区分
高度専門科目Ⅰ
ディプロマ・ポリシーとの関係
SDGs力
科学コミュニケーション力
研究力
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養
応用力
実践力
科目間連携
総合心理力
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
科目の目的
本科目は、人間の心と身体の関連についての諸理論およびその観点から行われる変容技法について学修する。対人支援はもちろんであるが、自己変容や自己制御に関心のある人にも受講を勧めたい。必修である関連科目「精神疾患とその治療」「臨床心理学概論」「異常心理学」の内容からさらに踏み込み、心の変化を促すための「身体」について検討する。それらの科目で説明される内容については理解されていることが望ましいが、「身体」という切り口から考え直すため、随時必要な範囲については説明するため、それらの科目の履修については問わない。
本科目は特に「身体」と「認知」、「感情」の関連についての捉え方、心身の連動(心身相関)を背景として変容を促す介入方法についてを取り扱う。領域としては、感情心理学、身体心理学、東洋的身体技法、西洋的身体技法、臨床心理学的身体技法などが対象となる。
これらの学修を通して、身体との関わりのなかで心を理解できること、対話的介入に限定されないアプローチについて理解することを目的とする。
到達目標
受講後に、(1)心身の関連についての理論を理解すること、(2)心身の関連を背景に行われる自他への変容的実践の理論を理解すること、(3)変容的実践の理論をもとにした各種技法を理解することを目標とする。
科目の概要
本科目は大きく2つのパートに分かれている。講義前半では、心身の関わりについての研究、理論について紹介し、理解を深める。特に感情心理学や身体心理学の領域が重要となる。精神疾患と身体の関わりについても検討する。講義後半では、心身相関を背景にして実践される変容技法を紹介する。そこには、リラクセーション技法や臨床動作法、フェルデンクライス・メソッド、アレクサンダー・テクニーク、マインドフルネス、坐禅等が含まれる。これらの各論を通して類似点や相違点を知ることを通して、より立体的に身体を通した心の変容を理解していく。
以下、15回の講義タイトルを示す。
【第1回】身体から心を考える
【第2回】心身論の歴史
【第3回】身体化認知・身体化感情
【第4回】ソマティックマーカー仮説
【第5回】感情の予測符号化理論
【第6回】精神疾患と身体
【第7回】リラクセーションとエクスポージャー
【第8回】坐禅とマインドフルネス
【第9回】フォーカシング
【第10回】フェルデンクライス・メソッド
【第11回】アレクサンダー・テクニーク
【第12回】ソマティック・エクスペリエンシング
【第13回】臨床動作法
【第14回】エモーション・フォーカスト・セラピー
【第15回】まとめ
科目のキーワード
身体、トラウマ、アレキシサイミア、マインドフルネス、ボディ・ワーク
授業の展開方法
この科目は、担当教員が文字教材(必要に応じて講義スライド)を準備し、それらを使用しながら講義を進める。参照することが望ましい書籍、論文、その他資料については随時講義内で明示する。基本的には座学での学習となるが、自身の考え方を振り返りながら授業内容を咀嚼してほしいときには、短時間ではあるが体験や考えを書き出したり、話し合う時間を設ける。また、講義は文字教材(およびそれに沿って作成されたスライド)を提示しながら行う。講義内容の特性上、身体的技法を体験する機会を設けられるときには、短時間の実践を行うこともある。講義内容の予習復習において必ず文字教材を参照することとする。担当教員は主に医療領域での臨床経験があり、講義内で取り上げる精神疾患等については経験も踏まえて説明を行う。
オフィス・アワー
※事前連絡をお願いします。その他でも調整できますので、必要があればご相談ください。
前期:水曜昼・金曜昼
後期:水曜昼・金曜昼
科目コード
SE5020
学年・期
3年・前期
科目名
身体の心理学(自己制御のための心身論)
単位数
2
授業形態
講義
必修・選択
選択
学習時間
【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
展開科目
関連資格
担当教員名
木甲斐智紀
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
身体から心を考える
科目の中での位置付け
本科目は大きく2つのパートに分かれている。講義前半では、心身の関わりについての研究、理論について紹介し、理解を深める。特に感情心理学や身体心理学の領域が重要となる。精神疾患と身体の関わりについても検討する。講義後半では、心身相関を背景にして実践される変容技法を紹介する。そこには、リラクセーション技法や臨床動作法、フェルデンクライス・メソッド、アレクサンダー・テクニーク、マインドフルネス、坐禅等が含まれる。これらの各論を通して類似点や相違点を知ることを通して、より立体的に身体を通した心の変容を理解していく。
コマ主題細目
① 心身問題の基本構図(心と身体はどのような関係にあるのか) ② 身体を基盤とした心の理解(身体化された認知・感情の視点) ③ 自己制御としての身体(身体を通して心を整えるとは何か)
細目レベル
① 心身問題の基本構図
本授業ではまず、「心と身体はどのような関係にあるのか」という古典的な問いを出発点とする。近代以降の西洋思想では、心と身体は別個のものとする二元論的な理解が広く受け入れられてきたが、その一方で、両者を不可分なものとして捉える立場も存在してきた。本講義では、こうした対立構図を単なる歴史的知識としてではなく、現代の心理学や臨床実践にどのような影響を与えているのかという観点から整理し、心を身体から切り離して理解することの限界と、その再検討の必要性を提示する。
② 身体を基盤とした心の理解
次に、近年の心理学や認知科学において注目されている「身体化された心(embodied mind)」という考え方を導入する。従来、認知や感情は脳内の情報処理として理解されることが多かったが、近年ではそれらが身体の状態や感覚、行為と密接に結びついていることが明らかになってきている。本講義では、知覚・感情・思考がどのように身体的経験に依存して成立しているのかを概観し、「心は身体を通して働く」という基本的視点を提示することで、後続の理論や技法を理解するための枠組みを形成する。
③ 自己制御としての身体
最後に、本授業全体の中心概念である「自己制御としての身体」という視点を提示する。人はしばしば思考や意志によって自分をコントロールしようとするが、実際には呼吸、姿勢、筋緊張、感覚への注意といった身体的プロセスが、情動や行動の調整に大きく関与している。本講義では、身体を単なる受動的な器ではなく、自己調整を担う能動的なシステムとして捉え、身体への気づきや働きかけがどのように心理的安定や変容に寄与するのかという問題を提示する。
キーワード
① 心身関係 ② 身体化(embodiment) ③ 認知と感情 ④ 自己制御 ⑤ 身体感覚
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
[復習]この講義の文字教材を通読すること。講義内でスライドで画像等が紹介された場合はスライド資料も参照すること。わからなかった点については講義中に示された文献等を中心に調べること。復習においては、文字教材をChatGPTに読み込ませたうえで概要の理解および不明点の解消に務めること。そのうえで理解できなかった点や生じた疑問については記録し、次回講義前後に質問できるように準備しておくこと。
[予習]次回講義のシラバスを確認し、当該授業回に関連するキーワードについてよく調べておくこと。参考図書や論文が示されているときには、それを優先的に参照すること。調べて上で理解が難しい点や疑問を整理し、授業までにまとめておくこと。
2
心身論の歴史
科目の中での位置付け
本科目は大きく2つのパートに分かれている。講義前半では、心身の関わりについての研究、理論について紹介し、理解を深める。特に感情心理学や身体心理学の領域が重要となる。精神疾患と身体の関わりについても検討する。講義後半では、心身相関を背景にして実践される変容技法を紹介する。そこには、リラクセーション技法や臨床動作法、フェルデンクライス・メソッド、アレクサンダー・テクニーク、マインドフルネス、坐禅等が含まれる。これらの各論を通して類似点や相違点を知ることを通して、より立体的に身体を通した心の変容を理解していく。
コマ主題細目
① 近代における心身二元論とその問題 ② 心身一元論と身体的感情理論の展開 ③ 現代心理学への接続(身体化への転回)
細目レベル
① 近代における心身二元論とその問題
本講義ではまず、近代哲学において中心的な位置を占めたデカルトの心身二元論を取り上げる。デカルトは心(思考する実体)と身体(延長する実体)を本質的に異なるものとして区別し、この枠組みはその後の科学や心理学に大きな影響を与えた。しかしこの立場は、両者がどのように相互作用するのかという「心身問題」を生み出し、現代に至るまで多くの議論を引き起こしている。本講義では、二元論の意義と限界を整理し、なぜこの枠組みが再検討されているのかを明らかにする。
② 心身一元論と身体的感情理論の展開
次に、二元論に対する代替的立場としての心身一元論を検討する。特にスピノザは、心と身体を同一の実体の異なる側面として捉え、両者の不可分性を強調した。また、ウィリアム・ジェームズは感情を身体反応の知覚として捉え、「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しい」という有名な命題を提示した。本講義ではこれらの理論を通じて、身体が感情や意識の成立にどのように関与しているのかを歴史的に整理し、身体を基盤とした心の理解の萌芽を明らかにする。
③ 現代心理学への接続(身体化への転回)
最後に、これらの思想が現代心理学にどのように継承・発展されているのかを概観する。20世紀後半以降、認知科学や神経科学の発展により、心を身体や環境との相互作用の中で捉える「身体化(embodiment)」の視点が注目されるようになった。本講義では、古典的な心身論が単なる歴史的遺産ではなく、身体化認知や感情研究、臨床実践へと連続していることを示し、第3回以降で扱う理論への導入とする。
キーワード
① 心身二元論 ② 心身一元論 ③ スピノザ ④ ジェームズ=ランゲ説 ⑤ 身体化(embodiment)
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
[復習]この講義の文字教材を通読すること。講義内でスライドで画像等が紹介された場合はスライド資料も参照すること。わからなかった点については講義中に示された文献等を中心に調べること。復習においては、文字教材をChatGPTに読み込ませたうえで概要の理解および不明点の解消に務めること。そのうえで理解できなかった点や生じた疑問については記録し、次回講義前後に質問できるように準備しておくこと。
[予習]次回講義のシラバスを確認し、当該授業回に関連するキーワードについてよく調べておくこと。参考図書や論文が示されているときには、それを優先的に参照すること。調べて上で理解が難しい点や疑問を整理し、授業までにまとめておくこと。
3
身体化認知・身体化感情
科目の中での位置付け
本科目は大きく2つのパートに分かれている。講義前半では、心身の関わりについての研究、理論について紹介し、理解を深める。特に感情心理学や身体心理学の領域が重要となる。精神疾患と身体の関わりについても検討する。講義後半では、心身相関を背景にして実践される変容技法を紹介する。そこには、リラクセーション技法や臨床動作法、フェルデンクライス・メソッド、アレクサンダー・テクニーク、マインドフルネス、坐禅等が含まれる。これらの各論を通して類似点や相違点を知ることを通して、より立体的に身体を通した心の変容を理解していく。
コマ主題細目
① 身体化認知とは何か(認知の身体依存性) ② 身体化感情とシミュレーション(感情の身体基盤) ③ 身体・環境・行為の統合としての心(拡張された心のモデル)
細目レベル
① 身体化認知とは何か(認知の身体依存性)
身体化認知(embodied cognition)は、従来の「心=脳内情報処理」という見方に対して、認知が身体や行為、環境との相互作用の中で成立することを強調する理論的枠組みである。従来の認知科学では、知覚や思考は抽象的な記号操作として捉えられることが多かったが、近年の研究では、身体の姿勢や運動経験、感覚入力が判断や記憶、意思決定に直接的な影響を及ぼすことが示されている。例えば、身体の動きや空間的位置が概念理解に影響することや、ジェスチャーが思考を支える役割を持つことなどが知られている。本講義では、こうした知見を通して、認知が単に脳内で完結するものではなく、「身体を通して構成されるプロセス」であることを理解する。
② 身体化感情とシミュレーション(感情の身体基盤)
感情もまた身体から切り離された内部状態ではなく、身体の変化と不可分に結びついている。本講義では、感情がどのように身体的プロセスとして成立するのかを、身体化感情およびシミュレーションの観点から検討する。表情や姿勢、内臓感覚などの身体状態は、感情経験の重要な構成要素であり、他者の感情理解においても、自身の身体を通したシミュレーションが関与しているとされる。例えば、他者の表情を見るとき、私たちは無意識のうちに類似の身体状態を再現し、それによって感情を理解する。本講義では、ミラー神経系や内受容感覚の役割にも触れながら、感情を「身体に基づく動的プロセス」として捉える視点を提示する。
③ 身体・環境・行為の統合としての心(拡張された心のモデル)
身体化認知の議論はさらに発展し、心を身体だけでなく環境や道具との相互作用の中で捉える立場へと広がっている。いわゆる「拡張された心(extended mind)」の考え方では、認知は頭の中に閉じたものではなく、身体や外部環境を含む広いシステムの中で実現されるとされる。例えば、メモやスマートフォン、身体動作そのものが認知過程の一部として機能する。この視点は、自己を固定的な内面としてではなく、環境との関係の中で変化するプロセスとして理解することを可能にする。本講義では、こうした拡張的な心のモデルを紹介し、後に扱う自己制御や身体技法が、どのように身体と環境の関係性を変えることで心に影響を与えるのかを考える基盤を形成する。
キーワード
① 身体化認知(embodied cognition) ② 身体化感情 ③ シミュレーション ④ 内受容感覚(interoception) ⑤ 拡張された心(extended mind)
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
[復習]この講義の文字教材を通読すること。講義内でスライドで画像等が紹介された場合はスライド資料も参照すること。わからなかった点については講義中に示された文献等を中心に調べること。復習においては、文字教材をChatGPTに読み込ませたうえで概要の理解および不明点の解消に務めること。そのうえで理解できなかった点や生じた疑問については記録し、次回講義前後に質問できるように準備しておくこと。
[予習]次回講義のシラバスを確認し、当該授業回に関連するキーワードについてよく調べておくこと。参考図書や論文が示されているときには、それを優先的に参照すること。調べて上で理解が難しい点や疑問を整理し、授業までにまとめておくこと。
4
ソマティックマーカー仮説
科目の中での位置付け
本科目は大きく2つのパートに分かれている。講義前半では、心身の関わりについての研究、理論について紹介し、理解を深める。特に感情心理学や身体心理学の領域が重要となる。精神疾患と身体の関わりについても検討する。講義後半では、心身相関を背景にして実践される変容技法を紹介する。そこには、リラクセーション技法や臨床動作法、フェルデンクライス・メソッド、アレクサンダー・テクニーク、マインドフルネス、坐禅等が含まれる。これらの各論を通して類似点や相違点を知ることを通して、より立体的に身体を通した心の変容を理解していく。
コマ主題細目
① ソマティックマーカー仮説の基本構造(感情と意思決定) ② 身体信号と直感(意思決定における身体の役割) ③ 神経基盤と臨床的含意(前頭前野・身体感覚・障害)
細目レベル
① ソマティックマーカー仮説の基本構造(感情と意思決定)
ソマティックマーカー仮説は、アントニオ・ダマシオによって提唱された理論であり、意思決定において感情が果たす役割を身体の観点から説明するものである。この仮説によれば、過去の経験に基づいて形成された身体反応(ソマティックマーカー)が、選択肢に対する評価を迅速に行い、意思決定を導く役割を担う。従来の合理的意思決定モデルでは、選択は論理的計算によって行われると考えられていたが、本理論は、感情と身体が意思決定の不可欠な要素であることを示した。本講義では、身体反応がどのように意思決定の方向づけを行うのかを整理し、感情を「判断を歪めるもの」ではなく「判断を支えるもの」として再評価する視点を提示する。
② 身体信号と直感(意思決定における身体の役割)
日常生活において人は、必ずしもすべての選択を意識的に検討しているわけではなく、「なんとなく嫌な感じがする」「これは良さそうだ」といった直感に基づいて判断することが多い。このような直感は、身体に生じる微細な変化(心拍、筋緊張、内臓感覚など)として現れ、それが無意識的に評価として機能していると考えられる。本講義では、ギャンブル課題などの実験研究を参照しながら、身体信号が意識的判断に先行して意思決定を方向づけるプロセスを検討する。また、身体感覚への気づきの個人差が意思決定の質にどのように影響するのかについても考察し、身体感覚を活用することの意義を明らかにする。
③ 神経基盤と臨床的含意(前頭前野・身体感覚・障害)
ソマティックマーカー仮説は神経科学的知見とも密接に関連しており、特に腹内側前頭前野(vmPFC)や島皮質などが重要な役割を果たすとされる。これらの領域は身体状態の表象や感情評価に関与しており、損傷を受けた場合、論理的推論は保たれているにもかかわらず適切な意思決定が困難になることが報告されている。本講義では、このような症例研究を通して、身体感覚と意思決定の結びつきを具体的に理解する。また、現代の臨床心理学においても、身体感覚への気づきを回復することが重要視されている点に触れ、後に扱うトラウマや身体志向療法との関連を示す。
キーワード
① ソマティックマーカー ② 意思決定 ③ 直感 ④ 内受容感覚(interoception) ⑤ 腹内側前頭前野(vmPFC)
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
[復習]この講義の文字教材を通読すること。講義内でスライドで画像等が紹介された場合はスライド資料も参照すること。わからなかった点については講義中に示された文献等を中心に調べること。復習においては、文字教材をChatGPTに読み込ませたうえで概要の理解および不明点の解消に務めること。そのうえで理解できなかった点や生じた疑問については記録し、次回講義前後に質問できるように準備しておくこと。
[予習]次回講義のシラバスを確認し、当該授業回に関連するキーワードについてよく調べておくこと。参考図書や論文が示されているときには、それを優先的に参照すること。調べて上で理解が難しい点や疑問を整理し、授業までにまとめておくこと。
5
感情の予測符号化理論
科目の中での位置付け
本科目は大きく2つのパートに分かれている。講義前半では、心身の関わりについての研究、理論について紹介し、理解を深める。特に感情心理学や身体心理学の領域が重要となる。精神疾患と身体の関わりについても検討する。講義後半では、心身相関を背景にして実践される変容技法を紹介する。そこには、リラクセーション技法や臨床動作法、フェルデンクライス・メソッド、アレクサンダー・テクニーク、マインドフルネス、坐禅等が含まれる。これらの各論を通して類似点や相違点を知ることを通して、より立体的に身体を通した心の変容を理解していく。
コマ主題細目
① 予測符号化モデルの基本(脳は予測するシステムである) ② 感情の構成理論(感情は身体状態の予測である) ③ 自己制御と予測の更新(身体と意味づけの再構成)
細目レベル
① 予測符号化モデルの基本(脳は予測するシステムである)
予測符号化(predictive coding)モデルは、脳を外界からの入力を受動的に処理する装置ではなく、常に未来を予測しながら情報処理を行う能動的システムとして捉える枠組みである。このモデルでは、脳は過去の経験に基づいて「こうなるはずだ」という予測を生成し、実際の感覚入力との差(予測誤差)を最小化するように働くとされる。重要なのは、この予測が視覚や聴覚だけでなく、心拍や呼吸、内臓状態といった身体内部の感覚(内受容感覚)にも及んでいる点である。本講義では、脳と身体が一体となって予測を行うという観点から、知覚や経験がどのように構成されるのかを理解する。
② 感情の構成理論(感情は身体状態の予測である)
リサ・フェルドマン・バレットの感情の構成理論は、感情を生得的で固定された反応ではなく、身体状態の予測と概念的解釈によって構成されるものとして捉える。この理論によれば、脳は身体のエネルギー状態や内的変化を予測し、それに意味づけを与えることで「怒り」「不安」「喜び」といった感情経験を生成する。したがって、同じ身体状態であっても、状況や文化、学習された概念によって異なる感情として経験されうる。本講義では、感情を「身体+予測+意味づけ」のプロセスとして理解し、感情が固定的なものではなく、可変的かつ構成的な現象であることを示す。
③ 自己制御と予測の更新(身体と意味づけの再構成)
予測符号化の観点から見ると、自己制御とは単に感情や行動を抑えることではなく、身体状態に対する予測やその意味づけを柔軟に更新するプロセスとして理解される。人は不安や恐怖を感じるとき、それを脅威として解釈する傾向があるが、同じ身体反応を「興奮」や「挑戦」と再解釈することも可能である。また、呼吸や姿勢、注意の向け方を変えることで、身体状態そのものを変化させ、予測誤差のあり方を調整することもできる。本講義では、こうした視点から、身体への働きかけと認知的再構成がどのように結びつき、自己制御を可能にするのかを考察し、後続の実践技法への理論的基盤を形成する。
キーワード
① 予測符号化(predictive coding) ② 予測誤差 ③ 内受容感覚(interoception) ④ 感情の構成理論 ⑤ アロスタシス
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
[復習]この講義の文字教材を通読すること。講義内でスライドで画像等が紹介された場合はスライド資料も参照すること。わからなかった点については講義中に示された文献等を中心に調べること。復習においては、文字教材をChatGPTに読み込ませたうえで概要の理解および不明点の解消に務めること。そのうえで理解できなかった点や生じた疑問については記録し、次回講義前後に質問できるように準備しておくこと。
[予習]次回講義のシラバスを確認し、当該授業回に関連するキーワードについてよく調べておくこと。参考図書や論文が示されているときには、それを優先的に参照すること。調べて上で理解が難しい点や疑問を整理し、授業までにまとめておくこと。
6
精神疾患と身体
科目の中での位置付け
本科目は大きく2つのパートに分かれている。講義前半では、心身の関わりについての研究、理論について紹介し、理解を深める。特に感情心理学や身体心理学の領域が重要となる。精神疾患と身体の関わりについても検討する。講義後半では、心身相関を背景にして実践される変容技法を紹介する。そこには、リラクセーション技法や臨床動作法、フェルデンクライス・メソッド、アレクサンダー・テクニーク、マインドフルネス、坐禅等が含まれる。これらの各論を通して類似点や相違点を知ることを通して、より立体的に身体を通した心の変容を理解していく。
コマ主題細目
① 精神疾患における身体の関与(うつ・不安と身体) ② 心身症と身体化(身体に現れる心理的問題) ③ アレキシサイミア/アレキシソミア(感情と身体感覚の乖離)
細目レベル
① 精神疾患における身体の関与(うつ・不安と身体)
精神疾患はしばしば認知や感情の問題として理解されるが、その基盤には身体的なプロセスが深く関与している。例えばうつ病では、意欲低下や思考の抑制だけでなく、身体の重さ、疲労感、睡眠障害といった身体症状が顕著に現れる。また不安障害では、心拍数の上昇、呼吸の乱れ、筋緊張などの身体反応が強く自覚され、それ自体がさらなる不安を引き起こす悪循環を形成する。本講義では、これらの症状を単なる付随的なものではなく、情動調整システムの身体的側面の変調として捉え、精神疾患を「身体を含む調整の失敗」として理解する視点を提示する。
② 心身症と身体化(身体に現れる心理的問題)
心身症とは、心理的ストレスや葛藤が身体症状として表出する状態を指し、胃潰瘍、過敏性腸症候群、頭痛、皮膚疾患など多様な形で現れる。ここでは、感情やストレスが言語化・意識化されないまま身体に現れる「身体化(somatization)」のメカニズムが重要となる。本講義では、身体が単なる受動的な表現の場ではなく、心理的意味を担う能動的なプロセスであることを強調する。また、身体症状を排除すべきものとしてではなく、内的状態を知らせるシグナルとして捉える視点を導入し、身体への気づきや関わり方が治療的意味を持つ可能性について考察する。
③ アレキシサイミア/アレキシソミア(感情と身体感覚の乖離)
アレキシサイミアは、自身の感情を認識・言語化することが困難な状態を指し、しばしば身体症状やストレス反応の調整困難と関連する。また近年では、身体感覚そのものの認識が困難である状態としてアレキシソミアも注目されている。これらの状態では、身体に生じている変化を適切に捉えられず、結果として感情の理解や調整が困難になる。本講義では、内受容感覚や感情認識の個人差に焦点を当て、身体感覚と感情の結びつきがどのように断たれるのかを検討する。さらに、こうした乖離を回復することが、後に扱う身体志向的技法の重要な目的となることを示す。
キーワード
① 精神疾患と身体 ② 心身症 ③ 身体化(somatization) ④ アレキシサイミア ⑤ 内受容感覚(interoception)
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
[復習]この講義の文字教材を通読すること。講義内でスライドで画像等が紹介された場合はスライド資料も参照すること。わからなかった点については講義中に示された文献等を中心に調べること。復習においては、文字教材をChatGPTに読み込ませたうえで概要の理解および不明点の解消に務めること。そのうえで理解できなかった点や生じた疑問については記録し、次回講義前後に質問できるように準備しておくこと。
[予習]次回講義のシラバスを確認し、当該授業回に関連するキーワードについてよく調べておくこと。参考図書や論文が示されているときには、それを優先的に参照すること。調べて上で理解が難しい点や疑問を整理し、授業までにまとめておくこと。
7
リラクセーションとエクスポージャー
科目の中での位置付け
本科目は大きく2つのパートに分かれている。講義前半では、心身の関わりについての研究、理論について紹介し、理解を深める。特に感情心理学や身体心理学の領域が重要となる。精神疾患と身体の関わりについても検討する。講義後半では、心身相関を背景にして実践される変容技法を紹介する。そこには、リラクセーション技法や臨床動作法、フェルデンクライス・メソッド、アレクサンダー・テクニーク、マインドフルネス、坐禅等が含まれる。これらの各論を通して類似点や相違点を知ることを通して、より立体的に身体を通した心の変容を理解していく。
コマ主題細目
① 自律神経と身体的自己制御(ストレスと調整の仕組み) ② リラクセーション技法(身体からの調整) ③ エクスポージャーと情動処理(回避から接近へ)
細目レベル
① 自律神経と身体的自己制御(ストレスと調整の仕組み)
人間の情動や行動の多くは、自律神経系を中心とした身体的調整システムによって支えられている。ストレス状況においては交感神経が活性化し、心拍数の上昇や筋緊張の増加といった反応が生じる一方、安全な状況では副交感神経が優位となり、身体は回復と安定の状態に入る。本講義では、こうした自律神経の働きを基盤として、情動調整を「身体状態の調整」として捉える視点を導入する。また、慢性的なストレスやトラウマがこの調整機能をどのように歪めるのかを検討し、身体が過剰な警戒状態や抑制状態に固定されるメカニズムを理解する。
② リラクセーション技法(身体からの調整)
リラクセーション技法は、呼吸、筋弛緩、姿勢など身体への直接的な働きかけを通じて、自律神経のバランスを調整する方法である。代表的なものとして、腹式呼吸、漸進的筋弛緩法、自律訓練法などがあり、これらは過剰な覚醒状態を低下させることで情動の安定を促す。本講義では、これらの技法を単なるリラックスの手段としてではなく、「身体状態を変化させることで認知や感情に影響を与えるプロセス」として理解する。また、リラクセーションが有効に機能する条件や限界についても検討し、過度な回避として用いられる可能性についても批判的に考察する。
③ エクスポージャーと情動処理(回避から接近へ)
エクスポージャーは、不安や恐怖を引き起こす刺激に段階的に接近することで、過剰な情動反応を修正する方法である。この過程では、身体に生じる不快な感覚(心拍の上昇、緊張など)を回避せずに経験し続けることが重要となる。従来の理解では「慣れ(ハビチュエーション)」が重視されてきたが、近年では新たな意味づけや予測の更新が重要であるとされている。本講義では、エクスポージャーを「身体感覚への接近を通じた再学習のプロセス」として捉え、回避行動がどのように問題を維持するのか、また身体を伴った体験がどのように変化をもたらすのかを検討する。
キーワード
① 自律神経系 ② 情動調整(emotion regulation) ③ リラクセーション ④ エクスポージャー ⑤ 回避と接近
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
[復習]この講義の文字教材を通読すること。講義内でスライドで画像等が紹介された場合はスライド資料も参照すること。わからなかった点については講義中に示された文献等を中心に調べること。復習においては、文字教材をChatGPTに読み込ませたうえで概要の理解および不明点の解消に務めること。そのうえで理解できなかった点や生じた疑問については記録し、次回講義前後に質問できるように準備しておくこと。
[予習]次回講義のシラバスを確認し、当該授業回に関連するキーワードについてよく調べておくこと。参考図書や論文が示されているときには、それを優先的に参照すること。調べて上で理解が難しい点や疑問を整理し、授業までにまとめておくこと。
8
坐禅とマインドフルネス
科目の中での位置付け
本科目は大きく2つのパートに分かれている。講義前半では、心身の関わりについての研究、理論について紹介し、理解を深める。特に感情心理学や身体心理学の領域が重要となる。精神疾患と身体の関わりについても検討する。講義後半では、心身相関を背景にして実践される変容技法を紹介する。そこには、リラクセーション技法や臨床動作法、フェルデンクライス・メソッド、アレクサンダー・テクニーク、マインドフルネス、坐禅等が含まれる。これらの各論を通して類似点や相違点を知ることを通して、より立体的に身体を通した心の変容を理解していく。
コマ主題細目
① 坐禅における身体観と実践(姿勢・呼吸・注意) ② マインドフルネスの心理学的理解(注意と気づき) ③ 非判断的気づきと自己制御(接近としての調整)
細目レベル
① 坐禅における身体観と実践(姿勢・呼吸・注意)
坐禅は、身体の姿勢、呼吸、注意の在り方を通して心を調える実践であり、東洋における代表的な身体技法の一つである。ここでは心を直接操作するのではなく、身体の配置や呼吸のリズムを整えることで、結果として心の状態が変化すると考えられている。本講義では、坐禅における基本的な実践要素である姿勢(坐法)、呼吸(調息)、注意(調心)の関係を整理し、「身体から心へ」という調整の方向性を理解する。また、努力してコントロールするのではなく、余計な働きを手放すことによって安定が生じるという特徴的な考え方にも触れ、後の身体技法との共通性を見出す。
② マインドフルネスの心理学的理解(注意と気づき)
マインドフルネスは、「今この瞬間の経験に、評価や判断を加えずに注意を向けること」と定義され、近年では心理療法やストレスマネジメントの文脈で広く応用されている。本講義では、呼吸や身体感覚への注意(ボディスキャンなど)を通して、内的体験に気づくプロセスを検討する。重要なのは、感情や思考を変えようとするのではなく、それらをそのまま観察するという態度である。このような注意のあり方は、過去や未来にとらわれがちな認知の傾向を緩め、身体に根ざした現在の経験へと意識を戻す働きを持つ。本講義では、マインドフルネスを「注意のトレーニング」として理解する。
③ 非判断的気づきと自己制御(接近としての調整)
マインドフルネスの核心は、経験に対して評価や回避を行わず、そのまま気づき続ける「非判断的態度」にある。この態度は、第7回で扱ったエクスポージャーと同様に、不快な身体感覚や感情に対して回避せずに接近することを可能にする。本講義では、マインドフルネスを単なるリラクセーション技法としてではなく、「身体感覚への持続的な接近を通じて予測や意味づけを変化させるプロセス」として再定義する。また、注意の向け方が身体状態や情動にどのような影響を与えるのかを検討し、自己制御における「気づき」の役割を明らかにする。
キーワード
① 坐禅 ② マインドフルネス ③ 注意(attention) ④ 非判断的気づき ⑤ 接近(approach)
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
[復習]この講義の文字教材を通読すること。講義内でスライドで画像等が紹介された場合はスライド資料も参照すること。わからなかった点については講義中に示された文献等を中心に調べること。復習においては、文字教材をChatGPTに読み込ませたうえで概要の理解および不明点の解消に務めること。そのうえで理解できなかった点や生じた疑問については記録し、次回講義前後に質問できるように準備しておくこと。
[予習]次回講義のシラバスを確認し、当該授業回に関連するキーワードについてよく調べておくこと。参考図書や論文が示されているときには、それを優先的に参照すること。調べて上で理解が難しい点や疑問を整理し、授業までにまとめておくこと。
9
フォーカシング
科目の中での位置付け
本科目は大きく2つのパートに分かれている。講義前半では、心身の関わりについての研究、理論について紹介し、理解を深める。特に感情心理学や身体心理学の領域が重要となる。精神疾患と身体の関わりについても検討する。講義後半では、心身相関を背景にして実践される変容技法を紹介する。そこには、リラクセーション技法や臨床動作法、フェルデンクライス・メソッド、アレクサンダー・テクニーク、マインドフルネス、坐禅等が含まれる。これらの各論を通して類似点や相違点を知ることを通して、より立体的に身体を通した心の変容を理解していく。
コマ主題細目
① フェルトセンスと身体的気づき(曖昧な身体感覚) ② 身体感覚の言語化と意味生成(フォーカシング・プロセス) ③ 自己理解と変容(身体を通した再組織化)
細目レベル
① フェルトセンスと身体的気づき(曖昧な身体感覚)
フォーカシングは、ユージン・ジェンドリンによって提唱された心理的アプローチであり、言語化されていない身体感覚に注意を向けることで自己理解を深める方法である。その中心概念である「フェルトセンス」は、明確な感情や思考としてはまだ分化していない、曖昧で全体的な身体感覚を指す。この感覚は、状況や問題に対する身体レベルでの理解を含んでおり、単なる身体感覚以上の意味を持つ。本講義では、フェルトセンスを捉えるための態度や注意の向け方を検討し、身体がまだ言葉になっていない意味を保持しているという視点を導入する。
② 身体感覚の言語化と意味生成(フォーカシング・プロセス)
フォーカシングにおいて重要なのは、フェルトセンスに対して言葉やイメージを丁寧に当てはめていくプロセスである。この過程では、身体感覚と一致する表現(「これだ」と感じられる言葉)を探し、その一致によって身体感覚が変化する「フェルトシフト」が生じる。本講義では、注意を向ける、言葉を探す、共鳴を確認するといった一連のプロセスを整理し、意味が頭の中で作られるのではなく、身体との相互作用の中で生成されることを理解する。また、このプロセスが感情の分化や問題理解にどのように寄与するのかを検討する。
③ 自己理解と変容(身体を通した再組織化)
フォーカシングは単なる内省技法ではなく、身体感覚を通じて自己の在り方を変容させるプロセスである。フェルトセンスに注意を向け、それに適切な意味づけが与えられると、身体的な緊張や曖昧さが変化し、新たな視点や行動の可能性が開かれる。この変化は、無理に問題を解決しようとするのではなく、身体に既に含まれているプロセスに従うことで生じる。本講義では、フォーカシングを「身体に基づく自己調整と意味生成の技法」として位置づけ、第5回で扱った予測や意味づけの更新という観点から、その理論的意義を再検討する。
キーワード
① フォーカシング ② フェルトセンス ③ フェルトシフト ④ 身体感覚の言語化 ⑤ 意味生成
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
[復習]この講義の文字教材を通読すること。講義内でスライドで画像等が紹介された場合はスライド資料も参照すること。わからなかった点については講義中に示された文献等を中心に調べること。復習においては、文字教材をChatGPTに読み込ませたうえで概要の理解および不明点の解消に務めること。そのうえで理解できなかった点や生じた疑問については記録し、次回講義前後に質問できるように準備しておくこと。
[予習]次回講義のシラバスを確認し、当該授業回に関連するキーワードについてよく調べておくこと。参考図書や論文が示されているときには、それを優先的に参照すること。調べて上で理解が難しい点や疑問を整理し、授業までにまとめておくこと。
10
フェルデンクライス・メソッド
科目の中での位置付け
本科目は大きく2つのパートに分かれている。講義前半では、心身の関わりについての研究、理論について紹介し、理解を深める。特に感情心理学や身体心理学の領域が重要となる。精神疾患と身体の関わりについても検討する。講義後半では、心身相関を背景にして実践される変容技法を紹介する。そこには、リラクセーション技法や臨床動作法、フェルデンクライス・メソッド、アレクサンダー・テクニーク、マインドフルネス、坐禅等が含まれる。これらの各論を通して類似点や相違点を知ることを通して、より立体的に身体を通した心の変容を理解していく。
コマ主題細目
① 身体と学習(動きの再教育としてのフェルデンクライス) ② 気づきによる変化(Awareness Through Movement) ③ 習慣・自己イメージ・自己制御(動きと自己の再編成)
細目レベル
① 身体と学習(動きの再教育としてのフェルデンクライス)
フェルデンクライス・メソッドは、動きを通して神経系の働きを再編成し、より効率的で柔軟な行動を可能にすることを目的とした身体技法である。この方法では、問題を力で修正しようとするのではなく、動きのパターンに含まれる無意識の習慣に気づき、それを変化させることで全体の機能を改善することを目指す。重要なのは、身体を機械のように操作する対象としてではなく、「学習するシステム」として捉える視点である。本講義では、動きがどのように知覚や感情、認知と結びついているのかを検討し、身体の使い方の変化が心理的変化をもたらす可能性を理解する。
② 気づきによる変化(Awareness Through Movement)
フェルデンクライス・メソッドの中心的実践である「Awareness Through Movement(ATM)」では、ゆっくりとした微細な動きを通して、自身の身体の使い方に注意を向ける。このプロセスでは、正しい動きを習得することよりも、違いに気づき、選択肢を増やすことが重視される。無理に努力するのではなく、最小限の力で動くことにより、神経系は新たな可能性を探索しやすくなる。本講義では、動きの中で生じる感覚の変化に注意を向けることが、どのように自己の組織化を変えるのかを検討し、「気づき」が変化を生むメカニズムを身体レベルで理解する。
③ 習慣・自己イメージ・自己制御(動きと自己の再編成)
人間の動きには長年の経験によって形成された習慣が強く影響しており、それは姿勢や動作だけでなく、自己イメージや行動パターンにも関係している。フェルデンクライスは、自己イメージ(self-image)が動きの可能性を制限していると考え、それを変化させることで新しい行動の選択肢が生まれるとした。本講義では、動きの再学習がどのように自己認識や情動に影響を与えるのかを検討し、自己制御を「努力による制御」ではなく「選択肢の拡張」として捉える視点を提示する。また、第7回で扱った調整の原理と関連づけながら、動きを通した自己調整の特徴を明らかにする。
キーワード
① フェルデンクライス・メソッド ② 気づき(awareness) ③ 動きの再学習 ④ 習慣 ⑤ 自己イメージ
コマの展開方法
社会人講師
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教科書
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その他
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小テスト
復習・予習課題
[復習]この講義の文字教材を通読すること。講義内でスライドで画像等が紹介された場合はスライド資料も参照すること。わからなかった点については講義中に示された文献等を中心に調べること。復習においては、文字教材をChatGPTに読み込ませたうえで概要の理解および不明点の解消に務めること。そのうえで理解できなかった点や生じた疑問については記録し、次回講義前後に質問できるように準備しておくこと。
[予習]次回講義のシラバスを確認し、当該授業回に関連するキーワードについてよく調べておくこと。参考図書や論文が示されているときには、それを優先的に参照すること。調べて上で理解が難しい点や疑問を整理し、授業までにまとめておくこと。
11
アレクサンダー・テクニーク
科目の中での位置付け
本科目は大きく2つのパートに分かれている。講義前半では、心身の関わりについての研究、理論について紹介し、理解を深める。特に感情心理学や身体心理学の領域が重要となる。精神疾患と身体の関わりについても検討する。講義後半では、心身相関を背景にして実践される変容技法を紹介する。そこには、リラクセーション技法や臨床動作法、フェルデンクライス・メソッド、アレクサンダー・テクニーク、マインドフルネス、坐禅等が含まれる。これらの各論を通して類似点や相違点を知ることを通して、より立体的に身体を通した心の変容を理解していく。
コマ主題細目
① 習慣的反応と抑制(inhibition)の原理 ② 姿勢・方向づけと全体的協応(use of the self) ③ 自己制御としての「やめる」技法
細目レベル
① 習慣的反応と抑制(inhibition)の原理
アレクサンダー・テクニークは、無意識に繰り返される習慣的な身体反応に気づき、それを「抑制(inhibition)」することによって新たな行動の可能性を開く方法である。ここでいう抑制とは、何かを強制的に止めることではなく、刺激に対して即座に反応してしまう自動的パターンを一旦保留することである。人は長年の経験の中で効率的だと思い込んだ動きや姿勢を固定化してしまうが、それがかえって過剰な緊張や非効率を生むことがある。本講義では、こうした習慣的反応の構造を理解し、「反応しない余地」を持つことが自己制御の出発点であることを検討する。
② 姿勢・方向づけと全体的協応(use of the self)
アレクサンダーは、人間の身体機能を個別の部位ではなく、全体としての協応(coordination)として捉えた。特に頭・首・背骨の関係(primary control)は全身のバランスに大きな影響を与えるとされ、姿勢や動きは局所的に修正するのではなく、全体的な「使い方(use)」を再組織化する必要がある。本講義では、姿勢を固定的な形としてではなく、環境との関係の中で常に変化する動的なプロセスとして理解し、身体の各部分がどのように協働しているのかを検討する。また、意識的な「方向づけ(direction)」が身体の使い方にどのように影響を与えるのかを考察する。
③ 自己制御としての「やめる」技法
アレクサンダー・テクニークの特徴は、「何かをする」ことではなく「余計なことをやめる」ことによって変化を生む点にある。多くの場合、人は問題を解決しようとして新たな努力を加えるが、それが既存の不適切な習慣を強化してしまうことがある。本講義では、「doing(行うこと)」ではなく「non-doing(しないこと)」の重要性に注目し、自己制御を「抑制と選択のプロセス」として再定義する。また、第10回のフェルデンクライス・メソッドと比較しながら、気づきによる変化と抑制による変化の違いと共通点を整理し、身体を通した自己調整の多様なあり方を理解する。
キーワード
① アレクサンダー・テクニーク ② 抑制(inhibition) ③ 習慣 ④ 姿勢と協応 ⑤ use of the self
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
[復習]この講義の文字教材を通読すること。講義内でスライドで画像等が紹介された場合はスライド資料も参照すること。わからなかった点については講義中に示された文献等を中心に調べること。復習においては、文字教材をChatGPTに読み込ませたうえで概要の理解および不明点の解消に務めること。そのうえで理解できなかった点や生じた疑問については記録し、次回講義前後に質問できるように準備しておくこと。
[予習]次回講義のシラバスを確認し、当該授業回に関連するキーワードについてよく調べておくこと。参考図書や論文が示されているときには、それを優先的に参照すること。調べて上で理解が難しい点や疑問を整理し、授業までにまとめておくこと。
12
ソマティック・エクスペリエンシング
科目の中での位置付け
本科目は大きく2つのパートに分かれている。講義前半では、心身の関わりについての研究、理論について紹介し、理解を深める。特に感情心理学や身体心理学の領域が重要となる。精神疾患と身体の関わりについても検討する。講義後半では、心身相関を背景にして実践される変容技法を紹介する。そこには、リラクセーション技法や臨床動作法、フェルデンクライス・メソッド、アレクサンダー・テクニーク、マインドフルネス、坐禅等が含まれる。これらの各論を通して類似点や相違点を知ることを通して、より立体的に身体を通した心の変容を理解していく。
コマ主題細目
① トラウマと身体(神経系の固定化としての理解) ② ソマティック・エクスペリエンシングの基本原理(感覚への接近と調整) ③ 微細な変化と回復(調整のプロセスとしての身体)
細目レベル
① トラウマと身体(神経系の固定化としての理解)
トラウマは単なる心理的記憶ではなく、身体および神経系に刻まれた未完了の反応として理解される。強いストレスや脅威に直面した際、本来であれば逃走や闘争によって解消されるはずのエネルギーが適切に処理されない場合、神経系は過剰な覚醒状態(過活動)や逆に極端な抑制状態(凍結)に固定されることがある。本講義では、自律神経系の観点からトラウマ反応を整理し、症状を「異常」ではなく「未完了の適応反応」として捉える視点を導入する。また、身体に残された緊張や感覚がどのように現在の情動や行動に影響を与えるのかを検討する。
② ソマティック・エクスペリエンシングの基本原理(感覚への接近と調整)
ソマティック・エクスペリエンシング(SE)は、身体感覚への注意を通して神経系の調整を回復することを目的としたアプローチである。その特徴は、強い感情や記憶に直接向かうのではなく、身体に現れる微細な感覚に注意を向け、それを安全な範囲で行き来しながら処理を進める点にある(ティトレーション、ペンデュレーション)。本講義では、こうしたプロセスを「接近と離脱のリズム」として理解し、身体感覚に対する適切な関わり方がどのように過剰な反応を調整するのかを検討する。また、第7回のエクスポージャーとの違いとして、「強度」ではなく「調整可能性」が重視される点にも注目する。
③ 微細な変化と回復(調整のプロセスとしての身体)
SEでは、大きな変化や劇的なカタルシスではなく、身体に生じる微細な変化(呼吸の変化、温度感覚、わずかな動きなど)を重視する。これらの変化は、神経系が安全な状態へと移行しつつある兆候と捉えられ、そこに注意を向けることで回復のプロセスが強化される。本講義では、変化を「起こす」ものではなく「生じるもの」として捉える視点を提示し、自己制御を「制御すること」ではなく「調整が起こる条件を整えること」として再定義する。また、フェルデンクライスやアレクサンダーとの比較を通じて、身体へのアプローチの多様性と共通原理を整理する。
キーワード
① ソマティック・エクスペリエンシング ② トラウマ ③ 自律神経系 ④ ティトレーション ⑤ ペンデュレーション
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
[復習]この講義の文字教材を通読すること。講義内でスライドで画像等が紹介された場合はスライド資料も参照すること。わからなかった点については講義中に示された文献等を中心に調べること。復習においては、文字教材をChatGPTに読み込ませたうえで概要の理解および不明点の解消に務めること。そのうえで理解できなかった点や生じた疑問については記録し、次回講義前後に質問できるように準備しておくこと。
[予習]次回講義のシラバスを確認し、当該授業回に関連するキーワードについてよく調べておくこと。参考図書や論文が示されているときには、それを優先的に参照すること。調べて上で理解が難しい点や疑問を整理し、授業までにまとめておくこと。
13
臨床動作法
科目の中での位置付け
本科目は大きく2つのパートに分かれている。講義前半では、心身の関わりについての研究、理論について紹介し、理解を深める。特に感情心理学や身体心理学の領域が重要となる。精神疾患と身体の関わりについても検討する。講義後半では、心身相関を背景にして実践される変容技法を紹介する。そこには、リラクセーション技法や臨床動作法、フェルデンクライス・メソッド、アレクサンダー・テクニーク、マインドフルネス、坐禅等が含まれる。これらの各論を通して類似点や相違点を知ることを通して、より立体的に身体を通した心の変容を理解していく。
コマ主題細目
① 臨床動作法の理論と背景(動作を通した心理理解) ② 動作と情動の関係(身体からの自己調整) ③ 意図・体験・関係性(動作法のプロセス)
細目レベル
① 臨床動作法の理論と背景(動作を通した心理理解)
臨床動作法は、日本において成瀬悟策によって開発された心理療法であり、身体の動作に働きかけることで心理的変容を促すことを目的とする。本法では、筋緊張や姿勢、動作のパターンに個人の心理状態が反映されていると考え、それらに対する働きかけを通して心身の調整を図る。特徴的なのは、言語的理解よりも体験を重視し、クライエント自身が動作を通して「できた」「変わった」と感じることを変化の基盤とする点である。本講義では、臨床動作法を単なるリハビリテーションや運動技法ではなく、身体を媒介とした心理的プロセスとして位置づけ、その理論的背景を検討する。
② 動作と情動の関係(身体からの自己調整)
臨床動作法では、特定の動作課題(例えば腕を上げる、力を抜くなど)に取り組む中で、筋緊張や呼吸、注意のあり方が変化し、それに伴って情動や自己感覚も変容することが重視される。この過程では、単に身体を動かすのではなく、「どのように動かすか」「どこに力が入っているか」といった内的体験への気づきが重要となる。本講義では、動作を通して身体状態を調整することがどのように情動調整につながるのかを検討し、第7回で扱った自己制御の原理と関連づけながら、身体からのアプローチの意義を明らかにする。
③ 意図・体験・関係性(動作法のプロセス)
臨床動作法においては、単に動作を行うだけでなく、「どのような意図で動くか」「その体験をどのように受け取るか」が重要な要素となる。また、多くの場合、セラピストとの関係の中で動作が行われ、その関係性自体が安心感や調整を支える役割を果たす。本講義では、動作法を「意図・身体体験・対人関係」が相互に作用するプロセスとして理解し、身体を通した変化がどのように自己感覚の再編成につながるのかを検討する。さらに、これまで扱ってきた他の身体技法と比較しながら、動作法の独自性と共通性を整理する。
キーワード
① 臨床動作法 ② 動作 ③ 筋緊張 ④ 情動調整 ⑤ 体験
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
[復習]この講義の文字教材を通読すること。講義内でスライドで画像等が紹介された場合はスライド資料も参照すること。わからなかった点については講義中に示された文献等を中心に調べること。復習においては、文字教材をChatGPTに読み込ませたうえで概要の理解および不明点の解消に務めること。そのうえで理解できなかった点や生じた疑問については記録し、次回講義前後に質問できるように準備しておくこと。
[予習]次回講義のシラバスを確認し、当該授業回に関連するキーワードについてよく調べておくこと。参考図書や論文が示されているときには、それを優先的に参照すること。調べて上で理解が難しい点や疑問を整理し、授業までにまとめておくこと。
14
エモーション・フォーカスト・セラピー
科目の中での位置付け
本科目は大きく2つのパートに分かれている。講義前半では、心身の関わりについての研究、理論について紹介し、理解を深める。特に感情心理学や身体心理学の領域が重要となる。精神疾患と身体の関わりについても検討する。講義後半では、心身相関を背景にして実践される変容技法を紹介する。そこには、リラクセーション技法や臨床動作法、フェルデンクライス・メソッド、アレクサンダー・テクニーク、マインドフルネス、坐禅等が含まれる。これらの各論を通して類似点や相違点を知ることを通して、より立体的に身体を通した心の変容を理解していく。
コマ主題細目
① 感情の機能と分類(一次感情・二次感情) ② 感情処理と身体(情動への接近と変容) ③ 身体・感情・意味の統合(EFTにおける自己変容)
細目レベル
① 感情の機能と分類(一次感情・二次感情)
エモーション・フォーカスト・セラピー(EFT)は、感情を単なる反応ではなく、適応的な情報源として捉える心理療法である。本講義ではまず、感情を一次感情(状況に対する直接的で適応的な反応)と二次感情(一次感情に対する防衛的反応)に区別する枠組みを導入する。例えば、怒りの背後に恐れや悲しみが存在する場合、表面的な感情だけに対処しても十分な変化は生じない。本講義では、感情の機能を理解することで、どの感情に接近する必要があるのかを見極める視点を提示し、感情を自己制御の障害ではなく資源として再評価する。
② 感情処理と身体(情動への接近と変容)
EFTにおいて重要なのは、感情を認知的に分析することではなく、身体に生じている感覚としての感情を十分に体験することである。このプロセスでは、身体感覚に注意を向けながら感情に接近し、それを安全な文脈の中で経験し直すことが重視される。本講義では、感情処理を「身体感覚への接近と変容のプロセス」として理解し、第7回のエクスポージャーや第9回のフォーカシングとの関連を整理する。また、感情を抑制するのではなく、適切に活性化し再構成することによって変化が生じるという点に注目する。
③ 身体・感情・意味の統合(EFTにおける自己変容)
EFTの最も重要な特徴は、身体感覚、感情、意味づけの三者が統合されるプロセスを重視する点にある。感情が十分に体験されると、それに対応する新たな意味や自己理解が生まれ、それが行動の変化へとつながる。本講義では、このプロセスを「体験→意味→変容」という連続的な流れとして整理し、これまで扱ってきたマインドフルネス、フォーカシング、ソマティックアプローチとの共通性を明らかにする。また、自己制御を単なる抑制ではなく、感情を含めた全体的な再組織化として捉える視点を提示する。
キーワード
① エモーション・フォーカスト・セラピー(EFT) ② 一次感情/二次感情 ③ 感情処理 ④ 身体感覚 ⑤ 意味の再構成
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
復習・予習課題
[復習]この講義の文字教材を通読すること。講義内でスライドで画像等が紹介された場合はスライド資料も参照すること。わからなかった点については講義中に示された文献等を中心に調べること。復習においては、文字教材をChatGPTに読み込ませたうえで概要の理解および不明点の解消に務めること。そのうえで理解できなかった点や生じた疑問については記録し、次回講義前後に質問できるように準備しておくこと。
[予習]次回講義のシラバスを確認し、当該授業回に関連するキーワードについてよく調べておくこと。参考図書や論文が示されているときには、それを優先的に参照すること。調べて上で理解が難しい点や疑問を整理し、授業までにまとめておくこと。
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まとめ
科目の中での位置付け
本科目は大きく2つのパートに分かれている。講義前半では、心身の関わりについての研究、理論について紹介し、理解を深める。特に感情心理学や身体心理学の領域が重要となる。精神疾患と身体の関わりについても検討する。講義後半では、心身相関を背景にして実践される変容技法を紹介する。そこには、リラクセーション技法や臨床動作法、フェルデンクライス・メソッド、アレクサンダー・テクニーク、マインドフルネス、坐禅等が含まれる。これらの各論を通して類似点や相違点を知ることを通して、より立体的に身体を通した心の変容を理解していく。
コマ主題細目
① 理論と技法の統合(身体心理学の全体像) ② 自己制御の再定義(身体・感情・認知の循環モデル) ③ 個人への応用(自分自身の自己調整モデルの構築)
細目レベル
① 理論と技法の統合(身体心理学の全体像)
本講義ではこれまで、心身論の歴史、身体化認知、ソマティックマーカー仮説、予測符号化理論といった理論的枠組みと、マインドフルネス、フォーカシング、フェルデンクライス、アレクサンダー・テクニーク、ソマティック・エクスペリエンシング、臨床動作法、EFTなどの実践技法を扱ってきた。本回では、それらを個別に振り返るのではなく、「身体を基盤とした心の理解」という共通の視点から再統合する。各理論や技法がどのレベル(注意・感情・動作・神経系など)に働きかけているのかを整理し、身体心理学の全体構造を明確にすることで、知識を体系的に理解することを目指す。
② 自己制御の再定義(身体・感情・認知の循環モデル)
本授業の中心テーマである自己制御を、改めて身体・感情・認知の相互作用として再定義する。従来の自己制御は意志や認知的統制として理解されることが多いが、本講義では、身体状態の調整、感情の体験と処理、意味づけの更新が循環的に作用するプロセスとして捉える。例えば、呼吸や姿勢を変えることが感情に影響し、その感情が新たな認知的解釈を生み、再び身体状態に影響を与えるという循環である。本講義では、このようなモデルを通して、自己制御を固定的な能力ではなく、動的で調整可能なプロセスとして理解する。
③ 個人への応用(自分自身の自己調整モデルの構築)
最後に、これまで学んだ理論と技法をもとに、各自が自分自身の自己調整モデルを構築することを目指す。どのような状況でストレスや不調が生じやすいのか、どのような身体感覚や感情がそれに伴うのかを振り返り、それに対してどのアプローチが有効であるかを考える。本講義では、知識を一般的理解にとどめるのではなく、自分自身の体験に結びつけることで、実際に活用可能な形へと転換することを重視する。また、身体への気づきと働きかけを継続的に行うことの意義についても確認し、今後の学習や実践への展望を提示する。
キーワード
① 身体心理学 ② 自己制御 ③ 統合 ④ 身体・感情・認知 ⑤ 循環モデル
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
小テストは、
復習・予習課題
[復習]この講義の文字教材を通読すること。講義内でスライドで画像等が紹介された場合はスライド資料も参照すること。わからなかった点については講義中に示された文献等を中心に調べること。復習においては、文字教材をChatGPTに読み込ませたうえで概要の理解および不明点の解消に務めること。そのうえで理解できなかった点や生じた疑問については記録し、次回講義前後に質問できるように準備しておくこと。
[予習]次回講義のシラバスを確認し、当該授業回に関連するキーワードについてよく調べておくこと。参考図書や論文が示されているときには、それを優先的に参照すること。調べて上で理解が難しい点や疑問を整理し、授業までにまとめておくこと。
履修判定指標
評価方法
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
参考文献
実験・実習・教材費