区分
公認心理師関連科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力
科学コミュニケーション力
研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養
応用力
実践力
科目間連携
総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
この科目は公認心理師の受検資格を得るための必修科目であり、「臨床心理学概論」他の基礎的な講義科目や「公認心理師の職責」等の公認心理師科目を修めた後に履修し、「心理実習」を履修するまでに履修すべき科目である。
科目の目的
国家資格である公認心理師取得者が、他職種と連携しながら、よりよい支援を提供できる専門職となるためには、法や制度に対する理解が不可欠である。この科目では、公認心理師5領域(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)のそれぞれの現場で必要とされる法律や制度に関する基礎的知識を習得し、それらの下で支援を行うということはどういうことなのか、それらは実際の現場でどのような役に立っているのかについて理解を深めることを目的とする。
到達目標
・各領域における主な法律と制度についての知識を習得する
・各領域において、そうした法律や制度の下で、実際にどのような心理学的支援が行われているのかについて理解する
・各領域における法律や制度の、意義や課題について考える機会を持つ
・心理実習を履修するためのモチベーションを高める
科目の概要
本講義は、各領域で活躍する現役の公認心理師を講師に招き、各領域で必要とされる法や制度と現場での実践の関連について、具体的に紹介してもらう形で講義を進める。
そのため、各領域について1日で話してもらうことを原則とする。
ただし、教育領域については、講師の先生のご都合で1コマ×3日とする。
1日目(10月11日(土)3~5限)
第1回 授業説明 関係行政論概論
第2回 産業・労働領域1
第3回 産業・労働領域2
2日目(10月25日(土)3~5限)
第4回 医療保健領域1
第5回 医療保健領域2
第6回 医療保健領域3
3日目(11月15日(土)3限、4限)
第7回 教育領域1
第8回 復習回1
4日目(11月22日(土)3限)
第9回 教育領域2
5日目(11月29日(土)3限)
第10回 教育領域3
6日目(12月13日(土)3、4限)
第11回 福祉領域1
第12回 福祉領域2
7日目(1月18日(土)3限~5限)
第13回 司法・犯罪領域1
第14回 司法・犯罪領域2
第15回 復習回2
科目のキーワード
保健医療分野に関する法律、制度(医療法、精神保健福祉法等)、教育分野に関する法律、制度(教育基本法、いじめ防止対策推進法等)、福祉分野に関する法律、制度(児童福祉法、老人福祉法等)、産業・労働分野に関する法律、制度(労働基本法、男女雇用機会均等法等)、司法・犯罪分野に関する法律、制度(刑事法、医療観察法等)
授業の展開方法
5名の現役公認心理師が、2~3コマずつ交代で講義を行う。
講義の進め方は、講師ごとに異なる。
テキストも指定はするが、必ずしもそれに従って進めるものではなく、テキストの使用の仕方も講師ごとに異なることは了承願いたい。
〈担当講師〉
医療保健領域担当:新居浜病院 内田優也先生
教育領域担当:愛媛大学大学院教育学研究科 村上幸一先生
福祉領域担当:たんぽぽクリニック 松重明先生
産業・労働領域担当:人間環境大学学生相談室相談員 清家かおる先生
司法・犯罪領域担当:愛媛県警 大町彩子先生
講義の取りまとめ、第1回の授業説明、復習回については伊藤が担当する。
オフィス・アワー
伊藤義徳:※できるだけアポイントを取ってください
前期:火曜3限・4限
木曜1限・2限
後期:火曜3限・4限
木曜1限・2限
清家かおる:メール(k-seike@uhe.ac.jp)で質問に対応します。(産業・労働領域)
松重明:メール(a-matsushige@uhe.ac.jp)で質問に対応します。(福祉領域)
村上幸一:メール(ko-murakami@uhe.ac.jp)で質問に対応します。(教育領域)
内田優也:メール(yu-uchida@uhe.ac.jp)で質問に対応します。(医療保健領域)
科目コード
RG6070
学年・期
3年・後期
科目名
関係行政論
単位数
2
授業形態
講義
必修・選択
選択
学習時間
【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
展開科目
関連資格
公認心理師
担当教員名
伊藤義徳・大町彩子・清家かおる・松重明・村上幸一・内田優也
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
関係行政論概論
科目の中での位置付け
この科目では、公認心理師5領域(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)のそれぞれの現場で必要とされる法律や制度に関する基礎的知識を習得し、それらの下で支援を行うということはどういうことなのか、それらは実際の現場でどのような役に立っているのかについて理解を深めることを目的とする。
こうした目的のために、各領域で活躍する現役の公認心理師を講師が、その領域で必要とされる法や制度と現場での実践の関連について、具体的に紹介する形で講義を進める。第1回は本講義の概要とイントロダクションを行い、第2回、第3回は産業・労働領域、第4回~第6回は医療保健領域、第7回、第8回は福祉領域、第10回~12回は教育領域、第13回、第14回は司法・犯罪領域について講義を行う。第9回と第15回は復習回に当てる。
そうした中で、第1回では、本講義の概要と進め方について説明し、イントロダクションとして、関係行政論とは何か、なぜ学ぶ必要があるのか、さらには法律についての基本的知識について解説を行う。
伊藤直文 2023 公認心理師と法律 公認心理師スタンダードテキストシリーズ23「関係行政論」(下山晴彦・佐藤隆夫・本郷一夫(監修) 下山晴彦・慶野遥香(編著)) ミネルヴァ書房 pp.**-**.
元永拓郎 2018 心理支援と関係行政論 公認心理師の実践23「関係行政論」(野島一彦・繁桝算男(監修) 元永拓郎(編))遠見書房 pp.11-62.
コマ主題細目
① なぜ法律を学ぶ祓用があるのか ② 法律とは ③ 法律条文の基本構造
細目レベル
① 人の心理学的支援を行うために、なぜ法律を学ぶ必要があるのか。それは、日本が法治国家であり、法律によって我々は「守られて」生活しているからである。日常生活の中では、そのことを意識することは少ないかも知れない。しかし、犯罪にあったり、困った状態に陥ったとき、それを自覚する事もあるであろう。こうした法治国家にあって、公認心理師という国家資格が誕生した。国民は、法の下で公認心理師を安心して利用できるし、公認心理師となる我々もまた、法の下で安心して働くことができるのである。本講義を始めるにあたり、法律があることで我々がいかに守られており、助けられているかを想像することから始めたい。その上で、公認心理師が法律を学ぶことの意義について論じる。
② 「法」とは、人の集団が協力し合いながら生きていくために必要なルールである。そして「法律」とは、国の議会を経て制定される法のことである。日本には2000近い法律があると言われているが、最も優先順位が高い法律は憲法である。次に国際的なルールである条約があり、その下に多くの法律、制令、条例等が続く。このように、法律にも階層があるのである。また、この法律を作る役割が「立法」、その遵守を監督するのが「司法」、それを運用するのが「行政」であり、これらの三つの権力が集中した独裁的な国家とならないよう、三権分立が国民の権利と自由を保障するために必要だと考えられている。ここでは、このような法律の基本的な仕組みについて概説する。改めて、法律に従うと言うことがどういうことなのかについて、思いを致してほしい。
③ 法律には形式がある。例えば、法律の多くは、本則と附則から構成される。そして、本則の第1条には多くの場合法律の目的が記される。また、第2条には、その法律の対象となる事象の定義などが示されることが多い。また、法律の条文は、「条」「項」「号」の順で階層化されている。主要な項目は「条」として書かれ、その中のより細かな事項について「項」さらには「号」を用いて詳細に表記する。さらに、多くの条文は、主要な主張をする前段と、その後に続く後段の2文構成か、まれに中段を含む3文構成程度にまとめられることが多い。さらにこれに、「ただし書」が加わる。こうした法律の基本構成を理解しておくことで、法律を読み解きやすくなるであろう。ここでは、こうしたルールに基づきながら、公認心理師法を例に繙いてみる。
キーワード
① 法律 ② 日本国憲法 ③ 三権分立 ④ 条文の構造 ⑤ 公認心理師法
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
本講義で配付された資料と、本講義でとったノートを振り返り、今回の講義でどのようなことを学んだのか、100語程度でまとめてみる。また、覚えるよう指示された用語について、説明できるかどうか確認をする。今回は、法律というものの基本的な性質についていくつかの点から検討してきた。改めて、自身の生活において法律がどのような役に立っていて、法律を学ぶということが今後の自分をどのように変えていくか、想像してみてほしい。
【次回に向けての予習】
次回は、産業・労働領域についての講義となる。第1回で示された各領域に関わる法律リストの中で、産業・労働領域にどのような法律があるか、ざっと眺めておく。そして、次回のコマシラバスを読んで流れを理解した上で、気になる用語があれば自身で調べておくとよいだろう。
2
産業・労働領域1:労働環境に関する法律・制度
科目の中での位置付け
この科目では、公認心理師5領域(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)のそれぞれの現場で必要とされる法律や制度に関する基礎的知識を習得し、それらの下で支援を行うということはどういうことなのか、それらは実際の現場でどのような役に立っているのかについて理解を深めることを目的とする。
こうした目的のために、各領域で活躍する現役の公認心理師を講師が、その領域で必要とされる法や制度と現場での実践の関連について、具体的に紹介する形で講義を進める。第1回は本講義の概要とイントロダクションを行い、第2回、第3回は産業・労働領域、第4回~第6回は医療保健領域、第7回、第8回は福祉領域、第10回~12回は教育領域、第13回、第14回は司法・犯罪領域について講義を行う。第9回と第15回は復習回に当てる。
そうした中で、第2回・第3回では、労働者のメンタルヘルスに関連する法律を概説する。産業・労働領域で公認心理師が理解して、活用する産業・労働領域の法律を事例を通して、法律内容を概観し、検討する。第2回では、労働条件に関するルールや労働災害を防止するためのルールについて考える。
伊藤直文 2023 公認心理師と法律 公認心理師スタンダードテキストシリーズ23「関係行政論」(下山晴彦・佐藤隆夫・本郷一夫(監修) 下山晴彦・慶野遥香(編著)) ミネルヴァ書房 pp188-200 一般財団法人 日本心理研修センター監修 2018 公認心理師 現任者講習会テキスト 金剛出版 pp112-115 福島哲夫 2018 公認心理師 必携テキスト (尾久裕紀・山蔦圭輔・本田周二・望月聡(編集))学研 pp546-549
コマ主題細目
① 産業領域の事例① ② 労働条件に関する法律 ③ メンタルヘルス指針 ④ ストレスチェック制度 ⑤ 職場復帰支援
細目レベル
① 産業・労働領域は、「はたらく」ことを支援する領域である。メンタルヘルスが不調が想定される相談であっても治療の話に終始せず、労働者が「はたらく」ことを継続できるようにルールを踏まえた支援が求められる。「どのような支援が求められるか!」を考察する上で、実際の現場で、見られる事例から、具体的な支援方法を考えることが有益である。そこで、産業・労働領域で、よく相談に持ち込まれる相談内容を組み合わせた事例の検討を行う。事例を考える際には、「①働いている環境にルール違反がないか、②働きやすい環境づくりをするような対策がなされているか、③差別などのない平等な環境で働けるような取り組みがなされているか」の3つの方向性に関する法律を踏まえることが求められる。本時は、①・②に重点を置いて、産業・労働領域の法律の意味を考える。
② 労働基準法、労働安全衛生法、労働契約法は、働く人を取り巻く労働条件に関する主だったルールである。労働基準法は、労働条件の最低限を示すことで働く人を守る法律であり、労働安全衛生法や労働契約法、労働契約、労働規則は、働く人たちの権利を保障すると同時に義務を課すルールである。特に労働時間や給与や休日・休暇に関する相談を受けた際には、クライエントを取り巻くルールそのものが不適切なものでないかを客観的に確認しつつ、クライエントの問題に対して解決の支援をすることが求められる。これらのルールの効力関係について、就業規則は、法令、または、事業現場について適用される労働協約に反してはならないとされており、就業規則の基準より低い条件で取り交わされた労働契約は、低い条件のみ無効となり、就業規則の基準が適用される。このような法律相互の効力関係についての理解を深める。
③ メンタルヘルス指針の正式名称は、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(2015年改正)である。この指針では、メンタルヘルスケアの原則的な実施方法等が定められており、事業者は、この指針に基づいて各事業所の実態に即した形での積極的な取り組みが推奨されている。具体的には、「4つのメンタルヘルスケアの推進(セルフケア、ラインケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケア)」「メンタルヘルスケアの具体的進め方」等について定められている。メンタルヘルス指針には、「誰と連携して、誰に対して、何をするのか」というメンタルヘルス対策の全体像が示されており、産業・労働領域での活躍を目指す心理援助職種にとって、基本の内容の理解を深める。
④ ストレスチェック指針の正式名称は、「心理的な負担を把握するための検査及び、面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき処置に関する指針」(2018年改正)である。2014年に、労働安全衛生法が改正され、ストレスチェック制度が創設されたことを機に定められた。ストレスチェックは、従業員のメンタルヘルスに関する個人情報という、個人情報のなかでも、特に機微な情報を取り扱うことになるため、実施について細かい取り決めが定められている。ストレスチェック制度全体の流れを概観した上で、事業者、労働者、それぞれの立場で理解しておくべき点を整理する。ストレスチェック制度自体の特徴として、その目的が第一次予防である。病気の人を探し出すための制度ではなく、病気にならないように従業員のセルフケアの一助として活用されることが期待されている。故に、活用促進の援助方法について検討する。
⑤ メンタルヘルス不調で休職してしまった人に対して、職場復帰支援をするときには、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(2012年改訂)に基づいて支援が行われる。この手引きは法律ではないが、メンタルヘルス指針の中で示されている職場復帰における支援の実践のために、理解しておくことが非常に重要な内容である。この手引きでは、職場復帰支援の流れを5つのプロセスに分けて説明している。第1ステップは、「病気休業開始及び、休業中のケア」である。第2ステップは、「主治医による職場復帰可能の判断」である。第3ステップは、「職場復帰可否の判断、及び、職場復帰プランの作成」である。第4ステップは、「最終的な職場復帰の決定」である。第5ステップは、「職場復帰後のフォローアップ」である。職場復帰に関して、事業場としてのルールを持つ場合には、就業規則に記載されているので、それらのルールを確認のうえ、支援をすることへの理解を深める。
キーワード
① 労働基準法 ② 労働安全衛生法 ③ メンタルヘルス指針 ④ ストレスチェック制度 ⑤ 職場復帰支援
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
本講義で配付された資料と、本講義でとったノートを振り返り、今回の講義でどのようなことを学んだのか、100語程度でまとめてみる。また、覚えるよう指示された用語について、説明できるかどうか確認をする。今回は、産業領域の法律を事例を通して、検討してきた。日常生活において、法律がどのように関わっているのか、ニュース等にも、積極的に関心を持ち、法律を学ぶということが今後の自分をどのように変えていくか、想像してみてほしい。
【次回に向けての予習】
次回も、産業・労働領域についての講義となる。第2回で学習した法律を振り返りながら、その他にも、産業・労働領域にどのような法律があるか、日常生活の中で、見渡しておく。そして、次回のコマシラバスを読んで流れを理解した上で、気になる用語があれば自身で調べておくとよいだろう。
3
産業・労働領域2:労働者を守るための法律・制度
科目の中での位置付け
この科目では、公認心理師5領域(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)のそれぞれの現場で必要とされる法律や制度に関する基礎的知識を習得し、それらの下で支援を行うということはどういうことなのか、それらは実際の現場でどのような役に立っているのかについて理解を深めることを目的とする。
こうした目的のために、各領域で活躍する現役の公認心理師を講師が、その領域で必要とされる法や制度と現場での実践の関連について、具体的に紹介する形で講義を進める。第1回は本講義の概要とイントロダクションを行い、第2回、第3回は産業・労働領域、第4回~第6回は医療保健領域、第7回、第8回は福祉領域、第10回~12回は教育領域、第13回、第14回は司法・犯罪領域について講義を行う。第9回と第15回は復習回に当てる。
そうした中で、第2回・第3回では、労働者のメンタルヘルスに関連する法律を概説する。産業・労働領域で公認心理師が理解して、活用する産業・労働領域の法律を事例を通して、法律内容を概観し、検討する。第3回では、多様な「はたらく」を支援するためのルールについて考える。
伊藤直文 2023 公認心理師と法律 公認心理師スタンダードテキストシリーズ23「関係行政論」(下山晴彦・佐藤隆夫・本郷一夫(監修) 下山晴彦・慶野遥香(編著)) ミネルヴァ書房 pp200-205 一般財団法人 日本心理研修センター監修 2018 公認心理師 現任者講習会テキスト 金剛出版 pp116-122 福島哲夫 2018 公認心理師 必携テキスト (尾久裕紀・山蔦圭輔・本田周二・望月聡(編集))学研 pp549-553
コマ主題細目
① 産業領域の事例② ② ハラスメント関連の法律 ③ 障害者関連の法律 ④ 雇用関連の法律 ⑤ ワークライフバランスに関する制度」
細目レベル
① 産業・労働領域は、「はたらく」ことを支援する領域である。メンタルヘルスが不調が想定される相談であっても治療の話に終始せず、労働者が「はたらく」ことを継続できるようにルールを踏まえた支援が求められる。「どのような支援が求められるか!」を考察する上で、実際の現場で、見られる事例から、具体的な支援方法を考えることが有益である。そこで、産業・労働領域で、よく相談に持ち込まれる相談内容を組み合わせた事例の検討を行う。事例を考える際には、「①働いている環境にルール違反がないか、②働きやすい環境づくりをするような対策がなされているか、③差別などのない平等な環境で働けるような取り組みがなされているか」の3つの方向性に関する法律を踏まえることが求められる。本時は、③に重点を置いて、産業・労働領域の法律の意味を考える。
② 産業・労働領域で、ハラスメント関連の法律として、理解しておくべき法律は、男女雇用機会均等法と労働施策総合推進法である。男女雇用機会均等法の正式名称は、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」であり、雇用の分野における男女の平等を目指すとともに、働く女性の妊娠中・出産後の健康の確保を目的としている。労働施策総合推進方の正式名称は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」であり、労働者それぞれの多様な事情に応じた雇用の安定、職業生活の充実、労働生産性の向上を促進することにより、労働者の職業の安定と経済的社会的地位を向上させることを目的としている。これらの法律の内容を理解するとともに、判例や事例にも目を通しておくことが求められる。
③ 産業・労働領域で、障害者関連の法律として、特に理解しておくべき法律は、障害者雇用促進法である。障害者雇用促進法の正式名称は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」であり、障碍者が自立的に、安定して職業生活を営めるようになることを目的としている。この法律で意味する障害者とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、その他の心身の機能の障害があることで、長期にわたり、仕事をする上での制限があったり、仕事をすること自体が難しい人を指す。障害者も社会を構成する一因として、障害者なりのパフォーマンスを発揮してもらおうということが、基本的理念として掲げられている。障害者雇用促進法を基に支援を行う際に、障害者差別解消法についての理解を深めておくことが求められる。障害者差別解消法で定められた「合理的配慮」の提供は、障害者雇用促進法においても定められており、積極的に障害者を雇用する事業主に「特別給付金」等が支給されている。「合理的配慮」の事例についても目を通しておくことが肝要である。
④ 産業・労働領域で、雇用関連の法律として、理解しておくべき法律は、労働派遣法である。労働派遣法の正式名称は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」である。労働者派遣法の内容は、大きく分けると、「労働者派遣事業の適正な運営」と「派遣労働者の保護」であるが、心理援助職に特にかかわりが深いのは、「派遣労働者の保護」である。組織で働くときの雇用形態は、大きく正規社員と非正規社員に分けることができるが、非正規社員は、さらに、契約社員、委託社員、パートタイマーアルバイト、派遣社員などに分かれている。労働者派遣法は、これらの中でも派遣社員の保護、雇用の安定、福祉の増進等を目的としている。派遣社員は、所属している会社と仕事をする場所が異なる働き方であるため、特例的に派遣先企業にも責任の分担が定められている等、法律の定められている経緯や意味の理解を深め、支援方法について、考察する。
⑤ 産業・労働領域で、ワーク・ライフ・バランス関連の法律として、理解しておくべき制度は、介護休業制度や雇用保険制度、労災保険制度である。国は「介護離職ゼロ」を目標に掲げ、介護休業制度を策定して、仕事を辞めることなく、要介護状態にある家族を介護するために、介護休業などの仕事と介護の両立支援制度の利用拡充に努めている。また、男女とも仕事と育児・介護を両立できるように、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の拡充や介護離職防止のための雇用環境整備、個別周知・意向確認の義務化などの改正を行っている。しかし、その制度の利用が十分に進んでいないことが現状である。心理援助職として、介護や雇用保険制度、労災保険制度等の内容を理解し、労働者のワークライフバランスを支援する仕組みについて労働者に提示して、解説できるような包括的な援助方法について検討する。
キーワード
① 男女雇用機会均等法 ② 労働施策総合推進法 ③ 障害者雇用促進法 ④ 労働者派遣法 ⑤ ワークライフバランス
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
本講義で配付された資料と、本講義でとったノートを振り返り、今回の講義でどのようなことを学んだのか、100語程度でまとめてみる。また、覚えるよう指示された用語について、説明できるかどうか確認をする。第2回、第3回にわたって、産業領域の法律を事例を通して、検討してきた。日常生活において、法律がどのように関わっているのか、今後もニュース等にも、積極的に関心を持ち、法律を学ぶということが今後の自分をどのように変えていくか、想像してみてほしい。
【次回に向けての予習】
次回は、医療・保健領域についての講義となる。第1回で示された各領域に関わる法律リストの中で、医療・保健領域にどのような法律があるか、ざっと眺めておく。そして、次回のコマシラバスを読んで流れを理解した上で、気になる用語があれば自身で調べておくとよいだろう。
4
医療保健領域1:医療全般に関わる法律
科目の中での位置付け
この科目では、公認心理師5領域(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)のそれぞれの現場で必要とされる法律や制度に関する基礎的知識を習得し、それらの下で支援を行うということはどういうことなのか、それらは実際の現場でどのような役に立っているのかについて理解を深めることを目的とする。
こうした目的のために、各領域で活躍する現役の公認心理師を講師が、その領域で必要とされる法や制度と現場での実践の関連について、具体的に紹介する形で講義を進める。第1回は本講義の概要とイントロダクションを行い、第2回、第3回は産業・労働領域、第4回~第6回は医療保健領域、第7回、第8回は福祉領域、第10回~12回は教育領域、第13回、第14回は司法・犯罪領域について講義を行う。第9回と第15回は復習回に当てる。
そうした中で、第4回では、医療法と医療保険制度、医療従事者の責任と法律についての基本的知識と解説を行う。
伊藤直文 2023 公認心理師と法律 公認心理師スタンダードテキストシリーズ23「関係行政論」(下山晴彦・佐藤隆夫・本郷一夫(監修) 下山晴彦・慶野遥香(編著)) ミネルヴァ書房 pp.98-115.
元永拓郎 2018 心理支援と関係行政論 公認心理師の実践23「関係行政論」(野島一彦・繁桝算男(監修) 元永拓郎(編))遠見書房 pp.63-76.
コマ主題細目
① 医療法 ② 医療保険制度 ③ 医療従事者に関する法律 ④ 社会変化に対応した法律
細目レベル
① 医療機関の在り方を規定している医療法は、社会情勢の変化に対応し、改正されてきた。医療を行う「場所」「建物」の規制があり、病床数によって機関を種別し、開設においては行政許可をもらう。管理者は医師と決められており、国民は自らの意思で医療機関を選べるフリーアクセスのもと、広告規制がされている。医療の安全の確保の規定も含まれており、施策や研修の義務付けられている。国は、社会変化に合わせるため医療計画制度のもと計画を立て、医療ニーズと地域の実情により、一次から三次までの医療圏を設けて地域資源として確保している。また、特殊医療などを5疾病(がん、脳卒中、心血管疾患、糖尿病、精神疾患)、5事業(救急、災害、へき地、周産期、小児)とし、病床機能分化と病床数管理を都道府県単位において地域ごとに管理を行っている。
② 医療財政を賄う医療保険制度は、社会保険方式がとられ、支払能力に応じて、被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度の3つがとられている。社会保険加入は強制であり、支払い能力や年齢に応じた保険料が賦課徴収される。被用者保険は事業主が人を雇用することによって保険関係が成立し、保険料は事業主と労働者が折半する。健康保険、船員保険、各種共済組合が含まれる。被用者保険加入者、後期高齢者および生活保護受給者をのぞく全ての者の加入が国民健康保険であり、保険料の半分は公費で賄われる。75歳以上の人は後期高齢者医療制度の利用となり、保険者は1割負担となる。医療費は、診療報酬制度により検査や治療行為、薬剤ごとに全国一律に決められている。社会保険診療点数表により点数化され、定期的に改定される。保険制度を利用しない自由診療との混合診療は認められていない。
③ 医療行為、医療従事者の資格は、各職種の免許制度を設けて、有しない者のそれを禁止じている。公認心理師は主治医の指示を受けるようにとされている。医療従事者は法律的に義務違反(過失、予見性を前提とした結果回避義務違反)となった場合は、医療過誤として民事責任が問われることがある。適切な診療を施し、結果の実現に至るまで注意深く最善を尽くして行動する債務としての生命身体への保護義務、医療行為として治療法選択のため必要な情報と危険性について理解し同意を得るための情報提供の義務(説明義務)、業務上知り得た個人の情報を漏らさない守秘義務、診療録を作成し、5年間保管する診療録作成の義務、診断書・処方箋等交付義務などがある。
④ 社会情況と時代ニーズにより、医療安全、医療事故防止、院内感染対策、医療薬品管理、医療機器の管理、高齢者の医療確保に関する法律など医療の質の評価などが設けられている。医療の安全確保のために従事者に研修義務実施、アクシデント・インシデントの報告制度と医療安全推進者の配置を義務づけて、事故予防策の周知徹底を行うようにしている。また、医療事故調査制度を創設し、医療事故の場合は院内調査のほかに、医療事故・調査支援センターへの報告が義務付けられている。センターは結果を収集、分析し、再発防止への啓発を行う。患者や医療従事者などを介してもちこまれる細菌やウイルスを特定し、感染経路別の具体的な対策と防御方法があげられている。
キーワード
① 医療法 ② 医療保険制度 ③ 義務と過失 ④ 医療安全
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
本講義で配付された資料と、本講義でとったノートを振り返り、今回の講義でどのようなことを学んだのか、100語程度でまとめてみる。また、覚えるよう指示された用語について、説明できるかどうか確認をする。今回は、保健・医療の制度基本的なしくみについて解説した。医療機関を利用においての法律と生活の関連について想像をしてもらうとよいであろう。
【次回に向けての予習】
次回は、精神科医療領域についての講義となる。第1回で示された各領域に関わる法律リストの中で、精神科領域にどのような法律があるか、ざっと眺めておく。次回のコマシラバスを読んで流れを理解した上で、気になる用語があれば自身で調べておくとよいだろう。pp.116~117、pp.120~121の事例について読んでおく。
5
医療保健領域2:精神科医療に関わる法律と権利擁護
科目の中での位置付け
この科目では、公認心理師5領域(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)のそれぞれの現場で必要とされる法律や制度に関する基礎的知識を習得し、それらの下で支援を行うということはどういうことなのか、それらは実際の現場でどのような役に立っているのかについて理解を深めることを目的とする。
こうした目的のために、各領域で活躍する現役の公認心理師を講師が、その領域で必要とされる法や制度と現場での実践の関連について、具体的に紹介する形で講義を進める。第1回は本講義の概要とイントロダクションを行い、第2回、第3回は産業・労働領域、第4回~第6回は医療保健領域、第7回、第8回は福祉領域、第10回~12回は教育領域、第13回、第14回は司法・犯罪領域について講義を行う。第9回と第15回は復習回に当てる。
そうした中で、第5回では、精神科医療領域についての基本的知識と解説を行う。具体的には、精神保健福祉法、入院制度と権利の尊重、チーム医療について扱う。
伊藤直文 2023 公認心理師と法律 公認心理師スタンダードテキストシリーズ23「関係行政論」(下山晴彦・佐藤隆夫・本郷一夫(監修) 下山晴彦・慶野遥香(編著)) ミネルヴァ書房 pp.116-128.
元永拓郎 2018 心理支援と関係行政論 公認心理師の実践23「関係行政論」(野島一彦・繁桝算男(監修) 元永拓郎(編))遠見書房 pp.77-86.
コマ主題細目
① 精神保健福祉法 ② 入院制度と権利の尊重 ③ チーム医療と公認心理師
細目レベル
① 憲法の人権尊重のもと、歴史を経て、精神保健福祉法が制定され、精神障害者の医療と保護、地域社会への参加促進が進められてきた。生命危機や国民の状況に応じた入院形態が定められ、行動制限を伴いつつ治療が行われる。精神医療審査会を設けて、適切な治療と支援、権利擁護が守られるようにともなっている。非自発的入院や行動制限など患者の人権を制限する処遇を判断・実施する精神保健指定医資格を設け、精神保健福祉法が精神科医療の基本となり、精神障害者の医療と保護、社会復帰の促進、自立と社会経済的活動参加の促進と援助、精神疾患の発生予防など国民の精神保健の向上を図ることを目的とされている。時代の変遷とともに障害者総合支援法となったことについてもふれる。
② 入院治療の事例を通して、精神科治療についての治療と保護、退院後の社会活動参加の促進について想像をし、精神科治療において法律は何を守り、何を制限しているのかを理解する。自傷他害などの懸念がある場合において、本人の意思ではない入院によって治療が開始されることがあり、措置入院、医療保護入院、応急入院という。また、その場合においては、行動制限、隔離、身体拘束、面会・通信の制限というものがあることを理解する。患者や家族はそれらに対して、不服申し立てを行うことができる。精神医療審査会が各都道府県に設置されており、退院請求や処遇改善請求がなされた場合、入院や処遇について審議が行われる。また、医療機関は、入院患者の定期病状報告書を審査会に提出し、そこで審査が行われる。
③ 入院早期から多職種チーム医療による介入が導入され、早期退院を目指すケースワークやリハビリテーションの普及を進めていく施策が行われている。退院後の生活環境相談を設けて、地域の関係施設・機関と連携して患者の退院および地域への復帰を促進することが病院管理者に義務付けられている。社会参加制限や偏見などの不利益を念頭におき、患者の権利擁護に注意を払うことが必要とされている。医療従事者は、患者の自己実現とノーマライゼーションのために、精神科医療のなかにおいて連携と職責が求められている。時代とともに、心神喪失者等医療観察法の実施されるようになった背景や経緯もあり、患者の権利擁護と生活の場を地域へ移行させることが課題とされている。
キーワード
① 尊厳と権利 ② 行動制限と権利 ③ ノーマライゼーション
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
本講義で配付された資料と、本講義でとったノートを振り返り、今回の講義でどのようなことを学んだのか、100語程度でまとめてみる。また、覚えるよう指示された用語について、説明できるかどうか確認をする。今回は、精神科医療制度の基本的なしくみについて解説した。精神科医療の法律と患者さんの生活の関連について想像をしてもらうとよいであろう。
【次回に向けての予習】
次回は、地域保健医療についての講義となる。第1回で示された各領域に関わる法律リストの中で、地域保健においてどのような法律があるか、ざっと眺めておく。次回のコマシラバスを読んで流れを理解した上で、気になる用語があれば自身で調べておくとよいだろう。
6
医療保健領域3:地域保健
科目の中での位置付け
この科目では、公認心理師5領域(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)のそれぞれの現場で必要とされる法律や制度に関する基礎的知識を習得し、それらの下で支援を行うということはどういうことなのか、それらは実際の現場でどのような役に立っているのかについて理解を深めることを目的とする。
こうした目的のために、各領域で活躍する現役の公認心理師を講師が、その領域で必要とされる法や制度と現場での実践の関連について、具体的に紹介する形で講義を進める。第1回は本講義の概要とイントロダクションを行い、第2回、第3回は産業・労働領域、第4回~第6回は医療保健領域、第7回、第8回は福祉領域、第10回~12回は教育領域、第13回、第14回は司法・犯罪領域について講義を行う。第9回と第15回は復習回に当てる。
そうした中で、第6回では、地域保健領域についての基本的知識と解説を行う。具体的には、自殺対策、母子保健、地域包括ケア等について概説する。
伊藤直文 2023 公認心理師と法律 公認心理師スタンダードテキストシリーズ23「関係行政論」(下山晴彦・佐藤隆夫・本郷一夫(監修) 下山晴彦・慶野遥香(編著)) ミネルヴァ書房 pp.130-143.
元永拓郎 2018 心理支援と関係行政論 公認心理師の実践23「関係行政論」(野島一彦・繁桝算男(監修) 元永拓郎(編))遠見書房 pp.87-99.
コマ主題細目
① 地域保健法と精神保健福祉業務 ② 自殺対策基本法 ③ 母子保健法 ④ 地域包括ケア
細目レベル
① 各都道府県におかれている公的機関保健所では、地域保健法や精神福祉法により、こころと身体における知識普及や各種相談業務を担っている。自殺対策、ひきこもり、依存症、うつなど複合した問題は、医療にかかる前としての保健所の精神保健福祉業務とされている。正しい知識の普及、精神保健福祉相談、デイケア、依存症相談、ひきこもり相談、うつ相談・家族教室などが実施され、難病相談、薬事・食品衛生・環境衛生に関する監視指導を行う。また、各市町村におかれる保健センターでは、乳幼児健診、母子保健、健康診査、生活習慣病対策、予防接種、がん検診などの業務を行う。地域に密着し、地域住民全体の健康づくりを図ることから、医療機関を補完し、協働連携がされている。地域保健法では、住民保健サービスを推進するために、都道府県や市町村が役割を担い、支援体制の整備がなされていることが明記されている。入院医療中心のケアから地域社会でのケアの理念を理解する。
② 自殺を個人の問題から社会問題として捉えることから、家庭と職場において認識が浸透されるように、国をあげて取り組み対策強化が進められている。自殺対策基本法、自殺総合対策大綱が定められ、保健所、市町村、医師、心理、福祉の専門家、民間団体と連携して必要な医療と支援の形が提供されるように推し進められている。基本概念、基本認識、基本方針、重要施策、数値目標などが掲げられている。また、社会全体のリスクとして、経済変動による中高年男性へのリスク、家庭環境の変化と高度化社会による子供や若者のリスク、家庭と仕事の両立負担をもつ女性へのリスクなど、それらの個別的支援の強化と地域での対策取組強化など、時代の影響を踏まえた対策の推進などが追加されいる。自殺対策は心理支援のすべての分野において進めていくことが必要である。
③ 少子化が進む中で、母子保健法は母と子の健康保持増進を図り、子供の健康発達を強化推進することを目的とされている。各種保健指導、年齢での健康診査、妊娠の届出、母子健康手帳、低出生体重児の届出、養育医療などが設けられている。心理職は法律には明記されていないが、1965年の母子保健法の施行時より、発達相談員として活用されている。また、健康増進法、健康日本21では、国民の健康増進の総合的な推進のため、自らの健康観に基づく一人ひとりの取り組みを社会のさまざまな健康関連グループが支援していくことで、健康を実現することを理念としている。健康寿命の延伸と健康格差の縮小、栄養・喫煙・歯口腔衛生・など生活習慣病の一次予防と健康づくりのための各法律や諸施策が取られている。
④ 地域包括ケアシステムとは、高齢者や長期療養者が尊厳を保ちつつ、住み慣れた在宅や地域で生活を継続するために、医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるように、厚生労働省が2025年をめどに構築することを目指してきた。医療・看護、介護・リハビリ、保健・福祉の3領域からのサービスを提供できるようにしている。在宅医療とは、難病や慢性疾患においてもできる限り在宅で生活しながら、必要な医療が受けられるようにする医療提供体制のことである。訪問薬剤管理、訪問歯科診療、訪問リハビリ、訪問栄養指導、訪問看護が行われる。また、高齢者の相談や権利擁護、介護予防などの活動を行う地域包括ケアの中核的な機関として地域包括支援センターが設けられ、介護専門支援員(ケアマネージャー)により介護計画作成されている。
キーワード
① 国民の心の健康 ② 自殺総合対策 ③ 発達相談支援 ④ 居宅支援
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
本講義で配付された資料と、本講義でとったノートを振り返り、今回の講義でどのようなことを学んだのか、100語程度でまとめてみる。また、覚えるよう指示された用語について、説明できるかどうか確認をする。今回は、地域保健医療制度の基本的なしくみについて解説した。地域の保健機関や法律と生活の関連について想像をしてもらうとよいであろう。
【次回に向けての予習】
次回は、福祉領域の制度と法についての講義となる。第1回で示された各領域に関わる法律リストの中で、障害者(児)福祉においてどのような法律があるか、ざっと眺めておく。次回のコマシラバスを読んで流れを理解した上で、気になる用語があれば自身で調べておくとよいだろう。
7
福祉領域1:福祉制度概論と児童福祉
科目の中での位置付け
この科目では、公認心理師5領域(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)のそれぞれの現場で必要とされる法律や制度に関する基礎的知識を習得し、それらの下で支援を行うということはどういうことなのか、それらは実際の現場でどのような役に立っているのかについて理解を深めることを目的とする。
こうした目的のために、各領域で活躍する現役の公認心理師を講師が、その領域で必要とされる法や制度と現場での実践の関連について、具体的に紹介する形で講義を進める。第1回は本講義の概要とイントロダクションを行い、第2回、第3回は産業・労働領域、第4回~第6回は医療保健領域、第7回、第8回は福祉領域、第10回~12回は教育領域、第13回、第14回は司法・犯罪領域について講義を行う。第9回と第15回は復習回に当てる。
そうした中で、第7回は、社会保障や社会福祉の概論と、児童福祉に関する法律・サービス・制度を解説し、児童福祉における心理師の役割と連携について学ぶ。
伊藤直文 2023 公認心理師と法律 公認心理師スタンダードテキストシリーズ23「関係行政論」(下山晴彦・佐藤隆夫・本郷一夫(監修) 下山晴彦・慶野遥香(編著)) ミネルヴァ書房 pp.60-78.
コマ主題細目
① 福祉とは何か ② 社会保障・福祉の概要 ③ 児童福祉に関する法律 ④ 児童相談所の役割と児童虐待
細目レベル
① 福祉とは幸福のことであり、また現代では公的扶助やサービスによる生活の安定や充足を指す言葉として使われる。私達は生まれてから死ぬまでの間にさまざまな困難な出来事に遭遇し、安定した暮らしが脅かされることがある。人々の暮らしを支えるために、ライフステージごとの危機に応じた社会保障制度があるが、その中の一つに社会福祉がある。社会保障と社会福祉の位置づけを説明し、ライフステージに合わせてどのような福祉に関する法律や制度が存在しているのかの全体像を論じる。法律や制度が福祉職や心理職の実践の根拠となっていることを確認し、その上で福祉職の中で働く心理師の役割や、福祉職との連携における心理師の役割について考えるきっかけとしたい。
② 児童は児童福祉法により18歳に満たない者と定義されている。児童はその発達段階により社会的に弱い立場となり、権利を侵害されやすい。児童のくらしや権利を守る児童福祉法は児童福祉施策の基盤となるものであり、その他に児童虐待防止法、民法、子どもの権利条約、こども基本法など様々なの法律や制度が関わっている。それぞれの制度や法律の目的・意義など、児童福祉における概要を解説する。合わせて、母子及び父子並びに寡婦福祉法についての概要を解説する。
また具体的な事例を通して、児童福祉の制度がクライアントや家族とどのように関わり、心理師としてどのように連携することができるか考えることで、制度と実践を結びつける。
③ 児童虐待は児童の権利を著しく侵害し、心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与える。公認心理師として児童虐待に関わる児童、保護者に携わるケースも多い。児童虐待防止法における虐待の定義(身体的、性的、経済的、ネグレクト)と虐待種別における具体的な内容に加え、通告義務、市町村の役割、事業などについて解説する。また児童相談所の機能や役割を中心に児童福祉法に定める各種児童福祉施設について概要を説明し、どのように子どもの権利とくらしを守っていくのかを解説する。その上で具体的な事例を通して、児童虐待に関する支援の流れと携わる専門職・関連する児童の保護等に関する司法、公認心理師としての役割、実践について解説を行う。
キーワード
① 福祉とは何か ② 社会保障と社会福祉 ③ 児童福祉法 ④ 児童虐待防止法 ⑤ 母子及び父子並びに寡婦福祉法
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
本講義を通して学んだ資料・ノートを振り返り、自分なりの【福祉】に対する考えと児童福祉について重要だと思ったことを、それぞれ200文字程度でまとめる。また、児童福祉についての大切な用語については、説明できるかどうか確認をする。
児童養護の中で公認心理師としてどのような連携ができるか自分なりに考える。
【次回に向けての予習】
第1回で示された各領域に関わる法律リストの中で、障害者福祉、高齢者福祉領域にどのような法律があるか、ざっと眺めておく。また自分の身近にある福祉にどのようなものがあるか調べてみる。また、福祉に対して自身が持っているイメージを言語化して授業に望んでもらいたい。
8
福祉領域2:障害者福祉と高齢者福祉
科目の中での位置付け
この科目では、公認心理師5領域(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)のそれぞれの現場で必要とされる法律や制度に関する基礎的知識を習得し、それらの下で支援を行うということはどういうことなのか、それらは実際の現場でどのような役に立っているのかについて理解を深めることを目的とする。
こうした目的のために、各領域で活躍する現役の公認心理師を講師が、その領域で必要とされる法や制度と現場での実践の関連について、具体的に紹介する形で講義を進める。第1回は本講義の概要とイントロダクションを行い、第2回、第3回は産業・労働領域、第4回~第6回は医療保健領域、第7回、第8回は福祉領域、第10回~12回は教育領域、第13回、第14回は司法・犯罪領域について講義を行う。第9回と第15回は復習回に当てる。
そうした中で、第8回は、障害者福祉・高齢者福祉福祉に関する法律・制度・サービスや、歴史的変遷を解説し、障害者福祉・高齢者福祉における心理師の役割と連携について学ぶ。
伊藤直文 2023 公認心理師と法律 公認心理師スタンダードテキストシリーズ23「関係行政論」(下山晴彦・佐藤隆夫・本郷一夫(監修) 下山晴彦・慶野遥香(編著)) ミネルヴァ書房 pp.44-59.80-95
コマ主題細目
① 障害者福祉の歴史 ② 障害者福祉に関する法律と制度 ③ 高齢者福祉における法律や制度 ④ 介護保険法と多職種連携について
細目レベル
① 「障害」は特別なものではなく誰もが抱える可能性があり、その定義も時代によって変遷している。WHO(世界保健機構)のICIDH(国際障害分類)モデルからICF(国際生活機能分類)モデルへの転換や、日本の障害福祉の歴史を見ることで、法律や制度のもととなっている障害の捉え方や考え方の基礎を解説する。また福祉先進国であるデンマークで生まれたノーマライゼーションの理念や東南アジアでの福祉などその国に応じた障害者施策について、講師の体験を通じて解説し、福祉とは何かを考えるよう促す。障害者福祉制度について、知的障害・精神障害・身体障害者・発達障害・難病など障害に応じた法律と障害者総合支援法について制度の概要や理念・各種サービスについて解説する。具体的な事例を通して、どのようにサービスを利用することで、くらしを支えるのかについて詳しく解説し、福祉分野で働く公認心理師の役割について考えたい。
② 日本は世界第1位の高齢化率の国であり、今後もますます高齢化が進んでいくと見込まれている。高齢福祉の領域は、老人福祉法を中心とした福祉制度によって租税を財源にさまざまな高齢者支援が展開されてきた。しかし国や市町村などの財政的な問題に加え、核家族化、独居高齢者や老々介護の増加、地域コミュニティのつながりの減少など、さまざまな社会的な課題がある中で、2000年の介護保険が始まり社会保険制度によって運営されることとなった。介護保険制度が目指す社会像や理念、地域包括ケアシステムを解説することで、高齢福祉のあるべき姿や役割について解説する。さらに、高齢者虐待防止法、老人福祉法などの概要もおさえ、高齢者福祉施策の全体像を学習する。
③ 介護保険制度の保険給付の仕組みや介護認定、サービスの利用、ケアマネジメントなど制度の基本的な概要を事例を通じて解説し、介護保険を利用する利用者や家族と制度を結び付けて学習する。また、さまざまな職種が連携しクライアントを支援していく中で、専門性や見立てが異なることが連携の阻害要因となることがある。その構造を解説することで、多職種との連携のポイントやあり方、気を付けるべき留意事項を考える。また、福祉分野で支援する際に倫理的ジレンマを抱えることがある。相反するクライアントの利益の中で、どのように福祉専門職が倫理的ジレンマと向き合っているのか、心理職としてどのように連携していくのかを検討する。また、制度や法律は完全ではなく、制度の狭間に陥り支援が行き届いていないケースもある。制度と実践の関係性と私達がなすべきことについて共に考えたい。
キーワード
① ICF ② 障害者総合支援法 ③ 介護保険法 ④ 地域包括ケアシステム
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
本講義を通して学んだ資料・ノートを振り返り、障害福祉・高齢福祉・多職種連携で重要だと思ったことをそれぞれ200字程度でまとめる。
また、高齢福祉、障害福祉についての大切な用語については、説明できるかどうか確認をする。
障害福祉・高齢福祉領域で公認心理師としてどのような連携ができるか自分なりに考える。
【次回に向けての予習】
次回は復習コマであり、復習テストを行う。これまで第1回~第8回までの講義で学んできたことを振り返っておこう。これまでに行ってきた小テストがまとめられたドリルが作成されるので、これを行ったり、これまでの講義で配付された資料を今一度見直して、各講義で話されたこと、自身が考えたことを今一度思い出しておいてほしい。
9
復習回1
科目の中での位置付け
この科目では、公認心理師5領域(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)のそれぞれの現場で必要とされる法律や制度に関する基礎的知識を習得し、それらの下で支援を行うということはどういうことなのか、それらは実際の現場でどのような役に立っているのかについて理解を深めることを目的とする。
こうした目的のために、各領域で活躍する現役の公認心理師を講師が、その領域で必要とされる法や制度と現場での実践の関連について、具体的に紹介する形で講義を進める。第1回は本講義の概要とイントロダクションを行い、第2回、第3回は産業・労働領域、第4回~第6回は医療保健領域、第7回、第8回は福祉領域、第10回~12回は教育領域、第13回、第14回は司法・犯罪領域について講義を行う。第9回と第15回は復習回に当てる。
そうした中で、第9回は復習回とする。これまで学んできた産業・労働領域、医療保健領域、福祉領域についての知識を整理するための復習テストを行い、解説する。
第1回~第8回授業資料
コマ主題細目
① 関係行政論概論 ② 産業・労働領域 ③ 医療保健領域 ④ 福祉領域
細目レベル
① 第1回では、イントロダクションとして、関係行政論とは何か、なぜ学ぶ必要があるのか、さらには法律についての基本的知識について解説された。本講義を始めるにあたり、法律があることで我々がいかに守られており、助けられているかについて考えた。そして、法律の基本的な仕組みについて概説された。その上で、法律に従うと言うことがどういうことなのかについて検討した。さらに、法律の構造について学び、その観点から、公認心理師法の各条項を検討した。普段は馴染みがない法律だが、案外自分たちの役に立っていることを実感し、さらに、法律にこちらから近づく準備を整えることを目的とした回であった。そのことを今一度思い出してほしい。
② 第2回、第3回では、労働者のメンタルヘルスに関連する法律が概説した。産業・労働領域で公認心理師が理解して、活用する産業・労働領域の法律を事例を通して、法律内容を概観し、検討した。第2回では、労働条件に関するルールや労働災害を防止するためのルールについて考えた。具体的には、労働条件に関する法律、メンタルヘルス指針、ストレスチェック制度、職場復帰支援等について概説し、事例を検討した。また第3回では、多様な「はたらく」を支援するためのルールについて考えた。具体的には、ハラスメント関連、障害者関連、雇用関連の法律、及びワークライフバランスに関する制度について概説した。それぞれの法律が労働者をどのように助けているのか、目に見えない仕組みを想像できるようになってほしい。
③ 第4回は、医療法と医療保険制度、医療従事者の責任と法律について学んだ。医療法は医療機関の在り方を規定している。また、医療における財政面を形作っているのが医療保険制度である。こうした枠の中で、医療従事者もまた法的責任を意識して働かなくてはならない。第5回は、精神科医療領域についての基本的知識について学んだ。具体的には、精神保健福祉法、入院制度と権利の尊重、チーム医療について考えた。さらに第6回では、地域保健領域についての扱われた。具体的には、自殺対策、母子保健、地域包括ケア等について解説が行われた。保健医療領域は、最も法と制度が整った領域と言えるが、その分社会のニーズの変化に応じた法制度の変革も早い。現在の状況について学ぶだけでなく、変化に敏感になり、常に新しい情報に対応する意識を養ってほしい。
④ 第7回は、社会保障や社会福祉の概論と、児童福祉に関する法律・サービス・制度を解説し、児童福祉における心理師の役割と連携について学んだ。はじめに社会保障と社会福祉の位置づけについて概説があり、ライフステージに合わせてどのような福祉に関する法律や制度が存在しているのかの全体像が論じられた。その後、特に児童福祉法と関連法律、さらにそれに関わる施設が紹介された。第8回は、障害者福祉・高齢者福祉福祉に関する法律・制度・サービスや、歴史的変遷を解説し、障害者福祉・高齢者福祉における心理師の役割と連携について学んだ。知的障害・精神障害・身体障害者・発達障害・難病など障害に応じた法律と障害者総合支援法について制度の概要や理念・各種サービスについて解説され、さらに高齢者福祉に関連して、介護保険法や介護保険施設について説明がなされた。健康で問題が無いうちは必要としない分野かも知れないが、誰もが必要となる可能性のある領域であり、積極的に興味を持って学んでみてほしい。
キーワード
① 産業・労働領域の法と制度 ② 保健医療領域の法と制度 ③ 福祉領域の法と制度
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
今回は、復習テストをもってかえる。
復習・予習課題
【本講義の復習】
復習テストの成果を受け、間違った問題を中心に見直しをしておくこと。特に、60点に届かなかった人は、危機感を持って確りと復習をしておくように。復習テストのドリルも作成されるので、何度も試してみてほしい。ただ合っていた間違っていただけではなく、なぜ間違えたのかについて理解をしておくことが、本当の学習の成果につながるだろう。
【次回に向けての予習】
次回は、教育領域の制度と法についての講義となる。第1回で示された各領域に関わる法律リストの中で、学校関連においてどのような法律があるか、ざっと眺めておく。次回のコマシラバスを読んで流れを理解した上で、気になる用語があれば自身で調べておくとよいだろう。
10
教育領域1: チーム学校、危機介入、いじめ
科目の中での位置付け
この科目では、公認心理師5領域(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)のそれぞれの現場で必要とされる法律や制度に関する基礎的知識を習得し、それらの下で支援を行うということはどういうことなのか、それらは実際の現場でどのような役に立っているのかについて理解を深めることを目的とする。
こうした目的のために、各領域で活躍する現役の公認心理師を講師が、その領域で必要とされる法や制度と現場での実践の関連について、具体的に紹介する形で講義を進める。第1回は本講義の概要とイントロダクションを行い、第2回、第3回は産業・労働領域、第4回~第6回は医療保健領域、第7回、第8回は福祉領域、第10回~12回は教育領域、第13回、第14回は司法・犯罪領域について講義を行う。第9回と第15回は復習回に当てる。
そうした中で、第10回目では、法的根拠に基づいて、それぞれの課題に学校の組織による“学校支援”や必要に応じて、外部の関係機関との協力や連携をして取り組んでいくことを理解する。
髙坂康雄2021年
深掘り関係行政論教育分野(野島一彦監修)北大路書房
コマ主題細目
① チーム学校 ② 危機介入 ③ いじめ
細目レベル
① チーム学校 a学校でのいじめや不登校、学級崩壊、体罰等の問題は、個人の対処療法的な「治療レベル」ではない。他の子どもや教師、学級、学校そして地域社会と関わりながら成長している子どもの「成長発展促進モデル」として捉える必要がある。bチームの特徴では、学校の問題は、学校だけに限らず広く地域やネット上でも発生している。問題の中身によって様々な関係機関との連携も考慮したチームの在り方にもふれる。cチームのメリット・デメリットでは、チームの連携が大きくなれば、デメリットの問題にも配慮しなければならない。また、学校におけるチームづくりの在り方等についての答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策」が、中央教育審議会から出された。そこには、専門性に基づくチーム体制の構築や学校のマネジメント機能の強化、教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備について取り上げられている。
② 危機介入 a学校で想定される事件、事故、災害から学校保健安全法の意義を考える。bカプランの「三段階の予防レベル」から災害が起きたときのための防災訓練等(一次予防)、不登校やいじめへの早期発見対応(二次予防)、被害に遭った児童生徒が不安にならないような対応(三次予防)を理解する。c養護教諭、スクールカウンセラー、学級担任、管理職等の立場の違いによる支援や連携の必要性も理解する。危機介入の法的根拠になっているのが、「学校保健安全法」である。そこには、健康に関する内容(健康診断、健康相談、保健指導)と安全に関する内容(危険防止・対処、危機管理マニュアル)がある。これらは、caplanの予防の三原則(発生予防、早期発見・早期対応、再発防止)に基づいていることを認識しておかなければならない。
③ いじめ a定義から、一定の人間関係(学校外も含む)者から、一度の行為であっても加害者にその意図がなくても精神的苦痛を被害者が感じれば、いじめになることを確認する。bいじめの事実認定は後回しにして、いじめだと思われた時点から適切かつ迅速な対処及び支援が求められることを理解する。cいじめを理解するためには、「いじめの四層構造」や「スクール・カースト」など子どもの間の関係性を理解・把握することも必要である。いじめについては「いじめ防止対策推進法」が根拠法になる。学校では、この法に基づいて、「学校いじめ防止基本方針」を設定し、「いじめの防止等の対策のための組織」を設置する。さらに、いじめの早期発見や早期対応のために定期的にいじめの調査を実施していることを理解する。SCとして勤める学校での取組を早いうちに把握して、SCとしての支援を想定していかなければならない。
キーワード
① 成長発展促進モデ ② 三段階の予防レベル ③ 関係性いじめ
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
限られた時間での講義は全てを満たすものにはならない。講義を通してさらに知りたいことや疑問点を見つけて、自分で調べたりすることで理解が深まり記憶に残る。この第1回目の「チーム学校」「危機介入」「いじめ」はともに重要なテーマである。なかでも「チーム学校」では、組織が十分に機能していなかったり、関係機関とうまく連携できていなかったりすることも現実よくあることで、大切なことは見過ごさないことである。
【次回に向けての予習】
第2回目のシラバス内容(不登校、児童虐待、特別支援教育)について、小中高の頃身近に感じたことがあれば、良いことも悪いことも含めて振り返ってみる。プライベートなことは取り上げないが、学校で起きていることを客観的に捉えるは必要である。特に、不登校児童生徒が学級や学校にどのくらいいたのかやその人たちがなぜ不登校になったのか、卒業するまでどうだったのか、卒業後の進路等をわかるところで思い出して、メモしておく。それをすれば、講義がより理解されやすくなる。
11
教育領域2:不登校、児童虐待、特別支援教育
科目の中での位置付け
この科目では、公認心理師5領域(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)のそれぞれの現場で必要とされる法律や制度に関する基礎的知識を習得し、それらの下で支援を行うということはどういうことなのか、それらは実際の現場でどのような役に立っているのかについて理解を深めることを目的とする。
こうした目的のために、各領域で活躍する現役の公認心理師を講師が、その領域で必要とされる法や制度と現場での実践の関連について、具体的に紹介する形で講義を進める。第1回は本講義の概要とイントロダクションを行い、第2回、第3回は産業・労働領域、第4回~第6回は医療保健領域、第7回、第8回は福祉領域、第10回~12回は教育領域、第13回、第14回は司法・犯罪領域について講義を行う。第9回と第15回は復習回に当てる。
第11回目では、法的根拠に基づいた、課題への取組を説明して、学校の支援体制に外部の関係機関からの協力が特に必要になる課題であることに注目する。
髙坂康雄2021年
深掘り関係行政論 教育分野(野島一彦監修)北大路書房
増田健太郎2019年
教育分野 理論と支援の展開(野島一彦監修)創元社
コマ主題細目
① 不登校 ② 児童虐待 ③ 特別支援教育
細目レベル
① 不登校 a不登校の定義にある「登校しないあるいはしたくともできない状況」から、主要因にいくつもの要因が積み重なっている状況を想像する。b不登校の要因となる情報を集め、分析して児童生徒にふさわしい働きかけを探ることの過程を理解する。c関係機関(教育支援センター等)では、社会的自立を支援するために、学習支援をはじめさまざまな体験活動等を実施していることを理解する。そして、児童生徒が学校に疎外感を持たせないよう定期的な本人や施設との連絡の必要性を認識する。不登校においては、「教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する機会の確保等に関する法)」が根拠法である。この法の定義は何回か変更がなされ、最終的に文科省の「児童生徒の問題行動不登校生徒指導上の諸課題に関する調査」のなかで取り上げられている表現が定義にされている。
② 児童虐待 a身体的な虐待を受けていた生徒の体験談を通して、虐待行為を判断することの難しさに触れる。b虐待につながるリスクに保護者や子ども、養育環境等の要因があることを確認する。c虐待を発見すれば、市町村や児童相談所に通告しなければならないが、SCが学校において虐待の疑いを確認しても、チームとしての動きからSC単独での通告はしない。SCは虐待の事実を詳細に記録に残して、校長から通告してもらうことが重要であることを理解する。児童虐待は、大きくは国連で採択された「子どもの権利条約」を日本が批准したことにより、根拠法になる「児童虐待防止法」が制定されている。さらにこの法に基づいて、子どもの権利を保護する見地から「児童福祉法」がつくられている。そこから市町村・福祉事務所や児童相談所との連携を密にして児童生徒を社会全体で見守っていく必要があることを理解する。
③ 特別支援教育 a「特別支援学校」「特別支援学級」「通級による指導」にはそれぞれ法的根拠があり、障害のある子どもたちには適切な就学の機会が必要であることを理解する。b発達障害者支援法が制定されて以降、発達障害者の認定数が急増している問題には、2016年の法改正で多様な取組がされるようになったことから理解する。C特別支援教育コーディネーターは校内委員会の企画・運営や巡回相談員との連携、保護者の連絡窓口等により特別支援教育を推進していく役割を担っていることを理解する。特別支援学校や特別支援学級に関する根拠法には、「学校教育法」があり、通級での指導には、「学校教育法施行規則」がある。さらに、「発達障害者支援法」が制定されて以降、特別支援教育を受ける児童生徒の半数以上は知的障害者等を含む発達障害者であることを理解しておかなければならない。
キーワード
① 教育機会確保法 ② 子どもの権利条約 ③ 発達障害者
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
今回の授業内容を振り返り、不登校、児童虐待、特別支援教育の共通点は、特にチーム学校が必要であることを認識しなければならない。それを念頭に考えていけば、学校の組織の在り方や関係機関との連携の重要性がより理解される。また、それぞれ法的根拠も「不登校」「児童虐待」「特別支援教育」の具体的な事例に基づいて考えていけば、得心が得られ、記憶に残りやすくなる。地道に関連するキーワード等には目を通しておくことである。
【次回に向けての予習】
第3回目のシラバス(体罰・学級崩壊、教師のストレス・モンスターペアレント、腑に落ちる)では、「体罰や学級崩壊」には身近に感じるところがあるかもしれないので、いろいろと振り返ってみる。「教師のストレス・モンスターペアレント」は教師の経験がないと分かりにくいかもしれないが、次の「腑に落ちる」と関連させると、理解できる。どんなストレスやモンスターペアレントなのかを想像してみる。
12
教育領域3:体罰・学級崩壊、教師のストレス・モンスターペアレント他
科目の中での位置付け
この科目では、公認心理師5領域(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)のそれぞれの現場で必要とされる法律や制度に関する基礎的知識を習得し、それらの下で支援を行うということはどういうことなのか、それらは実際の現場でどのような役に立っているのかについて理解を深めることを目的とする。
こうした目的のために、各領域で活躍する現役の公認心理師を講師が、その領域で必要とされる法や制度と現場での実践の関連について、具体的に紹介する形で講義を進める。第1回は本講義の概要とイントロダクションを行い、第2回、第3回は産業・労働領域、第4回~第6回は医療保健領域、第7回、第8回は福祉領域、第10回~12回は教育領域、第13回、第14回は司法・犯罪領域について講義を行う。第9回と第15回は復習回に当てる。
そうした中で、第12回目は、学級担任や部活動の顧問等と児童生徒や保護者、地域の人等の間に発生する問題を取り扱う。そこには、第三者(SCや養護教諭等)が介入することで、当事者に行き違いのあることを気づかせたりや誤解を解消させたりするための取組が必要になってくる。そのためにも「腑に落ちる」の意味を理解して、第三者の立場でよりよい解決を見いだしていくことである。
増田健太郎2019年
教育分野 理論と支援の展開(野島一彦監修)創元社
コマ主題細目
① 体罰・学級崩壊 ② 教師のストレス・モンスターペアレント ③ 腑に落ちる
細目レベル
① 体罰・学級崩壊 体罰も学級崩壊も教師と児童生徒との間を取り持つ存在が必要であることに気づく。教師側で気づかなくても、生徒側で見えることもある。その双方の間に立てるのがSCであったり養護教諭等であったりする。教師と児童生徒とのコミュニケーション促進の支援や他の教師からの協力を得て、学級で取り組めることを仕掛けることが鍵であることを理解する。体罰は「学校教育法」が根拠法であり、校長及び教員は、懲戒は加えることがあっても、体罰はできないと明記されている。その懲戒と体罰の違いが、文科省から出されている「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について」の通知に記されている。学級崩壊は、国立教育政策研究所生徒指導研究センターから出されている「学級運営等の在り方についての調査研究報告書」に、対応の重要な視点が取り上げられている。
② 教師のストレス・モンスターペアレント これらはともに教師が直接対処する課題である。これらは、次の「腑に落ちる」とも関連する事柄で、ここには当事者と対象者との間に介入する方が良いと考えるSCや養護教諭、ベテラン教師の存在がある。教職は一所懸命に尽くす感情労働の職業であるだけでなく、その職場は一人で何もかも任される鍋蓋型組織になっているため代わりになる教師がいないのが現実である。初任者であればリアリティーショックを感じ、少し経験を積めば何もかも一人で背負っている現実がある。その結果、責任上助けを求められなくてバーンアウトしてしまうことがよくある。「モンスターペアレント」は、対象が保護者だけに、こじれると、一人で解決することが著しく難しくなる。ここでも「ホウレンソウ」や「チョウリカクニン」の動きを組織で対応することが重要になってくるのである。以上の事柄を踏まえて講義を聴いていけば、理解がより高まると考える。ここでは、教育実践学研究から「学校に批判的な保護者への対応~経験豊富な教師の語りの質的分析~」の興味深い論文を紹介し、ベテラン教師の対応について理解する。
③ 「腑に落ちる」は、これまでの内容にも通じるところがあり、SCとして初めて勤めるところでは教訓にしてほしい言葉である。初めて務める学校では、様々なところから情報を集める必要がある。そして、環境が地域をそして子どもを育てることを念頭に置いて、保護者や地域の人とも積極的に関わらなければならない。仮に、SCとして課題に対応していくことになれば、とかく専門性を発揮してしまい教師や保護者とは難しい話になってしまうことがある。しかし、必要なことは、「伝える」ではなく「伝わる」コミュニケーションスキルであることを認識してもらいたい。その専門性には、人と人との和・輪を大切にする人間性や対象者の状況を意識した社会性が伴っていなければならない。重要なことは、学校組織のなかでのSCの立ち位置を理解していることである。そのためにも情報収集は大事である。「郷に入っては、郷に従え」で、教育場面はどこでも臨床場面になり得ると肝に銘じていなければならない。そう捉えていれば、即事・即時の支援ができたり、信頼関係をつくれたりするのである。
キーワード
① 懲戒と体罰 ② 感情労働 ③ バーンアウト
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
今回の「体罰・学級崩壊」「教師のストレス・モンスターペアレント」については、いづれも「腑に落ちる」の意味、内容に通じるところがある。どの問題でも視点を変えてみたり、立場を置き換えてみたりすることで解決の糸口が見い出せることがある。例えば、体罰も学級崩壊も当事者には気づけないことがある。本人の立場からすれば余裕がないのではあるが、視点を変えればあらたな解決が見つかり、改善の糸口につながることがある。一つ一つのトピックについて、今一度自身の学校生活を振り返って考えてみてほしい。
【次回に向けての予習】
次回は、司法・犯罪領域の制度と法についての講義となる。第1回で示された各領域に関わる法律リストの中で、学校関連においてどのような法律があるか、ざっと眺めておく。次回のコマシラバスを読んで流れを理解した上で、気になる用語があれば自身で調べておくとよいだろう。
13
司法・犯罪領域1:刑法に関わる法制度と公認心理師の役割
科目の中での位置付け
この科目では、公認心理師5領域(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)のそれぞれの現場で必要とされる法律や制度に関する基礎的知識を習得し、それらの下で支援を行うということはどういうことなのか、それらは実際の現場でどのような役に立っているのかについて理解を深めることを目的とする。
こうした目的のために、各領域で活躍する現役の公認心理師を講師が、その領域で必要とされる法や制度と現場での実践の関連について、具体的に紹介する形で講義を進める。第1回は本講義の概要とイントロダクションを行い、第2回、第3回は産業・労働領域、第4回~第6回は医療保健領域、第7回、第8回は福祉領域、第10回~12回は教育領域、第13回、第14回は司法・犯罪領域について講義を行う。第9回と第15回は復習回に当てる。
そうした中で、第13回は、司法・犯罪領域の制度と、公認心理師による臨床行為との関連について理解する。
伊藤直文 2023 公認心理師と法律 公認心理師スタンダードテキストシリーズ23「関係行政論」(下山晴彦・佐藤隆夫・本郷一夫(監修) 下山晴彦・慶野遥香(編著)) ミネルヴァ書房 pp.144-155
コマ主題細目
① 被害者への制度 ② 加害者への制度 ③ 医療観察制度
細目レベル
① 被害者への制度である犯罪被害者等基本法は、被害者やその遺族自身が声を上げてきて成立した流れがある。近年でも大きく変化しており、最新の被害者支援の関係法令について、犯罪被害者等基本法を中心に学ぶ。犯罪などの故意の犯罪行為により不慮の死を遂げた犯罪被害者の遺族又は重症病もしくは障害という重大な被害を受けた犯罪被害者に対しては、情報提供や負担軽減、安全確保や犯罪被害者等給付金など社会の連帯共助の精神に基づき、精神的・経済的打撃の緩和を図る制度がある。犯罪被害者としてクライエントの心理的支援に携わる機会は多くあり、心理面での配慮や心理は当然として、被害者を守り回復を支えるための制度を知っておくことで、多角的で力強い援助を展開することにつなげるために、制度を理解する。
② 刑事司法における犯罪者(成人)に対する手続きの流れを確認する。また、刑事施設の種類や処遇について確認する。刑事施設で働く心理職は多く、心理アセスメントを実施し、薬物事犯者や性犯罪者、暴力団からの離脱を目雑ものなど、特定の問題を持つ受刑者向けのプログラムが展開されている。さらに、近年、保護観察中や矯正施設出所後の「刑務所に戻りたかった」などと述べるような再犯による、更生保護の問題点が指摘され、更生保護法が施行されている。さらに、刑の一部執行猶予や、刑務所を出所した人の更生のための支援、更生保護について学ぶ。適切な社会内処遇を行い、出所後も専門治療が必要な者には、生活支援体制を話し合い場が設けられ、途切れることがない支援を提供し、再犯防止を目指す制度について学ぶ。
③ 第5回の精神科医療領域の精神保健の分野にも関連するが、犯罪を犯したものが、心神喪失として責任能力がないと判断され医療観察法の適用となった場合などの措置入院制度との違いや医療観察制度について学ぶ。ほか、2009年から導入された裁判員裁判では、一般市民から選ばれた裁判員が裁判官と協働して裁判を行う。このため、裁判員への精神的負担が懸念されている。公認心理師には、裁判員の心理的負担について提言を求められたり、事後のケアを依頼される機会も増加する可能性がある。司法・犯罪領域では、犯罪被害者のカウンセリングや、裁判員の心理的負担へのケア、再犯防止でのも公認心理師の活躍が期待されている。司法領域だけでなく、医療領域でもクレプトマニアやパラフィリアなどのアディクションの問題でかかわる際には、刑事司法制度は切り離せない関係にあり、制度やその限界を知り、公認心理士の業務への多角的な理解につなげる。
キーワード
① 犯罪被害者等基本法 ② 更生支援 ③ 矯正心理専門職
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
本講義で配付された資料と、本講義でとったノートを振り返り、今回の講義でどのようなことを学んだのか、100語程度でまとめてみる。また、覚えるよう指示された用語について、説明できるかどうか確認をする。司法・犯罪領域の法律を事例を通して、検討してきた。理不尽な犯罪被害にあった被害者にどう支援するか、加害者や、加害者家族にどう支援するかなど、身近な犯罪などのニュース等は、関心が高いと思われる。公認心理師としてどう支援していくかの立場で考えてほしい。
【次回に向けての予習】
次回は司法・犯罪領域ついての講義のうち、少年司法、民事・家事となる。第1回で示された各領域に関わる法律リストの中で、少年司法等においてどのような法律があるか、ざっと眺めておく。次回のコマシラバスを読んで流れを理解した上で、気になる用語があれば自身で調べておくとよいだろう。
14
司法・犯罪領域2:少年司法制度と民事・家事事件
科目の中での位置付け
この科目では、公認心理師5領域(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)のそれぞれの現場で必要とされる法律や制度に関する基礎的知識を習得し、それらの下で支援を行うということはどういうことなのか、それらは実際の現場でどのような役に立っているのかについて理解を深めることを目的とする。
こうした目的のために、各領域で活躍する現役の公認心理師を講師が、その領域で必要とされる法や制度と現場での実践の関連について、具体的に紹介する形で講義を進める。第1回は本講義の概要とイントロダクションを行い、第2回、第3回は産業・労働領域、第4回~第6回は医療保健領域、第7回、第8回は福祉領域、第10回~12回は教育領域、第13回、第14回は司法・犯罪領域について講義を行う。第9回と第15回は復習回に当てる。
そうした中で、第14回は、心理支援の専門家が多数仕事をしている少年司法の仕組みと、支援する対象者の主訴にも多い家庭裁判所家事部で扱う家事事件の概略について理解する。
伊藤直文 2023 公認心理師と法律 公認心理師スタンダードテキストシリーズ23「関係行政論」(下山晴彦・佐藤隆夫・本郷一夫(監修) 下山晴彦・慶野遥香(編著)) ミネルヴァ書房 pp.156-187
コマ主題細目
① 少年司法制度 ② 少年審判に関わる機関と少年非行支援 ③ 民事・家事事件
細目レベル
① 少年非行の領域は、臨床心理学、とりわけアセスメント技法の発展の歴史において大きな役割を果たしてきた重要な領域である。また、刑事司法のなかでも、犯罪行為にとどまらず人の心や環境に着目する少年司法はきわめて特徴的な仕組みを持っており、心理支援の専門家が多数仕事をしている。教育・医療・福祉などさまざまな領域とも関連する少年司法について、少年法他、概略を理解する。少年非行に関しては、教育領域や医療、福祉領域とも大きく関連している。少年は、精神的、社会的に未成熟で、環境の影響を受けやすいので間違った行為を行った場合でもその政人を少年ひとりに負わせるわけにはいかない。少年の処分には育成的な意味があり、少年に欠けていた健全な育成環境と教育を国家が提供するという福祉的後見的姿勢を示している。少年司法制度が、福祉的教育的機能と司法的機能のバランスの上に成り立っていることを押さえる。
② 民法改正により18歳が成人となったが、少年法では20歳に満たないものは「少年」としている。ほか、非行少年とはどのような少年か、非行少年がどのような手続きに沿って扱われるかを理解する。少年の犯罪、触法行為、ぐ犯は、多くの場合警察が発見する。14歳以上の犯罪少年については成人と同じ刑事訴訟法上の手続きに沿って、検察庁に送致後、家庭裁判所に送致されることになる。その後、家庭裁判所の決定に従って処分が決定される。各処遇機関が有機的に連携して、決定の意図を実現してこそ、少年の更生は実現する。その各機関を支える法と制度を理解する。少年審判の特殊性や保護処分について、ほか、最も重要視される要保護性についてや、少年司法を支える法制度(少年鑑別所法や少年院法、更生保護法、児童福祉法など)について確認する。
③ 少年人口は減少し少年非行も減少しているが、少年を取り巻く環境は児童虐待・DV、貧困、SNSの普及により複雑多様化しており、少年が被害者となる事例は急増している。少年非行の背景には、離婚、親子関係などがあることが少なくない。ほか、心理専門職が支援する対象者の生活の背景には、親子関係、遺産のもめごと、認知症の親の生活費など家事事件が関係する困りごとが潜んでいることも多い。家庭裁判所家事部で扱う家事事件を中心に学ぶ。家事事件は、民事事件の中の家族や家庭に関する分野を扱う手続きである。家庭裁判所では民法の「親族」「相続」の分野を扱う。このため、戸籍法、児童福祉法、児童虐待の防止等に関する法律なども密接に関わる。また、人事訴訟は同じく家庭裁判所が管轄するもので、婚姻、離婚、親子関係など、身分関係に影響を与えるものを扱う特別な裁判である。家事事件の概略を理解し、DVや面会交流、ハーグ条約、児童虐待や成年後見制度などについて確認する。
キーワード
① 非行少年 ② 少年法 ③ 家事事件
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【本講義の復習】
本講義で配付された資料と、本講義でとったノートを振り返り、今回の講義でどのようなことを学んだのか、100語程度でまとめてみる。また、覚えるよう指示された用語について、説明できるかどうか確認をする。司法・犯罪領域の法律を事例を通して、検討してきた。少年非行の現状は、受講者自身が少年である場合も多いと想定され、身近で関心が高いと思われる。可塑性がある少年たちへどう支援していけるか、自分なら公認心理師としてどう支援していくかの立場で考えてほしい。
【次回に向けての予習】
次回は復習コマであり、復習テストを行う。これまで第10回~第14回までの講義で学んできたことを振り返っておこう。これまでに行ってきた小テストがまとめられたドリルが作成されるので、これを行ったり、これまでの講義で配付された資料を今一度見直して、各講義で話されたこと、自身が考えたことを今一度思い出しておいてほしい。
15
復習回2
科目の中での位置付け
この科目では、公認心理師5領域(保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働)のそれぞれの現場で必要とされる法律や制度に関する基礎的知識を習得し、それらの下で支援を行うということはどういうことなのか、それらは実際の現場でどのような役に立っているのかについて理解を深めることを目的とする。
こうした目的のために、各領域で活躍する現役の公認心理師を講師が、その領域で必要とされる法や制度と現場での実践の関連について、具体的に紹介する形で講義を進める。第1回は本講義の概要とイントロダクションを行い、第2回、第3回は産業・労働領域、第4回~第6回は医療保健領域、第7回、第8回は福祉領域、第10回~12回は教育領域、第13回、第14回は司法・犯罪領域について講義を行う。第9回と第15回は復習回に当てる。
そうした中で、第15回は復習回とする。主に10回~14回までに学んできた教育領域、司法・犯罪領域についての知識を整理するための復習テストを行い、解説する。
第10回~第14回授業資料
コマ主題細目
① 教育領域 ② 司法・犯罪領域 ③ 関係行政論のまとめ
細目レベル
① 第10回目では、学校保健法、いじめ防止対策推進法等、法的根拠に基づいて、それぞれの課題に学校の組織による“学校支援”や必要に応じて、外部の関係機関との協力や連携をして取り組んでいくことについて理解を深めた。第11回目では、教育機会確保法、発達障害者支援法等に基づく課題への取組を説明して、学校の支援体制に外部の関係機関からの協力が特に必要になる課題であることに注目した。さらに第12回目は、学級担任や部活動の顧問等と児童生徒や保護者、地域の人等の間に発生する問題を取り扱った。そこには、第三者(SCや養護教諭等)が介入することで、当事者に行き違いのあることを気づかせたりや誤解を解消させたりするための取組が必要になることが強調された。以上のような学校領域における法と制度について、自身の学校生活経験も踏まえながらその意義と活用の在り方について理解を深めてほしい。
② 第13回は、被害者への制度、加害者への制度、及び医療観察制度について概説された。犯罪には必ず被害者と加害者がいる。被害者に対しては、その理解が遅れていたが、2015年に犯罪被害者等基本法が制定され、被害者の支援が拡充されてきている。他方、加害者に対する刑事司法は古くから体制が整えられているが、再犯の予防等、まだまだ課題は山積している。さらに、心神喪失や心神耗弱と判定された加害者に対する司法観察制度についても常に変化してきている。第14回では、少年司法制度、少年審判に関わる機関と少年非行支援、民事・家事事件について概説された。少年の更生保護については、多領域との連携も重要となっている。また、家庭裁判所における民事・家事事件の調査、判定においても、公認心理師は重要な役割を担っている。司法・犯罪領域は普段の生活で目にしづらい領域だが、古くから心理職が活躍してきた領域であり、ぜひ関心を持ってほしい。
③ 保健医療領域、教育領域、福祉領域、産業・労働領域、司法・犯罪領域の各領域において、たくさんの法律や制度がある。日本が法治国家と言われる所以である。こうした法や制度に守られているからこそ、我々の日常がある事を今一度確認したい。そして、各領域において、この法律があるからこういうことがなされていたのだ、と、過去の実体験を振り返ってみてほしい。その上で、その法律の枠の中で公認心理師という専門家として働くということはどういうことなのかについて、想像してみてほしい。そして、その意義、法と制度を上手く活用するために必要な事について検討してみてほしい。そのためには、法律についての知識と、それを正しく(上手く)活用する技術が必要となる。今後の公認心理師に向けた学びの中で、そうした知識や技術を身につけていく心の準備をしてほしい。
キーワード
① 教育領域の法と制度 ② 司法・犯罪領域の法と制度 ③ 公認心理師に必要な法の知識 ④ 法律を活用する技術
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
今回は、復習テストをもってかえる。
復習・予習課題
【本講義の復習】
復習テストの成果を受け、間違った問題を中心に見直しをしておくこと。特に、60点に届かなかった人は、危機感を持って確りと復習をしておくように。復習テストのドリルも作成されるので、何度も試してみてほしい。ただ合っていた間違っていただけではなく、なぜ間違えたのかについて理解をしておくことが、本当の学習の成果につながるだろう。
【期末テストに向けての予習】
いよいよ期末テストに向かう。まずは履修判定指標をよく確認し、テスト勉強のための方針を立ててみるとよいだろう。その上で、授業資料や自身のとったメモを振り返り、知識を系統立てて覚えていくようにする。ドリルだけ繰り返しやるのではなく、そうした自身の勉強の確認としてドリルを活用できると良いだろう。
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
関係行政論概論
法律の階層について説明できる。
条文の構造について説明できる。
憲法、条約、法律、条例、規則、三権分立、本則、附則、条、項、号、前段、中段、後段、ただし書、公認心理師法
4
第1回
産業・労働分野に関する法律、制度
産業・労働領域で、よく相談に持ち込まれる相談内容を考える際に必要な視点、「①働いている環境にルール違反がないか(労働基準法、労働安全衛生法等)」、「②働きやすい環境づくりをするような対策がなされているか(メンタルヘルス指針、ストレスチェック制度等)」、「③差別などのない平等な環境で働けるような取り組みがなされているか(労働施策総合推進法、障害者雇用促進法等)」の3つの方向性に関する法律について説明できる。
労働基準法、労働安全衛生法、労働契約法、メンタルヘルス指針、ストレスチェック制度、職場復帰支援、男女雇用機会均等法、労働施策総合推進法、障害者雇用促進法、ワークライフバランス
16
第2回・第3回
保健医療分野に関する法律、制度
医療法、医師法、公認心理師法、医療保険制度(特に診療報酬制度)、医療行為の安全義務が、公認心理師の業務とどのように関係しているか、その詳細について説明できる。公認心理師が実施できる業務の制約として、医師法の「独占業務」や公認心理師法の「医師の指示」が重要である。また、公認心理師の業務内容である診療報酬制度で算定できる内容、業務における安全義務の認識は重要である。
精神科医療及び精神保健福祉法の変遷を知り、精神障害者の人権擁護について理解する。現行の入院制度、行動制限、精神保健指定医、精神障害の特徴を理解することは重要である。4つの入院形態の詳細、精神保健福祉法、行動制限(身体拘束)については説明できる。
心の健康増進は、地域におけるシステムが重要である。具体的には、保健所、保健センターの機能、地域保健法、自殺対策基本法、母子保健法、健康増進法、地域ケアシステムについて理解する。
医療法、医師法、医療保険制度(診療報酬制度)、安全義務、精神障害、精神保健福祉法、入院制度、行動制限、地域ケア、保健所、保健センター、地域保健法、自殺対策基本法、母子健康法、健康増進法、地域ケアシステム
24
第4回~第6回
福祉分野に関する法律、制度
私達の暮らしを支えるために、ライフステージに合わせてどのような法律や福祉制度があるかを理解し、その制度の成り立ちや目的、どのような施策があるのかを説明することができる。
特に、母子分野では母子及び父子並びに寡婦福祉法、児童分野では児童福祉法、障害分野では障害者総合支援法、高齢者分野では介護保険法について必ずおさえる。
また、それぞれ福祉制度において、公認心理師としてどのような連携が求められ、どのようなことを求められているのかを考え、説明することができる。
社会保障制度、児童福祉法、児童虐待防止法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、障害者総合支援法、介護保険法、多職種連携
16
第7回・第8回
教育分野に関する法律、制度
学校での様々な課題にはそれぞれ根拠になる法等がある。例えば、「チーム学校」には、中央教育審議会の「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」の答申が根拠法である。この答申の内容を、学校現場の「チーム学校」の必要性を踏まえて理解する。「危機介入」には、学校で予想される事件、事故、災害に対する予防や対策のマニュアルの手本になっているのが学校保健安全法である。学校の安全や保健の両面からこの根拠法を説明できる。「いじめ」は生命の危機や財産の被害といった重大問題から、迅速な対処と支援が必要になる。そのための根拠法が「いじめ防止対策推進法」である。この法律の定義や措置等についていじめの事例を通して丁寧に説明する。「不登校」には、定義づけに「教育機会確保法」があり、求められる支援については「不登校児童生徒への支援の在り方について」の通知がある。これらの根拠についての法や通知をさまざまな事例から理解するる。「特別支援教育」には、特別支援学校・特別支援学級での教育と通級での指導があり、前者は「学校教育法」、後者は「学校教育法施行規則」が根拠である。特別支援教育の普及と支援につながる二法と発達障害者を認定し、支援する発達障害者支援法との関連性を理解する。
鍋蓋型組織、チーム学校、カプラン予防レベル、いじめの四層構造、暗黙のステイタス、中一ギャップ、合理的配慮、体罰と懲戒、ハインリッヒの法則、感情労働、治療モデルと成長発展促進モデル、
24
第10回~第12回
司法・犯罪分野に関する法律、制度
刑事事件における法規や制度について、加害者、被害者、精神喪失/精神耗弱者のそれぞれの観点から整理して説明できる。
少年事件における法規や制度について理解し、審判の手続きや更生保護の意義について概説できる。
犯罪被害者支援における法規や制度について理解し、それが成立した意義や経緯についても概説できる。
家庭紛争事件における法規や制度について概説できる。
それぞれにおける公認心理師の役割と業務について概説できる。
犯罪被害者等基本法、更生支援、矯正心理専門職、非行少年、少年法、家事事件
16
第13回・第14回
評価方法
期末テストの成績により評価します。
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
公認心理師スタンダードテキストシリーズ23「関係行政論」(下山晴彦・佐藤隆夫・本郷一夫(監修) 下山晴彦・慶野遥香(編著) ミネルヴァ書房
参考文献
講師が適宜指示する。
実験・実習・教材費
特になし。