区分 基盤専門科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力 科学コミュニケーション力 研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養 応用力 実践力
科目間連携 総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
この科目は「基盤専門科目」に位置づけられる必修科目である。

科目の目的
私たちは日々、経験を通して学び、ことばを用いて他者と関わり、環境に応じて行動している。しかし、「学習とは何か」「言語とは何か」「行動とは何か」を改めて問う機会は多くない。本授業は、学習・言語・行動を中心に、人間の認知と行動の成り立ちを体系的に理解することを目的とする。本科目では、基礎概念を扱うベーシックと、それを再解釈し理論的に深めるアドバンストを交互に配置する構成を採用する。これにより、知識の習得とその批判的検討を往復しながら、人間理解を多角的に深め、科学的に考察する態度の形成を目指す。
到達目標
本科目では、学習・言語・行動に関する基礎的理解を踏まえ、それらを多角的に捉え直す視点と、科学的に考察する態度の獲得をめざす。とりわけ、知識の習得にとどまらず、理論の前提や限界を検討し、人間の認知と行動を統合的に理解する力を養うことを重視する。
学習心理学および言語心理学の基本概念(条件づけ、観察学習、言語構造、言語発達など)を理解し、説明できる。
学習・言語・行動に関する諸理論について、その前提や限界を踏まえて比較・検討し、多角的に考察できる。
比較認知や臨床的知見を通して、人間の行動やコミュニケーションの特徴を他種や多様な個人との関係から理解できる。
学習や言語に関する知見を、教育・支援・日常生活の具体的場面に適用し、科学的根拠に基づいて考える態度を身につける。

科目の概要
本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
科目のキーワード
学習
古典的条件づけ
オペラント条件づけ
刺激性制御と弁別学習
社会的学習
言語構造と獲得
言語発達とコミュニケーション
障害と支援

授業の展開方法
この授業は週2回1コマずつで計30コマ実施する。毎回LMSにアップロードする、講義内容をまとめた文字教材をもとに講義を進める。各授業の後に理解度を測る小テストを行うとともに、最終回では期末テストに向けた模擬試験も実施する予定である。
オフィス・アワー
※その他の時間帯も調整可能(メールなどで連絡してください)
前期:水曜4限
木曜4限
金曜4限
後期:水曜4限
木曜4限
金曜2限・4限

科目コード RD4050
学年・期 2年・後期
科目名 学習・言語心理学
単位数 4
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】90分×30 【予習】60分以上×15 【復習】60分以上×15
前提とする科目
展開科目
関連資格 公認心理師
担当教員名 友永雅己
回主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 【ベーシック(1)】学習の定義と非連合学習 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。このような科目構成の中で、本回は学習の定義と非連合学習について学ぶ。
青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① 学習の基本 ② 非連合学習 ③ 初期学習 ④ 進化的基盤
細目レベル ① 学習の基本
心理学における学習は、勉強や知識の習得だけを指すのではなく、経験を通して行動、あるいは行動の潜在的な可能性が比較的持続的に変化する過程と定義される。この定義では、環境との関わりから情報を得る「経験」、すぐに観察できる行動だけでなく後に現れうる「行動可能性」、その場限りではない「持続性」が重要となる。一方、反射や走性のように経験を必要としない生得行動は学習と区別される。また、疲労や薬物による一時的な変化、成熟による経験に依存しない変化も学習には含まれない。したがって、行動が変化したという事実だけで学習と判断するのではなく、その変化がどのような経験によって生じ、どの程度持続するのかを見極める必要がある。


② 非連合学習
非連合学習は、複数の刺激や出来事の関係を結びつけるのではなく、単一の刺激が繰り返し提示されることで、その刺激に対する反応が変化する基本的な学習形態である。代表例の馴化では、同じ無害な刺激の反復によって反応が徐々に弱くなるが、新しい刺激を提示すると反応が回復するため、感覚器官の順応や筋肉の疲労とは区別される。これに対して鋭敏化では、強い刺激や有害な刺激を経験した後、さまざまな刺激に対する反応性が高まる。刺激の反復によって反応が低下するか増大するかは、刺激の強度や生物にとっての意味などによって異なる。馴化と鋭敏化はいずれも、環境の重要度に応じて反応を調整し、限られた認知資源を適応的に配分する仕組みとして理解できる。


③ 初期学習
初期学習では、発達初期の限られた時期に成立し、その後の行動に持続的な影響を及ぼす学習を扱う。代表的な刻印づけは、ローレンツによる鳥類の研究で知られ、孵化後の特定の時期に接した対象へ追従する行動が形成される。こうした学習が成立しやすい限られた時期は臨界期と呼ばれ、経験がいつ与えられるかが発達に重要であることを示している。一方、固定行動パターンは、特定の解発刺激によって引き起こされる、種に特徴的で定型的な一連の行動である。刻印づけや固定行動パターンを通して見ると、生得的な仕組みと経験は単純に対立するものではない。発達のある時期に経験を受け入れやすい生得的基盤があり、そこに環境からの経験が加わることで行動が形成される。


④ 進化的基盤
学習能力には種特異性があり、どの生物もあらゆることを同じように学習できるわけではない。それぞれの種は、進化の過程で適応してきた生態的環境に応じて、学習しやすい事柄と学習しにくい事柄という生物学的制約をもつ。進化による遺伝的変化には長い時間を要するが、学習によって個体は、自らの経験に基づいて行動を後天的に修正し、個体の一生の中で生じる急速な環境変化にも対応できる。この意味で、学習能力そのものが進化によって獲得された適応の仕組みと考えられる。また、本能と学習は対立するものではなく、生得的な行動傾向が行動の基盤や方向性を与え、経験がその具体的な方法や細部を調整する。本能と学習の相互作用によって、生物は環境に柔軟に適応している。


キーワード ① 学習 ② 非連合学習 ③ 馴化 ④ 鋭敏化 ⑤ 刻印づけ(インプリンティング)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

2 【アドバンスト(1)】学習とは何かを問い直す 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、本回では、ベーシックで学んだ学習の基本概念を出発点として、「学習とは何か」という概念そのものを改めて考察する。心理学では学習を経験による比較的持続的な行動変化と定義しているが、その定義にはどのような前提があり、どこまで適用できるのかを検討する。また、生得と学習の関係や、非連合学習の位置づけを再評価するとともに、植物や人工知能にまで広がる近年の学習研究を紹介し、学習概念の適用範囲について考える。本回を通して、学習を単なる知識として暗記するのではなく、その理論的背景と現代的意義を理解することを目的とする。


青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① ベーシック第1回のまとめ ② 学習概念を再検討する ③ 学習概念はどこまで広げられるか ④ 本回のまとめ
細目レベル ① ベーシック第1回のまとめ
ベーシック第1回では、学習とは経験によって比較的持続的に行動や行動可能性が変化する過程であることを学び、生得的行動との違いについて理解した。また、刺激への反応が変化する非連合学習として馴化と鋭敏化を学び、さらに刻印づけや臨界期などの初期学習を通して、生得的な仕組みと経験が相互に作用しながら行動が形成されることを理解した。最後に、学習は生物が環境へ適応するために進化の過程で獲得した重要な仕組みであり、本能と対立するものではなく相互に補完し合う関係にあることを学んだ。


② 学習概念を再検討する
しかし、この定義は研究対象を整理するための枠組みであり、すべての行動変化を説明できるわけではない。疲労や薬物、成熟などによる変化との違いを考えることで、学習という概念がどのような現象を対象としているのかを再確認する。また、「経験」とは何を意味するのかについても検討し、心理学における学習概念の意味を整理する。しかし現在では、生得的な認知機構の上に経験が積み重なることで行動が形成されると考えられている。本能的行動であっても経験によって修正される場合があり、逆に学習にも遺伝的な制約が存在する。本項では、生得と学習を対立ではなく連続的な関係として捉え、生物の可塑性とその限界について理解する。


③ 学習概念はどこまで広げられるか
馴化や鋭敏化は最も基本的な学習現象として位置づけられるが、その意義は単純な反応変化にとどまらない。植物や単細胞生物にも経験依存的な反応変化が報告されており、近年では人工知能の「機械学習」も含めて、学習概念の適用範囲が広がっている。不要な刺激への反応を抑制したり、危険な刺激への感受性を高めたりすることで、生物の適応を支えている。また、比較的単純な神経系をもつ生物にも認められることから、学習の起源や神経可塑性を理解する上でも重要な研究対象となっている。しかし、これらを動物の学習と同じ概念で説明すべきかについては現在も議論が続いている。この検討は、学習の最小条件そのものを問い直すことにもつながる。


④ 本回のまとめ
本回では、ベーシックで学んだ学習の基本概念を出発点として、学習という概念そのものをより広い視点から再検討した。学習は単なる行動変化ではなく、理論的な定義に基づいて理解される概念であり、生得との関係や非連合学習の位置づけを考えることで、その意味がより明確になる。また、近年では植物や人工知能などにも学習概念が広がりつつあり、その適用範囲について新たな議論が進められている。学習を固定的な知識として覚えるのではなく、常に新しい知見を踏まえながら再評価する姿勢が、現代の認知科学や心理学では重要となっている。学習の境界を考えることは、学習の最小条件そのものを問い直すことにもつながる。


キーワード ① 学習の定義 ② 行動可能性 ③ 生得と学習 ④ 非連合学習 ⑤ 学習の境界
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

3 【ベーシック(2)】レスポンデント(古典的、パブロフ型)条件づけ 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、レスポンデント(古典的、パブロフ型)条件づけについて学ぶ。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① レスポンデント条件づけの基本原理 ② 獲得と消去 ③ 般化と弁別 ④ 特殊条件づけ
細目レベル ① 2.1. レスポンデント条件づけの基本原理
レスポンデント条件づけは、環境内の事象どうしの規則的な関係を学ぶ連合学習であり、パブロフによる犬の唾液分泌の研究から体系化された。肉のように生得的に反応を引き起こす刺激を無条件刺激(US)、それによる反応を無条件反応(UR)と呼ぶ。もともと反応を引き起こさない音などの条件刺激(CS)をUSと対提示すると、やがてCSだけで条件反応(CR)が生じる。ただし、学習の成立にはCSとUSが時間的に近接するだけでは十分ではなく、CSがUSの到来をどの程度予測するかという随伴性が重要である。CSがあるときにUSが生じる確率と、CSがないときにUSが生じる確率との差を手がかりに、生体は環境の規則性や予測可能性を学習すると考えられる。


② 獲得と消去
条件刺激(CS)と無条件刺激(US)の対提示を繰り返し、条件反応(CR)が形成・強化される過程を獲得という。一般に、CSの直後にUSを提示する遅延条件づけでは学習が成立しやすく、反応は初期に急速に増加した後、次第に漸近線へ近づく。獲得後、USを伴わずCSだけを繰り返し提示するとCRは弱まり、やがて見られなくなる。この過程が消去である。ただし、消去は元の学習の単純な忘却ではなく、「CSの後にUSは来ない」という新たな抑制的学習の形成と考えられる。その証拠に、消去後に休止期間を置いてCSを提示すると、一度消えたCRが一時的に再び現れる自発回復が生じる。これらは、学習が環境の変化に応じて更新される動的な過程であることを示す。


③ 般化と弁別
刺激般化とは、ある条件刺激(CS)に条件反応(CR)が形成された後、元の刺激と類似した別の刺激にも反応が生じる現象である。元のCSに似た刺激ほど反応は強く、類似性が低下するにつれて反応が弱まる関係は般化勾配として表される。これに対して弁別は、類似した刺激どうしの違いを学習し、異なる反応を示すようになる過程である。一方の刺激の後にはUSを提示し、別の刺激の後には提示しない弁別訓練を行うと、反応すべき刺激が選択され、般化勾配も急峻になる。こうした般化と弁別を通して、特定の刺激の有無によって反応が選択的に生じる状態が刺激性制御である。般化は経験を新しい状況へ広げ、弁別は重要な違いを見極めることで、環境への柔軟な適応を可能にする。


④ 特殊条件づけ
レスポンデント条件づけは一般的な原理に従う一方で、生物学的制約や状況に応じた特殊な学習形態も存在する。味覚嫌悪学習では、食物の摂取と後の体調不良が時間的に離れていても強い学習が成立し、特定の刺激と結果の結びつきに偏りがあることが示される。また、感覚予備条件づけでは、直接強化されていない刺激同士の関係が後に行動に影響を与えることが明らかになる。さらに、すでに学習された刺激が新たな学習を妨げるブロッキング現象は、単なる連合では説明できない学習の選択性を示している。これらの現象は、学習が単純な機械的結合ではなく、情報処理的な側面を持つことを示唆する。


⑤ 特殊条件づけ
レスポンデント条件づけには、単純な刺激の近接や反復だけでは説明しにくい現象がある。味覚嫌悪学習では、特定の味を経験した数時間後に体調不良が生じても、一度の経験でその味を避けることがあり、特定の組み合わせが連合しやすいという生物学的制約を示す。感覚予備条件づけでは、まず二つの中性刺激を対提示し、その後一方だけをUSと条件づけすると、USと直接結びついていないもう一方の刺激にも反応が生じる。ブロッキングでは、ある刺激がすでにUSを十分に予測していると、新たに加えた刺激についての学習が成立しにくい。これらは、学習が報酬や時間的近接だけでなく、生物学的制約や既存の予測、予測誤差などに左右される選択的な過程であることを示している。


キーワード ① レスポンデント(古典的、パブロフ型)条件づけ ② 条件刺激(CS)・無条件刺激(US) ③ 随伴性 ④ 獲得 ⑤ 消去
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

4 【アドバンスト(2)】条件づけは連合か予測か 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、ベーシック第2回では、レスポンデント条件づけの基本原理を学び、条件刺激(CS)と無条件刺激(US)の関係を通して、生物が環境中の規則性を学習する仕組みについて理解した。また、獲得・消去・自発的回復という学習の動的な変化、刺激般化や弁別による環境への適応、さらに味覚嫌悪学習やブロッキングなどの特殊条件づけを通して、条件づけが単なる刺激同士の結び付きではなく、生物が環境に適応するための柔軟な情報処理機構であることを学んだ。
本回では、この知識をさらに発展させ、レスポンデント条件づけを現代の学習理論の視点から再検討する。パブロフ以来の「刺激同士の連合」という考え方が、現在では「未来を予測する情報処理システム」へとどのように発展したのかを理解するとともに、随伴性理論や予測誤差理論を通して、生物が効率的かつ適応的に学習する仕組みについて考察する。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① ベーシック第2回のまとめ ② 条件づけ理論の発展 ③ 現代の学習理論 ④ 本回のまとめ
細目レベル ① ベーシック第2回のまとめ
ベーシック第2回では、レスポンデント条件づけの基本原理について学んだ。条件刺激と無条件刺激は単に時間的に近接して提示されるだけでなく、条件刺激が無条件刺激をどの程度正確に予測できるかが学習成立の重要な要因であることを理解した。また、獲得・消去・自発的回復は、学習が固定的なものではなく、環境の変化に応じて更新され続ける過程であることを示していた。さらに、刺激般化・刺激弁別・刺激性制御は、生物が未知の環境へ経験を応用しながら、必要に応じて刺激を区別するための適応機構であることを学んだ。加えて、味覚嫌悪学習、感覚予備条件づけ、ブロッキングなどの特殊条件づけは、生物があらゆる刺激を同じように学習するのではなく、予測可能性や進化的背景に応じて選択的に学習していることを示す重要な現象であった。


② 条件づけ理論の発展
この考え方は長く「刺激同士の連合」として理解されてきたが、その後の研究では、単なる時間的近接だけでは条件づけを十分に説明できないことが明らかになった。現在では、レスポンデント条件づけは刺激同士を結び付ける現象ではなく、生物が環境中の規則性を利用して未来を予測する情報処理システムとして理解されている。そのため、条件刺激があっても無条件刺激が起こらない場合や、条件刺激がなくても無条件刺激が頻繁に起こる場合には、条件づけは成立しにくくなる。この考え方によって、従来の連合理論では説明が難しかった多くの現象が統一的に理解できるようになり、条件づけ研究は「刺激の連合」から「予測の学習」へと大きく発展した。


③ 現代の学習理論
現代の条件づけ理論では、生物は予測が外れたときに最も効率よく学習すると考えられている。予測誤差が大きいほど学習は強く進み、逆にすでに十分な予測ができている場合には、新たな学習はほとんど生じない。例えば、ガルシアによって発見された味覚嫌悪学習では、味覚と吐き気は一度の経験でも強く条件づけられる一方で、味覚と電気ショックのような組み合わせは学習されにくい。このことは、生物が進化の過程で、生存に有利な刺激の組み合わせを優先して学習するよう適応してきたことを示している。したがって、学習は無限の可塑性をもつ仕組みではなく、生物種の生態や進化史に基づいた制約の中で成立する適応機構として理解する必要がある。


④ 本回のまとめ
本回では、レスポンデント条件づけを現代の学習理論の視点から再検討した。パブロフ以来、条件づけは刺激同士の連合として説明されてきたが、現在では、生物が環境中の規則性を利用して未来を予測する情報処理システムとして理解されている。条件刺激は無条件刺激を予測する手掛かりとなり、その予測が外れたときには予測誤差に基づいて学習が更新される。また、生物は進化の過程で、生存に有利な刺激を優先して学習するよう適応しており、条件づけには生物学的制約も存在する。このように、レスポンデント条件づけは単なる反射形成ではなく、「予測」「更新」「適応」という三つの要素から構成される高度な認知システムとして位置づけられている。


キーワード ① 随伴性 ② 予測 ③ 予測誤差 ④ ブロッキング ⑤ 学習の制約
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

5 【ベーシック(3)】オペラント条件づけの基礎 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、本回はオペラント条件づけの基礎について学ぶ。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① オペラント条件づけの基本原理 ② 強化と罰 ③ 強化スケジュール ④ 行動形成
細目レベル ① オペラント条件づけの基本原理
オペラント条件づけは、生体が環境に対して自発的に行う行動と、その直後に生じる結果との関係を学ぶ仕組みである。ソーンダイクの問題箱実験では、猫はさまざまな行動を試すが、成功して餌を得る経験を重ねると、無駄な行動が減り、脱出に有効な行動が定着した。この試行錯誤から、満足をもたらす結果に続く行動は生じやすくなるという効果の法則が導かれた。スキナーはこの考えを発展させ、行動を先行刺激(A)・行動(B)・結果(C)の関係として捉える三項随伴性を体系化した。たとえばランプ点灯時にレバーを押すと餌が得られるように、自発的な行動は単独で生じるのではなく、どの状況で行い、その結果として何が起こったかという環境との相互作用の中で形成される。


② 強化と罰
オペラント条件づけでは、行動の直後に生じる結果によって、その行動が将来生じる確率が変化する。行動が増加する過程が強化、減少する過程が罰であり、「正・負」は良い・悪いではなく、刺激の出現と消失を表す。正の強化では、行動の後に餌や称賛などの刺激が加わり、行動が増える。負の強化では、不快な刺激が行動によって消失・回避されることで行動が増え、逃避や回避が含まれる。したがって、負の強化は罰とは異なる。罰には、嫌悪的刺激を加える正の罰と、好ましい刺激を取り除く負の罰があり、いずれも行動を減少させる。ただし罰は代わりに何をすべきかを教えるものではなく、副作用もありうるため、望ましい行動を強化する方法との組み合わせが重要となる。


③ 強化スケジュール
強化スケジュールとは、どのような条件や頻度で行動を強化するかを定めた規則であり、その違いによって反応率や行動パターン、消去への抵抗性が変化する。行動回数を基準とする比率スケジュールには、一定回数ごとの固定比率(FR)と、必要回数が変動する変動比率(VR)があり、VRでは高い反応率と強い消去抵抗がみられる。時間経過を基準とする間隔スケジュールには、固定間隔(FI)と変動間隔(VI)がある。さらに、複数のスケジュールを交替させる多重スケジュールや、同時に選択可能にする並列スケジュールなどを用いることで、選択行動も分析できる。並列スケジュールでは、各選択肢への反応割合と得られる報酬割合の対応を示すマッチング法則が知られている。


④ 行動形成
複雑な行動は、オペラント条件づけの原理を利用して段階的に形成できる。シェイピングは、目標行動に近い単純な行動から出発し、強化する基準を少しずつ変化させることで、新しい行動を形成する技法である。チェイニングは、すでに実行可能な複数の行動を順序立てて連結し、一連の複雑な行動を形成する方法で、順行連鎖と逆行連鎖がある。また、もともと生物学的価値をもたない刺激も、食物などの一次的強化子と結びつくことで二次的強化子となる。なかでも、お金やトークンのように多様な強化子と交換できる刺激は般性強化子として広範な行動を維持できる。これらの技法は、動物訓練だけでなく、教育、リハビリテーション、生活スキルの支援などにも応用されている。


キーワード ① オペラント条件づけ ② 効果の法則 ③ 三項随伴性 ④ 強化 ⑤ 強化スケジュール
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

6 【アドバンスト(3)】私たちの行動は、どこまで環境によって決まるのか 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、第3回では、ベーシックで学んだオペラント条件づけを出発点として、「私たちの行動は、どこまで環境によって決まるのか」という問いを考える。ベーシックでは、効果の法則、三項随伴性、強化と罰、強化スケジュール、シェイピングなどを通して、行動が結果との関係によって形成・維持される仕組みを学んだ。本回では、徹底的行動主義と環境決定論を取り上げ、思考や感情を含む人間の行動を環境との相互作用から説明する立場を検討する。さらに、自由意志と主体性、自己制御、教育・臨床・福祉における行動分析学の応用を通して、環境を設計することで行動を変えるという考え方の可能性と限界を考える。こうした検討を通して、行動の原因をどこに求めるのかを問い直す。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① ベーシック第3回のまとめ ② 行動主義は人間をどう見たか ③ 現代の行動分析学 ④ 本回のまとめ
細目レベル ① ベーシック第3回のまとめ
ベーシック第3回では、ソーンダイクの効果の法則からスキナーのオペラント条件づけへと至る流れを学び、行動は結果によって形成されるという基本原理を理解した。また、正の強化・負の強化、正の罰・負の罰を区別し、それぞれが行動頻度に与える影響について学習した。さらに、連続強化と各種の間欠強化スケジュール、シェイピングやチェイニングなどの技法を通して、複雑な行動も段階的に形成できることを理解した。これらの内容は、人間や動物の行動を偶然や性格ではなく、環境との相互作用によって説明する行動分析学の基本的な考え方を支えている。さらに、行動変容技法は教育、医療、福祉、産業場面など幅広い領域で応用され、現在も実践的な心理学の基礎となっている。


② 行動主義は人間をどう見たか
スキナーの徹底的行動主義は、思考や感情を否定するのではなく、それらを本人だけが直接経験できる私的事象として認め、その成立条件も説明の対象とする。行動の原因を性格や意思など個人の内側だけに求めず、先行する状況、行動の結果、過去の強化歴を含む個体と環境との相互作用から分析する点が特徴である。環境決定論も、目の前の刺激が人を機械的に動かすという意味ではなく、生物学的特徴、過去の経験、社会的・言語的環境など複数の条件が行動の生じやすさに影響すると捉える。「自分で選ぶ」という経験も否定せず、選択そのものを行動として、その選択を可能にし変化させる条件を具体的に問う。主体性の成立過程を分析可能な問題として捉え直すのである。


③ 現代の行動分析学
現代の行動分析学では、環境が行動に影響するという考え方を、自己制御や実践的支援へと展開する。自己制御は意志の強さだけで説明されるものではなく、予定を立てる、記録する、誘惑となる刺激を遠ざけるなど、将来の自分の行動が生じやすくなるよう環境条件を自ら調整する行動として捉えられる。この発想は教育・臨床・福祉にも応用され、問題行動を本人の性格や能力だけに帰さず、その行動が生じ維持される条件や機能を分析し、環境調整や代替行動の形成につなげる。一方、行動変容では誰が目標を決めるのか、本人の選択や同意、生活の質をどう保障するかという倫理的問題も重要であり、効果だけでなく支援の目的と意味を検討する必要がある。


④ 本回のまとめ
本回では、ベーシックで学んだオペラント条件づけを出発点として、「私たちの行動は、どこまで環境によって決まるのか」という問題を考えた。徹底的行動主義は、思考や感情を否定せず、それらも含めて行動を個体と環境との相互作用から説明しようとする。環境による説明は、人間が刺激によって機械的に動かされるという意味ではなく、過去の強化歴、生物学的特徴、社会的・言語的環境など多様な条件が行動に影響することを捉えるものである。また、選択や自己制御も行動として分析でき、自ら環境を調整することで将来の行動を変えることができる。行動分析学の応用では、行動を変える技術だけでなく、本人の選択、生活の質、支援目標の妥当性を含む倫理的視点も不可欠である。


キーワード ① 徹底的行動主義 ② 強化歴 ③ 環境決定論 ④ 自由意志 ⑤ 行動と環境の相互作用
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

7 【ベーシック(4)】弁別学習と刺激性制御 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、本回は弁別学習と刺激性制御について学ぶ。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① 刺激性制御の基本原理 ② 弁別と般化 ③ 複雑な弁別 ④ 応用
細目レベル ① 刺激性制御の基本原理
私たちの行動は、同じ行動がいつでも同じように生じるのではなく、周囲の状況や刺激を手がかりとして選択される。ある刺激が存在するときに特定の行動が生じやすくなる状態を刺激性制御という。その手がかりとなる弁別刺激は、行動を反射的に引き起こす刺激ではなく、過去の経験を通して「この状況でこの行動をすれば強化が得られる」ことを知らせる刺激である。したがって、オペラント行動を理解するには、行動と結果の関係だけでなく、その行動がどのような状況で生じるのかを考える必要がある。刺激性制御が成立することで、生体は環境に存在するさまざまな手がかりを利用し、状況に応じて適切な反応を選択できるようになる。


② 弁別と般化
弁別訓練では、ある刺激のもとでの反応を強化し、別の刺激のもとでの反応を強化しないことによって、刺激に応じた反応の違いを形成する。一方、学習した刺激と似た新しい刺激にも反応が広がる現象が般化である。刺激が元の訓練刺激に似ているほど反応が強く、違いが大きくなるほど弱くなる関係は般化勾配として表される。弁別訓練を行うと、どの刺激に反応すべきかがより明確になり、般化勾配も変化する。また、二つの刺激を弁別する訓練の後、最大の反応が強化された刺激そのものではなく、非強化刺激から離れた方向へ移動することがある。これをピークシフトという。弁別と般化は、環境の違いを見分けながら、学習を新しい状況にも利用する相補的な働きである。


③ 複雑な弁別
刺激性制御は、単一の刺激を見分けるだけでなく、刺激間の関係や文脈を利用する複雑な学習へ発展する。条件性弁別では、ある刺激に対してどの反応が正しいかが、同時に提示される別の刺激によって変化する。これは先行刺激・行動・結果からなる三項随伴性に、さらに条件となる刺激を加えた四項随伴性として捉えられる。マッチング課題では、提示された見本刺激と同じ比較刺激を選択させることで、「同じ」という関係の学習や記憶を調べることができる。また相対判断では、個々の刺激の絶対的な特徴ではなく、「より大きい」「より明るい」など刺激間の関係を手がかりに選択する。訓練とは異なる刺激にも同じ関係を適用する移調は、関係そのものが学習されている可能性を示す。


④ 応用
弁別、般化、刺激性制御の原理は、実験室だけでなく教育、行動修正、日常生活にも働いている。教育では、どの状況でどの行動が求められるのかを明確な手がかりによって示し、適切な反応を強化することで学習を促進できる。また、ある場面で獲得した知識や技能を別の場面でも利用できるようにするには、特定の刺激だけに反応を限定せず、適切な般化を促すことが必要になる。行動修正では、問題となる行動だけを見るのではなく、その行動がどのような状況で生じ、どのような結果によって維持されているかを分析する。日常の習慣や意思決定も、環境に存在するさまざまな手がかりによって影響されており、行動と環境との関係を具体的に捉えることが重要である。


キーワード ① 刺激性制御 ② 弁別刺激 ③ 般化と弁別 ④ 条件性弁別 ⑤ 関係学習
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

8 【アドバンスト(4)】弁別とは何をしているのか 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、ベーシック第4回では、弁別学習と刺激性制御を中心に、弁別刺激、般化、弁別訓練、般化勾配、ピークシフト、条件性弁別、マッチング課題、相対判断などを学び、環境の中から有効な手がかりを選択し、状況に応じて適切な行動を選ぶ仕組みを理解した。本回では、これらの知識を出発点として、「弁別とは何をしているのか」という問いをさらに掘り下げる。刺激性制御を単なる反応の制御ではなく、環境情報の選択的処理として捉え直し、般化とカテゴリー形成の関係を考察する。さらに、関係学習や抽象化を通して、個々の刺激を超えた共通性や関係性がどのように理解されるのかを検討し、弁別学習が認知心理学におけるカテゴリーや概念形成へとつながる基盤であることを理解する。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① ベーシック第4回のまとめ ② 刺激はどのように意味をもつのか ③ 認知への発展 ④ 本回のまとめ
細目レベル ① ベーシック第4回のまとめ
ベーシック第4回では、オペラント行動がどのような状況で生起するかを規定する刺激性制御について学んだ。弁別刺激は行動が強化される可能性を予告する手がかりとして機能し、学習が進むと特定の刺激のもとで適切な反応が選択されるようになる。また、刺激般化によって過去の学習を類似した未知の刺激へ広げる一方、弁別訓練によって反応すべき範囲を精密化することを理解した。さらに、条件性弁別、マッチング課題、相対判断では、単一刺激の物理的特徴だけでなく、文脈や刺激間の関係性に基づいて反応が選択されることを学んだ。これらの知見は、刺激性制御が単純な行動調整にとどまらず、分類、抽象化、概念形成へと発展する基礎であることを示している。


② 刺激はどのように意味をもつのか
同じ対象であっても、色、形、大きさ、位置、文脈など多数の特徴が存在し、そのうちどの特徴が行動の手がかりとなるかは学習経験によって変化する。つまり、刺激性制御とは刺激そのものが行動を直接支配するのではなく、生体が強化との関係をもつ特徴を選択的に抽出し、それを利用して反応する過程と考えられる。どの特徴に注目するかは、過去の学習や現在の文脈によって変化し、それに応じて般化の範囲も変わる。カテゴリーは完全に固定された箱ではなく、典型的な事例から周辺的な事例へ連続的に広がる構造をもつことが多い。般化と弁別は、環境を大まかにまとめながら必要な違いを見分ける、カテゴリー形成の基礎的な仕組みとして理解できる。


③ 認知への発展
関係学習とは、個々の刺激そのものではなく、刺激間に成立する関係を手がかりとして反応する学習である。例えば、見本合わせ課題では、特定の色や形を覚えるだけでなく、「見本と同じものを選ぶ」という関係を学ぶことが求められる。このような学習が新しい刺激にも適用される場合、生体は具体的な刺激の特徴を超えて共通する構造を抽出していると考えられる。これがカテゴリー形成であり、さらに抽象度が高まると概念形成へとつながる。例えば「犬」という概念は、体格や毛色の異なる個体を同じカテゴリーとしてまとめ、未知の個体にも適用できることで成立する。この視点は、学習心理学から認知心理学へと理論的に接続する重要な転換点となる。


④ 本回のまとめ
本回では、ベーシックで学んだ弁別学習と刺激性制御を、認知的な視点から再検討した。刺激性制御では、生体が環境中のすべての情報に反応するのではなく、強化と関係する特徴を選択的な手がかりとして利用していることを理解した。また、般化と弁別は、刺激の類似性を評価しながらカテゴリーの範囲や境界を形成する過程として捉え直すことができる。さらに、関係学習では「同じ」「異なる」「より大きい」といった刺激間の関係を抽出し、それを新しい刺激へ適用することで抽象化が可能になる。こうした学習の積み重ねはカテゴリー形成や概念形成へと発展し、弁別学習が行動の調整だけでなく、世界を分類し意味づける認知機能の基盤であることを示している。


キーワード ① 刺激性制御 ② 選択的注意 ③ 般化 ④ 関係学習 ⑤ 概念形成
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

9 【ベーシック(5)】エソロジー(動物行動学)と学習 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、エソロジー(動物行動学)と学習について学ぶ。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① エソロジーの基礎 ② 本能行動 ③ 学習との相互作用 ④ 比較認知への橋渡し
細目レベル ① エソロジーの基礎
エソロジー(動物行動学)は、動物が自然環境の中で示す行動を観察し、その仕組み、発達、機能、進化を明らかにしようとする研究領域である。統制された実験室で学習の一般法則を探究する方法に対し、エソロジーでは、それぞれの種が本来どのような環境で生活し、行動が生存や繁殖にどのような意味をもつのかを重視する。自然観察では、動物が示す行動を体系的に分類・記録したエソグラムが利用される。また、特定の種に共通してみられる種特異的行動を、その種の進化史や生態との関係から考える。こうした視点は、動物の行動を単に外部刺激への反応として捉えるのではなく、その行動がなぜ進化し、自然環境の中でどのような適応的機能を果たすのかを理解する基盤となる。


② 本能行動
動物には、学習によって一から獲得されるのではなく、生得的な基盤をもつ種特異的な行動がみられる。固定行動パターンは、特定の刺激をきっかけとして生じる比較的定型的な一連の行動であり、ハイイロガンの卵転がし行動などが代表例である。この行動を引き起こす特定の特徴をもった刺激は解発刺激と呼ばれる。ただし、動物の行動は一つの反応だけで完結するとは限らない。採食、求愛、巣作りなどでは、ある行動の結果が次の行動を生じさせる手がかりとなり、複数の行動が連続した行動連鎖を形成する。本能行動をこのような具体的な仕組みとして捉えることで、行動を曖昧な「本能」という力で説明するのではなく、どの刺激がどの行動を引き起こし、それらがどのようにつながるのかを分析できる。


③ 学習との相互作用
生得的行動と学習は互いに独立した仕組みではなく、実際の行動は両者の相互作用によって形成される。準備性とは、進化の過程で生存や繁殖に重要であった刺激と結果の組み合わせについて、特定の学習が成立しやすくなっている性質を指す。一方、条件づけによってどのような行動でも自由に形成できるわけではなく、生得的な行動傾向によって学習が制限される場合もある。このような生物学的制約は、学習の一般法則だけでは動物行動を十分に説明できないことを示す。しかし、生得的行動も完全に固定されているわけではない。可塑性によって、発達や経験、環境条件に応じて行動は変化しうる。学習は進化によって準備された生物学的基盤の上で働き、その範囲内で環境への柔軟な適応を可能にしている。


④ 比較認知への橋渡し
エソロジーと学習研究の統合は、異なる種の認知を進化的な連続性の中で研究する比較認知科学へつながった。動物の行動を理解するには、単に刺激と反応の関係を見るだけでなく、自然環境で直面する問題をどのように解決しているかを調べる必要がある。社会生活を営む動物では、他個体の関係や視線、行動を把握し、それに応じて自らの行動を調整する社会的認知が重要となる。また、外界の物体を利用して目標を達成する道具使用では、道具の選択や加工に経験や社会的学習が関与する場合がある。さらに、集団ごとに異なる行動が社会的に伝達される現象は、文化の萌芽を考える手がかりとなる。こうした種間比較は、人間の認知や言語を進化の中に位置づけて考える基盤にもなる。


キーワード ① エソロジー(動物行動学) ② 固定行動パターン ③ 解発刺激 ④ 準備性 ⑤ 生物学的制約
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

10 【アドバンスト(5)】本能と学習はどうつながるか 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、ベーシック第5回では、エソロジー(動物行動学)の基本的な考え方を学び、動物の行動は実験室だけではなく、自然環境の中でその適応的な意味を理解する必要があることを学習した。また、本能行動は固定的なものではなく、経験や環境との相互作用によって柔軟に変化すること、さらに学習には準備性や生物学的制約が存在し、すべての刺激が同じように学習されるわけではないことを理解した。本回では、これらの知識を基盤として、本能と学習は対立する概念ではなく、進化の過程で相互に補完しながら発達してきた適応システムであることを考察する。さらに、比較認知科学の視点から種間比較を通して学習や認知を捉え、人間を生物進化の連続性の中で理解する視点を身につける。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① ベーシック第5回のまとめ ② 本能は固定的なのか ③ 学習は万能なのか ④ 本回のまとめ
細目レベル ① ベーシック第5回のまとめ
ベーシック第5回では、ローレンツやティンバーゲンらによって発展したエソロジーの基本的な考え方を学び、動物の行動は自然環境における適応という観点から理解する必要があることを学んだ。また、本能行動は固定的な反応ではなく、経験や環境条件によって表れ方が変化する柔軟性をもつことを理解した。さらに、ガルシア効果や本能的漂流などの研究から、学習には生物学的制約が存在し、進化の過程で生存に有利な学習が選択されてきたことを学んだ。これらの知見は、本能と学習を対立する概念ではなく、相互に補完しながら環境への適応を支える統合的な仕組みとして理解する基盤となっている。


② 本能は固定的なのか
エソロジー(動物行動学)は、動物の行動を自然環境の中で観察し、その行動が生存や繁殖にどのような役割を果たしているのかを明らかにしようとする学問である。エソロジーは、行動を単なる刺激への反応としてではなく、生物が長い進化の過程で獲得した適応戦略として理解する視点を提供した。また、発達初期の経験は、その後の本能行動の表れ方に大きな影響を及ぼす場合がある。このことは、本能と学習が互いに独立した仕組みではなく、本能的な枠組みの中で経験が行動を微調整していることを示している。したがって、本能は固定的なプログラムではなく、経験との相互作用によって発揮される動的な適応システムとして理解することが重要である。


③ 学習は万能なのか
学習は柔軟な適応機構である一方、すべての刺激と結果の組み合わせが同じように学習されるわけではない。例えば、ガルシア効果では、味覚と体調不良は一度の経験でも強く結び付くが、味覚と電気ショックのような組み合わせは学習されにくい。比較認知科学は、多様な動物の認知や学習を比較することで、人間の認知の普遍性と特殊性を明らかにしようとする学問である。種によって得意とする課題や学習の様式は異なるが、その違いは知能の優劣ではなく、それぞれが進化の過程で適応してきた生態的環境を反映している。このような比較研究によって、人間の言語や概念形成も、他の動物と連続性をもちながら発達した能力として理解できるようになった。


④ 本回のまとめ
本回では、本能と学習を対立する概念としてではなく、進化の中で相互に補完しながら発達してきた適応システムとして理解した。エソロジーは行動を自然環境の中で捉え直し、本能行動も経験によって柔軟に変化することを示した。また、準備性や本能的漂流は、学習が無制限に成立するのではなく、生物学的制約の中で効率的に機能していることを明らかにした。さらに、比較認知科学は、多様な動物を比較することによって、人間の認知や行動を進化の連続性の中で理解する視点を提供している。本能・学習・認知は、それぞれ独立した仕組みではなく、環境への適応という共通の目的のもとで統合的に働く生物学的システムである。


キーワード ① 本能の柔軟性 ② ティンバーゲンの4つの問い ③ 準備性 ④ 生物学的制約 ⑤ 適応
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

11 【ベーシック(6)】社会的学習 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、本回は、社会的学習について学ぶ。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① 観察学習の基礎 ② 社会的影響と学習の基層 ③ 模倣とエミュレーション ④ 社会的伝達と文化
細目レベル ① 観察学習の基礎
観察学習とは、他者の行動とその結果を観察することによって、自分自身が直接その行動を経験しなくても新しい行動や行動の規則を獲得する学習である。バンデューラの研究で知られるモデリングでは、観察者はモデルの行動を単純にコピーするのではなく、その行動に注意を向け、記憶し、自ら再現し、その結果を考慮しながら行動へ取り込む。また、他者の行動が報酬を受けたり罰せられたりする様子を見ることで、自分の行動可能性が変化する代理強化も生じる。観察学習には、モデルへ注意を向ける注意過程、行動を記憶する保持過程、実際に行動へ移す運動再生過程、行動するかどうかを左右する動機づけ過程が関与する。他者から情報を得ることで、試行錯誤に伴う時間や危険を減らすことができる。


② 社会的影響と学習の基層
他者の存在は、相手の行動を直接模倣しなくても個体の行動や学習に影響する。社会的促進では、他者がいることによって活動性が高まったり、すでに獲得されている行動が生じやすくなったりする。また、他者が特定の物体に働きかける様子を見ることで、その物体自体に注意が向く刺激強調や、他者が行動した場所に注意が向く局所的強調が生じる。これらは、行動そのものをコピーする模倣とは異なるが、何を学習するかを方向づける重要な社会的影響である。さらに共同注意では、自分と他者が同じ対象に注意を向け、互いにその注意を共有する。他者の視線や指さしを手がかりとして注意を調整する能力は、社会的学習を支えるだけでなく、後の言語獲得やコミュニケーションにも重要な役割を果たす。


③ 模倣とエミュレーション
他者から学ぶ方法には、観察した行動そのものを再現する模倣と、行動の結果や環境の変化を手がかりに同じ目標を達成するエミュレーションがある。模倣では、他者が「どのように」行動したかが学習されるのに対し、エミュレーションでは、他者の行動によって「何が起こったか」を利用し、観察者自身の方法で目標を達成する。この区別は、人間と他の動物の社会的学習を比較する際に重要となる。また、自分がある行動を行うときだけでなく、他者が同様の行動をするのを観察したときにも活動するミラーニューロンが知られている。こうした神経系は自己の行動と他者の行動を結びつける仕組みの一つとして注目されてきたが、模倣や意図理解などの複雑な社会認知をそれだけで説明できるわけではない。


④ 社会的伝達と文化
社会的学習によって獲得された行動が個体間で伝達され、集団内で共有・維持されると、個体の学習を超えた文化的な現象が生じうる。動物でも、採食方法や道具使用などに集団ごとの差異がみられ、その違いが社会的に伝達されている場合には「文化」として研究される。ただし、他者から学ぶことには利益だけでなくコストもある。他者の情報が古かったり不適切だったりすれば、個体学習の方が有利な場合もあるため、いつ社会的情報を利用するかが重要となる。人間では、社会的に伝達された知識や技術が世代を越えて保持されるだけでなく、そこに改良が積み重なり、個人では生み出しにくい複雑な技術や制度へ発展する。この累積的文化進化は、人間の社会的学習を特徴づける重要な側面である。


キーワード ① 観察学習 ② モデリング ③ 代理強化 ④ 模倣 ⑤ エミュレーション
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

12 【アドバンスト(6)】他者から学ぶとはどういうことか 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、ベーシック第6回では、社会的学習を個体内の学習から他者との相互作用へと広げ、観察学習、代理強化、社会的促進、共同注意、模倣とエミュレーション、さらに文化的伝達について学んだ。他者を観察するだけで新しい行動や価値観を獲得できることは、直接経験に依存しない効率的な学習を可能にする。本回では、これらの知識を出発点として、「他者から学ぶとはどういうことか」を改めて考察する。模倣を単なる行動のコピーではなく、他者の意図や目標を読み取る認知過程として捉え直し、その神経的基盤としてミラーニューロンや共鳴行動を検討する。さらに、個体間の学習が集団へ広がり、文化進化へとつながる過程を理解する。社会的学習が、個体の適応を超えて知識の継承と蓄積を可能にする仕組みであることを捉える。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① ベーシック第6回のまとめ ② 社会的学習とは何か ③ 社会は学習をどう変えるか ④ 本回のまとめ
細目レベル ① ベーシック第6回のまとめ
ベーシック第6回では、バンデューラの観察学習を中心に、他者の行動やその結果を観察することで、自らが直接強化や罰を受けなくても行動が変化する仕組みを学んだ。観察学習には注意、保持、運動再生、動機づけという四つの過程があり、学習の獲得と実際の遂行が区別されることを理解した。また、社会的促進、刺激強調・局所的強調、共同注意など、他者の存在や注意の共有が学習を支える基盤となることを学んだ。さらに、模倣とエミュレーションの違い、動物における文化、社会的学習のコストと利益、ヒトに特徴的な累積的文化進化を通して、個体の学習が社会全体の知識や行動様式の伝達へと発展することを理解した。社会的学習は、個体の経験を他者へ共有し、集団に蓄積するための基盤であることも確認した。
社会的学習とは何か
観察者は単に身体運動をコピーするだけでなく、モデルが何を達成しようとしているのかという目標や意図を読み取り、その情報を自らの行動に利用することがある。ベーシックで学んだモデリングや観察学習でも、他者の行動そのものだけでなく、その結果や背後にあるルールが学習対象となっていた。こうした性質は、他者の行動を視覚情報として処理するだけでなく、自分自身の運動経験と対応づけて内的にシミュレートしている可能性を示している。また、他者のあくびにつられて自分もあくびをするような共鳴行動は、他者の状態が自己の身体反応へ波及する例である。ただし、ミラーニューロンだけで意図理解や共感のすべてを説明できるわけではない。



② 社会的学習とは何か
観察者は単に身体運動をコピーするだけでなく、モデルが何を達成しようとしているのかという目標や意図を読み取り、その情報を自らの行動に利用することがある。ベーシックで学んだモデリングや観察学習でも、他者の行動そのものだけでなく、その結果や背後にあるルールが学習対象となっていた。こうした性質は、他者の行動を視覚情報として処理するだけでなく、自分自身の運動経験と対応づけて内的にシミュレートしている可能性を示している。また、他者のあくびにつられて自分もあくびをするような共鳴行動は、他者の状態が自己の身体反応へ波及する例である。ただし、ミラーニューロンだけで意図理解や共感のすべてを説明できるわけではない。


③ 社会は学習をどう変えるか
人間の行動は、他者の存在や集団の状況によって大きく変化する。このように、社会的影響は単に周囲の人に合わせる現象ではなく、他者の視点や注意を利用して効率的に学習する仕組みでもある。学習は個人の能力だけでなく、社会的環境との相互作用によって成立する動的な過程であり、個体は常に他者との関係の中で新たな知識や行動を獲得している。比較認知研究では、多くの動物にも社会的学習や文化的伝達が存在することが示されているが、人間ほど長期間にわたって知識を改良・蓄積し続ける例は限られている。文化進化とは、個体の学習能力と社会的伝達が相互作用することによって成立する、人間社会を特徴づける高度な適応システムなのである。


④ 本回のまとめ
本回では、他者から学ぶという行為を、個体の模倣行動だけではなく、社会全体に知識を伝達し蓄積する仕組みとして理解した。観察学習や模倣では、他者の行動だけでなく、その背後にある目的や意図を理解することが重要であり、その過程には身体的共鳴や神経基盤が関与している可能性がある。また、共同注意や社会的促進は、学習が他者との相互作用の中で成立することを示している。さらに、過剰模倣や累積的文化は、人間が世代を超えて知識や技能を発展させる基盤となっている。社会的学習は個体の適応を支えるだけでなく、人類の文化進化を可能にした根本的な学習システムである。その結果、個体を超えた知識の継承と蓄積が可能になる。


キーワード ① 社会的学習 ② 模倣 ③ 目標・意図理解 ④ 社会的伝達 ⑤ 累積的文化
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

13 【ベーシック(7)】学習と認知の統合 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、本回は学習と認知の統合について学ぶ。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① 潜在学習と知識の構築 ② 思考と問題解決 ③ メタ認知と自己調整 ④ 運動学習と一般化
細目レベル ① 潜在学習と知識の構築
学習によって生じる変化は、すぐに観察可能な行動として現れるとは限らない。トールマンの潜在学習実験では、ラットが報酬を与えられていない期間にも迷路について学習し、後に報酬が導入されると成績が急速に向上することが示された。この結果は、学習と行動遂行を区別して考える必要性を示している。トールマンは、動物が刺激と反応の単純な結びつきだけを学習するのではなく、環境の空間的関係について認知地図を形成すると考えた。さらに、学習によって形成される知識には、出来事の関係や将来生じる結果についての期待も含まれる。学習を経験による行動変化だけでなく、環境についての知識が獲得・構造化される過程として捉えることが重要である。


② 思考と問題解決
問題解決では、過去に学習した知識を利用するだけでなく、問題の捉え方そのものを変化させることが必要になる場合がある。洞察とは、試行錯誤を繰り返すだけでなく、問題状況を認知的に再体制化することによって解決方法が突然見いだされる現象である。また、問題を解く方法には、一定の手続きを正確に実行すれば解に到達できるアルゴリズムと、経験や直感を利用して効率的に解を探索するヒューリスティックがある。一方、過去の経験は問題解決を助けるだけでなく、物体を通常の用途に限定して考えてしまう機能的固着を生じさせることもある。効果的な問題解決には、既存の知識を利用しながらも、必要に応じて問題の表象や解決方略を柔軟に変更することが求められる。


③ メタ認知と自己調整
メタ認知とは、自分自身の認知活動について認知する働きである。そこには、自分が何を理解し、何を理解していないかを把握するモニタリングと、その情報をもとに学習方法や行動を変更するコントロールという二つの側面がある。自己調整学習では、学習者自身が目標を設定し、学習方略を選択して実行し、その結果を振り返りながら次の学習を調整する。この過程では、自分が課題を遂行できるという見通しである自己効力感も重要になる。自己効力感は、課題を選択するか、どの程度努力するか、困難に直面したときにどの程度継続するかにも関係する。効果的な学習には、知識を獲得するだけでなく、自分自身の学習状態を把握し、学び方そのものを調整する能力が必要である。


④ 運動学習と一般化
運動技能の獲得も、経験によって行動が変化する学習の一つである。運動学習では、最初は動作の手順を意識的に理解しながら実行するが、練習を重ねるにつれて試行錯誤から適切な運動パターンが形成され、最終的には少ない注意で自動的に遂行できるようになる。この過程では、自分の運動の結果について得られるフィードバックが、誤りの修正や技能の改善に重要な役割を果たす。また、ある課題で獲得した技能や知識が別の課題の遂行にも影響することを学習の転移という。さまざまな条件で練習し、課題間に共通する要素や規則性を抽出することによって、学習した技能を新しい状況へ柔軟に適用できるようになる。


キーワード ① 潜在学習 ② 認知地図 ③ 洞察 ④ メタ認知 ⑤ 自己調整学習
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

14 【アドバンスト(7)】認知学習の境界を考える 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、ベーシック第7回では、潜在学習や認知地図を通して、学習とは単なる刺激と反応の結び付きではなく、環境についての知識を内部に構築する過程であることを学んだ。また、洞察や問題解決、メタ認知、自己調整学習、学習の転移などを通して、人は獲得した知識を新しい課題へ応用しながら、自らの学習を調整できることを理解した。本回では、これらの知識を統合し、「学んだ知識はどのように使われるのか」という視点から認知を捉え直す。知識がどのように構造化され、問題解決に利用されるのかを考察するとともに、メタ認知による自己調整や学習の転移を通して、人間の学習が単なる知識の蓄積ではなく、状況に応じて柔軟に活用される適応システムであることを理解する。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① ベーシック第7回のまとめ ② 学習した知識はどのように使われるのか ③ 学習をどのように制御し、応用するのか ④ 本回のまとめ
細目レベル ① ベーシック第7回のまとめ
ベーシック第7回では、トールマンの潜在学習実験を出発点として、行動として表れなくても知識は形成されること、さらに認知地図によって環境の空間的・構造的な情報が内部に保持されることを学んだ。また、問題解決では試行錯誤だけでなく洞察による解決や、ヒューリスティックとアルゴリズム、機能的固着など、多様な思考方略について理解した。さらに、メタ認知では自己の理解状態を把握しながら学習を調整する重要性を学び、自己効力感との関係についても考察した。最後に、運動学習やフィードバック、学習の転移を通して、一つの経験が新しい状況へ応用される仕組みを理解し、学習が柔軟な適応能力を支える基盤であることを学んだ。


② 学習した知識はどのように使われるのか
トールマンは、ラットが迷路内を探索する過程で、報酬が与えられなくても迷路の構造についての知識を獲得していることを示し、これを潜在学習と呼んだ。認知地図はその代表例であり、生体は空間内の位置関係や経路だけでなく、対象間の関係性も構造化して保持していると考えられる。過去に獲得した知識や経験を利用して、可能な解決方法を探索し、その中から最も適切な方略を選択する認知過程である。洞察は、長時間の試行錯誤を経ずに突然解決が生じるように見える現象であるが、その背景には知識の再構成や既有知識の新しい結び付きが存在すると考えられている。また、機能的固着のように、既存の知識がかえって柔軟な発想を妨げる場合もある。


③ 学習をどのように制御し、応用するのか
例えば、「この内容は理解できている」「ここはまだ覚えられていない」と判断し、必要に応じて復習方法や学習時間を変更することは、メタ認知による自己調整の一例である。また、自己効力感は「自分は課題を達成できる」という期待を生み、学習への努力や持続性にも大きな影響を与える。学習の価値は、一つの課題を解決できることだけではなく、その経験を新しい状況へ応用できることにある。また、抽象化とは、複数の具体的経験から共通する特徴を取り出す過程であり、転移を支える重要な認知機能である。学習とは知識を記憶することではなく、その知識を状況に応じて柔軟に適用し、新たな課題解決へ活用することまで含めた適応過程なのである。


④ 本回のまとめ
本回では、学習によって獲得された知識がどのように構造化され、問題解決や自己調整、さらには新しい状況への応用へ利用されるのかを考察した。潜在学習や認知地図は、学習が単なる反応の変化ではなく、環境についての知識を内部に構築する過程であることを示している。また、問題解決では、その知識を柔軟に組み合わせることによって新しい解決策が生み出される。さらに、メタ認知は学習者自身が理解状態を把握し、学習方法を調整する仕組みであり、学習の転移は獲得した知識を未知の状況へ応用する能力である。学習とは、知識を蓄積するだけでなく、それを適切に利用し続ける認知システム全体として理解する必要がある。


キーワード ① 知識の構造化 ② 問題解決 ③ メタ認知 ④ 自己調整学習 ⑤ 学習の転移
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

15 【ベーシック(8)】学習の応用と環境 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、本回では、学習の応用と環境について学ぶ。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① 神経基盤 ② 環境要因 ③ 教育応用 ④ 実践応用
細目レベル ① 神経基盤
学習は行動の変化として観察されるが、その背景では脳や神経系にも経験に応じた変化が生じている。脳は外部から情報を受け取るだけの固定された装置ではなく、経験や学習によってその働きを変化させる。この性質を神経可塑性という。新しい知識や技能を獲得するときには、神経細胞間の結合や神経回路の働きが変化し、それが学習した情報の保持や行動の変化を支える。また、可塑性の現れ方は発達段階によって異なり、発達初期の経験がその後の行動や認知に大きな影響を与える場合もある。ただし、可塑性は発達初期だけに存在するものではなく、成人後にも経験に応じた変化は生じる。学習を理解するには、行動と経験の関係だけでなく、それを可能にする神経系の変化も考える必要がある。


② 環境要因
学習は個体の内部だけで成立するのではなく、その個体を取り巻く環境によって大きく影響される。刺激や活動の機会が豊富なエンリッチメント環境は、探索や学習を促し、行動や神経系の発達にも影響を与える。一方、ストレスは常に学習を妨げるわけではないが、その強さや持続時間によっては注意、記憶、行動の柔軟性などを低下させることがある。また、他者との関係や社会的な環境も重要である。他者から得られる情報、支援、フィードバックは学習を促進する一方、社会的な孤立や過度な競争などが学習を阻害する場合もある。したがって、学習の成否を個人の能力や努力だけに帰属させるのではなく、個人と物理的・社会的環境との相互作用として捉えることが重要である。


③ 教育応用
学習心理学の知見は、教育場面で学習を促進する方法を考えるためにも利用できる。強化では、望ましい行動とその結果との関係を明確にすることで行動の形成や維持を促す。ただし、外的な報酬を与え続けることだけが教育の目的ではなく、学習そのものの達成感や興味へつなげることも重要である。フィードバックは、単に正解・不正解を知らせるだけでなく、現在の状態と目標との差を示し、次にどこを修正すればよいかを学習者が理解するために用いられる。また、学習の継続には動機づけが関係し、自分で学習を選択しているという自律性や、自分にも達成できるという自己効力感が重要となる。教育では、学習者が自ら学習を調整できる環境を設計することが求められる。


④ 実践応用
学習心理学の知見は、臨床や教育支援など現実の問題を理解し改善するためにも利用される。臨床では、問題となる行動や感情を本人の性格だけに帰属させず、過去の学習経験や現在の環境との関係から分析し、条件づけや強化などの原理を行動の形成や変容に利用する。教育支援でも、学習者の特性や学習状況に応じて課題、提示方法、フィードバックなどを調整することが重要である。さらに、エビデンス・ベイスト・プラクティス(EBP)では、研究による科学的根拠だけで方法を機械的に決定するのではなく、本人の特性や希望、支援者の専門的判断を組み合わせる。実施した支援の効果を評価し、その結果に基づいて方法を修正していく循環的な姿勢が求められる。


キーワード ① 神経可塑性 ② エンリッチメント ③ ストレス ④ フィードバック ⑤ エビデンス・ベイスト・プラクティス(EBP)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

16 【アドバンスト(8)】学習は社会でどのように生きるのか 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、ベーシック第8回では、これまで学んできた学習理論を、神経基盤、環境要因、教育、臨床といった実践的な視点から総合的に整理した。学習は単なる知識や技能の獲得ではなく、脳の可塑性を基盤とし、環境との相互作用の中で成立する適応過程であることを理解した。また、教育場面では強化やフィードバック、動機づけを適切に活用することが学習の質を高める一方、科学的知見を実際の支援へ適用する際には、個人差や状況を考慮した柔軟な判断が求められることも学んだ。本回では、学習心理学を理論として理解するだけでなく、人の成長や社会への適応を支える実践科学として捉え直し、教育・臨床・福祉など多様な領域へ応用するための基本的な考え方を整理する。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① ベーシック第8回のまとめ ② 学習はどのように支えられるのか ③ 学習をどう社会へ生かすか ④ 本回のまとめ
細目レベル ① ベーシック第8回のまとめ
ベーシック第8回では、学習を支える脳の仕組みとして神経可塑性や発達を学び、経験によって神経回路が変化し続けることが学習の基盤であることを理解した。また、環境エンリッチメントやストレス、社会環境など、学習を促進あるいは阻害する環境要因について学び、適切な学習環境の重要性を確認した。さらに、教育場面では強化、フィードバック、動機づけを適切に設計することが主体的な学習を支えることを学び、最後に教育支援や臨床実践では、科学的根拠に基づく実践(Evidence-Based Practice:EBP)の重要性について理解した。学習心理学は、人の成長を支える実践科学であることが本章全体を通して示された。


② 学習はどのように支えられるのか
神経可塑性とは、経験や学習によって脳の構造や機能が変化する能力であり、学習心理学を生物学的に支える最も重要な概念の一つである。新しい経験を繰り返すことで神経回路の結合は強化され、不要な結合は弱められる。神経可塑性とは、学習の可能性と限界を同時に示す適応の基盤なのである。環境エンリッチメントのように、多様な刺激や探索機会に富んだ環境は、神経可塑性を促進し、学習や問題解決能力の向上につながる。また、人間では他者との相互作用や安心できる社会環境も学習を支える重要な要因である。したがって、効果的な学習環境とは、刺激が多いだけではなく、個人が安心して挑戦し、自律的に活動できる条件が整えられた環境である。


③ 学習をどう社会へ生かすか
過度な外発的報酬は、本来もっていた興味や探究心を低下させるアンダーマイニング効果を生じることがある。一方で、学習者が自ら課題を選択し、達成感や成長を実感できる環境では、内発的動機づけが高まり、自律的な学習が促進される。エビデンス・ベイスド・プラクティス(EBP)は、科学的根拠を尊重しながら、専門家の経験や対象者の価値観・状況を統合して最適な支援を行う考え方である。したがって、実践では「研究で効果が示された方法だから用いる」のではなく、「その人にとって最も適切な方法か」という視点が重要になる。科学的知見と個別性を両立させる姿勢こそが、学習心理学を現実社会で生かすための基本原則である。


④ 本回のまとめ
本回では、学習心理学を脳、環境、教育、実践という四つの視点から総合的に捉え直した。神経可塑性は、経験によって脳が変化し続けることを示し、学習の生物学的基盤を支えている。また、環境は学習を促進するだけでなく、その質や個人との適合によって学習効果が大きく変化することも理解した。さらに、教育では強化やフィードバック、動機づけを適切に設計することが主体的な学習を支え、実践では科学的根拠と個人差の両方を尊重するEBPの考え方が重要となる。学習心理学とは、人間がよりよく学び、成長し、社会へ適応するための原理を探究し、それを実践へ結び付ける科学なのである。その際、個人差と環境との相互作用を考慮することが重要である。

キーワード ① 神経可塑性 ② 学習環境 ③ 心理的安全性 ④ 自律的学習 ⑤ エビデンス・ベイスド・プラクティス(EBP)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

17 【ベーシック(9)】ここまでのまとめ:学習心理学の基礎と発展をふり返る 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、本回は、ここまでのベーシック回のまとめを行う。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① 学習の出発点:行動はどのように変わるのか ② 条件づけの理解:学習は何を結びつけ、何を予測するのか ③ 学習の広がり:弁別・社会・認知はどうつながるか ④ 学習をどう捉え直すか:進化・環境・応用から考える
細目レベル ① 学習の出発点:行動はどのように変わるのか
ここでは、まず学習を「経験による比較的持続的な行動変化」として再確認し、疲労や成熟などによる変化と区別する。あわせて、反射や走性のような生得的行動との違いを整理し、学習がどのような現象を指すのかを明確にする。そのうえで、馴化や鋭敏化といった非連合学習を、最も基本的な学習の形として位置づける。さらに、刻印づけや本能行動との関係もふり返り、学習が生得性と切り離されたものではなく、進化的基盤の上に成立していることを確認する。最後に、アドバンストで扱った「どこまでを学習と呼ぶのか」という問いにも触れ、学習概念そのものが理論的検討の対象であることを理解する。


② 条件づけの理解:学習は何を結びつけ、何を予測するのか
ここでは、ベーシック第2回・第3回で扱った条件づけを整理し、レスポンデント条件づけとオペラント条件づけの違いと共通点を確認する。レスポンデント条件づけでは、刺激と反応の関係、獲得・消去・般化・弁別などの基本現象を復習し、味覚嫌悪学習やブロッキングなどの特殊現象も含めて学習の選択性を考える。オペラント条件づけでは、試行錯誤学習、効果の法則、三項随伴性、正負の強化と罰、強化スケジュール、シェイピングやチェイニングなどの行動形成技法を整理する。そのうえで、アドバンストの観点から、条件づけは単なる結びつきではなく、環境を予測し、行動を調整する仕組みとしても理解できることを確認する。


③ 学習の広がり:弁別・社会・認知はどうつながるか
ここでは、学習を単純な条件づけの枠を超えて広く捉える。まず、弁別学習と刺激性制御を通して、行動がどの刺激を手がかりに生じるのかを整理し、般化勾配、ピークシフト、条件性弁別、関係学習などを確認する。これにより、学習が単なる反応強化ではなく、環境の特徴を選び取る認知的過程とも関係することを理解する。次に、観察学習、代理強化、洞察学習、潜在学習を整理し、学習が他者の行動観察や環境構造の理解を通しても生じることを確認する。さらに、学習と記憶、問題解決、メタ認知、転移、抽象化との関係をふり返り、学習が認知活動全体と深く結びついていることを総合的に理解する。


④ 学習をどう捉え直すか:進化・環境・応用から考える
ここでは、学習理論をより広い視野から整理する。まず、エソロジーの観点から、種特異的行動、固定的行動パターン、解発刺激、準備性と制約を確認し、学習が進化的・生物学的な条件の上に成り立つことを理解する。次に、霊長類の社会行動や道具使用に触れながら、比較認知への接続を整理する。さらに、脳の可塑性、エンリッチメント、ストレス、社会環境など、学習を支える神経基盤と環境要因をふり返る。そのうえで、教育における強化とフィードバック、動機づけ、臨床や支援への応用、EBPの意義を確認しつつ、アドバンストで扱った「学習理論はどこまで応用できるのか」「平均と個人差をどう考えるのか」という問いにつなげる。


キーワード ① 学習の定義 ② 条件づけ ③ 刺激性制御と弁別学習 ④ 社会的・認知的学習 ⑤ 学習の進化的基盤と応用
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

18 【アドバンスト(9)】ここまでのまとめ:学習理論の再解釈と統合 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、本回は、ここまでのアドバンスト回のまとめを行う。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① 学習とは何か:定義・境界・連続性を問い直す ② 条件づけの再解釈:連合から予測へ ③ 行動と認知:自由意志・概念・予測の統合 ④ 学習の射程:進化・社会・応用の中で考える
細目レベル ① 学習とは何か:定義・境界・連続性を問い直す
ここでは、まず学習の定義そのものを再検討する。学習は「経験による行動変化」とされるが、どのような変化を学習と呼ぶかは理論に依存することを確認する。次に、生得と学習の二分法を見直し、両者が連続的に関係していることを整理する。さらに、非連合学習や単純系の変化、さらには植物や単細胞生物の事例に触れながら、学習概念の境界を問い直す。これにより、学習は固定的な定義で捉える対象ではなく、どの範囲まで含めるかを検討すべき理論的概念であることを理解する。


② 条件づけの再解釈:連合から予測へ
ここでは、条件づけを「連合」ではなく「予測」として捉える視点を統合する。従来の刺激―反応モデルでは説明できない現象として、随伴性や因果性の重要性を確認する。また、予測誤差の概念を導入し、学習が「驚き」によって駆動されることを理解する。さらに、味覚嫌悪やブロッキングなどの現象を通して、学習には生物学的制約があることを整理する。これにより、学習は単なる機械的結合ではなく、環境の構造を推定し更新する情報処理過程として再定義される。



③ 行動と認知:自由意志・概念・予測の統合
ここでは、行動と認知の関係を統合的に捉える。まず、徹底的行動主義の立場から、行動が環境によって決定されるという見方と自由意志の問題を再検討する。次に、弁別学習を発展させ、カテゴリー形成や概念、抽象化の過程を整理する。さらに、記憶・認知・問題解決を「予測モデルの更新」として統一的に理解する視点を導入する。このように、行動・認知・意思決定を個別の機能としてではなく、予測と制御のシステムとして捉えることで、学習の理解がより包括的なものとなる。


④ 学習の射程:進化・社会・応用の中で考える
ここでは、学習をより広い文脈の中で位置づける。まず、エソロジーや比較認知の視点から、学習が進化的制約の中で形成されていることを確認する。次に、模倣、ミラーニューロン、社会的影響、過剰模倣、累積的文化を通して、学習が個体内にとどまらず社会や文化の中で展開されることを理解する。さらに、教育・臨床への応用においては、神経可塑性や環境の効果だけでなく、その限界や個人差、エビデンスと実践のギャップも考慮する必要がある。このように、学習は進化・社会・実践の中で再評価されるべき現象である。


キーワード ① 学習の再定義 ② 予測と予測誤差 ③ 行動と自由意志 ④ 概念形成と抽象化 ⑤ 学習の進化・社会・応用
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

19 【ベーシック(10)】言語の構造と獲得 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、本回では言語の構造と獲得について学ぶ。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① 言語の構造 ② 意味と語彙 ③ 言語獲得理論 ④ 現代モデル
細目レベル ① 言語の構造
言語は単なる音や記号の集まりではなく、複数の水準が組み合わさった体系として成り立つ。音韻は、意味の違いに関わる音の単位である音素と、その組み合わせの規則を扱う。乳児の音声知覚は言語経験によって母語の音体系へ適応し、知覚の絞り込みが生じる。形態は、意味を担う最小単位である形態素とその結合規則を扱い、派生や屈折によって多様な語が形成される。さらに統語は、語を一定の規則に従って組み合わせ、文を構成する仕組みである。子どもの過剰一般化は、発話を単に模倣するだけでなく、入力から規則性を抽出していることを示す。音韻・形態・統語という階層的な構造が相互に関わることで、限られた要素から多様な言語表現を生み出すことが可能になる。


② 意味と語彙
言語では、音や語の形式だけでなく、それらが何を意味するかを理解する必要がある。意味論は、語や文が表す意味と、その意味がどのように構成されるかを扱う。私たちが知っている語は互いに孤立して保存されるのではなく、意味的に関連する語どうしが結びついた語彙ネットワークとして組織化されている。そのため、ある語を処理すると関連する語も活性化しやすくなる。また、多数の対象や概念を共通する特徴に基づいてまとめるカテゴリー化によって、個々の事例をすべて別々に記憶せずに世界を効率的に整理できる。語の意味を理解することは、単に語と対象を一対一に対応させることではなく、他の語や概念との関係の中に位置づけ、経験を体系的に組織化する過程でもある。


③ 言語獲得理論
子どもが複雑な言語体系をどのように獲得するかについては、複数の理論が提案されてきた。生得説は、限られた言語入力から複雑な文法を獲得できるという「刺激の貧困」を背景に、言語獲得装置や普遍文法など、生物学的な基盤を重視する。これに対して経験説・学習説は、環境からの入力、模倣や強化、一般的な学習能力を重視し、スキナーは言語をオペラント行動として捉えた。ただし、模倣や強化だけでは新しい文を生み出す能力などを十分に説明できない。相互作用説では、言語獲得を子どもの認知発達と周囲の人との社会的相互作用との関係から捉える。各理論が何を重視しているかを比較することが、言語獲得の多面的な理解につながる。


④ 現代モデル
現代の言語獲得研究では、生得的な言語固有機構だけでなく、実際の言語経験や一般的な認知能力から言語の成立を説明するアプローチも重視される。用法基盤モデルは、子どもが具体的な発話をまとまりとして学び、多様な使用経験から共通するパターンを抽出して、しだいに抽象的な文法スキーマを形成すると考える。統計学習では、乳児も音節間の遷移確率など、入力に含まれる確率的な規則性を利用して連続した音声からまとまりを見いだす。認知言語学は、言語を一般的な認知能力との関係から捉え、概念メタファーや身体性認知を通して経験・概念化・言語表現の結びつきを考える。これらは、言語を経験、学習、認知、他者との関わりが結びついた過程として捉える視点を提供する。


キーワード ① 音韻 ② 統語 ③ 生得説 ④ 用法基盤モデル ⑤ 統計学習
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

20 【アドバンスト(10)】言語はどのように獲得されるのか 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、ベーシック第10回では、言語を音韻・形態・統語という階層的な構造をもつ体系として捉え、語彙や意味、カテゴリー形成との関係を学んだ。また、言語獲得をめぐる生得説、経験説、相互作用説を比較し、さらに用法基盤モデル、統計学習、認知言語学といった現代的な考え方を理解した。本回では、これらの知識を出発点として、「言語はどのように獲得されるのか」という問いを改めて考える。人間に言語特有の生得的基盤が備わっているのか、それとも一般的な学習能力と経験から言語構造が形成されるのかを検討する。さらに、言語とカテゴリーや思考との関係を考察し、生得と学習を対立させるのではなく、認知発達と社会的相互作用を含む統合的な視点から言語獲得を理解する。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① ベーシック第10回のまとめ ② 言語の構造はどのように生まれるのか ③ 言語は認知とどう関係するのか ④ 本回のまとめ
細目レベル ① ベーシック第10回のまとめ
ベーシック第10回では、まず言語の構造として音韻、形態、統語を取り上げ、言語が音素から形態素、さらに階層的な文構造へと組み上がる体系であることを学んだ。次に、意味論、語彙ネットワーク、カテゴリーを通して、語の意味が単独で保存されるのではなく、関連する概念と結びついた認知的なネットワークとして構成されることを理解した。さらに、言語獲得理論として生得説、経験説、相互作用説を比較し、言語獲得をめぐる主要な理論的対立を整理した。最後に、用法基盤モデル、統計学習、認知言語学を学び、言語が一般的な認知能力、実際の使用経験、社会的相互作用の中から形成されるという現代的な見方を理解した。これらを通して、言語を独立した能力ではなく、学習・認知・社会の接点に成立する複合的なシステムとして捉えた。


② 言語の構造はどのように生まれるのか
チョムスキーに代表される生得説は、人間には言語を獲得するための生物学的な基盤があらかじめ備わっていると考える。子どもが日常的に接する発話は不完全で断片的であるにもかかわらず、短期間で複雑な統語規則を獲得し、一度も聞いたことのない文まで生成できる。統計学習では、乳児が連続する音声から音節間の遷移確率を利用して語の境界を抽出できることが示されている。また、用法基盤モデルでは、子どもは具体的な発話を繰り返し経験し、その中から共通するパターンを抽出して、徐々に抽象的な文法スキーマを形成すると考える。さらに、共同注意や意図理解などの社会的認知も、実際の使用文脈から言語の意味や規則を学ぶために重要である。


③ 言語は認知とどう関係するのか
例えば、色彩語や空間表現の違いによって対象の分類や記憶の仕方が変化することが報告されている。一方で、言語が思考を完全に決定するわけではなく、人間は言語を介さない知覚や推論も行うことができる。しかし近年では、どちらか一方だけで言語を説明するのではなく、生物学的基盤と経験による学習が相互作用するという統合的な考え方が広く支持されている。人間は言語を学びやすい認知的・生物学的基盤をもって生まれる一方、その能力は周囲とのコミュニケーションや豊かな言語経験を通して発達していく。したがって、言語とは生得的能力と学習経験が互いに補完し合うことによって成立する複雑な適応システムとして理解することが重要である。


④ 本回のまとめ
本回では、言語獲得を生得説と学習説の双方から検討し、それぞれの理論が示してきた成果と限界について考察した。生得説は、人間が言語を獲得しやすい生物学的基盤を備えていることを示し、経験説は統計学習や社会的相互作用を通して言語構造が形成されることを明らかにしてきた。また、言語は思考や概念形成にも影響を与える認知的道具であり、知識の整理や社会的コミュニケーションを支える重要な役割を果たしている。現在では、生得と学習を対立する概念としてではなく、相互作用によって言語が発達するという統合的視点が重視されている。言語とは、生物学・認知・社会の相互作用によって形成される人間特有の高度な適応能力なのである。


キーワード ① 刺激の貧困 ② 普遍文法 ③ 統計学習 ④ 用法基盤モデル ⑤ 生得と学習の階層性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

21 【ベーシック(11)】言語の発達とコミュニケーション 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、本回は言語の発達とコミュニケーションについて学ぶ。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① 前言語期 ② 語彙発達 ③ 文法発達 ④ コミュニケーション
細目レベル ① 前言語期
子どもの言語発達は、意味のある語を話し始める以前から進んでいる。乳児は生後まもなくから声を発し、生後6か月頃には子音と母音を組み合わせた反復喃語が現れる。さらに、他者の視線や指さしを手がかりに同じ対象へ注意を向ける共同注意が発達し、周囲に多数ある対象の中から相手が何に注目しているかを捉えられるようになる。また、他者の行動を表面的な動きとしてではなく、その背後にある目的や意図との関係から理解する能力も発達する。こうした喃語、共同注意、意図理解は互いに独立した現象ではなく、他者とのやり取りの中で言葉の意味を学ぶための基盤となる。言語発達は最初の単語から突然始まるのではなく、前言語期から連続的に形成されていく。


② 語彙発達
初語の出現後、子どもの語彙はしだいに増加し、ある時期には新しく獲得する語が急速に増える語彙爆発がみられる。新しい語を聞いたとき、その語が何を指すかには無数の可能性があるが、子どもは語彙獲得の制約と呼ばれる認知的な偏りや手がかりを利用して候補を絞り込む。また、共同注意や発話者の意図も、未知語の意味を推測する重要な情報となる。獲得した語をどの範囲の対象に適用するかも最初から正確とは限らず、対象範囲を広げすぎる過剰伸展や、狭く限定する過少伸展がみられる。子どもはこうした経験を通してカテゴリーと語の対応関係を調整し、単語を一つずつ暗記するだけではなく、認知的・社会的な手がかりを利用しながら語彙体系を形成していく。


③ 文法発達
子どもの文法発達は、一語発話から二語文、多語文へと進み、複数の語を規則的に組み合わせて多様な意味を表現できるようになる過程である。初期の発話では語数や構造が限られているが、言語経験の蓄積に伴って、語の配列や文法的な関係についての規則性が形成されていく。その証拠の一つが過剰一般化であり、子どもは学習した文法規則を本来は例外となる語にまで適用することがある。このような誤りは、大人の発話をそのまま模倣しているだけでは生じにくく、子ども自身が入力から規則を抽出して新しい表現へ適用していることを示す。構文発達を通して、子どもは聞いたことのある文を再現するだけでなく、獲得した規則を利用して新しい文を作り出せるようになる。


④ コミュニケーション
言語を獲得することは、語彙や文法を知ることだけではなく、それらを実際の社会的場面で適切に使えるようになることでもある。語用論では、話し手、聞き手、場面、文脈などを考慮して発話の意味を理解し、相手に応じて表現を調整する働きを扱う。会話では、交互に話す発話交代、共通の話題を続けるトピック維持、うまく伝わらなかったときに言い直したり情報を補ったりする会話の修復が発達する。また、大人は子どもの発話を受け止めながら表現を広げる足場かけを行い、仲間との遊びでは説明や交渉も必要になる。このような社会的相互作用を通して、子どもは言葉そのものだけでなく、他者との関係の中で言葉をどのように使うかを学んでいく。

キーワード ① 喃語 ② 共同注意 ③ 意図理解 ④ 語彙獲得の制約 ⑤ 過剰一般化
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

22 【アドバンスト(11)】言語発達はなぜ可能か 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、ベーシック第11回では、前言語期から語彙発達、文法発達、そしてコミュニケーション能力の発達まで、子どもがどのように言語を獲得していくのかを発達順に学んだ。本回では、その発達過程を単に時系列として理解するのではなく、「なぜそのような発達が可能なのか」という心理学的な視点から考察する。言葉は突然獲得されるものではなく、共同注意や意図理解などの社会的認知、認知的制約による効率的な語彙学習、さらには規則を発見する能力の発達を基盤として成立する。また、子どもが示す特徴的な誤りや個人差も、発達の失敗ではなく、学習の仕組みを理解する重要な手がかりである。本回では、言語発達を認知・社会・環境の相互作用によって支えられる動的なプロセスとして統合的に理解する。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① ベーシック第11回のまとめ ② 言語発達はどこから始まるのか ③ 子どもの誤りは何を意味するのか ④ 本回のまとめ
細目レベル ① ベーシック第11回のまとめ
ベーシック第11回では、まず前言語期における喃語、共同注意、意図理解を取り上げ、言葉を話し始める以前から社会的コミュニケーションの基盤が形成されることを学んだ。次に、語彙発達では語彙爆発や認知的制約、意味拡張を通して、子どもが限られた経験から効率よく単語の意味を学習する仕組みを理解した。さらに、文法発達では、多語文の形成や過剰一般化、構文発達を通して、子どもが規則を自ら発見しながら言語体系を構築することを学んだ。最後に、語用論、会話、社会的相互作用を通して、言語は他者との関わりの中で実践的なコミュニケーション能力へと発達していくことを理解した。


② 言語発達はどこから始まるのか
前言語期は、まだ意味のある言葉を話さない時期であるが、その後の言語発達を支える重要な基盤が形成される段階である。さらに、意図理解の発達により、乳児は他者の行動の背後にある目的や伝達意図を推測できるようになり、文脈に応じた意味理解が促進される。生後1歳半頃から見られる語彙爆発は、単に言葉を多く覚えた結果ではなく、子どもの認知能力が質的に変化したことを示す現象である。子どもは未知の単語を聞いたとき、事物全体制約や相互排他性制約などの認知的制約を利用し、指示対象を効率よく推測している。語彙爆発とは、記憶量の増加ではなく、認知的制約とカテゴリー形成が相互に働くことによって生じる発達上の飛躍なのである。


③ 子どもの誤りは何を意味するのか
子どもは言語を学ぶ過程で、「行った」を「行きた」、「食べた」を「食べた」のように正しく使える一方、「書いた」を「書きた」、「読んだ」を「読みた」のような誤った表現を生み出すことがある。このような過剰一般化は、一見すると学習の失敗に見える。この現象は、単なる模倣では説明できず、子ども自身が言語の背後にある規則を抽出し、新しい表現を創造している証拠である。言語発達には共通した発達順序が認められる一方で、その速度や特徴には大きな個人差が存在する。言語発達は、生物学的成熟だけで決まるのではなく、認知能力、社会的相互作用、環境経験が相互に影響しながら進行する動的なプロセスとして理解することが重要である。


④ 本回のまとめ
本回では、前言語期から語彙発達、文法発達、コミュニケーション能力の形成までを、発達心理学と認知心理学の視点から統合的に考察した。共同注意や意図理解は、言語を他者と共有するための社会的基盤であり、認知的制約やファストマッピングは効率的な語彙獲得を支える重要な仕組みである。また、過剰一般化のような誤りは、子どもが規則を発見し、自ら言語体系を構築していることを示す発達の証拠である。さらに、言語発達には共通した傾向と多様な個人差の両方が存在し、生物学的基盤と社会的経験が相互作用することで発達が進むことを理解した。言語発達とは、認知・社会・環境が統合された適応過程なのである。


キーワード ① 喃語 ② 共同注意 ③ 意図理解 ④ 語彙獲得の制約 ⑤ 過剰一般化
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

23 【ベーシック(12)】比較認知とコミュニケーション 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、本回は比較認知とコミュニケーションについて学ぶ。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① 霊長類の認知 ② コミュニケーション ③ 言語との連続性 ④ ヒトの特異性
細目レベル ① 霊長類の認知
ヒト以外の霊長類を対象とした研究では、人間の言語そのものをもつかどうかではなく、言語を支える認知能力のどの部分が他種にもみられるかが検討されてきた。記号学習では、対象や出来事と人工的な記号を対応づけ、その記号を対象の代理として利用できるかを調べる。語彙理解の研究では、音声や記号を特定の対象や出来事と結びつけ、多数の対応関係を区別できるかが問題となる。また、トークン使用では、物体や記号を食物など別の対象や価値の代理として扱えるかが検討される。こうした研究は、ヒト以外の動物にも象徴的な対応関係を扱う能力が一定程度存在することを示す一方、それをそのまま人間の言語と同一視せず、能力の範囲と限界を比較する必要性も示している。


② コミュニケーション
動物のコミュニケーションは、音声やジェスチャー、身体表現など多様な手段によって行われる。これらはしばしば特定の状況に対応した信号として機能し、危険の知らせや社会的関係の維持に役立つ。しかし、多くの場合その意味は固定的であり、人間の言語のように柔軟に新しい意味を生成することは難しい。一方で、霊長類ではジェスチャーが文脈に応じて変化するなど、より柔軟なコミュニケーションも観察される。このように、動物のコミュニケーションを理解することは、言語の基盤となる能力を探る手がかりとなる。
コミュニケーション
動物は、音声、ジェスチャー、表情など多様な信号を用いて他個体とコミュニケーションを行う。音声研究では、たとえば異なる捕食者に対して異なる警戒声を発し、その音声を聞いた個体が状況に応じた行動を示す現象が調べられる。このような信号が特定の対象や出来事に対応する場合、機能的指示性という観点から検討できるが、人間の単語と同じものだとみなすことはできない。霊長類ではジェスチャーも重要であり、相手や状況に応じて身体の動きを使い分ける場合がある。動物の社会的信号を理解する際には、人間の言語に似ているかだけを基準にせず、その信号がその種の社会や生態の中でどのような情報を伝え、どのように機能しているのかを具体的に調べることが重要である。



③ 言語との連続性
人間の言語との連続性を考えるには、記号や音声だけでなく、複数の要素を関係づけて処理する認知能力にも注目する必要がある。動物の道具使用では、目的に応じて道具を選択・加工したり、複数の道具を組み合わせたりする行動がみられ、問題解決の柔軟性を検討できる。因果理解の研究では、出来事の単なる連続ではなく、一方が他方を引き起こす関係をどこまで理解しているかを調べる。さらに、人間の言語には、ある構造の中に同種の構造を埋め込む再帰性があり、限られた要素から複雑な表現を作り出せる。動物が系列や階層的な構造をどこまで学習できるかを比較することは、人間の文法を支える認知的基盤の進化を考える手がかりとなる。


④ ヒトの特異性
人間と他の動物の違いを考える際には、個々の認知能力の有無だけでなく、他者と注意や意図をどのように共有するかが重要になる。共同注意では、自分と他者が同じ対象に注意を向ける三項関係が成立し、大型類人猿にも視線追従などがみられる。一方、人間の乳児では、何かを得るためだけでなく、興味や関心を共有すること自体を目的とした指さしも顕著にみられる。さらに意図共有では、他者と共通の目標をもち、「一緒に行う」という共有された目的に基づいて協力する。心の理論は、他者にも自分とは異なる知識、信念、欲求、意図があると捉える能力である。これらの比較から、人間の協力的コミュニケーションを支える社会的認知の特徴を考えることができる。


キーワード ① 記号学習 ② 動物のコミュニケーション ③ 再帰性 ④ 意図共有 ⑤ 心の理論
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

24 【アドバンスト(12)】人間の言語は何が特別なのか 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、ベーシック第12回では、霊長類を中心とした比較認知研究を通して、人間の言語を他の動物との連続性の中で理解する視点を学んだ。本回では、その内容を踏まえ、「人間の言語は何が特別なのか」という問いを中心に考察する。動物にも記号学習や語彙理解、柔軟なコミュニケーションは認められるが、人間ではそれらが共同注意、意図共有、心の理論と結び付き、文化を世代間で累積させる高度な言語体系へと発展した。本回では、連続性と特異性という二つの視点を統合し、言語を進化・認知・社会性の相互作用から理解することを目指す。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① ベーシック第12回のまとめ ② 動物はどこまで言語に近づけるのか ③ 人間は何が違うのか ④ 本回のまとめ
細目レベル ① ベーシック第12回のまとめ
ベーシック第12回では、まず霊長類の記号学習、語彙理解、トークン使用を通して、ヒト以外の動物にも高度な象徴機能が存在することを学んだ。続いて、音声、ジェスチャー、社会的信号などのコミュニケーションを比較し、動物の情報伝達が状況や相手に応じて柔軟に変化することを理解した。さらに、道具使用や因果理解、再帰性を通して、人間の言語を支える認知基盤の進化的連続性を確認した。最後に、共同注意、意図共有、心の理論を取り上げ、人間の言語は社会的認知の発達によって質的な飛躍を遂げたことを学んだ。


② 動物はどこまで言語に近づけるのか
比較認知科学では、動物がどこまで人間の言語に近い能力を持つのかが数多く研究されてきた。動物研究は、人間の言語が突然出現したものではなく、進化的に連続した能力の上に成立していることを示す重要な証拠となっている。霊長類では、音声だけでなく視線やジェスチャーを組み合わせて情報を伝え、相手の注意や行動に応じて伝達方法を調整することも観察されている。また、社会的順位や周囲の状況によって信号の使い方が変化することから、一定の文脈理解や社会的認知が関与していると考えられる。しかし、その表現の多くは現在の状況に強く依存しており、人間の言語のように過去や未来、仮想的な出来事まで自由に表現する能力には限界がある。


③ 人間は何が違うのか
道具使用、因果理解、社会的学習などは、人間だけに見られる能力ではなく、多くの動物にも確認されている。例えば霊長類や鳥類では道具を用いた採食行動が観察され、経験を他個体から学ぶ社会的学習も広く報告されている。このような事実は、人間の認知能力が突然出現したものではなく、進化の過程で徐々に発達してきたことを示している。人間の言語を支える最も重要な特徴は、共同注意、意図共有、心の理論といった高度な社会的認知である。共同注意によって人は他者と同じ対象へ注意を向け、意図共有によって「何を伝えたいのか」という目的そのものを共有できる。これらの能力は、複雑な協力行動や文化の累積的発展を支える基盤となっている。


④ 本回のまとめ
本回では、比較認知科学の視点から、人間の言語を他の動物との連続性の中で考察した。動物にも記号理解や柔軟なコミュニケーション、社会的学習など、人間と共通する認知能力が存在することを理解した。一方で、人間では共同注意、意図共有、心の理論が高度に発達し、それらが言語や文化を累積的に発展させる基盤となっている。したがって、人間の言語は他の動物と完全に断絶した能力ではなく、進化的に共有された認知基盤の上に、社会的認知が質的に発展した結果として成立したものと理解することが重要である。比較認知の視点は、人間の言語の特異性をより深く理解するための重要な手がかりを与えてくれる。この比較の視点が重要である。


キーワード ① 記号学習 ② 動物のコミュニケーション ③ 再帰性 ④ 意図共有 ⑤ 心の理論
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

25 【ベーシック(13)】言語障害と神経心理 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、本回では言語障害と神経心理について学ぶ。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① 脳と言語 ② 失語症 ③ 高次脳機能障害 ④ 評価と支援
細目レベル ① 脳と言語
脳と言語の研究では、特定の心理・認知機能と脳領域との関係を考える機能局在の考え方が重要な出発点となった。失語症の症例研究から、左半球の特定領域の損傷と言語産出や理解の障害との関連が見いだされ、言語機能が脳内で一様に処理されているわけではないことが示された。しかし、現在では「一つの脳領域が一つの言語機能を担う」という単純な対応では捉えない。発話、理解、復唱、読み書きなどには複数の処理が関わり、機能分化した脳領域が神経経路を介して協調するネットワークとして働いている。したがって、言語野の位置を覚えるだけでなく、複数の領域とそれらを結ぶ神経機構がどのように協調して言語を支えているかを理解することが重要である。


② 失語症
失語症は、脳損傷によって、それまで獲得されていた言語機能に障害が生じた状態であり、発話、理解、復唱、読み書きが同じように損なわれるとは限らない。ブローカ失語では発話が非流暢となり、言語理解は発話に比べて比較的保たれることが多い。ウェルニッケ失語では比較的流暢な発話がみられる一方、言語理解に大きな障害が生じる。伝導失語では、発話や理解が比較的保たれていても復唱が選択的に困難になる。このような症状の違いは、日常的には一体に見える言語能力が複数の処理から構成されていることを示す。また、脳領域そのものだけでなく、それらを結ぶ神経経路の損傷も特定の言語障害を生じさせることから、言語機能をネットワークとして理解する必要がある。


③ 高次脳機能障害
脳損傷によって生じる高次脳機能障害は、言語の発話や理解だけに限られない。失読では、それまで可能だった文字や文章を読む能力が障害され、視覚情報の処理、文字の認識、音韻や意味へのアクセスなど、読みを構成する複数の過程の存在が明らかになる。失書では、それまで可能だった書字が障害され、語の想起、綴りや文字形態の処理、運動制御などが書くという行為を支えていることが分かる。また、脳損傷によって、他者の感情や意図の理解、状況判断、感情や衝動の調整などに変化が生じ、社会的な行動に問題が現れる場合もある。障害された機能の組み合わせを調べることは、通常の認知や社会的行動がどのような複数の機能によって支えられているかを理解する手がかりとなる。


④ 評価と支援
神経心理学では、脳損傷後に何ができなくなったかだけでなく、どの機能が障害され、どの能力が保たれているかを評価することが重要である。神経心理学的検査や行動観察によって認知機能の状態を把握し、その結果を具体的な生活上の困難と結びつけて支援を考える。リハビリテーションでは、損傷した機能そのものの回復を目指す訓練だけでなく、残された能力を利用する代償手段や環境調整も組み合わせる。また、脳には経験や学習に応じて神経結合や働きを変化させる神経可塑性があり、損傷後にも再学習や機能改善が生じうる。評価に基づいて個人の状態を把握し、可塑性を利用しながら機能と生活の双方を支えることが、神経心理学的支援の基本となる。


キーワード ① 機能局在 ② ブローカ失語 ③ ウェルニッケ失語 ④ 伝導失語 ⑤ 神経可塑性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

26 【アドバンスト(13)】言語障害は何を示すか 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、ベーシック第13回では、言語機能を支える脳の仕組み、失語症や高次脳機能障害、神経心理学的評価、リハビリテーション、脳の可塑性について学んだ。本回では、これらの知識を土台として、「言語障害は何を示すのか」という問いを考える。言語機能が損なわれたとき、何が失われ、何が保たれるのかを検討することで、正常な言語の仕組みを逆に理解することができる。また、言語機能を単一の脳領域に局在する能力としてではなく、複数の領域が連携するネットワークとして捉え、損傷後の再編成や回復について考察する。さらに、失語症を通して言語と思考・自己との関係を考え、言葉以外の手段によるコミュニケーションの可能性についても検討する。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① ベーシック第13回のまとめ ② 言語は脳のどこにあるのか ③ 言語を失うとはどういうことか ④ 本回のまとめ
細目レベル ① ベーシック第13回のまとめ
ベーシック第13回では、まずブローカ野やウェルニッケ野などの言語野、機能局在、背側経路・腹側経路を含む神経ネットワークを学び、言語機能が複数の脳領域の協調によって成立することを理解した。次に、ブローカ失語、ウェルニッケ失語、伝導失語などの特徴を比較し、話す・聞く・読む・書くという複数の機能が異なる形で障害されることを学んだ。さらに、失読、失書、社会性の障害など高次脳機能障害について理解し、言語以外の認知機能も脳損傷によって選択的に損なわれうることを確認した。最後に、神経心理学的検査、リハビリテーション、脳の可塑性を通して、残存能力や代償手段、環境調整を活用しながら、本人の生活と社会参加を支えることの重要性を学んだ。


② 言語は脳のどこにあるのか
ブローカやウェルニッケの研究は、特定の言語症状と損傷部位を対応づけることで、脳機能の局在という考え方を発展させた。しかし、同じ領域が損傷しても症状の現れ方には個人差があり、発話や理解も単一の領域だけで完結するわけではない。現代では、前頭葉や側頭葉をはじめとする複数の領域が、弓状束などの白質経路を介して情報をやり取りしながら言語を処理すると考えられている。ただし、別の領域が損傷前の機能をそのまま完全に引き継ぐわけではなく、回復の程度や経過には大きな個人差がある。さらに、訓練や日常生活での活動は神経回路の再編成を促すが、その効果は損傷部位、年齢、発症からの期間、生活環境など多くの要因に左右される。


③ 言語を失うとはどういうことか
失語症では、言葉を思い出す、文を組み立てる、他者の発話を理解するといった機能が損なわれるため、自分の考えを言語化したり他者と共有したりすることが難しくなる。しかし、言語機能が障害されても、知覚、感情、非言語的な判断などがすべて失われるわけではない。このことは、思考のすべてが言語によって成立しているわけではないことを示している。言語機能が障害されても、コミュニケーションそのものが完全に失われるわけではない。ジェスチャー、表情、視線、身体動作、写真や文字などを利用することで、言葉だけに依存せず意味を伝えることができる。失語症への支援でも、残された能力と複数の伝達手段を組み合わせることが重要である。


④ 本回のまとめ
本回では、言語障害を手がかりとして、脳と言語、思考、コミュニケーションの関係を考察した。言語機能には一定の局在性がある一方、実際の言語活動は複数の脳領域が連携するネットワークによって支えられている。また、脳損傷後には残存する神経回路の再編成が生じ、可塑性が機能回復を支えることを理解した。失語症では言語機能が選択的に損なわれる一方、すべての思考や非言語的理解が失われるわけではない。さらに、ジェスチャーや文脈などを利用することで、言語が障害されてもコミュニケーションを補うことができる。言語障害は単なる機能の欠損ではなく、何が失われ、何が残り、どのように再編成されるのかを通して、正常な言語の仕組みを明らかにする手がかりである。


キーワード ① 脳ネットワーク ② 言語と自己 ③ 非言語的コミュニケーション ④ 可塑性と再編成 ⑤ 支援の再構成
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

27 【ベーシック(14)】発達障害と支援 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、本回では発達障害と支援について学ぶ。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① 限局性学習症(SLD) ② 自閉スペクトラム症(ASD) ③ 実行機能 ④ 支援
細目レベル ① 限局性学習症(SLD)
限局性学習症(SLD)は、全般的な学習能力の低さではなく、読字、書字、算数など特定の学習領域に持続的な困難がみられる状態である。読字障害では文字や単語を正確かつ流暢に読むことなどに困難がみられ、書字障害では文字を書くことや綴り、文章表現などに困難が現れる。算数障害では、数の理解や計算など特定の数学的処理に困難がみられる。重要なのは、これらを単に「勉強ができない」「努力が足りない」と捉えないことである。学習活動は複数の認知処理から成り立つため、どの処理に困難があり、どの能力が保たれているのかを区別する必要がある。個人の認知特性を具体的に評価することが、本人に適した学習方法や環境調整を考える出発点となる。


② 自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症(ASD)では、社会的コミュニケーションや行動・興味、感覚などに多様な特徴がみられる。社会的コミュニケーションでは、視線、表情、身振り、文脈などを利用して他者と意味や意図を共有することに特徴が現れる場合がある。心の理論は、他者の知識、信念、意図、感情などの心的状態を推測する能力であり、ASDの社会的特徴を理解する一つの視点となるが、それだけですべてを説明できるわけではない。また、音、光、触覚などへの過敏さや鈍感さといった感覚特性も多様であり、注意や行動調整を介して学習や社会的コミュニケーションに影響することがある。診断名だけから一律に能力や困難を判断せず、個人差と環境との関係を捉えることが重要である。


③ 実行機能
実行機能は、目標に向かって行動するために、必要な情報を保持しながら注意や行動を調整し、状況に応じて方略を切り替える認知機能の総称である。注意欠如多動症(ADHD)は、不注意、多動性、衝動性を主な特徴とし、学習場面では課題への着手、注意の維持や切り替え、行動の抑制などに困難が生じる場合がある。注意は必要な情報を選択し、維持し、必要に応じて切り替える働きをもつ。ワーキングメモリは、必要な情報を短時間保持しながら同時に処理する機能で、文章理解や複数の指示の実行などを支える。こうした困難を本人の努力だけの問題とせず、外部の手がかりや情報の外在化、環境の構造化によって認知的負担を補う視点が重要となる。


④ 支援
発達障害の支援では、診断名だけから方法を決めるのではなく、本人の困難、保たれている能力、興味、環境との関係を具体的に評価することが出発点となる。心理検査、質問紙、行動観察、本人や家族への面接など複数の情報を統合し、支援後も効果を再評価して方法を見直す。合理的配慮では、本人だけを変えようとするのではなく、課題の提示方法や環境を調整して学習や社会参加への障壁を減らす。ICTも、読み上げ、文字入力、リマインダーなどによって苦手な処理を外部から補い、保たれた能力を活用する手段となる。ただし一律に導入するのではなく、本人の特性や目的に合わせ、人的支援や合理的配慮と組み合わせて効果を確認することが重要である。

キーワード ① 限局性学習症(SLD) ② 自閉スペクトラム症(ASD) ③ 実行機能 ④ 注意欠如多動症(ADHD) ⑤ 合理的配慮
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

28 【アドバンスト(14)】発達障害と多様性をどう捉えるか 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、ベーシック第14回では、SLD、ASD、ADHDを中心に、発達障害にみられる認知特性と支援について学んだ。本回では、それらの知識を土台として、「障害とは何か」「多様性を尊重するとはどういうことか」を改めて考える。発達障害による困難は、個人の特性だけで決まるのではなく、教材、課題、教室環境、情報提示、社会的なルールなどとの関係によって大きく変化する。また、特性を単に「違い」や「強み」と捉えるだけでは、本人が実際に経験している困難を見落とす可能性もある。そこで本回では、個人と環境のミスマッチ、医学モデルと社会モデル、多様性と支援の関係を検討し、発達障害を欠損だけでも個性だけでも捉えない統合的な視点を身につける。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① ベーシック第14回のまとめ ② 障害はどこにあるのか ③ 多様性をどう支えるのか ④ 本回のまとめ
細目レベル ① ベーシック第14回のまとめ
ベーシック第14回では、発達障害を本人の努力不足や性格の問題としてではなく、情報の受け取り方や処理の仕方、行動調整にみられる発達的な特性として学んだ。SLDでは読字・書字・算数、ASDでは社会的コミュニケーション・心の理論・感覚特性、実行機能ではADHD・注意・ワーキングメモリを取り上げ、それぞれの困難の現れ方に大きな個人差があることを理解した。支援では、診断名だけで一律に判断せず、心理検査、行動観察、面接などを通して本人の強みと困難を多面的に評価することを学んだ。さらに、合理的配慮やICTを活用して教材、課題、情報提示、学習環境を調整し、本人の認知特性と環境とのミスマッチを軽減することが、学習機会と社会参加の保障につながることを理解した。


② 障害はどこにあるのか
ベーシック第14回では、SLD、ASD、ADHDにみられる困難に対して、教材や課題、情報提示、教室環境を調整することの重要性を学んだ。この考え方の背景には、困難が個人の特性だけで決まるのではなく、個人と環境との組み合わせによって生じるという視点がある。このように、同じ認知特性でも環境によって「困難」の大きさは変わる。医学モデルでは、障害の原因を主として個人の心身機能や認知機能の側に求め、診断や治療、訓練によって困難を軽減しようとする。発達障害を考える場合、どちらか一方だけで十分とはいえない。SLDの読字困難やADHDの注意・実行機能の特徴など、個人の認知特性を把握することは支援に不可欠である。


③ 多様性をどう支えるのか
SLD、ASD、ADHDにみられる特性は、単純な能力の高低ではなく、情報処理、注意、コミュニケーションなどにみられる個人差として捉えることができる。例えば、ASDでは特定の領域への強い関心や細部への注意が強みとなる場合がある一方、暗黙のルールの理解や感覚刺激への対応が困難となる場合もある。支援を本人の訓練だけに限定すると、困難を生み出している環境側の要因を見落とすことになる。本人の特性を把握した上で、教材、課題、評価方法、物理的環境などを調整することも重要な支援である。支援とは、本人だけを変えることではなく、個人と環境との関係を調整し、学習や社会参加の機会を保障する実践として捉える必要がある。


④ 支援の思想
支援の在り方は、障害の捉え方と密接に関係している。合理的配慮は、個人の特性に応じて環境を調整し、能力を発揮しやすくするための取り組みであり、公平性の実現に不可欠である。また、支援は個人の能力を変えることだけを目的とするものではなく、環境や制度を調整することによって実現されるべきものである。このような環境調整の視点は、支援をより包括的なものへと拡張する。したがって、支援とは単なる援助ではなく、個人と環境の関係を再設計する実践であると捉えることができる。


キーワード ① 個人と環境のミスマッチ ② 医学モデル ③ 社会モデル ④ 合理的配慮 ⑤ 神経多様性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

29 【ベーシック(15)】後半のまとめ:言語・比較認知・障害と支援をふり返る 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、本回はベーシック回後半のまとめを行う。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① 言語の階層構造 ② 前言語期の基盤 ③ 霊長類の認知と記号学習 ④ 言語障害と高次脳機能障害
細目レベル ① 言語の階層構造
ここでは、ベーシック第9回で扱った言語の構造と獲得を整理する。まず、音韻・形態・統語という言語の階層構造を確認し、言語が単なる音や記号の集まりではなく、複数の水準が組み合わさった体系であることを理解する。次に、意味論、語彙ネットワーク、カテゴリー化の観点から、語の意味が認知的構造と密接に関わっていることを整理する。さらに、生得説、学習説、相互作用説を比較し、それぞれが言語獲得の異なる側面を説明していることを確認する。最後に、用法基盤モデル、統計的学習、認知言語学といった現代モデルを位置づけ、言語が学習・認知・社会の相互作用の中で形成される現象であることをまとめる。


② 前言語期の基盤
ここでは、ベーシック第10回の内容をもとに、言語発達の流れを整理する。まず、喃語、共同注意、意図理解といった前言語期の特徴を確認し、ことばが出る前の段階から言語発達が始まっていることを理解する。次に、語彙爆発、認知的制約、意味拡張を通して、子どもが限られた手がかりの中から語の意味を効率的に学習していくことを整理する。また、多語文、過剰一般化、構文発達を手がかりに、文法発達が単なる模倣ではなく、規則の発見と修正の過程であることを確認する。最後に、語用、会話、社会的相互作用の視点から、言語が他者との関係の中で機能し発達する社会的現象であることをまとめる。


③ 霊長類の認知と記号学習
ここでは、ベーシック第11回の比較認知とコミュニケーションをふり返る。まず、霊長類研究における記号学習、語彙理解、トークン使用を整理し、人間以外の動物にも言語に近い能力の一部が見られることを確認する。次に、音声、ジェスチャー、社会的信号といった動物のコミュニケーションを整理し、その柔軟性と限界を理解する。そのうえで、道具使用や因果理解などの共通性と、再帰性、共同注意、意図共有、心の理論といった人間特有の特徴を対比する。これにより、言語を「人間だけの絶対的能力」としてではなく、進化の連続性の上にありながらも、特異的な統合を持つ能力として捉える視点をまとめる。


④ 言語障害と高次脳機能障害
ここでは、ベーシック第12回と第13回を接続し、障害と支援の観点から言語と学習を整理する。まず、言語野、失語症、失読・失書、高次脳機能障害を通して、言語機能が脳の多面的な仕組みに支えられていることを確認する。次に、SLD、ASD、ADHD、実行機能の特徴を整理し、発達障害を単なる学力不足ではなく、認知処理や社会的理解の特性として捉える。さらに、評価、合理的配慮、ICT活用を通して、支援が本人を変えるだけでなく、環境を調整することによって実現されることを理解する。これにより、障害を通して正常機能を逆照射するとともに、多様な学びを支える支援の重要性をまとめる。


キーワード ① 言語の構造と獲得 ② 言語発達とコミュニケーション ③ 比較認知 ④ 言語障害と高次脳機能障害 ⑤ 発達障害と支援
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

30 【アドバンスト(15)】後半のまとめ:言語・比較認知・障害と支援を問い直す 科目の中での位置付け 本科目は、学習・言語・行動を軸に、人間の認知と行動の成り立ちを段階的に理解する三部構成で展開する。前半では、非連合学習から条件づけ、弁別学習、社会的学習、エソロジーまでを扱い、行動の変化を生み出す基本原理とその生物学的基盤を学ぶ。中盤では、言語の構造と獲得、発達、比較認知を通して、コミュニケーションと言語の成立過程を多角的に検討する。後半では、言語障害や発達障害を手がかりに、学習と言語の臨床的側面と支援の在り方を考察する。各回は、基礎概念を扱うベーシックと理論的に再解釈するアドバンストを交互に配置し、理解と批判的検討を往復しながら統合的な理解を深める構成とする。
このような科目構成の中で、本回ではアドバンスト回後半のまとめを行う。

青山征彦・茂呂雄二(編)(2018)『スタンダード学習心理学』サイエンス社(ライブラリ スタンダード心理学 4).ISBN 978-4-7819-1415-2.
郷式徹・西垣順子(編著)(2019)『学習・言語心理学―支援のために知る「行動の変化」と「言葉の習得」』ミネルヴァ書房(公認心理師の基本を学ぶテキスト 8).ISBN 978-4-623-08583-5.
針生悦子(編)(2006)『言語心理学』朝倉書店(朝倉心理学講座 5).ISBN 978-4-254-52665-3.
今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』筑摩書房(ちくま学芸文庫).ISBN 978-4-480-09594-7.
木山幸子・大沼卓也・新国佳祐・熊可欣(2022)『学習・言語心理学』サイエンス社(ライブラリ心理学の杜 7).ISBN 978-4-7819-1550-0.
楠見孝(編)(2019)『学習・言語心理学』遠見書房(公認心理師の基礎と実践 8).ISBN 978-4-86616-058-0.
眞邉一近(2019)『ポテンシャル学習心理学』サイエンス社(テキストライブラリ 心理学のポテンシャル 5).ISBN 978-4-7819-1441-1.
実森正子・中島定彦(2019)『学習の心理 第2版―行動のメカニズムを探る』サイエンス社(コンパクト新心理学ライブラリ 2).ISBN 978-4-7819-1243-1.
茂呂雄二・伊藤崇・新原将義(編)(2024)『新しい言語心理学』ひつじ書房.ISBN 978-4-8234-1251-6.
中島定彦(2020)『学習と言語の心理学』昭和堂.ISBN 978-4-8122-1928-7.
Nolen-Hoeksema, S., Fredrickson, B. L., Loftus, G. R., & Lutz, C.(著)・内田一成(監訳)(2015)『ヒルガードの心理学 第16版』金剛出版.ISBN 978-4-7724-1438-8.
篠原彰一(2008)『学習心理学への招待[改訂版]―学習・記憶のしくみを探る』サイエンス社(新心理学ライブラリ 6).ISBN 978-4-7819-1204-2.
高橋秀明(2025)『学習・言語心理学 改訂版』放送大学教育振興会(放送大学教材).ISBN 978-4-595-32504-5.
山内光哉・春木豊(編著)(2001)『グラフィック学習心理学―行動と認知』サイエンス社.ISBN 978-4-7819-0977-6.
コマ主題細目 ① 言語の構造はどこから来るのか ② 言語発達はなぜ可能なのか ③ 言語は人間だけのものか ④ 障害と多様性から言語と支援を再定義する
細目レベル ① 言語の構造はどこから来るのか
本コマでは、アドバンスト第9回の内容を統合し、言語の構造の起源を問い直す。まず、普遍文法と刺激の貧困の議論を通して、生得的な言語能力の可能性を整理する。次に、統計的学習やパターン抽出の観点から、言語が一般的な学習能力によって形成されうることを確認する。また、言語が思考やカテゴリー形成に影響することをふまえ、言語を単なる伝達手段ではなく認知の枠組みとして捉える。最後に、生得的装置を重視する立場と、経験や相互作用を重視する立場を対比しつつ、両者を統合する視点を確認する。これにより、言語の本質を「装置か学習か」という単純な対立ではなく、制約と経験の相互作用として理解する。


② 言語発達はなぜ可能なのか
本コマでは、アドバンスト第10回の内容をふり返り、言語発達の成立条件を再検討する。まず、指示の不確定性やガバガイ問題を通して、語彙獲得が実は極めて複雑な認識論的課題であることを確認する。そのうえで、認知的制約が語彙学習を効率化していることを整理する。次に、共同注意と意図理解の観点から、言語発達が個体内の学習だけでなく、他者との相互作用を前提とする社会的現象であることを確認する。さらに、過剰一般化などのエラーを、失敗ではなく規則発見の証拠として位置づける。最後に、環境や個人差による発達の多様性を整理し、言語発達を単一の普遍的メカニズムではなく、多様な条件のもとで成立する現象として理解する。


③ 言語は人間だけのものか
本コマでは、アドバンスト第11回をもとに、人間の言語の特異性を再検討する。まず、動物のコミュニケーションを、単純な信号伝達ではなく、柔軟性や文脈依存性を持つ行動として再評価する。次に、霊長類研究を通して、記号理解や象徴性の一部が人間以外の動物にも見られることを整理する。そのうえで、道具使用、因果理解、社会的学習などの共通能力と、再帰性や意図共有といった質的差異を対比する。これにより、人間と言語を完全に切り離された特別な存在としてではなく、進化的連続性の上に位置づけつつ、その統合のあり方に特異性を持つ存在として理解する視点をまとめる。


④ 障害と多様性から言語と支援を再定義する
本コマでは、アドバンスト第12回・第13回を接続し、障害と多様性の観点から言語と支援を再定義する。まず、脳と言語の関係を、局在ではなくネットワークや再編成の観点から捉え直し、失語症を通して言語と自己・思考との関係を考える。次に、非言語的理解や支援の再構成を通して、言語が他の認知機能や社会的文脈と統合されたシステムであることを確認する。さらに、発達障害については、個人の欠損ではなく、環境との関係で生じる困難として捉える社会モデルを整理する。そのうえで、ASDの再理解、学習の多様性、合理的配慮、環境調整を通して、支援とは「個人を修正すること」ではなく、「個人と環境の関係を再設計すること」であるという視点をまとめる。


キーワード ① 言語の起源と統合 ② 言語発達の成立条件 ③ 連続性と断絶 ④ 言語障害の再解釈 ⑤ 障害の社会モデルと支援の思想
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
学習の基本概念と非連合学習 1)学習とは経験による比較的持続的な行動変化であることを理解し説明できること。
2)生得的行動と学習による行動変化の違いを理解し説明できること。
3)馴化・鋭敏化・刻印づけなどの非連合学習や初期学習の特徴を理解し説明できること。
4)学習の定義が理論的枠組みに依存すること、および生得と学習が連続的関係にあることを理解し説明できること。
)学習概念の境界や限界を、単細胞生物・植物・初期学習の議論も含めて理解し説明できること。
学習、非連合学習、馴化、鋭敏化、刻印づけ、生得行動 10 1,2
レスポンデント条件づけ 1)レスポンデント条件づけの基本的な仕組みを理解し説明できること。
2)条件刺激・無条件刺激・条件反応・無条件反応の関係を理解し説明できること。
3)獲得、消去、自発的回復、般化、弁別といった基本現象を理解し説明できること。
4)味覚嫌悪学習、感覚予備条件づけ、ブロッキングなどの特殊条件づけを理解し説明できること。
5)条件づけを単なる連合ではなく、随伴性・予測・予測誤差に基づく学習として理解し説明できること。
レスポンデント条件づけ、随伴性、獲得、消去、自発的回復、予測誤差 10 3,4
オペラント条件づけと行動形成 1)オペラント条件づけとは何かを理解し説明できること。
2)効果の法則と三項随伴性の考え方を理解し説明できること。
3)正の強化・負の強化・罰の違いを理解し説明できること。
4)強化スケジュールやシェイピング、チェイニング、トークンエコノミーの原理を理解し説明できること。
5)行動形成の理論を、自由意志・環境決定論・徹底的行動主義との関係から理解し説明できること。
オペラント条件づけ、効果の法則、三項随伴性、強化、罰、シェイピング 10 5,6
弁別学習と刺激性制御 1)刺激性制御と弁別刺激の基本的意味を理解し説明できること。
2)弁別と般化の違いを理解し説明できること。
3)般化勾配やピークシフトなど、弁別学習に伴う現象を理解し説明できること。
4)条件性弁別、マッチング課題、関係学習の特徴を理解し説明できること。
5)弁別学習をカテゴリー形成・抽象化・概念形成の基盤として理解し説明できること。
刺激性制御、弁別刺激、般化、ピークシフト、条件性弁別、概念形成 10 7,8
エソロジーと学習の進化的基盤 1)エソロジーが自然環境における行動を扱う学問であることを理解し説明できること。
2)種特異的行動、固定的行動パターン、解発刺激の特徴を理解し説明できること。
3)本能行動と学習が相互に関係していることを理解し説明できること。
4)準備性や学習の制約を、進化的適応の観点から理解し説明できること。
5)人間を含む動物の行動を、種間比較・進化・比較認知の視点から理解し説明できること。
エソロジー、種特異的行動、固定的行動パターン、準備性、制約、比較認知 10 9,10
社会的学習・認知的学習・自己調整学習 1)観察学習やモデリングの基本的な考え方を理解し説明できること。
2)代理強化、洞察学習、潜在学習の特徴を理解し説明できること。
3)運動学習、フィードバック、転移、自己効力感の役割を理解し説明できること。
4)学習と記憶、問題解決、メタ認知との関係を理解し説明できること。
5)学習を個体内の過程にとどめず、模倣・社会的影響・文化形成・自己調整を含む統合的過程として理解し説明できること。
観察学習、代理強化、洞察学習、潜在学習、自己調整学習、メタ認知 10 11,12,13,14
学習の神経基盤・環境要因・応用可能性 1)学習が脳の可塑性と関係することを理解し説明できること。
2)発達、環境、ストレス、社会環境が学習に影響することを理解し説明できること。
3)教育場面における強化、フィードバック、動機づけの役割を理解し説明できること。
4)学習理論が臨床や教育支援に応用される仕組みを理解し説明できること。
水準5
神経可塑性や教育実践の限界、エビデンスと個人差の関係を含めて学習理論の応用条件を理解し説明できること。
神経可塑性、環境要因、エンリッチメント、動機づけ、EBP(エビデンスに基づく実践)、個人差 10 15,16
言語の構造・獲得・発達 1)言語が音韻・形態・統語などの階層的構造を持つことを理解し説明できること。
2)意味論、語彙ネットワーク、カテゴリーとの関係を理解し説明できること。
3)言語獲得に関する生得説・学習説・相互作用説の基本を理解し説明できること。
4)前言語期、語彙発達、文法発達、コミュニケーション発達の過程を理解し説明できること。
5)言語の構造と発達を、普遍文法・統計的学習・認知的制約・共同注意など複数の理論的視点から理解し説明できること。
音韻、形態、統語、意味論、普遍文法、統計的学習、共同注意、語彙爆発 10 19,20,21,22
比較認知と人間の言語 1)霊長類における記号学習や語彙理解の基本的知見を理解し説明できること。
2)動物のコミュニケーションの特徴を、音声・ジェスチャー・社会的信号の観点から理解し説明できること。
3)動物の認知と言語の間にある連続性と差異を理解し説明できること。
4)再帰性、共同注意、意図共有、心の理論といった人間の特異性を理解し説明できること。
5)比較認知の視点から、人間の言語とコミュニケーションの特異性を、連続性と断絶の両面から理解し説明できること。
比較認知、記号学習、動物コミュニケーション、連続性と断絶、再帰性、意図共有 10 23,24
障害・多様性・支援 1)失語症、高次脳機能障害、SLD、ASD、ADHDなどの基本的特徴を理解し説明できること。
2)言語障害や発達障害に関わる認知機能、実行機能、感覚特性を理解し説明できること。
3)検査、評価、リハビリテーション、合理的配慮、ICT活用の基本を理解し説明できること。
4)障害を個人の問題だけでなく、環境や支援との関係から理解し説明できること。
5)障害・多様性・支援を、社会モデル、学習の多様性、環境調整の観点から統合的に理解し説明できること。
失語症、高次脳機能障害、SLD、ASD、実行機能、合理的配慮、社会モデル 10 25,26,27,28
評価方法 テスト
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書
参考文献 授業中に指示します。
実験・実習・教材費 なし