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1
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産業・組織心理学を学ぶ意義
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科目の中での位置付け
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産業・組織心理学の基本的な定義と目的を理解し、公認心理師が産業・労働分野でどのような役割を担うのかを把握する。「働くこと」を心理学の視点から考える姿勢を身につけることを目的とする。
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金井篤子(2019) 産業・組織心理学とは. 金井篤子(編) 産業・組織心理学を学ぶ. 北大路書房. pp1-13.
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コマ主題細目
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① 産業・組織心理学の定義と目的 ② 産業・組織心理学の歴史と発展 ③ 公認心理師の産業・労働分野での業務 ④ 個人・集団・組織の三層で考える視点 ⑤ 科学と実践を結びつける姿勢
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細目レベル
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① 産業・組織心理学の定義と目的 産業・組織心理学とは、心理学の知識や方法を職場・組織の場面に応用する学問分野である。主な目的は「働く人の心理的健康(well-being)の向上」と「組織の効果的な運営」の両方を同時に追求することにある。この二つは対立するものではなく、心理的に健康な働き方が組織の生産性を高めることが多くの研究で示されている。職場の問題は個人の性格や能力だけに原因があるのではなく、仕事の内容・人間関係・組織の仕組みなど様々な要因が絡み合っている。 この科目では「個人だけを変えようとせず、職場全体をよくする視点」を大切にして学んでいく。産業・組織心理学は医療・福祉・学校などと同様に公認心理師が活躍する重要な領域の一つであり、すべての分野に共通するメンタルヘルスの知識基盤でもある。 【到達目標】 ◆ 産業・組織心理学の定義と二つの目的(個人の健康・組織の効果性)を説明できる ◆ 職場の問題を個人と環境の相互作用から理解する視点をもつことができる
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② 産業・組織心理学の歴史と発展 産業・組織心理学の歴史は20世紀初頭に始まる。テイラーの「科学的管理法」は作業の効率化を追求したが、人間の心理的側面を軽視するものであった。その後、ホーソン工場での実験(1920〜30年代)で、人間関係や職場の雰囲気が生産性に大きく影響することが明らかになり、「人間関係論」が生まれた。第二次世界大戦後は適性検査・訓練・リーダーシップ研究が発展し、1960〜70年代以降は動機づけ・態度・組織文化などの研究が盛んになった。 日本では1960〜70年代の高度経済成長期に職場の人間関係・モラール(士気)・管理スタイルへの関心が高まり、1990年代以降はバーンアウト・職場ストレス・ハラスメント対策が重要な研究テーマとなった。近年は「ウェルビーイング」「ワーク・エンゲイジメント」「ダイバーシティ」など、より積極的な職場の健康づくりへと研究の焦点が移っている。 【到達目標】 ◆ 産業・組織心理学の歴史的な発展(科学的管理法→人間関係論→現代的研究)の流れを説明できる ◆ 日本における産業心理学の展開と現代的な課題を述べることができる
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③ 公認心理師の産業・労働分野での業務 公認心理師法(2015年)が制定されたことで、産業・労働分野での専門的役割が法的に認められた。公認心理師が産業場面で行う主な業務は次の通りである。第一に「個別の心理相談・カウンセリング」では、仕事上の悩みやストレス・人間関係の問題・キャリアの不安などを抱える従業員を対象に面談を行う。第二に「集団への研修・心理教育」では、メンタルヘルスに関する知識の普及や管理職向けのラインケア研修を担当する。第三に「コンサルテーション」では、管理職や人事担当者に対して心理学的な観点から助言・提案を行う。第四に「アセスメント」では、ストレスチェックの実施や職場環境調査に関わる。 2021年の法改正によりストレスチェックの「実施者」として公認心理師が明記されたことも重要な変化である。産業医・保健師・人事担当者など多職種と協力して支援を進める「チームアプローチ」が基本的な働き方となる。 【到達目標】 ◆ 公認心理師が産業・労働分野で行う主な業務(相談・研修・コンサルテーション・アセスメント)を具体的に説明できる ◆ ストレスチェック実施者としての公認心理師の法的根拠を述べることができる
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④ 個人・集団・組織の三層で考える視点 職場の問題を理解するには、「個人」「集団(チーム)」「組織全体」という三つの分析の視点が必要である。個人水準では、その人のストレスの感じ方・コーピング(対処行動)・パーソナリティ・動機づけなどを扱う。集団水準では、チームの雰囲気・人間関係・リーダーとメンバーの関係・コミュニケーションの問題などを扱う。組織水準では、会社全体の文化・ルール・制度・仕組みの問題などを扱う。例えば「部下がミスを繰り返す」という状況に対して、①個人の能力不足、②チーム内の連携不足、③会社全体の教育制度の問題、という異なる視点から原因と対策を考えることができる。 公認心理師は「その人だけを変えようとする」のではなく「環境も含めて問題を理解し、複数の視点からアプローチする」ことが求められる。この三層視点は本科目全体を通じた基本的な思考の枠組みとなる。 【到達目標】 ◆ 個人・集団・組織の三層の分析視点を具体的な事例に当てはめて説明できる ◆ 一つの職場問題に対して複数の視点から原因と支援策を考えることができる
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⑤ 科学と実践を結びつける姿勢 公認心理師に求められる「科学者─実践家モデル」とは、「研究で確かめられた知識(エビデンス)を根拠に支援を行い、実践から得た気づきを次の学びに活かす」という姿勢のことである。産業・組織心理学においても、「なんとなく良さそう」「経験上こうだった」という感覚だけでなく、研究で効果が確認された方法を選んで用いることが大切である。実践における科学的姿勢とは、例えば①使用するアセスメントツールの妥当性を確認する、②支援の効果を測定して評価する、③自分の判断を常に振り返り改善する、といった具体的な態度として現れる。 産業・組織心理学の研究には実験法・質問紙調査・インタビュー・事例研究など様々な方法があり、それぞれに強みと限界がある。本科目では各テーマに関連する主要な研究知見を紹介しながら、実践への応用方法を考えていく。「なぜこの方法なのか」を常に問い直す習慣を大切にしてほしい。 【到達目標】 ◆ 科学者─実践家モデルの意味を自分の言葉で説明できる ◆ エビデンスに基づく実践の具体的な態度(確認・評価・振り返り)を説明できる
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キーワード
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① 産業・組織心理学の定義、 ② ホーソン研究 ③ ストレスチェック ④ 科学者─実践家モデル
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
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復習・予習課題
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【本講義の復習】 文字教材をよく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認してほしい。そして、文字教材を素材としてChatGPTによるテストワークを各自で行うこと。 【次回に向けての予習】 次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはインターネットで検索してみるとよい。
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2
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職場を理解する──組織の基礎知識
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科目の中での位置付け
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組織とは何か、どのような仕組みで動いているのかを理解し、心理的支援者として職場に関わる際に必要な「組織を読む力」の基礎を養う。職場の問題を個人だけでなくシステムとして捉える視点を身につける。
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加藤容子(2020). 組織とはー組織の運営・管理と組織‐個人の心理学アセスメント, 産業・組織心理学, ミネルヴァ書房, 15-28
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コマ主題細目
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① 組織の定義とその機能 ② 組織の構造──どのように分業・調整するか ③ 組織文化──職場の「空気」を理解する ④ オープンシステムとしての組織 ⑤ 職場環境を評価する基本的な視点
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細目レベル
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① 組織の定義とその機能 組織とは「共通の目標を達成するために協力する人々の集まりであり、役割や決まり事(ルール・手続き)によって構造化された集団」と定義できる。企業・病院・学校・行政機関などはすべて組織であり、それぞれに固有の目的と仕組みを持っている。組織の主な機能は二つある。一つは「目標達成機能」で、製品の製造・サービスの提供・利益の創出など組織の目的を実現することである。もう一つは「成員の欲求充足機能」で、働く人が安全・承認・成長・人間関係などの心理的ニーズを満たせる場を提供することである。両方のバランスが取れているとき、働く人のウェルビーイングと組織の持続的な機能が両立しやすい。 組織論の歴史を振り返ると、初期は「目標達成」だけに焦点が当てられていたが、ホーソン研究(1920〜30年代)を機に「人間関係・人の心理」への関心が高まり、現代ではウェルビーイングと生産性の両立が重視されるようになった。 【到達目標】 ◆ 組織の定義と二つの機能(目標達成・欲求充足)を説明できる ◆ 組織論の歴史的変遷(科学的管理法→人間関係論→現代)を概説できる
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② 組織の構造──どのように分業・調整するか 組織構造とは「誰が何をするか」「誰が誰に報告するか」「意思決定はどこで行うか」を決める枠組みである。代表的な概念として「専門化」(業務を細かく分業すること)、「階層」(上司と部下の命令系統)、「集権化と分権化」(意思決定を上位に集中させるか現場に委ねるか)がある。 組織形態の代表例として、職能別組織(営業・製造・経理などの機能別に部門が分かれる)、事業部制(製品や地域ごとに独立した部門を設ける)、マトリックス組織(機能と事業の両方の上司を持つ)などがある。組織の構造は心理的健康にも影響する。例えば「何をすべきか不明確な状態(役割不明確性)」や「相反する指示を受ける状態(役割葛藤)」は大きなストレッサーとなる。 近年はフラット化・アジャイルな組織形態が広まり、管理職の役割やコミュニケーションの在り方も変化している。公認心理師は職場環境を評価する際に、組織構造の特性も把握することが重要である。 【到達目標】 ◆ 組織構造の主な概念(専門化・階層・集権化)と代表的な組織形態を説明できる ◆ 組織構造が働く人の心理的健康(役割明確性・自律性)に与える影響を述べることができる
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③ 組織文化──職場の「空気」を理解する 組織文化とは「ここではこういう行動が普通だ・正しい」という職場に共有された価値観・信念・行動習慣の集まりである。組織文化は目には見えにくいが、職場の「雰囲気」「空気感」として感じられるものである。文化研究者のシャイン(Schein)は組織文化を三つの層で理解することを提案している。一番上の層は「見えるもの」(服装・会議の進め方・オフィスのレイアウト等)、真ん中の層は「言葉にされる価値観」(社是・行動指針等)、一番深い層は「暗黙の前提」(「ミスを報告してはいけない」「残業は美徳だ」等の無意識の思い込み)である。 組織文化は職場のメンタルヘルスに大きく影響する。「相談しにくい文化」「ミスを責める文化」「長時間労働を評価する文化」はハラスメントや過労・バーンアウトのリスクを高める。反対に「お互いを助け合う文化」「失敗から学ぶ文化」は心理的安全性を高め、不調の予防に寄与する。公認心理師はこうした文化的背景を理解した上で支援や提言を行うことが重要である。 【到達目標】 ◆ シャインの組織文化の三層モデル(見えるもの・価値観・暗黙の前提)を説明できる ◆ 組織文化がメンタルヘルスやハラスメントに与える影響の例を挙げることができる
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④ オープンシステムとしての組織 組織をより広い視点で理解するための枠組みとして「開放システム論(オープンシステム理論)」がある。この考え方では、組織は外部の環境(経済状況・技術変化・法律・社会文化等)から影響を受けながら、常に変化・適応している「開かれたシステム」として捉えられる。組織が外部環境から受け取るもの(人材・資金・情報等)を「インプット」、組織内で行われる変換プロセスを「スループット」、組織が外部に出すもの(製品・サービス・廃棄物等)を「アウトプット」と呼ぶ。このモデルから得られる重要な視点は「一部分の変化がシステム全体に影響する」という相互依存性である。例えば管理職のリーダーシップスタイルが変わると、チームのコミュニケーション・仕事の進め方・メンバーのモチベーションまで連鎖的に変化する可能性がある。 公認心理師が職場支援を行う際も、個人への介入が職場全体にどのような波及効果をもたらすかを意識することが大切であり、この「システム思考」が実践の重要な基盤となる。 【到達目標】 ◆ 開放システム論の基本的な概念(インプット・スループット・アウトプット)を説明できる ◆ 一部分の変化がシステム全体に影響するという相互依存性を職場の具体例で説明できる
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⑤ 職場環境を評価する基本的な視点 公認心理師が職場で支援活動を行う際には、個人の状態だけでなく「職場環境そのもの」を評価する視点が重要である。職場環境の評価には主に次の方法がある。①質問紙調査(ストレスチェック・組織風土調査など):多くの人から一度にデータを収集でき、数値で比較できる利点がある。②インタビュー(個別面談・グループインタビュー):質問紙では見えない背景や文脈を把握できる。③観察(職場巡視・会議への参加観察):実際の行動・コミュニケーションの様子を直接確認できる。④データ分析(欠勤率・離職率・残業時間など):客観的な指標から職場の状態を把握できる。これらの方法を組み合わせることで、より信頼性の高い職場環境の評価が可能になる。 問題を「個人のせい」と決めつけず、「この職場にはどのような特性があり、それがどのように人の心理に影響しているか」を幅広い視点から探ることが重要である。評価結果は組織にフィードバックし、改善活動につなげることが最終的な目的となる。 【到達目標】 ◆ 職場環境評価の主な方法(質問紙・インタビュー・観察・データ分析)の特徴を説明できる ◆ 複数の方法を組み合わせることの意義を説明できる
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キーワード
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① 組織、ホーソン研究 ② 組織構造 ③ 組織文化 ④ 開放システム ⑤ 職場環境の評価
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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3
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法律と倫理──産業・労働分野で必要な基礎知識
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科目の中での位置付け
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公認心理師が産業・労働分野で働くための法的・制度的な基盤を理解する。主要な労働関連法規の概要・ハラスメント法制・守秘義務・倫理的判断の基本を習得し、現場での適切な判断力の土台を形成する。
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西脇明典(2020). 組織における労働契約・法規ー産業・労働分野の基本となる法とは. 産業・組織心理学, ミネルヴァ書房, 29-42
小野公一(2019).人間関係管理と職場の人間関係. 金井篤子(編) 産業・組織心理学を学ぶ. 北大路書房. Pp42-54.
大塚泰正(2019). 職場のメンタルヘルス. 芳賀繁(編) よりよい仕事のための心理学. 北大路書房. Pp115-147.
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コマ主題細目
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① 労働に関連する主な法律 ② ハラスメントの種類と法的対応 ③ 安全配慮義務と過労死・過労自殺 ④ 守秘義務と情報共有の難しさ ⑤ 産業場面に特有の倫理的課題
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細目レベル
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① 労働に関連する主な法律 公認心理師が産業場面で機能するためには、労働に関連する主な法律を知っておくことが必要である。労働基準法は働く人の最低限の条件(1日8時間・週40時間の法定労働時間・残業代・年次有給休暇・解雇のルール等)を定めた基本的な法律であり、これを下回る条件は原則として無効とされる。労働契約法は雇用の開始・変更・終了に関するルールを定め、労働者を保護している。労働安全衛生法は職場の安全と健康を守るための法律であり、ストレスチェック制度・健康診断・産業医の選任なども定めている。 2019年の「働き方改革関連法」では残業時間に法的な上限(原則月45時間・年360時間)が設けられ、過労死・過労自殺の防止に向けた取り組みが強化された。公認心理師は法律の専門家ではないが、問題を法的な枠組みで理解し、社会保険労務士・弁護士・労働基準監督署などの適切な専門家や機関へ橋渡しできる判断力が求められる。 【到達目標】 ◆ 労働基準法・労働安全衛生法の基本的な内容を概説できる ◆ 働き方改革関連法の主な変更点(残業時間上限等)を説明できる
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② ハラスメントの種類と法的対応 職場のハラスメントは近年の精神障害の労災認定において最も多い原因の一つとなっており、法整備も急速に進んでいる。パワーハラスメント(パワハラ)とは「職場における優越的な関係を背景に、業務上の適正な範囲を超えた言動によって相手を傷つけること」と定義される。2020年にはパワハラ防止法(労働施策総合推進法改正)により、企業に防止措置を取ることが義務化された。パワハラは①身体的攻撃、②精神的攻撃、③人間関係からの切り離し、④過大な要求、⑤過小な要求、⑥個の侵害という6つの類型に整理されている。セクシュアルハラスメントは男女雇用機会均等法、マタニティハラスメントは育児介護休業法でそれぞれ事業主の措置義務が定められている。 公認心理師はハラスメントを受けた人の相談を受けたり、組織のハラスメント防止研修を担当したりする立場となる。相談対応では被害者の安全と心理的サポートを最優先に考えながら、組織の調査プロセスとどのように関わるかを丁寧に検討する必要がある。 【到達目標】 ◆ パワーハラスメントの定義と6類型を説明できる ◆ ハラスメント相談において公認心理師が担う役割を説明できる
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③ 安全配慮義務と過労死・過労自殺 安全配慮義務とは「使用者(会社)は、労働者が安全に健康的に働けるよう必要な配慮をする義務がある」ということであり、労働契約法第5条に明記されている。この義務は身体的な安全だけでなく、「メンタルヘルスの保護」にも及ぶとされており、精神的健康を損なう環境を放置することも義務違反となりうる。 過労死・過労自殺は長時間労働や過大なプレッシャーによって生命が失われる深刻な社会問題であり、日本では毎年多くの事案が労災認定されている。電通の過労自殺事件(1991年・2000年最高裁判決)は会社の安全配慮義務違反を明確にした重要な判例となり、その後の産業保健対策の強化につながった。過労死等防止対策推進法(2014年)は過労死の防止を国の責務として定めたものである。 公認心理師は安全配慮義務の観点から「この職場はメンタルヘルス上のリスクがあるか」を評価し、問題がある場合は経営層や管理職に提言を行う役割を担うことがある。「個人の頑張り不足」ではなく「組織として守る責任がある」という視点が重要である。 【到達目標】 ◆ 安全配慮義務の内容と精神的健康への適用を説明できる ◆ 過労死・過労自殺の現状と法的・制度的な対策の概要を述べることができる
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④ 守秘義務と情報共有の難しさ 公認心理師には守秘義務がある(公認心理師法第41条)。これは業務で知り得た個人の秘密を正当な理由なく他人に漏らしてはならないという義務である。ところが産業場面では、この守秘義務と「組織に情報を伝えること」の間で葛藤が生じやすい。例えば「部下の相談内容を管理職に報告してほしい」「休職者の状態を人事部に伝えてほしい」といった要請を受けることがある。原則として、相談者の同意なしに組織に情報を提供することはできない。ただし、例外として「生命の危険がある場合(自殺リスク等)」や「法令上の通報義務がある場合」などは情報を共有することが認められる。 ストレスチェック制度では、個人の結果を本人の同意なく会社に提供することは法律で禁じられている。このような問題を事前に防ぐために重要なのが「インフォームドコンセント」つまり「支援を始める前に、どこまで守秘するか・どんな場合に情報が共有されるかをきちんと説明し同意を得ること」である。産業場面の倫理的な実践の基本として、この手順を徹底することが不可欠である。 【到達目標】 ◆ 産業場面における守秘義務と情報共有の葛藤を具体的に説明できる ◆ インフォームドコンセントによる倫理的な対処の手順を説明できる
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⑤ 産業場面に特有の倫理的課題 産業場面で働く公認心理師には、医療・教育など他の分野にはない独特の倫理的課題がある。最も重要なのが「利益相反」の問題である。利益相反とは「公認心理師が複数の当事者(従業員と会社、相談者と管理職等)の相反する利益に同時に関わる状況」を指す。例えば、相談者から「会社の不正行為を聞いた」場合、守秘義務を守ることと組織への責任の間で判断が迫られる。また「誰がクライエントか(個人か組織か)」が曖昧になりやすいことも産業場面の特徴である。 このような状況への対処として、①支援の開始前に役割と守秘の範囲を明確にする、②利益相反が解消できない場合は関与を辞退するか他の専門家を紹介する、③スーパービジョン(先輩・上司の専門家から指導を受けること)を積極的に活用する、という原則が重要である。倫理的に複雑な状況に唯一の正解はない。大切なのは「誠実に考え続け、専門的な判断を丁寧に行う姿勢」であり、それが専門家としての信頼の基盤となる。 【到達目標】 ◆ 産業場面における利益相反の意味と具体的な場面を説明できる ◆ 倫理的課題に対処するための基本的な手順(事前明確化・辞退・スーパービジョン)を説明できる
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キーワード
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① 労働基準法、労働安全衛生法、働き方改革関連法 ② ハラスメント防止 ③ 安全配慮義務 ④ 守秘義務 ⑤ 利益相反
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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4
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キャリア―働く人々を理解・支援するための理論と概念
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科目の中での位置付け
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第4回から第7回までは「人と組織の心理」について学ぶ。今回はキャリアの意味と主要な発達理論を理解し、キャリアカウンセリングの基本的な視点と技法を学ぶ。職業選択・キャリアの転機・キャリア自律の支援において公認心理師として貢献できる基盤を形成する。
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冨田真紀子(2020). キャリア―働く人々を理解・支援するための理論と概念, 産業・組織心理学, ミネルヴァ書房, 45-59
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コマ主題細目
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① キャリアとは何か ② スーパーのキャリア発達理論 ③ ホランドの職業興味理論とP-E適合 ④ キャリアの転機と心理的サポート ⑤ キャリアカウンセリングの基本
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細目レベル
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① キャリアとは何か 「キャリア」という言葉はよく耳にするが、その定義は様々である。狭い意味では「職歴・肩書き・仕事上の経験の積み重ね」を指すが、広い意味では「一生を通じて経験する仕事・役割・生き方の総体」を意味する。後者の広い意味のキャリアを「ライフキャリア」と呼ぶこともある。「仕事上のキャリア」だけでなく「家族の一員として」「地域の一員として」「趣味を楽しむ人として」という様々な役割が組み合わさって、人生全体が作られる。 近年、終身雇用・年功序列という日本型の雇用慣行が変化し、転職・副業・フリーランスなど多様な働き方が広まっている。こうした環境では「会社に頼るのではなく、自分でキャリアを主体的に考え管理するキャリア自律」の重要性が高まっている。 公認心理師は仕事の悩みだけでなく「自分はどのように生きていきたいか」「仕事は自分にとってどんな意味があるか」という問いに向き合う人を支援する場面も多い。キャリアの多面的な理解が支援の幅を広げる。 【到達目標】 ◆ キャリアの広義(ライフキャリア)と狭義(職業経験)の定義を説明できる ◆ キャリア自律の概念と現代的な重要性を述べることができる
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② スーパーのキャリア発達理論 スーパー(Super,D.)のキャリア発達理論は最も広く知られたキャリア理論の一つである。スーパーはキャリアを「職業的自己概念(自分はどのような働く人間か)を実現していくプロセス」と捉えた。キャリアには成長期(0〜14歳頃:将来の仕事への関心が生まれる時期)・探索期(15〜24歳頃:様々な職業を探索し試す時期)・確立期(25〜44歳頃:選んだ職業で地位を確立する時期)・維持期(45〜64歳頃:現在の地位を維持・更新する時期)・離脱期(65歳以降:職業からの引退と新しい役割の模索)という5段階があるとされる。 また「キャリアレインボー」というモデルでは、人が一生の中で「子・学生・余暇人・市民・労働者・家庭人」という複数の役割を同時に、しかし時代によって比重を変えながら担うことが示されている。「ある時期に仕事の比重が高まり、別の時期に家族の役割が重くなる」というライフサイクルの変化を理解することが、キャリア支援において重要な視点となる。 【到達目標】 ◆ スーパーのキャリア発達5段階の概要を説明できる ◆ キャリアレインボーモデルによる複数役割の理解を説明できる
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③ ホランドの職業興味理論とP-E適合 ホランド(Holland,J.)の職業興味理論(RIASEC理論)は、人の職業興味と職場環境を6つのタイプで分類する。R(現実的型:機械・道具・自然が好き)・I(研究型:知的探求・分析が好き)・A(芸術型:創造・表現が好き)・S(社会型:人を助ける・教えるが好き)・E(企業家型:リーダーシップ・ビジネスが好き)・C(慣習型:秩序・数値・データが好き)の6タイプである。ホランドの理論で重要なのは「個人の興味タイプと職業環境タイプが一致するほど(P-E適合が高いほど)、満足感・パフォーマンス・定着率が高まる」という考え方である。 VPI職業興味検査などの職業アセスメントツールはこの理論に基づいており、キャリアカウンセリングで個人の興味・強みを理解する手がかりとして活用される。ただし、アセスメントの結果は「絶対的な答え」ではなく「自分を理解するための一つの材料」として使うことが大切である。個人と職場の「適合度の低さ」はストレスや離職意図の原因になることも多く、職場環境の評価においても活用できる視点である。 【到達目標】 ◆ ホランドのRIASEC理論の6タイプを説明できる ◆ P-E適合(人と環境の適合)の概念とキャリア支援・職場評価への応用を説明できる
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④ キャリアの転機と心理的サポート 人はキャリアの中で「転機(トランジション)」を経験する。転職・昇進・降格・役割変化・育児休業・病気・失業・定年退職などがこれにあたる。転機はチャンスである一方で、「これまでの役割や居場所を失う」「先が見えない不安」「アイデンティティの揺らぎ」など、心理的なストレスを伴いやすい。 シュロスバーグ(Schlossberg,N.)は転機を乗り越えるための資源を「4S」にまとめた。①Situation(状況:転機の状況はどの程度コントロールできるか)・②Self(自己:自分の強み・価値観・コーピングスタイル)・③Support(サポート:頼れる人や情報はあるか)・④Strategies(戦略:様々な対処方法を持っているか)の4Sである。 公認心理師はキャリアの転機にある人を支援する際、これらの4Sを一緒に点検し、資源を強化する方向で関わることができる。転機には必ず終わりがあり、「移行期間(transition)」を経て新しい均衡に達することへの見通しを持ってもらうことが、心理的安定の回復に役立つ。 【到達目標】 ◆ キャリアトランジション(転機)の概念と心理的影響を説明できる ◆ シュロスバーグの4Sモデルをキャリア支援に適用できる
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⑤ キャリアカウンセリングの基本 キャリアカウンセリングとは、職業選択・キャリアの転機・仕事の悩みなどを抱える人への心理的支援であり、「自己理解の促進」「意思決定の支援」「行動計画の立案」を中心に行われる。キャリアカウンセリングの基本的な流れは①関係形成(傾聴・共感・信頼関係の構築)→②問題の整理(何に困っているか・何を求めているかを明確にする)→③自己理解の促進(強み・価値観・興味の探索)→④情報収集と整理(職業情報・教育訓練情報・社会資源等)→⑤意思決定支援(選択肢の生成と比較・意思決定)→⑥行動計画と実践→⑦フォローアップという流れになる。「答えを与えるのではなく、クライエント自身が答えを見つける過程を支える」という姿勢が基本である。 また、ハローワーク・若者サポートステーション・就労移行支援事業所・産業カウンセラーなどの地域資源を知っておき、必要に応じて連携・紹介することも重要である。キャリアには文化的背景・ジェンダー・障害・年齢など多様な要因が関わるため、個人の文脈を尊重した支援が求められる。 【到達目標】 ◆ キャリアカウンセリングの基本的な流れ(①〜⑦)を説明できる ◆ 地域資源との連携の重要性と代表的な支援機関を挙げることができる
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キーワード
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① キャリアの定義 ② スーパー、キャリアレインボー ③ 職業興味理論、P-E適合 ④ キャリアトランジション、シュロスバーグの4Sモデル ⑤ キャリアカウンセリング
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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なぜ人は働くのか──動機づけの心理学
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科目の中での位置付け
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職場での行動の「なぜ」を説明する動機づけ理論の主要なものを理解し、働く人の意欲を高めるための職場づくりやマネジメントへの応用を考える。また、エンゲイジメントとバーンアウトの対比を通じて、職場の健康促進に向けた視点を養う。
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前川由未子(2020). ワーク・モティベーションと組織コミットメントー個のパフォーマンスを支えるもの, 産業・組織心理学, ミネルヴァ書房, 61-68
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コマ主題細目
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① 動機づけの内容理論──何が人を動かすか ② 動機づけの過程理論──どのように意欲が生まれるか ③ 自律性と内発的動機づけ──自己決定理論 ④ ワーク・エンゲイジメントとバーンアウト ⑤ 動機づけを高める職場の工夫
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細目レベル
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① 動機づけの内容理論──何が人を動かすか 動機づけ(モチベーション)の理論は「何が人を動機づけるか(内容理論)」と「どのように動機づけが生じるか(過程理論)」に大きく分けられる。内容理論の代表としてマズロー(Maslow)の欲求5段階説がある。人の欲求を①生理的欲求(食事・睡眠等)、②安全の欲求(身の安全・安定した生活)、③社会的欲求(人と繋がりたい・所属したい)、④承認の欲求(認められたい・尊重されたい)、⑤自己実現の欲求(自分の可能性を最大限に発揮したい)の5段階に整理し、下位の欲求が満たされると上位の欲求が生じると考えた。 ハーツバーグ(Herzberg)の二要因理論では、満足感をもたらす「動機づけ要因」(達成感・承認・仕事のやりがい・成長・責任等)と、不満を防ぐが積極的な満足には至らない「衛生要因」(給与・会社の方針・労働条件・職場の人間関係等)を区別した。これは「給料を上げるだけではやる気は出ない」という職場での実感にも合致する理論であり、公認心理師が職場改善を提言する際の根拠として活用できるものである。 【到達目標】 ◆ マズローの欲求5段階説の各段階を具体的に説明できる ◆ ハーツバーグの二要因理論(動機づけ要因・衛生要因)の違いを説明し、職場への応用を述べることができる
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② 動機づけの過程理論──どのように意欲が生まれるか 過程理論は「動機づけはどのようなプロセスで生まれるか」を説明する。ブルーム(Vroom)の期待理論は、「人は『努力すれば成果が出そうだ』という期待、『成果を出せば報酬が得られそうだ』という道具性、報酬の価値(誘意性)の三つを掛け合わせてモチベーションが決まる」と考える。 アダムズ(Adams)の公平理論は「自分の努力と報酬の比率が、他の人と比べて公平かどうか」を人は常に意識しており、不公平感がモチベーションの低下を引き起こすと説明する。 ロック(Locke)とラサム(Latham)の目標設定理論は「具体的で適度に困難な目標を持つことが、最もパフォーマンスを高める」とする。「もっと頑張れ」という曖昧な指示より「今月中に〇〇を完成させる」という具体的な目標の方が効果的であることが研究で確認されている。 これらの理論は「報酬の設計」「評価の公平性」「目標の与え方」という実際のマネジメント実践に直接応用できる知識として重要である。 【到達目標】 ◆ ブルームの期待理論・アダムズの公平理論・ロックの目標設定理論の概要を説明できる ◆ 各理論を職場での動機づけ向上の具体的な施策に関連づけることができる
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③ 自律性と内発的動機づけ──自己決定理論 デシ(Deci)とライアン(Ryan)の自己決定理論は、人が最もやる気を感じ、心理的に健康でいられるためには三つの心理的ニーズが満たされることが重要だとする。①自律性(自分が選んで行動している感覚)、②有能感(うまくできているという感覚)、③関係性(周りの人と意味のある繋がりがある感覚)の三つである。これらのニーズが満たされると、「やれと言われるからやる(外的動機づけ)」ではなく、「やりたいからやる(内発的動機づけ)」へと動機づけの質が高まる。職場においては「上司から強制されず、自分なりの工夫が認められる」「少し難しいが達成感のある仕事がある」「職場で孤立せず支えられている」という環境が内発的動機づけを高める条件となる。 公認心理師はコンサルテーションにおいて管理職に対し、「命令や監視ではなく、部下の自律性を支援するような関わり方(選択肢を与える・理由を説明する・意見を尊重する)」を具体的に提案できる知識として活用できる。 【到達目標】 ◆ 自己決定理論の三つの基本的心理ニーズ(自律性・有能感・関係性)を説明できる ◆ 内発的動機づけを高める職場環境の条件を具体的に説明できる
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④ ワーク・エンゲイジメントとバーンアウト ワーク・エンゲイジメントとは、仕事に対して「活力(エネルギーを持って取り組んでいる)」、「熱意(仕事に誇りや意義を感じている)」、「没頭(仕事に集中していて時間を忘れる)」という三つの状態にある、持続的で肯定的な気持ちのことである(Schaufeli & Bakker)。単純に「忙しい」「仕事が多い」という状態とは異なり、充実感を伴う積極的な関与である。これと対極にあるのが「バーンアウト(燃え尽き症候群)」であり、仕事への意欲・感情的エネルギーが尽き果て、疲弊と無力感が生じる状態である。 JD-Rモデル(Job Demands-Resources Model:仕事の要求度と資源モデル、Bakker & Demerouti)によると、仕事の要求度(業務の過負荷・人間関係の緊張等)と仕事の資源(上司のサポート・自律性・スキルアップの機会等)のバランスがエンゲイジメントとバーンアウトを規定する。資源が豊かであればエンゲイジメントが高まり、要求度が高く資源が乏しければバーンアウトのリスクが高まる。 組織のメンタルヘルス対策においてエンゲイジメントを指標として活用することは、「病気をなくす」だけでなく「元気で働ける職場を作る」というポジティブな方向性を示すものである。 【到達目標】 ◆ ワーク・エンゲイジメントの三要素(活力・熱意・没頭)を説明できる ◆ JD-Rモデルを用いてバーンアウトとエンゲイジメントのメカニズムを説明できる
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⑤ 動機づけを高める職場の工夫 ハックマン(Hackman)とオルダム(Oldham)の職務特性モデルは、「仕事そのものの特性」が内発的動機づけを規定すると考える。具体的には、①技能の多様性(様々なスキルを使えるか)、②課題の完結性(仕事を最初から最後まで担えるか)、③課題の重要性(自分の仕事が他者に影響しているか)、④自律性(どのように仕事を進めるか自分で決められるか)、⑤フィードバック(自分の仕事の結果をすぐ知ることができるか)という5つの特性が内発的動機を高める。管理職へのコンサルテーションにおいて、これらの視点から「部下の仕事にやりがいを持たせる工夫」を具体的に提案することができる。 また、近年注目されている「ジョブ・クラフティング」とは、働く人が自ら「仕事の範囲・関係・意味づけ」を能動的に調整することで仕事への意味や達成感を高める行動である。上から与えられる職務設計だけでなく、本人が主体的に仕事を「やりがいのあるもの」へと整えていく視点も重要である。 【到達目標】 ◆ 職務特性モデルの5つの特性を説明し、動機づけへの影響を述べることができる ◆ ジョブ・クラフティングの概念と職場への応用を説明できる
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キーワード
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① 内容理論 ② 過程理論 ③ 自己決定理論 ④ ワーク・エンゲイジメント ⑤ ジョブ・クラフティング
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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6
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リーダーシップと上司の役割
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科目の中での位置付け
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リーダーシップに関する主要な理論(特性論・行動論・状況論・変革型)を理解し、メンタルヘルス支援における管理職へのコンサルテーションに活かせる知識を習得する。ラインケアという視点から管理職の役割を具体的に理解する。
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池田浩(2020) リーダーシップ. 山口裕幸(編著) 産業・組織心理学.放送大学教育振興会,pp81-98.
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コマ主題細目
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① リーダーシップ理論の展開 ② 変革型リーダーシップ ③ ラインケアと管理職の役割 ④ 上司と部下の関係性──LMX理論 ⑤ フォロワーシップと心理的安全性
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細目レベル
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① リーダーシップ理論の展開 リーダーシップとは「集団や組織の目標達成に向けて、メンバーに影響を与えるプロセス」と定義される。研究の歴史的な展開として、まず「すぐれたリーダーはどんな特性(性格・能力)を持つか」を探る特性アプローチがあった。知性・外向性・誠実性・感情的安定性などがリーダーシップと関連することが研究で確認されているが、特性だけでリーダーの有効性を説明することには限界があった。 次に、「優れたリーダーはどのような行動をするか」を研究する行動アプローチが登場した。代表的なものとして三隅二不二の「PM理論」がある。これは「目標達成機能(P:Performance)」と「集団維持機能(M:Maintenance)」という二つの機能から成るモデルで、PもMも高い「PM型」が最も理想的なリーダーとされている。このPM理論は日本の管理職研修で今でも広く活用されており、公認心理師がラインケア研修を設計する際の基礎知識として重要である。 【到達目標】 ◆ リーダーシップの特性アプローチと行動アプローチの違いを説明できる ◆ PM理論の二次元(P機能・M機能)と四つのタイプを説明できる
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② 変革型リーダーシップ 変革型リーダーシップとは、ビジョンを示し、メンバーの価値観や動機づけを高次のレベルへと変革するリーダーシップのスタイルである(Bass, 1985)。4つの特徴(4I)として、①理想化された影響力(カリスマ的な影響力・信頼感を与える)、②鼓舞的な動機づけ(メンバーに刺激と意欲をもたらす)、③知的刺激(メンバーに新しい視点や創造的な思考を促す)、④個別配慮(メンバー一人ひとりのニーズや成長に注目する)が挙げられる。 変革型リーダーシップの高いリーダーのもとでは、メンバーの職務満足・コミットメント・パフォーマンス・ウェルビーイングが向上するという研究結果が多く出ている。心理的安全性の高い職場文化を作る際にも、リーダーが「ビジョンを示しながら一人ひとりに関心を持つ」変革型の姿勢が重要な役割を果たす。 公認心理師はラインケア研修の中で「部下に対してどのように関わるか」という具体的なコミュニケーション行動について、変革型リーダーシップの視点から管理職に伝えることができる。 【到達目標】 ◆ 変革型リーダーシップの4I(理想化・鼓舞・知的刺激・個別配慮)を説明できる ◆ 変革型リーダーシップと職場のウェルビーイングの関連を説明できる
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③ ラインケアと管理職の役割 「ラインケア」とは、管理職が日常の業務管理の中で部下のメンタルヘルスに積極的に関与する活動のことである。厚生労働省の「四つのケア」の中の一つとして位置づけられている。ラインケアの具体的な行動は「気づく・聴く・つなぐ・見守る」という4つにまとめられる。「気づく」とは、部下の様子の変化(遅刻・欠勤の増加、業務のミスが増える、表情が暗い、発言が減るなど)に早めに気づくことである。「聴く」とは、変化に気づいた部下に声をかけ、話を聴く機会を作ることである。「つなぐ」とは、産業医・保健師・外部相談窓口など適切な支援機関へ紹介することである。「見守る」とは、支援後も継続してフォローすることである。 管理職のメンタルヘルスリテラシー(部下の不調に気づき、適切に対応する能力)の向上は、職場のメンタルヘルス対策の中で最も効果の高い施策の一つとされている。公認心理師はラインケア研修の企画・実施・評価において重要な専門的役割を担う。 【到達目標】 ◆ ラインケアの「気づく・聴く・つなぐ・見守る」の四行動を具体的に説明できる ◆ 公認心理師によるラインケア研修の目的と基本的な内容を説明できる
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④ 上司と部下の関係性──LMX理論 LMX理論(Leader-Member Exchange Theory:リーダーと部下の交換関係理論)は、リーダーと個々のメンバーの間には、質の異なる関係が形成されることに注目した理論である。リーダーと部下が互いに信頼・尊重・義務感を持ち合う「高品質なLMX」を形成しているメンバーは、職務満足・コミットメント・パフォーマンス・心理的健康が高いことが研究で確認されている。一方「低品質なLMX」の関係にある部下は孤立感・不公正感・ストレスを感じやすくなる。 LMX理論が職場支援において意義あることとして、「全員に公平に質の高い関係を築くことがリーダーの重要な役割である」という点がある。「あの人はひいきされている」という不満は低品質LMXを感じたメンバーが感じる典型的な反応であり、チーム内の連帯感や心理的安全性を損なう。 公認心理師はコンサルテーションにおいて「管理職が特定の部下とだけ関係を深めず、全員との質の高い関係を築く工夫」について具体的に提案できる。 【到達目標】 ◆ LMX理論の概念(高品質・低品質LMX)と部下の心理的健康への影響を説明できる ◆ LMX理論の観点から管理職へのコンサルテーション内容を考えることができる
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⑤ フォロワーシップと心理的安全性 リーダーシップ研究が「リーダー中心」から「リーダーとメンバーの関係」へと視点を広げる中で、「フォロワーシップ(follower-ship)」、つまりメンバー側の積極的な貢献の重要性が再評価されている。ケリー(Kelley)のモデルでは、優れたフォロワーは「自律的に判断・行動しながら、チームや組織に積極的に貢献できる人」として描かれる。組織において最も重要な成果を出しているのは実はフォロワーであることが多く、メンバー一人ひとりの積極的な関与が組織全体の力となる。 「心理的安全性」とはエドモンドソン(Edmondson)が提唱した概念で、「このチームでは、対人関係上のリスク(恥をかく・批判される等)を恐れずに発言できる」という共有された信念のことである。Googleの職場研究「プロジェクト・アリストテレス」でもチームの成功に最も重要な要因として確認された。心理的安全性の高い職場では、失敗・懸念・アイデアを率直に話し合えるため、問題の早期発見・チームの学習・革新性・メンタルヘルスの向上につながる。公認心理師は職場の心理的安全性を測定し、その醸成を支援する役割を担いうる。 【到達目標】 ◆ フォロワーシップの概念と優れたフォロワーの特徴を説明できる ◆ 心理的安全性の定義とチームへの影響・醸成方法を説明できる
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キーワード
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① PM理論 ② 変革型リーダーシップ ③ ラインケア ④ LMX理論 ⑤ 心理的安全性
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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7
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職場の人間関係とコミュニケーション
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科目の中での位置付け
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職場における集団力学の基礎・コミュニケーションの促進と障害・コンフリクト(対立)の理解と管理・チームワークの向上について学ぶ。職場の対人関係に関わる問題への支援と組織介入の実践的視点を養う。
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三沢良(2020). 職場の大人関係と組織文化.山口裕幸(編著) 産業・組織心理学.放送大学教育振興会,pp99-112. 山口裕幸(2020).組織の情報処理とコミュニケーション.山口裕幸(編著) 産業・組織心理学.放送大学教育振興会,pp113-129.
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コマ主題細目
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① 集団の心理──グループダイナミクス ② 職場のコミュニケーション ③ コンフリクト(対立)の理解と管理 ④ ハラスメントの対人関係的側面 ⑤ チームワークの向上と協働
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細目レベル
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① 集団の心理──グループダイナミクス グループ・ダイナミクス(集団力学)とは、集団における人々の行動・態度・心理が集団全体の影響によってどのように変化するかを研究する領域である。職場でも部署・チーム・プロジェクトグループなど様々な集団の中で働くため、この視点は重要である。 チームはどのように発展するのかを示したモデルとして、タックマン(Tuckman)の集団発達モデルがある。①形成期(メンバーが初めて集まり、お互いを探り合う段階)、②嵐期(意見の対立・役割争いが生じる段階)、③規範化期(ルールや役割分担が整い、協力関係が生まれる段階)、④遂行期(チームとして高い成果を出せる段階)、⑤解散期(チームが目的を達成し解散する段階)という流れである。「チームがうまくいかない」という相談を受けたとき、「今どの段階にいるか」を把握することで適切な支援の方向性を見立てられる。集団凝集性(チームのまとまりの強さ)が高いと協力しやすくなるが、凝集性が強すぎると「集団思考(グループシンク)」といって批判的な意見が出にくくなるリスクもある。 【到達目標】 ◆ タックマンの集団発達モデルの5段階を説明できる ◆ 集団凝集性と集団思考の概念および職場への影響を説明できる
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② 職場のコミュニケーション コミュニケーションは職場の機能の根本をなす社会的プロセスであり、その質が職場の雰囲気・問題解決・メンタルヘルスに直接影響する。職場のコミュニケーションは「公式コミュニケーション(報告・連絡・相談など正式な手続き)」と「非公式コミュニケーション(雑談・インフォーマルな情報交換等)」に大別される。コミュニケーションを妨げる主な要因として、①情報の不足や過多、②言葉の意味の取り違え、③先入観・偏見、④感情的な緊張(恐れ・怒り等)、⑤組織の階層(上下関係で言えないことが増える)などが挙げられる。 「アサーティブ・コミュニケーション」とは、自分の気持ちや意見を正直に・率直に・対等に表現しながら、相手の権利も尊重するコミュニケーションスタイルであり、職場の人間関係のトレーニングとして広く実施されている。「積極的傾聴(アクティブリスニング)」は、相手の話をただ聞くのではなく、感情・内容・意図を積極的に理解しようとする聴き方であり、公認心理師の基本的なスキルの一つである。 また、近年はテレワークやオンライン会議の増加によりコミュニケーションの形が変化しており、その対応も現代的な課題となっている。 【到達目標】 ◆ 職場のコミュニケーションを妨げる主な要因を説明できる ◆ アサーティブ・コミュニケーションと積極的傾聴の概念を説明できる
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③ コンフリクト(対立)の理解と管理 職場のコンフリクト(conflict:対立・意見の衝突)は、人間関係の問題として捉えられがちだが、適度なコンフリクトは新しいアイデアの創出や意思決定の質を高める効果があることも分かっている。コンフリクトには「課題コンフリクト(意見や判断の違いによる対立)」と「関係コンフリクト(感情的な対立・個人的な敵対)」があり、課題コンフリクトは上手く管理すればプラスの効果があるが、関係コンフリクトは常に有害とされる。 トーマス(Thomas)のコンフリクト管理スタイルモデルでは、「自分の利益を主張する度合い(主張性)」と「相手の利益に配慮する度合い(協力性)」の二軸から、競合(強く主張・協力しない)・協調(ともに最善策を探る)・妥協(双方が少し譲る)・回避(問題を避ける)・服従(相手に従う)という5スタイルが導かれる。 公認心理師はコンフリクトを抱える当事者への個別相談と、管理職への「どう介入すべきか」のコンサルテーションという両面で貢献できる。倫理的には、複数の当事者に関わる場合の公平性・中立性の維持が重要となる。 【到達目標】 ◆ 職場のコンフリクトの種類(課題・関係)と適切な理解を説明できる ◆ トーマスのコンフリクト5スタイルを場面に応じて説明できる
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④ ハラスメントの対人関係的側面 ハラスメントは対人関係の問題として理解する視点も重要である。第3回では法制度について学んだが、本回では心理学的な観点からハラスメントを捉える。 ハラスメントが起きやすい職場には、①権力の不均衡(上下関係が強固で意見を言えない)、②孤立した人間関係(特定の人が孤立している)、③承認・感謝の欠如(頑張りが認められない文化)、④過度のストレス(追い詰められた管理職が部下にあたる)などの特徴がある。 ハラスメントを受けた人の心理的影響として、PTSDに類似したストレス反応・回避・自己否定・職場への恐怖・睡眠障害・うつ・仕事の継続困難などが生じることがある。支援においては「被害者を責めない」「安全・信頼を第一に」「ペースに寄り添う」というトラウマを意識したアプローチ(トラウマインフォームドケア)が重要である。加害者とされる人への対応や組織への予防提言においても、公認心理師は専門的な視点から関与することができる。予防的な取り組みとして、職場の心理的安全性の醸成・良好なコミュニケーション文化の形成が最も根本的な対策となる。 【到達目標】 ◆ ハラスメントが起きやすい職場の対人関係的特徴を説明できる ◆ トラウマインフォームドケアの基本的な視点を説明できる
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⑤ チームワークの向上と協働 高いチームワークを発揮できる職場の条件として研究が確認しているのは、①明確な共通の目標と役割分担、②相互に補い合うスキルの組み合わせ、③心理的安全性(第6回参照)、④効果的なコミュニケーション(こまめなフィードバック・情報共有)、⑤お互いに学び合える雰囲気の5つである。 チームビルディングとは「チームワークを意図的に向上させるための介入活動」であり、研修・ワークショップ・体験型プログラム・ワールドカフェ(小グループで様々なテーマを対話する手法)などの方法が活用される。公認心理師がチームビルディングの場でファシリテーター(対話や問題解決を中立的に支援する役割)として関わることで、グループダイナミクスの専門知識を活かした支援が可能となる。 医療・福祉・教育など公認心理師が活躍する様々な職場でも、専門職間の連携(多職種チーム)を円滑にするためのチームワーク向上の視点は欠かせない。「自分のチームも一つの組織だ」という意識が、公認心理師が実践においてチームを機能させる力に繋がる。 【到達目標】 ◆ 高いチームワークを発揮する職場の条件5つを説明できる ◆ チームビルディング介入の代表的な方法と公認心理師の役割を説明できる
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キーワード
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① グループダイナミクス ② 職場のコミュニケーション ③ 職場のコンフリクト ④ 職場のハラスメント ⑤ チームビルディング
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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職場における心理的アセスメント
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科目の中での位置付け
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産業・組織場面でのアセスメント(評価)の目的・方法・ストレスチェック制度の実務・倫理的配慮を体系的に理解する。個人と職場の双方を評価する視点を養い、アセスメント結果から支援計画へと結びつける実践的思考を習得する。
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三沢良(2020).職場のストレス.山口裕幸(編著) 産業・組織心理学.放送大学教育振興会,pp146-158.
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コマ主題細目
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① 産業場面のアセスメントの目的と考え方 ② アセスメントの方法──面接・質問紙・観察 ③ ストレスチェック制度の概要と実務 ④ 職場環境と個人の適合を評価する ⑤ アセスメントにおける倫理的配慮
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細目レベル
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① 産業場面でのアセスメント(心理的評価)とは、職場における問題を「誰に」「何が」「なぜ」起きているかを体系的に把握するプロセスである。臨床場面との大きな違いは、「個人」だけでなく「集団」「組織全体」を評価対象に含む点である。 産業場面でのアセスメントの主な目的は4つある。①問題の所在と性質の把握(個人の心理的特性が原因か、職場環境の問題か、組織の仕組みの問題か)、②支援方針と介入水準の決定(個人への直接支援か、チームへの介入か、組織全体の仕組み変更か)、③支援効果の評価(支援の前後で変化があったかを確認する)、④予防的なリスクの特定(早めに介入が必要な人・部署・問題の把握)である。 アセスメントの基本原則として「目的を明確にしてから方法を選ぶ」「一つの方法だけで判断しない(複数の情報源を組み合わせる)」「結果は支援につなげる」という3点が重要である。アセスメントは「人を評価・評定するためのもの」ではなく「問題を理解し、支援を最適化するためのプロセス」として捉えることが専門的姿勢の基本となる。 【到達目標】 ◆ 産業場面のアセスメントの4つの目的を説明できる ◆ アセスメントの基本原則(目的の明確化・複数の情報・支援につなげる)を説明できる
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② アセスメントの方法──面接・質問紙・観察 産業・組織場面のアセスメントには、大きく分けて以つぎの4つの方法がある。①面接法:個人面談(本人から直接話を聴く)やグループインタビュー(複数の人から職場の様子を聴く)があり、質問紙では分からない背景・文脈・感情的な側面を把握できる利点がある。②質問紙法(調査票):多くの人から一度にデータを集めるのに適している。 「職業性ストレス簡易調査票(57項目版・80項目版)」は産業場面で最も広く使われるツールであり、仕事のストレス要因・ストレス反応・職場のサポートなどを測定する。③観察法:職場巡視(実際の作業現場を見て回る)や会議への参加観察などを通じて、実際の働き方・コミュニケーション・環境を直接確認できる。④客観的データ分析:欠勤率・離職率・残業時間・産業保健相談件数などのデータを用いて職場全体の健康リスクを把握する。 これらの方法にはそれぞれ強みと限界があるため、複数の方法を組み合わせる「ミックスメソッドアプローチ」によって、より信頼性の高い総合的なアセスメントが可能となる。 【到達目標】 ◆ 産業場面の主なアセスメント方法(面接・質問紙・観察・データ分析)の特徴を説明できる ◆ 職業性ストレス簡易調査票の目的と活用方法を概説できる
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③ ストレスチェック制度の概要と実務 ストレスチェック制度は2015年の労働安全衛生法改正により、常時50人以上の従業員がいる事業場に義務化された制度である。その主な目的は「メンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)」である。実施の流れは次の通りである。①ストレスチェックの実施(原則年1回・職業性ストレス簡易調査票等を使用)。②高ストレス者への面接指導(本人が申し出た場合、医師による面接を実施)。③集団分析(部署・職種ごとにストレスの状況を集計し、職場環境の改善に活用する)。 ストレスチェックの実施者として、産業医・保健師とともに公認心理師が法律に明記されており(2021年法改正)、これは産業場面での公認心理師の専門的地位の向上を示す重要な変化である。 重要な倫理的事項として、「個人のストレスチェック結果を、本人の同意なく事業者に提供することは法律で禁じられている」という点があり、高ストレス者に対して不利益な取り扱いをしてはならないことも定められている。集団分析の結果を活用した参加型の職場環境改善活動の支援も、公認心理師の重要な貢献領域となる。 【到達目標】 ◆ ストレスチェック制度の法的根拠と実施の流れ(個人結果・集団分析・面接指導)を説明できる ◆ ストレスチェックに関連する守秘・倫理的事項を説明できる
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④ 職場環境と個人の適合を評価する アセスメントにおいて「個人の特性」と「職場環境の特性」がどのように合っているか(適合・フィット)を評価する視点は重要である。P-O適合(Person-Organization fit)とは「その人の価値観・目標と、組織の文化・価値観がどのくらい一致しているか」を指す。P-J適合(Person-Job fit)とは「その人のスキル・能力・興味と、担っている仕事の要件がどのくらい一致しているか」を指す。適合度が低いと、ストレスの増加・仕事への不満・バーンアウト・離職意図が高まることが多くの研究で確認されている。 面接を通じて「今の仕事が自分に合っていると感じますか」、「会社の方針や文化に共感していますか」などを尋ねることで、適合度の低さが不調の原因になっていないかを把握できる。復職支援においても、「以前と同じ部署・同じ仕事に戻ることが本人に合っているか」という適合の評価が、再発防止の観点から非常に重要である。適合度を高めるためには個人のスキルアップだけでなく、職場環境や業務内容の側を調整するという視点も必要である。 【到達目標】 ◆ P-O適合・P-J適合の概念と精神健康との関連を説明できる ◆ 適合の評価をアセスメントと支援計画に活用する方法を説明できる
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⑤ アセスメントにおける倫理的配慮 産業場面のアセスメントには、固有の倫理的な配慮が必要である。インフォームドコンセントの徹底として、アセスメントを実施する前に「何のためにどのような評価を行うか」、「結果をどのように使うか」、「守秘の範囲と例外は何か」を相手に分かりやすく説明し、自発的な同意を得ることが不可欠である。特にストレスチェックでは、「これに回答しないと不利益がある」などのプレッシャーをかけてはならない。 また、心理検査を使う場合は、その検査が何を測るのか、限界は何かを理解した上で使用し、結果を「その人のすべてを表すもの」として扱わない慎重さが求められる。アセスメント結果を人事評価に使用したり、不利益な配置転換の根拠にしたりすることは倫理的に認められない。結果の保管についても、個人情報として適切にセキュリティ管理することが求められる。倫理的な実践の基本は「この評価は本人の利益になっているか」という問いを常に忘れないことであり、組織の都合より個人の権利と尊厳を守ることが専門職としての根幹である。 【到達目標】 ◆ 産業場面のアセスメントにおける倫理的配慮のポイント(インフォームドコンセント・結果の使用・保管)を説明できる ◆ アセスメント結果の不適切な使用(人事への転用等)の問題を説明できる
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キーワード
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① 産業場面のアセスメント ② 職業性ストレス簡易調査票 ③ ストレスチェック制度 ④ P-O適合、P-J適合 ⑤ インフォームドコンセント
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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職業性ストレスのしくみ──ストレスモデルの理解
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科目の中での位置付け
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職場に固有のストレスを説明する主要なモデルを理解し、ストレスの仕組みを個人と職場環境の相互作用として捉える視点を養う。ストレス反応の知識を個人への支援と職場環境の改善に結びつける考え方を習得する。
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三沢良(2020).職場のストレス.山口裕幸(編著) 産業・組織心理学.放送大学教育振興会,pp146-158.
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コマ主題細目
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① ストレスとは何か──ラザルスのトランザクショナルモデル ② 職業性ストレスの主要モデル ③ バーンアウトの理解 ④ 過労・長時間労働と精神健康 ⑤ ストレスに影響する個人差要因
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細目レベル
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① ストレスとは何か──ラザルスのトランザクショナルモデル 「ストレス」という言葉は日常的によく使われるが、心理学的には「外部からの刺激(ストレッサー)が個人の対処能力を超えると知覚されたときに生じる心身の緊張状態」と理解される。ラザルス(Lazarus)とフォルクマン(Folkman)のトランザクショナルモデル(取引的モデル・交互作用モデル)では、「ストレッサー→認知的評価→コーピング→ストレス反応」というプロセスを提示している。「ストレッサーの大きさそのもの」ではなく、「その人がそれをどう受け取るか(認知的評価)」がストレス反応を規定するという点が重要である。 認知的評価には「一次評価(これは自分にとって脅威か?)」と「二次評価(自分はこれに対処できるか?)」がある。コーピング(coping:対処行動)は「問題焦点型(ストレッサーに直接働きかける)」と「情動焦点型(感情を調整する)」に大別されるが、どちらが優れているのではなく、状況に応じた使い分けが重要である。このモデルは職場のストレスを理解する際の基本的な枠組みとして、公認心理師が個別の相談支援でも、組織的な予防研修でも活用できる。 【到達目標】 ◆ ラザルスのトランザクショナルモデルの概要(ストレッサー→評価→コーピング→反応)を説明できる ◆ 問題焦点型と情動焦点型コーピングの違いと使い分けを説明できる
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② 職業性ストレスの主要モデル 職場に固有のストレスを理解するための主要なモデルが三つある。一つ目はカラセク(Karasek)の「職務要求度─コントロールモデル(DC モデル)」である。仕事の要求度(どれだけ多忙・困難か)が高く、コントロール(仕事の進め方を自分で決められる度合い)が低い状態を「等緊張(高緊張)」状態と呼び、最もストレスが高く、心臓疾患や精神疾患のリスクを高めることが実証されている。二つ目はシグリスト(Siegrist)の「努力─報酬不均衡(ERI)モデル」であり、「一生懸命働いているのに給料・評価・感謝・地位が見合わない」という不均衡の感覚が強いストレスの原因になると説明する。三つ目は第5回で紹介したJD-Rモデルであり、仕事の要求度と資源(サポート・自律性・成長機会等)のバランスがバーンアウトとエンゲイジメントを規定する。 これらのモデルはそれぞれ異なる視点から職場ストレスを捉えており、組織の状況に応じて活用するモデルを選ぶことが実践上の判断となる。 【到達目標】 ◆ DCモデル・ERIモデル・JD-Rモデルの概要を説明できる ◆ 各モデルが示す高リスクな職場環境の特徴を具体的に説明できる
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③ バーンアウトの理解 バーンアウト(burnout:燃え尽き症候群)とは、長期間にわたるストレスによって感情的なエネルギーが枯渇し、仕事への意欲・関心・有能感が失われていく状態である。マスラック(Maslach)の三次元モデルでは、①情緒的消耗感(疲れ果てた感覚・感情的リソースの枯渇)、②脱人格化(相談者や同僚への冷淡な態度・感情の切り離し)、③個人的達成感の低下(仕事への有能感・貢献感の喪失)という三つの側面から理解される。 バーンアウトになりやすい職場環境の特徴として、①仕事量が過大で休む余裕がない、②自分で仕事の進め方を決められない、③頑張りが承認・評価されない、④職場の仲間意識・つながりが希薄、⑤公平さへの感覚がない(評価・規則の不公正)、⑥自分の価値観と職場の価値観が大きく異なる、という6領域が挙げられている。 また、MBI(マスラック・バーンアウト・インベントリー)という標準的な測定ツールがある。バーンアウトの回復には、個人のコーピングスキルの改善とともに、職場環境側の改善(過負荷の軽減・自律性の付与・承認文化の醸成等)の両方が必要である。 【到達目標】 ◆ バーンアウトの三次元モデル(情緒的消耗感・脱人格化・達成感低下)を説明できる ◆ バーンアウトが起きやすい職場環境の特徴(6領域)を説明できる
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④ 過労・長時間労働と精神健康 日本では「過労死」「過労自殺」という言葉が示すように、長時間労働が生命に関わる深刻な問題として認識されている。長時間労働が精神健康に与える影響として、睡眠不足・疲労の蓄積・認知機能の低下・ストレス反応の増加・うつ・不安などが挙げられる。厚生労働省の認定基準では、発症前1ヶ月に100時間以上、または2〜6ヶ月に月平均80時間以上の残業(いわゆる「過労死ライン」)を超えると脳・心臓疾患や精神疾患のリスクが高まるとしている。 さらに、近年問題となっているのが「プレゼンティーイズム(presenteeism)」という概念である。これは「出勤しているが、心身の健康問題によって仕事の効率が著しく低下している状態」を指し、欠勤(アブセンティーイズム)よりも組織への経済的損失が大きいとされる。「元気そうに見えるが実は機能していない」状態に気づくことの難しさが問題であり、管理職が日常的に部下の様子を把握するラインケアの重要性に繋がる。2019年の働き方改革関連法による残業時間の上限規制は過労防止の重要な制度的取り組みである。 【到達目標】 ◆ 長時間労働が精神健康に与える影響と過労死ラインの概念を説明できる ◆ プレゼンティーイズムの意味とその把握・対応の重要性を説明できる
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⑤ ストレスに影響する個人差要因 同じ職場環境においても、ストレス反応の強さや回復速度は個人によって異なる。このような個人差を生む要因として次の5つが重要である。 ①ソーシャルサポート(職場や家庭での周囲の人的支援):上司・同僚・家族からの情緒的支援・情報提供・具体的な助けが、ストレス反応を緩和する「バッファー効果(緩衝効果)」を持つことが実証されている。 ②コーピングスタイル:どのような対処行動を取りやすいかという個人の傾向。 ③自己効力感(self-efficacy):「自分はこの状況に対処できる」という自信の程度。自己効力感が高い人はストレッサーへの対処力が高い。 ④楽観性・レジリエンス(回復力):困難な状況からの回復を促進する個人特性。 ⑤パーソナリティ:特に神経症傾向(不安を感じやすい傾向)が高い人は同じ状況でもストレスを感じやすい傾向がある。 これらの個人差要因を理解することで、より精度の高いリスクの把握と個人に合わせた支援が可能となる。ただし「ストレスに弱い個人のせい」にするのではなく、「環境側にも問題がある可能性を常に視野に置く」という視点を忘れないことが重要である。 【到達目標】 ◆ ストレスを緩和する個人差要因(ソーシャルサポート・自己効力感・レジリエンス等)を説明できる ◆ 個人差要因の理解をアセスメントと個別支援に活用する方法を説明できる
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キーワード
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① トランザクショナルモデル ② 職業性ストレス ③ バーンアウト ④ 長時間労働が精神健康に与える影響、プレゼンティーイズム ⑤ ソーシャルサポート
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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職場のメンタルヘルス対策の全体像
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科目の中での位置付け
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職場のメンタルヘルス対策を「一次・二次・三次予防」という3段階の枠組みと「4つのケア」で体系的に理解する。ストレスチェック制度・セルフケア・ラインケア・組織的施策の具体的な内容を習得し、公認心理師の役割を明確化する。
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池田浩(2020). 職場のメンタルヘルス対策. 山口裕幸(編著) 産業・組織心理学.放送大学教育振興会,pp159-179.
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コマ主題細目
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① 3段階の予防モデル ② 4つのケアの枠組み ③ セルフケアの支援 ④ ストレスチェックの活用 ⑤ 組織としてのメンタルヘルス推進
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細目レベル
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① 三段階の予防モデル 職場のメンタルヘルス対策を整理する際の基本的な枠組みとして「一次予防・二次予防・三次予防」という3段階の概念が広く使われる。一次予防は「問題が起きる前に予防すること」であり、職場環境の改善(仕事量の適正化・コミュニケーション改善・ハラスメント防止等)と個人のストレス対処能力の向上(メンタルヘルス研修・マインドフルネス訓練等)が中心となる。二次予防は「早期発見・早期対応」であり、ストレスチェック・ラインケアによる部下の変化への気づき・相談しやすい窓口の設置などが含まれる。三次予防は「発症した後の治療・回復・再発防止」であり、休職中の支援・職場復帰支援(リワーク)・復帰後のフォローアップが中心となる。 日本の職場のメンタルヘルス対策はこれまで二次・三次予防(問題への事後対応)が中心だったが、近年は一次予防(問題の予防・積極的な健康づくり)の重要性が高まっている。ポジティブメンタルヘルスという考え方は「病気をなくすだけでなく、活き活きと働ける状態を積極的に作る」という方向性を示している。 【到達目標】 ◆ 一次・二次・三次予防の内容の違いを職場の具体例で説明できる ◆ ポジティブメンタルヘルスの視点と従来の対策との違いを説明できる
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② 四つのケアの枠組み 厚生労働省のメンタルヘルス指針(2015年改定版)では次の「4つのケア」という枠組みが示されている。 ①セルフケア:働く人自身がストレスの状態に気づき、適切な対処行動をとること。 ②ラインケア:管理職(ライン管理職)が日常の業務管理の中で部下のメンタルヘルスに関与すること(第6回参照)。 ③事業場内産業保健スタッフによるケア:産業医・保健師・公認心理師等が専門的立場から直接支援・相談対応・教育・組織提言を行うこと。 ④事業場外資源によるケア:外部のEAP(従業員支援プログラム)機関・精神科医・公的機関(産業保健総合支援センター等)との連携・活用である。 この4つのケアは互いに補い合う関係にあり、どれか一つだけが機能すれば十分というものではなく、それぞれが連携して機能することで効果的なメンタルヘルス対策が実現する。公認心理師は主として③の「事業場内産業保健スタッフ」として機能するが、①のセルフケア研修や②のラインケア研修を担当したり、④の外部資源と連携する役割も担う。 【到達目標】 ◆ 「四つのケア」の内容と相互関係を説明できる ◆ 公認心理師が四つのケアの中でどのように関与するかを説明できる
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③ セルフケアの支援 セルフケアとは「働く人が自分のストレスの状態に気づき、適切に対処する力」を持つことであり、4つのケアの中で最も基盤となるものである。セルフケア教育の主な内容として、①ストレスとは何かを知り、自分がどのようなストレス反応を示しやすいかを理解する(自己理解)、②自分に合ったコーピング(対処行動)を複数持つ(例:運動・趣味・人に話す・気分転換等)、③職場内外の相談窓口・支援機関を知っておく(相談する習慣を持つ)、④生活習慣(睡眠・食事・運動・アルコール管理等)を整える、という4つが挙げられる。 ストレスチェックは個人が自分のストレス状態を定期的に確認する機会となり、セルフケアのツールとして位置づけられる。注意点として「セルフケアを強調しすぎると、職場環境の問題を個人の責任にしてしまうリスクがある」という点がある。公認心理師はセルフケア研修の企画・実施において「個人ができることを伝えながらも、職場環境の問題にも目を向ける」バランスの視点を持ち続けることが重要である。 【到達目標】 ◆ セルフケア教育の主な内容(自己理解・コーピング・相談・生活習慣)を説明できる ◆ セルフケアを過度に強調することのリスクを説明できる
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④ ストレスチェックの活用 ストレスチェック制度(第8回参照)の結果は、個人への支援と組織的な改善活動の両方に活用できる。個人レベルの活用として、高ストレス者と判定された人が本人の意思で医師面接を申し出ることができる。医師面接の結果、就業上の措置(時間外労働の制限・休日出勤の禁止・職場環境の改善等)が取られる場合がある。 組織・集団レベルの活用として「集団分析」がある。集団分析とは、部署・職種・年代などのグループ別にストレスの平均的な状態を集計したものであり、「どの部署のストレスが高いか」「職場のどのような特性(仕事の要求度・裁量・サポート等)が問題か」を把握できる。この集団分析の結果をもとに「参加型職場環境改善活動」を実施することが推奨されている。 参加型改善活動とは、職場のメンバーが自ら「何が問題か」「どうすれば改善できるか」を話し合い、改善策を立案・実施するボトムアップ型のアプローチである。公認心理師はこの改善活動のファシリテーター(対話を促進する役割)として貢献できる。 【到達目標】 ◆ ストレスチェック結果の個人レベル・集団レベルの活用方法を説明できる ◆ 集団分析を用いた参加型職場環境改善活動の概要を説明できる
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⑤ 組織としてのメンタルヘルス推進 個人やチームレベルの取り組みだけでなく、組織全体としてメンタルヘルスを推進する体制を整えることが持続的な対策の基盤となる。組織的な取り組みの柱として、①メンタルヘルス推進計画の策定(衛生委員会等で計画を立て、実施・評価・改善のサイクルを回す)、②相談窓口・体制の整備(社内の相談窓口・外部EAP・産業医面談等を整える)、③データを活用した課題把握(ストレスチェック集団分析・欠勤率・離職率等のデータを定期的にモニタリングする)、④健康経営の推進(従業員の健康を経営の視点で位置づけ、積極的に投資する考え方)が挙げられる。 健康経営とは「従業員の健康を守ることは、コストではなく組織の生産性・人材確保・企業ブランドへの投資である」という考え方であり、近年企業の間で広がっている。公認心理師は経営層や人事部門へのコンサルテーションにおいて、メンタルヘルス施策の必要性を「経営的な言葉(コスト・リスク・投資対効果等)」でも説明できる能力が実践的に重要となる。 【到達目標】 ◆ 組織的なメンタルヘルス推進の主な取り組み(計画・体制・データ活用)を説明できる ◆ 健康経営の概念とその意義を説明できる
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キーワード
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① ポジティブメンタルヘルス ② 職場における4つのケア ③ セルフケア教育 ④ ストレスチェックの集団分析 ⑤ 健康経営
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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職場復帰支援──休職から復職へのプロセス
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科目の中での位置付け
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メンタルヘルス不調による休職者への職場復帰支援の全体プロセスを理解し、産業医・主治医・人事担当者との多職種連携のあり方を習得する。合理的配慮・フォローアップ・再発防止の方法を実践的に学ぶ。
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大塚泰正(2019). 職場のメンタルヘルス. 芳賀繁(編) より良い仕事のための心理学. 北大路書房. pp115-147.
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コマ主題細目
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① 職場復帰支援の5段階プロセス ② リワークプログラム ③ 産業医・主治医との連携 ④ 合理的配慮と職場調整 ⑤ フォローアップと再発予防
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細目レベル
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① 職場復帰支援の5段階プロセス メンタルヘルス不調により休職した労働者への職場復帰支援について、厚生労働省の「職場復帰支援の手引き」は5段階のプロセスを示している。 第1段階「病気休業開始及び休業中のケア」では、休業に入る際の手続き・休業中の連絡方法の確認・療養に専念できる環境の調整・必要に応じた相談対応などを行う。 第2段階「主治医による職場復帰可能の判断」では、主治医が職場復帰が可能かどうかを判断した意見書を提出する。 第3段階「職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成」では、産業医が意見を述べ、会社が最終的な判断と復帰計画(試し出勤・短時間勤務・業務の限定等)を策定する。 第4段階「最終的な職場復帰の決定」では、事業者が産業医の意見を踏まえて職場復帰を正式に決定する。 第5段階「職場復帰後のフォローアップ」では、定期的な面談・再発徴候への早期対応・職場環境の継続的な調整を行う。 公認心理師は主として①休業中の心理的サポート・③プランへの心理的観点の反映・⑤フォローアップ面談において専門的な役割を担う。 【到達目標】 ◆ 職場復帰支援の5段階プロセスの内容を説明できる ◆ 各段階における公認心理師の役割を具体的に述べることができる
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② リワークプログラム リワーク(Return to Work)プログラムとは、精神疾患・メンタルヘルス不調による休職者が職場に戻る前の準備を支援する構造化されたプログラムである。提供形態は主に3つある。 ①医療機関型(精神科デイケアを活用):精神科・心療内科でのプログラムで、医療スタッフによる包括的な支援が受けられる。 ②障害者職業センター型(職業リハビリテーション):障害者職業センターが提供する職業的なリハビリに特化したプログラム。 ③事業場内型:会社が独自に設けたプログラムで、職場環境に近い状態でのリハビリができる。 プログラムの典型的な内容として、①生活リズムの安定化(毎日決まった時間に通所する訓練)、②認知行動療法(思考パターンの見直し・問題解決スキルの習得)、③マインドフルネス訓練(ストレス耐性の向上)、④集中力・作業持続性の回復訓練、⑤対人スキルのトレーニング、⑥心理教育(自分の疾患・不調の理解と再発防止)などが含まれる。 公認心理師はリワークプログラムにおいて、個別面談・集団プログラムの運営・職場や医療機関との連絡調整など多面的な役割を担う。 【到達目標】 ◆ リワークプログラムの三つの形態(医療機関・障害者職業センター・事業場内)を説明できる ◆ リワークプログラムの主な構成要素(生活リズム・CBT・マインドフルネス等)を説明できる
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③ 産業医・主治医との連携 職場復帰支援は、公認心理師・産業医・主治医・保健師・人事担当者・管理職など多くの関係者が協力して行うチームアプローチが基本となる。産業医の役割は「就業可能性の医学的判断」と「就業上の措置(時間外労働の制限・業務の限定・配置転換等)に関する意見提供」であり、労働安全衛生法に基づく法的な機能を持つ。公認心理師は産業医との連携において、①心理アセスメントの情報(認知機能・ストレス状態・コーピング力・対人関係等)を共有する、②復帰後の心理的サポート計画を一緒に検討する、という補完的な役割を担う。 主治医との連携では、職場の具体的な情報(どのような業務が復帰後に求められるか・職場のストレス状況等)を本人の同意を得た上で主治医に提供することが有用である。人事担当者との連携では「合理的配慮の具体的な内容の設計・提案」において心理職の専門知識が活かされる。連携においては必ず「本人の同意を得てから情報を共有する」という原則を守ることが倫理的に不可欠である。 【到達目標】 ◆ 産業医・主治医・人事担当者それぞれとの連携における公認心理師の役割を説明できる ◆ 連携における守秘義務と情報共有の倫理的原則(本人同意)を説明できる
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④ 合理的配慮と職場調整 合理的配慮とは「障害を持つ人が不当な差別を受けずに働けるよう、社会的障壁を除去するために必要かつ適当な変更・調整を行うこと」であり、障害者差別解消法・障害者雇用促進法(2016年改正)に基づく法的義務である。精神障害・発達障害・メンタルヘルス不調に関連した合理的配慮の具体例としては、①業務量・業務内容の段階的な調整(最初は軽い業務から)、②勤務時間の配慮(短時間勤務・フレックスタイム活用)、③コミュニケーション方法の工夫(口頭指示だけでなく書面でも確認する・仕事の優先順位を明確にする)、④定期的な面談の実施(困ったことを相談できる機会の確保)、⑤休憩できるスペースの確保などが挙げられる。「全員一律の配慮ではなく、その人の特性とニーズに合わせた個別最適な調整」が重要である。 公認心理師は本人・職場・管理職・人事担当者と対話しながら「本人にとって必要な配慮は何か」を専門的な立場から整理し、提案することができる。過剰な配慮も不十分な配慮もどちらも問題があるため、継続的な評価と調整が必要である。 【到達目標】 ◆ 合理的配慮の法的根拠と精神障害・発達障害に関連した具体例を説明できる ◆ 個別最適な合理的配慮を設計する際の公認心理師の役割を説明できる
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⑤ フォローアップと再発予防 職場復帰後のフォローアップは再発防止において特に重要な支援段階である。うつ病の再発率は治療後1〜2年以内に約50%とされており、復帰後も継続的なモニタリングと支援が欠かせない。フォローアップ面談では、①仕事への適応状況と業務負担の確認、②ストレス反応(睡眠・疲労・気分等)のモニタリング、③服薬状況と主治医受診の確認、④合理的配慮の効果評価と必要に応じた調整、⑤再発のサインへの本人の気づきと報告のしやすさの確認、が主な内容となる。 フォローアップの頻度は復帰直後(週1〜2回の短時間確認等)→安定期(月1回程度)→維持期(数ヶ月に1回)というように段階的に少なくしていくことが多い。再発予防においては、「本人自身が自分の再発のサインを知っていること」、「困ったら早めに相談する習慣」、「睡眠・運動・食事・アルコール管理などの生活習慣の維持」という3つの柱を本人が内面化することが重要である。公認心理師はフォローアップ面談を通じてこれらの力をともに育てていく役割を担う。 【到達目標】 ◆ フォローアップ面談の内容と段階的な頻度調整の考え方を説明できる ◆ 再発予防の三本柱(自己理解・相談習慣・生活管理)を説明できる
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キーワード
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① 職場復帰支援 ② リワークプログラム ③ 産業医・主治医 ④ 合理的配慮と職場調整 ⑤ 再発予防
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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ダイバーシティとワーク・ライフ・バランス
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科目の中での位置付け
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職場における多様性(ダイバーシティ)・障害者雇用・ワーク・ライフ・バランス・両立支援について理解する。多様な背景を持つ人々が活躍できる職場環境の条件と、公認心理師として関与できる支援の形を把握する。
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コマ主題細目
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① ダイバーシティとインクルージョン ② 障害者雇用と就労支援 ③ ワーク・ライフ・バランスの考え方 ④ 治療と仕事の両立支援 ⑤ 現代の多様な働き方と心理的課題
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細目レベル
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① ダイバーシティとインクルージョン ダイバーシティ(多様性)とは職場に様々な属性・背景を持つ人々がいることを指し、見えやすい多様性(性別・年齢・国籍・身体的特性等)と見えにくい多様性(価値観・考え方・経験・障害等)の両方を含む。 インクルージョン(包摂・包容)とは「すべての人が尊重され、自分の能力を十分に発揮できる」職場文化・環境のことである。「数だけ多様な人を集めれば良い」のではなく、インクルーシブな文化がなければ多様性は組織の力に転化しないことが研究で明らかになっている。多様性が高い職場での創造性・問題解決力・意思決定の質の向上は、インクルーシブな文化が土台となってはじめて実現する。 また、「無意識のバイアス(アンコンシャスバイアス)」とは、採用・評価・昇進の場面で意識せずに生じる偏見や思い込みのことであり、例えば「リーダーは男性のイメージ」「外国人は管理職に向かない」といった根拠のない前提が差別を生む。公認心理師はダイバーシティ・インクルージョンに関する研修設計・組織診断・コンサルテーションを通じて職場の多様性推進に貢献できる。 【到達目標】 ◆ ダイバーシティとインクルージョンの概念とその関係を説明できる ◆ 無意識のバイアスの意味と職場での影響を説明できる
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② 障害者雇用と就労支援 障害者雇用促進法は民間企業に法定雇用率(2024年時点で2.5%)を義務付け、障害を持つ人の雇用機会の確保を図っている。精神障害・発達障害(自閉スペクトラム症・ADHD・限局性学習症等)を持つ人の雇用は近年増加しているが、定着支援が課題となっている。 精神障害・発達障害を持つ人の職場定着を支援するポイントとして、①本人の障害特性をアセスメントによって理解する(何が得意で何が難しいか)、②合理的配慮の具体的な内容を職場と本人で合意する(第11回参照)、③定期的なフォロー面談で早期の問題把握と対処を行う、④職場の上司・同僚へのサポート(障害理解研修等)を行う、という4点が挙げられる。 また、就労移行支援事業所・障害者就業・生活支援センター・ハローワークの専門援助部門など、地域の支援機関との連携も重要である。「神経多様性(ニューロダイバーシティ)」という考え方は「自閉スペクトラム症・ADHDなどを欠陥ではなく、異なる認知スタイルとして尊重し、その強みを活かす職場を作る」という視点であり、現代の職場の多様性支援の重要な潮流となっている。 【到達目標】 ◆ 障害者雇用促進法の概要と精神障害・発達障害者の定着支援のポイントを説明できる ◆ 神経多様性の視点とその職場への適用を説明できる
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③ ワーク・ライフ・バランスの考え方 ワーク・ライフ・バランス(WLB)とは「仕事と仕事以外の生活(家族・休暇・趣味・地域参加・学習等)の両方が充実している状態」を目指すという考え方である。日本では2007年に「仕事と生活の調和(WLB)憲章」が策定され、長時間労働の是正・多様な働き方の選択肢・生活支援施策の充実が政策的な課題として掲げられた。 仕事と家庭の関係には「仕事が家庭生活を妨げる(仕事→家庭葛藤)」と「家庭が仕事に影響する(家庭→仕事葛藤)」という双方向の葛藤が存在し、いずれも精神的健康・職務満足・育児の質・身体健康に悪影響を与えることが研究で確認されている。一方「仕事の充実が家庭にもプラスになる(エンリッチメント)」という方向の相互促進も起きうる。 また、WLBの実現に向けた制度として育児休業・介護休業・時短勤務・フレックスタイム・テレワークなどがある。これらの制度が「使えても使いにくい」という実態との乖離が問題であり、制度を使いやすい職場文化の醸成(マタニティハラスメント・ケアハラスメントの防止等)が重要な課題となっている。 【到達目標】 ◆ WLBの概念と仕事─家庭間の双方向の影響(葛藤・エンリッチメント)を説明できる ◆ WLBに関連する主な制度と、制度を活用しやすい文化の重要性を説明できる
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④ 治療と仕事の両立支援 がん・糖尿病・心臓病・精神疾患など慢性的な疾患を持ちながら働く人が増えており、「治療と仕事の両立支援」が重要な課題となっている。厚生労働省は2016年に「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を策定し、支援の枠組みを示している。両立支援が必要なケースには、①がん治療(化学療法・放射線療法等による副作用・通院の必要)、②精神疾患(うつ病・双極性障害等による認知機能の低下・エネルギー不足・気分変動等)、③慢性疾患(定期的な通院・疲れやすさ等)などがある。 支援の基本として、①本人が「職場に話すかどうか」を自分で決める権利を尊重する(医療情報の開示は本人の判断)、②職場が「何が配慮できるか」を柔軟に検討する、③主治医・産業医・職場・本人の間の連携を整備する、という3点が重要である。公認心理師は治療中の人への心理的支援(病気・職場・将来への不安へのケア)と、管理職・人事担当者への「どう関わるべきか」のコンサルテーションを通じて、両立支援に専門的に貢献できる。 【到達目標】 ◆ 治療と仕事の両立支援の必要性と基本的な枠組みを説明できる ◆ 公認心理師が両立支援において担う心理支援とコンサルテーションの役割を説明できる
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⑤ 現代の多様な働き方と心理的課題 近年の働き方は急速に多様化しており、正規雇用に加えて非正規雇用、フリーランス、ギグワーク、テレワーク、副業など様々な形態が広がっている。非正規雇用(パート・派遣・契約社員等)は全労働者の約38%を占めるが、雇用の不安定さ・賃金格差・社会保険の不整備・キャリアの見通しの不明確さが、精神的健康・ウェルビーイングに悪影響を与えることが研究で示されている。 テレワークや在宅勤務の普及は通勤負担の軽減・柔軟な時間管理という利点がある一方で、仕事と生活の境界が曖昧になる、孤立感、コミュニケーションの質の低下、目に見えにくい管理による新たなストレスという課題も生んでいる。 AIの急速な普及は業務内容・必要スキルを変え、雇用への不安や「AIに仕事を奪われる」という心理的脅威をもたらすことがある。公認心理師はこのような時代の変化が個人の心理的健康・キャリア意識・アイデンティティに与える影響を把握し、様々な雇用形態・働き方の人々を支援できる視野の広さが求められる。 【到達目標】 ◆ 非正規雇用・テレワーク・AI化の普及が精神的健康に与える影響を説明できる ◆ 多様な働き方の人々への心理支援において必要な視点を述べることができる
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キーワード
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① ダイバーシティ、インクルージョン ② 障害者雇用 ③ ワーク・ライフ・バランス ④ 治療と仕事の両立支援 ⑤ 非正規雇用、テレワーク、AIの普及
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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消費者行動の心理学
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科目の中での位置付け
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消費者行動を心理学的な視点から理解し、マーケティング・購買意思決定・個人差要因・消費者問題・リスクコミュニケーションという5つの領域を学修する。公認心理師が産業・組織分野
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永野光朗(2020) 消費者行動とマーケティング. 山口裕幸(編著) 産業・組織心理学.放送大学教育振興会,pp180-191. 永野光朗(2020) 消費者の購買意思決定糧.山口裕幸(編著) 産業・組織心理学.放送大学教育振興会,pp192-205.
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コマ主題細目
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① 消費者行動とマーケティング ② 消費者の購買意思決定過程 ③ 消費者行動の規定要因(個人差要因・状況要因・マスメディアの影響・消費者間相互作用) ④ 消費者問題と消費者保護 ⑤ リスクコミュニケーションと企業活動
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細目レベル
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① 消費者行動とマーケティング 消費者行動とは、人々が製品やサービスを探索・購入・使用・廃棄するにあたって示す一連の心理的・行動的プロセスを指す。この研究領域は経済学・社会学・心理学が交差する学際的な分野であり、産業・組織心理学においても重要な位置を占める。マーケティングとは企業が消費者のニーズや欲求を把握し、製品・価格・流通・プロモーション(4P)を通じて価値を提供するとともに、持続的な顧客関係を構築するための戦略的活動である。消費者行動の理解はマーケティング戦略の根幹をなすものであり、「誰がどのような動機で、いつ・どこで・何を・どのように購買するか」という問いへの答えを心理学的な知見から提供する。 マーケティング・ミックス(4P:Product・Price・Place・Promotion)の各要素は消費者の知覚・態度・行動に異なる形で影響を与える。例えば価格設定は単なるコストの問題ではなく、品質の手がかりや社会的地位のシグナルとして知覚されることがある(価格品質推論)。また、プロモーション(広告・販売促進)は消費者の態度形成・ブランドイメージ・購買意図に直接影響する。近年は行動経済学の知見を取り入れた「行動マーケティング」が発展しており、人の意思決定の非合理的な側面(ナッジ・フレーミング効果・デフォルト効果等)を活用したアプローチが広まっている。公認心理師は消費者行動の心理学的メカニズムを理解することで、職場における製品開発・マーケティング戦略への助言や、消費者への心理教育においても専門的貢献が可能となる。 【到達目標】 ◆ 消費者行動の定義とマーケティングとの関係を説明できる ◆ マーケティング・ミックス(4P)と消費者の心理的反応の関連を説明できる
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② 消費者の購買意思決定過程 消費者が製品やサービスを購入するまでの意思決定プロセスは、心理学において古くから研究されてきた重要なテーマである。最も広く知られたモデルは「問題認識→情報探索→代替案評価→購買決定→購買後評価」という5段階の購買意思決定モデルである。問題認識の段階では、現在の状態と望ましい状態の乖離(例:「今の洗濯機が古くなった」「もっと健康的な食事がしたい」)がニーズを生む。情報探索では内部探索(記憶・経験)と外部探索(広告・口コミ・比較サイト等)が行われる。代替案評価では、候補となる製品を複数の基準(価格・品質・デザイン等)で比較する。購買決定には社会的影響(他者の意見・推薦等)が大きく関与する。購買後評価の段階では、購買した製品への満足・不満足・認知的不協和(「本当にこの選択で良かったか」という心理的不快感)が生じ、リピート購買やクチコミ行動に影響する。 近年、この古典的モデルに行動経済学の視点が加わり、人間の意思決定の「合理性の限界」への理解が深まっている。カーネマン(Kahneman)のデュアルプロセス理論(システム1:速く自動的な直感的思考、システム2:遅く熟慮的な論理的思考)に基づくと、日常的な購買の多くはシステム1(習慣・感情・ヒューリスティクス)に支配されており、必ずしも理性的な比較評価を経ない。アンカリング効果(最初に提示された価格が基準になる)、サンクコスト効果(すでに払ったコストが判断に影響する)、現状維持バイアス(変化を避ける傾向)なども購買判断を歪める認知バイアスとして知られている。公認心理師はこれらの知見を活用し、消費者教育・消費者保護への貢献が可能である。 【到達目標】 ◆ 消費者の購買意思決定5段階モデルの内容を説明できる ◆ デュアルプロセス理論と認知バイアスが購買行動に与える影響を説明できる
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③ 消費者行動の規定要因(個人差要因・状況要因・マスメディアの影響・消費者間相互作用) 消費者行動は複数の要因によって規定される。第一の「個人差要因」とは、消費者個々人の心理的特性に由来する違いである。パーソナリティ(例:外向性の高い人は社交的な製品を好む傾向)、価値観(経済性重視か環境配慮か等)、ライフスタイル(生活様式・趣味・関心事)、態度(製品・ブランドへの評価的な傾向)、動機づけ(マズローの欲求段階と購買動機の関連)、そして人口統計的属性(年齢・性別・職業・収入等)がここに含まれる。例えば自己効力感の高い消費者は能動的に情報を探索し複雑な意思決定を行いやすい一方、自己効力感の低い人は権威や他者の推薦に依拠しやすい。 第二の「状況要因」とは、購買が行われるその時・その場の環境条件を指す。店舗の照明・音楽・香り・混雑度・レイアウトなどの物理的環境、時間的プレッシャー(急いでいるか否か)、購買目的(自分用か贈答用か)、気分状態などが購買行動を変える。店内BGMのテンポを遅くすると消費者の滞在時間と購買額が増加するという古典的研究がある。 第三の「マスメディアの影響」として、テレビ・SNS・インターネット広告などが消費者の製品認知・態度形成・購買意欲に与える影響は大きい。精緻化見込みモデル(ELM)によると、関与度が高い場合は論理的なメッセージが効き、関与度が低い場合は周辺的な手がかり(タレントの魅力・音楽等)が影響する。第四の「消費者間相互作用」として、クチコミ・SNSのレビュー・インフルエンサー・準拠集団(自分が属したい集団)の影響が購買に大きく関与する。 【到達目標】 ◆ 消費者行動の規定要因(個人差・状況・メディア・相互作用)それぞれの内容と具体例を説明できる ◆ 精緻化見込みモデル(ELM)を消費者の態度変容に適用して説明できる
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④ 消費者問題と消費者保護 消費者問題とは、消費者が市場において不利益・被害を受ける様々な問題の総称であり、その背景には情報の非対称性(売り手が買い手より製品情報を多く持つ)、消費者の認知バイアスの悪用(錯誤や感情的操作)、詐欺的・不正な取引慣行などがある。典型的な消費者問題として、「クーリングオフ制度を知らずに不本意な契約を結んでしまう」「高齢者を標的とした訪問販売・電話勧誘の被害」「サプリメントや健康食品の誇大広告」「ネットショッピングのフィッシング詐欺」「エステや英会話教室の過剰な中途解約トラブル」などが挙げられる。特に認知機能が低下した高齢者、判断力が未発達な若者(未成年者)、社会的孤立者などは被害を受けやすい脆弱な消費者として、特別な保護が必要とされる。 消費者保護のための主な法的枠組みとして、消費者基本法(消費者の権利と事業者の義務を規定する基本法)、特定商取引法(訪問販売・通信販売等の不公正取引を規制)、消費者契約法(不当な契約を取り消す権利を消費者に付与)、景品表示法(誇大広告・不当景品を規制)などがある。2009年には消費者庁が設立され、消費者行政の一元化が図られた。公認心理師は消費者問題の心理的背景(なぜ被害に遭いやすいか・被害者の心理的影響)を理解した上で、教育的・支援的に関与できる立場にある。具体的には、高齢者向けの消費者教育プログラムの開発・実施、消費者被害を受けた人への心理的サポート、組織内での倫理的なマーケティング実践へのコンサルテーションなどの役割が考えられる。消費者の「意思決定の脆弱性」を理解し保護する視点は、公認心理師の基盤となる倫理的感受性とも深く関連する。 【到達目標】 ◆ 消費者問題の主な類型と脆弱な消費者(高齢者・若者等)の特徴を説明できる ◆ 消費者保護の主な法的枠組みと公認心理師が担いうる役割を説明できる
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⑤ リスクコミュニケーションと企業活動 リスクコミュニケーションとは、製品・サービス・活動に伴うリスクに関する情報を、企業・専門家・行政・消費者などの関係者の間で双方向的に共有・交換するプロセスを指す。一方的な情報提供(リスクインフォメーション)とは異なり、リスクコミュニケーションは関係者が対話を通じてリスクの理解を深め、適切な意思決定を行えるよう支援することを目的とする。消費者心理の観点から重要なのは、「客観的なリスクの大きさ」と「主観的なリスク知覚(消費者がどれほど危険だと感じるか)」が必ずしも一致しないという点である。スロービック(Slovic)の研究によると、消費者はリスクが「自発的か非自発的か」「未知か既知か」「自分で制御できるか否か」「恐怖心を喚起するか否か」などの次元によって主観的なリスクの大きさを判断する傾向がある。 企業がリスクコミュニケーションを行う場面として、食品の安全情報(アレルゲン・添加物・原産地等)の開示、医薬品・健康食品の副作用や効果の限界の説明、環境リスク(企業の排水・廃棄物等の影響)に関する地域住民との対話、製品リコール(欠陥品の回収)の際の消費者への誠実な説明などが挙げられる。企業が誠実で透明性の高いリスクコミュニケーションを行うことは、消費者の信頼を維持・構築し、危機時の被害を最小化するとともに、企業の社会的責任(CSR)の観点からも重要である。一方、リスク情報を過小評価したり隠蔽したりする企業行動は、消費者の信頼を根本的に損ない、長期的な企業価値を低下させる。公認心理師は消費者のリスク知覚の心理学的メカニズムを理解した上で、企業のリスクコミュニケーション戦略の立案(どのような伝え方が消費者に正確に届くか)や、消費者への心理教育(リスクを正確に理解し適切な行動をとる力の育成)への貢献が期待される。社員への消費者心理リテラシー研修においても専門的役割を担うことができる。 【到達目標】 ◆ リスクコミュニケーションの定義と消費者のリスク知覚の心理学的特性(スロービックの研究等)を説明できる ◆ 企業の誠実なリスクコミュニケーションの意義と公認心理師が担いうる役割を説明できる
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キーワード
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① マーケティング・ミックス ② 購買意思決定5段階モデル ③ 消費者行動 ④ 消費者保護 ⑤ 購買意思決定5段階モデル
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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14
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人事管理とキャリア開発──組織の視点から
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科目の中での位置付け
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人的資源管理(HRM)の基本的な概念を理解し、採用・評価・能力開発・働き方改革などの人事施策が従業員の心理的健康とキャリアに与える影響を把握する。公認心理師が組織の人事施策への貢献を考える基盤を形成する。
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今城志保(2019). 募集・採用と処遇. 小野公一(編) 人を活かす心理学. 北大路書房.pp21-46.
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コマ主題細目
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① 人的資源管理(HRM)の基礎 ② 採用・配置と人材マッチング ③ 人事評価と動機づけ ④ 能力開発とキャリア支援 ⑤ 働き方改革と心理的健康
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細目レベル
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① 人的資源管理(HRM:Human Resource Management)とは、組織の目標達成に向けて「人」に関わる様々な施策(採用・配置・評価・育成・報酬・労働環境)を体系的に管理することである。従来の「人事労務管理(Personnel Management)」が規則の遵守・労務コスト管理に重点を置いていたのに対し、HRMは「人を組織の戦略的な資源として積極的に活用・育成する」という考え方に基づいている。 近年さらに発展した概念として「人的資本経営」がある。これは「人材を費用(コスト)ではなく資本(投資対象)として捉え、人材への投資が将来の組織価値を高める」という視点であり、2022年以降上場企業での非財務情報(人的資本情報)の開示が求められるようになった。HRM施策の各要素(採用・評価・育成・報酬・環境整備)は、従業員の動機づけ・職務満足・コミットメント・心理的健康に直接的な影響を与えるため、公認心理師はHRMの基本的な仕組みを理解した上でコンサルテーションを行うことが求められる。 【到達目標】 ◆ 人的資源管理(HRM)の基本的な概念と人的資本経営への発展を説明できる ◆ HRM施策が従業員の心理的健康に与える影響を説明できる
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② 採用・配置と人材マッチング 採用は人的資源管理の最初の重要な段階であり、組織の文化・戦略に合った人材を確保することを目的とする。採用選考においては筆記試験・面接・適性検査・アセスメントセンター(様々な課題場面での行動を評価する方法)などが用いられる。 職業適性の概念は「その人がある職業・職務でどの程度うまく機能できるか」を表すものであり、能力適性(知的・技術的スキル)と性格、態度適性(仕事への姿勢・価値観等)の両面から評価される。 公認心理師が採用・配置に関わる場合、心理的なアセスメントツールを用いて「この人はどのような職場・職務で力を発揮しやすいか」を評価することがあるが、この際には「診断・判断ではなく本人の強みを活かすための情報提供」という姿勢と、テストの誤用(人材の合否判定への単純な適用)を防ぐ倫理的な配慮が不可欠である。「適材適所」という考え方は単なるスキルマッチングにとどまらず、本人の価値観・強み・成長の可能性という心理的な側面を含めた多面的な判断が求められる。 【到達目標】 ◆ 採用プロセスの主な方法と職業適性の概念を説明できる ◆ 心理的アセスメントを採用場面で使用する際の倫理的配慮を説明できる
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③ 人事評価と動機づけ 人事評価(業績評価・人事考課)とは、従業員の仕事の成果・能力・行動を組織が一定の基準で評価するプロセスである。評価の目的として、①人材育成・能力開発のフィードバック(何が良く何を改善すべきか)、②報酬・処遇決定の根拠(給与・昇進・昇格)、③目標設定とPDCAの管理という3つが挙げられる。 人事評価の公正性(分配的公正:評価結果が公平か・手続き的公正:評価プロセスが透明・公平か)は従業員のモチベーション・満足・コミットメントに強く影響し、不公正感が強いとバーンアウト、離職意図、精神的健康の低下につながることが研究で示されている。 評価者バイアス(ハロー効果・中心化傾向・直近効果等)は評価の精度を下げ、被評価者に不公正感を生じさせる。フィードバック面談(1on1等)は「評価を通じて部下の成長を支援する対話の場」として機能するが、フィードバックの技術(建設的・具体的・行動に焦点を当てる等)が管理職に求められる。公認心理師はフィードバック技術の向上を目的とした管理職研修に貢献できる。 【到達目標】 ◆ 人事評価の目的と評価の公正性が心理的健康に与える影響を説明できる ◆ 評価者バイアスの種類とフィードバック面談の重要性を説明できる
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④ 能力開発とキャリア支援 能力開発(人材育成・OJT・研修・コーチング等)は従業員の成長と組織の競争力の両方に貢献する重要なHRM施策である。OJT(On-the-Job Training:職場での実践を通じた訓練)とOff-JT(Off-the-Job Training:職場を離れた集合研修等)は能力開発の二大形態であり、実践と研修を組み合わせることが効果的とされる。 コーチングとは対話を通じて相手の自己認識を深め、目標を明確にし、解決策を引き出す支援スタイルであり、管理職が部下のキャリア支援に用いるマネジメント技術としても普及している。「70:20:10モデル」は成人の学習の70%は実践経験から、20%は他者(上司・メンター等)との関係から、10%は研修・教育から得られるという経験則であり、「研修だけで人は育たない」という視点を与えてくれる。 公認心理師はキャリア支援の観点から、個人のキャリア目標の明確化・強みのアセスメント・職場での学習機会の活用を支援できる。また組織として「メンタリング制度(経験豊富な先輩が新入社員・若手を支援する仕組み)」の設計にも専門的に関与できる。 【到達目標】 ◆ 能力開発の主な方法(OJT・Off-JT・コーチング)と70:20:10モデルを説明できる ◆ 公認心理師がキャリア支援と能力開発においてどのように貢献できるかを述べることができる
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⑤ 働き方改革と心理的健康 2018年に施行された働き方改革関連法は、①残業時間の法的上限規制(原則月45時間・年360時間)、②同一労働同一賃金(正規・非正規の不合理な処遇格差の解消)、③フレックスタイム・高度プロフェッショナル制度など多様な働き方の整備という三つを柱とした包括的な改革である。長時間労働の是正は過労死・過労自殺の防止の観点から最も重要な施策であり、公認心理師は「残業が減った職場では何が変わったか」「短時間でも業務量が減らなければストレスはむしろ増える」という心理学的な視点から、働き方改革の効果と課題を評価できる立場にある。 一方、働き方改革が表面的な「時間の管理」に終わり、業務の実質的な改善が伴わない場合「サービス残業(未申告の時間外労働)」や「持ち帰り仕事」という形でプレゼンティーイズムが深刻化するリスクもある。真の意味での働き方改革は「時間を管理するだけでなく、仕事の内容・プロセス・職場文化まで変える」ことであり、公認心理師は組織コンサルテーションにおいてこの観点から提言できる専門家として重要な役割を担う。 【到達目標】 ◆ 働き方改革関連法の主な内容(残業上限・同一労働同一賃金・多様な働き方)を説明できる ◆ 働き方改革の表面的な実施が生むリスク(業務量増加・サービス残業等)を心理学的な視点から説明できる
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キーワード
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① 人的資源管理 ② 採用・配置 ③ 人事評価 ④ 能力開発、キャリア支援 ⑤ 働き方改革
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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15
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まとめ──産業・組織分野の公認心理師として
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科目の中での位置付け
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これまでの14回で学んだ知識・理論・実践スキルを統合し、産業・組織分野の公認心理師としての役割を総合的に整理する。事例を通じた統合的な思考の練習と、今後の継続的な学習・成長の方向性を明確化することを目的とする。
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コマ主題細目
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① 産業・組織分野の公認心理師の実践能力の整理 ② 事例統合演習──複合的な職場問題への対応 ③ 多職種連携の演習 ④ 科学と実践を結ぶ姿勢──省察的実践家として ⑤ 今後の学習計画と専門的成長
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細目レベル
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① 産業・組織分野の公認心理師の実践能力の整理 本科目を通じて学んだ産業・組織分野の公認心理師の実践を、次の5つの能力領域として整理することができる。 ①個人への直接支援能力:メンタルヘルス相談・心理アセスメント・認知行動療法・危機対応・復職支援など、個人を直接支援するための知識と技術。 ②組織・集団への支援能力:ファシリテーション・研修設計・組織診断・コンサルテーション・職場環境改善提言など、職場全体に働きかける能力。 ③多職種連携能力:産業医・保健師・人事担当者・主治医・外部機関と効果的に協働するための知識・コミュニケーション・調整力。 ④評価・研究能力:支援の効果を測定・評価し、改善につなげるためのデータ収集・分析・フィードバックの能力。 ⑤法的・倫理的実践能力:関連法規の基礎的理解・倫理的意思決定・守秘義務の管理・利益相反への適切な対処能力。 これらの能力は資格取得で完成するのではなく、実践・省察・スーパービジョン(先輩専門家からの指導)・継続教育によって生涯にわたって発達し続けるものである。 【到達目標】 ◆ 産業・組織分野の公認心理師の5つの実践能力領域を自分の言葉で説明できる ◆ 能力は継続的な学習・実践・省察によって発達するという専門職としての姿勢を説明できる
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② 事例統合演習──複合的な職場問題への対応 本科目のまとめの一つとして、複数の要素が絡み合った職場事例に対して、この科目全体で学んだ知識を総合的に活用するケーススタディを行う。 架空事例:中堅の管理職Aさんから相談があった。部署の部下Bさんが最近欠勤が増え、業務上のミスも目立つようになっている。AさんはBさんに声をかけたが『大丈夫です』と言うばかりで詳しい状況がわからない。また、Aさん自身も長時間労働が続いており、睡眠不足を感じている。さらにBさんの部署では今月のストレスチェック集団分析でストレスが高い部署と判定された。 このような架空事例に対して、①まず問題を整理する(誰に・何が起きているか、優先順位は何か)、②アセスメントの計画を立てる(個人・集団・組織の三水準から)、③支援計画を設計する(Bさんへの直接支援・Aさんへのコンサルテーション・集団分析の活用・組織的な介入)、④関係する倫理的課題を特定する、という思考プロセスを実践する。「理論を知っていること」と「実践に活かせること」の距離を感じることも大切な学びである。 【到達目標】 ◆ 複合的な職場問題に対して個人・集団・組織の三水準から支援計画を立案できる ◆ 倫理的課題を特定し、適切な対処の方向性を考えることができる
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③ 多職種連携の演習 多職種連携の場面を想定したロールプレイを通じて、連携コミュニケーションの実際を体験的に学ぶ。具体的な場面として、「産業医との情報共有の場面(休職者の復帰可否を検討するケース会議)」、「人事担当者へのコンサルテーション(ストレスチェックの集団分析結果を報告・改善策を提案する場面)」、「管理職へのラインケアコンサルテーション(部下の不調を心配しているが対応に困っている管理職への相談対応)」などが想定される。 ロールプレイの目的は「実際の連携場面でどのようなことが難しいか」を体験から理解し、「どのようなコミュニケーションが有効か」を具体的に学ぶことにある。医療・産業・福祉などのそれぞれの文化・言語・優先事項の違いを理解しながら「医療言語を人事・経営言語に翻訳する」という実践的なスキルは、産業場面の公認心理師の重要な能力である。互いの役割を尊重しながら、「それぞれの専門性の違いこそが多職種連携の強みである」という認識を深める機会とする。 【到達目標】 ◆ 産業医・人事担当者・管理職との連携場面で適切なコミュニケーションが取れる ◆ 各職種の専門性と文化の違いを尊重した連携の姿勢を身につけることができる
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④ 科学と実践を結ぶ姿勢──省察的実践家として 第1回で学んだ「科学者─実践家モデル」を改めて振り返り、本科目全体を通じてこの姿勢がどのような形で現れるかを確認する。「省察的実践家(reflective practitioner)」とは、実践の中で常に自分の行動・判断・感情を客観的に振り返り、そこから学び続けることができる専門家のことである(Schön)。自分の実践を振り返るための問いとして、「この支援はなぜこの方法を選んだか」、「もっと良い方法があったのではないか」、「クライエント(職場)にとって本当に役立ったか」、「自分の偏見・バイアスがどこかに影響していなかったか」などが挙げられる。 スーパービジョン(先輩専門家から指導を受ける機会)は省察的実践を深めるための最も重要な仕組みの一つであり、公認心理師として実践する際には積極的に活用することが求められる。「完璧な専門家」ではなく「継続的に学び成長する専門家」として働くことが、クライエントと職場への最大の貢献につながる。本科目で学んだ内容は出発点であり、今後の実践・学習・経験を通じてより豊かな専門性へと育っていく。 【到達目標】 ◆ 省察的実践家の概念を説明し、産業・組織場面への適用を述べることができる ◆ スーパービジョンの意義と専門的成長における役割を説明できる
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⑤ 今後の学習計画と専門的成長 締めくくりとして、本科目全15回の学習成果を個人的に振り返り、産業・組織分野の公認心理師を目指す者としての今後の学習計画を考える機会とする。振り返りの視点として、①本科目で最も印象に残ったこと・考え方が変わったテーマは何か、②自分の興味・関心が特に高かった領域は何か(キャリア支援・メンタルヘルス対策・組織開発等)、③さらに学習・理解が必要だと感じる課題は何か、④今後3年間でどのような学習・経験を積みたいか(インターンシップ・ボランティア・読書・学会参加等)、という4つの軸で自己評価を行う。 産業・組織心理学で学んだ「働くことの心理学」は、公認心理師として他の領域(医療・福祉・教育・司法)でも必ず役立つ知識基盤となる。どの分野に進んでも「働くことが人にとってどのような意味を持つか」という問いへの関心を持ち続けることが、支援の質を高め続ける原動力となる。 【到達目標】 ◆ 本科目の学修成果を4つの視点(印象・関心・課題・計画)で振り返り言語化できる ◆ 産業・組織分野の公認心理師としての継続的な学習の方向性を具体的に述べることができる
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キーワード
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① 産業・組織分野の公認心理師の5つの実践能力領域 ② 支援計画の立案 ③ 多職種連携 ④ 省察的実践家とスーパービジョン ⑤ 今後の学習計画
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コマの展開方法
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社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
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小テスト
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「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
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復習・予習課題
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