区分
公認心理師関連科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力
科学コミュニケーション力
研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養
応用力
実践力
科目間連携
総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
科目の目的
本科目「心理学的支援法」は、公認心理師として提供する心理学的支援の主要な理論・技法・実践方法を体系的に学ぶ科目である。クライエント中心療法・精神分析的心理療法・行動療法・認知行動療法・家族療法・社会構成主義的アプローチ・集団療法・コミュニティアプローチ・遊戯療法・日本独自の心理療法という多様なアプローチを通じて、心理学的支援の多様性と統合的実践の基盤を形成する。
授業は講義・事例検討・ロールプレイ・グループ演習を組み合わせた形式で行い、理論的知識の習得とともに、実際の支援場面での判断力・実践力を培うことを目的とする。第8回・第15回には前半・後半の内容を振り返る復習回を設け、知識の統合と定着を図る。
到達目標
1. 心理学的支援の主要な理論的アプローチ(人間性・精神力動・認知行動・システムズ・社会構成主義等)の基本概念・技法・適応を説明できる。
2. エビデンスに基づく実践(EBP)の観点から、要支援者の特性と状況に応じた支援方法を選択する根拠を言語化できる。
3. 心理療法の適用の限界を認識し、適切なリファー・補完的介入の判断ができる。
4. 集団療法・コミュニティアプローチ・遊戯療法等の個人療法以外の支援形式の特性と活用場面を説明できる。
5. 日本固有の心理療法(森田療法・内観療法・動作法)の特徴と文化的背景を説明し、現代的実践への位置づけを論じることができる。
6. 良好な人間関係を築くためのコミュニケーション技法(開かれた質問、動機づけ面接法、ナラティブ・アプローチ等)の原理を説明できる。
7. プライバシーへの配慮(守秘義務・個人情報保護・情報共有の判断)に関する基本的知識と倫理的判断の枠組みを述べることができる。
8. 要支援者の関係者(家族・連携機関等)への支援(コンサルテーション・チーム支援・心理教育等)の意義と方法を説明できる。
9. 心の健康教育(ストレスチェック・ハラスメント対応・ヘルスプロモーション等)の意義と実践方法の概要を述べることができる。
科目の概要
この科目は、「臨床心理学概論」「人体の構造と機能及び疾病」「精神疾患とその治療」「障害者・障害児心理学」を受け、精神疾患や心理支援を要する人の状態を理解したことを前提に、心理的な困難を抱える人(要支援者)に対する、具体的な援助方法について理解を深めることを目的とする。
1年次後期の「臨床心理学概論」よりも実践に近い内容となる。「令和8年版公認心理師試験出題基準・ブループリント」および公益社団法人 日本心理学会
・公認心理師養成大学教員連絡協議会作成による「公認心理師大学カリキュラム 標準シラバス」に準拠し、公認心理師を目指す上で必要な内容とする。方法として、講義のほか、ロールプレイやミニワークを行いながら、より実践的な理解を目指す。
本科目の受講を通じて、公認心理師をはじめとした心理支援の実務家にとって必要な知識を明確にし、自分が本当に公認心理師を目指すのかを常に問う機会にしていただきたい。
科目のキーワード
心理支援の理論と技法、インフォームド・コンセント、エビデンスに基づく実践、人間性アプローチ、精神分析的心理療法、行動療法、認知行動療法、システムズ・アプローチ、社会構成主義、集団療法、コミュニティ心理学、遊戯療法、森田療法、内観療法、動作療法
授業の展開方法
この科目は、各回の文字教材を教員が読み上げ、解説を加えながら講義を進める。必要に応じて動画を視聴したり、ロールプレイを実施し、体験的な理解を目指す。
担当教員は個人心理療法・家族療法として犯罪被害者、非行少年・保護者、警察職員(職員のメンタルヘルス支援)を対象に25年間の実務を行なってきた。また、本学のこころの相談支援センターでのカウンセリングも担当している。そのほか、警察庁職員として全国警察職員のメンタルヘルス指導の企画立案や指導を担当し、組織全体のメンタルヘルス対策というコミュニティアプローチを実践してきた。
担当教員の理論的立場としては、認知行動療法、臨床動作法、臨床催眠法、家族療法、ブリーフサイコセラピー、コミュニティ心理学の各専門家に師事し、統合的心理療法を提唱してきた第一人者からも指導を受け、自分が研鑽を積んだ技法のうち目前のクライエントに最も効果的とされる心理支援の方法を用いてきた。さらに、学校での子ども性暴力防止や非行問題の指導、教職員のメンタルヘルス支援の研修を担当し、心理支援の社会実装に努めている。
このような経験に基づき、受講者が臨床実践を理解できるように講義を行う。
オフィス・アワー
※時間を要する相談の場合は事前にメールをお願いします。
前期:火曜3限・4限
水曜3限・4限
木曜3限・4限
後期:月曜2限・3限
水曜4限
木曜4・5限
科目コード
RG3040
学年・期
2年・後期
科目名
心理学的支援法
単位数
2
授業形態
講義
必修・選択
選択
学習時間
【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
展開科目
関連資格
公認心理師
担当教員名
藤代富広
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
公認心理師の心理学的支援と基本技能としてのコミュニケーション
科目の中での位置付け
本回では、公認心理師が提供する心理学的支援の全体像と多様性を俯瞰し、各支援の理論的・実践的位置づけを理解する。また、すべての心理学的支援の基盤となるコミュニケーション技能(傾聴・共感・明確化等)の原理を概観し、治療的関係の重要性を認識する。
大山泰宏(2021) 心理学的支援とは何か.大山泰宏(編) 公認心理師の基礎と実践15 心理学的支援法.遠見書房 pp.11-18.
下山晴彦(2023) 公認心理師の心理学的支援と基本技能としてのコミュニケーション. 下山晴彦・森田慎一郎(編著) 心理学的支援法. ミネルヴァ書房 pp.2-13.
杉原保史(2019) 心理学支援法とは.杉原保史・福島哲夫・東斉彰(編著) 公認心理師標準テキスト 心理学的支援法.北大路書房 pp.1-16.
コマ主題細目
① 心理学的支援の全体像 ② 心理学的支援における理論と技法の多様性 ③ 心理学的支援における留意事項 ④ 良好な人間関係構築のためのコミュニケーション ⑤ コミュニケーションの発展技法
細目レベル
① 心理学的支援の全体像
心理学的支援とは、心理学の理論・研究・実践知を基盤として、要支援者の心理的健康の維持・回復・増進を目的に提供される専門的援助の総体である。公認心理師法第2条に規定される業務(観察・分析、相談・助言・援助、関係者支援、心の健康教育)はいずれも心理学的支援の構成要素であり、単一の技法や理論に依拠するのではなく、要支援者のニーズ・状況・目標に応じた複合的なアプローチの選択が求められる。
心理学的支援は予防(一次・二次・三次)・介入・リハビリテーション・コンサルテーションという複数のレベルで機能し、個人・家族・集団・コミュニティを対象とする。本項では、支援の全体像を概観し、各自が今後の学習の地図を描けるようにする。
【到達目標】
① 公認心理師法第2条に規定される業務(観察・分析、相談・援助、関係者支援、心の健康教育)を列挙し、それぞれの意味を説明できる。
② 心理学的支援が機能する複数のレベル(一次・二次・三次予防、介入、リハビリテーション、コンサルテーション)を区別して説明できる。
② 心理学的支援における理論と技法の多様性
現代の心理療法・カウンセリングには200を超える理論体系が存在するとされ、それぞれが独自の人間観・変化理論・技法群を持つ。大別すると、人間性アプローチ・精神力動アプローチ・認知行動アプローチ・システムズアプローチ・社会構成主義アプローチという主要パラダイムが識別されるが、実際の臨床家の多くは純粋な単一理論家ではなく、複数のアプローチを統合・折衷的に活用している。これを統合的アプローチと呼ぶ。
理論と技法の多様性は心理学的支援の豊かさであると同時に、「どれが正しいのか」という混乱を招くことも事実である。この多様性を理解する鍵は、各理論が「どのような問題・対象に最も有効か」「どのようなエビデンスを持つか」「どのような限界があるか」を批判的・統合的に評価する視点を持つことにある。
【到達目標】
① 心理療法の主要パラダイム(人間性・精神力動・認知行動・システムズ・社会構成主義)をそれぞれの人間観・変化理論の違いから整理できる。
② 統合的・折衷的アプローチの意義と、単一理論への固執を避けることの理由を説明できる。
③ 心理学的支援における留意事項
心理学的支援を適切に提供するにあたっては、技術的能力に加えて複数の倫理的・実践的留意事項がある。第一に、インフォームド・コンセントの徹底(支援の目的・方法・期間・限界を説明し自由意思による同意を得ること)。第二に、文化的コンピテンシー(要支援者の文化的背景・価値観・言語への感受性を持ち、文化的に適切な支援を提供すること)。第三に、二重関係の回避と適切な境界設定。第四に、証拠に基づく実践の原則(エビデンスを参照しながらも要支援者の個別性を尊重すること)。第五に、継続的なスーパービジョンと自己研鑽。これらの留意事項は「良い支援者になるための付帯条件」ではなく、心理学的支援の質そのものを規定する核心的要素であることをここで確認する。
【到達目標】
① 心理学的支援における5つの主要な倫理的留意事項(インフォームド・コンセント・文化的コンピテンシー・二重関係の回避・EBP・スーパービジョン)を説明できる。
② 文化的コンピテンシーの重要性を、具体的な支援場面への影響と結びつけて述べることができる。
④ 良好な人間関係構築のためのコミュニケーション
心理学的支援の効果を規定する最も重要な要因の一つは作業同盟(working alliance)であり、その基盤となるのが支援者のコミュニケーション技能である。基本的なコミュニケーション技能として、(1)傾聴:相手の言語的・非言語的メッセージに全注意を向け、判断を留保して受け取る能力、(2)共感的応答:相手の感情と意味を正確に理解し、それを相手に伝え返す能力、(3)無条件の肯定的関心:相手の全存在を評価・批判なしに受け入れる姿勢、(4)自己一致:支援者自身の内的体験と外的表現に乖離がない誠実な状態が挙げられる。これらはロジャーズが提唱した治療的変化の必要十分条件であり、どのような理論的アプローチを用いるにも共通する支援の基盤である。
【到達目標】
① ロジャーズが提唱した治療的変化の3条件(共感的理解・無条件の肯定的関心・自己一致)をそれぞれ定義し、実際の面接場面での具体的な現れ方を例示できる。
② 「傾聴」を単なる「話を聞く行為」と区別し、active listeningとしての積極的・参加的な傾聴の意味を説明できる。
⑤ コミュニケーションの発展技法
基本的コミュニケーション技能を土台として、より発展的な技法を習得することで心理学的支援の質が向上する。発展技法には、(1)明確化(clarification):要支援者の曖昧な表現をより明確に理解するための問い返し、(2)要約(summarizing):面接の流れや要点を整理して伝え、理解の確認と方向づけを行う技法、(3)直面化(confrontation):要支援者が認識していない矛盾・回避・パターンに気づきを促す介入、(4)解釈(interpretation):表面的な語りの背後にある意味・動機・パターンを提示する介入、(5)自己開示(self-disclosure):治療的目的のもとで支援者自身の体験・感情を適切に開示することが含まれる。
これらの技法は的確なタイミングと文脈の中でのみ有効に機能し、安易な使用はかえって治療関係を損なうことを理解する。
【到達目標】
① 明確化・要約・直面化・解釈・自己開示のそれぞれの目的と適切な使用タイミングを説明できる。
② 発展技法が「タイミングと文脈を誤ると治療関係を損なう」理由を、具体的な例を用いて述べることができる。
キーワード
① ラポール ② 傾聴 ③ 共感的理解 ④ 作業同盟 ⑤ ロールプレイ
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
文字教材をよく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認してほしい。そして、文字教材を素材としてChatGPTによるテストワークを各自で行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはインターネットで検索してみるとよい。
2
心理学的支援における方法の選択と適用の限界
科目の中での位置付け
要支援者の特性・状況とエビデンスの両面から支援方法を選択する判断プロセスを理解する。また、心理療法の適用限界を正確に把握し、適切なリファーや補完的介入の判断ができるための基本的な知識と倫理的態度を身につける。
石丸径一郎(2023) 心理学的支援における方法の選択と適用の限界. 下山晴彦・森田慎一郎(編著) 心理学的支援法. ミネルヴァ書房 pp.14-23.
コマ主題細目
① 臨床心理学的支援と要支援者の特性や状況 ② エビデンスの強さを考慮した技法の選択 ③ 心理療法の適用の限界
細目レベル
① 臨床心理学的支援と要支援者の特性や状況
心理学的支援の方法を選択する際には、要支援者の個別的特性(年齢・発達段階・知的能力・文化的背景・パーソナリティ特性・心理的洞察力・変化への動機)と現在の状況(症状の種類・重症度・慢性/急性・生活環境・社会的サポート・他の治療との併用状況)を包括的にアセスメントすることが不可欠である。例えば、認知的複雑性の高い洞察志向アプローチは抽象的思考能力と内省能力が前提となり、曝露療法は安定した日常生活機能を前提とする。
また、トラウマ歴を持つ要支援者への安定化前の早期トラウマ処理は再トラウマ化のリスクをはらむ。要支援者の特性と支援方法の「マッチング(fit)」は、単なる診断名による選択ではなく、上述の多次元的アセスメントに基づく個別化された判断として行われるべきである。
【到達目標】
① 要支援者の特性(年齢・発達段階・知的能力・文化的背景・動機等)と現在の状況(症状・重症度・生活環境等)の各次元が技法選択に与える影響を説明できる。
② 「診断名による一律の技法選択」と「多次元的アセスメントに基づく個別化された選択」の違いを具体例を用いて述べることができる。
② エビデンスの強さを考慮した技法の選択
エビデンスに基づく実践(EBP)の原則は、最善の研究エビデンス・臨床家の専門的判断・要支援者の価値観と選好の3要素を統合して治療選択を行うことを求める(APA, 2006)。エビデンスの強さの評価においては、ランダム化比較試験(RCT)によるメタ分析・システマティックレビューが最も信頼性が高いとされるが、こうした方法論は特定の症状・対象への一般化を前提としており、複雑な個別事例への適用には慎重な判断が必要である。
「実証的に支持された治療(EST)」のリスト(アメリカ心理学会のDivision 12 Task Force(臨床心理学の分野で、心理療法の有効性や証拠に基づく治療(EBT)について調査・報告を行うチーム)等)は有益な参照資源だが、リストにない技法が無効であるわけではなく、リスト掲載技法が常に有効であるわけでもない。ここでは、エビデンスの強さを評価するための基礎的な研究方法論と、EBPの哲学・批判的論点を習得する。
【到達目標】
① EBPの3要素(研究エビデンス・臨床的判断・要支援者の価値観と選好)を説明し、それらが相互に矛盾する場合の対処方針を述べることができる。
② RCTによるエビデンスの強さを評価する意義と、個別事例への単純適用が困難な理由(内的妥当性と外的妥当
性の問題)を説明できる。
③ 心理療法の適用の限界
心理療法には、すべての人・すべての問題・すべての状況に有効な万能の方法は存在しない。適用の限界として、(1)診断・症状的限界:重篤な精神病状態・急性躁状態・重篤な解離・活動的な物質依存の安定化前には多くの心理療法の通常実施が困難もしくは有害となる。(2)関係的限界:反社会的パーソナリティ傾向の強い場合や強い攻撃性が治療関係を著しく損なう場合。(3)コンプライアンス的限界:定期的な面接維持が困難な状況(重篤な社会的困難・貧困・移送手段の欠如等)。(4)支援者側の限界:特定の技法に未習熟、または特定の要支援者特性に対して客観的支援が困難な場合。限界の認識は「諦め」ではなく、適切なリファー・補完的介入の選択・治療計画の修正という積極的な判断につながるものである。
【到達目標】
① 心理療法の4つの主要な適用限界(診断的・関係的・コンプライアンス的・支援者側)をそれぞれ具体例を挙げて説明できる。
② 適用限界を認識した際の適切な対応(リファー・補完的介入・治療計画の修正)を段階的に説明できる。
キーワード
① エビデンスに基づく実践 ② ランダム化比較試験(RCT) ③ ケース・フォーミュレーション ④ トラウマインフォームドケア ⑤ 適用限界
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
文字教材をよく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認してほしい。そして、文字教材を素材としてChatGPTによるテストワークを各自で行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはインターネットで検索してみるとよい。
3
人間性アプローチに基づく支援:クライエント中心療法
科目の中での位置付け
人間性アプローチの歴史的背景と基本的人間観を理解し、ロジャーズのクライエント中心療法が提示した「治療的変化の条件」の意義と実践的含意を把握する。フォーカシング・プロセス体験療法など人間性アプローチの多様な展開も概観する。
林潤一郎(2023) 人間性アプローチに基づく支援:クライエント中心療法. 下山晴彦・森田慎一郎(編著) 心理学的支援法. ミネルヴァ書房 pp.24-35.
コマ主題細目
① 人間性アプローチの歴史と主要な理論 ② 精神分析の中核的支援技術 ③ 連想と解釈
細目レベル
① 人間性アプローチの歴史と主要な理論
人間性アプローチ(Humanistic Approach)は、1950〜60年代にアメリカで興隆した「心理学の第三の力(Third Force)」として、決定論的な精神分析と環境決定論的な行動主義への批判から生まれた。マズローの欲求階層説・自己実現論、ロジャーズの来談者中心アプローチ、ゲシュタルト療法(パールズ)、実存主義的アプローチ(メイ・フランクル)がその主要な理論群を構成する。
人間性アプローチに共通する基本前提は、(1)人間は本来的な成長・自己実現への傾向を持つ、(2)人間の主観的体験・意味づけを重視する現象学的立場、(3)自由・責任・選択という実存的テーマへの注目、(4)診断ラベルよりも「全体としての人間」との出会いを重視するという4点に整理できる。
【到達目標】
① 人間性アプローチが「心理学の第三の力」と呼ばれる歴史的背景(精神分析・行動主義への批判)を説明し、精神分析・行動主義それぞれとの人間観の違いを対比できる。
② 人間性アプローチの4つの共通前提(成長傾向・現象学的立場・実存的テーマ・全体としての人間の尊重)を説明できる。
② クライエント中心療法
カール・ロジャーズが創始したクライエント中心療法(Client-Centered Therapy; CCT)は、セラピストの態度条件が治療的変化を生み出すという革命的な主張に基づく。ロジャーズが提唱した6条件のうち、特に重要な3条件は(1)共感的理解(empathic understanding):クライエントの内的準拠枠を「あたかも自分自身のように」理解すること、(2)無条件の肯定的関心(unconditional positive regard):クライエントの全存在を評価なしに受け入れること、(3)自己一致(congruence):セラピストが自身の体験と表現に乖離なく存在することである。
CCTは技法よりも関係の質を重視するため、「非指示的」とも表現されるが、これは「何もしない」ことではなく「クライエントの自己理解と成長プロセスを信頼し、それを促進する場を提供すること」を意味する。
【到達目標】
① ロジャーズの3条件(共感的理解・無条件の肯定的関心・自己一致)を相互に関連づけながら定義し、3条件が揃わない場合に治療関係に生じる影響を説明できる。
② 「非指示的」の意味を正確に理解し、「クライエントの自己成長プロセスを信頼し促進する場の提供」として説明できる。
③ 人間性アプローチの多様な展開とその特徴
人間性アプローチはロジャーズ以降も多様な形で発展してきた。Gendlinが提唱したフォーカシングは、身体感覚に焦点を当て、言語化以前の「フェルトセンス(felt sense)」にアクセスすることで深層の体験変容を促す技法であり、CCTのプロセス重視的拡張として位置づけられる。プロセス体験療法(グリーンバーグ)は、CCTの関係的基盤と感情処理の技法(ゲシュタルト的空椅子技法等)を統合した実証的裏付けのある発展形である。
実存主義的アプローチは、死・自由・孤独・無意味という「実存的与件」に直面することを通じて生の意味を見出すプロセスを支援する(ヤーロム等)。これらの多様な展開に共通するのは「クライエントを診断対象ではなく出会う存在として尊重する」という基本姿勢であり、現代の統合的実践においても重要な貢献をし続けている。
【到達目標】
① フォーカシングにおける「フェルトセンス」の概念を説明し、言語化以前の身体感覚へのアクセスが治療的である理由を述べることができる。
② 実存主義的アプローチが取り上げる4つの「実存的与件」(死・自由・孤独・無意味)を説明し、それらへの直面が心理的成長を促す仕組みを述べることができる。
キーワード
① クライエント中心療法 ② ロジャーズの3条件 ③ フォーカシング ④ 実存主義的アプローチ ⑤ 非指示的
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
文字教材をよく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認してほしい。そして、文字教材を素材としてChatGPTによるテストワークを各自で行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはインターネットで検索してみるとよい。
4
精神力動理論に基づく支援:精神分析的心理療法
科目の中での位置付け
フロイトの精神分析理論を出発点として、現代の精神分析的心理療法の主要概念(治療構造・自由連想・転移・逆転移・解釈)を理解する。また、対象関係論・自己心理学・関係論的精神分析など現代精神分析の展開を概観し、精神力動的視点の臨床的意義を把握する。
田中志帆(2023) 精神力動理論に基づく支援:精神分析的療法. 下山晴彦・森田慎一郎(編著) 心理学的支援法. ミネルヴァ書房 pp.36-49.
コマ主題細目
① 治療構造の重要性 ② 精神分析的心理療法の技法 ③ 転移と逆転移をめぐって ④ 精神分析的心理療法を行うにあたって
細目レベル
① 治療構造の重要性
精神分析の創始者ジークムント・フロイト(1856-1939)は、治療の枠組みとして面接時間・頻度・料金・カウチの使用・自由連想の原則といった一定の設定を定め、この枠組みが分析作業の基盤となることを示した。精神分析的心理療法において「治療構造」は、単なる実務的取り決めではなく、治療プロセスの根幹をなす治療的要素である。
治療構造の主要な要素として、面接の時間(開始・終了の厳守)・頻度・場所・料金・キャンセルポリシー・セラピストの自己開示の範囲・身体的接触の禁止などが含まれる。治療構造が一貫して維持されることで、クライエントは安全で予測可能な「心理的容器(container)」を体験し、そこで抑圧されていた素材を安全に探索できるようになる。逆に、構造への侵犯はクライエントの無意識的なテスト(境界テスト)への不適切な反応となり、治療関係を損なう。構造をめぐる要求・抵抗・試行そのものが治療的素材として分析される。
【到達目標】
① 治療構造の主要要素(時間・頻度・料金・場所・自己開示の範囲等)を列挙し、構造の一貫した維持が「心理的容器(container)」として機能する理由を説明できる。
② 治療構造への侵犯(境界テスト)が治療的素材として分析対象となることの意味を、精神分析的視点から説明できる。
② 精神分析的心理療法の技法
フロイトが確立した精神分析の中核技法が、今日の精神分析的心理療法の基盤となっている。主に次の4点が挙げられる。(1)自由連想法:クライエントに検閲せず頭に浮かぶことをすべて話すよう促す技法で、フロイトが催眠法に代えて開発した無意識的素材への窓口である。(2)夢分析:フロイトが「夢は無意識への王道」と呼んだ技法であり、夢の顕在内容(manifest content)の背後にある潜在内容(latent content)を探求する。(3)解釈:抵抗・転移・防衛機制・反復強迫などの無意識的プロセスをクライエントが理解できる言語で提示する介入であり、明確化・直面化・解釈・徹底操作(working through)の段階がある。(4)中立性と節制の原則:セラピストが価値観・感情・欲求を治療関係に持ち込まないよう自己を節制し、クライエントの投影の「白いスクリーン」として機能する姿勢。これらはフロイトに始まり、その後の多くの分析家によって継承・発展された技法群である。
【到達目標】
① 自由連想法が催眠法に代わって開発された経緯と、その手続きおよび無意識的素材へのアクセス手段としての意義を説明できる。
② 解釈の4段階(明確化→直面化→解釈→徹底操作)を順に説明し、各段階の目的と「徹底操作」が必要な理由を述べることができる。
③ 転移と逆転移をめぐって
フロイトはブロイアーとの協働を通じて転移現象に気づき、当初は「治療の妨害」と見なしていたが、やがてそれを「分析の最大の武器」として積極的に活用する方向へと立場を転換した。転移(transference)とは、クライエントが過去の重要な対象関係(主に幼少期の親との関係)のパターンを、現在のセラピストとの関係に無意識的に繰り返す現象である。批判を恐れて意見を言えない・過度な理想化・急激な失望・過剰な依存などが典型的な転移反応として現れる。転移は「障害」ではなく、クライエントの内的世界を生きた形で示す治療的素材であり、その分析は精神分析的療法の核心をなす。
逆転移(countertransference)については、フロイトはセラピスト自身の未解決の課題からくる「分析の妨げ」として否定的に捉えたが、現代的解釈では、クライエントの素材が引き出した全体的な情緒的反応(広義の逆転移)をクライエントの内的状態を理解するための貴重な情報源(「道具としての逆転移」)として積極的に活用する立場が主流となっている。
【到達目標】
① 転移の定義と典型的な現れ方(理想化・失望・依存等)を説明し、転移が「治療の妨害」ではなく「分析の最大の武器」である理由を述べることができる。
② フロイトの古典的逆転移観(排除すべきもの)と現代的逆転移観(「道具としての逆転移」)の違いを対比して説明できる。
④ 精神分析的心理療法を行うにあたって
フロイトが創始した古典的精神分析(週4〜5回・数年以上の長期分析)は、現代では多様な形式に発展している。対象関係論(クライン、ウィニコット)・自己心理学(コフート)・関係論的精神分析など、フロイト以降の理論群はいずれも彼の基本概念(無意識・転移・防衛機制等)を継承しながらも独自の発展を遂げ、精神分析的心理療法の幅を大きく広げた。実践上の留意事項として、次の4点が挙げられる。
(1)治療期間の説明:現代では週1回の精神分析的精神療法や短期精神力動療法も広く実践され、目的に応じた形式が選択される。(2)退行(regression)のリスク管理:依存的関係の深まりによる日常生活機能の低下や自傷リスクの高まりへの注意。(3)個人療法・スーパービジョンの継続:逆転移の適切な管理のために、フロイト自身も自己分析を生涯続けたように、継続的な自己探求が倫理的責務となる。(4)対象者選択の慎重さ:精神病圏・重篤な解離・活動的な物質依存等は標準的な適用外となることが多い。
【到達目標】
① 古典的精神分析(週4〜5回)と現代的精神分析的精神療法(週1回・短期精神力動療法)の違いを、頻度・目標・適応の観点から比較できる。
② 対象関係論・自己心理学・関係論的精神分析の各理論が、フロイトの古典的理論をどのように継承・発展させたかを概説できる。
キーワード
① 治療構造 ② 自由連想法 ③ 転移と逆転移 ④ 解釈(明確化・直面化・徹底操作) ⑤ 対象関係論
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
文字教材をよく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認してほしい。そして、文字教材を素材としてChatGPTによるテストワークを各自で行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはインターネットで検索してみるとよい。
5
認知行動理論に基づく支援①:行動療法
科目の中での位置付け
行動療法の歴史的発展と理論的基盤(古典的条件づけ・オペラント条件づけ・社会的学習理論)を理解し、主要技法(系統的脱感作・曝露法・応用行動分析・社会技能訓練)の原理と適用について学ぶ。行動アセスメントとケース・フォーミュレーションの実践的手順も把握する。
首藤祐介(2023) 認知行動理論に基づく支援①:行動療法. 下山晴彦・森田慎一郎(編著) 心理学的支援法. ミネルヴァ書房 pp.50-63.
コマ主題細目
① 行動療法の概要 ② 認知再構成法 ③ 認知を修正するとはどういうことか?
細目レベル
① 行動療法の概要
行動療法(Behavior Therapy)の歴史は、1900年代の実験心理学研究とその哲学が原点となる。行動心理学者のワトソンは行動主義の立場に立ち、顕在的な行動とその環境に注目した。そして、刺激と反応の関係を明らかにし、反応のコントロールを行う必要性を主張した。
行動療法は、1950〜60年代に南アフリカ(ウォルピ)・イギリス(アイゼンク)・アメリカ(スキナー、バンデューラ)でほぼ同時期に発展した、学習理論に基づく心理療法の第一世代である。「問題行動は学習によって獲得されたものであり、したがって学習の原理によって変容できる」という基本的仮定に立ち、内的な精神状態の仮定を最小化し、観察可能な行動の変化を直接の治療目標とする。行動療法の発展を支えた学習理論の2大柱は古典的条件づけ(レスポンデント条件づけ:パブロフ)とオペラント条件づけ(スキナー)であり、前者は恐怖・不安反応の形成・消去、後者は行動の増加・減少の制御原理を提供した。行動療法はのちに認知の役割を組み込んだ認知行動療法(CBT)へと発展するが、純粋な行動的技法は今日も多くの臨床場面で重要な役割を果たしている。
【到達目標】
① 行動療法が「第一世代」と呼ばれる歴史的背景(精神分析への批判、行動主義心理学との連続性)を説明できる。
② 行動療法の基本的仮定(「問題行動は学習によって獲得されたものであり、学習の原理によって変容できる」)の意味と、その治療的含意を述べることができる。
② 行動療法の基礎理論
行動療法の理論的基盤となる学習理論を概説する。古典的条件づけ(パブロフ)は、中性刺激(CS)が無条件刺激(US)と繰り返し対提示されることで、CSのみでも条件反応(CR)が引き出されるようになる過程を説明する。恐怖症の形成(例:犬に咬まれた経験が「犬」全般への恐怖となる)はこの原理で理解される。
オペラント条件づけ(スキナー)は、行動の結果(強化・罰)によって当該行動の頻度が変化する過程を説明する。行動の後に快刺激が生じる場合は正の強化(行動増加)、不快刺激が除去される場合は負の強化(行動増加)、行動の後に嫌悪刺激が生じる場合は罰(行動減少)となる。社会的学習理論(バンデューラ)は、直接の経験だけでなく他者の行動の観察(モデリング)を通じた代理強化によっても行動が学習されることを示し、自己効力感(self-efficacy)の概念を提唱した。
【到達目標】
① 古典的条件づけとオペラント条件づけの原理を比較しながら説明し、恐怖症の形成・維持のメカニズムを両理論の枠組みで説明できる。
② 正の強化・負の強化・正の罰・負の罰の4種類を区別して定義し、それぞれに対応する具体的な行動変容場面の例を挙げることができる。
③ 行動療法の進め方とケース・フォーミュレーション
行動療法の実施手順は、次の6段階で構成される。(1)行動アセスメント:問題行動の機能的分析(先行刺激—行動—結果のABC分析)、問題の維持要因の特定、(2)ケース・フォーミュレーション:理論的枠組みに基づく問題の定式化(問題行動・誘発要因・維持要因・変化目標の体系的整理)、(3)治療目標の設定:測定可能・具体的・達成可能な行動目標の合意、(4)介入技法の選択と実施、(5)効果評価(自己記録・行動観察による定量的モニタリング)、(6)維持・般化のための計画。
ケース・フォーミュレーション(case formulation)は、要支援者の問題を学習理論・認知理論等の枠組みで理解し、介入戦略の根拠を提供する「仮説の地図」であり、行動療法・認知行動療法実践の根幹をなす。フォーミュレーションは治療の進展とともに継続的に更新される生きた文書である。
【到達目標】
① ABC分析(先行刺激・行動・結果)を用いて、具体的な問題行動の機能的分析を実施できる。
② ケース・フォーミュレーションが「診断名の付与」とは異なる「理論的枠組みに基づく問題の定式化」であることの意味を説明し、治療計画における役割を述べることができる。
④ 行動療法の技法
行動療法の主要技法として次の5つを概観する。(1)系統的脱感作法(ウォルピ):不安刺激の階層表を作成し、リラクセーション(拮抗反応)と組み合わせながら段階的に不安を消去する技法。恐怖症・特定の不安障害に有効である。(2)曝露法(exposure therapy):不安・恐怖を引き起こす刺激に回避せずに直面させ、実験的消去(inhibitory learning)を促進する技法。フラッディング(一度に高強度の曝露)と段階的曝露がある。(3)行動活性化(BA):うつ病に対して強化的活動への参加を計画的に増加させることで抑うつ感情を改善する技法。(4)応用行動分析(ABA):オペラント原理に基づき、強化・シェイピング・プロンプト・フェイディングを用いて行動を体系的に形成・修正する。発達障害支援で広く活用される。(5)社会技能訓練(SST):モデリング・ロールプレイ・フィードバックを通じた社会的スキルの習得である。
【到達目標】
① 系統的脱感作法と曝露法(フラッディング・段階的曝露)の手順・理論的根拠・主な適応をそれぞれ説明し、両者の違いを述べることができる。
② 応用行動分析(ABA)の主要技法(強化・シェイピング・プロンプト・フェイディング)を定義し、発達障害支援への応用場面を具体的に説明できる。
キーワード
① 古典的条件づけ、オペラント条件づけ ② 正の強化・負の強化 ③ 系統的脱感作法 ④ 応用行動分析(ABA) ⑤ 曝露法
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
文字教材をよく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認してほしい。そして、文字教材を素材としてChatGPTによるテストワークを各自で行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはインターネットで検索してみるとよい。
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認知行動理論に基づく支援②:認知行動療法
科目の中での位置付け
認知行動療法(CBT)の基本モデル(認知・感情・行動の相互作用)と主要技法(自動思考記録・認知再構成・行動実験)を理解する。さらに、第3世代CBT(マインドフルネス認知療法・ACT・DBT)の概念的特徴と第1・2世代CBTとの継続性・相違点を把握する。
松永美希(2023) 認知行動理論に基づく支援②:認知行動療法. 下山晴彦・森田慎一郎(編著) 心理学的支援法. ミネルヴァ書房 pp.64-79.
コマ主題細目
① これまでの総括 ② 復習テスト ③ 心理療法とはどのようなものか
細目レベル
① 認知行動療法とは
認知行動療法(CBT: Cognitive Behavior Therapy)は、1970〜80年代にアーロン・ベック(認知療法)とアルバート・エリス(論理情動行動療法)を中心に発展した、認知(思考・信念・スキーマ)と行動の相互作用に焦点を当てた心理療法の総称である。CBTの根本的前提は「状況そのものではなく、その状況に対する個人の認知(解釈・評価)が感情・行動反応を規定する」というものであり、治療目標は問題を維持している機能不全的な認知パターンと行動パターンを特定し変容することである。
CBTは高い実証的支持を有し、うつ病・不安障害(全般性・社交・パニック・強迫・PTSD等)・摂食障害・慢性疼痛・統合失調症の陽性症状管理など多様な対象への有効性が確立されている。構造化・時間制限(通常12〜20セッション)・協働的経験主義(セラピストとクライエントが共同探偵として仮説を検証する姿勢)がCBTの特徴である。
【到達目標】
① CBTの根本的前提(「状況ではなく認知が感情・行動反応を規定する」)を説明し、この前提が治療目標の設定にどのような含意を持つかを述べることができる。
② CBTが高い実証的支持を持つ主な対象(うつ病・各種不安障害・摂食障害等)を挙げ、「協働的経験主義」の意味を説明できる。
② 認知行動療法の実際
CBTの実際のプロセスは、次の5つの構造からなる。
(1)アセスメントとケース・フォーミュレーション:維持サイクル(状況→認知→感情→身体反応→行動→状況)の特定
(2)心理教育:CBTのモデル・原理をクライエントと共有すること(collaborative conceptualization)
(3)認知的技法の実施:自動思考の記録と評価(思考記録表)、認知的歪み(all-or-nothing thinking・破局化・読心術・感情的推論等)の同定と修正、コアビリーフ(中核信念)・スキーマへのアクセスと修正
(4)行動実験(behavioral experiments):機能不全的認知の妥当性を実際の行動を通じて検証する
(5)再発予防(relapse prevention):高リスク場面の同定・コーピング計画の策定・フォローアップという構造から成る。
ホームワーク(セッション間課題)はCBTの本質的要素であり、日常生活の中での学習の般化を促進する。
【到達目標】
① CBTの認知モデル(状況→自動思考→感情・行動・身体反応)を図示し、うつ病または不安障害の具体的事例への適用を説明できる。
② 主要な認知的歪み(all-or-nothing thinking・破局化・読心術・感情的推論等)を5つ以上定義し、それぞれに対応する認知再構成の手順を概説できる。
③ 第3世代の認知行動療法
1990年代以降、CBTの「第3世代(third wave)」として、思考内容の変容よりも思考・感情との「関係の変え方」に焦点を当てる新しいアプローチが登場した。主に次の3つのアプローチがある。
(1)マインドフルネス認知療法(MBCT):マインドフルネス瞑想とCBTを統合し、うつ病の再発予防に特化した8週間プログラム(シーガル・ウィリアムズ・ティーズデール)。
(2)アクセプタンス&コミットメント療法(ACT):思考・感情の内容を変えようとするのではなく、それらとのアクセプタンス(受容)と価値に基づく行動のコミットメントを促すアプローチ(ヘイズ)。
(3)弁証法的行動療法(DBT):境界性パーソナリティ障害を主対象として、マインドフルネス・苦悩耐性・感情調節・対人効果スキルの習得を個人療法とグループ技能訓練を組み合わせて提供する(リネハン)。
これらは感情調節・価値観・コミットメントという実存的次元を統合した点でCBTの地平を大きく拡張した。
【到達目標】
① 第3世代CBTが「思考内容の変容」から「思考・感情との関係の変え方」へと焦点を移した理由を説明し、その転換がもたらす臨床的意義を述べることができる。
② MBCT・ACT・DBTの3アプローチについて、主な標的・中核概念・主な適応対象の3軸で比較整理できる。
キーワード
① アセスメントとケース・フォーミュレーション ② 心理教育 ③ 認知的歪み、コアビリーフ(中核信念) ④ マインドフルネス認知療法(MBCT)、アクセプタンス&コミットメント療法(ACT) ⑤ 弁証法的行動療法(DBT)
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
文字教材をよく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認してほしい。そして、文字教材を素材としてChatGPTによるテストワークを各自で行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはインターネットで検索してみるとよい。
7
システムズ・アプローチに基づく支援:家族療法
科目の中での位置付け
個人内モデルからシステムモデルへの視点転換を理解し、家族療法の主要な理論学派(構造的・戦略的・ミラノ派・多世代的アプローチ)の鍵概念と技法を習得する。また、家族療法の適応と限界(DV・虐待事例への留意等)を把握する。
野末武義(2023) システムズ・アプローチに基づく支援:家族療法. 下山晴彦・森田慎一郎(編著) 心理学的支援法. ミネルヴァ書房 pp.80-91.
コマ主題細目
① システム論と家族療法 ② 代表的な家族療法理論と鍵概念 ③ 家族療法におけるセラピストの基本的態度と技法 ④ 家族療法の活用
細目レベル
① システム論と家族療法
システムズ・アプローチは、個人の問題を個人内の心理過程としてではなく、個人が組み込まれているシステム(家族・組織・コミュニティ)の相互作用のパターンとして理解する視点に基づく。バータランフィーの一般システム論に由来するこの視点では、「全体は部分の総和以上である」という前提に立ち、個人の問題行動は家族システムの機能と維持に関連した文脈的意味を持つと捉える。
家族療法は1950〜60年代に、統合失調症患者の家族コミュニケーションの研究(ベイトソン・リードら)から発展し、その後多様な理論学派に分化した。
家族療法が提示した革命的転換は、「患者は家族の問題を背負った『代表者』に過ぎない」という見方であり、治療の対象を個人ではなく関係システムとしたことである。この転換は心理支援全般に大きな影響を与えた。
【到達目標】
① 「全体は部分の総和以上である」というシステム論の基本命題を説明し、個人療法と家族療法の問題理解の視点の違いを具体例で対比できる。
② 家族療法が統合失調症患者の家族研究から発展した歴史的経緯と、「二重拘束(double bind)」の概念を説明できる。
② 代表的な家族療法理論と鍵概念
家族療法の主要な理論学派と鍵概念を概観する。
(1)構造的家族療法(ミニューチン):家族構造(境界・階層・同盟)の機能的組織化に焦点を当て、境界の明確化・再構造化を促す介入を行う。鍵概念として「エンメッシュメント(密着)」と「離断(disengagement)」がある。
(2)戦略的家族療法(ヘイリー・マダネス):問題維持サイクルを断ち切るための逆説的介入・処方的課題等の戦略的技法を用いる。
(3)ミラノ派システミック家族療法:円環的質問・仮説立案・中立性の維持を通じてシステムの認識論的転換を促す。
(4)多世代的アプローチ(ボーエン):自己分化・三角関係・世代間伝達パターンという鍵概念で家族システムの理解を図る。
これらの理論は互いに影響しながら発展し、現代の家族療法実践に統合的に活用されている。
【到達目標】
① 構造的家族療法における「境界」「エンメッシュメント(密着)」「離断(disengagement)」の概念を定義し、機能的・逆機能的家族構造の違いを説明できる。
② ボーエンの多世代的アプローチにおける「自己分化」「三角関係」「世代間伝達」の概念を説明し、ジェノグラムの作成とその臨床的意義を述べることができる。
③ 家族療法におけるセラピストの基本的態度と技法
家族療法のセラピストは、個人療法のセラピストとは異なる独特の姿勢と技法を求められる。基本的態度として、(1)中立性(neutrality):家族の特定のメンバーや見方に肩入れしないシステミックな姿勢、(2)好奇心(curiosity):「こうに違いない」という仮定を保留し、システムについて探求し続ける開放的態度(ペン)、(3)共感的参加(joining):家族システムの一員として適切に参加しながら、外側からの視点も維持することが求められる。
主要な技法として、(1)リフレーミング(問題行動に異なる文脈・意味を付与する)、(2)円環的質問(「Aさんが〜する時、Bさんはどう反応しますか」という相互作用を問う質問技法)、(3)外在化(問題をクライエントから分離して「問題そのもの」として扱う)、(4)逆説的介入(症状の処方など)などが挙げられる。
【到達目標】
① 円環的質問(「Aさんが〜する時、Bさんはどう反応しますか」)の目的と実施方法を説明し、直線的質問との違いを述べることができる。
② リフレーミングの定義と操作手順を説明し、家族療法場面での具体的な適用例を挙げることができる。
④ 家族療法の活用
家族療法は現代の臨床実践において、家族全員が参加する「純粋な家族療法」の形式だけでなく、家族システムの視点と技法を個人療法・カップルセラピー・グループ療法・組織コンサルテーションに組み込む形で幅広く活用されている。特に有効性が示されている領域として、思春期の問題(摂食障害・不登校・非行・薬物乱用)への家族ベースの介入・夫婦関係問題へのカップル療法(EFT:感情焦点化療法、ゴットマン法等)・統合失調症患者の家族への心理教育(再発率低減効果)・児童虐待・DV事例への多世代的理解の適用などが挙げられる。
一方、DV・性的虐待が進行中のケースへの家族合同面接は被害者に更なるリスクをもたらす可能性があり、適用の可否を慎重に判断することが不可欠である。ここではシステムズ視点を日常の実践に組み込む応用的視点を培う。
【到達目標】
① 家族療法・カップル療法が特に有効性を示している臨床領域(思春期の摂食障害・統合失調症の家族心理教育等)を挙げ、その効果の根拠を説明できる。
② DV・性的虐待が進行中のケースに家族合同面接を行うことのリスクを説明し、適切な対応方針を述べることができる。
キーワード
① 二重拘束(double bind) ② ジェノグラム ③ 円環的質問 ④ リフレーミング ⑤ 外在化
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、LMS上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
文字教材をよく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認してほしい。そして、文字教材を素材としてChatGPTによるテストワークを各自で行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはインターネットで検索してみるとよい。
8
これまでの復習(1)
科目の中での位置付け
第1回から第7回までの学習内容を体系的に統合・復習する。各アプローチの理論的前提・技法・適応・限界を比較整理し、「なぜこの技法をこの人に提供するのか」という支援選択の根拠を言語化する能力を高める。事例検討・グループワークを通じて、理論的知識を実践的思考へと転換する。
第1回〜第7回の文字教材
コマ主題細目
① 要支援者を理解するためのモデル ② 要支援者の価値観や文化的背景 ③ 要支援者の状態に応じた支援
細目レベル
① 心理学的支援の要点
第1・2回の内容を中心に、心理学的支援の根幹となる概念を整理・統合する。心理学的支援の全体像(予防・介入・リハビリテーション・コンサルテーションの各レベル)・エビデンスに基づく実践(EBP)の考え方・要支援者の特性と支援方法のマッチング・支援の適用限界の見極めについて復習する。特に「なぜこの技法をこの人に提供するのか」という選択根拠を言語化できることが実践家として不可欠であることを再確認する。
本回では小グループでの事例検討形式を用い、架空事例についてアセスメント・技法選択・適用限界の判断を議論する演習を実施する。これにより、知識として学んだ選択プロセスを実践的思考として体験的に統合することを目指す。
【到達目標】
① 心理学的支援の全体像(予防・介入・リハビリテーション・コンサルテーションの各レベル)を図示しながら説明できる。
② EBPの3要素を統合して、架空の事例に対する技法選択の根拠を言語化できる。
② 心理学的支援の技法の選択
各回で学んだ多様な支援方法の中から、特定の要支援者に対してどの方法を選択するかという判断プロセスを体系的に復習する。
技法選択の主要な判断軸として、(1)問題・症状の性質(診断・主訴・重症度)、(2)要支援者の特性(認知能力・動機・文化的背景・過去の治療経験)、(3)エビデンスの強さ(RCT等による実証的支持の水準)、(4)実施可能な設定と資源(面接頻度・専門家の技術水準・時間的制約)、(5)要支援者の選好と価値観という5軸から整理する。
また、これらの軸が相互に矛盾する場合(例:「エビデンスが最も強い方法」と「クライエントが希望する方法」が異なる場合)の対処方針についてもグループ討議を行う。
【到達目標】
① 技法選択の5軸を用いて、与えられた事例に対する支援方針を系統的に検討できる。
② エビデンスと要支援者の選好が相互に矛盾する場面での対処方針を倫理的観点から説明できる。
③ クライエント中心療法、精神分析的心理療法
第3・4回の内容を中心に、人間性アプローチと精神力動アプローチの主要概念を整理する。クライエント中心療法では、治療的変化の3条件(共感的理解・無条件の肯定的関心・自己一致)の意味・相互関係・実践的含意を再確認し、「技法の習熟」と「態度の体化」の違いについて議論する。
精神分析的心理療法では、治療構造・自由連想・解釈・転移・逆転移という核心概念の整理を行い、現代精神分析(対象関係論・自己心理学・関係論的精神分析等)が古典的技法をどのように更新したかを概説する。
復習演習として、転移・逆転移が生じた架空事例の分析を行い、これらの概念の臨床的理解を深める。
【到達目標】
① 第3・4回で学んだ主要概念(3条件・転移・逆転移・解釈の段階)を用いて、架空事例を分析し支援方針を述べることができる。
② 人間性アプローチと精神力動アプローチの人間観の違いを対比し、それぞれのアプローチが最も有効な対象・状況を述べることができる。
④ 行動療法、認知行動療法
第5・6回の内容を中心に、行動療法とCBTの理論・技法を体系的に復習する。学習理論(古典的・オペラント・社会的学習)の要点を再確認した上で、行動療法の主要技法(系統的脱感作・曝露法・行動活性化・SST等)の適応と手順を整理する。
CBTについては、認知モデル(状況→自動思考→感情・行動)の基本構造と、自動思考記録・認知再構成・行動実験というコア技法を振り返る。第3世代CBT(マインドフルネス・ACT・DBT)との概念的連続性と相違点を整理する。
復習演習として、実際の問題場面(試験前の極度の不安等)についてCBTのケース・フォーミュレーションと介入計画を立案するグループワークを実施する。
【到達目標】
① 第5・6回で学んだ技法(曝露法・行動活性化・認知再構成・行動実験等)を用いて、架空事例のケース・フォーミュレーションと介入計画を立案できる。
② 第1世代(行動療法)・第2世代(CBT)・第3世代(MBCT・ACT・DBT)の概念的連続性と相違点を整理して説明できる。
⑤ システムズアプローチ
第7回の内容を中心に、システムズアプローチ・家族療法の主要概念を復習する。個人内モデルとシステムモデルの視点の違いを改めて対比させ、「同じ問題が家族という文脈に置かれるとどのように理解が変わるか」を体験的に学ぶ。
構造的・戦略的・ミラノ派・多世代的アプローチの鍵概念と相違点を整理し、円環的質問・リフレーミング・外在化という主要技法を再確認する。
復習演習として、架空の家族事例に対してシステミックな視点からのアセスメント(家族構造図=ジェノグラムの作成を含む)とセラピストの介入戦略を立案するグループワークを実施する。
【到達目標】
① 架空の家族事例に対して、個人内モデルとシステムモデルの両視点から異なるアセスメントを行い、それぞれの視点がもたらす介入方針の違いを述べることができる。
② ジェノグラムを作成し、そこから読み取れる家族システムの構造・パターン・世代間伝達の仮説を説明できる。
キーワード
① エビデンスに基づく実践 ② 療的変化の3条件(共感的理解・無条件の肯定的関心・自己一致) ③ 治療構造 ④ 自動思考記録、認知再構成 ⑤ システムズアプローチ
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。。
復習・予習課題
【本講義の復習】
文字教材をよく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認してほしい。そして、文字教材を素材としてChatGPTによるテストワークを各自で行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはインターネットで検索してみるとよい。
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社会構成主義に基づく支援
科目の中での位置付け
社会構成主義の認識論的立場を理解し、それを基盤とする解決志向ブリーフセラピー(SFBT)とナラティヴ・セラピーの主要概念・技法・適応を習得する。問題中心アプローチとの視点の違いを意識しながら、強み・資源・可能性を前景化する支援の意義と限界を批判的に検討する。
藤岡勲(2023) 社会構成主義に基づく支援. 下山晴彦・森田慎一郎(編著) 心理学的支援法. ミネルヴァ書房 pp.92-103.
コマ主題細目
① 心理療法の効果性 ② 心理支援における危機 ③ 困難な場面への対応
細目レベル
① 社会構成主義
社会構成主義(Social Constructionism)は、「現実(reality)は社会的・言語的相互作用を通じて構成される」という認識論的立場であり、ガーゲンらによって発展された哲学的・社会科学的枠組みである。従来の心理療法が「客観的に存在する問題を発見・修正する」という前提に立つのに対し、社会構成主義は「問題とは語りの中で構成されるものであり、語りを変えることで問題のあり方も変わる」と主張する。この転換は、心理師を「問題を修正する専門家」から「クライエントと共に新しい意味・物語を共同構成するパートナー」へと再定義する。
言語・物語・対話・関係性という要素が支援の中心に置かれ、クライエントの専門性(自分自身の生活についての専門家)が重視される。本立場は解決志向ブリーフセラピーやナラティヴ・セラピーの理論的基盤となっており、ポストモダン・アプローチとも呼ばれる。
【到達目標】
① 社会構成主義の認識論的立場(現実の社会的構成)を説明し、客観主義的・問題中心的アプローチとの根本的な視点の違いを述べることができる。
② 社会構成主義的立場が「支援者の役割」の定義に与える変化(「問題を修正する専門家」から「意味を共同構成するパートナー」へ)を説明できる。
② 解決志向ブリーフセラピー
解決志向ブリーフセラピー(SFBT: Solution-Focused Brief Therapy)は、スティーブ・ド・シェイザーとインスー・キム・バーグがMRI(Mental Research Institute)に在籍していたセラピストたちによって提唱されたブリーフセラピーの流れを受けて発展させた短期療法であり、問題の原因分析より「解決(solution)」と「例外(exception)」に焦点を当てることを特徴とする。
SFBTは「問題がなぜ起きているかを理解しなくても解決できる」「すでに機能していることを拡大することが最も効率的な変化への道」「小さな変化が連鎖的な変化を生む」という哲学的前提に立つ。
主要技法として、ミラクルクエスチョン(「もし奇跡が起きて問題が解決したら、明日の朝どのような違いがありますか」)、例外の探索(「問題がそれほど深刻でなかった時はいつでしたか」)、スケーリングクエスチョン(「0〜10で現在はどのくらいですか」)、コンプリメント(強み・資源・努力を肯定的に認めること)が挙げられる。
【到達目標】
① SFBTの3つの哲学的前提(問題理解なしに解決できる・例外の拡大が効率的・小さな変化が連鎖的変化を生む)を説明できる。
② ミラクルクエスチョン・例外探索・スケーリングクエスチョンの目的と実施方法を説明し、具体的な面接場面への適用例を挙げることができる。
③ ナラティヴ・セラピー
ナラティヴ・セラピー(Narrative Therapy)は、マイケル・ホワイトとデイヴィッド・エプストンがオーストラリア・ニュージーランドで発展させた、物語(narrative)と言語を中核に置くアプローチである。人は自分の人生経験を一貫した「ドミナント・ストーリー(支配的な物語)」として構成するが、このドミナント・ストーリーは問題を維持・強化することがある(例:「自分はダメな人間だ」という問題で飽和した物語)。
ナラティヴ・セラピーは、問題から飽和した物語の「外在化(externalization)」(「問題はあなたではなく、あなたの周りにある」)を通じてクライエントを問題から分離し、ドミナント・ストーリーとは矛盾する「ユニークな結果(unique outcome)」を見つけ出し、そこから「オルタナティブ・ストーリー(代替的な物語)」を共同構成するプロセスを促進する。ポスト構造主義的権力論(フーコー)の影響を受け、社会的言説・権力が個人の物語に与える影響にも敏感である。
【到達目標】
① 「ドミナント・ストーリー」「外在化」「ユニークな結果」「オルタナティブ・ストーリー」の概念を定義し、ナラティヴ・セラピーのプロセスとして相互の連関を説明できる。
② フーコーの権力論がナラティヴ・セラピーに与えた影響を説明し、「社会的言説が個人の問題飽和した物語に与える影響」の具体例を挙げることができる。
④ 社会構成主義に基づく支援の位置づけ
社会構成主義的アプローチは、従来の客観主義的・問題中心的アプローチへの批判として登場し、クライエントの強み・資源・可能性を前景化し、専門家とクライエントの権力的非対称を問い直すという点で心理支援全般に大きな貢献をした。
一方で、次のような批判も存在する。(1)実証的検証の困難さ:解釈学的・言語的アプローチは従来のRCT的方法論による検証になじみにくく、エビデンスの蓄積が他のアプローチと比較して限定的である。(2)重篤な精神疾患・危機状態への適用の疑問:意味の再構成が最優先でない状況(急性精神病状態・自殺危機・重篤なトラウマ反応の急性期等)には適用が難しい場合がある。(3)技法習得の困難さ:「非専門家的態度」の体得は逆説的に高度な訓練を要する。
これらの限界を認識しながらも、社会構成主義的視点は現代の統合的実践において重要な補完的枠組みとして位置づけられる。
【到達目標】
① 社会構成主義的アプローチの3つの主要な限界(実証的検証の困難・重篤な精神疾患への適用の疑問・技法習得の難しさ)をそれぞれ説明できる。
② 社会構成主義的アプローチが「クライエントの強み・資源・可能性の前景化」と「権力的非対称の問い直し」において他のアプローチにもたらす貢献を述べることができる。
キーワード
① 社会構成主義 ② 解決志向ブリーフセラピー ③ ミラクルクエスチョン、スケーリングクエスチョン、コンプリメント ④ ナラティヴ・セラピー
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、LMS上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
文字教材をよく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認してほしい。そして、文字教材を素材としてChatGPTによるテストワークを各自で行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはインターネットで検索してみるとよい。
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集団療法に基づく支援
科目の中での位置付け
集団療法の固有の治療力(ヤーロムの11の治療的要因)を理解し、グループ・プロセスとセラピストの役割を把握する。CBTグループ・支持グループ・精神力動的グループ・心理教育グループ等の多様な形式の特徴と適応を学ぶ。
平野真理(2023) 集団療法に基づく支援. 下山晴彦・森田慎一郎(編著) 心理学的支援法. ミネルヴァ書房 pp.104-117.
Yalom, I. D., & Leszcz, M. (2005). The theory and practice of group psychotherapy (5th ed.). Basic Books. (中久喜雅文・川室優訳(2012).グループサイコセラピー:ヤーロムの集団精神療法の手引き(新版).金剛出版.pp. 1–105)
コマ主題細目
① 集団療法の概観 ② 集団療法のプロセスとセラピストの役割 ③ さまざまな集団療法
細目レベル
① 集団療法の概観
集団療法(Group Therapy)は、ひとりのまたは複数のセラピストのもとで複数のクライエント(通常5〜10名)が集まり、治療的目的のもとで相互作用を行う心理療法の形式である。その歴史は20世紀初頭のプラットの結核患者向けクラス(1905年)に遡り、第二次世界大戦中の大量の精神的外傷を負った兵士への対応から急速に発展した。
集団療法の有効性の根拠として、ヤーロムが体系化した「治療的要因(therapeutic factors)」として、希望の注入・普遍性(自分だけではないという気づき)・情報伝達・愛他性・家族関係の修正的体験・社会化技術の発達・模倣行動・対人学習・集団凝集性・カタルシス・実存的要因の11項目が挙げられる。これらの要因は個人療法では体験困難なものであり、集団療法固有の治療力を構成する。
【到達目標】
① ヤーロムの11の治療的要因を列挙し、そのうち3〜4つを選んで「個人療法では得られにくい集団療法固有の治療力である理由」とともに説明できる。
② 集団療法の歴史的発展(プラット・第二次世界大戦後の急速な発展)を概説し、集団療法が個人療法と対等な地位を得てきた経緯を述べることができる。
② 集団療法のプロセスとセラピストの役割
集団療法は独特のグループ・プロセスをたどる。タックマンの集団発達モデル(形成期・嵐の期・規範化期・実行期・解散期)やヤーロムの集団療法段階論は、グループが一定のパターンで発展することを示している。初期段階では依存と方向性の模索、中期段階では葛藤・凝集性の形成、後期段階では深い対人作業が特徴とされる。
集団療法セラピストの固有の役割として、次の5点が挙げられる。
(1)グループの安全な場の維持(境界の保持・メンバーの心理的安全の確保)
(2)「今ここ(here-and-now)」の活性化:グループ内で今起きている相互作用に注意を向けさせる
(3)プロセスの解明(process illumination):グループで起きているパターンの意味を明確化する
(4)透明性(自己開示のモデリング)
(5)リーダーとしてのモデリング
グループ内での問題事態(独占発言・スケープゴーティング・沈黙・サブグループ形成等)への対処も重要なスキルである。
【到達目標】
① タックマンのグループ発達5段階を説明し、各段階でセラピストが優先すべき機能(安全確保・対立への対処・深い対人作業の促進等)を対応させて述べることができる。
② 集団療法セラピストの固有の役割として「今ここ(here-and-now)の活性化」と「プロセスの解明(process illumination)」の意味と方法を説明できる。
③ さまざまな集団療法
集団療法にはさまざまな形式があり、対象・目的・理論的基盤によって異なるアプローチが選択される。
(1)サポートグループ:共通の問題(がん・依存症・遺族等)を抱えるメンバーが相互支持・情報共有を行う形式。心理教育的要素を含むことが多い。
(2)CBTグループ:認知行動療法の技法(認知再構成・曝露・リラクセーション等)を集団形式で提供するもの。抑うつ・不安・社交恐怖等に実証的支持がある。
(3)精神力動的グループ:グループ内の転移・対人パターンの分析を通じてパーソナリティ変容を目指す長期志向の深い集団療法。
(4)サイコドラマ(モレノ):劇的な演技(ロールプレイ・役割交換等)を通じて感情的体験と洞察を促進する。
(5)心理教育グループ:疾患・障害についての正確な知識と対処スキルを提供する構造化プログラム(統合失調症患者の家族への心理教育等)。
(6)集団認知療法・マインドフルネス系グループ等の現代的形式も広く実践される。
【到達目標】
① CBTグループ・精神力動的グループ・心理教育グループの3形式について、理論的基盤・主な構造(頻度・期間・開放/閉鎖)・主な対象の違いを比較できる。
② サイコドラマの主要な技法(役割演技・役割交換・二重法等)とその治療的機能を説明できる。
キーワード
① ヤーロムの11の治療的要因 ② 集団凝集性 ③ タックマンのグループ発達5段階 ④ サイコドラマ
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、LMS上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【復習】
文字教材を、通読してみましょう。そして、太字になっている用語について説明できるかどうか頭の中で考えたり、出来れば書き出してみましょう。さらに、下線がひかれている箇所がどのようなことを述べているのかについて自身が理解しているかどうか確認してみましょう。印象深いトピックや体験があったら、自分なりに書き出してみましょう。そして、ChatGPTによるテストワークを行いましょう。
【予習】
第10回のコマシラバスに目を通しましょう。そして、分からない用語や気になる用語があれば、インターネットなどで自分で調べてみましょう。次回は要支援者等のプライバシーへの配慮について論じます。守秘義務等、臨床心理学概論で扱った話題も一部関わります。どんな話があったか振り返ってみましょう。
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コミュニティアプローチに基づく支援①:コミュニティ心理学
科目の中での位置付け
コミュニティ心理学の生態学的視点(問題は個人と環境の不適合から生じる)を理解し、予防の3レベル・エンパワメント・社会的支援という主要概念を習得する。個人への直接支援から地域・システムへの予防的・促進的介入への視点の拡張を図る。
大西晶子(2023) コミュニティアプローチに基づく支援①:コミュニティ心理学. 下山晴彦・森田慎一郎(編著) 心理学的支援法. ミネルヴァ書房 pp.118-127.
コマ主題細目
① 7~10回の総括 ② 復習テスト ③ 心理支援とはどのようなものか
細目レベル
① コミュニティ心理学の概要
コミュニティ心理学(Community Psychology)は、1965年のスワンプスコット会議(ボストン)において、従来の臨床心理学が個人の病理に焦点を当てすぎており、コミュニティ全体の精神的健康の増進という課題に応えられないという問題意識から生まれた新しいパラダイムである。
コミュニティ心理学の基本的立場は「問題は個人に内在するのではなく、個人とその環境との不適合(person-environment fit)から生じる」という生態学的視点であり、治療(treatment)から予防(prevention)と促進(promotion)への重点移行、個人への直接支援から社会環境・政策・制度への介入へのシフトという方向性を持つ。その対象は個人を超えて家族・学校・職場・地域・社会政策というレベルに及ぶ。
わが国ではスクールカウンセラー活動・地域精神保健・災害後の心理支援などの分野でコミュニティ心理学の視点が広く応用されている。
【到達目標】
① コミュニティ心理学が従来の臨床心理学に対する批判として誕生した背景を説明し、「治療から予防・促進へ」「個人から環境・政策へ」という重点移行の意味を述べることができる。
② コミュニティ心理学の生態学的視点(person-environment fit)が個人療法的視点と異なることを、同一の問題(例:不登校)に対する両視点からのアセスメントの違いを用いて説明できる。
② コミュニティ心理学の基本的概念
コミュニティ心理学を特徴づける主要概念を概観する。
(1)エコロジカル・メタファー:個人・環境・時間という3次元的視点から問題と資源を理解する生態学的枠組み。
(2)エンパワメント:個人・集団・コミュニティが自己決定能力と資源へのアクセスを高めるプロセス(ラパポート)。
(3)コミュニティ感覚:コミュニティへの帰属感・影響力・共有する感情的つながりという心理的絆。
(4)予防の3レベル:一次予防(問題の発生防止・全体対象)、二次予防(問題の早期発見・早期介入・ハイリスク対象)、三次予防(問題の慢性化・障害の軽減・回復支援)。
(5)社会的支援(social support):情緒的・情報的・道具的支援ネットワークが心身の健康に果たす緩衝効果(バッファー効果)。
これらの概念は、コミュニティレベルの支援を設計するための理論的道具を提供するものである。
【到達目標】
① エンパワメント(ラパポート)の定義と、「サービスの受け手から自己決定の主体へ」という転換の意味を説明できる。
② 予防の3レベル(一次・二次・三次)を定義し、自身の関心領域(学校・医療・福祉等)での各レベルの具体的なプログラム例を挙げることができる。
③ コミュニティ心理学的援助の実際
コミュニティ心理学的援助の実践には次のような多様な形式がある。
(1)コンサルテーション:学校・職場・医療機関等の組織に対して、個別事例への対応方法または組織機能の改善について専門的助言を行う間接支援。
(2)プログラム開発と評価:地域のニーズに応じた予防・増進プログラムを設計・実施し、その効果を科学的に評価する。
(3)アウトリーチ(outreach):支援機関に自ら来られない人々(在宅高齢者・路上生活者・DV被害者等)に対して積極的に出向いて支援を提供する。
(4)ネットワーキングと協働:地域の複数の機関・組織・住民が連携する支援ネットワークを構築・維持する。
(5)政策立案への関与:地域の精神保健状態を改善するための政策・制度設計に専門的立場から貢献する。
これらの実践においては、コミュニティのニーズとリソースに関するアセスメントが出発点となる。
【到達目標】
① コンサルテーション(間接支援)とアウトリーチの概念を定義し、直接支援と比較した場合の利点と課題を述べることができる。
② コミュニティ心理学的援助における「プログラム評価」の意義と、その実施に際して必要な研究方法論の基礎を説明できる。
④ 多様なアプローチによる援助
コミュニティ心理学は単一の方法論ではなく、コミュニティの健康を目標として複数のアプローチを統合的に活用する。その一例として、学校場面への包括的関与がある。スクールカウンセラーは、個別の生徒へのカウンセリング(治療的介入)に加えて、全生徒を対象とした心の健康教育(一次予防)、ハイリスク生徒の早期発見プログラム(二次予防)、教師へのコンサルテーション(間接支援)、保護者支援、地域の医療機関との連携ネットワークの構築という複数レベルの機能を同時に担う。
同様の多レベル的関与は、産業場面(EAPプログラム・ストレスチェック・職場環境改善)、医療場面(退院後の地域生活支援・ピアサポートプログラム)、災害支援場面(サイコロジカルファーストエイド:PFA、地域コミュニティの回復力の強化)においても実践されている。
ここでは、これらの多様な形式を事例を通じて理解し、自身の実践分野への応用を検討する。
【到達目標】
① スクールカウンセラーが担う多層的な機能(個別カウンセリング・一次予防教育・教師へのコンサルテーション・保護者支援・地域連携)を列挙し、それらが予防の3レベルにどう対応するかを説明できる。
② サイコロジカルファーストエイド(PFA)の基本原則と手順を概説し、災害後のコミュニティ支援においてPFAが果たす役割を述べることができる。
キーワード
① 生態学的視点 ② エンパワメント ③ 予防の3レベル(一次・二次・三次) ④ コンサルテーション ⑤ アウトリーチ
コマの展開方法
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該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
文字教材をよく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認してほしい。そして、文字教材を素材としてChatGPTによるテストワークを各自で行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはインターネットで検索してみるとよい。
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コミュニティアプローチに基づく支援②:支援の実際
科目の中での位置付け
コミュニティアプローチを実際の現場(自殺予防・災害後支援・外国人支援・学校ベースのプログラム等)でどのように実践するかを学ぶ。また、訪問支援・アウトリーチ・多職種連携・地域包括ケアにおける心理師の役割を理解し、今後の課題と展望を展望する。
高岡昂太(2023) コミュニティアプローチに基づく支援②:支援の実際. 下山晴彦・森田慎一郎(編著) 心理学的支援法. ミネルヴァ書房 pp.118-127.
コマ主題細目
① コミュニティアプローチとは ② コミュニティアプローチの例 ③ コミュニティアプローチの展望
細目レベル
① コミュニティアプローチとは
コミュニティアプローチ(Community Approach)は、コミュニティ心理学の理論的基盤を実践に翻訳したものであり、問題を抱えた個人への直接支援ではなく、個人を取り巻く環境・システム・コミュニティ全体を変化の対象とするアプローチの総称である。
このアプローチが前提とするのは、「心理的問題の多くは個人の脆弱性よりも、不十分な社会的サポート・差別・貧困・住居不安定・社会的排除といった生態学的リスク因子によって規定されている」という生態学的観点である。したがって、コミュニティアプローチにおける支援者の役割は「治療者」から「変化の触媒(change agent)」「アドボケイト(権利擁護者)」「ネットワーカー」「教育者」「コンサルタント」と多様化する。
公認心理師がこの役割の多様性を担うためには、心理学的知識に加えて社会学・公衆衛生・地域福祉・政策についての幅広い知識と、地域の多様なステークホルダー(あらゆる利害関係者)との対話能力が求められる。
【到達目標】
① コミュニティアプローチが前提とする生態学的観点(心理的問題の多くは社会的リスク因子によって規定される)を説明し、この観点が支援者の役割をどのように変化させるかを述べることができる。
② 心理師がコミュニティアプローチを担うために必要な知識領域(社会学・公衆衛生・地域福祉・政策等)と対話能力について説明できる。
② コミュニティアプローチの例
コミュニティアプローチの具体的な実践例を通じて理解を深める。
(1)自殺予防コミュニティプログラム:個人への自殺相談(三次予防)に加えて、ゲートキーパー養成研修(地域住民・医療従事者・教師等への自殺危機対応能力の普及)・メディア向け自殺報道ガイドラインの推進・地域の相談資源の整備という多レベルの介入を統合した取り組み。
(2)災害後のコミュニティ支援:東日本大震災等の経験を通じて発展した「こころのケアチーム」・仮設住宅でのコミュニティ再建支援・孤立高齢者への見守り活動などが含まれる。
(3)外国人コミュニティ支援:言語的・文化的バリアのある外国人住民に対する多言語支援資源の整備・文化仲介者(カルチュラル・メディエーター)との協働・コミュニティ内の相互支援ネットワークの強化。
(4)学校ベースのメンタルヘルスプログラム:全校生徒を対象としたSEL(社会的・感情的学習)プログラムの実施と評価。
【到達目標】
① 自殺予防コミュニティプログラムにおける多層的介入(個人・地域住民・メディア・相談資源整備)の構造を説明し、それぞれが予防の3レベルのどれに対応するかを述べることができる。
② 日本の災害後コミュニティ支援(こころのケアチーム・地域コミュニティ再建支援等)の取り組みを概説し、心理師が果たす役割を説明できる。
③ コミュニティアプローチの展望
コミュニティアプローチは、現代社会の複雑化する課題(超高齢社会・格差拡大・孤独・孤立・外国人増加・テクノロジーの急速な変化等)に対応するため、今後ますます重要性を増すと考えられる。今後の課題と展望として、次の4点が挙げられる。
(1)デジタル・コミュニティへの対応:オンラインコミュニティ・SNSを通じた精神的健康の増進と危機支援の可能性の探索。
(2)文化的多様性への対応:多文化主義的コミュニティにおける支援格差の縮小と文化的に適切なプログラムの開発。
(3)エビデンス構築:コミュニティレベルの介入効果を評価するための方法論の発展(参加型アクションリサーチ・自然実験等)。
(4)専門職のアドボカシー機能の強化:心理師が社会変革・政策提言の担い手として積極的に関与するという役割モデルの確立。
ここでは、自身が将来関与する可能性のある領域でコミュニティアプローチをいかに実践するかを各自が考察する。
【到達目標】
① コミュニティアプローチが今後直面する4つの主要課題(デジタル対応・文化的多様性・エビデンス構築・アドボカシー機能強化)を説明できる。
② 自身の関心領域においてコミュニティアプローチの観点から考えられる支援プログラムの概案を、対象・目標・介入のレベルを含めて述べることができる。
キーワード
① コミュニティアプローチ ② 生態学的観点で ③ アドボケイト(権利擁護) ④ デジタル・コミュニティへの対応 ⑤ 文化的多様性への対応
コマの展開方法
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小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、LMS上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
文字教材をよく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認してほしい。そして、文字教材を素材としてChatGPTによるテストワークを各自で行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはインターネットで検索してみるとよい。
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遊戯療法に基づく支援
科目の中での位置付け
遊びが子どもにとって固有の「言語」であることの理論的根拠を理解し、遊戯療法の歴史(クライン・アクスライン等)・主要な形式(指示的・非指示的)・適応・実施手順を習得する。砂療法・フィリアル・セラピーなど現代的な展開も概観する。
小倉加奈子(2023) 遊戯療法に基づく支援. 下山晴彦・森田慎一郎(編著) 心理学的支援法. ミネルヴァ書房 pp.140-149.
コマ主題細目
① 遊戯療法とは ② 遊戯療法の歴史 ③ 遊戯療法の対象 ④ 遊戯療法の対象 ⑤ 遊戯療法の実際
細目レベル
① 遊戯療法とは
遊戯療法(Play Therapy)は、「遊びは子どもの言語であり、おもちゃは言葉である」(アクスライン)という理解に基づき、遊びという子どもの自然な表現手段を用いた心理療法である。成人の言語ベースの療法が言葉による自己表現を前提とするのに対し、子どもは言語的・認知的発達の制約から「話すこと」による感情表現に限界があり、遊びを通じた象徴的・行動的表現が最も自然な自己伝達の媒体となる。
遊戯療法の治療的機能として、(1)感情の安全な表現と処理(遊びという距離を置いた形での感情の外在化)、(2)熟達感と自己効力感の発達(遊びでの成功体験)、(3)外傷的体験の再演と処理(トラウマプレイ)、(4)治療関係を通じた安全な愛着体験、(5)認知的・社会的スキルの発達促進が挙げられる。
遊戯療法は子どもの症状除去よりも全人格的成長と内的世界の処理を目標とする。
【到達目標】
① 「遊びは子どもの言語」という命題の意味を、子どもの言語的・認知的発達の制約と遊びの表現機能の観点から説明できる。
② 遊戯療法の5つの治療的機能(感情表現・熟達感・トラウマ処理・愛着体験・スキル促進)を列挙し、それぞれが言語的心理療法では得られにくい理由を述べることができる。
② 遊戯療法の歴史
遊戯療法の歴史は20世紀初頭に始まり、精神分析の流れの中からの発展(フロイトのハンス少年の事例、後にクライン・アンナ・フロイトによる子どもへの精神分析の発展)と、人間性心理学の流れからの発展(ロジャーズの影響を受けたアクスラインの非指示的遊戯療法)という二つの系譜がある。クライン(1882-1960)は遊びを「自由連想の等価物」として、子どもの内的ファンタジーと対象関係を分析するための媒体として用いた。アクスライン(1911-1988)は著書『ディブス』で、クライエント中心の原則に基づく非指示的遊戯療法の劇的な効果を描いた。
その後、アドラー派・認知行動的・人間関係的・発達的・トラウマフォーカスド等、多様な理論的基盤に基づく遊戯療法が発展し、現代では「統合的・折衷的遊戯療法(integrative/eclectic play therapy)」を実践する治療者が多い。
【到達目標】
① 遊戯療法の2つの歴史的系譜(精神分析的流れと人間性心理学的流れ)を対比し、クラインとアクスラインの遊びへのアプローチの違いを説明できる。
② 現代の遊戯療法において「統合的・折衷的アプローチ」が主流となっている理由と、その実践的な意味を説明できる。
③ 遊戯療法の技法と手続き
遊戯療法の技法と手続きの中心となるのはプレイルームの設定と遊びへの応答様式である。プレイルームには砂箱・人形・家族人形・動物・積み木・粘土・絵の具・ハサミ・打楽器等の多様な表現媒体が用意される。指示的遊戯療法では、セラピストが特定の遊び活動(人形遊び・ロールプレイ・ゲーム・アートセラピー等)を意図的に選択・構造化し、特定の問題(トラウマの処理・社会スキルの習得・感情認識等)に焦点を当てる。
非指示的遊戯療法では、子どもが遊びの方向を自由に決定し、セラピストは追跡(tracking)・感情の反映・制限の設定という最小限の構造で応答する。砂療法(砂遊び・箱庭療法)は、砂箱の中でのミニチュア配置を通じた内的世界の表現と象徴的処理を促す技法として、成人にも広く用いられる。EMDR、TF-CBTなどとの統合も現代的な実践形式として広まっている。
【到達目標】
① 指示的遊戯療法と非指示的遊戯療法の違いを、セラピストの役割・遊びの選択権・介入の程度の観点から比較して説明できる。
② 非指示的遊戯療法におけるセラピストの3つの基本応答技法(追跡・感情の反映・制限の設定)の目的と実施方法を説明できる。
④ 遊戯療法の対象
遊戯療法は子どもが主な対象であるが、年齢的にはおおむね3〜12歳が最も適した時期とされ、思春期・青年期への応用も行われる。問題別の適応として、(1)内在化問題(不安・抑うつ・恐怖・場面緘黙)、(2)外在化問題(攻撃性・破壊的行動・ADHD関連行動問題)、(3)外傷後ストレス症状(虐待・被災体験・医療的トラウマ等)、(4)愛着問題(施設育ち・里親委託・反応性愛着障害等)、(5)発達上の移行期(両親の離婚・きょうだいの誕生・死別等)への適応困難がある。
知的発達の遅れを伴う場合にも、言語的制約を補う形で有効に活用できる。なお、活動的な精神病状態・重篤な思考障害・セラピストへの危険性が高い状態では通常の遊戯療法の適用を見直す必要がある。保護者との協力関係の構築と並行した保護者面談・保護者-子ども合同セッションも現代的実践の重要要素である。
【到達目標】
① 遊戯療法の主な適応(内在化・外在化問題、トラウマ、愛着問題、発達上の移行期)をそれぞれ具体例とともに説明できる。
② 遊戯療法の適用を見直すべき状態(活動的な精神病状態・重篤な思考障害等)を挙げ、その理由を述べることができる。
⑤ 遊戯療法の実際
遊戯療法の実際のプロセスは、次のとおりである。
(1)アセスメントと親への説明(インテーク面接・子どもの発達歴・家族状況・問題の性質の把握、遊戯療法の目的・プロセス・料金等についての保護者へのIC)
(2)初回セッションの構造化(プレイルームのルール説明・「ここでは好きなことができます」という自由感の伝達)
(3)中期セッション(遊びの観察と応答・転移的関係の育成・感情表現と処理の促進)
(4)終結セッション(終結の準備・変化の言語化・依存の軽減・別れのプロセス)
終結のタイミングは、当初の主訴の改善・対処スキルの向上・内的安定の回復・遊びの変化(混沌から秩序へ・防衛的から自由へ)などを総合的に判断する。
セラピストは、子どもの遊びを通じた象徴的コミュニケーションを「翻訳」し、必要に応じて明確化・反映・設定の実施という治療的介入を行う高度な専門的技能を求められる。
【到達目標】
① 遊戯療法のプロセス(アセスメント→初回→中期→終結)の各段階において、セラピストが行うべき主要な作業を説明できる。
② 遊戯療法の終結判断の指標(主訴の改善・対処スキル向上・遊びの変化等)を挙げ、保護者との協力関係が終結プロセスに果たす役割を述べることができる。
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、LMS上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
文字教材をよく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認してほしい。そして、文字教材を素材としてChatGPTによるテストワークを各自で行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはインターネットで検索してみるとよい。
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日本で生まれた心理療法
科目の中での位置付け
日本固有の文化的・哲学的土台(禅・仏教・身体的実践等)に根ざした心理療法(森田療法・内観療法・動作療法)の理論・手続き・適応を理解する。また、これらの療法と西洋心理療法(特に第3世代CBT・マインドフルネス・ソマティックアプローチ)との概念的接点と相違点を考察し、文化的感受性のある実践の重要性を学ぶ。
高橋美保(2023) 日本で生まれた心理療法. 下山晴彦・森田慎一郎(編著) 心理学的支援法. ミネルヴァ書房 pp.150-163.
コマ主題細目
① 日本で生まれた心理療法の特徴 ② 森田療法 ③ 内観療法 ④ 動作療法
細目レベル
① 日本で生まれた心理療法の特徴
日本には、西洋の心理療法理論とは独立して、日本固有の文化的・哲学的土台(禅・仏教・武道・集団主義的社会規範等)に根ざした独自の心理療法が発展してきた。これらの療法に共通する特徴として、(1)自己と自然・他者・世界との関係性(「間(ま)」の感覚)の重視、(2)症状や苦悩を「排除すべき問題」ではなく「受け入れるべき自然の一部」として捉える受容的姿勢、(3)思考や感情の分析より体験的・行動的実践(作業・写経・労働・内省等)を通じた変容の重視、(4)個人の変容と社会的責任・他者への感謝・謙虚さという価値の統合という点が挙げられる。
これらの特徴は、現代の西洋心理療法(第3世代CBT・マインドフルネス等)との重要な概念的親和性を持つと指摘されており、国際的な関心も高まっている。ここでは、文化的感受性のある実践(culturally sensitive practice)の観点からも日本固有の療法を検討する。
【到達目標】
① 日本固有の心理療法に共通する4つの特徴(受容的姿勢・体験的実践による変容・関係性の重視・個人変容と社会的責任の統合)を説明できる。
② 日本固有の心理療法と西洋心理療法(第3世代CBT・マインドフルネス等)との概念的親和性を具体的に挙げ、文化的感受性のある実践の重要性を述べることができる。
② 森田療法
森田療法(Morita Therapy)は、精神科医の森田正馬(まさたけ)(1874-1938)が確立した、神経症(特に「神経衰弱」・社交恐怖・強迫傾向等)に対する独自の入院・外来療法である。森田は神経症の中核にある「とらわれ(とらわれ)」のメカニズム——症状への過度な注意・それを取り除こうとする欲求——を「精神交互作用」と呼び、症状に対抗しようとすることがかえって症状を強化するという悪循環を指摘した。
森田療法の核心的主張は「あるがまま」、すなわち、症状を排除しようとせず、不安や恐怖をそのままに「生の欲望」に従って行動することを促すことである。古典的入院森田療法は、絶対臥褥期(がじょく)(4〜7日間の絶対安静)・軽作業期・作業期・社会生活期という4段階からなる。
現代では外来での実施・認知行動療法的要素との統合・グループ療法形式での実施も広がっている。ACTとの概念的類似性(脱フュージョン・価値に基づく行動)も注目されている。
【到達目標】
① 「精神交互作用」のメカニズム(症状への注意→注意の集中→症状の増強→さらなる注意)を説明し、「あるがまま」の原則がこの悪循環をどのように断つかを述べることができる。
② 森田療法の4段階(絶対臥褥期・軽作業期・作業期・社会生活期)のそれぞれの目的と内容を説明し、ACTの「アクセプタンス」「価値に基づく行動」との概念的類似点を述べることができる。
③ 内観療法
内観療法(Naikan Therapy)は、吉本伊信(1916-1988)が浄土真宗の精神修行(身調べ)を一般人が実践できる形に体系化した日本固有の内省療法である。内観の基本的手続きは、1週間の集中内観合宿において、身近な他者(特に母・父・配偶者等)について「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」という3テーマで過去の体験を時代ごとに徹底的に振り返ることである。
「なぜしてもらえなかったか」という受け取りの視点ではなく、「どれほど与えてもらっていたか・迷惑をかけてきたか」という与受のバランスへの気づきを通じて、感謝・罪責感・他者への共感という感情変容が生じ、人間関係観・自己観が変化すると言われる。
アルコール依存症・犯罪者の更生・不適応行動の修正への効果が臨床的に報告されており、矯正施設・依存症治療施設・一般の心理的成長を目的とした実践として広く用いられている。
【到達目標】
① 内観の3テーマ(してもらったこと・して返したこと・迷惑をかけたこと)の内省プロセスが、感謝・罪責感・共感という感情変容を通じて人間関係観・自己観の変化を促す仕組みを説明できる。
② 内観療法の主な適応領域(アルコール依存症・犯罪者の更生等)を挙げ、内観療法が有効とされる理論的根拠を述べることができる。
④ 動作療法
動作療法(Dohsa-Therapy)は、九州大学の成瀬悟策(1924-2019)が1960年代に脳性まひ児のリハビリテーションを契機として創始した、心理療法と動作訓練を統合した独自のアプローチである。動作療法の基本的理論は、「動かそうとする意図(努力)」と「実際の動作(結果)」のズレが身体的・心理的問題の根底にあるという「動作—体験—自己」のモデルに基づく。
セラピストは要支援者の身体(主に肩・腕・腰等)に適切な補助を行いながら、要支援者が自分の身体をコントロールする体験(「できた」という主体感)を積み上げることで、身体的弛緩・自己効力感・主体性の回復を促す。
当初の対象は脳性まひ等の身体・発達障害であったが、その後精神的問題(ストレス・不安・PTSD・統合失調症等)や健常者の自己成長を目的とした臨床動作法・スポーツ動作法・学校動作法として発展した。「身体を通じた心理支援」という発想は、現代のボディワーク系セラピーやソマティック・アプローチとの重要な接点を持つ。
【到達目標】
① 動作法における「動かそうとする意図(努力)と実際の動作(結果)のズレ」がどのように身体的・心理的問題に関与するかを、「動作−体験−自己」モデルを用いて説明できる。
② 動作法が脳性まひ等の身体・発達障害から精神的問題・健常者の自己成長へと対象を拡大してきた経緯を概説し、現代のソマティック・アプローチとの接点を述べることができる。
キーワード
① 精神相互作用 ② あるがまま ③ 動作 ④ ソマティック・アプローチ ⑤ 文化的感受性のある実践
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業終了時、LMS上において5問以上の、当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
文字教材をよく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認してほしい。そして、文字教材を素材としてChatGPTによるテストワークを各自で行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはインターネットで検索してみるとよい。
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これまでの復習(2)
科目の中での位置付け
第9回から第14回までの学習内容を体系的に統合・復習する。各アプローチの理論的前提・技法・適応・限界を比較整理し、「なぜこの技法をこの人に提供するのか」という支援選択の根拠を言語化する能力を高める。事例検討・グループワークを通じて、理論的知識を実践的思考へと転換する。
第9回~第14回文字教材
コマ主題細目
① 社会構成主義的アプローチ ② 集団療法 ③ コミュニティ・アプローチ ④ 遊戯療法 ⑤ 総括
細目レベル
① 社会構成主義的アプローチ
第9回の内容を中心に、社会構成主義・解決志向ブリーフセラピー・ナラティヴ・セラピーの主要概念を整理する。社会構成主義の認識論的立場(現実は言語的・社会的相互作用によって構成される)を確認した上で、問題中心アプローチとの根本的な視点の違いを再確認する。SFBTの核心技法(ミラクルクエスチョン・例外探索・スケーリング)とナラティヴ・セラピーの中心概念(ドミナント・ストーリー・外在化・ユニークな結果・オルタナティブ・ストーリー)を整理する。
復習演習として、グループでの実践ロールプレイ(ミラクルクエスチョンを用いた模擬面接または外在化会話の体験)を行い、技法の感触と実践上の課題を体験的に理解する。また、これらのアプローチの適用限界(重篤な精神疾患・危機状態への適用の難しさ)と他のアプローチとの組み合わせ方についても整理する。
【到達目標】
① ロールプレイを通じてミラクルクエスチョンまたは外在化会話を実践し、その体験から技法の効果と実施上の課題を具体的に述べることができる。
② 社会構成主義的アプローチを他のアプローチ(CBT・精神力動等)と組み合わせる場合の留意点と、その組み合わせが有効な場面を説明できる。
② 集団療法
第10回の内容を中心に、集団療法の基本概念を復習する。ヤーロムの11の治療的要因を再確認し、それぞれが個人療法と比較して集団療法固有の機能をいかに持つかを整理する。集団療法のプロセス(形成期・嵐の期・実行期等のグループ発達段階)とセラピストの役割(「今ここ」の活性化・プロセスの解明等)についても振り返る。
CBTグループ・支持グループ・精神力動的グループ・心理教育グループ等の多様な形式の比較表を用いた整理を行う。
【到達目標】
① 与えられたターゲット集団(例:うつ病回復期の成人・不登校の中学生等)に対する集団療法プログラムを、目的・構成・構造・セラピストの役割・効果評価方法の観点から設計できる。
② 集団療法における問題事態(独占発言・沈黙・サブグループ形成等)への対処方法を、グループ発達段階と関連づけながら述べることができる。
③ コミュニティ・アプローチ
第11・12回の内容を中心に、コミュニティ心理学とコミュニティアプローチの主要概念を総合的に復習する。個人療法中心パラダイムとコミュニティパラダイムの視点の違いを改めて整理し、「問題は個人にあるのか環境にあるのか」という問いが実践のレベルでどのような違いを生むかを具体的に考察する。
予防の3レベル・エンパワメント・エコロジカル視点・ネットワーキングという鍵概念を復習する。
復習演習として、受講者それぞれが自身の関心領域(教育・医療・福祉・司法・産業等)において「コミュニティアプローチの観点からどのような支援プログラムが考えられるか」を考案し、記述する演習を実施する。
【到達目標】
① 自身の関心領域でのコミュニティアプローチの支援プログラムを、対象・目標・介入のレベル(一次〜三次予防)・実施方法・評価指標を含めて概案として提示できる。
② コミュニティ心理学的視点から個人療法中心の実践を批判的に検討し、両アプローチを統合する公認心理師像を述べることができる。
④ 遊戯療法
第13回の内容を中心に、遊戯療法の基本概念・歴史・技法・対象を整理する。「遊びは子どもの言語」という基本命題の意味と、なぜ遊びが治療的媒体として機能するかの理論的根拠(感情表現・象徴処理・熟達感・関係体験等)を確認する。指示的・非指示的アプローチの違いと使い分けの考え方、プレイルームの物理的設定の意義、セラピストの応答技法(追跡・感情の反映・制限の設定)を整理する。現代的な発展(TF-CBTとの統合・フィリアル・セラピー・砂療法等)についても概説する。
復習演習として、遊戯療法場面の観察記録(ビデオ事例等)を視聴し、子どもの遊びの意味の読み取り方とセラピストの応答の適切さを評価する演習を行う。
【到達目標】
① 事例検討(ビデオまたは事例記録)を通じて子どもの遊びの象徴的意味を読み取り、セラピストの応答の適切さについて評価・議論できる。
② フィリアル・セラピー(保護者−子ども合同セッション)の意義と、砂療法が成人への応用において持つ固有の治療的価値を説明できる。
⑤ 総括
これまで学んだ心理学的支援法に関する知識の定着度を確認するためのテストを行う。
期末試験に向けて自身が理解不足である領域を明確にし、知識の整理を行う契機としていただきたい。
キーワード
① 統合的・折衷的アプローチ ② ナラティヴ ③ コミュニティアプローチ ④ 遊戯療法 ⑤ 集団療法
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
これまで学んだ心理学的支援法に関する知識の定着を確認するためのテストを行います。
復習・予習課題
【復習】
復習回において理解が不足していた事項については、期末試験までに確実に理解しておくこと。
この回で心理学的支援法の講義は最後となる。この科目ではさまざまな心理療法を紹介したが、それも数多くあるアプローチの一部である。公認心理師を本気で目指す方はこれらの知識をもとに、さらにさまざまなアプローチを勉強してほしい。また、相談室の外に出たアウトリーチ活動、臨床心理学的地域援助の重要性も十分理解し、社会の問題の解決に寄与する意識を持っていただきたい。
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
公認心理師の心理学的支援と基本技能としてのコミュニケーション
・ 公認心理師法第2条に規定される業務(観察・分析、相談・援助、関係者支援、心の健康教育)を列挙し、それぞれの意味を説明できる。
・ 心理学的支援が機能する複数のレベル(一次・二次・三次予防、介入、リハビリテーション、コンサルテーション)を区別して説明できる。
・ 統合的・折衷的アプローチの意義と、単一理論への固執を避けることの理由を説明できる。
・ 心理学的支援における5つの主要な倫理的留意事項(インフォームド・コンセント・文化的コンピテンシー・二重関係の回避・EBP・スーパービジョン)を説明できる。
・ ロジャーズが提唱した治療的変化の3条件(共感的理解・無条件の肯定的関心・自己一致)をそれぞれ定義し、実際の面接場面での具体的な現れ方を例示できる。
・ 「傾聴」を単なる「話を聞く行為」と区別し、active listeningとしての積極的・参加的な傾聴の意味を説明できる。
・ 明確化・要約・直面化・解釈・自己開示のそれぞれの目的と適切な使用タイミングを説明できる
公認心理師法第2条に規定される業務、統合的・折衷的アプローチ、治療的変化の3条件、傾聴、明確化・要約・直面化・解釈・自己開示
10
1
心理学的支援における方法の選択と適用の限界
・ 要支援者の特性(年齢・発達段階・知的能力・文化的背景・動機等)と現在の状況(症状・重症度・生活環境等)の各次元が技法選択に与える影響を説明できる。
・ 「診断名による一律の技法選択」と「多次元的アセスメントに基づく個別化された選択」の違いを具体例を用いて述べることができる。
・ エビデンスに基づく実践(EBP)の3要素(研究エビデンス・臨床的判断・要支援者の価値観と選好)を説明し、それらが相互に矛盾する場合の対処方針を述べることができる。
・ 心理療法の4つの主要な適用限界(診断的・関係的・コンプライアンス的・支援者側)をそれぞれ具体例を挙げて説明できる。
・ 適用限界を認識した際の適切な対応(リファー・補完的介入・治療計画の修正)を段階的に説明できる。
要支援者の特性と現在の状況、多次元的アセスメント、エビデンスに基づく実践、心理療法の適用限界
10
2
クライエント中心療法、精神分析的心理療法、
・ 人間性アプローチが「心理学の第三の力」と呼ばれる歴史的背景(精神分析・行動主義への批判)を説明し、精神分析・行動主義それぞれとの人間観の違いを対比できる。
・ ロジャーズの3条件(共感的理解・無条件の肯定的関心・自己一致)を相互に関連づけながら定義し、3条件が揃わない場合に治療関係に生じる影響を説明できる。
・ 「非指示的」の意味を正確に理解し、「クライエントの自己成長プロセスを信頼し促進する場の提供」として説明できる。
・ フォーカシングにおける「フェルトセンス」の概念を説明し、言語化以前の身体感覚へのアクセスが治療的である理由を述べることができる。
・ 治療構造の主要要素(時間・頻度・料金・場所・自己開示の範囲等)を列挙し、構造の一貫した維持が「心理的容器(container)」として機能する理由を説明できる。
・ 自由連想法が催眠法に代わって開発された経緯と、その手続きおよび無意識的素材へのアクセス手段としての意義を説明できる。
・ 解釈の4段階(明確化→直面化→解釈→徹底操作)を順に説明し、各段階の目的と「徹底操作」が必要な理由を述べることができる。
・ 転移の定義と典型的な現れ方(理想化・失望・依存等)を説明し、転移が「治療の妨害」ではなく「分析の最大の武器」である理由を述べることができる。
・ 古典的精神分析(週4〜5回)と現代的精神分析的精神療法(週1回・短期精神力動療法)の違いを、頻度・目標・適応の観点から比較できる。
・ 対象関係論・自己心理学・関係論的精神分析の各理論が、フロイトの古典的理論をどのように継承・発展させたかを概説できる。
共感的理解・無条件の肯定的関心・自己一致、非指示的、フォーカシング、治療構造、自由連想法、解釈の4段階、転移、対象関係論・自己心理学・関係論的精神分析
20
3、4
行動療法、認知行動療法( CBT
)
・ 行動療法が「第一世代」と呼ばれる歴史的背景(精神分析への批判、行動主義心理学との連続性)を説明できる。
・ 行動療法の基本的仮定(「問題行動は学習によって獲得されたものであり、学習の原理によって変容できる」)の意味と、その治療的含意を述べることができる。
・ 古典的条件づけとオペラント条件づけの原理を比較しながら説明し、恐怖症の形成・維持のメカニズムを両理論の枠組みで説明できる。
・ 正の強化・負の強化・正の罰・負の罰の4種類を区別して定義し、それぞれに対応する具体的な行動変容場面の例を挙げることができる。
・ ABC分析(先行刺激・行動・結果)を用いて、具体的な問題行動の機能的分析を実施できる。
・ 系統的脱感作法と曝露法(フラッディング・段階的曝露)の手順・理論的根拠・主な適応をそれぞれ説明し、両者の違いを述べることができる。
・ CBTの根本的前提(「状況ではなく認知が感情・行動反応を規定する」)を説明し、この前提が治療目標の設定にどのような含意を持つかを述べることができる。
・ CBTが高い実証的支持を持つ主な対象(うつ病・各種不安障害・摂食障害等)を挙げ、「協働的経験主義」の意味を説明できる。
・ CBTの認知モデル(状況→自動思考→感情・行動・身体反応)を図示し、うつ病または不安障害の具体的事例への適用を説明できる。
・ 主要な認知的歪み(all-or-nothing thinking・破局化・読心術・感情的推論等)を5つ以上定義し、それぞれに対応する認知再構成の手順を概説できる。
・ 第3世代CBTが「思考内容の変容」から「思考・感情との関係の変え方」へと焦点を移した理由を説明し、その転換がもたらす臨床的意義を述べることができる。
行動療法、古典的条件づけとオペラント条件づけの原理、正の強化・負の強化・正の罰・負の罰、ABC分析、系統的脱感作法と曝露法、CBTの認知モデル、認知的歪み、第3世代CBT
20
5、6
家族療法、社会構成主義に基づく支援
・ 「全体は部分の総和以上である」というシステム論の基本命題を説明し、個人療法と家族療法の問題理解の視点の違いを具体例で対比できる。
・ 家族療法が統合失調症患者の家族研究から発展した歴史的経緯と、「二重拘束(double bind)」の概念を説明できる。
・ 円環的質問の目的と実施方法を説明し、直線的質問との違いを述べることができる。
・ リフレーミングの定義と操作手順を説明し、家族療法場面での具体的な適用例を挙げることができる。
・ 家族療法・カップル療法が特に有効性を示している臨床領域(思春期の摂食障害・統合失調症の家族心理教育等)を挙げ、その効果の根拠を説明できる。
・ 社会構成主義の認識論的立場(現実の社会的構成)を説明し、客観主義的・問題中心的アプローチとの根本的な視点の違いを述べることができる。
・ 解決志向ブリーフセラピーの3つの哲学的前提(問題理解なしに解決できる・例外の拡大が効率的・小さな変化が連鎖的変化を生む)を説明できる。
・ 「ドミナント・ストーリー」「外在化」「ユニークな結果」「オルタナティブ・ストーリー」の概念を定義し、ナラティヴ・セラピーのプロセスとして相互の連関を説明できる。
・ 社会構成主義的アプローチが「クライエントの強み・資源・可能性の前景化」と「権力的非対称の問い直し」において他のアプローチにもたらす貢献を述べることができる。
システム論、二重拘束(double bind)、円環的質問、リフレーミング、外在化、個人内モデル vs. システムモデル
社会構成主義、解決志向ブリーフセラピー(SFBT)、ミラクルクエスチョン、スケーリングクエスチョン、ナラティヴ・セラピー、外在化
10
7、9
集団療法、遊戯療法
・ ヤーロムの11の治療的要因を列挙し、そのうち3〜4つを選んで「個人療法では得られにくい集団療法固有の治療力である理由」とともに説明できる。
・ タックマンのグループ発達5段階を説明し、各段階でセラピストが優先すべき機能(安全確保・対立への対処・深い対人作業の促進等)を対応させて述べることができる。
・ 集団療法セラピストの固有の役割として「今ここの活性化」と「プロセスの解明」の意味と方法を説明できる。
・ サイコドラマの主要な技法(役割演技・役割交換・二重法等)とその治療的機能を説明できる。
・ 「遊びは子どもの言語」という命題の意味を、子どもの言語的・認知的発達の制約と遊びの表現機能の観点から説明できる。
・ 遊戯療法の5つの治療的機能(感情表現・熟達感・トラウマ処理・愛着体験・スキル促進)を列挙し、それぞれが言語的心理療法では得られにくい理由を述べることができる。
・ 遊戯療法の2つの歴史的系譜(精神分析的流れと人間性心理学的流れ)を対比し、クラインとアクスラインの遊びへのアプローチの違いを説明できる。
・ 指示的遊戯療法と非指示的遊戯療法の違いを、セラピストの役割・遊びの選択権・介入の程度の観点から比較して説明できる。
・ 非指示的遊戯療法におけるセラピストの3つの基本応答技法(追跡・感情の反映・制限の設定)の目的と実施方法を説明できる。
・ 遊戯療法のプロセス(アセスメント→初回→中期→終結)の各段階において、セラピストが行うべき主要な作業を説明できる。
ヤーロムの11の治療的要因、集団凝集性、プロセスの解明、タックマンのグループ発達5段階、サイコドラマ
遊戯療法(Play Therapy)、箱庭療法、TF-CBT、トラウマプレイ
10
10、13
コミュニティアプローチに基づく支援
・ コミュニティ心理学が従来の臨床心理学に対する批判として誕生した背景を説明し、「治療から予防・促進へ」「個人から環境・政策へ」という重点移行の意味を述べることができる。
・ コミュニティ心理学の生態学的視点(person-environment fit)が個人療法的視点と異なることを、同一の問題(例:不登校)に対する両視点からのアセスメントの違いを用いて説明できる。
・ 予防の3レベル(一次・二次・三次)を定義し、自身の関心領域(学校・医療・福祉等)での各レベルの具体的なプログラム例を挙げることができる。
・ コンサルテーション(間接支援)とアウトリーチの概念を定義し、直接支援と比較した場合の利点と課題を述べることができる。
・ スクールカウンセラーが担う多層的な機能(個別カウンセリング・一次予防教育・教師へのコンサルテーション・保護者支援・地域連携)を列挙し、それらが予防の3レベルにどう対応するかを説明できる。
・ サイコロジカルファーストエイド(PFA)の基本原則と手順を概説し、災害後のコミュニティ支援においてPFAが果たす役割を述べることができる。
・ コミュニティアプローチが前提とする生態学的観点(心理的問題の多くは社会的リスク因子によって規定される)を説明し、この観点が支援者の役割をどのように変化させるかを述べることができる。
・ 公認心理師がコミュニティアプローチを担うために必要な知識領域(社会学・公衆衛生・地域福祉・政策等)と対話能力について説明できる。
・ 自殺予防コミュニティプログラムにおける多層的介入(個人・地域住民・メディア・相談資源整備)の構造を説明し、それぞれが予防の3レベルのどれに対応するかを述べることができる。
・ 日本の災害後コミュニティ支援(こころのケアチーム・地域コミュニティ再建支援等)の取り組みを概説し、心理師が果たす役割を説明できる。
コミュニティ心理学、生態学的視点、エンパワメント、予防の3レベル(一次・二次・三次)、コンサルテーション、アウトリーチ、コミュニティ感覚、スクールカウンセラー、サイコロジカルファーストエイド(PFA)、ゲートキーパー養成、災害後コミュニティ支援
10
11、12
日本で生まれた心理療法
・ 日本固有の心理療法に共通する4つの特徴(受容的姿勢・体験的実践による変容・関係性の重視・個人変容と社会的責任の統合)を説明できる。
・ 日本固有の心理療法と西洋心理療法(第3世代CBT・マインドフルネス等)との概念的親和性を具体的に挙げ、文化的感受性のある実践の重要性を述べることができる。
・ 森田療法における「精神交互作用」のメカニズム(症状への注意→注意の集中→症状の増強→さらなる注意)を説明し、「あるがまま」の原則がこの悪循環をどのように断つかを述べることができる。
・ 森田療法の4段階(絶対臥褥期・軽作業期・作業期・社会生活期)のそれぞれの目的と内容を説明し、ACTの「アクセプタンス」「価値に基づく行動」との概念的類似点を述べることができる。
・ 内観療法における内観の3テーマ(してもらったこと・して返したこと・迷惑をかけたこと)の内省プロセスが、感謝・罪責感・共感という感情変容を通じて人間関係観・自己観の変化を促す仕組みを説明できる。
・ 内観療法の主な適応領域(アルコール依存症・犯罪者の更生等)を挙げ、内観療法が有効とされる理論的根拠を述べることができる。
・ 動作療法における「動かそうとする意図(努力)と実際の動作(結果)のズレ」がどのように身体的・心理的問題に関与するかを、「動作−体験−自己」モデルを用いて説明できる。
・ 動作療法が脳性まひ等の身体・発達障害から精神的問題・健常者の自己成長へと対象を拡大してきた経緯を概説し、現代のソマティック・アプローチとの接点を述べることができる。
森田療法、精神交互作用、あるがまま、内観療法、してもらったこと・して返したこと・迷惑をかけたこと、動作療法(臨床動作法)、文化的感受性のある実践 、マインドフルネス、ソマティック・アプローチ
10
14
評価方法
期末テスト(100%)
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
なし
参考文献
下山晴彦・森田慎一郎(編著) 2023 心理学的支援法 ミネルヴァ書房、 野島一彦・繁桝算男(監修) 大山泰宏(編) 2021 公認心理師の基礎と実践15 心理学的支援法 遠見書房 、杉原保史・福島哲夫・東斉彰(編著) 2019 公認心理師標準テキスト 心理学的支援法 北大路書房
実験・実習・教材費
なし