区分
臨床心理学概論科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力
科学コミュニケーション力
研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養
応用力
実践力
科目間連携
総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
科目の目的
本講義の目的は、臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ基礎的知識および歴史的理解を踏まえ、それらを具体的な人間理解と心理療法の実践的文脈の中で統合的に捉える力を養うことである。授業では河合隼雄の著作を講読し、人の心を理解するとはどのようなことか、また人を支える営みとしての心理療法がいかに成り立っているのかについて、多角的に検討する。これにより、臨床心理学の理論や歴史を単なる知識としてではなく、臨床実践に根ざした「人をいたわるまなざし」や「自己理解」の深化と結びつけて理解することを目指す。さらに、心理療法の多様な考え方や立場に触れながら、自らの臨床観の基盤を形成することを目的とする。
到達目標
① 指定された書籍を読み、各回の内容のポイントを理解することができる。
② 授業で扱った内容について、重要なキーワードや考え方を説明できる。
③ 臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ内容と関連づけながら、基本的な事項を理解できる。
④ 「心とは何か」「人を理解するとはどういうことか」といった問いについて、簡単に自分の考えを述べることができる。
⑤ 他者や自分の心に関心を向ける姿勢を持つことができる。
科目の概要
本講義は、臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ内容をもとに、河合隼雄の本を読みながら「心とは何か」「人を理解するとはどういうことか」を考えていく講読の授業である。授業では、テキストの内容を一緒に読み解きながら、臨床心理学の基本的な考え方や、人を支えることの意味について具体的に学んでいく。これまでに学んだ、いじめ・不登校・ストレスといった身近なテーマや、心理療法の歴史や考え方とも関連づけながら理解を深めていく。専門的で難しい理論を覚えることよりも、「なるほど、こういう見方があるのか」と感じながら読むことを大切にする授業である。本を通して、人の心の不思議さやおもしろさに触れながら、臨床心理学を学ぶための土台をつくっていく。
科目のキーワード
河合隼雄、心とは何か、関係性、心理療法、人間理解、臨床心理学
授業の展開方法
本講義は、指定された教科書および授業ごとの文字教材をもとに、教員が内容を読み上げながら解説を加える形式で進める。
授業では主に講義形式をとるが、書籍の内容を踏まえながら、自分自身の考えや感じ方について振り返る時間を設ける。討論や発表は行わず、それぞれのペースで理解を深めることを重視する。また、学習の補助として生成AI(ChatGPTやNotebookLM等)を活用することを想定しており、内容の整理や理解の補助として活用することができる。強制的な参加や発言を求めることはないため、自らの学びのために、無理のない範囲で主体的に授業に関わることを期待する。
オフィス・アワー
武田知也:前期:火曜1限
後期:火曜1限
横光健吾:前期:金曜4限
後期:金曜4限
伊藤義徳:※できるだけアポイントを取ってください
前期:火曜3限・4限
木曜1限・2限
後期:火曜3限・4限
木曜1限・2限
高野裕治:前期:火曜1~5限
後期:火曜1~5限
科目コード
RT1031
学年・期
1年・前期
科目名
臨床心理学講読Ⅰ
単位数
2
授業形態
講義
必修・選択
必修
学習時間
【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
展開科目
関連資格
担当教員名
武田知也・横光健吾・伊藤義徳・高野裕治
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
人を理解するとはどういうことか
科目の中での位置付け
本科目は、臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ基礎的知識や歴史的理解をもとに、それらを「人を理解する」という視点から捉え直すことを目的とした講読科目である。概論Ⅰで扱う心のケアや現代的課題、概論Ⅱで扱う心理療法の理論や歴史は、それぞれ重要な内容であるが、個別の知識として学ばれるだけでは十分とはいえない。本科目では、それらを河合隼雄の著作を通して結びつけ、臨床心理学における人間理解の基盤を形成することを目指す。
第1回では、本講義全体の導入として、「人を理解するとはどういうことか」という問いを取り上げる。人の心は目に見えず、一つの正解で説明できるものではないため、他者を理解することの難しさと重要性について確認する。また、臨床心理学がどのような問題意識から生まれてきたのかについても触れ、人を理解しようとする営みとしての臨床心理学の出発点を学ぶ。
本講義で扱うのは、単なる知識の確認ではない。河合隼雄の語りに触れながら、「すぐにわかったつもりにならないこと」「一つの見方にとらわれないこと」といった、臨床心理学において大切な姿勢を体験的に学んでいく。臨床心理学を学ぶ最初の一歩として、人をいたわるまなざしと、自分自身を見つめる視点を養う回である。
コマ主題細目
① 人はひとりでは生きられない(社会の成り立ち) ② 心理学と臨床心理学 ③ 人を理解するとはどういうことか
細目レベル
① 「人はひとりでは生きられない」という我々人間の「前提」を、多角的な視点から検討することからこの講義を始める。そもそも人間は他の動物と比べて非常に未熟な状態で生まれるため、生まれた後相当期間養育者の庇護がなければ生きながらえることは出来ない。ある程度成長した後、今度は安心できる関係の中で育まれる信頼感や対人関係が、個人の心理的安定に大きな影響を及ぼす。さらに、人が他者との関係や相互作用の中で自己を形づくり、社会の中で役割や規範に支えられて生きている点にも注目する。これらを通して、人が支え合いの中で生きる存在であることを理解し、心のケアの基盤として対人関係がいかに重要であるかについて一緒に考えてみたい。
② 心理学を始めて研究の遡上にのせたのはヴントであるが、その後、心理学は多様な領域に細分化されていった。臨床心理学もそうした心理学の下位領域の一つといえる。臨床とは、患者の「床」に「臨」むという意味であり、苦しむ人に直接手を差し伸べることに関わる心理学領域が臨床心理学である。この言葉を始めて使用したのは、ウィトマーである。彼はこの用語を用いて、原理や観念を追求する学問的な心理学に対して、人を助けるための心理学である臨床心理学の重要性を主張した。講義内では、社交不安症の例をとって、心理学的法則により如何にして臨床疾患が予測されるかを説明する。臨床心理学もまた、心理学の一部であることを理解してもらえれば幸いである。
③ 「人を理解するとはどういうことか」という臨床心理学の基本的な問いについて考える。人の心は目に見えず、一つの正解で説明できるものではないため、他者を理解することの難しさと重要性について確認する。また、河合隼雄の著作を講読しながら、人の心を理解しようとする姿勢や、すぐに結論を出さずに相手を見つめ続けることの意味について学ぶ。あわせて、自分自身を理解することの難しさにも触れ、人を理解することと自己理解との関係についても考える。さらに、同じ出来事であっても人によって感じ方や意味づけが異なることを知り、多様な視点から心を捉える大切さについて理解する。また、他者を理解しようとすることが、そのまま支援や関係づくりにつながる可能性についても考える。これらを通して、臨床心理学における人間理解の出発点となる視点を身につけることを目指す。
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
"【本講義の復習】
指定された教科書をもう一度読み、授業で扱った内容を踏まえながら理解を深めること。また、授業で配布した文字教材についても読み直し、重要なポイントを確認しておくこと。その際、自分が気になった箇所や理解があいまいな部分については、ChatGPT等の生成AIを活用し、解説を確認することも有効である。単に答えを知るのではなく、「なぜそう考えるのか」を意識しながら理解を深めることを意識してほしい。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。また、授業で扱われるテーマに関して、気になる用語や不明な用語があれば、事前にインターネット等で調べておくと理解が深まりやすい。指定がある場合には、該当する教科書の範囲をあらかじめ読んでおくこと。"
2
理解できない行動を、どう理解しようとするか
科目の中での位置付け
本科目は、臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ基礎的知識や歴史的理解をもとに、それらを「人を理解する」という視点から捉え直すことを目的とした講読科目である。概論Ⅰで扱う心のケアや現代的課題、概論Ⅱで扱う心理療法の理論や歴史は、それぞれ重要な内容であるが、個別の知識として学ばれるだけでは十分とはいえない。本科目では、それらを河合隼雄の著作を通して結びつけ、臨床心理学における人間理解の基盤を形成することを目指す。
第2回では、「理解できない行動をどのように理解するか」という問いを取り上げる。虐待という現代的課題を通して、人の行動が単純な善悪では説明できないことを確認するとともに、臨床心理学がどのように「困っている人」を理解しようとしてきたのかについて学ぶ。また、河合隼雄の著作を講読しながら、「わかったつもりになること」の危うさや、人の心の複雑さに向き合う姿勢について考える。人を安易に判断するのではなく、その背景に目を向ける視点を養う回である。
コマ主題細目
① 虐待のデータ ② ウィトマーのPsychological Clinic ③ 理解できない行動を、どう理解しようとするか
細目レベル
① 虐待は、養育者が子どもを虐待する児童虐待、高齢者に対する高齢者虐待、配偶者等に対して行われるドメスティックバイオレンス(DV) 等が含まれる。いずれの虐待も大きな社会的問題となっているが、例えば児童虐待の児童相談所に対する相談件数は、R6年度は223,691件となり、最高だった前年より若干減少しているものの、高止まりの状態が続いている。虐待の種類としては、身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、養育放棄が挙げられる。さらに高齢者に対しては、経済的虐待の問題も指摘される。虐待に対しては、児童福祉法、児童虐待防止法、DV法、高齢者虐待防止法などの法律が整備されてきているにもかかわらず、なぜ虐待は減らないのか。ここでは、虐待を取り巻く歴史、現状、対策等について概説する。虐待について考える土台を整えてほしい。
② ウィトマーはアメリカの心理学者であり、ヴントのもとで実験心理学を学んだ後、応用的関心を強めた人物である。1896年、学習や発達に困難を抱える子どもへの支援を目的として、ペンシルベニア大学にPsychological Clinicを開設した。その契機は、綴字障害をもつ児童についての相談を受けた経験であり、心理学の知見を現実の問題解決に役立てる必要性を自覚したことにあった。さらに彼は同名の雑誌を創刊し、実践と研究の成果を発信した。これらの取り組みは、心理学を実践的援助へと展開させ、臨床心理学の出発点として大きな影響を与えた。彼がPsychological clinicを開設した意図やその意義について、ここでは解説を行う。
③ 本テーマでは、「理解できない行動を、どのように理解しようとするか」という問いについて考える。虐待のように、一般には受け入れがたい行動であっても、その背景には当事者なりの事情や文脈が存在する可能性があることを確認する。一方で、こうした行動を単純に正当化するのではなく、その意味を慎重に捉える姿勢の重要性についても学ぶ。また、河合隼雄の著作を講読しながら、「理解しているつもりになること」の危うさや、人の心を安易に決めつけないことの大切さについて考える。人の行動は表面的に見えるものだけでは十分に説明できず、見えない部分に目を向け続ける必要がある。これらを通して、「わからなさ」と向き合いながら人を理解しようとする態度を身につけることを目指す。
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
"【本講義の復習】
指定された教科書をもう一度読み、授業で扱った内容を踏まえながら理解を深めること。また、授業で配布した文字教材についても読み直し、重要なポイントを確認しておくこと。その際、自分が気になった箇所や理解があいまいな部分については、ChatGPT等の生成AIを活用し、解説を確認することも有効である。単に答えを知るのではなく、「なぜそう考えるのか」を意識しながら理解を深めることを意識してほしい。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。また、授業で扱われるテーマに関して、気になる用語や不明な用語があれば、事前にインターネット等で調べておくと理解が深まりやすい。指定がある場合には、該当する教科書の範囲をあらかじめ読んでおくこと。"
3
人は環境や文化の中でどのように形づくられるのか
科目の中での位置付け
"本科目は、臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ基礎的知識や歴史的理解をもとに、それらを「人を理解する」という視点から捉え直すことを目的とした講読科目である。概論Ⅰで扱う心のケアや現代的課題、概論Ⅱで扱う心理療法の理論や歴史は、それぞれ重要な内容であるが、個別の知識として学ばれるだけでは十分とはいえない。本科目では、それらを河合隼雄の著作を通して結びつけ、臨床心理学における人間理解の基盤を形成することを目指す。
第3回では、「人は環境や背景の中でどのように形づくられるのか」という視点から人間理解を深める。不登校の問題を手がかりに、個人の問題としてではなく、社会や環境との関係の中で心や行動が生じることを確認する。また、フロイトの背景に触れながら、心理学の理論も時代や社会の影響を受けていることを理解する。河合隼雄の著作を通して、「正しさ」や価値観が人に与える影響について考え、多面的に人を捉える視点を養う回である。"
コマ主題細目
① 不登校の支援に関する考え方 ② ユダヤ人とヒトラーのユダヤ人迫害政策 ③ 人は環境や文化の中でどのように形づくられるのか
細目レベル
① 本コマでは、不登校支援の基本的な考え方について、近年の制度や知見を踏まえて整理する。まず、教育機会確保法や文部科学省による近年の「不登校の児童生徒への支援の在り方に関する通知」を取り上げ、不登校を否定的に捉えるのではなく、多様な学びの機会を保障する視点への転換を確認する。次に、不登校児童生徒を対象とした各種調査結果をもとに、その心理状態や背景にある要因について理解を深める。さらに、近年指摘される「令和型不登校」と呼ばれる新たな傾向にも触れ、現代的特徴を把握する。これらを通して、不登校支援のあり方について多角的に考えるとともに、どのような関わりが望ましいのかについて、自らの視点で想像を広げることを目指す。
② ジークムント・フロイトという人を理解する上で、彼がユダヤ人であり、ユダヤ人迫害政策のただ中に生まれ育った点は欠かせない。ユダヤ人は歴史的に長く迫害を受けてきた民族であり、中世までは主に宗教的対立がその要因であった。キリスト教が国教化される中で、ユダヤ教との相違が排斥の根拠となり、追放やゲットーへの隔離が行われた。その後、宗教の影響力が弱まると、反ユダヤ主義は人種的偏見へと変化し、社会的・経済的成功を収めるユダヤ人への嫉妬や不信が強まった。こうした流れの中で、ナショナリズムの高まりとともに反ユダヤ感情は政治的に利用され、ナチス政権下で極端化した。ヒトラーはユダヤ人を排除すべき存在とみなし、市民権剥奪や財産没収、強制収容などの政策を推進し、最終的には約600万人が犠牲となるホロコーストへと至った。この背景には、当時の社会全体に根付いた反ユダヤ感情があった点も重要である。
③ 本テーマでは、「人は環境や背景の中でどのように形づくられるのか」という視点から人間理解について考える。不登校の問題を通して、個人の意思や性格だけでなく、学校環境や社会的要因が心や行動に大きく影響することを確認する。また、フロイトの生い立ちや時代背景に触れ、心理学の理論もまた歴史的・社会的文脈の中で生まれてきたことを理解する。さらに、河合隼雄の著作を講読しながら、「正しさ」や「理想」がかえって人を追い詰めることや、外からの価値観が心に影響を与える可能性について考える。人の問題を単純に個人の責任として捉えるのではなく、その人を取り巻く環境や関係性を含めて理解することの重要性を学ぶ。これらを通して、多角的に人を捉える視点を身につけることを目指す。
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
"【本講義の復習】
指定された教科書をもう一度読み、授業で扱った内容を踏まえながら理解を深めること。また、授業で配布した文字教材についても読み直し、重要なポイントを確認しておくこと。その際、自分が気になった箇所や理解があいまいな部分については、ChatGPT等の生成AIを活用し、解説を確認することも有効である。単に答えを知るのではなく、「なぜそう考えるのか」を意識しながら理解を深めることを意識してほしい。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。また、授業で扱われるテーマに関して、気になる用語や不明な用語があれば、事前にインターネット等で調べておくと理解が深まりやすい。指定がある場合には、該当する教科書の範囲をあらかじめ読んでおくこと。"
4
人の行動にはどのような意味があるのか
科目の中での位置付け
"本科目は、臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ基礎的知識や歴史的理解をもとに、それらを「人を理解する」という視点から捉え直すことを目的とした講読科目である。概論Ⅰで扱う心のケアや現代的課題、概論Ⅱで扱う心理療法の理論や歴史は、それぞれ重要な内容であるが、個別の知識として学ばれるだけでは十分とはいえない。本科目では、それらを河合隼雄の著作を通して結びつけ、臨床心理学における人間理解の基盤を形成することを目指す。
第4回では、「人の行動にはどのような意味があるのか」という視点から人間理解を行う。いじめの問題を通して、加害者・被害者・傍観者それぞれの行動の背景を考え、心的決定論の考え方に基づいて行動の意味を捉える。河合隼雄の著作を講読しながら、一見不合理に見える行動にも意味がある可能性について理解する。行動を表面的に評価するのではなく、その背後にある文脈に目を向ける姿勢を学ぶ回である。"
コマ主題細目
① いじめの心理学的メカニズム ② 心的決定論 ③ 人の行動にはどのような意味があるのか
細目レベル
① いじめは、加害者と被害者の間だけで起こるものではない。加害者にも様々な役割があり、またその周辺にいる傍観者も大きな影響を与える。また、被害者もまた、知らず知らずのうちに「被害者」として振る舞うようになる。こうした状況におけるそれぞれの心理的変化について、Zimbardoの「悪魔効果」を参照して解説を行う。さらに、同種族の集団の中でいじめのような現象が生じるのは人間だけではない。進化心理学的視点を取り入れたGilbertの「社会的階級理論」に基づき、いじめを取り巻くそれぞれの変化についての仮説を展開する。ここで紹介される考え方は、実証されたものではなく、あくまで一つの試論であるが、いじめについて心理学的にアプローチする一つの視点として、関心を持ってほしい。
② 次に、フロイト理論の重要な前提である「心的決定論」について理解を深める。これは、人の心的現象や行動は偶然に生じるのではなく、必ず何らかの原因によって決定されているという考え方である。言い間違いや物忘れ、無意識的な行動など、一見すると偶然に見える出来事にも心理的な意味や背景があると捉える視点を紹介する。こうした現象を具体例を通して検討し、無意識の働きとの関連を理解する。また、この考え方は夢分析や症状理解、自由連想法などフロイト理論の基盤となるだけでなく、その後の多くの心理学理論にも共通する前提となっている。行動や症状を偶然として片付けず、その背後にある意味や因果関係を探る姿勢の意義についても確認する。
③ 本テーマでは、「人の行動にはどのような意味があるのか」という視点から人間理解について考える。いじめの問題を通して、加害者・被害者・傍観者といったそれぞれの立場において、行動がどのような心理的役割や意味をもつのかを整理する。また、フロイトの心的決定論に基づき、人の行動や心的現象は偶然に生じるものではなく、必ず何らかの原因や背景によって生じているという考え方を理解する。さらに、河合隼雄の著作を講読しながら、一見すると不合理に見える行動や、常識から外れた振る舞いにも、その人なりの意味や文脈が存在する可能性について考える。行動を単純に善悪で判断するのではなく、その背後にある意図や状況に目を向ける姿勢の重要性を学ぶ。これらを通して、人の行動を多面的に理解する視点を身につけることを目指す。
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
"【本講義の復習】
指定された教科書をもう一度読み、授業で扱った内容を踏まえながら理解を深めること。また、授業で配布した文字教材についても読み直し、重要なポイントを確認しておくこと。その際、自分が気になった箇所や理解があいまいな部分については、ChatGPT等の生成AIを活用し、解説を確認することも有効である。単に答えを知るのではなく、「なぜそう考えるのか」を意識しながら理解を深めることを意識してほしい。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。また、授業で扱われるテーマに関して、気になる用語や不明な用語があれば、事前にインターネット等で調べておくと理解が深まりやすい。指定がある場合には、該当する教科書の範囲をあらかじめ読んでおくこと。
5
人はどこまで自分の気持ちを理解できているのか
科目の中での位置付け
"本科目は、臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ基礎的知識や歴史的理解をもとに、それらを「人を理解する」という視点から捉え直すことを目的とした講読科目である。概論Ⅰで扱う心のケアや現代的課題、概論Ⅱで扱う心理療法の理論や歴史は、それぞれ重要な内容であるが、個別の知識として学ばれるだけでは十分とはいえない。本科目では、それらを河合隼雄の著作を通して結びつけ、臨床心理学における人間理解の基盤を形成することを目指す。
第5回では、「人はどこまで自分の気持ちを理解できているのか」という問いについて考える。河合隼雄の著作を通して、人の心が単純ではなく揺れ動くものであること、また言葉と本音の間にズレが生じることを理解する。自分自身の心も完全には把握できない存在であることに気づき、自己理解と他者理解の難しさを改めて確認する回である。
コマ主題細目
① 心のなかの「本音」と「建前」 ② 行動や言葉と本当の気持ちのズレ ③ 人はどこまで自分の気持ちを理解できているのか
細目レベル
① 本テーマでは、人の心の中に存在する「本音」と「建前」の関係について考える。河合隼雄の著作を講読しながら、人の気持ちは単純に一つに定まるものではなく、「51対49」のように揺れ動くものであることを理解する。ある選択や判断においても、わずかな差で一方を選んでいるに過ぎず、別の思いが常に併存している可能性がある。また、人は自分の気持ちをはっきり理解しているつもりでも、実際には曖昧なまま判断していることが多い点についても考える。これらを通して、人の心を白黒で単純に捉えるのではなく、揺れや葛藤を含んだものとして理解する視点を身につけることを目指す。
② 本テーマでは、人の行動や言葉と本当の気持ちとの間に生じるズレについて考える。河合隼雄の著作を講読しながら、説教や助言といった行為が必ずしも相手の心に届くとは限らず、伝え方や関係性によって受け取られ方が大きく変わることを理解する。また、優しさや配慮といった一見肯定的な行動であっても、それが相手にとってどのような意味をもつかは状況によって異なることに注目する。人の言動をそのままの意味で受け取るのではなく、その背景にある意図や関係性を踏まえて理解することの重要性について学ぶ。
③ 本テーマでは、「人はどこまで自分の気持ちを理解できているのか」という問いについて考える。河合隼雄の著作を講読しながら、「うそからまことが出てくる」という視点に触れ、人は必ずしも自分の本心をそのまま把握し、表現できるわけではないことを理解する。また、自分では正直に話しているつもりでも、結果として別の意味が現れてしまうことや、言葉にしきれない思いが存在することについても考える。これらを通して、人の発言や行動を単純に事実として受け取るのではなく、その背後にある無意識的な側面や心の動きに目を向ける姿勢を身につけることを目指す。
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
"【本講義の復習】
指定された教科書をもう一度読み、授業で扱った内容を踏まえながら理解を深めること。また、授業で配布した文字教材についても読み直し、重要なポイントを確認しておくこと。その際、自分が気になった箇所や理解があいまいな部分については、ChatGPT等の生成AIを活用し、解説を確認することも有効である。単に答えを知るのではなく、「なぜそう考えるのか」を意識しながら理解を深めることを意識してほしい。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。また、授業で扱われるテーマに関して、気になる用語や不明な用語があれば、事前にインターネット等で調べておくと理解が深まりやすい。指定がある場合には、該当する教科書の範囲をあらかじめ読んでおくこと。"
6
人は自分の心をどこまでコントロールできるのか
科目の中での位置付け
"本科目は、臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ基礎的知識や歴史的理解をもとに、それらを「人を理解する」という視点から捉え直すことを目的とした講読科目である。概論Ⅰで扱う心のケアや現代的課題、概論Ⅱで扱う心理療法の理論や歴史は、それぞれ重要な内容であるが、個別の知識として学ばれるだけでは十分とはいえない。本科目では、それらを河合隼雄の著作を通して結びつけ、臨床心理学における人間理解の基盤を形成することを目指す。
第6回では、「人はどこまで自分の心をコントロールできるのか」という視点から人間理解を深める。AIやミームの発展を踏まえ、人の思考や行動が外部の影響を受ける側面について考えるとともに、フロイトの局所論を通して無意識の存在を理解する。河合隼雄の著作を通して、人間の限界と向き合う姿勢について考え、主体性のあり方を問い直す回である。"
コマ主題細目
① AI時代をどう生きるか ② 局所論 ③ 人は自分の心をどこまでコントロールできるのか
細目レベル
① 昨今は、ミームが人間の能力を上回りはじめている。その革命的変化をもたらしたのは、AI技術の発達である。囲碁や将棋等は、もはや人間では太刀打ちできない。作文の能力も、ChatGPT等の方が短時間で質の高い作文を仕上げるようになっている。ミームが力を持つことで、人間はどうなったか?ミームに対する依存心が強くなり、ミームに「利用される」場面が増えてきた。このままミームの力を野放しにしていると、人間のコントロールの範囲を超えてミームが独自に成長しだし、本当に人間の世界が凌駕されるかも知れない。このような転換点を「シンギュラリティ」と呼ぶが、それがもう間近に迫っていると警鐘を鳴らす研究者もいる。こうした状況の中で君たちはどう生きるか、考える機会を持ってみてほしい。
② 本コマでは、フロイトの無意識理論を具体的に理解するための基礎として、「局所論(第一局所論)」について扱う。フロイトは心の働きを、意識・前意識・無意識という三つの領域に区分して捉え、それぞれが異なる役割と機能を持つと考えた。意識は現在自覚されている内容、前意識は努力すれば想起可能な内容、無意識は抑圧され直接には意識化できない内容とされる。本コマでは、それぞれの特徴や相互関係を丁寧に整理するとともに、なぜ無意識が直接意識に現れないのか、その仕組みについても説明する。また、夢や失錯行為といった具体的な現象を例に、さらに自分自身の日常的経験も振り返りながら、無意識がどのように間接的に表出するのかを示し、心の構造を空間的に捉える視点を理解する。
③ 本テーマでは、「人は自分の心をどこまでコントロールできるのか」という問いについて考える。AIやミームの発展により、人間の思考や判断が外部に委ねられつつある現代において、人間の主体性がどのように変化しているのかを確認する。一方で、フロイトの局所論に基づき、人の心は意識・前意識・無意識から構成されており、無意識の領域は直接的にコントロールできないことを理解する。さらに、河合隼雄の著作を講読しながら、人を理解することの難しさや、努力や意志だけでは解決できない心の働きについて考える。人は自分の心でさえ完全には把握できず、他者理解もまた容易ではない。これらを通して、人間の限界を踏まえたうえで、どのように心と向き合うかを考える視点を身につけることを目指す。
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
"【本講義の復習】
指定された教科書をもう一度読み、授業で扱った内容を踏まえながら理解を深めること。また、授業で配布した文字教材についても読み直し、重要なポイントを確認しておくこと。その際、自分が気になった箇所や理解があいまいな部分については、ChatGPT等の生成AIを活用し、解説を確認することも有効である。単に答えを知るのではなく、「なぜそう考えるのか」を意識しながら理解を深めることを意識してほしい。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。また、授業で扱われるテーマに関して、気になる用語や不明な用語があれば、事前にインターネット等で調べておくと理解が深まりやすい。指定がある場合には、該当する教科書の範囲をあらかじめ読んでおくこと。"
7
人はどのように成熟していくのか
科目の中での位置付け
"本科目は、臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ基礎的知識や歴史的理解をもとに、それらを「人を理解する」という視点から捉え直すことを目的とした講読科目である。概論Ⅰで扱う心のケアや現代的課題、概論Ⅱで扱う心理療法の理論や歴史は、それぞれ重要な内容であるが、個別の知識として学ばれるだけでは十分とはいえない。本科目では、それらを河合隼雄の著作を通して結びつけ、臨床心理学における人間理解の基盤を形成することを目指す。
第7回では、「人はどのように成熟していくのか」という視点から発達を捉える。大人とは何かという問いを手がかりに、心理的成熟の多様な側面を理解するとともに、フロイトの心理性的発達理論を通して人の成長過程を学ぶ。河合隼雄の著作を通して、成長が単純なものではなく関係性の中で進むことを理解する回である。"
コマ主題細目
① 大人の定義 ② 欲動と発達の物語 ③ 人はどのように成熟していくのか
細目レベル
① 大人とは何かについては、法制度や社会的基準、心理的側面など多様な観点から定義が試みられている。多くの国では成人年齢を18歳とし、日本でも2022年に成人年齢が引き下げられたが、これは法的に権利と責任が付与される基準であるに過ぎない。また、小浜逸郎は大人を「生理的・社会的・心理的」という三側面から捉え、身体的成熟だけでなく、経済的自立や社会的責任、さらに感情の安定や状況に応じた判断力を含むものとしている。さらに歴史的には、元服や労働能力など明確な基準が存在していたが、現代ではその境界は曖昧になっている。このように、大人の定義は一義的ではなく、多層的かつ相対的に理解される必要がある。ここでは、大人について考える上で必要な言説やデータを紹介する。
② 本コマでは、フロイトのリビドー論の基礎として「心理性的発達理論」について理解する。フロイトは、人の発達を本能的なエネルギーであるリビドーの向かう先の変化として捉え、口唇期・肛門期・男根期・潜伏期・性器期という段階で説明した。それぞれの段階では、快を感じる身体部位や関心の対象が異なり、その経験が後の性格形成や行動様式に影響すると考えられる。本コマでは、各発達段階の特徴を具体例を交えて整理し、発達が単なる成長ではなく、欲動のあり方の変化として理解される点を強調する。また、ある段階での欲求不満や過剰な満足がその後の発達に影響するという考え方にも触れ、人の性格や行動を発達の連続として捉える視点を養う。
③ 本テーマでは、「人はどのように成熟していくのか」という視点から人間理解について考える。法的・社会的に定義される「大人」と、心理的な成熟との違いに着目し、大人であることが単なる年齢や責任の問題ではなく、内面的な変化の積み重ねであることを確認する。また、フロイトの心理性的発達理論を手がかりに、人の発達が本能的エネルギーの変化として進み、過去の経験が現在の性格や行動に影響を与えることを理解する。さらに、河合隼雄の著作を講読しながら、自立が単独で成立するものではなく、他者との関係性の中で支えられていることや、人が成長する過程における葛藤や試行錯誤の重要性について考える。これらを通して、人の成熟を単純な成長ではなく、複雑で継続的なプロセスとして捉える視点を身につけることを目指す。
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
"【本講義の復習】
指定された教科書をもう一度読み、授業で扱った内容を踏まえながら理解を深めること。また、授業で配布した文字教材についても読み直し、重要なポイントを確認しておくこと。その際、自分が気になった箇所や理解があいまいな部分については、ChatGPT等の生成AIを活用し、解説を確認することも有効である。単に答えを知るのではなく、「なぜそう考えるのか」を意識しながら理解を深めることを意識してほしい。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。また、授業で扱われるテーマに関して、気になる用語や不明な用語があれば、事前にインターネット等で調べておくと理解が深まりやすい。指定がある場合には、該当する教科書の範囲をあらかじめ読んでおくこと。"
8
人はどのように自分と向き合い、他者と関わるのか
科目の中での位置付け
"本科目は、臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ基礎的知識や歴史的理解をもとに、それらを「人を理解する」という視点から捉え直すことを目的とした講読科目である。概論Ⅰで扱う心のケアや現代的課題、概論Ⅱで扱う心理療法の理論や歴史は、それぞれ重要な内容であるが、個別の知識として学ばれるだけでは十分とはいえない。本科目では、それらを河合隼雄の著作を通して結びつけ、臨床心理学における人間理解の基盤を形成することを目指す。
第8回では、「人はどのように自分と向き合い、他者と関わるのか」という視点から人間理解を深める。セルフ・コンパッションの概念を通して自己との関わり方を考えるとともに、精神分析療法の基本を学び、関係の中で心が変化する過程を理解する。自分と他者の双方に対する関わり方を見つめ直す回である。"
コマ主題細目
① セルフ・コンパッションの意義 ② 精神分析の方法 ③ 人はどのように自分と向き合い、他者と関わるのか
細目レベル
① 本コマでは、ストレスケアにおける最も重要な概念として、セルフ・コンパッションについて、NeffやGilbertの理論をもとに詳しく紹介する。セルフ・コンパッションとは、困難や失敗に直面した際に、自分に対して批判的になるのではなく、思いやりをもって接する態度を指すものであり、「自分への優しさ」「共通の人間性の理解」「マインドフルネス」といった要素から構成される。また、自己批判や過度な自己否定が心身に与える影響についても触れ、それと対比する形でセルフ・コンパッションの心理的意義や効果について検討する。これにより、自分を大切にすることが結果として他者理解や対人関係の安定にもつながるという視点を理解する。
② 本コマでは、精神分析療法の基本的な方法について理解を深める。精神分析は、無意識の内容を意識化することで症状の理解と変容を目指す治療法であり、その中心的技法が自由連想法である。これは、思いついたことを検閲せずに語ることで、無意識の内容に接近しようとする方法である。本コマでは、この自由連想法の意義と進め方を軸に据えながら、治療過程で生じる重要な現象についても整理する。具体的には、過去の重要な他者との関係が治療者に向けて再現される転移や、それに対する治療者側の反応である逆転移、さらには発達的に未熟な状態へと心が戻る退行といった概念を取り上げる。加えて、これらの現れを手がかりに、治療者が無意識の意味を言語化して返す「解釈」の役割についても説明し、精神分析の理解を深める。
③ 本テーマでは、「人はどのように自分と向き合い、他者と関わるのか」という視点から人間理解について考える。セルフ・コンパッションの概念を通して、困難や失敗に直面した際に自己批判を強めるのではなく、自分に対して思いやりを向けることの重要性を理解する。また、精神分析療法における自由連想法や転移といった技法を手がかりに、人が他者との関係の中で無意識的な思いや過去の体験を表現し、理解していく過程について学ぶ。さらに、河合隼雄の著作を講読しながら、無理に答えを出そうとせずに「待つこと」や「語ること」の意味、そして関係性の中で心が変化していく可能性について考える。これらを通して、自分と他者の双方に対する関わり方を見直し、臨床的な人間理解の基礎となる視点を身につけることを目指す。
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
"【本講義の復習】
指定された教科書をもう一度読み、授業で扱った内容を踏まえながら理解を深めること。また、授業で配布した文字教材についても読み直し、重要なポイントを確認しておくこと。その際、自分が気になった箇所や理解があいまいな部分については、ChatGPT等の生成AIを活用し、解説を確認することも有効である。単に答えを知るのではなく、「なぜそう考えるのか」を意識しながら理解を深めることを意識してほしい。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。また、授業で扱われるテーマに関して、気になる用語や不明な用語があれば、事前にインターネット等で調べておくと理解が深まりやすい。指定がある場合には、該当する教科書の範囲をあらかじめ読んでおくこと。"
9
人はどのように自分を守りながら生きているのか
科目の中での位置付け
"本科目は、臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ基礎的知識や歴史的理解をもとに、それらを「人を理解する」という視点から捉え直すことを目的とした講読科目である。概論Ⅰで扱う心のケアや現代的課題、概論Ⅱで扱う心理療法の理論や歴史は、それぞれ重要な内容であるが、個別の知識として学ばれるだけでは十分とはいえない。本科目では、それらを河合隼雄の著作を通して結びつけ、臨床心理学における人間理解の基盤を形成することを目指す。
第9回では、「人はどのように自分を守りながら生きているのか」という視点から心の働きを理解する。防衛機制の概念を通して、人が不安や葛藤から自分を守る仕組みを学ぶとともに、河合隼雄の著作を通して意味づけの重要性を考える。人の行動を支える心理的な働きを理解する回である。"
コマ主題細目
① 防衛機制 ② 人はどのように生き方を選び、意味づけていくのか ③ 人はどのように自分を守りながら生きているのか
細目レベル
① 本コマでは、トラウマや解離の理解を踏まえ、「防衛機制」という心の働きについて理解を深める。防衛機制とは、不安や葛藤から自我を守るために無意識的に働く心理的な調整の仕組みである。抑圧や否認、合理化、投影など、さまざまな形で現れ、日常生活の中でも広く見られる。本コマでは、これらの具体例を通して、防衛機制がどのように心の安定を保つ役割を果たしているのかを説明する。また、防衛機制は単に問題となるものではなく、状況に応じて適応的にも働く点に注目する。さらに、精神分析では、こうした防衛の現れを手がかりとして無意識の葛藤を理解していくことの意義についても整理し、これまで扱ってきた内容とのつながりを確認する。
② 本テーマでは、「人はどのように生き方を選び、出来事に意味を与えていくのか」という視点から人間理解について考える。河合隼雄の著作を講読しながら、人は単に与えられた環境や運命に従って生きるのではなく、それらをどのように受け取り、解釈するかによって人生のあり方が大きく変わることを理解する。また、同じ出来事であっても人によって感じ方や意味づけが異なることや、ときには自分を守るために現実の捉え方を調整することの意義についても考える。こうした意味づけの営みは、苦しさを和らげたり、生きる力を支えたりする役割を持つことにも注目する。これらを通して、人の生き方を固定的に捉えるのではなく、意味づけのプロセスとして理解する視点を身につけることを目指す。
③ 本テーマでは、「人はどのように自分を守りながら生きているのか」という視点から人間理解について考える。防衛機制の概念を手がかりに、不安や葛藤に直面したときに、人が無意識的に自分を守る働きを持っていることを理解する。また、河合隼雄の著作を講読しながら、人は単に現実に適応するだけでなく、出来事に意味を与えながら生きていることや、同じ状況であっても解釈の仕方によって経験の質が変化することについて考える。さらに、ときには「逃げる」ことや、すべてを正直に表現しないことも、心を守るために必要な働きであることに注目する。これらを通して、人の行動や考えを単純に評価するのではなく、その人がどのように自分を保ちながら生きているのかという観点から理解する視点を身につけることを目指す。
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
"【本講義の復習】
指定された教科書をもう一度読み、授業で扱った内容を踏まえながら理解を深めること。また、授業で配布した文字教材についても読み直し、重要なポイントを確認しておくこと。その際、自分が気になった箇所や理解があいまいな部分については、ChatGPT等の生成AIを活用し、解説を確認することも有効である。単に答えを知るのではなく、「なぜそう考えるのか」を意識しながら理解を深めることを意識してほしい。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。また、授業で扱われるテーマに関して、気になる用語や不明な用語があれば、事前にインターネット等で調べておくと理解が深まりやすい。指定がある場合には、該当する教科書の範囲をあらかじめ読んでおくこと。"
10
心理職として人とどう向き合うのか
科目の中での位置付け
"本科目は、臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ基礎的知識や歴史的理解をもとに、それらを「人を理解する」という視点から捉え直すことを目的とした講読科目である。概論Ⅰで扱う心のケアや現代的課題、概論Ⅱで扱う心理療法の理論や歴史は、それぞれ重要な内容であるが、個別の知識として学ばれるだけでは十分とはいえない。本科目では、それらを河合隼雄の著作を通して結びつけ、臨床心理学における人間理解の基盤を形成することを目指す。
第10回では、「心理職として人とどう向き合うのか」という視点から、臨床心理学の実践的側面を考える。心理職の5領域を概観しながら、現場における役割と関わり方を理解する。河合隼雄の著作を通して、人と関わることの難しさと姿勢について考え、実践への視点を養う回である。"
コマ主題細目
① 公認心理師が活躍する現場 ② 援助関係における人間理解とは何か ③ 心理職として人とどう向き合うのか
細目レベル
① 心理職として働くために必要な資格として、臨床心理士と公認心理師がある。特に公認心理師は国家資格であり、この資格が出来たことで心理職の社会的知名度や待遇が大きく改善されてきている。両資格にも共通することだが、特に公認心理師が働く現場は「5領域」にまとめられる。保健医療領域、教育領域、福祉領域、産業・労働領域、司法・犯罪領域である。第10回と第11回を通して、この5領域の現場にはどのような施設があり、どのように活躍しており、何を求められているのかを概説するために前提となる知識を、このコマでは概説する。臨床心理学を学ぶということの第一の目的は、こうした現場で適切にケアを提供するためである。心理臨床現場を知ることで、臨床心理学を学ぶモチベーションを高めて欲しい。
② 本テーマでは、「援助関係における人間理解とは何か」という視点から心理臨床の基本的な姿勢について考える。心理職は多様な現場において人と関わりながら支援を行うが、その際には単に問題を解決するのではなく、相手の立場や経験を理解しようとする姿勢が求められる。河合隼雄の著作を講読しながら、人との関係は単純ではなく、近づきすぎても離れすぎても成り立たない繊細なものであることを理解する。また、援助においては「強さ」とは単に支えることではなく、相手の存在を受け止める柔軟さや関係を維持する力を含むものである点にも注目する。これらを通して、人を理解し関わることの難しさと、その中で求められる態度について学ぶ。
③ 本テーマでは、「心理職として人とどのように向き合うのか」という視点から、これまで学んできた人間理解を臨床実践へとつなげて考える。心理職は保健医療、教育、福祉、産業・労働、司法・犯罪といった多様な領域で活動しており、それぞれの現場で異なる課題に直面するが、その根底には共通して「人を理解する」という営みがある。河合隼雄の著作を講読しながら、人と関わる際には一方的に支えるのではなく、適切な距離を保ちながら関係を築くことの重要性や、相手との関係の中で自分自身も影響を受けることについて考える。これらを通して、心理職として必要な姿勢やあり方を具体的にイメージし、臨床心理学の学びを実践へと結びつける視点を身につけることを目指す。
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
"【本講義の復習】
指定された教科書をもう一度読み、授業で扱った内容を踏まえながら理解を深めること。また、授業で配布した文字教材についても読み直し、重要なポイントを確認しておくこと。その際、自分が気になった箇所や理解があいまいな部分については、ChatGPT等の生成AIを活用し、解説を確認することも有効である。単に答えを知るのではなく、「なぜそう考えるのか」を意識しながら理解を深めることを意識してほしい。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。また、授業で扱われるテーマに関して、気になる用語や不明な用語があれば、事前にインターネット等で調べておくと理解が深まりやすい。指定がある場合には、該当する教科書の範囲をあらかじめ読んでおくこと。"
11
人はどのように意味を見出しながら働き、生きるのか
科目の中での位置付け
"本科目は、臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ基礎的知識や歴史的理解をもとに、それらを「人を理解する」という視点から捉え直すことを目的とした講読科目である。概論Ⅰで扱う心のケアや現代的課題、概論Ⅱで扱う心理療法の理論や歴史は、それぞれ重要な内容であるが、個別の知識として学ばれるだけでは十分とはいえない。本科目では、それらを河合隼雄の著作を通して結びつけ、臨床心理学における人間理解の基盤を形成することを目指す。
第11回では、「人はどのように意味を見出しながら働き、生きるのか」という視点から人間理解を深める。産業領域における支援の特徴を学ぶとともに、ユング心理学を通して人の心を全体的に捉える視点を理解する。働くことや生きることの意味について考える回である。"
コマ主題細目
① 産業・労働臨床現場 ② ユングの分析心理学 ③ 人はどのように意味を見出しながら働き、生きるのか
細目レベル
① 1998年以降の急速な自殺率高騰の影響を受け、職場メンタルヘルスへの対応は2006年頃から急速に進められてきた。労働者の心の健康の保持増進のための指針、いわゆる「メンタルヘルス指針」の策定により、企業におけるメンタルヘルス担当の配置やメンタルヘルス教育、休職者に対する復職支援等が充実してきた。さらに、こうしたメンタルヘルス対策を担う企業も登場し、ビジネスマンとしてEAP(従業員支援プログラム)を提供する心理職も増えている。また、休職者の復職を支援する復職支援プログラムを提供する病院、クリニック、企業もあり、各企業の産業メンタルヘルス部門と連携しながら労働者の支援を行っている。企業や個々の労働者の状態に応じた支援を、効率よく、システマティックに提供することが求められる点が、産業・労働領域の臨床活動の特徴と言える。他の領域との異同を理解しつつ、本領域の特徴をつかんでもらいたい。
② 本コマでは、フロイトの弟子であるカール・ユング(C.G. Jung)が提唱した分析心理学について理解を深める。ユングは当初フロイトの後継者と期待されたが、無意識やリビドーの捉え方をめぐる対立から決別し、独自の理論を展開した。ユングは無意識を個人的無意識と集合的無意識に区別し、特に人類に共通する原初的イメージである元型の存在を重視した。また、人の発達を過去の原因だけでなく、将来の目的や意味によっても説明しようとした点に特徴がある。さらに、MBTIの基礎となるタイプ論や、無意識の働きを捉えるための言語連想検査にも触れ、理論の広がりを理解する。本コマでは、こうした基本概念を整理するとともに、自己の統合を目指す個性化の過程についても触れ、人の心をより全体的・象徴的に理解する視点を学ぶ。
③ 本テーマでは、「人はどのように意味を見出しながら働き、生きるのか」という視点から人間理解について考える。産業・労働領域における心理支援の現場では、単にストレスを軽減するだけでなく、働くことの意味や自己の在り方といった問いに向き合うことが求められる。河合隼雄の著作を講読しながら、人は必ずしも一直線に成長するのではなく、ときに迷いや停滞を経験しながら、自分なりの意味を見出していく存在であることを理解する。また、困難な状況においてこそ、その人の本来のあり方が現れる可能性にも注目する。これらを通して、働くことを単なる役割としてではなく、人が意味を形成していく過程として捉える視点を身につけることを目指す。
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
"【本講義の復習】
指定された教科書をもう一度読み、授業で扱った内容を踏まえながら理解を深めること。また、授業で配布した文字教材についても読み直し、重要なポイントを確認しておくこと。その際、自分が気になった箇所や理解があいまいな部分については、ChatGPT等の生成AIを活用し、解説を確認することも有効である。単に答えを知るのではなく、「なぜそう考えるのか」を意識しながら理解を深めることを意識してほしい。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。また、授業で扱われるテーマに関して、気になる用語や不明な用語があれば、事前にインターネット等で調べておくと理解が深まりやすい。指定がある場合には、該当する教科書の範囲をあらかじめ読んでおくこと。"
12
人は人生の中でどのように自己を形成していくのか
科目の中での位置付け
"本科目は、臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ基礎的知識や歴史的理解をもとに、それらを「人を理解する」という視点から捉え直すことを目的とした講読科目である。概論Ⅰで扱う心のケアや現代的課題、概論Ⅱで扱う心理療法の理論や歴史は、それぞれ重要な内容であるが、個別の知識として学ばれるだけでは十分とはいえない。本科目では、それらを河合隼雄の著作を通して結びつけ、臨床心理学における人間理解の基盤を形成することを目指す。
第12回では、「人は人生の中でどのように自己を形成していくのか」という視点から発達を統合的に理解する。エリクソンとフロムの理論を通して、人が社会との関係の中で発達し、自由と不安の中で生きる存在であることを理解する。人生全体を見通した人間理解を学ぶ回である。"
コマ主題細目
① エリクソンの心理社会的発達理論 ② フロムの人間観 ③ 人は人生の中でどのように自己を形成していくのか
細目レベル
① 最後に、エリック・エリクソン(E. Erikson)の理論について理解を深める。エリクソンはフロイトの発達理論を発展させ、生涯にわたる発達を「心理社会的発達」として捉えた点に特徴がある。彼は、人の発達を乳児期から老年期までの8段階に分け、それぞれの段階で直面する課題(発達課題)と葛藤を乗り越えることが人格形成に重要であると考えた。本コマでは、「信頼対不信」、「同一性対同一性拡散」など代表的な段階を取り上げ、各段階の意味とそのつながりを整理する。また、個人の内面だけでなく、社会や対人関係との相互作用の中で発達が進むという視点を理解し、フロイト理論がより社会的・発達的に拡張された意義について考える。
② 次のコマでは、エーリッヒ・フロム(E. Fromm)の理論について理解を深める。フロムはフロイトの精神分析に社会学や哲学の視点を取り入れ、人の心を社会や文化との関係の中で捉えようとした点に特徴がある。彼は、人間は自由を獲得する一方で孤独や不安を抱える存在であり、そこから逃れようとする心理が行動に影響すると考えた。本コマでは、「自由からの逃走」という概念を中心に、人が権威主義や同調、破壊性などに向かう過程を整理する。また、愛や創造的活動を通して他者とつながることの重要性にも触れ、人間がより健全に生きるための条件について考える。さらに、精神分析が個人の内面理解にとどまらず、社会全体の問題を捉える視点へと広がった意義についても理解する。
③ 本テーマでは、「人は人生の中でどのように自己を形成していくのか」という視点から、これまで学んできた人間理解を統合的に捉える。エリクソンの心理社会的発達理論を手がかりに、人が生涯にわたってさまざまな課題や葛藤に直面し、それを乗り越えることで人格を形成していく過程を理解する。さらに、河合隼雄の著作を講読しながら、人の成長は単純な直線的変化ではなく、家族や社会との関係の中で揺れ動きながら進むものであることに注目する。現代社会における価値観の変化や環境の影響も踏まえ、人がどのように自分らしさを模索していくのかについて考える。これらを通して、人間を生涯発達の視点から理解する基盤を身につけることを目指す。
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
"【本講義の復習】
指定された教科書をもう一度読み、授業で扱った内容を踏まえながら理解を深めること。また、授業で配布した文字教材についても読み直し、重要なポイントを確認しておくこと。その際、自分が気になった箇所や理解があいまいな部分については、ChatGPT等の生成AIを活用し、解説を確認することも有効である。単に答えを知るのではなく、「なぜそう考えるのか」を意識しながら理解を深めることを意識してほしい。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。また、授業で扱われるテーマに関して、気になる用語や不明な用語があれば、事前にインターネット等で調べておくと理解が深まりやすい。指定がある場合には、該当する教科書の範囲をあらかじめ読んでおくこと。"
13
人をどのように理解し、支援へとつなげるのか
科目の中での位置付け
"本科目は、臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ基礎的知識や歴史的理解をもとに、それらを「人を理解する」という視点から捉え直すことを目的とした講読科目である。概論Ⅰで扱う心のケアや現代的課題、概論Ⅱで扱う心理療法の理論や歴史は、それぞれ重要な内容であるが、個別の知識として学ばれるだけでは十分とはいえない。本科目では、それらを河合隼雄の著作を通して結びつけ、臨床心理学における人間理解の基盤を形成することを目指す。
第13回では、「人をどのように理解し、支援へとつなげるのか」という視点から臨床的思考を学ぶ。ケースフォーミュレーションの考え方を通して、情報を整理し支援に結びつけるプロセスを理解する。また、初期の関係性が心に与える影響についても学び、多面的な理解の重要性を確認する回である。"
コマ主題細目
① ケースフォーミュレーション ② 母子関係と発達 ③ 人をどのように理解し、支援へとつなげるのか
細目レベル
① 心理アセスメントにより情報を集めたら、すぐに支援が行えるわけではない。その情報を束ねて、クライエントの何が問題でどうしたら解決するのかについての地図を描く必要がある。こうしたプロセスをケースフォーミュレーション(事例定式化)と呼ぶ。集められた情報を整理し、吟味して仮説を立て、その仮説を可能な限り検証しながら、最適で実行可能な処遇を検討する。処遇にはもちろん心理療法が代表的なものだが、それだけではない。規則正しい生活を求めたり、家族への理解を求めると言った、生理的、社会的働きかけも含まれる。まずは、一つのケースの中で行われるケースフォーミュレーションの実際を紹介し、得られた情報が処遇に紡がれていくプロセスを確認することで、ケースフォーミュレーションこそが心理療法の醍醐味であることを感じてもらいたい。
② 次のコマでは、母子関係を中心とした発達理論について、ウィニコット(D.W. Winnicott)とマーラー(M. Mahler)の理論を取り上げて理解を深める。ウィニコットは「ほどよい母親」や「抱える環境(ホールディング)」といった概念を提唱し、安心できる関係の中で自己が形成される過程を重視した。また、真の自己と偽りの自己という区別を通して、適応と自己の在り方について説明した。一方、マーラーは分離個体化理論を提唱し、乳児が母親との一体感から徐々に自立した個として形成されていく過程を段階的に示した。本コマでは、これらの理論を通して、母子関係が心の発達の基盤をなすことを強調し、初期の関係性の質がその後の対人関係や自己の在り方に長期的な影響を及ぼす点についても具体的に理解する。
③ 本テーマでは、「人をどのように理解し、支援へとつなげるのか」という視点から臨床心理学の実践的な思考について考える。ケースフォーミュレーションの考え方を手がかりに、収集された情報を整理し、仮説を立て、それをもとに支援の方向性を検討していくプロセスを理解する。また、ウィニコットやマーラーの理論を通して、人の心が初期の関係性の中でどのように形成されるのかを学び、その背景を踏まえて個人を理解する重要性に注目する。さらに、河合隼雄の著作を講読しながら、人を理解する際には一つの視点にとらわれるのではなく、複数の視点を行き来しながら全体像を捉える必要があることを考える。これらを通して、理解と支援を結びつける臨床的思考の基礎を身につけることを目指す。
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
"【本講義の復習】
指定された教科書をもう一度読み、授業で扱った内容を踏まえながら理解を深めること。また、授業で配布した文字教材についても読み直し、重要なポイントを確認しておくこと。その際、自分が気になった箇所や理解があいまいな部分については、ChatGPT等の生成AIを活用し、解説を確認することも有効である。単に答えを知るのではなく、「なぜそう考えるのか」を意識しながら理解を深めることを意識してほしい。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。また、授業で扱われるテーマに関して、気になる用語や不明な用語があれば、事前にインターネット等で調べておくと理解が深まりやすい。指定がある場合には、該当する教科書の範囲をあらかじめ読んでおくこと。"
14
人と関わることの難しさと誠実さ
科目の中での位置付け
"本科目は、臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ基礎的知識や歴史的理解をもとに、それらを「人を理解する」という視点から捉え直すことを目的とした講読科目である。概論Ⅰで扱う心のケアや現代的課題、概論Ⅱで扱う心理療法の理論や歴史は、それぞれ重要な内容であるが、個別の知識として学ばれるだけでは十分とはいえない。本科目では、それらを河合隼雄の著作を通して結びつけ、臨床心理学における人間理解の基盤を形成することを目指す。
第14回では、「人と関わることの難しさと誠実さ」という視点から人間関係のあり方を考える。心理職の倫理や職責を踏まえながら、関係の中で生じる葛藤や距離の取り方について理解する。河合隼雄の著作を通して、人と向き合い続ける姿勢の重要性を学ぶ回である。"
コマ主題細目
① 心理職と倫理 ② 心理職に求められる態度と人間関係の在り方 ③ 人と関わることの難しさと誠実さ
細目レベル
① 本コマでは、公認心理師の職責に関わる基本的なルールについて、公認心理師法に基づいて概観する。具体的には、他職種との連携義務、秘密保持義務、信用失墜行為の禁止、自己研鑽義務の四つを取り上げ、それぞれの内容と重要性を整理する。これらの規定は単なる形式的なものではなく、実際の支援の質や信頼関係に大きな影響を与えるものであることを理解させるため、ルールを守る場合と守らない場合でどのような違いが生じるのかを具体的なエピソードを通して考察する。また、日本公認心理師協会の倫理綱領にも触れ、心理職に求められる倫理の厳しさを実感させる。さらに、こうした規範は心理職に限らず、社会で働く上で共通に求められるものであることについても理解を深める。
② 本テーマでは、「心理職に求められる態度と人間関係の在り方」について考える。心理職は専門的知識や技術だけでなく、人とどのように関わるかという姿勢そのものが問われる職業である。河合隼雄の著作を講読しながら、人間関係は単純な信頼や善意だけで成り立つものではなく、ときに距離の取り方や葛藤を含みながら形成されるものであることを理解する。また、相手を支えようとする過程で生じる迷いや不安、負担といった側面も含めて、人と関わることの現実について考える。これらを通して、理想化された援助者像にとらわれるのではなく、現実的で持続可能な関係の築き方について理解を深めることを目指す。
③ 本テーマでは、「人と関わることの難しさと誠実さ」という視点から、人間関係のあり方について考える。人と関わる中では、相手を理解しようとしても思い通りにいかなかったり、距離の取り方に悩んだりするなど、さまざまな困難が生じることを確認する。河合隼雄の著作を講読しながら、人間関係は単純な善意や努力だけで成り立つものではなく、ときに葛藤やすれ違い、関係の揺れを含むものであることに注目する。また、そのような状況の中でも相手と向き合い続けようとする姿勢が、誠実さとして重要であることを学ぶ。これらを通して、人と関わることの複雑さを踏まえながら、自分なりに他者と向き合うあり方について考える視点を身につけることを目指す。
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
"【本講義の復習】
指定された教科書をもう一度読み、授業で扱った内容を踏まえながら理解を深めること。また、授業で配布した文字教材についても読み直し、重要なポイントを確認しておくこと。その際、自分が気になった箇所や理解があいまいな部分については、ChatGPT等の生成AIを活用し、解説を確認することも有効である。単に答えを知るのではなく、「なぜそう考えるのか」を意識しながら理解を深めることを意識してほしい。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。また、授業で扱われるテーマに関して、気になる用語や不明な用語があれば、事前にインターネット等で調べておくと理解が深まりやすい。指定がある場合には、該当する教科書の範囲をあらかじめ読んでおくこと。"
15
人はどのように変わりながら生きていくのか
科目の中での位置付け
"本科目は、臨床心理学概論Ⅰ・Ⅱで学んだ基礎的知識や歴史的理解をもとに、それらを「人を理解する」という視点から捉え直すことを目的とした講読科目である。概論Ⅰで扱う心のケアや現代的課題、概論Ⅱで扱う心理療法の理論や歴史は、それぞれ重要な内容であるが、個別の知識として学ばれるだけでは十分とはいえない。本科目では、それらを河合隼雄の著作を通して結びつけ、臨床心理学における人間理解の基盤を形成することを目指す。
第15回では、「人はどのように変わりながら生きていくのか」という問いをもとに、本講義全体のまとめを行う。精神分析の考え方を踏まえ、人が自分のパターンに気づき、意味づけを変えることで変化していく過程を理解する。これまでの学びを振り返りながら、人間理解と自己理解を統合する回である。"
コマ主題細目
① 精神分析の治療場面で実際に起きていること ② 精神分析は何を変えているのか ③ 人はどのように変わりながら生きていくのか
細目レベル
① 本コマでは、改めて精神分析療法について振り返りを行い、特に精神分析の治療場面で実際に何が起きているのかを具体的に理解する。第8回で学んだ自由連想法を通して、患者は思いつくままに語るが、その語りの中には過去の体験や現在の悩み、対人関係のパターンが断片的に現れてくる。また第9回で扱ったように、治療者との関係の中で転移が生じ、過去の重要な他者との関係が現在の関係として再現される。本コマでは、こうした語りと関係性の中で無意識がどのように現れ、どのように意味づけられていくのかを丁寧に整理する。さらに、一見無関係に見える語りがどのように結びつき、症状や葛藤と関連しているのかを理解し、精神分析のプロセスをより具体的に捉える。これまでの学びを踏まえ、その全体像を整理する。
② 本コマでは、精神分析療法が最終的に何を変えようとしているのかを、これまでの講義内容を踏まえて改めて整理する。第4回で学んだ無意識や心的決定論の視点に立ち返りつつ、第8回・第9回で扱った臨床実践と結びつけながら理解を深める。精神分析は単に症状を取り除くのではなく、自分でも気づいていなかった考え方や感じ方のパターンに気づき、それを捉え直すことを通して変化を促す。本コマでは、「なぜ同じことで悩んでしまうのか」「なぜ似たような対人関係を繰り返してしまうのか」といった身近な問いを手がかりに、無意識の働きと変化の関係を具体的に考える。また、理解が深まることで感情の受け止め方や行動の選び方がどのように変わるのかを整理し、精神分析がもたらす変化をより実感的に捉えられるようにする。
③ 本テーマでは、「人はどのように変わりながら生きていくのか」という視点から、これまで学んできた内容を統合的に捉える。精神分析療法においては、無意識の理解を通して自分の考え方や感じ方のパターンに気づき、それを見直すことで変化が生じるとされる。この変化は単に問題を解決することではなく、自分のあり方を捉え直すプロセスであることを理解する。河合隼雄の著作を講読しながら、人が変わるとは何かを考え、ときには何かを手放すことや、これまでとは異なる選択をすることが必要になる場合があることに注目する。また、人はそれぞれの経験をもとに新しい意味を見出しながら生きていく存在であることを学ぶ。これらを通して、人の変化を一方向の成長としてではなく、揺れや選択を含んだ過程として捉える視点を身につけることを目指す。
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
"【本講義の復習】
指定された教科書をもう一度読み、授業で扱った内容を踏まえながら理解を深めること。また、授業で配布した文字教材についても読み直し、重要なポイントを確認しておくこと。その際、自分が気になった箇所や理解があいまいな部分については、ChatGPT等の生成AIを活用し、解説を確認することも有効である。単に答えを知るのではなく、「なぜそう考えるのか」を意識しながら理解を深めることを意識してほしい。
【次回に向けての予習】
次回のコマシラバスを読んでおくこと。また、授業で扱われるテーマに関して、気になる用語や不明な用語があれば、事前にインターネット等で調べておくと理解が深まりやすい。指定がある場合には、該当する教科書の範囲をあらかじめ読んでおくこと。"
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
臨床心理学における人間理解の基礎を理解している
人は他者との関係の中で生きる存在であり、単純に理解できない側面を持つことを説明できる。さらに、人を理解することの難しさと重要性について、自分の言葉で述べられる。
人間理解、関係性、心とは何か、臨床心理学
6
1
心理的問題を多面的に捉える視点を理解している
虐待などの問題を個人だけでなく環境や関係性の中で説明できる。
虐待、社会的問題、環境要因、支援
6
2
人の行動や心理が環境の中で形成されることを理解している
環境や社会が心に影響を与えることを説明できる。
不登校、環境、社会、発達
6
3
人の行動や心には意味があることを理解している
一見理解しにくい行動にも意味がある可能性を説明できる。
心的決定論、無意識、行動の意味
6
4
自己理解および他者理解の限界と可能性を理解している
人は自分の心を完全には理解できないことを理解している。
自己理解、他者理解、無意識、ズレ
6
5
人の心が自分の意思だけではコントロールできないことを理解している
人の思考や行動が無意識や外部環境(AI・社会的影響など)によって影響を受けることを説明できる。また、人間の主体性や判断が必ずしも自律的ではないことについて基本的に理解している。
無意識、局所論
7
6
人の発達と成熟のプロセスを理解している
人の成長を単純ではない過程として説明できる。
発達、成熟、成長
7
7
人はどのように自分と向き合い、他者と関わるのか
自分に対する関わり方や、他者との関係の中で心が変化していく過程を説明できる。
セルフ・コンパッション、自己理解、他者理解、関係性、無意識
7
8
人が意味づけを行いながら生きる存在であることを理解している
出来事の解釈が心理に影響することを説明できる。
意味づけ
7
9
心理職として人とどう向き合うのかを理解している
人はどのように意味を見出しながら働き、生きるのか
人の発達と人生の課題を統合的に理解している
人をどのように理解し、支援へとつなげるのか
人と関わることの難しさと誠実さを理解している
人はどのように変わりながら生きていくのか
心理職が人と関わる際の基本的な姿勢や関係のあり方について説明できる。
人が働くことや生きることの中で意味を見出していく過程について説明できる。
人生を通した発達の視点を説明できる。
人の状態を多面的に理解し、それを支援へと結びつける基本的な考え方を説明できる。
人間関係の複雑さと向き合う姿勢を説明できる。
人の変化が一方向ではなく、揺れや選択を含む過程であることについて説明できる。
心理職、対人援助、関係性、支援、姿勢
意味づけ、仕事、生き方、ユング、個性化、産業領域
エリクソン、発達課題、フロム、自由
ケースフォーミュレーション、アセスメント、支援、発達、関係性
関係性、葛藤、誠実さ、距離
変化、成長、選択、意味づけ、人生
42
10-15
評価方法
定期試験100%
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
参考文献
実験・実習・教材費