性の考え方を導入することにより、我々の他者の行動の一貫性に対する直感と研究結果のズレを説明することが可能となる。この首尾一貫性を理論的背景として、個人と状況の相互作用によってパーソナリティを捉えようとするアプローチを相互作用論的アプローチとよぶ。相互作用論アプローチの主要な手法として、「調整変数モデル」と「If-thenパターン」の2つが挙げられる。ここでは、相互作用論的アプローチに基づき、個人の内的性質と状況の相互作用によって他者の行動の一貫性のあり方について理解することを目指す。
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キーワード
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① 人間-状況論争 ② 継時的安定性 ③ 通状況的一貫性 ④ 首尾一貫性 ⑤ 相互作用論的アプロー
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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8
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人のパーソナリティは変わるのか?(パーソナリティの一貫性)②
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科目の中での位置付け
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この科目の前半(第2回~第16回)では、心理学におけるパーソナリティの定義やパーソナリティの捉え方、研究手法の歴史的な変遷および現在に至るまでの発展の過程および、パーソナリティの異常とアセスメントおよび支援について学ぶ。第5、6回においては、類型論の問題点から次第に心理学者の研究の中心となった特性論について、ゴールトンやオールポートなどによる初期研究から現在のパーソナリティ研究の中心的な理論となっている5因子モデルまでの発展の歴史について説明した。第7、8回では、これまでの講義で説明してきた全てのパーソナリティに関わる理論が依って立つ前提である「個人のパーソナリティは一貫している」ということについて、批判的な観点も含めてどのように考えるべきかを学ぶ。 講義の前半では、私たちが思っているほど、「同じ人物は一貫した行動パターンを示すわけではなく、状況が重要である」とするミシェルの指摘を受けて生じた、人の行動の原因において、「行為者の内的性質」と「行為者の置かれた状況」のどちらがより重要であるかについての論争(人間ー状況論争)を踏まえて、「パーソナリティの一貫性」とは何かということを説明する。具体的には、「パーソナリティの一貫性」にも捉え方による違いがあることについて説明する。まず、時間軸による変化についての一貫性である「経時的安定性」と、状況による変化についての一貫性である「通状況的一貫性」の違いについて説明する。 講義の後半では、人間―状況論争においても問題となった一貫性の中でも重要な「通状況的一貫性」の考え方について、「絶対的一貫性」、「相対的一貫性」、「首尾一貫性」の3つの観点から説明する。最後に、これらの通状況的一貫性の中でも多くの研究者に指示されている「首尾一貫性」に基づき、パーソナリティを個人と状況の相互作用によって捉えようとする研究方法である相互作用論的アプローチについて説明する。 今回の講義を通して、パーソナリティの一貫性について、複数の視点があることについて知り、個人のパーソナリティと状況の相互作用について理解することを目指す。
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細目①、②、③、④ 鈴木 公啓(編)(2012). 心理学における「性格」の位置づけ, 3, パーソナリティ心理学概論 ナカニシヤ出版
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コマ主題細目
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① 人間-状況論争 ② 一貫性とは何か ③ 通状況的一貫性 ④ 相互作用論的アプローチ
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細目レベル
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① 人の行動の原因において、「行為者の内的性質」と「行為者の置かれた状況」のどちらがより重要であるかについての論争(人間―状況論争)を題材として、我々人間が、他者の行動をどのように帰属しがちなのかについて学ぶ。従来、パーソナリティ研究においては、「個人のパーソナリティはある程度変化せず一貫している」という前提の基に研究が行われてきた。これについて、ミシェル(1968)は、我々が思っているほど、同一人物が同じ一貫した行動を取るわけではなく、おかれた状況によって行動は変化すると批判した。一方で、人間には、他者の行動の原因を、その人の置かれた状況ではなく、その人の内的性質に求める(帰属する)傾向があることが知られている(基本的帰属のエラー)。これらの研究を基に、1960年代~1980年代には人の行動の原因として、「個人のパーソナリティ」が重要か、それとも「個人がおかれた状況」が重要かという人間―状況論争が生じた。ここでは、他者の行動の一貫性に対する我々の直感と、研究結果に食い違いがあることと、我々が他者の行動を個人の内的な性質に帰属しがちであることを学ぶ。
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② パーソナリティの「一貫性」とは何かについて学ぶ。我々は日常においてあまり意識することが無いが、「パーソナリティが一貫している」という言葉の中には複数の意味が含まれている。具体的には、「一貫性」は2つの異なる軸に分けることができる。1つは、ある時点で見られた行動が、その後のある時点でも同じように安定してみられるかという時間的な一貫性、すなわち「継時的安定性」である。もう1つは、ある場面で見られた行動が、別の場面においても安定してみられるかという空間的な一貫性、すなわち「通状況的一貫性」である。ここでは、パーソナリティの「一貫性」について理解する上でベースとなる「継時的安定性」と「通状況的一貫性」の2つの考え方について学ぶ。
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③ 「通状況的一貫性」を軸にしてパーソナリティの「一貫性」とは何かについてより深く学ぶ。「一貫性」についての視点のうち、時間的な一貫性である「継時的安定性」の存在については、多くの研究から支持されており、人間―状況論争においても主要な論点ではなかった。一方で、空間的な一貫性である「通状況的一貫性」はより多義的な概念であり、研究者によって捉え方が異なっている。ここでは、「通状況的一貫性」について、3つの概念に分けて整理する。具体的には、個人の状況によってパーソナリティは常に一貫しているとする「絶対的一貫性」、個人の行動はある程度変化するが、個人間での相対的位置づけは変わらないとする「相対的一貫性」、そして、ある状況と行動の間には安定したパターンが見られ、状況によって行動が変化しても全体としてパターンは一貫しているとする「首尾一貫性」についてそれぞれ説明する。これらの考え方を学ぶことを通じて、パーソナリティの一貫性とは何かについて多面的な視点から理解することを目指す。
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④ 「首尾一貫性」を基にした研究のアプローチである、「相互作用論的アプローチ」について学ぶ。首尾一貫性とは、「ある状況と行動の間には安定したパターンが見られ、状況の違いによって行動が異なるとしても全体的なパターンが安定しているならば、一貫性がある」とする考え方である。この首尾一貫性の考え方を導入することにより、我々の他者の行動の一貫性に対する直感と研究結果のズレを説明することが可能となる。この首尾一貫性を理論的背景として、個人と状況の相互作用によってパーソナリティを捉えようとするアプローチを相互作用論的アプローチとよぶ。相互作用論アプローチの主要な手法として、「調整変数モデル」と「If-thenパターン」の2つが挙げられる。ここでは、相互作用論的アプローチに基づき、個人の内的性質と状況の相互作用によって他者の行動の一貫性のあり方について理解することを目指す。
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キーワード
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① 人間-状況論争 ② 継時的安定性 ③ 通状況的一貫性 ④ 首尾一貫性 ⑤ 相互作用論的アプローチ
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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9
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知能の定義、構成要素の変遷とアセスメント①
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科目の中での位置付け
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この科目の前半(第2回~第16回)では、心理学におけるパーソナリティの定義やパーソナリティの捉え方、研究手法の歴史的な変遷および現在に至るまでの発展の過程および、パーソナリティの異常とアセスメントおよび支援について学ぶ。第7、8回においては、これまでの講義で説明してきた全てのパーソナリティに関わる理論が依って立つ前提である「個人のパーソナリティは一貫している」ということについて、批判的な観点も含めてどのように考えるべきかについて説明した。第9、10回ではパーソナリティの中に含まれる「知能」に焦点を絞って説明する。 人のパーソナリティの構成要素として「知」・「情」・「意」に分ける考え方がある。第7、8回までの講義においては、外向性、神経質傾向、不安など、パーソナリティの中でも「情」もしくは「意」に当てはまると考えられる要素を扱ってきた。しかし、「知」も我々人間において個々人の性質を表現するものである。実際、心理学の個人差研究において知能研究が果たしてきた役割は非常に大きいと言える。また、知能研究は、現在、臨床心理学において利用されている知能検査の発展に大きく貢献した。 講義の前半では、知能の定義について説明をした後、知能検査の開発の歴史とその発展について学ぶ。知能は様々な能力の複合体であり、現在においても研究者間で完全に一致した定義が定まっているわけではない。しかし、一般的に、心理学においては、「環境への適応能力」、「学習能力」、「抽象的思考力」の3つを知能とする考え方がある。まずこれらの定義について説明する。次に、現在でも使用されている知能検査が何故開発されたのか、またどのように発展してきたのかについての経緯を学ぶ。加えて、知能検査の特徴について学ぶ。特に標準化の作業に着目し、通常の学校の試験とどのように異なるのかを学ぶ。 講義の後半では、再度、「知能」とは何なのかという原点に立ち返り、「知能がどのような構成要素によって成り立っているのか」について学ぶ。知能についての研究は、前半の講義で説明した知能検査を開発する研究から、徐々に知能がどのような構成要素から成り立っているかの研究に移っていった。この背景には、心理学において統計学的手法が確立されてきたことにより、知能研究において第5、6回で説明した因子分析的アプローチが導入できるようになったことがある。ここでは、知能研究における因子分析的アプローチの導入から、近年の発展に至るまでの経緯について学ぶ。
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細目①、②、③ 小塩 真司 (2010). はじめて学ぶパーソナリティ心理学―個性をめぐる冒険― ミネルヴァ書房
細目④ 京都大学心理学連合(編)(2011). 心理学概論 ナカニシヤ出版 ハワード・ガードナー(著)松村暢隆(訳)(2001).MI:個性を生かす多重知能の理論 新曜社
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コマ主題細目
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① 知能の定義 ② 知能検査の開発と知能指数(IQ) ③ 知能の2因子説と多因子説 ④ 多重知能理論
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細目レベル
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① 知能の定義について学ぶ。「知能」という用語を始めて使用したのは19世紀のイギリスの哲学者ハーバード・スペンサーであると言われる。しかし、その後、現在に至るまで知能がどのようなものであるかについては、研究者間で完全に一致しているわけではない。従来の心理学では、知能について3つの視点からの定義が存在する。1つ目は、「反射」や「本能行動」など、全ての動物が持つ「環境への適応能力」である。2つ目は、「試行錯誤学習」や「洞察学習」など経験により身に付けることができる「学習能力」である。3つ目は、人間に固有と考えられている論理操作など抽象的思考力である。これらの知能に対する捉え方は、心理学概論の講義の第11回において説明された行動主義(学習心理学)や、第12回において説明された認知主義(認知心理学)から生まれたものである。ここでは、これらの「知能」の捉え方と、その限界について理解することを目指す。
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② 知能検査の開発の歴史について学ぶ。知能について科学的な研究を始めたのは、ダーウィンの従兄であり、「心理測定の父」と呼ばれるゴールトンであった。ゴールトンは遺伝に着目し、知的能力が親から子へと遺伝すると考え、身体能力や作業能力など様々な測定を行った。しかし、現在の心理学における知能検査はフランスの心理学者ビネーと精神科医シモンによって開発された「ビネー式知能検査」の開発によって始まった。この知能検査には、「標準化」という作業を組み入れることで、ある子どもの知能が同じ年齢の集団内においてどの程度の位置にあるかを測定することができるという特徴がある。この知能検査の特徴について、通常の学校の試験と比較しながら説明する。また、ビネーは知能検査に精神年齢という概念を取り入れたが、これには様々な問題点があった。そのため、イギリスの心理学者シュテルンによって提唱された知能指数(Intelligent Quotient: IQ)が導入された。また、ビネー式知能検査が子どもの知能を測ることを目的としていたのに対し、アメリカの心理学者ウェクスラーは、大人の知能を測定するための検査を開発している。ここでは、知能検査の開発の歴史を学び、知能の測定について理解することを目指す。
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③ 知能の構成要素についての研究の歴史について学ぶ。統計学的手法の発展と共に、第3回において説明したパーソナリティの特性論についての研究同様、知能の研究においても、知能検査開発の研究から「知能がどのような要素によって構成されているか」、すなわち知能の構成要素についての研究へと主軸が移っていった。具体的には、知能検査のデータを基に、因子分析を用いて、知能検査に含まれる下位検査(算数、知識など)をいくつかの要素に分類する試みである。特に、初期の研究において重要なのが、スピアマンの2因子説とサーストンの多因子説である。スピアマンは知能検査の下位検査のデータを因子分析することにより、知能を一般因子gと特殊因子gに分けることができることを示した。これは、複数の検査項目に共通する知能の要素があることを示している。一方で、サーストンは、同様に知能検査のデータを因子分析することで、56の検査項目から7つの知能因子が抽出できることを示しており、スピアマンの一般因子gは見いだせなかったことを示している。知能には一般因子gが存在するのか、それとも複数の因子の組み合わせなのかについての議論はその後も「g因子説」対「モジュール説」という形で継続していくことになる。ここでは、知能における因子分析的アプローチについて理解するとともに、2因子説と多因子説の違いについて理解することを目指す。
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④ ガードナーによる多重知能モデルについて学ぶ。従来の知能研究は、知能検査で測定されたデータを基に因子分析を適用することで知能の要素を抽出するという形で行われてきた。一方で、「従来の知能検査では、人間の知能のあらゆる側面が測定できていない」とする考え方も現れてきた。例えば、学校の成績はトップクラスであっても、就職の面接で落ちてしまうこともある。実際、複数の研究により知能指数が高い人が必ずしも社会的に成功するわけではないことが示されている。こうした経緯を踏まえ、アメリカの心理学者ガードナーは神経心理学や発達心理学の知見を踏まえて、知能を7つに分類する多重知能理論を提唱している。この多重知能理論では、従来の知能とは異なり、音楽的知能、空間的知能、対人的知能などより多面的な形で知能を捉えるところが特徴といえる。ここでは、従来の知能理論の問題点を理解し、多重知能理論が示す新たな知能観の意義について理解することを目指す。
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キーワード
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① 知能検査 ② 精神年齢 ③ 知能指数 ④ 2因子説と多因子説 ⑤ 多重知能理論
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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10
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知能の定義、構成要素の変遷とアセスメント②
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科目の中での位置付け
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この科目の前半(第2回~第16回)では、心理学におけるパーソナリティの定義やパーソナリティの捉え方、研究手法の歴史的な変遷および現在に至るまでの発展の過程および、パーソナリティの異常とアセスメントおよび支援について学ぶ。第7、8回においては、これまでの講義で説明してきた全てのパーソナリティに関わる理論が依って立つ前提である「個人のパーソナリティは一貫している」ということについて、批判的な観点も含めてどのように考えるべきかについて説明した。第9、10回ではパーソナリティの中に含まれる「知能」に焦点を絞って説明する。 人のパーソナリティの構成要素として「知」・「情」・「意」に分ける考え方がある。第7、8回までの講義においては、外向性、神経質傾向、不安など、パーソナリティの中でも「情」もしくは「意」に当てはまると考えられる要素を扱ってきた。しかし、「知」も我々人間において個々人の性質を表現するものである。実際、心理学の個人差研究において知能研究が果たしてきた役割は非常に大きいと言える。また、知能研究は、現在、臨床心理学において利用されている知能検査の発展に大きく貢献した。 講義の前半では、知能の定義について説明をした後、知能検査の開発の歴史とその発展について学ぶ。知能は様々な能力の複合体であり、現在においても研究者間で完全に一致した定義が定まっているわけではない。しかし、一般的に、心理学においては、「環境への適応能力」、「学習能力」、「抽象的思考力」の3つを知能とする考え方がある。まずこれらの定義について説明する。次に、現在でも使用されている知能検査が何故開発されたのか、またどのように発展してきたのかについての経緯を学ぶ。加えて、知能検査の特徴について学ぶ。特に標準化の作業に着目し、通常の学校の試験とどのように異なるのかを学ぶ。 講義の後半では、再度、「知能」とは何なのかという原点に立ち返り、「知能がどのような構成要素によって成り立っているのか」について学ぶ。知能についての研究は、前半の講義で説明した知能検査を開発する研究から、徐々に知能がどのような構成要素から成り立っているかの研究に移っていった。この背景には、心理学において統計学的手法が確立されてきたことにより、知能研究において第5、6回で説明した因子分析的アプローチが導入できるようになったことがある。ここでは、知能研究における因子分析的アプローチの導入から、近年の発展に至るまでの経緯について学ぶ。
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細目①、②、③ 小塩 真司 (2010). はじめて学ぶパーソナリティ心理学―個性をめぐる冒険― ミネルヴァ書房
細目④ 京都大学心理学連合(編)(2011). 心理学概論 ナカニシヤ出版 ハワード・ガードナー(著)松村暢隆(訳)(2001).MI:個性を生かす多重知能の理論 新曜社
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コマ主題細目
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① 知能の定義 ② 知能検査の開発と知能指数(IQ) ③ 知能の2因子説と多因子説 ④ 多重知能理論
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細目レベル
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① 知能の定義について学ぶ。「知能」という用語を始めて使用したのは19世紀のイギリスの哲学者ハーバード・スペンサーであると言われる。しかし、その後、現在に至るまで知能がどのようなものであるかについては、研究者間で完全に一致しているわけではない。従来の心理学では、知能について3つの視点からの定義が存在する。1つ目は、「反射」や「本能行動」など、全ての動物が持つ「環境への適応能力」である。2つ目は、「試行錯誤学習」や「洞察学習」など経験により身に付けることができる「学習能力」である。3つ目は、人間に固有と考えられている論理操作など抽象的思考力である。これらの知能に対する捉え方は、心理学概論の講義の第11回において説明された行動主義(学習心理学)や、第12回において説明された認知主義(認知心理学)から生まれたものである。ここでは、これらの「知能」の捉え方と、その限界について理解することを目指す。
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② 知能検査の開発の歴史について学ぶ。知能について科学的な研究を始めたのは、ダーウィンの従兄であり、「心理測定の父」と呼ばれるゴールトンであった。ゴールトンは遺伝に着目し、知的能力が親から子へと遺伝すると考え、身体能力や作業能力など様々な測定を行った。しかし、現在の心理学における知能検査はフランスの心理学者ビネーと精神科医シモンによって開発された「ビネー式知能検査」の開発によって始まった。この知能検査には、「標準化」という作業を組み入れることで、ある子どもの知能が同じ年齢の集団内においてどの程度の位置にあるかを測定することができるという特徴がある。この知能検査の特徴について、通常の学校の試験と比較しながら説明する。また、ビネーは知能検査に精神年齢という概念を取り入れたが、これには様々な問題点があった。そのため、イギリスの心理学者シュテルンによって提唱された知能指数(Intelligent Quotient: IQ)が導入された。また、ビネー式知能検査が子どもの知能を測ることを目的としていたのに対し、アメリカの心理学者ウェクスラーは、大人の知能を測定するための検査を開発している。ここでは、知能検査の開発の歴史を学び、知能の測定について理解することを目指す。
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③ 知能の構成要素についての研究の歴史について学ぶ。統計学的手法の発展と共に、第3回において説明したパーソナリティの特性論についての研究同様、知能の研究においても、知能検査開発の研究から「知能がどのような要素によって構成されているか」、すなわち知能の構成要素についての研究へと主軸が移っていった。具体的には、知能検査のデータを基に、因子分析を用いて、知能検査に含まれる下位検査(算数、知識など)をいくつかの要素に分類する試みである。特に、初期の研究において重要なのが、スピアマンの2因子説とサーストンの多因子説である。スピアマンは知能検査の下位検査のデータを因子分析することにより、知能を一般因子gと特殊因子gに分けることができることを示した。これは、複数の検査項目に共通する知能の要素があることを示している。一方で、サーストンは、同様に知能検査のデータを因子分析することで、56の検査項目から7つの知能因子が抽出できることを示しており、スピアマンの一般因子gは見いだせなかったことを示している。知能には一般因子gが存在するのか、それとも複数の因子の組み合わせなのかについての議論はその後も「g因子説」対「モジュール説」という形で継続していくことになる。ここでは、知能における因子分析的アプローチについて理解するとともに、2因子説と多因子説の違いについて理解することを目指す。
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④ ガードナーによる多重知能モデルについて学ぶ。従来の知能研究は、知能検査で測定されたデータを基に因子分析を適用することで知能の要素を抽出するという形で行われてきた。一方で、「従来の知能検査では、人間の知能のあらゆる側面が測定できていない」とする考え方も現れてきた。例えば、学校の成績はトップクラスであっても、就職の面接で落ちてしまうこともある。実際、複数の研究により知能指数が高い人が必ずしも社会的に成功するわけではないことが示されている。こうした経緯を踏まえ、アメリカの心理学者ガードナーは神経心理学や発達心理学の知見を踏まえて、知能を7つに分類する多重知能理論を提唱している。この多重知能理論では、従来の知能とは異なり、音楽的知能、空間的知能、対人的知能などより多面的な形で知能を捉えるところが特徴といえる。ここでは、従来の知能理論の問題点を理解し、多重知能理論が示す新たな知能観の意義について理解することを目指す。
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キーワード
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① 知能検査 ② 精神年齢 ③ 知能指数 ④ 2因子説と多因子説 ⑤ 多重知能理論
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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11
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生まれか育ちか?(遺伝と環境がパーソナリティに与える影響)①
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科目の中での位置付け
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この科目の前半(第2回~第16回)では、心理学におけるパーソナリティの定義やパーソナリティの捉え方、研究手法の歴史的な変遷および現在に至るまでの発展の過程および、パーソナリティの異常とアセスメントおよび支援について学ぶ。第9、10回においては、知能の定義と知能検査の開発の歴史、および知能の構成要素についての研究の展開について説明した。第11、12回では、遺伝と環境がパーソナリティにどのように影響を与えるかを学ぶ。この「遺伝か環境か」という問題は、これまでのパーソナリティ研究史上における中心的な問いの一つであった。 講義の前半では、パーソナリティの形成に重要なのは「遺伝か環境か」ということについて、中世ヨーロッパにおけるデカルトの生得説とロックの経験説の対立を軸にして学ぶ。この中世における生得説と経験説の対立は近代の心理学にも引き継がれており、ゲゼルの成熟優位説や、ワトソンによる行動主義にも影響を与えたことについても説明する。 講義の後半では、心理学者がそれまでの「遺伝か環境か」という二者択一的な考え方から、徐々に「遺伝も環境も」という考え方に変化していた経緯について学ぶ。具体的には、黎明期の理論であるドイツの心理学者シュテルンの「輻輳説」から、アメリカの心理学者ジェンセンの「環境閾値説」などを紹介し、発達における遺伝と環境の相互作用についての研究の歴史について学ぶ。
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細目①、② 小塩 真司 (2010). はじめて学ぶパーソナリティ心理学―個性をめぐる冒険― ミネルヴァ書房
細目③、④ 鈴木 公啓(編)(2012). 心理学における「性格」の位置づけ, 3, パーソナリティ心理学概論 ナカニシヤ出版
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コマ主題細目
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① 生得説と経験説 ② 行動主義と成熟優位説 ③ 輻輳説と環境閾値説 ④ 遺伝と環境の相互作用
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細目レベル
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① 「遺伝か環境か」論争の始まりとなった中世ヨーロッパにおける生得説と経験説の対立について学ぶ。中世ヨーロッパにおいてフランスの哲学者デカルトは、人間の「こころ」の働きは生まれつき備わっていると考えた(生得説)。一方で、イギリスの哲学者ロックは、人間の「こころ」は生まれたときは白紙(タブララサ)のようなものであると考えた。この生得説と経験説の考え方は、その後の心理学の歴史において大きく影響を与えた。ここでは、生得説と経験説の考え方について理解することを目指す。
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② 生得説と経験説の対立は、心理学の黎明期から成長期にも大きく影響した。そこで、近・現代心理学における「遺伝か環境か」の対立の歴史について学ぶ。まず、心理学の黎明期の研究として、人のあり方が遺伝によるものとするゴールトンの家系調査について学ぶ。第5回においても述べたとおり、ゴールトンは人の個人差における遺伝の役割を重視していた。しかし、ゴールトンは遺伝の役割について極端な立場を取ったため、人種改良などを目指す優生学の成立に繋がった。これに対して、経験を重視する立場としてワトソンの行動主義がある。ワトソンは優生学への反発から、動物や人間の行動は反射などを除いて全て学習によって成立するとした(経験主義)。このような極端な経験主義に対する批判として、ゲゼルの成熟優位説がある。 このように、近・現代心理学の歴史上においても「遺伝か環境か」は中心的な論点であった。ここでは、ゴールトンから始まる近現代心理学における「遺伝か環境か」論争について知り、その問題点について理解することを目指す。
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③ 「遺伝か環境か」の対立を経て、心理学者がこころの形成において「遺伝も環境も」重要であるという考え方に至った経緯と、遺伝と環境の相互作用についての理論について学ぶ。まず、黎明期の研究として、ドイツの心理学者シュテルンの輻輳説について学ぶ。これは、「すべての特性は遺伝と環境の総和で決まる」とする説である。この説は遺伝と環境のいずれもがパーソナリティ形成に影響すると考えた点で革新的であった。ただし、遺伝と環境を完全に独立した存在として捉えており、遺伝と環境の相互作用については考慮していなかった。それに対して、アメリカの心理学者ジェンセンは、「遺伝の影響が発現するために必要な環境的要因の程度(閾値)が存在する」という環境閾値説を提唱した。この説は遺伝的要因の影響が環境要因によって左右されるとする点で、遺伝と環境の相互作用を考慮した説と言える。ここでは、パーソナリティ形成における「遺伝と環境」の影響についての研究の歴史上において重要な役割を果たした輻輳説と環境閾値説の考え方について理解することを目指す。
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④ サメロフとチャンドラーの相乗的相互作用モデルについて学ぶ。ジェンセンの環境閾値説はパーソナリティ形成における遺伝と環境の相互作用を考慮した初めての理論であった。ただし、この環境閾値説は遺伝と環境のうち、遺伝的要因をより重視したモデルであった。これに対して、アメリカの心理学者サメロフとチャンドラーは「相乗的相互作用説」を提唱している。この説は、母子間の相互作用に着目したものである。具体的には、生まれつき備わった「こどもの気質」と「養育者の態度や関わり方」が時間経過の中で、絶え間なく相互に作用しあい、後のパーソナリティが形成されていくとするモデルである。このモデルは、遺伝と環境の相互作用について発展させ、かつ時間軸の概念を取り入れた点で特筆すべきモデルといえる。ここでは、相乗的相互作用モデルの考え方について理解するとともに、それぞれのモデルにおける「遺伝と環境の相互作用」についての考え方を整理することを目指す。
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キーワード
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① 生得説 ② 経験説 ③ 輻輳説 ④ 環境閾値説 ⑤ 相乗的相互作用説
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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12
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生まれか育ちか?(遺伝と環境がパーソナリティに与える影響)②
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科目の中での位置付け
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この科目の前半(第2回~第16回)では、心理学におけるパーソナリティの定義やパーソナリティの捉え方、研究手法の歴史的な変遷および現在に至るまでの発展の過程および、パーソナリティの異常とアセスメントおよび支援について学ぶ。第9、10回においては、知能の定義と知能検査の開発の歴史、および知能の構成要素についての研究の展開について説明した。第11、12回では、遺伝と環境がパーソナリティにどのように影響を与えるかを学ぶ。この「遺伝か環境か」という問題は、これまでのパーソナリティ研究史上における中心的な問いの一つであった。 講義の前半では、パーソナリティの形成に重要なのは「遺伝か環境か」ということについて、中世ヨーロッパにおけるデカルトの生得説とロックの経験説の対立を軸にして学ぶ。この中世における生得説と経験説の対立は近代の心理学にも引き継がれており、ゲゼルの成熟優位説や、ワトソンによる行動主義にも影響を与えたことについても説明する。 講義の後半では、心理学者がそれまでの「遺伝か環境か」という二者択一的な考え方から、徐々に「遺伝も環境も」という考え方に変化していた経緯について学ぶ。具体的には、黎明期の理論であるドイツの心理学者シュテルンの「輻輳説」から、アメリカの心理学者ジェンセンの「環境閾値説」などを紹介し、発達における遺伝と環境の相互作用についての研究の歴史について学ぶ。
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細目①、② 小塩 真司 (2010). はじめて学ぶパーソナリティ心理学―個性をめぐる冒険― ミネルヴァ書房
細目③、④ 鈴木 公啓(編)(2012). 心理学における「性格」の位置づけ, 3, パーソナリティ心理学概論 ナカニシヤ出版
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コマ主題細目
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① 生得説と経験説 ② 行動主義と成熟優位説 ③ 輻輳説と環境閾値説 ④ 遺伝と環境の相互作用
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細目レベル
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① 「遺伝か環境か」論争の始まりとなった中世ヨーロッパにおける生得説と経験説の対立について学ぶ。中世ヨーロッパにおいてフランスの哲学者デカルトは、人間の「こころ」の働きは生まれつき備わっていると考えた(生得説)。一方で、イギリスの哲学者ロックは、人間の「こころ」は生まれたときは白紙(タブララサ)のようなものであると考えた。この生得説と経験説の考え方は、その後の心理学の歴史において大きく影響を与えた。ここでは、生得説と経験説の考え方について理解することを目指す。
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② 生得説と経験説の対立は、心理学の黎明期から成長期にも大きく影響した。そこで、近・現代心理学における「遺伝か環境か」の対立の歴史について学ぶ。まず、心理学の黎明期の研究として、人のあり方が遺伝によるものとするゴールトンの家系調査について学ぶ。第5回においても述べたとおり、ゴールトンは人の個人差における遺伝の役割を重視していた。しかし、ゴールトンは遺伝の役割について極端な立場を取ったため、人種改良などを目指す優生学の成立に繋がった。これに対して、経験を重視する立場としてワトソンの行動主義がある。ワトソンは優生学への反発から、動物や人間の行動は反射などを除いて全て学習によって成立するとした(経験主義)。このような極端な経験主義に対する批判として、ゲゼルの成熟優位説がある。 このように、近・現代心理学の歴史上においても「遺伝か環境か」は中心的な論点であった。ここでは、ゴールトンから始まる近現代心理学における「遺伝か環境か」論争について知り、その問題点について理解することを目指す。
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③ 「遺伝か環境か」の対立を経て、心理学者がこころの形成において「遺伝も環境も」重要であるという考え方に至った経緯と、遺伝と環境の相互作用についての理論について学ぶ。まず、黎明期の研究として、ドイツの心理学者シュテルンの輻輳説について学ぶ。これは、「すべての特性は遺伝と環境の総和で決まる」とする説である。この説は遺伝と環境のいずれもがパーソナリティ形成に影響すると考えた点で革新的であった。ただし、遺伝と環境を完全に独立した存在として捉えており、遺伝と環境の相互作用については考慮していなかった。それに対して、アメリカの心理学者ジェンセンは、「遺伝の影響が発現するために必要な環境的要因の程度(閾値)が存在する」という環境閾値説を提唱した。この説は遺伝的要因の影響が環境要因によって左右されるとする点で、遺伝と環境の相互作用を考慮した説と言える。ここでは、パーソナリティ形成における「遺伝と環境」の影響についての研究の歴史上において重要な役割を果たした輻輳説と環境閾値説の考え方について理解することを目指す。
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④ サメロフとチャンドラーの相乗的相互作用モデルについて学ぶ。ジェンセンの環境閾値説はパーソナリティ形成における遺伝と環境の相互作用を考慮した初めての理論であった。ただし、この環境閾値説は遺伝と環境のうち、遺伝的要因をより重視したモデルであった。これに対して、アメリカの心理学者サメロフとチャンドラーは「相乗的相互作用説」を提唱している。この説は、母子間の相互作用に着目したものである。具体的には、生まれつき備わった「こどもの気質」と「養育者の態度や関わり方」が時間経過の中で、絶え間なく相互に作用しあい、後のパーソナリティが形成されていくとするモデルである。このモデルは、遺伝と環境の相互作用について発展させ、かつ時間軸の概念を取り入れた点で特筆すべきモデルといえる。ここでは、相乗的相互作用モデルの考え方について理解するとともに、それぞれのモデルにおける「遺伝と環境の相互作用」についての考え方を整理することを目指す。
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キーワード
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① 生得説 ② 経験説 ③ 輻輳説 ④ 環境閾値説 ⑤ 相乗的相互作用説
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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13
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行動遺伝学と遺伝率①
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科目の中での位置付け
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この科目の前半(第2回~第16回)では、心理学におけるパーソナリティの定義やパーソナリティの捉え方、研究手法の歴史的な変遷および現在に至るまでの発展の過程および、パーソナリティの異常とアセスメントおよび支援について学ぶ。第11、12回においては、遺伝と環境がパーソナリティにどのように影響を与えるかを学んだ。特に、「遺伝か環境か」という対立から、遺伝と環境の相互作用へと考え方が変化していった経緯と、主要な理論の内容について学んだ。 第13、14回では、パーソナリティの形成における遺伝と環境の相互作用について、現代の研究において中心的な役割を果たしている行動遺伝学の手法と考え方について学ぶ。 講義の前半では、行動遺伝学の手法の中でも最もよく使われる手法である双生児法について学ぶ。双生児法では、一卵性双生児と二卵性双生児を比較することで、個人差に及ぼす遺伝の影響を調べる。この双生児法における遺伝と環境の影響の考え方について説明する。また、双生児法を用いた研究によって明らかになってきたパーソナリティ特性における遺伝率と、発達過程における遺伝率の変化について学ぶ。双生児研究では、身体的特徴はほとんど遺伝によって決まること、5因子などのパーソナリティ特性には遺伝と環境がおよそ半々で影響することが示されている。加えて、第11、12回で説明したように、遺伝と環境は独立にパーソナリティに影響するわけではない。実際には、遺伝の発現の仕方は環境によって異なることが示されている。ここでは、遺伝の発現が環境によってどのように調整されるかについて学ぶ。 講義の後半では、前半の講義内容についての振り返りを行う。心理学におけるパーソナリティの捉え方から、各用語の定義、類型論から特性論に至るまでの歴史的変遷、およびパーソナリティの一貫性についての考え方、知能検査と知能の捉え方、遺伝と環境がパーソナリティに果たす役割など、ここまでの講義で説明してきた内容について復習を行うことを通じて理解を深める。
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細目①、② 鈴木 公啓(編)(2012). パーソナリティ心理学概論 ナカニシヤ出版
細目③、④、⑤ 中間 玲子 (2020). 感情・人格心理学―「その人らしさ」をかたちづくるもの― ミネルヴァ書房
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コマ主題細目
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① 行動遺伝学と双生児法 ② 遺伝と環境の相互作用 ③ パーソナリティ心理学についての復習
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細目レベル
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① パーソナリティ形成における遺伝と環境の影響について調べる学問である行動遺伝学について学ぶ。行動遺伝学の中心的な手法として、双生児法について学ぶ。双生児法とは、遺伝子を100%共有している一卵性双生児と50%共有している二卵性双生児を比較することにより、遺伝の影響と環境の影響について明らかにする手法である。行動遺伝学では、ふたごに与える遺伝と環境の影響を3つに分けて考える。すなわち、遺伝の影響と、ふたごが共有している家庭環境(共有環境)の影響、ふたごがそれぞれに経験した固有環境(非共有環境)の影響である。また、これらのうち、遺伝によって説明される個人差の割合を「遺伝率」と呼ぶ。ここでは、行動遺伝学の考え方および、双生児法における遺伝と環境の影響についての考え方を理解することを目指す。
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② 行動遺伝学的アプローチによるパーソナリティ形成における遺伝と環境の相互作用について学ぶ。双生児法を用いた研究では、基本的に遺伝と環境のそれぞれの効果を独立したものとして扱う。しかし、第6回において説明した通り、実際のパーソナリティ形成においては、遺伝と環境は完全に独立に影響するわけではなく、遺伝と環境は相互作用的に影響することが明らかになっている。例えば、ある特定の遺伝子を持った人が特定の環境を経験しやすくなること(遺伝環境相関)や、異なる遺伝子型を持った人が、同じ環境に対して異なる反応をすること(遺伝環境交互作用)などが示されている。ここでは、パーソナリティにおける遺伝と環境の相互作用についての考え方について理解することを目指す。
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③ 前半の講義内容、パーソナリティ心理学についての振り返りを行う。まず心理学におけるパーソナリティ心理学の位置づけおよび、パーソナリティ心理学における各用語(パーソナリティ、人格、性格、気質など)の定義について確認する。次に、四体液説、骨相学などの類型論から、ビッグファイブなどの特性論に至るまでの歴史的変遷、および、パーソナリティの一貫性についての考え方について確認する。また、知能検査と知能の捉え方、遺伝と環境がパーソナリティに果たす役割などを確認する。ここでは、これまでの講義において説明してきた内容について復習することを通じて理解を深めることを目指す。
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キーワード
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① 行動遺伝学 ② 双生児法 ③ 遺伝率 ④ パーソナリティ心理学についての復習
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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行動遺伝学と遺伝率②
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科目の中での位置付け
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この科目の前半(第2回~第16回)では、心理学におけるパーソナリティの定義やパーソナリティの捉え方、研究手法の歴史的な変遷および現在に至るまでの発展の過程および、パーソナリティの異常とアセスメントおよび支援について学ぶ。第11、12回においては、遺伝と環境がパーソナリティにどのように影響を与えるかを学んだ。特に、「遺伝か環境か」という対立から、遺伝と環境の相互作用へと考え方が変化していった経緯と、主要な理論の内容について学んだ。 第13、14回では、パーソナリティの形成における遺伝と環境の相互作用について、現代の研究において中心的な役割を果たしている行動遺伝学の手法と考え方について学ぶ。 講義の前半では、行動遺伝学の手法の中でも最もよく使われる手法である双生児法について学ぶ。双生児法では、一卵性双生児と二卵性双生児を比較することで、個人差に及ぼす遺伝の影響を調べる。この双生児法における遺伝と環境の影響の考え方について説明する。また、双生児法を用いた研究によって明らかになってきたパーソナリティ特性における遺伝率と、発達過程における遺伝率の変化について学ぶ。双生児研究では、身体的特徴はほとんど遺伝によって決まること、5因子などのパーソナリティ特性には遺伝と環境がおよそ半々で影響することが示されている。加えて、第11、12回で説明したように、遺伝と環境は独立にパーソナリティに影響するわけではない。実際には、遺伝の発現の仕方は環境によって異なることが示されている。ここでは、遺伝の発現が環境によってどのように調整されるかについて学ぶ。 講義の後半では、前半の講義内容についての振り返りを行う。心理学におけるパーソナリティの捉え方から、各用語の定義、類型論から特性論に至るまでの歴史的変遷、およびパーソナリティの一貫性についての考え方、知能検査と知能の捉え方、遺伝と環境がパーソナリティに果たす役割など、ここまでの講義で説明してきた内容について復習を行うことを通じて理解を深める。
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細目①、② 鈴木 公啓(編)(2012). パーソナリティ心理学概論 ナカニシヤ出版
細目③、④、⑤ 中間 玲子 (2020). 感情・人格心理学―「その人らしさ」をかたちづくるもの― ミネルヴァ書房
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コマ主題細目
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① 行動遺伝学と双生児法 ② 遺伝と環境の相互作用 ③ パーソナリティ心理学についての復習
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細目レベル
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① パーソナリティ形成における遺伝と環境の影響について調べる学問である行動遺伝学について学ぶ。行動遺伝学の中心的な手法として、双生児法について学ぶ。双生児法とは、遺伝子を100%共有している一卵性双生児と50%共有している二卵性双生児を比較することにより、遺伝の影響と環境の影響について明らかにする手法である。行動遺伝学では、ふたごに与える遺伝と環境の影響を3つに分けて考える。すなわち、遺伝の影響と、ふたごが共有している家庭環境(共有環境)の影響、ふたごがそれぞれに経験した固有環境(非共有環境)の影響である。また、これらのうち、遺伝によって説明される個人差の割合を「遺伝率」と呼ぶ。ここでは、行動遺伝学の考え方および、双生児法における遺伝と環境の影響についての考え方を理解することを目指す。
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② 行動遺伝学的アプローチによるパーソナリティ形成における遺伝と環境の相互作用について学ぶ。双生児法を用いた研究では、基本的に遺伝と環境のそれぞれの効果を独立したものとして扱う。しかし、第6回において説明した通り、実際のパーソナリティ形成においては、遺伝と環境は完全に独立に影響するわけではなく、遺伝と環境は相互作用的に影響することが明らかになっている。例えば、ある特定の遺伝子を持った人が特定の環境を経験しやすくなること(遺伝環境相関)や、異なる遺伝子型を持った人が、同じ環境に対して異なる反応をすること(遺伝環境交互作用)などが示されている。ここでは、パーソナリティにおける遺伝と環境の相互作用についての考え方について理解することを目指す。
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③ 前半の講義内容、パーソナリティ心理学についての振り返りを行う。まず心理学におけるパーソナリティ心理学の位置づけおよび、パーソナリティ心理学における各用語(パーソナリティ、人格、性格、気質など)の定義について確認する。次に、四体液説、骨相学などの類型論から、ビッグファイブなどの特性論に至るまでの歴史的変遷、および、パーソナリティの一貫性についての考え方について確認する。また、知能検査と知能の捉え方、遺伝と環境がパーソナリティに果たす役割などを確認する。ここでは、これまでの講義において説明してきた内容について復習することを通じて理解を深めることを目指す。
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キーワード
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① 行動遺伝学 ② 双生児法 ③ 遺伝率 ④ パーソナリティ心理学についての復習
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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15
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パーソナリティの正常・異常の基準とパーソナリティ障害①
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科目の中での位置付け
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この科目の前半(第2回~第16回)では、心理学におけるパーソナリティの定義やパーソナリティの捉え方、研究手法の歴史的な変遷および現在に至るまでの発展の過程および、パーソナリティの異常とアセスメントおよび支援について学ぶ。第13、14回においては、パーソナリティ形成における遺伝と環境の相互作用についての研究分野である行動遺伝学の考え方について学んだ。特に、行動遺伝学の主要な手法である双生児法を取り上げ、その特徴と限界について学んだ。第15、16回では、パーソナリティの異常、すなわちパーソナリティ障害の定義と分類、およびパーソナリティ障害の原因について学ぶ。パーソナリティ障害について知ることは、正常なパーソナリティについて理解を深める上で重要である。 講義の前半では、「正常なパーソナリティとは何か」、「パーソナリティの正常と異常を区別する基準とは何なのか」について、精神医学的基準と臨床心理学的基準から説明する。また、パーソナリティ障害の定義および分類についての歴史について説明する。具体的には、最初期のクレペリンによる定義および分類から、現代の米国精神医学会の診断基準であるDSM-5による定義および分類まで説明する。 講義の後半では、パーソナリティ障害の連続性についての考え方と、原因モデルについて学ぶ。従来のパーソナリティ障害の分類では、パーソナリティ障害を類型論的に分類することで健常者とは質的に異なるものとして捉えてきたが、現在では、正常なパーソナリティと異常なパーソナリティの間の連続性を仮定する考え方も取り入れられている。こうした連続性を仮定した場合の研究について説明する。また、パーソナリティ障害の原因については未だ明らかになっているわけではないが、現在、パーソナリティ形成における遺伝と環境の相互作用についての考え方を取り入れた原因モデルが提案されている。そこで、いくつかのパーソナリティ障害の原因モデルについて説明する。
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細目①、② 杉浦 義典(編)(2020). 公認心理師の基礎と実践9 感情・人格心理学 遠見書房
細目③、④、⑤ 中間 玲子 (2020). 感情・人格心理学―「その人らしさ」をかたちづくるもの― ミネルヴァ書房
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コマ主題細目
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① パーソナリティの正常と異常 ② パーソナリティ障害の定義 ③ 医学モデルと連続モデル ④ パーソナリティ障害の原因モデル
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細目レベル
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① パーソナリティを正常と異常に分ける基準について学ぶ。正常なパーソナリティとはどのようなものかについて、Smith et al. (2003) のパーソナリティ正常性の基準にもとづいて説明を行う。また、医学モデルに基づく精神医学的基準と、個人や周囲が問題を抱えているか否かで判断する臨床心理学的基準でも正常と異常の判断は異なることを説明する。とりわけ、臨床心理学的なアセスメントを実施する際においては、臨床心理学的基準についてしっかり理解しておくことが求められる。ここでは、パーソナリティの正常と異常がどのように分けられるのか、その判断の基準について、医学モデルと臨床心理学モデルの両面から理解することを目指す。
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② パーソナリティ障害の定義について学ぶ。パーソナリティ障害の捉え方や分類方法は、時代や研究者によって様々であった。例えば、最初期にパーソナリティ障害(従来は精神病質人格と呼ばれていた)を定義、分類したクレペリンは、パーソナリティ障害を正常と精神病の中間に位置すると考えていた。一方で、シュナイダーはパーソナリティ障害を正常からの逸脱として捉えていた。このような考え方の変遷を経て、現在では、米国精神医学会の作成している「精神障害の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual for Mental Disorders: DSM)」や、世界保健機関による国際疾病分類(ICD)によって、国際的に統一された分類および診断の基準が作成されている。ここでは、パーソナリティ障害の定義および分類の歴史的変遷と、現在の医療・臨床場面で用いられている診断基準について理解することを目指す。
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③ 従来の医学モデルによってパーソナリティ障害を捉えることの問題点と、パーソナリティ障害を正常と病理の連続性の中で捉える近年の考え方について学ぶ。DSMを含めた従来の医学モデルではパーソナリティ障害をカテゴリによって分類することで捉えてきた。この医学モデルでは、第2回の講義で説明したパーソナリティの類型論と同様、類型に基づいてパーソナリティ障害を分類するという点で様々な問題があった。こうした従来の医学モデルに対して、近年、正常と異常は連続的に変化するとする連続モデルの考え方も取り入れられつつある。特に、正常と異常の間に連続性が仮定される場合の研究手法としてアナログ研究を紹介する。ここでは、従来の医学モデルの問題点を抑えつつ、パーソナリティと病理の連続性についての近年の考え方と研究手法について理解することを目指す。
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④ パーソナリティ障害の原因モデルとして,脆弱性ストレスモデルおよび被影響性モデルについて学ぶ。第6、7回の講義において、現在のパーソナリティ研究では、パーソナリティの形成において遺伝と環境の相互作用が重視されていることを学んだ。現状において、パーソナリティ障害の原因についてはほとんど解明されていないが、やはり遺伝と環境の相互作用によって生じるとする考え方が中心となりつつある。例えば、個人が持つ脆弱性(素因)の違いにより、ストレスから受ける影響の大きさが異なり、病理の発症しやすさが異なるとする脆弱性ストレスモデルなどが挙げられる。ここでは、パーソナリティ障害を生じる原因モデルとして脆弱性ストレスモデルと被影響性モデルについて学び、パーソナリティ障害の原因について理解を深めることを目指す。
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キーワード
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① パーソナリティの正常と異常 ② 医学モデルと連続モデル ③ アナログ研究 ④ 脆弱性ストレスモデル ⑤ 被影響性モデル
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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16
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パーソナリティの正常・異常の基準とパーソナリティ障害②
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科目の中での位置付け
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この科目の前半(第2回~第16回)では、心理学におけるパーソナリティの定義やパーソナリティの捉え方、研究手法の歴史的な変遷および現在に至るまでの発展の過程および、パーソナリティの異常とアセスメントおよび支援について学ぶ。第13、14回においては、パーソナリティ形成における遺伝と環境の相互作用についての研究分野である行動遺伝学の考え方について学んだ。特に、行動遺伝学の主要な手法である双生児法を取り上げ、その特徴と限界について学んだ。第15、16回では、パーソナリティの異常、すなわちパーソナリティ障害の定義と分類、およびパーソナリティ障害の原因について学ぶ。パーソナリティ障害について知ることは、正常なパーソナリティについて理解を深める上で重要である。 講義の前半では、「正常なパーソナリティとは何か」、「パーソナリティの正常と異常を区別する基準とは何なのか」について、精神医学的基準と臨床心理学的基準から説明する。また、パーソナリティ障害の定義および分類についての歴史について説明する。具体的には、最初期のクレペリンによる定義および分類から、現代の米国精神医学会の診断基準であるDSM-5による定義および分類まで説明する。 講義の後半では、パーソナリティ障害の連続性についての考え方と、原因モデルについて学ぶ。従来のパーソナリティ障害の分類では、パーソナリティ障害を類型論的に分類することで健常者とは質的に異なるものとして捉えてきたが、現在では、正常なパーソナリティと異常なパーソナリティの間の連続性を仮定する考え方も取り入れられている。こうした連続性を仮定した場合の研究について説明する。また、パーソナリティ障害の原因については未だ明らかになっているわけではないが、現在、パーソナリティ形成における遺伝と環境の相互作用についての考え方を取り入れた原因モデルが提案されている。そこで、いくつかのパーソナリティ障害の原因モデルについて説明する。
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細目①、② 杉浦 義典(編)(2020). 公認心理師の基礎と実践9 感情・人格心理学 遠見書房
細目③、④、⑤ 中間 玲子 (2020). 感情・人格心理学―「その人らしさ」をかたちづくるもの― ミネルヴァ書房
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コマ主題細目
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① パーソナリティの正常と異常 ② パーソナリティ障害の定義 ③ 医学モデルと連続モデル ④ パーソナリティ障害の原因モデル
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細目レベル
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① パーソナリティを正常と異常に分ける基準について学ぶ。正常なパーソナリティとはどのようなものかについて、Smith et al. (2003) のパーソナリティ正常性の基準にもとづいて説明を行う。また、医学モデルに基づく精神医学的基準と、個人や周囲が問題を抱えているか否かで判断する臨床心理学的基準でも正常と異常の判断は異なることを説明する。とりわけ、臨床心理学的なアセスメントを実施する際においては、臨床心理学的基準についてしっかり理解しておくことが求められる。ここでは、パーソナリティの正常と異常がどのように分けられるのか、その判断の基準について、医学モデルと臨床心理学モデルの両面から理解することを目指す。
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② パーソナリティ障害の定義について学ぶ。パーソナリティ障害の捉え方や分類方法は、時代や研究者によって様々であった。例えば、最初期にパーソナリティ障害(従来は精神病質人格と呼ばれていた)を定義、分類したクレペリンは、パーソナリティ障害を正常と精神病の中間に位置すると考えていた。一方で、シュナイダーはパーソナリティ障害を正常からの逸脱として捉えていた。このような考え方の変遷を経て、現在では、米国精神医学会の作成している「精神障害の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual for Mental Disorders: DSM)」や、世界保健機関による国際疾病分類(ICD)によって、国際的に統一された分類および診断の基準が作成されている。ここでは、パーソナリティ障害の定義および分類の歴史的変遷と、現在の医療・臨床場面で用いられている診断基準について理解することを目指す。
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③ 従来の医学モデルによってパーソナリティ障害を捉えることの問題点と、パーソナリティ障害を正常と病理の連続性の中で捉える近年の考え方について学ぶ。DSMを含めた従来の医学モデルではパーソナリティ障害をカテゴリによって分類することで捉えてきた。この医学モデルでは、第2回の講義で説明したパーソナリティの類型論と同様、類型に基づいてパーソナリティ障害を分類するという点で様々な問題があった。こうした従来の医学モデルに対して、近年、正常と異常は連続的に変化するとする連続モデルの考え方も取り入れられつつある。特に、正常と異常の間に連続性が仮定される場合の研究手法としてアナログ研究を紹介する。ここでは、従来の医学モデルの問題点を抑えつつ、パーソナリティと病理の連続性についての近年の考え方と研究手法について理解することを目指す。
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④ パーソナリティ障害の原因モデルとして,脆弱性ストレスモデルおよび被影響性モデルについて学ぶ。第6、7回の講義において、現在のパーソナリティ研究では、パーソナリティの形成において遺伝と環境の相互作用が重視されていることを学んだ。現状において、パーソナリティ障害の原因についてはほとんど解明されていないが、やはり遺伝と環境の相互作用によって生じるとする考え方が中心となりつつある。例えば、個人が持つ脆弱性(素因)の違いにより、ストレスから受ける影響の大きさが異なり、病理の発症しやすさが異なるとする脆弱性ストレスモデルなどが挙げられる。ここでは、パーソナリティ障害を生じる原因モデルとして脆弱性ストレスモデルと被影響性モデルについて学び、パーソナリティ障害の原因について理解を深めることを目指す。
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キーワード
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① パーソナリティの正常と異常 ② 医学モデルと連続モデル ③ アナログ研究 ④ 脆弱性ストレスモデル ⑤ 被影響性モデル
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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17
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感情の定義と位相、および感情と理性の関係①
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科目の中での位置付け
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第15、16回においては、パーソナリティの異常、すなわちパーソナリティ障害の定義と分類、およびパーソナリティ障害の原因について学んだ。第17、18回の講義の前半では、感情心理学の講義内容に入る前に、第2回~第16回までで学んできたパーソナリティ心理学について全体的な復習を行い、知識の定着を図る。特に、類型論と特性論の違いや、パーソナリティの一貫性についての考え方、パーソナリティ形成における遺伝と環境の相互作用などパーソナリティ研究における主要なトピックを中心として振り返りを行う。 この科目の後半(第17回~第30回)では、心理学における感情の定義や感情の位相、感情研究における主要な理論の現在に至るまでの発展の過程および、感情の仕組みについて学ぶ。 第17、18回の講義の後半では、心理学における感情の定義と感情の位相、および古代から中世ヨーロッパを経て現代に至るまでの感情観について学ぶ。まず、感情の定義について、関連する用語の示す意味と相違について説明する。次に、感情を構成する位相(要素)について、細かく分解することを通じて感情の仕組みについて概説する。最後に、「感情とは何か」を考える上で重要なテーマである「感情と理性」の関係について、これまでどのように捉えられてきたか,古代ギリシア~現代に至るまでの歴史を学ぶ。
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細目② 濱 治世・鈴木直人・濱 保久 (2001). 感情心理学への招待―感情・情緒へのアプローチ― サイエンス社
細目③ 梅本 尭夫・大山 正(編著)(1994). 心理学史への招待―現代心理学の背景― サイエンス社 アリストテレス(著)桑子 敏雄(訳)(1999).心とは何か 講談社学術文庫 デカルト(著)井上 庄七・森 啓・野田 又夫(訳)(2002). 省察/ 情念論 中公クラシックス
細目④ アントニオ・R・ダマシオ(著)田中 三彦(訳)(2010). デカルトの誤り―情動、理性、人間の脳― ちくま学芸文庫
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コマ主題細目
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① 前半の復習 ② 感情の定義と感情の位相 ③ 古代・中世ヨーロッパにおける感情観 ④ ソマティックマーカー仮説
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細目レベル
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① 知識の定着を図るため、前半の復習を行う。前半の講義において説明したパーソナリティ研究の内容を取り上げて、しっかりと理解できているか確認作業を行う。具体的には、「パーソナリティ研究における類型論と特性論の違い」、「パーソナリティの一貫性とは何か」、「パーソナリティ形成における遺伝と環境の影響についての考え方にはどのようなものがあるか」、「パーソナリティの正常と異常を分ける基準にはどのようなものがあるか」など、パーソナリティ研究において重要なトピックについて受講者に対して発問を行い解答を求める。受講者の理解が不十分な点については補足説明を行う。
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② 感情の定義および位相について学ぶ。パーソナリティ同様、感情もまた直接観察することのできない心理学的構成概念であり、用語に対する定義が重要となる。感情に関連する用語にも、「情動」、「情緒」、「気分」など様々なものがあるため、それぞれの用語の持つニュアンスの違いについて説明する。また、これらの用語は英語にルーツがあることから、英語の用語との対応についても説明する。次に、感情の位相(構成パーツ)について学ぶ。感情は直接観察できない構成概念であり、そのままでは捉えどころのない曖昧なものである。しかし、感情が生起する過程をいくつかの位相に分けることにより、「感情がどのようなものであるか」を把握することができる。感情の位相は、大きく「認知的評価」、「感情状態」、「感情体験」、「感情表出」の4つに分けることができる。これらの感情の位相について説明する。感情の位相の分類を知ることによって、感情の仕組みについて理解を深めることができる。ここでは、第10回以降の講義の内容を深く理解する上での基盤となる感情の定義および位相について理解することを目指す。
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③ 古代ギリシア・ローマ時代から中世ヨーロッパにおける感情および理性についての捉え方について学ぶ。古代ギリシアから西欧哲学においては感情と理性は対立するものであるとする考え方が主流であった。まず、古代ギリシアの感情観として、プラトンの「魂の三分説」について説明する。古代ギリシア時代の哲学者プラトンは魂(こころ)を理性、気概、欲望の3つに分けている。また、馬車の比喩により、感情(気概と欲望)は理知によって操縦されるものであると考えていた。この考え方はローマ時代を経て中世にも受け継がれた。次に、中世ヨーロッパにおける感情観として、フランスの哲学者デカルトによる「情念論」について説明する。デカルトは、精神(こころ)を能動的な働きである「意志」と受動的な働きである「情念(感情)」に分けている。デカルトは情念(感情)が生きるために必要なさまざまな機能を持っていると考えていたが、同時に、欠陥を持ったものであり、理性と経験によってコントロールする必要があると考えていた。ここでは、古代ギリシアから中世ヨーロッパにおける感情観を学び、理性と感情の捉え方について理解することを目指す。
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④ フィネアス・ゲージの事例を基に,感情が理性を支えるとする考え方であるソマティックマーカー仮説について学ぶ。まず19世紀の炭鉱夫であったPhineas gageの例を挙げて、前頭葉の損傷による感情の消失が理性的判断を損ねることを説明する。次に、神経科学者であるダマシオの研究を紹介し、感情が理性的判断において重要な役割を果たしていることを説明する。ダマシオらが開発したアイオワ・ギャンブリング課題による実験では、健常者において生じる損失回避傾向が前頭葉損傷患者では生じないことが報告されている。また、健常者が危険な賭けをする際に生じる生理的反応が前頭葉損傷患者では生じないことも示されている。ここでは、Phineas gageの症例やアイオワ・ギャンブリング課題などの研究を通じて明らかになってきた、感情が理性的判断を支える役割を果たしているという考え方について理解することを目指す。
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キーワード
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① 感情の定義 ② 感情の位相 ③ 魂の三分説 ④ 心身二元論 ⑤ ソマティックマーカー仮説
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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感情の定義と位相、および感情と理性の関係②
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科目の中での位置付け
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第15、16回においては、パーソナリティの異常、すなわちパーソナリティ障害の定義と分類、およびパーソナリティ障害の原因について学んだ。第17、18回の講義の前半では、感情心理学の講義内容に入る前に、第2回~第16回までで学んできたパーソナリティ心理学について全体的な復習を行い、知識の定着を図る。特に、類型論と特性論の違いや、パーソナリティの一貫性についての考え方、パーソナリティ形成における遺伝と環境の相互作用などパーソナリティ研究における主要なトピックを中心として振り返りを行う。 この科目の後半(第17回~第30回)では、心理学における感情の定義や感情の位相、感情研究における主要な理論の現在に至るまでの発展の過程および、感情の仕組みについて学ぶ。 第17、18回の講義の後半では、心理学における感情の定義と感情の位相、および古代から中世ヨーロッパを経て現代に至るまでの感情観について学ぶ。まず、感情の定義について、関連する用語の示す意味と相違について説明する。次に、感情を構成する位相(要素)について、細かく分解することを通じて感情の仕組みについて概説する。最後に、「感情とは何か」を考える上で重要なテーマである「感情と理性」の関係について、これまでどのように捉えられてきたか,古代ギリシア~現代に至るまでの歴史を学ぶ。
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細目② 濱 治世・鈴木直人・濱 保久 (2001). 感情心理学への招待―感情・情緒へのアプローチ― サイエンス社
細目③ 梅本 尭夫・大山 正(編著)(1994). 心理学史への招待―現代心理学の背景― サイエンス社 アリストテレス(著)桑子 敏雄(訳)(1999).心とは何か 講談社学術文庫 デカルト(著)井上 庄七・森 啓・野田 又夫(訳)(2002). 省察/ 情念論 中公クラシックス
細目④ アントニオ・R・ダマシオ(著)田中 三彦(訳)(2010). デカルトの誤り―情動、理性、人間の脳― ちくま学芸文庫
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コマ主題細目
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① 前半の復習 ② 感情の定義と感情の位相 ③ 古代・中世ヨーロッパにおける感情観 ④ ソマティックマーカー仮説
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細目レベル
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① 知識の定着を図るため、前半の復習を行う。前半の講義において説明したパーソナリティ研究の内容を取り上げて、しっかりと理解できているか確認作業を行う。具体的には、「パーソナリティ研究における類型論と特性論の違い」、「パーソナリティの一貫性とは何か」、「パーソナリティ形成における遺伝と環境の影響についての考え方にはどのようなものがあるか」、「パーソナリティの正常と異常を分ける基準にはどのようなものがあるか」など、パーソナリティ研究において重要なトピックについて受講者に対して発問を行い解答を求める。受講者の理解が不十分な点については補足説明を行う。
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② 感情の定義および位相について学ぶ。パーソナリティ同様、感情もまた直接観察することのできない心理学的構成概念であり、用語に対する定義が重要となる。感情に関連する用語にも、「情動」、「情緒」、「気分」など様々なものがあるため、それぞれの用語の持つニュアンスの違いについて説明する。また、これらの用語は英語にルーツがあることから、英語の用語との対応についても説明する。次に、感情の位相(構成パーツ)について学ぶ。感情は直接観察できない構成概念であり、そのままでは捉えどころのない曖昧なものである。しかし、感情が生起する過程をいくつかの位相に分けることにより、「感情がどのようなものであるか」を把握することができる。感情の位相は、大きく「認知的評価」、「感情状態」、「感情体験」、「感情表出」の4つに分けることができる。これらの感情の位相について説明する。感情の位相の分類を知ることによって、感情の仕組みについて理解を深めることができる。ここでは、第10回以降の講義の内容を深く理解する上での基盤となる感情の定義および位相について理解することを目指す。
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③ 古代ギリシア・ローマ時代から中世ヨーロッパにおける感情および理性についての捉え方について学ぶ。古代ギリシアから西欧哲学においては感情と理性は対立するものであるとする考え方が主流であった。まず、古代ギリシアの感情観として、プラトンの「魂の三分説」について説明する。古代ギリシア時代の哲学者プラトンは魂(こころ)を理性、気概、欲望の3つに分けている。また、馬車の比喩により、感情(気概と欲望)は理知によって操縦されるものであると考えていた。この考え方はローマ時代を経て中世にも受け継がれた。次に、中世ヨーロッパにおける感情観として、フランスの哲学者デカルトによる「情念論」について説明する。デカルトは、精神(こころ)を能動的な働きである「意志」と受動的な働きである「情念(感情)」に分けている。デカルトは情念(感情)が生きるために必要なさまざまな機能を持っていると考えていたが、同時に、欠陥を持ったものであり、理性と経験によってコントロールする必要があると考えていた。ここでは、古代ギリシアから中世ヨーロッパにおける感情観を学び、理性と感情の捉え方について理解することを目指す。
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④ フィネアス・ゲージの事例を基に,感情が理性を支えるとする考え方であるソマティックマーカー仮説について学ぶ。まず19世紀の炭鉱夫であったPhineas gageの例を挙げて、前頭葉の損傷による感情の消失が理性的判断を損ねることを説明する。次に、神経科学者であるダマシオの研究を紹介し、感情が理性的判断において重要な役割を果たしていることを説明する。ダマシオらが開発したアイオワ・ギャンブリング課題による実験では、健常者において生じる損失回避傾向が前頭葉損傷患者では生じないことが報告されている。また、健常者が危険な賭けをする際に生じる生理的反応が前頭葉損傷患者では生じないことも示されている。ここでは、Phineas gageの症例やアイオワ・ギャンブリング課題などの研究を通じて明らかになってきた、感情が理性的判断を支える役割を果たしているという考え方について理解することを目指す。
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キーワード
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① 感情の定義 ② 感情の位相 ③ 魂の三分説 ④ 心身二元論 ⑤ ソマティックマーカー仮説
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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19
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「怖いから逃げる?」それとも「逃げるから怖い?」―ジェームズ説とその限界①
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科目の中での位置付け
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この科目の後半(第17回~第30回)では、心理学における感情の定義や感情の位相、感情研究における主要な理論の現在に至るまでの発展の過程および、感情の仕組みについて学ぶ。 第17、18回の講義では、心理学における感情の定義と感情の位相、および古代から中世ヨーロッパを経て現代に至るまでの感情観について学んだ。第19、20回の講義では、心理学において最も古典的かつ有名な感情理論の一つであるジェームズ・ランゲ説を中心として、その理論の特徴と、限界について学ぶ。 講義の前半では、デンマークの生理学者ランゲによる研究の知見を基に、アメリカの心理学者ジェームズによって提唱された「ジェームズ・ランゲ説」について学ぶ。ジェームズ・ランゲ説は、「環境に対する身体的な反応が情動経験を引き起こす」とする考え方であり、「末梢起源説」とも呼ばれる。このジェームズ・ランゲ説を引き継ぐ形で発展した理論として、顔面フィードバック仮説および感情血流理論がある。一方で、ジェームズの弟子であったキャノンは、「身体反応ではなく、脳の中にある視床が情動を引き起こす上で重要な役割を果たす」という批判を行っている。ここでは、ジェームズ・ランゲ説の特徴とその問題点について説明する。 講義の後半では、シャクターによる「情動二要因理論」について学ぶ。アメリカの心理学者シャクターは、ジェームズ・ランゲ説やキャノン・バード説などに基づき、「生理的覚醒」と「状況の認知」が情動経験を引き起こすという情動二要因理論を提唱した。ここでは、情動の二要因理論に基づいて,どのように感情経験が生じるかを学ぶ。
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細目①、③ 梅田 聡・小嶋 祥三(監修)(2020). 感情―ジェームズ/ キャノン/ ダマシオ 岩波書店
細目② ランドルフ・R・コーネリアス(著)齋藤 勇(監訳)(1999).感情の科学―心理学は感情をどこまで理解できたか― 誠信書房 吉川 左紀子・益谷 真・中村 真(編)(1993).顔と心―顔の心理学入門― サイエンス社
細目④ 下條 信輔 (1996). サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ― 中公新書 ランドルフ・R・コーネリアス(著)齋藤 勇(監訳)(1999).感情の科学―心理学は感情をどこまで理解できたか― 誠信書房
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コマ主題細目
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① ジュームズ・ランゲ説 ② 顔面フィードバック仮説 ③ キャノン・バード説 ④ 情動二要因理論
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細目レベル
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① 心理学の黎明期におけるアメリカの哲学者・心理学者ジェームズによって提唱されたジェームズ・ランゲ説について学ぶ。ジェームズは、同時代の生理学者であるランゲの研究に基づいて、「身体変化が感情経験を引き起こす」という考えを提唱した。彼は、日常生活において常識として考えられている「まず感情を誘発する刺激(例えばヘビ)を知覚した後に感情(例えば恐怖)を経験し、反応を表出する(例えば逃げる)」という感情経験の順序は誤りであると考えた。ジェームズの感情理論においては、「身体変化」が中心的な役割を果たしている。ここでは、後世の感情理論に強く影響を与えたジェームズ・ランゲ説について学び、身体的変化と感情経験の関係について理解することを目指す。
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② ジェームズ・ランゲ説の派生形である顔面フィードバック仮説と顔面血流理論について学ぶ。ジェームズは感情経験の生起において、「身体的変化」が重要であると述べた。一方で、ジェームズは「身体的変化が何であるか」について具体的には示さなかった。実際、このジェームズ・ランゲ説を検証するために末梢神経系や内臓の働きに着目した研究が数多く行われた。一方で、感情表出において重要な役割を果たしている顔面筋に着目したのがトムキンスの「顔面フィードバック仮説」である。この説は、「顔の動きを知覚することによって感情経験が生じる」とする考え方である。また、これに類似した説として、ザイアンスは「顔面筋の動きにより顔面の血流が制御され、脳の血流調整として機能する」とする「感情血流理論」を示している。ここでは、顔面フィードバック仮説および顔面血流理論を紹介し、表情が感情経験に及ぼす影響について理解することを目指す。
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③ 感情経験についてのキャノン・バード説を学ぶ。ジェームズの弟子であったキャノンは、様々な感情状態における交感神経の活動や、内臓の活動の変化についての研究の知見などを基に、ジェームズ・ランゲ説を批判した。特に、身体的変化では感情経験の違いを区別できないとした。そして、感情経験は身体的変化ではなく、「脳の中の働き、特に視床と呼ばれる領域の活動によって生じる」とするキャノン・バード説を示した。ここでは、キャノンによる批判に基づきジェームズ・ランゲ説の問題点について理解するとともに、キャノン・バード説の特徴について理解することを目指す。
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④ シャクターによる情動二要因理論について学ぶ。ジェームズ・ランゲ説は感情経験における「身体的変化」の重要性を強調した理論であった。しかし、アメリカの心理学者シャクターは、感情経験を生じるには身体的変化だけでは不十分であるとした。シャクターは生理的な覚醒を高める薬物であるエピネフリンを用いた実験(エピネフリン実験)を行い、同じ生理的覚醒が生じた状態の参加者であっても、その参加者が状況をどのように捉えているか(認知しているか)によって感情の生起の仕方は変化することを示した。このことから、感情経験の生起において、生理的覚醒と状況の認知の二つの要因が必要であるとする「情動二要因理論」を示している。ここでは、情動二要因理論を通じて感情経験の仕組みについて理解することを目指す。
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キーワード
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① ジュームズ・ランゲ説 ② 顔面フィードバック仮説 ③ 感情血流理論 ④ キャノン・バード説 ⑤ 情動二要因理論
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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20
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「怖いから逃げる?」それとも「逃げるから怖い?」―ジェームズ説とその限界②
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科目の中での位置付け
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この科目の後半(第17回~第30回)では、心理学における感情の定義や感情の位相、感情研究における主要な理論の現在に至るまでの発展の過程および、感情の仕組みについて学ぶ。 第17、18回の講義では、心理学における感情の定義と感情の位相、および古代から中世ヨーロッパを経て現代に至るまでの感情観について学んだ。第19、20回の講義では、心理学において最も古典的かつ有名な感情理論の一つであるジェームズ・ランゲ説を中心として、その理論の特徴と、限界について学ぶ。 講義の前半では、デンマークの生理学者ランゲによる研究の知見を基に、アメリカの心理学者ジェームズによって提唱された「ジェームズ・ランゲ説」について学ぶ。ジェームズ・ランゲ説は、「環境に対する身体的な反応が情動経験を引き起こす」とする考え方であり、「末梢起源説」とも呼ばれる。このジェームズ・ランゲ説を引き継ぐ形で発展した理論として、顔面フィードバック仮説および感情血流理論がある。一方で、ジェームズの弟子であったキャノンは、「身体反応ではなく、脳の中にある視床が情動を引き起こす上で重要な役割を果たす」という批判を行っている。ここでは、ジェームズ・ランゲ説の特徴とその問題点について説明する。 講義の後半では、シャクターによる「情動二要因理論」について学ぶ。アメリカの心理学者シャクターは、ジェームズ・ランゲ説やキャノン・バード説などに基づき、「生理的覚醒」と「状況の認知」が情動経験を引き起こすという情動二要因理論を提唱した。ここでは、情動の二要因理論に基づいて,どのように感情経験が生じるかを学ぶ。
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細目①、③ 梅田 聡・小嶋 祥三(監修)(2020). 感情―ジェームズ/ キャノン/ ダマシオ 岩波書店
細目② ランドルフ・R・コーネリアス(著)齋藤 勇(監訳)(1999).感情の科学―心理学は感情をどこまで理解できたか― 誠信書房 吉川 左紀子・益谷 真・中村 真(編)(1993).顔と心―顔の心理学入門― サイエンス社
細目④ 下條 信輔 (1996). サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ― 中公新書 ランドルフ・R・コーネリアス(著)齋藤 勇(監訳)(1999).感情の科学―心理学は感情をどこまで理解できたか― 誠信書房
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コマ主題細目
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① ジュームズ・ランゲ説 ② 顔面フィードバック仮説 ③ キャノン・バード説 ④ 情動二要因理論
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細目レベル
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① 心理学の黎明期におけるアメリカの哲学者・心理学者ジェームズによって提唱されたジェームズ・ランゲ説について学ぶ。ジェームズは、同時代の生理学者であるランゲの研究に基づいて、「身体変化が感情経験を引き起こす」という考えを提唱した。彼は、日常生活において常識として考えられている「まず感情を誘発する刺激(例えばヘビ)を知覚した後に感情(例えば恐怖)を経験し、反応を表出する(例えば逃げる)」という感情経験の順序は誤りであると考えた。ジェームズの感情理論においては、「身体変化」が中心的な役割を果たしている。ここでは、後世の感情理論に強く影響を与えたジェームズ・ランゲ説について学び、身体的変化と感情経験の関係について理解することを目指す。
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② ジェームズ・ランゲ説の派生形である顔面フィードバック仮説と顔面血流理論について学ぶ。ジェームズは感情経験の生起において、「身体的変化」が重要であると述べた。一方で、ジェームズは「身体的変化が何であるか」について具体的には示さなかった。実際、このジェームズ・ランゲ説を検証するために末梢神経系や内臓の働きに着目した研究が数多く行われた。一方で、感情表出において重要な役割を果たしている顔面筋に着目したのがトムキンスの「顔面フィードバック仮説」である。この説は、「顔の動きを知覚することによって感情経験が生じる」とする考え方である。また、これに類似した説として、ザイアンスは「顔面筋の動きにより顔面の血流が制御され、脳の血流調整として機能する」とする「感情血流理論」を示している。ここでは、顔面フィードバック仮説および顔面血流理論を紹介し、表情が感情経験に及ぼす影響について理解することを目指す。
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③ 感情経験についてのキャノン・バード説を学ぶ。ジェームズの弟子であったキャノンは、様々な感情状態における交感神経の活動や、内臓の活動の変化についての研究の知見などを基に、ジェームズ・ランゲ説を批判した。特に、身体的変化では感情経験の違いを区別できないとした。そして、感情経験は身体的変化ではなく、「脳の中の働き、特に視床と呼ばれる領域の活動によって生じる」とするキャノン・バード説を示した。ここでは、キャノンによる批判に基づきジェームズ・ランゲ説の問題点について理解するとともに、キャノン・バード説の特徴について理解することを目指す。
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④ シャクターによる情動二要因理論について学ぶ。ジェームズ・ランゲ説は感情経験における「身体的変化」の重要性を強調した理論であった。しかし、アメリカの心理学者シャクターは、感情経験を生じるには身体的変化だけでは不十分であるとした。シャクターは生理的な覚醒を高める薬物であるエピネフリンを用いた実験(エピネフリン実験)を行い、同じ生理的覚醒が生じた状態の参加者であっても、その参加者が状況をどのように捉えているか(認知しているか)によって感情の生起の仕方は変化することを示した。このことから、感情経験の生起において、生理的覚醒と状況の認知の二つの要因が必要であるとする「情動二要因理論」を示している。ここでは、情動二要因理論を通じて感情経験の仕組みについて理解することを目指す。
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キーワード
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① ジュームズ・ランゲ説 ② 顔面フィードバック仮説 ③ 感情血流理論 ④ キャノン・バード説 ⑤ 情動二要因理論
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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感情経験における認知説と無意識の役割①
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科目の中での位置付け
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この科目の後半(第17回~第30回)では、心理学における感情の定義や感情の位相、感情研究における主要な理論の現在に至るまでの発展の過程および、感情の仕組みについて学ぶ。第19、20回の講義では、心理学において最も古典的かつ有名な感情理論の一つであるジェームズ・ランゲ説を中心として、その理論の特徴と、限界について学んだ。特に、感情の生起において末梢神経系の活動を重視するジェームズ・ランゲ説と、それに対する批判として脳の視床を中心とした中枢神経を重視するキャノン・バード説の対立を軸に説明を行った。また、より現代的の心理学的な理論として、感情の生起には、身体的変化だけでは十分でなく、状況の認知が重要であるとする情動二要因理論について説明を行った。 第21、22回の講義では、「認知説」に焦点を当て、感情経験における「認知的評価」の役割について説明するとともに、ザイアンスによる「閾下プライミング」の実験に基づく「認知説」への批判について取り上げる。さらに、神経科学的な知見に基づき提唱された感情の二重経路説について説明する。 講義の前半では、感情の生起に関わる要因のうち、「認知的評価」に焦点を当てて講義を行う。情動二要因理論では「状況の認知」が具体的にどのようなものであるかは十分に明確化されていなかった。アーノルドおよびラザルスによる「認知説」では、この「状況の認知」について「認知的評価」としてより具体化するとともに、感情経験のメカニズムにおいて中心的な役割を果たすとされた。一方で、この認知説の考え方に真っ向から反対したのがザイアンスである。ザイアンスは、「閾下感情プライミング」などの実験から、感情の喚起に必ずしも意識的な認知的評価が必要無いことを示した。 講義の後半では、「感情の二重経路説」を中心として感情の処理には2つの異なる経路があることについて説明する。感情の生起に「認知的評価」が必要かというラザルスとザイアンスの論争の後、「無意識」についての研究の進展を踏まえて、認知のメカニズムに「統制的処理」と「自動的処理」が存在すると考えられるようになっていった。一方で、神経科学の分野においても、ルドゥーを中心として感情の処理メカニズムについての研究が進展し、感情の二重経路説が提唱された。ここでは感情の生起における「統制的処理」と「自動的処理」の違い、および扁桃体を中心とした感情の神経メカニズムについて理解することを目指す。
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細目①、② ランドルフ・R・コーネリアス(著)齋藤勇(監訳)(1999). 感情の科学―心理学は感情をどこまで理解できたか― 誠信書房
細目③、④ ジョセフ・ルドゥー(著)松本 元・川村 光毅他(訳) (2003). エモーショナル・ブレイン―情動の脳科学― 東京大学出版会
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コマ主題細目
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① 認知説 ② 統制的処理と自動的処理 ③ 二重経路説
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細目レベル
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① 感情経験における「認知説」について学ぶ。シャクターの「情動二要因理論」においては、感情の生起に「生理的覚醒」と「状況の認知」の2つの要因が重要であることを示していたが、「状況の認知」が具体的にどのようなものであるかについては不明瞭であった。この「状況の認知」について「認知的評価」としてより具体的なものとして示したのがアーノルドおよびラザルスの「認知説」である。アーノルドは、感情生起において中心的な役割を果たすのは、主体の出来事に対するポジティヴであるか、ネガティヴであるかといった意味付け(価値判断)であるとした。すなわち、出来事を知覚した際、それに対する価値判断を行うことで、感情が生起すると述べたのである。この認知説は、その後、ラザルスによって継承された。ラザルスは彼の認知-動機づけ関係理論において、この価値判断を「認知的評価」と呼び、主にストレスに対する対処(コーピング)について理論を発展させていった。ここでは、アーノルドとラザルスの「認知説」の特徴について理解することを目指す。
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② ザイアンスによる閾下プライミングの実験をとおして,状況の意識的な認知が感情経験を生じる上で必要条件ではない可能性について学ぶ。ザイアンスは、アーノルドやラザルスの「認知説」に対して痛烈な批判を行った。彼は、実験心理学的な手法を用いて「単純接触効果」や、「閾下プライミング効果」などの現象を示し、意識的な認知的評価を伴わない状況であっても感情経験が生じうると主張した。例えば、「閾下プライミング」実験においては、参加者が自ら知覚できないような短時間で呈示された刺激によって、後続する刺激に対する評価が変化しうることを示している。こうしたラザルスとザイアンスの論争を経た後、「無意識」についての研究の進展に伴って、認知には異なる2種類のプロセスがあるとする考え方が主流となってきた。すなわち、無意識的に行われる情報処理過程である「自動的処理」と,意識的に行われる情報処理である「統制的処理」である。ここでは、ザイアンスのラザルスに対する批判についての要点と、認知における2種類のプロセスについて理解することを目指す。
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③ 「感情の二重経路説」について学ぶ。感情の二重経路説は、扁桃体を中心とした感情の神経メカニズムに関する研究に基づいて、ルドゥーによって提唱された理論である。感情の二重経路説とは,情動が生じる脳の過程には,素早く無意識的に処理される経路(視床-扁桃体経路)と,比較的ゆっくり意識的に処理される経路(皮質経路)があるという考え方である。この考え方に基づけば、ザイアンスの述べた意識に上らない感情の生起メカニズムも、ラザルスらの認知的評価に基づく感情の生起メカニズムのいずれも説明することが可能である。加えて、この感情の二重経路説における扁桃体の役割について学ぶ。扁桃体損傷ラットでは恐怖条件づけが生じないこと,また,扁桃体を損傷した人間の患者では恐怖表情を認識できなくなる事例などについて説明する。さらに、他者に対する共感性の欠如が見られるサイコパシーにおいても扁桃体が鍵となる可能性についても紹介する。ここでは、感情の二重経路を中心として、感情の神経メカニズムについて理解することを目指す。
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キーワード
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① 認知説 ② 統制的処理 ③ 自動的処理 ④ 2重経路説 ⑤ 扁桃体
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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22
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感情経験における認知説と無意識の役割②
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科目の中での位置付け
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この科目の後半(第17回~第30回)では、心理学における感情の定義や感情の位相、感情研究における主要な理論の現在に至るまでの発展の過程および、感情の仕組みについて学ぶ。第19、20回の講義では、心理学において最も古典的かつ有名な感情理論の一つであるジェームズ・ランゲ説を中心として、その理論の特徴と、限界について学んだ。特に、感情の生起において末梢神経系の活動を重視するジェームズ・ランゲ説と、それに対する批判として脳の視床を中心とした中枢神経を重視するキャノン・バード説の対立を軸に説明を行った。また、より現代的の心理学的な理論として、感情の生起には、身体的変化だけでは十分でなく、状況の認知が重要であるとする情動二要因理論について説明を行った。 第21、22回の講義では、「認知説」に焦点を当て、感情経験における「認知的評価」の役割について説明するとともに、ザイアンスによる「閾下プライミング」の実験に基づく「認知説」への批判について取り上げる。さらに、神経科学的な知見に基づき提唱された感情の二重経路説について説明する。 講義の前半では、感情の生起に関わる要因のうち、「認知的評価」に焦点を当てて講義を行う。情動二要因理論では「状況の認知」が具体的にどのようなものであるかは十分に明確化されていなかった。アーノルドおよびラザルスによる「認知説」では、この「状況の認知」について「認知的評価」としてより具体化するとともに、感情経験のメカニズムにおいて中心的な役割を果たすとされた。一方で、この認知説の考え方に真っ向から反対したのがザイアンスである。ザイアンスは、「閾下感情プライミング」などの実験から、感情の喚起に必ずしも意識的な認知的評価が必要無いことを示した。 講義の後半では、「感情の二重経路説」を中心として感情の処理には2つの異なる経路があることについて説明する。感情の生起に「認知的評価」が必要かというラザルスとザイアンスの論争の後、「無意識」についての研究の進展を踏まえて、認知のメカニズムに「統制的処理」と「自動的処理」が存在すると考えられるようになっていった。一方で、神経科学の分野においても、ルドゥーを中心として感情の処理メカニズムについての研究が進展し、感情の二重経路説が提唱された。ここでは感情の生起における「統制的処理」と「自動的処理」の違い、および扁桃体を中心とした感情の神経メカニズムについて理解することを目指す。
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細目①、② ランドルフ・R・コーネリアス(著)齋藤勇(監訳)(1999). 感情の科学―心理学は感情をどこまで理解できたか― 誠信書房
細目③、④ ジョセフ・ルドゥー(著)松本 元・川村 光毅他(訳) (2003). エモーショナル・ブレイン―情動の脳科学― 東京大学出版会
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コマ主題細目
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① 認知説 ② 統制的処理と自動的処理 ③ 二重経路説
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細目レベル
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① 感情経験における「認知説」について学ぶ。シャクターの「情動二要因理論」においては、感情の生起に「生理的覚醒」と「状況の認知」の2つの要因が重要であることを示していたが、「状況の認知」が具体的にどのようなものであるかについては不明瞭であった。この「状況の認知」について「認知的評価」としてより具体的なものとして示したのがアーノルドおよびラザルスの「認知説」である。アーノルドは、感情生起において中心的な役割を果たすのは、主体の出来事に対するポジティヴであるか、ネガティヴであるかといった意味付け(価値判断)であるとした。すなわち、出来事を知覚した際、それに対する価値判断を行うことで、感情が生起すると述べたのである。この認知説は、その後、ラザルスによって継承された。ラザルスは彼の認知-動機づけ関係理論において、この価値判断を「認知的評価」と呼び、主にストレスに対する対処(コーピング)について理論を発展させていった。ここでは、アーノルドとラザルスの「認知説」の特徴について理解することを目指す。
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② ザイアンスによる閾下プライミングの実験をとおして,状況の意識的な認知が感情経験を生じる上で必要条件ではない可能性について学ぶ。ザイアンスは、アーノルドやラザルスの「認知説」に対して痛烈な批判を行った。彼は、実験心理学的な手法を用いて「単純接触効果」や、「閾下プライミング効果」などの現象を示し、意識的な認知的評価を伴わない状況であっても感情経験が生じうると主張した。例えば、「閾下プライミング」実験においては、参加者が自ら知覚できないような短時間で呈示された刺激によって、後続する刺激に対する評価が変化しうることを示している。こうしたラザルスとザイアンスの論争を経た後、「無意識」についての研究の進展に伴って、認知には異なる2種類のプロセスがあるとする考え方が主流となってきた。すなわち、無意識的に行われる情報処理過程である「自動的処理」と,意識的に行われる情報処理である「統制的処理」である。ここでは、ザイアンスのラザルスに対する批判についての要点と、認知における2種類のプロセスについて理解することを目指す。
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③ 「感情の二重経路説」について学ぶ。感情の二重経路説は、扁桃体を中心とした感情の神経メカニズムに関する研究に基づいて、ルドゥーによって提唱された理論である。感情の二重経路説とは,情動が生じる脳の過程には,素早く無意識的に処理される経路(視床-扁桃体経路)と,比較的ゆっくり意識的に処理される経路(皮質経路)があるという考え方である。この考え方に基づけば、ザイアンスの述べた意識に上らない感情の生起メカニズムも、ラザルスらの認知的評価に基づく感情の生起メカニズムのいずれも説明することが可能である。加えて、この感情の二重経路説における扁桃体の役割について学ぶ。扁桃体損傷ラットでは恐怖条件づけが生じないこと,また,扁桃体を損傷した人間の患者では恐怖表情を認識できなくなる事例などについて説明する。さらに、他者に対する共感性の欠如が見られるサイコパシーにおいても扁桃体が鍵となる可能性についても紹介する。ここでは、感情の二重経路を中心として、感情の神経メカニズムについて理解することを目指す。
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キーワード
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① 認知説 ② 統制的処理 ③ 自動的処理 ④ 2重経路説 ⑤ 扁桃体
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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23
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楽しい時には楽しい出来事を思い出しやすい?(感情が認知に与える影響)①
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科目の中での位置付け
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この科目の後半(第17回~第30回)では、心理学における感情の定義や感情の位相、感情研究における主要な理論の現在に至るまでの発展の過程および、感情の仕組みについて学ぶ。第21、22回の講義では、アーノルドおよびラザルスの「認知説」に焦点を当て、感情経験における「認知的評価」の役割について説明するとともに、ザイアンスによる「単純接触効果」や「閾下プライミング」の実験に基づく「認知説」への批判について取り上げた。また、無意識の研究の進展に伴って現れた、無意識的で素早い「自動的処理」と意識的で遅い「統制的処理」の二つの認知処理プロセスについて説明した。加えて、扁桃体を中心とした感情の神経メカニズムについての知見に基づき提唱された感情の二重経路説について説明した。 第23、24回の講義では、感情が生起するメカニズムについて説明してきたこれまでの講義とは異なり、感情が認知プロセスに与える影響について説明する。認知プロセスの中でも、特に、「注意」や「記憶」、「思考」に焦点を当て、健常者の気分状態や、うつ病や不安障害などの感情障害によってどのような影響が生じるかを説明する。 講義の前半では、対象に対して注意を向ける仕組みである「選択的注意」を取り上げ、不安が選択的注意にどのように影響を及ぼすかについて学ぶ。特に、不安障害の患者においてみられる外界の脅威に対して過度に注意が向きやすくなる「注意バイアス」について説明する。その際、選択的注意の測定方法であるドットプローブ課題(dot probe task)や視線てがかり課題(gaze cuing task)などの課題について実際に体験してもらいながら、どのように何を測定するのかを説明する。 講義の後半では、感情が「記憶」や「意思決定」など高次な認知プロセスに及ぼす影響を学ぶ。まず、「記憶」に関しては、記憶のメカニズムについての基礎知識を説明しつつ、「気分一致効果」、「気分状態依存効果」など気分状態によって情動刺激の記憶のしやすさがどのように変化するかを中心に説明する。また、健常者における気分の変化だけでなく、大うつ病の患者を対象とした研究について紹介する。次に、より高次な認知プロセスである「意思決定」に関して、「遅延価値割引」の現象に着目し、気分状態の変化や,感情障害によってどのような影響が生じるかを説明する。ここでは、感情が「注意」、「記憶」、「意思決定」などの認知プロセスにどのように影響するか理解することを目指す。
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細目①、④ 中間 玲子 (2020). 感情・人格心理学―「その人らしさ」をかたちづくるもの― ミネルヴァ書房
細目②、③ 高橋 雅延・谷口 高士(編著) (2002). 感情と心理学―発達・生理・認知・社会・臨床の接点と新展開― 北大路書房
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コマ主題細目
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① 感情が注意に及ぼす影響 ② 感情が記憶に及ぼす影響 ③ 感情が意思決定に及ぼす影響
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細目レベル
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① 感情が注意に及ぼす影響について学ぶ。まず、「変化盲(change blindness)」のデモンストレーションを通じて、「見ている」ことと「注意を向けている」ことの違いについて学ぶ。次に、多くの情報の中から情報を取捨選択する機能である「選択的注意」の仕組みについて学ぶ。選択的注意を測定する課題としては,「視覚探索課題」、「視線手がかり課題」、「ドットプローブ課題」等が挙げられる。この中でも特に感情と注意の関係について調べる際によく用いられる「ドットプローブ課題」に着目し、デモンストレーションを行いつつ、課題の特徴について説明する。ドットプローブ課題を用いた研究などから、不安障害の患者や不安特性の高い人では,不安特性の低い人に比べて、外界の脅威情報に対して過度に注意が向きやすいバイアス(注意バイアス)を持っていることが明らかになっている。ここでは、不安障害における注意バイアスのメカニズムについて理解することを目指す。
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② 感情が記憶に及ぼす影響について学ぶ。まず、心理学における記憶のメカニズム(符号化―貯蔵―検索)について説明する。次に、「気分状態依存効果」について学ぶ。気分状態依存効果とは,ある気分のときに経験した出来事が,再び同じ気分になった時に想起されやすくなる現象のことを指す。加えて、「気分一致効果」について学ぶ。「気分状態依存効果」は,ある感情状態で経験したことを同じ感情状態のときに思い出しやすいという現象であるが,「気分一致効果」とは,特定の気分のときに,その気分と一致する感情価(快-不快)をもつ内容の処理が促進されることである。この「気分状態依存効果」や「気分一致効果」はうつ病の患者におけるネガティヴな出来事についての記憶の維持につながっている可能性がある。そこで、健常者における気分状態の変化だけでなく、うつ病患者を対象とした研究についても紹介する。ここでは、気分状態が記憶にどのような影響を及ぼすのかについて理解することを目指す。
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③ 感情が意思決定に及ぼす影響について学ぶ。特に、意思決定の課題の中でも「遅延価値割引」に着目する。遅延価値割引とは、全く同様の報酬であっても、遅延時間の経過に伴って価値が割り引かれて低下する現象である。例えば、今もらえる1000円と1週間後にもらえる1000円では、実際の価値は全く同じであるが、多くの場合、すぐにもらえる方を選ぶ。遅延時間によって価値が低下する割合を「遅延割引率」と呼び、個人差があることが知られている。遅延割引率の高さは、衝動性の高さを示すとされており、うつ病等の精神疾患や、アルコール依存症などの各種依存症との相関があることが報告されている。ここでは、「遅延価値割引」を中心として感情と意思決定の関連性について理解することを目指す。
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キーワード
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① 注意バイアス ② 気分状態依存効果 ③ 気分一致効果 ④ 遅延価値割引
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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楽しい時には楽しい出来事を思い出しやすい?(感情が認知に与える影響)②
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科目の中での位置付け
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この科目の後半(第17回~第30回)では、心理学における感情の定義や感情の位相、感情研究における主要な理論の現在に至るまでの発展の過程および、感情の仕組みについて学ぶ。第21、22回の講義では、アーノルドおよびラザルスの「認知説」に焦点を当て、感情経験における「認知的評価」の役割について説明するとともに、ザイアンスによる「単純接触効果」や「閾下プライミング」の実験に基づく「認知説」への批判について取り上げた。また、無意識の研究の進展に伴って現れた、無意識的で素早い「自動的処理」と意識的で遅い「統制的処理」の二つの認知処理プロセスについて説明した。加えて、扁桃体を中心とした感情の神経メカニズムについての知見に基づき提唱された感情の二重経路説について説明した。 第23、24回の講義では、感情が生起するメカニズムについて説明してきたこれまでの講義とは異なり、感情が認知プロセスに与える影響について説明する。認知プロセスの中でも、特に、「注意」や「記憶」、「思考」に焦点を当て、健常者の気分状態や、うつ病や不安障害などの感情障害によってどのような影響が生じるかを説明する。 講義の前半では、対象に対して注意を向ける仕組みである「選択的注意」を取り上げ、不安が選択的注意にどのように影響を及ぼすかについて学ぶ。特に、不安障害の患者においてみられる外界の脅威に対して過度に注意が向きやすくなる「注意バイアス」について説明する。その際、選択的注意の測定方法であるドットプローブ課題(dot probe task)や視線てがかり課題(gaze cuing task)などの課題について実際に体験してもらいながら、どのように何を測定するのかを説明する。 講義の後半では、感情が「記憶」や「意思決定」など高次な認知プロセスに及ぼす影響を学ぶ。まず、「記憶」に関しては、記憶のメカニズムについての基礎知識を説明しつつ、「気分一致効果」、「気分状態依存効果」など気分状態によって情動刺激の記憶のしやすさがどのように変化するかを中心に説明する。また、健常者における気分の変化だけでなく、大うつ病の患者を対象とした研究について紹介する。次に、より高次な認知プロセスである「意思決定」に関して、「遅延価値割引」の現象に着目し、気分状態の変化や,感情障害によってどのような影響が生じるかを説明する。ここでは、感情が「注意」、「記憶」、「意思決定」などの認知プロセスにどのように影響するか理解することを目指す。
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細目①、④ 中間 玲子 (2020). 感情・人格心理学―「その人らしさ」をかたちづくるもの― ミネルヴァ書房
細目②、③ 高橋 雅延・谷口 高士(編著) (2002). 感情と心理学―発達・生理・認知・社会・臨床の接点と新展開― 北大路書房
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コマ主題細目
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① 感情が注意に及ぼす影響 ② 感情が記憶に及ぼす影響 ③ 感情が意思決定に及ぼす影響
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細目レベル
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① 感情が注意に及ぼす影響について学ぶ。まず、「変化盲(change blindness)」のデモンストレーションを通じて、「見ている」ことと「注意を向けている」ことの違いについて学ぶ。次に、多くの情報の中から情報を取捨選択する機能である「選択的注意」の仕組みについて学ぶ。選択的注意を測定する課題としては,「視覚探索課題」、「視線手がかり課題」、「ドットプローブ課題」等が挙げられる。この中でも特に感情と注意の関係について調べる際によく用いられる「ドットプローブ課題」に着目し、デモンストレーションを行いつつ、課題の特徴について説明する。ドットプローブ課題を用いた研究などから、不安障害の患者や不安特性の高い人では,不安特性の低い人に比べて、外界の脅威情報に対して過度に注意が向きやすいバイアス(注意バイアス)を持っていることが明らかになっている。ここでは、不安障害における注意バイアスのメカニズムについて理解することを目指す。
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② 感情が記憶に及ぼす影響について学ぶ。まず、心理学における記憶のメカニズム(符号化―貯蔵―検索)について説明する。次に、「気分状態依存効果」について学ぶ。気分状態依存効果とは,ある気分のときに経験した出来事が,再び同じ気分になった時に想起されやすくなる現象のことを指す。加えて、「気分一致効果」について学ぶ。「気分状態依存効果」は,ある感情状態で経験したことを同じ感情状態のときに思い出しやすいという現象であるが,「気分一致効果」とは,特定の気分のときに,その気分と一致する感情価(快-不快)をもつ内容の処理が促進されることである。この「気分状態依存効果」や「気分一致効果」はうつ病の患者におけるネガティヴな出来事についての記憶の維持につながっている可能性がある。そこで、健常者における気分状態の変化だけでなく、うつ病患者を対象とした研究についても紹介する。ここでは、気分状態が記憶にどのような影響を及ぼすのかについて理解することを目指す。
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③ 感情が意思決定に及ぼす影響について学ぶ。特に、意思決定の課題の中でも「遅延価値割引」に着目する。遅延価値割引とは、全く同様の報酬であっても、遅延時間の経過に伴って価値が割り引かれて低下する現象である。例えば、今もらえる1000円と1週間後にもらえる1000円では、実際の価値は全く同じであるが、多くの場合、すぐにもらえる方を選ぶ。遅延時間によって価値が低下する割合を「遅延割引率」と呼び、個人差があることが知られている。遅延割引率の高さは、衝動性の高さを示すとされており、うつ病等の精神疾患や、アルコール依存症などの各種依存症との相関があることが報告されている。ここでは、「遅延価値割引」を中心として感情と意思決定の関連性について理解することを目指す。
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キーワード
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① 注意バイアス ② 気分状態依存効果 ③ 気分一致効果 ④ 遅延価値割引
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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25
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基本情動理論と表情認知①
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科目の中での位置付け
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この科目の後半(第17回~第30回)では、心理学における感情の定義や感情の位相、感情研究における主要な理論の現在に至るまでの発展の過程および、感情の仕組みについて学ぶ。 第23、24回の講義では、感情が認知に与える影響について説明した。認知過程の中でも、特に、「注意」や「記憶」、「思考」に焦点を当て、健常者の気分状態や、うつ病や不安障害などの感情障害によってどのような影響が生じるかを説明した。 第25、26回の講義では、感情の「ダーウィン説」に焦点をあて、表情による感情表出と感情認知の仕組みについて説明する。また、「表情模倣」、「情動伝染」などの現象を取り上げ、他者への共感の仕組みについて説明する。 講義の前半では,エクマンらによる「基本情動理論」を中心として,表情の普遍性について説明する。感情は主観的に経験されるだけではなく,多くの場合,表情や声,ボディランゲージなどの形で表出される。ダーウィンはヒトを含む動物の表情について研究し,動物の表情は進化を通じて獲得されたものであると考えた。この考えを受け継いだ心理学者のエクマンは,当時,西洋文化から隔絶されていたパプワニューギニア島などの調査を踏まえて,ヒトの表情は文化に依らない普遍的なものであるとし,基本情動理論を唱えた。加えて、エクマンらは表情表出を客観的に捉えるための手法としてFacial Action Coding System(FACS)を開発している。これまでの表情研究において中心的な役割を果たしてきた基本情動理論の骨子と,測定方法であるFACSについて説明する。また,真の笑顔と偽の笑顔の違いについて説明する。 講義の後半では,「表情模倣」や「情動伝染」などの現象に基づき,表情から他者の感情を理解する能力(表情認知)や他者への共感性について説明する。我々は他者の表情から相手の感情や意図を読み取ることができる。こうした表情認知の能力の基盤には,他者の表情表出に対して生じる「表情模倣」や,感情を表出している他者と同じ感情になる「情動伝染」,他者の感情を推測する能力である「マインドリーディング」があると考えられる。多くの研究により,表情模倣や情動伝染は無意識的・自動的に生じることが明らかになっており,他者に対する情動的な共感システムを構築していると考えられている。実際、サイコパシーなどのパーソナリティ障害では,この情動的共感の欠如が見られることが明らかになっている。一方で,表情認知においては,他者の意図理解能力であるマインドリーディングの能力も重要であると考えられている。このマインドリーディングは認知的な共感システムに関与しており,自閉スペクトラム症では,このマインドリーディングの能力の欠如が指摘されている。ここでは、より低次な現象である「表情模倣」、「情動伝染」について知るとともに,他者の意図や感情の理解、共感の仕組みについて理解することを目指す。
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細目① ランドルフ・R・コーネリアス(著)齋藤勇(監訳)(1999). 感情の科学―心理学は感情をどこまで理解できたか― 誠信書房
細目② ポール・エクマン(著)菅 靖彦(訳) (2006). 顔は口ほどに嘘をつく 河出書房新社
細目③、④ ジャン・デセティ・ウィリアム・アイクス(編著)岡田 顕宏(訳)(2016). 共感の社会神経科学 勁草書房 串崎 真志 (2013). 共感する心の科学 風間書房
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コマ主題細目
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① 基本情動理論 ② 表情筋の動きと真の笑顔 ③ 表情認知と共感
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細目レベル
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① ダーウィンによる著作『人及び動物の表情について』に記述されている内容,およびダーウィンの主張を引き継いだ新ダーウィン主義の感情研究者であるエクマンらの研究から,表情は進化を通じて獲得され,文化に依らない普遍的な形質であるとする「基本情動理論」について学ぶ。ダーウィンは,動物の感情表出についての観察や,様々な文化圏の人々についての調査を通じて,ある状況下(例えば,怖い状況)において特定の表情(恐怖表情)が表出されることを発見した。彼は,また,ヒトと近縁種である霊長類の表情筋の動きが類似していることに着目し,表情が共通の祖先から進化したと述べている。こうしたダーウィンの考え方を現代に引き継いだのがアメリカの心理学者エクマンである。彼は,当時,西洋文化圏から切り離された状況にあり,西洋文化の影響を受けていなかったパプワニューギニアを中心とした地域において調査を行い,パプワニューギニアの人々においても,西洋文化圏の人々と同様の表情認知が行われることを明らかにした。また,世界中のあらゆる国々において調査を行い,いずれの国においても喜び、怒り、悲しみ、恐怖、嫌悪などが正確に判断されることを確かめた。これらの研究を通じて,エクマンらは,文化に依らない普遍的な情動である基本情動があることを唱えた(基本情動理論)。ここでは,ダーウィンによる萌芽的研究から,エクマンの基本情動理論に至る歴史的経緯および,基本情動理論の考え方の骨子について理解することを目指す。
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② エクマンらの開発したFACSによる研究を通して,表情表出における筋肉の働きについて学ぶ。また,フランスの生理学者であったデュシェンヌによって発見された真の笑顔と偽の笑顔の違いについて学ぶ。基本情動理論を提唱したエクマンらは,解剖学的知見を踏まえていくつかの表情筋の組み合わせであるアクション・ユニットを用いることで,多種多様な表情が表出できることを示している。またアクション・ユニットを利用することで顔写真からその人物の表情筋の動きをコード化するシステムであるFacial Action Coding System(FACS)を開発している。FACSの開発によって,表情の動きが客観的に評価可能となり,様々な場面での表情評価研究が発展した。現在では、AIを通じて自動的に被写体の感情を評価するシステムや,動物の感情状態を推定する方法も開発されている。次に,真の笑顔と偽の笑顔の違いについて学ぶ。フランスの神経学者デュシェンヌは顔面筋に電気刺激を与える方法を用いて様々な表情が生じることを示した。特に,口角の筋肉である大頬骨筋のみに電気刺激を与えてた場合に不自然な笑顔が生じるのに対し,大頬骨筋と目の周囲の筋肉である眼輪筋に同時に電気刺激を与えた際には自然な笑顔が生じることを発見している。エクマンらは、大頬骨筋は意図的に動かすことが可能であるのに対し,眼輪筋は意図的に動かすことが困難であることから,大頬骨筋と眼輪筋の両方の筋肉の動きで構成される笑顔を真の笑顔(デュシェンヌスマイル),大頬骨筋の動きのみの笑顔を偽の笑顔(ノン・デュシェンヌスマイル)と呼んでいる。ここでは,エクマンらのFACSの研究を通して表情を形成する表情筋の動きについて理解するとともに、意図的に動かせる筋肉と意図的に動かせない筋肉があること,また我々が他者の筋肉運動のうち,意図的な筋肉運動と非意図的な筋肉運動を識別し,真の表情と偽の表情を区別していることを学ぶ。
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③ 我々は他者の表情(例えば恐怖など)を見るだけでも,その人物と同じ感情を感じることがある。このように表出者の情動が受け手にも伝わり,同様の情動が生じる現象を「情動伝染」と呼ぶ。情動伝染はヒトだけでなく,他の霊長類やラット,マウスなどの哺乳類でも見られる現象であり,他者への共感(empathy)の仕組みに深く関わっていると考えられている。また,これまでの数多くの表情研究から,他者の表情を見ることで、観察者の表情も動く現象である「表情模倣」の存在が報告されている。表情模倣は、観察者が気付かない僅かな時間であっても生じることが知られており、自動的・無意識的な仕組みであると考えられている。この表情模倣は、発達の早期(乳幼児期)に獲得される機能であることが示されている。一方で、他者のこころの理解に問題を生じる自閉スペクトラム症などでは自動的な表情模倣が生じないなどの報告がなされている。こうした「情動伝染」、「表情模倣」は無意識的・自動的に生じる仕組みであり、共感の原初的な形態であるとされる。また共感の情動的な側面である「情動的共感」と深いかかわりがあると考えられる。一方で、「表情認知」など他者の感情や意図を理解するためには,より意図的かつ統制的な仕組みが必要とされる。特に,自閉スペクトラム症などの発達障害や、統合失調症などの精神疾患では表情認知や他者の心の読み取り能力である「マインドリーディング」に問題があるとされる。こうした共感の認知的な側面は「認知的共感」と呼ばれる。ここでは、「情動伝染」、「表情模倣」、「マインドリーディング」などを切り口として、他者の感情の読み取り、共感の仕組みについて理解することを目指す。
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キーワード
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① 基本情動理論 ② FACS ③ ドゥシェンヌ・スマイル ④ 表情模倣 ⑤ 共感
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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基本情動理論と表情認知②
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科目の中での位置付け
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この科目の後半(第17回~第30回)では、心理学における感情の定義や感情の位相、感情研究における主要な理論の現在に至るまでの発展の過程および、感情の仕組みについて学ぶ。 第23、24回の講義では、感情が認知に与える影響について説明した。認知過程の中でも、特に、「注意」や「記憶」、「思考」に焦点を当て、健常者の気分状態や、うつ病や不安障害などの感情障害によってどのような影響が生じるかを説明した。 第25、26回の講義では、感情の「ダーウィン説」に焦点をあて、表情による感情表出と感情認知の仕組みについて説明する。また、「表情模倣」、「情動伝染」などの現象を取り上げ、他者への共感の仕組みについて説明する。 講義の前半では,エクマンらによる「基本情動理論」を中心として,表情の普遍性について説明する。感情は主観的に経験されるだけではなく,多くの場合,表情や声,ボディランゲージなどの形で表出される。ダーウィンはヒトを含む動物の表情について研究し,動物の表情は進化を通じて獲得されたものであると考えた。この考えを受け継いだ心理学者のエクマンは,当時,西洋文化から隔絶されていたパプワニューギニア島などの調査を踏まえて,ヒトの表情は文化に依らない普遍的なものであるとし,基本情動理論を唱えた。加えて、エクマンらは表情表出を客観的に捉えるための手法としてFacial Action Coding System(FACS)を開発している。これまでの表情研究において中心的な役割を果たしてきた基本情動理論の骨子と,測定方法であるFACSについて説明する。また,真の笑顔と偽の笑顔の違いについて説明する。 講義の後半では,「表情模倣」や「情動伝染」などの現象に基づき,表情から他者の感情を理解する能力(表情認知)や他者への共感性について説明する。我々は他者の表情から相手の感情や意図を読み取ることができる。こうした表情認知の能力の基盤には,他者の表情表出に対して生じる「表情模倣」や,感情を表出している他者と同じ感情になる「情動伝染」,他者の感情を推測する能力である「マインドリーディング」があると考えられる。多くの研究により,表情模倣や情動伝染は無意識的・自動的に生じることが明らかになっており,他者に対する情動的な共感システムを構築していると考えられている。実際、サイコパシーなどのパーソナリティ障害では,この情動的共感の欠如が見られることが明らかになっている。一方で,表情認知においては,他者の意図理解能力であるマインドリーディングの能力も重要であると考えられている。このマインドリーディングは認知的な共感システムに関与しており,自閉スペクトラム症では,このマインドリーディングの能力の欠如が指摘されている。ここでは、より低次な現象である「表情模倣」、「情動伝染」について知るとともに,他者の意図や感情の理解、共感の仕組みについて理解することを目指す。
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細目① ランドルフ・R・コーネリアス(著)齋藤勇(監訳)(1999). 感情の科学―心理学は感情をどこまで理解できたか― 誠信書房
細目② ポール・エクマン(著)菅 靖彦(訳) (2006). 顔は口ほどに嘘をつく 河出書房新社
細目③、④ ジャン・デセティ・ウィリアム・アイクス(編著)岡田 顕宏(訳)(2016). 共感の社会神経科学 勁草書房 串崎 真志 (2013). 共感する心の科学 風間書房
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コマ主題細目
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① 基本情動理論 ② 表情筋の動きと真の笑顔 ③ 表情認知と共感
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細目レベル
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① ダーウィンによる著作『人及び動物の表情について』に記述されている内容,およびダーウィンの主張を引き継いだ新ダーウィン主義の感情研究者であるエクマンらの研究から,表情は進化を通じて獲得され,文化に依らない普遍的な形質であるとする「基本情動理論」について学ぶ。ダーウィンは,動物の感情表出についての観察や,様々な文化圏の人々についての調査を通じて,ある状況下(例えば,怖い状況)において特定の表情(恐怖表情)が表出されることを発見した。彼は,また,ヒトと近縁種である霊長類の表情筋の動きが類似していることに着目し,表情が共通の祖先から進化したと述べている。こうしたダーウィンの考え方を現代に引き継いだのがアメリカの心理学者エクマンである。彼は,当時,西洋文化圏から切り離された状況にあり,西洋文化の影響を受けていなかったパプワニューギニアを中心とした地域において調査を行い,パプワニューギニアの人々においても,西洋文化圏の人々と同様の表情認知が行われることを明らかにした。また,世界中のあらゆる国々において調査を行い,いずれの国においても喜び、怒り、悲しみ、恐怖、嫌悪などが正確に判断されることを確かめた。これらの研究を通じて,エクマンらは,文化に依らない普遍的な情動である基本情動があることを唱えた(基本情動理論)。ここでは,ダーウィンによる萌芽的研究から,エクマンの基本情動理論に至る歴史的経緯および,基本情動理論の考え方の骨子について理解することを目指す。
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② エクマンらの開発したFACSによる研究を通して,表情表出における筋肉の働きについて学ぶ。また,フランスの生理学者であったデュシェンヌによって発見された真の笑顔と偽の笑顔の違いについて学ぶ。基本情動理論を提唱したエクマンらは,解剖学的知見を踏まえていくつかの表情筋の組み合わせであるアクション・ユニットを用いることで,多種多様な表情が表出できることを示している。またアクション・ユニットを利用することで顔写真からその人物の表情筋の動きをコード化するシステムであるFacial Action Coding System(FACS)を開発している。FACSの開発によって,表情の動きが客観的に評価可能となり,様々な場面での表情評価研究が発展した。現在では、AIを通じて自動的に被写体の感情を評価するシステムや,動物の感情状態を推定する方法も開発されている。次に,真の笑顔と偽の笑顔の違いについて学ぶ。フランスの神経学者デュシェンヌは顔面筋に電気刺激を与える方法を用いて様々な表情が生じることを示した。特に,口角の筋肉である大頬骨筋のみに電気刺激を与えてた場合に不自然な笑顔が生じるのに対し,大頬骨筋と目の周囲の筋肉である眼輪筋に同時に電気刺激を与えた際には自然な笑顔が生じることを発見している。エクマンらは、大頬骨筋は意図的に動かすことが可能であるのに対し,眼輪筋は意図的に動かすことが困難であることから,大頬骨筋と眼輪筋の両方の筋肉の動きで構成される笑顔を真の笑顔(デュシェンヌスマイル),大頬骨筋の動きのみの笑顔を偽の笑顔(ノン・デュシェンヌスマイル)と呼んでいる。ここでは,エクマンらのFACSの研究を通して表情を形成する表情筋の動きについて理解するとともに、意図的に動かせる筋肉と意図的に動かせない筋肉があること,また我々が他者の筋肉運動のうち,意図的な筋肉運動と非意図的な筋肉運動を識別し,真の表情と偽の表情を区別していることを学ぶ。
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③ 我々は他者の表情(例えば恐怖など)を見るだけでも,その人物と同じ感情を感じることがある。このように表出者の情動が受け手にも伝わり,同様の情動が生じる現象を「情動伝染」と呼ぶ。情動伝染はヒトだけでなく,他の霊長類やラット,マウスなどの哺乳類でも見られる現象であり,他者への共感(empathy)の仕組みに深く関わっていると考えられている。また,これまでの数多くの表情研究から,他者の表情を見ることで、観察者の表情も動く現象である「表情模倣」の存在が報告されている。表情模倣は、観察者が気付かない僅かな時間であっても生じることが知られており、自動的・無意識的な仕組みであると考えられている。この表情模倣は、発達の早期(乳幼児期)に獲得される機能であることが示されている。一方で、他者のこころの理解に問題を生じる自閉スペクトラム症などでは自動的な表情模倣が生じないなどの報告がなされている。こうした「情動伝染」、「表情模倣」は無意識的・自動的に生じる仕組みであり、共感の原初的な形態であるとされる。また共感の情動的な側面である「情動的共感」と深いかかわりがあると考えられる。一方で、「表情認知」など他者の感情や意図を理解するためには,より意図的かつ統制的な仕組みが必要とされる。特に,自閉スペクトラム症などの発達障害や、統合失調症などの精神疾患では表情認知や他者の心の読み取り能力である「マインドリーディング」に問題があるとされる。こうした共感の認知的な側面は「認知的共感」と呼ばれる。ここでは、「情動伝染」、「表情模倣」、「マインドリーディング」などを切り口として、他者の感情の読み取り、共感の仕組みについて理解することを目指す。
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キーワード
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① 基本情動理論 ② FACS ③ ドゥシェンヌ・スマイル ④ 表情模倣 ⑤ 共感
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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普遍的な基本情動はあるのか?―基本情動理論への批判―①
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科目の中での位置付け
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この科目の後半(第17回~第30回)では、心理学における感情の定義や感情の位相、感情研究における主要な理論の現在に至るまでの発展の過程および、感情の仕組みについて学ぶ。 第25、26回の講義では、感情の「ダーウィン説」に焦点をあて、表情による感情表出と感情認知の仕組みについて説明した。また、「表情模倣」、「情動伝染」などの現象を取り上げ、他者への共感の仕組みについて説明した。 第27、28回の講義では、第25、26回の講義で取り上げた「ダーウィン説」における中心的な理論である「基本情動理論」に対する様々な視点からの批判について取り上げ,基本情動理論の限界について説明する。 講義の前半では,まず基本情動理論の核となる考え方について、復習を兼ねて改めて説明をする。特に、①表情が文化に依らない普遍的な形質であること、②各基本情動がそれぞれ独立した神経・心理学的システムから構成されていること、③基本情動は生得的であることについて説明する。次に、基本情動理論の抱えている問題点について複数の視点から批判的に検討を行う。1つ目として、各基本情動を独立したシステム(離散的感情)として捉えることの問題について、研究者間での情動の数の不一致やエクマンらが用いた手法の問題点などを基に説明する。また、エクマンらの基本情動理論に対する批判の急先鋒として挙げられるラッセルらの次元説を取り上げて、基本情動理論との違いについて説明する。 講義の後半では,基本情動理論の問題点について,「文化心理学」による研究の知見および、「社会構成主義」の視点から検討を行う。近年の文化心理学的な研究により,従来想定されていたほど表情の表出・認知には普遍性がなく、文化差が大きいことが明らかになりつつある。例えば,日米などの比較研究により,表情の識別において注目するパーツが異なることなどが明らかになっている。また、認知説を発展させる形でエイヴェリルが唱えたのが感情の社会構成主義である。社会構成主義では,感情は進化によって獲得されたものではなく「社会的な役割」であると考える。また、各情動とそれに伴う身体的反応は一対一対応したものではなく、状況に応じて変化すると考える。ここでは、次元説、文化心理学、社会構成主義などの視点から、基本情動理論に内在する問題点について理解することを目指す。
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細目①、②、③ ランドルフ・R・コーネリアス(著)齋藤勇(監訳)(1999). 感情の科学―心理学は感情をどこまで理解できたか― 誠信書房
細目③ 日本感情心理学会(企画)内山 伊知郎(監修) (2019). 感情心理学ハンドブック 北大路書房
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コマ主題細目
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① 離散的感情の問題点 ② 次元説による批判 ③ 文化心理学による批判 ④ 社会構成主義による批判
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細目レベル
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① 基本情動理論への批判のうち,感情を離散的に捉えようとする点(カテゴリ説)への批判について取り上げる。それに先立ち、まず、基本情動理論の核となる考え方について再度説明する。とりわけ、「基本情動は表情・発声など固有の表出行動を喚起させる」という点、および「基本情動は社会や文化に依らずヒト全般に認められる」という点を中心に説明する。次に、基本情動理論の基盤となる「基本情動」という考え方についていくつかの例を挙げつつ問題提起を行う。例えば、基本情動理論を支持している研究者の中でも、基本情動の種類や数について十分に一致していない点、実験手法によっては表情認知が普遍的であるとは言えない点について、実際の研究結果を紹介しつつ説明する。ここでは、基本情動理論の核となる考え方についての理解を深めるとともに、基本情動理論の問題点についてしっかり把握することを目指す。
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② 基本情動理論に対する批判の急先鋒であるラッセルによる感情の次元説について取り上げる。まず細目①で説明した基本情動の問題点、特に基本情動をカテゴリとして捉えることについての問題点を踏まえて、基本情動理論とは異なる考え方として、ラッセルらが提唱した感情の次元説について説明する。次元説によると、感情は離散的に特定できるものではなく、「快ー不快」および「覚醒ー眠気」の2つの次元で表現される平面上に円環状に並んでいるとされる(円環モデル)。また、次元説の考え方について理解を深めるために、次元説に基づく感情研究において頻繁に用いられる「アフェクト・グリッド法」について実際に体験をしてもらいつつ、次元説の特徴を説明する。ここでは、基本情動理論における独立したカテゴリとしての「基本情動」の問題点と、感情の連続性に重心をおいた次元説の特徴について理解することを目指す。
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③ 基本情動理論への批判のうち,文化的背景による表情認知の差異の指摘について取り上げる。エクマンらの研究によると、西洋、東洋および当時、西洋と隔絶されていた文化圏(パプワニューギニア)のいずれにおいても基本情動を表す表情認知が可能であることが示されていた。一方で、近年の文化心理学による研究から、西洋と東洋で表情認知が質的に異なる可能性が報告されている。例えば、結城他の研究では、表情を判断する際に、日本人は目元の情報を、米国人では口元の情報を用いることが示されている。また、増田他の研究では、複数の人物がいる中で、中心にいる人物の感情を評価させた際に、日本人は中心の人物の感情判断が周辺の人物の表情によって影響を受けるのに対し、米国人は周辺の人物の表情による影響がほとんど見られないことが示されている。ここでは、近年の文化心理学の研究を踏まえて、基本情動理論で示された「表情の普遍性」についての考え方およびその問題点について理解することを目指す。
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④ 感情の社会構成主義について取り上げる。社会構成主義はエイヴェリルによって提唱されたものであり,基本情動理論を痛烈に批判するものであった。とりわけ、様々な調査データに基づき、基本情動理論の核となる考え方である「各情動には特有の表出や身体反応の変化が伴う」という点について疑問を投げかけている。社会構成主義では、「感情と表出や身体反応は一対一対応するものではなく、どのように行動するか、身体反応を解釈するかのルールは、特定の文化・社会の中で獲得される」と考える。また、同様に、シェーラーも社会構成主義の立場から、「その刺激の評価に基づいて表情、音声などの要素がその都度組み合わされ、状況に即した感情表出がされる」とするコンポーネント・プロセス・モデルを提唱している。ここでは、社会構成主義の視点を踏まえて、基本情動理論で示された「基本情動における固有の表出行動の存在」についての考え方、およびその問題点について理解することを目指す。
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キーワード
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① 基本情動理論 ② 次元説 ③ 文化心理学 ④ 社会構成主義
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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普遍的な基本情動はあるのか?―基本情動理論への批判―②
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科目の中での位置付け
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この科目の後半(第17回~第30回)では、心理学における感情の定義や感情の位相、感情研究における主要な理論の現在に至るまでの発展の過程および、感情の仕組みについて学ぶ。 第25、26回の講義では、感情の「ダーウィン説」に焦点をあて、表情による感情表出と感情認知の仕組みについて説明した。また、「表情模倣」、「情動伝染」などの現象を取り上げ、他者への共感の仕組みについて説明した。 第27、28回の講義では、第25、26回の講義で取り上げた「ダーウィン説」における中心的な理論である「基本情動理論」に対する様々な視点からの批判について取り上げ,基本情動理論の限界について説明する。 講義の前半では,まず基本情動理論の核となる考え方について、復習を兼ねて改めて説明をする。特に、①表情が文化に依らない普遍的な形質であること、②各基本情動がそれぞれ独立した神経・心理学的システムから構成されていること、③基本情動は生得的であることについて説明する。次に、基本情動理論の抱えている問題点について複数の視点から批判的に検討を行う。1つ目として、各基本情動を独立したシステム(離散的感情)として捉えることの問題について、研究者間での情動の数の不一致やエクマンらが用いた手法の問題点などを基に説明する。また、エクマンらの基本情動理論に対する批判の急先鋒として挙げられるラッセルらの次元説を取り上げて、基本情動理論との違いについて説明する。 講義の後半では,基本情動理論の問題点について,「文化心理学」による研究の知見および、「社会構成主義」の視点から検討を行う。近年の文化心理学的な研究により,従来想定されていたほど表情の表出・認知には普遍性がなく、文化差が大きいことが明らかになりつつある。例えば,日米などの比較研究により,表情の識別において注目するパーツが異なることなどが明らかになっている。また、認知説を発展させる形でエイヴェリルが唱えたのが感情の社会構成主義である。社会構成主義では,感情は進化によって獲得されたものではなく「社会的な役割」であると考える。また、各情動とそれに伴う身体的反応は一対一対応したものではなく、状況に応じて変化すると考える。ここでは、次元説、文化心理学、社会構成主義などの視点から、基本情動理論に内在する問題点について理解することを目指す。
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細目①、②、③ ランドルフ・R・コーネリアス(著)齋藤勇(監訳)(1999). 感情の科学―心理学は感情をどこまで理解できたか― 誠信書房
細目③ 日本感情心理学会(企画)内山 伊知郎(監修) (2019). 感情心理学ハンドブック 北大路書房
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コマ主題細目
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① 離散的感情の問題点 ② 次元説による批判 ③ 文化心理学による批判 ④ 社会構成主義による批判
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細目レベル
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① 基本情動理論への批判のうち,感情を離散的に捉えようとする点(カテゴリ説)への批判について取り上げる。それに先立ち、まず、基本情動理論の核となる考え方について再度説明する。とりわけ、「基本情動は表情・発声など固有の表出行動を喚起させる」という点、および「基本情動は社会や文化に依らずヒト全般に認められる」という点を中心に説明する。次に、基本情動理論の基盤となる「基本情動」という考え方についていくつかの例を挙げつつ問題提起を行う。例えば、基本情動理論を支持している研究者の中でも、基本情動の種類や数について十分に一致していない点、実験手法によっては表情認知が普遍的であるとは言えない点について、実際の研究結果を紹介しつつ説明する。ここでは、基本情動理論の核となる考え方についての理解を深めるとともに、基本情動理論の問題点についてしっかり把握することを目指す。
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② 基本情動理論に対する批判の急先鋒であるラッセルによる感情の次元説について取り上げる。まず細目①で説明した基本情動の問題点、特に基本情動をカテゴリとして捉えることについての問題点を踏まえて、基本情動理論とは異なる考え方として、ラッセルらが提唱した感情の次元説について説明する。次元説によると、感情は離散的に特定できるものではなく、「快ー不快」および「覚醒ー眠気」の2つの次元で表現される平面上に円環状に並んでいるとされる(円環モデル)。また、次元説の考え方について理解を深めるために、次元説に基づく感情研究において頻繁に用いられる「アフェクト・グリッド法」について実際に体験をしてもらいつつ、次元説の特徴を説明する。ここでは、基本情動理論における独立したカテゴリとしての「基本情動」の問題点と、感情の連続性に重心をおいた次元説の特徴について理解することを目指す。
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③ 基本情動理論への批判のうち,文化的背景による表情認知の差異の指摘について取り上げる。エクマンらの研究によると、西洋、東洋および当時、西洋と隔絶されていた文化圏(パプワニューギニア)のいずれにおいても基本情動を表す表情認知が可能であることが示されていた。一方で、近年の文化心理学による研究から、西洋と東洋で表情認知が質的に異なる可能性が報告されている。例えば、結城他の研究では、表情を判断する際に、日本人は目元の情報を、米国人では口元の情報を用いることが示されている。また、増田他の研究では、複数の人物がいる中で、中心にいる人物の感情を評価させた際に、日本人は中心の人物の感情判断が周辺の人物の表情によって影響を受けるのに対し、米国人は周辺の人物の表情による影響がほとんど見られないことが示されている。ここでは、近年の文化心理学の研究を踏まえて、基本情動理論で示された「表情の普遍性」についての考え方およびその問題点について理解することを目指す。
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④ 感情の社会構成主義について取り上げる。社会構成主義はエイヴェリルによって提唱されたものであり,基本情動理論を痛烈に批判するものであった。とりわけ、様々な調査データに基づき、基本情動理論の核となる考え方である「各情動には特有の表出や身体反応の変化が伴う」という点について疑問を投げかけている。社会構成主義では、「感情と表出や身体反応は一対一対応するものではなく、どのように行動するか、身体反応を解釈するかのルールは、特定の文化・社会の中で獲得される」と考える。また、同様に、シェーラーも社会構成主義の立場から、「その刺激の評価に基づいて表情、音声などの要素がその都度組み合わされ、状況に即した感情表出がされる」とするコンポーネント・プロセス・モデルを提唱している。ここでは、社会構成主義の視点を踏まえて、基本情動理論で示された「基本情動における固有の表出行動の存在」についての考え方、およびその問題点について理解することを目指す。
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キーワード
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① 基本情動理論 ② 次元説 ③ 文化心理学 ④ 社会構成主義
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 次回のコマシラバスを読み、概要を頭に入れておく。また、コマシラバスに記載のキーワードについて書籍等を用いて調べた上で、分からない箇所をメモしておく。
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29
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感情は表情以外からも読み取られる?―感情評価に与える文脈情報の影響―①
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科目の中での位置付け
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この科目の後半(第17回~第30回)では、心理学における感情の定義や感情の位相、感情研究における主要な理論の現在に至るまでの発展の過程および、感情の仕組みについて学ぶ。 第27、28回の講義では、第13回の講義で取り上げた「ダーウィン説」における中心的な理論である「基本情動理論」の問題点について、ラッセルらの「感情の次元説」、「文化心理学」、およびエイヴェリルらの「社会構成主義」のそれぞれの視点から批判的に俯瞰した。 第29、30回の講義では、「基本情動理論」の考え方と、それに対する様々な批判を踏まえた上で、近年の感情研究において注目されている文脈情報の影響について説明する。 前半の講義では、ジェスチャーなど顔以外の身体情報および、音声、臭気などの異なるモダリティ情報が表情の判断に影響する現象について説明する。エクマンらによる基本情動理論においては、顔から表出される表情は特定のカテゴリの感情を示している(例:怒り、喜び、悲しみ)ことが前提となっていた。また、表情は各種の感情の手がかりの中でも最も強力で区別しやすいものと考えられてきた。しかし、2000年代中頃から、表情の判断には、表情だけでなく、それ以外の周辺的な情報が重要な役割を果たしていることが明らかになってきている。まず、①表情は顔面筋の動きのみで評価されるのではなく、ジェスチャーなどの身体全体の動きから判断されること、また、②感情音声や、匂いなど、顔の視覚的情報とは直接関係の無い感情情報であっても、表情の判断に影響し得ること、加えて、③どのような状況下において表情が表出されたかや、またどのような状況下で受け手がその表情を認知したかといった文脈情報によっても表情の判断は変化すること等が明らかになっている。これらの3つの点から、従来の基本情動理論の問題点について、再度考察するとともに、近年の表情研究の流れについて理解することを目指す。 後半の講義では、後半の講義内容(第17回~第30回)についての振り返りを行う。まず心理学における感情の捉え方から、感情の定義と位相、感情と理性の関係についての考え方を確認する。次に、古典的な理論であるジェームズ・ランゲ説、キャノン・バード説から情動二要因理論に至るまでの変遷、および、その後の認知説の興隆とラザルス・ザイアンス論争、ルドゥーによる二重経路説の成立に至るまでの歴史的経緯・背景について理解できているかを確認する。また、感情が様々な認知過程(注意、記憶、意志決定)に及ぼす影響について確認する。最後に、主に表情研究において中心的な役割を果たしてきた基本情動理論の隆盛と、近年のそれに対する様々な批判(次元説、文化心理学、社会構成主義、文脈情報など)の骨子について、再度、復習しつつ理解を深める。
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細目①、②、③ 兵藤 宗吉・野内 類(編著) (2013). 認知心理学の冒険―認知心理学の視点から日常生活を捉える― ナカニシヤ出版 リサ・フェルドマン・バレット(著)高橋 洋(訳)(2019). 情動はこうしてつくられる―脳の隠れた働きと構成主義的情動理論― 紀伊国屋書店
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コマ主題細目
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① 顔以外の身体による影響 ② 異なるモダリティ情報による影響 ③ 前後の文脈や背景による影響 ④ 後半のまとめ
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細目レベル
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① 従来の表情研究は、エクマンらの主張する基本情動理論が中心となって進展してきた。すなわち、表情とは進化的、生得的に獲得されたものであり、ある特定の感情の表出であるとされてきた。この考えに従うならば、強い怒りの表情を表出している人からは、状況などに左右されず怒りの感情を読み取ると考えられる。しかし、近年行われている表情と身体的動作(ジェスチャー)を組み合わせた研究によると、同じ怒り表情であっても、ジェスチャーの示す感情によって感情の読み取られ方が変化することが示されている。また、テニス選手の顔写真を用いた研究では、顔から読み取られる情報よりも、ジェスチャーから読み取られる情報の方が、感情の読み取りに有益であることも示されている。これらの研究を概観することを通じて、感情の読み取りにおける表情以外の身体情報の重要性について学ぶ。
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② 感情に関連する情報は表情など、視覚だけから伝えられるわけではない。感情についての情報は音声や匂いなど、聴覚、嗅覚、触覚など視覚以外の様々な感覚によって伝達されうる。このそれぞれの感覚の種類によって生じる体験のことを感覚モダリティと呼ぶ。従来の感情研究においては、表情、音声、匂いなどの感情に関する処理メカニズムは別々に研究されてきた。一方で、個々の感覚モダリティはそれぞれが完全に独立して機能しているわけではなく、ある感覚情報が他の感覚情報に干渉する(感覚間相互作用:クロスモーダル)ことが明らかになっている。近年、感情研究においても、様々な感覚間で、この感覚間相互作用が生じることが示されている。例えば、感情を示す音声によって表情の判断が変化することが示されており、特に日本人では音声情報に影響を受けやすく、表情が笑っていても、声が怒っていると、その人物が怒っていると判断するとされる。これらの研究を概観することを通じて、感覚間相互作用によって聴覚、嗅覚、触覚などの感情に関する情報が表情認知に与える影響について学ぶ。
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③ 他者の感情の判断は表情それ自体のみではなく、その表情が出された状況や背景によっても変化しうる。特に、表出された表情が曖昧な場合には、知覚者はその表情の読み取りのための手がかりとしてその前後の文脈情報を用いる。このように事前の文脈によって表情の読み取りが変化する現象はクレショフ効果と呼ばれている。また、表情の表出者の背景の情報によってもその表情の認知のされ方は変化しうることが示されている。実際、表情認知における背景情報の効果を検討した研究により、同じ嫌悪の表情であっても、不快な背景とともに呈示されるか、快な背景とともに呈示されるかで表情判断が変化することが報告されている。さらに、漫画の登場人物の感情評価を行う際にも、背景情報が強く影響することが示されている。これらの研究から、表情はそれ単独で存在するものではなく、背景となる情報や文脈に応じて表出されるものであり、背景や文脈情報の影響についても考慮する必要性があることを学ぶ。
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④ 後半の講義内容、感情心理学についての振り返りを行う。まず感情心理学における各用語(感情、情動、気分など)の定義について確認する。次に、古代ギリシアから続いてきた「感情と理性は対立するものである」とする考え方から、人間の理性的な判断において感情が重要な役割を果たしているとするソマティックマーカー仮説に至る経緯について復習する。また、古典的な感情理論であるジェームズ・ランゲ説、キャノン・バード説から、情動二要因理論、認知的評価説を経て、ルドゥーの二重経路説に至るまでの主要な感情理論について復習する。最後に、ここ20年以上に渡って感情心理学の中心的理論で有り続けたエクマンらの基本情動理論の基本的な考え方とそれに対する次元説、文化心理学、社会構成主義などからの批判、および表情以外の情報の重要性について示唆する近年の研究の発展について振り返りを行う。ここでは、これまでの講義において説明してきた内容について復習することを通じて感情心理学についての理解を深めることを目指す。
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キーワード
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① ジェスチャー ② 感情的な発声 ③ 臭気 ④ 文脈 ⑤ クレショフ効果
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 期末テストに備えて、これまで全15回のコマシラバスおよび教材の内容について全て見直しておく。記載内容について分からない部分があったら、書籍等を用いて自分で調べるか、教員に質問をする。また、15回分の小テストについて再度、自分の力で解き、解けなかった問題があった場合には、該当する教材の部分を再度読んで整理する。
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30
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感情は表情以外からも読み取られる?―感情評価に与える文脈情報の影響―②
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科目の中での位置付け
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この科目の後半(第17回~第30回)では、心理学における感情の定義や感情の位相、感情研究における主要な理論の現在に至るまでの発展の過程および、感情の仕組みについて学ぶ。 第27、28回の講義では、第13回の講義で取り上げた「ダーウィン説」における中心的な理論である「基本情動理論」の問題点について、ラッセルらの「感情の次元説」、「文化心理学」、およびエイヴェリルらの「社会構成主義」のそれぞれの視点から批判的に俯瞰した。 第29、30回の講義では、「基本情動理論」の考え方と、それに対する様々な批判を踏まえた上で、近年の感情研究において注目されている文脈情報の影響について説明する。 前半の講義では、ジェスチャーなど顔以外の身体情報および、音声、臭気などの異なるモダリティ情報が表情の判断に影響する現象について説明する。エクマンらによる基本情動理論においては、顔から表出される表情は特定のカテゴリの感情を示している(例:怒り、喜び、悲しみ)ことが前提となっていた。また、表情は各種の感情の手がかりの中でも最も強力で区別しやすいものと考えられてきた。しかし、2000年代中頃から、表情の判断には、表情だけでなく、それ以外の周辺的な情報が重要な役割を果たしていることが明らかになってきている。まず、①表情は顔面筋の動きのみで評価されるのではなく、ジェスチャーなどの身体全体の動きから判断されること、また、②感情音声や、匂いなど、顔の視覚的情報とは直接関係の無い感情情報であっても、表情の判断に影響し得ること、加えて、③どのような状況下において表情が表出されたかや、またどのような状況下で受け手がその表情を認知したかといった文脈情報によっても表情の判断は変化すること等が明らかになっている。これらの3つの点から、従来の基本情動理論の問題点について、再度考察するとともに、近年の表情研究の流れについて理解することを目指す。 後半の講義では、後半の講義内容(第17回~第30回)についての振り返りを行う。まず心理学における感情の捉え方から、感情の定義と位相、感情と理性の関係についての考え方を確認する。次に、古典的な理論であるジェームズ・ランゲ説、キャノン・バード説から情動二要因理論に至るまでの変遷、および、その後の認知説の興隆とラザルス・ザイアンス論争、ルドゥーによる二重経路説の成立に至るまでの歴史的経緯・背景について理解できているかを確認する。また、感情が様々な認知過程(注意、記憶、意志決定)に及ぼす影響について確認する。最後に、主に表情研究において中心的な役割を果たしてきた基本情動理論の隆盛と、近年のそれに対する様々な批判(次元説、文化心理学、社会構成主義、文脈情報など)の骨子について、再度、復習しつつ理解を深める。
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細目①、②、③ 兵藤 宗吉・野内 類(編著) (2013). 認知心理学の冒険―認知心理学の視点から日常生活を捉える― ナカニシヤ出版 リサ・フェルドマン・バレット(著)高橋 洋(訳)(2019). 情動はこうしてつくられる―脳の隠れた働きと構成主義的情動理論― 紀伊国屋書店
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コマ主題細目
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① 顔以外の身体による影響 ② 異なるモダリティ情報による影響 ③ 前後の文脈や背景による影響 ④ 後半のまとめ
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細目レベル
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① 従来の表情研究は、エクマンらの主張する基本情動理論が中心となって進展してきた。すなわち、表情とは進化的、生得的に獲得されたものであり、ある特定の感情の表出であるとされてきた。この考えに従うならば、強い怒りの表情を表出している人からは、状況などに左右されず怒りの感情を読み取ると考えられる。しかし、近年行われている表情と身体的動作(ジェスチャー)を組み合わせた研究によると、同じ怒り表情であっても、ジェスチャーの示す感情によって感情の読み取られ方が変化することが示されている。また、テニス選手の顔写真を用いた研究では、顔から読み取られる情報よりも、ジェスチャーから読み取られる情報の方が、感情の読み取りに有益であることも示されている。これらの研究を概観することを通じて、感情の読み取りにおける表情以外の身体情報の重要性について学ぶ。
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② 感情に関連する情報は表情など、視覚だけから伝えられるわけではない。感情についての情報は音声や匂いなど、聴覚、嗅覚、触覚など視覚以外の様々な感覚によって伝達されうる。このそれぞれの感覚の種類によって生じる体験のことを感覚モダリティと呼ぶ。従来の感情研究においては、表情、音声、匂いなどの感情に関する処理メカニズムは別々に研究されてきた。一方で、個々の感覚モダリティはそれぞれが完全に独立して機能しているわけではなく、ある感覚情報が他の感覚情報に干渉する(感覚間相互作用:クロスモーダル)ことが明らかになっている。近年、感情研究においても、様々な感覚間で、この感覚間相互作用が生じることが示されている。例えば、感情を示す音声によって表情の判断が変化することが示されており、特に日本人では音声情報に影響を受けやすく、表情が笑っていても、声が怒っていると、その人物が怒っていると判断するとされる。これらの研究を概観することを通じて、感覚間相互作用によって聴覚、嗅覚、触覚などの感情に関する情報が表情認知に与える影響について学ぶ。
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③ 他者の感情の判断は表情それ自体のみではなく、その表情が出された状況や背景によっても変化しうる。特に、表出された表情が曖昧な場合には、知覚者はその表情の読み取りのための手がかりとしてその前後の文脈情報を用いる。このように事前の文脈によって表情の読み取りが変化する現象はクレショフ効果と呼ばれている。また、表情の表出者の背景の情報によってもその表情の認知のされ方は変化しうることが示されている。実際、表情認知における背景情報の効果を検討した研究により、同じ嫌悪の表情であっても、不快な背景とともに呈示されるか、快な背景とともに呈示されるかで表情判断が変化することが報告されている。さらに、漫画の登場人物の感情評価を行う際にも、背景情報が強く影響することが示されている。これらの研究から、表情はそれ単独で存在するものではなく、背景となる情報や文脈に応じて表出されるものであり、背景や文脈情報の影響についても考慮する必要性があることを学ぶ。
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④ 後半の講義内容、感情心理学についての振り返りを行う。まず感情心理学における各用語(感情、情動、気分など)の定義について確認する。次に、古代ギリシアから続いてきた「感情と理性は対立するものである」とする考え方から、人間の理性的な判断において感情が重要な役割を果たしているとするソマティックマーカー仮説に至る経緯について復習する。また、古典的な感情理論であるジェームズ・ランゲ説、キャノン・バード説から、情動二要因理論、認知的評価説を経て、ルドゥーの二重経路説に至るまでの主要な感情理論について復習する。最後に、ここ20年以上に渡って感情心理学の中心的理論で有り続けたエクマンらの基本情動理論の基本的な考え方とそれに対する次元説、文化心理学、社会構成主義などからの批判、および表情以外の情報の重要性について示唆する近年の研究の発展について振り返りを行う。ここでは、これまでの講義において説明してきた内容について復習することを通じて感情心理学についての理解を深めることを目指す。
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キーワード
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① ジェスチャー ② 感情的な発声 ③ 臭気 ④ 文脈 ⑤ クレショフ効果
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コマの展開方法
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社会人講師
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ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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【復習】 配布資料を再度読み返し、理解しておく。
【予習】 期末テストに備えて、これまで全15回のコマシラバスおよび教材の内容について全て見直しておく。記載内容について分からない部分があったら、書籍等を用いて自分で調べるか、教員に質問をする。また、15回分の小テストについて再度、自分の力で解き、解けなかった問題があった場合には、該当する教材の部分を再度読んで整理する。
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