区分
高度専門科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力
科学コミュニケーション力
研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養
応用力
実践力
科目間連携
総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
科目の目的
本科目は、高度専門科目の1つであり、公認心理師カリキュラムの規定された25科目にも該当しないが、公認心理師を目指すうえでは重要な科目の1つである。公認心理師は心理職初の国家資格であり、その職域は、保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働の5分野が想定されている。受講者の多くは、1年次後期科目の「臨床心理学概論」において、行動療法や行動分析学に関する予備的な知識を修得している。各領域の公認心理師は、様々な心理・社会的問題に直面している患者に出会うが、患者の直面する問題を解決するうえで、患者の生活スタイルをより適切な方向へと導いていくことが重要である。その際、行動療法や学習理論に基づいた考え方に沿って、生活スタイルを改善していくことは、問題解決の成功確率を高めることになる。その問題解決の成功確率は、これまでの先行研究がすべてを物語っている。行動療法に関する正しい知識は、公認心理師にとって、患者に対する適切な心理支援を行ううえで、必要不可欠な知識である。
本科目では、行動を「刺激ー反応」の枠組みで捉え、その枠組みを用いながら、さまざまな問題解決のための仕組み、そして症状、経過、本人及び家族に対するアセスメントや支援に関する知識を修得し、とりわけ支援方法について理解することを目的とする。また、公認心理師を目指していない学生も受講の対象となる。
到達目標
本講義の科目目的を達成するため、行動療法を支援の中でどのように生かしていくかに関する行動療法を用いたアセスメントや患者理解、支援方法に関する知識を修得し、行動療法を用いた支援の実際について理解する。さらに、上記の目標を達成することにより、過去の公認心理師試験の行動療法に関連する過去問が解けるようになることも目標とする。
科目の概要
この科目は、基盤専門科目「臨床心理学概論」、公認心理師関連科目「精神疾患とその治療」および「心理学的支援法」を受け、さまざまな臨床心理学的な問題に直面しているクライエントに対して、実際に実施する臨床心理学的支援について理解を深める。具体的には、エビデンスに基づいた臨床心理学的支援の1つである行動療法について、その基礎知識や理論的背景、保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働分野の5分野における行動療法の実際、およびその効用と限界について理解を深める。また、行動療法の実施にあたって重要となる協働的実証主義や共同意思決定についても理解することで、行動療法をおこなううえでの留意点を学習する。また、行動療法に組み合わせて実施される面接法(例えば、動機づけ面接法)についても理解を深めていく。この科目を受講することによって、「アドバンスト心理療法Ⅱ(認知行動療法)」とも連動し、認知行動療法の理解と実践を深く学ぶ機会となる。
科目のキーワード
行動療法、学習、刺激、反応、レスポンデント条件づけ、オペラント条件づけ、精神疾患、精神症状、アセスメント
授業の展開方法
この科目は、各回で教材を準備し、その教材を使用しながら講義を進める。講義内で用いるその他の参考書や論文等を予習や復習に使用する場合には、その都度、講義内でその旨をアナウンスする。主に各回の教材を、教員が読み上げることで講義を進めるが、イラストや写真が必要な場合は、補助教材としてpptを用いる。また、随時、学生に講義内容の理解を深めるような質問を投げかけるため、学生は、講義を受動的ではなく、能動的に受講する姿勢が求められる。担当教員はこれまでの行動療法に関連する臨床・研究に関する経験に基づいて第1~15回について話す。
オフィス・アワー
前期:金曜4限
後期:金曜4限
科目コード
RE4120
学年・期
2年・後期
科目名
アドバンスト心理療法Ⅰ(行動療法)
単位数
2
授業形態
講義
必修・選択
選択
学習時間
【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
展開科目
関連資格
担当教員名
横光健吾
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
行動療法
科目の中での位置付け
本科目は、行動療法を支援の中でどのように生かしていくかに関する行動療法を用いたアセスメントや患者理解、支援方法に関する知識を修得し、行動療法を用いた支援の実際について理解することを目的とする。
第1回の講義では、授業の進め方に関するオリエンテーションの他、行動療法、学習、行動、環境について、行動療法の文脈におけるその意味について学ぶ。そして、本科目における「行動」の捉え方について理解する。
コマ主題細目
① オリエンテーション ② 行動療法とは ③ 学習とは ④ 行動とは ⑤ 環境とは
細目レベル
① 初回では、講義全体の進め方について説明をする。具体的には、出席要件、講義の進め方、manabaを使った質問の仕方、成績評価について説明をする。出席要件としては、本学の履修要綱に基づいて出席を管理する。講義の進め方について、冒頭に前回の講義終了後に回収した授業内容や文字教材等に関する質問に対する回答を行う。次に、コマシラバスを確認しながら、当該講義が科目全体、及びカリキュラム全体においてどのように位置づけられるか、そして当該講義の目標を確認したうえで、授業を開始する。講義の最後には、小テストを実施し、当該講義の理解度を確認する。なお、質問への回答に時間を要するため、学生は、原則講義実施日中に質問を行うこととする。成績評価について、この講義の成績評価は期末試験100%とする。つまり、期末試験の成績が本講義の成績となり、各回で実施する小テストについては、その講義の目標がどの程度確認できたかの指標として用いる。予習/復習については、小テストの結果を参照しながら、各講義で事前に配布される文字教材/パワーポイント教材を用いて行う。
② 行動療法とは、生活上の問題に対する理解と治療を目的としたアプローチであり、応用行動分析、行動療法、認知行動療法に代表されるものである。行動療法の発展は、20世紀半ばにピークを迎え、その時代には様々な出来事(条件づけ研究や新しい研究基準の出現、当時主流であった精神分析等の治療への効果への反証)があった。行動療法とは何か、といった定義はないかもしれないが、1つのコンセンサスとして「行動療法が行動の変化を通して人間の苦痛を理解し改善するという姿勢、つまり実験心理学、とくに学習原理によって影響を受けている」がある。
③ 学習とは、われわれにとってごくありふれた経験である。行動療法と同様に、学習とは何かといった普遍的な定義は存在しないが、「ある特定の刺激や反応(もしくはそれに類似した刺激や反応)に関する、これまでの経験によって生じる変化」である。具体的には、もともと好きだった虫が、大人になるにつれて嫌いになることであったり、子どもの時は食べることができなかったものが、年を取ると食べることができるようになったり、勉強をしていくにつれて、勉強が好きになったり、などがある。学習とはみなされない変化には、疲労(激しく活動すると刺激に対する反応が次第ににぶくなるが、しばらく休憩することでこの反応の減弱はなくなる)、成熟(背が高くなると高い場所から何かを取ることができるようになるが、これは単なる時間経過により生じる)、がある。
④ 本授業、並びに心理学における行動とは、日常生活の中で考えられる「行動」とは異なる捉え方をする。しかしながら、本授業における行動の捉え方が常識とは異なるものであるかと言われればそうではない。人間の行動を科学的に、すなわち客観的に、観察される出来事として捉えていこうとするうえでは、納得のできる捉え方であると言える。では、どのような捉え方をするかというと、すべての精神活動や現象を「刺激ー反応」という枠組みで理解しようとし、意識を含めた生体(人間を含めた動物)におけるさまざまな変化と捉える。なお、実際には、「刺激ー反応」の連鎖によって行動が生起する、つまり「刺激ー反応」の反応が、次の「刺激ー反応」の刺激となって、行動が続いていくのである。この「刺激ー反応」の枠組みを行動と呼ぶ。
⑤ 動物や人間の行動がどのように生起し、どのように維持されるのか、そしてその行動にどのような役割があるかについて、本授業では学習理論に基づいて理解していく。その中で、主には環境と生体との相互作用の中で、行動を捉えようとする。しかしながら、生体の行動すべてを生体と環境との相互作用の中で捉えることができるか、と言われればそうではない。例えば、系統発生のような長い年月をかけて進化をしてきた、学習を必要とせず、その種に備わっている特有の行動は、環境との相互作用の中で捉えられない。例えば、生得的行動のように、生体が生まれつき持っている経験を必要としない行動も存在する。
キーワード
① 行動療法 ② 学習 ③ 行動 ④ 環境 ⑤ 確立操作
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
[復習]
「刺激ー反応」として捉える行動について、日々の生活の中で、どのような現象があてはまるかを説明することができる。学習や枠組みとしての行動に関するさらなる理解を深めるために、「方法としての行動療法」の第四章(技法・対象認識把握技術:「行動としてとる」)、「認知行動療法という革命:創始者たちが語る歴史」の序章を読む。
[予習]
1年次前期の「心理学概論」の「氏か育ちか ー生得説と獲得説ー」の授業資料を前に読んでおく。
2
なぜ、不安や恐怖、欲求が生じるのか
科目の中での位置付け
本科目は、行動療法を支援の中でどのように生かしていくかに関する行動療法を用いたアセスメントや患者理解、支援方法に関する知識を修得し、行動療法を用いた支援の実際について理解することを目的とする。
第2回の講義では、レスポンデント条件づけの基礎、及びレスポンデント条件づけが関連する概念(般化、弁別、消去)について学ぶ。
コマ主題細目
① レスポンデント条件づけ ② 般化・弁別 ③ 消去
細目レベル
① 人間の生活を送るのなかで、なぜ不安や欲求が生起するのかについて、レスポンデント(古典的条件)づけの観点から説明を行う。つまり、なぜ人々はお酒を飲みたくなるのか、ギャンブルしたくなるのか。なぜ人々は、緊張したり、不安になったりするのか。このような状況では、欲求や思考が生起している。このような食べ物を見ると唾液が出てくるように、特定の状況で、例えば、パチンコ屋をみるとギャンブルしたくなる、疲れを感じると「リフレッシュしたい」という思考の生起と同時にお酒を飲みたくなる、といったように欲求や思考が生じてくる。このようなレスポンデント条件づけから説明可能な人間の行動(刺激ー反応の関係性)について説明を行う。
② では、そういったレスポンデント条件づけで獲得された(学習が成立した)行動(刺激ー反応の関係)が、なぜ類似した場面で生起するのか。そして、特定の場面でのみしか生起しないのか。このような現象を般化(はんか)、弁別と呼ぶ。このような般化や弁別は人間の生活において、とても便利な働きをするが、悪い方向に作用するとそれは不適切な行動を形成してしまい、過度な場合は精神疾患の1つとしても捉えられることがある。例えば、インターホンの音に恐怖を感じる人が、「さまざまな家具の音(ピー音やメロディ)」に恐怖を感じることは般化である。また、バスや電車などの大きな乗り物で、かつ降りたい時に降りれない乗り物では恐怖を感じるが、タクシーのように小型で、いつでも降車できる乗り物の場合には恐怖を感じないことは、別々の例である。
③ レスポンデント条件づけで獲得された行動は、その後永久的に残るのか、つまりインターホンに恐怖を感じるようになってしまった人は永久的にインターホンの音に恐怖を感じてしまうのか、という問いが考えられる。答えは否である。行動療法とは、このようなレスポンデント学習によって成立した行動、つまり刺激ー反応の関係性を断ち切ることが可能である。その方法とは、条件刺激のみを単独で提示し、インターホンの音を聞いて不安や恐怖、心拍の上昇を経験したとしても、その不安や恐怖、心拍の上昇が、いずれ無くなることの経験を繰り返していくことで、インターホンの音がなっても不安や恐怖が生起しないことを学習していくのである。行動療法の支援においては、レスポンデント条件づけや般化、弁別、消去について、人々がどのような場面でどのようなレスポンデント条件づけが生起しているかを把握することが重要であることからも、その支援の実際について、事例を通じて理解する。
キーワード
① レスポンデント条件づけ ② 般化 ③ 弁別 ④ 消去 ⑤ アセスメント
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
[復習]
レスポンデント条件づけ、及びレスポンデント条件づけを用いた支援について、授業では人々の行動を例に説明が行われたが、自分自身の不安や欲求が生起する場面に鑑みて、どのようなメカニズムで自分自身のレスポンデント条件づけが生起しているかについて、具体例を用いて説明ができるようになる。
[予習]
2年次前期の「依存症の心理学」の「学習理論に基づく依存症の生起メカニズム」の授業資料、及び1年次後期の「臨床心理学概論」の「行動主義心理学」の授業資料を事前に読んでおく。
3
不安や恐怖は、どのように回復するのか
科目の中での位置付け
本科目は、行動療法を支援の中でどのように生かしていくかに関する行動療法を用いたアセスメントや患者理解、支援方法に関する知識を修得し、行動療法を用いた支援の実際について理解することを目的とする。
第3回の講義では、不安や恐怖、欲求は、どのように回復するのかについて理解するために、レスポンデント条件づけの復習をした後で、行動療法における治療技法(系統的脱感作、エクスポージャー)について学ぶとともに、治療によって反応が減少したものが、再び生起するメカニズムについても学ぶ。
「からだとこころ : 身体性の臨床心理」、「ドムヤンの学習と行動の原理」の第9章「条件性行動の消去」、「方法としての行動療法」
コマ主題細目
① レスポンデント条件づけ/消去の復習 ② 系統的脱感作 ③ エクスポージャー ④ 消去からの回復
細目レベル
① 第3回目では、レスポンデント条件づけによって獲得された学習に対する行動療法を用いた治療技法を紹介していく。したがって、前回実施したレスポンデント条件づけの復習、及び消去のメカニズムに関するより詳細な説明を実施する。消去は、レスポンデント条件づけによって学習が成立した後にしかおこなうことができないものである。そして、消去の目標は学習によって獲得された反応を無効にすることである。消去の結果生じる条件性行動(条件づけによって獲得された刺激ー反応の関係性)の消失は、忘却によって生じるであろう反応の消失とは異なという点は重要である。消去とは、予期される条件刺激や強化子が省略されることによって生じるプロセスである。対照的に、忘却は、時間経過によって生じるであろう反応の減少である。
② 系統的脱感作とは、ウォルピによって「逆制止による精神療法」として独自に提唱されていたものが、行動療法の主要な治療法のひとつとして、行動療法の中に入れられた。この治療法は、「不安とキックする反応を生じさせる方法を用いることによって、不適応的な不安ー反応習慣を徐々に弱めるための方法」であり、逆制止として説明される。十分に筋肉弛緩訓練をおこなった後の弛緩状態にあるクライエントに対して、不安想起刺激状況に曝し、不安反応を軽快させる方法である。筋肉弛緩訓練としては、リラクセーションの1つである漸進的筋肉弛緩法を簡略した方法が用いられる。両腕や顔、首、肩までの筋肉弛緩訓練によって脱感作には十分な弛緩が得られるとされている。筋肉弛緩法の他に、自律訓練法や子どもの場合は強い力を持つヒーローのイメージによって不安反応を制止させる方法などが用いられる。
③ 系統的脱感作が用いられるようになり、多くの治療効果研究が行われてきた。例えば、不安階層表が繊細で段階的である必要性、筋肉弛緩訓練の必要性、刺激提示の時間、などをテーマに多くの研究が実施された。その結果、もし不安惹起刺激が長時間提示される場合、不安刺激状況は系統的脱感作で用いるようなごく弱い反応しか起こさない状況である必要が無いこと、またそのときに筋肉弛緩などの不安に拮抗する反応も必要でないことが証明されるようになったのである。このような系統的脱感作を発展させたものが、エクスポージャー(またはフラッディング)と呼ばれる治療技法である。似たような治療として、非常に強い刺激状況への暴露による恐怖の覚醒が恐怖の消去を促すという考えのもとにインプロージョン療法が提案されたが、これは多くの場合禁忌であることがわかり、行動療法を用いた臨床からは姿を消した。エクスポージャーでは、不安を生じさせている刺激状況に実際でありイメージであれ、直面しその状況を体験することで、その状況を不安でなく体験できるようになるプロセスをもつ治療法である。
④ 消去を用いた手続きは、治療において良く用いられ、対象となる行動が減少するため効果的であるとされる。だからといって、消去によって獲得された行動が完全に取り除かれたりするわけではない。最初に学習されたものが消去によって完全に取り除かれるわけではないことから、消去された反応は様々な状況で再出現する。その中に、自然的回復、復元、復帰、再出現という現象がある。例えば、自然的回復とは、消去訓練後に休止期間を導入することで反応が元に戻ることであり、休止中には反応の回復を引きおこすような特別な操作を何も行わないことから、刺激的回復(spontaneous recover)と呼ばれる。したがって、系統的脱感作やエクスポージャーによって反応が消去されたが、エクスポージャー等を休止してしまう(休止期間が長い)と、また同じような刺激にされされた場合に不安反応が生起することとなるため、継続的なフォローアップが臨床上では重要である。
キーワード
① レスポンデント条件づけ ② 消去 ③ 系統的脱感作 ④ エクスポージャー ⑤ 消去からの回復
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
[復習]
レスポンデント条件づけ、消去手続き、関連するリラクセーションについてさらなる理解を深めるために、「からだとこころ : 身体性の臨床心理」、「ドムヤンの学習と行動の原理」の第9章「条件性行動の消去」、「方法としての行動療法」を読む。
[予習]
レスポンデント条件づけに関する前回の授業資料を事前に読んでおく。
4
われわれの行動はどのように成立するのか
科目の中での位置付け
本科目は、行動療法を支援の中でどのように生かしていくかに関する行動療法を用いたアセスメントや患者理解、支援方法に関する知識を修得し、行動療法を用いた支援の実際について理解することを目的とする。
第4回の講義では、われわれの行動がどのように成立するかについて、レスポンデント条件づけではなく、オペラント条件づけからそのメカニズムについて学ぶとともに、オペラント条件づけのメカニズムにおいて重要な後続刺激(結果)についても学ぶ。
「はじめての応用行動分析」の第1章
コマ主題細目
① 確立操作の復習 ② オペラント条件づけ ③ 後続刺激
細目レベル
① 動物や人間の行動がどのように生起し、どのように維持されるのか、そしてその行動にどのような役割があるかについて、本授業では学習理論に基づいて理解していく。その中で、主には環境と生体との相互作用の中で、行動を捉えようとする。人々の行動を理解していくうえで、確立操作という概念は極めて重要である。確立操作とは、直接行動を引き起こすわけではないが、行動を引き起こすまでの状態であることからも、一見行動を引き起こしているように見える。確立操作とは、その状態が生体が行動をした後の結果(後続刺激の変化)に影響を及ぼすものである。具体的には、遮断化、飽和化、嫌悪化、ルールや信念といったものがある。飽和化とは、欠乏状態であり、自身の状態としては、水を飲んでいない、何も食べていない、空気が薄い、運動をして汗をかいている、などがあり、社会的な状態(環境)には、ゲームができない、タバコが吸えないなどがあり、〇〇がない、という環境がおもにあてはまる。
② オペラント条件づけとは、刺激に対して生起した反応のあとに、後続刺激(結果)が伴うことによって、行動の生起頻度が増加/減少事を通じて、行動が獲得もしくは減少していくことである。オペラント条件づけについて、その現象を観察したソーンダイクは、餌を遮断化した猫を問題箱に入れ、試行錯誤した結果外に出て餌を食べることができ、これを繰り返すことで猫はより早く外に出ることができたことをつうじて、効果の法則を見出した。効果の法則とは、時間的に接近して満足をもたらした反応は、同じような状況でその反応が再び生起しやすい、というものである。逆に、不快をもたらす反応は、生起しにくくなる。その後、スキナーは、効果の法則における「満足」と「不快」を事前に決めておくことは難しく、行動が増加した時に「好ましい結果が得られた」とし、行動が減少した時に「嫌悪的な結果が得られた」と修正し、こんにちのオペラント条件づけの概念に至っている。
③ オペラント条件づけでは、後続刺激(結果)がどのようなものであるかを把握することが重要である。どんな後続刺激(結果)が出現、消失すると、行動が増えるのか、減るのかを理解するために、強化刺激/弱化刺激を理解していく。強化刺激とは、反応の後に生じることによって、その反応の生起頻度を増加させる刺激であり、弱化刺激とは、反応の後に生じることによって、その反応の生起頻度を減少させる刺激である。強化刺激/弱化刺激には、ほぼ万人(動物)に共通する生まれた時から強化/弱化の役割を果たすものであり、食べ物や飲み物、温度変化などの一次性(生得性)刺激や、さまざまな経験をしながら、生きていく中で強化/弱化の役割を果たすようになる、お金や地位、名声、交流といったような二次性(条件性)刺激がある。その他にも、活動性刺激や内在性刺激などがある。
キーワード
① オペラント条件づけ ② 確立操作 ③ 強化刺激 ④ 弱化刺激 ⑤ 結果
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
[復習]
オペラント条件づけについて、授業ではいくつかの例をもとに説明が行われたが、自分自身の行動に鑑みた場合、どのようなものが成立しているかについて、具体例を用いて説明ができるようになる。さらなる理解を深めるために、「はじめての応用行動分析」の第1章を読む。
[予習]
2年次前期の「依存症の心理学」の「学習理論に基づく依存症の生起メカニズム」の授業資料、及び1年次後期の「臨床心理学概論」の「行動主義心理学」の授業資料を事前に読んでおく。
5
狙った行動を身に着けさせることはできるのか
科目の中での位置付け
本科目は、行動療法を支援の中でどのように生かしていくかに関する行動療法を用いたアセスメントや患者理解、支援方法に関する知識を修得し、行動療法を用いた支援の実際について理解することを目的とする。
第5回の講義では、「狙った行動を身に着けさせることはできるのか」について学ぶ。具体的には、オペラント条件づけを用いて、新しい行動をどのように獲得していくかについて学ぶ。さらに、新しい行動の獲得させるために「消去」が有効であることについて学ぶ。
「方法としての行動療法」の第2章
コマ主題細目
① 強化・弱化、後続刺激の復習 ② 新しい行動の獲得 ③ 新しい行動の獲得と消去
細目レベル
① 強化、弱化、および後続刺激(強化刺激、弱化刺激)について、良くある誤解がある。それは、およそ万人にとって好ましいものは強化刺激になり、およそ万人にとって不快なものは弱化刺激になるであろう、といった事前のバイアスである。もちろん、およそその考え方が間違っているわけではなく、基本的には一般化することが可能である。しかしながら、こと行動療法を用いた支援を実施ししていく場合、治療者のバイアスはその治療をうまく作用させない可能背がある。一般常識的な判断を参考にしつつ、目の前のクライエントにとって何が強化刺激となっていて、何が弱化刺激となりうるかを観察していくことが重要である。また、強化刺激や弱化刺激は、実態だけではなくて、身体(脳、こころ?)の中でのイメージや意識も含まれることがある。
② 新しい行動を獲得させると言われると、少し誤解があるかもしれないが、行動療法を用いた支援の実際では、不適切な行動をできる限りその社会において適切な行動へと置き換えていくことが重要となる。その際、現状では身についていない行動を獲得させることが必要になるときもある。このオペラント条件づけを用いて、新しい行動を獲得させる方法をシェイピングと呼ぶ。シェイピングでは、目標となる行動を定義し、その目標に近づくために段階的に行動を身につけていくように支援を行う。目標に近い行動を緩やかに段階的に定義していく方法を逐次接近法と呼び、この新しい行動を獲得させるための段階をどれだけ上手に設定することができるかが臨床家にとって重要となる。
③ 新しい行動を獲得させるシェイピングの手続きにおいて大切となるのが、遮断化(確立操作)と消去の手続きである。シェイピングの際に、段階的に行動を獲得させる事が必要ではあるが、その前段階をどのようにして獲得させるか、が重要であり、偶然その前段階の行動をした際に強化刺激を提示し、提示した刺激が強化刺激となり得るためには、その個体が遮断化されていなければ、刺激が強化刺激となりえないのである。このような、遮断化と適切なタイミングでの強化刺激の提示が重要となるのである。さらに、段階を踏んで行動を獲得させていく過程で次のステップに進みづらいことがあるが、その時に「強化の手続きを止める」つまり消去の手続きを実施することが重要である。なぜならば、消去後の行動変化(その一つが消去バーストと言われる)によって、今までに生起しなかった行動が引き起こされるからである。
キーワード
① 強化刺激 ② 弱化刺激 ③ シェイピング ④ 確立操作 ⑤ 消去後の行動変化
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
[復習]
シェイピングについて、授業ではいくつかの例をもとに説明が行われたが、自分自身の行動に鑑みた場合、どのようなものを新しい行動として獲得させることが可能かについて、具体例を用いて説明ができるようになる。さらなる理解を深めるために、「方法としての行動療法」の第2章を読む。
[予習]
第4回の授業資料を再度読み、支援をする際にどのような視点が重要かについて考えておく。
6
これまでのまとめ
科目の中での位置付け
本科目は、行動療法を支援の中でどのように生かしていくかに関する行動療法を用いたアセスメントや患者理解、支援方法に関する知識を修得し、行動療法を用いた支援の実際について理解することを目的とする。
第6回の講義では、これまでの知識が定着しているかを確認するために復習を行う。特に行動療法における行動の捉え方、レスポンデント条件づけ、オペラント条件づけ、行動の獲得、行動の消去、について復習する。これまでの知識の復習だけでなく、習得した知識を具体的な事例を用いて理解できるための回とする。
コマ主題細目
① 行動 ② 条件づけ ③ 行動の獲得/消去
細目レベル
① 行動療法とは何か、といった定義はないかもしれないが、1つのコンセンサスとして「行動療法が行動の変化を通して人間の苦痛を理解し改善するという姿勢、つまり実験心理学、とくに学習原理によって影響を受けている」がある。行動療法において重要な考え方として、学習があるが、学習とは何かといった普遍的な定義は存在しないが、「ある特定の刺激や反応(もしくはそれに類似した刺激や反応)に関する、これまでの経験によって生じる変化」である。また、心理学における行動とは、日常生活の中で考えられる「行動」とは異なる捉え方をする。どのような捉え方をするかというと、すべての精神活動や現象を「刺激ー反応」という枠組みで理解しようとし、意識を含めた生体(人間を含めた動物)におけるさまざまな変化と捉える。なお、実際には、「刺激ー反応」の連鎖によって行動が生起する、つまり「刺激ー反応」の反応が、次の「刺激ー反応」の刺激となって、行動が続いていくのである。この「刺激ー反応」の枠組みを行動と呼ぶ。このような行動療法、行動、学習といった知識の整理ができているかについて復習をする。
② なぜ人々はお酒を飲みたくなるのか、ギャンブルしたくなるのか。なぜ人々は、緊張したり、不安になったりするのか。このような状況では、欲求や思考が生起している。このような食べ物を見ると唾液が出てくるように、特定の状況で、例えば、パチンコ屋をみるとギャンブルしたくなる、疲れを感じると「リフレッシュしたい」という思考の生起と同時にお酒を飲みたくなる、といったように欲求や思考が生じてくる。このようなレスポンデント条件づけから説明可能な人間の行動(刺激ー反応の関係性)について復習をする。さらに、オペラント条件づけについて、オペラント条件づけとは、刺激に対して生起した反応のあとに、後続刺激(結果)が伴うことによって、行動の生起頻度が増加/減少事を通じて、行動が獲得もしくは減少していくことである。これら2つの条件づけの差異やそれぞれの行動の獲得について復習をする。
③ レスポンデント条件づけ/オペラント条件づけの双方によって行動は獲得されるわけではあるが、オペラント条件づけを用いて、新しい行動を獲得する際に必要な手続きとしてのシェイピング、シェイピングの際に重要となる遮断化や消去の手続きを含めて、確立操作や消去バーストが実際の支援の中でどのように作用しているかを理解する。また、レスポンデント条件づけにおける消去の手続きとして重要な治療技法である、系統的脱感作やエクスポージャーについて、その治療手続きだけではなくて、支援の実際を通じてその治療の進め方などを復習する。さらに、系統的脱感作やエクスポージャーによって反応が消去されたが、エクスポージャー等を休止してしまう(休止期間が長い)と、また同じような刺激にされされた場合に不安反応が生起することとなるといった自然的回復とフォローアップの関係性も復習する。
キーワード
① 行動療法 ② 条件づけ ③ レスポンデント条件づけ ④ オペラント条件づけ
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
[復習]
今回の講義では、今までに習得した知識を統合するために、模擬事例を用いて、行動療法が実際にどのように実施されるかについて、一連の流れの中で理解し、公認心理師がどのような知識をもって支援にのぞむかを具体的に学んだ。模擬事例だけではなくて、自身の身近な行動にあてはめながら、行動療法と関連する手続きを説明できるよう復習しておく。
[予習]
行動療法、条件づけ、行動の獲得や消去について説明できるよう、これまでの講義回の文字教材を確認しておく。予習の際には、教材内の太字と下線部が引かれたところを読み返しておくと重要箇所を外さずに予習を行うことが可能である。
7
負の強化を深める
科目の中での位置付け
本科目は、行動療法を支援の中でどのように生かしていくかに関する行動療法を用いたアセスメントや患者理解、支援方法に関する知識を修得し、行動療法を用いた支援の実際について理解することを目的とする。
第7回の講義では、「負の強化を深める」について学ぶ。具体的には、オペラント条件づけにおける負の強化の1つである、逃避行動と回避行動、そしてそれを治療技法として発展させた暴露反応妨害法について学ぶ。
「方法としての行動療法」の第Ⅱ部、第1章
コマ主題細目
① 逃避行動 ② 回避行動 ③ 暴露反応妨害法
細目レベル
① 負の強化とは、オペラント条件づけの1つであり、行動(刺激―反応)の後に、結果が消失することで反応の生起頻度が増加することである。基本的には、嫌なもの不快なものが消失して行動が増えていることが多い。例えば、ストレス発散のために飲酒をするであったり、失敗をすることが嫌なので事前に念入りに計画を立てて駆動をするなどがあったりする。われわれは、特定の嫌悪刺激に曝されると、まずそこから逃げることを学び、それを回避することを学んでいく。ここではまず、逃避、つまり不快な体験や嫌悪的な体験から遠ざかろうとする行動について学ぶ。逃避とは、逃げるだけではなくて、攻撃であったり、対処であったり、さまざまな行動レパートリーが含まれる。
② 回避とは、不快な/嫌悪的な体験と関連する状況にそもそも近づかないようにすることである。回避行動も負の強化のメカニズムが根底にあり、嫌なことが出現することを避ける場合と、良いことが消失することを避ける場合とがある。前者には、身の危険を避けるために明るくて広い夜道を歩くことがあり、後者には盗難されることを避けるために玄関や自転車に鍵をかけることがある。このような逃避行動や回避行動のような負の強化で維持される反応は、維持されやすい(これを消去抵抗が強い、という)。負の強化がなぜ消去抵抗が強いかについて、得られる効果が即時的であり、強力である、そして行動に伴うコストが少ない、等の理由が挙げられる。
③ では、このような逃避行動や回避行動を臨床的に、すなわち日常生活において問題を生じさせる場合には、支援の中でその逃避行動や回避行動を減少させ、適切な行動に修正していく必要がある。ここでは、逃避行動や回避行動を消去させる方法である、曝露反応妨害法を紹介する。消去の手続きは、レスポンデント学習の消去とオペラント学習の消去とがあるが、逃避行動や回避行動はオペラント学習であることからも、オペラント学習の消去、すなわち強化子の提示を停止する、という手続きを用いていく。曝露反応妨害法とは、エクスポージャーにブロッキングという手続きを組み合わせたものであり、逃避・回避していた行動を実際にやってみて、新しい行動を体験(回避していた行動を実際にやってみて、不安・恐怖に直面化し、その状況下で逃避・回避行動をとらないようにする)をすることである。なお、日常生活において、逃避・回避行動が出来ない場合、つまり自分の行動が環境にほとんど影響を与えない事象に繰り返しさらされると、長期的な衰弱的効果が生じる。この現象を学習性無力感と呼ぶ。
キーワード
① 負の強化 ② 逃避行動 ③ 回避行動 ④ 暴露反応妨害法
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
[復習]
第7回では、オペラント条件づけの1つである、負の強化を深めるために、逃避行動や回避行動を整理した。さらなる理解を深めるために、自身の日常生活を振り返り、自身の逃避行動や回避行動に関する具体例を整理する。曝露反応妨害法については、「方法としての行動療法」の第Ⅱ部、第1章を読む。
[予習]
負の強化について説明できるよう、これまでの講義回の文字教材を確認しておく。予習の際には、教材内の太字と下線部が引かれたところを読み返しておくと重要箇所を外さずに予習を行うことが可能である。
8
弱化を深める
科目の中での位置付け
本科目は、行動療法を支援の中でどのように生かしていくかに関する行動療法を用いたアセスメントや患者理解、支援方法に関する知識を修得し、行動療法を用いた支援の実際について理解することを目的とする。
第8回の講義では、「弱化を深める」について学ぶ。具体的には、オペラント条件づけの1つである正の弱化と負の弱化の復習をするとともに、弱化を用いた行動変容技法について整理する。さらに、弱化から強化への社会的な治療技法の変遷について、ハーム・リダクションを例として挙げ、社会の要請に伴って支援体制が変化してきたことを理解する。
「ドムヤンの学習と行動の原理」の第10章「嫌悪性制御:回避と罰」
コマ主題細目
① 弱化の復習 ② 弱化による行動変容 ③ 弱化から強化へ
細目レベル
① 弱化とは行動(刺激―反応)の後に、結果が出現/消失することで、反応の生起頻度が減少することである。正の弱化は特定の反応のあとに(主には)嫌な刺激が出現することからも反応が減少します。強化と異なり、嫌悪刺激においては確立操作の飽和化や遮断化は機能しないと言われており、嫌なものはずっと嫌なものとなる。また、弱化の手続きを用いる場合には様々な問題が生じる。例えば、弱化の手続きを用いて行動を減らすことができたとしても、弱化の手続きを中断するとその反応は再び生じることが多く、抑制効果が持続しない事が多い。加えて、弱化の手続きを用いた場合、弱化を受ける側は望ましくない感情を引き起こし、その結果社会的な場面を避ける危険性もある。加えて、弱化の手続きを用いると、周囲から強化されることもあることから、用いる側と受ける側とで異なる感情が生まれる。
② 弱化の手続きは、用いることによる問題の生起から、用いる場合には最終手段であるとも言われている。弱化の手続きを用いた治療技法には、もちろん効果的で、できるだけ受ける側に問題を生起させない手続きもある。例えば、レスポンスコストやタイムアウト、コスト増強法はその一例である。レスポンスコストとは、減らしたい反応のあとに強化刺激の一部を取り除くことによってその反応を抑制させるものであり、タイムアウトとは、減らしたい反応が出てきた際に、強化刺激に触れる機会をはく奪することによってその反応を抑制させる方法である。コスト増教法とは、やめたくてもやめられない反応の前に、そこに辿り着くまでの道のりを増やすことでその反応を抑制させる方法である。弱化による手続きも使い方によっては適切に行動をコントロールできるものもあることから、支援においては適切に使うことが望まれる。
③ 弱化の手続きから少し脱線するが、依存症の治療において、弱化の手続きを用いていた時代から現在では強化の手続きを使うように変わってきている。その社会の動きの中でうたわれきた考え方が、ハーム・リダクションというものである。ハーム・リダクションとは、合法/違法に関わらず、必ずしも物質使用や嗜癖行動が減ることはなくても、それに伴う様々な悪影響を減少させることを目的としたアプローチである。このアプローチは、厳罰主義による再犯率の向上が見られないという現状、及び人権を尊重されなかった犯罪者への更生の現状に対する反省から出てきた考え方である。
キーワード
① 弱化 ② 弱化の手続き ③ 強化
コマの展開方法
社会人講師
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PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
[復習]
第8回では、弱化を深めるために、弱化の手続きの問題点や行動変容技法について整理し、社会の中で強化の手続きによる支援の必要性についても整理した。さらなる理解を深めるために、「ドムヤンの学習と行動の原理」の第10章「嫌悪性制御:回避と罰」を読み、理解を進める。
[予習]
弱化について説明できるよう、これまでの講義回の文字教材を確認しておく。予習の際には、教材内の太字と下線部が引かれたところを読み返しておくと重要箇所を外さずに予習を行うことが可能である。
9
刺激を深める
科目の中での位置付け
本科目は、行動療法を支援の中でどのように生かしていくかに関する行動療法を用いたアセスメントや患者理解、支援方法に関する知識を修得し、行動療法を用いた支援の実際について理解することを目的とする。
第9回の講義では、「刺激を深める」について学ぶ。具体的には、刺激統制、刺激統制によってもたらされる我々の行動、及び行動変容を学ぶ。
「行動の基礎:豊かな人間理解のために」の第15章「先行刺激によるオペラント行動の制御」
コマ主題細目
① 刺激統制 ② 刺激統制の悪影響 ③ 刺激統制を用いた行動変容
細目レベル
① 刺激とは、一般的には先行刺激のことを指すことが多いが、ここでの刺激にはきっかけ(先行刺激)や状態(確立操作)が含まれる。われわれの行動は反応に先行する刺激によってその生起頻度が変化する。このような特定の環境において反応を生起させる刺激のことを弁別刺激という。弁別刺激とは、その刺激が存在するときに特定の行動が生起し(行動随伴性が作動し)、存在しないときには行動が生起しない(行動随伴性が作動しない)という履歴があるような刺激のことをいう。そして、オペラント条件づけの手続きによって、特定の刺激が行動の生起確率を変化させるようになることを刺激統制(刺激性制御、stimulus control)という。刺激統制の日常生活における例として最もわかりやすいのは信号である。信号機のある交差点や横断歩道において我々は、青信号で進み、赤信号で止まる。
② 刺激統制は、われわれが日常生活を送るうえでとても大切なメカニズムである。しかしながら、刺激統制は人々に悪影響を引き起こし、場合によって臨床心理学的な問題を生起させることがある。例えば嗜癖行動の問題に直面している方であれば、お酒を飲むことで嫌な気分を緩和させたり、ギャンブルをすることで興奮を得たり、ゲームをすることで現実との世界から切り離して自己肯定感を受ける環境で生活をしたりする。このような行動が続くことで、お酒、ギャンブル、ゲームに関連するキーワードに対して、嗜癖行動を行っている感覚であったり、それを期待する/それを実施したときの快体験をイメージしたりする。キーワードに曝されることは、結果として嗜癖行動を生起させる可能性が高くなるのである。また、似たような現象として、ネガティブな刺激により反応して、ネガティブな気分を生起させるうつ病患者や、他者のちょっとした動きに反応して、不安を生起させる社交不安の患者がいる。
③ 刺激統制によって問題に直面しているクライエントに対しては、刺激統制されている刺激をできるだけ取り除くような治療が重要である。日常生活から反応を生起させる刺激全てを取り除くことは不可能ではあるが、先ほどの嗜癖行動の問題に直面しているクライエントの場合、可能な限り嗜癖行動のキーワードに曝されないように環境を調整していくことが重要である。また、むしろ刺激統制がされていないことで問題に直面しているクライエントに対しては、刺激統制をしていくことが重要である。刺激統制の応用例として、構造化(いつ、どこで、何を、どのようにするか、を明示する)がある。構造化に関しても、クライエントそれぞれで弁別刺激として機能する者が異なるなど、クライエントにとっての構造化を適切に行うことが支援においては重要となる。
キーワード
① 刺激統制 ② 弁別刺激
コマの展開方法
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該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
[復習]
第9回では、刺激統制や弁別刺激について、重要となる概念、治療の実際を整理した。さらなる理解を深めるために、「行動の基礎:豊かな人間理解のために」の第15章「先行刺激によるオペラント行動の制御」を読み、理解を進める。
[予習]
刺激について説明できるよう、これまでの講義回の文字教材を確認しておく。予習の際には、教材内の太字と下線部が引かれたところを読み返しておくと重要箇所を外さずに予習を行うことが可能である。
10
自身の体験以外で学習はおこるのか
科目の中での位置付け
本科目は、行動療法を支援の中でどのように生かしていくかに関する行動療法を用いたアセスメントや患者理解、支援方法に関する知識を修得し、行動療法を用いた支援の実際について理解することを目的とする。
第10回の講義では、「自身の体験以外で学習はおこるのか」について学ぶ。具体的には、観察学習、模倣、及び模倣を用いた行動変容を学ぶ。
「行動の基礎:豊かな人間理解のために」の第19章「社会的行動」
コマ主題細目
① 社会的行動と観察学習 ② 模倣 ③ 模倣を用いた行動変容
細目レベル
① われわれは、社会的存在である。つまり、一人で生きているのではなく、他者と共に生きている。行動随伴性(刺激ー反応ー後続刺激)の枠組みで考えると、どの構成要素においても、他者(他個体)が関与していると言える。このような他者が関与する行動を社会的行動とするならば、社会的行動の範囲は非常に広く、これまでの行動と重複するものもある。例えば、確立操作では、他者の存在が近くにいることで嫌悪化されたり、特定の他者との分離による遮断化などがある。また、オペラント学習(正の強化)が目の前の他者を観察することにより、自分自身のオペラント条件づけが成立したり、すでに身についている行動が修正されたりすることがある。このような観察学習はモデリングとも呼ばれ、似たような現象として代理学習などもある。
② 模倣とは、他者の行動随伴性が弁別刺激となって生起する反応のことであり、模倣の前段階には観察学習が必ず行われている。多くの学習は、模倣からはじまると言われている。身体の使い方、生活や日常の動作、言語をはじめとする社会生活に必要なさまざまな文化的行動などの人間の行動や発達の過程において、模倣はきわめて重要である。模倣行動は、効果の法則で有名なソーンダイクも、猫や犬を用いて、問題箱における模倣の効果を検証している。また、模倣には、厳密に分類することは難しいものの、新しい反応を獲得する観察学習効果、反応を促進する反応促進効果、反応を制止/修正する制止効果と呼ばれる3つの効果があり、さまざまなタイプの模倣がある。
③ 模倣は、臨床心理学的な支援の中でも積極的に用いられる。代表的なものに、社会的スキルトレーニングがある。その名のとおり、対人関係や集団生活に有用なスキルを身に着けるために、教示(身に着けようとするスキルがなぜ必要であるか、スキルの獲得によってどのようなメリットがあるかの説明)、観察学習(お手本や不適切な例を見せる)、リハーサル(支援者やメンバーと一緒に実践、練習)、フィードバック(適切にできたものを評価し、難しかったものには修正等を促す)、般化(学習したスキルを生活の中で試してみる)を実施する。他にも集団療法において、支援者は適切な言動に対して適切なフィードバックをするなどしながら、より集団の中で適切な行動を増やそうとするなどを意識して行うことは重用である。
キーワード
① 社会的行動 ② 観察学習 ③ 模倣 ④ 社会的スキルトレーニング
コマの展開方法
社会人講師
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該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
[復習]
第10回では、社会的存在としての人間の生活に鑑みて、観察学習や模倣を通じて、社会的行動の理解、模倣の重要性を整理した。さらなる理解を深めるために、「行動の基礎:豊かな人間理解のために」の第19章「社会的行動」を読み、理解を進める。
[予習]
模倣、及び社会的スキルトレーニングについて説明できるよう、これまでの講義回の文字教材を確認しておく。予習の際には、教材内の太字と下線部が引かれたところを読み返しておくと重要箇所を外さずに予習を行うことが可能である。
11
なぜ、私達は神頼みをするのか
科目の中での位置付け
本科目は、行動療法を支援の中でどのように生かしていくかに関する行動療法を用いたアセスメントや患者理解、支援方法に関する知識を修得し、行動療法を用いた支援の実際について理解することを目的とする。
第11回の講義では、「なぜ、私達は神頼みをするのか」について学ぶ。具体的には、迷信行動について、迷信行動を成立させる強化スケジュール、及び迷信行動を生起させるルールについて、その概念、及び迷信行動によって生起する問題について学ぶ。
「行動の基礎:豊かな人間理解のために」の第18章の「迷信行動」
コマ主題細目
① 迷信行動と強化スケジュール ② ルールと偶然 ③ 依存症
細目レベル
① 迷信行動とは、反応ー後続刺激(結果)の間に関係がなく、たまたま特定の結果がその反応に接近して生じただけであるにもかかわらず、その反応が増えることをいう。例えば、「祈りながらくじを引く」という反応の後に、たまたま大当たりが得られると、その後多くの似たような場面で「祈る」という反応が生起する。この場合、「祈りながら引く」はまさに例えばであり、「左手で引く」「目をつぶって引く」など何でも良いのであるが、反応は増えるのである。迷信行動とオペラント条件づけによって成立した行動とを区別するものは、結果がもたらされる頻度(スケジュール)にある。スケジュールには、連続強化スケジュールや固定比率スケジュール、固定感覚スケジュール、変動比率スケジュール、変動感覚スケジュール、などがある。迷信行動は、連続強化スケジュール以外の4つのスケジュール(総じて、間欠強化スケジュールと呼ばれる)によって生起する。
② 迷信行動を生起させるものの1つに「ルール」がある。「ルール」とは、特定の反応を生起させる言語刺激で、反応と結果の関係を述べたもの、具体的には「〇〇したら、△△になる」と考えることである。「祈りながらくじを引くとあたりの確率がある」というルール(言語刺激)が生起することで、実際に祈りながらくじを引く、という行動が生起する。ルールには、自分が経験したり、他人から見聞きするルール、他者によって述べられた社会的なルールなどがある。例えば、目の前の人が「祈りながらくじを引いて当たった」ことを観察することで、それがルールとなり、自身の迷信行動を生起させることもある。また、メディアを通じて言われていることが正しいと思い込み(言語刺激)、メディアの言うとおりに行動することも同様である。
③ 迷信行動として最も多いものがギャンブル行動である。その他にも、飲酒やゲームなど依存症と呼ばれる問題を引き起こす行動の多くが、迷信行動として知られる。例えば、●●しながらギャンブルをするとあたりを引きやすい、お酒はストレスをすべて忘れさせてくれる、ゲームは最大の楽しみである、といったルールは各嗜癖行動を生起させるのである。依存症につながる迷信行動にはいくつかの特徴があると言われている。例えば、迷信行動と関連する反応には、得られる結果刺激の大きさが変化する。また、何度も繰り返していくうちに、強化刺激がとてつもなく大きくなることがある。何度も反応を繰り返していくうちに、これまで満足していた量では物足りなくなってくる(耐性と呼ばれる状態)。
キーワード
① 迷信行動 ② 強化スケジュール ③ ルール
コマの展開方法
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該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
[復習]
第11回では、迷信行動について、整理した。そして、迷信行動が生起/維持されるメカニズムについて、強化スケジュールやルール(言語刺激)から整理した。さらなる理解を深めるために、「行動の基礎:豊かな人間理解のために」の第18章の「迷信行動」を読み、理解を進める。
[予習]
迷信行動について説明できるよう、これまでの講義回の文字教材を確認しておく。予習の際には、教材内の太字と下線部が引かれたところを読み返しておくと重要箇所を外さずに予習を行うことが可能である。
12
言葉は行動に影響をするのか
科目の中での位置付け
本科目は、行動療法を支援の中でどのように生かしていくかに関する行動療法を用いたアセスメントや患者理解、支援方法に関する知識を修得し、行動療法を用いた支援の実際について理解することを目的とする。
第12回の講義では、「言葉は行動に影響をするのか」について学ぶ。具体的には、第11回で触れたルール(言語刺激)に加えて、さまざまな言語行動の役割を学ぶ。
「行動の基礎:豊かな人間理解のために」の第16章「言語行動」
コマ主題細目
① 言語行動 ② ルール支配行動 ③ ルール支配行動による行動変容
細目レベル
① 言語行動とは、他者や自分自身に向けて発せられたものであり、他者に向けて発せられる言語行動はその受けてを介して強化/弱化される。また、言語行動がその役割を果たすのは、同じ言語共同体に属するメンバーの間でのみである。言語行動には、マンド、タクトなどがある。マンドとは、他者に対して特定の行動を要求する言語行動であり、遮断化や嫌悪刺激の存在等の状況下で生起する。また、タクトとは、他者に対して経験したことや思ったことを報告する言語行動であり、環境内の物事や出来事を弁別刺激として生起する。マンドやタクトの学習、つまり言語行動の習得においても、オペラント条件づけの原理が働いており、ここではコップを見てそれをコップというようになるためのオペラント条件づけのメカニズムを紹介する。
② ルール支配行動とは、特定のルールを弁別刺激として、維持される行動である。これまで学んできた、オペラント条件づけによって成立する行動は随伴性形成行動と呼ばれる。随伴性形成行動は自分自身の直接的な経験によって形成される行動である。一方、ルール支配行動は、「ルール」そのものを見聞きすることによって成立することがあるため、直接的な経験は不要である場合もある。ルールに従いやすいか従いにくいかについて、1回の反応に伴う後続刺激(結果)の影響力の大きさや強化スケジュールによって異なる。例えば、「甘いものを食べてばかりいると太ってしまう」といったルールは、即自的な結果は微々たるものであり、強化スケジュールも連続強化とは言えない(見た目上大きな変化はない)ことからもルールに従わない可能性がある。
③ ルール支配行動をとりわけ支援の中で用いることもある。例えば、アクセプタンス&コミットメントセラピーでは、「価値」というルール支配行動を積極的に支援の中で活用する。行動活性化療法の中でも、「価値」を取り扱う傾向がある。「価値」とは、自分自身が向かっている人生におけるテーマであり、目標とは異なる。「価値」とは自分が大切にしていることであり、自分自身が向かっていく原動力となるようなものである。「世の中のギャンブル依存症者の生活をより良くする」という価値(ルール支配行動)があることで、すべてのギャンブル依存症者の生活をより良くすることはできなくても、研究を一歩でも進め、論文を一本でも執筆するという行動を生起させることができる。また、ルール支配行動は確立操作としても機能する。「世の中のギャンブル依存症者の生活をより良くする」というルールがあることで、論文が一本でることで獲得する強化子がより大きなものとなる。
キーワード
① 言語行動 ② ルール支配行動 ③ 価値
コマの展開方法
社会人講師
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教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
[復習]
第12回では、ルール支配行動について、その影響力やスケジュールから従いやすさについて整理した。さらなる理解を深めるために、教材で提示した文献を読み、理解を進める。
[予習]
ルール支配行動について説明できるよう、これまでの講義回の文字教材を確認しておく。予習の際には、教材内の太字と下線部が引かれたところを読み返しておくと重要箇所を外さずに予習を行うことが可能である。
13
行動療法はどのように行われるのか
科目の中での位置付け
本科目は、行動療法を支援の中でどのように生かしていくかに関する行動療法を用いたアセスメントや患者理解、支援方法に関する知識を修得し、行動療法を用いた支援の実際について理解することを目的とする。
第13回の講義では、「行動療法はどのように行われるのか」について学ぶ。具体的には、これまでに学んだ随伴性形成行動やルール支配行動によって生起する行動、及びそれにともなう問題をどのようにして支援の中で把握し、適切な支援の方向性を定めていくかについて理解を深める。
「はじめての応用行動分析」
コマ主題細目
① 機能分析とは ② 機能 ③ 機能分析の活用
細目レベル
① 機能分析とは、特定の反応がどのような刺激と結果によって維持されているかを調べること、である。このような機能分析が用いられるのは、特定の反応が問題として表面化している場合に、カウンセリング等で用いられる。機能分析を実施するうえで大切となる根本的な考え方の1つに、学習してきた反応が不適切であっただけであり、本来より適応的な反応があるのではあるが、たまたま学習した反応がその場面(その社会、そのコミュニティ)においてふさわしくなかった、というものがある。機能分析はその反応が維持されていく原因を探るために支援の中で必要なものではあるが、これは問題解決を目的としているからこそ効果を発揮する。単に、原因がどこにあるかどうかを見つけ出すだけでは、支援とは言えない。
② 機能分析における「機能」とは、明確な定義はないものの、特定の反応に対する結果の意味として使われている。機能分析をおこなう方法として、間接的に調べる(困った反応を示している本人やその人を良く知る人にインタビューをして、その反応の前後の情報を収集する)方法と、直接的に調べる(困った反応を行っている本人の日常生活に入り込んで、実際にその画面を観察することで情報を収集する)方法とがある。機能の1つの特徴として、特定の行動に対応する機能のカテゴリがあると言われている。例えば、幼い子どもの問題行動の機能には、大きく「注目を得る」「逃避・回避」「感覚的なフィードバック」がある。ここでは、事例を用いて、機能分析を実際に行いながら、支援の中でどのように機能分析を実施するかを理解する。
③ 機能分析の根底にある考えはこれまでに延べてきたとおり「学習してきた反応が不適切であっただけ」であり、本来であればより他の適応的な反応があるはずではあるが、たまたま学習してきた反応がその人の社会やコミュニティにおいて不適切であった、というものである。機能分析を活用して支援を行う際は、まずステップ1で機能分析を行い、不適切な行動が生じている理由(原因)を把握する必要がある。そのうえで、不適切な行動が生じないようにするために刺激統制をおこなったり、不適切な行動が生じてもその行動に強化が与えられないように(もしくは強化刺激を小さくするために)確立操作を行うことも重要である。そして、不適切な行動に取って代わる反応をみにつけるために、同様の機能を有する新しい行動を身に着けていく(シェイピング、代替行動の獲得)ことが重要である。
キーワード
① 機能分析 ② 機能
コマの展開方法
社会人講師
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ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
[復習]
第13回では、不適切な行動を理解し、適切な行動を身に着けていくために、支援の中で大切となる機能分析について、整理した。さらなる理解を深めるために、教材で提示した文献を読み、理解を進める。
[予習]
機能分析について説明できるよう、これまでの講義回の文字教材を確認しておく。予習の際には、教材内の太字と下線部が引かれたところを読み返しておくと重要箇所を外さずに予習を行うことが可能である。
14
行動療法はどのように行われるのか
科目の中での位置付け
本科目は、行動療法を支援の中でどのように生かしていくかに関する行動療法を用いたアセスメントや患者理解、支援方法に関する知識を修得し、行動療法を用いた支援の実際について理解することを目的とする。
第14回の講義では、第13回の講義を発展させ、「行動療法はどのように行われるのか」について学ぶ。具体的には、これまでに学んだ随伴性形成行動やルール支配行動によって生起する行動、及びそれにともなう問題をどのようにして支援の中で把握し、適切な支援の方向性を定めていくかについて理解を深める。
「はじめての応用行動分析」
コマ主題細目
① 機能と機能分析の復習 ② 機能分析の活用 ③ 全体の中での機能分析の位置づけ
細目レベル
① 機能分析とは、特定の反応がどのような刺激と結果によって維持されているかを調べること、である。このような機能分析が用いられるのは、特定の反応が問題として表面化している場合に、カウンセリング等で用いられる。機能分析を実施するうえで大切となる根本的な考え方の1つに、学習してきた反応が不適切であっただけであり、本来より適応的な反応があるのではあるが、たまたま学習した反応がその場面(その社会、そのコミュニティ)においてふさわしくなかった、というものがある。機能分析はその反応が維持されていく原因を探るために支援の中で必要なものではあるが、これは問題解決を目的としているからこそ効果を発揮する。単に、原因がどこにあるかどうかを見つけ出すだけでは、支援とは言えない。
② 機能分析の根底にある考えはこれまでに延べてきたとおり「学習してきた反応が不適切であっただけ」であり、本来であればより他の適応的な反応があるはずではあるが、たまたま学習してきた反応がその人の社会やコミュニティにおいて不適切であった、というものである。機能分析を活用して支援を行う際は、まずステップ1で機能分析を行い、不適切な行動が生じている理由(原因)を把握する必要がある。そのうえで、不適切な行動が生じないようにするために刺激統制をおこなったり、不適切な行動が生じてもその行動に強化が与えられないように(もしくは強化刺激を小さくするために)確立操作を行うことも重要である。そして、不適切な行動に取って代わる反応をみにつけるために、同様の機能を有する新しい行動を身に着けていく(シェイピング、代替行動の獲得)ことが重要である。
③ 心理学や臨床心理学を学び、公認心理師になることで人々のこころの問題に対して支援をおこなうことが職務となる。しかしながら、心理師がまずやらなければならないことは、こころの問題の解決に向けて必要な情報をアセスメントすることである。機能分析も必要な情報のアセスメントの1つではあるが、その際、注意しなければならないことは、こころの問題(つまり、本人が困っている問題)にばかり注意して、本人にとって必要な、本人にとって有用な情報を聞き洩らすことである。例えば、身体症状や精神症状(不眠、食欲低下、身体疾患/精神疾患の有無、パーソナリティ障害等)は、カウンセリングを開始できるかを判断するうえで重要な情報である。こころの問題より先に、治療すべき問題があるのである。このような情報は心理師がおこなう面談だけでなく、カルテ等から情報を収集することも可能であるし、必要に応じて心理検査を行う。この他にも、経済状況や就労状況、家族や親戚の情報、介護等の有無など社会的な問題を収集し、必要に応じて、適切な支援に関する情報を提供しなければならない。このような情報取集を終えて初めて、心理的な問題へのアセスメント、そしてその人がどのように生きていくべきかに関する実存的な問題へのアセスメントが始まるのである。これらの問題を包括的に収集し、整理したうえで、「いま」必要な支援を提供することが重要である。
キーワード
① 機能分析 ② 機能 ③ 行動療法
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
[復習]
第14回では、不適切な行動を理解し、適切な行動を身に着けていくために、支援の中で大切となる機能分析について、整理した。さらなる理解を深めるために、教材で提示した文献を読み、理解を進める。
[予習]
これまでの講義回の文字教材を確認しておく。予習の際には、教材内の太字と下線部が引かれたところを読み返しておくと重要箇所を外さずに予習を行うことが可能である。
15
行動療法から認知療法、そして認知行動療法へ
科目の中での位置付け
本科目は、行動療法を支援の中でどのように生かしていくかに関する行動療法を用いたアセスメントや患者理解、支援方法に関する知識を修得し、行動療法を用いた支援の実際について理解することを目的とする。
第15回の講義では、行動療法の歴史を扱いながら、認知療法、そして認知行動療法に発展した歴史について振り返る。認知療法や認知行動療法については、3年次前期の「アドバンスト心理療法:認知行動療法」に譲るが、ここでは行動療法と認知療法、そして認知行動療法に発展したその概要を整理する。
坂野雄二・岡島 義 監訳(2013)認知行動療法という革命―創始者たちが語る歴史 日本評論社 第5章 条件づけ療法、行動療法、認知行動療法の架け橋
コマ主題細目
① 行動療法の歴史 ② 行動療法、認知療法、そして認知行動療法 ③ わが国における行動療法、認知行動療法の現在
細目レベル
① 行動療法は、20世紀初頭にアメリカで行動主義心理学が発展したことに始まる。ワトソンをはじめとする、行動主義心理学者は、人間の行動が学習によって形成され、環境的要因に影響を受けることを主張した。行動療法は、この考え方に基づいて、不適切な行動を変更することで、個人の精神的な健康を改善することを目的とした治療法である。行動療法は、1940年代に始まり、1950年代には、B.F.スキナー、1960年代には、アーノルド・ラザラスなどにより、不適切な行動だけでなく、思考や感情にもアプローチする治療法として広まっていった。代表的な手法としては、系統的脱感作、エクスポージャー、シェイピングなどの条件づけの原理を用いた治療技法がある。
② 1980年代に入ると、認知療法が発展し、行動療法と統合された「認知行動療法」が主流となった。この治療法は、不適切な行動と思考の両方にアプローチすることで、個人の精神的な健康を改善することを目的としている。具体的には、問題解決療法や認知再構成法、コミュニケーション技術の向上などが行われる。第2世代の行動療法に貢献したのは、アーロン・ベック(認知療法の創始者であり、うつ病や不安症の治療に貢献した)、アルバート・エリス(論理情動療法の創始者で、問題解決や自己効力感の向上に焦点をあてる)などがいる。
③ 日本における行動療法の歴史は、1960年代に始まる。当時、日本の臨床心理学者たちは、アメリカやヨーロッパで発展していた行動療法に注目し、1960年代後半には、日本で最初の行動療法の研究会が設立され、現在ではその研究会が日本認知・行動療法学会として活動している。認知行動療法については、1980年代に導入され、アーロン・ベックの認知療法が日本に紹介され、認知療法に多くの関心が寄せられたが、行動療法を中心とする勢力と新興勢力との間での溝は深く、行動分析学会と(認知療法を行動療法と組み入れて支援の中で利用する)行動療法学会とで勢力が二分された。1990年代には、アクセプタンス・アンド・コミットメントセラピー(ACT)など、第3世代の行動療法も日本に紹介され、普及していくことなる。
キーワード
① 行動療法 ② 認知療法 ③ 認知行動療法
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
[復習]
第15回では、行動療法、認知療法、認知行動療法の歴史について整理した。さらなる理解を深めるために、教材で提示した文献を読み、理解を進める。
[予習]
期末テスト勉強を含めて、これまでの講義の文字教材を確認しておく。その際には、教材内の太字と下線部が引かれたところを読み返しておくと重要箇所を外さずに、認知行動療法がさらに実りのある授業となるであろう。可能であれば、エリスやベックに関する書籍、論理療法や認知療法の書籍などを春休み期間に読んでいると良い。
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
行動療法の基礎
行動療法における「行動」や「学習」の用語について、刺激ー反応、オペラント条件づけ、レスポンデント条件づけの観点から、関連するキーワード(オペラント条件づけ:正の強化、負の強化、後続刺激、般化、確立操作、レスポンデント条件づけ:刺激、反応、刺激制御、確立操作など)を用いて、それぞれ、具体例をふまえながら説明することができる。
例えば、以下のような問いに対して200文字以上で回答できる。
・行動療法における「行動」の捉え方について、「刺激」と「反応」という言葉を用いて、また日常生活における行動の捉え方との違いをふまえながら、複数の例をあげつつ、説明せよ。
・行動療法を実践するうえで、行動を主に環境との相互作用から捉えるが、ここでいう環境とはどういうものか、「刺激」「確立操作」という言葉を用いて、複数の例をあげつつ、いくつかの確立操作の観点から説明し、その確立操作は行動にどのような影響を与えるかを説明せよ。
行動、学習、刺激、反応、確立操作
5
1,6
行動の生起、維持のメカニ
ズム(レスポンデント学習)
行動(刺激ー反応)の生起と維持のメカニズムについて、レスポンデント条件づけの観点から、関連するキーワード(レスポンデント条件づけ:刺激、反応、刺激制御、確立操作など)を用いて、それぞれ、具体例をふまえながら説明することができる。
例えば、以下のような問いに対して200文字以上で回答できる。
・レスポンデント学習について、「刺激」と「反応」という言葉を用いてその原理を、日常生活上における例を(必要に応じて複数)あげながら説明し、さらに、「般化」「弁別」「代理学習」等の言葉を用いて、レスポンデント学習の特徴を説明せよ。
レスポンデント条件づけ:
刺激、反応、般化、弁別、消去など
5
2,6
レスポンデント条件づけを用いた治療
レスポンデント条件づけを用いた支援について、どのようなアセスメントが必要であり、そこでどのような支援が行われているか整理し、関連するキーワード(エクスポージャー、系統的脱感作、消去、自然的回復、フォロ―アップなど)を用いて、200字程度で説明することができる。
例えば、以下のような問いに対して200文字以上で回答できる。
1. 消去の手続きについて、その原理を「条件刺激」という言葉を用いて、日常生活上における例を(必要に応じて複数)あげながら説明し、さらに「エクスポージャー法」もしくは「系統的脱感作」の言葉を用いて、消去の手続きを説明せよ。
2. 消去の手続きを実施した後に、消去された反応が再出現する可能性のある様々な条件についてのべ、その再出現を予防する方法について、説明せよ。その際、「自然的回復」や「復元効果」、及び「般化」の言葉を用いなさい。
エクスポージャー、系統的脱感作、消去、自然的回復、フォロ―アップなど
10
3,6
行動の生起、維持のメカニズム(オペラント学習)
行動(刺激ー反応)の生起と維持のメカニズムについて、オペラント条件づけの観点から、関連するキーワード(オペラント条件づけ:正の強化、負の強化、後続刺激、般化、確立操作)を用いて、それぞれ、具体例をふまえながら説明することができる。
例えば、以下のような問いに対して200文字以上で回答できる。
1. オペラント学習について、「刺激」「反応」「結果」という言葉を用いてその原理を、日常生活上における例を(必要に応じて複数)あげながら説明し、さらに、いくつかの「確立操作」の観点から(遮断化、飽和化など)、オペラント学習がより成立する状態を説明せよ。
オペラント条件づけ、強化、弱化、三項随伴性、確立操作など
10
4,6
新しい行動の獲得
新しい行動を獲得させるそのメカニズムについて、どのようなアセスメントが必要であり、そこでどのような支援が行われているか整理し、関連するキーワード(オペラント条件づけ、シェイピング、確立操作、消去、消去バーストなど)を用いて、200字程度で説明することができる。
例えば、以下のような問いに対して200文字以上で回答できる。
1. シェイピングについて、「正の強化」「消去」という言葉を用いてその原理を、日常生活上における例を(必要に応じて複数)あげながら説明し、さらに、「確立操作」と「プロンプト」の言葉を用いながら、新しい行動を獲得する際の留意点について説明せよ。
オペラント条件づけ、シェイピング、確立操作、消去、消去バーストなど
10
5,6
負の強化
負の強化について、支援の中で、どのようなアセスメントが必要であり、そこでどのような支援が行われているか整理し、関連するキーワード(オペラント条件づけ、負の強化、回避行動、逃避行動、エクスポージャー、ブロッキング、暴露反応妨害法など)を用いて、200字程度で説明することができる。
例えば、以下のような問いに対して200文字以上で回答できる。
1. 逃避行動と回避行動の違いについて、「負の強化」という言葉を用いて、各行動を説明しつつ、日常生活上における例を(必要に応じて複数)あげながら、その違いを述べよ。さらに、負の強化で説明される反応が維持されやすいことについて、「消去抵抗」という言葉を用いて説明せよ。
オペラント条件づけ、負の強化、回避行動、逃避行動、エクスポージャー、ブロッキング、暴露反応妨害法など
10
7
弱化
弱化のメカニズムについて、例えば、以下のような問いに対して200文字以上で回答できる。
1. 弱化の手続きを用いた治療法について、「正(提示型)/負(除去型)の弱化」という言葉を用いて、そのメカニズムを説明しつつ、日常生活上における例を(必要に応じて複数)あげながら、1つの治療法を説明せよ。また、弱化の手続きによって生じる2次的なネガティブな側面について述べよ。
弱化、オペラント条件づけ、復帰、レスポンスコスト
5
8
刺激
刺激制御について、例えば、以下のような問いに対して200文字以上で回答できる。
「弁別刺激」という言葉を用いて、そのメカニズムを説明しつつ、刺激制御を応用した治療法について、日常生活上における例を(必要に応じて複数)あげながら説明せよ。
刺激制御、弁別刺激、刺激統制法、構造化
5
9
社会的行動、言語行動、迷信行動
社会的行動、言語行動、迷信行動、それぞれの言葉の定義、そのメカニズム、臨床との関連 性について、例えば、以下のような問いに対して200文字以上で回答できる。
例えば、以下のような問いに対して200文字以上で回答できる。
1. 人間の学習について、「模倣」と「観察学習」という言葉を用いて、そのメカニズムを説 明しつつ、模倣を応用した治療法について、日常生活上における例をあげながら説明せよ。
2. 迷信行動が生起、維持されるメカニズムについて、「ルール」と「体験」という言葉を用 いて、日常生活上における例をあげながら説明せよ。
3. 言語行動の特徴について、「他者」と「自分自身」の双方からその特徴について言及し、 さらに「ルール支配行動」という言葉を用いて、日常生活上における例をあげながら、その 治療への応用について説明せよ。
模倣、観察学習、迷信行動、強化スケ ジュール、 ルール、ルー ル支配行、 随伴性形成行動
20
10,11,12
行動療法の実践、歴史
行動療法について、例えば、以下のような問いに対して200文字以上で回答できる。
1. 機能分析の特徴について、その根本的な考え方をふまえつつ、日常生活上における例をあ げながら、その治療への応用について説明せよ。
2. 行動療法を実践するうえで、機能分析はどのような機能を有しているか、具体例を挙げな がら、「アセスメント」と「治療」という言葉を用いて説明せよ。
3. 行動療法、認知行動療法の差異について、それぞれが包含する技術と知識について、説明せよ。
行動療法、機能分析、認知行動療法
20
13,14,15
評価方法
期末テスト100%
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
なし
参考文献
各回のシラバスに記載
実験・実習・教材費