区分
水域フィールド科目
ディプロマ・ポリシーとの関係
カリキュラム・ポリシーとの関係
カリキュラム全体の中でのこの科目の位置づけ
フィールド自然学科は、自然と人間が共存できる社会を目指し、科学的知見に基づいた教育と研究を行っている。陸域・水域・農業の3つの分野についてくわしく学び、さらに統計データ解析や幅広い教養を育むカリキュラムを編成している。また、柔軟な考え方や実践的な提案をする力を育てるために、学科共通の授業や複数の分野に関わる授業も用意されている。これにより、幅広い視野を持ち、さまざまな課題に対応できる人材を育成する。
本科目は、水生生物の分類から生態に関する知識を習得することを目的とし、実習形式で顕微鏡の使用や必要な道具を自ら作成することを通じて体得させることを重視する。具体的には、生物、実体顕微鏡の使用方法の習得や竹ピンセット、索針作成から始め、魚類の体計測、卵や稚仔魚、鱗の染色から観察、流れ藻や岩礁などに付着する甲殻類(エビ・カニ・ヨコエビ類)などの無脊椎動物の分類やスケッチを行う。これにより、受講学生は、道具作成技術、標本の前処理技術(染色処理や保存方法)、観察技法、標本撮影方法、写真を使用したスケッチ技術、標本収集方法、データ解析技術を習得することが可能となる。これらの内容は、3年次前期に開講予定の「魚類・水生昆虫演習」におけるフィールド調査を行う際の基礎として位置付けている。
科目の目的
本科目では、水生動物の生態から分類を行うための実体顕微鏡から生物顕微鏡の使用方法、ピンセットや索針といった使用道具の作成技術、標本の前処理技術(染色処理や保存方法)、観察技法、標本撮影方法、写真を使用したスケッチ技術、標本収集方法、データ解析技術の一連の操作を学ぶことによって、生物分類のスペシャリストとして養成する。
到達目標
本科目は、水生生物の分類技術を以下の構成で習得させることを目標としている。
①《基礎編》水生動物の代表的な分類群である魚類・甲殻類・貝類等の生態から分類の歴史までを理解し、観察器具の使用方法、器具の作成方法を学び、自ら作成することによってその技術を習得させる。
②《実践編》基礎編で習得した内容から、水生生物の観察技法、標本撮影方法、写真を使用したスケッチ技術、標本収集方法、データ解析技術を習得させ、応用編で自ら試料を処理、分類前の一連の操作が行えるようにする。
③《応用編》実試料(アマモに付着する生物や稚魚)を使用して、保存処理、前処理(染色操作)から分類までの一連の操作が教員の手を借りることなく自ら滞りなく実践できるところまで到達させ、「分類技術者」の養成を図ることを最終的な到達目標とする。
科目の概要
本科目は、水生生物の分類から生態に関する知識を習得することを目的とし、実習形式で顕微鏡の使用や必要な道具を自ら作成する。具体的には、生物、実体顕微鏡の使用方法の習得や竹ピンセット、索針作成から始め、魚類の体計測、卵や稚仔魚、鱗の染色から観察、流れ藻や岩礁などに付着する甲殻類(エビ・カニ・ヨコエビ類)などの無脊椎動物の分類やスケッチを行う。これにより、受講学生は、道具作成技術、標本の前処理技術(染色処理や保存方法)、観察技法、標本撮影方法、写真を使用したスケッチ技術、標本収集方法、データ解析技術を習得する。
科目のキーワード
①水生動物の分類と生態、②採集機材と試料の保存方法、③試料の前処理方法、④器材の作成、⑤形態観察とスケッチ、⑥実試料からの処理から分類まで 構成は基礎編(①、②、③)、実践編(④、⑤)、応用編(⑥)となる。
授業の展開方法
本科目では、水生動物の生態から分類技術までを学ぶ。
内容として、導入→演習→小テスト→まとめの流れで進め、分類技術の基礎から応用までを段階的に理解していく。各回の授業は、3つの部に分けて体系的に構成されている。
・1回の演習(講義)構成
1. 導入(10分):前回の内容を振り返り、到達目標を提示する。
2. 演習および講義(60分):各テーマに基づき、講義室または実験室において文章教材を中心に具体例を交えた解説を行う。
3. 小テスト(10分):各コマにおける到達目標に沿ってその内容を理解させる。
4. まとめと次回予告(10分):内容の要点をまとめ、次回の内容を予告、予習の確認を行う。
担当教員は、建設コンサルタント、環境計量証明事業及び民間研究機関において調査・分析技師としての勤務経験があり、その経験に基づいて第1~15回について説明を行う。
第1部:基礎編(第1〜5回)
最初の1回は、水生動物の分類から生態までの基礎を学ぶため、講義を中心に展開する。内容は、地球上に水生動物がどの時代から出現し、繁栄してきたのか、分類群とその生態、分類学の発展に寄与した研究者の成果などを学ぶ。2回以降は、共通実験室(1号棟204号室)に場所を移して、分類に必要な機材や器具の名称から、使用方法について学ぶ。また、5回以降の導入編で使用する道具を自ら作成し、作成技術を習得する。5回目は、1~4回までに実施した内容の振り返りを講義形式で行い、分類の基礎的な知識の定着から使用方法、作成技術の復習を行う。
第2部:実践編(第6〜10回)
6回以降は、実践編として、分類に必要道具、標本を掴むためのピンセット(竹製)と細部(魚であればヒレや鱗、無脊椎動物であれば脚など)を切除ならびに広げたりするための操作に必要な索針を自ら作成し、以後の演習で実際に使用する。7回から9回は、実標本を使用し、標本のスケッチ方法、標本の撮影方法を実演を交えながら解説、自ら実践までを行う。また、標本を用いた保存液や染色液の使用方法、染色操作を行い、その操作の習得を行う。10回目は、6~9回までに実施した内容の振り返りを講義形式で行い、知識や技術の定着を行う。
第3部:応用編(第11〜15回)
11回目以降は、応用編として、実試料(アマモに付着する生物および染色した稚魚)を用いて、ソーティング(分類する生物とそうでないものとを仕分けする作業)、実体顕微鏡、生物顕微鏡を使用した分類を行い、染色した稚魚は席椎骨をカウントし、種まで分類する。この時の操作は自ら行う。
15回目は、11~14回までに実施した内容の振り返りを講義形式で行い、知識や技術の定着を行いつつ、第1部(1~5回)、第2部(6~10回)で行った演習も併せて振り返りを行い、知識や技術の再定着を図り、当演習の到達目標としている、「分類技術者」として自ら実践できるようにする。
本演習では、1から3部構成で水生動物の生態から分類までの基礎を学び、以後の実践、応用編では自ら操作を行うことで、技術者としての基礎を確立する。
オフィス・アワー
後藤益滋:※演習時に疑問に思ったこと、わからなかったこと、気づきは遠慮なく聞いてください。ただし、質問事項を整理したうえで来訪してください。
【前期】
基礎ゼミナールⅠ木曜4・5限
河川生態学水曜4・5限
【後期】
基礎ゼミナールⅡ木曜4・5限
水生動物学木曜4・5限
群衆生態学月曜2限・昼火曜昼
三瓶真:【前期】
地球環境学火曜3・4限
基礎ゼミナールⅠ木曜5限
【後期】
海洋と水産の科学月曜5限
海洋学演習金2限・5限
基礎ゼミナールⅡ火曜4・5限
中島琢自:※指定時間以外に希望する場合、時間を調整するのでメールなどでご連絡ください。
【前期】
環境と微生物
基礎ゼミナールⅠ
微生物利用学
全科目:火曜1限、水曜昼~5限、木曜2限、金曜4限
【後期】
地域産業学
基礎ゼミナールⅡ
基礎微生物学演習
全科目:月曜5限、火曜1限、木曜4・5限、金曜4限
科目コード
TE2010
学年・期
1年・後期
科目名
水生動物学
単位数
2
授業形態
演習
必修・選択
選択
学習時間
前提とする科目
展開科目
関連資格
担当教員名
後藤益滋・三瓶真・中島琢自
回
主題
コマシラバス項目
内容
教材・教具
1
【水生動物はどのようなもの?分類と生態】【魚類・甲殻類・貝類等】(基礎編1)
科目の中での位置付け
本科目の授業は、第1部から第3部に分かれ、各部ごとに異なる側面から水生動物学を追求する。第1部では、水生動物がいつ地球上に現れ、繁栄していったのかを学び、そして、水生動物学の研究の歴史を時代背景ごとにどのように進展していったのかを学ぶ。第2部では、基礎編として水生動物を観察や分類するためにはどのような道具を使いこなす必要があるのかを、器具、道具の歴史から、実際使用する道具について使用方法について学び、必要なピンセットや索針を実際作製して、以後の演習で使用する。第3部では、アマモやガラモ中の動物や様々な水生動物などの実検体を用いて、実際に仕分けから分類までを個人が文献や道具を駆使して、その一連の操作についての実践を行う。
第1回は、授業の構成と進め方をガイダンスで確認し、講義と実習を通じて段階的に理解を深める方法を学ぶ。次に、水生動物が地球上でいつ発生し、どのように発展してきたのかの歴史について、分類群ごとに学ぶ。
ノート(各自)
コマ主題細目
① ガイダンス:授業の進め方と構成の確認 ② 水生動物とは? 地球上に現れたのはいつ?現代までにどのように変化した ③ 水生動物研究史
細目レベル
① 本科目の授業は、「講義」と「演習」で構成される。授業ではオリジナルの文章教材を用い、シラバスの「コマ主題細目」に沿って進める。本科目は三部構成になっており、第1部では基礎編、第2部では実践編、第3部では応用編について解説する。各コマは「解説」「練習問題」「まとめ」の3要素で構成され、段階的に知識と実践を深める仕組みになっている。授業の冒頭10分間で、その回の学習内容の全体像や重要ポイントを示し、続く60分間で細目レベルの解説と練習問題を通じて理解を確認する。その後、要点を整理し、まとめをおこなう。授業の終盤10分間には、学んだ内容を振り返り、小テストで理解度を客観的に確認したうえで、解答・解説を実施する。
② 地球が誕生して約45億年である。水生動物の起源は、地球上の生命誕生と深く関係しており、生物が地球上に誕生したのは38億年前とされる。その最初の生命体は水中、特に海洋において発生したと考えられており、初期の生命は単細胞の原核生物で、やがて多細胞生物へと進化した。約6億年前(エディアカラ紀)には最初の動物とされる軟体の無脊椎動物が出現し、我々が認識する動物という形になったものはその後、カンブリア紀(約5億4千万年前)には「カンブリア爆発」と呼ばれる生物進化の急激な多様化が起き、三葉虫、腕足類、海綿、刺胞動物、初期の節足動物や脊索動物が出現した。これにより、今日見られる多くの水生動物の系統の祖先が形成されたと考えられる。脊椎動物の起源とされる魚類は、オルドビス紀からデボン紀(約5億~3.6億年前)にかけて多様化し、「魚の時代」と呼ばれるほどの繁栄を見せた。この中から、四肢を持ち淡水域での生活に適応した両生類が進化し、陸上進出の第一歩を踏み出したが、進化の過程では再び水中に適応し直した系統もあり、例えばクジラやイルカなどの水生哺乳類、カメなどの水生爬虫類は、陸上生活から水中生活へと再適応した例である。地球上に生物誕生し、どのようなプロセスで進化や繁栄をしていったのかを体系的に理解する。
③ 古代ギリシアの哲学者アリストテレス(紀元前384–322年)は、生物の観察と分類に基づく博物学の礎を築いた人物です。彼は『動物誌』において、海洋生物を含む約500種に及ぶ動物の形態や生活史を記述し、多くの水生動物(タコ、クラゲ、魚類など)について詳細な観察を残した。彼の分類は現代の科学とは異なるが、自然界の体系化に向けた最初の試みとされる。中世ヨーロッパでは、自然観察よりも神学的・寓意的解釈が優先され、水生動物の科学的研究は一時停滞する。しかし、イスラム世界ではギリシアの学問が継承・発展され、いくつかの文献は後にルネサンス期ヨーロッパに逆輸入されることになる。
ルネサンスから近代にかけて、博物学が再興し、水生動物に関する記録が徐々に科学的精密さを増していく。17世紀には顕微鏡の発明により、プランクトンや微小無脊椎動物など、それまで観察不可能だった水中生物の世界が明らかになった。アントニ・ファン・レーウェンフック(1632–1723)は、単眼式顕微鏡を使って微小な水生生物を観察し、「微生物」や「動く動物分子(animalcules)」の存在を初めて報告した。18〜19世紀には分類学と生物地理学が発展し、カール・フォン・リンネによる二名法に基づく分類体系が整備された。海洋生物や淡水生物の新種発見が相次ぎ、探検航海と結びついた学術調査が盛んに行われた。特にチャールズ・ダーウィンは『ビーグル号航海記』において水生無脊椎動物の観察を重ね、後の進化論構築に活かされることとなった。
このような国際的動向と並行して、日本における水生動物研究の基盤形成に決定的な役割を果たしたのが、19世紀前半に来日したドイツ人医師フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト(1796–1866)と、その協力者で動物学者のハインリッヒ・ボイト・デ・ハーン(1801–1855)である。シーボルトは長崎出島に滞在中、日本各地を巡って動植物の採集を行い、帰国後に『日本動物誌(Fauna Japonica)』を刊行した。これは日本の魚類、甲殻類、両生類、爬虫類など水生動物を含む動物相を、初めて西欧の分類学の枠組みで体系化した画期的業績である。デ・ハーンはこの著作において特に甲殻類の分類を担当し、日本産カニ類・エビ類の新種記載に大きな貢献をした。彼らの研究によって、日本の水生動物は初めて国際的学術舞台に紹介された。このように水生生物の研究について様々な曲折をへて現代へどのように繋がったのかを順を追って理解する。
キーワード
① 授業構成と学習方法 ② 水生動物の進化史 ③ 歴史的研究の発展 ④ 日本の水生動物研究の黎明
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【第1回目の復習】
特に地球上に水生動物が現れた時期、そして、どのように進化をしたのか。水生動物研究の歴史、古代ギリシアのアリストテレスは『動物誌』で多くの水生動物を記録し、博物学の基礎を築いたことや中世ヨーロッパでは神学が優先されたが、イスラム世界でギリシアの知識が継承されたこと、ルネサンス以降は顕微鏡の発明で微小生物が発見され、リンネの分類体系やダーウィンの進化論などが近代生物学の発展に寄与したことについて理解を深めておくとよい。また、日本では19世紀に来日したシーボルトとデ・ハーンが『日本動物誌』を通じ、日本の水生動物を西欧科学の枠組みで紹介し、国際的研究の基盤を築いたことを理解しておくことで、近代日本における水生動物の研究史も知ることができる。
【第2回目の予習】
水生動物の採集と標本管理に関する理解を深めるためには、まず採集に用いられる代表的な道具(採集網、トラップ、採泥器、スクーバなど)とその用途を把握し、どのような環境・対象生物に適しているかを整理しておく。次に、各採集方法の原理と特徴について、たとえば網を使った定量的な曳網や、光に誘引される生物を集めるライトトラップなどを通じて、方法の利点と制約を理解しておく。さらに、採集には法的な手続きが必要となる場合があり、対象地域や種によって管轄機関や申請内容が異なるため、事前の確認と、どのような書類の準備が必要なのかを把握しておく。採集後の標本は目的に応じて生体輸送、ホルマリン固定、エタノール保存、冷凍などの方法を使い分けや記録方法についても理解をしておくこと。
2
【採集機材の種類、採集および保存方法の解説(基礎編2)】
科目の中での位置付け
本科目の授業は、第1部から第3部に分かれ、各部ごとに異なる側面から水生動物学を追求する。第1部では、水生動物がいつ地球上に現れ、繁栄していったのかを学び、そして、水生動物学の研究の歴史を時代背景ごとにどのように進展していったのかを学ぶ。第2部では、基礎編として水生動物を観察や分類するためにはどのような道具を使いこなす必要があるのかを、器具、道具の歴史から、実際使用する道具について使用方法について学び、必要なピンセットや索針を実際作製して、以後の演習で使用する。第3部では、アマモやガラモ中の動物や様々な水生動物などの実検体を用いて、実際に仕分けから分類までを個人が文献や道具を駆使して、その一連の操作についての実践を行う。
第2回は、水生動物学における生物調査および標本作成の基礎として、水生動物の採集に用いられる主要な機材の種類と特徴、採集方法、ならびに採集した動物の適切な保存方法について会得する。
ノート(各自)
コマ主題細目
① 採取機材の種類と特徴 ② 採取方法 ③ 採集時の注意点(許可が必要な場合) ④ 標本の保存方法 ⑤ 保存上の注意点
細目レベル
① 水生動物の採集に用いられる道具は以下のような種類があり、、採集網、トラップ(罠)、採泥・底質サンプラー、スクーバ・スノーケリングの4種類が存在する。採集網は、プランクトンネット:微小な動物プランクトン(例:ミジンコ、ワムシなど)を効率よく濾し取るため、目合いの非常に細かい布で作られています。水中を垂直または水平に曳いて使用する。
・玉網(手網):水辺の浅場で使用され、小型魚類、昆虫、水生甲殻類の採集に適しています。網のサイズや柄の長さも用途に応じて選定される。
・地引網・刺網・投網:より大型の魚類やイカ・タコ類などを対象とする網で、広範囲を一括して採集するのに適している。特に、地引網は沿岸域や河口部での集団採集に有効である。このように、用途に応じた採取道具について、実物を交えながら解説し、これまで河川・湖沼・沿岸域における水生動物調査や教育実習に携わってきた経験を活かし、対象生物に応じた採集道具の特徴を理解させる。
② 採集方法として、 網を用いた採集方法:最も基本的かつ広範に利用されるのが網を用いた手法である。・プランクトン採集では、細かな目合いのネット(プランクトンネット)を水中で曳航して、水中の微小生物(ミジンコやワムシなど)を濾し取る。曳航は船舶による場合と手動による場合があり、一定の速度・深度・距離を保つことが採集精度の鍵となる。定量的に採集する場合は、ろ過量を算出する必要があるので、網の先端にろ水計を装着して曳網する。
・玉網(手網)による採集は、岸辺や浅場の水草帯などを対象に、小型魚類、甲殻類、水生昆虫などをすくい取る方法である。観察と組み合わせて採集することで、環境と生物の関係を詳細に把握することが可能である。・地引網・刺網などの大型網を用いる手法では、特定の区域に網を設置し、一定時間経過後に引き揚げて生物を回収する。定量的な採集や魚類群集の構成を把握するための有効な手法である。トラップを用いた採集方法:生物の行動特性(移動・採餌・光への反応)を活かして自発的に誘引・捕獲する方法である。・カゴ罠・筒型トラップでは、内部に餌を設置し、水底に一定時間設置して生物が自ら侵入するのを待つ。特に、底生のエビやカニ、小型魚類に効果的である。・ライトトラップは夜間に光を発する装置を設置し、稚魚、エビの幼生、水生昆虫など光に誘引される生物を集めて網や容器で採集する。夜行性や浮遊性の高い生物に適している。採泥器を用いた採集方法:湖沼や海底などの底質に生息する底生動物を対象とした方法である。エクマンバージ式採泥器などを用いて泥ごと採集し、地上に引き上げた後、水とともに篩(ふるい)にかけて生物を分離・抽出する。この方法は、ゴカイ類、底生甲殻類、貝類などを対象とする底生群集の調査に有効である。潜水を用いた採集方法:スクーバダイビングやスノーケリングにより調査者自身が水中に入り、直接目視で生物を探索・採集する。複雑な構造を持つ水域(サンゴ礁、沈木、水草帯など)において高い精度での採集が可能です。対象生物に過度なストレスを与えないよう、手網やピンセットを用いて慎重に採取する。観察と同時に環境情報も得られるのが利点である。実際の採取方法について、これまで河川・湖沼・沿岸域における水生動物調査や教育実習に携わってきた経験を活かし、対象生物に応じた採集方法について理解をさせる。
③ 採集時の注意点として、採集する生物が法的に許可が必要な場合以下の手続きを必要とする。所管機関の特定:採集を予定している河川の管理主体を確認しする。日本の河川は大きく「国が管理する一級河川(国土交通省)」と、「都道府県が管理する二級河川・準用河川」に分かれており、それぞれ対応する行政機関が異なる。また、河川が自然公園、保護区、漁業権設定水域などに含まれる場合は、環境省や都道府県の自然環境部局、漁業協同組合などへの追加的な申請が必要となる。目的と対象種の明確化:許可申請にあたっては、採集の目的(例:教育実習、研究調査など)、対象とする分類群または具体的な種名、採集方法、実施期間・頻度、場所(河川名・地点)を明確に記載する。特にレッドリスト掲載種や天然記念物、絶滅危惧種などを対象とする場合には、より厳密な審査が行われるため、詳細な調査計画書の提出が求められる。
申請書類の作成と提出:各自治体・国の出先機関では所定の申請様式があり、通常は以下のような書類を提出する。1.採集許可申請書(所定様式)、2.調査計画書(実施目的、方法、体制、予備調査の有無など)、3.地図(採集予定地の位置図)、4.実施機関・責任者情報である。また、必要に応じて、大学や研究機関の研究倫理委員会等での承認書類を添付を求められることもある。関連法令の確認:環境基本法、種の保存法、文化財保護法、漁業法、水産資源保護法など、対象生物に応じた関連法令の規制が存在するため、事前に十分な確認が必要である。たとえば、「特定外来生物」に該当する種を採集する場合は、環境省の許可が別途必要である。
承認・許可の取得と条件遵守:申請内容が適正であると認められれば、特別採捕許可書が交付される。ただし、採集期間・場所・個体数の制限、報告義務などの条件が付されることが多く、これを厳守する必要がある。調査終了後には、報告書の提出を求められる場合もあるため、採集記録を正確に残しておくことが重要である。このように、どのような方法で許可を得て、調査を行うかを順を追って理解する必要がある。これまでの現場で申請を許可を取得した経験を活かし、採集時に必要となる法的手続きや関係機関への申請方法、関連法令の確認、許可条件の遵守などについても、実際の調査経験を基に解説し、教育・研究現場で求められる実務的対応力を養い、理解させる。
④ 標本の保存方法は、生標本の管理と輸送 ・採集後、短期間の輸送と薬品に浸漬する固定保存に大別される。1.生標本の管理と輸送 ・採集後、短期間の輸送・一時保管ではエアレーション(水の循環と酸素供給)を用いる。・温度変化を抑えるため、発泡スチロール容器を活用し、保冷剤や氷を間接的に使用。2.固定・保存処理 ・ホルマリン固定:動物体を10%中性緩衝ホルマリン液に完全に浸し、最低24時間~1週間固定後、水洗しアルコールへ移行。・アルコール保存:標本を70~80%エタノールで長期間保存。標本瓶は気密性の高いガラス製が推奨される。・冷凍保存:DNA分析や生化学分析が必要な場合は、採集後速やかに液体窒素または-20℃以下で冷凍。3.ラベルと記録 ・標本瓶には必ず防水性のラベルを付け、採集日時、採集者、採集場所(緯度経度を含む)、種名、環境情報を記録。 ・電子データとしても管理し、紙媒体と併用して二重管理を行う。標本の保存をどのようにすればよいのか?薬品や保存に使用する器具類について体系的に理解する。
⑤ 保存上の注意点は、標本が乾燥しないように液面の定期的な確認・補充を行う。 ホルマリンやアルコールは揮発性があり、保管場所は通気性を確保したうえで、直射日光を避けて室温が一定の場所で保管する。 冷凍標本は温度管理を厳密に行い、凍結・解凍を繰り返さないよう注意する。保存時に注意するべき点について、薬品の特性などを理解する。
キーワード
① 採集方法 ② 採集許可・法令遵守 ③ 標本の保存 ④ 記録と管理
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【第2回目の復習】
代表的な採集道具(採集網、トラップ、採泥器、スクーバなど)の種類と、それぞれが適用される生物や環境との関係を理解すること。次に、網を用いた定量的な曳網や手網による浅場採集、トラップによる誘引捕獲、潜水による直接観察など、採集方法の原理と利点・制約を整理しておくこと。また、採集対象や場所によっては許可申請が必要となるため、管轄機関、申請書類、対象種、関連法令の確認といった手続きの流れを把握し、法的遵守を意識することが重要である。さらに、採集後の標本保存では、生体輸送、ホルマリン固定、アルコール保存、冷凍などの方法を分析目的に応じて使い分けるとともに、ラベル情報の正確な記載と電子的な記録の管理方法について内容を理解しておくこと。薬品は、揮発や温度変化による劣化を防ぐため、保存環境の管理や液面確認などの定期的な対応も含め、保存上の注意点を理解しておくこと。
【第3回目の予習】
洗浄・麻酔・固定といった初期処理の目的と手順を理解することが重要である。洗浄では異物の除去、麻酔は動物福祉への配慮、固定は標本の保存性確保を目的とし、研究内容に応じてホルマリン、エタノール、RNA laterなどの薬品を使い分ける。また、ラベルの正確な記載(採集日時・場所、採集者、種名、保存法など)は、標本の学術的価値を保証するため不可欠である。DNAやRNA抽出を目的とする場合には、採集後すみやかに組織片を液体窒素やエタノール、RNA laterで処理し、分解を防ぐ必要があります。実験室では、抽出キットを用いた核酸の精製や、PCRに適したテンプレート作製法についての知識を身につけておくこと。特に、RNAを扱う際は無RNase環境の維持や衛生管理が不可欠であり。以上の内容を事前に整理し、目的に応じた適切な標本処理法を選べるようにしておくこと。
3
【採集物の前処理方法の解説(基礎編3)】
科目の中での位置付け
本科目の授業は、第1部から第3部に分かれ、各部ごとに異なる側面から水生動物学を追求する。第1部では、水生動物がいつ地球上に現れ、繁栄していったのかを学び、そして、水生動物学の研究の歴史を時代背景ごとにどのように進展していったのかを学ぶ。第2部では、基礎編として水生動物を観察や分類するためにはどのような道具を使いこなす必要があるのかを、器具、道具の歴史から、実際使用する道具について使用方法について学び、必要なピンセットや索針を実際作製して、以後の演習で使用する。第3部では、アマモやガラモ中の動物や様々な水生動物などの実検体を用いて、実際に仕分けから分類までを個人が文献や道具を駆使して、その一連の操作についての実践を行う。第3回目は、水生動物学における生物調査および標本作成の基礎として、水生動物の採集後における前処理についてその方法と会得する。
ノート(各自)
コマ主題細目
① 採集後の一次処理(現場処理) ② 実験室での二次処理(詳細な固定・保存処理) ③ 分類学・形態学的解析のための処理 ④ 分子生物学的解析用処理
細目レベル
① 1.洗浄・汚れの除去:採集直後の生物個体には、泥、砂、落ち葉、水草片、付着藻類などが体表に付着していることが多く、この状態では標本の観察や保存に支障が生じることを理解しておかなければならない。したがって、現場において新鮮な水(河川水・海水、または持参した精製水)を用いて軽く洗浄し、異物を適切に除去する必要がある。特に小型甲殻類や軟体動物など柔軟な体をもつ生物では、強い水流が損傷の原因となるため、洗浄時には水圧や取り扱いの強さに十分注意を払うことが重要であることまでを理解する。
2.麻酔・安楽死処理:研究目的によっては、生体をそのまま固定するのではなく、事前に動きを止め、苦痛を軽減するための麻酔処理を行う必要があることを理解しなければならない。代表的な麻酔剤としてMS-222(トリカインメタンスルホン酸塩)があり、魚類や両生類の麻酔・安楽死処理に広く用いられていることを把握しておく必要がある。また、エビ・カニ類などの無脊椎動物では氷水による低温ショックが用いられる場合があることも理解しておくべきである。これらの処理は動物福祉および倫理的配慮の観点から極めて重要であり、対象種に応じた適切な方法を選定する必要があることまでを理解する。
3.固定処理(一次固定):洗浄および麻酔を終えた生物は、状態が良好なうちに速やかに固定処理を行う必要があることを理解しなければならない。形態観察や分類学的研究では、5〜10%緩衝ホルマリン溶液による固定が基本であり、ホルマリンは組織を安定化させ長期保存を可能にする薬剤であることを把握しておく必要がある。ただし、ホルマリンは有害性が高いため、手袋やマスクの着用、十分な換気の確保など、防護措置を徹底しなければならないことも理解する必要がある。一方で、DNA解析やRNA解析など分子レベルの研究ではホルマリンは適さず、70〜99%エタノールやRNA later などの保存液を使用する必要があることを理解しなければならない。特にRNAは分解が極めて速いため、迅速かつ適切な処理が不可欠であることまでを理解する。
② 1.本の適切な保存管理を行うためには、まずラベルの作成と添付の重要性を理解する。標本としての学術的価値を保証するうえで、正確なラベル情報の記録は不可欠であることを理解する。ラベルには、採集地点(地名や緯度経度)、採集日(西暦による年月日)、採集者名(個人名または研究グループ名)、対象生物の種名または分類群名(可能な範囲で同定した名称)、固定・保存方法の概要を明記する必要があることを理解する。これらの情報は耐水紙やプラスチックラベルに油性ペンまたは耐水性インクで記入し、保存容器内に同封することが基本であることを理解する。また、容器外側にも同様の情報を記載したラベルを貼付し、標本の取り違えを防止する措置を講じる必要があることを理解する。
2.次に、ホルマリン固定標本の脱水およびアルコール置換処理の意義と手順を理解する。ホルマリンによる一次固定標本は長期保存に適さないため、エタノールへの段階的置換処理が必要であることを理解する。この工程は、ホルマリンを除去し、保存性を高めるための重要な過程であることを理解する。具体的には、まず流水または静置交換による水洗を数時間から半日程度行い、ホルマリンを十分に除去する必要があることを理解する。続いて、50%から70%、80%、90%、99%へと段階的にアルコール濃度を上昇させ、各濃度段階で数時間から1日程度浸漬しながら、組織内の水分を徐々にアルコールへ置換する方法を理解する。この工程を丁寧に実施することで、組織の収縮や変色を抑制し、形態を良好に保持できることを理解する。
3.さらに、最終的な保存液の選択と長期保存管理の方法を理解する。形態観察や分類学的研究を目的とする場合には、70%エタノールが標準的な保存液として広く用いられていることを理解する。この濃度は長期保存に適し、多くの博物館や大学標本室で採用されていることを理解する。一方、DNAやRNAの抽出など分子生物学的解析を目的とする場合には、95~99%エタノールやRNA laterなどの核酸保存液が有効であることを理解する。これらは核酸分解を抑制する効果が高く、冷蔵または冷凍保存と併用することで保存性がさらに向上することを理解する。
加えて、保存後も定期的に保存容器の状態を点検し、液漏れ、蒸発、変色の有無を確認する必要があることを理解する。必要に応じて保存液を交換することで、標本の長期的な保存状態を良好に維持できることを理解する。
③ 1.形態観察および分類学的研究を目的とする場合の保存方法について理解する。形態や外部形質の保存を重視する場合には、70%エタノールが標準的な保存液として使用されることを理解する。この濃度は脱水効果と保存性のバランスに優れており、標本の収縮や変色を最小限に抑えつつ長期間の保管を可能にすることを理解する。多くの大学や博物館において分類学的標本が70%エタノールで保存されていることを理解する。また、ホルマリン固定後の標本は段階的にアルコール置換を行い、最終的に70%エタノールへ移行させることが一般的な処理手順であることを理解する。
2.DNA・RNAなどの分子生物学的解析を目的とする場合の保存方法について理解する。遺伝子解析を行う場合には、核酸の分解を防止するために高濃度の保存液が必要であることを理解する。具体的には95〜99%エタノールが広く用いられ、組織内の水分を速やかに除去することでDNAの劣化を抑制できることを理解する。さらに、RNA解析のように分解されやすい分子を対象とする場合には、RNA later(リナレーター)などの専用保存液を使用する必要があることを理解する。この保存液はRNAを安定に保持する能力に優れており、冷蔵(4℃)または冷凍(−20℃以下)で保存することで、数週間から数か月の長期保存が可能となることを理解する。
3.長期保存時の管理と注意点について理解する。標本を保存液に移行した後も、その状態を維持するためには定期的な点検と適切な管理が必要であることを理解する。保存容器の液漏れや蒸発の有無を確認する必要があることを理解する。保存液の濁りや変色、沈殿物の発生などの異常を確認する必要があることを理解する。液量が減少している場合には適切な濃度の保存液を補充または交換する必要があることを理解する。また、直射日光や高温を避け、温度変化の少ない場所で保管することが望ましいことを理解する。これらの管理を継続的に行うことで、標本の学術的価値を長期間にわたり維持できることを理解する。
④ 1.DNA・RNA抽出用試料の初期処理について理解する。分子解析を前提とした標本処理では、採集後できる限り速やかに筋肉、鰓、脚部などの組織片を採取し、核酸の分解を防ぐ処理を行う必要があることを理解する。最も保存性が高い方法は即時凍結法であり、組織を液体窒素(−196℃)で急速凍結し、その後ドライアイスまたは−80℃で保存する方法であることを理解する。特にRNA抽出を目的とする場合には有効であり、分解酵素(RNase)の作用を速やかに停止できることを理解する。現場で液体窒素の使用が困難な場合には、95〜99%エタノールまたはRNA laterに組織片を浸漬して保存する方法があることを理解する。エタノールはDNA解析に適しており、RNA laterはRNA保存に特化した保存液であることを理解する。RNA laterは室温での一時保存が可能であるが、長期保存には冷蔵(4℃)または冷凍(−20℃以下)が必要であることを理解する。これらの方法により、核酸の変性や分解を防ぎ、後の解析に適した状態を維持できることを理解する。
2.PCR用DNAテンプレートの調製について理解する。DNA解析(PCRやシーケンシングなど)を実施するためには、組織から高純度のDNAを抽出・精製する必要があることを理解する。一般的には市販のDNA抽出キット(例:Qiagen社、Takara社など)を用いることが多いことを理解する。処理工程として、まず酵素や界面活性剤を含むバッファーを用いて細胞膜および核膜を破壊し、核酸を溶出させる工程があることを理解する。次に、タンパク質や脂質などの不純物を除去し、純粋なDNAを回収する工程があることを理解する。方法としてはスピンカラム法や磁気ビーズ法が一般的であることを理解する。最終的に得られたDNAはTEバッファーまたは滅菌水に溶出し、−20℃以下で保存する必要があることを理解する。また、抽出後にはDNA濃度および純度(A260/A280比)を測定し、PCR反応に適したテンプレートであるかを確認することが重要であることを理解する。
3.さらに、核酸取り扱い時の注意点について理解する。核酸は非常に不安定であり、特にRNAは分解酵素に対して極めて壊れやすいことを理解する。そのため、無RNase環境の確保、器具の滅菌処理、使い捨て手袋の適切な交換など、基本的な実験衛生管理を徹底する必要があることを理解する。これらの管理を適切に行うことで、信頼性の高い分子解析結果を得ることが可能となることを理解する。
キーワード
① 標本処理と保存 ② 分子解析用試料の前処理 ③ ラベル作成と標本管理 ④ DNA・RNA抽出とPCR用テンプレート調製
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【第3回目復習】
採集直後の個体に対して行う洗浄や麻酔・安楽死処理、そして研究目的に応じた固定方法(ホルマリン固定やエタノール固定など)の違いとその理由を理解することが必要である。次に、標本としての信頼性を高めるため、採集地点や日付、保存方法などを明記したラベルの作成と容器内外への正確な添付の重要性を認識すること。ホルマリンで一次固定した標本を段階的にアルコールへ置換する手順、保存液の濃度選定(形態観察には70%、DNA解析には95%以上、RNA保存にはRNA later)とその科学的根拠についても整理しておくこと。また、保存後も定期的な液面確認と交換が必要であること、長期保存には環境管理が不可欠である点も押さえる必要がある。分子解析を行う場合には、採集後速やかな組織片の凍結や保存液処理、抽出手順や精製法(スピンカラム等)、DNA・RNAの安定性確保のための実験衛生管理(RNase対策含む)についても、処理目的に応じて確実に理解・整理すること。
【第4回目予習】
実体顕微鏡、光学顕微鏡、倒立顕微鏡、電子顕微鏡(SEM・TEM)のそれぞれの特徴と使用目的を理解すること。実体顕微鏡は低倍率で立体的な構造の観察に適し、光学顕微鏡は高倍率で微小なプランクトンや細胞構造を観察可能である。倒立顕微鏡は生きたままシャーレ越しに観察でき、生理行動の観察に有効である。SEMは外部形態の詳細観察に、TEMは細胞内部の微細構造解析に適している。このように用途に応じた機材の選択についても理解を深めておくとともに、その構造や操作方法についても理解をしておくこと。また、ピンセット、解剖針、マイクロスパーテル、マイクロピペット、標本皿、スライドガラスなどの小物類についても、それぞれの機能と適切な使用法を把握すること。特に、軟組織の生物には竹製ピンセットを用いたり、液の広がりや微細構造の操作にはスパーテルや解剖針を使うなど、器具ごとの適切な使い分けを理解しておくこと。
4
【分類に必要な機材とその使用方法の解説(基礎編3)】
科目の中での位置付け
本科目の授業は、第一部から第三部に分かれ、各部ごとに異なる側面から水生動物学を追求する。第一部では、水生動物がいつ地球上に現れ、繁栄していったのかを学び、そして、水生動物学の研究の歴史を時代背景ごとにどのように進展していったのかを学ぶ。第二部では、基礎編として水生動物を観察や分類するためにはどのような道具を使いこなす必要があるのかを、器具、道具の歴史から、実際使用する道具について使用方法について学び、必要なピンセットや索針を実際作製して、以後の演習で使用する。第三部では、アマモやガラモ中の動物や様々な水生動物などの実検体を用いて、実際に仕分けから分類までを個人が文献や道具を駆使して、その一連の操作についての実践を行う。第4回目は、採集をした試料の形態観察や分類に必要な顕微鏡(生物・実体・電子)や小物類(ピンセット、解剖用ハサミ、索針)などの種類やその使用法について解説する。
実体顕微鏡、生物顕微鏡、倒立顕微鏡、ノート(各自)
コマ主題細目
① 顕微鏡の種類とその原理、使用方法 ② 形態観察に必要な小物類の種類とその使用方法
細目レベル
① 1.実体顕微鏡の用途と特徴について理解する。実体顕微鏡は、主に節足動物や軟体動物など、比較的大型で立体的な構造をもつ水生動物の形態観察に用いられることを理解する。観察倍率は概ね10〜40倍程度であり、立体視が可能であるため、外部形態や付属肢の構造確認に適していることを理解する。照明装置と併用し、焦点を適切に調整しながら観察することが重要であることを理解する。
2.光学顕微鏡の用途と特徴について理解する。光学顕微鏡は、微小なプランクトン、原生動物、卵などの微細構造を観察する際に使用されることを理解する。100〜1000倍程度の高倍率観察が可能であり、必要に応じて染色処理を施すことで細胞構造の識別が容易になることを理解する。観察にはスライドガラスおよびカバーガラスを用いたプレパラート作製の技術が必要であることを理解する。
3.倒立顕微鏡の用途と特徴について理解する。倒立顕微鏡は、培養皿やシャーレ内の試料をそのまま観察できる構造を有しており、生きたプランクトンなどの観察に適していることを理解する。標本をスライドガラスへ移さずに底面から観察できるため、生物への物理的ストレスを最小限に抑えながら、行動、摂食、生殖行動などを観察できることを理解する。
4.電子顕微鏡の種類と用途について理解する。電子顕微鏡は電子ビームを用いて高倍率・高解像度で観察を行う装置であり、光学顕微鏡では観察できない超微細構造を可視化できることを理解する。電子顕微鏡には、透過型電子顕微鏡(TEM)と走査型電子顕微鏡(SEM)の二種類があることを理解する。SEMは試料表面に電子線を走査し、外骨格や感覚器、毛状構造、繊毛・鞭毛の配列、付着器や棘などの分類形質、殻や外皮の微細模様などの表面構造観察に適していることを理解する。一方、TEMは電子線を試料に透過させ、精子や卵の超微細構造、細胞小器官(核、ミトコンドリア、リボソームなど)、微生物との共生関係、消化管内部構造など、細胞内部の詳細な構造観察に適していることを理解する。
② 水生動物の形態観察および分類に用いる小物類の種類と使用方法について理解する。
1.ピンセットの用途と使用法について理解する。ピンセットは、小型の水生動物(甲殻類幼生、昆虫幼虫、貝類など)の移動、配置、観察皿への移し替えに使用する器具であることを理解する。個体の大きさや形態に応じて先端の幅や形状を選択する必要があることを理解する。素材にはスチール、ステンレス、竹、プラスチックなどがあり、軟組織をもつ試料には竹製など柔らかい素材を用いることで形態の損傷を防げる。使用時には過度な力を加えず、個体を傷つけないよう慎重に扱う必要があることを理解する。
2.解剖針(索針)の用途と使用法について理解する。解剖針は、微細構造の指示、個体の固定、部位の分離、方向転換、プレパラート作製時の補助操作などに用いる器具であることを理解する。シャーレやスライド上で個体の向きを調整する際に有効であることを理解する。双方向針を用いることで、より立体的かつ精密な操作が可能である。
3.マイクロスパーテルの用途と使用法について理解する。マイクロスパーテル(またはスライドガラスの破片状ツール)は、沈降した微小動物のすくい上げや分取、プレパラート作製時の液の展開操作に用いる器具であることを理解する。平滑な面で試料をすくい取り、必要最小限の水分とともに顕微鏡観察用に移すことが重要であることを理解する。
4.マイクロピペットおよびスポイトの用途と使用法について理解する。これらは懸濁液中の微細個体の吸引・移動、定量分注、沈降観察用試料の作製などに使用する器具であることを理解する。容量(例:10~1000 μL)に応じた適切なチップを装着し、正確に液量を調整する必要があることを理解する。
5.標本皿・ペトリ皿・観察皿の用途と使用法について理解する。これらは顕微鏡下やルーペ下で個体を並べて観察・分類するための容器であることを理解する。底面が平坦で光を透過する透明容器が適していることを理解する。水とともに数匹から数十匹の個体を配置し、ステージ上で安定させて観察する方法を理解する。染色観察やグリッド付き皿を用いた個体数カウントにも活用できることを理解する。
6.スライドガラスおよびカバーガラスの用途と使用法について理解する。これらは微細な動物や組織を固定し、光学顕微鏡で観察するためのプレパラート作製に必要な器具であることを理解する。適量の試料液をスライドガラス上に滴下し、カバーガラスで封入する操作を理解する。封入時には気泡の混入や過度な圧迫を避けることが重要であることを理解する。
キーワード
① 顕微鏡観察技術 ② 水生動物の微細構造 ③ 観察補助器具 ④ プレパラート作製・観察手法
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【第4回目復習】
使用する各種顕微鏡の種類とその特徴・用途について理解を深めること。実体顕微鏡は立体的な構造の観察に適し、節足動物や軟体動物などの外部形態の確認に用いられる。光学顕微鏡は高倍率で微細な細胞構造の観察が可能で、染色やプレパラート作製の技術も必要である。倒立顕微鏡はシャーレの底から生体を観察するため、生理行動や発生観察に有効である。さらに、走査型電子顕微鏡(SEM)は表面構造、透過型電子顕微鏡(TEM)は内部構造の観察に適しており、それぞれ異なる研究目的に応じて使い分けられる。また、観察に使用する小物類の名称・機能・使い方も理解しておくこと。ピンセットは個体の移動や配置に、解剖針は向きの調整や操作補助に、マイクロスパーテルやピペットは微細個体の取り扱いに活用され、標本皿やスライドガラスは観察対象の準備に不可欠である。各器具の適切な使用が観察の精度を左右するため、それぞれの役割と操作法を正確に整理すること。
【第5回目予習】
1~4回目に実施した内容の振り返りである。水生動物の形態観察・分類を行うために必要な顕微鏡機器および観察補助器具について、その種類と用途、特徴を理解し、観察対象や研究目的に応じた適切な選択と使用法を把握しておくこと。具体的には、実体顕微鏡は大型動物の立体観察、光学顕微鏡は微小構造の詳細観察、倒立顕微鏡は生体行動の非侵襲的観察、電子顕微鏡(SEM・TEM)はナノレベルの微細構造解析に使用されることを理解する必要がある。また、ピンセットや解剖針、マイクロスパーテル、マイクロピペット、標本皿、スライドガラスといった補助器具についても、各器具の素材・形状・操作上の注意点を含めて用途に応じた適切な扱い方を学ぶことが重要である。これらを正しく活用することで、生物に損傷を与えずに正確な分類や観察が可能となり、研究・教育現場で必要な観察技術の基礎を身につけること。
5
【基礎編1~4の振り返り】
科目の中での位置付け
本科目の授業は、第1部から第3部に分かれ、各部ごとに異なる側面から水生動物学を追求する。第1部では、水生動物がいつ地球上に現れ、繁栄していったのかを学び、そして、水生動物学の研究の歴史を時代背景ごとにどのように進展していったのかを学ぶ。第2部では、基礎編として水生動物を観察や分類するためにはどのような道具を使いこなす必要があるのかを、器具、道具の歴史から、実際使用する道具について使用方法について学び、必要なピンセットや索針を実際作製して、以後の演習で使用する。第3部では、アマモやガラモ中の動物や様々な水生動物などの実検体を用いて、実際に仕分けから分類までを個人が文献や道具を駆使して、その一連の操作についての実践を行う。
第5回は、1回目から4回目の振り返りであり、授業の構成と進め方や水生動物が地球上でいつ発生し、どのように発展してきたのかの歴史やその分類群、水生動物の研究史、採集道具や形態観察に必要な器具類の種類や使用方法を学ぶ。
ノート(各自)
コマ主題細目
① 水生動物とはどのようなもの。水生動物研究史 ② 採集機材の種類とその使用方法 ③ 採集後の処理方法 ④ 形態および分類に必要な器具と使用方法
細目レベル
① 地球は約45億年前に誕生し約38億年前に海洋で単細胞原核生物が出現して生命が始まり、その後多細胞化して約6億年前エディアカラ紀に軟体無脊椎動物が現れ、約5億4千万年前カンブリア爆発で三葉虫・腕足類・刺胞動物・初期の節足動物や脊索動物など現生水生動物の祖先が多様化し、オルドビス紀からデボン紀には魚類が繁栄して「魚の時代」を築き一部は四肢を得て両生類として陸上進出する一方でクジラやイルカ、カメのように再び水中へ適応した系統も生じ、水生動物研究はアリストテレス『動物誌』に始まり中世の停滞とイスラム世界での継承を経てルネサンスで再興し、17世紀の顕微鏡発明とレーウェンフックの微生物発見、18~19世紀のリンネの二名法確立とダーウィンの進化論、日本ではシーボルトとデ・ハーン『日本動物誌』による体系化、20世紀の深海探査、21世紀のeDNAやAI活用へと発展してきたことまでを理解する。
② 水生動物の採集には採集網・トラップ・採泥器・潜水法などが用いられ、プランクトンネットは動物プランクトン、玉網は浅場の小型魚類や甲殻類、地引網・刺網・投網は大型魚類、カゴ罠や筒型トラップやライトトラップは底生生物や夜行性生物、採泥器(エクマンバージ式など)は底生動物、スクーバやスノーケリングは水草帯やサンゴ礁での精密採集に適し、採集には管理機関への許可申請と関連法令確認が必要で条件遵守・記録保存・報告が求められ、採集後は生体輸送・ホルマリン固定後エタノール保存・70~80%アルコール長期保存・液体窒素や−20℃以下冷凍保存など目的に応じて管理し、防水ラベル記録と電子データ化を行い、揮発防止・直射日光回避・温度管理・解凍防止に注意することまでを理解する。
③ 水生動物標本の処理は洗浄・麻酔・固定・保存の工程を経て行われ、採集直後は泥や植物片を河川水や精製水で軽く洗浄し軟体動物は損傷を避けて慎重に扱い、生体研究ではMS-222や氷水で麻酔・安楽死処理を施し、固定は5〜10%緩衝ホルマリンを用いるがDNA・RNA解析には70〜99%エタノールやRNA laterを使用し、標本には採集地点・日付・採集者・種名などを記した防水ラベルを容器内外に添付し、ホルマリン固定標本は流水中和後に段階的アルコール脱水を行い最終的に70%エタノールへ移行し、形態保存には70%エタノール、DNA解析には95〜99%エタノール、RNA解析にはRNA laterを用い、保存後は液面確認・揮発防止・温度管理を継続し、分子解析用試料は組織片を液体窒素で凍結し−80℃以下保存が最良だが高濃度エタノールやRNA laterでも代用でき、DNAは市販キットで細胞破砕・不純物除去・溶出を経て抽出し−20℃以下で保存してPCRに用い、特にRNAは不安定なため無RNase環境と衛生管理が重要であることまでを理解する。
④ 水生動物の形態観察では対象の大きさや目的に応じて顕微鏡と補助器具を適切に選択することが重要であり、実体顕微鏡は節足動物や軟体動物など大型で立体的な個体を10〜40倍で立体視し外部形態や付属肢を確認するのに適し、光学顕微鏡はプランクトンや原生動物、卵などを100〜1000倍で観察しプレパラート作製や染色によって細胞構造を識別し、倒立顕微鏡は培養皿内の生物を生きたまま底面から観察して行動や生殖などの生態研究に活用され、電子顕微鏡はSEMが表面微細構造や分類形質の精査に、TEMが細胞内部構造や小器官、共生関係解析に用いられ高解像度観察を可能にし、さらにピンセット(素材選択を含む)、解剖針、マイクロスパーテル、マイクロピペット、標本皿やペトリ皿などの小物類を用途に応じて安全かつ適切に使用することで正確な分類と観察が可能となり、対象特性に応じた器具の使い分けが研究・教育における基本技能であることまでを理解する。
キーワード
① 水生動物の進化と研究史の変遷 ② 採集手法・法的手続き・標本保存法 ③ 標本処理と分子解析のための試料管理 ④ 顕微鏡観察と補助器具の活用技術
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【第5回目復習】
水生動物に関する基礎知識と研究技術の理解を深めることを目的とし、まず地球誕生から現代に至るまでの水生動物の進化史と、アリストテレスからダーウィン、シーボルトらによる研究史、さらに現代のeDNA解析やAI分類といった技術革新の流れを年代とともに整理すること。次に採集方法(採集網・トラップ・採泥器・潜水)とそれぞれの対象生物や環境との関係、さらに採集許可に必要な法的手続きや関連法令の理解、加えて採集後の標本処理における洗浄・麻酔・固定・保存(ホルマリン・エタノール・冷凍・RNA later等)の使い分けとラベル記載・管理方法を把握すること、そして最後に実体顕微鏡・光学顕微鏡・倒立顕微鏡・電子顕微鏡の特徴と用途を理解し、ピンセットや解剖針などの小物類を対象や目的に応じて正しく使い分けられるようになる。
【第6回目予習】
本予習課題では、「魚類・水生昆虫演習」で使用予定の竹ピンセットおよび解剖針(索針)の自作を通じて、観察用器具の基本構造と機能を理解し、自然素材や日用品を活用した実用的な道具づくりのプロセスを体験する。使用する素材や作製に必要な道具類、カッターナイフや紙やすり、接着剤など形成・接着・仕上げの工程について、文章教材を参考に理解をしておくこと。また、解剖針についても竹ピンセットと同様に使用する素材や作製法を理解しておくとともに、待ち針や虫ピンと割りばしや竹串などを組み合わせ、穴開け・接着・仕上げの工程につい理解をしておくこと。完成品と市販品との比較検討を通して、目的に応じた道具選択の視点や安全な使用方法と基礎的な観察技術を身につけること。
6
【分類に使用する機材の作成】【竹製ピンセット・索針】(実践編1)
科目の中での位置付け
本科目の授業は、第1部から第3部に分かれ、各部ごとに異なる側面から水生動物学を追求する。第1部では、水生動物がいつ地球上に現れ、繁栄していったのかを学び、そして、水生動物学の研究の歴史を時代背景ごとにどのように進展していったのかを学ぶ。第2部では、基礎編として水生動物を観察や分類するためにはどのような道具を使いこなす必要があるのかを、器具、道具の歴史から、実際使用する道具について使用方法について学び、必要なピンセットや索針を実際作製して、以後の演習で使用する。第3部では、アマモやガラモ中の動物や様々な水生動物などの実検体を用いて、実際に仕分けから分類までを個人が文献や道具を駆使して、その一連の操作についての実践を行う。第6回目は、実践編として、水生動物の形態や分類に必要な道具類(竹ピンセットおよび解剖針(索針))を作成から使用法について学ぶ。
ノート(各自)
コマ主題細目
① 竹ピンセットの作成方法 ② 解剖針(索針)の作成方法
細目レベル
① 竹ピンセットは自然素材である竹を用いて簡便に作製できる持続可能な道具であり、自然観察や標本採取、環境教育の場で活用可能であることを理解する。本教材では安全かつ実用的な竹ピンセットの作成方法を段階的に学び、道具づくりの過程を通して素材の特性を体験的に理解することを目的とする。材料には青竹を用い、あらかじめパーツ化した部材を各自が使いやすい形状に形成することを理解する。使用する道具はカッターナイフまたは小刀、紙やすり(中目〜細目)、油性ペン(目印用)、木工用ボンド、定規の四点であることを理解する。作製工程は、①竹の切り出し、②カッターナイフまたは小刀による形状整形、③接着、④仕上げと調整、の順で行うことを理解する。先端や持ち手を用途に応じてカスタマイズすることで操作性が向上する利点を理解する。また、既製品(スチール製・ステンレス製)との比較を通して使用感の違いを検討できることを理解する。竹の弾力性、軽量性、加工のしやすさといった素材特性を理解するとともに、「自ら道具を作る」経験が創造性や問題解決能力の向上に寄与することを理解する。完成した竹ピンセットは昆虫採集、微細植物の観察、実験器具として応用可能であり、3年前期開講予定の「魚類・水生昆虫演習」においても使用予定であることまでを理解する。
② 解剖針(索針)は動植物の解剖や観察時に対象物を固定・指示するための基本的道具であり、市販品もあるが簡易材料で自作することでコスト削減と教材化が可能であることを理解する。本教材では日用品を活用した作製方法を通して道具への理解と安全な作業方法、観察の基礎技術を習得することを理解する。材料には裁縫用待ち針または太めの虫ピン、つまようじ・竹串・コルク栓・割りばしなどの持ち手材、瞬間接着剤または強力木工用ボンド、ニッパーまたはペンチ、紙やすり、油性ペンを用いることを理解する。作製手順は①針の準備、②持ち手の準備、③柄の先端に約2㎜径の穴を開けて針を取り付け接着する工程、④仕上げと安全確認であることを理解する。作製を通して水生動物の形態観察における道具選択と工夫の視点を養い、用途に応じたカスタマイズにより既製品との違いや観察精度の向上を考察できることを理解する。完成した解剖針は解剖作業のほか昆虫標本の指示針やピンセットと併用した細密作業にも応用可能であり、3年前期開講予定の「魚類・水生昆虫演習」においても使用予定であることまでを理解する。
キーワード
① 竹ピンセットの自作と素材の特性(弾力・軽さ・加工性) ② 解剖針の簡易自作と日用品の活用 ③ 創造性・問題解決力・道具選びの学習 ④ 「魚類・水生昆虫演習」への教材応用
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【第6回目の復習】
自然素材を活用した「竹ピンセット」と、日用品を応用した「解剖針(索針)」の作成を通じて、実用的な道具づくりの方法を理解しておくこと。また、作製に使用する素材や切り出し、成形、接着、仕上げの工程、軽量で弾力性がある竹の特性、既製品との違いも併せて理解をしておくこと。解剖針は、裁縫針や竹串、コルクなど身近な素材を用いて、針の準備、持ち手の加工、取り付け、仕上げの工程を理解しておくこと。カスタマイズによって観察の精度や用途への適応性が高まり、道具を「選ぶ・使い分ける」視点を身に着けておくこと。
【第7回目の予習】
魚類の計測およびスケッチを正確に行うためには、まず標本となる魚体を真っ直ぐに整形し、各鰭を自然な状態に保ちつつ乾燥や変形を防ぐ処理を行い、その後の生体・固定個体の別に応じた保存方法(氷水や麻酔による一時安静処理、中性緩衝ホルマリンによる固定、エタノールによる保存)を選択した上で、計測前には再度鰭や体軸を丁寧に整形し、水分を拭き取った状態で全長(TL)・標準体長(SL)・頭長(HL)・眼径・吻長・体高・胸鰭長などの各部位を、ノギスや定規を用いて正確に測定し、その後のスケッチでは左側面図・背面図・腹面図を基本に、必要に応じて正面図・口部拡大図・鰓蓋や鱗・鰭条の詳細図を加え、薄い鉛筆で体軸や輪郭を描いて全体のバランスをとりつつ、スケールバーを記入し、測定値に基づいて各鰭の起点・終点・形状を精密に描写し、鱗列や鰭条数の区別、斑紋の再現などの細部も正確に描写した上で、観察日・採集地・個体番号・測定値・描画倍率・保存状態などの情報をスケッチに併記する必要がある。
7
【標本のスケッチ】【魚類・マアジ or キビナゴ】(実践編2)
科目の中での位置付け
本科目の授業は、第1部から第3部に分かれ、各部ごとに異なる側面から水生動物学を追求する。第1部では、水生動物がいつ地球上に現れ、繁栄していったのかを学び、そして、水生動物学の研究の歴史を時代背景ごとにどのように進展していったのかを学ぶ。第2部では、基礎編として水生動物を観察や分類するためにはどのような道具を使いこなす必要があるのかを、器具、道具の歴史から、実際使用する道具について使用方法について学び、必要なピンセットや索針を実際作製して、以後の演習で使用する。第3部では、アマモやガラモ中の動物や様々な水生動物などの実検体を用いて、実際に仕分けから分類までを個人が文献や道具を駆使して、その一連の操作についての実践を行う。
第7回は、実践編として、6回目に作成した道具を使い、魚類2種類(マアジ、キビナゴ(予定))の標本を使用して、その形態から細部までをスケッチをしつつ、魚体の各部の測定を行って、基本的な計測方法を習得する。
スケッチブック(各自)、ピンセット、索針
コマ主題細目
① サンプルの準備 ② 魚体の各部計測 ③ 形態のスケッチ(魚類)方法
細目レベル
① 計測やスケッチに用いるサンプル準備では正確な魚体計測のために標本の整形・保存・前処理が重要であり、魚体は頭から尾まで真っ直ぐに伸ばして背鰭・腹鰭・胸鰭などを自然形に整え、濡らした筆やピンセットで乾燥や変形を防ぎつつ調整し整形後は濡れ布で覆って乾燥を防止し、生体計測を行わない場合は体表を洗浄後10%中性緩衝ホルマリンで48〜72時間固定し重ならないよう配置して固定後に1〜2日流水洗浄し70%エタノール等で保存してラベル記載を行い、生体計測の場合は氷水や麻酔で安静化して短時間で実施し魚体負担を避け、計測直前には表面水分を拭き取り再整形し必要に応じ湿布やピンで矯正し、写真計測では定規を同高に置きカメラを真上から垂直に構え拡散光で反射や影を避けて撮影することまでを理解する。
② 魚体各部の計測では、まず全長(TL)を口端(吻端)から尾鰭後縁中央までの直線距離として自然な尾鰭の開きで測定し、次に標準体長(SL)を口端から尾鰭基部すなわち尾柄中央終端までの距離として測定し、さらに頭長(HL)を口端から鰓蓋後端まで、眼径を眼球前縁から後縁までの最大直線距離として、吻長を口端から眼前縁まで、体高を背面と腹面間の最大垂直距離(通常は腹鰭起部付近)として、胸鰭長を胸鰭基部から末端までの直線距離としてそれぞれ測定し、いずれもノギスや定規などの精密器具を用い魚体をまっすぐ整形した状態で正確に行うことまでを理解する。
③ 魚類の形態スケッチでは外部形態を的確に記録するため左側面図・背面図・腹面図の三方向を基本とし、左側面図は種同定に不可欠な主要情報を示す最重要図であり、背面図は体幅や背鰭位置など立体的特徴を補完し、腹面図は腹鰭・臀鰭配置や腹部形状、肛門位置を示して繁殖形態や性差記録に有効であり、さらに正面図で吻形状や両眼位置、口部拡大図で顎や歯列、鰓蓋・鱗・鰭条詳細図で鱗型や配列、鰭条数を精査し、作図ではH系鉛筆で体軸を薄く引いて全体バランスを整え各鰭起終点と輪郭を下描きしスケールバーで縮尺基準を示した上で吻・眼・鰓蓋から尾部へ順に輪郭と五種の鰭を計測値に基づき正確に描写し、鱗列の形状と重なり、鰭条の硬条軟条区別、眼構造や口裂形、色彩・斑紋を点線面で表現し、観察日・採集地・個体番号・測定値(TL・SL等)・性別成熟度・描画倍率・観察条件を明記することまでを理解する。
キーワード
① 魚体の整形と保存処理 ② 計測項目と測定法(TL・SL・HLなど) ③ スケッチの基本姿勢と補助図 ④ 精密な描写と記録情報の記載
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【第7回の復習】
魚類の正確な観察・記録には、標本の整形、保存、計測、スケッチという一連の工程を理解し、適切に実践することが重要である。計測時の魚体を整形し、TL(全長)、SL(標準体長)、HL(頭長)、眼径、吻長、体高、胸鰭長などをノギス等で正確に測定することを正確に把握しておくこと。スケッチでは左側面図・背面図・腹面図を基本に、必要に応じて正面図や口部・鰭・鱗の詳細図も描写する。鉛筆で体軸を引き、部位の縮尺をスケールバーで示したうえで、計測値に基づいて体型・鰭・鱗・色彩などを精密に記録しておくこと。この一連の操作は計測、記録を取るうえで大事な要素なので、確実に習得してほしい。これらの作業を通じて、形態の記録精度を高めるとともに、分類や生態研究の基礎を習得することができようになる。
【第8回の予習】
魚類標本の撮影を行う際には、まず撮影の目的(形態記録、個体識別、標本資料の管理、発表用画像など)を明確にし、それに応じて構図・画質・注記の方法を決定する必要があるため、使用機材、撮影時のアングル、光軸によって大きく変わる。学術的に信頼性の高い標本画像を得るための技術と配慮事項を理解しておくこと。
8
【スマートフォンを使用した標本写真の撮影】【魚類・カワムツ、甲殻類・イソガニ or ナナツバコツブムシ】(実践編3)
科目の中での位置付け
本科目の授業は、第1部から第3部に分かれ、各部ごとに異なる側面から水生動物学を追求する。第1部では、水生動物がいつ地球上に現れ、繁栄していったのかを学び、そして、水生動物学の研究の歴史を時代背景ごとにどのように進展していったのかを学ぶ。第2部では、基礎編として水生動物を観察や分類するためにはどのような道具を使いこなす必要があるのかを、器具、道具の歴史から、実際使用する道具について使用方法について学び、必要なピンセットや索針を実際作製して、以後の演習で使用する。第3部では、アマモやガラモ中の動物や様々な水生動物などの実検体を用いて、実際に仕分けから分類までを個人が文献や道具を駆使して、その一連の操作についての実践を行う。
第8回は、実践編として、スマートフォンを使用した標本写真を記録する。近年は一眼レフカメラにも負けず劣らずの性能を有しているため、現場で標本写真を撮影し、なるべくして持ち帰り標本を減らすことを念頭に入れる。
スマートフォン(各自・マクロ機能があることが望ましい)、
コマ主題細目
① 撮影準備 ② 撮影対象標本のセット方法 ③ 撮影方法
細目レベル
① 撮影に際しては、あらかじめ目的を明確にすることが重要であり、目的に応じてアングル、画質設定、拡大率、注記方法が異なることを理解する。主な目的には、形態記録(分類学的研究やスケッチ補助資料)、個体識別(色彩・斑紋・損傷部位の比較確認)、保管用画像資料(標本登録・整理・管理)、発表用画像(論文・報告書・発表資料)があり、これらを意識することで効率的かつ高品質な記録が可能となることを理解する。撮影機材はスマートフォン単体に依存せず補助機材を併用することが望ましく、カメラは1,200万画素以上でマニュアル(Pro)モード搭載機種を用い、HDRはオフ、露出は固定、解像度は最大に設定して色再現性と細部保持を優先することを理解する。補助機材として三脚または撮影スタンドでブレを防ぎ、水平器付きスマホホルダーで水平・垂直を保ち、LEDまたはリングライトで均一照明を確保し、偏光フィルターで反射を抑制し、白色背景ボードで標本を際立たせ、耐水性スケールバーを標本横に配置し、個体番号・採集地・撮影日を記した標本ラベルを明瞭に写し込むことが重要であることまでを理解する。
② 標本撮影では生体・死体・固定標本の状態に応じて表面の粘液や気泡を除去し、白色トレイ上で個体を真っ直ぐ配置して各鰭を自然に展開させ、ラベルとミリ目盛り付きスケールバーを同一平面に置き、2方向以上からのディフューズ光と偏光フィルターで反射や影を抑えつつカメラを標本に垂直に構えて全体・スケール・ラベルが明瞭に写るよう調整し、細部の鮮明さを確認して必要に応じ再撮影することで分類学的記録や標本管理に有効な信頼性の高い画像を得ることまでを理解する。
③ 標本写真を高精度かつ学術的に有用な形で撮影するには、白色で平滑な撮影トレイ上に標本を体軸が曲がらないよう真っ直ぐ自然姿勢で配置し、各鰭をピンセットや透明フィルムで自然に展開させ、同一平面上にミリ目盛付きスケールバーと採集情報を記したラベルを読みやすく並べ、白布等で拡散したLEDによるディフューズ光で均一照明を確保して反射や影を抑えつつ偏光フィルターで光沢を軽減し、カメラを標本に対して正確に垂直に構えて全体が収まり鰭先端まで鮮明に写るよう構図とピントを調整し、鱗列・斑紋・鰭条数などの形態的特徴が明瞭に記録されるよう撮影することまでを理解する。
キーワード
① 撮影目的の明確化 ② 標本の整形と配置 ③ 照明と反射防止の工夫 ④ 補助機材による高精度撮影
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【第8回目復習】
魚類標本の撮影においては、まず形態記録・個体識別・資料保管・発表用といった目的を明確にし、それに応じて構図や画質、注記方法を適切に選ぶことが重要である。使用機材や撮影前には、生体・死体・固定標本の状態に見合った展開方法、全体像と細部(鱗列・斑紋・鰭条など)が明瞭に写るような構図・ピント・露出を習得しておくこと。基本はオートフォーカスでも差支えない。撮影後には画像を確認し、分類学や資料管理に資する高精度な標本画像を得る技術と観察力を養うことが求められる。
【第9回目予習】
魚類の透明骨格標本を作製は、使用する標本と各工程に応じた適切な試薬と器具の準備が必要であるため、試薬、作業工程を習得しておくこと。また、酵素によって筋肉を選択的に分解し、骨や軟骨を浮き立たせる。この段階ではpHや温度の管理、定期的な観察による過剰分解の防止が求められるため、操作上の注意点と工夫点について文字教材を確認し、各自で学んでおくこと。
9
【魚類標本の透明化処理および脊椎骨の染色】【カタクチイワシなど】(実践編4)
科目の中での位置付け
本科目の授業は、第1部から第3部に分かれ、各部ごとに異なる側面から水生動物学を追求する。第1部では、水生動物がいつ地球上に現れ、繁栄していったのかを学び、そして、水生動物学の研究の歴史を時代背景ごとにどのように進展していったのかを学ぶ。第2部では、基礎編として水生動物を観察や分類するためにはどのような道具を使いこなす必要があるのかを、器具、道具の歴史から、実際使用する道具について使用方法について学び、必要なピンセットや索針を実際作製して、以後の演習で使用する。第3部では、アマモやガラモ中の動物や様々な水生動物などの実検体を用いて、実際に仕分けから分類までを個人が文献や道具を駆使して、その一連の操作についての実践を行う。
第9回は、実践編として、魚類を使用した透明化処理と脊椎骨の染色作業を行い、その内部構造の観察から、脊椎骨からみた種の同定方法を習得する。
実体顕微鏡・スケッチブック(各自)・ノート(各自)・ピンセット・索針
コマ主題細目
① 透明化処理、染色処理の準備物 ② 透明化処理方法 ③ 染色処理方法
細目レベル
① 透明化・染色処理に用いる標本はシラス(カタクチイワシ仔魚)とし、魚類透明化標本の作製にはホルマリン固定液、段階的脱水用エタノール、筋肉消化用アルカリ性トリプシン溶液(本演習では酵素入りポリデントで代用)、脱色用過酸化水素、軟骨染色用アルシアンブルー溶液、骨染色用アリザリンレッドS溶液、透明化・保存用グリセリン、透明化促進用KOH水溶液などの試薬と、ピンセット、解剖バサミ、秤量器具、密閉可能な染色瓶、温度調整可能な恒温槽、攪拌器、観察用顕微鏡、保管用バイアル瓶などの器具を準備することまでを理解する。
② 組織の透明化処理は固定・脱水・脱色・酵素処理・染色・透明化から成る一連の工程であり、各段階で適切な試薬と条件管理が必要であることを理解する。まず標本魚類を10%ホルマリンなどで十分に固定し、腐敗防止と形態保持を図ることを理解する。固定後は50%、70%、95%、100%など段階的に濃度を上げたエタノールで脱水し、各段階を数時間から数日かけて処理することで組織への負担を抑えつつ水分を除去し、後続の染色や酵素処理効果を高めることを理解する。次に過酸化水素(H₂O₂)で脱色してメラニンや血色素などの色素を除去し、透明化の基盤を整えることを理解する。続いてポリデントを用いた酵素処理により筋肉タンパク質を選択的に分解し、骨や軟骨を可視化することを理解する。この際、pHや温度を適切に管理し、過剰分解を防ぐため定期的に観察する必要があることまでを理解する。
③ 染色処理では筋肉の消化と並行してまずアルシアンブルーで硫酸基をもつグリコサミノグリカンに反応させ軟骨を青色に選択的染色し、次いでアリザリンレッドSでカルシウムと結合させ骨組織を赤色に染色して骨と軟骨を明瞭に識別可能とし、染色後はKOH水溶液中で残存軟組織を溶解させて透明化を進めるが濃度と処理時間を適切に調整して硬化や過変形を防ぎ、最終的に濃度を段階的に高めたグリセリン溶液へ移して保存することまでを理解する。
キーワード
① シラス(カタクチイワシ) ② 透明化処理 ③ 染色操作 ④ 保存
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【第9回目復習】
魚類の透明化・染色標本の作製に使用する試薬、工程について、教材中の内容を再確認しておくこと。特に、腐敗防止や段階的なエタノール濃度(50%、70%、95%、100%)による脱水処理については、その後の仕上がりに影響が大きい工程となるため重要である。最終的には濃度を段階的に高めたグリセリン溶液中に保存することで、骨と軟骨の構造が明瞭に観察可能な永久標本を作製する一連の工程を経る必要があるため、この地連の処理方法について確実に習得をしておくこと。
【第10回目復習】
6回~9回は、実践編として、道具作製から標本撮影、前処理までの工程について習得をした。6回の竹ピンセットや解剖針の自作を通じて道具への理解と創造性を養い、既製品との比較やカスタマイズによる応用力を高めるとともに、魚類の計測・スケッチの準備では、個体を安静化・固定し、全長・標準体長・吻長・鰭長などの各部をノギス等で正確に測定する技術を身につけておくこと。また、標本撮影で使用する道具類や使用方法、撮影時の工夫点について習得をしておくこと。魚類の透明化及び染色処理は、使用する試薬やその工程、処理上の注意点についてよく復習をしておくこと。
10
【実践編1~4の振り返り】
科目の中での位置付け
本科目の授業は、第1部から第3部に分かれ、各部ごとに異なる側面から水生動物学を追求する。第1部では、水生動物がいつ地球上に現れ、繁栄していったのかを学び、そして、水生動物学の研究の歴史を時代背景ごとにどのように進展していったのかを学ぶ。第2部では、基礎編として水生動物を観察や分類するためにはどのような道具を使いこなす必要があるのかを、器具、道具の歴史から、実際使用する道具について使用方法について学び、必要なピンセットや索針を実際作製して、以後の演習で使用する。第3部では、アマモやガラモ中の動物や様々な水生動物などの実検体を用いて、実際に仕分けから分類までを個人が文献や道具を駆使して、その一連の操作についての実践を行う。
第10回は、6回目から9回目の振り返りであり、実践編で形態観察に使用する道具の作成方法や魚類標本の計測、写真撮影方法及び標本の透明化処理、染色方法についてを学ぶ。
スケッチブック(各自)・ノート(各自)
コマ主題細目
① 形態観察に必要な道具の作成 ② 魚類の計測方法 ③ 標本の撮影方法 ④ 魚類標本の透明化処理と染色
細目レベル
① 本教材では自然素材の竹を用いた竹ピンセットと日用品を活用した解剖針(索針)の自作を通して道具への理解と創造性を育み、竹ピンセットは青竹を材料に切り出し・整形・接着・仕上げの工程で作製し軽量で弾力と加工性に優れる竹の特性を学びつつ持ち手や先端を調整して昆虫採集や微細観察に活用でき、解剖針は待ち針や虫ピン、つまようじ、コルクなどで作製して固定・調整・仕上げを通じ観察精度と安全性への理解を深め、いずれも既製品との比較やカスタマイズにより目的に応じた道具選択力と探究心・問題解決能力の向上を図り、3年前期開講予定の「魚類・水生昆虫演習」で使用予定であることまでを理解する。
② 魚類の計測・スケッチ準備では魚体を真っ直ぐ整形して各鰭を自然形に保ち、生体計測時は麻酔や冷却で安静化し標本化する場合はホルマリン固定後に水洗してエタノール保存を行い、全長(TL)・標準体長(SL)・頭長(HL)・眼径・吻長・体高・胸鰭長などをノギスで正確に測定して各部の特徴や発達度を評価し、スケッチは左側面図・背面図・腹面図を基本に必要に応じ正面図や口部拡大図、鱗・鰭の詳細を加え、鉛筆で体軸と鰭位置を下描きして実測値に基づき輪郭や鰭・鱗・斑紋を正確に描写し、観察日・個体情報・測定値・保存状態を明記して形態記録として活用することまでを理解する。
③ 標本撮影では撮影目的(形態記録・個体識別・資料保管・発表用)を明確にして目的に応じたアングルや画質設定を行い、1,200万画素以上でマニュアル撮影対応のスマートフォンに三脚・水平器付きホルダー・LEDライト・偏光フィルター・白背景・スケールバー・ラベルを併用し、標本を真っ直ぐ整形して鰭を自然に展開し粘液や気泡を除去したうえで白色トレイ上に標本・スケール・ラベルを同一平面に配置し、ディフューズ光を2方向以上から当てて影と反射を抑えつつカメラを垂直に構えて全体が明瞭に写るよう撮影し、鱗・斑紋・鰭条などの細部を確認して必要に応じ再撮影することで学術的に信頼性の高い標本画像を得ることまでを理解する。
④ カタクチイワシ(シラス)を用いた透明化・染色標本の作製は、ホルマリン固定、エタノールによる段階的脱水、過酸化水素による脱色、ポリデントによる酵素処理、アルシアンブルー(軟骨)およびアリザリンレッドS(骨)による染色、KOHによる透明化、グリセリンによる保存の各工程から成り、ピンセット・恒温槽・顕微鏡・染色瓶などを用いて、固定後に脱水・脱色を行い、酵素処理で筋肉を消化して骨と軟骨を浮き上がらせ、軟骨を青、骨を赤に染色し、さらにKOHで透明化したのちグリセリンで保存して両組織が明瞭に観察できる標本を完成させるものであり、各段階での試薬濃度・温度管理・経過観察が重要であることまでを理解する。
キーワード
① 形態観察 ② 標本処理方法 ③ 標本撮影 ④ 透明化処理 ⑤ 染色処理
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【第10回目復習】
竹ピンセットや解剖針の素材や作製方法、魚類の計測、スケッチ、標本撮影方法では、計測時や撮影時における注意点や工夫点について習得をしておくこと。、また、透明化・染色標本の作製においては、ホルマリン固定から脱水・脱色・酵素処理・染色・透明化・保存に至る各工程を経て、軟骨(青)と骨(赤)を明瞭に観察できる標本を完成させる過程を通して、試薬管理や温度・観察の重要性を理解しておくこと。
【第11回目予習】
アマモ(Zostera marina)がどのような場所で群生しているのか、アマモが生物にとってどのような有益に働いているのかを理解しておくこと。また、アマモの葉上に生息する様々な生物を採集する際にはどのような点に注意するべきか、その方法について、教材をみながら理解しておくこと。持ち帰ったアマモは、採集日・場所・区画番号などを記録し、ソーティングの際に必要な道具類、試料の保存方法について理解をしておくこと。
11
【アマモに付着する生物のソーティング】(応用編1)
科目の中での位置付け
本科目の授業は、第1部から第3部に分かれ、各部ごとに異なる側面から水生動物学を追求する。第1部では、水生動物がいつ地球上に現れ、繁栄していったのかを学び、そして、水生動物学の研究の歴史を時代背景ごとにどのように進展していったのかを学ぶ。第2部では、基礎編として水生動物を観察や分類するためにはどのような道具を使いこなす必要があるのかを、器具、道具の歴史から、実際使用する道具について使用方法について学び、必要なピンセットや索針を実際作製して、以後の演習で使用する。第3部では、アマモやガラモ中の動物や様々な水生動物などの実検体を用いて、実際に仕分けから分類までを個人が文献や道具を駆使して、その一連の操作についての実践を行う。
第11回は、応用編として実戦形式でアマモに付着する生物をアマモからソーティングを行う作業を行い、アマモに付着する生物がどのようなものが存在するのかを学ぶ。次の12回において、生物の分類作業を行う。
実体顕微鏡・スケッチブック(各自)・ノート(各自)・ピンセット・索針
コマ主題細目
① アマモの生態と水生動物の関係 ② アマモに付着する生物のソーティング方法 ③ ソーティング後の保存
細目レベル
① アマモ(Zostera marina)は浅い内湾や干潟の砂泥底に生育する多年生の海草で、日本各地の沿岸域に広く分布する陸上植物起源の単子葉植物であり、地下茎による栄養繁殖と種子による有性生殖の両方を行い水深数メートルの穏やかな環境に群生して「アマモ場」と呼ばれる重要な生態系を形成し、「海のゆりかご」として魚類・甲殻類・貝類の産卵や育成の場となり、とくに稚魚や稚エビが葉の間に身を隠して外敵から身を守り成長するための重要な生息環境を提供することまでを理解する。
② 1.アマモの採取は干潟や浅海域において干潮時またはスキューバダイビング・シュノーケリングにより一定区画(例:0.25㎡)ごとに実施し、葉部と地下茎を含めて根こそぎ採取して各サンプルに採取日・場所・区画番号を記したラベルを付しビニール袋やメッシュバッグに入れて冷暗所またはクーラーボックスで保管する。
2.実験室では流水で軽く洗浄して砂粒や付着物を除去しバットや水槽内で処理して落下物を濾過ネットやメッシュトレイで回収し250〜500µmのふるいで濾過し、さらに葉上に付着して離れないヨコエビや貝類などはピンセットやブラシで丁寧に除去し必要に応じて70%エタノールで洗浄して微小生物も抽出することまでを理解する。
③ ソーティング後の試料は適切な保存処理により長期にわたる安定した形態観察や研究利用が可能となり、保存には最終濃度約5%に調整した中性ホルマリン水溶液(マイルドホルム)を用いて変性を最小限に抑えつつ十分な固定効果を得て、酸性ホルマリンより刺激が少なく長期保存中の変色や収縮を抑制し、とくに軟体動物や甲殻類など軟組織をもつ分類群の形態保持に有効であり、試料は個体別または分類群別に小分けしてポリプロピレンやポリエチレン製の密閉容器に収容し、耐水性ラベルに採集日・採集地点・採集者名・試料番号などを明記することまでを理解する。
キーワード
① アマモ場(Zostera marina) ② 付着生物の採取・ソーティング ③ 水中採集・前処理手順 ④ 中性ホルマリンによる保存処理
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【第11回目復習】
アマモ(Zostera marina)がどのような場所で群生しているのか、水生動物にとってどのような働きをもっているのかを教材から理解をしておくこと。また、アマモの採取方法やその保存方法、保存時の記録方法について理解をしておくこと。実験室に持ち帰ったアマモのその後の処理方法や保存方法、ソーティング時における気を付けるべき点について(保存方法など)、理解をしておくこと。
【第12回目予習】
水生動物の同定を行うためには、使用する機材や試薬類の使用方法や注意点、同定作業に使用する文献(図鑑など)について教材を使用して理解を深めておくこと。同定を行う際の注意点(特に間違えやすい点など)を整理しておくことが望ましい。同定結果については、試料の保存方法、記載する内容や過程について理解を深めておくこと。
12
【ソーティング時に発見した生物の分類】(応用編2)
科目の中での位置付け
本科目の授業は、第1部から第3部に分かれ、各部ごとに異なる側面から水生動物学を追求する。第1部では、水生動物がいつ地球上に現れ、繁栄していったのかを学び、そして、水生動物学の研究の歴史を時代背景ごとにどのように進展していったのかを学ぶ。第2部では、基礎編として水生動物を観察や分類するためにはどのような道具を使いこなす必要があるのかを、器具、道具の歴史から、実際使用する道具について使用方法について学び、必要なピンセットや索針を実際作製して、以後の演習で使用する。第3部では、アマモやガラモ中の動物や様々な水生動物などの実検体を用いて、実際に仕分けから分類までを個人が文献や道具を駆使して、その一連の操作についての実践を行う。
第12回は、実戦形式で11回でソーティングをした生物の分類作業を行い、アマモ場にどのような生物が生息しているのかを学ぶとともに生物分類の作業について習得する。
実体顕微鏡・スケッチブック(各自)・ノート(各自)・ピンセット・索針
コマ主題細目
① 分類に必要な準備 ② 動物の同定作業 ③ 分類後の整理と保存
細目レベル
① 水生動物の同定を正確に行うには適切な準備物の整備が不可欠であり、微小生物の観察には立体構造把握に適した実体顕微鏡と細部観察用の光学顕微鏡を用い、補助としてスライドグラス・カバーガラス・メチレンブルーやヨウ素液などの染色液を準備して細胞や器官を明瞭に観察し、標本の固定保存には10%中性ホルマリンや70〜80%エタノールを対象に応じて使い分け、密閉性の高いガラス瓶やプラスチック容器、防水ラベルや記録カードに採集日時・場所・採集者名を明記し、さらにピンセット・細ブラシ・解剖用具(ハサミ・メス等)を用いて微小部の処理や操作を行うことまでを理解する。
② 水生動物の種を正確に同定するには、顕微鏡観察で得た形態的特徴を基に図鑑や検索表を段階的に参照して分類群を絞り込み、『標準原色図鑑』や『日本産水生無脊椎動物』など信頼性の高い文献で外部形態・付属肢構造・体節配置・殻形状や模様を照合して科・属・種を順に特定し、候補種決定後は必要に応じメチレンブルーやヨウ素で染色して毛の配列・鰓分岐・口器構造など識別形質を明確化し、体長や色彩など可変形質に過度に依存せず安定形質に基づき慎重に判断し、未成熟個体や損傷個体、既知記載と一致しない場合には新種の可能性も考慮して高解像度写真・スケッチ・水温や塩分、底質、採集日時・場所などの情報を併せて記録することまでを理解する。
③ 同定作業完了後は種名の特定にとどまらず、その結果が科学的に再現可能であることを保証するために同定内容と根拠を系統的に記録・整理することが不可欠であり、各標本について同定された科・属・種、判断に用いた形態的特徴、類似種との識別点、決定的となった解剖学的・微細形態の詳細を客観的に記載し、参照した図鑑や検索表の正確な書誌情報を併記して根拠を明示し、標本には採集番号を付与してラベルに番号・和名学名・採集日・採集場所・採集者名・固定方法・保存液を耐水性インクで記して瓶の内外に表示し、気密性の高い容器で揮発や漏洩を防ぎ、直射日光を避けた安定環境で保管しつつ定期的に液面を点検・補充して長期保存状態を維持することまでを理解する。
キーワード
① 顕微観察 ② 形態同定 ③ 標本管理 ④ 保存処理
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【第12回目復習】
水生動物の同定に必要な器具、道具類、試薬などの使用方法や使用上の注意点などを教材を利用しながら理解を深めておくこと。また、試料の保存方法や、同定に必要な文献(図鑑など)、同定作業時の注意点については、教材や授業中にまとめたメモや記録などを整理して理解をしておくこと。同定後の作業は、記載方法や保存方法を理解しておくこと。
【第13回目予習】
試料とする稚魚の保存方法について、その工程や使用する試薬について(使用上の注意点も含む)、教材を確認し、理解をしておくこと。試料の透明化処理においては、工程も大事であるが、使用する試薬については濃度調整から、試薬の管理まで注意点から工夫する点もあるので内容を理解し、整理しておくことが望ましい。また、無脊椎動物の幼生は、使用する試薬について、その使用方法やグリセリン寒天で封入してプレパラート化する処理の流れと薬品・器具の使い方を予習しておくこと。
13
【稚魚及び幼生の同定】【カタクチイワシなど】(応用編3)
科目の中での位置付け
本科目の授業は、第1部から第3部に分かれ、各部ごとに異なる側面から水生動物学を追求する。第1部では、水生動物がいつ地球上に現れ、繁栄していったのかを学び、そして、水生動物学の研究の歴史を時代背景ごとにどのように進展していったのかを学ぶ。第2部では、基礎編として水生動物を観察や分類するためにはどのような道具を使いこなす必要があるのかを、器具、道具の歴史から、実際使用する道具について使用方法について学び、必要なピンセットや索針を実際作製して、以後の演習で使用する。第3部では、アマモやガラモ中の動物や様々な水生動物などの実検体を用いて、実際に仕分けから分類までを個人が文献や道具を駆使して、その一連の操作についての実践を行う。
第13回は、応用編として、実戦形式で実践編で体得した透明化処理または染色法などを用いて稚魚や無脊椎動物の幼生の処理について習得する。
実体顕微鏡・生物顕微鏡・スケッチブック(各自)・ノート(各自)・ピンセット・索針
コマ主題細目
① 必要な準備物および前処理 ② 稚魚の透明化処理及び染色作業 ③ 無脊椎動物の幼生の染色
細目レベル
① 船曳き網で採取した稚魚は70%エタノールまたは10%中性ホルマリンで固定し、体表や鰭の損傷を防ぐためピンセットやスポイトで丁寧に扱い洗浄海水で付着物を軽く除去し、無脊椎動物幼生はノルパックネットによる鉛直曳き試料を冷暗所で一時保管後、速やかに処理できない場合は最終濃度約4%中性ホルマリンまたは70%エタノールで初期固定し生体観察目的では4℃冷蔵保存して早期処理を行い、採集水はガーゼや63µmふるいで濾過して異物を除去し通過液中の幼生を沈降または低速遠心(1000〜3000rpm)で濃縮し、沈殿物をピペット等で慎重に海水洗浄して余分な浮遊物や保存液を除去し最終的に人工海水や観察用液へ再懸濁して観察準備を整えることまでを理解する。
② 稚魚の透明化・染色処理は10%中性ホルマリンで十分に固定後、30%・50%・70%の段階的エタノールで脱水し、過酸化水素や酵素入りポリデントで皮膚や筋肉を分解して透明化を進めつつアルシアンブルーで軟骨を青色に、アリザリンレッドで硬骨を赤色に染色し、その後グリセリンまたはグリセリン+水酸化カリウム溶液中で保存して骨格構造や発達段階を立体的かつ明瞭に観察できる標本に仕上げることまでを理解する。
③ 無脊椎動物幼生の染色は中性ホルマリン(マイルドホルム)で過度な変形を避けて固定後、蒸留水や海水で十分に洗浄して固定液を除去し、観察目的に応じてメチレンブルー(0.01~0.1%)に数分~10分浸漬して細胞膜や付属肢を可視化し、過染色を防ぐため再度洗浄したのちグリセリンや人工海水に再懸濁してスライド上に配置し、グリセリン寒天などで封入してプレパラートを作製することまでを理解する。
キーワード
① 初期固定 ② 濃縮洗浄 ③ 透明化および染色 ④ プレパラート作成
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【第13回目復習】
試料とする稚魚の保存方法について、その工程や使用する試薬について(使用上の注意点も含む)、教材や講義時にまとめたメモやノートを再確認し、理解をしておくこと。また、試料の透明化処理においては、工程も大事であるが、使用する試薬については濃度調整から、試薬の管理まで注意点から工夫する点もあるので内容を理解し、整理しておくことが望ましい。工程は確実に習得していること。また、無脊椎動物の幼生は、使用する試薬について、その使用方法やグリセリン寒天で封入してプレパラート化する処理の流れと薬品・器具の使い方を習得しておくこと。曖昧な場合は、必ず分からない点をノートに取り、復習時にしっかり理解を深めておいてください。
【第14回目予習】
染色処理を施した稚魚および無脊椎動物の分類を行う際におこなう処理工程や使用する試薬類について、教材でその内容を理解をしておくこと。この工程間違えてしまうと、それまでに処理をした試料が台無しとなるためである。また、同定作業で使用する文献や同定時におけるスケッチや記録、その後の保存手順を予習しておくこと。
14
【染色後の脊椎骨の観察】【カタクチイワシなど】(応用編4)
科目の中での位置付け
本科目の授業は、第1部から第3部に分かれ、各部ごとに異なる側面から水生動物学を追求する。第1部では、水生動物がいつ地球上に現れ、繁栄していったのかを学び、そして、水生動物学の研究の歴史を時代背景ごとにどのように進展していったのかを学ぶ。第2部では、基礎編として水生動物を観察や分類するためにはどのような道具を使いこなす必要があるのかを、器具、道具の歴史から、実際使用する道具について使用方法について学び、必要なピンセットや索針を実際作製して、以後の演習で使用する。第3部では、アマモやガラモ中の動物や様々な水生動物などの実検体を用いて、実際に仕分けから分類までを個人が文献や道具を駆使して、その一連の操作についての実践を行う。第14回は、応用編として、第13回で実施した染色作業した試料を用いて、その内部構造の観察から、種の同定方法を習得する。
実体顕微鏡・生物顕微鏡・スケッチブック(各自)・ノート(各自)・ピンセット・索針
コマ主題細目
① 染色した稚魚と無脊椎動物の前処理 ② 稚魚の分類方法 ③ 無脊椎動物の幼生の分類方法
細目レベル
① 染色後の稚魚および無脊椎動物の分類前処理では、稚魚を10%中性ホルマリン、無脊椎動物を4%中性ホルマリンまたは70%エタノールで適切に固定し、組織損傷や変形を防ぐためピンセットやスポイトで丁寧に扱いながら蒸留水や海水で余分な染色液や付着物を洗浄して過染色を防ぎ観察に適した状態へ調整し、稚魚は透明化後にグリセリンなどの保存液へ移して骨格構造を明瞭化し、無脊椎動物幼生は染色構造を保持したまま人工海水や封入剤に再懸濁してスライド上にマウントし分類・形態観察の準備を整えることまでを理解する。
② 透明化染色を施した稚魚の分類は、アルシアンブルーで染色された軟骨およびアリザリンレッドで染色された硬骨を実体顕微鏡や光学顕微鏡で観察し、吻・顎骨・鰓蓋骨などの頭部骨格、脊椎数や脊索形態、鰭位置と鰭条数、支持骨の発達、体長・体高・眼径などの比率といった骨格形質に基づき検索表や稚魚図鑑で目・科・属・種を階層的に同定し、発育段階差に配慮しつつスケッチや写真で根拠を記録し比較標本や専門知見と照合しながら、標本をグリセリン等で適切に保存して分類精度と再検証性を確保する形態学的手法であることまでを理解する。
③ メチレンブルー染色を施した無脊椎動物幼生の分類は、実体顕微鏡や光学顕微鏡で体節の分節様式、付属肢の数と形状、体表の繊毛帯や棘の配置、眼の種類、口器・消化管構造、左右対称性や変態兆候などの微細形質を観察し、検索表や幼生図鑑を参照して目→科→属→種の順に段階的に絞り込み、とくにトロコフォア幼生やノープリウス幼生など発生型の識別を起点に類似種との識別点と判断根拠を明確化し、分類結果と使用文献・観察条件・発育段階差を詳細に記録し、各標本に採集日・採集地・標本番号・保存液情報を記した防水ラベルを付して密閉容器で保存することまでを理解する。
キーワード
① 前処理 ② 透明分類 ③ 稚魚の骨格分類 ④ 幼生同定
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【第14回目復習】
染色処理を施した稚魚および無脊椎動物について、同定作業までの処理(試薬や工程)を確実に習得しておくこと。教材の内容や講義中のメモ、ノートを整理しておくことが望ましい。また、無脊椎動物の幼生はメチレンブルー染色によって明瞭化された体節、付属肢、繊毛帯、口器構造などを観察し、同定に使用する文献(図鑑など)より分類群を絞り込み、観察条件や使用文献、判断根拠を整理した上で、採集情報とともに防水ラベルを添付して密閉容器に保存する手順を復習しておくこと。
【第15回目予習】
11~14回の復習回である。アマモ場の生態的役割と採取・洗浄・保存方法、稚魚および無脊椎動物の採集・固定・処理法、ならびに染色・透明化処理を施した標本の分類手順を正しく理解しておくこと。これまで配布した教材の振り返りを必ずしてください。試料(動物)の同定に必要な機材、器具類、試薬類については、使用する場面や処理工程などを予習しておくこと。
15
【応用編1~4の振り返り】
科目の中での位置付け
本科目の授業は、第1部から第3部に分かれ、各部ごとに異なる側面から水生動物学を追求する。第1部では、水生動物がいつ地球上に現れ、繁栄していったのかを学び、そして、水生動物学の研究の歴史を時代背景ごとにどのように進展していったのかを学ぶ。第2部では、基礎編として水生動物を観察や分類するためにはどのような道具を使いこなす必要があるのかを、器具、道具の歴史から、実際使用する道具について使用方法について学び、必要なピンセットや索針を実際作製して、以後の演習で使用する。第3部では、アマモやガラモ中の動物や様々な水生動物などの実検体を用いて、実際に仕分けから分類までを個人が文献や道具を駆使して、その一連の操作についての実践を行う。第15回は、11回目から14回目の振り返りであり、実戦形式で行ったソーティングから稚魚または無脊椎動物幼生の透明化処理、染色方法から分類までを学ぶ。
スケッチブック(各自)・ノート(各自)
コマ主題細目
① アマモに付着する生物の仕分け ② 分類と試料の保存 ③ 稚魚と無脊椎動物の透明化または染色処理 ④ 水生無脊椎動物および稚魚の形態分類
細目レベル
① アマモ(Zostera marina)は浅い内湾や干潟の砂泥底に生育する多年生海草で日本沿岸に広く分布しアマモ場を形成して稚魚や甲殻類の産卵・育成場として機能し稚魚や稚エビが葉間に隠れて外敵から身を守り、採取は干潮時や潜水で約0.25㎡区画ごとに葉と地下茎を含め根こそぎ行いラベルを付して冷暗所保管し、実験室では流水洗浄後に落下生物をメッシュやふるいで回収し付着生物をピンセットやブラシで除去し、保存は変性を抑える5%中性ホルマリンを用いて軟体動物や甲殻類の形態保持を図り、試料を分類群別に小分けして採集日・採集者名等を記した耐水ラベルを内外に貼付して保管することまでを理解する。
② 水生動物の正確な同定には実体顕微鏡や光学顕微鏡による微細構造観察が不可欠であり、補助としてスライドグラスやメチレンブルーなどの染色液、固定・保存用の中性ホルマリンやエタノール、密閉容器、防水ラベル、記録カードを準備し、観察で得た形態的特徴を基に信頼性ある図鑑や検索表で科・属・種の順に分類し必要に応じ染色で微細構造を明瞭化して類似種との識別点を明確にし、同定後は分類群・形態的根拠・使用文献を記録するとともに採集情報と種名を記した防水ラベルを標本容器の内外に貼付して密封し光や熱を避けた環境で管理することまでを理解する。
③ 船曳き網で採取した稚魚は70%エタノールまたは10%中性ホルマリンで固定し体表や鰭を損傷しないよう丁寧に扱って洗浄海水で付着物を除去し、無脊椎動物幼生はノルパックネットで鉛直曳き採取後に冷暗所保管しホルマリンまたはエタノールで初期固定して63µmふるいで濾過し沈降や低速遠心で濃縮後に海水洗浄して人工海水へ再懸濁し、稚魚の透明化染色では固定後に段階的エタノール脱水、過酸化水素や酵素で筋肉透明化、アルシアンブルーで軟骨を青色、アリザリンレッドで骨を赤色に染色してグリセリン保存し、無脊椎動物は固定洗浄後にメチレンブルー染色し再洗浄して封入し観察用プレパラートを作製することまでを理解する。
④ 染色後の分類前処理では稚魚を10%中性ホルマリン、無脊椎動物を4%中性ホルマリンまたは70%エタノールで固定し、丁寧に取り扱いながら蒸留水や海水で洗浄して過染色や付着物を除去し、稚魚は透明化後にグリセリン中で保存してアルシアンブルー(軟骨)とアリザリンレッド(硬骨)で染色された骨格を実体・光学顕微鏡で観察し頭骨・脊椎・鰭条・体形比などを基に検索表や図鑑で分類し記録整理のうえ保存し、メチレンブルー染色した無脊椎動物幼生は体節・付属肢・繊毛帯・口器などを観察して発生型を起点に検索表で同定し、標本番号や採集情報を記したラベルを添付して密封保存することまでを理解する。
キーワード
① アマモの採取 ② アマモの葉上生物 ③ 形態同定 ④ 透明化処理および染色 ⑤ 幼生前処理
コマの展開方法
社会人講師
AL
ICT
PowerPoint・Keynote
教科書
コマ用オリジナル配布資料
コマ用プリント配布資料
その他
該当なし
小テスト
「小テスト」については、毎回の授業時間内に、ヨリソル上において当該コマの小テスト(難易度表示付き)を実施します。
復習・予習課題
【第15回目復習】
11~14回の復習回である。アマモ場の生態的役割とアマモの採取・洗浄・保存方法、アマモに付着する生物のソーティング、同定、稚魚および無脊椎動物の採集・固定・処理法、ならびに染色・透明化処理を施した標本の同定手順を確実に習得しておくこと。11~14回の振り返りで実試料の再説明をしたので、その時に記録したメモやノートを整理しつつ、これまで配布した教材の振り返りを必ずしてください。また、試料(動物)の同定に必要な機材、器具類、試薬類については、使用する場面や処理工程なども併せて理解を必ずしておくこと。
履修判定指標
履修指標
履修指標の水準
キーワード
配点
関連回
水生生物の起源から研究史、採集、保存方法、法令の理解
★水生動物学の歴史的展開・進化・研究方法に関する基礎知識を正確に説明できる。
★★採集・保存・標本処理の具体的手順を理解し、実際に適切に実践できる。
★★★法規制や倫理的配慮を理解し、適切に行動できる。
水生動物の起源、進化史(カンブリア爆発など)、研究史(アリストテレス〜近代〜日本)
系統・分類学、採集法、保存法、標本処理、DNA・RNA解析用処理
法令遵守、許可手続き、動物福祉、
安全管理
20
1、2、4、5
水生生物の観察に必要な機材の選択やその使用方法についての理解と応用
★試料の性状に応じたピンセット・解剖針・マイクロスパーテル・マイクロピペットなどの使い分けができる。
★★標本皿やスライドガラスを用いて、観察に適したプレパラートの作製方法について理解できる。
★★★各種顕微鏡(実体・光学・倒立・電子)の特徴と用途を理解し、対象に応じた適切な機器を選択できる。
試料操作、微細調整、吸引分注、個体保護
プレパラート、染色処理、カバーガラス、形態観察
倍率・立体視、生体観察、SEM/TEM、超微細構造
20
3、4、5
水生動物観察・記録・標本作製に関する技能習得
★観察器具の作製を通じて、観察目的に応じた道具を工夫・活用できる。
★★魚類の計測・スケッチ・撮影において、正しい計測法・描写法・撮影手法を用い、学術的に信頼性のある記録を作成できる。
★★★透明化・染色標本の作製過程を理解し、試薬の取扱いや処理工程を適切に実践できる。骨・軟骨の染色分別を正しく行い、保存までの一連の流れを説明できる。
竹ピンセット、索針、観察器具、
観察に応じた道具選択
計測精度、スケッチ、標本撮影、形態記録
透明化、染色、試薬操作、骨・軟骨観察、保存処理
20
6、7、8、9、10
アマモ場における水生動物の採取・同定・保存方法の習得と応用
★アマモ場での採取方法や付着生物の分離処理を正しく理解し、適切な保存処理まで一連の流れを実践できる。
★★顕微鏡観察と図鑑・検索表を活用し、形態的特徴をもとに正確な分類・同定を行い、類似種との識別ができる。
★★★同定根拠を系統的に記録し、ラベルや保存容器を適切に整備して、長期的に再現可能な標本管理を行える。
アマモ場、付着生物、採取処理、中性ホルマリン
顕微鏡観察、検索表、形態特徴、類似種識別
記録整理、ラベル付け、保存管理、再現性
20
11、12、15
稚魚および無脊椎動物幼生の染色・分類の習得やその応用
★稚魚や無脊椎動物幼生を適切な固定液で処理し、透明化・染色操作を正しく行い、損傷や過染色を防ぎつつ観察に適した状態を準備できる。
★★透明化染色標本の骨格的特徴(軟骨・硬骨・鰭条・脊椎など)を実体顕微鏡・光学顕微鏡で正確に観察し、検索表や図鑑を用いて階層的に分類できる。
★★★メチレンブルー染色標本を用いて体節・付属肢・繊毛帯などの微細形態を詳細に観察し、発生型の識別を含めた体系的な分類と記録を行える。
固定液、透明化、染色処理、観察準備
骨格構造、鰭条数、検索表、分類精度
体節構造、付属肢、幼生型、記録・保存
20
13、14、15
評価方法
試験(100%)により評価する。
評価基準
評語
学習目標をほぼ完全に達成している・・・・・・・・・・・・・
S (100~90点)
学習目標を相応に達成している・・・・・・・・・・・・・・・
A (89~80点)
学習目標を相応に達成しているが不十分な点がある・・・・・・
B (79~70点)
学習目標の最低限は満たしている・・・・・・・・・・・・・・
C (69~60点)
学習目標の最低限を満たしていない・・・・・・・・・・・・・
D (60点未満)
教科書
指定の教科書はありませんが、実験時には以下の参考文献を使用します。
参考文献
無脊椎動物1、2 A. キャンベル・J. ドーズ(編) 朝倉書店 4,150円、日本の水生動物 武田正倫編 学研 2,090円、日本魚類館―精緻な写真と詳しい解説 中坊 徹次【編・監修】小学館 7,590円、貝の図鑑―採集と標本の作り方 行田 義三 (著) 南方新社 2,860円、
実験・実習・教材費
標本および試薬代(保存&染色試薬)で1,500円/一人を徴収します(価格改定などで変動する可能性あり)。