区分
陸域フィールド科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
自然と生物の専門知識
フィールド生物調査
環境データ解析
自然共生社会
カリキュラム・ポリシーとの関係
教養
分析思考
実践技能
フィールド間連携
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
フィールド自然学科は、自然と人間が共存できる社会を目指し、科学的知見に基づいた教育と研究を行っている。陸域・水域・農業の3つの分野についてくわしく学び、さらに統計データ解析や幅広い教養を育むカリキュラムを編成している。また、柔軟な考え方や実践的な提案をする力を育てるために、学科共通の授業や複数の分野に関わる授業も用意されている。これにより、幅広い視野を持ち、さまざまな課題に対応できる人材を育成する。
環境問題に関する個人・社会・自然が直面する課題に対して専門的な理解を深めると共に、学際的な柔軟性を有し、実践的な能力を有する。企業・地域社会などのあらゆるコミュニティに寄与する組織的な活動能力を有する。本学科におけるフィールドの多くは野外(野生生物)であるが、動物園や水族館といった飼育施設も動物に関する一つのフィールドである。本科目では、動物の行動を詳細に観察することができる動物園や水族館といった飼育施設のあり方や実際に訪問し観察を行うことで、後年次における「動物行動学」や「海の大型動物生態学」へと発展していく基礎能力となる。
科目の目的
本科目は、調査フィールドの一つとなる飼育施設及び飼育動物について学ぶとともに、動物を調査する記録方法の基礎とレポートの書き方を学ぶ。これらの学びは、3年次以降で取り組む卒業論文の基礎となる。また、本学で動物について学んだことを活かせる就職先のひとつである動物園や水族館の社会的使命を学ぶことは、将来の職業選択にも大きく寄与する。具体的には、飼育施設のあり方、動物福祉、飼育職員の実務、行動観察手法、観察に基づいた科学レポートの作成法を習得する。これらの演習を通して、人と動物の関係の形を考える知識を習得する。また科学的手法だけではなく、その手法に基づいて得られた結果を科学的な日本語表現にて表現するとともに、結果の正しい解釈の仕方や、結果から結論を導く論理的思考力を養うことを目的とする。
到達目標
目標は大きく分けると5つである。①動物園・水族館の社会的役割を国際比較の視点から理解し、保存・教育・研究・レクリエーションの機能を批判的に説明できる。② 動物福祉の理念(WOAHの定義、5つの自由/5つの領域)を理解し、環境エンリッチメントや個体管理の事例と結びつけて論じることができる。③ ティンバーゲンの「4つの問い」に基づいて研究目的を明確化し、仮説や観察法・記録法を根拠を示して選択できる実践的能力を修得する。④ 動物園でのマナーを遵守し、予備観察から本調査まで主体的に遂行できる。また、研究倫理と社会的責任を踏まえ、信頼性あるデータ収集を実践できる。⑤ 行動データを整形し、記述統計や図表で可視化して解釈できる。また、出典を明示し、剽窃を回避した論理的で再現性の高いレポートを作成できる。
科目の概要
本科目は、動物園や水族館をフィールドとして動物行動の観察手法を実践的に学ぶ演習である。まず、動物園・水族館の社会的役割を国際的視点から理解し、動物福祉の理念を具体事例と結び付けて考察する。次に、ティンバーゲンの「4つの問い」に基づく研究設計を行い、観察対象や目的に応じて適切な観察法・記録法を選択し、エソグラムやデータシートを用いた再現性の高い記録方法を習得する。実習では、動物飼育施設でのマナーや研究倫理を遵守し、予備観察から本調査まで主体的に遂行しながら、観察者間の信頼性を意識したデータ収集を行う。実習は愛媛県立とべ動物園において実施する。収集したデータを用いて、整理・統計処理し、図表による可視化と論理的記述を通じて、科学的に報告する力を育成する。
科目のキーワード
①動物園 ②動物福祉 ③行動観察 ④調査手法 ⑤解析手法
飼育施設のあり方(①②)から、実践による観察手法習得 (③④)、科学レポートの基礎(⑤)を身につける。
授業の展開方法
本科目は3部構成とし、第1部は教員による飼育施設とその役割についての講義およびゲストスピーカーによる飼育業務の実態についての講話、第2部は行動観察手法の指導と実践、第3部は行動データの集計とまとめから構成される。第1回から第6回については、主に講義形式で授業を展開する。第7回から第13回までは調査手法を修得したうえで、とべ動物園において実習をおこなう。第14回および第15回においては、得られた結果の解析およびそれらについてのまとめを実施する。ゲストスピーカーは、愛媛県立とべ動物園で教育普及活動に従事している専門職員(第4回)と仙台うみの杜水族館の獣医師(第6回)に依頼する。踊り場コマでは、振り返りの時間を設ける。
オフィス・アワー
吉田弥生:【前期】
自然共生社会
基礎ゼミナールⅠ
海の大型動物生態学
全科目:月曜~金曜の5限
【後期】
動物行動観察演習A・B
基礎ゼミナールⅡ
環境共生型社会のデザイン
動物行動学
全科目:月曜~金曜の5限
甲斐貴光:【前期】
農業基礎演習Ⅰ
農業地理学
基礎ゼミナールⅠ
土壌生態学
インターンシップⅠ
全科目:月曜昼~4限
【後期】
農業基礎演習Ⅱ
基礎ゼミナールⅡ
全科目:月曜1・2限
中村圭太:※できるだけ事前にメールしてください。
【前期】
動物の生態
基礎ゼミナールⅠ
全科目:木曜4・5限、金曜昼・5限
【後期】
人と自然
動物の行動学
全科目:火曜3・4限、水曜昼・3・4限
科目コード
TD2020
学年・期
1年・後期
科目名
動物行動観察演習A
単位数
2
授業形態
演習
必修・選択
選択
学習時間
【授業】90分×15 【予習】90分以上×15 【復習】90分以上×15
前提とする科目
展開科目
関連資格
担当教員名
吉田弥生・甲斐貴光・中村圭太
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
ガイダンス
科目の中での位置付け
本科目は、調査フィールドの1つとなる飼育施設及び飼育動物について学ぶとともに、動物を調査する観察・記録方法とデータのまとめ方を学ぶ。具体的には、飼育施設のあり方、飼育職員の実務、動物福祉、観察・記録手法、観察に基づいた科学レポートの基礎について修得する。本科目の学びは、2年次以降に開講される〈動物行動学〉や〈陸の動物学演習〉の基礎となる。また、動物にかんする学修をいかせる就職先のひとつである動物園や水族館の社会的使命を学ぶことは、将来の職業選択にも寄与する。
第1回の講義では、コマシラバスを用いて、本科目の目的や授業内容を確認する。主に行動観察手法を修得するための演習であること、行動観察をおこなうにあたり飼育施設を利用することになるため、飼育施設における諸問題について取り扱うことを中心にする。また、実地訪問による実習では交通費および入園料が必要となることから、費用負担に問題がないかの意思確認をおこなう。
◆コマ主題細目①
・コマ用オリジナル配布資料
◆コマ主題細目②
・コマ用オリジナル配布資料
◆コマ主題細目③
・トリストラム・D・ワイアット(著)『基礎からわかる動物行動学』、ニュートン新書、2022年、10-34頁
コマ主題細目
① シラバスの紹介 ② 野外実習と費用 ③ 動物行動学
細目レベル
① 本科目の授業は、「講義」と「実習」で構成される。授業ではオリジナルの文章教材を用い、シラバスの「コマ主題細目」に沿って進める。本科目は3部構成になっており、第1部では動物飼育施設について、第2部では動物行動研究について、第3部では行動データの分析とまとめについて解説する。各コマは「解説」「まとめ」「予習復習」で構成され、段階的に知識を深める仕組みになっている。授業の冒頭10分間で、その回の内容の全体像や重要ポイントを示し、続く60分間で細目レベルの解説と練習問題を通じて理解を確認する。その後、要点を整理し、まとめをおこなう。授業の終盤10分間には、学んだ内容を振り返り、小テストで理解度を客観的に確認したうえで、解答・解説を実施する。
② 実習では「愛媛県立とべ動物園」を訪問し、展示されている哺乳類や鳥類を中心に動物の行動観察をおこなう。授業では、スキャンサンプリングやフォーカルサンプリングといった基礎的な観察手法を取り上げ、受講者は現場でそれらを実際に試みる。観察内容はデータシートに記録し、行動の種類や頻度を整理するが、統計的な分析までは扱わず、観察と記録の基本を理解することを主眼とする。また、現場では一般来園者の一員としてマナーを守り、他の来園者や動物に配慮した行動を徹底する。なお、本実習に必要な入園料および交通費は各自で負担することとし、授業料には含まれない。費用の目安や集合・解散場所については事前に案内する。受講者は、費用を含めた準備を整え、動物行動学を実地で学ぶ貴重な機会に参加することが求められる。
③ 動物行動学がどのような学問領域であるかを概観し、動物の行動を自然史的かつ科学的に研究する意義について述べる。さらに、行動研究の基本的視点として知られるティンバーゲンの「4つの問い」(至近要因、発達要因、機能要因、進化要因)を取り上げ、それぞれが行動を説明する異なる視点であることを概説する。これにより、単一の観察結果であっても多様な解釈が可能であることを示し、行動学が多面的なアプローチを必要とする学問であることを学修する。ただし、詳細な理論的背景や統計的分析手法にまでは踏み込まず、受講者が今後実際に取り組む観察演習の意義や目的を把握できる程度の紹介にとどめる。受講者は、この導入を通じて動物行動研究の基礎的視点を理解し、以降の実習に主体的かつ積極的に取り組む姿勢を養うことを目標とする。
キーワード
① シラバス ② 動物飼育施設 ③ 行動観察 ④ 動物行動学 ⑤ テインバーゲンの「4つの問い」
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
◆今回授業の復習
授業内でも確認したが、改めてシラバスを確認しておくこと。特に「授業の展開方法」および第1~15回の内容に一通り目を通し、本科目が第1部「動物飼育施設」、第2部「行動観察の手法」、第3部「行動観察の実践とまとめ」という3部構成で進行することを把握し、講義全体の流れをイメージしておくことが重要である。復習については、文字教材の復習課題を読み、内容が理解できているかを確認するとともに、シラバスに示された「履修判定指標」と照らし合わせて自己点検すること。さらに、第1回の要点や重要なポイントを各自でノートに整理し、理解を定着させることを求める。加えて、学びを深めたい場合は、シラバスに記載されている「参考文献」を大学図書館などで借りて読み込むことを推奨する。また、文字教材の解説や練習問題を見直すだけでなく、ChatGPTを活用して自ら約20問の練習問題を作成・解答し、その後に解答や解説を確認することで、知識をより確実に定着させることができる。
◆次回授業の予習
次回は動物園や水族館の役割について扱う。動物園水族館にかんする国内の組織に日本動物園水族館協会が存在する。この協会のホームページ(https://www.jaza.jp/)にアクセスし、動物園水族館協会が掲げる飼育施設のあるべき姿について、関連ページに目を通しておくこと。また、次回の授業範囲に対応する文字教材を事前に読み、基本的な用語や概念を確認しておくこと。特に不明な点や疑問点があれば、授業中に質問できるよう整理しておくと効果的である。これにより授業内容の理解が深まり、能動的な学びにつながる。また、シラバスの「履修判定指標」を読み、授業における要点を自ら確認しておくこと。
2
動物園・水族館の意義と役割
科目の中での位置付け
本科目は、調査フィールドの1つとなる飼育施設及び飼育動物について学ぶとともに、動物を調査する観察・記録方法とデータのまとめ方を学ぶ。具体的には、飼育施設のあり方、飼育職員の実務、動物福祉、観察・記録手法、観察に基づいた科学レポートの基礎について修得する。本科目の学びは、2年次以降に開講される〈動物行動学〉や〈陸の動物学演習〉の基礎となる。また、動物にかんする学修をいかせる就職先のひとつである動物園や水族館の社会的使命を学ぶことは、将来の職業選択にも寄与する。
第2回は、本授業では、動物園・水族館を単なる娯楽施設ではなく、教育・研究・保存・レクリエーションを担う複合的施設として学ぶ。絶滅危惧種の保護や環境教育、生態研究の意義を理解するとともに、都市社会における自然との接点や癒しの場としての役割を考察する。また、日本とヨーロッパの施設の特徴や文化的背景の違いを比較し、動物園・水族館の社会的意義を国際的かつ多角的に捉える力を養うことを目標とする。
◆コマ主題細目①
・佐渡友陽一『動物園を考える-日本と世界の違いを超えて』、東京大学出版会、2022年、1-23頁
◆コマ主題細目②
・佐渡友陽一『動物園を考える-日本と世界の違いを超えて』、東京大学出版会、2022年、1-23頁
◆コマ主題細目③
・佐渡友陽一『動物園を考える-日本と世界の違いを超えて』、東京大学出版会、2022年、1-23頁
コマ主題細目
① 動物園・水族館の歴史的背景 ② 動物園・水族館の捉え方 ③ 動物園・水族館の意義と役割
細目レベル
① 動物園・水族館の成立と展開を歴史的に考察する。まず古代エジプトや中国に見られる王侯貴族による動物コレクションを出発点とし、15世紀以降のヨーロッパにおける自然科学の発展と探検活動が動物園の成立に与えた影響を取り上げる。特に、18~19世紀の学会設立と研究資料の蓄積を背景に誕生した近代動物園について、ロンドン動物学協会およびロンドン動物園を事例に検討し、学術研究・教育機関としての役割を確認する。次に、日本の動物園・水族館の起源を明治期に位置づけ、ウィーン万国博覧会への出品を契機とした上野動物園・水族館の設立過程を学ぶ。そのうえで、欧米の学術的伝統との違いや、日本において「動物飼育学」が発展する一方で娯楽性が強調されるに至った歴史的背景を整理する。授業では、動物園が文化施設・研究拠点・娯楽空間として持つ多面的性格を理解するとともに、その社会的意義と課題を考察することを目的とする。
② 日本および世界における動物園・水族館の位置づけを、法制度と業界の枠組みの両面から考察する。まず日本国内について、『博物館法』『動物愛護法』『都市公園法』『種の保存法』など関連法令を取り上げ、そこに「動物園」「水族館」の明確な定義が存在しないことを確認する。そのうえで、JAZAの設立目的と役割、加盟園と非加盟園の違い、観光牧場やふれあい施設など境界事例を検討し、「何をもって動物園と呼ぶのか」という課題を考える。続いて国際的な視点に移り、アメリカにおけるAZAとロードサイドzooの問題、ZAAとの関係、またヨーロッパのEAZAやドイツの複数団体の存在を紹介する。さらに「zoo」という言葉の歴史的背景や「メナジェリー」との区別、WAZAが提唱する「真の動物園(bona fide zoo)」の理念を通じ、動物園のブランド性と社会的責任を論じる。
③ 動物園および水族館が果たす4つの主要な役割について体系的に学ぶ。第一に「種の保存」として、絶滅危惧種の保護や繁殖の取り組みを通じて次世代へ生物多様性を継承する仕組みを理解する。第二に「教育」として、動物を実際に観察・体験することが環境問題や人間の自然観の形成にどのように寄与するかを考察する。第三に「研究」として、野生動物の捕獲を避けながら飼育下で繁殖や長寿を可能にする生態研究の意義を学ぶ。第四に「レクリエーション」として、都市生活における癒やしや憩いの場としての機能を検討する。これらを通して、動物園・水族館が「種の保存」「教育」「研究」「娯楽」を兼ね備えた複合的施設として、人と自然をつなぐ役割を果たしていることを理解し、その現代的意義を多角的に捉える力を養うことを目標とする。
キーワード
① 動物園 ② 水族館 ③ 種の保存 ④ 研究活動 ⑤ 教育活動
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
◆今回授業の復習
授業内でも確認したが、改めてシラバスを確認しておくこと。特に「授業の展開方法」および第1~15回の内容に一通り目を通し、本科目が第1部「動物飼育施設」、第2部「行動観察の手法」、第3部「行動観察の実践とまとめ」という3部構成で進行することを把握し、講義全体の流れをイメージしておくことが重要である。復習については、文字教材の復習課題を読み、内容が理解できているかを確認するとともに、シラバスに示された「履修判定指標」と照らし合わせて自己点検すること。さらに、第2回の要点や重要なポイントを各自でノートに整理し、理解を定着させることを求める。加えて、学びを深めたい場合は、シラバスに記載されている「参考文献」を大学図書館などで借りて読み込むことを推奨する。また、文字教材の解説や練習問題を見直すだけでなく、ChatGPTを活用して自ら約20問の練習問題を作成・解答し、その後に解答や解説を確認することで、知識をより確実に定着させることができる。
◆次回授業の予習
次回の授業範囲に対応する文字教材を事前に読み、基本的な用語や概念を確認しておくこと。特に不明な点や疑問点があれば、授業中に質問できるよう整理しておくと効果的である。これにより授業内容の理解が深まり、能動的な学びにつながる。また、シラバスの「履修判定指標」を読み、授業における要点を自ら確認しておくこと。
3
動物福祉
科目の中での位置付け
本科目は、調査フィールドの1つとなる飼育施設及び飼育動物について学ぶとともに、動物を調査する観察・記録方法とデータのまとめ方を学ぶ。具体的には、飼育施設のあり方、飼育職員の実務、動物福祉、観察・記録手法、観察に基づいた科学レポートの基礎について修得する。本科目の学びは、2年次以降に開講される〈動物行動学〉や〈陸の動物学演習〉の基礎となる。また、動物にかんする学修をいかせる就職先のひとつである動物園や水族館の社会的使命を学ぶことは、将来の職業選択にも寄与する。
第3回は、動物福祉について取り上げる。動物を飼育する施設では、生命ある存在をどのように扱い、いかに尊重するかという視点が常に問われる。単なる飼育技術にとどまらず、心身の健全性を確保する環境づくりが重要であり、近年は行動の多様性を引き出す「エンリッチメント」に関する議論が避けられない課題となっている。「動物愛護」が人間の感情的配慮を含むのに対し、「生命の権利」は動物そのものの存在価値をどう解釈するかという根源的な問いを提起する。この倫理的視点を踏まえ、飼育施設における動物の扱い方を考察し、動物福祉の概念を解説する。
◆コマ主題細目①
新村毅(編)『動物福祉学』、昭和堂、2022年、1-16頁
◆コマ主題細目②
新村毅(編)『動物福祉学』、昭和堂、2022年、17-21頁
◆コマ主題細目③
新村毅(編)『動物福祉学』、昭和堂、2022年、22-28頁
◆コマ主題細目④,⑤
新村毅(編)『動物福祉学』、昭和堂、2022年、225-253頁
コマ主題細目
① 動物福祉とは ② 動物への配慮の歴史(世界) ③ 動物への配慮の歴史(日本) ④ 動物福祉の基本原則 ⑤ 動物園水族館の福祉
細目レベル
① 動物福祉とは、動物の身体的・精神的状態を含む「動物の状態」を指し、その生活や死の状況も含めた広い概念である。広辞苑では福祉は「幸福」とされ、英語の“welfare”も「健康で幸福かつ安楽な生活状態」と訳される。中でも世界動物保健機構(WOAH)の定義が最も広く知られ、「動物の生活と死に関連する身体的・心理的状態」と明記されている。この定義に基づけば、動物の立場に立ち、環境・身体・精神を含む連続的な状態を理解し改善することが福祉の向上に繋がる。また、動物福祉は「不快の最小化」「快の最大化」を目指すものであり、必ずしもストレスゼロを意味しない。欲求が満たされたときに得られる多幸感も福祉の一部とされ、画一的な尺度ではなく、連続的な視点で捉える必要があることを理解する。
② 古代ギリシアのアリストテレスは、「動物は、感覚はあるが理性がなく、人間のための資源」と位置づけた。デカルトも動物を「精神を持たぬ機械」とし、動物の苦痛を否定した。このような思想の影響下、西欧では動物虐待が長く続いたが、17〜18世紀に人権思想や平等思想が台頭し、ダーウィンの進化論により人間と動物の連続性が科学的に支持されると、配慮の対象が「苦痛を感じるか否か」へと転換していく。1822年にはイギリスで世界初の動物虐待防止法が成立し、1964年の『アニマルマシーン』が集約畜産を批判し、集約畜産法が社会問題化していく。1965年にイギリスで発表された「ブランベルレポート」では、動物福祉を科学的根拠に基づく身体的・精神的良好な状態と定義し、その後の欧州各国の動物保護法整備に影響を与えた。こうして主観的な倫理観でもあった動物福祉の思想は、欧州で科学的・客観的な概念として確立され、国際的に広がっていった。20世紀に入り、動物への配慮が社会的関心を集め、研究者は動物福祉を、活動家は動物の権利(アニマルライツ)を提唱した。哲学者ピーター・シンガーは、人間と動物を区別するのは差別であり、動物にも命を奪われない権利があると主張した。動物の権利運動は畜産・動物実験・狩猟などの動物利用全般を否定し、現在はビーガンを推奨している。一方、動物福祉は動物の利用を認めた上でその扱いに配慮する立場をとる。
③ 動物福祉は西洋で生まれた概念だが、日本にも「動物愛護」と呼ばれる独自の動物への配慮の思想が存在する。神道では自然や動物に神が宿るとされ、仏教では不殺生を重んじる教えがあり、これが動物愛護の起源とされる。明治以降、西洋の影響を受けた動物愛護団体が誕生し、戦後にはGHQの支援を受けた動物愛護協会や動物福祉協会が設立された。1973年には動物保護法が制定され、現在の「動物の愛護および管理にかんする法律」へと発展した。日本の動物愛護は「命あるもの」としての動物に焦点を当て、人間の「かわいがり」や保護の姿勢が特徴である。一方、動物福祉は動物を「意識ある存在」としての状態に注目する。日本の動物愛護は、西洋の動物福祉の考え方を取り込みつつ、今もなお進化し続ける日本独自の思想であることを理解する。
④ 動物福祉の基本理念には「5つの自由」があり、これは動物が健康・快適で、安全に過ごせる状態を示すもので、痛みや恐怖から解放され、重要な行動を発現できることが求められている。これを達成するには、医療や避難所、栄養、環境など複数の観点から配慮が必要とされる。「5つの自由」はイギリスの家畜福祉委員会(FAWC)がブランベルレポートを基に整理したもので、国際的にも広く認知されている。しかし、5つの自由は負の側面にのみ注目したものであるとの指摘もある。近年では、動物の負の側面だけでなく、正の経験にも注目するため、ニュージーランドのメラー博士により「5つの領域」モデルも提案されました。これは栄養・環境・健康・行動という外的要因が、精神的領域に影響を与え、動物福祉の全体像を捉えるという視点であり、より理解しやすい評価手法として認知されている。
⑤ 動物園や水族館は、古くは権力者の誇示のために動物を展示する施設だったが、18世紀以降は研究や教育、保全を目的とする施設へと変化した。現在では動物福祉の重要性が増し、特に1980年代以降、福祉の不備が社会問題化した。EUや英国では厳格な法律が整備され、開設には査察が必要とされている。一方、日本では法整備や専門知識のある管理者の不足が課題となっている。2023年には日本動物園水族館協会(JAZA)が動物福祉監査制度を開始した。福祉上の課題として、栄養、防疫、行動、環境管理、繁殖の5点があり、それぞれに問題がある。解決策として、動物の自然な行動を引き出す「環境エンリッチメント」や、人と動物の関係性を改善するトレーニングの導入がされている。これらの取り組みは福祉の向上に寄与する重要な手段とされており、次回以降の飼育員による講話でも話題となるため、十分に復習をしておいてほしい。
キーワード
① 動物福祉 ② ピーター・シンガー ③ 動物愛護 ④ 5つの領域 ⑤ 日本動物園水族館協会
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
◆今回授業の復習
授業内でも確認したが、改めてシラバスを確認しておくこと。特に「授業の展開方法」および第1~15回の内容に一通り目を通し、本科目が第1部「動物飼育施設」、第2部「行動観察の手法」、第3部「行動観察の実践とまとめ」という3部構成で進行することを把握し、講義全体の流れをイメージしておくことが重要である。復習については、文字教材の復習課題を読み、内容が理解できているかを確認するとともに、シラバスに示された「履修判定指標」と照らし合わせて自己点検すること。さらに、第3回の要点や重要なポイントを各自でノートに整理し、理解を定着させることを求める。加えて、学びを深めたい場合は、シラバスに記載されている「参考文献」を大学図書館などで借りて読み込むことを推奨する。また、文字教材の解説や練習問題を見直すだけでなく、ChatGPTを活用して自ら約20問の練習問題を作成・解答し、その後に解答や解説を確認することで、知識をより確実に定着させることができる。
◆次回授業の予習
次回は、愛媛県立とべ動物園の専門職員による講話を聴講する。講話に臨むにあたり、動物園の役割や動物福祉の視点について自ら考えを深めておくことが重要である。そこで、以下の問いについて、これまでの経験や自分の考えに基づき、各100字程度でまとめなさい。
1.あなたが動物園で最も印象に残っている展示は何か。その理由も含めて説明しなさい。
2.動物の「福祉」を考えたとき、動物園での飼育にはどのような工夫が必要だと思うか。
3.公営動物園と私営動物園では、どのような違いがあると予想されるか。
この課題を通じて、講話内容をより主体的に理解できるよう準備しておくこと。
4
動物飼育現場の声を聞こう(1)愛媛県立とべ動物園
科目の中での位置付け
本科目は、調査フィールドの1つとなる飼育施設及び飼育動物について学ぶとともに、動物を調査する観察・記録方法とデータのまとめ方を学ぶ。具体的には、飼育施設のあり方、飼育職員の実務、動物福祉、観察・記録手法、観察に基づいた科学レポートの基礎について修得する。本科目の学びは、2年次以降に開講される〈動物行動学〉や〈陸の動物学演習〉の基礎となる。また、動物にかんする学修をいかせる就職先のひとつである動物園や水族館の社会的使命を学ぶことは、将来の職業選択にも大きく寄与する。
第4回では、愛媛県立とべ動物園に勤務する専門職員をゲストスピーカーとして迎え、動物園が果たす社会的役割や現場における動物の飼育・管理の実態にかんする講話を聴く。これにより、受講者は飼育施設や飼育動物に対する理解を深めることができる。特に、動物福祉の理念やそれに基づく飼育環境の整備、動物の行動特性に応じた日々の対応など、実践的な知見について学ぶ機会となる。
◆コマ主題細目①~④
・コマ用オリジナル配布資料
コマ主題細目
① 動物園の社会的役割 ② とべ動物園における動物福祉への取り組み ③ とべ動物園で実施している研究例 ④ 飼育員や実習生として求められる人物像
細目レベル
① 現代社会における動物園の主要な社会的役割について、多面的な視点から解説する。まず「種の保存」では、絶滅危惧種を対象とした国際的な繁殖計画や、個体群の遺伝的多様性を長期的に維持するための遺伝管理の手法、さらに野生復帰事業との連携事例を紹介する。「環境教育」では、来園者が動物との出会いを通して自然や生物多様性への関心を高め、行動変容につながる教育プログラムや展示手法を取り上げる。「学術研究」では、行動学・獣医学・生態学など幅広い分野での研究事例や、動物園という半自然環境が提供する独自の観察・実験の場としての価値を論じる。「レクリエーション」では、動物園が地域社会や都市文化に果たす役割、観光資源としての魅力、心身のリフレッシュ効果などに触れる。これらを総合的に理解することで、動物園の多様な機能と学術的意義を把握することを目的とする。
② とべ動物園における動物福祉の実践事例を通じて、現代の動物園に求められる福祉的配慮のあり方を解説する。とべ動物園では、動物が本来備えている行動や能力を十分に発揮できるよう、行動の多様性を促すエンリッチメントを積極的に導入している。これには給餌方法の工夫や遊具の設置、季節や天候に応じた展示場の改変などが含まれる。また、個体ごとの健康状態や性格に応じた細やかな健康管理を行い、ストレス軽減を目的とした静養スペースの確保や音・光環境の調整も実施している。特に、人工保育で育てられたホッキョクグマ「ピース」の長期的なケアや、高齢動物のリハビリ・疼痛管理といった事例は、全国的にも注目を集めてきた。これらの具体的な取り組みについて、飼育記録や行動観察データ、サンプル分析の結果をもとに紹介し、動物福祉の理念がどのように日常の飼育業務に組み込まれているかを紹介する。
③ とべ動物園における近年の研究活動を事例として取り上げ、動物園が担う学術的役割を紹介する。とべ動物園では、飼育員や獣医師などが主体となり、園内外の専門家とも連携しながら多様な研究を継続的に行っている。こうした成果は、年に数回開催される研究活動報告会で共有され、飼育現場での課題解決や技術向上に活かされている。研究テーマは幅広く、哺乳類から昆虫まで多岐にわたる。これらの活動は、飼育動物の健康・福祉の向上のみならず、生態系理解や地域の自然環境保全にも寄与している。本講話では、具体的な研究事例とその方法論を紹介し、動物園が教育・研究機関として果たす役割と、その持続的発展に向けた課題を学術的視点から検討する。
④ 動物園の飼育員や実習生として求められる人物像について、多角的に紹介する。飼育現場では、動物の健康と福祉を守るため、日々の観察から微細な変化を見抜く洞察力と、命を預かる責任感、そして常に知識や技術を更新し続ける学習意欲が不可欠である。また、動物園は来園者にとって学びと楽しみの場であり、解説やイベント対応など教育・普及活動にも携わるため、対人コミュニケーション能力や協働性が強く求められる。さらに、飼育環境の衛生管理や安全管理にかんする知識、正確な記録や報告書作成のスキルも重要であり、場合によっては研究活動やデータ収集への参加も期待される。授業では、現役飼育員や園関係者へのインタビュー内容を基に、具体的な業務内容や現場で評価される資質・能力を紹介し、将来この職に就くための準備や心構えについて考える。
キーワード
① 動物園 ② 社会的役割 ③ 動物福祉 ④ 人工飼育 ⑤ 飼育員
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
◆今回授業の復習
とべ動物園を事例とした講話をふり返り、動物園の機能、動物福祉、職業理解といった観点から得られた知識を整理・定着させることを目的に、以下の課題に取り組むこと。
1.とべ動物園で実施されている「教育・環境教育」の具体的な取り組みを1つ挙げ、その意義を100字程度で説明せよ。
2.講話を通じて、動物園や動物福祉に対する自分の考えに変化があった場合、その内容を150字程度で具体的に記述せよ。
また、授業内でも確認したが、改めてシラバスを確認しておくこと。特に「授業の展開方法」および第1~15回の内容に一通り目を通し、本科目が第1部「動物飼育施設」、第2部「行動観察の手法」、第3部「行動観察の実践とまとめ」という3部構成で進行することを把握し、講義全体の流れをイメージしておくことが重要である。復習については、文字教材の復習課題を読み、内容が理解できているかを確認するとともに、シラバスに示された「履修判定指標」と照らし合わせて自己点検すること。さらに、第4回の要点や重要なポイントを各自でノートに整理し、理解を定着させることを求める。加えて、学びを深めたい場合は、シラバスに記載されている「参考文献」を大学図書館などで借りて読み込むことを推奨する。また、文字教材の解説や練習問題を見直すだけでなく、ChatGPTを活用して自ら約20問の練習問題を作成・解答し、その後に解答や解説を確認することで、知識をより確実に定着させることができる。
◆次回授業の予習
次回の授業範囲に対応する文字教材を事前に読み、基本的な用語や概念を確認しておくこと。特に不明な点や疑問点があれば、授業中に質問できるよう整理しておくと効果的である。これにより授業内容の理解が深まり、能動的な学びにつながる。また、シラバスの「履修判定指標」を読み、授業における要点を自ら確認しておくこと。
5
踊り場コマ(1)
科目の中での位置付け
本科目は、調査フィールドの1つとなる飼育施設及び飼育動物について学ぶとともに、動物を調査する観察・記録方法とデータのまとめ方を学ぶ。具体的には、飼育施設のあり方、飼育職員の実務、動物福祉、観察・記録手法、観察に基づいた科学レポートの基礎について修得する。本科目の学びは、2年次以降に開講される〈動物行動学〉や〈陸の動物学演習〉の基礎となる。また、動物にかんする学修をいかせる就職先のひとつである動物園や水族館の社会的使命を学ぶことは、将来の職業選択にも大きく寄与する。
第5回は、第1~4回の内容を振り返り、動物園・水族館は娯楽施設にとどまらず、種の保存・教育・研究・娯楽の四大機能を担い、人と自然を結ぶ拠点として国際的に重要であることを確認する。動物福祉は動物の身体的・精神的幸福を重視する理念であり、「5つの自由」「5つの領域」に基づき環境エンリッチメントや個体管理の改善が進められている。とべ動物園の講話では、絶滅危惧種の繁殖や教育活動に加え、給餌法や遊具による行動多様性の保障、健康管理など福祉向上の実践が紹介された。飼育員・獣医師には命を預かる責任感や観察力、継続的学習、教育普及力など多面的な資質が求められる。
◆コマ主題細目①
・佐渡友陽一(著)『動物園を考える:日本と世界の違いを超えて』、東京大学出版会、2022年、1-149頁
◆コマ主題細目②
・新村毅(編)『動物福祉学』、昭和堂、2022年、1-28頁
◆コマ主題細目③
・コマ用オリジナル配布資料
コマ主題細目
① 動物園・水族館の役割 ② 動物福祉 ③ 講話の振り返り
細目レベル
① 動物園・水族館は単なる娯楽施設ではなく、教育・文化・環境面で都市社会に重要な役割を果たす拠点として捉える必要がある。ヨーロッパでは市民社会と連携した環境教育や野生生物保全が重視されるのに対し、日本では観光や家族向け娯楽としての側面が歴史的に強いが、近年教育や研究機能も重視されつつある。これら施設の主要な役割は「種の保存」「教育」「研究」「娯楽」の四つに整理され、生物多様性保全や環境意識形成、科学的知見の蓄積、都市生活における癒しといった多面的な意義を有する。さらに都市に自然が乏しい中で、市民に自然との接点を提供し、教育や啓発活動を通じて環境理解を広める拠点ともなる。したがって、動物園・水族館は人と自然を結ぶ複合的施設として都市社会に不可欠な存在であり、その国際的意義を批判的かつ多角的に理解することが求められる。
② 動物福祉とは、動物の身体的・精神的状態を含む広い概念であり、不快の最小化と快の最大化を通じて幸福を追求する立場である。古代ギリシアやデカルトは動物を資源や機械とみなし苦痛を否定したが、17~18世紀以降は人権思想や進化論の影響で「苦痛を感じるか否か」が基準となり、19世紀には動物虐待防止法が制定された。1965年のブランベルレポートは福祉を科学的に定義し、その後欧州を中心に法整備が進んだ。20世紀には動物福祉と動物権利の思想が並立し、シンガーらは動物にも権利を認める立場を提唱した。一方、日本では神道や仏教を起源とする「動物愛護」があり、西洋の影響を受けつつ独自の発展を遂げてきた。動物福祉の基本理念には「5つの自由」があり、さらに正の経験に注目する「5つの領域」モデルも提案されている。動物園・水族館では福祉への配慮が国際的に求められ、日本でもJAZAが監査制度を開始し、環境エンリッチメントやトレーニングによる改善が進められている。
③ 動物園は「種の保存」「環境教育」「学術研究」「娯楽」という多様な社会的役割を担い、絶滅危惧種の繁殖計画や野生復帰、遺伝的多様性の維持などに取り組むとともに、市民に自然や生物多様性への理解を促す教育活動を展開している。とべ動物園では、給餌法の工夫や遊具設置、環境調整などエンリッチメントを通じて動物の行動多様性を保障し、個体に応じた健康管理やリハビリなど福祉向上の取り組みを実践している。さらに飼育員・獣医師が主導する研究活動を継続し、その成果を報告・共有することで飼育技術や地域の自然保全にも寄与している。飼育員や実習生に求められる人物像としては、動物の微細な変化に気づく洞察力、命を預かる責任感、知識や技術を学び続ける姿勢、教育普及活動に必要な対人スキル、衛生・安全管理能力、記録作成力などがあり、学術活動への参加も期待される。
キーワード
① 動物園 ② 水族館 ③ 社会的役割 ④ 動物福祉 ⑤ 飼育員
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
◆今回授業の復習
授業内でも確認したが、改めてシラバスを確認しておくこと。特に「授業の展開方法」および第1~15回の内容に一通り目を通し、本科目が第1部「動物飼育施設」、第2部「行動観察の手法」、第3部「行動観察の実践とまとめ」という3部構成で進行することを把握し、講義全体の流れをイメージしておくことが重要である。復習については、文字教材の復習課題を読み、内容が理解できているかを確認するとともに、シラバスに示された「履修判定指標」と照らし合わせて自己点検すること。さらに、第5回の要点や重要なポイントを各自でノートに整理し、理解を定着させることを求める。加えて、学びを深めたい場合は、シラバスに記載されている「参考文献」を大学図書館などで借りて読み込むことを推奨する。また、文字教材の解説や練習問題を見直すだけでなく、ChatGPTを活用して自ら約20問の練習問題を作成・解答し、その後に解答や解説を確認することで、知識をより確実に定着させることができる。
◆次回授業の予習
次回は水族館の取り組みとして、仙台うみの杜水族館の獣医師の講話を拝聴する。より講話内容の理解を進めるため、以下の問いに対して、自分なりの考えを100字程度でまとめておくこと。
1.あなたが水族館で印象に残っている展示は何か?その理由も含めて説明せよ。
2.動物の「福祉」を考えたとき、あなたは水族館での飼育にはどのような工夫が必要だと考えるか?
3.公営と私営の水族館では、どんな点に違いがあると予想するか?
6
動物飼育現場の声を聞こう(2)仙台うみのもり水族館
科目の中での位置付け
本科目は、調査フィールドの1つとなる飼育施設及び飼育動物について学ぶとともに、動物を調査する観察・記録方法とデータのまとめ方を学ぶ。具体的には、飼育施設のあり方、飼育職員の実務、動物福祉、観察・記録手法、観察に基づいた科学レポートの基礎について修得する。本科目の学びは、2年次以降に開講される〈動物行動学〉や〈陸の動物学演習〉の基礎となる。また、動物にかんする学修をいかせる就職先のひとつである動物園や水族館の社会的使命を学ぶことは、将来の職業選択にも寄与する。
第6回は、仙台うみの杜水族館に勤務する獣医師をゲストスピーカーとして迎え、オンライン形式で講話を聴く。現場における飼育管理の実態、飼育環境の整備、環境教育への取り組みなど、飼育動物を取り巻くさまざまな現状について、獣医師の視点からお話しいただく。これにより、受講者は飼育施設および飼育動物への理解を深めることができる。特に、動物福祉の理念やそれに基づく飼育環境の整備、動物の行動特性に応じた日々の対応など、実践的な知見を学ぶ機会となる。
◆コマ主題細目①
・コマ用オリジナル配布資料
◆コマ主題細目②
・コマ用オリジナル配布資料
◆コマ主題細目③
・コマ用オリジナル配布資料
コマ主題細目
① うみの杜⽔族館の歴史とゲストスピーカーの紹介 ② ⽔族館の社会的役割と環境教育 ③ 動物福祉と飼育環境の⼯夫 ④ 研究と保全活動の実践例 ⑤ 施設運営の違いと飼育職の多様性
細目レベル
① 仙台うみの杜水族館は、日本三景・松島にあったマリンピア松島水族館を前身とし、2011年の東日本大震災での被害を経て移転・再建された施設である。震災復興の象徴として再開館した同館は、東北の海を中心とした多様な生物展示に加え、教育・研究・地域連携の拠点としての役割を担っている。講話ではまず当該水族館の歴史的経緯を紹介し、その後、獣医師が自身の経歴や水族館勤務を選んだ理由や、水族館における飼育員と獣医師の役割の違いについて解説する。具体的には、飼育員が日常の飼育管理や行動観察を中心に担うのに対し、獣医師は診療や疾病予防、研究活動を通じて動物の健康を支えることを説明し、動物飼育施設における多職種協働の重要性を説明する。
② 水族館には、娯楽以外にも「種の保存」「教育・環境教育」「調査・研究」という重要な社会的役割がある。これは、第2回の動物園水族館の社会的役割について、第4回のとべ動物園の専門職員による講話とも通じている。特にうみの杜水族館では、「教育・環境教育」に力を入れている。絶滅危惧種の飼育や繁殖を通じて生物多様性保全に貢献し、来館者には生き物の生態や環境問題を伝える教育の場にもなっている。特に水中生物は野外観察が難しく、水族館はその理解を促す「野生への窓口」として機能する。仙台うみの杜水族館では、SDGs啓発の一環として海洋ゴミの回収やリサイクル土産を通じ、環境保全の大切さを伝える活動も行っており、その工夫や課題についても紹介する。
③ うみの杜水族館では、動物の心身の健康と幸福を最優先に考える「動物福祉」の理念に基づいた飼育がおこなわれている。とくに環境エンリッチメントに力を注いでおり、水槽内に偽岩やトンネルを配置するなど、動物が本来好む複雑で多様な環境を再現する工夫が随所に見られる。これにより、生物は自ら快適な場所を選び、探索や隠れる行動を示すことができ、ストレスの軽減や自然な行動表現の促進につながっている。また、野外の生息環境を模した「オセアナリウム方式」も導入され、広い空間と自然光の活用によって、動物の生活リズムや行動の多様性が保たれるよう配慮されている。これらの取り組みは国際的な動物福祉基準を意識したものであり、展示と同時に教育・研究の観点からも重要な意義を持つ。講義では写真や事例を交え、どのような工夫が実際に行われているのかを紹介する。
④ うみの杜水族館は、旧マリンピア松島から引き継がれる40年以上にわたる飼育の歴史と実績を持ち、長年にわたり多様な海洋生物の飼育と繁殖に取り組んできた施設である。特に南米原産のイロワケイルカについては、国内で最も長い飼育・繁殖の実績を誇り、複数世代にわたる継続的な繁殖が成功している点が大きな特徴である。現在は5代目となる個体が飼育されており、その背景には日々の健康管理、栄養状態の調整、社会的関係性への配慮、子育て環境の整備など、多くの工夫とスタッフの不断の努力がある。また、獣医師による研究成果や現場での具体的な経験談は、学術的知見と実践の融合として貴重である。さらに同館では仙台地域における希少な海洋生物の保護活動も行っており、種の保存を域外で進めるだけでなく、地域の自然や社会と結びついた「域内保全」の拠点としても重要な役割を果たしている。こうした活動を通じて、水族館が地域社会に貢献しつつ国際的な保全活動に連動する存在であることを理解する。
⑤ 水族館はその多くが私営で運営されており、公的機関が主体となる動物園とは経営基盤や運営のあり方が大きく異なる。私営水族館では、飼育や展示といった基本的機能に加え、入館者数の確保や収益性の向上といった経営的課題への対応が常に求められ、企画展示や地域との連携、イベントの工夫など独自の取り組みが重要となる。一方、公営の動物園は行政の支援を背景に教育・研究・保存活動の役割が強調されるなど、運営方針に明確な違いがみられる。講義では、このような私営と公営施設の違いに加え、獣医師と飼育員の役割や視点の違いを取り上げる。獣医師は診療や疾病予防、個体の健康管理を担い、飼育員は日常的な飼育管理や行動観察を通じて生活の質を高めるなど、双方が補完的に動物福祉を支えていること解説する。
キーワード
① 水族館 ② 環境教育 ③ 動物福祉 ④ 域内保全 ⑤ 私営水族館
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
仙台うみの杜水族館を事例とした講話内容をふり返り、水族館の機能・動物福祉・職業理解などの観点から、講義で得た知識を整理・定着させるため、次の課題に取り組むこと。
1.飼育員と獣医師の役割の違いについて、80~100文字で自分の言葉で説明する。
2.水族館における「教育・環境教育」の具体的な取り組みを1つ挙げ、その意義を100文字程度で述べる。
3.この講義を通じて、水族館や動物福祉に対するあなたの考えに変化はあった場合、その内容を150文字程度で具体的に書きだす。
授業内でも確認したが、改めてシラバスを確認しておくこと。特に「授業の展開方法」および第1~15回の内容に一通り目を通し、本科目が第1部「動物飼育施設」、第2部「行動観察の手法」、第3部「行動観察の実践とまとめ」という3部構成で進行することを把握し、講義全体の流れをイメージしておくことが重要である。復習については、文字教材の復習課題を読み、内容が理解できているかを確認するとともに、シラバスに示された「履修判定指標」と照らし合わせて自己点検すること。さらに、第6回の要点や重要なポイントを各自でノートに整理し、理解を定着させることを求める。加えて、学びを深めたい場合は、シラバスに記載されている「参考文献」を大学図書館などで借りて読み込むことを推奨する。また、文字教材の解説や練習問題を見直すだけでなく、ChatGPTを活用して自ら約20問の練習問題を作成・解答し、その後に解答や解説を確認することで、知識をより確実に定着させることができる。
◆次回授業の予習
次回の授業範囲に対応する文字教材を事前に読み、基本的な用語や概念を確認しておくこと。特に不明な点や疑問点があれば、授業中に質問できるよう整理しておくと効果的である。これにより授業内容の理解が深まり、能動的な学びにつながる。また、シラバスの「履修判定指標」を読み、授業における要点を自ら確認しておくこと。
7
動物の行動を科学する
科目の中での位置付け
本科目は、調査フィールドの1つとなる飼育施設及び飼育動物について学ぶとともに、動物を調査する観察・記録方法とデータのまとめ方を学ぶ。具体的には、飼育施設のあり方、飼育職員の実務、動物福祉、観察・記録手法、観察に基づいた科学レポートの基礎について修得する。本科目の学びは、2年次以降に開講される〈動物行動学〉や〈陸の動物学演習〉の基礎となる。また、動物にかんする学修をいかせる就職先のひとつである動物園や水族館の社会的使命を学ぶことは、将来の職業選択にも大きく寄与する。
第7回は、ティンバーゲンの「4つの問い」を体系的に学び、動物行動を多角的に理解する力を養う。至近要因や発達要因では行動を生じさせる仕組みや成長・学習の影響を扱い、機能要因や進化要因では適応的価値や系統的背景を考察する。鳥のさえずりや歌学習、求愛行動や授乳行動など具体例を通じて説明し、行動を直接要因・発達・適応・進化の4視点から捉える力を培う。また研究計画法の基礎を学び、テーマ設定から仮説構築、調査計画立案までの流れを理解し、動物行動研究を実践する準備を整える。
◆コマ主題細目①
・トリストラム・D・ワイアット(著)『基礎からわかる動物行動学』、ニュートン新書、2022年、10-30頁
◆コマ主題細目②
・トリストラム・D・ワイアット(著)『基礎からわかる動物行動学』、ニュートン新書、2022年、10-30頁
◆コマ主題細目③
・井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、31-34頁
コマ主題細目
① 動物の行動を科学する ② 行動生態学の枠組み ③ 研究のプロセス
細目レベル
① 動物の行動を生物学的視点から体系的に学ぶ。まず、刺激の受容から反応までの神経系の仕組みを概説し、生得的行動と習得的行動の特徴や違いを理解する。次に、動物行動学の創始者ニコラス・ティンバーゲンの研究を通して、生得的行動の具体例(ハイイロガンの卵転がし運動、ひなの逃避行動など)と「かぎ刺激」「固定的動作パターン」の概念を扱う。また、行動を分析するための枠組みであるティンバーゲンの「4つの問い」(機能・系統発生・メカニズム・個体発生)を学び、行動の進化的・神経的基盤を考察する。さらに、エドワード・ウィルソンの社会生物学やウィリアム・ハミルトンの血縁選択説・包括適応度の理論を取り上げ、動物の社会的行動や利他行動の進化的意義を理解することを目標とする。
② 動物の行動進化を理解するための基本概念である適応度・包括適応度・血縁選択説・共同繁殖について学ぶ。まず、個体が生涯でどれだけ繁殖可能な子孫を残すかを示す「適応度」を取り上げ、生存や繁殖に関わる形質との関係を解説する。次に、個体の利他的行動を説明するために提唱された「包括適応度」の考え方を学び、血縁者を助けることでも遺伝子が伝わるという進化的意義を理解する。さらに、ハミルトンによる「血縁選択説」を通して、社会性昆虫の不妊階級や動物の利他行動が自然選択の枠組みで説明できることを扱う。最後に、鳥類や哺乳類でみられる「共同繁殖」の事例を紹介し、ヘルパー行動が包括適応度の観点からどのように理解されるかを考察する。行動生態学の基礎理論として、遺伝子と行動の進化的関係を体系的に学ぶことを目的とする。
③ 行動研究の基本的な考え方と方法論を体系的に学ぶ。まず、動物の行動観察が生命科学において果たす意義を理解し、行動の記録・分析が認知機能や進化の理解にどのように貢献するかを考察する。次に、研究計画の立案において、対象とする動物・行動・分析水準(個体・群れ・神経など)の明確化、観察条件の設定、倫理的配慮の重要性を学ぶ。さらに、研究の流れとして、予備観察から仮説設定・検証に至る過程を整理し、行動測定の定義づけや解析手法の選択がどのように目的に応じて決定されるかを理解する。加えて、行動調査に用いられる三つの主要手法――記述的方法、分析的・説明的方法、修正・操作的方法――を取り上げ、それぞれの目的、手順、活用例を具体的に扱う。これらを通じて、行動研究を科学的に設計・実践する力を養うことを目的とする。
キーワード
① 動物行動学 ② ティンバーゲンの「4つの問い」 ③ 遺伝的基盤 ④ 適応的価値 ⑤ 研究計画法
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
◆今回授業の復習
授業内でも確認したが、改めてシラバスを確認しておくこと。特に「授業の展開方法」および第1~15回の内容に一通り目を通し、本科目が第1部「動物飼育施設」、第2部「行動観察の手法」、第3部「行動観察の実践とまとめ」という3部構成で進行することを把握し、講義全体の流れをイメージしておくことが重要である。復習については、文字教材の復習課題を読み、内容が理解できているかを確認するとともに、シラバスに示された「履修判定指標」と照らし合わせて自己点検すること。さらに、第4回の要点や重要なポイントを各自でノートに整理し、理解を定着させることを求める。加えて、学びを深めたい場合は、シラバスに記載されている「参考文献」を大学図書館などで借りて読み込むことを推奨する。また、文字教材の解説や練習問題を見直すだけでなく、ChatGPTを活用して自ら約20問の練習問題を作成・解答し、その後に解答や解説を確認することで、知識をより確実に定着させることができる。
◆次回授業の予習
次回は、動物園や水族館で動物の行動を観察する際の観察方法や記録方法について学ぶ。動物園や水族館で行動観察を行う場合と、野外で野生動物を対象に観察する場合とを比べると、それぞれにどのようなメリットとデメリットがあるだろうか。自分の考えを整理し、メリットとデメリットをそれぞれ1つずつ挙げなさい。また、次回の授業範囲に対応する文字教材を事前に読み、基本的な用語や概念を確認しておくこと。特に不明な点や疑問点があれば、授業中に質問できるよう整理しておくと効果的である。これにより授業内容の理解が深まり、能動的な学びにつながる。また、シラバスの「履修判定指標」を読み、授業における要点を自ら確認しておくこと。
8
行動観察法・行動記録法
科目の中での位置付け
本科目は、調査フィールドの1つとなる飼育施設及び飼育動物について学ぶとともに、動物を調査する観察・記録方法とデータのまとめ方を学ぶ。具体的には、飼育施設のあり方、飼育職員の実務、動物福祉、観察・記録手法、観察に基づいた科学レポートの基礎について修得する。本科目の学びは、2年次以降に開講される〈動物行動学〉や〈陸の動物学演習〉の基礎となる。また、動物にかんする学修をいかせる就職先のひとつである動物園や水族館の社会的使命を学ぶことは、将来の職業選択にも大きく寄与する。
第8回は、自分が明らかにしたいことに関わるデータで、実際にどのようなデータが収集可能なのかを見極める手法を考えていく。テーマを検証するためにデータ収集の項目を増やしすぎても正確にデータを収集できなければ意味がない。収集すべきデータの優先順位を考慮して何をどのように収集するのか、行動の観察手法(アドリブサンプリング、個体追跡サンプリングなど)とデータ記録法(自由、連続、瞬間、ワンゼロ)の違いを理解し、授業内で課される観察テーマに合う観察記録方法を検討する。
◆コマ主題細目①
・井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法』、東京大学出版会、2013年、19-34頁
◆コマ主題細目②
・井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法』、東京大学出版会、2013年、19-34頁
◆コマ主題細目③
・井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法』、東京大学出版会、2013年、34-46頁
◆コマ主題細目④
・井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法』、東京大学出版会、2013年、34-46頁
コマ主題細目
① 観察を始める前(動物の観察・発見の方法) ② 行動の定義と記録方法 ③ 観察法と記録法(1):アドリブサンプリング、個体追跡サンプリング ④ 観察法と記録法(2):スキャンサンプリング、全生起サンプリング
細目レベル
① 野生動物の行動観察においては、まず対象となる動物を発見することが出発点となる。発見の方法は、発信機やGPSなどの追跡機器を装着しているかどうか、また行動圏の広さや生息環境の特性によって大きく異なる。調査対象の種や地形条件に応じて、痕跡の探索や鳴き声の確認など多様な工夫が必要となる。観察対象には、人間にある程度慣れている個体を用いることが多く、その際には餌付けや人付けなどによって慣らすことも行われるが、研究本来の目的を損なわないよう、行動に過度の影響を与えない慎重な配慮が不可欠である。一方で、動物園や水族館などの飼育環境では、発見の手間が省け、効率的に観察を開始できる利点がある。観察を行う際には、群れ全体の構造や個体ごとの識別が重要であり、個体識別にはマーキングや外見上の特徴(模様、体格、傷痕など)を活用する。観察を重ねて熟練すれば、特徴が少ない個体でも識別可能となり、さらに性別や年齢区分(性・年齢クラス)の識別を加えることで、行動研究における分析の精度を高めることができる。
② 行動記録は一見簡単そうでいて実際には難しく、まず調査目的に応じて適切な行動指標を選ぶ必要がある。例えば「仲の良さ」を測るには、近接やグルーミングなどの行動が指標となる。行動の距離や記録単位(バウトやセッション)も目的に応じて事前に定義し、再現性のある記録方法を確立しておくことが重要である。観察者間のばらつきを減らすためにも、行動定義を明確にし、予備観察の段階で行動目録を作成しておくとよい。記録媒体にはフィールドノートやデータシート、ビデオカメラ、ボイスレコーダーなどがあり、それぞれの特性に応じた使い分けが求められる。ビデオカメラやボイスレコーダーはデータの紛失を防ぐため、定期的な整理やバックアップも欠かせない。
③ 科学研究では客観性と再現性が重要であり、そのためには体系的かつ一貫した行動データの収集が求められる。記録法には連続記録、ワンゼロ記録、瞬間記録があり、目的に応じて使い分ける。連続記録は行動が発生するたびに記録し、詳細な分析が可能だが、対象を見失うリスクがある。ゼロ記録は時間内に行動があったかを記録する方法で、複数人でも安定したデータが得られる。瞬間記録は一定間隔ごとに行動を記録するもので、活動時間の割合を調べるのに適している。観察法には、アドリブサンプリングや個体追跡サンプリングなどがある。まずは2つ紹介する。アドリブサンプリングは自由な観察で、予備調査や希少行動の記録に有効だが、定量的解析には不向きである。次に、個体追跡サンプリングは特定の個体を追跡して詳細な行動を記録する方法で、正確な頻度や前後関係が把握できる反面、対象の偏りに注意が必要である。調査目的に応じた様々な観察・記録法の選択があることを理解してほしい。
④ スキャンサンプリングは、群れで生活する動物や一時的に集まる動物を対象に、一定間隔で全体を見回し、個体の行動や距離を記録する方法である。多くの個体の同時観察が可能で、行動の同調性の分析に適しているが、観察のしやすい個体や行動に偏るリスクがあるため、性年齢などの偏りにも注意が必要である。記録には瞬間記録法を用い、データシートの活用が一般的である。4つ目の全生起サンプリングは、群れ内すべての個体による特定行動を網羅的に記録する方法で、開けた環境での観察に適しており、行動の頻度や社会的相互作用の把握に効果的である。ただし、多地点で同時に発生する行動の記録には限界がある。頻繁な行動にはワンゼロ記録を併用することも有効であり、記録媒体にはビデオカメラやフィールドノートが用いられる。いずれの方法も、観察精度や追試可能性を高めるため、研究目的に応じた適切な選択が求められることを理解する。これらの観察法と記録法を組み合わせて、飼育施設にて実際に観察をおこなう。
キーワード
① 行動観察 ② アドリブサンプリング ③ 個体追跡サンプリング ④ スキャンサンプリング ⑤ 全生起サンプリング
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
◆今回授業の復習
授業内でも確認したが、改めてシラバスを確認しておくこと。特に「授業の展開方法」および第1~15回の内容に一通り目を通し、本科目が第1部「動物飼育施設」、第2部「行動観察の手法」、第3部「行動観察の実践とまとめ」という3部構成で進行することを把握し、講義全体の流れをイメージしておくことが重要である。復習については、文字教材の復習課題を読み、内容が理解できているかを確認するとともに、シラバスに示された「履修判定指標」と照らし合わせて自己点検すること。さらに、第8回の要点や重要なポイントを各自でノートに整理し、理解を定着させることを求める。加えて、学びを深めたい場合は、シラバスに記載されている「参考文献」を大学図書館などで借りて読み込むことを推奨する。また、文字教材の解説や練習問題を見直すだけでなく、ChatGPTを活用して自ら約20問の練習問題を作成・解答し、その後に解答や解説を確認することで、知識をより確実に定着させることができる。
◆次回授業の予習
次回の授業範囲に対応する文字教材を事前に読み、基本的な用語や概念を確認しておくこと。特に不明な点や疑問点があれば、授業中に質問できるよう整理しておくと効果的である。これにより授業内容の理解が深まり、能動的な学びにつながる。また、シラバスの「履修判定指標」を読み、授業における要点を自ら確認しておくこと。
9
行動観察の練習
科目の中での位置付け
本科目は、調査フィールドの1つとなる飼育施設及び飼育動物について学ぶとともに、動物を調査する観察・記録方法とデータのまとめ方を学ぶ。具体的には、飼育施設のあり方、飼育職員の実務、動物福祉、観察・記録手法、観察に基づいた科学レポートの基礎について修得する。本科目の学びは、2年次以降に開講される〈動物行動学〉や〈陸の動物学演習〉の基礎となる。また、動物にかんする学修をいかせる就職先のひとつである動物園や水族館の社会的使命を学ぶことは、将来の職業選択にも大きく寄与する。
第9回は、行動観察における記録媒体として、データシート、センサーカメラ、ビデオ記録などの手法を概説し、それぞれの特徴と活用場面を理解する。講義では、ニホンザルの行動を記録した映像を用い、直接観察を疑似体験し、データシートに記録する手法を学ぶ。映像資料を通じて、行動の識別、定義の明確化、記録手法の基本を実践的に学び、行動観察の精度と客観性を検討する。あわせて、記録媒体を選ぶ背景にある研究目的や倫理的配慮についても検討する。
◆コマ主題細目①
・井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、31-34頁
◆コマ主題細目②
・井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、31-34頁
◆コマ主題細目③
・井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、31-34頁
コマ主題細目
① 記録媒体 ② 行動観察の練習:ニホンザルのエソグラム ③ 行動観察の練習:ニホンザルの観察と記録
細目レベル
① 動物の行動観察における基本的な記録媒体の特徴と使用方法について学ぶ。対象とするのはデータシート、フィールドノート、ボイスレコーダー、ビデオカメラの4種類である。まず、行動観察を定量的に整理するためのデータシートの作成方法や記録形式の選択について説明する。次に、観察状況や環境要因を柔軟に記録できるフィールドノートの役割と効果的な記述法を扱う。さらに、リアルタイムでの観察内容を音声として残すボイスレコーダーの利点と注意点を検討し、最後に、行動の詳細を反復的に解析できるビデオカメラの活用法を紹介する。各媒体の長所と限界を比較し、研究目的や現場状況に応じた適切な選択と組み合わせ方を理解することを目指す。受講者は、記録媒体を用いた観察法の基礎を身につけ、実践的研究に応用できる素地を形成する。
② 動物行動学における基本的な観察技法を修得することを目的とする。特に、行動研究の基盤となるエソグラム(行動目録)の概念と作成方法を学び、実践的な演習を通じて理解を深める。まず、エソグラムとは何かを解説し、動物の行動を系統的かつ客観的に記録するために不可欠な手法であることを確認する。次に、観察対象としてニホンザルを取り上げ、採食、移動、休息、グルーミング、遊び、攻撃行動などの代表的な行動カテゴリーを整理する。その際、各行動を識別するための具体的な観察指標を明確にし、行動の開始・終了の判定方法や、複数個体を対象とする際の留意点についても学ぶ。受講者は行動観察の基礎的スキルを確実に身につけることを目指す。
③ 動物飼育施設での実習に備えるため、事前練習として映像資料を用いた観察手法とデータ記録の実践をおこなう。具体的には、ニホンザルを対象とした映像教材を使用し、動物行動学で広く用いられる個体追跡やスキャンサンプリングといった代表的手法を学ぶ。その際、採食・移動・休息・グルーミング・遊び・攻撃といった基本的な行動カテゴリーを整理し、各行動の開始と終了をどの基準で判断するかを明確にしたうえで記録をおこなう。また、複数個体を対象とする場合の記録方法や、観察の混乱を避けるための注意点についても確認する。これらの演習を通して、受講者は動物行動を客観的かつ定量的に記録する基礎的スキルを修得し、飼育施設での実習や今後のフィールドワークに応用できる実践力を養うことを目標とする。
キーワード
① データシート ② フィールドノート ③ エソグラム ④ 個体追跡サンプリング ⑤ スキャンサンプリング
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
◆今回授業の復習
授業内でも確認したが、改めてシラバスを確認しておくこと。特に「授業の展開方法」および第1~15回の内容に一通り目を通し、本科目が第1部「動物飼育施設」、第2部「行動観察の手法」、第3部「行動観察の実践とまとめ」という3部構成で進行することを把握し、講義全体の流れをイメージしておくことが重要である。復習については、文字教材の復習課題を読み、内容が理解できているかを確認するとともに、シラバスに示された「履修判定指標」と照らし合わせて自己点検すること。さらに、第9回の要点や重要なポイントを各自でノートに整理し、理解を定着させることを求める。加えて、学びを深めたい場合は、シラバスに記載されている「参考文献」を大学図書館などで借りて読み込むことを推奨する。また、文字教材の解説や練習問題を見直すだけでなく、ChatGPTを活用して自ら約20問の練習問題を作成・解答し、その後に解答や解説を確認することで、知識をより確実に定着させることができる。
◆次回授業の予習
次回の授業範囲に対応する文字教材を事前に読み、基本的な用語や概念を確認しておくこと。特に不明な点や疑問点があれば、授業中に質問できるよう整理しておくと効果的である。これにより授業内容の理解が深まり、能動的な学びにつながる。また、シラバスの「履修判定指標」を読み、授業における要点を自ら確認しておくこと。
10
踊り場コマ(2)
科目の中での位置付け
本科目は、調査フィールドの1つとなる飼育施設及び飼育動物について学ぶとともに、動物を調査する観察・記録方法とデータのまとめ方を学ぶ。具体的には、飼育施設のあり方、飼育職員の実務、動物福祉、観察・記録手法、観察に基づいた科学レポートの基礎について修得する。本科目の学びは、2年次以降に開講される〈動物行動学〉や〈陸の動物学演習〉の基礎となる。また、動物にかんする学修をいかせる就職先のひとつである動物園や水族館の社会的使命を学ぶことは、将来の職業選択にも大きく寄与する。
第10回は、第7~9回の内容を振り返り、ティンバーゲンの「4つの問い」に基づき、行動の仕組み・発達・適応価値・進化的背景を多角的に捉える視点を確認する。また、研究計画の立案から観察・分析・発表までの流れを理解し、特に計画の立て方を重視する。観察法では、個体追跡やスキャンサンプリングなど複数の方法と、連続・ワンゼロ・瞬間記録などの記録法を学び、目的に応じた使い分けを確認する。さらにデータシート作成や服装・マナー、持参物確認など実習前の準備を徹底し、第11~13回に動物園でおこなう演習を通じて客観的・定量的な観察を修得する準備をおこなう。
◆コマ主題細目①
井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、31-34頁
◆コマ主題細目②
井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、31-34頁
◆コマ主題細目③
井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、31-34頁
コマ主題細目
① 動物の行動を科学する ② 行動観察法・行動記録法 ③ 実習前の準備
細目レベル
① ティンバーゲンの「4つの問い」は動物行動学の基本枠組みであり、行動を多角的に理解するために重要である。「至近要因」は神経系やホルモンなど行動の直接的仕組みを説明し、「発達要因」は学習や経験を通じた成長過程での行動形成を扱う。「機能要因」はその行動が生存や繁殖にどのように寄与するかという適応的価値を明らかにし、「進化要因」は祖先種との比較を通じて行動の起源や系統的連続性を探る。この4つの視点を統合することで、動物行動をより深く理解できる。さらに、研究のプロセスとしては、テーマ設定から計画立案、仮説設定、対象種や調査方法の選定、データ収集・整理・分析、成果発表までの流れを把握することが重要である。
② 動物行動観察では、まず対象を発見し識別することが重要で、餌付けや人付け、マーキングや特徴把握が有効である。記録に際しては、観察目的に応じて行動を定義し、距離や記録単位を事前に設定することで再現性を確保する。記録法には連続記録・ワンゼロ記録・瞬間記録があり、目的に応じて使い分ける。観察法としては、自由観察のアドリブサンプリング、特定個体を追跡する個体追跡サンプリング、多個体を一定間隔で記録するスキャンサンプリング、特定行動を網羅的に記録する全生起サンプリングがある。さらに、行動観察に用いる記録媒体にはデータシート、フィールドノート、ボイスレコーダー、ビデオカメラがあり、それぞれの特性を理解し使い分ける必要がある。エソグラム(行動目録)は系統的・客観的記録の基盤であり、代表的な行動カテゴリーを整理して観察指標を明確にする。
③ 実習に臨む前に必要な準備について整理する。まずデータシートの作成では、観察対象の基本情報や記録項目を事前に明確にしておくことが重要である。観察記録が統一されることで後の分析が容易になり、実習の成果を高めることができる。次に動物園でのマナーとして、大声を出さない、動物に不用意に近づいたり餌を与えたりしない、通行の妨げにならないなど、動物と来園者の安全に配慮した行動が求められる。また、服装の注意点としては、歩きやすい靴や動きやすい服装を選び、季節や天候に応じて防寒具や雨具を用意する。持参物には筆記用具、データシート、クリップボード、双眼鏡、水筒、帽子などが含まれる。最後に集合時間の確認を徹底し、余裕をもって行動できるよう心掛けることが望ましい。これらの準備を整えることで、実習を安全かつ円滑に進めることができる。
キーワード
① 動物行動学 ② ティンバーゲンの「4つの問い」 ③ 行動観察法 ④ 行動記録法 ⑤ 記録媒体
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
◆今回授業の復習
授業内でも確認したが、改めてシラバスを確認しておくこと。特に「授業の展開方法」および第1~15回の内容に一通り目を通し、本科目が第1部「動物飼育施設」、第2部「行動観察の手法」、第3部「行動観察の実践とまとめ」という3部構成で進行することを把握し、講義全体の流れをイメージしておくことが重要である。復習については、文字教材の復習課題を読み、内容が理解できているかを確認するとともに、シラバスに示された「履修判定指標」と照らし合わせて自己点検すること。さらに、第10回の要点や重要なポイントを各自でノートに整理し、理解を定着させることを求める。加えて、学びを深めたい場合は、シラバスに記載されている「参考文献」を大学図書館などで借りて読み込むことを推奨する。また、文字教材の解説や練習問題を見直すだけでなく、ChatGPTを活用して自ら約20問の練習問題を作成・解答し、その後に解答や解説を確認することで、知識をより確実に定着させることができる。
◆次回授業の予習
次回の授業範囲に対応する文字教材を事前に読み、基本的な用語や概念を確認しておくこと。特に不明な点や疑問点があれば、授業中に質問できるよう整理しておくと効果的である。これにより授業内容の理解が深まり、能動的な学びにつながる。また、シラバスの「履修判定指標」を読み、授業における要点を自ら確認しておくこと。
11
とべ動物園での行動観察(1)
科目の中での位置付け
本科目は、調査フィールドの1つとなる飼育施設及び飼育動物について学ぶとともに、動物を調査する観察・記録方法とデータのまとめ方を学ぶ。具体的には、飼育施設のあり方、飼育職員の実務、動物福祉、観察・記録手法、観察に基づいた科学レポートの基礎について修得する。本科目の学びは、2年次以降に開講される〈動物行動学〉や〈陸の動物学演習〉の基礎となる。また、動物にかんする学修をいかせる就職先のひとつである動物園や水族館の社会的使命を学ぶことは、将来の職業選択にも大きく寄与する。
第11回は、とべ動物園を事例に動物園学習での観察対象の選定を理論と実践の両面から学ぶ。動物の生態や行動、展示構成、学習目的との関係を多角的に理解し、教育的効果を高める観察方法を検討する。また、研究活動における動物や来園者への配慮、観察時のマナーや倫理を重視し、学生が目的に応じて適切な観察対象を設定し、社会的責任をもって学修・研究を行う力を養う。
◆コマ主題細目①
井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、31-34頁
◆コマ主題細目②
井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、31-34頁
◆コマ主題細目③
井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、31-34頁
コマ主題細目
① とべ動物園について ② 動物園でのマナー ③ 観察対象の選定
細目レベル
① 媛県立とべ動物園の歴史と展示理念を通して、動物園の社会的役割と環境教育的意義を学ぶ。前身である道後動物園(1953年設立)が抱えた都市環境上の課題(騒音・悪臭・敷地制約)と、その解決策としての移転(1988年開園)を事例に、地域社会との関係性を考察する。また、地理学・分類学・行動学に基づく展示構成や、パノラマ展示・ゾーン誘導方式など、来園者体験を重視した教育的デザインの特徴を分析する。さらに、JAZA加盟園としてのとべ動物園の保全・教育・研究活動を理解し、動物園が果たす「学びの場」としての意義を総合的に探求する。
② 動物園は一般来園者に開かれた公共の教育施設であると同時に、研究活動のフィールドとしても利用される場である。そのため、研究者は観察や記録をおこなう際に、動物への配慮と来園者への配慮を両立させる必要がある。本実習では、まず動物園利用にかんする基本的な規則を確認し、動物に不必要な刺激を与えない行動、餌やりや接触の禁止、フラッシュ撮影や大声での会話の回避など、研究以前に遵守すべきマナーを学ぶ。加えて、観察中に通路や観覧スペースを長時間占有しない工夫や、調査機材を用いる際の周囲への配慮など、実際に生じやすい状況を想定した対応も取り上げる。受講者は、動物行動学を学ぶ大学生としての倫理観と社会的責任を理解し、研究対象や一般社会と適切な関係を築く基盤を身につけることを目的とする。
③ 動物園学習における「観察対象の選定」について理論と実践の両面から学ぶ。とべ動物園の展示構成を事例に、地理的配置・分類学的関連・行動学的特徴など、観察対象を決定する際の多面的な視点を理解する。特に、動物の生態的特性や社会的行動、来園者の学習目的との整合性を考慮した選定の重要性を検討する。また、教育効果を高めるための観察ポイントの設計や、解説パネルなどの補助教材の活用方法にも触れる。最終的に、学生自身が目的に応じた観察対象を計画的に設定できる能力を養うことを目指す。
キーワード
① マナー ② 行動観察 ③ 展示手法 ④ 動物福祉 ⑤ 教育
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
◆今回授業の復習
授業内でも確認したが、改めてシラバスを確認しておくこと。特に「授業の展開方法」および第1~15回の内容に一通り目を通し、本科目が第1部「動物飼育施設」、第2部「行動観察の手法」、第3部「行動観察の実践とまとめ」という3部構成で進行することを把握し、講義全体の流れをイメージしておくことが重要である。復習については、文字教材の復習課題を読み、内容が理解できているかを確認するとともに、シラバスに示された「履修判定指標」と照らし合わせて自己点検すること。さらに、第11回の要点や重要なポイントを各自でノートに整理し、理解を定着させることを求める。加えて、学びを深めたい場合は、シラバスに記載されている「参考文献」を大学図書館などで借りて読み込むことを推奨する。また、文字教材の解説や練習問題を見直すだけでなく、ChatGPTを活用して自ら約20問の練習問題を作成・解答し、その後に解答や解説を確認することで、知識をより確実に定着させることができる。
◆次回授業の予習
次回の授業範囲に対応する文字教材を事前に読み、基本的な用語や概念を確認しておくこと。特に不明な点や疑問点があれば、授業中に質問できるよう整理しておくと効果的である。これにより授業内容の理解が深まり、能動的な学びにつながる。また、シラバスの「履修判定指標」を読み、授業における要点を自ら確認しておくこと。
12
とべ動物園での行動観察(2)
科目の中での位置付け
本科目は、調査フィールドの1つとなる飼育施設及び飼育動物について学ぶとともに、動物を調査する観察・記録方法とデータのまとめ方を学ぶ。具体的には、飼育施設のあり方、飼育職員の実務、動物福祉、観察・記録手法、観察に基づいた科学レポートの基礎について修得する。本科目の学びは、2年次以降に開講される〈動物行動学〉や〈陸の動物学演習〉の基礎となる。また、動物にかんする学修をいかせる就職先のひとつである動物園や水族館の社会的使命を学ぶことは、将来の職業選択にも大きく寄与する。
第12回は、動物行動研究における予備観察の目的と方法を学ぶ。対象動物の行動特性や環境条件を把握し、個体識別や行動頻度を記録することで、観察可能な範囲と課題を明らかにする。さらに、行動カテゴリーの仮定や記録法の試行を通じて、研究計画を現場に即して調整する力を養う。学生は、観察対象の特性を踏まえた行動整理やデータ収集法の選定を実践的に理解し、自らの研究に応用できる柔軟な計画立案能力を身につけることを目指す。
◆コマ主題細目①
井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、31-34頁
◆コマ主題細目②
井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、31-34頁
◆コマ主題細目③
井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、31-34頁
コマ主題細目
① 予備観察の目的と意義 ② 観察対象と行動レパートリーの把握 ③ 観察方法と研究計画への応用
細目レベル
① 本調査に先立ち、研究計画の妥当性を検討する重要な段階である。動物行動研究では、対象となる動物の活動時間帯や行動パターンを事前に把握しておくことが不可欠である。本実習では、対象種を一定時間観察し、個体識別や行動の種類や頻度を記録することで、観察可能な行動の幅や調査環境の特性を把握する。また、標準的な観察法を短時間試行し、記録媒体の適切な利用方法を検討する。さらに、行動カテゴリーを暫定的に定義し、観察中に生じる問題点や改善点を見出す過程を学ぶ。予備観察は、データを本格的に収集するのではなく、研究計画を実際の現場に即して修正する準備段階として位置づける。受講者は、この過程を通じて計画を柔軟に調整する重要性を理解し、実践的な研究姿勢を身につけることを目標とする。
② 観察対象の選定と行動レパートリーの整理方法について学ぶ。まず、観察対象を選ぶ際には、動物種の特性、個体識別の可能性、行動の出現頻度、観察環境の条件など、多面的な要素を考慮する必要がある。続いて、予備観察によって得られた行動を記述的に整理し、暫定的な行動カテゴリーを構築する方法を実践的に理解する。行動を記録する際には、観察者の主観を排除し、客観的な言語と記述を用いることが求められる。授業では、映像資料や現地観察例をもとに、行動の見取り方・分類の仕方・記録精度の確保といった技術を学び、対象動物を科学的に理解するための観察スキルを養う。
③ 予備観察の結果をどのように本観察や研究計画に反映させるかを学ぶ。行動研究では、得られた知見を基に観察時間の設定、サンプリング法(連続記録・スキャンサンプリングなど)の選択、行動カテゴリーの精緻化などを行う必要がある。また、観察記録の手法として、メモ、スケッチ、動画撮影などの媒体を目的に応じて使い分ける技法を検討する。授業では、予備観察で得た情報を整理し、研究目的に沿ったデータ収集計画を立案する演習を通して、計画的かつ倫理的に行動観察を行うための実践力を養成する。最終的に、学生は自らの研究課題に即した観察設計を構築できるようになることを目標とする。
キーワード
① 予備観察 ② 行動レパートリ ③ 行動カテゴリ ④ 行動の観察法 ⑤ データの収集法
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
◆今回授業の復習
授業内でも確認したが、改めてシラバスを確認しておくこと。特に「授業の展開方法」および第1~15回の内容に一通り目を通し、本科目が第1部「動物飼育施設」、第2部「行動観察の手法」、第3部「行動観察の実践とまとめ」という3部構成で進行することを把握し、講義全体の流れをイメージしておくことが重要である。復習については、文字教材の復習課題を読み、内容が理解できているかを確認するとともに、シラバスに示された「履修判定指標」と照らし合わせて自己点検すること。さらに、第12回の要点や重要なポイントを各自でノートに整理し、理解を定着させることを求める。加えて、学びを深めたい場合は、シラバスに記載されている「参考文献」を大学図書館などで借りて読み込むことを推奨する。また、文字教材の解説や練習問題を見直すだけでなく、ChatGPTを活用して自ら約20問の練習問題を作成・解答し、その後に解答や解説を確認することで、知識をより確実に定着させることができる。
◆次回授業の予習
次回の授業範囲に対応する文字教材を事前に読み、基本的な用語や概念を確認しておくこと。特に不明な点や疑問点があれば、授業中に質問できるよう整理しておくと効果的である。これにより授業内容の理解が深まり、能動的な学びにつながる。また、シラバスの「履修判定指標」を読み、授業における要点を自ら確認しておくこと。
13
とべ動物園での行動観察(3)
科目の中での位置付け
本科目は、調査フィールドの1つとなる飼育施設及び飼育動物について学ぶとともに、動物を調査する観察・記録方法とデータのまとめ方を学ぶ。具体的には、飼育施設のあり方、飼育職員の実務、動物福祉、観察・記録手法、観察に基づいた科学レポートの基礎について修得する。本科目の学びは、2年次以降に開講される〈動物行動学〉や〈陸の動物学演習〉の基礎となる。また、動物にかんする学修をいかせる就職先のひとつである動物園や水族館の社会的使命を学ぶことは、将来の職業選択にも大きく寄与する。
第13回は、動物行動研究における本調査の実施方法を学ぶ。予備観察で得た知見をもとに、観察対象や時間、手法を計画的に設定し、動物園での現地観察を通してデータ収集と記録技術を実践的に習得する。現場では、観覧者や環境条件への配慮を行いながら、行動記録の精度と客観性を高めることを重視する。また、動物や来園者への影響を最小限に抑える倫理的態度を養い、科学的かつ社会的責任をもって行動観察を遂行する能力を培う。
◆コマ主題細目①
井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、31-34頁
◆コマ主題細目②
井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、31-34頁
◆コマ主題細目③
井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、31-34頁
コマ主題細目
① 本調査の目的と研究計画の実施 ② 観察法の選択とデータ記録技術の習得 ③ 現場での対応と倫理的配慮
細目レベル
① 本調査は、予備観察を経て修正された研究計画に基づき、体系的な動物行動観察を実施する段階である。本実習では、標準的な観察法を用いて、一定時間のデータ収集をおこなう。記録はあらかじめ定めた行動カテゴリーに従って行い、正確性と一貫性を重視する。さらに、複数の受講者が同じ対象を観察することにより、記録の差異が生じる可能性を確認し、観察者間の信頼性を意識した調査の重要性について学ぶ。実習では、限られた時間内で計画に沿った観察を遂行する訓練を重視し、観察技術を確実に身につけることを目指す。受講者は、計画の立案から現場での実行に至るプロセスを体験することで、動物行動研究に必要な実践的能力を養うことを目標とする。
② 実際に動物園で行動観察を行い、観察技法と記録技術を実践的に学ぶ。学生は、指定された動物種を一定時間継続的に観察し、連続記録やスキャンサンプリングなど、目的に応じた手法を選択・適用する。現場では、観察位置の確保や観覧者との距離の取り方、環境音や天候条件への対応など、実地特有の状況判断が求められる。授業では、観察中の行動記録、時間管理、メモや映像記録の取り方などを実践し、得られたデータをもとに行動カテゴリーの整理や記録精度の検証を行う。さらに、観察者間の記録の一致度を比較し、データの客観性を確保する方法を学ぶ。学生は、現場における臨機応変な対応力と、科学的観察に必要な記録精度を併せて習得することを目指す。
③ 動物園における本調査を安全かつ倫理的に実施するための行動規範と心構えを学ぶ。動物行動観察は、公共空間で行われる研究活動であり、対象動物・来園者・飼育スタッフへの配慮が不可欠である。授業では、観察時の立ち位置や機材使用のマナー、長時間の通路占有の回避、音や視覚的刺激を抑える工夫など、現場での具体的な対応方法を確認する。また、天候や混雑、動物の体調変化など、想定外の事態に柔軟に対応する判断力を養う。さらに、動物へのストレス軽減やデータの取り扱いに関する研究倫理の基本を学び、観察者としての社会的責任を理解する。学生は、科学的探究と社会的配慮を両立させる倫理的実践者としての自覚を確立することを目標とする。
キーワード
① 本調査 ② 行動観察 ③ 記録精度 ④ 研究倫理 ⑤ 社会的配慮
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
◆今回授業の復習
授業内でも確認したが、改めてシラバスを確認しておくこと。特に「授業の展開方法」および第1~15回の内容に一通り目を通し、本科目が第1部「動物飼育施設」、第2部「行動観察の手法」、第3部「行動観察の実践とまとめ」という3部構成で進行することを把握し、講義全体の流れをイメージしておくことが重要である。復習については、文字教材の復習課題を読み、内容が理解できているかを確認するとともに、シラバスに示された「履修判定指標」と照らし合わせて自己点検すること。さらに、第13回の要点や重要なポイントを各自でノートに整理し、理解を定着させることを求める。加えて、学びを深めたい場合は、シラバスに記載されている「参考文献」を大学図書館などで借りて読み込むことを推奨する。また、文字教材の解説や練習問題を見直すだけでなく、ChatGPTを活用して自ら約20問の練習問題を作成・解答し、その後に解答や解説を確認することで、知識をより確実に定着させることができる。
◆次回授業の予習
次回の授業範囲に対応する文字教材を事前に読み、基本的な用語や概念を確認しておくこと。特に不明な点や疑問点があれば、授業中に質問できるよう整理しておくと効果的である。これにより授業内容の理解が深まり、能動的な学びにつながる。また、シラバスの「履修判定指標」を読み、授業における要点を自ら確認しておくこと。
14
データの入力と分析
科目の中での位置付け
本科目は、調査フィールドの1つとなる飼育施設及び飼育動物について学ぶとともに、動物を調査する観察・記録方法とデータのまとめ方を学ぶ。具体的には、飼育施設のあり方、飼育職員の実務、動物福祉、観察・記録手法、観察に基づいた科学レポートの基礎について修得する。本科目の学びは、2年次以降に開講される〈動物行動学〉や〈陸の動物学演習〉の基礎となる。また、動物にかんする学修をいかせる就職先のひとつである動物園や水族館の社会的使命を学ぶことは、将来の職業選択にも大きく寄与する。
第14回は、動物行動研究に必要なデータ処理の基礎を実習的に学ぶ。まず観察記録を整理し、欠測値や不一致への対応、表計算ソフトを用いた入力とコード化を通じて分析可能な形に整える。次に頻度や割合、代表値や散布度といった基礎的な記述統計を算出し、行動傾向を数値的に把握する。さらに棒グラフや折れ線グラフなどを用いた可視化を行い、研究成果を直感的に伝える方法を修得することを目標とする。
◆コマ主題細目①
・井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、47-50頁
◆コマ主題細目②
・井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、50-56頁
◆コマ主題細目③
・井上英治・中川尚史・南正人(著)『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、東京大学出版会、2013年、47-56頁
コマ主題細目
① データ整理と入力 ② 基礎的な記述統計 ③ 行動データの可視化
細目レベル
① とべ動物園で収集した動物行動の観察記録を分析に適した形に整える過程を実習的に学ぶ。まず、データシートやフィールドノートを見直し、行動カテゴリーや観察単位が一貫しているかを確認する。現場で生じやすい欠測値や記録の不一致に対しては、補完や除外といった対応方法を検討する。整理後には表計算ソフトを用い、数値データとして入力を行い、行や列の構造を整備することで、後の分析に活用しやすい形へと変換する。ここでは単なる入力作業にとどまらず、変数名の付け方やコード化の工夫、データ構造の基本設計といった研究データ管理に不可欠な視点も扱う。受講者は、データの整理と入力を通じて、分析の出発点となる基盤的スキルを修得することを目標とする。
② 整理・入力した行動データを用い、まず頻度や割合を算出することで観察結果の全体的傾向を把握する。次に、度数分布を用いて行動の出現パターンを確認し、平均値や中央値といった代表値、分散や標準偏差といった散布度の計算をおこなう。これにより、行動データを数値として定量的に記述する基本的手法を学ぶ。授業では、複雑な統計モデルや推論的分析は扱わず、入門的な水準に限定して実習をおこなう。分析には表計算ソフトを活用し、簡便な操作を通じて記述統計の意味を理解できるようにする。受講者は、動物行動データを定量化し、研究的に整理するための基礎を修得し、記述統計の役割や限界を理解することを目標とする。
③ 記述統計によって得られた数値をもとに、データを直感的に理解できる形で表現する方法を学ぶ。授業では、棒グラフや円グラフを用いた行動割合の提示、折れ線グラフによる時間変化の描写など、基礎的な図表作成を中心に扱う。さらに、図表の種類を適切に選択することで、研究対象の行動特性をより明確に伝えられることを理解する。また、グラフのデザインやラベル付けの工夫が、結果のわかりやすさや誤解の回避につながることも解説する。高度な統計グラフや多変量的可視化は扱わず、入門的水準に限定する。受講者は、数値データを視覚的に提示する基礎的技術を修得し、動物行動研究の成果を整理・共有するための基盤を身につけることを目標とする。
キーワード
① データ ② 表計算ソフト ③ 変数 ④ 記述統計 ⑤ グラフ
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
◆今回授業の復習
授業内でも確認したが、改めてシラバスを確認しておくこと。特に「授業の展開方法」および第1~15回の内容に一通り目を通し、本科目が第1部「動物飼育施設」、第2部「行動観察の手法」、第3部「行動観察の実践とまとめ」という3部構成で進行することを把握し、講義全体の流れをイメージしておくことが重要である。復習については、文字教材の復習課題を読み、内容が理解できているかを確認するとともに、シラバスに示された「履修判定指標」と照らし合わせて自己点検すること。さらに、第14回の要点や重要なポイントを各自でノートに整理し、理解を定着させることを求める。加えて、学びを深めたい場合は、シラバスに記載されている「参考文献」を大学図書館などで借りて読み込むことを推奨する。また、文字教材の解説や練習問題を見直すだけでなく、ChatGPTを活用して自ら約20問の練習問題を作成・解答し、その後に解答や解説を確認することで、知識をより確実に定着させることができる。
◆次回授業の予習
次回の授業範囲に対応する文字教材を事前に読み、基本的な用語や概念を確認しておくこと。特に不明な点や疑問点があれば、授業中に質問できるよう整理しておくと効果的である。これにより授業内容の理解が深まり、能動的な学びにつながる。また、シラバスの「履修判定指標」を読み、授業における要点を自ら確認しておくこと。
15
レポート作成技術
科目の中での位置付け
本科目は、調査フィールドの1つとなる飼育施設及び飼育動物について学ぶとともに、動物を調査する観察・記録方法とデータのまとめ方を学ぶ。具体的には、飼育施設のあり方、飼育職員の実務、動物福祉、観察・記録手法、観察に基づいた科学レポートの基礎について修得する。本科目の学びは、2年次以降に開講される〈動物行動学〉や〈陸の動物学演習〉の基礎となる。また、動物にかんする学修をいかせる就職先のひとつである動物園や水族館の社会的使命を学ぶことは、将来の職業選択にも大きく寄与する。
第15回は、大学のレポートには「報告型」と「論文」があり、前者は調査内容を整理し、後者は独自の主張を論理的に展開することを学修する。いずれも表紙・序論・本論・結論・引用文献を備え、引用ルールを守らなければならない。コピー&ペーストは剽窃として厳禁で、直接引用と間接引用の区別や出典明示が必要である。執筆は常体を基本とし、専門用語を正確に用い、短文で明瞭に記す。接続詞を効果的に使い、論理性と表現力を高めることが質の向上につながる。
◆コマ主題細目①
世界思想社編集部(編)『大学生 学びのハンドブック[6訂版]』、世界思想社、2024年、20-25頁
◆コマ主題細目②
世界思想社編集部(編)『大学生 学びのハンドブック[6訂版]』、世界思想社、2024年、20-25頁
◆コマ主題細目③
世界思想社編集部(編)『大学生 学びのハンドブック[6訂版]』、世界思想社、2024年、26-33頁
コマ主題細目
① 大学生のレポート ② 引用と文献の扱いにかんするルールとマナー ③ 正確な文章表現
細目レベル
① 大学におけるレポートには主に「報告型レポート」と「論文」の2種類がある。報告型レポートは、与えられたテーマについて調査し、その内容を自分の言葉でまとめ、客観的データや根拠に基づいて報告する。一方、論文は独自の視点から主張を展開し、その根拠を論理的に述べる必要がある。構成要素は共通しており、表紙、序論、本論、結論、引用文献の5つからなる。タイトルは論点を明確に示し、他者の意見を取り入れる場合は「引用」のルールに従う必要がある。コピー&ペーストは「剽窃」となり、大学では不正行為として厳しく処分される。また、レポートでは個人的な感想ではなく、主張とその根拠を明確に書くことが求められることに注意する。
② レポートや論文では、他者の文章を無断で使用する「コピー&ペースト」や「剽窃」は厳禁であり、著作権侵害にあたる可能性もある。これを回避するためには「引用」が必要であり、自身の主張と他人の主張を明確に区別しなければならない。引用には、文章をそのまま用いる「直接引用」と、自分の言葉で言い換える「間接引用」の2種類がある。どちらも出典を明記する必要があり、特に間接引用では内容を正確に要約する力が求められる。さらに、本文で引用した資料は、引用文献リストに全て記載しなければならない。書籍や論文、ウェブサイトなどの情報源によって記載項目や順序が異なるため、それぞれに応じた適切な形式で記載することが重要である。
③ レポートや論文では、常体(〜だ・〜である)で書き、敬体や話し言葉は避け、文語表現を用いることが基本である。曖昧さを排除するため、専門用語や漢語を正しく使えるようにすることも重要である。また、一文を短くし、主語と述語の対応や修飾関係に注意することで、誤解を避け、伝わりやすい文章になる。表記にも注意が必要で、「こと」などの形式名詞や、「ついに」「ゆえに」といった語は平仮名で書くのが一般的である。さらに、論理的な文章を書くには接続詞の使い方が重要である。順接には「そして」「つまり」など、逆接には「しかし」「一方」などがあり、適切な場所で効果的に使うことで、論理構成を明確にできる。こうした表現力の向上が、質の高いレポート作成につながる。これらの指標を正確に守って、レポート提出を課す。
キーワード
① 報告型レポート ② 論文 ③ 引用 ④ 剽窃 ⑤ 常体
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、LMS上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施する。
復習・予習課題
◆今回授業の復習
授業内でも確認したが、改めてシラバスを確認しておくこと。特に「授業の展開方法」および第1~15回の内容に一通り目を通し、本科目が第1部「動物飼育施設」、第2部「行動観察の手法」、第3部「行動観察の実践とまとめ」という3部構成で進行することを把握し、講義全体の流れをイメージしておくことが重要である。復習については、文字教材の復習課題を読み、内容が理解できているかを確認するとともに、シラバスに示された「履修判定指標」と照らし合わせて自己点検すること。さらに、第4回の要点や重要なポイントを各自でノートに整理し、理解を定着させることを求める。加えて、学びを深めたい場合は、シラバスに記載されている「参考文献」を大学図書館などで借りて読み込むことを推奨する。また、文字教材の解説や練習問題を見直すだけでなく、ChatGPTを活用して自ら約20問の練習問題を作成・解答し、その後に解答や解説を確認することで、知識をより確実に定着させることができる。
◆期末試験にむけて
本科目は、コマシラバス「評価方法」にある通り、筆記試験にて評価を実施する。コマシラバスの履修判定指標を良く確認し、試験にそなえること。
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
動物園・水族館および動物福祉の基礎的理解
★動物園・水族館や動物福祉の意義を理解する。実習時に必要とする準備や配慮を説明できる。
★★動物園・水族館の基本的役割を説明でき、日本と欧州の違いを挙げられる。動物福祉の歴史的経緯を理解し、説明することができる。動物行動学を学ぶ意義を理解する。
★★★動物園・水族館の社会的役割(保存・教育・研究・娯楽)を国際比較の観点から批判的に説明でき、動物福祉の理念(WOAHの定義、5つの自由/5つの領域)を具体事例と結びつけて論じられる。
娯楽、環境教育、動物福祉、5つの自由、動物行動学
20
1, 2, 3
動物園・水族館の社会的役割と動物福祉の実践的理解、現場知見の応用力
★動物飼育施設の役割や福祉概念の理解をした上で、事例や講話内容と関連付けて説明できる。
★★動物園・水族館の役割を四大機能に沿って説明でき、現代の動物福祉の現状を理解する。ゲスト講話の内容を整理し、飼育管理や教育活動の具体的事例を把握できる。実習に活かす姿勢を持ち、飼育職の役割や課題について理解する。
★★★動物園・水族館の四大機能(種の保存・教育・研究・娯楽)を批判的に整理し、国内外の事例比較を踏まえて社会的役割を説明できる。さらに、動物福祉の理念(5つの自由/5つの領域)を理解し、環境エンリッチメントや個体管理の具体例と関連付けて論じられる。ゲスト講義内容を踏まえ、飼育員・獣医師の専門性や施設運営の多様性を把握する。
種の保存、
環境エンリッチメント、飼育員・獣医師、公営、私営
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4, 5, 6
行動研究設計と観察・記録の統合的実践力
★ティンバーゲンの「4つの問い」や研究プロセスの基本を理解する。観察法・記録法の選択根拠を理解し、エソグラムやデータシートの作成・運用ができる。
★★「4つの問い」を区別して説明でき、目的に合う基本的指標・行動定義を作成可能。主要な観察法・記録法の長短を理解し、少なくとも二法を適切に実施してデータを記録・整理できる。エソグラムとデータシートの雛形を作成し、記録媒体を状況に応じ使い分けられる。
★★★行動研究の目的を「4つの問い」に対応づけて明確化し、仮説・指標・記録単位(バウト/セッション)を設定できる。対象と環境に応じて観察法(フォーカル/スキャン/全生起/アドリブ)と記録法(連続/ワンゼロ/瞬間)を根拠を示して選択し、エソグラムと自作データシートで高い再現性の記録を遂行する準備ができる。
ティンバーゲンの「4つの問い」、エソグラム、スキャンサンプリング、個体追跡サンプリング、データシート
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7, 8, 9, 10
動物行動研究における実習遂行力の理解
★動物園の基本的マナーを理解し、最低限迷惑をかけない行動がとれる。予備観察で対象を識別し簡単な行動記録ができ、本調査で計画に沿った基本的な観察を行える。研究活動の意義を理解し始めている段階である。
★★動物園利用の基本ルールを理解して行動でき、予備観察で対象動物の基本的行動を把握できる。本調査でも計画に沿った観察を行い、行動カテゴリーに基づく記録を概ね正確に行える。応用的判断や高度な対応には課題があるが、研究活動を支障なく実施できる。
★★★動物園が公共教育施設であることを理解し、動物と来園者双方に配慮したマナーを実践できる。予備観察では対象動物の行動や活動時間を把握し、行動カテゴリーを暫定的に設定し計画修正に反映できる。本調査では標準的観察法を適切に用いて正確で一貫した記録を遂行し、観察者間の信頼性を考慮したデータ収集ができる。全体を通じて、研究倫理と社会的責任を踏まえつつ、計画立案から実施までのプロセスを主体的に遂行できる。
マナー、行動観察、予備観察、個体識別、データ収集
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11, 12, 13
行動データの処理・可視化から学術レポート作成までの統合実践力
★データの整理と入力ができる。結果の解釈を客観的に行い、レポートの基本構成と学術的マナーに則り、レポート作成ができる。
★★基本的なデータ整理(欠測の把握、カテゴリ統一、変数名の付与)が概ねでき、Excelで頻度・割合・平均・標準偏差などを算出し、柱状図や折れ線図で妥当な可視化が行える。本文と引用の区別、最小限の書誌情報記載、常体での記述は守れているが、図表の体裁や解釈の妥当性、引用形式を統一できる。
★★★現地で得た行動データを整形(欠測処理・コード化・記録単位の統一)し、記述統計(度数・割合・代表値・散布度)を根拠つきで算出できる。Excel で適切な図表(軸・単位・凡例・タイトル)を作成し、可視化に基づく解釈を簡潔に述べる。報告型レポートの構成に従い、直接・間接引用を区別して出典を完全表記、剽窃を回避。常体・論理的接続で明確に記述し、読み手が追試可能な再現性の高い稿に仕上げる。
データ整理、記述統計、可視化(図表)、引用と剽窃、再現性
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14, 15
評価方法
期末試験
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
指定なし
参考文献
『基礎からわかる動物行動学』、トリストラム・D・ワイアット、ニュートン新書、『動物福祉学』、新村毅、昭和堂、『野生動物の行動観察法 ―実践 日本の哺乳類学―』、井上英治・中川尚史・南正人、東京大学出版会、『動物園を考える: 日本と世界の違いを超えて』、佐渡友陽一、東京大学出版会、『大学生 学びのハンドブック[6訂版]』、世界思想社編集部、世界思想社
実験・実習・教材費
オートリピート機能付き腕時計(2,200円)、愛媛県立とべ動物園の入園料(600円)、現地までの交通費が必要となる(費用変更の可能性もある)