区分
基盤専門科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力
科学コミュニケーション力
研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養
応用力
実践力
科目間連携
総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
科目の目的
ひとが社会の中で生きる以上、対人間関係において、あるいは集団、社会の中で、他者との葛藤状況の発生は避けて通れないものである。本科目では、ひとが直面する様々な葛藤状況について、それらがどのような要因の影響を受けてどのように発生するのかを整理し、さらにそれらはどのように解決されうるのか、先行研究の知見や実際の事件・国際状況などを通して学んでいく。本講義で得られた知識は、実生活における葛藤解決の一助となることが期待される。
到達目標
対人間・集団・社会の中で発生する葛藤場面について、専門的な知見を得、またその解決における実践的な能力を獲得することを目指す
科目の概要
本科目では、様々な場面における葛藤とその解決についての専門的知識を習得することを目的とする。具体的には、本授業は「葛藤解決の心理学」をテーマに、全15回にわたって多様な側面から葛藤とその解決方法について学ぶものである。以下に各回の授業内容を示す。
第1回では、葛藤とは何かについて基本的概念を紹介し、葛藤がどのように生じ、どのような影響をもたらすかを検討する。第2回では、個人内葛藤に焦点を当て、その心理的メカニズムや個人のパーソナリティがどのように関与するのかを学ぶ。第3回では、個人内葛藤の解決スタイルについて、さまざまな方法を考察する。第4回では、対人葛藤の種類について学び、対人関係における多様な葛藤のパターンを理解する。第5回では、対人葛藤のプロセスにおける認知の役割について詳しく学び、認知バイアスが葛藤をどのように引き起こすかを理解する。第6回では、対人葛藤における怒りと攻撃行動の関係について検討し、これらが葛藤の進行にどのように影響するかを学ぶ。第7回では、謝罪や釈明が対人葛藤の解決に果たす役割について、具体的方法とその効果を検討する。第8回では、許しをテーマに、許しが対人葛藤の解決にどのように作用するかを探り、その心理的プロセスについて学ぶ。第9回では、恋愛や家族関係における葛藤について具体的事例を交えながら、特有の課題と解決方法を考察する。第10回では、組織内の葛藤に焦点を当て、職場や団体内で発生する葛藤の特徴とその解決方法を学ぶ。第11回では、集団間葛藤について学び、異なる集団間における対立と対話の重要性を理解する。第12回では、紛争を取り上げ、その定義および社会的・政治的影響について考察する。第13回では、紛争の解決方法に焦点を当て、多様な方法とその実践について学ぶ。第14回では、葛藤解決のワークショップを実施し、学生が実際に葛藤解決のプロセスを体験的に学習する。第15回では、これまでの内容を総括し、各回の学びを整理することで理解を深化させる。
以上の授業を通じて、葛藤の理解およびその解決方法に関する知識を深化させ、実際の問題解決能力の向上を目指す。
科目のキーワード
個人内葛藤、対人間葛藤、集団間葛藤、葛藤解決
授業の展開方法
本講義では,パワーポイントや板書を併用して講義を進める。講義毎に授業レジュメを配布するが(オンライン上での転載厳禁)、受講生自身で授業についてのノートを作成することを推奨する。授業に関する資料がある場合は適宜配布する。講義の最後に、小テストを実施する。また、リアクションペーパーにおいて質問等を記入してもらう。質問については、内容により次回講義の冒頭でフィードバックを行う。
オフィス・アワー
※まずはメールでご連絡ください。授業前後に声をかけて頂いても構いません。
前期:水曜昼・3限
後期:水曜昼・3限
科目コード
SD3010
学年・期
2年・前期
科目名
葛藤解決の心理学(自由とルールの狭間で生じるトラブルの解決方法)
単位数
2
授業形態
講義
必修・選択
必修
学習時間
【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
展開科目
関連資格
担当教員名
八木彩乃
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
葛藤とは
科目の中での位置付け
本授業は、葛藤の基礎的理解から応用的な解決方法までを段階的に扱う構成である。第1回では、葛藤の定義および種類について確認し、基礎的枠組みを理解する。第2回および第3回では、個人内葛藤を取り上げ、その心理的メカニズムや解決のあり方について学ぶ。第4回から第8回にかけては対人葛藤に焦点を当て、認知・感情・行動の側面からその特徴と解決方法を検討する。第9回では、恋愛や家族関係における葛藤を扱い、身近な関係に特有の課題を考察する。第10回では、組織内葛藤について学び、職場における対立の特徴と対処法を理解する。第11回から第13回では、集団間葛藤を取り上げ、社会的文脈における対立とその解決について考察する。第14回では、これまでの学習内容を踏まえた実践的活動を行い、葛藤解決のプロセスを体験的に学ぶ。第15回では、全体の内容を総括し、理解の深化を図る。
第1回では葛藤の定義およびその種類について、概説していく。
適宜紹介する
コマ主題細目
① 葛藤の定義 ② 対人葛藤 ③ 集団間葛藤
細目レベル
① 葛藤(conflict)は、異なる目標・価値観・意見・感情が対立することで生じる心理的・社会的な状態です。本講義では、心理学における葛藤の定義を整理し、代表的なモデルを紹介します。まずは心理学の葛藤研究として古典である個人内葛藤について、触れたあと、社会的葛藤について概説します。ひとは社会の中で生きる上で、他者との関わり合いを避けて通ることはできません。そしてその関わり合いは、常に平穏で仲がいいものばかりではなく、何らかの原因やあるいは不幸なすれ違いなどにより、互いに不満足な状態に陥ることもあります。このような、いわゆる「葛藤」状態について、その状態に陥ってしまう要因、そのような状態でひとびとがとってしまう行動や態度、そしてそれらの解決方法などを、本講義では心理学的視点から考えていきます。
② 他者との関係には、個人対個人の関係から、個人対集団・社会、集団対集団、等、様々な枠組みが存在します。特に個人同士や狭いグループ内(友人関係、家族、見知らぬ他者など)における葛藤は、心理学の研究では対人葛藤(あるいは対人間葛藤)と称されます。対人葛藤は多くの人が日常的に経験し、しばしば自身の悩みとして抱えています。ここでは、心理学の研究において、対人葛藤として注目されるのはどのような場面かを紹介し、さらに、今後の授業でどのようなテーマを扱っていくのかについて、概説します。
③ 個人同士や狭いグループにおける葛藤が対人葛藤と称される一方、集団や社会における葛藤は異なる名称で取り扱われます。特に、集団同士(民族、国家、なんらかの基準により分別される集団など)における葛藤は、集団間葛藤と称されます。集団間葛藤には、チーム同士の争いから、紛争、テロといった国際的な問題まで含まれます。また、大きな集団内での葛藤については、組織内葛藤として研究が行われています。ここでは、このような集団単位での葛藤について、心理学でどのような観点から研究が行われているのか、今後の授業でどのようなテーマを扱っていくのかを、概説します。
キーワード
① 葛藤 ② 個人内葛藤 ③ 社会的葛藤 ④ 対人葛藤 ⑤ 集団間葛藤
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、葛藤とは何か、葛藤の種類などについて適切に理解できているか、を確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
第2回に向けた予習
次回のシラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。
2
個人内葛藤の心理的メカニズム
科目の中での位置付け
本授業は、葛藤の基礎的理解から応用的な解決方法までを段階的に扱う構成である。第1回では、葛藤の定義および種類について確認し、基礎的枠組みを理解する。第2回および第3回では、個人内葛藤を取り上げ、その心理的メカニズムや解決のあり方について学ぶ。第4回から第8回にかけては対人葛藤に焦点を当て、認知・感情・行動の側面からその特徴と解決方法を検討する。第9回では、恋愛や家族関係における葛藤を扱い、身近な関係に特有の課題を考察する。第10回では、組織内葛藤について学び、職場における対立の特徴と対処法を理解する。第11回から第13回では、集団間葛藤を取り上げ、社会的文脈における対立とその解決について考察する。第14回では、これまでの学習内容を踏まえた実践的活動を行い、葛藤解決のプロセスを体験的に学ぶ。第15回では、全体の内容を総括し、理解の深化を図る。
第2回では個人内葛藤の種類やそのメカニズムについて扱う。
適宜紹介する
コマ主題細目
① 無意識と抑圧 ② 葛藤の3つの型 ③ 認知的不協和理論
細目レベル
① フロイト(1915)は、意識的に思い出すことのできない心的内容、すなわち「無意識」が行動や情動の背景にあるとし、これが抑圧という防衛機制によって意識から排除されると主張しました。抑圧とは、個人が苦痛や不安を引き起こす考えや感情を無意識下に押し込めることで、心理的安定を維持しようとする過程です。例えば、トラウマ的な体験や社会的に許容されない衝動が抑圧されることで、個人の精神的安定が保たれると考えられています。しかし、これらの抑圧された内容は、夢や言い間違い、神経症的症状として現れることがあり、精神分析的治療では無意識の内容を意識化することで症状の改善を目指します。
② 心理学における古典的な葛藤の研究のひとつとして、Lewin (1935) による葛藤の3つの型への分類があげられます。 接近-接近型葛藤(Approach-Approach Conflict)とは、複数の魅力的な選択肢の間で迷う状態であり、例えば、二つの魅力的な仕事のオファーを受けた場合などに起こります。回避-回避型葛藤(Avoidance-Avoidance Conflict)とは、どちらも避けたい選択肢の間で選ばなければならない状態であり、例えば、嫌な仕事を続けるか、無職になるかを選ぶ場合などに起こります。接近-回避型葛藤(Approach-Avoidance Conflict)とは、1つの対象が魅力と不快の両面を持つときに生じる状態であり、例えば、昇進したいが責任が増えることを懸念する場合などに起こります。これらは葛藤状況の認知的負荷や情動反応に影響を及ぼし、意思決定の困難さと関連します。
③ 認知的不協和理論(Cognitive Dissonance Theory)は、Festinger(1957)によって提唱された理論で、人が矛盾する信念・態度・行動を同時に持つことによる不快な心理的緊張(不協和)を低減しようとする動機づけメカニズムを説明します。この理論に基づく古典的研究に、Festinger & Carlsmith(1959)の実験があげられます。この研究では、つまらない作業を「面白かった」と他者に伝えるよう頼まれた参加者が、そう伝えることによる報酬が少ない場合ほど、自らの態度(つまり作業に対する評価)を肯定的に変化させるという結果が示されました。この結果は、報酬が少ない場合、自己の行動と報酬の間の不協和を解消するために、認知を変化させたと解釈されます。この理論は、態度変容、意思決定、行動の正当化など、さまざまな心理的現象の説明のひとつとして挙げられます。
キーワード
① 抑圧 ② 接近-接近型葛藤 ③ 回避-回避型葛藤 ④ 接近-回避型葛藤 ⑤ 認知的不協和理論
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、本授業の内容などについて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
次回のシラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。
3
個人内葛藤の解決のスタイル
科目の中での位置付け
本授業は、葛藤の基礎的理解から応用的な解決方法までを段階的に扱う構成である。第1回では、葛藤の定義および種類について確認し、基礎的枠組みを理解する。第2回および第3回では、個人内葛藤を取り上げ、その心理的メカニズムや解決のあり方について学ぶ。第4回から第8回にかけては対人葛藤に焦点を当て、認知・感情・行動の側面からその特徴と解決方法を検討する。第9回では、恋愛や家族関係における葛藤を扱い、身近な関係に特有の課題を考察する。第10回では、組織内葛藤について学び、職場における対立の特徴と対処法を理解する。第11回から第13回では、集団間葛藤を取り上げ、社会的文脈における対立とその解決について考察する。第14回では、これまでの学習内容を踏まえた実践的活動を行い、葛藤解決のプロセスを体験的に学ぶ。第15回では、全体の内容を総括し、理解の深化を図る。
第3回では個人内葛藤の対処法について紹介する。
適宜紹介する
コマ主題細目
① 心理療法 ② 感情調整 ③ ストレスへの対処
細目レベル
① 個人内葛藤とは、自分の中に相反する感情や欲求が存在し、対立している状態を指します。これに対処する方法として、臨床心理学の枠組みから多くの理論と技法が発展してきました。代表的なアプローチには、無意識への注目を重視する精神分析、自己成長を支援する人間性心理学、思考の歪みに働きかける認知行動理論があります。精神分析では、自由連想法や転移の分析を通じて無意識的な葛藤に気づかせることを目指します。人間性心理学に基づく来談者中心療法では、共感的理解や無条件の肯定的配慮によって自己成長を促します。認知行動理論では、非合理的な思考パターンを現実的なものへと修正することで、葛藤や抑うつを改善します。こうした臨床心理学のアプローチは、個人内葛藤の理解と解決に重要な役割を果たしています。
② 個人は日常生活の中でも、内的葛藤に自ら取り組むことができます。その一つが自己受容です。自己受容とは、理想自己と現実自己のギャップを認識したうえで、ありのままの自分を肯定的に受け止めることを指します。社会の中で生きるうえでは、理想と現実の間を適切に調整する姿勢が大切です。また、認知的不協和理論によれば、人は矛盾する認知を持つと心理的緊張を感じ、それを解消しようと行動します。例えば、自分の行動に対して十分な理由がない場合、人は態度を変えて認知の整合性を図ろうとします。こうした理論を理解し、自己理解や自己受容を深めることは、個人内葛藤の自然な軽減につながります。専門家の援助がない場合でも、日々の小さな工夫によって、自身の内的葛藤と向き合うことが可能です。
③ ストレスは、身体的または心理的な安定を脅かす出来事や状況に対する反応の総称です。ストレス反応が生じる背景には、一次的評価と二次的評価を行う認知的プロセスが存在します。ストレスそのものを完全に排除することは不可能ですが、効果的な対処(コーピング)によって影響を最小限に抑えることができます。コーピングには、問題そのものに働きかける問題焦点型と、感情に対処する情動焦点型があります。さらに、ストレスマネジメントとして、瞑想や自律訓練法、ストレス免疫訓練などの実践法も効果的です。重要なのは、ストレスを完全になくすことではなく、適度なストレスと付き合いながら、自分に合った対処方法を身につけ、心身の健康を保つことです。ストレスへの理解と対処力の向上が、結果的に個人内葛藤の軽減にもつながります。
キーワード
① 精神分析 ② クライエント中心療法 ③ 認知療法・認知行動療法 ④ 自己受容 ⑤ ストレスコーピング
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、本授業の内容などについて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
次回のシラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。
4
対人葛藤の種類
科目の中での位置付け
本授業は、葛藤の基礎的理解から応用的な解決方法までを段階的に扱う構成である。第1回では、葛藤の定義および種類について確認し、基礎的枠組みを理解する。第2回および第3回では、個人内葛藤を取り上げ、その心理的メカニズムや解決のあり方について学ぶ。第4回から第8回にかけては対人葛藤に焦点を当て、認知・感情・行動の側面からその特徴と解決方法を検討する。第9回では、恋愛や家族関係における葛藤を扱い、身近な関係に特有の課題を考察する。第10回では、組織内葛藤について学び、職場における対立の特徴と対処法を理解する。第11回から第13回では、集団間葛藤を取り上げ、社会的文脈における対立とその解決について考察する。第14回では、これまでの学習内容を踏まえた実践的活動を行い、葛藤解決のプロセスを体験的に学ぶ。第15回では、全体の内容を総括し、理解の深化を図る。
第4回では対人葛藤の研究の歴史や種類について扱う。
適宜紹介する
コマ主題細目
① 世代的変遷 ② 分類アプローチ ③ 対人葛藤の分類
細目レベル
① 葛藤研究は、もともと個人内葛藤を対象とする臨床心理学の分野から発展してきましたが、20世紀以降、対人関係や集団間の問題など社会的葛藤への関心が高まり、社会心理学や国際関係論へと研究対象が広がっていきました。特に、Ramsbotham et al.(2011)の研究では、葛藤・紛争解決の学問的発展を5つの世代に分類しており、時代ごとの関心の変化と方法論の多様化が示されています。第1世代では戦争・平和の学際的理解が模索され、第2~3世代では理論と実践の融合、対話型アプローチの発展が見られます。第4世代では文化や構造的暴力への対応が重視され、現在の第5世代では言説分析や脱構築的な視点が台頭しています。このような発展の中で、葛藤における心理的要因の重要性も強調されるようになりました。
② 社会的葛藤を理解するためには、発生する文脈や解決の過程に注目した分類が有効です。Chase(1951)は、葛藤をその社会的レベル(個人間、氏族間、国家間など)で細分化し、Pondy(1967)やFink(1968)は、主に組織や役割関係に着目したタイプ分けを行いました。さらに、Pruitt & Rubin(1986)は、葛藤解決の戦略(自己優先、相互利益、譲歩など)に焦点を当て、Wall & Callister(1995)は葛藤を原因・プロセス・結果の三位一体として捉える枠組みを提案しました。これらの分類は、葛藤を単なる対立ではなく、多様な要因と文脈の組み合わせとして捉え、より精緻な分析と実践的対応を可能にするための基盤となっています。メタ研究による分類の試みは、学問横断的な視点からの統合的理解を進める上で重要な役割を果たします。
③ 対人葛藤(interpersonal conflict)は、社会的葛藤の中でも最も身近な形であり、心理的影響も大きい領域です。代表的な分類の一つがJehn & Mannix(2001)による「関係葛藤」「課題葛藤」「プロセス葛藤」です。たとえば関係葛藤は、感情的な意見の不一致やコミュニケーションの誤解などによって引き起こされ、ストレスや燃え尽き、うつ病などの心理的問題と強く関連しています(Tafvelin et al., 2019)。このような葛藤では、問題そのものよりも人間関係に対する否定的感情が強調されるため、建設的な解決が難しくなりやすい点に注意が必要です。こうした実証研究に基づく分類は、葛藤の質や対応の在り方を具体的に検討するための指針となり、対人関係の理解や介入に有効な視点を提供します。
キーワード
① 対人葛藤 ② 関係葛藤 ③ 職務葛藤 ④ プロセス葛藤 ⑤ 役割葛藤
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、本授業の内容などについて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
次回のシラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。
5
対人葛藤における認知バイアス
科目の中での位置付け
本授業は、葛藤の基礎的理解から応用的な解決方法までを段階的に扱う構成である。第1回では、葛藤の定義および種類について確認し、基礎的枠組みを理解する。第2回および第3回では、個人内葛藤を取り上げ、その心理的メカニズムや解決のあり方について学ぶ。第4回から第8回にかけては対人葛藤に焦点を当て、認知・感情・行動の側面からその特徴と解決方法を検討する。第9回では、恋愛や家族関係における葛藤を扱い、身近な関係に特有の課題を考察する。第10回では、組織内葛藤について学び、職場における対立の特徴と対処法を理解する。第11回から第13回では、集団間葛藤を取り上げ、社会的文脈における対立とその解決について考察する。第14回では、これまでの学習内容を踏まえた実践的活動を行い、葛藤解決のプロセスを体験的に学ぶ。第15回では、全体の内容を総括し、理解の深化を図る。
第5回では対人葛藤における心理メカニズムはどのような説明がなされているかを紹介する。
適宜紹介する
コマ主題細目
① 心の理論 ② 帰属バイアス ③ 敵意帰属バイアス
細目レベル
① 人が他者の行動をどのように理解するかには、「心の理論」が関係しています。これは、他者の信念・欲求・意図など、内面的な状態を推測する能力であり、発達は幼児期から段階的に進みます。生後9〜10か月頃には三項関係(自己・他者・対象)の理解が始まり、2歳頃には見立て遊びが見られ、4歳頃になると「誤信念」の理解が可能になります。たとえば「サリーとアンの課題」では、4歳児はサリーの立場から行動を予測できるようになります。このように、他者の視点に立つ力は対人理解の土台を形成し、その後の社会的関係の構築に大きく関わっていきます。
② 心の理論を獲得しても、他者の心を正確に理解することは困難です。人の思考には、文化や経験、信念などによる偏り(バイアス)が常に存在するからです。心理学では、こうした偏りを「思考のバイアス」と呼びます。たとえば、他者の行動を性格に帰属させがちな「基本的帰属の誤り」、成功は自分のおかげ・失敗は環境のせいとする「自己奉仕バイアス」、自分と他人に異なる解釈をする「行為者-観察者バイアス」などがあります。これらのバイアスは、無意識のうちに私たちの判断を歪め、対人関係の誤解や摩擦を引き起こす要因となります。
③ 対人葛藤の背景には、他者への過度な疑いをもとにした「敵意帰属バイアス」がしばしば存在します。相手の曖昧な言動に対して、悪意があると判断してしまうと、自分も攻撃的に反応し、相手の反応もさらに敵意あるものと解釈するという悪循環が生まれます。また、自分の考えを支持する情報だけを集める「確証バイアス」も、偏った認知を強化します。SNSのエコーチェンバー現象などもこの一例です。こうした思考の偏りに気づくには、「メタ認知」、つまり自分の考えを客観的に見直す力が不可欠です。この力が葛藤の根本的な理解と、建設的な関係づくりの鍵となります。
キーワード
① 心の理論 ② 基本的帰属の誤り ③ 自己奉仕バイアス ④ 敵意帰属バイアス ⑤ ステレオタイプ
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、本授業の内容などについて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
次回のシラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。
6
対人葛藤における感情の役割
科目の中での位置付け
本授業は、葛藤の基礎的理解から応用的な解決方法までを段階的に扱う構成である。第1回では、葛藤の定義および種類について確認し、基礎的枠組みを理解する。第2回および第3回では、個人内葛藤を取り上げ、その心理的メカニズムや解決のあり方について学ぶ。第4回から第8回にかけては対人葛藤に焦点を当て、認知・感情・行動の側面からその特徴と解決方法を検討する。第9回では、恋愛や家族関係における葛藤を扱い、身近な関係に特有の課題を考察する。第10回では、組織内葛藤について学び、職場における対立の特徴と対処法を理解する。第11回から第13回では、集団間葛藤を取り上げ、社会的文脈における対立とその解決について考察する。第14回では、これまでの学習内容を踏まえた実践的活動を行い、葛藤解決のプロセスを体験的に学ぶ。第15回では、全体の内容を総括し、理解の深化を図る。
第6回では対人葛藤において生起する感情、およびしばしば対立するものとして扱われる理性についての研究を見ていく。
適宜紹介する
コマ主題細目
① 感情の種類 ② 怒り感情 ③ 感情と理性
細目レベル
① 感情は心理学において複数の概念に分けて理解されています。たとえば、「情動(emotion)」は生理反応を伴う短時間の強い反応、「感情(feeling)」はより主観的体験、「気分(mood)」は中長期的で穏やかなものです。進化論に基づき、感情は生存のために適応的に働いてきたとされ、エクマンは「幸福」「怒り」「悲しみ」「嫌悪」「驚き」「恐怖」の6つを「基本感情」と位置づけました。これらは文化を超えて共通に理解されるとされています。また、基本感情に認知的評価などが加わることで「高次感情(例:罪悪感、羞恥、誇り)」が生じ、対人関係や社会的文脈の中で複雑に機能します。
② 対人葛藤では感情、とくに怒りが中心的役割を果たします。怒りは関係の性質によって異なる表れ方をし、文化によっても表出スタイルが異なります。日本人は感情表現を抑制しやすく、遠回しな伝え方が好まれる傾向があります。一方、アメリカ南部の「名誉の文化」では侮辱に対する怒りの表出が受け入れられる場合もあります。怒りが対人関係に与える影響には「正当性評価」が重要であり、とくに怒りを受けた側による評価が、その後の関係に大きく作用します。この評価には個人の性格(例:自己愛傾向・公正世界信念)なども影響を与えることが分かっています。
③ 感情は理性と対立するものとされてきましたが、現代心理学ではその再評価が進んでいます。有名な事例であるフィニアス・ゲージの症例からは、感情が意思決定に深く関与していることが示されました。Damasio et al (1991) の「ソマティック・マーカー仮説」では、身体反応(たとえば不快感)が選択行動を導くガイドとして機能しており、合理的な判断に寄与しているとされます。この仮説を支持する実験からも、感情が単なる妨害要因ではなく、認知を補完する役割を持つことが明らかになりました。怒りをはじめとした感情は、対人関係の再構築や葛藤解決にも重要であり、感情と理性を補完的にとらえる視点が求められています。
キーワード
① 基本感情 ② 怒りの正当性評価 ③ 正当性評価のズレ ④ 自己愛傾向 ⑤ ソマティック・マーカー仮説
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、本授業の内容などについて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
次回のシラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。
7
対人葛藤の解決・謝罪
科目の中での位置付け
本授業は、葛藤の基礎的理解から応用的な解決方法までを段階的に扱う構成である。第1回では、葛藤の定義および種類について確認し、基礎的枠組みを理解する。第2回および第3回では、個人内葛藤を取り上げ、その心理的メカニズムや解決のあり方について学ぶ。第4回から第8回にかけては対人葛藤に焦点を当て、認知・感情・行動の側面からその特徴と解決方法を検討する。第9回では、恋愛や家族関係における葛藤を扱い、身近な関係に特有の課題を考察する。第10回では、組織内葛藤について学び、職場における対立の特徴と対処法を理解する。第11回から第13回では、集団間葛藤を取り上げ、社会的文脈における対立とその解決について考察する。第14回では、これまでの学習内容を踏まえた実践的活動を行い、葛藤解決のプロセスを体験的に学ぶ。第15回では、全体の内容を総括し、理解の深化を図る。
第7回では対人葛藤の解決において、加害者側がとりうる行動・態度を見ていく。
適宜紹介する
コマ主題細目
① 方略行動 ② 謝罪 ③ 関係価値仮説
細目レベル
① 対人葛藤が生じた際、人は多様な行動で状況に対応します。福島と大渕(1997)の「方略行動の統合的分類図式」では、葛藤時の行動を意図に基づいて6つに分類しています。たとえば、互いの事情を理解しようとする「統合方略」、感情に訴える「懐柔方略」、自己主張を重視する「分配方略」、相手を責める「攻撃方略」などがあります。また、対立を避ける「同調」や「回避」、解決を第三者に委ねる「第三者介入」も選択肢です。これらの行動は、状況や関係性に応じて柔軟に使い分けられ、葛藤の緩和や解決に向けた戦略的な手段となります。
② 葛藤が顕在化し、加害者と被害者の関係が明確になると、加害者には「謝罪」、被害者には「赦し」が求められます。謝罪は、負事象の認知・責任受容・改悛表明・被害者へのいたわり・更生の誓い・赦しの要請という複数の要素から構成され、特に責任受容と改悛表明が中核とされます。誠実な謝罪は被害者の感情を鎮め、関係修復への糸口になります。一方、謝罪には社会的罰や損害賠償などのコストも伴うため、加害者の中には謝罪を避けようとする者も存在します。だからこそ、高いコストを払って行われる謝罪は、その誠実さの証と受け取られやすいのです。
③ 仲直り行動は人間に限らず、霊長類や他の群れ社会を形成する動物にも広く見られます。たとえば、チンパンジーやボノボ、ワタリガラスなどが攻撃後に接触や行動によって関係修復を図る様子が確認されています。これらは「収斂進化」によって、異なる種が類似の社会的行動を獲得した結果とされます。de Waalの「関係価値仮説」は、仲直りは価値ある関係を維持するために行われるという考え方であり、人間の謝罪行動にも通じます。実際に、関係の価値が高い相手ほど、謝罪に時間や労力、金銭といった高いコストをかける傾向があることが研究から明らかになっています。これにより、謝罪は関係修復の戦略として進化的な意義をもっていると考えられます。
キーワード
① 謝罪 ② 赦し ③ 責任受容 ④ 釈明 ⑤ 関係価値仮説
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
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その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、本授業の内容などについて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
次回のシラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。
8
対人葛藤の解決:許し
科目の中での位置付け
本授業は、葛藤の基礎的理解から応用的な解決方法までを段階的に扱う構成である。第1回では、葛藤の定義および種類について確認し、基礎的枠組みを理解する。第2回および第3回では、個人内葛藤を取り上げ、その心理的メカニズムや解決のあり方について学ぶ。第4回から第8回にかけては対人葛藤に焦点を当て、認知・感情・行動の側面からその特徴と解決方法を検討する。第9回では、恋愛や家族関係における葛藤を扱い、身近な関係に特有の課題を考察する。第10回では、組織内葛藤について学び、職場における対立の特徴と対処法を理解する。第11回から第13回では、集団間葛藤を取り上げ、社会的文脈における対立とその解決について考察する。第14回では、これまでの学習内容を踏まえた実践的活動を行い、葛藤解決のプロセスを体験的に学ぶ。第15回では、全体の内容を総括し、理解の深化を図る。
第8回では対人葛藤の解決において、被害者がとりうる行動・態度を見ていく。
適宜紹介する
コマ主題細目
① 赦し(Forgiveness) ② 共感(Empathy) ③ コストリー・シグナリング理論
細目レベル
① 被害者がとる最も建設的な行動は「赦し」とされています。赦しは報復や回避の動機を弱め、再び関係を築こうとする意欲を高めます。これは単なる関係修復だけでなく、精神的健康にも良い影響を与えるのです。研究によれば、他者を赦しやすい人はストレスによる悪影響を受けにくい傾向があると言われています。赦しの定義には複数の学術的立場があり、否定的な情動や認知を手放し、肯定的な感情へと変容させるプロセスとされます。一方で、赦しの概念は一貫した定義が難しいとも指摘されており、その複雑さが学術的関心の高さを裏付けています。赦しは人間関係の維持と個人の内面的成長をつなぐ心理的プロセスとして、対人葛藤解決において中心的な役割を果たしているのです。
② 赦しの成立には多様な要因が関与しており、大きく「認知」「感情」「状況的制約」に分けて整理されています。たとえば、相手が意図的に傷つけたと感じると赦しにくく、逆に謝罪や共感があると赦しやすくなります。感情面では怒りが赦しを妨げ、ポジティブな気分や共感性の高さが赦しを促進します。状況的制約としては関係性の親密さや信頼、宗教的信念も影響しますが、性別や年齢といった人口統計的要因の影響は小さいことが示されています。中でも、共感の強さと「わざとではない」という認識が赦しに最も大きな影響を与えることが実証されており、被害者が相手の立場や感情を理解できるかどうかが、赦しの成立において鍵となりそうです。
③ 赦しには加害者側の誠実な謝罪が不可欠であり、その誠実さは「コスト」によって評価されるという指摘があります。たとえば、謝罪のためにかけられる時間や労力、社会的リスクなどが多いほど、その謝罪は本気であると判断されやすいのです。この背景には「コストリー・シグナリング理論」があり、高いコストを伴う行動は不誠実な者には真似できず、意図の正直さを保証する役割を果たしています。動物行動学におけるストッティング行動のように、見かけ上不利に思える行動が、実は信頼性の高いメッセージとして機能しています。人間関係でも、こうしたコストの支払いが「赦すに値するかどうか」の直感的判断材料となりえます。無条件の赦しが常態化すると、謝罪の質は低下する可能性があるため、赦しと罰のバランスが重要なのです。
キーワード
① 赦し ② 共感 ③ コストリー・シグナリング理論 ④ 誠実さ ⑤ 無条件の赦し
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復習・予習課題
今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、本授業の内容などについて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
次回のシラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。
9
恋愛・家族関係における葛藤
科目の中での位置付け
本授業は、葛藤の基礎的理解から応用的な解決方法までを段階的に扱う構成である。第1回では、葛藤の定義および種類について確認し、基礎的枠組みを理解する。第2回および第3回では、個人内葛藤を取り上げ、その心理的メカニズムや解決のあり方について学ぶ。第4回から第8回にかけては対人葛藤に焦点を当て、認知・感情・行動の側面からその特徴と解決方法を検討する。第9回では、恋愛や家族関係における葛藤を扱い、身近な関係に特有の課題を考察する。第10回では、組織内葛藤について学び、職場における対立の特徴と対処法を理解する。第11回から第13回では、集団間葛藤を取り上げ、社会的文脈における対立とその解決について考察する。第14回では、これまでの学習内容を踏まえた実践的活動を行い、葛藤解決のプロセスを体験的に学ぶ。第15回では、全体の内容を総括し、理解の深化を図る。
第9回では対人葛藤の中でも、家族・恋人関係といった、特有の構造を抱える関係間について扱う。
適宜紹介する
コマ主題細目
① 家族間葛藤の生起メカニズム ② 家族関係に特有の葛藤構造 ③ 恋愛・家族関係の葛藤解決法
細目レベル
① 家族間で葛藤が起こりやすい背景には、密な接触時間と心理的距離の近さがある。家族は生活の基盤を共有しており、他者には向けにくい感情やストレスを家庭内に持ち込んでしまいやすい。Schulzらの研究によれば、共働き夫婦は勤務後の感情状態が家庭内行動に強く影響しており、夫はストレス時に撤退的行動を、妻は荒れた行動をとる傾向があることが示された。これらは仕事のストレスが家庭に影響を及ぼす「ネガティブ・スピルオーバー」という概念で説明される。家庭と職場の境界は曖昧になりがちで、感情が一方から他方へと流入することで、家庭内葛藤の引き金となる。
② 家族関係は、他の人間関係と異なり、簡単には断ち切れない性質をもつ。経済的・空間的・時間的資源を共有するため、たとえば補償や制裁が実質的に自分自身をも傷つけることになりやすい。また、法的・社会的な契約に基づいていることから、他の関係のように容易に解消することができない。こうした関係性では、明確な加害者・被害者の構図が成り立ちにくく、互いに譲歩しながら現実的な解決策を探る必要がある。家族間の葛藤には、単なる感情のぶつかり合いにとどまらない構造的な困難が内包されている点が重要である。
③ 恋人・家族間の葛藤を和らげる手段として、①問題そのものの解決、②相互理解の促進、③感情調整、④カウンセリングなどがある。特にアサーティブ・コミュニケーションは、自己主張と他者尊重を両立させ、葛藤を建設的に扱ううえで有効である。また、「リフレーミング」による認知の切り替えも、否定的感情の軽減に役立つ。加えて、専門家による支援として、カップルセラピーや家族療法などのカウンセリングも有用である。これらの支援は、関係の再構築や問題の外在化を通じて、より柔軟な解決を可能にする。
キーワード
① ネガティブ・スピルオーバー ② アサーティブ・コミュニケーション ③ リフレーミング ④ カップルセラピー ⑤ 家族療法
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復習・予習課題
今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、本授業の内容などについて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
次回のシラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。
10
組織内葛藤
科目の中での位置付け
本授業は、葛藤の基礎的理解から応用的な解決方法までを段階的に扱う構成である。第1回では、葛藤の定義および種類について確認し、基礎的枠組みを理解する。第2回および第3回では、個人内葛藤を取り上げ、その心理的メカニズムや解決のあり方について学ぶ。第4回から第8回にかけては対人葛藤に焦点を当て、認知・感情・行動の側面からその特徴と解決方法を検討する。第9回では、恋愛や家族関係における葛藤を扱い、身近な関係に特有の課題を考察する。第10回では、組織内葛藤について学び、職場における対立の特徴と対処法を理解する。第11回から第13回では、集団間葛藤を取り上げ、社会的文脈における対立とその解決について考察する。第14回では、これまでの学習内容を踏まえた実践的活動を行い、葛藤解決のプロセスを体験的に学ぶ。第15回では、全体の内容を総括し、理解の深化を図る。
第10回では会社などの組織内で起こる葛藤のメカニズムや解決方略について扱う。
適宜紹介する
コマ主題細目
① 組織内葛藤の持つ効果 ② 解決方略 ③ 公正さの知覚
細目レベル
① 組織とは、特定の目的を達成するために人々が協働する集団であり、会社や学校、サークルなどが例として挙げられます。しかし、目的が共有されていても、その実現方法や手順、資源の分配などに対する意見の相違は避けられません。これにより、労働条件や職務分担、感情的な摩擦などをめぐる葛藤が生じます。葛藤にはネガティブな面(意欲の低下や組織崩壊)とポジティブな面(相互理解や創造的思考の促進、忠誠心の向上など)があります。葛藤の性質により、組織の活性化につながることもあれば、逆に機能不全を招くこともあります。重要なのは、葛藤の発生を避けることではなく、それをいかに適切に解決するかにあります。
② 葛藤時の対応は「協調」「対決」「回避」の三類型に分けられますが、組織では協調方略が重視されます。その選択は、葛藤の争点によって左右されます。Tjosvold and Chia(1989)は葛藤の内容を七つに分類し、たとえば職務スケジュールに関する葛藤は建設的な解決が可能で、相互理解や意欲の向上につながることを示しました。一方で、成果物の質への批判などは関係の悪化や生産性の低下を招きやすいとされます。Wall and Nolan(1986)は、葛藤を「人間関係に起因する関係葛藤」と「職務内容に起因する職務葛藤」に分類しました。後者は協調的な対応が取りやすく、チームの満足度も高いことが示されています。葛藤の性質を見極め、適切な対応を選ぶことが、建設的な結果を導く鍵となります。
③ 葛藤が建設的な結果をもたらすためには、組織成員が自らの組織に対して協力的になるような環境が必要です。その鍵となるのが「公正さ」の知覚です。近年の研究では、公正に扱われていると感じることで、組織への信頼やコミットメントが強まり、協力行動が促進されることが示されています(Tyler & Blader, 2000)。特に「手続き的公正」、すなわち意思決定が公平かつ合理的に行われているという感覚は、自己の社会的アイデンティティの肯定にもつながります。日本でも文化的な違いを踏まえつつ、公正さが信頼や忠誠心を高めることが確認されており、情報社会の進展とともにこの傾向は強まっています。リーダーの公正な態度や評価の透明性は、組織内の健全な関係性と葛藤解決に大きな役割を果たします。
キーワード
① 葛藤のポジティブな効果 ② 職務葛藤 ③ 関係葛藤 ④ 組織の公正さ ⑤ リーダー
コマの展開方法
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小テスト
復習・予習課題
今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、本授業の内容などについて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
次回のシラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。
11
集団間葛藤
科目の中での位置付け
本授業は、葛藤の基礎的理解から応用的な解決方法までを段階的に扱う構成である。第1回では、葛藤の定義および種類について確認し、基礎的枠組みを理解する。第2回および第3回では、個人内葛藤を取り上げ、その心理的メカニズムや解決のあり方について学ぶ。第4回から第8回にかけては対人葛藤に焦点を当て、認知・感情・行動の側面からその特徴と解決方法を検討する。第9回では、恋愛や家族関係における葛藤を扱い、身近な関係に特有の課題を考察する。第10回では、組織内葛藤について学び、職場における対立の特徴と対処法を理解する。第11回から第13回では、集団間葛藤を取り上げ、社会的文脈における対立とその解決について考察する。第14回では、これまでの学習内容を踏まえた実践的活動を行い、葛藤解決のプロセスを体験的に学ぶ。第15回では、全体の内容を総括し、理解の深化を図る。
第11回では集団における葛藤が起こるメカニズムについて、古典的な研究を引きながら考える。
適宜紹介する
コマ主題細目
① 内集団と外集団 ② 内集団ひいき ③ 代理報復
細目レベル
① 心理学における「集団」とは、単なる人の集まりではなく、継続的な相互作用、共通の目標、規範、役割分化、「われわれ感情」などの特徴をもつ集合体です。集団は様々な観点から分類され、例えば、自分が所属するか否かで分ける「内集団と外集団」、関係性の深さによる「一次集団と二次集団」、影響力の大きさで分ける「多数者集団と少数者集団」などがあります。こうした分類は、集団内外での行動や認知の違いを理解する上で重要であり、特に内集団への帰属意識は、対外的な評価や行動に大きな影響を及ぼします。
② 集団が形成されると、成員は内集団への協力性を高め、外集団には敵対的になる傾向があります。Sherifらの泥棒洞窟実験では、集団間で競争が起きると敵意が高まり、逆に上位目標を共有することで協力が生まれました。また、Tajfelらの最小条件集団実験により、意味のない区別でも内集団ひいきが生じることが示されました。社会的アイデンティティ理論
では、人は内集団と自分を同一視し、肯定的な評価を通じて自尊感情を保とうとします。一方、閉ざされた一般交換システムに対する期待仮説は「お互い様」の期待によるひいきの説明を行い、最近の研究では、状況によって両理論が併存することが示唆されています
③ 集団間の争いが個人間の対立と根本的に異なる点、特に当事者以外の関与が争いを拡大させるメカニズムに焦点を当てます。個人間葛藤では被害者と加害者が明確であるのに対し、集団間葛藤では攻撃対象が不特定多数の集団成員となり、直接被害を受けていない者も内集団の一員として被害感情を共有し、報復行動に出ることがあります。この「非当事者攻撃」や「代理報復」の現象は、リッケルらが提唱した代理報復モデルによって説明されます。このモデルでは、出来事の集団的解釈、内集団への同一化、そして外集団の結束性認識が、非当事者による報復行動を促す要因となります。このように、当事者以外の関与が、集団間葛藤の規模を拡大させ、被害を深刻化させる傾向があることを理解します。
キーワード
① 内集団/外集団 ② 泥棒洞窟実験 ③ 最小条件集団実験 ④ 内集団ひいき ⑤ 社会的アイデンティティ理論
コマの展開方法
社会人講師
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教科書
コマ用オリジナル配布資料
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その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、本授業の内容などについて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
次回のシラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。
12
紛争
科目の中での位置付け
本授業は、葛藤の基礎的理解から応用的な解決方法までを段階的に扱う構成である。第1回では、葛藤の定義および種類について確認し、基礎的枠組みを理解する。第2回および第3回では、個人内葛藤を取り上げ、その心理的メカニズムや解決のあり方について学ぶ。第4回から第8回にかけては対人葛藤に焦点を当て、認知・感情・行動の側面からその特徴と解決方法を検討する。第9回では、恋愛や家族関係における葛藤を扱い、身近な関係に特有の課題を考察する。第10回では、組織内葛藤について学び、職場における対立の特徴と対処法を理解する。第11回から第13回では、集団間葛藤を取り上げ、社会的文脈における対立とその解決について考察する。第14回では、これまでの学習内容を踏まえた実践的活動を行い、葛藤解決のプロセスを体験的に学ぶ。第15回では、全体の内容を総括し、理解の深化を図る。
第12回では現実社会における集団間葛藤・紛争のメカニズムについて考える。
適宜紹介する
コマ主題細目
① 葛藤と紛争 ② 解決困難な紛争 ③ 社会心理的インフラ
細目レベル
① 前回までの実験室での研究から一歩進み、現実社会のマクロレベルの紛争に焦点を当てます。集団間紛争は、民族や国家といった社会的実体同士の対立であり、単なる個人の集合ではありません。こうした紛争では、歴史的背景や文化、集合的記憶が強く影響し、集団の存続やアイデンティティに関わる問題として認識されやすくなります。心理学の視点では、人々が集団に強く同一化し、紛争に「自発的に」参加する過程(動員)や、それを支える社会的アイデンティティの役割が重視されます。つまり、マクロな紛争であっても、根底には「人間」の思考や感情が深く関与しており、心理学的な理解が不可欠です。
② 解決困難な紛争とは、民族や宗教など「生存」に関わる目標を巡る長期的な対立を指します。暴力的で、話し合いによる解決可能性が見えず、社会全体が膨大な資源を投入し続ける特徴があります。暴力が紛争の本質となると、互いの被害意識が強まり、相手を人間と認めない「非合法化」の認知が広がります。これにより、暴力の応酬が止まらなくなります。暴力は当初の目的達成の手段であるだけでなく、社会的に是認され、制度化されたものとなり、集団間の敵意を一層固定化させます。このような紛争は、一方が完全に勝利するか、双方が平和を強く望むまで、長期にわたって続く可能性があります。
③ 長期化した紛争の中で、人々は慢性的な脅威や喪失にさらされながらも、心理的な適応を図ります。Bar-Talは、この適応を支える枠組みを「社会心理的インフラ」と呼び、①自集団を正義とする「集合的記憶」、②敵対意識や被害者意識を強化する「紛争エートス」、③恐怖や憎しみなど特定の感情を社会全体で共有する「集合的感情志向性」の3つから成ると述べています。これらは、社会の結束や精神的安定を支える一方で、紛争を正当化し、対立の解消を困難にする側面もあります。つまり、人々は「生き抜く」ために紛争構造を維持してしまうという、ジレンマを抱えているのです。
キーワード
① 動員 ② 解決困難な紛争 ③ 紛争の集合的記憶 ④ 紛争エートス ⑤ 集合的感情志向性
コマの展開方法
社会人講師
AL
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PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、本授業の内容などについて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
次回のシラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。
13
紛争の解決
科目の中での位置付け
本授業は、葛藤の基礎的理解から応用的な解決方法までを段階的に扱う構成である。第1回では、葛藤の定義および種類について確認し、基礎的枠組みを理解する。第2回および第3回では、個人内葛藤を取り上げ、その心理的メカニズムや解決のあり方について学ぶ。第4回から第8回にかけては対人葛藤に焦点を当て、認知・感情・行動の側面からその特徴と解決方法を検討する。第9回では、恋愛や家族関係における葛藤を扱い、身近な関係に特有の課題を考察する。第10回では、組織内葛藤について学び、職場における対立の特徴と対処法を理解する。第11回から第13回では、集団間葛藤を取り上げ、社会的文脈における対立とその解決について考察する。第14回では、これまでの学習内容を踏まえた実践的活動を行い、葛藤解決のプロセスを体験的に学ぶ。第15回では、全体の内容を総括し、理解の深化を図る。
第13回では紛争が解決する過程では何が起こり、何が必要なのかについて見ていく。
適宜紹介する
コマ主題細目
① 交渉と合意形成 ② 調停 ③ 和解と平和構築
細目レベル
① 紛争が容易に終わらない背景には、心理的・社会的な要因が複雑に絡み合っています。長引く紛争は「紛争文化」を形成し、それが人々の正当化・被害意識・敵意・道徳的排除といった心理的枠組みを強化し、紛争をさらに悪化させます。さらに、人間は脅威や恐怖に敏感で、ネガティブ情報に注意が偏るという性質を持ちます。こうした特性は、恐怖を煽る言説に人々が動員されやすい土壌を作り、和平よりも紛争継続を支持しやすくしてしまいます。加えて、「サンクコスト効果」により、これまでに費やした犠牲や資源が重くのしかかり、紛争の終結を心理的に受け入れがたくさせます。つまり、紛争の解決が困難な理由は、人間の感情、集団の認知、社会制度の構造といった多層的な要因の組み合わせにあるのです。
② 紛争解決の道のりは、単なる合意形成にとどまらず、社会全体の意識変革を伴う長期的なプロセスです。Galtungの枠組みに従えば、和平形成(紛争当事者同士の合意)と、平和構築(新たな平和的関係の形成)が主要な柱です。この過程では、対立者の人間性の認識、目標の再設定、互いの譲歩、信頼の再構築が求められます。初期の段階では、少数派の和平志向者がレッテル貼りされて孤立することも多く、政府指導層の支持や社会制度の後押しが不可欠です。また、メディアや教育機関は新たな価値観を広める媒体として機能します。Lewinの「軟化」概念が示すように、固着した認知を解きほぐし、平和的思考へと切り替える社会的変化が和平への鍵を握ります。和平形成は、社会心理的インフラの根本的な変容を要する、困難ながらも可能な挑戦なのです。
③ 和平合意後の本当の課題は「和解」にあります。和解とは、相手を対等で人間的な存在として認め、過去の敵対的な物語を乗り越えて、共通の未来を築こうとする過程です。Bar-Talが挙げたように、相互承認、信頼構築、他者への配慮という心理的変化が必要不可欠です。このプロセスには、教育、メディア、文化活動などを通じての長期的な社会的取組みが求められます。しかし、和解は個人や集団のアイデンティティや過去の価値観を揺さぶるものであり、強い抵抗や葛藤を生みやすく、時には暴力的な反発さえ引き起こします。そのため、政府・市民双方の主体的な努力と、外部からの支援、文化制度の変化、共同活動などを通じて、徐々に新しい関係性を築いていくことが必要です。真の平和を実現するためには、この「痛みを伴う変化」を受け入れ、持続的な和解の文化を育てていかなければなりません。
キーワード
① 紛争文化 ② 和平形成 ③ 平和構築 ④ 軟化 ⑤ 和解
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復習・予習課題
今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、本授業の内容などについて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
次回のシラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。
14
葛藤解決を考える
科目の中での位置付け
本授業は、葛藤の基礎的理解から応用的な解決方法までを段階的に扱う構成である。第1回では、葛藤の定義および種類について確認し、基礎的枠組みを理解する。第2回および第3回では、個人内葛藤を取り上げ、その心理的メカニズムや解決のあり方について学ぶ。第4回から第8回にかけては対人葛藤に焦点を当て、認知・感情・行動の側面からその特徴と解決方法を検討する。第9回では、恋愛や家族関係における葛藤を扱い、身近な関係に特有の課題を考察する。第10回では、組織内葛藤について学び、職場における対立の特徴と対処法を理解する。第11回から第13回では、集団間葛藤を取り上げ、社会的文脈における対立とその解決について考察する。第14回では、これまでの学習内容を踏まえた実践的活動を行い、葛藤解決のプロセスを体験的に学ぶ。第15回では、全体の内容を総括し、理解の深化を図る。
第14回では、葛藤のプロセスを体験的に学んでいく。
適宜紹介する
コマ主題細目
① 葛藤解決の知見について振り返り ② 葛藤発生から解決の過程について考察 ③ 予防・対策の検討
細目レベル
① 本授業では、これまで葛藤の発生から解決に至るまでの心理的メカニズムや、それに関与する認知・感情・行動的要因について体系的に扱ってきました。個人内における葛藤の理解から出発し、対人関係、家族といった小規模集団、さらには組織内や集団間における葛藤へと対象を広げながら、多様な文脈における葛藤の特徴とその解決過程を検討してきました。とりわけ、日常生活において頻繁に経験される個人間の対立や、家庭・サークルなどの身近な集団、さらにはSNS上で生じる集団間の葛藤に関する知見は、現実場面での問題理解や対処に有用であると考えられます。
② これまで葛藤のメカニズムや解決方法について学んできましたが、果たして知識を身につけることで葛藤そのものを回避することは可能なのでしょうか。本回ではその点について考えるために、簡単なシチュエーションを用意します。受講者の皆さんには実際にその状況に取り組んでもらい、自らの判断や行動を振り返ることで、知識と実践の関係について理解を深めてもらいます。
③ 先ほど取り組んだシチュエーションを振り返り、その中で実際に起こった出来事や、葛藤を回避できた点・できなかった点について整理します。そのうえで、自身の認知や行動の特徴に注目しながら、今後どのように葛藤へ対処していくことができるのかを検討します。さらに、葛藤の発生を未然に防ぐための予防的方略についても考察し、日常生活に応用可能な視点を身につけることを目指します。
キーワード
① 対人葛藤 ② 介入 ③ 認知バイアス ④ 集団間葛藤 ⑤ 内集団ひいき
コマの展開方法
社会人講師
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教科書
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復習・予習課題
今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、本授業の内容などについて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
次回のシラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。
15
総復習とまとめ
科目の中での位置付け
本授業は、葛藤の基礎的理解から応用的な解決方法までを段階的に扱う構成である。第1回では、葛藤の定義および種類について確認し、基礎的枠組みを理解する。第2回および第3回では、個人内葛藤を取り上げ、その心理的メカニズムや解決のあり方について学ぶ。第4回から第8回にかけては対人葛藤に焦点を当て、認知・感情・行動の側面からその特徴と解決方法を検討する。第9回では、恋愛や家族関係における葛藤を扱い、身近な関係に特有の課題を考察する。第10回では、組織内葛藤について学び、職場における対立の特徴と対処法を理解する。第11回から第13回では、集団間葛藤を取り上げ、社会的文脈における対立とその解決について考察する。第14回では、これまでの学習内容を踏まえた実践的活動を行い、葛藤解決のプロセスを体験的に学ぶ。
第15回では、全体の内容を総括し、理解の深化を図る。
適宜紹介する
コマ主題細目
① 第1回から第3回の振り返り ② 第4回から第6回の振り返り ③ 第7回から第8回の振り返り ④ 第9回から第10回の振り返り ⑤ 第11回から第13回の振り返り
細目レベル
① 葛藤(conflict)は、目標や価値観、意見、感情の対立によって生じる心理的・社会的状態です。第1回~3回では、葛藤の種類を概観sるとともに、個人内葛藤について、その要因や行動、解決法を心理学的視点で学びました。個人内葛藤は、自分の中で相反する欲求や感情が対立する状態であり、その理解には複数の心理学的理論が寄与しています。フロイトは、無意識に抑圧された内容が行動や症状に影響することを指摘し、精神分析療法で意識化を図ります。Lewinは葛藤を、接近-接近、回避-回避、接近-回避の3類型に分類し、意思決定の困難さを説明しました。また、Festingerの認知的不協和理論は、矛盾する認知から生じる不快を低減するため、人が態度や行動を変化させる過程を示します。対処法としては、精神分析、人間性心理学、認知行動療法など臨床的アプローチに加え、自己受容やストレスマネジメントが挙げられます。瞑想やコーピングを含むこれらの方法は、心身の健康を維持し、葛藤を和らげるうえで重要です。
② 社会的葛藤は、発生文脈や解決プロセスに基づき、個人間、組織、国家間などで分類され、原因・過程・結果を統合的に捉える枠組みが提案されています。対人葛藤は最も身近な葛藤であり、関係葛藤・課題葛藤・プロセス葛藤に区分され、特に関係葛藤は感情的要因と心理的健康への影響が大きいとされます。また、葛藤には認知バイアスが深く関与します。基本的帰属の誤り、自己奉仕バイアス、敵意帰属バイアス、確証バイアスは誤解や摩擦を助長し、メタ認知が偏り修正の鍵となります。さらに感情、とくに怒りは葛藤の展開に大きく影響し、文化や正当性評価が関与します。近年では感情は意思決定や社会的行動において合理性を補完する役割を持つとされ、理性と感情を統合的に捉える視点が求められています。
③ 葛藤が明確化すると、加害者の謝罪と被害者の赦しが重要となります。謝罪は責任受容や改悛表明を含み、誠実さは謝罪に伴うコストの高さによって評価されます。動物行動学やde Waalの「関係価値仮説」からも、仲直り行動は価値ある関係を維持する戦略として進化的意義を持つとされます。赦しは報復や回避の動機を減じ、心理的健康を促進します。赦しを促す要因には共感や謝罪、相手の非意図性の認識があり、怒りは妨害要因となります。また、コストリー・シグナリング理論に基づき、高コストの謝罪は信頼性の高いシグナルとして機能し、赦しの判断に影響します。このように謝罪と赦しは、対人関係の再構築に不可欠な心理的プロセスです。
④ 恋愛・家族関係では、密接な接触と心理的距離の近さが葛藤を生みやすく、特に仕事ストレスが家庭に波及する「ネガティブ・スピルオーバー」が大きな要因です。家族は資源を共有し、関係解消が困難なため、補償や制裁が自分に跳ね返る構造的制約があります。葛藤の解消には、問題解決や相互理解、感情調整、カウンセリングが有効であり、アサーティブ・コミュニケーションやリフレーミングが実践的手段とされます。一方、組織内葛藤は、目標達成における意見対立や資源配分の不一致により生じ、負の影響だけでなく、適切な対応で創造性や忠誠心を高める可能性もあります。対応方略は協調・対決・回避に分類され、特に協調が重視されます。葛藤の性質を見極め、公正さを確保することが信頼や協力行動を促進し、建設的な結果を導く鍵となります。
⑤ 集団間葛藤は、相互作用や共通目標、内集団・外集団の意識によって形成され、競争や内集団ひいきが敵対心を強める要因となります。Sherifの実験では競争が敵意を生み、上位目標の共有で協力が促進されることが示されました。Tajfelの研究や社会的アイデンティティ理論は、内集団と自尊感情の結びつきを説明します。また、代理報復モデルは、当事者以外の非当事者攻撃が葛藤を拡大させるメカニズムを示します。マクロレベルの紛争は、民族や宗教など生存に関わる目標を巡る長期的対立であり、集合的記憶や紛争エートスが人々の認知を固定化し、対立解消を困難にします。解決には和平形成と平和構築が不可欠であり、「軟化」やメディア・教育による価値観変革が求められます。最終的には、相互承認と信頼を基盤とする「和解」が核心であり、その実現には社会制度と文化的変化を伴う長期的努力が必要です。
キーワード
① 個人内葛藤 ② 対人間葛藤 ③ 個人間葛藤 ④ 組織内葛藤 ⑤ 集団間葛藤
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、本授業の内容などについて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
期末テストに向けた準備
これまで受験してきた小テストを見返すこと、また自作した問題があればそれを解いてみること。回答に自身のもてないものがあったら、該当する回の資料を見返すこと。
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
第1回~第3回の内容の理解
関連回のシラバスに記載されているキーワードについて理解しており、それらの用語や理論等について自身の言葉で説明することができる。
各回のキーワードを参照すること
20
1~3
第4回~第6回の内容の理解
関連回のシラバスに記載されているキーワードについて理解しており、それらの用語や理論等について自身の言葉で説明することができる。
各回のキーワードを参照すること
25
4~6
第7回~第8回の内容の理解
関連回のシラバスに記載されているキーワードについて理解しており、それらの用語や理論等について自身の言葉で説明することができる。
各回のキーワードを参照すること
15
7~8
第9回~第10回の内容の理解
関連回のシラバスに記載されているキーワードについて理解しており、それらの用語や理論等について自身の言葉で説明することができる。
各回のキーワードを参照すること
15
9~10
第11回~第13回の内容の理解
関連回のシラバスに記載されているキーワードについて理解しており、それらの用語や理論等について自身の言葉で説明することができる。
各回のキーワードを参照すること
25
11~13
評価方法
期末試験100%
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
特にない
参考文献
授業内で随時紹介する
実験・実習・教材費
特にない