区分
高度専門科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力
科学コミュニケーション力
研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養
応用力
実践力
科目間連携
総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
科目の目的
この『バーチャルリアリティの心理学』は、人間の知覚・認知をはじめとする「こころのはたらき」とバーチャルリアリティ(以下、VRと省略する)との関係について理解を深めることを目的としている。
2年前期の科目『知覚・認知心理学』で、人間(と動物など)の感覚・知覚と認知について、実験心理学、脳科学といった科学的観点から理解を深めた。学んだ人間の感覚・知覚、認知の特性とメカニズムの理解をベースとして、同学期である2年後期に開講される『視覚の心理学』での基礎的な学びと並行しながら、この『バーチャルリアリティの心理学』にて、人工的に作成して提示した情報から、リアルに非常に近いバーチャルな世界を人間にどのように認識させるかという応用技術と心理学との関係について説明して理解を育む。
到達目標
・バーチャルリアリティ、メタバースの研究分野の始まりから現在の最新技術について理解する
・バーチャルリアリティ、メタバースの実現に知覚心理学・認知心理学で明らかとなった人間の知覚認知特性がどのように関わっているかを理解する
・人間を対象とした心理学研究から得られた知見が他分野における応用場面で役に立てるかという視点を養う
科目の概要
この科目は、基盤専門科目「知覚・認知心理学」の学習を前提とした高度専門科目として、人間の知覚・認知とバーチャルリアリティ(VR)との関係について学ぶことを目的とする。我々人間は、感覚受容器を介して入力された外界の情報が脳で分析解釈されたその結果を「外界」として知覚している。その観点から考えると、人間が認識している世界そのものが人間によって構成されたバーチャルなものであると言ってもよいだろう。この授業では、「知覚・認知心理学」で学んだ人間の知覚・認知に関する知見をふまえ、人間のなかにリアリティを生み出す感覚情報提示の手法や装置、及び人間の心理的要因に特に焦点を当て、VRと人間との関わりについて説明する。併せて、VR技術を用いて人間の心や自己、身体について調べた心理学研究、脳科学研究も紹介していくことで、卒業研究に向けて、VRと心理学との関係について研究を進めるための視点を養う。
科目のキーワード
バーチャルリアリティ、VR、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、体性感覚、感覚間相互作用、前庭感覚、VR酔い、自己移動感覚、ベクション、拡張現実、AR、複合現実感、MR、テレイグジステンス、アバター、身体所有感、行為主体感(動作主体感)、身体錯覚、プロテウス効果、人間拡張、ボディシェアリング、コンテンツ、メタバース
授業の展開方法
PowerPointのスライドをメインで使用し、必要に応じて視聴覚教材を使って説明する。
オフィス・アワー
前期:水曜昼、木曜昼
後期:水曜昼、木曜昼
科目コード
RE4090
学年・期
2年・後期
科目名
バーチャルリアリティの心理学
単位数
2
授業形態
講義
必修・選択
選択
学習時間
【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
展開科目
関連資格
担当教員名
金谷英俊
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
VRとは何か
科目の中での位置付け
この第1回は、本科目全体の導入として、VRとはどのようなものかとその現状について説明する。加えて、VR技術およびその展開に、人間の心理、特に知覚・認知機能の理解がどのように関係してくるのかについて改めて説明をする。
日本バーチャルリアリティ学会 (編) (2010). バーチャルリアリティ学 コロナ社
東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター (2022). トコトンやさしいVRの本[第2版] 日刊工業新聞社
雨宮 智浩 (2023). メタバースの教科書 -原理・基礎技術から産業応用まで- オーム社
コマ主題細目
① VRとは ② VRとは何か,その構成要素 ③ 人間およびその心理とVRとの関係
細目レベル
① バーチャルリアリティ(以下,VRと表記)と聞けば、ゲームなどの娯楽コンテンツのイメージがあるかもしれない。これまでにも、現実とは異なるバーチャル世界に入り込んで冒険するといったコンテンツが多くつくられてきた。こうしたコンテンツの変遷を参照して、この中で捉えられているVRの形をみていきながら、ユーザーが理想とするVRとはどのようなものであるか、そして現実のVRとはどのように異なるのかについて、最初に考えていこう。
② VRは、細目①で説明したコンテンツだけでなく、実際の私たちの生活でも、コンピュータグラフィックスで作られた街並みの中を運転する体験をしながら自動車運転スキルを獲得するドライビングシミュレータ、現実世界で移動して旅行や観光ができない場合に自宅から日本や世界各地への旅行を体験できるバーチャル観光、そして外国の美術館に実際に行かずに世界的に有名な絵画や彫刻が鑑賞できるバーチャルミュージアムなど、私たちが考えている以上に私たちの生活に浸透している。そうした例をとおして、VRが、現実と非常によく似た、現実のエッセンスをもつ人工的環境を、ヘッドマウントディスプレイ等の提示装置によって体験するものであることを理解することが重要である。
③ VRを生成するための三つの基本構成要素として、(1) 出力システム、(2) 入力システム、(3) シミュレーションシステムがある。ひとつめの「出力システム」とはディスプレイとも呼ばれ、システムから感覚入力を模擬した情報を出し、ユーザに情報を提示する装置のことで、私たちに刺激を提示するシステムであるといってよい。ふたつめの「入力システム」は、手や足の運動系を介してシステムに人間の反応を入力するものである。そしてみっつめは、シミュレーションシステムである。私たちがバーチャル空間に入って、キーボードを操作したり手を伸ばしたり身体を動かしたりして行動するとき、私たちユーザの身体位置の変化に応じてコンピュータが人工的環境の状態をシミュレーションして、VR世界の映像を構成し直すことで、移動した先の景色が新たに見えているのである。この三つの要素を頭に留めて、第2回以降の話を理解する必要がある。
キーワード
① バーチャル ② メタバース ③ VRの三要素 ④ 入力システムと出力システム
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
予習:授業参加前にコマシラバスを読んでおくとともに、シラバス内で気になった用語を図書館やインターネット等で調べておくこと。
復習:授業内で紹介したVRの技術等の内容について、教材・教具の欄で示した資料を熟読することをはじめとして、図書館やインターネット等で理解を深めておくこと。
2
VRの歴史
科目の中での位置付け
第2回では、第1回で説明したVRに関する導入をふまえ、VRの概念や技術がどのようにして生まれ、どのようにして発展してきたのかというVRの歴史を概観する。古くは、18世紀から19世紀にかけての芸術や建築にすでに、現在のVRでもみられる手法が用いられていると思われるが、現在のVRと直接つながる技術が出現したのは1960年代前後からである。それ以降、技術の発展に伴い、VRのブームが幾度か起こっている。VRの黎明期およびブームの時期ごとにVR分野の状況をみていくこととする。
服部 桂 (2019). VR原論 -人とテクノロジーの新しいリアル- 翔泳社
コマ主題細目
① VR黎明期 ② 1980-90年代のVR ③ 2000年代以降のVR
細目レベル
① 人類の歴史上、一番古いVRは、数万年前の洞窟壁画であろう。そこから近代にいくにしたがって、人間は絵画や彫刻、建築などを作り上げており、そうした芸術作品にVRの片鱗がみられる。しかし私たちが「VR」と思われるものが開発されたのは、1960年代ごろであろう。複数の感覚情報を提示してコンテンツを没入的に体験させる「センソラマ」や、サザランドによるヘッドマウントディスプレイの開発などに注目して説明する。
② 1980年代から2000年代にかけて、日本でも第一次VRブームが起きた。それと同時期に、巨大なVR装置が構築され、CAVEやCABINと呼ばれるVR環境が実現して用いられるようになってきた。
③ 2000年代以降で重要なのは、コンピュータのモバイル化である。持ち運びや身体装着が可能なウェアラブル・コンピュータの実現や、スマートフォンの開発と普及によって、特定の場所に関係なくVR技術が体験できるようになっていったのである。そうしたハードウェアの変遷と併せてVR技術の発展の流れをみていく。
キーワード
① コンピュータグラフィックス(CG) ② ヘッドマウントディスプレイ(HMD) ③ CAVE・CABIN ④ ウェアラブル・コンピュータ ⑤ スマートフォン
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
予習:授業参加前にコマシラバスを読んでおくとともに、シラバス内で気になった用語を図書館やインターネット等で調べておくこと。
復習:授業内で紹介したVRの技術等の内容について、教材・教具の欄で示した資料を熟読することをはじめとして、図書館やインターネット等で理解を深めておくこと。
3
人間の視覚特性と視覚ディスプレイ
科目の中での位置付け
第3回では、人間の視覚特性について概観したうえで、その感覚特性および身体的制約をふまえて視覚情報を提示する視覚ディスプレイについて説明する。バーチャルリアリティは人工的に生成した感覚情報を人間に提示することで、人間にバーチャルな世界を認識させるシステムである。特に視覚においては、人間の視覚の感覚受容器である左右の眼に対し、どのように感覚情報を適切な形で提示するかが重要なポイントとなる。臨場感のある三次元の視覚世界の認識を実現している、さまざまな視覚ディスプレイの提示手法と技術について説明する。人間の視覚特性は、第5回から第7回にて説明する他の感覚との相互作用について理解するうえでも必要となる知見である。また、視覚ディスプレイは後半の回での応用を考えるうえでも有用な内容となる。
日本バーチャルリアリティ学会VR心理学研究委員会(編) (2006). だまされる脳 -バーチャルリアリティと知覚心理学入門- 講談社
藤田 一郎 (2015). 脳がつくる3D世界 -立体視のなぞとしくみ- 化学同人
日本バーチャルリアリティ学会 (編) (2010). バーチャルリアリティ学 コロナ社
町田 聡 (2013). しくみ図解 3D技術が一番わかる 技術評論社
コマ主題細目
① 奥行き知覚のメカニズムとその特性 ② 奥行き視と3Dディスプレイ ③ ヘッドマウントディスプレイとその発展
細目レベル
① 私たちは眼から外界の対象の像を取り入れているが、対象の像が眼に写った段階で、対象がもつものの厚みなど、奥行きの情報は無くなってしまう。そこで、奥行きを知覚するための手がかりである奥行き手がかりを使って、対象や環境の奥行き構造を推測する。その奥行き手がかりの特徴を説明する。
② 人間の左右の眼に映る網膜像のズレである両眼視差から、対象の相対的な奥行きが知覚される。そのため、両眼視差のついた右眼用画像と左眼用画像を作成して、それぞれ右眼のみ、左眼のみに映し出すことで、観察者は立体映像を知覚するはずである。
この特性を利用したのが3Dディスプレイである。3Dディスプレイの提示方式について説明する。
③ 細目②で述べた両眼視差による奥行き知覚特性を利用して、周囲にバーチャル空間を知覚させるためのVR装置が、ヘッドマウントディスプレイである。1960年代サザランドによる最初のヘッドマウントディスプレイの開発から、現在のMeta Quest等に至るまで流れを紹介する。
キーワード
① 奥行き手がかり ② 両眼視差 ③ 立体視(三次元視) ④ 視覚ディスプレイ ⑤ ヘッドマウントディスプレイ
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
予習:授業参加前にコマシラバスを読んでおくとともに、シラバス内で気になった用語を図書館やインターネット等で調べておくこと。
復習:授業内で紹介したVRの技術等の内容について、教材・教具の欄で示した資料を熟読することをはじめとして、図書館やインターネット等で理解を深めておくこと。
4
聴覚・体性感覚の特性とディスプレイ
科目の中での位置付け
第4回では、人間の聴覚と体性感覚の特性について概観したうえで、その感覚特性および身体的制約をふまえて感覚情報を提示する聴覚ディスプレイとハプティックインタフェースについて説明する。聴覚では左右の耳に届く音の情報から、自身の周囲にある音源の位置を立体的に認識している。この聴覚のしくみをふまえ、立体音響を聴覚ディスプレイの技術が開発されている。加えて、身体表面の皮膚感覚の特性に応じた、バーチャル空間で物体を触ったときの物理的な刺激を提示するハプティックインタフェースも開発されている。こうした聴覚と体性感覚のディスプレイの提示手法と技術について説明する。人間の聴覚と体性感覚の特性は視覚特性とともに、第5回から第7回にて説明する他の感覚との相互作用について理解するうえでも必要となる知見である。また、聴覚/体性感覚ディスプレイについての知見は、後半の回での応用を考えるうえでも有用な内容となる。
大串 健吾 (2019). 音響聴覚心理学 誠信書房
内川 惠二(編)(2008). 聴覚・触覚・前庭感覚 (講座“感覚・知覚の科学” 第3巻) 朝倉書店
日本バーチャルリアリティ学会 (編) (2010). バーチャルリアリティ学 コロナ社
コマ主題細目
① 聴覚の特性 ② 聴覚ディスプレイ ③ 体性感覚の特性
細目レベル
① 私たちはなぜ、周囲360°から聞こえた音の方向を認識できるのだろうか。音源位置を一つに定めるために、私たちの聴覚は頭部や耳介、肩など他の身体部位が音を遮ることによる複雑なスペクトルパターンの変化を手がかりに使っている。音が耳に届くまでの,頭部や肩,耳介などの形状によって生じる音の変化を関数としたものを頭部伝達関数という。ここでは人間の聴覚特性による音源定位について説明する。
② 細目①の人間の聴覚特性を利用した、三次元空間における音の方向知覚の精度やその限界について説明する。それに続いて、人間の聴覚特性を利用した聴覚ディスプレイについて、基本構成から最新のものまでを紹介する。
③ 「さわる」「さわられる」という感覚をバーチャル空間内で実現するにはどうしたらよいだろうか。その理解を進めるために、人間の体性感覚のうち皮膚感覚と呼ばれる感覚について、感覚受容器の分布とその特性について確認をする。
キーワード
① 音源定位 ② 頭部伝達関数 ③ 立体音響ディスプレイ ④ ハプティクス ⑤ ハプティックインタフェース
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
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教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
予習:授業参加前にコマシラバスを読んでおくとともに、シラバス内で気になった用語を図書館やインターネット等で調べておくこと。
復習:授業内で紹介したVRの技術等の内容について、教材・教具の欄で示した資料を熟読することをはじめとして、図書館やインターネット等で理解を深めておくこと。
5
感覚間相互作用
科目の中での位置付け
第5回では、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、体性感覚の感覚間の相互作用について説明する。視聴覚の感覚間相互作用としては、腹話術効果、マガーク効果といった現象が知られている。また、視覚と体性感覚の間ではシュードハプティクスという錯覚現象が報告されている。こうした感覚間相互作用の現象についてみていくことで、感覚情報を統合してバーチャルな空間を認識させている技術を理解することにつながる。2年前期の『知覚・認知心理学』の内容および第3回、第4回の内容を受けて、この第5回の内容の説明が展開される。
岩宮 眞一郎 (2014). 視聴覚融合の科学 (音響サイエンスシリーズ 11) コロナ社
日本バーチャルリアリティ学会 (編) (2010). バーチャルリアリティ学 コロナ社
雨宮 智浩 (2023). メタバースの教科書 -原理・基礎技術から産業応用まで- オーム社
コマ主題細目
① 感覚間の相互作用と情報処理の一般特性 ② 視聴覚相互作用 ③ 視触覚相互作用
細目レベル
① 私たちが最終的に知覚しているのは、視覚、聴覚、触覚などの感覚情報が統合されて成立する「対象」である。私たちが日常経験する知覚事象には複数の感覚情報が含まれており、それらを扱う人間の情報処理過程も複数の感覚情報の処理を前提として成り立っている。通常は、同一の対象から発した感覚情報は同じ空間位置から同じ時間的タイミングで知覚される。そのため、それぞれの感覚情報が空間・時間的に一致するなら、それらの情報が同一対象から発せられたものと判断する。一方で、複数の感覚からの情報が空間的,時間的にずれていたら、別の対象からのものだと判断する以外に、情報のずれが一定程度内であれば,そのずれを小さくするように「つじつまを合わせる」ことがあり得るのである。
② 空間の位置の「つじつまを合わせる」例が腹話術効果と呼ばれる知覚現象である。腹話術では、腹話術師から発せられたはずの音声が、腹話術師の口から発せられたものではなく,話し手の口から発せられたように知覚される。音源の定位位置が視覚情報に影響を受ける例であろう。また、聞こえた音声が、口の形や動きといった視覚情報に影響を受けて異なる音声に知覚される現象は、マガーク効果という名称で知られる。
③ こうした感覚間相互作用については視覚と聴覚の間で多くの研究が行われているが、その他の感覚も含めた相互作用も存在する。視覚の情報を使って触覚に影響を与える擬似触覚はシュードハプティクスと呼ばれ、近年研究が進められているテーマである。また、味覚を変化させる多感覚ディスプレイも開発されている。VRでのこうした多感覚ディスプレイの取り組みも紹介する。
キーワード
① 腹話術効果 ② マガーク効果 ③ シュードハプティクス ④ MetaCookie
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
予習:授業参加前にコマシラバスを読んでおくとともに、シラバス内で気になった用語を図書館やインターネット等で調べておくこと。
復習:授業内で紹介したVRの技術等の内容について、教材・教具の欄で示した資料を熟読することをはじめとして、図書館やインターネット等で理解を深めておくこと。
6
自己移動感覚とVR酔い
科目の中での位置付け
第6回では、自身の身体の移動や傾斜に関する感覚である前庭感覚について説明したうえで、前庭感覚と視覚や体性感覚からの感覚情報の不一致から生じる動揺病、VR酔いといった症状について説明する。特にVR環境であれば、体験者の身体が移動しないために前庭感覚がはたらいていない状況で、視覚的に提示された像が動くことで、感覚情報の不一致が生じる。その結果として、VR酔いという症状が発症する可能性があるのである。このVR酔いを定量化し測定して、VR酔いを低減するような感覚情報提示を実現することが、より良いVR体験をもたらすことにつながる。
細目①
内川 惠二(編)(2008). 聴覚・触覚・前庭感覚 (講座“感覚・知覚の科学” 第3巻) 朝倉書店
細目③
大山 正・今井 省吾・和気 典二 (1994). 新編 感覚・知覚心理学ハンドブック,第V部 5. 動揺病,p. 1350-1363.
コマ主題細目
① 前庭感覚系の構造と特性 ② オプティカルフローからの自己移動感覚 ③ 動揺病とVR酔い
細目レベル
① 人間の自己移動を検知する前提感覚系のしくみについて説明する。私たちが動いたとき、つまり身体の位置を移動させたとき、自分自身の運動(自己移動)の速さと方向を知覚する。この自己移動感覚を感じる内耳の基本構造が前庭感覚系である。水平半規管、前半規管、後半規管が三半規管と呼ばれ、自己の回転運動が検知される。それに対し自己の直進運動は、卵形嚢と球形嚢と呼ばれる受容器で検知される。これらの前庭器官は、一定速度の運動は検知せず、加速度を検知する。これら2つの器官が機能することにより、前庭神経を経て脳へ情報が伝わり、自己の直線運動と回転運動の速度と方向が知覚される。この前庭感覚系のはたらきにより、人間は自身の姿勢を安定させることができているのである。
② 人間の自己移動を検知するために用いている視覚情報について説明する。前庭感覚系では検知できない等速の自己移動を知覚するには、前庭感覚系以外からの感覚系からの情報が必要である。人間は視覚情報からも自己移動の速さと方向を知覚している。我々が前進しているとき、我々の網膜上における自分の周囲の景色は、視野の中心部ではそれほど動かないのに対し、視野の周辺部になるにしたがってより速く移動する。このように、動いている観察者の網膜に映る運動成分のことをオプティカルフローと呼ぶ。「速度場」と呼ばれる、視野内全体に生じるオプティカルフローの速度の違いをもとにして、私たちは自分が進んでいる方向について、1°以下の高精度で方向の違いを知覚しているのである。
③ これら複数の感覚からの情報がうまく使えないとき、船酔い、車酔い等の乗り物酔いに代表される「酔い」の症状が生じることがあり、顔面蒼白、冷汗、眩暈、頭痛、嘔吐等の、酔いの症状がひどい状態を動揺病と呼ぶ。これらの症状を定量的に評価するために、シミュレーター酔いの主観評価尺度SSQ(Simulator Sickness Questionnaire)と呼ばれる尺度が用いられている。自己の身体の状態については、視覚からの情報、前庭感覚からの情報、そして筋肉や関節等の身体からの体性感覚情報によってもたらされる。これらの情報にずれや矛盾が生じたりすると自律神経系が混乱し、動揺病が発生すると考えられている。特にVRでは、感覚情報提示時に感覚情報間の不一致が生じやすく、それによってVR酔い/サイバー酔いなどと呼ばれる症状が生じる。VR酔いを防ぐには、VR体験中に視覚情報と他の感覚情報を一致させることができれば、酔いの発生を軽減できると考えられており、モーションチェアと呼ばれる装置や前庭電気刺激の技術が用いられている。
キーワード
① 前庭感覚 ② 加速度 ③ オプティカルフロー ④ 動揺病 ⑤ VR酔い
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
予習:授業参加前にコマシラバスを読んでおくとともに、シラバス内で気になった用語を図書館やインターネット等で調べておくこと。
復習:授業内で紹介したVRの技術等の内容について、教材・教具の欄で示した資料を熟読することをはじめとして、図書館やインターネット等で理解を深めておくこと。
7
自己移動感覚 ベクション
科目の中での位置付け
第7回では、視覚をはじめとする感覚情報を提示することで生じる、観察者自身の身体が移動しているかのように感じる錯覚、ベクションと呼ばれている自己移動感覚について説明する。実際に自身が移動していないVR環境において、この自己移動感覚を感じることにより、動きを含む映像コンテンツ体験時にコンテンツへの没入感や臨場感が増す可能性がある。この自己移動感覚ベクションの生起メカニズムについての知見を得ることは、より効果的なVRコンテンツの開発へとつながる。
妹尾 武治 (2017). ベクションとは何だ!? 共立出版
中村 信次 (2006). 視覚誘導性自己運動知覚の実験心理学 北大路書房
【発展論文】
北崎 充晃・佐藤 隆夫 (2008). 視覚からの自己運動知覚と姿勢制御 心理学評論, 51, 287–300.
コマ主題細目
① 自己移動感覚ベクションとは ② ベクションの知覚特性 ③ ベクションの生起仮説
細目レベル
① 観察者が移動することでその網膜上にオプティカルフローが生じ、人間はそのオプティカルフローから自身の移動を知覚する。ここから、観察者の網膜に対して自分が動いているかのような運動刺激を与えると、あたかも自分が移動しているかのように感じさせることができるのである。我々の日常生活において、停車している電車に乗っているときに他の電車が動いているのを見たら、動いていないはずの自分の電車が動いたと感じる錯覚現象のことは,トレイン・イリュージョン(train illusion)と呼ばれている。また、アミューズメントパークのとある建物に入ったとき、自分の周囲の部屋全体が回転しているのを見たら、自分が回転していると錯覚することもあり、このビックリハウスと呼ばれるアトラクションでも移動感覚の錯覚を体験することができる。こうした視覚情報からもたらされる自己移動感覚はベクションと呼ばれる。
② ベクションとは、視野の広い範囲を覆う程度の領域に、動いている映像を呈示した場合に、身体は静止しているのに自分が移動しているかのように感じる感覚のことを指す。このベクションについての実験論文が公刊されたのは1973年であり、それ以降、自己移動感覚をより強く(弱く)する刺激条件についての実験研究が行われてきた。実験では観察者に対して運動刺激を呈示し、感じたベクションの強さを、マグニチュード推定法などの心理測定法で測定した。研究結果として、(1) 刺激面積が大きいほうが強いベクションが生起する、(2) 視野周辺部に刺激を呈示したほうが強いベクションが生起する、(3) 手前側よりも奥側の領域に刺激を呈示したほうが強いベクションが生起する、(4) 注意を向けていない運動に対応するベクションが生起する、といった知見が得られている。
③ ベクションの生起仮説について説明する。視野を覆う広い領域が動くのを見た場合、目に映った動きの情報から、自分の周囲の環境が動いているのか、それとも自分が動いているのかという問題に答えを出すことを求められる。しかし我々は、これまでの経験から「世界(環境)は動かない」という制約条件をもっているので、網膜に映っている像が動いているけれども自分の周囲の世界が動いているのではないと判断する。一方の可能性があり得ないのだから、自分が動いているから自分の動きに伴ってこの網膜上の動きが生じているのだと判断するのである。以上の判断の結果として、自分が移動しているかのような感覚が私たちの中に生じる。刺激は形や「もの」として浮かび上がってくる「図(figure)」と、対象と対象の間の空間または背景として知覚される「地(ground)」に分けて知覚され、このうち「世界」「環境」「背景」と解釈される、本来動かないはずの「地」の領域が動いたのを見たとき、自分が移動しているという感覚が生じると考えることができるだろう。
キーワード
① 自己移動感覚 ② ベクション ③ オプティカルフロー ④ マグニチュード推定法 ⑤ 図と地
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
予習:授業参加前にコマシラバスを読んでおくとともに、シラバス内で気になった用語を図書館やインターネット等で調べておくこと。
復習:授業内で紹介したVRの技術等の内容について、教材・教具の欄で示した資料を熟読することをはじめとして、図書館やインターネット等で理解を深めておくこと。
8
複合現実感
科目の中での位置付け
第8回では、VRと関係する技術として、現実の物理世界にバーチャル世界を重ね合わせて提示するAR(拡張現実)、および、現実の環境とバーチャル環境を融合する概念であるMR(複合現実(感))について説明する。
蔵田 武志 (監修), 清川 清 (監修), 大隈 隆史 (編)(2015). AR(拡張現実)技術の基礎・発展・実践 科学情報出版
Dieter Schmalstieg, Tobias Hollerer (2018). ARの教科書 マイナビ
佐野 彰 (2017). MR入門 工学社
コマ主題細目
① 複合現実感とは ② 拡張現実(AR)の本格実用の流れ ③ 拡張現実(AR)と拡張VR
細目レベル
① 1995年にミルグラムは、「リアル」と「バーチャル」は全く別のものではなく、リアルとバーチャルの間には中間の状態があり、リアルからバーチャルまでの間に存在している連続的なスペクトラムの中で両者をとらえていくというモデルを提唱した。当時から現代に至るまでに、コンピューターグラフィックス(CG)の発展によってほぼリアルと変わらない映像表現が実現したことで,我々の感覚の中で「リアル」と「バーチャル」の境界がしだいに曖昧になってきた。リアルとバーチャルがどのように融合しているかの度合いによって、リアルの世界にバーチャルな情報を重ねる「拡張現実(Augmented Reality: AR)」、バーチャルな空間に現実の情報を付け加える「拡張VR(Augmented Virtuality)」等の技術が実現している。そしてリアルとバーチャルが相互に作用している状態全体を「複合現実感(Mixed Reality: MR)」と呼ぶ。このように、リアルとバーチャルを対立する概念としてではなく連続的なものとしてとらえ、その中間に多様な体験形態が存在するという考え方が、現代のVR研究の基本となっている。
② 拡張現実(Augmented Reality: AR)実装は2000年代から本格化した。そのきっかけはコンピュータの小型化・携帯化(モバイル化)である。2007年のiPhoneの発売から始まるスマートフォンの一般普及によって、ウェアラブル・コンピュータやモバイルコンピュータが実現したことから、ユーザーがコンピュータを所持することで、内蔵のカメラなど入力装置を使用して外界の環境から必要な情報を得て、個人の画像や動画,体験を共有できるようになった。そしてさらに、実世界の情報にコンピュータグラフィックスによる情報を付加して、リアルとバーチャルが重なった世界を見ることができるようになったのである。初期のARの例がセカイカメラと呼ばれるアプリケーションであり、ポケモンGOなどのARゲームや、ARバーチャル試着室等のビジネス応用、そしてバーチャル飛鳥京プロジェクトやプロジェクションマッピング等の観光コンテンツにもつながる。
③ 拡張VR(Augmented Virutality: AV)と呼ばれる技術は、現実の環境や物体をデジタル化して、3Dモデルとしてバーチャル環境に取り込むものである。たとえば観光業界では、現実空間の観光地の建物や道路の環境を3Dモデル化し、バーチャル空間でのバーチャル観光体験を実現している。また、医療業界では、CTやMRIによって得られた身体内部情報をもとに身体の3DCGモデルとして再現し、バーチャル空間を用いた医療に用いられている。このように拡張VRは、現実の情報を取り込みバーチャルで再現する技術であるのに対し、拡張現実は、現実世界にバーチャルの情報を重ね合わせる技術である。拡張現実の実現にはHololens等の透過型ARディスプレイが用いられており、建設現場や点検作業現場では現場の場面にバーチャルの重機や履歴情報を重ね合わせることで作業を効率化している。こうした拡張現実と拡張VRの違いを理解することが重要である。
キーワード
① 実環境 ② バーチャル環境 ③ 複合現実(MR) ④ 拡張現実(AR) ⑤ 拡張VR(AV)
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
予習:授業参加前にコマシラバスを読んでおくとともに、シラバス内で気になった用語を図書館やインターネット等で調べておくこと。
復習:授業内で紹介したVRの技術等の内容について、教材・教具の欄で示した資料を熟読することをはじめとして、図書館やインターネット等で理解を深めておくこと。
9
VRとロボット
科目の中での位置付け
第9回では、ユーザーがロボットを遠隔操作することによって、あたかもロボットの中に入り込んで自身がその場にいるかのように行動するロボットを制御するといった、VRとロボット制御との関係について説明する。こうした装置を活用することによって、現実には人間が行けないような災害地や宇宙空間で活動することが可能となったり、身体の移動に制約のあるユーザーが活躍する機会を得たりといった効果が期待される。加えて、ロボットやアバター等を使った非対面のコミュニケーションを豊かにすることを目指す試みも紹介する。
日本バーチャルリアリティ学会 (編) (2010). バーチャルリアリティ学 コロナ社 6.1 テレイグジスタンス(p. 178-214)
東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター(編) (2022). トコトンやさしいVRの本[第2版] 日刊工業新聞社(p. 78-79, 82-83)
コマ主題細目
① テレオペレーション:ロボットを遠隔操作する ② ロボット開発の歴史 ③ テレイグジスタンスの概念の提唱とVR
細目レベル
① 人間が機械やロボットを操作する場合、作業者が作業現場から遠く離れた場所にいながらにして作業現場の機械 (の腕) を操作する概念はテレオペレーションと呼ばれる。人間が活動の場を広げるにつれて、テレオペレーションが必要となる状況が増えていった。その状況として、高所、崖など作業員にとって危険な場所、火山や原子力発電所などの災害や事故の現場、戦場など人的被害が生じる可能性がある場所、そして海底、宇宙など人間が行きにくい場所を挙げることができる。具体的には、スリーマイル島原子力発電所、チェルノブイリ原子力発電所、福島第一原子力発電所といった原発事故をはじめとする事例における遠隔操作ロボットの活動の様子を参照しながら、ロボットのテレオペレーションの必要性について理解を深める。
② 人間が直接触って扱えない放射性物質を、離れたところから安全に取り扱うため、アームとハンドからなる2本のマニピュレーターを操作して作業する、マスター・スレーブ・マニピュレーターが開発された。初期のマニピュレーターはマスターとスレーブが物理的に接続される機械式なので、操作者への力のフィードバックがあるが、遠距離の物体を操作できないのが問題であった。一方、遠隔のロボット(スレーブ)を制御して動かすリモートマニピューレーター/テレマニピュレーターは、遠隔ロボット側での力のフィードバックが得られないのが問題であった。1960年代には、危険な環境下で作業する人間を機械で覆うことで装着者の安全を確保し、装着者の力を増強することが可能な外骨格型/エグゾスケルトン型人力増幅機の開発が進められたが、この外骨格型ロボットは人力で制御するものでありロボットの自律性がなかった。その後1960年代後半より、管理制御/スーパーバイザリーコントロールと呼ばれる、ロボットの自律機能でできることはロボットに任せ,人間がロボットのスーパーバイザー(管理者)としてロボットを監視してサポートの任務を遂行するしくみが提案されるに至った。
③ ロボットのテレオペレーションの問題点として、遠隔地にいる操作者が臨場感を持ちながら作業できていなかったことが挙げられた。そこで1980年代の日本で、離れた場所にいる操作者が、ロボットが作業する場所で直接作業しているかのような高い臨場感をもってロボットを遠隔操作する、テレイグジスタンスの概念が提唱された。このテレイグジスタンスは、外骨格型ロボットと管理制御のそれぞれの利点を活かした概念であり、同時期に海外で提唱されたテレプレゼンスの概念とともに広く展開をみせた。テレイグジスタンスとVRとの違いは、操作者/ユーザーの分身が存在するのが実世界(ロボット)かバーチャル(アバター)かの違いである。現実という三次元空間の中で臨場感をもちながら分身ロボットを操作し、三次元空間内でリアルタイムに環境と相互作用するテレイグジスタンスは、VRの三要素を広義に満たしており、VRと本質的に同一の概念だと考えてよいだろう。
キーワード
① ロボット ② 遠隔操作 ③ テレオペレーション ④ テレイグジスタンス
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
予習:授業参加前にコマシラバスを読んでおくとともに、シラバス内で気になった用語を図書館やインターネット等で調べておくこと。
復習:授業内で紹介したVRの技術等の内容について、教材・教具の欄で示した資料を熟読することをはじめとして、図書館やインターネット等で理解を深めておくこと。
10
臨場感コミュニケーション
科目の中での位置付け
第10回では、第9回で説明した遠隔操作によるロボットとのコミュニケーションと関連して、自分と遠く離れた相手とが、現実のような臨場感や存在感をもちながらコミュニケーションを行っていく、臨場感コミュニケーション研究の流れについて説明する。これらの研究は、次の第11回にて説明する、バーチャル環境で表現されるユーザーの身体である「アバター」を使用した遠隔コミュニケーションにつながる。
東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター(編) (2022). トコトンやさしいVRの本[第2版] 日刊工業新聞社
雨宮 智浩 (2023). メタバースの教科書 -原理・基礎技術から産業応用まで- オーム社
コマ主題細目
① テレイグジスタンスによる能力の拡張 ② テレプレゼンスを実現するための要素 ③ 臨場感コミュニケーション
細目レベル
① テレイグジスタンスはただロボットを遠隔操作するだけでなく、ロボットを操作することで人間の能力を拡張することが可能である。1つめは感覚・知覚の拡張である。人間の操作者はロボットのセンサーを通して作業現場の環境を認識するが、知覚するのは完全に実空間と同じでなくてもよい。実情報と、センサーから得た情報から再構成されたバーチャル情報とを組み合わせたMR環境を得ることで、人間の知覚限界を超えた状況認識が可能であり、より適切な判断や動作が可能となる。2つめは大きさの拡張である。通常では人間が入れない場所にマイクロロボットを配置して、操作者が小さくなった感覚をもってロボットを操作し、微細な作業をすることが可能である。3つめは数の拡張である。通常は1名の操作者に対し1ロボットが対応して制御されるが、一対多、多対一での制御も可能となる。これらテレイグジスタンス状況下における人間の能力拡張の可能性を理解することが、第12回で説明する「人間拡張」の概念を理解することにもつながる。
② テレイグジスタンスは一方向だけでなく相互に行われるものでもあり、離れた場所にいる人同士がテレイグジスタンス技術によって臨場感を感じながらコミュニケーションをとることが想定されている。テレイグジスタンスと同時期にミンスキー(Marvin Minsky)によって提唱された類似概念「テレプレゼンス」があり、実際の場所以外の場所に存在しているように感じたり,存在しているように見せたり,効果を発揮したりできる技術である。テレプレゼンス技術によって、実際の場所以外の場所に存在しているように感じたり、存在しているように見せたりできるようになるキモは、「臨場感」と「存在感」という感覚であろう。臨場感は、操作者が感じる、その場にいるような感覚であり、一方で存在感とは、周囲の人が感じる、相手や物体が確かに存在していると感じる感覚である。互いがこうした感覚を感じることができるようになることによって、テレプレゼンスが実現することになるだろう。
③ あたかも自分がその場にいるかのような感覚である臨場感は、単一の感覚というより、複数の感覚要素から成り立っている。臨場感が生じる要因として、感覚器官で感知される外界の物理情報から生じる外的要因と、過去の経験や学習によって蓄積された記憶にもとづいて脳内で生成される内的要因がある。これらの要因を用いることによって人間の知覚・認知システムを刺激してリアルな外界を再構成させるとともに、脳内に蓄積された情報を引き出させることによって、臨場感を高めるのである。臨場感を高めるための外的要因については、超高精細映像技術として、4K、8Kと呼ばれるスーパーハイビジョン/超高精細テレビが一般に普及しつつあるとともに、5.1chサラウンドや22.2chサラウンド等の立体音響技術も普及が近い。
キーワード
① テレイグジスタンス ② テレプレゼンス ③ 臨場感 ④ 存在感 ⑤ 臨場感コミュニケーション
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
予習:授業参加前にコマシラバスを読んでおくとともに、シラバス内で気になった用語を図書館やインターネット等で調べておくこと。
復習:授業内で紹介したVRの技術等の内容について、教材・教具の欄で示した資料を熟読することをはじめとして、図書館やインターネット等で理解を深めておくこと。
11
アバターと身体
科目の中での位置付け
第11回では、バーチャル環境で表現されるユーザーの身体である「アバター」と実環境の人間の身体との関係について、アバターの身体化とそれに伴う心理的変化に着目して説明する。アバターを操作しそれを自分の身体と感じて制御するには、操作するユーザーがアバターを自分の身体だと思う感覚である「身体所有感」、そしてある動作や行動が自分の意思によって主体的に行ったものであるという感覚である「行為(動作)主体感」を感じることが重要とされる。また、ユーザーの実環境の身体とは異なる性別や形状のアバターを操作していると、そのアバターの見た目がユーザーの行動特性に影響していくという心理的変化が生じる。こうした心理的側面に着目して説明する。
東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター (2022). トコトンやさしいVRの本[第2版] 日刊工業新聞社
雨宮 智浩 (2023). メタバースの教科書 -原理・基礎技術から産業応用まで- オーム社
コマ主題細目
① アバターとは ② 身体所有感と行為(動作)主体感 ③ アバターの使用による心理的変容
細目レベル
① バーチャル環境で表現されるユーザーの身体を「アバター」と呼ぶ。基本はコンピュータ・グラフィックスによって作成された、バーチャル環境での自分や他者の分身としての身体のことを指すが、より広く考えてみると、バーチャル環境上でのCGアバターだけでなく、現実空間上でのもうひとつの身体であるロボットもアバターだとみなすことができるだろう。これらをまとめて、リアルの肉体以外のもうひとつの身体のことを「サイバネティック・アバター」と呼ぶ。このサイバネティック・アバターについて考えていく。
② このアバターを人間が操作することに関して注目されているのが、身体が自己に帰属する感覚,つまり「この身体は自分の身体なんだ」と感じる感覚である「身体所有感」と、ある動作が自分の意思で行った運動として帰属される感覚,つまり「これが動いたのは自分が操作したからなんだ」と感じる感覚である、「行為主体感/動作主体感」といった感覚である。人間が分身アバターを「自分の身体だ」と認識するには、これらの感覚をいかに強く感じることができるかがキモとなるであろう。
③ アバターを使用して継続的に活動していると、使用する人間側にも影響がでてくる。アバターを使用することによる心理的変容の例として、アバターの見た目がユーザーの行動特性に影響を及ぼすプロテウス効果が知られる。こうした現象と研究例について説明する。
キーワード
① 身体所有感 ② 行為(動作)主体感 ③ ボディスキーマ ④ プロテウス効果
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
予習:授業参加前にコマシラバスを読んでおくとともに、シラバス内で気になった用語を図書館やインターネット等で調べておくこと。
復習:授業内で紹介したVRの技術等の内容について、教材・教具の欄で示した資料を熟読することをはじめとして、図書館やインターネット等で理解を深めておくこと。
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人間拡張とボディシェアリング
科目の中での位置付け
第12回では、人間と機械、コンピュータとの関わりについて、そしてユーザーへと提供される体験の拡張や変容について説明する。特に近年注目されてきている、人間の身体的・心理的機能を拡張する技術である人間拡張や、自身の身体およびその情報を他個体の身体と共有することによって、体験をも共有する技術であるボディシェアリングといったテーマを取り扱う。
稲見 昌彦,北崎 充晃,宮脇 陽一,ゴウリシャンカー・ガネッシュ,岩田 浩康,杉本 麻樹,笠原 俊一,瓜生 大輔 (2021). 自在化身体論 ―超感覚・超身体・変身・分身・合体が織りなす人類の未来― エヌ・ティー・エス
玉城 絵美 (2022). BODY SHARING 身体の制約なき未来 大和書房
コマ主題細目
① 人間と機械・コンピュータとの関わり ② 人間の機能や能力の拡張 ③ ボディシェアリング
細目レベル
① 人間と機械との関わりについてここで注目するのが、脳と機械を(直接)つなぐ技術であるブレイン・マシン・インタフェース(brain-machine interface: BMI)である。この技術の代表的なものが、人間の脳活動を解読し、それによって機械やコンピュータを操作するという技術である。特に身体を動かすことができない難病患者が脳波によって分身ロボットを操作することによって、実世界で社会活動ができるようになってきている。これらの技術を支える基礎的知見についても紹介する。
② ブレイン・マシン・インタフェース以外に、人間の能力をテクノロジーによって増強・拡張させる技術である「人間拡張」の概念が提唱されている。人間拡張には4つの拡張があるとされ、テクノロジーによって身体能力を高める、機能を補綴する「身体の拡張」、遠隔での活動を可能にする「存在の拡張」、感覚をテクノロジーで強化したり置き換えたりする「知覚の拡張」、そして何かを理解したり学習したりというプロセスそのものを拡張する「認知の拡張」である。
③ 細目②で説明した人間拡張の4つの拡張の実例を紹介しながら、さらに進めた概念として提唱されている「ボディ・シェアリング」についても説明する。
キーワード
① ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI) ② ブレインマシンインタフェース(BMI) ③ 人間拡張 ④ 拡張身体 ⑤ ボディシェアリング
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
予習:授業参加前にコマシラバスを読んでおくとともに、シラバス内で気になった用語を図書館やインターネット等で調べておくこと。
復習:授業内で紹介したVRの技術等の内容について、教材・教具の欄で示した資料を熟読することをはじめとして、図書館やインターネット等で理解を深めておくこと。
13
VRコンテンツとその応用①
科目の中での位置付け
第13回では、次回第14回と併せ、ユーザーにVR体験を提供するVRコンテンツについて、具体的な応用事例をとおして説明する。第13回は特に、(1) 教育・訓練、(2) 医学とリハビリテーション、(3) 観光と地方創生、などに焦点を当てて紹介する。
日本バーチャルリアリティ学会 (編) (2010). バーチャルリアリティ学 コロナ社
東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター (2022). トコトンやさしいVRの本[第2版] 日刊工業新聞社
雨宮 智浩 (2023). メタバースの教科書 -原理・基礎技術から産業応用まで- オーム社
コマ主題細目
① VRの教育訓練応用 ② VRによる体験学習 ③ バーチャル空間での学校教育とコミュニケーション
細目レベル
① 実際の教育・訓練の現場では、古くから技術を応用したシミュレーションが用いられており、その代表的なものがフライト・シミュレータや、ドライビング・シミュレータであろう。また最近、医療教育現場でも、VR環境上で医療技術の練習を行う訓練法が広まってきている。そうした、実際に行うと多額の費用や手間がかかる実機を用いた訓練に代わるVR上での教育訓練手法が広く用いられている。
② 遠隔で動画を見るだけでなく、VRを使用して体験学習を行うのは大きなメリットがある。(1) 通常の学校見学では行けなかった場所を体験可能である、(2) 自分で視点を動かし操作することによって能動的な学習ができる、(3) 現実世界では安全管理上触れられないものなどがリスクを伴うことなく体験し学習できる、(4) 場所・時間を問わず、何度も繰り返して体験し学習できるといったメリットがあり、VRを用いた学習がさらに広まることが期待される。
③ 体験学習だけでなく、バーチャル空間上に学校が存在し、そこで学生・生徒が学ぶという状況が成立するようになってきている。また、現実の学校に通って不登校になってしまった学生・生徒がバーチャル空間に集いコミュニケーションをとる、不登校支援という試みも行われている。
キーワード
① フライト・シミュレータ、ドライビング・シミュレータ ② VR医療 ③ 遠隔教育 ④ VR体験学習 ⑤ 不登校支援
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
予習:授業参加前にコマシラバスを読んでおくとともに、シラバス内で気になった用語を図書館やインターネット等で調べておくこと。
復習:授業内で紹介したVRの技術等の内容について、教材・教具の欄で示した資料を熟読することをはじめとして、図書館やインターネット等で理解を深めておくこと。
14
VRコンテンツとその応用②
科目の中での位置付け
第14回では、第13回に続き、ユーザーにVR体験を提供するVRコンテンツについて、具体的な応用事例をとおして説明する。第14回は特に、(1) VRの医療・リハビリテーション応用、(2) VRと観光・地方創生、(3) VRとエンターテインメント、などに焦点を当てて紹介する。
日本バーチャルリアリティ学会 (編) (2010). バーチャルリアリティ学 コロナ社
大口 孝之,谷島 正之,灰原 光晴 (2012). 3D世紀 驚異!立体映画の100年と映像新世紀 ボーンデジタル
コマ主題細目
① VRの医療・リハビリテーション応用 ② VRと観光・地方創生 ③ VRとエンターテインメント
細目レベル
① VRを用いた医療・リハビリテーション応用について注目するのは、VRを用いた暴露療法である。BRによって高所や電車内などのコンテンツを作成し、その環境に暴露することで不安・恐怖症状を和らげていく試みが提唱されている。また、事故などで手や足を失った患者が、存在しないはずの手足の痛みを感じる幻肢痛という症状に対して、VR技術によってバーチャルな手足を認識させることで、幻肢痛の症状を緩和させるという試みもある。こうした応用の試みに焦点を当てて紹介する。
② VRを用いた観光・地方創生について、YouTube等での映像配信を通して、映像とVR装置と組み合わせることで、視聴者の周囲を取り囲むような臨場感・没入感のある映像を提供して視聴者に体験させるものが広まっている。また、観光地の案内についても、スマートフォンとAR技術を用いた情報提示による観光案内も使われるようになっている。そうしたVR/ARを用いた観光・地方創生の取り組みを説明する。
③ エンターテインメント分野におけるコンテンツである映画、ゲーム、アート、映像配信等について、3D技術やVRとの関係に焦点を当てて紹介する。
キーワード
① 暴露療法 ② 幻肢痛 ③ VRツアー ④ 3D映画・3Dゲーム ⑤ 映像配信
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
予習:授業参加前にコマシラバスを読んでおくとともに、シラバス内で気になった用語を図書館やインターネット等で調べておくこと。
復習:授業内で紹介したVRの技術等の内容について、教材・教具の欄で示した資料を熟読することをはじめとして、図書館やインターネット等で理解を深めておくこと。
15
VRとメタバース
科目の中での位置付け
第15回では、VRやARを基幹技術とした、オンラインで多人数が同時に参加し、ソーシャルな活動を行っているバーチャル空間であるメタバースについて、その展開と現状、そして今後の課題について説明する。ここまで説明してきた、人間の知覚・認知とVRの関係、そしてバーチャル空間でのアバター使用によるコミュニケーション等の知見をふまえ、VRとメタバースの現状および今後の課題について考えていく。
日本バーチャルリアリティ学会 (編) (2010). バーチャルリアリティ学 コロナ社
東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター (2022). トコトンやさしいVRの本[第2版] 日刊工業新聞社
雨宮 智浩 (2023). メタバースの教科書 -原理・基礎技術から産業応用まで- オーム社
コマ主題細目
① メタバースのこれまでの展開 ② メタバースの現状と今後の課題 ③ VR・メタバースと心理学との関係(全体まとめ)
細目レベル
① これまで紹介してきたVR技術以外に注目したいのは、大人数が集まって活動する環境が成立したことである。ひとつは、MMORPGと呼ばれる大人数同時参加型ゲームである。パーソナルコンピュータの性能が格段に良くなったのと、インターネット通信環境の改善もあって、大人数が同時に参加してゲーム環境内で活動するオンラインのゲームが流行するようになった。もうひとつは、「セカンドライフ」と呼ばれるバーチャル空間での活動であり、現在のメタバースの原型のひとつとみなすことができるだろう。
② メタバースは、MMORPGのゲームのようにゲームクリアといった特定の目標を定めた活動をするだけでなく、オンラインで多人数が同時にバーチャル空間に参加し、ソーシャルな活動を行うことに特徴がある。このメタバースについて、その展開と現状、そして今後の課題について説明する。
③ 最後に、ここまで説明してきた、人間の知覚・認知とVRの関係、そしてバーチャル空間でのアバター使用によるコミュニケーション等の知見をふまえ、VRとメタバースの現状および今後の課題について考えていく。
キーワード
① メタバース ② サイバースペース ③ ネットワーク ④ ソーシャルVR
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
予習:授業参加前にコマシラバスを読んでおくとともに、シラバス内で気になった用語を図書館やインターネット等で調べておくこと。
復習:授業内で紹介したVRの技術等の内容について、教材・教具の欄で示した資料を熟読することをはじめとして、図書館やインターネット等で理解を深めておくこと。
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
1. VRの歴史および関連コンテンツの歴史の理解
VR研究およびVR技術の発展についての流れを理解している。研究や技術の進展とあわせたVRコンテンツの具体例やその特徴について理解している。
バーチャルリアリティ,メタバース,センソラマ,Ultimate Display, データグローブ,ヘッドマウントディスプレイ,HMD,CAVE,CABIN,ウェアラブルコンピュータ,AR,3DVR教育,VR観光,VR医療,VR曝露療法,3Dゲーム
20
1, 2, 8, 9, 13, 14, 15
2. VRに関係する人間の感覚処理のしくみの理解
VRの三要素である「三次元空間」「リアルタイム相互作用」「自己投射性」を実現するのに関係する,人間の感覚・知覚処理のしくみを理解している。特に,人間が奥行きをもつ三次元空間を知覚するために用いられる複数の奥行き手がかりとそれらの違い,人間が正しく音源/音像の方向を認識するための聴覚的手がかりとその特性について理解している。
奥行き知覚,奥行き手がかり,制約条件,両眼視差,音源定位/音像定位,両耳間時間差,両耳間レベル差,耳介,頭部伝達関数
15
2, 3, 4, 5
3. 多感覚統合の特性および具体的な研究例の理解
人間の感覚,特に視覚,聴覚,皮膚感覚(触覚)の間の相互作用を示す錯覚現象を説明できる。また,感覚間相互作用を用いた応用研究の事例についても理解している。
腹話術効果,マガーク効果,交差-反発知覚,パーチメントスキン錯覚,,シュードハプテイクス(擬似触覚),メタクッキー
10
5, 6
4. 自己移動感覚に関する人間の特性とメカニズムの仮説の理解
「自分が移動している」という感覚について,特に視覚刺激から生起する自己移動感覚(ベクション)について,日常の例,人間の特性,そして生起メカニズムの仮説を理解している。加えて,視覚や前庭感覚をはじめとする感覚間の不一致から生じるVR酔い,映像酔いについての生起仮説を理解している。
オプティカルフロー,動揺病,映像酔い,VR酔い,視覚誘導性自己移動感覚,ベクション,train illusion,びっくりハウス,図-地仮説
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6, 7
5. 複合現実感の理解
複合現実感として,現実とVRは完全に別なものではなく,現実-拡張現実(AR)-拡張VR-VRと,連続的なスペクトラムとしてとらえられる。これらの違いを理解している。特に,拡張現実(AR)の特徴と発展までの流れを説明できる。
複合現実感,MR,拡張現実(感),AR,コンピュータのモバイル化,領域型展示空間,ウェアラブルコンピュータ,セカイカメラ,ポケモンGO,透過型ディスプレイ,ARスマートグラス
10
8, 9
6. テレイグジスタンス,臨場感コミュニケーション,人間拡張に関する研究と技術発展への理解
VRと関連しているテレイグジスタンス,テレプレゼンス,臨場感コミュニケーション,人間拡張において,それらの研究プロジェクトについての基本事項および研究の流れについて理解している。特に,サイバネティックアバターを使用した場合の人間の能力の拡張について,拡張される能力のアイデア,および具体事例について理解している。
テレオペレーション,拡張型テレイグジスタンス,サイバネティックアバター,アバター,分身ロボット,人間拡張,融合身体,分身ロボットカフェ
13
9, 10, 11, 12, 13
7. アバターと身体に関する人間の心理特性についての理解
分身ロボットやVRアバターなどサイバネティックアバターを使用してテレイグジスタンスや臨場感コミュニケーション,そしてソーシャルVRを体験するのに関係する人間の感覚について理解している。それらに関する身体や自己に関する錯覚現象,具体例について理解している。
分身ロボット,VRアバター,臨場感,存在感,身体所有感,操作主体感,身体錯覚,ラバーハンド錯覚,体外離脱体験,プロテウス効果
20
10, 11, 12, 13
評価方法
期末試験(100%)で評価する。
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
指定しない。
参考文献
日本バーチャルリアリティ学会 (編) (2010). バーチャルリアリティ学 コロナ社, 東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター(編) (2022). トコトンやさしいVRの本[第2版] 日刊工業新聞社, 雨宮 智浩 (2023). メタバースの教科書 -原理・基礎技術から産業応用まで- オーム社
実験・実習・教材費
徴収しない。