区分
高度専門科目Ⅰ
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力
科学コミュニケーション力
研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養
応用力
実践力
科目間連携
総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
科目の目的
本科目の目的は、犯罪と記憶の関係を理解することである。これは、犯罪事実の解明には関係者の記憶にある情報が不可欠であるためである。そのため、知覚・認知心理学によって明らかにされた人間の記憶の認知過程について、改めて理解を深める必要がある。次に、犯罪の発生時や捜査時において記憶に影響を及ぼす要因を知る必要がある。その上で、対象者の立場や記憶情報の種類に応じて、その記憶情報を正確に引き出す手法を理解する必要がある。これにより、本学科が目指す時間軸の理解の一環として、犯罪の発生と捜査段階における心理学の実践的な活用を学ぶことが可能となる。
到達目標
①犯罪と記憶の関係について理解すること
②記憶の処理過程と記憶に影響を与える要因を理解すること
③被害者や目撃者からの聴取方法として認知面接を理解すること
④顔の記憶の確認方法を理解すること
⑤被疑者の記憶を推定するポリグラフ検査を理解すること
科目の概要
本科目の目的は、犯罪と記憶の関係を理解することである。そのため、認知心理学が明らかにした人間の記憶に関する特性や、犯罪状況下での記憶の性質を理解する必要がある。そこで、第1部(第1回から第5回まで)では、この点について解説を行う。第1部では、犯罪と記憶の関係から始まり、記憶の処理過程である符号化段階、貯蔵段階、検索段階において記憶に影響を与える要因を概観する。続いて、犯罪を解明するためには、関係者である被疑者、被害者、目撃者から、その犯罪に関する記憶をできるだけ正確に引き出す必要がある。そこで、第2部(第6回から第10回まで)では、捜査の初期段階で聴取を実施する際に、被害者や目撃者の記憶を正確に引き出す方法について概観する。第2部では、コミュニケーションによる聞き取り方法として認知面接について解説する。次に、個人の識別のための重要な手がかりとなる顔の記憶を聴取する手段として、モンタージュ写真、似顔絵、面割りに関する知見を紹介する。最後に、第3部(第11回から第15回まで)では、被疑者の記憶を推定する手段としてのポリグラフ検査について解説する。ここでは、通常は積極的に事件について語ることのない被疑者の記憶を推定するための検査の詳細について概観する。
科目のキーワード
犯罪、記憶、符号化、貯蔵、検索、認知面接、顔、ポリグラフ検査
授業の展開方法
本科目は、ヨリソルにアップロードされた講義用の文字教材を使用して進行する。文字教材を基に各コマの主題を解説しながら、必要に応じて図版、映像、論文を紹介し、それらを提示する際には PowerPoint などを利用する。本科目の担当教員は、科学捜査研究所においてポリグラフ検査を用いた鑑定業務の実務経験を有している。この経験は、第11回から第15回までの講義内容と密接に関連し、より実践的な講義を行うために活用される。
オフィス・アワー
前期:火曜3限
後期:火曜3限
科目コード
SE4030
学年・期
2年・後期
科目名
犯罪の認知心理学
単位数
2
授業形態
講義
必修・選択
選択
学習時間
【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
展開科目
関連資格
担当教員名
久保寺俊朗
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
犯罪と認知心理学の関係
科目の中での位置付け
本科目の目的は、犯罪と記憶の関係を理解することである。第1部(第1回から第5回まで)では、認知心理学が明らかにした人間の記憶に関する特性や、犯罪状況下での記憶の性質について解説を行う。続いて、犯罪を解明するためには、関係者である被疑者、被害者、目撃者から、その犯罪に関する記憶をできるだけ正確に引き出す必要がある。そこで、第2部(第6回から第10回まで)では、捜査の初期段階で聴取を実施する際に、被害者や目撃者の記憶を正確に引き出す方法について概観する。最後に、第3部(第11回から第15回まで)では、被疑者の記憶を推定する手段としてのポリグラフ検査について解説する。
第1回では、本科目の目的と構成について概観する。犯罪事実を明らかにするためには、客観的な証拠と関係者の証言を論理的に分析することが不可欠である。そのため、関係者の記憶を正確に引き出すことが求められる。この理解の土台として、記憶の処理過程について解説し、記憶に影響を与える要因の分類について説明する。
高野 陽太郎(編)(1995).認知心理学2 記憶 東京大学出版会(pp. 9-26)
渡部 保夫(監修)一瀬 敬一郎・厳島 行雄・仲 真紀子・浜田 寿美男(編)(2001).目撃証言の研究−法と心理学の架け橋をもとめて− 北大路書房(pp. 22-51)
コマ主題細目
① ガイダンス ② 記憶の情報処理過程 ③ 犯罪の記憶に影響する要因の区分
細目レベル
① この細目レベルでは、本科目の目的と構成について概観する。犯罪事実を明らかにするためには、客観的な証拠と関係者の証言を論理的に分析することが不可欠である。その中でも、関係者の証言は関係者の記憶をもとに語られるが、人間の記憶は事実を正確に記録したものではなく、時間の経過や外部の影響を受けて変容する。また、人は実際に経験した出来事であっても忘れてしまうことが多い。そこで本科目では、記憶の処理過程の特性、被害者や目撃者からの聴取方法、被疑者の記憶を推定するための検査などについて講義を行う。ガイダンスでは、犯罪捜査において記憶に関わる認知過程を理解する重要性、記憶の正確性に影響を与える要因があること、関係者の記憶情報を正確に引き出すための手法があることを理解することが必要になる。
② この細目レベルでは、記憶システムの処理段階による区分について復習する。これは、記憶に及ぼす影響を包括的に捉えるために重要である。記憶の処理過程は一般に、符号化段階、貯蔵段階、検索段階の三つに分けられる。符号化段階では、外界の刺激を感覚器官で受け取り、記憶に適した形に変換して入力する。貯蔵段階では、入力された情報を一定期間保持し、必要に応じて取り出せるようにする。検索段階では、貯蔵された記憶を想起し、利用可能な形で取り出す。このように、記憶の各段階は人間の認知機能の限界や特性に応じた処理が行われる。ここでは、各処理段階でどのようなことが行われるのかを理解し、それぞれの特徴や影響を学ぶことが求められる。
③ この細目レベルでは、犯罪の記憶に影響を与える要因と、それらを概観する区分について解説する。ひとつ目の区分として、Wellsによるものを紹介する。Wellsは、要因を推定変数とシステム変数の二つに区分した。この区分は、司法制度側が統制できるか否かという観点に基づく分類である。二つ目の区分として、Loftusらによるものを紹介する。Loftusらは、要因を符号化段階、貯蔵段階、検索段階に影響を与えるものの三つに分類した。この区分は、記憶の情報処理過程に基づいたものである。ここでは、記憶の正確性に関わる注意などの代表的な要因を理解するとともに、それぞれの要因がどの区分に分類されるのかを把握することが求められる。
キーワード
① 犯罪 ② 記憶 ③ 符号化 ④ 貯蔵 ⑤ 検索
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
復習:科目の中でのこのコマの位置付けをよく理解した上で、配布された文字教材を読み直すこと。また、生成AIを用いたテストワークを必ず複数回行い、自分の理解度を確認すること。理解できていない点については、テキスト教材の該当箇所を改めて通読すること。
予習:次回のコマシラバスを通読し、キーワードをインターネットや参考文献を用いて調べておくことが望ましい。
2
符号化段階での影響要因
科目の中での位置付け
本科目の目的は、犯罪と記憶の関係を理解することである。第1部(第1回から第5回まで)では、認知心理学が明らかにした人間の記憶に関する特性や、犯罪状況下での記憶の性質について解説を行う。続いて、犯罪を解明するためには、関係者である被疑者、被害者、目撃者から、その犯罪に関する記憶をできるだけ正確に引き出す必要がある。そこで、第2部(第6回から第10回まで)では、捜査の初期段階で聴取を実施する際に、被害者や目撃者の記憶を正確に引き出す方法について概観する。最後に、第3部(第11回から第15回まで)では、被疑者の記憶を推定する手段としてのポリグラフ検査について解説する。
第2回では、符号化段階で記憶に影響を与える要因について概観する。これらの要因には、出来事に関わる要因と目撃者に関わる要因が存在する。出来事要因は、外界からの刺激に関するものであり、これらの物理的特性は人間の知覚処理に大きな影響を与える。目撃者要因は、目撃者側の内的な処理に関わるものであり、注意や情動といった要因について解説する。
厳島 行雄・仲 真紀子・原 聰(2003).目撃証言の心理学 北大路書房(pp.12-32)
渡部 保夫(監修)一瀬 敬一郎・厳島 行雄・仲 真紀子・浜田 寿美男(編)(2001).目撃証言の研究−法と心理学の架け橋をもとめて− 北大路書房(pp. 22-51)(pp. 73-88)
コマ主題細目
① 出来事要因が記憶に及ぼす影響 ② 注意が記憶に及ぼす影響 ③ 情動やストレスが記憶の及ぼす影響
細目レベル
① この細目レベルでは、記憶の符号化段階での影響要因のうち、出来事要因に分類される要因について解説する。出来事要因とは、発生した出来事に固有する要因を指し、これらは外界から人間に対する最初の刺激となる。符号化段階では外界で起きた出来事を知覚できるかが問題となるため、知覚、特に視覚と情報の物理的特性との関連を理解する必要がある。事件が起きた際の照明条件(明るさ)や知覚時間などの物理的特性と視覚の特性や限界から、どのような情報が処理可能かのボトルネックが決定される。ここでは、この分類にどのような要因があるのかを知るとともに、人間の視覚機能の特性からなぜその要因が重要であるかを理解することが望ましい。
② この細目レベルでは、知覚の情報処理に大きな影響を及ぼす注意について解説する。注意は知覚の選択機能であり、目撃者要因として分類される。しかしながら、注意は外界で発生した出来事により引き付けられる側面もある。人間の知覚機能は外界の多数の情報を同時に処理することが難しく、注意を向けたものにより深い処理を行い、記憶のために符号化される。したがって、注意を向けていない情報に関しては、想像以上に不正確な記憶となる。よく知られる凶器注目効果も注意で説明することができる。この細目レベルでは、人間の知覚情報処理に対する注意の働きがどのようなものか、外界の刺激などによってどのように注意が働くのか、注意の存在により記憶に残りやすいものとそうでないものとを理解することが望まれる。
③ この細目レベルでは、知覚の情報処理に大きな影響を及ぼすもう一つの要因として、情動やストレスについて解説する。情動やストレスは、注意と同様に符号化要因の中で目撃者要因として分類される。情動と記憶に関する研究では、恐怖や不安に満ちた状態では知覚能力や認知能力が低下することが示されている。また、Yerkes-Dodsonの法則によれば、ストレスが最適レベルにある場合に記憶の成績は最大となり、最適レベルより低すぎたり高すぎたりすると成績が低下することが示唆されている。さらに、犯罪という出来事は目撃者の情動やストレスに強い影響を及ぼすことが多い。この細目レベルでは、目撃者の情動やストレスといった内的状態が、どのような情報の知覚や記憶に影響を与えるのかを理解することが望まれる。
キーワード
① 符号化 ② 出来事要因 ③ 目撃者要因 ④ 注意 ⑤ 情動やストレス
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
復習:科目の中でのこのコマの位置付けをよく理解した上で、配布された文字教材を読み直すこと。また、生成AIを用いたテストワークを必ず複数回行い、自分の理解度を確認すること。理解できていない点については、テキスト教材の該当箇所を改めて通読すること。
予習:次回のコマシラバスを通読し、キーワードをインターネットや参考文献を用いて調べておくことが望ましい。
3
貯蔵段階での影響要因
科目の中での位置付け
本科目の目的は、犯罪と記憶の関係を理解することである。第1部(第1回から第5回まで)では、認知心理学が明らかにした人間の記憶に関する特性や、犯罪状況下での記憶の性質について解説を行う。続いて、犯罪を解明するためには、関係者である被疑者、被害者、目撃者から、その犯罪に関する記憶をできるだけ正確に引き出す必要がある。そこで、第2部(第6回から第10回まで)では、捜査の初期段階で聴取を実施する際に、被害者や目撃者の記憶を正確に引き出す方法について概観する。最後に、第3部(第11回から第15回まで)では、被疑者の記憶を推定する手段としてのポリグラフ検査について解説する。
第3回では、貯蔵段階で記憶に影響を与える要因について概観する。最初に、最も基本となる時間経過に伴う記憶の忘却について説明する。続いて、人間がすでに持っている知識や情報が記憶に与える影響について説明する。また、記憶する出来事が起きた後の事後情報が記憶に及ぼす影響についても解説する。
渡部 保夫(監修)一瀬 敬一郎・厳島 行雄・仲 真紀子・浜田 寿美男(編)(2001).目撃証言の研究−法と心理学の架け橋をもとめて− 北大路書房(pp. 22-51)(pp. 52-72)
コマ主題細目
① 時間経過に伴う記憶の忘却 ② 既知情報が記憶に及ぼす影響 ③ 事後情報による記憶の変容
細目レベル
① この細目レベルでは、貯蔵段階における要因の中で最も基本的なものとなる、時間経過に伴う記憶の忘却について解説する。人間の記憶が時間の経過とともに減衰していくことは、記憶研究の最初期から示されており、広く知られている現象である。ここでは、時間の経過に応じてどの程度の記憶の減衰が生じるのかを中心に述べる。これは、現実の捜査活動を考える上で、事件発生からの時間経過と記憶の正確性を考慮することが重要であるためである。また、忘却の理論には、記憶が時間とともに自然に消失するとする減衰説や、新しい情報が既存の記憶に干渉することで忘却が生じるとする干渉説などがある。この細目レベルでは、実験で得られた時間経過に伴う記憶の減衰の程度を理解すること、さらに、記憶の種類によって時間経過の影響の受け方がどのように異なるのかを理解することが望ましい。
② この細目レベルでは、出来事が発生するよりも前にすでに持っている知識や情報が記憶に及ぼす影響について述べる。このような出来事や事物の一般的な知識をスキーマと呼ぶ。例えば、犯罪に関しては、強盗や窃盗のような犯罪であれば、犯人がどのような行動をとるかという一般的な傾向に関する知識を指す。人間はこのような既知情報を無意識に利用して記憶のギャップを補填することがある。そのため、実際には知覚していない事実を知覚し、経験したと誤って想起することがある。この細目レベルでは、このような記憶を補完する人間のメカニズムを理解すると同時に、スキーマと一致する情報が誤って想起される危険性について理解することが望ましい。
③ この細目レベルでは、貯蔵段階において、事後に与えられた情報による記憶の変化について述べる。認知心理学においては、記憶は時間の経過とともに単に失われるだけでなく、能動的に変化しうるものであることが判明している。Loftusが示した事後情報効果は、事件の事後に提示された情報が、すでに貯蔵されている情報に組み込まれ、記憶が再構築される可能性があることを示している。このような変容は、事後に提示された誤った情報が実際の出来事と微妙に異なる場合に生じやすい。この細目レベルでは、記憶の変容に関わる要因を理解すると同時に、記憶の変容が起こるための条件を把握し、さらに犯罪捜査においては、一度記憶が変容すると修正が困難となり、大きな問題を引き起こすことを理解する必要がある。
キーワード
① 貯蔵 ② 忘却 ③ スキーマ ④ 事後情報 ⑤ 記憶の変容
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
復習:科目の中でのこのコマの位置付けをよく理解した上で、配布された文字教材を読み直すこと。また、生成AIを用いたテストワークを必ず複数回行い、自分の理解度を確認すること。理解できていない点については、テキスト教材の該当箇所を改めて通読すること。
予習:次回のコマシラバスを通読し、キーワードをインターネットや参考文献を用いて調べておくことが望ましい。
4
検索段階での影響要因
科目の中での位置付け
本科目の目的は、犯罪と記憶の関係を理解することである。第1部(第1回から第5回まで)では、認知心理学が明らかにした人間の記憶に関する特性や、犯罪状況下での記憶の性質について解説を行う。続いて、犯罪を解明するためには、関係者である被疑者、被害者、目撃者から、その犯罪に関する記憶をできるだけ正確に引き出す必要がある。そこで、第2部(第6回から第10回まで)では、捜査の初期段階で聴取を実施する際に、被害者や目撃者の記憶を正確に引き出す方法について概観する。最後に、第3部(第11回から第15回まで)では、被疑者の記憶を推定する手段としてのポリグラフ検査について解説する。
第4回では、検索段階で記憶に影響を与える要因について概観する。ここでは、面接者の質問方法が想起される記憶に影響を与えることについて説明する。また、既知情報やフィードバックが及ぼす影響についても解説する。加えて、人物の顔の確認では、その手続きや提示される人物・写真が記憶に影響を与えることについて説明する。
厳島 行雄・仲 真紀子・原 聰(2003).目撃証言の心理学 北大路書房(pp.64-75)
渡部 保夫(監修)一瀬 敬一郎・厳島 行雄・仲 真紀子・浜田 寿美男(編)(2001).目撃証言の研究−法と心理学の架け橋をもとめて− 北大路書房(pp. 22-51)
コマ主題細目
① 質問方法が記憶に及ぼす影響 ② 識別テストの構成が記憶に及ぼす影響 ③ 既知事実や面接官のフィードバックが記憶に及ぼす影響
細目レベル
① この細目レベルでは、検索段階において、質問方法が想起される記憶に及ぼす影響について解説する。記憶はコミュニケーションで再生される。質問には自由ナラティブを求める質問、オープン質問、クローズド質問に大別される。通常、自由ナラティブやオープン質問を用いると対象者の自由度は大きく、主体的に記憶の検索ができる。そのため相対的に多くの情報が引き出されると同時に、誘導が生じにくい。一方、クローズド質問は対象者に記憶がない場合でも回答してしまう危険性がある。また、質問の内容に含まれる情報が事後情報として対象者の記憶に組み込まれる危険性がある。この細目レベルでは、質問方法の違いから引き出される情報がどのように異なるのか、コミュニケーションにおける事後情報効果の危険性について理解することが求められる。
② この細目レベルでは、識別テストの構成や内容が記憶の想起に及ぼす影響について解説する。目撃者から得られる重要な証言は、犯人の顔の識別に関するものである。しかしながら、多くの人間は言語表現のみでその視覚的イメージを再生することは難しい。そのため、対象者に複数の人物写真を提示し、その中から記憶するものを選ぶ面割りという手続きが取られることが多い。これには、提示する写真の人物の特徴、形式、枚数などといった複数の要因がその判断に大きな影響を与える。加えて、人物写真を提示することは事後情報として加えられる可能性もある。この細目レベルでは、視覚的イメージの検索方法の基本的な枠組みとその回答に及ぼす要因にどのようなものがあるかの理解が求められる。
③ この細目レベルでは、検索段階で生じる既知事実の影響について解説する。貯蔵段階と同様に、人間は過去の経験や一般的な知識を基に、記憶のギャップを埋めるためにスキーマを活用する。このため、目撃者は実際に見たことがない事実を、既存のスキーマに基づいて誤って記憶することがある。特に犯罪のような予測可能な状況では、スキーマに合致する情報が強調され、誤った証言を引き起こすことがある。また、面接官の言語的・動作的なフィードバックが記憶の回答に影響する。これらのフィードバックの有無は、記憶の確信度にも影響を与える。この細目レベルでは、これらの要因が対象者の想起する記憶内容にどのように寄与するかについて理解することが求められる。
キーワード
① 検索 ② 質問 ③ 面割り ④ 既知事実 ⑤ フィードバック
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
復習:科目の中でのこのコマの位置付けをよく理解した上で、配布された文字教材を読み直すこと。また、生成AIを用いたテストワークを必ず複数回行い、自分の理解度を確認すること。理解できていない点については、テキスト教材の該当箇所を改めて通読すること。
予習:次回のコマシラバスを通読し、キーワードをインターネットや参考文献を用いて調べておくことが望ましい。
5
第1部総括
科目の中での位置付け
本科目の目的は、犯罪と記憶の関係を理解することである。第1部(第1回から第5回まで)では、認知心理学が明らかにした人間の記憶に関する特性や、犯罪状況下での記憶の性質について解説を行う。続いて、犯罪を解明するためには、関係者である被疑者、被害者、目撃者から、その犯罪に関する記憶をできるだけ正確に引き出す必要がある。そこで、第2部(第6回から第10回まで)では、捜査の初期段階で聴取を実施する際に、被害者や目撃者の記憶を正確に引き出す方法について概観する。最後に、第3部(第11回から第15回まで)では、被疑者の記憶を推定する手段としてのポリグラフ検査について解説する。
第5回では、第1部で述べたことを総括する。ここでは、符号化、貯蔵、検索という記憶の処理段階ごとに、記憶に影響を与える要因を改めて整理する。これらの要因の中には、複数の段階に影響を及ぼすものもある。さまざまな要因を記憶の情報処理過程と関連づけて理解することが重要となる。
第1回から第4回に挙げたもの
コマ主題細目
① 符号化段階での影響要因 ② 貯蔵段階での影響要因 ③ 検索段階での影響要因
細目レベル
① この細目レベルでは、符号化段階で生じる要因を再度概観する。記憶の符号化段階では、出来事要因が重要となる。特に視覚と物理的特性(照明条件や知覚時間)が関連し、どの情報が処理可能かのボトルネックとなる。そのため視覚機能の特性を理解することで、これらの要因が記憶に与える影響を把握することが求められる。次に目撃者要因となる注意の役割を確認する。注意は知覚の選択機能であると同時に、外界の出来事に引き付けられることもある。人間の知覚は多くの情報を同時に処理することが難しく、注意を向けたものだけが記憶に残る。逆に、注意を向けていない情報は不正確になる。最後に目撃者要因である情動やストレスを概観する。恐怖や不安が知覚能力や認知能力を低下させることが示されており、Yerkes-Dodsonの法則では、ストレスが最適レベルにあると記憶の成績が最大となることが示唆されている。そのため、犯罪のような出来事は目撃者の情動やストレスに強い影響を与え、記憶に影響を及ぼすことが考えられる。
② この細目レベルでは、貯蔵段階で生じる要因を再度概観する。記憶は時間の経過とともに減衰する。そのため、捜査活動では時間経過と記憶の正確性を考慮することが重要となる。忘却には減衰説や干渉説があり、記憶の種類によって時間経過の影響が異なることが示されている。次に既知情報が記憶に及ぼす影響を見直していく。スキーマとは、事前に持っている一般的な知識や情報を指す。人はこの知識を無意識に使って記憶のギャップを補填し、実際に見ていない事実を誤って想起することがある。このメカニズムは記憶において重要な役割を持つと同時に誤認のリスクを有している。また、事件後に提示された情報が記憶に組み込まれ、記憶が再構築されることがある。この事後情報効果では、誤った情報が事実と微妙に異なる場合に記憶が変容しやすい。記憶の変容の要因と条件を理解し、犯罪捜査において変容が修正困難で問題を引き起こすことを認識することが重要となる。
③ この細目レベルでは、検索段階で生じる要因を再度概観する。まず、質問方法が記憶に与える影響について解説する。自由ナラティブやオープン質問は記憶の検索を促進し、多くの情報が引き出されるうえ、一般に誘導は少ない。一方でクローズド質問は記憶がない場合でも回答をする可能性があり、その内容が事後情報として記憶に組み込まれる危険性がある。次に、識別テストの構成が記憶に与える影響を確認する。目撃者証言において、犯人の顔識別は重要となる。視覚的イメージである顔の識別は、写真を提示して識別する方法が多いが、これには写真の特徴や枚数などが判断に影響する。また、提示された写真が事後情報として記憶に加わる可能性もある。さらに、検索段階では、過去の経験や知識に基づきスキーマが記憶を補完するため、目撃者が実際に見ていない事実を誤って記憶に組み込むことがある。特に予測可能な状況では、スキーマに合致する情報が強調され、誤った証言が生じる場合がある。
キーワード
① 符号化 ② 貯蔵 ③ 検索 ④ 記憶に及ぼす要因 ⑤ 記憶変容
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
復習:科目の中でのこのコマの位置付けをよく理解した上で、配布された文字教材を読み直すこと。また、生成AIを用いたテストワークを必ず複数回行い、自分の理解度を確認すること。理解できていない点については、テキスト教材の該当箇所を改めて通読すること。
予習:次回のコマシラバスを通読し、キーワードをインターネットや参考文献を用いて調べておくことが望ましい。
6
認知面接(1)
科目の中での位置付け
本科目の目的は、犯罪と記憶の関係を理解することである。第1部(第1回から第5回まで)では、認知心理学が明らかにした人間の記憶に関する特性や、犯罪状況下での記憶の性質について解説を行う。続いて、犯罪を解明するためには、関係者である被疑者、被害者、目撃者から、その犯罪に関する記憶をできるだけ正確に引き出す必要がある。そこで、第2部(第6回から第10回まで)では、捜査の初期段階で聴取を実施する際に、被害者や目撃者の記憶を正確に引き出す方法について概観する。最後に、第3部(第11回から第15回まで)では、被疑者の記憶を推定する手段としてのポリグラフ検査について解説する。
第6回では、第1部を受けて、実際に被害者や目撃者からその記憶を聞き取る方法である認知面接について解説する。ここでは、認知面接の基本的な特徴を認知的側面、対人的側面、コミュニケーションに関する側面から説明する。認知的側面の例として、文脈の重要性や心的容量の限界などについて説明する。
厳島 行雄・仲 真紀子・原 聰(2003).目撃証言の心理学 北大路書房(pp.106-116)
ロナルド フィッシャー・エドワード ガイゼルマン 宮田 洋(監訳)(2012).認知面接−目撃者の記憶想起を促す心理学的テクニック− 関西学院大学出版会(pp.17-36)
コマ主題細目
① 認知的側面に関わる特徴 ② 対人的側面に関わる特徴 ③ コミュニケーションに関わる特徴
細目レベル
① この細目レベルでは、認知面接における認知的側面に関わる特徴について解説する。ここでは人の認知能力に関する知見を述べる。これには、記憶の文脈の再現を重視することや、心的容量の限界を考慮することが含まれる。また、さまざまな検索法を提供することが求められる。なぜなら、与えられる手がかりに応じて想起される情報が異なるためである。そのため、時系列通りに想起することを促したり、逆順で想起することを促したりするなど、複数の検索手掛かりを用いることが有効である。この細目レベルでは、人間の認知機能を理解した上で、どのような点が記憶を喚起することに寄与しているかを理解することが望ましい。
② この細目レベルでは、認知面接における対人的側面に関わる特徴について解説する。いわゆる面接は、面接者が主導権を握るものと捉えられがちである。しかし、出来事に関するすべての情報は目撃者の心の中に貯蔵されている。したがって、面接は目撃者が主体となり情報を生み出していくことが望まれる。また、面接官は目撃者に対して良好なラポールを築く必要がある。これにより、目撃者は安心して面接官に情報を提供できるようになる。この細目レベルでは、認知面接にこのような対人的側面があることを理解するとともに、目撃者が主体的に話をするようになるために必要なことを理解することが望ましい。
③ この細目レベルでは、認知面接におけるコミュニケーションに関わる特徴について解説する。目撃者は捜査上重要な内容であるにもかかわらず、情報を出すことを控えることがある。捜査面接では、人物や出来事についてより多く詳しく語ってもらう必要があるため、面接官はすべてを詳しく話すよう明示的に促さなければならない。一方で、面接官は作り話をしないよう、目撃者に対してはっきりと注意する必要がある。目撃者が自信を維持できるように、目撃者の応答に興味を示し、相手が答えられないような質問を繰り返さないことが求められる。ここでは、認知面接におけるコミュニケーションの役割を理解すると同時に、それにより記憶の想起を妨げる要因を克服する方法を理解することが望ましい。
キーワード
① 認知面接 ② 認知機能 ③ 主体性 ④ ラポール ⑤ コミュニケーション
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
復習:科目の中でのこのコマの位置付けをよく理解した上で、配布された文字教材を読み直すこと。また、生成AIを用いたテストワークを必ず複数回行い、自分の理解度を確認すること。理解できていない点については、テキスト教材の該当箇所を改めて通読すること。
予習:次回のコマシラバスを通読し、キーワードをインターネットや参考文献を用いて調べておくことが望ましい。
7
認知面接(2)
科目の中での位置付け
本科目の目的は、犯罪と記憶の関係を理解することである。第1部(第1回から第5回まで)では、認知心理学が明らかにした人間の記憶に関する特性や、犯罪状況下での記憶の性質について解説を行う。続いて、犯罪を解明するためには、関係者である被疑者、被害者、目撃者から、その犯罪に関する記憶をできるだけ正確に引き出す必要がある。そこで、第2部(第6回から第10回まで)では、捜査の初期段階で聴取を実施する際に、被害者や目撃者の記憶を正確に引き出す方法について概観する。最後に、第3部(第11回から第15回まで)では、被疑者の記憶を推定する手段としてのポリグラフ検査について解説する。
第7回では、認知面接における質問方法や手続きについて解説する。認知面接ではオープン質問が望ましいなどの特徴があり、これが中立的かつ非誘導的な記憶の聴取につながる。また、面接の手続きの流れを解説する。最後に、他の面接法と比較した場合の認知面接の効果についても説明する。
厳島 行雄・仲 真紀子・原 聰(2003).目撃証言の心理学 北大路書房(pp.106-116)
ロナルド フィッシャー・エドワード ガイゼルマン 宮田 洋(監訳)(2012).認知面接−目撃者の記憶想起を促す心理学的テクニック− 関西学院大学出版会(pp.79-102)(pp. 177-193)
コマ主題細目
① 認知面接における質問方法 ② 認知面接の手続きの流れ ③ 認知心理学の評価
細目レベル
① この細目レベルでは、面接の基本的な技術について解説する。ここでは、質問の作成方法や、目撃者の反応に対する面接官の理解を促進するテクニックなどが含まれる。例えば、オープン質問は一般的にクローズ質問よりも望ましいとされている。最も効果的なのは、これら二つを組み合わせ、最初にオープン質問で尋ね、次にクローズ質問でフォローアップする方法である。また、質問のペースやタイミング、口調も重要な要素となる。この細目レベルでは、基本的な技術としてどのようなものがあるのかを学ぶとともに、面接官が中立的かつ非誘導的な質問をする必要があることを理解することが望ましい。
② この細目レベルでは、認知面接の実際の順序について解説する。これまでに、認知面接において記憶を想起するためのテクニックを概観してきた。ここでは、それらを活用しながら実際に面接を行う流れを詳しく見ていく。面接の基本的な流れは、導入、自由報告、記憶コードの探査、面接の振り返り、面接の終了の順に進む。例えば、導入の段階では、面接を行いやすい物理的・心理的環境を整え、ラポールを築くことが重要となる。この細目レベルでは、認知面接の全体の流れを理解し、各段階の目的と、それに応じて実際にどのような手法が用いられるのかを把握することが求められる。さらに、用いられる手法と記憶想起に関する知見との関連性を理解することが望ましい。
③ この細目レベルでは、認知面接の効果について概観する。認知面接は、従来の面接法と比較すると、より多くの情報を想起できること、正確さが他の面接法と同等かそれ以上の質を持つこと、一般的な面接ではクローズ質問が多用されるのに対し、認知面接ではオープン質問が多いことなどが特徴として挙げられる。実際に、認知面接法と構造化面接法で想起された記憶を比較すると、正しく想起される項目は認知面接法のほうが多いことが示された研究がある。この細目レベルでは、認知面接法が記憶の想起において最も有望な面接法の一つであることを理解すると同時に、他の方法と比較してどのような点で異なるのかを理解することが求められる。
キーワード
① オープン質問 ② クローズ質問 ③ 質問のペースとタイミング ④ 手続き ⑤ 効果
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
復習:科目の中でのこのコマの位置付けをよく理解した上で、配布された文字教材を読み直すこと。また、生成AIを用いたテストワークを必ず複数回行い、自分の理解度を確認すること。理解できていない点については、テキスト教材の該当箇所を改めて通読すること。
予習:次回のコマシラバスを通読し、キーワードをインターネットや参考文献を用いて調べておくことが望ましい。
8
目撃証言による顔の記憶の再生
科目の中での位置付け
本科目の目的は、犯罪と記憶の関係を理解することである。第1部(第1回から第5回まで)では、認知心理学が明らかにした人間の記憶に関する特性や、犯罪状況下での記憶の性質について解説を行う。続いて、犯罪を解明するためには、関係者である被疑者、被害者、目撃者から、その犯罪に関する記憶をできるだけ正確に引き出す必要がある。そこで、第2部(第6回から第10回まで)では、捜査の初期段階で聴取を実施する際に、被害者や目撃者の記憶を正確に引き出す方法について概観する。最後に、第3部(第11回から第15回まで)では、被疑者の記憶を推定する手段としてのポリグラフ検査について解説する。
第8回では、個人を識別できる顔に関する記憶の再生方法について解説する。顔は人間にとって個人を識別できる非常に特別な刺激である。そのため、顔の知覚や記憶に関する基本的な特性を説明する。その上で、犯罪捜査で用いられるモンタージュ写真と似顔絵についてその特徴を述べる。また、それぞれの手法が持つ利点と欠点を人間の記憶情報処理と関連づけて解説する。
渡部 保夫(監修)一瀬 敬一郎・厳島 行雄・仲 真紀子・浜田 寿美男(編)(2001).目撃証言の研究−法と心理学の架け橋をもとめて− 北大路書房(pp. 141-165)
越智 啓太(2015).犯罪捜査の心理学 新曜社(pp. 92-97)
コマ主題細目
① 顔の知覚と記憶 ② モンタージュ写真による顔の再生 ③ 似顔絵による顔の再生
細目レベル
① この細目レベルでは、顔の知覚と記憶に関して明らかになっていることを解説する。人間の顔はそれぞれ異なっており、似ていることはあっても同一の顔は存在しない。そのため、顔は個人を識別するための重要な情報を持っている。犯罪捜査においても、個人識別の重要な手がかりとなる。ここでは、顔の注目部位といった知覚の側面や、保持時間といった記憶の側面について概観する。次に、日常場面における顔の記憶に関わるトピックを扱う。ここでは、単に顔を認識するだけでなく、その顔を見た状況をあわせて記憶することの重要性が指摘される。この細目レベルでは、顔のどこに注目が向けられるのかといった知覚の基本的な理解と、記憶成績に影響を与える要因について理解することが求められる。
② この細目レベルでは、顔の記憶を再生する方法の一つであるモンタージュ写真について解説する。顔は視覚的イメージであるため、その特徴を言葉だけで正確に表現することは難しい。そのため、日本では「モンタージュ写真」と呼ばれる技術が用いられている。これは、顔のパーツを組み合わせ、記憶と照合しながら顔のイメージを再構成する手法である。しかしながら、この手法には、作成段階でさまざまな顔パーツの写真を見る必要があるため、記憶を歪める可能性があるといったデメリットも存在する。この細目レベルでは、顔の再生手法の一つであるモンタージュ写真の作成方法について学ぶとともに、認知心理学の観点からこの手法のメリットとデメリットを理解することが求められる。
③ この細目レベルでは、顔の記憶を再生するもうひとつの方法である似顔絵について解説する。一般には、似顔絵作成に関する専門的講習を受けた警察官が目撃者の証言を聞き取り、そのイメージを作画することで顔を再生する。通常の似顔絵作成とは異なり、目の前にモデルがいないため、目撃者からその記憶を歪みなく引き出すためのインタビュー技法などが必要となる。モンタージュ写真はパーツの総数といった制約があるが、言語的証言の自由度は高いため、表現力において優れる場合がある。この細目レベルでは、顔の再生手法のひとつである似顔絵の作成方法について学び、認知心理学の観点からこの手法のメリットとデメリットを理解することが求められる。
キーワード
① 顔の記憶 ② 個人識別 ③ 再生 ④ モンタージュ写真 ⑤ 似顔絵
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
復習:科目の中でのこのコマの位置付けをよく理解した上で、配布された文字教材を読み直すこと。また、生成AIを用いたテストワークを必ず複数回行い、自分の理解度を確認すること。理解できていない点については、テキスト教材の該当箇所を改めて通読すること。
予習:次回のコマシラバスを通読し、キーワードをインターネットや参考文献を用いて調べておくことが望ましい。
9
目撃証言による顔の記憶の再認
科目の中での位置付け
本科目の目的は、犯罪と記憶の関係を理解することである。第1部(第1回から第5回まで)では、認知心理学が明らかにした人間の記憶に関する特性や、犯罪状況下での記憶の性質について解説を行う。続いて、犯罪を解明するためには、関係者である被疑者、被害者、目撃者から、その犯罪に関する記憶をできるだけ正確に引き出す必要がある。そこで、第2部(第6回から第10回まで)では、捜査の初期段階で聴取を実施する際に、被害者や目撃者の記憶を正確に引き出す方法について概観する。最後に、第3部(第11回から第15回まで)では、被疑者の記憶を推定する手段としてのポリグラフ検査について解説する。
第9回では、顔に関する記憶の再認方法である面割りについて解説する。被疑者が特定されている場合には、写真面割りによる記憶の確認が行われることが多い。言語化が難しい顔の記憶においては、比較的実施しやすいという利点がある。一方で、提示する刺激の特性が選択にバイアスを与える点や、面割りには選択を迫る心理的圧力があることについても説明する。
厳島 行雄・仲 真紀子・原 聰(2003).目撃証言の心理学 北大路書房(pp. 93-105)
越智 啓太(2015).犯罪捜査の心理学 新曜社(pp. 92-97)
コマ主題細目
① 面割りによる顔の再認 ② 面割りに影響する要因 ③ 記憶の確信度と正確性
細目レベル
① この細目レベルでは、顔の記憶を確認する方法である面割りについて解説する。面割りは、被疑者がすでに判明している際に用いられることが多い。この手法では、特定された被疑者と、捜査中の事件とは明らかに無関係と判明している人物を提示し、目撃者に自分の記憶と合致する人物を選択してもらう。日本では、顔写真を用いた面割りが一般的に行われている。一方、海外では、実際に人物が並んでいる状況を透視鏡を通して選択する手法も用いられる。面割りは、心理学における記憶研究でいう再認と同じ手法に分類される。言語化が難しい顔情報の記憶確認には、比較的実施しやすいという利点がある。この細目レベルでは、現場で行われている面割りがどのような手法かを、心理学の再認課題と関連づけて理解することが求められる。
② この細目レベルでは、面割りにおいて目撃者の記憶の判断に影響を与える要因について解説する。この手法では、まず使用する写真の形式が統一されている必要がある。写真の大きさ、明るさ、構図、顔の比率、表情など、多くの要素を均一にすることが求められる。写真の人物以外の物理的特性に違いがあると、その写真が選ばれやすくなるバイアスが生じる可能性がある。また、使用する写真の特徴は、目撃者が供述した人物の特徴に合致するように工夫する必要がある。さらに、写真の枚数や提示方法についても考慮しなければならない。加えて、面割りには「どれかを選ばなければならない」という心理的圧力がかかり、誤った選択を引き起こす可能性がある。この細目レベルでは、面割りに影響を及ぼすバイアスの要因を理解し、それらをどのように排除するかを学ぶことが求められる。
③ この細目レベルでは、記憶の確信度と正確性に関する知見を紹介する。確信度とは、自分の記憶に対する主観的な自己判断であり、評定法を用いて測定されることが多い。記憶の確信度は証言の信用性に直結しやすく、重要な要因となる。特に、個人識別と直結する面割りにおける確信度は、捜査方針や公判に大きな影響を及ぼす可能性がある。記憶の確信度は、実際の事実だけでなく、本人が持つ既知事実や事後情報などの影響を大きく受ける。そのため、記憶の確信度と正確性の関係性を理解することが重要である。本細目レベルでは、記憶の確信度がどのような要因の影響を受けるのか、また確信度と正確性が必ずしも正比例の関係にないことについて理解する必要がある。
キーワード
① 顔の記憶 ② 再認 ③ 面割り ④ 確信度 ⑤ 正確性
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
復習:科目の中でのこのコマの位置付けをよく理解した上で、配布された文字教材を読み直すこと。また、生成AIを用いたテストワークを必ず複数回行い、自分の理解度を確認すること。理解できていない点については、テキスト教材の該当箇所を改めて通読すること。
予習:次回のコマシラバスを通読し、キーワードをインターネットや参考文献を用いて調べておくことが望ましい。
10
第2部総括
科目の中での位置付け
本科目の目的は、犯罪と記憶の関係を理解することである。第1部(第1回から第5回まで)では、認知心理学が明らかにした人間の記憶に関する特性や、犯罪状況下での記憶の性質について解説を行う。続いて、犯罪を解明するためには、関係者である被疑者、被害者、目撃者から、その犯罪に関する記憶をできるだけ正確に引き出す必要がある。そこで、第2部(第6回から第10回まで)では、捜査の初期段階で聴取を実施する際に、被害者や目撃者の記憶を正確に引き出す方法について概観する。最後に、第3部(第11回から第15回まで)では、被疑者の記憶を推定する手段としてのポリグラフ検査について解説する。
第10回では、第2部で述べたことを総括する。ここでは、被害者や目撃者からの聴取方法について概観してきた。まず、コミュニケーションによる聴取方法として認知面接を概観する。続いて、個人識別に有効な顔の記憶の確認方法として、モンタージュ写真、似顔絵、面割りといった手法の特性を再度見直していく。
第6回から第9回に挙げたもの
コマ主題細目
① 認知面接の総括 ② 目撃証言による顔の記憶の再生 ③ 目撃証言による顔の記憶の再認
細目レベル
① この細目レベルでは、認知面接について再度概観する。認知面接は、人間の認知機能に基づいた面接法であり、記憶過程を反映した想起方法が含まれる。この面接では、記憶は面接対象者にあるため、面接の主体は対象者であり、彼らが主体的に情報を提供することが望ましい。面接においては、すべてのことを詳しく話すよう明示的に伝えると同時に、作り話をしないようにはっきりと注意する必要がある。ここでは、オープン質問がクローズド質問よりも望ましいとされるが、一般に最初にオープン質問を用い、その後クローズド質問でフォローアップすることが最も効果的である。また認知面接は、導入、自由報告、記憶コードの探査、面接の振り返り、終了という手順で進む。
② この細目レベルでは、顔の記憶の再生方法について改めて概観する。人間の顔は、その特性により個人を識別する上で重要な手がかりとなる。また、顔は人間にとって特別な刺激であるため、その認知過程を復習する。そのうえで、視覚的イメージである顔の情報を再生するための二つの方法を見直す。一つ目はモンタージュ写真であり、顔の部位ごとに準備された複数のパーツ写真から、記憶に当てはまるものを選択して再構成する方法である。二つ目は似顔絵であり、目撃者の視覚イメージを適切な質問で言語化し、それを専門の教育を受けた捜査官が描画する方法をとる。モンタージュ写真と似顔絵にはそれぞれメリットとデメリットがあり、人間の認知過程から、これらの違いが生じる理由を改めて整理する。
③ この細目レベルでは、顔の記憶を確認する方法である面割りについて改めて概観する。面割りは、特定された被疑者とそれ以外の人物を用いた再認実験といえる。そのため、刺激の統制が重要となる。この刺激の物理特性には、写真の大きさ、明るさ、構図、表情など多くの要素が含まれる。これらの特性のうち、1枚だけ明らかに異なる情報を持つものがあると、それがバイアスとなり、目撃者の判断に大きな影響を及ぼす危険性がある。また、面割りには本質的に「選択をしなければならない」という心理的圧力が伴う。さらに、面割りによる選択は個人の識別に直結するため、その確信度は公判の心証に大きな影響を与える。しかしながら、人間の記憶に関する確信度と正確性は必ずしも比例関係にないことを理解する必要がある。
キーワード
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
復習:科目の中でのこのコマの位置付けをよく理解した上で、配布された文字教材を読み直すこと。また、生成AIを用いたテストワークを必ず複数回行い、自分の理解度を確認すること。理解できていない点については、テキスト教材の該当箇所を改めて通読すること。
予習:次回のコマシラバスを通読し、キーワードをインターネットや参考文献を用いて調べておくことが望ましい。
11
ポリグラフ検査の進展と検査質問法
科目の中での位置付け
本科目の目的は、犯罪と記憶の関係を理解することである。第1部(第1回から第5回まで)では、認知心理学が明らかにした人間の記憶に関する特性や、犯罪状況下での記憶の性質について解説を行う。続いて、犯罪を解明するためには、関係者である被疑者、被害者、目撃者から、その犯罪に関する記憶をできるだけ正確に引き出す必要がある。そこで、第2部(第6回から第10回まで)では、捜査の初期段階で聴取を実施する際に、被害者や目撃者の記憶を正確に引き出す方法について概観する。最後に、第3部(第11回から第15回まで)では、被疑者の記憶を推定する手段としてのポリグラフ検査について解説する。
第11回からは、通常は積極的に事件について語ることのない被疑者の記憶を推定する方法としてポリグラフ検査を取り上げる。この回では、最初にポリグラフ検査の歴史に触れ、犯罪捜査における生理指標の測定を利用した例を取り上げる。次に、質問法の進展として、コントロール質問法と隠匿情報検査法を解説し、この検査が記憶の検査であることについて述べる。
越智 啓太(2015).犯罪捜査の心理学 新曜社(pp. 64-73)
太幡 直也・佐藤 拓・菊地 史倫(編)(2021).「隠す」心理を科学する 北大路書房(pp. 138-154)
コマ主題細目
① 初期のポリグラフ検査とその後の展開 ② コントロール質問表(対照質問法) ③ 隠匿情報検査法
細目レベル
① この細目レベルでは、犯罪捜査における初期のポリグラフ検査と、その後の研究の発展について解説する。犯罪捜査に生理的反応を利用した最初の事例は、ロンブローゾによるものとされる。彼は、脈拍の変化に応じて水面が変動する現象を測定する水脈波計を考案し、事件捜査に実際に使用した。その際、虚偽の返答をしたときに顕著な生理的反応が見られたことから、虚偽検出のためにさまざまな生理指標が測定されるようになった。現代でも使用されている脈波や心拍数などの心臓血管系の指標、皮膚電気活動を測定する装置などが、こうした歴史の中で考案された。しかし、研究が進むにつれ、これらの生理的反応を単純に測定するだけでは虚偽の検出が不可能であることが明らかになった。その結果、虚偽を検出するのではなく、これらの指標を利用して犯人と無実の人を識別する検査方法の開発へと研究の方向性が変化していった。本細目レベルでは、ポリグラフ検査の歴史的な流れを学ぶとともに、生理指標の測定だけではその活用に限界があることを理解することが求められる。
② この細目レベルでは、ポリグラフ装置を用いた虚偽検出の代表的な手法であるコントロール質問法(Control Question Test: CQT)について解説する。コントロール質問法では、検査対象者に対し、捜査中の事件に関する「関係質問」と、捜査対象とは異なる架空の事件に関する「対照質問」を提示する。犯人である場合、捜査中の事件への関心が高いため、関係質問への生理的反応が対照質問よりも大きくなると予測される。一方、犯人でない場合、関係質問に対する反応は対照質問と同程度、または対照質問の方が大きくなると考えられる。しかし、この手法には解釈の曖昧さが指摘されており、特に無実の人物を誤って犯人と判定する確率が高いことが大きな問題として挙げられる。ここでは、コントロール質問法の概要と、その手法における問題点について理解することが求められる。
③ この細目レベルでは、日本の犯罪捜査において実際に行われているポリグラフ検査の手法である隠匿情報検査(concealed information test: CIT)について解説する。この検査は、事件に関する事実の記憶を調べることを目的としている。この検査では、検査対象者に事件事実に関する複数の選択肢を挙げて質問する。これらの選択肢のうち、実際の事件事実についての選択肢を裁決質問と呼び、それ以外の選択肢を非裁決質問と呼ぶ。検査対象者が犯人である場合、事件事実に関する記憶があるため、裁決質問は非裁決質問とは異なるものと認識され、裁決質問に対する反応は非裁決質問に対する反応とは異なると予想される。一方、検査対象者が犯人でない場合は、事件事実に関する記憶がないため、裁決質問と非裁決質問との間に違いはなく、それらに対する反応にも違いは生じないと考えられる。隠匿情報検査は、犯人を犯人と推定する確率が高いだけでなく、無実の人を犯人と誤って推定する確率が低い点でも優れている。
キーワード
① ポリグラフ検査 ② 生理指標 ③ 検査法 ④ コントロール質問法 ⑤ 隠匿情報検査法
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
復習:科目の中でのこのコマの位置付けをよく理解した上で、配布された文字教材を読み直すこと。また、生成AIを用いたテストワークを必ず複数回行い、自分の理解度を確認すること。理解できていない点については、テキスト教材の該当箇所を改めて通読すること。
予習:次回のコマシラバスを通読し、キーワードをインターネットや参考文献を用いて調べておくことが望ましい。
12
ポリグラフ検査で測定する生理指標
科目の中での位置付け
本科目の目的は、犯罪と記憶の関係を理解することである。第1部(第1回から第5回まで)では、認知心理学が明らかにした人間の記憶に関する特性や、犯罪状況下での記憶の性質について解説を行う。続いて、犯罪を解明するためには、関係者である被疑者、被害者、目撃者から、その犯罪に関する記憶をできるだけ正確に引き出す必要がある。そこで、第2部(第6回から第10回まで)では、捜査の初期段階で聴取を実施する際に、被害者や目撃者の記憶を正確に引き出す方法について概観する。最後に、第3部(第11回から第15回まで)では、被疑者の記憶を推定する手段としてのポリグラフ検査について解説する。
第12回では、現代のポリグラフ検査で測定される生理指標について解説する。この生理指標には、皮膚電気活動、呼吸運動、心拍数、規準化脈波容積がある。それぞれの生理指標の測定原理と方法を説明すると同時に、対象者の記憶の有無に応じてそれぞれの生理指標がどのように振る舞うかを解説する。
堀 忠雄・尾﨑 久記(監修)片山 順一・鈴木 直人(編)(2017).生理心理学と精神生理学 第II巻 応用 北大路書房(pp. 241-258)
コマ主題細目
① 皮膚電気活動 ② 呼吸運動 ③ 心拍数 ④ 規準化脈波容積
細目レベル
① 皮膚電気活動(electrodermal activity: EDA)は、精神性発汗を電気的現象として測定したものである。皮膚電気活動の測定方法は、通電法と電位法とに分類できる。また、測定される指標も、時間的にゆっくりとした持続的な水準(level)と一過性の反応(response)とに分類できる。これらの分類の中で、実務検査および研究で多く用いられるのは、通電法で測定した一過性の反応である皮膚コンダクタンス反応(skin conductance response: SCR)である。皮膚コンダクタンス反応は、刺激に対して単相性の波形を示す。ポリグラフ検査では一般的に、検査対象者が裁決項目に対する記憶を有している場合、裁決項目に対する皮膚コンダクタンス反応は、非裁決項目に対する皮膚コンダクタンス反応と比較して大きくなる。したがって、この皮膚コンダクタンス反応の相対的な増加の有無から、検査対象者が記憶を有しているか否かを推定することができる。
② 呼吸運動は、換気時の胸郭の運動であり、胴囲の変化を測定したものである。呼吸運動を測定するためには、検査対象者の胸部または腹部に呼吸ピックアップを装着し、呼吸運動によって生じる胴囲の変化を直接測定する。呼吸系は自律的に制御されるが、随意的な制御も可能であるという特徴がある。呼吸運動は、呼気と吸気のリズムによって形成されるため、反応の定量化が難しい。ポリグラフ検査では一般的に、検査対象者が裁決項目に対する記憶を有している場合、裁決項目に対する呼吸運動は、非裁決項目に対する呼吸運動と比較して振幅が小さくなり、呼吸数も減少する。したがって、この呼吸運動の相対的な低下の有無から、検査対象者が記憶を有しているか否かを推定することができる。
③ 心拍数(heart rate: HR)は、心臓の活動を測定したものである。心拍数は、一般的に1分間あたりの収縮回数として扱われる。心電図波形のR波を検出し、1分間に出現する回数を求めることで、心拍数を算出できる。心電図は、心筋の活動電位を体表に装着した二つの電極で捉え、生体アンプで増幅したものである。心拍数は1分間という一定時間内の活動を表す指標となるが、これを時間的な変化として捉えたものが瞬時心拍数である。ポリグラフ検査では一般的に、検査対象者が裁決項目に対する記憶を有している場合、裁決項目に対する瞬時心拍数は、非裁決項目に対する瞬時心拍数と比較して低下する。したがって、この瞬時心拍数の相対的な低下の有無から、検査対象者が記憶を有しているか否かを推定することができる。
④ 規準化脈波容積(normalized pulse volume: NPV)は、心拍数と同様に心血管系の活動を示す代表的な指標である。規準化脈波容積は、脈波容積を血液容積で除算することで求めることができる。この指標は、動脈が密に分布している指尖部に、近赤外線の発光ダイオードを備えたセンサーを装着することで測定できる。規準化脈波容積は、心拍数と同様に時間的な変化として捉えることができる。ポリグラフ検査では一般的に、検査対象者が裁決項目に対する記憶を有している場合、裁決項目に対する規準化脈波容積は、非裁決項目に対する規準化脈波容積と比較して低下する。したがって、この規準化脈波容積の相対的な低下の有無から、検査対象者が記憶を有しているか否かを推定することができる。
キーワード
① 生理指標 ② 皮膚電気活動 ③ 呼吸運動 ④ 心拍数 ⑤ 規準化脈波容積
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
復習:科目の中でのこのコマの位置付けをよく理解した上で、配布された文字教材を読み直すこと。また、生成AIを用いたテストワークを必ず複数回行い、自分の理解度を確認すること。理解できていない点については、テキスト教材の該当箇所を改めて通読すること。
予習:次回のコマシラバスを通読し、キーワードをインターネットや参考文献を用いて調べておくことが望ましい。
13
ポリグラフ検査の質問
科目の中での位置付け
本科目の目的は、犯罪と記憶の関係を理解することである。第1部(第1回から第5回まで)では、認知心理学が明らかにした人間の記憶に関する特性や、犯罪状況下での記憶の性質について解説を行う。続いて、犯罪を解明するためには、関係者である被疑者、被害者、目撃者から、その犯罪に関する記憶をできるだけ正確に引き出す必要がある。そこで、第2部(第6回から第10回まで)では、捜査の初期段階で聴取を実施する際に、被害者や目撃者の記憶を正確に引き出す方法について概観する。最後に、第3部(第11回から第15回まで)では、被疑者の記憶を推定する手段としてのポリグラフ検査について解説する。
第13回では、ポリグラフ検査で用いられる質問表について解説する。最初に捜査活動においてこの検査の目的について説明し、その目的のために質問表が持つべき内容について解説する。次に、質問表に含まれる項目の等質性と弁別性について述べる。さらに、質問表には裁決質問と探索質問という2つの分類があることについて解説する。
粕谷 巧(1999).ポリグラフ検査の実際 立花書房(pp. 14-34)
太幡 直也・佐藤 拓・菊地 史倫(編)(2021).「隠す」心理を科学する 北大路書房(pp. 138-154)
コマ主題細目
① ポリグラフ検査の目的と質問の選択 ② 質問表の等質性と弁別性 ③ 裁決質問と探索質問
細目レベル
① この細目レベルでは、ポリグラフ検査の目的と、そのための質問の選択に関する解説を行う。検査が捜査活動の中で行われる科学的な検査であることから、その目的は事実を解明し、犯人の検挙に役立つデータを提供することにある。そのため、検査の目的は、検査対象者が犯罪事実に関与しているか否かを識別することとなる。検査で行われる質問項目は、この目的を明らかにするために、行動科学や認知心理学的観点から選ばれることが求められる。この細目レベルでは、検査の最も基本的な目的を理解すると同時に、その目的を果たすためにどのような質問を構成すべきかを理解することが求められる。
② この細目レベルでは、ポリグラフ検査で作成される質問表における等質性と弁別性について解説する。検査では、犯罪事実に含まれる特定の事実に関する記憶の有無を確認する。そのため、特定の事実の記憶を確認するために、複数の選択肢を持つ質問をセットにした質問表が用いられる。各質問項目の内容は、同一のカテゴリーに含まれるという等質性を持つ。また、犯罪事実を知る犯人から見れば、犯罪事実と合致する事実に関する質問と、それ以外の関連しない事実に関する質問が異なることが明確であるという弁別性を持たなければならない。この細目レベルでは、質問表の等質性と弁別性が、どのような質問を作成することで成立するのかを理解することが望まれる。
③ この細目レベルでは、ポリグラフ検査で使用される質問方法について、裁決質問と探索質問という二つの大きな分類と、その目的や使用方法について解説する。犯罪事実には、検査を実施する段階ですでに判明している事実と、まだ捜査では判明していない事実がある。すでに判明している事実に関する記憶の検査が裁決質問法と呼ばれるものである。一方で、まだ事実として判明していないことに関する記憶の検査が探索質問法と呼ばれるものである。探索質問は安易に使用すると問題が生じる可能性があるが、検査対象者から新しい事実につながる記憶を引き出すことができる。この細目レベルでは、検査で用いられる質問法には二つの種類があること、それぞれの原理を理解すること、それぞれがどのように活用されるかを理解することが求められる。
キーワード
① 識別 ② 等質性 ③ 弁別性 ④ 裁決質問法 ⑤ 探索質問法
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
復習:科目の中でのこのコマの位置付けをよく理解した上で、配布された文字教材を読み直すこと。また、生成AIを用いたテストワークを必ず複数回行い、自分の理解度を確認すること。理解できていない点については、テキスト教材の該当箇所を改めて通読すること。
予習:次回のコマシラバスを通読し、キーワードをインターネットや参考文献を用いて調べておくことが望ましい。
14
ポリグラフ検査の手続きと法的解釈
科目の中での位置付け
本科目の目的は、犯罪と記憶の関係を理解することである。第1部(第1回から第5回まで)では、認知心理学が明らかにした人間の記憶に関する特性や、犯罪状況下での記憶の性質について解説を行う。続いて、犯罪を解明するためには、関係者である被疑者、被害者、目撃者から、その犯罪に関する記憶をできるだけ正確に引き出す必要がある。そこで、第2部(第6回から第10回まで)では、捜査の初期段階で聴取を実施する際に、被害者や目撃者の記憶を正確に引き出す方法について概観する。最後に、第3部(第11回から第15回まで)では、被疑者の記憶を推定する手段としてのポリグラフ検査について解説する。
第14回では、具体的な検査の手続きとその法的解釈について解説する。手続きには、検査前の準備段階と実際に対象者を前にした段階の手順がある。また、実際の場面では、面接、測定などといった複数の段階がある。さらに、検査の性質上、議論となる供述拒否権との関連やその証拠能力といった法的解釈について説明する。
粕谷 巧(1999).ポリグラフ検査の実際 立花書房(pp. 50-64)(pp. 65-84)(pp. 169-180)
コマ主題細目
① ポリグラフ検査の質問項目選定の手続き ② ポリグラフ検査の手続き ③ ポリグラフ検査の法的解釈
細目レベル
① この細目レベルでは、ポリグラフ検査における質問項目の選定と作成の具体的な手続きについて解説する。まず、犯罪事実の把握を前提とし、そのために調書などの書面情報や関係者への聞き取りを行う。次に、犯罪行動を分析し、適切な質問項目を抽出する。この際、質問は「犯人であれば確実に記憶している事実」であり、「その犯罪を特徴づける客観的な情報」であることが求められる。選定された質問については、対象者にとって既知の事実となり得るかを検討し、不適切なものを排除する。また、対象者の立場に立ち、表現が適切であるかを慎重に検討するなど、質問の精度を高めるための手順を踏む。本講義では、これまで学んだ内容が質問作成の手続きとどのように関連しているかを理解し、実際の運用に応用できることが求められる。
② この細目レベルでは、ポリグラフ検査の手続きについて解説する。検査は一般的に、対象者との面談を行うことから始まる。この面談の目的は、対象者とのラポール(信頼関係)を構築し、対象者がすでに知っている事実を確認することである。これらの事前面接が終了した後、実際に複数の質問表を提示し、対象者の生理的反応を測定する。反応の測定は、複数回繰り返し行う必要がある。すべての測定が終了した後に、最終的な面接を実施する。この面接では、バイアスが生じないよう最大限の注意を払うことが求められる。ここでは、検査全体の流れを理解するとともに、検査実施中の発言の目的を正しく認識し、バイアスを生じさせない質問方法についての理解を深めることが望ましい。
③ この細目レベルでは、ポリグラフ検査に関する法的解釈の問題点について解説する。ポリグラフ検査に関してよく議論される点の一つに、供述拒否権との関連性がある。供述拒否権とは、刑事事件の取り調べにおいて自己に不利益な供述をすることを拒む権利を指す。ポリグラフ検査は、否認している被疑者に対して犯罪事実に関する記憶を問う性質を持つため、供述拒否権との関係が議論される。また、ポリグラフ検査の鑑定結果の証拠価値についても議論の対象となるが、一般的には一定の条件を満たせば証拠能力を有すると解釈される。本講義では、ポリグラフ検査の性質と、それに関連する法的解釈の問題点について理解し、説明できることが望ましい。
キーワード
① 質問項目 ② 面接法 ③ 法的解釈 ④ 供述拒否権 ⑤ 証拠能力
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
復習:科目の中でのこのコマの位置付けをよく理解した上で、配布された文字教材を読み直すこと。また、生成AIを用いたテストワークを必ず複数回行い、自分の理解度を確認すること。理解できていない点については、テキスト教材の該当箇所を改めて通読すること。
予習:次回のコマシラバスを通読し、キーワードをインターネットや参考文献を用いて調べておくことが望ましい。
15
第3部総括
科目の中での位置付け
本科目の目的は、犯罪と記憶の関係を理解することである。第1部(第1回から第5回まで)では、認知心理学が明らかにした人間の記憶に関する特性や、犯罪状況下での記憶の性質について解説を行う。続いて、犯罪を解明するためには、関係者である被疑者、被害者、目撃者から、その犯罪に関する記憶をできるだけ正確に引き出す必要がある。そこで、第2部(第6回から第10回まで)では、捜査の初期段階で聴取を実施する際に、被害者や目撃者の記憶を正確に引き出す方法について概観する。最後に、第3部(第11回から第15回まで)では、被疑者の記憶を推定する手段としてのポリグラフ検査について解説する。
第15回では、第3部で述べたことを総括する。ここでは、被疑者の記憶を推定する方法であるポリグラフ検査について再度概観する。その上で、実例を通して、これまで解説したことが実際にはどのように行われるのかを説明する。
第11回から第14回に挙げたもの
コマ主題細目
① ポリグラフ検査のまとめ ② 殺人事件における検査 ③ 窃盗事件における検査
細目レベル
① この細目レベルでは、第11回から第14回で解説した内容を総括し、その後の実例を通じて理解を深めるための準備を行う。まず、生理測定に基づく虚偽検出の基本的な歴史を振り返り、対象者への刺激となる質問法の工夫によって、現在のポリグラフ検査が記憶の検査として成立してきた経緯を概観する。次に、検査で測定される生理指標の典型的な反応について再確認し、どのような生理的変化が記憶の検出に関連するのかを整理する。その上で、検査の目的が対象者の識別にあることを踏まえ、適切な質問の作成方法を理解する。さらに、実際の検査手続きの流れを概観し、どのようなステップが含まれるのかを明確にする。本講義では、第11回から第14回で学んだ内容の要点を押さえ、それらがどのように実践へとつながるのかを理解することが求められる。
② この細目レベルでは、参考文献を用いて、実際の事件においてポリグラフ検査がどのように使用されたかを解説する。まず、事件の概要を説明する。次に、検査が要請されたタイミングやその状況について詳しく述べる。その後、現場の状況を分析し、犯行の事実を確認する。さらに、犯行事実に基づいて、犯人が記憶している内容を心理学的観点から分析し、検査対象者にどのような質問をするのが適切かを考察する。その過程を通じて、文献に記載されている質問がどのような意図で作成されたのかを理解する。最後に、測定結果と検査回答の流れについて説明する。ここでは、実際の事例を通して、これまで学んできた内容が現場の検査でどのように応用されているかを理解することが望ましい。
③ この細目レベルでは、参考文献を用いて、実際の窃盗事件においてポリグラフ検査がどのように使用されるかを解説する。まず、事件の概要を説明する。次に、状況から犯行が可能な人物とその条件を推察する。さらに、こうした状況下でどのタイミングでポリグラフ検査を実施するのが適切かを考察する。その後、実際の検査手順と面接内容を中心に解説する。面接の結果を踏まえ、具体的にどのような質問が実施されたのかを示し、複数の検査対象者がいる場合の検査結果について述べる。本講義では、窃盗事件という発生件数の多い犯罪に対するポリグラフ検査の基本を理解することが求められる。加えて、実際の事例を通じて、これまで学んできた内容が現場の検査でどのように応用されているかを理解することが望ましい。
キーワード
① 生理指標 ② 隠匿情報検査法 ③ 検査法 ④ 面接法 ⑤ 質問作成
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
復習:科目の中でのこのコマの位置付けをよく理解した上で、配布された文字教材を読み直すこと。また、生成AIを用いたテストワークを必ず複数回行い、自分の理解度を確認すること。理解できていない点については、テキスト教材の該当箇所を改めて通読すること。
予習:次回のコマシラバスを通読し、キーワードをインターネットや参考文献を用いて調べておくことが望ましい。
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
記憶の処理段階と要因の分類
記憶の処理段階の基本を説明できることが望ましい。具体的には、記憶が符号化段階、貯蔵段階、検索段階に分けられることを理解し、それぞれの段階でどのような処理が行われるかを説明できること。また、記憶に影響を与える要因の分類方法についても説明できることが望ましい。ここでは、Wellsによる分類およびLoftusらによる分類の2つを取り上げ、それぞれがどのような観点で分類されているのか、どのような名称が付けられているのかについて説明できることが求められる。
記憶、符号化、貯蔵、検索、要因の分類
10
1, 5
記憶に影響を及ぼす要因
記憶に影響を及ぼすさまざまな要因について説明できること。ここでは、記憶の処理段階に応じて、符号化段階の要因、貯蔵段階の要因、検索段階の要因に分けて説明できることが望ましい。さらに、記憶に影響を与える具体的な要因にはどのようなものがあるのか、それらの要因が主にどの処理段階で影響を及ぼすのか、また記憶にどのような変化をもたらすのかについても説明できることが求められる。加えて、これらの要因がどのような研究によって明らかにされてきたのかについても理解していることが望ましい。
出来事要因、目撃者要因、忘却、既知事実、事後情報、質問、フィードバック
30
1, 2, 3, 4, 5
認知面接
認知面接の特徴について説明できることが望ましい。これらの特徴には、認知的側面、対人的側面、コミュニケーションに関わる側面が含まれる。それぞれにどのような特徴が含まれるかについても説明できること。また、認知面接における質問方法や手続きについても説明できることが望ましい。具体的には、実際に用いられる質問方法とその効果、ならびに実施の手順について説明できること。加えて、他の面接方法と比較した場合の効果についても説明できること。
認知面接、認知機能、対人関係、コミュニケーション、手続き
15
5, 6, 7, 10
顔に関する目撃証言
目撃証言の中でも、特に顔に関する聴取方法について説明できること。顔は人間にとって特別な刺激であるため、顔の記憶にはどのような要因が影響するのかを説明できること。その上で、視覚的イメージである顔の記憶を再現する方法として、モンタージュ写真と似顔絵について説明できること。また、それぞれの方法が持つ利点と欠点についても説明できること。さらに、顔の記憶を確認するもう一つの方法である面割りについても説明できること。面割りの成績に影響を与える要因として、具体的にどのようなものがあるかを挙げ、説明できることが望ましい。
顔、モンタージュ写真、似顔絵、面割り
15
5, 8, 9, 10
ポリグラフ検査
ポリグラフ検査で用いられる質問法について説明できること。特に、現在日本で行われている隠匿情報検査法がどのような検査方法か、また実際に使用される質問の具体例について説明できること。また、検査で測定される生理指標についても理解し、それぞれの生理指標の名称、簡単な測定方法、および検査時にどのような反応が得られるのかを説明できること。さらに、刺激となる質問表が持つべき特性についても説明できること。加えて、検査の手続きやその法的解釈についても理解していることが望ましい。
ポリグラフ、隠匿情報検査、生理指標、質問表、手続き、供述拒否権
30
5, 11, 12, 13, 14, 15
評価方法
期末試験(100%)で評価する。
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
参考文献
実験・実習・教材費