区分 高度専門科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力 科学コミュニケーション力 研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養 応用力 実践力
科目間連携 総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ

科目の目的
この科目では、人間発達の出発点である「乳幼児期」に焦点を当て、単なる成長の記述に留まらず、ヒトという種が備える「心のデザイン」を科学的に理解することを目的とする。発達心理学の基礎概念を基盤としつつ、近年の認知科学や比較行動学の知見を導入することで、赤ちゃんがどのように世界を認識し、他者とつながり、自己を形成していくのかを多層的に捉え直す。
赤ちゃんの行動を理解するためには、現在の能力(至近要因)を知るだけでなく、胎内からの連続的な変化(個体発生)や、なぜ人間が極めて未熟な状態で生まれ、長い依存期間を必要とするのかという進化適応的意義(究極要因)についても考察する必要がある。本科目では、身体・知覚・認知・社会性という各領域が互いに影響し合う「統合的発達」のプロセスを軸に、ヒト固有の学習能力と、社会の一員として「心」を獲得していくダイナミズムを総合的に考察していく。


到達目標
本科目では、以下に示す4つの目標に到達することをめざす。
①乳幼児発達の多層的な理解と説明:身体的成熟、認知的枠組みの構築、社会的相互作用の三側面から乳幼児の発達を捉え、それらが一人の子供の中でいかに統合されていくかを「生涯発達」の視点から説明できること。
②認知・知覚の初期基盤とその変容の把握:言葉を持たない乳児が、核知識(物理・数・生物)や知覚の体制化、表象機能を通じて、いかに世界を構造化し、学習していくかという科学的メカニズムを理解し、説明できること。
③社会的絆と他者理解の成立プロセスの習得:愛着(アタッチメント)の形成から、共同注意、そして「心の理論」の獲得に至るまでのステップを理解し、自己と他者の心が分化・共有される過程を理論的に論じられること。
④発達の多様性と進化適応的背景の認識:非定型発達(ASD等)への理解を深めるとともに、チンパンジー等との比較を通じて、ヒトの乳幼児期における「未熟さ」や「共同養育」が持つ進化的・文化的意義について批判的に考察できること。

科目の概要
本科目は、乳幼児期の発達を「生物学的基盤」と「社会的環境」の相互作用として捉え、新たな観点から人間の本質を再考することを目的とする。
まずイントロダクションとして、乳幼児期を学ぶ社会的・生涯発達的意義を解説し(第1回)、発達を規定する遺伝・環境・理論的枠組みを整理する(第2回)。次に、胎児期から新生児期への連続性を確認した上で(第3回)、前半部では個体内における認知発達を扱う。具体的には、ピアジェの感覚運動知能(第4回)、領域固有的な知覚・情報処理(第5回)、そして表象と実行機能の芽生え(第6回)について学び、第7回でこれら「個」の基盤形成について中間総括を行う。
後半部では、他者との関係性の中で育まれる「社会的な心」へと焦点を移す。社会的参照や共同注意(第8回)、言語獲得のプロセス(第9回)、愛着と情動の調整(第10回)を経て、自己意識の誕生(第11回)と他者の心の理解(第12回)を論じる。さらに、発達の多様なあり方を示す非定型発達(第13回)や、霊長類との比較による進化の視点(第14回)を導入し、多角的に発達を相対化する。最後の第15回では、これまでの学びを統合し、生涯発達の出発点としての乳幼児期の展望を総括する。

科目のキーワード
生涯発達、可塑性、核知識(Core Knowledge)、アタッチメント(愛着)、共同注意、心の理論、比較発達、累積的文化

授業の展開方法
本科目では、毎回LMSにアップロードする、講義内容をまとめた文字教材をもとに講義を進める。各授業の後に理解度を測る小テストを行う。
オフィス・アワー
※その他の時間帯も調整可能(メールなどで連絡してください)
前期:水曜4限
木曜4限
金曜4限
後期:水曜4限
木曜4限
金曜2限・4限

科目コード RE6190
学年・期 3年・後期
科目名 赤ちゃんの世界(生涯発達心理学Ⅰ)
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 選択
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
展開科目
関連資格
担当教員名 友永雅己
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 乳幼児期の発達を学ぶ意味 科目の中での位置付け 本講義は、乳幼児期の発達を「生物学的基盤」と「社会的環境」の相互作用から捉え、人間の本質を考察する。序盤は発達の意義や理論的枠組み(第1〜2回)を扱い、前半部では胎児期からの連続性を踏まえ、感覚運動知能や実行機能などの「個体」としての認知発達(第3〜7回)を詳述する。後半部は「社会的な心」に焦点を当て、共同注意、言語獲得、愛着、他者理解の形成プロセス(第8〜12回)を講じる。終盤には非定型発達や霊長類との比較(第13〜14回)を通じて比較発達という考え方を学ぶ。最後の第15回で全体のまとめを行う。
このような科目構成の中で、第1回は、本講義の導入として、発達心理学の基礎定義を共有し、人間の生涯にわたる変化の中で乳幼児期が果たす決定的な役割を理解する。単なる加齢に伴う成長ではなく、獲得と喪失を内包するダイナミックなプロセスとして発達を捉え、この時期の可塑性の高さが後の人生にどのような基盤を形成するのか、その社会的・心理学的意義を概観する。


授業中に指示します。
コマ主題細目 ① 発達心理学の基礎 ② 乳幼児期の重要性 ③ 心の統合的発達 ④ 生涯発達的視点
細目レベル ① 発達心理学の基礎
発達心理学は、受精から死に至るまでの心身の変化を科学的に解明しようとする学問領域である。従来の発達観は「子供が大人になるまでの成長」に偏重しがちであったが、現代では「生涯発達」の視点が重視され、加齢に伴う能力の獲得だけでなく、老化による喪失やそれに対する適応も含めた全人的な変化を研究対象とする。研究の側面は身体、認知、社会性など多岐にわたり、単なる現状の「記述」に留まらず、なぜそのような変化が起きるのかという「説明」を行い、さらに将来の発達を「予測」することで、個人のウェルビーイングや教育、福祉といった社会的な支援へと繋げる役割を担う。


② 乳幼児期の重要性
乳幼児期は出生から小学校就学前に至るまでの、人間形成の最も重要な「土台」となる時期である。この時期の最大の特徴は、脳や行動が環境の影響を受けて柔軟に変化しうる「可塑性」の高さにある。知覚、言語、愛着といった後の生活に不可欠な根源的機能はこの時期に確立され、ここでの初期経験は将来の学力や対人関係の質、さらには精神的健康に対して長期的な影響を及ぼすことが知られている。生物学的な未熟さを抱えて生まれるヒトにとって、この依存期間は社会的な刺激を吸収し、人間らしい心の在り方を形作るための決定的な「感受性期」として位置づけられる。


③ 心の統合的発達
子供の発達を理解する際、認知・情動・社会性といった各領域を個別に切り離して考えることはできない。例えば、新しい言葉を覚えるという「認知」の変化は、養育者との温かい交流という「社会性」に支えられており、また自分の感情を制御する「情動」の発達は、他者の意図を読み取る知的能力と密接に連動している。各領域は相互に影響を及ぼし合いながら螺旋状に発達し、最終的には「一人の子供」としてのまとまりを持った人格や適応行動へと統合されていく。本講義では、こうした多面的な側面がどのように連動して発達のダイナミズムを生み出しているのか、その全体像を捉える視点を養う。


④ 生涯発達的視点
乳幼児期は人生における独立した一期間ではなく、生涯続く発達プロセスの一部として捉える必要がある。これは受精から死まで発達は継続するというパラダイムに基づいている。幼少期の特性や獲得されたパターンは、形を変えながらも成人期以降のパーソナリティや行動様式の中に連続して保持される性質を持っている。また、過去の経験が積み重なって現在の発達状態を規定する「累積性」を理解することで、一時的な変化に一喜一憂するのではなく、人生という長い時間軸の文脈の中で現在の子供の姿を捉えることが可能になる。この視点は、次世代への継承を考える上でも不可欠な土台となる。


キーワード ① 生涯発達 ② 可塑性 ③ 統合的発達 ④ 初期経験 ⑤ 記述と説明
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。

2 発達をどう捉えるか 科目の中での位置付け 本講義は、乳幼児期の発達を「生物学的基盤」と「社会的環境」の相互作用から捉え、人間の本質を考察する。序盤は発達の意義や理論的枠組み(第1〜2回)を扱い、前半部では胎児期からの連続性を踏まえ、感覚運動知能や実行機能などの「個体」としての認知発達(第3〜7回)を詳述する。後半部は「社会的な心」に焦点を当て、共同注意、言語獲得、愛着、他者理解の形成プロセス(第8〜12回)を講じる。終盤には非定型発達や霊長類との比較(第13〜14回)を通じて比較発達という考え方を学ぶ。最後の第15回で全体のまとめを行う。
このような科目構成の中で、本回では、発達を規定する要因である「遺伝と環境」の相互作用や、発達がなだらかな変化か劇的な飛躍かという「連続性と非連続性」の議論を学ぶ。ピアジェやヴィゴツキーといった主要な発達理論の枠組みを比較検討し、共通の発達法則の中にある一人ひとりの「個人差」や気質についても理解を深める。


授業中で指示します。
コマ主題細目 ① 成熟と学習 ② 連続性と非連続性 ③ 発達理論の潮流 ④ 発達の個人差
細目レベル ① 成熟と学習
発達は、生物学的なプログラムに基づく「成熟」と、経験や訓練による「学習」の動的な相互作用によって進む。成熟は、遺伝的に組み込まれた神経系の発達や身体的成長が主導する変化を指し、心理的な変化を支える生物学的基盤となる。一方で、学習は環境との相互作用や訓練、経験によって獲得される変化であり、これらは切り離すことができない。特定の能力が開花するためには、生物学的な準備状態(レディネス)が整っている必要があり、成熟と学習が互いに補完し合うことで、人間特有の複雑な行動や心理的特性が形成されていくプロセスを考察する。


② 連続性と非連続性
発達のプロセスを、なだらかな坂道を登るような「連続的変化」と捉えるか、あるいは階段を上がるような劇的な質的変容を伴う「段階的変化」と捉えるかは、発達心理学における重要な論点である。連続的視点は、語彙数の増加のように量的・累積的に進む側面を強調する。一方、段階的視点は「発達段階論」に代表され、特定の時期に心理的構造が根本から作り替えられる質的な飛躍を重視する。新しい段階へ移行する際の「移行期」は、それまでのバランスが崩れる不安定な時期でもあるが、同時に次の高度な適応へと向かうダイナミックな変化の好機でもあることを理解する。


③ 発達理論の潮流
発達心理学の歴史を形作ってきた主要な理論は、それぞれ異なる視点から「子供」を捉えている。ピアジェは、子供を周囲の環境に働きかけ、自ら知識を構成していく能動的な存在と定義した。これに対しヴィゴツキーは、他者との共同作業や言語といった社会・文化的背景が発達を牽引すると考えた。また、環境からの刺激と反応の連合を重視する行動主義的視点や、子供を取り巻く重層的な環境との関係性を重視する生態学的システム論など、多角的な理論の枠組みを学ぶことで、一面的ではない発達の捉え方を身につける。


④ 発達の個人差
すべての子供に共通する発達法則が存在する一方で、一人ひとりの発達には顕著な「個人差」が見られる。これは特定の能力が身につく「発達速度」の違いだけでなく、同じ目標に到達するまでの中間プロセスが異なる「発達経路」の多様性も含む。また、生まれ持った情動的な反応性や行動パターンの個体差である「気質」は、その後の環境との相互作用を規定する重要な要素となる。発達を評価する際には、単に平均値との比較で優劣をつけるのではなく、その子自身の変化の軌跡や固有の特性を尊重し、個別のニーズに応じた理解と支援を行う姿勢が求められる。


キーワード ① 遺伝と環境 ② 発達段階 ③ ピアジェ ④ ヴィゴツキー ⑤ 気質
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。


3 出生前から新生児期への連続性 科目の中での位置付け 本講義は、乳幼児期の発達を「生物学的基盤」と「社会的環境」の相互作用から捉え、人間の本質を考察する。序盤は発達の意義や理論的枠組み(第1〜2回)を扱い、前半部では胎児期からの連続性を踏まえ、感覚運動知能や実行機能などの「個体」としての認知発達(第3〜7回)を詳述する。後半部は「社会的な心」に焦点を当て、共同注意、言語獲得、愛着、他者理解の形成プロセス(第8〜12回)を講じる。終盤には非定型発達や霊長類との比較(第13〜14回)を通じて比較発達という考え方を学ぶ。最後の第15回で全体のまとめを行う。
このような科目構成の中で、本回では、受精から出生、そして新生児期に至るまでの発達を、断絶のない連続したプロセスとして捉える。胎内での器官形成や感覚・行動の芽生えを確認し、出生直後の新生児が外界へ適応するために備えている原始反射や知覚能力の初期値を学ぶ。また、言葉を使えない乳児の心を科学的に解明するための独創的な研究手法についても理解を深める。

授業中に指示します。
コマ主題細目 ① 胎児期の発達 ② 新生児の行動特性 ③ 感覚・知覚の初期能力 ④ 乳児研究の方法
細目レベル ① 胎児期の発達
胎児期は、受精から出生に至るまで、主要な臓器や脳の基礎が急速に構築される生物学的プロセスの時期である。この時期、胎児は単に身体を形成するだけでなく、触覚、聴覚、味覚などの感覚能力を胎内で既に機能させ始めている。胎動を通じた運動学習や、外部刺激に対する反応の獲得といった能動的な側面も見られる。一方で、胎内環境は母体の健康状態やストレスの影響を強く受けるため、これらが胎児の発達に与えるリスクと保護要因を理解することは極めて重要である。出生は一つの大きな転換点であるが、胎内で培われた能力は出生後の適応を支える基盤として、密接に連続しているのである。


② 新生児の行動特性
生まれたばかりの新生児は、生存と環境適応のための高度な行動特性を備えている。睡眠、覚醒、泣きといったリズムを持つ「行動状態」は、乳児の意識レベルや情報の受容しやすさを規定する。また、特定の刺激に対して自動的に起こる「原始反射」は、把握反射やモロー反射など、生存を助ける適応的意義を持っている。これらの反射はやがて消失し、自発的な随意運動へと置き換わっていく。ヒト特有の生理的な未熟性を抱えつつも、個体ごとに反応の強さやリズムには明確な個体差があり、それが養育者との初期の相互作用に影響を与えることになる。


③ 感覚・知覚の初期能力
乳児が世界をどのように捉えているかを探ると、生後間もない時期から驚くほど洗練された知覚能力を持っていることがわかる。視力は未発達であるが、人の顔のような図形を好んで見る「顔選好」や、母親の声を識別する聴覚的優先性は生得的に備わっている。嗅覚や味覚も鋭敏であり、養育者の匂いを識別したり、甘味を好んだりすることが可能である。さらに、声と口の動きを一致させて捉える「多感覚統合」の能力も早期から認められ、断片的な感覚を意味のあるまとまりとして処理し始めている。乳児は単に刺激を受容する存在ではなく、興味のある対象を自ら探索し、世界を意味づけようとする能動的な知覚者であると言える。


④ 乳児研究の方法
言語による報告が不可能な乳児の内的世界を明らかにするため、発達心理学では独創的な実験手法が開発されてきた。代表的な「選好注視法」は、二つの画像を提示した際の注視時間の長さから、乳児の識別能力や好みを測定する。また、同じ刺激に繰り返し接すると飽きる性質を利用した「馴化・脱馴化法」は、新しい刺激への変化を乳児が検知したかを判断する有力な手段である。さらにおしゃぶりを吸う速さの変化を指標とする「吸啜率測定」など、身体反応を心の指標として読み替える工夫がなされている。これらの研究を遂行する上では、脆弱な対象を守るための倫理的配慮と、保護者へのインフォームドコンセントが不可欠である。


キーワード ① 胎内学習 ② 原始反射 ③ 選好注視法 ④ 馴化 ⑤ 多感覚統合
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。


4 認知発達①:ピアジェの理論と感覚運動知能 科目の中での位置付け 本講義は、乳幼児期の発達を「生物学的基盤」と「社会的環境」の相互作用から捉え、人間の本質を考察する。序盤は発達の意義や理論的枠組み(第1〜2回)を扱い、前半部では胎児期からの連続性を踏まえ、感覚運動知能や実行機能などの「個体」としての認知発達(第3〜7回)を詳述する。後半部は「社会的な心」に焦点を当て、共同注意、言語獲得、愛着、他者理解の形成プロセス(第8〜12回)を講じる。終盤には非定型発達や霊長類との比較(第13〜14回)を通じて比較発達という考え方を学ぶ。最後の第15回で全体のまとめを行う。
このような科目構成の中で、本回では、ジャン・ピアジェが提唱した「感覚運動期」に焦点を当て、言葉を持たない乳児がいかにして身体的経験を通じて知能を構築するかを学ぶ。反射的な段階から、シェマの同化と調節を経て、目に見えないものの存在を理解する「対象の永続性」の獲得に至るまでの、ダイナミックな思考の原点を探る。


授業中に指示します。
コマ主題細目 ① 感覚運動期の構造 ② 探索行動の展開 ③ 対象の永続性 ④ 因果理解の芽生え
細目レベル ① 感覚運動期の構造
感覚運動期は、行為と感覚の結びつきによって知能が形成される時期である。ピアジェによれば、乳児は環境に働きかけるための認知的枠組みである「シェマ」を構築していく。新しい情報を既存の枠組みに取り入れる「同化」と、必要に応じて枠組みを作り直す「調節」を繰り返すことで、認知はより複雑なものへと進化する。この時期の思考は身体的な動きと未分化であり、偶然起きた面白い結果を再現しようと繰り返す「循環反応」が、発達の強力な原動力となる。乳児は自らの身体を道具として使いながら、世界の構造を内面化していくのである。


② 探索行動の展開
乳児は旺盛な好奇心に基づき、周囲の環境や対象に対して能動的に働きかける。初期には物を振る、叩く、落とすといった単純な「操作行為」から始まり、目的達成のために運動パターンを様々に変化させる「試行錯誤」へと発展する。特に、目で見たものに正確に手を伸ばし、それを口に運んで確認する「手口の協応」は、視覚と触覚が統合される重要なプロセスである。こうした感覚フィードバックを得る経験を積み重ねることで、自身の身体の動きをより精密に制御する力が向上し、外界との物理的な相互作用が認知発達を加速させていくのである。


③ 対象の永続性
発達の大きな転換点として、視界から消えた物も「存在し続けている」と理解する「対象の永続性」の獲得が挙げられる。乳児が隠されたおもちゃを積極的に探し始める行動は、この概念の成立を示す決定的な証拠である。しかし、初期段階では「A-not-Bエラー」と呼ばれる特有の誤りが見られる。これは、一度見つけた場所(A)に固執し、目の前で移動した別の場所(B)を探せない現象である。この克服には、抑制機能やワーキングメモリを司る脳の前頭前野の成熟が密接に関わっており、身体的な探索が抽象的な概念形成へと繋がる様子を理解する。


④ 因果理解の芽生え
「これをすれば、こうなる」という物理的な因果関係の把握も、感覚運動期の重要な達成事項である。乳児は「紐を引くと鈴が鳴る」といった経験を通じ、自分の行為が結果を生むという効力感に伴う気づきを得る。発達が進むと、転がるボールの先を先回りして見るような「予測行動」や、目的のためにおもちゃを遮る障害物を退ける「手段―目的関係」の理解が現れる。これらは、直接的な接触によって物が動くという物理ルールの初期的な理解に基づいている。身体を通じた因果の学習は、後の論理的思考や問題解決能力の土台となる極めて重要なステップである。

キーワード ① シェマ ② 同化と調節 ③ 循環反応 ④ 対象の永続性 ⑤ A-not-Bエラー
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。


5 認知発達②:領域固有的な発達と情報処理 科目の中での位置付け 本講義は、乳幼児期の発達を「生物学的基盤」と「社会的環境」の相互作用から捉え、人間の本質を考察する。序盤は発達の意義や理論的枠組み(第1〜2回)を扱い、前半部では胎児期からの連続性を踏まえ、感覚運動知能や実行機能などの「個体」としての認知発達(第3〜7回)を詳述する。後半部は「社会的な心」に焦点を当て、共同注意、言語獲得、愛着、他者理解の形成プロセス(第8〜12回)を講じる。終盤には非定型発達や霊長類との比較(第13〜14回)を通じて比較発達という考え方を学ぶ。最後の第15回で全体のまとめを行う。
このような科目構成の中で、本回では、ピアジェの段階論以降に発展した、特定の知識領域における早期の発達や情報処理能力の進化を学習する 。乳児が生まれながらに備えている、あるいは極めて早期に獲得する物理や数に関する「核知識」の存在を明らかにする 。また、膨大な情報から規則性を抽出する統計的学習や、記憶・注意といった認知的リソースがいかに洗練されていくかというメカニズムを詳しく探る 。


授業中に指示します。
コマ主題細目 ① 記憶と注意の発達 ② 学習のメカニズム ③ 核知識(Core Knowledge) ④ 因果推論の深化
細目レベル ① 記憶と注意の発達
乳児の認知活動を支える基盤として、情報を保持し特定の対象に焦点を当てる認知的リソースの発達は不可欠である 。発達初期には、以前見たものを認識する「再認能力」が先行し、やがて何もない状態から情報を引き出す「想起能力」へと進展する 。月齢を重ねるごとに記憶の保持期間は飛躍的に延び、より長期的な学習が可能になる 。注意の側面では、周囲の膨大な情報から重要なものを選び取る「選択的注意」の効率性が向上する 。さらに、不必要な反応を抑えたり注意を適切に切り替えたりする「制御機能」の芽生えが、より複雑で目的志向的な知的活動を可能にする様子を理解する 。


② 学習のメカニズム
乳児は、環境の中に存在する規則性を驚くべき速さで抽出する高度な学習メカニズムを備えている 。古典的・オペラント条件づけといった基本的な学習に加え、他者の動作を真似る「模倣学習」は、新しいスキルを効率的に獲得するための強力な武器となる 。特に注目すべきは「統計的学習」であり、乳児は音声や視覚情報の出現確率を無意識に計算し、次に何が起こるかを予測する能力を持っている 。また、自分の働きかけが環境に変化を及ぼすという「随伴性の経験」を通じて得られる効力感は、学習をさらに促進させる原動力となる 。これらの仕組みにより、乳児は未経験の世界を急速に構造化していくのである。

③ 核知識(Core Knowledge)
近年の研究では、人間が特定の重要な知識領域において、生得的あるいは極めて早期に獲得する「核知識」を持つことが示唆されている 。例えば、不可能な物理現象(壁を突き抜ける物体など)に対して驚きを示す「物理的知識」や、少数の対象の増減を予期する「数的知識」が挙げられる 。また、生き物と無機物を区別し、生き物には独自の意図があると捉える「生物学的知識」の萌芽も見られる 。これらの発達は全般的ではなく、各ドメインごとに独立して進むという「領域固有性」の考え方を学ぶ 。期待違反法などの実験手法を通じ、言葉を持たない乳児が抱く世界の「素朴な理論」を解明する 。


④ 因果推論の深化
乳児の知能は、単なる情報の連合を超え、事象の背後にある「原理」を推測する因果推論へと深化していく 。他者の行為を観察することで、その行動が何のために行われたのかという目的や原因を推論する力が育まれる 。何度も繰り返される事象から一般的なルールを導き出すプロセスは、情報の整理を加速させる 。これに伴い、共通の属性に基づいて対象を「犬」や「食べ物」といったカテゴリーに分類する「概念形成」の力が現れる 。獲得した知識を未知の状況に当てはめ、合理的に対応しようとする知的適応の進展は、乳児が論理的な思考の入り口に立っていることを示している 。


キーワード ① 核知識 ② 統計的学習 ③ 領域固有性 ④ 期待違反法 ⑤ ワーキングメモリ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。


6 認知発達③:表象とシンボル機能 科目の中での位置付け 目に見えない対象を心の中に描き、記号や遊びで代用する高度な認知への飛躍を扱う。遅延模倣やふり遊びの出現を通じた表象機能の成立、数やカテゴリーの抽象的理解、自分中心から客観的視点へと移り変わる空間認知の発達を学ぶ。また、目標達成のために思考や行動を管理する実行機能の芽生えについて理解を深める。


授業中に指示します。
コマ主題細目 ① 表象機能の成立 ② 数とカテゴリーの理解 ③ 空間認知の発達 ④ 実行機能の芽生え
細目レベル ① 表象機能の成立
「今ここ」にないものをイメージ(表象)として操作できるようになる過程を学ぶ。しばらく時間が経過した後で他者の行動を再現する遅延模倣は、表象保持の重要な証拠である。積木を電話に見立てる「ふり遊び」の出現は、物の用途を読み替えるシンボル行動の始まりを意味する。あるものが別のものを指し示すという記号的思考は、言葉や絵の基礎となる。また、頭の中だけで手順をシミュレーションし、見通しを立てる内面化された行為の力を理解する。

② 数とカテゴリーの理解
対象を抽象的な数や概念として整理し、分類する能力の発達を追う。数えることが量に対応するという計数原理の基礎や、外見の違いを超えて「乗り物」などの機能的なまとまりで捉えるカテゴリー化の力を学ぶ。対象間の共通点や相違点を見出し、情報を整理する類似性の判断といった認知的工夫を理解する。具体的な実物から離れ、一般的な概念として物事を考える抽象的思考の萌芽は、知的な適応を支える重要な基盤となる。

③ 空間認知の発達
自分を中心とした視点から、客観的な空間の広がりの理解へと進むプロセスを扱う。初期段階では自分から見た左右を基準とする自己中心的な枠組みで空間を捉えるが、次第にランドマークや地図的な関係に基づき場所を把握する客観的な枠組みへと移行する。別の場所から見たらどう見えるかを想像する視点移動の基礎や、広い空間での移動を支える高度な空間マップの形成を学ぶ。これらは環境への適応能力を飛躍的に高める成果である。

④ 実行機能の芽生え
目標達成のために自分の思考や行動を管理する、脳の「司令塔」である実行機能を学ぶ。やりたい衝動を抑え適切な行動を選択する抑制制御や、情報を一時的に保持して処理するワーキングメモリの発達を扱う。また、ルール変更に柔軟に対応する認知的柔軟性や、感情や行動の乱れを認知的戦略によって立て直そうとする自己調整の始まりを理解する。これらの機能は、複雑な社会生活や学習を支える高次な認知基盤となる。


キーワード ① 表象 ② 遅延模倣 ③ シンボル機能 ④ 実行機能 ⑤ 抑制制御
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。


7 中間まとめ:ここまでの発達を振り返る 科目の中での位置付け 本講義は、乳幼児期の発達を「生物学的基盤」と「社会的環境」の相互作用から捉え、人間の本質を考察する。序盤は発達の意義や理論的枠組み(第1〜2回)を扱い、前半部では胎児期からの連続性を踏まえ、感覚運動知能や実行機能などの「個体」としての認知発達(第3〜7回)を詳述する。後半部は「社会的な心」に焦点を当て、共同注意、言語獲得、愛着、他者理解の形成プロセス(第8〜12回)を講じる。終盤には非定型発達や霊長類との比較(第13〜14回)を通じて比較発達という考え方を学ぶ。最後の第15回で全体のまとめを行う。
このような科目構成の中で、本回では、第1回から第6回までの「個体内」における基礎発達のプロセスを総括し、身体、知覚、認知の各領域がいかに連動して成長してきたかを再確認する。反射から随意運動への移行、世界の不変的なルールの把握、そして目に見えないものを扱う表象機能の獲得といった前半の学びを理論的に整理する。これにより、後半で扱う「他者との関係性」や「社会性」の展開を理解するための強固な知識基盤を確実なものとする。


授業中に指示します。
コマ主題細目 ① 身体・知覚の総括 ② 認知・知能の総括 ③ 発達理論の再評価 ④ 後半への展望
細目レベル ① 身体・知覚の総括
生後直後の原始反射が消失し、歩行や指先を用いた巧緻動作といった随意運動へと至る身体制御の軌跡を振り返る。初期のぼんやりとした視界が、鮮明で意味のある対象の集まりへと体制化されるプロセスや、視覚と聴覚などの連携が世界の理解を加速させた多感覚統合の効果を再検討する。また、自分の体の境界を知り、環境との物理的な距離感を掴む「身体図式」の形成が、自己と世界の未分化な状態からの脱却において果たした役割を強調する。これらの身体的基礎は、単なる肉体の成長に留まらず、後の高次な知的活動や社会的な相互作用を支えるための「器」として機能するものである。


② 認知・知能の総括
ピアジェが提唱した感覚運動知能から、領域固有の核知識獲得に至るまでの知的な歩みを統合する。対象を直接動かす「行為」を通じて得られた経験が、いかに内面化された思考へと置き換わってきたか、その内面化のプロセスを整理する。対象の永続性や因果性といった、世界の不変的なルールを把握することで獲得された「世界の恒常性」の意味を再考する。さらに、注意の制御や記憶容量の拡大といった情報処理の効率化が、より複雑な学習を可能にした点を確認する。特に、表象機能によって目の前にない対象を心の中で操る力が、認知の自由度を飛躍的に高めた達成を評価する。


③ 発達理論の再評価
これまで学んだ具体的な現象を、成熟、学習、相互作用というキーワードを用いて理論的に整理し直す。脳の器質的な成熟が特定の認知機能の出現をどのように準備したのか、また豊かな環境刺激という学習経験が生得的なポテンシャルをどう引き出したのかを再検討する。ピアジェの構成主義、核知識理論、学習理論といった異なる視点が、同じ発達現象をいかに多角的に解釈しうるかを比較する。さらに、標準的な発達の軌跡を理解した上で、個々の子供が持つ気質や発達ペースの「個人差」が、これらの理論的枠組みの中でどのように現れているのかを考察し、発達の多様性への理解を深める。


④ 後半への展望
これまでの「物と自分」という物理的な関係性から、第8回以降の主題となる「人と自分」という社会的な関係性へと関心を移す準備を行う。初期の認知発達の中に見られた顔選好や模倣といった行動が、いかに対人的な意味を持ち、後の社会性へと繋がる予兆であったかを再解釈する。身体的・認知的基盤が整った段階で、他者とのコミュニケーションが必要不可欠なものとして現れる必然性を論じる。後半の学習目標として、「他者の心」という直接見ることはできない対象を、乳児がいかなるプロセスを経て理解し、文化的な存在へと成長していくのか、その壮大な探究の予告を行う。


キーワード ① 統合 ② 内的モデル ③ 定型発達 ④ 連続性 ⑤ 相互作用
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。


8 社会性の芽生えと共同注意 科目の中での位置付け 生まれた直後の他者志向性から、微笑を通じた情緒交流、そして他者と同じ対象を共有する「共同注意」への発達的飛躍を扱う。二者関係から三者関係への移行が、いかに社会認知のマイルストーンとなるかを理解する。また、他者を情報の源として活用する社会的参照や、文化学習の土台となる相互作用の質について考察する。


授業中に指示します。
コマ主題細目 ① 初期の社会的反応 ② 他者との情動共有 ③ 共同注意の発達 ④ 社会的学習の基盤
細目レベル ① 初期の社会的反応
ヒトは出生直後から、他者の顔や視線に対して生得的に強い関心を向ける「他者志向性」を備えている。初期の微笑は生理的なもの(自発的微笑)であるが、次第に他者の働きかけに応じる意味のある「社会的微笑」へと変化し、対人相互作用の基礎が築かれる。この時期の乳児は、視線を合わせたり発声や仕草で応じ合ったりすることで、言葉以前の「会話」の原型を体験する。他者の喜びや驚きに共鳴し、ポジティブな感情を分かち合う「情動共有」の経験は、後の社会性発達における重要な情動的基盤となる。こうした初期の反応は、乳児が孤立した存在ではなく、他者との絆を求める社会的な存在であることを示している。


② 他者との情動共有
乳児は他者の感情を感じ取り、それを手がかりに世界を解釈する力を発達させる。他者の泣き声に共鳴する「情動伝染」や、相手の顔つきを無意識に真似る「表情模倣」を通じて、自身の内的状態を他者と同期させていく。特に重要なのが「社会的参照」であり、未知の対象や状況に遭遇した際、養育者の表情を見てそれが安全か否かを判断する行動が見られるようになる。これは、他者の感情を単に受け取るだけでなく、自身の行動を決定するための「情報」として活用し始めたことを意味する。他者の反応が予測可能であるという経験の積み重ねは、社会的な安心感や他者への基本的な信頼感を醸成し、探索行動を支える土台となる。


③ 共同注意の発達
自分と他者が「同じ対象」を共有する共同注意は、社会認知における最も重要なマイルストーンの一つである。他者の視線の先を追い、同じものを見る「視線追従」の成立により、乳児は自分と相手だけの二者関係から、対象を含めた「三項関係」へと移行する。さらに、自分から他者を誘って面白いものを見せようとする能動的な働きかけや、特定の対象を指し示す「指さし」が出現する。指さしは、当初の「要求」から、次第に発見を伝える「共感」や「宣言」へとその機能を広げていく。自分と他者が同じ目標や関心を共有しているという感覚は、互いの意図を理解し合うための核となり、言語獲得や文化の学習を加速させる原動力となる。


④ 社会的学習の基盤
乳児は他者を単なる交流の相手としてだけでなく、未知の文化やスキルを学ぶための「情報の源」として活用し始める。信頼できる特定の他者からの情報を優先的に取り入れる性質や、他者が自分に対して何かを教えようとしている「教示」の意図を察知する力が育まれる。どのような場面でどのような行動が期待されるかという社会的文脈の理解は、集団生活への適応を支える土台となる。また、養育者との間で行われる応答性の高いやり取りの質が、共同注意や意図共有の発達をいかに促進させるかを理解する。こうした社会的な構えが整うことで、乳児は単なる個体としての学習を超え、世代を超えて受け継がれる文化的な知恵を吸収する準備を整えるのである。

キーワード ① 社会的微笑 ② 共同注意 ③ 三項関係 ④ 社会的参照 ⑤ 指さし
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。


9 言語発達 科目の中での位置付け 本講義は、乳幼児期の発達を「生物学的基盤」と「社会的環境」の相互作用から捉え、人間の本質を考察する。序盤は発達の意義や理論的枠組み(第1〜2回)を扱い、前半部では胎児期からの連続性を踏まえ、感覚運動知能や実行機能などの「個体」としての認知発達(第3〜7回)を詳述する。後半部は「社会的な心」に焦点を当て、共同注意、言語獲得、愛着、他者理解の形成プロセス(第8〜12回)を講じる。終盤には非定型発達や霊長類との比較(第13〜14回)を通じて比較発達という考え方を学ぶ。最後の第15回で全体のまとめを行う。
このような科目構成の中で、本回では、音声のやり取りから単語、そして複雑な文法へと至る「言葉」の獲得プロセスを解明する。意味のある言葉を話す前の前言語期における音声コミュニケーションや、語彙が急激に増加する「語彙爆発」のメカニズムを学習する。さらに、文法構造の習得プロセスを追い、人間がいかにして短期間で複雑な言語体系を習得できるのか、主要な諸理論を比較検討する。


授業中に指示します。
コマ主題細目 ① 前言語期の交流 ② 語彙の獲得 ③ 文法と構造 ④ 言語獲得の諸理論
細目レベル ① 前言語期の交流
意味のある言葉を話す以前の段階において、乳児はいかに音声を用いたコミュニケーションを構築するかを学ぶ。発声機能の成熟に伴い、クーイングから喃語へと変化する初期の音声表現を概観し、大人の音を真似る音声模倣が言語の音体系への習熟を促す過程を理解する。言葉を介さないものの、リズムや抑揚を通じて交互に発声し合う「原対話」は、コミュニケーションの基本的なルールを学ぶ重要な体験となる。これらのやり取りを通じて、乳児は声や仕草を組み合わせ、他者に対して要求や拒絶といった明確な「コミュニケーション意図」を伝える工夫を凝らすようになる。この前言語期の豊かな交流こそが、後の言語獲得を支える不可欠な社会的基盤となるのである。


② 語彙の獲得
生後1年前後に現れる「初語」から、単語数が指数関数的に急増する「語彙爆発」に至る認知的な仕組みを学習する。初期の言語使用に見られる、特定の単語を広い範囲の対象に適用する「過剰拡張」などの現象を通じ、乳児が語の意味範囲をいかに構築していくかを考察する。また、一度聞いただけでその言葉の意味を推測して記憶する「高速マッピング」という驚異的な能力の背景を探る。乳児は単に音を模倣するだけでなく、共同注意などの社会的文脈や、既に持っている知識を活用して効率的に語彙を拡大していく。この語彙の量的な増大は、やがて複数の単語を組み合わせる質的な変化へと繋がり、より複雑な事態の表現を可能にするステップとなる。


③ 文法と構造
単語を組み合わせて複雑な意味を表現する、言語の体系的な発達プロセスを追う。1歳半から2歳頃に見られる「二語文」の出現を言語発達の画期として捉え、そこから助詞の使い方や語順といった言語特有のルールを自然に身につけていく過程を理解する。動詞の活用や複数形などの細かな言語単位を操作する「形態素の発達」についても概観する。言語獲得は単なる単語の羅列から、階層的な構造を持つ文へと洗練されていく「文法化」のプロセスである。乳児がいかにして周囲の会話から複雑な規則性を抽出し、自分自身の発話に適用していくのか、その認知的努力と環境からの入力の役割を整理する。この文法の獲得こそが、ヒトのコミュニケーションを無限の可能性へと開く鍵となる。


④ 言語獲得の諸理論
人間が短期間で複雑な言語を習得できる理由について、対立する主要な仮説を比較検討する。人間に特有の「言語獲得装置」が遺伝的に備わっているとする生得説、周囲の言語入力や模倣、強化を重視する学習・経験説、そして生得的な素質と豊かな社会的やり取りの融合を説く相互作用主義を取り上げる。さらに、音声パターンの頻度や並び順を計算して規則性を抽出する「統計的言語学習」という新たな知的な仕組みについても理解を深める。これらの理論の検討を通じて、言語発達が生物学的な成熟、個人の認知能力、そして社会的な環境の三者が複雑に絡み合った結果であることを統合的に理解する。言語は単なる記号の習得ではなく、人間関係の中で育まれる文化的な営みであることを再認識する。

キーワード ① 喃語 ② 語彙爆発 ③ 二語文 ④ 生成文法 ⑤ 相互作用主義
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。


10 愛着・情動・共感の発達 科目の中での位置付け 本講義は、乳幼児期の発達を「生物学的基盤」と「社会的環境」の相互作用から捉え、人間の本質を考察する。序盤は発達の意義や理論的枠組み(第1〜2回)を扱い、前半部では胎児期からの連続性を踏まえ、感覚運動知能や実行機能などの「個体」としての認知発達(第3〜7回)を詳述する。後半部は「社会的な心」に焦点を当て、共同注意、言語獲得、愛着、他者理解の形成プロセス(第8〜12回)を講じる。終盤には非定型発達や霊長類との比較(第13〜14回)を通じて比較発達という考え方を学ぶ。最後の第15回で全体のまとめを行う。
このような科目構成の中で、本回では、特定の養育者との間に形成される情緒的な絆である「愛着」を軸に、自身の感情制御や他者への共感性が育まれるプロセスを解明する。不安な時に他者を求める生物学的な仕組みとしての愛着理論を学び、ストレンジ・シチュエーション法による質の評価や内的作業モデルの形成について理解を深める。さらに、情動の分化と自己調整、他者の痛みに寄り添う共感性の発達がいかに社会性を支えるかを考察する。


授業中に指示します。
コマ主題細目 ① 愛着(アタッチメント) ② 愛着の質と評価 ③ 情動の分化と調整 ④ 共感性の発達
細目レベル ① 愛着(アタッチメント)
愛着とは、不安や恐怖を感じた際に特定の養育者との近接を求める、生存のための生物学的な絆である。ボウルビィが提唱したこの理論では、信頼できる他者の存在が、未知の世界を探索するための「安全基地」として機能することが強調される。乳児は養育者との相互作用を通じて、自己と他者の関係性に関する心理的雛形である「内的作業モデル」を形成していく。愛着対象との一時的な分離において示す分離不安や、再会時の反応は、この絆の形成を物語る重要な指標となる。この初期の絆は、単なる生理的欲求の充足を超え、生涯にわたる対人関係の質や精神的健康の基盤を規定する重要な役割を担うのである。


② 愛着の質と評価
養育者との関わりの歴史によって生じる愛着のパターンの違いを、科学的な測定手法を通じて考察する。エインズワースが開発した「ストレンジ・シチュエーション法」は、見知らぬ場面での分離と再会を通じ、乳児の反応を安定型、回避型、両価型、混乱型といった類型に分類する。これらの質の差には、養育者の感受性や応答性の高さが密接に関連しており、一貫して適切なケアを受けることが安定した愛着形成を促す。初期の愛着の質は、後の学童期や青年期における自尊心、対人関係の構築力、環境への適応能力に対して長期的な予後を与えることが示唆されている。個別の愛着型を理解することは、子供一人ひとりの心理的ニーズに応じた支援を考える上で不可欠である。


③ 情動の分化と調整
出生直後の漠然とした興奮状態から、喜び、怒り、悲しみ、恐れといった多彩な基本感情へと分化していくプロセスを学ぶ。乳児は成長とともに、状況に応じて感情をいかに表出し、あるいは隠すべきかという「情動表出の社会化」を文化的に習得していく。初期の情動調整は、大人のあやしや宥めによって鎮めてもらう「他者による調整」に依存しているが、次第に指吸いや視線をそらすといった「自己調整」の戦略を獲得し始める。この調整能力の発達は、脳の実行機能や養育者との安定した関係性に支えられており、ストレスフルな状況下でも自身の心理的均衡を保つための重要なレジリエンスの源泉となる。


④ 共感性の発達
他者の痛みや喜びを自分のことのように感じ、寄り添う心の動きである共感性の発達を追う。発達の初期には他者の情動が自分に「うつる」情動的共感が見られるが、次第に他者の立場に立ってその理由を推測する認知的共感へと発展する。困っている他者を助けようとする「共感的配慮」や親社会的な行動の芽生えは、集団生活における協力や援助行動を引き出す重要な動機となる。共感性は単なる感情の共有に留まらず、社会的なルールや道徳性の遵守を内面から支える心理的基盤として機能する。他者の内的状態を推察し、それに応じた適切な行動を選択する力の獲得は、人間らしい豊かな社会性を象徴する達成であると言える。


キーワード ① 安全基地 ② 内的作業モデル ③ 感受性 ④ 情動調整 ⑤ 親社会性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
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小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。


11 自己の発達 科目の中での位置付け 本講義は、乳幼児期の発達を「生物学的基盤」と「社会的環境」の相互作用から捉え、人間の本質を考察する。序盤は発達の意義や理論的枠組み(第1〜2回)を扱い、前半部では胎児期からの連続性を踏まえ、感覚運動知能や実行機能などの「個体」としての認知発達(第3〜7回)を詳述する。後半部は「社会的な心」に焦点を当て、共同注意、言語獲得、愛着、他者理解の形成プロセス(第8〜12回)を講じる。終盤には非定型発達や霊長類との比較(第13〜14回)を通じて比較発達という考え方を学ぶ。最後の第15回で全体のまとめを行う。
このような科目構成の中で、本回では、自分の身体への気づきから、鏡の中の自分を認識し、「私」という意識を持つまでのプロセスを扱う。主体感や身体的自己の構築、他者との関わりの中で形成される社会的自己について理解を深める。さらに、鏡映自己認知の成立が、照れや誇りといった高次な自己意識的感情の出現にいかに関与するかを学ぶ。


授業中に指示します。
コマ主題細目 ① 自己概念の基礎 ② 身体的自己の認識 ③ 自己と他者の分化 ④ 自己認識の成立
細目レベル ① 自己概念の基礎
自分が一つの独立した存在であるという感覚が、いかにして構成されるかを学ぶ。自分の働きかけが世界に影響を与えるという「私がやった」感覚である主体感の芽生えや、手足を動かすフィードバックから得られる身体の地図について理解する。また、他者から見られている自分を意識し、照れや誇りを感じる心の動きである自己意識についても考察する。名前で呼ばれたり、集団の中で役割を与えられたりすることで形成される「社会的自己」は、個人の内面的な感覚と社会的な位置づけを統合する重要な役割を果たす。これらの基礎的な感覚が積み重なることで、一貫性のある自己像が確立されていくのである。


② 身体的自己の認識
五感と運動を通じて、物理的な身体としての自分を捉えるプロセスを深掘りする。「この手は自分のものだ」という身体所有感や、自分の意図と実際の動きが連動していることを認識する行為主体感の成立を扱う。乳児はハイハイや歩行などの感覚運動経験を通じて、空間内での自己の位置を把握する力を養っていく。触覚や視覚の情報を統合し、自分とそれ以外を明確に分ける体験は、自己と環境の境界線を引く決定的なステップとなる。身体を通じた自己認識は、後の抽象的な自己概念を支えるための最も原始的かつ強固な土台であり、環境への能動的な適応を支える知覚の基盤となる。


③ 自己と他者の分化
自分と他者は異なる視点や欲求を持っていることに気づく、社会的な自己の誕生について学ぶ。自分の見ているものと他者が見ているものが違うという発見は、自己中心性からの脱却を意味する。他者の反応を鏡として自分を客観的に捉え直すプロセスの進展や、他者とのやり取りの中で「兄としての自分」などの関係的自己が作られる様子を理解する。自分と他者の心が通じ合う一方で、それぞれが独立した存在であるという認識を両立させる相互主観性の発達は重要である。このように、自己は孤立して発達するのではなく、他者という存在との対比や交流を通じて、より多層的で豊かなものへと洗練されていく。


④ 自己認識の成立
鏡に映った姿を自分だと同定する、高次な自己認知の達成を学習する。鏡を見てそこにいるのが自分だと気づく鏡映自己認知や、鼻についた紅に気づいて自分の鼻を触る「マークテスト」の通過は、客観的な自己認知の決定的な証拠となる。また、写真や過去の経験の中の自分も現在の自分と同じであるという、時間的連続性を伴う自己同一性の芽生えを扱う。自己認識が成立することで、行動や社会的感情はいかに質的に変わるのか、その発達段階差を考察する。自分を客観的な「客体」として捉える力は、自己制御や社会的な規範の遵守、さらには複雑な人間関係の構築において不可欠な認知的転換点となる。


キーワード ① 主体感 ② 身体的自己 ③ 鏡映自己認知 ④ マークテスト ⑤ 自己意識感情
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。


12 他者の心の理解と心の理論 科目の中での位置付け 本講義は、乳幼児期の発達を「生物学的基盤」と「社会的環境」の相互作用から捉え、人間の本質を考察する。序盤は発達の意義や理論的枠組み(第1〜2回)を扱い、前半部では胎児期からの連続性を踏まえ、感覚運動知能や実行機能などの「個体」としての認知発達(第3〜7回)を詳述する。後半部は「社会的な心」に焦点を当て、共同注意、言語獲得、愛着、他者理解の形成プロセス(第8〜12回)を講じる。終盤には非定型発達や霊長類との比較(第13〜14回)を通じて比較発達という考え方を学ぶ。最後の第15回で全体のまとめを行う。
このような科目構成の中で、本回では、他者には自分とは異なる「心(信念・欲求)」があることを理解する、社会認知の到達点について学ぶ。他者の目に見える行動の背後にある意図の推測や、見かけと現実の区別がいかに成立するかを解明する。また、4歳児の壁として知られる「誤信念課題」を中心に、心の理論の獲得プロセスとその個人差、言語発達との関連性を多角的に考察する。


授業中に指示します。
コマ主題細目 ① 欲求と意図の理解 ② 見かけと現実の理解 ③ 心の理論の獲得 ④ 誤信念理解の到達
細目レベル ① 欲求と意図の理解
他者の目に見える物理的な行動の背後にある「目的」や「願い」を推測する力を学ぶ。乳児は、他者が何を目指して動いているかを単なる動線の変化ではなく、目的志向的な行動として把握し始める。他者が失敗した行動を目にしても、本来やろうとしていたことを察する意図の推測や、心理的な理由で他者の行為を解釈しようとする姿勢を理解する。さらに、「一緒にこれをやろう」という共同意図に基づき、二人で一つの目標に向かう社会的な構えが、高度な協力行動を支える基盤となる。これらの能力は、直接目に見えない他者の「内的状態」を読み解くための第一歩となる重要な発達である。


② 見かけと現実の理解
物の見かけと実際の性質、あるいは自分の知っていることと現実の区別を学ぶプロセスを扱う。一つの対象が「石の形のスポンジ」のように二つの顔を持つことを理解する「表象の二重性」の概念を学習する。自分が見たから知っていることと、見ていない他者が知らないことの整理といった、知識へのアクセスに関するメタ的な認知を理解する。自分の主観的な知識が他者の視点と対立する際に生じる認知的葛藤を、子供がいかに克服していくかを考察する。誰が何を知っているかという情報の出所を正確に把握する力は、後の客観的な思考や、他者の視点に立った情報の伝達を行うための不可欠な認知的リソースとなる。


③ 心の理論の獲得
他者の頭の中にある考えを、自分の考えと切り離して推定する知的枠組みである「心の理論」を詳しく学ぶ。他者を心的状態を持つ存在として捉え、期待や疑い、知っている・知らないといった状態を推し量る力の完成を扱う。物理的な見え方の違いを超え、他者の心理的な立場に身を置く「他者視点取得」の発達プロセスを理解する。特に4歳頃に見られる、他者が現実とは異なる「間違い(誤信念)」に基づいて行動することを理解できるようになる飛躍を、発達の決定的なターニングポイントとして捉える。この獲得により、子供の社会的世界は、単なる事象の共有から、互いの内的世界の調整へと質的に変化する。


④ 誤信念理解の到達
他者が「間違った思い込み」に基づいて行動することを予期できるかを検証する具体的な実験を学ぶ。物が移動したことを知らない登場人物がどこを探すかを予測させる「サリーとアン課題」などの有名な手続きを通じ、誤信念理解の成立条件を整理する。自分の知識を一時的に抑制し、他者の持つ誤った情報に基づいてその行動を正しく推論するプロセスの複雑さを考察する。また、複雑な文法や「思う」といった心的語彙などの言語発達が果たしている役割や、兄弟の有無といった対人環境が獲得時期に与える影響を検討する。この到達は、欺瞞や冗談の理解、より高度な対人交渉を可能にする認知基盤となる。


キーワード ① 心の理論 ② 誤信念課題 ③ 表象の二重性 ④ 意図理解 ⑤ 再帰的思考
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。


13 非定型発達から考える社会的発達 科目の中での位置付け 本講義は、乳幼児期の発達を「生物学的基盤」と「社会的環境」の相互作用から捉え、人間の本質を考察する。序盤は発達の意義や理論的枠組み(第1〜2回)を扱い、前半部では胎児期からの連続性を踏まえ、感覚運動知能や実行機能などの「個体」としての認知発達(第3〜7回)を詳述する。後半部は「社会的な心」に焦点を当て、共同注意、言語獲得、愛着、他者理解の形成プロセス(第8〜12回)を講じる。終盤には非定型発達や霊長類との比較(第13〜14回)を通じて比較発達という考え方を学ぶ。最後の第15回で全体のまとめを行う。
このような科目構成の中で、本回では、発達の多様なあり方を通じて、社会性やコミュニケーションの本質を再考する。平均的な発達経路との違いを「障害」ではなく「多様性」として捉える視点を養い、自閉スペクトラム症(ASD)の初期特徴や感覚の特異性を学ぶ。定型発達の知見と対比させることで、ヒトが社会性を獲得していくプロセスの複雑さと、環境調整による適応の形を考察する。



授業中に指示します。
コマ主題細目 ① 発達の多様性と非定型性 ② 自閉スペクトラム症(ASD)の初期特徴 ③ 共同注意とコミュニケーションの特性 ④ 共感と心の理論の多様な理解
細目レベル ① 発達の多様性と非定型性
発達心理学における「非定型」とは、定型的な発達とは異なるペースやパターンを持つ状態を指すが、これを単なる欠損ではなく神経学的な多様性として捉える視点が重要である。健常と障害の間に明確な境界線はなく、地続きの「スペクトラム」として理解することで、個々の特性に応じた柔軟な解釈が可能となる。また、発達経路には可塑性があり、本人の特性に合わせた適切な環境支援や介入が行われることで、適応の形が大きく変わりうるプロセスを学ぶ。個人の「弱さ」に注目するのではなく、周囲の環境との相互作用の中でいかにウェルビーイングを実現するかという、現代的な発達支援の理念を理解する。


② 自閉スペクトラム症(ASD)の初期特徴
社会性やコミュニケーションに独自のスタイルを持つ自閉スペクトラム症(ASD)の中核症状と、乳幼児期に現れる初期サインを学習する。ASDの乳児は、他者の表情や視線といった社会的刺激よりも、物理的な規則性や細部のパーツに注目しやすいという「社会的注意」の質的な違いを示すことがある。具体的には、視線が合いにくい、あるいは指さしが出にくいといった発達の揺らぎが早期の指標となる。さらに、音や光に対する過敏さや鈍麻さといった感覚の特異性が、他者との情緒的な交流を妨げる要因となりうるメカニズムを理解し、彼らが世界をどのように知覚しているのかという内面の世界に迫る。


③ 共同注意とコミュニケーションの特性
共同注意などの重要なマイルストーンが、非定型発達においてどのように現れるかを詳しく分析する。他者の視線を追って関心を共有することに対する動機づけの違いから、視線追従に遅れが生じるメカニズムを考察する。また、欲しいものを伝える「要求の指さし」は出ても、面白いものを教え合う「宣言の指さし」が出にくいといった、コミュニケーション機能のアンバランスさを学ぶ。困った時に他者の顔を見て情報を得ようとする社会的参照の少なさや、独特なフレーズの反復といった言語獲得の独自性についても理解を深める。これらの特性は欠如ではなく、情報の受け取り方や他者とのつながり方の「スタイルの違い」として捉え直す必要がある。


④ 共感と心の理論の多様な理解
他者の心を捉える独自のスタイルと、それを支える支援の在り方を考察する。例えば、他者の感情を強く受けすぎてパニックになるような「情動的共感」の高さや、心の理論課題において定型発達とは異なる理詰め的な解決を試みる姿を学ぶ。相互理解を深めるためには、本人の特性を変えるのではなく、絵カードや具体的な言葉による説明など、特性に合った明確なコミュニケーション手段を活用する環境調整が不可欠である。周囲がその特性を正しく理解し、物理的・社会的な環境を整えることで、非定型な発達を遂げる子供たちが持つ独自の感性や能力が社会の中で輝くレジリエンスの在り方を理解する。


キーワード ① 自閉スペクトラム症 ② ニューロダイバーシティ ③ 社会的注意 ④ 感覚過敏 ⑤ 環境調整
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
・各問題にかんたんな解説をつける

【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。


14 比較発達の視点:人間発達の進化と特異性 科目の中での位置付け 本講義は、乳幼児期の発達を「生物学的基盤」と「社会的環境」の相互作用から捉え、人間の本質を考察する。序盤は発達の意義や理論的枠組み(第1〜2回)を扱い、前半部では胎児期からの連続性を踏まえ、感覚運動知能や実行機能などの「個体」としての認知発達(第3〜7回)を詳述する。後半部は「社会的な心」に焦点を当て、共同注意、言語獲得、愛着、他者理解の形成プロセス(第8〜12回)を講じる。終盤には非定型発達や霊長類との比較(第13〜14回)を通じて比較発達という考え方を学ぶ。最後の第15回で全体のまとめを行う。
このような科目構成の中で、本回では、チンパンジーとの比較を通じ、ヒトの乳幼児期がいかに進化的適応の結果であるかを理解する。人間特有の「未熟な出生」と長い依存期間が持つ意味を相対化し、感覚運動発達や母子相互作用の形態における種差を学ぶ。他者から意図を学び、文化を蓄積していく人間らしさの根源を、比較発達心理学の視点から考察する。


授業中に指示します。
コマ主題細目 ① 比較発達の意義と手法 ② ヒト乳幼児期の進化的適応 ③ ヒト乳幼児期の進化的適応 ④ チンパンジーとの認知・運動比較 ⑤ 社会的理解と文化伝達の種差
細目レベル ① 比較発達の意義と手法
比較発達心理学の目的は、他種との共通性と人間固有の特性を明らかにすることにある。進化の歴史である系統発生と、一人の子供の成長である個体発生を重ね合わせることで、人間発達の「当たり前」を相対化する視点を養う。なぜ人間はこのように発達するのかという適応的な意味を考える進化的視点は、発達のメカニズムを深く理解するために不可欠である。研究の遂行にあたっては、対象となる動物の尊厳への配慮や研究の厳密さといった倫理的側面を遵守することが求められる。他種を知ることは、鏡を見るように人間自身の本質を浮き彫りにするプロセスなのである。


② ヒト乳幼児期の進化的適応
人間の赤ちゃんは、他の霊長類と比較して極めて未熟な状態で生まれる「二次的就巣性」という特徴を持つ。これは直立二足歩行に適応した骨盤の形状と、爆発的に増大する脳のサイズとの妥協点として進化した結果である。この未熟さは、胎外の豊かな社会的刺激を受けながら脳を成長させるための適応であり、高度な文化を学ぶための長い「子供時代」を必要とした。また、親だけでなく集団全体で育てる「共同養育」の仕組みが、人間の社会性を育む上で決定的な役割を果たした。この長期の依存期間こそが、ヒトが柔軟な学習能力を獲得するための進化的戦略だったのである。


③ チンパンジーとの認知・運動比較
遺伝的に最も近いチンパンジーと比較すると、発達のスピードや質に明確な違いが見られる。チンパンジーは身体運動の自立が早いが、人間は身体の自立を遅らせて認知発達が先行する傾向にある。母子相互作用においても、チンパンジーの「しがみつき」に対し、人間は「対面でのやり取り」を重視する点に特異性がある。一方で、道具の使用や物理的な因果関係の理解など、物理的知能においては共通点も多い。人工言語訓練などを通じた研究は、チンパンジーが高い知性を持つ一方で、記号や概念の操作において人間とは異なる限界や特性を持っていることを示している。


④ 社会的理解と文化伝達の種差
他者から学び、文化を積み上げていく力こそが人間らしさの根源である。他者の苦痛に共鳴する情動伝染などの共感の基礎は霊長類に共通して見られるが、人間は他者に能動的に教える「教示」という高度な社会性を持つ。模倣の質においても、結果だけを真似る傾向のある他種に対し、人間は他者の意図や手順まで忠実に再現しようとする。この高い模倣性と教示行為により、人間は他者の学びを蓄積し、世代を超えて技術を向上させる「累積的文化」を成立させた。一人の知恵が集団の共有財産となり、時間を経るごとに洗練されていくこの仕組みが、ヒトを文化的な存在へと押し上げたのである。


キーワード ① 二次的就巣性 ② アロペアレンティング ③ 教示 ④ 累積的文化 ⑤ 種間比較
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 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

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 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
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15 全体のまとめ:乳幼児期から生涯発達への展望 科目の中での位置付け 本講義は、乳幼児期の発達を「生物学的基盤」と「社会的環境」の相互作用から捉え、人間の本質を考察する。序盤は発達の意義や理論的枠組み(第1〜2回)を扱い、前半部では胎児期からの連続性を踏まえ、感覚運動知能や実行機能などの「個体」としての認知発達(第3〜7回)を詳述する。後半部は「社会的な心」に焦点を当て、共同注意、言語獲得、愛着、他者理解の形成プロセス(第8〜12回)を講じる。終盤には非定型発達や霊長類との比較(第13〜14回)を通じて比較発達という考え方を学ぶ。最後の第15回で全体のまとめを行う。
このような科目構成の中で、本回では、ここまでの学びを統合し、乳幼児期が人生の長い旅路において持つ意味を再確認する。身体、認知、社会性が重なり合いながら「一人の子供」として統合されていくダイナミズムを総括する。また、人間発達の独自性を進化や多様性の視点から捉え直し、学問的知見を現代社会や次世代への継承にいかに活かすべきか、その展望を論じる。


授業中に指示します。
コマ主題細目 ① 発達のダイナミズムの総括 ② 人間発達の独自性と共通性 ③ 発達を支える環境と社会 ④ 生涯発達の始まりとしての乳幼児期
細目レベル ① 発達のダイナミズムの総括
身体から認知、社会性へと至る発達の階層的な重なりと、そのダイナミズムを振り返る。基礎的な運動や知覚が、いかに高次な思考や社会性を支える土台となったかという階層性を整理する。発達はなだらかな連続性を持つ一方で、言葉や自己意識の獲得による質的な転換、すなわち飛躍を内包するプロセスである。環境によって変容しうる柔軟な可塑性と、種や遺伝によって規定される強固な枠組みとしての制約が、いかに均衡を保ちながら成長を導くかを再確認する。領域ごとに分断して学んだ知識を、生命力に溢れた「一人の子供」の全体像として統合し、発達の美しさと複雑さを改めて捉え直す。

② 人間発達の独自性と共通性
比較発達や非定型発達の視点を経て、私たちが共有する「人間性」の本質を考察する。ヒトとしてのアイデンティティは、二次的就巣性に伴う未熟な出生と、それに続く長い子供時代がもたらした類まれな学習能力に支えられている。発達の経路やスピードには多様な個人差が存在するが、その根底には他者を求め、理解しようとする共通の根源的な欲求が流れている。個体発生の中に刻まれた生命の長い進化の足跡を理解することで、発達を壮大な進化のプロセスとして位置づける。正常や異常という二分法を超え、それぞれの発達が持つ適応的価値を認めることで、相対化された「定型」の概念を提示する。


③ 発達を支える環境と社会
学問的知見を、これからの社会や子供たちのウェルビーイングのためにどう活かすべきかを論じる。愛着理論や共同養育の知見は、子供を孤立させない支援体制の重要性を科学的に示唆している。急速な環境変化を遂げる現代社会において、乳幼児期に本来必要な経験が失われていないかという警鐘を鳴らし、発達段階や特性に合わせた教育・福祉の在り方を再考する。大学での研究成果を現場の実践に還元し、科学と社会が対話を通じて共に子供を育む土壌を作ることの意義を強調する。専門的な知識を指針とすることで、個々の発達を尊重し、誰もが健やかに育つことのできる社会の構築を目指す。


④ 生涯発達の始まりとしての乳幼児期
講義の締めくくりとして、乳幼児期から成人期、そして次世代へと続くバトンを意識する。初期経験は人生のすべてを決定するものではないが、その後の人生の「色合い」を規定する大切な時期であることを再定義する。発達は乳幼児期で完結するものではなく、生涯を通じて自己を更新し続ける終わりのないプロセスである。自身が受けてきた養育や文化を内省し、それをどう次世代に繋ぎ、あるいはより良い形に変えていくかという「世代継承性」の視点を持つ。本講義で得た知識を単なる情報の蓄積に留めず、これからの人生における他者理解や自己洞察のための確かな指針とすることを期待する。


キーワード ① 生涯発達 ② ウェルビーイング ③ 社会還元 ④ 世代継承性 ⑤ 適応
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施します。
復習・予習課題  今回のコマシラバス、配布資料、および文字教材を再度読んだ上で,その内容をあらためて確認し,どの部分の理解が足りていなかったのかを把握し,理解できるようにしておく。
 キーワードや講義中に出てきた専門用語については、インターネット検索なども活用し、特に十分に理解するようにしておこう。

※chatGPTを用いてテストワークをしよう※
文字教材をchatGPTにアップロードし、5選択肢の問題をたくさん作って解いてみよう。以下にプロンプトの例を示す。

 読み込んだ教材をもとに、5選択肢の問題を30問作ってください。この時、
・教材から重要項目を10個ピックアップする
・各重要項目につき受講者の90%以上が正解できる「かんたんな」問題、70%程度が正解できる「ふつうの」問題、そして50%程度が正解できる「むずかしい」問題を1問ずつ、計30問作成する
・「である調」で作成する
・選択肢の中から、正しいもの、または最も適切なものを選択する
・文字教材の内容に含まれない問題や正解の選択肢を作成しない
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【次回の予習】
 次回のコマシラバスや配布予定資料を読み,重要だと感じたところと,むずかしいと思ったところはチェックしておくようにしておこう。


履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
① 生涯発達における乳幼児期の位置づけ 1)発達心理学が、受精から死に至るまでの心身の変化を扱う学問であることを理解し説明できること。
2)乳幼児期が人間形成の基盤となる重要な時期であり、可塑性の高い時期であることを理解し説明できること。
3)初期経験が、その後の認知、情動、社会性の発達に長期的な影響を与えることを理解し説明できること。
4)身体、認知、情動、社会性が相互に関連しながら統合的に発達することを理解し説明できること。
5)乳幼児期を、生涯発達全体の出発点として総合的に位置づけて理解し説明できること。
生涯発達、可塑性、初期経験、統合的発達、発達心理学 10 1,2,15
② 発達の基本原理と理論的枠組み 1)発達が、生物学的な成熟と経験による学習の相互作用によって進むことを理解し説明できること。
2)遺伝と環境が相互に影響し合いながら発達を形づくることを理解し説明できること。
3)発達には、連続的に進む側面と段階的に変化する側面の両方があることを理解し説明できること。
4)ピアジェやヴィゴツキーなどの主要理論が、それぞれ異なる視点から発達を捉えていることを理解し説明できること。
5)発達を、共通する法則と個人差の両面をもつ多面的な過程として理解し説明できること。
成熟と学習、遺伝と環境、連続性、発達段階、個人差
10 2,7
③ 胎児期から新生児期への発達連続性 1)胎児期の発達が、出生後の発達へと連続してつながる過程であることを理解し説明できること。
2)胎児が胎内で感覚や運動の経験を重ねながら発達していることを理解し説明できること。
3)新生児が原始反射や初期的な行動特性を備えて外界に適応していることを理解し説明できること。
4)新生児が顔や声などに対する知覚的な選好をもち、多感覚的に世界を捉え始めていることを理解し説明できること。
5)選好注視法や馴化・脱馴化法などを用いて、乳児の心を科学的に研究する方法を理解し説明できること。
胎児期、原始反射、新生児、感覚・知覚、乳児研究法 10 3
④ 感覚運動期の認知発達 1)感覚運動期が、行為と感覚を通じて知能が形成される時期であることを理解し説明できること。
2)シェマ、同化、調節が、乳児の認知発達を支える基本的な仕組みであることを理解し説明できること。
3)乳児が循環反応や試行錯誤を通じて、環境への働きかけを発達させていくことを理解し説明できること。
4)対象の永続性が、見えない対象も存在し続けるという理解を示すことを理解し説明できること。
5)因果関係や手段―目的関係の理解が、感覚運動期の認知発達の重要な達成であることを理解し説明できること。
シェマ、同化と調節、循環反応、対象の永続性、因果理解
10 4,7
⑤ 領域固有的認知と学習メカニズム 1)乳児の認知発達において、記憶や注意の発達が基盤的な役割を果たすことを理解し説明できること。
2)乳児が条件づけや模倣を通して、環境から学習していくことを理解し説明できること。
3)乳児が統計的学習によって、周囲の情報の規則性を抽出していることを理解し説明できること。
4)乳児が物理、数、生物などの領域において、核知識をもつ可能性があることを理解し説明できること。
5)認知発達が全般的一様ではなく、領域固有的に進むという考え方を理解し説明できること。
核知識、統計的学習、記憶、注意、領域固有性
10 5,6,7
⑥ 表象機能と高次認知の発達 1)表象が、目の前にない対象を心の中で扱う働きであることを理解し説明できること。
2)遅延模倣やふり遊びが、表象機能やシンボル機能の成立を示すことを理解し説明できること。
3)乳幼児が数やカテゴリーを用いて、対象を抽象的に整理し始めることを理解し説明できること。
4)空間認知が、自己中心的な理解から客観的な理解へと発達することを理解し説明できること。
5)抑制制御、ワーキングメモリ、認知的柔軟性などの実行機能が高次な認知活動を支えることを理解し説明できること。
表象、遅延模倣、シンボル機能、実行機能、空間認知 10 6,7
⑦ 社会性とコミュニケーションの発達 1)乳児が出生直後から他者への志向性を示し、社会的微笑を通じて対人関係を形成していくことを理解し説明できること。
2)情動共有や社会的参照が、他者の感情を手がかりとして行動する発達を支えることを理解し説明できること。
3)共同注意が、二者関係から三項関係への移行を示す重要な社会認知の達成であることを理解し説明できること。
4)喃語、原対話、初語、語彙爆発といった過程を通して、言語が段階的に発達することを理解し説明できること。
5)社会的相互作用、共同注意、音声コミュニケーションが言語発達の基盤となることを理解し説明できること。
社会的微笑、共同注意、社会的参照、指さし、言語発達 10 8,9
⑧ 愛着と情動・共感の発達 1)愛着が、不安や恐怖のときに特定の養育者との近接を求める情緒的な絆であることを理解し説明できること。
2)安全基地や内的作業モデルが、愛着理論において重要な概念であることを理解し説明できること。
3)ストレンジ・シチュエーション法によって、愛着の質を評価できることを理解し説明できること。
4)情動が分化し、他者による調整から自己調整へと発達していくことを理解し説明できること。
5)共感が情動的共感から認知的共感へと発達し、親社会性の基盤となることを理解し説明できること。
愛着、安全基地、内的作業モデル、情動調整、共感
10 10
⑨ 自己理解と心の理論の発達 1)主体感や身体的自己の発達を通して、自己概念の基礎が形成されることを理解し説明できること。
2)鏡映自己認知やマークテストが、自己認識の成立を示す指標であることを理解し説明できること。
3)他者の欲求や意図を推測する力が、他者理解の初期段階として重要であることを理解し説明できること。
4)見かけと現実の区別や他者視点取得が、心の理論の発達に関わることを理解し説明できること。
5)誤信念課題を通して、他者が自分とは異なる信念に基づいて行動することを理解し説明できること。
自己概念、鏡映自己認知、心の理論、誤信念課題、意図理解
10 11,12
⑩ 発達の多様性と進化的基盤 1)発達には多様な経路や個人差があり、非定型発達を多様性として捉える視点が重要であることを理解し説明できること。
2)ASDの初期特徴として、社会的注意や感覚特性に独自性がみられることを理解し説明できること。
3)環境調整や支援の工夫が、非定型発達の適応を支えることを理解し説明できること。
4)比較発達の視点から、ヒトの未熟な出生や長い依存期間が進化的適応であることを理解し説明できること。
5)ヒトの社会性や累積的文化が、他種との比較によって相対化されることを理解し説明できること。
非定型発達、ASD、ニューロダイバーシティ、比較発達、累積的文化
10 13,14,15
評価方法 期末試験100%とします。
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書
参考文献
実験・実習・教材費