区分
基盤専門科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力
科学コミュニケーション力
研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養
応用力
実践力
科目間連携
総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
この科目では,これまでに学習してきたさまざまな心理学的現象が,実は周囲にいる他者から大きく影響を受けていることを学ぶ。人間は単独で生活していくことはできず,常に他の人間とともに生きるしかない生物である。したがって,他の人間の存在が人間の行動や思考にどのように影響するか,またその最小単位である家族の在り方や機能を知ることは,人間というものへの理解をより深めるきっかけとなる。また,実践的な面では,この科目を履修することにより,多くの心理学研究が人間管理の下行われていることが,なんらかの形で実験結果に影響している可能性があることに思い至るであろう。卒業研究などを通じて自分自身が研究を進める際に,自分がどのようなデータを取っているかに自覚的になることにつながることが期待される。
科目の目的
この科目では,これまでに学習してきたさまざまな心理学的現象が,実は周囲にいる他者から大きく影響を受けていることを学ぶ。
到達目標
以下の3つに関して十分理解を深める
①対人関係並びに集団における人の意識及び行動についての心の過程を理解する。具体的内容としては以下の内容を含むことになる。A:社会的認知、B:社会的自己、C:対人関係・対人行動、D:コミュニケーション、E:集団・組織
②人の態度及び行動に関して理解を深める。具体的内容としては以下の内容を含むことになる。A:態度の機能と構造、B:説得による態度と行動の変化
③家族,集団及び文化が個人に及ぼす影響に関して理解を深める。具体的内容としては以下の内容を含むことになる。A:家族の機能、性に関わる機能 子どもの社会化に関わる機能 情緒に関わる機能、B:家族内の関係、C:集団・組織の影響、D:文化の影響
科目の概要
この科目では、これまでに学習してきたさまざまな心理学的現象が、実は周囲にいる他者から大きく影響を受けていることを学ぶ。個人の感情・思考・意識・行動・態度は、自分で思っている以上に、社会的である。また、一方で、個人の行動や態度は、集団や社会に影響を与えている。社会心理学は、個人の感情・思考・意識・行動・態度と、集団・社会のありかたとの相互的な関係を捉える学問領域である。本講義では、まず、個人内過程における社会的な影響について概観する。続いて、家族関係や文化の影響などを見ていくことで、個人と個人、個人と社会の間にある相互関係について学ぶことを目的とする。社会心理学において用いられる実験法、調査法などを理解し、授業を通じて紹介するさまざまな実験や調査の狙いをつかむとともに、実験や調査で得られた結果を解釈できるようになることが求められる。
科目のキーワード
帰属と対人認知のメカニズム 社会的判断・推論のメカニズムステレオタイプと偏見
自己知識・自己概念 自己知覚 自己評価・自尊心の維持・高揚のメカニズム 自己制御 自己呈示、対人魅力 社会的交換 協力と競争 援助行動 攻撃行動、言語コミュニケーション 非言語コミュニケーション コミュニケーション・ネットワーク、所属・成員性 集団への同調 内集団ひいき 集団内の地位とリーダーシップ、態度の形成と機能 態度の構造と変化 態度と行動の一貫性、送り手の要因 メッセージの要因 受け手の要因 状況の要因 態度変化のモデル 説得への抵抗、家族システム 夫婦関係 親子関係 きょうだい関係 家族の発達段階、
情報的影響と規範的影響 集団凝集性 組織規範と組織文化、規範 慣習・習慣 制度 相互構成的な文化的存在としての人間子どもの養育と発達 異文化接触
授業の展開方法
本講義は、演習ではなく、一般的に言われている講義形式の講義に該当する。しかし、学生が自ら学ぶ姿勢を促すための多くの工夫を行うという点では、アクティブ・ラーニング(学生の学び方を「受動的な学習」から「能動的な学習態度」に変容させることで学びの質を高める方法)。そのため、講義はパワー・ポイントを使用することなく、必要なことは板書をしながら、講義を進めてゆく。また、教材テキストを用いる。
オフィス・アワー
前期:火曜2限
木曜2限
後期:水曜昼
木曜1限・昼
科目コード
RD4060
学年・期
2年・後期
科目名
社会・集団・家族心理学
単位数
4
授業形態
講義
必修・選択
必修
学習時間
【授業】90分×30 【予習】60分以上×15 【復習】60分以上×15
前提とする科目
展開科目
関連資格
公認心理師
担当教員名
加藤司
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
社会的影響(1) 社会的促進と社会的抑制
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 社会心理学とは ② トリプレットの競走研究 ③ ザイアンスのG研究
細目レベル
① 社会心理学は,社会的状況,つまり他者が存在する場面で,人間の認知,感情,行動にどのような影響があるのかを調べる学問分野である。言い換えれば,私たちは,他者が存在する場面では,認知(考え方),感情(感じ方),行動(ふるまい方)が違うのである。オルポート(1954)は,「社会心理学とは,他者が存在することによって,人々の思考や感情や行動がどのように影響を受けるのかを理解し,説明しようとする科学的試みである」と定義している。ただし,オルポートの定義とは逆に,「個人の傾向がどのように社会現象を引き起こすのか」も,社会心理学の関心の対象である。
② トリプレットによる競争研究について詳しく学び,人が,あるいは他人に限らず多くの動物が,他個体の存在によって自分の行動を意識的にあるいは無意識的に変化させているという発見の重要性について理解する。他の研究者からの異論もあるものの,トリプレットの競走研究は,オルポートによって,社会心理学の起源となる実験とされている。トリプレットは,アメリカ自転車リーグレース委員会の公式記録を分析し,競争相手がいるときには,単独で走行する場合よりも1マイルあたりの速度が上昇することを示している。続いてトリプレットは,これを実験的に検討するため,釣り用のリールをできるだけ速く回す課題を実施した。単独条件に比べ,他の子どもとの競争させた条件では,多くの子どもたちがリールを速く回すようになっていた。このように,他人(競争者,共同行為者,観察者)がいるときに遂行成績が上がるという現象を,社会的促進と呼ぶ(名付け親はオルポートである)。
③ トリプレットの研究をきっかけに,他者の存在がどのように個人の動機づけや努力,遂行成績に影響するのかに関する探究が始まった。その後の研究で,社会的促進だけではなく,観察者や共行動者がいる場合の方が,一人のときよりも個人の作業量・質が減少するという社会的抑制も生じることが示された。この矛盾を統合したのがザイアンスである。ザイアンスは,覚醒状態では「主たる反応」が促進されるというハル-スペンスの動因理論をもとに,共行為者がいたり観察されていたりする状況は覚醒状態をもたらし,したがって簡単な課題は主たる反応である「正確」が促進されるので社会的促進が,一方難しい課題では主たる反応である「不正確」が促進されるので社会的抑制が生じるのではないかと主張したのである。ザイアンスは理論を確かめるためにゴキブリに迷路を解かせ,単純な迷路の場合,他のゴキブリに観察されることで迷路を解く時間が早くなる(社会的促進)が,複雑な迷路の場合,他のゴキブリに観察されることでむしろ迷路を解く時間が遅くなる(社会的抑制)という結果を示している。
キーワード
① オルポート ② 社会的促進 ③ 社会的抑制 ④ ザイアンス ⑤ ハル-スペンスの動因理論
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
2
社会的影響(2) 社会的手抜き
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 社会心理学における再現性危機 ② 社会的手抜き ③ 基本的な帰属のエラーと実験者効果
細目レベル
① まず,用語を整理しよう。追試とは,過去の研究(先行研究)をもう一度同じように実施することを指す。一方,再現とは,この追試によって,先行研究の結果と同じ結果が得られることをいう。追試には,直接的追試と概念的追試がある。直接的追試では,できるだけ正確に先行研究を繰り返す。先行研究の結果の再現可能性を調べるものである。一方,概念的追試は,先行研究とは異なる独立変数や従属変数,操作などを用いて先行研究と同様の効果を得ようとするものである。概念的追試は,先行研究の結果の一般か可能性を検討している。2010年ごろまでは,こうした追試(特に直接的追試)は非常に軽視されていた。しかし,2010年以降に社会心理学分野で立て続けに起こった研究の再現性をめぐる問題を通じ,今では追試の価値が認められるようになり,また研究者の研究慣習も変化してきている。こうした変化について学び,研究はどのように進めるべきかについて理解を深める。
② 社会的手抜きとは,グループで協力して作業を行う際に,ひとりで作業を行うときと比べて作業量あるいは作業強度が低下する現象のことである。前コマで学習した社会的抑制と似た現象であるが,社会的抑制では他人が同時に作業を行ってはいるが,他人とは協力関係にないという点で相違がある。社会的抑制(あるいは社会的促進)における他人は観察者,あるいは同時行為者(隣で一緒の作業をやっている人)や聴衆であるのに対し,社会的手抜きにおける他人は,協同作業者あるいはチームメイトなのである。社会的手抜きは,評価が集団単位で行われるために生じるとされる。また,責任の分散(他の人がやるから自分は全力を出さなくても大丈夫)やフリーライド(他人の努力にただ乗りしよう)の誘因によって引き起こされると考えられている。
③ 基本的な帰属のエラーについて学び,私たちがいかに社会的影響を考慮できないかについて知る。レヴィンは,人間の行動(Behavior)は,B=f(P, E)という関数で表せるとした。PはPersonality, EはEnvironment の略である。つまり,パーソナリティ(P)と環境の効果(E)が行動(B)を決めるというモデルだと解釈できる。基本的な帰属のエラーとは,環境の影響力(E)と比べ,個人的な要因の重要性(P)を過大に見積もるエラーのことである。他人の行動を評価するときによく生じ,対応バイアスとも呼ばれる。環境の効果を軽視するこの傾向は,研究を進める上でも阻害要因となる。賢馬ハンスは,人間の言葉が分かり,計算もできる馬だとして,19世紀末から20世紀初頭のドイツで話題になった。しかしこのハンスは,飼い主や周囲の反応に応じて行動を調整していただけで,言葉や計算を理解していたわけではなかった。このように,実験者が意図せずに参加者(馬)の行動に及ぼす,実験統制外の影響のことを実験者効果と呼ぶ。望ましい反応が生じると実験者が嬉しそうな反応をしてしまうなどによって,実験結果が左右されるのである。しかし,実験者は,基本的な帰属のエラーのために,参加者の行動は本人の意思だけで生じたものと考えてしまいやすい。
キーワード
① 直接的追試と概念的追試 ② 責任の分散 ③ B=f(P, E) ④ 対応バイアス ⑤ 賢馬ハンス
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
3
多数派の影響と少数派の影響
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① アッシュの多数派同調実験 ② 同調はなぜ起こるのか ③ 少数派の影響
細目レベル
① 私たちは,周りの人が明らかに間違っている時でも,多数派に同調した回答を行う。ナチスドイツによるユダヤ人迫害,ドイツ人による無関心という時代的背景をもとに,第二次世界大戦後,ユダヤ人研究者を中心として,「なぜ彼らはああした行動をとったのか」の検討が行われた。その一つがアッシュによる多数派同調に関する実験である。アッシュは線分の長さの判断という,ほとんどの人が間違えることのない課題を用い,自分以外の「実験参加者(実際はサクラ)」が全員間違った答えを回答している場合に参加者がどう答えるのかを検討した。その結果,参加者の76%が少なくとも1回は多数派の誤答に同調したのである。
② このコマ細目では,どのような場合によく同調が生じ,どのような場合に少なくなるのか,なにがこの同調をもたらしているのかについて学ぶ。同調を促進する要因としては,自分以外の全員が一致している状況が挙げられる。逆にいえば,自分以外に誰かが集団とは違う答えをしていれば,それが間違っていたとしても,自分の信念を貫きやすくなるのである。また,古い研究よりも新しい年代の研究の方が同調の効果が弱い,集団主義的な国に住んでいる人の方が同調率が高い,女性の方が同調しやすいなどが示されている。同調が生じる仕組みとしては,規範的影響と情報的影響の二つのルートが指摘されている。また,同調は意見の表明としてだけ生じるのではない。窓を見上げている人がいたら自分も見上げる,信号無視をする人がいたら自分の信号を無視するなど,行動にも影響を与える。
③ アメリカの研究者を中心に,1960年代後半までの社会心理学では,「多数派が少数派に一方的に影響を与える」だけだと考えられていた。これに対し反論を行ったのがヨーロッパ系の社会心理学者である。主流派と異なる学術的見解を主張した人(ガリレオ,ダーウィンなど)や,主流派と異なるものの見方を主張した集団(婦人参政権運動家集団,奴隷反対派など)は,いつしか多数派になっている。少数派が多数派に影響を与えることも可能なのではないだろうか。これを実験的に検討したのが,モスコビッチのブルー・グリーンパラダイム研究である。モスコビッチは,複数の参加者に曖昧な色を見せ,何色に見えるかを回答させた。この時,グループの中では少数派のサクラが一貫して特定の色が見えると回答し続けることで,他の参加者の回答に影響を与えうることが示されている。少数派は,一貫した回答を続けることで多数派に影響を与えうるのである。
キーワード
① アッシュの多数派同調実験 ② 規範的影響と情報的影響 ③ 多元的無知 ④ ミルグラムの同調実験 ⑤ モスコビッチのブルー・グリーンパラダイム
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
4
意に反した社会行動
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① ミルグラムの服従実験 ② 服従実験の余波 ③ 傍観者効果
細目レベル
① 社会心理学は,社会とうまくやっていくことだけではなく,社会によって自己の意図に反した行動をとることも含めた,社会的影響について研究している。人は,権威ある人から命令を受けると,意に反した残酷な行動をとることがある。これを最初に示したミルグラムの服従実験について学ぶ。ミルグラム自身はアメリカ人であるが,両親がユダヤ人であり,ナチスによるホロコーストが行われていた時代に少年期を過ごした。彼はアッシュの同調研究に興味を持っていたが,線分の長さ判断課題では満足できず,他人への攻撃的なふるまいを検討しようとした。ミルグラムは,人が,集団ではなく,ただ一人の実験者からの命令にどこまで従うのかを調べるため,参加者が他の「参加者(実際はサクラ)」に電気ショックを与える状況を準備した。その結果,実に65%の人が,「参加者」が死んでしまうレベルの電気ショックを与えたのである。残酷な結果をもたらしうる人間の特徴について学ぶとともに,こうした圧力を跳ね返せるのはどのような場合かについても学ぶ。
② ミルグラムの研究は,当時(ですら)相当に批判された。「非人道性の研究を装って,ミルグラム自身が非人道的行為に加担した」とか,「承知の上の拷問」とか,「ナチスの人体実験の流れをくむもの」といった具合である。ミルグラムは,「参加者の中にはダメージに苦しんでいる人はいないし,むしろほとんどの参加者は,実験に参加した経験を有益で価値のあるものだったと思っている」と反論しているが,では現代の心理学研究でこのような手続きが許されるかというと相当に難しいだろう。実際,現在では,より危害の少ない方法で再現研究が行われている。他の人に退屈な作業をさせる,虫やミミズを潰させる,バーチャルリアリティの中で服従実験に参加させる,などである。現代心理学では,倫理的な問題が生じないよう,学術誌に掲載される研究は,事前に学内・学外の倫理審査委員会で倫理審査を受けていることが求められている。
③ 私たちは基本的に他人を助けようとする。しかし,周囲に人が多ければ多いほど,「助けない」行動を選ぶこともある。この直観に反した傍観者効果について研究が始まったきっかけと,研究の詳細,現在ではどのようなことが明らかにされてきているのかについて学ぶ。傍観者効果は,1964年のキティ・ジェノベーゼ殺人事件がきっかけとなっている。ジェノベーゼが殺されるまでの30分間,少なくとも38人の目撃者がいて,誰も彼女を助けなかったのである。ニューヨークタイムズは「都会人の冷たさ・無関心」を批判したが,社会心理学者であるダーリーとラタネは,「38人もいたのに」ではなく,「38人もいたからこそ」誰も助けなかったのではと考え,研究を行った。実際,周囲に多数の人がいるほど「誰かが助けるだろう(責任の分散)」あるいは「誰も助けないということは問題がないのだろう(多元的無知)」と考え,助けを必要としている人を助けなくなっていた。しかし,実は,元々の事件ではもっと多くの人がジェノベーゼを助けようとしていたことも明らかにされつつある。きっかけとなった事件が「フェイク」でも,それをきっかけに行われた研究結果は「真実」を示すという珍しい事例であろう。
キーワード
① 服従実験 ② 倫理審査 ③ 傍観者効果 ④ 責任の分散 ⑤ 多元的無知
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
5
バイアス
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 認知的倹約家 ② 思考の偏り ③ バイアス
細目レベル
① 人間はよく考える生物だと一般には考えられているが,実際には,なるべく思考を最小限にしようとする「認知的倹約家」である。社会心理学では,よりよく考えるには認知資源が必要であり,認知資源が限られている場合には浅い思考しか行われないというモデルが採用されている。認知的倹約家である私たちは,考えることを自動化しようとするため,さまざまなバイアスやヒューリスティクスに頼りがちである。このコマ細目では,まず,我々が自己制御や自己の実行機能を働かせるのに必要なエネルギーである「認知資源」を節約しながら生活していることを理解する。また,我々は常にいつでも認知資源を節約しているわけではなく,必要ならばしっかりと情報を処理し,必要でなければ処理は控えるというメリハリをつけてもいる。こうした人間の思考の側面は「動機を持つ戦術化」と表現される。
② 認知的倹約家である私たちは,考えることを自動化しようとするため,さまざまな思考のくせを持っていたり,バイアスやヒューリスティクスに頼ったりしがちである。ある対象の機能を知っているために,その対象の別の機能についての考えが抑制されることを機能的固着と呼ぶ。課題に直面した時に繰り返し同じ方法を用いていると,それが習慣になってしまうのである。このことを習慣的構えと呼ぶ。同じ問題を効率的に解く上では役に立つ一方で,全く新しい構造の問題として呈示された場合には,逆に問題の解決を妨げてしまう。また,周囲に生じるはずのない変化にはほとんど注意を払っていないことも,変化盲,あるいは選択盲といった現象によって示されている。
③ 人の思考は,決まった方向に歪んでいる。このゆがみのことをバイアスと呼ぶ。バイアスには集団状況に固有なバイアス(リスキーバイアスなど)もあれば,個人レベルのバイアスもあるが,本コマでは個人レベルのバイアスを中心に解説を行う。確証バイアスとは,個人の先入観に基づいて自分に都合のいい情報だけを集め,自己の先入観を補強するバイアスのことである。Wason の4枚カード問題を用いて検討されることも多い。予期しない事態にあったときに,そんなことはありえないといった先入観や偏見を働かせて,「事態は正常の範囲だ」と考えるバイアスは,正常性バイアスと呼ばれる。これはすでに学んだ同調や,今後学ぶ傍観者効果などによって生じる。後知恵バイアスは,ある出来事についての結果が分かってしまうと,予めその結果について予測できたように感じるバイアスのことである。被害者への非難につながる可能性があり,社会的にも影響の大きいバイアスと言える。自己奉仕バイアスは,自分が成功したときは「自分自身の能力によるもの」と考え,失敗したときは「自分にはどうしようもない周りの環境が悪かった」と考えるバイアスであり,基本的な帰属のエラー(対応バイアス)の仲間である。
キーワード
① 認知資源 ② 機能的固着 ③ 確証バイアス ④ 後知恵バイアス ⑤ 自己奉仕バイアス
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
6
認知資源の削減と二重過程理論
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 知覚的流暢性の誤帰属 ② ヒューリスティクス ③ 二重過程理論
細目レベル
① 私たちは,自分の内的状態に変化が起こった原因がわからないときに,もっともらしい原因を周りから見つけ出す。その結果,本当の原因ではないものを,誤って自分の内的状態の変化の原因として考えてしまうことがある。感情人格心理学で学んだ吊り橋効果もこの一つである。高く不安定な吊り橋によって生じた心臓のドキドキ感を,目の前の女性に誤帰属すると,女性への好感度が高まるのである。ここでは,知覚的流暢性による誤帰属である,単純接触効果,有名性効果,真実の錯誤効果について取り上げる。知覚的流暢性が高い状態とは,特定の刺激を簡単に処理できるようになった状態のことである。流暢性の高い対象に対しては,好きなのだという解釈(単純接触効果),出来が良いという評価,有名なのだという評価(有名性効果),真実性が高いという判断(真実の錯誤効果)が生じる。流暢性のもたらす効果について学ぶ。
② 人間は,「多くの場合にうまくいく思考スタイル」を,いつでも適用しようとしがちである。こうした思考スタイル,つまり,直観や経験則といった,判断のための近道のことをヒューリスティックと呼ぶ。バイアスとは異なり,常に間違う判断方法ではない。ヒューリスティックによって100%必ず正しい答えが導けるわけではないが,多くの場合は正解に近い解を得られる。人は,ヒューリスティクスを使って,「短時間に,ほぼ正解に近い解」を得ようとする傾向が強い。ヒューリスティクスを概観し,どういうときにヒューリスティクスが利用され,どういうときに利用されないのかについて学ぶ。言い換えれば,我々がどのように認知資源を節約しているのかについて理解を深める。
③ 二重過程理論では,人間の思考過程を,暗黙の自動的な無意識の過程(システム1)と,明示的なコントロールされた意識的な過程(システム2)からなると考える。まずこの二重過程理論について学ぶ。システム1(直感)による思考は,非自発的,感情(勘),暗黙,努力がいらない,キャパシティが大きい,速いのに対し,システム2(熟慮)による思考は,自発的,感情を伴わない,明示的,努力が必要,キャパシティが小さい,遅いものと考えられる。人の認知資源には限界があるため,普段はシステム1を使って判断を行っている(=認知的倹約家)ため,ヒューリスティクス的判断が多くなるが,重要な場面では,システム2を使って判断をするのでヒューリスティクスやバイアスを避けようとすると予測される。社会心理学の理論でも,印象形成の二重処理モデルや,連続体モデル,あるいは説得の精緻化見込みモデルなどでこの二重過程モデルはしばしば援用されている。しかし,近年,二重過程モデルの実証性のなさが問題視されてきている。理論と実証との関係についての議論を理解する。
キーワード
① 単純接触効果 ② 真実の錯誤効果 ③ 代表性ヒューリスティック ④ 利用可能性ヒューリスティック ⑤ カチッサー効果
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
7
印象形成
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① アッシュの印象形成研究(1) 暖かいか冷たいか ② アッシュの印象形成研究(2) 頭かお尻か ③ 印象形成の理論モデル
細目レベル
① 印象形成とは,ある人物の断片的な情報を利用して,その人の全体的な印象を作り上げる過程のことである。要するに日常でいう「印象形成」と同じ意味であると考えて良い。印象形成については,アッシュによって研究が始められ,今でも社会心理学において一大分野である。我々は,他人の行動の断片から,自発的に特性推論を行う。たとえば,「ピアニストが財布を地下鉄のシートに置き忘れた」という情報から,「ぼんやりした人だ」と考える。こうした印象形成を行う上で,重要な情報と重要でない情報があるという指摘を行ったのが,アッシュの古典的実験の1つ目である。この実験を通じて,私たちが他人の印象を形成する際に,単純に情報を加算しているのではないことを学ぶ。
② アッシュの行った古典的な印象形成研究の2つ目は,まったく同じ情報を与えられた場合でも,情報の呈示順によって,形成される印象が異なるというものである。最初にポジティブな情報を与えられた場合の方が,ネガティブな情報を与えられた場合よりも,全体的な印象が良くなる。このことを指して,初頭効果と呼ぶ。この実験からも,私たちが他人の印象を形成する際に,単純に情報を加算しているのではないことがわかるだろう。なお,記憶研究における初頭効果と同じ単語であり,また非常に類似した現象を指してはいるが,カバーしている現象の範囲は厳密には異なる。記憶研究では系列一効果として親近性効果も指摘されており,実際印象形成でも親近性効果がやや見られるという主張も行われているが,印象形成では初頭効果の方が効果が強いというのが一般的な見解である。
③ 印象形成における様々な理論(ゲシュタルトモデル,二重処理モデル,連続体モデル)について理解する。コマ細目①および②で,印象形成は単純に情報を加算したものではないことはすでに述べた。こうした実験結果を踏まえ,アッシュは印象形成のゲシュタルトモデルを提唱している。ある人物に対する印象は,情報をモザイクのように組み合わせたものではなく,情報を統合する全体(=ゲシュタルト)が存在し,個々の特性情報はその全体によって規定されるとする理論である。ブルーワーは,印象形成の二重処理モデルを提唱した。このモデルでは,人は他人の印象を形成する際に,相手の特徴を,自動的処理(カテゴリ的処理)か意識的処理(個人的処理)のいずれかによって分析・判断するというモデルである。自動的処理で終わればステレオタイプ的な,意識的処理まで進めばより慎重な情報処理が行われる。フィスケとニューバーグは,二重処理モデルを発展させ,個人的処理 or カテゴリ的処理という二択ではなく,もっと連続的に処理のステップが変化すると考えた。この連続体モデルでは,カテゴリ的処理とピースミール処理(個人的処理)が想定されている。
キーワード
① 自発的特性推論 ② 中心特性と周辺特性 ③ 予言の自己実現 ④ 初頭効果 ⑤ フィスケとニューバーグの連続体モデル
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8
ステレオタイプと差別
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① ステレオタイプ ② システム正当化と公正世界信念 ③ 差別
細目レベル
① ステレオタイプとは,あるカテゴリに属する人が共通して持っていると信じられている特徴(性格特性,身体的特徴,行動傾向など)のことである。スキーマの一種である社会的スキーマだと考えられている。たとえば「スポーツ選手は心も強い」など,過度に単純化,画一化されていることが多く,単純で画一的だからこそ,熟慮を必要としない。言い換えれば,システム1を使うことで,認知資源を最小化できるとも言えるだろう。ステレオタイプ,偏見,差別の違いについて理解するとともに,ステレオタイプの原因となりうる錯誤相関,ハロー効果,などについても学ぶ。最後に,フィスケのステレオタイプ内容モデルについて学び,両面価値的ステレオタイプ,温情主義的ステレオタイプなどのように,「自分自身では肯定的感情を伴った扱いであっても,相手からすれば偏見や差別を感じ取られてしまう」原因になるステレオタイプについて理解を深める。
② 人は現状を維持しようとする。あるシステムが確固たるものとなっていると,人はそのシステムの存在と安定を維持しようと動機づけられる。これは,自分がこれまでに慣れ親しんできた社会システムは予測可能で確実で安心なためとされている。両面価値的ステレオタイプは,「世の中はバランスが取れている」という認知を生じさせ,システムの正当性を高める。誰もが適材適所に配置されていると信じ,自分の地位や立場も分相応なものだと考えてしまうのである。適材適所と似た考え方に,因果応報がある。いいことをすればいいことが起こるし,悪いことをすれば悪いことが起こるという信念である。これは公正世界信念と呼ばれている。努力や幸福感につながる信念でもあり,必ずしも悪いばかりではないのだが,一方で「ハンセン病に罹患するのは宿業を負ったものが輪廻転生したからだ」というような話になってくると社会的に重大な問題となる。公正世界信念は,ラーナーによって,ミルグラムの服従実験の延長として研究されたのが嚆矢である。ラーナーの実験について学び,また現実社会でどのように良い面と悪い面が生じているのかについて理解する。
③ ステレオタイプが選択や意思決定に影響する場合には差別と呼ばれる。ある人がこうした差別を行うのはなぜだろうか。本コマでは差別研究の流れを知る。差別や偏見が社会問題として認知され,その解決を図ることが学問的課題となったのは,1920年代以降とされている。それまで,人種間の相違は生物学的要因に よるものと信じられていたのである。「知性や道徳性が自分たちより劣っている集団に対して悪感情を抱くことはごく自然な反応だ」とか,「そのような集団を隔離,排除することも,支配することも当然だ」という考え方が主流だったのだ。差別は当初,人格上の病理とみなされた。ナチスのユダヤ人迫害を経て,差別をするのは権威主義的パーソナリティを持つ人によるある種の人格障害の発露なのではないかと考えられたのである。しかし次第に,差別は特定の人にだけ生じる特別なものではなく,誰にでも生じうる適応の一種,あるいは社会的アイデンティティによるもの,あるいはステレオタイプによって生じるものとみなされるようになっていく。また,他者を攻撃し,傷つけるためのものという見方から,システム正当化や公正世界信念のように,自己の心の安定のために生じるものとみなされるように変化していく。こうした差別研究の変遷について知るとともに,エリオットの青い目茶色い目の実験について学ぶことを通じ,被差別者にとっての差別とはどのようなものかについて理解を深める。最後に,個人の偏見によらない差別である統計的差別(合理的差別)について学ぶ。
キーワード
① 錯誤相関 ② ハロー効果 ③ ステレオタイプ内容モデル ④ 古典的偏見と現代的偏見 ⑤ 多元的無知
コマの展開方法
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復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
9
自己(1)
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 自己概念 ② 自己評価 ③ 透明性の錯覚とスポットライト効果
細目レベル
① 自己とは,「「自分によって経験または意識される自分自身」のことを指す用語である。社会心理学分野だけではなく,精神分析学分野でも扱われる。心理学において,自己概念はいくつかの観点から分類されている。それぞれの分類について学び,それぞれの分類がどのような観点あるいは機能によるものなのかについて理解する。また,自己概念を獲得するプロセスについても,いくつかの理論がある。クーリーの鏡映的自己では,他人が自分をどのように捉えているかを認識することを通じて,自分自身を理解するとされる。フェスティンガーの社会的比較理論では,人間は他者との比較を通じて,能動的に自己について評価しようとする欲求を持っているとされる。ベムの自己知覚理論では,自分自身の行動を客観的に観察することを通じて,自分の内面を推測するとされる。
② 人がどのように自分を評価しているのかについて知る。まず,自尊心あるいは自尊感情について学ぶ。自己に対して一般化された肯定的な態度のことを指す。自尊心は,「自尊感情」つまり感情として扱われることもある。なお,心理学分野ではあまり「自己肯定感」という用語は用いられない。自尊心には,特性自尊心と状態自尊心,顕在的自尊心と潜在的自尊心,安定した自尊心と不安定な自尊心などがある。それぞれの定義と概念について理解する。また,人はこの自尊心,あるいは自己評価を高く保とうとする動機(自己高揚動機)を持つ。自己奉仕バイアスやセルフハンディキャッピングはその一例である。なぜ自己評価を高く保つ必要があるのだろうか?ソシオメーター理論によれば,自尊心や自己評価は,自分が周囲の他者に受け入れられている状態を示すシグナルとして捉えられる。つまり,自尊心が低下しているならば,周りからの評価が下がっているのである。したがって行動を変え,自尊心の高い状態にしていく必要があるというロジックである。
③ 私たちは,自己の心の中の情報と,他者から見えている自己の心のズレに気づくことが難しい。他者とコミュニケーションを取るとき,自分の意図が他者に知られるあるいは伝わる見込みを過大に見積もってしまったり,実際よりも多くの人が自分に注意を向けているだろうと考えてしまう。前者を透明性の錯覚と呼び,後者をスポットライト効果と呼ぶ。透明性の錯覚は,ギロビッチ(1998)によって指摘された。ギロビッチは,参加者に複数の人の前でうそをつくように求め,その後何人にうそが見透かされたと思うかたずねた。すると,参加者はうそを見破った人数を実際の人数よりも過大評価していたのである。つまり,他者は実際よりも自分の心を見透かしていると誤って信じていることになる。スポットライト効果も,やはりギロビッチら(2000)によって指摘された効果である。
キーワード
① 鏡映的自己 ② 社会的比較理論 ③ 自己高揚動機 ④ ソシオメーター理論 ⑤ 透明性の錯覚
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10
自己(2)
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 社会的自己を演じる(スタンフォード監獄実験) ② 自己開示と自己呈示 ③ 自己制御
細目レベル
① 社会的役割とは,ある環境や集団の中である人に期待される行動のパターンのことである。ジンバルドーの行ったスタンフォード監獄実験について知ることで,人間がいかに社会から期待された役割を果たそうとするかについて理解を深める。70年代初頭,アメリカでは,刑務所での虐待が問題になっていた。看守になるのは冷酷な人間ばかりだからだ,と考えられていたのである。これに対し,スタンフォード大学のジンバルドーは,普通の人でも,特殊な肩書きや地位を与えられると,その役割に合わせて行動してしまうことを証明しようとし,スタンフォード大学の建物の地下に実際の監獄に似せた施設を作り,監獄生活を再現しようとしたのである。この研究は,ミルグラムの服従実験の流れの中に位置づけられる。当時はまだ残虐や弾圧は悪い人によって行われるという特性仮説が主流だったが,ジンバルドーは(社会心理学者らしく,状況が影響する点を強硬に主張した。人間の行動は社会的な強制力と環境によって生じているとしたのである。この研究は,2004年にアメリカ兵がイラク兵へ行なった拷問の弁護にも使われ,非常に社会的インパクトが大きかったし,今でもミルグラム自身が関連する裁判に証人として出廷するなど,影響は続いている。しかし,スタンフォード監獄実験にはさまざまな疑義や批判がある。監獄実験の歴史的価値と心理学研究としての価値の切り分けを行いつつ,この研究を振り返る。
② 自己開示とは,他者に対して、言語を介して伝達される自分自身に関する情報及びその伝達行為のことを指す。より狭義には,「聞き手に対して何ら意図をもたず,誠実に自分自身に関する情報を伝えること,およびその内容」と定義される。自己開示には広さ(量)と深さ(表面的な自己開示からより重要な自己開示まで)がある。自己開示には返報性があり,一方が自己の内面を打ち明けてみせると,相手もその自己開示の深さのレベルに応じた自己開示をその場で返すという関係があるとされている。したがって,親密になるにつれ,互いに交換される自己開示の広さと深さが増していく。この過程を理論化したのが,社会的浸透理論である。一方,自己呈示とは,他者から見られる自分を意識しながら,自分にとって望ましい印象を他者に与えようとすることであり,自己開示とは異なる。自己呈示は印象操作とも呼ばれ,他人に対する自己の印象を意図的に操作しようとする行為である。自己開示と自己呈示の違いについて学ぶ。
③ 自分自身のコントロールはどのように行われているのかについて知る。自己制御は,人間が目標を達成するために自らの判断,感情,行動などを調整することと定義される。自己制御の得意な人は,自己制御が必要な状況を避けるのも得意である。たとえば勉強中にはゲームを隠すなどである。これにより,意識的なコントロールを減らしているとも言える。つまり,自己制御という概念には,我慢,努力だけではなく,環境調整も含んでいる。これをよく示しているのが,古典的なマシュマロ実験である。4歳の子どもの前にマシュマロを1つ置いて,一人で残し,研究者が戻るまで待つことができたらマシュマロをもう一つ与えるというシンプルな実験であるが,自己制御に成功するにはマシュマロを見ない方が良いとか,我慢できた子供は40年後に成功している可能性が高いといった,議論を呼ぶ結果を提出している。こうした研究について学ぶとともに,自己制御における発達的背景,自己制御資源,自己制御のリバウンド効果などについても学ぶ。
キーワード
① ジンバルドーのスタンフォード監獄実験 ② 社会的浸透理論 ③ ジョハリの窓 ④ マシュマロ実験 ⑤ シロクマ実験
コマの展開方法
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復習・予習課題
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11
態度
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 態度と行動の不一致 ② 態度の測定法 ③ 行動が態度を変えることもある
細目レベル
① 態度とは,対象にかんする,好みや評価的な判断に基づいた心理的な傾向のことをいう。心理学黎明期には,態度と行動は一致するものと考えられてきた。たとえば「私はXX党支持です」と述べる人は本当にXX党支持だとみなされたし,「人の話を聞くときによそ見するなんて!」という言葉から分かるように,よそ見をしているという行動が興味のなさという態度をそのまま反映しているとみなされていたのである。しかし,1934年のラピエールによるホスピタリティ研究は,態度は行動を予測しないことがあることを劇的に示した。中国人カップルと旅行をしていたラピエールは,彼らが交渉するとほとんどすべての宿泊施設でOKが出ること,しかし,後からその宿泊施設に「中国人をお客様として施設に受け入れるか」と質問の手紙を送ると,なんと90%以上が受け入れないと回答したのである。つまり,質問紙への回答が現実の行動を必ずしも予測しないということが劇的に示されたのだった。
② 古典的な意味での「態度」の測定には質問紙法が用いられてきた。コマ細目①で見たように,態度を測定する上で,質問紙法には問題がある。なぜホテルの従業員は正しい答えを述べなかったのだろうか?自己申告の質問紙では,回答者は他の人から好意的に見られる方法で質問に答えようとする。当時は中国人へのネガティブな社会的評価が強く,中国人を施設に泊めるとは回答しにくい状況だったのである。たとえば,「あなたは黒人に対してネガティブな偏見がありますか?」とか,「あなたは避妊薬を使っていますか?」といった質問に正直な答えが返ってくるだろうか?こうした問いには,「社会的に望ましい」答えが返ってくるのである。この社会的望ましさを取り除き,本当の態度を測定するために,様々な方法が考案されている。たとえば親友テクニック(あるデリケートな行動をしたことのある親友が何人いるかを尋ねる),IAT(潜在連合テスト),評価的プライミング,逆相関法などについて紹介する。
③ 態度が行動を決めると考えられていた時代に,行動が態度を変えるという発想で研究を行ったフェスティンガーについて知り,彼の提唱した認知的不協和理論について理解する。認知的不協和理論とは,人間は,認知的不協和を解消することを動機づけられているとする理論である。認知的不協和とは,既に持っている認知要素と,新しく得た認知要素の情報が矛盾する状態のことを指す。認知要素には,認知要素:信念・意見・態度・行動などの知識などが含まれる。認知的不協和は,不快感やストレス,居心地の悪さ,罪悪感などを引き起こすため,人はこれを解消しようとするのである。たとえば喫煙者がタバコは身体に悪いという情報を知ったとする。喫煙者であることと,タバコが身体に悪いという情報は不協和をもたらすので,解消せねばならない。ある人はタバコをやめて不協和を解消し,あるい人はタバコをやめる方がストレスで死んでしまうなどと言って情報の価値を毀損することで不協和を解消し,タバコを吸い続けるだろう。ここでは,特にフェスティンガーが認知的不協和の存在を示すために行なった独創的な研究について知る。また,認知的不協和理論と同様,認知内容の斉合性を重視するバランス理論についても知る。こうした理論からは,態度が行動に影響するという一方的な関係だけではなく,行動が態度に影響しうることを示している点が重要である。
キーワード
① 合理的行為理論(計画的行動理論) ② 社会的望ましさ ③ 逆相関法 ④ フェスティンガーの認知的不協和 ⑤ ハイダーのバランス理論
コマの展開方法
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教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
12
説得
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 説得にかんする理論 ② 説得における個人差 ③ 説得の罠にかからないために
細目レベル
① なんらかの働きかけによって,他人の態度を変容させることを説得と呼ぶ。また,説得を目的とした働きかけを説得コミュニケーションと呼ぶ。こうした説得がどのように態度を変容するかについて,精緻化見込みモデルを中心に理解する。まず,説得に関する理論として,メッセージ学習理論が挙げられる。学習理論に依拠したこの理論では,どのような説得に効果があるのか,単純な加算的モデルで考えていた。しかし予測が成立しないことから,説得の客観的なあり方だけではなく,その説得メッセージが相手から「どう理解されるか」が重要であるとする認知的モデルが用いられるようになる。その代表格が精緻化見込みモデルである。精緻化見込みモデルとは,人が説得コミュニケーションを受けた場合に,「どれほどそのことについて考える(=精緻化する)見込みがあるか」によって説得のされるルートが異なると考えるモデルである。一方,これに類似したヒューリスティック・システマティック・モデルでは,二重過程モデルを前提に,システマティック処理とヒューリスティック処理が同時に進行していると考える。このような説得の理論について,共通点と相違点を理解しておく。
② 態度を変容させる,つまり説得において重要なのは,説得メッセージそのものだけではない。たとえば,メッセージ主の要因も影響する。信憑性の高い人は相手の態度を変容させやすい(そのため儲け話をする人は良い腕時計をつける)し,魅力の高い人,つまり外見の良い人や,なんらかのパワーのある人(専門性もここに含まれる)による説得も成功しやすい。ただしこうした要因は,メッセージを精緻化する動機や能力,知能が高い人にはあまり効果を持たない点に注意が必要である。メッセージの中身で言えば,一面性メッセージだけよりも二面生メッセージの方が説得の効果が大きいなどが知られている。また,説得の受け手の要因もある。自尊感情や攻撃性が低い人ほど被説得性が高いとされている。
③ 説得に抵抗が生じるのはどのような場合か,また,ビジネス等でよく用いられる説得テクニックについて知り,自分が望まない説得に対して適切に抵抗できるよう知識を持っておく。言い換えれば,自分がどのような罠にハマりやすいかを理解しておく。説得に抵抗力を持つための方法の一つは,何かにコミットしておく(宣誓しておく,署名しておく)などである。その行動によって,のちの自分の行動や態度を縛ることになる。また,説得に慣れておくことで抵抗力がつく現象のことを摂取効果と呼ぶ。説得されるほど説得内容とは反対の行動が活性化されるというブーメラン効果は,相手の説得に対して生じる心理的リアクタンスが原因とされている。一方,信憑性が低い情報源から得た情報でも,時間の経過とともに情報源の信憑性を忘却してしまい,情報の内容だけが記憶に残ってしまう(スリーパー効果)。また,フットインザドアテクニック,ドアインザフェイステクニック,ローボールテクニックなどは,知っていても引っ掛かる可能性が非常に高い。知識を身につけ,断りやすい事例で断る訓練をするなどを通じ,いざという時に抵抗できるようになるのが重要であろう。
キーワード
① 精緻化見込みモデル ② 心理的リアクタンス(ブーメラン効果) ③ スリーパー効果 ④ フットインザドアテクニックとドアインザフェイステクニック ⑤ ローボールテクニック
コマの展開方法
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小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
13
対人関係(2) 攻撃行動
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 攻撃行動 ② 攻撃行動の性差と個人差 ③ なぜ攻撃する?
細目レベル
① 他人との関係の中で攻撃行動が見られることがある。この攻撃行動の種類にはどのようなものがあり,またどのような要因が攻撃行動を促進するのかを知ることを通じ,逆に攻撃行動を抑制する手段についても理解を深める。攻撃行動は,身体的か言語的か,そのいずれでもないものに分けられる。また,直接的な攻撃なのか間接的な攻撃なのかにも分けられる。さらに反応的攻撃か,能動的攻撃(道具敵攻撃とも)かにも分けられる。つまり,攻撃とは直接身体的に相手に害を加えるものだけを指すのではない。もっと広い概念なのである。そして,このように攻撃性を細かく分けると,それぞれの攻撃の起こる背景の違いや,攻撃行動を抑制する方法,将来の見通しなどが変わってくることを理解する。
② 攻撃行動は発達の初期から見られる。幼児期には他人のおもちゃを隠すという計画的な攻撃が生じたり,3歳時点で目的のものを手に入れるための身体的攻撃を行ったり,よちよち歩きの幼児の頃には他人との相互作用の25%がなんらかの形の身体的攻撃であるとも言われている。こうした身体的攻撃行動は,成長に伴い抑制されるようになる。就学前後頃に身体的攻撃が減少するが,代わりに言語的および間接的攻撃が増加する。ただし一部の人では青年期後期から成人期初期に再び攻撃性が高まるという傾向がある。生涯を通じて,男性の方が女性よりも攻撃性が高いという男女差がある。攻撃の個人差は幼少期から成人後まで安定しており,特に男性で安定性が高い。攻撃性の高いパーソナリティとしてはタイプA性格特性が知られている。また,敵対的帰属バイアスを持つ人,表情認知で偏りを持つ人は攻撃を行いやすい。
③ 人はなぜ攻撃するのだろうか?対人的に不快感だけではなく,非社会的な不快感,たとえば騒音,大気汚染,湿度,人口密度,気温の高さなどが攻撃行動を引き出すことが知られている。また,アルコールの摂取,匿名性の高い状況,(少なくともアメリカでは)目の前に銃があることなども攻撃性を引き起こす。しかしこうした状況が揃ったとして,やはり「なぜ」その個人が攻撃するのかは不明である。古くはフロイトやローレンツによって「人間の攻撃性は本能である」とされたが,現代ではこのような説明を受け入れている研究者はほとんどいない。欲求不満を解消するためのものだとされた時代もあったが,これも本能説と同様,現代では廃れている。バンヂューらによる社会的学習理論,それに伴うメディア,ゲームの影響などは長く検討されてきているが,実はいまだに肯定派と否定派で議論が続いている。進化的な観点から,配偶相手獲得のための同性間競争が原因だという説も出され,この説に沿うように,未婚の20代男性が最も殺人率が高いというデータも提出されている。また,文化の影響も指摘されている。攻撃を合理化できれば良心の呵責なく攻撃できるということで,非人間化が行われることもある。こうした原因に関する議論にはまだ明確な答えが出ているとは言い難いが,一つわかっているのは,歴史的に見て暴力はどんどん減ってきているということである。
キーワード
① 直接攻撃と間接攻撃 ② 反応的攻撃と能動的攻撃 ③ 敵対的帰属バイアス ④ バンデューラの社会的学習理論 ⑤ 非人間化
コマの展開方法
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
14
対人関係(2) 援助行動と対人魅力
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 援助行動と援助要請 ② 身体的魅力 ③ 身体的要因以外で好感度を高める要因
細目レベル
① 困った人を助けるのはいつどのような場合かを学ぶ。援助行動とは,困っている人を助けることを指す。類似の概念には,向社会的行動(社会的に望ましい行動一般),利他行動(他人の利益になる行動)がある。向社会的行動と利他行動はほとんど一致するが,たとえば友だちの万引きを手伝うような行動は,利他行動ではあるが向社会的行動ではない。援助行動は,利他行動の中に含まれ,「相手が困っている」場合の利他行動と定義することもできる。援助行動に関する研究は,ジェノベーゼ殺人事件がきっかけとなって始まった。援助行動とする部分の大きいソーシャルサポートは,身近な対人関係における日常的な支援,アドバイス,励ましなどを指す。援助行動研究が主に困っている見知らぬ他者への行動を扱うのに対し,ソーシャルサポート研究は知り合い同士のサポートのやり取りを扱うことが多いようである。このコマ細目の後半では,困ったときに援助を求められるかどうかについても同様に理解を深める。
② どのような顔が魅力的に見えるかについては,認知心理学,感情心理学,進化心理学の分野で非常に多くの研究が行われてきている。顔の魅力度を上げる大きな要因としては,顔のパーツが左右対称であること,(魅力度を判定する人が過去に見てきたすべての顔の)平均的な顔に近いこと,やや女性らしい顔であることなどが挙げられる。ここまでは,その社会に住む人の多く(そしておそらくは世界中の人の多く)が魅力的であると感じる特徴を示してきたが,たとえば女性では自分の父親に似た顔の男性と結婚していることが多い,自分が生まれた時の親の年齢が高いと年齢の高い異性が魅力的に見える,など,個別の経験に伴う魅力度評定の違いも知られている。なお,体の特徴で言えば,女性ではウェストに対するヒップの比率(ウェストヒップ比:WHR),男性ではウェストに対する肩の比率が重要であるとされている。
③ 対人魅力は,身体的魅力によってのみ決まるのではない。むしろ,相手のパーソナリティを好みだと感じた場合に相手の身体的魅力度が高く見えてくるケースも知られている。他者への魅力度が高まる要因の一つには,物理的なもの(距離が近いこと,何度も出会うこと)が指摘されている。また,外見,あるいは考え方が自分と類似していることが相手の魅力度を増大させることも知られている。たとえばカップルは顔が似ていることが多く,あるいは顔から推定されるパーソナリティ特性も似ていることが多い。それどころか,ペットと飼い主も顔が似ているというデータもある。また,相手が自分に興味を持っている場合にも相手の魅力度は高くなる。こうした,実際の身体の物理的特徴以外で,対人魅力に影響する要因について学ぶ。
キーワード
① ソーシャルサポート ② 知覚されたサポート ③ 援助要請(援助希求) ④ 単純接触効果 ⑤ 類似性効果
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復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
15
集団での意思決定
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 集団 ② 集団浅慮 ③ 集合知
細目レベル
① 集団とは,複数の人が集まった集合体のことを指す。集団内のメンバー同士には,相互依存的な関係があり,相互作用がある。ブラウン(1988)は,次のように集団を定義している。2人以上の人々が自分たちを集団のメンバーであると定義し,しかもその集団の存在が少なくとも1人の他者から認識されているとき,そこには集団が存在する,と。しかし,集団と一言でいっても,集団にはさまざまなあり方が存在し,たとえば集団凝集性の高さ,集団実体性の高さという観点から集団の特性を考えることもできるし,フォーマルグループとインフォーマルグループ,あるいは集団と組織集団のように集団を区別することもできる。こうした集団の眺め方について学ぶとともに,これまでの授業で暗に扱ってきた集団で生じる現象について復習する。
② 集団意思決定とは,複数の人々が合議により共通の決定を下すことを指す。たとえば古代ギリシャの直接民主制では,政治参加資格のある自由市民(一定資産を持つ成人男性のみ)が直接議論して政策を決定し,役職は抽選で選出していた。より狭義の定義では,集団内のコミュニケーションを通じて行われるもののみを指し,議論をしない単なる投票による意思決定は含まない。集団による意思決定は,多くの場合信じられているのとは異なり,集団の意見の平均に近づくとも限らなければ,より良い意思決定につながるとも限らない。具体的な実験例や現実の事例を見ながら,集団意思決定がどのように失敗しがちかについて学ぶ。
③ 一方で,集団による判断が,個体の総計以上にうまくいく場合については,集合知と呼ばれる。研究者集団の判断が,個人の研究者の個別の判断よりも,総体としては正しい場合などを想像してもらえば良いだろう。集合知についておそらく最も有名な事例は,チャールズ・ダーウィンのいとこであるフランシス・ゴルトンの記録している雄牛の体重当てコンテストの事例であろう。見本市で開催されていた雄牛の重量当てコンテストを見かけ,「平均的な人は無能である」ことを示そうと考えたゴルトンは,コンテスト終了後に主催者から投票用紙を譲り受け,コンテスト参加者の予想の平均値を計算した。平均的な有権者の能力は信頼に値しないのだから,平均値はまったく的外れなものになるはずだった。ところが,コンテスト参加者の集団的な予想は非常に正確だったのである。ここで注意したいのは,集団で「討議」した場合には必ずしも良い答えに辿り着くとは限らないのに,個人個人の独立の推測を単純に平均すれば真の答えに近づく(統計で学んだ大数の法則が働いている)ということである。
キーワード
① 集団凝集性 ② フォーマルグループとインフォーマルグループ ③ 集団極性化 ④ 集団浅慮(集団思考) ⑤ 集合知あるいは群衆の知恵
コマの展開方法
社会人講師
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コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
16
規範とリーダーシップ
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① シェリフの光点自動運動研究 ② 相対的剥奪 ③ チームワークとリーダーシップ
細目レベル
① 人間は規範を持って生活している。規範とは法制度や社会制度から独立したかたちで要求・許可・禁止されるような行為を定めるルールのことである。こうした規範がどのように作られるのかについて,シェリフの光点自動運動研究を中心に学ぶ。光点自動運動効果とは,暗闇では,動いていない光点が自動的に動くように見える錯覚のことである。この現象を用い,シェリフは,周囲の人がどの程度光点が動いたと答えたかという規範が,個人の判断に影響することを示した。シェリフは,こうした規範は「社会的産物」であり,一度作り上げられると,それが作られたときの条件を超えて意味と影響を持ち続けるとしている。ジェイコブスとキャンベル(1961)は,規範の維持が何世代続くかを検討し,サクラによって生じさせた極端な規範は次第に「自然な」レベルに戻るが,文化の名残はサクラから4-5世代後まで持続することを示している。
② 自分の意識や態度を決定する際に基準とする集団のことを準拠集団という。光点自動運動研究で言えば,周囲で判断をしている人たちのことを指す。「みんな持ってるから買って」というときの「みんな」は,人類すべてを意味するのではなく,特定の準拠集団を指していると考えれば納得できるだろう。なお,光点自動運動研究ですでに示されている通り,準拠する集団は所属集団とは限らない。ハーバート・H・ハイマンは,地位の評価は,客観的事実ではなく,友人知人との主観的比較に左右されることを指摘している。つまり,準拠集団と比較した場合の自分の地位が重要ということになる。つまり,不満は準拠集団との比較によって相対的に生じ,絶対的な基準によって生じるのではないということになる。実際の事例をもとにこの点について理解を深める。
③ 集団での生産性を高めるには,分業が必要である。しかし,集団で分業を行うことにはメリットもあるが,デメリットもある。ラタネによって指摘された社会的手抜き,またスタイナーによって指摘されたプロセス・ロスなどである。プロセスロストは,分業をすると,コミュニケーションなどによる余分な労力が必要となるため,実際の作業量が潜在的に可能だった作業量を下回ってしまう状態を指す。このとき,水平方向の分業の生産性を高めるチームワーク,垂直方向の分業の生産性を高めるリーダーシップが必要となる。チームワークとリーダーシップについて学ぶ。リーダーの研究においては,特性アプローチ,行動アプローチ,コンティンジェンシーアプローチ,認知論的アプローチなど,さまざまな方向からの検討が行われている。これらのアプローチについて簡単に紹介する。
キーワード
① 規範 ② 準拠集団 ③ 相対的剥奪 ④ 社会的勢力 ⑤ 三隅のPM理論
コマの展開方法
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教科書
コマ用オリジナル配布資料
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その他
該当なし
小テスト
ヨリソル上で実施
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
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集団間葛藤
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① シェリフの泥棒洞窟実験 ② 内集団と外集団 ③ 内集団に対する評価
細目レベル
① 1949年から1954年にかけて,シェリフら研究者が,アメリカ各地で行われたサマーキャンプに参加した男子生徒を対象に,3つのフィールド実験を行った。3つ目の実験が「泥棒洞窟実験」として特に有名である。研究全体を指して,サマーキャンプ実験と呼ばれることも多い。いずれにせよ,社会心理学領域で行われたフィールド研究の中で,最も有名,かつ影響力が大きい研究である。研究が行われた当時,集団間の残虐な行動(ナチスなど)は個人内過程として研究されていた。これに不満を持ったシェリフが,集団間の行動について,個人の心だけを分析しても理解することはできないと考え,この実験を行ったのである。シェリフのサマーキャンプ実験について学ぶことを通じて,集団間葛藤とはなにか,どのようなときに葛藤が生じるのか,また,どうすれば葛藤が和らぐのかについて知る。
② 内集団(ingroup)とは,自分の所属しているグループのことであり,外集団(outgroup)とは,内集団以外のグループのことを指す。内集団に対してと外集団に対してでは,行動や態度,向ける感情などが異なることはシェリフのサマーキャンプ実験で十分に理解できたことだろう。人は内集団には協調的にふるまい,外集団には差別的にふるまうのである。例えば,内集団への好みは,言語面でも見られる。自分と同じ言語を操る相手に対しては選好が生じるのは,生後間も無くの赤ちゃんでも見られている内集団びいきである。また,我々は小さな頃から「内集団同士は助け合うものだ」という規範をも持っている。内集団びいきについて学ぶ。
③ 人間は,内集団に対して協力的にふるまうだけではなく,内集団に対しては評価が甘くなったり,内集団メンバーを外集団メンバーより「人間」であると扱ったりする。そうした事例,研究について知り,内集団びいきのもたらす悪い結果について理解する。一方,内集団メンバーであればいつもポジティブに評価されるかというとそうではない。内集団メンバーのほうが行動を厳しく責められる場合もある。その一つが被害者非難である。通り魔的な暴力の被害者への非難は,その被害者が外集団メンバーの場合よりも場合よりも内集団メンバーのときに生じやすい。また,もう一つは黒い羊効果である。内集団の好ましくないメンバーは,同程度に好ましくない外集団メンバーよりも低く評価されるという現象を指す。つまり,内集団びいきは外集団にとっては好ましくなく,また,内集団メンバーにとっても常に肯定的なものとは限らないのである。
キーワード
① シェリフの泥棒洞窟実験(サマーキャンプ実験) ② 内集団と外集団 ③ 内集団びいき(内集団バイアス) ④ 外集団の非人間化 ⑤ 黒い羊効果
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
ヨリソル上で実施
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
18
内集団と外集団
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① タジフェルの最小条件集団 ② 自己概念における集団 ③ 集団間接触
細目レベル
① タジフェルの最小条件集団実験について学ぶ。タジフェルは,最低限どのような条件があれば人は他人を内集団として扱うのかについて検討した。その結果,くだらない基準で分けられた場合でも,内集団をひいきし,外集団に冷たくあたる傾向があることが示されている。また,その後の研究で,何の基準もなくランダムにグループを分けた場合には,内集団バイアスが生じないことが示されていることから,たとえくだらなくても,なにか基準があることが内集団バイアスにとって重要らしいことがわかる。タジフェルはこの結果を社会的アイデンティティ理論によって説明している。一方,山岸は集団協力ヒューリスティックから説明している。それぞれの理論について把握し,どのような違いがあるかを理解する。
② ターナーの自己カテゴリ化理論について学ぶ。あなたは,来年入学してきた1年生に,なんと自己紹介するだろうか。では,バイト先に入ってきた新人に,なんと自己紹介するだろうか。自己紹介のときに用いた所属集団の情報は,両者で異なっているのではないだろうか。自己概念は複雑で,特定の集団への所属意識だけが常に活性化しているわけではない。新入生に対しては「学年」アイデンティティが活性化する。つまり「大学生です!」と自己紹介することはない。一方,バイトの新人に対しては「大学生」「年齢」「勤続年数」アイデンティが活性化する。このとき,「総合心理学科の3年生です!」とは言わないのである。このように,自己概念において所属集団,つまり「内集団」は常に一定ではなく,変動しうるものである。
③ 前回の授業も含め,集団間葛藤の生じる背景について見てきた。非常にくだらない条件で分けられても内集団であると感じ,内集団に対してはひいき行動をしたり,ポジティブに評価したりする。非人間化した外集団との関係は悪化する。こうした場合に,どのような方法で葛藤を減らすことができるのだろうか。一つ提案されているのが,集団間で接触の機会を持つということである。この集団間接触は,偏見を減らすという議論がある一方で,かえって偏見を増幅させるという報告もある。こうした議論について学ぶ。また,集団間接触をオンラインで行う試みについても知り,すでに存在している集団間の偏見や葛藤をどのように低減していけるかについて学ぶ。
キーワード
① 最小条件集団 ② 社会的アイデンティティ理論 ③ 集団協力ヒューリスティック ④ 内集団の変動 ⑤ 集団間接触
コマの展開方法
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教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
ヨリソル上で実施
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
19
進化から協力行動を考える1
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① なぜ協力するのか? ② 二者間での助け合い ③ 互恵的利他主義
細目レベル
① 「種の保存のため」という言葉を聞いたことがあるだろうか。一見「種の保存のために生物が特定の(主に自己犠牲的な)行動をする」という説明は合理的なように思われるかもしれないが,もしあなたがなにかの生物の行動を説明しようとして「種の保存」という用語を口にした瞬間に,「私は生物学について何も知りません」と告白したことになる。もし生物学者に聞かれていたら,その生物学者は苦虫を噛み潰したような顔をしていることだろう。なぜ種の保存という考え方が誤りなのか,言い換えれば,自己犠牲的な行動を種の保存という観点から説明する際の問題点について知る。我々は,「なぜ協力しない人がいるのか?」ではなく,「なぜ多くの人は協力するのか?」を問わねばらならないのである。
② 二者間での助け合いを定式化したものが,囚人のジレンマである。この名前は,共犯関係にある囚人2人の関係から来ている。次のような状況を考えてみよう。凶悪な犯罪の容疑者(=囚人)AとBは,警察に逮捕されたが,警察はまだ十分な証拠を持っていない。この事件を立証するには容疑者による自白が必要である。そこで,取り調べにあたった警察官は,囚人たちに次のような取引を持ちかける。「早く自白した方が良い。二人とも黙秘するなら証拠不十分で二人とも微罪で懲役一年だが,もし自白すれば,司法取引としてお前は不起訴にしてやってもいい。自白しなかった方は無期懲役だ。まあ二人とも自白したなら両方懲役十年だな。」こうした場合,囚人は自白するのが得だろうか?自白しない方が得だろうか?実は,合理的な選択はどんな場合でも自白することである。しかし,お互いが自白すれば,お互い黙秘したときの懲役一年ずつよりずっと重く,二人とも懲役十年になってしまう。この状態を囚人のジレンマと呼ぶのである。
③ 囚人のジレンマ状況を解決するために,互恵的利他主義があれば良いということが示されている。互恵的利他主義(特に,二者間の互恵的利他主義を直接互恵と呼ぶ)とは,今日はAがBを助け,明日はBがAを助けるというものである。助け合うほうが,全体の利益としては大きい。しかし,裏切りの魅力がある。もしBが助け返してくれなかったら,Aはコストだけを負い,Bは利益だけを得るのだが,以下の3条件が満たされる場合には,互恵的利他行動が進化できるとされている。1. 与え手のコストより,受け手の利益が大きいこと。2. 同一の個体間でくり返し取引が行われること。3. 利益を得ながら代償を払わない個体に対して「報復」が行われるが,一度報復をしたら相手を許すこと。言い換えれば,この条件が満たされない場合,たとえば関係が終わることが予測される場合などには,互恵的利他主義は成立しなくなる。動物の事例,人間の事例などを通じて互恵的利他主義について理解する。
キーワード
① 「種の保存」の誤り ② 囚人のジレンマ ③ 互恵的利他主義 ④ 直接互恵 ⑤ TFT戦略(Tit-For-Tat戦略)
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
ヨリソル上で実施
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
20
進化から協力行動を考える2
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 社会的ジレンマ ② 子どもの協力行動 ③ チンパンジーの協力行動
細目レベル
① 互恵的利他主義(直接互恵性)は,個人間ではうまくいくことが示されている。一方,N人囚人のジレンマと呼ばれる社会的ジレンマ状況では直接互恵的なやり方では協力関係の維持が行えない。社会的ジレンマでは,それぞれの人は協力か裏切りかの選択をすることができる状況で,協力によって得られた利益は,グループ内の全員に平等に分配されるというルールがある。このような状況では,それぞれの人にとっては協力するより裏切った方が得であるが,そうして全員が自己利益を追求すると,協力し合って得られたはずの利益を失ってしまう。公共放送の放送料や,漁獲制限,迷惑駐車などが実際の事例として挙げられる。このような状況はどのように解決されるとされているのか,実はまだ明確な答えは出ていないのだが,とはいえ現在までに示されている解決法について学ぶ。
② 我々が進化的に他人と協力する傾向を身につけてきたとするならば,子どもではどの程度の協力行動が見られるのだろうか。教育の行われる前(例えば乳幼児期)に多くの子どもで見られる協力行動は,進化的に獲得してきたものと見ることもできるのではないだろうか。こうした観点から,子どもの協力行動について学ぶ。まずは子どもが善悪を判断できるか(良いエージェントと悪いエージェントに異なる対応を行うか)について調べた研究について知る。次に,協力行動を何歳から行うのかについての研究を紹介する。身体を自己の意思に従って動かせるようになる月齢で,すでに協力行動を行うことが示されている。また,相手の指示に端に従うのではなく,自分で考えて協力を行っていることも示されている。
③ 我々が進化的に他人と協力する傾向を身につけてきたとすれば,それはどの時点でなのだろうか。もっとも近縁の種であるチンパンジーと枝分かれするより前のことなのか,あるいは枝分かれした後のことなのか。チンパンジーにおける協力行動を知ることにより,この問いに(ある程度)答えられることだろう。食物分配について比較すれば,人は狩猟で得た肉をグループ内で分配するが,チンパンジーは肉を分配することはない。ただし,肉を獲ってきた個体がいると,その周りに興奮の渦ができ,ギャーギャーと大騒ぎの中を肉が引きちぎられるようにして渡っていく。このような状態を“容認された窃盗”と呼ぶ。そもそも,チンパンジーは母子でさえ食物分配は最小限にしか行われない。ヒトがいかに寛容かがわかるだろう。また,コマ細目②で見たように,ヒトは子どもでさえ「要求されなくても」「相手の意を察して」協力するが,これはチンパンジーでは見られない。こうした違いを踏まえ,人間の協力行動について理解を深める。
キーワード
① 社会的ジレンマ ② 罰 ③ 評判 ④ 子どもの協力行動 ⑤ 容認された窃盗
コマの展開方法
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復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
21
ネットワーク
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① うわさ ② スモールワールド ③ インターネット
細目レベル
① うわさについての社会心理学的研究について知る。うわさとは,オルポートとポストマン(1947)の定義によれば,「正確さを証明することができる具体的なデータがないままに口から耳へと伝えられて,つぎつぎに人々の間に言いふらされ,信じられてゆくできごとに関する命題」であり,木下(1977)の定義によれば,「社会的に広がりを持った人間関係のネットワークの中をつぎつぎと流れていく,確実な知識を土台に持たないあいまいな情報」のことである。つまり,なんらかのネットワークを通じて伝わる情報のことを指している。うわさが広がるには,題材とされている事柄の重要性,および,その事柄の曖昧さという2つの条件を満たす必要がある。うわさに関連する心理学研究および実際の事例について学ぶ。
② ミルグラムのスモールワールド実験について学び,社会の繋がりについて理解する。スモールワールド実験とは,社会的ネットワークはどの程度広がっているのかを調べた実験である。社会的ネットワーク(social network)とは,個人間の関係のまとまりのことであり,人と人とを何らかの関係があるかどうかでリンクを結んで表現する。ミルグラムの関心は,何回リンクをたどれば特定の人にたどり着くかにあった。その結果,平均して6回(つまり6人)リンクを辿れば特定の人に届くという結果が明らかとなった。この結果はさまざまに再現され,おおむね6-7人経れば世界中の人に届くということが示されている。この結果を受け,また,数学者グループや俳優グループといったより小さな共同体では,より小さい数で他の人までたどり着くことから,数学者の共著関係によってポール・エルデシュとの距離を示す「エルデシュ数」や,俳優のケヴィン・ベーコンを起点に共演関係の距離を測る「ベーコン数」などが提案されている。
③ インターネットは人と人とのコミュニケーションをどのように変化させるのだろうか。インターネットの歴史を紐解くとともに,インターネット上での人のふるまいについて学ぶ。現在のインターネットは匿名利用も多いが,インターネットを通じたコミュニケーションは,当初は専門家を中心とする学術利用が主だったため,実名利用されていた。次第にコミュニケーションを楽しむ場へと変化する中で,ハンドルネームを用いた,あるいは匿名でのコミュニケーションへと変化してきたのである。インターネットには,2種類の匿名性がある。ビデオ通話を例外として,基本的にはコミュニケーション相手を見ることができない,つまり身体情報(体つき,容貌など)がないという視覚的匿名性である。もう一つは,個人を特定できる情報が少ないという識別性の欠如である。ただし,実際にはインターネット上の情報から個人を特定するのはそれほど難しくないため,識別性は低くはない。また,インターネットでのコミュニケーションは書き言葉が主流で,対面の話し言葉主流のコミュニケーションとは異なる。このような違いを踏まえ,インターネットとこころの関係について学ぶ。
キーワード
① うわさの歪み ② 豊川信用金庫事件 ③ 社会的ネットワーク ④ 6次の隔たり ⑤ 富めるものはさらに富む仮説
コマの展開方法
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復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
22
社会とのつながり
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 法律 ② 文化による違い ③ 文化による違いの生まれる理由
細目レベル
① 公正さがどのように認知されているのかを調べることは,法律の基礎となっている。アダムスの衡平理論によれば,人は個人の貢献度と報酬度のバランスを衡平性の判断に用い,これが衡平でない場合には,足りなければ怒りを,多すぎると罪悪感を覚えるとされている。したがって,法律によって,公正の回復を行うことで,被害者の報復行動を抑制し,人々が互いに信頼し合える環境を作ることができるわけである。こうした財の配分における正しさのことを,分配的公正と呼ぶ。これに対し,手続き的公正とは,配分プロセスや配分方法の正しさのことである(元々は裁判用語)。お金を貸した人が,相手の家からお金を黙って持っていっていいだろうか?法律的にはNOである。分配的には公正だが,手続き的には公正ではないためである。最後に,報復的公正という概念がある。他人のものを盗んだことが発覚したとき,それを返すだけでいいだろうか。衡平が回復されるだけでは満たされないのである。したがって,規範や法律に反する者に制裁を加えることで公正を回復することが必要となる。
② 文化が人間のこころにどのように影響するのかを知る。こころに影響するというとき,例えば「日本人は真面目だ」とか,「アメリカ人は陽気だ」とか,そういう文化差を思い浮かべることも多いだろう。しかしここで取り上げるのはそうした「パーソナリティにおける文化差」ではなく,むしろ知覚や認知,考え方や発想における文化差である。文化心理学では,相互協調的自己観と相互独立的自己観,あるいは場依存的認知処理と場独立的認知処理という観点から,知覚,認知,考え方,発想すべての領域における文化差を説明しようとしている。こうした文化差について学ぶ。具体的には,魚動画の記憶における文化差,変化盲の生じやすさ,感情認知における周辺人物の表情の効果,線と枠課題,動機づけなどを扱う。
③ 文化による差が生じるということは受け入れたとして,ではなぜそのような差が生まれるのだろうか。一人ひとりの認知処理が異なることが,教育方針やまちづくり,芸術作品などへ影響を与え,その結果,その文化に特有のこころが再生産されるという循環について学ぶ。例えば,親が子どもとともにおもちゃで遊ぶとき,アメリカの母親と日本の母親では子どもへの声かけが異なり,結果的に子どもの焦点の対象が異なる。あるいは,日本とアメリカでは街の作りやウェブサイトの構成が異なり,その結果日々の情報処理が異なる。絵画の描き方や写真の撮り方が異なる,などである。ある文化圏にいると,その文化特有のものの考え方やものの見方が身についていく。文化特有のものの考え方やものの見方を身につけた人が,また新しく文化を作り上げていく。つまり,文化がこころを作り,こころが文化を作ると考えられる。
キーワード
① 手続き的公正 ② 相互協調的自己観 ③ 相互独立的自己観 ④ 文化と心の相互構築 ⑤ ブーバキキ効果
コマの展開方法
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ヨリソル上で実施
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
23
家族とは
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 誰が家族なのか ② 家族システム論 ③ 家族療法
細目レベル
① このコマから,家族心理学の分野に入る。家族心理学とは,心理学の中でも新しい分野であり,1980年ごろに学問としてまとまり,発展してきた。発達心理学と臨床心理学を母体として成立したと言われている。つまり,なぜ社会心理学や集団心理学とセットにされているのか不思議な分野なのである(レヴィンの集団力学の理論が嚆矢となってはいるらしいが)。
家族は社会の最小単位とも呼ばれる。この「家族」とはどこまでをいうのかについて学ぶ。愛犬は家族に含まれるのか,亡くなった父親はいつまで家族たり得るのか。家族という生活単位にはどのような機能があるのかについて学ぶ。同時に,家族システムの歴史的変化,家族というあり方における文化差などについて理解することで,家族の形態が決して一様ではないことを学ぶ。
② 家族システム論とは,家族をメンバー同士の相互関係で成立している生きたシステム(生命体)だとみなす考え方である。これが家族心理学の核となる理論である。たとえば子どもになにか問題が生じた場合,子どもに問題があると考え,子どもに介入することが多いだろう。しかし家族システム論では,たまたま子どもで問題が表面化しただけであり,。問題の本源は個人ではなく家族というシステム全体にあるとみなす。まず家族のメンバー同士の関係性を検討し,家族システム全体を変更することで解決を図るのである。親から子への一方的な影響ではなく,きょうだいなども含めた双方向の影響,ときには親の育った家族(原家族)からの影響まで考える点に特徴がある。
③ 家族療法とは,家族システム論をベースに,家族内の誰かに生じた問題を,問題を抱えた当該家族メンバーへの介入ではなく,家族全体への介入によって改善しようとする療法である。家族療法にはいくつかの学派(コミュニケーション学派,構造学派,ミラノ学派,多世代派など)があり,また,複数の家族メンバーをうまく調整できる力量が必要となるため,それほどポピュラーな療法ではない。基本的には精神科医の立会のもと行われる傾向が強い。それぞれの学派は,家族システムの中のどの点を改善しようとするかに違いがある。例えばコミュニケーション学派はコミュニケーションの機能不全に介入しようとする一方で,構造学派は家族構造を正常化しようとする,などである。このような学派の違いについて学び,家族への介入という発想について理解する。
キーワード
① 家族同一性(ファミリーアイデンティティ) ② 円環的因果律 ③ IP(Identified Patient) ④ ダブルバインド ⑤ ジェノグラム
コマの展開方法
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コマ用オリジナル配布資料
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該当なし
小テスト
ヨリソル上で実施
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
24
家族の成立
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 家族の発達段階1 ② 家族の発達段階2 ③ 家族の進化的起源
細目レベル
① 家族のあり方は一定ではない。時間が経つにつれて変化するのが通常である。こうした家族の変化,発達について学ぶ。家族にも発達段階と,その段階における発達課題があると示したのは家族療法家の戦略派ヘイリーである。すでに発達心理学で学んだ通り,個人の発達段階と発達課題については,エリクソンが発達段階説を唱えている。ヘイリーの家族の発達段階という考え方は,エリクソンの発達段階説をもとにしている。ヘイリーは,家族の発達段階を,未婚の若い成人期(原家族とともにいる時期),新しいカップル期(結婚),子供が生まれる時期,子供が思春期になった時期(つまり子供が未婚の若い成人期に近づく時期),子供が巣立った後,晩年期と大きく6つの時期にわけ,このサイクルが繰り返されるとしている。
② 未婚の若い成人期という,のちの家族がまだ形成されていない時期を家族の発達段階に含むのは,家族という人間関係をめぐる心理的過程は,結婚する前の若い成人期,あるいはそれより以前からすでに始まっていると考えられているためである。未婚の若い成人は,完全に親から独立しているわけでもなく,一方で完全に親の支配下にいるわけでもない。結婚をきっかけに,新しい家族へと橋渡しが行われる時期である。この時期の課題は原家族からの自己分化である。新しいカップル期の発達課題は,夫婦システムの形成など,子供が生まれる時期の発達課題は親の役割へと適応することである。子供が思春期を迎える時期には,柔軟な家族境界を持他せること,子どもの巣立ちごは夫婦システムの再編成など,晩年期の家族では次の世代に中心的な役割を譲ることなどが発達課題となっている。
③ 人類はその初期から家族を単位として生活してきたと考えられる。その意味を進化的観点から学ぶ。核家族をベースとして考えると,「家族」が成立するためにはいくつかの条件を満たす必要がある。夫婦+子の生活はどの種でも見られるわけではない。近縁種のチンパンジーやゴリラ,オランウータンでも,チンパンジーは乱婚,ゴリラはハレム,オランウータンは単独生活と,ヒトと家族スタイルはかなり異なる。人間の「家族」スタイルが成立する上で重要な条件は,配偶関係が一夫一婦タイプであること,さらに,子どもが長く両親の元に留まることの2点である。このいずれも,子どもの養育に非常に手間と時間がかかることが要因であるとされている。さらにその原因を考えれば,脳が異常に大きいことが挙げられる。こうした生物学的観点から,ヒトの家族スタイルについて理解する。
キーワード
① 家族の発達段階 ② 原家族 ③ 自己分化 ④ 生理的早産 ⑤ おばあさん仮説
コマの展開方法
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その他
該当なし
小テスト
ヨリソル上で実施
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
25
対人関係の発展
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
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コマ主題細目
① 親密な関係の形成 ② 親密な関係の維持 ③ 社会的交換理論
細目レベル
① 人が出会い,関係を深める過程についての社会心理学的知見について学ぶ。ここで学ぶのは,まず,家族,夫婦に限らず,対人関係一般に認められる人間関係の発展である。親密な関係が形成される過程については,社会心理学分野でよく検討されている。すでに講義で示した例でいえば,印象形成の研究であったり,対人魅力の研究であったり,社会的浸透理論などが挙げられる。このうち,社会的浸透理論は,対人関係が徐々に深まっていくとする理論である。これと同じ立場を取るのがSVR理論であり,反対に,親密な関係になるかどうかは第一印象で決まっていると考えるのが初期分化説である。SVR理論では,お互いの関係が深まるにつれ,衡平性と互恵性が重要になっていくとされている。これらが守られなくなると,二人の関係は葛藤を持つようになり,限界を越えると人間関係が崩壊する。
② 親密な人間関係が形成されたとしても,その親密な関係を維持するのは難しい。大事な相手であるからこそ,嫌われるのを恐れて自分の気持ちを伝えられないなど,関係の維持を阻害する要因は多様にある。その中で,親密な関係の維持に大事だとされているものとして,好意の返報性,報酬の互恵性,自己開示,社会的スキル,類似性などが挙げられる。好意の返報性は,友人関係よりも恋愛関係で強く見られ,好かれたから好きになるという返報的好意は恋愛関係の維持,発展で重要であることが示されている。報酬の互恵性においては,お互いに同程度のサポートを提供しあっていることが孤独感の低下につながることが示されている。社会的浸透理論の示す通り,自己開示は対人関係の形成だけでなく親密さの深まり,維持にも貢献する。
③ 社会的交換理論とは,社会的な行動は,報酬からコストを引いた最終的な成果の大きさによって決定されるとする理論である。このとき,報酬は,金銭や物品の獲得といった物理的報酬だけではなく,相手と一緒にいるときの快感情や,相手からの服従,尊敬,好意などの心理的報酬も含む。コストは,相手と会うための時間や,相手に合わせて自分の気持ちを抑えるなどの時間的・心理的コストも含む。この報酬とコストを比べ,報酬の方が大きい場合に人間関係が発展・継続しやすくなると考えるのである。経済的交換との対比で扱われる概念であり,経済的交換との共通点と相違点が検討されている。社会的交換では,お返しがなくても警察は出てこないこと,また,交換するものと提供した人との人格関連性が高い(尊敬,服従,愛情など,誰からのものかが重視される)という特徴がある。社会的交換理論の立場から対人関係の発展,維持について学ぶ。
キーワード
① SVR理論 ② 初期分化説 ③ 自己開示 ④ 社会的スキル ⑤ 社会的交換
コマの展開方法
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その他
該当なし
小テスト
ヨリソル上で実施
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
26
結婚と離婚
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 結婚 ② 対人関係の崩壊 ③ 離婚
細目レベル
① 結婚が恋愛に基づいているべきかという信念には,歴史的,また,文化的違いがある。こうした恋愛ー結婚観の違いについて学び,また,こうした信念の違いがどのような影響を持つかについて知る。結婚するカップルの数は減少し続けているが,結婚は幸せとどのように関わっているのだろうか。身体的健康,精神的健康,幸福感といった観点から,結婚が人間の心や体の健康にどのように影響するのかについて学ぶ。また,結婚しているカップルにおいて,夫婦関係に影響を与える要因について知る。お見合い結婚と恋愛結婚では,どちらが幸せになれるだろうか。結婚満足度は共働きと片働きのどちらが高いだろうか,また,男性と女性のどちらが高いだろうか。結婚にまつわるさまざまなデータについて学ぶ。
② 結婚後のカップルに限らず,対人関係は崩壊することがある。こうした対人葛藤は,両者の考えが相容れないという認識から始まり,巻き込まれた個人は挫折感や苛立ちを経験することになる。つまり,対人葛藤,あるいは対人関係の崩壊にはネガティブな感情が伴う。葛藤は,はじめ行動の水準で生じる。この水準では,相手の特定の行動に焦点が当てられており,相手の倫理観や役割,あるいは人格には焦点が当たっていない。「靴下を脱ぎっぱなしにしないで!」という段階である。次に,規範と役割の水準へと悪化する。この水準では,すでに行動の水準ではなく,互いの権利と義務に関わる問題に焦点が当てられる。「家事くらいちゃんとやるべきだろう」という段階である。最後に,個人的傾性の水準にまで深刻化する。行動それ自体を問題にするのではなくその背後にある相手の動機や人格特性に焦点が当てられている。「私をバカにしているのか」という段階である。このような対人関係の悪化にどのように対処すればいいのか,また,恋愛関係の崩壊ではどのようなことが生じるのかについて学ぶ。
③ 離婚という制度,また実際の離婚率について学ぶ。日本が「離婚しやすい国」だと聞くと,不思議に思われるかもしれない。しかし,制度だけを見れば,非常に離婚しやすい制度を持っている(社会的に離婚という選択が取りやすいかは別である)。離婚はどのようなカップルで起こりやすいのだろうか?また,離婚すると幸福感を高めるのだろうか,あるいは低下させるのだろうか。寿命は延びるのだろうか,それとも寿命は縮むのだろうか。離婚しやすい社会(アメリカなど)の方が,離婚しにくい国(日本)よりも結婚満足度が高いという逆説的なデータなどをもとに,離婚がどのような心理的機能を持つのかについて理解する。
キーワード
① 恋愛結婚とお見合い結婚 ② 結婚満足度 ③ 対人葛藤 ④ 離婚制度 ⑤ 離婚の心身への影響
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
ヨリソル上で実施
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
27
家族の在り方の多様性
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 子どもとは ② 多様な家族制度 ③ 新しい家族の在り方
細目レベル
① 「子ども」という発達過程があるという発見は,教育・養育対象の発見でもあった。こうした発見によって家族内での子どものあり方がどのように変化したかについて学ぶ。フランスの歴史学者アリエスは,17世紀までのヨーロッパには「子ども」という概念がなかったと述べている。子ども期の人間は,単に大人よりも脆弱で,物分かりの悪い存在であるとされていた。そのため,早期に子ども時代を終えるのが良いことだと考えられていたのである。このような中,ルソーの書いた『エミール』が子どもという特別な発達時期の存在を指摘する。子どもを「子どもらしく」過ごさせることの重要性が認知されるようになったのである。その結果,子どもへの庇護,愛情ある教育を家庭が担う必要が生じた。子どもの養育に関する悩みも同時に「発見」されたのである。
② 家族内のケアにはさまざまなものがある。ケア提供者がどのようなケアを担当しているのかについて知るとともに,性別役割分業との関係について理解する。
③ 過去,現在を通じて,人間は多様な家族形態が取ってきた。諸外国の事例も含め,実際に家族がどのように多様な形をとりうるのかについて学ぶ。まず,我々が思い浮かべるのは,両親と子という核家族であろう。次に考えるのは,両親の親を加えた三世帯,あるいはさらにその親を加えた四世帯家族,ときにはおじおばやその家族という拡張性のある家族を思い浮かべることができるかもしれない。一方で,メラネシアのトロブリアンド諸島のように,「母親や単身で妊娠する(先祖の霊によって妊娠する)」という文化は想像しにくいだろう。あるいは,生者と死者の結婚(冥婚)という風習も理解しにくいかもしれない(日本にも存在する)。また,同性愛者ではない女性同士の結婚が制度として成立しているケース,助産婦への支払いを済ませた男性が父親と認められる社会など,日本人の常識とは違った結婚形態,家族の在り方が存在する。そうした中で,自分たちの持つ結婚制度,家族制度を客観的に捉えられるようになる。
④ 離婚,再婚の増加により,家族の在り方は変化してきている。さらに,生殖技術の進歩により,精子や卵子の売買,あるいは代理母による出産も行われるようになってきている。こうした場合,誰が「親」となるのだろうか。代理母による引き渡し拒否事件として,ベビーM事件を取り上げ,代理母をめぐる状況,アメリカでどのように親権や養育権が扱われているのかといったことを学ぶ。また,世界的に同性カップルの結婚が合法化されていることを踏まえ,そうした結婚制度が,同性愛者の精神的健康状態にポジティブな影響を与えていること,つまり,法的取り決めがその法の及ぶ範囲に住む住人の精神的健康を左右しうることを学ぶ。また,同性カップルの養子縁組についての制度,および,その養子縁組が子どもの精神発達に与える影響についての知見を学ぶ。
キーワード
① 「子ども」の発見 ② ルソーの『エミール』 ③ 冥婚 ④ ベビーM事件 ⑤ 同性婚
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
ヨリソル上で実施。
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
28
家族内介護
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 介護と認知症 ② BPSDおよびADL ③ 家族内介護の負担
細目レベル
① 介護保険等の導入により,家族外での介護も増えてはいるが,今でも介護の中心は家族である。家族内介護において家族が果たす役割,介護における問題点などについて知り,介護を受ける人および介護を担う人への理解,また,そうした人たちへの支援のあり方についての理解を深める。まず,介護において家族が果たす役割について整理する。続いて,介護の現状について,介護を必要とする高齢者の人数や,介護保険の目的,認知症病棟での心理士の役割などの点から解説を行う。認知症を測定する最も有名な測度である長谷川認知症スケールを紹介し,長谷川氏のパーソン・センタード。ケアについても学ぶ。また,時計描画テストによって認知症の進行がどのように捉えられるかについても学ぶ。
② 認知症の主な症状は中核症状とBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)に大別される。中核症状とは,脳の神経細胞の障害によって起こる認知機能障害のことであり,BPSDとは,中核症状に加えて環境要因・身体要因・心理要因などの相互作用の結果として生じる様々な精神症状や行動障害のことを指す。例えば,中核症状として「時間や場所がわからない」という認知機能障害があり,そのために他の人との関係が悪化するなどした場合,不安から暴力や暴言に発展することもある。こうした場合には,BPSDである暴力や暴言を解消しようとするのではなく,その手前の不安を和らげるなどの方が効果的である場合が多い。ADLとは,日常生活動作(Activity of Daily Living)のことである。ADLが低下すると心身機能が損なわれてしまう。介護ではADLを高く保つ必要がある。
③ 現在日本では家族内介護の割合が高く,家族内介護の負担が大きい。このとき,要介護者への介護方針が異なる家族,家族間での不和,介護離職,好きな趣味の制限などがあると,さらにストレスが大きく,負担感が増大する。特に,要介護者への介護方針が異なる(しかし最終的には責任を取らない)家族を指して,「カリフォルニアから来た娘症候群」と呼ぶこともある。また,老老介護の問題,ヤングケアラーの問題など,就業年齢ではない介護者による介護の問題は,特にヤングケアラーの場合に介護者への精神的影響が大きい。ヤングケアラーは,必ずしも介護を担っている場合に限定されない。例えば家族に介護対象者がいるために,家事全般の手伝い,移動補助,服薬管理,励ましなどの情緒的サポート,下のきょうだいの育児などを担っている場合には,ヤングケアラーと定義される。
キーワード
① 介護保険 ② 認知症 ③ BPSD ④ ADL ⑤ ヤングケアラー
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
ヨリソル上で実施
復習・予習課題
予習:シラバスを読み,関連する情報を調べておく。
復習:授業資料を読み返し,用語の確認をしておく。
29
全体の復習1
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 社会心理学分野の人物ー業績 ② 社会心理学分野の効果や現象① ③ 社会心理学分野の効果や現象②
細目レベル
① 社会心理学分野において,人物と業績の対応を覚えておく必要があるのは,以下の組み合わせである。トリプレットによる社会的促進研究(自転車競技のアーカイブデータ分析,リール巻きにおける他者の存在)は対応させて覚える。関連して,社会的促進が起こる場合と社会的抑制が起こる場合がどのような境界条件によって異なるのかを研究したザイアンスと,指摘した内容(覚醒度が高い,つまり人前の状況では主たる反応が生じるため,得意であれば社会的促進が,不得意であれば社会的抑制が生じる)も覚えておくと良い。なお,ザイアンスは単純接触効果を指摘した人物でもあり,そちらの対応も覚えておくべきである。また,B=f (P,E)という有名な図式を提唱したのはレヴィンである。アッシュは同調研究と印象形成研究で有名であり,その弟子であるミルグラムは服従実験およびスモールワールド研究で名を馳せた。スタンフォード監獄実験はジンバルドーによる研究である。フェスティンガーは認知的不協和理論で有名である(社会的比較理論も提唱してはいる)。
② 基本的な帰属のエラー,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜き,同調,服従,傍観者効果,確証バイアス,後知恵バイアスなどについて復習する。基本的な帰属のエラーとは,B=f (P,E)の式で言えば,E(環境の影響力)を過剰に小さく見積り,P(個人的な要因)の重要性を過剰に大きく見積もるエラーである。自分ではなく他人の行動の原因を評価するときによく生じる。傍観者効果とは,周りに人が多くいるほど,助けが必要な人を助けなくなる現象のことである。これは多元的無知と責任の分散によって生じるとされている。確証バイアスとは,自分の先入観にしたがい,自分の理論にとって都合のいい情報だけを選択的に集めるバイアスのことをいう。また,後知恵バイアスとは,ある出来事についての結果がわかった後になると,最初からその結果が予言できていたかのように感じるバイアスのことである。
③ 代表性ヒューリスティック,利用可能性ヒューリスティック,単純接触効果,予言の自己実現,ハロー効果,公正世界信念,多元的無知について復習を行う。代表性ヒューリスティックとは,「それらしいものは確率が高い」と思ってしまう思考傾向のことである。典型的なイメージとの類似度で確率判断を行うため,例えば女性的でない女性からのセクハラにあったという訴えを「確率が低い」と判断してしまったりする。利用可能性ヒューリスティックとは,頭の中で情報が利用しやすいほど,つまり,思い浮かびやすいことほどよく起こると考えてしまう思考傾向のことである。予言の自己実現とは,相手に対する評価が自然と態度に滲み出た結果,相手から実際にその評価に沿った反応が返ってくる現象のことを指す。ハロー効果とは,目立つ特徴によって全体の評価が歪められる現象のことである。公正世界信念とは,「世界はいいことをすればいいことが起こり,悪いことをしたら悪いことが起こる場所である」という信念のことである。これを持っていると努力に前向きになれるが,一方で被害にあった他者を責める行動にもつながる。多元的無知とは,誰もが「みんなはこう思っているだろう」と考えるが実際には誰もそう考えていない状態を指す用語である。
キーワード
① 人物と業績の対応(社会心理学) ② 社会的影響 ③ バイアスやヒューリスティクス ④ 誤った信念 ⑤ 接触の効果
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
ヨリソル上で実施。
復習・予習課題
予習:これまでの資料を見返しておくこと
復習:試験に向けて資料全体を見返しておくこと
30
全体の復習2
科目の中での位置付け
本科目では,人がいかに周囲から影響を受けているのかを学ぶ。第1回および第2回では,社会心理学とはなにか,社会心理学の歴史,研究上気をつけるべき点はなにかなどを学びつつ,人が社会的影響を受けていることを端的に示す現象として,社会的促進,社会的抑制,社会的手抜きについて学ぶ。第3回では,人が周囲の多数派から,あるいはときには少数派から,どのように影響を受けているのかについて学ぶ。第4回では,周囲からの影響が,ときには本人の意に染まない行動までも引き起こすことを,服従,傍観者効果といった現象を通じて理解する。第5回と第6回では,バイアスやヒューリスティックについて学ぶとともに,なぜ我々がそのような思考に頼るのか,また,思考はどのようなときにヒューリスティクス的になり,どのようなときにアルゴリズム的になるのかを学ぶ。第7回と第8回では,印象形成,ステレオタイプ,差別などを学ぶことを通じ,我々がどのように他者を評価し,扱うのかについて学ぶ。第9回と第10回では,自己にかんする社会心理学的知識を学び,自己の定義にも,自己の評価にも,他者が関わっていることを理解する。第11回では人間の態度(好みや評価的な判断)について,第12回では態度をどのように変化させうるのかという説得について,それぞれ学ぶ。第13回から第20回では,実際の社会的行動について扱う。第21回では社会的ネットワーク,第22回では法律や文化といった分野における社会心理学の貢献について学ぶ。第23回から第28回では,家族心理学について学ぶ。第29回と第30回では全体を振り返り,復習する。
配布資料
コマ主題細目
① 社会心理学分野の現象および理論 ② 集団心理学分野 ③ 家族心理学分野
細目レベル
① 鏡映的自己,自己高揚動機,ジョハリの窓,セルフハンディキャッピング,認知的不協和,心理的リアクタンス,スリーパー効果,フットインザドア,ドアインザフェイス,ローボールテクニックなどの現象について復習する。また,二重過程理論(カチッサー効果),ステレオタイプ内容モデル(両義的ステレオタイプ,温情主義的ステレオタイプ),社会的アイデンティティ理論,セルフディスクレパンシー理論,ソシオメーター理論,社会的浸透理論,バランス理論(ハイダー),精緻化見込みモデル,リーダーシップのPM理論などの理論について,関連する現象および提唱者とともに復習を行う。理論については,何を説明するための理論であるかについてきちんと理解できるようにする。
② 集団心理学分野の復習として,まず,人物と業績の対応では,シェリフとサマーキャンプ実験(泥棒洞窟実験)の組み合わせ,および,同じくシェリフと規範研究(光点自動運動実験)の対応を復習する。また,タジフェルによる最小条件集団実験についても思い出しておく。集団心理学分野の現象としては,敵対的帰属バイアス,非人間化,ホーそん実験,集団極性化,集団浅慮(あるいは集団思考),規範,準拠集団,内集団びいき,黒い羊効果,スモールワールド現象,CMC(Computer-Mediated Communication),分配的公正,手続き的公正,報復的公正,相互独立的自己観,相互協調的自己観,名誉の文化などについて復習する。
③ 家族心理学分野では,人物と業績の対応についてはあまり考えなくて良い(必要に応じて覚えれば良い)。家族心理学分野で重要な現象としては,家族同一性(ファミリー・アイデンティティ),核家族,拡大家族,DINKS,円環的因果律,ダブルバインド,自己分化,性別役割分業,生理的早産,家族の発達段階および発達課題,コミットメント,家族内ケア,M字カーブ,L字カーブ,多重役割,good enough mother などが挙げられる。家族心理学分野で重要な理論は,家族システム論,家族システム円環モデル,家族の発達段階である。特に,家族システム論は家族心理学を家族心理学たらしめる基礎となる理論であり,しっかりと理解しておく必要がある。
キーワード
① 自己 ② 説得 ③ 集団心理学 ④ 家族心理学 ⑤ 家族システム論
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
ヨリソル上で実施。
復習・予習課題
予習:これまでの資料を見返しておくこと
復習:試験に向けて資料全体を見返しておくこと
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
社会的影響
ワードが何を指すのかを理解し,また,それぞれの現象がどのような時に顕著に生じ,どのような時にはあまり見られないのかを理解していること。キーワードに関連する人物名も覚えていること。
B=f(P,E),社会的促進,社会的抑制,社会的手抜き,同調,服従,傍観者効果,基本的な帰属のエラー,監獄実験
15
思考
人間の思考におけるバイアスやヒューリスティクスについて理解していること。また,二重過程理論(関連して精緻化見込みモデル)がどのようなものであるかを理解していること。私たちの思考や態度と行動に斉一性が失われると,行動ではなく思考や態度が変化することもあることを理解していること。集団意思決定の特徴についても理解しておくこと。
バイアス,準拠集団,ヒューリスティクス,二重過程理論,精緻化見込みモデル,フェスティンガー,認知的不協和,バランス理論,集団意思決定
15
自己
自己概念についての様々な切り分け方(客体的自己と主観的自己,理想自己と義務自己と現実自己,など)について理解していること。また,キーワードに挙げた,自己にかんする理論について理解していること。
鏡映的自己,社会的比較理論,自己知覚理論,社会的アイデンティティ(理論),セルフディスクレパンシー理論,ソシオメーター理論,相互協調的自己観,相互独立的自己観
10
対人関係
対人関係が始まる前(印象形成や対人魅力),始まるとき(対人関係の成立),維持,崩壊について理解していること。また,社会的ネットワークを通じて人と人とがどのようにつながっているのか,その中でどのように情報が伝達されるのかを理解していること。
印象形成,対人魅力,対人関係の成立/維持/崩壊,社会的浸透理論,SVR理論,社会的ネットワーク,スモールワールド現象,うわさ
15
個人間あるいは集団間の問題
対人関係の中で,あるいは集団間の関係の中で生じる問題について,キーワードを中心に理解していること。内集団メンバーに対する冷たさがどのようなときに生じやすく,外集団メンバーに対する冷たさがどのようなときに生じやすいのかを把握していること。また,個人間あるいは多人数間,あるいは集団内での協力が生じるメカニズムについて理解していること。
ステレオタイプ,ステレオタイプ内容モデル,差別,敵対的性差別と慈悲的性差別,公正世界信念,黒い羊効果,攻撃性,非人間化,スタンフォード監獄実験,集団間葛藤,内集団と外集団,最小条件集団,囚人のジレンマ,TFT戦略,互恵的利他主義,社会的ジレンマ,罰,評判
25
家族システム論
家族システム論について,キーワードを中心に理解していること。家族システム論において,家族内の誰かに生じた問題はどのように理解されるのか,また,どのような家族の状態が適切とされているのかを理解していること。
円環的因果律,IP,原家族,ダブルバインド,未分化自我塊,家族システム円環モデル
10
結婚,育児,家族内のケア
家族の発達段階について理解し,それぞれの段階の発達課題についておおよそ把握していること。また,各発達段階における,結婚や育児,家族内でのケアのあり方について,現状日本ではどのようになっているかを理解していること。これらのあり方には,時代や文化を超えて人類共通の部分と,時代や文化によって異なる部分がある。どのような側面は人類共通で,どのような点が時代や文化によって異なりうるのかについて把握していること。
家族の発達段階,見合い結婚と恋愛結婚,冥婚,女性婚,生理的早産,おばあさん仮説,ルソー,BPSD,ヤングケアラー
10
評価方法
定期試験100%
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
配布資料
参考文献
「社会心理学概論」ナカニシヤ出版,「社会心理学・再入門」新曜社,「家族心理学への招待」ミネルヴァ書房
実験・実習・教材費
なし