区分 臨床心理学概論科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力 科学コミュニケーション力 研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養 応用力 実践力
科目間連携 総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ

科目の目的
この科目の目的は、臨床心理学の成立期(1900年頃から1950年頃)における心理療法の発展過程を歴史的に理解することである。特に、ウィトマーによるPsychological Clinicの開設を起点とした臨床心理学の誕生と、フロイトによる精神分析の成立・発展を中心に学ぶ。また、精神分析から派生した力動的精神療法の広がりや理論的展開を整理し、現代の心理療法にどのように影響を与えているかを体系的に把握することを目指す。これにより、臨床心理学の基礎となる思想と方法の理解を深める。
到達目標
1.臨床心理学の成立期における歴史的背景と発展過程を説明できる。
2.ウィトマーによるPsychological Clinicの意義と、臨床心理学誕生における役割を理解し説明できる。
3.フロイト(Freud, S.)の精神分析理論の基本概念(無意識、イド・自我・超自我など)を整理し説明できる。
4.精神分析から派生した力動的精神療法の特徴や理論的展開を比較し理解できる。
5.精神分析が現代の心理療法に与えた影響について、自らの言葉で考察し説明できる。

科目の概要
本科目では、臨床心理学の成立期における心理療法の発展を、各回の講義テーマに沿って体系的に学ぶ。第1回ではウィトマー(Witmer, L.)による臨床心理学誕生の背景とその歴史的意義を扱い、第2回・第3回ではフロイト(Freud, S.)による精神分析理論の成立過程と、無意識や心的構造などの基本概念を検討する。第4回以降は自我心理学や対象関係論などの理論的展開を学び、第8回・第9回では精神分析を用いた心理療法の実際を取り上げる。さらに第11回以降では、フロイトの弟子達によって発展した力動的精神療法の展開を概説し、その多様な理論と実践を理解する。最終的に、歴史的理論と現代の臨床実践との関連を多角的に把握することを目指す。
科目のキーワード
臨床心理学の成立、ウィトマー(Witmer, L.)、Psychological Clinic、フロイト(Freud, S.)、精神分析、無意識、心的構造(イド・自我・超自我)、転移・逆転移、自我心理学、対象関係論
授業の展開方法
この科目は、主に授業ごとの文字教材を教員が読み上げ、解説を加えながら講義を進める。担当教員はスクールカウンセラー、特別支援教育アドバイザー、少年院における指導、復職支援プログラムの運営、医療現場での心理士等公認心理師主要5領域を含む多様な領域での臨床経験を持つ。1回~15回の全てにおいて、そうした経験を部分的に参照しながら講義を行う。必要に応じて、パワーポイント、インターネット上でHPやYoutubeを参照したり、コミュニケーションツールとしてSlidoを用いることもある。
講義が中心であるが、心理学的支援にかかわる技法を体験したり、小グループで討論を行うこともある。また、これまでに学んできている知識について質問することもあるかもしれない。
いずれにしても強制をすることはないので、自らの学びのために出来ることを楽しんで参加して欲しい。
講義は5回に1回程度復習回を設定するため、丁寧に復習をしながら、ゆっくりと講義を進めていく。

オフィス・アワー
伊藤義徳:※できるだけアポイントを取ってください
前期:火曜3限・4限
木曜1限・2限
後期:火曜3限・4限
木曜1限・2限
高野裕治:前期:火曜1~5限
後期:火曜1~5限
武田知也:前期:火曜1限
後期:火曜1限
横光健吾:前期:金曜4限
後期:金曜4限

科目コード RT1022
学年・期 1年・前期
科目名 臨床心理学概論II:精神分析療法
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 必修
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
展開科目
関連資格
担当教員名 伊藤義徳・高野裕治・武田知也・横光健吾
主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 オリエンテーション:心理学、臨床心理学、心理療法 科目の中での位置付け 本科目では、臨床心理学の成立期における心理療法の発展を、各回の講義テーマに沿って体系的に学ぶ。第1回ではウィトマー(Witmer, L.)による臨床心理学誕生の背景とその歴史的意義を扱い、第2回・第3回ではフロイト(Freud, S.)による精神分析理論の成立過程と、無意識や心的構造などの基本概念を検討する。第4回以降は自我心理学や対象関係論などの理論的展開を学び、第8回・第9回では精神分析を用いた心理療法の実際を取り上げる。さらに第11回以降では、フロイトの弟子達によって発展した力動的精神療法の展開を概説し、その多様な理論と実践を理解する。最終的に、歴史的理論と現代の臨床実践との関連を多角的に把握することを目指す。
こうした中で、第1回は「オリエンテーション:心理学、臨床心理学、心理療法」というテーマについて論じる。心理学、臨床心理学、心理療法の違いについて整理することから本講義を始めたい。

山田冨美雄 2002 瞬目による感性の評価:驚愕性瞬目反射と自発性瞬目による感情評価 心理学評論 45(1), 20-32.
渡邊芳之 1998 メタファーとしての「こころ」 ~心的概念が意味しているもの 北海道医療大学看護福祉学部紀要 5, 75-82.
サトウタツヤ 2021 2.2ウィトマーのサイコロジカルクリニック 臨床心理学史 東京大学出版会 pp.93-98
コマ主題細目 ① 心理学という学問 ② 心理学と臨床心理学 ③ 臨床心理学と心理療法
細目レベル ① 臨床心理学について論じる前提として、心理学とはどのような学問かを考えるところから始める。本講義では、心理学とは、環境からの刺激に対して個体がどのように反応するか、その関係の中に一定の法則性を見いだそうとする学問であると定義する。特に人間の場合、この刺激と反応の関係は個人差が大きく単純ではない。その多様性を生み出す要因こそが心という要素であるといえる。また、心理学で扱う「心」は実体として存在するものではなく、「構成概念」として仮定されたものである。人は心の存在を前提とすることで他者の気持ちを理解し、共感し、協力しながら社会生活を営むことが可能になる。このように心理学は、人間の行動とその背景にある心的過程を、仮定と観察を通して体系的に捉えようとする学問である。
② 心理学を始めて研究の遡上にのせたのはヴントであるが、そのご、心理学は多様な領域に細分化されていった。臨床心理学もそうした心理学の下位領域の一つといえる。臨床とは、患者の「床」に「臨」むという意味であり、苦しむ人に直接手を差し伸べることに関わる心理学領域が臨床心理学である。この言葉を始めて使用したのは、ウィトマーである。彼はこの用語を用いて、原理や観念を追求する学問的な心理学に対して、人を助けるための心理学である臨床心理学の重要性を主張した。講義内では、社交不安症の例をとって、心理学的法則により如何にして臨床疾患が予測されるかを説明する。臨床心理学もまた、心理学の一部であることを理解してもらえれば幸いである。
③ さらに,そうした問題の生起や消去に関わる法則を活かして,問題を解決することを目指すのが、心理療法と言える。つまり、苦悩のメカニズムを探究する学問が臨床心理学、それに基づく実践方法が心理療法ということである。しかしながら、心理療法には他のルーツもある。苦しみからの解放は、人の有史以前からの願いであり、そうした苦悩からの解放の方法や苦悩についての哲学に基づいて心理療法が成立するケースも少なからずあるのである。心理学としての臨床心理学以外にも、様々な出自を持つ心理療法、さらにはそうした心理療法を補完するために打ち立てられた理論から派生した臨床心理学があるということを紹介することで、心理学における臨床心理学の独自性を論じる。
キーワード ① 心理学 ② 構成概念 ③ 臨床心理学 ④ ウィトマー ⑤ 心理療法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本講義の復習】
文字教材を今一度よく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認をしておくこと。そして、ChatGPTにるテストワークを行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはネットで検索してみるとよい。次回は、臨床心理学の誕生の経緯と心理療法の広がりについて説明する。「~療法」という言葉をいくつ知っているか、数えてみよう。

2 臨床心理学の誕生 科目の中での位置付け 本科目では、臨床心理学の成立期における心理療法の発展を、各回の講義テーマに沿って体系的に学ぶ。第1回ではウィトマー(Witmer, L.)による臨床心理学誕生の背景とその歴史的意義を扱い、第2回・第3回ではフロイト(Freud, S.)による精神分析理論の成立過程と、無意識や心的構造などの基本概念を検討する。第4回以降は自我心理学や対象関係論などの理論的展開を学び、第8回・第9回では精神分析を用いた心理療法の実際を取り上げる。さらに第11回以降では、フロイトの弟子達によって発展した力動的精神療法の展開を概説し、その多様な理論と実践を理解する。最終的に、歴史的理論と現代の臨床実践との関連を多角的に把握することを目指す。
こうした中で、第2回は「臨床心理学の誕生」というテーマについて論じる。臨床心理学、そして心理療法の歴史と多様性について概観する。

ヴィルヘルム・グリージンガー著 小俣和一郎・市ノ川容孝訳 2008 精神病の病理と治療 東京大学出版会
岡村達也 2018 世界の臨床心理学 野島一彦・岡村達也(編)臨床心理学概論 遠見書房 pp.21-32.
サトウタツヤ 2021 臨床心理学史 東京大学出版会 pp.3-82.
コマ主題細目 ① 臨床心理学の誕生 ② ウィトマーのPsychological Clinic ③ 様々な心理療法
細目レベル ① 臨床心理学の成立は、精神的苦悩への理解の歴史的変遷と深く結びついている。古来、異常な言動は悪霊の仕業とみなされ、祓魔術によって対処されてきたが、近代に入るとグリージンガーやクレペリンが精神病を脳の疾患として捉え、科学的診断体系の基礎を築いた。一方で、メスメルの動物磁気説に端を発し、シャルコーへと至る催眠研究は、ヒステリーなどの症状に心理的要因が関与する可能性を示した。こうした流れの中でフロイトは無意識の概念を提唱し、精神分析を創始した。そして同時期にウィトマーが臨床心理学を実践的学問として確立し、今日の心理的支援の基盤が形成されていった。本コマでは、こうした臨床心理学が形成されるまでの歴史を概観する。
② ウィトマーはアメリカの心理学者であり、ヴントのもとで実験心理学を学んだ後、応用的関心を強めた人物である。1896年、学習や発達に困難を抱える子どもへの支援を目的として、ペンシルベニア大学にPsychological Clinicを開設した。その契機は、綴字障害をもつ児童についての相談を受けた経験であり、心理学の知見を現実の問題解決に役立てる必要性を自覚したことにあった。さらに彼は同名の雑誌を創刊し、実践と研究の成果を発信した。これらの取り組みは、心理学を実践的援助へと展開させ、臨床心理学の出発点として大きな影響を与えた。彼がPsychological clinicを開設した意図やその意義について、ここでは解説を行う。
③ 世界で最初に体系化された心理療法は、フロイトによる精神分析療法(20世紀初頭)である。その後、ユングの分析心理学やアドラーの個人心理学が展開された。1950年代にはロジャーズの来談者中心療法や、スキナーらの行動療法が発展し、1960年代以降にはベックの認知療法やエリスの論理情動行動療法(REBT)が登場した。同時期にミニューチンらの家族療法も発展し、その後これらは統合され認知行動療法へと展開した。2000年以降は、ヘイズのアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)や、リネハンの弁証法的行動療法(DBT)など第三世代の認知行動療法が発展している。こうした多様な心理療法をここでは大雑把に分類し、その特徴の整理を試みる。
キーワード ① 精神障害の脳病説 ② ウィトマー ③ Psychological Clinic ④ フロイト ⑤ 心理療法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本講義の復習】
文字教材を今一度よく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認をしておくこと。そして、ChatGPTにるテストワークを行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはネットで検索してみるとよい。次回から、精神分析療法について概説していく。ジークムント・フロイトとはどんな人だろう。自分なりに調べてみよう。

3 精神分析療法①フロイトの生涯 科目の中での位置付け 本科目では、臨床心理学の成立期における心理療法の発展を、各回の講義テーマに沿って体系的に学ぶ。第1回ではウィトマー(Witmer, L.)による臨床心理学誕生の背景とその歴史的意義を扱い、第2回・第3回ではフロイト(Freud, S.)による精神分析理論の成立過程と、無意識や心的構造などの基本概念を検討する。第4回以降は自我心理学や対象関係論などの理論的展開を学び、第8回・第9回では精神分析を用いた心理療法の実際を取り上げる。さらに第11回以降では、フロイトの弟子達によって発展した力動的精神療法の展開を概説し、その多様な理論と実践を理解する。最終的に、歴史的理論と現代の臨床実践との関連を多角的に把握することを目指す。
こうした中で、第3回は「精神分析療法①フロイトの生涯」というテーマについて論じる。フロイトという人がどんな人だったのか、思いを馳せてみたい。

ピーター・ゲイ 1988 フロイトの生涯 『フロイト』 みすず書房
Freud, S.(1925/1983)『フロイト自伝』井村恒郎・小此木啓吾訳,日本教文社.
コマ主題細目 ① ユダヤ人とヒトラーのユダヤ人迫害政策 ② 催眠から精神分析療法へ ③ 精神分析療学の発展とフロイトの晩年
細目レベル ① ジークムント・フロイトという人を理解する上で、彼がユダヤ人であり、ユダヤ人迫害政策のただ中に生まれ育った点は欠かせない。ユダヤ人は歴史的に長く迫害を受けてきた民族であり、中世までは主に宗教的対立がその要因であった。キリスト教が国教化される中で、ユダヤ教との相違が排斥の根拠となり、追放やゲットーへの隔離が行われた。その後、宗教の影響力が弱まると、反ユダヤ主義は人種的偏見へと変化し、社会的・経済的成功を収めるユダヤ人への嫉妬や不信が強まった。こうした流れの中で、ナショナリズムの高まりとともに反ユダヤ感情は政治的に利用され、ナチス政権下で極端化した。ヒトラーはユダヤ人を排除すべき存在とみなし、市民権剥奪や財産没収、強制収容などの政策を推進し、最終的には約600万人が犠牲となるホロコーストへと至った。この背景には、当時の社会全体に根付いた反ユダヤ感情があった点も重要である。
② こうした中で、フロイトはパリでシャルコーから催眠療法を学び、ヒステリー症状の背後に心理的要因があることに注目した。帰国後はブロイアーとともに催眠を用いた治療を行い、患者が抑圧された記憶を語ることで症状が軽減することを見出した。しかし催眠はすべての患者に有効ではなく、治療者への依存も強いという限界があった。そこでフロイトは、患者が意識的統制を弱めて自由に思考や感情を語る「自由連想法」を考案した。この方法により無意識の内容へ継続的に接近できるようになり、催眠に頼らない新たな治療体系として精神分析が形成されていった。のである。さらに、患者自身の語りを重視する姿勢は、その後の心理療法全体に大きな影響を与え、内的体験の理解を深める基盤となったと言える。
③ 精神分析は『夢判断』などの著作を契機に注目を集め、フロイトのもとにはユングやアドラーら多くの弟子が集まった。1908年にはウィーン精神分析協会、1910年には国際精神分析学会が設立され、理論と臨床の体系化が進んだ。しかしフロイトは理論的対立や自身の厳格な姿勢から弟子と対立し、ユングやアドラーら有力な人物が離反するなど、人間関係の面で困難も抱えていた。さらにナチスによるユダヤ人迫害の激化により、1938年にはロンドンへ亡命を余儀なくされる。晩年には生の欲動に加え「死の欲動」を提唱し、人間の破壊的側面にも関心を広げた。こうした理論的深化と社会的苦難が重なり、彼の思想はより複雑で重層的なものへと発展していったのである。
キーワード ① ジークムント・フロイト ② ユダヤ人迫害政策 ③ シャルコー ④ 夢判断 ⑤ 精神分析療法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本講義の復習】
文字教材を今一度よく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認をしておくこと。そして、ChatGPTにるテストワークを行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはネットで検索してみるとよい。次回は、フロイトが後世に残したオリジナルな考え方について紹介する。「無意識」という言葉を日常でどのくらい使っているだろうか。少し意識してみて欲しい。

4 精神分析療法②無意識の発見 科目の中での位置付け 本科目では、臨床心理学の成立期における心理療法の発展を、各回の講義テーマに沿って体系的に学ぶ。第1回ではウィトマー(Witmer, L.)による臨床心理学誕生の背景とその歴史的意義を扱い、第2回・第3回ではフロイト(Freud, S.)による精神分析理論の成立過程と、無意識や心的構造などの基本概念を検討する。第4回以降は自我心理学や対象関係論などの理論的展開を学び、第8回・第9回では精神分析を用いた心理療法の実際を取り上げる。さらに第11回以降では、フロイトの弟子達によって発展した力動的精神療法の展開を概説し、その多様な理論と実践を理解する。最終的に、歴史的理論と現代の臨床実践との関連を多角的に把握することを目指す。
こうした中で、第4回は「精神分析療法②無意識の発見」というテーマについて論じる。フロイトの心理学理論の前提となる「無意識」「心的決定論」、精神分析が主な治療の対象とする「ヒステリー」という症状について深掘りする。

Breuer, J. & Freud, S.(1895/2004)『ヒステリー研究』金関猛訳,ちくま学芸文庫.
Freud, S.(1916–1917/2007)『精神分析入門講義』高橋義孝訳,岩波書店.
コマ主題細目 ① 無意識とは ② 心的決定論 ③ ヒステリー研究とアンナ・O
細目レベル ① 本コマでは、フロイト理論の出発点となる「無意識」という考え方について基礎から理解する。フロイトは、世界で初めて「無意識」という領域があると主張した人である。人は自分の心を完全に把握しているわけではなく、意識できない思考や感情、欲望が行動や感情に影響を及ぼしているという前提を説明する。言い間違いや夢、理由の分からない不安など身近な例を通して、無意識の働きを具体的に示す。また、ヒステリーなど当時の症状が意識的説明では理解できなかったことから、フロイトが無意識という概念を導入する必然性があった点を強調する。さらに、この概念の提案が心の理解の枠組みを大きく変え、心理学に新たな視点をもたらしたことにも触れ、後の理論展開へとつながる基礎とする。
② 次に、フロイト理論の重要な前提である「心的決定論」について理解を深める。これは、人の心的現象や行動は偶然に生じるのではなく、必ず何らかの原因によって決定されているという考え方である。言い間違いや物忘れ、無意識的な行動など、一見すると偶然に見える出来事にも心理的な意味や背景があると捉える視点を紹介する。こうした現象を具体例を通して検討し、無意識の働きとの関連を理解する。また、この考え方は夢分析や症状理解、自由連想法などフロイト理論の基盤となるだけでなく、その後の多くの心理学理論にも共通する前提となっている。行動や症状を偶然として片付けず、その背後にある意味や因果関係を探る姿勢の意義についても確認する。
③ 本回では、精神分析の出発点となった「ヒステリー」という症状について概説する。ヒステリーとは、身体に器質的異常がないにもかかわらず、麻痺や失語、感覚障害などの身体症状が現れる状態を指し、現在では転換性障害(機能性神経症状症)などに相当すると考えられている。当時この症状が多く見られた背景には、社会的抑圧や感情表出の制限といった時代的要因があったとされる。さらに、これまで扱ってきた無意識や心的決定論の視点を踏まえ、ブロイアーが治療したアンナ・Oの症例を紹介する。患者が自身の体験や感情を言葉にしていく中で症状が軽減した経過を通して、無意識の葛藤が症状として表れるという精神分析の基本的発想を具体的に理解する。
キーワード ① 無意識 ② 心的決定論 ③ ヒステリー ④ ブロイアー ⑤ アンナ・O
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本講義の復習】
文字教材を今一度よく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認をしておくこと。そして、ChatGPTにるテストワークを行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはネットで検索してみるとよい。次回は、ここまでの復習を行う。これまでの主要なポイントを整理し、模擬テストを行う。自分自身でも、これまでに学んで来たことを整理しておいて欲しい。

5 復習回1 科目の中での位置付け 本科目では、臨床心理学の成立期における心理療法の発展を、各回の講義テーマに沿って体系的に学ぶ。第1回ではウィトマー(Witmer, L.)による臨床心理学誕生の背景とその歴史的意義を扱い、第2回・第3回ではフロイト(Freud, S.)による精神分析理論の成立過程と、無意識や心的構造などの基本概念を検討する。第4回以降は自我心理学や対象関係論などの理論的展開を学び、第8回・第9回では精神分析を用いた心理療法の実際を取り上げる。さらに第11回以降では、フロイトの弟子達によって発展した力動的精神療法の展開を概説し、その多様な理論と実践を理解する。最終的に、歴史的理論と現代の臨床実践との関連を多角的に把握することを目指す。
こうした中で、第5回は復習回1である。これまでの第1回~第4回の内容を整理し、さらに模擬テストを行う。これまでの学びを落ち着いて振り返り、しっかり定着させる機会として欲しい。

第1回~第4回文字教材
コマ主題細目 ① 臨床心理学の誕生 ② S.フロイトという人 ③ フロイト理論の基礎
細目レベル ① 第1回と第2回では、臨床心理学の誕生と多様な心理療法の発展について紹介した。まず、心理学が人の行動とその背後にある心的過程を法則的に理解しようとする学問であり、その中に臨床心理学が位置づけられることを確認した。臨床心理学は、苦悩を抱える人に直接関わる実践的領域として成立し、ウィトマーの活動を契機に体系化が進められた。また、精神的苦悩の理解は歴史的に変化し、祓魔的説明から医学的理解、さらに心理的理解へと展開していったことを整理した。さらに、フロイトの精神分析を起点として、その後多様な心理療法が展開され、それぞれ異なる理論と方法を持ちながら発展してきた過程を概観し、臨床心理学と心理療法の広がりについて論じた。
② 第3回は、フロイトの生涯とその思想形成の背景について紹介した。まず、彼がユダヤ人として迫害の歴史の中で生きたことが、その思想や人生選択に大きな影響を与えた点を確認した。次に、シャルコーのもとで催眠療法を学び、ブロイアーとの共同研究を経て、自由連想法を考案し、精神分析を確立していく過程を整理した。さらに、『夢判断』の発表以降、精神分析は注目を集め、多くの弟子を得て学会が設立される一方で、理論的対立からユングやアドラーと決裂するなどの困難も経験した。加えて、ナチスによる迫害によりロンドンへ亡命するなど社会的苦難も重なった。晩年には死の欲動を提唱し、人間の内面理解をより深めていった点についても確認した。
③ 第4回は、フロイト理論の前提となる基本的な考え方について概説した。まず、人の行動や感情の背後には意識されない心的過程が存在するという「無意識」の概念を取り上げ、言い間違いや夢、不安などの身近な現象を通してその働きを具体的に理解した。また、ヒステリーなど当時の症状が意識的説明では捉えきれなかったことから、無意識という概念が導入された必然性についても確認した。次に、人の心的現象は偶然ではなく必ず原因によって生じるとする「心的決定論」を学び、行動や症状の背後にある意味や因果関係を探る視点の重要性を整理した。この考え方が精神分析のみならず多くの心理学理論の基盤となっている点にも触れた。さらに、精神分析の出発点であるヒステリーについて、その特徴や当時の社会的背景を踏まえて理解し、アンナ・Oの症例を通して無意識の葛藤が症状として表出する過程を具体的に捉えた。
キーワード ① 臨床心理学 ② 心理療法 ③ ウィトマー ④ フロイト ⑤ 無意識
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本講義の復習】
文字教材を今一度よく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認をしておくこと。そして、ChatGPTにるテストワークを行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはネットで検索してみるとよい。次回は、フロイトの無意識についての理論を深掘りする。無意識とはどんなもので、どんな役割があるのか、自分なりに想像を膨らませてみよう。

6 フロイトの理論1:無意識論 科目の中での位置付け 本科目では、臨床心理学の成立期における心理療法の発展を、各回の講義テーマに沿って体系的に学ぶ。第1回ではウィトマー(Witmer, L.)による臨床心理学誕生の背景とその歴史的意義を扱い、第2回・第3回ではフロイト(Freud, S.)による精神分析理論の成立過程と、無意識や心的構造などの基本概念を検討する。第4回以降は自我心理学や対象関係論などの理論的展開を学び、第8回・第9回では精神分析を用いた心理療法の実際を取り上げる。さらに第11回以降では、フロイトの弟子達によって発展した力動的精神療法の展開を概説し、その多様な理論と実践を理解する。最終的に、歴史的理論と現代の臨床実践との関連を多角的に把握することを目指す。
こうした中で、第6回は「フロイトの理論1:無意識論」というテーマについて論じる。無意識についてフロイトがどのように整理していたのか、理解を深めたい。

Freud, S.(1923/2007)『自我とエス』高橋義孝訳,岩波書店.
中山元(2003)『フロイト入門』筑摩書房.
コマ主題細目 ① 局所論 ② 構造論 ③ 2つのモデルはどう違い、どうつながるか
細目レベル ① 本コマでは、フロイトの無意識理論を具体的に理解するための基礎として、「局所論(第一局所論)」について扱う。フロイトは心の働きを、意識・前意識・無意識という三つの領域に区分して捉え、それぞれが異なる役割と機能を持つと考えた。意識は現在自覚されている内容、前意識は努力すれば想起可能な内容、無意識は抑圧され直接には意識化できない内容とされる。本コマでは、それぞれの特徴や相互関係を丁寧に整理するとともに、なぜ無意識が直接意識に現れないのか、その仕組みについても説明する。また、夢や失錯行為といった具体的な現象を例に、さらに自分自身の日常的経験も振り返りながら、無意識がどのように間接的に表出するのかを示し、心の構造を空間的に捉える視点を理解する。
② 本コマでは、フロイトの後期理論である「構造論(第二局所論)」について、身近な例を用いながら理解を深める。フロイトは心の働きを、自我・エス・超自我という三つの要素から成るものとして捉えた。エスは「~したい」という本能的欲求に従う側面、自我は現実を踏まえて行動を調整する側面、超自我は「~すべき」という道徳や規範を内面化した側面である。本コマでは、例えば欲求とルールの間で迷う場面などを取り上げ、それぞれがどのように関係し合い、人の行動や判断がどのように形づくられるのかを説明する。さらに、この三つの働きのバランスや相互作用に注目し、人の内面で起きている葛藤や調整の過程を、具体的に理解できるようにする。
③ 本コマでは、局所論と構造論という二つのモデルの違いとつながりを整理するとともに、なぜフロイトが新たに構造論を提唱する必要があったのかを考える。局所論は心を意識・前意識・無意識という「場所」の違いで捉え、心的内容がどこに位置づくかを説明する枠組みであった。しかし臨床を進める中で、無意識だけでなく自我の働きや内的葛藤の複雑さを十分に説明しきれない限界が明らかになった。そこでフロイトは、自我・エス・超自我という「働き」に注目する構造論を提唱し、心の力動的な相互作用を捉えようとした。本コマでは、この理論的発展の経緯を踏まえ、両モデルが対立するものではなく、視点の異なる補完的な枠組みであることを具体例を通して理解する。
キーワード ① 局所論 ② 意識・前意識・無意識 ③ 構造論 ④ 自我・エス・超自我 ⑤ 精神力動論
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本講義の復習】
文字教材を今一度よく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認をしておくこと。そして、ChatGPTにるテストワークを行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはネットで検索してみるとよい。次回は、フロイトのリビドー論に関わる諸理論を整理する。リビドーとは何か?調べてみよう。

7 フロイトの理論2:リビドー論 科目の中での位置付け 本科目では、臨床心理学の成立期における心理療法の発展を、各回の講義テーマに沿って体系的に学ぶ。第1回ではウィトマー(Witmer, L.)による臨床心理学誕生の背景とその歴史的意義を扱い、第2回・第3回ではフロイト(Freud, S.)による精神分析理論の成立過程と、無意識や心的構造などの基本概念を検討する。第4回以降は自我心理学や対象関係論などの理論的展開を学び、第8回・第9回では精神分析を用いた心理療法の実際を取り上げる。さらに第11回以降では、フロイトの弟子達によって発展した力動的精神療法の展開を概説し、その多様な理論と実践を理解する。最終的に、歴史的理論と現代の臨床実践との関連を多角的に把握することを目指す。
こうした中で、第7回は「フロイトの理論1:リビドー論」というテーマについて論じる。フロイトの考え方の中核にあるリビドーについての考え方とその発展について、理解を深めてみたい。

Freud, S.(1905/2008)『性理論三篇』中山元訳,光文社
Freud, S.(1900/2007)『夢判断(上)』高橋義孝訳,岩波書店.
中山元(2003)『フロイト入門』筑摩書房.
コマ主題細目 ① 欲動と発達の物語 ② エディプスと超自我の成立 ③ 夢は無意識への王道
細目レベル ① 本コマでは、フロイトのリビドー論の基礎として「心理性的発達理論」について理解する。フロイトは、人の発達を本能的なエネルギーであるリビドーの向かう先の変化として捉え、口唇期・肛門期・男根期・潜伏期・性器期という段階で説明した。それぞれの段階では、快を感じる身体部位や関心の対象が異なり、その経験が後の性格形成や行動様式に影響すると考えられる。本コマでは、各発達段階の特徴を具体例を交えて整理し、発達が単なる成長ではなく、欲動のあり方の変化として理解される点を強調する。また、ある段階での欲求不満や過剰な満足がその後の発達に影響するという考え方にも触れ、人の性格や行動を発達の連続として捉える視点を養う。
② 本コマでは、前コマで扱った心理性的発達理論を踏まえ、特に男根期における「エディプス・コンプレックス」と超自我の成立について理解を深める。フロイトは、子どもが異性の親に特別な愛着を抱き、同性の親に対して競争や葛藤を感じると考えた。この葛藤はそのままでは解決できないため、子どもは欲求を抑え、親の価値観や規範を内面化するようになる。この過程を通して形成されるのが超自我である。本コマでは、この一連の流れを具体例を用いて説明し、発達過程における葛藤の意味と、その解決が人格形成にどのように関わるのかを理解する。さらに、道徳性や良心がどのように生まれるのかという視点からも、この理論の意義について深く考えてみたい。
③ 本コマでは、これまで学んできた無意識や欲動、心理性的発達の考え方を踏まえ、「夢は無意識への王道である」というフロイトの主張について理解を深める。フロイトは夢を、抑圧された欲望や葛藤が象徴的に表現されたものであり、無意識へ接近するための重要な手がかりと位置づけた。本コマでは、夢の内容がそのままの意味を持つのではなく、歪められた形で現れるという点に注目し、顕在夢と潜在夢の違いについて具体例を交えて整理する。また、夢がどのような仕組みで形成されるのかについて、圧縮・置き換え・象徴化といった「夢の仕事」の働きを丁寧に説明する。さらに、夢分析を通して無意識に接近するという精神分析の基本的な方法とその意義についても理解を深める。
キーワード ① リビドー ② 心理性的発達理論 ③ 口唇期・肛門期・男根期・潜伏期・性器期 ④ エディプス・コンプレックス ⑤ 夢分析
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本講義の復習】
文字教材を今一度よく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認をしておくこと。そして、ChatGPTにるテストワークを行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはネットで検索してみるとよい。次回は、フロイトのリビドー論に関わる諸理論を整理する。リビドーとは何か?調べてみよう。

8 精神分析療法1:実践の方法 科目の中での位置付け 本科目では、臨床心理学の成立期における心理療法の発展を、各回の講義テーマに沿って体系的に学ぶ。第1回ではウィトマー(Witmer, L.)による臨床心理学誕生の背景とその歴史的意義を扱い、第2回・第3回ではフロイト(Freud, S.)による精神分析理論の成立過程と、無意識や心的構造などの基本概念を検討する。第4回以降は自我心理学や対象関係論などの理論的展開を学び、第8回・第9回では精神分析を用いた心理療法の実際を取り上げる。さらに第11回以降では、フロイトの弟子達によって発展した力動的精神療法の展開を概説し、その多様な理論と実践を理解する。最終的に、歴史的理論と現代の臨床実践との関連を多角的に把握することを目指す。
こうした中で、第8回は「精神分析療法1:実践の方法」というテーマについて論じる。精神分析療法という心理療法は実際にどのような手続きで、どのように行われるのか。具体的な症例も交えて解説する。

Freud, S.(1905/2008)「あるヒステリー症例の分析(ドーラ)」高橋義孝訳『フロイト全集 第5巻』岩波書店.
Freud, S.(1909/2008)「強迫神経症の一症例(鼠男)」高橋義孝訳『フロイト全集 第7巻』岩波書店.
Freud, S.(1912/2007)「精神分析の方法について」高橋義孝訳『フロイト全集 第9巻』,岩波書店.
Freud, S.(1918/2009)「ある幼児神経症の病歴より(狼男)」高橋義孝訳『フロイト全集 第10巻』岩波書店.
コマ主題細目 ① 精神分析の方法 ② 治療関係の力学 ③ 症例で見る精神分析
細目レベル ① 本コマでは、精神分析療法の基本的な方法について理解を深める。精神分析は、無意識の内容を意識化することで症状の理解と変容を目指す治療法であり、その中心的技法が自由連想法である。これは、思いついたことを検閲せずに語ることで、無意識の内容に接近しようとする方法である。本コマでは、この自由連想法の意義と進め方を軸に据えながら、治療過程で生じる重要な現象についても整理する。具体的には、過去の重要な他者との関係が治療者に向けて再現される転移や、それに対する治療者側の反応である逆転移、さらには発達的に未熟な状態へと心が戻る退行といった概念を取り上げる。加えて、これらの現れを手がかりに、治療者が無意識の意味を言語化して返す「解釈」の役割についても説明し、精神分析の理解を深める。
② 本コマでは、前コマで扱った自由連想法や転移・逆転移、解釈といった概念を踏まえ、精神分析における「治療関係の力学」について理解を深める。精神分析では、患者と治療者との関係そのものが重要な治療の場となり、過去の対人関係のパターンや感情が転移として再現される。このとき治療者は中立的態度を保ちつつ、表面の言語だけでなく、その背後にある感情や関係性の意味を丁寧に読み取ることが求められる。また、逆転移を通して生じる治療者自身の感情も、患者理解の重要な手がかりとなる。本コマでは、こうした相互作用の中で無意識がどのように現れ、解釈を通して関係性の理解が深まり、それがどのように変化へとつながるのかを具体的に捉える。さらに、治療関係の中で新たな対人経験が形成される過程についても考察する。
③ 本コマでは、自由連想法が実際の治療場面でどのように用いられるのかを理解するために、フロイトの代表的症例(ドーラ、鼠男、狼男など)を取り上げる。患者が思いつくままに語る内容の中には、一見すると無関係に見える話題や繰り返し、唐突な連想が現れるが、そこには無意識の葛藤や欲求が反映されていると考えられる。本コマでは、その語りの流れを丁寧に追いながら、どのようにして症状の意味が読み解かれていくのかを具体的に示す。また、語りの中に現れる象徴的な表現や感情の揺れに注目し、治療者がそれらをどのように理解し、解釈していくのかを整理する。さらに、こうした過程を通して患者自身の理解が深まり、症状の変化へとつながっていく様子を学び、精神分析の実際を具体的に把握する。
キーワード ① 精神分析療法 ② 自由連想法 ③ 転移/逆転移 ④ 解釈 ⑤ フロイトの代表的症例(ドーラ、鼠男、狼男)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本講義の復習】
文字教材を今一度よく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認をしておくこと。そして、ChatGPTにるテストワークを行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはネットで検索してみるとよい。次回は、精神分析療法のより深い世界に入り込む。防衛機制という言葉について自分なりに調べておこう。

9 精神分析療法2:実践を深める 科目の中での位置付け 本科目では、臨床心理学の成立期における心理療法の発展を、各回の講義テーマに沿って体系的に学ぶ。第1回ではウィトマー(Witmer, L.)による臨床心理学誕生の背景とその歴史的意義を扱い、第2回・第3回ではフロイト(Freud, S.)による精神分析理論の成立過程と、無意識や心的構造などの基本概念を検討する。第4回以降は自我心理学や対象関係論などの理論的展開を学び、第8回・第9回では精神分析を用いた心理療法の実際を取り上げる。さらに第11回以降では、フロイトの弟子達によって発展した力動的精神療法の展開を概説し、その多様な理論と実践を理解する。最終的に、歴史的理論と現代の臨床実践との関連を多角的に把握することを目指す。
こうした中で、第9回は「精神分析療法2:実践を深める」というテーマについて論じる。精神分析でトラウマなど複雑な問題をどのように扱うのか、実践の手続きについてをさらに深掘りする。

Freud, S.(1912/2009)「精神分析の方法について」高橋義孝訳『フロイト全集 第9巻』岩波書店.
Freud, A.(1936/1986)『自我と防衛機制』外林大作訳,誠信書房.
Laplanche, J. & Pontalis, J.-B.(1967/2001)『精神分析用語辞典』村上仁監訳,みすず書房.
コマ主題細目 ① トラウマを扱う ② 解離という心の働き ③ 防衛機制
細目レベル ① 本コマでは、精神分析においてトラウマをどのように扱うのかについて理解を深める。トラウマとは、強い恐怖や苦痛を伴う体験が十分に処理されず、心に残り続ける状態を指す。精神分析では、こうした体験は意識化されにくく、無意識の中に抑圧されたまま症状や感情として現れると考える。本コマでは、トラウマがどのように心に影響を及ぼすのかを整理するとともに、それが現在の行動や対人関係にどのように反映されるのかを説明する。また、自由連想や転移を通して、断片的に現れる記憶や感情をどのように扱い、無理に想起させるのではなく安全な関係の中で意味づけていくことの重要性にも触れる。さらに、トラウマ理解が治療においてどのような意義を持つのかを考える。
② 次に、トラウマ理解と関連づけながら「解離」という心の働きについて理解を深める。解離とは、強い不安や苦痛から心を守るために、記憶や感情、意識の一部が切り離されるように働く防衛的な過程である。日常的にもぼんやりして記憶が曖昧になるような軽い解離は経験されるが、強いトラウマ体験においては、出来事の記憶や感情が分断され、後に断片的に想起されることがある。本コマでは、こうした解離の仕組みと役割を整理するとともに、なぜ解離が生じるのかを説明する。また、精神分析においては、解離された体験がどのように語りや関係の中で現れてくるのかに注目し、それをどのように理解し統合していくのかという視点を学ぶ。さらに、過度に踏み込みすぎない関わりの重要性についても確認する。
③ 本コマでは、トラウマや解離の理解を踏まえ、「防衛機制」という心の働きについて理解を深める。防衛機制とは、不安や葛藤から自我を守るために無意識的に働く心理的な調整の仕組みである。抑圧や否認、合理化、投影など、さまざまな形で現れ、日常生活の中でも広く見られる。本コマでは、これらの具体例を通して、防衛機制がどのように心の安定を保つ役割を果たしているのかを説明する。また、防衛機制は単に問題となるものではなく、状況に応じて適応的にも働く点に注目する。さらに、精神分析では、こうした防衛の現れを手がかりとして無意識の葛藤を理解していくことの意義についても整理し、これまで扱ってきた内容とのつながりを確認する。
キーワード ① トラウマ ② 解離 ③ 防衛機制 ④ 無意識 ⑤ 自我
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本講義の復習】
文字教材を今一度よく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認をしておくこと。そして、ChatGPTにるテストワークを行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはネットで検索してみるとよい。次回は、ここまでの復習を行う。これまでの主要なポイントを整理し、模擬テストを行う。自分自身でも、これまでに学んで来たことを整理しておいて欲しい。

10 復習回2 科目の中での位置付け 本科目では、臨床心理学の成立期における心理療法の発展を、各回の講義テーマに沿って体系的に学ぶ。第1回ではウィトマー(Witmer, L.)による臨床心理学誕生の背景とその歴史的意義を扱い、第2回・第3回ではフロイト(Freud, S.)による精神分析理論の成立過程と、無意識や心的構造などの基本概念を検討する。第4回以降は自我心理学や対象関係論などの理論的展開を学び、第8回・第9回では精神分析を用いた心理療法の実際を取り上げる。さらに第11回以降では、フロイトの弟子達によって発展した力動的精神療法の展開を概説し、その多様な理論と実践を理解する。最終的に、歴史的理論と現代の臨床実践との関連を多角的に把握することを目指す。
こうした中で、第10回は復習回2である。これまでの第6回~第9回の内容を整理し、さらに模擬テストを行う。これまでの学びを落ち着いて振り返り、しっかり定着させる機会として欲しい。

第6回~第9回文字教材
コマ主題細目 ① 局所論と構造論 ② 心理性的発達理論 ③ 精神分析療法
細目レベル ① 第6回では、フロイトの主要理論である無意識に関する二つの理論を紹介した。まず、心の働きを意識・前意識・無意識という三つの領域に分けて捉える局所論を学び、意識されない心的内容が行動や感情に影響を与えるという基本的な考え方を理解した。次に、自我・エス・超自我という三つの要素から心を捉える構造論について学び、それぞれの働きや役割とその相互作用が人の行動や葛藤を生み出すことを確認した。さらに、局所論と構造論の違いとつながりについて整理し、フロイトが臨床経験を通して理論を発展させていった経緯を理解した。これら二つのモデルを組み合わせることで、心の構造と働きをより立体的かつ多面的に捉える視点を身につけた。
② 次に、第7回では、はじめに人の発達をリビドーという本能的エネルギーの向かう先の変化として捉える心理性的発達理論を学び、口唇期・肛門期・男根期・潜伏期・性器期という各段階の特徴とその意味を整理した。各段階での経験が後の性格や行動に影響するという発達観についても確認した。次に、男根期におけるエディプス・コンプレックスと、その葛藤の解決を通して超自我が形成される過程を理解した。さらに、夢が無意識への重要な手がかりであることを学び、顕在夢と潜在夢の違いや夢の仕事の仕組みを通して、無意識がどのように表現されるのかを具体的に捉えた。これらを通して、人の行動や感情を発達や無意識の観点から多面的に理解する視点を身につけた。
③ 第8回と第9回では、精神分析療法の基本的な方法とその実践的理解について学んだ。まず、自由連想法を中心に、無意識に接近するための技法とその意義を理解し、転移・逆転移、退行や解釈といった概念を通して、治療過程における心の働きを整理した。さらに、治療関係そのものが変化を生み出す場となることを学び、関係性の中で無意識がどのように立ち現れるのかを理解した。加えて、トラウマや解離、防衛機制といった心を守る働きについても学び、それらが症状や行動にどのように関与するのかを確認した。これらを踏まえ、精神分析療法がどのような視点で、何を重視しながら精神的問題にアプローチするのか、その具体的実践について理解を深めた。
キーワード ① 局所論 ② 構造論 ③ 自由連想法 ④ トラウマ ⑤ 防衛機制
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本講義の復習】
文字教材を今一度よく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認をしておくこと。そして、ChatGPTにるテストワークを行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはネットで検索してみるとよい。次回は、フロイトの弟子達について紹介する。ユング、アドラー、クライン、アンナ・フロイトらについて自分なりに調べておこう。

11 フロイトの弟子達とその理論 科目の中での位置付け 本科目では、臨床心理学の成立期における心理療法の発展を、各回の講義テーマに沿って体系的に学ぶ。第1回ではウィトマー(Witmer, L.)による臨床心理学誕生の背景とその歴史的意義を扱い、第2回・第3回ではフロイト(Freud, S.)による精神分析理論の成立過程と、無意識や心的構造などの基本概念を検討する。第4回以降は自我心理学や対象関係論などの理論的展開を学び、第8回・第9回では精神分析を用いた心理療法の実際を取り上げる。さらに第11回以降では、フロイトの弟子達によって発展した力動的精神療法の展開を概説し、その多様な理論と実践を理解する。最終的に、歴史的理論と現代の臨床実践との関連を多角的に把握することを目指す。
こうした中で、第11回は「フロイトの弟子達とその理論」というテーマで講義を行う。フロイトに直接師事した著名な心理療法家(ユング、アドラー、アンナ・フロイト、クライン)を紹介し、それぞれの理論を比較しながら論じる。

Jung, C. G.(1921/1991)『心理学的類型』林道義訳,みすず書房.
Adler, A.(1930/1982)『個人心理学講義』岸見一郎訳,アルテ.
Freud, A.(1936/1986)『自我と防衛機制』外林大作訳,誠信書房.
Klein, M.(1946/1983)「分裂機制についての覚書」小此木啓吾ほか訳『クライン著作集』岩崎学術出版社.
コマ主題細目 ① ユングの分析心理学 ② アドラーの個人心理学 ③ アンナ・フロイトの自我心理学 ④ クラインの対象関係論
細目レベル ① 本コマでは、フロイトの弟子であるカール・ユング(C.G. Jung)が提唱した分析心理学について理解を深める。ユングは当初フロイトの後継者と期待されたが、無意識やリビドーの捉え方をめぐる対立から決別し、独自の理論を展開した。ユングは無意識を個人的無意識と集合的無意識に区別し、特に人類に共通する原初的イメージである元型の存在を重視した。また、人の発達を過去の原因だけでなく、将来の目的や意味によっても説明しようとした点に特徴がある。さらに、MBTIの基礎となるタイプ論や、無意識の働きを捉えるための言語連想検査にも触れ、理論の広がりを理解する。本コマでは、こうした基本概念を整理するとともに、自己の統合を目指す個性化の過程についても触れ、人の心をより全体的・象徴的に理解する視点を学ぶ。
② 本コマでは、フロイトの弟子であるカール・ユング(C.G. Jung)が提唱した分析心理学について理解を深める。ユングは当初フロイトの後継者と期待されたが、無意識やリビドーの捉え方をめぐる対立から決別し、独自の理論を展開した。ユングは無意識を個人的無意識と集合的無意識に区別し、特に人類に共通する原初的イメージである元型の存在を重視した。また、人の発達を過去の原因だけでなく、将来の目的や意味によっても説明しようとした点に特徴がある。さらに、MBTIの基礎となるタイプ論や、無意識の働きを捉えるための言語連想検査にも触れ、理論の広がりを理解する。本コマでは、こうした基本概念を整理するとともに、自己の統合を目指す個性化の過程についても触れ、人の心をより全体的・象徴的に理解する視点を学ぶ。
③ 次のコマでは、アンナ・フロイト(A. Freud)が発展させた自我心理学について理解を深める。アンナ・フロイトは、父フロイトの理論を基盤としながらも、無意識や欲動だけでなく、自我の現実適応機能に注目した点に特徴がある。特に、防衛機制の体系的整理を行い、抑圧・否認・投影・合理化などがどのように不安や葛藤から自我を守るのかを明らかにした。本コマでは、これらの具体例を通して、防衛機制が単なる問題ではなく、心を保つための重要な働きであることを理解する。また、子どもの心理や発達への関心を背景に、遊びや行動を通して心を理解する視点が重視された点にも触れる。さらに、自我の働きを丁寧に捉えることで、精神分析がより実践的かつ臨床的に展開していった意義についても学ぶ。
④ 本コマでは、メラニー・クライン(M. Klein)が提唱した対象関係論について理解を深める。クラインは、フロイトの理論を基盤としつつも、心の発達を欲動ではなく「他者との関係(対象関係)」を中心に捉えた点に特徴がある。特に乳幼児期の内的世界に注目し、良い対象と悪い対象に分けて認識する「分裂」や、迫害的不安・抑うつ不安といった概念を提示した。本コマでは、妄想‐分裂ポジションと抑うつポジションという発達的枠組みを整理し、子どもの心の中でどのような体験が生じているのかを理解する。また、遊びを通して無意識を表現する子どもの分析技法にも触れる。さらに、彼女とアンナ・フロイトとの理論的・感情的対立は有名な話である。考えられるその原因やその後の影響についても考察する。
キーワード ① ユングの分析心理学 ② アドラーの個人心理学 ③ アンナ・フロイトの自我心理学 ④ クラインの対象関係論 ⑤ アンナ・メラニー論争
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本講義の復習】
文字教材を今一度よく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認をしておくこと。そして、ChatGPTにるテストワークを行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはネットで検索してみるとよい。次回は、さらに後年に活躍した精神分析療法家の中から著名な3人を紹介する。サリバン、ホーナイ、フロムという人について自分なりに調べてみておいて欲しい。

12 フロイト後の展開1:新フロイト派の発展 科目の中での位置付け 本科目では、臨床心理学の成立期における心理療法の発展を、各回の講義テーマに沿って体系的に学ぶ。第1回ではウィトマー(Witmer, L.)による臨床心理学誕生の背景とその歴史的意義を扱い、第2回・第3回ではフロイト(Freud, S.)による精神分析理論の成立過程と、無意識や心的構造などの基本概念を検討する。第4回以降は自我心理学や対象関係論などの理論的展開を学び、第8回・第9回では精神分析を用いた心理療法の実際を取り上げる。さらに第11回以降では、フロイトの弟子達によって発展した力動的精神療法の展開を概説し、その多様な理論と実践を理解する。最終的に、歴史的理論と現代の臨床実践との関連を多角的に把握することを目指す。
こうした中で、第12回は「フロイト後の展開1:新フロイト派の発展」というテーマで講義を行う。フロイトの死後も精神分析に関心を持つ人は後を絶たなかったが、そうした中でも「新フロイト派」と呼ばれた人々の中から著名な人と理論を紹介する。

Fromm, E.(1941/1991)『自由からの逃走』日高六郎訳,東京創元社.
Horney, K.(1937/1998)『現代人の神経症的人格』森田正馬監訳,誠信書房.
Erikson, E. H.(1950/2011)『幼児期と社会』仁科弥生訳,みすず書房.
コマ主題細目 ① サリバンの対人関係論 ② ホーナイと基底不安 ③ フロムの人間観 ④ エリクソンの心理社会的発達理論
細目レベル ① まずはじめに、ハリー・サリバン(H.S. Sullivan)の対人関係論について理解を深める。サリバンは、人の心や人格は個人の内面だけで完結するものではなく、他者との関係の中で形成されると考えた点に特徴がある。彼は、不安が対人関係の中で生じ、それを回避しようとする過程が行動や性格に影響すると捉えた。本コマでは、こうした対人関係を基盤とした人間理解を整理するとともに、自己体系や安全保障操作といった概念についても説明する。また、精神的問題を個人の内部の問題としてだけでなく、対人関係のパターンとして理解する視点を学ぶ。さらに、精神分析が内的世界から対人関係へと視点を広げていった流れの中で、サリバンの理論が持つ意義についても考える。
② 次に、カレン・ホーナイ(K. Horney)という人と彼女の「基本的不安(基底不安)」の概念について理解を深める。ホーナイは、フロイト理論を批判的に発展させた人物であり、その影響力からしばしば「女フロイト」とも呼ばれる。彼女は、生物学的本能を重視する立場に対し、人の不安や性格形成は対人関係や養育環境の影響によって生じると考えた。特に、子どもが安心感や愛情を十分に得られない環境で育つと、孤立感や無力感に基づく基本的不安が形成されるとした。本コマでは、この基本的不安が人の行動や対人関係にどのような影響を与えるのかを整理する。また、不安に対処する三つの対人方略(人に近づく・人に逆らう・人から離れる)についても説明し、性格理解へとつなげる。さらに、文化や社会的文脈を重視する視点の意義についても考える。
③ 次のコマでは、エーリッヒ・フロム(E. Fromm)の理論について理解を深める。フロムはフロイトの精神分析に社会学や哲学の視点を取り入れ、人の心を社会や文化との関係の中で捉えようとした点に特徴がある。彼は、人間は自由を獲得する一方で孤独や不安を抱える存在であり、そこから逃れようとする心理が行動に影響すると考えた。本コマでは、「自由からの逃走」という概念を中心に、人が権威主義や同調、破壊性などに向かう過程を整理する。また、愛や創造的活動を通して他者とつながることの重要性にも触れ、人間がより健全に生きるための条件について考える。さらに、精神分析が個人の内面理解にとどまらず、社会全体の問題を捉える視点へと広がった意義についても理解する。
④ 最後に、エリック・エリクソン(E. Erikson)の理論について理解を深める。エリクソンはフロイトの発達理論を発展させ、生涯にわたる発達を「心理社会的発達」として捉えた点に特徴がある。彼は、人の発達を乳児期から老年期までの8段階に分け、それぞれの段階で直面する課題(発達課題)と葛藤を乗り越えることが人格形成に重要であると考えた。本コマでは、「信頼対不信」、「同一性対同一性拡散」など代表的な段階を取り上げ、各段階の意味とそのつながりを整理する。また、個人の内面だけでなく、社会や対人関係との相互作用の中で発達が進むという視点を理解し、フロイト理論がより社会的・発達的に拡張された意義について考える。
キーワード ① サリバンの対人関係論 ② ホーナイと基底不安 ③ フロムの人間観 ④ エリクソンの心理社会的発達理論 ⑤ エリクソンの心理社会的発達理論
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本講義の復習】
文字教材を今一度よく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認をしておくこと。そして、ChatGPTにるテストワークを行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはネットで検索してみるとよい。次回は、フロイト後の発展の中でも、特に対象関係論の発展を見て行く。対象関係論とはどんな理論だったか、復習をしておくことが次回の予習となるだろう。

13 フロイト後の展開2:対象関係論の発展 科目の中での位置付け 本科目では、臨床心理学の成立期における心理療法の発展を、各回の講義テーマに沿って体系的に学ぶ。第1回ではウィトマー(Witmer, L.)による臨床心理学誕生の背景とその歴史的意義を扱い、第2回・第3回ではフロイト(Freud, S.)による精神分析理論の成立過程と、無意識や心的構造などの基本概念を検討する。第4回以降は自我心理学や対象関係論などの理論的展開を学び、第8回・第9回では精神分析を用いた心理療法の実際を取り上げる。さらに第11回以降では、フロイトの弟子達によって発展した力動的精神療法の展開を概説し、その多様な理論と実践を理解する。最終的に、歴史的理論と現代の臨床実践との関連を多角的に把握することを目指す。
こうした中で、第13回は「フロイト後の展開2:対象関係論の発展」というテーマで講義を行う。著名な対象関係論者として、フェアバーン、ウィニコット、マーラー、ビオンについて紹介する。

Fairbairn, W. R. D.(1952/1992)『精神分析研究』岩崎学術出版社.
Winnicott, D. W.(1965/1998)『情緒発達の精神分析理論』牛島定信訳,岩崎学術出版社.
Mahler, M. S., Pine, F. & Bergman, A.(1975/1985)『乳幼児の心理的誕生』高橋雅士ほか訳,黎明書房.
Bion, W. R.(1962/1999)『学習からの経験』福本修訳,岩崎学術出版社.
コマ主題細目 ① フェアバーンの理論転換 ② 母子関係と発達(ウィニコット、マーラー) ③ ビオンと内的対象の世界
細目レベル ① 本コマでは、フェアバーン(W.R.D. Fairbairn)による理論転換について理解を深める。フェアバーンはフロイトの欲動中心の考え方を批判し、人間の基本的な動機は快の追求ではなく「対象(他者)との関係を求めること」にあるとした。この転換により、精神分析は欲動理論から対象関係論へと大きく方向づけられた。本コマでは、リビドーが対象関係へと向かうエネルギーとして再定義される点や、内的対象の形成について整理する。また、不適切な対人関係がどのように内面化され、人格構造や症状に影響するのかを説明する。さらに、人がなぜ苦しい関係にとどまり続けるのかという臨床的問題を通して、フェアバーン理論の意義を理解する。
② 次のコマでは、母子関係を中心とした発達理論について、ウィニコット(D.W. Winnicott)とマーラー(M. Mahler)の理論を取り上げて理解を深める。ウィニコットは「ほどよい母親」や「抱える環境(ホールディング)」といった概念を提唱し、安心できる関係の中で自己が形成される過程を重視した。また、真の自己と偽りの自己という区別を通して、適応と自己の在り方について説明した。一方、マーラーは分離個体化理論を提唱し、乳児が母親との一体感から徐々に自立した個として形成されていく過程を段階的に示した。本コマでは、これらの理論を通して、母子関係が心の発達の基盤をなすことを強調し、初期の関係性の質がその後の対人関係や自己の在り方に長期的な影響を及ぼす点についても具体的に理解する。
③ さらに、ビオン(W.R. Bion)の理論を通して、内的対象の世界とその機能について理解を深める。ビオンは、心の中で生じる感情や体験がどのように意味づけられ、思考として成立するのかに注目した。特に、母親が乳児の未分化な感情を受け止め、理解可能な形に変換する「コンテイニング」の概念を提唱した。本コマでは、β要素とα機能といった基本概念を整理し、心がどのようにして考える力を獲得していくのかを説明する。また、こうした機能が十分に働かない場合に、どのような心理的困難が生じるのかについても触れる。最後に、これまで扱ってきた対象関係論の流れを踏まえ、他者との関係がどのように内面化され、思考や感情の基盤となるのかを俯瞰し、対象関係論全体の意義について理解を深める。
キーワード ① フェアバーンの対象関係論 ② ウィニコットのほどよい母親 ③ マーラーの分離個体化理論 ④ ビオンのコンテイニング ⑤ 対象関係論
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本講義の復習】
文字教材を今一度よく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認をしておくこと。そして、ChatGPTにるテストワークを行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはネットで検索してみるとよい。次回は、ここまでの復習を行う。これまでの主要なポイントを整理し、模擬テストを行う。自分自身でも、これまでに学んで来たことを整理しておいて欲しい。

14 復習回3 科目の中での位置付け 本科目では、臨床心理学の成立期における心理療法の発展を、各回の講義テーマに沿って体系的に学ぶ。第1回ではウィトマー(Witmer, L.)による臨床心理学誕生の背景とその歴史的意義を扱い、第2回・第3回ではフロイト(Freud, S.)による精神分析理論の成立過程と、無意識や心的構造などの基本概念を検討する。第4回以降は自我心理学や対象関係論などの理論的展開を学び、第8回・第9回では精神分析を用いた心理療法の実際を取り上げる。さらに第11回以降では、フロイトの弟子達によって発展した力動的精神療法の展開を概説し、その多様な理論と実践を理解する。最終的に、歴史的理論と現代の臨床実践との関連を多角的に把握することを目指す。
こうした中で、第14回は復習回2である。これまでの第11回~第13回の内容を整理し、さらに模擬テストを行う。これまでの学びを落ち着いて振り返り、しっかり定着させる機会として欲しい。

第11回~第13回文字教材
コマ主題細目 ① フロイトの直弟子達 ② ネオ・フロイディアン ③ 対象関係論の発展
細目レベル ① 第11回では、フロイトの弟子たちが、師の理論をどのように受け継ぎ、またどのように修正していったのかを学んだ。ユングは無意識を個人の経験に限らず、人類に共通する集合的無意識へと広げ、元型や個性化の概念を提唱した。アドラーは無意識的欲動よりも目的や劣等感の克服を重視し、人の行動を社会的文脈の中で理解しようとした。アンナ・フロイトは自我の働きと防衛機制を整理し、精神分析をより実践的な臨床へと結びつけた。クラインは乳幼児の内的世界と対象関係に注目し、発達の理解をより早期の母子関係へと深めた。これらを通して、フロイト以後の精神分析が、象徴、目的、自我、対象関係という異なる視点へ展開していったことを理解した。
② 第12回では、新フロイト派の理論について学び、フロイトの精神分析が社会や対人関係の視点へと広がっていった過程を理解した。サリバンは対人関係論を提唱し、不安や人格が他者との関係の中で形成されることを示した。ホーナイは基本的不安の概念を提示し、養育環境や文化が性格形成に与える影響を重視した。フロムは社会的・文化的文脈の中で人間の心理を捉え、「自由からの逃走」を通して不安と行動の関係を説明した。さらに、エリクソンは心理社会的発達理論を提唱し、人の発達を生涯にわたる課題として捉え直した。これらを通して、精神分析が個人の内面だけでなく、社会や対人関係との相互作用の中で人を理解する理論へと展開したことを具体的に理解した。
③ 第13回では、対象関係論の発展について学び、精神分析が「欲動」中心の理論から「他者との関係」中心の理論へと転換していく過程を理解した。フェアバーンは、人の基本的動機を欲動ではなく対象関係の追求と捉え直し、理論的な方向転換を示した。ウィニコットは「ほどよい母親」やホールディングの概念を通して、安心できる関係の中で自己が形成されることを示し、マーラーは分離個体化の過程を通して自立の発達を説明した。さらに、ビオンはコンテイニングやα機能の概念を提唱し、感情が思考へと変換される過程を明らかにした。これらを通して、初期の対人関係が内的世界や思考の基盤を形成するという対象関係論に共通した視点を理解することを目指した。
キーワード ① 分析心理学(ユング) ② 個人心理学(アドラー) ③ 新フロイト派(サリバン・ホーナイ・フロム・エリクソン) ④ 対象関係論(フェアバーン・クライン) ⑤ 母子関係と内的対象(ウィニコット・マーラー・ビオン)
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本講義の復習】
文字教材を今一度よく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認をしておくこと。そして、ChatGPTにるテストワークを行うこと。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。そして、気になる用語、不明な用語についてはネットで検索してみるとよい。次回は、これまでのまとめとさらなる発展を考える回とする。改めて、これまでの学びをしっかり振り返っておいて欲しい。

15 まとめ:精神分析とは何か? 科目の中での位置付け 本科目では、臨床心理学の成立期における心理療法の発展を、各回の講義テーマに沿って体系的に学ぶ。第1回ではウィトマー(Witmer, L.)による臨床心理学誕生の背景とその歴史的意義を扱い、第2回・第3回ではフロイト(Freud, S.)による精神分析理論の成立過程と、無意識や心的構造などの基本概念を検討する。第4回以降は自我心理学や対象関係論などの理論的展開を学び、第8回・第9回では精神分析を用いた心理療法の実際を取り上げる。さらに第11回以降では、フロイトの弟子達によって発展した力動的精神療法の展開を概説し、その多様な理論と実践を理解する。最終的に、歴史的理論と現代の臨床実践との関連を多角的に把握することを目指す。
こうした中で、第15回は「まとめ:精神分析とは何か?」というテーマで講義を行う。これまでの総括をしながら、改めて精神分析とはどのようなものなのかを振り返り、よりメタな視点から整理していく。

小此木啓吾(2001)『精神分析入門』岩波書店.
土居健郎(1971/2007)『「甘え」の構造』弘文堂.
Fonagy, P.(2001/2010)『愛着理論と精神分析』遠藤利彦ほか訳,誠信書房.
コマ主題細目 ① 精神分析の治療場面で実際に起きていること ② 治療者は何をしているのか ③ 精神分析は何を変えているのか
細目レベル ① 本コマでは、改めて精神分析療法について振り返りを行い、特に精神分析の治療場面で実際に何が起きているのかを具体的に理解する。第8回で学んだ自由連想法を通して、患者は思いつくままに語るが、その語りの中には過去の体験や現在の悩み、対人関係のパターンが断片的に現れてくる。また第9回で扱ったように、治療者との関係の中で転移が生じ、過去の重要な他者との関係が現在の関係として再現される。本コマでは、こうした語りと関係性の中で無意識がどのように現れ、どのように意味づけられていくのかを丁寧に整理する。さらに、一見無関係に見える語りがどのように結びつき、症状や葛藤と関連しているのかを理解し、精神分析のプロセスをより具体的に捉える。これまでの学びを踏まえ、その全体像を整理する。
② 本本コマでは、精神分析において治療者がどのような役割を果たしているのかを理解する。第8回で学んだ技法を踏まえ、治療者は助言や指示を与えるのではなく、中立的態度を保ちながら患者の語りに耳を傾け、その背後にある無意識的な意味や感情の流れを捉えようとする。また第9回で扱った転移や逆転移に注目し、関係の中で生じる感情や反応を重要な手がかりとして活用する。本コマでは、治療者がどのようにタイミングを見極めながら解釈を行い、患者の気づきや理解を促していくのかを具体的に整理する。さらに、患者自身の理解を支える姿勢や関わり方についても丁寧に確認する。これまで扱ってきた技法や態度をふり返りながら、治療者が「何をしている人なのか」を総括的に理解できるようにする。
③ 本コマでは、精神分析療法が最終的に何を変えようとしているのかを、これまでの講義内容を踏まえて改めて整理する。第4回で学んだ無意識や心的決定論の視点に立ち返りつつ、第8回・第9回で扱った臨床実践と結びつけながら理解を深める。精神分析は単に症状を取り除くのではなく、自分でも気づいていなかった考え方や感じ方のパターンに気づき、それを捉え直すことを通して変化を促す。本コマでは、「なぜ同じことで悩んでしまうのか」「なぜ似たような対人関係を繰り返してしまうのか」といった身近な問いを手がかりに、無意識の働きと変化の関係を具体的に考える。また、理解が深まることで感情の受け止め方や行動の選び方がどのように変わるのかを整理し、精神分析がもたらす変化をより実感的に捉えられるようにする。
キーワード ① 語りと関係のプロセス ② 無意識の意味づけ ③ 治療関係の力学 ④ パターンへの気づき ⑤ 理解による変化
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題 【本講義の復習】
文字教材を今一度よく読んでおくこと。その際、文字教材の太字の箇所は不可欠な知識であるため、太字の箇所を見なくてもその単語が思い出せるか確認しながら読んでみると良い。また、アンダーラインの箇所はそこがなぜアンダーラインが引かれているか説明できるかを確認してほしい。その他、自身が線を引いたりメモをとったことについて、なぜそうしたかが説明できるか確認をしておくこと。そして、ChatGPTにるテストワークを行うこと。
【全体の復習】
講義はこれで終了となり、いよいよ残すは期末テストである。履修判定指標を確認しながらテスト勉強の対策を練ろう。そして、特に文字教材のまとめの箇所を理解しているか、自分自身に問い直してみよう。総仕上げとして、ドリルを活用するとよいだろう。さらに、ChatGPTによるテストワークを繰り返し行う事で、万全の状態で期末テストに臨んで欲しい。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
心理学および臨床心理学の基礎概念と成立を理解する 心理学・臨床心理学・心理療法の違いを説明し、臨床心理学誕生までの歴史的流れを整理できる 心理学、臨床心理学、心理療法、構成概念、刺激と反応、ウィトマー、Psychological Clinic、精神障害の脳病説、グリージンガー、クレペリン、メスメル、シャルコー 10 第1回、第2回
フロイトの生涯と精神分析成立の背景を理解する フロイトの生涯上の重要事項と、催眠から自由連想法・精神分析へ至る流れを説明できる ジークムント・フロイト、ユダヤ人迫害、シャルコー、ブロイアー、自由連想法、夢判断、精神分析学会 10 第3回
フロイト理論の基礎概念を理解する 無意識、心的決定論、ヒステリーの3概念について、それぞれの意味を説明できる 無意識、心的決定論、ヒステリー、アンナ・O、ブロイアー、転換性障害 10 第4回、第15回
フロイトの無意識論を理解する 局所論と構造論の基本構成を答え、それぞれの違いを整理できる 局所論、意識、前意識、無意識、構造論、自我、エス、超自我、精神力動論 10 第6回
リビドー論と発達理論を理解する 心理性的発達理論の各段階を答え、エディプス・コンプレックスや夢分析との関係を説明できる リビドー、心理性的発達理論、口唇期、肛門期、男根期、潜伏期、性器期、エディプス・コンプレックス、夢分析、顕在夢、潜在夢 10 第7回
精神分析療法の実践方法を理解する 自由連想法、転移、逆転移、退行、解釈の意味を説明し、治療関係の特徴を理解している 精神分析療法、自由連想法、転移、逆転移、退行、解釈、ドーラ、鼠男、狼男 10 第8回、第15回
トラウマ・解離・防衛機制の理解を深める 精神分析においてトラウマや解離をどのように扱うかを理解し、防衛機制を具体例で説明できる トラウマ、解離、防衛機制、抑圧、否認、投影、合理化、自我 10 第9回、第15回
フロイトの直弟子たちの理論を理解する ユング、アドラー、アンナ・フロイト、クラインの理論の特徴と相違を説明できる ユング、集合的無意識、元型、個性化、アドラー、劣等感、優越性の追求、アンナ・フロイト、自我心理学、クライン、対象関係論 10 第11回
新フロイト派の理論を理解する サリバン、ホーナイ、フロム、エリクソンの理論の特徴を整理し、対人関係・社会的視点の導入を説明できる サリバン、対人関係論、ホーナイ、基底不安、フロム、自由からの逃走、エリクソン、心理社会的発達理論 10 第12回
対象関係論の発展を理解する フェアバーン、ウィニコット、マーラー、ビオンの理論を整理し、欲動論から対象関係論への転換を説明できる サリバン、対人関係論、ホーナイ、基底不安、フロム、自由からの逃走、エリクソン、心理社会的発達理論 10 第13回
評価方法
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書
参考文献
実験・実習・教材費