区分 高度専門科目Ⅰ
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力 科学コミュニケーション力 研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養 応用力 実践力
科目間連携 総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
この科目は「高度専門科目Ⅰ」に位置づけられる選択科目である。
科目の目的
現代社会において、インターネットは生活の基盤に深くかかわり、ひとの生活を豊かにしている。その一方、インターネットはこれまでの社会になかった「現場のない犯罪」を生み出した。現在はインターネットを用いた新たな形の搾取の仕方、いわゆる「サイバー犯罪」が横行し、ひとびとは新たな形で被害者/あるいは加害者の立場へと陥る可能性に晒されている。本科目では、サイバー犯罪について、実際の事件や資料を通じてその在り様を学ぶとともに、サイバー犯罪における加害者側の動機や被害者への影響など、心理学的側面からのアプローチを通して、我々が身に着けることのできる心構えや予防について考える。
到達目標
サイバー犯罪についてその在り様を学び、その発生に関わる社会的要因・心理的傾向などについての知見を得、またその予防・対策を可能とする実践的な能力を獲得することを目指す。
科目の概要
本科目では、サイバー犯罪についての知識の習得と、その心理的背景の考察を目的とします。具体的には、この授業では、「サイバー犯罪の心理学」をテーマに、全15回にわたって多様な側面からサイバー犯罪について扱っていきます。授業を通じて、サイバー犯罪とその心理的背景に関する考察を行い、サイバー犯罪に対する予防・対策の心構えを身につけることを目指します。
科目のキーワード
サイバー犯罪、インターネット、予防と対策
授業の展開方法
本講義では,パワーポイントや板書を併用して講義を進める。講義毎に授業レジュメを配布するが(オンライン上での転載厳禁)、受講生自身で授業についてのノートを作成することを推奨する。授業に関する資料がある場合は適宜配布する。講義の最後に、小テストを実施する。また、授業内容に関する質問や要望を受け付ける。質問については、内容により次回講義の冒頭でフィードバックを行う。
オフィス・アワー
※まずはメールでご連絡ください。授業前後に声をかけて頂いても構いません。
前期:水曜昼・3限
後期:火曜昼・3限

科目コード SE4020
学年・期 2年・後期
科目名 サイバー犯罪の心理学
単位数 2
授業形態 講義
必修・選択 選択
学習時間 【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
展開科目
関連資格
担当教員名 八木彩乃
回主題コマシラバス項目内容教材・教具
1 サイバー犯罪の定義と概要 科目の中での位置付け 本授業では、サイバー犯罪の基礎から応用までを体系的に学ぶ。第1回ではサイバー犯罪の定義と概要、第2回から第4回では主要なサイバー犯罪の種類と手法、関連する法制度を学ぶ。第5回では犯罪心理学・犯罪社会学の基本理論を概説し、第6回および第7回では加害者・被害者の特徴を心理学的観点から検討する。第8回では前半の内容を振り返り、第9回ではインターネット上の著作権侵害を扱う。第10回では自覚のないまま関与し得る犯罪、第11回では個人情報と情報漏洩について学ぶ。第12回ではサイバー犯罪の捜査体制と捜査方法、第13回では政府・警察・個人による予防と対策を扱う。第14回では、生成AIなどの技術発展に伴う最新のサイバー犯罪の動向について考察する。
第1回はサイバー犯罪の定義や種類、用語について、概説する。

授業内で適宜紹介
コマ主題細目 ① サイバー犯罪の定義 ② サイバー犯罪への対応 ③ 身近なサイバーセキュリティ
細目レベル ① サイバー犯罪とは何かについて、基本的な定義や分類、そしてその歴史的な背景を概説します。まずサイバー犯罪とは何かを明確にし、その基本的な枠組みを学びます。具体的には、各県警などが示す定義を取り上げ、従来の犯罪との違いや、ネットワークを介した特有の特徴について解説します。さらに、サイバー犯罪に関する知識を活かせる資格や専門職について紹介し、学びが実際のキャリア形成にどのようにつながるかを示します。加えて、サイバー犯罪の実態を把握するために、統計や調査に基づく「犯罪情勢」を概観し、犯罪件数や傾向を把握します。本講義を通じて、受講者はサイバー犯罪研究の出発点となる基礎的理解を獲得し、以後の授業で扱う多様なテーマに備えることを目指します。
② サイバー空間は現代社会において犯罪が発生しやすい領域であり、その対策には「社会システム」と「個人」の両面をつなぐ専門家の存在が不可欠である。サイバーセキュリティ分野の専門家は、企業内の担当部署や民間事業、サポートセンターなど多様な現場で、助言や実務的対策を担っている。ただし、専門家として活動するには、単に知識を有するだけでは不十分であり、その知識がどの分野において適切かつ包括的であるかを客観的に把握し、さらに対外的に保証する必要がある。こうした背景から、自身の専門性と能力を客観的に証明する制度として「資格」が重要な役割を果たしている。
③ サイバーセキュリティ資格には、国家資格・公的資格・民間資格という区分が存在する。国家資格は国の法律に基づき実施され、最も高い社会的信頼性を持つ。その認定を担うのが独立行政法人情報処理推進機構(IPA)であり、情報処理安全確保支援士試験や情報セキュリティマネジメント試験、ITパスポート試験などを実施している。公的資格は民間団体等が実施し、省庁が認定するもので、一定の社会的信頼性を持つ。一方、民間資格は企業や団体が独自基準で認定するが、国際的に高く評価されるものも多い。これら多様な資格の存在は、サイバーセキュリティ分野の広範性と高度な専門性を示している。
キーワード ① サイバー犯罪の定義 ② サイバーセキュリティ ③ 犯罪情勢 ④ 情報処理推進機構(IPA) ⑤ 情報処理安全確保支援士試験
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施する。
復習・予習課題 今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、今回の授業内容ついて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
シラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。

2 サイバー犯罪の種類と手法:不正アクセス禁止法 科目の中での位置付け 本授業では、サイバー犯罪の基礎から応用までを体系的に学ぶ。第1回ではサイバー犯罪の定義と概要、第2回から第4回では主要なサイバー犯罪の種類と手法、関連する法制度を学ぶ。第5回では犯罪心理学・犯罪社会学の基本理論を概説し、第6回および第7回では加害者・被害者の特徴を心理学的観点から検討する。第8回では前半の内容を振り返り、第9回ではインターネット上の著作権侵害を扱う。第10回では自覚のないまま関与し得る犯罪、第11回では個人情報と情報漏洩について学ぶ。第12回ではサイバー犯罪の捜査体制と捜査方法、第13回では政府・警察・個人による予防と対策を扱う。第14回では、生成AIなどの技術発展に伴う最新のサイバー犯罪の動向について考察する。
第2回では、不正アクセス禁止法に係るサイバー犯罪について扱う。

授業内で適宜紹介
コマ主題細目 ① 不正アクセス禁止法の背景と意義 ② 不正アクセス行為の範囲と罰則 ③ 代表的な攻撃手法とその脅威
細目レベル ① インターネットの普及に伴い、IDやパスワードの窃取、脆弱性の悪用などによる不正侵入が社会問題化した。これに対応するため、1999年に「不正アクセス禁止法」が制定され、2000年に施行された。この法律は、不正アクセスそのものの禁止と罰則、再発防止の援助措置を通じて、サイバー空間の秩序維持と健全な発展を目的としている。ここで重要なのは、サイバー空間にも物理空間と同様に守られるべき「秩序」が存在するという認識である。法律は被害の有無ではなく、不正アクセス行為そのものを処罰対象とすることで、社会全体の信頼性と安定性を確保しようとするものである。
② 不正アクセス禁止法は、単に無断でログインする行為だけでなく、それを準備・助長する関連行為も処罰対象としている。具体的には、①不正ログイン、②識別符号の不正取得、③第三者への提供(助長)、④不正保管、⑤入力要求(フィッシングなど)の五つが列挙される。これらはいずれもアクセス制御を突破する不正な手段に関わる行為として違法性が認められる。また、この法律の特徴は「被害発生の有無にかかわらず処罰される」点にあり、アクセスそのものが秩序侵害とみなされる。違反者には3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科され、民事上の損害賠償請求の対象となる可能性もある。
③ 不正アクセスは法律上の問題であると同時に、具体的な技術的手口によって実行される。代表例として、①すべての文字列を試すブルートフォースアタック、②辞書ファイルを用いる辞書攻撃、③漏洩したIDとパスワードの使い回しを突くリスト攻撃が挙げられる。さらに、SQLインジェクションやOSコマンドインジェクションは、ウェブアプリケーションやサーバーの脆弱性を悪用し、データ盗取やシステム乗っ取りにつながる。バッファオーバーフロー攻撃では、メモリ領域に異常データを送り込み制御を奪うことも可能である。これらの攻撃は、個人の被害にとどまらず、社会全体の信頼を揺るがす深刻な脅威であるため、技術的対策と利用者側の意識向上が不可欠である。
キーワード ① 不正アクセス禁止法 ② ブルートフォースアタック ③ ソーシャルエンジニアリング ④ フィッシング ⑤ 不正送金
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施する。
復習・予習課題 今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、今回の授業内容ついて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
シラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。

3 サイバー犯罪の種類と手法:コンピュータ・電磁的記録対象犯罪 科目の中での位置付け 本授業では、サイバー犯罪の基礎から応用までを体系的に学ぶ。第1回ではサイバー犯罪の定義と概要、第2回から第4回では主要なサイバー犯罪の種類と手法、関連する法制度を学ぶ。第5回では犯罪心理学・犯罪社会学の基本理論を概説し、第6回および第7回では加害者・被害者の特徴を心理学的観点から検討する。第8回では前半の内容を振り返り、第9回ではインターネット上の著作権侵害を扱う。第10回では自覚のないまま関与し得る犯罪、第11回では個人情報と情報漏洩について学ぶ。第12回ではサイバー犯罪の捜査体制と捜査方法、第13回では政府・警察・個人による予防と対策を扱う。第14回では、生成AIなどの技術発展に伴う最新のサイバー犯罪の動向について考察する。
第3回では、コンピュータ・電磁的記録対象犯罪に係るサイバー犯罪について扱う。

授業内で適宜紹介
コマ主題細目 ① コンピュータ・電磁的記録対象犯罪 ② 不正指令電磁的記録に関する罪と法的整備 ③ マルウェアの種類と被害の実態
細目レベル ① 本授業では、サイバー犯罪の中でもコンピュータ・電磁的記録を対象とする犯罪を中心に学ぶ。主な類型には、「不正指令電磁的記録に関する罪」、「電子計算機使用詐欺罪」、「電子計算機損壊等業務妨害罪」などがあげられる。これらの犯罪は、現代社会で日常的に使われるコンピュータやスマートフォンが、犯罪の対象や手段として容易に利用されうることを示している。授業では、こうした犯罪の法的根拠と技術的背景を理解し、サイバー空間における法の意義を考察する。
② 「不正指令電磁的記録に関する罪」は、国際的なサイバー犯罪対策の流れの中で新設された法律であり、サイバー犯罪条約(ブダペスト条約)を背景としている。この罪は、マルウェア(不正なプログラム)の作成・提供・取得・保管などの行為を処罰対象とし、実際の被害が生じなくても成立する。法律上の「不正指令電磁的記録」とは、利用者の意図に反する動作をさせる不正な命令を含む電子データを指す。判断の基準となるのは「反意図性」と「不正性」であり、社会的に許容されない行為であるかどうかが問われる。研究目的など正当な理由を持つ場合は処罰の対象外であり、立法時には技術開発の萎縮を防ぐための慎重な議論が重ねられた。
③ マルウェア(malicious software)とは、不正かつ有害な動作を目的として作成された悪意あるソフトウェアの総称である。主な種類には、他のプログラムに寄生して増殖する「コンピュータウイルス」、自己増殖する「ワーム」、正規のソフトを装う「トロイの木馬」、データを人質に金銭を要求する「ランサムウェア」、情報を盗む「スパイウェア」などがある。感染経路は、電子メールの添付ファイルや改ざんされたウェブサイト、USBメモリなど多様である。特に近年では、複数の性質を組み合わせた複合型マルウェアが増加し、生成AIの技術を悪用した新たな攻撃も懸念されている。マルウェア対策は個人・組織の情報セキュリティ意識の向上と技術的防御策の両面から求められる。
キーワード ① 不正指令電磁的記録に関する罪 ② マルウェア ③ コンピュータウイルス ④ ワーム ⑤ トロイの木馬
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施する。
復習・予習課題 今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、今回の授業内容ついて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
シラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。

4 サイバー犯罪の種類と手法:そのほかのインターネット犯罪 科目の中での位置付け 本授業では、サイバー犯罪の基礎から応用までを体系的に学ぶ。第1回ではサイバー犯罪の定義と概要、第2回から第4回では主要なサイバー犯罪の種類と手法、関連する法制度を学ぶ。第5回では犯罪心理学・犯罪社会学の基本理論を概説し、第6回および第7回では加害者・被害者の特徴を心理学的観点から検討する。第8回では前半の内容を振り返り、第9回ではインターネット上の著作権侵害を扱う。第10回では自覚のないまま関与し得る犯罪、第11回では個人情報と情報漏洩について学ぶ。第12回ではサイバー犯罪の捜査体制と捜査方法、第13回では政府・警察・個人による予防と対策を扱う。第14回では、生成AIなどの技術発展に伴う最新のサイバー犯罪の動向について考察する。
第4回では、そのほかのインターネット犯罪と称される、ネットワーク利用犯罪に係るサイバー犯罪について扱う。

授業内で適宜紹介
コマ主題細目 ① ネットワーク利用犯罪 ② 電子商取引(eコマース) ③ 犯罪の背景
細目レベル ① サイバー犯罪の一類型である「ネットワーク利用犯罪」は、詐欺や脅迫といった既存の犯罪が、その実行に不可欠な手段としてインターネットなどを利用するものを指す。これは、不正アクセスのように行為そのものがサイバー空間で完結する犯罪とは区別される。警察の統計では、詐欺が最も多く、次いでマネーロンダリングを防ぐための犯罪収益移転防止法違反、児童ポルノ、ストーカー、名誉毀損などが続く。これらの犯罪は、匿名性の高いSNSや掲示板、そして特にインターネットを介した商取引の場である「電子商取引(eコマース)」の領域で多発しており、現代社会における深刻な脅威となっている。
② 年々市場規模が拡大する電子商取引(eコマース)は、私たちの生活を便利にする一方、犯罪者にとっては匿名性を保ったまま利益を得やすい「ローリスク・ハイリターン」な犯罪の温床となっている。具体的には、架空請求やワンクリック詐欺、商品をだまし取るオークション詐欺、企業を狙うビジネスメール詐欺など、多様な詐欺が横行している。また、消費者を欺くステルスマーケティングのような不当表示、違法な迷惑メール、著作権侵害なども深刻な問題である。市場の拡大とともにITに不慣れな利用者も増える中、取引者を保護し、違法行為をいかに抑止するかが大きな課題となる。
③ サイバー犯罪と従来の犯罪を比較すると、サイバー犯罪は、ターゲットがデジタル資産であることや、加害者が被害者を直接目にしないため「違反の自覚」が生まれにくいといった特徴がある。しかし、反社会的行為という点では従来の犯罪と共通しており、既存の犯罪心理学の理論で分析することが可能である。どのように従来の犯罪と異なるのかを考察する前に、まず、従来の犯罪が起こるメカニズムについて、積み重なってきた知見を概観する。
キーワード ① ネットワーク利用犯罪 ② 電子商取引 ③ サプライチェーン攻撃 ④ 不正競争防止法 ⑤ 特定電子メール法
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施する。
復習・予習課題 今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、今回の授業内容ついて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
シラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。

5 犯罪心理学の基本理論 科目の中での位置付け 本授業では、サイバー犯罪の基礎から応用までを体系的に学ぶ。第1回ではサイバー犯罪の定義と概要、第2回から第4回では主要なサイバー犯罪の種類と手法、関連する法制度を学ぶ。第5回では犯罪心理学・犯罪社会学の基本理論を概説し、第6回および第7回では加害者・被害者の特徴を心理学的観点から検討する。第8回では前半の内容を振り返り、第9回ではインターネット上の著作権侵害を扱う。第10回では自覚のないまま関与し得る犯罪、第11回では個人情報と情報漏洩について学ぶ。第12回ではサイバー犯罪の捜査体制と捜査方法、第13回では政府・警察・個人による予防と対策を扱う。第14回では、生成AIなどの技術発展に伴う最新のサイバー犯罪の動向について考察する。
第5回では、従来の犯罪とサイバー犯罪の共通点と異なる点を考察するために、犯罪心理学の基本理論について概説する。

授業内で適宜紹介
コマ主題細目 ① 生来の気質と犯罪 ② アノミー論~緊張理論 ③ 分化的接触理論~ドリフト理論
細目レベル ① 犯罪の原因をめぐる議論は、当初、生まれつきの特性に焦点が当てられていた。ロンブローゾは「生来性犯罪者説」を唱え、犯罪者には特有の身体的特徴があると主張した。クレッチマーも体型と気質、犯罪傾向との関連を論じ、「細長型=知的犯罪」「肥満型=感情的犯罪」「筋骨型=暴力犯罪」という類型を提示した。しかし、これらの考えは科学的根拠に乏しく、現代では否定されている。近代以降は、モフィットの「犯罪発達類型」のように、生涯持続型と青年期限局型という発達的視点から犯罪行動を説明する理論が登場した。犯罪原因を生物学的に捉える立場から、発達や環境との相互作用に注目する立場への転換が生じたのである。
② 犯罪を社会環境の中で捉えようとしたのが、デュルケムによる社会学的視点である。彼は犯罪を「社会にとって正常な現象」とみなし、社会の道徳的境界を明確にする機能を持つと論じた。さらに、社会の規範が崩壊した無秩序状態を「アノミー」と呼び、自殺の原因を社会統合や社会規制の強弱と関連付けて分析した。この発想を発展させたマートンは、社会の文化的目標(成功)と、それを達成するための制度的手段(正当な努力)との間にギャップが生じるとき、人々は緊張(strain)を経験し、その結果として逸脱行動や犯罪に至ると説明した。マートンの緊張理論は、個人ではなく社会構造に犯罪の要因を見出す理論として、犯罪社会学に大きな影響を与えた。
③ マートンの理論を踏まえ、社会における人間関係に焦点を当てたのが、サザーランドの「分化的接触理論」である。彼は、犯罪は生得的な性質ではなく、他者との相互作用を通じて学習されると主張した。特に、逸脱行動を肯定する他者との接触機会が多いほど、犯罪行動は学習されやすいと考えられる。その後、マツザとシケルによる「ドリフト理論」では、青年は常に犯罪的でも常に遵法的でもなく、状況に応じて「漂う(ドリフトする)」存在として捉えられた。彼らは、少年が一時的に規範を中和し罪悪感を軽減する「中和の技術」を用いて逸脱行動に関与すると説明した。これらの理論は、個人を固定的な犯罪者像としてではなく、社会関係と学習過程に基づく動的存在として理解する視点を提示した。
キーワード ① 生来性犯罪者説 ② 犯罪正常説 ③ アノミー論 ④ 分化的接触理論 ⑤ 非行のサブカルチャー理論
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施する。
復習・予習課題 今回の復習
シラバスおよび授業ノート、配布資料を参照しながら、今回の授業内容ついて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
シラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。

6 サイバー犯罪者の心理的特徴 科目の中での位置付け 本授業では、サイバー犯罪の基礎から応用までを体系的に学ぶ。第1回ではサイバー犯罪の定義と概要、第2回から第4回では主要なサイバー犯罪の種類と手法、関連する法制度を学ぶ。第5回では犯罪心理学・犯罪社会学の基本理論を概説し、第6回および第7回では加害者・被害者の特徴を心理学的観点から検討する。第8回では前半の内容を振り返り、第9回ではインターネット上の著作権侵害を扱う。第10回では自覚のないまま関与し得る犯罪、第11回では個人情報と情報漏洩について学ぶ。第12回ではサイバー犯罪の捜査体制と捜査方法、第13回では政府・警察・個人による予防と対策を扱う。第14回では、生成AIなどの技術発展に伴う最新のサイバー犯罪の動向について考察する。
第6回では、サイバー犯罪者の心理的特徴の考察にあたってキーとなる理論を見ていく。

授業内で適宜紹介
コマ主題細目 ① 社会的絆 ② 個人特性と学習 ③ 認知・パーソナリティと犯罪
細目レベル ① 犯罪行動に影響を及ぼす要因には、個人的要因と環境要因がある。犯罪学では、これらが犯罪に促進的に働く「危険因子」と、抑制的に働く「保護因子」に分けられる。今回は環境要因の保護因子として、ハーシ(Hirschi, 1969)の社会的絆理論が取り上げられる。この理論では、人が犯罪を行わないのは社会との「絆」があるからだとする。絆には、①家族や友人との情緒的な愛着、②地位や将来への投資、③日々の活動への投入、④社会規範を尊重する信念の4要素がある。これらが強いほど犯罪は抑制され、弱いほどリスクが高まる。「無敵の人」という言葉が象徴するように、社会的繋がりや失うものを欠いた状態は、犯罪への心理的抵抗を失わせる。
② 同じ環境にあっても犯罪に至る人と至らない人がいる。この違いを説明する一つの視点が「ストレス脆弱性モデル」である。生得的な脆弱性(衝動性や共感性の低さなど)に、環境的ストレスが加わると、犯罪傾向が発現しやすくなる。また、人の行動は結果によって変化する。スキナーの「オペラント条件づけ」では、行動が報酬で強化され、罰で弱化されるとされるが、罰の効果は一時的である。成功体験による「強化」が確実で、罰が不確実な場合、犯罪が常習化しやすい。さらに、バンデューラの社会的学習理論によれば、人は他者の行動とその結果を観察し、「代理強化」や「代理罰」を通して学ぶ。こうした学習過程が、個人の行動選択に深く関与している。
③ 犯罪をする人としない人の違いを理解するには、外的刺激と行動の間にある「認知」や「パーソナリティ」に注目する必要がある。特に「反社会的認知」や「反社会的パーソナリティ」は犯罪と強く関係する。Andrews & Bonta(2010)のメタ分析は、再犯予測に関わる8つの危険因子(セントラルエイト)を示し、そのうち「犯罪歴」「反社会的交友」「反社会的認知」「反社会的パーソナリティ」の4つを「ビッグフォー」とした。これらが最も強い効果量を持ち、再犯予測の中心概念である。また、これらに次ぐ「モデレートフォー」には家庭、教育・職業、物質使用、余暇の問題が含まれる。これに加えて、認知・パーソナリティに関するサイバー犯罪者の特徴の知見として、Kranenbarg et al. (2023) の研究などを確認する。
キーワード ① 社会的絆理論 ② 学習理論 ③ 反社会的認知 ④ 反社会的パーソナリティ ⑤ セントラルエイト
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施する。
復習・予習課題 今回の復習
シラバスおよび授業ノート、配布資料を参照しながら、今回の授業内容ついて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
シラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。

7 被害者側の心理 科目の中での位置付け 本授業では、サイバー犯罪の基礎から応用までを体系的に学ぶ。第1回ではサイバー犯罪の定義と概要、第2回から第4回では主要なサイバー犯罪の種類と手法、関連する法制度を学ぶ。第5回では犯罪心理学・犯罪社会学の基本理論を概説し、第6回および第7回では加害者・被害者の特徴を心理学的観点から検討する。第8回では前半の内容を振り返り、第9回ではインターネット上の著作権侵害を扱う。第10回では自覚のないまま関与し得る犯罪、第11回では個人情報と情報漏洩について学ぶ。第12回ではサイバー犯罪の捜査体制と捜査方法、第13回では政府・警察・個人による予防と対策を扱う。第14回では、生成AIなどの技術発展に伴う最新のサイバー犯罪の動向について考察する。
第7回では、従来の犯罪およびサイバー犯罪における被害者の特徴や心理を考察する。

授業内で適宜紹介
コマ主題細目 ① 日常活動理論 ② サイバー犯罪の被害者 ③ 被害の潜在化
細目レベル ① サイバー犯罪は比較的新しい研究分野であり、今後の研究の進展によって知見が変化しうる点に留意する必要がある。特に被害者研究においては、従来の犯罪と異なり、被害額が僅少であったり、被害者自身が被害に気付かない場合があるため、届け出がなされず「暗数」が非常に多いという特徴がある。そのため、現在把握されている被害者の特徴は、実態の一部にとどまっている可能性がある。サイバー犯罪には、詐欺のように従来の手口がオンライン化したものと、不正アクセスのように技術的に大きく異なるものが存在する。こうした被害を理解する枠組みの一つとして、CohenとFelsonが提唱した「日常活動理論」があり、これは犯罪が社会構造よりも「機会」によって生起すると捉え、「動機づけられた犯罪者」「適切な標的」「有能な保護者の不在」という3条件が揃うことで発生すると説明するものである。
② サイバー犯罪の被害者にはどのような特徴があるのか。海外の研究では、インターネット詐欺は若年で教育歴の高い層において被害に遭いやすく、インターネット利用頻度の高さが被害リスクと相関することが示されている。また、被害が安心感や幸福感に及ぼす影響は、高齢者や一人暮らしの者、女性においてより大きいと報告されている。一方で、犯罪に対する「恐れ」、すなわちリスク認知については、金融型サイバー犯罪への恐れは年齢や経済的不安と関連するものの、日常活動理論で示される「標的」や「保護者」といった要因の影響は限定的であるとする研究も存在する。日本においては、高齢者が特殊詐欺の被害に遭いやすく、その背景として楽観性バイアス、知識不足、社会的孤立などが指摘されている。
③ サイバー犯罪の被害には、従来の犯罪とは異なる重要な特質がある。それは「被害の自覚の難しさ」である。ウイルス感染や情報窃取のように、被害者が被害を認識できないケースが多く、被害が表面化しない「潜在化」が重大な課題となっている。また、被害は金銭的損失にとどまらず、深刻な心理的影響ももたらす。英国のデータを用いた研究では、詐欺やコンピュータ不正使用の被害が抑うつや不安と関連し、特にパンデミック以降、その影響が増加していることが示されている。さらに、オンライン上のいじめや中傷も、SNSの利用と関連して重要な問題となっている。このように、従来の犯罪被害と共通する側面を持ちながらも、被害の自覚が困難であるという特有の特徴を理解することが、被害予防の第一歩となる。
キーワード ① 日常活動理論 ② ふさわしいターゲット ③ 有能な保護者の欠如 ④ リスク認知 ⑤ 被害の潜在化
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施する。
復習・予習課題 今回の復習
シラバスおよび授業ノート、配布資料を参照しながら、今回の授業内容ついて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
シラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。

8 中間・振り返り 科目の中での位置付け 本授業では、サイバー犯罪の基礎から応用までを体系的に学ぶ。第1回ではサイバー犯罪の定義と概要、第2回から第4回では主要なサイバー犯罪の種類と手法、関連する法制度を学ぶ。第5回では犯罪心理学・犯罪社会学の基本理論を概説し、第6回および第7回では加害者・被害者の特徴を心理学的観点から検討する。第8回では前半の内容を振り返り、第9回ではインターネット上の著作権侵害を扱う。第10回では自覚のないまま関与し得る犯罪、第11回では個人情報と情報漏洩について学ぶ。第12回ではサイバー犯罪の捜査体制と捜査方法、第13回では政府・警察・個人による予防と対策を扱う。第14回では、生成AIなどの技術発展に伴う最新のサイバー犯罪の動向について考察する。
第8回では、前半の振り返りと中間試験を実施する。

授業内で適宜紹介
コマ主題細目 ① サイバー犯罪の特徴と法的・技術的基盤 ② 犯罪発生のメカニズムとサイバー犯罪者の心理 ③ サイバー犯罪の被害リスクと被害者心理
細目レベル ① サイバー犯罪の定義と特徴を理解し、不正アクセス、マルウェア、ネットワーク利用犯罪などの主要な犯罪類型について学ぶ。不正アクセス禁止法や不正指令電磁的記録に関する罪などの法制度と、ブルートフォース攻撃、フィッシング、コンピュータウイルス等の具体的な手法を関連づけながら、サイバー空間においてどのような行為が犯罪となり、社会や個人にどのような脅威をもたらすのかを理解する。
② 犯罪がなぜ生じるのかについて、犯罪心理学・犯罪社会学の主要な理論から検討する。生来性犯罪者説からアノミー論、緊張理論、分化的接触理論、社会的絆理論、社会的学習理論などへの理論的展開をたどり、犯罪行動を個人の特性だけでなく、社会環境、人間関係、学習過程との相互作用から捉える。さらに、反社会的認知やパーソナリティ等の知見を踏まえ、サイバー犯罪者の心理的特徴について考察する。
③ サイバー犯罪を加害者だけでなく被害者の側から捉え、どのような状況で被害が生じやすいのかを検討する。日常活動理論を手がかりとして、犯罪者、標的、保護者という犯罪機会の構成要因を理解するとともに、年齢、インターネット利用、社会的孤立、リスク認知などと被害との関連を学ぶ。また、被害に気付きにくく届け出にもつながらない「被害の潜在化」や、金銭的被害に加えて生じる心理的影響について理解する。
キーワード ① サイバー犯罪 ② 不正アクセス禁止法 ③ マルウェア ④ 社会的学習・社会的関係に基づく犯罪理論 ⑤ 日常活動理論
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施する。
復習・予習課題 今回の復習
シラバスおよび授業ノート、配布資料を参照しながら、今回の授業内容ついて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
シラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。

9 インターネットと著作権 科目の中での位置付け 本授業では、サイバー犯罪の基礎から応用までを体系的に学ぶ。第1回ではサイバー犯罪の定義と概要、第2回から第4回では主要なサイバー犯罪の種類と手法、関連する法制度を学ぶ。第5回では犯罪心理学・犯罪社会学の基本理論を概説し、第6回および第7回では加害者・被害者の特徴を心理学的観点から検討する。第8回では前半の内容を振り返り、第9回ではインターネット上の著作権侵害を扱う。第10回では自覚のないまま関与し得る犯罪、第11回では個人情報と情報漏洩について学ぶ。第12回ではサイバー犯罪の捜査体制と捜査方法、第13回では政府・警察・個人による予防と対策を扱う。第14回では、生成AIなどの技術発展に伴う最新のサイバー犯罪の動向について考察する。
第9回では、最も多いサイバー犯罪のひとつされる、著作権侵害について扱う。

授業内で適宜紹介
コマ主題細目 ① 著作権の基本構造 ② 著作権侵害と法的・社会的対応 ③ 著作権侵害の心理学的視点
細目レベル ① 現代のインターネット社会では、著作権侵害が最も多く発生するサイバー犯罪の一つとされ、「漫画村の著作権侵害」事件に代表されるように社会問題化している。著作権法は、「思想または感情を創作的に表現したもの」を著作物と定義し、小説・音楽・写真・プログラムなどが対象となる。著作権は手続きを要さず自動的に発生し、複製権・公衆送信権など複数の権利の束から成る。さらに、著作者人格権や二次的著作物に発生する著作隣接権を含めた「広義の著作権」も存在する。著作権法は国際条約にも基づき、国境を越えた保護体制を持つが、海外サーバーを介した侵害には対応の難しさもある。
② 著作権侵害は、刑事的にも民事的にも処罰・賠償の対象となる犯罪行為である。従来は著作権侵害が「親告罪」とされ、権利者の告訴がなければ起訴できなかったが、悪質な海賊版行為などは法改正により「非親告罪」となった。刑罰は10年以下の懲役または1000万円以下の罰金と重く、民事的には損害賠償や差止請求が可能である。また、著作権者の権利保護とともに社会的利用の自由も尊重され、一定条件下での「私的使用のための複製」や「引用」などが許されている。さらに、違法ダウンロードやリーチサイト運営への対策強化など、法改正による統制と、ABJなどの啓発活動による「インフォーマルな統制」が並行して進められている。
③ 著作権者が経済的損失が軽微な場合でも訴訟を起こすについて、法経済学的合理性ではなく心理学的観点から説明しようとした研究などを紹介する。当該研究では、著作権者が侵害行為を単なる金銭的被害ではなく、「自己表現の一部が汚された」「裏切られた」という道徳的・感情的な侮辱として受け止めている可能性が指摘されている。その説明に用いられるのが「道徳基盤理論(Moral Foundations Theory)」であり、人間の道徳判断が「ケア/害」「公平性/不正」「帰属/裏切り」「権威/服従」「純粋性/汚染」といった普遍的基盤に基づくことに着目している。この観点から、著作権侵害は経済問題にとどまらず、道徳的・心理的反応を引き起こす行為として論じている。
キーワード ① 著作権 ② 著作権法 ③ 親告罪 ④ 二次的著作物 ⑤ 違法ダウンロード罪
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施する。
復習・予習課題 今回の復習
シラバスおよび授業ノート、配布資料を参照しながら、今回の授業内容ついて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
シラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。

10 “自覚のない”犯罪 科目の中での位置付け 本授業では、サイバー犯罪の基礎から応用までを体系的に学ぶ。第1回ではサイバー犯罪の定義と概要、第2回から第4回では主要なサイバー犯罪の種類と手法、関連する法制度を学ぶ。第5回では犯罪心理学・犯罪社会学の基本理論を概説し、第6回および第7回では加害者・被害者の特徴を心理学的観点から検討する。第8回では前半の内容を振り返り、第9回ではインターネット上の著作権侵害を扱う。第10回では自覚のないまま関与し得る犯罪、第11回では個人情報と情報漏洩について学ぶ。第12回ではサイバー犯罪の捜査体制と捜査方法、第13回では政府・警察・個人による予防と対策を扱う。第14回では、生成AIなどの技術発展に伴う最新のサイバー犯罪の動向について考察する。
第10回では、自覚がないままに犯罪をおかす側になってしまいかねない身近なサイバー犯罪について扱う。

授業内で適宜紹介
コマ主題細目 ① 自覚のない犯罪 ② 違法コンテンツ、リベンジポルノ、ネットストーカー、誹謗中傷 ③ 闇バイト、デマの拡散
細目レベル ① 犯罪は明確な悪意に基づく行為だけでなく、「知らなかった」「自分は正当だと思った」といった無自覚な状態で行われる場合も多い。例えば、加害行為であることを認識していない、攻撃性に無自覚である、法改正への理解が追いついていない、感情の高ぶりから行為が過剰になる、あるいは集団に同調して倫理観が希薄化するといった状況が挙げられる。また、闇バイトやマルウェア拡散のように、意図せず関与する「巻き込まれ型」の加害も存在する。これらに共通するのは、「皆もやっている」「大したことではない」といった合理化が内面で積み重なる点である。したがって、加害者とならないためには、何が犯罪に該当するのかを正確に理解し、自身の主観ではなく法的基準に基づいて判断する姿勢を持つことが重要である。
② わいせつ物頒布や児童ポルノ、児童買春・青少年保護育成条例違反などに関する規制は年々強化されており、個人的な楽しみを目的とした所持であっても処罰の対象となる。さらに、リベンジポルノは復讐目的に限らず、被害者の性的人格権の侵害として重く扱われる。ネットストーカーについては、好意や怨恨といった感情が歪むことで加害の自覚を持ちにくい点が特徴であり、重大事件を契機としてSNS上の行為も規制対象に含まれるようになった。また、誹謗中傷は名誉毀損、侮辱、偽計業務妨害など複数の犯罪に該当し、社会的批判の高まりとともに規制が強化されている。いずれも、自覚の乏しさや軽率な行動が深刻な加害へとつながる点に注意が必要である。
③ 本人の意図とは裏腹に、結果として犯罪の一端を担ってしまう行為を扱う。闇バイトは、高額報酬や匿名性を強調して応募者を強盗や詐欺の実行犯へと組み込むものであり、応募時に提供した個人情報を握られることで離脱が困難となる。背景には、社会的孤立、価値観の未成熟、買い物依存など多様な要因が指摘されている。また、災害時に生じるデマの拡散は、偽計業務妨害に該当し得る。熊本地震や能登半島地震では虚偽情報が救助活動を妨げ、重大な影響を及ぼした。こうしたデマ拡散の背景には、不確実性への耐性の低さや、不安から「役に立ちたい」という焦りが先行する心理がある。さらに、違法アップロード・ダウンロードや無断での写真・動画投稿によるプライバシー侵害など、身近な行為も犯罪となり得る。意図の有無にかかわらず、結果として他者に損害を与えれば責任が問われるため、法的基準に基づく行動と情報リテラシーが不可欠である。
キーワード ① 違法コンテンツ ② リベンジポルノ ③ ネットストーカー ④ 誹謗中傷 ⑤ 曖昧さ耐性
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施する。
復習・予習課題 今回の復習
シラバスおよび授業ノート、配布資料を参照しながら、今回の授業内容ついて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
シラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。

11 サイバー犯罪と社会 科目の中での位置付け 本授業では、サイバー犯罪の基礎から応用までを体系的に学ぶ。第1回ではサイバー犯罪の定義と概要、第2回から第4回では主要なサイバー犯罪の種類と手法、関連する法制度を学ぶ。第5回では犯罪心理学・犯罪社会学の基本理論を概説し、第6回および第7回では加害者・被害者の特徴を心理学的観点から検討する。第8回では前半の内容を振り返り、第9回ではインターネット上の著作権侵害を扱う。第10回では自覚のないまま関与し得る犯罪、第11回では個人情報と情報漏洩について学ぶ。第12回ではサイバー犯罪の捜査体制と捜査方法、第13回では政府・警察・個人による予防と対策を扱う。第14回では、生成AIなどの技術発展に伴う最新のサイバー犯罪の動向について考察する。
第11回では、サイバー犯罪が蔓延する現代における、個人情報の扱い方について考える。

授業内で適宜紹介
コマ主題細目 ① 個人情報の価値 ② 個人情報保護法 ③ 楽観性バイアス
細目レベル ① 現代では、個人情報がもつ価値がかつてないほど高まり、それが情報漏洩リスクの増大と直結している。資産がサイバー空間に移行したことで、個人情報があれば本人不在でも金銭取引が可能となり、遠隔地からの接触も容易になった。また、「情報には金銭的価値がある」という認識が広まったことも、情報の売買や窃取を助長している。こうした状況下では、漏洩した際の被害は多様化し、金銭被害、なりすまし、アカウント乗っ取り、ストーカー、ハラスメント、名誉毀損などに及ぶ。
さらに、ベネッセ個人情報流出事件 のように3500万件規模の流出が内部犯行で生じた例や、Equifaxの漏洩事件のように1億4000万人以上のSSNが漏洩した国際的事案もあり、企業・国家レベルの管理不備が深刻な影響を生むことが示された。また2025年には、数十億件規模のパスワードリストが流通していることが報告され、情報漏洩のスケールは増大し続けている。

② 情報漏洩は、経済的損害だけでなく深刻な心理的影響を伴う。Inkster et al.(2023)やICO(2024)の報告では、被害者が「裏切られた感覚」「無力感」「長期的ストレス」を経験することが示されている。身分盗用による実害と対応の負担が大きいほど、心理的苦痛は強まることも研究から明らかである。
一方、法的観点では、日本の刑法には「情報窃盗罪」が存在せず、窃盗罪が対象とする「財物」に情報は含まれない。このため、情報漏洩への対応は個別法へ委ねられてきた。不正競争防止法の「営業秘密」要件は秘密管理性・有用性・非公知性の3点であり、要件を満たさない個人情報は保護が難しい場合がある。こうした課題に対応するため、個人情報保護法が整備され、2015年の改正で「個人情報データベース等提供罪」が創設され、意図的な情報提供や盗用が直接処罰対象となった。クレジットカード番号は割賦販売法で別途保護され、マイナンバー法や特定秘密保護法など、情報ごとに複層的な制度が形成されている。

③ 法制度が整備されても、情報漏洩の多くは日常的な行動や心理的要因から生じる。典型例がパスワード使い回しであり、攻撃者はパスワードリスト攻撃を用いる。対策は広く知られているにもかかわらず実行されにくい背景として、人間に備わる「楽観性バイアス」や「非現実的楽観主義」が挙げられる。Sharot(2011)が示すように「自分だけは大丈夫」という認識はリスクを軽視させる。また、複雑なパスワードを記憶する負担が高いことから、認知的負荷を避けようとする心理も関与している。
さらに、SNSの不用意な投稿による自己開示やデジタルタトゥー化も深刻な問題である。ある先行研究では、看護学生がSNS投稿の危険性への意識が低く、友人への依存や承認欲求、曖昧な投稿基準、普段のSNS習慣が実習中の情報漏洩につながり得ることが示された。ストレスや孤独感がSNS依存を強める点も特徴的である。

キーワード ① ベネッセ個人情報流出事件 ② 不正競争防止法 ③ 個人情報保護法 ④ 個人情報データベース等提供罪 ⑤ 楽観性バイアス
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施する。
復習・予習課題 今回の復習
シラバスおよび授業ノート、配布資料を参照しながら、今回の授業内容ついて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
シラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。

12 サイバー犯罪の捜査方法 科目の中での位置付け 本授業では、サイバー犯罪の基礎から応用までを体系的に学ぶ。第1回ではサイバー犯罪の定義と概要、第2回から第4回では主要なサイバー犯罪の種類と手法、関連する法制度を学ぶ。第5回では犯罪心理学・犯罪社会学の基本理論を概説し、第6回および第7回では加害者・被害者の特徴を心理学的観点から検討する。第8回では前半の内容を振り返り、第9回ではインターネット上の著作権侵害を扱う。第10回では自覚のないまま関与し得る犯罪、第11回では個人情報と情報漏洩について学ぶ。第12回ではサイバー犯罪の捜査体制と捜査方法、第13回では政府・警察・個人による予防と対策を扱う。第14回では、生成AIなどの技術発展に伴う最新のサイバー犯罪の動向について考察する。
第12回では、警察がサイバー犯罪をどのように扱うのか、対応組織や捜査法について見ていく。

授業内で適宜紹介
コマ主題細目 ① デジタルフォレンジック ② 証拠収集 ③ 捜査技術
細目レベル ① サイバー犯罪への対応は、警察と検察がそれぞれの専門性を発揮しながら進める二層構造で実施されている。警察庁では2022年にサイバー警察局が新設され、急増する高度・国際化したサイバー犯罪に対応する司令塔として機能している。同局は情報集約・分析、都道府県警察への指導、高度解析の実施などを担い、内部には企画・捜査・解析を担当する専門課が配置されている。また、関東管区警察局には全国を対象とした実動部隊であるサイバー特別捜査部が設置され、重大事件の直接捜査や国際共同捜査を行う。一方、検察庁には最高検内に先端犯罪検察ユニット(JPEC)が置かれ、技術的に複雑な事件への助言、公判支援、情報提供、研修といった役割を担う。警察による捜査と検察による訴追が有機的に連携することにより、複雑化するサイバー犯罪への対処体制が整備されている。
② サイバー犯罪の匿名性・国境性に対応するため導入されたのが「全国協働捜査方式」である。インターネット・ホットラインセンター(IHC)に寄せられた違法情報について発信元が不明な場合、警察庁が初期捜査を担い、発信元が推知できた段階で該当都道府県警へ捜査を引き継ぐ仕組みである。これにより、従来問題となっていた管轄の競合や初動遅延が解消され、効率的な捜査が可能となった。実際の捜査では、被害申告を基点に通信履歴を収集し、IPアドレス取得、接続プロバイダ特定、ログ照会を通じて契約者情報へと到達する。しかし「契約者=犯人」ではないため、デバイスの特定と実使用者の裏付けが不可欠である。近年はWi-Fiただ乗りや遠隔操作など、誤認リスクを高める要因も多く、デジタル証拠の扱いには高い慎重さが求められる。
③ サイバー犯罪捜査の核心となるのが、電子鑑識(デジタルフォレンジック)である。捜査機関は押収媒体を原本のまま保全し、コピーを用いて解析するなど改ざん防止の厳格な手続きの下で証拠を抽出する。これは電磁的記録が容易に改変できる特性に由来し、裁判での証拠能力確保には欠かせない。また、2011年の刑事訴訟法改正により、媒体差押えやリモート差押え、記録命令付差押え、通信履歴の保全要請など、サイバー犯罪特有の状況に対応する法制度が整備された。特に保全要請は「消える証拠」を確保するための重要手続であり、保存期間の短さという構造的課題に対処する役割を担う。一方、Torやダークウェブといった高度秘匿化技術は捜査を大きく阻害し、発信者特定の難度を著しく高めている。サイバー犯罪対策は、技術・法律・運用が複雑に交差する領域であり、デジタル証拠の保全・解析と秘匿化技術への対抗が今後も中心的課題となる。
キーワード ① サイバー警察局 ② JPEC ③ 全国協働捜査方式 ④ デジタルフォレンジック ⑤ 高度秘匿化技術
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施する。
復習・予習課題 今回の復習
シラバスおよび授業ノート、配布資料を参照しながら、今回の授業内容ついて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
シラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。

13 サイバー犯罪の予防と対策 科目の中での位置付け 本授業では、サイバー犯罪の基礎から応用までを体系的に学ぶ。第1回ではサイバー犯罪の定義と概要、第2回から第4回では主要なサイバー犯罪の種類と手法、関連する法制度を学ぶ。第5回では犯罪心理学・犯罪社会学の基本理論を概説し、第6回および第7回では加害者・被害者の特徴を心理学的観点から検討する。第8回では前半の内容を振り返り、第9回ではインターネット上の著作権侵害を扱う。第10回では自覚のないまま関与し得る犯罪、第11回では個人情報と情報漏洩について学ぶ。第12回ではサイバー犯罪の捜査体制と捜査方法、第13回では政府・警察・個人による予防と対策を扱う。第14回では、生成AIなどの技術発展に伴う最新のサイバー犯罪の動向について考察する。
第13回では、現代では規模・数共に膨れ上がり続けるサイバー犯罪に対し、国や機関はどのような対策を設けているのかを見ていく。

授業内で適宜紹介
コマ主題細目 ① 政府のサイバーセキュリティ対策 ② 警察のサイバーセキュリティ対策 ③ 個人のサイバーセキュリティ対策
細目レベル ① 政府のサイバーセキュリティ対策は、IT基本法を起点とした情報化政策から高度化し、現在では国家安全保障政策の一部として位置付けられている。2000年代以降、官公庁や重要インフラへの攻撃増加を受け、政府は横断的な調整のため情報セキュリティ政策会議とNISCを設置し、基本計画や戦略を段階的に策定してきた。2014年のサイバーセキュリティ基本法により政策の法的基盤が整備され、2025年には国内外の脅威増大に対応するため、NISCを発展的に改組した国家サイバー統括室(NCO)が創設された。政府戦略は、情報の自由な流通と安全確保の両立を掲げつつ、ランサムウェアや重要インフラへの攻撃など深刻化する脅威に対応するため、AI・量子技術の進展を踏まえた能動的サイバー防御の導入など、多層的かつ先制的な対策へと進化している。
② 警察は、サイバー犯罪の増加と高度化に対応するため、捜査力の強化、関係機関連携、注意喚起の三点を中心に対策を進めている。特に警察の役割として「捜査力の強化」が強調されており、技術的知識を持つ人材育成や専門部署の整備が進められている。また、官民連携や国際協力も重要視され、他機関との情報共有体制の拡充が図られている。さらに、被害を未然に防ぐため、サイバーポリスエージェンシーを通した注意喚起などが行われる。これらの施策により、警察は単なる事後対応だけではなく、社会全体のリスク軽減・予防的対策にも寄与する姿勢を明確にしている。再犯防止の観点では、加害者が技術的・心理的背景を持つ点が重視され、RNR原則の枠組みに沿った対応が効果的とされている。
③ サイバー犯罪を個人単位で予防・対策するにあたり、個人の不注意や無防備な行動が攻撃成功に直結するため、これを防ぐための基本的対策の必要性が重要である。再犯防止や犯罪抑止の観点からも、利用者一人ひとりがリスクを理解し、適切に行動することが重要とされる。具体的には、パスワード管理、ソフトウェア更新、怪しいサイトの回避といった「基礎的な利用者行動」が中心であり、こうした行動が結果として攻撃者の活動機会を減らすことが考えられる。また、教育や啓発が、利用者側の意識向上が安全な情報社会を支える基盤として位置付けられている。
キーワード ① IT基本法 ② サイバーセキュリティ基本法 ③ サイバーセキュリティ戦略 ④ 官民ボード ⑤ RNR原則
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施する。
復習・予習課題 今回の復習
シラバスおよび授業ノート、配布資料を参照しながら、今回の授業内容ついて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
シラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。

14 最新の“サイバー犯罪” 科目の中での位置付け 本授業では、サイバー犯罪の基礎から応用までを体系的に学ぶ。第1回ではサイバー犯罪の定義と概要、第2回から第4回では主要なサイバー犯罪の種類と手法、関連する法制度を学ぶ。第5回では犯罪心理学・犯罪社会学の基本理論を概説し、第6回および第7回では加害者・被害者の特徴を心理学的観点から検討する。第8回では前半の内容を振り返り、第9回ではインターネット上の著作権侵害を扱う。第10回では自覚のないまま関与し得る犯罪、第11回では個人情報と情報漏洩について学ぶ。第12回ではサイバー犯罪の捜査体制と捜査方法、第13回では政府・警察・個人による予防と対策を扱う。第14回では、生成AIなどの技術発展に伴う最新のサイバー犯罪の動向について考察する。
第14回では、最新のサイバー犯罪について確認する。状況や技術が目まぐるしく変化していくものであるため、授業実施時には扱う内容が異なる可能性がある。

授業内で適宜紹介
コマ主題細目 ① AIの能力向上と社会的普及の背景 ② 生成AIの発展史と実用化への到達 ③ 生成AI時代のサイバー犯罪とサイバー空間の変容
細目レベル ① ELIZA効果とは、コンピュータの応答が機械的処理であると理解していても、人間的な意図や感情を見出し、対話相手として錯覚してしまう現象である。その名称は1966年に発表された対話プログラムELIZAに由来し、来談者中心療法を模した応答によって「理解されている感覚」を生じさせた。こうした人間側の認知特性は、AIの能力向上とともに錯覚を深めやすい。近年は生成AIの性能向上と一般への普及が進み、AIが人間と自然に対話できる存在として受け止められる場面が急増している。チューリング・テストに象徴されるように、「人間らしさ」の判断自体が文脈依存である点も、現代のAI受容を理解するうえで重要である。
② 生成AIの歴史は、1950年代の人工知能研究の萌芽から始まり、長期的な技術蓄積の上に成立している。1960~70年代のルールベースAI、1980年代のエキスパートシステム、1990年代の統計的自然言語処理を経て、2010年代に深層学習が急速に発展した。GANやオートエンコーダにより生成能力が飛躍し、2017年のTransformer登場が自然言語処理の転換点となった。その後、BERTやGPTに代表される大規模言語モデルが開発され、事前学習と微調整が標準化された。2021年以降、性能は実用水準に達し、2023年以降は対話型生成AIが社会の多様な分野で急速に普及している。
③ 生成AIの実用化と普及は、サイバー犯罪の様相を大きく変化させている。偽SMSやフィッシング文面はAIにより巧妙化し、犯罪行為に必要な手間や専門性が大幅に低下した。悪意はあるが技術を持たない者でも犯罪を実行可能となり、サイバー犯罪の非専門化が進行している。さらにRaaSの普及、ディープフェイクを用いた詐欺、ランサムウェアやマルウェアの高度化が被害を拡大させている。防御側は導入・運用に時間を要するため後手に回りやすく、ゼロトラストへの移行やAI活用防御が急務となっている。国家主体の関与や法規制強化も含め、サイバー空間は不安定性を増している。
キーワード ① ELIZA効果 ② チューリング・テスト ③ 生成AI ④ RaaS ⑤ ディープフェイク
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施する。
復習・予習課題 今回の復習
シラバスおよび授業ノート、配布資料を参照しながら、今回の授業内容ついて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
次回に向けた予習
シラバスへひととおり目を通し、どのような内容を聞くことになるのか、自分の中で受け皿を準備してみてください。また、単語として理解できないものがあれば、一度自分で調べておき、その調べた結果が適切であったかどうかを、次回の授業の中で照合してみてください。

15 総復習とまとめ 科目の中での位置付け 本授業では、サイバー犯罪の基礎から応用までを体系的に学ぶ。第1回ではサイバー犯罪の定義と概要、第2回から第4回では主要なサイバー犯罪の種類と手法、関連する法制度を学ぶ。第5回では犯罪心理学・犯罪社会学の基本理論を概説し、第6回および第7回では加害者・被害者の特徴を心理学的観点から検討する。第8回では前半の内容を振り返り、第9回ではインターネット上の著作権侵害を扱う。第10回では自覚のないまま関与し得る犯罪、第11回では個人情報と情報漏洩について学ぶ。第12回ではサイバー犯罪の捜査体制と捜査方法、第13回では政府・警察・個人による予防と対策を扱う。第14回では、生成AIなどの技術発展に伴う最新のサイバー犯罪の動向について考察する。
第15回では、全体の総括を行う。

授業内で適宜紹介
コマ主題細目 ① 第1回から第4回の振り返り ② 第5回から第9回の振り返り ③ 第10回から第14回の振り返り
細目レベル ① 本回では授業全体の振り返りとして、まず第1回で扱ったサイバー犯罪の定義や特徴、犯罪情勢などの基礎的内容を再確認する。続いて、第2回から第4回で学んだ不正アクセス、コンピュータ・電磁的記録対象犯罪、ネットワーク利用犯罪について、それぞれの法的な位置づけと具体的な手法を整理する。不正アクセス禁止法、マルウェア、電子商取引を利用した犯罪などを関連づけながら振り返ることで、多様なサイバー犯罪を法的・技術的観点から体系的に捉えることを目指す。
② 授業の中盤で扱った、犯罪の発生メカニズムと加害者・被害者の心理、身近なサイバー犯罪について振り返る。第5回では犯罪心理学・犯罪社会学の基本理論、第6回では社会的絆や学習、認知・パーソナリティなどサイバー犯罪者を理解するための心理学的視点、第7回では日常活動理論やリスク認知、被害の潜在化など被害者側の特徴を再確認する。さらに第9回で扱った著作権と著作権侵害について整理し、犯罪に関する理論とインターネット上で生じる具体的な問題を関連づけて理解する。
③ 授業後半の内容として、サイバー犯罪と日常生活・社会との関係、その捜査や予防、さらに新たな技術による犯罪の変化を振り返る。第10回の「自覚のない犯罪」や身近な加害行為、第11回の個人情報の価値と情報漏洩、第12回のサイバー犯罪捜査とデジタルフォレンジックを整理する。さらに、第13回で扱った政府・警察・個人によるサイバーセキュリティ対策と、第14回の生成AI、ディープフェイク、RaaSなどの新たな動向を振り返り、サイバー犯罪の変化に対して、個人・組織・社会がどのように対応していく必要があるのかを総合的に理解する。
キーワード ① 不正アクセス禁止法 ② コンピュータ・電磁的記録対象犯罪 ③ そのほかのインターネット犯罪 ④ 個人情報 ⑤ サイバーセキュリティ
コマの展開方法 社会人講師 AL ICT PowerPoint・Keynote 教科書
コマ用オリジナル配布資料 コマ用プリント配布資料 その他 該当なし
小テスト 「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テストを実施する。
復習・予習課題 今回の復習
シラバスおよび授業ノート,配布資料を参照しながら、本授業の内容などについて適切に理解できているかを確認してください。可能であれば、自身でキーワードそれぞれについてのポイントをまとめた文章を作成してみること、また、それらのキーワードが回答となるような問題文を作成してみることをおすすめします。
期末テストに向けた準備
これまで受験してきた小テストを見返すこと、また自作した問題があればそれを解いてみること。回答に自信のもてないものがあったら、該当する回の資料を見返すこと。

履修判定指標
履修指標履修指標の水準キーワード配点関連回
サイバー犯罪の基本概念を理解している サイバー犯罪の基本的な定義や分類を理解し、従来の犯罪との共通点や相違点、ネットワークを介して行われる犯罪の特徴について説明・識別できる。また、サイバー犯罪の発生状況やその変化を犯罪情勢から捉えるとともに、サイバーセキュリティの必要性や、関連する専門機関・資格等について基本的な知識を身につけている。 サイバー犯罪、サイバーセキュリティ、犯罪情勢、IPA 6 1
主要なサイバー犯罪の種類・手法・関連法制度を理解している サイバー犯罪の主要な類型として、不正アクセス、コンピュータ・電磁的記録を対象とする犯罪、ネットワーク利用犯罪の特徴を理解し、それぞれを具体的な事例から識別できる。不正アクセスやマルウェア等については、代表的な攻撃手法とその仕組み・特徴を理解するとともに、不正アクセス禁止法や不正指令電磁的記録に関する罪など、犯罪行為を規制する主要な法制度と対象となる行為を適切に対応づけることができる。 不正アクセス禁止法、不正アクセス、フィッシング、ブルートフォースアタック、SQLインジェクション、不正指令電磁的記録に関する罪、マルウェア、ランサムウェア、ネットワーク利用犯罪、電子商取引 24 2~4
犯罪行動とサイバー犯罪の加害・被害を心理学的に理解している 犯罪行動が個人の特性だけによって生じるものではなく、社会環境、人間関係、学習、認知などの複数の要因から説明されることを理解し、犯罪心理学・犯罪社会学における主要な理論について、その基本的な考え方を識別できる。また、サイバー犯罪の加害に関わる認知やパーソナリティ、社会的要因について理解するとともに、被害が生じる機会や被害者のリスク認知、被害が表面化しにくいという特徴など、被害者側からサイバー犯罪を捉えるための主要な概念を理解している。 アノミー、緊張理論、分化的接触理論、社会的絆理論、社会的学習理論、反社会的認知、セントラルエイト、日常活動理論、リスク認知、被害の潜在化 26 5~7
身近なインターネット利用に伴う犯罪・情報上の問題を理解している インターネットやSNSを日常的に利用する中で、自覚の有無にかかわらず犯罪や権利侵害に関与する可能性があることを理解している。著作権については、その基本的な仕組みや権利の内容、著作物を利用できる範囲と侵害となる行為を区別できる。また、誹謗中傷、ネットストーカー、リベンジポルノ、闇バイト等の身近な問題について、関連する犯罪や社会的問題を理解している。さらに、個人情報が持つ価値と漏洩・悪用によって生じる被害、関連する法制度、人が情報管理上のリスクを過小評価する心理的要因について理解している。 著作権、著作者人格権、複製権・公衆送信権、親告罪・非親告罪、違法ダウンロード、リベンジポルノ、ネットストーカー、名誉毀損・侮辱、闇バイト、個人情報保護法、楽観性バイアス 22 9~11
サイバー犯罪への捜査・予防・対策と最新動向を理解している サイバー犯罪の匿名性や国境を越えて行われるという特徴を踏まえ、警察・検察等がどのような組織や仕組みによって捜査を行っているかを理解している。また、通信履歴やIPアドレス等を利用した発信者の特定、デジタルフォレンジックによる電子的証拠の保全・解析など、サイバー犯罪特有の捜査方法とその課題を理解している。さらに、政府・警察・個人による予防・対策の基本的な考え方を理解するとともに、生成AI、RaaS、ディープフェイク等の新しい技術やサービスがサイバー犯罪の手法や実行可能性をどのように変化させているかについて理解している。 サイバー警察局、JPEC、全国協働捜査方式、デジタルフォレンジック、Tor・ダークウェブ、サイバーセキュリティ基本法、NISC・NCO、RNR原則、生成AI、RaaS、ディープフェイク 22 12~14
評価方法 期末試験100%
評価基準 評語
    学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・ S (100~90点)
    学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・ A (89~80点)
    学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・ B (79~70点)
    学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・ C (69~60点)
    学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・ D (60点未満)
教科書 特にない
参考文献 授業内で随時紹介する
実験・実習・教材費 特にない